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#1
第033回国会 法務委員会 第2号
昭和三十四年十一月五日(木曜日)
   午後一時二十九分開会
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大川 光三君
   理事
           後藤 義隆君
           高田なほ子君
           石黒 忠篤君
   委員
           宮澤 喜一君
           横山 フク君
           赤松 常子君
           江田 三郎君
           千葉  信君
           辻  武寿君
  最高裁判所長官代理者
   人 事 局 長 守田  直君
   経 理 局 長 栗本 一夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  説明員
   法務大臣官房経
   理部長     大沢 一郎君
   公安調査庁次長 関   之君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 の件
 (昭和三十五年度裁判所関係予算に
 関する件)
 (昭和三十五年度法務省関係予算に
 関する件)
 (伊勢湾台風等による裁判所及び法
 務省関係施設の災害状況並びに復旧
 対策に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大川光三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 本日は、昭和三十五年度裁判所関係予算並びに同法務省関係予算につきまして調査することにいたしたいと存じます。
 まず、三十五年度の概算要求の概要について裁判所並びに法務省当局から説明を伺いたいと存じます。なお、先般の伊勢湾台風その他による施設の災害状況並びにその復旧対策経費につきましてあわせて説明願いたいと存じます。
 それでは、最初に裁判所関係につきまして、最高裁判所栗本経理局長より御説明をわずらわします。
#3
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 裁判所所管の昭和三十五年度予算並びに今回の風水害対策のことにつきまして御説明申し上げます。
 昭和三十五年度予算の方をまず説明させていただきますが、これはお手元に「裁判所所管昭和三十五年度概算要求事項調」というのが、配布してあると存じますが、これに基きまして説明をさせていただきます。
 まず第一に、総額でございますが、昭和三十五年度要求額は、ここに書いてございます通り、二百十八億三百二十七万二千円でございまして本年度の予算額は百二十四億三千三百九十三万円余でございます。
 昭和三十五年度要求額二百十八億余りの内訳でございますが、それは、第二の要求事項というところに書いてございまして、これが主たるものでございますが、これに基きまして御説明申し上げます。
 で、この要求事項は、さしあたりは項目と金額だけしか書いてございませんで、第三といたしまして、「要求事項説明」というのがございますが、これは簡単な説明でございますが、これに基ずきまして、一応説明をさせていただきます。
 まず要求事項の一の第一審充実、審理促進でございますが、金額におきまして、七億七千二百六十四万九千円でございますが、この内訳は、判事の増員をし、裁判所書記官(補)等の増員、資料室、自動車及び事務用器具等の整備充実、証人の日当の増額、かような大まかな内訳になるわけでございますが、判事及び裁判所書記官(補)等の増員、これは第三の要求事項説明の一の中に書いてございますが、結局、具体的の数字と申しますと、判事の増員が百八人、裁判所書記官(補)等の増員は、ここに書いてございますように、合計六百八十九人という数字になりますが、結局、簡単な理由で、一審の充実及び審理の促進を期しますためには、人間が足りないということに帰するわけでございまして、さらに具体的なことになりますと、この要求事項の説明の一の第一審充実審理促進というふうに書いてございますように、事実審であります地方裁判所につきまして、合議体による裁判を増加する。これが審理の充実の方でございますが、つまり単独裁判するよりは、合議体による裁判の方が充実する、これは当然自明の理でございますが、この合議体による執判官の数を増加したい。民事事件につきまして一五%、刑事事件につきまして二五%までもっていきたい。かような考えでございます。同時に、審理の促進の方は、審理期間を短縮いたしたい。結局、理想は、平均いたしまと、民事が十一カ月、刑事が六カ月、これが現在の審理期間でございますので、これを半減いたしまして、訴訟の促進をはかりたい。かようなことでございます。しかしながら、全国に及ぼしますためには、相当な数を要しますりで、さしあたり、この措置を、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡という主要都市の主要裁判所について実施をいたしたい。かような考えでございます。それが判事の増員百八名ということなるのでございますが、これは、具体的に申しますと、なお現在、裁判官等多少の欠員がございますので、結局、待遇を改善することによって判事の増員をいたしたい。ことに弁護士をもって充てたいという考えでございますか、これは後に御説明申し上げますか、これが要求事項の説明の二の裁判官等の待遇改善ということにからむわけでございまして、裁判官の報酬月額の改正とあわせてここで説明させていただきますが、結局、「第一審強化に必要な判事の増員百八名は弁護士をもってあてる必要があるから、これが誘致を容易ならしめるため、判事に報酬月額十万円のランクを設ける。」かように書いてございますが、報酬月額十万円のランクの判事の一つのグループを作りたい、かような考えで予算要求いたしましたところが、後に人事局長が参って具体的にこまかく説明をすると思いますが、実はこの点が当初は弁護士会等が、等というと語弊がありますが、弁護士会あたりから法曹一元の実を期するために弁護士を裁判官にする。それは非常にけっこうなことで、報酬月額十万円程度のものを設ければ弁護士を判事に誘致できるであろうというような考えを漏らされた結果、裁判所もその線に沿いまして、かような案を立てたのでありますが、その後の情勢によりまして、弁護士会あたりでも、報酬月額十万円程度のものでは必ずしも優秀な弁護士は来ないだろうというような考え方に傾きました結果、裁判所といたしましても、この線を強く押すことはやや困難な状態になりました。しかしながら、判事の数が足らないという点におきましては間違いございませんので、結局百八人という判事の増員は、必ずしも報酬月額十万円というのを固執するわけにいかないで、結局判事補とかあるいは一部は弁護士とか、要するに報酬月額十万円という線は必ずしも、ただ固執できないような現状になってきておるのでございまして、ただ請求は一応いたしましんが、現在もこの線で一応の請求はいたしておりますけれども、実現がややむずかしくなってきたような情勢でございますので、あらかじめお含みおきを願いたいと思います。
 次に、裁判所書記官(補)等の増員でございますが、これは合計六百八十九名、この説明といたしまして、結局、要するに、判事を増員すれば裁判所書記官も当然増員しなければならない。それから裁判書記官にある程度の裁判事務の補助をさせる。それがひいては審理の促進、裁判の充実になるというような考えから、裁判書記官をやや大幅に増員したい、かような構想でございます。
 次に、資料室、自動車及び事務用器具等の整備充実、これは裁判の機械化ということでございまして、ここに書いてある通りでございます。
 証人の日当の増額、これは現在御承知の通り、日当は法律で二百三十円ときまっておりますが。これはあまりにも低過ぎますので、いわゆる一般の肉体労働者の日当も現在では二百三十円程度でございませんので、これをとにかく五百円程度に引き上げたい、かようなのがこの証人の日当の増額の趣旨でございます。
 次に、裁判官等の待遇改善でございますが、この(一)には裁判官の報酬月額の改正と(二)が裁判官管理職手当(三)が調査研究費及び交際費(四)が書記官等の待遇改善(五)が裁判官の退職手当の特例(六)が裁判官室の器具整備、こうなっておりますが、第一に、裁判官の報酬月額の改正、これはすでに今御説明いたしましたように、十万円の判事のランクを作りたいという趣旨でございましたが、先ほども申し上げましたように、やや実現が困難になってきたのではないかというように考えております。
 次に、裁判官の管理職手当の件でございますが、これは本年度予算におきましては判事三百八十二名につきまして一二%の管理職手当が計上されております。判事と申しますのは、御承知の通り裁判官の中で、判事、判事補、高等裁判所長官、地方裁判所判事、判事補、かようなランクがございますが、その中のいわゆる判事、十年以上の判事補、または弁護士あるいは検事をやられた方、こういう判事につきましては、三百八十二名について一二%の管理職手当が計上されておりますが、本年度予算におきましては最高裁長官、最高裁判事、高裁長官、地家裁所長、長官代行等二五%、総括裁判官、いわゆる世間で言っております部長裁判官でございますが、部の長たる現在法律的用語といたしましては、部の事務を総括する者という名前で呼んでおりますが、いわゆる部長、部の長に一八%、その他の判事全般につきまして一二%の管理職手当を支給いたしたい。結局判事以上は全員で千百名程度でございますので、要するに判事補、簡易裁判所判事以上のものが約千百名程度のものでございますが、管理職手当を二五%、一八%、一二%というような内訳をもって支給いたしたい、かように考えたのがこの案でございます。御承知の通り行政官は二五%、本省の局長、課長等は二五%、ブロックの長等は一八%、末端官庁の長等は一五%というように三階級に分れておりますので、これも大体そのような線に沿ってかように案を立てたわけであります。
 次に、(三)が調査研究費及び交際費でありますが、最高裁判所裁判官に月額三万円の調査研究費と月額三万円の交際費を支給いたしたい、かように考えるのでございます。最高裁判所裁判官の待遇改善という点が他の裁判官もさることながら、最高裁判所裁判官につきましてなお一そうの待遇をいたしたい、かような考えでございます。
 次に、(四)が書記官等の待遇改善でございますが、これは結局現在俸給の号俸調整と言っておりますが、四%、八%の二つの号俸調整がございますが、つまり書記官には書記官及び家庭裁判所の調査官には八%、書記官補及び調査官補には四%というような号俸調整をしてございますが、これを八%から一六%に引き上げたい。これは検察事務官においてすでに施行されておりますことでございますので、その線まで持っていきたいという考えでございます。
 次に、(五)が裁判官の退職手当の特例でございますが、これはやはり法曹一元という大きな理想からやはり貫徹いたしたいという考えから、弁護士の在職期間を退職手当の計算の基礎となる期間に通算いたしたい、かような考えでございます。すなわち弁護士から裁判官になられましても、いわゆる通常の官吏の在職期間と同じものであるならば、恩給等がつかないようになりましては、やはり弁護士を裁判官に誘致する一つの隘路になりますので、弁護士の在職期間を退職手当の期間に計算いたしたい。恩給の方に、恩給という言葉はなくなりましたが、年金の方に計算いたしますにつきましては、やはり現在の制度が、つまり保険式の、いわゆる年金式に改められました関係上、ややそこに隘路が、難点がございますので、結局退職手当計算の基礎の方に少くとも入れたい、かような考えでございますが、しかしこれは少なくとも初年度におきましてはほとんど経費が要りませんので、特別にこの経費は要求してございません。これは結局もっぱら法律の問題に帰するのであります。
 次が、裁判官室の器具整備の千五百五十一人、これは現在の裁判官の待遇改善ということ並びにやはり裁判官の備品活用という点からいたしまして、裁判官の執務場所、環境等をよくしたい。たとえば具体的に申しますと、机、いす等であまりひどいものは改めたいという費用でございますが、これは裁判官全員についてさようなふうにしていただきたい、この費用が一億三千二百十八万八千円という金額になりますが、さようなものをいただきたいというのがこれでございます。
 次に、三が営繕でありまして、営繕費が合計四十八億九千七十六万八千円というやや膨大な数字になりますが、本年度はここに書いてありますように、十億は認められておりますが、これは四十八億九千七十六万八千円いただきたい。結局具体的な理由は、要求事項説明書にも書いてありますように、裁判所庁舎が総坪数二十三万四千坪でありますが、このうち建築後四十年以上を経過した、老朽したコンクリートでない木造の庁舎が六万三千坪、戦災後のバラック庁舎が約一万六千坪、臨時借り上げ庁舎が約七千坪ほどございまして、これらのものはどの観点から見ましても、早急に新改築する必要がございますので、それが正確に見積りますと約百億以上百五十億程度かかるという計算になりますが、一挙にそれだけ請求するのもいかがかと思われますので、四十八億程度良心的に言えばほしい、この金額でございます。ことにここに御注意願いたいのは、東京地方裁判所刑事部庁舎というのが、概算総額十六億六千万円余りでございますが、すでに本年度まで約四億の金が認められておりまして、現在すでに工事に、これは穴掘りですが着手いたしておりますが、これをかかえております関係上、裁判所の営繕費というものの増額を相当大幅に認めていただきませんと、東京地方裁判所刑事部庁舎だけは何とか建つかもしれませんが、その他が、全国的な問題になって参りますと、東京地方裁判所刑事部庁舎を建てるために、地方の裁判所の庁舎はしばらくストップしなければならないという状態になって参りますので、営繕費の増額につきましては、相当の御考慮を願いたい。四十八億とは申しませんが、とにかく現在の十億ではとうてい足りない、相当の考慮を願いたい、かように大蔵省にも訴えるつもりでございます。
 次に、判決前調査制度の確立でございますが、これの調査官百五十人を認めていただきたい。この判決前調査と申しますと、刑事事件につきまして判決前調査を行ないまして裁判の適正化をはかる、かような趣旨の調査官でございますが、結局刑を下します際に、裁判所独自の立場におきまして被告人の身辺、あるいはいろいろの書類等を調べる、かようなことはすでに英米でも行なわれておるのでございますが、その制度の踏襲でございます。やはり公正な裁判をいたしたいというためには、判決前調査制度が必要だ、とりあえず百五十人の調査官を設けていただきたい、かような趣旨でございます。費用は八千六百六万七千円、人件費だけでございます。
 次に五は、家庭裁判所の整備充実ということでございましてこれは青少年対策にも関連するのでございますが、その内訳が三つに分かれておりまして家庭裁判所の調査官(補)の増員、家庭裁判所科学調査室の新設、再犯予測研究及び非行少年の実態調査、かようなことになっておりますが、結局家庭裁判所の整備充実におきまして、第一に家庭裁判所調査官(補)が足りない、これは現在乙号支部には一人も調査官及び調査官補がいない。乙号支部あたりも調査官補を置きたいということから、そのことだけではございませんが、さような観点から申しましても調査官(補)が足りない、これの増員でございます。これが九十七人。それから家庭裁判所科学調査室の新設及び再犯予測研究及び非行少年の実態調査、これにつきましては、家庭裁判所の機能をやや今よりももっと充実したいという趣旨でございますが、この費用でございます。
 次が、調停制度の充実強化でございますが、調停は御承知の通り民事の紛争を解決する方法として、そのいいか悪いかは別問題といたしまして現在は非常な機能を果たしているようでございます。ほとんど裁判事件と同じ程度に数がございまして、民事裁判と同じ率の機能を果たしておるようでございます。現実の問題といたしましてこれを無視するわけにはいきませんので、これを充実強化いたしたい。これにつきまして具体的な内訳は、調停委員の日当の増額と、日本調停協会連合会に対する補助金の増額という点に帰するのでございますが、日当の増額といたしましては、現在四百四十円でございますのを七百円に増額いたしたい。調停委員はかなりの地位の方が多多おりますので、四百四十円ではいかにも少な過ぎ、申しわけないようでございますので、三百円程度増額いたしたい。それから連合会に対する補助金は、現在本年度予算におきましては七百万円に認められておりますが、これはやはり一千万円程度に増額していただきたい、かような趣旨でございます。
 その他の経費、いろいろなものがございますが、これはややこまかいことになりますので、大体以上をもちまして、裁判所の昭和三十五年度の予算要求の内訳を説明させていただいた次第でございますが、後ほど御質疑等がございましたら、またお答えさせていただくことにしまして、一応この程度にとどめさしていただきます。
 次に、委員長から御指摘のありました今回の台風につきましての裁判所の経理上の対策の要点を簡単に説明さしていただきますが、今回の伊勢湾台風及びさきに来襲いたしました七号、十四号及び北九州地方を襲いました豪雨によりまして、裁判所の庁舎あるいは官舎等の被害が相当程度ございました。金額に見積もりますと、われわれの方の計算では九千三百十六万円という計算に達したのでございます。従いましてこの予備費の支出につきまして、先般来大蔵省当局と折衝して参りましたところが、このほど予算要求額の四四・三%、すなわち金額にいたしますと四千百二十七万円という額が内定いたしました。これは一応の内定でございますので、今後大蔵省の財務局が現地調査の結果によりまして、多少の増減はあることと存じますが、一応四千百二十七万円という内定を見たのでございます。
 次に、各台風による被害の状況を申し上げますと、昭和三十四年の、つまり本年の七月十三日から十四日にかけての北九州地方豪雨による被害は、福岡高等裁判所外八カ庁、宿舎が二カ庁被害がございまして、いずれもこれは屋根等が被害があったという程度でございまして金額にいたしまして約八百八十三万二千円程度の被害がございました。八月十三日から十四日にかけて関東、中部地方を襲いました台風七号によりまして、庁舎といたしまして甲府地方裁判所外七カ庁、宿舎といたしまして八カ庁の被害がございました。これは屋根等の被害でございまして、これは金額にいたしまして三百七十三万四千円でございます。第三に九月十六日から十七日にかけまして九州地方を襲いました台風十四号によりまして、庁舎関係といたしましては福岡簡裁外十七カ庁、宿舎関係は十カ庁でございます。屋根その他の被害額が八百一十一万四千円となっております。最後に九月二十五日から二十六日にかけてのいわゆる伊勢湾台風によりまして、これは相当被害がございまして、床上浸水したものが庁舎関係五カ庁、宿舎関係六カ庁でございまして屋根その他の被害を受けた庁舎は九十一カ庁の多きに達しましたし、宿舎関係は二十四庁になっておりますが、以上の被害総額は七千二百三十八万円ということになっております。以上を合計いたしましたのが先ほど申しました九千三百十六万円という被害額でございますが、これにつきましての裁判所の対策といたしまして、去る九月二十六日の伊勢湾台風、これが最も大きな被害でございますが、これは名古屋高裁管内及び東京、大阪、広島等の各高裁の管内におきまして職員に多大の被害を及ぼしておりまして、その被害状況、――最も大きかった地域は、名古屋、津、岐阜各地方裁判所の管内でございますが、この職員の被害状況といたしましては死亡職員が一名ございまして、死亡家族が二名ございます。負傷者はかなりの多数に及んでおります。そのほか家屋、財産等の被害は相当の程度に達したのでございます。結局被害を受けました世帯数は三百三十三世帯、人間にいたしますと千数百名が被害を受けた状況でございまして、そこで、最高裁判所といたしましては、その救援対策として、共済組合法による災害見舞金の支給、俸給の繰り上げ支給の措置のほかに、助け合い運動として事務総長が発起人となって救血品及び義援金を全国の裁判所職員の有志から募集することにいたしました。その結果義援金は十月二十八日現在で一万五千三百七十六人の職員から二百十四万三千八百円が醵出されましたので、それをさっそく関係裁判所に配分いたしまして、被害職員に贈ったわけでございます。救血品につきましては、被害直後とりあえず最高裁判所職員の有志から七千三百十六点の衣類を集めまして現地に急送いたしました。なお、先般内閣官房長官から政府部内における台風十五号による罹災者の救護募金についての通知がございましたので、最高裁判所としても、これに協力するために全国の裁判所あてに通知をいたしたわけでございます。
 なお、罹災職員に対し裁判所共済組合がとりました措置といたしましては、災害見舞金といたしまして四百六十一万六千三百九十九円を給付いたしました。貸付金といたしまして関係各支部に対しまして千六百七十七万円を送金いたしております。以上が共済組合としてとった措置でございます。
 以上をもちまして、今回の台風及びその前の台風、豪雨等によります被害状況及びそれに対して裁判所がとりました措置について御説明申し上げた次第でございます。一応これで終らせていただきます。
#4
○委員長(大川光三君) 次に、法務省関係につきまして、大沢経理部長より御説明を願います。
#5
○説明員(大沢一郎君) ただいまより法務省所管の昭和三十五年度概算要求の概要について御説明申し上げます。昭和三十五年度法務省所管の概算要求総額は四百三十六億八百九十四万円でございます。その内訳を大別いたしまして、一般行政費につきましては、三百三十七億五千四百四十五万九千円、営繕費が九十八億一千四百四十八万一千円と相なるわけでございます。このうち一般行政費のうち、百七十三億九千二百四十五万三千円、営繕費の二億六千二百九十六万七千円がそれぞれ標準予算となっておるわけでございます。この三十五年度概算要求の総額と三十四年度予算額二百六十七億九千八百六十九万九千円と比較いたしますと、百六十八億一千二十四万一千円の増額要求となっておる次第でございます。
 この概算要求の概要の細部に入ります前に、法務省予算の特異性について簡単に御説明させていただきたいと存ずる次第でございます。
 御承知のように、法務省所管の各組織の所掌事務は、多岐多種類に分かれておりまして、また、その性格を異にするものが多いのでございますが、おおむね民事局、訟務局、法務局、人権擁護局等が所掌いたしますところの事務は、国民の権利保全を目的とするものと、また刑事局、検察庁、矯正局、刑務所、少年院さらに保護局、保護観察所及び入国監理局、公安調査庁等が所掌いたします治安維持を目的とする事務、この二つに大きく分けることができるかと思うのでございます。しかしながら、このいずれにいたしましても、かような事務の性格上法務省予算はきわめてじみな事務的予算という性格を持っておるのでございます。本年度予算について申し上げてみますると、予算額の二百六十七億九千万円のうち人件費が約六三%の百六十八億円を占めておるのでございます。国の歳出予算のうち人件費の占めております割合は約一四%でございまして、これに対しまして法務省予算では六三%というふうに人件費の占める割合はきわめて多いのでございます。それに旅費、庁費等のいわゆる事務の経費を含めましていわゆる標準予算系統経費と申しますものが総体の約九〇%を占めておりまして、いわゆる政策的な事業計画、あるいはまた経済的効果を直ちに発生するというような事業計画というものはほとんど皆無であるというような状態でございます。しかしながら、一歩突き進んで考えてみますと、法務省の予算は事務的予算といわれておりますが、この事務は、直接には国の治安に、また国民の権利保全といういわば民主法治国家の根底をなすところの重要な事務でございますので、このような重要事務が数字として化体された法務省の予算も当然これにふさわしい姿であるべきであると考えられるのであります。こうした観点から見ますときに、改善助長すべき問題が山積しておると考えておる次第でございます。従いましてここ数年来所管各組織の所掌事務を逐一分析検討いたしまして、機械化の可能なものは極力機械化をはかって能率の増進と人員の節約に努力してきたのでございますが、いかんせんその所掌事務がほとんど人を中心として行われます事務でありますために、機械化にも限度がございますし、結局その大半を人に頼らざるを得ないのが実情なんでございます。そこで法務省が毎年のように増員要求を続けているのは、その所掌事務の性格自体に基づくものでございます。この点他の官庁といささか趣きを異にするのではないかと考えている次第でございます。
 そこで、明年度の概算要求を編成するに当たりましては、予算の有効的執行を確保するためにも極力事務の簡素化、能率化ということに努めましたが、結局は三千四百三十七名の増員を要求せざるを得ない状況に相なったので、この三十五年度予算においてこの人員を要求している次第でございます。その他の経費としては、山積している懸案を年次計画を立てまして重点的に逐次解決し、法務行政の総合的、有機的、計画的、かつ科学的な遂行の実現に不動の態勢を整える方針をもって、予算編成に臨んだ次第であります。
 そこで、明年度予算におきまして、法務省が特に取り上げて主要施策とした事業計画の各項目について御説明申し上げたいと存じます。
 第一は、青少年対策の強化推進でございます。わが国の次代を背負うべき青少年を健全に育成することは、最重要政策の一つでございます。しかるに、最近の青少年の風紀犯罪は、増加並びに悪質化の傾向をたどりつつあるのでございまして、これが対策として一貫した方針と施策のもとに青少年犯罪の原因を科学的に究明しまして、その一般的予防を積極的に推進するとともに、個々の処理を適正ならしめ、保護観察機構を強化し、また、少年院の機構を人的、物的に整備強化して健全なる社会復帰を強力に推進する必要があろうかと考えるのでございます。
 それでその一つといたしまして、まず第一に実効ある青少年風紀検察の推進をはかりたいと存ずる次第であります。そこで、青少年犯罪の検察関係の指揮、命令系統の中心であります刑事局に青少年課を新設いたしまして六大都市所在の地方検察庁、その他主要地方検察庁計十五庁に刑事資料調査室を設置して、青少年風紀検察を中心として一般刑事検察の合理化、科学化をはかり、公訴権の行使をより適正、有効ならしめるとともに、これら犯罪者に対する改善、更生につきまして、関係機関との連繋をより緊密化することによって犯罪、特に青少年風紀犯罪の防止並びに犯人の改善を強力に推進し、また、対策の一環として現行少年法の検討を行ない、少年犯罪対策の法制の確定をはかりたいという計画を実施いたしたいと存ずる次第でございます。これに要します経費が、増員八十八名分を加えまして七千七十五万円を要求しております。
 第二が、青少年保護観察の強化でございまして、年々逓増している事件数に対処しまして、保護観察官を増員しまして、それとともに現在、保護観察所は地方裁判所にしかございませんので、地方裁判所の甲号支部八十一カ所に保護観察所の支部を設置しまして、裁判所、検察庁からの事件授受の完全を期しまして保護観察の充実強化をはかりたいと存ずる次第であります。こうした一方、家庭裁判所において不処分あるいは審判不開始処分となりました非行青少年に対して適正な補導を行ないまして、再犯防止をはかるため、各保護区に二名の保護司を指定して補導、相談を行なわしめ、なお更生保護会収容の青少年収容者の完全なる更生をはかるため、食事付宿泊委託期間を現行の十二日を三十日に延長しまして、それとともに、これに伴います委託事務費を増額することによって処遇の適正を期し、充実をはかりたいということを計画している次第でございます。これに要します経費が、増員七百二十一名に要する経費を含めまして九億二千八百三十九万二千円となっております。
 第三が、少年院の整備の計画でございます。近年、少年犯罪の増加、その内容の悪質化は、そのまま少年院収容者の数に反映いたしまして、収容人員も年々増加している現状でございます。三十五年度一月平均収容見込み人員一万一千人と推定せられるのでありまして、その既設の施設を整備し、少年院の増設によりまして過剰収容の緩和をはかりますとともに、教官を増員することによりましてその補導を強化し、また医官等の増員によって医療衛生等の管理充実を行ないまして、相待って少年院の機構を人的、物的に整備強化いたしたいと考えている次第でございます。これに要します経費は、増員は教官、医官の二百八十四名を加えて一般行政が八億一千四百四十九万、施設費が七億五千八百九十四万円、合計十五億七千三百四十三万円を要求しておる次第でございます。
 その四が、青少年犯罪対策の推進でございます。本年度去る七月発足いたしました法務総合研究所の研究部におきまして、関係諸科学に基づく総合的調査研究を通じまして総合刑事政策を打ち立てますとともに、研修部においても非行矯正の技術としてカウンセリング教育を実施することにより、犯罪の予防及び犯罪者の処遇の効率化をはかり、推進いたしたい所存でございます。それに要します経費が、増員十五名を加えまして五千九百七十六万三千円となっております。
 次ぎ第二は、刑務所の移転問題対策の処理でございます。御承知のように最近主要都市の目ざましい繁栄のために、当初郊外地にございました法務省所管の刑務所、拘置所等の施設が、その大半が都心部に位するようになりまして、都市計画あるいは経済センターの設置というようなことで、都市の発展が著しく刑務所がありますために阻害されるに至っておるのでございます。そのため近来さような都市の方面から、その移転が強く要請せられまして、地方議会の議決や陳情も多数に上っておりまして国会に請願採択されたものも二、三にとどまらない。その中にはその改築につきまして閣議了解事項となったものもすでにある現状でございます。一方法務省といたしましても、その施設自体として見ました場合に、きわめてその設置条件が不適当で、今まで郊外地の静かな場所にございましたのが都市になるというようなところから、社会復帰を実現するための矯正の場としての立地条件上、きわめて不適当となったのでございます。それからまた、その施設自体といたしまして、いずれも旧時代的なものでございまして、老朽化した木造で、通風採光等きわめて悪く、いわゆる応報刑観念を表象するような牢獄的な建物が多いのであります。犯罪者といいましても、その中に長く拘禁することは、人権上放置し得ないというような現状に立ち至っておりますので、都市繁栄と国民の福祉と人権尊重という憲法の精神からも、その早急解決をはからなければならないと考えるに至った次第でございます。現在の刑務所でこれらの焦眉の急に迫られております刑務所の数は、現在本所六十六、支所十七、拘置所は本所七、支所九十二に上っております。そのうちかような条件のもとで解決を急がれておりますのが二十二庁に及んでおるのでございます。その経費は約百数億円を要するということに相なりますので、かような巨額の経費は、通常の営繕予算では数十年にわたってこれに全力を注ぎましても、とうていこの要請に応じ得ないような状態でございます。
 そこで振り返ってこれらの現有施設の価額を概算してみますると、いずれも都会の中心地になりまして、地価等も相当に高騰いたしております。さような点で、一応の計算をいたしますと、大体現有施設を売却処分いたしますときには、右の所要経費を十分に充当し得るような計算に相なるわけでございます。かような観点からいたしまして、現に移転を要請せられておるものにつきまして種々検討いたしました結果、名古屋刑務所等の緊急を要するものをとりあえず十庁を取り上げまして、それを移転することにいたしまして、その計画を推進していきたいと存じておる次第であります。その所要経費が七十六億八千七百五十三万七千円に達しますので、これを五カ年計画といたしまして、初年度は名古屋刑務所外三刑務所の第一期分を実施する計画のもとに、これに要する経費を十二億二千六百十八万二千円計上して要求している次第でございます。
 第三は、反民主主義活動対策の確立でございます。組織活動、大衆運動に関する集団的実力行使を伴う公安事件に対しまして適切な検察を実施するため、その機能の拡充強化をはかるとともに、公安調査官の増員と科学的調査、器材の整備充実とによりまして、国際共産主義運動の調査態勢を確立いたしたいと計画いたしております。
 その一が、国際共産主義運動の調査態勢の確立でございますが、国際共産主義陣営の基本的戦略戦術とその発展の実態を、世界的視野に立ちまして政治、経済、労働等の一切の部面にわたりまして総合的に的確に把握、解明する必要がありますので、それに要する経費といたしまして、調査官の増員並びに科学的調査のための器材の整備充実を行なって調査態勢を確立し、職員を海外に派遣しまして、情報資料等の入手をはかっていきたいと存じておる次第でございます。これに要する経費が、増員二百十名を含めまして四億一千二百一万円となっております。
 二が、公安労働検察の充実強化であります。組織活動、大衆運動についての犯罪の実態、性格、検察運営と行政施策との調和及び事件処理、公訴維持の効率化についての調査を行ない、資料を収集整備しまして、集団的実力行使を伴う公安事件に対しまして、適切、強力なる検察を実施する必要があると考えられますので、かかる組織活動、大衆運動に関する犯罪の実態調査並びに事件処理公訴維持等のため、刑事局に参事官、課長補佐等の増員を行ないまして、一方主要地検に公安係検事、検察事務官の増員を行なって、公安事務室の拡充強化をはかり、情勢の統一的把握を期する計画でございます。これに要する経費が増員百四十二名を含めて、一億六千三百六十三万八千円を要求しております。
 第四に、不動産不法占拠、めいてい犯罪等に対する緊急立法措置についての経費でございます。戦後罹災都市を中心にいたしまして発生いたしました他人の土地、建物に関する不法事件は、依然としてあとをたたず、特にこの種事犯の中には、暴力ないし暴力団を背景とし、不法占拠の成果を確保するため、直ちに多数の者がその占拠に参加し、あるいはその周辺に多数の者が移り住んで、たちまち付近一帯に一大既成事実を作り出し、他からする排除を拒否する手段を講ずるものが少なくないのであります。しかるに、これに対する取り締まりについては適切な法令を欠く一方、民事訴訟は調停をも含めてあまりにも遅延しまして、とうてい国民の権利保護救済に役立っていないのであります。かくて法軽視の思潮はいよいよはなはだしくなりまして、法治主義は重大な危機に立たされると考えられますので、この種事犯に対する実態を調査研究し、すみやかに立法をも含めた抜本的対策を樹立する必要があると考えられるのであります。そのほか、めいてい犯罪に対する立法措置に対しましても、その施策を講ずる必要がございますので、この種事件の実態を調査研究し、立法を含めた根本的対策を樹立する計画を進めていきたいと存じまして、これに要する経費五十六万九千円を要求しております。
 第五は、登記事務及び訴務事務の適正かつ迅速処理についてでございます。法務局の事務の大半を占めます登記、台帳事件の事務量は、逐年激増の一途をたどっておりますので、これらの事務を円滑適正に処理いたしますために、増員及び機械化により、事務の処理充実をはかる必要があると考えられるのであります。また他面不動産登記制度と台帳制度を一元化しまして、手続の簡素化をはかりますとともに、計量法の施行に伴いまして、昭和四十一年四月一日以降登記台帳の面積の表示を、従来の尺貫法からメートル法に書きかえる必要上、昭和四十年度までに登記台帳の整備を実施する必要がございますので、昭和三十五年度から五カ年計画をもって事業を推進する計画でございます。一方、訟務事件も激増いたしまして、その内容がますます複雑化困難化を来たしているため、増員によりまして円滑適正な事務処理をはかりたいと存ずる次第でございます。これに要する経費が、増員要求千三十六名を含めまして、十五億七千九百二十七万一千円を要求いたしておる次第でございます。
 第六は、入国審査業務の適正迅速化でございます。逐年出入船舶の増加に伴いまして、臨船業務の強化によって、不法入国事犯の抑圧を当然なさねばなりませんとともに、観光政策が国策として推進せられましたため、観光船に対しましてその入国審査を入国審査官を乗船せしめまして、迅速に処理する必要から、入国審査官の増員並びに乗船に必要な経費を必要とするわけであります。また、今秋から東京国際空港にジェット機が乗り入れることになりまして、一時に出入国者が激増することが考えられますので、羽田空港事務所を東京入国管理事務所から独立昇格させまして、そこに入国審査官を増員して、同事務所の整備拡充をはかりたいという計画でございまして、そのために、増員五十八名を含めて、一億三千九百六十万八千円を要求いたしておる次第であります。
 第七は、人権侵犯事件調査処理機能の強化充実でございます。人権侵犯事件は、累年増加しまして、特に公安労働関係事件が最近長期化する傾向があるとともに、これに伴いまして集団行動と、その中の個人の人権問題が問題化する傾向が見受けられるのでございまして、このような事件は、いずれも関係人が非常に多数に上りまして、その処理についても種々困難な問題を含んでおりまして、そのために調査処理に相当長期間を要しております。そのために他の違反事件の処理がおくれまして、平均三七%が事件処理未済というような現状でございますので、本省に相当高度の調査能力ある専門調査官八名を配置いたしますとともに、調査旅費等経費の増額をはかり、その機能の充実強化を期する計画でございます。これに要する経費が、増員八名を含めまして六千九百六十一万五千円を要求しております。
 第八が、一般営繕費でございます。御承知のように、法務省所管施設は検察庁、法務局、公安調査局、入国管理事務所、保護観察所、刑務所、少年院、少年鑑別所等非常に複雑と同時に多方面にわたっておりまして、その数も三千四百庁に上っておるのでございますが、完備された施設を有するものはきわめて少なく、いまだに国有の施設を有せず借り上げ庁舎の一部に執務しているもの、あるいはまた、裁判所の一部を借り受けて同居しているもの、また庁舎がございましても、建築後数十年を経た老朽建物を使用しているもの等が非常に多くて、治安の確保、権利の保全、犯罪人の矯正、保護等、きわめて重要な所掌事務を適正、円滑に遂行するためにも、また一面国民の利便をはかる上から見ましても、はなはだ遺憾な点が多いのでございます。これらの改新築につきましては、国家財政を考えまして、数年前より長期営繕計画を立てて緊急度の特に高いものから逐次実施することにいたしておりまして、逐年増額を認められておりますが、何分にも庁舎の数が多うございますので、格別の御配慮をお願いいたしたいと考えております。本年度は概算要求七十五億七千二百四十万一千円を要求しております。そのうち法務官署の施設費が四十二億九千七万七千円、法務収容施設費三十二億八千二百三十二万四千円、その他の補修費、不動産購入費等九億七千八百十三万三千円を要求しております。
 以上が法務省所管の三十五年度予算要求の概要でございます。目下、この要求に基づきまして、大蔵省事務当局と折衝いたしておる次第でございます。
 次に、伊勢湾台風によります法務省所管施設の被害状況並びに復旧対策について御説明申し上げます。
 伊勢湾台風によります法務省所管施設の被害は、九州、北海道を除きまして、愛知、三重、岐阜の三県を中心といたしまして、ほとんど全域にわたりまして被害を受けまして、その被害総額は約一億六千六百二十一万九千円に上っておるのでございます。建物の全半壊いたしましたもの六十戸、浸水十四戸、庁舎の外塀の倒壊四千六官六十二間でございまして、その他、屋根、壁等に被害を受けました庁を含めまして、被害庁は本庁で百七十六庁、支分部局が四百二十三庁、宿舎六百三十八戸となっておるのでございます。そのうち、愛知、三重、岐阜の三県下では、被害を受けたのが七〇%に及んでおりまして、本庁で三十二庁、支分部局で百六十五庁に達しまして、被害額は一億四百九十八万八千円でございまして、建物の全半壊五十三戸、浸水十一戸、庁舎の外塀の倒壊が三千二百十九間に及んでおるのでございます。
 これを組織別に申し上げますと、検察庁関係といたしましては、本庁二十四庁、支部区検百二十五庁、宿舎百二十五戸が被害を受けまして、被害総額が千九百十三万二千円であり、中でも、名古屋管内の岡崎支部は、庁舎の東半分が傾斜いたしまして、執務上危険な状態に陥りまして、また、同管内津島区検は床上三十センチ、津管内の四日市区検は床上浸水七十センチ、桑名区検は同二メートルに達しましたので、これらの庁におきましては、施設に加えまして、証拠品及び記録に汚損したものが相当出たのでございます。法務局関係は、本庁十六庁、支局出張所二百六十五庁、宿舎五戸が被害を受けまして、被害額は千九百五十一万八千円でございまして、最も甚大な被害を受けたのは、津管内の桑名出張所で、床上浸水一メートル、富洲原出張所同じく二メートル、福井管内の和泉出張所で八十センチ、名田庄出張所同四十センチ、名古屋管内の弥富出張所が三十センチ、蟹江出張所が同じく三十センチ、津島出張所三十センチの七カ所が、最も甚大な被害を受けたのでございます。特に、弥富、蟹江、桑名の出張所につきましては、被害がはなはだしく、執務不可能となりましたので、一時、事務停止の措置をとりまして、職員を一時引き揚げさした状況でございます。ただ順次、蟹江及び弥富等につきましては、事務停止を解除し、目下平常に復した次第でございます。なお、浸水しました出張所では、登記簿等も罹災、損傷が生じまして、回復登記の措置等を講ずる必要があるのでございます。次に、矯正施設につきましては、管区四庁、宿舎五戸、その被害額百九十七万四千円、刑務所本所では五十一庁、支庁三十庁、宿舎三百二十三戸、その被害額七千二十九万六千円。少年院は、本院三十五庁、分院一庁、宿舎百四十九尺その被害額四千七百十五万四千円。少年鑑別所で二十二庁、宿舎二十四尺その被害額五百九十九万五千円。婦人補導院一庁、その被害額五万円でございますが、特に大阪刑務所管内の堺支所の外塀六十六間が倒壊し、百間が破損いたしました。また、岐阜刑務所の外塀が百六十間倒壊し、名古屋刑務所の舎房一棟百三十三坪が半壊しました。そのほか、名古屋刑務所管内の半田、豊橋両支所の外塀が全壊、三重刑務所管内の伊勢支所の外塀がやはり全壊いたしましたほか、その他、外塀の倒壊、破壊を含めまして、千五百四十八間の被害を受けて治安上憂慮される所もあったのでございますが、職員の応急措置を講じました結果、早急に復旧せしめ、何ら事故の発生を見ずに終わったわけでございます。少年院につきましては、豊ケ岡農工学院の建物全壊百二十八坪で、その他屋根等を含めまして、一庁で三百九十五万円に上り、また、愛知少年院は外柵五百八十間倒壊等で一千万円に上る被害を受けております。しかしながら、この風水害にもかかわらず、収容者の中で死傷害を受けた者は一名もございません。また、逃走その他の事故もないが、ただ、一時、名古屋市におきまして、食糧入手困難等により、緊張いたしたのでございますが、緊急搬送を実施いたしまして、事なきを得た次第でございます。その他、地方更生保護委員会、保護観察所、公安調査局、入国者収容所、入国管理事務所、法務研究所支所につきましても、それぞれ若干の被害が出ておるのでございます。
 これらの被害の応急復旧対策についてでございますが、被害発生と同時に、名古屋高等検察庁に法務災害対策本部を設けまして、本省より営繕課長外九名の係官を派遣いたしまして、最も被害の甚大でありました愛知県を中心として、被害状況の調査並びに復旧対策の実施に出たらしめたのでございます。応急対策といたしましては、とりあえず、各庁手持ちの予算のある所は、これを充当せしめ、その年の分については本省より、とりあえず一千百九十三万一千円を応急復旧として示達しまして、当面の執務に支障のない範囲の措置を講じたのでございます。
 次に、事務費関係につきましては、施設関係の備品消耗品等の復旧費三千二百七十五万円、法務局関係出張所等罹災登記の回復登記復旧費三千二百七十九万円、矯正関係収容者の被災警備、防疫等の対策費八百九十万円、更生保護会施設復旧及び対象者罹災救助費八百四十万円、罹災各所の復旧応援人件費その他八百九十万円でございまして、目下、これらの復旧に努力いたしておる次第でございます。
 なお、災害に伴います治安状況と対策について付言をいたしたいと思います。
 災害発生に伴いまして、東海地区等では一時、主食、野菜、建築資材等の価格が急騰いたしまして、暴利、売り惜しみ等の行為が見られ、また、これらの事犯に加えまして、深夜、浸水家屋等をねらって窃盗等の悪質な刑法犯が発生いたしましたので、名古屋高検、地検等では、警察関係機関と密接なる連絡をとりまして暴利取締本部または水上パトロール班等を編成いたしまして、その取り締まりを強化し、万全の措置を講じたのでございます。以上が被害の概要でございます。
 以上の災害の復旧経費といたしましては、大蔵省に対しまして、施設費一億四千五十二万二千円、備品等整備及び回復登記等事務費九千四百二十二万四千円の予備費使用を要求いたしまして、その結果、施設費としまして六千八百六十三万一千円の予備費使用の内示を受けたのでございます。これと三十四年度の一般経費の各省の人件費を合わせまして、応急の措置は講じ得るものと考えております。また、事務費につきましては、本年度において当省所管の余剰財源をもちまして、流用等の予算措置を講じまして処理する予定でございます。
 以上が伊勢湾台風被害状況並びに法務省の対策費でございます。
 以上をもって御説明を終わります。
#6
○委員長(大川光三君) ただいまの裁判所所管並びに法務省所管の御説明に対しまして、御質疑のある方は順次御発言を願います。
#7
○高田なほ子君 まず伊勢湾台風について、裁判所ですか、それから法務省、両方から大まかな点だけまず聞かしていただきたいと思います。
 まず、法務省の方の今、御説明がありましたが、「伊勢湾台風被害状況及び経費一覧調書」という資料を拝見しておるわけですが、この中で拝見いたしますと、法務局、検察庁、矯正管区、刑務所、少年院、少年鑑別所というように、組織別にあげられておりますが、この数字を見ますと、庁舎の全壊したもの、半壊したもの、これを拝見いたしますと、一番全壊したものの数の多いのが少年院、それから刑務所、それから半壊数もやはりこれと同じように、少年院、刑務所というように数が多いようであります。これらの全壊、半壊のものに対しては、原状復旧というような形でもって復旧が進められていくものか、あるいはまた、世にいうところの、便乗復旧と言われておりまして、あまりいい言葉ではございませんけれども、便乗して復旧するという言葉はちょっとうまくないのですが、たとえば少年院とか刑務所とかは、たびたび本委員会でも指摘されておりますように、もとの古い施設を借用して使っている、それから老朽でどうにもならないというようなところが非常に多いことが指摘されておるわけなので、この際原状復旧する場合に、この借りておるもとの古い建物を使わせてもらっている少年院などが全壊したというような場合には、むしろこの際に適当な計画でもって新しい計画のもとに建て直していくというやり方が、二重手間を省くように私ども考えられるわけなんですが、これを便乗復旧と言われておるかもしれません。この場合の復旧対策というものはどういうふうに計画が立てられておりますものか、この点の説明をしていただきたいと思います。
#8
○説明員(大沢一郎君) 少年院等の全壊庁舎の中に刑務所十庁、少年院十五庁ということになっておりますが、これは施設全部が参ってしまったというわけではございませんで、全壊の工場等の出たところ、あるいは諸施設で浴場が全壊したというようなところを一戸としてあげておるわけでございまして法務省としましても、もちろん、いわゆる今おっしゃいました改良復旧と申しますか、この際によくしようという考えは持っておるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、主として全壊しました棟は、工場あるいは浴場等の付属施設でございます。さような点からいたしまして、いわゆる原状復旧の形で予算要求をしておるわけでございます。なお、もちろん実施に当りましては、原状の不便なままには復旧いたしたくございませんので、原状復旧の範囲内におきまして改良をしていきたい、かように考えておる次第であります。
#9
○委員長(大川光三君) 裁判所の方はいかがですか。
#10
○高田なほ子君 裁判所の方に入る前にもうちょっと一ぺん聞かしていただきたいと思います。今の御説明で大体気持がわかったわけでございますが、刑務所それから少年院、これはいずれも世間の人たちは何かこわがるわけですね。非常に不安に思う点があるわけなので、こういうところの復旧というのは、世間の人がこわがるばかりでなく、むしろ日の当たらないところにおるものはいつでも救護の手がおくれるのですね。ですから中に入っておられる方もそうですし、社会不安というような点からも、特に緊急に復旧ということが私は望ましいことだと思いますが、特に緊急にというような手はずでに打たれてあるのですか、その点どうですか。
#11
○説明員(大沢一郎君) ただいま御指摘のございました他に危惧の念を持たすというような刑務所の外塀の倒壊でございますとか、少年院の寮舎の屋根が飛んだというような緊急を要するものは、直ちに営繕課長が当時現地に参りまして、約一千万の手元にあります経費を充当いたしまして即刻復旧、二、三日のうちにそれだけの応急復旧はいたしました。さような社会不安の生じないような応急の処置だけは完了済みでございます。なおまた、刑務所の外塀につきまして、木造で倒壊いたしましたものは、今度の原状復旧とは申しましても、ブロック等の新しい塀に事実上改善復旧をいたしたい、こういう計画で今実施中でございます。
#12
○高田なほ子君 法務局の方の今度問題になりますが、地方の法務局というのは、ずいぶんぼろが多いようですね。多分今度の台風ばかりでなく、しょっちゅうぼろ法務局はひどい目にあっているのじゃないかと思いますが、この庁舎数の被害状況も、かなりこの数字から見ると多いように思われますが、この場合よその庁舎をちょっと借用して、それに被害を受けたというような場合には、むしろこれはあまりお金を使わないで、新しくやはり新規計画に基づいてやっていく方法が望ましいのではないかというふうに私は考えますが、この点の原状復旧についてはどういう手心が加えられていますか。
#13
○説明員(大沢一郎君) 今の御指摘は、おそらく法務局の出張所が主たる問題かと存じますが、法務省といたしましても、元来法務局出張所は国で庁舎を建設すべきものであると考えておりますので、特に市町村等から拝借しておりまして、今回のような被害を受けましたものにつきましては、明年度等の計画につきましては、それらのものをなるべく優先的に国の経費で要求するという配慮で臨みたいと考えておる次第であります。
#14
○高田なほ子君 裁判所の方にお尋ねします。裁判所のこの被害状況の資料を拝見いたしますと、予備費使用要求内定額が出ておる。さらに被害に対する要求額が九千三百十六万というふうに出ているわけですが、九千三百十六万の被害要求額に対して約半額の金額きり予備費使用の面が出てきておりませんが、これらの調節はどういうふうになさるおつもりですか。
#15
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 御指摘の通り、われわれの要求に対しまして約半額でございまして、われわれといたしましては、必ずしも満足いたしておりませんが、しかし被害額の査定等につきましては、やはり見解の相違というような点もございますので、ある程度やむを得ないかと存じますが、なおまた実際に調査いたしまして、この割当額より上回ったような場合に、しかも国の財政に多少の余裕があるようならそれはみようということになっておりますので、われわれの方といたしましては、一応これで引き下がった次第でございますが、なお足りませんような場合には、手持ちの営繕費もまだ多少ございますので、それをもってやっていきたいと、かように考えております。
#16
○高田なほ子君 裁判所というのは、つまらぬところにひどく遠慮するところですね。被害を受けてお困りになって、被害を受けて実際仕事に差しつかえるというようなところがあれば、もう少し強硬に、あまり遠慮しないで、引き下がらないで、大いに要求してちゃんと仕事のできるように私はしていってもらいたいものだと思う。それは単価の見積もり額の見解の相違等もあるかもしれませんけれども、一般に裁判所というのは、何といいますか、つまらないところに下手な遠慮している向きがあるのじゃないですか。よその省はもっと強引に要求して、そうしてちゃんと復旧するのですね。そういう点があれば、遠慮なさらないでどんどん要求をして、災害復旧のためには全力をやはり裁判所が上げていただきたいというふうに私希望する。これは希望意見です。
 次にお尋ねしたいことは、このデータでも拝見いたしますと、職員の方がおなくなりになっておるようであります。それからまた一部の新聞報道によると、津ですね、津の裁判所の方じゃないかと思いますが、宿直をしていらっしゃるときに、家へお帰りになることができない。そこでお留守をしておられたおばあさんがそのためになくなられたという事例があったようですが、この場合、公務中に家族を救い出すことができないでなくなしたというような場合には、何か補償があるのですか。
#17
○委員長(大川光三君) ちょっと高田委員の質問に関連して委員長からも伺っておきたいのですが、職員の死亡、家族二名の死亡というその当時の状況を、いま少しく詳しくお話しの上で御答弁をいただきたいと思います。
#18
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ちょうど今主管局長であります人事局長が来ておりますので、人事局長からお答えさしていただきたいと思いますがよろしゅうございましょうか。
#19
○委員長(大川光三君) けっこうです。
#20
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 桑名簡易裁判所判事、鷲見判事ですが、これは高潮と揖斐川の氾濫が同時に参りまして、裁判所のすぐ裏手に官舎があるわけですが、そこへ急に水が来まして、結局詳しい経過はわかりませんが、裁判所が、ずっとその辺一帯に水がつきまして大体部屋の天井から一尺ぐらいのところまで水がついてきました。その関係で、どういう状況でなくなられたかははっきりわかりませんが、その鷲見判事とそれから末の娘さんとはなくなられたわけであります。それは裁判所にかけつけるためになくなられたというような事情は見受けられませんので、諸般の事情を調査いたしましたけれどもどうもその点はっきりいたしません。それから一人手首をけがした人がありますが、これは公務災害補償として補償されることになります。鷲見判事の方は、殉職とまでのはっきりした資料がまだ出ておりません。そういう状況であります。
#21
○委員長(大川光三君) それから先ほど高田委員から何か法規の関係についての質問がございましたが、これはどなたからお答え願えますか。
#22
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 家族の公務災害補償というのはありませんので、これは法律上はやむを得ない。ただ、全国裁判所から義援金を集めまして、そしてお見舞いを差し上げたことはあります。そのほか法律上の手当はどうも今のところいたしかねるのでそのままになっております。
#23
○高田なほ子君 私、公務執行中にやむを得ざる状態で家族が死亡されたというような、もし公務執行、宿直でなければ、自宅におられて、お母さんをなくされるということが、あるいはなかったかもしれないという想像ができるわけです。公務執行中でそのために家族が生命上の災害を受けたというような場合は、当然やはり何か規約のようなものを設けられてこれを救済、あるいはまたお慰めするというような手当が必要なんじゃないかと思いますけれども、地方の裁判所では、そういう所内のいろいろの運営の特に共済的な規程というものを設けることは自由にできるのでございましょうか。これはどういうふうになっているのですか。行き当たりばったりなのですか。
#24
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 職員の家族がなくなられました場合には、共済組合法から申しますと、本人の俸給月額の半額を支給する、なおその他お見舞金を支給するということになっております。これは法律上だけの問題でございまして、もちろん、それは支給いたしたのでございますが、なお高田委員から御指摘のありましたように、法律以外の活動をすることは自由かどうか。これはもちろん自由でございまして、実際問題といたしまして現地におきましてもまた、正確なことは存じませんが、多少これはなすったんじゃないかとわれわれは考えております。
#25
○高田なほ子君 それじゃまあこの伊勢湾台風のことについての質問はこのくらいにとどめまして、次に今御説明いただきました三十五年度予算の概算要求について、大まかな点をお聞かせいただきたいのです。裁判所の今度の三十五年度の概算要求を拝見いたしますと、ただいまの御説明にもあった通りに第一審の充実、審議促進、裁判官の待遇改善、こういうふうなことが大きな柱になっているように思っております。この目標には非常に賛意を表するものでございます。裁判官の待遇改善は、かなり大幅な待遇改善の御説明があったわけでございますし、私もこれに対して大いに賛意を表したいと思うのですが、しかし、私もまだ十分に研究はしておりませんが、何かこの系統的な待遇改善ではないように考えられる。先般法務委員会では、裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案に対する付帯決議をつけたわけです。この付帯決議は、憲法上保障された裁判官の特別の地位並びに法曹一元の理想にかんがみ、政府及び最高裁判所は、今後裁判官の待遇及び任用制度の改善について根本的に検討を推進し、特に下級裁判所裁判官の報酬体系については抜本的な検討をしてもらいたい。こういうような付帯決議を、私どもは全会一致をもってつけたつもりです。抜本的な待遇改善ということになりますと、今度の待遇改善に要するいろいろな費用内容などを見ますと、ほんの一部だけ待遇改善されて、いうところの下級裁判官の待遇改善についてはほとんど見るべきものがないように思っております。これではどうもうまくないじゃないかと思いますが、今申し上げた私の質同趣旨に基づいて、体系的な待遇改善、なかんずく裁判官の立場が憲法優位の立場を堅持するという建前から、単にこの書記官の待遇を、俸給の調整を二八%に上げたということだけが、これが、待遇改善にはならないと思う。特にこの裁判所の中に、雇用制度がまだ現存している、雇の制度がまだ存している等の点については、かなり問題になっている点もあるのではないか、こういう点も一応含めて抜本的ないわゆる待遇改善策について所内でもってどのような一体方策が今日まで見られて来たのか、決議案に基づいて。お差しつかえがなければ、この際ここにみなお話をいただきたい。
#26
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 第三十一国会におきまして、ただいま御説明のありましたような付帯決議をいただいたわけであります。その結果日連、日本弁護士連合会におきまして法曹一元委員会というものができまして、そこでその委員会と連絡をとりながら、裁判官の任用制度及び待遇の問題を、いわゆる抜本的な形のものを作り上げるということで検討をいたしておるわけでありますが、まだその抜本的なものといいますというと、結局判事補制度をどうするかといったような問題、あるいは司法研修所の制度をどうするかというような問題なんか相当重要な問題がありまして、来通常国会に間に合うような成案をまだ作り得てない状況であります。で、今度裁判官の報酬として十万円の報酬の点を予算要求書に掲げましたのは、これは現在大都市におきましては事件が非常にふえましたのと同時に、訴訟の審理の遅延といったような事態もありますので、どうしても大都市に裁判官を早急にふやす必要がある。で、大体に百数十名を要するのでありますけれども、まず本年度はそのうちの半分の百八名ほどをぜひ充実強化のためにふやしたい、それでは裁判官の補充源をどうするかという問題があるわけであります。で、来年の四月、判事補から判事に任官する者が約九十名ほどありまして、現在の裁判官の法律定員は、裁判官のうち判事の法律定員は、それで一応充足され得るわけであります。しかしそれ以上に判事を増員する、ところがそれ以上判事を充員するということは、現在の状況では不可能でありまして、その補充源は、もっぱら在野法曹から求めるほかはないわけであります。ところが在野法曹がまず第一線に来られるということになりますというと、まず何といいましても、報酬が従来の報酬ではとても来られない、あるいは退職金も、途中から在野法曹から入られるために、退職金なんかもやはり比較的少なくしか支払われない、あるいは恩給といいますか、退職年金なんかにも不利があるといったような、いろいろハンディキャップがあるわけでありまして、百八人の弁護士さんを、しかも優秀な第一線で活躍し得るような弁護士さんを裁判官に誘致するためには、これはどうしても弁護士連合会から、ある意味においては義務としてでもなるように勧奨してもらうというよりほかにはないわけであります。で、三十一国会におきまして、弁護士連合会から、裁判官の報酬を飛躍的に上げるように、そうして少くとも手取り十万円の報酬額が支給されるようにはしなければいけないというような要望書が、最高裁判所はもちろんのこと、国会にも、政府当局にも出されたと思いますが、今度の予算要求におきましては、弁護士連合会の委員の二、三の方々とお話しいたしまして、とにかく連合会としてはこの通りいくかどうかは今のところわからないけれども、一応十万円という案を掲げるようにという要望がありまして、それで十万円の案を掲げ、それから同時に退職金の支給につきましては、弁護士の在職期間をやはり裁判官の在職期間というふうに、一定の限度で認めてもらって、そして退職金支給額の僅少をそこで緩和していくといったような方法で要求予算を作ったわけであります。ところが、その後日本弁護士連合会と、果たしてこの十万円で来てもらえるかどうかということで、順次折衝いたしておるわけでありますが、まあ今のところ、これで果たして弁護士をやめて、そして裁判官になる、そのことにつきまして、弁護士連合会では、本式に、本腰を入れて応援するのだという態勢まではなっておりませんのが実情であります。が十万円を掲げ、大蔵省と折衝いたします。その経過は以上の通りであります。
#27
○委員長(大川光三君) ちょっと関連して。ただいまの高田委員の御質問に関連して伺いたいのですが、現在手取り十万円に相当する裁判官というのは、どういう地位におられる人ですか。また、これに該当する裁判官が多数おられるのでしょうか。
#28
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 現在月額手取り十万円の報酬をもらっている人は、これは東京の高裁長官以上の認証官でございます。そのほかはみな月額十万円に達していないのであります。
#29
○委員長(大川光三君) そこで、この百八人の増員をはかるということはいいのでありまするけれども、もし手取り十万円以上の報酬を得られる裁判官が高裁長官以上であるということになると、その新規に裁判官になられる人との調整はどういうふうになるのでしょうか。これは私は御趣旨はよくわかりますけれども、実際問題に即して、他の関係の報酬も動かしてこなければ、これは実際はできないのだということになると、何かそこに、この予算要求に大蔵省から突っ込まれる感じがいたしますので、重ねてこの点伺いますが、いかがでしょうか。
#30
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 御説の通りでございますが、弁護士から裁判官になりますためには、弁護士さんの長い間の地盤も捨てて、そして裁判官になるわけであります。で、事件を受けるに当たりまして、着手金その他をもらって準備などをされ、まあ生活費にも充てると思いますが、これを裁判官に踏み切るためには、そういったものをも整理しなきゃならんわけであります。それから地盤を捨てるのはもちろんのことでありますけれども、一流の弁護士さんといえば、みな五十過ぎになっておられると思います。そうしますと、残りがわずか十五年ということになるわけでありまして、退職金もやはり非常に少なくなる。それから退職年金もその点で非常に不利になる。で、まあはなはだしい犠牲をしょわせるわけなんです。ですからそれは今までの裁判官が当然十万円になるということは、これは非常に望みたいわけでありますけれども、裁判所の自体といたしましては、ここで何人かとにかく裁判官を増員しないというと、国民の負託に沿うわけにはいかない。ですから今までの裁判官は、これは当然先般の改正におきまして切りかえたばかりであります。今すぐにそこまで持っていかなくても、これほど大きな犠牲を払って裁判官になろうという弁護士さんに、その十万円というものを考えるということは、これはやはりしんぼうしなければならぬ。そうして裁判官の報酬体系というものは、別個に本格的に考えていくということでそういうふうな考えを持ったわけであります。
#31
○高田なほ子君 この下級裁判官の待遇については御答弁がなかったのでありますけれども、どうですか、下級の裁判官の待遇等については、これで満足だというふうに考えておられるわけじゃないでしょう。
#32
○最高裁判所長官代理者(守田直君) その点は、先ほど申し上げましたように、抜本的な任用制度から考えていくということで、検討中でございます。これで満足しているという趣旨では絶対にありませんけれども、これは法曹一元との問題もありますので、検討しているというのが、目下の段階であります。
#33
○高田なほ子君 次にお尋ねしたいことは、裁判官の管理職手当の問題です。この管理職手当は、一般の行政官と全く同じように、二十五、十八、十二という格づけをしているわけですが、どうも裁判官に管理職手当をつけるということについては、これは正当なものだというふうにお考えになっておりますか。暫定的にこういう形にせざるを得なかったという考え方でおられるわけですか。どちらですか。
#34
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官の管理職手当というものは、親しまないというふうに思っております。ただ実際問題といたしましては、行政官に管理職手当がついておりまして、裁判官がその管理職手当との関係で、相対的に下がっておる。ですから裁判官の報酬体系は別個に考えるといたしまして、差し当たって管理職手当をつけて、そして相対的に下がった裁判官の報酬を行政官並みにもっていきたいという、行政官より相対的には裁判官の方が上でありますけれども、下がった分を回復したいという趣旨でございます。
#35
○高田なほ子君 下級裁判官については、もう少し実態に即したような待遇改善というようなものを早急に私はしてもらいたいということを強く要望したいのです。これは一つの例にしかすぎないのですが、下級裁判官には、赴任旅費、手当なんか完全に支払われていないんじゃないか。三十四年度の予算では、かなり旅費の節減等があったと思いますけれども、しかし、裁判官の場合には、旅費、手当をむしろ増額しているというような現状でございますが、一部報ずるところによると、赴任旅費、手当の着後手当は、借家、それから国営の宿舎、こういうものには二泊分の着後手当しか出していない。これは内規では、自宅以外の着後手当というものは五日分の支給がされるということになっておれば、当然やはり一般の下級裁判官の着後手当も、五日分の支払いをすることが妥当じゃないかと思うのです。これは重箱のすみをつつくような質問で申しわけないのですけれども、ただ下級裁判官に対する思いやりというものが欠けているんじゃないかということを指摘したいのです。憲法でも、下級裁判官の待遇というものは、いかなる事情があっても減額してはいけないというふうに、わざわざ憲法でもって八十条に保障してある。それを実際には二泊分の着後手当きり出していない。こういうようなことでは、あたたかいやり方じゃないというふうに考えられる。この点はどうなんですか。
#36
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 手元に資料がございませんですが、そういうことはないはずでございますが、裁判官の赴任につきまして、着後手当を支給できるのを支給制限しておるというようなことは全然ないと思います。
#37
○高田なほ子君 それは実例があるからこういう質問をしているんです。自宅以外のところは五日分の着後手当が支給されることになっている。しかるにもかかわらず、二泊分の着後手当きり出さない。そうして司法労組あたりからも、着後手当の完全支払いというようなことを掲げられるということは面目ない話しです。これはやはり下級裁判官に対する思いやりがないから、そういう問題が起ってくる。これはよほどお調べになって、やはり憲法の精神に沿って、完全にこれらのものが支払われるように、ささいな金ではありますけれども、俸給の薄い下級裁判官に対しては、こういうこまかい思いやりが必要ではないかというので私は御質問申し上げているわけです。御注意いただきたいと思います。
#38
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 私の知った範囲におきましては、そういうことはないと思いますけれども、またよく調べてみまして、もしそういうことがありますれば改めたいと思います。
#39
○高田なほ子君 どうか待遇だけはこういう手落ちのないように、十分にお気をつけ下さるようにお願いしたいと思います。
 その次にお尋ねをしたいことは、今度の予算要求の中に、「家庭裁判所の整備充実――少年対策の強化」、こういうふうにうたっております。そこで、この家庭裁判所の調査官に対する待遇改善、これはしばしばこの委員会でも取り上げられた問題であり、私一昨年の速記録を拝見いたしますと、宮城タマヨさんが、五鬼上事務総長に対して、家庭裁判所の調査官の待遇改善について意見を述べられ、裁判所側は、十分に検討いたしますという御答弁があったはずであります。ところが、今度の予算を見ると、さっぱりこの調査官の待遇というものの改善がされておらないように思います。この点いかがなものでしょう。
#40
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 説明書きの第二の二の(四)、「書記官等の待遇改善」でございますが、この「等」の中に調査官も入っておるわけであります。家庭裁判所調査官に対しましても、一〇%の俸給の調整をしようということと、もう一つは、これは予算として主計官に折衝するのではなくして、むしろその前に大蔵省の給与課と折衝するわけであります。そこで、人件費の予算の一分野といたしまして、等級別定数というのがあるわけですが、その等級別定数の上の等級への定数をふやすということで折衝をいたしておる次第であります。
#41
○高田なほ子君 なるほど書記官等の待遇改善の中には、八%から一六%に俸給調整の引き上げがうたってあるわけですけれども、これだけでは家庭裁判所の調査官に対する待遇改善には私はならないんじゃないかと思う。宮城さんの質問された要旨は、書記官のワクの中に調査官を入れておいてはいけない。むしろ書記官のワクの中で処理するのではなくて、特に家庭裁判所の調査官が、少年事件については、非行少年の近隣交友その他の環境、生活、不良化の過程、犯罪の動機、こういうものを科学的に調査するのみならず、調査官はどうしたらこの少年たちがりっぱに更生するであろうかというようなことを診断をして、十分この意見を裁判所に提出する。その処分意見の中には、刑事処分に相当だとか、あるいは少年院送致に相当だとか、自由の拘束を含むものでもあり、その処分の意見をきめるのに際しては、裁判所の所長は何人の指揮命令を受けないで独自の意見をきめるわけでありますが、こういう重要な役目を果す家庭裁判所の調査官というのは、ほんとうに独立官庁に準ずべき待遇をしなければならないのだというようなことが、宮城さんのやはり質問の要旨の中に入っておるわけなんです。こういうような要旨も組み入れて十分に、しからばこの待遇については検討をしたい、こういうような御答弁があってからすでに二年の歳月を今日けみしているわけですが、その後何らかの御答弁に対して見るべき待遇改善の方法が講じられない、これは非常に私、遺憾だと思う。今日東京の家庭裁判所では、一年に八万件の少年事件をわずか九人か十人ぐらいの裁判官で処理しておるわけですが、そんなにたくさんの件数の処理が、九人か十人かでできるというのは、やはり調査官が、私が以上指摘したような真剣な活動に基づいてこういうような処理ができるのでありますから、これは裁判官の片腕以上の私は役目を持っている方々なんですからね、これに対する待遇というものについては、相当に御考慮願わなけりゃならないと思う。調査官の裁判制度の中における地位というものをもう少し研究なさる必要があるのではないか。その地位に基づく待遇改善というものが、早急に講じられなければならないのではないか、こういう意見を私は持ちますが、これに対していかがですか。
#42
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 家庭裁判所調査宿の制度をどういうふうにするか、すなわちレフリー制度との関連におきまして、事務総局の所管の家庭局において検討をいたしております。これは成案を得れば、御審議を願うような事態になってくるかと思いますが、現在まだそこまでは参っておりませんが、検討は十分いたしておるわけであります。ただ、家庭裁判所調査官の現在俸給上どういう地位にあるかということを簡単に申し上げますというと、まず行政職俸給表一等級というのは、これは次官でございますが、各省の次官がこれであります。これは調査官には次官という相当のところがございませんので、まだ一等級のものは入っておりません。しかし二等級には大体八人おります。三等級には百一人、四等級に三百四十九人現在おります。二、三等級というのは各省の本省の周課長クラスであります。三、四等級と申しますというと、各出先の、出先と申しますとあれですが、ブロックの局課長が大体三、四等級になっておるわけであります。で、この調査官は、その四等級以上が大体四〇%ぐらいに当たります。各省、まあ全行政官庁で申しますというと、大体一三・二%ちょっとでありますが、調査官は大体四〇%が四等級以上になっております。書記官、書記職よりはやはり有利になっているわけであります。これは家庭裁判所調査官を、制度的にどういうふうにするかということは別論といたしまして、これも考えなければなりませんが、現在の状況におきまして、現在の給与体系のもとにおきまして、調査官の待遇を改善するということになりますれば、高い等級へ格づけしてやるという以外にないわけでありまして、その高い等級に格づけするということは、これは大蔵省と十分折衝いたしまして、そうして高い等級別定数を取るということになるのであります。で、そういうふうにしてとりました家庭裁判所調査官の定数というものが、ほかの行政官庁よりも、あるいは裁判所内部の他の官職よりも、はるかに高いわけなんです。ですからこれはまあ一年でできたわけではありませんで、順次こうして上がってきているわけであります。本年度もまた上げるように交渉いたしているわけであります。以上が大体の状況であります。
#43
○高田なほ子君 四等級以上が四〇%以上だから、他の裁判所の方々よりも非常にいいということは、これは理屈にならないと思うのです、そういうことはね。たまたま経験年数と学歴と、それらのものの古い方が多い場合には、これは今のあなたのおっしゃったようなことが当てはまるかもしれませんけれども、一般的にこの調査官の待遇というものについては、やはり検討をしていただかなければならないので、高い等級に格づけしていただくことはこれはもちろんのことでありますが、今どうも他の官庁よりは大へんにいいというようなお話がありましたが、どうも私の調べたデータでは、他の官庁よりはよくないように思いますが、これは私の研究が足りないのですか、どうですか。その点、一つもう一ぺん他の官庁よりもいいか悪いかですね、おっしゃっていただきたいと思います。ちょっとね、こういうふうになるのです。この私の調べたのではね、一般職の職員の給与に関する法律、これは実施しているわけです。そうすると調査官の待遇は、当然法律通りに行なわれるわけですがね。たとえば大学卒業で高等学校の教頭だとか校長とか、こういうふうになったような場合はどういうふうになるかというようなことを、ちょっとこのデータでもって読んでみますと、大学卒業で、経験年数三十二年の家庭裁判所の調査官の給与はね、法律による標準給与は、順調に二等級に進んだ場合は五万五千七百五十円、それから順調に三等級に進んだ場合は五万三千四百五十円という数字が出ているわけです。ところが教育界における大学卒業三十二年経験のものの標準給与は、四万九千五十円と、こういうふうになって、確かに表の上ではこの調査官の給与の方が上になっているわけなんです。ところが、実際に調査官の待遇を調べてみますと、三十一年もこの調査官をおやりになって、五十代の家裁の主任調査官の俸給は三万七千百十円だ。そうだとすれば、さっぱりこの一般職の職員の給与に関する法律の実施が、この表通りに実施されていないのです。五万五千七百五十円の給与を受けるべきものが、実際には三万七千百十円の給与きり受けてないということになれば、これは待遇がはなはだしく悪いと言わざるを得ない。これは大学を卒業した人の例で、今私、申し上げているのですよ。これは高校の教頭さんあるいは校長さんは四万九千五十円ですが、家庭裁判所の主任の調在官が三万七千百十円ということになると、これは教育界から見ると、ずっと下回っているということになる。これはどういうわけなんですか。
#44
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 家庭裁判所が発足しまして十年になるわけであります。今御指摘のような人たちは、他の官庁に勤務されておって、それでこちらへ来られたのじゃないかと思います。調査官になられるのに下げて任用するということは、決してやっておりませんので、もとが低かったのかもしれませんが、調査官なるがゆえに、調査官になるために下がったということは絶対ないわけです。
#45
○高田なほ子君 それは確かにありませんか。
#46
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ないと思います。
#47
○高田なほ子君 なぜこんなふうになるのか、私はこの表を見まして非常に驚いておるわけです。
#48
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 大学を同じく卒業いたしまして、各省の例をとりますというと、課長になる者は非常に少ない、局長になる者はなお少ない、次官になる者はりょうりょう。しかし、同じく大学を出ているわけでありますが、課長にならなければ、いつまでたっても低いわけであります。局長にならなければいつまでたっても低いわけです。こういうような形になっておるわけでありまして、大学を卒業したからといって、みな同じだというふうには、これはならないわけです。調査官も首席、主任というのがありまして、それにならなくてもある程度上げることは間違いないのですが、主任や首席になった方が早く上がるということでございますが、要するに転官してきたときに、その当時もらっておった、よそでもらっておった給与がどのくらいであったか、それがまず転官の場合の基準になりまして、そうして法律に定めるところの昇給基準によって順次上がっていくというようなことになりますから、大学を卒業して三十年になった人でも、やはり低い場合があり得る、これはどこの官庁一でも同じだと思いますが、それゆえに特にそれを低くした、調査官になったがゆえに低くしたということは全然ありません。
#49
○高田なほ子君 私が申し上げているのは、これは東京家裁の方ですが、あなたもお調べになっていただきたいのですが、この方は経験年数三十二年の大学教授出身の調査官です。給与表を忠実に実施していくと、三等級の場合は五万三千円になる、一等級の場合は五万五千円になるのです。ところが現在その三万七千円ということになると、これはどこかでもって待遇が完全に行なわれていないということになる。私はあなたの今の御答弁をもとにして、もう一ぺん調べますけれども、あなたも一つ、この調査官の待遇という問題については、相当お調べ願わなければならない。
 これに関連して、最高裁は、昨年せっかく予算をお取りになりましたが、調査官八人だけは二等級にできる紋別定表の予算を取っておられますね、本年度の予算でも大体八人お取りになっておるようですね。
#50
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 要求はしてあります。これは従来のままとして要求してあるわけです。そうして新たな要求の分は目下大蔵省と折衝しているわけです。大体二等級は十四人にいたしたいということで、目下折衝中でございます。三等級も同様にふやして請求しておるわけであります。
#51
○高田なほ子君 せっかく請求して予算をお取りになっても、昨年も二等級の六人分の予算をお取りになっておりながら、二年間もこの予算を使わないというのは、どういうわけですか。
#52
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 他との均衡上待たしているというのが実情らしいのであります。二等級にみんな持っていってやりたいことはもちろんでありますけれども、それを一時的に持っていきますと、他と均衡を害するということが主たる理由であります。従いまして、この八名のほかに今十四名を要求しております。が、そういうふうに十四名ほどふやしていきますというと、同時に上げてやれるということになるわけであります。それで非常に一生懸命になって八名を十四名にふやそうという要求をしているというのが実情であります。
#53
○高田なほ子君 ずいぶん私それはおかしな御答弁だと思うのです。あなたを責めるわけではないのですが、せっかく六人分なら六人分の予算を取っておきながら、それを二年間も使わなかったことを追及されると、他との均衡上それはやらなかったということは、あまりお話がひど過ぎるのじゃないか、初めからそんなら他との均衡上予算の要求をなさらなければいいわけです。二年間も取った予算を使わないで、そうして待遇改善に努力しないということについては、どうも私は納得がいかない、もし他との均衡上やれないということなら、取った予算を一応使っておいて、他との均衡上この人たちも上げなければならないから予算をこれだけふやしてもらいたいという要求をなさることの方が本筋であって、ほかの方が上がらなければ、取った予算まで二年間も使わないということでは、いつまでたっても調査官の待遇改善というものはできないのじゃないかというふうに思う。それは筋が違うのじゃないですか。
#54
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 二等級が八名あります。それから三等級が百一名あるわけでありますが、この場合に、この二等級の定数というものは三等級の定数をふやして使えるということになりまして、三等級が大体百七名分として使われるというようなことになろうかと思います。これは今まで上げなかったのは、ただいま申し上げました通りでございますが、ぜひ十四名にふやしまして、そうして実施したいと思っている次第であります。
#55
○高田なほ子君 ただいまの御答弁では私は納得しない、それでは納得いたしませんが、あらためて私はこの問題についてあなたに個人的にも少し話し合ってお互いの意見の調整をはかっていきたいと思います。
 次に、やはり調査官の待遇問題に関連することですが、どういうわけで家裁の調査官には首席調査官、次席調査官、主任調査官、平調査官というふうな級別をつけ得られるのか、首席調査官は三等級、一部二等級の者もあるようです。次席調査官は三等級、主任調査官は四等級で一部三等級の者がある、平調査官は四等級ないし六等級、各等級の給与の内容は、家裁調査官の給与の表の中に書いてありますから、ここで私申し上げませんけれども、最高裁判所の判事あるいは高裁の調査官については、首席とか次席とか主任とか平とかいうような区別を設けたりしてないのじゃないかと思います。どういうわけで家裁の調査官だけがこういう階級を設けて、わざわざ待遇を不利にするような方法をとっているのか、この理由がわからない。
#56
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 御承知のように、裁判所法によりまして首席家庭裁判所調査官という制度がございます。それはいわゆる調査官の、ほかの仕事もいたしますが、管理監督の事務をいたしているわけであります。調査官が相当数ありますし、調査官の職務というものは相当高度のものでありますので、一人の首席調査官においては十分コントロールできない。ですからそこに首席調査官の補佐役として次席がある。また数人のグループになって仕事をする、そういったような場合には、やはりだれかがそこに音頭をとる人が要るというので、そこに主任というのがあるわけであります。そういう調査官として仕事のしやすいように、そういう段取りができているわけでありまして、これあるがゆえにかえって調査官の給与が低くなるというような性格のものではなくして、それあるがゆえにかえって上の級まで取れるというふうに考えております。
#57
○高田なほ子君 それは見解の相違かもしれない。家裁の調査官とそれから高裁の調査官というのはそう仕事の違うわけのものでもない、そう非常な違いを持っているものではない。そうだとすれば、家裁だけが給与を職階制で区別していくというやり方については、やはり疑問があると思う。やりいいように四つの階級に分けてあるのだと覆われるかもしれませんけれども、職階制で給与を区分するやり方というのは、あまりこれは私いいものだと考えていないのです。責任の所在というものについては、やはり平の方もあるいは主任の方も相当接近したような重いお仕事をなすっていらっしゃるわけですから、できればこのようなむだの職階制の区分をおやめになって、高裁の調査官と同じような取り扱いをなさるということが望ましいのではないかというふうに私は考える。
#58
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 高裁の調査官、これはたとえば海難審判所の審判官をしている、あるいは特許庁の審判官をしておる、そういった方々が高裁の調査官になっておられますし、その数もきわめてわずかであります。そういう人たちは海難審判事件あるいは特許事件に関しまして各庁でなされた審決に対して、東京高等裁判所が管轄権を持っているわけであります。それは特殊の技術的のものでありまして、そういう特殊の経験を有した人が調査官になっておるわけであります。その数もきわめて少ないものですから、そこに首席とか次席とか主任とかいうようなものを設けない、そういうわけでございます。
#59
○高田なほ子君 調査官の責任ということになれば、私は同じだと思うのです。なるほど高裁の調査官が技術関係の調査官でいろいろ局部的の鑑定をする。鑑定をするけれども、裁判の判決に最も重要な役割をやっぱり果しているわけですね。家裁の方はむしろ総合的ないろいろの研究調査をなされるわけですから、一面から見れば、私は家裁の調査官の方はずいぶんやはり重要な仕事を持っていると思いますが、裁判の言い渡しに大へん重要な責任を持っているという点から考えれば、やはり同じような比重でもって考えなければならないというような見方を私しているわけです。従って高等裁判所の判事と家庭裁判所の判事と、これは給与か違わないでしょう。
#60
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 家庭裁判所の判事なるがゆえに低いということはありません。
#61
○高田なほ子君 今私が申し上げたように、家庭裁判所の判事とそれから高等裁判所の判事というのは、何も違わないのですから、やはり高裁の調査官とそれから家裁の調査官というものは同列にやっぱりお考えになって、特にこの職階制の区別を設けて仕事がやりやすいとは言うけれども、職階制の区分というものを設ける必要はさらさらないのじゃないか、同じように取り扱うべきではないか、こういう私は考え方を持っている。これについてどうでしょうか。
#62
○最高裁判所長官代理者(守田直君) ただいま御説明いたしましたように、現場における仕事のやりやすいようにそういうものができたと思いますけれども、その点についてまた十分検討いたしますし、現場の意見もよく聞いて考慮いたしたいと思います。
#63
○高田なほ子君 それから、私先ほど調査官の仕事の中で質問いたしましたが、レフェリー制度の検討を今家庭局で研究している、こういう御答弁があったのですが、この御答弁は二年前の国会の答弁にもそういうことがあるのです。何年たったらレフェリー制度の終結的なものが出るのか、その研究の経過や何かをさっぱり御報告にもならない。いつになったら結論が出るのか、調査官の待遇となると、必ずレフェリー制度の研究をしていますということでお逃げになるのですけれども、それは無責任じゃないですか。
#64
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 私所管でないものですから、その点家庭局長からいつの日か説明があると思いますが、私にはちょっと御答弁がしかねます。
#65
○高田なほ子君 その点はよろしうございますが、私は裁判官の待遇改善については、皆さん以上に私は熱心だと自分で自負している。と同様に、戦後新しく出発して、今日少年事犯が非常に多くなってきて、どうだこうだというような問題が今ここに俎上に上っているさなかに、重要な役割りを占める家裁のこの調査官の待遇というものについては、十分にこれは研究をして、そうして先ほど指摘したように、給別表がありながら、実際に支給される金額が表よりもむしろ下回って支給されているというようなことを、これをぜひ排除して是正していただくとともに、さっき指摘したように、せっかくとった予算を二年間も使わないで、他との均衡のために据え置くというようなことをおやめになって、家裁の調査官の待遇というものについては、ぜひ本腰を入れていただかなければならない、このことを十分に申し上げまして裁判所に対する一応の質問を私終りたいと思います。いかがですか、この調査官の待遇については……、怠慢だと思ったら怠慢だというふうにお答えいただけばよろしい。
#66
○最高裁判所長官代理者(守田直君) 私人事局長になりまして一年ちょっとでありますが、まだそこまで十分に手が回っていないのが実情でありまして、十分検討いたしまして上げるべきものがあれば十分上げますし、従来のやり方におきましてまずい点がありますれば当然是正いたしまするし、待遇の改善の実を上げたいと思っております。
#67
○委員長(大川光三君) 他にございませんか。
#68
○赤松常子君 ちょっと簡単に……。非常に青少年対策が最近強く要望されておりまして、法務省関係及び裁判所関係の予算を拝見いたしまして、私もまだ研究いたしておりませんけれども、これで果たしていいのがどうか、十分仕事ができるかどうかということに実は不安を持っておるわけでございます。その中で特に裁判所関係の、家庭裁判所の整備充実、青少年対策の強化という第三項ですが、「再犯予測研究および非行少年の実態調査」これを百万円内外でございますけれども、こういう非常に大事な仕事に、これが基礎になると思うのです。この項目はほんとうに基礎になる。こういうお仕事に対して、百万円内外ということは、私非常に不可解に思うのでございますが、これで果たしてできるものかどうか、この点の御説明をちょっと願いたいと思います。
#69
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 「再犯予測研究および非行少年の実態調査」につきまして、御指摘のように百二十二万七千円というわずかな金でございますが、これは内訳を御説明いたしますと、人件費は入っておりませんので、結局現在の調査官が主になってかようなことをやるという趣旨で、人間の増加はございません。内容は調査官の協議会の経費、調査官の超過勤務手当、調査表、これは印刷物でございますが、調査表等の印刷費、それから、各庁を回りまするような事務連絡の費用、旅費かようなものでございます。われわれの方といたしましても、本格的にやるといたしますと、かようなもので決して十分だとは考えておりませんが、何せ新しい制度でございますの外れとりあえず一応まず初年度においては、この程度のものをやろうという趣旨でございます。
#70
○赤松常子君 ほんとうに人件費でおありにならぬということは、まあ一応よくわかったのでございますけれども、それじゃどなたかの兼務、兼ねてなさるわけなんですか。だれがこういうお仕事をなさるか。別に新しく人をお入れになるのですか。それとも今までの調査官の方がこの仕事を兼務なさるのでございましょうか。
#71
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) ただいま御質問ありましたが、私が御説明まずかったかと思いますが、人間をふやすわけではございませんので、現在の調査官がかような仕事をやるという趣旨でございます。従いまして、先ほども申し上げましたように、調査官の超過勤務等もあるかと思いまして、その費用もここに入っておるわけでございます。
#72
○赤松常子君 まあ、これだんだん機構的にも充実していただきたいと思っておりますし、私これがほんとうの基礎調査になる部門だと思いますので、今後この充実をぜひ要望したいと思っております。
 それからその次に日当の問題でございますけれども、証人の日当二百三十円、これが五百円に増額する。それからその二ページ先にあげてございますね、調停委員の日当の増額、従来四百四十円でございましたのが七百円、非常に低過ぎたこと、申すまでもないのですけれども、これが五百円になり、あるいは七百円になるという、この程度でも私はまだまだ失礼ではないか、こういうふうに思うのでございますけれども、それはまあこれからだんだん上げていこうとおっしゃるでしょう。けれども、ここに差がございますのは、どういうわけでしょうか。証人と調停委員それは仕事の内容がいろいろと違うからでありましょうが、もと低かったからこの程度ということになるのでしょうか。同じ日当で、なぜこんなに違うものでございましょうか。仕事の内容からくる差額でございましょうか。
#73
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 証人はまず束縛されます時間も必ずしもそう長くはない。たとえば十分で済むこともございましょうし、また、内容的に申しましても、やはり調停委員となりますと、大ていの場合におきまして証人よりまあいわゆる仕事の内容が重要であるというような趣旨から、一方は四百四十円、一方は二百三十円というので差額ができておると私は了解しております。
#74
○赤松常子君 まあ、これでも私あまり失礼だと思っておりますが、段階的にぜひ充実していただきたいと思っております。
 それからその次に保護司のお手当の低いことがいつも問題になっておりますけれども、今度保護司の手当の増額は、どういうふうに考えていられるのでしょうか。
#75
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 保護観察所の保護司は、法務省の所管でございますから、法務省から……。
#76
○赤松常子君 これにはないわけですか。
#77
○最高裁判所長官代理者(栗本一夫君) 裁判所ではございませんで、法務省の関係でございます。
#78
○赤松常子君 法務省関係。それではこれに入っておりますか。
#79
○説明員(大沢一郎君) 保護司の方々に対する実費弁償金の低額でありますことは、今までたびたび御指摘を受けまして過去数年来毎年少額ではございますが、増額を認めてもらっておった。しかしながら、保護司の実費償還金の問題でございますが、保護司の沿革と申しますか、元来司法保護をもとにいたしまして、保護観察所におきます保護司の方々の御協力という発展的な沿革関係からいたしまして、元来司法保護の面におきまして司法保護委員と申しますか、篤志家のみずからの資力をもちまして慈善的な考え方から、犯罪者あるいは少年の非行者というものに対する保護の手を伸べておられるわけでございます。それが、昭和二十二年でございましたか、更生保護緊急措置法、さような観点から保護観察所の保護司ということになってきたわけでございます。さような沿革的な意味で、元来が民間の方々の自発的な御協力という建前に立っておりまして、実費弁償は、ほんとうに電車賃とか、あるいは手みやげをさげていらっしゃるその費用というような考え方から出発いたしました関係で、非常にもとは少なかったのでございます。そのために漸次改善はいたしておりますが、いまだに十分ということに相ならない。そこで、昨年度要求いたします際に、保護司の方々に実際にどのくらいお使いになるかということを、実地に実は照会を出したのでございますが、その照会の結果、保護司の方々は、ほんとうのことをおっしゃらない。つまり、これは自分の篤志から出たことでということで資料が集まりませんので、十分な、それを予算にまとめます上に、いわゆる金額に乗ってこないわけでございます。さような意味で、われわれとしましても、実際はかかっているのでしょうが、元来のお心持が、さような意味合いから、自分の金でやってやるのだというようなお気持から、少年保護等にお当たり下さいますので、その予算を要求します資料としてまとまったものが出てこない。さようなわけで、われわれとしましても、資料が非常に不十分でございましたが、われわれの調査しました範囲内におきまして、昨年度は三千万円の総額の増額を認められたわけでございます。本年度の予算要求にあたりまして、各地の保護司の方々の保護司会というものがございますが、全国保護司会の方々の御意見も徴しまして、むしろ少年院の保護観察、保護観察所におきまする更生保護の面では、観察所自体の機構としての充実が保護観察を推し進める上においてなお緊急度があるというような御意見でございましたので、本年度は保護司の実費償還金の増額というものは、ほんの一部分の少年保護の相談に当たって下さる方々の程度にとどめまして、本年度の保護観察所におきます予算の増額重点を、各支部におきまする保護観察所の支部ないしは保護観察官の増員という面に重点を置きまして、本年度は全般的な保護司の実費償還金の増額ということは要求しておらない次第でございます。
#80
○赤松常子君 その沿革的なことはよく存じ上げておりますけれども、そう前時代的な善意のみに頼るというような、こういう機構は改革すべきであるという議論も二、三年来あることは、御承知だと思うのでございます。ですから、いつまでもただ善意に頼って、やってあげるのだという気持にもたれていてはいけないと思うのでございます。これをもっと、資料をお集め下さることも大事でございまするが、今あなたのおっしゃる、なかなかおっしゃらないとおっしゃいますけれども、言う方もあるのですね。これではほんとうの仕事ができないから、交通費にも足りないからということをはっきりおっしゃる方もありますので、私は、もっと熱心に資料をお集めになられれば、資料は集まるはずだと思うのでございます。私、今伺いましてほんとうに失望いたしましたが、全然保護司のお手当も増額にならないというわけなんですか、来年度は。
#81
○説明員(大沢一郎君) ただいまおっしゃいましたように、われわれといたしましても、いわゆる昔の司法保護が新しい更生保護になりまして、いわゆる国家の大きな検察、行刑、保護という国家活動の一環を占めるというような建前から、保護司の方々の活動の実費を弁償する、全額弁償すべきである、このお手当というのを除きまして、実際に動いていただく実費の弁償をすべきであるという考え方は、先生のおっしゃる通り全く同感でございます。われわれといたしましても、この増額に毎年努力をいたしまして、春先生方の御賛同御援助を得まして、年々、昨年一昨年と二年続いて増額を受けたわけであります。それで、それらの資料といたしまして、実際問題としまして、熱心といいますか、各保護観察所を通じまして、保護司の方々の資料を御提出願うようにやかましく申しておるのでございますが、やはり先生方、保護司の方々の中には、そういうものはおれが出すものかといって、どうしてもお出し下さらぬ、それでまあ実はわれわれは大蔵省に持ち込みました際に資料が足りない、その線で非常に困っているわけであります。それで保護司の方々も、むしろ保護観察所の機構充実が、今の保護観察所で最も弱いのがやはり役所機構である。だから本年度は、保護観察官を増員し、また旅費庁費等の増額を要求して、まずこの責任官庁である保護観察所の充実を先にしろというような各地方の大会等の決議もございましてわれわれのはあとでいいからというそういう方々でございまして、その言葉に甘えましてまず機構を拡充しましてという考え方から、本年度は全般的な要求は一年待っていただくということにいたしたわけでございます。ただ、青少年対象者の補導に当たっていただく特別の方につきましては、各保護区に二名ずつ、青少年担当の保護司をお願いしてございます。その方には、一日四百円で月四回分の特別実費償還金を要求しているわけでございます。ことしはさような沿革経緯もございまして、保護司実費償還金の全面的な増額ということは、一応保護観察所の機構を充実するというのと置きかえまして、本年度一年休んだわけでございます。さような事情でございますので、一つ御了承願いたいと思います。
#82
○赤松常子君 それは私、弱いところの方、弱いという意味は当たらないと思います。自分で喜んでなすっていらっしゃるそのお気持はたっといと思うのですけれども、それに甘えてもたれているというそういう態度は、何かしら私は改革していかなければいけないと思っておりますが、余地ないでしょうか。私は強く要望してそういう方々の実費弁償、それから働けるだけのその費用というものは十分見てもらいたいと要望いたしたいと思っております。
 それから最後に第四に「不動産不法占拠、銘酊犯罪等に対する緊急立法措置」この中で、めいてい犯罪に対する立法措置に対しまして、この合計しての概算でございますが、どのくらいお見込みでございましょうか、ちょっとこの内訳をお聞きしたいと思う次第です。第四項目でございますね。
#83
○説明員(大沢一郎君) 参事官室の調査委託謝金、あるいは調査旅費、資料作成費等として全体としてこの金額を要求しておりますので、そのうちの幾らがめいてい犯罪関係あるいは不動産不法占拠関係ということはきめておりません。同じ刑事局の参事官室で分担をきめまして必要に応じまして調査委託をし、あるいは調査に出るということにいたしておりますので、金額内訳は予算要求の内訳にも分けておりません。
#84
○赤松常子君 緊急立法措置としてございますから、緊急の問題として扱っていただけると思うのでございますが、ぜひ来年度この予算が取れて、そういう措置ができるようにお願いしたいと思いますが、めいてい犯罪の問題は、重要に考えていただきたいと申し上げておきます。
#85
○委員長(大川光三君) ほかにございませんか。
#86
○高田なほ子君 大沢さんにお尋ねしますが、今御説明いただきましたけれども、概算要求のこれの中に現われておりませんが、外務省所管に計上される予算、あるいはまた建設省所管に計上される予算、そういうものがあれば、ここにつけ加えて説明していただきたい。
#87
○説明員(大沢一郎君) 建設省所管に計上せられます予算は、この第八の一般営繕というもののうちの法務官署施設費四十二億九千七万七千円のうちから、それが法務省所管につきますものと、建設省所管につきますものとが分かれるわけでございます。一般官署につきましては、建設省において予算を計上いたしまして施行してそれを法務省に引き渡す、そしていわゆる法務官署でございましても、拘置所と検察庁の合同庁舎というような形で法務官署施設費に計上せられますものが、法務省独自の予算として入ってくるのであります。さような意味でわれわれといたしましては、法務官署施設費として要求いたしまして、そして大蔵省の方の予算の割り振りによりまして、法務官署施設費のうちの一部が建設省所管として法務官署分として計上されることに相成るのでございます。これは大蔵省と予算の折衝が進みまして後に決定することに相成るかと思います。
 なお、外務省に計上せられます分は、いわゆる在外公館駐在員の四人でございます。来年度要求は法務省といたしまして三千百八十三万、四人分の要求をいたしております。これが認められますれば、その分が外務省所管として計上されることに相成るかと思います。
#88
○高田なほ子君 今度新たに反民主主義活動の対策の費用など出てきておるようですが、これは前年度の公安調査庁の経費の中にも、破壊活動調査経費として五億余り予算が計上されておるようですが、この予算と、それから今度新たに反民主主義活動対策の確立のために要求されておる四億千二百万ばかりの予算がどういう関係になっておりますか。
#89
○説明員(大沢一郎君) 昨年、従来予算計上されておりました破壊活動調査経費の内訳として、ただいまこの第三の1にあげました「国際共産主義運動の調査態勢の確立」というのが新たに加わった形になるのです。従来主として国内におきまする破壊活動関係の調査の経費として、今まで通り要求しておるわけでございます。そのほかに来年度昭和三十五年度におきましては世界的な視野に立っての政治、経済、労働関係の一切の面にわたります総合的な情勢判断をいたしたいというので新たに要求しております。
#90
○高田なほ子君 従来この破壊活動調査経費として五億もの金が使われておる。これはもう相当な金額ですが、そういう金額でわれわれのところに三十三年十一月公安調査庁から出しておる国際共産主義運動の沿革と現状というこういうすばらしい調査ができているのです。このほかにもっと出ております。われわれのところにいただいているこういうりっぱな、これを調べるのには、もう相当の時日と、それからお金を使ったことはわかるのです。しかるにかかわらず、こういうものができているにかかわらず、さらに国際共産主義運動の調査態勢の確立というのは、どういうことをやるために、さらにこの四億の金が使われるのか私どもは納得がいかない。この点は関さんがおいでになっていらっしゃるようです。何を一体なさるのか、説明していただきたい。
#91
○説明員(関之君) お答えいたします。差し上げました書類をおほめいただきましてまことに恐縮でございます。その書類はいわば総論的な問題なのですが、今度考えましたのは、実はこれは申すまでもないことでありまするが、共産主義運動というものは、要するに国際的に一体になってある特定国の共産党を党主として、全世界の共産党ないし共産主義者がその根本方針に従ってそれぞれが各地において、各国においてそれぞれ根本方針にのっとった運動を展開していく、こういうことに相なるわけでありまして、従来国内における共産党調査を推進していきますると、その共産党の活動の具体的なものが、国際的な指導援助というものがあるような疑いを深めざるを得なくなるわけであります。そこで、その具体的な活動面を調べる、こういうのが今年度のねらいに相なるわけであります。そういう意味で、この今年度のような予算をここに計上した次第であります。
#92
○高田なほ子君 そうしますと、今までの、私は別にほめているわけじゃないのですけれども、あれだけのお金を使うんですから、これくらいのことはあたりまえのことです。これだけの調査をされていよいよ今度は具体的の活動面を調査される、こういうことに御説明があったわけですが、そこで、この具体的な活動ということを今の説明の中では、組織活動、大衆運動に関する集団的実力行使を伴う公共事件に対し云々、こういうふうに説明がされておるわけです。これは組織活動とか、大衆運動というものは何も共産党に限ったことじゃない。私ども社会党は大いに組織活動、大衆活動をやります。また集団行動もやります。デモもいたします。あるいはピケも張ります。デモもピケも、これはいずれも合法的なもので、何もこれは犯罪に該当するものじゃないのですが、これらをひっくるめにしまして、このお金を使ってやたらに調査をされたのでは、これははなはだもって民主主義を破壊する、そのこと自体がすでに反民主主義のやり方になりかねないとも言える。一体、この組織活動、大衆運動、あるいは集団行動というものを、一から十まで調査するおつもりで、こういう四億の要求額を出されたのか、はなはだ私疑問に思うわけであります。この点についてはっきりした見解をお述べいただきたいと思います。
#93
○説明員(大沢一郎君) この組織活動、大衆運動に関する集団的実力行使を伴う公安事件に対する経費と申しますのは、公安検察の経費として要求する説明として記載したものでありまして、今これが公安調査庁の調査というように誤解を招きましたことは、筆が至りません点でして、深くおわびをする次第でありますが、検察庁のいわゆる検察活動としまして最近の大衆運動、あるいは組織活動に伴います実力行使等の際に、傷害事件等の事件が相当頻発しているわけでございます。かかる犯罪の実態、あるいはいかにしてかような犯罪が起ったかというような点を調査いたしまして、今後の検察の運営という点に参考にし、的確な検察を行なっていきたいというような意味合いで公安労働検察の充実強化という意味で、公安検事の増員、いわゆる公安事務室の拡充をはかりたい、かような意味合いでございまして、今組織の内部を、いわゆる正当な労働運動等の内部をやたらに調査するという意味ではございません。
#94
○高田なほ子君 今の御説明だと、傷害事件の実態調査、また傷害事件を未然に防ぐための実態を調査するのだと、こういう御説明をいただいているわけですが、しかしここにはっきり項目をあげていることは、共産主義運動の調査態勢の確立、これは傷害事件と別に何にも関係がない、しかも、今関さんの御説明によると、国際共産主義運動の具体的活動面をいよいよ調査するのだ、こういう御説明があって、傷害事件とは何も関係がないわけです。私はここへ出されたのは、これは公的な文書ですから、やはりこの文書通りに私どもは解釈をしていかなければなりませんので、それでまあお尋ねしているわけですが、これはまあ法務省の方はよろしゅうございますが、調査庁の方にお尋ねしたいことは、この具体的活動面というのは、どういうことを言っておられるのですか。
#95
○説明員(関之君) これは要するに、日本に共産党を中心にして共産主義運動が行なわれている、その共産主義運動に関しまして国際的な指導、援助その他が行なわれている疑いが深い。こういうことに相なるのでありまして、その具体的なものはどういうふうになっておるかという点を明らかにいたしたい、こういうのが、私どものいたそうとしているところなのであります。
#96
○高田なほ子君 日本に対する国際的指導または援助、これの実態の調査ということにまあなっているわけですが、これはあなたの方からいただいた国際共産主義運動の沿革と現状、この中の八十一ページの中に、これをまあ全部お読みするわけにはいきませんが、「国際共産主義の統一戦線戦術はその第七回コミンテルン大会の」云々というふうにずっと書かれまして、そしてすでに国際的ないろいろの運動のずっと綱領のようなものがここに書かれてるので、今さら四億の金を使って、日本に対する指導援助がどういうふうになったかということを調べなくても、もはやちゃんとこういうふうにできているのですね。できているのに何をおやりになるのか、ということを私わざわざ伺ったのは、これを見ると、これからの活動というものは、日本の民主主義の発展に大へん大きな影響を与えるような内容が含まれているのではないかということのために、私御質問申し上げておるのです。たとえば、反ファッショ人民戦線戦術に関する決議というのが、この書類の中に出ているようですが、この中に、平和の維持をめざす大衆の反戦闘争が書いてある。この平和の維持をめざす大衆の反戦闘争も、これも国際共産党の指導だというふうにここに書いてあるから、すぐ公安調査庁の方でおとりになるかもしれない。ところが、われわれの党の国際的なつながりにある社会主義インター、平和維持のための大衆反戦闘争というものは、たえず繰り返されてきている。これからも繰り返される。平和の維持という問題は、単にわれわれ社会党だけではなく、広く国民大衆がこのことを熱望しているわけですね。共産党もこの平和維持を目指し、大衆の反戦闘争というものを掲げておりますが、これは平和を願っている運動というものは、みんな共産党の指導じゃないかということになって、四億一千万以上の大へんな国民の血税をこのことのためにむだに使われ、また平和を愛する民衆の熱願というものを、権力機構でもってこれを押えていくという結果に私はなってくると思う。こういうような大へん危険のある仕事をここにお出しになったということについて、また私はそのことのために調査官を増員し、そのことのために職員を海外に駐在させ派遣させるということになりますと、なかなかこれは問題のあるところなので、平和維持の運動を全部これは国際共産主義指導の運動だなどというふうな解釈をされたら、とんでもないことになってしまう。こういう区別というものは一体どういうふうにおつけになっているつもりなんですか。
#97
○説明員(関之君) ただいま御指摘のような点が実は私どもの一番苦心している点なのであります。お尋ねの一つの平和運動というものを見ましても、一般的なきわめて人道主義的な平和運動もありますれば、また他面共産主義の目的達成のための平和運動もそこにあるわけであります。要するにそれらのものが混合形態として発展してきているというのが現状なのであります。私どもも今、高田委員の御指摘になったごとく、そこの点がなかなかむずかしい。また反面から見ますると、その区別を明確にすることが、民主主義を健全に発達させるゆえんでもあるというふうに考えるわけであります。従っていかなる線、いかなる団体に通ずるものが、共産主義運動としての平和運動であるかいなかというような点を明らかにし、そういうことが私は必要だと思うのであります。平和運動なら手をつかねてほっておいてそのままにしておくというよりも、いかなる線で、いかなる筋によってくるのが、この国際共産主義運動と見るべき平和運動であるかという点を明らかにしたい。これがまあ私どもが考えているところであり、またどうしてもしなければならない点かと存ずるのであります。もちろん、私どもも一般の人道主義的な立場に立つ、きわめてノーマルなそれらの運動を調査しようなんということは考えておりません。
#98
○高田なほ子君 あなたはそうおっしゃるかもしれませんけれども、平和運動というのは、もともと人道主義の運動であってこれは共産主義の運動じゃ私はないと思っている。フルシチョフがアメリカを訪問するのも一つの平和を願う運動であって、ああいうのが悪くてこれは弾圧しなければならないものだということはさらさら考えていない。フルシチョフがアメリカを訪問するというのは、やはり世界の平和を願っての行動である。この春にはアメリカのアイゼンハワーは今度はソビエトを訪問するというように、世界が平和を求めてお互いが交流し合っていくというこういう人道主義の中から平和というものが生まれてくるので、公安調査庁の御見解のように、これは共産党の平和運動で、こちらは人道主義の平和運動だなんてそんな区別のつくわけのものじゃないので、私は少なくとも平和運動というものに対して多額の四億に余るような巨額な金を使ってこれを押えていくというこのいき方については、遺憾ながら賛意を表することはできない。これはもうこういう予算は私は必要ないというくらいに考えているのですが、これは見解の相違ということになるかもしれませんが、現に母親大会のいろいろの地域の活動なんか私どもしょっちゅう伺っているのですけれども、最近になって、やたらに母親大会に参加した人を調べてみたり、母親大会の世話人の家を調べてみたり、そういう調べるためにこの調査官がこういう金を使っているかと思うと、私はがまんできない。母親大会と共産党とどういう関係があるかということを調べるために、そういうふうにやっているんだという説明がつくかもしれませんけれども、はなはだしく今日集会とか結社とか言論とかいうような憲法に保障されておる国民の人権というものが、今こわされつつあるときに、民主主義に反対の方向にいくようになろうとしておるときに、この具体的活動面を調査するということで調査官を増員するそうでありますが、一体この調査官は、こんなむずかしいことを調査する調査官は、どういうような資格とどういうような研修経過を経て増員資格を得るものであるか。それから同時に、これは法務省の方にお尋ねしますが、この公安調査庁の経費の中の第八項目の中に、(イ)(ロ)(ハ)の最後の学生委託経費というのがある。この学生委託経費というのは、三十四年度の予算に比べると四倍くらいにふえてきている。これは何をするものであるか。今日までこの学生委託費というものはどういうふうに使われてきたのか、こういう点を説明をしていただきたい。
#99
○説明員(関之君) 私から御説明申し上げた方がよろしいかと思いますから御説明申し上げます。調査活動を進めて参りますると、たとえば朝鮮の方がおられる、従って朝鮮語を使用する、あるいは一つの資料にすると朝鮮語で書いたり、支那語で書いたり、あるいは英語で書いたり、あるいはその他の言葉で書いてあるわけであります。そこで学生委託費は要するに語学の訓練を与える、その意味におきまして、ただいまは天理大に約一年間、朝鮮語と支那語の学生を送っておるわけであります。すでに三年継続していると思いますが、年間十人ほどそこに送りまして、要するにそういうような語学の力を与える。そこでやってみますと、ますます必要になるわけでありまして、今年度は従来よりも数を増して委託生をお願いする、こういうふうな費用なのであります。ふえたのはそういう理由でございます。
#100
○高田なほ子君 それは学生委託費でしょう、今御説明になったのは。
#101
○説明員(関之君) それは委託の方であります。
#102
○高田なほ子君 これは、ことし十人分の学生委託費、つまり朝鮮語とか支那語とか、こういうものを研究する学生を十人分の経費としてここに組まれたものですか。
#103
○説明員(関之君) 具体的な数字はここで忘れましたが、二十人以上になっておるかと私は思っております。
#104
○高田なほ子君 どうもはっきりしないわけですが、これはどういう学生を朝鮮語や支那語を研究させるために、天理大に委託するのですか。
#105
○説明員(関之君) それは私どもの職員であります。職員を一年間そこに送りまして勉強をさせる、こういうことになるわけであります。
#106
○高田なほ子君 調査官という資格で天理大に入って、朝鮮語とか支那語とかそういうことの勉強するのが本年二十人、つまり学生委託経費の中にそれらが計上される、こういうわけですか。
#107
○説明員(関之君) そうでございます。
#108
○高田なほ子君 調査官というのは、そうするとどういうような研修を経てどういう資格のものがこういうむずかしい、平和運動だの何だの具体的活動面を調査する役目をするのか。かなり相当の腕を持った方でないとなれないのじゃないかと思いますが、増員二百十名が含まれていますが、どういう資格で調査官というものになるのですか。
#109
○説明員(関之君) 調査官の資格は、たとえば検事であるとか判事であるとかいうような特別の資格要件はありません。従って一般の公務員の採用と同じ線で行なわれるわけであります。最近におきましては例の六級職試験合格者あるいは五級職の試験の合格者というような者を中心といたしまして、大学の卒業者を主体とする多くの者を採用する、こういうことにいたしておるわけであります。そうしてそれに研修を与えて調査官としての訓練、資格の養成に努める、こういうのが現実であります。
#110
○高田なほ子君 そういたしますと、この研修を与える研修費というのが、ここにいうところの中央研修費、地方研修費というふうに分かれて予算が組まれておりますが、これは今の研修とこの予算の関係というものはどういうふうになっておりますか。
#111
○説明員(関之君) この費目で中央研修と申しますのは、公安調査庁の中央には中央研修所というのがあるわけであります。公安調査庁の中央の研修所があるわけでありまして、そこに全国から職員を集めまして研修を行なう。それで地方研修と申しますのは、公安調査庁には八つのブロックの監督機関があるわけであります。ちょうどこれは高等検察庁、高等裁判所と同じようなところがあり、同じような機能のものでありまするが、そこでその管内の職員を集めて研修を与える、これが中央と地方との考え方なのであります。
#112
○高田なほ子君 次にお尋ねしたいことは、この国際共産主義運動の具体的活動面を科学的に調査するための器材の整備充実を行うよう調査態勢を確立し云々と、こうありますが、科学的調査のための器材の整備ということは、思想を調査するようなことをおやりになることは憲法違反だと私は思いますがね、科学的調査のための器材の整備というのは、具体的にどういうことなのですか。
#113
○説明員(関之君) 具体的に申しますと、えらい言葉は大きいのでありまするが、要するに写真機とか、あるいはこの機動力、自動車、あるいはスクーターというようなことなことであります。
#114
○高田なほ子君 さらに、この職員を海外に派遣し、また駐在させておるようですが、現在までどこに職員が派遣されて何名ぐらいどこに常駐しておるのですか。現状はどんなものになっておりますか。
#115
○説明員(関之君) 現在は一人も海外には出ておらないのであります。
#116
○高田なほ子君 これは三十四年度の法務省のやはり予算の要求の中で在外公館駐在官四名、ボン、ベイルート、イギリス、タイ、これが計上されてあったと思うのですが、これはどういうふうになりましたのですか。
#117
○説明員(大沢一郎君) ただいま公安調査庁の関次長から行っていないと申しましたのは、公安調査庁として派遣されていないというのでありまして法務省といたしましてはワシントンとへーグに一名ずつ駐在させております。
#118
○高田なほ子君 今二カ所はお話しに出ておりましたが、そのほかに在外公館駐在官以外に恒常的に海外に行っておる法務省関係の職員がおりますか。
#119
○説明員(大沢一郎君) 海外に駐在しておるというのはおりませんが、海外研究で、あるいは民法関係、刑法関係その他の法律制度等の調査研究のために六カ月ないし八カ月という留学生的な研究に出ておるものは、年間三人ないし三人、また国際会議等に出席いたしまして、その機会を利用して滞在期間を延ばしまして調査研究に当たるということはいたしております。
#120
○高田なほ子君 そうすると、公安調査庁関係では海外に恒常的に行っておられるという方はおらないわけですね。
#121
○説明員(関之君) その通りであります。
#122
○高田なほ子君 検察庁の方はどうですか、海外に派遣されておる方はおりますか。
#123
○説明員(大沢一郎君) 検察庁としても、派遣しておるのはございません。法務省といたしまして、法務省の所管業務全体について法制あるいはそれに関する学説等の調査研究、また諸外国におきまする実情の調査研究というのに出しております。その所管の組織別の、公安調査庁であるとか、あるいは検察庁であるとか、法務局であるとかいうような、その組織からだけのものは出したことはございません。
#124
○高田なほ子君 破壊活動調査経費と今の反民主主義活動対策費というものと、これはどういうところで、両方とも相当の金額をこれは取っておるわけですけれども、見ようによっては、内容は同じようなものですがね、これとの関連はどういうふうにおやりになっていくのでしょうか。何か部別になるのか局別にでもなるのか。この公安調査庁費用の4に破壊活動調査経費というのがありますね、それから今申し上げた5に国際共産主義運動調査経費というのが、また今度取れるか取れないか、それはわかりませんけれども、予算は四億なにがしのものが要求されておるわけです。そうすると、今だんだん御説明を聞いているうちに、どうも内容は非常に似ているわけです。どういうわけでこの二つの経費を取り、この運営はどういうような違う部局でおやりになるのですか。
#125
○説明員(大沢一郎君) ただいま御指摘のように、同じ科目の経費でございまして、ただ今年度新たに国際共産主義運動調査経費というのを要求いたしますので、明らかにいたしますために4、5と書き分けたのでございます。
#126
○高田なほ子君 その次に、この公安労働検察の充実強化というのは、ちょっとこれわかりませんが、これとお示しいただいた公安調査庁経費の四番、破壊活動調査経費というのの下に(イ)(ロ)とこうありますね、団体調査経費と団体ファイル経費というのと、今度新たに御提案になった公安労働検察の充実強化というのと、何かこれは関係かあるものなのかないものなのか。
#127
○説明員(大沢一郎君) この公安労働検察の充実強化の経費は、公安調査庁関係とは別でございまして、法務省法務局並びに検察庁の検察費等に入るべき経費でございます。
#128
○高田なほ子君 これはなんですか、今までもこういう経費を取られて、こういうことをやってきたのですか。
#129
○説明員(大沢一郎君) 従来におきましても、いわゆるかような犯罪の実態の調査その他のことは、検察庁の検察費の中で経費がございますので、一般の検察庁の経費の中から支弁されてきたわけであります。
#130
○高田なほ子君 今までと今度と違う点はどこが違うのですか。
#131
○説明員(大沢一郎君) 結局経費となってしまいますれば、一つでございますが、特に最近の大衆運動に際しまして、かような先ほど申しました傷害あるいは死に至るような事件もございまして、さような点につきまして的確な検察並びに予防という点に主力を注ぐ必要があるというので、新たにこの点の増額を求める意味で明示したわけでございまして、予算になりますと、検察庁の庁費、旅費という検察費の中に入ってくるかと思います。
#132
○高田なほ子君 これもなかなか勉強を要する予算ではないかというように考えます。これも意見になるかもしれませんけれども、最近の労働運動の実態から、こういうものをにわかにとり出されたのだろうと思いますが、いろいろ労働争議の予防等についても十分調査をしたいというような今御説明だったんですがね、予防ということになると、これは組織活動と大衆運動だけではないので、やはり経営者側も大半の責任を負わなければならぬ点もあるので、経営者側に対する予防というものをどこでやるかというとさっぱりそれがない。一方的に労働者の組織活動とか労働者の大衆運動というところだけそういうメスを入れて、大へんな経費ですね。一億六千三百六十三万の経費をもってこの労働運動の、私から言わせれば、かなり突っ込んだ介入をなさるような仕方を計画しておられるようですが、強力な検察を実施するということになると、これは非常におっかないことになりますが、強力な、これ以上強力な検察を実施されたら、これは大へんなことになりますが、これ以上強力の検察というのは、具体的にどういうことなんですか。
#133
○説明員(大沢一郎君) 検察庁といたしまして、最近の中小企業の労働争議等におきまして、相当殺伐な傷害等の事件が起こっておりますので、それらの犯罪の実態、どうして起ってきたかということを十分解明いたしまして、そうして検察運営と行政政策との調和というようなこともはかりまして、そうして正しい検察という意味で的確な、適正な正しい検察を実施いたしたいというための経費として要求しておるわけです。強力というと、いかにも弾圧というふうに聞こえますが、さような意味ではないので、適切なというふうに御解釈願いたい。
#134
○高田なほ子君 ここが私はポイントになると思うのですが、傷害事件がやっぱり争議の中にはしょっちゅう起こりますね。これは起こしたくて起こるのじゃなくて、やっぱり必然的に起こることでざいます。こういう傷害事件が起こってから、一つの犯罪容疑行為としていろいろ捜査当局の方が活動なさるわけですが、この経費は労働争議のそれ自体を混乱に導かせないといういわゆる予防措置と称して、労働組合の運動の中に直接こういったような警察権力でありますか、そういうものが介入するおそれは多分にあると思いますが、予防措置というのは、一体どういうことになりますか。
#135
○説明員(大沢一郎君) 法務省といたしましては、予防措置をみずから行なうものではございませんで、すでに発生いたしましたさような傷害事件、不祥事を招いたような労働争議等のその実態を十分調査いたしましてそうしてさような結果こうなったというデータを集めましてその予防等につきましては、行政関係機関との連絡をはかって、そちらの方で予防なり、その未然措置の方途をとっていただこうという考えであります。
#136
○高田なほ子君 まあ結論的に申し上げますと、反民主主義活動とか、公安労働検察という強化経費というものは、新たに相当な多額な予算が要求されていることについて、私どもは大へん問題にしておるわけなんです。きょうは時間もおそくなりましたから、このくらいにとどめますけれども、場合によってはさらにこの二つの問題について十分の意見を交換する機会というものを与えていただきたいと思います。委員長においてお取り計らいいただきたいと思います。
#137
○委員長(大川光三君) ちょっと私から一点だけ伺いたいのですが、刑務所移転問題対策処理に関連いたしまして、大阪の拘置所移転に伴いまして、都島にある少年鑑別所を移転するという約定か地元の有志との間にあったやに伺いますが、その後の経過はどうなっておりますか。
#138
○説明員(大沢一郎君) この点につきまして、御報告が非常におくれておりまして申しわけございません。本年度に大阪の少年鑑別所の移転につきまして一千万円の予算が三十四年度に計上されることになっております。引き続いて来年度からも継続的に予算要求をしておるわけであります。そうして大阪の堺刑務所の敷地が相当広大でございます。地元との話し合いもつきまして、堺刑務所の隣接の地で、そうして付近との調和等も考えまして敷地を選定いたし、すでに新営に着手しております。引き続いて三十五年度において予算要求をいたしまして完成いたしたい、かように思っております。
#139
○委員長(大川光三君) もう少し端的に伺いますと、実際に都島の少年鑑別所が他に移転するという時期の見通しはついておりますか。
#140
○説明員(大沢一郎君) 大阪少年鑑別所の新営の総工事費を予定しておりますのは八千百万かかるんです。そのうち三十四年度で一千万円入りまして、あと引き続いて七千万円の経費が必要と相なるわけであります。三十五年度におきまして約三千万円の要求をいたしまして、続いて三十六年度完成を目途で計画を進めております。
#141
○委員長(大川光三君) ほかに御発言もなければ、本件についての本日の調査は、この程度にとどめたいと存じます。
 なお次回は、十一月十二日木曜日午前十時から少年犯罪対策につき参考人の意見聴取を行ないます。
 本日はこれをもって散会いたします。
   午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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