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1947/10/04 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第14号
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1947/10/04 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第14号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第14号
昭和二十二年十月四日(土曜日)
    午前十時二十一分開議
 出席委員
   委員長 伊藤卯四郎君
   理事 大矢 省三君 理事 岡田 春夫君
   理事 青柳 高一君 理事生悦住貞太郎君
   理事 早川  崇君
      今澄  勇君    衞藤  速君
      松本 七郎君    萬田 五郎君
      村尾 薩男君    岡部 得三君
      生越 三郎君    庄  忠人君
      長尾 達生君    西田 隆男君
      三好 竹勇君    有田 二郎君
      神田  博君    平島 良一君
      深津玉一郎君    淵上房太郎君
      谷口 武雄君    前田 正男君
      高倉 定助君
 出席國務大臣
        商 工 大 臣 水谷長三郎君
 出席政府委員
        商工政務次官  冨吉 榮二君
        石炭廳長官   菅 禮之助君
        石炭廳次長   吉田悌二郎君
        商工事務官   平井富三郎君
 委員外の出席者
        專門調査員   谷崎  明君
        專門調査員   保科 治朗君
    ―――――――――――――
十月二日
 亞炭増産に關する請願(圖司安正君外二名紹
 介)(第七四〇號)
 長野縣に纖維檢査所設置の請願(小林運美君紹
 介)(第七七九號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 臨時石炭鑛業管理法案(内閣提出)(第六四
 號)
    ―――――――――――――
#2
○伊藤委員長 これより會議を開きます。
 前會に引續き臨時石炭鑛業管理法案を議題とし質疑を繼續いたします。西田隆男君。
#3
○西田委員 臨時石炭鑛業管理法案の内容について質問するに先だちまして、本法案の審議上重大な關連をもつ數點に關して、商工大臣の御答辯をお願いいたします。
 第一に、岡田委員と商工大臣との間に、經營の民主化と資本と經營の分離について質疑應答されましたが、はつきりした結論には到達しなかつたように思います。資本と經營の分離という言葉は、今日の流行語であり、流行思想のようであります。この管理法案の底を流れている考え方も、この點がはつきりしていないように思われます。そこでこの法案の重要部門である指定炭鑛の管理方法や、炭鑛管理者の選任問題、及び權限の問題、生産協議會の性格問題や、本社と現場のあいまいな關係等、いろいろ問題になる點が多いのであります。この管理法案に見るように、一方では國が經營管理をし、地方では從業員が經營に對する發言權をもつという考え方についてでありますが、この場合に資本と經營を分離したならば、經營の最終責任は一體だれが負うことになるかという問題が起きてくるのであります。現在は資本家あるいは株主が、その結果のいかんにかかわらず、經營の最終の責任を負つております。今の會社のように、株主と經營者とは同一人でなくなつてしまいましても、經營者は株主に對して責任をとり、株主は自分が選んだ經營者が成功しても失敗しても、最終の責任は自分でとつておるのであります。この法案の規定する事業主、炭鑛管理者、及び生産協議會の條文を讀んでみますと、どうも資本と經營の分離をねらつているように解される點が多いのであります。それにもかかわらず、やはり最終の責任は依然資本家が負うように規定されております。それで私は非常に迷わざるを得ないのであります。資本と經營を分離した場合にも、なお最終の責任を資本家が負わねばならぬ。そうしたならば、これはもう資本と經營の分離ではなくして、まつたく資本の規制であると考えます。また從業員の經營參加は今日では經營の責任を分擔するというのではなく、むしろ經營の責任あるいは負擔が不當に從業員に轉稼されることを防ぎ、または企業の利益に對する分配を増加するために目的と限界があると考えます。この法案のどこにも從業員の經營の責任の分擔に關する規定はありません。從つてこの場合にも、經營め最終の責任はあくまで資本家が負うことになるでありましよう。そうであるとしましたならば、從業員の經營參加は、從業員の經濟的地位の強化向上にあるものと認むべきでありまして、資本と經營の分離とは異なるものであると考えます、かように考えてみますと、事業主と炭鑛管理者の關係や、生産協議會の性格等に關し、いろいろ疑義が生じてくるのであります。この際資本と經營の分離ということについて、商工大臣のはつきりした御見解が承りたいのであります。
#4
○水谷國務大臣 ただいま西田さんから資本と經營との分離に關し、なかんずくこの法案に關連して、商工大臣としての根本的な考え方を示せという御質問であつたと思います。ポツダム宣言の要請に基きまして、經濟の民主化ということを行わねばならないことは、われわれ日本國民に課せられた義務ではありますが、しかしそれは、岡田委員にもお答えいたしましたように、經濟の民主化は、すなわち資本と經營の分離とはわれわれは考えておらないのであります。なるほど滿洲事變以來、軍部の一角から資本と經營の分離ということが主張されまして、これが官僚獨善というものと結びついて、われわれ國民を苦しめた事例は、生々しいのでございますが、このたびの法案におきましても、いわゆる官僚統制に關しても、岡田委員に御答辯いたしましたような趣旨であるのでございまして、われわれはこの法案に對しては、資本と經營とは分離されておらない。すなわち國家管理の妙味を發揮いたしまして、私の企業と公の企業との長所を能率的に結び合わしたところに、この法案のいわゆるねらいどころがあるということをお答えしたような次第であります。私は一般論としてこういうことをはつきり確立しておきたいと思うのであります。その他爾餘の個々の問題に關して、それではこの點は資本と經營との分離の立場に立つておるのではありませんが、いろいろまたあとから御質問があろうと思いますが、そのときはそのときといたしまして、具體的の問題に即してお答えしたいと思うのでございます。まず一般論といたしまして、原則論といたしまして、この法案は資本と經營との分離の上には立脚しておらないことを御了承願いたいと思います。
#5
○西田委員 商工大臣のただいまのお答えによれば、管理法案については、資本と經營とは分離されておらないという御答辯を今承りました。總括的な問題として、この問題を今から論議することはやめまして、逐條的に條文にはいつた場合に、その點の食い違いについて、商工大臣に質したいと思います。
 次に、商工大臣は今囘の休會中九州、山口地方視察の際、宇部市における演説會の席上、この管理法案は國有國營を前提とするものなりと解釋されるような、すなはち本案は大阪城の外濠を埋めるにひとしく、この次は内濠を埋めて社會化を實現するのであるから、不滿であろうが、辛抱してもらいたいと、演説されたと傳えられておりますが、はたしてさような事實があつたのでありますか。
#6
○水谷國務大臣 いわゆる一部に流布されておる私の誤解に對して辯明の機會を與えられたことを、西田さんに感謝するものでありますが、私はそういうことを、宇部で言うた覺えはありません。大阪域云々のことは、本會議におきまして、星島さんがこの法案に對して、國有國營を前堤とする法案であるということをきめつけられましたときに、私はいわゆる國家安康の故事を例にいたしまして、大阪城のことを申しました。その以外に、この法案を自分自身からこれは大阪城の外濠を埋めるものだとか、内濠を埋めるものであるというようなことを言うたことはございません。申すまでもなく、日本社會黨は去年の大會におきまして、なるほど國有國營を前堤といたしました石炭企業の國家管理を天下に發表したことは事實でございます。しかしながら、このたび片山内閣成立に先だちまして、わが黨においては西尾君を中心にしたいわゆる四黨政策協定が行われまして、そのときに基礎産業に關しては、必要があれば國家管理を行う。しかしながら、それは必要があつた場合、應急措置として國家管理を行うのであつて、それは國有國營を前提としないものであるということを、政策協定ではつきり規定されてありまして、政府といたしましては、その線に沿うてやつておるのでございます。この外濠、内濠の問題は、私が最近宇部へ行く前においても、いろいろ問題にされておつたのでありまして、私としては非常に恐縮しておつたところでありますが、それを常識から申しましても、わざわざ宇部へ行つてそういうようなことをまた繰返すようなことは、私に政治的常識がある限りは、そういうようなことは絶對できないことでありまして、その點はよろしく御理解願いたいと思います。
#7
○西田委員 商工大臣のただいまの辯明によりますと、政治常識をもつておる以上、そういうことは再度繰返すはずはないということでありますが、宇部市における演説會の席上、本委員會の委員に出ている人も、商工大臣の演説を宇部市の公會堂で拜聽して、その際ただいま私がお尋ね申し上げたこととまつたく違わないことを、商工大臣は演説されたということを裏書きしております。商工大臣が言われることが、必ずしも私は間違いとは考えませんが、たくさんの證人のあることでもあるし、商工大臣の眞面目な御答辯が願いたいと思います。
#8
○水谷國務大臣 私もまだ大臣慣れしておらないので、幾分かまだ社會黨のスポークスマンをやつておつたにおいが殘つておるとは思いますが、しかしそういう非常識を言うたことはありません。また私が言つた點は、こういうことだということは、前に民主黨の代表者の方が來られたときにも言つたのであります。私はきわめて不徳でありますが、こういう公の席上でうそは言いません。うそと坊主の頭は斷じていわないつもりであります。
#9
○西田委員 この問題は與黨としてこのくらいでやめておきます。
 その次に、商工大臣は九州視察中に、勞働組合側とは幾囘となく會談、意見の交換をされたが、經營者側とは何ら意見の交換の機會をもたれなかつたと聞いておりますが、その通りでありますか。もし經營者側と意見の交換をされなかつたとするならば、それはいかなる理由によるものであるか。少くとも炭鑛の視察においては、經營者、勞働者と十分に意見を交換し、政府の石炭政策について、兩者の協力を求むべく、全幅の努力を拂うべきでないかと考えますが、これに對する商工大臣の御見解を伺います。
#10
○水谷國務大臣 勞資双方の心からの協力がなければ、この法案が通つても、増産ということはできないのでありまして、私が九州へ參りまして、經營者諸君との懇談の機會を與えられなかつたということは、逆に私から申しますれば、きわめて遺憾であると思つております。日程はここにおられる委員長、あるいは地方商工局で組んでおりまして、私はその日程通りに動いたのでありますが、わずかに小西副會長にお目にかかつただけで、その他の諸君とお目にかかれなかつたことは、まわめて遺憾でありまして、私自身といたしますれば、機會を與えてもらえば、喜んで参加するつもりでおつたのでありまして、ことさら私から經營者諸君との懇談を避けたという心境は、毫末もございません。
#11
○西田委員 私が商工大臣にお尋ねしたのは、商工大臣が業者と會見されることを避けられたということを質問したのではなく、なぜ商工大臣は業者と會談の機會を得られなかつたかということについて、お伺いしたのであります。
#12
○水谷國務大臣 それはただいまも申し上げましたように、私が地方へ參りましたときは、日程は全部地方の人、あるいは官廳、あるいは黨、あるいは關係者にお任せしてあるのでありまして、私自身が日程をつくるというわけにはまいらぬのでありまして、私はことさら避けたのではございません。
#13
○西田委員 その次は、石炭の増産は政府と經營者と勞働者と渾然一體となつてその隘路を打開し、計畫の達成に努力することによつてのみ遂行可能なりと私は考えるのである。現在では經營者はこぞつて石炭鑛業の管理に反對の意を表し、各現場の所長、鑛長など、管理を實施した場合、當然現場の擔任の責任者となるべき人々が反對の陳情をなしておる現状であるが、これらの人々の協力を求め得る確信があるのであるか。商工大臣は就任早々炭鑛の國家管理を主張されたのであるが、爾來今日に至るまで、この點の解決にいかなる努力を拂われたのであるか。この點に關して商工大臣の御意見が承りたい。
#14
○水谷國務大臣 その點に關しましては、さきの岡田委員の御質問にもお答えした點でございますが、何と申しましても、政府、經營者、勞働者三位一體の協力態勢を整えなければ、増産ができないことはもちろんでございます。もちろん私といえども、現在經營者側がこの法案に對して反對しておられるということは、よく知つております。しかしながら、こういうような法案に關しましては、前にも電力國家管理法案のときにも私らは經驗したのでございまして、この法案が最終の決定を國會において與えられるまで贊成、反對ということはあり得ると思うのであります。それは私は戰爭時分の東條の憲兵政治のような一色で塗るというようなことは間違いであろうと思うのであります。反對される方も増産のために反對されておる氣持はよくわかります。斷行しようとする者も、これまた増産のために斷行しようとしておるのでありまして、國を憂える立場から、さらにまた石炭増産を念願する立場からは、私は甲乙の差別はつけられないと思うのであります。しかしながら、現在民主主義國家のもとにおきましては、贊成、反對の議論は十分に鬪わしまして、そうして最終に國會が決定いたしますならば、この國會の最終決定に從うというのが、いわゆる民主主義國家のうちに住んでいる國民の嚴肅なる義務であろうと思うのであります。私は今いろいろの點において反對されておられる方も國會において下しました最終決定に關しましては、これは心から欣然喜んで服從してくださると思います。また私自身といたしましても、贊成させておる人よりも反對されておる人に對しましてはは、法案通過の曉におきましては、心から誠意を披瀝いたしまして、御協力をお願いしたいという心境に立つておるような次第であります。今日この法案が出るまで、西田さんも御經驗のように、私も數度經營者諸君とお會いいたしまして、いろいろ反對の御意見は承りました。しかしながら、私は反對の意見を承りましたにもかかわらず、現在の日本の經濟危機のもとにおいて、石炭生産増強によつて、この危機の打開のかぎをつかもうとする場合においては、どうしてもこの程度の國家管理が必要であるという私の信念には變らないのでございます。從つてそういう御反對があるにかかわらず、政府といたしましても、七月一日片山總理が施政方針で述べられた線に沿うてやつておるような次第であるのでございまして、いろいろのいきさつはびざいますが、この法案に對して、國會が最終の決定をくだした暁におきましては、政府、經營者、勞働者三位一體の協力態勢は、必ずできるものであると確信し、またその協力態勢のためには、政府としては萬全の措置をとるということを、ひとつ御了解を願いたいと思います。
#15
○西田委員 商工大臣は、ただいまの御答辯の中で、國會がこの法案を最終決定した場合においては、反對しておる者も、當然賛成して協力してくれるものであるという點に、非常に重點をおいてお述べになつたように考えますが、この法律案そのものは、政府自體が國會に提出しておる法律案であります。政府としては國會がこれを採擇する、せぬのいかんにかかわらず、この法案を通すということについては、全幅の協力をあらゆる面においてお盡しにならなければならない義務があると私は考えます。しかもだんだん反對運動がはげしくなつていくにもかかわらず、これに對して何らの手も打たれることなしに、ただ國會が最終決定をした場合において、皆さんの御協力を求められるものである。その際には萬全の手を打つというように、ただいま商工大臣の答辯を承つたのでありますが、そういうこでなしに、少くとも現内閣がこの法律案を提出する以上、提出する前、なお提出後においても、關係者の全幅の支持と築力を求められるような措置をお講じになることは當然ではないか、かような意味を私は商工大臣にお尋ねしたわけであります。商工大臣のただいまの御答辯では、私は非常に不満足であります。もうひとつその點の御答辯を願いたいと考えます。
#16
○水谷國務大臣 政府としても、そういう機會は非常に望んでおるのでありますが、なかなかその機會が今の情勢でつかまれぬことを非常に遺憾としておるのであります。さいわい西田委員のごとき關係者のお骨折によりまして、そういう機會がつかめるならば、政府としては全幅の誠意を披瀝いたしまして了解に努めたい。このように考えます。
#17
○西田委員 なかなか商工大臣、答辯が上手になられて、わからぬが、その邊で打切りまして、次に移ります。
 去る八月下旬の鑛工業の常任委員會において、北海道地方の八月中旬の出炭成績が豫定計畫の八五・五%というきわめて遺憾な遂行率であることを指摘して、私はその原因及び對策について、商工大臣にお尋ねしたのでありますが、その際商工大臣は、動勞意欲高揚のために、片山總理のメツセージをもつて特使を派遣すると御答辯になりました。しかるにその後依然として北海道地區の出炭成積は悪く、九月の上旬は十九萬一千二百トン、遂行率八三・三%、中旬は十一萬九千八百トン、遂行率は八三・二%というまことに遺憾な實積であります。九州地區のごときは、九月上旬は一〇一%、中旬は一〇五%の遂行率を示しております。しかも御承知のように九州地區は老境に入つた炭田であり、北海道のごときは、まだ成年期にありところの炭田であります。日本の將來の石炭は、特に北海道地區に負うところが多いのであります。商工大臣は私の質問後、片山總理のメツセージのほか、いかなる手を打たれたのでありますか。またこれに對する對策があれば承りたいのであります。
#18
○水谷國務大臣 北海道の増産が思うように伸びないということは、きわめて遺憾でございまして、その點は九州地區の計畫量を突破されて増産に邁進されました炭鑛關係者に對しては、まことに濟まないと衷心お詫びする次第でございます。この北海道の出炭鑛に對しまして、政府はどういう手を打つておるかということは、前に西田委員がお尋ねされたときには、ああいう手を打つたのでございますが、最近といたしましては、新聞で御承知り通り、マツカーサー元帥の片山總理にあてられた書簡によつて、石炭非常増産對策というものを、昨日の閣議で決定いたしました。これをば北海道において重點的に推進めていくとともに、また北海道に對して特別の對策を打ちたい、このように考えておるのであります。北海道の出炭減の最大の理由というものは、生産意欲の低下以外に何物もないと、われわれは考えておる次第であります。もちろん資金、資材、生産物資の不足の點もございますが、現在の入手保有状況から見ても、一割以上の増産を期待することは、決して困難ではないと思つておるのであります。從つて北海道の出炭を増加せしめるためには、勞働者の生産意欲を思い切つてあげる方法がないのでございまして、その方法としては、次の方法によることとしたいと考えておるのでございます。
 第一に北海道では經營者側におきましても、北海道の出炭減の理由といたしましても、資金、資材の不足を表面に立てて主張しておるのでございますが、實際は北海道に對しましては、從來も現在も他の地方以上に、資金、資材は出しておるのでございますが、實際これが炭鑛にいかに入手されておるかが、十分に明らかになつておらないのでございまして、この際北海道におきまする資材、資金等の供給状況を詳細調査いたしまして、これを明確にと、たとえば北海道における有力新聞等を通じて、これを公表しますとともに、今後におきましても、要求に應じて、思い切つて北海道に重點的に資金、資材、生産物資を注ぎこんで、從來のように勞働者が資金、資材の入手難のために、生産をあげ得ないということを絶對に言わせないように、われわれはやりたいと思つておるのでございます、今度のこの暖房炭の問題に關しましても、北海道の道民諸君の世論を喚起いたしまして、北海道の鑛山鑛山に働いておられる人々の、一層の奮起を促したい。そういうためにも、こういう點を公表したいというぐあいに考えておるのございます。
 第二の點は、この際北海道の炭鑛、特に生産の上つておらない炭鑛を、速やかにその實態を調査することにいたしました。これは今月早速やりたいと思つております。すなわち石炭廳係官及び學識經験者、炭鑛經營經験者、學者、炭鑛技術者、金融業者等をもちまして調査班を二つくらい組織いたしまして、生産能力、技術管理、資材、資金の状況、經營の實態等を診断いたしまして、その増産を阻害しておる點は即座に處理するとともに、炭鑛勞資兩方に對しまして、これらを明かにして、生産の向上を強力に要請するということにしたいと思います。從來のいわゆる査察というようなことでなしに、大體二週間から三週間程度現地で滯在いたしまして、即座に解決できるものは、東京と電話その他で連絡をいたしまして解決するというようなことまでもやりまして、大體これは今月中にそういうようなことをやりたい、このように考えておるのざございます。
 第三におきましては、北海道の炭鑛においては、目下特に不足しておる監でございますが、これを速やかな供出することにいたしまして、その供出にあたつとは、能率をば十分考慮して配給することにしたいと思つておるのでございます。なお北海道の特殊事情に鑑みまして、特に勞務者用物資は、期前にかつ的確に確保していきたいと思う次第でございます、さらにまた北海道の特殊に事情に鑑みまして、越冬資金をこの際先手を打つて解決したい、このように考えておる次第でございます。その他勤勞所得税の減免を至急に解決してやる。あるいは閣議決定の石炭非常對策をこの際特に強力に北海道に重點的にやりたい、このようにいたしまして、あの手この手を通じまして今北海道のいわゆる生産を上げていきたい、目下のところはこのように考えております。さらにまた、この手を打ちまして、しかる後、またいろいろの手を考えまして、繼續的にこの北海道の生産の増産のカーヴを上げるということに對しましては、萬全の措置を講じたい、こうのように考えておる次第であります。
#19
○西田委員 ただいまの質問に對する御答辯によつて、御答辯されたことが即時忠實に實行に移されたならば、北海道の出炭も豫定計畫通り以上に上昇するのであろうということを私は感じます。
 その次にこれまた商工大臣の言行に關する問題ですが、不思議なことに、商工大臣が各地の炭鑛に査察に行かれたあとは、北海道ではただいま申し上げたように出炭減を來す、九州では勞資の間に紛爭を惹起したり、あるいは九州石炭復興會議というものが非協力的な態度に出たり、あるいは全國石炭復興會議から御承知のように脱退したというように新聞に傳えられておりますが、これは必ずしも商工大臣の現地における言動に基因して起るものばかりとは私は思つておりませんが、しかし聞くところによりますと、三菱の從業員組合の――これは人の名前までも知つておりますが――某氏は、商工大臣及び社會黨のある人に會つて話したところ、われわれが石炭復興會議に参加しておることは、國管案を通す上において非常に支障になる、こういうふうに語つたということを言つております。少くとも一國の國務大臣ともあらうものが、かくのごとき不謹愼な言辭を弄するとは思われませんけれども、巷間こういうふうに傳えられておるところによりまして、今後商工大臣は、その言動に關しては十分に愼んでもらいたい。かように私は考えております。もし私が申し上げた石炭復興會議に參加しておることは、國管案の通過の上に支障を來すということを言つた覺えはないということを商工大臣が強辯されるならば、いつでも私は本委員會に證人を連れてまいりまして、その點を確かめたいと思います。この點に對して商工大臣の御答辯を承りたい。
#20
○水谷國務大臣 ただいまのお言葉は私としては意外でありまするが、私が勞働組合の諸君に向つて復興會議を脱退するやうなことを慫慂したというお尋ねだと思うのですが、私はそういうことは言つたことはございません。ただ勞働者側の方から復興會議の問題に關して報告を受けたことは事實でございますが、私からそういうことを言つた覺えもありません。まして私がそういうようなことを言つたからといつて、今問題になつている復興會議の勞働組合側の脱退というようなことは、これは全然あり得ないことであらうと私は固く信じます。なおこの際私の言動に關しまして、今後はひとつ愼めという御注意は了承いたしました。しかしながら、私自身の立場から申しますと、私が言わないことが言つたと言われ、さらにまたたとえて言えば、五言うたことが十あるいは十五に傳えられるということも、私としては非常に迷惑なのでございますが、しかしそういうことにもかかわらず、今後商工大臣としての言動を愼しめということは、いつまでも野黨のスポークスマンのようなことを言わずに、大臣としてもつと落ちついたことを言つてもらいたいという意味だと思いますので、その點は了承いたしました。
#21
○西田委員 その次には、本法律案の罰則を見てみますと、現在の日本において最も重い罰則は、私的獨占禁止法の違反の罰則だと私は考えておりますが、検査の忌避に對し私的獨占禁止法では千圓以下の罰金で併科できないと規定してあるのに對してこの法案の罰則では六箇月以下の懲役または五千圓以下の罰金で併科できることが規定されております。命令違反に對しては、私的獨占禁止法では一年以下の懲役、または二萬圓以下で併科できないのに對して、本法案では三年以下の懲役または三萬圓以下の罰金で併科できると規定してあります。報告義務を怠つた場合に對して、獨占禁止法では五百圓以下の過料であるのに對して、本法案では一萬圓以下の過料と規定されております。商工大臣は提案理由の説明において、行政、經營、勞働の三者が一體となつて云々と言われておりましたが、極刑を科することによつて、その一體化をはかる唯一の方法であると考えておられるのか。大臣は九州視察の折に經營者と一囘も懇談をせず、經營者が協力しなかつたのは誤解があるからで、法律を通した場合には協力してもらえるというお言葉がありましたけれども、これまた權力によつて經營者側を屈服せしめるとお考えになつたのではないか、かように考えますが、この點に對して御所見を承ります。
#22
○水谷國務大臣 この罰則の點でございまするが、これは今西田委員は私的獨占禁止法だけを例にとられまして、いろいろ御批評を賜わつたのでございますが、これは關係當局といたしましては、法制局あるいは司法省と相談した結果、諸般の事情、各種の法律を參照してきめたものでありまして、最初はたとえば第六十二條のごときは、五年以下の懲役、五萬圓以下の罰金ということになつておりましたのを、閣議でいろいろ検討いたしました結果、このようにかえた次第であります。ただいま西田委員は、私的獨占禁止法だけの比較を申されたのでありますが、この點に關しましては、まだ法制局などと、あるいは事務官僚とよく打合せをいたしまして、いろいろの戰爭經濟突入以來の各種のこういう規定と比較をいたしまして、もう少し具體的に明確にお答えしてもいいと思います。ただ問題は、こういう罰則の裏には、商工大臣としては、この法案が通過したときには、この罰則を掲げて業者の協力を強要するじやないかというような御質問の趣旨であるかと承るのでございますが、そういうことは、みじんも私にはございません。こういう罰則というものは、これはいうまでもなく傳家の寶刀でございまして、斷じて拔くべきものではございません。勞働者に對しても大體團體協約その他を通じて、自發的に協力を願うと同時に、經營者諸君に對しても、こういう罰則というものを振りまわしてやるという考えは毛頭ないのでございまして、その點はこういう罰則のあるなしにかかわらず、すなおに政府の心とするところを御了承願いたい。このように考えておる次第であります。
#23
○西田委員 商工大臣は、ただいまの罰則の質問に對して、これは傳家の寶刀であるて、始終うものではない、これは箪笥の中にしまいこんであるだけであるという答辯でありましたが、第二章の炭鑛の管理の第五條以下の規定は、商工大臣も提案理由の説明の中に言われましたが、この章に規定されておる炭鑛というものは、今行われておる統制と監査とを行うきわめて程度の低い管理を行われる炭鑛であります。しかもその管理を行われる炭鑛というのは、おおむね私の考え方によると國家の増産目的の線に沿つて、ある一定のわく内において最も忠實に石炭の生産に從事しておる炭鑛であると考えておりますが、そういう炭鑛に對してたとえ傳家の寶刀であるとはいうものの、かような重罰を科する規定を設けたということについては、ただいまの商工大臣の答辯では、私は承服できかねるのであります。しかしこの際この問題を執拗に質問するのはやめまして、逐條的に條文を検討する際に、再び質疑をいたしたいと考えます。
 その次には八月十六日政府と與黨との最後の打合會に示された要綱の中には、爭議行為となるおそれあるときは、石炭局長は炭鑛管理委員會にはかつて、勞働委員會に調停の請求をなし得る規定、調停の請求あつたときは、當該勞働關係の當事者は、その日から三十日經過した後でなければ爭議行為をなすことはできないことを規定してあつたのでありますが、この法案には、どこにもこれに相當する規定を何ら設けてない。この點に關して、商工大臣と勞働大臣との間で閣議の席で論議されたと聞いておりますが、かくのごとき重要規定を、いかなる理由によつて本法案に規定されなかつたのか、この間の經緯について御説明を願うと同時に、この點に關する商工大臣の御所見を承りたい。
#24
○水谷國務大臣 ただいまの御質問の點はその通りでございまして、われわれといたしましては、石炭企業の特殊性に鑑みまして、そういう規定を設けたいという考えをもつておつたのでございますが、勞働省の方とのいろいろの關係によりまして、それを削除するようにいたしたのであります。商工省としては、今西田さんの御指摘のような案が設けられれば結構であるという考えをもつておつたのでありますが、いろいろの事情によりまして、これをこの法文から削除するということになつたのでありまして、この點は十分御了承年いたいと思います。
#25
○西田委員 私のただいまの質問はそういう商工大臣のお答えでは十分でないのでありますが、いろいろ新聞でも傳えられておりましたが、閣根の席で商工大臣と勞働大臣との間で、この問題について論議されたと聞いておりますが、その論議の經緯と商工大臣のそれに對する御意見とを承りたい。かように私は御質問をしたのであります。
#26
○水谷國務大臣 論議の經緯は一口に言えば、勞働省の方から横やりがはいつたということになつております。私の心境というものは、やはり商工省と安本とが最初に用意しておつた案の方が、現在の緊急増産のためにはいいという考えをもつております。
#27
○西田委員 ただいまの商工大臣の御答辯によりますと、商工大臣としては、やはりそういう規定があつた方がよろしい。かように考えておるのだが、勞働省の横やりによつていいと思うことをとりやめた。こういうふうに伺いましたが、それではこの條文の中に、その後こういうことに關する規定を書き加えるということ、御贊成がありますかどうですか。
#28
○水谷國務大臣 この條文に限らず、その他の點に關して修正の箇所とか、その他の訂正の箇所をあらかじめ打合せするということは、どうも避けたいと思つております。
#29
○西田委員 私は閣議の席で勞働大臣が、商工大臣のただいまのような御説に對して、反對をされた理由がわからないのです。だからそのときのあなたと勞働大臣との討議された模様を承りたい。
#30
○水谷國務大臣 その點は、私の気持とすれば、私よりも勞働大臣からお聽きくださる方がいいのじやないか。かように考える。私は前の原案の方がよかつたという考えです。だからこの法案の方がいいと主強される勞働大臣の方からお聽きくださる方がいいのじやないか。かように考えます。
#31
○西田委員 わかりました。
 その次は本法律案を實施して、その目的を達成するためには、少くとも炭業公團またはこれに代るものが先行し、資材の適性なものを適時、適所にマル公によつて完全に入手できることが、絶對に不可缺の條件であることは、いまさら言うまでもないのでありますが、政府はこの點に關し、いかなる具體案をもつておられるのか。商工大臣は提案理由の説明の中において、産業公團または石炭廳においてこれをなす場合にのみ、もつておると言われたようでありますけれども、きわめて抽象的で、私には納得できないのであります。少くとも管理問題が云々せられており、數箇月を經ております今日、しかも本法案を提出された以上、資材の入手配分については、出炭計畫とにらみ合わせて、萬全の措置を講する必要があるはずだと思います。この點について商工大臣の御意見を承りたい。
#32
○水谷國務大臣 これはさきに岡田委員の質問にはいるにあたりまして、大綱的に述ベたのでありますが、大體閣議で決定しました要領をお述べいたしまして、御了解を願いたいと思います。
 第一は新坑の開發に對する對策でございます。その(イ)と申しまして新炭田の調査及びその開發計畫は、政府みずからただちにこれを實施するとともに、民間企業の新坑開發計畫全般にわたり、政府において具體的調整険討を加え、總合的な新坑の開發計畫を策定するということをここに述べてあります。その次の(ロ)には前項によつて策定せられた新坑開發計畫に基いて、民間企業がみずからその開發を實施しようとするものに對しては、政府は資材、勞務等各般の援助を與えることにしたいと思います。(ハ)は、あるいは民間の投資限度を超え、あるいは開發にあたりまして、特殊の事情が存する等のため、民間企業が開發を實施することが困難なる新坑は、さしあたり産業復興公團をしてその開發に當らしめるということを考えております。その次の(ニ)は、新炭田の開發のごとく、その開發規模大にして、かつ開發が長期間にわたる新坑については、政府がその開發を直營することとして、その準備に著手したいと思つております。(ホ)は、産業復興公團が開發した新坑は、民間企業に拂下げまたは貨し付けて、その經營に當らしめることにしたいと思います。(ヘ)は、前項の新坑で民間企業が經營を希望せず、または不適當であるものの經營、及び政府がみずから開發した新坑の經營は、政府が直營にすることにいたしたいと思います。
 次は二でありますが、石炭生産施設及び福利施設の建設に關する對策であります。石炭生産に關するもろもろの施設及び炭鑛勞務者に對する必要な福利施設で、民間企業が建設することが困難なものは、産業復興公團として建設せしめ、炭鑛にこれらの施設を拂下げまたは貨し付けて、その運營に當らしめることにしたいと思います。
 第三には資材の調達、供給の圓滑化に關する對策でございますが、石炭生産用重要諸資材の入手を便宜ならしめるために、その生産業者と連繋をはかり、またその發注に調整を加える等の事項を、政府みずからがこれを行いたいと思つております。石炭生産用諸資材の生産工場または事業場の生産隘路の打開、資材の炭鑛向け出荷及びそと速進を、政府みずから行うことにしたいと思います。
 さらに第四として、諸對策に對する機構の整備でありますが、開發計畫の策定、新炭田調査、資材資金の斡施等を實施するために、政府に必要な機構を整備しまして、必要なる職員の充實を速やかにはかりたいと思います。新坑の開發、諸施設の建設に當らしめるために、産業復興公團に石炭部を設け、必要なる職員の充足を速やかにはかる。さらに最後には亞炭鑛業に對しても、その要領において措置するということを閣議で決定いたしまして、これが諸般の手續を經ましたならば、その線に沿つてやつていきたい。このように考えております。
#33
○西田委員 ただいま商工大臣から炭業公團またはこれにかかわるものの要綱の朗讀を承りました。われわれは政府がいろいろな機構をつくり、いろいろな要綱をつくられても、その要綱を要綱の目的通り完全に實施運營されたということを、未だかつて聞いたこのがありません。いかに完全な要綱案ができましても、この要綱案の實施をする場合、その目的を達成し得るような細密な具體的な計畫がなければならぬと思うのであります。そこで商工大臣は、少くとも本委員會に、出炭計畫に伴うせめて資材の人手配分の状況に關する具體的な數字を示した計畫書を配付して、本法案の審議に便ならしむるよう措置されんことを要望いたします。特にマツカーサー元帥より片山總理あて書翰の中にも、これらに關する諸資材は、すべて日本において入手し得ると書かれております。しかるに現在の政府の割當と現物化との間に相當な開きがありまして、そのために生産擴充はもとより、計畫出炭にさえ達し得ない状況であります。この石炭生産の隘路は、資金、資材、勞務等いろいろ問題はありますけれども、資材問題の未解決は、石炭生産の隘路の最も大なる原因であることに鑑みまして、この根本對策のいかんは、本法律案の通過の判斷に決定的な意議をもつものであると私は考えております。なお岡田委員の質問に對して商工大臣は、出炭五箇年計畫の計畫の數字を明らかにされまして、せめて二十三年度分計畫用に對して、各地區別、各炭鑛別の出炭計畫及び資金、資材の割當、その入手計畫、勞務計畫、新坑開發計畫等に關して、具體的かつ詳細なる資料を本委員會に提出されて、その説明をせられんことを要望いたします。これに對する商工大臣の御答辯を求めます。
#34
○水谷國務大臣 ただいまの御希望の資料に對しましては、できるだけ御期待に副うよう努力いたしたいと考えます。なおそれまで大體一週間程度の御猶餘をいただきたいと思います。
#35
○西田委員 平井管理局長にお尋ねいたします。商工大臣は岡田委員の質問に對して、五箇年出炭計畫の數字をお示しになりましたが、石炭廳としてこの數字をつくられる上において、今私が申し上げたような計畫書は、まだできていないのでありますか。
#36
○平井(富)政府委員 お答えいたします。大體出炭計畫を作成いたします基礎材料としては、具體的な數字もつかんでおりますが、これを一表にして整理して提出するのに、一週間程度の猶豫をいただきたい。こういうことであります。
#37
○西田委員 政府で立てられたこの五箇年出炭計畫というものは、ただ炭鑛の現在の生産状況から判斷された計畫でありますか、それとも二十三年、二十四年度以降石炭の生産とにらみ合わせて、資材その他の生産量も考慮されて、まず石炭を生産するに要する資金、資材、勞務というまのに基盤をおいて、そうして出炭計畫ができたものでありますか。もう一度お伺いいたします。
#38
○平井(富)政府委員 大體二十三年度につきましては、資材、資金、勞務その他をにらみ合せて計畫を設定いたしたものでありまして、單に現在の生産の状況、生産のカーヴの状況その他から推論したというものではありません。なお五年計畫につきましても、安本においても五年の長期にわたる計畫を設定しておりますし、それらとにらみ合せて、一應五箇年と見透かしを立てたわけであります。
#39
○西田委員 再度お尋ねいたします。商工大臣は、この前岡田委員の質問に對して、この五年計畫は、マツカーサー元帥より片山總理あての書翰を受領する前の計畫である、ゆえにマツカーサー元帥より片山總理あての書翰を受領した後においては、この数量し各炭鑛に諮問して、各炭鑛の經營協議會の議を經て具體的數字がきまるものであるというような御答辯をされたように記憶とておりますが、二十三年度は三千三百萬トン以下の現在の政府の企畫、數字、この計畫されておる數字をいつ炭鑛の現場の生産協議會におかけになるつもりでありますか。商工大臣に伺いたいと思います。
#40
○水谷國務大臣 その點に關しましては、私が最初に答辯したことが十分でないというので、岡田君が平井局長に尋ねまして、平井局長から答えた通りでございます。すなわち二十三年度において、大體日本の産業計畫建直しのためにどのくらいの炭が要るかということをまず最初にきめまして、それに對する資金、資材の問題はどうなるかということをきめまして、大體全國炭鑛管理委員會においてその數字が出てくると思います。それを地方の石炭局長に提示いたしまして、その地方の石炭局長が、各山々に相談することになつておると思うのであります。さいわい九州なら九州で割當てられたものが、九州の現場の御承認を得る場合はそれでいいのでありますが、いろいろの場合において、御承認が得られない場合は、また中央にもどつてきまして、そうして調整をしたいということになるのであります。從つてそういうような手續を經るものでございまするから、この國家管理法案がさいわい通過いたしました後でなければ、そういうような手續は運べないことになるのであります。しかしながら、通過いたしましたならば、ただちにそういうようなことをやるという準備は、著々とやつていきたい。このように考えております。
#41
○西田委員 それでは私がただいま要求いたしました資料の提供を受けまして、その資料を逐次檢討することとして、一應この質疑を打切ります。
 これから本鑛業管理法案の内容について質問をいたします。平井管理局長にお尋ねします。第三條の條文の御解釋をお願いします。
#42
○平井(富)政府委員 第三條に規定いたしましたことは、この管理法案の内容におきまして、生産協議會の制度を設置いたしまして、そこにおきまして業務計畫、あるいは産業計畫等の生産に關する計畫のほかに、勞働條件につきましても、生産協議會で議決をいたすことになつております。從つてこの生産協議會で現在行われておりまする。たとえば賃金に對する炭全協と鑛業者連盟との國體協約というような點がどうなるかという點についての解釋を、ここにはつきり明文化いたしたのでありまして、生産協議會の議を經て定められた事項以外の事項につきまして、炭鑛の從業者が組織する勞働組合と企業者とが團體交渉をする權限、從來やつておる勞働組合法、勞調法、その他によるそういう權限と責任というものを尊重していかなければならぬ。この法律を施行するに當る當該官吏、あるいはこの法律の施行に官廳機構と一體的に動きまする炭鑛管理委員會の委員というものも、この勞働協約という線を十分尊重していくのだという趣旨をはつきりいたしまして、生産協議會の制度と、ただいまの賃金等に對する團體協約という線との關係を明確化いたした規定でございます。
#43
○西田委員 ただいまの御説明で大體においてわかりましたが、それでは團體交渉によつて定められてあつた事項が生産協議會の議を經て變更された場合には、團體交渉で定まつたものは、その効力を削減するものと考えてよろしゆうございましようか。
#44
○平井(富)政府委員 生産協議會の大體の運用につきましては、現在かように考えております。たとえば賃金につきましては、炭全協と鑛業連盟との間に全國的な基準となるべき賃金基準が決定いたされまして、それに基いて生産協議會において、個々の山々に對する適用という點で、具體的な賃金が決定される。これがこの法律を施行いたしました通常の場合のように私どもは考えておるわけであります。從つて團體協約で決定いたしましたことが基準になるのでありますが、かりに團體協約で決定いたしましたことと違つたことを議決いたしますれば、その山については、それが有効であるというふうに考えております。
#45
○西田委員 第四條の「炭鑛の事業主の承繼人に對してもその效力を有する。」という規定がありますが、これは具體的にどんなことを意味するものであるか、御説明を願いたい。
#46
○平井(富)政府委員 これはたとえば新坑の開發の命令がAという事業主になされた場合におきまして、Aがその事業をBという事業主に譲渡したという場合におきまして、その新坑を開發する命令の效果というものは、Bに對しても及ぶということを豫想してのであります。
#47
○西田委員 ただいまのお答えのうち、BがAから炭鑛の譲渡を受ける場合に、新設計畫に對する命令を受領しておることを知らなかつたような場合どういうことになるのですか。
#48
○平井(富)政府委員 これは法律の效果で、第四條に明記としてございますので、法律的に效力が當然に承繼されてくるわけであります。その場合におきまして、實際問題としては、石炭廳あるいは石炭局等と事實上のその邊の連絡があると思いますが、法律的には承繼者が知不知にかかわらず效果を生ずるというふうに考えます。
#49
○西田委員 第五條にまいります。「毎年度の豫定事業計畫及び毎四半期の事業計畫を作成して、」とありますが、毎四半期ごとに精密な事業計畫を作成して遅滯なくこれを出すということは、實際問題としては非常に困難なことではないかと考えられますが、この點はいかにお考えになつておりますか。
#50
○平井(富)政府委員 この點の事業計畫は、次にあります指定炭鑛の業務計畫と異なりまして、業務計畫に要求するような詳細の事業計畫ではございませんで、主として生産計畫を中心にした計畫を豫想しております。その内容はここに「命令の定めるところにより、」とございますけれども、これによつて一般の炭鑛として適當な事業計畫、しかもこれによつて石炭局が石炭の生産につきましての現状及び將來の見透し、毎四半期ごとの生産計畫を確實に把握できるという程度のものを設定していきたい、かように考えております。
#51
○西田委員 第八條にうつります。この規定は、さつきも申し上げましたが、商工大臣の提案理由の説明にありました通り、現在行われつつある統制下にきわめて輕い意味の監査を行う、程度の低い管理を行う炭鑛であると稱しておりますが、この炭鑛は、すなわち一定の定められたる炭鑛の範圍内において、自力で生産を進ておる炭鑛でもあり、増産目的を達成しておる炭鑛であります。その炭鑛に對する規定として、あまりに煩雜嚴重にすぎるきらいがあると思います。もし業務の状況に關して必要な報告をしないならば、この報告のうち特に生産擴充用の資金とか、あるいは資材の使途、あるいは擴充の工事の達成の状況等に關してトレースする程度が適當であると考えますが、商工大臣はいかにお考えになりますか。
#52
○水谷國務大臣 今の西田さんの御意見は、指定炭鑛以外の一般炭鑛は、資金、資材というものが自力でやつていかなくちやならぬ。あるいは少くとも大部分はそれでやつていかなくちやならぬというようなお考えのようでございますが、われわれの考えといたしますならば、一般炭鑛に對しましても、資金資材というものは、重點的に流れていくという立場の上に立つているものですから、こういうような規定を必要とする。このように考えている次第であります。
#53
○西田委員 もちろん石炭の生産をする以上、金と物と勞力とがなかつたならば、石炭の生産はできません。商工大臣に言われる資金と資材とが重點的に流れるということは、國の實情からしてあたりまえのことであります。但しここに規定してある指定炭鑛外の炭鑛というものは、指定炭鑛に比較したならば非常に輕い程度しか國家の援助を受けておりません。そういうところろでありますのに、指定炭鑛と同じように特別な措置を受けているのは、いわゆる資金の面においては生産擴充資金、資材の面においては生産擴充用の資材、こういう點であろうと考えるのであります。だからそういう點に關してだけ、いわゆる監査トレースをするという程度が適當ではないかと、かように私は質問をしているのであります。
#54
○平井(富)政府委員 ただいま大臣の申されたことを補足いたしますが、この第二章の炭鑛の管理ということは、一般の炭鑛に對する管理でありますが、從つて指定炭鑛に對し適用さるべき規定も、第二章の炭鑛の管理の中に規定されているのであります。ただいまの炭鑛の報告聽取、あるいは現場に臨みます檢査につきましても、この規定が指定炭鑛に對する調査、あるいは實地の檢査ということにも適用されるのでありまして、ただいまの炭鑛の種類によるところの適用の限度は、運用上決定せらるベきものじやないか、かように考えるわけであります。
#55
○西田委員 今管理局長の説明で、大體のことはわかつたような氣がしますが、もし指定炭鑛にも、あるいは指定炭鑛外の炭鑛にも、この規定の適用があるのだ、しかし指定外の炭鑛に對しては、實情に即してある部分を適用するのだということであれば、この第八條の規定は指定炭鑛にもつていつて、そうして指定炭鑛外の炭鑛にも適用しなければならないことは、この第八條で別途今私申し上げたような意味のことを規定されることが適當ではないかと考えます。しかもこの第八條の適用される罰則と申しますのは、先にも申しましたように、六箇月以下の懲役、五千圓以下の罰金という適用を受けることになつております。これが指定炭鑛として、よく官廳方面で言われる資金、資材の面において國民の犠牲においてもつていつているものがあるいは不正に使われるということで科せられる懲役であり罰金であるならば、これまたある程度了承しなければなりませんけれども、そういうものでないきわめて輕い程度の監査をやつているものに對して、こういうような罰を一緒に科するということについては、何とも私は納得がいかぬのであります。この點に對して御説明を願います。
#56
○平井(富)政府委員 一般炭鑛に對しまする今の資材、資金の供與の方法でありますが、もちろん國家が計畫を進めまして、炭鑛に資金、資材を流しますことは、單に炭鑛業者の利益を目途として流すのではございませんので、石炭の生産に必要なる限度、及びその必要性から流すのでありますが、この點は今西田さんのおつしやる通りと思いますが、半面その流す資金、資材というものは、たとえばさつきの産業資金の例で申し上げますれば、四〇%内外のものは石炭の資金に流れる。資材にいたしましても、他の産業、國民生活の非常な犠牲において流れるのでありますから、それらが適正に一般の炭鑛において消化され、使われているかという點を監査いたしますことは、當然國家としてとるベき處置ではないか、かように考えまして、一般炭鑛の管理の章に、この規定をおいたのであります。中小だからこれが國家の保護がないのだ、大炭鑛だから國家の保護が厚いのだというふうに一律に考えるのもどうか、かように考える次第であります。
#57
○西田委員 ただいまの管理局長の御説明を聽くと、管理をやる炭鑛は大炭鑛だけで、中小炭鑛は管理をやらない、かようにお考えですか。
#58
○平井(富)政府委員 ただいま申し上げましたのは、西田さんの御質問の中に、一般炭鑛としてこの管理の對象にならない、特に中小の炭鑛が對象になるように私は受け取つたのでありますから、小なるがゆえに國家の利益が薄いということはないというふうに申し上げたのであります。
#59
○西田委員 私はさような御質問をした覺えはありません。大體私は炭鑛の管理というものは三黨首會談の線に沿つてきめらるベきものだと考えておりますし、三黨首會談の決定は、實情に即しその態度を決定する、かように三黨首會談では、大綱はきまつておつたのであります。だから實情に即し大綱を決定するということは、大中小のいかんにかかわらず、炭鑛の經營の實態と、國家の生産目標の實情に即してやるのだ、かように解釋しておりますので、今管理局長が言われたようなことは、毛頭考えておりません。
#60
○平井(富)政府委員 私の聽き違いがあつたかもしれませんが、大炭鑛、小炭鑛という意味で申し上げたのであります。大炭鑛のみが指定炭鑛になるというふうに申し上げたのじやないのであります。
#61
○西田委員 要するに、平井政府委員のお答えでは、やはり指定炭鑛外の炭鑛は監査をする程度だということに承りましたが、さように了解して差支えありませんか。
#62
○平井(富)政府委員 指定炭鑛として指定されました炭鑛以外のものは、この第二章の炭鑛の管理一般の規定が適用あるわけでありまして、大體八條、九條によりまして監査が主になりまして、この監査の結果必要な場合の監査上の命令ということは、第十條に規定してございます。
#63
○西田委員 今平井政府委員のお答えのように、指定炭鑛外の一般の炭鑛に對しては、監査をする程度であるとかりにしたならば、この第二章の炭鑛の管理の規定、第八條の規定によつてきめられておりますことは、私が申しましたように、あまりに煩雜で嚴重過ぎるきらいがある。しかもこの第八條の規定は、憲法第三十五條の規定に牴觸するのではないかという疑問をもつておるのあります。この點に對する御見解を承りたいのであります。
#64
○平井(富)政府委員 この規定はただいま御指摘の憲法の規定には私ども牴觸しない。かように考えておる次第であります。
#65
○西田委員 ちよつとその理由を承りたい。私は牴觸するのじやないかという疑問をもつておる。
#66
○平井(富)政府委員 この規定がねらつておりますことは、ただいまの一般の炭鑛自體に對しまする資金、資材、その他生産の状況がどうなつておるかということの報告、及びその實地に臨んで檢査をするいう程度のことでありまして、これが法律の規定によつて、國會の承認を得て、法律によつて決定され、その實施に基いてやるということになりますれば、これが憲法によつて保障された一つの企業權と申しますが、あるいは憲法上のいずれの諸規定にも牴觸するというふうには考えておらぬのであります。
#67
○西田委員 どうも平井政府委員の今の御説明では、私は納得しかねるのですが、もう少し的確な御説明を、この次でもいいからひとつお願いしたいと思います。私はどうしてもこれは憲法第三十五條に牴觸するのじやないかという氣が非常に強くするのですが、それは今まで新國會ができまして、この國會においてもこれと同じような規定が規定されておることは、私もよく知つております。しかしその規定の中で、その他の政府職員に臨檢檢査されるというようなことが擴大されております點が、第八條の規定における新しい點であると同時に、よく聽きますところによりますと、手續の云々だから憲法には違背しないのだというような所論をする人も聽いておりますけれども、私はどうしてもこれは三十五條に牴觸するのじやないか。かように考えておりますので、專門家である平井政府委員に、その點よく御研究の上、この次でも結構ですから、詳細に牴觸しないという理由を、皆さんに御首肯のできるように御説明を願いたい。かように考えます。
 第十條にはいります。第十條に規定してある「監督上必要な命令」というのは、具體的にどんなものであろか。また第二十一條の「監督上必要な命令」と實質的にどう違うか。この點を承りたい。
#68
○平井(富)政府委員 第十條におきまして「監督上必要な命令をすることができる。」という規定をいたしましたのは、八條、九條にあります檢査によつて、たとえば資金、資材というものが所期された目的に使用されておらぬというような場合におきまして、それを初め定められた所期の目的に使用するようにというような命令が、この監督上の命令というように考えております。すなわち檢査の結果に基きまして、その所期の目的に生産が動いておるかどうか。具體的に申し上げますれば、資材、資金等がそのように使われておるかどうかというような點につきましての必要な命令を、ここで發するというふうに考えております。それから二十一條の監督上の命令につきましても、大體同様な趣旨でありまして、「指定炭鑛の業務計畫の實施上必要があると認めるときには、」というふうになつておりまして、指定炭鑛の業務計畫が生産協議會の議を經て決定されまして、それが實施されておるかどうかということについての監督上の命令でありまして、この「監督上の命令」としました意味は、新しく、たとえばこの設備をどうせよ、あるいはこの新坑を開發せよとかいう積極的な命令ではございませんで、いわゆるあらかじめ定められた計畫通り行つておるかどうかということに對します命令というように了承しておる次第であります。
#69
○西田委員 第十條の「監督上必要な命令」ということは、今抽象的に平井政府委員から承りましたが、そうしますと、かりに何々をつくるのだということで銑鐵の配給を受けた場合、そのものをつくる必要がなかつたために他のものをつくつたというような場合にも、これは命令違反ということになりますか。
#70
○平井(富)政府委員 これは一つの事業運營上の社會通念と言いますか、常職から判斷さるべきものだと思います。その配給されました銑鐵の使途が、たとえば他の要件によつて充足された場合、あるいは必要なくなつた場合、増産上の必要な用途に使われたというようなことについて、この監督上の命令が發せられるというようなことは豫想されないのであります。
#71
○西田委員 第五十の罰則は三年以下の懲役、三萬圓以下の罰金を適用することになつておりますが、もしこの「監督上必要な命令」がその程度のものであつたならば、この重い罰則を適用することはないと思うのでありますが、これはどういうわけで、こんな重い罰則を適用したのですか。
#72
○平井(富)政府委員 この監督上の命令を發します場合に諮つて命令をいたしますので、御指摘のような命令は出ないというふうに私どもは考えております。
#73
○西田委員 今の御答辨をもう一遍承りたい。管理委員會で諮つて出すのだから、そのまま輕い程度の命令が出なくて、もつと重い命令が出るということですか。
#74
○平井(富)政府委員 管理委員會に諮つて命令を出すわけでありますので、ただいまのように、常識上當然であるというような場合に、こういう命令が發せられて、その結果重い罰則が適用されるということは、この法令上豫想されるのではないかという點を申し上げたのであります。
#75
○西田委員 しかし第十條は指定炭鑛にはもちろん適用されるでしようが、指定外の炭鑛に對してこんな罰則を適用せぬばならぬような監督上必要な命令は、どんなものがある豫定でしようか。
#76
○平井(富)政府委員 ただいまその具體的な點を申し上げるわけにはいきせまんが、具體的な問題として、資金資材の使途等につきまして、國家の計畫に從つて一定の目的によつて流されておるのでありますから、それがそのように使われておるという點を、特に確保いたしたいというふうに考えております。
#77
○西田委員 資金資材の使途といいますのは、經常の資金資材の使途は、その炭鑛の石炭生産量を見れば、その資金資材が適當に使われておるかいないかということは、はつきりわかるはずであります。かりに一箇月一萬トンの出炭計畫をいたしております炭鑛で、一萬トンの出炭をしたなら、その一萬トンに要する資金資材の量は、全國の石炭の状況から見て、これは監査する必要がない程度にはつきりしておるのであります。もしわからないとしたら、生産擴充に必要な量の確保の状況から見て、これまた判斷はつくはずであります。地方石炭局があり、地方炭鑛管理委員會があり、また各部々々には部會というものができるように、法律案では規定してあるようでありますが、そうであれば、毎日々々ほとんど常時その炭鑛の生産の實態をキヤツチしておくことが可能であると考えます、またキヤツチするような機構にならなければ、この法案の目的の達成は不可能である、私はかように考ええるのであります。そういうふうに、毎日々々炭鑛の生産状況をキヤツチしておれば、もし當該管理が間違つた方向に進んでおれば、適時その時に指導是正すべきであつて、結果が現われて初めて全國炭鑛管理委員會とか、地方炭鑛管理委員會に諮つて、そのあとで罰則を適用するというような行き方では、いわゆる現在行われつつある官僚統制の域を脱しないで、決して民主化された炭鑛の管理という目的は達成せられない。そういう必要が全然ないような管理方法をとるのが、本法案の目的ではないかと、私はかように考えますが、この點に對しましては、平井政府委員ではなくて、商工大臣の御答辯を求めます。
#78
○水谷國務大臣 この問題が單にこの點だけでなしに、先にも石炭局長の專任の場合にも申しましたように、運用上におきましては、あくまでも現實に即してやつていくという考えをもつております。現に石炭局長、あるいは石炭局員、その衝に當るものは、全部民間人でありますから、その點はよくわかつてくれると思うのであります。ただ締括りとしてこういう規定が必要であるということをひとつ御了承願いたい。
#79
○西田委員 どうも商工大臣の御説明、平井政府委員の御説明も、私は納得いかないのであります。法律案が出る場合に、やはりあなた方は法律案作成のいわゆる技術の面に重點をおいて書かれるのであつて、實際法案の目的の達成という點に重點をおいて法の條文をおつくりになつたり、あるいは體系づけられたりしておれば、こういうふうな條文にお書きになる必要はない。もしお書きになるならば最も強に管理をしなければならない指定管理のところにもつていくのが適當であつて、一般炭鑛管理という規定の中にもつていつて、こういうふうな條文をお書になるので、いろいろ世間に誤解を招いて、反對せぬでもよい業者が反對する。商工大臣は法案が通つたら協力してくれるだろうとおつしやるけれども、初めから贊成で協力するのと、いやいや協力するのとではその効果に非常に差がある。要するにあなた方は條文作成の技術とか、體系とかいうことに拘泥されないで、實際にこの法案の目的をよくつかまれて、そして誤解を招かないように條文の書き方をお考えにならないと、政治と行政というものがぐあいよくマッチしていくことができぬのじやないか、私はその點を非常に憂慮しているのであります。しかもこの五條から十三條の間に規定されております規定の中に、六箇條も七箇條も罰則の適用を受ける規定があります。まつたく第二章炭鑛の管理というのは、ほとんどこの管理法案の罰則の集計であります。こういうふうに考えてみますと、私自身業者でありますが、いかに善良な業者であつても、多少これには反感をもちます。そういう點をあなた方は今後十分にお考えになる必要がある。私が今まで申し上げたことによつて、この章に適用されている罰則は、他のいかなる法律の罰則と比較してお考えになつているかわかりませんが、私はこれは最近できつつあります公團法の罰則を多分お考えになつたのであろうと考えておりますが、あの公團法の罰則は、あれはいわゆる官吏であり公務員に適用される罰則で、これは現在の憲法において認めております私の企業、その企業を國の目的を達成するために臨時的にいわゆる國がある一部を管理して、國の指導援助を與えてやろうという目的にためにつくられている法案であります。そういう根本的に違う建前をお考えになつて、なおこの罰則の適用が適當であるというふうにお考えになつているとするならば、むしろこの法案は審議するだけの價値はない。(「その通り」)極論すれば、少くともこの第二章に規定しなければならぬ條項に適用される罰則は、行政處分程度にしなければならぬ。あるいは過料程度に、お考え直しにならないと、この法案を實施された場合においても、この目的の達成はなかなか困難じやないか。かように解釋するものでありますが、この點に對しての商工大臣の御見解をひとつ承りたい。
#80
○水谷國務大臣 この問題は西田さんからは前からたびたび伺つている議論でありますが、いろいろの事情を考えました、こういうようにきめたのでありまして、今ただちにあなたがそういうことを言われて、私はそれが適當であるということは言えないと思います。やはりこの程度の罰則は必要であると思います。しかし先に申し上げましたように、この罰則の點に關しましては、いろいろの法案と比較險討いたしまして、具體的に説明させていただきたい。このように思つております。
#81
○西田委員 それではこの條はその程度でがまんしておきましよう。第十一條にはいります。第十一條の規定には「炭鑛の事業主は、商工大臣の許可を受けなければ、その經營する石炭鑛業の全部又は一部を廢止し、又は休止してはならない。」かように規定してあります。この法律案の實施にあたつて、これを最も民主的に運營するための機構として、全國炭鑛管理委員會、地方炭鑛管理委員會というものが設けられることになつております。少くとも岡田君も言つておりましたが、この全國と地方の炭鑛管理委員會というものは、よほどこの運營に重點をおいてお考えにならなければいけないと思うのでありますが、この第十一條の規定のごときを適用する場合においても、これはぜひ全國炭鑛管理委員會に諮つて、商工大臣がこの條の許可または不許可をするというような方向にもつていくのが、最も妥當な方法であると考えますが、これに對して商工大臣はどうお考えになりますか。
#82
○水谷國務大臣 ただいまの第十一條は、なるほどそういう御議論も出てまいりますが、大體事業の全部または一部の休廢止ということは、はつきりした原因のために行われるのが大部分でありまして、そのためにわざわざ炭鑛管理委員會に諮つて判定をしてもらわなくてはならないというような複雑な原因のために、かようなことが起るんじやないと思います。それははつきりした事實のもとに行われるものでありますから、大體商工大臣だけでいいんじやないかというぐあいに考えておる次第であります。
#83
○西田委員 ただいまの商工大臣の御答辯を承ると、これはもうきまつたことだというふうに受取れますが、私はさように解釋はできない。炭鑛業の本質から考えてみまして、經營者の方では、國家がやめちやいかぬと思うようなことでもやめねばならぬような状況に陥ることが、再々あるのであります。それをはたして止めた方がいいか、あるいは止めて惡いかということは、商工大臣だけでは認定がつかぬはずであります。そういう場合に、炭鑛管理委員會に諮つて調査をした上で商工大臣がこの許可、不許可をするということが、私は妥當であると考えるのですが、商工大臣の見解とは大分違うわけです。平井政府委員はどうお考えになりますか。
#84
○平井(富)政府委員 大體この十一條の問題だけではございませんので、この法案に積極的な、たとえば命令をいたします場合には管理委員會の議を經るというこうことを、特に法案の個々の條文に規定いたしておるわけでありますが、許可、認可という消極的な制限については、一應個々の規定に議を經る、諮るということを規定してございません。炭鑛管理委員會の章に一括して、重要事項について諮問に應じて審議するということになつておるわけであります。この場合の十一條の炭鑛の休廢止につきまして、事業場の關係、あるいは隣接鑛區との關係、その他というような理由で讓渡されるような場合もございましようし、あるにはおつしやるやうな經營上の困難から、あるいはその經營者の立場から見れば、この經營を繼續することは困難であるという、非常な複雑な場合も出てくると思うのであります。その場合場合によりまして相當重要性をもつもの、あるいは將來の許可、認可の方針に對しまして、一つの基準的な考えをもつというようなものにつきまして、商工大臣が炭鑛管理委員會に諮るということは、當然豫想されるのじやないか。ただすべての場合に諮らなければならぬとすることは、この讓度許可の動機といいますか、目的といいますか、その對象といいますか、そういうものが非常に廣い範圍にありますので、一應この條文からは諮るということを削除してありまするが、ただいま申し上げた非常な重要な案件等につきまして、管理委員會の議を經る、諮るということは、商工大臣として當然お考えになることじやないかというように考えます。
#85
○西田委員 これは第十一條、第十二條、兩條文に關連した問題ですが、商工大臣のお考えになるということと、輕いことだからかけないでいいじやないかということとは別個の問題であつて、かけなくてもいいような非常に簡單な問題であれば、管理委員會にかけても非常に簡單に答申ができることであつて、何も管理委員會にかけることによつて、商工大臣の權限を侵害するわけでもなければ、制限するわけでもないと考えるのですが、どういうわけでこの規定を設けてはいかぬのですか。
#86
○平井(富)政府委員 これを設けました理由は、ただいま申し上げました特に積極的な命令を出すという場合には、全部これを一括かける。消極的な制限である許可については、その事項によつて運用上かけるということで、一括――法制的に申しますれば、炭鑛管理委員會の章にくくり上げたというふうに考える次第であります。
#87
○西田委員 結局平井政府委員のお答えを承りますと、炭鑛管理委員會の行う事業内容を明確にしておかないと、そういう點に對して、いろいろの疑議が生じてくるわけでありますね。この法律案では、ただ諮るとか、重要事項についてとかいうことだけで、炭鑛管理委員會の行うべき事業というものが明記してありません。これはひとつ明記するようにお考え願いたいと思うのであります。それと同時に、この炭鑛管理委員會というものは、大體常置すべきお考え方ですか、必要ある場合に招集されるというお考え方ですか。
#88
○平井(富)政府委員 炭鑛管理委員會は常置さるべきものである、かように考えております。
#89
○西田委員 常置さるべきものであるというお考え方であれば、全國炭鑛管理委員会はおそらく東京にあるでしようから、商工大臣がこういうようなことに對して別に諮問されても、積極的なことだけでなくて、消極的な問題に對して諮問されても、大して障害はないと考えますが、それでもなお消極的な面は諮問する必要がないとお考えですか。
#90
○平井(富)政府委員 消極的な面につきまして諮問する必要はないということを申し上げておるのじやなくて、個々の案件によつて處理すれば、目的は達し得るのではないかという意味で、炭鑛管理委員會の章にくり上げた。片方の積極的な命令につきましては、企業者にその命令の内容いかんにかかわらず、相當大きな影響をもつものでありまするので、これは一々具體的に明記して、消極的な許可については、これを一括炭鑛管理委員會の章にくくりまして、重要な案件については、これを諮つていくというふうにいたした次第であります。
 なお炭鑛管理委員會等の運用につきましては、炭鑛管理委員會設置の上に、それぞれ運用規定が各委員によつて論議され、どの程度のものをこの管理委員會にかけていくかということも決定されることも考えられますし、そういう意味で重要事項というふうにやや抽象的に規定いたした次第であります。
#91
○西田委員 私の質問はこれからまだまだ濟まないと思いますから、この程度で本日は止めておきたいと思います。
#92
○伊藤委員長 それでは本日はこの程度に止め、次會は明後六日月曜日午後一時より開議し、西田君の質疑を繼續いたします。
 本日はこの程度で散會いたします。
   午前十一時五十六分散會
ソース: 国立国会図書館
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