くにさくロゴ
1962/03/26 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第14号
姉妹サイト
 
1962/03/26 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第14号

#1
第043回国会 外務委員会 第14号
昭和三十八年三月二十六日(火曜日)
   午前十時五十四分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   理 事
           井上 清一君
           草葉 隆圓君
           長谷川 仁君
           森 元治郎君
   委 員
           青柳 秀夫君
           木内 四郎君
           杉原 荒太君
           岡田 宗司君
           羽生 三七君
           曾祢  益君
           野坂 参三君
  国務大臣
   外 務 大 臣 大平 正芳君
  政府委員
   外務大臣官房長 湯川 盛夫君
   外務大臣官房会
   計課長     佐藤 正三君
   外務省欧亜局長 法眼 晋作君
   外務省経済局長 中山 賀博君
   外務省条約局長 中川  融君
   運輸省船舶局長 藤野  淳君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○在外公館の名称及び位置を定める法
 律及び在外公館に勤務する外務公務
 員の給与に関する法律の一部を改正
 する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○日本国とグレート・ブリテン及び北
 部アイルランド連合王国との間の通
 商、居住及び航海条約及び関連議定
 書の締結について承認を求めるの件
 (内閣送付、予備審査)
  ―――――――――――――
  〔理事井上清一君委員長席に着く〕
#2
○理事(井上清一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。これより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
#3
○森元治郎君 本件に関する提案理由の説明書第二ページ、これは外務省の提案理由説明書の中に、アルジェリアに大使館を置くというその理由として、アルジェリアは「将来北アフリカ諸国の中で指導的地位を占めるに至るものと考えられ」、と、何かこのアルジェリアだけがたいへん指導的地位ということをうたっておるのだが、よその国にも響くところが非常に大きいのではないか。「指導的地位を占めるに至るものと考えられ、」と、ほかの国はみんなアルジェリアの麾下になってしまうどいうような感じを抱かせるので、この「指導的地位」ということは好ましくない表現だと思うのだが、御説明をお願いいたします。
#4
○政府委員(法眼晋作君) これは決してほかの国の意義を過小評価するという意味ではございませんので、アルジェリアという国は非常に将来性のある国であるということはいろいろな点から明白になっておりますので、これを強調する意味で書いたのでございます。特にこのためにほかの国に対して悪い影響を及ぼす、その結果を予測して書いたわけではございません。
#5
○森元治郎君 しかし、これをずっと通読してみると、特に私の頭にこつんとこの字がひっかかったので、そういう意味ではないだろうけれども、表現はまずいと思うのですがどうですか。
#6
○政府委員(法眼晋作君) 過去におけるいろいろな実績から見てみまして、事実上アルジェリアは、何といっても北阿では最も将来性のある国であると着目いたしまして、しかも、日本といたしましては、あらゆる地域に大使館を置くこともできませんので、これは特に強調する意味合いで書いたわけでございますので、さような意味で御了承願いたいと思います。
#7
○森元治郎君 将来性があるから大使館を設置し、国交関係をよくするのでは、やはりこういう表現は将来性強調にしては、しかも外務省という外交をやっておられるところでは、あまりいいものじゃないと思うのです。もう一ぺんひとつ。
#8
○政府委員(法眼晋作君) その点は今後とくと注意をいたしまして、そういう疑いの出ないようにあらゆる措置を講じたいと思います。
#9
○長谷川仁君 今回のこの改正案によってどれくらいのベース・アップになるのですか、平均。ベース・アップでなくて、まあ……。
#10
○政府委員(湯川盛夫君) 今回のこの在勤俸は、新しくできますところの在勤俸をきめましたので、特にベース・アップということは入っておりません。
#11
○長谷川仁君 現在の在外公館の公務員、外交官と申しますか、大体各国に比べるとどこぐらいの国のあれになりますか、待遇は。
#12
○政府委員(佐藤正三君) 大体昨年、三十七年度の予算の際に、在勤俸の改訂を行ないましたのでございますが、その際、基準としてとりましたのは、アメリカの外交官の給与でございます。このアメリカの外交官の給与というのは、必ずしも、世界的に見ますと、高いものではございません。したがって、世界的に見ますれば、むしろ低いものであります。
#13
○長谷川仁君 私どもが特派員で香港に行った実例から申し上げまして、アメリカは事実上低いほうでないとおっしゃいますが、アメリカ総領事館の連中と日本の総領事館の連中の活動状況、あるいは私生活も含めて、格段の相違があるということは言うまでもないと思うのです。私がまあこの体験から申しますと、現在の在外公館の方々が、私的な交際はもちろんのこと、公的な活動もできない、現在の待遇では。これはまあ本省としては、どういうふうにお考えになっておりますか。
#14
○政府委員(湯川盛夫君) 在勤俸につきましては、非常にまあ低いという状態でございましたが、昨年ある程度改善することができました。その後、なお必ずしも実情に即して十分でないというところがありますので、各在勤地から給与状況をとりまして、さらにまたその十分でない、活動が十分でないというところはだんだんと是正していきたいと、こう思います。
#15
○長谷川仁君 この台北に総領事館を特に新設するという意味は、どういう理由でございますか。
#16
○政府委員(湯川盛夫君) 台湾と経済文化関係が相当密接でございまして、台北駐在の日本人の数もだんだん増しております。また、日本人の台湾への一般渡航者、また、台湾にいる中国人の本邦への渡航者、こういったものも最近激増しております。台北大使館が昨年度取り扱った査証件数は八千九百四十三件ございまして、これは在外公館の中ではニューヨークに次いで第二位を占めておる。こういうふうなことが多いのでございます。また、現在台北周辺地区に支店設置をしておるものが十数社ございまして、各銀行商社の駐在員、その他日本人の在留民が三百五、六十名おります。さらに五十年にわたるまあ台湾統治時代に台湾人と結婚した日本人、これが約三千九百名にも上っておる。そのほか、台湾が旧領域であった関係で、いろいろな紹介や何かが、身分関係や何かの紹介が参るまた船舶も相当に行き来しております。こういったことのために、やにり領事館を置きたいということでやっております。
#17
○長谷川仁君 ただいま文化活動がきわめて活発になったと言うのでございますけれども、たとえば現在でも台湾におきましては、日本の一般新聞などが輸入されていないということがございまして、私どもが現地へ行ってみますと、日本の新聞、雑誌が非常に読みたい、しかしながら、現在の国府が入れないということもあるわけなんでございますけれども、もう少し外務省あたりが本腰を入れて、そういったことについて、文化活動をやるならば、日本の実態を知らせるために、せめて日刊紙ぐらいは向こうに入るというふうになるのが、これがほんとうの文化活動ではないかという声をよく耳にするのでございまが、この点について、どういうふうに今なっておるのか、ひとつ御説明願いたいと思います。
#18
○政府委員(湯川盛夫君) まことにごもっともな御質問でございまして、現在必ずしも十分にそういうものが行っておりません。これはこちら側としてはできるだけやりたい、ただ、向こうで入れてくれないという事情がございます。できるだけそういったものも入るように努力したいと考えております。
#19
○長谷川仁君 この在外公館の新設ということに関連するのでございまけれども、現在、各国は中共情報を収集するためにマカオに非常に力を注いでおるという実情なのでございますけれども、外務省は将来、中共情報を収集する意味におきまして、マカオに何か拠点、分館なり何なりを設置するという意向はございますか。
#20
○政府委員(湯川盛夫君) マカオも確かにそういう意味では大事なところと思いますが、目下のところは、香港を中心にしてやっております。ただ、マカオには別に領事館等はございませんが、漸次香港等から出張などして情報の収集に努めております。
#21
○森元治郎君 ミラノに実館を新設するというのは何ですか。
#22
○政府委員(法眼晋作君) これは御承知のごとく、イタリアの経済活動は主としてミラノを中心として活動が行なわれております。これはローマからでは相当距離がありますので、何とかひとつ活動を強化するという意味から、従来からこのことが要望されておったことでございますけれども、ほかの関係で手が出なかったのでございますけれども、今回はその運びに至りまして、これを実館を置いて大いに経済活動に力を入れたいと、こういう考えでございます。
#23
○森元治郎君 実館というのは、その内容。
#24
○政府委員(湯川盛夫君) 実館と申しますのは、実際にそこに役所を置くという意味でございます。実館に対して兼轄というのがございます。実際にはそこにはないわけであります。よその地の者がそこまで兼轄しておる。それでは十分に効果を発揮できませんので、大事なところには実際の役所を置く、これを実館と言っております。
#25
○木内四郎君 そういう質問があったから関連するのですが、今度大使館がたいぶできますが、実館ですか。
#26
○政府委員(湯川盛夫君) 実館はアルジェリアだけでございまして、あとはみんな兼轄でございます。ただアイルランドの場合だけは、ちょっと変わった形でございまして、これは大使はおらないのでございますが、館員は置く。つまり大使だけはよその者が兼轄するが、役所はある。ですから、実館に準じたようなものがアイルランドにはできます。アルジェリアは実館でございます。
#27
○木内四郎君 そうすると、大使館もないのですか。名前だけで大使館も置かないわけですか。
#28
○政府委員(湯川盛夫君) アルジェリアのほかに象牙海岸というのが、これは実館でございます。それから、アイルランドの場合は大使館はあります。大使館はできますが、ただ、大使はよその大使に兼轄させるというのでございます。
#29
○木内四郎君 重ねて伺ってあれですが、ここにたくさんあるところは、名前はあるけれども、事務所もないということになるわけですか。
#30
○政府委員(湯川盛夫君) 普通の単なる兼轄というのは、事務所もございません。
#31
○理事(井上清一君) ほかに御質問ございませんか。――なければ、本件に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#32
○理事(井上清一君) 御異議ないと認めます。
 これより、討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#33
○理事(井上清一君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。在外公館の名称及び位置を定める法律及び在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○理事(井上清一君) 全会一致でございます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#35
○理事(井上清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
 それでは午後一時まで暫時休憩をいたします。
   午前十一時十一分休憩
  ―――――――――――――
   午後一時十五分開会
  〔理事井上清一君委員長席に着く〕
#36
○理事(井上清一君) ただいまから外務委員会を再開いたします。
 日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国のとの間の通商、居住及び航海条約及び関連議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 本件の提案理由の説明は去る二月二十六日に聴取しておりますので、本日はまず補足説明を聴取いたしたいと思います。中川条約局長。
#37
○政府委員(中川融君) それでは委員長の御指名によりまして、イギリスとの通商航海条約につきまして補足説明をきしていただきたいと思います。
 この条約は、すでに一九五六年から交渉が始まったわけでございまして、七年間にわたる交渉の結果、昨年十一月十四日ロンドンにおいて調印されたものでございます。この内容につきましては、日本が従来、戦後十六の国と通商航海条約あるいは通商条約を結んでおりますが、内容は大体それと同じでございます。この中でアメリカとの条約、これが一番内容が詳細にわたっておるのでございますが、今回作りましたイギリスとの条約は、アメリカとの条約に匹敵する実は詳細な内容を持った条約でございます。その意味では、日本が戦後に結びました通商航海条約のうち、アメリカとの条約と一緒に、将来結ぶ条約の一つの模範になる条約であると思うのでございます。この一番大きな内容といたしましては、お互いに、あるいは国民、あるいは会社が、相手国に行きまして、相手国に入る、及び相手国におきましていろいろのあるいは事業をし、あるいはその他の活動をすることにつきまして、アメリカの条約ではこれは内国民待遇、つまり実質について規定するのが原則であるわけでございます。それを補うものといたしまして、最恵国待遇を規定しておるのでございます。日英条約におきましては、それと違いまして、最恵国待遇を大体原則としております。その意味では、アメリカ以外の通商航海条約あるいは通商条約と大体軌を一にしておるのでございます。内容の規定の仕方におきましては、できるだけ詳細に規定をしておるというところに違いがあるわけでございます。
 それでは、アメリカの条約におきまして、内国民待遇という絶対待遇を原則として規定しながら、日英条約におきましては、最恵国待遇ということにしているのは、両者に差が出てくるんじゃないかという疑問が出るわけでございますが、この点につきましては、結局このイギリスにおきましても、アメリカに対しましては、ほとんど内国民待遇に等しい優遇措置を与えております。したがって、日本は最恵国待遇におきまして、イギリスにおけるアメリカの待遇に均霑するわけでございますので、日本におきましてアメリカに内国民待遇を与えておりながら、これにいろいろ制限を付しているいわゆる制限業種の制度をとっておりますが、実質から見ますとこれと差はまずない。要するに、日本がイギリスに与える、イギリスが日本に与える待遇というものは、まず差がない待隅になっているわけでございます。そういう点から見て、こういう方式に日本としては踏み切るのが適当であると考えて、そういう規定になっているのであります。
 なお、海運につきましても相当詳細な規定があるわけでございますが、海運につきましては、これは単に最恵国待遇のみならず、内国民待遇もできるだけ規定しているのでありまして、その点は日米条約とまず変わりはないわけでございます。
 今回の条約の一番の特徴といいますのは、経済活動――貿易、関税等の経済活動に関する面でございますが、これにあたりまして、この貿易の面につきましては、いわゆるセーフガードという制度を採用していろわけでございます。これは従来もセーフガードのつきました条約を各国と結んでおりますが、それからはいずれもガット三十五条援用を前提といたしましてセーフガードを与えていたのでありますが、今回の日英条約におきましては、三千五条援用を撤回せしめると同時に、最小限度の保障を先方に与えるという考え方で三十五条撤回を前提としながら、セーフガードを与えるという一つの新しいパターンを日英でとったわけでございます。これは六年間にわたる交渉の結論といたしまして、やはり最小限度の安心感は先方に与えながら、その安心感の基礎の上に日本の貿易の伸張をはかるというのが、日本の今後の貿易を進めていく上にやはりやむを得ない、かつ必要な措置であるという見地、そういう結論に到達いたしまして、これに踏み切ったのでございまして、その意味では、今までの条約にない一つの特徴であるわけでございます。このセーフガードが、この条約に附属いたします二つの議定書――第一議定書、第二議定書に規定しているのでございますが、第一議定書は、これは万一の場合、日本品が先方に非常に急速に、かつ多量に入ったというような場合には、イギリスと協議をいたしますが、やむを得ない場合には、イギリスが一方的にこれに対して制限措置をとることを認めるという趣旨でできているのでございますが、これはしかし、形といたしましては双務主義になっております。したがって、もし将来、イギリスからの輸入品が急激に日本市場を荒すというような場合には、日本もこの第一議定書に基づきましてセーフガードの措置をとり得るわけでございます。第二議定書は、いわゆるセンシティヴ・アイテムでございまして、これも考え方としては似ているわけでございますが、現在イギリスが約百八十品目につきまして日本品を差別待遇をしているのでございますが、これをぎりぎりにしぼりまして、十八品目については、引き続き日本品に対する制限措置をイギリスがとることを認める、これは暫定的でありまして、暫定的にそいうう措置を認めるというのが第二議定書でございます。これも第一議定書のセーフガードと相並んで、いわゆるイギリスに安心感を与える一つの措置としてとったわけでございます。
 なお、この条約とは別でございますけれども、日本がある特定の品目については、将来イギリスに対する輸出品につきまして自主規制をやるということの意向を先方に通報いたしまして、先方もそれに異存がないということを答えている。これが附属として参考につけてございます交換公文でございます。この自主規制の内容は約六十一品目でございまして、これは主としてイギリスの中小企業――日本品が入ってきますとイギリスとして非常に困る中小企業につきまして、しかも、日本側からいえば、日本側の現在持っております国内法に基づきます自主規制によって十分目的を達し得られるというものにつきまして、例外的に自主規制措置を先方に約束しているわけでございます。
 これが、大体この条約の内容でございます。
 なお、有効期限につきましては、六年間が条約の期限でございますが、双方がこの廃止の意思を通告しなければ、自主的にさらに期限が延長される。なお、センシティヴ・アイテム、セーフガード、そういう措置、この議定書も条約と同じ有効期限を持っておるわけでございます。しかし、この条約の有効期限内でありましても、セーフガードの措置につきましては、双方で希望するときにはこれを廃止する交渉をすることができる、それによって、条約の期限内でも廃止することができるというふうな仕組みになっておるわけでございます。
 以上、簡単でございますが、補足説明を終わります。
#38
○理事(井上清一君) 以上で説明は終了いたしました。
 これにより質疑に入ります。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
#39
○羽生三七君 一つだけお伺いいたしたいと思いますが、個々の問題に入る前の問題として、日本とアメリカとは、日米安保条約あるいは日米通商航海条約等を初め、政治、外交、経済等、各種の問題で深いつながりを持っておるわけですが、日本とイギリスとの関係については、これはまあ昔のような日英同盟というような軍事的な関係はもちろん今あるはずはないし、それから、今アメリカのことを申し上げましたが、アメリカほど直接深い関連性に立たされておるわけでもない。しかし、それにもかかわらず、対西欧外交という場合には、日本の政府当局、外務当局としても、かなりイギリスというものを高く評価していろいろな接触をはかっておると思われます。
 そこでお尋ねしたいことは、そういう、たとえば先年池田総理も向こうへ行かれたし、そのほか、関係閣僚も向こうへ行かれれば必ずイギリスヘも立ち寄る。一両日中にヒューム外相も来られるようですが、そういうことでかなりアメリカとは違った意味での接触というものがイギリスとの間にあるわけですが、対西欧外交、対西欧と必ずしも限定したことはないけれども、一般的に、この外交関係の上で、日本国としてはイギリスをどういう位置づけをしておるのか、これは一つの今後の問題点だろうと思います。ですから、直接には昔のような関連性はないにしても、いろいろな意味で深い関連を現に持ち、また持とうとしておる日本の政府としては、世界の中における、特に西欧の構成国であるイギリスとの間にどういう関連性を今後持ってくるのか。単なる普通の一般的な通商関係、貿易関係ということだけなのか、あるいは政治、外交的にイギリスというものをどういうふうに位置づけて今後接触を保とうとするのか。大局的な問題で一つだけお聞かせをいただきたい。
#40
○国務大臣(大平正芳君) イギリス本国だけをとってみましても、今、日英貿易はEEC全体に匹敵する、若干イギリスのほうが上回るくらいの関係にございますが、しかし、王冠をともにしている国々、あるいは植民地、属国等を含めますと、イギリスの支配下にある国々と日本との貿易は、片道五億ドルをこえておるわけでございますので、英国という国は、わが国にとりまして、通商貿易の上から申しまして非常に幅広い関係にありますことは、御案内のとおりでございます。それだけに大切な国でもございます。一方、わが国が、当初英国がEECに加盟するという話が起こりましたときに、まず私どもが期待いたしましたのは、英国が入ることによって、自由化勢力としてEEC全体を外向きに持っていく場合に、英国の力というものは相当高く期待していいのではないか。これはわれわればかりでなく、EEC内部におきましても、フランスを除く国々は、そういった期待を持っておったと思うわけでございます。つまり、自由化勢力として英国を評価しておるという意味におきまして、常識的なタッチを持って大切な役割を演じていくという意味で私どもも考えておるわけでございまして、ただいま軍事的とか、あるいは政治的とか、特別の関係はございませんが、経済面から見まして、英国の力というものはそれ相当な評価の上に立って、わが国としても対英姿勢を考えていかなけりゃならないというふうに考えております。
#41
○岡田宗司君 私も一般的なことをお伺いしたいのですが、さっきもちょっとお伺いしたのですが、今度イギリスがEECに入れなかった。これはイギリスの経済政策の上でだいぶ予定が狂ったと思うのです。特に、イギリスも大いに輸出しなければならぬ、こうなってくると、EEC諸国との競争の関係もありますし、イギリス自身としても輸出を大いに増強しなきゃならぬということで、盛んに輸出ドライブをかけてくるわけです。それで日本とイギリスとの通商条約に基づきまして、これは日本のほうもイギリスへよけい輸出できるでしょうし、イギリスのほうも日本へよけい輸出するでしょう。これは私いいと思う。イギリスとしても望むところ、新しい市場として日本を拡大していくことはイギリスとしてもいいことだと思うのですが、他の面において、他のところでイギリスと日本との競争関係というものがやはり激しくなるということも考えなければならないと思うのであります。たとえばイギリスが最近ソ連と貿易を拡大しようということを積極的にやっている。また中国への商品輸出、あるいはその他大いにやろうという意気込みを示しています。中国のほうも今度は貿易使節団をイギリスへ出すというようなことも伝えられておる。あるいはまた、例のNATOのほうから日本へ申し入れがあったパイプ・ライン、あのパイプの問題にいたしましても、イギリスがNATOの参加国にかかわらず、はっきりとソ連へ輸出するという態度をきめている。そういうふうにイギリスが非常に積極的に出て参りますと、アジアにおきまして、あるいはアフリカ諸国、あるいはまた中南米においてかなりイギリスと日本とで競争しなきゃならぬ問題が起こってくる、そういうふうに考えるのですが、外務大臣はその点どうお考えになりますか。
#42
○国務大臣(大平正芳君) イギリスのEEC加盟中断の問題は、日本との競争関係においては加盟の問題が振り出しに戻ったと、完全に振り出しに戻ったというわけには参りませんで、EEC加盟交渉を通じて、幾つかのイギリスを含めて一致した点がございますから、これを残されたEECの加盟国がどう消化して参るかは課題として残っておるわけでございますけれども、しかし、それだけメリット――その加盟交渉からのバイプロダクトが出たわけですけれども、それを一応度外視しても、もとの振り出しに戻ったわけでございまして、厳密に日本との競争がそのために激化したというわけには考えられないんじゃないかと思うのでございます。しかし、一般的に申しまして、日英は相互に貿易国、海洋国として競争関係にあることは御案内のとおりでございまして、将来もそういう関係にあることは当然のことと思うのでございます。したがって、それを回避するというよりも、むしろそういう態勢を勘定に入れてわが国の経済態勢というものを近代化し、強化して参ることは、日本側の努めとしてやっておかなければならぬことではないかと思います。
#43
○岡田宗司君 競争関係のことでさらにお伺いするわけですがね。たとえばコモンウェルスに参加している国々ですね、これはそれぞれ日本と貿易関係を結んでおるわけですが、イギリスが直接それに干渉するということはないにしても、いろいろな手を回して、イギリスの有利な地位を利用して、そうして日本品に対して直接、間接の圧迫を加えてくるということも考えられるわけです。そういうことについてあらかじめこちら側で見通しを立てて、そうしてそういう場合に対する対抗措置というものも十分考えておられるかどうか。
#44
○国務大臣(大平正芳君) 今までの私どもが承知している範囲で、特に今岡田先生が御指摘されたような、コモンウェルスの加盟国に対してイギリスが特に働きかけた形跡というようなものは、別に私ども感じ取ったことはないのでございますが、なお、経済局長も見えていますから、もしあれば補足していただきたいと思うのでございますが、問題は、今度の通商航海条約もそうでございますけれども、一般的なガット関係に入るということが一つの大きなメリットでございます。したがって、ガット関係に入りますと、ガットの場で、この公開の論議を通じてギブ・アンド。テイクとなるわけでございまして、この二国間交渉、あるいはガットの場合における交渉、ガット関係の中でやるということになりますると、これは英国が特にマヌーヴァーをやるというようなことは、そこでそういうことはないだろうと思いますけれども、しかし、あったとしても、制約されることになるのではなかろうかというような感じがいたします。
#45
○岡田宗司君 経済局長、そのイギリスがEECに入らなかったために、ほかに輸出ドライブを大いにする、そのために日本との競争が激しくなるだろうというところにおいて、私は日本との競争は激しくなるだろうという見通しを持っているのですがね。外務省としては、そういう点どうお考えになっていますか。
#46
○政府委員(中山賀博君) 英国は経済的に見まして非常に深いポテンシャリティを持った国で、おそるべき競争者であることはお説のとおりでございますが、ただイギリスが一九五二年から一九六二年までの貿易を見ますと、英国のたとえば英連邦諸国に対する輸出というものが、五二年を一〇〇といたしますと、六二年は九四という数字を示しております。他方アメリカに対しては二二四、それからEECに対しては二四九という数字を示しております。ということは、対英連邦輸出は一九五二年の時代よりも、むしろ下がっておるということになるわけでございます。ということは、この英連邦というものはブリティッシュ・プリファレンシャルというもので固められた一つの巨大な組織体でございます。英国の輸出自体から見ると、そのたがも若干ゆるんで、そうして英連邦諸国に対する輸出というものは思ったほど伸びてなくて、少し停滞の状態にあるということが言えると思うのでございます。このゆえにこそ、私はイギリスがEECに加盟して自分の競争力を強くしようとはかっているのだと思うわけでございます。したがいまして英国はポテンシャリティとしてはおそるべき国でありますけれども、戦後の貿易を見ていくと、むしろEECその他の盛り上がりというほうが目ざましいものがある。しかし、とにかくそれにもかかわらず、一本にして西欧全体として見れば、これは今日本と著しい国際競争関係に立つたとえば肥料の問題、その他を見ても、これははっきりわかるわけでございますが、したがって、われわれとしては、もちろん英国のポテンシャリティも勘案しなければなりませんが、特に英国だけがこわい。……英国が英連邦の中で市場撹乱というふうな日本に対して競争力を持ち出してくるというのでなくて、西欧全体の盛り上がりということはもちろん考えられます。しかし、今申し上げたようなEECの英連邦の中の貿易の統計を見てもわかりますように、英国もひとつこの際EECに加盟するなり、あるいは抜本的な経済政策を講じて世界的に輸出をやらなければならぬ、少し停滞ぎみであるというようにわれわれは感じているわけでございます。
#47
○岡田宗司君 僕の聞いていることに、あなたははっきりお答えになっていないのですがね。それは、イギリスがこれから輸出ドライブをかけてくる、そうすると方々で日本品との競争が激しくなるだろう。たとえばアフリカでも、それからコモレウエルスの国国の中でもそうだし、それから中南米でもそうなる。そういう見通しを持っておられるかおられないのかということをお聞きしたのです。
#48
○政府委員(中山賀博君) これはもちろん日本と競合関係に立つものでございます。たとえば先般、私自分で日ソ貿易交渉をやりましたときも、船舶の売り込みなんかについてはかなり激しい売り込み方をしている。それからまた、御承知のように、パイプ・ラインの問題についても、いろいろイギリスは大体米国のものはもちろん精神には同調しておりますけれども、やり方については若干違うということは、これは御承知のとおりでございます。同時に、また競争して強い品目は、日本のように先進国に対してはレーバー・インテンシヴ、後進国に対してはキャピタル・インテンシヴというようなものに分れておって、そうしてアメリカとか西欧市場でわれわれが優位をもっているものと、イギリスのやはり優位を保っているものは、苦干違うようにも思います。しかし、いずれにしましても、イギリスとしましては、戦後の若干のおくれを取り戻すために第三国市場においてかなりのドライブをかけてくることは事実であります。そのためには、私ども十分競争力を貯えて、また一方において企業の体質を改善していくことが必要だと思います。
#49
○岡田宗司君 それがどこで最も激しく現われるか、どういう品目で一番激しく現われてくるという見通しですか。
#50
○政府委員(中山賀博君) たとえば私たちが今一番身近に感じておりますのは、豪州、それからニュージーランド、こういうあたりは、今まさに三十五条援用撤回の交渉もしておりますし、それからまた、その際における諸種の交渉の内容を見ましても、かなり出てくるだろうと思います。同時に、しかしまた、交渉しておりまして、まだ解決に至っておりませんが、感じましたことは、やはり安くていいものは強い、幾ら英国の特恵があっても、それを下回ってさらに行く日本品にはかなわないというところもあって、私は必ずしもこれらの問題について悲観はしていないというわけでございます。
#51
○岡田宗司君 外務大臣にお伺いしますが、今度ヒューム外相が来ますが、もちろん儀礼的のものもあると思いますが、それから同時に、この通商航海条約がこちらの国会で承認され、批准されるということになると、これはまあ大体いいことだと思うのですけれども、ヒューム外相がこちらに来られたときにいずれいろいろのお話がありましょうが、一般的にどういうことを大体外務大臣同士でお話しになるか。たとえば世界情勢、それからアジアの情勢についての意見交換もされるだろう、あるいは特に中国なんかの動きについての意見の交換もされるでしょうが、このEECにイギリスが加盟できなかったあとの、今私が質問したようなことについて、イギリスが非常に輸出ドライブをする。そして日本品との競争という問題が起こってくる。そういうような問題について外務大臣として話をされる予定がございますか。
#52
○国務大臣(大平正芳君) イギリスという国は外交的な、何といいますか、エチケットといいますかね、非常にやかましい国のようでございます。せんだってシンガポールの高等弁務官のセルカーク氏が参りましたときに、私がお目にかかって一時間ぐらい話したのですけれども、それでまあそのあらましを霞クラブの諸君に話したのです。そうしたら非常に向こうが驚きまして、それじゃ自分は日本ではこれはめったな話もできないということで、実は私はたいして支障があるようなことでないと思いまして、お話したのですけれども、そういうような非常に、何といいますか、エチケットを厳格に守る国のようなのでございます。したがって、外務大臣がこちらにお見えになられてどういう話をするかというようなことを今日本側で云々するというようなことは、非常に向こうをディスカレージすることになりはしないかということを非常に心配するわけでございます。もちろん、今岡田先生がお触れになられましたような問題は、当然討議されると思うのでございます。あらかじめこういう議題について話をするのだというようなことを国会で申し上げることだけは、ひとつかんべんしていただきたいと思います。
#53
○長谷川仁君 関連。
 二十五日にロンドンで日本人記者団にはっきりその点打ち出しているわけなんですが、アジア関係ではこういうことを言っているわけですね。中国の問題についても意見交換は疑いなく有益であるというので、当然これは中国問題が提起されるだろうと思うのですが、それから、中共貿易でございますが、これについての英国の態度は、ココム・リストには同意するものの、そのワク外であれば、ソ連等を含め自由な取引をするのが正しいし、賢明であると思う。民間の取引を制限することはできない、しかし、日本の態度にとやかく言うことはできない、こう言っているわけです。日本人記者団に、アジアに関しておそらく非常にこの問題が重要であるということを指摘しいるわけですが、当然これは出るのじゃないかと思うのですが、その場合外務大臣としての基本方針をちょっとお伺いいたしたいと思います。
#54
○国務大臣(大平正芳君) その記者会見の模様は拝見いたしました。で、それは岡田さんが先ほど触れられたような、そういう問題として先方も受け取っておるようでございます。私といたしましては、まあ相当ゆっくり時間を取っていただいて、ざっくばらんに先方のお考えを聞き、こちらも気のついたことを申し上げるということで、特にかまえたポーズというのを持っておりません。できるだけ突っ込んだ話し合いをしてみたいと考えております。
#55
○岡田宗司君 今もお話がございまして、これはまあそういうことはここでは言えない。じゃ、まあ私のほうでもお聞きしませんけれども、次にお伺いしたいのは、イギリスが中国に対してかなり積極的な輸出ドライブを始めるように見ておるわけです。それから、中国側のほうもそういうようなことで、イギリスに対してもっと積極的にアプローチしようというような態度をとってきておるわけです。これは、日本にとりましてはやはり相当影響のあることです。つまり、今、イギリスのほうが積極的になったから、すぐに日本と中国のほうで今よりも減るとかなんとかということじゃないですけれども、将来中国に対して、中国との日本の貿易の拡大という面において、やはり日本がおくれをとっていくということになると思います。私どもは、その地理的関係から、従来の歴史的関係から見て、今、どうも中国に対して日本がおくれをとるようなことになるのをみすみすわかっていて、日本として今のような態度で進んでいいかどうかということを考え直さなければいけない。それからまた、今のような東西貿易の問題についても、イギリスあたりはかなり、これは単に貿易の面だけでなくて、外交政策全体の面からも、アメリカと多少方針を異にしております。特に貿易の面につきましては、アメリカが顔をしかめるようなことを平気でやっておるわけです。私は、日本としても、イギリスのああいう態度というのは、やはりわれわれ自身がよくかみしめて、味わわなければならもぬのを持っておると思うのです。そういう点で、私どもはもう一度、イギリスの対共産圏貿易といいますか、それについての方針というものを大臣がどういうふうにくみ取られ、また、それに対して日本としてどういうふうな考えを持っておるか、それをちょっとお聞きしたい。
#56
○国務大臣(大平正芳君) イギリスの対共産圏貿易についての見方を、岡田さんから今伺いましたけれども、実は去年、中共との間で塩安の一年半のあと払い制、これは一つの新しい型の貿易であったわけでございます。しかし、これはあと払いという制度は、延べ払いに換算してみると、相当長い延べ払いになるのですが、これが西欧側に非常にショッキングなことでありまして、むしろ日本がそうするのなら、自分らのほうも考えなければいかぬというようなことになった。あるいは対ソ貿易におきまして、去年河合ミッションが行かれて契約してきた船舶の六年の延べ払い、これは従来NATO諸国では五年だったのです。それが、六年という前例が開かれたというので、これまた大問題になったわけでございまして、日本としては、そのときの事情でそこまで踏み切らざるを得なかったわけでございますけれども、そのことは、おずおずというよりも、むしろ逆に相当西欧側を刺激しておるようでございます。私どもは前々から申し上げておるとおり、対共産圏貿易について、岡田さんが今言われるように、こちらが不当に遠慮するというような気持は毛頭ないわけでございまして、フェアに、世界の納得がいくように、西欧並みというか、世界並みというか、そういうような基準で一応できるだけ拡大をはかってみようという気持でいっているわけでございます。ところが、個々の物資につきましては、そういうような例も出まして、むしろかきねを破っているのは日本ではないかというような議論さえあるくらいなわけでございます。したがいまして、私どもは不当に遠慮しているというような気持はない。今後も不当に遠慮する気持は毛頭ないのでありまして、どうしても世界並みの条件で可能な限り拡大していきたい。しからば、世界並みの条件というのは何ぞやということになりますと、具体的な場合の具体的判断になるわけでございまして、なかなか情報も取りにくいわけでございますけれども、これはあらん限りの努力をいたしまして、この見当というものをつけて、それで進めておるわけでございまして、業界の要望や契約の実情から見まして、まあその基準を越えがちになるということをどう押えるかのほうにむしろ苦労をいたしておるというのが実情であります。
#57
○岡田宗司君 今のお話を聞いてみると、非常に日本は対共産貿易に熱心で、そうして西欧側よりも、むしろその点では先を行っているのだというふうに受け取れるのですけれども、どうもそれは一、二の例を引かれて全体をそういうふうに見せかけよう――と言うと失礼ですが、どうもそういうふうにしか私どもには受け取れません。ただ、今のお話からも私は感じられるのですけれども、イギリスが、とにかく西欧諸国のうちでは、対共産圏貿易では一番に熱心といいますか、とにかく積極性を示してきておるのです。これはおそらく今後も一そう、EECに入れられなかったということから、そういうことになってくるだろうと思いますが、そのことから生ずる日本との競合関係、これは将来のことですが、それに対して日本としては今後どう対処していく方針をお持ちなのか。ただ、今までの程度にとどめ、それから多少拡大していくという程度なのか。つまりイギリスの方針に対する外相のお考え方、それから、それに対処する日本の根本方針をお伺いしたいので、過去にそういう若干の例が、よそよりも日本のほうが進んだ例があるということをお伺いしたいのではない。根本方針をひとつお示し願いたいと思います。
#58
○国務大臣(大平正芳君) 根本方針は、先ほど申しましたように、西欧並みということでございますから、イギリスが対中共市場において、今後どういうような接近の仕方をされるのかよくわかりませんけれども、そこで出て来た条件等は、これは十分参酌をいたしまして、私どもは不当に遠慮するというようなことなく、可能な限り通商面の拡大をはかっていくべきが当然のことだと心得ております。
#59
○理事(井上清一君) 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#60
○理事(井上清一君) 速記を起こして。
#61
○岡田宗司君 これは経済局長にお伺いしたいのですけれども、今度この通商条約が結ばれますね。そうすると、日本にかなりイギリスの対日輸出が増加するわけです。そうすると、一体日本にイギリスからどういう品物がよけい入ってくるか、そうしてこれが日本の国内のどの品物が非常に競争関係になるかという点ですね、それをひとつ。
#62
○政府委員(中山賀博君) その点につきましては、従来からの日本とイギリスの間の貿易の商品構成を見ておりますと、日本のイギリスからの輸入で、機械が三三%を占めております。それから原材料、ことに繊維関係のものが二六%、それから今度は原材料別製品、特に毛織物が一八%、雑製品が四・五%、ウイスキーが三・四%等々でございます。それで、何といっても輸入の大宗は機械でございます。機械は最近の日英間の貿易の実績を見ておりますと、大体英国に対しては日本は出超になっておりますが、一九六一年だけはかなりの入超になりまして、これは例の国内における設備投資の問題があって、イギリスからどんどん機械を買ったのが大きな原因だと思っておりますわけであります。そこで、今後やはりイギリスにおいてもレーバーインテンシヴというのは歴然たることで、レーバーがかかったものが日本に入ってきて、日本の市場を撹乱するようなことはあまり考えられないわけで、やはり機械その他で向こうは押してくるんだと思います。もちろんこちらの日本側も自由化の八九%というところまで進みましたけれども、しかし、かなりの制限品目もあることでございまして、輸入制限をしておりますわけで、したがって、輸入のパターンが今までよりも非常に変わってきたというふうには考えておらないのであります。
#63
○岡田宗司君 輸入のパターンは変わらないにしても、たとえば羊毛製品、これなんかも相当入ってくるだろうと思います。御承知のように、日本人というのはたいへん舶来が好きですから、そういうようなものが入ってくるということになりますと、これは値段の関係もありますけれども、だいぶこういう面でいろいろ競争関係に立つものがあろうかと思いますが、その点はどういうお考えですか。
#64
○政府委員(中山賀博君) その点につきましては、やはり日本も将来西欧の諸国については、さらに自由化を、つまりわれわれが掲げている二百五十有余の輸入制限品目というのは、決して少ないと言うわけにはいかないわけであります。したがって、この毛製品、あるいはウイスキー等はさしあたってはしかるべく防いでおりますけれども、将来さらに自由化を進めていかなければならない。同時に、わが国の国内産業の態勢を整える。いつまでも輸入制限を緩和しないで相手にだけ輸入制限を緩和させるということは、なかなかむずかしいというふうに考えております。
#65
○岡田宗司君 そうすれば、直接今度の条約で貿易が増大しても、イギリスかららの輸入の増大によって日本品が特に影響を受けるというようなものはない、こういうふうに言われるわけですか。
#66
○政府委員(中山賀博君) 大体輸入については、そう、さしあたっておそれることはない、やはりむしろこちらとしては、プラス・マイナスして輸出が伸びるということが大事だと思います。
#67
○曾祢益君 外務大臣戻ってこられてから、政治的なことは伺う機会が与えられたら伺いますが、少し条約の問題について伺っておきたいと思うわけです。
 第一にセーフガードの条項といっても、広い意味ではいわゆるセーフガードの条項とセンシティヴ・リストの問題、さらに日本の自主規制、いろいろなものが合わさってのセーフガードだと思いますが、議定書の第一ですか、このセーフガードの条項については、これは先ほどの補足説明にもございましたが、一応は本条約と同じ期限になっておるけれども、双方の協議によってこれをやめることができる、こういうふうになっているかと思うのですがその点はどうなんですか。
#68
○政府委員(中川融君) そのとおりでございます。
#69
○曾祢益君 政府としては、大体その点をどう今セーフガード条項を認めておいて、六年の期限内に必ずこれをやめさして見せる、こういうことも言いにくいとは思いますけれども、大体いろいろの諸般の情勢から見て、大体本条約の期限内に何とかこのセーフガード条項――あとの問題にも関連ありますが――セーフガード条項を終了させるというような意思あるいは方針、あるいは見込み等はお持ちかどうかということを伺います。
#70
○政府委員(中山賀博君) セーフガードの問題につきましては、先方としては、日本の商品値段が安い、あるいはまた急増のおそれがあるとか、いわゆる市場撹乱の心配から、こういうものを要求して参ったわけでございます。そこで、英国といわず、ヨーロッパにおける日本の商品の進出の状況を見ますと、やはり日本側としてもかなり考えて、輸出についてオーダリー・マーケッティングをしていかなければならない、こういうように考えるわけです。そうして、今仰せの、それじゃあ六年あるいは六年前において、双方で話し合いをつけてしかるべくやる公算があるかというお話でございますが、これはわれわれとしてはかなり努力をして、そうして日本商品が安かろう、悪かろう、ほうっておけばすぐ市場撹乱をするという事態が起こらないように、大いに努力していきたいと思っております。たとえば現在においても、カメラにつきましては、いわゆるエージェント・システムをとりまして、日本の輸出者も向こうのしっかりした者と抱き合わせになって、チャンンネルを通じてかなりいい市場の進出ぶりを示しておるわけであります。そういうことがやはり全面的に成功して参りますれば、あるいは双方で、もうセーフガードの規定はあっても、実際上そういうことは忘れてしまうという事態が来るかもしれませんし、われわれとしては、そういう事態を早く実現させたいものだというふうに、努力の目標としては考えております。
#71
○曾祢益君 この広い意味のセーフガードの問題だと思うのですが、この日本の考えとは逆に、イギリスのほうからいうと、こんなものじゃとても安心ならぬというようなことをしきりに言っておるようでありしまて、この間も偶然ジャパン・タイムズの三月二十五日のあれに出ておりましたUPIによっても、スコットランドの毛織物ですが――毛織物の協会の年次報告の中で、その協会の会頭のディクソン・スミスという人がヒューム外相の日本訪日を前にして、タイムリーなことを言っておるということで、日本がダブル・プライシング、価格を二重につけるやり方を単に、何といいますか、トラレートしておるだけでなくて、それを認めておる。むしろそれをエンカレージしておる。むしろそれを奨励しておる。それで輸出の価格というものはコストとの関係が全然ない。それで、すべてのいわゆるセーフードかなるものは、一切のセーフガードなるものは、人をばかにしたものだというような激しいことを言っておるようです。それらの日本側の商習慣等について、今経済局長の言われた、たとえば日本のりっぱな一流のカメラのときには、向こうの適当な商社とつながったりなんかしまして、いわゆるオーダリーな、秩序のある輸出ということもできると思います。こういうダブル・プライシング二重価格と言いますかね、そういう問題について彼らのこういう言い分をどう反駁し、どういうふうに国内的にやっていくという方針を持っておられるかどうか、あわせて伺っておきたい。
#72
○政府委員(中山賀博君) 確かに従来いわゆるダブル・ブライスの問題があって、そうして・それがたとえかなりそう大規模でないものでも、全体の市場の値くずしをしたということがあることは、これはある程度認めざるを得ないと思います。ことに西欧諸国におきましては、日本商品の数量的な市場潰乱というものよりも、プライスによるそういう低値を出して、そうして市場の値くずしをするということにつきまして非常に警戒をしていることは事実でございます。ただ同時に、わがほうにおきましても、かなり輸出のオーダリー・マーケッティングということにつきまして参っておりまして、そうして、まあ昔は日本の価格が安いということは、すぐこれはソーシャルダンピングだとかなんとかいうことでありますけれども、最近におきましては、そういう意味ではなくして、とにかくどういう意味かわからぬけれども値段が低い、しかも、それがダブルになっているということで攻撃を受けているわけですが、そういう事例は最近はかなり少なくなっていると思うわけでございます。で、今の御指摘の羊毛等につきましては、まあ私らからいたしますと、なぜ日本の毛織物生産をそんなにこわがるのか知りませんが、先方におきましては、とにかく将来も見越してでございましょう。交渉の途中において非常に日本側の規制を要求してきまして、現にこれらの品目は自主規制の対象になっておるわけでございまして、そういう意味からいっても、今の羊毛以外にも、あるいは毛製品以外にもときたま若干ありまして、それはやはり日本の過当競争その他ということから来ることだと思いますが、しかし、今の羊毛製品等につきましては、自主規制をするし、かなりわれわれとしてはセンシティヴを設け、自主規制品目を六十一にもして、そういう点については実際上の危惧は少なくなっているのじゃないかと考えております。
#73
○羽生三七君 関連して。今のダブル・プライスの点ですが、公然とそういうことをしておるのは肥料関係ですが、羊毛関係なんか具体的にはどういう形で二重価格になるのでしょうか。肥料以外にどういうものがあるのか、ちょっと伺っておきます。
#74
○政府委員(中山賀博君) 今のお話しの問題は、これは日本で自主規制にこの設備を封緘しておりまして、事業を維持するため設備の封緘をして、そうしてある程度の数量以上のものが市場に流れるのを防いでいるわけでございますが、おそらくその封緘を輸出向きに解消することに対する危惧の念を表したものだと思います。
#75
○曾祢益君 次に、いわゆるセンシティヴ・アイテムなんですが、これは一体この十八品目ですか、これがイギリスに対する日本の総輸出はどのくらいになりますか、センシティヴ・アイテムの輸出。
#76
○政府委員(中山賀博君) 大体全体で一割くらいになるのじゃないかと思っております。
#77
○曾祢益君 全体の一割ですか。
#78
○政府委員(中山賀博君) はあ。ちょっとお待ち下さい。センシティヴ品目及び自主規制品目……。
#79
○曾祢益君 両方入れて。
#80
○政府委員(中山賀博君) はあ。
#81
○曾祢益君 センシティヴ・アイテムだけでは。
#82
○政府委員(中山賀博君) センシティヴ・アイテムだけでは、一九六三年でございますから想定でございますが、二・二%くらいかと思います。
#83
○曾祢益君 それから、今センシティヴ・アイテムと自主規制ずっと両方通じてですが、今度はセンシティヴ・アイテムの中に入れたのが、いわゆるこれは品目の取り方にもよるけれども、十八なら十八ある。それから、全体の日本にだけのいわゆるネガティブ・リストというか、日本にだけ差別待遇の制限品目が百八十あると聞いているのですが、その百八十と十八といわゆる自主規制との関係ですね。つまり百八十のうち十八がセンティシヴ・アイテムになって、それから幾つがいわゆる自主規制という形で事実上存続し、幾つが完全に百八十の中で自由化されたかというのは、その割合はどういうふうになるのですか。そこら辺の説明を聞きたい。
#84
○政府委員(中山賀博君) 従来二百近い制限品目がありましたが、今度の条約ができまして、結論的に申しますと、ネガが十八、それから自主規制が六十一。
#85
○曾祢益君 六十一ですか。
#86
○政府委員(中山賀博君) 同じ計算でいくと。
#87
○曾祢益君 六十一品目。
#88
○政府委員(中山賀博君) そうです。それから残りは自由化という建前になっております。ただ、このほかにイギリスはいろいろ国防上の理由その他のもので、一般に対してもネガ品目が二十七ほどありますから、これを総計しますと百六になるという勘定でございます。
#89
○曾祢益君 差別待遇的でないものはいいのですよ。これは、それもいろいろやり方によって、事実上日本を目のかたきにしているようなフランスのようなやり方の場合は別として、ほんとうに公平に、いわゆるグローバルなネガのやつはいいのですけれども、そうすると百八十の中に十八をセンシティヴ・リストの形で残し、六十一を別の自主規制という形で残した。そうすると、それを引いたものが幾つになるか。約半分以上のものがほんとうの自由化になると、こういうことですか、簡単に言えば。
#90
○政府委員(中山賀博君) そうでございます。
#91
○曾祢益君 それで何か表にしてあとでいいですから出してくれませんか。百八十の中でほんとうに自由化したのは幾つで、形を変えて、実際上あなた方も残念なことだろうけれども、日本から見て残念なことに形を変えて残ったのが幾つというふうに、はっきり品目別にわかるようにリストを出して下さい。
#92
○理事(井上清一君) 明後日、二十八日の委員会までに資料を準備して御提出願います。
#93
○政府委員(中山賀博君) 承知しました。
#94
○曾祢益君 そこで、別に非常に意地の悪いことを言うわけじゃないけれども、あまりにも人為的に、センシティヴ・リストだけはいわば国際的の条約に附属する議定書の約束だ、それから自主規制というものはこれは条約じゃないというような、非常に何か体面をつくろっているけれども、実質的にはまあむしろセンシティヴ・リストのほうが特定の期限が付せられているのであって、一般的のセーフガード条項というのは伝家の宝刀でなければないでいいのです。これはある意味では双務的なセンシティヴ・アイテムと、自主規制のほうは実際的には双務的ではなくて、完全に日本側だけの片務的な性質ですね。しかも、センシティブ・リストという約束のほうは、これはみな期限つきだ。ところが自主規制のほうは、まあトランジスター品目と絹織物のごとく一部の商品を除いては、これはいわば事実上の無期限の約束になっているというような気がしてならないのですがね。これはやっぱり形式上の議論からいうと国際条約の形をしていないと言ったって、こんなものは国際的に拘束力のないものとは言えないでしょう。実際には、日本の政府がかりにかわっても、ここの交換公文の効力というものは、実際上は次の政府を拘束する約束には違いない。そうすると、いかにも体裁からいうと、センシティヴ・リストのほうは少なくしているけれども、自主規制がそんなに多いということは、しかも、ほとんど無期限になっているということは、どうも格好からいってもバランスがよくないような気がするのですが、どうなんですか。
#95
○政府委員(中山賀博君) 仰せのとおり、センシティヴもあるいは自主規制も、いずれも数量を限るという意味においては同じでありますが、最近のヨーロッパの諸国と交渉しておりましても、向こうの態度から見て非常によくわかるのですが、要するに、日本側に自主規制よりも向こうはネガを設けたい。ということはどういうことかと申しますと、やはり自主規制ということになりますと、数量は限られておりましても、それを船積みのスペーシングとか、その他の点において日本側があくまで自主性、主導権を取れるわけです。ですから、相手方のマーケットの様子を見て、船積みのスペーシング等を変えていけるということで、あるいはこれを扱う商社が日本の息のかかったものでできるとかということで、商売の主導権が取れるという意味で、自主規制とネガとの間に非常に差異があるわけであります。したがってわれわれといたしましては、自主規制品目をたくさんにしたいと、こういうふうに考えておりまして、実質的にもそういった差異があるのではないかと思います。
#96
○曾祢益君 そうすると、商売の実際からいうと、やっぱりセンシティヴ・リストで向こうが為替のクォータみたいな、割当みたいなものをしているのですね、金額的にこの品物はこういうふうにと。そういうものよりも、自主規制の形のほうがやりいいものですから、実質的には約束であるには違いないけれども、自主規制の形のほうが多いほうがいいと、こういうわけですか。
#97
○政府委員(中山賀博君) そうでございます。
#98
○曾祢益君 そこら辺になると僕らもわからないのだけれども、条約局長に伺いたいのだけれども、約束云々の点はどうなんですか、国際法上の効力は。
#99
○政府委員(中川融君) この交換公文をお読みいただきますと、形としては、日本側がこういう自主規制を行なうのだということを提案いたしまして、いわゆる先方に異存がない旨を返答してもらいたいという形になり、先方から自分のほうはそれで異存がない。こういう形になっておりますので、日本側のいわば意思を向こうに通報し、向こうもそれに異存がない、こういう格好になっておりますので、はたしてこれがいわゆる条約といいますか、あるいは国際合意といいますか、そういうものになるかどうかという点、ちょっとボーダー・ラインのような感じがするわけでございます。しかしながら、実際上は、曾祢委員が御指摘になったとおり、これはやはり日本側としては少なくともこういう自主規制をやはり継続する意思を表明しておるわけでございまして、これを勝手に変えろということは、やっぱり国際道義として許せないことと思いますから、やはりその意味では日本はこれに拘束されるというふうに考えております。
#100
○曾祢益君 これは形をどうしようが、むしろ形からいえば、どうせ約束になるのなら、こっちからお願いして自分からこういうことをやめますと言ったら、さよう承知しましたという形のほうが、見方によっては少し体面上おもしろくないとすら考えられるので、なぜこういう形をとったのか。事実上はやはり政治的な拘束力には変わりないとすれば、こちらのほうから、いかにも悪うございましたというような形で、よしよしと言われているような、こういう交換公文の形は僕はあまり好ましくないと思うのだけれども、これは意見の相違になるかもしれませんが、実際上は拘束するとすると、変えようと思ったらどうなんですか。結局外交交渉をやって、そして話し合いがついたときでなければ変えられない。一片の通告で変えるわけにいかないというふうに考えるべきじゃないかと思うのですが、どうなんですか、そこら辺のところは。
#101
○政府委員(中川融君) やはり事前に話しまして、向こうが納得した上で変えるべきであると考えております。
#102
○曾祢益君 同僚委員の質問もあるかもしれませんが、あったらどうぞ関連質問をやって下さい。
 それで、もう一ぺん経済局長にもう少しわかるように説明してもらいたいのです。どうしてこの自主規制というほうがいわゆるセンシティヴ・リストできめたよりか日本としてやりいいというか、得というか、商機をつかみやすいか。そこら辺、やっぱり向こうが実際問題としてどうなんですか。向こうがある程度の品目を見ておりまして、通関の際かなにかにあれするのですか。それとも為替のほうでチェックするのですか。センシティヴ・アイテムの場合にはどこで向こうがコントロールするのですか。そこが日本の自主規制とどこが損得の分かれ道になるのかわからない。御説明して下さい。
#103
○政府委員(中山賀博君) チェックする方法は、輸出統計による場合と、それから輸入統計による場合と、両方あるわけです。現に日米で争いになっている点は、そのチェックの方法が、輸出で見るか輸入で見るかが問題になっています。ただ、今申し上げましたように、ネガのほうで輸入制限だと、輸入制限ですから、輸入する国のたとえば通産省、またはボード・オブ・トレードがライセンスを出すのですから。ライセンスを持っているほうが勝つわけです。輸出制限のほうだと、輸出ライセンスを出もわけですから、輸出ライセンスを持っているほうが相手の市況を見て値段をたたくのです。そこら辺が、どちらがライセンスを出すかで力関係が違ってくるわけであります。
#104
○曾祢益君 経済局長がそう言うのだから、必ずしも体面上、少なくとも自主規制のほうを多くしておって、それでセンシティヴ・リストのほうは減らしたわけではないということになるようですから、これはまあこの程度にしておきますが、次に条約の適用区域のことで伺いたいのですが、イギリス側のこの植民地ですね、その中でガット三十五条を援用している地域というのはどことどこで、そうでないのはどこかということの何か表がございますか。
#105
○政府委員(中川融君) イギリスの植民地は、イギリスのいわば一部として、やはりガット三十五条を援用しておるのでございますが、その中で一つ例外と申しますか、ローデシア及びニアサランド連邦はまだイギリスの属領ではございますが、単独でガット三十五条を援用して加盟国になっております。自分のいわば権利に基づいてガット三十五条を日本に対して援用している、こういう状態でございます。
#106
○曾祢益君 そうすると、この条約でいろいろな場合を予想して、この条約が植民地に適用する場合、またそういう場合に、その植民地が三十五条を援用している場合は、あれは何でしたかね、セーガードのときに発動しないことになっておりますね。いろいろな取り扱いの違いがありますね。そういうようなことで、実際上の効果はどこにあるのですか。条約は本国だけに一応限り、それから植民地にはこのままでやるか、それとも変えてやるか、その辺は日本に相談する、こうなっているのですかどうなんですか。
#107
○政府委員(中川融君) この条約によりまして、植民地にこれを変更なしでそのまま適用しようという場合には、イギリス政府から日本政府にそのことを通告してくれば、それだけで植民地にこのまま適用できるわけであります。一つの例外といたしまして、香港につきましては、別途香港についてだけは日本政府にあらかじめ協議の上で適用する。原則としては、無修正で適用することは、イギリス側が一方的に通報することによって各植民地に適用できるわけでございます。しかし修正して適用するという場合には、あらかじめ日本と協議する。日本が同意した場合に初めて修正適用できるということになっています。
#108
○曾祢益君 条約の仕組みはそうだろうけれども、具体的には一体どういうことを……そんなややこしいことしているのですか。いきなりすぱっと一応適用しておいて、ほかの問題は除外することだけきめればよさそうに思うけれども、実際上適用するつもりなのか。しなくてもいいわけでしょう。もししない場合には本国以外については意味なさない。少なくとも日本からそういう苦情を申し入れるような事情があるからこうやっておくだけで、現実に大部分の植民地に適用されるのかされないのか、その見通しはどうなのか。若干の修正があっても適用されれば若干のプラスだ。そうでなくてほとんど植民地についてはイギリスが勝手自在にしておって、おれのほうから通告しますよ、場合によったら変えますよじゃ、適用されないままだったらあまり意味をなさないじゃないですか、本国以外だったら。
#109
○政府委員(中川融君) これはイギリスの植民地は、御承知のように、どんどん少なくなってしまいまして、今残っておりますおもなものとしては香港、シンガポール、あるいはケニア等ぐらいに実は大きなものはなってしまったわけでございます。そのうち香港は、先ほど申しました事情で、日本としては別格扱いにして、香港に適用するときには事前に協議するということになって、これはなかなかすぐには適用にならないのじゃないかと思います。シンガポールにつきましては、これはもう近いうちにマレーシアができるわけでございますが、これもほとんど問題にならない。ケニアは最近独立することになっておりますので、ほとんど植民地で適用されるというのはちょっと実のところ考えられないわけでございます。しかし、イギリスとしては各植民地がそれぞれ相当半独立の地位を持っておりますので、自動的には適用しない。植民地と相談した上でこれを適用するかどうか、植民地の意向によってやるのだということで、まだ確たる意向がわれわれにもわかっていない状況でございます。
#110
○曾祢益君 そうすると、かりに香港等の、かなり重要な市場だけれども、全体の貿易の割合からいうと、残存植民地というものはそんなに大きくないのですか、全体として。やっぱりそうばかにもできないんじゃないんですか、簡単におっしゃるけれども。
#111
○政府委員(中川融君) 残存植民地は、もちろん貿易上日本としては非常に大事で、香港、シンガポール及びケニア等があるわけでございますが、先ほど申しましたような事情で、これはほとんど近く独立する――香港以外は近く独立するということになっております。それ以外の植民地というものはこれは小さなところで、ほとんど貿易上日本としてはたいした実際上の関連は少ないということでございます。したがって、植民地問題は、さしてこの日英条約につきましてはそう実質的な要素を実はイギリスとの交渉においては占めていないのが実情でございます。
#112
○曾祢益君 香港はどうなるんです。香港はどうして特別なステータスにしているのです。
#113
○政府委員(中川融君) イギリスとはイギリスのほうがいろんな意味で先進国でございまして、日本のほうがおくれて工業化しているわけでございます。香港は逆で、向こうのほうが日本に追っついてだんだんきておるわけでございます。むしろ利害関係が逆になっております。したがって、この日英条約を香港に適用する際には、よほど考えてやらなければならない。また、人の入国問題につきましても、香港にいる人が日本に入国するのをそう自由に認めるわけにはいかないということで、香港だけについてはこれを適用することについてはよほど慎重に、たとえば条件をつけたり、いろいろ相談しなきゃならぬことがあるということで、香港については別扱いにしておるわけでございます。
#114
○曾祢益君 そうすると、香港についてはむしろ日本側の立場から、このままじゃちょっと不安な点もあるからという日本側の主張が主ですか、香港の特別扱いというのは。
#115
○政府委員(中川融君) 御指摘のとおりでございます。
#116
○曾祢益君 それからこの条約と、日本が自由化するにあたっての、一般的に日本の自由化、日本の産業の保護という観点から、やっぱりいろんな問題がありはせぬかと思うのですがね。大体今度の条約は日米条約よりも、先ほどの追加御説明にもあったように、内国民待遇、ただし特定の制限業種は別だが、一般的には内国民待遇を与えるというようなことでなく、最恵国待遇でやっていこうというので、ある種の相互に認め合わない事業はやらせなくてもいいということに一応はなると思うのです。ただ現実の問題として、先ほどの追加説明にもあったように、イギリスにおける日本人、及び日本会社の事業について、まあ最恵国条項の結果、イギリスがコモンウエルスに対して与えているようなものだったら除外されますけれども、アメリカに対して与えている、やや内国民待遇に近いことを、この条約の最恵国条項によって日本が均霑できるとするならば、同様なことが日本におけるイギリス人の事業についても、日本がアメリカに譲許している制限付の内国民待遇にやはりイギリスが均霑することは、これは理の当然だと思うのですが、そっちのほうは言わないで、日本人及び日本の会社のイギリスにおける日本の最恵国待遇だけ言うのはおかしいと思うのですが、その点どうですか。
#117
○政府委員(中川融君) この条約にきめております最恵国待遇が適用される場合に、ただいま曾祢先生のおっしゃったような形で適用されることは、そのとおりでございます。日本におきましては、したがって、アメリカに対しまして日本は内国民待遇を原則として与えております。その内国民待遇――原則として与えております内国民待遇が、そのままイギリスには最恵国待遇として与えられるわけでございますが、しかし、このアメリカに対して与えます内国民待遇は、御存じのように制限業種がいろいろあるわけでございます。したがって、その制限がある内国民待遇と、イギリスにおける制限のない、いわば最恵国待遇としてアメリカに与えているものとが、まあ少なくとも大体見合う程度じゃなかろうか。したがって、実質的に言えば、大体双方の譲許は見合うと見ていいのではないかというふうな見積りでございます。
#118
○曾祢益君 条約上の関係はわかりますが、実随問題として、先ほど岡田委員も、たえとばイギリスの毛織物のことについて心配しておられたけれども、日本がだんだん自由化しなければならない場合に、イギリスのウイスキーのはんらんも個人的には安くなっていいかもしれないけれども、やはり国産品の保護からいうとあまりありがたくないたとえば、その次に今度は日本の乗用車がどうだということになると、なかなか法律論だけでいかない問題がありはせぬかと思う。そういう意味において、日本品のはんらんぶりをイギリスが心配して作った条約であるけれども、ちょうど日米通商航海条約の、非常な何というか、内国民待遇、無制限主義が、結局貿易自由化の時代においては、少し実情から見るとちょっと心配なくらい開放主義をとっているというようなことを考えてみたときに、はたして日本の自由化に対処する政策として、イギリスばかりじゃございませんから、アメリカの場合もあるのですから、それはどうなんですか。大丈夫なんですか。この程度の通商航海条約の現時点で、ことにイギリスのEEC加盟というようなことと、EEC全体が外向きになるというふうな、相当向こうのマーケットも自由化するという、かなり楽観的なムードで作られているのが、先ほど岡田委員も指摘したように、やはり全体としては険しい競争、しかも、自由化に対してはわれわれはやはりこれをとめるわけにはいかない、こういう情勢になってくると、ちょっとそこら辺の歯車が違ってくるという心配はないですか。
#119
○政府委員(中山賀博君) 過去におけるように、イギリスも非常に日本に対して差別的な輸入制限をしている、しかし、日本はもっとたくさんしているという事態から、とにかくイギリスにできるだけ自由化をさした。そうして、わがほうも自由化をきして、そうして同じガットという船に乗ることになった、こういう事態が来たわけでございますが、これからはやはり問題がかなり今までより、つまり今までは、ペニー・ツ・ペニーで交渉で、これだけ自由化するから、お前はこれだけ自由化しろということで、さしの交渉をしてきたわけですが、今後は若干意味が違ってくると思うのです。ということは、最近におけるIMFの八条国移行の問題であるとか、あるいはそれに伴いましてガットで日本が十一条国移行を受諾するということになりまして、この自由化の問題は単にイギリスだけの自由化じゃなくて、全世界に対する自由化の問題にもなってきておるわけでございます。そこで、これからはもちろんガットで商品の自由化については問題が起こってくるわけで、あるいは現在の残存輸入制限のリストを出せとか、あるいは将来は一般的にこれに対する自由化のプログラムを出せとかいう問題が伴って参りまして、そうして、このときの自由化の問題は対象がグローバルであるということに、非常に従来よりも変わった意味を持ってくると思います。それからそういうことに関する対策はもちろん、われわれとしては毛製品、ウイスキーのみならず、あるいは自動車の問題とかその他の問題がたくさん出てくるわけでございまして、国内的にも対策をそれぞれ講じなければなりませんが、今後はもっぱら自由化の問題はむしろガットの場に移されて、そうして日本国とたくさんの締約諸国との間の一つの話し合いになっていくと、こういうふうに考えます。
#120
○曾祢益君 それは僕らも基本的には貿易、為替の自由化、それから東西貿易の障害なんか撤廃するというのが基本的には正しいと思っているのです。二国間の自由化の交渉をガットの場でやる。これは何といってもあまりあこぎな主張を相互にできなくするためからいってもいいと思うのです。問題は、そういう自由化の方向をとりながら、まあこの条約全体の意見はあとで述べますが、かりにそういう意味でこの条約をジャスティファイする、正当化するとしても、やはり外に対してそういう方法をとると同時に、しからば国内でどういう今度は日本がセーフガードの問題――これは対英ばかりじゃありませんよ、ありませんが、セーフガードを必要とするかということが、日本の自由化に伴って考えられていかなければならないわけですね。だから、そういう場合に、ちょうどときたまたま、非常に何というか、体系的にも一応りっぱな通商航海条約ができる。しかも、イギリス――、相手国に対しては、相手国は完全な自分の国の利益をプロテクトするシステムができて、日本もある程度ガットに引き入れるために、そういったようなセーフガード、あらゆる三種類のセーフガードを認めているわけですね。一方日本においては、新たに今度非常な制限時代から自由化に移るのだけれども、日本自身が自由化に伴ってどういうセーフガードをやっていくか、これは単に今の国内のたとえば特定産業を貿易自由化に向かって何か手厚い保護をするという法律だけでなく、対外的にそういったセーフガード条項を作るなり、やはりセンシティヴなクリティカルなアイテムをどうするのだということは、当然この条約ばかりからではなく、しかし、この条約を審議する際には、政府の方向というものがある程度きまっているのではないかと思って伺ったわけですよ。単なる国内法律ばかりでなく、そうかといって今までのとは違った、ちょうどイギリスがやっておるような、いい悪いは別として、何らかのそういったようなセーフガードというものを自由化とともに考えなければならない段階に来ておる。それらのことについて外務省としてはどういうふうに考えておられるのか。いずれ国の方針、政策については大臣等に伺えると思いますけれども、かなりこれ具体的な専門的な研究がなされた上の議論がきれていると思うのです。それを伺いたい。
#121
○政府委員(中山賀博君) このセーフガードの論議の日英間の交渉の間にも出てきた問題でございますが、もちろん日本にイギリスの商品が入って市場撹乱を起こすということも考えられる。あるいは将来そういう事態が起こるかもしれない。そこでそういうことのためにも、技術的に申しますと、セーフガードは双務的になっているわけでございます。これはわれわれとしては、現在の経済状況を見ておりますと、いっそういうことが適用になるかわからないような気もいたしますけれども、今日のかなり激しい国際経済の変動を考えれば、あるいは日本がまたセーフガードを実際上発動することがあるかもしれないわけでございまして、その点双務的になって参りますと、今後の一つのやり方に力を与えなければなりません。
 それから第二は、やはり建前上は、この交渉の間におきましても、ネガティヴ・リストは、現状に照らしましてイギリス側はかなり一方的に作っておりますけれども、日本側も要求し得る権利は残しているわけでございまして、したがいまして、向こうにこれをのませることはなかなかむずかしいと思いますけれども、こういうものもそういう事態に備えて考えられているわけでございます。
#122
○曾祢益君 セーフガードは、むろん形の上からいっても双務的になっておりますから、そういう伝家の宝刀も抜き得るわけです。そのいい悪いは別として、しかし、センシティヴ・アイテム以下の――以下と言ってもなかなか自主規制などしてくれないでしょう。簡単に言えば、ネガティヴ・リストといいますか、この点については別にこの条約上向こうに念を押しているのではないでしょう。おれのほうもやるということは、議定書にそういうことは書いてないじゃないですか。
#123
○政府委員(中山賀博君) 紙の上では書いてありませんが、交渉の過程においては、そういう権利を持っているということは、たびたび申し上げておりますとおりでございます。
#124
○曾祢益君 権利を持っているというのは、自分のほうで言っているだけであって、向こうはそんなものは約束しなかったと言えば、結局それまでのことになると思う。ただ、日本の国策としても、国別のネガティブ・リストがいいか、いろいろそこにはむずかしい問題があると思う。政府の方針だってまだきまっていないが、はたしてグローバルということでネガティヴ・リストを作って完全に自由化するのか、場合によっては国別主義をとるか、いろいろあると思いますけれども、何とはなしに、そういう問題が背後に控えているのに、イギリスのほうのネガティヴは減らしたけれども、残っている。それがセンシティヴ・アイテムという形で残っている。そのほかに自主規制はする。アメリカはアメリカで自主規制をやっている。綿糸布等について、それなのに日本のほうが、現に自由化でやはり品物によっては日本がとても太刀打ちできないということがわかりきっていのに、何だか、形の上でも、イギリスに対して譲るだけ譲って、こっちの権利留保が少し足りないというような感じがするが、どうですか。
#125
○政府委員(中山賀博君) その点につきましては、同時に、私は先生の注意を喚起したいことは、日本でも依然として非常に大きな制限品目が残っているわけでございます。したがって、これはかなり残っている、ずっと多いということになっておりますので、われわれといたしましては、向こうにも自由化させるけれども、こちらも自由化するということで、やっとこぎつけたぎりぎりの線がここでございます。そこで将来におきましては、先ほど申し上げましたように、ガットの場でこれが問題になり、そうして、ことに日本側は輸入制限を解除しろということで、非常に強くプレッシャーをかけてこられる。人が輸入制限しているからおれも輸入制限するという議論は成り立ちませんけれども、しかしながら、日本が自由化してもある国は依然としてネガを持ち、あるいは自主規制を要求しているということは、議論の実質的な均衡論としては、ある程度またこれはプレッシャーとなると思うわけでございます。したがって、将来もなるべく入るほうは輸入のほうは国内産業を傷つけないように努力はいたしますが、同時に、今度はこちらが向こうに輸入制限の緩和をしてもらいたいということも、あるときにはこちらもある程度やらなければならない。そういうところで、やはり自分らだけでいいことをするというわけにはいかない。将来結局大きくいいますれば、国際的な水平線的な、ホリゾンタルな国際分業というものもやはり考慮に入れなければならないのじゃないかと、こういうふうに考えております。
#126
○曾祢益君 それから本条約のニナ九条ですか、日本から分離する地域に関する適用留保なんですが、これは今ちょうど日韓の問題とも非常に関連があるので、日米通商航海条約についてこれに該当するような最恵国待遇からはずすということがここに書いてありますね、何条だったかに、これに相当向こうとの間に、こんな包括的な適用除外で現実に済んでいるのか。それとももっとも具体的にどれほど――これは実際上は朝鮮の人たちのための特別処置ということだろうと思います、現実具体的には。ほかの南洋の旧委任統治だとか台湾だとかいうことはあまり問題になりません。つまり、在日朝鮮人の特別なステータスの問題ですね。つまり、やや内国民に近い待遇、これは一体国際条約上こういうふうに、何というか、包括的な除外で済んでいるのか。相当掘り下げて、どこまでが特利なステータスなのかというようなことの相当突っ込んだ議論が、日米間、あるいは日英間にあったのか。また、それと関連して、いわゆる英連邦内の内部の特殊の扱いというものを、どこまでそういう特殊な扱いがあるのかというようなことについて、相当突っ込んだ議論なり、あるいは研究なりがあるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
#127
○政府委員(中川融君) 英連邦内部における入国その他の特恵的待遇というものは、これはすでに現在あるわけでございますので、これはわかっておるわけでございますが、日本から分離しました地域に現在居住しておる人たち、これに日本が与える特権的地位というものは、実はまだ条約も協定もできたものがないわけでございますので、その内容は不定であるわけであります。しかしこれは、たとえばこの条約で申しますれば、先方が英連邦諸国に対する待遇を例外としておりますと同じような意味で、日本と元来同じ国籍のものであった人たちでありますから、これは何らかの形で違った待遇を与えられるだろうという前提に立ちましてこういう除外をしておるわけでございまして、その点については先方も異存はないわけでございまして、具体的内容は、先ほど申しましたように、不確定のままこういう除外例ができておるわけであります。
#128
○曾祢益君 その英連邦のほうですけれども、いろいろ関税上の特恵もあるでしょうけれども、いわゆる居住のほうですね、入国ばかりでなく。職業の選択、その他相当な特恵になっているのですか。その点はおわかりなんですか、どの程度。
#129
○政府委員(中川融君) これはイギリス本国におきまして、英連邦諸国の人が入ってくるということは、これは原則として自由でございます。それから職業につくことも原則としては自由でございます。しかしながら、たとえばインドの人とかパキスタンの人等につきましては、いろいろ社会的な問題もありまして、若干制限を最近いたし出しておるようでございますけれども、原則としては自国民と同様に自由に入ってこられるということになっております。
#130
○曾祢益君 職業も見由ですか、原則は。
#131
○政府委員(中川融君) 職業も原則としては自由でございますが、しかし、たとえば官吏とかなんとかになるということは、これはできなかったのじゃないかと思います。私はっきりとは覚えておりません。
#132
○曾祢益君 一応その程度で終わります。
#133
○杉原荒太君 経済関係の条約で、問題点としては今曾祢委員が言われたようなことに自然集中するわけだが、それに関連して少しばかり質問したいと思います。
 イギリスが長いことこの三十五条というものを援用しておったのが今度撤回を承諾した、その原因ですね。実質的の原因が一体どこにあるか。それで、まだ依然として三十五条撤回をがえんじないでおるフランスその他の国と比べてみて、その原因の点から見て、一体違った事情があるのかどうかということ、これが第一点です。
 それからセーフガードそれからセンシティヴ・リストなどを、三十五条は撤回すると言いながらも、まだいわば部分的には、実質的にはそれを存続するという例外というものがあるわけです。それのいい悪いの問題じゃなくして、私の聞きたいのは、そういう例外措置をまだ存続せざるを得ない原因というものについて、向こうさんとしてはどこにあるとしておるのかどうか。そしてその原因の中で、われわれがいわば公平な立場から見ても無理からぬと思われる合理的な原因というものと、実際には合理的な理由はないのだが、それは確定しないけれども、一種の危惧の念あるいは誤解だという、それが原因をなしておるというふうな面もあるいはありはせぬかと想像されるが、その原因の分析、これを一体どういうふうにするか。これをまず御説明願いたい。
#134
○政府委員(中山賀博君) イギリスがなぜ今まで対日三十五条を援用しておったかという問題につきましては、私はこういうふうに考えるわけでございます。イギリスという国は、たとえば今問題になっておりますフランス、それからフランスの植民地との関係に比べますと、英連邦の中には比較的綿業とかあるいはその他のプライマリー・プロダクトのほかに若干の産業が興って、そして本国と植民地の調節ということは、常に行なわれてきたと思うのであります。そしてまた世界的なイギリスの役割から見ても、やはりある程度の後進国に対してイギリスの市場に穴をあけてやるというか、これを自由化してやるという調節は、ずっと、かなり久しい前からやってきた。そのことはフランスとフランスの旧植民地の関係を考えてみれば明らかだと思います。つまりフランスの旧植民地というものは、いわばネグロだけの植民地で、そこには何ら、第一次産品をようやく作って生活の資を得るというだけで、産業の発達の何ら見るべきものがなかった。ただ、イギリスはイギリス本国の産業ということもありますし、あるいはコモンウエルス全体の経済関係のバランスということもあって、戦後急速に復活してきた日本の製品をそのまま受け入れることは、私はできなかったろうと思います。したがって、過去における交渉の経緯あるいはその他のバイラテラルなクォータ交渉をしてみましてもわかりますように、イギリスはあくまで漸増の方式、漸次事態を改善していくという方式をとったわけでございまして、その点に見ましても、フランスあたりはかなり最後の最後まで自由化を渋ってEECの発展とともに、最近になって急に自由化方向に転換したというのとは、イギリスの態度はかなり違っておったと思います。しかし、そのイギリスも、やはり急激に伸長していく日本の産品をそのまま受けるということはできなかった、そのために三十五条を援用しておったのだと、こういうふうに考えておるのでございます。
 第二点の、じゃなぜそういう日本の商品に対して危惧の念があるか、またそういう措置を実際にとらざるを得ないかという点でございまして、この点は昔は、たとえば戦前におきましては、日本の商品は安かろう悪かろう、これはソーシャル・ダンピングだとか、あるいはきわめて低廉なる賃金のもとに働いているからだというようなことで、ごく簡単に片づけられた傾向があるわけでございます。しかし、最近日本のめざましい発展、それから賃金の上昇、その他経済状況の改善等を見て、今までのように欧米の人が一がいに日本は低賃金だとか、あるいはソーシャル・ダンピングだという議論はもうなくなっているのじゃないか。現に、それでございますから、EECなんかのかなりの有力な指導者の日本産業に対する見方なんかも、そういう低賃金というような言葉を現わさないように、むしろ日本が戦後発展したのは、一つには敗戦を機に、機械その他の施設を完全に一新したということ、それから第二は、むしろ日本というものがつまらないちゃちな原料資源しかもっていなくて、むしろそういうものは思い切って諸外国から買っているということ、それと第三には、かなりスキルフルな、熟練した労働力が豊富にあるというようなことを、むしろ日本の競争力の主たる原因にあげているわけでございます。
 そこで、この日英交渉のみならず、ガットにおけるいわゆる市場撹乱の解釈等にあたりましても、今までのようにソーシャル・ダンピングとかなんとかいうことじゃない、むしろ結果として現われた、つまりそれをあるいは輸入の急増であるとか、あるいはとにかく比べてみたらプライスが違っている。価格の差が開いていた。そういうふうなことが、もとにさかのぼって、日本のソーシャル・ダンピングとか労働賃金の低いということじゃなくて、どういう原因か知らぬけれども、出ている結果が市場を撹乱するという結果になるという議論の進め方をする人が多いようなわけでございます。そういう点から見まして、やはり日本はいろいろな原因が競合しておりますが、そういうような、日本の競争力が、とにかく向こうが太刀打ちできないくらいあるというものがもちろん全部ではございませんが、物によってはあると、こういうことに対する具体的な一種の障壁を、防波堤を、三十五条援用の撤回に伴って一種のセーフガードを設けようということが、これは同時に、向こうが不当なる危惧の念を日本に持っておるということでありますが、日本としても、かなりこれは正常なオーダリー・マーケッティングについて努力して、そういう誤解のような面を避けなければならぬ部分も、日本側にも若干責任がある、こういうふうに考えております。
#135
○杉原荒太君 今の原因の所在点がどこにあるのかの認識によって、とるべき対策が違ってくるから、だから、わがほうとして、今後この原因解消ができるかできないか、あるいは解消のための努力というもの、そしてまたそれを努力していけば大体いつ――はっきりはせぬでも、あまり遠からざるうちに解消できる見通しがあるのかどうか。今言われたうちで一番大きな理由は何か。ダンピングとかなんとかということよりも、日本の産業の対外経済力というものが非常に強まっておる。それによる結果が、自分のところが、産業が負けるというか、そういうところにあるというと、原因がそこにありとするその原因の部分については、日本として一体今後どういう対策をとればいいのか。もちろんオーダリー・マーケッティングということはあるけれども、しかし、基本的に一体その点の原因解消の道はちょっとないように思うんだが、いわれのない誤解とか、あるいは危惧とかなら、これは解消のために、それとしての対策をとっていかなければならぬ。これは政府だけでなくて民間も一緒になっての対策も必要だが、対策を考えるには、もうセーフ・ガード条項だとか、あるいはセンシティヴ・リストの存置だとかいうものは解消できぬものなんだというのでいくのか、その辺のところを、対策の面から見て今後一体どういうふうな点が出てくるのか。
#136
○政府委員(中山賀博君) たとえばトランジスターというものが日本の最も得意なもので、これはレーバーが非常にかかるものですから、非常によく売れていく。これはほうっておいても売れるはずでございますけれども、たとえばヨーロッパのマーケットにおける、あるいはその他のマーケットにおける日本のほうの売り方を見ておりますと、たとえばあれだけ自信がある商品でありながら、まずAのデパートに納めていく、そうすると今度はAの商社がA’という相手のほうに納めていく。今度はBという商社がいて、市場を開拓するためにB’というデパートに、またそれより下回った値で出していく。そうすると前のほうは全然売れなくなっていく。そういうような過当競争というものも一つの大きな原因じゃないかと思います。
 その過当競争はそれじゃ競争力のないものだけがするかというと、実情を見ておりますと、むしろ日本の産業としては競争力のあるものについてやっている。たとえば綿製品でもそうでございます。あるいは南阿なんかへ行っても、とにかくひどいのになると、たとえば一つの大メーカーの同じ商品を、二つとか三つの商社が行って同じ場所で値段をアンダー・カットしながら売っているというのが偽らざる姿だと思うんです。それでございますから、もちろん内容によっていわれのないと言われるものもあるし、あるいはこちらの反省しなければならぬものもありますが、われわれから見ておりますと、競争力があって、オーダリー・マーケッティングをすれば、それほど不当な安値で売らなくたっていいものまで売っているというこの一つの過当競争の問題、これはまたさかのぼってみますと、日本の社会の構成問題等の問題にもなるわけでございまして、過当競争だけがその問題の原因とは申せませんけれども、かなり優秀な産業、競争力のある産業についてもすでにそういうことが起こっているということは、私は申し上げられると思います。
#137
○杉原荒太君 その対策として過当競争の防止、これは言われていることで、また必要なことに違いないことと思うが、しかし、さっきの原因からすると、それだけでもないように思う。何か日本の産業が相当対外経済力が強まったことに一つの脅威を感ずる、向こうの産業が負けるとかいうことであれば、その面に関する限り、対策としては、これは実際上いつまでも自主規制だとか、あるいはこういうセーフガードの条項の存置とか、こっちの対策ではないかもしれないけれども、向こうでは当然とってくるかもしれない。どうもその点日本側として対抗する措置というものは、これに関する限りは考えられないように思いますが、どうですか。これは結果としては、相当これは続いていくと見ざるを得ないような状況かどうか。あるいはいずれは努力をしていけば解消されるという見通しでやれるのかどうか。
#138
○政府委員(中山賀博君) たとえばカメラにつきまして、先ほども申し上げたわけでございますが、一時は英国の市場に対しても非常に一種の過当競争が行なわれておりまして、最近はいわゆるエージェント・システムというものを発揮いたしまして、あまりたくさんのエージェントには物を売らないかなりしっかりしたものを輸出業者もつかんで、それをセレクトして、そうしていい筋から売っていくというようなことがかなり進んで参っておりまして、この方向は大いに助長すべきことだと思います。そこで、そういうことが成功して、そうしていつ大体そういう心配がなくなるかという問題につきましては、これは非常に私は地理的にもあるいは時間的にもバラエティのあることだと思うわけでございます。というのは、現にわれわれは、たとえばイギリスのマーケットの業者を指導いたしますときには、業者のまとまりがかなりいいわけです。ということは、イギリス・マーケットは非常に大切なマーケットだと、ここで市場撹乱の汚名を受けたならば、非常に今後のこともあるからというので、業者がかなり自粛してくれまして、そうしてまとまりがいいわけです。あるいは濠州なんかについても同じようなことが言えると思います。ところが、これは一ぺんしかこの商品を売らないんだというような地域あるいは国に対する過当競争の調整ということは、非常な困難をきわめるわけでございまして、そういう意味からいいましても、このやり方はいろいろ変化がある。それから時間的に見ましても、今のところはいろいろはんらんを起こす。あるいは先方から見て危険な商品を選んでわれわれとしては自主規制をさせたり、あるいは場合によったら向こうが輸入規制をしておるわけですけれども、こういうものも、ことに私は将来は日本がこのガット三十五条の援用撤回になって、これらの諸国とモットといの場で一つになった場合は、残存輸入制限の問題として、ガットの場でこれにプレッシャーをかけていって減らさせることができる。そうして、そのためわれわれとしてはそれだけの、今度はいいマーケットになれば、業者を督励して、あるいは業界の人を督励していい組織を作っていかせたい。したがって、将来はこれはずっと、だんだん潮が引くようにそういうものも引いていくんだと思います。しかし、そのやり方、それからそのタイミング等については、いろいろ変化がございまして、また、さっき申し上げたように、イギリスなり濠州あるいはその他の国と違うというように、いろいろ業界の受け取り方にも変化、多様性があることを申し上げておきます。
#139
○杉原荒太君 もう一つ別のことでお尋ねしますが、この通商航海条約締結の交渉中に、イギリス側から、日本側の貿易自由化について何らかの要請、要望があったんですか、どうですか。
#140
○政府委員(中山賀博君) この協定ができます前に、すでに早くから、戦後間もなく日本とスターリング地域の間における、あるいはイギリスとの間におけろ貿易支払い協定ができておりまして、そして主としてクォータも与え、あるいはギブ・アンド・テークの交渉をして参ったわけでございます。それと、他方におきまして、日本の自由化が進むにつれて、そのバイラテラルの交渉に、日本の自由化のメリットというものも織り込まれたわけでございます。それからまたさらに今後は、こういう本格的な条約を作りますについて、センシティヴ・リストあるいは自主規制の品目がきまるに際しまして、われわれとしましては、自分らがこういうことをするについては、先方に輸入も広げてくれということを言って参りましたし、向こうもまた、彼らの希望する品目について輸入の自由化あるいは輸入ワクの拡大ということを要求して参っております。
#141
○杉原荒太君 大体わかったんだけれども、なお念のため確かめておきたいんだが、つまり、日本が逐次自由化を実施してきた。その日本の実施した自由化のメリットも認められておる。私は特に聞きたいのは、つまり、日本がいわば自主的にやろうとして、すでにやったその自由化の措置及び今後やろうとしておることは、向こうは承知しておりながら、なおそれ以上の要望をしてきたかどうか、その点どうです。
#142
○政府委員(中山賀博君) こっちの私の計算によりますと、こちらの自由化に対しては、向こうは十分対等の支払いをするということでずっと貰いておりますが、しかし、今後の自由化につきましては、これが問題はむしろガットの場における他国間の交渉の対象になりますから、イギリスとしてはもちろんそれで均霑するわけでございますが、今後の交渉まで織り込んで、メリットまで正確に織り込んでいるとは私は考えません。
#143
○杉原荒太君 私事実を聞いているんで、つまり交渉の過程において、今まで実行しておるよりもっと日本側は自由化をやってくれという要望をしたかどうかということです。それだけです。ガットの場で、今度の交渉においてですよ、この条約の締結交渉の中において、そういう事実があったかどうかと聞いておる。
#144
○政府委員(中山賀博君) 先方は、日本の考えておりますスケジュール以上に、自分のためにもつと開いてくれということは言ってきておりません。
#145
○杉原荒太君 最後に、これは実質的には非常に関連を持ってくるから、直接この条約に関することじゃないけれども、このEECが外部との関係においての共通政策をだんだん固めてくる趨勢にあるわけだから、それに備えてのわがほうとしての対策ですね、努力、これはしておられるだろうが、どういうところをめどにして努力しておられるか。
#146
○政府委員(中山賀博君) このローマ条約によりますと、向こうの共通通商政策というものは、過渡期間が終わったとき、ですから、字づらからいけば、一九七〇年からになってできる性質のものだと思います。しかし、その前に六カ国間の通商政策の調整ということで、寄り寄り協議もしており、あるいはまた統一的な方向へ、あまり各国の通商政策がばらばらではいけないというので、これを統合しよう、あるいは調整しようという動きは十分できてきておるわけでございます。しかも全体のEECの統合の速度が、かなり進みましたために、一九七〇年まで待たなくても、一九六七年ぐらいには、あるいは一般的な共通通商政策が出されるんじゃないかという今段階にあると思うわけでございます。ただ、この間に処しまして、もちろん日本としては、将来EECとの間にそういう問題について話をしていかなければならないわけでございますが、ローマ条約の規定によりますと、EECは今の段階においては一本で第三国に対して通商交渉を行なうという権限がございません。関税交渉については確かにローマ条約に認められておりますから、ガットの関税交渉、なかんずく現在ゼネヴァで行なわれておる関税一括交渉の引き下げの交渉の場においては、EEC一本で出ていろわけですが、通商政策につきましては、各国それぞれ六カ国が分解して日本と話をしなければならぬというのが彼らの構成的な仕組みでございます、したがって、われわれとしましても、きわめて非公式にはEECと話しますが、交渉の主力はフランス・ドイツそれぞれの国に六カ国が分解しまして、われわれとのバイラテラルの交渉ということに全力を尽していろわけでございます。したがって、そういう意味におきまして、もし近くベネルックスとの間に、あるいはフランスとの間に、三十五条の援用撤回とかあるいはセンシティヴ・リストの縮小を行ない、自由化を促進するための協定ができるなら、これがひいては対EEC政策に非常に貢献するものだ、こういうように考えております。
#147
○杉原荒太君 もうちょっと、一つだけ。フランスなどですが、近く三十五条撤回については正式交渉を開始するのですか。する場合、どうなんです。
#148
○政府委員(中川融君) フランスとの三十五条撤回交渉は現在すでにパリにおきまして萩原大使が先方と交渉しておるところでございます。
#149
○杉原荒太君 そしてね、現在の見通しとしては、やはりこういったセーフガードの条項などはやはり残っていくと、こういう意味に予想されるのですか。
#150
○政府委員(中川融君) 現在フランスは日本に対しまして、イギリス以上の実は制限措置をとっているわけでございまして、これを撤回させて、この三十五条をはずさせるということをするにあたりましては、やはりイギリスに認めている程度のセーフガードの措置を講じなければ、なかなかそれに応じないという見通しでございますので、大体そのラインに沿って交渉しておるところでございます。
#151
○森元治郎君 こまかいのを一つ、二つ伺いたいのだけれども、曾祢さんが自主規制のことに関して質問されましたが、この中で、日本はイギリスに対して、日本に施行されているローズ・アンド・レギュレーションズに従って維持される自主規制を行なうとある。少しく意地悪く解釈すれば、これで逃げられるのだ、何とか。自主規制はします・コントロールはするけれども、それは日本に施行されている法令に従ってやるのだ。この「法令に従って」という「法令」、この法令は、一体どういう種類のもので、どういうものが自主規制できるのか。実際は、政治的な、あるいは行政的なというか、そういう大きな観点から業界の了解を求め、そして指導していくのがほんとうの自主規制じゃないかと思うが、これに従ってというところが、なかなかこれは、お役人さんが作ったずるい穴みたいに見えるのだがね、どうはな、これ。
#152
○政府委員(中山賀博君) これはしかし、自主規制をすると申しましても、業者に対する指導は通産省が勝手にやるわけにはいきませんので、たとえば輸出輸入につきましては為替管理法に基づく貿管令、輸出輸入の貿管令がございます。それからまた業者の指導については、輸出入取引法その他がございまして、たとえば同じ統制をするにしましても、ある場合にはアウトサイダー規制をかけたりあるいはかけなかったりするようなところがございますので、やはり同じ法令に従ってやっていくということでございます。
#153
○森元治郎君 その今おっしゃった関係の法令を適用してやっていけば、網の目をもぐらせないで自主規制ができるのかどうか。
#154
○政府委員(中川融君) これは、外国為替及び外国貿易管理法に基づきまして、日本側における規制措置を行なうことによりまして、十分これだけの措置をとっていけるわけでございます。
#155
○森元治郎君 それから、この第一議定書の中に、英領地域の輸出産業と日本との関係でありますが、イギリスの属領地域の確立された輸出利益が侵される場合、「第一議定書による措置を日本に対してとることができる」となっておりますが、その属領地域の対英本国貿易、これと日本が競合するものはどういうものか。金額にしてどういうものがありますか。
#156
○政府委員(中山賀博君) たとえば綿製品、それからこのきわめて簡単なる雑貨、それから軽機械等でございます。それから、金額の点につきましては、ただいま手元に数字を持っておりませんので、後刻御報告したいと思います。
#157
○森元治郎君 同じ第一議定書に関するやつですが、おそらく輸入制限措置をとる、とらなければならぬだろうと想定される品目があっての議定書だと思うのですが、どういうものが将来このはんらんのおそれのある品目か、それから、それによって日本が損害を受けた場合は、これに対して対抗措置をとれるというような範囲とか期間が、実質的に同等であるという対抗措置というのは、有効な対抗措置というものはどういうものがあり得るのか。これはばく然と作った議定書ではないのですから、おそらくものを腹に含んでこういう議定書を作ったのだろうと思うから伺うのです。
#158
○政府委員(中山賀博君) 今度の条約によりますセンシティヴ、それから自主規制を合わせまして七十九品目も、まあある意味においてワクができるわけでございますから、このセーフガード・クローズが具体的にどういうものに当たるかということは、主として最も危険であると先方が危惧するものはこれに盛られているわけでございますから、その以外のものにつきましては、むしろこのセーフガード条項の意義は、一般的な安心感と申しますか、一般的な伝家の宝刀として背後にこれを持っておくということに非常な意義がある。相互のまあ利用度が、相互締約国の利用度があるのだと、こういうように考えるわけでございます。
#159
○森元治郎君 そうかね、一般的かね。これは従来はんらんをしてイギリスを苦しめ、いやがらせ、三十五条撤回を渋らせた原因がたくさんあるわけなんだから、おそらくそういうものを考えたことと思うのだが、一般的というとどういうことになるのですか。
#160
○政府委員(中山賀博君) つまり、特定のものではなくて、何がまあはんらん、市場撹乱を起こすかわからない。ことに先ほどから申し上げておりますように、ヨーロッパにおきましては、数量の増加というよりも価格における値くずしということをおそれる部分がことに強いわけでございますので、むしろ不特定――まあ何がそういう市場撹乱のおそれになるかわからないのですけれども、そういうものをあらゆる事態に備え得るという意味でこの条項が有意義であり有用性が高い、こういうように考えているわけでございます。
#161
○森元治郎君 しかし、商売やる人にとってみれば、ラグビーで相手をマークするように、この品目に対してはこの品目、金額がこのくらいということは、おそらくもう品目同士でも実質的に同等な有効な対抗措置を持っておるということは、当然テーブルの下にはリストを持っているはずだと思うのだが、そういうことはないですかね。
#162
○政府委員(中山賀博君) したがって、向こうがこのセーフガードに従いましてある品目について制限措置をとると、それからこれに対するわれわれの今度はカウンタラクションといいますか、対抗措置というものは、これはまあいろいろなバラエティが考えられるわけでございます。たとえば、日本の若干の商品に対して向こうがなにしたときに、日本側としては、あるいはウイスキーに与えている効果を削減するりか、あるいはこれに均霑せしめないとか、いろいろなやい方はあると思います。
#163
○森元治郎君 日英間の貿易はこれによってどういうふうになるのか、まあ過去の衆議院の外務委員会での速記録をちょっと読んでみたときには、ここ数年間の間に二千二百万ポンド、二千万ポンドくらいからお互いに四千万台、そしてイギリスは四千九百万だったと思うのですが、日本は四千百万だとか、三十六年は。この協定を結んで将来どのくらい伸びそうな予想を持っておるのですか。三十六年の日本の対英輸出四千百万ポンドというのは、これはこれより伸びるのか。イギリスのほうが四千九百万ポンドというのが五千万をこしてくるのか。政府の説明では、四千五百万程度に均衡して参りましたというようなことが速記録にあったと思うのだけれども、将来の伸びを予想をするとどうなりますか。
#164
○政府委員(中山賀博君) 一九六一年は、仰せのごとく当時輸出が四千百万ポンド、輸入が四千九百万ポンドで、日本の輸入超になっております。八百万ポンドばかりの入超でございます。これは一九六一年でございますから、ちょうど設備投資その他で日本の景気が若干過熱されていたときのことでございますが、さらに一九六二年には輸出がかなり伸びまして六千九百万ポンド、輸入が五千二百万ポンド、差引で日本が千六百七十万ポンドの出超になっております。最近は、一九六一年を除きましては、概して日本側の出超という傾向になっているわけでございます。今後の条約締結後の見通しでございますが、日本の一般的な自由化の促進、それからまたバイラテラルによるクォータ交渉の結果、若干品目について輸入が増すことは予見できるところでございますが、先ほども申し上げましたように、イギリスから買うものは主として機械、繊維、原材料とか毛織物、ウイスキーその他のものでございまして、この輸入の内容を吟味してみますと、あまり輸入のほうがそのために変わって、大きく輸入がどかっとふえるということはないように思います。地方輸出については、何といっても向こうの自由化、そしてあらゆる商品についての競争力を持っておりますから、結果的に見ると、われわれは約年間五百万ポンド程度の増加は見られるんじゃないかと思っております。
#165
○森元治郎君 また別の機会にやります。
#166
○理事(井上清一君) ほかに御質問もございませんようですから、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時三十八分散会
  ―――――――――――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト