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1947/08/23 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第13号
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1947/08/23 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第13号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第13号
昭和二十二年八月二十三日(土曜日)
    午前十一時二十一分開議
 出席委員
   委員長 正木  清君
   理事 佐伯 宗義君
      井谷 正吉君    佐々木更三君
      重井 鹿治君    島上善五郎君
      館  俊三君    成重 光眞君
      志賀健次郎君    原   彪君
      堀川 恭平君    山崎 岩男君
     小笠原八十美君    田村 虎一君
      高橋 英吉君    中野 武雄君
      増田甲子七君    飯田 義茂君
      木下  榮君
 出席國務大臣
        運 輸 大 臣 苫米地義三君
 出席政府委員
        經濟安定本部生
        産局長     野田 信夫君
        運輸政務次官  田中源三郎君
        運輸事務官   伊能繁次郎君
        運輸事務官   有田 喜一君
 委員外の出席者
        經濟安定本部運
        輸局次長    津田 弘孝君
    ―――――――――――――
八月二十一日
 岩川、古江間國營バス運輸開始の請願(前田郁
 君紹介)(第一四五號)
 鹿屋、岸良間國營バス運輸開始の請願(前田郁
 君紹介)(第一四七號)
 稚内驛から抜海驛の間に鐵道連絡工事施行の請
 願(坂東幸太郎君紹介)(第一四八號)
 貝田信號所を一般驛に昇格の請願(庄司一郎君
 紹介)(第一五七號)
 川棚、有田間國營バス運輸開始の請願(西村久
 之君外一名紹介)(第一五八號)
 湯本、石川間國營バス運輸開始の請願(關内正
 一君紹介(第一六五號)
 白石、上ノ山間國營バス運輸開始の請願(庄司
 一郎君外十名紹介)(第一七二號)
 高瀬村に停車場設置の請願(松浦東介君紹介)
 (第一七三號)
 山陰線經由東京下關間直通列車運轉の請願(庄
 司彦男君外三名紹介)(第一九〇號)
 新庄より金山・眞室川・酒田・餘目・清川・八
 向を經て新庄に通ずる國營トラツク運輸開始の
 請願(圖司安正君紹介)(第二〇〇號)
 久栗坂に停車場設置の請願(山崎岩男君紹介)
 (第二〇七號)
 木原線全通工事施行促進の請願(片岡伊三郎君
 紹介)(第二二七號)
 舊鶴見臨港鐵道外三鐵道拂下に關する請願(金
 光義邦君外二名紹介)(第二三〇號)
 大垣、垂井兩驛間に簡易停車場設置の請願(武
 藤嘉一君紹介)(第二三七號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 海難審判法案(内閣提出)(第二八號)
 日本國沿岸に置き去られた船舶の措置に關する
 法律案(内閣提出)(第三七號)
 國有鐵道實相報告書についての説明聽取
    ―――――――――――――
#2
○正木委員長 ただいまより會議を開きます。
 これより海難審判法案を議題として討論に付します。討論はこれを許します。館俊三君。
#3
○館委員 社會黨を代表して海難審判法案に贊成をいたします。海難審判法は新しい憲法が發布されまして、もとの懲戒法その他の法律がこの新憲法に牴觸するところがうるというわけで、それを直されたという一つの趣旨と、もう一つは今までの懲戒法その他については、海技免状所有者というものについてのみ審判が請求されたおつたのが、今度はそうではなく、一つの海難事故についての關係當事者全汚について審判をやるというふうに擴大されたという二つの點を考えてよろしいと思うのでありますが、殊にこの第二番目の海員にのみ審判を適用するというようなことについては、從來片手落ちな感じがあるという非難がずいぶんあつたのであります。これについては陸上の交通事故についてもそういう面が多分にあるのでありまして、海陸とも交通事業に携わる從業員からその片手落ちに對する非難がずいぶんあつたと思つておりましたところ、今度新憲法が制定せられ、さらに懲戒法が今の海難審判法によつて改正せられるということは、非常に時宜に適したものであつて、そうあるべきものであるというふうに考えるのであります。そういう意味においてこの海難審判法には贊意を表する次第であります。
 しかし本法の六十二條及び六十三條に、受審人以外に對しての勸告の言葉がありますが、これは法的根據をもつていない。それで勸告のしつ放しだという嫌いがありまするのと、受審人の立場に立つているところの海技免状所有者との釣合いが非常に不均衡であるというふうに考えられるので、その點について社會黨としては一つの附帶決議を附けたいと思います。附帶決議をここで讀み上げます。
   海難審判法案附帶決議
 本法案第六十二條、第六十三條の勸告は、強制力を有しない缺點があるから、これを補うため被勸告者をして勸告の趣旨を嚴格に履行させるよう監督の措置を講ずること。
 今讀上げました附帶決議を附れまして本法案に贊意を表するものであります。
#4
○正木委員長 平彪君。
#5
○原(彪)委員 私は民主黨を代表いたしまして海難審判法に贊意を表するものであります。本法案の内容におきました先ほど社會黨の館君からお話のありましたように、海技免状所有者以外の者にもこれを及ぼすということはまことに結構なことでございます。海難の原因はこれが取調べにあてたつては愼重を要さねばならぬのはもちろんでありますが、海難の原因というのは暴風雨等、不慮の事故によつて起るものでありまして、その原因を審判するということは容易でない、そこでこの法におきまして特に參審員を參加させるという途を開かれたことは、民主的な措置といたしまして滿腔の贊意を表する次第であります。
#6
○正木委員長 高橋英吉君。
#7
○高橋(英)委員 日本自由黨は、社會黨から出されました附帶決議附の海難審判法案に對しまして條件附と言いますか、そういう意味において贊意を表します。條件附というのは、この附帶決議ま今朝入手したのでありまして、まだ黨議に諮る機會をもつておりません。それぞれの主脳者と協議しました結果は、これは無條件に贊成すべきだということになつておりますけれども、何といつても黨議が最も大事なのでありますから、一應黨議に諮る必要があるのであります。しかしおそらくこれは代議士會においても、無條件に贊成するものと私ども確信しております。從つて私の條件附云々という言葉は、きわめて大事を踏んだ言葉であつて、おそらくそういう必要はなかろうと思いますけれども、一應公人としての立場からさように申し上げておきます。
 それから今自由黨から、附帶決議と同様な重要な意味において、勸告される者すなわち被勸告者が、審理の過程においてその立場を明確ならしむる機會を與えてもらいたいということを申し出ておりますが、これは前回有田長官から省令でしたか、それによつてわれわれの希望通り適當な處置を講ずるというふうな御答辯がありましたから、これで了承いたしたいと思いまするけれども、本來から言いますると、審判法にあまする受審者同様、被勸告者が重要な立場におり、從つてこの被勸告者の權利の伸張を考慮してやる規定というものは重大なものでありますから、今勞働省設置法案に關連して問題になつております根本問題、すなわち重大なものは政令、省令制はいけないというふうな考え方からいきますと、審判法も修正をすべきだろうと思いますけれども、私は運輸省當局の將來の運營方に對して信頼をおきまして、省令によつて御規定されることを了承する次第であります。それから今條件附と申したことは、これは各委員會で例になつておるそうでありますが、こういう場合には一應贊成はしておくけれども、もし黨議で再調査、再審査をしていただきたいという場合においては、再審査をしていただくというふうに了解を得ておるそうであります。そういう例になつておるそうでありますから、今日の代議士會にこれをかけまして、先ほど申し上げましたごとく、必ずこれは了解を得ると思いまするけれども、萬一のことがありました場合には、あらためて御審査を願うということを條件としまして贊意を表する次第であります。
#8
○正木委員長 飯田義茂君。
#9
○飯田委員 私は國民協同黨を代表いたしまして、海難審判法案に對しまして贊成の意を表するものでありまするが、自由黨からもただいまお話がありましたが、社會黨からここに出しましたところの附帶決議であります。突然のことでありまして、他のことにつきましては代議士會に諮りまして黨議を經ておりまするけれども、本附帶決議案は何も代議士會に諮つておらぬのであります。けれども私どもが見まして、これはあつてしかるべきものというふうに考えますので、後で代議士會に諮りまするが、むろんこれは代議士會も聽き入れてくれるものと思うのでありますよつて本案につきましては贊成の意を表するものであります。
#10
○原(彪)委員 私もけさ海難審判法の附帶決議について、社會黨からの申し入れを聽いたものであります。まだ黨の方にも諮つておりませんので、ここでこの附帶決議についてはつきり申し上げるまでには至つておりませんが、大體この趣旨からいたしまして、被勸告者にその趣旨を徹底させる、嚴格に履行させるという行き方はまことにいいことだろうと存じまして、おそらく黨の方も了解するだろうと存じまするが、さような事情にありますのだ、一應附帶決議につきましては今日黨の方に諮りたいと存じております。
#11
○正木委員長 討論は終局いたしました。これより採決にはいります。原案に贊成の諸君の御起立を願います。
    〔總員起立〕
#12
○正木委員長 起立總員。
 次に社會黨より提出いたしました附帶決議案について採決いたします。この附帶決議案に御贊成の諸君は御起立を願います。
    〔總員起立〕
#13
○正木委員長 起立總員。よつてこの附帶決議は決定いたしました。
    ―――――――――――――
#14
○正木委員長 次に八月十四日當委員會に付託された日本國沿岸に置き去られた船舶の措置に關する法律案を議題に供します。
 まず政府より提案理由の説明を聽取いたします。田中政務次官。
    ―――――――――――――
#15
○田中(源)政府委員 ただいまより日本國沿岸に置き去られは船舶の措置に關する法律案の提案理由について御説明申し上げます。
 終戰後、朝鮮その他日本水域外から日本に到着したものと推定される船舶で、現在なお所有者の知れないままに置き去りになつているものが多數あります。これらの船舶のうち、不法入國や密貿易等犯罪に供されたことの明らかなるものは、連合軍指令に基くポツダム勅令、すなわち不法入國については勅令第三百十一號、密貿易については、勅令第二百七十七號があります。これによりましてそれぞれ處分されているのでありますが、これらの勅令の公布以前、殊に終戰直後、混亂のうちに日本に到着したものが百五十隻程度あるものと推定されます。右の勅令の公布後到着したものでも、船舶の所有者または乗組員が知れないため、不法入國、密貿易等の犯罪に供せられたものか否か全然手がかりのないものについては法律上右の勅令の適用がないか、または現實にこれを適用し得ない状態にあります。從つてこれらの船舶には從來同等の法的措置も講じられないで放置されており、その一部については事實上、海運局や警察署でみずからこれを保管し、あるいは適當な海運業者、海運組合等に一時保管使用させ、わずかにその價値保存をはかつているにすぎないのであります。
 しかし、このような措置では、海上輸送あるいは漁業等、各方面における活用はもちろん、保管すら十分に行われるものでなく、中は腐蝕しまして無價値のものとなるものも生じている状態であります。
 しかるに、他方わが國の海運及び漁業方面では、戰爭による壞滅的打撃と造船費の高騰による新造困難とのため、はなはだしい船腹不足に惱んでゐるのでありまして、この際右の置き去られた船舶の不確定な状態の結末をつけ、この窮状打開の一報策として、その活用をはかる必要があるのであります。これがこの法律案を提出する理由であります。
 何とぞ十分御審議の上お取り運びのほどを切望いたす次第であります。
#16
○正木委員長 午前中はこの程度にいたしまして、午後は一時より鐵道實相報告書について當局より説明を聽取することにいたしたいと思います。
 では午後一時まで休憩いたします。
    午前十一時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十二分開議
#17
○正木委員長 再開いたします。
 これより鐵道實相報告書について、質疑を許すことにいたします。質疑を許す前に、御報告を申し上げます。本日の當委員會には、委員會の請求に基きまして經濟安定本部生産局長の野田信夫君竝びに經濟安定本部運輸局の次長である津田君が出席されておりまするから、御報告いたしておきます。井谷正吉君。
#18
○井谷委員 私は「國有鐵道の現状」という先日お配りになりました册子を拝見いたしまして、十分國有鐵道の實相を翫味してのでありますが、一口に、端的に感想を申しますならば、國鐵は現在日本の縮圖のようなもので、どうにもこうにも、自力ではこれ以上手も足も出ないという結論を説明されたように受けとれて、まことに憂慮にたえぬ次第であります。從つてこの報告書の内容につきましては微に入り細にわたつて御説明になつておりますので、これの内容についての質問は私はないのであります。しかしこれに附随するものとして伺つておきたいことが四、五點おるわけであります。
 まず第一は、鐵道車輛は戰爭中の酷使と保守不良によつて、その状態は著しく低下し、また戰時中新造されたものはいわゆる戰時型で、故障率が多く、老朽車が急激に増加し、しかも修繕能率は資材不足と工場被害等にためにまた意のごとくならないとございます。なるほど了解できるのでありますが、國鐵のみの車輛生産の實績を表によつて調べてみますると、二十年度に蒸氣機關車が八十五、二十一年度に百十、増加が二十五になります。電氣機關車が二十年度に六、二十一年度に二十八二十二の増加になります。客車が二十年度に四十五、二十一年度に三百九十三、これは三百四十八の増加になります。電車が二十年度に七でありまして、二十一年度には二百六十一、増加が二百五十四と相なります。貨車は二十年度に八百十四、二十一年度に千十九で、三百五というものか増加になつておりまして、昭和十一年の電氣機關車の六に對しまして、二十二の増加になります。客車は十一年度の二百三十七に對して百五十六の増加であります。電車は百三に對しまして、百五十八の増加であります。貨車は三千四百三十七に對して二千四百十八、これは足らないという數字が出るように思うのであります。これによつてみますると、電車にはたいへん重點がおかれておりますがが、貨車製造がはなはだ少いように考えられるのであります。今日の食糧問題、あるいわ滞貨物資の敏速な輸送の點を考えてみますると、この貨車生産にも大いに力を入れていただきたいと思うのでありますが、この邊はいかがだろうかという點であります。また新物價體系で機關車が五百萬圓、客車が百五十萬圓以上かかると御發表になつておりますが、有蓋貨車及び無蓋貨車は、どのくらいの費用がかかる豫算でありましようか。また相當量増加の御意思があるのか。これの豫想數量というものにどういうお考えがあるでございましようか。これを承りたいのであります。
 次に終戰後、一時賠償物資として鐵道が對象になるということを新聞で見たことがありますが、この電氣機關車や車輛等が徴収される事實があるのであろうか。またそういうことがあるのであれば、新しくこしらえた新車が對象になる。これは終戰當時現在でやるべきものであるか、その後できたものがやはり對象になるかというようなことについて、お伺いをしてみたい。なお新しくこしらえまする機關車、車輛の生産については、何か一定のわくがあるのであるかというようなことも知りたいのであります。
 次にこの國鐵實相報告書では、現状のままでは積極的な建設計畫が考えられていないようでありますが、しかし最後の結びの段について、目下國鐵再建五箇年計畫を策定中で、健康な明るい鐵道輸送の實現に邁進すると書かれております。そうすると、これはもちろんいろいろな御苦心はなされるでありましようが、建設的な發展的な抱負のもとにこれは立案されるのでございまりよう。たとえば從來の豫定線、未成線こういうふうなものについて建設が行われるのであるか。豫定線、未成線にしましても、鐵道の營業上の有望に所、また地方開發のために國家的にはぜひやらねばならない所がありますが、これらについても、この五箇年計畫の中に考慮が拂われるだろうかということが知たいのであります。
 また戰爭中に一時宣傳されました彈丸列車というようなことがありますが、これはあの當時の軍の宣傳であつたのであろうか。當時は、ある程度著手を始めておるような記事もあつたのでありますが。その後これがどういうふうになつておるのであろうかということも知りたいのであります。私はこれは不必要だと思うのでありますが、もしかようなものであるのであつたならば、これを中止して、新線に轉化する御意志があるかどうか、たとえますと、豫讃線のごときものも、これは和歌浦から小松島へ渡りまして、そうして現有の運輸豫讃線、つまり松山、八幡濱に出て九州に連絡する。これは山陽線の複線となりまして、旅客、貨物の輸送の上に一大革命を來すものでありますが、これを八箇年計畫に編入して國鐵の健全經營のために働かす御意思があるかどうか。これは實にもつたいない線でありまして、現在關西の實庫と言われておるところの伊豫や伊佐の物資は、殘念ながら輸送の不備のための一分、活用されていないのであります。現在四國線は宇野、高松、また戰時中にできました廣島縣に仁方と伊豫の堀江間の連絡があだけであります。これらは四國の一端に連絡がついておるだけであつて、あとはふん詰まりの状況でありまして、四國と九州との連絡はとれておりません。いわゆるこれが片肺循環で完全な全機能を發揮することはできないのであります。もしこれが完成しまするならば、ひとり伊豫、土佐南部の豐富な物資ばかりでなく、大分縣、宮崎縣、鹿児島縣の廣大な地域の物資が容易に關西及び關東に交流するのでありまして、ひとり國民のみでなく、經營者たる國鐵の利するところは非常に大なるものがあると私は思うのであります。現在四鐵で使つております石炭のごときも、九州から山陽線をまわりまして、そして宇野、高松の連絡船でこれをあげて使うという状況でありますが、こうしたことも早速改善されるだろうと思うのであります。
 次は無料乘買券の問題でありますが、これは最近相當やかましい問題になつております。推定でわかりませんが、私は鐵道で永年勤務して退職した者には一生涯無料で乘車できるというようなことを鐵道員から聞いたこともありますけれども、これが事實であるかどうかまた家族の優待券が出ておるようなことも聞いたのですが、そういうことの事實があるかどうかということ。また一體どの方面のどの方向にどういうふうにこれが出ておる、その數量がおよそどのくらいで――御計算はしにくいだろうと思いますが、概算金額にしてどの程度になるものであろかというようなことも、國鐵が赤字であるという現在においては、私どもこれを承知いたしておきたいと思うのであります。
 次に通學生の定期券の割引について、先日東大學生委員會、あるいわ都下薬専全學生自治連盟という學生連中の陳情を受けたのですが、この點については佐々木委員の方からお話があるそうでおりますから、誤はこれを省きまするが、學生に言い分によりますると、田中次官の御説明になつたことと實際とが違つておるという講義なんであります。準容は佐々木委員から詳しくお話があるだろうと山つておりまするから、これは省略いたします。
 次はサービスの問題でありますが、實相報告畫にもあるごとく、國鐵從業員が目下各方面から鋭い批判の對象となつておる反面、實に素質の低下しておるということは當局も認めておる、こう言われておりまするが、その通りであろうと思います。殊に若い驛員、女子從業員に私はそれがはなはだしいように思うのであります。驛長の述懐によりますと、言つても聴かない。遊び半分にやつておることを、民主主義のように考えておる者があるというふうな、嘆いた言葉を私聴いたことがあるのであります。しかしこれは言つても聴かふではだめだと思うのであります。聞くところによりますと、驛長も勞働組合員だから、とうも驛長が監督の上になかなかやりにくい點があるということを聴いたのでありますが、かような秩序保持というような方面に對しまして、當局のお考え方はどうであろうかということも承りたいのであります。私ども四國の島は本土から離れておりまして、あらゆる方面に後れておりまするから、鐵造においても、自然別世界の感じがあるのであります。たとえば旅客が切符を買いまする場合にも、あの雨の降る中に長蛇の列をつくつて順番を待つ。そうしますと、一方ではホームで驛員がのんきそうにピンポンをやつて遊んでいる。しかも荷物を一方の方にはねのけて、構内にピンポン臺をすえつけておるというようなことは、これは非常に印象が惡いのでありますが、かようなことについても、やはり本省あたりから何かお達しがあつてよいじやないかというようなことを思うのでございます。
 それから次に鐵道弘濟會というものがありますが、これは鐵道とどういうふうな御關係にあるのでありましようか。鐵道から補助を出しているとか、あるいはそうした經營方面において何か係合いがあるのかどうかということも知りたいのでございます。
 それから本報告書は國鐵の實相報告書でありますから。ほかの部分のないことは承知いたすのでありますが、やはりわれわれとしては運輸全體としての詳細を知りたいのでありますから、お手數とは考えますが、自動車方面についてもやはりこうした御報告をいただけるならば仕合せと思うのであります。
 要するに、本實相報告書による私の直感は、最初申し上げましたように、これではどうにもこうにもならぬという實相の説明を受けたように思うのでありますが、實際にこれではどうにもならぬのであります。しかしどうにもこうにもならぬといつて、これは放任できない問題であります。五箇年計畫がどのようなものであるかは存じませんけれども、これを基礎として、自力の五箇年計畫ではおよそ想像ができるのであります。十分なことができ得ないのではないかと思いますが、日本再建の上の重大な役割を使命とする國鐵といたしましては、その機能を發揮するように、これについて安本としてどの程度の御援助を願えるのであるか。現在の國鐵の現状でいいとお考えなつておるのであるか。どういうふうにしてこれを昔の國鐵に還るように引上げてやろう、協力しようというお考えがあるのか。安本の方のお考え方も併せて承知いたしたいと思うのであります。簡單でありますが、以上お尋ねを申し上げる次第であります。
#19
○伊能政府委員 お尋ねの件につきまして、私からお答えを申し上げておきます。なお根本的な問題については大臣から申し上げることになろうと思います。
 車輛の點につきましていろいろと行届いた御調査をいただきまして、貨車について輸送の現状と生産の状況とが食い違つておるのではないかというようなお尋ね、またそれに關連する賠償問題等のお尋ねがございました。御承知のごとく、貨車につきましては昭和十一年當時と比較いたしまして相當増加いたしております。ただしお手もとへ差上げました實相報告書にも明らかでありますように、すでに廢車適齢に達したものも使つてはおりますが、數としてき相當殖えております。ただそれは御承知のごとくあるいは通信の戰災による復奮が十分でないため、あるいは從事員の配車能力が相當低下しておるため、また機關車その他の状況による支障等のために、車は多いが實際の運用の成績は戰前に比して相當に落ちておる。たとえば昭和十一、二年ごろは三十六、七パーセントの運用効率をもつておりましたが、戰時中終戰の直前の十九年度には二九%、ところが現在は二二%程度の貨車の運用効率をもつておる。從いまして荷役能率、小運送能率、通信の整備、機關車の整備、その他配車技術の昔への囘復が、逐次可能に相なるならば、現在の數量をもつても相當に輸送力を向上し得る。また石炭の面で十分に石炭を與えられまして、昔のように――現在は二十三萬六千キロ程度しか一日運行いたしておりませんが、戰時中最高時の四十三萬五千キロメートルとまでまいりませんでも、三十萬キロメートル程度の列車運行が保持し得ますならば、現在の車でも相當に能率があげ得る。さような角度から、貨車については通風車であるとか、冷藏車であるとか、特殊貨車竝びに戰災に遭つて有蓋車が相當損害を受けておりますから、そういつた特殊貨車だけをつくつて一般貨車は現状で修理を強化していけばやり得るではないか。從つてそういうものはなるべくつくらぬ方がよかろう。
    〔速記中止〕
 それから彈丸列車の問題についてお尋ねがありましたが、私どもも御意見とまつたく同様な考え方のもとに、現在戰時中における彈丸列車の事後處理をいたしております。ただ將來の十五年、二十年後の日本の交通がはたして廣軌でいくべきものなりや、はたして現在の三フイート六インチの狭軌で複複線計畫でいつて差支えないものかどうかという點につきましては、相當抜術的な檢討を遂げなければならぬ。かように考えまして、目下檢討中でありますが、萬一ブロード・ゲージの四フイート六インチ半の廣軌でやらなければならぬという事態になることも考慮いたしまして、日本坂墜道であるとか、その他用地方面等については、廣軌を實施する場合もやり得る程度の線路、土地その他大都市の區畫整理に基く鐵道用地の確保というような問題だけは處理しておりますが、現状におきましては、それ以上に何も進んでおりません。そういう状態で現在のところ、われわれとして東海道線を複々線にし、しかも廣軌もやるというような問題について、具體的な計畫をもつておりませんので、目下研究中であります。從いましてただいまお話のございました豫讚線等につきましても、これは既設線の整備、日本における陸上交通系絡の整備の觀點から、木土・四國間、四國・九州間の連絡ルートの確保、その他も研究せねばならぬ。かように考えている次第であります。
 次にサービスの問題につきまして、いろいろ含蓄のある御注意をいただきましたが、御指摘の通りでございます。私ども現場作業の作業秩序の確保につきましては、しばしば訓令を發しまして、これが囘復に努めております。現場長等につきましても、ただいま井谷さんからお話がございましたが、あるいは組合員である箇所、あるいは組合員でない箇所等、必ずしも總局全體にわたつて一貫した考え方でなく、地方的な事情によつて組合員であつたり、なかつたり、管理者の意思を代表する者として組合員外であるというような状況になつておりました。當初の勞働協約においては、勞働協約自體としては、原則として組合員でないような、管理者の意思を代表する考え方で、私どもも考えておりました。ところが組合側といたしましては、作業基準、作業秩序を確保する上において、やはり組合命令であると同時に、上長の命令であるというような形で、現場の大きな意味における平和、大きな意味における能率の増進の觀點からいくと、現場長、驛長、區長というものは、なるほど最末端機關として管理者の意思を代表するかに見えるが、また現場自體の結束と申しますか、それぞれの作業單位の能率發揮の上においては、組合員としての現場長の命令、また現場長が組合の支部長であり、あるいは同時に現場の長である。この有機的な連繋一體化ということが、作業秩序を確保する上においても、非常に大きな力をもつものである。從つて現場長自體も、また組合員自體も、ぜひ現場長が組合員にはいつてもらうことを心から熱望するということで、非常な強い熱望がございました。私どもも單に形式的に、勞働組合法に基く管理者側、使用者の意圖を代表するものという形式的解釋ではなくして。實質的に現場長が組合員であることが能率増進の上から、また組合の健全なる發展の上によいかどうかという研究をいろいろな角度からいたしました結果、どうもわれわれの方で組合側の意向を承認してやる方がよろしいというふうに考えましたので、今囘の團體協約改訂の際には、現場長も組合員たることを認める。それによつて作業秩序を囘復し、作業基準の嚴守をはかろう。こういう方向に目下進んでおります。從いましてサービスの改善その他についても、今後は組合員としていろいろな指示をする。現場長という立場でなく、組合員の幹部としても一般職員にいろいろな指示をする。その方がどうも能率増進の上からよろしいというような見解と私ども了承いたしました。また今後國有鐵道の經營合理化の幹根たる能率の増進の基礎をなすものは、作業規律の囘復、確保であるということを私どもは強調いたしまして、組合側もこれには全幅の贊意を表しておりますので、逐次作業秩序も囘復してまいるかと存ずるのであります。御指摘のような、ちようど朝あるいは夕刻のラツシユ・アワー當時、たまたま明けの職員があるいはピンポンに興じたり、キヤツチ・ボールに興ずるというようなことで、しばしば御指摘もいただき、批判もいただいておりますが、これらの點については私ども常に嚴格な戒飭を與えておるのでございますけれども、列車が不便であつたり、いろいろな事情から、すぐに歸れないで、どうしても十時十一時ごろに明け番の者が歸る。そうするとその間驛に殘つたり、あるいは各所に殘つて、非番の者がとかく遊ぶということがどうも世間の目に觸れやすいので、そういうことについては十分に自粛をするようにということも傳えておりますが、今後この問題については一層われわれとして嚴重な自粛の態勢をとらせたい、かように考えております。
 次に鐵道弘濟會の問題でございますが、これは昭和六年に江木鐵道大臣の寄附行為によりまして、財團法人として鐵道弘濟會が鐵道退職者の救濟を目標に公益事業を公共團體として始めましてことにスタートをいたしまして、最近におきましては、ひとり退職者のみならず、現職職員につきましても、困窮しておる現職職員の家族、もしくは職員の厚生救濟の方面、あるいは慰安等の方面、またさらに教育の方面、學校經營等にも乘り出して、廣く國有鐵道竝びにその退乗者の窮迫した者を救濟をするという方向に進んでおりまして、これが業務の實體といたしましては、驛の賣店竝びにこれに關連した諸般の事業による收益によりまして、救濟事業、社會事業を營む、かような方向で、最近は非常に大きな仕事をいたすようになりました。月間の賣上げのごときも、四千萬圓、五千萬圓というような方向にまで進んでおります。從つて、ある特定な事業について、たとえば、作業中犠牲となつた職員の義手義足をつくるとか、いろいろな公益事業、救濟事業をやつておりますが、それらの特殊なものについて、特に國有鐵道として百萬圓程度の醵出金等をいたすことはありますが、これは弘濟會の年間五億、六億の事業に比べてみますれば、まつたく九牛の一毛でございまして、現在は弘濟會より多大の救濟を退職者竝びにこれに關連しておる遺家族が受けておるというような實情でございます。
 次に自動車に關する實相報告書につきましては、先般來皆さまからそういう御希望のあるということも伺いましたので、私から陸運管理局長にも、自動車に關する實相報告書もぜひ至急明らかにすることがよからうということを慫慂いたしておきまして、目下準備中でございます。國有鐵道の國營自動車につきましては、われわれ自體の運營でございますので、短時日に明確なものがお手もとに御提示できると存じますが、民營事業につきましては、必ずしもその全貌がただいま手もとに正確なものがまいつておらぬという關係で、あるいは民營事業の方が相當遅延するかもしれぬと存じますが、その邊は御了承得たいと思います。
 最後に、乘車證の問題につきまして御質問がございました。この點につきましては、昨日参議院方面におきましても御質問がございました。近く私どもその内容につきまして、どの程度に乘車證が出ているかというようなことも皆様に御報告を申し上げたいと存じます。一般的に申し上げますならば、國有鐵道におきまして、ある官等俸給以上の者について、一々バスの發行の煩瑣を避ける意味合から、公務乘車證として年間一枚のものが出ております。ある階級以外の判任官、昔の五級俸―現在では何級俸でございましたか、ちよつと失念いたしましたが、一定段階以下の人々に對しましては、朝夕の通勤を要する人々に通勤乘車證を全部出す、そのほか半年無缺勤の者に對しましては、月に一囘の勉勵乘車證というものを發行しております。その他公務で出張いたします際にはむろん公務乘車證を出す。ただいまお尋ねの退職者に對して終身パスが出ておるという話がございましたが、これは毛頭出ておりません。退職者に對する優遇パスといたしましては、二十年以上勤續の者に對しましては、最初の十箇年間が六箇月以内のパスを發行する。その次の十箇月には四箇月以内、かような制限がございますが、鐵道の最近の統計は私存じ上げませんが、鐵道退職者の退職後における平均存命機間は、數年前の戰時中の統計によりますさ、個人的には違いますけれども、大體平均七年程度であります。それで他に恩給をもらわない十七年未満の職員に對しては、退職後においても乘車證は何ら發行しておらない。かような状況になつております。また家族乘車證につきましても、現在におきましては旅行の逼迫の折から、昨年以來嚴に發行制限をいたしておりまして、事情の特に必要と認められる者について所属長を通じて發行することにし、原則としては停止するという命令を出しておりますし、また勉勵乘車證につきましてもでき得る限り自粛體制をとらせるというような處置については、私ども政令、命令をもつてすでにしばしばこれが發行の自粛方を命じております。その他當方の委嘱によつて、いろいろな調査をお願いする人々に對する乘車證の發行であるとかいうものに對しては、若干のものが出ております。また鐵道會議員に對する發行であるとか、各省の兼任の人々に對するある制限的な發行であるとかいうものが若干出ておりますが、全貌につきましては目下作成中でございますので、いずれそれによつてお届けを申し上げたいと思います。大體私からお答えを申し上げる問題は以上だつたと思います。通學定期の問題につきましては、後刻御質問があるとのことでありますから、御答辯を差控えさせていただきます。
#20
○苫米地國務大臣 ただいま伊能政府委員からお答えいたしまして大體畫きておるようでありますが、ただ一點、鐵道の復興五箇年計畫をやつておるようだが、その計畫には新線の擴張をも含んでおるかというお話がございましたが、鐵道白書でごらんになりますように、現在の危機はいかにして過去の衰弱した鐵道の保護をするかという點と、これからいかにこれを保持するかという點にございまするので、これはかかつて資材の確保にあるのであります。それでありますから、現在の資材入手状況から参りますれば、新線を擴張するというところまでは、實は参らぬことだと思うのでありまして、主として保線及び保持ということを建前にして、それに加えるのに、いかにして經濟的な合理化をしていくかという點に重點をおいて考えておるわけであります。ほんとうに餘儀なく、半分できておるような新線に對しては、特別な考慮が要りましようが、大體の考え方としては、ただいま申し上げたようなぐあいで、遺憾ながらそういう方面まで手がまわり兼ねるのであります。ただ五箇年の中には經濟状態が非常に都合よく参りまして、あるいは國内で資財が得られませんでも、海外から資材を得るというような事情に立ち至つた場合には、また變更ができると思いますが、今の状態ではやむを得ないと思うのであります。
 それから九州と四國との連絡のことでございます。これは地方の輿論は相當連絡船の要求をいたしております。ところがただいま私設汽船會社で交通をやつておりまして、これは相當改善するから、必しもその必要がないというような陳情もございます。しかしこれらに對しましては、私ども省内の方では愼重に研究いたしておりまして、船をまわしますにしても、どういう改造をすればいいかという點と、もし配置すればどういう計算になるか、あるいはどういう設備をなお要求されるかということを省内でそれぞれ研究するとともに、地方の輿論に對しましては、一層愼重な調査を遂げまして、どちらかに決定いたしたい、こう思つております。
#21
○野田(信)政府委員 安定本部といたしまして、先ほどの御質問に簡単にお答えいたします。國有鐵道の現状、ああいう状態が國有鐵道において見られるということにつきましては、われわれ生産部局に立つておる者といたしましては、遺憾千萬に思つておる次第であります。もつともこういうような事情は日本の産業各部門、ほとんど軒竝み、こういうように状況が迫つております。ここ二、三年というものは、日本の産業はまさに縮小再生産を續けてきておるわけであります。早く言えば充足が損耗をカヴァーしておらぬという状況を二、三年續けてやつてきておる次第であります。そういう状況でありますから、鐵道、鐵鋼、繊維、自動車、軒竝み全部かくのごとき實相報告書ができ上るわけであります。書けば全然同じことが書かれるというふうにわれわれは考えておる。非常にあぶない。また遺憾な状況であると思いまして努力しておる次第であります。それで御承知の通り石炭、鐵鋼、肥料という方面に、この傾いておる日本産業の重點を向けまして、少しでもこの縮小再生産を取戻すのだと信じておる次第であります。いかんせん、現在までは御承知の通り、ほとんど封鎖經濟で、國内需給にのみよらざるを得ない情勢できておつたのであります。石炭の三千萬トンと申しますが、三千萬トン掘れば、どの産業もそれで生き返えるのかというと、そういう目標は三十萬トンで生きるのでもなんでもない。國内の石炭はたかだか努力しても、三十萬トンしか今のところは出そうもないという、ただ單なる限度がそこにすえられておるというだけのことであります。でありますから、三千萬トン達成されたといつても、とうてい國内の需要を充足することは不可能なことであります。鐵鋼においてしかり。その他絶對に輸入にまたなければならぬ繊維工業のごとき産業、あるいはゴム工業のごとき、ただ一つはいつてくる船を目あてに操業を續けておるような哀れなる状況におつてのであります。それでこの逼迫した間から全産業部門にかれかすの資材を配當して今日までまいつたわけでございます。從いまして鐵道においてもおそらく最低の需給に對しまして充足率は三〇%内外だろうと思います。すべての物質を通覧いたしまして、傾斜生産で重點をおいておると言われておる石炭工業に對しましても、その充足率は最低需要の八〇%程度にすぎないのであります。そういうようなわけでありますから、それ以外のあまり重點をおかれておらぬ産業のごときは一五%ないし二〇%ぐらいの充足率でまいつておるような有様であります。それでは何ともいたしかたない。それならば今までどうしてやつてきたかというと、鐵道のごときもそのうちの一つと思いますが、どうやらこうやらいわゆる特殊物件、あるいは手持の資材その他によりまして、かすかすの配當量で今までもちこたえてきておつたと見て差支えないのでありますが、これらのものもいよいよその底が見えてきたという状態が感ぜられまして、この秋から冬にかけまして、ほんとうの危機が來るのではないか。今年の春いわゆる三月危機が叫ばれましたが、それがずれましてこの秋冬に來るのではないかとすら、われわれは心配しなければならぬような情勢が各方面に現われてきたのであります。その中でもあらゆる努力を傾けまして生産に努力いたしまた結果、最近は徐々に各産業とも苦しい中から生産の上向きはしておりますけれども、その率は微微たるものでありまして、一方が上つたかと思えば、また大切な部門がひつこんでくるといつたような状態もありまして、なかなか思うように參らないのでございます。それで目下第三、四半期の需給計畫を立てておりますが、鋼材、銑鐵におきましてはさいわいに第二・四半期よりも相當の供給増を見込み得ると思つておりますが、万一セメントのごときは第二・四半期よりも見込は惡いといつたようにちぐはぐが起つてまいりまして困つておる次第であります。しかしこの第三・四半期におきましては、鐵道に對しましては鋼材、銑鐵、セメント、枕木、ともに相當量の増量が可能であるという見透しをもつに至つておるのであります。しかし何といつても先ほどお話にもありました通り、こんな程度ではとうていこの缺乏状態は脱することが不可能であるという見透しをもつておりました矢先、御承知の通りクレジツトの設定、貿易の再開が許されましてので、何とかしてこれらの不足な物資は海外から早く入れることによつて、現在の緊迫した状態を順序よく最も効果ある方法のもとに徐々に充足していこうということを考えまして、目下その方面の計畫も立てておる次第であります。かかることによりまして現在の危急を脱却することができるのではないかということを望んでおる次第であります。
#22
○正木委員長 館俊三君。
#23
○館委員 最初に概括的な質問をしたいと思つておりましたが、わが黨の井谷委員から鐵道職員のサービスの惡いことその他についてお話がありましたので、私長く鐵道に奉職しておりました關係上、それについて皆さんに十分な御理解とまでいかなくとも、職員側の立場を御理解いただいて本筋の質問をしたいと思います。
 鐵道に對するいつもの非難はバスを使つておることであります。それから親切が缺けておるという點があります。この點については、元の運輸大臣平塚さんが凾館の管理部に來られた時分に、私が委員長であるがゆえに、私に何とかして女の子のサービスをよくしてくれぬかという話があつたときに、私が申し上げましたことは、まつたくその通りである。しかしこれはなかなかすぐよくなるものでない。世間の人は鐵道職員の殊に女の子のサービスを云々されるが、それでは市中一般の商店あるいはその他におけるサービスがどうかを考えてみると、これもありまよくない。これは重大な問題であつて、なかなか一朝一夕に直るものではなく、結局從事員の教養の程度をうんと高めることでなければならない。教養の程度を高めることについては勞働組合にも大いに責任があり、また今度できる勞働省の勞保働教育の方面にも大いに責任があることになつて、國民全般があげて青少年の教養に十分なる親切心と理解とをもたなければできないということを十分注意したのであります。たとえば戰時中は女の子や青少年がむやみに徴用されまして、女の子は男以上に轉轍をひつくりかえすとか、あるいは信號のために吹雪の中に立つとか、北海道ではただ一人で列車の送り迎えまでするというような、極端な仕事まで女が引受けてしておつた。非常に勇ましい反面、教養が落ちてしまつたという點も十分あります。その點を十分御理解していただいて、温かい氣持で鐵密從業員に接していただきたい。お客というものは、なかなか汽車が出ない。改札口は混亂する、いらいらするものでありますが、それと同時に年から年中客扱いをしている改札、出札などは非常に神經的になつておる、若い子供たちがたとえばピンポンをして遊ぶにしても、お客さんの前で遊ぶのはよろしくないのでありますから、できるならば客に見えない所でピンポンでもやつて疲れを忘れてもらいたいと思うのであります。
#24
○正木委員長 館郡に申し上げますが、質問者もたくさんありますから、質問の要點を進行願います。
#25
○館委員 そういう點に十分御理解をもつていただきたいと思います。なおこの點については希望もたくさんありますし、各委員におかれては、私現場におりましたから、私と十分お話合いをいただきたいと思います。
 鐵道は戰時を經過してほとんど壊滅状態になつておりますので、列車事故も極端に殖えておるのであります。これは鐵道白書に明白に書かれております。しかし私のお聽きしたいことは、列車事故による旅客の死傷の損害、職員の事故による損害というものを計數的に知りたいと考えておるのであります。鐵道の復興ということはまず經濟の復興に伴うことであるから、これは非常に考えなければならぬことでありますけれども、それより先に、輸送の客體であるところの荷物はとにかくとして、客の死傷事故が極端に多くなるのではないかと考えます。鐵道職員の殉職ま非常に多いのではないかと考えます。昭和四年ごろに私が現業員をしておつたときの調べによりますと、一日一人づつ鐵道員が線路の中で死んでおるのであります。そういうことを調べた記憶があります。從つて一日一人づつ死ぬということになると、一年に三百六十五人の者が職務のために命を失つている。そのほかに手をもがれ、足をもがれたりしておる者はたくさんいると考えられるのですが、現在白書を見ると非常に列車事故が頻繁になつております。その面からお客さんの死傷事故もきわめて多いのではないかと考えますと、われわれこの數を調べておきたい氣持がいたします。これを承ります。
#26
○伊能政府委員 御指摘の通り、最近列車事故が非常に頻發いたします。死傷とまではいかないにしても、職員の犠牲竝びに一般旅客の死傷事故も相當に殖えております。職員についてはただいま館さんが御指摘になりましたが最近では千人近い職員の犠牲を年間に生じておる。從來の倍、三倍近くなつていることをはなはだ遺憾に存じております。これに對しては私どもも一部には危險な作業に從事しているとは申しながら、自分の過失によるものもございますし、客觀的に鐵道の仕事は非常な危險作業であり、また二十四時間、四六時中の作業でございまして當然多大の危險も伴いますので、今囘の勞働基準法による青少年の危險作業の排除というような條項もございますし、また犠牲を受けた人に對するあとの援護の方法、救助の方法等につきましても從來とは異なつて、でき得る限りの措置を講じたいという考えでございます。また運轉事故に基く旅客の死傷事故についても、最近におきましては二月の八高線の死傷事故でありますとか、また山陽線の事故でございますとか相當に多くなつておりますが、本日ただいまこまかい詳細な死傷事故の數字を持参いたしませんので、早速次の機會にでもこの内容を御報告申し上げます。
#27
○館委員 今後の死傷事故及び職員の死傷事故について、運輸省が萬全の跡始末の態勢をとつておられることは私も理解しております。十分にやつてもらいたいと思います。しかしそれが完全であるかどうかということは、今日のインフレ景氣その他のことから考えて、まだまだ不徹底であるということを感ずるのであります。退職資金の例から考えてみましても、なかなか容易ならぬことではないかと思いますが、その點について萬全の策を講じてもらいませんと、この通りのがたがたの列車で、またがたがたの運輸省に對しては、職員になりたいという志望にも影響を及ぼしてくるのではないかと思います。從つて給料のみではなく、職員に對する諸條件、パスをくれるとか、そういうような附隨事項もどうしても切り離せない状態になると思います。從來のバスその他についても、鐵道の給料が安いためにいろいろの條件をくつつけて、七十年間鐵道をもつてきたというふうに私は考えたいのであります。
 その次にお聴きしたいことは、旅客の死傷事故及び職員の死傷事故を防ぐにはどうしたらよいか。現在活動している鐵道の再建、これを十分にしなければ、安心して客が列車に乗つておれない。職員も安心して機關車の操縦ができないということになります。そこでお伺いしたいことは、現在豫算の面なり資材の面なりで非常に制約を受け思い通りにいかぬことはわかるのですが、現在安本から受けている資材というものは、今日の鐵道を來年まで現状のまま維持することのできる範圍内において資材が提供されておるのかどうか。そこで資材の提供の仕方が鐵道の現状をどれほどまでにカバーし得る見透しをもつてやつておられるのかどうか、その點が心配になる。五箇年計畫や十箇年計畫を考える前に、まず安本が鐵道に割當てた資材で鐵道の現状を維持するに足るという自信をもつていらつしやるかどうか。運輸省として一體もらつた品物でどれだけの機關車を修繕し、どれだけの線路が修繕できるかという目安をもつてやつていらつしやるのか。素人である私らの考えでも、その日暮しのじり貧で、二、三年後には起ち上ることもできず、元の土臺もなくしてしまうような状態であつたならば、非常に困ると思います。最近安本では資材やその他の面において、石炭鑛業、鐵鋼業、あるいは肥料が最も大事であるからというて、いわゆる傾斜生産という惡口を言われながらも、重點的に配給をされているのでありますが、その氣持はわかる。しかし運輸の占める位置はどうなつているか。日本の經済を復興する場合における鐵道の重要性は安本の方もよく御存じでありましようが、この重要性が今申し上げた三つの産業に比べてどういう點に位しているか。それを十分承りたい。私平塚さんにも石炭の増産についてたとえ話のようなことを申し上げたのですが、たとえば水道の技師に水道をよくするにはどうするかと言えば、堰堤を十分にりつぱにこしらえて何千萬石でも水を貯える設備をする。その次には水道をりつぱにこしらえる。その次には家庭の水がめを十分用意しろと返事するだろう。しかしあなた方は石炭の増産ばかり考えて、それから肥料會社及び鐵工場の増産ばかり考えて、その中間における水道の中に水を三分ぐらいに流しておいて、家庭の水道を一ぱいにする考えをもつていらつしやらないのじやないか。それでは日本の復興は考え得られない。一體鐵道の事業とか復興ということに對して經濟安定本部はどれくらいの位置において考えておられるのか。この前の太平洋戰爭のときも四大項目とかいつて、あの當時の軍閥内閣が戰爭の景氣のよいときには放つておいて、いよいよ負け戰になつてから、運輸が大切だからといつて四大政策の中に入れるようになつた。どうしても運輸の仕事は忘れがちになつていると思う。今度平塚さんを怒りつけたときもその通り、鐵道は石炭がなくなつてから初めて議會に對して七萬トンの石炭を要求した。なぜ初めから鐵道の石炭の割當を必要量だけ取らなかつたか。最初の基本的な考えが足りないために、ついに七萬トンなければこの冬が越せないなどと運輸大臣みずから言い出すに至つては、實に腑に落ない。最初の基本的な考えを一體どこにおいておられたかということを私札幌鐵道局において追究した。私安定本部の企畫というものを知りませんが、聞くところによると、安本では甲と乙に、あるいはAとBにわけてある。Aのところには鐵工業なり、石炭なり、あるいは肥料なりが含まれている。鐵道はBのところに寥々含まれているということであります。終戰の翌日に鐵道が黒煙をあげておつたので世間は非常に喜んだ。青森のごときは六月の二十八日にまる燒けになつたが、全部まる燒けになつたその日に青森の驛から列車が黒煙をはいて出た。家がまる燒けになり、子供はどうしているか親はどうしているかと心配している人たちが、その煙を見て鐵道は大丈夫だと思つたが、安本はこの點についてはあまり考えていらつしやらないのではないかと私は思う。この通りにやつて、もし鐵道が現状維持ができないほどの資材しか配給しておりませんならば、來年はどうなるか。再來年はどうなるか。アメリカからはいつてくる資材があるからといつて、降らない雨を待つような顔つきでやつておつては、事實上鐵道の復興はできない。私は平塚さんにも言つたが、鐵道官僚の人たちはそういうことがわかつておられながらも、それに對する施策を當事者に迫る意氣込みが足りないから、こういうことになつたのではないかと痛憤した。安本のさつきのお話は、今ここで聴かなくても十分にわかつていることである。具體的な考え方、基本的な考え方について私は承りたいと思う。鐵道の職員組合にもだらしないいろいろのことがあります。さらに鐵道の豫算に對して運賃値上げは私は反對であります。値上げした運賃ではたして今日の鐵道財政をまかなえるかどうか。これも安本の物價體系から割り出して赤字が出るのだけれども、ここで押えろということで押えたということになるのでありましようが、この點についても私は運賃を値上げしろとは言いませんが、どういう意味で押えられたか、こういうこともお聽きしたいと思います。鐵道の復興ということについて安本はどういうふうにお考えになつているか。五箇年計畫を考え、現状維持ができるという御自信のもとに資材を配給され豫算を考えられているかどうか。また運輸省は、他動的に與えられたら、それでとにかくやろうということであるかどうか。兩方の御意見を承りたいと思います。
#28
○野田(信)政府委員 今の御質問に對してお答え申し上げます。安定本部におきまして、事業に對しましてA、Bとかクラスわけなどいたしておることは、私の知つている限りはそういうことはやつておりません。
 それから鐵道をどういう位置に見ているかという御質問でありまするが、鐵道に重點を置いていることは、人命危險率から見ましても申し上げるまでもないところであります。ただし肥料、鐵鋼その他と比べてどういう重點を置いているかという御質問に對しましては、數字的にどれだけの點數を與えているというようなふうにいたしておりませんので、どうもどういう順序でやつておるということはちよつと申し上げにくにと思うのであります。たとえば資材の割當率などから申しましても、枕木のごときはほとんど八〇%以上割當てておるわけであります。鐵鋼のごときは國鐵は大きな消費者ではありまするが、もつと大きい消費者がほかにもありますので、率から申して、そういう作業から見れば國鐵の配給を受けておりますものは少い。つまり全體を一〇〇としてどのくらい配當しているかということになれば、物資別によつてみな違いますので、どういうふうに重點を置いているかということを一口に申し上げることはなかなか困難ではないかと思います。しかし重點の置き方が足らぬのではないかというお話に對しましては、われわれは決して輕く見ているわけではないかということは十分御了承願いたいと思いのであります。
 それから國鐵の當局が迫力が足らぬのではないかというお話でありましたけれども、われわれといたしましては、一方的に命令的に、獨善的に需給計畫を立てているというようなことは決してない。やはり事前に係官の間でよく打合せ、また本來の計畫、需要その他はみな原局からおもちを願いまして、それによつて全體を見比べて配給をするのでありまして、決して一方的に命令的にやるような機構をつくつているわけではないのであります。
 それではこの鐵道が現状を維持できると思つているかどうかというお話につきましては、それは國鐵御自身の方とよく打合わせまして、このけなしの資材ではいかに重點を置いても先ほど申したように限度があるのでありますから、ここで我慢できるか、この線では我慢ができるかということでやらず、それだけの充足率しか實現できないというところで手を打つているようわけであります。でありますから、從來たとえば鐵鋼なら鐵鋼の配給が他と比較して割合からいえば國鐵が輕視されているのではないかという御疑問もあるかと思いますが、それは先ほど申しましたように、何と言つても國鐵のごとき大世帯は、手持物資、物件その他のものの流用餘力がありますので、そういうもののまつたくない産業に對する配當よりは、新規の供給の方は多少下げてもまだやつていけるのではないかという點で、御無理を申し上げていることは多少あつたと思います。しかし先ほど申しましたように、これらのものの手持もすでに底をつく状態になつていることも事實であります。今後におきましては、まさにこの白書にあるように新しい配給に唯一の頼りを求める以外に方法がない状態がそろそろ來ました。今後は新しい配給を相當上げていくということを考えて目下第四・四半期の受給計畫を計畫している次第であります。
#29
○伊能政府委員 ただいま館さんのお話に對しまして、野田生産局長からお話のございました通り、傾斜生産の對象となつている最重點産業の鐵、石炭等の割當その他とにらみ合わせて全體としては國鐵にも最も重點を置いていただいていることは事實でございます。本年度も十二萬五千トン程度の鐵を割當てられておりますが、そのうち新しいものは必ずしも全部ではございませんで、レールとか鐵板とか鑵管とか、どうしても新品でなければできないというものについては、最優先的に國鐵に割當をいただいております。また從來炭鑛方面で坑木の不足を補うために、坑わくレールに時に新品のレールを使うということもございましたが、これは今後あげて國有鐵道にやる。そうして國鐵の古いレールを炭鑛方面の坑わくレールに使うという非常措置も講じておりますし、また國鐵自體としても軍の特殊物件のうちから使えるものはでき得る限り使う。また直接使えないものでもさらに二次製品業者に流しまして、リロールをしてこれを使うというようなあらゆる努力を傾けて本年は何とか切り拔けてまいりたいと考えておりますが、現状が維持できるかどうかというお話につきましては、レールのごときは、白書にも掲げておきましたが、二百三十萬トンもあるものを、三十年耐久するとしても、十萬トン近い、八萬トン程度のレールが要るのだが、とてもそんなにレールがもらえない、現在の能力がないということで、やむを得ずレールのない所はバラスと枕木で強化をするより以外に途はない、かように考えましてレール更換もやむを得ず最少限度に止めております。さいわいにいたしまして本年度の枕木がかなり順調に入手いたしておりますので、枕木竝びにバラス等で線路強化をやる。また車輛の修理等につきましても、割當てられた資材では不十分でございますので、民間の餘剰物資を動員する意味におきまして、また戰災を受けた工機部の能力を補強する意味におきまして、民間方面へも若干の車輛修理の注文を出しているような次第で、兩々相まちまして何とかこの窮況を切り拔けてまいりたい、かように考えております。嚴密に現状が維持できるかというお尋ねん對しましては、私どもは本年度より程度は落ちるということを申し上げざるを得ないと存ずるのであります。
#30
○館委員 よく、インフレが高進しますと、貧乏人はたまねぎ生活だの、たけのこ生活だのと言いますが、今安定本部の生産局長が言われたごとく、現状までの鐵道運輸というものは完全にたまねぎ生活であり、たけのこ生活であつた。線路が腐つてきますと、構内の線路と取りかえて、そして少しよいものをそこにもつていくというようなやり方をする。枕木を注文しても、その枕木が從來の基準通りの材質のものがこないで、非常に脆弱なものがはいつてくるというような形であります。組合で一生懸命に能率を上げようといたしましても、工機部に資材の配給がない、あるいは機械が不備であるという點でなかなか能率が上げられないという關係であります。從つて列車の増發も困難であれば、客車の増發も非常に困難であるがゆえに、上野驛前の三列も四列もの動かない行列を驛員の手で整理しなければならないというような混雑状態を來している。そういうことが盛り上つてきまして實は驛員の不親切などという種にも十分なつているのであります。だから、組合自身といたしましても、一生懸命に鐵道の復興ということを要望しているのでありまして、五月、六月ごろからすでに、一體今年の冬における機關車をどうするか、あるいはまた雪掻車をどういうふうにするかということは、組合自身も心配して當局と十分折衝したりしている状態であります。その時分に一番齒がゆく思うことは、何とかして資材を十分に受けたいということであります。ところが今のお話ですと、鐵道は大世帶ですから、多少の資材をもつておつた、そこでその資材にも依存させ、そして少しは必要な方へまわしたということのお話もあつたのでありますが、今後はそういう考えでは鐵道の現状が維持できるものでないと思います。じりじり貧乏ということを戰争中よく言いましたが、實にそういう状態になつてしまつた曉においては、日本の經濟というものは立つところがないと私は考えるのであります。その點について當局と安本の方でよく打合せなさつていることは十分私もよかつておりますけれども、安本の方として、鐵道す現状が確保できる程度にやつておられるのか、やつてないのかということについての確信をもつていらつしやらぬようである。三分までできるか、四分までできるのか、そういう安本の計畫であるならば、これは實に心細いものであると私は考えている。今日この新しい資材がもしはいらなかつた場合に、鐵道は何年維持できるかというようなことを考えてくると、少し淋しい氣持がするのでありまして、もちろん十分に努力されていることはわかつておりますが、鐵道の輸送というものは單に貨物と旅客を輸送すればそれでよいばかりでなく、これが完全に輸送できたから、刻下の人心の不安を一掃し、社會的な影響は非常に大きい力をもつておるのであります。荷物と客とを輸送しておるのが鐵道の使命でなくて、それ以外に人心の不安を一掃するという點人心をおちつかせるという大きな使命ももつておることを十分に御理解願いたいと思います。私現場におりまして、大局についてはわからないかもしれませんが、この點について非常に歯がゆく感ずる。もしできるならば、この委員會で鐵道の再建及び復興ということに對しての建議書でも出せるものなら出してみたいという氣持をもつておるのであります。將來の見透しについては、五箇年計畫の話もありますが、もう一度ひとつ伊能さんからお聽きしたいと思います。
#31
○正木委員長 委員長からも、重大なことですから當局に質問しておきます。ただいま館委員から質問されたことに對して野田政府委員、伊能政府委員からそれぞれ答辯があつたわけですが、特に伊能政府委員からの答辯を承つておりますと、この實相報告畫とただいまの答辯との間に若干食違いがあるように感じられるので、あらためて委員長から質問しておきたいと思います。この實相報告書の四十ページの第六の「資材」から、四十九ページ、五十ページ、五十一ページ、五十二ページ、五十三ページ以下大體資材の項でありますが、この四十ページの「資材」の中で、終りから三行目でありますが、國鐵におい、現在最も枯渇し運營上の隘路となつているものは各般の資材である。二〇年二一年度は、戰時中のストツクと特殊物件の活用その他さまざまなやりくり算段をして、どうにか危機を切り拔けてきたが現在では全く打つべき手がなくなつたので、もはや新規生産に期待するより他に途がない、云々しそこで、第一に「石炭」、いろいろ書きまして、軌條、車輛、鋼材、銑鐵、枕木ももちろん觸れておりますが、ここで五十二ページの「軌條」であります。この軌條の項で「本年度の鋼材の上半期割當量は約二、二〇〇〇瓲に過ぎず、この内軌條に振向けられるものは一一、三三〇瓲で、現在の線路の保守状態から見ると全く憂うべき數字である。」こう明記されてあります。その次に「車兩用鋼材」では、「現在既に相當酷使衰弱せる車輛の修繕に對し、このような鋼材の配當では本年度下期から來年度上期にかけて漸次休車の増加を來たし、特に蒸氣機關車においては、由々しき事態の發生することが危惧されのである。」かように明記されてあります。その次「銑鐵」の項でありますが、この項の一番終りに「二一年度においては、配當は一二、〇〇〇瓲であつたが、手持の特殊物件等が相當量活用できたのでどうやら危機を切り拔けてきたのであるが、本年度は手持をことごとく使い畫くし、いよいよ配當量の如何がすべてを決する状勢に迫いこまれている。」かように實相報告書には明記されてあります。從つて、この實相報告書を通じてわれわれの受ける感じは、もはや鐵道としては一刻を許すことのできない所まで追いこめられておるのではないか。もはや特殊物件であるとか手持資材であるとかいうもので努力することによつて、ここ二、三年間、現在の鐵道の状況をもつてして、日本の再建の上に果すベき鐵道の使命が果し得るものであるかどうかということが明確になるならば、國民もまた議會も安心するでありましよう。しかしながらこの實相報告書に盛られておるものが眞實であるとするならば、この委員會を通じて、單なる答辯技術ではなくて、實際がかくのごとき状態であるのである。國民も協力してもらいたい、また政府も眞劍にこの問題の打開のために努力をするということを明確にすることが必要ではないかと思うのであります。そこで私のお伺いせんとする點は、この實相報告書に盛られたこのものでもつてしても、なおかつやりくり算段をして、ここ二、三年間現在の輸送量を保持し、現在の旅客輸送を保持し得る自信があるのかないのか。この點を明確にしておきたいと思います。
#32
○伊能政府委員 ただいま委員長からお尋ねになりました最後の結論について申し上げますならば、輸送力自體としては私ども現在程度のものはまだ保持し得ると考えております。しかしながら全體としての衰弱度が、ただいま申上げましたように、逐次惡くなつていくということはただいま申上げざるを得ないのでございます。從いまして、これがどこまでもつかという問題については、私ども自身として愼重な研究をいたしてお答えをしなければならぬと存じますが、さいぜん申上げましたように、十二萬トン全體のうち新品の割當といたしましては、五萬九千トンでございます。それから特殊物件その他大藏省その他で保管をし、運輸省のみで使用を許されない特殊物件の中からリリースされましたものが二萬七千トン、それからそういつた資材の中からリロールをいたしまして、使用し得るものが二萬トン、竝びに車輛業者が手持をいたしております資材の中から手持數を減らしまして今期の生産竝びに修理に充てるために流用いたしますものが一萬四千トン、合計一二萬トンのものをもつて賄う。このほかにさらに私申上げましたように、轉換工場であるとか、新たに車輛修繕に乗り出したいとかいう若干の工場等ゆおきまして、資材も石炭もコークスも手持でわれわれの車輛を直してくれるというようなものの助力も仰いでいるような次第でございます。從つて軌條更換だけで、二百三十萬トンが三十年間でまいるといたしますれば、しかも三十年間でまいるという數字がお手もとに差上げました白書においても最近までに二十五萬トンぶりづつは赤字になつているというような數字も揚げてございますけれども、かりにそれが赤字でないとしても約八萬トン近いものは軌條更換だけでも必要なのでございます。それがわずかに五萬トン程度しか更換ができないというような状況にあり、また車輛の修理においても同様でありまして、今すぐまいるというような事態に差迫るかどうかということになりますれば車輛におきましても機關車、レールにおきましても、その他橋梁等においても、自書にも掲げておきましたように、程度はいよいよ惡くはなりますが、現在程度の輸送力を保持するということは、私ども從事員全般の努力によつてなし得るとは考えますけれども施設全體の衰耗度は御承知のごとくこれらの十二万トン程度の資材ではいよいよ惡化をしていくということは申上げざる得ないのであります。
#33
○館委員 今のお話は結局白書を復唱されたというだけでありまして、白書よく見るとわかるのであります。病人というきのは病氣にかかつたときには動けるし、飯も食えるのでありますが、いよいよ倒れるというときになると、一遍にいつてしまう。さようど今の鐵道の事情もそういう危機のときに私は來ているのじやないかと思います。單に人力を殖やして、從事員の人力と計畫という觀念的にものによつて、ようよう鐵道を維持しているのが現伏ではないかと私は思う。この點については資材がない、敗戰もしているわけですから安本にしても鐵道當局にしても非常な苦心が要ることはよくわかりますけれども、これがいつまでもつのかということについての御研究もはつきりできていないということは、比常に當局に對しても私は殘念だと思う。また安本に對しても私の要求しているのは、三分まで維持するのか、全部をカバーするという考のもとにやつておられるのか。たとえこれが百パーセントはいかないにしても、五十パーセントはやつているという確信でももつているならとにかく、それさえもつておられない。單に折衝いたして、有金はこれだけだからこつちを重點的にやつて、こつちのものはこうしていこうという考えではまさかありますまいけれども、そういう印象に受けとられることは、日本の再建に對して企畫性をもつておられるのかどうかということを私は疑いたくなるのであります。これは別に運輸省がどうの、安本がどうのということでなく、これではもてなくなるならなると、運輸省がはつきり言つてもらいたい。今の話ですと、これは困つたことになつたが、人間をうんと活用させることによつて、これを維持することがやればできるというお話に承つておりますが、そうすると、結局はこの從業員あるいはそれらの指揮者の能率をうんと高め、人力によつて、倒れようとするところの大厦を維持しようというような情ない状態に現實はあるということを告白された氣持がいたします。機關車事務員の話を聽きますと、この機關車には私は乗りたくないということを言うのです、とてもおつかなくて乗つておられない。そういうものまで引出してやつておるのであります。列車事故の原因を調べてみる場合に、從業員の怠慢もあれば、いろいろな點も多いが、ゲージのつかない機關車を運轉しておつたという判決は見ませんが、そういうデマが飛んでおる。機關車にゲージがつかないような危い運轉では困ります。おそらくそうではないとは思いますけれども、それほどに機械に不足しておる、從事員は鐵道の線路なり機械なりその他に非常な不安感をもつておることは事實だ、そうしてまた事故がどんどんできるということもそういうためなのであります。また増産をするかしないかよりも、まず先に乗つておる人命をどうするかということ、それからまた伊能長官も施設の問題がいつまでもつかということはこれはめんどうだ、しかし現在の輸送力はとにかく維持することができるということでありますが、現在の輸送力とは何であるか。一車の最大八十八人の定員の中に、三百人、四百人詰め込んで、現在の維持ができるということである。そういうことであれば、これはどんなことでもできるのであります。そういう消極的な輸送力の確保ということであれば、きわめてお客さんは情ないことになる、日本の經濟上憂うべき状態が現實にきておると思うのであります。お客さんの求めるほんとうのサービスということは、單に係員がつべこべと愛想のいいものの言い方をする、そういうことを求めておるのでなくして、何とかして實質的に客車をあるいは貨車を一車でも多く増産してもらいたい、この實質サービスを客は望んでおるのであります。そこにほんとうのサービスができるのであつて、單に改札口で客扱いをやわらかくやる、丁寧親切も大事でありますが、そういうことより現實に求めておるのは客車のこと、あるいは貨物の輸送増強ということにあるのであります。その輸送増強が現實の事態でなかなか思わしくいかない穴埋めとして、また鐵道で朗らか月間、親切週間をやり出したが、あれでは何にもならぬのでないかというように有識者はおそらく考えるだろうと思う。またそれをやつた、次にはまたそれをだしにして、前おきにして、運賃値上げがくるというように皮肉つた考えを世間がもつておるかもしれないということをおそれる。また從業員はサービスはやりたいが、どうも列車の囘數が少くなつた、この次の列車を持つ間の客を整理しなければならぬという親切の仕方ではお客を滿足させることはできない。そういう意味においてこれはどうも心細い御囘答のように思うのであります。
#34
○田中(源)政府委員 まことに館君の御質疑は、鐵道の實體を憂えていただきまして御質問願つたことと存じます。率直に申しますならば、わが日本の現在の製鐵能力から考えてみまして、はたして鐵道の需要量が、現在の製鐵能力から割當てられるか割當てられないかということは、私がここでお答えするまでもなく、皆さんにおいておわかりになるだろうと思います。ただ現在の與えられたる資材で現状を糊塗していくにすぎないと思います。つまり責任のある輸送力というもの、館君のただいま仰せられたような輸送面を維持することはできないと私は思います。すなわち率直に申しますならば、現在與えられる資材において、今鐵道が企圖いたしておりますところの輸送力が確保できるかと言えば、私どもはむしろこれは困難だと告白した方が、かえつて皆さんに御滿足がいくのだろうと思います。
 從つて、しからば、ことをどうするかという問題でありますが、これは一にかかつてわが國の製鐵能力とマッチしてくものだろうと思います。萬やむを得ない場合には、今後の貿易上の面において必要量の輸入を見ました上においての鐵を割愛願つてでもこれを増強いたして、この安全なるまた一定量の計畫せるところの輸送力を確保いたしていくことが、私は現在の鐵道を救うゆえんでもあり、またかくするより最後の手段は途がないのではないかと思います。これは率直にお答え申し上げておきます。
#35
○館委員 今の田中政務次官の率直なるお話を期持いたしております。私は運輸省を責任者として追究しておるのではない。安本が責任者であるからといつて、やり方が惡いと言つて追究しておるのではない。ほんとうに自分のところにはこれだけの計畫をもつておるけれども、どうもならぬのだ。ならぬというならならぬ。こうしてこの現状はこうなつておるので、これはどうしても一年後にはつぶれる、あるいは二年後にはつぶれるということの告白をしてもらいたい。告白をしてもそれは告白した者の罪ではないので、その點を皆さんはよく理解してもらいたいと思う。ほんとうの話をここで聽かしてもらいたいと思う。私はさつき外國の資材が來るのを待つということは、まるで旱天に慈雨を待つがごときものだと言つて罵倒いたしましたけれども、この間クレジットで品物は何を入れるかというところに私は注意しておる。そのときに新聞の報道ではたしかレールというものが書いてあつた。私はちやんとそれを知つておる。もつともそれがどうなるかわかりませんが、そういうところにまで氣をつけております。何かここに一方策を立てられなければ、どうしても鐵道は壊滅する。今のうちに食い止めなければいかないと私は思います。その點で今の田中政務次官の答辯に私は滿足するのであります。その點についても安本と運輸省との間に企畫について連絡が十分に拂われるかどうか、安本の話でありますと、これは違う話ですけれども、われわれの實質賃金というものは十一月になれば黒字になるということに反して、資材の面においては、十一月になつたそのときの鐵道の状態がどうなるやら心配だということを生産局長が言われておる。他人でさえそう感じておられる。われわれ自身身丙の者が、今年五月からロータリーがどうなるだろう、機關車がどうなるだろうということを組合自身が非常に心配して、札鐵なんかそのことについて非常な研究をし、監査をしておるわけでありまして、組合は單に赤旗ばかり揚げておつたのではないのであります。その點についても私らは十分に氣をもんでおるのであります。これは一面勞働者の機械から受けるサービス―勞働者というものは機關車がその生命であつて、その機關車からサービスを受けておるのであります。その機械から受けるところの勞働者のサービスというものが、戰争以後全部枯渇しておるのであります。いいサービスの上に働くところのいい勞働者というものは、その施設の上から非常なサービスを受けて、りつぱに、ありがたく働くことができるので、機械によるサービスなくして、街の人にのみサービスを強いられておるという形であります。枯渇した心理状態からサービスの言葉を吐き出せと言つてもその言葉は出ないのであります。まず心理をゆたかにしなければならぬのであります。教養ということもそれに伴つていかなければならない。街の人間も、鐵道の運ちやんばかりでなく、實際上におけるサービスを考えております。もしほんとうにこの委員會が鐵道の權威を復興するという建議案を出したならば、おそらく街の人たちは、それでこそ交通委員會の使命があるということを察してくれるだろう。それほど鐵道の復興に對しては國の全體が期待をもつておるのでありますから、勇往邁進していただきたい。先ほど政務次官の、新しい貿易再開かり端緒を得るところの資材そのものについても考慮を拂われて、復興のためには、消極的には現状維持のために十分なる計畫を進めていただきたいと私は切にお願いする。
#36
○正木委員長 成重光眞君。
#37
○成重委員 私はただいま田中政務次官から大體國鐵の将来の見通しについての御所信を承りまして、そのお答えに對して遺憾の意を表するものであります。同時に前者の質問に對しましても、私は多少質問の觀點を異にして考えたいと思うのでありあります。この鐵道經濟白書を見てみますと、まことに杜撰である。こう私は考えるのであります。
 第一に、ここに現わしております今年度の割當のレールと同附屬品の鋼材でありますが、これはおそらくブレーク、シユーその他であると考えます。それから枕木、こういう點でありますが、この鐵道經濟白書の中にありますところの内容を見てみますと、まことに齟齬した點が多いのであります。殊にレール鋼、材の點につきましてでありますが、私はむしろ鐵道の經營の見透しについて、鐵道當局が御説明になる御答辯を聽いておりますと、まことに退嬰的であり、また消極的であり、至つて進歩的な積極的な點を缺いておることをはなはだ遺憾に思うのであります。むしろ昨年竝びに今年の食糧問題を解決したような國民の輿論が、もし鐵道の復興に對して集中されましたならば、この鐵道の復興に對するところの問題を解決することは、おそらく食糧問題を解決するより以上に平易であると考えるのであります。枕木がないと仰せになります。またレールが三萬トンノ割當に對して七千トンしか入手できないということを申しておられます。殊にまた同附屬品の鋼材の五千七百トンの割當に對してわずか千四百トンの割當しかない。こういうことによつて運轉上におけるところの最も重要なるブレーキ・ブロック等の消耗が非常に多く運轉に支障があるかのごときここに説明が書かれてあるのであります。私はここにおいてこのレールがないとか、あるいは附屬鋼材のブレーク・シユー等に使うところの銑鐵がないということは受けとれないのであります。なぜならばわずかに千四百トンないし二千トン、三千トンの銑鐵材料というものは、敗戰後の日本においてはどこに行つてもうず高く轉んでおるのあります。もし國において、經濟安定本部において、こね戰災地、燒跡におけるとにろの銑鐵であるとか、あるいはその他の鋼屑等をただちに囘收して鑄物用材としますならば、ブレーク・シユーのごときものは、むしろ素材銑鐵の方が鋼材においてはいいのでありますが、ゆえに、銑鐵等においてはここ半年、一年の間には、もし國民が國をあげてこの戰災地、燒跡等にあるところの機械の燒けたやつ、あるいは壞わされやつ、これらを國民が戰爭中屑金の囘收した、鐵道においても線路の中に落ちておるボルト・オツトを拾い上げた、あるいは貴重なるところの鋼材等を選別して地から堀り出してつくつたように、國民ひとしく力を合わせてこの鋼材に力を注ぐならば、何のここ一年、二年鐵道がブレーキ・ブロツクに使うところの銑鐵の材料ぐらいは―これがもしピストン・リングを鑄造するとか、あるいはシリンダーを鑄造するというような、いわゆる高級鑄造物ならばいざ知らず、主としてその大量がブレーキ・ブロツクに振り向けられるものならば、わが國の戰災地等にうず高く積み上げられておるものを拾い上げればこれで十分に充たし得るのであります。もし鐵道の現場係官よりの報告によつて、机上プランでかくのごとき白書をつくり出したとするならば、私はそれに對して遺憾の意を表するものであります。枕木が足りないというならば――私はかつて狩獵が好きでありますために、あらゆる山野を歩いております。各所における國有林、あるいは鹿児島縣尾久島に行けば、國有林に無限大の枕木の材料があります。もしわが國において枕木が眞に不足で鐵道の運轉に支障を來すがごときことがあるならば、積極的にやれば枕木の生産は易々たる問題であると考えるのであります。不足の食糧問題を諭入に仰いで解決するがごとき難問題でなくして、むしろ國内においてこの枕木の不足を十分に賄い得る方法は立てられるものと考えるのであります。この點經營の見透しについて、鐵道當局におきましては非常の非觀的な論をもたれておりますけれども、もしそれ鐵道當局がいま少し積極的な、進歩的な頭をもつて進めていきますならば、戰爭中に、不足した材料、あるいは不足した入力、あるいは勞力等に力を注いだような氣持でいきますならば、私は先ほど申されましたような悲觀的なものでなくして、鐵道の運營の将來の見透しに對しては、決してさほど難點はないと考えるのであります。國内における資材の流用等によりましては十分解決し得るものと考えるのであります。すなわち經濟安定本部等におきましては、これらの廢品等の活用によつて、その活路を見出す點を、私どもは愼重に御檢討願いたいと思うのであります。かくしてまず私は先ほどの御答辯に對して遺憾の意を表しておきたいと思うのであります。殊に戰前におきましては犬釘であるとか、あるいはボルトであるとかいうようなものは、ベルギー等から優秀なものが多量に輸入されておつたことも私は知つておるのであります。もしそれ貿易が再開いたしますならば、私はおそらく軌條あるいはこれらの鐵道用材等におきましては不足が補えるのではないか。殊にタイヤ等は、過去におきましては多くアメリカあたりからの輸入に仰いであつた品物であります。むしろこういうところを考えますと、あまりにも悲觀的な、消極的なお心持に對して、まことに私は遺憾の意を表したいと思うのであります。もう少し積極的に――かくのごとき机上プラン、いはゆるペーパープランによつて、悲觀的な、いかにもあすの日にも鐵道がその運營に對して大なる支障を來すがごときお氣持をもたれることをまことに遺憾に思うのでありますもう少し積極的なお氣持をもつてひとつお考え願いたいと思います。こね點に對する御所見を承りたいと思います。
 次に國鐵賃金の値上げ問題と地方鐵道の値上げの問題につきまして伺いたい。私去る九日に歸省いたしまして、十八日に參つたのでありますが、この國鐵賃金の値上げが非常に社會的に問題とされましたとともに、地方鐵道の値上げが非常に問題になつておるのであります。私どもの所では數箇所を合同した西日本鐵道というものがあります。これが北九州の線では非常な黒字を出しております。今年の三月か四月にすでに多額な賃金の値上げをいたしまして、半年經たないうちに、國鐵が値上げをしたからというので四倍の値上げをしております。わずか一分か二分乘つて二圓乃至四圓の賃金をとられておりまして、今日通學學生あるいは通勤勞働者たちはまことにあえいでおる状態であります。なぜそういう値上げをするかというと、たとえば縣廳所在地などにある私鐵の所有しておる鐵道等は、一つの報償契約のために値段をまつたく上げない。甲の地における鐵道においては非常に莫大な黒字を出しておるにかかわらず、なおかつ四倍の値上げをしておる。乙の地における鐵道においたはかくのごしとき状態であるということでは、私どもは甲の地における住民の負擔と、犠牲というものを非常に氣の毒に考えるのであります。おそらくこれは社會問題化するものと考えますが、これらの鐵道經營者の答辯によりますと、あるいはどこの命令とか、あるいは運輸省の命令とかによつて値上げをしたので、われわれとしては黒字を出しておるけれども、やむを得ず値上げをしたというような説明を市會、縣會の代表者等に對していたしておることを聞き及ぶのであります。かくのごとき不合理な地方鐵道の値上げに對して、いかなる監督なり、あるいはまた御指導をなされておるのか、この點についてお尋ねいたしたいと思うのであります。この三倍半の値上げは、鐵道が經營ができない、すなわち赤字を出すから、やむを得ず値上げをしたと國民は納得しておるのであります。地方鐵道において黒字を出しておるならば、別に値上げをする必要はないと思いますけれども、はたしてこれは運輸當局の命令か、あるいは業者の言うがごとく他の命令によつて値上げをしておるものであるかどうか、そういう點に對して鐵道當局の御見解を承りたいと思うのであります。
 第三點は戰爭中、いわゆる總動員法によつて私設鐵道を買收しております。全國において多くの鐵道を買收しておりますが、これは私がここで説明申し上げるもでもない、いわゆる封鎖によつて株主等が非常な迷惑をこうむつておることも事實であります。しかしやむを得ない状態であるとは考えますれども、これらに對して元の所有者が還元拂下げ等の希望を最近多くいたしておるように見受けるのであります。すでに議長の手もとにもこれらの請願書がたくさん來つつあるのではないかと思いますので、私は多くを申しませんが、この機會に鐵道當局のこれらの元私設鐵道の還元拂下げに對する所見を承つておきたいと思うのであります。殊に鐵道は今日非常な赤字を出しておる。山陽鐵道等の幹線ならば、むしろこれは黒字を出す形態にあるが、いわゆる山間地におけるところのこれら買收した私設鐵道、あるいは買收した鐵道でなく、もともと省營の山間地におけるところのこれらの支線の鐵道等は、おそらく赤字の状態ではないかと考えるのであります。しかしながらこの還元拂下げを要望するところの私鐵關係等においては、ただ鐵道事業だけではなく、沿線において、あるいはグラウンド、あるいはホテル、あるいはその他の何かの副事業をこの際經營せんとするような考え方があるのではないかと考えております。もしそういうことが事實ならば、むしろ地方民の要望、あるいは沿線の住民がこぞつてそれを望要した場合においては、鐵道當局はどういう御處置をとるのであるか、沿線の住民の總意が、省營よりもむしろこれを民營にすることを希望するがごとき現象のあつた場合においては、いかなる處置をとられるという御所見をもたれるか、この點も併せてお尋ねいたしておきたいと思うのであります。
 第四これは地方に限定されるのであるが、御承知の通り關門國道トンネルは、電氣機關車で牽引しております。この電氣機關車の修繕は門司鐵道局の小倉工機部でやつておると見受けられるのであります。ところがこの電氣機關車を小倉工機部で修繕する場合に、關門トンネル竝びに門司港内、下關港内は電氣機關車の走行し得るように電化されております。また工機部の修繕工場に行きますと同じく電化されております。その中間のわずかの短距離間が非電化なるがために、いわゆる修繕車輛を一々蒸氣機關車の足りないときに、この電氣機關車を牽引して、試運轉ないしこれを往復しておるような非常な無駄があるのであります。わずか短距離でありますために、この間を電化するならば、石炭の足りないとき、あるいはまた機關車の不足のときに、それをこの電氣機關車の修繕あるいは試運轉のために使用せずして、石炭の節約、機關車の有效な利用ができるのではないかと考えるのであります。これらは技術的に考えますれば、わずかの設備費において多額な利益をそこに生み出すことができ、節約ができるという事實がありながら、これを放任しておくということは、まことに私どもは遺憾に思うのであります。これらに對しては早急電化する必要がある。殊にもしそれを電化するば、せつかく關門トンネルは、電氣機關車を活用されておりますから、門司・福岡間、あるいは門司・行橋間は短距離でありますがために、これらの間を電化する意思ありや否やということを併せてお尋ね申し上げておきたいのであります。
 それから第五には、私は旅客輸送の根本に關して私見を述べてみたいと思うのであります。今や日本は民主主義化されまして、國民もひとしく教育の程度水準が引上げられまして、將來はおそらく學制改革によりまして、國民全部が中等學校以上の教育を受ける教養の進んだ國民になると思うのであります。この際私は鐵道に一等、二等、三等をまた將來につけていくべきものであるかどうかということを考えてみたいのであります。そのためにあるいは切符の印刷、取扱い等に非常な複雜な點があると私は考えるのであります。その改正の方法はいろいろ具體的な研究もありましようけれども、私どもは將來そういう三等國民、四等國民ではなくして、平和國家のいわゆる世界に同等の國民としていきます上においては、三等列車を廢止してはどうかと私は考えるのであります。あるいは一等、二等に限定するか、さもなければ一等、二等の言葉がいけないならば、何か言葉をかえても、一、二、三等というような三つの段階にわける必要があるかどうかという點について研究いたしまして、將來これに對しては一等と二等に限定するか、さもなければむしろ等級を廢止して、殊に最近のごとく次から次に旅客運賃を上げます場合には、三等なんという言葉は私はあまり適しないと考えるのであります。これは私見でありますが、これに對して何かお考えになつたことがあるかどうか。あるいは將來これらの點に對する何らかの腹案があるかどうかという點も併せてお尋ねしたいと思うのであります。
 最後に私は實例を申し上げます、親の心子知らずという言葉がありますが、いろいろ鐵道從業員等については、伊能長官あるいは次官等からもたびたび承つておるのでありますが、私どもはまことに遺憾な點があるのであります。私は本月九日に六時四十分の列車で歸りました。列車ボーイが東京を出てから門司に著くまで、ほとんど各釋に著くごとに、乘り降りする人の荷物等を間斷なく親切丁寧に整理整頓し、そうしてくつまで磨いてくれまして、私どもはそのサービスに對して非常に感激したのであります。しかもそのボーイは白の詰襟の服を着て、腕に腕章をはめて服裝もきちんとしておりました。これは最近運輸交通委員會等で、サービスの點についていろいろ進言したおかげかと思つてわれわれも心ひそかに喜んでおりますが、私どものくつまで磨いてくれたボーイに對して、私は心づけをやつて快くわかれたのであります。ところが十八日の朝、八時五十分の八列車で門司を立ちましたところが、ちようどぼうしは海軍の戰鬪帽みたいなものをかぶり鐵道のマークはつけておりましたが、開襟のカツターシャツを着た背の高い頑丈な大きなボーイでありましたが、ただの一度も列車を掃こうともしないのであります。また荷物などはもちろんのこと、旅客に對して親切なこともない。くつを揃えるとか磨くとかいうことはまつたくしなかつた。同じ列車ボーイでもこれほど違うかということを私現實に見まして、實はそのボーイの名前も聽いたけれども、こういう席で申し上げることははばかります。同じ急行列車に乘つているボーイを見ても、心構えのいい從業員は非常に親切丁寧にしておりますが、中にはかくのごとき非常に亂雜な、しかも旅客に對して不愉快な感じを與えるボーイもあるのであります。この點は私はどうしてもこの際列車等に乘りこむ車掌、ボーイというような者に徹底的な再教育を早急にしていただきまして、賃金を上げますとともに、旅客に對する好感を與えていくようにお願いしたいと思います。あまりにもよい質の者と悪い質の者とがありましたので、その點は深く感じましたことを御参考までに申し上げておきます。先ほどお尋ねいたしました五つの點について簡單にお答え願いたい。
#38
○田中(源)政府委員 第一問にお答えいたします。第一問の資材問題につきまして、さきに館君にお答えいたしましたと同じように、私は現在の日本の國鐵を完全に修理いたすという上から、日本の國内生産の總合的な資材の配給面の上に立つて鐵道が配分を受ける點から見れば、とうてい至難である。また日本の今日の産業自體を囘復いたします上においては、何といたしましても、鐵材の必要なにとは御了承通りであります。殊に石炭の出炭量は一にかかつて鐵に基因していることはこれまた御了承の通りでありまして、鐵、石炭の惡循環を斷ち切つてこそ初めてわが國の産業が囘復されるということは申すまでもないのであります。日本のスクラツプも御説の通りである。まだ日本の國内資材を全部いろいろの面において活用することにつきましては、御説の通りいたすことはもちろんでございますが、大體日本の艦船の解體をしたものと比べて、現在二百五十萬トン程度のスクラツプのあることは了承いたしております。しかしこれは總合的な國家機關において處理する計畫を樹立いたしまして、これによつてなされなければ、單に鐵道のみがこれをいたすこともできませず、そのスクラツプの中には賠償物資等になつているものもありまして、それらの手續を要するものもあるのであります。私は端的にお答えをいたしたので多少誤解を受けたかとも思いますが、日本の國鐵のレールを取かえ、あらゆる面において必要な資材を使用いたしますならば、私の想像では日本の製鐵全體の能力をこれらに振向けても、まずもつてパーであろうと思います。かくしてこそ私は初めて完全なものになると思います。しかしながら今日の國家情勢においてはそれは許されませんから、與えられた範圍においてあらゆる努力を拂いましても、ようやく現状維持に過ぎない、しかし榮養不良の病人がだんだんと與えられる榮養が少くなれば、いつ何時どんな現象がその身體に生ぜんともはかりがたいと同じでありまして、今伊能長官がはつきりしたお答えをし得なかつたこともそこにあると思います。つまり日本の國鐵の現状において、今與えられた鐵であれば辛うじて弱い榮養不良の患者が、少い榮養で維持をしておるという程度にすぎないと同じことを私は繰返し申し上げて、もし日本の製鐵が許されないということでありますれば、わが國の今後の貿易上における帳じりにおいて當然必要なものは輸入せられなければなりません。石炭にしても粘結炭のごときはわが國の石炭を輸出いたしましてホンゲイ竝びに支那の石炭と交換をいたさなければ、今の日本において必要なコークスを得ることは困難であると私は考えます。セメントにおいても、鐵、石炭等ができて初めてセメントができるのであります。私どもは絶えず鐵、石炭、セメントについてやかましく申しておりますが、セメントにおいてもその通りであります。すべて鐵道のものをいたしまするにおきましても、一般産業にいたしましても、關連せる副資材がない場合においては、完全なるものをつくり上げることはできないということを併せて御了承を願いたいのであります。カーバイトにしてもその通りであります。枕木はわが國の國内に相當ございまして、これは國家の豫算さえ許されるならば御説の通りいたすことができると思います。この點はつとめて御説に從いまして、根本的なる改革荘いたしていくつもりでありますが、今後鐵道の五箇年計畫を立てましようとも、三箇年計畫を立てましようとも、要するに根本は、裏打ちの資材を與えてやるということと、鐵道全體の機構の上における最も合理的な改革改組、この問題において二つのものが兼ね備わり、これに國鐵從業員の心からなる協力をプラスいたさない以上は、斷じて私は日本のこの國鐵の赤字を克服し、りつぱに輸送力をでつち上げるということは不可能であると考えたのであります。大臣がどういうお考えがあるか存じませんが、おそらく列席の伊能長官にいたしましても、大臣にいたしましても、同様の考えをもつておると存じております。また安本におきましても、できるだけ鐵道に資材を割きたいとは考えていただいております。日本全體の産業の面から見てもやむを得ざる事情に基いて、最大限度の材料を私の方に割いていただいたものと解釋いたしておるのでありまするが、今後におきまする貿易の最開等に伴いまして、できるだけ私どもはこの面につきまして、各總合的な經濟の上において、お示しの通りにこれを善處していきたいと存じております。この點特に御了承をお願いいたしたいと存じます。
 なお第二點におきまして、私鐵運賃の値上げに對しては、私鐵方面において、これは省の慫慂によつて、あるいは命令によつて賃金を引上げたというふうに伺いましたが、私は斷じてさようなことはないと信じます。詳細なことは伊能政府委員からお答えせしめまするが、要するに賃金の引上げは、合理的經營の面におきましての、その會社の經營上にやむにやまれざる最小限度の値上げを申請してきたものと私どもは解釋いたしまして、これによつて大體監督官廰である運輸省において許可したものであると解釋いたしております。その點私の知り得る幡圍においてお答えをいたしまするから、御了承願いたいと思います。
 第三問に對しましては、從會私鐵であつたもので、戰時中これを省において買上げ統合いたしましたものの民間への還元方の問題につきましては、當委員會にも陳情がありましたことと拝察いたしまするし、かつまたわれわれの省におきましても相當のお話は承つております。大體、二十三社ほど省において戰時中に買收したものがあるように存じております。數字の上においてあるいは異動があるかもしれませんが、大體二十三社と心得ております。そのうち七、八社程度のものが還元していただきたいということを申してきておるのでありますが、國鐵で買收いたしまするときにおきましては、御承知の通りに買收法というものが規定されておりまして、國會において承認を得て買收いたしたのであります。しかしこれを還元いたしますについての立法的な根據はまだございませず、國會等においてそういう場合の單行法でも出していただかなければならないかもしれないと存じておりまするし、立法上の根據を少しく缺いておりまする點と、ここで拂下げを申請してきまして、これに對していろいろな輿論等も喚起されて起つておるかも存じませんが、國家自體において必要なるものと見まするものは、やはり依然として國有としてこれを改良いたしまして、國家の用に供していきたいと思います。そういう面につきましては、一應調査會等をつくりまして調査いたしました結果、當委員會にいずれお諮りをいたす機會があろうと存じますから、これは御了承をお願いいたしたいと思います。
 第四問の電化の問題につきましては、現状を存じておりませんので、この點は伊能政府委員からお答えいたすであろうと思いまするが、いかに乏しき資材といいましても、緊急必要なるものはいたさなければならないかと存じます。これは一應よく鐵道當局において調査の上、御趣旨に副うように考慮してみたいと存じます。
 第五問につきましては、今後におきまするわが日本の國鐵の獨立採算性の面においての合理的企業經營の案を立ててまいらなければなりませず、從つてこれによるところのすべての施策の面、及び列車運行の上においても、幾多の考慮すべき點があろうと思うのであります。來年四月におきましては平常ダイヤに還るべき企畫ももつているようなわけでありまして、それまでにお示しのような點をとくと考慮いたしまして、適當な機會にお答えをいたす方がいいのじやなかろうかと存じます。なお足らざるところは伊能長官よりお答えいたしますから、さよう御了承を願いたいと思います。
#39
○伊能政府委員 地方鐵道の運賃につきましては、根本的にはただいま政務次官からお答え申し上げた通りでございます。ただ一言お断り申し上げておきたいことは、國有鐵道の運賃値上げにつきましても、國内の行政上の問題といたしましては内閣と運輸省の共管に相なつております。また地方鐵道の運賃の値上げにつきましては、主務官廳は内閣の物價廳であります。もちろん私ども自身これが關係官廳といたしまして重大な關心をもつておりまして、それぞれの値上げにつきましては成重さんから御指摘のございましたように、經營の實態がいかになつているかということを基準に運賃値上額を決定いたしている次第でございますが、御指摘のように西日本鐵道が非常な黒字を示しており、なおかつ運賃値上げをいたしたというような事態につきましては、私自身主管の局長ではございませんが、早速陸運監理局長に連絡いたしまして、その實態を調査いたしました上で、詳細お答えを申し上げたいと存じます。
 關門隧道の電化區間との關連につきましては御指摘の通りでございます。これはたまたまあの區間が非常に短かいというこてで、きわめて行届いた御指示をいただきまして、私どもも早速あの十キロ足らずの、六キロぐらいのところの區間を研究をいたしたいと存じておりますが、御承知のごとく特殊な地域における電化區間、たとえば現在實施をいたしております米澤・福島でございましたが、現在運行中の仙山線でございますとか、また輕井澤のアブト式の區間でございますとか、今囘延長になりました上越線でございますとか、東海道線の主要區間を除きましては、御承知のごとく電氣機關車の修理はいずれもそれぞれの工機部に牽引されてくるのが常態でございますが、たまたま關門、隧道區間の電化と小倉工機部とがきわめて近接的な地域にあるという意味におきましては、私は經營經濟の觀點から、早急研究をいたして決定をいたさなければならぬと存じます。それに關連いたしまして、行橋方面、あるいは折尾、博多方面への電化の問題を御論及に相なつたようでございますが、これらの問題につきましては、私ども主要幹線の輸送力最も稠密な地域における電化の問題、竝びに都市附近における通勤その他輸送力の緊迫した地域等の電化の問題、併せて研究をいたしている次第でございまして、北九州における御指摘の地域のごときは、電化を早急にやらなければならぬ地域には相なつているのでございますが、まだ具體句な電化計畫その他も決定いたしておりませんので、これらの問題は東海、山陽、常磐、東北本線、上越等、主要幹線とその交通量の密度その他を十分検討した上で、今後の鐵道再建計畫の上にでき得る限り電化を全般的にやつていきたい。ただどういう順序からやつていくかというような點につきましては、豫算資材等の關係もございますので、豫算審議その他の節に十分御意見を拜聽したいと考えておりますが、目下のところの計畫としては、北九州における電化區間の具體的な實施計畫をもたない次第でございます。
 旅客輸送の形態につきましていろいろと行届いた御注意をいただきまして、また政務次官からもお答えがありましたが、これは世界各國の例に徹しましても、御指摘のように、一等、二等、三等と特に等級をつけない國もアメリカのようにございます。またドイツ、イギリスのように一等、二等、三等、四等というように等級をつけておる國もございますが、アメリカにおきましては通常ツーリストクラス、セカンドクラスと申しますと、一番旅客が自由に利用する客車でございまして、その上のものが御承知のようにプルマンカーとなつておりまして、その下の三等に相當するものがコーチ・カーと稱しまして、御承知のごとく板敷きもしくは籘のシートでつくられておるのであります。そういうように言葉の上でもデモクラテイツクな名前で等級を區別しておる所もございます。私ども一等、二等、三等というような從來の考え方できておりますが、ただいままことに御親切な御注意をいただきましたので、當面の問題として一等をここ一、二年の間に開設ができるかどうかまだはつきり自信をもつて明言いたしかねますが、車をつくつておることにつきましては、先般もこの席上で御報告いたしたような次第でございますから、これらの問題につきましては、とくと今後研修いたしてみたいと存じます。
 また私どもの業務についてほんとうにこまかい點まで御注意をくだすつて御指摘をいただきましたが、從事員の教養の點につきましては、先般來から御質問のありました際にも、從事員の教育の問題が國鐵再建の根幹ではないかという御指示もいただきまして、その點については私どもも常に注意を怠つておらないのでございますが、今後一層この從事員の教養指導の面について全力を傾け、ただいま御指摘のような八列車の從事員のような者が一人もなくまるように、昔のような從事員のサービス態勢に還元いたしたいと考えております。
#40
○成重委員 白書の五十二ページの軌條の割當は、上半期二萬二千トンで、そのうち軌條が一萬一千三百三十トンになつておりますが、下半期においてはどの程度の見込みですか。
#41
○伊能政府委員 下半期はさしあたり三萬トンということになつておりますが、さいぜん私から申し上げましたように、坑枠レールによる切替であるとか、その他生産面も考慮いたしまして、さらにもう少し安定本部としても考えたい。こういう意圖をもつて目下研究をとしていただいております。
#42
○佐伯委員 鐵道の實相を詳細に御報告になりまして、私どもは今後の鐵道再建に對する判斷資料として結構なものを頂戴したと思います。しかしこれは報告を受けんがためでなくして、やすて破滅に近づかんとする鐵道を再建する道標にほかならぬと存じます。また思つていたより鐵道は心配な状態になつております。これを再建するのにただ一點資材が必要であるというように聞えますが、日本の國力において資材を得ただけで、はたして再建ができるか問題であります。國有鐵道の現況が赤字であり、赤字であるものが資材を得る資格はないと考える點が幾多ございます。從つてただ資材を得るのみでは再建はとうてい困難であると思うのでありまして、われわれの信じられる實際に資材を得る方法を、鐵道當局に御考究を願わなければならぬし、私ども考えねばならぬと思つております。つきましては私は經營の根幹について二、三御質問申し上げたいと思うのでありますが、このことは少くとも一番大きな根本問題として經營の政治面にわたりますので、ぜひ大臣の出席を求めたいと思います。本日はたいへん時間も遅くなつておりますので、委員長におかれましては明後日この委員會の斷讀を願うことができれば、私の質問はそのときに延ばしたいと思いますので、この點お諮りを願います。
#43
○正木委員長 皆さんにお諮りいたします。佐伯君より本日の委員會の質疑延期の動議的な意見がありました。本日はこの程度で散會したいと思いますがいががですか。
    (「異議なし」と呼ぶ者あり)
#44
○正木委員長 それでは本日はこの程度にいたしまして、二十五日月曜日午後一時から續行することにいたします。本日はこれにて散會いたします。
   牛後四時三十八分散會
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ソース: 国立国会図書館
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