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1958/03/05 第31回国会 参議院 参議院会議録情報 第031回国会 地方行政委員会 第14号
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1958/03/05 第31回国会 参議院

参議院会議録情報 第031回国会 地方行政委員会 第14号

#1
第031回国会 地方行政委員会 第14号
昭和三十四年三月五日(木曜日)
   午前十時三十五分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
本日委員本多市郎君辞任につき、その
補欠として鶴見祐輔君を議長において
指名した。
  ―――――――――――――
 出席者は左の通り。
   委員長     館  哲二君
   理事
           大沢 雄一君
           占部 秀男君
           鈴木  壽君
   委員
           郡  祐一君
           小柳 牧衞君
           田中 啓一君
           鶴見 祐輔君
           成田 一郎君
           森 八三一君
  政府委員
   警察庁長官   柏村 信雄君
   警察庁長官官房
   長       原田  章君
   自治庁行政局長 藤井 貞夫君
  事務局側
   常任委員会専門
   員       福永与一郎君
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○警察法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○奄美群島復興特別措置法の一部を改
 正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(館哲二君) これより委員会を開きます。
 委員の異動を報告いたします。
 本日本多市郎君が辞任せられましたので、鶴見祐輔君が就任せられました。
  ―――――――――――――
#3
○委員長(館哲二君) 本日は、警察法の一部を改正する法律案を議題にいたしますが、前回に引き続いて質疑を行います。
 質疑のおありの方は、御発言を願います。――別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
#4
○委員長(館哲二君) 御異議はないようでありますから、さよう決定いたします。
 これより討論に入りますが、御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御発言もなければ、討論は終結したものと認めて、直ちに採決に入ります。
 警察法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案通り可決することに賛成の諸君の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#5
○委員長(館哲二君) 全会一致と認めます。原案通り可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、慣例によってこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(館哲二君) 御異議がないようでありますから、さよう取り計からいます。
  ―――――――――――――
#7
○委員長(館哲二君) 次に、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の内容は、比較的簡単でありますから、特に詳細説明を聴取する必要もなかろうかと思いますので、省きまして、直ちに質疑に入りたいと思います。
 質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#8
○小柳牧衞君 奄美大島の復興開発については、いろいろ実行せられまして、われわれ実地にかの地を視察した者として喜びにたえない次第であります。昨年の古仁屋の大火については、非常な災害を受けましたのですが、その復興状況はどんなふうになっておりますか。一応その状況を聞きたいと思います。実は、いつかの新聞紙の報ずるところによりますというと、いろいろ復興の計画はできておるけれども、実施が思うようにいかない。ことに土木事業のごときは、いろいろの手違いのために思うようにいかないので、その工事等に当るために、内地より送ったところの大工、人夫等も、なすことなく毎日暮しておる、こういうような記事もあったようでありまするが、実際の状況はどうなっておりますか。一応御説明をいただきたいと思います。
#9
○政府委員(藤井貞夫君) 瀬戸内町旧古仁屋地区につきまして、昨年末大火災が発生をいたしたのであります。これに対しましては、離島の関係もございまして、私どもも非常に心配をいたしておったのでございまして、さしあたりわれわれの方からも調査官を現地に派遣をいたしますとともに、関係各省の方からも直ちに現地に急行いたしまして、いろいろの対策を樹立をいたしたのであります。
 応急対策の問題でございますが、この点につきましては、県を中心といたしまして災害対策本部を設置いたしまして、至急に救助作業に乗り出したわけでございます。すなわち、災害救助法の発動によりまする災害救助につきましては、大火後直ちに、すなわち十二月の二十八日午前七時に発動をいたしまして、罹災者を燃け残りました小学校、中学校、高等学校等に収容をいたしまするとともに、法の規定に従いまして、たき出し、生活必需品の給与等、時を移さずに行なったのであります。この罹災救助は、ほかのところでは大体五日くらいが限度になっておりますが、非常な大火でもございまするし、場所柄でもございまするので、初めから十日間の予定でこれを実施いたしましたが、その後罹災地の状況にかんがみまして、さらにこれを一月十一日まで、十五日間に延長をいたしたのであります。なお、各方面から相当大量に救援物資が送られまして、これを民船なり、あるいは海上保安庁、海上自衛隊、それから航空自衛隊、これらに非常によく協力をしていただきまして離島であるという、きわめて不便な区域にもかかわりませず、順調に輸送をせられまして、比較的すみやかに罹災者の手に渡すことができたのではないかと思っております。この間新聞にもございましたが、アメリカの海軍の第七艦隊の司令長官が、付近を航海いたしておりました艦船に回航を命じまして、衣服、それから食料――食料に至っては、四十日分くらいと聞いておりますが、相当多量のものを早急に送付をしたというような事情もあったのであります。その後これらの罹災者につきましては、学校の授業開始の点もございまするので、一月十四日に小学校に収容をいたしまして十五日以降小中学校は二部教授を行うことにいたしたのであります。
 なお、災害の仮設住宅の割当がきまりまして、これは四百八十戸でございますが、これらにつきましては、逐次完成をいたしておりまするので、学校に収容いたしておりまする罹災者を優先的に入居させるという方針をとりまして大体現在のところ、最近調べましたところでは、応急仮設住宅は全戸二月七日に完成をいたしております。学校の方も、平常授業に復して、授業を正常に行なっているという状況に相なっておるのでございます。
 問題は、恒久的な対策でございます。この点につきましては、昭和三十年の十二月に名瀬に大火がございました。その大火の際の措置の例に準ずることを基本線といたしまして、災害公営住宅、これは全部で二百戸でございます。災害公営住宅の建設、それから都市計画事業の実施をすでに決定をいたしております。なお、この災害公営住宅につきましては、建設省所管でございまして、補助率が御承知のように三分の二ということに相なっておるのでありますが、奄美群島の復興計画に載せられておりまする公営住宅の補助率は四分の三でございます。そういうことで、十二分の一の地元負担についての増加があるわけでありまして、均衡の問題もございまするので、自治庁といたしましては、町当局の財政力を勘案いたしまして、その補助率の差に相当いたしまする額は、特別交付税で措置をいたしたのであります。また、都市計画事業につきましては、十分の九の補助率、高率補助といたしまして、奄美群島復興事業の一環として取り扱うことにいたしたのであります。そのほか、これらに関連をいたしまして、すでに三十三年度一般会計の予備費から災害公営住宅の建設費の国庫補助金、それから災害救助費の国庫補助金、都市計画の区画整理事業の国庫補助金等を支出をいたしたのでございます。
 そのほか町民の更生資金の手当状況でございますが、大体資金の融通は、町営の公益質屋、それから各金融公庫等がそれぞれの窓口を通じて行なっておりまするので、全体として今のところはっきり把握はできておりませんが、今まで調べてわかりましたところでは、公益質屋関係は、一月初旬から二百五十万円の資金の貸し出しを行なっております。それから災害救助法による生業資金、これは、県の予算は四百八十万円くらい計上されておるようでありますが、現在は百八十三件、二百十九万六千円の申し込みを受理いたしております。それから母子福祉法による生業資金、これは、まだ今のところ申し込みの件数はないようでございます。それから国民金融公庫の行います更生資金につきましては、現在二百十万円、件数にいたしまして百五十三件の申し込みが来ておりまして、それぞれ措置をいたしておるのでございます。
 区画整理事業の問題でございますが、最初土地台帳も全部焼けてしまったということでございまして、非常に困っておったんでありますが、幸いにいたしまして、その後調査をいたしました結果、副本がまあ残っておりましたので、この点、事業の進捗に非常に光明が見えたわけでございまして、本年度は千七百七十万円をもちまして、幹線街路それから側溝等を主眼といたしまして設計済みでございまして、これらにつきましては、現在すでに区割りを行いまして、事業の進捗をいたしておる状況でございます。
 今御指摘のございました、大工等が向うに参りましたけれども、手持ちのためにどうも仕事が進んでおらない、そういう状況は確かに当初あったようでございます。と申しますのは、小柳先生よく御承知でございまするように、現地におきましては、実は災害応急の仮設住宅にいたしましても、適当な材料もございませんですし、これを組み立て用にちゃんと準備をするというような、そういう施設もございませんために、鹿児島県の本土で大体木組みができるような体裁にいたしまして、現地に送って、直ちに組み立てればよいという格好にまで準備をいたしましてやらなければいかぬという状況でございましたので、そういうような点で、若干当初の場合は全体の計画についてちぐはぐがあったようでございまして、すべり出しは必ずしもよくなかったと思いますが、先刻も申し上げましたように、軌道に乗りましてからは、相当順調にいっているのではないかと思っておりまして、災害応急仮設住宅につきましても、四百八十戸については、すでに二月七日に全部完成を見ておるのでございまして、その後県当局を督励をいたしまして、さらに復旧のために万全を期するように指導をいたしております。全般的に申しまして、十分ではございませんけれども、ああいうような僻遠の地、しかも離島というような悪条件のもとにありますものといたしましては、関係各省なりその他も、非常に事態を認識して、よく協力をしていただいたために、一般的にはまずまずというところで仕事が進んでいるのではないかと、かように考えている次第でございます。
#10
○小柳牧衞君 だんだん復興している状況を御報告いただいたので、了承いたしましたが、従来あそこの復興計画の実施を見ますると、事業をやっているときは失業者もなく、いわゆる景気もよくいくわけですが、仕事が終ってしまうというと、それに伴うところの産業の振興がないために、かえって不景気になるというようなことをよく見てきたのですが、この古仁屋の復興事業についても、復興後における産業の連絡がないときには、はなはだ心細いものと思うのですが、まず第一、古仁屋の将来について、産業の振興をどんなふうにこの復興と結びつけているかという計画の点と、それから、あそこは何としましても水産業によって立たなければならぬ所でないかと思われるのですが、水産業の関係はどうなっているか。あそこの築港にあるいろいろ水産関係の設備も見てきたのですが、一向その実が上っておらない時期であったと思うのですが、この機会において、さらに一段と発達をさせなければならぬと思うのですが、そういうような復興に伴うところの産業の振興について承わりたいと思います。
#11
○政府委員(藤井貞夫君) 今お話のありました点は、全くその通りでございまして、そもそも非常に民力が低い地区でございますので、復興事業、特に今度の火災の復興関係の仕事がどんどん進んでおりまする際には、労賃その他の点で、ある程度うるおうというようなことは考えられるのでありますが、しかし、そういうものも、別に長く続いていくわけのものでもなく、またこれは、積極的に民力の涵養になるという面ももちろん持っておらないのであります。もっとやはり根本的にあの地区の復興ということを産業振興とからみ合せて、どういうふうに持っていくかということを検討する必要があると思います。で、あの地区では、まあお話のように、水産業の点もございますが、しかし、何と申しましても、一面において、あの本島の瀬戸内地区などは、やはり物資の集散地でもございますし、そういう意味で、ささやかながら商業の中心というようなことも相なっているのであります。そういう意味から申しまして、瀬戸内自体のことを考えるのも必要でございますが、それとともに、やはり奄美群島今般の復興計画ということの中にもはめ込んでいくということを考えていくことが必要ではないかというふうに考えております。それによりまして、おのずからあの地区の将来の振興の目鼻もついていくのではないかというふうに考えているのであります。
 そこで、奄美群島の復興の今後の問題でございますが、これは、先般計画改訂を行いました際に、委員の各位からもいろいろと御意見の御開陳がございました。われわれといたしましても、そういう御論議がありました点を十分にしんしゃくしながら仕事を進めて参っているのでありますが、幸いに、来年度予算におきましては、十三億の国費がついたのであります。この十三億の国庫補助がつきますことによりまして、来年度の事業が終りまするならば、全体計画の中で六〇%以上を突破するということに相なります。昨日も、奄美群島復興審議会の小委員会で、来年度の復興事業の計画をいろいろ御審議を願ったのでありますが、われわれといたしましても、今まで取り扱って参りました各年度の計画等と比べまして、来年度あたりからは、やはりはっきりと一つの線が出てきておりまして、たとえば、公共事業等につきましても、完成したものがかなりはっきりと随所に出てきておる。そういう意味で、将来の進行の骨格というようなものはほぼ目安がついてきたのじゃないかという感じがはっきりと現われておるのであります。そういうような、公共事業について今後もやはり重点的にやっていかなければならぬ。特に港湾等につきましては、今度の改正案でもお願いを申し上げておりまするように、また、当委員会においても附帯決議で御議決をいただいておりますように、現在直轄でやっておりますのは名瀬港だけでございますが、そのほかに、輿論の茶花等につきましても、来年度は運輸省直轄で仕事をやってもらうということで、幸い運輸省と話がつきまして、そういう線を進めております。そういう太い公共事業関係の基礎的な施設というものを整備をいたしまするとともに、来年度におきましては、特に民力涵養ということに重点を置いてやっていかなければいかぬのではないか。仕事が終ってしまいまして、それで、あとはがたっと全体の産業活動というようなものが落ちてしまうということになりましては、今までやってきたことが何にもならないということにもなりますので、民力涵養という点に特に重点を置いて施行していきたい。そのためには、換金作物といたしまして一番重要なのは、要するにカンショの、いわゆる黒糖原料の栽培でございますが、この面につきましては、国の甘味食品の需給対策というようなものとも非常に密接な関連を持ちまして、農林省自体も相当積極的に乗り出すようなことでございまして、これは現地にも反映をいたしておりまして、製糖工場等について大規模の、しかも分蜜糖に切りかえるような措置が相当活発に動いてきております。現実に、喜界島あるいは徳之島等につきまして、相当競争がはげしくなってきておるようなことで、活発に動いてきております。この点につきましては、砂糖消費税なり関税等の関係もございまして、相当黒糖生産にも有利な面が出て参ったようでございまして、現地も喜んでおるのでありますが、そういうカンショの生産というものをさらに換金作物の有利なるものとして推進をいたしまするとともに、他面においては、農協組織も、非常にこれは弱いことに相なっております。この点につきましては、今年度、いわゆる三十三年度以降、鹿児島県の本庁の方から参事を派遣いたしましたり、あるいは長期駐在員を置きましたりいたしまして、これの再建に力をいたしておるのであります。まだまだその緒についただけでございまして、義理にも安心のできない状況でございますが、この点についても、一つのめどがついてきたのではないかというような感じがいたしております。そのほか熱帯作物につきましては、パインが相当成績をあげております。御承知のように、バナナをやりましたけれども、これはどうも風の関係でうまくいかなかった。パインに切りかえましたところ、パインがかなり成績がよろしゅうございます。で、すでにパイン工場等も建設をされまして、出荷の段階に入ってきているというようなことでございまして、そういうような面を考慮しながら、民力の一般的な涵養というものについて今後とも努力をいたしますることによって、古仁屋自身の復興ということに結び付けていきたいというふうに考えておるのでございます。
 なお、古仁屋港につきましては、御承知のような点で相当不備な面がございました。そういうような点につきましては、復興計画においてもこれを具体的に取り上げておりまして、三十三年度、本年度には、千トン級の船が接岸ができるという工事が完工いたす予定でございます。金額といたしましては、千六百八十二万円をかけまして、総工費三億程度でやっておるような次第でございます。
 なお、水産業の振興の面につきましては、基幹要員というものを養成をいたしますることも必要でございますので、古仁屋にございまする高等学校に水産課程を設置をしていくということにいたしまするとともに、設備につきましても、加工場等の学校施設を整備をいたしまして、そういうような点から両々相待ちまして、今後の古仁屋港を中心とする水産業の発展ということにつきましてもさらに努力をして参りたい、かように考えておるのでございます。
#12
○小柳牧衞君 古仁屋の復興についていろいろ御説明を承わったのですが、今回の災害についても非常に関係あるだろうと思うのです。その水産業の発達にも非常に関係があると思うのですが、水道というものは、どんなふうになっておりますか。水道の計画ですね。
#13
○政府委員(藤井貞夫君) 水道事業でございますが、三十三年度分の復興事業の関係につきましては、これは大体支障なく完工の見込みでございます。しかしながら、そのほかに、今度は火災がございましたために、区画整理事業をやらなければなりませんので、それに伴いまする計画がえその他の施設整備が必要でございます。これは、現在計画をいたしておりまするところでは、約百万円以上かかると思うのですが、これでもちまして排水管それから給水管等の配管工事を実施をいたす計画を立てまして、本年度におきましては、その計画の中で七割程度が完成をする見込みに相なっておる次第であります。
#14
○小柳牧衞君 今度、信用協会を改組強化するということは適切なことと思うのですが、しかし、奄美地方においては、預金は非常に多いのですが、貸し出しが非常に少いので、これについては、まあ事業の振興ということも必要でしょうが、また、貸し出しという点についても相当考慮しなきゃならぬと思うのですが、今後のこの金融機関の活動については、どういうお考えを持っておりますか。
#15
○政府委員(藤井貞夫君) 御指摘のように、奄美におきまする預金と、それから貸し出しの状況というものを見てみますると、まあ預金に対して貸し出しが非常に低位にあるということは、これは事実でございます。この点につきましては、県当局を通じまして、やはり地元の金融機関等につきましても、できるだけの協力をするようにと、まあ金融機関でございますからして、危険なものにはなかなか貸ししぶるというような点があることは、これはある程度やむを得ませんのですが、しかしその点は、これは奄美の実情、また特殊事情というものを勘案して、できるだけ一つ協力をしてもらいたいということでやっております。しかしながら、他面どうしてもやはり市中銀行ということになりますると、いわゆる商業ベースに乗りませんと、なかなか円滑にいかないというようなことがございましたので、今度やはり基金制度を創設をいたしまして、そういう金融べースに乗らない小口の資金需要というものに対して、この信用基金の方から貸し出しを行いたいというふうに、委員会の御決議の線もございましたので、今回法案を提案をいたしまして、その方面に一歩を踏み出したい、かように考えておるのをございますが、これと並行いたしまして、政府機関、各種の金融機関がございますが、その方の活動というものをさらに積極的にお願いをしていく。できるならば、ある程度、正式のワクでなくても、内部的には奄美群島として一応のワクを設定してもらう、そういうような方法で進んで参りまするとともに、市中銀行等につきましても、先刻申し上げましたような綿で、さらに積極的な指導を強化する、そういうことで、両々相待ちまして、必要な資金需要というものは、できるだけ一つ充足するように努力をして参るつもりでございます。
#16
○小柳牧衞君 先ほど黒糖の問題についてお触れになったようですが、これは、お話の通り、奄美群島における最も重要な産業の一つであって、非常に重要なものと思うのですが、その問題のうちでも特に従来問題になっているのは、税金の問題だと思うのですが、それは今どういうふうになっておりましょうか。
#17
○政府委員(藤井貞夫君) 今回税制改正が予定せられておるのでありますが、その内容は、国内におきまする糖業産業の保護育成をはかりまするために砂糖消費税を引き下げて、そのかわり関税を引き上げるという措置がとられることに相なっておるのであります。これが黒糖生産にどのように影響を及ぼしてくるかという点について、若干申し上げてみたいと思いますが、影響のある点は、ほぼ四点あるのじゃないかというふうに考えております。
 その第一点は、今まで規格にどうしても必要でございましたたるの容器でございますが、あのたる容器を廃止をしてもよろしいということに相なりました。これによって包装の改善、それと、それに伴うコストの低減が可能ではないかということが考えられます。
 第二点といたしましては、今まで糖度が八六%以上のものはいけない、それは黒糖の取扱いはしないということに相なっておったのでございますが、その点、九十度にまで糖度が引き上げられることに相なりましたので、品質の改善が期待ができるという点がございます。
 それから、第三点といたしましては、黒糖の税率が引き下げに相なりまするので、これでコストの低減がはかり得る。具体的に申しますと、現在一斤当り四円税金がかかっておるのでありますが、これが三円に引き下げられる。一円引き下げられるということに相なっております。
 それから、さらに第四点といたしましては、いわゆる再製糖でございますが、再製糖につきましては、税負担の引き上げに相なることに今度の改正でなるようでございまして、このようになりますると、黒糖の競争相手は再製糖でございますので、再製糖の方の税負担の引き上げによりまして、結果的には競争砂糖が値上りいたしますことによりまして、相対的に有利になるというような面が出てきておるのであります。大体今のような点を考慮して参りますると、生産費の関係といたしましても、たる容器、それから糖度の引き上げ、黒糖税の税率の引き下げ、それから再製糖との関係におきまして、大体一斤当り六円二十銭ばかりのコストの低減になりますので、それによって黒糖生産自体が相対的には有利になって参るのではないかと考えておるのであります。ただ、このことだけでもって黒糖生産というものが非常に徹底的に有利になるというふうなことは、これは甘い見方でございまして、われわれもかようなことは考えておりません。と申しますのは、黒糖自体は品質の向上も期待ができるということに相なるのでありますが、一方経済事情の変化に伴いまして、最近黒糖の需要というものが、どうもやはりだんだん減っていくという傾向にあることは、いなめない事実でございます。従いまして、黒糖生産について有利な条件を今後ともやはり伸ばしていくように努力をいたしまする反面、他方におきましては、やはり分蜜糖というこにとだんだん切りかえていくと、そういう措置も並行して加えて進めて参りませんことには、奄美の砂糖生産というものの将来性というものを考えますと、楽観を許さないということに相なりますので、私たちといたしましては、黒糖生産の条件というものを有利にするという努力をいたしまする反面、一方におきましては分蜜糖生産、それの保護育成ということにつきましても、積極的に進めていく必要があるのじゃないかと、かように考えておる次第でございます。
#18
○小柳牧衞君 今度港湾等について国でやるという制度が、われわれも前から主張しておった通りでありますが、従来のあそこの土木事業というものは、地元に適当な業者がないために、鹿児島県等に依存しておったようですが、そうなりますと、地元の人は仕事がない。また、鹿児島県の人もさほど有力でないというようなことで、あまりうまくいかなかったように思うんですが、このようなものを国でやるということはけっこうなんですが、しかし、国でやるということになるというと、自然地元との親しみがないと、言いかえれば、地元の業者を十分に利用しないというようなおそれがあることは鹿児島でやると同じことですし、また、中央でやるということになりますれば、すべての手続その他について、どうしても遅延がちになるというおそれもあると思うんですが、そういうような点については、国でやるとしても、相当離島のことですから考慮しなければならぬと思うんですが、そういう点について何か御用意があるんですか。
#19
○政府委員(藤井貞夫君) お説のように、仕事を適確に早く進めていかなければならぬという必要性と、他面やはり地元の経済力の復興に役立てていく、あるいはまあ地元に資金が還元されるような措置を考慮していかなければならぬというからみ合せをどういうふうにしていくとかということは、非常にむずかしい問題だろうと思います。私たちといたしましても、従来重要な港湾等その他について、事業の実施というものは、国が直接やれというような声も非常に全般的に強い場合におきましても、われわれやはり他面において、そうばかりも言えないのじゃないか、いつまでたっても、そういうことをやっておっては、地元に適当なそういうような会社も興らなければ、技術も入ってこない。また、資金の還元も比較的にやはり少くなっていく、そういうような考慮から、そう簡単には踏み切れなかったのも、そういう理由からでございます。ただ、港湾事業等につきまして、特に技術的にきわめて困難であるというようなものにつきましては、やはりこれを適確に早く整備をいたしますることが、かえってやはり全体の産業の振興にも役立つ、基礎になりまする基盤を造成するということに役立つものと認められましたので、委員会の御決議にも従いまして、今回港湾につきまして、特に重要なものについては、これを直轄になし得る道を開くようにお願いをいたしておるのでございます。しかしこの点は、われわれは、その範囲をそうむやみに広げるということは、これは全然考えておりません。具体的に申せば、今度の改正によって、国の直轄工事に移しかえたいというふうに考えておりますのは、一番南端の輿論の茶花港、これだけでございます。あとのものにつきましては、技術的にそう困難なものでもございませんので、そういう地元の業者を通じての住民の利益の増加というような点につきましては、十分今後とも配慮をいたして参りたいと考えております。
#20
○小柳牧衞君 今度水産の振興のために、学校に水産科を設けたということは、非常に適切だと思うのですが、しかし、かつて名瀬の中学に農学科を置いたことがあるのです。その卒業生のその後の状況を調べて見まするというと、こまかい数字は忘れましたが、大部分、三分の二以上であったかと思うのですが、朝鮮、台湾等に就職して、地元へ残って活動しているものはりょうりょうたるものであったということであったのですが、今度水産科を設けても、その轍を踏むというようなことになると、非常に困ると思うのですが、しかしこれは、結局のところ、その卒業生を就職させる、あるいはまた、その卒業生が活動する職場がないというふうになれば、自然そうなるのはやむを得ないと思うですが、そうなりますると、学校によって産業の振興をはかると同時に、また、学校を維持していくだけの消化力を民力に持たたければならぬということになると思うのですが、そういう点については、十分御考慮を願いたいと思うのですが、大体奄美の状況を、これは概観だけですけれども、私が結論として考えていることは、中産階級が非常に脆弱だ、場合によっては、中産階級がないんじゃないかと思われる村落もあるくらいであってどうしても自作農とか、中小企業とか、そういう面において十分力をつけなければ、とうてい十分なる振興はできないと思うのですが、いろいろの産業教育を施すと同時に、産業教育の実を上げるだけの用意をしなければならぬと思うのですが、この中産階級をいかに養成するかということは、これはまあ非常にむずかしいことではありましょうけれども、何かそれについての御考慮があれば承わりたいと思っております。
#21
○政府委員(藤井貞夫君) この点も、お説ごもっともでございまして、これは、率直なところ、奄美群島全体の住民構成等を見ますると、中産階級が非常に脆弱であるということは、これは疑いのない事実であるように思います。全体の平均の民力が非常に低いということはもちろんのことでございますが、特に中産階級というものが非常に幅が狭いという状況だと思います。それとまた、今お話のございました、せっかく教育を受けて、技術者等を養成するということをいたしましても、教育を受けたものが島にとどまって、島の発展のために尽すという比率がごく少い。非常に多くのものが外へ出てしまうというような状況を現在まで繰り返しております。御承知のように、奄美群島の人口あたりも、ずっと大体こう平均してふえない、二十万程度というところでふえないというような状況になって推移をしてきておるのでありますが、これらのやはりすべて帰するところは、いろいろ文化の発展に伴って、人心がそういう文化的なものにあこがれていく、環境の非常にいいところへ流れていくという趨勢は、ある程度やむを得ないと思いますけれども、しかし、一面におきまして、全体の民度、経済力というものがいかにも貧弱であるというところに根本的な原因が胚胎をしておるのじゃないかというふうに考えるのであります。
 今お尋ねのございました。中産階級というものを保護育成をしていくと、あるいはそういうものをだんだん振興していくということについての具体策はと言われますると、これは、私といたしまして、非常にむずかしい問題でもございますので、確たる方針というものを持っておるわけでございませんが、要するに、今進めておりまする復興計画を通じまして民力の涵養、全体の生産力の拡充ということをやりまして、生産所得、住民の所得水準というものをできるだけ急速に向上せしめるということが、問題の最終的な解決につながるのじゃないかというふうに考えておる次第であります。
#22
○占部秀男君 今度の改正は、この前の説明にもありましたように、第一番に金融関係の問題ですが、小口の産業資金の調達を円滑にはからせようというようなところが主になって、いわゆる信用保証業務のほかに融資業務を行えば、それに一つ出す、こういうことなんですが、今まで保証業務で、こういう小口関係の問題の金融については、非常に困難な事情が特にあったのでありますか。その点についてお伺いいたします。
#23
○政府委員(藤井貞夫君) 今の点は、信用保証協会ができまして、それがなかったときよりも、金融状況というものが相当目立って緩和されたことは事実でございます。しかしながら、遺憾ながら、その信用保証を付したとしても、なお貸し出しをしぶるというような対象が非常に多いわけなのでございまして、信用保証に付したところで、やはり貸したがらない。やはり金融機関のことでございますからして、ある程度何とか特殊的にものを考えてくれとは申しますものの、どうしてもコマーシャル・ベースに乗らないことにはやれないというようなこともあります。そういうことで、信用保証に付してもだめだというようなものを対象にいたしまして、直接一つ基金の貸し出しをやろうというのがねらいでございます。
#24
○占部秀男君 そこで、今度の融資業務の問題なんですが、この貸付について、自治庁の方としては、奄美の方へ業務指導か、あるいはその他の方法で、小口の業者に対する金融が円滑になるような何か特殊な方法といいますか、考え方といいますか、そういうようなものを何か考えていることがあるのですか、ないのですか。そういう点を一つ。
#25
○政府委員(藤井貞夫君) 幸いに基金が設立をせられるということになりますると、法律の規定に基きまして、基金が業務方法書というものをきめることに相なりまして、そこで、具体的に融資の対象でありまするとか、あるいは融資条件というようなものを決定いたしていくことに相なるのであります。その段階におきまして、これは当庁とも協議をして進めていくということに相なっておりますので、そのときに具体的な問題は決定をいたしたいと思っておりますが、大体われわれ今考えておりまする方針につきまして一応御説明を申し上げたいと思います。
 貸付金の使途でございますが、この点につきましては、大体目標といたしましては、生産力増強に寄与するということが重点でございますので、しかも、住民が非常に切実にそれを望んでおって、しかも急速にその効果が上るというものを選んでいきたいと思っております。具体的に申せば、堆肥舎、それからサイロ、それからシイタケの栽培、それから小規模の土地改良、それから優良牛馬あるいは豚の購入というような点、それから水産業関係では、漁網改善、それから漁船の動力化、集魚灯の整備、こういったことがその対象になってくるのではないかというふうに考えております。貸付の基本方針といたしましては、まず第一には、転貸資金でないということは条件にしたいと思います。転貸しに相なりますと、これは直接生産力に役立たないことにも相なりますので、転貸資金でない。ただ、その場合も、協同組合等が組合構成員に対して転貸をするという場合は、これは認めていいのじゃないかと思っております。それから、一般の金融機関から融通を受けることが困難なもの、これは、この基金の性質からいって当然ではないかというふうに思っております。
 それからもう一つは、転貸資金でないことと関連をいたしますが、原則として旧債の返済資金でない、借金を返すということには原則として使わない。これも直接生産力の増強に役立つものでもございませんので、そういうようなしぼり方はやっていかなければならないのではないかというふうに考えております。
 利率の点につきましては、今のところまだはっきりきめておりませんが、もちろんこれは年一割以内で大体、なるべくは低くしてあげたい、七分五厘程度の率で落ちつけるように、これは、運転資金なり、あるいは事業資金、あるいは貸付の期間等によってある程度変って参りますが、そういうようなことを基本にしてやって参りたいと思っております。
 貸付の限度は、個人につきましては、大体これは国民金融公庫の例に准じまして二十万円以内、ただ、連帯貸付の場合においては、五十万円まではよろしい。それから、法人等に対する貸付で特に基金が必要と認めまする場合は、二百万円以内まで認めてもよいのではないか。
 なお、償還期限は大体、ものにもよりますが、三年ぐらいを限度にしていきたい。
 また、具体的なこまかい点については、今後基金当局と話し合いをして参りたいと思っておりますが、現在のところでは、大体以上申し上げたような構想を持っておる次第であります。
#26
○占部秀男君 だいぶこまかいことを聞いて、申しわけないのですが、というのは、この前の説明にもありましたように、この保証業務と融資業務を、それぞれ経理を区分するということはいいですが、資金に余裕を生じたときには、他の業務の方にもそれを使わせるようにするというようなお話であったのですが、従来の中小、特に小口の金融の問題については、いろいろな条件がやかましいために、なかなか小口金融といっても、実際小口の人たちがそれの恩典に浴するという機会が実際問題として相当制約されて、高利貸しだとか、いろいろな面にその金融のあれが走っておるというような実情もあると思うのです。そこで、もし、せっかくの小口金融のあり方が、結局小口方面の融資がうまくいかずに、余りでしまって、それがほかの方へ回るというような、保証業務といえばそれよりは大きくなると思うのですが、そちらへ回るというようなことにでもなると、これを改正した意味がなくなるわけです。そこで、まあこれは希望にもなりますけれども、たとえば、期間の点でも、三年程度というんですが、これは、現在の経済状態から見ても、事業復興が中心ですから、もうちょっと長期にしてもらうとか、いろいろな方法において一つ、小口金融が実際できるような方向をこの内容的な問題としてはとってもらいたいと、これはまあ希望になりますけれども、私は考えておるんで、そういう点の御質問をしたわけですが、なおあとで、こういう点がきまりましたら、これはまた国会の閉会中でもけっこうですが、一ぺんお知らせを願いたいと思うわけです。
#27
○政府委員(藤井貞夫君) 今の点は、われわれもそのように考えておりまして、彼此の資金の間で流用を行い得るという規定を一応設けておりますが、この点はよくよくの場合でございまして、しかも、それを考えておりますのは、保証業務の方で今後資金の余裕が出てくる、と申しますのは、ガリオア資金等の関係、貸付したものを全部引き継いでおるわけであります。この点が、大体債権といたしましてはかなり額が多いわけであります。そういうものの回収が順調に進みまして、保証基金というものが非常に潤沢になってくる。なかなか回収は困難でございますけれども、これが非常に順調になった場合に、時によっては、いわゆる融資の方に移してもいいのじゃないかというのが、これはねらいでございます。それと、もう一つは、基金の一億円というのは、私たちはこれでもって満足だというふうには考えておりません。大体自治庁として考えておりますワクは、五億程度はやはりもらいたい。それの来年度は初年度というふうに考えておる次第でございますので、御指摘のような点は十分勘案をして、事業の運営に当っていきたいと思っております。
#28
○委員長(館哲二君) ちょっと速記をとめて。
   〔速記中止〕
#29
○委員長(館哲二君) 速記を始めて。
 それでは、別に御発言もありませんようですから、質疑は終局したものと認めて差しつかえありませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#30
○委員長(館哲二君) 御異議ないと認め、質疑は終局したものと認めます。討論採決は、次回に譲ることにいたします。
 本日は、これにて散会いたします。
   午前十一時四十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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