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1947/07/07 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第2号
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1947/07/07 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第2号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第2号
昭和二十二年七月七日(月曜日)
    午前十時三十三分開議
 出席委員
   委員長 正木  清君
   理事 高瀬  傳君 理事 佐伯 宗義君
   理事 前田  郁君
      佐々木更三君    館  俊三君
      成重 光眞君    志賀健次郎君
      堀川 恭平君    矢野 政男君
      山崎 岩男君   小笠原八十美君
      角田 幸吉君    田村 虎一君
      飯田 義茂君
 出席國務大臣
        運 輸 大 臣 苫米地義三君
 出席政府委員
        運輸政務次官  田中源三郎君
        運輸事務官   伊能繁次郎君
        運輸事務官   田中不破三君
        運輸事務官   郷野 基秀君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 陸運行政全般に關する説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○正木委員長 會議を開きます。これより陸運行政全般に關し質疑を行いたいと思います。質疑はこれを許します。高瀬傳君。
#3
○高瀬委員 ただいまの委員長のお言葉によりまして陸運全般に關する質疑をいたしたいと存じます。特に本日から實施されました鐵道運賃の値上げの問題に關しましていささか質疑をいたしたいと存じます。内閣の發表によりますと、鐵道は旅客、貨物全般にわたつて約三倍半の値上げを斷行したようでありますが、この値上げの問題に關しましては、私は昨年夏、鐵道會議議員として選定されまして以來、絶えず鐵道の値上げ問題に關して自己の意見を表明してまいりました。その私の立場は、結局全體的にいわゆる物價體系ができてから、鐵道運賃をその物價體系とにらみ合せて、もし必要があらば値上げをすべし、しかしできるだけ國民生活に重大な關係のあるものは値上げを差控えてほしいというのが私の意見であります。從つて昨年の夏、七月でありましたか、開かれました鐵道會議においても、鐵道運賃の値上げには、そういう立場から物價體系の確立をまち値上げをすべきものである、しからずんば物價高騰の趨勢を助長するにすぎない。かくのごとく國民生活に重大な影響のある鐵道運賃の値上げのごときは、政府が率先して行うべき性格のものではない、むしろ企業の合理化をはかり、あるいは經費の節約をはかつて、この國民全體に對して間接税的な性格をもつた鐵道運賃の値上げは、これを抑止すべきであるということを述べてまいつたのであります。しかるにもかかわらず、昨年値上げが斷行せられ、今囘その昨年の値上げの約三倍半という非常な高率な運賃の値上げが實現を見たわけであります。この問題についても、九十二議會が解散される前に行われました鐵道會議においても、私はやはりこの運賃の値上げの問題については同じ立場から反對の意見を表しておつたのであります。しかももしあくまで運賃を値上げするといたしますれば、これを最も國民に了解し得られるような状態において値上げするのが民主主義的であり、またこれを單に鐵道會議へだけの諮問によつて決定するが如き態度をとることは、はなはだ民主主義的でないから、公聽會を開くなり、あるいはその他の方法によつて、國民大衆がこれを納得し得るような状態において値上げを斷行してほしい。こういうことを絶えず主張してまいりました。特に法制上の根據はございませんが、國家企業で國民生活に重大なる關係のあるものは、特に帝國議會の議にかけてやるべきものである、一鐵道會議のごときものにかけてこれを値上げすることは慎むべきであるという意見を繰返して申述べてまいりましたが、今囘はからずもこの全體の物價體系とにらみ合わせて値上げを斷行されたことは、われわれ運輸交通委員の一人として私は非常に遺憾に存ずる次第であります。特に鐵道は、最近發表されました經濟白書によりますると、非常に資材の困窮、いわゆる鐵道財産の非常な貧弱な状態についてるる述べてありますが、實際上經營面から來る鐵道のいわゆる經濟的危機、あるいは財政的破綻については一向觸れていないのであります。從つて今囘政府の發表いたしました經濟白書では、この運賃値上げが妥當であるというような結論を國民に與えるには、不十分な材料しか載つていないのであります。從つて今囘發表されました政府の經濟白書のいわゆる陸運に關する報告は非常に片手落ちである。この運賃値上げをするについて、鐵道財政がいかに困窮しているかということを、あの白書によつて政府が國民に訴えていないというのは、はなはだ私は遺憾だと存じます。鐵道はその企業が昨年から非常に財政的危機に直面して、會計法を建直して獨立採算制をとられたことは、私どもも非常に賛意を表するものでありますが、この獨立採算制をとつたということは、企業者の責任と創意においてみずからこれを運營するという建前であらうと存じますけれども、必ずしも獨立採算制をとつたということが當然この運賃を値上げするという結論に達しないと私は思うのであります。その前提としてはどうしても企業の能率化なり、あるいは企業の合理化ということをまず徹底的にはかつて、企業の能率性あるいは生産性というものについて徹底的に考究をし、もつて健全財政の建前をとるのが穏當であろうと思うのであります。そういう點について、たびたび鐵道當局から非公式に伺いました説明によりましても、われわれははたして畫期的ないわゆる企業の合理化を鐵道が行つているかどうか、そういう點については十分了解しにくい點が多々あるのであります。しかも國有鐵道は獨占企業でありますから、その企業の經營がうまくいかないということで運賃値上げをすることは、結局鐵道側から言いますと、利用する人だけが負擔するのだから一向差支えないという御議論に相なるかもわかりませんが、私をして言わしめると、鐵道は獨占禁止法に觸れてほんとうは解體さるべき性格のものであるかもわからないのであります。けれども、たまたまこれが國家の企業であるがために獨占という立場を堅持しているわけで、運賃については非常にハンデイキヤツプがある。從つて鐵道の獨占企業であるということは、すなはちこの運營の値上げによつて國民に大きな間接税的な負擔をかけることになるわけでありまして、それについてはやはりその前提として企業の能率化、あるいは生産性を十分發揮し、しかも國民が十分納得し得るような状態においてこれをなすべきものであろうと固く確信しているわけであります。しかるに今囘は經濟白書においても鐵道の財政状態は國民に明らかにされず、單に安定本部のいわゆる物價體系の確立、あるいはその他の重大なる理由によつて突如としてこの値上げを斷行されたことは、われわれとしては非常に遺憾にたえないのであります。しかもこの新しい議會においては、財政法は未だ適用はいたされませんが、この財政法の第三條に見ましても、やはり國民生活に重大なる關係のある運賃の値上げのごときは、その第三條の趣旨に從つて當然帝國議會に付議さるべきものと私は解釋いたします。ただ遺憾ながら現在は財政法が實施されておりませんから法的根據はございませんが、その趣旨に從つて當然當常任委員會にも付議せられ、公式に諮られて、しかる後にかくのごとき物價體系に織込まれるということが、政府の最も民主主義的なとるべき態度ではなかろうか、こういうふうに存ずる次第でありまして、この點についても私は非常に遺憾の意を表する次第であります。從つて今囘の運賃の値上げが物價の高騰の趨勢を非常に助長しなければさいわいでありますが、その點は單に統計的基礎によつてのみでなく、全般的に與える感じが、やはりこの運賃の値上げによつて物價高騰の趨勢を非常に助長する結果になりはしないか。從つて政府の意圖するいわゆる運賃、あるいは賃金政策、物價政策というものが、豫定通りの効果をあげるかどうか、その點も私は非常に疑問に思うのであります。こういう點でわれわれは政府の今囘とつた處置が、經濟白書を通しても、あるいは政府當局がこの運輸交通委員會に對する態度に見ましても、はなはだ遺憾の意を表する一人であります。從つて私は今囘の處置が公に決定された以上、これをどういうふうにしたらいいかという問題について、今ここで論議しても始まらないことでありますから、その點は遺憾の意を表しまして、政府當局の深い反省を求むると同時に、今後政府はあくまで財政法の趣旨に從つて、國民生活に重大なる關係のある運賃の値上げのごときものは、當然帝國議會に單獨に提出すべきものであると解釋いたしておる次第でありまして、運賃値上げは適當な時期に、適當な方法で行わなければならないというような、今までのいわゆる舊態依然たる理論にとらわれずに、この常任委員會ができ、しかも帝國議會はほとんど一年中開かれているような今日においては、何らかの特別な法律によつて鐵道會議なり、あるいは鐵道當局において運賃値上げを決定することなく、この常任委員會を通し、また帝國議會を通して當然運賃値上げを審議すべきものと考えるのでありますが、この點に對する政府の所見を伺つておきたいと存じます。
 なおそれに關連しまして、今までは運賃の値上げは全體の豫算等をこめて出しておつて、それの値上げの基礎となるものは鐵道會議において審議して、大體この答申があれば有無を言わず値上げをしておつたのでありますが、かくのごときことは當然避けるべきでありまして、この常任委員會と鐵道會議というものが相對立して今後の運營を阻むようなことのないように、そういう點で私は先般鐵道會議において、鐵道會議の内容が修正される案が鐵道當局から提出されましたときに、強くこの鐵道會議という名前に反對した次第であります。しかも私は専門委員式のものならば鐵道でもつておられても結構であり、その専門委員の調査によつて鐵道當局がある一つの改正意見を決定されて、しかる後に議會に出されるということは結構でありますが、この常任委員會の意見と對立するような状態を出現するおそれのあるものは鐵道會議という舊態依然たる名前によつて行われるものでも、専門委員會でもなんでも、私はあまり望ましくないと思う。
 鐵道敷設法第四條によりますと、鐵道會議の議にかけて云々とありますが、これは法律を改正すればいいのでありますから、ぜひ鐵道會議という官制によるいわゆる諮問機關はこれをやめていただきたい。つまり官制による諮問機關はやめていただいて鐵道當局が事務的の専門委員會を非公式におつくりになつた方が民主主義的であろう。かように考えている一人であります。それから私をして言わしむれば、運賃の値上げをする前に――旅客運賃はたびたび値上げをされておりまして、旅客運賃の體系は改正されておつたと承知します。しかし貨物運賃については舊態依然として、いわゆる負擔力説という非常に妙な説に立脚した運賃制度のように私は承知いたします。從つてむしろ私をして言わしむれば、この運賃を改正する前に、いわゆる貨物運賃に關する根本的な考え方を變えて、そうして貨物運賃に關する一つの改正を鐵道當局は進んで行うべきではないか、こういう考えをもつております。從つてこの貨物運賃に關する根本的な改正の意圖があるかどうか、この點もひとつ伺つておきたいと存ずるのであります。
 なお今囘のように、安定本部の案によつて必然的に鐵道運賃を値上げしなければならぬ、あるいはその他の重大な理由によるものであるならば、國民の意思は相當に蹂躙され、議會の審議權は相当に縮小されるというわけでありまして、こういうような點についても鐵道當局の忌憚ない御意見を伺つておきたいと思うのであります。
 今囘の處置ははなはだ遺憾でありますが、今後國民生活にとつて重大なる影響がある問題については、アメリカ側も去年の夏でありますが、いわゆる國民生活に重大なる影響のある國家のそういうふうな運賃値上げとかいろいろなことは、いわゆる人民の代表の集りで論議すべきであると言われているが、これは必ずしも議會ではないでしようが、とにかくわれわれはそれを帝國議會と解釋し、しかも新しい財政法の趣旨に從つてそういうことがはつきりしておるのでありますから、ぜひとも特殊な例外をおかず、常任委員會もあり、常住不斷開かれている議會を尊重して、いわゆる新財政法の趣旨に從つて、例外を設けずに議會において審議されるようにしていただきたいというわけであります。この二、三の點について鐵道當局の所見を伺つておきたいと存じます。
#4
○田中(源)政府委員 大臣から御答辯を申すはずでございまするが、ただいま參議院に參つておりまするので、私から代つてお答えをいたすことを御了承願いたいと存じます。
 今囘の鐵道運賃の改正を、國會の開議中にこれを諮らずして行つたということは、ただいま高瀬委員から御指摘になりました通りに御意見ごもつともだと私どもは了承いたします。しかも鐵道運賃は新しき憲法において、すべてかようなことは國會に諮つて、そうして現行鐵道法の規定の命ずるところによつて一箇月の豫告期間をおいて實施いたすということが明示されております。これは御指摘の通り當然のことと思うのであります。ただ政府が今囘かような處置をとるに至らざるを得なかつたという點を申しますることは、はなはだ一方的な釋明にすぎないようにお聽き及びになるかもしれませんが、この點は特に大所高所の觀點からひとつお聞き願いたいと思うのであります。申すまでもなく、今囘の措置が鐵道運賃の改正を伴いましたることは、現状日本の經濟状態に對しまして、政府が一定の安定蔕を物價の上に引いて、そうして物價と運賃の惡循環を阻止して、このインフレーシヨンを阻止し、國民の生活を安定いたすのみならず、ひいて日本の産業をして安定せしめるとともに、來るべき貿易再開に對する國家財政の基礎をつくらんといたして、この新政策をとつたということは、御了承のことと存ずるのであります。從つて産業經濟の面におきまして、運賃なるものが企業の上において非常な重大なる影響を與えているということは、申すまでもないことであります。今ここで政府のいう新物價體制の策定に伴いましたところの一定ラインに、もし鐵道の一般の運賃、鐵道のみならず海運の運賃のみを除外をいたしていたしまするということは、なし得られぬことであろうと思うのであります。これはいかなる方々でも、このラインを策定されるに當つて、總合的なる見地に立つてお考えを願いまするならば、必ずや一定運賃をどこにおく。從つてその運賃が各企業の生産原価に及ぼす影響というものを、まずもつて考えておかなければでき得ないのじやなかろうかと私どもも考えておるのでありまして、單にこれは運輸省そのものが單獨的な行為によつてなすということはでき得られない。いわゆる國家の經濟における總合的な觀點に立つて行うので、運輸省獨自の立場においてこれを論議することを得ない實情におかれた。かような觀點に立つて、今日の總合的經濟施策の上に行われた運賃の改定でございまして、これがたまたま開會されておる議會に對してその協賛を得なかつた。また法規の命ずるところによつて當然國會の協賛を得べきものであり、一定の實施期間をおくべきであるものが、これをいたさなかつたという、御指摘のように食い違つてきておるような状態に立ち至つておるのでありまして、これは今囘に限つて特殊的な事情のもとに、國家經濟の建直しのために行われた一つの行為であるという觀點から、特に今囘は御諒承を仰ぎたいと思うのであります。今後におきましてはかような問題のみならず、いわゆる運輸交通行政におきましては、もちろん當委員會のみならず國會の議決を經ていたすことには、萬萬了承いたしておりまするから、今囘のごときことのないようにいたすことを、特に併せて申し上げて、御了承を願いたいと思うのであります。この鐵道なるものは、先ほど高瀬委員からいわゆる國家企業であるために、安定蔕との關係においても多少違つた存續性をもつというふうに申されたのでありまするが、今日は日本經濟を直すためには、むしろ自由的な企業よりも、ある面において國家企業というものも國家が管理をいたして、適正なる産業の上の基礎を與えていくと同時に、これが完全なる機能を發達せしめたるためにおいては、むしろ國家管理の上におけるところの國家企業として行う方が、妥當ではあるまいかと思うのでありまして、この點は安定蔕に對する高瀬委員との考えとは多少所見を異にする次第であります。
 また鐵道會議の問題につきまして、るる御所見がございましたが、仰せのごとくにこの國會法におきまして、新たに閣議の方で從來の既設の法規の不十分なる點、また非民主的なる點については、遠慮なく立法の上御改廢を願いますならば、われわれはそれに從いまして、行政の面において民主的に運行いたしていきたいと考えるのであります。
 なお貨物の問題につきましては、現在の日本の鐵道は、戰時中におきまするいわゆる陸主海從主義になつております。なかんずく船はほとんど沈没いたし、破壊されていると申していいのであります。元來日本のみならず世界經濟の上におきまして、ソヴィエト及びその他一、二の國を除きましては、まずもつて大きなる貨物は海による。そうして特定の土地より生ずるものの特定地域内における輸送は鐵道による。長距離輸送はすべて海によるべきが原則であります。從つて賃金率につきまして、鐵道運賃と海洋運賃との比較と申しまするならば、おのおの國際間におきまする為替レートの關係もございますけれども、一定の差額をもつてきておつたものであります。わが日本は戰爭のために、御承知のごとくにいわゆる陸地中心主義であり、船はほとんど徴用されまして、しかもこれが多くは大打撃を蒙つておる現状であります。ひつきようするに今日日本の輸送というものは、鐵道によらざるを得ない事態におかれている。これを今後におきましては、努めて船舶の建造をいたしまするとともに、現在續行いたしておりまする船舶の改造と合わせまして、この偏したる陸主海從の政策を竝行にもつてくるということを考えていかなければならぬのであります。こういうラインにもつてくることが一番大切なことでありまして、從つてこの海の施策のすべての點が充實していくに伴いまして、陸上と海上運賃の竝行というものを考えていかなければならぬのであります。從つていつまでも今日におけるところの貨物運賃の制定に關する考え方をもつておるわけではありません。今後の推移によりまして、貨物運賃は、當然一定のこうした海と陸との竝行の面におきまする適切なる運賃改正を行うていかなければならぬと考えておる次第であります。さよう御了承をお願いいたします。
#5
○高瀬委員 ただいま田中政務次官の御答辯がありまして大體は了解いたしますが、私は實は鐵道を獨占禁止法にかけてばらしてしまえという意見ではないのであります。ただ獨占企業であるがゆえに國民生活に重大なる關係があるのだから、經營自體について國民の納得するように運營してほしい。こういう意見をもつておるわけです。それからなお今囘の運賃値上げによつて今年度の収入は二百五十四億見當、しかも支出は三百七十四億ということになりますと、約百二十億も足りないのであります。結局將來鐵道財政がまた赤字を續けていくことは必至であらうと思うのであります。從つて今後の運賃値上げに對する見透し、あるいは鐵道は一體どういう方法でその財政的危機を切抜けていく御所存であるか、特に、あらゆる面で鐵道が獨立採算制をとつたからといつて、運賃値上げによつて健全財政を立てていかなければならぬということがはたして必要であるかどうか、それはある程度まで必要でありましようが、とにかく國民全體が今赤字生活をやつてその日をしのいでおる今日、鐵道だけが全然借金もせずに健全財政でいくということは非常におかしなことで、官業の經營が、自分でやつたことがまずいからと言つて、それをつまり間接税式に國民に轉嫁するということになると、非常に國民は困る。そういう點で、本年度において約百二三十億の赤字が出ておる今日において、そういう方法で今後やられるか、鐵道財政を運營していかれるのか、特にまたこの次に運賃値上げというようなことが續々と現われてまいりますと、非常にわれわれとしてもその責任を感ずるわけでありますが、この點に對する鐵道御當局の所見を伺つておきたい。
#6
○田中(源)政府委員 高瀬委員の御質疑はごもつともと存じます。今囘の運賃改正をいたしましても、本年度において九十億、平年度において六十億以上の赤字が出てまいるのであります。これは私はいわゆる獨立採算制と申しまする點から考えてみまして、國家の企業であるから、このものは必ずしも赤字が伴つてもいいという考えはもちません。そこに積極的なる面と消極的なる面の、この兩面における合理的なる運營を行つていかなければならぬと考えるのであります。積極面におきまする點においては、貨客車の修理であるとか、改造でありますとか、いろいろな點もありましようし、また消極面におきましては物資の節約、合理的なる消費というような點があろうと思いますので、いずれも兩面に多々の條件を備えるのであります。從つてこういうふうに、合理的な面に經營を行いまして、しかる後においてなお赤字が續くという場合におきましては、これは國民の納得のいくように運輸省よりよく説明をいたしまして、國家がその負擔をしていただくという方針をとつていかなければならんと考えておるのであります。でき得べくんば獨立採算制によつてその企業が獨立の形態に立つていくということでなければならぬ。しかし國家企業の上から考えまして、また國民の生活の上から考えてみまして、できるだけの努力を費して、積極、消極の兩面を含む合理的經營の上において出されたる赤字は、これは國民の納得のいく説明をいたしまして、納得のいくごとに國民の負擔としていきたいと思うのであります。まず運賃の改正におきましては、今後において一應積極、消極の兩面の合理的なる經營をやつてみまして、そしてしかる後におきまして、國會にわれわれも行政面におきまするところの結果を報告いたしまして、運賃なりその他の改正をはかつていくのが妥當であろうと考えておるのであります。大體運賃の將來におきますところの引上げ、改正という點については、右よう御了承をお願いいたしたいと存じます。
#7
○正木委員長 佐々木更三君。
#8
○佐々木(更)委員 ただいま田中政務次官は、物價の總合決定の上から鐵道運賃の引上げをしなければならない状況をるる御説明になつたのでございますが、ある程度私たちはその點は認めざるを得ないと思います。ただそれによつて今囘の値上げにとつた運輸省の國會無視の釋明の理由には、私はならないと思うのであります。聞くところによりますと、運輸省は今囘の運賃値上について鐵道會議にこれを諮問したということであります。しかもその鐵道會議に諮問した時期というものは、これはごく最近でありまして、しかも鐵道會議に諮問する必要がありますならば、言うまでもなく開會中の國會特にわれわれ運輸交通の委員會にこれを諮問しないということは、はなはだ私は新憲法の現在において好ましからざる態度と斷ぜざるを得ないのでございます。この點につきましてどういう理由があつて、他には諮問するけれども、この國會に諮問しないのか。その理由についてお伺いいたしたいと思うのであります。
 次には運賃値上げが、これはやむを得ないとかりにいたしますなら、この問題が國民生活の上に何らかの利益を與えるものであることが私は條件であろうと思います。言いかえるならば、この運賃値上げが日本の國營の運輸にどういうふうに反映するか。殊に輸送力の増強にどういう役立をするかということについてお伺いしたい。
 次に現在の國家財政から、運輸交通の事業が急速に改善されようとは思つていないが、日本産業の再建の上において、運輸交通がきわめて重要な要素であることはいうまでもない。しかも資源の開發上、必要な路線が中途にして放置されている。既定路線というか、すでに國會で決定された路線がいまなお放置されている現状である。こういう路線は一日も早く開通され、新資源の開發に役立たねばならないことは當然である。こういうものに對して運輸省はどういうふうに推渉させるか、お伺いしたい。
 次に道路運輸の關係でありますが、獨占禁止法の施行とともに、當然日通その他の存在に對して何らかの變更がなされるであろうと思うが、同時にこれに附蔕する一般の道路上の輸送事業における統制關係がどうなるか。小運搬その他の關係の問題がどういうふうに處理されるか、伺いたい。なお道路運輸の省營自動車と民間の自動車營業とのいろいろな摩擦面が現在起きつつあり、將來も起ると思いますが、この省營自動車將來の方針と民間自動車との關係についてお伺いしたい。
#9
○田中(源)政府委員 佐々木さんの御質問の第二點について、私わかりにくい感がありましたが、その點は後囘しにして、第一點の趣旨は、鐵道會議に諮つて、國會に諮らなかつたことは、はなはだ不當ではないかというように拜聽しました。鐵道會議に諮問したのは、最近では三月に一囘であつて、今囘は諮問していないのであります。しかし御質問の趣旨は、鐵道會議に諮問するかしないかという意味ではなく先ほども申しましたように、國會に諮るべきものであるという原則をどうするか、かような御質問と解するのが妥當であると思います。鐵道會議は、現行法が改正されない以上は、これも一應法の運用をいたしていかなければなりません。ただ原則論として、國會に諮るべきではなかつたかということについては、運輸省だけの立場においてこれを行う場合においては、今後その期間がいかほどかかり、いかほど今後運輸面に缺損が生じようとも、當然いたすべきであると思います。なおかつこの問題については、今囘に關しては、先ほど申しましたように、日本のいわゆる經濟國策の上からとられたる總合的なる一貫したものの中に含まれておるのであつて、運輸省自體ででき得なかつた事情も存在いたしておりますので、今後責任をもつてかような事態の起らないことを申し上げた次第でありますから、この點については一つ御了承を願いたいと思います。
 第二點の問題は私十分に了承することができませんでしたから、第三點の既定路線の問題について申上げますが、いわゆる計畫路線とでもいいまするか、この問題について將來どういうふうな處置をとつていくかというふうに御質問を拜承いたしたのであります。御承知のごとく、今日は鐵道建設面の上から申しましても、必要な物は鐵でございます。わが國の鐵の所要量は、申すまでもなく今日二百五十萬トンは要るであろうと想像いたします。しかもそれが生産面におきましては、政府の安定本部の計畫が、今年はたしか七十萬トンのように想像いたしますが、現在におきましてはわずかに三十萬トン餘りしか出ていないというような現状でございまして、鐵道に振向けられるところの各種の資材というものは、まことに寥々たるものであります。かような状態で、既定路線を一日も早く、鐵道自體の觀點から申しますならば、なし遂げたい。かような心持をもつていますが、實際その實施面において非常なそこに支障を來しておりまするので、できるだけわれわれは今後においてこの資材の獲得をいたしまして、既定路線の遂行に努めていきたいと思いますが、路線だけできておりまして、あるいは線路の敷設してないところのものに對しては、場合によつては省營バスを運行いたしましてこれに代るべき處置もとつていかなければならぬかと思います。わが日本の今日の鐵につきましては、まだ講和條約も締結されておりません。從つて賠償問題も未確定のときにおきまして、一定の資材の見透しというものを今日確實につけるということは困難であろうと思うのであります。從つて努めて將來におきましては、許される範圍において省營のバスを利用いたしまして、そうしてこれに代つていくという處置をとる方が妥當でなかろうかと考えておりますが、この點につきましては特にいま一段の研究を要することと存じております。
 なお今後におきまする省營、民營の摩擦をどうするかという點でございますが、既設の業者と省營との間におきましては、努めて隔意なき了解のもとに、國家的見地に立つてこの障害を除去して圓滑に行きたいと考えております。道路法竝びにその統制の面についてのお尋ねのことは、近く法案を提出いたすことにいたしておりますから、その際詳しくお答えをいたす方が妥當であろうかと存じます。
 なおお答えに漏れております點竝びに詳細の點は他の政府委員から代つてお答えをいたすことにいたしたいと思います。
#10
○伊能政府委員 ただいま政務次官から御説明を申し上げました中で、第二點につきまして私から佐々木さんにお答え申し上げます。
 御承知のように國有鐵道が平時の状態にございました當初は、年間の収入によりまして若干の利子も拂い、若干の剰餘金が生じておつたのが例になつております。それによりまして改良費、建設費の方へその餘剰の金額を繰入れ、それもつて鐵道の將來の整備、擴張を行つていく。もしその金額が足らない節は生産公債を發行して整備擴充するということが、從來の國有鐵道の運營の根本の建前に相なつておりました。ところが最近終戰後の昭和二十年度におきましては、十四億程度の運營上の赤字公債を發行いたさなければ、二十年度の収入をもつて日々の經營を賄うことができなかつたような状態でございました。從いまして將來の改良、建設の方へ餘剰の金を振り向けることが當然できなかつた次第であります。二十一年度におきましては、その經營上の赤字が四十七億圓に達しまして、本年度はさいぜん政務次官から詳細御報告申し上げましたように、九十數億の赤字が今囘の運賃値上げを實施いたしましても、豫想せらるるような状況でございます。從つて私ども今囘運賃値上げをいたしますことによつて――もし値上げをいたしませんと石炭費だけでも本年度は百億圓かかるのでございます。それに収入が九十二三億しかございませんから、人件費も物件費も、石炭以外のものは何も拂はないでも石炭を買う金にすら事を欠くという状態でございまして、今囘の運賃値上げによつて最小限の經營上の各般の欠陷はこれを除去してまいりたい。たとえば車輛の修理にいたしましても、線路の修理復舊等にいたしましても、これらは全力をあげてやつてまいらんければならぬ。但しそれにしても九十億餘りの赤字が出ますので、この點さいぜん財務次官からも御説明申し上げましたように、積極的な經營の合理化である輸送力の増強、能率の増進、また消極的な經營の改善、合理化である諸經費、物資の節約、石炭等についても現在七%程度の節約をいたしておりますが、一〇%までそれを引上げて、それによつて生じた石炭をもつてさらに輸送力の増強に振り向けるというようなことで、最近旅客の方もかなり輸送力を増強いたしております。貨物につきましても、やがて月間千萬トン輸送が完成されようといたしております。
 さらに私どもの目標は月に千二百萬トン輸送にまで高めてまいりたい、その際には物資の流通によつてインフレーションが促進されるというようなことはもうとうなくして、物資がきわめて圓滑な流通をすることによつて、インフレーションなり、地方的な價格の偏差を是正することができるのではないか。かような積極的な面についてあらゆる努力を拂つております。また從來しばしば從事員のサービスの面、あるいは車輛その他の整備の面についてもとかくの御批判をいただき、改善しなければならぬ點も多々ございましたが、これらの點につきましてもでき得る限りの努力をいたしまして、車輛の修繕を一日も早くやつてまいりたい。かように存じておるような次第でございます。
#11
○正木委員長 委員長から皆様にお願いがあります。實はぜひない所用がありまして退席をいたさなければなりませんので、條章に基づきまして委員長代理職務として高瀬傳君をお願いいたしますから、どうかよろしくお願いいたします。では高瀬君どうぞ…
#12
○高瀬委員長代理 それでは皆様のお許しをいただきまして暫時委員長代理をいたします。佐々木君何か御質問はありませんか。
#13
○佐々木(更)委員 ありません。
#14
○高瀬委員長代理 それでは通告順によりまして成重君に發言を許します。
#15
○成重委員 この運輸交通委員會は陸運、海運竝にこれに附蔕いたします道路交通關係等も、これにやはり關係しておるのですか、その點をちよつとお伺いしておきたいと思います。たとえば關門國道というものは、この交通委員會がこれから檢討すべきの問題ですか。それともそれは國土計畫の方でやるべき問題ですか。
#16
○高瀬委員長代理 今運輸交通に關する所管事項を譚み上げます。運輸及び交通委員會の所管事項は、陸運に關する事項、水運に關する事項、倉庫營業に關する事項、氣象に關する事項、これだけでございます。
#17
○成重委員 道路關係は國土計畫にはいつておりますね。
#18
○高瀬委員長代理 さうです。國土計畫の第一事項に國土、二番目に港灣、河川、道路、砂防その他土木に關する事項があります。
#19
○成重委員 さいわい鐵道大臣がおいでになつておるようでありますし、多少高瀬君の質問と重複する點があるかもしれまんんが、簡單に質問の要點だけ申し上げまして、お答え願いたいと思います。
 鐵道運賃値上げは、昨年來たびたびにわたつて次から次に行われました。それに關連して、地方鐵道等が地方でいろいろな問題を起しながら、やはり鐵道運賃値上げに伴つて値上げされておるようであります。これから先のこうした鐵道の運營は、今のような獨立採算制による行き方では非常に困難であると私どもは考えるのであります。この獨立採算制によつて今後の鐵道を運營されるといたしましても、はたして妥當であるかどうかという點の將來の見透しについて、ひとつ大綱的なお考えをお伺いいたしますとともに、これに合わせて、アメリカあたりは主として會社經營でやつておると思いますが、イギリス等においては、あるいはこれは國營でやつておるところがあるのではないかと思います。先進國における鐵道經營の形態がどういう形によつて動いておるか、その點を御參考までに伺つておきたいと思います。
 第二の點につきましては、運賃値上げによる費用をもつて、鐵道自體の固定資本でやるべき保守等に充當することは妥當であるかどうかということをお答え願いたいと思います。
 それから第三には、經營の合理化については、いろいろ長官からのお話を承つておりますが、もう少し具體的に――私どもは今度鐵道が運賃値上げをするについては、結果においてはこうなるのだという、多少國民の納得のいくような經營の合理化に對する具體案を御明示願いたいのであります。たとえば往々巷間傳えられております鐵道内における人員の合理的配置轉換等に關して、どういう具體策をもたれておるのか。あるいは線路等が非常に戰爭以來いたんでおり、この點についていろいろ事故等を起しております。汽車に乗ること自體が非常に危險を伴うということに國民は恐怖の觀念をもつておるのであります。私ども九州から通つておりますが、技術的に見て危險を感せられておる地域がたくさんあります。こういう點についてどの程度に大體保守關係等に對して御計畫をもつてなさつておるか。あるいは車輛の整備につきましても、運賃は次から次に數倍に上つていきますが、今日の車輪のあり方というものは非常に不健全な状態にありますことを私どもは見受けております。これに對してどういう車輛整備に關する御計畫をなさつておるか、具體的な御説明を願いたいと思います。それからサービスをよくするというようなこともおつしやつておりますが、はたしてどの程度どういうことによつて從業員の方の御指導なさるつもりであるかという點もお伺いしたいと思います。運賃値上げに關連して必ず國民から起ります問題は、第一がサービスの問題であると考えるのであります。これらの點に對する具體的な御對策を御説明願いたいと思います。
 第四は地方鐵道であるとか、あるいは電車であるとか、殊に地方鐵道、電車等におきましては、地方的にみて獨占事業であるために非常に不合理な運賃、不合理な區間等によつて種々な問題を起しておることも私どもは見、聞き及んでおります。はたして鐵道が今度御計畫なされました通りの比率によつて、地方鐵道の運賃値上げを運輸省において認めるかどうかという點も、參考のために御説明願いたいと思います。以上四點について簡明に御答えを願います。
#20
○苫米地國務大臣 お尋ねの第一點は、鐵道事業は獨立採算制でやれるかどうかという基本的な考え方のようであります。鐵道企業は國有國營でなされますけれども、經理の面におきましては私はやはり獨立採算制のとれるような經營をしていきたいというのが建前だと思うのであります。しからば今囘の値上げによつて獨立採算ができるかどうかという問題につきましては、これは昨年以來の運賃値上げの思想は、どこまでも獨立採算を基本として考えたのであります。但しその計畫が起りまして、そうして今囘の新物價體系の一環としてこれが取上げられまして、鐵道會計の面ばかりでなしに、一般の物價體系とのつり合いをとるというところに重點が置かれたのでございます。その結果といたしまして、精密な計算はまだできておりません。すなわち新しい物價がどの程度になつたかということは、政府が發表いたしました物價は基本的なごく僅かなものにしか現われておりませんので、すべてわれわれの消費いたしまする物價がどの程度になつたかということはまだはつきりいたしません。それが全部わかれば精細にわれわれの計算がわかるのであります。その場合における結果を、大體豫想いたしますと相當の赤字が殘るというふうに考えておるのでございます。すなはち獨立採算制を完全にやろうという昨年からの希望は、今囘の値上げによつては解決されないということになると思うのでありまするが、これらの赤字はでき得べくば何年計畫というものを立てまして、そうしてこれを經營合理化その他の努力によりまして償却をしていくという方向に現在考えておるのであります。
 それから諸外國の實情についてはあとで長官からお答えをいたします。
 それから保守その他は収入をもつてやるかどうかということは、これは當然のことでありますが、さつき申し上げましたように、今囘の値上げで從來以上に餘計やれるかどうかということに對しましては、正確な數字はまだわかつておりません。私はむしろ危險に感じて心配しておるのでありますが、これからはすべてわれわれの努力によりまして、保險その他の整備、輸送力増強に對しては努力を拂つていきたいと思います。
 それから經營合理化の問題、具體的な面は長官からお答えいたしますが、配置轉換等によつて人員を整理するのじやないかというようなお考えにつきましては、今ある地方には過剰であり、ある地蔕では不足である。また業種によりまして餘つておるところと不足な部分がございまするから、これらはよく檢討いたしまして、また勞働組合ともよく檢討いたしまして、できるだけ合理化な配置を、またむりのない配置をいたしまして、そうしてこの事業の改善と業績の促進に當りたいと、こう思つております。
 それから今の地方鐵道、地方電車のことでありますが、これはやはり鐵道運賃の改定によりまして、それに準じた方向に向つてまいります。御了承願います。
#21
○伊能政府委員 ただいま大臣から御説明申し上げました殘りの部分につきまして、私から御説明を申し上げたいと思います。各國の經營状態につきましては、御承知のようにアメリカは民營を全般的に實施をいたしております。今囘のような鐵道會社の赤字等につきましても、コンモン・フアンドのような制度もごこいますが、相互的な救濟施設といつたような場合も――現在までアメリカの鐵道は御承知のように一九三五年から三七年當時が最も自動車竝びに一般經濟界の不況のために困難を極めて時代でございましたが、その當時でもコンモン・フアンドによる金を放出するというようなことでなく、不經濟な線路の營業を停止するとか、各般の措置によつてどうやら切り抜けておるようでございます。最近におきましてはペンシルヴアニア・レールロードは百年近く經營上の赤字を出したことがなかつたのでありますが、運賃の値上げの際州商業委員會における審議が遲れましたために、初めて經營上若干赤字が出ております。しかしそれは積立金をもつて所定の五分の利益を配當をするというようなことでやつておりまして、御承知のようにアメリカはまつたく各會社それぞれ企業に應じた特殊採算制を民營としてとつております。
 イギリスにおきましては第一囘の欧州大戰以後、鐵道統制の強化によりまして、たくさんの鐵道が四、五の大鐵道に統合をせられましたが、最近イギリスにおきましては御承知のごとく炭坑の國家管理、國營の問題が進捗いたしておりまして、次の問題としては鐵道の國營の問題が、私ども雜誌並びにその他の報告によつて見ても、重要な論議の對象になつております。現在のところまでは第二次世界大戰によります強度な國家管理の域から、一應戰爭が終つたことによつて運營の責任體制に移つておるというような状況でございます。
 ヨーロツパ大陸におきましては、ドイツが御承知のごとくわが國の鐵道と同じように、ほとんど國營體制をとつております。フランスにおきましては國營よりも民營の方が多い。イタリーにおいてはやや國營の方が多いという状態であります。ソヴイエトにおきましては第一次歐洲大戰以後、革命の進捗とともに、一時經營につきまして特別會計制度、すなわち獨立採算制の基準を放棄をいたしまして、ソヴイエトの社會主義本來の思想から、収入と經營とを別格なものとして、一般會計的な制度で試験的にと言いますか、一度やつたことがあるのでございます。しかしその結果は能率その他に非常な弱體化を來しまして、施設の荒廢その他著しいものがあつたために、數年ならずしてそれをやめまして、現在に至るまでソヴイエトも特別會計として獨立採算制の基準をとつておるようでございます。しかしこれは必ずしも現在私どもがやつておりまするような巖格な獨立採算制であるか、特別會計であるか等につきましては、なお研究の餘地があろうかと存じますが、原則として國營の國におきましては、いずれも特別會計として獨立採算制の方針が進められておるということについては、はつきり申し上げ得るのではなかろうか、かように考えております。
 それから第四點の、經營合理化に對する具體的な方策の點でございますが、私どもとして一番盡さなければならぬことは、國有鐵道本來の使命を一日も早く達成することであり、旅客、荷主に對して自由なサービスができるようにしなければならぬということであります。それには車輛並びに施設の整備を急速に、保守の復元と同時にやらなければいかぬ、かように考えて、折角努力をいたしております。車輛の面につきましても、電車のごときも、本年度新製車輛といたしまして三百輛以上のものをつくつております。客車についても新製車輛として同様でございます。また戰災客車の復舊改良につきましても、新製とほぼ同じ程度のものを目下急速につくらせております。また貨車につきましては通風車による野菜輸送でありますとか、冷藏車による鮮魚の輸送でありますとか、主として食糧品その他生活必需物資輸送のためにする特殊有蓋貨車の製作に重點を置いておるような次第でございます。大體生活必需物資につきましては、鐵道に關しましてはほとんど一〇〇%の輸送を達成をいたしておるような次第でございます。おそらく、ただいま夏枯れでございますが、千萬トン輸送も大體官私鐵道輸送量としては達成し得られるのではないか、かように考えております。旅客の方につきましても、東京鐵道局のごときは、急行列車、あるいは青凾連絡船等を除きましては、現在のところ切符も自由に發賣をする方向に急速に進めておるような次第でございます。また行列の解消等につきましても、ただいま御指摘のございましたように、人員の配置轉換、ことに最近の切符の購入状況のごときは、早朝午前中に非常に多くて、夕刻以後におきましては、電車區間等のごとき、あるいは一般的にも非常に少くなりますので、從事員の勤務の體制も、從來のごとき状況ではいけない、かように感じまして、徹夜の人員を日勤にして、なるべくお客の殺到する時間にできるだけ多くの人を配置する。もちろんこのためには戰災を受けました驛所のごときは、まず驛の復舊からやつていかなければならぬのでございますが、さいぜん政務次官から御説明を申し上げましたように、現在の日本の國力が、いまだ鐵道のリサシテーション―復興を十分にやらしめ得るほど資材の配當を受け得ないという状態でございまして、從つて本年度五十一億という建設改良費の豫算を議會において御承認を願つたのでありますが、現實には物價の値上り、その他各般の状況、資材の不足等から、なかなか整備が十分進捗いたし兼ねておる。また日本全體として資材がないので、現在石炭竝びに鐵、肥料に對する政府の傾斜生産體制が強化されておりますために、他の産業に對しましては、鐵道等も何としてもやはり二次的に資材の配當を受けますので、その足らざるところは人をもつて補うというようなことで、私ども世間からごらんを願いますと、かなり鐵道の人員が多いようにも御批判をいただいておりますが、人員をもつて資材の不足を補はざるを得ないというような状況も、内部の詳細にわたりますれば、かなりあるような始末でございます。またサービスの改善その他經營の合理化の根幹の問題は、最近の敗戰後における日本全體の經營能力――ひとり國鐵のみならず、全般的な低下の問題もございますので、私どもとしては根本は教育にまたなければならないと考えまして、二萬程度の養成人員を各鐵道局に配分いたしております。これは戰時中におけるよりもさらに多い人員でございますが何分にも從事員の勤續年數が、かつたは平均七、八年でありましたものが、現在は三年程度、しかも非常に未熟な者が五〇%程度もおるというようなことで、一度はこれらは教習所の門を潜らして、鐵道精神を吹き込み、健全なる勞働者としての思想を植えつける。かように考えまして、目下やや長期にはわたりますが、教育制度の強化に全力を注ぎまして、現在軍の施設あるいは軍需會社等で事業を放棄しておりますような所を、戰災を受けた教習所の代に借りもしくは買収いたしまして相當に力を入れております。
 またさらに根本の問題として經營の合理化は、組合の協力なくしてはほんとうに心からその實力を發揮することができませんものでございますから、目下經營協議會の専門委員會といたしまして、業務改善委員會、人事委員會等をもちまして、毎日關係局長、課長と組合側の幹部とで協議をいたし、經營の合理化、勞働基準法の實施に伴う女子の配置轉換等につきましては、かなりつつこんだ意見を交換し、大體われわれの考え方を諒としてくれておりまして、相當組合側は強力に配置轉換をやつていこうというような考え方で進んでおります。當面の問題としては私ども輸送力の増強ということを大主眼點に考えておりますが、經營合理化の根本は、從事員の質を戰前の姿に復するという意味におきまして、教育の問題も組合との提携による促進が根幹ではないか、かような氣持で目下努力中でございます。
#22
○成重委員 大體了承いたしましたが、第二の點の運賃値上げによる収入を、鐵道の固定資産に属する部面に使途するかどうかということについての大臣のお答えがちよつと不明確であつたと思うので、運賃の値上げによる収入を鐵道の固定資産に属する部面に使途することが妥當であるかどうかお答えを願いたいと思います。
#23
○苫米地國務大臣 今のお話は収入が相當過分にあればそういうことやつてよいと思いますが、さつき申し上げるように現在の値上げによつて生ずる収入は、おそらく物價の高騰、その額と大差がないのだろうと思います。從つて固定資本でやるというほどの餘裕がないのではないかと思うのでありますが…。
#24
○成重委員 あるなしにかかわらず、精神を伺つておるわけです。今はないかも知れませんが、將來できるかも知れない。
#25
○苫米地國務大臣 それは金としてはやつてよいと思います。ただ収支計算としましては、これはおのずから經理が違うわけであります。金の融通はやつてよかろうと思います。しかしこのことは損に立てるのではなく、經理上固定資産に振りかえる、經理の面では支出に立てるものではないと思います。
#26
○高瀬委員長代理 通告順によつて發言を許可いたします。矢野政男君。
#27
○矢野(政)委員 簡單にお伺いいたします。第一に鐵道の電化の問題であります。聞くところによりますと、各地方において現在非常に輻輳混亂しております乗客の緩和、また現在議會におきまして重大問題になつておりまするところの石炭の節約、その面から考えまして、今日鐵道の電化の問題は非常に急を要する問題ではないかと考えるのであります。これに對して運輸當局はいかような御方針のもとにお進みになつておられるか。なお現在今年度中に施設されまする豫定線、また現在事業計畫中の線、また今年になりまして實現いたしました線等につきましてもお伺いいたします。
 次に省營自動車の問題でありますが、これは先ほど佐々木委員からお尋ねがありまして、多少重複する點は御了承願いましてお伺いいたすような次第であります。
 過去を考えてみますと、昭和の初年におきまして、地方廳において主としてバスの一路線一營業主義という方針を立てまして、どうしても大衆交通機關である自動車につきましては、一つの路線をいくつもの業者がやつておつたのでは振興も發展もできないという見地からいきまして、一路線を一營業者に買収統合させるという方針をとりまして、昭和七、八年ごろから十年頃にかけまして、全國的にこれは行われたのでありますが、それと前後いたしまして、昭和十一年ごろからと思いますが、たまたま實現いたしましたのが省營自動車の問題であります。せつかく一路線一營業でなければ進歩發展ができない、また運賃も安くし、車輛もりつぱなものを使わなければなけないというような行き方のために統合買収いたしまして、まずこれによつて賃金も安く、そうして車輛も綺麗なものをもつて利用者の利用希望に副うような營業ができるというときにあたりまして、省營自動車が現われてまいりました。當時の省營自動車の方針を伺いますと、民間業者のできないところを開拓してやるのだというような方針でありました。私ども國の經營といたしましては、まことに當然な行き方であると考えておつたのでありますが、その當時私ども一部に關係しておりましたので、非常にこの省營自動車の實現ということに對しまして期待をもつてまいつたのでありますけれども、その方針に反しまして業者が地方廳の要求に應じまして買収等もいたしまして、せつかく一路線について、しかもりつぱな營業ぶりを續けておるというその路線に對しまして、計畫をされたという當初の状態であります。しかしこれは何かの事情により、一、二の關係によつてやるのであろうというようなことで見ておつたのでありますが、その後全國的にまたがりまして、いずれも民間業者の開拓した、しかも乗客の多いところの中心の線にこれをやるというような状態で續いてまいりまして、全國の業者は非常にこれに對しまして反對の氣勢をあげまして、陳情もし、お願いもいたしたのでありますが、その後次々と實施されてまいつたのであります。戰爭中になりましてから一時中止になつておつたのでありますが、終戰後さらにまた全國的に路線の計畫がありまして、その實施にあたるという状態になつたのであります。この點につきまして先ほど田中政務次官から佐々木委員の質問に對しまして、民營と省營において摩擦を起すようなことはさせないようにやるというような御答辯でありましたが、たまたま聞くところによりますと、最近殊に進駐軍の拂下げ車輛をもちまして、これはトラツクの部分にはいりますが、各地區々に省營の計畫ができております。御承知のように戰爭中は業者は國の方針の通りにやつてまいりました。しかるに終戰となりましてから、今度は仕事をやるのだということで、しかも進駐軍の拂下げ車輛をもつてそこここに運營されるということは、業者を非常に壓迫をし、業者は非常に現在不安な状態にあるわけであります。この點につきましては、もちろん省でやる必要があるとしますれば、まずもつて業者の了解も得、そうして納得のいくような方法をとつてやるべきだと考えられるのでありますが、これにつきまして當局の御意見を伺ひたいと思います。
 次に貨物自動車の統合の問題であります。これも戰爭中になりましてから、輸送力増強のために全國地區々々の必要に應じまして統合されたのでありますが、終戰になりまして、その後すべてが民主主義という旗印の下に、各事業面に對しまして、まず戰爭中に統合されたものは解散すべきだ、もとに戻すべきだという聲が全國的に起つておりますので、この點につきまして當局は今後どういうような御方針でお進めになるか、この點を一つ伺いたい。
 次に自家用貨物自動車の問題でありますが、最近各府縣とも非常に自家用自動車の出願が續出してまいりました。またこれに對しまして運輸省の地方事務所ができましてから、非常に新たな業者の許可が出てまいります。この自家用自動車が非常に出願者が多いというのはどこをねらつておるかということを見ますると、結局自家用半分、營業半分という行き方で、自家用にして使いますのは第二にいたしまして、まず第一の目的は營業用に使う。現在非常に賃金が高い。あるいはなかなか車がまわらぬというような點もございましようけれども、その主たる目的は營業をやるための自家用であるというような、状態であります。この點につきましてはあらかじめ運輸當局も地方の實情をよくお聽きになつておると存じますが、今後これに對しましてどういうふうな御處置をおとりになられるか。この點をお伺いいたしておきたいと思います。
 次に私鐵とバスの問題であります。これも戰爭中におきまして統合いたされたのでありますが、御承知のように私鐵とバスとはおのずから經營の趣が違つております。從つて現在の状態を見ますると業續におきましても非常な違つた面がございます。殊に從業員の待遇などの状態を見ますると、バスの方が非常に成績がいい。私鐵の方が惡い。あるいは私鐵の方が非常に成績がよく、バスが惡いというような關係もございまして、この從業員の待遇の問題などにつきましてもそこに非常な問題があるわけであります。結局鐵道が成績がいいのだから鐵道の從業員に對しては待遇をよくしろという面もあり、また一方におきましては、自動車の方で非常に業續がよろしいのだから、自動車の方の從業員は待遇をよくしろというような困難な問題があるのでありますが、こういう戰爭中におきまして統合いたしました私鐵、バス、こういうものに對しましていかようなる御方針をもつておられるか。この點につきましてお伺いしたいと思います。
#28
○苫米地國務大臣 ただいまの御質問のうち一番最初の鐵道電化の問題でありますが、これは先ほど申し上げました經營合理化の面からも強く考えておるわけでありまして、逐次石炭による輸送を電化していくという方向に努力したいと思つております。さてその電源の問題でありますが、直營の信濃川發電の工事も一期、二期はすでにできまして、第三期、第四期と繼續してかかるはずでありますが、今資材、資金その他の關係で實は停頓いたしておるわけであります。しかしながらこれは積極的な經營合理化の一翼でございまして、第三期、第四期のこの發電が十萬キロできる豫定でありますが、この完成の曉におきましては、石炭の量ばかりから申しましても百萬トンくらいにあたるようなふうに伺つておりますから、相當の石炭節約になると思います。また運送の操作の方面から申しましても、かなり經費が節約できると思うのでありまして、ぜひ電源の開發と、それから電化の問題につきましては、積極的に努力してまいりたいと存じておる次第であります。
 その次の省營自動車と營業自動車との關係でございますが、これは地域的にいろいろな關係がございます。民營自動車のせつかくやつておりますのを壓迫するような態度は、國としてはとられないのでありまして、でき得べくば營業自動車の改善等をはかりまして、國民に御迷惑のかからないようにやつていきたいと思うのでありますが、そうでない鐵道の延長の意味であるとか、あるいは未開地の開發であるとか、あるいは民營ではできないという方面に對しましては、でき得る限り、車の用意ができまする範圍におきまして、考えていきたいと思うのであります。それから貨物自動車に關する點でございます。これはひとつ政府委員から説明させたいと思います。近く道路運送法という法律を皆様の前に提案したいと存ずるのでありますが、そのうちにかなりこの自家用自動車とか、あるいは貨物自動車とかいうものに對する内容が盛られてございます。一應その點に對しましても概念を政府委員から説明いたします。
#29
○郷野政府委員 戰時中統合いたしました貨物自動車運送事業のその後におきまする處置の問題、新規免許の問題などに關連いたしまして、ただいま私どもがどういうふうに考えているかということを申し上げてみたいと存じます。
 戰爭中、貨物自動車の運送事業につきましても統合を急速に進めまして、資材の不足、特に車輛、燃料、タイヤなどの不足に對應いたしまして、重點的な必要な貨物輸送を確保して、また經營の合理化をできるだけはかつて、企業としての存立の基礎もこれを維持してまいるという考え方からやつてまいつたのでございまするが、終戰後の今日におきましても、自動車の車輛、燃料、タイヤなどの資材の一面におきまする困難な點はあまり變りがないのでございます。最近特に燃料、タイヤの關係におきまして、輸送がその面から逼迫を告げているような状態に立ち至つております。この點につきまして強力な對策を講じてまいらなければならないと存じまして、關係の向きと打合わせてやつております。なおこの逼迫した情勢は當分の間續くものと考えております。從いまして統合いたしましたこの貨物自動車の經營の形態は、原則といたしまして當分の間維持してまいりたいと考えております。新規の營業に對しましても、今後一定の基準を設けまして、必要に應じてなお關係の業者の意向も聽きまして、具體的に實情に合つたような措置の講じていけるような途も開きたいと考えまするが、當分の間はそういうことで進みたいと考えております。
 なお自家用車の營業類似行為の取締りにつきましてはお話がございました。自家用車はもともと特定の事業のために必要な物資を輸送する目的でございまして、これが營業類似行為を行いますることははなはだ本來の趣旨にも反しまするし、業界の秩序を亂すことにもなりまするので、この點につきましては從來ともその取締りに努力をしてまいつたのでございまするが、今後におきましても、一層この面につきまして取締りを巖重にいたしまして、營業類似行為、これは代價を得て輸送するということに限らず、將來は立法の根據も求めまして、車輛を代價を得て貸し渡すというようなことまで取締つてまいりたいと考えます。それと同時に自家用車といたしまして重要な生産その他配給の仕事をやつておりまする面におきましては、本來の目的に十分副つた働きのできるような仕組の建て方は同時に考えてまいりたいと存じておる次第でございます。また一般の貨物運送事業者につきましても、必要な面につきましてはトラツクの場合には専属配車もするというくらいな考え方で、十分に輸送を確保していくことも同時に今後勵行させてまいりたいと考えております。
 なお最後にお話のございました私鐵とバスの關係でございますが、これも戰爭中バス事業を統合いたしまする際に、特定の場所におきましては地方鐵道を根幹といたしましてバス事業を統合したところもたくさんございます。從いまして、地方鐵道でバスを現在兼營し、また地方鐵道の資本の系統によりますバス會社も多くございます。地方鐵道とバスにつきましても、現在輸送の面におきまして、地方鐵道もバスも兩方とも資材その他の制約を受けまして、非常に困難な状態に相なつております。これを統合いたしまして、重點的に輸送の効果をあげていくということは、今後におきましても、目下のところ必要だと存じますので、兩方を關連させ、こういふ形態でやつていくことをただちにかえる考えはただいまのところ私どもといたしましてはございません。しかしながらお指摘のありました從事員の給與待遇の問題でございますが、これにつきましては今度の新しい價格體系に伴いまして、地方鐵道や軌道の運賃が改正いたされました。この際とりました給與の水準は、先般中央勞働委員會で示されました調停案に基く基準でございますが、やはり新價格體系の實施に伴いまして、バス事業につきましても運賃の改正を、遲れてはおりまするけれども、近く實施しなければならないものと考えております。その際にはやはり同じ水準による給與を基礎といたしまして、新しいバスの運賃を制定してまいるようにいたしたいと考えております。從いまして、この兩者の間の待遇の均衡と申しまするか、そういう點は、今日の考え方におきましては差異はなくなるわけでございますが、しかしながら事業の經營の収支の状態その他の實際の仕事の差異によりまして一部の差異は殘るものと考えております。
 なおただいま大臣からお話がございましたが、道路運送全般の問題につきまして、從來の自動車交通事業法は、すでに制定させられましてから十數年經ちますし、最近の新しい民主國家建設の上から見まして改正を要する點もあると考えられるのでございます。第一に、從來の法律におきましては免許の基準などについても、積極的にはつきり規定いたしたものがございません。また運送契約の約款などについてもはつきりしたものがございませんので、荷主側においても、業者にどこまで責任をとつてもらうかということについての限界がはつきりいたしませんし、また業者にとりましても、責任の限度が不明確で、お互いに工合が惡いという點もございます。また小運搬の仕事につきましてただいまのところ府縣令しかないのでございまするが、これも新憲法の實施に伴いまして近く効力を失うというようなこともございまするので、これらの點を總合いたしまして、なお先ほど申し上げました自家用車の取締りなどの考え方もここに織込みまして、新しい法律の規定ができるのではないかというふうに私ども考えているような次第でございます。
#30
○矢野(政)委員 御説明でよく了解いたしました。電化の本年度の實施中または計畫中のものを伺つておきたいと思います。
 なお省營バス及び省營トラツクの今年度中に計畫になつております點を伺いたいと思います。
#31
○伊能政府委員 電化につきましては、昨年度から繼續中のものといたしまして、上越線の長岡石打間、これは秋には完成の豫定でございます。それから繼續中のものといたしまして、御承知のごとく、米澤福島間、これは來年中に何とか完成いたしたいと思うておりまして、目下工事は繼續いたしておりますが、資材その他の點で審議の過程にあるというような状態であります。それから本年度着手豫定のものといたしましては、米原大阪間の電化、高崎線の熊谷上野間、この二線がございまするが、これは目下關係方面で資材の審議を受けておりまして、著手をいたしておりません。この四線のうち二線は昨年度からの繼續工事で著手中でありまして、新たなる二線がまだ未著手の状態でございます。
#32
○高瀬委員長代理 角田委員。
#33
○角田(幸)委員 鐵道を特別會計としていく以上、赤字の補填はやはり鐵道的収入によつて補填するのが相當だと思いますが、お伺いしたいのは、鐵道官有物の中に廣告等をつるして、その収入を得ることができないかどうかという一點であります。これはむづかしいように承つておつたのでありますが、過般の新聞によりますと、はがきに廣告を刷つて入れて、そうしていくらかの収入を得て、逓信關係の収入の赤字の補填を新聞で見たのでありますけれども、鐵道については、その點についてどういうお考えであるか。
 もう一つは、私は今廣告の面でお尋ねしたのでありますが、他の方法によつて収入を得て、そうしてこの赤字の補填をする工夫について當局はどんなお考えであるか。その點を御説明願いたいのであります。
#34
○伊能政府委員 鐵道廣告につきましては、御承知のように戰時中、各般の情報宣傳統制の影響を受けまして、非常に萎縮いたしておりました。それが終戰後、戰前の鐵道廣告状態に復帰いたしておりまするが、紙その他の状況から、必ずしも十分良好な成續をあげておりません。大體月間におきまして、最近七、八十萬圓ないし百萬圓近い収入をあげております。これにつきましては、施設の整備と相まちまして、鐵道沿線の廣告が日本の觀光事業その他から、戰前のようにあまりに亂脈な不統制な廣告になることを私も心配をいたしておりまするので、鐵道沿線、鐵道構内の施設を使う廣告につきましては、できる限り優美な全體の風光その他驛の美觀等とあまり背馳しないような適當な廣告を慫慂したいということで、堅實な廣告會社につきましては、できる限りの助成――と言つて別に助成金を出しておるわけではありますが、それと提携をいたしまして、鐵道廣告による収入の確保を實ははかつております。
 その他鐵道の収入、いわゆる雜収入の觀點といたしましては、鐵道構内における諸般の旅客荷主に對しましてサービスを與える營業がございます。それらにつきましても、當面の運輸、交通に支障のない限り、旅客、荷主にできる限りの利便を提供し得る範圍におきましては、これを認めようという考えで目下やつております。
 また公共用財産等につきましては、各般の制約がございますが、雜種財産竝びに不要品として決定を得ましたもの、しかもそれが鐵道では使用できませんが、民間の一部で使用できますようなスクラツプでありますとかその他のものにつきましては、毎年日本製鐵、神戸製鐵、日本鋼管、その他鐵道と取引のあります關係會社等に拂下げをいたしまして、若干でも雜収入による収入の補填をはかりたい。かように考えております。
#35
○高瀬委員長代理 館君にお諮りいたしますが、御質疑は長く續きますか。實は午後一時から本會議で自由討議がありますので、この程度で散會したいと思いますが、簡單でしたらどうぞ。
#36
○館委員 簡單に一つ、もう濟んだようなことでありますが、從來の國鐵の經營の考え方は、建主改從とかいうことを言つておつたのでありますけれども、今度新たに合理化ということを言われております。この積極的合理化ということに鐵道從業員は非常に期待をもつている。ところが今度の運賃増収によつて積極的合理化ができるかどうかということですが、運賃は安本か物價廳の方面できまるということになつてくれば、鐵道の積極的改良という面についての實施ができるかできないか。從つて現實の収入からどういうふうな積極的合理化をお考えになつておるかという點をお尋ねしたいのであります。
#37
○伊能政府委員 今囘の運賃値上げについて、鐵道に自主性があつたかないかという點につきましては、先ほど大臣から御説明がありましたように、インフレーシヨンのでき得る限りの抑止、健全財政の堅持竝びに公定價格制度を強力に推進するというような各段の經濟施策の一環として、新物價體系が設定せられ、その内容として鐵道運賃の値上げもああした限度にきまりましたので、しかるがゆえに國鐵の運賃値上げに自主性がなかつたとは申し上げられないと思います。國全體の總合政策としてかくのごとく從來個々ばらばらにきめられておつたものが一體としてきめられたところに、私どもは大きな進歩があり、また國有鐵道としては獨立採算制を強力に維持することはできませんでしたが、これが赤字については、いわゆる各般經營の合理化並びにその他によつても依然として殘るものにつきましては、國全體として、あるいは赤字公債なり、あるいは一時借入金なりということで、補填していただくという考え方で今日に至つたわけでございます。
 それから經營の合理化についてどう考えておるかという問題でありますが、これは根本の問題としては、六十萬從業員が積極的にこの際國家の公器たる國鐵の使命を發揮するという勤勞意欲を振起していただくことによりまして、石炭の節約もきわめて強大なる力を發揮する、七%程度の節約を一〇%までやり得ますならば、七十萬トン程度の石炭が節約できる、それによつてわれわれの目標としております輸送力の増強が一層合理化によつて推進され、これによつて四十億近い増収も期待される。よつてもつて各般の人的、物的な方面にも異常な好影響を來してくる。また從事員の勤勞意欲の振起によりまして、サービスの面におきましても、從來とは著しく變つた體制に今後進み得るのではないか。また勤務時間その他につきましても、同じ八時間であつても集約した八時間勤勞ができるならば旅客、荷主に對する作業の面、また輸送の効率の面においても、逐次昔のような能率のよかつた時代に復元し得る。かように考えまして、根本的な經營の合理化については、勞働組合と眞に一體とならなければいかぬ。經營協議會を根幹として一つ一つ掘り下げていこうというのが私どもの態度でございます。
#38
○館委員 私考えるのに、運賃の面ばかりから國鐵は總合制を主張されているのですが、國鐵の積極的な建設面において、安定本部において積極的なものがないのかということです。運賃の面からのみ制約されておる。ほんとうの國鐵の建設というものをわれわれ非常に望んでいるのですが、その面についての積極性がどういうふうになつているのか。
#39
○伊能政府委員 さようなお尋ねと理解いたしませんのではなはだ失禮いたしました。この點につきましては、安定本部はかなりわれわれに協力をいたしてくれております。本年度五十數億の建設改良費を認め、電化につきましても、さいぜん御説明いたしましたような線、竝びに施設の整備改良の面につきましても、新たに新線の建設の面につきましても、相當な豫算を配付をしていただきました。また資材の面につきましても、安本としてでき得る限りのことをしてくれたのでありますが、當初財務次官がお話申しましたように、本年度の生産計畫七十萬トンの製鐵も、現状においてはとても七十萬トンできない。しかもセメント等においても供給が思うようにまいりません。その他資材についてもそうした日本政府だけでやり得ない。根本の日本自身の國力の問題に關連している面が非常に多いものでございますから、先だつての山陽線の事故等においても、何としても山陽線は五十キロに全部改良しなければいかぬということが、戰爭中からの輿論であつた、ところが鐵がないために、五十キロに改良することができない。安本自身も山陽線の改良は急務だといつて認めてくれておりますが、鐵の生産が現實に伴わない。從つて先般事故を起した箇所のごときも、三十七キロの箇所でありまして、惡天候による地盤等のゆるみも若干ありましたが、續いて三本長大列車が運轉せられたために、ほとんどめつたに起つたことのないような惰行運轉が起るというようなことであつたのであります。枕木の確保のごときも最近にない六百萬丁を年間に配當をするというような、安本の協力も得ておりますが、現實には公定價格の問題竝びに山自體における枕木の需給の問題等に制約せられまして、はたして四百萬丁もはいりますかどうですか。今囘の新物價體系におきましても、枕木についても若干の値上げをわれわれは再度お願いをして、安本等においてもその點は考慮いたしておりますが、一般建築用材との關連において枕木の需給がなかなか困難である。從つて安本がわくを六百萬丁に協力してくださつても、なかなか現物化しないというような状況で、これは安本自身としても政府の政策として日本經濟の復興には經濟白書にもございますように、輸送力の囘復がその根幹であるということも言つておりますので、できる限りのことはしてくれているのでありますが、なにせ全體の國力が弱つておりますために、輸入に仰がなければならぬ部分が非常に多い。製鐵のごときも重油の輸入によりまして石炭を整備するというような方策も進駐軍の協力を得てとつておるといふやうなことで、各般の面におきましてわれわれは豫算に認められた建設改良を急速に整備いたしたいと思つておりますが、なかなかいたしかねるというような状況であります。
#40
○館委員 増収が安本の計畫とマツチしておるかどうか…。
#41
○高瀬委員長代理 館君、發言の際は委員長の承認を得てからおやりください。それはなぜかというと公式の記録に殘りますから…。座談の形式ならば一應はそれで…。
#42
○佐伯委員 大變に有益な話をたくさん承りましたが、當委員會が運輸行政面のどういう點まではいつて審議をするべきものかというような問題につきましても、まだ漠といたしまして根本的にきまつておらないような状況でありまするし、何しろ運輸省は御承知の通り他の省と違いまして、行政面と直接經濟事業面がくつついておりますがために、この複雜な經濟情勢のもとに一々われわれがどこまでまいつて研究をするものかどうかといふことは、非常に大きな問題であろうと思われ得るのであります。從つて早急運輸省にお願いいたしまして、法制上、正式にどういう點までが運輸委員會にかくべきものであるかということの條項をお定め願うと、われわれ委員會におきましても、この點は審議をいたしまして必要なものは一應要請する。それからまた運輸委員會の知識を養うために懇談會をもちまして、いろいろお伺いするということと、正式委員會とよく區別いたしたいと思います。そうして何しろ運輸省は日本の國の經濟の動脈でもありまするから、賃金にいたしましても、あるいはまた運賃にいたしましても、勞働問題にいたしましても、輸送状況にいたしましても、日本の大きな勞働問題の根幹となり、あるいはまた日の本産業を左右するというような非常に影響するところが甚大なのであります。從つて私どもはこの複雜なる經濟事情のもとに、事務的にあるいは技術的にはいりまするということは、過りますと、鐵道のような非常に組織化した經營形態の中にまでも干渉することになりまするから、この間にやはり政治上の一線を描きまして、そうして議會と行政との紛淆を來さないようにしたいと思います。さらにもう一歩を進めまして運輸省の事業面の擔當しておる經濟との明らかなる區分をするということは、非常にむずかしい點があるように思われ得るのでありますので、その根本問題についてできるだけ早く委員會の基礎をつくつていただいて、その上で大いに有効な討議と審議に移つていきたい、かように思われるのであります。今日は非常に有効なお話も拜聽いたしましたし、たいへん時間も過ぎておるようでございますから、もうこの邊で散會したらどうかと思います。
#43
○高瀬委員長代理 ただいまの佐伯君の御提議に御賛成でありましたらば、別に通告もございませんから本日はこの程度にいたしたらと存じますがいかがでしようか。
#44
○高瀬委員長代理 では次囘は公報をもつてお知らせすることにいたしまして、本日はこれにて散會いたします。
   午後零時三十分散會
ソース: 国立国会図書館
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