くにさくロゴ
1947/10/02 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 外務委員会 第11号
姉妹サイト
 
1947/10/02 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 外務委員会 第11号

#1
第001回国会 外務委員会 第11号
昭和二十二年十月二日(木曜日)
    午前十時三十六分開議
 出席委員
   委員長 安東 義良君
   理事 栗山長次郎君
      猪俣 浩三君    田中  齊君
      竹内 克巳君    戸叶 里子君
      馬場 秀夫君    和田 敏明君
     長野重右ヱ門君    菊池 義郎君
      竹尾  弌君    佐々木盛雄君
      仲内 憲治君    若松 虎雄君
     唐木田藤五郎君    多賀 安郎君
 出席政府委員
        貿易廳次長   新井  茂君
 委員外の出席者
        外務事務官   黒田禮四郎君
        專門調査員   佐藤 敏人君
        專門調査員   村瀬 忠夫君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 民間貿易再開後の情況について、貿易廳次長よ
 り説明聴取の件
    ―――――――――――――
#2
○安東委員長 ただいまより會議を開きます。
 本日は民間貿易再開後の情況につきまして、貿易廳次長新井茂氏より御説明を承ろうとするわけでありまするが、これにつきましては皆さんもいろいろ御質問もあろうかと存じますので、まず一應新井君から概略についてお話を承つて、その後に質問にはいりたいと思います。なお今回の貿易再開に關連いたしまして、直接バイヤーと接觸せられました終戰連絡中央事務局經濟部總務課長の黒田君は、いろいろバイヤーの意向であるとか、あるいはまたこれに關連する今後の對策についてお考えになつているようでありまするから、それについても承ろうというわけであります。新井政府委員。
#3
○新井政府委員 バイヤー來朝以來の貿易概況につきまして御説明をいたします。
 實は少し資料を整えまして、系統立つて御説明を申し上げるべきでありまするが、御承知の通りに、毎日バイヤー關係の仕事に係りの者が追われておりまして、資料も整える時間が大變少いような關係もございまして、少し資料等につきましても古くなつておりまして、お話につきましても多少まとまりのつかぬ點もあるかと思いまするが、その邊はどうぞ惡しからず御了承願います。なお後ほど御質問に應じまして、できる限り詳しく御説明を申し上げます。
 制限附民間貿易の再開は、御承知の通りに八月十五日からスタートすることを認められたわけでありまするが、實際の取引は九月一日から始めるということに相なつております。従つて九月一日から今日まで約一箇月間に相なつております。今度の制限附民間貿易のやり方は、すでに御承知のことと存じまするが、價格の點につきましては、大體貿易廳と連合軍總司令部との相談の上でこれを決定する。その他の點につきましては各來朝のバイヤーの方々と、日本の關係業者とが自由に商談をせられまして、この商談に基いて所定の手續をいたして契約を締結してまいる、かようなことに相なつております。それで九月二十五日までに來朝せられました代表國の總数は約二百名ちよつとでございまして、その中の大半はアメリカとイギリス關係の方であります。それ以外にイギリスの關係のカナダとか、ニユージーランドとかいう國籍の方がありまするが、それをのけますると、フランス、インド、イラク、スイスという方面からほんの一名もしくは二名ずつくらいしかみえておりませんような状況でありまして、大部分がアメリカ合衆國とイギリス系統の方であります。従いまして、成立いたしました契約も、大部分がアメリカの關係でございまして、その他の日本が従來戰争前に輸出の大部分を占めておりましたところの東亞諸國に對しまする契約というものは、まだほとんど成立をみておらぬような状況でございます。従つて額にいたしましては比較的小さいのでございまして、九月二十五日までの集計によりますると、件数にいたしまして七十三件、金額にいたしまして約百二十五萬ドルということに相なつております。成立いたしました商品の主なものは、先般總司令部からも發表がございました通り、毛皮類、カン詰類、陶器、模造眞珠、絹織物、竹製品、セルロイドのおもちや、それからあとクリスマス用品というふうなものが主要なものでございます。
 そういう状況でございまして、今日までのところ金額から申しましてはさほど大きな額ではございませんが、今日までの取引の内容を見ますると、大體現在のストツクのあるものにす關る契約が中心でございまして、先ものについての取引はきわめて微々たる状況であるのであります。従いまして今日までのところにおきましては、この民間貿易の再開によつて、非常に日本の貿易が殖えたというわけにはまいらぬのであります。けれども、先ほど申しました通り、今日までの來朝の方が大部分アメリカ、イギリス方面であつたことからいたしまして、なかなかこういう方面に向く品物は、日本には少いとういうような關係もあつたために、さように金額が少いのと、さらにまた今回來朝の業者の方は、相當多くの人が従來戰争前に日本との取引しておられた方でありまして、今すぐに日本のものを買つていこうという目的で來られたというよりは、むしろ將來日本の貿易が大いに發展したときの道筋をつけておこう、さらに日本の現状を視察するということを主要な目的にして來朝された方が相當多かつたような状況でありまして、將來日本の貿易が大いに伸びた場合においては、今回來朝の人のつけられた道筋によつて、これが非常に助けられるということになるだろうと思います。それからまた先ほど申しました通り、今日までの來朝の方々は、東亞關係の人はあまりないのでありまして、今後東亞方面からの代表者の來朝せられる場合においては、相當に日本の契約も成立するであろうと考えておるような次第でございます。ただ問題は、最近に起こりましたポンドとドルとの交換禁止の問題でございまして、これが適當なる解決を見ません限りは、購買力の關係からいたしまして、結局東亞方面に對する契約ができがたいというふうな状況に相なりますので、この點はわが國といたしましても、至急に何らかの手が打たれることを希望しておるような次第でございます。
 それから今日までのところでは、先ほど申しました通り、ストツクの賣買が中心でありまする關係からいたしまして、今度の民間貿易再開によりまして、今日までのところでは日本の商品に對して、いろいろな品質上もしくがデザイン等の係關におきまして、非常な啓發を受けるというところまではいたつておりませんが、しかし中にはある程度日本に對して親切な忠告、助言等をしてくださる方もありまして、多少ながら外國の流行あるいは日本商品に對するいろいろな批評等も受けることができまして、今後だんだんとそういうことは日本の輸出品の生産につきまして、有效に働いてくるであろうと考えられるのであります。それと同時に最近認められました小包郵便等の方法によりまして、外國からの見本品を取寄せる、あるいはまたカタログを取寄せるとか、あるいは日本からの見本品の送付等を行うことができるようになりまして、さらにまた電報等も外國に對して打つことができるというような状況に相なりましたので、これらの制度ともあわせてこれを有效に利用いたしまして、今後の日本の輸出貿易の振興に大いに資してまいりたい、かように存じているような次第であります。はなはだ概略でございましたが、一應御説明を終りまして御質問等によつてでき得る限り詳しく申上げたいと存じます。
#4
○黒田説明員 私は終連より、貿易廳の方に今度のバイヤー關係について應援にまいりまして、直接バイヤーと接觸いたしました。従いまして、これに關係いたしまして、バイヤーが日本と今度の商談に關して感じましたことを、中には不平もありますし、またよい點も相當率直に述べているのでありますが、その點を最初に申上げたいと存じます。バイヤーが大體一致して言つた見解は、すでに新聞などで御存知の通り、ドル建價格が非常に高かつたということを不平を言つております。たとえばバイヤーのつける値段と司令部が發表しました値段の間に、大きな開きのある商品が相當ありました。もちろん従來輸出品で、U・S・C・Cを通じて賣つた商品は向うの賣り値段がわかつておりますので、貿易廳といたしましては簡單に値段がわかつたのでありますが、そのほかのU・S・C・Cを通じてない、つまり管理貿易下におきまして輸出してない商品につきましては、値段のとりきめというものが相當むずかしかつたようであります。従つて、値段の關係からくるバイヤーの意思との齟齬というものが非常にあつたわけであります。一例をあげますと、細かい話ですが、日本の毛の手袋をたくさん買いたいというバイヤーがおります。それで一ダース二ドルでないとアメリカでは合わない、しかし日本では公定價格七百五十圓であります。こういう關係もありまして、なかなか二ドルという程度でこの商品を賣るということは不可能である。そのほか、こういう事例は非常にあつたのでありますが、もちろんある商品の中では非常に公正と思われるようなものもありまして、九月一日契約ができるようになりましてから、即座に契約したものもあるわけでありますが、もちろんバイヤーのつけた値段というものが、必ずしも私は、商人のことですから、正しいとは思いません、従つて當事者としましてはバイヤーの不平のみを率直に百パーセントに受取るということは私どもはいたしませんが、ある商品につきましては、相當この値段というものを考慮しなければならぬだろうとみております。それから第二につきましては、日本の商品が、もちろん戰時下のものでありますから、品物が粗惡であるということ、それから技術の點においてまだまだ一籌を輸するということであります。たとえば、陶器なんかについても戰前アメリカ方面に御存知の則武のものが非常に出ておつたのでありますが、現在上等な陶器になりますと、英國製品が無税ではいるのであります。従いまして、日本からはいるものは、どうしても値段が安くないと競争ができないという結果になります。それで日本商品ではどうしても商品の粗惡、技術の低いという見地からみて、競争するためには値段というものを非常に考慮しなければいかぬ。それから日本のつくりました物でも、たとえば人形類というものがございます。雑貨ですが、アメリカに向く人形類というものも、たとえば西洋人形をあまりつくるというのは非常に愚な話で、アメリカには上等な西洋人形がたくさんあるわけでありますから、これに競争するがためには、結局日本商品は値段で競争する以外に手がないのであります。こういう點から考えましても、商品が粗惡であり技術が低いという見地からみて、値段というものをできるだけ安くして向うと對抗していうことを考えなければいかぬ、こういう意見を言つておる人もありました。それから第三に趣向、趣味、デザイン、こういうものが非常に自己流なところが大分ありまして、つまり最近の向うの趣味、デザインを知らない結果、非常に行き違いがあつたということ、たとえば婦人用のイブニングドレス、絹に戰前はやつた模様をつけた立派な商品があつたのでありますが、これなんかも結局現在のアメリカにおいてはせいぜいパジャマくらいにしか使えない、つまり流行おくれというわけであります。そういう關係で、せつかく立派な商品でありながらデザインが惡いために契約ができなかつたものが相當あるのであります。それからあるバイヤーによりましては、相當大きな意氣込みでやつてきたのでありまするが、先刻も申し上げましたようなドル價格について、割の合はないという點がありまして、たまたま割の合うものがありましても、その数量並びに金額において非常に少いために、この程度の商賣ならやつてもむだだ、むしろ來年までまつて來ようという連中が相當あつたのであります。従いまして、今度の契約高の少いということだけを見て、將來を卜するということは非常に危險だと思つております。これは私の接觸しました大多数の人は―私直接接觸したしたのでありまするが、カナダ方面から來た大きな會社はこぞつてこういうことを言つておりました。それから先刻新井次長が申されたのでありますが、今度のバイヤーは大體色分けをいたしてみますると、大分日本には經驗のある人が多かつたせいでありまするが、まず將來の自分の商賣の地歩をつくるというために來た人が非常に多いのであります。従いましてエージェントをつくつていこう、エージェントを見つけよう、そういう仕事に主力を注いでいた人が非常に多かつた。第二の種類では、日本の安い雑貨類そのほか安い商品を買いまして、これを中南米方面に送る、つまり中継貿易をやろうという人たちがおりました。それから第三種類といたしまして、アメリカあるいはその本國に必要な商品を買う、こういうバイヤーがおります。この三種類に大體わかれておつたのでありますが、第一のエージェントを見つけよう、將來の地歩、基礎をつくるのだという見地できた人が非常に多かつたのであります。この人たちは大體において、また來年日本の商賣が見透しのつくころにやつてきて、相當物を買つていきたいということを申しておりました。大體今度來ましたバイヤーはこの三種類にわかれると私は見ております。
 それから大分新聞などに出ておりますが、日本の業者がこのバイヤーと接觸いたしまして、バイヤーの方から見ましてどういう批評が出たかということをかいつまんで申しますと、第一には非常に戰後服装というものに無關心な人が多い關係上、服装を通じての禮儀のみならず、一般に外人應接ということに對して非常におもしろからざる傾向が多かつたということ、これについてはみんな一致して、笑いながら諧謔交りに皮肉を言つておつたのであります。それから第二點としましては、日本の業者の中には、最近の貿易熱に浮かされて、貿易々々で小さな資本で急にやり出した新興中小貿易業者というものが多いせいでありますが、接觸にまいります日本の業者の中には、C・I・FやF・〇・Bの區別さえ知らぬ連中が相當あつたのであります。これには向うのバイヤーも相當あきれておつたのであります。
 第三點といたしましては、日本の業者間の競争軋轢、お互いに排斥し合うということが相當ありました。一例を申し上げますと、あるニユーヨークから來たなかなか立派なバイヤーでありましたが、日本の業者が直接部屋にはいつてまいりまして、いろいろな雑貨類をもつてきて買つてくれということを申し出たのであります。先方はその業者の信用状態並びに背景というものを知りませんので、いい加減にあしらつて、あまりうるさいので、言葉も大して通じませんし、わざわざ難を避けて自分の部屋から出た。そのあとに第二の日本の業者が來まして、ドアをたたいた。その際に中におつた業者がその商品をみて、その商品に對しては自分ともうこの人との契約ができているんだ、だからお前たちが侵入する餘地は全然ないんだということを言つておるというような、こういうケースが相當見受けられたのであります。つまり非常に業者間の統制がなく、自制力のない結果、つまらぬ競争をして、それをあとで知つた向うのバイヤーが相當不愉快な思いをした。それからバイヤーとしてはむろんまじめに自分の希望品目、希望商品を買つていきたいという熱意をもつておつたのでありますが、群がつて來る日本の中小貿易業者の應接には相當てこずつたようでありまして、ひどいのになると一日三十件ないし四十件の業者に會つておるのであります。従いまして、中にはまじめな氣持ちをもつておりながらも、押し寄せて來る日本の業者に對して何とかして追つ拂いたいたという氣持になるのでありまして、従つて中には相當―何と申しますか、こういう商品をどこがで集めてくれば自分の方で大量に買うんだ、こういう心にもないことを言いまして、その結果業者がその商品集めに狂奔する。そういう場合も相當あつたのであります。それから向うのバイヤーの中にも、なかなか立派な人もおりましたが、相當ブローカー式なことをやつた連中もおります。それにつきましては、もちろん私どもは日本の業者が利用されないように、業者の方面にも十分注意をいたしておりました。それから日本の業者の中にはこういうことを申し出て向うの業者を非常にびつくりさせたことが相當ございました。それは、もしここであなたがこの商品について契約を締結してくれるならば、自分の方は政府からその割當をもらえるんだ。だからぜひ契約をしてもらいたい。契約した後契約解除つまりキヤンセルしてもいいんだということを申し出た人間が若干おりまして、向うのバイヤーが非常にびつくりしたのであります。一旦契約を締結してそれをキヤンセルする、そういうことを初めから要求するような者では信用がならぬということで、私の所に申し出た人が数人おりました。大體日本の業者に對する批判というものはそういう程度でございます。
#5
○安東委員長 御質問ございませんか。
#6
○佐々木(盛)委員 今回の貿易再開が為替レートの設定なくして行われることに關しまして、いろいろ問題があると思うのでありますが、お話のように、為替レートの設定がないために貿易廳とG・H・Qの關係當局とが大體の相場を個々の商品別にレートをきめていくというような結果、非常にそれぞれの為替の割合というものが無軌道になつて、あるいは手續の上に非常に不便であり、かつまた非常に煩瑣なことが多いのではないかと考えます。そこで一體今おつしやつた九月二十五日までにまとまりました取引におきまして、大體どういうふうなレートの割合になつておつたか、先ほどのお話ではずいぶん圓とポンドとの割合が開いたような面もあるようでありますが、大體平均のところはどんなものであつたか。最高最低どのくらいのものであつたかということをひとつ承りたいのであります。それからもう一つは為替レートというものの設定なくして、しかもインフレの進行の過程において貿易が再開されたということは、日本にとつて非常に不利な條件をもたらしておるのではないかと考えるのであります。たとえば、かりに外國から物を買うといたしました場合においては、國際的な價値におきましては安い物でも、日本におきましてはこのインフレというものが非常に進行しておる時代でありますから、高く振り當てられなければならぬ。また反對にこちらから賣り出します物は、インフレの波に乗つた品物でありますから、割安で買いとられるというようなことになりはせぬかと考えます。しかも今回の輸出は飢餓輸出でありまして、先般の永井貿易長官の話にも、ややもすると明治の開國當時の商館貿易式のような形になつて、非常に買い占められるというようなことをも懸念しなければならぬというふうなお話もございました。さなきだに國内物資というものが非常に不足を告げ欠乏しておりますときに、さらにそのない品物を買いとられていくという危險性もインフレに乗じて起るわけであります。最近にイギリスの經濟危機におきましても、飢餓輸出ということが相當にたたつているというようなことも傳えられているときでありまして、しかも通貨の膨脹の點からみましても、すでに八月末だけでもつて、御承知のように千五百億を突破し、年内には二千億突破が必至であるというふうに認められておりまして、對内的にも、對外的にも、圓貨に對する不安感というものが將來の為替相場設定にはなはだしき不利を招來する危險性がありはせぬかと考えるわけであります。従つて為替相場を設定する前に、インフレというものを何とかして食い止め、圓貨の動揺を安定しておくことが緊急な措置ではないかと考える。そういう意味におきましては、國内の經濟體制というものも整備しなければならぬわけでありますが、すでに獨占禁止法であるとか、企業整備法、今また經濟力集中排除法等によりまして、國内の經濟體制というものが著々整えられつつある際でありますので、この際講和會議に先行いたしまして、為替相場を設定する必要がありはせぬか。それによつて圓貨引下げの問題を解決すると同時に、一面におきましては、産業の合理化を断行いたしまして、先ほどから問題になつておりまする生産コストの低下というようなことも考えなかつたならば、せつかくの貿易再開がとんだぬかよろこびに終る危險性が多分にありはせぬか。先ほどおつしやつたように、わずか百二十五萬ドルであつた。これは單に、最初であつたからいろいろな事情でこれだけ少なかつたとおつしやるが、私はそうではなくして、わずか七十三件、百二十五萬ドルということの將來にそう大きな希望がもてないのではないかと私たちは考えるのであります。しかしまだ管理下の貿易であるから、為替レート設置の問題とは關係がないということを今までおつしやつた方もありましたが、しかし事態は今申しましたように、國内のインフレの問題を見ても、刻々惡化の一途をたどつている際でありますので、このまま放置することは將來において重大な禍根を残すのではないか。私たちをして端的に言わせますならば、諸般の事情はあることでございましようが、為替レートの設定なしに貿易再開に臨んだということは、政府の一大失態であつたとすらも言い得るのではなかろうかと考えます。そういつた意味におきまして、今申しましたように、為替レート設定の問題というものをどんなふうにお考えになつておるのか。當然講和會議の前に、できますならば、これをやらなければ、事態はもはや遷延を許さないというところまできているように考えるわけであります。これに對して新井次長の率直なる御意見を承りたいと思います。
#7
○新井政府委員 今日まで契約のできましたもののレートがどうなつておるかにつきましては、今詳細の資料を實は持つておりませんが、非常にそれは種々雑多でありまして、数量によりましても違いますし、平均してみても、必ずしもあまり意味が少いではないかと思いますが、非常に低いものは十何圓というものもございますし、非常に高いものは六百圓を越すようなものもございます。従いまして、どういうふうなところにこれをみたらいいかということは、非常にむずかしい問題でありまして、われわれとしても、どこがいいかということは一概に申し上げられないわけであります。現在の状況におきましては、申すまでもなく、為替の取引というものは全然ないのでありまして、従つて為替のレートはございませんが、今度のバイヤーの方々の來られての不平は、價格が自分らの考えできめられないということが非常な不満の點であるようでありまして、この點については、バイヤーと日本の業者との間の取引を促進するという見地だけから申せば、そういうものをただちに設定することの方が便宜であるのでありますが、一面このレートのきめ方は、日本の國内物價並びに産業につきまして、非常に重大なる影響を與える結果にもなるのでありまして、輕々にこれを設定することはなかなかいかぬような實情にあるのではないかと私は考えます。もちろん、このレートをつつくるかどうかということは、日本側におきましては、なかなか決定できない問題でございまして、すべて連合軍總司令部の権限によつてきめられる問題でございまして、従つてこれについて、私どもといたしまして、すぐに決定すべきかどうかを申し上げられる立場にないことは、はなはだ残念でありますが、その邊はどうぞそういう事情にあることを御了承をお願いしたいと思います。
#8
○佐々木(盛)委員 今お話のように、為替相場を決定することが日本の産業に重大な影響のあることも、われわれは十分認めております。かつまた、これが日本によつて一方的に決定されるものでないことも、われわれは十分認めております。しかしながら先ほど私が申しましたように、單に國内の通貨の面から見ましても、年末にはすでに二千億圓をも突破しようというふうな状態でありまして、インフレの状態はますます惡化への方向をたどつておるときに、荏苒日を空しゆうしておりましたならば、將來為替相場を決定するにあたつても、非常に困難な事態がありはせぬか、なかなかむずかしいじやないかと考えます。だから、先ほど申しましたように、過般の獨占禁止法であるとか、あるいは企業整備法であるとか、今度の經濟力集中排除法案等のごとく、國内の經濟體制が整えられたこの機會こそは、そういうことをするのに最もいい機會でないかと考えておるわけでありまして、それらの點につきまして、重ねて私たちの心配を披瀝いたしますと同時に、今の御説明では私は非常に不十分であると考えるわけでありますが、できますれば、その邊の點について、もう一應御説明願えれば結構であります。
#9
○新井政府委員 為替相場をきめるのは今が適當な時期ではないかどうかということは、非常に大きな問題でありまして、輕々に私どもといたしまして意見を申し上げるわけにまいらぬのであります。しかし、理論上の問題といたしますと、いつ為替相場をきめましても、日本の經濟並びに通貨の状況が安定しない以上は、その為替相場をもちこたえるわけにいかない。これがどんどん日本に不利になつてまいるというふうなことになりまして、かりにこれを設定いたしましても、日本として非常に困つた立場に陥るのではないかと考えられます。従つて為替相場を決定するにつきましては、何としても、日本として一日も早く通貨並びに經濟の安定をはからなければならぬことはお話の通りであると存じます。ただ日本といたしましては、講和會議の暁におきましては、いずれこの為替の取引が始まる、さらに為替の取引が始まれば、日本としてはただちに世界の國際經濟の競替場裡に立たなければならぬのでありますから、従つてわが國としては一日も早く經濟の安定をはかりまして、為替相場を設定いたしても、何ら不安を感じないというふうな状態にもち來すことが、必要であろうと考えております。
#10
○佐々木(盛)委員 もう少し關連して、簡單に結論だけ申し上げまするが、もとよりこの問題はきわめて根本的な重大問題でありますので、新井次長にこれに對する明確な御意見を求めても無理だろうと思いますが、貿易を擔當されておりまする次長の立場から、大體の見透しとして、為替レートの設定というようなことが、講和會議の前に行われる方が望ましいか。あるいは講和會議後にもち越されるのであろうかというふうな、ある程度の見透しなど承ることができましたら結構だと思います。
#11
○新井政府委員 先ほども申し上げました通り、これは非常に大きな問題でありますので、私どもといたしましては、なかなかこの席上でお答え申し上げるのは、むつかしいことを御了承願いたいと思いまするが、しかし為替相場と申しましても、先ほど申し上げました通り、現在の状態においてつくられまする率と申しまするものは、為替相場ではございませんで、結局日本が物を輸出いたします場合におきまして、その價格をどういう基準によつて算定するかという問題と、それからまた輸入品につきましては、日本が外國から輸入した品物を、どういう價格によつて賣拂うかという問題になるのでありまして、結局それはある程度技術的と申しまするか、そういうものを多分に含んでおるわけであります。従いましてたとえば輸出品についてこれを見ますると、ただ單に輸出品を買上げる場合に、現在のごとく公定價格を基礎にして買上げないで、ある程度海外市場に對する賣値というものを反映させて、そうしてたとえば一ドルで賣れたものは、日本では何圓の價格にする。こういうことが現在問題になつておりまするところの、いわゆるレートの問題の性質であろうと考えておりますが、かりにそういうこととして考えますると、現在賣れておるところの價格というものを、大體そのままに反映させるという仕組によつて、この率が決定せられるならば、日本として必ずしもそれによつて、日本の物價並びに生産に非常なる影響を及ぼすということは言いがたいと同時に、そういう方法によつて決まるのでありまするならば、日本としては大體において、日本の生産というものが外國に對して、日本の生産費なりその他の状況がどういうふうになるかということのめやすも、ある程度關係の業者の人にも知られるようなことになるのではないか。かように考えております。従つてこれがどういうことによつてきまるかということが、早くきめていいかどうかということと、相當關連をもつ問題であろうと考えます。
#12
○安東委員長 私が、二、三お尋ねしたいのですが、先ほどまでのお話によつて、バイヤーにいろいろな不平をもあつたようでありますが、その中で私の聞いておる二、三の話を申し上げると、こつちへ來ていろいろぶつかつてみたけれども、事務的にきわめて煩雑であつて、レツド・テープみたいにうまくいかぬといつて、業を煮やした者が少からずあつた。これはあるいは誇張した言葉であつたかもしれませんが、かくのごときことがあつたかどうか、承りたいと思います。
#13
○新井政府委員 ただいまのお話は、私も具体的に實はどういう點があれかということまで、詳しく聞いておらぬのでありますが、普通の取引観念から申すと、現在の組織なり手續なりというものが、きわめて煩雑な感じがすることは、これはもう明瞭であろうと存じますので、私どもとしてはなるべくそういうことのないようにというので、努力はいたしておりまするし、總司令部等との打合わせについても、できる限りそういうことのないようにということでやつておるのでございまするが、現在のような組織によつてやつておる限りにおきましては、業者の方にとつては非常に煩雑であり。かつまた非常な御迷惑をかける點が少くなかろうか。かように考えておりまして、今後ともこういう問題についてはできる限りこれを簡略に、そうして取引のやりやすいようにいたしたいと思つております。
#14
○安東委員長 なおこれに關連してお尋ねしたいのですが、日本側の地方の業者からいうならば、一々東京にまで話をもつて來なければ、片がつかぬというような状況でははなはだ困るから、中央の貿易廳の権限をある程度まで、地方の方に委譲してもらえぬかというようなことを、言うておる人があるようでありますが、これについてのお考えはいかがですか。
#15
○新井政府委員 ただいまの問題につきましても、業者の方面よりもいろいろ御希望を伺つておる次第であります。私どもとしては一日も早くそういう態勢にもつてまいりたいと思いまして、ただいまいろいろと研究をいたしておりまするが、現在までの状況においては、日本側としてそういう態勢にいたしましても、總司令部の方の關係がそういうふうになつてまいらぬと、なかなか業者の希望するようにはまいりかねるのじやないかと存じますが、この點については總司令部にもいろいろお願いをしておるわけでありまして、日本側としては今お話の通りにいたすことはちつとも異議ないのみならず、むしろそういうふうに希望をいたしておりまして、いつそういうふうな状態になつても差支えのないように、ただいま準備をいたしております。
#16
○安東委員長 なおこれに關連いたしますが、必要なる書類の数があまりに多過ぎて、業者にとつては非常な負擔だということを聞いておりますが、これを簡略にする方法はありませんか。
#17
○新井政府委員 書類の数の多いことも、實は私どもとしてもたいへん御迷惑であろうと存じておりますが、現在のところはいろいろな手續をいたします必要上、最小限度の数で押さえておるような關係がございまして、従つて今の手續をする限りにおいては、どうもこれを減らすということは、なかなか困難なように存じております。ただ申すまでもなく、現在においては用紙の入手等につきましても非常な困難と經費を要しますので、そういうことにつきましては、貿易廳としてはできる限り業者の方に御迷惑をかけないように用紙を用意いたしまして、實費でもつてこれをおわかちするというようなふうにいたしたいと思つております。
#18
○竹内委員 貿易廳そのものが思惑で物をお買いになるということはないのでありますか。貿易廳にはそういうことをなさる権限がおありになるのでございますか。たとえばたぬきの皮をたくさん買入れる、そういう権限が貿易廳におありになるのでしようか。
#19
○新井政府委員 法規上の権限といたしましては、實は貿易廳が買上げまして、これを總司令部にお渡しする、こういうことになつておりますが、實務は貿易廳としてはやりませんで、御承知の通り貿易公團というものをつくりまして、それがそういうふうな實務をやるということで、運行をいたしております。
#20
○竹内委員 最近商社がいくつか許可になるということを聞いておりますが、その商社をおきめになる場合に、いろいろの方面から話を聞きますと、従前の經驗ある人ということにあまりに重點をおおきになる結果、やはり三井とか三菱とかの、いわゆる財閥關係の人が、それらにもぐつて各方面にはいつてくる。いわゆるそういう方面の延長になさるという傾向が多分にあるということを聞いておるのでありますが、そういう方向にやはり經驗者を尊重する、これはもう當然なことでありますが、その點の手心についてどういう御方針でありますか。
#21
○新井政府委員 貿易公團が取引の相手方とします業者の範囲につきましては、實は率直に申しますと、大體従來經驗のある業者を相手方としておつたのでありますが、それは申すまでもなく、そういう業者であれば安心して取引ができるということのために、自然とそういうふうな結果になつたということであるのでありますが、これは經濟民主化の立場から申しますと必ずしも適當ではございませんので、貿易廳といたしましてはできる限りその範囲を擴張をいたすという方針をとつておるのでありまして、物によりましてはすべて入札の制度によりまして、自由競争をもつて比較的安い經費をもつて仕事を引受けるというふうな業者に仕事をやらせるというふうなことを、なすべく廣い範囲にわたつて採用するということをいたしております。そうでない部面につきましても、業者の範囲はこれを制限いたしませんで、個々の取引の場合に應じて、實際上の信用なり實力なり陣容をみて、そうしてそういう既存の業者の保護に陥らないで、できる限りの廣範囲の業者を相手として取引をするというふうな方針にやるということで、その方針を廣く實行したいと考えておりまして、だんだんと目下それを實施しておるようなわけであります。
#22
○佐々木(盛)委員 もう一點ちよつとお聞きしておきますが、それは今回のバイヤーの代表團の中には、中華民國の代表も加わつていないのでありますし、かつまた新聞などで見ますと、上海などにおきましては、早くも日貨排斥のボイコツト運動を起しておるというようなことも承つておるのであります。またフイリツピンにおきましても、日本の先般の綿製品の輸出に對しても、フイリツピンの商業會議所でありましたか、講和會議が終つて日本の賠償取立が濟むまでの間は、日本との取引は拒否するという意味のことを、米軍を通じて意思表示をしてきておるというようなことも、傳えられておるわけであります。これらのことに關連いたしまして、われわれの想像でありますが、濠州方面などにおいても何かそういつた空氣もありはせぬかということも考えるわけでありますが、先ほど申しました中華民國のボイコツト運動、それからフイリツピンの場合、もしありますれば濠州の場合などにつきまして、貿易廳にはいりました眞相に關する情報、あるいはまたわれわれはこの貿易再開にあたつて、東南アジア諸地域に對する將來の取引には非常に期待をもち、注目をしておるわけでありますが、その出發にあたつて、こういうふうな現象が早くも傳えられるということはまことに遺憾なことであります。それらの點に關する見透しなり御感想なりありましたならば、これまた率直にお伺いしたいと思うのであります。
#23
○新井政府委員 ただいまのお話のような事實は、私どもいたしましても、實は新聞で見る程度でありまして、その眞相はわからないのでありますが、お話のように一部の方面におきましては、もちろん日本の商品が將來どんどんはいつてくることにつきましては、國内生産との關係からいたしまして、必ずしもすべて双手をあげて歓迎するということにもまいらぬかとも存じますが、しかしながら大體の状況から申しますと、現在並びに將來の東亞諸國におきまするところの人口とかその他の關係から申して、日本品の販路はまだまだ相當あるのではないか、かように考えております。中國等におきましても、御承知の通り中國の工業力をもつてして、その需要をすべて充たすということは、申すまでもなく不可能であろうと考えられるのでありまして、日本品に對して、將來中國の經濟状況が立直りまして、購買力ができてまいりました暁においては、日本の販賣は相當多くなるであらうとかように考えております。中國の貿易代表團の方々も近く見えるように聞いておりますので、必ずしも中國が日本品をすべて買わないということにはならぬものと考えております。ただ現在の状況におきましては、この取引は大體においてドルをもつて支拂つてもらう、ドルでなくてもドルに代り得るところの通貨でもつて支拂いをするという關係になつておりますので、従つて中國等におきましても、この見地から相當購買力がないというふうなことが想像せられるのでありまして、ほかの東亞の地域もその大部分がいわゆるポンド・ブロツクになつております關係からいたしまして、必ずしも今ただちに非常なたくさんの輸出がこの方面に出てくるということは、ちよつとポンドの問題が解決しない場合においてはそうはまいらぬのではないか、かように考えておるのであります。ただ私どもといたしましては、かりに通貨の問題が解決いたしませんでも、その地域の品物で日本に必要なものは、できる限りこれを輸入いたしまして、その代償の支拂として日本から輸出をするという建前によつて、そういう國々との間の貿易を盛んにして、有無相通ずるようにしたいという希望をもつておるのでありまして、この點につきましては關係方面にも、でき得る限りそういう方向に向うようにお願いをいたしておるような次第であります。
#24
○安東委員長 ちよつとそれに關連してお尋ねしたい。パーター制その他によつて今の方法を解決していくというお考えは至極ごもつともですが、これにつきまして、一體どのくらいの程度まで、日本側としては連合國側と話合つておりますか。その點について伺いたい。
#25
○新井政府委員 私どもといたしましては、常時抽象的には、實はいろいろお願いをいたしておりまうが、具体的問題といたしましては、品物によりまして、たとえばインドから綿をもつてまいりまして、その代償として日本からいろいろ品物を輸出するというようなこと、また支那に對しましては、たとえば海南島の鉄鉱石を輸入して、それの支拂のために先方に何かを輸出するというふうに、個々の具体的な問題としても關係方面と折衝をいたしておるような次第であります。
#26
○安東委員長 なおこれについてお尋ねしたいのですが、そういう個々の具体的な問題について、連合軍司令部と話合いの結果として、現在まで解決したものはありますか。
#27
○新井政府委員 現在までのところ、最終的に決定を見たものはまだございません。先般新聞に出ておりましたインドの關係につきましても、まだ最終の決定に至つておりませんので、日本側といたしましては、でき得る限り早く決定をいたしてもらいたいということでお願いをしております。
#28
○馬場委員 私は國内の業者の關係を二つお尋ねしたいのであります。一つには、融資の問題です。契約ができた後に、囘轉資金が詰まつて運轉し得ないような業者のある事を聞いておるのですが、貿手を切つても銀行は喜んでやつてくれぬ。この融資はどこまで考慮されておるか。どういう方法で金を融通するのか。
 もう一つは、契約後に今度のように原價計算でマル公の物價が上がつた場合それがどういうぐあいに補償されるのでありますか。
#29
○新井政府委員 貿易金融の問題に關しましては、御承知のとおり、前から輸出スタンプ手形制度というものを設けまして、貿易廳は貿易公團が業者に發注をいたしました場合におきましては、その業者が振出した手形に對して日銀がスタンプを押しましてこのスタンプを押した手形は最優先に市中銀行において割引をしてくれるという制度をつくりまして、これを運用しておつたのでありますが、運用の實際を見ますると、業者の信用等によりまして、必ずしも最優先的に融通が受けられるとは限らないというふうな實情もあるのでございます。貿易廳といたしましては、そういう新しい業者でも能力のある者はどんどんやつていただきたいというふうに考えておりまして、こういう方面の融資も何とか考えなくてはならぬのではないかということで、先般大蔵省とも御相談をいたしまして、單にいわゆる手形による融資のみならず、その他たとえば設備資金に對する融資とか、あるいはまた原料の買入れに對する融資とか、そういう點につきましても、貿易廳において金融をすることが必要であるという證明を出したものにつきましては、復興金融金庫におきましてこれを融通いたすということに相なりまして、すでに實施をみておるような情勢であります。
 その次の價格の問題であります。従來におきましては、この輸出品の買上價格はすべて公定價格に必要なる諸掛を加えたものを基礎にして買い上げておつたのでありますが、輸出品は御承知の通り、國内品とは品質、規格等が―包装の關係においてもそうでありますが、相當違つておりますので、公定價格を基礎にしてこれを買い上げるということは適當でないということで、公定價格はもちろん基準にはなりますが、それにさらに品質その他必要なる經費を加えたものでもつて買上げをする。それにつきましては物價廳の中の輸出品價格審査委員會という委員會を設けまして、そこに商品の類別毎に部會というものをつくりまして、その部會にはその商品に關する專門家に委員になつていただき、その部會において輸出品の買上價格の審査をいたして、そうして適當なりと認められたものにつきましては、すべてこれを公認するという制度によつて運営をしてまいることと相なりました。従つて公定價格が改訂になれば、もちろんその改訂になつた價格によつてすべて買い上げるということになりますし、さらにその後輸出品として必要な經費等を織りこんだ適正なる價格でもつてこれを買い上げる。かようにいたしております。
#30
○馬場委員 今の問題に關連して、第一は貿易廳のどこで補償してもらえるか。第二番目は、契約後に今度の物價の改訂になつたような場合は、それは追加されるものですか。値段が改訂せられるものですが。
#31
○新井政府委員 第一の融資の證明書の問題は、貿易廳の經理局の資金課においてやります。
 第二の點につきましては、價格の改訂がございましたものにつきましては、すでに契約があるものにはさかのぼつて運用されません。
#32
○若松委員 私は先ほど黒田課長から、せつかくの遠來のお客さんがたいへん苦情を申し立てておるというようなことをお聞きしたのですが、私自身も一、二回そういうことを直接バイヤーの方からお聞きしたのであります。これはもう少し日本側の方で、言いかえれば貿易廳がその方を發當しておられるので、そちらの方で何とかある程度解決が、できるじやないかと思われる點も多々あるようでありますが、今回そのミツシヨンが來ますときのG・H・Qのやり方が、あまりに初めから方針を示さなくて、どたんばになつてからいろいろなことを言つてきたという、大分苦しい立場にあることは私もちよいちよい貿易廳でお伺いしたいのであります。しかしとにかくみんなが貿易に非常な關心をもつておる。バイヤーが來れば押しかけるくらいのことは大體承知しておることであります。この點は、今後もまだ來るでしようから、もう少し貿易廳の御發奮をお願い申したいのであります。私どもの承知しておりますところでは、貿易廳の宣傳が少し足りなかつたのではないかと思います。一例を申しますと、今回のバイヤーが來るにつきまして、私は特に西日本のことを言いますが、西日本の關係は、商品等も大體大阪の貿易館まで出して來ればいいというようなことであつたので、大阪の方へ出しておつた。ところが、これはうそかほんとうか、業者の話ですからわかりませんが、大阪へ出しておつたところが、一向向うへ言つてくれない。おまけに、あれは國の貿易館じやない。私の方では、國の貿易館としてはただ東京だけだということで、出品してやつておつたけれども、一向に音さたがないので、かえつてそこで差別待遇をされるようなことで、それはたいへんだということで、バイヤーが來られてから、あわてて陳列替えをやつたというようなことを、業者の方からも苦情を拝聴するのであります。實はバイヤーからきた苦情について私は答えておきましたが、勝手にするからこんなことになるのだ。貿易廳があるのであるから、もう少し貿易廳を利用したらどうかという話もしました。この際いろいろな統制がましいことはおもしろくないし、われわれもあまり勧めたくないが、とにかく、どつちかといいますと、戰後非常に商業道徳も頽廢しておるときですから、必ずしもほんとうにバイヤーと契約を履行し得るかどうかについてあやしいような人もたくさんあるじやないかと思います。その點、私の聞きますところでは、連絡員といものも百名ばかり養成されておるということでございますが、こんな人をもう少し積極的に立働かして、せつかく來られた遠來のお客さんに、なるたけ日本の眞の實情を知らしてやるとか、あるいはまじめな業者にそういう機會を與えてやるというようなことについて、もう少し努力していただきたいのであります。實は私はこういう連絡員がたくさん養成されたが、これがどういうふうに活動されておるのやら、その邊が事實よくわからないのであります。現に私もこれは貿易廳で伺つたのですが、どうも仕方がないから、みな早い者勝ちでお客さんにぶつかつてくれというようなことをお勧めになつたように聞いております。これは今後も續々來ることと思いますが、もう少し何か積極的に働いていただくような御決心はありませんか、お伺いいたします。
#33
○新井政府委員 實は今度の貿易代表の方々が見えて、どういうふうな取引の状況になるかということは、私どもといたしましても、はつきりした見透しがつかなかつた關係もありまして、日本側としていろいろやりましたことが、必ずしも、それをバイヤーが全部利用されたということは申しがたいような實情であつたことはお話の通りでありまして、先ほどお話のありました大阪の陳列館につきましても、これは一つは大阪にまだ宿舎の設備ができていなかつたということにもよると思います。しかし東京の貿易館についてみましても、必ずしも業者がすべて貿易館を見て、それをもとにして取引をするという状況ではないのであります。大體業者が貿易館を見に参りますのは、日本の商品がどういう状況かという大體の観念をつかむために來るという人々が多いようであります。これは一つは、さつき黒田君からもお話がありました通り、日本の業者が實はどんどんとホテルの事務所に押しかけてまいりまして、むしろ買つてくれくれというようなことで、わざわざ先方は貿易館に言つて品物を探して取引をするというようなところまではいかんでも取引ができるというような關係もあつたかと存じますが、必ずしも今お話の通り、すべて貿易館を見て、それによつて取引をするというところまでは至つておらぬことはお話の通りであります。しかしながら貿易館はそういうふうなことになりませんでも、日本の代表的な商品をそこに陳列して、見本ではこういうものができる、價格はこういうものであるということを大體示すことは、今後においても大いに必要なことであろうと考えておるような次第であります。
 それから、連絡員の問題につきましては、連絡員を大いに活用して日本の状況を先方にわからしめるということは、これは非常に必要なことでありまして、連絡員を養成する場合におきましても、そういうことを織りこんでやつたのでありますが、ただ今回のいわゆる民間貿易は、業者同志が商談を進めるということが建前になつている關係からいたしまして、連絡員が積極的に業者を選定するとか、あるいは積極的に先方のバイヤーに對していろいろなことをするということは、建前上これはしないということになつておるのであります。ただ先方からいろいろ意見を求められた場合に、日本の業者ではこういう業者が信用のある業者だというようなこと申す程度に、その連絡員の職務は止めるということに、最初からなつておりまして、連絡員をこの商取引の斡旋ということに大いに活用することは、制度としてはそれはやれないことに初めからなつており、かつまた今回の民間貿易はいわゆる業者同士の直接取引をやらせるのだということが主眼になつておる關係もありまして、連絡員の活用につきましても制限をせられておるのであります。しかしその建前を侵さない範囲におきましては、できる限り連絡員を活用いたしまして、日本の産業經濟の状況を大いに先方に知つてもらうことはまことに結構なことでありますので、できる限りそういう點も實現いたすようにいたしたいと思います。
#34
○若松委員 私は連絡員がいろいろな商品の選択とかいうことは、もちろん研究してまいつたということを聞いておつたのであります。私の質問した趣旨は、できるだけ個人の商取引を援助してもらうという意味に過ぎなかつたのですが、いろいろと私がくどくどしく申し上げたから何ですが、大體私のお聴きしたかつたのは、インフオーメーシヨンがよく地方には徹底していない。これは先ほど私が申し上げましたように、バイヤーにその内容を知らせないものですから、たとえば工場を見るとかというような場合にも、直接工場を見るのであるが、最後の―十五日でしたか、私がちようど行つておつたときに、發表になつたようなわけで非常にあれはやりにくい點が多々あつたと思います。また實際貿易廳でやつておられる部の人員からみましても、あれではとうてい間に合わないじやないかという氣もいたしたのであります。中央におりますれば、比較的ニユースもとりよいのですけれども、やはり刻々と變る情報を知らない。古い情報で田舎で待ちかまえて、こちらでも來てくれるだろうと思つているが、一向に來ない。さあどうしたかとあわてれば、今のようなお話で、急に陳列を模様變えをするというやうなまことに氣の毒な状態もある。そういうような方面で今後私どもは、あらゆる面においてもう少し積極的に働いていただきたいこう思うのであります。
#35
○新井政府委員 地方に對するいろいろなインフオメーシヨンが徹底しなかつたという點は、お話の通りいろいろな事情がありまして、この點は徹底を缺いた點がなくなかつたのでありまするが、今後におきましては、でき得る限りそういうことのないように努力いたしたいと思います。
#36
○黒田説明員 今貿易連絡員の點につきましていろいろお話がありましたが、この貿易連絡員を養成いたしました一員といたしまして、若干貿易連絡員の長短について運営上氣のついた點をお話したいと思います。元來貿易連絡員を養成いたしますときに、貿易廳長官及び外務次官がまいられまして、特に貿易連絡員の使命の重大性を話したのであります。その中に殊に外務次官はこういうことを申されました。今度民間貿易再開によつて輸出貿易の振興に寄與することはもちろんであるけれども、特に重要なのは、向うの連中がまいりまして日本人と接觸し、意思の疎通をはかることによつて、この戰争中失われた國際信用をとにかく回復する。そういう方面に對する働きかけというものは非常に大きいのだ。それだから貿易連絡員の使命というものは、ただ單にバイヤーと接觸して、物の賣り買いに對する援助をするという以外に、そういう大きな使命を十分考えてもらいたいということを話されたのであります。従いまして私どもこの貿易連絡員の仕事の分野につきましては、先刻も新井貿易廳次長から申されたことく、限られたものでありまするが、その限られた範囲内におきまして最大限度の能力を發揮して、この使命の全きを期してくれということを繰返し繰返し申し述べたのであります。ただ連絡員の中には、もちろん日本の高等教育を受けまして、外國の學校も出、語學に非常な堪能なる以外に商品學的な知識もある人も相當おりましたが、中には語學以外にあまり商品學的なこと、商賣のことについての大した知識もない人も相當おりました。それから養成期間が一箇月間という非常に短期間であつたことと、それから今度の仕事が實は新しい仕事でありまして、未だかつて經驗をしたことがない仕事である。それから初め約四百人くらいのバイヤーが來る、シツピング、銀行、保險關係の人が百二十人くらい來るという豫定でありましたところが、實際まいりました者は十数名しか來ない。こういうわけでありまして、たくさんとつた連絡員が、實は働く人は一生懸命にかけずりまわつて働いておりまするが、中には非常にのんきに構えておる人が出てくるという行き違いもありまして、この貿易連絡員の運営ということについては、初め相當むずかしい、かつ困難な點が見受けられたのであります。しかしだんだんバイヤーがたくさんまいりまして、なれてまいりますにつれて、この連絡員の―つまり歩兵部隊としての仕事というものは相當まとまつて、まじめに動2「ていると私は思つているのであります。私は九月十五日までこの仕事に關係しておりましたが、その當時におきましては、初めのころより大分進歩してまいつたと思つております。従いまして今後の連絡員の運営ということは相當人数要すると思ひますが、何分にも寄合世帯という關係もありまするので、依然としてむずかしい問題はありまするが、この經驗を積んだ、また非常に知識の豊富である彼らは、きつと相當な使命を果たしてくれると思つております。ただバイヤーの中には管理貿易の實體を知らないで、のんきに構えてきた人も相當あるのでありまして、輸出手續の煩雑なことだとか、それから日本の現状についても漠とした考えしかもたないで來た人も相當あります關係上、東京のホテルにまいりましても、こちらの宣傳並びに―宣傳の不徹底ということももちろんある程度まで免れないのでありますが、インフオメーシヨンを使う、連絡員を使うという點において、こちらにも若干へまがありましたが、向うにも私は相當へまがあつたと思つております。ただ今後この經驗を生かしていくならば、これから四百人のバイヤーが集まつてくるときには、相當活躍ができるのじやないかと思つております。
#37
○戸叶委員 わが國の今のような状態におきましては、輸出品があるいは品質の點で、あるいは資材なんかの點で、バイヤーの人たちの希望に副うようなものがでないとということは仕方がないといたしましても、その粗惡品を山さないというようなことは、今後の貿易が振興するにつれて大切なことではないかと思います。私の知つている外國人て非常に漆に詳しい知識をもつた人から聞いたことですが、おみやげにもらつた漆製品が十五日間で剥げてしまつたので、剥げないような漆製品を研究していきたいということを聞きまして、私も非常に悲しく思いますたし、また戰前惡い日本品物が出ていたというようなことを聞くにつけましても、あるいは近ごろカン詰の見本と商品が違つていたということを新聞で見ましても、粗惡品が出るということは非常に遺憾なことであると思います。これに對して根本的取締法としてどんなふうなことを講ぜられておられるか、ちよつとお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、先ほどの若松委員とまつたく御同感でございまして、バイヤーの方が日本の業者に對して非常に惡い印象をもつていかれたのじやないかと思うのですけれど、たとえばC、I、F、F、〇、Bとかというようなことを知らないで取引をしていたとか、そういうような物笑の種にならないように指導して、あるいは禮儀作法というような固苦しいことでなしに、外人とつき合う最小限度の禮儀ぐらいは、貿易廰でも皆さんと懇談の形でお話合いになつておく必要があるのじやないか今後再びやつてこられる外國のバイヤーに對しても、日本の人たちに惡いインプレツシヨンを與えないような特別な御考慮を煩わしたいと思います。
#38
○新井政府委員 お話の粗惡品の輸出の防止につきましては、非常に必要なことでありまして、今後日本の輸出を大いにやります上におきまして、國際信用を常に保持するということは不可欠のことでございまするので、この點に關しましては政府としては、新たにこれが取締りに關する法律の判定を願いまして、これによつて粗惡品を輸出しないように、徹底的に措置を講じてまいりたいと、かように存じておりまして、目下關係方面と御協議をいたしておるような次第であります。
 それから第二の、日本の業者に對するいろいろな禮儀、態度等につきましては、お話の通り、まつたくこれは必要なことでありますので、今後御趣旨に副うように措置をいたしてまいりたいと考えております。
#39
○唐木田委員 先ほどから熱心な一問一答を承つておりまして、私の感じたことは貿易廰とうい立場が非常にむずかしいものだと思います。まんざら役人氣質でいかず、さりとて商人になりきれず、非常にむずかしい立場だと思います。そこで問題は法文解釋のとかあるいはしちめんどくさいことを考えないで、あるいは立場が惡かつたならば、外務委員會というようなものに質問されるとかされないとか、言葉じりをつかまえられるということを考えないで、もつと大らかな、朗らかな氣持でそちらから呼びかけてこられて人民代表の名においてどんどんとこちらがお手傳いをしていく、協力していくという態勢をとつていくことが、非常に大事なことではないかと考えておる次第であります。この間も貿易組合法の廃止の問題について、私は商業委員としてこの席にまいりましたが、非常にものを申すにも言葉じりをつかまえられまいとするような奮體制を維持しておられる傾きが濃厚であります。私どもといたしましては決して他人の言葉じりをつかむのではなくしていかに法の趣旨を徹底し、日本を再建するかということが大切なのであります。こういう席においてもむしろそちらから積極的に、これは一體どうしたらよいか、もし意見があつたら承つてやりたいのだがというふうに、いわゆる人民代表の下から盛り上る力を百パーセント利用していければ、非常によいのではないかと考えて、こまごましたことは考えませんで、法の解釈その他のことにかたくななわれを去つて、もつと率直にざつくばらんにお話を願いたい、またこちらからもお話をしたいと考えますが、それに對して具体的なお考えがあれば承りたい。
#40
○新井政府委員 ただいまのお話はまつたくお言葉の通りであると思いますが、ただ一つ御了承を願いたいことは、先ほどもちよつとお話のありました點であります、私どもの立場は非常に關係の方面がたくさんございまして、いろいろ實情をそのままに申すと、日本の國にとつて非常に結果がうまくいかぬというふうな場合が多々ございますので、お話を申し上げることは一向おつくうがらぬのでありますが、その邊のお取扱いを十分適當に御了承を願いまして、その上でございましたならば、私どもとしては、もう何でも包みかくさずにお話申し上げるということは一向かまいませんのですが、ただ公開の席上においていろいろとざつくばらんに申し上げますと、非常に影響する方面が多々ございまして、せつかくうまくいく點がうまくまいらぬというふうなことも少くございませんので、その邊はひとつ事情御了承を願いたいと思います。
#41
○唐木田委員 そのお話はよくわかりますが、そういうときは速記をやめて懇談の形でも結構です。知らせなかつたり見せないとますます知りたがるという點が多々ございます。そういう點が今までのやり方とは違つたむしろ新しい角度から新しい努力をしたいと考えておりますから、その御心配は無用にして、大いに大らかな氣持でやつてもらいたいことを重ねてお願いいたします。
#42
○安東委員長 時間がまいりましたから本日はこれをもつて散會いたします。
    午後零時十五分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト