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1947/08/20 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第12号
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1947/08/20 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第12号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第12号
昭和二十二年八月二十日(水曜日)
    午前十時二十八分開議
 出席委員
   委員長 北村徳太郎君
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
 理事 梅林 時雄君 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 塚田十一郎君 理事 葉梨新五郎君
      川合 彰武君    川島 金次君
      河井 榮藏君    佐藤觀次郎君
      田中織之進君    西村 榮一君
      松田 正一君    島村 一郎君
      周東 英雄君    鈴木 正文君
      苫米地英俊君    青木 孝義君
      井出一太郎君    内藤 友明君
      石原  登君    相馬 助治君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
 出席政府委員
        法制局次長   井手 成三君
        内閣事務官   宮内  乾君
        大藏政務次官  小坂善太郎君
        大藏事務官   前尾繁三郎君
        大藏事務官   福田 赳夫君
 委員外の出席者
        會計檢査院
        總 務 課 長 小峯 保榮君
八月十一日
 家賃の適正化に關する請願(坂東幸太郎君紹
 介)(第一二〇號)
 非戰災家屋税を財産税不課税者に課税の請願(
 坂東幸太郎君紹介)(第一二一號)
八月十四日
 會計檢査院法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第三八號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 生命保險中央會及び損害保險中央會の保險業務
 に關する權利義務の承繼等に關する法律案(内
 閣提出)(第七號)
 金融機關再建整備法の一部を改正する法律案(
 内閣提出)(第一三號)
 勞働者災害補償保險特別會計法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)(第一八號)
 大藏省預金部等の債權の條件變更等に關する法
 律案(内閣提出)(第二一號)
 會計檢査院法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第三八號)
 財政問題に關する件
    ―――――――――――――
#2
○北村委員長 會議を開きます。
 本月六日本委員會に付託せられました大藏省預金部等の債權の條件變更等に關する法律案を議題といたします。まず政府の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#3
○小坂政府委員 大藏省預金部等の債權の條件變更等に關する法律案につき、提案の理由を説明致します。
 預金部資金竝びに簡易生命保險及郵便年金特別會計法の積立金の運用資産たる債權につきまして債務者のやむを得ない事情によりまして、元利金の囘收が著しく困難な場合等におきまして、必要に應じて所管大臣が、融通條件の緩和をなしまする措置を講じ得ることといたしまするために、本案を提出いたしました次第でありますが、以下その内容の大略を御説明申し上げます。
 まず第一は、預金部資金竝びに簡易生命保險及郵便年金特別會計法の積立金の運用によりまする資金の融通を受けた者が、災害その他の特殊の事由によりまして、元利金の支拂が著しく困難となりまして、事情やむを得ないものにつきましては、公共の利益のため必要があると認める場合に限りまして、大藏大臣または遞信大臣が預金部資金運用委員會または簡易生命保險及郵便年金事業委員會等に諮りまして、債權の中間据置または償還期限の延長等を行う等の方法によりまして、融通條件の變更または延滯元利金の支拂方法の變更をなし得ることといたしまして、これら資金の適切な運用を期せんとするものであります。
 第二は、戰時補償の打切等に伴いまして、大藏省預全部竝びに簡易生命保險及郵便年金特別會計法の積立金に生ずる損失は、大藏省預金部等損失特別處理法によりまして、適正に處理せられるところでありますが、この損失の處理にあたりまして、いわゆる經由貸付の方法による資金の融通、言いかえますれば、所管大臣の定めた融通條件によりまして、地方公共團體又は金融機關に對して、これらの者がさらに他人に貸付けるために、資金の融通を行つたものについて損失を生じた場合におきましては、この損失を預金部資金等の直接融通先たる地方公共團體または金融機關に負擔させることをいたしませんで、大藏省預金部等の負擔に歸屬せしめることが、かかる經由貸付の方法による資金融通の性質に鑑みまして、適當と考えられるのであります。從いましてこの直接融通先から、さらに貸付を受けた者、すなわち最終貸付先が、戰時補償の打切等の結果特別經理會社に該當する場合、その他やむを得ない事情等に起因いたしまして、直接融通先が、その最終貸付先よりその債權の辯濟を受けることができない場合におきましては、當該直接融通先の大藏省預金部等に對する債務を免除する必要を生ずるのでありまして、これがため必要な法的措置を講じようとするものであります。
 以上大藏省預金部等の債權の條件變更等に關する法律案につきまして御説明申し上げた次第でありまするが、何とぞ御審議の上、速やかに御贊成あらんことを切望いたします。
    ―――――――――――――
#4
○北村委員長 次に本月四日當委員會に付託されました會計檢査院法の一部を改正する法律案を議題といたします。まず政府の説明を求めます。法制局次長。
    ―――――――――――――
#5
○井手政府委員 今囘提案になりまして御審議をいただいておりまする會計檢査院法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明さしていただきたいと思います。
 會計檢査院法によりますると、會計檢査官の俸給は年五萬圓の定額と相なつておるのでありまするが、最近の物價事情その他諸般の實情に鑑みてみますると、檢査官の地位、職責等からみまして、低額にすぎるようになつてまいりましたので、これを増額する方針をとりたいと考えております。ところで政府といたしましては、その額は大體國務大臣竝の俸給額とするということが、その地位、職責等からみまして適當であろうと存じております。現在のところ國務大臣が受けておりまする俸給額は、各大臣につきまして特に定額制はとつておりませんで、一々辭令を出しまして官吏俸給令の別表何號というような俸給を給するという制度をとつておりまするが、今日政府の考えておりまするところでは、國務大臣には別途増額を考慮いたしまして、定額制をとる方針のもとに着々研究を進行しているのであります。從つてこの法が施行されまするころ――この法は政令をもつて施行することになつておりまするが、國務大臣の俸給定額制ということを前提といたしまして、これと同額、これに準ずる額を檢査官の俸給額ときめたいというふうに考えて、この法案を提出した次第でございます。
 まことに簡單でございまするが、この趣旨を御説明いたした次第でございます。
    ―――――――――――――
#6
○北村委員長 さきに質疑を續繼しつつありました生命保險中央會及び損害保險中央會の保險業務に關する權利義務の承繼等に關する法律案、金融機關再建整備法の一部を改正する法律案、勞働者災害補償保險特別會計法の一部を改正する法律案、これらにつきまして質疑を繼續いたしたいと思います。質疑を繼續いたします。内藤君。
#7
○内藤委員 保險のことにつきまして前囘私がお尋ねいたしましたことに對して政府委員から御答辯をいただいたのでありまするが、それに關連いたしましてなお一、二お尋ねいたしたいと思うのであります。
 前囘私がお尋ねいたしましたのは、金融機關再建整備法に基く評價基準も発表せられておる現在、この保險會社の中央會から引繼ぐ新勘定、舊勘定の資産竝びに負債は、それを適用するのかどうかということを質問いたしましたのに、政府委員から暫定評價基準によつてやるというお答えを得たのであります。そこでそれに引續きましてお尋ねしたいと思いますることは、評價基準發表の時期などの關係上、暫定評價基準によつて評價した資産負債を引繼いだ場合には、それらがこの二つの保險會社の新勘定に屬することとなる關係上、確定評價基準による再評價はされないということになると思うのであります。これは再建整備法の精神に反するのではないかということを考えるのでありまするが、まずこれにつきましてお答えを得たいと思うのであります。
#8
○福田政府委員 ただいまお尋ねの點はまことにごもつともな點でありまして、一旦中央會の事業が他に承繼されます場合において、これが再建整備法の規定の適用外におかれるというようなことになりますると、再建整備の精神に反することに相なることになるのであります。從いまして、たとえ他の會社に業務が移讓になつたという際においても、この再建整備の線は貫きたい。かような趣旨をこの法律に具現しているのであります。すなわち法律の第一條の二項に、協榮生命保險株式會社につきまして、その移讓を受けた資産、負債につきまして、これを再建整備法の精神で經理をするということを特にきめておる次第であります。
 なお損害保險中央會につきましては事情がやや異なりまして、これは政府まるがかりの事業が移轉せられるという關係上、これは結局いかような基準によつて處置するかということは、まつたく政府の勘定において行われるということに相なるのであります。これは必ずしも生命保險中央會の業務を引繼ぐべきところの、協榮生命のごとき經理措置を必要としない。かように考えておるのであります。
#9
○内藤委員 もう一つ保險のことについてお尋ねして終りたいと思うのであります。兩中央會から引繼ぎました舊勘定の最終的處理の方法はどうなるのか、聽かしていただきたいと思うのであります。
#10
○福田政府委員 兩中央會の事業を讓り受けるところの兩會社におきましては、再建整備法の適用がもちろんあるのでありまして、この兩會社の新勘定において、中央會から事業を繼承するということに相なるのであります。從いましてこの兩會社の承繼をうけたところの資産に關する最終的處理というものは、再建整備法の規定によりまして、最終的な處理を行うことと相なる、かようなことになると思います。
#11
○内藤委員 次は金融機關再建整備法についてお尋ねしたいのですが、よろしうございますか。
#12
○北村委員長 生命保險中央會及び損害保險中央會六口の部分だけ片づけたいと思いますから、これについて御質疑を繼續してください。生命保險中央會の法律案につきまして御質疑がないようでございますならば、次囘に討論にはいりたいと思います。
#13
○石原(登)委員 私が聞いたところによると、協榮生命保險と東亜火災海上保險會社というのは、たしか保險業者がそれぞれ按分して出資した會社である、言いかえれば、すべての業者が集まつてつくつた會社だということを聞いておりますが、それに間違いありませんか。
#14
○福田政府委員 それに間違いありません。
#15
○石原(登)委員 わかりました。
#16
○北村委員長 次に金融機關再建整備法の一部を改正する法律案の質疑を繼續いたします。
#17
○内藤委員 一、二お尋ねしたいと思います。まずこの改正案の第二十六の二の第一項についてであります。現行法によりますと、資本の金額をもつてその損失を負擔した金融機關は、解散するか、事業の全部を讓渡するか、どれかの途を選ばなければならないことになるのであります。これは再建整備全般に通ずる大きな建前の一つであると考えるのでありますが、今囘のこの改正は、この大きな建前の一つであるということに對する、非常な變革を意味するように思われるのであります。すなわち改正案の運用いかんによりましては、今申しましたような建前に對する根本的な變更も來し得ると考えられるのでありますが、この改正の趣旨はどこにあるのか、まずこれを伺いたいのであります。
 つきまして、これに關連いたしまして次の二つのことの御説明を得たいと思うのであります。その一つは、この改正は二十六條の建前に對する根本的修正であるのか、それとも例外的措置を認むる途を開いたものであるか、そのいずれにいたしましても、改正案を出されました動機竝びに理由をまず伺いたいのであります。
 第二は、改正後の運用方針のことであります。たとえて申しますと、今囘の改正の前提でありまする金融機關經理應急措置法の第二十二條第二項の規定による資本増加の認可は、どんな場合、どんな基準をもつて行われる方針であるか、これをお尋ねしたいと思うのであります。
#18
○福田政府委員 この二十六條の二を設けまして、再建整備法第二十六條に對して修正を加えるという點については、間違はないのであります。その趣旨といたしますところは、再建整備法をいよいよ實施する段階になつてまいつてきたのでありますが、そういたしますと、各金融機關の資産、負債の状況が、逐次具體的に明瞭になりつつあるのであります。さようなことに相なつてまいりますと、これは金融機關に對して國民の間こ不要の危惧を抱くということがあり得るのでありまして、たとえば農業會とか市街地信用組合とかいうものにおいては、相當の部分の資本金がなくなる。しかしながら資本金がなくなつても、再建整備法の建前でまいりますれば、それは第二組合をつくる。第二會社をつくる、あるいは第二銀行をつくるというような途が開かれておりまして、しかもその預金の一定額、すなわち零細なる額というものは、その新會社、新銀行、新組合において保證されているという關係になるのでありまして、一向懸念はないのでありますが、その懸念がないという純理に基きまして、再建整備法の原案であるところの二十六條というものができているわけであります。ところがただいま申し上げました通り、これをいよいよ實施する段階になつてまいまりすと、個々の金融機關の經理内容というものがはつきりしてくる。それに伴いましてあの銀行は潰れるのじやないか、あるいは組合は潰れるのじやないか、會社はどうも怪しいのじやないかというような心配が出てくるのであります。それからもう一つは、第二銀行をつくることは理論的には成立つのでありますが、一つ非常に困難な問題は、人事の異動がある。あるいは會社内の勢力の移動等が、會社が新しくなる機會に行われるようなこともあり得るのでありまして、そういたしますと、非常に金融機關の内部自體に不安動搖が起つてくるのであります。現在の財政状況におきまして金融機關が、インフレ阻止の見地から、きわめて重要なる段階にありますことは申すまでもないのであります。金融機關はその機能をあげて貯蓄の増強に力を用いなければならぬという際に、資本がなくなるというようなことから、不當不要な不安をまき起しまして金融機關の信用を損う、また一面金融機關自體の職員の熱意を殺ぎまして、預金吸收の效力が上らぬというようなことになりましては、たいへんなことでありますので、事前に増資をいたしまして、第二銀行をしつくらなくともよろしいという措置を講じたわけであります。從つた當初考えました二十六條の規定に對してましては、重大なる變更を加えたという規定と相なるのであります。
 それから今後の運用方針としては、必ずしも申請を行つたところの金融機關に對しまして、すべて増資を許可するという方針はとらないのであります。今後この金融機關は存續すべきものなりや否やという判斷をいたしまして、その判斷に基いて、これは存續すべきものであるというものにつきましては、この改正法案によるところの増資を認めますが、しからざるものについては認めない。そういうものについてはもちろん第二金融機關の設立も認めないということになることは當然でありますが、さようなことを考えておるわけであります。なお別個の見地から、第二十六條の二の適用によらず、二十六條の方を適用いたしますと、第二銀行をつくつた方がよかろうというような指示をいたす金融機關もあり得るかと考えておるわけであります。
#19
○内藤委員 第二十六條の二の第二項についてもう少しお尋ねいたします。第五十七條第一項に規定する金融機關、地方農業會、市街地信用組合その他のものでありますが、この農業會、漁業會の當然會員と申しますか、この當然會員は、たとえ出資の全額をもつて損失を負擔いたしたとしても、その會員たる地位を失わないと考えられるのであります。この規定はいわゆる出資する方の任意會員の方のことだけを規定するものでありますか、それを一應お聽きしたいと思います。農業會、漁業會には會員には二通りの性格があります。任意の方と、それから強制的なものと兩方ありますので、そのいずれの方を任意會員に關するものと解釋していいのかどうか、お伺いいたしたいと思います。
#20
○福田政府委員 二十六條の二の第三項は、これは出資金がなくなつたという場合でありますから、この出資金をしておつたすべての會員に適用されるという前提をとつているのであります。すなわちただいま内藤さんのおつしやられる當然會員あるいは任意會員という區別はございませんで、出資金を失つたのであるから、それはすべての會員が一應會員たる資格を失うという前提をとりまして、さようなことでは困るというにとでこの規定を設けたというわけであります。
#21
○内藤委員 それでは再びお尋ねしたいと思うのでありますが、その他の會員の受ける利益というのがありますが、この内容はどういうことになるのでありますか。
#22
○福田政府委員 その他當該金融機關の會員又は組合員の受ける利益を受けることができるというふうに規定いたしたのでありますが、主たる利益というものは、もちろん資金の貸付、施設の利用というようなことであるのでありまして、私どもといたしましても、ただいまその他どういう利益かあるか、ちよれと見當がつかないのであります。しかしながら今後の構成の變更その他の事情によりまして、組合出費者たる利益ということが出てくる、その場合に備えまして、その他ということを加えた、かように御了承願いたいのであります。
#23
○内藤委員 もう一つ、今のに關連しているのでありますが、總會における議決權や、役員の選擧權というものも含まれているのでありますかどうか、お尋ねいたします。
#24
○福田政府委員 ただいま御質問の點は未檢討の點でありまして、なお法律的議論を固めた上で御囘答申し上げます。
#25
○北村委員長 ほかに御質疑はありませんか。――金融機關再建整備法の一部を改正する法律案についても次會に討論に入りたいと思います。さよう御承知を願います。
    ―――――――――――――
#26
○北村委員長 勞働者災害補償保險特別會計法の一部を改正する法律案の質疑を繼續いたします。――御質疑がないようでありますが、これも次會に討論に入りたいと思います。さよう御承知を願います。
    ―――――――――――――
#27
○北村委員長 先ほど政府の説明を聽きました會計檢査院法の一部を改正する法律案、大藏省預金部等の債權の條件變更等に關する法律案を議題に供し、質疑に入ります。
#28
○葉梨委員 私ども會計檢査院法を調べればよろしいのですが、念のために伺つておきたいのは、現在の檢査官の定員あるいは給與令等の大體の概要はどうなつているか、一應説明を聽かしていただきたい。また定額制をとる前提としてこの法案を提出したということであるけれども、定額制は政令において行うということであつて、その政令は目下どういう手續になつておりますか。
#29
○小峯説明員 ただいまの御質問にお答えいたします。會計檢査院の檢査官は定員は三名でございまして、先ほど衆議院竝びに參議院の同意を經たばかりでございます。なおこの三名の方は認證式がございまするので、この土曜日、二十三日に三人の者の認證式がございまして、正式に三名の檢査官ができるということになつております。念のために申し上げておきますが、新會計檢査院が五月三日に法律を改正して施行されておりまするが、五月三日から今日までの間は、五月二日に院長でありました者が院長としてその職におるわけであります。そのほか二名で、やはり三名の檢査官で現在もやつておる仕組になつておりますが、かりに法律の會計檢査院法を御覧願いますとおわかりでございますが、局長の二名が檢査官の職務を執行いたしておりまして、ただいまも三人の檢査官で決議を執行しておるということになつておるのでございます。
 なお定額制を先にとりまして、會計檢査院法第四條の第四項に年額五萬圓ということになつておるわけでございまするが、これはその當時國務大臣の俸給が年俸五萬圓になるというようなことが大體唱えられておつたのであります。かたがた最高裁判所の判事がやはり五萬圓できるというようなことでありましたので、少し先走つたような感じでありましたが、やはり定額制をとつて五萬圓をここに揚げおいた方がよろしい。しかし五萬圓にしておくと、このごろのように物價がどんどん變動していく場合は困るではないかということが、たしか九十二議會の委員會でも質問がございまして、やはりそのときに應じまして改正していくほかはなかろうと思す。かたがた國務大臣などの俸給も大體は法定あるいは政令をもつてきめていく方針であるというような説明でいきましたのですが、その後國務大臣などは定額制になつておりませんけれども、そういういきさつでもつて定額制をとつたわけでございます。
 なお今囘の改正によりまして定額制をよすわけではないのでありますけれども、附則をもちまして政令で定める金額は國務大臣と同じようにするということの建前だけをとりまして、そうして大體國務大臣の俸給がきまりましたときに、そのときを押えまして、政令を出していただくという考えをもつております。
#30
○葉梨委員 そうすると政令が出るまでは現行の五萬圓の定額制でいくよりほかに方法がないという形になると思いますが、認證官で大體國務大臣に準ずる官等でいくということならば、やはりこれは國務大臣の給與額がきまつて、定額制をとることを前提としたというので、國務大臣の方の俸給を先に定額制に直さなければならぬと思うがそういう状態といいますか、その方の進み方はどうなつておりますか。
#31
○小坂政府委員 ただいま御指摘の點は、いろいろただいまの物價等の關係を考慮いたしまして、閣僚その他の御意見も伺つて協議しておる際でございます。いずれはつきり報告を申し上げることができると思います。
#32
○石原(登)委員 ちよつとお尋ねします。私どもは會計檢査官としまして、官等その他から考えて、決して國務大臣の俸給よりも低くするということを言うのではないが、ただ一つ問題があるのは、會計檢査官は官吏であつて、今度の新しい憲法の規定からまいりまして國會議員は國權の最高機關である國會の重大なる構成要素であります。こういうようなことから考えてみますときに、官吏である會計檢査官の俸給が國會議員よりいくらでも多いということは、いわゆる官尊民卑的な國民の考え方からみて、どういうような影響を及ぼすであろうか、これについて法制局當局はどういう見解であるか、それを伺いたいと思います。
#33
○北村委員長 法制局は今みえておりませんから、これは答辯をあとで法制局側から求めることにいたします。
#34
○石原(登)委員 議事進行について……。實は本委員會はたびたび開かれるのでありますが、大臣の出席がきわめてまれでありまして、私どもは大臣に質問する事項もたくさん留保してあります。それで本日も御多忙であるためか、出席されておりませんが、前囘の委員會においても重大な質問に對してまつたく了解できないままで、うやむやのうちに議事を進めておるのであります。この意味において私は、本委員會の審議を進める上に、大臣の出席が少いということは非常に遺憾に考えますので、ぜひ委員長において大臣が出席されるように督促していただきたいと思います。
#35
○北村委員長 石原君、大藏大臣は間もなく出席されるという通知がございました。
#36
○塚田委員 大藏省預金部等の債權條件變更に關する法律案についてお尋ねいたしたいと思うのであります。それより先に實はこの法案を審議いたしますのに、ぜひとも預金部資金の運用の状態がどういうふうになつておるかということの、簡單な表が手もとにいただけたら好都合であると思いますので、それをぜひひとつ次の委員會までにお出し願いたいと思います。
 それからそれとは別箇に大體この法案を適用されて、融通條件の變更もしくは債權の全部または一部の免除ということが行われることになるのですが、それが金額または件數などでどれくらい豫定されているものか、そういうことがおわかりであつたら伺います。
#37
○福田政府委員 この融通條件の變更、または延滯元利金の支拂方法の變更というものは、たとえば災害等がありまして、融通先と地方團體が非常な財政困難に陷つた。それでその財政計畫を地方團體で立て直す際に、預金部借入金も返濟する期限の延長をいたしたいというような問題が隨時起つてくるのでありまして、ただいまいくばくを豫定しているというようなことはまだ考えておらないのであります。それからこの法案自體が、もとは大藏大臣が獨斷でやつておつたのです。但し預金部資金運用委員會には諮問をいたしておつたわけであります。ところが財政法の規定によりまして、政府が債權の免除をするとか、あるいは債權の條件の變更をいたすとか、國庫に不利益を及ぼす行為をなすについては、すべて法律によることを要するということに相なる關係上、改めてこれを議會に提出したという關係に相なるのでございます。
#38
○塚田委員 そういたしますと、今まで大藏大臣が獨斷でやつておつたという、そういう記録は何か手許にないのですか。
#39
○福田政府委員 これは調べますればないことはないと思いますが、たとえばどこそこの縣の償還計畫を、十年のものを二十年に延ばしたとかいう事例が多いのであります。そういう件數でも一つ今度もつてまいりましようか。
#40
○塚田委員 そうお願いいたします。
#41
○葉梨委員 塚田君の質問に關連してただいまの件につい伺つておきたいのでありますが、從來大藏大臣はその權限においてこれを處置したのであるが、今囘からは財政法の規定に基いて、法律によつて大藏大臣の權限を移管してもらうことにしようというのが本法の建前であります。そういたしますと、第一條の規定を讀んで見ますと、その申請があるなしにかかわらず、大藏大臣の認定によつて初めて預金部資金運用委員會の意見を聽くことができ、そしてきめのだという書き方になつておる。一歩前進した形にはなるかもしれませんが、どれとどれをかけるかということは、大藏大臣の任意によつて決定せられることにこの條文ではなるように思われるのですが、その點はどうでしようか。
#42
○福田政府委員 この條文によりますと、預金部資金運用委員會の意見を聽いて大藏大臣が定める。それから申請をしてくる者に對しまして、預金部資金運用委員會に諮るかどうかということは、大藏大臣が裁量をするという形になつておるのであります。しかしながらこれが運用にあたりましては十分氣をつけまして、申請があつたものを拒否するというものにつきましても、預金部資金運用委員會の議にまでかけて、その參考に意見を求めるというようなことをする方があるいは適當かとも考えますが、なお運用の問題につきましては、さような御意見のところも含めまして研究してみたいと思います。
#43
○葉梨委員 ただいまの御答辯によりますと、この條文では、大藏大臣は公共の利益のため必要があると認める場合に限りということで大藏大臣の認定によつて行う。かけるもかけないも、行い得るのだということになつていて、しかも今の御答辯によると、條文はそうなつているが、趣旨は、申請のあつたものは、必要があるもないも、一應皆運用委員會にかけて判定をしたいのだ、こういう運用をしていく考えだ、こういう意味の御答辯であつたように思いますが、それであれば、これは初めからそういうふうに條文を整理されたらどうかと思います。大藏大臣が今まで勝手にやつておつたのが悪いから、今度は法律で決定するのだということであれば、申請があつたものは一應その申請に基いてすべて審議をして、その必要度を勘案するということが當然の方法じやないかと思われますが、この條文それだけの解釋からいくと、從來と何も變りがない。法律にはなつているが、これは大藏大臣の認定いかんによるものであるというように運用されても、異議がないということになつてしまう。でありますから、この條文は整理されたらよいと思いますが、どう整理するかと申しますと、第一條の一行目の終りの「困難となつたときは」の次から整理すればよいのじやないか。すなわち、その申請があるかないかによつて、預金部資金運用委員會の議を經て、大藏大臣は初めてその融通條件の變更または延滯元利金の支拂方法の變更をすることができる、というようにすれば、申請のあつたもの全部を審議するということになるのであります。申請のあつたもののうちどれをやるかということについて、大藏大臣の認定によるということになつてしまうと、非常に勝手な――そんなことはないでしようが、かりに、えこひいきのような運用をしようと思えば、できないこともないということにもなるのであつて、將來こういう禍根を殘さないようにしておく方がよいのじやないかと思います。ただいまの御答辯のような趣旨であれば、今申し上げたように整理されたらよいのじやないかと思いますが、いかがでしようか。
#44
○福田政府委員 ただいまの御質問の御趣旨は、「公共の利益のため必要があると認める場合に限り」という文句をとつたらどうか、そうしてその代りに、しかしながら申請に基きというような文句を入れるということと了解したのでありますが、大藏大臣が國庫の利益に關する重大なる行為をする、すなわち預金部債權の條件の變更をするとか、あるいは元利金の支拂の方法を變更するとかいうことをするためには、ある一私人の利益のためということでは許されないのではないかと思います。すなわち大藏大臣が裁量をする。その場合には預金部資金運用委員會の意見を聽くのでありますが、結局大藏大臣が最後の權限をもつている。そうして大藏大臣が何でもかんでもできる。極端に言いますれば一私人の利益のために國庫の利益を放棄するというようなこともできるというのでは、これはあまりに國會の立場、また國民の立場を無視したようなかつこうになるのではないかというので、わざわざ公益の利益のため必要がある場合に限り、この認定がなければ大藏大臣は債權の變更をなすことはできないというように、特に行政大臣がその權限を束縛しているような形であります。
#45
○葉梨委員 それは意味をちよつと取違えておるようです。「公共の利益のため必要があると認める場合に限り」これは當然はいらなければならぬ。ただその申請のどれをそう認めていくかという場合において、この條文からいくと、大藏大臣がまず運用委員會にかける種類の選譯權をもつておるようであるが、そうではなく、申請をしてきたものは一應すベて預金部資金運用委員會にかけて、その意見を聽いた上で判斷するというふうにしたらどうかという意味なのであります。先ほどのあなたの御答辯の要旨は、やはりそういう運用をするつもりであるという御答辯でありましたから、それならば、この條文を整理して、はつきりとそういうふうにしておかれたらどうか。つまり申請のあつたものに對して、運用委員會にかける、かけないかを、この條文からいくとまず大藏大臣が判定をすることになるが、それではかけられなかつたものは泣寢入りになるよりほか途はないから、委員會に申請のあつたものは、委員會にすべて一應かける、その上で大藏大臣が判定をするという運用をするのであれば、その通りに條文を整理されたらどうかというのであつて、もちろん公益の利益のため云々は當然はいらなければ、この條文の趣旨が活きない。そういう點であなたの御答辯とは意味が少し食違つておるのです。
#46
○小坂政府委員 ただいまの葉梨さんの御意見もまことにごもつともとは思いますけれども、いずれからかの申請によらなければ、あらゆる場合においてそのことが問題になり得ないと思うのです。これは通報による場合もありますし、また調査によつて適當と認められる場合もありましようし、とにかく大藏大臣がこういう問題を取上げる場合には、いずれからかの申請によらざるを得ないだろうと思うのであります。これは今申請によりという字句を載せろというような御意見に承るのでありますが、これは自明の理でありまして、ここに書かなくとも、とにかく事を問題にする場合には、いずれからかの申請があるのだという前提で、あえてそれを取上げなくとも、この文言の通りで結構ではないか。公共の利益のため必要があると認められるときに限るということは、ただいまも銀行局長が申しましたように、公共の利益のための問題のみが取上げられるのだという建前を明らかにしただけであつて、個々の具體的な例について、大藏大臣のオプシヨンで非常に勝手なことができるというような考え方は、この文言からは浮んで來ないのではないかと思うのでありまして、私の申し上げることも、葉梨さんの御意見も、結局においては同一のことを考えておるのじやないかと思いますので、この程度で御了承願いたいと思います。
#47
○葉梨委員 そうではないのです。何か少し行違いがあるようです。もちろん問題が起つてきて、陳情その他によつて初めてこの問題が取上げられることになるのですけれども、この條文でいくと、それらのもののうち、公共の利益のため必要があると大藏大臣が認めた場合に限つて運用委員會の意見を聽く、そうしてきめるということになつておる。それであれば、大藏大臣の認定が隨意認定に陷るおそれがある。それよりむしろ申請のあつた場合にはこれを運用委員會にかけて、その上で大藏大臣が判定をするというふうに、はつきりしたならばどうかという意味なのです。
#48
○小坂政府委員 必要という字句の解釋でありますが、公共の利益のため必要であると認識するものが大藏大臣であるということが、どうも普遍性がないぢやないかという御意見のようでありますが、私は大藏大臣というものは、たとえば來栖というような一個人が認定するのではなくて、國家の機關としての大藏大臣が認定いたすのでありますから、この大藏大臣は當然に國民の監視を受けているのであります。すなわち大藏大臣の立場において正當なることをしようと思えば、當然あなたのお考えになるようなことにせざるを得ないのでありますから、當然のことを強いて法文に謳う必要もなかろうというのが私どもの考えなんであります。
#49
○葉梨委員 當然のことであるから、當然法文に書いて差支えないじやないか、こういう疑點を法文に殘しておく必要はないじやないか、當然のことだから、當然法文にうたつておいたらどうでしようか。あえてそこを固執される必要もないじやないかと思う。
#50
○小坂政府委員 當然のことであれば、それを特に載せることがおかしいじやないかというのが私どもの考えなんであります。この字句をお讀みになりまして、これで大藏大臣か勝手なことをするというような考えは浮んでこないじやないかと思うのでありますが、どんなものでしようか。申請があつた場合に限るというような字句を考えることが、いかにも何かそこにこだわりがあるような感じすらわれわれは受けると思うのであります。この字句の通り御覽になつていただきまして、公平な運營というものはおのずから浮んでくると思うのであります。
#51
○北村委員長 石原委員に申し上げますが、大藏大臣は今連絡がありまして、閣議で懇談をしているけれども、間もなく來るということであります。それから法制局から第一部長が見えましたから、さつきの留保されております答辯は、あなたに對してお答えできると思います。
#52
○塚田委員 ただいまの葉梨委員の質問に關連して私も一、二疑問の點をお尋ねしたいと思うのであります。まず第一に、ただいまの質疑應答の間に話の食違いがあるように考えるのでありますが、それは別として、私の氣持からいたしますと、公共の利益のために必要がある、ないということの認定も、預金部資金運用委員會におさせになる方がむしろよいのじやないか。申請があつたならば、すぐ預金部資金運用委員會に全部もつていく。その前に、大藏大臣が公共の利益のために必要があるという認定をする段階をおかれない方がよいじやないかというように感ずるのであります。この點おそらく葉梨委員の御質問の趣旨もそうであるように感ぜられるのであります。それといま一つは、公共の利益のために必要があるというこの字句の表現が、どうもこの場合の事態の表現にしつくりしないじやないか、たとえば國家國民から預つている金をだれかに貸した、それが何かの事情で返せなくなつた、もしくは條件を變更してやらなければならなくなつたというようなことは、これは公共の利益のために合致するということはまずあり得ない。ただそれを強いて公共の利益のために合致するといえば、消極面から、結局これはやむを得ない事情があつて、どちらから考えてもそうしてやらなければならないということが、消極的な意味において公共の利益のためにやむを得ないのだということであつて、積極的にそれが公共の利益のためにやむを得ないのだということであつて積極的にそれが公共の利益のため必要だというようには考えられないのであります。だからむしろこれを表現せられるならば、何かそういうような必要やむを得ない、つまり免除その他の利益を受けるものの立場から、不可抗力的な理由によつてやむを得ないのだということの方が、それを免除その他の變更をしてやるというような場合に合致するじやないか、こういうふうに考えられるのであります。この二つの點についてお尋ねをしたいと思います。
#53
○小坂政府委員 前段の點は、すべて預金部資金運用委員會の意見を聽け、こういう御意見であつたように思います。私どももまつたくその通りに考えているのであります。これをお讀みくださればそういうことになると思うのです。これはいやしくも良識ある人が取上げる問題としては、大體これは合致せざるを得ないだろうと思うのであります。ですからこの間ではいろいろ伺つたり申し上げたりいたしましたけれども、結局結論は同じことを考えていたということになつたと思うのであります。
 第二の點は、公共の利益という事柄がどういう認識の觀點に立つかということによつて、種類が變つてくるのじやないかというような御意見のように承るのですが、これはいわゆる利益という言葉を、何かすぐ目前の利得あるいは利潤というようなことに考えればそういうことになるかもしれませんが、公共の利益というのは言葉をかえて申しますれば、公共的な、福祉であります。公共の福祉というのは、要するに國家が生存を續けていく上に必要であると認識せられる場合なのでありますが、それはただちにある面においては、いわゆる利潤を生むとか、利得をするというようなことがなくても、國家の歩みを續けていく上に必要であると、こう認識せられると思います。
#54
○塚田委員 ただいま政府委員の御答辯によりますと、どうも私の質問が常識を缺いているように判斷されることを意外に感じたのでありますが、この條文をすらりと讀んで、今その政府委員の御答辯のように判斷するのが常識的であるか、私が先ほど申し上げましたように、結局これは運用の手續の順からいくと、申請があればそれをまず大藏大臣が公共の利益に合致するかどうかということを御判斷になつて、大藏大臣がその合致するという御判斷なさらぬものは、預金部運用委員會にかからないという結果になるというようにこれを解釋するのが、すらりと讀んで常識に合致すると私は考えるのであります。ただいま政府委員のお考えになつたような解釋は、この條文からはすらりと私は出てこないと考えます。次の第二の問題につきましてもそうでありますが、ただいま非常に巧みなる御答辯をされたようでありますけれども、一般の人がこの條文を讀んでも、そういうようになかなか巧みなる理解はいたさぬのでありまして、むしろあつさりとこれは確かに實際の問題としては、表面からは公共の利益には合致するという場合はないはずであります。むしろ個人の利益を見てやるのがほんとうであろう。ただその個人の利益を見てやるというのが、裏からいつて公共の利益にも合致するという場合があり得るというだけのことなのでありまして、それはどこまでも裏からの解釋なのでありますから、むしろこれを表面やむを得ない事情があるという、何らかの表現にされた方がいいのじやないかというように私は依然として考えるのであります。
#55
○小坂政府委員 私の言葉が足りなかつたために非常に御立腹を買つて恐縮に存じます。私は決してそういう意味で申し上げたのではないので、大體申請があつたものについてはどうかというようなことを考えますと、この申請というのは一つの手續でありまして、先ほども申し上げましたように、公共の利益であるという場合もありますし、その他によつて認識せられる場合もありますし、いろいろな場合があるのであります。手續規定ならば別でありますが、そういう場合を一々法案に書くということがどうか。こういうように思われるのであります。實際問題といたしましては、塚田さんも御同感だろうと思いますが、私もまつたくその通りに考えておりますけれども、問題として大體みんなが公共の利益のために必要だということは、やはり大藏大臣であるとか、あるいは預金部資金運用委員になる人であるとか、そういう人の考えというものが大體合致すると思います。殊に後段の個人の利益というような場合には、あらためてそういう個々の例について、國會にかけて、國會の承認を得てやるべき筋合だろうと思います。この場合公共の利益というものは決して個人の利益を云々する場合でなくて、全般として見た場合でございますから、さように御了解願います。
#56
○塚田委員 いつまで質問をしておつてもきりがありませんから、これは政府委員側においても、要するにこれを少し書きかえて、いただけばいい問題でありますから、御再考を願うことにして、また他の委員の質問もありましようから、私はこれで打切ります。
#57
○苫米地(英)委員 今の御質疑によりますと申請いかんというのが大分問題になつておりますが、これは場合によつては問題にならない。非常に大きな災害があつたような場合には、むしろ大藏大臣が初めから行動をとつても差支えないじやないか。そこでこの一條の要旨はどこにあるかといえば、大藏大臣は條件を變更することができる。ただそこに達するまでの要件として、公共の利益云々、預金部資金運用委員會の意見、これがそこへ到達するまでの手段としてこういう條項がはいつておるのだ。そこで葉梨君その他の御質問の要點は、申請云々ということを書けということを主張しておるのではなくして、大藏大臣が公共の利益云々を判定するのは、大藏大臣が單獨でなしに、預金部資金運用委員會の意見を聽いて、公共の利益のために必要があると認めた場合に限る、こういうような氣持でいつてもらいたい。こういう御主張であると思うのであります。先ほどの政府委員のお話の、大藏大臣は國家の機關であるがゆえに云々というお言葉がありましたが、從來國家の機關である大臣の名において、すべての問題が取計らわれ、それが官僚獨善の温床となつておる。そこで新しい憲法のもとにおいては、それを避けるために、大藏大臣は判定をする前に運用委員會の意見を聽く、そうして運用委員會がそれを認めたときに條件を變更する、こういうふうにしたらいいではないか、私はこう考えますが、これに對して政府委員の御答辯をお願いいたします。
#58
○小坂政府委員 大藏大臣は國家の機關であるが、そういう機關という考え方は、一部の特權階級の走狗というような考え方になつてしまつたという御意見でありますが、私もまたそういうふうに考えております。問題はこれからの大藏大臣は國家の機關であるという考え方、いわゆる國民の公僕としての大藏大臣であるという考え方になればいい。そうすることは結局われわれの構成する國會の任務であると思います。從つてただいまのお説のように預金部資金運用委員會の意見を聽いて、大藏大臣が條件の變更等をやつていくという考え方、すなわちこの國家の機關の意思をさらに間違いなく、いわゆる民主的に運營されます機關を通して、その複數の意思をも入れて決定していくという考え方になるというのが、私どものこの法律案を出しました趣旨でありますが、結局においては今のお説と私どもの考えというものは、少しも逕庭はないと思うのであります。ただただいま手續上の問題として私申しましたけれども、一般の指圖等によつて、それを全部取上げるということを、この法案に書いたらいいではないかという御議論に對して、手續上の問題でいろいろ話したわけであります。根本の精神においては何も逕庭はないじやないかと思います。
#59
○苫米地(英)委員 どうもこれを固執されることが私は不可解であります。精神においてひとしいというけれども、われわれがこれを讀んだ場合に、必要の有無を判定するのは大藏大臣である。ただ參考のために必要がありと認めたものに限つて運用委員會の意見を聽くのだ、こういう解釋ができる。それではいけないから、大藏大臣はこの必要を認める場合に、一方においては、自分の部下であるところの官僚の意見も當然聽く。同時にまた運用委員會の意見も聽く。その二つの意見を參照して最後に大藏大臣が決定すべきものである。そこでこの法文で行けば、官僚の意見で大藏大臣が判斷をしたものが根本になつて、あるものは委員會にかかるし、あるものは委員會にかけないでも濟む。こういう結論が當然にこの法文から出てくる。そこのところが難點であつて、「大藏大臣は、預金部資金運用委員會の意見を聽いて」と、これを先に出せば、官僚の意見を聽くのは當然なことで、ここでうたわなくともはつきりわかる。むしろ私は多くの書替えを要しないで、この「公共の利益のため」の一句と、「預金部資金運用委員會」の一句と、この前後を變えただけでほぼ目的を達するのではないかと考えている次第なのであります。
#60
○小坂政府委員 大藏大臣がきめるということに非常に御意見があるのでありますが、結局最後の責任をとるのはまた大藏大臣なのであります。ですから大藏大臣が責任をとる以上、判定について十分指導的な立場をとるということは、これはやはりお認め願わなくちやならぬかと思うのであります。要するに預金部資金運用委員會の意見をもちろんよく伺うわけでありますが、最後の責任は大藏大臣にある。しかも大藏大臣は常に國會の監視を受けている。國家國民全體の監視を受けているという考え方は、今までの官僚出身、あるいは全然政黨に關係のない大藏大臣の場合とは、おのずから違つてくると思うのであります。ただいまの字句の配列を變えたらいいじやないかという御意見も、いろいろお考えの末と思つて拜聽しておりました。ただわれわれの考え方はそういう點であるということを申し上げて、御意見とわれわれの考え方とは、ちつとも根本においては食違いはないのだということで、さらに研究してみたらいかがかと思うのであります。
#61
○苫米地(英)委員 私は大臣の責任竝びに大臣の決定權というものについて、何ら疑義をもつておりもしなければ、それに對して異議を申すのでもありません。そう御解釋になつたのは、私の申し述べたどの部分からそういう考えが浮んできたか、むしろ私には不思議に感ぜられるのであります。私の言うのは、責任のあるところの大臣の法律意思を決定する裏面には、當然そのあとに官僚がある。その上に預金部資金運用委員會の意見というものも取入れようというこの條文の趣旨である。大藏大臣の法律意思決定の段階はこの二つの方面からきている。但しここにあるのでは、大藏大臣が自分の部下を背景としてきめられた法律意思によつて認められたものだけが取上げられる。こういう形になつていることがよろしくないと思うのであります。私は大藏大臣がその責任を全うするために、預金部資金運用委員會に出すものは全部であつて、また自分の部下の方の意見を聽くものも全部であつて、その上で大藏大臣が決定をしたらいいというのであります。この條文で行けば、大藏大臣は官僚の意見だけを聽いて必要の有無を決定してしまつて、官僚の意見において不必要であるという意見に大藏大臣が贊成してしまえば、預金部資金運用委員會に出さないでも濟む。それではいけない。こう言うのであります。
#62
○小坂政府委員 いや、私はさつきから、法案の解釋の趣旨はあなたとちつとも違わないということを申し上げておるので、今あなたのおつしやることはよくわかるのであります。最初から申し上げておりますように、この法案に今あなたのおつしやつたようなことがあると私どもは解釋できるし、あなたはもう少し字句の排列などをかえることによつて、さらにそれを徹底できるというお考えを述べていらつしやるのだと思います。試みに「公共の利益のため必要があると認める場合に限り」の次を拔いて、「限り、その融通條件の變更又は延滯元利金の支拂方法の變更をすることができる。」とこう讀んでいただく。次に「公共の云々」を拔いて「大藏大臣は、預金部資金運用委員會の意見を聽いて、その融通條件の變更又は延滯元利金の支拂方法の變更をすることができる。」と讀んでいただく。この場合に、この字句の排列をかえることによつて、大分意味が違つてくるというお考えのように思うのでありますが、私どもは、今お考えの便宜のために二つにわけて申し上げましたように、この二つの字句の排列ということはあくまで排列の問題でありまして、本文には何ら影響するところはないのだというように思うのであります。しかしこのことについてはいろいろ御意見もとくと承りまして、なお研究してみたいと思います。
#63
○中崎委員 ただいまの問題に關連して發言したいと思います。いろいろ論議が繰返されておるようでありますが、かりに第一條の場合において、融通條件の變更又は延滯元利金の支拂方法の變更を求めるというような事例が、通常の場合においてどの程度あるというふうに豫想しておられるかをお伺いしたいと思います。非常に數が多いものであるか。あるいはそういうふうな場合はごく少いものであるか。今までの過去の經驗に鑑み、今後の豫想に鑑みてお尋ねいたします。
#64
○福田政府委員 申請があつた件數はわからないのでありますが、申請に對しまして條件の變更を許可した事例を申し上げますと、昭和十九年におきまして三件、昭和二十年におきましてはありません。昭和二十一年が五十件、かようなふうになつております。申請があつたものに對しまして許可をする場合がどのくらいであるかと申しますと、これは大體ほとんど許可されているというような状況であります。それから申請があつたものを委員會にかけるかどうかという點につきましては、これは全部かけております。
#65
○中崎委員 そういたしますと、實際においてこの規定を見ますと、預金部資金運用委員會の意見を聽いてということになつております。必ずその意見をそのまま百パーセント尊重していかなければならぬというふうな規定にもなつておりませんし、またそうでない場合もあり得と考えられるわけでありますので、いずれこれをどんなふうに變更するにしても、大して實際の運用において大きな變更はないと思うわけでありますから、この問題についてそう重大にこだわる必要はないじやないかというふうに私は考えているということを申し上げておきます。
#66
○苫米地(英)委員 政府委員の御解釋のように、この文をこういうふうに切つて讀めということは、文章の下手な證據なんです。下手な文章は、讀み方をこう讀めと解釋しなければそう讀めない。この必要があると認めた場合に限り意見を聽いて、ここに、かかり得ないという條件がない限り、そういう解釋はできない。文章の解釋は、もし認められる場合に限り意見を聽いて、そこにかからない文章である場合には、政府委員の言われたような讀み方をだれもするのです。そこで先ほどのお話のように、これを切つて別々にあとの文章にかかるということも、精細に讀めばそういうこともわれわれ前からわかつておつたけれども、法文というものはとかく自分の都合のいいように解釋するのです。今の御意見によれば、大したことはないからどつちでもいいというけれども、從來法文をつくるときには、そういう安易なことを言つておつて、後になつて官僚が勝手な解釋をして、これはこう解釋できるではないかと頑張つたのが通常なんです、それが從來われわれ國民を困らせた一つの行き方なんです。そこでこういう問題はどつちでもいいじやないかという安易な考えでなしに、だれが讀んでも間違いのない、これはここへかけて讀めというような註釋のない文章で書いてもらいたいというのです。
#67
○小坂政府委員 先ほどからもいろいろ私どもの考えを申し上げましたし、ただいままだ實例についても申し上げたわけでありますが、なお御意見のところはよく伺いましたから、さらに私どもとしても、たびたび申し上げますように研究いたして、また後刻御相談申し上げたいと思います。
#68
○北村委員長 石原君に對する答辯が留保されておりますが、法制局からお見えになつておりますから、石原君に發言を許します。
#69
○石原(登)委員 その前に今の期間について一言申し上げたいのですが……。
#70
○北村委員長 先に留保されておる部分について發言を許します。
#71
○石原(登)委員 今度會計檢査院の俸給について、大臣と同じだというような趣旨の御説明があつたようでありますが、新しい憲法の精神から見て、國會議員の地位は國権最高機關の構成員になつておる。そうすると國會議員よりも會計檢査官の給料が高いということは、とかく從來國民の間に考えられてまいりました官尊民卑の思想を除去する上におきましても、これはよほど影響があるのではないかと考えるのでありますが、こういうものに關して官吏の地位と國會議員の地位とを、どういうように御認定になつておるか、まずこの點をお尋ねしたいと思います。
#72
○宮内政府委員 お答え申し上げます。まことに仰せの通り、新憲法のもとにおきましては國會が國権の表示される最高の機關であるということは、何人も疑わぬところであると存じます。それからまた國務大臣は内閣總理大臣を初めといたしまして、いずれも兩院の指名により、あるいは同意を得て、實質上兩院の氣に入る人間が選ばれまして内閣というものを構成する。これもまことに重要なものと考えるのであります。そこで尋ねの趣旨でありますが、會計檢査院の檢査官につきまして俸給を定める場合に、よそから解釋されて、官尊民卑というようなぐあいになつては困るということはごもつともでありますが、ただ制度の狙いといたしましては、この會計檢査院の權限、地位、こういうものが、申し上げるまでもありませんが、新憲法のもとにおいてはまことにデリケートなものになりまして、國會に代つて内閣を監督し、お目付役と申しますか、非常に重要な權限が與えられている。それから舊會計檢査院法のもとにおけると違いまして、その權限が實質も非常に強化されている、こういうことに相なつております。從いましてわれわれがこの俸給額をきめます場合におきましても、もちろん國權の最高機關以上のものにせんがために高くするという觀點では毛頭ない。かかる大きな意味におきまして、國會が國政の運用を預けているのじやないか。それから國政の運用を常に財政的、會計的に是正していくために監視官を置いた。その監視官がつまり會計檢査官、こういうふうにお考え願つて、廣い意味での行政部の中で、言葉は穏當を缺くかもしれませんけれども、政府とある意味で拮抗せしめて、そうして彼比掣肘を加えつつ、國會が國政の運用に關する、財政經濟の經理の監視の役の重要な部分を預けているものである、こういう考え方に相なりますと、これは一般官吏が國會議員の上にいくことは、私どもの方といたしましても、いかなる意味から見ても穏當を缺く。會計檢査官といたしましては、ただいまのような職權の重要な點を考えてみますと、廣い意味の行政部内において執行權者、それからそれを當時監視するもの、こういう意味合におきまして、大體國務大臣に準ずる、並んでいくというくらいの程度までしてよろしいんじやないか、こういう考えでまいつている次第であります。
#73
○石原(登)委員 ただいまの答辯、私もある點においては必ずしも同意でないことはないのであります。確かに會計檢査院の立場はきわめて重要でありまして、その任務もお説の通りであります。しかしながら官は官でありまして、これは儼然たる事實であります。もしそういうような趣旨でありますならば、會計檢査院の官制を直しまして、これは官でないという建前にもつていくのが根本だと思つております。私どもが國會議員の歳費を決定するにあたりましてまず問題にしたのは、金の多寡ではなかつたのであります。少くとも國權の最高機關の構成員である國會議員が、あらゆる點において官吏の下位にあつたことは不穏當だ、當然そうであります。そういうような見解に基いてこれをきめたのでありまして、もちろん檢査官の重大なる使命等は十二分にわかりますが、しかしながら私どもが今新しい憲法のもとで考える官吏と、それから議員というような立場においては、もつと深い考慮が拂われなければいけない、もつと根本に遡つて會計檢査院の檢査官の地位を、何らかの形において別個に保障する、こういう方法が考えられませんか。
#74
○宮内政府委員 ただいまの點お答え申し上げます。今囘この案をもつてまいります前に、實はただいまの會計檢査院法をもつて伺いましたときにも、その御議論は拜聽いたしました、實はあの案をここへもつてくる前に、政府部内にも相當その點は議論した形跡があるのであります。そう申しますと、それだから頭の切替ができないというお叱りをあるいは受けるかもしれませんが、これは、私がそう思うというのじやないのでありますから、その點だけはお含み願いたいと思うのでありますが、會計檢査院の職員は、政府の部内を全部檢査いたしまして、俗に申しますれば、えげつないくらいの爬羅剔抉もやる。そういう場合に日本の現状といたしましては、これは先ほど御指摘にありました官尊民卑という點に觸れてまいるのですが、やはり會計檢査官の方が仕事がやりやすいということは動かすべからざる事實のようです。こういうことまで先走つてまいりますと、あるいは私の方の上の方に叱られるかもしれませんが、廣い意味から考えますと、私は官吏、公吏、議員というものを打つて一丸とした公務員というような觀念が將來はだんだんうん釀され、いわゆる官吏でござれ、議員でござれ、あるいは公吏でござれというようなことは今までのような意味合いではだんだんに薄れていくのではないかと思いますが、いかがでございましようか。むろん現状におきましてはそういうような聲はございます。これは實際に今まで事務を取扱いました會計檢査院の諸公なんかの話を聞きましても、官吏の方が絶對に仕事がやりやすい、強いことがやれる。政府部内がみんな官吏で、そこへ臨んでただ公務員ということでは、どうもまだ早過ぎる。だんだんそういうふうに向うのだという話もありまして、御指摘の點は前から非常に政府部内でも論議いたしました。これが決して未來永劫變るべからざる鐵則であるとは毛頭考えておりません。政府といたしましてもただいまのような情勢が、だんだん 釀いたしますれば十分また考えなければならぬと思います。現状におきまして今官吏にいたしますれば、これは最高のものとして、認證官としてやる。これは先ほど御指摘の點もあつたのでありますが、俸給、身分保障のごときも相當しつかりしたものをつけておかなければならぬ。こういうふうなことに相なるかと思います。
#75
○石原(登)委員 私はたしか前議會であつたと思いますが、この會計檢査院法の審議にあたり、當時も言つたと思いますが、會計檢査院の檢査員になる方の身分の保障については、これはその職掌柄から考えても考慮しなければならぬ。これは何か官吏に一歩優位するものであるという形式とその地位が、何らかの形において表現されなければならないということを申し上げたと思つております。その事例について私の深く憂慮しますことは、實は國會の中に法制部ができまして、法制部の活躍により援助によつて、われわれは十二分に立法府の職責を全ういたしたい、かように考えております。しかしながらその國會に屬する法制部の職員の名稱が何であるか、たとえば参事だとか、ただ名前の中に官がつかなかつたというだけのことで、事實相當職能も上級の部類に屬するいわゆるインテリの人たちが、國會の中にはいつてこないというような面もあるのであります。私はわずかな金のことだけを言うのではありませんが、こういうところに、ほんとうに日本の民主化ができない原因があると思います。私はかように思いまするがゆえに、法制當局としてはこの點に對して十二分の御考慮を願いたい、私はかように考えております。この國會の事務局の構成についても、今私自身でも相當研究いたしておりますが、この試案が一應でき上つたならば、皆さん方の專門的御見解による御意見も聽いてみたいと思うのであります。これはただ單に名前とか何とかというだけでなしに、事實そういうふうになつておりますから、この點を御考慮いただきたいということを、この際申し上げておきたいと思います。
#76
○北村委員長 この前大藏大臣に對する質疑を保留されておる方は川島君、石原君ほかお二人でありますけれども、ほかの委員は本日出席されておりません。これより前に留保されております二人の方の質疑を許します。川島金次君。
#77
○川島委員 先般實は大藏大臣にお尋ねいたしたいと思つたのですが、たまたま不在であつたものですから、福田銀行局長からの假の答辯があつたのであります。さらにそれに關連しまして大臣にお尋ねを申し上げたいと思います。それは先般の經濟白書におきまして、その冒頭で、日本の現状は國家も、企業も、個人も、ことごとくあげて赤字である、こういうことを言われておつたのでありますが、私はそういう見解と違つた見解をもつておるのであります。なるほど大勢においては個人、殊に企業等のごときも赤字であるものが大部分ではありましようが、その中でも黒字であるという部分も、數は少くとも、その金額においては相當の黒字をもつた生活竝びに企業を續けておる部面があるのではないか、かように私は確信をいたしておるのであります。さらにまた國家の方面におきましても、なるほど一應數字的には赤字であるに違いはないのでありますが、これまた私は財政經濟の運營いかんによりましては、實質的には赤字ではないけれども、その税制の面その他の面からいいまして、赤字ならざるを得ないような體系を立てておるがために、國の財政の赤字が自然に生じておる、こういうような面があるのではないかと思うのであります。そこで先般の福田局長のお話によりますれば、全部赤字なのであるが、その赤字を整理して黒字にしていきたいのだ、こういうようなことを言われておるが、國家の財政面は別といたしまして、企業とかあるいは個人の關係において、ことごとくそれがあげて赤字だといたしますれば、目下われわれ國會においても所要の機關を通じて運動を行つておりますところの、貯蓄増強の面からいいましても、企業も個人も一切赤字だという觀點に立つて、しからばどこからその貯金を吸收するか、これは一例でありますが、こういうような矛盾をも生ずることになるのでありまして、この點について大藏大臣の御所見をこの機會にお伺いしておきたいと思います。
#78
○栗栖國務大臣 この白書に國家も、企業も、個人も赤字というような文字が書いてありますが、これは例示的に使われた言葉でございまして、實際の實情を知るには、あれを全部通覧していただきますとわかると思うのであります。私はさように考えております。企業については一つ殘らずすべて赤字だというような、極端な意味に書いておりません。大部分は赤字のものがある。しかしながら黒字のものもまたあるということは確かだと思うのであります。その赤字という意味も、あるいは價格の改訂というような問題のあります前の状況をとらえての議論もあると思うのでありますが、實際價格改訂をだんだんやつてまいりますと、本來黒字であるべきものが赤字の始末を出しておる。それを今度價格改訂によつて黒字化せられるというようなものが出てくると思うのであります。しかし國家全體からみますと、多くの企業は赤字であるのでありまして、これをこの企業再建整備の線に沿うて黒字化していく。それがすなわち經濟の再建であり、日本の新しい産業の再興であると、かように考えております。
 それから財政につきましては、地方財政の個々までは十分申し上げかねますけれども、中央の財政、それから地方の財政でも相當の部分は赤字をいたしておる、かように考えております。中央の財政におきましては、これをぜひ黒字化して健全性を取戻したいとかようにも考えておりますけれども、今までの財政の面又び實質の面においては、どうも赤字財政であつた。かように申さざるを得ないのであります。將來に向つてはただちに黒字財政が建設できるか、かような問題が起りますけれども、實際いろいろ實情その他を調べてみますと、これは私はこのある時間、つまり企業再建整備とか、あるいは國家の財政の健全化、そういうような面に沿うて一連の政策を總合的にいたしますならば、黒字化する、健全化の實をあげられるということは信じて疑わないところでございます。
#79
○川島委員 今のお言葉で大藏大臣におかれても、經濟白書の冒頭に書かれたものは、それは大ざつぱな言い方で表わしたものであつて、個人、企業關係にも相當の黒字があつたということはお認めのようであります。そういうことになりますと、現在の日本の財政の建前から言いまして、今のお言葉によれば相當部分の黒字階級があるということだけは確かであります。その黒字階級の所得というものは、從來われわれが負擔しておりました税制の面から言いまして、その黒字階級がはたして徴税のわく内にとりこめてあるかどうかということが、私は今後の財政の面において大きな問題の一つになると思うのであります。そこで大藏大臣にお尋ねをいたしたいのは、その個人竝びに企業において黒字經濟を保つてきて、しかもその全體の總所得というものは、どのくらいあるのだというお見透しでもありましたならば、この際聽かしていただきたい、かように思います。
#80
○栗栖國務大臣 その的確なる見透しとしては、私數字を持合わしておらぬのでございます。ただ徴税その他の方法によりまして、そういう面を極力推進していく。それには税務機構の質と量とを強化して、そういう方面に進んでいくということは、私就任以來しばしば申し上げた通りでございます。そういう方面における税の取立方も極力いたしたい。そういうものも相當見こみまして、ただいま追加豫算を編成の途中にある次第でございます。
#81
○川島委員 續いてお尋ねいたしますが、そういう方面に對しても大臣は絶大の關心を拂われて、大いに徴税の上にも努力されておりますようなお話でありますことは了承されるのでありますが、先般私も自由討議か何かの機會に、本會議の席上で大臣にお尋ねいたしまして、その際に御答辯がなかつたのでありますが、大體大藏當局方面には、日本國民の昭和二十二年度の總所得というものは、大ざつぱに見て五千五百億圓ある。こういうふうに言われておるのであります。その五千五百億圓の國民總所得のうちに、昭和二十二年度の財政計畫において徴税されまする、いわゆる所得の基盤というものは、大體三千億だというようなお話であります。そうするとただいま大藏大臣も言われました、私も考えておりますところの五千五百億から三千億を差引いた二千五百億という國民總所得というものは、すなわち黒字階級でなければならぬという形になるのではないか。そうすると三千億を土臺といたしまして、昭和二十二年度の租税計畫を立てたところが、二千五百億というものは租税外にのかれておるという形になるのではないかと私には考えられるのであります。しかるところ今度の昭和二十二年度の追加豫算におきましても、直接にかなり廣汎な國民大衆にかかるところの負擔を強いなければならぬような計畫が、今日進められておるように私は聞いておるのでありますが、むしろ私は大衆の直接重課になるようなたばこだとか、あるいは酒というようなもの、その他間接税、そういうものの大幅な値上を考えられる前に、今徴税からのがれておりますところの、いわゆる個人企業の黒字に屬する二千五百億萬圓に達する國民總所得をば、徹底的に押えるということを前提として財政計畫を立てるということが、いわゆる適正な國民の負擔に歸することになるのではないかと、かように思うのであります。ところが私どもが承つておる範圍によりますると、今度の追加豫算の七百億圓のうちの大部分というものは、そういう方面を第一條件とせずして、むしろ手取り早く安易な形において徴税のできるような、あるいは國庫の收入の増加のできるような專賣益金、あるいは酒税、あるいは間接税等の増徴によつてこれを求めていこうとする第一條件の考え方に對しては、私は相當に研究を要する餘地があるのではないかとかように考えるのでありますが、大臣のこの問題に對する御所見を承りたいと思うのであります。
#82
○栗栖國務大臣 お答えいたします。税の課税の問題でございますが、殊に追加豫算に關係をいたしましては今編成中で、はつきりしたところはきまらないのでございます。大體七百億くらいの歳入歳出と追加豫算を見積りますと、その五百億以上が税收入でございまして、そしてあとの百億いくらというものが專賣收入に相なるわけでございます。そうしてこの税收入につきましては、本豫算の方を加えますと非常に大きな數字になるのでございまして、いまだ日本の税制の上においても例を見ないものであるわけでございます。しかしなお税の追求につきましては、先ほども申し上げましたように税務機構を強化して、質と量と兩方相まつて、隨所になお増加所得税、財産税その他をも追求をいたしております。殊にいわゆるやみ會社については隨時増加所得その他の追求ができますので、これを追求いたして、なお自然増を求めておるような次第でございます。
 それから國民總所得とその資金の配分につきましては、大體五千億というお話がありましたが、これはさらにこの水準を千八百圓に上げることによりまして、なお増加をするわけでございます。八千億を超えるくらいになるのじやないか、かように考えておるわけでございます。しかしこれは中途半端から増になるわけでございますから、詳細はなお精算をしてみないとわからない次第でございます。
 それからその所得の配分につきましては、國民の生活資金、貯蓄、それから税、こういうような方面にわけてこの計畫を立て、そうして配分して、國民貯蓄の増強の面においても、皆樣の多大の御援助をお願いしたい。かように考えておる次第であります。これも追加豫算の數字が大體きまりますならば、やはり所得の配分その他についても計畫を立てまして、あらためて皆樣にお諮りをし、御檢討を願いたいとかように考えておるような次第でございます。
#83
○川島委員 この問題についてはいずれかの機會にまた大臣の意見を聽き、竝びに私どもの所見を申し上げて研究してみたいと思いますので、保留しておきたいと思います。續いてもう一點、ほかに發言者の方もおありのようでありますから、簡單に大臣の御意見を承りたいと思うのです。それは先般の貿易再開に當りまして、司令部の特別の取計らいによりまして全體で五億ドルの資金の設定の方法として、日本の國内にある金竝びに一般國民の所有いたしておりますところの寶石、貴金屬、そういうものをかりに活用してもよろしいという、まことに恩惠的な取計らいを受けることに至つたことは、日本の經濟再建の上において喜ぶべき事柄だと思うのであります。ただこの際大臣の御所見を簡單に承つておきたいのは、先般私が當局にお伺いいたしました日本の現在の日銀の保有されておりますところの金はいくらか、こういう問に對しまして、約九十五トンの保有があると言われ、さらに終戰後當局が買上げました金の保有高はどれくらいかと申しましたら、大體一トン半ぐらいあるというお話でありました。もちろん今の日本の封鎖經濟においては、今國内に通用いたしておりますところの日本の貨幣というものは、金とは何らの結びつきがないことは言うまでもないのでありますが、今般の貿易再開に對する連合軍の處置、さらに來るべき平和條約、さらにそれに伴いましてやがて日本がかりにブレトン・ウッヅ協定に參加するというような事柄を、われわれは希望的に展望いたしてみました場合に、日本の貨幣を金と直結させるということは、相當今から考えておくべき問題ではないか、かように大ざつぱに考えておるのであります。詳しいことは申し上げませんが、簡單にそういう考え方からいたしまして、はたして當局におきましては、今後日本の金の問題に對しまして、どのような考え方で進んでいくのか、當分の間現状のままでいく方針であるのか。それとも日本を金本位にするというような大方針を立てられまして、金の問題の取扱い、たとえば産金政策の積極的な展開をはかるといつたような方針を立てて進んでいこうとされるのか。その點について御所見をお聽かせ願いたいと思います。
#84
○栗栖國務大臣 簡單にお答えいたします。この日本の通貨あるいはこの貨幣制度というものが、將來いかになつていくかということは、國内及び國外その他諸般の事情というものを併せ考えてきめなければならぬ問題でございます。しかし國際經濟の仲間入りをいたしまして、そしてこの日本の平和的發展ということを念願いたし、これを實現をいたしますには、やはり産金事業というものは非常に重要だと考えるのでございます。それで私どもは諸般の産業の復興というものなどとにらみ合せまして、いずれ總合的に産金事業の振興ということは十分力を入れてまいりたい、かように考える次第であります。貿易という方面に力を入れまして、そして外貨の獲得という上に、大いに努力すると同時に、また國内の産金事業の振興ということも考え、兩々相まつて將來の國際場裡における日本の平和的發展の礎といたしたい、かように考えておる次第であります。
#85
○川島委員 それについてもう一つお尋ねして私の質問を終りたいと思います。ただいまの大臣のお話で大體了承いたしたのでありますが、日本經濟の再建の展望を土臺といたしまして、將來日本が準備すべき金の量、額というものは、大體どの程度におくべきかというような事垣については、さだめし御研究になつておられるだろうと思うのでありますが、それについて御見解がありましたならばついでにお示しを願いたい、かように考えております。
#86
○栗栖國務大臣 ただいまのところ、いくらくらいということは、ちよつと確定した數字をもち合わせておらぬのであります。その點につきましては先ほども申し上げましたように、日本の經濟の中、これが國際經濟の仲間入りをして、この平和的活動を發展させる巾、廣さ、その他を見合わせてきめなければならぬ問題でありまして、いずれそういう時期に至りましたならば、十分用意をしてその目標に向つて進みたいと考える次第でございます。
#87
○葉梨委員 本日は先般の理事會の協議によりまして、大體法案に對する審議を進め財政計畫あるいは資金計畫等については、日を改めて國務大臣の出席を得て、討議をするということになつておりますので、大藏大臣に對する殘餘の質問はその節にこれを讓りまして、本日はこの程度をもつて散會せられんことを望みます。
#88
○西村(榮)委員 葉梨君の御提案には贊成ですが、散會前に希望しておきたいことは、先般私は委員長を通じて、復興金融金庫の營業状態に對して報告を求めたのでありますが、本日配付された報告の中に、きわめて不備のものを發見するのであります。なお追加して資料を求めたいのは、百萬圓以上の貸付の會社の社名と業務、貸付の年月日竝びに社長、專務等經營者の氏名、それから五千萬圓以上の會社の貸付後の營業状態、第三には復金債券の一般消化と日銀の引受の比率、この三點の資料を次の復興金融金庫の問題を提案されるまでに審議のできるように、提出してもらいたいということを希望しておきます。
#89
○川合委員 財政竝びに金融の根本的の問題に關しましては、いずれ葉梨君の御説の通り日を改めて大藏大臣から承りたい。かように考えているのでありますが、私は本日緊急質問といたしまして、大藏大臣にお伺いしたいと思います。大藏大臣は財政の面における諸施策を徴税機構の充實、徴税技術の指導という方面に求めておられまして、私もこれは同感ではありますが、しかし第一線の税務官吏の運用にあたりまして、その徴税機構の充實とは、やや逆行するような結果が現われているように私は聞いております。その點は各方面で問題になり、過般も大藏大臣から本院に報告があつたように、神奈川縣におけるところの直税課長の遭難事件でありますが、ああいうように某方面の人たちが酒類の密造を相當大がかりにやつているために、間税課長その他の税務官吏が臨檢に行つたが、ピストルをもつて脅迫されるとか、あるいはまたその税務官吏の家の周圍を取巻いて、出勤を妨げるというようなことを最近耳にいたしました。そのために税務官吏はその出勤をかなり躊躇して、家の中に蟄居しているということも聞いているのであります。かようなことは税務官吏の士氣の問題、ひいては徴税機構の量と質の問題にも關連いたしますので、かような密造酒の取締に關しまして、大藏大臣はどういうようなお考えをもつて、第一線の税務官吏をして萬全の働きをなし得るようなお心構えをもつておられるか。この點に對しましてお伺いいたしたいと思います。
#90
○栗栖國務大臣 御答辯いたします。神奈川の事件はまことに返す返すも遺憾であります。しかしこの種のことが頻發するということを非常におそれまして、あの事件のあつた直後に閣議に諮りまして、そういう密造の調査をするような場合には、檢察當局と司法當局とが必らず一體をなして、そうして密接なる行動のもとにするというような申合せもいたしました。そうしてそれぞれ檢察當局、司法當局にもその旨を通知いたし、實效を期しておるような次第でございます。なお實際問題につきまして、そういうような問題がありますときには、もよりの檢察當局、司法當局と連絡をして、ただちに税務官吏が正當なる事務を執行いたします上に、支障のないようにいたすような手配もいたしておるのであります。私は單に一人の間税課長に止まらず、税務官吏が、非常な身の危險にもさらされて職務に從事しておるということについては、非常に感銘を深うするものでございまして、この面におきましては、ぜひとも三當局が一致してこの属行をいたしたい。かように考えておるような次第であります。
#91
○北村委員長 本日はこれにて散會いたしたいと存じます。なお重ねて申し上げますが、生命保險中央會及び損害保險中央會の保險業務に關する權利義務の承繼等に關する法律案、金融機關再建整備法の一部を改正する法律案、勞働者災害補償保險特別會計法の一部を改正する法律案等は次會に討論をいたしたいと思います。さよう御承知を願います。
 本日はこれにて散會いたします。
   午後零時三十三分散會
ソース: 国立国会図書館
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