くにさくロゴ
1947/12/03 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第45号
姉妹サイト
 
1947/12/03 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 財政及び金融委員会 第45号

#1
第001回国会 財政及び金融委員会 第45号
昭和二十二年十二月三日(水曜日)
    午前十一時三十二分開議
 出席委員
   委員長代理 理事 早稻田柳右エ門君
   理事 島田 晋作君 理事 中崎  敏君
   理事 梅林 時雄君 理事 塚田十一郎君
   理事 吉川 久衛君
      川合 彰武君    川島 金次君
      河井 榮藏君    佐藤觀次郎君
      田中織之進君    西村 榮一君
      林  大作君    松尾 トシ君
      松田 正一君    青木 孝義君
      泉山 三六君    島村 一郎君
      周東 英雄君    苫米地英俊君
      宮幡  靖君    井出一太郎君
      内藤 友明君    石原  登君
 出席國務大臣
        大 藏 大 臣 栗栖 赳夫君
 出席政府委員
        總理廳事務官  中田 政美君
        總理廳事務官  渡邊喜久造君
        大藏事務官   前尾繁三郎君
        大藏事務官   石原 周夫君
 委員外の出席者
        專門調査員   圓地與四松君
        專門調査員   氏家  武君
十月二十六日
 委員葉梨新五郎君退職につき、その補闕として
 十二月二日淺利三朗君が議長の指名で委員に選
 任された。
    ―――――――――――――
十二月二日
 會社利益配當等臨時措置法案(内閣提出)(第
 一三〇號)
 財務局及び税務署に在勤する政府職員に對する
 税務特別手當の支給に關する法律案(内閣提
 出)(第一三一號)
の審査を本委員會に付託された。
十二月二日
 酒粕配給割當その他に關する請願(松本眞一君
 紹介)(第一二八八號)
 同(伊瀬幸太郎君紹介)(第一二八九號)
 在外私有財産國家補償等の請願(根本龍太郎君
 紹介)(第一二九一號)
 引揚者の九州海運局寄託預金の支拂又は貸付の
 請願(根本龍太郎君紹介)(第一二九七號)
 引揚者に官有地等拂下その他に關する請願(根
 本龍太郎君紹介)(第一三〇〇號)
 引揚者更生金庫創設の請願(根本龍太郎君紹
 介)(第一三〇二號)
 美術展覧會十割入場税撤廢の請願(鈴木里一郎
 君外二名紹介)(第一三〇九號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 政府に對する不正手段による支拂請求の防止等
 に關する法律案(内閣提出)(第九八號)
 財閥同族支配力排除法案(内閣提出)(第一一
 四號)
 食糧管理特別會計法等の一部を改正する法律案
 (内閣提出)(第一一七號)
 食糧管理特別會計が農業災害補償法により昭和
 二十二年度において負擔する水稻共濟に係る共
 濟掛金の負擔金の財源に充てるための一般會計
 からの繰入金に關する法律案(内閣提出)(第
 一二七號)
    ―――――――――――――
#2
○早稻田委員長代理 會議を開きます。
 これより財閥同族支配力排除法案、食糧管理特別會計法等の一部を改正する法律案、食糧管理特別會計が農業災害補償法により昭和二十二年度において負擔する水稻共濟に係る共濟掛金の負擔金の財源に充てるための一般會計からの繰入金に關する法律案、以上三案を一括議題といたします。まず政府當局の説明を求めます。
    ―――――――――――――
#3
○栗栖國務大臣 財閥同族支配力排除法案の提案理由を御説明申し上げます。
 終戰以來、經濟の民主化をはかるため、財閥の解體に關する一連の措置がとられてまいりまして、すでに私的獨占禁止法、企業再建整備法のごときが立法化され、さらに今次の國會には經濟力集中排除法が提案されておりますことは御案内の通りであります。これらの措置と關連いたしまして、政府はこのたび財閥同族經濟的支配を目的とする封建的なる人的結合を排除し、財閥解體を促進し、もつて民主的かつ健全な經濟の發達をはかる目的をもつて、ここに財閥同族支配力排除法案を提案いたすことになりましたので、次にその提案の趣旨を概略御説明申し上げます。
 およそ財閥が經濟界を獨占的に支配する方法に三つあると考えられます。その一つは株式等の保有による資本面の支配、その二つは獨占排他的な取引契約等による事業面の支配、その三つは人事統制による人的面の支配であります。本案は第三點、すなわち財閥による人的支配を排除せんとするものでありまして、すでに財閥として指定を受けている十大財閥を對象とし、それらの財閥に封建的な人事統制から生じた好ましからざる人的關係を排除することを目的としているものであります。これら十財閥同族の戸主につきましては、すでにあらゆる會社の役員として活動することを禁止せられておりますので、本案にこれらの戸主と同一戸籍にあるいわゆる財閥同籍者について、本法施行後十年間、十財閥に屬するすべての有力會社の役員に留任または就任することを禁止するともに、過去において財閥會社の役員としてその財閥の利益を代表し、重要な業務に參畫していた者については、本法施行後十年間、その者の所屬する財閥系統のすべての有力會社の役員に留任または就任することを、禁止することを骨子としているのであります。いかなる會社の役員が排除せられるか。すなわち本法にいわゆる財閥會社の範圍については、内閣總理大臣がそれらの會社を指定することになつておりますので、愼重に檢討を加えました結果、ただいまのところ二百數十社が豫定されております。これらの財閥會社の役員は、本法に定めるところに從つて當該財閥關係の財閥會社、もしくは制限會社、またはこれらの會社の從屬會社、もしくは關係會社の役員の職に留まり、または就任することを十年間禁止せられるのであります。
 以上述べましたごとく、本案はその施行により經濟界にきわめて甚大な影響を與えるものでありますから、政府といたしましても、案の作成にあたつては長期間にわたつて愼重な檢討を行い、あくまで本案のねらいとする財閥同族の支配力排除という趣旨の實現に添うごとく留意し、特に現在急を要しまするところの經濟の再建整備の上に、いたずらに不要、不當の悪影響を及ぼさないよう、遺憾なきを期しておるのであります。すなわち財閥會社の全役員を一律に排除することなく、その會社の當該財閥内における重要度、及びその役員の在職の時期に應じて、それぞれ排除の度合を異にするとともに、一定の事由の備わる者については、財閥關係役員でないことについて、内閣總理大臣の裁定を申請し得る途を開いております。しこうしてこれらの申請につき、嚴密な個人審査を行いますために、内閣總理大臣の下に審査委員會を設け、さらに總理大臣の裁定に對しては、再審査を要求し得ることといたしておるのであります。また特別な理由ある者については、期間を限つてその留任を申請し得ることといたしております。
 以上述べましたごとく、本案は財閥の封建的人的結合を排除し、もつて經濟の民主化をはかるための、必要やむを得ざる措置の實施を目途といたしておりますのであります。何とぞ以上の趣意を御理解願いまして、十分御審査の上、御協贊あらんことをお願いする次第であります。
 なお次には食糧管理特別會計法等の一部を改正する法律案提出の理由を御説明申し上げます。
 まず、第一條の食糧管理特別會計法の一部改正についてでありますが、これは、先に決定いたしました昭和二十二年度産米及び甘藷の生産價格の引上げに伴う措置でありまして、すなわち、米及び甘藷等の買入價格の今囘の大幅の値上げによつて、現行の食糧管理特別會計法第四條の二に定めてあります食糧證券の發行限度額二百億圓をもつてしましては、食糧買入の圓滑な操作が不可能であります關係上、今囘その限度額を四百億圓に引上げる必要がありますので、これに關する所要の改正を行わんとするものであります。
 なお、この機會におきまして、食糧管理特別會計法の規定内容を、先に制定いたしました財政法の規定の趣旨に適合するように、所要の改正を加えたいと存ずるのであります。
 次に國有林野事業特別會計法の一部改正について申し上げます。御承知の通り、國有林野事業特別會計は、本年度新たに設置された會計でありまして、その收支の状況は價格改訂等に基く人件費、物件費の増高によつて歳出の増加を必要といたします反面、業務收入の増加がこれを賄うに足りない状況であります。從つて、當初豫算において計上いたしました一般會計に對する益金の繰入も不可能と相なるのみならず、歳入不足を招來する状況と相なつてまいりましたので、この際、さしあたりの措置として、今囘この會計の製品の對前年度比較増加額を見返りとして借入金をいたしまして、斫伐に要する經費等を支辯し、この會計の運營を圓滑にいたさんとするものであります。
 以上の理由によりまして、この法律案を提出いたしました次第であります。何とぞ御審議の上速やかに御贊成を願います。
 さらに次には、食糧管理特別會計が農業災害補償法により昭和二十二年度において負擔する水稻共濟に係る共濟掛金の負擔金の財源に充てるための一般會計からの繰入金に關する法律案提出の理由を御説明申し上げます。
 食糧管理特別會計におきましては、今期國會において成立いたしました農業災害補償法第十二條第一項の規定によりまして、農業共濟組合の組合員の支拂うことになります水稻の共濟掛金の一部を負擔することになるのでありまして、その負擔企につきましては、さらに食糧の消費者に負擔せしめる旨が定められてあるのでありますが、本二十二年度における負擔金につきましては、これを消費者に負擔させることは困難な實情にありますので、同法の附則第百五十條をもつて、特段の規定を設けて、消費者に負擔せしめないことといたしました關係上、六億百十餘萬圓の負擔金は、事實上食糧管理特別會計の負擔となる筋合でありますが、同會計收支の現状よりしましては、その負擔金の財源は、これを一般會計から繰入れるのやむない實情にあるのであります。
 しかして、この繰入をいたしますには、法律をもつてその旨の規定を設ける必要がありますので、この法律案を提出した次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御贊成あらんことをお願いいたします。
#4
○早稻田委員長代理 それでは午後一時から再開することにいたしまして、休憩いたします。
    午前十一時四十七分休憩
     ━━━━◇━━━━━
    午後二時開議
#5
○早稻田委員長代理 休憩前に引續いて會議を開きます。
 政府に對する不正手段による支拂請求の防止等に關する法律案、これを議題といたしまして質疑を續行いたします。
#6
○塚田委員 擔當の主計局長がお見えにならぬそうで、技術的な問題をという政府委員のお話でありますから、そういう問題から先にお尋ねを申し上げます。どうも法案が具體的な事例とうまく結びつかない點があるので、その點を最初に御説明をお願いしたいと思います。最初にお聽きしたいのは、第一條第一項第二號はどういう事例にあたるのか、御説明を願いたいと思います。
#7
○石原政府委員 ただいまお尋ねの第一條の但書第二號の問題でございますが、第一條の趣旨は、政府が購入いたします物なり、その他の役務のサービスなどにつきまして、おのおのその内譯の材料、勞務という原價の構成部分があるのでありますが、原價構成部分にわけた内譯を出せというのが第一條の趣旨であります。第一號から申し上げた方がわかりよいと思いますが、第一號の場合は「物又は役務」につきまして、公定の價格あるいは公定の料金というものにつきましては、一々その内容の材料、勞務をわける必要はないのでありまするから、從つて公定價格のあります物、あるいは公定料金のありますサービスにつきましては、内譯を書かないでよろしいというのが第一號の趣旨であります。でありまするから、統制價格のないものにつきましては、一應は原則として材料と勞務にわけなければならないという趣旨でございます。しかしながら、ものによりましては公定價格は全部の物品、全部のサービスに及んでおりません。それを材料と勞務にわけるということが、理論上は可能でありましても、實際上は非常に困難をいたすものがあるわけであります。三號の方の例から申し上げた方がおわかりになりやすいと思いますが、たとえば、灰皿でありますとか、筆でありますとか、墨というものは、公定價格がない微細なものであります。大きなものとしては土地、建物につきましては公定價格がございません。從いまして、そういうものにつきまして、灰皿の例で申し上げますれば、それを材料と勞務にわけて書き出させるということは事實上不可能であります。そういつたものはある割合の範圍内におきまして内譯を出さないでよろしい。全體の法律の趣旨でありますマル公主義を、少々の金額では書く必要がありませんので、そういうような比較的例外的なものにつきましては、内譯はつけないでよろしいという趣旨なのであります。第二號の場合におきましては、大體請負契約、大きいものの購入契約の場合があるわけでありますが、その場合に、部品でありますとか大分こまかいもので、事實上マル公のないものを、さらにこまかい要素分解をするということは困難なことが考えられますので、それにつきまして、第二號は二百分の一という率をとりましたが、實はこの二百分の一というのは大雜把なものであります。でありますから、非常に小さな割合ということで考えております。そういうものにつきましては、内譯を出さないでよろしいという趣旨であります。
 ついでに第三號も申し上げた方がよろしいかと思いますが、第三號は政府の買うものでありまして、今申し上げましたようにマル公のないものを政府が相當購入いたす場合がある。それにつきまして、現在政府の豫算全體について、どの程度マル公のないものがあり、しかもそれを原價部分にわけることが困難であるというものの全體の數字を正確に集計いたしますることは、實は非常に困難でありますが、これについては現在私どもの大雜把にでき得る程度に推計をいたして、これについて千分の一という割合の數字を出した。それは大體大雜把に三つほどにわかれるのでありますが、一つは先ほど申し上げましたような灰皿のごとき、消耗品の中でしかも非常にこまかいもの、これが一般會計、特別會計を通じて大體五千萬圓から六千萬圓くらいあるかと思います。次に本であります。本は新本も古本も公定價格がございませんが、これが大體二千萬圓ないし三千萬圓であります。その次に土地及び建物でありまして、このうち農地については一應マル公があるのでありますが、街の宅地についてはございません。土地建物の一般及び特別會計を通じての大體の見込は一億四、五千萬圓であります。その三つを寄せてみますると、大體一般會計歳出豫算額の千分の一、二億數千萬圓という數字になるのでありまして、二億を少しオーヴアーするのでありますが、實は千分の一という割合をきめて、その割合の範圍内のものについては材料、勞務に分解をする必要がないということを申しました趣旨は、大體今のようなものを頭に描きまして、これを一般會計歳出に對する割合といたすのであります。ところがこれは今申し上げてあるいはいかがかと思うのでありますが、その後終戰處理費を當つてみましたところが、終戰處理費の中には、一例をあげて申しますると、果物とか、相當進駐軍に供給するマル公のないものがあるのであります。これを合せてみますると、現在のところは大體千分の一という率を千分の三程度に御修正願いませんと、まとまりがつかないと存じております。
 それから第三號の字句につきまして御説明を要するかと思いますのは、「大藏大臣の特に指定する購入契約」というのがございます。これは今申し上げたのが大體の内容でありまするが、どういうものをはずすかということを、大藏大臣が品目を指定いたしまして、その範圍内で各省に實行していただくことに相なるわけであります。
 それからもう一つ、ついでをもつて申し上げておきたい點があるのでありますが、それは第四條であります。第四條は地方公共團體及び公團に對して以上の規定を準用しております。今第四條でごらんになりますように、『同號中「國の一般會計歳出豫算額」とあるのは「地方公共團體の一般歳出豫算額」と續み替えるものとする』という規定がございますので、從つて地方公共團體も、おのおのその團體の一般會計歳出豫算額の千分の一に相なります。先ほど申し上げましたいろいろの公定價格のないものであつて、しかも原價をわけることが困難であるというものにつきまして、大體千分の一でやり得るかと思われますのは、その土地及び建物を拔きましたものは、大體千分の一の範圍ではないかと思うのであります。非常に數字が小さくなります。ところが御承知のように戰災復舊でありますとか、六・三制というような問題がありまして、土地及び建物につきましては、千分の一の範圍内で一應全部押えますと、非常に困難であります。しかしながら半面終戰處理費のような費用の負擔はかけないのであります。從つてこの第四條の方の御修正を願いまして、一應千分の一にいたします。先ほど申しましたように、國の場合は千分の三にかけるのでありますが、この場合は千分の一であります。しかし土地、建物は除く。こういうように御修正願う必要がないかと思つております。
#8
○塚田委員 よくわかりました。
 次に第二條の第二項に、「前項に規定する一般職種別賃金額は、主務大臣が官報を以て、これを告示する。」とあるのですが、これについての大體の腹案がおありになりますかどうか。
#9
○石原政府委員 私から申し上げることが適當かどうかわかりませんが、現在勞働者におきましてすでに案をつくりまして、關係方面との折衝が大體進んでおります。まだ若干の調整を要する點が殘つておるかと思いますが、この法律の施行に間に合いますようにいたしたいと思います。
#10
○塚田委員 その勞務賃金の上に、御承知のように土建などの場合には、待期中の作業が非常に多いのであり、雨が降つた場合、荒天の場合、もしくはこれから非常に寒くなつた場合の賃金額について、特殊の考慮がされてあるかどうか。その點をお伺いいたしたいと思います。
#11
○石原政府委員 今のお尋ねですが、石勞働省の方で用意しておりますものでは、その考慮をいたしておりまして、特殊作業手當でありますとか、あるいは荒天時の作業、あるいは深夜作業という場合におきまして、歩増しをいたすということがございます。
#12
○塚田委員 その歩増しは大體どれくらいになつておるか。もしおわかりでしたらお聽かせ願いたいと思います。
#13
○石原政府委員 三割以内でございます。
#14
○塚田委員 それからちよつともどりまして、土建などの場合、しばしばある架設物というものは、この規定の上ではどういう扱いになつておるのか。これは物を入れて實際に使つて、最後にそれが撤去されて一部分もどつてくるのであるか。どういうふうになつておるか伺いたい。
#15
○石原政府委員 架設物をつくりまして、それがものができ上りますと、當然撤去されると思いますが、その架設物をつくります材料とか勞務というものは、當然請負契約の材料及び勞務の中にはいると思います。
#16
○塚田委員 それはわかつておるのでありますが、その場合架設物が撤去せられてきたものは、どういうぐあいに扱うのでありますか。
#17
○石原政府委員 撤去したものはその價格をどう見るかというお話かと思いますが、その場合におきましては價格の見方は二つあると思います。一つはそれを消費しきるのではなくして、またよそへもつていつて使うという問題と、それから公定價格は何々としますと、それは一體いつの時期に使われるかという二つの問題があると思います。前の方の問題としましては、先ほど私が材料、勞務にわけると申したのは、あるいは悪かつたかもしれませんが、それは損料というような形で見られますけれども、さもなければ滅失、毀損が當然豫想されるようなものにつきまして、その分を計上するかといういずれかであります。それからその公定價格をきめます時期につきましては、第二條できめておりますので、前からもつておりますものはイ號であります。後に購入したものはロ號であるというふうになります。
#18
○塚田委員 そういたしますと、架設物は最初いろいろ材料を入れ勞務を加えて、飯場をつくるとか、足場を組むとかする。それに使つた資材、勞務というものは、一應勞務及び資材の中に入れて、それから最後に撤去されたときに、それをしかるべき評價をして、どこかの項目から差引いておけばよいことになります。なおそれに關連して機械などは實際土建業者の扱いの上では、たいていこれは社内だけの扱いで、一種の借賃というものを想定して、その工事の原價を出すようにしておるのが通例でありますが、そういうものはどういうぐあいに扱うか。なおそれらのものの金額が、おそらく二百分の一を超えることがあると思いますが、その場合の扱い方をどういうぐあいにするか伺いたい。
#19
○中田政府委員 お尋ねの點はこれは各省必ずしも共通でないと思いますので、一概に私がお答えすることが、全政府の機關でやつておる統一的なものとは斷じかねますが、私の方で進駐軍工事などについてやつております方法を申しますれば、架設物については損料主義でまいつております。材料について、その材料の損料をどのくらいに評價するかということになりますと、使つた架設物のいわゆる材料そのものの價格に對して、三〇%ぐらいを損料として見るという評價によつて、損料を算定するのであります。しかし架設物を架設するための勞務費は、これは全部百パーセント、百人いますれば百人あるとして勞銀をかけます。それから機械につきましては手持の機械を――つまりある組のもつておる機械を使うという場合は、これはいわゆる減價償却の損料として計上しております。そうしてたとえばトラツク、貨物自動車を例にとつてみますと、運送業者から貨物自動車を借りる場合は、公定の借賃で一臺一日いくらということになつておりますから、問題はありませんが、自分のところのトラツクを使う場合においては、その公定された自動車の借上代金から、たとえば運送業者の營業費とかその他のものは差引きまして、いわゆる減價償却としてどのくらい償却したらよいかというようなことを詳しく算定しまして、私の方で貨物自動車の例をとつてみますと、大體公定賃金の一割ぐらいが、減價償却費であるという豫定で損料と申しますか、償却費として計上しておるという方法でやつております。その他機械、それ以外のミキサーとか、いろいろな機械がありますが、それらについてもやはり同じような意味で、減價償却の妥當性を判斷して計上しております。
#20
○塚田委員 御説明によりますと、政府の側にも統一的なものがないというのでありますが、大體の目安は伺つたのであります。しかしかりに提出された内譯書が、こういう政府側の大體の御標準と食い違つておつた場合に、この法律案はいろいろな罰則規定をもつておりますが、そういう場合はどういうぐあいに扱われるか、その邊をお伺いします。
#21
○中田政府委員 公定されましたものについては公定額を内譯に記載することになりますが、公定されぬものにつきましては、ただただいまお話のこの第一條の但書の第二號以下の適用があろうかと思います。それによつて罰則の問題は起らぬようにできるのではないかと思います。
#22
○塚田委員 要するに書き出す基準の數字というものがないのだから、それと食い違つたものが出た場合に差支えありませんか、どうですか。しかもこれはこの第一條の第二號からいけば、おそらく契約金額の二百分の一を超えるでしようから、一應この支拂内譯書というものはぜひ出さなければならない。しかも内譯をつけて出さなければならないものになるが、統制額もなし、政府側にもこれによれという基準がないのであるから、これはでたらめに出ても差支えないのかどうか。
#23
○石原政府委員 お答えを申し上げます。今特建局長からお話のございましたような樣式が、全部に共通しておるかどうかという點につきましては、私も今自信をもつてそうであるとか、そうでないとかいうことを申しかねるのでありまするが、今お尋ねのどういうような樣式で内譯書をつくるかということにつきましては、土建につきましては私正確に承知をしないのでありますが、原價計算の要綱というようなものもあるように承知しておるのであります。いずれにいたしましても、内譯書のつくり方は命令できめるのでありまして、命令の案を用意しております。その案をきめまして、これをおのおの契約監督官に示された場合に、そういつた點の調子を合わせるということにつきましての指示をしなければならないと思います。
#24
○塚田委員 形式の點は、それはどういうぐあいに御指示になつてもいいのでありますが、その形式によつて書き出す數字というものが、どんなでたらめな數字、たとえば架設物は三〇%くらいをみておる。また機械などは一割減くらいをみておるというお話ですが、その數字にかりに則らないで、四〇%も架設の償却をみておる。また二割以上もあれしておるという場合に、それは高いという御判斷はできても、この規定に違反しておるということの判斷はつかないと思いますが、そこのところはどうなのですか。
#25
○石原政府委員 今お示しのような一割が二割になる、三〇%が四〇%になるということだけではこの法律の違反には相なりません。
#26
○塚田委員 それからこの第三條の誓約書でありますが、これはおそらくでたらめなものを要求されたものだと思うのでありますけれども、かりにこれはどうしてもつくるといたしまして、この誓約書をつくる場合には、誓約書の建前からいけば、必ずこれは實際にかかつたものを、この統制額もしくはその他の要求される金額において計算した數字、事實に合致するということが、おそらく主眼であろうと思うのであります。そうしてそれに對しての罰則のところを見ると、この十四條の方では金額を超ゆる場合というものだけが罰則になつておるのであつて、この第三條の誓約書の趣旨と、それから第十四條の趣旨とに食い違いがあるように思うのであります。誓約書を出させるという以上は必ず正確に出すということを、どこまでも押し通していかれるのがいいのではないかと思いますが、その點はどうですか。
#27
○石原政府委員 ここにありまする十四條の虚偽の誓約ということと、金額を超えるものということは違うのでありまして、前の方は事實と違うということであります。それから後段の方は事實とは合つておるのでありまするが、二條に記載しておりまするところの金額を超えるそのいずれの場合も罰則にかかるという規定であります。でありますから今おつしやいましたように、事實と合致しておるということが三條の趣旨である。しかしその内容が二條の金額を超過しておつてはならないのであります。
#28
○塚田委員 わかりました。次にお尋ねいたしたいのは第五條、下請人にはいろいろな義務を課せられておりますが、これはおそらく、殊に土建などの下請人の實例というものを、現實に御承知の特建局長あたりは、これは非常に無理なものであるということがすぐおわかりになると思うのですが、實際の今日の日本の下請人の状態というものは、まつたくでたらめなものでありまして、政府の要求されるような資料というようなものは、ほとんど今までは揃えておりません。今後急速に書類を揃えなければならぬのでありましようが、それにはたいへんめんどうな問題が實際問題として起つてくるだろうと思う。そこでこの元請が下請からある種の書類をもらつて、それを基礎にして、結局政府の要求されるようないろいろの書類を出す。その場合に下請人の出してくれた書類が正確でないと、結局元請人の書類が正確にならない。ところが下請人は「前項の義務を怠つたときは、これに因り給付者に生じた損害を賠償する責を負う」とあるけれども、下請人には何にも罰則の適用がないように思われる。何もないこともないのですが、附則の第五條に勞働基準法第百八條關係で少しあるようです。書類を揃えておかなければならぬ。ところが書類は揃えてあるが、元請のところに出した報告がでたらめであつた場合には、下請人に對して何にも罰則はないように思うのです。その邊はいかがですか。
#29
○石原政府委員 お尋ねのように下請人に對しましては罰則の適用はございません。損害賠償の義務によりましてこれにかえるわけであります。
#30
○塚田委員 なるほど損害賠償でやるということになると、一應民事的な關係に元請、下請の間はなる。ところが下請の報告が正確でなかつたことによつて元請人が罰則を受けるということになる。そのでたらめの報告をそのまま受け取つたからしてこういう書類ができたからということであれば、元請人はその限りにおいては責任を免れるかどうか。もしそれが免れるとするならば、おそらく全部下請人から出てくる書類で虚構のものをつくつてしまう形になる。下請人、元請人というものはまつたく一つのものであります。事實また下請人がいろいろ書類をつくらなければならない場合には、元請人が書類をつくつてやるという事例がいくらもあるのでありますから、その邊はどういうぐあいに取扱うつもりでありますか。
#31
○石原政府委員 下請人のそういう間違つた書類であるということを元請人が知つておらなければ、これは刑法の一般の理論から申しまして犯意がないということになりますので、元請人にこの罰則の問題は生じないことになるのであります。
#32
○塚田委員 それはそういうぐあいに扱つていただいたら、元請人は非常に喜ぶでありましようが、そういうことであれば、この土木建築工事の相當大きな部分をなす勞務關係については、おそらくこの規定の適用というものはうまくいかないと思うのですが、それでもよろしいかどうか。その邊を伺いたい
#33
○石原政府委員 うまくいかないとおつしやいますのは、みなわからないで虚構のまま出てきはせぬだろうかということでございましようか。――その點は豫定の最低入札價格をきめます際の一應の積算もございますし、兩者の間で著しく虚構のものが出てまいるということを、必ずしも考えないでも濟むのじやないかというふうに考えます。
#34
○塚田委員 そういうぐあいに御安心になつていていただけば、おそらくたいへん結構でありましよう。一番この法律で問題になつて、土建業者などの立場から困つておりますのは、これはまだあとにあるかと思うのですが、要するに最初見積りのときに出した内譯が、その後實際にやつたときに出さなければならない清算の内譯、もしくは支拂を要求するときに出さなければならない支拂請求の内譯の金額よりも少くなつてしまう場合なのであります。そこでたとえば百萬圓の勞務費というものが見積りのときに出ておつた。現實に使つて見て、そうして計算をした結果は九十萬圓で上つたということになると、その百萬圓に達する額までは、必ずこれは人間の頭數でごまかしてくる。ところが下請人に對する罰則というものは、正確な賃金臺帳を備えておけということだから、賃金臺帳を調べてみたら、なお正確なものはあつたが、元請に對する報告は百萬圓に面が合うような報告を出した。だから元請人がその通りに報告を出したということになると、これはどこもつかまえどころがないということになつてしまつて、これは法案の穴になつてしまう。それでも差支えないかどうかということであります。
#35
○石原政府委員 ただいまおつしやいます場合はこうかと思うのであります。賃金臺帳に虚為の記載をいたしておりますれば、それは先ほどお話のようにそれ自身で罰する。しかしながら賃金臺帳には虚為の記載をいたしてない。しかしながらその内譯書の方には水増しをいたしてあるという場合でございます。それも元請人にもちろん故意がありますれば、これは元請人の問題として當然つかまるわけであります。元請人の故意がなかつたという場合につきましては、この法律の十條にございます檢査をやりまして、檢査の結果その内譯書と、もとのものとが違うことになりますと、その内譯書は摘法のものでなかつたことに相なりますので、その適法な金額の範圍内にまで、約定金額が減らされるということで、締括りがつくものと考えます。
#36
○塚田委員 わかりました。次にお尋ねしたいのは第八條でありますが、この八條の法文を讀みました趣旨からいくと、これは材料と、役務と賃金というものが三本建になつておりまして、しかもその減額をいたします場合には、この三本を一つ一つ別々に扱われる。たとえば一方がよけいかかつていても、一方に餘りが出ていれば、よけいかかつた方は放つておいて、その餘つている方だけは減らす、こういうことになると考えるのですが、そのように解釋して差支えございませんか。
#37
○石原政府委員 この三つの單位に關します限りおつしやる通りでございます。その三つの中の融通がきくことはもちろんであります。
#38
○塚田委員 もしそうであるとすると、この規定は實に非常に困る場合が出てくるのではないかと自分は考えるのであります。これが日本の今日の土建事業などの實例ですと、そういうことがよくあるのでありまして、たとえば機械を使うつもりで役務の方に計上しておつたところが、實際に機械が間に合わなかつたとか、途中で機械が故障したとかいうことになると、人間の手で代りにやつてしもうことになる。そうすると役務の方は金額が減つてしまつて差支えないのですが、役務の方が殖えたということになると、殖えた役務の方は頭をちよんぎられるということになつて、融通がつかない。そうすると、そういうやりくりをしても仕事を早くしようという努力はしなくなると思う。そういうことになつた場合にどういう扱いをされるか。これはむしろ私の意見としては、三つの間で融通を認めることにされておいた方がよくはないかと考えますが、その點はどうですか。
#39
○石原政府委員 お尋ねの問題でありますが、今おつしやいましたように、最初に考えましたやり方と、内容が違つてまいつたという場合は、當然約定の内容を變更いたすことを考えておるのでありまして、その變更をもつて、當然今おつしやつた機械と役務を切りかえるというような場合には對處できると考えております。それから次におつしやいました三つのグループをおのおの獨立にわけませんで、その三者を一本にして、彼此融通したらどうであろうかという御意見でありましたが、それも一應ごもつともなものでありまして、立案をいたしますときには若干そういうような議論もあつたのでありますが、昨日特建局長から申し上げましたように、流通秩序の確立という點に、またこの法案の大きな重點もございますので、實際に支拂われ、また適正であつたものであるならば、その金額だけしか拂わない。こういうような個々の場合におきます問題を取上げるという意味におきまして、三つの分類をそのままにしたわけであります。
#40
○塚田委員 次にお尋ねいたしたいのは、九條の關係でありますが、これは昨日もちよつと特建局長からぼんやりとお話があつたのでありまして、私がこれで非常に疑問に思つておりますのは、たとえば請負金額が百萬圓で總體が出た。そうして學務、資材、諸役務の關係で九十萬圓の内譯があつて、あと十萬圓はこれは經費もしくは利潤というもので殘つている。ところが經費、利潤のところへはこの法律の適用が全然ないということになると、これはそこのところにまた一つ請求書をつくる穴ができると私は思うのであります。と言いますのは、なるべく内譯を出すときにここにひつかからないように、つまり削られる部分のないようにしておいて、一旦請負契約で總金額をきめて、とつてしまえば、あとはもう利潤がいくら見てあろうが、經費がいくらかかつてあろうが、それは差支えないのだから、それに對して出てくる内譯というものは、そういうものによけいもつていつて、資材、勞務、役務はなるべく少くして、實際にかかつてみて、それを超過した場合には、超過しても一向差支えないから、これは削られる覺悟で、そのときは利潤、經費という自分のふところに殘るものを減らせばいいのだ。こういう考え方でいく。そういうことになると、やはりこの法案のねらいとされるところが、相當に逸脱されていくおそれがあるのじやないか。その邊はどういうお考えでしよう。
#41
○中田政府委員 御指摘の通りになると思つております。これは結局この法案はマル公というものを守らそうという趣意なのでして、利潤とか、諸掛りというものまでも統制していないのです。その缺陷と言いますか、穴がやはりどうしても親金を入札できめた場合には、常にその問題が差障りになると思うのであります。從つてお話のような點は完全には防げないということは、どうも認めざるを得ぬのじやないかと考えております。
#42
○塚田委員 そういうことになりますと、結局目的を達しないということになる。現實にやみの賃金でもつて勞務者を雇つて使つておきながら、書類だけは公定で算え出す。そうしてその穴はみんな利潤と經費のところで埋めていく。資材、諸役務についても同じ結果になるのです。そうなれば目的を達しないということになるのですが、それでもこの法案がなお理由ありということになるかどうか。現實には政府の御要求になるものは、請求書もしくは支拂内譯書というものが公定で出てくるということではなくて、現實に支拂うものが公定になるようにということのねらいであるはずです。そのねらいがこの穴でもつてどんどんと拔けていつてしまうということになるならば、この法案は全然意味がないということにならざるを得ないと思います。
#43
○中田政府委員 第九條で内譯書を出させる。これは從來でも御存じの通り入札いたしまして契約を締結するときには、契約金額を親金とした内譯書というものを、資材、勞務、その他に個別しまして出させることになつております。その場合に極端な例をとれば、ひつかかりそうな所はうんと下目に見ておいて、内譯を全部統制外の諸經費、利潤の所にもつていつておいて、それをプールにして、實際仕事をやつたときに、勞務、資材についての穴埋めをそこからカバーするというやり方は一應考えられます。しかしながら從來行政の運用としまして、内譯書を出させて、たとえば百萬圓の材料がかかり、またそれだけの數量を計上しなければ工事が施行できぬにもかかわらず、むちやに材料費を削つてしまう。あるいはまた手間賃として百人役かかるくらいの妥當性のあるものを、五十人役にするというような不當な内譯書については、行政運用として工事の完全な施行上不適當と見る場合に、契約擔當官はこれを是正させるということは從來やつておるのであります。從いましてその限度において、契約を締結するときに、この内譯書があまりに極端に工事の施行上不當のものについては是正するということは、行政運用で十分できるではないか。しかしもつと嚴格な意味において、それをぎりぎりまで取締ることについては、若干の缺陷があることは、御説の通りであると考えます。
#44
○塚田委員 細かい點についてはお尋ねしたくらいの點であります。そこで特建局長もおられますから、この法案全體が仕事の上に及ぼす影響というようなものについてお尋ねしたいと思うのであります。大體この法案そのものの主たるねらいは、これは政府の財政支出を少くするというところにあるのであるか。それとも流通秩序を確定する上に、殊に土建などの支拂が一番、勞務費にしても、物の上においても公定を破つて買つておるような實例が多いから、それを押えることが主眼なのか、あるいはその兩方をねらつておるということになるのかもしれませんが、そのへんはどちらに重點があるのかひとつ伺いたい。
#45
○石原政府委員 兩方にねらいがあると申し上げたいのであります。
#46
○塚田委員 兩方のねらいをもつておるのだということでありますが、これは兩方ねらわれて、結局兩方の目的とも、私は實際の運用において實施せられないようになるのではないかと危惧しておるのであります。これはむしろほんとうに統制を破らないということだけでいかれるならば、それは端的にいい方法がある。それは實費精算契約をやられれば一番いい。これでやられれば、必ず安い賃金で、公定でくる人間だけを集めて、いつまでかからうが、そんなことはお構いなしにやつて、政府の要求される統制を守つた仕事ができる。しかしうんと安くしようというのであれば、どうしても請負契約でやらざるを得ない。請負事業というものは、どれだけの仕事をするのに、どれだけ人間を使い、どれだけ材料を使うか。それはもちろん教科書などには大體の歩掛り、資材の所要量などというものほあるにはあるのですが、必ずしも實際の仕事の運營の上には、そういうことはない。たとえば歩掛り十人かかるものを五人ぐらいにあげるということも場合によつてはある。またそれができるのが熟練した者の腕であり、それをやらすところが請負が安く上る妙味のある點なのであります。だから請負にやられればよいと思う。ところが兩方ねらつて請負にしておきながら、その内容を今申し上げたような實費精算にしなければうまくいかないというようなことをされるから、これは二兎を追うために二兎を逸してしまう結果に私は必ずなると思うのです。おそらくこれをやりましたらば、今なるほど仕事がたんとないから非常に競爭するのであります。そうして本をきつても入札するという實例がいくらでも現實には出ている。また今まで仕事が多かつときには、相當でたらめをしておつたということもよく承知しておるのでありますが、少くもこれからのような状態で、競爭を激しくやらすということになれば、請負契約にして放つておかれることが、一番安く仕事をやらす妙手なのであります。これからもしこういう状態で、この法案を強く適用されていくということになると、必ずだんだん仕事を仕手が少くなる。仕手が少くならぬにしても、絶えずそういう赤字でやらうというような人間ばかりが、仕事を受取る面に出てくる。そうするとその結果は、必ず仕事はその範圍で仕上げるかもしれないが、できたものが、まつたくひどいものをつくるということになる。もちろん政府においても監督はされておるからして、そうでたらめはしないという御答辯があるかもしれないのでありますが、その邊にいろいろ監督の人たちの涜職事件なども絡んで、なかなかいろいろな仕事が出てくるのであります。そうして安いものは悪いものをつくつてしまうという結果になり、一方だんだんとまじめな者は、もうこういうばかな仕事は受取らないというようになつてしまう。そうするとひいては、それでなくても仕事はいいものを一刻も早くつくらなければならぬ今日の日本の情勢下において、結局この法案をつくつた目的を達しないで、へんなことばかりが出てくるということになるのでありますが、その邊はどういうようにお考えになつておるのかどうか承りたい。
#47
○中田政府委員 これは進駐軍工事ばかりではなく、あるいは鐡道、あるいは逓信、政府の財政に關係した諸工事はもとより、公共團體の諸事業、いわゆる公共事業全般に關係することでありますから、非常に範圍は廣いのでございます。そこで今お話の點は、競爭入札とこの法律との關係なのでありますが、競爭入札には競爭入札で、たしかにいいところもありますが、仕事と土建業者の業界の競爭というものは、お示しのように仕事が少くなつた場合において、業界は爾後のたけのこのように業者が多くなつており、業界そのものが一種の産業の合理化をしなければならぬということに結論されるわけでありまして、業界がそのままで生存競爭をするということになると、不當の落札價格をもつて仕事をとり合いつこするということになりまして、その結果は監督を嚴重にいたしましても、でき高がよくなくなるという點は、私は御説の通りだと思います。この根本については、競爭入札の弊害と言わんよりは、仕事の量と業界の數の問題との、アンバランスがそういう原因となるのであります。その原因を芟除しなければ、どうしてもこの競爭入札が適正な競爭入札にならぬ。いわゆる入札金額が妥當な、良心的な入札をするということにならぬのでありまして、これは産業の企業整備と同樣に、土建業界においても適切な規模、いわゆる需要に妥當するように、業界をある程度是正しなければならぬという點で解決しなければ、法律の問題でなかなか解決できない。しかしながらそうは言いましても、この法律があるために善良な業者が成敗されて、不良なやつだけ殘ると、そうまでは私は考えぬのでありまして、これは業界が良心的な入札をして、一方嚴重な監督をしていくということによつて――監督が嚴重なためにけつを割るということがあつたとすれば、その業界からその人は一種の排除をされるという結果になるのでありまして、これは業界が積極的に、自主的に、良心的な入札をし施工する。同時にまた政府においては、監督を十分にしていくということ、兩々相まつてこの問題が解決されるであろう。この法律は競爭入札の場合をも適用内に入れておりますけれども、それは昨日申し上げたように、利潤、諸經費等において非常に勉強するものとか、若干そうでないものとか、あるいは手持材を安くもつているものとか、非常に手持材が少いものというような、具體的な條件によつて多少の競爭があり得る、つまり入札の餘地が、この法律を施行してもあり得ると考えるのでありまして、昨日さようなお話を申し上げたわけであります。
#48
○塚田委員 これは政府側の適切なる運用によりまして、何とか目的を達するように私も切に希望いたす次第であります。
 次にこの法の運用上非常に懸念されますのは、一應資材を政府側で御面倒みられるということを前提にしてこういうことは考えられるわけなのであります。ところが資材が必要な時期に必要な數量がはいつてこないということになると、それがまつたく工事金額というものをひつくりかえしてしまう原因になる。そこで資材の十分な手配があるのかというと、手配はあるということなんです。しかし資材が實際に必要な時期に、必要なだけはいつてくるかどうかは、これはこの委員會における政府側の御答辯とは、全然別個に動く問題でありまして、これは大きくは日本の生産力の問題―資材があるという御答辯になつたときに、それは日本の石炭の出る量がどれくらいで、電力がどれくらいでということも、おそらく考慮にはいつて、資材は間に合うということで、ここに全體の計畫が立てられるのでありましよう。そういう想定のもとに、資材は十分間に合うというので、ある仕事を出されて、實際にやつてみたら間に合わないということに必ず出てくる。そうなると、その資材の面がひいて今度は勞務の面にもいきまして、初めのころ資材がこなかつたために、工期の終りぎわになつて突貫工事をやらなければならぬということも出てくる。そうすると資材だけでなしに勞務の上にも影響してくる。またその他の義務の上にも影響してくる。そういう場合にそれに對する救濟の方法があるかないか。それからそういう場合の責任がなお業者に對して問われるようになるのかどうか。そういう點についての政府のお考えをひとつ伺つておきたい。
#49
○渡邉政府委員 お答えいたします。從來の經過に願みまして、たしかに資材が十分圓滑にまわらなかつたという缺陷のありましたことは、政府としても同じように認めております。しかしそのよつて來るところを考えてみますと、特に進駐軍工事などに大きな缺陷が出ております。資材の計畫とか、そういうようなものも一應は立てておりますが、それはそれとして、ちよつと別の見地から必要があるからといつて、量なりあるいは時期なりを區切られまして、そのために工事をしろといつたようなことに、非常に大きな無理が一つあるのであります。需給計畫の面につきましても、もちろん必ずしも計畫通りに全部が達成されておるということも申し上げ兼ねますが、しかしこの點につきましては、ある程度のマージンを考えるとか何とかいうことも計畫に入れまして、需給計畫にはまる範圍で仕事が進んでいけば、まだまだいいのでございますが、その需給計畫と多少離れた觀點で工事がいろいろ要請されたところに、一番大きな缺點があると思います。それは將來の問題にしましても、もし從來通りのいき方をそのまま續けていき、しかもこういうような法律で片方のやみの資材獲得は斷然縛るということになりますれば、結局仕事ができないという結果になるのでございまして、その點につきましては、この問題が出ましたときに、一番最初にわれわれとしても議論したところでございます。しかし、と申しまして從來と同じように、こうした資材關係を無視しまして、仕事をどんどん企てていくというところにむしろ根本的な缺陷があるので、必ずしもこれは政府きりでもつて決定できる問題でもございませんが、とにかくこういうことを實行するという以上は、關係方面にも篤とそのへんを了承を得て、無理な工事はこの際延期してもらうとか、やめてもらう、こういう考え方で全體をもつていく、そうして同時に一面從來の缺陷に基きます點は、政府としても極力直していく、こういうようにしましたら何とかやつていけるのではないか、またやつていかなければならない、かように考えております。結局一番基本的の問題として、從來の物資關係を無視したような仕事というものは、この際まずもつて考え直す、この點に問題のまず第一の解決のかぎがございまして、この點に關して關係方面に、その邊についての懇請を、目下極力いたしております。
#50
○塚田委員 政府側の御決意と努力は了とするのでありますが、私のお尋ねしたいのは、そういう努力にもかかわらず、實際問題としてそれが行われなかつた場合に、この法律を文字通り適用されるのでは非常に困る問題が起るのではないか、こういう場合の救濟策があるかどうか、こういうことである。
#51
○中田政府委員 問題は二つあると思います。材料が官給材で間に合わぬために、業者の手持材あるいは民間材を調達されて工事を促進した。その場合にマル公以上のものをやみで買つたという場合、この場合については、たしかにこの法律ではそういうことを認めておりません。從つて資材についてマル公以上のものを、まあ客觀的に見て、業者の責に歸すべからざる客觀事情があるとしても、この法律においては、それについての救濟を認めておりませんから、材料について業者が無理にでも入手しなければならぬといつて、マル公以上のものに手を出すことは差控えざるを得ないことになるし、からば第二の問題として、手待ができる、あるいは工事が工程表通りに行われないというために、せつかく用意したところの大工、左官、その他の勞務の仕事が思うようにフルに動かせないために、最後には突貫工事で夜業をやらねばならぬという、追詰められた情勢になつた場合どうかという問題につきましては、現在においても、業者の責に歸すべからざる事情で、工程表通り工事が行われない、あるいはちよつと設計を待てと言われる、あるいは官給の材料がはいらなかつたために手順が狂つた、それがために突貫作業で夜間の作業を要請したということについては、その具體的な事情につきまして、正確に言えば、設計變更でございますが、その勞務については、契約の約定の變更が現在認められております。また將來においてもつまり業者の責は歸すべからざる、むしろ建築主の方の責に歸すべき事情にあつた場合については、約定の變更ということが、當然考えられてしかるべく、その方で救濟する途があろうかと思います。
#52
○塚田委員 御答辯を伺つて安心をしたわけであります。次にいま一つ、非常に仕事をいたします上に困難な問題を起しておるのは、要するに政府支拂の遲延しているという事情であります。もちろん遲延をいたしますのには、國家財政の上からくる大きな原因もあり、またいろいろな事務手續のうまくいかないというような事情もあると思う。それらの事情は一應伺つてみればごもつともだと思う。しかしそれはもつともな事由があるにしても、そういうことがやはり仕事をする者の上には、大きく響いておるということは申し上げるまでもないのでありまして、さらにその上にまたこういう法律が出てきて、一層いろいろな手續が多くなる。民間の側においても多くなる。官廳の側においても多くなる。それが限りある人間でもつて、官廳でもいろいろな調をされる。そこにもつていつて千八百圓では食えるとか食えないとか、退廳時間正確になんというようになると、ますます仕事がおくれる一方になる。そうすると仕事の書類の檢査がすまないから支拂いがおくれおくれて、一層今までの支拂遲延というものがさらに輪をかけるような結果になるのではないかということが、非常に懸念されるわけである。それといま一つは、はたしてそういうことが實際にあるのかどうかは知りませんけれども、もうすでに二十一年法律六十號のあの法律の適用の上においても非常に下級の官吏の人たちの、いろいろな都合からくる事務遲延というものがあるらしいのであります。そういうものの中には、何とも官吏として適當でないという話もよく耳にすることがあるのでありますが、そういうチヤンスを、これはまた一層多くするということを懸念するのであります。今日の状態では支拂遲延、金がないということが、仕事の能率の上にも非常に大きく響く段階にもなつております。從つて政府がこういう法案を出されてこれを民間側に相當かたきを強いることになるのでありますが、それをされる以上は、政府側においてのいろいろな努力も、されるだけの準備と決意がなくちやならないと、こう考えるのでありますが、その邊はどういうお考えであるか。
#53
○石原政府委員 政府支拂の促進の問題については、先ごろ閣議の決定を得まして、それぞれの手を打つておるのでありますが、ただいまお尋ねになりました點に關連いたしまして、豫算あるいは支出面におきまして、どういうふうなことを今考えておるかということにつきまして、若干私から申し上げます。まず一番最初の問題は、豫算の成立が、たとえば終戰處理費のように、追加豫算の提出がおくれておるというために、豫算額自體がないのだという話はごもつともなお話ですが、これは例外的な場合であります。その次の支拂豫算の問題、支拂豫算の末端に對する遲延につきましては、最近の交通通信の状況等から申しまして、しばしば東京から末端にまいりますのに、非常な時間がかかつておるということのために、支拂豫算自身の配布が遲れるという點があります。この點につきましては支拂豫算のつけ方につきまして、できるだけ最初に大きく總額の詮議をいたしまして、その範圍内では非常に急速に事務處理をしまするように、第三・四半期から始めておる。それから支拂豫算がつきましたあとの問題があるのでありまするが、これは今お話の中にも若干關連するのでありますが、支出官、あるいは契約をした場合の何と申しますか、契約擔當官、そういつたものの手許が、現在の状況から見まして、相當人間が不足であるという點がある程度あつた。その點につきましては事務の關係があつたのでありますが、最近におきまするいろいろな法規の改正がございまして、この前の補正の第八號によつて、支出官及び契約擔當官のもとに數名の人間を動員いたしまして、その面からの事務の澁滯を防ぐということもやつております。それから六十號の檢査の關係でありますが、これは地方部で相當やつておるのであります。この方も増員豫算が先ごろ通つておりまして、逐次増員をしておるのであります。そういつた人間の手が若干殖えますれば、ある程度まで從來のいろいろな問題が解消するものがあるかと考えております。
#54
○塚田委員 大體これで打切りにいたしたいと思います。最後に法案の表題についてであります。これはこの間もちよつと申し上げたのでありますが、どうもこの表題というものは、政府が國民に對して、こういうぐあいにやれということを要求されるものとしては、ふさわしくない。これは明らかにお前らが今まで不正をやつておるのだ。放つておけば今からでも不正をやるのだというような觀點に立つておるように思うのであります。ところが先ほども申しましたように、こういう統制に從わないとか、數量を事實と違つたものを出すとかいうことは、これは實費精算契約を前提にすれば、なるほど不正ということは考えられるけれども、請負契約で出てきた以上は、そういうものは不正という觀念にははいらないものだと思う。實際は十人かかる見積でやつてみて、八人で濟んだならば、八人というように書き出せということがこの法律の内容でありますが、それがかりに十人になつても、そういうものは請負契約の内容に從つて、あるいは業者が努力した結果になつて出てくるのかも知れない。そういうものをなお不正ということのように考えて、こういう法案の表題がつけられるということはどうかと思うのですが、その邊はどうでありましようか。
#55
○石原政府委員 不正という言葉についてのお叱りでありますが、今おつしやいましたような請負契約の人間の數が勉強した結果減つた、減つたにかかわらず最初十人なら十人通りの數字を要求することが不正であるかどうかという問題でありますが、これは一般職種別賃金というものをきめて、その目安において算出をいたすという趣旨からいえば、一般職種別賃金というものが、罰則はそこにございませんけれども、ある基準としてきめるという趣旨から申しますれば、やはり適法でないということは申せるのであります。ここに不正と申しますのは、全定價格に違反をいたすのみならず、先ほど申し上げましたのもその趣旨なのでありますが、數量でさばを讀むというようなことが、ここで言うところの適法でないという意味において、不正という言葉を使つておるのであります。この表題に達しますまでには若干の經緯もございましたが、一應不正という言葉に落ちついておるのでありまして、おつしやるような感じが若干あるかと思いますが、大體の趣旨はそういうことでございます。
#56
○早稻田委員長代理 たいへん御熱心に御質疑をいただきましてありがとうございました。
 本日はこの程度で散會いたします。明日は午前十時三十分から開會いたします。
   午後三時十三分散會
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト