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1947/10/16 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 外務委員会 第14号
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1947/10/16 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 外務委員会 第14号

#1
第001回国会 外務委員会 第14号
昭和二十二年十月十六日(木曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 安東 義良君
   理事 加藤シヅエ君 理事 栗山長次郎君
   理事 堀江 實藏君
      猪俣 浩三君    高瀬  傳君
      竹内 克巳君    戸叶 里子君
      馬場 秀夫君    和田 敏明君
      中山 マサ君   長野重右ヱ門君
      植原悦二郎君    竹尾  弌君
      佐々木盛雄君    仲内 憲治君
      若松 虎雄君    多賀 安郎君
 出席國務大臣
        内閣總理大臣  片山  哲君
 出席政府委員
        内閣官房次長  曾禰  益君
        外務事務官   法華津孝太君
 委員外の出席者
        外務事務官   曾野  明君
    ―――――――――――――
十月十四日
 北鮮に殘留中の邦人釋放に關する請願(川合彰武君紹介)(第九〇七號)
 朝鮮における日本人會借入の同胞救濟資金返濟の請願(川合彰武君紹介)(第九一三號)
の審査を本委員會に付託された。
十月十一日
 在外同胞引揚促進に關する陳情書(財團法人同胞援護會大牟田支部長田中忠藏外一名)(第三九九號)
を本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 コミンテルン復活の問題に關し、當局より説明聽取の件
 講和會議にのぞむ國内態勢に關し内閣總理大臣より説明聽取の件
    ―――――――――――――
#2
○加藤委員長代理 お待たせいたしました。ただいまから會議を開きます。
 ただいま委員長は自動車の都合で少少遲れますので、委員長がお見えになりますまで、私が代理をさせていただきます。
 本日はコミンテルンの復活問題につきまして、外務省調査局長法華津孝太さんから説明を聽取いたします。
#3
○法華津政府委員 それでは私から大體今度の共産黨情報局が歐州にできるに至りました情勢につきまして、概説を申し上げます。その後のこまかいことにつきましては、ソ連專門の調査局第三課長から御説明をいたさせます。
 大體米ソ關係が最近とみに尖鋭化したように思われるのでありますが、大體の經過を簡單に申し上げますと、大體ソ連とアメリカとが戰爭後の惰性的な協力關係から次第に離れ出した傾向は、一昨年の十二月の外相會議あたりから見え出してまいつたのであります。ところがそれから昨年の前半期まではこの對立が必ずしも明白でございませんでした。ところが昨年九月のウォーレスの辭職、それからウォーレスのシユットがルトにおける演説、このころから大體アメリカとソ連との政策の對立關係がはつきりいたしてまいりました。續いて昨年の暮の米國の中間選擧によりまして、共和黨が勝利を得ましてから、アメリカの對ソ政策といぅものはほぼはつきりいたしてまいつたと申すことができるのであります。續いてマーシャルが國務長官に任命せられる、それからバンデンバーグのクリーブランドの演説、こういうような經過をとりまして本年の三月のトルーマン聲明、ここで初めてはつきりとソ連を平和の敵といたしまして、これと對抗關係にあることが表に出されてまいつたのであります。そうして續きまして本年の六月に、いわゆるマーシヤル・プランというものが發表せられまして、これによりまして西歐の諸國を反ソ的な一つの團體にまとめ上げていくという努力の方向が示されたのであります。今囘發表せられましたところのユーゴースラヴイアの首府のベルグラードにおきまする共産黨情報局の設立ということは、形は非常に積極的なものに見えますが、實はマーシャル・プランに對するための一つの防衞的な措置とも言えると思うのであります。つまりマーシャル・プランによりましてアメリカは鐵のカーテンの西側でありますところの諸國を組合いたしまして、これに經濟的援助を與えることによりまして、一つの西歐ブロックを形成せんとする。ただそればかりでなく、さらにその境にありますチエコとかハンガリーとか、その他の國々に對しましても場合によつたらここにはいつてこい、はいつてくれば經濟援助を與えてやるぞという、かつこうを見せております。今のボーダーラインにありまするところの國々も、おそらくはこれに加わりまして、そうしてアメリカの經濟援助が實は欲しいのだと思います。で多少動搖の調子がある。そこでソ連側といたしましてほ、自分の方もこれに對抗する一つの組織をつくる必要がある、こういうことから今度のポーランドにおきまする共産黨の會議におきまして、いわゆる九箇國を組合いたしまして、これの中心となる情報局をベルグラードにつくるという發表をいたしたわけであります。これにつきまして注目すべきことは、フインランドがはいつておらない。いわゆる鐵のカーテンの東側の中にはフィンランドがはいつておるわけであります。ところがこのフィンランドがこの九箇國の中にはいつておらない。その代りに今度は西歐諸國のうちと見られておるイタリアとフランスがはいつておるのであります。大體ソ連の自分の勢力下にありまする國に對しましては、占領期間中を通じ、ないしは占領期間の後におきましても、實力のある間を通じまして、實力的な威嚇によりまして反對黨を抑えまして、共産黨が主となつたところの政府をつくつておるのでありまするが、フィンランドばかりは自分の實力下にあつたにかかわらず、ここには共産黨の政府ができておらないのであります。今のところ反對黨をいろいろな手段で抑えてはおりますが、なお共産黨の勢力が伸びておらない。そういう關係もございまして、フィンランドがはいつておらないのだと思われるのであります。そこで一方マーシャル・プラン、一方は共産黨情報局の設立、こういう二つの關係でもつてヨーロッパにだんだん對立の氣配が見えてきた。この結果はどうであろうかということが問題となつてまいるのであります。
 これにつきまして一つ相當考慮に入れなければならないことは、アメリカの方の手段はどこまでも經濟的であるということと、そうしてマーシャル・プランと申しますものは、來年三月から始めまして向う四箇年間の計畫なのであります。御承知のようにアメリカはその前にいわゆる鐵のカーテンの東側にありまするところのハンガリー、それからブルガリア、トルコ、ギリシヤ、こういうような國々に對しまして經濟的援助を與えることによりまして、これをソ連側の手から離そうと試みたのでありまするが、これはいずれもソ連の實力的な對抗手段によりまして失敗に終つております。ギリシヤにおきましては御衆知のように非常な對抗状況が今起つております。つまり經濟手段によるところの誘引策と申しますか、あるいは援助策と申しますものは、實力的な對抗策に遇つてはあまり效果がないということが、少くとも鐵のカーテンの東側においては實證されておるのであります。
 これが鐵のカーテンの西側今問題となりますのはイタリアとかフランスとかいう國であれますが、これらの國においてどういうことになるかという問題が、一つ、いま一つはマーシヤル・プランが四年かかるということ、これは實際に效果を現わしますのは、どうしても二年とか三年とか經つてからでなければ效果が現われてこない、その時間的餘裕がある。その間にソ連側の手が伸びてくるのではなかろうか。その場合にアメリカとしては、ただいま申し上げましたように、單なる經濟的手段をもつてこれに對抗しておるのでは手ぬるいということが、わかつてまいるにちがいないのであります。それから今のような、時間がかかつたのでは間に合わないということがわかつてくるに違いないと思うのであります。その場合に今のマーシャル・プランによる援助手段よりさらに一歩を進めて、何らか政治的ないしは實力的な對抗手段をとることがかりにあるとすれば、そこにいろいろな衝突の危險がなきにしもあらずということは、一應判斷せられるわけであります。一番問題になりますのはイタリアでありまするが、ここには今度の條約によりまして約三萬ほどの正規軍しかないわけであります。これに對しまして、イタリアの北部には武裝いたしましたところの共産軍が、その約倍、五六萬はあるといわれておるのでありまして、ここで相當な資力的な對立關係、つまりギリシャにおきまして今行われておりますようなものが起つてくる可能性があるのでありまして、これらの成行きというものは今後相當に注目せらるべき問題だと思つております。
 それではヨーロッパにおける對抗關係がただちに東亞方面においても現われてくるかどうか、こういう問題が次に考慮せらるべきであります。理論的にはそういう状態になつてくる。もし今度の共産黨情報局の設立ということが前のコミシテルンの復活ということと同じ意味をもちまするならば、これは東洋におきましても同じことが起つてくるわけでありまするが、にもかかわらず、それは理論的ではございまするが、實際的には私は急には東亞では起つてこないというふうに一應の判斷をいたしておるものであります。その理由は、先ほど申し上げましたように、マーシャル・プランというものに對抗して今度のコミンテルンの組織ができた。ところが東亞の方にはマーシャル・プランというような一つの團體的な對抗手段は目下のところはないのであります。從つてソ連側といたしましても、今の情報局の設立のごとき一つの團體的な對抗手段をもつてこれに對するという必要が今のところそうないわけであります。從つてただちにヨーロッパにおけると同じような状況が、東亞において起つてくるとは私は判斷いたしておりません。從つてただいま申し上げましたように、ヨーロッパの方で今の兩方の對立關係がだんだんと政治的ないし實力的な爭いになつていくという可能性はなきにあらずでありまして、またそれがさらに進みましてソ連とアメリカとの相當尖鋭化した關係に、ますますなつていくという可能性はなきにあらずとは思いまするが、しかもそれが全面的な、世界全體を通じてのはなはだしい對抗關係になりただちに戰爭にいくというようなことを私は必ずしも判斷いたしておらないわけであります。それでは今度のベルグラードにおける情報局の設立及びこれの内容の細かい問題につきまして、これから曽根調査局第三課長から御説明申し上げることにいたしたいと思います。
#4
○加藤委員長代理 それでは第三課長曾野明さんの御説明を願います。
#5
○曾野説明員 ただいま局長からお話し申し上げました九箇國共産黨のワルソーにおける協議會の點につきまして、少しく詳しい御説明を申し上げたいと存じます。
 この九箇國共産黨協議會のコンミユニケというものは日本の新聞にも出ておりませんので、本日はそれを中心にして御説明申し上げようと思います。皆さん方の御參考のために少しくコミンテルンのできたときの情勢と解散したときの理由というものを御參考までに申し上げておきたいと思います。
 皆さん御衆知のように、第一次大戰が始まつて、いわゆる各國の社會民主主義者が集まつてつくつた第二インターは事實上崩壞したのであります。レーニンはそれより先に第二インターの中には非常に日和見的な分子が殖えてきたので、こういうものはつぶさなければならぬということをかねがね主張していて、第一次戰爭が始まつて、一九一五年にスイスに各國の社會民主主義者が集まつて、第二インターの復活の相談をいたしましたときに、レーニンも出てまいりまして、今申しましたような自己の見解を述べたのでありますが、採擇されなかつたのであります。翌一九一六年にもう一度そういう會合が開かれて、レーニンは第二インターとの絶縁ということを提議したのでありますが、これも採擇されなかつたのであります。從つてそのときにおいてはレーニンの考えているところのインターナショナルというようなものはつくり得ない状況にあつたわけであります。しかるに一九一七年になつてロシヤに革命が起り、ロシヤは四月にレニングラードに歸つてまいりました。そして皆さんの御衆知の四月テーゼというものを發表し、當時ロシヤに起つていたいわゆるブルジョア民主主義革命をただちに社會主義革命へ推進しなければならねということと、革命的なインーターナショナルをつくる必要があるということを發表したのであります。そういうふうにして一九一七年の五月に、當時のロシヤ社會民主主義勞働黨、これは現在の共産黨の前身でありますが、勞働黨はコミンテルンを含むという自己の任務を決定したのであります。そして教箇月經つて十月革命が起き、今申しましたロシヤ社會民主主義勞働黨が政權をとつたわけであります。これが現在のソ連政府としてでき上つた最初の政權であります。從つてそのロシヤ社會民主主義勞働黨ボルシヴイキーが政權をとつたので、レーニンがかねがね申していたコミンテルンの創立というものが具體化する段階にはいつたわけであります。十月革命の後二箇月經ちまして十八年の一月、當時のソビエツト政權の今日本で申しますと國會の常設機關というような形になつている、全ロシヤ中央執行委員會というものが、各國の左翼社會民主主義者の國際會議を招集しようとして、自分の代表を外國へ派遣しようとしたのでありますが、その代表は外國から入國を拒絶されたのであります。そういうわけでその計畫はだめになり、一月の末にペトログラードにおいて各國の左翼社會民主主義者の會合が行われたわけであります。そういぅふうな會合が行われました結果といたしまして、翌年の一九一九年一月にレーニンはさらに各國の左翼社會主義者を集めまして、そしてコミンテルンをただちにつくるということを決定したわけであります。このようにしましてコミンテルンはレーニンの努力によつてでき上つたわけであります。同年一九一九年の三月にコミルテルンの第一囘大會が開かれて、しかも一九三五年の第七囘大會まで七囘にわたつて大會が開かれておつたわけなのであります。今申しましたように、ソ連は、レーニンの率いますロシヤ社會民主主義勞働黨というものが政權をとつて、つくり上げられた國であります。一方コミンテルンというものは、レーニンが非常な努力をもちましてつくり上げた國際的な組織であります。從いまして、この兩者ともレーニンが非常な努力をもつてつくり上げた國家ないしは國際團體であるという點は注目する必要があるのじやないかと思つております。この點につきまして日本でも飜譯が出ておりますが、金連邦共産黨小史の中にはこういうふうに書いておりますが、スターリンは、一九二四年の一月にレーニンが死にまして、それに對する追悼演説をやつたそうであります。その中にこういうことを申しております「レーニンはわれわれのもとから去るに臨んでコミンテルンの原則に忠實であるべきことをわれわれに遺言した。レーニンよ、われわれは全世界の勤勞者の同盟、すなわちコミンテルンの強化及び擴大のために、自分の命を惜しまぬことを誓う。」というふうにスターリンはレーニンに誓つておるそうであります。今申しましたように、理論的に申しましても、こういうふうなボルシェヴイキーとしまして、スターリンのレーニンに對する誓いの言葉からいたしましても、コミンテルンは容易に解散されるものとは實は思われていなかつたのであります。
 しかるにコミンテルンは一九四三年五月に解散したことは、皆さん御承知の通りであります。そのときの解散の理由といたしまして、當時のコミンテルンの執行委員會の幹部會が決議を發表いたしておりますが、要するにそのときの解散の理由と考えられますものは、一つには情勢の變化であります。一九四一年の六月に獨ソ戰爭が始まりまして、ソ連といたしましては、英米の援助を非常に必要とする情勢になつて、きたわけであります。解散の理由にもはつきりと情勢の變化ということを書いておりまして、今申し上げました決議によりますと、こういうことを言つております。各國の國内情勢及び國際情勢が複雜となるに伴つて、國際的な中心が各國の勞働運動の動きを決定することは困難になつたということを書いておるわけであります。はたしてこの點からいたしまして、コミンテルンはその任務の終了したから解散したのじやございませんで、任務の遂行が困難になつたから解散したというふうにとれるのであります。その次は、各民族各國家の特殊事情に從つて勞働運動をやつていかなければならぬという理由が聲明されております。詳しいことは時間がございませんので省略いたしますが、要するに各國の左翼勞働運動の活動方針は、各國の共産黨に任せるという傾向になつてきておつたわけであります。從いましてコミンテルンが解散いたしましたが、それによりまして各國の左翼運動に對しまして混亂を生ずるおそれはないというふうに、コミンテルンの執行委員會が認定したということが、これからわかるのであります。それからもう一つ重要な理由といたしまして、コミンテルンの解散決議が出ました後で、スターリンが英國の通信員のピンクという人に向いまして、こういうことを言つておるのであります。コミンテルンの解散というものは、モスコーが、つまりソ連邦が他の國に干渉し、これを赤化しようとしておるかのように宣傳するヒットラー一味の虚構をあばくものであるというふうに、スターリン氏は言つております。またこういうことはほかにもスターリン氏は言つておるのでありますがつまり今申しましたように、コミンテルンの解散というものは、國際情勢が變化してきて、そうして活動が困難になつたことと、それから各國の共産黨も非常に有力になつてきて、もはやこういうふうな中心組織が不必要になつてきた。しかもそういうものがあることによつて、ソ連が各國の内部の問題に干渉しておるような印象を與えることは困る。こういうふうないろいろの理由によりまして解散したわけであります。
 そうしてこれ以來數箇年經ちまして、だんだんと米ソ關係は、先ほど局長が申されましたように、尖鋭化してまいつたわけであります。米英の方では、この解散を認めないで、コミンテルンはあるんだという情報が非常に盛んに行われ來出したわけであります。事實はどうかわかりませんでございましたが、とにかくこの九月の末にポーランドにおきまして、九箇國の共産黨が協議會を催しまして、ベルグラードに常設の情報局をおくということは、發表された通りであります。
 この情報局の任務はどういうものかと申しますと、この今のコンミニユケによりますと、コミンテルンの解散後の經驗は、各國の共産黨の間がばらばらになつておることが正しくない。しかも有害であるということを教えたのである。つまりコミンテルンの解散、は、そういうふうな國際的な機關をつくつておることは非常に不都合であることがわかつたので解散はしたけれども、その後の經驗は、各國の共産黨がばらばらになつていることが正しくないし、有害であるということがわかつたから、こういう機關をつくるのだということであります。この目標は何であるかと申しますと、各國の共産黨の經驗の交換、自分らが經驗したところを交換するのだということが第一の目標になつております。十月十一日のソ連の共産黨機關紙のプラウダによりますと、このことの説明をいたしまして、ソ連及び東ヨーロッパにおいては、いわゆる民主主義體制が確立した。この確立した各國の共産黨の經驗を、目下アメリカに壓迫されているフランス及びイタリヤの共産黨の參考に資する必要があるということを、十月十一日附のプラウダ紙は言つております。つまり經驗の交換と申すのは、東ヨーロッパで成功した經驗を西ヨーロッパに教えるということにあるようにとれるのであります。
 それからもう一つのこの情報局の任務といたしまして書かれておりますところは、各國の共産黨の活動を自發的に調整する。つまり先般來日本の新聞にも出ておりましたが、たとえばフランスの共産黨とドイツの共産黨はルールの問題で意見が合わない。こういうような問題が若干起つてきておるのであります。こういう矛盾ないしは今後の活動方針につきまして、この九箇國の共産黨の活動を調整するという任務をもつておるようであります。今申し上げましたような、今度の九箇國の共産黨の情報局の設置に述べられておるような理由は、あるいはほかの國においても妥當するのじやないかと思われるのであります。現在までに現われたところにおきましては、英國の共産黨が十九日にこの宣言を支持する旨を發表しておるわけなのであります。
 次に、この國際情勢に關する宣言というものをこの協議會は採擇をいたしたのでありますが、それほどういうふうにして採擇されたかと申しますと、この九箇國の共産黨協議會に對しまして、ソ連邦共産黨からは、ジダーノフ氏、マーレンコフ氏の二人が代表として出ておるわけであります。このジダーノフ、マーレンコフ兩氏は、皆樣御承知のように、スターリン氏と三人だけがソ連邦共産黨の中央委員會の政治局と組織局と書記局の三局を通じての委員であります。從つて非常な有力者であろことはおわかりであると思うのでありますが、協議會はジダーノフ氏が國際情勢に關する判斷をまず説明いたしました。そしてそれに基きまして各國の共産黨の代表が意見を交換いたしまして、宣言をつくりあげたのであります。從つてこの場合、この宣言にはやはりソ連邦の情勢判斷というものがある程度はつきり出ておるのではないかと思うのであります。それからあとのコミンテルンの決議とか指令とか、あるいはソ連邦の要人のいろいろの演説を見ておりますと、その後の國際情勢は、そこに言われておるように動いておることが非常に多いのであります。從つてこの宣言の内容をくみとつてまいりますことは、今後の國際情勢をごらんになる上に非常に御參考になるのではないかと思います。宣言は相當長いものでありますが、事項別に要點だけを御説明したいと思います。この宣言に申しております第一の點は、米國の世界政策と對ソ政策を判斷しております第一の點は、そもそも今次の大戰においてアメリカの戰爭目的とソ連の戰爭目的とは違つておつたんだということを、最初に書いております。どう違つたかと申しますと、ソ連及び東ヨーロッパのいわゆる民主主義諸國は、まず歐洲において民主主義體制をつくりあげて、それを強くするということを戰爭目的の一つにしていた。それからファッシズムを撲滅すること、それからドイツからの新しい侵略の可能性を除去すること、それから歐州の諸國民の全面的の長期の協力ということを、ソ連の方では戰爭目的にしておつた。これに對しましてアメリカの方では何を戰爭目的にしていたかと申しますと、日獨という競爭者を相手として自分の支配的地位をつくりあげることを、アメリカの戰爭目的にしておつた。こういうふうに申しておるのであります。今申しましたように、今次大戰におきまして、戰爭目的が米ソの間に違つておつたというわけであります。この宣言には、次に從つて戰後において米ソの政治的方針は對立しておるのだという判斷を申しております。どう對立しておるか。ソ連の方は帝國主義の打倒と民主主義の強化ということを目標にしておるのだ。ところが英米の方では、帝國主義の強化と民主主義の壓殺ということを目標にしておるのだ。こういうふうに戰後においては兩方の政治的な方針が違つておるという判斷を書いております。從つてその次の段階としまして、宣言は、ソ連と東ヨーロッパ諸國とは、米英の帝國主義的な計畫を實現する上において非常にじやまになつておる。こういうふうに判斷しております。つまり自分らのやり方は米國の帝國主義のやり方のじやまになつてくる、こういうふうに判斷しておるのであります。さらに宣言は、そのことからしまして次のように判斷しております。かようにソ連のやり方というものは米英のじやまになつてきたんだから、そこで米英はソ連と東ヨーロッパ諸國に對して攻勢を宣言した。こういうふうに判斷しております。その際に米英の最も偽善的な帝國主義的な政治家は、新しい戰爭をやるぞやるぞという脅迫をもつてその攻勢を援助しておるのだ、こういうふうに書いておるわけであります。米英は戰爭をやるぞやるぞと言いながら、いつもソ連及び東ヨーロッパに對する攻勢を援助しておる、こういうふうな判斷を書いておるわけであります。結論としましてこの宣言は、このようにして世界は完全に二つの陣營にわかれてしまつた。こういう判斷を書いておるわけであります。今申しましたのが戰後のアメリカの世界政策及びソ連に對する政策につきましてのこのコンミユニケの判斷であります。しかしその結論といたしましては、世界は完全に二つの陣營にわかれたという判斷を出しておるわけであります。
 その次の宣言は先ほど局長の申されましたマーシヤル計畫の意義というものを判斷しております。その第一點は、今申しましたように、世界は完全に二つの陣營にわかれた状況のもとにおいて、資本主義の一般的危機は一層激化して、資本主義勢力は弱まりつつあるのであります。一方においてソ連及び東ヨーロッパの勢力は強くなりつつあるという情勢を判斷しております。このことを十月十一日附のプラウダは、もう少しはつきり申しております。すなわち、第一次大戰は帝國主義に大きなくさびを打込み、龜裂を與えたけれども、それに對する第二次の今度の戰爭は、資本主義陣營に大敗北を與えてしまつた。つまりこの第二次世界戰爭の結果、資本主義陣營というものは非常に弱まりつつある、大きな敗北を受けたのだ、敗けたのだという判斷をプラウダ紙はしております。このようにしまして、資本主義的な勢力は弱まりつつある、社會主義的な勢力は強まりつつある、こういう情勢判斷の結果として、米國を親玉とする帝國主義陣營は侵略的積極性を示しておる。こういう判斷をしておるわけであります。ここで注意していただかなければなりませんことは、後にも二箇所出てまいりますが、侵略者という言葉を使つていることであります。つまり今のソ連の宣言から見ますと、アメリカは侵略者であるという情勢判斷が出ておるのであります。從來コミンテルンないしは各國の共産黨が侵略者という言葉を使うことは非常に重要な問題でありまして、戰爭の前においては、日本、ドイツ侵略者という判を押されておつたわけでありますが、今度は米國がはつきりと侵略者と言われておる點を御留意願いたいのであります。
 次に、この宣言はこういうことを申しております。しかもこの侵略的な積極性は單に經濟的なものばかりでなくて、軍事的にも、思想的にもその方向をもつておる。つまりアメリカの侵略的積極性というものは、目標を軍事的、經濟的、思想的の三方面から押してきているのだという判斷をしております。さらにその宣言はこういうふうな判斷をしております。從つてトルーマン、マーシャルの計畫というものは、全世界に對するアメリカの膨張政策が歐州に適用された部分にすぎないのだ。要するにマーシャル案は、先ほど局長が申されたように、歐州を目標としておりますが、この宣言によりますと、これはアメリカの全世界に對する膨脹政策の一つの適用にすぎないのだ。いわばヨーロッパ編にすぎないと言つております。それと同時に、アメリカはどこをねらつておるかということを書いておりますが、それは中國とインドネシヤと南米に對する奴隸化政策をアメリカはやつているのだ、こういう判斷をしております。從つてここで御留意願いたいことは、この宣言による判斷に基きますと、アメリカは全世界に膨脹政策をとつておると申しておりますから、當然ソ連に對しても、自分を奴隸化しようとしているという獨斷をしているものと思われます。このように、この宣言はマーシャル計畫をきめつけておるわけであります。
 さらに宣言はこういうことを言つております。その際に日獨の大資本家は、米國帝國主義の道具として利用されつつあるということが附け加えられております。日本ドイツの資本家は、アメリカの帝國主義的な政策の道具として利用されておる、こういうことを言つております。今申したのがマーシャルの計萱に對するこの宣言の判斷であります。
 次にアメリカの戰術はどう出てくるかということを、この宣言は判斷しております。その第一點は、アメリカの戰術は非常にいろいろのやり方をとつてくると、いろいろ例をあげています。一つは、實力による直接的な脅迫とか、恐喝とか、ゆすり、それから政治的、經濟的な壓迫、買收、國内の對立及びその相剋の利用、こういうふうな戰術を使つて、いろいろな手でアメリカはやつてくるぞという判斷をしております。
 それから第二點は、これらの戰術はすべて自由主義とか、平和主義というようなマスクをつけてやつてくるぞという判斷をいたしております。それから三番目に、これは非常に世界史に關係あることでありますが、右翼の社會主義者は、アメリカに特別に利用されておるということをあげておりまして、名前があがつております。フランスのブルーム、イギリスのアトリー及びベヴイン、ドイツのシェーマッヘル、オーストリアのルンネレル及びシエルフ、イタリーのサラガット等の社會黨の右派の人々の名前をあげて、これらはアメリカに利用されておるという判斷を書いております。しかしてこれらの右翼社會主義者について、彼らは民主主義と社會主義という言葉のマスクをかぶりながら、實際においては勞働階級の隊列の崩壞とその自覺を毒する帝國主義者の忠實なる幇助者になつておるというふうに言つて、徹底的に攻撃しておるのであります。そこでかような攻撃がどうして出てくるかと申しますと、最初に申し上げましたように、レニンは初め第二インターを絶縁しなければならぬということを主張しておつたのであります。今次の戰爭が終るころから、かつて第二インターをつくつておりました各國の社會主義者の間には、第二インターを復活しようという動きが見えておりまして、現に……。
#6
○加藤委員長代理 ちよつと皆さんにお諮りいたしますが、今日佐々木委員から、講和會議に臨む現内閣と國内態勢に關連いたしまして、總理大臣に對し發現を求めておられるのでありますが、ただいま總理大臣がお見えになりましたので、ただいまのコミンテルンの復活の問題に關する説明聽取を一時中止いたしまして、この際佐々木委員の發言を許可したいと存じますが、御異議はございませんでしようか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○加藤委員長代理 それでは佐々木委員。
#8
○佐々木(盛)委員 來るべき講和會議というものが、わが國家の興亡と八千萬民族の運命を決定すべきものでもることは、言うまでもありません。從つてわれわれ國民は一人殘らず、この講和會議の裁きの日を息詰る思いで待ち構えておるのでありますが、それゆえに私は日本自由黨の一員ではありますが、この際私は政黨政派の恩響を超えた譽國的な觀點から、眞劍なる國民大衆の聲を代表して、講和會議に臨むべき國内態勢に關する數箇の點につきまして、この難局擔當に當ろうとしておられる片山總理大臣の、虚心坦懷なる御意見を求めたいと思うのであります。
    〔加藤委員長代理退席、委員長着席〕
對日講和會議に關する各種の報道は、すでにこれが預備交渉の段暗にはいつたことを轉えておりまして、來春あるいは櫻咲くころには待望の本會議が開かれるのではなかろうかという情報も、われわれの耳もとを激しくゆさぶつて響いてくるのであります。ところで今囘の講和會議というものが、わが日本興亡の運命を決定するものであることは、今申した通りであります。しかしながら一般國民大衆の認識におきまして、何となく淡いながらも、一種の希望的樂觀論が支配しておる實情ではなかろうかと考えるのであります。從つてわれわれは、この際講和會議に臨む國民に對し、今囘の講和條件なるものが、いかに冷嚴かつ深酷なるものであるかを、十分認識せしめておくことを怠るべきではないと思うのであります。申すまでもないことでありますが、第一次世界大戰後のベルサイユ條約の締結にあたりまして、連合國側の差出した條約案に封して、ドイツは、本條約はウイルソンの十四箇條の終戰條件とは相反するものであるという見地に立つて、厖大なる意見書を連合國側に提出したのでありますが、これに對して連合國側は憤然色をなしまして、今日のドイツの態度というものは、ドイツが今日いかなる地位におかれておるかということを理解せぬからである。正義に對して犯罪を犯したものが、正しく處罰されることであるというわけで、ドイツの差出しました代案を一蹴して、さらに連合國側はドイツに對して、五日以内にイエス、ノウを囘答せよ、しからずんば停戰協定は無數とみなすであろうとの、きわめて強硬なる態度を表明したのであります。そこでドイツ内閣はたちまち瓦解いたしまして、後繼内閣は周章狼狽のうちに、遂に七日目に、連合國案を血涙をすすつて調印をいたしましたことは、歴史の示すところであります。さらにまた今次の第二次世界大戰後におけるイタリアの場合におきましては、日本の場合とはその終戰の條件を著しく異にしておりまして、戰爭の後半におきましては、イタリアは樞軸を離脱いたしまして、連合國陣營に參加し、對獨戰爭を宣言したという特殊なる事情もありましたが、これとても去る二月十日、バリーにおいて行われたイタリア以下舊樞軸五箇國との講和條約調印に際しまして、イタリア代表の發表いたしました聲明の中におきましても、イタリア政府は今囘の講和條約作成に何らの役割を與えられなかつた。しかしわれわれは今この條約にやむなく從わねばならぬ、自分が調印したこの條的は眞の條約ではなくイタリアに一方的に課する條件を規定たしものである。かように述べて、さらに本日こそはイタリアにとつて悲しみの日であると呼び、全イタリア國民は滂沱たる涙と深き沈欺のうちに歴史の一日を記録いたしましたことも、われわれ記憶に新らしいところであります。
 かくのごとく、前大戰後のドイツの場合を想起いたしまして、さらに今また今次大戰後のイタリアの場合をまのあたりながめまして、今またわれわれは、ポツダム宣言に對する無條件降伏を誓いましたわれわれの身邊に、刻々として迫つてまいる對日講和條件を考えましたときに、講和會議に臨む日本側代表が連合國側と對等の立場に立つて樽俎折衝するというような外交交渉が許されないことはもとよりでありまするし、從つてまたその裁きのむちというものが、いかに苛烈なものであるかということは、われわれのあらかじめ覺悟しなければならないところであります。
 かくのごとく日本というものが今や有史未曾有の國難に際會しておりまして、從つてこの國難突破のために、國民的支持の上に立つところの強力なる政治態勢の確立ということが、刻下緊急事であると思うのであります。この點におきまして先般の片山内閣の組織にあたりまして、社會黨、民主黨、國民協同黨を網羅するところの三黨連立内閣を樹立されましたのは、次上述べましたごとき、擧國的強力なる政治態勢を確立したいという片山首相の御意思であつたと考えまして、この件に關する限りその努力に對して、私は政黨政派を超越して深く敬意を表する次第であります。しかしながら政黨のもつ性格、主義、政策におきまして、まつたく相異なる寄合世帶であります連立内閣が、なるほどその形式におきまして、あるいはその名目におきまして擧園的かつ強力であるかに見受けられましても、その實これに強力なる政治力を期待し得ないことは、理論的にも、かつまた現連立内閣の成立以來今日に至るまでの現實の事態におきましても、きわめて明白でありますることは、御出席になつている片山首相初め各閣僚のひとしく身をもつて痛感されたことと思うのであります。從つて強力なる政治力を發插するためには單獨政權の出現ということが、より望ましいと考えるのでありますか、片山首相は現内閣成立以來今日までの間を、謙虚なる境地において靜かに振りかえりまして、かつはまた政局に對する國民の政治的動向の推移ということをも十分考慮されまして、講和會議に臨む國内政治態勢を確立し、強力なる内外の政治力を發揮するために、政府は講和會議に臨むにあたつて、國民の現内閣に對する信頼を問うべきが望ましいと私は考えるわけでありまするが、片山首相はこの點をどういうふうにお考えになるか、内閣は現状をもつて講和會議を押切らんとするのであるか、あるいは講和會議全權はいかなる構成によらんとするか、いかなる政治態勢をもつてこの難局に處せんとするのか、これは國民の深く憂慮しておるところでありますがゆえに、明確にしてかつ誠意あるお答えをお願いLたいと思うのであります。これがまず私の質問の第一點であります。
#9
○片山國務大臣 ただいま佐々木君から熱心に講和會議に臨む心構えにつきまして御意見を述べられましたことにつきましては、ごもつともなる點がありまするが、私の考えはすでに新聞でも發表いたしておつたことでありまするが、御質問の點に應じまして、重ねてその點を明らかにいたしたいと思います。
 今日は國内政治態勢を確立いたしまして、擧國一致の實を現わすことが必要であると考えまして、組閣黨初四黨連立内閣を構想いたしまして努力いたしたのでありまするが、御承知の通り自由黨は野にあつて協力するという建前をもちまして、入閣されなかつた結果、三黨連立内閣ができまして、今日まで進んでおることは御了承の通りであります。三黨連立内閣は、連立の建前から弱い、こういうような御意見でありまするが、しかしながら今日三黨連立内閣は、最も閣内を統一いたしまして、現下最も大きな問題でありまする國内經濟態勢の確立に邁進しなければならない、こういう目標を立てて一致結束進んでおるのであります。その意味におきまして、經濟緊急對策を立てましたり、あるいは經濟の實情を國民に報告いたしまして、國民の心からなる協力を求めて、あるいは物價新體制を確立し、やみの撲滅によつてインフレの防止に進んでいかなければならないというスタートを切つて、その進み方は、われわれの考えといたしましては、この閣内の非常時を乘切り得るという自信をもつておるのであります。こういうスタートを切つて、そうしてその強化及び閣内結束、お互いに乘切つていかなくてはならないという決意を固めて進んでおる今日におきましては、その態勢をさらに進めまして、國内國外に向つて國民の協力を求めつつ進んでいかなければならないという決心をさらに深めておるような次第であります。つきましては、講和會議に臨む心棒えといたしましては、佐々木君自身もお述べになりました通り、ポツダム宣言によつて無條件降伏をいたしておりまするわが國といたしましては、まず何をなすべきかと申しまするならば、ポツダム宣言と極東委員會の示されたる方針によりまして、わが國の非武裝化と政治經濟の民主化を確立していかなければならないということは、すでに國民の十分に認めておるところであります。講和會議に臨む準備といたしましての基本は、わが國の政治經濟の民主化及び非武裝化による態勢でありまして、その線に沿いまして新憲法の制定、各般の法律案の制定、經濟集中排除及び獨占禁止法の制定警察制度の改革、地方制度の確立等々によりまして、政治經濟の民主化態勢は大體その基本が確立されつつあると信じておるのであります。さらに一段とこの線に沿いまして努力しなければならないのはもちろんでありまするが、こういうふうな民主化態勢ができておりますること、またさらに努力いたしましてこの民主化を促進し、その實現をはかつていかなければならないという政府の努力しておりますること、及び國民の協力を仰いでおりますることが、講和會議に臨む基本的對策であると考えておるのであります。連合軍司令部におかれましても、國民の心からなる協力と、日本國が誠意を披瀝いたしまして民主化態勢を確立して、みずからの生活はみずからの努力で、勤勉と奮鬪とによつて自國の生活體制を確立しつつあるということが認められますならば、必ずこれに報いられるところがあると私は信じておるのであります。こういう意味で進んでおりまする現状でありますから、講和會議に臨む民主化體制は三黨連立の現内閣が十分これを澹當し得るものであると信じておるのであります。
 但し講和會議において日本代表團あるいは全權團が、いかなる心構えでその處理に當るべきかということは、別個の問題でありまして、この代表團、全權團はできるだけ擧國體制の實をあげていかなければならないと考えておるのであります。すなわちこの場合におきましては野黨の代表者にも御參加を願いまして、眞に國民代表の實をあげ、擧國體制の形體を具えて臨んでいかなければならないものであると考えておるのでありまして、民主化準備は現内閣において十分擔當し、講和會議に臨む處理は擧國體制といたしまして、全國民の代表團、こういう構成で臨むことが最もふさわしい體制であると考えておるような次第であります。以上のように考えを二つにわけまして進んでいつて、そうして日本は將來において日本國民の政治的及び經濟的にも十分に立ち得るような體制を希いたい、かように私は考えておる次第であります。
#10
○佐々木(盛)委員 いろいろ突き進んでもう少し承りたいのでありますが、次に行きます。
 次に、今囘の對日講和條件というものが適合國側によつて一方的に課せられるものであることは、先刻來私の喋喋したところでありますが、さりとてかるがゆえに講和外交の餘地なしとして事態の推移を漫然と見送らんとするものがあつたとするならば、私はこれは外交ということの實體を理解せざるもはなはだしき限りではなかろうかと考えるのであります。なるほど講和全權というものが一堂に相會しまして、樽俎折衝するというような舊來の形式における講和外交というものが許されないことは申すまでもありません。しかしこれとはその形をかえた講和外交なるものがあると私は考える。しからばその形をかえた講和外交とは一體何とか申しましたならば、それは今總理の申されましたことく、一昨年八月十五日にスタートを切りましたポツダム宣言履行に伴うところの渉外折衝でありまして、この渉外折衝ということこそは、來るべき講和會談に直結するところの、ただ一つの實質上の講和外交ではなかろうかと私は考えるわけであります。しかりとするならばまさに對日講和がすでに豫備會議の段階に突入しましたこのときこそは、この渉外事務の遺憾なき發揮に萬全を期さなければならぬきわめて重大なるときであることを、われわれは痛感する次第であります。しかるにもかかわらず蘆田外務大臣は、終連の總裁といたしまして、就任以來すでに數箇月を閲せんとしておりますが、みずからまだ一度も總司令部と渉外折衝をおやりになつたこともないと私たちに承つております。もししかりとするならば一體これはいかなる事情によるのか。總理大臣として片山さんの御意見を承りたいと考えます。
 さらにまたもう一つこの終連の問題に關連いたしまして、政府は今回終連の機構というものを改組しての政治的な部面を内閣に移讓せんといたしますることも、その看想におきましては一應了承いたしまするが、これを西尾官房長のもとに移さんとするがごときことは、さなきだに芦田總裁の不的確が無能のために暴露しておりますところの、貧困なる渉外外交というものが、外交に對するまつたくの門外漢でありますところの西尾官房長のもとにおいて、いよいよこれが弱體化されることは火を見るよりも明らかではなかろうかと私どもは考えるわけであります。具體的な事實がありますが、省略します。片山首相はこの點をいかにお考えであるか、またいかなる具體案を用意されておるか、これらの點についての御所見を承りたい。これが私の第二の質問でございます。
#11
○片山國務大臣 連合軍と政府との間の問題はきわめて順調に進んでおるのでありまして、占領政策遂行上政府として考えていかなければならない點は十分に愼重を期しまして、占領政策の效果を現わすように考えておる次第であります。從いまして芦田外務大臣は、終戰連絡の總裁といたしまして、常に折衝を重ねられておるのであります。これを一々公表したり、あるいはその經過についてどうであるかというようなことは適當でない場合が多いものでありますから、自然外部にも現われなかつたことだと思いますが、必要なる事項は總裁として十分やつておる次第であります。
 なお終連事務をどうするかというような點につきましても、最も政果的にして、司令部と政府との間を圓滑に、かつまた十分にその意思の連絡をよくするために、それぞれ對策を講じつつあるのでありまして、まだ結果は發表するまでには至つておりませんが、有數な、また簡潔な方法でその關係を處理いたしたいと考えておる次第であります。
#12
○佐々木(盛)委員 次の質問は世界の急激なる新情勢に對處する政府の所信についてであります。二次世界大戰終了後の今日に繰りひろげられつつありますところの新しい歴史のページというものは、アメリカ的秩序とソヴイト的秩序の二つの世界の深刻なる對立相剋の姿でありますことは、先ほど政府委員の方から承つた通りであります。ヨーロッパにおきまして、先ほど御説明を承りましたように、マーシャル・プランの傘下に集まりました國家群と、鐵のカーテンに包まれました國家群との露骨なる反目對立がありますし、またアジアにおきましても、中國、滿州におけるところの血みどろの國共の紛爭がある。朝鮮におきましても、三十八度の一線を盡して、そこには米ソ兩勢力團の深刻な對立が行われております。さらにこの米ソニつの世界の對立ということは、今囘のコミンテルンの復活ということを契機といたしまして、一段と露骨になり、遠く海を距てて南米大陸までこの對立の渦中に投ぜんとしておる現状でありまして、われわれは現在地球上どの一點を取上げてみましてもそこに米ソニつの世界の激しい爭いの姿を發見するわけであります。しからば新憲法によつて身に寸鐵を帶びざるところの非武裝の國家となりました日本というものは、この二つの世界の激しい對立の間に處しまして、いかにして國家民族の安全を確保し、國權の囘復をはかるべきかという問題は、われわれのほんとうに峻嚴に考えなければならぬところであります。なるほど戰争はわれわれにとつてもうこりごりでありますし、また軍備の復活ということが許されようはずもありません。さりとてもしかりに永久中立の可能性というようなことを、現實に信ずる者があるといたしましたならば、それは歴史の現實を考えざるもはなはだしきものといわなければならぬと思うのであります。永久中立というごとき思想が、いかに世界情勢の現實面において、はなはだ無にすぎぬということは、第二次大戰發生と同時に改められねばならなかつたベルギー・オランダの運命、あるいはバルカン諸小國に遺されました足跡をながめましたときに、そうしてまた現に二つの世界のいずれか一つに投ずることを餘儀なくされましたヨーロツパ諸國の姿をながめましたときに、きわめて明らかであります。しかりとするならば、われわれはもとよりアメリカ的世界の陣營に投ずることによつてのみ、初めてわれわれの平和安全の確保と、國權伸長の通が開かれるものと信ずるわけでありますが、片山首相はそのいずれの道を指向せんとされるのか。この點は今後の日本の進路を決定すべき分岐點でありますがゆえに、明確なる進路、御決意のほどを承りたいと考えるわけであります。
#13
○片山國務大臣 佐々木君がすでに御指摘になりました通り、ただいままでの歴史にあります永世中立國か、中立として、平和實現のための作用をなす國家として、そのカがなかつたということはその通りであると思います。日本を永世中立國という古い型に入れないで、われわれは積極的に世界平和のために貢獻をし、世界平和の拍車をかける國家といたしたいと考えているのであります。その意味において、進んで國際連合に參加し、文化のために、文明のために、大いな貢獻をいたしたいという心持を、十分に日本國民はもつていると思うのであります。その意味において將來努力しなければならないのでありまして、今日われわれが講和會議に臨んでいくというゆえんも、一日も早く日本を民主々義國家とするのみならず、文化國家、平和國家としての實をあげていかなければならない、こういう意味に對して非常な熱望をもつていることを、世界各國に示したいと考えているのであります。その意味から申しまして、非武裝化は少しもおそるるところはないのであります。眞に非武裝化たるわが國の特色を、世界平和の上に十分現わさなければならない好櫻會であると考えている次第であります。その意味におきまして、今日二つの思想が世界的に對立いたしまして、いろいろの問題を起しているのでありますが私の考えといたしましては世界第二次戰爭の慘禍の跡まだ絶えざる今日、再びかくのごとき愚をくり返すことは、おそらくは避けるであろうと考えているのであります。われわれ日本國とし、日本國民としては、どこまでも憲法に示されておりまする民主主義の國として、平和主義に徹するの國として、閣内態勢を固めるとともに、世界各國の信用を得られるような動き方をしなければならないと思います。すなわち平和のうちに民主革命を行つていくべく努力してまいつておりますわが國といたしましては、眞實の平和的民主主義の覿念に、基本方針をおいていることはいうまでもないのであります。從いまして、共産主義によるところの政治的原理を、日本國民及び日本國家はとつていないことは言うまでもないのであります。しかし現下の實際上の動き方といたしましては、連合國の占領下にあり、かつまた日本占領政策で示された極東委員會の具體的方針に從つていかなければならないことは、佐々木君の御指摘になりました通りであり、また一般に是認せられている政治原理であり、國民の向うべき道はこれらによつて具體的に示されていることもまた言うをまたないところであると考えている次第であります。
#14
○佐々木(盛)委員 最後にもう一點だけお尋ねをしておきます。それは片山首相を黨首といたしまする日本社會黨は。イギリス勞働黨を兄貴とする、これを手本として進んでいくのだということを常々強調されておりますが、イギリス勞働黨にはマルクス共産主義を信奉いたしまするいわゆる左派のありますことは、今日世界周知のところであります。ところで、今日のイギリスはアメリカよりの經濟的援助なくしてはその再建がきわめて至難であるということは、たれしもこれを認めているところでありますが、目下アメリカのイギリスに對する借款供與等の問題が、イギリス側よりの熱烈なる嬰望にもかかわらず、行き惱んでおりますことは、アメリカは、イギリスの政局を擔當する勞働黨の性格、その政策を歡迎しないからであるということは、世界の多くの新聞、電報がこのことを報道しまたこの言辭が廣く信ぜられているように思うのであります。翻つて日本の現状をながめましたときに、日本の社會黨にもまたいわゆる左派なるものが存在しておりますことは、今日何人とても疑う者はありません。しかも先般の連立内閣組織の申出がありましたときに、わが自由黨吉田總裁は、われわれの意向を反映しまして、西尾書記長に向つて、左派の實體は一體何だということを質しましたに對し、西尾書記長は、みずから彼らが容共派であるということを明らかにされたのでありますが、このことを私たちは代議士會の席上承つたわけでありまするが、しかりとするならば、われわれはその事態がイギリスの場合、日本の場合との間におきまして、相通ずみ幾多の相似點、從つて多くの示唆をわれわれは發見するものでありますが、日本もまたイギリス同樣、アメリカよりの援助なくしてその再建復興のほとんど不可能に近い現状を率直にながめ、そしてまた最近のコミンテルンの復活を契機といたしまして、特にその反共的態度を明確にいたしましたアメリカの外交政策を想起いたしまするときは、容共分子である多數の左派を抱きこんだ日本社會黨が、日本の政局擔當の立役者として、この日本興亡の運命を決する講和會議に臨むということが、はたして日本にとつて有利であるとお考えになるか。私はあるいは不測の不利なる事態が起きはせぬかと考えますが、これに對する首相の考えはどうか。またもしこれが非常に不利であるとするならば、片山首相は世界情勢の急轉囘と社會黨の容共的なこの態度との矛盾をいかに解決されんとするのか、これらの諸點について腹藏なき眞摯なる御答辯を煩わしたいと考えるのであります。
#15
○片山國務大臣 佐々木君の御意見の中には多分に誤解があり、事實間違つている點もありますから御訂正願いたいと思います。社會黨は決して共産主義を容れておりません。容共分子はおりません。社會民主主義の政黨であることに徹しているのであります。私は社會黨の委員長といたしまして、英國勞働黨のやり方を十分に考えて、その長所をとつていきたいということを申したのは事實であります。それは長い間民主主義のために戰いまた健全なる社會主義政策を實際政治の上に現わしていきたいということを考えておる政黨である。しかも勞働組合と勞働黨との間にきわめて、緊密なる關係が結ばれて議會政治としてまことによき動き方をいたしておることは、われわれの大いに學ぶべき點であると考えたものでありまするから、前申し上げたようなことを言つた次第であります。しかし勞働黨の中に容共分子があるとか、勞働黨自體が容共派であるとか、そんなことは考えておりません。いくらかさような分子があるといたしましても、黨全體として、また黨を大部分支持しておる勞働組合としては、健全なる勞働組合であり、かつまた勞働黨は健全なる社會民主主義の政黨であり、議會主義を奉じておる政黨であるということを、今日もなお十分に信じておる次第であります。社會黨は、前にも申したように、綱領に明らかにいたしておりまする通り、民主主義の徹底ということと、社會主義を實現いたしたいということと、世界平和のために全力をあげて戰いたい。この三つを綱領にしておりまして、社會民主主義すなわち社會主義を民主主義の方法によつて實現したいと考えるし、かつまた社會主義を民主主義と竝べて、漸を逐い、段を踏んで、順序を立てて進行したいと考えておる社會民主主義の政黨であります。この社會黨の政策を現内閣は十分に取入れたいと考えておるのありまするが、組閣當時においても、私の意見として發表した通り、現在の社會情勢及び經濟情勢は、戰後の疲弊が極度に達して、まさに破局寸前におかれておる。この危險を突破するためには、まず經濟危機突破政策というところに集中していかなければならない。この意味において三黨連立が一致團結をして邁進しよう。こういう方針で進めておるのでありまするから幾多の社會主義政策のうち、とるべきものもたくさんありまするけれども、現在の事情に即應せるもの、最も妥當と考えられる事項を漸次取入れておる程度でありまして、全部そのままもつてこようとか、あるいはまた黨で掲げておる政策をことごとく一ときに行おう、そぅいう考えを發表したことは今日まで一度もない。かようにして現政府といたしましては、あらゆる情勢を考え、現在の事情に即應して、最も必要と考える政策を民主的に行いたいと考えておる次第であります。從つて私はこれを表現として、高度民主主義の徹底をはかりたいということで現わしたような次第であります。高度民主主義は言葉が少し變でありましたから、一般の御了解を十分に得られなかつたかと思いまするが、民主主義の徹底を各方面にはかりたい。政治、經濟、産業、社會、日常生活各般に、民主主義の徹底をはかることによつて、國民生活の向上も、産業の發展も、經濟の秩序囘復もはかつて、そうして民主化態勢を確立いたしたい。かように考えて、これを達成する手段は一に講曽によりたい。議會主義によるやり方を徹底さしたいと考えておる次第であります。決して容共的であるとか、あるいは共産分子がはいつておるというようなことはないことを、この機會に重ねて明白にしたいと存じます。
#16
○佐々木(盛)委員 もう少しつつこんでお聽きしたいと思うことがあるのでありますが、他の委員の方からもこの際質問をしたいとのことでありますから、私はただいま片山首相が申されました、社會黨は共産主義とは一線を盡しておるということを、私が信じまするためには、西尾書記長の言明されました、左派の實體は容共派であるということを言われましたことがうそ偽りであつたか、あるいは去る四月の總選擧以來、左派は早くも轉向したと了解する以外に途がないと考えまして、その意味で片山さんの話を承りまして、私の質問を打切りたいと思います。
#17
○安東委員長 仲内君。
#18
○仲内委員 大體私の聽かんとするところは、ただいま佐々木委員から各般にわたつてお尋ねがあつたようでありますが、私はこの際一、ニ希望を申し述べたいと思います。總理の御説明によりますと……。
#19
○猪俣委員 委員長、議事進行に關して……。
#20
○安東委員長 それでは猪股君。
#21
○猪俣委員 佐々木委員の發言をお許しした際、われわれも贊成いたしましたが、社會黨右派、左派という問題を、この外務委員會でおやりなさろうとは考えていなかつた。もう一遍採決を求めたい。われわれはそういう發言は希望しないところであり、かつ今の佐々木君の發言などに對しては、總理大臣の答辯の要はないのではないかと思います。さような意味で私ども許可したのではないのであります。
#22
○安東委員長 ただいまの佐々木君の質問に對しましては、すでに總理大臣より明快なる御答辯があつたと存じますから、佐々木君の質問はこれをもつて打切りまして、さらに他の委員の御質問に移りたいと思いますが……。
#23
○加藤(シ)委員 今日は政府委員の方がおいでになりまして、コミンテルンの復活に關する事情を聽取するということがそもそも初めでありまして、たまたま佐々木委員から御發言の御通告がございましたのに對して、總理大臣がその間にここに來られましたから、總理大臣のお忙しいことをお察ししまして、途中で今までの事情聽取を一旦止めまして、佐々木委員の發言を皆さんが異講なくお許しになつた。こういう經過でございますから、佐々木委員の發言が終りました以上は、もとの説明聽取にお返り願いたいと思いますので、そのことを皆さんに諮つていただきたいと思います。
#24
○安東委員長 ただいまの仲内君の御質問は關連した質問だそうでありますが、この關連質問を許すことはいかがですか、仲内君に簡明なる質問をしていただいてやることはいかがですか。
    〔「異讀なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○安東委員長 それでは仲内君。
#26
○仲内委員 それでは簡明に質問をいたします。總理は終戰ないしは講和會議に備える政府の方針といたしまして、主としてポツダム宣言の忠實なる履行という、つまり民主化の方面に重點をおかれておるようでありますが、日本の現實の問題、殊に外交面から見まして、これは外からの要求、すなわちポツダム宣言受諾に伴う義務の履行と同時に、日本が敗戰後いかに生きるかという日本國民自身の強き要望というこの兩面が、日本の外交ないしは將來活動の中心にならなければならないと思うのであります。すなわち民主化と同時に、日本國民の生きる道を強く考えて、政府がこの實行に當るというところに、國民の強い要望があると存ずるのであります。しかも佐々木君の話のありました通り、今日、渉外事務は即實質的な外交であるということも私は全然同感であるのでありまして、しかも今日の終戰事務なるものは、日本國務のほとんど全般である。ことごとくがこれ渉外事務ならざるはなしという實請にあるのでありまして、渉外事務がいかに重要であるかということはいまさら申し上げるまでもありませんし、また講和會議と申しましても、講和會議そのものは十分間許されるか、三十分許されるかの機會にすぎないのではないかという憂いさえあるのでありまして、今日において備うることこそ眞の講和外交であると確信するものであります。殊にこの意味におきまして、ひとり外務大臣の行う渉外事務ばかりでなく、あるいは産業各大臣あるいは大藏大臣、各省の行われる事務、殊に經濟の企盡にあたられる經濟安定本部の仕事、これらの仕事はすべて關連性をもつものである。その首班として總理は國務を處理せられておるのでありますが、しかもこれはことごとく渉外事務である殊に今日の終戰の事務が最後的段階にまいりますると、相當指令の數も多くなつてきておるようでありますし、向うの指令もいろいろな部面から出ておるのでありましよう。從つてその間には大局的に見ますときに、多少矛盾なりあるいは不統一というものを感じられない點もないというようなこともあるのでありまして、それを調整して大局から日本と連合國との全體の大方針にこれを間違いなく指導していくという大きな任務が總理にあると存ずるのであります。すなわちこの意味におきまして、總理は外務大臣以上の外交家として、外交の責任者として、總司令部に對し、マツカーサー元帥を初め連合國の大物に常に折衝せられ、そうして日本の根本的な大きな問題を十分に連絡せられると同時に、國民の盛り上る要望、國民はあくまでも忠實にポツダム宣言の履行を身をもつて行つておるのであります。これと同時にそんと竝行して盛り上つておりまするところの、日本が生き得る途、これをいかに連合國が認めてくれるかということについて、ひとつこの上とも總理の御盡力をお願いしたいという強い嬰望をこの機會に申し上げる次第であります。さらに………(「わかり切つたことだ」と呼ぶ者あり)わかり切つておりますから大いに要望するわけであります。
 それはほんとうに國民の強い要望であります。
 さらに先ほどの質問にありました終連の事務が内閣に移管されるという問題でありますが、これもただいまの私の考えと同樣に、終連事務は形を攣えた外交であるという意味合におきまして、本來外交は内政に對して國政の半分の面であるのでありまして、從つて非常に間口は廣いのであります。その廣さは今日の終連と同じわけでありまして、何も問題が各省の事務に關係あるから、この終連の事務を内閣にもつていかなければならぬという必要はないと思うのでありまするが、ただこれを強力に指導する必要があるということは私どもも認めるのでありまして、ただ、もはや終連の事務というものも、講和會議を控えて先が見えたにもかかわらず、今日これを内閣に移管される必要があるとするならば、それは今後講和會議に伴う事務もこの終連の機構の上において取扱うのではないかといぅような想像もせられるのでありまして、そうなるとますます外務省との機構が二重になる。いわゆる二重外交の弊を憂えられるのであります。ただ事務の重要性から内閣に移管するとするのでありましたならば、先ほど申しましたように、日本の外交が一外務大臣だけの仕事でなく、内閣全體、總理の主要なる任務であるという意味におきまして、移管せられたる終連事務というものは、總理の直屬にせらるるということを希望するのでありまして、どういう方面にこの移管の組織をもつていかれるのか、この點ももしお漏しくださることができますならばお尋ねしたいと思うのであります。
 それからコミンテルンの關係でありまするが、これは外務省の政府委員の御説明では、直接東亞には關係がないだろう、少くとも當分はないだろうということでありまする、この點につきまして總理の御見解を伺いたいのであります。と申しますのは、米ソの根本的な對立關係というもの、すなわち世界が完全に二つになつたという事實は、今日何人も認めるところでありまして、この觀點からするコミンテルンの今日の宣言、そうしてまたコミンテルンの本質というものが、いわゆる國際共産黨と言われるように國際的である。決して東亞を除外するはずはないという心配からいたしまして、このコミンテルンの對象がいずれは東亞に來ると思うが、これをどうお考えになるか、殊に東亞におきましても朝鮮問題あるいは中國における中共の問題とか、現實にこれに直接關連をもつ問題があるのでありますから、このコミンテルンの東亞に對する將來の關係、ないしはもしこれに對する日本としての對策というものについて承れたら幸いだと思います。
#27
○片山國務大臣 要望がありましたので、要望に對して私のみ心構え、考えを申し上げたいと思います。現在は占領下でありまするから、特別の外交事務というものがありません。渉外的事務が多いと思います。この渉外的事務は、ただいま御意見の通り大體總理廳の事務として、これから扱うようになるであろうと考えております。從いまして、内閣總理大臣の外交に關する取扱事務及び心構えが、一層重大になるといぅ御指摘はごもつともであります。私は外交には素人であり、また外國にも行つた經驗もありませず、儀禮とかあるいはいろいろのこまかいことは承知いたしておりませんが、しかし今後の外交はさような事務的な、あるいはまた經驗を通じて得られるものよりも眞に誠意を披瀝して、全國民の指示によつて國民の言わんとするところを率直簡明に表すことが、最も必要であると考えております。誠意と眞實が事實を明白にするゆえんでありまして、特別なる技術は必要ではないと考えておりまするので、眞に日本の民主化を達成せしめて、日本はかく進むのである。そのためにはかくして國際場裡に立つて世界各國の信用を十分に得られる土臺をつくりつつあるのであるということを、率直簡明に表わす、そうして國際的な立場に立つて日本の地位を明らかにすることが最も必要なことと考えて、その意味において努力いたしたいと考えておる次第であります。
 なおコミンテルンの關係でありまするが、これは先に申しました通り、わが國の進むべき途、わが國の政治原理といたしましては、民主主義、平和主義による立場を堅持いたしておるものでありますから、共産主義とは相容れないことは言うまでもないのでありまするから、その線に沿うて今後の政治運用をいたすことは言うまでもないと考えております。
#28
○安東委員長 それでは總理大臣に對する質問はこれをもつて打切りたいと思います。御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#29
○安東委員長 説明員曾野明君、お續けを願います。
#30
○曾野説明員 時間がございませんので簡單に引續き申し上げます。先ほど申し上げましたように、右翼の社會主義者はアメリカの帝國主義の手先になつておると書かれております。本年の六月に十九箇國のヨーロッパの社會主義者がスイスのチユーリツヒに集まりまして、第二インターの復活の委員會を開いたのであります。やはり十二月にもう一度會合をプラツセルで開くことになつておりまして、十一日附のプラウダにはこの點を指摘いたしまして、自分の方が九箇國の世界共産黨をつくつて、世界のコミンテルンの復活だと言つて騷ぐけれども、社會民主黨も同じことをやつておるのじやないかということを述べております。
 その次に、ソ連側の今まで申しましたようなアメリカの政策に對する對策を賞めたのでありますが、簡單に申し上げますと、その對策の攻撃目標は、米國の帝國主義、その協力者英佛、それから右翼社會主義者、特に英佛、こういう三つが攻撃對象になつております。そうして先ほど申しましたように、米國の戰術がきわめていろいろな手をとつてくるのだから、反帝國主義陣營は團結して共同動作をとらなければならねということを言つております。その際に各國の共産黨は自國の民族的獨立と主權擁護の旗印を國民に言つて、毅然として全力を盡さなければならぬ。そういうふうに全力を盡すならば、ヨーロッパ及びアジアにおきまするアメリカの奴隸化計畫は實現されないであろう、こういうことを述べたのであります。
 その次に、この宣言はそれでは戰爭が起る可能性があるかどうかということを述べておるのでありますが、アメリカの帝國主義者たちは新しい戰爭を始めたいという希望をもつておる、願望をもつておるということを判斷をしております。しかしながらこのような戰爭をしたいという希望と、それが實現できるという可能性の間には距離がある。なんとなれば世界の諸國民は戰爭を希望していないからだ。だから戰爭に反對の勢力が結集したならば、アメリカの侵略者の計畫は完全に失敗するであろう。そしてアメリカは最初に申しましたように、戰爭するぞ、戰爭するぞと言つて脅かすけれども、それで氣を弱くして讓歩してしまつてはその手に乘ることになる、こういうことを書いておるのであります。つまりこの判斷によりますと、戰爭の起こるか起らぬかは、帝國主義戰爭に反對する勢力がどの程度結集できるかによつてきまつてくる、こういう判斷をしておられるのであります。
 最後にこの宣言は、それでは勞働階級はどういう態度をとるべきかということを述べておるのでありますが、一つは、自分らの力をあまりに小さく評價してはいかぬ、それから帝國主義陣營の力をあまりに大きく考えてはいかぬ、こういうことをまず言つておるのであります。それからその次に、帝國主義陣營の新しい侵略性に對して絶對に讓歩してはいかぬ、もし讓歩すれば彼らはますます侵略的になるというのでありまして、ここでミュンヘンの例をあげております。つまり英國がドイツに讓歩したために、ドイツは次々に新しい要求をもち出した。もし今自分らの陣營がアメリカに讓歩すれば、アメリカはますます強く出てくるだろう、こういう判斷をしておるのであります。
 そうして最後に各國の共産黨は共同の綱領によつて國家的、政治的、經濟的、イデオロギー的あらゆる面において侵路計畫に抵抗する先頭に立たなければいかぬ、こういうことをもつてこの宣言に結んでおるわけであります。
 終りの方は非常に簡單になりましたが、およそ今申し下げました内容をワルソーの九箇國共産黨協議會の國際情勢に關する宣言はもつておるのであります。
#31
○竹尾委員 ちようと曽野さんに簡單にお尋ねいたしますが、今の訟明で大體わかりましたが、結果におきまして、ソ連は一九三五年八月の例の第七囘大會、あのときに帝國主義一般に對する鬪爭をやめて、御承知のように人民戰線をつくる、こういうことを言つて、それでその後日本開戰になりましてから、もう一層それに拍車をかけて、そして全民主主義國家を打つて一丸としなければならぬということになつた。これは御承知の通りであります。そこで今度のコミンテルンの一般原則としては創立當時のいわゆる帝國主義一般に對する鬪爭を復活させた、こう見て差支えないと思いますが、その點お答えを願います。
 それからもう一つはこの日米開戰のときに、例のコミンテルンの解散、一九四三年五月三十日のブラウダに出たと申されましたが、そのときには今度の宣言でアメリカとソ連の戰爭目的は違つておる、こうはつきり言つておるようですが、あの當時の文獻を見ますと、ことごとく全部米英ソの戰爭目的は一致しておる。こういうことをはつきり言つておるように記憶しております。そしてそのときには日米戰爭今度の第二次戰爭がこれは非常に重要な點だと思いますけれども、連合軍、米英ソ側からすれば、これはいわゆる進歩戰爭で、祖國戰爭である。從つてこれは非常に是認さるベきものである。こういうことをはつきり言つておるようですが、それもソ連自體が今度の宣言でそれを否定していた、こういうふうに解釋します。そして第二次世界大戰は現在ソ連としてはこれを世界各國帝國主義者の間の帝國主義戰爭と見ておるのか、あるいはかつて一九四三年の聲明のごとく、進歩的戰爭であるとみておるのか、その點ひとつお答えを願いたい。
#32
○曾野説明員 最初の點でありますが、確かに反ファシズム戰線のときは資本主義の打倒を言つております。今度の宣言は、アメリカ帝國主義の侵略性と言つておりますのでその點は變つてきておるのではないかと思います。
 それから今申されました第ニ次世界大戰の初めに英米ソの方の行つた戰爭は進歩的戰爭だという解釋を當時ソ連邦はとつておつたことは事實であります。しかしアメリカの態度がその後において變つたために、アメリカの政策は世界の進歩を妨けるのだという判斷に基きまして、アメリカが今までの進歩性を失つてすでに反動性をもつてきた、こういうふうな見解で今度の宣言はなつておるのでないかと思うのでありまして、つまり情勢の攣化により、アメリカの政策の變化によつて、アメリカの進歩性は失われてきたという見解をとつておると思うのであります。その結果といたしまして、第二次世界大戰はこの宣言の立場からいたしますれば、帝國主義者間の戰爭という解釋になるのではないかと思うのであります。但しこれにつきましては、ソ連の方はまだ明確なる見解を發表しておりません。
#33
○竹尾委員 今の説明によれば明らかにこれは變節だということになりますか
#34
○曾野説明員 つまりそれは社會の進歩に從つて、當然情勢が變つてくるという立場に立つわけでありますから。普通にいわゆる攣節ではなくして、情勢が變つてきたために判斷が變つてきたのです。
#35
○竹尾委員 この前の判斷と今度の判斷は變つてくるということになりますか。
#36
○曾野説明員 これは往々あることでありまして、これだけに限らないと思います。
#37
○安東委員長 ほかに御質問はありませんか。
#38
○竹尾委員 簡單ですが、今曽野さんの御説明だと、東亞において戰亂がない、こういうことに歸著すると思いますが、例の三五年の王明、すなわち陳紹萬テーゼ、あの抗日統一人民戰線を否定するとすれば、帝國主義戰爭勃發のおそれあることは明かでありまして、その意味から東亞に戰爭が起らないとは限らないと思うのでありますが、その點いかがでありましようか。
#39
○曾野説明員 先ほど宣告の御説明に申し上げましたように、この宣言によりますと、ヨーロツパに對するアメリカのやり方は全世界に對する計畫の一部にすぎないということを申しておるわけであります。この見解を擴めていきますと、東亞においてもやはり同じような對立が起ることを豫想しておるということはあると思います。但し現實の場合といたしまして、この宣言はマーシャル案自體に對抗する對策とも見られるのでありまして、東亞に關しては何ら具體的には述べておらないのであります。
#40
○安東委員長 それではこれをもつて打切りまして、次會は來る二十日月曜日午前十時から打合會を開きます。先日差支えがあつて出られなかつた公正取引委員會理事島本融君から、戰後の國際經濟の動向について説明を聽取いたします。
 本日はこれにて散會いたします。
    午後零時二十一散會
ソース: 国立国会図書館
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