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1947/07/30 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 電気委員会 第3号
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1947/07/30 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 電気委員会 第3号

#1
第001回国会 電気委員会 第3号
昭和二十二年七月三十日(水曜日)
    午後一時三十二分開議
 出席委員
   委員長 前田榮之助君
   理事 金子益太郎君 理事 櫻内 義雄君
   理事 村上  勇君
      石野 久男君    境  一雄君
      成瀬喜五郎君    栗田 英男君
      小平 久雄君    根本龍太郎君
      石山 賢吉君    夏堀源三郎君
      本田 英作君    秋田 大助君
      川越  博君    堀江 實藏君
    ―――――――――――――
七月二十六日
 都於郡村に電燈線架設の請願(川野芳滿君紹
 介)(第三十八號)
 内川尾袋川普通水利組合使用電力料金輕減の請
 願(庄司一郎君紹介)(第一號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 現地派遣委員の調査報告に關する件
    ―――――――――――――
#2
○前田委員長 これより會議を開きます。
 本日は、去る十一日より十四日まで福島県猪苗代湖の電力施設實地調査のため、本委員會より委員を派遣いたしました。その調査の結果について、派遣委員を代表いたしまして、私より御報告をいたしたいと思います。
 委員派遣の目的は、去る七月九日の委員會に議決せられました通り、本委員會において電力復興法案を起草するため、電力問題に關する國政調査をするについて、電力施設を實地に調査しようというのでありまして、七月十一日に正式に議長の承認を得まして、同日十一名の委員が現地に出向いたのであります。派遣委員は私と石野久男君、成瀬喜五郎君、本藤恒松君、八百板正君、東舜英君、栗田英男君、櫻内義雄君、加藤隆太郎君、村上勇君、堀江實藏君の諸君であります。以下簡潔に調査の模様を御報告いたします。
 今囘の調査は、第一日を猪苗代湖利用の發電状況、第二日を只見川流域のダム式發電所工事状況、第三日を裏磐梯地域の桧原湖、小野川湖、秋元湖の水利利用状況を詳細にわたりそれぞれ實地踏査を行つて調査をしたのであります。順次その概要を申します。
 第一に猪苗代湖は面積一〇四・六八キロメートル平方あるわが國の水量の豐富にある湖の一つにして、しかも標高五百十四メートルという發電條件に最も適したものであります。現に近距離の會津盆地を流れる日橋川までに六段の落差をもつて第一發電所五萬キロワツト、第二發電所三萬四千キロワツト、第三發電所一萬九千二百キロワツト、日橋川發電所八千九百八十キロワツト、第四發電所三萬五百キロワツト、金川發電所千二百キロワツト、合計最大出力十四萬三千八百八十キロワツトの發電能力があるのであります。これを渇水期にも十分利用できるように湖面低下を現に三メートル二四行つておりますが、さらに將來の計畫として七メートル四一二低下を實行して、渇水期の給電に資せんとするものであります。次は只見川流域でありますが、只見川は群馬、福島、新潟三縣境尾瀬沼を水源とし、南會津の山間部を北流し、白戸川、伊南川、叶津川等の支流を合わせ、方向を轉じ會津盆地にて日橋川、大川と合流、阿賀川となつて新潟平野に出て、日本海に注ぐ本邦有數の大河川であります。尾瀬沼は標高千六百六十五メートルで、標高千四百二十五メートルの尾瀬原に大貯水池をつくり、奥只見、前澤、田子倉に大ダムを、その他所々に堰堤を築造、ダム式發電により、既設のもの宮下、新郷、山郷、豊美、鹿瀬の五發電所に新計畫の十四箇所がありて、これにより既設の二十六萬五千五百キロワツトに、最大出力においてさらに百五十九萬七千五百キロワツトを増加せんとするものであります。只見川筋の開發は從來の他の發電計畫と異なり、猪苗代湖の場合と同様、渇水期に給電することを主たる目的に立案されたるものにして、この流域の水力は、有効用量十億四千三十萬立方メートルで、猪苗代湖の三億三千三百四十八立方メートル、田澤湖の三億立方メートル、十和田湖の六千四百萬立方メートル、計六億九千七百四十八萬立方メートルの一倍半に匹敵する大電源であります。これは僅々數里の間に落差が千三百八十四メートルありまして、開發に有効なるのみならず、この睡眠包藏の天然の大資源開発こそは、現下の文化國民の重責であることを痛感いたしました。裏磐梯地域は標高八百メートルの桧原湖の外に小野川湖、秋元湖の二湖が近接してあり、貯水量合計一億六千百四十立方メートルを有し、猪苗代湖の湖面低下による渇水期放流の水力の補充調整の大役を果すとともに、その過程において、小野川、秋元、沼倉の三發電所において九萬八千キロワツトの發電をなす一面、治水をも兼ねたる大湖、猪苗代湖との相互關係を有する意義ある電源地であります。以上の事實により、次のような數點の強調を痛感するものであります。
  一、水力電氣の國家的開發計畫を速やかに樹立して、急速に實施すること。
  二、緊急經濟対策の一環としての發電所現有施設の百パーセント活用に重點施策を實施すること。
  三、産業復興の動力源として電力を最有効度に活用するために、電力需要者の合理的使用竝に濫用、盗用防止のため國民運動を展開すること。
 以上の點を特にわれわれは痛感いたしたのであります。
 以上が調査の大要でありますが、なお附言申し上げておきたいのは、現地電氣産業従業員諸君から、勞働條件の改善、食糧の適正なる配給、被服、地下足袋等必需物資の要求、セメント、油、鐵鋼等の資材の増配は強く要望され、全委員の最も共鳴したところであります、大體以上がきわめて簡單でございますが、調査の報告であります。
 つきましては石野君からこれに關しまして報告の追加發言を求められておりますから、これを許すことにいたします。
#3
○石野委員 ただいま委員長から報告されましたことに附言して申し上げますが、私たちは今度の猪苗代湖周邊地區の視察にあたりまして、わが國の水力電源としての實に有望な地域であるということを痛感いたしたのでございます。ただいまの報告の中に、特に恒久開發計畫の樹立及びそれの急速なる實施、竝びに緊急對策といたしましての現有施設の百パーセント活用の方途を講ずること、竝びに經濟復興施策の一環とし、國民運動的なものをこの電力需要の面において起さなければならないというようなことが掲げられてございますが、それにつきまして若干私の意見を申し述べさしていただきたいと思うのでございます。
 第一に、電力の國家的恒久開發計畫を樹立しなければならないということは申すまでもありませんが、それは日本におけるところの發電總量は、絶對的においては確かに不足しておるのであります。そして特に冬期渇水期におきまする事情は、來るべき渇水期においては全産業を麻痺させ、産業界を混乱に陷れるであろうというような危險性をはらんでいるということを、經濟白書はわれわれに忠告しておりますが、このことはけだし石炭のもつておる意義に優るとも決して劣るものではないと思うのであります。日本の電力は現實的な意味におきまして、火力發電に依存することは不可能であると思うのであります。ただし火力發電のもつ意味は、冬期渇水期におけるところの水力發電を補充するにあるのだというふうに存じております。石炭事情の今日及び將來のことを考えますると、今後ますます火力發電に依存することの危險性が強く感じられるのであります。また經營的な觀點からいたしましても、水力開發は火力に比しまして非常に有利でありまして、冬期渇水期に處するところの貯水施策を、ダム構築等のことによつて講じまするとともに、水力に惠まれていないところの九州、中國、四國地方にその便宜を供與するために、サイクルの統一及び配電施設等を國家的見地から急速に解決すべきものであるというふうに存じております。特にこの水力を利用するにあたりましては、從來の水路式のものを、少なくともダム式のものに計畫されなければならないというふうに存じております。水力はわが國の天然資源の中では最も惠まれたる資源の一つでありまして、特に石炭事情から火力に依存することが困難であるというわが國經濟再建の立場からいたしましても、この開發の意義はまことに重大なものがあるというふうに考えているのであります。戰時中に全國の山林が濫伐されまして、その後植林ということが非常に怠られておりまする現状からいたしますると、電源開發に伴うところのダムの構築ということは治水、利水の觀點からいたしましても、その意義はまことに重要でありまして、電力開發自體のもつ意義よりも、むしろこの點に重點をおいて考えてもよろしいのではないかというふうに存ずるのであります。
 以上の觀點から見まして水力電氣開發の急務であることは多言を要しないところでありまするが、これはただ計畫だけではなしに、急速にそれを計畫から實施の方向にもつていくことが必要であると存ずるのであります。急速にこれを實施する必要は、動力源の直接的な効果をねらうということのほかに、今日企業整備等によつて起るであろうところの失業救濟の問題をも含めまして、重要であるというふうに考えるのであります。この開發は國家の力をもつて行わなければならないのではないかというふうに存じます。しかし國家の力でこの開發ということが考えられますると、具體的には電氣企業の經營形態に關する諸種の論議が戰わされることであろうと豫想されるのでありまするが、これらのことにつきましては、國會におけるところの論議の結果をまつべきものだというふうに存じまして、以上の諸點から恒久對策としての開發計畫が速やかに樹立されなければならないというふうに存ずるものであります。
 また次に經濟復興の一環といたしまして現有發電所施設を百パーセントに活用するということにつきましては、これも急速に行われなければならないものだというふうに存じます。發電所の現有施設百パーセント活用に重點施策を實施するとともに、一面におきましては渇水期に處するためにも、火力に對しまして、特に賠償工場に對する對策を考慮しなければならないのではないかというふうに存じております。今日現有施設の状況は、大體次のような状態に置かれているのではないかというふうに存じます。その一としましては、施設が戰時中に過重負荷されまして、今日においては補修改善を急速に行わなければならないというふうになつておると存じます。次には戰時中に施工されました施設というものが多く粗漏でありまして、ただいまではほとんど役に立たないような状態になつておる。これらの面から考えまして、急速にこれを補修改善することが必要であると存じます。以上のようなもとにおきまして、まず水路設定の施設改修のために、資材を重點的に確保することが必要であると存じます。また發電所機械及び配電施設の改善補修のためにも、多くの資材が重點的に確保されなければならないのだというふうに存じております。三番目にはこれらの事業に從うところの勞働者の集中的な能率向上をはかるために、あらゆる勞働條件の確保が必要であると存じます。これらの點につきましては委員長から先ほど附言されておりまするように、現地勞務者の切實な言葉であるということも、われわれは眞劍に考えなければならないと存じております。次には未完成發電所が今諸所にあるのでございますが、これらの點につきましては、急速に重點的にこれを早期完成させるように取計らうべきではなかろうかと存じております。これを要するに電力擴充の緊急對策といたしましては、特に渇水期におけるところの火力というものを今日の場合考えなければなりませんが、それには特に商品位石炭を確保するということをわれわれは常に考えていかなければならないのではないかと存じます。以上のような觀點から見まして、少くとも國會及び政府がこれに對して十分なる力を注ぎまして、高カロリーの石炭を確保することと、それから火力發電所における賠償對象工場になつておりますものについて、特別なる考慮を拂いまして、でき得る限り電力飢饉をよい方向へ解決し得るように努力することが必要ではないかと存じます。なお今日電力量が非常に不足しているにもかかわらず、需要がますます多くなつておるという面から考えまして、また施設等の急速なる改修、擴充等の困難な點から考えまして、私たちは電力需要者の合理的な使用及び擅用、盗用防止のための國民運動が、政府及び國會を中心として急速に展開されることの必要を痛感するのでございます。わが國電力事情の切迫しておることは、すでに豐水期においても電力節減が行われておるという事態から見ても明らかなところであります。にもかかわらず業者側の非合理な使用、濫用、盗用によつて失われておる電力は、發電量の約三〇%に及ぶとさえ言われておるのであります。電力の消長が國家の産業の死活を決するといわれる重要段階に立ち至つております現在において、まことに遺憾であると思うのであります。それがためには、どうしても需要者側において合理的な使用、節用を考えなかつたならば、今後電力がもつておる國民生活への重要さから考えましても、非常に危惧される點が多いと存じます。以上のような點におきまして私はただいま委員長の報告されました點について、今後ともわれわれは十分考えなければならぬのではないかと思うのであります。以上簡單ではありますが、自分の意見を申し述べさしていただきます。
#4
○前田委員長 調査報告に對する御質問はございませんか。
 それでは本日はこれをもつて散會いたします。
    午後一時五十五分散會
ソース: 国立国会図書館
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