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1947/08/28 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第15号
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1947/08/28 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第15号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第15号
昭和二十二年八月二十八日(木曜日)
    午前十一時九分開議
 出席委員
   委員長 正木  清君
   理事 高瀬  傳君 理事 佐伯 宗義君
   理事 前田  郁君
      井谷 正吉君    重井 鹿治君
      島上善五郎君    館  俊三君
      成重 光眞君    志賀健次郎君
      原   彪君    矢野 政男君
      山崎 岩男君   岡村利右衞門君
      中野 武雄君    木下  榮君
      前田 正男君
 出席政府委員
        運輸政務次官  田中源三郎君
        運輸事務官   伊能繁次郎君
        運輸事務官   有田 喜一君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 鐵道營業法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第三四號)
 日本國沿岸に置き去られた船舶の措置に關する
 法律案(内閣提出)(第三七號)
 道路運送法案(内閣提出)(第四七號)
    ―――――――――――――
#2
○正木委員長 會議を開きます。
 これより日本國沿岸に置き去られた船舶の措置に關する法律案を議題として質疑にはいります。質疑はこれを許します。山崎君。
#3
○山崎(岩)委員 私は鐵道の實相報告に接しまして、ただいままでの鐵道に關するいろいろな考え方を改めなければならぬ事態にぶつつかりましたので、この機會において一言申し上げたいと存ずるのであります。
 今月の五日に天皇陛下が東北地方御巡幸遊ばされました際、私は十日に青森縣の尻内驛で陛下をお迎え申し上げたのであります。その際陛下が御車をお降りになつて、仙臺鐵道局長が御案内申し上げまして、すぐに陛下に對して御紹介申し上げたところ、過日の東北地方の大水害の歳に眞摯敢闘をいたしまして、鐵道をしてきわめて迅速に運行せしむるように努めました鐵道員に對する陛下のおねぎらいの言葉があつて、まことに感激的なものでありました。命を捨てて國鐵運行のために從事されました從業員のために陛下がわざわざ玉歩を運ばされまして、これに對しておねぎらいの言葉を賜わりました。私はこの感激を未だ忘れることができないのでありまして、まことに感謝にたえない次第であります。私は青森縣内をずつと陛下にお供申し上げまして、秋田縣の大舘でお見送り申し上げまして東京に歸つたのでありますが、その際鐵道從業員の態度ははたしてどういうものであるかという點を私はすこぶる心配をしておつた。實は二・一ゼネスト以來鐵道員の態度に對しましても、考え方に對しましても、私どもは十分注意をしておかなければならぬことがあつた。ところがその鐵道員諸君が各驛において陛下をお迎え申し上げた態度は實にりつぱなものでありました。これが二・一ゼネストにおいてあれだけの騒ぎを釀し出した――思想的に言いましても、共産黨の指令によつて動いた人々がこの中にあるのかと疑わるを得ないほど實にりつぱな正々堂々たるものであつたのであります。この間の委員會におきまして伊能長官の態度に對して感歎の情を表された委員の方がありましたが、私はこれと思い合わせましてわが國有鐵道の從業員なるものが天下の公僕としてほんとうにまじめに働きつつあるということを目のあたりに見まして、これは私ども運輸交通委員としましても、喜ばなければならぬ事態であると考えるのであります。この考えをもつてさえくれるならば、鐵道の赤字克服ということは何でもない。鐵道を組織的にこれから運營していくのは何でもない、百二十億個の赤字くらいはいつでもこれを克服することができるのぢやないか。要は人の考え方である。組織である。力であるという點を考えまして私は感歎おく能わざるものがありましたので、この機會において鐵道の上長の方々がいかにこれらの人々を指導する點において御苦心されておつたかということに對して、慶祝を現わさなければならぬと考えるのであります。この機會において一言私はこの間の御巡幸に際して鐵道員のとられた態度に對して感歎するものがありますので、お喜びを申し上げたいと存ずるのでございます。
 それから私は東北地方の水害の點についてずつと見てまいつたのであります。それについて私は實は大臣か政務次官から御意見を承りたいと思うのでありますが、大臣も政務次官もお見えになりませんので、鐵道長官その他の方々のお耳に供しまして御參考にしなければならぬと思うのであります。それはこの間の水害によりまして鐵道は相當被害を受けております。ところが鐵道自體が一番早く復舊しております。これはまことにおめでたいことであります。橋梁が落ちた、護岸が崩れたと言つておりますが、鐵道自體は速やかに復舊いたしまして何の變りもなく今日その役目を果しておることはまことに喜びにたえないのでありますが、私はこの災害を通しまして痛感させられたことは毎年々々鐵道のこうむる災害はこれからますます殖えるとも減ることはないと思う。水田の水害におきましても、護岸工事におきましても同様、橋梁流失におきましても、これは今年初めてのことでなくして、今後これは必ず引續くものだと考える。なぜそういうことを考えざるを得ないかと申しますならば、この災害はその根本が實に深い、根が深いから尋常一様の、雨が降つたからそのために氾濫したというのではないのであります。この災害のよつて來るところは、私が現地についていろいろ研究しました結果、三點か四點の原因をあげることができる。それは何であるかと申しますると、要するに治山治水の途に缺けている。長い間戰爭のために置き去られて來た。それが一つの原因である。たといて言うならば戰時中におけるところの大濫伐、この濫伐によつて樹林という樹林はことごとく姿を失つてしまつておる。また食糧増産というので山のほとんどの傾斜地を開墾してしまつておる。またこの間の財産税を支拂うことのために非常に困窮いたしました。それで民有林という民有林は賣られた。木材の値段が非常に高くなつた、そこでこれを機會に材木屋さんがどんどんこれを伐つてそうして木材にしてしまつておるのです。またこういう心配がある。それは農地の改正が行われたと同じように、あるいは山林も法律によつて民間の所有を許されないのではないか。私有を許されないのではないか。あるいはこれはまた嚴格なる法律に基いて國家がこれを買上げてしまつて、何らかの處置で分配してしまうのではないかというような疑いがある。そこでこういう事態でもつて木材の價格の高いうちにこれを賣拂つてしまえという思惑的の考えをもつてこれを材木屋に賣つて、材木屋がそれを濫伐してしまつた。そうして製材をした。これが原因となつて今度のこの大水害が釀されたのであります。從つて長い間戰爭中置去りにされたために護岸も浚渫もうつちやられておつた。そのために川の床が水田より高くなつておるのであります。また民有林を伐つてしまつても、これに對する植林も怠つておる。なぜ植林をやらないか。植林をやつてみたところで、また政府がどういう處置で取上げてしまわないとも限らぬ。御承知のように植林の仕事は、五十年百年と經たなければその實を結ばない。しかるに今すぐ自分の身代を畫して植林をやつてみたところで、政府によつてどういう處置が講ぜられないとも限らぬという心配があるから、だれも植林するものがない。官行造林の關係から考えてみましても、この間の政府の白書の中にもあるように、昭和十四年、十五年度においては四十九萬町歩も植林をしておつたものが、昭和二十年、二十一年にはその七分の一の七萬町歩程度より植林していないという事實がある。こういうことが原因となつて今度の大水害となつたのであります。私は青森縣の最もひどい災害地である三戸郡の上郷村を訪れた。そこに八十歳の老翁がおつて、その人の言を聽いたのでありますが、こういう水害は八十の私も未だかつて知らない、私の父親の話によると、天明の時代にまことに恐ろしい水害があつたということであるが、私は八十歳の今日までこれだけの大水害は知らない、と言つております。この大水害は先ほど申の上げましたような原因によつい生じて來ておるのであります。このことを考えると、鐵道は年々歳々莫大なる被害を受けると考えなければなりぬ。水田にしても橋梁にしても、護岸にしても、今にして國家が抜本塞源的な處置を立てるのでなければ、燒石に水であると私は思う。しからば一體どういう處置を講ずればよいか。農林省が一生懸命になつて干拓の事業をやつておる。だが干拓の事業計畫はやつてもこの災害を防止する處置を講じなかつたならば何の役にも立たない。内務省がいかに護岸工事をやり、運輸省がいかに工事をやつてみても、根本の對策を講じなければこの災害を防止することはできない。それをやるのになわばり爭いをやつて、内務省、運輸省、農林省などが豫算の分捕り計畫を立てて、彌縫的な計畫を立てておつても、年々歳々起つてくると豫想されるこの災害を防止することはできないと考える。そこでこの機會に何としてでも國家が一大國土計畫を立てて、總合的組織的な施策をここにめぐらすのでなかつたならば、だめだと痛感してまいつたのであります。青森縣に降つた雨で河川が氾濫し水田を流出したのではない。岩手縣に降つた雨のよつて青森縣がこうなつたのである。各方面御物川、北上川にしてもその通りである。他縣に降つた雨でおのおのの縣が莫大な災害を受けておるのであります。そこで何としてでもこの機會に總合的な計畫をもたなければならぬ。國土計畫のやり直しをしなければならない。思いきつてこの機會に政府が國土省なり建設省なりを設けて、總合的統一的の施策を立てるのでなかつたならば、この災害を防止することはできないことを現地によつてはつきり認識してまいつたのであります。この點については運輸省には護岸計畫があり、商工省には電力局の關係があり、農林省には開拓局の關係がある。それらのものを全部ひつくるめて建設省なり國土省を設けるのでなければ、だめである。ところが運輸省は港灣關係を離す氣になれない。商工省は電力關係を離す氣になれない。しかし戰災を受けた各都市のことを考えると、百六十も、百七十もある戰災都市が現在どういう状態であるか。國民がいかにふんばり、起ち上がろうとしても、木材が統制を受けて囘復することができない。セメントがない。釘がない。何から何までことごとき行詰まりの状態である。そこでこの起ち上がろうとしておる國民の鼻柱をくじいておる。そのために起ち上がれない。關東大震災の當時を振り返つてみれば、もちろん當時と現古とは事情が違いますが、その當時の東京市、横濱市―大都市ではこのくらいしか災害を受けていなかつたか、そのために復興も早かつたろうと思いますが、あの當時の復興意欲というものは、今日の復興意欲とは違う。燃えるがごとき執烈さがあつた。自分の恥をさらすようであるが、私は關東大震災のとき中大学學の法學部一年生であつた。自分の家はまたたく間に燒け畫した。私は當時學僕をやつていたが、この東京市を離れて自分の郷里に歸つて代用教員をやろうかと考えた。ところが災害が恐ろしいというのでこの東京市を捨てて歸れようか。死んでもこの東京市の復興に努力しなければならぬと考えて、私は大震災直後、東京驛頭に出て人力車夫を一箇年やつた。そうして東京市のために働いた苦い經驗がある。燃えるがごとき熱意をもつておつた。敢闘精神をもつておつた。ところが今日の状態はどうかというと、青森市は燒けただれておる。東京都も燒けただれておる。そうしてみんなが燃ゆるがごとき熱意をもつておるけれども、その復興意欲を政府がほんとうに指導して、復興のために力を注いでおるかということを考えれば、政府の力は實に弱い、まことに殘念である。一日も早くこれを復興しなければならない。それをやるにいはどうすればよいかと考えるならば、私は何としてもここに國土計畫を建て直す必要があるので、そのためには各省のなわばり爭いをやめろ。各省の豫算分捕り主義をやめろ。そうしてほんとうに計畫性のある國土計畫を建て直してやつていくのでなかつたならば、この災害を防止することはできないと考えております。この點について當局ははたしてどういうお考えであるか。希わくば大臣あるいは政務次官に承りたかつたのでありますが、お見えになりませんから、伊能長官より承りたいと考えます。
#4
○伊能政府委員 冒頭に今日の行幸に際しまして、われわれの同僚諸君の勤務振りにつきまして、いろいろと御賞詞をいただきましてまことにありがとうございました。ただいまお話のございました國土全般の計畫的な設定竝びに遂行に關する御意見につきまして、またそれの問題に重要な關連をもつ災害の問題につくまして、いろいろありがたい御注意をいただきまして、後刻御審議をいただきます私どもの豫算の上におきましても、災害復舊費は年々非常に巨額の金額に上つており、本年度のごときも三億圓以上を計上いたしている次第なのであります。しかも御指摘のごとく最近の鐵道補害は、南海における震災その他特殊のものを除きましては、大部分從來災害を豫想しなかつたような地域におきましてしばしば大きな災害を受ける。今囘の東北の水害のごときはその最も典型的なものでございまして、私どもこれが復舊にはいろいろと苦心をいたしている次第でございます。その問題に關連いたしまして、國全體の國土計畫の設定を急速に總合化さなけばならぬという御意見につきましては、政府としても毛頭異議のないところであります。殊に私自身の所管をいたしております鐵道關係におきまして、目下政府部内竝びに議會において論議の對象となつております。建設院あるいは建設省の問題につきまして、私自身の所管いたしております問題との關連によりまして御答辯を申し上げますならば、戰時中海軍の施設本部の仕事を終戰後におきまして鐵道が接収をいたしまして、現在運輸建設本部として各般の建設工事に當つております。この仕事は單に鐵道自體の仕事のみならず、廣くあるいは川戰連絡事務局等の指示に基く進駐軍關係の工事、あるいは戰災復興院、現在の建設院の依頼に基く諸般の建設工事、その他大方の依頼に基く工事をいたしておりまして、私自身運輸建設本部長をやつておりますが、これとやがてできるべき建設省、あるいはその他の名前はいかがになりますか、これらの關係につきましては、政府部内におきましても、また國有鐵道といたしましても、運輸建設本部のごとき、國の總合的國土計畫の一環としての重要な工事力をもつものにつきましては、あげて建設院もしくは將來できるべき機構の中に包攝せしむるということにつきましては、私ども何ら異議はないところでございまして、政府部内においてもそれらの話は愼重を期しておるやに伺つております。しかしながらただいまいろいろと御意見のあつた港灣關係その他についは、私自私の所管でもございませんし、御指摘のごとく大臣もしくは政務次官からの御囘答を要望しておられたようですから、私からの答辯を御遠慮いたしたいと思います。海運總局長官もお見えになつておりますのであるいは海運總局長官から御答辯があるのではないかと存じます。
#5
○有田政府委員 ただいまの國土計畫全般的の見地より根本的な國土計畫を樹立しなければならぬ、さような御意見に對しては、私は滿腔の敬意を表したいと思います。そこで建設院あるいは建設省をつくりまする場合に、現在運輸省海運總局で掌つておる港灣行政をその方にもつていつたらどうか、かような御意見のように拜聽いたしました。實はその問題につきましては、政府としては根本的に深く掘り下げて目下研究中であります。今どうするかということはここで答辯を差控えておきますが、ただ今日の現状として、また港灣の特質として、港灣建設保守という問題と、これが運營という問題は密接不可分の關係でありまして、港灣建設がかりに建設省ないしは建設院の方へもつていかれますと、港灣運營の上において非常な障害を來すわけであります。これは實は戰時中に港灣局が内務省にあつたのでありますが、非常に港灣の能力を發揮する上において遺憾の點がありました。そしてやはり總能力を増加するためには、港灣の荷役力、その他港灣自禮の總能力を發揮しなければならぬという見地から、運輸省へ移管せられたような次第であります。その必要性は今日といえども依然として變らないものがあるのでございます。運營と建設の不可分の見地から申しますれば、簡單に移管はできないのじやないか、かような考えも相當深くもつておるのであります。殊に今日の現状におきまして、食糧輸入その他貿易再開に備えて、港灣の能率を非常に發揮しなければならぬという大事なときにおいて、機構の改變をやつて、ここに港灣の能力を阻害することがありますれば、これまた國家として非常な一大支障を來すのであります。從つて政府としては各面から利害特質を考えまして、どうしたらいいか、またいつ、いかなるときにどう具現したらいいかということをせつかく考究中であります。さよう御了承願いたいと思います。
#6
○正木委員長 館敏三君。
#7
○館委員 置き去られた船はその所有主が必ずあつたものであると思う。ところがその所有主はこれを引揚げても建造費あるいは修繕費に多額を要するために、置き去られたような形に現在なつておると思います。もしこれを政府で處置して、さらに敗戰後の日本における海運の補給に使うということはわかりますが、業者自體がある意味においてこれを復舊する力もなければ、復舊する見込みもないというものを處置して、さらに法文を見ますと、これを引取手に渡すということが書ていありますが、その場合に引取手があるかないかということ、その實際問題についてお尋ねしたいということ。いま一つはこれとよく似たもので遺失物法というものがありますが、これとの關連について御説明を願いたいと思います。
#8
○有田政府委員 この法律の趣旨は、終戰後のどさくさまぎれに朝鮮あるいは臺灣方面より相當の船がはいつてきたのでありますが、それが所有者がわからないままにあるいは北九州方面、あるいは山陰方面その他の沿岸に置き去られておるのであります。館委員のお尋ねのような、戰時中にあるいは沈没し、あるいは海難にかかつた日本人がもつておつた大きな船舶などは、この法律の對象となつておらないのであります。實は私らの今日の調査の現状においては、約六十九艘というものを調べてみたのでありますが、そのうちの一番大きなものが九十數トンというような機帆船あるいは木船というような程度のものであります。この法律の對象については今申したような次第でありまして、沈船の引揚げあるいはこれが引揚げ後の改造とか何とかいうような大きな問題が起るような船を對象としておるのではないのであります。もちろん多少の修理というようなことも必要でありますが、この船の大部分はとにかく沿岸に遺棄されておるものを對象として、ただちに修理を加えれば使用できるという小さな船舶を對象としておるのであります。その點多少誤解があるのではないかと思います。
 それから第二に遺失物法との關係はどうであるかということでありますが、實は遺失物法は水上のものを對象としておらない。水上に遺失されたようなものにつきましては、水難救護法というものがありまして、その方でいけるのでありますが、しかし水難救護法によりますと、そういうものを拾得者が發見してより一年もかからなければそれが處置できない。あるいはそれは當然拾得者に行つてしまうということでありまして、小さい船といえども船舶の利用上におきまして、水難救護法を適用することは不適當であるという見地から、ここにかような法律を設けたような次第であります。
#9
○館委員 今審議しておるこの法律が成案されない前に、すでにこういうような趣旨によつて處分された船があるだろうと思うのでありますが、そういうふうな手續についてはどういうようにおやりになつておりますか。
#10
○有田政府委員 實は終戰後、この法律の對象となるような船は相當あるのでありますが、これはまだ法律上の措置が講じられておらない。從いまして臨機の措置といたしまして、地方の海運局、あるいは海運局の支局、あるいは管海官廰、市町村、警察というような方面におきまして、これが保管をやり、それを組合とかそういうものに多少の利用をさしておる。いわゆる管理保全行為をやつておる状態でありまして、これが處分と言いますか、買却と言いますか、さようなことは法律がありません關係上、まだ措置ができない。從つてこの法律を提案し、御審議を願つておるような次第であります。
#11
○館委員 そうするとすでに假處分という形なつて保全されておるものに對しては、その法律ができたらすぐ適用される形になりますか。
#12
○有田政府委員 大體さように考えておりまするが、ちようど第二條の最後の條文がございますが、本來なればこの法律を發動いたしますときには、運輸大臣が相當調査をなし、それから船舶としての指定をするのでありますが、終戰後相當の時日を經過しておりますので、この第二條の末項にありますように「この法律施行前に、置き去られた船舶として管海官廰に届出があり、且つ管海官廰の調査によつてもなおその所有者の知れなかつた船舶については、前項の規定を適用しない」という特例がある。ゆえにただちに金を所在者に拂うとか、何とかいうような問題を起さずに、速やかに解決ができるように考えております。
#13
○館委員 その邊が非常に不明確でありますが、これをせつかく施行しても、すでにそういう意味においてこの法律の制定を前提としてとにかく船の保全に當つてもらつた。そこで今お話のごとく大分經過しておることであるから、さらにこの法律の趣旨とするところに適合して、これを收用するという場合に、さらに政令か何かこしらえなければ、法律のわくないに收用することが面倒になりやしないかという氣持がありますが、その點はどういうふうになつておりますか。
#14
○有田政府委員 すでに管海官廰等におきまして管理しておるものにつきましても、もちろんこの法律は全面的に適用いたすのであります。それは相當の時日が經過しても所有者が知れない場合がありますがゆえに、第二条第三項の規定の適用を除外したという例外があるだけでありまして、もちろんこの法律が全面的には適用になるのであります。
#15
○館委員 それではこの法律施行前にすでに管海官廰かなんかの保全を受けておるものについては、すでに處分がついておると政府では認めておるのですか。
#16
○有田政府委員 さようなものにつきましては、先ほど申し上げましたようにまだ處分がついておらぬ、ただ便宜上管理しておるだけであります。從いましてこの法律が制定公布されて實施になりますと、この法律の發動によりまして、それぞれの條章に則り、ただちに處分を遂行する考えであります。
#17
○成重委員 本法令が制定されまして、指定船舶として使用できるような船舶に對しては、持主なり關係者から申出があれば、ただちにそういう手續がとられまして、この法令を設定した目的に副うところの、いわゆる敗戰後における日本の漁船なり船舶の不足を補つて、これを活用することができる。そういう目的のためにこの法令が定められるものと考えます。そうして持主からそういう指定船舶に對して要求があつて、活用できる船はこの法令を適用してただちに處理できると考えますが、私の見ておる範圍では、魚雷その他によつて沈没してから二箇年以上を經過しておる船が、關門海峽とか北九州方面には何百雙あります。これが該地域の漁業者に對して大なる支障を來しまして、最近ではこれらの漁區沿岸の漁業者はほとんど失業状態になつておることは事實であります。引揚げれば活用できる船はこの法令の適用を受けて處置できるかもしれませんが、利用のできない船が現在では大部分ではないかと考えます。これらはスクラツプとしての價値すらないようなかつこうで捨てられておりますが、この處置に對してどういう取扱いをなさるのであるか。漁業者は一日も早く掃海して處理してほしいと熱望しておるということを聞き及んでおります。おそらく今日では活用できる船はいくばくもないと考えるのでありまして、大部分は利用價値のない、あるいはこれを引揚げて今日高いところのカーバイトや酸素を使つて切斷してスクラップにしたところで、引合わないというところから、せつかく法令はつくつたが、その法令の活用によつて處理できる船は微々たるものにして、その大部分は處置のつかない結果になるのではないかと思います。これが航海上の支障となり、あるいは港灣の妨害となり、航路の妨害となり、なかんずく最も支障を來しておるのは漁業方面に對する被害であると考えます。この處置に對するところのお考えをお尋ねいたします。
#18
○有田政府委員 私の説明が惡かつたか、あるいは皆様のお聽き違いか、ともかく今成重委員のお尋ねの點は、多少誤解があるように存じます。この法律の對象としておりますものは、ともかく現在のところでは所有者の知れないもの、すなわち先ほど説明しましたように、終戰後朝鮮とかあるいは臺灣方面から、あるいは法律を犯してと申しますか、不法にはいつてきたと申しますか、その原因はともかくとしまして、朝鮮、臺灣方面からはいつてきた船、そしてその所有者の知れないもの、さようなものを主として對象としておる。今成重委員のお尋ねの點はそれと別箇に戰爭中にあるいは沈没した、要するに所有者のわかつておる船についてのお尋ねかと私は想像するのであります。所有者のわかつておる、すなわち從來日本の船主がもつておつた船につきまして、御指摘のように、あるいは港灣内に沈んでおる、あるいは漁區の中に沈んでおる、その沈船が引揚げられない、ために非常に航路その他に障害をきたしておるという事實があることは、私はよく了承しております。その問題につきましては大ざつぱに申しまして、日本近海に日本の船舶として、所有者の大體わかつておる船が約七十萬トン近く沈んでおつたのであります。それを沈船の引揚げということに終戰後努力いたしまして、すでにこれは八月の十五日現在でありますが、沈没船の引揚げたものが二十七萬トンばかりあるのであります。また沈没船を解撤いたしましたものが約四萬五千トンばかりあるのであります。それで政府の方針といたしましては、まず沈船の處理につきましては、航路啓開、すなわち船の運航上支障のあるような航路に沈んでおるものは、第一着として引揚げる。第二といたしましては引揚げてこれが活用の途のあるもの、これを次の優先順位として引揚げるというようや方針で進みまして、一部は豫算を計上いたしましてそうして引揚業者、あるいは船の持主に對して、損害の生じない點において政府の補助によつてこれを引揚げるというような方針もとる。また相當活用の餘地あるものは船舶公團の利用によつて、すなわち引揚げた船の修繕費を原則として船舶公團が半分の費用をもつというような方策を講じまして、著々沈船の引揚げ、あるいはこれが解撤處理ということに邁進しておる次第であります。今後もさような方針で進みまして、今成重委員の言われるような漁區その他航路の航行の上において、障害を來しておるというようなものは著々處理をいたしたい。かように考えております。
#19
○成重委員 その點もよくわかつております。船の籍がわからないというのは、不法に行うとか、どさくさにまぎれてとかいう言葉で答えられておるが、主として朝鮮方面から籍のわからないような船が北九州方面にはいつてきて、沈船となつておるのが多かつたと思つております。しかしそういうものは、極く微々たるものであつて、そういうもののみに對してこの法令は適用する法律であつて、その他の船はおおむね船籍あるいは持主のわかつておるものと考えます。これにはこの法の適用というものは關係のないものと思いますけれども、これを早くしていただきまして、むしろそういう朝鮮あたりから不法にもはいつてきた百トン以下の船に對しては、處置のつくものがあるかも知れませんが、つかない船の方が多いじやないかと考えるわけであります。先ほどのお答えでは、そういうものは著々として處理しつつあるというようなお答えでありますけれども、玄海から北九州方面にかけて沈没しておる船は、ほとんど今のところでは未著手のような状態で、大部分が航行あるいは漁區に支障をきたしておると私は申し上げたのであります。それでこれはお願いでありますけれども、重ねて申し上げておきますが、ぜひひとつそういう方面の引揚げに對しては、海運局として敏速なるところの處置を講じていただきたい。この點を併せてお願いいたしまして、私の質問を終りといたします。
#20
○正木委員長 重井君。
#21
○重井委員 この第四條に管海官廳というのがありますが、管海官廳はどの範圍であるかということ。それから「引渡を請求しなかつたときは、管海官廳は、その適當で信頼するに足りると認める海運業者、漁業者、その他海上企業に密接な關係を有する者に對し、命令の定めるところにより入札の方法によつて、これを賣却しなければならない。」とありますが、「この場合には、管海官廳は、運輸大臣の指定する鑑定人に當該指定船舶を評價させ」こう書いてありますが、運輸大臣の指定する鑑定人というと、どういう立場の人を言うのでしようか。
#22
○有田政府委員 第一のお尋ねの、管海官廳の意味は、主として地方海運局を考えているのであります。それから次の第四條の、「海運業者、漁業者、その他海上企業に密接な關係を有する者に對し、命令の定めるところにより、入札の方法によつて、これを賣却しなければならない。」「その信頼するに足りると認める海運業者、漁業者、その他の海上企業に密接な關係を有する者」という意味は、主として信用のできるところの地方の一般の海運業者、漁業者、その他港灣運送業とか、あるいは倉庫もその中にはいると思いますが、とにかく海上企業に密接な關係を有する者に對しまして、入札の方法によつてやりたい。これは一般に自由にしてもいいのでありますが、そういたしますと、船舶の利用の上から見まして、全然經驗のない者に渡りまして、利用上おもしろくないというので、われわれとしましては、地方の海運局を中心としまして、民間人、その他第三者を入れました委員會のようなものをつくりまして、その委員會によりまして、適當と認める業者を指定したい。かように考えております。なお鑑定人につきましても、今のところでは、やはり船舶に關係のある人が最も鑑定人として適當と思います。鑑定人も數名選びまして、公正な價格を決定したい。かように考えております。
#23
○正木委員長 質疑は別にございませんか。―ではこれをもつて、日本國沿岸に置き去られた船舶の措置に關する法律案に對する質疑は終了いたしました。
 これより討論にはいります。高瀬傳君。
#24
○高瀬委員 私は日本社會黨を代表しまして、日本國沿岸に置き去られた船舶の措置に關する法律案に賛成するものであります。六月二十三日の總司令部のメモランダム第三項に、日本政府は右船舶の保管に任じ海運竝びに漁業方面に有效に使用することとありますが、この趣旨に從つて、この法案が海運竝びに漁業方面に有效適切に役立たんことを希望いたします。
#25
○正木委員長 山崎岩男君
#26
○山崎(岩)委員 私は日本民主黨を代表いたしまして本案に贊成するものであります。ただいままで、まことに眠つておりましたところの有力な機關を利用いたしまして、日本の生産擴充のために利用するということでありますので、まことに機宜に適しておるところの措置であると考えます。從つて、私は本案か速やかに法律となりまして、こうしたものが日本の産業方面に十分に働くように希望いたしまして、本案に贊成するものでございます。
#27
○正木委員長 前田郁君
#28
○前田(郁)委員 私は日本自由黨を代表いたしまして本案に贊成するものであります。この法案はもつと早くできていなければならぬと私は考えておりまして、現に私の地方においてもこの問題に惱まされておるものもあつたのであります。さいわいにして、わが國の海運及び漁業方面の現状を考えられまして、一日も早く船腹不足の惱みを解消したいという趣旨から本案を提出されたことは、まことに結構なことと考えます。かような意味において私は本案に贊成いたします。
#29
○正木委員長 討論は終局いたしました。これより採決にはいります。原案に贊成の諸君の御起立を願います。
    〔總員起立〕
#30
○正木委員長 起立總員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
 次に、衆議院規則第八十六條により、議決の理由を付した報告書を作成し、委員長より議長に提出することになつておりまして、今までの法案は委員長の方にて作成し、議長に提出いたしておりました。今囘も委員長にて作成いたすことに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○正木委員長 ではそのよう取計らいます。
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#32
○正木委員長 これより、去る十一日に當委員會に付託された鐵道營業法の一部を改正する法律案竝びに八月二十三日當委員會に付託された道路運送法案を一括議題といたします。當局より提案理由の説明を聽取いたします。田中政務次官。
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#33
○田中(源)政府委員 本日は大臣がやむなき事項で出張しておりますので、代りまして今議題に供せられております鐵道營業法の一部を政正する法律案の提案理由竝びに道路運送法の提案理由を御説明申し上げたいと存じます。
 まず最初に鐵道營業法の一部を改政する法律案を今囘の國會に提出します理由について申上げます。七月の鐵道運賃の改正は、新物價體系の一環として石炭、米、肥料等の重要物資と同時に決定實施する必要がありました。從つて鐵道營業法第三條の規定により公告する暇がなかつたので、昭和二十年勅令第五百四十二號、ポツダム宣言受諾に伴い發する命令に關する件に基く政令を制定して、この法律の適用を排除する措置をとつたのであります。しかしながらこの措置は、やむを得ず實施した非常措置でありますから、あらためてこれを法律案として國會に提出し、その審議にかけんとするものであります。
 第二に公告期間を短縮します理由は、平常の經濟状態におきましては、社會的に影響の大きい鐵道運賃等は、一般に十分にこれを知悉させて、不測の損害をこうむることのないよう相當期間公告することが適當でありますが、わが國の現状は經濟情勢の變轉がきわめて激しいので、一箇月の公告期間は、かえつて實情に副わない場合がありますことと、殊に物價體系等との關係において運賃を改正する場合は、さらに今囘にごとき非常措置をとる必要のある場合が豫想せられますこと等のため、これを短縮し得る途を開いて置くのを適當と考へます。また國有鐵道については、今後運賃改正の際は、國會の議決を經ることとなりますため、その審議の過程におきまして國民は大綱を知ることができますので、公告期間を短縮しても、實害がないと考えられます。
 以上述べました理由によりまして、公告期間はその時の實情に應じ、最低限度七日まで短縮することができるよう改正しようとするものであります。なお、この法律の改正によりまして非常措置としてとりました政令第百十三號は廢止するのであります。以上をもつて鐵道營業法の一部を改正する理由といたす次第であります。
 次に道路運送法案の提案理由について御説明申し上げます。自動車及び輕車輛が陸上運送部面におきまして、きわめて重大な役割を演じつつあり、その運營の良否は、ただちに全經體制の運營に、また公共の福祉に影響を及ぼしますことは、すでに御承知の通りであります。政府におきましては、自動車運送事業の重要性に鑑み、昭和六年自動車交通事業法を制定して、自動車運送事業を免許事業とするほか、必要な監督の規定設をけ、爾來事業の健全な發達をはかつて參つたのでありますが、本法は事業法規として自動車運送事業のみを對象としており、すでに陸上運送において重大な役割を擔當する輕車輛に對する規定を缺くのみならず、目下の運送の秩序の確立を期する上から見て必要な規定もなく、最近の經濟産業の要請から見ますると、現在の法制はまことに不十分であり、公共の福祉を確保する上からも不備な點が認められるのであります。同時に現行自動車交通事業法は戰爭中の改正を受け、統制組合としての自動車運送事業組合を規定する等、戰時法規としての色彩をも殘存しておりますので、これはただちに改正しなければなりませんとともに、その他の點におきましても新事態に即應して、事業運營及びそれに對する監督行政を民主化する必要が認められるのであります。本法案は前に申し上げましたように道路運送の重要性に鑑みまして、單に現行法制の不備を是正補充するのみならず、さらに現下の産業經濟の要請を加え、さらにまた自動車及び道路運送の洋々たる前途に光明を認めつつ企畫され、ここに本國會に提出された次第であります。
 以下簡單に本法案の骨子を申し上げます。
 第一に申し上げたいことは本法案の對象についてであります。すなわち本法案は道路運送に關する總合法規として次の四つの事項を對象としておるのであります。第一は、バス事業、トラツク事業のやうな自動車運送事業と、從來荷牛馬車業とか或は乘合馬車とか言われていたいわゆる輕車輛運送事業とを新たに總括したところの道路運送事業。第二は、十國峠に盛るようないわゆる自動車道事業、すなわち專用道路事業であります。第三は、自家用自動車。第四は、道路運送の基礎をなす車輛の構造、検査及び整備であります。
 第二に申し上げたいことは事業の監理についてであります。すなわち本法におきましても、自動車運送事業及び自動車事業はその公共性が特に大きいと認められますので、主務大臣は免許、認可等のいわゆる行政監督の措置をとることとしたのであります。しかし輕車輛運送事業については、その經營の實情に即するよう免許制によらず届出制とし、かつできるだけ地方で處理できるようにいたした次第であります。なお旅客交通の面において特に考慮しなければならない公共團體、市等でありますが、その地域内の運輸については、その公共團體の意見を十分参酌して行政を行う規定をも設けた次第であります。
 第三に申し上げたいことは、行政の民主化についてであります。すなわち道路運送行政の適當な運用をはかるため、中央及び地方に道路運送委員會を置きまして、重要行政事項に關しその意見を徴する方途を講じますとともに、免許の基準を設けて免許の適正を期した次第であります。
 第四に申し上げたいことは、事業經營の公正合理化についてであります。すなわち自動車運送事業における物品運送契約の公正簡易化をはかるため、運送約款の制度を設けて契約を定型化するとともに、運送義務及び運送委託を明確にし、その他公共の福祉に反する行為の取締り體制の確立等、事業經營の民主化のため、必要な規定を設けた次第であります。
 第五に申し上げたいことは、自家用自動車に關する規定を設けた點であります。すなわち運送秩序の確立を期するため、自家用自動車は對價を得て運送の用に供したり、または貸し渡したりすることはできないこととし、その他公共の福祉を確保するため必要があるときは、運輸大臣は所要の措置をとり得ることといたした次第であります。
 第六に申し上げたいことは、車輛の構造、檢査及び整備について規定を設けた點であります。すなわち車輛は道路運送の基盤をなし、これが整備如何は輸送力に直接大きな影響がありますので、車輛の機能及び保安の適正化をはかり、輸送力の高揚に資することといたした次第であります。
 第七に申し上げたいことは自動車運送事業組合と整理についてであります。すなわち從來の統制方式の自動車運送事業組合を解散し、自主的團體の設立に委ねることにいたしたのであります。なお自動車交通事業財團の制度も從來あまり利用されません關係上、この際これを廢止いたしたいと存ずる次第であります。
 道路運送の健全な發達をはかつて、公共の福祉を確保するためには、是非ともこの法律の實施を必要とするものと信じますから、何とぞ十分に御審議の上、御協贊くださるようお願いする次第であります。
#34
○正木委員長 本日はこの程度にいたしまして、次會は三十日午前十時より開會いたします。これにて散會いたします。
   午後零時二十一分散會
ソース: 国立国会図書館
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