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1947/10/04 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第24号
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1947/10/04 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第24号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第24号
昭和二十二年十月四日(土曜日)
    午前十一時七分開議
 出席委員
   委員長 北村徳太郎君
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
 理事 梅林 時雄君 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 葉梨新五郎君 理事 吉川 久衛君
      赤松  勇君    川合 彰武君
      川島 金次君    河井 榮藏君
      佐藤觀次郎君    田中織之進君
      西村 榮一君    林  大作君
      松尾 トシ君    栗田 英男君
      中曽根康弘君    細川八十八君
      松田 正一君    江崎 真澄君
      島村 一郎君    鈴木 正文君
      苫米地英俊君    青木 孝義君
      井出一太郎君    石原  登君
      河口 陽一君
 出席政府委員
        大藏政務次官  小坂善太郎君
        大藏事務官   今井 一男君
        大藏事務官   石原 周夫君
        貿易廳長官   永井幸太郎君
        貿易廳次長   新井  茂君
 委員外の出席者
        專門調査員   圓地與四松君
        專門調査員   氏家  武君
    ―――――――――――――
十月二日
 廣島市及び長崎市の復興助成の請願(北村徳太
 郎君外七名紹介)(第七六七號)
 自給製鹽制度存續の請願外一件(山崎猛君紹
 介)(第七七五號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 貿易資金特別會計法の一部を改正する法律案(
 内閣提出)(第六一號)
 政府職員に對する一時手當の支給に關する法律
 案(内閣提出)(第六五號)
    ―――――――――――――
#2
○北村委員長 會議を開きます。
 貿易資金特別會計法の一部を改正する法律案について質疑を繼續いたします。青木君。
#3
○青木(孝)委員 簡單に、この間から質問になつている中で、ひとつ補足的に質問をいたしますが、新聞に發表されているところによりますと、この年度末くらいまでに為替レートが決定するような豫想が立つているということが畫かれてありました。これは事實であるかどうか。またこれの大體内容について御説明ができれば御説明を願いたいと思います。
 それから第二點は、この五十億圓を追加されている借入金のことでありますが、この貿易資金は一體今年の十二月末までの豫定の上に立つた五十億圓でありますか、それとも本年度いつぱいと申しますか、この豫算年度いつぱいの五十億圓ということでお考えになつているかという點、それからさらに本年度のこの貿易資金についての資金計畫を、できるだけ詳細に御説明願いたいと思います。
#4
○永井政府委員 初めの御質問の為替レートのことでありますが、年内にきめられるであろうという新聞の報道は、これは何とも御返事いたしかねます。ただいまの成行きを申し上げます。ただいま日本側におきましては、關係官廳竝びに日本銀行等におきまして資料を集めまして研究中であります。一方司令部の方におきましても、專門委員を設けまして、為替交換率の決定につきまして研究をしておりますので、日本側と司令部側との意見を、近々双方寄りましてまとめまして、それをワシントンへもつてまいりまして、向うと相談の上できまるということになつておりますので、われわれの希望としては年内にきめてもらいたいという希望をもつておるのでありますけれども、ワシントンとの關係がどうなりますか、わかりませんので、年末にきまるものとは申し上げかねます。どういうことに進んでおるか申しますと、ただいまのとろこでは、ドルの賣値を業者に示しまして商談を進めておるのでありますが、それは種々の不便がありますので、何らか交換率をきめる必要がある。では交換率はどうしてきめるかということでありますが、これは複數のレートにいたしますか、あるいは單一のレートを與えまして、それによつて不引合いのものと、引合うて餘りあるものとに對しまして、價格差を加えたり減したりするという方式でやろうという、二つの考え方があるのでありますけれども、この二つの考え方ともに根底的には異なるものではないのでありまして、つまり歸一するところは複數制になるわけであります。單一のレートを與えて上下の加減をやるということは、すなわち複數レートの數を無限と申しますか、たくさんにするということにすぎないのでありまして、根本は複數のレートということになります。この複數のレートはドイツにおきましていろいろ實驗しておるのでありますけれども、これも決して理想的の制度ではないのでありまして、ほんとうの為替レートができぬ以上はいろいろな不便を伴うのであります。こちらでその複數のレートをきめましても、ほんとうのレートがきめられない以上は、どうしてもそれに從う不利不便は免れないと思うのでありますけれども、ドイツの經驗にも鑑みまして、なるべくその不利不便を少くいたしまするために、第一にはレートとレートとの間隔の刻みをできるだけ少くして、多くのレートをこしらえて、レートとレートの間の適用の差によつて非常な不公平が起ることを、なるべく少くしたいという考えであります。それでは今でもドルの値段を指定して商賣ができておるのだが、何ゆえそのレートをきめることを急ぐかということにもなるのであります。これはやはりきめることによりまして、業者の商賣意識というものも奬勵することができます。また自分が一つの為替をもちまして、ドルの値段をはじき出すということにいたしますれば、なるべく多くのドルをかせごうというような意欲を業者に與えるというような利益もあります。あるいはまたその為替レートをきめましたならば、自分の商品は一ドルに對する為替のレートが非常に不利であるということは、自分のやつておる仕事が國際的に見て弱體であるということもわかります。あるいは自分のやつている仕事の原材料が、日本の物價體系のでこぼこから考えまして、不當に上り過ぎているというようなことも見出すこともできます。そういつた利益もあります。のみならず為替をこしらえますれば、貿易廳の役人が一一商賣の中へ介在いたしまして、いろいろな手數をかけるということを除きまして、業者に活發に働いてもらうということにも役立ちますので、できるだけ早くレートをきめたいと思つております。われわれの希望としては、せめて年内にはきめてもらいたいということは申しておりますが、ワシントンの關係がありますから、いつきまるかということはわかりません。為替レートの關係はさような状況であります。
 その次に、ただいま貿易資金借入限度の増額を御審議願つております五十億圓と申しますのは、九月と十月のさしずめの資金の手當でありまして、それ以後のことは、この次の議會で、さらに借入金の限度を殖やしてまいりますか、あるいは赤字と申しましてもこれは損失ではないのでありますが、資金の不足を追加豫算として繰入れてもらうかということが、大藏省の方、竝びに關係筋との協議をまとめつつあるのでありまするけれども、今囘この法律によつては、九、十月の不足を、借入金五十億圓の増加をお願いいたしましてやつていきたいと思います。その後の資金繰りにつきましては、ただいま資料をこしられておりますので、後ほどお目にかけます。二十二年度いつぱいと申しますか、この年度に對する資金のやりくりにつきましては、ただいま申しまする追加豫算に繰入れてもらうか、借入限度を増加するかということは、大藏省竝びに關係筋との話合いがまとまり次第、その資料をお目にかけて御承知を願いたいと思つております。
#5
○青木(孝)委員 ただいまの御説明によりますと、これは九月と十月だけの借入金だそうでありますが、そういたしますと、一體貿易關係の資金というものは、本年度においてはどのくらい必要なものであるかというようなことについての豫想は立たないのでございましようか。お立ちになつておるのならば、この點も承りたいのであります。何でも借入金というようなことで賄いをつけるということは、非常に仕事の上では便利であるかもしれませんが、それが豫算全體の上から見て、そういうことがいくらでも、どの方面でも、できるというようなことを考えることは、非常に間違いではないかと思います。さらに今日新聞に發表されております通貨の發行限度の制限をするというようなことについても、相當強く制限がされておるのでありますから、そういうことから考えましても、全體の豫算がわれわれの前にはまだ示されておらぬのであります。しかも貿易にはどうしても必要だ、こういうふうな強い主張から、われわれとしてはこれはやむを得ないという感じはかなりもつておるのであります。しかしそういうものがあらゆる方面から、これは重點であるとか、これは緊急なものであるとか、これは大切なものであるとかいうふうに、いろいろな方面からそういうものが出てくることを考えますと、十分貿易資金につきましても、われわれとしては資金計畫を承つておくということが、今後のために必要ではないかと思うのでありますから、九月と十月だけで、あとについてはまだ豫定がないのであるか、それとも大體豫定を立てておられるのであるか、本年度においてはどのくらいな費額が問題になつておるのであるか、そういうことをも併せてひとつ御説明ができるならば、していただきまいと思います。
#6
○永井政府委員 ただいまの御質問はごもつともと存じます。われわれの考えとしましては、ただその場その場の借入金でやつていこうということでなしに、貿易廳の理想といたしましては、輸出品の買入をいたしまして、手持商品をもつているという限度にのみ借入金を止めたいと原則で進みたいと思つているのであります。その他のことは借入金によつて、賄うことは邪道であると思いますので、つまり赤字繰入にまつべきものと考えておりますので、その方向へ進んでおります。それから今後の豫想をというお話でありますが、今せつかく關係方面と協議しておりますので、まだ輸入品の總額、到著の時期等がはつきりいたしませんので、はつきりしたことは申し上げかねますが、近々そのことは明らかに資料をもつて申し上げたいと思つております。そのあらましの金額は、大體われわれどもの頭にもあるのでありますけれども、さらに百億ないし百五十億の資金が年度内に不足になるという豫定であります。しかしこれも輸入品のはいつて來ます時期、その數量等によりまして、多少變化すると思います。そういうことを御承知願いたい。
#7
○青木(孝)委員 ただいまの御答辯で大體われわれは了解できるのでありますが、ただそういたしますと、永井さんの御説明を推測いたしますと、手持材料は九月、十月いつぱいくらいまでしかないのであつて、そのあとは輸入計畫については、何かここで御説明になるような材料がおありになるのですか。それとも何にも立つておらぬのでありますか。いかがでありますか。
#8
○永井政府委員 輸入計畫はむろん立つているのであります。あるいは立てた上でこういう豫想をいたしているのであります。百億ないし百五、六十億圓のなお不足ができるという豫想を立てております。それからこの五十億がただちに手持資材全部であるとは申し上げかねますので、すでに九億ほどまだ餘裕がありますから、四十億ほど借りておりますが、それなどを入れ、それからこの五十億を入れまして、その幾部分が手持資材になる。われわれの理想通りでいけば、百億の手持があれば、それだけの分を日本銀行から借りているということにもつていきたいと考えております。
#9
○林(大)委員 この貿易資金の資金繰りの説明書の中に、例の今まで輸入なさつたものの中で、農林省の配給物資として輸入品の中からお渡しになつて、内地の公定價格との差損を、貿易資金の中でお拂いになつた額が相當はいつていると私は思います。それはどこの項目にはいつておつて、どのくらいの金額になるものであるか承りたいのであります。
#10
○永井政府委員 その資料を整えておりますから、今手もとにそういう詳しい表をもつておりませんが、大體その資料をお見せいたすことにいたしたいと思います。
#11
○林(大)委員 大體において概算額はどのくらいに相なつておりますか。
#12
○永井政府委員 概算額はとりかたによつていろいろになりますが、官廳の帳簿の形式が少しく複雜になつておりますので、主食と肥料その他のものとの關係の項目が、はつきり區別しておりませんので、その區別したものを今こしらえておりますから……。ただいま經理局長を呼びます。資料が追つてまいりますから、それまでお待ちを願います。
#13
○林(大)委員 數字はしばらくおくといたしまして、一體貿易資金は貿易をスムースに進行するために設けられるのでございまして、この貿易資金は相當な數字に相なると私は思うのでありますが、國内の配給物資の差損金のためにどんどん繰われるということに相なりますと、貿易資金を設定した目的とは、やや違つた方向に貿易資金がどんどん使われる。從つて國内の價格差を埋める意味の貿易資金ということになりますと、それはまさに別な資金を――平衡資金というようなものを設けるべきものでございまして、貿易資金の中からそれをずるずる出されたのでは、いくら貿易資金を増額いたしましても、いわゆる貿易資金の目的を達し得ないと私は思うのであります。從つて價格差の補償金というものと貿易資金との區別を、はつきりとどこかでつけていただきたい。そしてまたどうしてつけるかという方法についての御意見を承りたいのであります。一體現在の資金繰りを見ましても、三十九億という赤字が十月末までにほとんど出てしまつたから、赤字を埋めるために五十億借りなければならぬという、膏藥張りのことをやつておられるのでありますが、この内容というものは實際の業者について調べてみますと、すでに貿易公團あたりを通じて押えに押えられた數字であつて、ほとんど拂うべきものも拂つていないようなものが多多あると思うのであります。こういう状態で、つまり貿易を振興さすためには、幾分そこに餘裕をもつて前貸をしていかなければ、貿易の振興にならない。特に商品代と諸掛り輸入費というものの比率が、昔よりも非常に諸掛りとか加工賃というものが増加しております今日といたしましては、ごらんの通り昭和二十一年四月から二十二年三月の表によりますと、加工賃及び諸掛りが貿易物資の買入金に對して四分の一以上の地位を占め、輸入諸掛りも六分の一以上を占めておる。それからまた二十二年四月から八月の表におきましては、加工賃、諸掛りが三分の一ないし四分の一というように、だんだん殖えておる状態が見られるのであります。そうするといわゆる貿易手形でもつて先に金を貸出されるのでありますが、あの手形の中にはおそらくこの諸掛りは、はいつていないのではないかと思うのであります。そうすると、ますますそれでもつて輸出關係の生産業者は資金に苦しめられるという状態が生じますから、その點十分、諸掛りまでも含んだものを、思い切つてここで貸していくような手段をとらなければ、いたずらに輸出振興を唱えましても、事實上金詰まりで動きがとれないという状態になると思うのであります。そういう點について、食糧の代金を拂うという意味におきましても、輸出振興はGHQの方でも非常に強く取上げられている今日でありますから、思い切つて大膽に、GHQに御懇請願つて、輸出關係の生産業者を今のようなことではとてもやれないという、金詰まりで動けないという、半分自暴自棄的な状態から早く救い出していただかなければ、とうてい日本の輸出振興はできないと思うのであります。その點についての見透しと、御處置について承りたいのであります。
#14
○永井政府委員 お答えいたします。今御指摘の通り、貿易資金をもつて輸入食糧の價格操作をしたような結果になつております。これは制度としては非常に好ましからぬ制度と思いますが、終戰後の早々の場合に立てられました方式をそのまま踏襲してきておつたものでありますから、ずるずるとこういう巨額に達することになつたのであります。數箇月以前よりこういうことをしては困る。大體日本は輸入超過になつているのであるから、貿易廳の建前では金がむしろ餘るようにならねばならぬのだ。どういうことになつているかというので、いろいろお話合いを重ねておつたのであります。ところが、御承知のように、前の議會が早く解散されましてこれが持出される機會がなく、今度の議會が始りましてからも御承知のように休會がありましたりして延びまして、これはもういの一番にこの法案を取上げていただくつもりでおりましたのが、今日に至つたというようなことで、非常に後れたのであります。どうしても建前といたしましては、食糧を安く得るということでは、食糧管理局とか農林省の窓口でやるべきものでありまして、貿易資金でこれを賄うということは、非常に間違つた制度だと思つておりますが、ただいま申し上げましたように、終戰後のどさくさまぎれにこしらえた方式を今まで踏襲しておつたような次第でありまして、それを早く切替えようという努力も、今申しましたようないろいろな事情でこれまで延びたのであります。ただいま大藏省ともいろいろ相談いたしまして、輸入品に對して一つの為替レートをきめまして、それによつて農林省へ賣渡すということにして、一つの社會政策的なことを貿易資金でやるということは、違つた窓口であるので、これを直してまいりたい。のみならず、今御指摘になりましたように、貿易資金がそういつた方面に使われておるがために、貿易資金に不足を來して、輸出業者に迷惑をかけるというようなことは非常に困つたことなので、早く訂正するように今頻りに折衝しておりますので、このことは早く訂正をいたしたいと思つております。
 それから諸掛りその他のことも業者に迷惑をかけないように早く拂えということであります。そのことも非常に心がけております。今申しましたように、この法案も早く出して審議していただきたかつたのが非常に後れたものですから、それだけまた業者にも非常に迷惑をかけておるような結果になつておつて、はなはだ殘念であります。しかしこの諸掛りなり加工賃につきましては、商品代と同じように、貿易手形を出してもらうことを、今日本銀行とも話をしておりますので、できるだけ迷惑のかからぬようにいたしたいと思つております。
#15
○林(大)委員 貿易資金の特別會計法の中で、これを價格差補助金に使つていいという條項がどこにあるか、それを御指摘願いたいことが一つ、それから大藏省にお尋ねいたしますが、大體貿易資金特別會計法をつくれば、それは豫算の足りないところは、貿易資金を食つてしまつて、豫算を埋めていく、復金をつくると復金の中を食つて、そして豫算の足りないところを埋めていくというように、豫算面で辻褄を合わせて、ほかの特別法の中の餘裕を、あつちもこつちも食いちらしていくというような、表面はなはだぐあいよく辻褄を合わせて、方々いじめていくようなやり方をやつておられるのでありますが、これははなはだおもしろくないと思います。それで大藏省として貿易資金から價格差の補償金を出すことをやめるということを、ここで言明していただいたら、はなはだ結構であると思います。
 次に、政府は貿易為替に關係して為替平衡資金というようなものを設定になる心組み、もしくは研究をなさつておられるかどうか、承りたいのであります。今貿易資金を食つたところの價格差差損金は、いわばこれは為替の平衡資金をもつて充てるべきものでありまして、貿易の方を食うものでなくして、為替の平衡資金としてプラスになるものをそこに立て、マイナスになるものをその中から出していくような方法をとらなければならないと思います。そういういき方についての將來の御決心をここで承りたいのであります。
#16
○小坂政府委員 ただいまいろいろお話がございましたが、貿易資金特別會計というものが、むしろ國内生産の價格調整的な機能を營んでおるという點が、本來の目的を逸脱しておるのではないかという點が伺われたのであります。これは私もまことに同感であります。この點につきましては、價格調整機能というものは、なるたけ生産の場に近いところで營まれるほど、それが效率的な運營方法であると思いますので、貿易というような、生産の場から遠い窓口でこれを調整することは、適當なことでないという考えをもつております。この點に對しましては、いろいろと關係方面と交渉いたすような考えをもつておるのであります。それで、御指摘の、どこにそういうことが書いてあるかという點でありますが、これは私今法案を持ち合わせませんので、貿易廳長官からお答え願いたいと思います。
 大藏省に關する御質問の第一點で、價格差の補償金をやめることを言明しろという點であつたのでありますが、これはただいま一般的の問題としてお答え申し上げましたように、そういう方向に向つて考えなくてはいかぬと考えておるという程度で、ひとつ御了承願いたいのであります。もちろんこれには一定の時日をお貸し願えれば、はつきりした言明もできるかと私は考えます。
 第二點の為替平衡資金をつくるという問題でありますが、これは為替平衡資金というようなものは、為替が決定いたします場合に、これが一本になりますれば、これに對する平衡資金というものは考えられるのでありましようが、私はこの委員會で累次申し上げておりますように、今非常に國内經濟の凹凸の状態がひどいのであります。これがある程度の段階に達しますまでは、むりにこれを一本に抑えていくことが、必ずしも國内生産を振興して國家を再建する上に、適當ではないのではないかと思われる點が多いのでありますから、いろいろ交換比率が複數的なものになるようなことが、考えられるのじやないかというように思つておるのであります。その複數的なものに對して為替平衡資金をというものを考えることは、ちつとどうであるか。ただいまのところは考えてはおらないわけであります。大體御質問の點はこの二點だつたように思います。
#17
○永井政府委員 ただいま主食その他について、その價格の差を貿易資金で賄うということを、法律に規定してあるかというお尋ねでありまするけれども、法律には、貿易資金の支出は輸出品の買上げ代金、收入は輸入品の賣拂い代金をもつてするということの規定があるのであります。そこで問題は輸入物資の賣渡しの値段のきめ方ということに歸着するのでありますが、その輸入物資の賣渡しのきめ方は、貿易廳と農林省との話合いによりましてさように定めたのであります。
#18
○林(大)委員 ただいまの御説明によりますると、為替の平衡資金をつくらないとおつしやいまするが、為替平衡資金の方がつくられないのであるならば、少くともこの輸出入物資の價格差平衡資金というものをおつくりになる必要が、私はあると思うのであります。何もこの輸入するもので損をするものだけを拂つていくだけの必要はないのであつて、輸入するもので、内地の統制價格との間で、相當私は利益を得る品物もあると思うのであります。ですからそういつたものがあつたら、それをどんどんと平衡資金の中に基金として入れておいて、その基金の中から今度はマイナスになる部分を拂つていくということにして、大體一年の計畫を立てて、プラスとマイナスをゼロにしていくような方向にこの問題を解決するならば、必ずしもこの貿易資金を食つたりなどをしなくても、もつときれいに片づき得るものであると思うのであります。この際為替平衡資金ができないならば、輸出入價格差の平衡資金というようなものを、ぜひおつくり願いたい。またおつくりになるようなお氣持があるかどうか承りたいと思います。
 次に大藏次官は、盛んに複數為替の制度をやつていくということを言うておられまするが、これは貿易を實際にやるものにとりましては、複數為替制度は、これはなはだよくないのであります。實際に經驗した者はだれしも氣づくことでありまして、これは前に支那との貿易において、上海における大藏省の駐在財務官が、窓口で筆先一本で勝手な為替を出して、そうしてずいぶん亂暴な貿易をしたことは御承知の通りであります。ああいうことをこの際大事なときにあたつて、あくまで複數制でいくのだという方向で、今の貿易をもつていかれることは、貿易業者の業務の實際と少し遠いものでございまして、貿易をほんとうに振興さそう。そうして國際物資水準に日本の物價水準をもつていこうというためには、どうしても單一の為替をなるべく早くつくられるように、できるだけの努力をしていただきたいのであります。その點について、ひとつ大藏省の方の御意見と、貿易廳の方の御意見とはつきりここで承つておきたいのであります。
#19
○小坂政府委員 私が、貿易をなします場合に、コンヴアーシヨン・レートと言いますか、交換比率をさしあたり、ただちに一本にすることは、なかなかめんどうな問題があるということを申し上げましたことが、私が為替レートを複數でやるということを主張しているのだというふうに、取違えられておるのじやないかと思うのであります。私といたしましても、もちろん為替は一本でなければならぬと思います。ただそれを一本にもつていく方法といたしまして、できるだけ類似的な生産の品目を、それもできるだけ少いグループにわけまして、機會を見てはそのグループの數を少くして一本にもつていくことが不難である。いやしくも為替相場、為替レートというものは、一本でなければならぬという考えをもつて、申し上げているわけであります。ただ御指摘がありましたように、ある官吏が勝手に為替レートをきめるということになつては、これはたんへんなゆゆしき問題であります。そういうことは絶對にありませんように、考えなければならぬというふうに思つております。
 それから先ほどの法案に規定してある點についての御質疑でありますが、ちようど主計局の法規課長がまいりましたから、法規課長からお答え申し上げまして、併せてあとで貿易廳長官からお答えいたします。
#20
○石原政府委員 今の特別會計法におきまして、價格調整機能を營むような法規に相なつておるかというお尋ねであつたように思いますが、貿易特別會計法の中にまじつておる明らかな文字をもちまして、價格調整機能を營むのだということはありません。これはこの前の委員會のときにちよつと申し上げたと思いますが、現在の貿易特別會計法に、損益の規定が四條と七條にあるわけであります。この中の四條をごらん願いますと、貿易資金の運用によつて生じました損益につきましては、貿易資金特別會計の歳入歳出をもつて調整をいたすということが書いてあります。それ以外の支出でありますところの貿易廳の人件費、事務費、借入金の利子、預入金の利子というものをにらみ合わせまして、第七條の方に一般會計との間の調整をいたすということが書いてあるのであります。從いまして御議論になつておりますような價格調整の内容を、この一般會計との調整、それから資金の運用損失というものと、支出の點との二重の調節機能を經まして、調整をいたすことができる仕組になつておるというふうに御理解願いたい。正面から申しまして今の法律の趣旨が、價格調整を出資の前提として考えておるということは、必ずしもないのであります。現在でき上つております技術的な動きは、そういうものができるようなことになつておるというふうに、御了解願いたいと思います。
#21
○永井政府委員 複數レートのことでございますが、御指摘のように、複數レートというものは、いろいろな不便をもつております。これはごく臨時的な弥縫策にすぎないのであります。御説の通り一本のレートができれば非常にいいのでありますけれども、わが國の現状――こういうふうな非常な物價體係がでこぼこになつておりますので、一本にいたしましては、とうてい引合わない仕事がたくさんできるというようなことがありまするから、今少しくこの調子が、足並がそろいますまで、やはり複數レートにしてやつていきまして、だんだんと單一レートへ乘せていくということでなければ、ただちに單一のレートで貿易を始めるということは、まつたくむずかしいことと思うのであります。ただ今おつしやいますこの複數制度の變形である一本のレートをこしらえまして價格差をやるということは、これはその方が理論的には正確にいくのでありますけれども、取扱い上非常に複雜でありますので、やはり小刻みの段階と段階との間の、問隔の少い複數レートをやつていけば、その間の不便、不公平が幾分輕減できるかと思います。今の凹凸のはげしい日本の物價體係から見まして、やはり複數レートでやつていきまして、漸次單一レートへ歸著するようにもつていくというように、ドルに對して非常に圓の多い不利なるものは、だんだんと企業整備をし、あるいは生産コストを低め、だんだんと圧縮するというふうに、業界においても努力するということに努めまして、だんだんと單一のレートへ乘せるということより方法がないかと思うのであります。その意味におきまして、貿易廳としましても、ごく小刻みの複數レートをこしらえるということが一番いいのではないかと考えております。
#22
○林(大)委員 一つだけ、先ほどの輸出入價格差の平衡資金に對する御意見を承つて私の質問を終ります。
#23
○新井政府委員 お尋ねの輸出入の調整資金を設けてはどうかという點でございまするが、これはお話のような考え方もできまするが、ただいままで御説明申し上げました通り、現在貿易資金が一番赤字を生じておりまするおもな理由は、大部分が食糧價格の問題に歸著しております。從いましてそれをどこの會計において負擔するかという問題になるか思いますが、この點に關しましては御趣旨のことも十分考慮に入れまして、關係方面と折衝して今後この赤字をどういうふうにして出ないようにするかという問題の解決に當りまして、十分考慮に入れて研究したいと思います。
#24
○中崎委員 議事進行ですが、本日は時間も大分進んでおります。この後においてもなお審議する事項もありますので、質疑はなるべく要約して整理してやりますように、委員長から御注意を願います。
#25
○北村委員長 ただいま中崎君の御發言、ごもつともでありますが、これは相當に今まで論議もやつてまいりまして、實はできれば、きようは討論にはいりたいというようなことを、理事會においても申し合わせておつたのであります。そういう趣旨でございますから、なるべく簡潔に御質疑を願いたいと思います。きようこれを上げることにいたしたい、こういう希望をもつております。
#26
○石原(登)委員 實はお尋ねいたしたいことはたくさんあるのでありますが、ただいまの御發言もございますので、私も簡單に要點だけを御尋ね申し上げます。御答辯も簡單で結構であります。貿易の實際の運營において、貿易廳と貿易公團、竝びに一般貿易業者が果しつつある役割について御説明願いたいと思います。
#27
○永井政府委員 貿易廳は對外關係の輸出入の契約に至るまでのことをいたします。その契約ができましたならば、ただちにその契約の實行を貿易公團に命じまして、貿易公團はその傘下にありまする業者に、あるいは集荷を命じましたり、荷渡、荷受、配給、運送等をやらせます。それからその買入物資及び賣下物資の支拂及び入金ということを公團にやらせます。要するに公團は從來ありました輸出入のいろいろな統制組合の仕事四つを公團にまとめたということで、業者の活動範圍が從來よりもやや擴がつておるということになります。
#28
○石原(登)委員 時間がないので詳しいことは申し上げませんが、實は貿易廳と一般業者との間に公團が介在しており、實際の業務運營において非常に不便であるというようなことを、私ちよつとした業務のことに關係いたしまして、感を深うしたのでありますが、この點については具體的の事實をあげて申し上げることを、時間の關係上差控えまして、當局として一應御研究を願つておきたいと思います。なおこれは後日私的の立場からでも出てまいりまして、實情を申し上げたいと思います。
 それから、いただきました貿易資金の九、十月の運營について、九月のものはもうすでに濟んだものであろうと思ますが、十月の資金繰りの表が非常に詳細にわたつております。輸出物資の買上げというようなものは、すでにもう決定して、買上げてある、ただ金を拂つてないだけだ、こういうような程度までいつておるものであるかどうか、それをひとつ伺いたいと思います。
#29
○永井政府委員 十月の物資買上げの豫算の中には、すでに契約に從いまして目下のところ買取つて、引受けたのもありましようし、今後十月の末までに拂わなければならぬことになるものと、兩方含んでおります。
#30
○北村委員長 石原君、まだ長いですか。
#31
○石原(登)委員 私はこの前ちよつと何しただけで、全然まだ……
#32
○北村委員長 御發言むろんよいのですが、委員長から申し上げます。實は前會に討論にはいるはずだつたのです。ところが少し行違いができて、討論の打合せができなかつたところが一つ二つあつたのて、そのために、本日はただちに討論にはいりたいと思つたのでありますけれども、折角御發言があつたので、今まで委員長は少々手加減をしておつたようなわけでありますから、なるべく簡潔に願います。
#33
○石原(登)委員 簡潔にやりますが、私はこの前も質問の途中において打切られて、非常に不愉快で、出てくるのもよそうかと考えておつのでありますが、それではあと一、二點お尋ねいたします。さつき青木委員からの質問に對して、今後本年度における貿易資金をどのくらいに見るかということについて、百五十億程度、こういふお話があつたようであります。この表によりますと、大體月に四十億くらい、あるいは四十五億くらいについているやうですが、その割から言つても、今後五箇月間に百五十億圓見當では、てんで足りないのではないか、さらに今後の貿易の振興にはもつと大きく開いていくものだと考えておりますので、長官が言われた百五十億というのは、どういう根據において考えられたか、この表によつても百五十億そこらでは足りないのではないかと考えるのでありますが、その根據を簡單に伺いたいと思います。
#34
○永井政府委員 必ずしも月割の不足額が平均にくるわけではありませんので、たとえば輸入物資のように、大體十月頃に山が見えてしまいまして、そういつた諸掛りとか、あるいはそれからくる不足金とかいうものがなくなりますので、平均にまいりません。
#35
○石原(登)委員 それから貿易資金が一囘轉して歸つてまいりますまでの大體の期間を、どのくらいにみていらつしやいますか。
#36
○永井政府委員 輸入物資については以前は非常に囘收が遲かつたのでありますが、せいぜい囘收を早くいたしましたので、二箇月くらいで入金することになつております。輸出の方はとにかく囘轉ということがないのでありまして、拂う一方で、向うでドルが溜るといふことになつておりますから御承知を願います。
#37
○青木(孝)委員 私は一點だけお伺いいたしたいと思います。先ほどの御説明を要約いたしますると、大體今年度は百五十億乃至百六十億くらい必要だ、こういう結論になると存じますが、しかしここで貿易資金特別會計法の一部の改正におきまして五十億圓を百億圓とする、こういうことはただちにまた今年度末までには、さらにこの法律をも改正しなければならぬということになりはしないかという懸念があるのであります。この點についてお答えを願いたいと思います。
#38
○永井政府委員 それは今申します通り、借入限度の擴張の改正をお願いするか、あるいは一般、特別會計の追加豫算に繰入れて始末をしてもらうかということが、まだ關係方面との打合せもついておりませんので、今申します通り理想といたしましては、貿易廳のもつておりまする商品の手持高を、大體借入金で賄うという程度にいたしたいと思つております。從つて貿易廳がもちまする商品の手持が殖えますれば、また殖やしてもらわねばならぬということで、實體が動いておりますので、さよう御承知を願いたいと思います。
#39
○中崎委員 議事進行に關して……。本法は相當實施を急いでおられるような事情もあるようでありますから、この程度で質問を打切つて、討論を省略してただちに採決に入られんことを望みます。
#40
○北村委員長 ただいまは中崎君から討論を用いずにただちに採決という動議が出ているのであります。從つてこの程度で質疑を終了してはどうか、これは各理事會においてこの前にただちに討論にはいるということを一應きめたのでありまするけれども、一部でまだ黨議におかけになつておらないところがあつた。その點きようはおかけになつているようでありますから、お差方えなければ討論に入りたいと思います。その前に御協議があれば一時休憩いたしたいと思います。なおただちに開くことができると思いますから席を離れずに願います。暫時休憩いたします。
    午後零時四分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後零時四十五分開議
#41
○北村委員長 休憩前に引續き會議を開きます。
 貿易資金特別會計法の一部を改正する法律案につきましては、討論を次會にまで延ばしたいと思います。月曜日午後一時より開きますからさよう御承知を願いたいと思います。
#42
○吉川(久)委員 政府職員に對する一時手當の支給に關する法律案について動議を提出したいと思います。前會の委員會において勞働委員會との連合審査を行うか、公聽會形式か、證人申請の形式によつて、關係方面の意見を徴するかというようなことを、理事會に一任するというように一應きめたのでありますが、連合審査の方は、勞働委員會の方で財政金融の委員會の方へ一任するということでありますから、これはやめてよろしいが、問題が非常に急を要する事柄でありますので、公聽會もやめて、證人申請の方式によつて、速やかに御決定をお願いいたしたい。證認申請の證人の範圍及び手續につきましては、委員長に一任したいと思いますが、皆樣の御贊成をお願いしたいと思います。
#43
○北村委員長 吉川君の動議に御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○北村委員長 御異議がないようでありますから、それでは委員長において取計らうことに決定いたいます。
 本日はこれにて散會いたします。
   午後零時四十七分散會
ソース: 国立国会図書館
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