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1947/11/21 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第37号
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1947/11/21 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第37号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第37号
昭和二十二年十一月二十一日(金曜日)
    午前十時五十分開議
 出席委員
   委員長 北村徳太郎君
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
 理事 梅林 時雄君 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 塚田十一郎君 理事 吉川 久衛君
      川合 彰武君    川島 金次君
      河井 榮藏君    佐藤觀次郎君
      田中織之進君    西村 榮一君
      林  大作君    松尾 トシ君
      八百板 正君    大上  司君
      栗田 英男君    中曽根康弘君
      青木 孝義君    島村 一郎君
      周東 英雄君    苫米地英俊君
      宮幡  靖君    井出一太郎君
      内藤 友明君    石原  登君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
        國 務 大 臣 和田 博雄君
 出席政府委員
        總理廳事務官  渡邊喜久造君
        經濟安定本部財
        政金融局長   佐多 忠隆君
        大藏事務官   前尾繁三郎君
        大藏事務官   伊原  隆君
        大藏事務官   愛知 揆一君
 委員外の出席者
        專門調査員   圓地與四松君
        專門調査員   氏家  武君
    ―――――――――――――
十一月十九日
 政府職員に對する臨時手當の支給に關する法律
 案(内閣提出)(第一〇六號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 經濟力集中排除法案(内閣提出)(第六八號)
 所得税法の一部を改正する等の法律案(内閣提
 出)(第九三號)
 非戰災者特別税法案(内閣提出)(第九四號)
 政府職員に對する臨時手當の支給に關する法律
 案(内閣提出)(第一〇六號)
 持株會社整理委員會令の一部を改正する法律案
 (内閣提出)(第九七號)
 經濟力集中排除法案の修正に關する件
    ―――――――――――――
#2
○北村委員長 會議を開きます。
 まず政府職員に對する臨時手當の支給に關する法律案、これについて政府の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#3
○栗栖國務大臣 このたび、本國會に提出いたしました政府職員の給與に關する應急措置としての臨時手當の支給に關する法律につきまして、提案の理由を御説明申し上げ、各位の御審議を御願いいたしたいと存じます。
 政府職員の給與は、月收平均千六百圓を水準といたしていたのでありますが、本年七月工業暫定業種別平均賃金千八百圓を基礎とする新物價體系の樹立に伴い、政府職員の給與水準も、これに應じて、一應千八百圓まで引上げることが適當であると認め、七月以後の給與については、千八百圓水準によつて補正豫算を組んだ次第であります、しかして新給與體系の確立に至りますまでには、未だ時日を要しますので、それまでの應急的措置として、當分の間、千六百圓水準と千八百水準との差額二百圓を毎月支給するのが適當と考え、さきに本國會の議決を經ました法律第百十九號によつて、その七月ないし九月分、合計六百圓を支給いたしましたが、十月以降も同樣の措置をとりたいと存じまして、この法律案を提出いたした次第であります。
 この法律案によります臨時手當の支給方法といたしましては、前囘の法律とはいささかその基準を改めまして、各人の現に受けております俸給、暫定加給、暫定加給臨時増給、臨時家族手當及び臨時勤務地手當の合計額千六百圓分の二百圓、すなわち八分の一を支給することとしたのであります。この措置によりまして支給を實施いたしますための必要な豫算額は、概算いたしますと大約一般會計一億二千二百餘萬圓、特別會計二億四千七百餘萬圓、合計三億六千九百餘萬圓でありまして、この金額は十、十一月分については、すでに御承認をいただきました一般會計補正豫算(第五號)及び特別會計補正豫算(特第二號)に計上し、殘りの十二月以後の分につきましては、目下御審議をいただいております一般會計補正豫算(第七號)及び特別會計補正豫算(第三號)に計上いたしております。なおこの金額のほかに、地方費負擔により、地方職員に支給せられる金額が約九千八百餘萬圓でございますので、この分も合計いたしました。四億六千八百餘萬圓というものが、今囘の措置により、官公職員に給與せられるべき總額と相なるわけであります。本案につきましては、政府職員の最近の生活の實情をも御くみとりくださいまして、御審議の上、速やかに原案通り御決定あらんことを希望いたします。
#4
○北村委員長 塚田委員、佐藤委員より、大藏大臣に對する緊急質問の通告がございますのでこれを許します。塚田君。
#5
○塚田委員 大藏大臣に、過日讀賣新聞紙上において報道せられておりました、千葉縣佐原税務署の黒田税務官の涜職事件について、緊急質問をいたしたいと存じます。政府當局はあの事件について、すでにその後調査をなされたかどうか。もし調査をなされたとするならば、この際ここに御説明を願いたいと思います。
#6
○栗栖國務大臣 私どもあの新聞によつて初めてそういう樣子を知つた次第でございまして、ただちに官房長官に命じて取調べ方を申しつけた次第であります。まだはつきりした事實の取調べの結果を得ておりませんのでありますが、得次第なるべく速やかに本席において御報告申し上げ、かつお答えしたいと思つております。
#7
○塚田委員 まだ取調べが屈いておらないという御答辯でありますので、一應あの新聞の報道せられてある事實、これは一流新聞が責任ある記者の署名入りで報道されておることでありますから、おそらく事實と大なる違いがないと考えられますので、あの事實を一應正確な報道であるという前提のもとに、政府當局にあれに對する監督の責任及び今後の處置、方針、それから今後の同樣事件の豫防に對する方針などについてお尋ねいたしたいと考えるのであります。このたびの事件がたまたま紙上に報道せられましたのは、ある具體的な一事例にすぎないのでありますけれども、しかし國民一般にあのような事件が、過般の、殊に財産税徴收のとき及びその後において、廣く國全體にあるのではないかというような、おそらくこれは大した根據はもつておらない想像であろうとは考えるのでありますけれども、そういうような考えが國民一般の間に、非常に廣く擴がつているうわさであるということも、これは否めないと思うのであります。私などの耳にはいります事件でも、一、二に止まらない事例があるのでありまして、こういうような國民一般の間に擴がつているうわさというものは、これはおそらく全然根據のないところに出てくるものではなくて、やはりあのような悪質なものではなくとも、あれに近いような、税務官の態度として好ましくないような事例が、多々あるのではないかということを、私どもは一般國民とともにやはり想像しておるのであります。御承知のように國家の財政需要が非常に多くなりまして、これから税務官吏がその職務によつて國民から取立てねばならない收入の面も非常に多いのであります。それが多くなればなるだけ、こういう問題もますます多くなる危險性があるわけでありまして、こういうような状態のときにおきまして、こういうような事件がたまたま世間に明らかにせられたということは、遺憾なことであると同時に、これを契機にして、政府當局におきましても、この事實眞相を十分に明らかにされ、そうしてその當人及び監督の責任者に對する處分を嚴正にせられて、今後再びこういうような事態のないことを衷心切望しておる次第であります。こういうような官吏、殊に税務官吏の涜職が傳えられる場合に、しばしば税務官吏の待遇がよろしくない、待遇が悪いということが世間に言われるのであります。しかしこの點につきましては、本日の讀賣紙上に主税局長の答辯として出ておるように、私も必ずしも待遇が悪いということが、こういう事柄を起す原因であるとは考えておらぬのでありまして、ただ税務官吏の待遇が悪いという事實はこれを肯定いたしております。しかし待遇が悪いということと、こういう涜職事件を起すこととは必ずしも因果關係がないのであり、むしろ待遇が悪いというような人たちは、貧しい生活、耐乏の生活にたえて税務官吏の職責を全うしておられると信じている。むしろこういうような事件を起す人たちは、殊にたまたま問題になつている黒田税務官の事件におきましても、必ずしも本人の家計状態がそう貧しくないということを新聞が傳えておるのでありますが、こういうような事件を起すのは、かえつて本人の生活がしまつておらない。生活上のふしだらというようなものと密接な關係がある。そういうことを考え合わせますと、こういう事件は未然に、もしくはあまり深入りしないうちに、監督の責任者がよく本人の私生活に對して監督というほどでなくても、注視さえしておれば、十分これは止められる性質のものではないかというように考えるのであります。こういう意味において、佐原税務署長の黒田税務官に對する監督の責任というものが問題として取上げられるのではないか、そういうようにも考えておるのであります。なおこういうような事柄が起るいま一つの原因といたしましては、税務機構、税務官吏の職制その他について、もしくは税務官というような、特にこういう誘惑に陷り易い地位につかせる人の人選について、なお今後政府當局に一段と御考慮を煩わさなければならぬ點があるのではないか。これらのいろいろの注意と合わせて、官吏全般の上に、この際一層綱紀の肅正について、格段なる御留意をお願いしたい、こういうように考える次第であります。これらの點につきまして、直接監督の最高責任者であられる大藏大臣の御所見竝びに今後の對策についての御所見をお伺いしたいと思います。
#8
○栗栖國務大臣 千葉縣の黒田君の問題につきましては、事實を今よく調査いたしまして、何分にもいろいろな問題に關連をいたしますから、調査上でこのお答えをいたしたいと思いまして、本日のお答えはひとつ御留保いたしたいと思いますから、御了承を願いたいと思います。一般の税務官吏の問題につきましては、すでに今囘の追加豫算を提出いたしました際に、私のいたしました説明の中にもはつきり申しておるのであります。税務官吏について、一方において地位その他が他の官吏より低いものについては、優遇その他の措置を考える。それと同時に税務行政の運營の肅正ということをも申しておるのであります。一方においてこの待遇改善、一方においては事務その他を肅正していくということをも徹底いたしたいと考えた次第であります。そこで政府といたしましては、税務官吏の優遇について、とりあえずのでこぼこ調整、あるいは經費その他について相當の追加豫算を計上し、これを實行いたすということにきめ、すでに手續中であります。なお税務事務、殊に今囘の豫算、財政が健全にいくかどうかは、計數の上ではなしに、實際税の取立ができるかどうかという重大な問題でありますので、十分その事務の刷新、事務の促進をはかり、この肅正を十分實行するために、實はまだはつきり確定の域にはいつておりませんけれども、ただいま大臣として考えておりますものは、この主税局に相當の人を一人置きまして、税の取立て、業務の刷新といふような點を常に擔當する人を置きまして、なほそのほかその下に各財務地區にそれぞれ監督し、刷新、督勵する責任者を置きまして、そうして中央で連終をとつて税の徴收の完全を期するとともに、業務の刷新、不當なる割當等の救濟といふこともいたしたいと考えておる次第でありまして、これは早急に實行いたしたいと思つております。それを實行すれば御趣意の點に副うものと考えておるわけであります。
#9
○佐藤(觀)委員 ただいまの塚田委員の御質問とも關連したことでありますが、最近われわれのところに、税務官吏の待遇改善についての陳情が殺到しております。税務官吏の待遇が非常に悪いといふことは、大藏大臣も認められると思ふのでありますが、これについても少し調査費とか、出張費とかいうものを加味しまして、一方においてはそれを税金を取立てる方に使うと同時に、税務官吏が熱心にやるといま方面に少し考えを及ぼして、税務官吏の待遇改善と同時に、もう少し取立てを公平にするといふ意味において、こういう對策を講じてはいかがかと思うのでありますが、大藏大臣の御答辯を願いたいと思います。
#10
○栗栖國務大臣 ただいまの御質問は私もまつたく同感でございます。實はとりあえずはでこぼこ調整をやり、それから税の取立てについては、交通費等の實費がかかり、またいろいろ勞苦を重ねるわけでありますから、種々の特別手當をも支給いたしましてその實をあげたいと思うのであります。實際財政を切拔けるかどうかといふことは、もう日も迫つておりますし、十二月、一月という二月にわたつては、その上に貯蓄運動、納税運動というようなものを徹底して、國民にも納税の大事なことを徹底するといふ面をいたしますとともに他面においてはお説のように税務官吏に、出張その他による損を負擔させるということは許されぬことであるのみならず、相當の勞苦を重ねるについては相當のこれに酬ゆる手當等を支給いたしまして、その邊は十分にやりたいと思うのであります。なお税務官吏の特殊性に鑑みまして、一般的な優遇その他については、別途にこれを考えたいと思つておる次第でございます。
#11
○佐藤(觀)委員 いま一つは税務官吏が非常にこのごろ素質が悪くなつておりまして、眞面目に租税を收める人に非常に迷惑をかけるというような問題がたくさんあります。私どもの郷里におきましても纖維工業の家へ入込んでいろいろなむり難題というような税務官吏もあるかのように聞いております。こういう點について税務官吏の素質を向上するということが非常に必要であると思うのでありますが、これに對して大藏大臣はどんな對策を講じておられるか、お伺いしたいのであります。
#12
○栗栖國務大臣 税務官吏の素質向上、こういうことはこれもまたお説の通りきわめて大事なことであります。現下の實情を申しますと税務官吏は復員等をしてきた者も相當多いのであります。なお經驗者、その他の多くは戰地などに行つておりまして少いのであります。そこでいろいろ本意ない間違いを生ずることもあると思うのでありますが、政府といたしましてはこういうような點について十分心がけ、なおかつ税務講習、さらに普通の講習、さらに高等の講習等の途も實は本内閣になつて開いたような次第でありまして、そしてあるいは大學までも行かすというような途も開いておるのであります。しかし何分にも今月、來月と迫つた徴税につきましては、そういう恆久の對策だけではいけないのであります。最寄々々の税務署においても講習その他を開いて、しかもまた經驗者を適材適所へというような意味で配置いたしまして、その邊は十分完璧を期したいと思うのであります。なお人員などにつきましても場所とか、住宅などがないために、都市については集まりかねて、定員に充たないところが相當あるのであります。これも各省の配置轉換というようなもの、内務省あたりからも配置轉換で有能な希望者があれば税務の方にまわしまして、至急に充實して手落ちのないようにいたしたいと考えておる次第でございます。
#13
○佐藤(觀)委員 大體御趣旨はわかりますが、現在の状況におきます税務官の待遇、あるいは素質向上につきまして、國家の重大なときにおきまして、特に大藏大臣にぜひとも聲明された通りにひとつ實行せられんことを希望いたします。
#14
○川合委員 私は今囘の所得税法の一部を改正する等の法律案、あるいは非戰災者特別新税の設定の問題に關連しまして、今までの塚田委員佐藤委員の質問と關連して大藏大臣にお尋ねいたしたいと思います。かかる増税法案を提出しても、現下の納税状況から見るならば、いたずらに名目的増税の感が深いと思うのでありますが、はたしてこの所期の通りには、年度内にかかる増税が確實に收入できるかどうかという點を、大藏大臣に最初に承りたいと思います。
#15
○北村委員長 ちよつと川合君に申し上げますが、まず政府職員に對する臨時手當の支給に關する法律案をあげたいと思います。それに關連はしておりますけれども、そういう意味でひとつ御質問願いたいと思います。
#16
○栗栖國務大臣 實は今度の追加豫算を編成いたしますにつきましても、すでに申し上げましたように、支出の面において非常に厖大な財政要求があつたのでありまして、非常に切詰めをいたし、また現内閣として盛らなければならぬ重要な政策にも、不十分ながらもそれを盛り、なお追加豫算についてもそういう點においては、これは小口でありますけれども考えたいと思つておるような、財政需要というものが非常に大きなものであります。それを借入金あるいは藏券の發行によつて賄うということになりますれば、これは不健全でありまして、インフレーシヨンの増進を激成するということは間違いないことでありますので、税という一般收入においてこれを賄うことにいたしたのであります。そういうふうな關係で税によつてこれを賄うというものが非常に高度になつたのであります。しかも追加豫算がその筋との交渉その他によつて、たいへん遲れまして、日數も迫つてきているような次第であります。この迫つた日數において大きな金額をとるということは、ただいま御指摘のように非常に困難であります。しかしながら政府といたしましては、この時期が、税の取立てができるかどうかが、この危機突破をし得るかどうかになるわけであります。政府としては格段の努力をいたしまして、先ほど來、また先般來本會議その他で申し上げましたように、税務機構等の強化その他の方法によつて、一面においては税の徴收を十分にこの税務機構の線に沿うていたしますとともに、他面におきましては國民にこの時機の大事なこと、納税の必要なことを十分徹底せしめるために、十二月、一月にわたりましては、貯蓄運動とともに納税運動を國民の間に展開いたしまして、これについて各位の御協力、御盡力等をも得てひとつ大いにいたしまして、この納税の大事なこと、脱税の國を亡ぼすゆえんを徹底させ、そういう國民の認識のもとにこれを取立てていこうと思うのであります。あるいは主税局長からすでに大體は申し上げているかもしれませんが、四月から九月までの税の取立ては、二百六十三億ぐらいであるのであります。これを十二月までには二百億とり、一月から三月の間には六百五十億ぐらいという、非常に大幅な税を取立てなければならぬことに相なるのでありまして、この一月から三月までの間の六百五十億ぐらいということは、一に十二月から一月の間に、税の取立てについて、國民の認識を徹底することと、またわれわれが税務官吏を督勵いたしましてこの取立てを完了するところにあるのであります。それについては十分の努力をいたしたと思うのであります。
 なお脱税その他についてはすでに申し上げましたように、一面においては趣意を徹底するとともに、悪質のものについては制裁をもつてこれに臨みたい。殊に税務官吏が税の調査あるいはその他に關していきますときに、身邊に危險を感ずることもしばしばあるのであります。これは單に手當その他の點のみならず、司法檢察當局とも十分連絡をしまして、身の保護をすることを考えますと同時に、そういう場合、殊に第三國人に對してはその筋にも協力をお願いし、保護等もお願いしてやることにも相なつておりますので、そういうようなこともいたしたいと思うのであります。なお納税の國民運動を展開するにつきましては、その筋にもお願いしまして、あるいは演説その他にも出てもらうというようなことで、いろいろ協力を與えようという約束も得ているような次第であります。それによつてぜひこれを完遂いたしたいと思つている次第であります。
#17
○川合委員 全般的な問題は避けまして、私は税務官吏の待遇と納税との關連においてさらにお尋ねいたしたいと思うのであります。この點は大臣も御存じと思いますが、全財職員組合がいろいろな觀點からいたしまして、新税の創設に對しましては、かなり反對しておるように見受けられるのであります。その反對の論據は、現在の税法のもとにおいても、これを徹底的に徴税するという方法をとるならば、實質的に増收が得られる。しかるにいたずらに新税を創設することは、勞苦のみ多くして實が伴わないという見地から、今まで反對してきたように思うのであります。そういうようなことからいたしますならば、大藏當局が机上の案としていろいろな増税方策を考えたにいたしましても、第一線の税務官吏が實際において働き得る餘地がきわめて少いことからいたしまして、増税運動がからまわりするおそれが多分にある。そういうことは歸するところ現在の税務官吏が、この參考資料にもあります通りに、配置定員が六萬七千百十三名に對して、缺員が二萬九千もあるというようなことからいたしまして、實際において税務官吏の手不足と、また勤續年限が五年未滿の人が非常に多く、さらに徴税技術を體得しておる者が少く、素人が多いというようなことからいたしまして、實際の徴税にあたつてかなりの困難を伴うのではないかと思いますので、至急に税務官吏の待遇改善に關してその内容を明示して、税務官吏が安心して働けるようにしてほしいということが一つであります。もう一つは、たとえて申しますならば、私の郷里の濱松税務署におきましては、一週間前に私のところに陳情がまいつたのでありますが、この前われわれ審議して議決した千六百圓と千八百圓の差額の二百圓の一時手當が、まだ手に渡つていないそうであります。東京都におきましてはすでに先月の十一日に行渡つておる。しかるに地方官廳におきましては、まだ行渡つていないというような状況であります。かかることは非常に志氣に影響する問題であります。これはここに給與局長もおられますので、よくその邊のことを調査して、いやしくもさようなことがないようにすることが第一線の税務官吏の志氣を振作し、官吏をして思う存在に働かしめるゆえんだろうと思うのであります。從つて私はいずれまたあらためて御質問申し上げますけれども、そういうような税務官吏に對する待遇改善を明示することと、もう一つは非常に勤續年限の短い人が多いということは、こういうような徴税技術を知り、いわば何と言いますか、財界の裏表に通ずるような方は、自然民間の他の方面に轉職するというようなことがあるのではないかと思うのであります。從いましてそういうような優秀官吏を待遇する反面において、同時にまた極力轉職を制限するというようなことが考えられないかどうかということを、この機會に特にお示し願いたいと思うのでもあります。
#18
○栗栖國務大臣 さしあたり當面の問題として行われます税務官吏の優遇につきましては、主税局長からその内容について御説明申し上げたいと思つております。それから濱松の税務官吏に對して二百圓の一時手當がまだ届いておらないというお尋ねでありますが、これはすでに本省の方の手はすべて離れておるわけでありますから、一應給與局において調べまして、どこで滯つておるか知りませんが、もしそういうようなことがあれば、十分に究明いたしまして、そういうことのないようにしたいと思つております。
 それから有能なる經驗者の轉職の問題でありますが、これは御説の通り、給與その他の問題にもかかわることでございますし、またこの際特にインフレ取得をしておるような會社では、税ということが重大なので、專門家を高い給料で雇うというようなこともあろうと思うのであります。これについては第一に税務官吏を相當優遇するということで、物的の優遇としては、今囘のみならず、本格的にも十分考えたいと思つております。精神的優遇についても、職階制その他について考慮を加えたいと考えておる次第でございます。そういう優遇の面、それから極力税務署長その他上司の者にも指圖をしまして、みだりに職を離れることのないように勸奬をしたいと思つております。絶對に差止めるというわけにもいきませんが、できるだけのことは手を打ちたいと考える次第であります。
#19
○前尾政府委員 大臣の先ほど申しました税務官吏の優遇の内容でありますが、ただいま考えており、また關係方面と折衝中であります。その内容は結局基本給、暫定加給それ自身はただいまどうするわけにもまいりません。それで出張――最近非常に税務の調査が困難であり、また危險をも伴い、誘惑も多いというような意味合いからいたしまして、出張いたしました度に、國税の調査なり檢査の場合には、基本給、暫定加給の三割、滯納處分の場合には四割というのを見きわめて出すわけであります。それからそれ以外に、特に密造の檢學というような、非常に危險のある出張の場合には、一日五十圓、それからこれは從來他の省で出しておりますが、現金出納の場合の危險の手當これは郵便局等においても出しておりますが、最近税務署においても、現金收入の額が非常に多くなつておりますので、他省なみにそういう手當も多く出したいと考えておる次第であります。それ以外に特にわれわれが今後考えなくてはならぬ問題は、住居の問題であります。これは特に都會地において必要なわけでありますが、ただいまのところ結局住居がないために思うように人が集まらないし、職を離れる者が多い現状でありますので、そういうような點も豫算をとつて、できるだけのことをしたいと考えておる次第でごでいます。なお金額としましては、すでに各省でも發表された千六百圓の水準までのでこぼこ是正という意味合いにおきます一般的優遇は、十月に遡つて支給されるわけでありますが、そのでこぼこ是正は全體で大體月五百萬圓程度になるのではないかと思つております。それからただいま申し上げました手當の額は、全體として八、九萬圓くらいになるのではないかと思います。これは豫算には載つておりませんから、豫備金なり何なりから出す考えであります。
#20
○塚田委員 ただいまの税務官吏の待遇問題に關連して、ちよつと主計局長にお尋ねいたしたいと思います。私の手もとにも税務官吏の請願書なるものがいくつも來ておるのであります、その中に特にこういうことを書いておるのであります。旅費はなるほど上げてもらつたけれども、豫算がないから、現實に動くときには、皆打切りにされてしまうということ、いま一つは事務費というか、たとえばインクや鉛筆、ペンなどのような事務用品を自辨でさせられておるというようなことが書いてあるのであります。私は事務用品というものは當然官廳から支給されておるものじやないか。その邊はどうなつておるかちよつとお尋ねしておきたいと思います。
#21
○前尾政府委員 旅費につきましては、實は運賃値上げ前に豫算をとつておりまして、今囘追加豫算を出しておるわけです。まだ豫算が通りませんので、結局一年間の分を先に出すというような形式でどんどん先の分を前に出しておるのであります。最初追加豫算が八月中に通るつもりでやつておつたのですが、その間にちよつとギヤツプがありまして、豫算が通つてから出そうというつもりであつたのが出せなかつたので、事務的に遲れた面もあります。しかしわれわれとしては非常に、潤澤でございませんけれども、大體十五日くらいの出張ができる程度の旅費を豫算にとつておるわけであります。ただ最近は非常にまた汽車の囘數なんかが減つてまいりますと、それによつてわれわれの當初考えていたような計畫でなしに、宿泊をしなければならぬという場合が起つてまいりますので、それは追加豫算で幾分とつておりますが、それ以外にも豫備金をもつて出さなくちやならぬという事態が起るのじやないかと思いますが、ただいまのところ必要な旅費はとつているわけであります。
 それから事務用品につきましては、從來インクなどは官廳で買いまして、ペンとか鉛筆等は自辨というようなことが建前であります。われわれといたしましては、そういうような經費については事缺かぬように考えておりますが、何分大量に仕入れるというのは非常に困難であります。そういうような關係で官廳側で支給するのがうまくいつていないという場合があることは否定できませんが、しかし經費としてはわれわれ十分とつておるつもりであります。
#22
○北村委員長 ちよつとお諮りしたいと思います。これは割合に簡單なものじやないかと思いますが、きよう討論を用いずして決定ということにしていかがでしようか。
#23
○塚田委員 ちよつとこのことに關して質問いたします。今度の政府職員に對する臨時手當支給に關する法律案は、この前の七、八、九の三箇月分のときと、まつたく法案の要領が變つておるのであります。あのときには、あの法案に基いて支給するというような政府で考えられた支給方針があつた。それに對して御承知のように非常に一部のものから反對が出ておつたのでありますが、その後、あれを實際に支給された結果、どういうぐあいになつたのか。どういうぐあいに支給されて、反對などがどういうふうに收まつたか。そうしてまたあの方法を今度かえられて全然別の支給方法に改められた、その間のいきさつを御説明願いたい。
#24
○今井政府委員 お答え申し上げます、前囘の七、八、九箇月分の二百圓は、この委員會におきまして、政府案として最高が十二割、最底二割、こういうラインで、政府の方では考えているということを申し上げました。その後、この委員會の附帶決議によりまして、官公廳の組合側とも協議の上、いま少し幅を狹める。方法で考えろというお示しでございましたので、兩院通過後、即日官公職員待遇改善準備委員會という團體交渉機關にかけまして、そこで折衝を重ねました。ところが向う側といたしましては初めの要求通り、この案は政府の責任においてやつてもらうのであつて、自分の方から具體的に案を示すわけにいかない。あくまで初めの案でよろしい。こういうのが委員の公式な態度でありました。しかしながらその席にさらに一部の、具體的に申せば全逓の土橋委員長であるとか、あるいは全官公廳連絡協議會、これがただいま全官公廳勞組の最高機關でありますが、その代表者として高原君あたりが見えておりまして、それぞれ單産の委員として準備委員會に陳情して、やはりなるべく幅を狹めるという國會の附帶決議の方向で、政府として善處してほしいという御意見がありました。かれこれ勘案いたしまして、私どもの方はこれを八割から三割というふうに幅を狹めました。十二割のものを八割に下げ、九割を六割五分、六割を五割に下げ、一方丙地は二割を三割に引上げ、乙地は三割を四割に上げて、これでちようどバランスがとれたわけでありますが、そういつた形で原案をお示ししたのであります。それで大體了承ということになりましたので、その案で實行するということにきめたのであります。ところが、さらに詳しい御報告を申し上げますと、その後、その委員會が濟みました翌々日、日教組の副委員長の横路君以下がまた私どもの所にまいりまして、丙地だけをもう少し上げる方法はないか、こういう御意見でございました。しかしながらこの委員會はもちろん日教組の代表の見えている委員會でございましたし、私は、關係の全官公廳全體の諸君が同樣の御意見ならば再考の餘地があるが、日教組だけの意見では、それに應ぜられないと申し上げまして、他の組合と御相談願うようにお願いしたのでありますが、結局他の組合との話し合いがまとまらないで、その後私どものところには御意見が出ておりません。しかし何分にも時間的にも急ぐ問題でございましたので、そのときの準備委員會の決定の線に從いまして、八割から三割、法律案の原案より大分幅が狹まつた、附帶決議の線に沿いました形で支給いたしました。今囘の案につきましては、この問題は官公勞組の方ではただいまの連絡協議會という最高機關で扱うことに話がきまつておりまして、この方面から政府側の方に申し入れがあつたのでありますが、その際の比率につきましてどういう意見があるかということを質しましたところ、正式の連絡協議會として決定したものはない。ただ多數の意見としては、現在もらつている現状の形の延長でもらいたい、こういうのが多數の意見でありますからして、その線に從つて政府として善處してほしい。こういうことが連絡協議會の方の正式な申入れでございました。そこで今囘はその申入れを尊重して、現状のままで延長し、前の六百圓のときと全然構想をかえた行き方――しかしこれは將來を豫測するものとは私は考えておりません。臨時的な一時的の措置として、とりあえず今囘はそういつた形でいく、かようなわけで提案になつた次第であります。
#25
○塚田委員 ただいまの御説明でいくと、この月額の八分の一に相當する金額の基礎になるものはどの數字になるのですか。今まで通りということは、七、八、九と追加したあの手當ははいらないのですか。今まで通りのものに對して月額八分の一――いや、わかりました。
#26
○島田委員 この給與の點につきましては、先ほど委員長のお話にもありましたように、前の繼續でありますので、討論を省略して採決せられんことを望みます。
#27
○北村委員長 ただいまの島田君の御動議に御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○北村委員長 御異議がないようでありますから、さようにいたしたいと思います。
 政府職員に對する臨時手當の支給に關する法律案について、原案に御贊成の諸君の御起立を願います。
    〔總員起立〕
#29
○北村委員長 起立總員。よつてさように決定いたします。
    ―――――――――――――
#30
○北村委員長 經濟力集中排除法案、所得税法の一部を改正する等の法律案、非戰災者特別税法案、これの審議を續行いたしたいと思います。
 まず經濟力集中排除法案の審議を續けたいと思いますが、これは實は少し急がねばならぬ事情が新たに起りまして、ある筋ではぜひ今週中に上げてほしいというような注意を受けております。その點お含みおき願いたいと思います。川合君。
#31
○川合委員 經濟力集中排除法案の今までの政府當局の説明を聽取いたしますと、過度の經濟力の集中排除ということを特に、力説されておつたわけであります。この法案を見ますると、經濟力の集中排除ということになつておりまするが、この過度のというような言葉を、この法案の中に入れる必要があるような氣がするのであります。これに對する政府當局のお考えはどうでありますかお伺いいたします。
#32
○佐多政府委員 御説の通りに、各條文の中に規定してありますことは、内容的には過度な經濟力の集中のために、從つてこれが日本經濟の合理的な再編成を妨げ、生産力の増強にかえつて障害になり、從つてまた公共の利益に反するというような場合に限つてこれを指定し、排除するという考え方になつておりますので、内容的には御説の通りに、過度な經濟力の集中を排除するという意向でございます。ただ表現の方法としまして、一應一般的に經濟力の集中を排除する。そして内容を規定するときに、實質上はそういう過度の集中の排除だというふうな法案の體裁になつておるわけであります。
#33
○川合委員 本法律は實際はほとんど手續的な法律案であつて、その内容は第六條にあると思うのであります。第六條の内容に關しましては、一應われわれは政府から参考資料をいただいたのでありますが、これらに關してはもつと掘下げて、いろいろと檢討の要があると思うのでありますが、その中で一つ具體的な例をもつてお尋ねいたします。まずたとえば日華事變後、私鐵の合併ということが盛んに行われましたが、東京の郊外電鐵が過度の經濟力の集中であるかどうかということは、相當に議論の餘地があるだろうと思います。私の見るところによれば、第六條の八に「獨立企業の合併その他の方法による事業の擴張の事情ということが明記されておりますが、私鐵の擴張あるいは合同というようなことは、この條文に適用されるものかどうかを明らかにしていただきたいと思います。
#34
○佐多政府委員 一應獨立企業の合併によつた擴張であるならば、その擴張がどういう事情によつて、どういう必要から、どういう方面からの壓力によつてなされたかというようなことを具體的に精査して、それが指定に價するかどうか、さらには排除にしなければならぬものかどうかということを、具體的に一つ一つの事情について決定したいというふうに考えております。
#35
○川合委員 もしかりに經濟力集中排除法案が通過した曉において、そういうような具體的事情を檢討しなければ、これが明示できないという點が、産業界に一番危惧されておる點だろうと思うのでありますが、そういうようなことをもう少し、ある程度明らかにする御意思があるかどうかを承りたい。
#36
○佐多政府委員 經濟力の集中に該當するかどうかを決定する具體的な基準につきましては、この第六條に掲げてあるような個々の場合を十分に考慮して、それとの關連において具體的準備を定めたいと思つておりますが、一般的にはこの間お示ししました再編成の準備、あれによつてその具體的な基準を定めることにしたいと思つております。しかしお説の通りにあの基準はまだ一般的な基準にすぎないというような憾みもありますので、さらにあれを具體的にするような努力は、關係方面との折衝その他においてぜひやつて、なるべく具體的に、特に日本の現在の實情に照應したような、具體的な規定につくりあげるような努力はいたしたいと思つております。
#37
○川合委員 この法案は實は逐條審議的なことをやつていない。同時に總括的ないろいろな質問もまだ全部出てきていない、殊にこの法案が非常に、いわば横文字を縦に直したというにおいが紛々たるものがありまして、今までのわれわれの見た法案とは、大分異にしているわけであります。從いましていろいろとわれわれは一つ一つについてお尋ねしたい點もあるのでありますが、それをやつている時間的な餘裕がないというために、ある程度これをそのまま認めざるを得ない状態におかれているわけで、この審議の方法を委員長においてもう少し整理されたらいかがかと思います。
#38
○北村委員長 今川合君の話もありましたが、逐條的にわたつた點もあり、總括的な質問もあつた。というのは、法案が非常に抽象的であつて、いわゆる適正規模というようなものもどこに置くか、過度なる經濟力集中の過度とは、一體何であるかというようなことが明らかでありません。持株會社整理委員會において運用する場合にもどうなるかということが實は問題であつて、きわめて抽象的なこの法案に對しては、法案自體としては今までかなり審議が續けられたと思うのであります。それで實は先ほどちよつとお話を申し上げたのでありますけれども、たいへん急ぐことを要する事情が新たに起つておりますので、できれば今日質疑を少しやりまして、明日討論に入りたいと思いますが、いかがでしよう。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#39
○北村委員長 そういうことに皆さんそれぞれお計らいを願いまして、明日は討論に入りたい、かように考えますから御了承を願いたいと思います。なお質疑を繼續いたしますが、ちよつと速記を止めてください。
    〔速記中止〕
#40
○北村委員長 速記を始めてください。休憩いたします。
   正午休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後二時開議
#41
○北村委員長 休憩前に引續き會議を開きます。
 經濟力集中排除法案について、まず質疑を繼續いたします。
#42
○塚田委員 經濟力集中排除法案の總括的な問題については、案定本部の總務長官がお見えになりましてから二、三質疑をもつておるのですが、具體的な問題について、實は銀行の本法の適用に關連いたしまして愛知銀行局長にお伺いしたいと思います。御承知のように戰時中に地方銀行が合併をいたしまして大體一縣一行ということにいたしておるのであります。これに對して近ごろ、この集中排除法の出ましてから以後、地方銀行もこの法案の適用を受けて、もう一度また合併したのをもとに歸すという政府の方針なのかどうか。むしろそういうような質問をする人たちの間には、もう一度そういうようにしてもらうわけにはいくまいかどうかというような質問を受けることがあります。それといま一つそれに關連いたしまして、御承知のように地方でいろいろな事業をいたしております場合に、中央の大銀行の支店がなかなか資金の融通をうまくしてくれない。そういうような觀點から、やはりこの地方の融資で新しく銀行をつくつて、そういう用途に十分な資金を融通してもらうようなものが欲しいというような考え方が大分出ておりまして、新しい銀行の設立を政府において許可される意思がないかというようなことが、ときどき問題になつておるようなのです。それらの二點について銀行局長の御意向をちよつとお尋ねいたします。
#43
○愛知政府委員 經濟力集中排除法と金融機關との關係でございますが、金融機關もこの法律の適用の範圍内にはいるということは當然と思うのでありまするけれども、御承知のごとく金融機關の公共性ということ、それから一切の經濟信用組織の基礎になつております點等から考えまして、ただいまのところ未だ具體的に、いかなる態樣でこれが適用されるかということについては、全然きまつておらないような關係でございます。それからただいまお尋ねの地方銀行の問題でございます。私どももさような意向を聞くことがあるわけでありますが、概して申し上げますならば、地方銀行について法律が非常に具體的に、細かく適用されるというようなことは、ただいま申しましたような通貨信用組織の關係から申しましても、あるいは根本的な通貨の信用の維持という點から申しましても、さようなふうにはなるまいかと考えておるわけでございます。ただ、ただいま御指摘のごとく地方の産業資金その他について、いわゆる大銀行がこれに對する協力の程度が少いという事實は、あながちこれを否定することができないと思いまするので、それらの點につきましては、この法律の適用という問題を離れまして、ただいまいろいろの方策を講じておるわけでございます。一例を申し上げまするならば、最近日本銀行に資金斡旋部というものを本部にはつくりましたわけでありますし、それから地方には日本銀行の支店もだんだんただいま殖えておるのでありまするが、その支店を中心とし、あるいは支店のない所では出張所を中心にいたしまして、各縣單位で資金の斡旋の有志懇談會というようなものを結成いたしまして、これはごく最近のことでございまするが、相當の成果をあげておるように考えておるのであります。これは地方資金の、根本的に言えば地方還元というような考え方をとりまして、大銀行の地方支店におきましても、できるだけその地方の金融に對して協力をさせるというような態度で、主として日銀を中心とし、また役所の方面におきましては、財務局及び財務局の地方部がその間に斡旋をいたしまして、法制的な力によるものではもちろんございませんし、また權力によるものでもございませんが、話合いで大銀行の地方支店も、そういう面にいくらか協力してもらうようにいろいろやつておるわけでございます。なおまた保險會社等につきましても、これは現在のところ、銀行等よりももつと中央集權的に、本部の力がなかなか強かつたのでございますが、ある程度地方的にも、たとえば支店長の權限というものも相當廣く考えて欲しいというようなことで話合いを進めておるわけでございまして、要するに繰返して申しまするが、集中力排除法の適用ということについては、現在のところまで金融機關については何とも目鼻がついておりません。しかし御指摘のような問題については、具體的にその問題を離れまして、できる限りの措置を講じておる關係にあるわけでございます。
 それから新銀行の設立の問題につきましては、實は現在ございまする金融機關が、これまた集中排除の關係は別にいたしましても、全部再建整備がただいま中間處理から最終處理に及びつつある場合でございまして、實はその方に忙殺されておりまするようなわけで、新銀行の設立ということについては、ごく例外を除きまして、まだ當局側に、あまり自主的な地方側からの意見というものは承知いたしておりませんわけであります。ただこの際戰時中の一縣一行主議というようなことが是か非かということになりますれば、ただいまのところ私どもだけでは、事務的な考えでございまするが、やはり金融機關の公共性、信用組織の根本であるということから考えまして、全然別個に自主的に盛り上る力で、かつ將來にわたつて信用の中樞の機關として十分基礎が確實で、收支の状況その他も信用が置けるというような見透しがはつきりつきまする場合には、これを育成していつていいのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。それらの具體的の進捗は、何と申しましても再建整備の完了ということと見合せて考えてまいりたいと思つておるわけでございます。
#44
○林(大)委員 和田長官にお尋ねいたしますが、この經濟力集中排除法の主要なる目的が、第一條にございますように、平和的な國家の再建と、民主的な國家の再建との二つにはつきりわかれております。私どもの見るところでは、經濟力の集中排除は、前段の平和的な部分を完全に實行さえすれば、この民主的という面の方は從たるものでいいのではないか、アメリカの經濟の規模に比べまして日本の經濟のあり方というようなものを考えてみます場合、大きさというようなものを考えてみます場合には、むしろ前段の平和主義に徹底し得さえすれば、あとの問題は二の次になつて、放つていてもいいような感じがいたして、おるのであります。從つてこの平和と民主と、どちらに重點を置くべきであるかという第一點をお伺いしたいのであります。
 第二點といたしまして民主化すると申しましても、今この案の中に盛られておりますように、なんでもかんでも資本主義構成のままに細分していくという方向以外に、私どもの見るところでは、國家公益に重大なる關係があり、また細分することによつて生産力がどんどん落ちるというようなものは、これは細分化の方法でなくて、これを社會化していくという、つまり民主化の方法があると思うのであります。どうもこの法律を通覧してみますと、平和よりも民主化の方が主になり、民主化のうちでも社會化よりも細分化ということが主になつておるということは、全體としてはなはだ不滿足を感ずるのであります。そこでできることならば、平和的であるということを第一にし、その次には社會化の問題を考え、それから細分化の問題を考えて、國家將來のために生産力が絶對に下らないように、この法律を運用すべきであると思うのでありますが、將來どういうふうに運用なさるつもりであるか。その點長官の御意見を承りたいと思うであります。
#45
○和田國務大臣 お答えいたします。この法律の目的は、やはり平和的と民主的というものは二つあるわけでありますが、どちらが重いということでなくして、やはり民主的であり、かつ平和的であるということが意味をもつておると私どはも考えておる次第でございまして、第二の點のお話のように、細分して民主化するという前に、社會化ということも考えなければならないのではないかというお話でありますが、この法律の目的は、私が最初に御説明申し上げましたように、とにかく日本の經濟のあり方として、將來の形としては、獨占禁止のあの法律によりまして、一應の大きなわくがきまつておるわけでありまして、從つてこの經濟力集中排除は、今現に非常に堆積しておる過當な經濟力の集中を排除して、そうして將來への獨占禁止法の途を大きく開いていく、こういう點にあるわけでありまして、從つてその過程を經た後において、やはりそこに社會化の問題であるとか、いろいろな問題が私は起つてくるというのでありますが、すべてのそういう段階を一足飛びにしていくということは、今のところできないという點に、私はこの法律の積極的な存在理由があると思うのであります。そこでこの法律としては、いかにも企業を細分化するというように見られますが、しかししばしば繰返して御説明申し上げましたように、日本の經濟のもつている生産力、この法律によつて低下するということは、極力これは防ぐ。言いかえるとこれは所有の集中を排除するのであつて、企業そのものの集中を排除するのではない。言いかえれば過當な經濟力集中を排除していくということであつて、これで生産を低下していくということにつきましては、たとえば具體的基準その他の點についても十分考慮して、この法案をわれわれの方としては立案いたした次第でございまして、やはり公正な競爭が行われる、私的企業を中心にした一つの經濟のあり方というものを將來考えている次第であつて、生産力の發達そのものは、この過當に集中された經濟力を排除したあとに、當然これは起つてくるのであつて、一つの國民經濟が運營されますときに、その經濟の生産力の發達ということについては、これは今後の經濟政策の重點であることは當然であるし、また一つの國民經濟が活きていく上において、生産力の發達を除外しては、國民經濟自身がとうてい存立していかないこともはつきりいたしていますので、その點についての心配は私はないと思います。ただこの法律を施行、運營するにあたつて、この法律がほんとうに目的としているような過當な經濟力集中を排除して、しかも現實において生産力の低下を、過渡的にも來さないような一つの再建政策を立てていくというところにほんとうに目的があるのでありまして、われわれとしてはこういうような形でこれを運營させていきたいというつもりでいる次第であります。
    ―――――――――――――
#46
○北村委員長 ちよつとこの際お諮りしたいのですが、持株會社整理委員會令の一部を改正する法律案が出たのであります。これは經濟力集中排除法案と一連のもので、不可分の關係があると思いますから、これを議題に供して、一應政府の説明を聽いて、それに關連して質疑を繼續したい、こう思いますから、御了承願います。
    ―――――――――――――
#47
○和田國務大臣 ただいま議題になりました持株會社整理委員會令の一部を改正する法律案について、提案理由を説明いたします。
 目下御審議中の經濟力集中排除法案が制定施行せられることになりますと、それに伴つて、その實施は持株會社整理委員會が擔當いたすことに相なつておりますので、これに應じて持株會社整理委員會令の一部を改正する必要が生ずるのであります。これがここに持株會社整理委員會令の一部を改正する法律案を提出いたしたおもな理由であります。
 改正の形式について申し上げますが、同委員會令は最高司令官の覺書に基いて、昭和二十年勅令第五百四十二號、ポツダム宣言の受諾に伴い發する命令に關する件に基く勅令、すなわちポツダム勅令として公布せられておりますので、その改正は法律の形式をもつてなされる次第であります。
 次に今囘の改正の内容の概略とその理由を説明申し上げます。第一に持株會社整理委員會の目的及び業務に、經濟力集中排除法の施行に關する事項を加えました第一條及び第九條であります。第二に持株會社整理委員會の構成は、從來委員長、常務委員、監査委員及び平委員となつていますが、このうち監査委員を廢することにいたしました。第三條、第五條、第六條及び第二十五條が關係條文であります。後に述べます通り、委員會の監査樣式の變更に伴うものであつて、監査樣式の變更が伴つたので、この監査委員を廢したわけであります。なお現在の委員の任期は原則が一年半でありまして、委員の大部分は來年二月に任期が滿了することになつておりますが、經濟力集中排除法關係の事務を同委員會が擔當する間、すなわち一應來年末までその任期を延長することにいたしております。これは附則に規定してあります。
 第三に持株會社整理委員會の經費は、從來同委員會が持株會社及び指定財閥家族から讓り受けました株式その他の財産から生ずる配當等の收入、及びそれらの財産を換價處分して得ますところの代金を、持株會社及び財閥家族に引渡します前に、所要額を差引いて必要經費に充當するとともに、委員會はこれらの者以外の者から株式の議決權の行使を委任せられていますので、それについて手數料を徴收することとなつております。この點につきまして實體は今後も何ら變りはないのでありますが、法文上これらの收入を手數料として徴收し得る旨を明確に規定いたしました。それが第二十一條でございます。さらに今囘經濟力集中排除法によつて、委員會の事務が増大することとなりますが、これらの事務の中で、主として企業に關連する純行政的性質の事務につきましては、その經費を相手方に負擔せしむべきでないと考えられますので、その經費相當額は國庫より豫算をもつて交付することといたし、委員會の經費は手數料とこの交付金をもつて支辨することといたしている次第であります。それが第二十二條に規定してございます。
 第四に持株會社整理委員會に對する監査についてでありますが、從來は内閣總理大臣の監督のもとに、持株會社整理監査委員會が設けられていて、持株會社整理委員會の業務の運營を監査することになつております。この監査委員會は、衆議院の中から各政黨の意見を代表するように選定して、内閣が任命したところの委員によつて構成せられ、これによつて衆議院の意見を代表する目的をもつていたのでありますが、この監査委員會が衆議院を代表する目的をもちながら、内閣總理大臣の監督に属するということは適當でないと思われますとともに、新憲法による國會が發足している現在において、國會のほかにこのような機關を特に設ける必要はないと思はれますので、今囘監督委員會はこれを廢止して、整理委員會は直接内閣總理大臣の監督に屬する旨を明らかならしめた次第であります。これは第一條にあります。
 このほか從來内閣總理大臣は、持株會社整理委員會檢査人を任命して、隨時同委員會の業務及び財産の状況を檢査せしめることができることとなつておりますが、今囘の改正においては、檢査人に關する規定を廢止し、持株會社整理委員會の會計は、會計檢査院の檢査に付するものとし、内閣總理大臣はその結果を國會に報告いたすこととしているのであります。第二十三條にその旨規定しております。なお同委員會成立以來現在までの收支につきましても、會計檢査院の檢査を受けしめることといたしております。これは附則に規定してあります。以上申し上げました事項のほか、その他職員の祕密漏泄に對する罰則、第三十六條の二を設ける等の若干の改正を加えることといたしております。
 以上申し上げましたところが、今囘の持株會社整理委員會令の一部改正の概要であります。何とぞ愼重御審議の上、可決せられんことを御願いいたします。
#48
○林(大)委員 先ほどの關連質問でありますが、なるほど今長官は民主化の中で細分化をまずやつて、過當な經濟力の集中を排除して、それから社會化すべきものは社會化していくのだという御意見でございますが、その貿易關係のことは殊にそうであります。交易に重大影響を及ぼすものにおきましては、細分化してしまつてから、また社會化するというのでは、二重な手間がかかつて、その間に非常に生産力が落ちるものが多々あると思うのであります。こういうようなものは特に一つ一つについて相當な研究をして、まず社會化を先にやつて、それ以外のものを細分化していくという計畫が、どうしても最初に必要であろうと思うのであります。從つてこの集中排除法の審議にあたりましては、大體においてさつきおつしやつた日本の産業を、どの線にまで、どうもつていくかという構圖を一通りお示し願うことが、どうしても必要であると思うのであります。それらの點について重ねて御意見を承りたいと思います。
#49
○和田國務大臣 企業の再編成計畫の概要につきましては、おそらく政府委員からこの前御説明申し上げたと思うのでありますが、公共の事業と言いますか、われわれの方としましても、今度の法律をつくりますときに、この法律の適用の對象にならないものとして、いろいろ交渉の經過においては、たとえば金融業であるとか、あるいは一般の交通業であるとか、それぞれ獨占禁止法の中にありますような事柄を考えて交渉いたしたわけでありますが、しかし結局交渉の結果として、ただいま提出しましたような法案になりまして、一應公共團體なり、あるいは鑛山勞働組合を除いて、すべて經濟力集中排除の對象になる。こういうことに落著いた次第であります。しかしこの際繰返して申し上げておきたいことは、經濟力の集中排除というものは、これは獨占禁止法のように恆久的立法でございません。暫定的な立法であります。しかも過去における過當に集中された經濟力を排除するというのが目的であつて、しかも向う側との交渉においてはつきりしたことは、むしろ所有の集中に排除するのであつて、企業自體の排除でないということをはつきり言つておるのでありまして、われわれとしましては、從いましてこの法案が運營されまするときに、指定されました會社の大部分は制限會社になると思うのでありますが、そういうものが實際自主的に生産力自體については低下しないような、そういうような案を立てて、そうしてこれが實際の實現に移していく。日本の將來の經濟のことを考えていきますと、そこにむりがあつてはならないと考えて、從いましてこの運營については條件、事情、基準についても、できるだけ具體的に規定して、持株會社整理委員會に早く活動さし、實施に移していきたいと考えてその考えを貫いていきたいと私どもは思うのであります。將來の企業再編成計畫の概要につきましては、一應説明したと思いまするが、もう一遍私から概略を説明いたしたいと思います。ちよつと速記をやめてください。
#50
○北村委員長 それでは速記をやめて……。
    〔速記中止〕
#51
○林(大)委員 持株會社整理委員會の人選につきましては、その規定がないのでありますが、こういう資本家の方にも關係があり、またその各企業に屬しておりますところの勞働者の方にも、重大なる關係がある分離作業というものを掌るところの、持株會社整理委員會の構成の中には、當然これは資本家側の者と勞働者の代表者が、一對一でもつて加わつて、そうして相協調していけるような人的構成をすることが必要であろうと思うのであります。その點についてそうした私の今申し上げるような方法において、これをやつていかれるつもりであるかどうか、この點をお尋ねしたいのが第一點。それから第五條の利害關係人という言葉もありますし、これにも勞働組合などを含ますつもりであるか、どうか。それから第七條の第七項にありますところの、企業の再編成計畫書というものの作成にわたつても、勞働組合の代表を加えられる意思ありや否や。また第九條の聽聞會の場合にも、同じくことを加えられるような意思があるかどうか、このことをお伺いいたしておきたいのであります。
#52
○和田國務大臣 お答えいたします。この持株會社整理委員得の仕事は、やはり中正、公平であることを要しますので、いわば今度の改正のときにも、實はこれを行政官廳のようにいたしてやろうということに、われわれは非常に交渉いたしたような程度でありまして、どうしても一つの官廳的なものと考えておりますので、利益代表という考えをとつておりませんから、やはり委員會の構成としては、そういう資本家代表であるとか、勞働者代表であるとかいうものでなくして、この仕事をやつていくのに適當な人物という觀點から、委員の選任をいたしている次第であります。もちろんこの委員の中に、勞働關係の人がはいつていることははいつておりますが、これは利益代表という關係ではいつているのではないことを御承知願いたい。利害關係人の中にはもちろん從業員ははいります。それから編成計畫は各企業別に結局つくられることになるわけでありますので、各企業が自主的につくつていくわけでありますから、從つてそれは企業の問題で、そのときに勞働者側の意見を企業の側において聽くということはあり得ることであつて、その計畫の中に必ず勞働組合は法律的にはいつていくということにはなつておりません。實際上の問題としても、これは十分勞働者側の意見を、企業がつくるときに聽いてやつているというような模樣であります。最後の聽聞會の點は、もちろん當然勞働者の方がはいつてくるわけであります。
#53
○林(大)委員 今のようなら、都合がよければひとつ勞働者側も入れようというお考えのようでありますが、これを法律においてある程度勞働者側を入れるということをはつきりしておくとおかないとでは、非常な違いが生ずることと思いますので、その點ひとつもう少しはつきりと、勞働者側の意見を容れ得る。またこれは官廳に似たものであるから、公正にそれをとればいいじやないかと仰しやるが、そうなると、自然今までのいき方からいきますと、資本家にくみするものが多い。こういう傾きが多分にあると思うのであります。そこでなるべくそれがほんとうに公正にいくためには、法律上も勞働者側の發言權を確保しておく措置を講ぜられることが必要であろうと思うのであります。
#54
○和田國務大臣 特株會社整理委員會の委員に勞働者側を入れる。こういうことはないのであります。これはやはり公平中正な人をとるという建前で、官廳的に考えて、利益代表の考えをとつておりません。從つて資本家も入れるという考え方ではないのであります。これは獨自のもの、官廳的に公平に仕事をやるという意味で、よく仕事のわかつた人、そういう人にはいつてもらつて仕事をやつていく。こういう事柄で一應の選定をやつた次第であります。それから利害關係人の中に從業員がはいるかどうか、これは當然はいるのでありまして、法律に特別の規定がなくても當然はいる。こういう解釋で進んでおります。
#55
○内藤委員 ただいま御説明いただきました持株會社整理委員會令の一部を改正する法律案についてでありますが、ただいまいただきました委員會令を見ると、三度の改正が行われております。この三度の改正は法律で改正されたのでありますか、政令で改正されたのでありますかということが第一、第二は政令を改正するのに法律をもつてするということの理由竝びに法的根據、これを伺いたいと思う。
#56
○伊原政府委員 便宜私から申し上げます。三囘の改正はいずれもポツダム勅令で改正しておりまして、法律で改正しておりません。私の記憶によると、多分議會の開會中でなかつた時ではないかと記憶しておりますが、いずれもポツダム宣言で改正しております。第二點は、御存じの通り持株會社整理委員會令というのは、昭和二十年勅令第五百四十二號、ポツダム宣言の受諸に伴い發する命令に關する件、こういうのがございまして、これに基きましてできました勅令でございまして、持株會社整理委員會を設定する、こういう特殊の法人を設定する法令でございますので、普通ならば法律によるべきものでありますが、御存じのようなデイレクテイブによつてつくりましたものでありますので、ポツダム宣言受諾に伴い發する命令の件、これに基きまして出したもので、いわゆるポツダム勅令であります。從いましてこれを改正いたしますには、議會の開會中でございますので法律によりました次第でございます。
#57
○北村委員長 周東君。
#58
○周東委員 一、二持株會社整理委員會令に關してお尋ねいたしたいと思います。企業集中排除法案の規定するところのものがうまくいくかいかぬかということは、要するに持株會社整理委員會がその全權を握つておると思つてもいいと思います。從つてこの委員會の構成、機能というものは非常な影響をもつものでありますが、まず第一に、この委員會の委員の人選については、相當に今度新しき權限が殖えるのでありますから、その方面に堪能な方をつけ加えられるという話でありますが、大體現在の委員にどのくらい増加されるかというのが一つ。
 それからもう一つは、もしこの持株會社整理委員會の委員の業務執行と申しますか、仕事の運用上不適當と考えられた場合において、内閣總理大臣は監督することになつておりますが、これは政府の方で任免黜陟が自由にやれるのかどうかということを、まず先にお伺いいたしたい。
#59
○佐多政府委員 御質問のように、今度は經濟力集中排除法の運營に持株會社整理委員會が當るということになりますと、非常に大きな權限をもち、しかも新しい仕事を附加していきますので、これに對しては適當な者が委員になつて、それによつて運營されていくことが必要であると存ずるのであります。從いまして政府の意向としては、なるべくならば委員をさらに増員するとか、あるいはそれに基いてもし適當な人があるならば、その適當な人に委員に加わつてもらつてやるというような措置をとりたいと思いますが、御承知のようにこの人選その他につきましては、關係方面との折衝を必要といたしますので、さらにそれらとの折衝を重ねまして、實際の實現に努力したいというふうな意向をもつております。
 第二點の運用上不適當な人をかえることができるかというお尋ねでございますが、これは第一條に規定しましたように、總理大臣の監督に屬しますので、明らかに不適當と思われる者があれば、それをかえることは可能でございます。
#60
○周東委員 第一の點は、これはぜひ政府の御努力をお願いしたいと思います。今までおられます委員は、財閥の解體とか、持株整理とか、特殊な仕事を解決するために專任された方であり、その仕事についてはどの方も適當な方であつたと思いますし、今日までの御努力は認められるのでありますが、今度新しい機能については、おそわくこの前の人選の標準というものが違つておつたと思うのであります。その點はわれわれは強く要望いたしたい。日本の企業の再建という立場からこの集中排除というものは、先ほどから同僚議員が心配されているように、非常な影響をもつものである。これが日本の企業の再建されるか否かということに關連して、集中排除がどういうふうに實行されるかということについては、どういうかひとつ産業生産方面に、企業の再建方面に、廣く學識經驗のある方を相當入れて、そうして適正な運用ができるように、政府當局の方から向うに折衝願いたい。これをお願いしておきます。
 次にこの委員會がまず企業の集中排除をなすべきものとして指定をして、その指定された會社等が企業の再建整備案を出すことになると思います。その際に指定された會社等が企業の再建整備案を出して、これを適當でありや否やということを、絶えず判定をするのが委員會でありましようが、その場合に意見が違つてきたときにはどういうふうなことになるか、どうしても委員會の考え方と、その會社の考えとの間に意見の相違を來したという場合において、たれがそれを裁定するのか、どうしても委員會の方が承知しないというような場合において、何かそれに對して救濟の途を考えてあるのか、ちよつとこれがわからないのですが……。
#61
○佐多政府委員 まず聽聞會を開きまして、その聽聞會において、利害關係人から異議の申立あるいは意見の具申を聽くことにいたしております。それによつてそれらの意見が正してとなりますれば、整理委員會の方でさらに變更する。あるいはそれを變更に及ばすということになれば、整理委員會の方では變更しないということで決定にもつていくと思います。その場合にさらに第十三條に規定してありますように、事實の認定が實質的に證據を基礎としていない場合、または持株會社整理委員會が實質的な證據を採用しなかつた場合においては、利害關係は不服の申立を内閣總理大臣にすることができることになつております。内閣總理大臣はその不服の申立によつて審査をいたすということになるかと思います。なおもし持株會社整理委員會の處置において違法なる處置であるというふうなことが考えられる場合には、裁判所にさらに訴えをすることができることになつております。そういう措置で判定されることに相なると思います。
#62
○北村委員長 松尾君。
#63
○松尾委員 この經濟力集中排除法案に對しまして各委員からいろいろお尋ねがありましたが、一番問題になる點は、日本の再建をどんな形にするかということに盡きていると思うのです。皆さんがお尋ねになりましたあとですから、私は違つた方面から違つた言葉でもう一度これをお尋ねしたいと思うのです。たとえばいま日本が貿易國家としまして經濟を再建しようとしている折柄には、やはり相當の資本や施設が必要だと思うのです。この獨占禁止法とかあるいは經濟力集中排除法案とにらみ合わせますと、日本の産業というものは、將來實に幼稚な原始的なものになつてしまうようなおそれがあると思うのです。ところが國家の場合は、たとえ小さいながらも國家をもちこたえるには、レールも機關車も、あるいは船舶もつくらなければならぬと思うのです。この船舶やレールや機關車をつくる力がなくなつてしまうということは、國家として維持できないようになるのじやないか。こんな考えをもつているのです。そのゆえにこの法案を施行するにあたりまして、あるいは施行してからあと、政府はいろいろとこの點でお考えになると思うのですけれども、かいつまんで話しますと、今後は民間の資本を厖大にして、重要産業を起すということは許されない状態にある今日、各省に特別會計を設けまして、たとえばレール特別會計とか。機關車特別會計とか、船舶特別會計というものを設けて、國家資本でおやりになるようなお考えがあるのですかどうですか。その邊をお伺いしたいと思うのです。
#64
○佐多政府委員 御質問の通りに、日本は將來貿易産業を中心にして、世界經濟へ有力に參加していかなければならない態勢におかれていると思いますので、そういう意味においては十分に日本經濟が自立し得るように、從つて國際競爭場裡においては、最も有利な條件で競爭ができるように、そういう意味での近代的な設備、近代的な施設、近代的な適正な規模は、ぜひ確保するように、合理的な再編成をしたいと考えております。從いまして今御懸念のような日本經濟を、細分化し、寸斷してしまつて、非常な原始的な形態に還すのじやないかというような御懸念は毛頭必要はないでしようし、そういうことに陷らないように萬全の措置をいたしたいと思つております。
 さらに第二點のあらゆる商品についてと言いますか、あらゆる部門について特別會計を設けて、これを全部國家資本で經營する意圖はないかというお話でございますが、大體の考え方としては、獨占禁止法で考えておりますように、公正な、自由な經濟の運營ができるような秩序を保持するという形において、新しい經濟を運營していく。そのために民間の創意工夫を十分に伸張させるという形態に經濟をもつていこうとしておると思いますので、仰せのようにすべてのものを國家資本でやるということは、今のところ考えていないというふうにお答えいたしたいと思います。
#65
○松尾委員 私のお尋ねするのはすべてのものを國家資本でやるというのでなくして、一國として立つていくに必要なところのレールや、機關車や、船舶というものは、この獨禁とか、經濟力集中排除法案を施行すると小さなものになつてしまつて、こんな大きな金の要るものを許されないようになつていくときに、言いかえれば重要産業だけは國家資本でやつていつた方がよいと考えておるのです。またそれが今の日本の立場ではないかしら、こんなふうに考えておるのですけれども、これはむずかしい問題ですから保留しておきます。
 それからもう一點お尋ねしたいのは株の問題なんですけれども、いま株式というものが非常にいろいろの影響とか、國家の方針によりまして、安く見積られておるのです。これはいろいろの情勢を調べてみると、當然なことだと思ふのですが、ここはまだ會社の殘餘資金と言いますか、このようなものが政府の方針によつて非常は固く見積られていると聽いておるのです。たとへば今インフレなんですけれども、昔の昭和十年とか昭和十二、三年の價格標準をもつて過大評價をしておるものですから、株式の安い原因がそこにあるのじやないか。これはこれでよろしいのですけれども、今囘財閥がもつておりますところの株式が公開されまして、いろいろの手に渡ると思うのです。この場合にちよつと心配になることは、言つてよいかどうかわからないのですけれども、第三國人の手に渡つた場合をときどき憂えるのです。この株式の公開にあたりましても、一人がたくさんもつことができないようになつておるとは言われておりますけれども、いろいろの人の名義によつて買いますれば、結局終點は一つの力に集中されるという懸念があると思ふのです。この場合に非常にいま圓が安いし、他のお金によつて買占めた場合には、ごくささいな資本で、日本産業の全部の實權を握られてしまうということがあるのじやないかと思いますので、極力株式の公開の場合にこの點を御考慮願いたいといふ問題であります。私の一番心配しているのはその點でありまして、なるべくそれがないように株式の再編成をやつてもらいたい。
#66
○伊原政府委員 ただいま株式の分散等のことについてお尋ねがございましたが、仰せのように財閥關係の株式その他の株式において、日本の株式の過半數以上のものを分散さすべき状態が來ておるのでありまして、私どもの推算におきましても、財閥關係の株式で六十七億。制限會社の處分すべき株式が十六億、閉鎖機關の株式が十四億、財産税ではいりましたものが十六億、合計百十四億、そのほか獨占禁止法によつて會社が株式をもてないということでございますので、會社が株式を賣出さなければならないというような事態になつております。この株式をどういうふうに處分するかといふことは、非常に重大な問題になつておるのであります。これについてはご存じのように昨年の議會で御制定いただきました株式の處分の調整等に關する法律といふのがございまして、それに基いて證券處理調整協議會といふのができております。ここで計畫を立てまして、これには司令部の方からもオブザーバーが三人ほど出席をしておられるのでありますが、その方針としては御懸念のないやうに、株式は民主的と言うか、國民の間に廣く分散をするといふことを根本方針にしておりまするので、一箇所のある人にかたまつて處分するというふうなことがないようにという方針で處分をしております。そういうふうなことをいたしましても、架空名儀で株式を取得するではないかというようなお話もございましたが、その問題の裏づけとして、相當の重要な會社については、近いうちに登録制といふか、どういう株主の分散状態になつておるかというようなことについて、證券處理調整協議會で、會社の株式の分散状況を常時把握いたします名簿をつくり、いかに民主的に株式が配分されておるかといふことについて監視するといふことも、近く發足することになつておりますので、それらの御懸念がないように運營されるといふように確信をいたしておるのであります。
#67
○松尾委員 第三國人の問題を御答辯願いたいのであります。
 それからこれが國民經濟を合理的に再編成することと、民主的で健全なる國民經濟再建の基礎をつくる必要があるからやつたといふのにかかわらず、その株を買つて産業を與するということでなくして、殘餘資金が固く見積られておるために、それを解體して、部分的に賣拂つた方がもうかるなどというのが、かえつて現状ではないかと思うのです。そういう場合にそれらをやらせないような方法は御考慮になつておりますか。
#68
○伊原政府委員 お尋ねの第三國人の問題でございますが、株式の處分にあたり、國籍によつて差別をするといたさないという方針であります。ただある特定の人が、その産業を支配する目的をもつて、その會社の株の多數を一度に取得するということは、先ほど申しました株式をできるだけ廣く分散して、民主的に所有をさせようという方針には反しますので、そうでない方法で株式を分散するという固い方針でございますから、そういうふうな御懸念のことは起らない、こう存じておるわけであります。株の分散につきましては、御存じのようにできるだけ從業員に分散し、それから次にその會社でありますると、たとえば地方々々工場をもつておりますれば、その工場の周圍の人というような人に分散をする。それから一般公衆に分散をするというふうな分散の順序もございまするので、御懸念の點はないと存じます。
 最後に資産の評價、こういうことでざごいましようか、お答えになるかどうかわかりませんが、企業再建にあたりまして第二會社等を建てます場合には、資産の評價は帳簿價格であるというような標準を固くとつておりますので、生産に必要なものをもつて第二會社を建てて生産に邁進するよりも、そういうものは帳簿價格より何倍か高い時價で賣りとばしてしまつた方が得だというふうなことが、行われておるのではないかとお尋ねかという思いますが、その點につきましてはあくまでも生産に必要な設備資材をもちまして、新しく生産に邁進しますために、第二會社の設定等の方法を促進いたすことになつております。萬一、一單位として生産に使われますものは、これははなはだ技術的のことになりますが、いわゆる新勘定、舊勘定にわけまして、舊勘定におきまして賣りまする場合にも、工場とか設備が、一單位として生産に役立ちまするものは、時價で賣ることを認めませんで、やはり帳簿價格で他の會社に出資をするという方針をとつておりまするから御懸念のようなことはないと存じております。
#69
○周東委員 委員會の經理上、決算報告を政府に出して、會計檢査院が責任解除をやることになつておつたと思いますが、もしもその場合に、會計檢査院の方で異議の決定通告をしたというような場合における委員會の委員長、もしくは會計の擔當者に對しての處置はどういうふうになりますか、不正行為のある場合に對しては別の行き方をするということになつておりますが、由來不當なというか、適當でない會計支出があつた場合においては、官廳の決算等におきましても、大體會計檢査院に報告して、議會に報告があつて、そして不當と認むということでそれでおしまいになつておるようでありますが、今度の委員會のもつ權限というものから考え、かつ持株會社整理委員會に讓渡された財産というようなものがいろいろありまして、それらに絡む處分等、經理關係の方面については、相當大きな仕事をもつことになりますので、それらに對じまして毎年事業年度毎に報告をすることになつております。それに對して會計檢査院が異議なしと認めた場合において責任を解除することになつておりますが、異議のあるというようなこと、すなわち不當支出をしておるというような場合においての委員會の責任はどういうことになるのでありましようか、これは委員會の性質上、普通の場合とよほど違つた形の規定を、監督上おく必要があるのではないかと思いますが、それはどういうことになつておりますか。
#70
○伊原政府委員 ちよつとむずかしいお尋ねでございますが、ここの二十三條にございますように、會計檢査院に對しまして書類を提出いたしまして、檢査院の方で差支えない場合は免除する。しかし委員と常任委員に不正の行為のあつたときは、その責任が免除せられないということになつております。
#71
○周東委員 それは不正のことで、不當支出、不正行為ではないけれども、當を得ざる支出に對してどうするか、これは從來官廳の決算等におきまして、大體不當支出をしておるという場合に、不正でないが、不當支出をしているということで、事後戒飭をするということだけで、大體決算を濟ます。おそらく今度の場合も、委員會というものは公の機關で、行政官廳よりももつと樂なものになつております。しかも内容の經理面において大きな力をもつてゐる。これに對して不正があつた場合にはこれは言うまでもない、相當契約上の責任もあろうし、いろいろ責任があろうと思うが、ただ不當の支出をしたことに對しては、おそらく會計檢査院から内閣に通告し、議會に通告して議會がこれを監督することになると思いますが、おそらくそれに對しては何らの規定がない、ただ從來の官廳に對する決算の警告くらいで終るのか、何かこれは相當のことを考えておかないと、いかぬのじやないか、これらに對して政府はどうお考えになるかということであります。
#72
○渡邊(喜)政府委員 お話のように會計檢査院の方で檢査をいたしまして、そこにもし不當の支出があるとかいうことになりますと、二十三條の規定にありますように、「内閣總理大臣及會計檢査院ニ提出スベシ」、檢査院の方から不當の支出の通知を内閣總理大臣が受けた場合において、内閣總理大臣はいかなる處置をとるか、これが御質問の要旨だと思いますが、この點については仰せのように、具體的にそういう場合に、どう處置をするかということは書いてないが、委員會令の第一條に「整理委員會ハ公ノ機關トシ内閣總理大臣ノ監督ニ屬ス」という規定がありまして、結局内閣總理大臣は一應の監督權をもつ。從いましてその不當支出の内容また程度によりまして、あるいは内閣總理大臣としまして、その程度が弱ければ、事後の注意になりましようし、その程度の強い場合につきましては、罷免權の問題が一應考えられる。不當の程度によりましては、内閣總理大臣が委員の更送を考えるといつたようなところまでいき得るんじやないかと思います。それから國會の方へ一應この書類はさらに提出することになつておりますから、國會におかれても政府を通じましてさらにそういう問題があればその監督權を行使させるようなことにも考えられます。結局規定としてございますのは、整理委員會は内閣總理大臣の監督に屬すとあつて、この監督權の内容としまして、具體的の事實が起きましたときに、その内容の強弱によりましていろいろ適當の手段がとられるべきものと、かように解釋しております。
#73
○周東委員 私はそこまではできると思いますが、實際は賠償責任というようなものをここに入れる必要はないかどうかということをお尋ねしているわけです。一體持株會社整理委員會の權限なり、取扱う財産は、相當大きな金になつていると思います。これが決定に至るまでいろいろの筋道は通りましようが、こただけの大きな仕事をし、財産を扱う委員會で、不當の處分をした、不當の支出をしたという場合には、それに對して賠償責任なくして、ただ更送とか任免黜陟だけで濟ましていいものか、あるいはもう少し強い責任を負わせる途をとつておく必要はなかつたのか、こういう問題であります。
#74
○渡邊(喜)政府委員 今の點につきましては、確かに御意見のような點も一つのお考えだと思いますが、結局現在の法律の建前としては、賠償責任の問題としては、もしそれが民法上の不法行為であるとかいうものならば、民法上の規定に任せ、もし不法行為、損害賠償というような關係におきまして、ああいう規定に牴觸する意味の不法行為があれば、民法の規定に從つての賠償責任、こういうことが考えられていまして、それ以上にわたりまして特別に――もちろん今お話のように、この委員長なり委員會というものは、非常に大きな仕事をするものではありますが、しかしその大きな仕事をするというだけに、民法の規定とかいうものを離れた特別な賠償責任というようなのは、これはいかがかと思いまして、現在はそこまで考えておりません。結局もちろん民法上における不法行為による損害賠償というような問題が起りますれば、その程度でございますれば、これは民法に從つて責任は負う。お話のような點がございますが、その仕事が特に重大であるということと同時に、從つて民法の規定に牴觸しないで、不當な點だというような程度でもつての賠償責任は、現在のところはそこまでいくのはいかがかと考えております。
#75
○林(大)委員 第三條の第一項に、「獨占的性質の企業」とありますが、私設鐵道會社、ガス會社、電氣會社をどういうようにお扱いになりますか伺いたいと思います。
#76
○佐多政府委員 この法律におきましては、一應そういう公共事業も全部法律の對象になるというふうに考えております。しかしながらこの法律でうたつておりますように、公共の利益に合致するように排除をするということになつておりますので、今おあげになりましたような諸企業が、公共の利益のために獨占的な經營をしておるという場合でありましたら、これは排除されない。實際の運用上は排除の對象にならないということになると思います。もつぱらそれが公共の利益の見地からどうかという問題で、判定されていくことと思つております。
#77
○塚田委員 二、三技術的な問題についてお尋ねいたしたいと存じます。その第一は、今度排除法の適用を受けた場合に、いくつかの企業に解體分離される事業がたくさんできてくると思うのでありますが、その場合に一つの大きな會社を、いくつかの會社にわけていくということ、つまり法人をいくつかにするという場合に、商法には合併の規定があるのでありますけれども、分離の規定はないのでありまして、そういう場合にもとの會社を解散させて、そうして新しく設立させるという行き方でいかれるのか、それともまたそのほかいろいろな點をも考慮して、何らか特別な法律でもお出しになるお考えなのか、その點をお尋ねいたしたいと思います。
#78
○伊原政府委員 お尋ねの通り會社を分離いたします場合におきまして、たとえばたくさん第二會社ができますような場合につきまして、現在こういう規定があるわけであります。御存じのように特別經理會社につきましては、企業再建整備法というのがありまして、これで、たとえば第二會社を甲乙丙三つつくるような場合には、その第二會社をつくる場合に、もとの會社の債權をどういうように引繼ぐか、それから今回この委員會にかけて御審議を願つております改正法によりまして、第二會社の株式をうまく賣りさばく方法等につきましては、企業再建整備法の方に實は規定があるわけであります。ところがそのいわゆる特別經理會社でない會社については規定がございませんので、近いうちに、名前は少しややこしくなつておりますが、經濟力集中排除法施行に伴う經濟再建の特例等に關する法律という、ごく短い法律でございますが、そういうふうな法律を近いうちに提案をいたしまして、それによりまして會社が分割せられるような場合におきましては、企業再建整備法と大體同じような方法で、第二會社等をうまく建て得るような措置をとる豫定になつております。
#79
○塚田委員 次にお尋ねいたしたいのは、今度のこの法律の中に、いくつか財産權に對する制限、それから營業の自由に對する制限にあたるようなものがあるように考えられるのであります。たとえば第七條の第二項五號及び六號のようなのはその例なのでありますが、もちろん憲法のそれらの規定には、公共の福祉という大きなわくがあることは私も承知しております。しかしその場合にも憲法の趣旨からいけば、そういう場合には十分それに對する保障というものが考えられておるはずであると私は解釋しておるのであります。それらの點について政府はどういうようにお考えになつておるのか、その點をお尋ねいたしたいと存じます。
#80
○渡邊(喜)政府委員 お答えいたします。第七條のたとえば第五號は、「財産の讓渡若しくは引渡を命じ」というような規定がございます。これはどういう場合に大體適用されるかということを豫想してみますと、たとえば企業が分割する。普通ならば分割は大體再編成で濟むのでありますが、場合によりましては、その一部の財産の讓渡を命ずることがあるかもしれないということが豫想されますが、主としては個人の場合におきまして、富の集中というかつこうの場合に、そのもつております有價證券の讓渡を命ずるとか、これが主として出てくる事例じやないかと思います。これは現在持株會社整理委員會で、財閥解體の場合に大體やつておるようでありまして、あれをポツダム勅令でやつておりますが、多少憲法との關係はどうかという議論もあると思います。しかし現在でもあれは憲法に違反しないという意味は、結局讓渡を命じますが、それは無償讓渡を命ずるわけでありまんで、現在のやり方は、一應持株會社整理委員會が信託的にそれを受取りまして、それを適當の時價で賣却して、賣却代金を、手數料を差引いたところでもつて元の所有者に還元してやる。今度のものは讓渡を命じますが、無償讓渡でなく相當の時價で拂われるというふうに考えられまして、ねらいとしましては、ただ財産を取上げるというのではなく、もつております有價證券というようなことによりまして、獨占企業を支配しておるその形態を崩そうというので、その範圍の處置でございますならば、現在の憲法の規定とぶつかることはないんじやなかろうか、かように解釋しております。
#81
○塚田委員 次に法案第九條の一項及び二項に、持株會社整理委員會の決定指令に對しての變更の申立てを、公正取引委員會にもつていくという規定があるのであります。しかもその二項を見ますと、その變更の申立てをする場合に、持株會社整理委員會が存續しておる間は、その用意を得なければこれはもつていけないということになつておるので、同意を得なければ變更の申立てをすることができないということであれば、實質的にこれは空文になるんじやないかというふうな感じがいたすのであります。あるいは考え方が足りないのかとも思うのでありますが、その點御説明を願いたい。
#82
○渡邊(喜)政府委員 お答え申し上げます。この十九條の規定は、多少わかりにくい規定で、御質問がそこにあると思いますが、持株會社整理委員會が指令を出しまして、ある一定の措置を命ずる。その場合におきましてその措置通りに行われるかどうかということをここに書いてあります。決定指令の執行に關する事項は、公正取引委員會がこれを掌ると書いてございますのは、その決定指令の通りに、その措置が會社によつて行われておるかどうかということの、主として監視的な役割を公正取引委員會がする、こういうふうに解釋しております。從いましてその監視的な役割を公正取引委員會が掌りますために、もしその決定指令につきまして何かその指令が不都合がある。その指令通りにやることによつて、會社としてはかえつてぐあいが悪いというような問題があつた場合におきましては、その窓口としまして一應公正取引委員會に申し出る。結局公正取引委員會の方が監視的な役割をしておるから、監視的な役割をしておるところに一應申し出る。しかし本來の指令の決定は、持株會社整理委員會の方でやつたわけでございますから、公正取引委員會の方でそれを全部自分の勝手にきめるわけにいかなくて、公正取引委員會は、一應窓口的なやり方をして――一應獨自的な意見はもちましようが、持株會社整理委員會が本來自分の出したものでありますから、持株會社整理委員會の判斷を聽いてやるというふうな考え方になつております。その場合におきまして持株會社整理委員會の權限を公正取引委員會に移す以前におきましては、というふうに一應の限定があるのみならず、それはあとの二十六條にございますように、持株會社整理委員會が仕事を行いますのは、一應の期限がございまして、それ以後は仕事を公正取引委員會に移すわけでございまして、公正取引委員會に移したあとにおいては、全部の責任は公正取引委員會に移り、同時に全體の權限も公正取引委員會に移る、それまでは一應仕事は持株會社整理委員會が最終決定を握るのですが、公正取引委員會が監視をしますものですから、その指令についての異議申立を、一應そこの窓口を通す、こういう關係に解釋したらよいのではないかと思います。
    〔委員長退席、早稻田委員長代理著席〕
#83
○塚田委員 御説明のような趣旨であるとすれば、結局これはそういうような事柄は、むしろ直接持株會社整理委員會にもう一度變更の申立をさせる方が適當のように考えられますけれども、その邊はどうでございましようか。
#84
○渡邊(喜)政府委員 御説のように持株會社整理委員會の方に、異議の申立をさせるというのも一つの考え方でございますが、一應この規定の建前といたしましては、その決定指令の執行が、適正に行われておるかどうかということにつきましての監視的な職能は、公正取引委員會にやらせる。從いまして公正取引委員會の方がふだんに實情を見ておるだらう。從つてふだんの實情を見ておるところにます異議の申立をさせまして、そうして公正取引委員會の判斷を尊重するが、しかし決定的なことは、一應持株會社整理委員會がもともと命令を出したのだから、そこの意見を聽き、同意を得てやる。こういうふうな建前になつておりまして、何も持株會社整理委員會で直接やつたらいいんじやないかというものも、一つの考え方と思いますが、そこにおける機能を二つにわけたというところで、まず公正取引委員會を經るというのも、一つの行き方であると考えております。
#85
○塚田委員 次に第二十條に持株會社整理委員會の職權の一部を公正取引委員會に委任するという、またその事務の一部を行政官廳その他の機關に委囑するという規定があるのですが、これはどんな場合のことを考えておられるのか、御説明を願いたい。
#86
○渡邊(喜)政府委員 現在具體的にどういう權限を公明取引委員會に委任するかというようなことは、特に具體的にはまだはつきりしておりません。しかし場合によりまして、たとえば調査のようなこととか、檢査のようなこととかを委任するような場合も考えられますし、一應こういう機關を使い得る態勢をとつていきたい。具體的にこれを使うかということで、こういうことに使いますと申し上げるほど、それほどまだ話は具體的にはできておりません。しかし大體物によりまして、やはりこういう權限を委任することも必要があるのではないだろうかということは考えられます。
#87
○塚田委員 いま一點お伺いいたします。最後の二十七條におきまして、私的獨占禁止法の規定を、公明取引委員會の權限が、持株會社整理委員會の權限よりも、また本法案よりも上にあるという點が書いてあるのでありますが、私どもの率直な感じから申しますと、私的獨占禁止法と、この法案との關係は、むしろ私的獨占禁止法が一般規定であつて、これが特別規定であるような感じがするのであります。普通の法律の常識からいたしますれば、こちらの方がむしろ優位にあつて、私的獨占禁止法がこの法律の範圍内でむしろ變更を受けるというように考えられるのですけれども、その邊はどういうぐあいに政府當局はお考えでありますか。
#88
○渡邊(喜)政府委員 私的獨占禁止法と集中排除法と、これが一般法と特別法との關係にあるかというような御意見でございますが、必ずしも一般法と特別法との關係にあるとも考えられないと思います。もちろん私的獨占禁止法は一應施行になつた以後におきましても、私的獨占を全部禁止する。こちらの方はまた過去におけるものから遡りまして、これはおそらく二分割の再編成計畫ができ上ると思います。ところが持株會社整理委員會が集中排除法によりまして二分割の案がよろしいというふうにきめましても、今度は公正取引委員會の方でもつて、獨占禁止法によりまして二分割されてできた會社が、獨占禁止法によると、一つの會社はやはり獨占禁止に違反するのだ、こういうことになりますれば、今度は公正取引委員會の方は獨占禁止法に從いまして、やはりその二分割された後にできた會社につきましても、あるいは分割とか適當な事業能力の格差に關する適當な措置というようなことでもつて、適當な措置を講じ得る。逆に獨占禁止法の方で、公正取引委員會が一應の事業の格差の點でもつてある措置をとつたとします。ところが特株會社整理委員會の方では、その法律に照らしてみまして、そのとつた措置においてもまだ足りない部分があるということになれば、今度は持株は適當な措置を別個にとり得る。もちろんその場合に、持株の方でとつた措置でもつて獨禁法に觸れるものはなくなつてしもうとか、獨禁法でとつた措置は排除法でとる措置は必要がなくなつてしもうということになりますれば、あとに殘つた公正取引委員會なり持株會社整理委員會は、何ら措置をとりませんが、前に他の委員會が一應の措置をとつたが、しかしなおかつ自分の方の法律に照らせば、とつた後の状態から照らして、まだある一部の措置をとらなければならないという場合には、なおとり得る。結局殘つた姿としましては、兩方が重なりまして一番シミラーな姿が殘りはしないか。二十七條の解釋でありますが、權限はこの法律の規定及び持株會社整理委員會の權限によつて變更されないというふうに書いておきますのは、持株會社整理委員會が、この法律に從いまして一定の措置をとりましても、この措置をとつた後の形態について、公正取引委員會の方では獨禁法に照らしてみまして、獨禁法に觸れるという問題があれば、適當の措置をとり得る。持株の方でいいと言つたから獨禁法は何ら措置をとり得ないんだということにはならない。こういうふうに念のために一應書いてある、かように御解釋を願つたらよいと思います。
#89
○川合委員 持株會社整理委員會の運用が、本法の施行に關しては非常に重大性を帶びておるということは先ほどからのお話でわれわれはよく了解しているわけですが、問題はこの持株會社整理委員會の常務委員の任免は、委員會令の第六條によりますと、委員長、常務委員は委員の中から内閣總理大臣これを命ずとあります。最近たとえばいろいろな類似のかような委員會の委員、あるいは委員長というものは、國會の承認同意を必要としておるのでありますが、この委員會の運用の民主化というような見地から、同時にこの委員會の權威を保たせる上においてそういうような國會の同意あるいは承認ということが考えられないかどうか、この點を政府にお聽きしたいと思います。
    〔早稻田委員長代理退席、委員長著席〕
#90
○伊原政府委員 これは實は委員會の性格の問題とも關連いたすのであります。先ほど和田長官がお話になりましたように、この委員會はきわめて行政的な大切な仕事をいたしますので、日本政府の方としてはこれを行政官廳にしたいという強い意見もありましたが、いろいろな關係でこれが行政官廳ではなく、行政官廳からも獨立した委員會であるということになりました。その代りと申しては語弊がありますが、法律形態としては内閣總理大臣の監督に屬する、國會に對します關係は、内閣總理大臣が國會に對して責任を負うという形になつております。從つて委員の任免等においても總理大臣がこれを命ずるということになつておるわけであります。
#91
○川合委員 私ども審議をしておる者はよくその間の事情か判明しておりますので、それを了とする點がありますが、一般にこのようなことが納得されないということからいたしますならば、この委員會も民主的といつたようなことからしまして總理大臣の間接責任において行うということは、國會としてははたしてどうかというように思われます。われわれとしてはもつと國會が直接的に同意あるいは承認を與えるということを希望する、これはいずれ追つて伺うとしまして、いろいろな意見を纒めたいと思います。
 なお立つたついでと申しては恐縮でありますが、先ほどから和田長官が、この委員會というものが第三者的な立場において、そして半ば官廳的な立場においてやるということを言われたのでありますが、この法案を讀んでいきます間に、私は第十二條において、持株會社整理委員會は、企業再編成計畫が債權者、社債權者及び株主を公正かつ公平に取扱つていない場合には云々とあるわけであります。この場合において勞働者ということが考えられないように思います。もちろんこの企業再編成計畫、あるいはまたこの法案そのものが、資本の集中を排除するということがねらいでありますから、一應は勞働者を除外して考えても差支えないというように考えられるのであります。しかしながら企業再編成計畫が影響するところは非常に勞働者にも大きいわけであります。いわんやこれらを法律にしまして、勞働の強化ということを再編成計畫の眼目にするということがあつてはならないと思うわけであります。そういうようなことからしまして、公正かつ公平に取扱うということからするならば、勞働者ということもこの際に考えられると思うのですが、これらに對してはどういうようなお考えをもつておられるか。同時にこの括弧の中の社員というものは、合名會社、合資會社の社員だろうと思いますが、そういうように解釋して、間違いないかという點であります。
#92
○佐多政府委員 第二點の社員の問題については仰せの通りございます。第一點の公正かつ公平に取扱つてない場合には云々という文句を、勞働者に對しても考えておくべきじやないかというお話でございますが、企業再編成計畫そのものは、仰せの通りに勞働者に對しても非常に重要な關係をもつておるのでございますが、ここで考えておる公平かつ公正でなければならないという考え方は、企業再編成計畫の結果、債權者あるいは社債權者及び株主の財産權にいろいろな變更を來しますので、そういう點に關してそれら三者の間に公平な、公正な扱いをするようにということを強く出したいという意向で、第十二條をうたつておりますので、勞働者を特別に入れなかつたわけでございます。しかし利害關係人として非常に重要な關係をもつておりますので、そういう利害關係人たる限りにおいてはいろいろな意見を具申し、あるいは異議を申し立てるということを許されておりますので、そちらの方の扱いでそれらの意見は十分に反映されるようにいたしたいと思つております。
#93
○林(大)委員 第二條の企業連合、企業合同の言葉でありますが、日本の法律にこういう言葉が使われたのはほとんど初めてであろうと思います。經濟學の上では大體の定義がきまつておりますが、政府はこれに對していかなる定義をくだしておるか、はつきり承りたい。
#94
○佐多政府委員 大體獨占禁止法にも類似の言葉を使つておると思いますが、ここで考えておりますのは、カルテルを企業連合というふうに譯しておるのでありまして、その企業連合は産業上の同業者に各自の競爭をさせて、同時に相互の利益を増進せんがために、その業務の一部または全部にわたつて經濟的行動を一つにしようとする連合、それをカルテルと考えております。從つてカルテルの加盟者はその獨立性を失うことなしに、内部活動についてはなお完全な自由を有しますが、對外的に市場活動に關して統制を受けるとか、あるいは價格の點において相互に制約されるというような、制約を受けるものを企業連合というふうに考えております。それからシンジケートを企業結合というふうに譯したつもりでございますが、これは御承知の通りカルテルがさらに一歩進んだものでございまして、特に販賣の過程においてほとんど獨立性を失つてしまつて、その點においてはすでに一箇の共同販賣、販賣連合というようなものに委されてしまつて、そこで販賣活動をやつておるような結合の状態、それをシンジケートというふうに考えております。それからトラストを企業合同と譯したのでございますが、トラストの場合には他の會社の經營支配を目的として組織されて、その構成單位たる各企業は、すでに獨立の企業たる性質を失つて、まつたく一箇の別な新らしい獨立企業に集中された場合を、トラストというふうに考えておるのでございます。大體定義的にはそういうふうに考えております。
#95
○北村委員長 ちよつとお諮りいたします。この際暫時休憩いたしまして、その間きわめて短時間で濟むと思いますが、理事會を開きたいと思います。できれば諸君はそのままお殘りを願いたいと思います。
 休憩いたします。
    午後三時三十九分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後三時五十八分開議
#96
○北村委員長 では休憩前に引續き會議を開きます。塚田君。
#97
○塚田委員 經濟力集中排除法案に關しての審議もかなり推捗いたしまして、この間各委員からの質問及びそれに對する政府の答辯などもいろいろ承つて、大體この法案の趣旨が、日本經濟の經濟力の度を過ごした集中を、何とか排除しようというような趣旨であるように感じられるのであります。そこで各派の同僚委員の間でいろいろ審議をいたしました結果、各派の委員においても大體同意見のように考えられますので、この際本法案に對して修正の意見を提案いたしたいと存ずるのであります。その修正點は大體「經濟力集中」と本法案の中にあります字句の上に、もしくはそのまん中に入れますか、その表現の具體的な方法は、なお後ほど研究していただくことにいたしまして、とにかく經濟力の過度な集中を排除するというような方向にこの法案を修正いたしたい、こういうように考える次第であります。なおこの點については政府の側においても何らか御意向があるかとも存じますので、まずあらかじめ政府側の意見を伺いたいと存じます。
#98
○佐多政府委員 ただいま御意見にあたりましたように、本法案の目的としますことは、國民經濟を合理的に再編成することでございまして、いろいろ論ぜられておるように、單に細分化するものでなく、しかも公共の利益のために經濟力の集中を排除するというような規定になつておりますので、實際の運用内容につきましては、今おつしやつたような過度な經濟力集中について問題にしておるという氣持であるのでございますが、何分重要な修正でもありますし、政府の方としても、今の御意見を體して、さらに愼重に考究してみたいと考えておる次第でございます。
#99
○北村委員長 政府の意向はただいまの通りでありますが、本日はこの程度で質問を打切ることにいたしたいと思います。それからただいま修正意見が出たのでありますが、これはおそらくある方面との折衝も要すると思います。正確な字句等は委員長竝びに理事にお任せ願うというのもおかしな話ですが、それならば趣旨はきわめて簡單でありますから、ただいま塚田委員からお述べになりました趣旨に基いて、字句等の調整をするということと、その筋に一應相談をするということについて、委員長にお任せ願えれば非常に仕合せだと思います。よろしうございますか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#100
○北村委員長 御異議がないようでありますから、さように決します。
    〔委員長退席、早稻田委員長代理著席〕
#101
○北村委員長 大藏大臣がお見えになりましたので、この機會に伺つておきたいと思うのであります。實は豫算と今囘の税法改正とは、竝行していかなければならぬはずのものでありますが、提案が遲れまして當委員會としてはこの點多少遺憾に思つておるのであります。それはしばらくおきまして、今囘の税法改正の非戰災家屋に對する特別課税の問題でありますが、實は戰災都市の復興というようなことを大藏大臣はしばしば申されておるように、地方財政の健全化と國の財政の健全化ということとは、これは一連の問題であることはいうまでもないのであります。しかしながら戰災に遭つた都市の財政の状態というものは、實はきわめて深刻な缺乏の中にありまして、いろいろ財源を求めておりますけれども、なかなか容易ではない。復興も容易でないということから、戰災都市連盟なるものができまして、全國の戰災都市が共通の問題を共通に研究して、そうしてその復興のことにあたつておるのであります。これと一つのつながりをもちまして、國會内においても戰災地出身の國會議員連盟なるものができまして、これはやはり戰災都市復興のために内外呼應して復興のことに當るということをやりつつあるのであります。一般の戰災都市の復興に關して議會で特別決議があつたことも御承知の通りであります。特に長崎、廣島の原子爆彈でひどい災害をこうむりました兩都市については、前議會において各派共同提案で特別の決議案が通過いたしまして、政府はこの原子爆彈によつて人類の歴史あつて以來かつてない慘害をこうむつた兩都市については、特殊な考慮を拂い、その復興のために特別なる施策をしてもらいたいというようなことを決議しておるのでありますが、その後の實情は何ら特殊な施設、特殊な施策の手が伸びていないというような現状でございます。しかるに今囘非戰災家屋に對して課税をするという法案が本委員會に付託せられておるのでございますが、この原子爆彈をもつて破壞せられました廣島、長崎の實情は、すでに御承知と存じますけれども、これは實に慘鼻をきわめたものでありまして、人的に受けた損害も他の都市とは比べものになりませんし、實は人類の史上においてかつてない慘澹たる状態を呈しておるのであります。わずかに燒け殘つた家はございますけれども、これはほとんど用をなさない。屋根がとんでいるし、離れた所でも柱は曲つているというような状態でありまして、まつたく戰後で全燒したと同樣な災害をこうむつております。そういう都市において形だけ殘つたものが、やはりこれは非戰災家屋であるというような處置を受けることになりますと、非戰災家屋に對する課税の考え方とは違つた結果をもつのではないかと思います。特に原子爆彈に見舞われた長崎醫大のごときは、學長以下多數年若い學生が皆一瞬にしてどこへからだが飛んだかわからぬ死に方をしておるし、今もつて復興は容易でないという状態であり、その直後に豪雨があつて、それがためにまた水害をこうむりまして、家財等が流れたり、非常な被害を受けたというようなことになつておりまして、原子爆彈を受けた兩都市の實に慘烈をきわめた状態というものは、ほかの戰災とは全然趣きを異にしておる。從いましてこの兩都市に對しては非戰災家屋に對する課税は當然免除していただきたいというふうな考え方をもつております。幸いに大藏大臣の御出席を得ましたので、これらの點につきまして、さきに申しました特別決議に基く特に兩都市に對して、何らかの御考慮ありや否や。第二に非戰災家屋に對する免税について格別にお考えを願いたい。こう思いますが、それらのことに關しまして御答辯を願いたいと思います。
#102
○栗栖國務大臣 ただいま北村委員長よりの御質問がございまして、この問題はこの機會にひとつはつきりとお答えをいたしておきたいと思います。なおお尋ねのごとく戰災市、殊に廣島、長崎におきましては、殘存しております家屋といえども、ほとんど用をなさないようなものが多數あるのでありまして、殊に私は廣島につきましては數次これを見ておるのであります。殘つておるといえば殘つておりますし、あるいは全部新築といえば新築と言い得るような家屋も相當あるのであります。また殘つておりましても、これは、家屋と言い得るかどうかというものも相當あるのであります。長崎におきましてもまた同樣であろうと思うのであります。そこでこういう市のものにつきましては、非戰災者特別税法の中に特別の考慮をいたしたのであります。それ廣島とか長崎はもちろんのこと、そのほかの災害地におきましても同種類のことがありますならば、救濟できるようにいたした次第でございます。それはまず非戰災家屋の方で申しますと、八條の第二項に「前項に規定する非戰災家屋の全部文は一部について」云々ということがありますが、その次の行に「調査時期前に損壞した家屋につき調査時期において當該損壞に係る賃金價格の修正がなされていなかつた場合」とあつて、終りに「當該家屋につき、家屋臺帳法第十三條の例に準じて定める賃貸價格とする。」こういうことになつておるのであります、それで賃貸價格の現状によつて修正をするわけであります。そうしてその修正した額が三十圓未滿のときには、その九條によつてかからぬということになるわけでございます。これで廣島、長崎におけるものについてはもちろんのこと、その他の場合においても、同種類の救濟するを必要と認められるものについては、これによつて救濟をする。こういたした次第であります。なおこれと同樣な規定は非戰災者税の方にも入れてあるのでございまして、これは十一條の二項でございます。「又は課税時期前に損壞した家屋につき課税時期において當該損壞に係る賃貸價格の修正がなされていなかつたときにおける」云々とあるのでございまして、これによつてやはり同樣の救濟をすることにいたしたのであります。そこで多くの戰災地にもいろいろこれによつて救濟を受ける所があろうと思うのであります。政府といたしましては廣島、長崎については特にそのはなはだしいことを認めておりますので、修正の場合に十分この規定を運用いたしまして、賃貸價格三十圓未滿となりますならば、これは免税の取扱いをいたします。そうして三十圓あるいはそれを若干超えるように査定ができる場合においては、最低の課税ということになろうと思うのであります。なお戰災者その他につきましては、家屋がある場合は、こういう救濟もいたしております。その他この法文の運用によりまして、この課税することを適當と認められないような場合、あるいは減免をすべきものというような場合には、この法律の全體によつて十分運用して、不當な結果を來さないようにいたしたいと思う次第でございます。
#103
○北村委員長 ただいまの御答辯でたいへんよくわかつたのでありますが、實際地方の税務當局が運用の場合に、實は中央と違つたような見解をもたれることもしばしばございまして、相當窮屈に解釋をして、なるべく課税をしようとするようなことが從來もあるのであります。特にこれはできることならば、原子爆彈によつて破壞せられた都市については例外とするというような明らかな規定でもあれば、非常にはつきりすると思うのでありますが、ただいまの大藏大臣の御答辯を承りまして、大體そういうふうな意味に理解していいのじやないかと思うのであります。なお實際の運用にあたりましては、地方の財務當局等において、ただいまお話のございましたような趣旨で、特に原子爆彈をもつて慘烈をきわめて破壞を受けた所については、形が一部殘つているとか、あるいは家の姿が見えるものでも、これは特殊なものであるということでお取扱いを願うということに、ぜひ運用上そういうふうにやつていただきたい。こう考える次第であります。
#104
○栗栖國務大臣 御趣意の點もつともな次第でございます。上層部では法の運用その他を十分辨えておりましても、末端においてこれを誤るというようなことがないように、十分注意いたしまして、なおかつ最も激しかつた廣島、長崎については相當の指圖をいたしまして、遺漏のないようにいたしたいと思う次第でございます。
#105
○林(大)委員 今の質問に關連いたしてひとつお尋ねいたします。家屋が戰災によつて壞滅したものもさることながら、主人をなくし、家族をなくしたものがたくさんあるわけでございます。特にその中でも、一家の柱であるところの主人をなくして、未亡人、子供だけで苦しんでいる家庭というものが相當日本に多いのであります。そうした未亡人が子供を抱えて苦しんでいる人たちは、たとえ家屋が殘りましても、その家屋があるがために、ようやく生活がしていけるといううのが多々あるのであります。そこで私が申し上げたいのは、いろいろ人命の犠牲はあつたのでありますが、なかんずく家の中心がある主人を失つて、未亡人と家族だけ殘つて、その家を頼りに暮している。そのような可哀相な、ほんとうにそれ以外に生活のよるべきものがないというようなものに對しましては、この非戰災者家屋税及び非戰災者税というものを免除してやるということが、この際國としてとるべき立場であろうと思うのであります。この點に關して大藏大臣の御答辯を願いたいと思います。
#106
○栗栖國務大臣 お答えいたします。そういう場合におきましては、七條の二項でありますが、二項に非戰災者税の方は課せないということがあるのであります。これはこの三號の所にのつていると思うのであります。「戰時災害に因り當該世帶の生計を主として維持していた者が死亡したものの世帶主」こういうものがあるわけであります。家屋につきましては、その家屋が實在いたしておるわけでございますから、これは課するということにいたした次第でござはます。
#107
○早稻田委員長代理 本日はこの程度で散會いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#108
○早稻田委員長代理 それでは散會いたします。
   午後四時十七分散會
ソース: 国立国会図書館
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