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1947/08/01 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第3号
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1947/08/01 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第3号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第3号
昭和二十二年八月一日(金曜日)
    午前十時四十分開議
 出席委員
   委員長 伊藤卯四郎君
   理事 大矢 省三君 理事 岡田 春夫君
  理事 生悦住貞太郎君 理事 早川  崇君
      今澄  勇君    衞藤  速君
      金野 定吉君    松本 七郎君
      萬田 五郎君    村尾 薩男君
      岡部 得三君    生越 三郎君
      庄  忠人君    長尾 達生君
      西田 隆男君    神田  博君
      前田 正男君    高倉 定助君
八月一日理事岡部得三君辭任につきその補闕とし
て生悦住貞太郎君が理事に當選した。
八月一日石炭小委員生悦住貞太郎君辭任につきそ
の補闕として長尾達生君が委員長の指名で石炭小
委員に選任された。
    ―――――――――――――
七月二十八日
 金屬鑛業再建復興對策に關する陳情書(東北鑛
 業會提出)
 石炭生産確保に關する陳情書(全國石炭復興會
 議議長代理松本武雄提出)
が本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 各小委員會の所管及び運營方針に關する件
 金屬工業小委員會名稱變更に關する件
 纖維工業・化學肥料工業・鐵鋼業に關する國政
 調査承認要求の件
 現地派遣委員の報告に關する件
    ―――――――――――――
#2
○伊藤委員長 それではこれより會議を開きます。
 去月二十八日、岡部得三君より理事を辭任したいという申出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
#3
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつて同君の理事辭任を許可することに決定いたしました。つきましてはこれよりその補缺選任を行いたいと思います。
#4
○今澄委員 理事の補缺は、選擧の手續を省略して、委員長において指名せられるよう望みます。
#5
○伊藤委員長 ただいまの今澄君の動議に御異議ございませんか。
#6
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは生悦住貞太郎君を理事に指名いたします。
 次に小委員辭任の申出についてお諮りをいたします。石炭小委員の生悦住貞太郎君より石炭小委員を辭任いたしたいと申出がありましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
#7
○伊藤委員長 御異議ないようでありますから、同君の石炭小委員辭任を許可することにいたします。つきましては、これよりその補缺選任を行いたいと思います。
#8
○今澄委員 石炭小委員の補缺は、選擧の手續を省略して、委員長において指名せられるよう望みます。
#9
○伊藤委員長 ただいまの今澄君の御意見に御異議ありませんか。
#10
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。それでは長尾達生君を石炭小委員に指名いたします。
    ―――――――――――――
#11
○伊藤委員長 次に、輕工業、化學工業及び金属工業各小委員會の所管及び運營方針についてお諮りいたします。本件に關しましては、去月二十六日、小委員長の打合會が開かれました。昨三十一日には輕工業、化學工業及び金屬鑛工業各小委員會が開催せられまして、熱心に協議打合せがせられております。その成案は印刷物として諸君のお手もとに配付しておりますが、これにつきまして各小委員長より發言を求められております。順次これを許します。輕工業小委員長松本七郎君。
#12
○松本(七)委員 昨日輕工業小委員會を開きまして、所管ならびに運營方針等について打合せました。非常に範圍が廣うございますが、大體大きく生活物資工業と纖維工業と分けまして、生活物資工業の方には、日用品、ゴム、皮革、建材、製紙、纖維工業の方は、綿絲、絹人纖、纖毛を含み、さらに中小工業一般、それから貿易輸出産業というようなものも輕工業小委員會で扱うことになりました。しかしこういうものは非常に範圍が廣いのでありまして、輕工業委員會としても、他の小委員會と密接な連絡をとらなければなりませんので、その都度連絡をとるということに大體きめました。さしあたり國政調査の要求をしなければなりませんので、これは最初輕工業一般ということで要求することにしておりましたが、どうもあまり範圍が廣うございますので、やはり一應小さく纖維工業ということについて國政調査を要求したらどうかということになりました。國政調査の承認がありますれば、ただちに調査にかかりたい、こういうふうに考えております。以上御報告申し上げますが、何とぞ御承認をお願いいたします。
#13
○伊藤委員長 次に化學工業小委員長今澄勇君。
#14
○今澄委員 化學工業小委員會は昨日開かれまして、その會議の模様を皆様に御報告申し上げまして承認を得たいと思います。所管は化學肥料工業、これは硫安、過燐酸、石灰窒素等の化學肥料、醗酵工業、窯業工業、及び一般化業工業の四つを所管として受持つことにいたしました。なお運營方針については、當面の問題といたしまして化學肥料に關する問題を取上げたいと、きのう話がまとまりました。なお國政調査の要求をいたしまして、この化學肥料の問題に關して關係方面より意見を聽取し、報告あるいは記録の提出を求めて活動したいと一決いたしております。皆様方の御承認を得たいと存じております。
#15
○伊藤委員長 次に金屬鑛工業小委員長生悦住貞太郎君。
#16
○生悦住委員 金屬工業小委員會に關する件でありますが、まず本小委員會の所管につきましては、去る二十六日の小委員長の打合會と、きのうの本小委員會におきまして、本小委員會の所管は鐡鋼業、非鐡金屬鑛工業、輕金屬鑛業、石油鑛工業及び機械工業とし、非鐡金屬鑛工業中には金、銀、銅、鉛、亞鉛、硫化鑛その他に關するもの、輕金屬鑛工業中にはアルミニウム、マグネシウム等に關するもの、機械工業中には各種産業機械、自動車、電氣機械に關するもの等を含むということに打合せをいたしたのでありますが、これについて皆様の御贊成を得たいと思うのであります。
 次に本小委員會の運營方針について協議をいたしたいと存じます。本小委員會は金屬工業に關する調査のために設けられたのでありますが、その内容とするところは、いわゆるメタル、金屬であります。マイニング、鑛業を包含しておりますので、金屬鑛工業小委員會と改める必要があると思いますので、これも御承認を願いたいと思います。なお本小委員會は、その包含する部門がまことに廣汎で、しかも鐡鋼部門を初め、各種産業に關する生産増強についての緊急問題を含んでおりますので、小委員長といたしましては、切に諸君の御精勵をお願いする次第であります。
 本小委員會の運營方針につきましては、私より考えておるところを申し上げますならば、當面の問題として鐵鋼問題を取上げまして、鑛工業委員會より鐵鋼問題を取上げまして、鑛工業委員會より鐵鋼問題につき國政調査の要求を正式に議長にしていただきまして、その承認を得ましたならば、関係各方面より意見を聽取するとともに、所要の報告及び記録提出を求め、あるいは現地鑛山その他各種鑛工業施設を實地に調査するということにいたしたいと思いますが、これにつきましても諸君の御意見を伺いたいと思うのであります。これはきのうの鑛工業小委員會におきまして、大體きまつたことを皆さんに重ねて申し上げるわけでありますが、さよう御承知を願いたいと思います。
#17
○伊藤委員長 私より石炭小委員長といたしまして、石炭小委員會の所管について一言申し上げておきたいと思うのであります。お手もとの印刷物にもあります通り、石炭、亞炭及びガスということにいたしたいと思います。なお石炭小委員會の運營方針等に關しましては、すでに諸君の御了承を得ておりまするので省略いたしたいと思います。
 それではただいまより各小委員會の所管を決定いたしたいと思います。お手もとに配布してありまする印刷物がありますが、各小委員長の申出通りに決するに御異議ございませんか。
#18
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。それではそのように決定をいたします。
 次に各小委員會の運營方針に關しまして、ただいま各小委員長の申出通りに御了承を願うことに御異議ありませんか。
#19
○伊藤委員長 御異議がないようでございますから、そのように了承することといたします。
 次に金屬鑛工業小委員長より申出がありました同委員會の名稱變更の件についてお諮りいたします。同小委員長の申出通り、今まで金屬工業小委員會となつておりましたものを、金屬鑛工業小委員會と改めることに御異議はございませんか。
#20
○伊藤委員長 御異議なしと認めます。よつてそのように改めることに決しました。
 なお纖維工業問題、化學肥料問題及び鐵鋼問題に關する國政調査の件につきましては、衆議院規則第九十四條によりまして、後刻委員長より書面をもつて正式に議長に承認を要求することにいたします。
 先般本委員會より石炭問題に關する國政調査の一方法といたしまして、現地各炭鑛實地調査のため、議長の承認を得まして委員を派遣いたしましたが、今囘全員無事大任を果して歸京せられ、各班ごとに實地調査の報告を整備せられておるようでありますので、これより各班長からその報告を聽取することにいたしたいと思います。先に北海道を調査されました班長岡田春夫君から報告を願います。
#21
○岡田(春)委員 北海道を調査いたしましたその概略をこの際御報告いたします。われわれ北海道を調査いたしました者は民主黨の三好竹勇君、國民協同黨の谷口武雄君竝びに社會黨から不肖岡田春夫の三名が現地に参りました。大體の日程は東京を十二日に出發いたしまして、十四日東幌内より、その後三菱美唄、井華奔別、三井上砂川、三井芦別あるいはその後におきましては配炭公團、潜灣施設等について小樽あるいは札幌において實情を調査いたしまして、二十三日に歸任いたした次第であります。この間における北海道の事情を簡單に御報告いたしたいと思います。
 御承知のように北海道の石炭の生産状況は、全遍の生産目標からみましても、きわめて生産不振の状態にありまして、本年度の三千萬トン生産目標達成のためにも、北海道の生産状況がきわめて大きな影響を與えてくるであろうという意味において、われわれはその現在における生産不振の状態を根本的に分析いたしまして、それによつて今後の見透しを立てたいと、かような考え方のもとにおいて調査を始めた次第であります。
 まず御承知のように北海道の炭鑛の特殊條件から申し上げてまいりまするならば、自然的な條件において、第一に氣候的な制約をきわめて受けているということ、第二に坑内の條件におきましては、主流をなす石狩炭田を初めといたしまして、炭層は一般に厚いのでありますが、反面において傾斜が相當急で、平均四十度いとう状態であり、また坑内の保安状態におきましても、ガス、炭塵爆發及び炭塵突出の危險性がきわめて強いということ、それからまた自然條件の第三といたしましては、一般に北海道の炭鑛は山間僻地にあるがために、坑外施設においては相當急傾斜の地域を利用しなければならないというこれらの自然的な制約があると同じに、第二に社會的な條件として、北海道の炭鑛は比較的壯年期にあるために、今後において新規開發の餘裕がまだまだ十分にあるということであります。次に現在道内の炭鑛において、經營の規模はいわゆる大手筋の炭鑛が約七割までを占めておるという關係で、他の地方に比べまして、一般に機械化の水準が高いということ、第三に今後の石炭の増産のためには、ただいま申し上げたような事情から見ましても、當然北海道を相當重視しなければならないにもかかわらず、現在の石炭行政というものは、今まで通りの畫一主義に陷つておりまして、この特殊性を重點的に配慮するということが、何ら行われておらないということ、それから道内の食糧事情がきわめて困難な事情にあるために、總合的な食糧自給體制というものが非常に困難な状態にあるということ、これらの特殊な條件のもとにおいて、現在までの北海道におきます生産不振の原因が、大略次の五つの點に要約し得るのではないかと考えられるのであります。
 まず第一に、先ほどから特殊性の點で申し上げました通りに、北海道は氣候的にも自然的にも、また社會經濟的にも一つの特殊な型をもつております。それにもかかわらず、現在の石炭行政というものが、一つの畫一主義に陷つているために、北海道の特殊性というものが何ら生かされておらないという點があるのであります。第二の點は戰爭中の濫堀によりまして、坑内外の機械設備が荒發をきわめまして、しかも戰後における資材の入手は經營者の將來の見透しが困難であるという諸點から考えまして、今だにこの坑内外の機械設備が完全なる補修整備の域に達しておらない。從つて先ほど特殊性の點で申しました通り、道内の約七割を占める大手筋炭鑛がその機械設備を完全に囘復しておらないがために、これに代る人間の勞力の補給によつて生産を増加しようとしている。この點において生産不振の根本的な原因があるということ、第三は道内の食糧自給が困難であるがために、勞働者の食糧補給が容易ならず、從つて漸次榮養變調の傾向に陷りまして、勤勞意欲がこれによつて阻害されつつあるということ、第四は本年度においては特に奔別、砂川等に災害が続出するというような事情、第五に北海道の特殊な生産不振の原因といたしましては、輸送の事情が困難なるために資材食糧等において不圓滑をきわめ、また反面において送炭の面においても惡條件となりつつあるというような、この五點に要約し得ると私は考えるのであります。以下少々具體的に各般の面から北海道の特殊事情を中心にいたしまして、各地において聽取をいたしました問題、特にこの委員會におきまして解決をしなければならない問題等について御報告をいたしたいと思います。
 大體問題を大別いたしまして、資金、食糧、炭住、勞務、資材、輸送、技術、厚生その他このような面から報告を進めてまいりたいと思います。
 まず資金の面でありますが、先ほど北海道の特殊性について申し上げました通り、北海道の資金のわくの決定につきましては、この地方の將來性、重要性、あるいは保安上の特殊性に鑑みまして、特段の考慮が必要であると考えます。そればかりでなく、特に金融の面におきましては、北海道の季節的な條件に鑑みまして、今後時期を誤らないように、金融の迅速化ということが、まず第一に必要であると考えられます。現在までの状況を顧みますと、昨年度の下半期に現場の炭鑛が要求いたしました資金が、融雪を過ぎて今年の五月になつて入金したというような事情で、現實に降雪中に必要であつた資金が、その雪のある間に使えなかつたような事情が各地に頻發をいたしております。このような氣候的な條件を十分考慮すると同時に、時期を誤らない金融の迅速化ということが、まず第一に必要であると考えられます。
 第二に、資金のルートがきわめて多岐多様にわたつておりまして、これが事業の進行に對して大きな阻害を與えているという事例が各地に見出されます。一例をあげますならば、三井芦別炭鑛において、新たに新坑を開發いたしておりますが、これに必要なる炭住計畫が商工省の所管において認められて、そうしてこの住宅の建設は進んでおりますが、それに不可缺である水道設備、あるいは學校設備の資金というものは、何ら認められていないということ、これらの點から考えましても、資金の總合的な割當配慮、調整ということが必要であるということをわれわれは感じたのであります。
 第三の點は、炭價の決定にあたりましては、現在あと極め制が先極め制に改善されたのでありますが、この先極めの決定が遅れましたために、その意義というものは失われてしまいました。今後においては期前にこれを決定いたしまして、事業計畫にマツチするように、しかも地域的な特殊性も十分生かしまして、事業計畫にマツチするように行つていく必要があるということであります。大體資金の面においては大きな點だけを取上げますと、以上の三點であります。
 第二は食糧の面であります。主食の配給は本年の九月までは大體見透しが立つておりますが、それ以降の食糧事情についてはまだ計畫が立つておりません。從いまして、その後における食糧事情について、必ずしも勞務者が安全感をもつているとは思えないのであります。從いまして、この増産を遂行するために、今後の見透し等についても、十分なる配慮がまず必要であるといこうことであります。主食の状態については、ただいま申し上げたような事情でありますが、一般的に見まして、主食の配給状況は、現在のところ比較的順調に行われております。しかし半面において、副食糧はきわめて劣悪な配給状態にあるということを御報告しなければなりません。副食糧の事情につきましても、詳細を申し上げる時間がないことは残念でありますが。最近の労務者の榮養状態を調査いたしてみますと、これは三菱美唄炭鑛の事例でありますが、三菱美唄炭鑛内にあります獨身寮の一箇月の平均調査の結果によりますと、一月以降五月までにおける榮養の状態はまず一月が總カロリー三千四百三十一カロリー、二月が三千二百五十七カロリー、三月が三千三百三十四カロリー、四月が三千百六十九カロリー、五月が三千二百五十三カロリー、かように漸次榮養量が低下しつつある傾向にあるばかりでなくて、御承知の通りに寮に住んでおりまする獨身者は、主として坑内夫でありますが、この坑内夫の坑内における稼働において、ぜひとも必要なる最低限のカロリーの量というものは、G・H・Qの調査によりますと、三十六百カロリーであります。そうしますと、先ほど申し上げました三菱美唄の事例は、最低限度三千六百カロリーを割つているという事情を御報告申し上げまして、いかに主食竝びに副食糧の總合的な配給計畫、總合的な食糧對策を立てる必要があるかということが御理解願えると思います。要するに北海道においては、主食の面において一應順調に配給が行われているが、反面に副食糧の面においては、これに伴わないで、きわめて榮養變調の状態にある。從つて今後においては醫給機構の面からも抜本的な解決をするとともに、この副食糧における、特に蛋白質、脂肪分の補給その他について十分なる考慮が必要であるということが感じるられる。
 第三の點につきましては、調味料問題でありますが、重勞働の關係で鹽分を多分に必要とすることは言うまでもございません。今後におきまして鹽分の増配方については、十分配慮する必要があると感ぜられました。食糧の面については以上三點であります。
 第三は炭鑛住宅の關係であります。まず炭鑛住宅の問題につきましては、先ほどの自然條件における氣候的制約の點から御了解が願えると存じますが、炭鑛の住宅建設というものは、北海道においては少くとも十月の末までに建て上げてしまわなければならないという制約があります。ところが現在の炭住計畫によりますると、北海道の年間計畫は各四半期に分けられて、降雪中において事實建設ができないようなときにおきましても、建設の割當がある、資材の割當があるというような、きわめて畫一的な状態が行われており、こういつた點で、今後炭住計畫を遂行いたしまする場合において、相當北海道においては困難な事情があるであろうと想像されるのであります。從いまして、今後の炭住計畫を決定いたしまする場合において、北海道におきまする年間の炭住計畫の決定は、第一四半期と第二四半期に、全面的にこれが施行できるように計畫を再編成する必要があるということが感ぜられます。
 第二に炭住計畫の決定にあたりましては、先ほど資金の面でも簡單にお話を申し上げたように、北海道においては新坑の開發が相當あるだけに、炭住が今までの計畫だけによりますと、住宅だけの建築ということになつております。しかし新坑の開發という場合においては、當然それに付随する學校、水道、病院、購買所、浴場、こういうものの總合的な配慮が絶對に必要である。その點において北海道の特殊性は、この新坑における炭住計畫の總合的な配慮が必要であるということを感じました。
 第三は、炭住計畫以外において、從來建つております炭鑛の鑛員住宅が、戰爭中の補修難、増築難のために相當荒廢に任されております。これを補修増築するためには、現在臨時建築物制限令のために、いろいろな點で支障が與えられております。今後この建物の補修増築のためには、少くとも臨時建築物制限令の除外例を炭鑛施設においては認める必要があるという點が第三であります。第四は、北海道の特殊性といたしまして、山地または傾斜地に住宅の建築を行わなければなりません。從いまして、整地費用というものが相當多額にかかります。その整地の費用を豫算面に計上する場合において、特段な考慮が必要であるという點が第四點であります。またその次に、建設にあたりましては、土地の問題、用地の確保について、各地に相當問題が生じております。この用地の確保についても、簡易迅速にこれが取計らえるような考慮が必要であるということを感じてまいりました。
 その次は勞務の關係であります。勞務の問題につきまして、これを大きくわけまして、給與の問題と、職場規律の問題にわけて御説明したいと思います。まず給與の問題につきましては、新物價體系の發表によつて物價の高騰が招來されて、勞務者自身にとつては相當不安な状態を惹起しているような模様であります。この際政府の發表によります實質賃金の確保については、早急にその具體的な促進をはかる必要があるとまず第一に感じました。その次に、給與問題について大きな影響を與えておりまするのは、勤勞所得税の問題であります。勞務者の勤勞意欲を阻害するという點で、まず第一に取り上げられなければならないのは、現在の制度による勤勞所得税というものが、あまりにも過重に失している。特に坑内夫においては、御承知のように最高月八千圓から、最低三千圓までの収入を得ているのでありますが、大體最低三千圓の収入にいたしましても、これに對して勤勞所得税は約三割、一千圓の課税を徴収されるというような結果で、勤勞意欲に對して少なからざる影響を與えております。この點について免税點の引上げその他について特段の考慮が必要であると感じました。第三に、従来福利厚生の施策といたしまして、北海道の気候的な條件のもとに、石炭の現物給與が各労務者に與えられてまいりました。冬季においてこの石炭の現物給與によつてそれぞれの家庭で暖房に用いるわけでありますが、この石炭の現物給與に對して、最近これを課税の對象とするという流説が相當北海道各炭鑛において傳わつておりまして、これが多大な不安を與えております。この點につきまして、あとでわれわれ札幌地方財務局で調査いたしたのでありますが、これは単なる流説でなくて、相當事情の伏在しているようなことを聞いてまいりました。しかしこの現物給與の課税については、よほど愼重に取扱わないことには、勤労意欲に對して相當大きな影響を與えるということを、われわれ現地において感じた次第でありまして、これについては愼重の措置を必要とする次第であります。
 それから職場規律の関係でありますが、最近労働組合の健全な成長と自己反省によりまして職場規律は漸次改善されつつありますが、將来これがますます刷新の必要があると思います。
 北海道におつきましても九州のような暴力團の跳梁が全然ないわけでありませんが、暴力團の跳梁よりも、もつと大きな問題が北海道にはあります。これは北海道の三井芦別の例でありますが、労働組合の要求と會社側との決定によりまして、不稼働者を解雇いたしたのでありますが、この解雇された労務者が炭鑛住宅を占據してばくちとかやみ商売をやつておるために、炭鑛の空氣を撹亂して、漸次亞影響を炭鑛内全體に及ぼしておるような事情であります。暴力團の問題は、単なる暴力措置に訴えるというような意味において、一つの特殊性をもつておると同時に、ただいま申し上げましたこの北道海の事例は、知能的事情として、今後特殊な問題として相當重視しなければならないと考えられます。三井芦別の労働組合長の言によりますと、この炭鑛においては、不稼働者で、しかも解雇された者が現在約三十世帯あつて、しかもこれが退去をしないために、漸次悪影響を及ぼしつつある。しかも退去を命じましても、最近裁判問題に發展いたしまして、未だに繋争が未解決であるために、相當大きな影響を與えておるということを傳えております。職場規律の問題として北海道の特殊な問題は大體以上の點であります。あまり時間を長くとるといけませんので、あと簡単に申し上げます。
 次に資材の問題であります。資材の入手状況は、最近比較的好轉をいたしておりますが、資材入手のために最も重大な隘路になつておるのは金融の面であります。未拂金が相當あるために、新規の發注も手控えなければならないという事情で、このためには資材の購入資金を迅速圓滑に流通する必要があるという點が先つ第一であります。鋼材及び坑木等の輸送の面においても、資材の入手上大きな缺陷をなしておる點があります。金融の面の次に、ただいま申し上げました輸送の問題でありますが、現在の状況で見ますと、室蘭その他の發驛においては、相當量鋼材、坑木の滞貨がありまして、この引取りが困難な状態にあります。その結果現在炭鑛の手持坑木は平均二十日乃至三十日であり、はなはだしい炭鑛においては四、五日分の日暮しの状態にある所もあるという状態で、この解決のためには輸送力の強化が必要であるのであリます。
 第三に、炭住計畫及び坑内整備のために相當量のセメントを必要といたしますが、現在道内においてはセメント工場が一工場あるだけであつて、セメントの需要に對してこの現物化は約二割五分にしか達しておらぬという状態であります。これについても特段の配慮が必要であります。
 次は炭車の問題であります。炭車は各炭鑛ともきわゆて不足を告げておりまして、運搬上非常に障害を與えております。炭車の新造補修について最重點的な解決を必要といたしております。その他薄鐵板、ゴム製品、パイプ、ケーブル等の不足は、これは北海道ばかりでなく、全般的に必要だと思うのでありますが、この點は詳細に申し上げないことといたします。
 次は輸送の問題であります。道内における輸送の問題として海上輸送小運送においては、さほど大きな問題はありませんが、一番輸送の面で難澁をいたしておりますのは貨車輸送の問題であります。現在の貨車輸送の状況から考えてみますと、九月以降において月五十五萬トンの貨車輸送の計畫を現在札鐵當局ではやつておりますが、この五十五萬トンが順調に行われたといたしましても、今年度下期までの見透しでは、配炭公團の調査でありますが、山元貯炭が六十八萬トンに上るであろうということが、調査の結果として想像されます。従いましてこの貨車輸送の面につきましては、今後抜本的な解決をはかられる必要がある、特に現在全國の要修繕車の中で三割までが札鐵局管内にあるという状態で、貨車の補修の面につきましても、特段なる配慮が必要であると思います。この點につきましては、現地の要望としては、特に國會の運輸及び交通委員會にこれを要望して、現地に調査團の派遣を要求いたしておりました點を附加えて御報告いたしておきます。
 次に技術の問題であります。北海道の炭鑛というのは、先ほど特殊性において申し上げました通りに、ガス、または炭塵爆發、自然發火、ガス突出その他の危険性が非常に多いために、保安の確保が第一の問題として取上げなければなりません。そのためには風洞の改修、岩粉の潤驛な供給、あるいは撒水器の整備等を行う必要があります。特にその中で岩粉の潤澤な供給につきましては、少くとも現在の北海道の炭鑛の實情から、石炭一トン當り六キロの岩粉を撒布しなければならないのでありますが、現状においてはトン當り二キロの岩粉しか撒布しておらないという関係で、坑内の保安においてはきわゆて危険な状態にあると言わなければなりません。そこでわれわれといたしましては、この岩粉の供給のために、少くとも夕張、岩見澤、瀧川この三箇所に岩粉の製造工場を設ける必要があるということを感じました。第二に坑内外の設備の補修を急速に實施いたしまして、現在の切羽延長は一萬三千メートルでありますが、これを一萬八千メートルに、進行速度は〇・七五メートルが現在でありますが、これを一、二メートルに、それから坑道の総延長に對する切羽の総延長が現在のところ一、四%でありますが、これを三%に引上げる、これを目標といたしまして、坑道の整備が必要であると考えられます。ワイヤー、ボールベアリング、チエーン等の不良によるために先ほど申し上げた保安上の支障が多い點もありますし、坑内の坑道整理の點から言いましても、これに要すべき資材の補給というものをますます重點的に配慮する必要があると感ぜられます。技術の関係につきましても、詳細にわたりましては、その他いろいろございますが、この程度にいたしまして次は厚生の問題であります。
 まず第一に医療の関係でありますが、北海道は概して医療の設備、医師等が不足でありまして、炭鑛においては特にこの医療設備、あるいは医者等の不足について、いろいろな問題を惹起いたしております。これは三菱美唄の事例でありますか、入院の患者が現在百二十名あるのに對して、病院のベツドが六十九箇しかないという状態である。あるいはまたお医者さんが、現在全國平均二十七人の患者に對して一人の割合でありますが、三菱美唄の例では六十五名から八十二名に對して一人のお医者さんという状態で、医師が悲鳴をあげております。また半面において坑内のいろいろな災害等においても、きわめて不十分な手當しかできないという現状でありまして、これについての對策を講する必要があるという點がまず厚生関係の第一點であります。これはひとり三菱美唄だけではなくて、全道的にかような現象を生じつつあります。
 第二に衣料の問題でありますが、御承知のように北海道は他地方に比しまして、冬期間が長い。あるいは坑内の温度は常盤のごとく高温度にあるというわけではなくて、非常に低温にあるために、作業衣その他の消耗率が非常に大きいわけであります。こういう點についても、十分な考慮が必要であると考えられます。その他厚生關係につきましてもいろいろありますが、あまり時間をとつてしまいまするので、北海道の特殊性としてはただいま申し上げた二つの點だけを御報告しておきます。
 最後にこれらの問題を解決するために、現地の要望としては、當然石炭行政の一元化、統一化、この問題が強く要望されておりまして、石炭行政が現在きわめて複雜多岐にわつたているために、生産上大きな支障をなしてにる關係から、石炭行政の簡素化を要望する點が非常に強い點であります。
 その次にこれも北海道の特殊な問題でありますが、北海道民の暖房用炭の問題であります。現在の生産の事情、それから配炭の割當のわく、それから輸送の事情から見まして、北海道の道民が毎年平均最低限度二トン三分の石炭を必要といたすのでありますが、本年度の見透しとしては、最低二トン三分の確保もめんどうになるのではないだろうかという心配は、炭鑛内の各地においても、いろいろな點で取上げられております。と申しますことは、道民に石炭の生産に協力をしてもらえるためには、ぜひとも暖房用炭の確保だけは、政府においても十分これは配慮をしてもらわなければ、今後において増産協力態勢をますます強化するために、大きな支障がある。そういう點からも炭鑛側としては、暖房用炭の確實なる配給を要求するという聲があつたわけであります。大體特殊な問題といたしましては、きわめて斷片的でありますが、以上の通りであります。
 最後に國家管理の問題につきましても、各地で意見を聽いたのでありますが、われわれ調査班といたしましては、國家管理の問題について結論をつけるというよりも、各地の事情を一應御報告するという程度にしておきたい。かような決定をいたした次第でありますので、簡單に石炭國管問題についても御報告いたしておきます。大體一般的に申しまして經營者側においては、石炭の國管問題については、消極的あるいは反對の態度をとつております。その理由とするところは、石炭の國管を斷行することによつて、官僚統制になる危險性があるという點、第二の點は機構いじりによつて、かえつて生産を阻害するという二つの點が、主として取上げられております。それから勞務者あるいは勞働組合の關係から、國管の問題を聽取いたしました場合においては、國管の積極的な要望というものは、組合の幹部あるいは組合員の中から相當に要求があります。特に國有國營を前提とするところの國管の要求というものが、各地組合の幹部から要求をされた状態であります。一般的に見ましたときに、經理の公開、企業への參加、發言權の參加という形で、勞働組合側は國管に對して積極的な要望を現しております。職員組合の部面におきましては、きわめてこれは消極的な態度でありますが、ある炭鑛においては國管に對して反對の意思表示をする炭鑛もあれば、ある別な炭鑛におきましては、積極的に國管を支持する態度に出ておる炭鑛もあるというような状態で、職員組合、技術者の關係は、この國管問題については比較的まとまつた意見がないように、見受けられてまいつた次第であります。全般的に見まして國家管理の問題は、その國家管理の内容というものが、企業者、勞働組合あるいは職員組合、技術者團體、これらの人々の末端にまで、十分に認識徹底されておらないという感じが、一般的に見受けられたような状態であります。國管問題につきましても、そのような状況のみを御報告いたしておく程度にいたしておきたいと思います。
 はなはだ散漫でありましたが、一應北海道の事情を御報告いたした次第であります。後ほど調査資料につきましては、印刷をいたしまして、委員各位に配付いたしたいと思いますので、この調査資料によりまして、十分御檢討を願いたいと思う次第であります。
#22
○伊藤委員長 それでは山口、九州炭田を調査されました班長の庄忠人君から御報告を願います
#23
○庄委員 山口、九州は、衆議院といたしまして長尾達生君、生越三郎君、大矢省三君、衞藤速君、庄忠人の五名であります。それから參議院の橋上保君、大屋晋三君、大畠農夫雄君、深川榮左エ門君、濱田寅藏君、この五名の方が一緒に參られたのであります。なお參議院の委員部の淺原君と、石炭増産協力會の福中、鈴木のこの兩君、それが一行に加わつたのであります。七月十二日東京を出發いたしまして、七月二十一日豫定を終り、二十二日朝博多を立ちまして二十三日歸京、前後十二日間であります。この間炭鑛を視察いたしましたのが十一箇所、うち坑内にはいりましたのが五囘であります。この間經營者竝びに勞働組合側との懇談會を行いましたのが二十囘であります。參りました炭鑛を申し上げます。山口縣では沖宇部炭鑛、沖ノ山炭鑛の二つであります。九州にはいりまして高松炭鑛、赤池炭鑛、三井田川炭鑛、東寶炭鑛、嘉穗炭鑛、志免炭鑛、勝田炭鑛、寶珠山炭鑛、三池炭鑛、以上の十一鑛であります。大體十項目にわたりましてわれわれ調べてきましたことを要約して申し上げたいと思います。
 第一項生産状況、これは各地區の鑛業會の調査によつたのでありますが、山口地區におきましては、第一四半期の目標が五十四萬トンであつたのに對しまして、實績が五十萬九百九十一トン、比率が九二・五%であります。なお七月以降の第二四半期の見込みでありますが、これは目標が五十六萬八千九百十八トンに對しまして、出炭見込みが五十三萬トンであります。この比率は九三・二%であります。以上合わせまして上期の合計が目標百十萬八千九百十八トンに對しまして、實績が百三萬九百九十一トン、すなわちこの比率が九三%となるわけであります。九州地區におきましては、第一四半期の目標は三百五十九萬八千トンに對しまして、實績が三百四十五萬二千六百八十四トン、この比率は九六・三%であります。七月以降の第二四半期に對しまして、目標が三百四十萬二千トンに對しまして、出炭見込みが三百五十五萬七千トン、すなわち一〇四・三%であります。これを合計いたしまして、上期の前半といたしまして、目標が七百萬トン、實績が七百萬九千六百八十四トン、その比率が一〇一・四%となるわけであります。
 第二項、資金關係、これは設備資金と運轉資金と赤字資金の三つにわけております。設備資金につきましては、資金調整法の許可が遲れるのであります。昭和二十一年下期の分はようやくその期末に認可になつたのであります。本年度上期分は未だに認可のないようなところが相當多いのであります。從つて資金の入手も遲れ、あるいは適時でないため、一般設備、坑内復興、炭住、炭車計畫などの實施見込みが立たず、これに加うるに諸物價の値上りのため、工事完成にはなはだしい支障を來しておる状況であります。
 次は運轉資金につきましては、炭代の入手に時日を要することと、赤字補給金未入手が多いので、大手筋、中小炭鑛とも運轉資金の枯渇はなはだしく、未拂金は漸次増大し、發注製品の引取り、生活物資の購入にも事缺くは勿論、最近は賃金、給料だけを辛うじて支拂い得るような炭鑛もあつて、このため設備資金を流用し、あるいは炭鑛施設を抵當に地方銀行からの借入金をもつて辛うじてその場を切り抜けているというところもあるのであります。
 次は赤字資金でありますが、補給金の未入手は各炭鑛とも相當額に達しておるのであります。その一例とにたしまして、高松炭鑛は一億五千五百萬圓、田川炭鑛が一億一千五百萬圓、赤池炭鑛三千二百萬圓等であるのであります。こういうのがいわゆる運轉資金の枯渇のおもな原因をなしておるのであります。
 第三、資材關係、一般状況といたしまして、昭和二十二年度の第一・四半期におけるところの資材の入手状況は、山口、九州兩地區を通じて、正常ルートによるものは割當の四〇ないし四五%程度であるのであります。現在資材問題は、同時に資金問題となつておりまして、各種資材は相當程度引取りが不能となつておるのであります。なお當局の指定生産資材の割當發券の敏速化が要望されております。機械類につきましては、電車、炭車、ポンプ、選炭機、捲揚機、空氣壓縮機、電動機、變壓器等の機械類は、その發注額に對する各月入荷量は一〇%程度の不良さであるのであります。これはメーカー側におけるところの電力制限、資材難、賃金、食糧等の諸事情と支拂に關するところの炭鑛への不信に基くものと認められるのであります。なお機械類は一般に故障増加の傾向にあるのでありますが、材料手持薄のため、十分に修理がなされていない状態であります。
 次は鋼材、銑鐵でありますが、昭和二十一年度分の現在までの入手量は鋼材、銑鐵を通じて平均五〇ないし六〇%と認められるのであります。なおカーバイト、酸素の入手難は、鋼材の活用を阻み、コークスの不足は鑄物、鍛造品の製作を不可能ならしめておるのであります。
 次は緊急所要資材でありますが、炭車、鋼管、鑄鐵管、鐵板類、釘、ワイヤロープ、レール、坑枠レール、ケーブル類、それから住宅資材、トラツク、これは部分品を含むのであります。及び燃料、セメント、ベルト類、ゴムホース、潤濶油、電氣機器材料、カーバイト、電氣安全燈などであります。
 次は坑木の状態でありますが、手持は平均二十日ないし三十日分と思われるのであります。そのうち不適木が五ないし一五%であります。値上り氣配と時期的關係で、入荷がやや低下の傾向にあるのであります。特殊事項といたしまして、三池炭鑛の長物坑木の價格を早急に決定する必要があるのであります。
 第四項勞務關係、まず賃金關係といたしましては、物價と賃金の不均衡は、勞働者をして生活不安を感ぜしめ、大きな生産阻害の原因となつています。このためスライド制の促進、あるいはその決定までの暫定措置が要望されております。また勤勞所得税の撤廢、あるいは累進課税の改正も勤勞意欲増強に直接かかわる問題として一般に強く叫ばれております。さらに賃金形態の再檢討が行われ、各所の實情に應ずるよう、殊に基本給と能率給の調整が研究されております。職員給料の勞務者との不均衡は、また生産意欲低下の一因であるのでありまして、特に坑内職員の場合にこれは適用するのでありまするが、急速に解決されねばならぬ問題であります。せめて勞働者竝みの加給を要望しておるのであります。
 次に職場規律の問題でありまするが、終戰後の混亂より漸次好轉している模様でありますが、まだ不十分とは認めがたいのであります。組合側の自律と經營者側の十分な理解、赤裸々な態度のものに、名實ともに健全なる經營協議會の運營を望むわけであります。炭鑛によつては戰前の封建的賞罰規定を一掃し、經營者側、従業者側共同で職員をもともに賞罰の對象とした民主的規定を研究または實施しているところもあるのであります。また一部不良者またはボス的な存在が現場作業の阻害をしているようで、いわゆる炭鑛暴力團事件も看過できぬ生産阻害除去の課題であるのであります。
 第五項食糧關係、(イ)主食、主食の混合比率は大體三〇%對七〇%、ないし四〇%對六〇%であります。手持ちはおおむね一箇月程度であつて、山口地區は最近凍結米放出許可によつて、十月までの見透しがついたのでありますが、福岡地區は九月以降の見透しがついておりません。他縣よりの廻米に努力中であります。主食の操作についても、中央の指令が地方に徹底しないというのが現地の聲であります。加配米、これは辨當米と稱しておりますが、加配米が一般に遲配しておるのでありまして、三、四日から十五日程度の所もあります。また雜穀の加工不完全なものが配給されることがあるので、炭鑛側でも共同の加工設備を要望しておる所があります。
 次は主食外の物資でありまするが、三日閣議決定の炭鑛勞務者所要物資供給確保對策要綱も、その現物化遲々として進まず、現在までにわずかにみそ、醤油、鮮魚が、多少その軌道に乗つた程度で、政府に對する不信不滿の聲が高いのであります。主食は一應確保されても、特に坑内勞働に必要なカロリーの問題を十分に眞劍に取上げなければならないと思います。報奬物資の入手がはなはだ遲れるので、その效果も著しく減じておる實情であります。
 第六項厚生關係、醫療關係といたしまして、大手筋には大體病院の設備があるのでありますが、醫藥品、衛生材料の逼迫によりまして、施設の活用を妨げておるのでありまして、直接間接勤勞意欲に影響しておるのであります。これが優先的配給に特別の措置を要望しておる状態であります。さらに中小炭鑛の場合は、醫療施設として見るべきものがないのでありまして、病氣傷害等の場合に、ただちに實質賃金に大きく影響をするので、地域的に共同利用の公の施設が設置されるよう、國家的な措置を要望しておるのであります。
 次は災害扶助の状況でありますが、現在厚生年金法によつて扶助されておるのでありますが、その給付額は、現在の物價面からみてはなはだしく低額で、遺族または廢疾者の最低生活も保障不可能の状態であります。七月より一齊に増産運動にはいつたが、坑内の惡條件は必然的に災害の増加が豫想されるので、勞働者災害補償保險法、勞働基準法が早急に實施せられるように、一般に強く要望されておるのであります。なお一般的に退職金問題も制度として早急に實現されるよう要望されております。
 次は住宅であります。炭住計畫も、これは新築、補修ともにでありますが、資金、資材兩面から進捗度はよくないのであります。特に戰災者、引揚者などを多く收容しているところの炭鑛は、家族を呼ぶ寄せることが困難であり、また三池炭鑛のごときは、戰災で五千戸餘の社宅を喪失して、從業員は電車で通勤するものが多いのでありまして、大きな能率低下の原因となつております。既設の住宅も、いわゆる往年の納屋式のものが相當多く、便所も水道も極端な共同利用であり、壘、電球の不足は一層生活を暗いものにしいおります。炭鑛文化はまず住宅よりの聲もまだ至當であると言わねばならぬのであります。
 次に作業物資であります。作業衣、地下足袋、ゲートル、タオル、石けん等の不足がはなはだしく、今後の確保に不安があり、なお品質低下が憂慮されております。
 第七項輸送關保、三千萬トン出炭が絶對的要請である以上、これが輸送もまた絶對的であらねばらなぬというのが現地の主張であります。しかるに現地におきまする配車は常に波状を呈して、かつ總車數におきまして不足の日が多いのであります。また一箇月半前に中央で策定されたところの輸送計畫は、炭鑛の特殊事情から、その後の現實と相當相違するところが多いのでありますから、現地鐵道局が、この中央計畫を相當彈力性をもつて調整し得るような措置がとられるよう要望せられておるのであります。
 次は小運搬でありますが、特に山口地區は石炭運搬をトラツクに依存する部面が非常に大きいのでありますが、その車の數竝びに附属品及び燃料の不足は、日々の生産を阻んでおるのであります。さらに生産資材食糧運搬のためのトラツクの手當も同様の比率をもつて考慮されなければならないのであります。車體の老朽、部分品竝びに燃料不足のために、その效率は四〇%を下まわる箇所もあるような状況であります。
 第八項、電力關係であります。保安電力といたしまして、電力低下、停電のために捲揚機、ポンプなどに相當の支障を來しております。次は電壓低下防止問題であります。特に九州地區の場合は電力及び周波數が定格値をはるかに下つております。水力發電は目下のところ降雨のために相當出力は増加しております。火力、すなわち日發關係の發電量をまず良心的に増強することで、發電不足の理由はその都度信頼のできるものでないのでありまして、官廳の監督を強化してもらいたいという聲が大きいのであります。
 第九項技術關係。概して資金、資材難のため、戰時中の荒廢が復舊していない箇所が多いのであります。切羽運搬は資材難のために一部または相當部分機械運搬を中止している箇所もあります。片磐運搬はベルトコンベア入手難のため鋼索運搬等に變更し、その能力を著しく低下している箇所もあります。次は截炭機、鑿岩機、電氣ドリル、空氣ドリル、空氣壓縮機などの採炭機械については、新品の入手が不能である、あるいは質の低下または老朽などのために、著しい能率低下を來しております。次に選炭機補修改善も資金と資材に阻まれ、一般的に早急實現困難の箇所が多いので、品位向上のため當局に一段の考慮が要望されております。
 第十項といたしまして、炭鑛國管に對する現地の意向であります。國管案に對する理解の廣狹深淺ないし政府案なるものがまだはつきりしておりません點から、現地の意向も複雑多岐にわたりますが、大體その意向を要約して言いますと次の通りであります。經營者側の意見、これは經營擔冨者をも含むのでありますが、第一、三千萬トン出炭に對して、すでに復興會議で勞資協調の上増産に邁進する申合せをいたしまして、おおむねその實をあげつつある際、機構變革はかえつて減産を招くであろう。次は官僚統制への逆行を危惧する。次は國管を強行するとすれば、これを全炭鑛に實施すべきである。この三つの項が經營者側の意見を要約したものであります。次は勞務者側の意見でありますが、第一に、國有國營を前提とする徹底的國管を希望するという聲が多いのであります。次に三千萬トン達成が可能であれば、どんな方法でもよろしいという意見も多いのであります。次は生活安定と社會的地位の向上が得られるのであるならば、國管非國管いずれでもよろしい、この三つの意見に大體要約せられると思うのであります。なお兩者共通の意見といたしましては、國管を政爭の具に供することなく、よろしく國家的見地に立脚して慎重に取扱われたい。また國管實施によつて資金、資材、生活物資等がただちに好轉し得るや否やについては、多大の疑問がある、この二つが兩者の意見であります。
 以上十項目に分けて申し上げたのでありますが、炭鑛の現場における生産意欲でありまして、大いに力強く感じた次第であります。しかし概して炭鑛に働く人の生活水準というものは低いのでありまして、これを向上させるとともに、炭鑛全般の地位を高めるということにつきまして、國家國民として大いに協力すべきであると思うのであります。三千萬トン達成に對しましては、以上申し上げました諸點に對して有効適切な手段を急速に實行するということによつて達せられるであろうと思うのであります。
 以上が大體の報告でありますが、最後に一つ附加えておきますが、よく問題となつております志免炭鑛と勝田炭鑛の兩鑛の比較でありますが、これはわれわれ一行といたしましても兩鑛に参つたのでありますが、これに對して表面に現われました數字によつて判断いたしますと、あるいは誤解を招くおそれがあるのでありますから、御参考までに申し上げておきます。表面上現われた兩鑛の比較の數字を見ますと、一人當り出炭が志免の方は三トン餘、勝田の方は五トン餘となつておりまして、志免の方が能率が非常に悪いのでありますが、志免炭鑛の特殊事情といたしましては、終戰後坑内が水没した箇所があります。なお坑内火災を起しまして採炭不能の箇所があるのでありまして、そのために採炭箇所が非常に減つている。なお現在下層群である方の稼行計畫に取掛る準備をしておりまして、その方に相當の人を要している、なお坑外人員、すなはち病院その他の厚生關係に多數の人員を要しているような點があるのでありまして、一人當りの出炭率が非常に低いのであります。實際切羽における一人々々の採炭能率ということについてみますと、これは志免炭鑛も勝田炭鑛も大差はないのであります。その邊をひとつ誤解のないように御了解願つておきたいと思うのであります。なお兩鑛の從業員の氣分の問題でありますが、これをわれわれがちよつと参つて比較することは、あるいは皮相な感覺かも知れませんが、感じましたことは、志免の方より勝田の方が活氣があるように思われたのであります。また志免は國營でありまして、官聽式の手續の煩瑣ということによつて非常に困つている、いわゆるこれが生産を阻害しているというような點は事實であります。
 以上はなはだ簡單でありますが、九州、山口方面をまわりました要約の報告であります。
#24
○伊藤委員長 次は常磐炭出班の報告を願うことにしておりましたが、山口君は本日まだ登院されておりませんので、別の機會に報告を聽取するか、または文書をもつて各委員に御報告申し上げることにいたしたいと思います。
 これで現地派遣委員の報告は終つたのでありますが、現地炭鑛の實情またはただいまの報告等に關して御質疑があれば伺いたいと思います。
#25
○西田委員 質疑その他は、文書の配付があつた後にいたしたらよいと思います。
#26
○伊藤委員長 文書の問題につきましては、昨日各班長とも打合わせの結果、本日この會議が終りましてから、班長各位御相談を願つて報告書を相互統一するものと、特殊事情のものとに整理されることになつておりまして、なお紙等の關係で、委員部でも相當困つておるようでありますけれども、きわめて重大な調査事項でありますので、各委員に配付できる程度にむりをさせてプリントにいたしたい、こう考えております。それではあらためて質疑の機會をもつことにいたします。
    午後零時十五分散會
ソース: 国立国会図書館
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