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1962/06/20 第43回国会 参議院 参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第27号
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1962/06/20 第43回国会 参議院

参議院会議録情報 第043回国会 外務委員会 第27号

#1
第043回国会 外務委員会 第27号
昭和三十八年六月二十日(木曜日)
   午前十時三十八分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     岡崎 真一君
   理事
           井上 清一君
           草葉 隆圓君
           長谷川 仁君
           岡田 宗司君
   委員
           青柳 秀夫君
          大野木秀次郎君
           杉原 荒太君
           山本 利壽君
           加藤シヅエ君
           佐多 忠隆君
           羽生 三七君
           森 元治郎君
           曾祢  益君
  国務大臣
   外 務 大 臣 大平 正芳君
  政府委員
   外務政務次官  飯塚 定輔君
   外務省移住局長 高木 廣一君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       結城司郎次君
  説明員
   外務省条約局外
   務参事官    須之部量三君
   外務省経済局国
   際機関課長   宮崎 弘道君
   食糧庁総務部長 筒井 敬一君
  ―――――――――――――
 本日の会議に付した案件
○千九百六十二年の国際小麦協定の締
 結について承認を求めるの件(内閣
 提出)
○日本国とアメリカ合衆国との間の領
 事条約の締結について承認を求める
 の件(内閣提出)
○海外移住事業団法案(内閣提出、衆
 議院送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡崎真一君) ただいまから委員会を開会いたします。
 先ほどの理事会でいろいろ御相談いたしましてきまりましたことを、あらかじめ申し上げます。
 現在この委員会にかかっております小麦協定と日米間の領事条約の件は、本日質疑をできるだけ行ないまして、できれば討論まで、質疑を終わることに運びたいと思います。
 それから、なお引き続きまして、海外移住事業団につきましては、まだ質問その他もございますので、これは、来週は定例日以外に水曜日もすることにいたします。大体二十六日、七日くらいには討論、採決に入って本会議に回せるような段取りにしようということでございますので、あらかじめ御承知置き願います。
 本日は、さような都合でございますので、少し午後にもかかりまして質疑を続行したいと思いますから、どうぞ御了承願います。
 速記を止めて。
  〔速記中止〕
#3
○委員長(岡崎真一君) 速記つけて下さい。
  ―――――――――――――
#4
○委員長(岡崎真一君) それでは、千九百六十二年の国際小麦協定の締結について承認を求めるの件、日本国とアメリカ合衆国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件、この二件を一括議題にいたします。
 これより質疑のありまする方は、順次御発言を願います。
#5
○羽生三七君 国際小麦協定の点については、前回に若干お伺いをしまして、ほぼ御説明は承りましたが、なお念のため、もう一度、ごく簡単な問題ですが、ひとつお伺いをいたします。
 それは、この協定に加盟する場合とそれから普通の商業取引の場合、その利害得失を、こまかくは要りませんから、重要点だけ正確に言っていただきたい。それは、提案理由の説明にも、この協定に参加することによって安定的な取引ができるということをうたってあるだけで、どういうことで安定的かという点をもう少し具体的に。これが一点。それからもう一つは、国内産小麦との関係ですが、これは硬質と軟質との関係等もあって、ほぼ事情はわかっておりますけれども、もう一度、この協定と国内産麦との関係で、何らの影響等はないのかどうか、その二点だけ、簡単でいいですから、御説明願います。
#6
○説明員(須之部量三君) 御質問の第一点のほうにつきまして、私、外務省のほらからお答え申し上げまして、第二点のほうは食糧庁のほうからお答え申し上げます。
 まず、第一の点でございますが、なぜこれに入ったほらが商業取引が安定するかという点でございますが……
#7
○羽生三七君 ちょっと。途中ですが、その説明はもう何回もあれで、ずっと歴史的に承っておるから、今の時点においてどういう関係があるか、それだけでいいです。
#8
○説明員(須之部量三君) おそらく羽生先生お考えの点は、米国の農業の小麦生産計画が農民投票によりまして否決されて、その結果、価格が下がるかもしれぬ、それにもかかわらずどうなるんだろうかという点に一番御関心がおありかと存ずるわけでございますが、この協定の中に、もし価格が価格帯の最低価格に達しようとする場合には、直ちに理事会を開いて対策を検討するということになっておるわけでございます。それと同時に、アメリカの国内的な措置ぶりを見てみましても、輸出価格は国際小麦の最低価格を割らないという方針で種々の措置を講じておるようでございますので、私どもとしましては、この現在きめられております価格帯の中での商業取引は依然継続されるものというふうに考えておるわけでございます。それと同時に、現在この小麦協定に加盟しております加盟輸出国は、世界の総輸出量の九割以上を占めているわけでございまして、日本がこの協定のかりに外に残っておりましても、日本の需要量をそれ以外の国から買うという方法もないというのが実情でございます。
#9
○説明員(筒井敬一君) この国際小麦協定と国内の麦の関係でございますが、御承知のように、国内麦は食糧管理法の四条ノ二で無制限に政府が買い入れることになっております。しかも、その価格は、昭和二十五年、六年の政府買い入れ価格に対しまして、その後のパリティ――簡単に申しますれば、物価の上昇でございます――物価の上昇を織り込んだ価格を下らざる額で買わなければならぬというように規定がございますので、国際価格とは無縁と申しますか、国内の農家の安定というような観点で政府が買うことになっておりますので、一応国際価格とは遮断されて国内の麦を買うというふうになっているわけでございます。
#10
○羽生三七君 昨晩私テレビを見ておりましたところが、そこの中で、今日本とアメリカとで問題になっている日本製トラックの輸出禁止、アメリカ側からいえば輸入禁止で、それに関連をして、アメリカの余剰農産物とこの日本製トラックとを交換するわけでもないけれども、何かそれで取引をするような計画が政府で進められている。それは、もちろん余剰農産物の場合はほとんど小麦だろうと思うんですが、そういう場合には、この協定とはどういう関係になるものですか。これはゆうべのテレビのことだから、詳細のことはわかりませんが。
#11
○説明員(須之部量三君) もしその取引の詳細でございましたら、外務省の経済局の担当官のほうから御説明申し上げますが、この協定の関係から申しますれば、商業取引及び特殊取引という二つの区分に分かれておりますが、いわゆる特殊取引というカテゴリーの中に含まれる取引だろうと考えます。
#12
○羽生三七君 その量なんかは、別に協定の全体のワクの関係で問題になることはないのですか。
#13
○説明員(須之部量三君) この協定で取りきめておりますワクは、商業取引のほらでございますので、特殊取引はワク外でございます。
#14
○羽生三七君 そういう話もあるのですか、大臣。
#15
○国務大臣(大平正芳君) そういうことは全然私理解しておりません。
#16
○曾祢益君 今、羽生さんが質問された点なんですけれども、まだ当局の答弁だけじゃ、ちょっとしろうとにわかりにくいから、もう少し伺うのですが、協定に入っておると、非常に国際小麦の値段が上がった場合に安定価格で買えるということ、ただ、同時に、自分のほうの利益ばかり言っていられないから、非常に下がるような場合には、ある程度供給国の立場を救ってやる意味で、この安定帯の中の最低価格以下でなくて、最低価格で買ってやる、その場合は、日本側は必ずしも消費国としてはプラスの面だけでなくて、救ってやるという意味で、ある種の義務を負う、こういうのが大体の仕組みだと思うのです。そこで、今供給国として、今度はソ連も入ったということですから、事実上おもなる供給国も輸入国もほとんどこれに入っていることになると思うのです。しかし、なるのかけれども、もし日本がアウトサイダーならば非常に損するのかどうか。アウトサイダーであったって、事実上この仕組みがうまくいけば、非常に上がった場合に日本だけが高い小麦を買わなければならないことはないし、非常に低くなる場合には、アメリカの国内法や何かのアジャストメントがあって、事実上身銭を切って割高に買わなくても実際上済むのだ。したがって、事実上入ってなければならないほどの緊切な利益もないのじゃないかという気がするのですが、そういう点について、羽生さんのほうはよく知っておられるから、あなたは答弁でわかったと思うが、私にはわからない。
#17
○説明員(須之部量三君) かりに、日本が出ておった場合にどういうことになるだろうかということでございます。その場合に、まず高い場合には、最高価格で買える。それは戦後の時期に輸入国のほらはそれで約七十億ドルの外貨を節約できたということが言われておる。その点は輸入国側のプラスになる点であることは間違いございません。それから、最低価格まで達した――ほうっておけばもっと下にもなるであろうという場合に、輸入国のほうは当面のところ最低価格で買うわけでございますから、ただその面だけをとらえれば、マイナスと申しますか、マイナスの点があるということは言えると思いますが、そのかわり、小麦の輸出国の外貨取得はそれだけ減りまして、小麦取引以外の全般的な国際貿易というものが非常に激しい影響を受けるであろうということは当然考えなければならない面でございます。が、その点は抜きまして、かりに日本が外であったらどうであろうかという点でございます。まず輸出国のほうは、加盟輸出国でございますが、これがもし加盟していない輸入国に加盟輸入国よりも低い値段でかりに輸出するといたしますと、これはみずから墓穴を掘るものでございます。この小麦協定自体がそのときは崩壊せざるを得ない。したがって、すでにアメリカも明らかにしておりますが、加盟していない輸入国に対しましても、加盟輸入国に対する最低価格以下で売ることはあり得ないわけでございます。それと同時に、先ほども申しましたとおり、世界の輸出国の大部分がすでに加盟輸出国になっておりまして、九割以上が加盟輸出国の輸出量でございますので、日本として協定の外にいて、それでは非加盟輸出国から日本の小麦の需要を満たし得るかといえば、それも事実上できない状況でございます。したがいまして、私どもは、この協定の外に残っているということの何ら実益を認めないという考え方でございまして、むしろこの商品協定について、小麦の面ばかりでなぐ、さらに大きな世界貿易の安定ないし発展という面からも積極的に加入しているべきものだというふうに考えるわけでございます。
#18
○曾祢益君 それでもまだちょっと説明が納得できないのですが、むろん国際貿易安定のために、日本も建設的な役割をするということに反対じゃないのです。ただ問題は、入ってなくても、アウトサイダーであるために非常に利益があるかというと、そう安く買えないでしょうということを今あなた言われた。僕の言っているのは、アウトサイダーであるためにマイナスがあるのかということです。特別に、じゃ、非常にディスクリミナタリーな、差別的な待遇を受けることもないじゃないか。だけれども、全体を見て、やはり建設的な方面も見て、それはやはり入っていたほうがいいのじゃないかということに大体賛成なんだけれども、念のために、アウトサイダーであるための不利な点というのが、実際あるのかということを聞いているのです。
#19
○説明員(須之部量三君) この協定に入っていないことのマイナスの面でございますが、御承知のとおり、日本は現在、この小麦協定でできております小麦理事会、それから執行委員会、それから相当価格諮問委員会、三つ大きな機関がございますが、この機関の中で、世界で第二の輸入国としまして、大きな発言権を持っているわけでございます。したがって、日本がこの小麦の世界取引において有している発言権をまず失う。したがって、もし小麦取引を安定させて、どうして持ってこようかという場合に、日本として今まで持っておりましたその地位というものをみすみす失うという点は、これはマイナスでございます。
 それから取引の面でどうなるかということでございますが、今主として最低価格の場合、つまり、買手市場の状況の場合のみを考えての御議論だと思うわけでございますが、その場合には、もちろん買手市場でございますから、一般問題としては、加盟輸出国のほうもおそらくそれは売りたがっておりましょうし、買えることは間違いないかと考えます。しかし、逆に最高価格になりました場合には、これは輸出国のほらで義務量というのがございまして、輸入国が必要とする、過去の実績に基づく一定の量だけは必ず提供しなければならないということになっているわけでございますので、その点は、有利な点がなくなるわけでございます。したがって、非常に極端な例で、要するに、もう猛烈に小麦がだぶついているじゃないか、したがって、入っていないために何のマイナスがあるのだというふうに、極端なその面だけをとって考えますと、なるほどあれかもしれませんが、その場合の一番大きな問題は、先ほどのとおり、世界の小麦情勢がそうなることが望ましいわけじゃございませんが、せっかく日本が持っている小麦輸入国としての発言権等を失うということが、当面のマイナスになるのではないかと存じます。
  〔委員長退席、理事井上清一君着席〕
#20
○曾祢益君 もう一つ、これも羽生委員が触れられている点ですが、この協定といわゆる余剰農産物とは全然関係ない。これは取引の中には、この協定で取り扱うコマーシャルのやつとそれからそれ以外のやつと、協定の中に出ているかどうか知らんけれども、分離はできるけれども、協定外のことについては別にプラスでもマイナスでも、脅威でも反対でもない。つまり、この協定と何か余剰農産物を買う義務とかなんとかに関係あるかのような、一部そういう誤解か何か知らんけれども、ルーマーが飛んでいる。それとは全然関係ない、全然別ものだということがはっきり言えるのですか。
#21
○説明員(須之部量三君) その点は全然関係ございません。これも、協定に入っているから特殊取引で余剰農産物を引き受けなければならんというようなことは、全然ございません。
#22
○理事(井上清一君) ほかにございませんか。
#23
○羽生三七君 もう一点だけ。先ほどの御答弁の中で、世界貿易との関連ということでお話がありましたが、貿易自由化といわれている情勢の中で、一体この種の国際商品で国際協定を結ぶようなケースがどのくらいあるのか。たとえば、コーヒー協定のような場合は、これは明らかに、先日の御説明で、後進国と申しますか、低開発国を援助するため、この経済の安定に協力するためという一応の説明がなされておりますが、この小麦協定という場合には、これはこれが農産物という特殊な条件のもとにあるのか、需給関係でどうしてもこういう協定があることが望ましいのか、こういう協定というものは今後も、今のところわれわれの知っているものは二、三の例しかないのですが、貿易自由化というような関連の中で一体どういう意義を持つのか、そういう点をちょっと聞かせていただきたいと思います。
#24
○説明員(宮崎弘道君) 一次産品につきましては、御承知のように、需要の弾力性が比動的乏しいものが多いのでございまして、非常に価格が変動しやすい。あるいは農産物におきましては、供給のほうも必ずしも安定しないという場合もございます。そこで、こういうような一次産品農産物に限りませず、鉱産物につきましても、単に貿易自由化ということのみでは貿易の円滑なる発展ができないのではなかろうかということがございまして、商品協定を作ってとういうような問題を解決するということが前から行なわれております。
 具体的に申し上げますと、小麦協定のほかに、農産物でございますと砂糖協定というのがございます。これは日本も入っておりますが、現在は例のキューバの問題等で機能を停止いたしております。それから今御審議願っておりますコーヒー協定、それからココア協定というのがこれから議論が行なわれることになっております。そのほか、オリーブ油等がございます。鉱産物につきましては、すず協定、これも日本が入っておりますが、すず協定がございます。
 今申し上げましたのは、非常にはっきりとした協定の形をとっておるものでございまして、いずれも、国会の御承認を得た後に日本が入っているものでございます。ただし、オリーブ協定だけは別でございます。
 それ以外に、そういうようなはっきりとした権利義務を伴わない、いわゆる研究会という形のものがございます。たとえば綿花につきましては、国際綿花諮問委員会、鉛・亜鉛につきましては鉛・亜鉛研究会。それからそういったような研究会は、さらにゴムにつきましても、あるいはまたジュートにつきましても、そのほか二、三の商品につきまして存在いたしております。さらに研究会を作ろうではないかということを国連あたりで検討しているものもございます。これらはいずれも、先ほど申し上げましたように、貿易の自由化、つまり関税の引き下げないしは輸入数量制限の撤廃等によってのみでは問題が解決しないということで、こういうようなことが行なわれているわけでございまして、貿易の自由化について一番推進力になっておりますガットの協定の中にも商品協定があって、商品協定で規律するものは別であるということが規定されている次第でございます。
#25
○曾祢益君 いつでも羽生さんの知恵のあとを受けてやるのですが、この砂糖問題で、今言われたように、協定が事実上機能を停止していると言われたのですけれども、むろんこれは冷戦の副産物として機能を停止したのだろうと思うのですけれども、そういう非常な需給のアンバランスがあるときにこそ、この協定があって、そして日本の場合はむろん輸入国ですが、利益を保護してくれるはずなんですね。どうして協定があるにもかかわらずこれが機能が麻痺したのか。むろんそこには、僕ら想像するところによれば、アメリカのキューバいじめ政策とか、それに対抗するソ連のキューバ保護政策か何かしらないけれども、砂糖を買ってやる、買っといて今おそらく苦しいのもがまんしてしこたまため込んでおいて、自由圏に売らないで、高売りするということで逆手を取ったような形になっている。つまり、キューバの砂糖の問題が冷戦の道具にされているからだとは思うのですけれども、そういうことでこういうようなコモディティの協定がストップすることはできませんね。しかし、そういうこともある程度予想されて需給の安定の協定ができたと思うのです。ところが、それがみごと落第しているわけですね。どういうところに原因があって、どうしてワークしないのか、ここら辺の点をひとつ教えてもらいたい。
#26
○説明員(宮崎弘道君) 今御指摘のとおり、砂糖協定につきましては、キューバとアメリカの関係が非常にむずかしくなりました後に、政治問題といたしまして、アメリカはキューバから砂糖を買わぬというようなことも出て参りましたし、また逆にソ連圏はキューバの砂糖を非常に大量に買うということが出て参りましたために、この砂糖協定の実は予期していた背景が、政治的にくずれてきたわけでございます。その後この問題につきまして、何とか打開策を講じようという動きも砂糖協定理事会等で再三企てられたわけでございますけれども、政治問題と、今申しました砂糖の流れが、キューバ事件以来根本的に変わってしまった。つまりキューバは四百五十万トンのクォータを持っておりまして、それをいわゆる自由市場に出していたわけでございますが、その分が、キューバ自体の生産も減りましたし、それから輸出余力も減ったわけでございます。この輸出余力の大半はソ連圏のほうに流れてしまった。その結果、いわゆるアメリカその他の自由主義諸国は、その他に砂糖の供給国を見出さなくはいけなくなりました。そうなりますと、クォータをきめております砂糖協定の機能というものは、とうていそのままでは維持できず、クォータの改定ということが企てられたわけでございますが、それは政治的な事情、今申しましたような経済的な事情によりまして、ついに妥協に達せず、現在機能を停止している状態でございます。このような問題は、これは確かにお説のとおり、こういうような非常な需給がアンバランスになったときこそ協定が機能を発揮すべきものではございますけれども、非常に大きな国際政治的な問題につながっておりますため、商品協定のほうから本件に対して対処するということが非常にむずかしくなってきている実情でございます。
#27
○曾祢益君 それはそうだろうと思う。ただその場合、協定からいうと、だれか、何かが、やっぱり違反事項という毛のがあると思うのです。たとえばキューバがクオータを出さなくなった。それはアメリカがいじめたにせよ、そういうものは協定上からいうと、キューバのほうが協定違反なのか、あるいは協議すべきことに協議に応じていない、出ていないことはないにしても、協定の表面上、たとえばキューバが幾らかマーケットに出すべきだということについて、キューバが一応は協定の不履行ということになるのか、どういうことになるのですか。
#28
○説明員(須之部量三君) 実は砂糖協定が動かなくなった当面の技術的な理由でございますが、要するに、砂糖協定は去年問有効であったわけでございます。初めの三年間は、クォータを取りきめまして、それは動いたわけでございます。四年目以降のクォータをどう取りきめるかという会議で、意見がまとまらないということで動かなくなったわけでございます。
#29
○曾祢益君 了解。
#30
○理事(井上清一君) ほかに御発言もないようでございますから、両件に関する質疑は終局をしたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○理事(井上清一君) 御異議ないと認めます。
 では両件に関する質疑は終局をいたしました。
  ―――――――――――――
#32
○理事(井上清一君) 次に、海外移住事業団法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
#33
○森元治郎君 この前ちょっと触れたから、続きとして、念のために、将来事業団の下部機構として支部を置きたいということだろうと思うのですが、各県支部を全部置くつもりか、それが一つ。今地方のすでにできている支部でも支部を作ろうと、作れそうなところがあるのかどうかということ。もう一つは、これは大事なことなんだが、地方海外協会の事業費は農林省の所管ですね、予算は。そうすると、そういうふうな海外協会に依然として農林省がそういう費用をやっている限りは、農林省としては地方の支部を都道府県に作ることに対して賛成できないというような態度と開いている。そうすれば、来年度中は、事業団が考えている支部というものはできないのじゃなかろうか。それは大平さんがこの前言われたように、一生懸命努力してそういう関係を調整して作るようにするでしょうけれども、まつ正面から受け取ると、三十八年度中には事業団の地方支部はできない、こう思うのですが、いかがですか。
#34
○政府委員(高木廣一君) 将来の方向といたしましては、各県の海外協会が事業団の支部になることを、われわれといたしては希望しております。
 それから、たとえば九州の地方海協はこの前の――ブロック会議というのがございますが、そのときには、事業団の支部ができるならば、地方海協では支部になりたいという意見を表明したと聞いております。
 それから、農林省は地方海協を支部にするのはいやだとは言っておらないので、地方の事情を十分検討して、円滑に支部になるようにすべきであるというのが農林省の考え方だと伺っております。それだけです。
  〔理事井上清一君退席、委員長着
  席〕
#35
○森元治郎君 そうすると、さっき言った予算のついている限りはという点の御答弁は。
#36
○政府委員(高木廣一君) 海外協会の予算は、人件費と庁費は外務省からですが、それから農業関係の募集関係の事務費として農林省から出ているわけであります。それで、実は海外協会連合会もそういうような予算がございました。これは海外協会が事業団一本になって、地方のほうだけがまだそれが解決しておらないのですが、今、実は地方の事情を明らかにした上で、支部になるならば外務省に移るというのが農林省のほうでも考えられておるわけです。それに反対しておるのではなくて、地方の事情を十分聞いて、円滑に移るようにすべきであるというのが農林省の考えであります。
#37
○森元治郎君 これは私も問題が広くて、ほんとうならば、まず理念とか政策とかに準じて、分けて審議するといいのだろうけれども、日数も少ないようだから、唐突でおそれ入りますが、大臣に伺います。
 たいへん附帯決議が衆議院でくっついてこっちへ回ってきた。十もくっついているんですね。十もくっついている附帯決議なんというやつは、ちょっとおそるべきことで、いかに事業団法案というものが未熟であるか、出直すべきだというくらいの感じがするんですが、それはまた後日やることにして、後日というか後刻やることにして、附帯決議の第四項目のところに、これは移住地の状況を国会とかあるいは一般国民に知らせるようにしろというのがあるんです。移住地の状況については、国会、関係各省、国民によく知らせるように努力しろ、これはこれだけじゃ足りないで、今後大いに「国民の具有する潜在的能力をフロンティアにおいて開発し」という外国語の翻訳みたいなことが書いてあるんですから、これくらいの熱意があるなら、やはり国会に例年報告する、そうしてみんなとともにこの困難な移住専業を通して、国際的声価を高めようという大きな目標なんですから、国会に例年報書する、例年レポートを出す、このくらいのことをされたほうがいいんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#38
○国務大臣(大平正芳君) 附帯決議十項目を衆議院のほうで決議されました。これは、私どもが事業団を運営するにあたりまして、基本的に考えなければならぬ心組みということをよくお示しいただいたと思っておるのでございます。一々ごもっともでございますので、私どもこの線に沿って運営の指導に当たると申し上げておるわけでございます。今御指摘の四項の周知徹底でございますが、この点は毎年報告するくらいな気がまえでやれということのお示しでございますが、そのように当然心得るべきものと思います。移住政策の重点は、本来インフォーメーションを正確に、かつ徹底して提供を申し上げるということが非常に大事なことだと思いますし、それによって自発的な移住意欲が出てくるということになれば一番理想的な姿でございまして、機構いじりとか予算いじりなどというのは、ウエートからいいますと、インフォーメーションの提供のほうがむしろ私は大事だと思うわけでございます。国会に常に周知徹底させるようにという趣旨は、当然年に少なくとも一回はそういう措置をしないといけないという趣旨だろうと思っております。
#39
○森元治郎君 私は附帯決議を直そうと思って言っているのじゃないですよ。関連して御質問申し上げている。ぜひそういうふうにしてみんなとともにやらぬと、何か問題が起こって、これは移民がどうなっているんだということにならないように、だれでもいつでもわかるようにしたい、こういう念願からです。
 そとで、いろいろな資料も当局からもらいましたが、どうして外国、ことにヨーロッパ人――イギリス、ドイツ、イタリア、スペインは、終戦後でもたいへんな人が出ている。イギリスが二百万、イタリアが百五十万、一十四六年から十年間に出ている。なるほど各年度を見ると、六万台もあれば十五万台もありますが、とにかく出ている。なぜこんなに向こうはスムーズにいくんだろう、これは同じ外国人同士で、顔はやっぱりスペイン人とか、黄色人種ではない白人のグループに行くのだから、割合楽なんでしょうが、どうして向こうはスムーズにいくのか、これは学ぶべきものは一体ないのか。ことにあなたのほうの資料によれば、西ドイツの場合は経済の上げ下げにかかわらず一定率を保っておるところは興味深いと書いてある、興味が深いのじゃなくて、注目すべきだと書き直すべきだが、興味深いと書いてある。これはひとつ参考のために聞かしてもらいたい。
#40
○政府委員(高木廣一君) ただいまのヨーロッパの海外移住の非常に活発な数字は、実はこの二、三年来非常に変わっておるのでございます。まず最初に、なぜそんなに多く出たかということでございますが、これは第一には、ヨーロッパ新大陸、南北両米語州、カナダ、ニュージーランド、豪州−ヨーロッパ系の国民でグループが作られておるということから、その呼び寄せが非常に多いということであります。なお、戦後初期から、つい最近まででございますが、いわゆるヨーロッパの難民救済という事業が国際的な規模で積極的に推進されたということも大きな影響だと思います。また、ドイツのごときは、東独その他から流れてくる方々の数が多いということでございます。これがこの二、三年来非常に変わりまして、たとえば年に五、六万も出しましたオランダが、最近では一万を割って、ことしのごときは六千とか八千ということを聞いておりましたが、これは、先日オランダ政府の移住局長が来ましたときに、そういうことを言っておりました。それから、全ヨーロッパの欧州移民政府間委員会というのがございまして、これが国際的な組織で移住者を出しておるのですが、海外移住――海を渡っていく海外移住は、最近におきましては全ヨーロッパでせいぜい二、三万であるということでございますし、この理由は、何といっても、ヨーロッパ諸国の経済繁栄、EECその他の高度経済成長といいますか、その影響でございます。そういうような事情にもかかわらず、先日もお話し申しましたが、オランダのごときは、国内で移住禁止論まで出たのでございますが、オランダの移住審議会で、大きい目で見るならば、民族の発展にも、また世界の発展にも貢献することであるから、これは国内の一時的な経済情勢のみにとらわれないで、自発的に出ていきたいという国民がある限り、それに情報を与え、できるだけ出さすようにする、つまり移住者本位の政策をやるべきだという結論が出て、できるだけの協力をして移住推進の措置を講じております。ドイツはそういう積極的な政策を国がとっておりませんが、これからドイツの高度の技術者が新大陸に出ていく。同時に、国内で不足する労働力はヨーロッパその他から入れていくという実情でございます。それから、その他のヨーロッパ諸国も、大体欧州移民政府間委員会の機構に乗ってやっておりまして、各国といたしましては、ただ、呼び寄せで、自発的に移住者が行くのをお世話する程度の政策をとっております。ただ、オランダは若干日本に似まして、たとえばブラジルあたりでオランダ植民地のようなものを計画して、これは世界銀行及びブラジル、オランダと三者協力の機関として移住地を推進して、オランダ人だけじゃなくてブラジル人も一緒に入るような計画をやっておる。オランダとしては、こういう計画で今後ともやることが中南米の経済開発に積極的に協力するゆえんであるというような意見も出ておるようでございます。大体そんなところでございます。
#41
○森元治郎君 移住局長のお話は、南米にばかり力を入れて言っているようだが、そんなことを言っておるのじゃなくて、過去においてたくさんの数――百五十万とか二百万とか、こういう数字でありますが、どこに原因があるのか。単なるあなたの言う呼び寄せなのか。
#42
○政府委員(高木廣一君) これは、何といっても、ヨーロッパ諸国は海外諸国に地盤を持っていることでありまして、例をあけますと、アルゼンチンの人口は約二千万でございます。その四割強がイタリア人、四割弱がスペイン人、その他はヨーロッパの北のほう、ロシアから南はユーゴとか全ヨーロッパ諸国人で形成されている。したがって、これらの地盤で、政府としての一般的なお世話だけで、海外からの積極的な誘引で出て行く。そういう出て行く人もきわめて簡単な、小さいトランクを一つ持って行くという状況であります。わがほうといたしましても、戦後渡航費を政府が貸し付けて移住いたしました数は最高で約八千、一昨年――三十六年度が六千、昨年度――三十七年度は二千名に減ったわけでありますが、渡航費を貸し付けてもらわないで出て行く移住者もございます。海外からの呼び寄せ、それを見ますと、大体この一、二年前までは年平均一万二千名、一万三、四千名まで出ております。その約半分が北米でございます。北米はワクがございますが、親戚呼び寄せその他の関係で、あるいはお嫁さんになって行くということで、その半分が北米であります。その残りの半分の八割がブラジルであります。これらを見ますと、結局日本人が海外でしっかりとした地盤を持っているところに流れやすいということになる。ヨーロッパは、日本の海外におけるその力から見ますと、数十倍、百倍以上の力を持っているということが言える、その結果であると思います。
#43
○森元治郎君 一口に、在外移民は南米だけでも、五十万ぐらいだというように聞いている。北米は三万五千、五十万ぐらいは南米。その中で、金を借りて行った人、あるいは自分で行ったにしろ、いわゆる向こうで生まれたものじゃないものの数は一体どのくらいあるのですか。
#44
○政府委員(高木廣一君) これは実は明治三十二年から昭和十六年、つまり戦争が始まるまでの日本人の行きました表がここにございますが、これによりますと、二十四万四千名、これは北米を除いた中南米移住でございます。そうして、ブラジルに約十八万九千でございます。これにプラス、戦後ブラジルには約五万弱参りました――四万幾ら。これを合わせますと二十三万ぐらいでございますが、それが結局、今ブラジルには四十万ほど行っておりますから、ほとんど倍になっているということが言えます。アルゼンチンは、これは私の表によりますと、戦前五千三百九十八名行っているのですが、現在一万三千名余りです。戦後数千名程度でありますから、やはり倍以上にふえている。大体日本の中南米の海外移住は、行った人の数は倍くらいになっているということが言えると思います。
#45
○森元治郎君 そうすると、そのヨーロッパ移民と比較してすぐ頭に来ることは、明治三十二年、もう六十年以上前から移民をやって、オリジナルな種が二十万もあるのに、その間政府は海外雄飛せよというようなことを大正の初めから大いに宣伝をしたけれども、落ちついた者を援助して、力をつけて、その人たちが、こちらはいいから来いというので、故郷に向かっていわゆる呼び寄せをやって、日本から人がどんどん出ていくということがさっぱりなかった。だから、政府の過去怠慢の累積が今日に来た。伸びなかった。外国の場合は、なるほど同じような人種系統であるし、同じような生活、食いもの、われわれとちょっと事情は違いますが、呼び寄せ移民が非常に多い。日本だって、これだけの種が植えつけられているのだから、これを太らせていくなら、この人たちが、いいところだから来い、日本の小さいところにきょくせきしていないで来たらいいだろうということになったと思うのですが、そういう点が過去の政府の政策において非常に足りなかったという点を感ずるのだが、違いますか。
#46
○政府委員(高木廣一君) 仰せのとおりでございまして、極端に申しますれば、ヨーロッパ諸国は、新大陸を含めて世界がヨーロッパの延長であると考え、日本は、海外に対しまして、日本だけが日本であって、世界はひとつ国であるという根本的な考え方、そのことがすべてに影響してきたのだと思います。
#47
○羽生三七君 森さんの質問に関連して、いつの国会でしたか、海外移住株式会社の件を審議するときに、従来の単なる農業移民と違って、企業移民という言葉でしたか、何か新しい計画をもって事業もやる、企業もやる、あるいは技術者、そういう形で、いろいろな新しいタイプの移民というか移住者を考えて、それに援助をする、そのための仕事をやるために海外移住株式会社が必要だ、こういうことであの法案でしたかを審議したわけです。その後一体、それは今度消えてなくなるわけですが、統合されるわけですが、それはどういう成果を上げたのか、そういう計画にうたわれておったことが実績が上がったのか、それらの報告というものは全然ないわけですが、経理内容とかそういうものを聞く意思はないのです。計画と実績とはうまくいっているのかどうか。その辺ひとつ具体的に説明をしていただきたい。
#48
○政府委員(高木廣一君) 最初は、海外邦人の経済的基盤を強化して、それがおのずから移住を促進するという立場から移住振興会社ができたと思います。そういう意味におきまして、単に農業だけでなくて、移住地における邦人の工業活動にも融資をするという方針を強く打ち出しておりました。ただ、一番最初にやった融資があまり賢明でなくて、所期の目的を達しなかったということはございますが、その後、たとえばサンパウロにおきます豊和工業といいまして、ブラジルの紡績織機を作る会社に融資をいたしましたり、あるいは在ブラジル邦人の農場等に融資をいたしましたり、またペルーで、これは戦後新たに邦人は行っていないのですが、あそこの邦人の経済基盤の強化のために養鶏組合を作らせてそれに融資をする。同じようなことはアルゼンチンでもやっております。会社の資力は、最初予想しませんでしたが、むしろ違った方向に行きましたが、それはパラグァイの移住が始まりまして、あそこの移住地では、前に行った移住者がいないということで、土地を買う。そして、これをいわゆる造成をいたしまして、道路を作ったり、区画割りをして入れるということを必要上やりましたのが、その移住地を買って造成するほうにだんだん重点が行きまして、パラグァイだけでなくてブラジルでもそうやっております。したがって、工業、経済基盤の強化のための積極的な金融というものが、むしろ押えられてきたというのが実情でございます。
 なお、最初申しました、一つまずい融資があったということから、工業融資については、非常に消極的になったことも大きな原因であると思います。そういう事情でございます。ただ、今申しましたパラグァイにおける移住地造成及び一種の経営でございますが、これは相当の効果があったと、こういうふうに思います。
#49
○羽生三七君 あの審議の際に、資本家がやる株式会社を移住会社が肩がわりしたり、援助するという形は適当でない、むしろ農民で移住した方が何か事業をやりたいというような場合に、それに援助をするという、そういう形のものを想定して私たちは審議したと思うのですよ。ところが、今お話を承っていると、何か株式会社の仕事を移住会社がやったような――大きい小さいは別ですが――そういう印象を受けるのです。もっと具体的に、農民が移住をしてそれが何か仕事をやるという場合の積極的な援助というようなことがほんとうにどの程度行なわれたのか、その具体的事例を承りたい。
#50
○政府委員(高木廣一君) 今言い抜かしましたが、ブラジルを初め各地におきまして、農業移住者に対する営農融資でございます。現地で必要な営農資金を融資する。これは相当活発にやっております。したがって、移住会社は現在三十三億の資本金でございますが、そのうち十四億くらいが営農関係の融資をやっております。それから、やはり十四億くらいが土地造成、いわゆる移住地事業に金を使っております。そうして残りが商工――移住地の経済基盤強化のために、これも在留邦人への融資でございますが、邦人またはその団体ということであります――に充てているというのが現在の実情です。
#51
○羽生三七君 先ほど、私、経理のことなんかあまり興味を持っておらぬということを申し上げましたが、そういう観点とは別に、移住会社がどういう資産状態で、結果的にはどういう経理状況になっているというようなことは衆議院なんかで報告があったのですか。なければ、ここで概要だけひとつ承らしていただきたいと思う。
#52
○政府委員(高木廣一君) ごく簡単に申し上げます。さっき申しましたように、現在の会社の出資金が三十三億でございます。それから、米銀の借款を今日までで一千五十万ドルいたしまして、うち、七百万ドル返済いたしまして、現在三百五十万ドルばかり残っているように記憶しております。そうして、その活動は、大体さっき申しましたようなことでございまして、結局、一応欠損というものが出ております。これが最初から今日まで累計いたしますと、約八億円でございます。これは、最初移住会社ができましたときの考え方は、むしろ経済基盤強化のための移住融資ということが重点であったと私思います。そうして、アメリカから一千万ドルなり、あるいは最初の話では、三千万ドルぐらい金を借りる、これはアメリカにしては四%半から五%ぐらいの金利で三年償還、これを繰り返していければ、三年といっても、もっと長い金ができるだろう。そして南米の金融は、金利が非常に高いのでございますから、それで経費も出てくるであろうという考え方でございました。そしてまた移住地の造成につきましても、一応その経費は直接の経費以外の一般管理費もそれに入れるということが最初の構想であったというように伺っております。その後、これは衆議院の農林委員会でございますか、私もはっきり覚えませんが、そういうところから移住会社の融資並びに移住地の分譲についてはむしろコスト主義でやるべきであるというような意見、金利をもっと低くすべきであるというような意見が言われて、会社は、そういう意味におきまして、一般管理費等を回収しない方針に実際上移っておるのでございます。
 それから、南米につきまして、特にブラジルが中心でございますが、御承知の為替の下落が相当激しゅうございまして、為替差損というものが相当大きく響いております。したがってそういうものが積み重なりまして、今日、最初から累積いたしますと約八億円くらいの一応の赤字、これはしかし、まだ土地を相当持っておりますから、これをどういうふうに評価するかということで変わってきましょうが、会社の経理としては一応そんな格好でございます。
#53
○羽生三七君 私、はっきりした記憶はないのですが、審議の際に、私の意見としてこういうことを言ったと思います。それは、本来国が積極的にやらなければならぬ、援助しなければならぬというような農業――まあ農業に限らず、移民の場合、国が積極的に援助していく場合には、何も株式会社というような性格のものを作る必要はないのじゃないか、むしろ国自体が何らかの適当な予算措置を講じて援助の方法はあると思う。あえて株式会社というような形をとるのもどうかと思う。特に利益を目的にしてやるわけではないのですから、そうなると、もし赤字が出るような場合には、一体どうするか、そういう問題もあるということを私は指摘して、たしか質問したと思っております。ですから、移住の仕事でありますから、もうける必要はないし、それどころか移住者に対して積極的な援助をしてやらなければならぬが、しかし、今御指摘のような赤字が出てくるということは、単に経理の――経理といいますか、運営面で非常な欠陥や失敗があったということもあるけれども、移住会社そのものの出発点に非常に大きな問題点があって、私が指摘したとおりになってしまった。こういうことを今大いに感ずるわけですが、その点はいかがですか。
#54
○政府委員(高木廣一君) その点は、この移住会社ができましたころの情勢とも相当現在変わっておるのでございます。あの時分の考えは、一番ブラジルに集中されたと考えます。ブラジルにおきましては、戦後御承知の日本人の争いがございまして、勝った負けたの争いがございまして、ブラジルではまだ日本人を入れるべきでないというような意見も強くて、あそこの新しい憲法制定の場合に、四十九対四十九で日本人禁止の一項目を憲法に入れるべきであるというような意見で、やっと議長が、一国の憲法にそういうことを入れるのは好ましくないということで、辛うじて一票の差で、そういう日本人排斥の憲法の条項が抜かれたような状態でありますし、日本に対して、侵略的な国というような心配がまだございまして、公社のような形のものにすれば非常に誤解を招くだろうということが中心的な考え方であったろうと思います。その後、戦後の日本の実情がだんだんブラジルのほうにもわかって参りましたし、それから、世界の移住の推進自身が、民間よりもむしろ各国政府が先頭に立って協力してやるべきであるという考えが強くなりまして、御承知のとおりに、ブラジル、アルゼンチン等と移住協定ができて、積極的に政府が干渉する、関与していくということが認められるようになりまして、今日ではもう事業団のような性格のほうが一そう相手のほうに理解と共鳴を得やすいというふうに変わってきたのでございます。最初からそうしたほうがよかったのじゃないかという御意見に対して、私自身としては、そういうような海外における変化も大きなファクターであったのじゃないかと思います。
#55
○羽生三七君 そういう海外における情勢の変化もあったとは思いますが、私はあの際、先ほど申し上げたような点を指摘して注意を喚起したわけですが、当時の移住局長は、それは確信を持ってそんな御心配は全然ない、絶対ないと非常な確信を持ってわれわれに説明をされた。しかし、私は、それにもかかわらず、この機構上の問題は別として、農林省なり外務省なりがそれぞれの機関を通じてむしろ移住者に対する積極的な援助をやるべき方法は残されておる、こんな利益を取るような株式会社ならこれはまた非常に奇怪千万だし、取らないならば当然赤字が出るということは事前にもうわかっておる、それなのになぜあえてこれをやらなければならぬかというので非常に疑念を持ってお尋ねしたのだけれども、当時の局長さんが、絶対的の確信を持って説明されるので、それにまっこうからこれを反対してつぶすようなこともいかがかと思って、あれは通過したわけでございます。しかし、結果的には、先ほど来指摘するような問題が起こったわけですね。ですから、今度の場合においても、これは性格がだいぶ変わっておる、同じ失敗を繰り返さないということが非常に重要な私は条件になると思うのです。その点は確信がありますか。
#56
○政府委員(高木廣一君) 大体、移住先の諸国とも、事業団の構想はもうすでに話しておるのでございます。私は十分確信がございますと言い切れると思います。特に、従来の移住会社は、今おっしゃったように、もうけることはできないし、それから、もうけるだけじゃなくて、管理費とかその他の経費すら移住者に貸すことができないわけでございますから、今度の事業団になりまして人件費は全部事業補助で、結局融資をする場合、その元だけを返してもらえばいい、人件費とかなんとか貸さない。また移住地の経営につきましては、むしろ国の援助の部面が相当入っていくという点で、従来の移住会社の移住地経営よりも、ずっと現実の移住政策にマッチしたやり方ができるというふうに思います。
#57
○羽生三七君 これは大臣にお尋ねするのですが、本質的にこの事業団は、かりに何か赤字が出た場合には国が補てんをするという形のものなのか、一種の独立採算制みたいな事業団なのか、その点は将来一体どういうことになるのか。
#58
○国務大臣(大平正芳君) 企業形態、経営形態の問題になりますと、実は一般的に申しまして、公有公営というような形態にまつわるいろいろのディメリットというものがあると思うのでございまして、この事業体、事業団についても、絶対に自信を持ってやっていけるかというお尋ねに対しましては、これはよほど考えて細心周到な用意をしてかからないと通弊に堕していくのじゃないかということも、私もあなた御同様に考えるものでございます。したがって、ただ一つの私どもの願いといたしましては、移住という世話行政は、まあ政府が権力の主体としていかめしくやるようなものじゃない。だから、こういう事業団にやっていただくという基本の考え方であるわけで、一つの事業をやる場合の企業形態で、これは別だというのでなくて、むしろ政府がやるべき性質のものじゃないので、こういう一つのにない手というものを考えたほうがいいんじゃないかという考え方が一つあるわけでございます。したがって、これは融資部門は、金を貸し付けて回収しなければならぬという意味で、バランスのとれる経営をやらなければいかぬが、融資部門以外は、まあこれは指導したり世話をしたりすることでございますから、これは一つの消耗体でございますから、政府が予算を擁して、それを適正に費消していくということでございますから、いわばあてがい扶持なんでございまして、それ以上に金を使うこともできなければ、政府が歳出権を付与した範囲内において適正にやる。しかし、融資部門につきましては、これは当然政府も返らざる金をむげにやれと言うわけじゃないので、これはやはり一つのバランスのとれた経理をしていくべきものだと私は思います。
#59
○羽生三七君 もう一点だけ、念のために申し上げておきますが、私は普通の企業、たとえば国鉄のような形を先ほどちょっと想像したわけなんですが、そこで一種の企業会社みたいな形になって、そうして赤字を出さないことに重点を置くような場合、そうすると、これはもう移住者に対して十分な手を伸べることができない。積極的な援助ができない。これは非常にまずいと思う。ですから、その点は、私が独立採算制かどうかと言ったことは、これは念のために申し上げるのですが、赤字を出しちゃいかぬ、そういうことを言っておるわけじゃないのです。非常な努力をして、まじめに経理をし、あらゆる努力をしたにもかかわらず、かりに赤字が出た、こういう場合があり得るわけですね。それで政府が積極的にそれに対策をあとから講じてやらなければならぬわけです。ですから、そこのところは明白にしていただいて、もうけるための事業団ではもちろんない。国策の一つの進め方である、これはわかっております。ただ、その進める上に、今申したもうける形でないから、それじゃ赤字を幾らでも出してもいいかということになれば、これは非常なルーズのものになってしまう。その辺のかね合いが非常なめんどうな、むずかしいことになって、前車の轍を踏んではいかぬと思うので、念のために申し上げたのですが、これはほんとうに念のためですから、これは何か局長の……。
#60
○政府委員(高木廣一君) その点は、先生のおっしゃったようなラインで、われわれもベストを尽していきたいと思うのです。これは、従来の移住会社と海外協会連合会の二つの部面が一緒になるわけでございまして、海外協会の面は、国が移住者のために費用を使う、場合によればトラックとかジープとか、こういうものを買って与えるということで、これは交付金のあれになっております。それから、会社が従来やっておりました中の一般管理費とかその他人件費は、みな交付金の中に入りまして、元の海協の国の補助べースでやっていくわけでありまして、動きます金だけが融資として別会計で、区別された会計で、原則としてこれは会計ベースを設けることにはなっているけれども、会計ベースとしてなるべく減らさない、ようにしてやっていくという制度になっておりまして、移住者の立場も考えながら、できる限り、これが損をせないように、ルーズな経理にならないように注意をするようにいたしたいと思います。
#61
○山本利壽君 ちょっと簡単に。今のことに触れてでありますけれども、この移住関係の費用というものは、何億、何十億というふうに、いわば相当の金額のようだけれども、広い中南米、あるいは北米を加えると、まことに焼石に水のようになると思うのです。資金は豊富ではない。それを、今までわれわれが見ておると、どこへもこれをばらまこうとすることが一つの欠点ではないか。国内においても各府県に海外協会というようなものを作ったりしますと、そこの人件費やその他で相当金は要ると思うのです、それは国家が出そうと地方が出そうと。それでどこかの大学を出て職のない適当なのが、そこらにもぐり込んで世話しておる。それは国内での失業者の救済であって、たいして私は移住関係に功績がないと思うのです。非常にたくさん私はそういうようなのを全国の各府県に置く必要はないと思うのです。だから、移住者を非常にたくさん出す県に私は重点的でいいと思うのです。その他の、年間にごく数名とかなんとかいうような県は、それは外務省で直接問い合わせたり、願書を出したり、あれこれすることによって処置してほんとうにかためてたくさん出すところか、あるいは、今までは出していなくても、国内で非常に財政上図っておる貧弱の県で、あの県こそ移住者をたくさん出して救済すべきだというようなところを、重点的に私はそこへ機関を集中すべきだ。だから、今度は向こうの、行っておる国に対しても、ブラジルならブラジル、アルゼンチンとかペルーとかいったようなところで必要なところへ、今の事業的な資金も重点的にやるようにせられたら私はもっと効果があると思う。それを、各国の少しでも移民のおるところには海外協会の連合会から代表者が行って世話をしようとし、そこへまたこの移住振興会社のほうからも乗り込んで行く。そうして勢力争いをする。しかも、人件費その他において非常に私は費えがあるように思うのです。行っておれば、必ず何かしなければならぬと努力するのは当然なことであって、大局的に言えば、たいしてそこでしなくてもいいようなことも、私はせられておるのではないかと思うのです。でありますから、そういうことは、今後はこの事業団ができましたら、重点的に私はもっと考える余地があると思う。そして今度はそのところによっては、今までおる日系人の中から相当な人に委嘱して事がはかどる問題が、私は相当あると思う。そのためには、今までの日系移住者に対する処置というものを、私は外務省でもっと考えてもらいたい。国内ならば勲章なんかでも死ななければもらえないけれども、外国人にはやるわけでありますから、それだから、海外に行っておる日本の移民の中の非常にすぐれた人には、私はどんどんあんなものをやってもいいと思う。そうすると、前からの第一世あたりはほんとうに喜ぶ。勲章のりっぱなのをやって、日本からこんななにをもらったといえば、ほんとうに私は感激すると思うのです。その国ではいろいろな会合に勲章をつけても出られるのだから。だから私は、そういう表彰あるいは勲章だけでなしに、表彰でもいいけれども、ほかのそういうことで大いに激励してもらいたい。
 それからもう一つは、次から次へ、第一世はともかく、第二世、第三世と続いて、その国でも相当な人物を作る必要がある。今、日本では東南アジア方面からたくさんの留学生を招いております。それに相当の金を出しておるのでありますから、これからは、中南米において、日本の移住者の行っておるところから、その第二世、三世の中で優秀な人を、私は留学生として日本に招いて教育すべきだと思うのです。そういうようなことについても、すでにやっておられるか。おられるなら、弔う言うことはありません。もしそういう点について手抜かりがあるならば、こういう方面にも努力をしていただきたいと思って、大臣のこういうことに対するところのお考えも伺って御努力をいただきたい、かように思います。
#62
○国務大臣(大平正芳君) 一々ごもっともな御献策でございまして、そういう方向で私どもも考えなければならぬと思っております。経費の効率的な使用、そのためには重点的に配分して経費を生かしていくというふうに考えろということでございますが、もとより基本方針はそうならなければならぬと思いますが、根本的に申しまして、移住者は向こうのよき市民になるわけでございまして、向こうの産業政策、向こうの法令のもとでよき市民として生活していき、そこに融合していかなければならぬわけでございまして、日本政府がやることはあくまでも補助的、補完的なものであるという限界があると思うのでございます。したがって、われわれの移住政策でもって一から十までみんな完璧にいくのだということでなくて、先方の政府の施策等にミートしてやっていかなければなりませんので、先方の事情によりましては、日本政府はもっと考えなければいかぬところも出てくるだろうし、あるいは、われわれがこういうふうにやらなければいかぬということを先方がやってくれるところもありましょうし、そういった点で、われわれの移住政策だけから、どこが重点だと言って一人ぎめするわけにもいかぬと思うのであります。したがって、今、山本先生が言われた現地の日系移住者のすぐれた御経験、御見識というものを、そういう完璧な日本政府の役割について動員していくということは、これは十分考えていかなければなりませんし、経費の上から見ましても、なれない日本人、内地から派遣された者よりは、うんとその人の御献策のほうが役に立つことは当然常識的に考えられるわけでありますので、それは衆議院の論議におきましても、現地の経験者をお願いするという御注意もございました。十分心得て参りたいと思います。
 それから、地方の問題で、おっしゃるとおり、もう少し府県単位に、官庁的な画一主義に陥らずに、中央機構というものはもう少ししぼってやるべきじゃないかという仰せごもっともでございまして、そういうことができれば、私も非常に望ましいと思うのでございますが、今私が懸念いたしますのは、すでにできているものを簡単に統合できるかどうかと申しますと、にわかにはこれはお約束できないわけでございまして、ただできるだけ冗費にわたらぬように、これは海外への発展であって、内地での消耗がふえるような工合に持っていくべきじゃないではないかというお示しでございまして、それはそのとおりです。そうあるべきだと私も思いまするし、そういう方向でいろいろ工夫をさしていただきたいと思うのでございます。ただいま、地方機構はこのようにしたい、またそのようにできるのだという自信のあるところまでまだ参っておりませんが、お示しのような方向に逐次持っていかなければならぬものだというように私は考えます。
#63
○佐多忠隆君 この海外移住事業団は「海外移住機構の抜本的刷新を行なう」ために作るのだ、その結果として、「行政機関は基本方針を定めてこれを指示するにとどめ」るということになった、こういうふうに考えられておりますが、そうすると、この事業団ができた結果として、行政機構、特に外務省とか、農林省とかいうようなところの機構は、相当これに関連しての改革とか簡素化とかいうことが行なわれるのかどうか、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
#64
○国務大臣(大平正芳君) 本来私の考え方の根本は、前々から申し上げておりますように、移住者の世話を政府の役人がやるという、やらなければならぬ――必ずしもそうじゃないと思うのでございまして、実際の世話をやることでございますから、役所がこれは本来的に根っこからタッチしていくような性質じゃなかろう、したがって、事業団にやらすのだということでございまして、したがって、この事業団に自主的に、しかも、責任を持ってやってもらうというようにいたしたいものと思っております。したがって、外務省は今移住局というものをもって当たっているわけでございますが、ある段階で、これはもう移住政策を推進していくためには、移住庁にして、もっと陣容を充実してやるべきだという議論も一部に出されたこともございます。私は絶対反対でございまして、そういうことをすべきじゃないので、役所はできるだけ手を抜くのだという行き方でいくべきだ。したがって、私は移住局というものは、この事業団の育成を待ってこれはやめるべきだと思っております。それで、もっとも移住局には旅券行政というのがくっついておりますので、移住政策だけから云々できないわけでございますけれども、少なくとも移住局というような大きなかまえは要らないのじゃないか。この事業団にいい人を配して、そうしてきびきび運営ができれば、それの予算とか人事とかいう大綱の監督をするし、それから根本方針を各省と協議してきめたものをお示しして、あとはもう責任を持ってやってもらうというふうにしていきたいと思っているわけでございまして、そういう点に関連しての外務省の行政機構ということについては、検討を命じております。農林省のことについては、所管の外にございますので、私が申し上げるべき性質のものではないと思います。
#65
○佐多忠隆君 こういう公団の人事の問題で、いつも天下りとか横すべりとかいうような問題が問題になるのですが、また、この移住事業団は普通の公団と違って、今言ったように、非常に何というか、むずかしい問題であるし、そういう意味では、むしろ役所の諸君のほうが公のサービスとしてやるということの熱意なり何なりについては、相当やはり高く評価してもいいというふうな感じもするのです。そこのところは非常にデリケートな問題になると思うのですが、それらの人事の問題その他については、どういうふうにお考えになっておりますか。
#66
○国務大臣(大平正芳君) まあ役所がやるべきか、事業団がやるべきかという問題は、いろいろ考え方があると思うのでございますけれども、私は、本来権力行政でないものまで役人が出張っていってやるなんということは、あまり品のいい話ではないと思いますし、能率もまた十分ではないと思うのでございまして、サービスでございますから、一番移住行政の理想は、的確なインフォーメーションを与えて、それから民間でできない仕事、まあ事前の調査とか計画の設定とかいうような点については、もう役所の全機能をあげてこれはやってあげなければならぬことでございますけれども、個々の送出につきまして、一々役所がやらなくても私はいいのじゃないかと思っております。しからば、その事業団に全責任を持たして自主的にやらすという以上は、事業団の人事の問題についてひとつ思い切ってやらなけりゃならぬわけでございます。まあ清新な適材を配置せにやならぬわけでございます。そこで実はその事業団法を作案いたしました段階でいろいろ考えたのでございますが、これはいろいろ御指摘がございましたように、移住行政の刷新のこれは一こまでございまして、あとからどんどん援護法も出さなければなりませんし、政府としてやらなければならぬことがございますし、国会におきましても、衆参両院を通じまして、移住行政については非常に御経験を持たれた方もございますし、それからいろいろ御見識に恵まれた方もございますので、私は国会の論議をずっと聞いた上で人事構想を固めて参るべきだと存じまして、ただいままで具体的な人選等には入っておりません。ただ、心がまえといたしましては、これに責任を持たす以上は、そして今まで移住行政、移住担当機構の能率、モラル等についていろいろな批判がありました以上は、そういった点をぬぐい去るだけの陣容にせにゃならぬと思いまして、情実因縁ということでなくて、ひとつ澄んだ心境で考えていきたい。それで移住局長以下の諸君にも、そのような気持で、まあ役員人事ばかりでなく、職員人事についても配慮しようじゃないかということでございまして、ただいまどういう方をどのようなふうに配置していくかというまだ段階までは行っていないのでございまして、そういう意味でこれに責任を持っていただける、自主的にやっていただけるに足る人、しかも、今までの積弊から地味な人でなけりゃなりませんので、むしろ今まで因縁がなかった人のほうがいいのじゃないかと思っておるわけでございます。御承認を得た段階で、ひとつとくと実効ある措置をとってみたいと思っています。
#67
○岡田宗司君 今のに関連しまして。何かこれで見ると、七月一日から業務を始めるというので、まず大臣のほうから、人事構想も下部機構の構想もまだ何もできていない、こういうことでございますが、七月一日に間に合いますか。
#68
○国務大臣(大平正芳君) したがいまして、御審議を御促進いただきまして、(笑声)一日も早く御承認いただきたいと思います。期間を長くかければいいものができるというわけじゃ決してございませんので、要は、やはり勇気の問題であると思います。
#69
○岡田宗司君 まあそこいら辺は、まあ大平さんの腕のあるところなんでしょうけれどもね、とにかく今度の人事問題というのは、私非常に今後の事業に関係のある問題でありまして、また、過去の失敗を招くべきでないと思うので、十分に注意をしていただきたいと思います。で、ことさら人の名前などあげる必要ございませんけれども、私どもも人事にはたいへん関心を持っております。と申しますのは、今までのいろいろな両方の団体を見ていますと、どうも私どもふに落ちないような人がずいぶんいまして、そういう者もこの合併の際そのまま引き継がれたのじゃ、たいへんこれは困った事態も起ころうかと思います。それらの点について、一体今までの人事をどの程度引き継ぐのか、そうしてまた、ほんとうに一新するのか、特に幹部はみんなかえてしまうのか、そこいらのところを方針としてちょっと明らかにしていただきたい。
#70
○国務大臣(大平正芳君) この清新、有為な人材を充てて、責任を持ってもらうという原則でいきたいわけでございますが、しかし、それかといって、現実の問題として、それじゃ皆さんがごらんになって、この人ならばという方が得られるかどうか、それは事実事業団の理事長としておいでいただく、そういう方があったとしても、現実の問題として、その人に御受諾いただけるかどうかという問題があるわけでございます。早い話が、そうたんと報酬を差し上げるわけにもいかない。一つの企画にのっとっておりますし、それから全責任を持ってやっていただく上におきましては、しょっちゅう国会にもおいでをいただくわけでございます。こういうようなことを民間の非常にすぐれた方はなかなか……、そこでそれじゃ挺身してやってやろうというようなお気持の人がおれば非常に楽なんですけれども、なかなか現実の人選にあたりましても苦労でありますので、非常に完璧な方をかりに望みましても、なかなか現実には得られない場合があるということは、岡田さんも御了承をいただきたいと思うわけでございます。しかしながら、その理事長の全責任において自主的にやらす以上は、やはり役員の人事の構成、人選等は、十分その理事長と相談してやらぬと、このようにおぜん立てがそろっているからお前さんしてくれというようなことでは、そんな不親切なやり方じゃいかぬと思うのであります。そういう役員の問題等につきましては、まず第一に理事長をきめて、とくとその御意見も聞いていかなければならぬ手順が要るのじゃないかと私は思います。したがって、今私のほうで青写真を持ってどうというものでも、またそうすべきじゃないと思います。
#71
○岡田宗司君 役員等の問題につきましては、いずれまたあらためてお伺いしたい問題がたくさんあるので、これはあとでお伺いすることにいたします。これらの選任にはひとつ十分な御留意を願いたいと、こう思います。つきましては、これはひとつ外務省にお願いするのですが、今までの両方の団体の人間の数とか、それから役員のいろいろ構成と、それから特に上の理事クラス、役員ですね、株式会社のほうでいえば役員の名前をひとつみんな資料として出していただきたい。特に海外におる人たちのも含めて出していただきたいと思います。
#72
○委員長(岡崎真一君) ちょうど十二時を過ぎましたので、これで休憩いたします。
   午後零時十八分休憩
   ――――・――――
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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