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1947/09/27 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第20号
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1947/09/27 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 運輸及び交通委員会 第20号

#1
第001回国会 運輸及び交通委員会 第20号
昭和二十二年九月二十七日(土曜日)
    午前十一時十四分開議
 出席委員
   委員長 正木  清君
   理事 佐伯 宗義君 理事 前田  郁君
      井谷 正吉君    佐々木更三君
      重井 鹿治君    館  俊三君
      橘  直治君    原   彪君
      堀川 恭平君    矢野 政男君
      山崎 岩男君   小笠原八十美君
     岡村利右衞門君    田村 虎一君
      高橋 英吉君    木下  榮君
 出席國務大臣
        運 輸 大 臣 苫米地義三君
 出席政府委員
        運輸政務次官  田中源三郎君
        運輸事務官   加賀山之雄君
        運輸事務官   郷野 基秀君
 委員外の出席者
        專門調査員   岩村  勝君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 鐵道營業法の一部を改正する法律案(内閣提
 出)(第三四號)
 道路運送法案(内閣提出)(第四七號)船舶運
 營會存續の件
    ―――――――――――――
#2
○正木委員長 會議を開きます。
 これより鐵道營業法の一部を改正する法律案を議題として討論に付します。討論はこれを許します。井谷正吉君。
#3
○井谷委員 この鐵道營業法の一部を改正する法律案は、今後運賃改正の際には國會の議決を經ることになりますので、その審議の經過においては國民もその大綱を知る餘裕が相當あると考えますから、これは最低限度七日まで短縮することができるよう改正しようとするものでありまして、この法律案に對しまして、社會黨といたしましては全面的にこれを認めることにいたしております。
#4
○正木委員長 原彪君。
#5
○原(彪)委員 私はまだこの法案につきまして黨の方に諮つておりません。事後承諾の措置をとりたいと存じております。承諾してくれることと思いますので、民主黨を代表いたしましてこの鐵道營業法の一部を改正する法律案に贊意を表するものであります。
#6
○正木委員長 前田郁君。
#7
○前田(郁)委員 私は日本自由黨を代表いたしまして、この法律の改正に贊成いたします。この法律は七月の鐵道改正の時分に、私どもが一般の國民から非常に非難を受けたころでありまして、政府がこれを今囘改正されるに至つたことはまことに喜ばしいことでありまして、私どもは全面的に贊成をいたすのであります。しかしながら、この際この改正の場合にお願いしておきたいことは、公告期間というものはなるべく期間を長くいただいた方が、國民によくこれがわかるのでありまして、殊に運賃その他は國民經濟に非常な影響がありますので、七日というのはごく短かい期間でございますから、私どもとしてはなるべくこれは長くして、努めて國民に知らしめるというような方法をとつていただきたい、こう考える次第であります。こういう意味をもつまして本案に贊成するものであります。
#8
○正木委員長 木下榮君。
#9
○木下委員 協同黨といたしましては適當の法案といたしまして贊成をいたします。
#10
○正木委員長 討論は終局いたしました。
 これより採決をいたします。原案に贊成の諸君は起立を願います。
    〔總員起立〕
#11
○正木委員長 起立總員。よつて本案は原案の通り可決いたしました。
 衆議院規則第八十六條により委員會の付託事件について審査または調査を終りたるときは、議決の理由を付した報告書をつくり、委員長からこれを議長に提出することになつておりますが、委員長の方にてこれを作成するに御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○正木委員長 それではそのように取計らいます。
    ―――――――――――――
#13
○正木委員長 この際お諮りいたします。政府より船舶運營會の存續延長に關する件について發言を求めておられますが、これを許すに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○正木委員長 それでは許します。速記を止めてください。
    〔速記中止〕
#15
○正木委員長 それでは速記をとります。船舶運營の存續延長に關する件の政府より説明を聽取いたしたのでありまするが、本委員會としてはこの延長を了承することにいたして御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○正木委員長 ではさように決します。
 お諮りいたします。午前中はこの程度とし、午後は一時より再開して道路運送法案の質疑を續行したいと存じまするがいかがでしよう。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○正木委員長 では午後一時より再開することといたしまして、暫時休憩いたします。
    午前十一時三十六分休憩
    ―――――――――――――
    午後二時十一分開議
#18
○正木委員長 再開いたします。
 これより道路運送法案を議題として質疑を續行いたします。前田郁君。
#19
○前田(郁)委員 今囘付議されました道路運送法案は非常に重大な法案であると思うのであります。政府より提出されました法案要綱を見ましても、諸制度の總合的整理、輸送秩序の確立というような重大な問題でありまして、殊にこの問題は道路運送と言いましても、自動車と輕車輌の二つがこの中に包含されているのでありまして、主として自動車に關する問題が多いと思われるのであります。自動車と國營の自動車の二つが日本の道路運送事業の重大なる部門であると考えるのでございまして、實は前の委員會におきまして、木下榮君からいろいろお話があつたのであります。木下君は業界の大先輩でございまして、しかも民營業者のある一部においては委員長をせられ、あるいは組合長をされておられる非常に重要なる地位にある業界の玄人でありまして、その理論も尊重すべきものがあると思うのであります。ゆえに木下君の御議論は、私どもは十分敬意を表して拜聽いたすのでございますが、前會における木下君の話を聽きますと、日本全國ほとんど省營自動車を希望しておるということでありまして、一部の政治家が國營自動車を實施してもらうために、これを選擧運動にも利用しておるという話でございます。私どもは木下氏の立場は諒といたしまするが、この點に對しましてまことに不愉快な考えをもつたような次第であります。日本全國からたくさんの陳情書も參つておりますが、その中にもいろいろございまして、十數年間まつたく血みどろになつてこの運動のための働いている地方の人々も多いのでございまして、木下氏の言われるような、單に選擧運動の利用のためにやつておるというような理論をもつて、これをいかにも不純なもののごとくに言われることは、まことに心外にたえないところでございます。殊に前會運輸大臣もその大體の方針とされまして鐵道の路線であるとか、それに先行するものであるとか、あるいは開發線であるとかいうようなものをやる方針であるということも述べられたのでありまして、日本のただいまの情勢からいきましても、そういう點において必要と思うような路線が大分陳情されておるようにも思うのでございますから、この點を私どもは政府としては、業界の主張があるとか、あるいは地方民の單なる要求であるとかいうことでなく、ほんとうに國家という大局より見て、必要なる路線は著著これを實行していただきたいと思います。そこで私は本日運輸大臣に特にお伺いいたしたいと考えますのは、二十三年度において國營自動車はどういう方針をもつてやられる所存であるか。また政府としてはどういう計畫をもつておるかということを、私ども委員會として一應承つてくなければ、今後私どもが著手いたしますところの陳情問題の解決も、なかなかむつかしいと思うのでありまして、まずこの點において私どもは大臣の所見を承りたいと考えておるような次第であります。
 次にはこの法案が通過いたしますと、今後省營バスの問題であるとか、その他重大な問題は道路運送委員會に付議されることになると思います。そうすると、ただいま地方におきましては運行せざる路線を許可されておるものが業界にたくさんありますが、そういうものはどういうふうに處置されるのであるか。やはり一つの利權としてこれをそのまま殘していかれるのであろうか。また今後は新しんこの委員會にかけられまして、今までの話は一遍御破算にして、眞に必要な、現在やつておるものとか、あるいはまさにやらんとしておるものに限定されるのか、そういう點についても政府の御方針を一應承つておきたいと考えておる次第であります。
 なおいろいろお聽きしたいことがございますけれども、これは逐條審議をやりたいという委員長の御希望でございますから、そのときにこまかい問題は伺いますが、ただその中で私どもが重大な問題として考えますのは、この道路運送委員會の組織とか運用、あるいは委員の資格というようなものは政令で定めることになつておるようでございますけれども、この法案の中に、大體こういうものを委員にするとか、組織はどうするかということをやつていただいた方が、いいのではないかと思うのでございます。これに對して大體の政府の方針を一應承つておきたいと考えておるような次第でございます。
 それからこれはあまり大きい問題でございませんが、自家用自動車の利用を禁止しております。ただいま運送という面において非常に隘路がありまして、地方においても中央においても困つておるのでありますが、自家用トラツクのようなものは現在一般にも相當利用されておるのではないかと思います。これに嚴罰を科するということも取締りの必要上ございましようけれども、むしろそれよりも、この際この窮況を打開する意味において、何とか利用の方法はないものか、こういう點においてもう少し進んだやり方はないものかと思いますが、どういうふうにしてこれを取締られるのか、その取締りのいかんによつては、かえつて逆效果を來すのではないかと思う點もあるのでありますから、この點においてもひとつお話を承つておきたいと思います。
 それから最後に今囘の水害の問題につきましてでございますが、水害地において内務省は通信機關が破壞された場合に、無線電信あるいは無線電話をもつて自由に連絡を保つて復舊をやつたという話でありますし、しかるに鐵道の方ではそういう設備がないということであります。あるいは私の寡聞かもしれませんが、私の承るところによりますと、無線電信、無線電話の設備が運輸省の方にはない。運輸という事業は非常に重大な問題でございまするから、私どもはこれに對しても、政府としては相當な設備をして今後やつていくべきものではなかろうかと考えておる次第であります。もしこういうものがありますれば結構でありますが、ないといたしますれば、今後そういうことも積極的にひとつ整備してやつていただきたいというように考える次第でございまして、これに對しましても政府のお考えはどうであろうか。この點も承つておきたいと思う次第であります。それで私どもは、この法案はすべての制度の總合的の整備をやろうという問題でございまして、なかなか重要な問題と思いまするから、なおこまかい點について逐條審議の場合にお尋ねをいたしたいと思います。以上の諸點につきまして、運輸大臣の發表のできる範圍においての御意見を承りたいと存ずる次第であります。
#20
○苫米地國務大臣 第一問も二十三年度に對する具體的な方針はどうかということでございまするが、これはまだはつきりきまつておりませんので――今省營自動車の希望を申し出ておりますのは約百件ぐらいあるだろうと思いますが、それらの要請に對しましては、よく實地を調査いたしまして、調査の上で、大體二十三年度にはどうするかという方針を決定いたしたいと思うのであります。まだその具體的な段階になつておりません。どうぞその點悪しからず御了承を願います。
 それから第二問の、今までの既得權、これを一遍白紙にしてやり直すかということでありますが、現在動いておる、正當な營業をやつておりまする所は、格別やりかおる必要はないと思うのであります。ただ路線を全然休止しておるとか、あるいは非常に成績が悪くて國民が困つておるとかいうような所がありますれば、これは新規に調査いたしまして、それぞれの措置をとつていかなければならぬと思いますが、大體において今までやつておりました既設のものはそのまま認めて、そしてこれをむしろ助成改善させるという方向に向つた方がよかろう。こう考えております。
 それから自家用トラツク、無電につきましては、ひとつ政府委員からお答えさせます。
#21
○郷野政府委員 道路運送委員會の構成、權限その他重要な事項につきまして、政令によることなく、特に重要な點は法律に規定した方がいいのではないかというお話でございますが、この點につきましては、私どもといたしましてもさらに御趣旨によりまして檢討を加えまして、そういう研究を早速進めてみたいと存じます。
 なお自家用自動車の利用の禁止につきまして、あまり極端なことをしては、かえつて輸送力に大きな悪い影響を與えるおそれがあるのではないかという御注意の點でございまするが、自家用自動車につきましては、先日も申し上げました通り、現在營業用の自動車に比べまして、その數もかえつて多いような状態でございます。しかもこの自家用自動車につきましては、もちろん重要な産業の生産配給の仕事に使われておるはずでございまするが、たまたま一部の自家用自動車につきましては、當業類似の行為が行われておるきらいもないでもないのであります。從いましてこの法律の實施にあたりましては、新しく自家用自動車の利用につきましての規定も設けられることに相なりまするので、この立法の趣旨に基きまして、自家用車の營業類似の行為を取締る考え方でございまして、自家用車がその本來自家用を認められました趣旨に從いまして、その機能を發揮するという面につきましては、十分に考慮を拂つてまいりたいと考えております。現に重要物資の輸送につきまして、輸送證明の制度もとられております。また輸送の實績に應じまして、ガソリンその他資材を配給するという制度もとられることになつておりまするが、これらの實施にあたりましても、自家用車が眞にこれらの物資を輸送するという場合におきましては、資材の裏づけなどにつきましても、營業車と同様に十分適切な考慮を拂つてまいるつもりでございます。なおまた自家用車が營業類似行為をすることによりまして、全體の輸送の秩序を亂すということになりますると、公益事業といたしまして、自動車の運送事業につきまして免許制度を布いておりまする根本が崩れてくることになりまして、かえつて大局から見ますと、全般の利益を阻害するという點もございまするので、この立法のごとき措置を講じたいと思つておるのでございまするが、自家用車本來の發展につきましては、先日來繰返し申し上げておりまするように、十分その健全な使用の面におきましては、資材その他の面におきましてもこれを助成いたしまして、自家用車が本來の機能を發揮する面におきまして遺憾なきを期してまいりたいと存じておる次第でございます。
#22
○加賀山政府委員 無線通信施設のことにつきまして御質疑がございましたが、ただいまのところでは、無線通信施設は整備いたしておらないのでございます。われわれといたしましては、その必要性につきましては、戰時中、戰後にわたりまして痛感いたしまして、その整備に努力いたしているわけでございますが、電波の統制、その他のために、未だに整品の域に至つておりません。ただ全然無線通信設備がないかと申しますと、そうではございませんで、ただいまのところ、中央對鐵道局の本部の無線について、まず整備中でございます。東京、大阪、名古屋等につきましては、すでに實用化いたしております。そのほか主要船舶、連絡船と港の間、これもすでに久しい間無線通信をやつております。さらにこれを整備いたしまして、中央對各鐵道局、それから鐵道局對各管理部、各管理部對主要操車場といつたような所に整備していくという目途をもちまして、これをせつかく努力中でございます。
#23
○前田(郁)委員 先刻お伺いしたこの道路運送委員會の問題でございまするが、これはまだこまかい點まで案ができ上つていないのでございますか、大體でき上つておりますれば、お聽きしたいと思います。
#24
○郷野政府委員 道路運送法の施行につきまして、政令案の條項は一通り私どもの手もとにおきまして研究を遂げております。從いましてこの政令案の條項のうちに道路運送委員會についての要綱も一應掲げておりますので、それにつきましてごらん願いたいと存ずるのでございます。お手もとに部數が足りませんので、今日あるいは十分でなかつたかと存じまするが、差上げることになつておりますので、一應ごらん願いたいと思います。
#25
○前田(郁)委員 こまかいことは逐條審議のときにお伺いしたいと思いますので、これで打切ります。
#26
○高橋(英)委員 前田君の質問に對して御答辯のあつた、自動車の方の既得權をもつております民間營業者のうちの不良の線路と言いまするか、とにかく權利はもつていながら、實際それを行使しない、殊にはなはだしいのは、ここ五年間なり七年間なりその路線を一度も運行していない、しかもその路線は今日省營自動車なり、民間自動車でも同樣ですが、最も自動車の運行を必要としておるという路線があると思うのですが、何かこれに對して新規に調査してもいいというような御答辯のようにも思われましたけれども、こういう不在地主的な權利路線と言いまするか、そういうものに對して調査する機關を何らかの方法でこしらえてもらうというような積極的な意圖でもあるのでしようか。もしくは何か陳情があるごとに具體的に一々お調べになるというくらいな程度でしようか。またそのお調べになつた結果、もし眞に不在地主的な不良路線であるということになれば、そういうことに對して積極的に運輸省としてはお動きになるというような意向があるのでしようか、どうでしようか。それをお尋ねしたいと思います。
#27
○田中(源)政府委員 お尋ねの第一點でございまするが、これは御承知の通りに各縣に自動車部というものがございます。これでもつて一應現行の營業者竝びに許可路線を有するものの運行状況を詳細に調査いたしまして、至急に報告をせしめたい。右ような處置をとつてみたいと考えております。その上で營業者に營業いたすように警告を發し、またいたさざる場合におきましては、その許可路線に對する整理をいたして差支えない。かように考えておるようなわけであります。この點御了承を願いたいと思います。
#28
○高橋(英)委員 それはすでにそういう命令が發せられたということになるのですか、發せられる意向でありましようか。
#29
○郷野政府委員 私からお答え申し上げます。現在乘合自動車の路線で休止いたしておるものが約五十パーセント近くございます。これは戰爭中からの引續いての措置といたしまして、資材が非常に逼迫いたしておりまして、乘合自動車の數もかつての數に比べますと、半分程度に下つております。なお車齢の點から見ましても、七年、八年ないし十年というような車齢のものが多いというような現状でございますし、タイヤ、ガソリンその他の燃料の面におきましても非常に行き詰まつております。なお戰爭中からいたしまして、特に鐵道と竝行しておるような區間につきまして、鐵道で一應輸送が間に合うようなものにつきましては、官廳側から慫慂いたしまして、休止をさしておるというような路線もございます。從いまして現状におきまして、これらの路線を一度に復活させることはとうてい望めないことと考えまするが、できるだけ地方の交通状態に順應をいたすように、路線の復活を能う限り急速に手配すべきものと考えまして、私どもといたしましては、鐵道局、自動車事務所におきまして、ただいま休止路線全般につきまして、その路線の交通需要、またこれに對しまして適當な順位を付しまして、車輌その他燃料などの資材につきましても、バスに對しましてこれを最近の機會においてできるだけ割當を増加いたしまして、この復活を順次やつてまいりたいという考え方をもつております。それで今この路線の調査、復活の計畫というものを樹立いたすべく、鐵道局竝びに自動車事務所において進めておるような次第でございます。ただ車輌の點におきましても、タイヤ、燃料の點におきましても、遺憾ながら急激にこれを殖やしてまいることができませんので、その復活は漸を追つて、特に緊急のものからこれを進めていくという考え方にいたすよりほかないものと存じております。
#30
○高橋(英)委員 よくわかりましたが、大體民間業者も不良路線というか、有名無實的なものをもつということは好ましい姿ではない。むろん民間業者としては理想的に完全な運行ができる状態にありたいと希望しておるには違いないと思います。それができないのは、お説の通り戰時以來の各種の悪條件でさようになつておる。現在も各種のあらゆる悪條件がまだ解決されませんので、從つて民間業者が熱望するような理想の状態になつていないということは議論の餘地がないのであります。從つて現在ただちに民間業者に對して、すべてを望むことは酷であるのでありますから、民間業者としては各種の隘路、悪條件のために完全な運行ができないという状態にあつて、省營の方で國家としてこれをやるならば、やり得るというような場合があるのであります。たとえば道路の改修の問題なんかでも、縣が協力しなければいけない、縣が道路を改修しなければいけないという立場にある場合において、民間業者の運行を助成するために道路を改修するということなんかに對しても、縣の方はあまり熱意をもたないことになる。これは一營利會社をもうけさすとか、一營利會社を助けてやるとかいうように誤解を受けるようなこともあるし、またそういうようなことでなくても、熱意というものは、私が説明するまでもなく、自然起らないのであります。これが省營自動車の開通ということになれば、縣や地方民が全力をあげてこれに協力するというのが日本の現在の状態であります。これが理想的な日本人の姿であるかどうかは別問題でありましようけれども、現實としては爭うことのできない實情なんであります。從つて私はそういうふうに民間としては手がまわらないけれども、國家としては地方民の要望にこたえ得るというような路線に對しては、國家が乘り出してくれる。しかして客觀状勢が民間業者をして完壁に運行できるような情勢に立ち至りましたときにあるいはこれを拂下げた民間業者に一任するというような方法も、また考えられるのではないかと思う。特にそういうことが相當あろうと思います。だから各般の事情を總合參酌されて、もしさようにした方がいいような場合においては、たとえ民間營業者に既得權がありますにいたしましても、將來を期待さして、國營としてただちに著手していただく必要があるというようなことをお考え願いたいと思うのでありますが、それに對する御方針はどうでございましよう。
#31
○田中(源)政府委員 まことに高橋君の御説はごもつともであります。現在では御承知の通りに、種々の條件において制約されておりまして、それがためにいきおい政府より休止を慫慂いたしまして、休止いたしている路線もあります。また民間自體から採算的な面において、あるいは資材の制約によつて休止いたしているものもあります。おのずから休止いたしました條件が異なつている面もあろうと思います。そこで御説のごとくに、今省がかりにいたします場合においては、地方公共團體竝びに民間の非常なる支持を得まして、やり得るというような面も大いに御説の通りあります。また業者側から申しますならば、ここに資材を與えていただきますならば、すなわち現在行き詰まつている營業上のすべての制約、車輌なり燃料なりその他の副資材等につきましての供給を受けるならば、あえて政府がやらなくても、われわれの手においてこれを行います。かようにまた申し出ることが當然であろうと思うのであります。その兩者の間に立ちまして、このあんばいをいかにいたすかということの問題であります。今全國において百件ばかり申込み希望を陳情いたしてきておりますが、事實の上は單に百件に止まりません。こういう民間の企業壓迫という聲があるために、希望をもつておつても、これを申し出ない所もあります。また當然政府がやりたくても、今申しましたように、いわゆる既得路線の報償問題というものにからみまして、これに政府の財政とにらみ合わせますときに、やむなくやることができぬのであります。しからば、今後これらの問題において、民間にやらすにしても、政府がやるにいたしましても、おのおのがやり得るようなすべての條件が有利に展開されますかと申しますならば、現在の條件におきましては、財政的に見ましても、あるいはまた資材的に見ましても、政府竝びに民間も同じく、これが好條件に展開し得るということはでき得ないと思うのであります。ただ、その一部分一部分のが舊來よりも、戰時中よりも、幾分かよりよくなるという條件に惠まれていくというにすぎないと思います。そこで鐵道の方から考えてみまするならば、まずもつて鐵道敷設豫定線が、しかもそこにレールを敷設さえすれば運轉ができるというような條件にある路線が、多數に放置されてあります。また線路はありましても、鐵資材のないために、橋梁を架設することができずして、これが運行をやむなく停止いたさなければならぬという状態、これに加えて豫算面等におきまして、現在あるいわゆる新線竝びに工事中のものにおきましても、さような點があるのであります。しからばそれらの面におきまして、一時便法をもつて木橋を架設いたしまして、トロをもつて汽車にかえる、あるいはバスを運行せしめるという手も考えられておるのでありますが、今申しまする總合的な觀點において、非常なる制約をここに受けておるのであつて、政府といたしましても正直に申しまするならば、この民間業者の取扱いに對して非常に苦慮いたしておる實情でございます。私ども望むらくは、參衆兩院の委員佗におきまして、今後のあり方につきましても、豫算の伴うものでございまするから、諸君の意見を定められまして、その方針によつて私どもが今後の運營上、行政面においてこれを實施していきまする上においての一つの方針というものを與えられますれば――私ども將來これをやる上において非常に容易でないかとも考えておるわけでありますが――もし私がかようなことを申し上げまするならば、それでは運輸省において定見がないじやないか、こういうお叱りをこうむるかもしれませんが、今申した諸種の條件から考慮いたしますのと、また民間の業態におきましても、民營を壓迫する――實際において高橋委員の仰せられたごとく、内心やりたくてもやれないということが條件以外の面におきましてもあるのであります。これらの面におきましては當委員會におきまして、あるいは參議院の委員會におきましても、遠慮なく御意見を仰せられまして、今後運營の上において示唆を與えられまするならば、非常に行政面の上におきまして私どもは助かると思うのでありまして、正直にこの點も併せ申し上げまして委員會の御意見等を與えられんことを希望いたしておく次第であります。
#32
○井谷委員 私は道路運送委員會のことについて御質問申し上げたいと思います。ただいま御配付くださいました政令案要綱の中にあるのでありますが、その第三章の道路運送委員會の中で「中央道路運送委員會は九人を以て、地方道路運送委員會は、その關する地區内の都道府縣の數に應ずる員數の委員を以てこれを組織するものとすること。」こういうようにございまするが、この地方道路運送委員會の區域でございますが、この區域は大體どういうふうにおきめになつておるのかということを承りたいのであります。この區域によつて九人という數がきまるのか、また非常に細別されたものになれば地方の道路運送委員會の數というものは相當大きくなると思うのでありますが、この邊をお伺いいたしたいのであります。
 それからこの運送委員會の委員は「關係度道府縣知事の推薦に基く運輸大臣の申出によつて内閣總理大臣が、これを任命するものとする」とありますが、この知事の推薦の標準と言いますか、そういうよりどころがどういうところにあるのかということ、これからその數であります。それから第八の三に自動車運送事業者というのが抹消してありますが、私はこれは生かしてもらいたいと思つております。ということは、これに業者がはいりますと我田引水というか、相當これはややこしい問題になりますので、この業者の意見を聽くためには、こちらの法案の中にそういうふうな機會が與えられているのであるから、私はやはり自動車運送業者というものは、はいらない方がいいという考えをもつております。
#33
○郷野政府委員 この地方道路運送委員會の地域でございまするが、これは鐵道局ごとに置きたいと考えております。從いまして鐵道局の所管區域につきまして、監督行政の面におきましては、府縣が大體きまつております。從いまして鐵道局の所管區域内の府縣の數によりまして、各府縣から一人ずつの員數の委員を出していただく、これをもつて構成するという考えでございます。從いまして少いところでは、廣島のごときは三縣でございまいするから、三人の委員になります。四國は四縣でございますから、四人の委員になります。かように考えております。それから都道府縣知事の推薦につきましての標準でございまするが、第八に掲げられております刑餘者でありますとか、禁治産者、準禁治産者及び破産者、官吏及び吏員を除きまして、これらの缺格の條項に當らないものにつきまして、都道府縣知事がおのおのそれぞれの自由なお立場におきまして、最も適任と思われる方の御推薦をいただきたい、かように考えておりまして、この政令によりまして具體的にそれ以上の制約は置かないつもりでございます。しかしながら各都道府縣知事におきましては、この水路運送委員會の重要性をお考えくださいまして、最も適任者を、いろいろな角度から御檢討の上、出していただけるものと期待をいたしている次第でございます。なお自動車運送事業者を除外したらどうかという御意見でございますが、この道路運送に關係のありまする事業を一々拾つてまいりますと、なおこのほかにも業務もございましようし、またこの事業に關係をしておられる方と申しますると、非常に範圍も廣くなつてくるんじやないかと考えます。從いまして一應この點は條件といたしましては除外する部類に掲げることをやめまして、各都道府縣知事が御推薦をくださいまする場合に適當に御考慮をいただくということで、お任せしたらどうかというふうに考えておる次第でございます。この自動車運送事業に御關係をなすつていらつしやる方方でも、場合によりまして公平な御意見を各都道府縣を代表してお述べになり得るような方々がありましたならば、強いて規定の上では除外しなくても差支えないのじやないか、かように考えておりますが、これらの點につきましては都道府縣知事が御自由に御批判をいただく、こういう建前にいたした次第でございます。
#34
○井谷委員 この知事の推薦が今の御説明によると一名ということになりますが、知事が一名の推薦ということはなかなかむつかしいことじやないかと思う。少くとも三名くらいにする必要がないかという意見をもつておりますか、いかがですか。
#35
○郷野政府委員 委員の數の問題につきましての御意見は拜承いたしましたが、この點につきましては、私どももいろいろこれを研究いたしまする途上において考えてみたのでございますけれども、全體の構成といたしまして一應各都道府縣から一人ずつの委員を出していただいて地方委員會をつくり、地方委員會の委員長が中央の委員會の委員になつていただくという構想が最も適當であるという結論に到達いたしまして、私どもといたしましてはかようにいたしたいと考えておるのであります。この點につきましてはなおいろいろ事情もございまして困難があると存じますが、一應御意見は拜聽しておきます。
#36
○正木委員長 田村虎一君。
#37
○田村委員 私は大體皆さんの御質問でよろしゆうございます。
#38
○正木委員長 皆さんにお諮りいたしますが、本法案の總論的な質問はこれで打切つて、次會から逐條審議にはいりたいと思いますが、いかがですか…。
#39
○館委員 ちよつと今の井谷氏の質問ですが、これについてもう一度お聽きしておきたいことは、こういうふうに地方の委員に業者がこの案で消えておるのですが、言いかえてみますと、消していいか、置いていいかという御判斷に迷われたのじやないかと思う。そこに運輸省内に兩論があるのじやないかと思いますが、今御返事によりますと、一名に限るという點も考慮したい。なおまた業者を入れるか入れないかということについても再考したいというお話のように承つたのですが、そういうふうに承つてもいいのですか。
#40
○郷野政府委員 私どもの考えといたしましては、一應ただいま申し上げましたように、この委員の數につきましても原案でやらしていただきたいと思います。また自動車運送事業者を委員から除外するという考え方についても、都道府縣知事にお任せするという意味合において、これを除外することにしないようにさせていただきたいと考えております。
#41
○館委員 こういう點が、これを政令の中に含めるということがどうかという疑念が起きる點でありまして、これが私の方でこの間から構成の要素、あるいは組織についてしばしばお伺いした理由なのであります。大體この前も申したように、今日の民間自動車業者というものは、お氣の毒にも戰爭の結果によりまして、資材が集まらぬ’あるいは自動車そのものが集まらぬということもあつて、路線を獲得しておりながら、十分に地方の要望にこたえることができないという實情にあります。しかし將來國連が囘復してもとのようになる場合には、十分その希望は業者として考慮しておるでありましようが、現實の状態では、とても地方民の要求にこたえるだけの形をとつておらないのであります。しかしそれでも、路線の上の限るということは少し言葉が過ぎるかもしれませんが、そういう形が十分あつて、しかもその地方における業者の結合といいますか、政治力というか、そういうものが都道府縣において十分に根を張つておる現在であります。それが今日の運輸省をして、自動車行政をどうするかということについて、この運輸委員會で一つの示唆を與えてもらいたいという田中政務次官の言葉にも關連して考えられることでありまして、これはどうしても自動車業者というものは、原則がそれでも、もし入れなければならないということならば、複數制にして――やはりこの委員會は都道府縣の最高交通行政に携わる委員會でありますから、これを複數制にして、はつきりと自動車業者、あるいは一般の利用者、あるいは中立委員というふうにするか、そうしなければとても今までの自動車行政をこの委員會の力において建て直すことは不可能ではないかと私は思う。そういうことからして、これは政令で定めないで、はつきりと法文の中に制定する必要があるのではないかとまで考えられておつた。殊に政令案を見るに及んで、いよいよこれではいけないなという氣持をかえつて深くするものであります。政令できめてもよろしいというような理解をもつことができなくなるという氣持がするのでありまして、この點は十分一考を要する點ではないか。私の意見を申し上げておきます。
#42
○小笠原委員 ちよつと關連して――この自動車行政はきわめて重要な問題でありまして、今まで幾多の有益な御意見もありましたが、とにかく法律はいかなるりつぱな法律を設けられても、實際においてこれを運用するにあたつて、資材關係、中でもゴムの關係、これの見透しがつかなければ、民間でやつても、あるいは運輸省が直營でやつても、これは解決がつかぬのであります。この見透しがどうなつているかということが重大な問題であります。現にあなた方が監督している工場でできる自動車なども、いかに配給したところで、タイヤがなく、スペヤーがなくして歩けないものを配給しているというような今日の状態である。これは民間がどうの、あるいはあなに方の省營自動車がどうのというような問題ではない。だれがやつてもできないような碁態になつているという關係があります。殊にもう進んで政令のこまかいところまで考えて法案を出されているのでありますが、これはいくら論議されても、あなた方がもてあまされて、委員會の方の御指示を願いたいという氣分になることは、けだし當然だと思うのであります。從つて今日は本會議もありますし、この次に總括的な問題に多少論議してみたいと思うのであります。そこで次に逐條審議に移る前に、一應總括的質問を留保して、今日はこれで終りたいという希望をもつておりますから、どうぞ皆さんの御同意を得たいと思います。
#43
○正木委員長 小笠原八十美君から總括的質問を留保するという條件で、一應總括的質問を打切りたいという動議があつたのですが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○館委員 この次に逐條審議に移りながら、その條項がまた出てきますから、そこでまた總括的な質問を逐條に應じてやつていくということもどうかと思います。小笠原君の意見には異議はありませんが…。
#45
○正木委員長 ほかにございませんければ、本日をもつて總括的質疑を一應終ります。では本日はこの程度で散會したいと思いますが、いかがですか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#46
○正木委員長 それでは次會は二十九日、月曜日午前十時とし、本日はこの程度で散會いたします。
   午後三時十三分散會
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ソース: 国立国会図書館
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