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1960/05/16 第38回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第32号
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1960/05/16 第38回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第038回国会 社会労働委員会 第32号

#1
第038回国会 社会労働委員会 第32号
昭和三十六年五月十六日(火曜日)
    午前十時三十七分開議
 出席委員
   委員長 山本 猛夫君
   理事 大石 武一君 理事 齋藤 邦吉君
   理事 藤本 捨助君 理事 柳谷清三郎君
   理事 小林  進君 理事 滝井 義高君
   理事 八木 一男君
      伊藤宗一郎君    浦野 幸男君
      小沢 辰男君    藏内 修治君
      佐伯 宗義君    櫻内 義雄君
      澁谷 直藏君    中山 マサ君
      松山千惠子君    赤松  勇君
      淺沼 享子君    大原  亨君
      河野  正君    五島 虎雄君
      吉村 吉雄君    井堀 繁雄君
      本島百合子君
 出席国務大臣
        労 働 大 臣 石田 博英君
 出席政府委員
        労働基準監督官
        (労働基準局
        長)      大島  靖君
        労働事務官
        (職業安定局
        長)      堀  秀夫君
 委員外の出席者
        専  門  員 川井 章知君
    ―――――――――――――
五月十一日
 委員本島百合子君辞任につき、その補欠として
 門司亮君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員門司亮君辞任につき、その補欠として本島
 百合子君が議長の指名で委員に選任された。
同月十二日
 委員島本虎三君及び田邊誠君辞任につき、その
 補欠として佐々木更三君及び山本幸一君が議長
 の指名で委員に選任された。
同月十五日
 委員倉石忠雄君辞任につき、その補欠として赤
 城宗徳君が議長の指名で委員に選任された。
同月十六日
 委員加藤鐐五郎君及び岸本義廣君辞任につき、
 その補欠として川島正次郎君及び一萬田尚登君
 が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
五月十五日
 あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法
 等の一部を改正する法律案(内閣提出第一九三
 号)(予)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 雇用促進事業団法案(内閣提出第八〇号)
 労働関係の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○山本委員長 これより会議を開きます。
 雇用促進事業団法案を議題とし、審議を進めます。
 質疑を許します。河野正君。
#3
○河野(正)委員 最近におきまする雇用、失業情勢というものが全般的に見て改善の方向をたどりつつあることは今日いろいろ言われておるところでございますが、一面におきましては、労働力の需給のアンバランスが非常に顕著となって参りまして、地域的に、あるいは産業部門によりましては、かえっていろいろ問題を起こしつつある点も、私は決して否定することのできない事実であろうというふうに考えるわけでございます。言葉を重ねて申し上げますると、目下いわれておりまするところの技術革新の進行に伴いまして、技能労働者がだんだん不足を来たすという事実も起こって参っておるわけでございます。また一方、技能労働者の不足が起こって参っておるわけでございまするから、従って求人難の事態が起こって参ることもまた否定することのできない事実でございます。しかしながらさらに一面におきましては、雇用の中に吸収される失業者の停滞が生じつつある事実もまたこれを否定することのできない点でございます。もちろん今回審議をされておりまするところのこの雇用促進事業団法案によりまして、今申し上げましたところの問題点の一部がそのことによって解決される、もちろん私どもは、そういう点も否定するわけではございませんけれども、しかし以上申し上げましたようないろんな問題点があるわけでございまして、従って本法案が今国会で成立する、そのことだけで今日問題になっておりますところの雇用問題が抜本的に解決されるというふうには考えるわけには参らぬだろうと考えるわけです。
 そこで私は、本来申しますならば所管大臣から、総括的な点でございまするから、御所見を承りたいと思いまするけれども、今日は欠席のようでございますので、そういった雇用問題の抜本的な解決方策、そういう点に対してどのようにお考え願っておりまするのか、まず私はその点に対しまして御所見を承っておきたいと考えております。
#4
○堀政府委員 ただいま御指摘のように、最近わが国の雇用情勢は、景気の一般的好調の影響を受けまして、全体としては順調に伸展しつつあると考えますが、その間に幾多の問題点があることは御指摘の通りでございます。そこで今回提案いたしました雇用促進事業団法案は、これらの雇用問題を解決する一環といたしまして、まずこの雇用促進事業団を設立して、政府の手の届かないようなきめのこまかな業務を実施するという考えでございますが、根本的な考え方といたしましては、これはまず第一に、言うまでもなく、わが国の経済を高度に成長させることを達成いたしまして、そして産業構造の高度化によって雇用の量的拡大と質的改善をはかる、これが根本的な考え方であることは言うまでもないところでありますが、これと並びまして、まず第一番目に、ただいま御指摘のように、技術者、技能労働力の不足ということが、今後の産業経済の伸展に伴いましてますます顕著になると考えられますので、職業訓練の拡充強化ということを積極的に推進いたしたいと考えておるわけでございます。
 それから第二番目には、労働力の流動性を確保いたしますために、労働省の職業安定行政組織を全国的視野に立って合理化いたしまして、そうして広域職業紹介というものを積極的に進めて参りたいと考えておるわけでございますが、その裏づけといたしまして、転職訓練の拡充強化、それから移住する労働者用の住宅を建設するというような措置を講ずるとともに、労働移動を阻害するような従来の企業の封鎖的雇用慣行というものにつきましても、漸次改善するような努力をしていかなければならないのではないか、このように考えております。
 それから第三番目に、低開発地域及び失業者の多発地域につきましては、大きな観点から産業立地というものを充実いたしまして、これらの地域におきまするところの雇用機会を造出するという努力もこれと並行して行なわなければならないと考えておるわけでございます。
 最後に、これはもう申すまでもないことでございますが、最低賃金制の樹立、社会保障の拡充等によりまして、雇用の質の改善をはかっていくということが必要であろうと考えるのであります。
 これらの根本的な考え方に基づきまして施策を進めて参ると同時に、その間において発生するところの摩擦というものを最小限にとどめていく、これらの基本的な考え方によりましてわが国の雇用を改善していかなければならないのではないかというふうに考えます。雇用促進事業団は、その間におきまして、労働力の流動性の確保、それから熟練労働力の養成という問題につきまして、政府の行政と表裏一体となりまして、裏づけを行なっていくように努力して参りたいと考えておるわけでございます。
#5
○河野(正)委員 雇用対策の基本的な四つの方針が今政府から述べられたようでございますが、もちろんその中でも第四点として述べられました社会保障制度の確立、この点は私もきわめて重要な点だろうというふうに考えております。われわれが実際に考えてみますると、雇用対策の抜本的な解決方策というものが、さきにいろいろと申し述べましたように、単に雇用促進事業団の設立のみによって解決されるものでない、この点は政府も、政府の行政機関と両々相待ってというふうなお説もございましたから、そのような理解に立っておられると思いまするけれども、私どもはむしろ、政府が今日の失業問題を無視することができなくなった、そういう追い込まれた立場、的に雇用対策の完璧を期していくというよりも、むしろいろいろな政策によって出されている失業者群の処理に対して無視することができなくなったそういう立場、もう少し言葉をかえて申し上げますると、消極的な立場から今日の雇用問題が考慮されておるのではなかろうか、こういう印象を強く持つわけです。と申し上げまするのは、今日の失業問題は独占資本の打ち続く合理化の結果である、しかもその傾向を政府の政策というものが助長しておる、私どもはそのような考え方を持っておるわけです。すなわち国家の政策が、さっき局長からも低賃金の問題がちょっと申し述べられたようでございますが、国家の政策が低賃金というものをまず解消する、賃金の切り下げを行なうことなく労働時間の短縮を行ない、そうして平和産業の全面的な発展と、先ほどもお説のございました社会保障の拡大、こういう問題が伸展をしなければ、実は真の雇用対策というものは期待することができないであろう。要するに、根本的に申し上げますと、今日の政府の政策というものを根本的に改めなければ、単に雇用促進事業団の設立、そういう小手先の政策だけでは、私は雇用問題を抜本的に解決する手段とはならない、そういうことを実は考えるわけでございます。政府としては、さっき申し上げまするように、非常に消極的の立場ですから、どんどん失業者が出てくる、現実の問題としてその失業者を何とかしなければならぬじゃないか、こういう立場から本案が考慮されておると思いますけれども、しかし抜本的な解決策というものは、今申し上げますようにもっと深いところに根があるわけでございますから、そういう深いところの根に対する政策というものを考慮しなければ、私は真の雇用対策の完璧を期するわけにはいかぬ、そういうふうに考えるわけでございます。その点に対してどのようにお考えでございますか、あわせて御所見を承っておきたいと考えます。
#6
○堀政府委員 雇用促進事業団を設立いたしました目的は、先ほど申し上げた通りでございます。ただいま消極的な見地からだけに立って設立したのじゃないかということでございますが、私どもはこの雇用促進事業団の設立によりまして雇用問題がすべて解決されるというふうには毛頭考えておりません。しかしながら雇用促進事業団を設立いたしましたのは、そのような消極的な気分で作ったということではございませんので、やはりわが国の産業経済が今後いかに伸展していくかということを考えました上におきまして、その間において労働力の流動性の確保と職業訓練の充実、この二つの問題を積極的に遂行していかなければ、わが国の雇用問題を解決する基盤が醸成できないではないか、同時にわが国の経済の高度発展を達成することができないのではないか、このような観点から設立したものでございます。従いまして雇用促進事業団が設立されますれば、そのような点からの雇用問題の解決には貢献するところが多大であると考えます。ただしかし雇用促進事業団の業務の運営だけでは、御承知のように日本の雇用問題の全般的な解決にはならないことは当然でございまして、これと相待って政府の施策の積極的な推進をはかっていくということが必要であろうと考えております。
     ――――◇―――――
#7
○山本委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を行ないます。
 質疑を許します。赤松勇君。
#8
○赤松委員 この際労働省にお尋ねしたいのですけれども、今社団法人の全日本検数協会、いわゆる全検協会というのと、さらに日本貨物検数協会、日検ですが、公益法人としてそれぞれ設立をされまして、船舶貨物の荷揚げの際に、荷主及び船主より依頼を受けて、個数の計算、貨物の受け渡し業務の代行を行なっております。通常全検は荷主側、日検は船主側としての業務の内容のもとに、経営されておるわけであります。ところが本来業務の性格の違う、いわゆる港湾運送事業法によってきめられておるところの荷主側とそれから船主側、この受け渡しについていわゆる全検協会と日検が、それぞれ荷を渡すものと受け取るものと一人にしているわけです。従って同一人が荷物を渡して、そうして荷物を受け取る、こういうことが公然と行なわれておる。これは私は今から運輸委員会に行きまして港湾局長に質問をしますけれども、労働省にお尋ねしたいのは、過去六カ月間において、いわゆるダブル検数といいますか、ダブル検数の口数は、全検直接分が千九十三口、日検の下請分が千九百四十六口計三千三十九日あるわけです。従って一月平均五百六口のダブル検数を行なっておるわけであります。しかもここで問題になることは、しばしば組合側から申請するにもかかわらずいわゆる三六協定を結ばないで、超過勤務、オーバー労働をやらせておる、どんなに団体交渉をやろうとしてもそれに応じない。三六協定を結ぼうとはしない。当該基準監督署に向かっていろいろ陳情しても、当該基準監督署は受け付けようとはしない。こういう実情にあるわけであります。それからもう一つ職安法違反だと思われるのは、御承知のように労働者の募集にあたって、職業安定法第三十九条によると、通勤区域が原則であって、それから他府県よりの募集は当然労働大臣の許可を必要とする、これは三十六条にあるわけです。それにもかかわらず神戸におりまする後藤清次郎、これは未登録者ですが、これが検数業務の下請をやっておりまして、名古屋港がピークになると神戸から二十人ほど手配師を連れてきて、そうしてそれに毎月二十五日ごろから月末ごろまで検数作業を行なわせる。これは明らかに職安法違反であると思います。それからピンハネが行なわれておる。すなわち全検協会は、後藤に対して賃金を一括支払っておって、後藤は労働者一人当たりの日当五百円、賃金五百円、計一千円支給して、午後十一時までは五百円、翌朝までの夜間作業の場合はさらに五百円増しの賃金を支給しておる。いわゆる全検労働者の賃金は高卒十八才で日額三百四十八円、十年勤続して二十八才の労務者で七百二十八円、これを比較してみても、いかにピンハネをしておるかということは明瞭であろうと思うのであります。要するに、このような労働大臣の許可を受けないで、名古屋港のピーク時に神戸の資格を持たない者が手配師を連れて名古屋にやってくる。そうしてそれが終わればまた神戸に帰っていくというような状態で、神戸の全港湾、名古屋の全港湾などで、非常に問題になりまして、そうして全港湾の本部もこれをしばしば運輸省に陳情しておるけれども、運輸省はその監督行政をやろうとはしないので、どうしても国会で取り上げてくれというのでありまして、けさから実は二時間ストライキを打っているわけです。それはこの検数問題と同時に、週一日休みを与えろ、こういう要求なんです。御承知のように国際的な常識は、今や週四十時間、二日休みというのが常識化しつつあるにもかかわらず、最も近代的な港湾において、港湾労働者は週一日の休日を要求してストライキを打つ、あるいはこういうような違反行為に対してこれを是正するためのストライキを打っておる、これに対して労働省の方はどのような考えを持っておるかをお聞きしたい。これは基準局長、職安局長それぞれにお聞きしたい。
  〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕
#9
○堀政府委員 基準局関係につきましてはあとで基準局長からお答え申し上げますが、港湾労働の問題につきましては、御承知のように最近いろいろ問題がありまして、その改善をすみやかにはかっていくことがぜひ必要であろうというふうに私どもも考えておるところでございます。ただいま労働省に、労使公益の三者側から成りますところの港湾労働協議会が設置されておりますけれども、この港湾労働協議会において三年ばかり前に労働大臣、運輸大臣に対しまして、港湾労働の近代化に対するところの意見が提出されておるわけでございまして、労働省、運輸省といたしましては、その内容につきまして、これをなるべくすみやかに実現させていくように努力をしておるところでございますが、まだものによりましてはなかなか目標に到達できない面もあるわけでございます。そこで、実は先週の金曜日でございますが、本年度第一回の港湾労働協議会を開催いたしました際におきましても、港湾労働協議会の労働側委員からいろいろな問題点が提示されました。その中には、ただいま指摘されましたところの手配師の問題、中間搾取の問題等につきましても問題があるのでこれをすみやかに改善する方向に持っていきたい、こういう希望があったわけでございます。そこで港湾労働協議会におきましては、これらの問題を一括いたしまして、前に港湾労働協議会が政府に対して提出いたしました意見の目標にすみやかに近づけるために、現在まだその目標に到達しておらないような面につきましては、その具体的な改善方策を協議しようではないかということになりまして、港湾労働委員会に小委員会を設けまして早急に結論を出すように話がまとまったばかりのところでございます。労働省といたしましては、この港湾労働協議会の小委員会の意見を十分尊重いたしまして、この現在起こっております問題点の改善に努めて参りたいと考えております。なお職安法違反に明白に該当するような問題につきましては、これらの小委員会等の審議を待たず是正させたいと考えておりますので、ただいまお話しの具体的な点につきましては、私はまだ報告を受けておりませんので、さっそく調査いたしまして、それによって善処いたしたいと思うわけでございます。
#10
○大島政府委員 ただいま御指摘の港湾荷役業界における基準法三十六条違反の事案につきましては、もちろん厳重に監督、処置をいたしたいと思います。港湾荷役業界における労働条件は非常に困難な問題がございますが、先月全国の基準局長会議において私からも、監督の重点として港湾荷役の監督を命じております。御趣旨の通り厳重に処置いたしまして御期待に沿いたいと思います。
#11
○赤松委員 港湾労働協議会が発足いたしまして、そこで絶えず港湾労働者の労働条件の問題等につきまして相談されておることは承知しておりますし、これは港湾労働法の制定の問題と関連いたしまして生まれてきた問題でありまして、これも強力に進めていただきたい。
 ただ、私はただいま具体的に後藤清次郎という名前をあげたわけでありますけれども、現実にこういう職安法の違反が行なわれておる。しかも、組合がこれを指摘しても現地においては処理できないということなので、これはもちろんすみやかに現地を調べてもらって、それと同時に厳重に一つ処分していただきたい、そしてこの委員会にぜひ報告していただきたいということを希望しておきます。
 なお、基準局長の御答弁では、三六協定違反については厳重に処置するというお話でありますが、これも十分現地を調べてもらいまして、すみやかに本委員会に報告していただきたいと思います。
 以上です。
     ――――◇―――――
#12
○柳谷委員長代理 雇用促進事業団法案に対する質疑を継続いたします。河野正君。
#13
○河野(正)委員 先ほど雇用対策の抜本方策に対しまする御所見を承り、その中で、今日政府がお考えになっておるところは非常に消極的な点が強いのじゃないかという点を指摘をいたしたわけですが、実は、今日の雇用対策に対して基本的にどういう態度を持っておられるかということが、ひいてはもろもろの雇用対策に対して大きなる影響力を持つわけでございます。すなわち、今度の雇用促進事業団の設立によってある程度雇用が促進されるということは事実でございましょう。しかしその促進されるということが事実であったといたしましても、それに対する評価の仕方いかんによっては、なお大きなる問題を残す危険性が当然生じてくるであろう、そういう考え方から、私は、むしろ今日の政府の態度は消極的に過ぎるのじゃないかということを実は指摘を申し上げたわけでございます。と申し上げますのは、この雇用促進事業団法におきましては、成年労働者あるいは失業労働者に対して、技能の修得及び向上等、職業技術教育のためいろいろと援助業務を行なわれる、この点私どもも賛意を表することにはやぶさかでございませんが、しかし私どもが要望いたします点は、促進ということじゃなくて、むしろ就職について完全な保障が与えられるということが私どもの一番強い要望であるわけです。なるほど今度の雇用促進事業団法によって促進されるでございましょうけれども、しかし、法案のどこをながめて参りましても保障するということは明らかにされておらない。そこで実は冒頭消極的だと言ったのは、この雇用用促進事業団法の評価の仕方いかんによっては、及ぼす影響というものが非常に大きいわけですから、そうすると、私はやはり雇用促進よりもむしろ雇用保障という方向に積極的に具体策を進めていただかなければならぬ、そういう意味から、実は回りくどかったけれども、どうも政府の考え方は消極的ではなかろうか、こういう指摘の仕方をやったわけです。
 そこで、今申し上げますように、私どもの願いというものは、雇用促進よりも雇用保障ということに私どもの目標があるわけでございますので、そういう方向に対して今後どのようにお考え願えるものかどうか、その点に対しましての一つ御所見を承っておきたいと思います。
#14
○堀政府委員 御指摘のように、終局の目的は安定した雇用を保障するということにあることは、言うまでもないことでございます。そこで現在の状況を考えてみますときに、たとえば炭鉱離職者に例をとってみましても、結局受け入れ地におけるところの需要は相当あるにもかかわらず、実際に移動することがなかなか困難であるというような状況があるわけでございます。そのためには、やはり受け入れ地におきますところの転換先の住宅問題を解決するということが、当面の最も大きな問題であろうと考えておるのでありまして、この点について、さしあたりこの事業団においてまず重点的に住宅問題の解決に向かって努力を進めて参りたいと考えておるわけでございます。また炭鉱離職者に限りませず、たとえば駐留軍関係の離職者等の諸君におきましても、やはりその転換する場合にあたっての住宅の問題あるいは移転費用の問題というような点がいろいろ障害になっておるわけでございます。雇用促進事業団におきましては、単に炭鉱のみに限らずに、たとえば駐留軍というような離職者につきましても、これに準じた援護を行なって参るということを考えておるわけでございます。また再就職しようとする方につきまして、必要があれば資金の貸付であるとかあるいは身元保証であるとか、そういう問題も考えておるわけでございます。これらのこととあわせまして、実はこの配置転換の際におきましていろいろ問題になっておりますのは、やはりたとえば広域紹介業務が単に机の上だけの連絡、電話だけの連絡ということによりまして行なわれる場合には、いろいろ食い違いも起きてくるわけであります。炭鉱離職者については、この四月以来現地におきまして、受け入れ地の職安の連中が現地に参りまして、現地相談を実施するというような方法を講じておりますが、この雇用促進事業団が設立されました暁におきましては、そのようなきめのこまかな対策も考えて参りまして、そうして配置転換が円滑に行なわれ、就職が保障されるという方向に進めて参りたいと考えております。
 なお、さらに将来の問題といたしましては、この専業団の業務を運営してみました上におきまして、さらに必要な点がありますれば、その後におきまして、さらに必要な措置を講じていくということで、事業団の業務の内容も年とともに、さらに改善、発展さしていく努力を続けていきたい所存であります。
  〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕
#15
○中山(マ)委員 関連してお尋ねいたします。私この間、炭鉱離職者が南米かどこかへ行ったというような出航の模様をテレビで見たと記憶しておりますが、そういう移民のこともこういう事業団でなさる御意思があるかどうか、この点をはっきりさせていただきたい。
#16
○堀政府委員 炭鉱離職者の移民の問題につきまして、私どももこの雇用促進事業団の業務の一つとして実施して参りたいと考えております。ただ移民業務自体は外務省その他の関係になりますけれども、移民をいたす際におきまして、その移民のために必要な予備的な講習と申しますか、そういうような点につきましては、現在炭鉱離職者援護会におきましても、九州の県営農場を借りまして、そこに委託してオリエンテーションをやっている例がございますが、これらの業務の内容をさらに発展さしていくという方向に進みたい。それから移転の際におきまして、この雇用促進事業団からも移民のために必要な費用の一部は、炭鉱離職者の移転費でございますから、移転費用として支出するというような方法も講じまして、海外への移民が円滑に行なわれますように事業団としても御援助を申し上げたい考えでございます。
#17
○中山(マ)委員 もう一点。今度の移民でどれくらい向こうへ出ましたか、どれくらいのお金をこれに与えられておりますか、伺っておきたいと思います。
#18
○堀政府委員 現在までに炭鉱離職者援護会におきまして、炭鉱離職者の方方が海外へ移民される場合に移住資金を支給しておるわけであります。その数が約二百でございます。それと同時に、福岡県の県営農場に委託をいたしまして、先ほど申し上げました講習を実施いたしたいと考えておりまして、すでに現在、正確な数はちょっと記憶しておりませんが、たしか三十世帯くらい実施しておるはずでございます。これらの業務をさらに今後発展さして参りたい考えでございます。
#19
○河野(正)委員 先ほど局長から、炭鉱離職者あるいは駐留軍離職者に対しますきめのこまかい施策の一部を御説明になったわけでございますが、しかし今度の促進法では職業技術の教育という面が非常に大きな分野を占めておるというふうに考えるわけです。ところがその職業技術教育と、先ほど申し上げました雇用保障というものが大きな関連を持つのではなかろうか。そういたしますと、現在行なわれております職業技術教育、技術革新によりまして技術というものがどんどん進んでおるわけでございますから、現時点に即応する最も新しい技術教育、このことが一番私は望ましいし、そうでなければ雇用保障を期待するというわけには参らぬというふうに考えるわけです。今私どもの仄聞するところによりますと、事業団に含まれる職業訓練所の実態は、昭和三十三年の九月に制定された職業訓練法に基づきまして作られた総合職業訓練所が全国に四十カ所、定員が八千八百三十名ということでございますが、その訓練所の設備状況というものは、国が行ないます設備状況というものは二五%の充足率である、そういう現状でございます。これは直方の例であるそうでありますが、屋根はあるけれども中にあるのは八十年前の旋盤機械が据え付けられておる。これでは、そういう古い施設の中でたとい教育を受けたといたしましても、その卒業生は新しい企業に吸収されるというわけには参らぬでありましょうし、そのことがひいては中小企業の低賃金というワク内に押し込められるという危険性が当然生まれてくる。こういったおざなりの訓練が行なわれるようでは、政府がいかに雇用促進を宣伝されましても、実際には仏作って魂入れず、絵にかいたもちに終わってしまって、真の実というものはなかなかあげにくいのではないかというふうに考えるわけでございますが、こういう現況をどういうふうにお考えになっておりますか、一つ伺っておきたいと思います。
#20
○堀政府委員 職業訓練施設を充実させることによりまして職業訓練終了者の就職安定の完璧を期することができるということにつきましては、私どもも全く同感でございます。現在総合職業訓練所及び一般職業訓練所におきまして転職訓練の割合を高くいたしまして、そしてこの対象人員をなるべく拡大して参りたい考えで進めておるわけでございます。今御指摘のように、その施設がまだ不十分であるという点は私どもも率直に認めるものでございます。ただ総合職業訓練所と一般訓練所を比べてみますと、総合職業訓練所の方は比較的整備率は高いわけでございます。しかしまだまだ私どもの目標としておるところからは遠いわけでございます。この雇用促進事業団が設立されますと、総合職業訓練所は雇用促進事業団が経営することになるわけでございますが、昭和三十五年度におきますところの総合職業訓練所の機械の整備率は六六%という報告が参っておるわけであります。本年度におきましては、総合職業訓練所につきまして、機械整備費につきましては約五億九千五百万円を計上いたしまして機械の充足をはかって参りたい。昭和三十六年度においては大体整備率は七〇%を越すところになるだろうと考えております。これは年次計画を立てまして、昭和三十六年度を初年度といたしまして、昭和四十年度を目標に一〇〇%の整備をいたすということで進めて参りたいと考えております。一般の訓練所につきましては、これは御承知のように県営でございます。いろいろな関係がございまして、その設備状況は総合職業訓練所よりもさらに悪い状況でございますが、これにつきましても、本年度におきましては一般訓練所に対するところの機械の整備費も約一億三千万円計上いたしておりますが、これも年次計画を立てまして、目標とするところの整備率に近づけて参るように措置をして参りたい、かように考えております。
 この職業訓練所の数及び内容の充実問題につきましては、先生御承知のように、いまだその過渡期でございますので、その関係もありまして、まだ不十分な点が多いわけであります。しかし私どもは、職業訓練の充実発展ということは、今後のわが国経済を発展させる最も土台になるものであると考えておるものでございます。特にその中で転職訓練の問題につきましては、ただいま御指摘のような離職者の方々につきまして、就職を保障する意味におきまして最も重要な問題であると考えますので、職業訓練及びその中に含まれるところの転職訓練につきましては、年次計画を立てまして、この目標を達成するようにわれわれは今後さらに努力して参りたい。ただいま過渡期でございますので、まだ不十分な点はございますが、昭和三十六年度の予算におきましてもただいまのような措置を講じまして、足らない分はさらに努力いたしたい考えでございます。
#21
○河野(正)委員 ただいま三十六年度から四十年を目標として、年次計画によって施設内容の充実をはかっていきたいというふうな御答弁があったわけでございますが、先ほど申し上げますように、せっかく訓練を受けたけれどもその内容というものが非常に不十分である、一例でございますけれども直方の例を見ますと、八十年以前の旋盤機械が備え付けられておる、こういうことでありますと、技術革新によって科学技術というものがどんどん進歩する、そういたしますと、そういう企業の中に古い教育のものでは吸収されることが不可能だということは、これは論を待たざるところでございます。そのために雇用の門戸が閉ざされる、あるいはそのために中小企業、非常に劣悪な施設の企業の中に押し込められて低貸金であえがなければならぬ。こういうことになりますと、せっかく雇用を促進しようということでお考え願っておりましても、結果的には失業労働者というものが非常に不幸な状態に置かれるというようなことで、私どもはこの問題は非常に緊急を要する問題である、三十六年度から四十年ということでございますけれども、緊急にこの問題を解決していただかぬと、せっかく職業技術教育を受けましても非常に不幸な運命をたどらなければならぬということから、特に格段の御努力を願っておきたいと考えます。
 それからさらにこの職業訓練部門の前進のために考慮しなければならぬ問題は、今申し上げましたような施設設備の強化拡充という点と、それを指導いたします人の面という問題が、私は大きな要素になって参ろうと考えます。ところが職業訓練法の施行規則によりましても、基礎訓練の教導数というものが十名に一名、ところが現在基礎訓練を受けておりまする者だけでも八千四百九十名、そういたしますると十名で一名でございまするから、教導数というものは八百四十名前後にならなければならぬ。ところが、実際には三十五年の十月現在で六百九十名しかおらぬ、こういうことが言われておるわけでございます。そういたしますと、一方訓練所の設備、機械というものも不十分、これが年度計画で改善される、おそらくこの教導の問題についても、年次計画で強化されるということでございましょうが、この問題も早急に改善を願わぬと、せっかくりっぱな設備と機械というものが設けられましても、それを指導する面において非常に欠けるところがあると、これまた所期の目的を達成することができない。このことは明らかでございます。そういう点に対してどういうふうにお考えになっておるのか、人の面につきましても非常に重大でございまするから、この際一つ明らかにしておいていただきたいと考えます。
#22
○堀政府委員 職業訓練所の指導員につきましては、現在まだ不足しておるわけでございます。私どもは、やはり教育の中心といたしまして、指導員の充実確保をはかることが最も大事な問題であると考えておるわけでございます。本年度におきまして、御承知のようにこの四月の末から小平に中央職業訓練所を開設することになりました。これは職業訓練所の指導員の養成を計画的に行なうということを第一目標といたしまして開設いたしましたものでございます。すでにその対象人員も入所いたしまして、現在教育を開始したわけでございます。中央職業訓練所におけるところの指導員の養成というものが、これで初めて緒についたわけでございますので、これを今後さらに進展させて参りたいと考えております。
 それからもう一つ、この職業訓練所の指導員の待遇問題等につきましても、やはり最近民間における技術職員の待遇と関連いたしまして、不十分な点が多いわけでございます。本年度におきましては、実習作業手当というものを本俸の百分の七でございまするが、新しくつけることにいたしました。もとよりこれでも民間の技術職員と比べますと、まだまだそれは問題にならないのでございます。またこれを一緒にするというわけにはとうていいかない問題でございまするけれども、私どもはそういう待遇の改善の面につきましても、今後意を用いて参りたいと考えております。三十六年度の職業訓練所の指導員につきましても、約二百五十人を増員いたすような予算措置をいたしたところでございます。これも、今後におきまして、さらに年を追いまして、計画的に指導員の充実確保という問題について努力して参りたい次第でございます。
#23
○河野(正)委員 今御説明がございましたように、四月の二十日から中央職業訓練所が発足する。その訓練所で先ほど私が御指摘をいたしました指導員の養成訓練が行なわれるということになるわけですが、それも大体四年がかりで行なわれる。ところが、先ほど申し上げまするように、技術革新によって非常に技術が進んで、高度の技術というものが産業界で要求される。ところが、指導員が非常に不足をしておるにもかかわりませず、四年がかりで実は指導員が養成されるというふうなことでは、どうも間延びしたような感じを強く持つわけです。失業者もどんどんふえる。それからさらにそういう失業者というものがどんどん職業訓練を受ける。ところが、それを追っかけるように指導員が充実されていく、それを追っかけるように設備が充足されていくというようなことでは、どうもせっかく雇用促進事業団法が設けられましても、何か内容が伴わぬような印象を強く受けるわけです。なるほど三十六年度においては、今局長からも、二百五十人の指導員の増員というようなお話がございましたけれども、給与の問題、手当の問題等でなかなかそういう技術者を求めることが困難ではなかろうかというような感じを持つわけです。特に福岡県でも技術者というものがだんだん少なくなって参りまして、募集しても応募しない。そこで技術職員だけは福岡県は本年度は第二次募集をしなければならぬというふうに、なかなか技術者が求めにくいということは、同時になかなか優秀な人が求めにくいということに通ずると思うのです。技術革新で産業界の技術というものが非常に高度なものが要求される、ところが優秀な技術者というものがなかなか求めにくいということになりますと、せっかく雇用促進事業団法は作ってもらっても、その実績というものは非常に上がりにくいのではないかというふうな感じを持つわけですが、大体今のような年次計画である程度成果を上げ得るというふうにお考えになっておるのかどうか、この点もこの際一つ伺っておきたいと考えます。
#24
○堀政府委員 中央職業訓練所におきまする養成は始めたばかりでございますが、ただいま御指摘の四年間の訓練期間が原則になっておりますけれども、それとあわせまして、この秋からは短期訓練六カ月程度の養成も始めたい。その指導員になるべき人の前歴、経験等からいたしまして、その程度で指導員としての資格を備え得ることのできる方もありますので、この短期訓練も併用して参りたいと考えております。またそれだけでなしに、先ほどお話し申し上げました本年度の増員分の充足につきましては、中央訓練所の養成と並行いたしまして充実して参りたいと考えております。これは御指摘のように最近における民間一般の技術者の不足という大きな波がありますのでなかなか困難な問題でございますが、私どもはやはりその中におきましても、その場所とそれから訓練所の内容等によりまして、具体的にそれに適する人を探し出すということを個別的なケース・ワークとして行ないますれば、これは努力次第によりましては充足も困難な問題ではないと考えます。今月末におきましても、全国の職業安定課長、職業訓練主務課長の会議を招集しておりますが、これにおきましても指導員の充実という問題につきまして具体的な方法を考えるように、中央、地方が十分にひざを交えまして話し合って、さしあたり本年度の増員分につきましての充足問題につきましても具体的に努力して参りたい考えでございます。それとあわせまして、待遇の問題につきましてもさらに今後努力をしたいと考えます。
#25
○河野(正)委員 私はやっぱりそのことが一つの原因になっておると思いますが、地方にございまする炭鉱離職者特別職業訓練所、これについても、今日いろんな問題が起こってきておるわけです。先刻御承知だと思いまするけれども、福岡県の炭鉱離職者特別訓練所がことしの四月、入所募集をいたしましたところが、入所希望者が非常に少なかった。田川の自動車整備工は、定員が四十名に対しまして七十八名で、これは定員を上回っておるわけです。ところが田川の電気修理工、これは四十名に対して十二名、それから直方は八十名に対しまして五十一名、添田は三十名に対しまして二十八名。こういうように、田川の自動車整備工を除きました以外は、全部定員を割っておる。特に飯塚の訓練所では、板金、塗装合わせて、定員百二十名に対しまして四十七名の応募者しかなかった。こういうように、せっかく炭鉱離職者特別職業訓練が行なわれようといたしまするにもかかわりませず、失業者の方ではそっぽを向く、こういう事態が起こってきておるわけです。こういう事態がどういう原因で起こってきたのか、相当就職を希望しようという失業者がおるにかかわりませず、今のような現況である。こういう現況をどのように御判断になっておるのか。この点は非常に地方的な重要な点だと思うのです。これに対しまして、一つ御所見を承っておきたいと思います。
#26
○堀政府委員 昭和三十五年度を通じましての全国の炭鉱離職者特別訓練所の応募状況、それから就職状況等が統計になって出て参りました。それによりますると、昭和三十五年度におけるところの募集定員が四千六百三十名でございます。それに対しまして、応募者数は四千九百八十名ということになっております。私どもは全体として見ますれば、やはり応募者数の方が多いという状況になっておることを申し上げたいと思います。ただ御指摘のように、場所と職種によりましては、応募者が募集定員に満たないというようなところもあるわけでございます。これは非常にむずかしい問題でございまして、要するに、炭鉱離職者用の訓練所の職種内応につきましては、私どもといたしましては、いろいろな受け入れ先の状況等も考えまして、受け入れられやすいような、また訓練を受けやすいような職種を選定するわけでございますが、これに対して応募される方の、離職者の方の主観的な感じからいたしますると、必ずしもこれにそぐわない職種があるわけでございます。従いまして、ある職種につきまして非常に多くの希望者が出て参ると同時に、ある職種については案外希望者が少ないというようなことがございます。これは私どもの方のPRの不足もございまするし、またそれと同時に、現在の職種の内容等についての反省、検討も必要であろうと考えておるわけでございます。ただいま労働省に労、使、公益の方々から構成されております職業訓練審議会がございます。職業訓練審議会に対しまして、先般労働大臣から転職訓練の内容と方法につきまして諮問を申し上げたわけでございます。そのために小委員会をお作りになりまして、熱心な御討議を今しておられまして、本月中には答申をいただける運びになっておるわけでございます。これらの関係者の御意見等を十分参酌いたしまして、私の方の転職訓練の内容、方法等につきましても改善を加えていく。それと同時に、応募者の方々に対するPRを徹底いたしまして、この転職訓練を受けた方が円滑に就職できるように、また職種によって片寄ることのないように私どもは十分配意いたしまして改善して参りたい考えでございます。
#27
○河野(正)委員 今募集人員が四千六百三十名、応募人員が四千九百八十名という御報告がございましたが、福岡県の場合は、先ほど申し上げましたように、田川などの一部が定員を上回っておるだけで、その他は全部定員を割っておる。そういたしますと、福岡県は特に産炭地で炭鉱合理化のしわ寄せが非常に強いわけでございますが、そういうところでこういう実情であっていいのかどうか。私どもも非常に疑問を持つわけでございますが、福岡県のこの実情に対してどういうふうに分析しておられるのか、一つしぼってお答えを願っておきたいと考えます。
#28
○堀政府委員 これは私どもの方に参りました報告で、昭和三十六年一月二十日現在における状況でございますが、福岡に対して、全体といたしましては、募集定員が一般訓練所は千六十名に対して、応募者が千六百九十九名ということで、応募者は募集定員を相当上回っておるという報告を受けております。ただそれをさらに各個別の訓練所にばらしますと、今のような問題も出てくるかもしれません。この点は十分調査いたしまして、これはせっかく訓練所を作ったわけでございまするから、それに対する応募者が少ないという点は、御指摘のように、問題でございますので、そういう点は十分改善するように検討いたしたい考えでございます。
#29
○河野(正)委員 実は今まで夜間訓練の場合には、先ほどいろいろ数字を申し述べましたように、定員を割った例があった、しかし昼間の場合にはそういう実情はなかった。ところが本年度は、今申し上げますような特異の現象が出てきた。そういうことでございましたから、どういうふうに分析なさっておるかということで、実はお伺いいたしたわけです。いろいろ御答弁はお願いをいたしましたが、そういう特異の現象が起こってきたということは、先ほどちょっと答弁の中で触れられたようでございますけれども、訓練の職種、こういうものに対する配慮というものが少し足りなかったのではなかろうかというような感じも私どもは持つわけです。
 それからもう一つは、雇用保障ということを先ほどから私は再三再四申し述べて参りましたが、この訓練所だけでは雇用保障が行なわれない。ところが今日大企業では企業内で職業訓練をやる。これはある程度雇用が保障されるわけですね。雇用と直結する。そういう形でどうもそっぽを向いたのではなかろうか。そうしますと、やはり職業訓練は雇用保障と直結せぬとうまくいかぬのではなかろうかということをさっきからいろいろ申し述べて参りましたけれども、私はそういう感じを強く持つわけです。今申し上げましたような点、たとえば訓練の職種に対して十分な配慮が行なわれたかどうか。あるいはまた私が御指摘申し上げましたように、大企業内における職業訓練、こういう方向にずっと流れていって、そのために結局この特別職業訓練所がそっぽを向かれたというふうに考えていいかどうか。もしそうだとするならば、やはり今後の職業訓練については大いに反省しなければならぬし、検討しなければならぬということになるわけでございますから、そういう点に対してどういうふうにお考え願っておりますか、一つこれもあわせてお答えを願っておきたいと考えます。
#30
○堀政府委員 昭和三十五年度全体を通じまして、先ほど申し上げました報告の中で就職状況を見てみますと、総合職業訓練所の修了生の就職率は九八%程度になっております。一般職業訓練所は八八%程度、平均いたしますと九〇%程度の就職率という状況でございまして、私どもは大体順調に行っておると思いますが、やはりただいまの率にありましたように、一部には就職できない方もあるので、この方々が問題であろうと思うわけでございます。私どもはそういう観点からいたしまして、現在、先ほども申し上げました職業訓練審議会に諮問中でございますので、この御答申を待ちまして、内容、方法等につきましてもさらに検討する用意を持っております。今後関係者の御意見によって十分改善して参りたい。それと同時に、もう一つは、受け入れる産業と企業に対する連絡をさらに円滑、密接ならしめることが必要であると考えます。この点につきましては、民間の経営者団体を網羅いたしました中央炭鉱離職者雇用対策協議会というものを設置しておるわけでございます。それから各県ごとに同じような炭鉱離職者対策協議会を発足させておりまして、福岡もすでに発足したわけでございますが、こういうような組織を通じまして、どこの訓練所におきましてどういう職種の訓練生がいつごろ修了する予定である、そしてその希望はこういうところであるという連絡を前もって十分にとるような措置を最近始めております。そうしまして、その修了する前に大体受け入れ側との連絡が密接に行なわれますような配意をいたしますれば、訓練生もあとの憂いがなく、安心して訓練を受けることができることになるわけでございまして、そういうような措置を最近始めておりますので、今後さらにそれを充実さして参りたいと考えております。ただいまのような方法によりまして、お話のように職業訓練所で転職訓練を受ける方々の就職が保障されるということが最も大事なことでございますから、今のような配慮をいたしまして改善して参りたいと考えております。
#31
○河野(正)委員 就職率は一般、総合平均をして大体九〇%ということでございますけれども、どうも職業訓練所がそっぽを向かれたということは、職業訓練に対します一つの不安がつきまとっておるのではなかろうか、そういう点がそっぽを向く原因になっておるのじゃなかろうか、そういうことになりますと、なるほど就職率は九〇%でございますけれども、今後審議会の答申等もございますならば、さらに一つ十分御配慮願って、そして訓練を受けた人が九〇%でなくて、訓練を受ける前にそっぽを向いておる人がおるんですね。結局雇用保障というものに対して非常に不安を持つ。そのためにそっぽを向くという分野もかなりあるわけですから、そういう分野も吸収をして雇用の中に推し進めていく、こういう一つの御配慮をさらにお願い申し上げておきたいと考えております。
 それから若干具体的な点についてお尋ねを申し上げて参りたいと考えますが、まず第一に、労働省が発表されております労働統計調査月報三十五年八月一日号の発表を見て参りますと、昭和三十年から三十四年にかけて、雇用の中でも臨時雇いの占めます比重が各産業ともに非常に高くなってきた傾向がある。雇用の中に吸収されましても、臨時雇いでは非常に不安が伴うわけです。この臨時雇いの実情を見て参りますと、ちょうど景気の調節弁的な役割を果たすという一つの傾向があるわけです。この臨時雇いというものは賃金が非常に安く、しかも首切り、整理が非常に容易である、こういうことによって臨時雇いが各産業の中に占めます大きな比重になってきたというように私どもは考えるわけでございますが、こういうことが私はやはり雇用の実質面で非常に重要な要素を持っておると思うのです。こういう点に対してどういうふうにお考え願っておるのか、一つ御所見を承っておきたいと思います。
#32
○堀政府委員 臨時工の問題は、わが国の労働界の一つの特異な形態であると考えます。この問題につきましては、根本的にはただいまもちょっと御指摘がありましたが、やはりわが国産業全体の底が浅いという点に基づくものでございまして、これにつきまして、この臨時工を禁止するというような措置をとるわけには現在のところ参らないわけでございます。ただ御指摘のように臨時工の数がふえておりますためにいろいろな問題が生じておるわけでございまして、私どもといたしましては、さしあたり現在の対策としては、たとえば鉄鋼、造船その他の方面におきましてこのような形態がふえておるという場合におきまして、その間において職業安定法違反あるいは労働基準法の中間搾取違反というような弊害の生じませんように指導する。そのような弊害が起きました場合には、法に照らして断固たる措置をとって是正さしていく、こういう考え方と、それからもう一つは、常用的な働き方をしておりながら、名目だけが臨時工というものになっておる、実質は常用工と違いがないというようなものにつきましては、労働法の建前といたしまして、常用的な臨時工は、たとえば労働基準法等につきましてもこれと同じ扱いをしていくということで参りたいと考えております。
 以上のようなことで当面対処したいと思っておりますが、根本的にこの問題をどうするか。これは先ほども申し上げましたように、日本経済全体の底の浅さにも関連する問題でございます。これらの問題につきまして、これは労働省部内におきましてもいろいろ問題点があることは承知しておりますわけで、これは職業安定局だけでなしに、他の各局にもまたがるすべてに共通する問題でございますので、これらの問題をどうするかということにつきまして、部内でいろいろ検討を始めておる段階でございますが、さしあたりの当面の対策といたしましては、臨時工に伴って生ずるところの違法な事実につきましてはこれを是正さしていくということと、常用的な臨時工につきましては労働法の建前上常用工と同じ扱いをしていく、こういう方針で対処して参りたい考えであります。
#33
○河野(正)委員 この臨時工というものがだんだん産業界で大きな比重を占めてくる。そのことが合理化、技術革新の影響だけとは考えられぬといたしましても、いずれにしてもそういう傾向が非常に強くなってきたことはきわめて重大な点だろうと考えます。と同時に、臨時工の比重というものが大きく広がっていく。その中に女子の進出というものが非常に多くなったということも、私は特筆すべき現象だろうというふうに考えます。特に流れ作業によりまして作業というものがだんだん細分化されていく、あるいはオートメーション化によって単純化されていく、そういう一つの傾向に比例をして、従来男子の分野であった職域にどんどん女子というものが進出してくる。特にミシン工業あたりでも、今後雇用の対策としては女子の比重を高めていきたいというようなことが表明されておるようでございますが、いずれにいたしましても、こういう点も私は雇用対策の上からきわめて重大な問題点ではなかろうかというふうに考えるわけです。
 そこで今臨時工に対しまする一般的な御所見を願ったわけですが、一つさらに突っ込んで、そういう女子の比重が非常に高まってきたことによって、男の方の分野というものが圧縮を受けてくる。このことは私はやはり大きな問題となるというふうに考えます。こういう点に対してどういうふうにお考えになり、どういうふうに対処されようと考えられるか、この点も一つお答えを願っておきたいと考えます。
#34
○堀政府委員 結論から申しますと、女子の職場進出自体は歓迎すべき問題であると考えております。ただそれによりまして、御指摘のように男子の方にしわ寄せがくるという点が問題になりますが、これも男子につきましては、男子の労働力中の新規若年の労働力層につきましては、そのような心配はございません。現在の状況によりましても、むしろ求人難の状況が中小企業においては叫ばれておる状況でございます。問題は男子の中年層がこれによってしわ寄せを受ける問題が出て参るのでございます。中高年令層の就職の問題につきましては、これはやはり現在において最も注目すべき処置を要する問題であろうと考えているわけでございます。この点につきましては、私どもはやはり根本的には労働力の流動性を増大させることによりまして、中高年令層が配置転換等によりまして就職する場合に、その就職を容易にするための方策、すなわち住宅対策あるいは転職訓練対策等を行なっていくことが必要であろうと考えまして、これは雇用促進事業団の最も大きな業務の一つとして推進して参りたい考えでございます。それと同時にいま一つは、中高年令層の適職がまだ多数存在するわけでございます。そのような中高年令層の適職につきましては、いたずらに新規労働力の求人難ということを嘆く前に、企業の側におきましても、適職につきましては中高年令層を振り向けていく、こういう考え方が普及することが望ましいわけでございまして、私どもといたしましては、その点に今後努力を傾注して参りたいと考えます。
 先般、まずとりあえずの措置といたしまして、政府関係の公団、公社等の機関におきまして、中川年令層の適職については、中研年令層を振り向けていくような努力をしてもらいたいということを労働大臣から各公団、公社その他関係機関首脳部に対して御要請申し上げたわけで、これに対しては好意的な御返事をいただいておるわけでございます。現在それらの機関と労働省との間に連絡協議会を設けまして、そうして具体的にこれを推進して参るようにしておりまするが、この成果を見まして、さらに民間にも具体的に呼びかけて参りたいと考えております。
 これらのようにして、私どもは過去の実情におきましては、日本は慢性的に労働力が過剰であるという考え方が非常に多かったわけでございますが、今後の経済発表に伴いまして、そのような考え方につきましては、やはり今後一本も労働力の不足という現象がだんだんと出てくるというふうに考えているわけでございます。要は、適材を適所につけるということが必要であろうと考えておりまして、職業安定行政機関全体としての合理化、その裏づけとしての雇用促進業務の運営につきまして、私どもはこの雇用促進事業団が設立されますれば、それを機会にこれをさらに発展させるように努力したいと考えております。
#35
○河野(正)委員 先ほど御指摘申し上げましたように、流れ作業によりまする細分化または単純化に伴って、女子の進出というものが非常に顕著になっていく、そのこと自身は局長も言われましたようにけっこうでございますけれども、問題はそのために男子の方に大きなしわ寄せが起こってきはせぬか、この点が私ども一番心配する点であったわけです。そこで今局長からも中高年令層の対策が若干申し述べられたようでございますが、今日大体八十万程度の熟練工が不足をしておる。特に重化学関係が非常に大きな不足を来たしておるもののようでございます。そうして今後十年間に四百万くらい熟練工が不足するであろう、こういう情勢も伝えられておるようでございます。ところが、今局長からもお話があったように、そういう一面に反して高年令熟練者の需要というものはだんだん減少する傾向がある。従来の経験と勘にたよってきた高年令熟練者の需要というものは、今申し上げましたようにだんだん減ってくる傾向にある。これに対しましては、今適職に対しましては中間年層を振り向ける。その一例として、公団公社に働きかけて、そうしてその開拓をはかるというようなお話もあったようでございますが、問題は単にそういう考え方だけではなくて、実際に中高年層の職域というものが開拓されるかどうかということだろうと思うのです。公団、公社の方からも好意的な返事があったというようなことでございますけれども、実際問題として、そういう公社、公団方面に中高年層の就職の道が開拓されるかどうかということは、実際に問題だと思っておる。その点について、今の実情ですね、ただの話だけであるのか、実際にそういう分野というものはだんだん具体的に開拓されつつあるのか、開拓されつつあるということでございますればけっこうでございますけれども、単に考慮しよう、善処しようというような話し合いだけでは、これは何にも成果にならぬわけですから、具体的に適職に振り向けるということが実現されつつあるのかどうか、この辺の実情というものを一つ御報告願いたいと考えます。
#36
○堀政府委員 昨年の秋から約半年間かかりまして、労働省部内の職業方面の専門家に委嘱いたしまして、中高年令層の適職につきましては大体百二十職種ばかりを具体的に選定したわけでございます。この百二十の職種につきましては、そういう求人がございました際に、中高年令層を具体的に振り向けるように努力するように、労働省から、先般各都道府県知事を通じまして第一線の職業安定所長に指示をいたしました。その指針によりまして具体的に第一線で職業あっせんをするようにしております。また、特に公団、公社等につきましては、ただいま連絡委員会を作りましていろいろ協議しておりますが、たとえば道路料金の徴収係であるとか、あるいは団地関係の係員であるとか、あるいは外務員であるとか郵便の集配人であるというような具体的な職種につきまして、具体的にただいま連絡いたしまして、その充足方法を検討しておる段階でございます。従いまして、私どもといたしましては単に机の上だけではなしに、具体的に職種を選定いたしまして、これについてどれほど埋まるかということを目下努力いたしておる段階でございます。
#37
○河野(正)委員 私どもが今一番心配いたしておりますのは、先ほどから申し述べますように中高年層の雇用という問題でございます。今局長からも、机上のプランだけではなくて実際に具体的に進めるための努力をしておるというような御答弁でございましたが、ぜひその努力が実るように、さらに格段の御善処を願いたいと考えます。私は、この中高年層の雇用対策の一例として、雇用失業対策の試金石ともいわれております駐留軍労務者の離職対策の問題、これも非常に大きな問題として浮かび上がっておるものと考えております。なお、先般からはその駐留軍離職者の離対の一環でありました各棟企業、この問題について局長からもいろいろ具体的に御協力いただきまして、そして福岡の場合には非常に大きな成果を上げ得ることを得ましたことは、心から感謝を申し上げるわけであります。しかし、そういうふうな個々のケースにおきましては、労働省の御協力をいただきまして若干の成果を上げておりますけれども、しかし、なお今後この駐留軍関係の問題はドル防衛等の問題ともからみ合ってさらに重大な問題をはらんでおるようでございます。そこで、この駐留軍関係の離職者の問題は、駐留軍関係の労働者の特殊性等から考えて参りましても、当然中高年層の雇用問題として大きく取り上げる一つの問題ではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。この点に対して今後どういう方策で対処されようと考えておりますか、一つこの際承っておきたいと考えます。
#38
○堀政府委員 駐留軍関係の労務者の方々のうち離職される方々が相当あるわけでございまして、三十五年度におきましても間接、直用、特需等を合わせまして、約一万四千人程度の方が離職されたものと推定しております。私どもはこの駐留軍関係の離職者につきましては職業安定機関の全能力を上げ、それから雇用促進事業団が新設されますれば、それの裏づけを待ちまして全力を上げてお世話をいたしたい考えでおりますが、それにつきましては本年度におけるところの見込みを調達庁その他の関係当局とも目下いろいろと寄り寄り協議をしておりますが、それに基づきまして基本的な計画を立てまして、あとは具体的に現地において配置転換及び自営業等の方策を立てて参りたいと考えておるわけでございます。ドル防衛の問題につきましては、これは具体的にわが国にどのような形で響いて参るかという点につきましても、目下外務省とも相談をいたしておりますが、在日米軍人軍属の家族の削減は三十七年六月ごろまで漸進的に行なわれるというものでありまして、また域外調達につきましては、三十六年度分についてはすでに発注が行なわれたものもありまして、割合軽微なのではないかというふうに考えております。しかしこれはもう少し詳細に情勢を分析してみなければなりませんので、外務当局等とも十分連絡を密にいたしまして対処して参りたいと考えておるわけでございます。現地におきましては、ただいまたとえば芦屋基地その他において行なっておりますように、現地の職業相談あるいは自営業の相談等を活発に行なっていく、そうして必要に応じまして転職訓練等につきましては職業訓練所の分室等も現地に作るというふうに、機動的に運営して参りたい考えでございます。
 自営業の点につきましては、ただいまお言葉もございましたが、これは福岡地方におきますところの駐留軍の関係者の皆様方が非常に努力された結果でございます。私どもといたしましてはそれにお手伝いをした程度でございますが、たとえばタクシーの問題等につきましても比較的円滑に行なわれつつあることは御同慶にたえないところでありますが、同じような方式に基づきまして各現地において具体的に――これは労働省だけでできる問題ではございませんので、労働省が仲立役になりまして、県の当局あるいは関係各省の出先機関等とも十分連絡を密にいたしまして、お世話をして参りたいと考えております。
#39
○河野(正)委員 今三十五年度におきまする駐留軍労働者の離職は一万四千ということでございましたが、平和条約発効以後昨年までの数を合わせますと大体十九万七千、二十万近い失業者が排出をいたしておるわけです。しかも今後ドル防衛その他によりましてさらに離職者の排出が予想される。ところが、私が駐留軍離職者の場合には中高年層の雇用対策の一環として考えなければならぬというふうに指摘をいたしましたように、これも駐留軍離職者の場合は年令構成というものが非常に高い。たとえば三十才以上の者が七六%を占めておる。それからさらにそういう年令構成が高いということも影響しておると思いますけれども、賃金が一般の企業に比べますとやや高い。それからさらには駐留軍業務の特殊性と申しますか、そういう点から、先般局長からも非常に御協力いただきましたタクシー企業に従事いたしますドライバー、こういうものが非常に多いわけですけれども、一般的には技能を持たない人が非常に多い。それからまた駐留軍業務という特殊性がございますので、系列産業、関連座業という関係がない。こういったような大体四つの隘路があるわけです。そういうことからこの雇用対策という問題が非常に困難性を持っておる。そこでこの問題を大きく取り上げて御検討願わなければならぬというふうに申し上げたのでございます。そこで私どももそういう困難性は十分承知の上でお願いしておるわけでございますから、労働省としても今後調達庁とも十分御相談を願って、さらにその対策に一つ万全を期する態勢を確立をしていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと考えます。
 なお、先ほど御答弁の中に、外務省と十分連絡をしてという言葉がございましたので、さらにもう一点お尋ねを申し上げておきたいと思います。それは最近のロイター通信によりますと、アメリカのマクナマラ国防長官が三月末の記者会見で、八カ国の外国にある二十一の軍事基地を廃止または縮小する考えがあるというふうな発表を行なっておるようでございます。しかしその発表の中には、八カ国の関係国がどことどこの国だというふうな国名はあげておらないのでございますけれども、この廃止または縮小によりまして大体一万九千人の人員が影響を受けるだろうということも実は申し添えておるわけです。もしその八カ国の中に日本が入っておるということになりますと、今の駐留軍離職者の問題でございませんけれども、また一つ離職者がふえていくという結果になると考えるわけです。そこでもしそういうことであるならば、それらに対しましてもあらかじめ一つの対策というものを立てておかなければならないと考えるわけですが、そういう点に対しまして外務省当局等で何か報告があったかどうか、この点も一つこの際承っておきたいと考えます。
#40
○堀政府委員 お話しのようにこの問題につきましては、駐留軍関係の離職はある程度やむを得ないといたしましても、問題はその時期、方法でありまして、これを円滑に配置転換さしていくという計画をあらかじめなるべく早く立てる、これが最も大事な問題であると考えます。目下外務省、内閣審議室、調達庁、それと労働省と通産省等が集まりまして定期的に会合をやっておりますが、ただいまのお話しの点につきましては、それが日本にどのような形でくるかということは全然まだつかんでおらない状況でございます。私どもといたしましては、そういうような情報がはっきりいたし次第、なるべく事前にその情報の提供を受けまして、そうしてこれに対応する計画をなるべくすみやかに打ち立てることに向かって努力したいと考えておりますが、ただいまお話しの点につきましてはまだ報告を受けておりません。
#41
○河野(正)委員 御報告を受けておらないわけでございますから、一つ御参考までに聞いておいていただきたいと思いますが、基地が廃止されるということは別にいたしましても、今度のロイター通信によりますと、市外施設という問題も含まれておるようでございます。この在外施設の中には通信連絡関係あるいはアメリカ軍の家族、住宅関係、こういうものが大体含まれるわけです。そういたしますと、基地が廃止されたり縮小されたりしないといたしましても、今申し上げますような施設関係に基づいて、家族とか、住居関係でありますと、直用関係の方の従業員がかなり影響を受けるのじゃなかろうかというふうな感じも強く持たれるわけです。そこでもちろん私どもも基地反対ですから、基地が縮小されるということはけっこうでございますけれども、もしそうだとするならば、それに対応する離職者対策というものを早急に打ち立てていく。その一環として今度の、小さな問題かもわかりませんけれども、タクシー企業の問題があったと私は思うのです。これについては局長の大へんな御好意をいただいて、大きな成果を上げるを得ましたことは、やはり早急にそういう万全の対策を立てたという結果に私はほかならぬと思うのです。そこで、要はそういう事態に即応する態勢というものを機を逸せず着々と確立していく。そのことが重大な問題でございますから、一つそういう点に対しましては、さらに格段の御配慮を願っておきたいと考えます。
 それからこの労働界におきます最近の新しい運動目標として労働時間の短縮の問題があるわけです。このことも実際には雇用関係とも関係を持って参りますから、若干お尋ねを申し上げておきたいと考えます。この労働時間短縮の問題は、最近の労働界におきます新しい運動目標であるわけでございますが、労働省においても労働災害の防止、あるいは中小、零細企業の長時間労働の短縮、そういう面に対して鋭意御検討を願っておるというふうに承っておるわけでございますけれども、特に日本の全産業をおしなべて労働者の実働時間というものが非常に長い。大体平均いたしますと、週五十時間前後、月にいたしまして約二百時間前後というふうにいわれておるわけです。これを諸外国と比較いたしましても、アメリカ、カナダが週四十時間前後、イギリス、フランス、西ドイツが週四十時間から四十五時間前後、こういうふうに諸外国に比べましても日本の労働時間というものは非常に長いわけでございますので、それを短縮するということは非常にけっこうな問題でございますが、しかしそのことが雇用問題と関係するということになりますと、これは重大な問題でございますから、一つこういう点に対して労働省の方で、どういうふうに御検討願っておるのか、これは職安局長、基準局長もおいででございますから、それぞれから一つ承っておきたいと考えます。
#42
○大島政府委員 お話の労働時間短縮の問題につきましては、私どもも、労働時間の短縮は、まことに望ましいことと存じております。漸進的、段階的あるいは弾力的に逐次短縮されるものと考えております。ただ、御承知の通り、大企業におきましては労働時間もかなり短いのでありますが、中小企業においては相当長時間労働を行なっておる。ことに職種によりましては非常に長町間にわたっておる、こういう実情であります。私どもといたしましては、大企業における労働時間の短縮につきましては、これは生産性の向上ともからみまして、労使の交渉できめられるものと考えておるのでありますが、ただ中小企業の非常に長い労働時間については、政府としても関心を持たざるを得ない。従って労働基準法に規定いたしておりますほどの危険種はもちろんのこと、ことに危険有害な業務についての労働時間の短縮、あるいは御承知のようにトラックとかダンプカー、こういった単にその労働者のみでなく、一般公衆に危害を及ぼすような業種における労働時間の短縮、こういった面を今後とも進めて参りたいと考えております。なお直接の労働時間以外に、週休制の促進でありますとか、一斉閉店制の普及でありますとか、こういった他の側面からの労働時間の短縮についても努力をいたして参りたい、かように考えております。
  〔委員長退席、藤本委員長代理着席〕
#43
○河野(正)委員 今局長からも御答弁がございましたように、大企業ではだんだん労働時間というものが短縮されておる。これに反して、中小企業、零細企業では、逆に生産性向上に伴ってむしろ長時間労働という方向に傾いていく傾向にある。しかも、こういった傾向というものが労働災害の発生に非常に大きな影響を及ぼしつつあるという事実、こういう事実も否定することができないわけです。すなわち労働時間短縮によって労働者の疲労を少なくしていく、そういう大企業では災害の発生率が低下をしておるけれども、労働時間が生産性の向上に伴って増加しつつある中小企業では、労働災害というものが増加しつつある傾向にある。そういう立場からも、当然この労働時間短縮というものがすみやかに実現されなければならぬということは、人道上の問題からも当然のことだと思うのです。ところが、大企業の場合には、その背景が大きいですから、これは比較的容易でございますけれども、中小企業、零細企業という場合には、言葉では容易でございますけれども、実際問題としては今の一斉閉店制の問題等も、お話がございましたように、なかなか困難な問題であろうと思います。ところが実際問題としては早急に実施されなければならぬ。そのためには一体どういう行政指導と申しますか、指導のもとに、そういう実現をはかろうとされておりますのか、もう少し具体的に御説明をいただきたいと思います。
#44
○大島政府委員 仰せの通り、中小企業の労働時間の短縮を具体的に実現して参りますのは、非常に困難なことだろうと存じます。ただ私どもといたしましては、非常に長いものについては何とかして参りたいと考えておるのであります。ただいま先生御指摘のように、たとえば一斉閉店制の普及を昨年来始めておるのでありますが、私は単に労働時間のみでなく、その他の基準法関係の法律施行につきましても同一だと思うのでありますが、中小企業に対します場合には、やはり業界全般が一斉にこれをやるという形が一番楽であり、かつ実現可能であろうと思います。またそれが同時に基準法の精神でもあるわけであります。そういった点で、たとえば一斉閉店制、こういった問題につきましても、かりに十一時に締めるものが十時に締める、あるいは九時に締める。かりに一時間短縮の一斉閉店制を実施いたしますと、月間大体稼働日数が二十四、五日でございますから、これによってたちまち二十四、五時間、すなわち月間労働時間がかりに三百四十時間といたしますと、二十四、五時間たちまち減って、二百十五、六時間になる、こういうような形、しかもこれを一斉にやるということによって、割合スムーズにできるのじゃないかと思うのであります。そういう意味におきまして、今後私どもが中小企業の労働時間の短縮をやります場合には、やはり業界一斉にこれをやっていただく、こういう線で進めて参りたいと思います。御指摘の通り、非常に困難な問題だと思いますが、私どもといたしましては極力努力をして参りたいと思います。今後とも御協力を願いたいと思います。
#45
○河野(正)委員 行政指導の強化によって労働時間の短縮の実現をはかっていく、その一つの方法として一斉閉店制のごときを、業者間協定といいますか、業者間の話し合いによって実現の方向を求めていくというふうなお答えがございました。それから承るところによりますると、中小企業全体の労務管理を向上させるため、金融機関が融資の場合に労務管理の面をその審査の基準にする、こういう点に対して、銀行協会等を通じて協力を求める、あるいはまた官公庁が物品を発注する際に、業者の労務管理状況を入札資格の一つに考える、こういった諸点を考慮に入れて、行政指導に当たっていくというようなこともいわれておりまするが、こういうふうに理解していいのかどうか、一つこの点も、お伺いいたしておきたいと思います。
#46
○大島政府委員 私どもといたしましては、中小企業の労働条件をここ数年の間に大幅に引き上げるように持っていきたい、これが私どもの仕事だと考えます。これにつきましては、もちろん基準法の施行というものを中心にしてやって参るわけでありますが、同時に現在の社会情勢が、いわゆる基準法は悪法なりという形でなく、社会全体の情勢が中小企業の労働条件を上げるべきだという趨勢になっておりますので、この社会的な情勢をバックとして指導といいますか、監督を通じます指導によって実況をはかって参りたいと思うのであります。今お話しのような手段につきましては、私どもといたしましては、まず中小企業に一番直接関連のあります。ことに下請企業のような場合、親工場の理解と協力、援助がなくてはなかなか実現がはかられないという意味合いにおきまして、現在親企業に対して下請事業場の労務管理の改善、労働条件の向上について積極的な援助、協力を願う、こういうことを考えております。私どもの現在の計画といたしましては、全国約一万くらいの下請事業場に対してこういった協力と援助を親工場に対して要請したいと考えております。先般茨城県の日立製作所において実施いたしました例にならって参りたいと思うわけであります。
 なお官公庁の発注につきましても、たとえば建設省と話をいたしまして、入札制度の合理化と関連いたしまして、建設事業におけるその企業の一定の安全水準というものを入札にあたっての審査基準の一つとして入れてもらう、こういうふうな形を現在とりつつあります。その実現について進行中でございます。
 なお金融機関の貸付の際の審査の問題につきましても、私は私見といたしまして、融資の場合、経営の健全性をはかる一つの大きな要素として、労務管理がしっかりしているということが非常に大切な問題だと思います。またこれはそういったことが当然考慮に加えられてしかるべきものだと私は考えております。また現に、たとえば富士銀行等におきましては中小企業に対する経営相談所というものを設置いたしまして、そこで労務管理についての積極的な指導等も行なっておる模様であります。そういった関係で、私たちといたしましてはそういう関係についても将来今御指摘のような点も考えて参りたいと思っておりますが、まだ公式にはその点、銀行協会その他については話をいたしておりません。非常に大事な問題であると考えております。私も将来はやはりそういう方向に進むべきだと考えております。
#47
○河野(正)委員 第一に指摘をいたしました業者間の話し合い、この点についてもやはりそれぞれ利害関係に立っておりまするから、実際問題としてもなかなか困難の面があろうというように考えますけれども、一つぜひ強力な行政指導によって実現の方向に御努力を願いたい。
 それから、最後に御答弁を受けました、金融機関が融資の審査基準として企業の労務管理状態を参考にする、この点でございます。ところが審査基準として考える銀行側自身が基準法違反を行なう実例が非常にたくさん出ておる。特に最近は一種の利殖ブームだと思いますけれども、この利殖ブームに乗って証券界あるいは銀行界の作業量が非常に膨張してくる。このために今申し上げまするように、労務管理を融資の場合に審査基準にしようという銀行側、審査する方が要するに基準法違反を出すというような実例がたくさん出てきておる。最近私どもが承った実例を見て参りましても、たとえば福岡労働基準局で、最近福岡市内の銀行や証券会社で働く従業員の勤務状況を調査をした。ところが女の子で三割から五割が午後十時過ぎまで勤務が要求されておる。深夜勤務でございますから、これは明らかに兼準法違反です。具体的に申し上げますると、大体福岡市内で銀行が支店も含めて九十九店、証券会社が二十四居あるわけです。その中から銀行十五、証券会社は十八、これだけを抜き打ち検査しましたところが、銀行で七、これは約四七%です。それから証券会社が六、これが三三%に相当する。従業員にして約八十名、これだけが深夜作業を強制されておった、こういう結果が出てきたわけです。そういたしますると、労働省の行政指導では、労務管理がいいか悪いか、それによって企業の融資の対象として考えなければならない、そういう重大な任務を与えられるであろうと考えられる銀行が、みずからこういう基準法違反をあえて行なっておる、そういうことで企業に対して、お前のところの労務管理はどうだ、それでは融資はできませんというような資格があるかどうか、全くこれはもうナンセンスにひとしいと思うのですが、こういう状況をどうお考えになっておりますか、お答えを願っておきたいと思うのです。
#48
○大島政府委員 私は女子の深夜業は一刻も早く絶滅すべきものと考えております。現在まで女子の深夜業につきまして一番困難な業界は繊維業界で、昨年来私どもといたしましては全力をあげてこれに対処いたしております。にもかかわらずなお困難でありますが、さらに努力を続けて参りたいと思います。御指摘の銀行業、証券業等における深夜業でありますが、もちろん絶滅すべきであります。先般来私もそういう事態につきまして報告を受けましたので、さっそく銀行協会、証券協会とも話をいたしまして、一刻も早く絶滅してもらうようにいたしております。さらに監督を強化いたしまして、この点につきましては三六協定の励行とともに、私どもといたしましては必ず絶滅いたしたいと思います。
#49
○河野(正)委員 実は抜き打ち検査をした、そうしたところが、今言うようなおびただしい違反行為があったということだけで御指摘を申し上げるわけではない。と申し上げますのは、今申し上げましたのは三月七日のことでございますけれども、その以前、二月にも実は福岡の監督署で検査をしたわけです。そのときにもたくさんの違反者を出しておるわけです。そしてそういう違反行為に対して注意をしたにもかかわりませず、さらにあえて違反行為を行なっておる。そういたしますと、今大体実情の御報告を受けて、さらに今度そういう違反行為がないように、徹底的に指導をやるというような御答弁でございましたけれども、今申し上げるように、そういう違反行為を注意はしてもさらにあえて行なう。二月と三月ですから、一カ月のうちにあえて行なっておる。注意をして翌年行なうとかあるいは翌々年行なうということでございますならば――そうかといってそういうふうな違反行為を認めるわけにはいきませんけれども、多少情状酌量をすべき余地がありますが、二月にやって三月にやっておる。そういう違反行為のある銀行が、企業に融資を行なう場合に、お前のところの労務管理はどうだ、こういうことを言う権限を与えられるということは、私は全く道理に合わぬというふうに思うわけです。これは聞いておられる局長も全く御同感であろうと思うのです。要はせっかくそういうことにお気づきであるならば、そういう違反行為というものを即刻撲滅する、このことが確実に実行できなければ、たとい労働省の方針として、労働行政の一環として労働時間の短緒をするとおっしゃっても、私はその実をあげるということはとうてい不可能だ、それこそ全く絵にかいたもちであるというふうに指摘せざるを得ないと思うのです。そういうように、二月にやって、さらにあえて三月に違反行為を行なった、こういう実情も大体御存じであったかどうか、いかがですか。
#50
○大島政府委員 ただいま御指摘の事実については、私まだ報告を受けておりませんが、二月に、全国の基準局長会議の際に、私からこれらの点についての監督を強化すべき旨の指示をいたしました。さらに先月再び基準局長会議を開きました際も、あらためてこの点強い指示を与えておるのであります。私といたしましては、今御指摘のようなことがないように、女子の深夜業についてはないように必ずいたします。
#51
○河野(正)委員 せっかくそういう実情を把握しておられるなら、そのことが労働省の方針通りに確実に実行されるという方向で、さらに格段の努力をお願いいたしておきたいと思います。
 せっかく基準局長がおられますから、もう一点一つお尋ねを申し上げておきたいと思います。これは今日の自民党の農業基本法、六割首切りといわれております農業基本法、こういう政策も今後だんだん影響してくると思いますが、今日までも農村の経済的な貧困に伴って、農村よりの集団での就職というものがしばしば行なわれて参りました。ところが実際に就職をして赴任をいたしますと、赴任する前に出されました条件というものが全く実行されない。そのために、働いてもらうべき賃金すらもらわずに逃げ帰ってきたというふうな実例が最近しばしば起こっておるわけです。これは新聞に出ておりまするから、局長も十分御承知だと思いまするけれども、その中の一、二の例をあげて参りますると、福岡県の糸島郡の農家の子弟が神奈川の方の鉛管工事に赴任をいたして参りましたところが、労働時間は、さっきの短縮じゃございませんけれども、契約よりもより以上になる。それから休もうといたしますると、監督が非常にきびしくて、労働強化が強制される。そこでこれでは条件にも反するし、非常にひどい労働強化でございますから、そういう労働には耐えることができないということで、一部の人が再び自分の郷里に逃げて帰った。ところが今度は迷惑をかけたということで、残っておりまする連中から賃金を押えてり取上げた。実はこういう例がこの農村だけでも最近二件起こってきておるわけであります。これはかつてたこ部屋といわれておりました問題だというように考えまするが、こういう点は広域職業紹介によって、今度の雇用促進事業団法によりましても、移転就職というものがたくさん出てくるわけです。そこで、今の農村の集団就職もそうでございまするし、また広域職業紹介によりまするところの移転就職もそうだろうと思いますが、雇用の条件というものが当初の条件と違って、いろいろと問題を起こす例が最近非常に多くなっておる。これは先般の委員会で滝井委員からも言われておりましたが、広域職業紹介で赴任いたしましたところが、非常に条件が違うということでどんどん逃げ帰っておる。そこで今審議されておりまする法案とも関係がございまするし、われわれはそういう集団就職ないし広域職業紹介によって移転就職する、そういう就職した後の実態というものも十分把握する必要がある。あるし、また把握しないと、また今のような非常に人権を侵害するような重大な問題が起こっておるわけですから、われわれは十分そういう実態というものを把握してもらわなければならぬと思うのですが、そういう実情に対してどういうふうにお考えになってきたか、またどういう処置をとろうとお考えになっておりまするか、この点は一つ基準局長、職安局長からそれぞれお答えを願いたいと思います。
#52
○大島政府委員 ただいま御指摘の募集条件と実際の労働条件との食い違い、これはまことにけしからぬ話でありまして、一刻も早く是正すべきものであります。労働基準法の十五条にも、労働契約を締結する際には労働条件を明示しなければならない、その労働条件というのは、もちろん現実の労働条件と合致すべきものであります。しかし基準法の規定を待つまでもなく、当然のことでありまして、ことに新規学校卒業者のように、新しく社会に出て参ります人々でありますから、そういうことはあるべからざることだと思います。もちろん一方におきまして、募集条件が十分点を尽くしていないために、そこに求人者の方と求職者の方との解釈の違いとか、誤解が出る面も多々あると思うのであります。そういった面で、募集条件を示す際に、十分労働の実態を周知せしめることが必要だと思いますが、同時に今御指摘のような現地の労働条件との食い違い、これらの点につきましては、私ども基準行政機関と戦費行政機関とがさらに緊密な連携をとって進んで参らねばならぬと思います。
 それから後段で御指摘のございました、残った者に対しましてある程度の強制を加え、あまつさえ賃金を差し引く云々というような事態につきましては、これは今日の社会でほんとうにあり得べからざることだと思います。もしかかる事実がございますれば、さっそく是正させなくてはならぬと思います。
#53
○堀政府委員 ただいま基準局長から答弁がありましたように、この点につきましては、職業安定行政機関と労働基準監督機関との連絡を密接ならしめることによって、このような事態が起きますことを防止して参りたいと思っております。特に本年度におきましては、引き続き求人が活発でありまして、各地域間におけるところの労務の需給調整の行なわれる見通しが相当強いわけでございますので、先般も各都道府県の関係者を集めまして、特にその際におきまして広域的に移動をいたしますような方々につきましては求人条件と就職後の条件が一致するように、その間の連絡を十分密接にとるように指示したところでございます。
 なお、これとあわせまして、現地におきますところの職業相談を充実いたしまして、なるべく受け入れ地の府県から求人条件を具体的に持っていって具体的な相談をする。また集団求人等の場合におきましては、供出側の府県の職安の係官がつき添いまして受け入れ県に指導していく、こういうようなこともなるべく行ないたいと考えております。求人条件とその後の条件に食い違いがあることは、お話しのあるまでもなく、はなはだ遺憾なことでございますので、今後このようなことのないように私どもとしては十分努力をいたします。
#54
○河野(正)委員 今御答弁願ったように、一つ広域職業紹介等によって移転就職する場合、あるいは集団就職する場合、こういう場合には就職後問題を起こす実例も非常に多いわけでございますから、そういう実情に対します監視ということについても、一つ今後格段の御配慮を願いたいというふうに考えます。
 本日は大臣が欠席でございますから、大臣等についての質問は後日に譲ることといたしますが、いずれにいたしましても今までいろいろ指摘申し上げましたように、この事業団法にはなお若干の問題点と申しますか、欠陥あるいは不十分な点がございます。巷間伝うるところによりますと、この法案を失業促進事業団、あるいは合理化促進事業団というような酷評もあるやに承っております。しかし私は、あながちこの雇用促進事業団の構想を否定するものではございません。ただ要はその中にあります幾多の欠陥、さらには不十分な点、不完全な点、そういう諸点を今後積極的に改善をして、雇用促進から雇用保障という方向へ前進することを、私は強くお願いを申し上げる次第でございます。
 そういう点で一つ今後とも積極的な御配慮をお願い申し上げ、さらに残っております大臣に対するもろもろの質問につきましては後日お願いすることにして、一応本日の質疑を終わりたいと思います。
#55
○藤本委員長代理 午後二時まで休憩いたします。
   午後一時十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後二時二十二分開議
#56
○柳谷委員長代理 休憩前に引き続き、これより会議を開きます。
 質疑を継続いたします。吉村吉雄君。
#57
○吉村委員 質問に入る前に、ちょっと委員長代理に聞いておきたいのですけれども、国会は時間が守られないというのは来てみて大体わかったのですが、委員会には定足数というのはあるんですか。
#58
○柳谷委員長代理 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#59
○柳谷委員長代理 速記を始めて。
#60
○吉村委員 今の話については深く追及はしませんが、しかしあまりいい慣行ではないように思います。与党の方の出席は特に悪いようですから、今後の委員会の進行については、国民が十分納得するような委員会が開催されるように、この委員会を中心として今までの悪い慣行は直すように努力をしてもらうことをまず要望したいと思います。
#61
○柳谷委員長代理 善処いたします。
#62
○吉村委員 この雇用促進事業団法案につきまして、その提案説明の中に、産業間あるいは地域間の労働力のアンバランスが非常に目立ってきておるので、これを是正するための必要な施策としてこの事業団を設置をする、こういうふうに書いてあるわけでありますけれども、そうなって参りますと、労働省自体といたしましても、わが国の将来の産業の発展にあたって、どの産業がどういう姿になる、あるいは地域的にはどういうふうにこの労働力が変わっていくかというようなことについて、相当予見をしたところの対策を持っておるというふうに見なければならぬと思うのです。従ってこれは経企庁の関係になろうかと思うのですけれども、政府の政策に基づいて労働力をバランスをとって配置をしていくというためには、各産業間並びに地域間の将来の工業のあり方等について労働省がどのように把握をしておるのか、こういうことをまず前もってお聞きをしておきたいと思うわけです。
#63
○石田国務大臣 産業間のアンバランスが現在特に生じておりますのは、御承知のように石炭産業であります。それから駐留軍の引き揚げ、縮小その他に伴います駐留軍関係の従業員の中にも集団的な失業が発生しつつあるわけであります。さしあたってわれわれが将来考究しなければならぬと予想されますものは、貿易の自由化の進行に伴いまして、自由化されたもので、国際競争力が現在の状態で弱く、それを改善しなければならぬものがその対象になるだろうと考えておる次第であります。この従業員数は大体百五、六万と推定いたしております。それは失業するという意味ではなくて、貿易の自由化によって影響を受ける産業の従業員総数を、ただいま申したくらいの数字に推定いたしておるのであります。その中からかなりの数のいわゆる雇用の変動というものが生ずると存ぜられます。それからもっと大きな分野でいきますと、第一次産業から第二次産業への移動ということが考えられるわけであります。それから地域的なアンバランスは、現在のところ石炭産業の非常に多い地域、たとえば福岡、北海道というようなところ、それから福島県というようなところで、エネルギー事情の変化に伴います石炭産業からの離職が行なわれております。そのほか一般的に申しますと、殺到率は九州においては四あるいは五、東北地方においては二・五あるいは三というような数字が示されるのであります。それで地域的なアンバランスの是正は、一つには流動性を促進することによって処理はしなければなりませんけれども、しかし恒久的には、やはり開発計画によって経済の地域差をなくすことによって解決していかなければならない問題だと考えておる次第であります。
#64
○吉村委員 ただいま、地域間の格差というものにつきましては、地域の経済力を増大していくということが本質的な対策であるというふうに御答弁になったわけですが、この提案の説明の中にも、労働力の産業間の流動性をはかると同時に、本質的には低開発地域の経済的な成長、こういうことをやっていかなければならぬということが書いてあるわけです。それで将来の日本の産業の発展と見合いながらどういうふうに労働力を配置していくかという観点で、相当長期にわたって労働省としては見通しなり何なりを立てておると思うわけですけれども、私は現在のような状態の中でこの雇用問題というものを本質的に解決をしていくためには、労働力の流動性をよくするということも重要な施策の一つではあると思いますが、しかし今政府の方では所得倍増計画というふれ込みで、それを実施していくためには地域間の所得格差というものを解消しなければならぬ。そういうことを盛んに強調されて、各地方の開発にそれぞれの、企画庁なりあるいは建設省なり自治省なりで案を持って、まだ最終的な方針はきまっていないようでございますけれども、そういうような地方開発あるいは低開発地域の開発のためにいろいろな施策をやろうとしているようであります。そういう点から考えてみますと、この雇用事業団法の持つ内容というのは、産業間なり地域間の労働力のアンバランスを是正をするという目的だけを持っておりますので、他の省で考えておるそういう地方の開発などが行なわれた場合には、この計画を実施するにあたって相当そごを来たすのじゃないかという不安を私としては持つわけです。それよりももっと総合的な計画の上で、地方の開発なり何なりというものに重点を置いていくとするならば、労働力の地域間の流動というものについては、そう骨を折らなくても地方自体の中に地方の労働力を吸収できる、こういうふうになるのではないかと思われますので、今政府が全体としてとろうとしておるところの地方開発あるいは地方の工業化、こういうものと、この法案を立案するにあたっての考え方の若干の矛盾を感ずるわけですけれども、こういう点について労働省当局としてはどのようにお考えになっておるか伺いたいと思うわけです。
#65
○石田国務大臣 これは現在の時点における雇用の情勢、それから将来にわたっての雇用政策というふうに分けて御理解をいただきたいと存じます。数字は省略いたしますけれども、御承知のごとく現在の時点において地域差、労働力の需給の地域的、産業的、年齢的アンバランスがございます。それから著しい技能労働者の不足の状態があります。これは相当深刻なものでありまして、このこと自体やはり長期にわたって解消する努力をしていかなければならない性質のものでございます。それから特に地域差の問題に入って参りますと、先ほども申しました通り、恒久的な対策といたしましてはやはり低開発地域、あるいは特別の不況地域というようなものに対する振興施策を講じなければならぬのでありまして、政府は現在国会に低開発地域工業開発促進法あるいは産炭地域振興臨時措置法、地方開発基幹都市建設促進法というような法律を提案または検討しておるところでありまして、御審議を願っておるわけでありますが、それぞれの法律の中に設けられております審議会に労働省は参加をいたして、そうして立案及び計画の進行に参加いたして参るつもりでおります。
  〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕
これは当然その地域差をなくして参りますためには、ただいままでに申しましたような施策を講じていかなければならぬ。ただ現在の時点におきますその著しい地域差というものの是正、これはこれとしてやはり別途に考えなければならない問題でありまして、そのために雇用促進事業団が御審議を願っておりますような計画を行なおうといたしておるのであります。
#66
○吉村委員 そういたしますと、この事業団法の意図するものは、現在当面しているところの労働力の需給の困難性というものを克服していく、こういうことを主要なねらいとしているというふうに今の大臣の答弁ではうかがえるわけですが、かりにそういたしましても、雇用の問題というのは国の将来の発展について非常に重要な要素を占めることは言うまでもないと思うのです。従って現在の問題を解決するためにというだけで雇用の問題を扱うことができないのじゃないか。しかもそれは一年なり二年なりだけの問題として処理でき得ない永久性を持ったものが、雇用の問題の本質的な点ではないかというふうに思います。だからこの事業団法が大要意図するところは今の問題を解決するためだというふうに言われましても、それは将来の国の発展計画、今の政府の計画で申し上げますならば、所得倍増の十カ年計画のその初年度の対策として考えることが私としては妥当ではないかというふうに思うわけです。そのつながりがなくては、いわゆる計画的な所得格差の解消なり何なりというものはできないのではないかというふうに思うので、先ほどの大臣の答弁のように、若干現在の問題だけの解決にというふうに言われるとすれば、あまりに計画性がないような気がするのですけれども、その点はどうでしょう。
#67
○石田国務大臣 私が申しましたのは、現在雇用情勢の中に幾つかのアンバランスがありますが、その幾つかのアンバランスのうちの一つの地域的アンバランス、これを御指摘でありますから、地域的アンバランスの恒久的是正は低開発地域なり不況地域なりに対する特殊な施策を必要とするものであり、それが根底とならなければならない。しかしそれらの諸施策を実施し、効果を表わして参りますまでの間の現在の時点におきまする地域格差も是正しなければならない。現在の時点における地域格差是正のために雇用促進事業団は地域的アンバランスの是正という仕事をしようとしておるのであるということを申し上げたのであります。あるいは職業訓練の実施、あるいはまたそのほかのこの雇用促進事業団がやって参ろうと思います仕事、これは恒久的仕事であります。それから地域的なアンバランスの是正は、やはり低開発地域の開発促進をやるといたしましても一度に全計画が成り立つものではないのでありますが、しかし一方において所要労働力を必要とする事情というものは年々引き続いて起こって参りますし、また労働力も年々新しく加わって参るのであります。従ってその間の調整をとりつつ行なっていかなければならぬことであり、その仕事自体は恒久的である。ただ地域差の、地域的アンバランスの是正を本質的にどういう方法でやるべきかといえば低開発地域の開発ということでやるべきだ、こういうことを申し上げたのであります。
#68
○吉村委員 いずれにいたしましても労働力のアンバランス、特に現在は技能労働者が非常にアンバランスになっておる。こういう当面する問題を解決すると同時に、将来の地域開発なり何なりにつながった問題としてとらえられていると思うのです。重点はどこに置いてあるかという問題は別だとは思うのですけれども……。そういたしますと、現在技能労働者が非常に不足だ、不足だというふうに言われておりますけれども、たしか労働省が発表しておりますところの技能労働力の需給状況調査、これは一番新しいのはいつでありますかわかりませんが、三十五年の二月のものを私は見たのでありますけれども、この中で不足しておる技能者の総数というのはその時点で八十一万一千三百五十四名、こういう数字が出ておるわけであります。この八十一万にも上るところの技能労働者が不足をしておるということに対して、具体的には労働省としてはこれをどういうふうに充足をしようとしておるのか。それからいま一つは、技能労働力の不足をしておるものを職種別に二、三でいいと思うのですけれども、最も不足しておるのは何かということについて、わかっておりましたら一つお答えを願いたいと思うわけです。
#69
○堀政府委員 昨年の二月に行ないました労働力の技能労働力需給状況調査によりますると、ただいまお話しのように、八十一万人程度の不足になっておるわけでございます。その中で不足の目立っておりまするものは、やはり重化学あるいは機械、建設、こういうような職種が技能労働力に不足しておる状況でございます。これに対応いたしまして、私どもはまず現在の公共職業訓練、これは総合職業訓練所及び一般職業訓練所の二つから成り立っておるわけでございまするが、ここにおける職業訓練の対象人員の拡充強化を行ないたい考えでございます。これと並びまして、各事業において行ないますところの事業内職業訓練につきましても、事業主側に呼びかけまして、その拡充をはかって参りたい考えでございます。そこで、特に最近におきまして不足の目立っておりますところの建設労働力、これにつきましては、本年度の予算をもちまして、特に総合及び一般職業訓練所における種目を充実するとともに、千葉、愛知におきまして、建設労働者養成のための特別の訓練所を設置する予定にしております。それから機械あるいは重化学関係の最も需要の多いような職種につきましては、これの増設等の方法によりまして重点的に充実して参りたい考えでございます。
 これは本年度の予想でございまするが、さらに少し将来にわたりましては、ここ十年ばかりの間に、企画庁と労働省との共同した作業によりますると、大体技能労働力が四百二十万程度不足するような状況になって参りまするので、そのうちの百五十万程度は公共職業訓練所、それから約百八十万人程度は事業内におけるところの職業訓練、再訓練等によりまして充足をはかっていくという考え方で、長期的な計画の一環といたしまして、本年度においては重点的に公共職業訓練の職種を拡充していくと同時に、対象人員を増加するよう措置いたしておるのでございます。
#70
○吉村委員 特に不足をしておる職種については、建設などが非常に重要だというお話でありまするが、職業訓練所関係で、全国の職業訓練所で、訓練を終わられて、そして実際にその技能を役立ててやっていけるという、何といいますか、訓練を全部終了し得る人員というのは、一年間に何名くらいになりますか。
#71
○堀政府委員 昭和三十五年度におきましては、公共職業訓練所を総計いたしまして五万六千六百名を対象にいたしておりまするが、三十六年度におきましては、これをさらに増員いたしまして、約六万五百名を対象人員とするように措置を講じたところでございます。
#72
○吉村委員 そういたしますと、現在すでに不足しておる技能労働者の数が約八十一万人である。これに対して一年間にこれから訓練をしてやっていこうという人数が六万前後ですか。
#73
○堀政府委員 ただいま私の申し上げましたのは、公共職業訓練所におけるところの対象人員でございます。このほかに、事業内職業訓練、これにつきましては、昭和三十六年度におきまして約三万九千人程度が事業内職業訓練によって養成する予定でございます。これは予算措置を講じた数字でございまして、共同養成の補助の対象人員でございます。そのほかに各事業におきまして事業内の訓練を行なっております者を合わせますと、約七万人くらいになります。合わせまして大体十三万人程度が三十六年度において公共職業訓練及び事業内訓練における対象人員になっておるわけでございます。
#74
○吉村委員 各有業内の職業訓練及び労働省で計画をしておる職業訓練所を卒業する者、終わる者を加算しましても、合計十三万程度、こういうことになるわけです。現在最も不足をしておるといわれておるところの建設労働者の不足労働者数は大体六万か七万くらいになっておるのではないかと思いますが、その倍くらいの程度で、今非常に飛躍的に発展をしつつあるという日本の生産の状況あるいは技術革新、こういうような状態を考えてみると、これだけではどうにもならぬじゃないかという気がするわけです。もちろん全部が全部一ぺんにやるというわけにはいかぬとは思うのですけれども、これでは実際のところ、急速に生産なり技術革新というものが発展をしていくんだというふうにいわれておっても、実質的には、それに必要な技能労働者が非常に不足しておって、いわば、極端な言い方ではございますけれども、この対策では焼け石に水的なことに終わりはせぬか、もっと思い切った施策というものが今の段階としては必要じゃないかというふうに考えるのですけれども、それらの点についてはどのように考えられますか。
#75
○石田国務大臣 訓練の内容、規模、対象人員というものを急速に増加させたいという希望は強く持っております。ただこれは指導員の養成と並行して参らなければならないのでありまして、指導員の養成に本年度から着手をいたしました。指導員の養成と並行いたしまして順次拡大をして参りたいと思っております。この数ではもちろん足らぬのでありますが、この数以外に、各産業内におきまして、それぞれ熟練によって、あるいは産業内の教育によって新たに技術を修得されてくる者もあるわけでありまして、そういうことにも一つの期待をかけておりまするし、あるいは工業高等学校その他の卒業生、そういうものにも期待をかけておるわけでございます。
#76
○赤松委員 関連して。労働大臣にお尋ねしますが、私ども今中小企業関係の約百の事業場を集めて、そして中小企業の一番悩みである職業訓練と、もう一つは共同炊事場を設けて、できる限りその百の事業場の工員の栄養なども考える、そういう施設を今急いでおるわけです。大体会館を作りまして、下は食堂――食堂というよりも共同炊事場、それから娯楽場、そして二階を訓練所というふうな規模でやっておるわけですが、これは中小企業の近代化のために最も理想的な形ではないかと思うのです。その際に問題になるのは、厚生年金の還元融資の問題で、今度新しく協同組合が対象になった。これを今度できる事業福祉団でもって審査をされるということになるわけですけれども、こういうように、政府の指向する中小企業の近代化に伴う施設の面については、ひとりこれを事業団の査定にだけまかせるのでなしに、やはり労働省あたりのイニシアチブで、できる限り還元融資がうまくいくような努力を払ってもらう、こういうことが必要ではないか。たとえば還元融資の例あるいは地方の起債の例を見ても、ほとんど大企業に融資されている。中小企業への融資は非常に少ない。こういう点はこの雇用の問題と関連して特に労働大臣に考えていただきたいのですが、その点はどうですか。
#77
○石田国務大臣 厚生年金の還元融資でありますが、この事業団で審査をいたしません。これは各県の労政課で審査をいたしますが、役所としては今御指摘のようなことのないようにいたしたいと思いますし、特に現在まで厚生年金の還元融資は大企業に偏重しておったことは事実です。そこでそれを是正いたしますために今度とりました別ワクは、これは明確に中小企業だけを対象にいたしております。これはほかの還元融資とは違うのでありますから、それはそういう結果にはならないようにいたします。
 それからもう一つ住宅公団で作っております産業労働者住宅、これも従来は一緒くたにしておりましたから、どうしても大企業に偏在しがちでありましたので、今度三百人以下の中小企業の分と、それ以上の分とははっきりワクを分けて取り扱っておりますから、従来とは違った取り扱いができることになると思います。
#78
○吉村委員 今までの話の中で、一ぺんになかなかできないというような話があったのですけれども、これはよく政府の方では何かの施策を発表するにあたって、こういうことをするということを得意げに宣伝をされるのですけれども、私は現在の技能労働者が不足をしたりアンバランスになってきているというこの実情は、政府の責任ある立場からするならば、数年前から予見されておった事態ではないかと思うのです。また予見されなればならない問題であるはずだと思うのです。にもかかわらず、このような状態になってからあわてていろいろな施策というものを打ち出してくる、しかもそれは現状のこの問題を解決するような根本的なものに触れられないで、いわば弥縫策的なものに終わるようなきらいが、幾つも例があるような気がするわけです。そういうことは一体どこから出てくるのかというふうに考えてみますと、それは各省なり各庁間で国の将来の産業のあり方なり何なりについて総合的な年次計画というものを持っていないために起きる現象じゃないか、このように考えるわけです。今回の雇用促進事業団法につきましても、大臣も先ほど言われましたように、非常にたくさんの技能者が今必要ではあるけれども、それは急にできない。まず指導員からの養成をしなければならないというようなことに触れたわけですけれども、それは現在までの政治のやり方が、いわば無計画に、その場その場的に措置をされておったために起きてきた現象じゃないか、こう言わざるを得ないと思うのです。従ってそういう点について、雇用問題というのは私は相当将来にわたって影響のある問題だというふうに考えておりますので、そういう点から考えてみると、当然二、三年前なり数年前からこの種の事態というものは予見をして、そうして対策が立てられる、こういう姿であるのが最も正しいというふうに思うのでございますけれども、その点は一体大臣はどういうふうに考えられておりますか。
#79
○石田国務大臣 数年前から技術の革新や産業界の発達によって相当量の技能者の不足を予想いたしておりました。そこで私が今から四年前ですか、昭和三十二年に労働省に参りましたときに、ただいま施行されております職業訓練法を制定いたしまして、本格的な職業訓練の実施に乗り出したわけであります。ただ経済の発展の速度がその後異常な速度で、これはわれわれの予想を上回った速度で発展をいたしましたために、技能労働者の数の不足というものが非常な数に上って参りました。今鋭意社会の要求に応ずるように努力しているわけでありますが、テンポが若干ずれたことは事実であります。しかしこうした事態を予想して準備はしておったのであります。それから指導員の養成もあわせて行なう計画でございまして、本年四月より中央職業訓練所におきまして教員の養成はすでに開始をいたしました。従って従来までの指導員に加えて、私どもの方の養成いたしておりますこの訓練の指導員を合わせまして、それに見合いつつ経済界の要求に応じていくつもりでございます。
#80
○吉村委員 数年前から今日のような事態といいますか、技能者が不足するであろうということは予見をしたけれども、経済の発展が予想以上に早かったために今のような問題が起きたのだということでございますが、少し数字上の問題から考えてみますと、言葉通りに受け取るわけにはいかぬと思うのです。もちろん予測の問題でありますから、きちっとその通りになるような予測は困難ではあったと思うのですけれども、しかし今日のように八十何万かの技能労働者が不足しておるという事態は、数年前から予見をして施策が行なわれておったとすれば、かりに経済の発展が予想以上に進んだとしても、こういう困難は生じなかったというふうに私としては考えるわけです。最も不足しておることは、各省間のいろいろな政策についての措置なり何なりというものが不十分であって、各個ばらばらにそれぞれの考え方に基づいて政策というものが推し進められている。そういう結果から労働省なら労働省の雇用対策なり何なりというものがおくれてしまうので、こういうふうになるのではないかと思うのです。言いかえてみますると、それは計画的な年次計画に基づいたいろいろな施策というものが行なわれていないというところに基因するのではないかというふうに考えます。しかしこのことを今言ってもしようがないわけですけれども、たとえば現存の池田内閣の政策の中心をなしている所得倍増計画の中では、十カ年間に二百四十三万人の労働力の移動が行なわれるというふうに書いてあるわけですけれども、それを十年後の姿として受け取るだけでは非常に不安な気持がわれわれとしてはあるわけです。それを一年ごとに、年次的にどういう産業にどのような労働力が配置されるのかということがきちっとわかっておって初めて政府の政策に対して国民も納得もし、協力もでき得るというように思うのですけれども、今まで私が調べた範囲では、そういう雇用問題等につきましても、年次計画というものは明確に立てられていないのではないか、このように考えられるわけです。今労働省が本気になってやっていこうとする、この職業訓練なり、あるいは事業内の職業再教育というものを見ましても、年間十三万程度でもってやっていく、こういうお話でありますけれども、この程度のことで十年間に二百五十万に上るところの労働力の産業間の移動というものが実際に年次的にやっていけるのかどうか、非常に不安なしとしないのでありますけれども、こういう年次計画というものがあるならば、一つ示してもらいたいし、その計画があるとするならば、それは政府全体の規模の中で樹立されたものかどうか、こういうことについてお答えを願いたいと思うわけです。
#81
○石田国務大臣 所得倍増計画で十年後、計画の最終年次、昭和四十五年度における雇用情勢というものを見まして、その中で第一次産業から第二次産業へ実質上移る者、これは今御指摘のように二百二十四、五万だと思います。ただこれは三十五年度からの計画でありますから、十一年にわたりますと、一年におおよそ二十万とわれわれは見ておるわけであります。この二十万に対し、これは農村から第二次、第三次産業へ移る数字であります。今、農村を対象として十三万ずつくらいの訓練をいたしますが、その中で年間農村向けはどのくらいかというと、純粋に第一次産業からの出身者が訓練を受ける数は大体半分か半分強じゃないかと思います。昨年から農村子弟向けの農村における訓練所を、昨年十四、本年十八作りまして、これからも拡充して参りますが、そういうふうに見ておるわけであります。その全員にいわゆる政府のやります職業訓練が必要かといいますと、そうではないのでありまして、第三次産業へ移っていく者、それから第二次産業の単純労務へ入っていく者等がございます。それからまた主として第三次産業へ行く者、第三次産業の中で運輸、通信等に行く者に対しては、特に民間の訓練所がたくさんにございます。それからまた別に企業の中へ入っていって、その企業の中で経験と習熟によって技能を身につけるという方法もあるわけでありまして、年間大体一次産業から二次産業へ移っていく者を今申しましたような数字で見たところでは、大体そういう状況であります。これで十分だとは決して考えているわけではないのでありまして、さらに拡充強化をいたす方針でありますが、ただ非常に難点を申しますと、指導員の養成確保をこれと並行していかなれけばならぬというところにざいます。
 それからもう一つは、まだ訓練所の組織実体というものが世間にあまりよく知られておりません。特に私ども方方を回って感じますことは、訓練所に入れば訓練手当をもらえるということも、あるいは失業保険の給付期間が延長になることも、まだ知らない方がたくさんおる。市町村長その他でもほとんど知らないという状態でありまして、そういう点の普及宣伝を、指導員の養成と相待って拡充して参りたいと思っておる次第であります。
#82
○吉村委員 農村からの労働力の移動の問題については大体わかったわけですが、しかし技術革新なり何なりが行なわれていきますと、衰退する産業と将来発展する産業とがあるはずだと思うのです。そういう面から一言いますと、第一次産業から第二次産業の方へ移動するという労働力だけではなくして、第二次産業間におけるところの各工業別の労働力の移動というものが当然予測をさるれと思うのです。そういう点を総合いたしますと、今大臣が言われた、大体全部が全部職業訓練の必要はないということについては、私もその通りに思いますけれども、しかし今申し上げましたような工業間におけるところの労働力の流動、こういうものが予測をされるという点から想定をいたしますと、相当数再教育なり何なりをしなければ、また、そのある産業については非常に技能労働者が不足をするというような事態が起きると思うのです。将来のことについての予測は非常に困難なことではあると思うのですが、しかし総合的な立場に立って雇用状態というものを安定させていくためには、年次的な、もう少し詳細な計画というものがあってしかるべきじゃないか、このように私としては考えるわけです。
 それらから見ますると、今回のこの事業団の設立に伴って、新しい試みとしてだと思うのですけれども、住宅を事業団独自で作って、これを世帯主あるいは独身者の利便に供するという方針が明らかになっておるわけです。その数字は、予算の面から見ますと、世帯主用の一千戸、独身者用が千五百戸、あとは合宿、簡易宿泊所みたいなものですけれども、ないよりはあった方がいいということはその通りなのです。しかし当面をしておる事態の中で、この程度のことで一体労働省が期待するように労働力が円滑に流動するような条件になり得るかどうかというふうに考えてみますと、相当これまた問題が多いのではないかというように考えます。着眼点は非常に私はいいところだと思うのです。労働者が移動できないというのはまず住宅の問題でありますから、そういう点については、着眼されるところは非常によいと思うのですけれども、これまた焼け石に水程度のことで終わりになってしまうのじゃないか、こういう気がするのでありますけれども、今申し上げましたようなことについて、労働省としてはどのようにお考えになっておられるのか承りたい。
#83
○堀政府委員 雇用促進事業団の事業計画によりますと、一般の離職者についても、予定しております建設戸数は三千戸であります。それからそのほかに炭鉱離職者援護の特別会計によりまして予定しております対象の住宅が千八百戸、合わせて四千八百戸を初年度に建設するよううにいたしたい考えでございます。この場合において、雇用促進事業団においてなぜこの住宅を建設するかということは、提案理由においても申し上げておりますように、労働力の流動性を促進する見地から、広域職業紹介等によりまして、離職労働者の地域間の移動をはかりたい。その場合において、広域職業紹介の裏づけといたしまして、一時的にこのような離職した労働者を地域間において移動させますために、その裏づけとしてどうしてもこの程度のものがなければ工合が悪い、いわば広域職業紹介と密接不可分の関係にあるという考え方で、雇用促進事業団といたしまして初年度において四千八百戸分を予定いたした次第であります。それと同時に、これは建設省関係において本来の立場からの住宅建設を促進しておることは申すまでもないところであります。三十六年度においては公営住宅、公庫住宅、公団住宅、それから厚生年金によりますところの還元融資による住宅を合わせまして、約二十四万戸程度を建設することになっております。しかも三十六年度においては、特に第二種公営住宅及び産労住宅等のワクを拡げまして、そうして労働者用及び低所得階層の方方の住宅に重点を置いて建設する、こういう計画になっておるわけでございますが、そのほかに雇用促進事業団におきましては、先ほど申し上げました広域職業紹介と密接不可分であるという観点から、離職老を一時的に収容する処置といたしまして、このような住宅建設を行ないたい考えでございます。それから、入りました労働者のその後における移動等につきましては、この法案にもありますように、建設、労働両大臣協議いたしまして、転換が円滑に行なわれるように処置いたしたい考えでございます。
#84
○吉村委員 私が指摘いたしましたのは、その他建設省なり何なりで総合的にやっておる住宅対策については、いろいろな施策が行なわれておると思うのです。特に今回事業団として、労働力の流動を円滑にするための一つの事業としてこういうことが行われようとしておるわけです。それは非常に着眼としてはいいと思うのですが、この程度ではなかなか期待するようなごとくにはいかないのじゃないか。事業団の事業の中について今質問したわけですから、これで十分だというふうには私としては考えられないのですが、その点はどうですかというふうにお聞きしておるわけであります。
#85
○石田国務大臣 十分だとはもちろん考えておりません。ただ先ほど申しましたように、長く永久的に住んでもらう家じゃないのでありまして、永久的な住宅は、これは建設省の方で考えてもらわなければならぬし、また会社でも考えてもらわなければならぬ。そこへ行くまでの間、とりあえずそこにちょっと仮寓をしてもらう、そういうものがないために行けない場合も相当あるわけです。あるいはまた、長く住んでもらう家が建つまでの間住むところもない。たとえば貸間があっても家族は連れていけないというようなことで、困る事情がありますために、そういうものの充足として、つまり広い範囲で職業紹介をしたときのつなぎとしてこれを使うわけでありますから、回転を早くさせていきたい。もちろんこの数で足りるとは思っておりませんけれども、初めての試みでございますので、どれだけ利用者があるか、初年度でありますから、実際やってみました上で、明年度の予算等の場合においては、その実情に見合って計画を拡大したい、こう思っておるわけであります。
#86
○吉村委員 初めての試みでありますから、全く予測はつかないと思うのですけれども、いずれにしても、この訓練しようとする人数、そういうものと、将来の、あるいは現在の中高年令者が非常に離職をしておるという実態からすれば、この種の設備というものが非常に必要であるということだけは言えると思うので、私としては労働省がこういうような住宅の問題といいますか、住宅と言っては建設省の関係になるのでしょうけれども、宿舎の問題についてかちとったところの努力については敬意を表するところでありますけれども、これはもっと将来充実をしていくということが必要じゃないか、こういうふうに考えて、その点は強く要望しておきたいと思うのです。
 あと、先ほども少し触れたわけでありますけれども、労働力の配置の仕方について、大臣も先ほど個別的には云云というふうに言いましたけれども、地域間に非常に低開発の地域がある。そこに工業が誘致されれば、労働力を距離的に流動させるという問題は起きないで済むわけですね。また日本の現在の経済状態等から考えてみると、労働力を地理的に流動させるということよりも、低開発の地域に工業なら工業というものを誘致をして、そこの労働力をそこで吸収する、こういう方針の方が、日本の産業開発なり経済の発展から見てふさわしいことではないかというふうに私は考えておるわけなんですが、この事業団法は、そのことについてはあまり触れてはいないわけです。大臣としては、この今私が申し上げましたような労働力の配置についても、産業間なら産業間の配置の問題はもちろんあります。しかし地域間の流動性を増大するということよりは、低開発地域にあるところの労働力をその場所で吸収する、こういう方式が最も現在の日本には妥当性を持っているのじゃないかというふうに思うのですが、その見解をはっきり伺っておきたいと思います。
#87
○石田国務大臣 それは全くその通りでありまして、私は閣議におきましてもしばしばその必要を強調いたしておりますし、ただいま申し述べました開発関係の促進法三法もそういう趣旨から提案されておるわけであります。ただ各種産業の中にはそれぞれ立地条件がありまして、その立地条件を整備しなければならず、また整備いたしましても、産業の種類によってはいろいろそう簡単にいかない場合もございます。特に筑豊地区のごとき、あるいはまた北海道の産炭地、福島県、茨城県の産炭地等におきましては、そういう地域に対し、しかも現在までありました石炭というようなものを使った新しい産業を誘致するために、政府は格段の努力をすべきだと考えておるのであります。ただこれは総合的な施策を必要といたしまして、私だけの所管の問題ではございません。従って雇用促進事業団法の中にはそれはうたっておりません。
#88
○吉村委員 次に、特にこの事業団法が意図しておると思われる中高年令層の問題についてお聞きしておきたいのですけれども、大体現在三十才以上くらいになって就職を希望しておられる人たちで、技能がないとか、いろいろな事情で就職でき得ないという人数はどのくらいになっておるのですか。
#89
○石田国務大臣 そういうふうな見方はちょっとむずかしいと思いますけれども、職業安定所の窓口から見ました中高年令層の就職申し込み率、求人率、就職率というようなことは御説明できると思いますので、事務当局から……。
#90
○堀政府委員 最近、中高年令層の就職状況が非常に逼迫しておりますが、昨年の十月におきまして、労働省において各全国第一線の安定所を調べまして特別調査を行なったわけでございます。その調べによりますと、昨年の十月におきまして三十五才から三十九才の求職者の総数が約七万一千人であります。それから四十才から四十九才が八万三千人、それから五十才以上が九万一千人、合わせて約二十四万五千人、こういう状況でございます。これに対するところの同じく十月一カ月を通じましての中高年令に対する求人の数が約六万八千人であります。従いまして、殺到率を見てみますと、三十五才から三十九才の者は一・八、四十才から四十九が三・五、五十才以上が十五・三、こういう殺到率になっておる状況でございます。
#91
○吉村委員 二十四万からの人が今の調べ方によるとあるということですけれども、そこでちょっとお尋ねしておきたいのですが、大体高年令者が離職する離職当時の産業というものは、主としてどういうところの人たちかということを、わかっておったらお聞きしたい。
#92
○堀政府委員 離職時における産業の調査につきましては、特別なものはいたしておりません。これはやはり第二次産業、第三次産業を通じまして各業種にまたがっておるわけでございます。ただその場合におきまして問題になります離職する場合の事由につきましては、調査をいたしておりますが、若年令層では自発的な理由に基づくところの退職が多いのに対しまして、中高年令層では事業主の都合による解雇あるいは契約期間満了による退職など、非自発的な理由に基づく退職が多い、こういう数字が出ております。
#93
○吉村委員 この中高年令層の就職対策といいますか、再就職というのは、今非常にむずかしい問題になっておると思うのです。これはそのための手段としても、この事業団法が果たす役割というのは非常に大きいと思うのです。そこでお尋ねしておきたいのは、中高年令層が再就職なり何なりができ得ないということにはいろいろな原因があると思うのですが、私は大体今の日本の賃金体系というものがその場合の一番大きな障害の一つになっているのじゃないか、こういうふうに考えているわけです。それで中高年令層の就職対策ということを考えてみる場合に、その原因というものを把握せずしていい対策はでき得ないと思うので、労働大臣としては、この中高年令層が就職でき得ないところの原因というものがどういうことにあるというふうにお考えになっておるのか、そこの所見を一つ聞いておきたいと思うのであります。
#94
○石田国務大臣 まず日本の封鎖的な雇用制度、終身雇用制度、それからそれに伴って存在しておる年功序列型賃金、この二つの背景をなしておりますものは、やはり今まで間断のない労働力過剰の現象、これがやはり背景をなしておると思います。ところが、その背景をなしておるものは漸次解消されつつあるわけでありますが、一方、今の年功序列型賃金というものも、若年労働者層の非常な不足によりまして、若年労働者の賃金が上昇して参りました。従っていわゆる同一労働同一賃金という体系に漸次変わりつつあるのじゃないかと思っておりますけれども、しかし、これにはやはりいろいろな背景がございますから、法律や制度だけで解消することはむずかしいと思います。私は、根本的にはこの年功序列型賃金が同一労働同一賃金というふうに移り変わり、封鎖的雇用制度から開放的な労働市場というようなものが作り上げられる方向へ進むことが正しい方向だと根本的に思っておるわけであります。
#95
○吉村委員 そういう理解に立っているとすれば、それなりの施策というものを立てていかなければならぬと思うのですが、しかし、当面しているこの中高年令層の問題については、抜本的に対策を立てるといっても、自然のままにまかせるみたいな形では容易にこれは解決し得ないのです。私は、こういう問題については、相当思い切った国家的な規制を加えるということが必要じゃないかというふうに考えます。たとえば、大臣も各方面に行って、中高年令者をなるたけ採用してもらいたい、こういう優位性を持っているのですというようなお話をして要請をしておるようなことを読んだことがありますけれども、そういう程度では、今の競争主義的な自由企業の状態の中では、大臣の要請とはいいながら、私はなかなかそれを聞き入れるという企業は少ないのじゃないかというふうに思えるのです。たとえばそう要請をしておる労働省だって、中高年令層をどのくらい自発的に採用しているかということになると、そういう例はあまりないような気がするのです。これは現在の日本の雇用状態というものがそういう結果を招くようにできておるからそうなのであって、これらの問題を解決していくためには、やはりある程度国家的な規制を加える必要があるのじゃないか。言いかえますと、現在の状態の中では、雇用安定のための法律というようなものをきちっと立てるということが非常に重要じゃないか。その一環として中高年令層については、たとえば具体的には、官庁については何%採用するとか、ある民間企業についてはこういうふうにするとかいう規制でもしなければ、今日のこの中高年令層の問題というのは解決し得ないのじゃないか。そしてまた第一次産業から第二次産業の方に移動をするというような問題を含めて見ますと、非常にこの点は大きな問題だというふうに思えるので、労働省としてはそのような国家的な規制を加えた、言いかえますと雇用安定のための方向、大筋というものを打ち出すというような考え方がないかどうか、この点についてお聞きしたいと思うわけです。
#96
○石田国務大臣 中高年令層の雇用問題を処理いたします第一の方法は、やはり定年制の延長であります。先進諸国、というと語弊がありますが、アメリカその他ヨーロッパ各国は、大体六十才から六十五才という状態になってきているわけです。日本は依然としてまだ五十五才、これはやはり延長する方向に指導していくべきものと思っておりますし、現に政府関係機関は大体三年程度ぐらい――まちまちでありますが、平均三年程度ぐらい延長されつつあります。
 それからその次は、私どもといたしましては、中高年令層の適職の調査、これは日経連その他の協力を得まして、百二十種にわたって適職を選定いたしました。これらの職種につきましては、まず政府関係機関に先般協力を求めました。その後日経連等にも協力を求めつつあるのでありますが、これによって具体的な成果が上がらない場合、これは職業紹介その他におきまして、現実的な行政指導を行ないたいと思っておる次第であります。ただ年少労働者に対する需要が非常に多くて、中学校卒業者に対しては三倍、高学校等卒業者に対しては二倍という状態でございますから、私は年少労働者の不足が、やはり漸次こういう適職に対しては中高年令層採用の方向へいくものと考えております。
 それから第三番目には、職業訓練を受けやすいようにする。うんと若い人と一緒にやれと申しましても、口では言えてもなかなかむずかしいのでありますから、クラスを分けるとか、あるいは二部教育をするとかいうふうな方法をとりたいと思っております。現に三池等の場合におきましては、五十五才をこえた者も数名訓練を受けまして、完全に就職をいたしておるような実例もありますので、そういうことで中年層、高年層の職業訓練を受けやすいような方向をとりたいと思います。法律的規制は、これはなかなか実はむずかしい問題でございまして、今直ちに制度的、法律的規制を考えるわけには参らないと思うのでありますが、ただいま申しましたような方向で成果を上げて参りたいと考えております。
#97
○吉村委員 この前、身体障害者雇用安定法という法律が制定をされたわけですが、この法律が実施をされてからも、いろいろな優先的な扱いなり何なりというものは行なわれているのですけれども、私の知っている町での事情からいいますと、そういう法律ができたとしても、現実にはなかなか身体障害者の就職というものの困難性は解消されていない、こういう実態にあることはおわかりだと思うのです。これは現在の自由企業という状態からいきますと、どうしてもそういうふうにならざるを得ないので、そこを労働省なら労働省が、何とか安定した就職の機会を与えてやる、こういうような考え方に立ったり、今度のように、中高年令層の人たちが非常に将来の問題あるいは今日の問題として重要問題になっているという場合には、今の日本の状態では、やはり相当強い規制といいますか、そういうものでもない限りは、労働大臣が方々へ行ってお願いをするという程度では、私は本質的な解決というものはでき得ないのじゃないか、そういう意味合いから、それらを含めて、もっと雇用の問題については、一つの筋というものをきちっと通していくというためにも、その一環としてもう少し、法的な規制まではいかなくても、ある程度国家的な企業なりあるいは民間の大きな企業に対しては義務づけるような形の方向をとらない限り、どうも大臣の先ほどの考え方だけでは、私は中高年令層の問題は容易に解決し得ない、こういうふうに考えるのですけれども、どうでしょう。
#98
○石田国務大臣 むずかしいことは事実です。ただ、身体不自由者の場合は、これは明確に身体不自由者ということが出てきます。ところが中高年令層の場合は、各職種全体で合わせて一定の割合をきめますと、案外中高年令層の率が現実に高くなるわけなんで、ただ実際それをどういうふうに配分するかということがむずかしいわけであります。そこで、今申しました百二十種ばかりの職種について職業の紹介その他をいたしますときに、これを実際現実の事態としてそういう成果を上げるように指導していきたい。それを一定率でぴしっと切るということはなかなか問題はむずかしいし、現にその職種で、他の職種で若い者を雇っておいてそっちへ回されても、どうもそれを処罰するということもむずかしい。やはり全体としてそういう社会的責任を感じてもらうことと、それからもう一つは、やはり現に年少者が不足をしておるわけでありますから、年少者の不足に伴って、それを補うという意味において中高年令層の採用が現実に行なわれていくように指導していきたい、こう思っておるような次第であります。
#99
○山本委員長 ちょっと吉村さん、実は社会党の方で何か御用がありますそうで、四時までにこの委員会を切り上げたいというのですが……。
#100
○吉村委員 これは少し考え方の差になるので、うまくないと思うのですが、たとえば労働省で、この事業団ができますと何人かの新しい職員が採用になるという事態にぶつかるわけですね。その場合、中高年令者になるたけ就職の機会を与えなさいと言っておる労働省自体が、中高年令者の中でふさわしい人をなるたけ拾って採用する気になるかどうかといったら、私はそうじゃないと思うのです。だからそういうことをある程度義務づけるという方向をとらなければ、これは本質的には何にもならぬじゃないかというふうに私としては考えておるわけなんです。それはそれとしまして、今言ったことについてもし答弁いただけるならば答弁してもらっていいのですよ。
#101
○石田国務大臣 これは事務職員にいたしましても、要するに、補助的事務職員と、それから計画、立案、事業の推進をやります事務職員とは違うと思います。計画、立案したり、事業の推進をやる事務職員はやはり適当な人材を得なければなりませんし、これだけの新しい仕事をやる以上は、積極的な気力と気魄と経験と知識を持っておる人にお願いをしなければ、やはり政府として国民に対する責任が果たせないと思います。しかし、単純なる補助的職員の場合、これはやはりわれわれの方から中高年令層ということの就職の問題を言っておるわけなのでありますから、単純な事務職員の採用については、私どもは年令というものにこだわらないで、中高年令層にできるだけ機会を与えるようにやって参りたい、こう考えておる次第であります。
#102
○吉村委員 結局同じことなんですよ。ほかの企業にいっても、やはり若くてぴんぴんとして頭の回転が早くて、能力が同じであるならば、それはやはり若い方を使った方がいいということになるのです。そこをやはり中高年令者を何とかしなければならないとするならば、そういう若干マイナスの点があるのもわかっているわけなんだから、それを何とかしてやるというのが根本的な対策でなくちゃならぬと思うのです。労働省だからこうだとかなんとかいってみても、それはどこの企業へいってみてもそういう条件というものはあって、だからこそ中高年令者というものが離職する機会が多くて就職する機会がないという現実なんだと思うのです。だからそういう点については、国家的な企業だから特別にというわけにいかぬけれども、どこも同一の条件にあるところに中高年令者の就職の問題のむずかしさがあると、私はこのように指摘をしておきたいと思うのです。
 次に、そういう問題はなかなかむずかしいとするならば、これは若干労働省の管轄から離れるような問題になると思うのですが、伺っておきたいのですけれども、中高年令者の中には、どこかの企業に雇用されるということのほかに、自分で何とかなりたいと考えておる人もおると思うのです。自分で企業を始めるとか、商売をやるとか、そういう人も相当おると思うのです。これは労働省の管轄からはずれると思うのですが、そういう人たちが一番困っておるのは資金の問題なんです。失業しておるというところにはとても一般の金融機関は金を貸すはずがない、あるいは国家の金融機関でも、その身元の保証や何かの点について非常に困難である、こういうことのために、自立についてもなかなかでき得ないという人が相当数おると思うのです。せっかくこういう事業団が出発をするということとでもあるので、再就職の身元保証を行なうということまで事業の中にあるわけですから、この事業団でやるかやらないかは別といたしまして、生業資金というものについて、これは雇用の問題と若干離れるわけですけれども、離職者という立場からすれば労働省も少し考えてやる必要があると思うので、そういう生業資金というものを貸付をする、そのための国家の一つの機関が身元保証の役割を引き受ける、こういうふうにすれば、今まで申し上げましたような中高年令老の問題についてもある程度緩和されるんじゃないかというふうに考えますので、少し労働省の所管からはずれるかもしれませんけれども、見解を承っておきたいと思うわけです。
#103
○堀政府委員 ただいまお話しのような事例が実は駐留軍関係の離職者、それから先般発生いたしました三井、三池の離職者等についても問題になったわけでございます。そのように一部産業から相当多量に離職者が発生いたしまするときには、その再就職のお世話につきまして、労働省及び雇用促進事業団が親身になってこれに当たることは必要でございまするが、それと同時に自営業の問題も出てくるわけであります。駐留軍の離職者、それから三井、三池の離職者の諸君については就職のあっせんをいたしますると同時に、自営業を希望し、そのために資金が必要になるというような方々につきましては、たとえば国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫等からの資金の貸付の申請をいたします際に、現在ございます石炭離職者援護会、あるいは都道府県等におきまして、その事業計画を一緒になって御相談をいたしまして、これならば何とかいけるのではないかというような場合には援護会等が推薦状をつけて申請をする、そういうものについては関係の金融機関の窓口においても優先的に配慮をする、こういうような措置をとったわけでございます。今後におきましてもこのように相当多数の離職者が同一地域において発生し、またそれに対して就職のあっせんだけではなかなか足りないというような場合には、雇用促進事業団の現実の業務といたしましてそういうような措置も講ずるというようなこともやるようにいたしたい、関係各省と十分相談いたしましてそのような方法も講じて参りたいと考えております。
#104
○吉村委員 今の問題についてはわかりました。
 次に、今まで労働省の中に労働福祉事業団というのがあるわけですが、この労働福祉事業団のやっておった業務の中から、職業訓練なりあるいはその他今回の案に書いてあるような事業については雇用促進事業団の方で行なう、こういうふうにするわけですね。しかし、労働福祉事業団でやっておっても、その規模なり内容さえ充実すれば、雇用促進事業団が意図する業務というものはやり得るのじゃないかというふうに私は思うわけです。だから、それをなぜ一体分離をしなければならぬか、私は労働者の福祉政策と同時に就職の問題や何かをやっていくというのは、むしろ総合的に一つの機関の中でやることの方が最もよい結果を生むのじゃないかというふうに考えられるわけなんです。にもかかわらず、それを分離をしていくというのは特別の意図があるのかどうか、その点を一つ伺っておきたいと思います。
#105
○石田国務大臣 労働福祉事業団は、ただいま御承知の通り労災病院と職業訓練、大きく分ければこういう仕事をやっております。病院と職業訓練というものは、仕事の性質が非常に違うわけであります。それから別に石炭離職者援護会というものがございます。その石炭離職者援護会は就職のあっせん、職業の訓練、移住資金の給与その他をやっておるわけでありまして現在の労働福祉事業団の事業の組み合わせが私は不適当のように思われるのでありまして、やはり労災病院を中心といたしまする運営専門に整理をいたす方が適当であろうと考えておる次第でございます。
#106
○吉村委員 どうもその点は実際にやってきた者とわれわれとの見方で相違をするわけですから、なかなか言えないと思うのですが、結局のところ福祉事業団に残る仕事というのは、労災病院なり何なりの運営ということになるわけですね。これは福祉的な事業という関係からいうと、結局は厚生省の仕事に近いような仕事にだんだん転化していくのじゃないかというふうに思えるわけです。妙な見方かもしれませんけれども、これを分離して事業団をまた作るということは、ポストを作るだけじゃないかというような見方も行なわれるわけなんです。決してそうではないというふうに私は思いますけれども、しかしながら今までの福祉事業団の中に総合してやっていったとしても、むしろその方が連絡や何かの点についてはいいのだし、石炭離職者援護会の業務等についても、中に包含しさえすればいいのであって、事業団を二つ持っているという姿は、どうも姿としてもあまり感心せぬのじゃないかというふうに考えられてならないわけです。その点についてはあまり触れませんけれども、ただ、そういうようなものを独立をさしていくというのは、もっと本格的に職業訓練なり何なりに力点を置いて、そして専念していくのだ、こういうふうに私は善意にこの際受け取って、よい運営をしてもらうことを特に希望しておきたいのですが、その運営にあたって、これは労働者の問題を重点として取り上げていく問題ですから、職業訓練にせよ何にせよ、従ってその運営にあたっては、労働者の意見というものを反映させることが非常に重要なのではないかと思うのです。法案を見ただけでは、そういうことが書いてないわけなのですけれども、労働者の意見なり何なりというものを十分反映をした運営の仕方というものについて考えられておるのかどうか、一つお聞きをしておきたいと思うわけです。
#107
○石田国務大臣 前段の問題は、どうか善意に御解釈願いたいと存じます。と申しますのは、これはいささか弁解になるのですが、私が労働省へこの前参ります前に、この労働福祉群業団というものが提案されました。私の前任者であった松浦君の時代に提案されました。その節そこにおられる滝井さんその他から、水と油のようなものをくっつけるのじゃないかという議論のあったことを拝聴いたしております。私は就任以来、職業訓練事業と病院とを同じ機構の中にやることに非常に疑問を持っておりました。そうして機会を見ましてこれを分離いたしたいとずっと長い間考えてきておった問題でございます。それを今回の機会にいたそうといたすものであります。
 それから後段の問題でございますが、事実上この運営の御相談を申し上げますところの協議会を設置いたしまして、そうしてその中には労働組合その他の代表の方々に御参加をいただきまして、運営についての御意見を拝聴することになっております。
#108
○吉村委員 それはさっき指摘しましたように、法案には書いてないのですね。だから、もし今の大臣の考え方通りにするとすれば、この委員会なり何なりでそのことをやはり明確にするようにしたい、こう考えます。
#109
○堀政府委員 ただいま大臣が申しましたように、事実上運営協議会を設置いたしたい考えでございます。なぜ法案に書かなかったか、こういうお尋ねでございますが、これは労働省におきましては、御承知のように労、使、公益三者構成の職業安定審議会、それから職業訓練審議会というような諮問機関があるわけでございます。これらの御審議を経まして、労働大臣は雇用促進事業団の管理、監督をいたす、こういうことになるわけでございます。労働省関係の他の事業団あるいは会等におきましても、同じような建前から、事業団あるいは会そのものに法制上の協議会あるいは審議会を設けておりません。そのような前例はないわけでございます。従いまして、そういう観点から、雇用促進事業団法案にはその協議会は、前例もないことでございまするから、書かなかったわけでございます。しかし事実上の問題といたしまして、ただいま先生の御指摘のように、労働者側の参加されたところの運営協議会的なものがあることは望ましいことでございますから、これはこの雇用促進事業団が設立されまするときに同時に発足させるつもりでおります。
#110
○吉村委員 これは私が聞いた話ですけれども、炭鉱離職者の援護会ですか、炭鉱離職者の臨時措置法か何かありましたね。あれの際も、労働者側の意見を聞いて、それで協議会的なものを作って運営するというような附帯決議か何かついておったように聞いておるのですが、それが現実にはそういう協議会なり何なりがあまり活用されないというふうに聞いておったのですけれども、実情はどうですか。
#111
○堀政府委員 炭鉱離職者の臨時措置法成立の際に附帯決議が国会においてついておるわけでございます。その趣旨に基づきまして、援護会発足と同時にこの運営協議会も設立させるという手はずを整えまして、労使関係方面に推薦方を御依頼申し上げたわけでございますが、御承知の三池争議その他の問題等も発生いたしまして、いろいろな関係で委員の委嘱がおくれまして、たしか昨年の秋に発足したわけでございまして、そのような意味から運営協議会の設置がおくれましたので、ただいま御指摘のようなことが言われたのではないかと思うわけでございますが、運営協議会を事実上設置いたしましてから後は、これは定期的に御会合をいただき、いろいろ御活発な御意見もいただいておるわけでございます。従いまして、現在におきましては円滑に運営されておると私どもは承知しております。今後におきましても、雇用促進事業団発足にあたりましては、同じような形で運営協議会を設置し、その御意見を十分尊重してこの事業団の運営を行なって参りたいと考えております。
#112
○吉村委員 炭鉱離職者援護会の運営協議会があまり活用されないままに終わってしまっておることはどうもあまり感心しない。そのうちに、今度はこの援護会が事業団の方に吸収されないことになるわけですね。ですから労働者の意見というものを十分反映させるその制度を同時に発足させたいということでございますから、これを法案の中に入れた方が、むしろ今問題となったように炭鉱離職者の運営協議会が活用されなかったというようなことを防ぐためにも入れた方がいいのではないかと思いますが、これはあとで何らかの手続をとるならとるようにしたい、このように考えます。
 そこで炭鉱離職者の援護会が吸収をされることになった場合に、現在においても炭鉱関係の合理化は進み、これからも合理化は進める。この炭鉱離職者の援護会は炭鉱の離職者を対象とした業務であったわけですね。それが今度は解消して事業団の方に吸収されるということになりますから、しかも将来にわたって炭鉱関係の離職者は相当多数出るということが予測をされるということになりますと、一方においてはこれらの炭鉱関係の離職者を対象とした援護あるいは再就職の活動であったのがなくなってしまうわけで、全部の産業についての対策を事業団としてやることになるので、心配されますことは、炭鉱離職者の今後の救援なりあるいは職業訓練なりその他の援護活動について、従来よりも軽視をされるような結果が生まれやせぬかというふうに考えらるのですが、その点については、そのおそれがないのかどうか、一つお伺いしておきたいと思います。
#113
○石田国務大臣 前段の協議会の問題でございますが、法律の中に書くということについてはいろいろ議論があると思います。しかし現実に必ず設置をいたすつもりでありますから、そのように御了解いただきたいと存じます。
 それから後段の問題、これはやはり雇用促進事業団を立案をいたしますときから関係者の非常に強い関心事でございました。従ってこの機構の中でも特に別に石炭関係のものだけは特別の会計にいたしております。それからもう一つは機構も特別にいたしております。
#114
○吉村委員 四時に終わるということでありますので、いま一つお伺いしておきたいのは、この事業団の対象としておる労働者というのは、主として民間企業についていわれておるようです。現在御承知のように国家の企業の中においても相当技術革新なり何なりが進んで、労働力の移動というものが相当行なわれておるわけです。これらの点につきましては国としての対策というよりも、その国家的な企業内において慫慂されておる。たとえばこの事業団が発足をいたしますと、移転をする場合の手当やなんかも支給をする、あるいは職業訓練中の手当も支給する、こういうふうになっております。例を鉄道にとりますと、鉄道なんかも相当数の労働者の地域間の移動が行なわれておるわけです。御承知のように、鉄道ばかりではありませんけれども、国家企業の中では、その企業の独算制という形で運営をされておる企業が相当多いわけですから、そうしますと、この事業団法が適用されるものは主として民間の離職者を対象とするということになりますと、国家的な企業を行なっておるところのものに対しては若干差別待遇的なものになって、いわば独算制をしいられておる企業にとっては、労働者の移動なり何なりのために生じている負担しなければならない経費というものは相当大きな数字になっていると思うわけです。こういう点については、労働省としては一体どういうふうにお考えになっておられるのかお聞きしておきたい。
#115
○石田国務大臣 たとえばその国鉄の企業の中で、つまり国鉄から退社しないで北海道から四国へ行くというような場合に、移動資金を出せ、これは無理だと思います。しかし、国鉄から退社されまして、そうしてほかのところに就職するというような場合は、その前職が公企体であろうと民間企業であろうと差別はいたしません。
#116
○吉村委員 その点が国鉄のように大企業になりますと、同一企業だといってみても、企業内には違いないのだけれども、たとえば民間の場合ですと、大きな民間企業の場合に、北海道にも一つの工場がある、それから九州にもあるというような場合には、これはこのままの条文でいうと適用になるようなふうに私としては見たのですけれども、その点はそうではないということですか。
#117
○石田国務大臣 たとえば三井鉱山の場合、北海道の山から九州の山へ移るというような場合には適用になりません。
#118
○吉村委員 最後に申し上げたいのは、この事業団法が持っているところの内容についてはいろいろ不備な点等もありますけれども、現状においてそういうような施策というものをやっていかなければならぬのではないかということについてはわかるのです。しかしそれはあくまでも今日におけるところの困難なり問題点を処理していくという一つの方法としてとられたようなものなんで、もっと重要視しなければならないのは雇用の問題、これをもっと根本的に解決をする、こういうことが非常に重要じゃないかというふうに私は思うわけです。しかも技術革新なり何なりが進んでいこうという段階におきましては、相当数労働者の移動なり何なりが当然行なわれなければならぬ、あるいは今日においては非常にいんしんをきわめている産業でも、将来の見通しというものは必ずしも安定したというわけにはいかない、こういう状態ですから、それらの変動の影響を受けるのは労働者が変動の影響を受けるわけです。これを安定をさせていくというのが労働省としての主要な任務になるだろうと思うので、その意味合いからいきますと、今日の日本の状態ではもっと根本的な雇用安定法的なものを確立をして、そうしてその法の実施と同時に並行裡に、ここにも盛んに書いてあるこまかい施策云々というのは、事業団なら事業団というようなものが並行裡に進んでいくということが非常に今日においてさらに重要な点ではないかというふうに私としては考えます。で、幸いといいますか、相当計画的な政策を池田内閣は打ち出しておるわけですから、その面から考えてみましても、それらの政策を実現をするのに当たって最も重要な役割を果たすであろうところの雇用の問題について、もっと安定をした状態というものを作り上げるというために、労働省自体として雇用安定法的なものを考えていく気があるかないか、そのことを最後に承っておきたいと思います。
#119
○石田国務大臣 これは、政治の最終の目標は一にかかって国民の生活の安定と向上を目ざすことにあると思います。従って現内閣に限らず、諸施策の雇用面における目標は完全雇用の実現であります。つまり人の問題を先に考え、その処理をすることであると存じます。従って私どもは、たとえば経済政策の実施にあたりましても、それによって生ずる雇用の変動等について完全な措置をとることを前提として経済政策の変更等が行なわれるべきものと考えておる次第であります。一般的に私どもはそういう考え方で労政に臨みたいと思っておるのであります。そういう観点から雇用の安定、完全雇用の実現というものをもっと総合的に、さらにもっと積極的に考えたいと思っております。それがいわゆる農業基本法のような基本立法を必要とするか、あるいはそういうものの中にまとめていくべきものであるかどうか、そういうことも一切含めて検討をいたしたいと存じます。
#120
○吉村委員 今大臣から、そういう総合施策についても十分検討するというお話でありますが、私は長いこと労働組合の仕事に携わってきまして、労働者が一番考えておるのは、自分の生活の問題と同時に、自分の職場が安定をしているかどうか、将来についてまで安定をするかどうかということを考えておるわけです。そのことはまた国の発展にとって不可欠な要件でもあるわけなんで、大臣の答弁の通り、もっと労働者の雇用の問題というものを総合的な立場から検討されて、そうして全体が安心をして労働でき得るような、そういう条件というものを作るために特に大臣がお骨折りをなさらんことを要望をしまして、私の質問を終わります。
#121
○山本委員長 次会は明十七日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二分散会
ソース: 国立国会図書館
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