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1962/03/07 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第10号
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1962/03/07 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第10号

#1
第043回国会 外務委員会 第10号
昭和三十八年三月七日(木曜日)
   午前十時三十五分開会
  ―――――――――――――
   委員の異動
 三月一日
  辞任      補欠選任
   石田 次男君  渋谷 邦彦君
 三月四日
  辞任      補欠選任
   渋谷 邦彦君  石田 次男君
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     岡崎 真一君
   理 事
           井上 清一君
           草葉 隆圓君
   委 員
           青柳 秀夫君
           鹿島守之助君
           山本 利壽君
           岡田 宗司君
           佐多 忠隆君
           石田 次男君
           佐藤 尚武君
  政府委員
   外務政務次官  飯塚 定輔君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  説明員
   外務省条約局外
   務参事官    須之部量三君
   大蔵省主税局大
   蔵事務官    上野 雄二君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○関税及び貿易に関する一般協定の譲
 許表の訂正及び修正に関する締約国
 団の確認書の締結について承認を求
 めるの件(内閣送付、予備審査)
○関税及び貿易に関する一般協定に附
 属する第三十八表(日本国の譲許
 表)
 に掲げる譲許を修正し、又は撤回す
 るためのアメリカ合衆国等との交渉
 の結果に関する諸文書の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣送付、予
 備審査)
○千九百六十年の海上における人命の
 安全のための国際条約の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣送付、予
 備審査)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避のための日本国とオーストリ
 ア共和国との問の条約の締結につい
 て承認を求めるの件(内閣提出、衆
 議院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国政府とグレート・ブリテン及び北
 部アイルランド連合王国政府との間
 の条約の締結について承認を求める
 の件(内閣提出、衆議院送付)
○所得に対する租税に関する二重課税
 の回避及び脱税の防止のための日本
 国とニュー・ジーランドとの間の条
 約の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出、衆議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡崎真一君) それでは、これから本日の外務委員会を開会いたします。
 関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する締約国団の確認書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国等との交渉の結果に関する諸文書の締結について承認を求めるの件、千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。
 提案の理由を伺います。飯塚政務次官。
#3
○政府委員(飯塚定輔君) ただいま議題となりました「関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する締約国団の確認書の締結について承認を求めるの件」につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国の国定税率を定める関税定率表の附表は、一昨年六月一日全面的に改正され、新しい関税品目分類法に準拠するものとなり、また、この改正の後に締結したガット文書に収録されるわが国の関税譲許表もすべてこの新しい関税品目分類法に準拠するものとなっております。これに伴って、この改正前に締結したガット文書に収録されている関税譲許表をも新しい品目分類法に準拠したものにするよう訂正することが関税事務の運用上必要となり、政府は、各譲許をそのように訂正することにつき、当該譲許に関係を有する各国の了解を求めるための交渉を進めて参りました。
 かかる交渉は昨年秋に終了いたし、本年一月十五日、この訂正を実施するために必要なガット上の手続を了しました。本件確認書は、右の訂正を加えたわが国の新譲許表を他国の譲許表とともに収録するものでありまして、わが国の新譲許表は、政府が国会の御承認を得た後ガットの事務局長に対して行なら通告によって効力を生ずることとなっております。
 よって、ここにこの確認書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、「関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国等との交渉の結果に関する諸文書の締結について承認を求めるの件」につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国の貿易の自由化の進展に伴い、わが国のガット譲許の一部を修正しまたは撤回する必要が生じましたので、政府は昨年五月から、米国、ドミニカ、欧州経済共同体、ギリシャ、ペルー及びウルグァイとガット第二十八条の規定に基づく関税交渉を行なって参りました。本件文書は右の交渉の結果を収録するものでありまして、この文書によって修正または撤回される譲許は十五品目、これを国別に見ますと、対米十一、対ドミニカ一、対欧州経済共同体三、対ギリシャ一、対ペルー一、対ウルグァイ一であり、その一昨年における交渉相手国からの輸入実績は千六十五万四千ドルとなっております。他方、その代償として提供する譲許は二十四品目、国別に見ますと、対米十六、対ドミニカ一、対欧州経済共同体四、対ギリシャ二、対ペルー一、対ウルグァイ二であり、その輸入実績は七百九十六万六千ドルとなっております。これらの譲許は、政府が国会の御承認を得た後ガットの事務局長に対して行なら通告によって効力を生ずることとなっております。
 よって、ここにこれらの文書の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、「千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約の締結について承認を求めるの件」につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、「千九百四十八年の海上における人命の安全のための国際条約」を改正してこれにかえるため、千九百六十年四月にロンドンで開かれた国際会議で作成されたものであります。
 海上における人命の安全のための条約は、今まで数回にわたって作成されておりますが、これらはいずれも、政府間の合意により画一的な原則及び規則を設定することによって、海上における人命の安全を増進することを目的とし、具体的には、船舶の構造上の安全措置、非常の際の救命設備、救助を求めるための無線設備、航行の安全をはかるための気象、危険物等に関する通報措置並びに積荷の積みつけ方法及び危険な積荷の制限を規定しているものであります。この条約は、千九百四十八年以後における技術の進歩、原子力船の出現等に伴い、千九百四十八年の条約の諸規定を改善するとともに新たに原子力船に関して原則的規定を設けたものでありまして、その趣旨においては前条約と全く同じであります。
 国が自国の船舶に人命の安全上必要な措置をとらせることは、当然のことでありますが、海上における人命の安全の確保のためには国籍の異なる船舶相互間の協力を必要とするため、従来より条約が作成されているわけでありまして、わが国は、千九百四十八年の条約を昭和二十七年七月に受諾いたしまして以来、同条約に基づく義務を忠実に履行している次第であります。
 この新条約が実施されますと、海上における人命の安全は、一そう増進されることになりますほか、わが国の船舶は、条約に基づく証書を持っている限り、他の締約国の港において実質的な検査を受けないという特権を享受するわけでありまして、この実際上の利益は、海運国であるわが国にとりきわめて大きいと言うことができます。さらに、わが国は、現在、政府間海事協議機関の理事会及び海上安全委員会の構成国となっており、海運及び造船の分野で国際的に重要な地位を占めておりますので、このような立場からも、この条約を受諾して海上人命の安全の増進のため積極的な協力を行なうことが必要であります。
 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。以上三件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことをお願い申し上げます。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(岡崎真一君) 次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とオーストリア共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国政府との間の条約の締結について承認を求めるの件、所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とニュー・ジーランドとの間の条約の締結について承認を求めるの件、以上三案を一括して議題といたします。
 いずれも去る二月二十六日衆議院より送付、本審査になっておりますので、まず、補足説明を聴取いたします。須之部条約局次長。
#5
○説明員(須之部量三君) それでは、ただいま議題になりましたオーストリア、イギリス及びニュー・ジーランドとの間の租税条約につきまして、若干補足説明を申し上げます。
 オーストリアとの租税条約は、昭和三十六年の十二月二十日に署名されました。それから、イギリスとの条約は三十七年の九月四日、それから、ニュー・ジーランドとの租税条約は三十八年、ことしの一月三十日にそれぞれ署名されたわけでございます。で、今までわが国が租税条約を持っておりますのは、アメリカ、それからスウェーデン、パキスタン、ノールウェー、デンマーク、インド、シンガポール、この七カ国でございまして、今度の三条約を御承認いただきますと、十カ国との間に租税条約を持つことになるわけでございます。
 で、この二重課税防止条約がどうして必要かと申しますか、あるいは条約の意義という点でございますが、これは御存じのとおり、申すまでもないことと存じますが、二国間で課税権の重複がある。そのために、同一の所得について両国でそれぞれ別個に課税されるということをなくしたいというのがこの条約のねらいでございます。それで、おそらくこれは少し場合が違うと思うのでございますが、国内でも、たとえば異なる地方団体の間で課税権の帰属について紛争があるというような場合には、自治大臣の決定を求めるというような制度があるようでございますが、国際間ではそういう方法もございませんので、関係国の間で、二国間で条約を結びまして、課税権の調整をはかるというのがこの防止条約の趣旨でございます。
 そうしますと、どうして二重課税というものが起きるのか。これはもちろん、課税権の重複と、一言で言えば、そうでございますが、それをさらにもう少し詳しく申し上げてみますと、たとえばA、B、二つの国があります場合、一人の納税者が、住所はA国にあり、事業をB国でやっておるというような場合に、A国の租税法では、その人間がAに住所を持っているからということで課税する。一方B国のほうは、そのA国の人がBで仕事をやっているから、その仕事から出る所得に対しては課税するということになります場合には、結局その人間はBで得た所得については課税され、さらにAにおいてもその人が得る全所得について課税されるというわけで、二重課税になるわけでございます。
 それから、さらに第二の場合として、居住者となる要件がA国とA国でそれぞれ違います場合に、同一の人あるいは会社につきまして、Aの税法上の居住者でもあり、また、同時にBの税法上の居住者でもあるということが出てくるわけでございまして、したがいまして、居住者たる要件について、A、B両国の間で調整をはかりまして、そのような重複が起きないようにするという必要が出て参るわけでございます。
 それから、さらに第三の場合といたしまして、所得の源泉。どの国に源泉を持つ所得であるかということについての考え方が違うことがあり得るわけでございまして、たとえば、A国における事業のための貸付金の利子がB国で支払われるというような場合、A国のほうは事業そのものがA国で行なわれているのだから、その利子所得について毛課税できるという立場をとり、B国のほうでも、その利子はB国で支払われたのだから、B国に課税権があるという場合には、ここにまた二重課税の状態が出てくるわけでございます。
 そこで、そういうような二重課税のいろいろな場合があるわけでございますが、それをいわゆる二重課税防止条約で、どういうふうに救済するかという点でございますが、そうなりますと、今の問題が起きる場合に、それと対応してくるわけでございますが、まず第一に、所得の発生源泉というものについての考え方を調整いたしまして、それぞれの国でどこまで課税できる所得であるかという課税所得の範囲を、それぞれの国の間で明確にするということが第一に出て参ります。
 それから第二に、居住者の定義を明確にいたしまして、先ほども申しましたような、同じ人間あるいは会社等が、二つの国から同時に居住者であるというような認定をされるということを避けるように、両国間でもって調整をするということが出て参ります。で、さらに、このように所得の源泉なり、あるいは居住者の定義を明らかにしたあとで、さらに課税権の重複を救済する方法ということが問題になるわけでございますが、課税権がどうしても重複するという場合に、それを救います第一の方法は、結局、所得の発生する源泉地国で課税して、居住地国のほうでは弔う免税してしまうという場合、あるいは逆に、居住地国のほうで課税いたしまして、源泉地国のほうでは完全に免税してしまう場合という両方の方法があり得るわけでございます。で、このどちらの方法をとるかということになって参りますと、たとえば後進国等の、他国から資本とか技術とかを輸入している国、つまり、純輸入国をとってみますと、おのずから源泉地国で課税するという主義を主張するわけになるわけでございます。それから一方、先進国同士ということになって参りますと、むしろ居住地国主義という方法が、課税の方法もはっきりするし、それから、お互いに本拠が居住地国にあるわけでございますから、居住地国主義をとるということになるわけでございます。方法としましては、その二つの方法があるわけでございます。
 ところが、こういうふうに、必ずしもいつもきっぱりと、片一方だけで課して片一方だけで免税して、ということもきめ得ない場合もあるわけでございます。その場合には、税額控除という方法を講じておるわけでございます。つまり、A国で発生した所得に対してA国のほうが課税いたします場合、それがB国で全所得の一部として課税されます場合に、A国で支払われた部分の税額は、B国において総合課税をするときに免税してやるという方法で、二重課税の重複を救済するという方法があり得るわけでございます。
 それで、原則は以上のとおりなんでございますが、これの組み合わせでいろいろな租税条約のパターンというものがあるわけでございます。で、その中に非常にいろいろのパターンがありまして、国により――と申しますのは、それぞれの国の経済的な利害関係等もございますので、それによりまして、いろいろと違った租税条約が出てきておるわけでございますが、最近、と申しましても、これはもっと前からでございますが、西ヨーロッパの中のOECD諸国、つまり、まあ西欧諸国と申してもよろしいかと思いますが、西ヨーロッパ諸国の間で、何とか各国間のこの租税協定をもう少し統一あるものにするためにその典型を作ろうという動きが、第二次大戦後非常に強くなってきておるわけでございます。それで、この動きは、元来は国際連盟当時、第二次大戦前からすでにあったわけでございますが、あまり成果は上がっておらなかったわけでございます。それが戦後になりまして、西欧諸国の間で何かその典型を作ろうという動きが強くなりまして、最近までに、その典型条約案はまだ全部完成しておりませんが、その相当部分の条約草案ができ上ってきておりまして、これがいわゆる先進国の間で結ばれる租税協定の一つの典型といたしまして、非常に大きな意義を持っておるわけでございます。
 それで、その内容はどういう内容かと申し上げますと、先ほど申し上げましたように、二重課税の起きるそれぞれの場合に対処するために、たとえば恒久的施設の定義をはっきりする、あるいは居住者となる要件をそれぞれはっきりさせる、あるいはどういう場合には源泉地国課税、どういう場合には居住地国課税、あるいはできない場合はある程度の減免にとどめるが、その減免されない部分については税額控除をするというような一つのパターンを作っておるわけでございます。
 今回御審議いただきますこの三条約でございますが、この三条約は、日本としましては、このOECD――西欧諸国の典型を作り、できるだけ多くのものを取り入れて作っているわけでございます。ことに恒久的施設の定義につきましては、もうこの西欧諸国の典型を、ほぼそのまま取り入れているというような内容でございます。
 具体的に、三租税条約はどういう項目について規定をしているかということを申し上げますと、これは内容が多岐にわたりますので、おもな点だけを、項目だけを申し上げたいと存じますが、たとえば産業上、商業上の利得に対する課税につきましては、今申しました恒久的施設というものの定義をきめまして、恒久的施設というものをもって他国で事業を行なっている場合は、その恒久的施設、たとえば支店等でございますが、支店等に帰属する事業所得についてのみ課税できる、その他のものには、その事業をやっている国においては課税しないというようなことで、課税範囲を明確にしているわけでございます。それから航空機とか船舶の所得、これは原則として免税にする。それから配当所得、利子所得、それから使用料、これは例の特許等に伴うロイヤルティでございますが、それに対する減免の規定を置いている。あるいは個人の役務――つまり会社に雇われましたり、あるいは公務等で相手国に滞在している場合に、相手国において課税されない――一定の場合には課税されないというような規定、それから教授、学生の交換とか、あるいは短期滞在者の免税とかというような点が、おもな内容になっているわけでございます。
 このように三条約は、建て方としては基本的に同一でございますが、なお、その三協定間に若干の相違はもちろんあるわけでございます。日本とイギリスとの間の条約と、日本とオーストリアとの間の条約を比較いたしますと、これは文字どおり、ほぼ内容的に同じでございます。しいて違う点というものを取り上げますと、イギリスの場合には植民地がございますので、植民地でもこの条約を適用拡張できるというような規定があるわけでございますが、税の減免のやり方につきましての規定の実体は、ほぼ同一と申してよろしいかと存じます。ただニュー・ジーランドとの条約は、日英ないし日本オーストリアとの条約と若干違っているわけでございますが、その違っているおもな点を申し上げますと、海運所得のうち、日英日墺は、お互いに全部税金を免除することにしておりますが、ニュー・ジーランドの場合は五〇%だけ免除するということになっております。と申しますことは、これはニュー・ジーランドと日本と比べました場合、日本の海運はニュー・ジーランドに非常に多数行っておりますが、ニュー・ジーランドの船は日本にほとんど来ていない。そのために、これを全部免税にいたしますと、ニュー・ジーランドのほうの税収入だけが大きな減になるわけでございまして、建前としては、当然両方減免すべきでございますが、ニュー・ジーランドの今の実情から、これは半分にしかとどめられない。また、日本以外のすべての国にもそういう政策をとっておりますので、これが五〇%になっている。それから、利子及び使用料につきまして、全然減免の規定がございません。これも今と同じ理由で、ニュー・ジーランドが今のところ、依然として資本及び技術でも純輸入国でございますので、これを減免する場合には、自分のほうから支払う利子とかロイヤルティについて、せっかく課し得る税金を減免しなくちゃならなくなってしまう。その見返りで、日本のほうから、ニュー・ジーランドの人や会社がもらう利子やロイヤルティについての減免は別に実際上受けられないということで、その点の規定を置いております。それから、恒久的施設の定義のところにつきまして、若干ニュー・ジーランドに特有な定義が入っているというようなことでございまして、今まで日本が結んでおります租税条約と比べますと、たとえばパキスタンとかシンガポールとかの後進国と日本が結んでおります条約の特徴が、ある程度ニュー・ジーランドの場合に入ってきておるというような特徴があるわけでございます。
 以上が大体の内容でございますが、今後二重課税条約はほかの国ともなるべく広く結んで参りたいと思っておるわけでございまして、この条約の締結につきましては、内容的には実は大蔵省の御所管の国内税法との関係が非常に深うございます。大蔵省と緊密に連絡してやっておるわけでございますが、近くこの三条約のほか、今国会におきましてタイとの二重課税条約も御審議をお願いしたいと存じております。またマラヤとかフランス、セイロン、アラブ連合、あるいはカナダという国とは、すでにある程度交渉が進んでおるという現状でございます。
 以上、簡単でございますが、補足説明をいたしました。
#6
○委員長(岡崎真一君) 続きまして、以上三件について質疑に入りたいと思います。質疑のある方は、順次御発言を願います。
#7
○岡田宗司君 今外国の日本にある企業あるいは個人等々で、日本側でもって取っておる税金の額とか、あるいはその種類とか、一体事業所それから個人等がどのくらいになっておるか、それについてお伺いしたいと思います。
#8
○説明員(上野雄二君) お答え申し上げます。
 最近の資料で、私どもに判明しておりますのは昭和三十六年度の資料でございますが、御承知のとおり、課税の方法として源泉徴収で取るものと、それから申告で取るものとございまして、日本に事業を持っておりませんと、配当とか利子とか受け取った場合に、源泉徴収だけが最終の税収入になります。そういう区分けで見ていただきますと、源泉徴収によって外国法人それから非居住者から受けております税収が大体六十八億円になっております。それから申告で取っております税額が二十三億円、合わせて大体百億と見ていただけばいいと思います。
 特にまたつけ加えたいと思いますのは、今の源泉徴収の六十八億のうち、六十億がロイアルティに対する源泉徴収でございます。いかに日本の外国からの技術算入が盛んであるかということ、それからまた多額のロイアルティを払っているかということがおわかりになっていただけると思います。一言つけ加えますが、このロイアルティの支払いは、御承知のとおり、ここ数年間非常に毎年伸びております。今後ともロイアルティに対する課税の税収はふえていくのじゃないかと考えております。
#9
○岡田宗司君 日本の企業なり、あるいは商社なり、またあるいは個人なりが、外国で支払っている税金、これはどういう種類でどのくらいになるか。
#10
○説明員(上野雄二君) これはたいへんむずかしい御質問でございまして、と申しますのは、日本の企業が外国に進出を始めましたのがほんのここ四、五年間の問題でございまして、日本の場合には、税法上課税が非常に早く来る。御承知のとおり、たとえば所得税の場合には翌年の三月に参ります。それから、法人税の場合にも、事業年度が終わったら二カ月以内に課税が参ります。ところが、世界各国とも、ほとんど賦課課税を取っております。結局申告いたしましても、賦課が来るのが非常におくれて来る場合が多いのでございます。ことに新規の事業になりますと、向こうも調査に手間どりまして、普通三年から四年くらいおくれて賦課がぽんと来るという状態でございまして、日本の商社あたりが外国で相当困っているのも、そういう問題なんでございます。そういうことで、現在、今までの日本の企業の海外活動に対してどの程度の税が払われたかという、実は資料がございません。ただ、かりに一つの資料として考えられますのは、ここの御審議いただきます租税条約にも書いてございますが、外国で払われた税は、日本で税額控除できる。その税額控除をどのくらいやっているかといのが一つの資料になると思うのでございますが、それがここ一、二年非常にふえて参りました。おととしの事業年度では、私どもの調査で、東京・大阪国税局管内で十件程度の税額控除しかなかったわけでございます。もっとも、これは法人だけでございます。ところが、昨年の事業年度では二十五、六件の税額控除が行なわれております。ただし、税額は全部で十億円くらいのものでございまして、さほど大きな額にはまだなっておりません。したがいまして、現在行なわれております事業活動にどのくらいかかってくるかということは、もう少し時間がたって見ていただかないとわからないわけであります。
#11
○佐多忠隆君 技術導入の過去数年間における件数と、それに支払ったロイアルティ、それからそれの各国別、それはどういうふうになっていますか。
#12
○説明員(上野雄二君) これもたいへんむずかしい問題がございますのは、御承知のとおり、ロイアルティと申しますと、契約で、一定の金額に対して何割という払い方をいたしておりますことと、それから、あらかじめ許可がございましても、実際所得が上がらないので払わなかった等々がございまして、私ども大蔵省で捕捉できますのは、今の許可件数だけでございます。一応それを前提に見ていただきますと、ロイアルティを払っておりますのが、年間で約三千八百人といわれております。したがって、納税者でこれを見ていただきますと、三千八百件くらいロイアルティを日本から受けている者がいるということになります。もっとも、これは御承知のとおり、相手方が一件でございましても、日本の会社数社に投資している場合もございまして、その点は、現在私の手元には件数ごとの数字がございませんのでございます。大体三千八百人くらいロイアルティを受けている。それに対する税額は、先ほど申しましたように六十億でございますが、受けておりますロイアルティの額が五百四十億という数字があがっております。これでおわかりのように、大体一〇%足らずの税負担になっておりますが、なぜ一〇%足らずになりますかと申しますと、昔、租税特別措置法がございまして、重要外国技術については昭和三十二年まで免税になっております。その後これがだんだん上がって参りまして、昭和三十四年まで一〇%、それからその後のものが一五%と、御承知のとおり、所得税法で御審議いただいたわけでございます。そういたしますと、この免税というものが、契約ベースで免税となっております。その期間に契約ができ上がったものは、ずっとランニング・ロイアルティを払っておりますので、ずっとゼロになります。その金額が入っておりますために、税負担が一〇%ちょっと切るということになっております。古い契約がだんだんなくなって参りますと、租税条約できめられた義務なり、あるいは国内法の一五%の税負担に近づいてくるのではないかと思われます。
#13
○佐多忠隆君 今の技術導入の件数、それからロイアルティの金額、それらのものの各国別はどうなっていますか。
#14
○説明員(上野雄二君) 各国別の数字といたしましては、実は件数がございませんので、支払い総額だけでかんべんしていただきたいのでございますが、一番最近の資料では三十六年度の資料がございます。これを見ますと、三十六年度は支払い総額が、ドルで見まして約一億一千万ドルでございます。そのうち、米国に対する支払いが七千二百万ドル、大体七割を占めております。その次が西ドイツでございます。これが一千百万ドルでございます。それから、三番目がイギリスでございまして六百万ドル、それから、四番目がスイスでございまして五百万ドル、大体この辺までが非常な大手筋でございまして、この四国合わせて八割以上行ってしまうという現状でございます。
#15
○佐多忠隆君 今のそれらの数字を書類にして出してもらいたいのですが。
#16
○説明員(上野雄二君) 承知しました。
#17
○井上清一君 外国の法人なり個人なりで、日本における大口の所得を上げているのは、どういうところなんですか。たとえばIBMとか、映画会社とか、何かそういうところを伺いたい。
#18
○説明員(上野雄二君) この点で、私ども租税関係の資料をある程度公開するのに限界がございますが、常識的に申し上げますと、非常に大きい税額を払っている会社は少のうございます。と申しますのは、大きい事業は大体日本法人の形で合弁会社を作っております。たとえば、御承知の有名な石油化学関係の会社は、ほとんど半分以上向こうの資本が入っておりますから、これはそういう形のものが多いわけでございます。ただ、課税資料としては日本法人の所得になっております。そういうものの唯一の例外がございまして、これは石油関係一件だけございます。ただ最近、これは何と申しますか、法人形態というか、組織変がえをいたしまして、その組織変え後どういう形になっているかということについては、はっきりした資料を持っておりません。それが一件だけでございます、外国法人として日本で事業をやっているのは。
#19
○山本利壽君 外国へロイアルティで払うのが一億一千万ドルくらい。日本が外国へなにしておるのがどのくらいございますか。
#20
○説明員(上野雄二君) お答え申し上げます。日本の外国に提供しております技術援助は、さして多数件数はございません。一般的に低開発国に対して多く出ているという傾向が見られるわけでございますが、御質問に関連いたしまして現在私どもの手元に持っておりますのは、この御審議願う条約関係の相手国に対してどのくらい出ているかという資料をただいま持っておりますのでございますが、それを見ていただきますと、これは先ほど補足説明でお話しございましたタイ国でございますね、これは後ほど御検討いただくわけでございますが、このタイ国に対しては、六件の技術援助契約を日本の法人が締結しております。そこから受けております金額が、大体八百万ドルでございます。これが今問題になっております各国のうちで一番多いものでございまして、あとはイギリスに一件出ております。金額は二十七万ドルというたいした金額ではございません。それから、そのほか現在マラヤ等に対して数件あるいはアラブ連合に対して一、二件というように、後進国に対しては各国とも数件ずつ技術援助協定を結んでいるようでございます。
#21
○山本利壽君 外国へ対して支払うロイアルティの何が非常に多いから、それを少なくしよう、そのために日本の技術を進めようとかといったような運動はいいことだと思うのです、指導も。ところが、アメリカ、イギリス、西ドイツ、スイスといったようなものと日本との関係だけでなしに、日本はそれらから非常にたくさん受けて、それらに提供する何はほとんど少ないわけですね。ところが、それらの国同士は一体どういうことかということがわかりますでしょうか。
#22
○説明員(上野雄二君) ただいまあげていただきました各国とも、ロイアルティはすべて受け取った国だけで課税するという建前をとっております。これは御承知のとおり、日本に対する大口の技術援助の提供先は、先進国――少なくとも技術の面では先進国の域に入っている。したがって、その各国間のロイアルティの動きは、ほぼ一方交通でなしに、相互的になっております。したがって、受け取った国だけで課税するという方式をとりましても、片方が一方的に税収を失う心配がないわけでございます。
#23
○山本利壽君 そのことはわかります。そのことはわかるのですが、私は、日本の産業ならば産業を発達させるのに、あまり外国へロイアルティを払うということをおそれ過ぎて、日本の産業の発展がおくれてもいけないと思うから、それで、その先進国相互間においてはしきりにやはりやっているものかどうか。という意味は、私の意味は、よそからもどんどん取っているのだけれども、これに対してまた将来こっちも出すように発展すればいいわけであって、必ずしも今の段階において外国から受け入れることをおそれていいものかどうか。それが各国の先進国間においてはどういう傾向を今日までとっておるかといったようなことも研究の課題になるのではないかと思ったから、ちょっとお尋ねしたわけでございます。
#24
○説明員(上野雄二君) ただいまの点について若干補足さしていただきますと、私ども税務当局の側から見ると、今先生の言われたことが、まさに基本的な考え方でございます。技術が入ってくる、自然に入ってくる、あるいは日本の企業がほしがるということは、ある程度企業の判断にまかされていいのではないか。ところで、税制上考慮しなければならないことは、今先ほど申し上げましたように、先進国の間で相互免除をしております。ところが、日本だけは課税をいたしております。これは、日本の中進国としての立場からどうしても日本から先進国へのロイアルティの払いが多くなります。それに対して応分の税負担を課することは、当然のことだという判断に立っております。ただ、日本で課税することによってロイアルティの支払いがふえて、結局日本の企業の企業負担をふやすのでは、これはいけないということが、私ども税務当局の基本的な考え方でございまして、一〇%まで源泉徴収税率を下げておりますのは、この程度ならば、向こうのよけいな負担にはならないのではないか。御承知のとおり、先進国は各国とも税額控除という制度をとっております。相手国で払った税額は控除してもらえます。一〇%程度ならば、日本の企業に転嫁されることもなかろうという考え方に立っているわけでございます。それから、今度はロイアルティを出すほうの側につきましては、所得税のほうで問題になっております輸出所得控除の一環として、外国技術に対する輸出振興制度がございます。これは、従来までの状態では、日本の企業の技術的な海外進出に対してある程度の効果があったんではなかろうか、こう考えております。
#25
○鹿島守之助君 それに関連しまして、今予想外に、タイ国に対して技術援助を八百万ドルも実は受取り勘定になっておるのですが、その内容はどんなものでございますか。件数は六件あるのですが、大体どんなものですか。
#26
○説明員(上野雄二君) これはタイ国との関係で詳しくまた御説明する機会もございますと思いますが、一番典型的なものが亜鉛鉄板の工場を、日本の商社とそれから生産会社と提携して出しております。それから、あと精糖関係、それからすずの鉱山の開発、それから殺虫剤等々の企業が出ております。
#27
○鹿島守之助君 それが八百万ドルになるのですか。
#28
○説明員(上野雄二君) はい、現在までそうなっております。
#29
○岡田宗司君 まあ日本におる外国人に対する、あるいは外国の法人等に対する課税の場合ですがね、これなかなか所得の捕捉もむずかしいのじゃないか。それから、脱税というようなことも行なわれて、それの取り締まりも非常に困難じゃないかと思うのですが、その点についてはどういうふうなものでしょうか。
#30
○説明員(上野雄二君) 外国法人あるいは非居住者に対する課税の現状いかんという御質問であると思いますが、この点は、先生御指摘のとおり、第一に事実上の捕捉の問題と、それから第二に、税法の適用上日本源泉の所得をどう計算するかという理論上の問題と、両方ございます。で、第一の捕捉の問題のほうは、全体として見ますと、外国企業には先進国から来ておるものが多いようでございまして、したがって、会計帳簿等の制度はきわめて合理的にできている傾向が見受けられます。したがいまして、捕捉上の困難は、一般的に言われるほどのことはないようにうかがわれております。ただ、第二の、理論上の困難は、これは非常にございまして、たとえば、日本で外国の銀行が事業をやっております場合に、日本の企業から借入金の利子を受け取ったと、その利子についてどうやって今度経費を配賦いたしますか。で、御承知のとおり、その資金というのは、日本で集めた預金でなしに、アメリカで集めた預金を持ってきて日本で貸しております。その場合に、どういう資金コストで見ていこうということが一つのいい例じゃないかと思います。で、これはこの点を明らかにするために、昨年の税制改正で非常に大幅な非居住者、外国法人の規定の整備をいたしまして、ある程度この点の困難さは理論的に解決がついてきたんではないかと思われますが、ことに、この点についての規定を欠きますと、外国法人の側からいうと、ある特定のケースについて税務当局の判断の幅が大き過ぎる、したがって、いわゆる認定課税をやるという印象を与えるということは、非常に日本の企業行政全体について望ましくないので、できるだけそこは昨年の改正で、法律なり政令に書き込んで、根拠を明らかにするように配意した次第でございます。
#31
○委員長(岡崎真一君) 他に御質問もなければ、三件につきましては、本日はこの程度にとどめます。これをもって散会いたします。
   午前十一時二十六分散会
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ソース: 国立国会図書館
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