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1960/03/02 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第10号
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1960/03/02 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第10号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第10号
昭和三十六年三月二日(木曜日)
    午前十一時十四分開議
 出席委員
   委員長 山本 猛夫君
   理事 齋藤 邦吉君 理事 永山 忠則君
   理事 藤本 捨助君 理事 小林  進君
   理事 滝井 義高君
      井村 重雄君    伊藤宗一郎君
      小沢 辰男君    岸本 義廣君
      櫻内 義雄君    澁谷 直藏君
      田中 正巳君    中山 マサ君
      松山千惠子君    赤松  勇君
      淺沼 享子君    大原  亨君
      河野  正君    五島 虎雄君
      島本 虎三君    田邊  誠君
      吉村 吉雄君    井堀 繁雄君
      本島百合子君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 古井 喜實君
 出席政府委員
        厚生政務次官  安藤  覺君
        厚 生 技 官
        (公衆衛生局
        長)      尾村 偉久君
        厚 生 技 官
        (医務局長)  川上 六馬君
        厚生事務官
        (薬務局長)  牛丸 義留君
        厚生事務官
        (社会局長)  太宰 博邦君
        厚生事務官
        (児童局長)  大山  正君
        厚生事務官
        (保険局長)  森本  潔君
        厚生事務官
        (引揚援護局
        長)      畠中 順一君
 委員外の出席者
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
二月二十八日
 委員小沢辰男君辞任につき、その補欠として福
 田赳夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員福田赳夫君辞任につき、その補欠として小
 沢辰男君が議長の指名で委員に選任された。
三月一日
 委員赤松勇君、大原亨君及び河野正君辞任につ
 き、その補欠として松井政吉君、野原覺君及び
 堂森芳夫君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員島本虎三君、堂森芳夫君及び野原覺君辞任
 につき、その補欠として赤松勇君、河野正君及
 び大原亨君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員松井政吉君辞任につき、その補欠として島
 本虎三君が議長の指名で委員に選任された。
同月二日
 委員田中角榮君及び大原亨君辞任につき、その
 補欠として大沢雄一君及び堂森芳夫君が議長の
 指名で委員に選任された。
同日
 委員堂森芳夫君辞任につき、その補欠として大
 原亨君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
二月二十八日
 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第九七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国民健康保険法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第八四号)
 健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法
 律案(内閣提出第八五号)
 日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案
 (内閣提出第八六号)
 児童福祉法の一部を改正する法律案(内閣提出
 第九七号)
 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改
 正する法律案(内閣提出第九二号)(予)
 厚生関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山本委員長 これより会議を開きます。
 国民健康保険法の一部を改正する法律案、健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案、日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案、児童福祉法の一部を改正する法律案、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案、以上五案を一括議題とし、審査を進めます。
#3
○山本委員長 まず提案理由の説明を求めます。古井厚生大臣
#4
○古井国務大臣 ただいま議題となりました国民健康保険法の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 国民健康保険の給付内容につきましては、国民皆保険体制の進展とともに全般的に逐次向上して参りましたが、国民健康保険における現行の一部負担率では、世帯の生計中心者が長期疾病にかかった場合には、その一部負担金が大きな負担となりまして、これがために十分な医療を受けられない場合が少なくない事情であります。また一方、保険者にとりましては、一挙に一部負担率を引き下げることは、保険財政の上から容易でない現状でありますので、今回は世帯主である被保険者が結核性疾病または精神障害にかかった場合の医療費負担の軽減をはかるためにこれに関する一部負担率を引き下げるとともに、これによって保険財政の健全性をそこなうことのないよう財政上の措置を講じ、もって、給付内容の一そうの改善を期すべく、ここに、この法律案を提案した次第であります。
 次にこの法律案の内容について御説明いたします。
 まず第一に、世帯主である被保険者が結核性疾病または精神障害に関して、療養の給付を受ける場合の一部負担金の割合を十分の五から十分の三に引き下げることといたしました。
 次に、国は、保険者に対して、この引き下げに伴って保険者が必要とする療養の給付及び療養費の支給に要する費用を負担し、または補助することといたしました。
 なお、本改正は十月一日から実施するものであります。
 以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に健康保険法及び船員保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明いたします。
 健康保険及び船員保険におきましては、被保険者及び被扶養者の分べんに関して給付を行なうこととしているのでありますが、その内容を改善することとしたのであります。
 これが、この法律案を提出いたしました理由でありますが、以下その概要を御説明いたします。
 第一に健康保険の分べん費についてであります。健康保険におきましては、被保険者の分べんに対しましては、分べん費として被保険者の標準報酬月額の半額が支給されることとなっておりますが、最近における分べんの所要経費等を勘案いたし、最低額について六千円まで引き上げることとするものであります。またこれに合わせて、配偶者分べん費の額も、現行の千円を三千円に引き上げるものであります。
 第二に健康保険の育児手当金についてであります。被保険者及びその被扶養者である配偶者の出産につきましては、現行制度では保育手当金として生後六カ月間に毎月二百円ずつ支給されることになっておりますが、これを一時に二千円支給することとし、またその名称を育児手当金に改めようとするものであります。
 第三に、船員保険におきまして分べん費及び育児手当金について健康保険におけると同様の改正を行なおうとするものであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及び法律案の要旨でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。
 日雇労働者健康保険法は、日雇労働者の疾病あるいは負傷等に関して保険給付を行なうことにより、その生活の安定に資することを目的として、昭和二十八年に制定されたものであります。自来数次にわたる改正により、漸次給付内容の改善がはかられてきているのでありますが、現在でも健康保険のそれに比較しますと、かなり隔たりのある部面がありますので、この際事情の許す限り改善をはかることとしたのであります。
 一方、給付内容の改善をまかなう財源についてでありますが、日雇労働者健康保険の財政は、医療給付費を中心に保険給付費が年々増加するのに対し、保険料が出花額制で弾力性を持たないため、ここ数年来急速に悪化してきているのであります。これに対処して、これまでも保険給付費に対する国庫負担率を引き上げるほか、暫定の措置として借入金を行なう等の方法を講じて参ったのであります。このような財政状況下において、給付内容の相当の改善を行なうには、さらに特段の財政対策を講ずる必要があるのでありまして、今回あわせて、国庫負担率の引き上げと保険料額の等級区分の改定を行ない、財政の健全化に資することとしたのであります。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、以下その概要を御説明いたします。
 まず、給付内容の改善についてであります。
 その第一は、療養の給付期間を現行の一年から二年に延長することであります。
 その第二は、傷病手当金の支給期間の延長及びその日額の引き上げをはかることであります。すなわち、現行制度では、傷病手当金の支給期間は十四日となっておりますが、これを二十一日にし、また日額については、第一級二百円、第二級、百四十円の二段階制となっておりますものを、保険料日額の等級区分の改定に伴い、三段階制にして新一級を三百三十円とするほか、現行の二百円を二百四十円に、百四十円を百七十円にそれぞれ引き上げるものであります。
 その第三は、被保険者が分べんした場合に支給する分べん費の額を現行の二千円から四千円に引き上げるとともに、配偶者分べん費についても千円から二千円に引き上げることとするものであります。
 その第四は、出産手出金の日額について、傷病手当金の場合と同様に三段階制にし、新一級を三百三十円とするほか、現行の二百円及び百四十円をそれぞれ二百四十円及び百七十円に引き上げることであります。
 その第五は、特別療養費の制度を創設することであります。現行の制度におきましては、療養の給付は、被保険者となってから、前二カ月間を通算して二十八日分以上の保険料が納付された場合等に行なわれることとなっております。このため、初めて被保険老となった者については、この間医療給付を受けられないという不合理が生ずるのでありますが、今回このような弊をなくするため、被保険者となった当初の約二カ月間五割の医療給付をしようとするものであります。
 次に、給付改善に伴う財政対策であります。
 第一に、給付費の国庫負担率について、本保険の特殊性にかんがみ、これを現行の十分の三から百分の三十五に引き上げることとしたのであります。
 第二は、保険料の日額の等級区分の改定であります。保険料の日額は、現行制度では二段階制になっているのでありますが、これを三段階制に改め、比較的賃金の商い日額四百八十円以上の階層の者を第一級とし、これに対する保険料を三十円とするものであります。これに伴い、賃金日額二百八十円以上四百八十円未満の者は第二級、二百八十円未満の者は第三級となりますが、これに対する保険料日額は、いずれも従前通りとするものであります。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由及び法律案の、要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、児童福祉法の一部を改正する法律案について、その要旨及び提案の理由を御説明申し上げます。
 改正の第一点は、三才の幼児に対して、都道府県知事が健康診査を行なうことといたしたのであります。現在幼児に対する保健指導が十分でなく、その死亡率も欧米諸国に比べてきわめて高く、かつ、幼児期の種々の障害は、後年に至るまで影響を及ぼすことが大きいと考えられますので、三才の児童に対して精神衛生面をも含めた健康診査を行い、これにより発見されました要保護児童につきまして、早期のうちに指導、治療その他の措置を講じようとするものであります。
 改正の第二は、新生児に対して保健指導を行なうことといたしたことであります。新生児の死亡は乳児死亡の約六割を占め、死亡率も欧米諸国に比較して高い現状であることにかんがみ、新たに新生児に対して保健所の医師あるいは助産婦等が訪問指導を行なう制度を設けようとするものであります。
 第三は、現在骨関節結核にかかっている児童に対して行なわれております療育の給付を、その他の結核にかかっている児童にまで及ぼそうとすることであります。
 結核については一般に、長期間にわたる療養を必要とするのでありますが、特に児童につきましては、心身の発育の途上にあることにかんがみ、適当な生活指導のもとに医療と教育をあわせて行なうことが適当である場合が多い実情でありますので、療育の給付の対象となる範囲をその他の結核児童にまで拡大しようとするものであります。
 第四は、新たに児童福祉施設の一つとしまして、情緒障害児短期治療施設を設けることであります。
 最近、少年非行、特に年少者の非行の増加の傾向は著しいものがありますので、軽度の非行児等の情緒障害児で、おおむね十二才未満の児童を短期間収容し、または通わせて、その障害をなおすための施設を設けようとするものであります。
 第五は、児童相談所の機能の強化、保護者が児童の監護を怠った場合等における措置の強化その他につきまして所要の改正を行なおうとするものであります。
 以上が、この法律案の要旨及びその提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
 次に、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。
 母子福祉資金制度は、母子家庭または母子福祉団体に対し、事業開始資金、修学資金等の資金を貸し付け、母子家庭等の経済的自立の助成をはかることを目的としているものでありまして、昭和二十八年施行以来、わが国の母子福祉対策の一環として着実な歩みを続け、母子家庭の福祉に多大の寄与をいたしているのであります。しかしながら、その運用状況を見ますと、住宅の資金等について貸付限度額、償還期限等につき改善を要する点があると認められますので、本法案を提出した次第であります。
 すなわち、今回の改正の第一点は、住宅の資金について、従来住宅補修についてのみなされていた貸付を増改築にまで及ぼすこととするとともに、その貸付限度額を十万円とし、また、償還期限を五年から六年に延長することであります。
 改正の第二点は、事業継続資金について、その個人分の貸付期限額を三万円から五万円に引き上げ、償還期限を二年から三年に延長するとともに、事業開始資金の償還期限を四年から六年に延長することであります。
 以上が、この法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○山本委員長 なお、ただいまの各法律案についての質疑は後日に譲ることといたします。
     ――――◇―――――
#6
○山本委員長 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑を許します。河野正君。
#7
○河野(正)委員 昨日もちょっと触れた問題でございますけれども、大臣御承知のように、今国民が大きく関心を持っておりまする医療費問題、この問題について実は今いろいろと、適当な言葉かどうかわかりませんけれども、楽屋裏等でその解決のために努力が行なわれているわけであります。しかし、そういう話し合いでこの問題の打開の見通しがつかない場合には、実は日本医師会の方では保険医総辞退ということを決定して、三月一日に実行する予定だったところを三日まで、明日まででございますが、延期をしたというふうな重大な段階に到達をいたしておるわけです。この点について昨日もいろいろとお尋ねをいたしましたが、これに対しまして大臣も、もうすでに新聞でも発表されておりまするし、昨日の社会保障制度審議会で決定をされましたいわゆる答申、この答申に基づきまする中央医療協議会の構成、こういうものに対しまして非常に大きな期待を持っておられたようでございまするし、そのことが保険医総辞退を何らかの形で解決せしめる、解消せしめる一つの大きな根拠というようにお考えであったようでございまするが、いよいよ社会保障制度審議会の中央医療協議会に対しまする答申も決定をしたということでございまするが、その点に対しまして大臣はどのような御所見をお持ちになりましたか、まずその辺の御所見を承っておきたいと思います。
#8
○古井国務大臣 当面の事態は何とか円満に乗り切りたいというわけで、党と一緒になって苦心をいたしておることは御承知のようなわけでありますが、やはり問題を本格的に解決していく道をなるべくとりたいものだと思います。そのことは今日の解決のみならず、将来にも同じことを反復しない策として、道として大事なことだと思いますので、毎々申し上げておるように医療協議会等の場を改善していきたい、私はこういう考え方に終始立ってきておるわけであります。社会保障制度審議会に二月八日に諮問を発しまして、二月一ぱいに、御無理であろうけれども、当面の事態もあるのだからぜひ答申をしていただきたいということをお願いをしたのでありますが、了とされまして、ずいぶん熱心に、普通以上の御努力を審議会では全員払っていただきまして、昨夜おそくなって取りまとめが一応ついた、こういうことであるわけであります。その内容は、きょういろいろの新聞に出ておりますようなことのように承知いたしておりますが、正式には本日向こうの会長が私にお会い下さって、そうして答申をおよこしになる、あわせてその趣旨を説明してお渡し下さるようになっておりますので、まだ私は正式には答申を受け取っておりませんが、きょう向こうの希望では昼過ぎぐらいのときにでも、こっちの都合さえつくならば一つ答申を出しておきたい、こういうことでありますので、できることならばそういうことで受け取って、これをもとにして一つあの趣旨を大きに尊重して具体案を検討したいという考えでおるところであります。
#9
○河野(正)委員 正式にと申しますか、形式的には、いずれきょうの午後にでも社会保障制度、審議会の答申が大臣のもとに提出されるということになるだろうと思いますけれども、実際問題としては、もうきょうの新聞で発表されておりまする内容であって、たとえば大内会長が大臣とお会いになりましても、社会保障制度審議会で決定された以上のものは私は出てこぬと思う。そうだといたしますならば、一応今日発表されております内容のもとで、今後医療問題がどういうふうに進展をしていくかというふうに私は判断せざるを得ないというふうに考えるわけでございます。大臣の昨日の予算委員会の席上での御答弁によりますと、目下行なわれております。いわゆる楽屋裏におけるところの政治談議、そういう一つの政治的な話し合いというものを一つの軌道−その軌道というのは、今度新しく改組されて誕生するでございましょう中央医療協議会、この上に乗せてということで、解決の方途をそういう形の中で見つけたいというふうな重ね重ねの御意見のようであります。ところが今日発表されておりまする答申案をながめて参って、そうしてその中で答申に基づいて新しく改組されます中央医療協議会というレールの上に、自民党首脳部と医師会、歯科医師会町会長との間で行なわれております話し合いで決定されましたいわゆる妥結案というものが乗るという御確信が、この答申案の内容でございまするかどうか、一つ大臣の御所見を承っておきたいと考えます。
#10
○古井国務大臣 もともとが自民党の三役中心の尽力は、医療協議会に出てきてくれ、あそこで話そうじゃないかということを基本として、医師会、歯科医師会とやって下さっておるわけでありまして、要するに協議会に乗せよう、こういうことが中心の問題になっておりますし、その努力があのように、とにもかくにもじわじわではありますけれども、先向きに成果を出す歩みを続けておるわけでありますから、さらに努力をいたしますれば、理解をしていただけるものじゃないだろうか。また医師会の方もいろいろ御意見はありましょうけれども、大局的な見地に立って、おそらく御理解をしていただけるものじゃないだろうか。努力いかんではないかと、私は望みを嘱しておるような状況であります。実際問題で、今も申しますような党の方の考えも、とにかく医療協議会でということが中心でありますし、また国内の世論といいますか、これもやはり医療協議会でという点は、もうほとんど一致していると思うのであります。家の外であれこれやっているのじゃなくて、家の中へ入ってやった方がいいのじゃないかというのが一致した空気でありますから、これは医師会の方も大乗的に理解をしていただけるものじゃないか、私はここに望みを嘱しているわけであります。
#11
○河野(正)委員 大臣が中央医療協議会に非常に大きな御期待を持っておられる、そのお考えは私どもも了承することにはやぶさかではないわけです。問題は、その中央医療協議会に医師会が出てこないというところに非常に大きな問題があったわけです。ところが御承知のように、今まで中央医療協議会に問題があって、出てこない、それを出すわけでございますから、それの出るための一つの条件というものが整ってこなければならない。そのことが一つあるわけです。はたして医師会が中央医療協議会に出てくるだけの条件が整うかどうかということが、今申し上げましたように一つの問題としてある。第二は、しからばそういう条件が整って、中央医療協議会に医師会が入る。そこで中央医療協議会に入るための条件というものが、その中央医療協議会の中で完全に消化されるかどうか、この問題も、私は一つ大きな問題として浮かんでくると思うのです。そこで、あれほど大臣が昨日からしばしばおっしゃいますように、中央医療協議会に期待をしたい、その気持はわかりますけれども、しかしさればといって、今申し上げますような二つの条件が整っていかなければならぬ。ところが、どうも今日発表されております社会保障制度審議会の答申内容では、今私が指摘申し上げました二つの条件というものが消化されるかどうかということです。この点、私は非常に大きな問題だと思うのです。この二つの条件が消化されるといたしますならば、大臣仰せのように、私は今度の医療費の問題は、円満に解決される方途というものは見出されるであろうけれども、問題は今申し上げますような二つの問題点というものが消化されるかどうか、ここに私は一に問題がかかっておるというふうに判断するわけです。その点に対しまする大臣の御所見を承っておきたいと思います。
#12
○古井国務大臣 まことに適切な御意見でありまして、ポイントはどういうことで医師会が参加してくれるかという問題と、それから今度は医療協議会の中で、さてうまくこなせるかどうか、こういうことになってくるのでありますけれども、これは私は大きく考えまして、どなたがお考えになっても、きょうのごときことを将来も繰り返しておるというのでは果てしがない。日本の医療問題というものはいわば泥沼に入ってしまう。だれもそういうことは望んでないと思うのであります。そのことが認識されます以上は、やはりそれぞれの意見はありましても、日本の医療というものをもう泥沼に陥れないという考えを持っていただけば、その辺は適当な解決、結末がつき得るものではないかと私は思うのです。他にどういう道があるかというと、今のままでは、これは永久にこういう混乱が絶えないことになると私は思うのであります。医療費の問題はきょうでおしまいじゃありません。今後何回も何回も引き上げの問題は起こらなければならぬ問題であります。だれが考えましたところで、今のようなことを繰り返しておったのでは、どうにもならぬようになる。関係者も国民もたまったものではないということになってしまうことは、これは多分理解してもらえるんじゃないだろうか。どう考えても、他にこれを救っていく道がないということは、ほとんど皆さんが一致して認めていただけるところじゃないかと私は思うのでありまして、そういう大きな見方からいたしましても、おっしゃっておる両方の点につきましても、適当な結末が得られるものかというふうに私は望みを持っておるわけであります。
#13
○河野(正)委員 重大な国民医療の問題でございますから、実は私どももそういう重大な国民医療というものを泥沼に追い込んではならぬ、そういう立場からいろいろ大臣にもお願いをし、かつまたお尋ねをいたしておりますし、なおまたここにその渦中にございます医師会の諸君といえども、やはり国民医療というものを泥沼に追い込んではならぬという考え方は、私は皆さん同じだろうと考えております。しかしながら、さればといって、無条件でこの問題を処理するということは困るということで、今日のいろいろな話し合いが行なわれておるということになったと考えるわけです。そこで問題は、基本的には、それぞれ国民も医療担当者も、重大な国民医療の問題でございますから、この重大な国民医療を泥沼に追い込んではならぬということではございましょうが、しかしさればといって、無条件では困る、そこに今日いろいろ論議されまする重大な根拠があろうかと私は考えております。ところが、そういう意味で重大なキー・ポイントを持っております。今度新しく改組されるであろうところの中央医療協議会、この点について現在の段階においては非常に食い違いが大きいわけです。たとえば社会保障制度審議会の大内会長は、今度の答申によると、何とか医師会も納得してくれるだろうというふうな談話をされておりますが、一方医師会の方では、そういう小手先の手直しだけでは絶対だめだ、こういうことで、非常に考え方の食い違いがあるわけですね。一つの方向を向いておりますと、これはさらに努力を尽くすことによって、歩み寄りで一致点を見出すこともございましょう。ところが今申し上げますように、この答申の内容に対します考え方の食い違いというものが非常に強い。そこに私どもは心配があるわけです。そのような形でほんとうに今後開始されるであろう中央医療協議会に大きな期待が持てるかどうか、こういうことを私どもは非常に心配しておるわけです。大臣からいろいろと御答弁いただきます気持はわかりますけれども、しかしそういう気持とこういう現実の状態というものがマッチするかどうか、この辺が非常に大きな問題であります。どうもマッチする可能性というものは非常に少ない、しかもマッチしなければ結局日医の方では三日に保険医総辞退をする、引くに引かれぬというような状況にも追い込まれておるわけでございまして、私どもは大臣からいろいろと御答弁いただきます気持はわかりますけれども、しかし、実際問題として御確信をお持ちであるかどうか、これは保険医辞退という問題も背後に控えておりますので、私どもも時間的な制約も受けますので、そういう時点も考慮に入れて、もう一度御答弁いただきたい。
#14
○古井国務大臣 特に当面しておるこの事態というものがあることでありますから、またそれにはそこまで発表したわけも、いきさつもあることでありますから、たやすいとはむろん思いません、たやすいなどと甘くは決して見ておりません。それほど問題はこじれておるし困難なことでありますけれども、しかしこういう方向で建設していく以外に他に道がないということは、もうどなたが考えても一致した考えであると私は思いますので、いろいろないきさつなどはありましても、大きく考えた見地から、日本の医療というものをとんでもないことにしたくないというみんなの気持がもとにあります。以上は、私はやさしくはないけれども、努力次第で希望する方向に歩いてもらうことができるのじゃないか、そうしなければもう他に道がない、こういう気持を私は強く持ちます。そのためには私どもも、過去は過去であります。経過は経過でありますから、ただ公式論だけを振り回すのではなしに、考えるべき点は大きに考えなければならぬと思います。すなおな過去でないですから、その辺は考えなければならぬと思いますけれども、何とかこれを乗せるということを考え、これに対して理解を求めるならば、御心配の辺もそうでありますけれども、望みを持ってよい、私はそう深く思っておるのであります。
#15
○河野(正)委員 小異を捨てて大同につくということがございますが、そういう状態に置かれておるとするならば、私は大所局所から今大臣の仰せのような一つの方向というものを見出せるのではなかろうか、こういう気持がするわけであります。ところが先刻来いろいろ私が申し上げますように、たとえば今日日本医師会が医療協議会に参加するためには一定の条件というものがある。その条件というものは非常に大きな問題をはらんでおるわけです。たとえば健康保険制度という問題については全面的に医師会の主張というものを入れてもらわなければならぬ、これは及ぼす影響が非常に大きいと思うのです。これは一定の条件としては、今申し上げますような健康保険制度の全面的な改正、あるいはまた医療の主体性というものが、医師会側にあるということを確認させる、あるいはまた医療の内容はあくまでも学会で決定する、こういう問題は、これは常識的な問題でございますけれども、一番大きな問題は、何といっても健康保険制度というものを全面的に改正する、この問題は非常に大きな問題だと思うのです。すでに昨日申し上げましたように、今日保険者団体は非常に強硬に医師会側の主張に対しまして抵抗の態度を示して参っております。あるいはまた昨日の状況では、東京商工会議所あたりでも、保険者団体あるいはまた被保険者に負担を加重せしめるような医療制度の改革というものは困るというふうな強い意向も出て参っておるようでございます。そういう大きな問題を打ち出しての対立でございますので、さっき大臣が仰せられますように、小異を捨てて大同につくというような状態でございますならば、私はかなり楽観的な見通しもつきますけれども、今申し上げますような、非常に大きな問題が前面に打ち出されておりますので、そういう状態の中で、私は見通しというものはなかなか困難でなかろうかというふうにも考えるわけでございまして、そういう事情も含んでの大臣のお見通しをお聞かせ願いたいと考えます。
#16
○古井国務大臣 健康保険制度全体について大きく問題があることは、もうあなたもまたほかの人もみな認めておるところでございます。それは小さいことではなしに、相当根本的なところに触れた大きい問題が横たわっておるわけであります。そこにどうしても論議することが触れてくる、今日までの論議もそこに触れてくるのであります。これはそこに問題があるのでありますから、とにもかくにも、そういう種類の問題に取り組んで結論を何か求めて努力するということは、私どもも医師会に言われるまでもなしに、そう思うのであります。これはもう同じことの繰り返しになりますけれども、健康保険制度が、できるものから次々に作っていって今日に至ったものですから、全体としてみるといかにも整わぬ点がある、まずい点がある、衝突するような点も一ある、こういうことはだれしも問題にする点でありますから、これに取り組んで、とにかく解決をする努力を進めるということは、これもいわばみんなの方向においては一致した考え方だろうと思います。そこはやはり大きく方角が右と左に食い違っておるというわけでもありませんから、たやすいことじゃありませんけれども、これで正面から衝突になって、物別れになるということにはならぬのじゃないかというふうに思います。方角が別に違っていないのですから、というふうに私はその点も思うのであります。
#17
○河野(正)委員 大臣の仰せのように努力を重ねるということも進歩の一つであるということも私ども否定はいたしません。ただ問題は努力はするが、その努力が実る可能性があるかどうかということが重大な問題だと考えます。
 そこで私はもう一点さらに御見解を承っておきたいと思います点は、先ほどから申し上げますように、大臣の御方針によりますと、まず医師会を中央医療協議会に参加させるということが解決の第一の条件だというような御方針のようでございます。それにつきましては、先ほど来申し上げますように、どういう条件で中央医療協議会に参加してもらうか、さらにはその条件がはたして中央医療協議会の中で満たされるかどうか、消化されるかどうか、こういう問題がございますことは先ほど申し上げた通りでございます。それから第二は、今度の答申案では、なるほど今まで四者構成であったのが三者構成になって、医療担当者の方の比重が若干重くなったという点はございます。しかし実際問題としては、今までの内容におきましては比重が違うだけであって、実際には三者構成も四者構成も基本的には変わらぬ。ただ比重が若干移動しておる。しかもその比重だけが移動をいたしておるのでございますけれども、しかしその比重に対する具体的な方針というものが実は今度の答申案には示されておらぬ。そこでまたもう一つ疑問がわいてくるわけです。それは四者構成がなるほど三者構成になったが、その比重の置き方いかんによってはまた一つ問題を起こしてくる危険性が出てくる。そこで大臣は、この重大な医療問題を解決するかぎは中央医療協議会に一にかかっておるという御見解でございますけれども、今申し上げますように、その構成につきましてもなお一つの大きな壁が存在をいたしておる。そういう構成に対して大臣がどのような態度で臨まれようといたしますのか、またこの重大な段階に参っております医療問題を解決するためには、どういう構成でなければならぬとお考えになっておりますか、さらには今度の答申に基づく改組で十分解決し得るという見通しでございますのか、そういう点に対する大臣の御所見を承っておきたいと考えます。
#18
○古井国務大臣 まず考えていただきたいと思いますのは、今までは医療協議会にウエートを全部かけておったわけでございます。それに無理があるということもこの答申では認められております。つまり今までは医療費の算定のルールというものが一つも考えられていなかった。だから全部が医療協議会の仕事になってしまう。これは無理なんであります。ルールをきめるということも一方考えなければならぬ。そこでルールをきめる方途もぜひ考えないと無理が起こる、こういうことを私も当初制度審議会に行きまして申し上げておったのです。この御答申と称せられるものもその点に触れておるわけであります。つまり荷を軽くしておるわけであります。一方協議会の方の荷を軽くする意味にもなるのであります。またとかく議論になりやすい資料についても、これを収集したり整備したりする機構もあわせて答申の中では触れておいでになる。これも私は必要なことではないかといって、審議会で検討していただきたいという希望を申し上げておった点であります。そういう点も整ってきますと、ただ医療協議会の構成を少し変えるということだけではなしに、ルールを確立する方策の問題、資料を収集する機構の問題、全体をかみ合わせると軌道に乗る、私はこう思います。医療協議会そのものにかかってくるウエートも今度は少し軽くなる。全体の構想から申しますとそういうふうに思うのでありまして、医療協議会だけを見ますと、そこにまた問題が再燃せぬかというふうに見られるかもしれませんが、しかしそうとは思わないのであります。しかし医療協議会そのものについても慎重に考えなければなりません。答申にもその考え方が出ておるのでありまして、この具体化をわれわれは考えなければならぬのでありますが、その点は初めにも申し上げましたように、大内会長や起草者の方にもお目にかかって十分御説明や経過なども伺った上で、趣旨を尊重して具体化を考えたいと思いますので、その点はその段取りを踏んでからにいたしたいと思っております。
#19
○本島委員 昨日も私、予算分科会でこの問題については大臣の見解をただしたわけですが、ただいまも御質問にありますように、要は大臣がどのようにお考えになるのか、その態度を聞きたいということが昨日、本日にわたっての質問の骨子であるわけでございます。そこで、この間も参考人としておいでになりました医師会、歯科医師会の両会長とも、これは長い間の官僚行政に対する抵抗であるという言葉を明確に言われておるわけでございます。そうして昨日、本日の新聞に社会保障審議会の答申案というものがここで出てきた。こういうことになりますと、私どもの考え方からいうと、屋上屋を重ねてくるような感じ方にとれるわけでございます。ただいま大臣は、ルールを守るという意味で資料収集並びに算定基礎、そういうことをやる別個のものがこの答申の間に出ておるように思う、こういうふうにおっしゃいましたが、そうした場合に両医師会ともに、全然別個の形においてのものができるならば参加できる、だが医療協議会の改組では自分たちは参加しない、こういうことを言っておったわけでございます。そういう観点から見て参りますと、これは長い間のいろいろの問題を歴史的に振り返ってみましても、二十六年あるいは三十一年に総辞退というような事態を引き起こした過去の経験があるわけでございまして、そのときと比べて、ただいまのような事態が生まれても、医師会としてはなかなかのみづらいところであろうと考えるわけでございます。ですからこういう立場に立って、あのときに言われた両医師会長の言葉を信ずるとするならば、昨年自分たちの意思は明確に申し上げておることであるから、その線に沿ってやってもらうならば、こういう事態は引き起こさなかったのではないかということを言っておるわけでございます。そういたしますと、前大臣のときでありましょうから、坂田厚生大臣から三代目になるわけでございますが、この間において上医師会はたびたび意見を出しておるということを言っておるわけでございます。私どもも国民的な問題であるだけに非常に心配をいたしておりますが、そのときの要求は一体何であったか。医師会はどうしたならば医療協議会に出席するだろう。これは明確に申し出てあると言ってたびたび繰り返しておるのでございますから、それが何であるか、それが大臣としてのめるのかのめないのか、その点を明らかにしていただきたいと思うのでございます。
#20
○古井国務大臣 医師会の方で四項目の要望書というものを去年の八月にお出しになっておるのであります。そのことをまず解決してくれ、これはさっぱり実行しないじゃないか、これが医師会の方で言っていらっしゃる言い分であります。これはごもっとも千万だと私も思います。右にせよ左にせよ、できるものはできる、できないものはできない、区切りをつけておくべきだと思います。右とも左ともつかずに置いておくということは、なるほどこれは医師会の方からおっしゃれば文句があろうと思います。ただ、ここの委員会の席で医師会長がいろいろ御発言になったということでもありましたけれども、自民党の三役があの通り尽力しておりまして、二十八日の会談のときには、医療協議会に入ることも考慮してみようという気配が現われておるのであります。つまりごく最近の動き、事実から申しまして、そこのところは、あのときにああ言ったからもう糸は切れてしまっておるというふうにお考えになることもないと思うのであります。医師会の四つの要望というものは、本島さんももう御承知だと思いますけれども、制限診療の撤廃、一点単価三円の引き上げ、事務の簡素化、つまり診療報酬請求事務をもっと簡単にしろということ、それから今の甲乙二表一本化、地域差撤廃ということでありまして、これがそのままになっておるではないかとおっしゃっておるわけであります。これはさかのぼりますと非常に大きな根本に触れてくる点があると考えなければならぬのであります。
 つまり保険医療という画一的な、規格にはまった医療というものが今日本に展開してきた。全国民が皆保険であるというけれども、その医療は規格にはまった医療なのであります。これが現状なのです。しかしこれは、こういうふうな保険医療ということでやる以上はやむを得ぬ筋ではありますが、しかし半面、これが自由診療というもののよさ、長所というものと食い違っておる点がある。よさを取り入れてない、殺しておるようなうらみがある。自由診療のよさ、つまり医学が進めばよい医療が受けられる。また腕のいいお医者さんにかかればよい医療が得られる。お医者さんの人格というものが尊重される。あるいは医学が尊重されて、ただ経済財政の方だけで引きずり回されるということもなくなるというふうな、つまり保険医療というものにまつわっておる半面のまずさという点に触れてきておるのであります。これは医師会がおっしゃるまでもなしに、われわれも問題にしておる。だれしも問題にしておるのであります。でありますから、問題は、根本的に今の医療制度というものの大事な点にきておるのですから、そこにも右左の解決を与えなければならぬ。これはその点はそう思うのです。私どもは考え方に別に食い違いは少なくともないのであります。さかしまに方向が向いておるということはないのでありますから、それはたやすいとは思いませんけれども、大きな望みを持っておるということであります。
#21
○本島委員 厚生大臣は非常に楽観論者で、望みが非常に楽観的だと私どもは委員会でいつも承るのでありますけれども、実態はそうではないと思うのです。過日の制限診療の撤廃についても、ある程度政府は考えていたということを言っておるし、それから単価引き上げに対しましては、あとである程度考えてもいいのだということを報道されておるわけです。そこで単価問題は別として、点数操作をやってそれでカバーしてもいいというふうなことが、自民党の会談の中にも出ておるようです。そういたしますと、そういう点を腹案としてひっさげて大臣はお出になると思うわけでありますが、こういう点はどうでございますか。制限診療の撤廃のことについてかくかくに考えておるとか、あるいは一〇%引き上げをもう少し自民党案の線まで引き上げるとか、あるいは医師会その他で申しておるような線まで上げる気があるのかどうか、そういう点が根本的な問題になってくると思いますが、その点はどういうふうにお考えになっておりますか。
#22
○古井国務大臣 ただいまの点は、御承知のように、また明日も党の三役と両会長と相談するわけでありまして、そこでいろいろ意見の交換がされていく中途の段階であります。でありますから、まだ行政の段階にはきておらないのであります。ここでせっかく努力をして事態を乗り切ろうとしておる最中に、この問題がどうだこうだということを私が横から言って、よい結果が得られるものであるとは私は思わないのであります。せっかく努力をしておられるのでありますから、その努力の成り行きを見まして、そうして必要なときに必要なように自分の見解を明らかにし、善処する考えであります。
#23
○本島委員 そうすると、大臣並びに厚生省の考え方と別に、党である程度のあっせんを出される、そういうものについてはある程度乗ろうという順応性のある態度であると私は聞いたのでありますが、そう理解してよろしゅうございますか。
 もう一つは、甲乙二表の一本化ということでありますが、これは武見会長に一本化の説明を厚生省側から求められまして、この五通りある中でどの線をおとりになるか、その考え方を聞いたときに、実は一昨年に作ったけれども、それはもう古くなったのだ、従って新しい事態に即応するところの自分たちの案を出したいと考えているから、必ずしも乙表によれとか甲表によれとか言ってはいないというのです。そうすると、折衝なさいますときに、甲乙二表の一本化ということについても、厚生省は厚生省なりの案を持っておらなければ、これは医師会の方も明確にはなっておらないというのですが、こういう四つの要求項目の中で問題が未解決のまま今まできておるわけですから、やはりある程度相手方のふところに飛び込んで、向こうは何を言っておるのだ、どうしたらいいのだ、こうした保険経済のあり方の中から、厚生省はこのように考え、大臣としてはこう思うという線がなければ一歩も進んでいくはずが覆いのです。これは泥沼闘争に入る危険性があるのだということを大臣は軽々に言っておりますが、それでは国民はたまったものではない。保険料を払っている患者の立場になった場合、お医者さんが親切に見てくれるかどうかというようなことを心配するようになったら、もうこれは保険行政の大きな崩壊であると思うのであります。ですからそういう点について、党がきめたらその線に沿ってオーケーするのかしないのかという点がやはり出てこなければいけないと思います。交渉の段階だから何とも言えないというようなことを言われると、全部党にお預けになってしまった形になるのでありますが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#24
○古井国務大臣 今申し上げましたように、この事態を乗り切るにあたっては、いろいろな苦心が要るのであります。机上論をやっておるのではなくて、きょうの目の前にぶつかっておる事態をどうして乗り切るかということでありますから、党としてもあの通りに苦心しておるわけであります。これによって円満に事態を乗り切る道ができるならば、みんなが安心するのですから、せっかく努力しておる最中に、この段階で、その会談に出ておらぬ者が、どうだこうだとものを言うことがいいことだろうかどうか、こういうことを私は言っておるのであります。私としては、この行政の段階の問題としては、私どもの考えを一方の関係の人だけに申すわけにいきません。医療協議会のごとく、そっちもこっちも関係の人がお寄りになる場所において私は考えを言うほかないのであります。各団体と取引を行政としてはするわけで、関係の人がやはりそろうその場において考え方を述べて、そうして皆さんの御意見を諮るほかはないのであります。でありますから、場所も行政の方の立場としてはあります。時期、段階もあります。これが政治なんであります。私は、とにかく物事をよく解決しようというための、すべて政治的な判断から出ておるのでありますから、一言う二段階でない、あるいは場所でないというところでは、もちろん私は意見を言うわけにいきません。言えることは言いますし、適当な結論を得たいというためにはその辺は慎重に考えていかなければならぬ、こういうふうに私は思っております。
#25
○本島委員 大体今は重要な段階だから自分たちの意見は言えない、これはわかります。わかるけれども、そうした私どもが委員会で質疑をいたす過程から、いろいろ問題点の核心に触れてそういう点の考え方をまとめておられるのか、こういうふうに思って質問したわけなんです。ところが、そうではなくて、政治的な折衝において解決をしよう、こういうことが非常に多く大臣の言葉の中から受け取れるわけです。そうすると、自民党と医師会はどこかで取引しているのじゃないかという言葉も生まれてくるし、こういう点が国民に納得がいかないと、この問題がもしかりにある程度軌道に乗ってきたとしても、今度国民の方が割り切れないということが生まれてくるわけなんです。そういう意味で、今日社会保障審議会の答申案が出されておる。しかしこれにも医師会は応ずるかどうか疑問だということが言われておる。非常に悲観的に私ども感ずるわけなんです。ですからこの機会に、相手のふところに飛び込んである程度の話し合いをやってみる。党は党でやって下さっておるでしょうが、大臣は大臣として、やはり自分たちの線というものを打ち立ててやっていただかなければ、早期解決はできないと思います。かつて私の方の民社党で、この事態を収拾するために手を打てということで打たしたときに、官房長官は軽率にも、これは長期戦ですなということを言われたのです。長期戦という考え方でいけば、いつ解決できるかわからないと思います。ですから、やはり思い切った施策というものをここでしてほしい、そしてなおかつ医療制度の根本的な改革ということを言われておるから、そういう線の打ち出し方を早くなさって、そうしてそれを示しながらこの問題の解決に入っていくというような考え方を持たれるかどうか、また現にやっていらっしゃらないと思いますが、やっていられるかどうか、もう一度聞かしていただきたいと思います。
#26
○古井国務大臣 本島さんがいろいろ心配をして下さっている意味と気持はよくわかります。けれどもお話を伺っておりますように、相手のふところに飛び込んでいって話をしてこい、今のは取引じゃないかということでありますが、また一方では、そういうことで国民が納得するか、国民に納得してもらわなければいかぬ、国民に納得させなければいかぬということもあなたはおっしゃった。納得してもらわなければいかぬのであります。だから私は、医療協議会という、関係者も公平な第三舌もおる場所で、最後的な結論を出しましょうということを言っておるのです。これは国民が納得する一番の逆なんであります。相手のふところに飛び込んでいってもいいけれども、それで国民が納得しますか。これは最後は国民に納得してもらわなければいかぬ。ですからその辺は、国民に納得してもらいたいということが最後の問題なんですから、必要があれば飛び込んでいってもかまいませんけれども、それが納骨する道かどうか、その辺はよく考えてやはり善処していかなければいかぬのですから、よい結論を得るために私どもも最善の努力をしていきますし、それから何とか日本の医療の危機を救うために、皆さんにも御協力を願いたいと私は思うのです。小さい問題じゃございません。どうして一体これから先の医療というものを――こういうような紛糾をそのつど繰り返しておってこれがやっていけるものかどうなのか、考えてみれば、大ごとであります。それならば策はどこにあるかというと、やはり軌道に何とかして乗せて、関係者が論じて、そうして合理的な結論を得るという、そういう道を開いていくということ以外にないと私は思います。これはそうしなければ、将来もいつまでも、何べんでも医療費の引き上げの問題はあるのであります。泥沼に入ってしまっても困るのであります。でありますから、今度は今日と将来とを考えつつやっていく以外にないのだというふうに、終始強く思っておる次第であります。
#27
○山本委員長 午後二時まで休憩いたします。
   午後零時二十六分休憩
     ――――◇―――――
   午後三時九分開議
#28
○藤本委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生関係の基本施策に関する質疑を続行いたします。田邊君。
#29
○田邊(誠)委員 私は主として今回の厚生省の施策の中で、重要な部門であります生活保護の問題を主体としてお聞きしておきたいのでありますけれども、質問の前に、事務当局に資料の提出をあらかじめお願いしておきたいのであります。それは、拠出制国民年金の実施も、法の定めるところによりますれば四月一日から実施されることになりますけれども、国民はひとしくこれに対して、注目はしておりながらも、その内容に大きな不満と危惧を持っておるのでありまして、聞くところによりますと、この登録は目標人員に引き比べてかなりの差があると聞いておりますけれども、登録を始めましてから今日までの人数を、郡市町村別にこの次の委員会までにお知らせをいただきたいと存じます。
#30
○藤本委員長代理 委員長からもお願いしておきます。すみやかに御提出願います。
#31
○太宰政府委員 今担当の局の君がおりませんので、私から申し伝えますが、郡市町村別ということでございましたが、一応最低の単位までのことでありますので、その辺がはたして御期待に沿い得るかということはお答えできませんが、極力御趣旨のところはお伝えいたします。
#32
○田邊(誠)委員 池田内閣の経済伸長政策というものが、ただ単に所得倍増というかけ声だけでなくて、その中には社会福祉の向上ももちろん含んでおるとわれわれは了解をいたしておるのでありますけれども、しかしわれわれの注目にもかかわらず、その内容はまことに微々たるものでありまして、この際の根本的なあるいは抜本的な改善とはとうてい言いがたいわけでございます。私は、今回政府が生活保護の基準を引き上げようといたしておりますけれども、この問題に関連をして今まで当委員会におきましても同僚議員から質問があり、あるいは予算委員会においてもわが党の委員から質問が行なわれておりますけれども、これを少しく掘り下げて集中的にお伺いをいたしたいと思います。
 最初に大臣にお伺いをいたしますのは、生活保護法という法律は第一条、第三条ないしは第八条に規定いたしておりまするごとく、国民の最低生活を保障する法律でございます。最近国民一般の所得が向上いたして参りまして、生活内容が非常に改善されてきておりますけれども、しかし不完全就労者や失業者や稼働力のない人たち、いわゆる低所得者層というものはこの景気上昇とは何ら実は関係なしに、恩恵を受けておらないという、日の当たらない谷間におります。いわばこの日の当たらないところにおる人たちのその最低生活が、他の一般国民の生活向上と見合って向上されるところに実は意味合いがあるわけでありまするが、この生活保護法というのは、いわゆる国民の最低生活を保障するものということになれば、すなわち憲法二十五条に基づくところの最低生活というものの内容、基準をこの生活保護法が規定するものである、こういうふうにこの法の精神はなっておると思いますけれども、大臣もそのようにお考えでございましょうか。
#33
○古井国務大臣 生活保護にはどういう人が該当するかという一応の条件は、むろん現在でもあるわけでありますけれども、しかしそれよりももっと実質的にこういうところという、もっと中身に立ち入ったところが実際は大事な問題だと思うのであります。これは精密な合理的なものを作り上げてみたいというので、社会福祉審議会に特に生活保護分科会というのを設けまして、そこでこういうところという具体的な合理的なものを一つ作り出してみようじゃないかという努力をしておりますし、社会保障制度審議会でもやはり同様に検討してもらっております。抽象的な言葉だけでも、どうも実質が伴わぬ点もありますので、もっと突っ込んで具体的な内容をそういうことできめたいという努力をしておる段階に今日はきておるのであります。
#34
○田邊(誠)委員 私のお聞きいたしましたのは、生活保護法にいうところの最低生活というものは、健康で文化的な生活水準を維持することができるものでなければならないと規定をされておりますがゆえに、憲法に保障されたその内容というものを法の上で規定をした法律というものは、この生活保護法である。すなわち生活保護法というのは、最低生活の内容というものを、もちろん法に基づいてその基準というものができておるわけでありまするけれども、いずれにしても生活保護法というものが、その最低生活の限度、内容というものをいわゆる規定しておるものである、こういうことは間違いない事実であると思いまするが、その点はそういうふうに御理解いただいておるでありましょうか。
#35
○古井国務大臣 健康にして文化的な生活というものの一番低い線を、つまり目安に考えておるのだと思うのであります。もっと豊かなものが健康にして文化的生活の姿かもしらぬのでありますけれども、その一番低い最低線ということになるのだと思います。
#36
○田邊(誠)委員 法のあり方というものについては、私の考え方と大臣の見解も大体同じようでございます。そこで生活保護法で最低生活というものを規定をしておる。しからばその最低生活というのは一体どのようになっておるか、そしてこれからそれをどういうふうにしていこうというのか、これが実は施策として問題のわけでございます。御承知の通り被保護世帯というのが、現在約六十万世帯ございまするし、百六十三万人余に及ぶところの被保護世帯と、ボーダー・ライン層の約七百万に及ぶところの人々を合わせますると、わが国人口の約一割に近い人たちが、今まで非常な困窮を続けておるという状態であります。しかしもちろん被保護世帯の中でもって、必ずしも全部が全然労働力を発揮できないかというと、そうではないわけであります。事務当切にお伺いいたしまするけれども、その被保護世帯の中で傷病あるいは同齢名世帯等でもって、非稼働世帯というものが一体どのくらいあるのでございましょうか。
#37
○太宰政府委員 大体五六%程度が世帯主ないしは世帯の中で稼働する人がいる、残りがお話しのように老齢なり疾病その他の原因によって稼働できないものだ――もちろん時々刻々若干の変遷はございますが、大体その辺の見当と存じております。
#38
○田邊(誠)委員 非稼働世帯というのは大体四四%というお話でございますけれども、もう一つ関連して、被保護世帯の収入の中で労働で得ておる収入というのは、一体全体の中で何%くらいなのか。
#39
○太宰政府委員 大体実収入の中で保護費でもらっておりますのが半ばより少し弱、それから稼働の方が半ばより少し多い、まあ大ざっぱに申してほぼ半々くらいと思います。十月あたりにいきますと保護費の方は半ばより下がりまして、四七%くらいになっております。
#40
○田邊(誠)委員 そうしますと一番問題になるのは、労働して得る収入もない高齢者、あるいは疾病等によって稼働労力のない世帯というものが四四%、そして収入皆無というのが五〇%近くあるわけでございますが、現行の生活保護基準第十六次改定によりますと、標準五人世帯で一万九百十円という保護額になっておるのであります。これはもちろん最高でございまして、二級地、三級地、四級地とそれぞれその割合が少ないわけでございますけれど、こういったふうに一人平均大体二千円くらい、これはもちろん年寄りあるいは赤子等の差はございますけれども、大都市においても二千円程度の基準額になっておるわけであります。ところがこの基準額というものは、第十六次までの改定を行なって参りましたけれども、一番最初にお伺いした経済成長に見合って最低生活というものを底上げしていくという政策から実は改善されたものではなくて、米価やその他の物価高というものに追いつこうとするただ単なる必然的な改定にすぎなかった、こういうところに実は現在の問題点があろうと思います。今までの経過を振り返ってみて、大臣もしばしばなされた改定の内容というものが、先ほど言いました生活保護法、すなわち憲法まで戻るところの最低生活の規定というものを決して改善をした内容でない、こういうふうにお認めであろうと思いますが、いかがでありましょう。
#41
○古井国務大臣 従来の改定は、御承知のように一%とか三%とか、昭和三十二年に七・五%くらいをやっておったのでありまして、いわば小さい手直しというようなことで、積極的な改善というほどのところまで率直に言っていってなかったような気がするのであります。今度は一八%程度ということでありますから、それに比べると少し大幅でありまして、とにかくゆがみを直していく積極的な意味もあるかと思っておるのであります。しかし、これでいいのだと言えるか言えないか、私どももこれでけっこうなんだと言い切れるとは思っておりません。そこで、ほんとうにどの辺が合理的なところかという具体的なよりどころを持ちたい、こういう考えで、さっきも申しましたような専門的な調査もしてもらっているというようなことであります。とにかく、もっと直さなければいかぬ、大ざっぱなようですけれどもそう思うのですが、合理的にどれくらいという目安を持ちたいという段階におるわけであります。
#42
○田邊(誠)委員 大体、今までのものではとても最低生活の底上げではなくて手直し程度であったということを大臣もお認めのようでございます。そういう状態でありますので、現在被保護世帯はきわめて時代の趨勢に相反した、困窮度を増しているという状態でございまして、われわれとしてはこれをどのように改善するかということが国の政治の上に課せられた重要な任務であろうと考えておるわけであります。そこで大臣は、はたしてどの程度が一番適切であるか今検討中であるというふうに、いろいろと御答弁がありましたけれども、私は少しくその内容について、この程度は厚生省としても当然お考えの上で今回の一八%改定に対処されたであろうと考えられる範囲で承りたいと思います。主として局長にお伺いいたしますから、大臣よくその内容をお聞き願って、はたしてあなたが最終的に提案をされた内容がこの法の精神を生かしておるのかどうかという点について御判定をいただきたいと思うのです。
 一般世帯家計調査FIESによるところの勤労者世帯に対する被保護世帯の消費支出の割合が、二十六年度には五六・五%、半分以上でありましたけれども、三十四年には三九・七%程度に実は下がって、格差は拡大するばかりでございます。こういう状態は、先ほど来申し上げましたように、一般世帯の生活向上にもかかわらず被保護世帯が次第に置き忘れられておる状態を意味するものでございます。それならば、この格差が広がっておる状態の中において、三十六年度に生活保護基準を一八%改定をいたしました場合には、一体この消費支出の割合がどのくらいになるか、この点は当然おわかりだと思いますので、お知らせ願いたいと思います。
#43
○太宰政府委員 お尋ねのように、被保護世帯の消費支出とFIESの一般世帯の消費支出と、その生計費の水準を比較いたしてみますると、二十六年−三十四年は相当格差が大きくなっている。これは被保護世帯自体の生計費も、その当時から今日までの物価の変動を捨象いたしましても、その内容の改善というものは約二割四分ほど改善されておるわけでありますが、それにもかかわらず一般の国民の方の所得水準並びにそれに伴う生計水準というものが、さらに大幅に上がっておりますために、その両者を各当該年度で比較いたしてみますと、御指摘のように格差が出て参ったわけであります。特に最近におきまして、一般国民の方の所得の伸びが著しく、従って生計費水準の向上も著しいように思うのであります。かような点から、私どもといたしまして、先ほど大臣が答弁申し上げましたように、今回大幅の改定に踏み切ったわけであります。
 その結果はどういうふうになるかというお尋ねでございますが、これは申し上げるまでもなく生計費の実績でございまして、単なるこちらの基準の比較でございませんで、やはりこれはその実績が出てからでないと正確なことは言えないわけであります。と申しまするのは、生活保護世帯でも、先ほどお話のように、半ば以上の人は働いております。働いて受けます収入自身も、一般のいろいろの雇用の伸び、賃金の増その他経済の伸長に伴いまして、所得もふえると思います。従いましてそれの実績というものは、私どもの基準の数字を持ってきて当てはめたものよりは、もう少しよくなるだろうと私は思いますけれども、とにかくそれでもって比較すべきでありますから、今日この改定しました基準ですぐどうこう申し上げるのは、私はいささか正確を失すると思います。しかし相当大幅な基準改定をいたしましたので、私どもといたしましては、この格差は相当縮まってくるというふうには考えておりまするが、今日の段階としましては、さっき御指摘の三九・七が幾つになるかということを数字をもつてお答えすることはちょっとむずかしいと存じますので、これは申し上げるまでもなく御了承いただけることだと思います。
#44
○田邊(誠)委員 一八%上げたら被保護世帯の生活状態は一体どのくらいになるのかということは、これは当然にいろいろな角度から検討されなければ、この基準改定の原案をお出しになるということにはならぬと私は思うので、確定数字は、もちろん将来のことでありますから、つかめないのは当然の話でありますけれども、しかし大体格差がどの程度までに縮まってくるのかという、こういうことが予想されなければ、基準を改定されるところの意味もないじゃないか、こういうように私どもは考えるのでありますが、今の予想では一体どのくらいになるのですか。
#45
○太宰政府委員 予想というようなことになりますると、これは非常に不確定なことでありまして、この際申し上げることについてもいかがかと思いますが、先ほどお答えしましたように、今回私どもが改定いたしました趣旨は、最近におきまする国民所得水準の非常な伸びというものとの見合いにおきまして、こちらの方の被保護世帯の内容も改定いたしたい、それから具体的な現在の保護の実施の状態を見てみますると、なお足りないものがあるように考えておる、そういう点を是正いたし、特に一般のいわゆる低所得階層の実際に行なっておりまする生活の態様というものともう少し結びつけるような形にこれを組みかえたわけであります。そういうようなことでありまするので、相当これは一般の低所得階層の営んでおりまする生計費の水準に近づいて参ると思いますが、ただいまのところでは、おそらく四五、六ないし七くらいの線にまではいくのではなかろうかということを感じておるということでありまして、これも先ほどお答えしましたような、こういうところで申し上げるのはあるいはむしろいかがと思われるようなことであります。たっての御質問でありますから申し上げた程度に御了承いただきたいと思います。
#46
○田邊(誠)委員 こういうところで申し上げられないというのは、われわれには了解できません。局長の最初の答弁というのは、総理大別なり厚生大臣の答弁ならば、まだ私は一応大づかみという点で了解はできるけれども、やはり一応出される以上は、その根拠があり、正当性を主張されなければならぬあなた方の立場でありながら、一八%改定になったならば一体どのくらいのところまで底上げできるかということが不明でもって出されるということは、きわめて不見識だと思うのです。
 今のお話がわからないとすると、次の質問もあるいは不明かと思いまするけれども、一応念のために伺いますが、それならば一般世帯の最下層、家計調査のいわゆる第一階層と被保護世帯の生計費との比較というのは、大体今まで五七%程度だと承知をいたしておりまするけれども、今度基準改定によりましてこの差が一体どのくらいまで縮まるのか。最下層、ボーダー・ライン層、これとの間における比較は一体どうであるか、これはわかるでしょう。
#47
○太宰政府委員 この点も、今どれくらいになるかという計算を私どもいたしておりません。先ほど申し上げましたように、こういうものの比較は、基準でもっては――一応のものさしでございまして、これに今度は被保護世帯のいろいろな他の要素がからんでその世帯の生計水準というものが出てくるわけでございます。従いましてその点は、また一般の方のFIESの方との関連、そのときの経済状態の結果として出てくるわけでございますので、過去においてどうであったから、その数を今すぐここで出すということになると、やはり実績を見なければならぬ。ただ先ほど申しましたように、相当改善されるということは確信を持って申し上げられると思います。こういう状況であります。
#48
○田邊(誠)委員 これは何%か上げれば改善されるのはあたりまえの話であって、どの程度改善されるかということがわかって初めてあなた方の予算を出されているんでしょう。もちろん他の要素が加わることは、今まで長い間仕事をやってこられた当局者であれば十分御承知の通りであって、その実績に基づいて来年の予想が立たぬというはずはないでしょう。しかも物価は当初これが策定されたとぎの〇・七%の上昇から一・一%に上がったということを政府難局も言っておるわけでありまして、そういった面の変動のあることは十分承知をいたしております。しかしそれだからといって、これは一八%引き上げになったら一体どの程度の生計費の状態にまで立ち至るかということがわからぬということでは、これは困った話であります。
 それではもう一つお伺いいたします。いわゆる世にいうところのエンゲル係数で、一般世帯は二十六年には大体五二・八%、一千四年には三八・六%程度まで実は上がってきておりますけれども、被保護世帯というのは、先ほども大臣の御答弁のごとく、第十六次までの改定にもかかわらず依然として五八%台を維持しておる、こういう状態でございまするけれども、三十六年度におけるところのこの基準改定による一般世帯のエンゲル係数の予想も実はお聞きをしたいと思いますが、それが困難だとすれば、被保護世帯の基準引き上げによるエンゲル係数は一体どのくらいになるか、これはわかるでしょう。
#49
○太宰政府委員 十六次の基準のときの、その基準自身の積み上げによるエンゲル係数は六四ほどであります。ただし実績はこれが五八ということになっております。これは先ほど申し上げましたように、いろいろな稼働収入等がありまして、そういうものの結果、その私どものものさしである基準の積み上げよりもよくなっておる、こういうことであります。今回の私どもの改定による積み上げの基準は、これで約五七ないし五八、こういうことでございます。
#50
○田邊(誠)委員 そうすると、エンゲル係数でいいますと、これは物価の上昇等もありますから、この予想というものがはたしてそのまま当てはまるかどうか不明といたしましても、どうもこれは最初われわれが考えたほど大臣の言われる画期的な改定というふうには見受けられない。エンゲル係数が五割以上だというのは、これは現時点における日本人の最低生活と規定をさるべきもので、これが法の精神を生かした係数でありましょうかどうか、この点を大臣、一つ御所見を承りたいと思います。
#51
○太宰政府委員 先ほどの答弁についてあともう少し補足申し上げた方が御理解願えると思います。
 御承知の通り、エンゲル係数というものは一応その世帯におきまする生活の程度を示すものとして従来利用されております。しかしこれもよく考えてみる必要が場合によってはあるのでございまして、私ども被保護世帯の実態というものを見ておりますと、飲食物費の方で積み上げておりましたそれを、他の被服費であるとか、あるいは特に教育費というようなものに回しておるということが見受けられるわけであります。そういうことは、たとえば親が子供のことのために、せめて子供だけでも世間並みのことをしてやりたいというような気持を持つのは、人情として当然でございます。あり得ることだと存ずるのであります。さようなこともあるといたしますと、そこに出ましたエンゲル係数というものは、案外そこで飲食物費の全体に占める割合が低く出る場合もあるのであります。従いまして今回の改定において積み上げのものさし、基準の方も従来のように五七ないし五八であると申し上げましても、それをもって全然その内容が改善されていないという筋合いのものではないのでございます。今回の私どもの案では、飲食物費につきましては、特にそれを締めてほかの経費に回さなくてもいいように、ほかの経費に相当力を入れてこれを計算してございまして、一八%改善されているということは、れっきとした事実でございますので、たまたまこの場合におきまするエンゲル係数が同じものになったからといって、すぐそういうようにおとりいただかないようにお願いいたしたいと思うのであります。
 なお先ほど申し上げましたよりに、一六次改定の際にも、基準の方では飲食物費の占める係数は六四でありましたが、実績は五八になっておるということからいたしまして、私どもは今回五八の改定をいたしますれば、実績はそれよりも相当よくなるものと考えている次第であります。
#52
○古井国務大臣 今度の引き上げで、これでもういいというところに必ずしもいったものではないということは先ほども申し上げた通りであります。ただ元が低かったせいか、とにかく今度は相当今までに例のない大幅な引き上げだということを申し上げているわけでございますが、これでもういいということを申し上げているのではありません。今後も問題が残っていることと思います。また生活扶助のみならず、御承知のように住宅扶助にしても、教育の扶助にしましても、生業の扶助にしても、そういう方面にも今度改善を加えているわけでありますから、総体としてとにかく一歩も二歩も過去に比べれば前進であり、改善であることは間違いないのであります。これでおしまいかというと、そうは申しません。まだ残っておる、これは認めますが、今回はとにもかくにも、財源がたくさんあると申しましても、生活保護という一項目だけで百十億余りの増額をいたしております。金額の比較で申すわけではございませんけれども、予算のことでありますから、他の省、他の項目から申しましても、一どきに一項目にぐっと金をつぎ込むということも、これも予算全体の問題としてはなかなかできにくいことでありまして、その辺を考えますと、今度としてはまあせい一ぱいやった、しかし完全に済んだのではない、こういうところだと思っておるのであります。
#53
○田邊(誠)委員 今の大臣のお答えというのは、きわめて事務的な官僚的なお答えでありまして、数字が上がったからといって、それでもって一つ了解をしろということでありますけれども、われわれが問題にしているのは、あるいは百億であろうと五十億であろうと、それが法に基づくところの最低生活を維持するに足る基準であれば、これは予算が少なくとも満足をするでありましょう。しかし何といっても医療費の値上げと並んで、この上酒保護基準の引き上げというのは、あなたの就任された最大の使命でありまして、池田内閣の三本の柱の重要な一つの柱であるわけであります。そういった点から見ますと、今までのお答えではなおかつきわめて不十分なのです。
 そこでもう少しく掘り下げてお伺いをしますが、被保護世帯の転落する、要素というのはいろいろございますけれども、その一つに何といっても疾病があることは事実でございます。貧困から病気になり、病気がまた貧困を生むという悪循環があることは、これは御存じの通りです。現在は、結核の場合は特に署しいのでありますけれども、一般世帯に比べてその倍率というのが非常に大きいわけでございまして、われわれとしてはきわめて憂慮しなければならぬと思うのであります。そのためにこそ医療扶助というものがだんだんその内容が増大をしている、こういう状態にあるわけでございますが、われわれは、こういう増大の傾向にありますことを憂慮するがゆえに、この改定によって一体どのくらい病気にかかっておる率というものが下がるのかということは、非常に関心を払っておるのであります。これはもちろんまた局長は、それは将来の見通しでちょっとわかりにくいというふうに言われるかもしれませんが、われわれは今回の改定を機として、この悪循環の一端でも絶ち切ることができれば非常に幸いだと考えておるわけでありますけれども、これは基準がおわかりにならないとすれば、大体の傾向としてどういうようなカーブをたどるものか、おわかりになりましたらお教えいただきたいと思います。
#54
○太宰政府委員 御承知の通り、結核、精神病というのは文明病であります。ことに結核はわが国におきまして従来国民病と言われ、亡国病と言われておったのであります。長い間の先人の努力が実を結びまして、近年は結核につきましては相当改善されてきておる。しかしながら国民健康保険あるいは生活保護階層というところにおきましては、やはり相当結核患者がいる。つまり結核という病気になりました場合には、やはり今日においても相当長期の療養を要するわけであります。その間の医療費というものに詰まりましたたために、この生活保護階層に転落すると申しますか、落ちてくるというケースがいまだに非常に多いわけでございます。これに対しまする手当といたしましては、やはりこの生活保護の基準の引き上げというよりも、むしろ片一方におきましては一般国民の所得水準、それによる生活水準の向上というものを考えねばならない。片方におきましては結核対策というもの、つまり結核の健康診断あるいは結核の医療費の問題の解決というものに力を注がねばならぬことは当然でございます。厚生省といたしましては、この結核及び精神病対策に明年度は非常に力を入れております。ことにいわゆる他に伝染するおそれのある結核患者の強制入所措置というものにつきましては、従来相当制限があったものを、今度これを大幅に改定いたしまして、ほとんどボーダー・ライン層の人は全額公費をもって強制入院させるというような手当をいたしております。この結果として相当改善されるものと私どもは考えておる次第でございます。
#55
○田邊(誠)委員 最後に一つ、この問題に対する数字的な問題をお伺いいたしますが、一番問題になりますのは、ほかにいろいろと実は扶助すべき点があっても、一番問題になるのは何と言っても生活扶助でございますけれども、その中でもこれらの人たちに対する一番切実な問題は、その日の食糧でございます。これは実は予算委員会でわが党の滝井議員も質問されたようでございますけれども、大体現在の基準は千六百カロリーちょっとだろうと思います。あるいは千六百五十八カロリーになるかもしれませんが、これを大体一般の世帯の人たちの場合は、一日六十円七十銭になると滝井議員は言われたのでありますけれども、私はまた別の角度から、いわゆる保護施設に入っておる人々の一日平均どのくらいのカロリーをとっているかと調べましたところが、いみじくもそのカロリーでは千六百十八カロリー、値段にいたしまして五十二円という数字が出ました。これは大体厚生省の施設に入っておる人々の基準にやや合致するのではないかと思うのであります。
  〔藤本委員長代理退席、永山委員長代理着席〕
私は実は厚生省の基準は承知をしておらない前に調べました結果というものがこういうふうになったのでありますけれども、これはさきに論争されました通り、一カ月に直しますと千四百円といった数字になりますので、何かこうかなり適当な数字のように見えますけれども、これが一日に直しますと五十二円という数字でありまして、これはもう、言われるごとく問題にならない数字でございます。
 そこで今度一八%の基準改定によって、一体生活費の認定基準というものはどの程度なのか、これはおわかりですね。いろいろと区分がありましょう。六十才以上、あるいは地域はどの地域でもけっこうでございまするから、飲食物費、被服費、入浴費、理髪費、衛生費、これを例を一つだけお出しになって御説明いただいて、これははたしてわれわれを初めとして国民が納得をするところの認定基準であるかどうか、この際一つお示しをいただきたいと思います。
#56
○太宰政府委員 今回の改定によりましても、基準はやはり従来と同様に軽労作をとっておりまして、何らかの稼働をしておるという場合は勤労控除の方で必要経費を加算するという従来通りの建前をとっております。一日当たりのカロリーは千六百五十八カロリーで、これは標準の五人世帯――六十四才の男、三十六才の女、九才の男、五才の女、一才の男、これを含めて単純に五で割った数字でございます。これは十六次改定のときに改定いたしました。それをこのたびもとっておりますので、これはやはり千六百五十八カロリー、子供を含めての平均でございますからこの程度に出ております。それでどれくらいの中身になるかということにつきましては、今手持ちにありますので見ますと、収容保護施設の例で申し上げますが、現行では一級地の養老施設におきましては、二千六百五円でございます。これを三千百六十五円に改定いたします。そのうちで食費の関係でございますが、これは一日当たりで組んだもので、前の二千六百五円は一カ月でありますから、そこは大へん恐縮でありますが、現行では一日五十五円でありましたものが六十四円になる、かように改定になります。
 全体としてどれくらいになるかという、何か具体的な例というお話でありますので、一つ試算をしたのを申し上げますと、これは夫婦と子供三人の場合でございまして、夫が失対事業に出ている、それから妻が何か裁縫物の内職でもしている、子供三人のうち二人が小学校くらいへ行っている、こういう家庭でいたしませんとできませんので、それによりますると、現行でございます十六次の分でいきますと、生活費の総額が一万三千九百七十八円でございます。一人当たりの金額にいたしますと二千七百九十六円。これが今回の改定になりますと、生活費の総額が一万七千六百五十六円、それの一人当たりの金額が三千五百三十一円というふうになろうかと思います。そのときのエンゲル係数が、現行でいきますと六三・八、約六四と先ほど申しました、それがこれで五七・七くらいになります。
 もう一つの例でございますが、かりに母子世帯、福祉年金をもらっておるお母さん、子供が二人、うち一人が小学校へいっているというふうな家庭で見ますと、最低限度の生活費が現行で計算いたしますと二万二百七十五円、今度の改定によりますと一万二千八百三円、一人当たりがこの辺はよくなりまして、三千四百二十五円でありますものが四千二百六十八円というふうになります。この場合のエンゲル係数は、実は先ほど申したのによりますと、五〇を割って四九点何ぼというくらいになるわけでございます。もちろんこれには生活扶助として一時扶助というものがございます。あるいは教育扶助などには、いろいろ教科書代などの実費というものがある。また収入の面につきまして、いろいろこまかい免除等のものもあるのでありますが、そういうものは一応除きまして、大ざっぱなところを申し上げたものと御承知願いたいと思います。
#57
○田邊(誠)委員 実はいろいろほかにも聞きたい点がございますけれども、時間があまりございませんから、その内容の点はこの程度にとどめておきたいと思いますけれども、今大臣お聞きになったように、これは一級地の話でございまして、食費が、施設に入る者の場合であっても五十五円が六十四円ということであります。もちろん上げるに越したことはございません。しかしエンゲル係数はすでにやはり五八程度ある。一体戦後十五年を経た今日の日本の中でもって、いかに国の保護のもとにある最低生活者といたしましても、この程度の改定でもって法に認められた最低生活が営まれるかどうか、こういうふうに考えてみた場合には、これは大へんな事態だろうと思うのです。実はわれわれが調査いたしましたところでも、実際には役所で調査をされたものといろいろな面で違いが起こっております。役所でもっていろいろと調査に来れば事実を話さなければならぬけれども、事実を話したならばいわゆる保護が差しとめになる、しかしわれわれ自身はやはり生きていかなければならない、そういった面で、実は役所の調査に報告をされない部面のいろんなほかの要素が加わって生活をしておるという実情が明らかになってきておるわけです。今までお話をいただきました点、しかも被保護世帯の消費の一般世帯に対する割合等が非常に不明である。ただ単なる一つの感じにすぎない。こういうような状態も加わっておる中でもって、今回の一八%引き上げというのがはたして池田内閣の三大施策の一つとして、画期的な引き上げとして内外に喧伝されるだけの内容をお持ちであるかどうか、われわれはあらためて考えてみなければならぬと思うのです。当初厚生省は二六%の引き上げを策定いたしました。われわれは、現在の事態、そしてこれから先の物価の上昇の度合い、それらを科学的に検討いたしますならば、現在のいわゆるほんとうの手直し的な要素の中でもってやられてきたこの生活保護の基準というものを、この際少なくとも五割程度引き上げなければ、最低生活の改善という生活保護法に適合するものにはならない、こういうように考えておった。しかし厚生省の二六%は、最低の引き上げでありますから、われわれは五〇%上がれば、今の地上よりも低い土地から、少なくとも地上にまで上がってこられる、こういうように思っておった。しかし古井さんのお話では、二六%くらい要求するというお話がありましたから、実はいわば地階から一階に上がるまん中の中二階みたいなものでありまして、私みたいな背の者ではちょっと頭がつっかえる。しかしおつき合いといたしまして、当面その中二階でもよろしいですから、古井さんのその基準にわれわれは従おうじゃないか、こう考えておった。ところが今度は一八%である。これはちょうど階段を上がっていったら、途中でもって階段がなくなっているようなものです。そういう中でもって、実は所得倍増計画と見合うということでもって生活保護をやるという状態、しかも厚生白書でもってその実態をはっきり、打ち出しながら、将来の展望を考え、四十五年度の振りかえ所得は先ごろ来国会において報告をされたように、大体国民所得の七%までいくという、こういう状態が示されておりますけれども、われわれはこの将来のあなた方の考えに見合い、今回の一八%というのはどうしても中途半端な――何かこれでもって当面を糊塗されると、また次の引き上げというのはなかなかもって困難な時代が来るということは、今までの経験でよく御存じの通りであります。そういった中途半端な形でもって、この柱となるべき生活保護基準というものが、今お示しのようにまことに内容的には不十分であり、そしてまた不明の点が多いという、こういう状態の中でもってされるということは、大へん実は残念に思うわけでございますけれども、どうでございましょう。古井さん、今までの数字が示したように、先ほどもお話がありましたけれども、これはどうも画期的なものではなくて、だんだん内容を聞けば聞くほど中途半端なものになって、私としてもまことに心残りである。このままではまことに相済まない、こういうようなお気持になっておるかどうか、この際あなたのお考え方を承りたいと思います。
#58
○古井国務大臣 この問題は、ただいまもいろいろ御意見もありましたのみならず、たびたび予算委員会や当委員会における御論議の点でありまして、そのつど申し上げているように、これで十分だということは言っていないのであります。それで、それならどれだけが一番よいところかという、目の子で議論しておってもいけませんので、この辺が一番よいところだという合理的なものを見出していきたいというさっき申し上げたような問題もあるのであります。できるだけそれを早くつかんで、そこに早くいくようにしたいものだと思うのでありますが、それにしても、過去がひど過ぎたのかもしらぬけれども、いっときに一八%という引き上げは、とにかく過去にやっていないのであります。その意味では、革命的ではないかもしらぬけれども画期的であることは間違いない、こういうことでありしまして、それだから十分だと言っているのではありませんよ、今後にも問題が残っておりますから、これは今後の問題として十分検討したいと思うのであります。
#59
○田邊(誠)委員 まあ、だいぶ大臣もおわかりになってきたようでありますが、実は今までのものは標準にならぬのであります。十六次改定というのは、これは先ほどからくどく申し上げているように、決して国民化活の最低のものを、その内容を改善したことにはちょっともなっていない、ただ単なる手直しであります。従ってそういった意味で、今度のいわゆる改善というものがそういう比較論に立てば、画期的という言葉が言葉としては当てはまるかもしれないけれども、その内容から見た場合にはきわめて貧弱なものである、中途半端なものである。しかもあなたは今実はその理論的な根拠をこれから先検討されようということでありますけれども、私はきわめて不見識な話だと思う。一八%の予算案で提出をされて、その理論的な根拠が、私が聞いた範囲でも、実は事務当局はなかなかもってお答えできない、こういう部面が数多い中にありまして、そういう中でもってこの一八%というのは何らの合理性を持たなく、何らの科学的な根拠を持たないままに妥協されて、いわゆるやみくものうちにきまらんとすることは、これは私どもはきわめて了解に苦しむところでありまして、そういった点で私どもは大臣にさらに再検討をお願いしなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。その理論的な諮問をされるというお話があるようでございまするけれども、その諮問に応じまして、大臣はさらにこの問題に対して十分なお考えを示されるというふうに理解をしてよろしいかどうか、お伺いしたいと思います。
#60
○古井国務大臣 これから諮問するのじゃない、もう現にやってもらっておるのであります。社会福祉審議会でも分科会を作ってやってもらっておるのであります。早く得たいと思っておりますが、きょう始めたわけじゃないのであります。それから今まで申しておるように、もっと上げたいということを言っているのであります。もっと上げたいという希望を何べんも言っているのであって、それ以上のことは申し上げておりません。ただ問題は、これで足るとか足らぬとかいうのは、それは他の勤労者世帯あるいは低所得層の生活水準などから比べての議論だけでありまして、それだけじゃなく、やはり合理的にどれだけのものということの議論が出てこなきゃいかぬ。ただ低い低いといったって、合理的なものがちゃんと根拠を持って出てこなきゃいかぬのですから、水かけ論ばかりやっておってもいかぬから、合理的な基準を出して、それを目安にして、そこに行く努力をするというのが一番よい道だと思うのですから、多い、少ないといっておっても、何が合理的なものかという科学的なものがなければいかぬのですから、それをつかむことが一方では大事だと思うのであります。これでは暮らせる、これでは暮らせないと言っておっても、それだけではまだ大ざっぱなんですから、今のこういうところが合理的な線だというものを早く得て、そこに一足でも早く行きたい。大体ことしも――これは議論になりますけれども、去年までなぜことしより一八%も少ないままにほうってあったか、こういうことにもなってくるのであって、一時にたまってくるからものがめんどうになってくる。今までも大幅にぐんぐん上がってきておれば、ことしだってもっとよけい解決がついている。ためてあるからいけない、問題はそういうことになってくるのであります。ですからこれは上げたいということはみんなの考え方ですから、ここだというものを得て、早くそこに行くようにしたい、もっと引き上げていきたい、こういう考えでおるわけであります。
#61
○大原委員 この問題に関連して私、いつも聞いてみたいと思っていたのですが、一言だけ聞きますが、法人所得で一年間に二十億円の所得のある人は、所得倍増で二倍にも三倍にもなるんですね、今までの経済成長の経過を振り返ってみまして……。そういたしまして、一番最低の生活保護が十年後に倍になったのでは、格差はますます増大するということになるわけです。そういたしますと、一年間に一四・四%ずつ上げましても大体今の三倍くらいになる、七・二%で十年間に倍ですから……。そういうふうに考えてみますと、池田内閣の所得倍増計画は下の方を三倍にも四倍にも上げるのだ、こういうふうに池田総理大臣はある場所で答弁をしておられるのです。だからその基本的な認識については大臣どうなんですか。私が申し上げた認識と同じですか。
#62
○古井国務大臣 毎年所得全体を、経済成長を九%とか九・二%とか引き上げる、そう言いながらもことしだって生活保護は一八%上げている。同じことで上げておるのではないのでありまして、格差を縮めるためにはどうしても伸びない方によけい力を入れて伸ばす努力をする、それでも格差が残る、その格差は今度は所得の振りかえによって格差を縮めていく、こういうことに考えるのが経済成長だと思うのです。ですから低い方を置いといたのではお話のように差が大きくなるだけですから、低い力は特に伸びるように力を入れていくのが経済成長政策の重点だと思うのです。ほっといても伸びる方は伸びるのであります。それでもしかし格差は起こる。格差を縮めるには所得の振りかえ、つまり伸びる方の所得を伸びない方に振りかえて差を縮める、こういう考え方になるのです。格差縮小ということは非常に大事な点でもあるし、従って低い方は、経済成長九%でも十八%引き上げる。これから先だって、普通の経済の成長率以上に引き上げるということも、やはりこれは大いに考えていかなければならぬ問題である、こういうふうになるのだと思います。生活保護の問題は国民生活の一番の底でありますから、これを上げることは非常に大きな意味を持つよいことだと思うのです。そうすると低い賃金も上がってくる、一番底ですから。だからこれは非常に重要なことだし、日本の進歩でありますが、さらばといって、今のわあっとこれだけ上げてしまうということが、過去をどうこう言うのじゃございませんけれども、ほとんどじっとしておったものを、思い出したように一時にやるという行き方はなかなか実際問題としてやりにくい。やはりペースは大きくしながらも漸進主義でいこう、こういうところに実際政治としてはくるのであります。けれども、上げたいという考え方は普通以上に上げていきたい、格差を縮めたい、こういうことはまさにその通りだと私も思います。
#63
○大原委員 一つの例を引いてみるのですが、私どもの考えはこうなんですよ。私ども社会党は生活保護を五割引き上げようと言っているのですよ。最低五割ぐらいやらなければいかぬ。一般民間団体、民主団体等は倍ということを言っているけれども、一ぺんにいかないから、五割ぐらい底を上げておいてあとは逐次上げていくのです。計画立てて。そういうふうにしていかないと格差は縮まっていかない。一八%やったから、来年になったら、去年やったの、だからもうだめだ、こういうようなことでまた三%とか五%上げたのではだめなんです。だから年次計画を持って最初に上げといて、それでだんだんと上げていけば格差が縮まっていくのです。生活保護が倍になったからといって格差は縮まらないのですよ、拡大するのですから。だからそういう土台についての考え方、下の方は御承知の通り――厚生大臣は頭のいいことで昔から通っているのだから、ちびりちびり上げていって倍になったのでは格差は拡大するのですから、私どもの考えは、五割を上げておいてそれでだんだんと上げていけば、少なくとも二割六分を上げておいて――二割六分は、厚生省が言ったくらいは上げておいてやるべきだ、こういうふうに私どもは最終的に予算修正で一つやろう、こういう意見を出したわけです。あなたはずっと相当長く大臣をやられると思うのですよ。池田総理大臣がかわってもあなたはやられると思うが、それは別にして、少なくとも所得倍増について、生活保護のあり方というものは来年も再来年もこうなんだ、こういうことをやはりはっきりしないと、生活の格差を是正をして、そして所得倍増の方針に従ってやりますなんということは言えないのです。たとえば標準家族で住居扶助が二千円というのです。五人が東京で二千円で入れるところがありますか。一畳が千円というときに、二畳の中に五人入れますか。物理的に不可能でしょうが……。だから現状が低過ぎるのですよ。一ぺん高く上げておいて、それから計画的に上げていく、こういうことで所得の格差は政治の上において是正できるのだ、これが所得倍増じゃないかというのです。
 私が大臣に最後に聞きたい点は、そういう年次的な計画がないじゃないですか、なければ去年よりは一八%上げたから大成功ですよといばったって、そんなものは中身がない、こういうことを私どもは言っている。
#64
○古井国務大臣 そこで、これでもうやめると申しておるのでないのですから、これでおしまいだということでないということをさっきから繰り返しているのでありまして、問題は残っておるし、これからも考えなければならぬということを言っているので、おっしゃっていることと一つも食い違いはないのであります。ただ今日具体的に年次計画を持っておらぬという点だけであります。これは目標というか、ここまでという基準、目安がありませんことには年次計画が立たなかったのであります。それを早くつかみたい、これがさっき申し上げておる社会福祉審議会の生活保護分科会の方にお願いしている問題です。これがあって、そこでどういう段階へ到達してくるかということになってくると思うのであります。お話と私の考えがどうもえらく違わぬような気がしてならぬのでありますが……。
#65
○田邊(誠)委員 合理的な根拠はこれから先きめてもらう、こういうのでありますから、これは大臣の今までの逆説的な言葉を大体そのまま解してあげれば、今度の一八%というのが何らの合理性を持っていない、科学的な根拠もない、これは一握りの引き上げである、こういうふうにあなた自身もお認めになっておるようでありますから、この点はわれわれとしてはさらに別の角度から検討させてもらいたいと思います。
 次に、社会福祉施設が全国にございますけれども、保護施設、児童福祉施設、身体障害者更正援護施設等の社会福祉施設の従事者は、全国ではたしか十万余に上ると思うのであります。ところが、この重要な施設に働いておるところの職員の給与の実態は、非常にむずかしい仕事をされ、人間相手の仕事をして四六時中働いていなければならぬのに、きわめて劣悪であることは大臣も御承知の通りであります。しかも、現在の法の建前からいいますならば、給与のほとんどはすべて国の補助、いわゆる施設の事務費でまかなわれておるわけでありまして、そういう意味合いからいいますならば、国の補助の程度がすなわちこの人々の給与の水準を規制してきたといっても間違いないわけであります。ところがこの補助単価は三十二年に改定実施されました。三十五年度の補正予算でもって本俸の一一・九%と期末手当の〇・一カ月分の引き上げを行なっておるのでありまして、三十六年度からはさらに七・五%引き上げようとするわけであります。しかし現在のこの三十五年度補正後におけるところの給与の水準というのは、施設の内容、規模によっていろいろ違いましょうけれども、全体の水準として一体、どのくらいの給与に現在ありますか、一つお示しをいただきたいと思います。
#66
○太宰政府委員 施設には児童福祉施設または社会福祉施設、いろいろございますので、今お尋ねの点につきまして保護施設の点について例としてお答え申し上げます。これは三十五年の四月現在、一万一千九百十三円でありますこれが十月一日から一一・九%アップいたしまして一万三千三百三十円になります。実績はこれよりも若干低いかと思いますが、まず国が負担の内容として算定している給与額はこれくらいであります。それが七・五%アップになりますと一万四千三百三十円、こういうことになります。このほかに期末手当が一・五カ月分でありましたものが一・六カ月分となり、明年度から三カ月分になる。そのほかに石炭、手当の増、あるいは寒冷地手当、薪炭手当の新設というものがあります。
#67
○田邊(誠)委員 今お示しありましたように、民間の施設の職員の給与はきわめて劣悪である。しかも社会事業というのは当初民間によるのが非常に多かったのでございまして、だんだんその傾向から地方自治体の経営するものが多くなっておることは事実でありますけれども、しかし今までほとんどこれらの民間の社会福祉事業家の手によって、わが国の社会福祉がようやく持ちこたえられておったといってもいいわけであります。そういった点から見ますと、今お示しいただきました現在の一万三千三百三十円にいたしましても、三十六年度の一万四千三百三十円にいたしましても、もちろん勤続年数、職務内容等いろいろの違いがございますが、しかし他の同種の地方公務員なり国家公務員なり、ことに地方自治体のこの種の施設に働くところの従事者との給与のアンバランスはいまだに解消しない状態であります。しかも公務員の給与改定その他これから先の給与水準の引き上げ等によって、この七・五%はおそらくほとんど水のしみるようなものでありまして、これによって給与改善が本格的になされたと言うことはできないと考えるわけであります。来年度の施設事務費は三億七千万ほど増額をもくろんでいるようでありますけれども、しかしこれでは非常に不十分な状態です。この中で民間の保育所の保母の給与というのは現状において七千五百円程度であるといわれている。それ以外の施設の人たちの給与を今局長が発表いたしましたけれども、実は一番大きな問題になっているのは、大都市よりも中都市、小都市における施設の人たち、あるいは僻地の今言った保育所の人たちの給与でありまして、この人たちの給与は平均して一万円程度であると私どもは承知いたしておるのであります。従ってそういう点から見ますならば、この七・五%の引き上げにもかかわらず、この人たちの給与はきわめて低い状態にある。こういう状態に対して大臣は耳を向けられまして、これに対するところのさらに改善の方策をお持ちであるかどうか、お伺いをいたしたいのであります。
#68
○古井国務大臣 特に民間の社会福祉施設の役割が非常に大きいことを私も感じておる一人であります。そこで、そこに働く人の待遇が非常にまずい、こういうふうなことを考えますから、今もお話しのように、一一・九という普通のベース・アップをやった上に、大体土台が低い、これを直さなければいかぬというので、七・五%という改善をやろうということに今度しておるのであります。よいことをしようとしておるのであります。足らぬとおっしゃるけれども、それは、やればやるほどよいでしょう。しかし悪いことをしておるのではない。まことに私はよいことをした。しかも、これはどう考えておるか知らぬけれども、実情を申せば、とてもちっとやそっとで財政当局が聞く話ではなかったのです。それをとにもかくにも、多少強引であったかもしれないが、無理々々に押し切って七・五%という来年度予算を掲げておる。これは大きなことを言うわけではございませんけれども、七・五%というのは、普通にはできないと私は思っておるのです。しかし、これで済んだとは思っておりません。おりませんが、そこまで汗をかいてとにかくやっている予算であります。これをいけないというふうに言われるのは、私にはまことにもってどうもおさまりのつかぬ話でありまして、その勢いでもっとやれという御意見と拝聴するのでありますけれども、これからも残っておりますから、皆さんにも、これはまた御協力を願いたいと思うのであります。
#69
○田邊(誠)委員 古井さん、今まで実は生活保護基準にしても、今言った民間の福祉施設の職員の給与にしても、低過ぎたということ、その低過ぎたものを上げたのは功績じゃないかとおっしゃるが、今までと比較されますから、実は大へん答弁がしやすくなっているようであります。しかし、われわれは他のこの種の職種に従事しているところの公務員の人たちの給与と比較することが、やはり一番の手近な比較の対象であります。そういった点から見ましても、決してアンバランスは解消していない。七・五%上げたことは、上げないよりはいいです。もちろんその点に対してあなたの強調される真意はわかりますけれども、それにもかかわらず、やはり基本的には、解消されていないということ自体を十分御認識をいただかなければならぬと思います。
 それに関連をして、予算の面では、いわゆる民間の社会福祉事業助成費の中で、三十七年度から開始するところの民間社会事業の退職金、共済事業事務の補助金が三百万円組まれておるようでありまして、これの給付の開始は三十七年度からというふうになっておるようであります。これはやはり非常にけっこうなことで、私は非常に賛意を表しておる。ただ三十七年度からのことでありますから、まだ先の話でありますけれども、一応承っておきたいのは、この退職金は、それが給付となる場合においては、国が三分の一、都道府県が三分の一、それから三分の一を事業主、こういうふうになっておるようでありますけれども、こういった形でもってその施設に三分の一の負担をさせるということが、現状から推して、非常に内容の貧弱な余裕のない、すべて規制されておる制度の中では、きわめて困難ではないかというふうに私は考えるわけです。従って、国がせっかくこの退職金制度を作って、これから開始しようとしておりますけれども、実際にはその三分の一の金がなかなか出場がなくて、退職金が支給できないという事態が起こっては困ると思うのですが、その点に対して、一体どういうお考えを持ってこれを始めようとされておるか、この点を伺いたい。
#70
○太宰政府委員 お尋ねの民間社会福祉事業の退職制度は、今年の十月ごろに発足いたしまして、支給の開始が明後三十七年度から始まるように持って参りたいという含みで準備の予算を提示いたしております。それの構想につきましては、いずれ法律を作る必要もあろうかと思いますので、またそのときに御審議をわずらわすことになりますが、お尋ねの負担の割合、これも私ども今のところ率直に申しまして、お話しのように国が三分の一、府県も三分の一、それから施設が三分の一というような心組みであります。これに対して、施設が負担できるかどうかというお話でありますが、これは施設の方も国からの措置費のほかに、共同募金なりいろいろなファンドというものも持っておるわけであります。かような点からして、施設がこの程度負担できるかどうかということにつきましては、実は民間社会事業の方々とも私ども相談を重ねて参ってきておりまして、その相談をやった範囲内においては、みんなこの程度であるならば自分たちも今やりたいと思ってやっておるが、ぜひ進めてほしい、こういう相談の上でやっておるわけであります。万が一、数多くの施設の中でそれができないというものが、私どもは実はないと思いますけれども、そういう点もありますので、これは任意加入制にいたしたいと思っております。私ども今までのところでは、この分でありますと、十二分にやっていけると考えておる次第であります。
#71
○田邊(誠)委員 だいぶ時間が長いようでありますから私は端折りまして、あと二つばかり質問いたします。福祉施設の問題については、まだほかにもいろいろ問題がございますけれども、もう一つだけこの際お伺いして、あとにまた譲りたいと思います。
 実は福祉施設、特に民間の福祉施設は先ほど来の話の中にありました通り、大へん困難な事態を乗り切ってきたわけでございます。にもかかわらず、現在は国の補助の中で非常に規制をされております。今局長は、共同募金その他があると言われました。共同募金についても、実は私きょうお伺いいたしたかったのでありますけれども、時間がございませんから除きますが、現在のところでは民間の福祉施設はいわゆる建物の減価償却あるいはその建物等に対する火災保険料、こういったものを実は織り込むことを認めておらない。戦後だんだん地方自治体が経営する度合いが多くなってきております。それだけに非常に老朽化しておるところの民間施設が多くなっておると思うのでありますけれども、こういうものを認めておらない中でもって、今後の改善、万一の場合に対処する方策等が非常にむずかしくなってくる、こういう形でありますけれども、今後この運営上あるいは設備改善上、これらのものを認めるという方向に変えていくお考え方があるかどうか、またそれに見合うところの国の補助をまた加えていくという方針があるかどうか、お伺いしたい。
#72
○太宰政府委員 御指摘のように、現在社会福祉事業施設そのものの耐用年数に見合った減価償却、あるいは火災保険料も多分一緒であったかと思いますが、私の方の措置費ではこれは見ておりません。これはやはり建前が民間の施設は現在ありますものを活用するという趣旨でできております。しかしそれが老朽化した場合におきましては、さらに国としてはその改築等については補助をするということで、補助という面でこれをやっておるわけであります。その場合に、国の補助とそれからまた自己負担分の問題があるわけであります。これにつきましては社会福祉事業振興会という特殊法人がありまして、これによりましてきわめて低利長期の融資をする、こういう形になっておりますので、相待ってその問題を解決していくことになっております。御指摘のように民間社会事業施設の中には相当古いものがありまして、もう早く改善しなければならぬものもあると思いますので、この点については十分気をつけて参りたいと思います。
#73
○田邊(誠)委員 先ほどちょっと答弁の中にありました、国の補助のほかにいろいろな施設に対しては別途法人会計等でいろいろと収入をはかるという道があるわけでありますけれども、その一番の大口というのは大体共同募金です。ところがこれは、私の群馬県の千四年度の例でいきますと、実績は三千三百三十二万何がしという数字でございまするが、この配分が実際の共同募金の法の建前からいく施設に対する配分よりも、県社会福祉協議会、郡市町村の社会福祉協議会、これらに対する配分が、実は一千百八十七万三千八荷四十円、こういうことでありまして、施設に対する配分八百六十八万八千二百円を上回っておるという状態であります。これはこの法の建前からいって、福祉施設に対する共同募金は社会福祉を目的とする事業を経営する以外のものに配分してはならないという趣旨にももちろん反すると同時に、こういった中間的な搾取といいましょうか、中間的な、ぶんどりというものが、せっかくの共同募金の集めた金を、その施設の改善等に振り向けという度合いを少なくしている、こういう状態であります。これはただ単に群馬県だけではなくて、おそらく全国的な傾向であろうと思うのであります。もちろんこの法の中には、配分に関して、いわゆる国及び地方公共団体が寄付金の配分について干渉してはならないという規定もございますけれども、しかしやはり指導的な監督の立場にある厚生省としては、この社会福祉事業法の法の趣旨にもとるような状態に対してはどういうような是正の方途を講じられているか、私はやはり共同募金が年々歳々非常に困難になってきておるという状態とにらみ合わせながら、この配分の現状に対する是正についてお考えがあればお聞かせをいただきたいと思います。
#74
○太宰政府委員 共同募金は、法律にも書いてありますように、それぞれの都道府県の区域を単位として行なうものであります。それはその区域内におきまする社会福祉事業などを行なう人たちにその寄付金の配分を目的としたものであります。その場合におきまして、今日におきましては、従来のような施設をやっている人たちに向ける分のほかに、その地域として社会福祉事業をやる、たとえば老齢の方々のあれをするとかあるいはまた母子家庭の援護をするというような、いろいろな社会福祉事業というものがあるわけでございまして、そういうような活動が今日においては地域の活動として相当伸びております。そういう面につきましても、この共同募金が参りますことについては、私どももこれを中間がどうであるとかというふうに否定することはできないと思うのでありまして、ただおのずからその施設に配分されますものと、それからその他に行きますものとの間にあまり均衡を失するというようなことのないように進めていくべきものだと考えておるわけであります。確かに今日の施設の人たちの中には、ひところに比べますとどうも自分のところに入ってくる共同募金の金が非常に少ないというような不満の声を私ども聞くわけであります。これは、やはり共同募金の募金額自身が今日におきましてはもっと力を入れていい面があって、それが十二分に力が入っていないためになかなか伸びが少ない、こういうふうに感じる面も多々あるのでございます。そこで二、三年前からいわゆる共同募金の倍加運動というものをやっておるのでありまして、これはまだまだ地域の人たちの中では出し得るところもPRの仕方によってはある。そういう面において倍加運動を強力に進めていくということは、私どももはなはだけっこうなことであると思います。その場合において、この法律にもありますように、その得ましたものについては十二分に社会福祉協議会等の意見を聞いて、先ほど申しましたように、あまり均衡を失して不満の出ることのないように、これを配分して参るように指灘はして参りたいと思います。今日の段階において、これを施設に全部やれというようなことはやはり無理であります。やはりその間適当なバランスは必要でございまするけれども、社会福祉の事業そのものの、単に施設だけでなく、施設のほかにも地域事業というものが伸びておりまするので、この辺との均衡というものはやはり考えつつ、全体として伸びていくようにいたしたいと存ずる次第でございます。
#75
○田邊(誠)委員 あと大臣に一点伺ってきょうは終わろうと思いましたが、大臣が席をはずされましたので、お見えになるまで留保いたします。
#76
○永山委員長代理 五島君。
#77
○五島委員 大臣に対する質問はあと回しにしまして、特に時間的に非常に急がなければならぬ問題がありますから、あえてきょうは簡単に質問をしますから、簡単に答弁をしてもらいたいと思います。
 ここには援護局長来ておられますか――それでは引揚者給付金等支給法に関してですが、この法律は昨年の国会において一年間延期になって、そしてその時効による消滅は、三十六年の五月で消滅するということになっておるわけです。ところが五月に消滅するということになると、あとわずか三カ月しか時期がないわけです。そこで外地からの引揚者に対する給付金の支給の問題については、当時外地で非常に苦労された方々に対する給付金が設定されたことですから、外地に居住された人々、引揚者の方々は、金額はわずかでございますけれども、ある時点においては国の支給の恩典に浴されたことだろうと思うのです。ところが厚生白書を読んでみますと、当初昭和三十二年の本法施行当時、この引き揚げ給付対象者は一体どのくらいの人員かというようなことで厚生省が計算されたところによると、三百三十七万八千人という予定が行なわれておったわけです。ところが昨年の九月に認定が完了したものは、全部で三百万人と報告されておるわけですね。そうすると昨年の十月から今日まで、三百万人の認定が終了したら、あと三十七万八千人程度は当初の予定よりもまだその認定が終了していないということになろうと思うのです。
  〔永山委員長代理退席、小林(進)委員長代理着席〕
ところがさいぜん申しましたように、この特効が五月において消滅しますと、三十七万八千人という人たちがもしも申告してくると、申告したいと思っても、時効が完成すればその権利が消滅するわけですから、この点について現在の申告の状況はどうであろうか、そうしてそのあと厚生省が考えるように、この本法に関連した外地における引揚は今なお何万人くらいおられるのか、あるいは厚生省としてはもうこの事務は、時効が消滅して法律がなくなっても、外地居住者に対する給付金というその作業はもう終わっても十分である、全部作業は完了したものである、こういうように見なされておるかどうかということを質問したい。
#78
○畠中政府委員 引揚者給付金等の特効につきましては、先ほどお話がございましたように、当初三年でございましたが、昨年議員提案の法律改正によりまして四年になったわけでございまして、先ほど御説明がございましたように、本年の五月十六日で時効が完成することになっております。そこで厚生省といたしましては各都道府県に、未請求者の請求促進等に現在鋭意努力をしておるところでございます。
 次にどういう進捗状況かと申し上げますと、去年の十月末現在で、先ほどお話がございましたように、受付数が三百十七万四千人になっております。当初予定いたしました三百三十七万八千人に比較いたしまして、大体二十万四千人というものがまだ受付を終わっていないという実情でございます。そこでことしの五月で終わるわけでございますが、今後の見込みがどうなるかということが問題でございますが、この点につきましては、過去一年の受付の実績を見ますと、一年間で十六万七千人ということになっておりますので、この仕事は市町村で受け付けて県の方で県知事が裁定をするわけでございますが、市町村から県に回ってくる期間がございますので、昨三十五年の十月からあと一年、つまり三十六年の十月という時期をとりますと、時効が完成しまして、五カ月になるわけでございますが、その間に市町村から県に回ってくるというものもございますので、かりに一年間をとりますと、十六万七千人ということになるわけでございます。そこで当初予定しました数との関係を申し上げますと、現在受け付けておるものが大体九四%になっております。それから今申し上げましたように、三十六年の十月に県に到達するということで考えますと、九九%が大体終わることになっております。そこで大体そういう実績で推定いたしますと、最初の対象者の正確さの問題もありますが、一応この五月の時効で大体の完了ができるのではないかというふうに予想しております。
 次にもう一点の、引揚者でまた帰ってこない者の数でありますが、これは三十六年の一月一日の調べによりますと、いわゆる未帰還者、まだ引き揚げてこない者の数が二万二千四百人程度になっております。しかしこのいわゆる未帰還者の大部分は死亡しておるというように考えられますが、そのうちで調査によりまして大体生存見込みの者が約七千人でございます。これは中国あるいは朝鮮の方の妻になっておるという方々が多いわけでありまして、従って約七千人の生存見込み者の数のうちで、帰還を希望しておる者をとってみますと、約六百人くらいになるのではないかと思います。そういうようにいたしまして、未帰還者の数は多うございますけれども、大体今度帰ってくる者はきわめて少ないのでございます。従いましてその引揚者に対する給付金の法律も大体ことしの正月でその仕事を終わるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
#79
○五島委員 そうすると、一年間で十六万七千人が大体平均だとおっしゃるが、あと二十万四千人程度が残っておる。そうすると、未帰還者があと六、七百人で大体完了する、こういうようなことになるのですが、これが百人であろうとも二百人であろうとも、そういう人たちが予想されるならば、この時効によって消滅する百人なり二百人なりの少数の人でもこの法律で見捨てるわけにいかないと思うのです。というのは、やはり国民には法は均等に施さなければならないからであります。だからおそらく九九%あるいは大部分が終息するものであろうと思うというようなことで法の施行をしてはならぬと私は考えるのです。こういうような仕事は、完全にもうこれでいないんだという確認のあるまでやはり法の効力を生かしておかなければならぬと思うのであります。それは一つの問題として残しておきましょうが、昭和三十二年の本法施行の当時、参議院において附帯事項が決議されておりますね。これは大臣も聞いておいていただきたいと思うのです。この支給法が参議院において通過し、そうして施行の前日に、二つの附帯決議がついております。その一項目は、当局はよく御承知だと思いますけれども、本法はその適用範囲を終戦日以降に限られているが、その以前に引き揚げた者であっても、その実情が同様の状態であった者に対しても適正なる措置を講ずべきであるとなっています。この法の適用範囲の以前において引き揚げた者であっても、これを考慮しなければならないという附帯決議がついておる。二項においては、特に終戦直前に閣議決定に基づいて強制的に引き揚げを命ぜられたような立場にある者に対しては、本法が適用されるよう十分考慮すべきである。以上二点の附帯決議が行なわれておるわけです。ところが附帯決議がただ単なる附帯決議として付されただけであって、その後この附帯決議を生かして厚生省当局はどういうような考え方で今日まで進んでこられたか。またどういうような手を打とうとされるか、いかなる手を打ってこられたか、このことについて質問します。
#80
○畠中政府委員 最初のお話の、今後帰ってくる者についての本法の適用でございますが、これは時効が四年ということになっておりまして、法律はこれでなくなったわけでございませんので、帰って参りましても四年間は有効である、こういうことでございます。
 もう一つは、附帯決議のついておりますところの、終戦前の引き揚げ者を本法の対象にしたらどうかという問題、特に南洋群島等から引き揚げました方々に対して、この法の適用についてはどうかというような点でございますが、御承知のようにこの引揚者給付金の支給法は、引揚者が終戦に伴う事態によりまして、外地にありましたところの全生活の基盤を失って引き揚げた。そこで、引き揚げた場合においての国内の事情も非常にこんとんといたしておりまして、立ち上がりがきわめて困難であるので、そういう方々に再起の資料として給付金を支給することになっているわけでございまして、さような面から見ますと、南洋群島あるいは蘭印等から引き揚げた方々についても、これに類似した点は十分あろうかと考えられますが、この問題につきましては当初法律制定の際にも種々論議があった結果でございまして、つまり敗戦に伴う引き揚げによるということに着目をいたしておりますので、今申し上げました南洋群島等の引き揚げにつきましては、事情は似ておりますけれども、敗戦に伴うものでなくて、日本官権の命令あるいは勧告によった引き揚げでございまして、事情は相当類似しておりますが、いわゆる引揚者に比べますと、引き揚げてきた当時の国内の事情が敗戦後の日本とはまたいささか異なっておる点もございますので、事情においては非常に忍びないところでございますが、一応この法律から除外されております。私たちもいろいろ検討いたして参りましたが、今申しましたように、引揚者とは事情が異なる点があるということから、改正をするというところまで至っておらない次第でございます。
  〔小林(進)委員長代理退席、藤本委員長代理着席〕
#81
○五島委員 類似ではあるけれども、改定するところまでは至っておらない。それは引揚者の引き揚げてきた国内情勢と当時引き揚げてきた国内情勢が違うのだという考え方で臨んで、附帯決議の問題については今日まで処理しなかった。こういうことになっておるわけですけれども、私近ごろ南方の引揚者の方々から陳情を受けたり、あるいは直接いろいろその当時の事情を聞いた。その中でインドネシアとかジャワ、スマトラ、マレー、シンガポール、そういうところに住んでいた人たちは、この法律の適用対象である外地以外の外地として日本の力が当時及ばなかったところ、そうして独立的に彼らが海外に雄飛して、営々辛苦の後に自分の企業を打ち立てたり、あるいは自分の生活の本拠を、そこに求めて、長い人たちは数十年もそこにおられたこともあるし、また当時マレー方面に戦火が伸びるに及んで、大東亜戦争勃発当時においては資金凍結令も行なわれた。しかも資金凍結令の後には、政府の半強制的な命令によって、奥さんたちや子供さんは向こうにおりたかったにもかかわらず、内地に来た。そして日本の威力がそこにしかれたら早く現地に復帰したいという待望を持って内地に帰還された。あるいはその当時大東亜戦争が勃発するやいなや豪州方面に抑留され、あるいはインド方面に抑留された人たちが数千人に及ぶ。そういう人たちはあとで交換船によって半数くらいは帰ったけれども、出時の話を聞くと、全く地獄船だ、その船の中でずいぶん死亡された方もある。また船で半数帰ってきてシンガポールに寄港すると、時の政府の強権によって若い人たちはこれまた強制的におろされて現地の軍に協力させられた、あるいはその中の一部の人たちは、軍の進駐が始まるとともに通訳したり、あるいは厚生大臣の命によって徴用されて、また自分の本意にかかわらず一年も徴用を延期されている。そしてそれの期間が切れて今度は陸軍省の臨時軍属となって僻地において日本軍とともに行動をしてきて、いよいよ終戦になって帰ってきたのだけれども、臨時軍属なるがゆえに外地引揚名じゃないと判定されて今日に至った。あるいは当時の奥さんたちは、現地に引き揚げようと待機しても引き揚げられなかったというような現実がある。それからまた豪州やあるいはインド方面に抑留された人たちは、自分の本意にかかわらず外国の力によって自分の自由を束縛されて抑留されていた。そしてそれが敗戦とともに帰ってくる、あるいは交換船とともに帰ってくる。あるいは中国、満州、ソビエトの抑留者の人たちも苦労をされたと思います。苦労をされたと思うのですけれども、やはりこういう類似の場合には、厚生省としては考えてやらなければならないのではないか。われわれとしてはこの差があることを憂える、ひとしからざるを憂えなければならぬと思うわけであります。従ってこの四年の間に何とかしてこういう人々が――生活のいい人はなんだけれども、非常に生活に困っておる人もある。国策としてわれわれは海外に雄飛したけれども、こっちに半強制的に帰ってきて同じ取り扱いをされないことは不公平じゃないかと言われることはあたりまえだ。ところが法の制定当時数が比較的に中国、台湾、朝鮮あるいはソビエトから帰られた人々のグループよりも非常に力が弱かった。あるいは法制定当時立ちおくれた事実がある。従って毎年々々厚生大臣に対してずいぶん陳情をされておる、こういうように聞くわけです。そこで私たちは、こういう人々は全体の数が八千人あるいは的確に適用されるならば四、五千人になるのじゃないかと思われますが、こういうような人々に対して法の平等なる恩情といいますか、対等の立場においてこれを処理してやることがいいというように考えるわけです。そこでこの法律が、さっきの説明では四年と言われましたけれども、もうすでにこういう人々は帰ってしまっておるのです。帰ってきてしまっておるから、従って外地の適用範囲外だとし、あるいは軍属で帰ってきた者は引揚者でないという法の限定がありますから、そこでこういう人々をそれと同格に、いろいろの三つも四つもの要件があるでしょうから、それを引揚者給付金等支給法の範囲内に加えるわけにはいかないか。こういうような問題については大臣の政治的な問題も要りましょうし、あるいは法の改正ということも必要だと思うのです。そこで援護局長の説明はわかりましたけれども、大臣の考え方はどうでしょうか。
#82
○古井国務大臣 今だんだん伺っておりまして、事情まことにごもっともな辺も大いに伺っておったのですけれども、やはりどこかに一応線を引かなければならぬというところで今のようなことになっておるのではないかと思うのであります。つまり敗戦という環境の中に帰ってきたということが一つの線になっておるのじゃないかという、ふうに、先ほど来のお話や局長が申しておりますところを聞いておりまして、気がするのであります。それなら次にワクがどういうふうにはめられるか。あいまいなことをしておくと、これこそまた甲の人、乙の人ということで不公平なことが起こりますし、一つの線の引きどころはどこにあるかということがあるのじゃないかと思うのであります。そこで私もすぐここで軽率に右左ということは申しかねますので、よくまた研究させていただきたいと思います。ここですぐさま右左を申し上げる判断もつきませんし、研究させていただきたいと思います。
#83
○五島委員 いきなり大臣にきょうどうにかするとか、どうとかできぬかというようなことを――ここではっきり大臣が、それは気の毒だ、おれは近ごろ大臣になったのだけれども、そういうような問題もよく知っているから、何とか考慮してできるようにしたいというようなことを私は言ってもらいたかったのでけれども、それは突然ですからここで大臣が明らかに言われることはなかなかむずかしいとも思います。しかしどこかで一線をしぼらなければならぬということなんですか、同じく国民として外地におっていろいろ苦労をし、あるいは自己の意思に反していろいろの移動があった。そうして生活の本拠を失なった。帰るときは身体検査までやらされて、ここでは言えないことですけれども、あらゆる身体検査をやられたりして、持ち物は一つも、財産も凍結でなくなっている。こういうようなことをしてやってきているにもかかわらず、あるいは数十年も外地におって帰ってきたにもかかわらず、しかも軍と協力をして日本の国策の運動に活動して帰ってきたにもかかわらず――あるいは国策会社の職員が六カ月ばかり南方の方に視察に行って終戦になって帰ってきたとすると、六カ月以上おればこれは適用されることになるのですから、そういうような人々は大体この給付対象になっておる。おれたちは五十年も、四十年も、三十年もおって全然ないのだというようなことは、やはり不公平のそしりを免れないのじゃないか。私は本法に異議があるものじゃない。従ってできるだけこれに該当した人々には完全に支給事務を完了してもらいたい。それから今申し上げましたように、南方からの引揚者でこの適用の対象外となった非常に気の毒な人々が数千人ありますから、このことについて急いで大臣の態度を出してもらいたい。非常に待望している、だろうと思うのです。そして全国に散らばって生活の苦しい人がある。こういうような人々に対して、大臣の御賢察によって一つ何らかの措置をしていただきたいと思うのです。これを希望して、質問を譲ります。
#84
○藤本委員長代理 田邊さんにちょっと申し上げますが、大臣は間もなく要務でお出かけになるから、大臣に御質問願えませんか。
#85
○田邊(誠)委員 一問だけ−…。他の質問は後日に譲りまして、在日朝鮮人の帰国の問題についてお伺いいたします。
 たしか五十四船まで帰国を取り運んで参ったのでありまするけれども、五十五船、五十六船が新潟に参っておるときに朝赤の方から、何か悪性のインフルエンザが蔓延しておるので配船を取りやめる、こういうことになったようであります。私も実はその真意が那辺にあるかわかりませんけれども、しかし事実でありまして、その後も日赤が四日に返電をし、再度配船をしてもらいたいという旨の要請をしておったようでありますけれども、そのまま中止をされておるようであります。従って七百三十六人の人たちが新潟に待機をしておる、こういう状態のようでありまするし、その後の帰国を希望しておる人たちも大体家を処分をしたり、財産を処分をしたりして待機をしておる。従ってその地方々々で非常に困っておるという話をわれわれ実は都道府県の知事その他から聞いておるのであります。これはもちろん日赤が主体でありまするが、厚生大臣としても事態をそのまま見られておくわけにはいかないというふうに思いますので、これに対してどういうような手段を日赤はおとりになり、あるいは厚生省全体として手当を講じられたか。あるいはまた今まで講じておらなかったとしても、早急の機会にやはり朝赤なりあるいは朝鮮なりと折衝して早期の開始を取り運ばなければならないのじゃないか。現在一体悪性のインフルエンザなるものがどういう状態になっておるか、もう終息しているから配船してもらっても間違いない、たとい向こうが衛生を盛んに考えたにいたしましても、帰国をしても大丈夫だ、こういう状態になっておるのか、その状況と、今後の早急の方策を一言お伺いしたいと思います。
#86
○古井国務大臣 これは日本側というより、御承知のように朝鮮側の方がインフルエンザ流行の点から配船をしてこない、こういうところで今ああいうふうになっておりまして、北鮮側の意思というものがこういうふうになっているもとであります。やはり向こうの方がそういう考え方になってくれない分にはどうしようもないわけでありますから、これはまた赤十字もいろいろ気を使うことと思いますし、向こう側との関係、赤十字の力ともまたよく相談しまして、今のままで宙ぶらりんにおっても困ることは確かに困るのですから、何かの方法が展開できればと思うのであります。
#87
○田邊(誠)委員 待機をしている人たちに対してどういう手だてをしておるかということです。
#88
○古井国務大臣 その点は局長の力からお答えいたします。
#89
○畠中政府委員 待機をしておる者は現在新潟では七百三十六人おります。が、これらの人々に対しましてはやはり一カ月くらいは滞在を余儀なくされるかもわかりませんので、われわれといたしましてはその人たちの援護については特段の注意をいたしております。衛生関係あるいは食事の関係等につきまして、十分な措置をいたすようにいたしておりますし、またレクリエーションの設備等につきましても、いろいろ考慮をしております。なお県で好機しておる方々のうちで、すでに荷物を送ったものにつきましては、これは国費でその荷物を郷里の方へ送り返しまして、配船があるまで待っていただくようにいたしております。
#90
○本島委員 大臣に伺いますが、この社会保障制度審議会の答申をきょう承っておいでになったはずですが、けさの新聞に報道された内容に違いかなかったかどうか、同時にそれを受けてこられてどのように考えられたか、この点をお聞かせ願いたい。
#91
○古井国務大臣 けさの新聞等と一字一句同じ意見かどうか、そこまでは調べておりませんが、大体同じことのように思っております。比べてまでは詳しく正確に見ておりませんけれども、大体けさの新聞と同じだろうと思います。
 それから、あれに対しての考えということでございますが、昼過ぎに私あの答申を受け取って、経過やあの内容の意味を伺いましたのですが、それっきり私もこの国会の方に来ておりまして、何をすることもできずに今の時間になっておるようなことでありますので、それに対してどうということを練ってみるいとまも、考えてみるようないとまもないような状態でありますから、ここではまた申し上げるようなことも一ありません。ただ非常に苦心をして、熱心に審議をして、夜おそくまで会議をやってよこしていただいた苦心の作であります。それで、御承知のように関係者も非常に広いのであります。これには医師会の方の代表者も入っておるし、それからまた支払い側の方の代表者も入っておるのみならず、衆参両院から与野党双方の方もお入りになっておるというようなわけで、いわば各方面の代表を網羅した審議会でありますが、そこで全員一致でとにかくまとめた案だということであります。なかなか苦心の作だと思うのであります。そこであれを拝見したところでは、あの趣旨は非常に貴重なものだと私は思う。できるだけあの趣旨を忠実に具体化して、そして皆さんの方の御審議をまた願うようにいたしたい、こういうのが大体の今の考えであります。
#92
○本島委員 その気持はよくわかるのです。が、要は中央医療協議会の方に医師の方々が参加されて、軌道に乗った運営がされていくかどうかということにかかってくるだろうと思います。端はそこに発しておるわけですから、そういう点について十二分に考慮を払われて行動されないと、また第二の大きな問題を引き起こしてくる危険性もあり得ると思うわけであります。同時に昨日予算分科会で質問をいたしましたが、大臣から答弁がなかったように記憶いたしますが、この間、医師会の方々が、十年たつと所得倍増だというけれども、池田内閣の所得倍増は医師会にとっては半減だ、倍増どころでなく現在の半分になるのだということを強く主張されておったようであります。そこで私は疑問に思うわけですが、この皆保険ということになってきたときの基準として、一体日本の医師は現在の人口でどの程度の数があればうまくいくのかということを一応考えられたのではないかと思います。外国の例では、大体四、五人の患者を持っておれば医師は成り立つということになっておるそうですが、日本の場合にはどういう基準でお考えになっておりますか。これなくして皆保険に突入ということはなかったはずですから、現在の医師が足りないのか余るのか、あるいは将来こういう問題は医学の生徒、いわゆる学校に進学する子供たちにもさっそく影響してくる問題であるだけに、大臣どうお考えになっておるか一つ聞かせていただきたいと思います。
#93
○古井国務大臣 皆保険と申しましたところで、医療機関が適正に分布しておらなければ、地方によっては一向医療が受けられないというようなことになるのでありますから、医療機関の適正な配置、分布ということは大へん大事だと思うのであります。今のお医者さんの数が多いか少ないか、足りるか足りないかということは、これは私も自信を持って申し上げられませんが、ただ全体の数が足りないというよりは、偏在しておるのじゃないか。あるところにはたくさんおられるし、ないところにはない、これがむしろ問題ではないかと思います。このことは、そう簡単に行政的にどうこうできるものではありませんから、やはり引き合わないところ、あるいは不便なところは、なるべく公的な診療所とかいうことを考えて、それで補っていかなければならぬと思うのであります。その結果診療機関も、税状よりもふえるということもあるかもしれません。多いところを間引いて減らすということがむずかしいですから、むしろ偏在の問題か中心になるのじゃないかと思います。ただ数については、きょうの今、数が非常に足りないということは言えないと思います。これを今の医療費の問題との関連で申しますと、この医療費の問題は、午前中にも申し上げましたように、医療協議会だけにすべてがかかっておったのではむずかしい。大体ルールなしに協議会で争っても切りがない。共通のルールを持たないといけないわけでありますから、そこでルールを確立する機構というものを考えなければいけない。その機構においてルールをきめますときに、医療費というものはこういうふうにして算定していくべきであるというそのあり方を考えて、そうして算定していくルールをきめてもらおうというふうに考えますので、所得倍増との関係も、このルールの立て方によって、えらくまずい結果が起こらぬようにできると思うのであります。これが所得倍増に取り残されるようなことがあってはいけないのでありまして、今のようなルールの問題としてそういうようなことにならないように、取り残しのないようにしてもらいたい、こういう考え方を持っておるのであります。
#94
○本島委員 これは適正配置のことが問題にされたときにも出たのですか、ここが一つ問題じゃないかと思います。偏在しているという考え方、と同時に将来の医療に対しては大体見当がつくはずだと私は考えるのです。この間も、社会党さんは統制医療を考えているんじゃないかといっていろいろ問答があったようでしたが、一応そういう保険経済の奴隷からの解放だというような言葉が出てくるのは、こういう根本的な考え方、施策というものがないために生まれてくるんじゃないか。これはどんなに単価を引き上げてみたところでこの問題はつきまとってくると思う。やはりこういう点の一つの構図というものが厚生省になくちゃならない、こう思うわけなんです。それはあとで厚生省の方に答弁していただきますが、時間の関係で関連の河野先生に譲りますが、そういう点、いつまでもこれがひっかかってくるわけですから、この問題は今後しかと考えてみてほしいということを大臣に希望いたしておきます。
#95
○河野(正)委員 午前に引き続きまして、時間もございませんし、委員長のお言葉もございますから、そこで二つの立場から一、二の点だけ御質疑を申し上げまして御所見を承っておきたいと思います。
 その第一は、午前中の質問後社会保障制度審議会の大内会長とお会いになって、なるほど文字の上では、新聞紙上に出て参っておりまする文字と大同小異だったと思いますが、ただそれにつけ加えて、いろいろ御説明なりあるいはまた意見なりというものが開陳されたと考えるわけです。そういう上に立って、さらにこの医療問題の解決に対して明るい見通しに立たれたかどうかということをまず第一点としてお伺い申し上げたいと考えております
#96
○古井国務大臣 あの案ができまするまでには、ずいぶんあの審議会の中で、あらゆる人が腹蔵なく意見を述べられて議論をされたあげくのようでありまして、ああいうふうにまとまりました線というものは、さっきも申しましたように全会一致でありますし、またとにかく世論全体も、新しい医療協議会ができるなら、もうそこで医療問題をやったらよかろうというのがその空気でもありますから、大内さんにお目にかかって伺ってみて、非常に心配だという感じは私は起こらないのでありまして、依然として大きに望みを持ち続けておるという状況であります。
#97
○河野(正)委員 大きに望みをお持ちになったということでございますが、私どももそうあることを期待するわけですけれども、しかし私どもがやや悲観的な見方をいたしておる点も十分お聞き取り願いたいと考えております。
 第二点としてお伺い申し上げたいと思いまする点は、これは午前中に御指摘申し上げましたように、医師会の方針としては、明後三日には保健医総辞退という方針を決定いたしました。非常にせっぱ詰まった段階だと考えております。ところが御承知のように医師会は医師会としての筋を通そうという努力をやっておるようでありますし、厚生大臣は厚生大臣としての一つの筋を通そうということで、いろいろこの問題の収拾に臨んでおられるようでございます。そこで物事の筋を、それぞれの筋を通して解決することができるなら、これはもうとっくの昔に解決しておるはずです。今日なおこの問題が紛糾を続けて解決の糸口が見出せぬということは、今申し上げまするようにそれぞれの筋に食い違いがあるということだと考えております。そこで私は、大臣がしょっちゅう言われておりますように、今日の問題、さらには将来の問題、こういうふうな表現で御見解を出されておりますが、今日の差し迫った段階でございますから、今日の問題は今日の問題、将来の問題は将来の問題というふうに切り離してこの問題を処理する御方針があるかないか。私は今日の問題を解決するためには、今日の問題は今日の問題として、大臣が大臣の職責を通じて勇気と決断をもって解決する、将来の問題については、大臣がしばしば当委員会においても見解を発表されておりまするように、中央医療協議会なら中央医療協議会という一つのガラス張りの中で解決していく、私は今日の段階ではそれしか方法がないのじゃないかというふうに考えるわけです。と申し上げますのは、たとえば自民党三役と両医師会との間で話が取りきめられましても、それが実際に中央医療協議会の中で消化ができないということになりますと、これはから手形を発行したということになって、また非常に大きな問題をかもし出す危険がある。これは御承知の通りであります。そこで私は、やっぱり今日の差し迫った段階でありますから、今日の問題は今日の問題として、大臣の責任において勇気と決断によって解決する、将来の問題は将来の問題として、筋を通して解決する、こういう方、法をとられる以外に方法がないのではなかろうかというふうな考えを持つわけでございますが、この点はいかがか、一つお尋ね申し上げて、自後は次会にお願いをいたすことにいたしたいと考えます。
#98
○古井国務大臣 お話しのように、今後の問題も、また今日の問題も、どっちも重要であるわけであります。そこで今日は今日、今後は今後という考え方もあるかもしれませんが、今日の解決にもなり今後の解決にもなる、ここを一番望むわけであります。できることならだれもそういう考え方になるはずだと思います。その点には、私はまだ望みを捨てておりませんので、私が申しておるのは、つまり医療協議会というものを無視して、話し合いというか、取引ということだけでも一のがきまるといういき方を続けておっては、将来もう泥沼に入ってしまう。やっぱり家の中というか、つまり話し合いの場においてものをきめるといういき方にここで乗せなければいかぬ。乗るか乗らぬか、必ずしも乗らないといってしまうのは、これはちょっと何か心配が大き過ぎると私は思うのであります。ただ、はずれておったものを乗せるのですから、一通りじゃありません。乗せるのに、ただじゃない、なかなか一通りも二通りも苦労が要るわけでありますけれども、その軌道に乗せるということは、私は今回のことの処理からやっぱりしていきたいものだと思いますし、それがもう望みがないのだというふうには私は思っておらぬのでありまして、そういうふうに、今日の問題と将来の問題の関係を考えておるのであります。
#99
○本島委員 そこで、予算は明後日あたりに衆議院を通過しそうだ、こういうことですね。そうすると、今の問題ですが、通過をしてしまったら、医師会の問題はどうなりますか。こういう点の話し合いがここ一両日につくかつかないかということ、こういうことが一点残されてくるわけなんです。
 それからもう一点は、医師会の主張を聞いておりますと、全面的改革とこう言っているんですから、全面的改革ということになれば、当然医療制度の欠陥というものを是正しろということになるわけです。そこで、今度の答申案に基づいた一つの機関ができるとするならば、屋上屋じゃないかと午前中質問したわけなんですね。そうした場合に、医師会がはたしてこの医療協議会に出るということができるか。それはどこで是正するか。この機構がかりにできたとしても、医師会は中央医療協議会の現在のあり方ではもう出席しないのだ、こう言い切っているのですから、そこの点を大臣はどう考えていられるか、この二点を承りたい。
#100
○古井国務大臣 予算の問題でありますけれども、予算が衆議院を通過するかしないか、これは衆議院自体がきめる問題でありまして、医師会と自民党の取引で予算を通すとか通さぬということをきめる問題じゃないですから……。
#101
○本島委員 通ったあとのことを聞いているんですよ、医師会がどう出るか……。
#102
○古井国務大臣 それは全部をひっくるめて、問題の解決とものを軌道に乗せるということをひっくるめて、今あの通りに自民党の三役も苦労してやっておるところでありますから、まだ続いておるのですから、あしたも会うといっておるのですから、そこの経過をごらんになっていただくことより以外にはないのであります。
 それから医師会が入るか入らぬか、木島さんは入らないと言い切っておるじゃないかと何べんもおっしゃるが、その後の自民党三役との会談の経過は、ことにこの前の火曜日の会談の経過は、入ることを考慮するという意向が出ておるのですから、それが一番新しい話なんですから、そこのところは言い切っているじゃないか、こういうお話だけで、それにきまってるというふうにはお考え下さらぬように。それだから何べんもああして会ったり苦労してやっておるのですから、これはあのときに言い切ったじゃないか、こういうことできまるわけじゃないのでありますから、このように御承知願いたいと思います。これは午前中も本島さんと何べんも意見を交換し合った点でありますけれども、午前中の通りであります。
#103
○藤本委員長代理 島本君。
#104
○本島委員 委員長、私はまだ質問を終わってないんですよ。
#105
○藤本委員長代理 あなたは今関連でしたから、また後の機会に願います。
#106
○島本委員 今五島委員に答えられた南方の外国領土に在住して、今次戦争のために財産はもちろん、生活の根拠を失った引揚者に対して給付金の恩典に浴し得るように現行法の一部を改正してくれるようにという質問に対して、今後研究するという言葉があったのですが、私としてはそれはまことにけっこうだと思う。ただいま五島委員に対して大臣が答弁されたその研究を深める意味におきまして、次の一点だけを質問したいと思います。大臣も時間がないようですから、簡単に率直に答えて一下さい。
 これは以前から問題になっておりました北方の引揚者の季節労務者の分なのですが、カムチャッカや千島列島の漁場で働いていた季節労務者に引揚者給付金を交付するかどうか、これが以前から問題になっておったわけです。こういうようなことにつきまして、われわれも、どうしてもこれは支給してやるべきだというふうに考えておったのでありますけれども、今回はこの季節労務者にも一般引揚者と同様の給付金の交付をすることが妥当であるというふうに厚生省の方ではもう態度をおきめになって、すでに事務手続を進めることになっているのだということを聞いているわけです。そういうようなことからいたしまして、これは当然いいことでございますから、北の方がそうならば、南の方も一緒に全部均霑して浴し得るようにしてやるのが厚生行政のきめのこまかいところであろうと利は思っております。北方の方ではこう考えられた以上、当然南の方の、今五島委員が要請し大臣が考慮すると言ったこの研究も大いにこれを実施の方向へ向かって踏み切ってもらいたいのだ、こういうふうに思うわけなんです。従って皆さんの方で態度を決定されたこの北方の季節労務者の支給が幾らなのか、支給対象はどうなのか、この二点について具体的に御答弁願いたいと思います。
#107
○古井国務大臣 局長からとりあえず答弁いたします。
#108
○畠中政府委員 北方の季節労務者に引揚者給付金を交付するお話でございますが、これにつきましては、現在歯舞、色丹に出かせぎに行っておったものにつきましてはすでに適用してございまして、今お話のありましたのは千島列島に行ったものでございます。歯舞、色丹の方が約二千名でございまして、今度適用したいと考えておりますのが大体四千名ぐらいでございますが、そのうちではっきりわかっているのが約三千名でございます。
#109
○島本委員 金額は。
#110
○畠中政府委員 概数でございますが、およそ二千万円から三千万円程度だと考えます。
#111
○島本委員 大臣の方では、その答弁をもって大臣答弁であると聞いてもいいということを黙認して行きましたから、確認して行きましたから、皆さんの方でもそのつもりで、大臣の意気をもって答弁しても一らいたいと思います。
 今の問題でだいぶわかりました。私の方としては、この支給対象がいわゆる千島列島、それは当然カムチャッカも入るものである。そうすると現在の支給対象は、皆さんの方で考えておる通りにやると、もうすでにその人たちは一定の場所にいないのが事実ですから、方々に散在しているのじゃなかろうか。四千人のうち現在明確なのは三千ぐらいだとしますれば、あとの一千人ぐらいの件について、大体これを確認し得るのかどうか、またその方法等についてはっきりしためどがおありなのかどうか、この点もまずお伺いしておきたいと思うわけです。
 私の方ではこれと同様に、皆さんの方でも十分にお考えのある問題だと思うのですが、北方の方では季節労務者の分もこのように考えておられるのであるから、南方の方も大臣は十分考慮して進める、こういうふうに言っておりますから、これとあわせて調査を大いに進めてもらいたい。また支給の態度に踏み切って、大臣の方へデータを差し出すようにしてやってもらいたい、私はそういうふうに考えております。まあ大臣もあなたにそれを一任して行ったようですから、この点も十分考えて御答弁を願いたいと思います。
#112
○畠中政府委員 千島列島方面の季節労務者の数が把握できるかどうかということでございますが、これは先ほど申し上げましたように、大体三千名はわかっておりますし、その後県の方でいろいろ調査をしておりますので、明確には申し上げられませんが、おそらく判明するのじゃないかと思われます。
 それから第二点の南方から引き揚げた方々でございますが、これは先ほど大臣の御答弁がございましたので、さように御承知願います。
#113
○島本委員 大臣の言う通りだとすると、これは当然支給するという立場に立って考慮し、研究を進める、こういう意味にわれわれは解釈しておって、大臣もそれで首肯して帰りましたから、そう確認してよろしいか。
#114
○畠中政府委員 先ほどの大臣の御答弁は、今ここで右左にできないので、そういうふうに検討したいというふうにお答えになったのじゃないかと思います。それを法を改正して適用するというところまでお話しにならなかったと思います。
#115
○島本委員 右左じゃないのです。北の方がはっきりした、残るのは南方だけだから、半分きまったということになる。それならばその上に立って踏み切って、もうすでにこの研究を深めて支給の準備を進めるんだ、こういうような意味に解してもほぼ差しつかえないような段階に質問並びに答弁がきてしまった。これが厚生行政のきめのこまかいところです。大臣はあなたにこれを要請していったと思うのですが、そういうように考えて研究をし、なおきめのこまかいところを現わすように、支給を考えながら調査を進める決意があるのかどうか、それを聞いている。
#116
○畠中政府委員 北方の季節労務者の関係は、現在の法律に適用できるかどうかという点でいろいろ疑問がございまして、それを調査いたしましたが、その結果本法に適用できるだろうというような見通しを持っております。ただ先ほどからの南方の問題は、これは終戦前の引き揚げでございますので、法律を改正しなければならぬということになるわけでございますが、これはここで先ほど大臣が御答弁になった通りでございまして、私からつけ加えることはないと思います。
#117
○島本委員 もの足りないけれども、まあそれ以上だめだというならば、この次に南方を残しておいて、北方の方が決定しましたし、あたたかい配慮をもってこれは研究するということをわれわれに十分言って聞かせるようにして、大臣の答弁があったことはあなたが聞いている通りわれわれは承知している。法律の改正の点ももちろんこれは含んでおるわけでございますから、その研究を十分進める、大臣の意に沿うようにもうすでにあなたも踏み切って、研究から支給の準備をするようにして、改正の準備をしていただきたい、こういうふうに要請して、これでやめます。
#118
○藤本委員長代理 本島委員。
#119
○本島委員 先ほど大臣に質問して残っている分ですが、医師の数、あるいは患者をどのくらい持てば成り立っていくのか、そういう点についてはこの次の委員会のときに譲ります。
 昨日予算委員会で私質問したのですが、午後十二時ということで、委員会の構成上どうしても打ち切ってくれということで、全然答弁がされていない問題について伺いたいと思います。
 これは実は売春防止法に関連して、厚生省予算があるわけなんです。その中で一点は、どうも売春防止法は性病が蔓延しておるのでこういうものはなくさなければいけない、前の赤線、青線復活というようなことを一般に流布されておる。従ってそういう点が大体厚生省あたりから煙が出ているというようなことを言われておるので、その点、大臣はどう考えるか、こういうことをお尋ねしたわけなんですが、そういう点厚生省あたりでは、今まで取り扱ってみて、その経験の上から、ざる法と言われているこの売春防止法についてどう考えておられるのかということをまず一点お尋ねいたします。
#120
○太宰政府委員 ちょっと御質問の趣旨を聞きそこなった点がありますが、現在の売春防止法につきまして、これをあとへ戻すというようなことについて、厚生省あたりから煙が出ているというお話でございましたが、もしそうでございますれば、私どもは現在の売春防止法を後退させるということは少しも考えておりません。いわんやこれを再びいわゆる赤線、青線区域というものを復活するというようなことは全然考えておりません。このことは厚生省のみならず、法務省当局も参議院で明確に御答弁しておりますので、いないと思いますので申し上げておきます。
#121
○本島委員 それで、ざる法だと言われておる点についての改正というようなことがしばしば言われておるのですが、そういう点について何か見解を持っていらっしゃるかどうか。
#122
○太宰政府委員 ざる法だと言われます点の一つは、私ども承知しておる範囲では、いわゆるひもの問題がどうも一番大きい問題であるように存じております。これをどういうふうにいたすかということにつきましては、現在主として法務省の方において検討しておる模様でございまして、今日直ちに御答弁申し上げるほどまでにはその検討は進んでいないように私は聞いておりますが、とにかく法務省において、ほかの点も何かあるのかも存じませんが、主としてひもの問題ということをどうするかということが一番大きな問題のように、その点を中心にして検討しておるように伺っておるのであります。
#123
○本島委員 法文についてのことは厚生省にお尋ねするのは無理ですが、要は厚生省としてはそれをゆるめるなんという考え方はなくて、むしろ進めていく、よりよく進めるために考えておる、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますね。
 そこで昨日もお尋ねいたしましたが、公衆衛生局の関係で、性病予防費補助金というものが減っておるわけです。大体四百十六万六千円減っておるわけです。これは売春対策としての性病予防費であるのか、全般的な性病予防費に対しての減になっているのか、どちらでしょうか。
#124
○尾村政府委員 これは全体の性病予防費でございます。売春だけ直接のという意味ではございません。
 それからもう一つ、ただいまので予算が前年度の予算に比べまして減っております。これは実は前年度の予算がさらにその前の年度の予算、三十四年度予算と比べまして減ったのでございます。これは私どもの方では、これによりまして極力性病患者の検診と治療、これが中心になる予算でございますが、これはむしろどんどんふえるべきだということで行政指導をやりまして、これは極力解消しておるわけでございますけれども、実際の実績がどうも出てこないで減る。これは景気がよくなって自費でやる傾向があるわけでございますので、これはやむを得ぬことでございます。従いまして年々その前年度の実績に若干の伸びをかけるという計算方式になっておりますが、それによりましてやっておりますので減ったわけでございます。
#125
○本島委員 そこで売春婦の場合は性病がふえておる、一般の場合は減っておるということを売春対策審議会で御報告になったわけでありますが、現にどのくらいのあれで罹病者という統計が出ておるでしょうか。
#126
○尾村政府委員 これは公につかめますのは、いわゆる性病予防法に基づきます医師の届出数によるわけでございます。これが唯一の一番正確な、具体的に公につかむ数でございますが、これによりますと、三十四年度梅毒が一万一千四百六十八名、医師から届け出られたのが、三十五年には一万百人に減りまして、約一割強減ったわけでございます。それから淋病は九千九百七十名でありましたのが、三十五年度には八千七百八名というわけで、約二割減少をいたしておる。軟性下疳につきましても、二百六十六名であったものが二百十三名に減った、こういうことでございます。もちろんこれは性病予防法に基、つきまして、売春婦を強制検診して発見したものも含まれております。そこで、売春婦の性病率はふえておるのにかかわらずこの総数が減っておるということは、売春婦のつかまる数、すなわちこれは実際に売春が減ったかどうかは別として、売春婦のつかまる数が前年より減りながら、実際の有病率がふえておって、それを総合いたしまして性病患者数の総数は減っておる、こういうことなのでございます。
#127
○本島委員 そこで、一応一般ではふえている、こういうし、統計上では減っている、こういうわけなんですね。それで、最初申し上げたように、売春防止法は廃止になるだろうという一つの原因が、性病が蔓延してきた、だから復活するんだ、こういう論法が世間に立てられているわけなんです。いずれにしても性病というのは恥ずかしい病気であるし、またかかってはならぬ病気だし、だから、そういう意味で、もうちょっとこの性病に対する徹底的な治療の普及とかなんとかということを工夫されてみたらどうか、そして届け出によってしかつかまえられない数ですが、感じとしては、世間で言うように、性病がふえておるかどうか。どうでしょうか。
#128
○尾村政府委員 ただいまのは法による正規の公の数でございますが、このほかに、実際にはその指標となりますのは、保健所の業務の中で、毎年数十万人の、いわゆる性病の一番正確な資料になります梅毒の血清反応を行なっております。たとえば妊産婦は必ず性病の有無について健康診断を受けるようになっております。これは強制ではございませんが、そういう法律がございます。これによりまして相当数が受けますが、これらの血清反応を年々見ております。それが年々減っておる。これは、青年団それから少年団というようなものも、集団的に、やはり全国的に、ある数、毎年同じような形で見ております。それから、あとは業態者といいまして、環境衛生法その他で取り締まられておるものが、従来の習慣で自発的にある程度血液検査を受けております。これは結核と同時に受けておるものが多いのであります。それによりましても一般的に年々減ってきておる。特にその減るのの顕著なのがここ三年ほど、一定の傾向で減っておりますので、国民には性病が増加蔓延しておるという証拠はなくて、むしろ若干ずつ減少の方の改善の傾向にある、
 こういうことが言えるわけであります。
#129
○本島委員 私どもも大体減っておると見ておるのですが、世間じゃふえておるという。特に男性の方々は、これを建前におとりになって、売春防止というのはけしからぬという論議に変わりつつあるわけなんです。そういうムードが生まれつつあるというわけで、非常に売春対策審議会でも問題になっておるわけなんですが、そういった点について、やはりある程度厚生省は明確に言っていただいて、そうじゃないんだ、こういう病気は減っているんだというようなこと、並びにそれにかからないようにする、感染源というものに対する徹底的な検診と治療という点に重点を置いていただいて、なおかつ予算が減らないように、恥ずかしいから医者に行かないというクラスの人たち、こういう人たちは低額所得層に多いわけです。これはだんだんその家庭に入っていく、そうして劣性遺伝なんというものも出てくるわけですから、そういう意味合いからこれは大きな仕事だと考えております。従って実際的には積極的な啓蒙活動というものが足りないのじゃないかというふうに考えるわけなんです。そういう意味合いから、ぜひとも来年度にはもっと大幅に予算をとって、何といいましょうか、巡回診療みたいな、ああいう車を回しながら、一つ徹底的に啓蒙をしてほしいと要望しておきたいと思います。
 それから、らい病のことについてちょっとお尋ねいたします。らい病は日本の内地では大体減っておりましょうか。
#130
○尾村政府委員 ずっと逐年減りつつございます。
#131
○本島委員 そういたしますと、これは法律も調べてみたのですが、あれは本人が医師に相談するとかなんかしなければ、自分が黙っておれば、その人に強制的に入院させるというような手は打てないようになっているのですね。それで通報というものがないので、密告というと悪いですが、たとえばあそこにらい病患者がいて、そうしてその方がどうも悪い状態であるということが大体わかっていても、それを他人が勧告して、そうして医師が強制的に見るという方法にはなっていないですね。
#132
○尾村政府委員 これはとかく秘匿されがちなのでございますけれども、しかし相当なそういう情報が入りまして、大体らいの疑い濃厚という場合には、これは検診ができるようにらい予防法でできております。ただし、その場合に、直ちに強制収容ということはできないのでございまして、それは他人に伝播のおそれがあるという場合でございまして、ただ直ってしまって手だけが曲がっておる、醜形を呈しておるというだけのことでは、直接強制は実際問題としてはできない、こういうことになっておるのでございます。
#133
○本島委員 そういたしますと、たとえば病院に入っていて直ったというので帰りますね。そこでもって、どうも発病しておるらしいということを近所の人々が言われますけれども、通報がない場合はだれも調べに来ないわけですね。こういう場合はどういう手続がとられますか。
#134
○尾村政府委員 通報といいましても、医師が届け出る場合と一これは義務になっておりますが、一般にそういうような風説が立つ、そういたしますと、保健所なり公の機関に入りますと、まず強制検診でなくて、いわゆる保健婦の衛生活動としての訪問をいたしましていろいろ相談をするわけでございます。そこでそういう専門的な人が見るわけでございますが、相当濃厚な容疑ありとすると、今度専門の医師を連れて検診をする、こういうことになるわけで、幾らうわさが立っておっても通報がなかったら手をこまねいて何もしないということではないのであります。
#135
○藤本委員長代理 本島さんちょっと待って下さい。お約束の時間が大へん過ぎたのですが、残余の質問は後に譲っていただいて、きょうはこの程度でやめていただけませんか。
#136
○本島委員 あと少しで済みますから……
#137
○藤本委員長代理 少しだけれども、もっとゆっくり後の機会にやっていただけませんか。お約束の時間はとうに過ぎておるんですが……。
#138
○本島委員 せっかくの機会ですから……。約束の時間といったって、今まで約束は守られていないん、だから……
#139
○藤本委員長代理 僕の場合は一つ約束は約束で守ってもらいたい。それならあと一問くらいで、簡単に願います。
#140
○本島委員 今の問題は、そういう風説があるんですが、そうすると、日本内地の病室は、今あいているんですか。それとも全部ふさがっておるんですか。
#141
○尾村政府委員 今国内に十四らい療養所があります。そのうちの十一は国立でございますが、国立に関する限り相当な余裕がございます。施設としては余裕がございます。ただ予算としては、毎年大体実際に入る人数に合わせまして患者の予算をとってありますから、すぐに多数を予算上入れるということにつきましては若干問題があるかと思いますが、入れものはあいておるわけでございます。
#142
○本島委員 沖繩の人々がこの間参りまして、実は沖繩は最近らい病が非常に多くなっておる。あそこにも一つできたけれども、とても収容し切れないので非常に難渋しておる。同じ同胞じゃないか、内地の病室があいておるのだから何とか手を差し伸べてもらって、内地の病院に入院する方法はないものか、こういう陳情を受けたわけですが、この場合どうなりましょうか。
#143
○尾村政府委員 これは前から話がございまして、同じ同胞であるからということで、日本としてもできるだけ、こちらに余裕があり、向こうが一ぱいならこちらに引き取ってやったらいいじゃないかということで研究を続けておるわけでございます。ただこの場合には、今のらい予防法の関係よりも、むしろ入国管理の問題としては、らい病を持っておる者はいわゆる入国できない法の規定になっておるわけでございますが、身分が沖繩の場合にはちょっと一般の外国人と違う、あるいは在外におった日本人が帰るのと違う特殊なケースなんで、何か打開の道がありそうだということで、これは今外務省と、実際に受け入れます医務局−国立らい療養所を予定しておりますが、われわれの方も加わりまして、できるだけ実現する方向に実は研究しております。先般その問題で日本側からも役所から現地に行きましたし、向こうの社会局長が昨年の秋来まして、私もいろいろ相談に応じまして、できるだけ実現する方向にいろいろと解決策を考えていこう、こういう話になっておりまして、今進行中でございます。
#144
○本島委員 これは人道上から見ましても、沖繩は内地人ですし、潜在主権があるといっても実際の主権がないというようなあいまいな沖繩になっておるのですが、こういう面からだけでも打開の道を見つけなければいけないのではないか。同胞として取り扱ってわれわれはものを考える。こういう形でアメリカ政府に対しましても一つ強硬な態度で臨んでもらいたい。ということは、アメリカの人々に、このらい患者に対する収容並びに治療ということをある程度要望したそうですが、それはアメリカの責任じゃないからできない、こういうことを言われた。そうすればどこからも突っ放されたという形において今蔓延しておるということであるわけなんですから、どうか一つこういう点−外務省は大体弱腰なんですが、そういう人道の面からしても、最も血のつながりの強い沖繩の人々のために、しかも内地の病院はあいておる、こういうことになるのですから、ぜひともこの実現を早急にやってほしいということを希望いたしまして、時間だそうですからこれでやめますが、なお質問が残っておりますので、次会にまた機会を得ていたしたいと思います。
#145
○藤本委員長代理 了承いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後六時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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