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#1
第033回国会 法務委員会 第4号
昭和三十四年十一月十九日(木曜日)
   午前十時四十六分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員千葉信君辞任につき、その補
欠として藤田藤太郎君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     大川 光三君
   理事
           井川 伊平君
           後藤 義隆君
           高田なほ子君
           石黒 忠篤君
   委員
           太田 正孝君
           林田 正治君
           亀田 得治君
           藤田藤太郎君
           赤松 常子君
  国務大臣
   法 務 大 臣 井野 碩哉君
  政府委員
   法務省刑事局長 竹内 寿平君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       西村 高兄君
  説明員
   法務省保護局長 井嶋 磐根君
   法務省保護局恩
   赦課長     武安 将光君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 の件
 (京都市電バス従業員の昭和二十三
 年政令第二百一号違反事件に関する
 件)
 (証拠書類等の事前閲覧問題に関す
 る件)
 (弁護人の接見交通権に関する件)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(大川光三君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 本日は、検察及び裁判の運営等に関する調査といたしまして、検察官手持証拠書類等の事前閲覧問題、弁護人の接見交通権に関する問題及び京都市電バス従業員の昭和二十三年政令第二百一号違反事件等につきまして、亀田委員から質疑の要求がございまするので、これらについて調査を行なうことにいたしたいと存じます。
 御質疑のある方は、御発言願います。
#3
○亀田得治君 それでは、最初に京都の都市交通の事件につきましてお伺いしたいと思います。
 これは、中内広君外七名にかかる政令二百一号違反事件ということで、非常に長期に裁判が行なわれている問題ですが、法務省としては、この問題に対してどういうふうな関心といいますか、態度、見方をしておられるのか、このままにほうっておいていいという考えでずうっとおられるのかどうか、その辺のところをまず最初にお伺いしたいと思います。
#4
○政府委員(竹内寿平君) 京都市電スト事件、これは二十六年の十二月二十八日に起訴を見た事件でございまして、経過といたしましては、第一審京都地方裁判所が二十七年十一月十五日に免訴の判決を言い渡しておる。これに対して検事側から控訴をいたしまして、大阪高裁が三十一年二月二十七日に破棄差し戻しの判決をいたしております。これに対して被告側からの上告がありまして、この上告裁判が、三十三年七月十六日に上告棄却になっておりまして、従って、事件は再び第一審の京都地裁に戻されて今日審理中、こういう状況でございまして、御指摘のように、非常に長くかかっておる。この点につきましては、私どもも非常に遺憾に思っておるのでございますが、なお、いずれあとから御質疑があると思いますが、法律の整理過程において、特に国鉄職員との関係において、法律上の取り扱いが異なる状況になっておりますために生じたアンバランスと申しますか、そういうものもこの事件の中には含まれております。で、関係の被告人の方々には非常にお気の毒な事情にあるのでございまして、これの早期終結、早く裁判を済ませるということについて非常な関心を私どもとしては持っております。先般も、この事件の経過等につきまして、特に私どもの局から参事官を現地に派遣いたしまして調査をさせましたし、また、現地の検察官を督励いたしまして、早く問題を処理するということに格段の努力をしてもらうように実はお願いしておるのでございます。現地におきましても、裁判所と緊密に連絡して、早く処理するようにということで、ただいまほとんど事実についての検事側の立証はすでに終わりまして、今、裁判所側から若干の証人尋問をすることになっております。なお、年内にはおそらく全部調べが終わりまして、来年の早々には判決になるというふうに大体見通しとしては持っております。
 こういうふうで、問題を早く処理いたしました上で、このアンバランスから生じた判決効果というものにつきましては、可能なる限り恩赦その他の方法によって是正をはかっていったらばいかがかというような考え方を法務省としてはいたしている次第でございます。
#5
○亀田得治君 まあ大まかなところをお聞きしましたが、逐次少しこまかい点についてお尋ねをした上で、最終的にこちらの要望もいたしたいと思っておりますが、まず、地方公営企業労働関係法の附則の三号ですね、これは非常に立法自体が間違いであったという点についてどうお考えになるかということをまず聞きたいわけですが、争議行為に対して刑罰をもって臨む、こういうことは、民主的な社会においては、原則的にこういうことは承認されておらない。ただ、政令二百一号がそういう扱いを当時したのは、これは特殊なやはり政治的な事情です。まあそういう態度がいいか悪いかは別としてともかくそういう特殊な事情でああいう政令二百一号というものが出ておる。その中で、争議行為自体はある程度刑罰の対象にしている。こういうことをやったわけですが、しかし、その後そういう例外的な現象はだんだん是正されてきたわけですね。政令二百一号の対象になっていたものを、国家公務員法なりいろいろな法規の改正につれてずっとはずしてきたわけですね。そういうふうに整理をしていきながら、その整理の結果というものは、これは、私から申し上げるまでもなく、刑事局長もよく御存じの通り、国家公務員並びに地方公務員の関係では、争議に対して刑罰をもって臨むというのが若干は残っておるわけです。ただし、政令二百一号のような、そんな大幅のものじゃない。若干だけほんの例外的なものとして残っておる程度である。ところが、それ以外のものは、いわゆる公共企業といわれるものでも、刑罰からは全部排除されてきている。もちろんそれは、民間の労働組合のように、争議行為が完全に自由ということにはそういう企業体ではなっておりませんが、しかし、その違反に対しては、刑罰では臨まない。解雇とか、そういったような立場でそういう問題は処理していくが、刑罰というのはおかしい。こういうことが明確になってきておるのに、この地方公営企業、私は、専売とか国鉄とか、そういう企業の労働者がそういうふうに扱われれば、当然市電とか水道とか、こんなところの労働者は、これは当然そうなるべきなんです。ところが、それが――本体においてはそうなっておるわけですな。この地方公営企業労働関係法でもはずれたわけですね。だから、その点じゃ国鉄も地方のそういう水道や交通関係の職務も、みんな一緒になってしまって、刑罰から全然はずれた。だから、そういうことで、この政令二百一号に対する整理が進む段階で、国がどういう考えでこれらの問題に臨むかということははっきり出ているわけなんですね。従って、国鉄なり専売にしても、そういう職員は、法律改正前の行為についても責任を追及するということはしない。国公と地公の場合は違いますが、態度が違ったのだから、法律改正――新しい体系のもとにおいては、以前のこともこれは問題にしないと、こういう角度で法律が整理されているわけですね。ところが、どういう手かげんか、この地方公営企業労働関係法の方は、本法の方では、国鉄などと同じように、刑罰の対象にしない、解雇するとか、そういう懲戒上の問題にはするが、刑罰にはしないと、こうなっておりながら、附則の方にちょこんと、ただし、法律改正前の問題については、従来通り二百一号を適用するのだと、これは私は、何かの間違いでそういうものがちょこっと残ったのだと思いますね。だから、その辺のところ私は、もう筋をずっと追っていけば、確かにこれは立法上の間違いだと思うのです。よく、法律が変る場合に、こういう規定が置かれる場合もありますけれども、私もそういうことは承知しているのですが、この場合にはそういうことはすべきじゃない。見方がきちっと変わってきているのだから、おそらく私は、そういうつもりで、立法されている方々がみんなそういう気持で関係法規が整理されておったと思うし、まさかこういう附則三号というふうなものがついていると思っていなかったことくらいに思うのですね、理論的に整理してみると。だから、その辺のところを見てくると、ともかくこの附則三号というのが納得のいかないものなんです。で、こういう京都の事件が裁判になったものだから、私たちも、ああそんな附則があったのかと、あとからこれを研究してみるくらいで、そんなものがついておるなんということはだれも考えておらない、実際。だから、法務省自体も私はそうじゃないかと思うのですが、その辺のところはどうなんですか。実際あとから見たらこれはついておるのだから、ついておる以上は、これで処理しなければならぬというぐらいなところじゃないかと思うのですが、どうなんです。
#6
○政府委員(竹内寿平君) 地方公営企業労働関係法という法律の附則第三項でございますが、ただいまお話のように、この第三項を見ますると、「この法律の施行前にした前項の政令第二条」、前項の政令というのは二百一号のことですが、「政令第二条第一項の規定に違反する行為に関する罰則の適用については、なお、従前の例による。」よく限時法といわれておる規定でございますが、こういう附則がついておる。この附則が、一方の公務員法ができましたときに、政令二百一号は、そういう法律ができると、もうその二百一号というのは効力を失うのだということが、この二百一号の末項に書いてあります。そういう関係で、公務員法ができましたときには、この二百一号はなくなるという建前で公務員法というものが改正されたわけでございまして、そのときには二百一号は排除しておるのでございますが、一方地方公務員法ができましたときは排除されていなかったのですね。そしてその地方公務員法ができましたのは、二十六年の二月十三日に施行されておるようでございますが、その附則には、かえって二百一号の適用があるということが書いてある。そうして今度は、二十七年の十月一日からただいま申した地方公営企業の法律、地公労法が施行されました際に、初めて二百一号がはずれるということになりましたが、今申しましたような附則第三項がございまして、二十七年十月一日以後は全然問題にはならぬが、それ以前にもし二百一号の違反があれば、それは、罰則の適用については従前の例によって処罰をするのだ、こういう規定のように読めるわけでございます。これは、亀田委員も同じ御意見だと思います。そこで、これは間違って入れたんじゃないかという御意見でございますが、私ども、この立法当時のいきさつをつまびらかにいたしませんのでございますが、関係の労働省の方面にも伺ってみましたし、私どもの部内でも、だれがこれをこの当時関係しておったろうかということをいろいろ聞いてみましたが、結局はよくわからないのでございます。そこで、ただ今日になりまして、私ども法律を取り扱うものとしてこの条文の体裁なり、こういう規定がなぜ残ったかというようなことを推測いたして考えてみますると、今の地方公務員法の中に、そういう二百一号の適用があるということを書いておりますので、それが二十六年の二月十三日でございます。それから一年半ばかりたってから地公労法ができた。その一年半の間の処理について、地方公務員法との関係からそういうような規定が置かれたのではあるまいかというふうにも考えられるのでございます。そういたしますると、非常にうっかりして入れたんじゃなくて、やはり相当考えて入れたんじゃあるまいかというような感じもいたすのでございますが、この点はいかがなものでございましょうか。今申しましたように、私どもとしては、あとから法律家として想像いたしてみますると、そういう感じがいたすのでございます。
#7
○亀田得治君 なかなか、だいぶ過去のことですから、こまかい経過などはわかりにくい点があろうと思いますが、まあ条文の中心的なところなら、いろいろ説明書なども残っておるかもしらぬが、ともかくちょっとした附則なんですからね。そういうものもなかなかないだろうと思いますが、結果から見て、私は、ざっくばらんに一つ見解を聞きたいと思うわけなんだが、ともかく国家公務員法なり地方公務員法では、争議行為に対して刑罰関係を全然縁がないというふうにはなっていない。だから、いきさつは別としてそういう遡及するような――遡及といいますか、以前の行為に対してあとの法律じゃなしに、前の法律でやっていくといったような規定があることは、多少そこに意味がある。だけど、この場合は、国鉄やその他の諸君と同じように、全く刑罰では臨まない。言うてみれば、やはり法律的な価値判断がそこで変わってきているわけですね。変わってきているし、そうしてまた、本質的にも本来そうあるべきものなんです。本質的にそうじゃない、ただ無理やりに立法政策としてそういうふうに変えたというなら、これは弱いけれども、本質的にもやっぱりそうあるべきものだし、また、その立法上もその原則にちゃんと立ち返ったわけだし、しかも、大部分の労働者の諸君は、その原則で処理されるのに、全国のそういう地方の自治体なんかでやっておる企業の関係者五、六万と私は聞いておりますが、そのちょっぴりそこだけがこの原則からはずれた取り扱いを受ける、これは私は納得できないと思う。あなたの方は、法律がある以上は、法律を守るという立場であるから、なかなか現在の立法にけちをつけるというのは言にいくいだろうが、多少そういうことは離れて純粋な竹内刑事学者として一つ考えてもらったら、私は、これはちょっと問題だろうと思うので、そういうふうなところ、どうですか、経過はともかくとして。
#8
○政府委員(竹内寿平君) 仰せのように、現行法のもとにおきましては、全部のスト、同盟罷業の関係は、刑罰の対象に置かれていないわけです。公労法の職員、公企業体の職員から地方公営企業の職員がひとしくストをやりますと、行政上の罰を受ける、あるいはその権利を保護されないということはございましても、刑罰をもって臨まれないという体制に、現行法の法体系においてそういうふうになっておることは事実でございます。それから、さかのぼって考えました場合に、そういうふうな経過をたどってはずされておるわけでございますから、そのはずされ方が、一方の公共企業体の職員と地方公営企業の職員との間に取り扱いに違いが起きてきている。先ほど申しましたような経緯で、違いが起こってきた。そこで、五、六万の方々が差別的な取り扱いを受けるような結果に、結果論でございますが、なっておる。これは、法律的に見て、そういう取り扱いが憲法十四条等に違反するものであるかどうかということにつきましては、これは最高裁の判例で、それは憲法違反でないということには法律解釈としてはなっておるわけです。取り扱いの問題として、検察官なり警察なり、刑罰法令を執行する立場の者、特に法律がある以上は、法律を厳正に執行するというのがまたわれわれの法律上の義務でもありますが、また一面、検察官としましては、具体的に妥当なる刑罰法令の執行をするという義務も持っておるわけでありまして、そういう意味の法の執行という面から見ますると、いろいろ考えさせられる点がないでもないと、これは率直に申して思います。ただ、その善後処置につきまして、もうすでに起訴されておるわけなんです。公判に係属しておる。こういう現実をまた無視することもできないわけでございますが、そこで、処理といたしましては、先ほど申しましたように、早く終結して、あと恩赦等に浴せしめる方法があるかないかということを実は研究しておるわけでございますが、そんなことをせぬでも、控訴を取り消したらいいじゃないかという議論もあろうかと思うのでございます。この点につきましても、もちろん研究をいたしましたが、控訴取り消しということは、法律上できない建前になっております。そうだといたしますと、措置としては、そういうふうにする以外に方法がないんじゃないかというふうに考えます。
#9
○亀田得治君 そのあとの方の処理の仕方は、私もいろいろ考えてみているんです。だから、これは最終にちょっと意見を申し上げるし、さらに一つお聞きしたいんですが、ただ、もとが、だれが考えても無理があるということでなければ、そんな処理も技術的にできないし、考えてもらうわけにもいかないから、それで、多少もとの方をざっくばらんに聞いているわけなんです。そこで、大体現時点に立っての法律の体系をずっと考えると、これはおかしいと思う。今われわれがあらためて法律を作るのだったら、決してこんなものは置きはせぬですよ。だから、それは今の御答弁で大体了解がつきますが、それからもう一つ問題は、国家公務員法でも同じ規定がありますね。地方公務員法にもある。それとこれと今のやつと、この三つですな、結局問題は。これらのそういう附則によって扱われた事件というのは、どの程度あったんでしょうか。
#10
○政府委員(竹内寿平君) 私の記憶しておるところでは、この件だけじゃないかと思います。
#11
○亀田得治君 そうなると、私はますます、実際何とかしてあげたいという気がするんです。いやしくも刑罰法規を作るのに、その人一人だけに適用する、こういうのは、私はちょっとおかしいと思うんです。結果においてそうなっているのであって、そんな目的でこんなものが入ったとは思いませんけれども、結果においてそうなっている。それでその点、ほかの人にも聞いているんですが、どうもこれ一つらしい。だから、そういう状態が、しからばすぐ憲法十四条のあれに該当するかどうかということは、これは相当問題があるでしょう、十四条の解釈として。最高裁でも、これは佐伯弁護人が非常ないい上告趣意書を出しているんですけれども、結局十四条に該当するという最高裁の判断は出ていない。だから、それはまあ仕方がない、最高裁の判例がそうなれば。だけれども、事案の数から見ても、私は納得できぬのです。そういう意味で、これはどうですか。ほかにないようですが、公安課長なんか詳しく調べているんじゃないですか。確かですか、その点は、こういう附則が適用されているのはほかにないということ、これだけだということは。
#12
○政府委員(竹内寿平君) 公安課長が調べた表がここにございますが、この表によりますと、二十六年の受理が八人で、これは、起訴八人ということになっております。これが本件だと思うのです。それから二十七年に、人数ですが、十二人受理しておりますが、これは不起訴にしております。従って、一件しか起訴して処理したのはない、こういうことになるわけです。
#13
○亀田得治君 この十二人というのは、事件としては一つですね、今、二十七年の十二人と言ったのは……。
#14
○政府委員(竹内寿平君) これは、統計表だけしかございませんので……。
#15
○亀田得治君 大体こういうのは多数でやるから……。
#16
○政府委員(竹内寿平君) おそらく一件であろうと思いますけれども、調べがつきますかどうかわかりませんが、一つ調べてみたいと思います。
#17
○亀田得治君 そうしますと、二つあって、一つの方は、そういう法律の全体の建前ということを考えて、起訴しないで処理されておるのに、ほんとうにこれだけということになると、これは、こういう事件だけじゃなしに、ほかの事件の場合でも、立法自体がちょっと軽率であったのじゃないかとあとから言われるようなものについて、一つあったという場合に、それをいじめるのは、どうもはなはだ気の毒だと思うのです。
 それで大体事情はわかりましたから、今度は、処理の方ですね。考えてほしいのですが、裁判を早く進めてと言いますけれども、被告人諸君の気持は、こんなことで有罪にされちゃ困る、こういう気持なんです。だけれども、あなたの方のおっしゃるのは、裁判にかかってしまったのだから、ともかく証拠調べを早くやって、そうして結論をつけたらいいじゃないか。で、有罪になったら、またその段階で、何か対処する方法はないかというふうにさっきおっしゃったわけですけれども、それじゃ片づかないのです。というのは、被告人諸君は、おれたちだけこんな特別扱いされて困るということですから、有罪となれば、これは必ず控訴になるのです。いずれそれでいかぬなら、また上告、これは、費用から言っても、さらにずっと三段階繰り返す時間的な関係から言っても、これは大へんなことになるのです。あなたの方は、服罪するということの前提であれば、それはそこで片づくかもしれぬけれどもね。そういうことですから片づかぬのです。だから私は、完全に聞きたいわけです。で、裁判で処理するのだということになれば、裁判所が早く判決して、無罪であった場合に、あなたの方が控訴しない、これは無罪になるか有罪になるか、それはわかりませんが、無罪になった場合には、そういう事情なら控訴しない、そういうふうな意向でもはっきりすれば、あるいはひょっとしたらそこで片づくかもしれぬと私は思っているのです。裁判を進めるやり方での片づけ方、どうですか。
#18
○政府委員(竹内寿平君) 無罪になったら控訴しないというふうに今ここで、もちろん私どもの立場からいいましても、そういうふうにはっきり申し上げることはできませんけれども、事案、公判の経過を見ておりますと、犯罪事実に当たる部分につきましては、ほとんど異論を言ってないんであって、今、亀田委員のおっしゃるように、自分らだけが不平等な扱いを受けておるんだ、そこのところが納得いかないんだということの今立証に終始しておるようでございます。その点について、憲法十四条に違反するかどうかという点については、もうすでに最高裁の大法廷の判決もあるわけなんで、それ以外の憲法の条文に触れるかどうかということはまた別といたしまして、その点に関する限りはおそらく望み得ないのじゃないか。そうだとすると、事実は争っていないということになれば、あとはまあこの附則の問題だけになるわけで、従前の例によるということで、限時法的な取り扱いを受けているということになれば、これは法律家として、無罪になったらどうするかということは、そのときになって十分考慮いたしますけれども、まあそういうこともちょっと考えにくいんじゃなかろうかというのが私どもの理論の根底をなしておるわけでございますから……。
  ―――――――――――――
#19
○委員長(大川光三君) この際、委員の異動について御報告いたします。 十一月十九日付千葉信君辞任、藤田藤太郎君選任、以上であります。
  ―――――――――――――
#20
○亀田得治君 私は、一審の現在の裁判がどういうふうに展開されておるのか、直接関与しておらんからよくわかりませんが、しかし、最高裁で憲法十四条がはねられれば、これは当然、事実は認めるとしても、こうこうこういう理由でやはり無罪であるべきだという論議が展開されていくものだと思うのです、これは。ところが、その辺はまあ無罪にしようと思えば、いろいろまた理屈はあります。これはあなたも御存じの通りだ。事実は認めたって、憲法十四条以外にだって、やはり普通の刑法上の理論からいったってあるわけですからね。この場合は、正当防衛ということは言えるかどうかわかりませんけれども、あるいは期待可能性なり、いろんな問題があるわけですからね。だから私は、あまりそういう事情によって、裁判官がことさらにへ理屈をつけて無罪にするというようなことは予期もしませんが、しかし、そういう問題の判断というものはきわめて微妙なものです、確かに。だから、微妙なだけに、一つのそういう何とか救ってやらなきゃならないなあという感じから無罪等にすると、やはり多少そこに理論的に無理な点ができる場合がある。そうすると、これは理論的に無理じゃないかということであなたの方で控訴していけば、やはり確かに理屈としてはそれが勝つかもしれん、上に行って。だから、やはりそれでは片づかない。また逆戻りになる。そういうことを私は申し上げている。だから、そういう場合には私は、やはり法務大臣として、それこそいい意味での指揮権を発動してもらって、やはり適当な措置をしてもらいたい。ちょうど法務大臣に、今、指揮権を発動してでも何とかしてもらいたいという結論に入っているところなんですよ。ただ、残念ですが、ずっと今この経過をあなたにお聞き願わなかったのですが、この経過を今質疑応答しておったのをお聞き願っておれば、これは法務大臣としても、何とかしてやらなければいかんなと当然思って下さると思って、きょう実はあなたも御出席になると思っていたものですから、そういう意味もかねて、ぜひお話を聞いてもらいたいと思ったのです。今繰り返すわけにもいきませんから、これは速記録もできることですし、両局長に直接お聞き願っておったわけですから、あとで十分お聞き願って、何とか救える道があるものなら考えてやってほしい、こういうことなんです。
#21
○委員長(大川光三君) 亀田君にちょっと申し上げますが、法務大臣見えましたから、ちょっと概略だけもう一ぺん繰り返して言って下さい。
#22
○亀田得治君 そうですね、ではちょっと……。実は、占領時代に政令二百一号というものが出ていました。これは、今問題になっておる部分は、国家公務員、地方公務員、それから公共企業体の労働者ですね。こういう諸君はストライキをしたらいかん。ストライキしたら処罰する。こうなっていたわけです。これは、その当時あれが出る特殊ないきさつ等があったわけですが、その後国家公務員法なり地方公務員法あるいは公共企業体関係の法律関係がずっと改正されたり整備されていく過程において、政令二百一号の罰則からはずしていったわけです。それで、その根本というのは、ストライキに刑罰をもって臨むというのは、これはもう民主的な社会じゃ、だれもそんなことは原則とは考えておらない。これはもう例外です。二百一号があったというのは特殊な事情、だから原則に返っていったわけですね。返る過程で、ただし、国家公務員と地方公務員に関しては、若干刑罰が残っておるわけです、現行法でも。これは、いろいろ専門家の間じゃ議論のあるところですが、ともかく現行法では若干残っておる。しかし、公共企業体関係では、完全に刑罰からははずしておるわけです。ただし、野放しではないのであって、それは秩序の問題として考えておる。だから、たとえば解雇の対象にするとか、そういうことは入ってきておるわけですね。そういう考え方でこの法律がずっと整理されていったにもかかわらず、この地方公営企業労働関係法というのがあるのですが、公共企業体の中で、地方自治体の企業の労働者、たとえば市電とかあるいは市の経営しておる水道とか、そういうところの労働者に関しては、地方公営企業労働関係法というので処理するわけですが、ここに、ほかの公共企業体では落としてあるのに、附則で、法律改正前の行為については、やはり前の二百一号を適用するのだ、これが載っておるわけですね。これは、法律の体系からいうと、今全部並べて見ると、これはもう確かに間違いなんです、実質的には。で、お聞きしますと、結局今問題になっておる京都の市電の諸君の事件一件だけがこれにひっかかっておるわけなんです。だから、罰則を作るのに一件だけ対象にする……まあそれを目標にしたわけでもない、うっかりこういうものが入ったのだと思います。国家公務員法ではそういうものがあるわけです。刑罰に若干関係があるからというので、前のやつには前のやつを適用するというのは残してある。はずれておる方にはないわけなんです。こっちの方は、あんまりこまかいから見落としたのだと思いますが、そういうものがついておる。そういう関係で、京都の今問題になっているのが事件になっている。これが、ずっともう八年余りも訴訟をやっておって、すっと一審、二審、最高裁と行って、また逆戻りして、今度は一審の裁判をやっておる。これはもう大へん気の毒なわけで、何とかこの救済の方法はないかというところに来ておるわけです。お気の毒だということは、これは、だれがお聞きになってもわかると思います。多少憎らしいやつだと、起訴する諸君は思っておったかもしれぬが、そんな理屈は抜きにしたって、八年間もこれだけ裁判をしていることですから、これは大へんな刑罰です、実際上、それだけの費用といい、心身の苦痛といい。そこで、法務省の大臣としては、裁判を早く進めたらどうだ、結論を出してもらったらどうか、こういうところに来ている。そうすれば、その時点に立ってまた恩赦なり、そういうことも考えられるんじゃないか。こういうところまで今来ておったのですが、ところが、こちら側の諸君としては、おれだけがこういうふうな扱いを受けるのでは納得いかないということで、たとえば、その判決が有罪になった場合にはやはり公訴する。今までの建前上そうせざるを得ない。そうすると片づかぬことになる、結局は。しかし、事情をくんで、あるいは無罪という判決が裁判所から出るかもしれない。しかしこれは、私は一審の公判内容を知らぬから何とも言えないわけですが、ただ、そういう場合に、検事の方が、それは不服だ、有罪になったら、あと何か考えてやろうという気持はあっても、無罪にぽんとされたら、そうすると、おれの起訴が間違っておったということになって、それは困るというようなところに面子にとらわれだしますれば片づかぬ。だから、そういう場合には、上訴というものは良識的にやってもらいたいと思うし、多少理屈があっても、いろいろな事情を考えてもらわなければならぬ。法務大臣として、やはりそういう点の指示をしてもらいたい、こういうふうに考えるわけですが、どうですか。即答しかねますか。
#23
○国務大臣(井野碩哉君) 京都の事件につきましては、私ども、あまり詳しく事情を聞いておりませんが、きょうそういう御要求でありますれば、初めから来て実はお話を伺えばよかったと思いますが、御要求がなかったもんですから、宮中の公使の信任状の捧呈式に立ち会ったようなわけで、大へん申しわけなかったと思います。しかし、事情はよく両局長にお話しのようでございますから、伺ってみます。聞きまして、また十分研究いたしますが、今、亀田委員のお話のような事情ですと、まことに私も気の毒なような気がする、伺っただけでは。ですから、十分研究はいたしますが、何か別に指揮権を発動しろというお話もございましたが、裁判にかかっているものを、私は指揮権は発動しようがないのでございまして、控訴するときにするかしないかの問題になろうと思いますが、それも私は、指揮権の発動ということは、これはもうほとんど稀有の場合にしか用いちゃいかぬと自分も考えておりますし、そういうようにしなければならぬと思っておりますが、十分検事総長とそういう問題については話し合ってみて、そうして指揮権の発動なしに、すべての問題を解決していくことが法務大臣として私は適当だと信じておるのでございます。ですから、十分事情をよく聞きまして、そうして非常にそこに情状を酌量しなければならぬ事情がございますれば、私としても善処いたしたい、こう考えております。
#24
○亀田得治君 指揮権発動というと、大へん荒立つわけですが、よく話し合って、良識的に一つお願いしたいというわけなんですが、そこで、さっき刑事局長が控訴の取り消しはできない、これはどういう関係からおっしゃることですか。
#25
○政府委員(竹内寿平君) この刑事訴訟法二百五十七条によりますと、第一審の判決があったあとはできない、こういうことになっておりまして、それで先ほど申しました。
#26
○亀田得治君 まあ法律は確かにその通りですから、公訴の第一審判決がない段階だったら、実際それででも処理できる問題なんですから、そこで恩赦の関係ですがね。これは、私たちこういうことをもっと早く気づいておれば、以前に恩赦がありましたね。ああいうときにぜひそこに入れてもらいたいというふうな要求もしたかったくらいなんですが、全然それは気がつかなかったわけですかな、こういうことが問題になっていることが。
#27
○説明員(井嶋磐根君) 井嶋でございます。私、着任したばかりで、詳細つかんでおりませんので、まことに申しわけありませんが、恩赦課長を代理といたしまして、恩赦課長からお答えさしていただきます。
#28
○説明員(武安将光君) ただいまのような事件が恩赦に入っているかどうかということでございますが、今回行なわれております皇太子御結婚恩赦には入っておりません。ただ、そういうことを考えたかどうかというお話でございますが、前に国際連合加盟の際に記念して恩赦が行なわれております。その際に、そういう政令関係の事件も考慮いたしまして、このような事件も恩赦として考慮するということを基準に掲げておるわけです。国際連合ですから、だいぶ前ですが、その当時確定いたしました事件については考慮するということで、特別な基準が書かれております。
#29
○亀田得治君 この事件が起きたのは二十六年十二月十七日それ以降にあった恩赦というのは、どれとどれですか。
#30
○説明員(武安将光君) 国際連合加盟の記念恩赦と今回の皇太子御結婚恩赦の二つだけでございます。ただ、普通の常時行なわれております恩赦はありますが、特別に寛大な基準によりまして行なわれました特別恩赦は、その二つだけでございます。
#31
○亀田得治君 そうすると、その国連恩赦と今度の場合の恩赦、この基準をきめたわけですね。その基準をちょっとおっしゃってくれませんか。
#32
○説明員(武安将光君) 基準は非常に長いものでございまして、ちょっと今申し上げるのには長過ぎると思うのですが。
#33
○亀田得治君 それでは、資料としてもらえますか。
#34
○説明員(武安将光君) 差し上げられます。
#35
○亀田得治君 それをもらうとして、ちょっと肝心なところだけおっしゃってもらえませんか。どういう建前で国連恩赦の場合は考えた、それから、今度の場合はどういう建前で考えたかということを、一々条文読まないでいいですから……。
#36
○説明員(武安将光君) 今回の皇太子御結婚恩赦は、御結婚にふさわしいようなものを取り上げて恩赦の対象にしたいと、そういうことになっておりますので、たとえば、少年のときに思慮が足らないために犯した犯罪とか、そういうようなものが第一にあがっております。その他、特に御結婚と関係がまあ稀薄かもしれませんが、七十才以上の罪を犯した者とか、あるいは公職選挙法違反、経済統制法令違反というようなもの、そういうものを主たる対象にいたしております、たとえば。この前の国際連合加盟恩赦の方は、国際連合加盟という意義にふさわしいものをあげようということでありまして、国際連合の日本に駐留している軍隊の要員が犯した犯罪のうちの軽微なもの、そういうものをまず第一にあげておりまして、その他占領中の法令の違反で、特殊の事情に基づいてできた法令、そのようなものを、今、日本が国際連合に加盟して世界の一般の国に列する国家になった以上、その占領中のものを一々今さら残しておくのもどうかということで、占領以前の軍法会議の犯罪とか、あるいは占領中の政令違反を考えて恩赦の対象にする、そういうことを考慮しております。その点から、ただいまの政令違反も、この対象としてあげておるわけであります。そのほか占領中の占領軍の目的違反というもの、そういうものをあげております。
#37
○亀田得治君 そうすると、国連恩赦の場合にどうしてこれを入れなかったわけですか、本件のやつを。
#38
○説明員(武安将光君) それは、やはり確定した事件を対象にして恩赦を行なうことになっておりますから、その当時まだ裁判が確定しておりませんでしたので、恩赦の対象にはならなかったわけであります。
#39
○亀田得治君 この事件があることは御存じだったのですか。
#40
○説明員(武安将光君) それはわかっておりましたですが、恩赦の確定しました事件についてだけ行なうことになっておりますので、そういうわけで対象にならなかったわけであります。
#41
○亀田得治君 だから、この事件がわかっておれば……まああなたの方では、件数としてわかっておるだけで、私の聞くのは実質ですね。実質がわかっておれば、基準をきめるときにそういうふうにきめればいいのだから、確定判決じゃないと恩赦に入らぬのか、もともとそうなっているか。(「大赦ならいい」と呼ぶ者あり)だったら、その大赦でもなんでもしたらいいじゃないか。そういう手続をとろうと思えばとれぬことはないでしょう。何とかしてやろうということになれば、あなたの方ではわかっていると言うけれども、ただ、なんでしょう、ずっといわゆるほかの事件と一緒に名簿の上に載ってきているという程度のことで、今私が説明しているような、そんなこまかい事情等はわかっていないでしょう。
#42
○委員長(大川光三君) 関連して。何か、亀田委員の御質問のほかに、格別な恩赦手続をとるというような方法はあるのでしょうか。それもあわせてお答えを願いたい。
#43
○石黒忠篤君 国連のときは大赦のように思っておりますが、そうじゃありませんか。
#44
○委員長(大川光三君) それもあわせてやってもらいます。
#45
○説明員(武安将光君) 国際連合加盟のときは、選挙違反その他を対象にいたしまして大赦令を公布いたしましたが、それと同時に、個別恩赦の基準をきめまして、個別恩赦の方の恩赦もいたしております。
#46
○亀田得治君 そんな選挙違反を大赦でやって、こっちの方は落とすというようなことは、これはよけい納得しませんよ。あのときそう、今から思うと、ずいぶん牧野さんは非難されたのですよ、選挙違反の大赦を。私は、こういう事件だけじゃなしに、実際は選挙違反なんか、あんな大量な大赦をやるなら、もっとほかで救ってやるべき人がずいぶん抜けているのではないかと思うのですが、その点は、法務大臣がきめたことを、あなたの方であまり批判はできないだろうが、選挙違反をあれだけ世間から批判されながら、大赦を強行しながら、こういう気の毒なものを落としておいた。ともかく結果としては私はまずいと思うのですが、法務大臣はどうお考えですか。
#47
○国務大臣(井野碩哉君) これは、その当時の法務大臣の責任でどういう事犯を大赦にするかしないかをきめたので、今お話のように、いろいろ非難もあり、また議論もあったようでございます。今回の御成婚恩赦につきましても、大赦にしろという議論もずいぶんあったのですけれども、当時の法務大臣が、大赦は適当でないというので、大赦を認めないで、個別恩赦にしたような経過もございまして、あの当時こういった政令違反の問題を大赦にしてはいかぬ、こういう気持からその当時の法務大臣がしたのだろうと思うのでございます。ですからこれは、事務当局をお責めいただいてもかわいそうなわけで、これから先、もしもこういう事犯があったときにわれわれがどう考えるかということについては、亀田委員の御意見もよく伺っておきますが、すでに済んだ事件について、また、さっき申した通り、判決が確定していなければ、どんなにそのときに恩赦令を適用しようとしても、大赦以外はできないわけでありますから、従ってこの事犯には、今後判決が確定した後に、普通恩赦で考慮すべき問題だと、こう考えております。
#48
○亀田得治君 それは、何も事務当局を私は責めているのじゃないので、それで、事務当局にお聞きしただけで、最後のところは、それはあなたが最高責任者だから、引き継いでいるのだから、それで気持をお聞きしたわけです。だけれども、これはしかし、法務大臣といえども、やはり前の法務大臣のやったことをあまり公の席上でけちをつけたくないものですよね。しかし、これはやはり不当だと思いますよ。あまりあなたにそんなことを突き詰めませんけれども、気の毒ですよ。一方であれだけの批判を受けて、恩赦でのがれて、労働者は、実際こんなことを当時知っておれば運動しますよ。もう一つ、しかし救済の仕方としては、刑事局長どうでしょうね。この法律の一部改正を今やれば、これは当然免訴になるのじゃないですか、第三項を削除すると。
#49
○政府委員(竹内寿平君) これは、削除した場合に、判決時までに三項がなくなったという場合に、それじゃどういう判決が出るか、刑の免除というような……。
#50
○亀田得治君 これでやっているのだから、これがなくなるわけでしょう。
#51
○政府委員(竹内寿平君) ところが、そういう、ふうになるだろうと私も法律家としては考えるのですが、ただこれは、限時法の理屈で言いますと、こういう規定があってもなくても、限時法というものは、刑の廃止とかなんとかいうことでなくて、その一定期限を限って施行された法律は、その後になっても、その期間中に犯した犯罪については処罰されるのが限時法の理論なんです。それを単なる訓示規定だという、注意規定であるというふうな読み方をすれば、削っても削らなくても、その点は影響ないという理論も学説の中にあるわけです。ただ、現実の裁判は、やはり単なる注意規定ではなくて、実質的な規定だというふうな判決もありまして、そういうのを今から予断できませんけれども、かりにそういうものがなくなったとした場合には、あるいは御期待のような判決も考えられるというふうに思います。
#52
○亀田得治君 それは、前の方でおっしゃったのがそういう法律論であって、ここで一部改正をして、三項を落とせば、国としては、こういうことは処罰に価しないのだということの意思表示を積極的にやるわけですから、ただ何もそういうものがない段階で、法律論だけで考える場合とこれは違いますからね。これは私は、当然それで救済できると思います。だから一つ、どうしても手っとり早い処理ができないという、その点の御研究を願いたいわけですが、研究の結果はそういうことであれば、法律改正をやってもらいたい、私はそう思います。皆さんの立場として、どうもそれを出せないというなら、あるいははわれわれの方から出してもいい。そのとき反対してもらっては困る。反対の根拠はないと思うのです。その辺、今ちょっとお聞きするのは無理かもしれぬから、私の意見だけにしておきましょう。希望に沿うようなことを言うてもらうなら、これはけっこうでありますが、逆のことを速記録に載せられると、多少かえってこじれますので……。そういうことも一つ、私はよくよくのこととして実は考えてみたのですが、一つ研究してみて下さい。この問題は一応この程度にしておきます。
 それからもう一つの、お願いしておいた二つのうちのあとの問題ですが、時間がございませんので、私、きょうのところは資料の要求をさせていただきまして、そうしてそれに基づいて、いずれまた機会を作ってもらって、多少時間をとっていただいて質疑をさせていただきたい、こう思うのです。
 一つは、弁護人の接見交通権に関する件、これは主として、結局は刑事訴訟法の三十九条三項の運用の問題です。刑事訴訟法のほかの部分についてのことは、一応のけて考えてもらったらいいと思います。それで、出してもらいたい資料というのは、検察官の方で面会の日時等をきめたりする手続等をこの三項でおやりになっておるわけですが、これは、法務省の方で、何か統一的な一つの規程とか、そういうものを設けておやりになっているかどうか、多分そうだろうと思うのですが、何か執務事務規程というようなものがあって、それに基づいて処理しているというふうには聞いているのですが、もしそういうことでありましたら、その規程を一つ資料として委員会に出してほしいと思うのです。
 それから、三十九条三項に基づく処理の実際の統計ですね。完全にそろっているのかどうかわかりませんが、まあある場所では非常に面会日をおくらせたり、あるいは時間に差があったり、いろいろしますが、大体どの程度になっているのか。全国的な統計がなくても、大体の傾向と、そうしてあるいは東京なり大阪なり福岡なりの、どこか部分を限った所のものなら統計がそろっているということならば、それだけでもけっこうですが、それと、次には証拠書類等の事前閲覧問題に関する件、これについて一つお願いしたい資料は、これも何か統一した指示というものを出しておるのかどうか、出しておるとすれば、どういう形で出されておるか。私の申し上げるのは、特殊な事件等で、事前閲覧が拒否される問題がよく起きていますね。そういうことに対する指示というものが出ているかどうか、出ているならば、どういう意味で出ているか。何か訓令なり、そういうものがあるなら、その写しをもらえば一番正確でいいわけです。それから、これの実際の統計ですね。どの程度、きわめて数は少ないと思うのですが、そういう閲覧をさせないということがやられておるか。
 以上ですが、そのいずれについても、その根拠、理由、これを一つ、皆さんの方で立てられておる根拠というものを一つ出してほしい。これは、検察官によってまちまちですが、相手の顔を見てやる理屈もあるでしょうが、そういうつけたしの理由なんかは別として、本筋はどういう立場に立ってやられておるか、それを一つ整備して出してほしい。
 それと、もう一つは、以上の問題について、これは大体法務省としては大してタッチしないのか、これはもう検察庁自体にそういうことはまかしてあるのか、その辺の関係のところですね。もしまかしてあるものだとしたならば、検事総長なり検察庁の責任者が、今いったような問題についてどういうふうに処理しているのか、それを法務省の方でまとめて出してもらえばいいわけです。まあせつ然とは区別はできない、連絡をとりながらということなんだろうと実際は思いますが、そこの責任関係といいますか、この仕事の、そういう点をちょっと確かめておきたいわけなんです。
 大体以上ですが、委員長も専門家ですから、何か……。
#53
○委員長(大川光三君) 亀田君にちょっと伺いますが、あなたの御要求のうちで、統計ですね。たとえば、大阪と東京、福岡というお話がありましたが、これは、なかなか統計というのはむつかしいと思いますから、あるいは本年度とか昨年度とか、一年分と、あるいはこれに五年なら五年前の分と、比較対照するために、年を切っていただけませんか。そうでなければ、非常にむつかしいと思います。ただ統計というだけでは。
#54
○亀田得治君 では、昨年度分と昭和二十五年ぐらいをとりますか。大体昭和二十六、七年ごろからどうも厳重になったようだから、比較対照するには、昭和二十四、五年ごろと昨年ぐらいのところですね。
#55
○政府委員(竹内寿平君) ただいま御要求の資料につきましては、私どもの方でできるだけ作成をいたしまして、すみやかに提出いたしたいと思いますが、ただ、御要望に沿うぴたりの統計というものは、今私ども持っておりませんことをまず申し上げておかなければならぬと思いますが、特にこういう問題について、検察庁と法務省との関係でございますが、もちろん法務省は、一般的な指示という意味におきまして法務大臣からも訓示をされておりますし、私どもも、命を受けて指示をいたしております。そういうことでございますが、具体的には検察庁の方でやるわけなんで、検察庁の方におきましても、これは公式的にこうやれああやれというようなことは、実際的にはできないわけであります。具体的な事件で、ほとんど、たとえば接見交通権のような問題でも、地方によっては自由自在にやっておりますところもありますし、それからまた、事前閲覧の問題におきましても、大部分の事件は、法規にかかわらず、それで支障ないというふうに認めてやっておるところもあるわけなんで、ただまあ特殊の事件について問題が最近起こっておるわけなんで、そういう具体的な問題について、なぜそのときにそういう措置をとったのかというようなことは、その当該検察官がやっておるわけですが、その結果を報告は受けております。そういうわけで、今の方針とかいうようなものにつきましても、統計というようなものにつきましても、ぴったりと御要求に沿うようなものができるかどうか、ちょっとまあ困難なようにも思いますので、あらかじめ一つ御了承を願いたいと思います。
 それから、今の接見交通権の問題で、何か統一的な方法ということで、何か規程、訓令があるのではないかというようなことでございます。これは、法務大臣の訓令として執行事務規程というのがございます。これは、そういうものばかりでなくて、刑の執行一般につきまして、証拠品の取り扱いの証拠品事務規程とか、徴収金を扱う徴収金事務規程というふうなものに並びましてこの執行事務の事務規程、こういうものを訓令で出しております。その中のよくみなが言う面会切符でございますね。面会切符の様式といいますか、こういうものも確実にやる意味におきまして、そういうものを規定したものがありますが、まあこれは、執行事務規程というのは、別に秘密じゃございませんが、内部のまあ内部訓令でございますので、他の、執行の方法のそのときの取り扱いの様式でございますね、そういうようなものは、この執行事務規程の中から今の切符の部分だけでよろしゅうございますね。
#56
○亀田得治君 はい、それだけ抜いて一つ。
#57
○政府委員(竹内寿平君) そういうふうに一つお願いいたしたいと思います。
 それから、事前閲覧について統一的な指示というようなことも、これは、考え方が、自分らはこういう希望をするというようなことで、かりに言っても、それを指示という形でやります場合には、具体的事件に即しない場合を生じて工合が悪いものですから、そういう指示は検察庁でもいたしておりませんし、私どももいたしておりません。具体的な事件に際して、そういうことでは困るじゃないかということは、それは申しますが、だからといって、こういうふうな方法でやれ、片っ端から拒否をしろというようなことは、とてもそんなようなことは上の者として、また、事件々々によって性格が違いますので、その指示に適しない事項もございます。まあそういった点で、統一した指示というようなことも、あるいは会議の際の発言の中に、若干そういうものに触れた点もあろうかと思いますが、訓令指示というような形では出てないわけでありまして、これもまああらかじめ、それははっきりしておりますので、申し上げておきます。
#58
○亀田得治君 大体了承しましたが、できるだけ、私申し上げたような立場で一つ整理してもらいたいと思います。だから、統計がどうも実際に出にくいようであれば、傾向などを適当に文書にまとめてもらっていいわけです。できるだけのことをお願いしておきます。
#59
○委員長(大川光三君) 委員長からお願いいたします。亀田委員から要求のありました資料は、できるだけ整えた上で、適当な時期に御提出を願います。
#60
○亀田得治君 ちょっと委員会にお願いしたいのですが、理事会で御相談願いたいわけですが、申し上げたこの二つの問題ですね。これは一つ、委員長も専門家ですし、相当いろいろな事件で、弁護士会あたりでもなかなか議論が出るわけです。で、一つ適当な機会を見て、委員会としても、その実地調査といいますか、適当な時期を選んで、専門家に集まってもらって実情を聞く。これは、双方聞かなければいかぬわけでしょうけれども、検察側、弁護人側、裁判所側、何かそういうふうなことを一つ計画してもらいたい。実際にお互いに事情を把握して、納得のいくように一つ論議をしたいと思っておりますので、この点、お願いしておきます。
#61
○委員長(大川光三君) 今、亀田委員の御要求のありまする点につきましては、いずれ検察官手持ち調書等書類の事前閲覧問題あるいは弁護人の接見交通権に関する問題等の委員会が終わりました後に、理事会に諮って、これを善処いたしたいと思います。
 それでは、三件についての本日の質疑はこの程度にとどめまして、本日は、これにて散会いたします。
   午後零時四分散会
   ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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