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1962/06/04 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第21号
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1962/06/04 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第21号

#1
第043回国会 外務委員会 第21号
昭和三十八年六月四日(火曜日)
  午前十時三十六分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     岡崎 真一君
   理事
           井上 清一君
           長谷川 仁君
           森 元治郎君
   委員
           青柳 秀夫君
           杉原 荒太君
           山本 利壽君
           岡田 宗司君
           佐多 忠隆君
           羽生 三七君
           佐藤 尚武君
  国務大臣
   外 務 大 臣 大平 正芳君
  政府委員
   外務政務次官  飯塚 定輔君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○千九百六十二年の国際コーヒー協定
 の締結について承認を求めるの件
 (内閣提出)
○通商に関する一方日本国と他方オラ
 ンダ王国及びベルギー=ルクセンブ
 ルグ経済同盟との間の協定を改正す
 る議定書及び一方日本国と他方オラ
 ンダ王国及びベルギー=ルクセンブ
 ルグ経済同盟との間の貿易関係に関
 する議定書の締結について承認を求
 めるの件(内閣送付、予備審査)
○通商に関する日本国とフランス共和
 国との間の協定及び関連議定書の締
 結について承認を求めるの件(内閣
 送付、予備審査)
○国際情勢等に関する調査(国際情勢
 に関する件)
○千九百六十二年の国際小麦協定の締
 結について承認を求めるの件(内閣
 提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡崎真一君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件、通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の協定を改正する議定書及び一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の貿易関係に関する議定書の締結について承認を求めるの件、通商に関する日本国とフランス共和国との間の協定及び関連議定書の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括して議題といたします。
 提案理由の説明を聴取いたします。大卒外務大臣。
#3
○国務大臣(大平正芳君) ただいま議題となりました千九百六十二年の国際コーヒー協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 コーヒーの生産は一九五〇年代の半ばごろより世界的に過剰傾向が顕著となり、その国際価格も一九五四年以降下落の一途をたどっております。よって、コーヒー輸出に依存するところ大なる中南米、アフリカ等の諸国の経済は著しい困難に直面し、これを打開するため、従来もコーヒー生産国のみからなる若干の協定が作成されたのでありますが、これらはいずれも世界のコーヒー市況を基本的に安定せしめるに至らなかったのであります。
 かかる事態に対処するため一九六二年七月から九月にかけて開催された国際連合コーヒー会議で採択されたのが本コーヒー協定でありまして、生産国のみならず消費国も参加するコーヒー協定としては最初のものであります。
 この協定の骨子は、コーヒー輸出国に対し輸出割当を課し、この割当を越えて輸出することを禁止することにより、国際流通面において供給を需要にできる限り近づけ、その価格を現在以上に低落させないようにしようという点にありますが、輸出国はさらに生産及び在庫についても協定上規制を受けることとなっております。他方、輸入国は、輸入量及び輸入価格について具体的に制約を受けることはありませんが、原産地証明書及び再輸出証明書制度の実施、及び一般的にコーヒー取引への障害をできる限り除去するよう努力すること等によりまして協定の目的の達成に協力することとなっております。
 この協定によりコーヒーの国際価格が安定するならば、後進国を主とするコーヒー生産国の経済の発展に寄与するところは顕著であり、そのため、できる限り多くの国の加盟が希望されております。この協定への加盟はわが国のコーヒーの貿易に直接に影響するところは必ずしも多いとは言えないのでございまするが、コーヒーに関する情報のセンターである国際コーヒー機関への参加はわが国のコーヒー産業の発展を助けるものであるのみならず、この協定へのわが国の加盟は、国連、ガットにおいて急務となりつつある貿易を通ずる低開発国の援助及び一次産品問題の解決についてのわが国の積極的態度を明らかにするゆえんであると考える次第であります。
 よって、ここにこの協定の締結について御承認を求める次第でございます。
 次に、通商に関する一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の協定を改正する議定書及び一方日本国と他方オランダ王国及びベルギー=ルクセンブルグ経済同盟との間の貿易関係に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国が昭和三十年ガットに加入した際、オランダ、ベルギー及びルクセンブルグのベネルックス三国がわが国に対しガット第三十五条を援用して以来、これら三国は、わが国の産品に対して差別的な輸入制限を行なって参りましたので、その是正をはかるために昭和三十五年に現行の通商協定の署名を行ないました結果、双方の間の貿易関係は著しく改善されましたが、なおガット第三十五条の援用撤回を実現するに至りませんでした。ところが、昨年十一月池田内閣総理大臣のベルギー及びオランダ訪問の際に行なわれたベネルックスとの間の首脳会談におきましてガット第三十五条の援用撤回について原則的な了解に達し、その後引き続き交渉を行ないました結果、去る四月三十日に東京で現行の通商協定を改正する議定書及び貿易関係に関する議定書に署名が行なわれ、同時にガット第三十五条の対日援用撤回に関する書簡が交換されました。
 現行の通商協定を改正する議定書は、日本国とベネルックス三国との間にガットの規定が適用されることに対応して、現行の通商協定に所要の改正を加えるものであり、貿易関係に関する議定書は、市場撹乱の際の措置及び過度的輸入制限品目に関する規定を内容とするものでございます。
 これら両議定書の締結とベネルックス三国による対日ガット第三十五条の援用撤回により、日本、ベネルックス間の通商関係は、ますます緊密となり、かつ安定した基礎の上で発展することが期待されます。
 よって、ここに前記の二つの議定書の締結について御承認を求める次第でございます。
 最後に、通商に関する日本国とフランス共和国との間の協定及び関連議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 わが国が昭和三十年にガットに加入した際フランスがわが国に対しガット第三十五条を援用して以来、わが国は、この援用撤回の早期実現の素地を固め及び日仏貿易の拡大をはかるため、毎年の貿易交渉を通じて漸進的に対日輸入制限の緩和に努めて参りましたが、この間、仏側は国内産業の脆弱性を理由として最近に至るまでかなり大幅な対日輸入制限を残しておりました。
 しかるに、昨年十一月池田内閣総理大臣の訪仏の際行なわれた両国首脳間の会談の結果、仏側はガット第三十五条の対日援用撤回の意向を表明するに至り、その後引き続き両政府間で交渉を行ない、去る五月十四日にパリで通商に関する協定及び貿易関係に関する議定書が署名され、フランスは、同協定及び同議定書の発効とともにガット第三十五条のわが国に対する援用を撤回することとなったのであります。
 通商に関する協定は、関税、内国税及び輸出入制限について相互に最恵国待遇を与えることを骨子としており、貿易関係に関する議定書は、市場撹乱の場合の措置及び従来の対日輸入制限を大幅に縮小した上で過渡的に残される輸入制限品目に関する規定を内容としております。
 この協定の締結とフランスによる対日ガット第三十五条の援用撤回の結果、さきに行なわれたベネルックス三国による援用撤回と相待ちまして、欧州経済共同体の加盟国のすべてについて援用撤回が行なわれたこととなり、英国との間には先般援用撤回の実現を見ておりますので、わが国と世界の主要貿易国との間には正常なガット関係が設定されるに至ることとなるわけでございます。
 よって、ここに、本協定及び関連議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 以上三件につきまして、何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○委員長(岡崎真一君) ただいまの三件につきましては、提案の理由を承りましたが、補足説明は後日に譲ります。
#5
○委員長(岡崎真一君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題といたします。御質疑のあります方は、順次御発言を願います。
#6
○森元治郎君 大臣、原子力潜水艦の日米交渉経過の内容を国会に報告する、衆議院に報告するというふうに紙面では出ているわけです。衆参両院外務委員会に同時に刷ったものであるでしょうから、それは出してくれるのでしょうね。
#7
○国務大臣(大平正芳君) 衆議院の外務委員会では、森島委員から御要請がございまして公表するという約束をいたしました。一方、院外におきましても、各方面から資料を発表したほうがいいじゃないかというふうなお勧めもありましたので、一応外務省と科学技術庁との間で相談をいたしております。今週中ぐらいにはできるということでございますので、でき次第発表しようと思っておりますが、それを、衆議院でやるのか、参議院でやるのか、そのときの時点に応じまして国会のほうと御相談いたしまして、どちらが先になるのか私はまだよくふまえておりませんが、両院に御提出申し上げるのは当然だと考えております。
#8
○森元治郎君 その発表の仕方はいろいろあるだろうけれども、出す資料は同時に――もちろん森島さんが最初大臣にお願いしたんだから衆議院でお先にやるようになると思うのですが、資料だけは同時にもらえるようにしてもらいたい、委員各位に。それだけひとつ。
#9
○国務大臣(大平正芳君) そのように配慮いたします。
#10
○岡田宗司君 今のに関連しまして。資料を発表されるということは、向こう側に対して――アメリカに対して原子力潜水艦の寄港を日本側として承認といいますか、認めることを回答するそれと同時ですか、あるいは資料だけ発表をするんですか。
#11
○国務大臣(大平正芳君) アメリカ側との照会のほうはまだ終っていないのです。まだ照会しておるものもあるわけでございまして、完結したものではございませんが、中間報告をしたほうがいいじゃないかというような御意見もございましたので、完結したものでございませんが、一応今日まで明らかになりましたことはお知らせ申し上げるようにいたしたいと思うわけでございまして、ファイナルなものでは決してございません。
#12
○岡田宗司君 その問題につきましては、それではその中間報告が行なわれましたときにでもまた御質疑申し上げることにして、他の問題について若干大臣に最近のいろいろなことをお伺いしたい。
 それは、日韓会談につきまして、今、事実上韓国の政情が非常に変動をしておるために、東京で多少会議が行なわれておりますけれども、事実上中止のような状態になっておる。ところが、ごく最近の新聞によりますというと、韓国の外務部長官ですかが、この会談を早く行なうために日本の外務大臣と会談をするかもしれぬというようなことが出ておりましたけれども、それはすでに申し込まれておるのか、また、そういうふうな計画は日本側としても進める用意を持っておられるのか、そこをまずお伺いしたい。
#13
○国務大臣(大平正芳君) 日韓交渉のやり方といたしましては、正規に私どもが持っておりまする予備交渉の場を通じて、可能な限り問題の煮詰めをやって参るということの方針で進んでおるのでございまして、今日もその考え方に何ら変改を加える必要を認めておりません。新聞紙上で拝見いたしますと、韓国政府側におきましても、外相会談というようなものはまだ時期が早いというように言っておるようでございますし、私どもとしては、既定の心組みを今変えるというつもりはありません。
#14
○岡田宗司君 そういたしますと、今東京で行なわれますいろいろな部門の会談、これをぼつぼつやっていくということで、いわゆる大局的な立場に立って懸案を解決するという意味の外相会談については、日本の外務大臣としては現在考えておらない、こういうことでございますか。
#15
○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
#16
○岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、この間スカルノ大統領が来られました。それからマラヤのラーマン首相も来られました。そして東京におきましてマレーシア連邦の問題について話・し合いが行なわれて、そしてその結果、フィリピンを加えて三国会談が行なわれて、日本がその場所を提供したということで、これは日本としては珍しいことでもあるし、それにまた今後非常に東南アジアの外交面に対していい影響を与えることにもなるということでありますが、それは三国の間の問題でありますから、それはそれとして、スカルノ大統領がこちらに来られ、非公式でありますが、かなり長いこと滞在され、そして各方面とも会った。外務大臣もお会いになった。それから、ラーマン首相がこちらに来られて外務大臣ともお会いになっておられますが、これはマレーシア連邦の問題について日本側に対して何か話があったのかどうかということが一つ。
 それから第二は、スカルノ大統領から日本にインドネシアのいろいろ経済援助といいますか、あるいは経済協力、そういうものについて具体的に何かしてほしいというようなことを求められたかどうか。またマラヤのほうからもそういうことを求められたのであるかどうか、その点についてお伺いしたい。
#17
○国務大臣(大平正芳君) スカルノ大統領の非公式な訪日は、静養されるということに承っておったのでございます。こちらに参りまして、マラヤの総理との会談を持ちたいという意向が明らかになりまして、その場所のあっせんを私のほうに求められましたので、私の公邸を御使用いただくようにいたしました。その後ラーマン首相も参りまして、それに異議がなく、日本側の便宜供与に両方とも感謝いたしておりました。
 それから、両方から、今度のスカルノ・ラーマン会談、二回にわたって金曜、土曜と行なわれたわけでございますが、両方から私に対しまして双方の考え方というものの説明がございました。私どもが知る限りにおきましては、今度のお二人の会談は、問題を討議するという会談ではなかったように思います。つまり、マレーシア連邦結成の背景というようなものについて、詳しくラーマン首相からインドネシア側に説明があった。インドネシア側は何らの先入見を交えずにそれを聞いて、そうして両首脳の間の友好的な雰囲気を作るということに成功したということでありまして、マレーシア連邦にからまる具体的な問題がありとすれば、それは六月七日からマニラで開かれる外相会議の場で討議されるものであるというふうに私どもは説明を伺っております。
 それから第二点の経済協力の問題でございますが、まずインドネシア側から申しますと、インドネシア側に対しましては、今、御承知のように賠償が進行中でございます。賠償引き当ての借款というものも相当供与されております。今日までのところ、賠償引き当て借款というものは、約束どおり先方も誠実に履行していただいております。しかし、今日賠償引き当てで新しい借款を供与するには、もうだんだんと財源の限界に来ておりますので、賠償引き当て借款をさらに新しいものを今考えるということには、日本側として考えておりません。先方もよく承知いたしておりまして、若干のプロジェクトにつきまして、賠償に編入されているプロジェクトを進めることはもちろんでございますが、それから今約束いたされております賠償引き当て借款の促進をはかることのお話はもちろんでございますが、新しい問題といたしまして、賠償のワク内で一、二のプロジェクトが考えられないかという御相談がありましたので、これは賠償協定の精神に照らしてひとつ私のほうで検討してみましょうということでございますが、他方、賠償協定でうたわれております四億ドルの民間借款というものを政府側がそれを促進するというか、精神的な協定がうたわれてありますが、これは、もう少し動かしてくれないかということはかねがねからの要望がございますが、この面は、私どもといたしましてはプロジェクト・バイ・プロジェクトでよく吟味した上で、それが両国の経済協力に役立つというものであれば考えますということで、これはプロジェクト・ベースでやろうじゃないか、ただし日本といたしましては、一九六九年には賠償の支払いが終わるわけでございますから、その後も経済協力はやって参らなけりゃならぬわけで、今後経済協力を進めていく基本的な態度としては、日本側は非常にポジティブなんだ、だから、私のほうもいろいろ検討いたしておりますが、あなたのほうも御希望があればお出しいただいて、検討いたしましょうということでございます。特に先方が強く要望されたのは、今度片づきました西イリアン地帯の木材資源の開発、これにつきましては、スバンドリオさんと二回会いましたが、二回ともそれを言われておりましたので、日本側で引き受け手がないかということをしきりに聞かれましたので、特に関心を持たれているように拝聴いたしました。
 マレーとの間でございますが、マレーは、御承知のように、日本が輸入超過になっているほとんど稀有な国の一つであります。外貨事情も、その他の東南アジア諸国とは比べものにならないほど安定いたしております。したがって、普通の意味の経済協力というよりも、むしろコマーシャル・ベースでどんどん経済交流を進めていくという、安心してそうできる国なんであります。オーソドックスの経済交流というものをどんどん進めていこうじゃないか。特にわが国は輸入超過なんで、ゴムであるとか、鉄鉱石であるとか、すずであるとかいうあそこの特廃品をよけい買っていますので、どんどん日本のものも買っていただかなけりゃならぬわけで、それはあくまでも経済ベースでいこうじゃないかというようなお話は私からいたしましたが、このプロジェクトを云々という具体的な話は、先方からはございませんでした。
#18
○岡田宗司君 インドネシアと英米の石油資本との間にトラブルがありましたね。それが今度解決されたわけですけれども、十五年後に英米の石油市場というのはインドネシアの手に完全に移ることになるのでありますが、今回のトラブル、ああいう解決方法、これは日本のスマトラに対する石油が関係しておりますね、こういうことや、あるいは向こうから日本に輸入されている原油の開発その他について、あるいは輸入の方法等について影響があるか、そういう点、どうですか。
#19
○国務大臣(大平正芳君) 懸案でありましたオイルの問題が、米国とインドネシアとの間で話がついたということは、双方から御連絡は受けたんでございますが、今岡田委員が御指摘のような日本への影響という点につきましては、実は私も寡聞にしてまだつまびらかにいたしておりませんわけで、それは検討さしていただきます。
#20
○岡田宗司君 次に、マレーシア連邦ができますね、八月にできるだろうと思いますが、これに対する日本側の態度ですね。できることに対して積極的に支持をするかどうかということ。それから、各国に対しましてそれぞれの関係ですね。マレー、シンガポールあるいはボルネオに対して、日本側としていろいろ関係を持っているわけで、それらとこれができた場合にどういうふうになるのか、その点です。外相はどういうふうにお考えになっているか。
#21
○国務大臣(大平正芳君) 方針といたしまして、マレーシア連邦、約人口が一千万くらいの国家が結成される、しかもそれが周辺の隣邦との間に円満に諸問題の了解ができましてスムーズに結成されることができるならば、これは東南アジアの繁栄、安定にとりまして大きなプラスだと考えておるわけでございます。私どもは衷心それを希望いたしております。
 それからマレーシア連邦が結成された以後の問題でございますが、たとえばシンガポールというものがマレーシアに編入されました場合に、一体今のように自由港としてのステータスを持っていくものかどうか。特に日本では商社の活動が活発であるばかりでなく、造船所を持っておりますし、したがって、そういうステータスがどうなるか、そういった点につきましては、まだ私どもが判断する具体的な条件というものを見きわめていませんので、何とも申し上げる段階ではないと思いますが、基本の方針といたしまして、周辺の国々との間に円満な話し合いがつきましてまとまって参るということは、けっこうなことだと考えております。
#22
○岡田宗司君 次に、タイの国王が御訪問になりまして、親善関係が促進するわけなんですけれども、これはやはり何でしような、タイとの経済協力の関係等について、この際何か具体的なものが向こう側から持ち出されてきておるんですか。
#23
○国務大臣(大平正芳君) 皇帝陛下並びに王妃の御訪問は、全然ノン・ポリティカルでございます。政治的な話は一切ございません。随員の人でタナット・コーマンという外務大臣が来られていまして、これは短時間表敬訪問も受けました。この場合、若干事務的なことで、たとえばタイ国の資源開発等について、特にスチールの工場の建設等についてジョイント・ヴェンチャーが考えられないかというようなお話は、これは従来からあった懸案でございまして、最近の日本側の判断はどうかというようなお話はございました。これは目下技術的な検討の段階で、まだ経営的な段階までいっていない。六月一ぱいぐらいには技術的検討を終えたい、それはまたタイ国の政府にもお知らせするという程度のお話でございまして、これは新しく出てきた問題でなく、表敬訪問の際にちょっと触れられた程度でございます。全体として今度の皇帝の訪問は一〇〇%ノン・ポリティカルでございます。
#24
○岡田宗司君 インドとの問題ですけれども、中印国境紛争が起こりましてから、いわゆる自由主義陣営が、特に米、英がインドへの軍事援助と同時に経済援助を進める話があり、日本側もそれに乗っておられる。このインドに対する援助について日本政府の方針、それから具体的に今問題になっておりますものについて日本側の方針を御説明願いたいと思います。
#25
○国務大臣(大平正芳君) インドというのは四億をこえる人口を擁してあれだけのランドを支配した巨大な国でございまして、インドという国は、好むと好まざるにかかわらず、アジアの未来にとって非常に重大なポテンシャルな力を持った国だと思うわけでございます。インドの外交方針につきまして、とかくの論評はございますが、これはまあ非常にすぐれた指導者が、ネールさんばかりでなく、おられまするし、インド自体の賢明な判断によって外交が進められていくものと私どもは信頼いたしておるわけでございます。日本としては、アジアの先進国といたしまして、可能な限り、これはインドばかりでなく、その他の国々との友好関係を保つばかりでなく、経済協力関係を一そう進めていくという基本方針にちっとも変わりはないわけでございます。今度の第三回目の対印借款につきましても、もう今明日あたりから六月上旬にパリでコンソーシアムの会議が行なれわまして、この間関係閣僚でお打ち合わせをいたしまして、第三回目の対印借款にも応分の協力をしよう、こういうことをきめまして、代表をパリに派遣することになっておるわけでございます。ただいままで若干今までの対印借款の運営を見てみますと、先方の発注が若干おくれたりなんかして、事務的には多少の時間のズレがございましたけれども、もう六月中には過去のものは一切成約ができると思っておる次第で、これまでのようなおくれはないものと判断しております。
#26
○岡田宗司君 最近のインドをめぐる国際情勢からして、インドから日本に対して、たとえば軍需品、武器等を求めてくる、延べ払いで求めてくる、あるいはまたインドに武器工場を作る、それに日本側で援助するというようなことはございませんか。
#27
○国務大臣(大平正芳君) そういうことはございません。
#28
○岡田宗司君 それから、この間宮澤さんが向こうへ行きまして関税引き下げの会議――OECDとこれは関税引き下げ問題についてはなかなかむずかしい問題があって、ああいう結果で、具体的な結果もまだですが、OECDの加盟の問題は、今こちらにOECDの方も来ておりますが、OECDに対する日本側の方針といいますか、これをお伺いしたいと思います。
#29
○国務大臣(大平正芳君) OECDという一つの国際的なクラブに日本も加盟してCAGを通じての低開発国の援助だけでなくして、先進国全体の貿易政策、金融政策、観光政策と科学政策、そういう広い分野にわたって先進国との間の協調関係を樹立していきたいという希望は、前々から政府も持っておりまするし、総理の訪欧によって具体化したわけでございます。その後各国の模様を見ておりますと、日本の参加はむしろ当然である、自分たちのファミリーに日本を迎えることはむしろおそきに失したのだという工合で、各国の表情はきわめて好意的でございます。ただいまのところ、非常に順調に滑り出してきたわけでございますが、加盟ということになりますと、大前提といたしまして、OECDというクラブの組織と運営に関するコードといいますか、そういうものをまず日本側は受諾せなければなりませんし、それからOECDそれ自体の目的、これは三つございまして、御案内のように、経済の成長をはかっていくということ、貿易を拡大していくということ、そうしてさらには後進国の援助を促進するのだという三つの目的がございまして、その三つの目的にからんでこれまでOECDが決議いたしました決議、そういったものは、大前提として日本側は受諾しなければならぬわけでございまして、それは、ただいままで克明に調べました結果、日本側が受諾するに何ら支障はないという判断でございます。そういたしますと、これからの問題は、貿易外の経常取引とそれから資本の移動の二つの自由化コードというものを受諾する、しかし、これは各国とも若干の留保はつけておりますから、わが国はどういう点を留保すべきか、どういう点を受諾するか、この判断がこれからの課題になってくるわけでございます。きのうからアデア次長以下関係の皆さんお見えになりまして、さっそく日本側との協議に入っているわけでございまして、いろいろな議論が今展開されているわけでございますが、大まかに申しまして、どういう点が問題かということでございますが、一つはIMFの八条国に移行する手順を今からきめて参らなければなりませんので、貿易外の経常取引面では、八条国移行の際にIMFに約束しなければならぬ問題とダブっておりますので、私どもといたしましては、今度の日本側とOECD側との協議というもので、この面については最終的な結論は出ぬと思うんですけれども、IMFの話をつけるから、その間暫定的に留保しておかなければならぬと思うのでございますが、しかし、御承知のように、このOECDというのは、資本自体の移動の自由化ということ、これはIMFの管轄外と申しますか、そういうことになりますので、この面につきましては、その段階で日本側として腹をきめてかからなければならぬと思っております。そこで問題になるのは、いわば総じて技術のノー・ハウの移動援助であるとか、あるいは長期海運運送契約、今は許可制をとっておりますが、それが是か否かというような問題だとか、あるいは貨物に付する保険の問題でございますとか、利潤配当金の送金でございますとか、そういったのが経常取引の問題点で、これは先ほど申しましたIMF等の約束にかかる部分で早急の結論は出ぬと思いますけれども、一応はレビューはしておかなければならぬ問題と思っております。で、資本の移動全体につきましては、まず直接投資というものをどのように迎い入れるかということが本来の問題でございますので、この点につきましては、現在まで日本側がとっておりました制度、観念、そういったものがOECD側との協議においてどういう点を改めて参らなければいかぬかという検討に入っておるわけでございます。こまかいことを私も一々まだ承知いたしておりませんが、二週間ぐらい協議が続きますので、その段階で問題点を詰めてみまして、政府側で協議したと思いますが、今はそういう点についてのコンサルテーションが始まったばかりで、今申しましたように、経常取引と資本の移動という点がこれからの問題点、検討の対象になるんだということだけをとりあえず申し上げておきます。
#30
○岡田宗司君 この問題につきましては、今外務大臣が指摘されましたように、今後の問題、特に資本の移動の自由化の問題について日本産業に及ぼす影響もあろうかと思います。特に、最近フランスにおきましてもアメリカの資本が入って参りまして、そのアメリカの資本がフランスの産業をコントロールするというようなことで、いろいろトラブルが起こっております。
 ある種の産業については、外国の資本が入って来て、これを大きくコントロールするということになりますというと、その国の経済にとりましても容易ならぬ事態が起こってくる面もあるわけであります。これは非常に大きな問題だと思います。私どもその点心配しておるわけでありますが、大体として、OECDに入ることによって、日本にいかなる利益があるか、それからまた、これに入ることによって全部利益ばかりとは言えないと思う。いろいろそのために起こるまた別の面の不利益があろうかと思います。それを大体どういうふうにお考えか。
#31
○国務大臣(大平正芳君) 先ほど申しましたように、これは先進国のクラブでございまして、先進国がそれぞれの経済政策を打ち立てて、それを推進して参る場合に、ぜひ先進国の間で、少なくとも共通の姿勢をとったほうが双方に利益であるという判断でやっておるわけでございまして、またガットやIMFに比べまして一番ひんぱんに会議があり、情報の交換が行なわれる場でございますので、日本側がフル・メンバーシップをもちまして、あらゆる政策討議に参加していくということは、もうこの段階になりました日本としては当然とらなければならぬことだと思うのでございます。そうして、総じて国内の経済政策というものを弾力的に行なう行動半径というのがだんだん短かくなって参りまして、国際的な約束、規約というものに縛られることが普遍的になってきつつありますことは、岡田委員も御承知のとおりでございまして、そういうことが世界の大勢だとすれば、それから孤立するようなことがあっては全体として日本が不利になる。すべてのインフォメーションは十分消化した上で国内政策を立てていくということにしないといけないという時代になってきておると思うのでございます。総体論としてはそんな感じでございます。ただ、岡田委員も御指摘のとおり、いいことばかり世の中にはございません、わが国だけが座して利得を得ようというようなことは、そんなに世の中は甘くございませんので、今私が指摘いたしましたような問題点につきまして、今日まで日本がとっておったことが一体世界的な常識かどうかという点を反省してみまして、改むべきものは多少苦痛がございましても改めていくという姿勢でなければならぬじゃないか。戦術的には犠牲が日本には多少ございましても、たとえば資本の導入につきましても、原則として禁止して、特定の場合に解除する。西欧諸国のほうは原則として自由であって、そうして例外的な面だけ留保しておるという格好になっておりまして、ちょうどそういう仕組みが逆になっておるのでございまして、こういうような点も、過去の運営の実績から見て、もう致命的な支障がなければ、やはり先進国がとっておるような方向に政策の基調を持っていくということは、当然やらなければならぬことじゃないか。その場合には、御指摘のように、多少の苦痛はやむを得ないと思いますが、そういう苦痛を甘受してでも全体の潮流におくれをとらないように配慮して参るのが、私どもの責任じゃなかろうかと考えております。
#32
○羽生三七君 ちょっと関連して……。OECDに加盟した場合に、日本の外務省としての出発というか、担当はどういうところで扱うのですか。
#33
○国務大臣(大平正芳君) ただいままでは在仏大使館、在仏大使がOECDとの交渉に当たって支障なくやって参りました。しかし、これがフル・メンバーシップをもって参加しますと、先ほど言いましたように、これはしょっちゅう会議をやりまするし、一番国際機構としてはよく活動いたしておるものでございますので、在仏大使の意見を徴しましても、自分の手でさばいていくということはできない。現に各国ともOECD専任の大使を置いておりますので、日本といたしましても、国会の御承認を得た暁は、専任の大使を置く予定でおります。
#34
○森元治郎君 ちょっと関連して。資本移動の自由化と貿易外の取引の自由化、これが一番の焦点になるわけですね、OECDの加盟交渉の段階で。その留保条項というのに関して議論が二つに分れているように見えるのですが、一つは、そんな留保条項なんか心配することはないのだという解釈と、いやそんな留保なんかはできないのだというのが、財界の銀行屋さんや大きな商事会社の代表なんかはもっときびしいのだという二つの理解の仕方があるのですね。大臣はどんなふうに、アデアさんと会ったりなんかして感じを受けられたか。
#35
○国務大臣(大平正芳君) 大まかに申しまして、OECDは日本に対して手放しで楽観するわけではございませんですが、非常に好意的です。したがって、非常にこまかいところまで洗い出してあげ足をとってやろうという考えはないというふうに私は判断いたしております。問題は国内でございまして、体裁としてあまりたくさん留保条項があってはおかしいと思うのでございますので、外務省の方針としては、できるだけ留保条項はしぼっていきたいと思います。ただ、内政各省、通産、農林ということになりますと、この内政の問題ということはなかなか厄介でございます。今、その討議に入ったばかりで、私が今いろいろコメントするのはいかがかと思いますが、私どもとしては、できるだけ留保条項はしぼっていきたいということで進んでいきたいと思っておりますが、これはやってみなければわかりませんけれども、しかし、OECD側としては、少くとも非常に意地悪く出るということは、もう全然そういう気配は見えません。その点は比較的楽観いたしておる。問題は内政上の問題ではないかと思います。
#36
○森元治郎君 そこで、その理解のために、もしこういうものがあったら見せてもらいたいと思うのは、加盟について日本の事情を視察に来たわけです。事情調査にきたわけですね。調査して会談をやった。そのときの何か資料を、基本となるものがなければ話の種にならないわけですね。そこで、向こうはこれについてどう、これについてどうという問題をたくさん持ち出してきておって、そうして話を進めているのだと思うのですが、そういうものがないでしょうか。たとえば、貿易外取引として技術の導入についてはどうであるとか、あるいは直接投資がどうとかいうようなものについて、日本のこの点はどうだ、この点はどうだ、既加盟国ではこういうふうにやっておるのだという、こういう希望はあるのじゃないか、そういう向こうの質問の材料が項目別にもらえれば非常に理解に役立つと思うのですが。
#37
○国務大臣(大平正芳君) 一応私どもの役所としては、考えられるアイテムを全部整理しまして、それに対して私どもとしてはどう考えるべきかということを一応出して、そうして協議の場に出ているわけでございます。それから、その他の大蔵、通産、運輸、農林その他関係各省もそうだと思うのでございます。それで森先生がおっしゃったように、こちらから質問をしたり、向こうから質問されたりすることは今から行なわれるわけでございまして、向こうがどういう質問を今用意しているかというような点は、私ども承知いたしておりませんので、これからの会議で何か出てくるのじゃないかと思います。ただ、私ども用心せねばいかぬのは、あまりこまかく入り過ぎて迷路に入っては困ると思いますが、そこらあたりはみな心得てやってくれるものと思いますけれども、向こうからどういう質問が出ているかということは、これから見ないとわかりません段階で、一応のまとまりができればまたお話を申し上げてけっこうだと思います。
#38
○岡田宗司君 この問題につきまして、適当なときにもう少し詳しくいろいろお伺いしたいと思うのであります。その機会を委員長のほうで考えていただきたい。それから宮澤さんにもおいで願いまして、この間の関税一括引き下げの問題、あのときの事情、日本の今後これに対する態度等もお伺いしたいと思いますので、それもひとつ考えていただきたいと思います。
 それから最後にもう一度、これはくどいようですけれども、原子力潜水艦の寄港問題で、先ほど中間報告は発表する、しかしアメリカに対する最終的な回答というものはそのときはまだしないのだということでございますが、そのとおりでございますね。
#39
○国務大臣(大平正芳君) さようでございます。
#40
○岡田宗司君 そうすると、最終回答は大体いつごろするお考えですか。
#41
○国務大臣(大平正芳君) 発表しようといたしますのは、先ほど申しましたように、あくまでも中間報告でございまして、まだ照会中で、参っていないものもありますので、そういうものが参りまして、両政府側でよく検討した上で適当にまとめて参りたいと思っておるわけでございますが、それが来ないとまだ何とも、いつごろになるとも申し上げかねます。私どもといたしましては、特に急いでいるという気持はございませんので、十分の御理解をいただかなければいかぬわけでございますから、できるだけの手順は今後とも尽して参りたいと思います。
#42
○委員長(岡崎真一君) それでは、国際情勢に関する調査の件はこの程度にいたしまして、次に、千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件を議題にいたします。前回に引き続きまして、御質疑のあります方は質疑を願います。それでは、本日はこの程度で散会いたします。
   午前十一時三十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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