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1947/10/11 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第28号
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1947/10/11 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第28号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第28号
昭和二十二年十月十一日(土曜日)
    午前十時四十五分開議
 出席委員
   委員長 北村徳太郎君
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
   理事 梅林 時雄君 理事 葉梨新五郎君
   理事 吉川 久衛君
      川合 彰武君    川島 金次君
      河井 榮藏君    佐藤觀次郎君
      田中織之進君    西村 榮一君
      林  大作君    松尾 トシ君
      中曽根康弘君    細川八十八君
      松田 正一君    青木 孝義君
      泉山 三六君    江崎 真澄君
      島村 一郎君    苫米地英俊君
      宮幡  靖君   山口喜久一郎君
      井出一太郎君    内藤 友明君
      石原  登君    相馬 助治君
 出席國務大臣
        國 務 大 臣 和田 博雄君
 出席政府委員
        總理廳事務官  渡邊喜久造君
        經濟安定本部財
        政金融局長   佐多 忠隆君
 委員外の出席者
        專門調査員   圓地與四松君
        專門調査員   氏家  武君
    ―――――――――――――
十月九日
 經濟力集中排除法案(内閣提出)(第六八號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 通貨發行審議會法案(内閣提出)(第六九號)
    ―――――――――――――
#2
○北村委員長 會議を開きます。
 通貨發行審議會法案について、これを議題に供し、ただいまから政府の説明を求めます。和田國務大臣。
    ―――――――――――――
#3
○和田國務大臣 ただいま議題になりました通貨發行審議會法案につきまして、提案の理由を説明申し上げます。
 申すまでもなく、通貨の過度な増發は、物價の騰貴、ひいては生産画動及び國民生活の實態にきわめて重大な影響を及ぼすものでございますから、通貨對策といたしましては、この點は最も愼重でなければならないと存じます。
 通貨の増發を抑制しますためには、政府といたしましては、放出された通貨吸收の一方策として目下展開されておりまする貯蓄増強運動の成果に、多大の期待をかけておりますことはもちろんでございますが、財政資金及び産業資金の放出面におきましても、これを可及的に抑制することが肝要であります。そのために、財政につきましてはその健全化、收支の均衡に極力努力いたしております。また事業資金につきましては、通貨の増發を抑制しつつ、なお重要産業には極力資金を供給する趣旨から、融資規則の實施によりまして、金融機關の運用資金は、原則として市中より吸收した蓄積資金の範圍内に限定いたし、日本銀行からの借入依存の傾向を排しまするとともに、不急産業に對する資金の貸付は極力これを抑制し、重要産業資金の供給を重點的に行つているのでございます。
 このように通貨の過度の膨脹を抑止しますためには、財政金融政策をこれに即應せしめることは當然でございますが、他面通貨の發行自體につきましてもその規正をはかり、その發行量をわが國現在の經濟的諸情勢に適合したものたらしめる必要があるのでありまして、兩々相まちまして適切な施策を講じ、もつて現下のインフレーシヨンの高進を阻止し、經濟再建を速やかならしめたいと考えております。
 これがために政府におきましては、さきに昭和二十二年法律第四十六號をもつて、日本銀行法の一部を改正する等の法律を制定いたし、通貨發行審議會をして、通貨の發行限度等通貨量の適正な規制に參與せしめることといたしたのでありますが、今般同審議會の組織、權限に關し規定を設けるために、通貨發行審議會法案を提案することと相なつておるのてございます。なお從來は、通貨發行審議會その他これに類似しまする委員會等の官制は、勅令または政令をもつて定められていたのでありますが、新憲法のもとにおきましては、特にその官制を法律によつて定める必要があると認められますので、ここに法律案といたしまして通貨發行審議會法案を提案いたした次第でございます。
 以下本法案について、その内容のおもなる點を箇單に御説明申し上げます。
 まず第一に、通貨發行審議會は、日本銀行法の規定によつてその權限に屬された事項、すなわち日本銀行券の發行限度の決定、三十日を超える日本銀行券の限外發行の決定、限外發行の日本銀行券の發行税の最低割合の決定、及び日本銀行券發行保證物件の充當限度の決定につき議決を行うのでありますが、これらはすべて廣く全般的な經濟情勢に照らし、またあまねく各界の聲を聞くことによつて財政、金融、經濟を通ずる最も總合的な見地からなす必要があり、さらにまた財政、金融、經濟のきわめて重要な問題と考えられますので、内閣總理大臣の所轄に屬せしめたのであります。
 第二に、通貨量を適正に規制するには、これと竝んで現在通貨増發の原因をなしている財政、金融、經濟に關する諸施策を檢討する必要があると考えられますので、特に通貨金融政策の基本に關する事項については、これを審議の上内閣總理大臣に建議することができるものといたしました。
 第三に通貨發行審議會の組織でありますが、この點についてはただいま申し上げましたように、通貨の規制を最も總合的な見地より行う必要があり、まだ事柄がきわめて重要でありますので、内閣總理大臣を會長といたし、金融界を代表するもの四人、産業界を代表する者三人、その他學識經驗者三人、都合十人の民間人を委員に選定して、内閣總理大臣がこれを命じ、さらに、職務上の當然の委員として大藏大臣、經濟安定本部總務長官たる國務大臣、日本銀行總裁の三人を加え、民間、政府、發券銀行當局を通ずる十三人の委員によつて組織することといたしました。なお民間委員の選定にあたつては、特定の地域における利益の代表に偏しないように、特にこれを法文に明記し、またその任期は、二年とし半數ずつ交代させる趣旨で、法律施行後最初に任命される委員に限り、その半數については任期を一年といたしたのであります。
 以上申し述べましたごとくただいま上程せられました通貨發行審議會法案は、現下の金融情勢の推移に鑑み、日本銀行券發行の適正を期するため必要なものでありますから、何とぞ御審議の上、速やかに御賛成あらんことを切望いたす次第であります。
#4
○西村(榮)委員 ただいまの和田さんの御説明で大體了承いたしましたが、わからぬ點について二、三御質問申し上げたいと思うのであります。ただいまの御説明によりますると、通貨發行の關連する財政金融その他についての諸施設の檢討を本審議會はなすというのでありますが、それと國會とはどういうふうな關連になるか。内閣に對する諸施設は、國會が國民の委託においてなすにかかわらず、それ以外に審議會を設けられるという理由の御説明を願いたいと思います。
#5
○和田國務大臣 國會は御承知のように立法府でありまして、そこで財政、金融等に關しまするいろいろの事柄を御審議願いますことは、これはもちろん當然でありますが、この通貨發行審議會は、これはおもなる任務は最初に申し述べましたように、銀行法の改正によりまして、その權限に屬させた事項をここにおいていろいろと審議をいたすのでありまするが、しかしそれらの事柄をやるにいたしましても、通貨増發の原因となつておりまするいろいろの財政、金融上に關する事柄につきましての檢討をも、やはりそこで當然やつていくことにもなりましようしいたしますので、それらの點につきましてもここに集まつておりまする民間、財界及び學識經驗者等の十分なる意見を聽きまして、ただそれを内閣の方へ建議する權能を與えまして、内閣の方に建議してもらうというようにいたしたのでありまして、これは國會の職權を別に侵すものでも何でもないのでありまして、一種の諮問機關と言いますか、建議機關といつたようなものになろうかと思うのであります。
#6
○西村(榮)委員 日本銀行の發行券の保證充當物件の基準をどこに求められるのか。
#7
○佐多政府委員 日本銀行券發行保證限度の決定方針をどうするかという御質問でございますが、日本銀行の發行保證の充當限度を定めます輪廓は、日本銀行法第三十二條第五項の規定によりまして、主務大臣の認可を受けた保證價額によるものといたしまして、第一、商業手形、銀行引受手形、その他の手形。二、一般貸付金及び政府貸上金。三、國債。四、法第二十條第五號の規定により主務大臣の認可を受けた債券。五、法第三十二條第四項の規定により主務大臣の認可を受けた有價證券及び債券の各項目に從つて定めるのでありますが、充當限度は、原則としまして右の區分による各保證物件の一定期日における保有高に、當日以後發行限度決定の基礎となりました豫定期間中の各保證物件の増加見込額を加算しました金額を基準として、決定いたすことになると思います。但し事情やむを得ないと認められる場合には、保證物件の充當限度につきましては、一定の項目ごとに、それぞれの充當限度の合計額が増加しない限度で、充當限度を増減することを認めるというふうに考えられると思いますが、これらの問題については、通貨發行審議會で十分御審議願つて御決定を願いたいと思つております。
#8
○西村(榮)委員 ただいま政府委員より日本銀行法について御説明がありましたが、その法制を文字通りに解釋いたしてまいりますると、通貨發行審議會設置の必要はきわめて稀薄になつてくるのであります。しかしそれは意見は時間の節約上別といたしまして、安定本部長官に御質問申し上げたいのですが、かりにそういうふうな日本銀行法に基いて通貨發行限度を定めるといたしまするならば、目前において豫算その他をにらみ上わせまして、大體どの程度に、通貨發行量というものをこの審議會が取上げてやつていくものか、大體それは審議會ができてから後の自主的な決定だと言われるかもしれませんが、政府におかれては、そういうふうな方面についてはどの程度の――今の諸情勢をにらみ合わせてみて、日銀の機能と日本の經濟能力を考えてみて、あるいは追加豫算を考えてみて、通貨の發行量が大體どの程度の限度において定めたいと考えられているか、その點を承りたいと思います。
#9
○和田國務大臣 その點はまだ追加豫算が明瞭になつておりませんので明確なことは申し上げられませんし、そういう問題をこの通貨發行審議會で、それらの點を勘案して實はきめていただきたい、こう思つているのであります。
#10
○西村(榮)委員 私は今の追加豫算がまだ決定もされないし、それから充當物件の法制に對する整備も行われていない現在において、通貨發行審議會というものを設けて發行限度をきめるということよりも、むしろ通貨の安定に對して政府は全力をあげるべきではないか、もしもかりに巷間傳えるごとく、この年末において追加豫算と現在の状態とをにらみ合わせてみて、一體この法律が通過いたしまして、通貨發行審議會が千九百億圓ないし千九百五十億圓をもつて、普通の通貨の發行の最高限度とかりにきめたといたしますならば、もしも日本の諸情勢がそれを突破するの状態を招來したときに、それを審議會がきめるときには、きめるだけの相當の理論的な根據を國民に示さなければならぬ。そうしてこれを食い止めるべく必死の努力をしなければならないが、しかしそれが不可能であつて、この限度を超えなければならない情勢が生れてきたときには、國民の通貨に對するところの信頼感は稀薄になるのではないか。私が思うところは、今通貨發行審議會というふうな機關を設くるよりも、むしろ通貨の安定策に對して全力を傾注すべきではないか。特に現在の状態においては、會期二箇月にして、本臨時國會の主要題目であるところの追加豫算も決定されていないという状態は、通貨發行限度を定めるところの經濟的、政治的な基盤がまだ確立していないという見解を私はとつているのであります。これはちようど物價と賃金の新價格體系を一應プランの上においては確立いたしましたが、それは未だ實際において實がみのつていないところに、今日の經濟的な苦悶がある。私は通貨の發行の限度を定めるということの方律を布く前に、通貨を安定せしむることに全力を注ぐ、その前提として安定への經濟的、政治的な基盤を確立するということの方が先ではないか、こう思うのでありますが、安本長官の御意見はどうですか。
#11
○和田國務大臣 お話のように通貨の量を適正に規制するということと同時に、通貨の安定自體に對する政策、またそれに對する努力が必要であることは、これはお話の通りだろうと思います。從いまして今まで追加豫算がはなはだ延びておりますのは、やはり通貨の安定の見地から申しまして、何と申しましてもこれは財政がもつ意味が非常に大きいのであります。そこでわれわれといたしましては、追加豫算において健全財政という一つの方針を確立いたしましたがゆえに、その建前に立ちまして追加豫算に關するいろいろな折衝をいたしまして、そうしてこの面から通貨の安定に對する動揺が參つてくることを極力避けたいという努力を、ただいまいたしておるわけであります。また一面からは貯蓄増強運動本部の方々、國會の皆樣方の御協力を得まして、貯蓄の増強運動というものについても非常な努力を拂つてきておるわけであります。それと同時にお配のように賃金と物價の悪循環を斷ち切りますために政府といたしましては種々を政策を今までやつてきました。しかしそれもすべてがすべて、この際うまく實を結んでおるとは言いませんが、しかしいろいろな面におきまして、政府といたしましては通貨安定に對する實質面の努力をいたしてきておるのであります。ただこの通貨發行審議會といいますものは東京ならばもつと早くこれが置かれまして、そうして政府の、通貨の價値安定のための大きな努力の一環として、もうほんとうならば働いておつてもらいたいぐらいであつたのであります。また人達等につきましてもすでに濟んでおつたのでありますが、各種の事情がございまして實は今まで遲れまして、法律案としてここに出すことになつたわけであります。お話のように通貨の安定自體に對する努力が久要であることは、これはまつたく御同感でありまして、それらについての努力を政府といたしましては今もやつておりますが、なお今後もやつていきたいと思うのであります。そういう内面的な努力をいたしますと同時に、それに條件というものができましたときにも將來の問題として日本のその當時のその條件というものを基礎にして、どの程度に一體通貨の發行量を規制いなければならないかという一つの目安はそこにあるわけでございますから、通貨の發行自體についての規正ということも、經濟が刻々變化はいたしておりますが、また發展はいたしておりますが、その過程におきましても必要な事柄でございますので、ここに通貨發行審議會の方案を、法案として出しまして御審議を願うことにいたしたのであります。
#12
○西村(榮)委員 通貨發行審議會というものが、金融調査會で答申されたのは三月ごろだと私は記憶しておるのですが、そのときの答申の内容は、これは臨時的な處置であつて、法律にはよらないということで、しかも主要な點は、臨時的な處置であるということは、當時の豫算案とにらみ合わせまして、通貨發行限度をその程度で食い縛つていこうという、政治的な一つの含みと機能をもつて、至急設置されたいという答申が、金融制度調會委員會においてなされたと思うのであります。今和田長官の御説明にありましたが、物價と賃金の新價格體系が現内閣において取上げられて、これを必死に守ろうとしておるし、流通秩序を確立するということもまた政府の主要の任務になつておる際に、すでに時期が少し遲れておるこの法律を提案するよりも、むしろ私はさつき申し上げましたように、通貨の安定施設に對して、政府は何らかの工作を講ぜられる必要があるのではないかと思う。申し上げるまでもなく、いくら日本銀行法を改正されましても、それによつて通貨の發行の限度というものは定められないし、また定めてもそれは守り得ないのでありまして、これはすべてからく日本の將來の生産界の問題、海外からの輸入物資の問題、いわゆる物動計畫とにらみ合わせ、しかも政治的にも、經濟的にも、この通貨を安定せしむる基盤というものを、政治が確立いたしましてから、おのずと通貨の發行限度というものがきまつてきくる。だからすでに三月答申されたものも、しかもその目的とするところが去つておる今日において、一番恐れるものは、この法律をつくりますならば、委員會を招集して、日本の通貨の發行限度というものはこの邊にあるという發行限度を、一應定めなければならぬが、それが崩れたときに賃金と物價の均衡の破壞から、新價格體系の崩壞から、同時にそこに危險がくる。それよりもまず第一に通貨の安定策に對して全力を注ぐべきではないか。これを考えますと、私は自分の質問と意見を結論として言えば、以上の觀點に立つて、今通貨安定對策委員會と稱せられるものは存在するけれども、これは預金の吸收に主力を注いでおるのでありまして、國會にいたしましても、政府にいたしましても、通貨の安定策に對しては何らの施設をしておらない。通貨安定對策本部という名前はあるが、それは預金吸收だけに全力を注いでおるのであつて、安定策に對しては何らかの方針を示していない。また何らの機能を與えられていない。從つて私はここに長官の御意見を承りたいことは、財政竝びに金融委員會を中心といたしまして、豫算あるいは通貨の發行、それらに關連をもつ國會の各委員が中心となり、しかも金融界、生産界竝びに實業界、あるいは學識經濟者を網羅いたしまして、ここにこの通貨發行審議會を設置する前に、通貨安定策に對する何らかの一大機關を設置される意思はないかどうか。私は順序を誤つておるのではないかということを――これは別にあなた方が提案されたこの法案に對してけちをつけるとか、率直に言えば野黨的立場からこれを質問するというのではなしに、順序はそういうふうにして、通貨の安定策を先にして、しかる後その限度をまつて、通貨發行審議會というものは、それから生れてくる方が順序ではないかと私は思うのですが、あなたの率直なる御意見を承りたい。
#13
○和田國務大臣 御意見拜聽いたしましたが、こういうふうに考えられはしないかと思うのでございます。通貨量とそれから通貨の安定自體に對する對策といつたものとは、やはりそこに内面的な關係をもつておるのでありまして、通貨安定の政策というものは、結局いわばインフレーシヨンに對する對策となつてくると思うのであります。インフレーシヨンに對する對策として、あなたのおつしやいますように、通貨自身の安定ということ――しかし通貨自身の安定をはかるにしましても、そこにあなたのおつしやいますような、日本のいろいろな條件を考量した上での大體の通貨の限度をそこへおきまして、そうしてそれを確保することが――これは私通貨につきましてきわめて簡單な學説をとるものではありませんが、しかしそこに、あなたのおつしやいますように、いろいろの條件を考え上での、ある適正な通貨の發行限度というものをきめまして、それを確保していくことが、逆に言うと生産と通貨というものが、經濟の面においては不可分な問題である限りにおいては、やはり私はそれが通貨の安定策になろうかと思うのであります。それと同時に、やはり内面的に、生産面において、配給面において、あるいは通貨自體の蓄積において、そういう總合的な政策をやることによつて、また通貨自身が安定してくるという面と、兩方私はあろうかと思うのでありまして、通貨の政策は、通貨面だけの政策として考えられます面と同時に、それだけとしては考えられない面と、兩方あると思うのでありまして、御意見の中にもそれは、はつきりと現われておつたのではないか、そういうふうに拜聽いたしました。それで、これを置く前に、この國會を中心にしてそういう委員會を置いたらどうかというお話でありますが、これはやはり、この財政金融の委員會におかれまして、通貨安定の問題等につきまして十分いろいろな角度から御檢討願いますことは、われわれとしても望むところでありますが、ただそういうものを中心にした委員會をつくるとかどうとかいうことは、今のところではできないのであります。この國會議員の方を政府の委員會の中の委員になつてもらうということは、立法と行政をはつきりと區別する建前に立つております以上、なかなかできない事柄でありまして、そういう點について一つの委員會をおくことは實際は困難だと思うのであります。しかし財政金融の委員會等におかれまして、皆樣方がほんとうの安定に關して十分な御檢討なり、いろいろのりつぱな案をお出し願うことができますれば、それはわれわれ政府としても非常に參考になると思うのでありますが、そういう一つの別のものを加えて、それを中心にした委員會をつくるということは、實際問題としてはできにくいのではないかと考えております。そこで、お話のように、政府といたしましては、通貨の安定自體に對するいろいろの總合政策をやりますと同時に、これが非常に遲れました點につきましては、西村委員のおつしやいますように考えますが、やはりここに通貨自體の發行限度というものについての檢討をもしてもらう委員會を至急おきまして、これがあまり時期遲れにならないように實はわれわれとしてはいたしたい、かように考えた次第でございます。
#14
○河井委員 本案はきわめて專門的な、技術的な法案のように考えられますが、この發行審議會の構成も、金融界、産業界あるいは學識經驗のあるきわめて專門的な人で構成されておるように思います。そうしてこれらの人によつて決定された通貨の最高額については、おそらくは新聞紙等で發表されるだけだろうと考えられますが、このインフレーシヨンに對して、これをいかに防止するかということは、和田長官の非常に御努力であります通りに、物價の安定、賃金の安定、それから通貨の吸收、すべてこれは國民的な運動として展開されなければ、このインフレーシヨンは決して止まらない。從つて、和田長官が言われるように、通貨の最高發行高をきめることも、インフレーシヨンを止める上において非常に重大だと言われるならば、これらの物價、賃金の安定あるいは通貨の吸收については物價の安定については言うまでもなく、たとえば千八百圓のベースを維持するかということは、これは國民の總力によつてなさなくてはならないことである。通貨の吸收についても、これは國會におきまして、國民の代表としての衆議院においてそれが行われておる。ひとりこの通貨の發行についてのみ、單なる官僚において取りきめられて、そうしてその結果が新聞に發表されるだけである。おそらくはその審議の内容について、これだけの數量が、こういう事情によるから、これだけなければならないというような仔細なことは、發表されないだろうと考えるのでありますが、そうしますと、この點についてのみ國民は關與しないことになる。單に官僚の一室においてきめられて、その結果の數字だけを發表されるのでは、これはインフレが止まることにおいて大した效果はないと考えるのであります。もしも和田長官が、インフレを止める上において、この通貨の最高額をきめることが絶對に必要であると考えるならば――私は、この通貨の最高發行額をきめることは、インフレを止める上において、なるほど一つの重要な點ではありますけれども、大した效果はないと考える。もとよりインフレを止めるにつきましては、物價の安定、賃金の安定が根本でありますから、大した效果はないと思います。しかしながら、效果の絶對ないことでもないことは、ただいま和田長官のおつしやる通りで、私も同意見でありますが、それならば、それほど重要ならば、これを國民運動として展開し、國民にこれを知らせるだけの組織でなければ私は成功しないと思います。單に數量だけきめて、やがてそれが客觀的な情勢によつて突破した場合に、その通貨に對する信用というものは非常な恐るべき結果になるのであります。一旦きめた以上はそれはあくまでも固守しなければならない。それには國民全體がその内容なり、その機構に參與して知るということでなければならないと考えるのであります。通貨安定對策本部は議會によつてできておるのでありますが、その重要なる通貨安定本部とこの通貨發行審議會とは、どういう關連があるのでありますか。法文で見ますと全然關連がないようでありますが、實質においては非常な關連があることは、和田長官の先ほどのお話の中にもちよつとうかがい知りました。その吸收面とこの通貨の發行額についての構成組織の上について、何らの關係がないようでございますが、その點についてはどういう考えをおもちになつておりましようか。
#15
○和田國務大臣 お答えいたします。この通貨の發行審議會でありますが、この審議會は、構成の點で申し上げましたように、十三人の委員からなつておりますが、十人は民間人であります。その意味でこれはいわば民間の方面の人々が構成する委員會であつて、その構成委員會は、やはり産業人と今言つたような金融人と、それから學識經驗者、つまり財政金融面の學者ということになつております。これは從つて行政の面のほんの一部を擔當するのでありますので、國會議員の方に委員にきていただくことになりませんので、實はそういう構成をとつておるのであります。もちろんこの委員會で審議されまする事柄について、發行限度を定めるということについては、西村委員が御指摘になつたように、そこにいろいろな條件があるのであります。そういうものについては、これは委員會としてもいろいろな資料を出して、ある條件に基いて審議が行われると思います。かりにこれが決定になりましたときには、どういう過程において、どういうふうにして決定になつたかということは、これは私は一般にやはり示されて、十分に新聞その他を通じて國民に理解してもらうということになるだろうと思います。
 それから通貨安定本部との關係でありますが、これは今のところ、貯蓄増強の運動を葉梨委員長のもとにやつておつて、非常に效果があがつておるのでありますが、結局そういう蓄積部分がどの程度に上つたかといつたような事柄が、ほかの、たとえば財政の面でどの程度に一體豫算がきまつたとか、あるいは將來の輸入關係の面はどの程度に見透しがあるかという面と併せて、この審議會において發行限度をきめる一つの大きな要素をなしておる。こういうことになろうかと思うのであります。ただその審議會とは、組織構成の上においては直接の關係はありませんけれども、しかしこの審議會等において議せられましたそういつたいろいろな事柄については、われわれの方としては、通貨安定本部の方と十分資料その他の點で連絡をとりますことは、ちつともいとつておるわけではないのでありまして、そういうふうにして内面的に連絡をとつていきたいと思いますが、審議會自體とこれとは、法制的に關係しておるというわけにはまいらない性質のものであろうかと考えておる次第でありまして、そういうふうに御了承をお願いいたします。
#16
○河井委員 實は私も通貨安定本部の貯蓄の増強について委員としてやつておるわけでありますが、そういうふうにばらまかれた通貨を吸收することについて働いておるものが、通貨の發行高について全然關與しない、知らないということはどうも都合が悪いことだと考えるのであります。法制上それができなければ、何らかの方法において、通貨安定本部とこの通貨の最高額を決定することについての關連性をもたせられるような機構をつくる御意向はありませんか。
#17
○和田國務大臣 その點は通貨安定對策本部というものの中に、日銀總裁がたしかはいつておつたと思います。大藏大臣ははいつておらなかつた。對策委員會の方にたしかはいつていたと思いますが、そういうことがございますし、もちろんそういうことがなくても、いろいろな點で十分連絡をとつていきたいと考えております。
#18
○北村委員長 ほかに御質疑はありませんか。
 それではこの際ちよつとお諮りいたしたいのでありますが、質疑が繼續されていました千八圓ベースの問題、これにつきましては、事柄が緊急を要しますので、受ける方は非常に急いでおられるわけでありますから、なるべく審議を早くいたしたいと思います。聞くところによりますと、本日豫算委員會では、本件は大體終了するように承つておるのでございます。それでこの件につきましては、この間から證人を喚びまして、證人の證言を求めて皆さんのお聽きの通りでありますが、問題はただ配分の方法が十二割と二割という、それが妥當であるかどうかということなのであります。法案として提供せられたものは、大體この二割から十二割というわけでこちらへ出ておりますので、その範圍において、事はきわめて重大であるから、都市偏重のきらいがないように、政府において愼重の考慮を拂うて實行すべしというような附帶決議をつけて、大分審議を重ねてきたわけでありますから、次の機會にこれを結了するようなぐあいに、皆さんの方で各黨それぞれの御相談を願つてはどうか。こういうふうに委員長は考えておりますが、いかがでございましようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#19
○北村委員長 どうかそういうふうに願いまして、この次の機會にこれをあげるように願いたいと思います。御了承を願います。
 そうすると、本件は、豫算の方で長官を待つており、長官はその方に出られるそうですから、次會に繼續することにいたします。御了承を願います。
 それでは本日はこれで散會いたします。
   午前十一時二十六分散會
ソース: 国立国会図書館
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