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1947/08/08 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第9号
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1947/08/08 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第9号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第9号
昭和二十二年八月八日(金曜日)
    午後二時四十五分開議
 出席委員
   委員長 正木  清君
   理事 高瀬  傳君 理事 前田  郁君
      井谷 正吉君    佐々木更三君
      重井 鹿治君    館  俊三君
      成重 光眞君    原   彪君
      矢野 政男君   岡村利右衞門君
      高橋 英吉君    増田甲子七君
      飯田 義茂君    木下  榮君
      前田 正男君
 出席政府委員
        運輸政務次官  田中源三郎君
        運輸事務官   有田 喜一君
        運輸事務官   大久保武雄君
 委員外の出席者
        厚生事務官   岩瀬 繁一君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 船員保險法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第一九號)
    ―――――――――――――
#2
○正木委員長 これより會議を開きます。
 船員保險法の一部を改正する法律案を議題として質疑に入ります。發言は通告順によつてこれを許します。
 この際皆様にお諮りいたすことがあります。厚生省保險局長はぜひない用件がありまして本日出席されておりません。そこで代理として厚生省保險局年金課長岩瀬繁一君が説明員として出席されました。これを許すに御異議ありませんか。
#3
○正木委員長 異議がなければさよう決します。館俊三君。
#4
○館委員 まず第一に今問題になつておることについてお伺いしたいのですが、水産廳がかりに決定されまして、水産行政全部の中に漁船に關する造船事業、あるいは漁船を動かすところの乘組船員、そういうものの管轄が全部水産廳に移るということになつた場合における船員法及び船員保險法の建前が、あるいは管轄がどういうふうになるかということについての見すかしをお伺いしたい。あるいはお考えをお伺いしたいと思います。
#5
○有田政府委員 水産廳ができまして、漁船の建造修理、ないしは檢査という仕事が水産廳にかりに移管されるといたしますならば、われわれの從來扱つておりました船舶の建造修理檢査という行政が二分されることになりまして、造船所側はいわゆる運輸省と農林省から兩者の監督を受けることになりまして、業者の困ることははなはだしいものがあると思います。のみならず監督の面におきましても、船をつくり、あるいに修繕することについて、資材の配分ということが當然件うのでありますが、今日におきましては漁船も貨物船も、客船も、鐵道連絡船も、すべて一元的に資材の獲得をやつております關係上、互いにそのわくの中における融通ということができますために、漁船がかりに漁期の關係上、早く修理を完成する必要があるとなれば、一般貨物船の資材を一時繰上げ融通して、實際に漁期に間に合うように漁船の完成ないしは修理完成ということができるのでありますが、二つの省においてそれを二分することになりますと、その間の融通もきかなくなりまして、漁船の建造という意味におきましても、相當の支障が來されるのじやなかろうかと考えるのであります。のみならず檢査につきましても、それが二つに分割されると、經費竝びにその檢査する人間におきまして二重になり、不經濟となるのは明らかであります。今日船舶の檢査は漁船も含めて船舶安全法によつてやつておるのでありまして、いやしくも漁船が船舶である以上、船舶に共通した嚴密な檢査をやつていく。いわゆる船に人を乘せ、しかもこれが水上に、おきまして安全性を得るという檢査は、やはり一貫した線に沿つて行うべきものと考えるのでありまして、これが二つにわれると、その間の檢査の扱いが二様になりまして、恐るべき結果を來すのじやないかと考えられるのであります。私はこれが水産廳に移ることによつて、はたして水産物の増産ということができるか、その點について大に疑問をもつのであります。むしろ今日の體制の方がよりよく漁船もでき、その修理も促進できる。船業ためにもいい結果を招來しておると考えるのであります。殊にこれが二分されますと、わが國の巨大産業であり、また多數の關連事業をもつておるところの總合事業たる造船事業の發達ということに對して、恐るべき惡結果を招來すると思うのでありまして、私はこの水産廳に對して漁船の建造ないし修理檢査というような仕事が移ることは、遺憾ながら國家の大局上から見て反對せざるを得ないという結論をもつておるのであります。なおかりに漁船に關する事項という字句のために、漁船船員が水産廳に移るということになりますれば、これまた海員勞働というものの行政が二元化されまして、いまわしき結果を來すと思うのであります。今日は海員の勞働組合におきましても、漁船も商船も機帆船もみな一つの海員組合をつくつておるのであります。また漁船船員が貨物船員その他の客船船員と一緒に一元的に監督せられておることは、單にわが國のみならず、世界各國の共通的のことでありまして、かようなことは斷じて海員勞働組合の立場から見ましても託さるべきことでない。かように信じておる次第であります。
#6
○館委員 ちよつとお尋ねいたしますが、水産廳を設けて水産行政を一元化したいという主張者の目的は、資材の配給を水産行政のもとにおいて一元化したいということである。それから漁船の檢査その他について、當局のやり方が漁船そのものについてははなはだ緩慢である。こういう意見をもつておる。その點について質問をいたしておきたいと思いますが、御返事を願います。
#7
○有田政府委員 實は資材の割當につきましては、われわれといたしましては、漁船といわず客船といわず、貨物船といわず、船舶に關する限りは全部これを總合いたしまして、經濟安定本部に諮りまして、大體の資材のわくというものをきめるのであります。その場合におきましてわれわれ海事官廳が獨斷にそれをやるのではなく、それぞれ漁船に關しましては農林省水産局、その他の船舶につきましては關係官廳のものも立會いまして、そして經濟安定本部に諮りまして重點的にそれぞれの部門に割當を行うのであります。その割當を受けたわく内におきまして、この資材の現物化をはかるのがわれわれの仕事でありますが、その間におきまして漁船資材をおろそかにするということは斷じてないのであります。われわれといえども、今日食糧増産の見地より、漁船漁業の重大なることは十分了知をしておるのであります。さればこそ終戰後、漁船、船舶というものは、連合軍司令部の今日まで許可を得たものがすでに木船を合わせまして、二十万トン以上に相なつておるのであります。この點は水産局自身も今日漁船というものが十分できておるということをみずから語つておるのでありまして、今日の日本の國情としては非常に資材は薄いのでありますが、漁船をわれわれが預かつておるために、十分の建造ができないということは斷じてないと私は信じております。なお船舶の檢査にあたりました運輸省がやつておるために檢査が緩慢であるということはないかというお尋ねでありますが、これにつきましては、檢査官というものは何と申しましても業者側の意に反して、とにかく船舶の安全性という立場から嚴格なる檢査をやりまする結果、ややもすると業者の意に反することがあります。この聲は單に漁船のみならず、一般貨物船の船主からも檢査についてとやかくの批判があります。これはある程度檢査の性質上餘儀ない次第と考えております。さりながら私は檢査事務が澁滯するために漁船の乘出しが遲れる、あるいは一般貨物船の乘出しが遲れるということは斷じてあつては相ならぬと存じまして、一般檢査官に對しまして十分注意を喚起いたしますとともに、最近の情勢によりまして、檢査官を充實いたしまして、相當檢査要員を擴充いたしましたので、最近の檢査状態は一般に言われるごとき不都合な點はない。かように存じておる次第であります。
#8
○館委員 現在この漁船の造船については、別にどういうわくが漁船に對して與えられておるというのではなくして、單に運輸行政の建前から、好意的に實際上そういうふうに現實を見ながらこれを有利に配分しておるということである。この點が農林委員會としてははなはだ不確定なものであるという氣持から、これを割出しておるのじやないかという氣もいたしますが、現行の事情において非常に有利にやつておるということを、水産關係の省も認めておるということになれば、現在のものについては私は承認してよろしいと思います。ただ危惧するところは、行政が變つた際に漁船建造の本筋が不確定があるがために、どういう運命に會うかということについての心配をもつておるのじやないかというように考えるのであります。
 それから船舶の檢査、これについてはかねがね私も聞いておるのですが、機構の上のためか、どういうためかは知りませんが、とにかく省が責任をもつという場合における檢査の方法なり、あるいは時期なりが、いつも當を得ていないということを聞いております。これは單に漁船のみに限らず、一般の船舶についてもそういうところが非常に多いのではないかと思います。水産廳獨立に際して、特に漁業關係で自分のところに對してのみのように、ひがみをもつておるという點があるのじやないかと思いますが、いずれにしても當局の船舶檢査その他に關する行政なり、現場作業は、もつと積極的にやるべき必要があるのじやないかということをこの際述べておきたいと思います。
 もう一つ私は、水産廳の問題をここで言うのはおかしいと思いますけれども、水産廳設置の聲があがつたのは、大東亞戰爭の最中発展しきたつておつたところの日本の海洋漁業というものに對して五大會社がつくられて、その上に帝國水産ができた。非常に大規模に漁業状態が發達しておつたときに、これではたまらないから水産省あるいは水産廳を設置してほしいという要望が、その時分から起きておつたのであります。しかし現實この通り敗戰になつてしまつて、水産が非常に小規模に行われる時代になつて、はたして水産廳の設立が重要であるかどうかということについて非常な疑問をもつておるのであります。もちろん現實の状態では、食糧の面において水産というものが大きくクローズアツプされておるという點はわかりますが、これは水産局を擴大強化することによつて十分に目的を達せられるのじやないかと思つておる。殊に勞働省という非常に重要なるものをこしらえる際においても、官廳機構がますます増大するから困るというわけで、附帶決議としてその點を添えておるという状態におきまして、この水産廳を新しくこしらえるということに對しては十分なる注意をしなくてはならないと思つております。殊にまだどういう企畫において水産廳ができるのかわかりませんが、これが船員法なりによつて勞働條件を維持向上していくということが、もし水産廳設立によつて一元化することができない状態になる、あるいはまた造船事業が一元化することができなくなつたというときの對策はどうかということも心配しておるのでありまして、これは水産委員會と、それから運輸委員會との間に協議をこらすべき筋合が十分あるという認識に到達するのであります。そういうことを申し上げておきたいと思います。
#9
○有田政府委員 第三の問題は私から御答辯する筋ではないと思いますが、一と二の問題についてちよつと誤解があつたのではないかと思いますので、一言申し上げておきます。私先ほど資材のことを申し述べましたが、實は資材の割當というものは、われわれとしては安本と協議いたしまして、各官廳も立會つてやるのでありますが、そのときには漁船がいくら、貨物船がいくら、客船がいくら、鐵道連絡船がいくらというように、全體のわくのうちにおいて、また大體小さなわくがきまつております。そうしてそれぞれ重點的に貨物輸送が重大だという場合には、貨物船のわくを大きくする。あるいは水産物の増産が非常に重大だという場合には漁船のわくが大きくなつて、それがきまるのでありますが、これを一元的にやつていることが非常にいいというのは、そのわくの範圍内におきまして、たとえば今囘の捕鯨船の編隊がつくられる。そこで同じわくと申しましても、漁期の關係でどうしても九月までに捕鯨船を早く修理してやらなければならぬということが始終起るわけであります。そのときには貨物船のためにもらつた資材も一時漁船の方に融通しまして、そうしてそれを早く完成する。それで第三・四半期、第四・四半期にもらう漁船のわくを貨物船にまわすという一時期間的な融通をやつて、その邊をうまくやる。ような意味で申しましたので、その點誤解のないようにお願いいたします。
 第二の點はお説の通りのことが相當あるではないかと思います。常に檢査官に對しては深甚の注意を拂つて、さようなことのないようによく手配をしておるつもりでありますが、ただ終戰後の状況として、交通通信が非常に不便を極めた。何月何日檢査に立會えという電報が來ましても、その電報が遲れる結果、あるいは向うの注文の期日に間に合わなかつた。あるいは汽車が遲延しあるいは汽車に乘りこまれなかつ結果、それが一日遲れるというようなことが終戰後あつたのであります。最近はやや通信交通が平時の状態にもどつた關係で、だんだんさようなこともなくなつたと思つております。のみならず、先ほど申しましたように檢査官を相當充實いたしまして、できるだけその檢査期日に間に合わぬということのないように、十分なる注意をする。またさような心がけをもちまして、檢査官を戒めて、だんだん御期待の趣旨に副いたいと考えておる次第であります。
#10
○館委員 まだ水産廳の機構がはつきりしない現状の状態においては、これ以上水産廳關係のことについてお聽きする幅をもつておりませんので、非常に殘念だと思いますが、ついては兩委員長においてよく折衝いたされまして、運輸省及び農林省の關係當局から、この運輸委員會が水産廳の管轄問題についてはそれぞれの立場におけるところの説明を聽取したいと思いますが、いかがでありますか。こういう提案をいたします。もう一度申し上げますと、この運輸交通委員會で、水産廳の管轄問題及びそれの利害得失について、農林省當局及び運輸省當局の方から説明を聽くようにお取運びを願いたいと思います。
#11
○正木委員長 お答えします。運輸當局から運輸研究會という名目で一囘お話を聽き、本日また館君の質問に對して有田政府委員より詳細に運輸當局の意のあるところの説明があつたわけですが、適當な機會に農林當局の委員の御出席を求めて聽くことに取計らいたいと思います。
#12
○館委員 そういうふうにやつていただけば結構だと思います。そういうことをなぜ言いますかというと、運輸當局の見解と農林當局の見解とには大分隔りがあるように思う。これではいけないと思いますので、殊にそういう運びを願いたいということであります。
#13
○正木委員長 成重光眞君。
#14
○成重委員 私も大體館君の質問と同じようなことでありますので、省略したいと思つておりましたが、ただ一つ聽いておきたいことは、水産廳設置に關する委員會の方の申しておることを聽きましたが、終戰後における漁船の建造に關する點であります。安本の方から運輸省の方に造船資材として割當てられました資材――水産廳設置に關する委員會の各位の言うところによりますと、漁船に對しては、安本から割當てられた資材は重點的に輸送關係の船舶に使われて、漁船の建造にはまつたく使われていない、從つて漁船の製造、修繕に對しては、造船所の手持資材によつてこれを建造修繕するために、べらぼうに高い費用を漁民が出しておる。こういう點において切り離していくことについて非常に強調しておるように考えられます。最近年度における安本から造船關係に割當てられました資材と、その資材の中でどういう割合で船を建造されておるか、その點をちよつと御説明願いたいと思います。
#15
○有田政府委員 ちようど資材の割當てられました數字の持合せを本日いたしておりませんので、はなはだ遺憾でございますが、次の機會にその數字をもつてまいりまして御説明したいと思います。ただ漁船のできた數は、先ほどもちよつと觸れましたように、終戰後本年の六月までに連合軍司令部から建造を許可せられました網漁船は十萬六千トン餘りであります。また木船の方は十萬七千トン餘りに相なつております。そのうちすでに完成いたしたものは約半分くらいになつております。この半分くらいと言いますのは、これはまだ續行いたしておるのでございまして、一般貨物船におきましてもさようの關係はあるのであります。たとえて申しますなれば、終戰後貨物船におきましては、いわゆる續行船としまして二十四萬八千トンばかりの許可を得ておるものです。それがまだ完成しておらないものが大分あるのであります。ただ貨物船は、いわゆる續行船でありまして、終戰直後の場合におきまして、戰時中からすでにもう建造に著手しておつたのでございますから、その完成割合は割合多うございます。ともかく漁船につきましては相當力を入れまして、その建造が進められておるのでありますけれども、新聞で御承知と思いますが、いつかもいわゆる第四次漁船の問題が起つたのであります。その場合も今日日本の漁船としては十分あるのだということが連合軍司令部の方からも發表されており、また農林省水産局も漁船は相當できておるということをみずからも認められておるのであります。私も漁船は相當できておる、かように考えております、ただ高いことはないかというお話でございますが、私は別に漁船を高くし、貨物船を安くするというようなことは斷じて行つていないのであります。ただ最近の物價事情によりまして非常に建造價格というものが、單に漁船のみならず、貨物船におきましても非常に暴騰しておるという事實は認めまするが、漁船なるがゆえに特に高いというようなことは絶對にない、かように考えております。
#16
○成重委員 局長に尋ねますが、そうしますと從來農林關係、水産關係の方とやはり漁船の建造に對しては緊密な連絡をとつて、必要に應じて建造されておつたものでありましようか。その點と、ただ私どもの聽いたのでは、おおむね漁船の建造に對しては割當てられた資材を使わなくて、各造船所の從來の手持の資材を使つたために漁船の建造が非常に割高になつておる、なかんずく木船關係では特にそういうふうになつておる。こういうことであります。それともう一つ重ねてお尋ねしておきたいことは、戰時中に漁業關係に使つておつたものを一應輸送關係のために徴發いたしましたが、その後におけるこれに對する改修補填というものはどういうことになつておるか、この點も伺つておきたいと思います。
#17
○有田政府委員 漁船が資材を特に融通する結果高くはないか、こういうお尋ねのようでございますが……。ちよつと速記をやめていただきたいと思います。
#18
○正木委員長 ちよつと速記をやめて……。
#19
○正木委員長 速記を始めて……。
#20
○有田政府委員 さような特別な場合は別といたしまして、一般にはそのために特に漁船が高いというようなことはないわけであります。ただ漁船の船自身の特性からくる高さというものは、これはあるわけであります。特別な装置をやるいろいろな關係から起るのでありますが、これは貨物船と客船を比べましても、客船の方が貨物船よりは高くなるのであります。これは當然であります。ただ原價的に特に漁船を高く口錢をとつてやるのだということは決してないと考えております。戰時中いくら徴發されて、いくら沈没したかということは、ちよつとここに資料をもつておりませんから、他日御答辯をいたしたいと思います。
#21
○原(彪)委員 先ほどお話がありました通り、私も漁船建造についても水産廳にこれを移すかどうかということは、水産廳の方の機構その他につきまして判明しがたい點があるので、御質問申し上げたいと思うのであります。ここに一言當局にお伺いしたいのは、運輸省に漁船建造の監督、建造計画を與えられておりますが、私は漁船建造に對する育成の面について缺けておる點があるのではないかと思うのであります。たとえば金融の面におきましても、漁業家の漁網、そういう資材につきましては、農林中央金庫において融資する。しかし漁船については農林中央金庫は融資してくれない。あるいは農家に使う船というような理由をもつてしても、農林中央金庫では融資してくれないということがあるのでありまして、何か農林中央金庫の融資の面を運輸御當局からお話くださつて、漁船建造についての融資の面につきましても御盡力賜わりますれば、業者としては市中の高い金利で船を建造しておるよりは、さらに安くなるのではないかと私は思うのですが、その點についての御見解を承りたいと思います。
 それから漁船の新造許可の面について、これが遲いということは、私はそう認めたくはないのですが、建造許可に至るまでの艤装の面において、あるいは機關の据付において、それぞれの檢査が要るのでありますが、機關の据付などにいたしましても、今日機關の据付の專門家は各造船所でひつぱりだこでありまして、なかなか來てくれない、これが結局は竣工を遲らす原因になつております。こういう面につきまして運輸御當局が漁船建造を育成するという意味において、十分な御鞭撻を願えれば、一日も早く漁船を建造する上に對して貢獻することができると思います。また漁船の事業家としては一日でも早く建造竣工すれば、それだけの金利が助かるということにもなりますので、艤装の資材の入手難の面において、また機關の据付の面において、漁船を育成する上において、もう一段の當局の御鞭撻を賜わればいいと思うのですが、その點について御見解を伺いたいと思つております。
#22
○有田政府委員 第一のお尋ねの資金の面でございますが、實を言いますと、漁船船舶を注文するのは漁業者でありまして、その資金は漁業を監督しておる農林省水産局がめんどうを見るということになつておる。もしわれわれの方にその資金のめんどうも見ろということになれば、われわれは喜んで資金の面も極力斡旋するにやぶさかではございません。ただ造船所の設備の擴充あるいは修繕設備の充實というようなことの資金はわれわれの方で掌つておりますが、漁業者自身の注文にかかわる漁船建造の資金は現在のところでは農林省でやつております。實は餘談でありますが、船舶公團をつくります際も、漁船船舶について一般貨物船と同様に船舶公團で同じような扱いをしようじやないかということをわれわれ提案したことがあるのであります。これは農林省の水産局の方において、漁船資金はわれわれの方で見るから船舶公團の中へ入れることは一應拔いてくれ、こういう農林省からの希望がありまして、拔いたような次第であります。その點はわれわれが今タツチできない面にあります。
 次に艤装あるいは機關の振付、その他について檢査を促進しろというお話でありますが、これはまことにごもつともな御意見でありまして、私も先ほど來申しますように、できるだけ檢査要員を充實いたしまして、檢査官の手不足のために船舶の建造の促進が遲れるというようなことがあつては相ならぬと思いまして、非常に注意を拂つておる次第であります。檢査要員も約倍加いたしまして、注意を拂つておる次第でありますが、なお一層この點につきまして注意に注意を重ねまして、檢査が的確に、しかも遲延することなきように一層の配意をいたしたいと思います。さように御了承を願いたいと思います。
#23
○佐々木(更)委員 船員保險法の問題に關連して、水産廳設置の問題が先ほどから議論になつておりますが、先刻御説明を聽いてまだ納得ができかねるので、重ねて御質問申し上げます。漁業勞働行政の點から、また水産廳が設置されますと、一元的な強力な造船企畫が破壞される、その結果からいつて水産業が發展しないおそれがある、こういう御説明のようでございましたが、これを農林行政の立場から言いましても、漁船の建造が運輸省にある場合には、これはやはり同じ理由で強力な水産行政が一貫しないという理由が成り立つと思うのでございます。もし運輸省でこの水産廳設置にどこまでも反對なさるというならば、農林行政から見て漁船の建造が運輸省にあることに對して、最も合理的な性質をもつ理由がなければならないと思うのでございますが、この點をお伺いいたしたいと思います。
 もう一つは、ただいま原委員からもちよつと御質問があつたようでございますが、戰時中破損または沈没した漁船の代船建造と申しますか、その性質はよくわかりませんが、これは現在運輸省で許可してやつておるものかどうか。聞くところによりますと、戰時中の破損または沈没した漁船の代船建造に對する補助金は農林省から出ておる。かつまたこれらの融資は農林中央金庫の方から融通されておるようであります。それが近來に至つて全部補助金竝びに融資が打切りになつたために、現在漁船の建造を中止するのやむなきに至つて、現在漁船をつくておる者は非常に困つておるのであります。これらのことは、ある一つの産業が現在幾多の省に多元的に分離されておるところから來る不便であり、不利益だと私は考えるのでございますが、もし漁船の建造を運輸省が將來ともこれを管轄内に置くとしますならば、現在農林省がやつております補助とか融資とか、そういう方面をも一元的にこれを管轄するのでなければ、運輸省では許可したけれども、それらの資金がないために建造を中止しなければならぬというふうに非常にかたわのものができ上ると思いますが、現在この問題はどうなつております。水産廳設置に反對されるとするならば、こういう問題を運輸省はどう解決なさるお考えであるか。この二つの點についてお伺いしたいと思います。
#24
○有田政府委員 ちよつと前提として御了解願いたいことは、農林省水産局でやつておりますことはいわゆる水産事業の監督助成ということであつて、われわれのやつておりますことは、それの漁船船舶としての建造、修理、檢査ということであります。いわば農林省は注文者側、物を注文するという立場になつております。從いまして水産事業を奬勵するために補助金をやるとか、あるいは資金をどうするかということは、注文者側の方の立場でやるのでございます。從つて補助金のような問題は今日まで、また今後もさようでございましようが、注文者側の立場から農林省がいろいろとめんどうを見ておるわけであります。われわれの方はあくまで造船所側の立場に立ちまして、造船所そのものの施設が十分でないとか、あるいは造船事業をもつと振興する必要があるとかいうような立場から、造船所そのものを監督しておる。從いまして補助金のようなことをもつと運輸省でやらなければならぬというお尋ねでございますが、それはやはりおかどが違うということになります。たとえば鐵道連絡船は同じく運輸省でも鐵道總局の方であります。これの建造のために出す金は鐵道總局の方から出すわけであります。また同じく運輸省の海運總局の中においても、一般貨物船の注文のいろいろの資金のめんどうとか、あるいは貨物船の建造助成とかいうようなことは、海運總局のうちの海運局がやつております。いわゆる船主の立場、注文主の立場でやつております。造船の方の監督をしておる船舶局はやらない。さような行政系統になつておるということを御了承願いたいと思います。それから農林省が主張するのは水産の一元化である。從つて、造船所まで監督しなければ徹底せぬ。それに對して運輸省は造船の總合制が潰れるから反對しておる。それで十分の働きができるかというお尋ねでございますが、いわゆる注文者側の立場に立つて、最後まで一貫してその行政をやらなくてはならぬということになりますれば、たとえば石炭の問題で、これは商工省石炭廳が監督をしておりますが、石炭が消費者の手にはいるまでずつと監督しなくてはならぬ。石炭を掘り、それが消費者の手にはいるまで監督しなければならぬと言うこともできる。そうなつてくると、たとえば鐵道が注文者側の立場から石炭を運ぶという注文をやるならば、商工省石炭廳が運輸の面を見なければならぬ。あるいは他の荷主側の立場から、たとえば農林省が食糧の輸送という點も見なければならぬ。それぞれの各立場からはいつていきますと、そこに運輸行政のごとき總合した、しかも基礎産業的のものは全部支離滅裂に破壞されるおそれがある。そこでそれぞれ基礎産業としての一つの線をもつて、運輸交通は運輸省でやるということになつておるのであります。造船事業にしても、漁船は農林省が一括して見るということになれば、鐵道の連絡船は鐵道總局が最後まで造船所の監督をその面においてはしなければならぬという立論もできるのであります。そうすると造船事業は、それぞれの特殊船舶の監督官廳から二元、三元的に監督されなければならぬということになつて、非常な弊害をもち、そのために造船事業の發展を阻害する。そこにやはり船舶の建造、修理という一線を引いて、それを一元的にやつていくというのが今日の實情であり、またかくあるべきものであると私は考える次第であります。
#25
○田中(源)政府委員 今の長官の説明はちよつと足りないような點があると思いますので、それを敷衍いたしまして御參考に供したいと思います。なるほど佐々木さんの御質疑のように、造船監督の一元化という點から、漁船に對する船舶建造の一元化というような理論は、水産側の方から見れば言い得られる一つの立論だ、こうおつしやるのはもつともであります。しかしこれば漁船だけに限られた專門の造船所で、しかもそのトン數が一トンの漁船から一萬數千トンに至るまでの一貫した造船をそこでやつておるならよろしい。しかし從來日本の漁船の經過竝びに發展の状況を見ますると、木船から始まつて漸次鐵船に及んできたわけであります。そこにまた御承知のごとくに船舶に對する航海安全法というものがありまして、造船に關する一定の規格がございます。船にはいろいろございます。御承知の通り漁船のうちにも魚類運搬船として冷凍設備をもち、そこにまたテクニカルな專門的な構造を整えた船もございまするし、また漁撈の種類によりまして船の構造がおのずから違つてまいりまするが、船の一定した安定に對する基本的な建造の點が規格されていることは御承知の通りだと思います。從つて木船から始まつてまいりました船が最近に至つてはだんだん鐵船になりつつあります。こういうふうな状態でありまして、ここで今水産廳の設置に伴いまして水産側の委員諸君の見解が混同されているではないかと思われます。つまり船舶行政上に、造船と一船舶の監督行政の總合的見地から見まして、從來の沿岸漁船の一トン、五トン、あるいは二十トン、三十トン、大體今までの底曳漁船というものは二、三十トン程度であります。トロールが七十トンから百トン、最近におきましては、かつお、まぐろ、漁船でも百トン以上のものは鐵船でできている。こういう面で經過を見た場合に、木船建造の状態とごつちやにして漁船船舶の一元化を主張されるということは、私はこの面において一元化を主張される水産同業者諸君に多少矛盾があると思うのであります。こういうふうに船員行政の上から見ましても――大體日本の沿岸漁業というものは三、四十トンからたかだか五十トン、遠くかつお、まぐろをとるために小笠原島あたりまで出まするものしても五十トン以上百トン以内、あるいは百二、三十トン程度になつておるのでありまして、こういう何百キロの里程を經まする遠洋漁業に對しては漁船といわず貨物船といわず、一貫した造船に對する檢査規定を及ぼしていかなければならぬと私は思います。その基本に立つて漁撈に必要なる装置を加えることになつておりまして、船運航上の基本装置においては變りはないと思うのであります。この點については、船舶建造の根本に觸れての一元化を主張する意味において、現在造船を監督いたしておりまする運輸省において統括することが妥當である、ただ小型の木船に對してはある程度のわくをはずしても差支えない。しかも造船技術の上から言つて、二、三十トンのものをつくつておりまする沿岸にある多數の造船業者は、初め船大工からあがつてきた技術屋であつて、造船技師を抱えた造船所が一體いくらあるか。こういう點を考えてみました場合、造船技術の上においてもよほど注意をいたしていかなければならぬ點があります。そこに運輸省としていわゆる船舶造船一元化を主張す理由、大きな根柢があるということを御了承願いたいと思うのであります。
#26
○佐々木(更)委員 船舶建造に對する監督のことについて、運輸省と農林省とのおのおのの所管事項の相違に對する海運總局長官の御説明は、私はこれこそ今の官廳のなわばり主義と言いますか、そこに現在非常な日本の政治の弊害があるのではないかと思うのであります。海運總局長官から言いますと、自分の方は建造の方を監督するだけであつて、つまり船をつくる方の監督である、農林省の方は注文する方の監督なのだから、そういうことはおれの方で一向知らないのがあたりまえである、こういうようなお答えなのでありますが、これこそ今の官廳があらゆる政治を中途半端にぐしやぐしやにしているものであるという感じを私は深く受けるのであります。すなわち沈没漁船の代船建造にしても、運輸省の方は單に建造の方面だけしか考えておらない。農林省の方ではただ水産業の發達のためにということだけしか考えておらない。だから造船企畫と造船を注文する方の資金の面とが一向連絡がつかない。今度のようにせつかく建造した船か、農林省が補助もしくは融資を中止したために、現在ドツクにつながれているという現状になつているが、有田總局長官の御説明から申しまして、現在の官廳事務の權限の上から見れば、この御答辯はあるいは當然かもしれませんので、私は別段これに對する答辯は要求いたしません。ただ私たちといたしましては、こういう各省のなわばり主義が現在の産業をかたわにしているものだということをかえつて深く思いましたので、さつき館君の方から提案されましたように、農林省の方から來てもらいまして、いずれ懇談でもあります場合に、こういうちぐはぐな一貫しない造船計畫に對して何か一貫したものを與えなければならない、こう考えますので、私はいずれそのときに讓りまして、この問題に對する質問は打切りにいたします。
#27
○有田政府委員 ちよつとお答えいたしておきます。私は造船行政の見地から先ほどの説明をやつたわけでありますが、とにかく造船事業というものは非常にたくさんな關連事業をもつている。おそらく船舶ほどたくさんの關連工業をもつたものはないと思います。一つの船をつくるにもなかなか造船所だけではできない。それの機關から艤装に至るまで數百、數千の産業があるわけでそれを造船行政の見地から一元的に總合している。一方水産行政の立場から水産局が水産物の増産あるいは水産事業の助成ということを監督している。それを事業別にずつと一貫しますれば、それぞれに日本の水産廳に該當するものがまた何千と出てくるのではないかと思いますが、そういうやり方がいいのか。あるいは造船なら造船というもので一つの總合をやる。大きく言えば運輸省なら運輸省で總合をやる。また一方はそれぞれの立場の助成、保護監督という大きなものをそれぞれ握つた官廳があつて、その間はそれぞれの連絡でいくやり方がいいか。どちらがよいかと言えば、このあとの方が今日の日本の行政の行き方ではないかと思う。われわれは水産奨勵あるいは補助金というような問題に關與しないとか何とか申しましたが、もちろん農林省と十分な連絡はとつているのであります。たとえば漁船建造の注文にしましても、農林省から要望がありまして、その要望に基きまして、われわれは他の貨物船なり、あるいは鐵道連絡船、あるいはタンカーあるいは客船、それぞれの他の船舶の要望を總合いたしまして、これを經濟安定本部に諮りまして、重點的にそれぞれの建造計畫というものをきめるのであります。そして計畫がきまつたならば、水産業者が造船所の方へ注文する。その注文した結果の申請が造船所と水産業者との連名で地方海運局の方へ、地方海運局から海運總局の方へ許可申請する。また農林省の方へ行つて、同じく連名で水産業者の立場から農林省の方へ水産事業の事業認可、許可申請というものが出てくる、そうして中央において連絡がとれまして、農林省の要望したものが許されるという結果に相なるのであります。それぞれの行政分野を守りながら、その間の連絡をとつて圓滑にやつておる。これがわれわれの現在やつておるところであり、またそれをより一層緊密なる連絡をとらなければならぬことは私も認めておるのであります。それはおそらく一つの産業を一貫的にやれば、日本に何百、何千というそれぞれの事業があるわけですが、そうすると、それぞれの官廳が、無數にできてくる結果を招來するのでなかろうかと私は思うのであります。その邊は程度問題ではありますが、それぞれの連絡を緊密にするということで圓滑に進み得る。かように思うのであります。
#28
○成重委員 水産廳設置に伴いまして、漁船造船の問題に關しては、本日の委員會で初めて正式に取上げられまして、運輸省の海運局の方からは、詳細にわたつて私ども説明を聽いたのであります。從つて本日はこの程度にして打切りまして、私どもも政調會の方においてよくお聽きいたしますし、また各黨においても一つよく御研究を願いまして、次會において決定することにして、この程度でこの問題は打切つていただきたいと思いますが、いかがでしようか。
#29
○正木委員長 ここで諸君にお諮りいたしますが、通告順によりまする質疑は一應終了したのでありまするが、なお質問はございませんか。
#30
○館委員 ちよつと私、さつきから氣がついておつてことでお聽きしたいことがあるのですが、客船といわず、すべて造船の規格というものがある。そこでこの規格をあてはめる場合に――漁船に對する規格とかいろいろのことがあるかと考えるのですが、そこで漁業經營者の中からこういう聲がありませんかと思うのです。それはあまりその規格が嚴重でありまして、そして沿岸の小さい漁船にそれを畫一的にあてはめるものであるから、非常に困るというようなことを言つておらないか。これは農林當局に聽けばいいのだが、その注文をあまり許しますと、船員の勞働條件維持のために非常に困難になるという問題になつてくる。その問題についての現實の状態を御説明願いたい。こう思つております。
#31
○有田政府委員 船舶の規格といいますか、設備と申しますか。それは船舶安全法にそれぞれあるわけであります。漁船船舶につきましてはそのうちに特殊規定がございまして、そしてその詳細のことは運輸省と農林省との共同省令になつておる。そして農林省ともよく連絡をとりまして、一つの特殊な設備規定ができておるわけであります。その規定ももちろん時代の進運に伴いまして、それぞれ必要に應じて改正すべきものは改正すべきだと思うのであります。われわれは農林當局の要望があるならば、いくらでもその規定を改正してしかるべきものと考えております。なおそのうちで二十トン未滿のものにつきましては、あまりに詳細な規定をつくるというのはどうかというので、それぞれの地方廳に任しておるわけであります。地方廳がそれぞれの地方の實情に應じた一つの認可制度をとりまして、そして規定の運用をやつておる次第であります。なほ海員の關係におきまして、これは先日船員局長からもちよつと申しましたように、船舶の構造、設備というものは、海員の勞働保護という立場からきわめて密接な關係があるので、たとえば漁船でいつても、あまり漁獲物を運ぶことばかりに心をとられますと、船員の居住設備もない、船員の勞働保護の見地から非常に遺憾なことになると思いますので、海員勞働と船舶の建造、あるいは本年度の船舶の豫算というものをそれぞれにらみ合わせまして、ここに調和が保たれるわけであります。今日われわれ海事關係で海員勞働、船舶建造、あるいは運航というものを一元的に總合してやつておりますのも、その海員勞働イコール船舶建造というような關係にもなる點が多々あるので、さような機構になつております。これは單にわが國のみならず、世界海運先進國の一つの慣例といいまするか、實際がさようになつております。私がこの前にこの研究會で申しましたように、日本の海運は船舶運航、海員、港灣、これらに關することが一元的に總合せられておればこそ、とにかく世界最大海運國の一つにまでのし上げたのであります。この行政機關というものは簡單にそれを變更すべきものじやない。これは決して今までの領分を守りたいというような變な、けちなことを考えておるのではありません。日本の海運の進展、またわが國として今後伸びるものは海以外にないと思います。今日八千萬人がこの四つの小さな島に押しこめられている。これを養つていくためにはどうしても今後は海に伸び出るよりほかに途がないのであります。かように海の行政というものは、日本の今後の生存のために絶對重要視していかなければならないと確信しておるわけであります。かような見地から申しまして、いたずらに行政機構いじりということはやるべきものじやない。よほど愼重に御研究願つた上で、それぞれの手を打つていただくことを特に私は切望する次第であります。
#32
○館委員 その漁業勞働者は、もちろんこの船員法關係の取締りを受ける範囲内ではありません。船員法に關連するものは、船を動かす船員のみに關係することでありますか、私がここで申しますことは、運輸行政の上の船員法というものとは少しはずれておるのでありますが、失業對策のところでもいろいろ話をしておりますけれども、北海道に住んでおるとわかりますが、北海道の漁業の移動勞働者というものは年間五萬人は動いておつたのであります。これは東北各六縣から、あるいは北海道の東南地方から、最初は日魯の漁場あるいはにしん漁場に行く者があつたけれども、それがさらに食えなくてにしんが終ると、北洋に出掛けて行つて八月末に歸つてくる、歸つてくるとすぐまた食えなくて身賣りをして、いかつりの漁業に轉換する。いかつりの漁業に轉換して、それが終ると食えなくてまた身賣りをやつて、いわしの漁場に勤める。そうして十二月になるとようよう一月くらいはうちへ歸つておる。その期間ににしん漁場とカムチヤツカ漁場が始まつて、東北六縣に漁夫募集にくるというような状態で、移動勞働者がはなはだしく多いのであります。その移動勞働者がどういう状態で勞働するかというと、大體漁船に乘つて遠方に出掛ける、カムチヤツカへ出掛けるところの漁船に乘り込んでいくのであるが、それらは人間としての待遇を受けておらない。從つてカムチヤツカにいくときにはほとんど荷物の上積みになつていく。歸るときもカムチヤツカの鹽びきの上に乘つてくるのである。五百トンか六百トン、多いのは三千トン、四千トンの船でありながら、船室もなければ何もない。はなはだおかしいことを言うのですが、歸りのカムチヤツカの鹽ますの上に小便も糞も垂れ流してやつておるという状態であります。こういうことが保護さるべきどの法律をも與えられておらない状態でありまするが、船舶建造の上においてそういうことが十分考慮され得るような資材もその他の餘地も今はありませんでしようが、そういうことも十分考慮していただきたい。船客がその通りでありまするがゆえに、ましてその船客を遇するところのいわゆる海員法の適用を受ける船員というものはそれ以下の生活を船内でやつておるということである。それが單に漁業經營者の恣意のままに造船ができる――現在の正確な檢査規定が造船を遲くせしめるものである、あるいは手續がそういうことを遲くさして國家の要請にこたえられないという名目のもとに、漁業船舶の建造が非常に粗末になる、すなわち安上りになる。從つて個定資本も少くなるという意味から、そういうものを主張される半面がもし農林省にありとするならば、私は勞働者の立場において絶對にいけないと思う、それはいかに多くの漁船が沿岸に沈没したりなどしておるかということによつてもわかる。漁船というものはますます建造を強固にし、あるいは羅針盤をつける、あるいはもし許すならば無電をつけるくらいに發達するべくこれを助長するのがあたりまえだと思う。そのためにも船舶行政というものを大きく上から一元化していくことが最も大切なことではないかと私は思う。經營者の腹を惡推量をするようでありまするけれども、もしそういうことであればいけない。そういうことでなくても、今の立論の上からいつて、この船舶行政をいかに一元化するか、農林行政をどうして一元化するかということに問題の歸著點があると思いますが、その點を十分考慮して、農林當局が出た場合に、十分にそれを聽きわけてみたいと私は思う、今までのところは旗はあげかねるのでありますけれども、そういうことを十分に考慮に入れていただきたいと思うのであります。
#33
○大久保政府委員 ただいま館委員からのお話の、漁船勞働を保護する問題は、今まで非常になおざりにされておつた。そこで今後漁船勞働保護の面におきましては、新しく船員法の實施と即應しまして、強力にこれを發揮することが必要であろう。殊に漁業はとかく漁撈の方が先になりまして、安全と勞働保護というものをなおざりにしがちであるという點につきましては、先般新しい船員法の実施に關しまして公聽會を開きまして、非常に海員側からその聲があがつておる。私どもの方といたしましては今後におきまして、この海上勞働の保護という見地から、船舶の保健設備その他につきまして、十分監督をしてその全きを期したいと考えます。なおまた先ほど長官から海運のために總合と申しましたが、この點はちよつと發言の誤りでありまして、現在の情勢は海事行政の全體――漁船勞働を含めました勞働と船舶、それから水産を除いた海運行政の全般的な總合運營という面から、海事産業を推進しなければならぬ、こういう意味で申し上げたのであります。
#34
○館委員 今の御説明で船員という言葉を使われるので理解しがたいのです。漁船の船員というものは漁船を操縦するものであると私は理解する。從つてその漁船に乘り組んでいつて漁撈をやる者はあなたの言われる漁船に乘り組んでおる船員に包含されておるかどうか。
#35
○大久保政府委員 ただいま館委員の御質問は漁船に乘りこんでいきまして魚をつる船員、すなわち漁撈に從事する船員が含まれております。
#36
○館委員 もつと明確にお聽きしたい。漁撈に從事する勞働者であつて船員の仕事をしない者は、漁撈に從事する船員の中に含まれますか。
#37
○大久保政府委員 船舶に乘り組んでおります者は全部含まれております。實際エンジンをたいておろうと、魚をつつておろうと、いずれにいたしましても船員と思います。
#38
○館委員 船員は船員手帳をもつております。ところが船員手帳をもつていない勞働者であつてほんとうの網揚げだけをやつてきた、それは船員法の中にはいつておりますか。
#39
○大久保政府委員 從來の船員法には含まれておりませんでした。今囘新しい改正によりましてそういう船乘りに對しましても新船員法を適用するということに相なりました。目下船員手帳その他は命令によりまして新しく範圍を擴充するように手續中であります。
#40
○館委員 それでは從來の北海道におけるがごとき、さけ、ますをとりにいくところの漁業者、漁業勞働者、それは船員手帳をもらうことができますか。
#41
○大久保政府委員 乘員によつて船員手帳を交付することになつております。
#42
○高橋(英)委員 簡單ですが、重大な問題ですので質問します。船員保險法の一部を改正する法律案の中の六十三條の第一項中、「地方社會保險審査會」を「保險審査會」に改めるといふうな改正案が出ておるのであります。私はあまり氣にしなかつたのでありますが、本日議會に出てきますと、われわれの同志はこれは非常な改惡ではないか、反民主主義的な改惡であり、時代に逆行するのではないかという意見がが盛んになつておるようであります。保險審査官というのは、この改正案によつて新たにできたものだと思われるのでありますが、その資格とか、その他權限とか、もしくはこれの改正の理由とか、意義とか、そういうものについてひとつ御説明願いたい。
#43
○岩瀬説明員 お答えいたします。保險審査官は、お尋ねの通り、今度の改正におきまして新たに設置いたしたい。かように考えております制度でございます。ただいままでは、審査機關といたしましては地方の社會保險審査會がございます。それがまずいわば第一審的な審査をしておつたわけです。その裁決決定に不服があります場合には、中央の審査會に申し出る。かようになつておつたわけです。そうして中央の審査會の決定になお未だ滿足し得ないという場合には、裁判所に訴えをする。かような仕組になつております。それを今度第一審と申しますか、地方廳における審査機關を、審査會という合議的な制度を改めまして審査官制度にいたしたい。かように考えておるわけです。大體の考え方は、できるだけ迅速に、手早く地方廳でする。不服がある場合、あるいは滿足し得ない場合、こういうような場合もずいぶんあろうかと思いますが、そういつた場合にできるだけ早く、親切に、ひとつ解決をしてやりたい。かような考え方から審査官制度による第一審の決定という建前にいたしたい。かように考えておるわけであります。大體この制度は、他の陸上の勞務者につきましての健康保險、それから厚生年金保險、先般の議會におきまして新たにつくられました勞働者災害補償保險、それぞれの制度を通じまして、第一審機關としてこういつた單獨と申しますか、單獨制の保險審査官の手によりまして、できるだけ迅速に物事を處理いたしたい。もし不服がある場合には、第二審と申しますか、中央の審査會に申し出る。かような制度にいたしたい。こういう改定をいたしたわけでございますが、それと歩調を合わせまして、船員保險におきましても同様の改正をいたしたい。かように考えた次第であります。どういう者が審査官になるかという點でありますが、私ども、船員保險が他の陸上勞務者につきましての保險と同じように、厚生省保險局におきまして、また地方廳におきましても、各府縣廳保險課ないしは社會保險出張所におきまして管轄されるという豫定のもとに立案いたしたわけであります。當時の考え方、また現在の陸上各種の保險につきましての保險審査官の任用につきましては、大體社會保險を永らく勤め得して、經驗ももち、また識見もゆたかな者、そういうものの中から適當な者を簡拔して審査官に任用することが適當ではなかろうか。かように考えておるわけでありますが、船員保險が運輸省に移管になりましても、大體考え方としては同様な取扱いがなされるのではなかろうか。かように想像いたしております。
#44
○高橋(英)委員 この保險審査官は新しい制度だから、何か新しい官吏制度でもあるかと思いましたが、やはり從來の官吏制度であつて、何ら新し味もないように思います。審査會というのは能率があがらないかもしれないけれども、官僚事務の能率があがらないということも定評があります。民主的な審査會の運營いかんによりまして、十分民意を取入れた上に能率化することもできるだろうと思います。本條の改正の保險審査官というものは、何も新しい感覺をもつた一つの制度でもないと思いますから、この點については私もいま一應研究させていただいて、その上で贊否を決したいと思いますので、留保しておきます。
#45
○正木委員長 これで質疑は一應終了したのでありますが、委員長としては、農林省水産局長より水産廳設置問題について、質疑を行ないたいと思いますが、御異議ありませんか。
#46
○正木委員長 それでは次會に行うことといたしまして、本日はこの程度で…。
#47
○前田(郁)委員 漁船建造は、現行官制によると運輸省の主管になつているものであります。しかるに今漁船建造も水産廳において主管されるという趣きであります。現に運輸省において主管する行政事務を他省または他廳へ移さんとする法律案は運輸交通委員會におきまして審議するのが當然でございますが、なおこの問題は非常に重要な問題でありますから、單に水産廳の關係の方の意見を聽くに止まらず、進んで合同審議をするというところまで進んでいただきたいと思うのであります。
#48
○正木委員長 ただいまの前田君の御意見は、一應委員長として御意見を拜聽しておくという程度に止めておきまして、ただいま委員長が提議いたしました農林省水産局長に水産廳設置問題について質疑を行うということにいたしまして、本日はこれで散會したいと思います。次會は公報をもつてお知らせいたします。
   午後四時二十一分散會。
ソース: 国立国会図書館
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