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1947/10/27 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第24号
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1947/10/27 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第24号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第24号
昭和二十二年十月二十七日(月曜日)
    午前十時五十七分開議
 出席委員
   委員長 伊藤卯四郎君
   理事 大矢 省三君 理事 岡田 春夫君
   理事生悦住貞太郎君 理事 澁谷雄太郎君
   理事 早川  崇君
      今澄  勇君    金野 定吉君
      松本 七郎君    村尾 薩男君
      生越 三郎君    庄  忠人君
      西田 隆男君    三好 竹勇君
      有田 二郎君    淵上房太郎君
      前田 正男君    高倉 定助君
 出席國務大臣
        商 工 大 臣 水谷長三郎君
 出席政府委員
        石炭廳長官   菅 禮之助君
        石炭廳次長   吉田悌二郎君
        商工事務官   渡邊  誠君
        商工事務官   平井富三郎君
        商工事務官   石坂善五郎君
 委員外の出席者
        商工事務官   塚本 敏夫君
        專門調査員   谷崎  明君
        專門調査員   保科 治朗君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 臨時石炭鑛業管理法案(内閣提出)(第六四號
 )
    ―――――――――――――
#2
○伊藤委員長 これより會議を開きます。
 前會に引續き臨時石炭鑛業管理法を議題とし、質疑を繼續いたします。淵上房太郎君。
#3
○淵上委員 ただいま委員長から私の質問があまり長くなるから、もうやめてくれぬかという御相談がありました。私は本日で第七日目で、今までいろいろな角度からお尋ねしてきましたけれども、根本の問題及びいろいろな問題について、納得のいかない點が遺憾ながら多々殘つておるのであります。何のために質疑をするのかというと、要するに理解、納得しなければならぬ。それがために質疑をするのであります。本法案がはたして増産になるか、減産になるかということを審議するのは、私は國民に付託されたるわれわれ國會の重大義務であります。從いまして、私は納得のいくまで聽かなければならぬので、委員長の御相談はお斷りしておるのであります。なお引續きまして少しお伺いいたしたいのでありますが、どうか納得のいくような説明を、大臣竝びに政府委員におかれても、いたされるように、委員長からも御注意を願いたいと思います。議事進行のために、尋ねたことを納得させるような答辯をなさることが議事進行になるのであります。ただ時間的に何とかかんとか相談をなさるということは、私は國會の審議權を議員みずから放棄することであり、國民に對してまつたく申し譯のない義務の懈怠である。かように思うのであります。どうか同僚委員の皆樣におかれても、御質問の順をお待ちになつておられる熱心な方がたくさんおられるのでありますが、もうしばらく納得のいくように御答辯をいただきますまで繼續さしていただきたい。かように私は思うのであります。これはわれわれ國會の重大義務だと思うから、かように私は切望してやまないのであります。
 まず新坑の問題を引續きお伺いいたしますが、私は專門家の方に――私自身は門前の小僧であまりわかりませんので、はたして第一年度から二萬トンも三萬トンも、あるいは五萬トンも出るものかどうかということを聽いたのでありますが、なかなかむずかしい問題のようであります。二十二年の第一年には、四月の一日から沿層露頭からかりに坑口を打込んでいくといたしましても、まず一日に一間半ずつ掘つていくとしまして、一月に二十五日やつていくものとして、四箇月で百日かかつて百五十間掘つていく。本卸しと釣卸しとをやりまして、ずつと一日の日から石を出しまして、その線でほぼ二千四百四十トンくらいが關の山、これは最高の能率をあげたそうであります。四箇月目に七月三十一日から右一方、左一方を始める。これは年度内に千二百九十六トンずつであります。それからさらに六箇月經ちまして、要するに二月の一日のころに右二方、左二方を卸して、この兩翼で三百七十二トンずつ出る。合計いたしまして八千二百二十二トン、これはマキシマムの能力である。一つの炭鑛から四月の一日から石を出し始めて一萬トンである。最大能力を發揮して一萬トンである。一つの炭鑛から二萬トンとか五萬トンとかいうことは、はたしてやれるものであるかどうか、きわめて疑わしいのであります。先般大臣の御説明によりますれば、まず新坑七坑の中、五萬トン出す遠幌の問題であります。これは夕張本鑛の減産を防ぐために開坑操業しておるものだそうでございますが、これはすでに昭和十九年ごろから開坑して著炭しておる山かと思うのであります。二十二年度の下期にこの炭鑛は坑道掘進のために三千三百二十萬圓の融資を受けることに相なつておりますが、お示しの五萬トンを期待されている遠幌の新坑というのは、新坑でなくて掘進炭坑じやないかと思うのでありますが、この點はどうなつておりますか、御説明願いたいと思います。
#4
○渡邊(誠)政府委員 お答えいたします。新坑からどの程度の炭が出るかという點につきましては、新しく昭和二十三年からを取上げませんでも、炭鑛の仕事は年々新しい地域を掘り終ると、次の新しい地域を掘つていくというかつこうになりますので、年度を切りまして、一齊にスタートするわけにはまいりませんので、一昨年から準備しているところも、昨年中に出炭に至らずして、本年出炭に至るというのもございますし、昨年から著手をいたしまして、繼續中のものが明年から出炭するというものもあつて、それらが總合せられまして、從來から掘つておる坑内の地域と新しい地域を足し合わせて何ほどの出炭ということになつていくわけでありまして、ここに急に新坑を開發する部分が新たに生れ出たというわけではないわけであります。從いまして、今のお話の遠幌の場合のごとき、まことに御説の通りであります。これに對しては、從來から準備が進んでいるわけでありまして、たまたま昭和二十三年度中に、新たにその地域から出るものを約五萬トンと推定をいたしまして、計畫の中に織りこんでいるわけであります。なお遠幌については、現在の日本全體としての炭鑛の情勢を考え合わせまして、なお新たに現在の計畫と並行した新たなる坑道を掘鑿いたしまして、そうして昭和二十七年と申しますか、二十八年と申しますか、將來のためになおこの地域からの増産ができるような、明年度の出炭に直接寄與いたしませんけれども、相當に寄與するための掘進坑道をも併せ行いたい。こういうふうに考えて計畫しております。
#5
○淵上委員 明年度の出炭に直接寄與しないと言われるが、新坑として五萬トン掘るんだという聲明をされているのであります。ただいまの御説明によりますれば、出炭炭坑七坑でなくして、掘進炭坑二十二坑の中にはいつているんじやありませんか。しからば今お話の遠幌は出炭炭坑七の中にはいつていない舊坑である。あるいは舊坑でなければ掘進炭坑の二十二の方にはいつているんじやないか。どつちが正しいのか御説明を願いたい。
#6
○渡邊(誠)政府委員 お答えいたします。遠幌炭鑛は新たに明年度、すなわち二十三年度に出炭を見込んでおりますので、明年度出炭があるという炭鑛の中に入れて計畫しております。同時に出炭のみならず、別の部分の掘進をも行つて、昭和二十六年、七年度現在の計畫だけで將來を考えているよりも、もつと多い出炭を出し得るようにな新たな別の掘進計畫をも附け加えてやつております。しかし明二十三年度に出炭があるという意味で、出炭のある方の炭鑛に入れております。
#7
○淵上委員 二十六年度、七年度に大體出る計畫はある。ただ明年度もいくらか出るという御説明がありますが、五萬トン出る見込みであるかどうかをお尋ねいたします。
#8
○渡邊(誠)政府委員 お答えいたします。炭鑛の作業については、時々刻々いろいろな變化がございますが、五萬トン出るものとして計畫をいたしており、出るものと考えております。
#9
○淵上委員 五萬トン出るという言明をはつきり聽いております。どうもただいまの二、三囘の御答辯では、出炭坑ではないような氣がするのでありますが、はつきりしませんから、續いて次に移ります。私がこれを聽きますのは、念のために申しますが、二十三年度、第一年度においては三千三百萬トンのうね二十萬トン、五千六百カロリーを新坑から出すという計畫でありますけれども、これが第二年が五十萬トンとなり、第三年は百五十萬トンになる、こういう點から、はたして第一年度に三千三百萬トン出るか出ないか、正しい具體性のある計畫であるかどうかを聽きたいために、まず二十萬トンという問題から聽いているのであります。これがもしはつきりした説明ができなければ、要するに三千三百萬トンは架空の計畫であるということに相なるのでありまして、まずこういう坑口から切りこんでいかなければならぬと思うのであります。
 次にお伺いいたしますが、三井福住二萬トンの計畫、これはすでに著炭して掘進炭も出しているはずであります。今驛から非常に遠いので、運送設備の整備中と聞いておりますが、これも掘進炭坑であるじやないかと思います。出炭炭坑じやないじやないか。かように私は思うのでありますが、いかがでありますか。
#10
○渡邊(誠)政府委員 お答えいたします。明二十三年度にどれだけ出炭するかということを考えますときに、計畫を策定する當時の現在の炭鑛の力というものと、現在豫想される炭坑の中から出る出炭のほかに、現在計算されたもののほかに別途に出るもの、こういうふうに分類をいたして、それが新しい坑口の地域から出るものを新坑から出炭するものという分類をいたしておるわけでありまして、ただいまのお話のように、本年度中に相當の掘進をいたしておらなければ、明年度の出炭はないわけでありまして、明年度の出炭は、明年度掘進を著手したもののみから出るのを新坑の出炭というふうにわける分類の仕方もあるかもしれませんが、この出炭の分類のいたし方は、出炭の現有勢力と、別途に加わる勢力とを便宜分類して、新たなる地域からの出炭として考えられたのが、この七炭坑でございます。
#11
○淵上委員 どうもはつきりいたしません。二萬トン明年に出すという三井福住も掘進炭鑛の方に屬するのであつて、出炭炭坑の中にはいらないじやないか、今の答辯からかように解釋されるのであります。太平洋地區と稱される五萬トン、これも三井の經營で、本年の夏ころからすでに著炭をしておつて、やはりこれも出炭炭坑でなくて掘進炭坑である。かように私は想像するのであります。現に二十二年度下期の融資も、炭車三百五十五萬圓、運搬設備三百八十萬圓、採炭機械五百萬圓、選炭設備二百五十萬圓、坑道掘進千九百萬圓、その他緊急設備費千八百十五萬圓、合計五千二百萬圓の融資が本年度の下期にあることになつておりますが、これまた出炭炭坑でなくて掘進炭坑でないかと思つておりますが、どうなつておりますか。
#12
○渡邊(誠)政府委員 お答えいたします。出炭坑と掘進炭坑という意味が、私の申し上げている意味が違うのかもしれませんけれども、炭坑の作業といたしましては、出炭をいたしますと同時に堀進をしておるわけでありまして、また掘進をいたしませんければ、出炭が出ないわけでありまして、明年度の出炭のある炭坑は、本年度掘進をいたして、それに必要なる資金資坑を投じてなければ、明年度の出炭は出ない。同時に明年度また掘進を一層増加いたしまして、翌年度に出炭を増加する。こういう順序になるものであると私は考えております。從いまして、これらの炭坑は明年度新たなる出炭をする地域である。こういうふうに考えて分類いたしておるわけであります。
#13
○淵上委員 しからばこの炭坑もまた掘進炭坑二十二の中であつて、新坑ではない。かように結論せざるを得ないのであります。出炭炭坑七つの新坑の中にはいらないものだ、かように私は今の御説明で了解するのであります。赤平につきましても、本年度下期、すでに三千四百萬圓の融資を受けることになつておりまして、運搬設備九百五十五萬圓、運炭設備四十二萬圓、採炭機械二十八萬三千圓、坑道掘進費千七百六十三萬七千圓、その他緊急設備費六百十一萬圓合計三千四百萬圓、これもまたいわゆる出炭炭坑でなくして新坑に屬するものではない、舊坑である。かように解釋してもよろしゆうございますか。
#14
○渡邊(誠)政府委員 お答えいたします。七炭坑のうち小倉地區の以外は掘進をすでにいたしておりまして、明年度から出炭をするという炭坑でございまして、明年度これだけの出炭をするという點につきましては、間違いないものと信じて計畫を進めておるわけでありまして、この炭坑を稱して新坑でないという考え方は、私にはちよつと納得できないので、新しい地域からこれだけの出炭ができるという分類をいたしておる次第であります。
#15
○淵上委員 それでは今の御説明よくわかりました。私も小倉だけが新坑であつて、あと六坑は新坑でない、かような結論をもつておつたのでありますが、ただいまの御説明によりまして、小倉だけが新増であつて、あとの六坑でないという結論に確信を得たのであります。先般大臣の説明では出炭炭坑の新坑は七つ、掘進炭坑の新坑は二十二と言われたことは、これでうそであつた、間違つておつたと、私はさように聽きますが、それでよろしゆうございますか。
#16
○渡邊(誠)政府委員 申上げます。現在掘進をいたしておる炭坑は新坑でないという解釋はいたしておりませんので、新たに出炭状態にはいるものを、すでに著手をしておるものであつても出炭状態にはいる地域の炭坑であるという解釋は、通常の常識をもつて新坑と申すことに、私は考えております。
#17
○淵上委員 今の御説明では政府委員の方の解釋は、少くとも新坑にはいるのだという御説明であります。そういう意味において出炭炭坑の新坑が七つ、私はどうも非常におかしな説明だと思つております。要するに大臣の發表されましたる新坑の出炭炭坑七というのは、新坑でないのが六坑あるというふうにしか解釋できないのであります。もう一つの小倉炭坑は、新坑であるのかと思つておるのでありますが、これは聞くところによると、小倉炭坑は鑛區が二つにわかれておつて、眞中に遮斷した區域があつて、この區域は公害があるというので、小倉炭坑出願の場合においては許可されなかつた。他の人から出願して新たに許可になつた。しこうして現在まだ紛爭が解決できてないやに聞いておるが、この在來の小倉炭坑は、第二の三池とでも言われる非常に有望な炭坑だと言われております。星條旗紙あたりも、燃料不足に惱む日本のホープだというて、非常に驚異の眼をもつて見ておる有力な炭坑であるのでありますが、ただいま申しますように遮斷鑛區がありますために、掘進が不能になるおそれがあるのであります。この紛爭も納まらない小倉炭坑において、二十三年度、第一年度に二萬トンがはたして豫期し得るかどうか、ここの炭質は宇部あたりと大體同じであつて、四千八百カロリーから六千カロリーまでということでありますが、平均五千六カロリー二十萬トン新坑計畫から申しましても、炭質から申しまして五千六百カロリーのものがとれるかどうか、しかも量におきまし、先ほど申すように二萬トンが期待し得るかどうか、私はとうてい來年度二萬トンはおろか、一萬トンもとれないじやないかと思つておるのでありますが、どういう御見解でおられるか、それをお伺いいたします。
#18
○渡邊(誠)政府委員 お答いたします。小倉炭鑛の海岸地區に新たな鑛區があつて、掘進に困難を續けているというお話でございますが、これは鑛業法に基く鑛業權の設定によりまして、そういうことが起るとすれば、この問題はいかにして計畫を實施するかというのは、別途の紛爭を解決する問題として片づけるものだと存じますが、小倉炭鑛の炭層の所在は、比較的淺い地域にあるのでありまして、その鑛區の中から掘らねばならぬと必ずしもきまつておるわけではなくて、海岸地域から斜坑をおろす地域はある。同時に鑛區内といえども鑛區のじやまにならぬ方法をもつて斜坑をおろすということもできると考えております。同時に炭資の點につきましては、ただいまの説明のカロリーは、全體を平均いたしまして、その程度の計畫をいたしてあるのであります、小倉炭鑛から出る炭のカロリーを特に指定して申し上げてあるわけではないと存じます。結局小倉炭鑛につきましては、後天的の障害があるために實施されるかされないか、これは法律に基く權利の問題でありまして、これをいかにして調整するかというのは、現在起りつつある問題の解決のスピードによつて決定するものであり、現在はぜひこういう出炭のできるような形にもつていきたい。地方商工局等を督勵して努力いたしておる次第でございます。二萬トンの數量につきましては、著手の時期とのにらみ合いになりますが、これらの計畫というつものは、いずれも著手の時期を一應、豫定いたしまして、こういうふうにいくと見られておりますので、二萬トンの出炭が、いささか困難であるかもしれないという御意見があるかもしれませんが、こういうふうにいくようにぜひやり遂げるというつもりで、計畫を進めておるわけであります。
#19
○淵上委員 二萬トンはぜひやり遂げるという計畫である。坑口はどこからつくり、いかなる方法で開鑿を始められるか。小倉は私の郷里でありまして、あの邊の地域は私も汽車の上からもよく見ているのですが、どの邊から打ちこんでいくか、そこをはつきり御説明にならぬと、私は一萬トンも來年度出ないのじやないか、かように思うのでありますが、どういう計畫になつておりますか。
#20
○渡邊(誠)政府委員 小倉炭鑛は、現在小倉炭鑛自身の鑛區内から、探炭坑道の掘進を進行さしております。そしてもし海の中の地域を採掘いたしますとするならば、その掘進坑道をもつて、探炭坑道といたしますれば、ただいまお話のございました他の鑛區内を通過しなければならないということになると思います。從來鑛區のなかつた當時には、その鑛區をつまり鑛外地の地域を通過して、さきの海底地區に著達する。こういう考えでおつたのであります。しかしながら、その間に鑛外地が鑛區に設定せられるせられぬにかかわりませず、あまりに坑道の延長が長くなりまして、運搬、通氣に影響を及ぼすと考えられますので、陸地の一番端に相當する地域に、一應計畫しておるところでは約二百メートルくらいの斜坑をおろして、從來からの探炭坑道の延長の長過ぎるところをもつと短かくして、通氣、運搬に便するようにいたしたい。こういう計畫で考えておる次第でございます。
#21
○淵上委員 ボーリングやぐら第一號というのは、この夏建てられましたのは、これは以前の小倉炭鑛の方だと私は見ておりますが、今のお話のどの邊からやるのでありますか。完全に私は空想じやないかと思つておるのでございまして、來年度に期待する二萬トンの半分も出まいということを私は想像しております。これ以上聽いても無理だと思いますのでやめますが、要するにこの出炭炭坑七坑というのは、新坑であるのは小倉炭鑛だけで、これは御説明の通りあと六坑は新坑でない。殊に沖山あたりは、ずいぶん前からやつておるのでありまして、杵島につきましても、すでに大分本年度の貸付もできており、要するに六鑛は新坑でなかつたということが、ここで判明したわけであります。大臣の御説明と違つておる。かような結論に達しておるのでありますが、石炭廳當局はそれでよろしいのでありましようか。念のためにもう一度伺つておきたいのであります。
#22
○水谷國務大臣 新坑というのはいかなるものであるかということは、さきに渡邊生産局長が定義いたしましたのが私は正しいと思つております。これに對してあなたが、新坑というものに別の定義を下しておられるのございますが、われわれは石炭廳の下したるもとにおいて、新坑というものは、このようなものだと見て、私は新坑はこれこれというように觀測を下しておる次第でございます。
#23
○淵上委員 五箇年計畫の第二年、新坑五十萬トン、五千八百カロリー、こういう御計畫でありますが、出炭炭坑何坑であり、掘進炭坑何坑であるかをお示しいただきたいと思います。合わせて出炭炭坑の個所どこどこであるかをお示し願いたい。
#24
○渡邊(誠)政府委員 お答えいたします。二十四年度、二十五年度、二十六年度、二十七年度と五箇年計畫というものは、産業全體の調整總合のために計畫されておるものでございますが、具體的に諸般の産業情勢、あるいは炭鑛の情勢の變化等ございますので、二十四年度以降につきましては、大體の目安をつけて進んでおるのでありまして、これについて詳細な計畫は、現在の炭鑛としては立てても、またそれが十分な價値のない場合も考えられますので、大づかみな計畫をしておるだけでございます。
#25
○淵上委員 そうすると五箇年計畫につきまして、私は第五箇年までまず新坑を聽き、しこうして現在鑛をずつと聽いていこうと思つておりましたが、計畫は今立つていない、今の御答辯でかように解釋してよろしいものかどうか、もう一遍お伺いしたいと思います。
#26
○渡邊(誠)政府委員 何にもなしでただ漠然と計畫をいたしておるというわけではございませんので、計畫には一應の基礎を設けていたしておりまするが、變化のはなはだしい現在の情勢、特に工場と違う炭鑛というようなものを扱いまするのには、責任をもつた正確なる數字、明後年すなわち二十四年度以降のものについて確實なるものを現在つくるということは、むしろそれ自身の確實性に對しての心配があると思います。しかしながら、現在の姿として、一應計畫を立てて進んでおるわけでありますので、その計畫の大體の點について申し上げることにいたします。それは、二十四年には七地區を新たに進めたいと考えております。二十五年には、六地區を新たに進めたいという豫想をいたしております。その先の方に至りますと、漸次計畫の進行に伴いまして、いろいろな情勢に應じた變化をもたらす。大體それはどういうことかと申しますと、それらの著手いたしましたものが、二十六年、七年と順次出炭が出ていく。先ほどからたびたびお話のございましたように、二十五年に掘進に著手いたしましたものが、二十六年、七年というふうに、順次次の年からそれぞれ炭鑛の状況に應じて出炭をしてくる。こういうことになるように、今考えておりまして、新たに一應この計畫として著手するものは、二十五年までに今申し上げた數の地區を著手いたしたいというふうに考えております。從つて新たに二十七年に著手いたしませんでも、これらの時期に計畫をいたしましたものが著炭をいたし、あるいは片磐の構造がつき、切羽が設けられて出炭を生み出すようになる。こういう計畫で進んであります。
#27
○淵上委員 大體はつきりしない御計畫のようでありますが、しからば、第一年に三千三百萬トン、第二年に三千六百萬トンと順次進んで、第五年に四千三百萬トン、こういう御計畫はきわめて空疎な計畫であつて、具體性のない、現實性のないものだと斷ぜざるを得ないのであります。マツカーサーの總理に宛てました書簡にもごらんのように、新しい計畫としてもしも採擇されたならば、それのみがこの責任の所在の變更、權利をジヤステイフアイすると書いてあるのでありまして、これでは新しく生産目標、計畫を引上げるということはできない、具體的計畫が何もない、かように言わざるを得ないのであります。從いまして、この國家管理法案というものは、具體的計畫も現實性も何もない單純な空中樓閣にすぎない夢物語みたいな案だ、かように私は判斷せざるを得ないのであります。これではたして連合軍最高司令部に對して申譯が立つと政府は考えておられるのか。私は今日まで委員長からもうやめてくれぬかと言われるくらいまで、はたして増産になるかどうかという觀點から、連日質問を續けてきたのでありまするが、ただいまの御説明のごとく、具體的現實性のない國家管理案といたしますれば、いずれまたその筋にしつかりした答辯をし得なかつたということを強く知り得られる機會をつくりたいと思うのであります。まことに遺憾千萬に思うのであります。繰返し申しますが、要するにこの五箇年計畫というものは、きわめて空疎なものである、かように判斷せざるを得ないのであります。私のこの判斷に對しまして、商工大臣はいかようにお考えになりますか。
#28
○水谷國務大臣 ただいまの淵上さんの言葉は、昭和二十四年度以降における計畫が、昭和二十三年度の初年度におけるように具體性がないから、これは夢物語であるというように御解釋のようでございます。淵上さんも好んでよく外國の例を引かれまするが、これまでのソ連の五箇年計畫、あるいはドイツの四箇年計畫というものも、おそらく研究されておいでのことと思いますが、その五箇年計畫のうちの初年度の具體的な計畫に對して、二年度はどういう計畫になつているか。すなわち五箇年計畫を立てる場合において、いかなる國においても、淵上さんの言うような一年から五年までの具體的な五箇年計畫を立てたところがあつたならば、ひとつお示しを願いたいと思つております。
#29
○淵上委員 新坑を開發するのには、地形の整備をやつたり、巻上機のすえつけをやつたり、あるいは運搬の道路をつくつたり、運搬の設備をやつたり、それから選炭機の手配をしたり、あるいは事務所の手配をしたり、あるいは從業員の合宿所の手配をしたりしなければならぬのでありますから、四月一日から來年の三月三十一日までに、新坑から二十萬トンを出すということについては、きわめて無理がある。今日すでにその手配にかからなければならぬが、然るに先ほどからの御見解によりますれば、新坑とは、必ずしもそのときになつて始めたものでなくても、今からやつているものも新坑だと言われるので、さように解釋いたしまして、しからば第二年次、第三年次と順次新坑の具體的な御計畫を聽こうと思つたのですが、遺憾ながら御説明ができないので、この點は、私は納得いきませんので、さらに後刻伺うことにいたします。
 一昨日も伺つておつたのでありますが、炭價の問題についてお尋ねいたします。九月の下旬には、數班にわかれて、北九州方面の原價監査をやられたのでありますが、その原價監査の結果は、どういう状態だつたか、一應商工大臣は復命報告を聽いておられることと思いますので、お尋ねをいたします。もし大臣がお聽きになつていなければ、政府委員の方からでも御説明願いたいと思います。
#30
○渡邊(誠)政府委員 お答えいたします。炭價の監査と申しますか、生産費の監査につきましては、先般九州山口の一部について、これを實施いたしました。これは物價廳において、その所管上調査班を編成いたしまして、そうしてそれに必要なる人員を他の官廳からも參加いたさせまして、一應の調査を終りまして、ただいまは常磐地區及び北海道地區について調査班が調査中でございますので、それらを總合して物價廳の報告がまとまりましたときにお答えができる。こういうふうに考えております。
#31
○淵上委員 今の御説明によりますれば、常磐地區方面も始めておる。總合したところを報告すると言われまするが、九州の方面は九月の下旬に濟んでおるはずでありますが、その九州方面の状況はどうでありますか。
#32
○水谷國務大臣 淵上さんも御案内のように、炭價の問題は、全國的に總合して勘案しなくてはなりませんので、ただいま渡邊生産局長が申しましたように、常磐や北海道を終りましたときに發表しよう。このように考えております。
#33
○淵上委員 私は全國的の結果を今お知らせ願いたいと要求しておるのでありまするが、九州地區の結果はどうであつたかということをお尋ねいたします。公表することが困る理由はないと私は考えるのであります。九州地區はお話のように、すでに濟んでおる。濟んでおるならば、九州地區はどうであるかということは、當然お答えができるはずだと思います。どういうわけでお示しを願えないのか不思議でならぬのであります。九州地區の結果をお尋ねいたします。
#34
○水谷國務大臣 これは淵上さんも炭價に關連してお尋ねでございますので、炭價というものは全國的に勘案して考えなくてはなりませんから、全國的の調査ができ終つた後にお答えする。このように申し上げておるのであります。
#35
○淵上委員 現在の千八百圓ベースという問題につきまして、しきりに政府でも研究され、また世間でも研究され、國會でも研究されておるのでありますが、御承知のように、勞働組合側から賃金値上の要求があるので、今度の要求は、たとえば坑内夫について考えますと、間接費四千八百二十五圓、直接費が六千二百七十圓、これをかりに平均いたしますと、五千五百五十圓でありますが、これに三五%の税金を課せられれば七千四百九十二圓五十錢になるのであります。現在賃金は基準外賃金を含めまして百二十四圓であり、七月でしたか一割二分の賃上げをしたので、百四十八圓八十錢になるのであります。これが二十日働くといたしますれば、二千九百七十六圓になるのでありまして、今度の要求額は、まさに二十五割に相當するのであります。要するに十五割の増加要求ということになつておるのであります。先般大臣はこれは業者と勞働者側と直接交渉をやらせるということを御説明になりましたが、なかなか直接交渉はどうなるか、もちろんわからぬのであります。たしかきようの正午までが囘答期限ということで要求されておるように聞いておるのでありますが、かりに話半分すなわち十五割の増額要求が、半分の七割五分で落ちつくといたしますれば、現在二十日働くとして月二千九百七十六圓でありますから、五千二百八圓になるのであります。そこで月に五トン五分出炭すると、トン當りの計算にすると九百四十六圓であります。現在の給料、賃金、雜給、賞與、手當は九百五十六圓の中に五百二十七圓、すなわち五五%含まれておるのであります。福利厚生施設は五十三圓、合わせて五百八十圓、すなわち六〇%というのが、現在の給與の中の人件費であります。この人件費が六〇%でありますので、トン當り九百四十六圓を逆算いたしますと、千五百七十六圓という數字が出てまいるのであります。殘り四〇%につきましては、これは人件費以外でありまして、新物價體系設定前のままにかりにいたしましても、人件費の部分だけからみましても千五百七十六圓になるのであります。人件費以外については、先般も申しますように、坑木も上げ、火藥も上げ、石炭生産部面におきましても、いろいろ上つてきておる。現在の九百五十六圓では、とうていやりきれない。千三百圓ないし千四百圓かかるというのが、一般の情勢であつて、殊に北海道の砂川では、トン當り五百八十五圓の缺損をしておるとまで言われておるのであります。生産をはかるためには、労務者の生計費も確保してやらなければならぬ。さりとて炭價は先般來申されておますように絶對に上げない。あるいはさらに申しますと、この勞働組合の要求は現在の炭價に影響を及ぼさない範圍内で考慮すると言われたのであります。現在の炭價、すなわち九百五十六圓八錢で、いかにも餘裕があるかのごとき御認識と解釋するのであります。私はとうてい現在の炭價に影響を及ぼさないで勞働組合の賃上の要求を考慮するという餘地はないものだ。かように私は思うのであります。かつまたもう一つ考えなければならぬ問題は、他産業の部門における問題であります。これは必ず炭鑛の勞働者の方にも響いてくるのでありまして、從つて炭價に影響を及ぼさざるを得ないのでありまして、たとえば北海道の石油公團におきましては、北海道におきまして凍死を免れるために要求をいたしておるのでありまして、これは煖房手當ともいうべきもので、石炭につきましては三千五百四十圓、薪につきましては五千圓、草炭につきましては二千二百五十圓、運搬費を千六百圓、ストーヴ三箇年に六百圓必要なりとして、まずその三分の一、二百圓。煙突を千圓。計一萬三千八百圓。ただし扶養家族を有せざる者はその二分の一。これは石油公團ですでに承認いたしたのであります。次いでまた配炭公團の北海道支所において、これまた同様の要求を現在出しておるやに聞いておるのであります。こういうふうに、だんとだんと手當だとか、あるいは賃金だとかにつきまして、他の産業部門が承認してくれば、必ず石炭の方面におきましても、ある程度の手當だとか、あるいは賃金値上を承認せざるを得なくなるのでありまして、そういう場合においても、炭鑛の方面におきましては、賃金値上とか越冬資金とか――越冬資金はこの間出すといわれておりましたが、これは必ず炭價に影響を及ぼさざるを得ぬと思うのであります。他産業がだんだん賃上げを承認してきた場合におきましても、石炭の炭價に影響を及ぼす要求をも撃退される確認がありますかどうかを、商工大臣にお尋ねいたします。
#36
○水谷國務大臣 ただいま淵上さんの仰せの通り、現在の經濟事情のもとにおいて、勞働者諸君の生活の苦しいことは、萬々私も承知しております。また經營者諸君が、經營になみなみならぬ御苦心を拂つておられることも、私らは萬々承知しております。しかしながら、今の日本の經濟事情というものは、國家も企業も、そしてまた國民各個人も、赤字に惱んでおるというのが、現在の偽わらない状態でございまして、物價が騰貴したからそれだけ賃地をスライド・アツプする。そして賃金をスライド・アツプしただけ、また炭價を引上げるというようようなことを繰返しておりましたならば、一體日本の經濟危機はどうなるかということを、われわれはよく考えなくてはならぬと思います。從つてこと悪性インフレーシヨンのもとにおいて、生産増強をつていくがためには、どこかこ一線を畫して、お互いに齒をくいしばらなければ、現在の悪性インフレーシヨンに對しては、ブレーキをかけるわけにはまいらぬ。このようにわれわれは考えておる次第でございます。從つてこの炭價の問題も、これで私も大方五囘か六囘あなたにお答えすることにはなるのでございますが、決して永久に上げないとか、あるいはまた絶對上げないとか言つてはおりません。炭價の改正は當面これを行わないということを、この緊急對策にも非常時石炭増産對策にも述べておるのでございまして、この當面ということに關しては、特に愼重に、かつ彈力性あるようにわれわれは考えたい。そういう工合にいたしまして、政府は懷手をして待つのではなしに、いわゆる炭價の監査もいま著々進めておるような次第でございます。さらにまたこの炭價を當面引上げない場合において、炭鑛の特別運轉資金というものは、どうしなければならないかということも、政府としてはいろいろの立場から、今檢討しておるのでございまして、斷じて炭價をば永久に、また絶對釘づけし、そうして勝手に石炭を掘れというような態度に、われわれは出ておるのではございません。石炭の増産は繰返して申しますように、全國民の犠性によりまして、政府經營者竝びに勞働者が三位一體として協力しなければ、石炭の増産はできないというのが、われわれの搖ぎない信念でございまして、われわれはそういう立場において今度の賃上げ問題に對しましても、もちろん、これは當事者双方が決定すべき問題でございますけれども、政府はこれに對して重大なる關心を拂つておる次第でございます。ただいまの段階におきまして、この問題に對して政府が特別の意思表示をするという段階に至つておりませんが、これに對しては十分の關心を拂つておるという立場を、十分御了承願いたいと思う次第であります。
#37
○淵上委員 よく了承いたしました。物價體系を堅持なさいます御苦心はよくわかります。ただ私が心配いたしますのは、當面そう簡單に引上げはできないだろうと思いますけれども、大體新物價體系にギヤツプがすでにあることが發見されたのであります。今やその破綻を彌縫するのに、どうしたらよいかということを考究しなければならぬときに、われわれ國民はぶつかつておると、私は思うのであります。正に新經濟政策の轉換の十字路に立つておると私は思うのであります。ただ當面お引上げにならない。また簡單に引上げられないと思うのでありますが、しかしこれがために炭鑛方面にも、すでに一部のある系統の方面では、爭議が發生しつつあるやに聞いておるのであります。ストを起しサボにはいつて、當面の出炭が激減するような事態が生じた場合は、一體だれが責任を負いますか、その點をお尋ねしたいと思います。
#38
○水谷國務大臣 先ほど申しましたように、石炭の増産は全國民の犠性によつて、政府、經營者、勞働者、三位一體の協力でいかねばならないと言いましたその言葉の裏は、三者が責任を負うべきであるというぐあいに私は解釋しております。
#39
○淵上委員 この法案の第一條には、政府、經營者、從業者がその全力をあげて、石炭の増産を達成すると書いてあるのでありまして、正にお話のごとく三位渾然として一體をなしていかなければならぬということは、お話の通りでありますが、この法案によりますれば、經營者側、事業主竝びに炭鑛管理者のみに對しては、きわめて嚴重なる過重とでも言うべき重い罰則をもつて、威嚇されておるのであります。もし勞働者または勞働組合の指導者が、生産サボまたは生産妨害にはいつた場合には、いかなる處罰、責任の負わせ方をなさるか。これをお尋ねしたい。
#40
○水谷國務大臣 これは先ほど淵上さんがお讀みになりましたマツカーサー元帥の片山總理に對する書翰におきましても、故意の妨害に對しては斷固として訴追せいという言葉がある。それに對してわれわれも非常時増産對策要綱において、故意の妨害者に對しては斷固として臨むということを言つております。それに對してどういう問題が、どういうぐあいに法律に反するかということは、今具體的にお尋ねになつておらず、また私らも言うべき筋合いのものではございません。それは具體的に事實に照らして、いろいろ考えてみなければならぬのであります。もちろん法文にそういうような罰則規定がありますが、われわれといたしましては、こういう罰則規定というものは、最後まで適用しなくて濟むように願つておる次第であります。勞働者の場合におきましても、最後までそういうことをやらずに、經營竝びに勞働者の自主的協力によつて、石炭の増産をやつていつてもらいたいと思うのでありますが、しかしそれがうまくいかなかつた場合におきましては、法的措置を講じて、故意の妨害者に對しては斷固たる處置をとるという方針に關しましては、決して一方に偏することなく公平にやらねばならないし、政府といたしましてもやるつもりでございますが、しかし繰返して申しますように、政府はそういうことをやらずに濟ませたいということを、心から期待しておる次第であります。
#41
○淵上委員 三位一體の態勢をとりまして、三者三翼がそれぞれ責任をもつということは當然でありますが、三位一體の罰則體系をここに確立しなければならぬ。しからずんば不公平であると、私はかように思つて、ただいま質問しているのであります。ただいま御説明のように、この傳家の寶刀は拔かないのを理想とする、これは當然でありまして、いまさら御説明を伺わなくても、罰則は處罰するのが目的でないということは當然のことであります。お示しのように、對策要綱の最後に、「石炭生産の緊急性に鑑み、尚所期の成果を擧げ得ない場合においては、必要な法的措置を講ずる決意である。尚故意の妨害者に對しては斷乎たる方針を以て臨む。」と明示されているのでありまして、私は先般來片山總理大臣にも、水谷商工大臣にも、たびたび聽いているのでありますが、必要なる法的措置はいつとられるか、いかなる法的措置をとられるか、かように聽いているのでありますが、今日まではつきりした答辯に接し得ないのであります。先般も申上げますように、イギリスのヨークシアの爭議の場合に、ロンドン・タイムスは、常習的のサボをやる者には、經營者に解雇權を認めろ、そうして職場規律を確立しなければならぬ。こういう論議をいたしているのであります。首をきれ、低能率者及び悪質者に對しましては、私は當然解雇するくらいのことは、法律をもつてしつかり解雇し得るように規定すべきじやないかと思うのであります。石炭生産の緊急性に鑑みまして、この際私は低能率者及び悪質者に對しては、斷乎たる解雇權を法律をもつて規定する必要がある、かように思うのでありますが、ただ經營者のみを處罰する規定でなく、もちろん、勞務者に對する解雇權も、傳家の寶刀はこれを拔かざるをもつて理想といたしますけれども、少くとも三位一體の罰則體系というものを確立する必要があつて、これがまた公平なる立法であろうと、私は考えますので、ただいま申しまする悪質者などに對する解雇し得るような法的基礎を設定されることが必要でないか、かように思うのでありますが、いかにお考えになりますか。
#42
○水谷國務大臣 この問題は、かつて西田委員の御質問に答えたのでありますが、われわれといたしましては、實は石炭問題に對する勞働問題を特別に扱つて、われわれ生産省の立場からやりたいというように考えておりましたが、いろいろ檢討の結果、そういうわけにまいらなかつたのでございます。從つて、ただいま淵上さんの言われている點でございますが、これは生産省としてのわれわれの立場から申上げますならば、一應の考えももつておりますが、勞働省その他と連絡をとらないと、なかなか結論がつきかねますので、今あなたのおつしやつた點に關しまして、私が輕々に結論をつけるわけにはまいらぬのが、きわめて遺憾でございます。さらにまた法的措置を必要とするという場合におきましても、さき申上げました趣旨によつて、できるだけ避けたいと思つておりますが、しかし萬やむを得ないときには、その用意をすべきであると思います。しかしそれは今度の議會に出すのには、いろいろの點において時間の餘裕もございませんので、おそらく出すといたしましても、引續いて行われる次の通常議會になるのじやないか、そのように考えております。
#43
○淵上委員 この點は先般總理に聽きました機會にも、まるで茫洋としてはつきりしたお考えを聽くことができなかつたのであります。次の議會はいつになりますか、おそらく二月、三月に提出されるということになれば、現在石炭非常増産對策は、非常というのはどういう意味かしりませんが、きわめて急を要する筋合のものであるのでありまして、五箇月後か六箇月後にこれが實施されるようなことになりますれば、當面の生産に非常な支障を來すことになることは當然であります。私は當面の生産を確保するために、おそらくこの對策が出され、また對策を確立されたのであろうと思うのであります。ただいまのいつになるかわからぬ、あるいは次の會期になるかわからぬという御説明は、その非常對策と趣旨においてきわめて矛盾するじやないか、このように思うのであります。この機會にさらにお伺いいたしたいのでありますが、石炭増産は國をあげての最も大事な問題であります。從いまして、勞働省との交渉もあり、あるいは他の方面のことも考えなければならぬと言われるのでありますけれども、その石炭の關係のみに限りまして、特にこれをとりあげてよいのでないか、かように私は思うのであります。從いまして、悪質者に對する解雇權のみならず、石炭に關する限りにおいては、ストライキを禁止するという法律を、私は斷乎たる決意をもつて制定いたされなければならぬのでないか、かように思うのであります。現存の法律をかえられるか、あるいは單行法律をつくられるか、少くとも日本がこの石炭の生産いかんによつて、再建復興がなるかならぬかというきわめて重大なる問題とされておりまして、國をあげての重大問題とされておる筋合のものでありますから、ストライキを禁止する法的處置を速やかにおとりになる必要がある、私はかように思うのであります。商工大臣のお考えを伺いたいのであります。
#44
○水谷國務大臣 淵上君も御案内のように、勞働基準法におきまして、公益事業と指定された問題におきましても、ストライキの禁止ということは規定されておらない現在に照しまして、しかもまだ公益事業に指定されておらない石炭産業に對しまして、ストライキを禁止するというような處置は、私といたしまして考えておりません。
#45
○淵上委員 お考えになつておられなければ、今申したようにこの問題――私の提示いたしておる問題でありますが、未だお考えになつておらないとしまするならば、お考えくだすつて、そうして斷乎たる態度をお示しになつたらいかがかと、私はかように思うのであります。炭鑛に關する限りだけでも、少くともこのくらいの決意をなさらなければ、マツカーサーの指示にも副うことができないのであります。どういうふうに商工大臣はお考えになるか、お示し願いたいのであります。
#46
○水谷國務大臣 重ねてのお言葉でございますが、これは勤勞者の基本權に關する問題でございまして、輕々に私よりお答えするわけにはいきません。よく下世話にいう、鳴かぬなら殺してみしようほととぎすといういき方もありますが、私といたしましては、鳴かぬなら鳴かしてみしようほととぎすといういき方でいきたいと思つております。
#47
○淵上委員 商工大臣の現在抱懷されておりまする考え方はわかりました。三位一體、渾然一體となつて石炭の増産に勵む、これが理想である。またそうでなければならぬのでありますが、經營者に對しては、法案の示すような處罰方法が規定されておるのであります。勞働者に對する責任をもたせる方法は、ただいま聽きまして、大體にきわめて勇斷に乏しいお考えであるということを發見してわかつたのであります。しからば政府はいかなる責任をとるか、國家管理の總本山は政府であり、その御本尊は商工大臣であるのであります。この法案において示すがごとくに、きわめて繁文褥禮の手續をとることになつており、また大臣の指揮のもとにいろいろな仕方をやつておる。一々現場の把握もできていない、あるいは經驗もないような官廳事務の取扱いによりまして、心魂を打ちこんだ事業主竝びに炭鑛管理者の立てた計畫、あるいはその努力を抑壓して、そうして増産を阻止妨害する場合があるのであります。また一面から申しますれば、勞務者に對しましても、あくまでも現實にだんだん崩れつつありますところの千八百圓ベースを堅持していくという空想を描かれて、そうして勞務者の體力の低下を來し、生産能率の高揚を不能ならしめるごとき、すなわち賃上げの要求をさせない。炭價に及ぼす、千八百圓ベースに響くからというので、そういう態度をおとりになることは、結局増産を妨害することになるのであります。從いまして、私は三位の一翼である政府は、商工大臣竝びに總理大臣はいかなる責任をおとりになるのか。先ほどから申しますように、罰則もまた三位一體の罰則態勢でなければならぬと思うのであります。經營者、勞働者、もう一翼であるところの政府、少くとも商工大臣はいかなる責任をおとりなるか、これをはつきり御明示願いたいと思うのであります。
#48
○水谷國務大臣 ただいまの淵上さんの御質問は、現在の場合の責任か、それともさいわいにいたしまして、淵上さんなどの御協力によりまして、この法案が通過した後の政府の責任か、その區別がはつきりわからなかつたのでありますが、この法案が通過いたしました場合においては、もちろん三位一體ということにはなつておりますが、國家管理である以上は、國家が責任の大きな主體になるということは異存がございません。この問題に關連して石炭局長などの責任の問題でリコール制ということも一部に考えられたのでありますが、あれは御案内のように、選擧によつて選ばれた人だけに限つておる問題でございまして、商工大臣が任命する石炭局長に、そういうような呼びもどしの制度というようなことも考えられなかつのでありまして、それらは伏せてはおるのでございますが、國家管理のこの法案が通過いたしました場合においては、國家が當然減産あるいは増産に對して責任を負わねばならないという立場は、私も率直に認めます。
#49
○淵上委員 リコール制の問題と、これはまた別個の問題だと思うのでありますが、御説明によりますれば、國家が當然責任を負う。國家が責任を負うというのは、具體的に要するにたれが責任を負うか、いかなる方法で責任を負うのか、ちよつと頭が悪くてその點は解釋できないのでありますが、もう少し詳しく御説明を願いたいと思います。
#50
○水谷國務大臣 國家に責任があるということは、これは言うまでもなく、そのときの内閣に責任がある。内閣の責任の中におきましても、もちろんその實施の面を擔當する商工大臣の責任であるということは言うまでもございません。
#51
○淵上委員 商工大臣の責任であるという御説明を伺つたのでありますが、商工大臣はもしも施政よろしきを得ず、やり方が當を得なかつたために、石炭の増産を妨害した結果になつた場合、いかなる方法で責任をおとりなられるか。しかしてこれをはつきり法律で、法的措置をもつてしつかりきめる方法はないか、この點に關しては、いかようにお考えなりますか。
#52
○水谷國務大臣 政治家としての責任をとる形は、大體私が言わなくても淵上さんの御案内の通りであろうと思いますが、しかしそれをば法律の上において罰則規定として附け加えておく方がいいかどうかということに關しましては、相當の議論の餘地があると思います。
#53
○淵上委員 第一條にいうところの三位が一體となるこの根本の建前は、ただいまの何囘かの御答辯によりまして、要するに事業主または炭鑛管理者等の經營者側に對する罰則のみであつて、從業者竝びに政府におきましては、罰則はないという結論に相なるのであります。まことに遺憾に思うのであります。ここに公平なる責任追究の態勢ができていないということが判明いたしたのであります。
 私は繰返し申したのでありますが、われわれ國民も、増産をもちろん要求するし、連合國司令部も増産しなければ、この私企業から責任の所在を變更したその變更の理由が發見されないという指示を受けているのであります。たとえば今の責任の問題につきましても、そういう片手落ちの責任の追究方法では、成績はあがらぬのではないかという點を、私は非常に優慮しておるのであります。この國家管理の問題につきまして、先般の公聽會では、この案に反對が大體二十である。贊成が十六、不明が一人、こういう意向であつたのであります。去る八月讀賣新聞が計畫しておりまする紙上討論第一囘におきましては、炭鑛國管案で石炭の増産ができるかという問題につきまして、鑛業關係においては、炭鑛國家管理で増産ができるというのが七・四%であり、國家管理では増産ができないというのが一四・八%であるのであります。炭鑛關係者以外においては、一般の人は國家管理で増産ができるというのが二四・一%であつて、増産ができないというのが五三・七%であります。要するに炭鑛國家管理で石炭の増産ができるというのが三一・五%でありまして、國家管理では増産ができないというのが六八・五%であります。結論としては、多數が國家管理では石炭の増産はできないという意見であるのであります、さらに第三には、去る九月十四日の發表によりまする社團法人輿論研究所の調査であります。これは全國炭鑛四百五十二のうち二十三炭鑛について調べたのであります。從業員は四十萬人のうち十萬二千八百六十四人であります。これは炭鑛關係者のみについて調査したわが國におきましてはきわめて畫期的な、大規模な調査であつたのであります。なお組合の性格としましては、全炭系が約三割、總同盟系が約二割、中立系が約五割、こういう比率であつたのであります。それを考慮に入れましての輿論調査の結果は、問題が二つあるのでありまして、第一はどの政黨に共鳴するか、第二は國家管理はどの形態がよいかという問題であるのであります。どの政黨に共鳴するかは社會黨が斷然多くて、四六・八%であるのでありますが、炭鑛國家管理はどの形態でやつたがいいかというのにつきましては、國有民營、民營を含めて國營がいい、すなわち國營または國家管理がいいというのが二九・九%であります。民營國有を含めて民營がいいというのが三六・八%無關心または無理解、これが三三・三%であるのであります。民營がよいというのが三六・八%であるのでありまして、國家管理または國營がよいというのが、それより落ちまして二九・九%であるのであります。社會黨支持が四六・八%という斷然たる優勢を含めているにかかわらず、この炭鑛の國家管理については、民營の方がよいという意見の方が多いのであります。社會黨が國家管理を思い立たなければ、さらに支持者が多かつたのではないかと私は思うのであります。申すまでもなく民主政治の建前は、あくまでも輿論に立たなければならぬのであります。今申しますように、公聽會なり、讀賣新聞の紙上討論なり、輿論研究所の調査などを通覽してみますと、もしも現在國民の自由なる意思の表明によりまして、國家管理を採決いたしますならば、私は國民の總意としましては、國家管理は否決するだろうと思うのであります。輿論の大勢はかくのごとく、國家管理をやれば石炭の増産ができないというのが大勢であるのでありますが、民主政治家であります水谷商工大臣は、この點に關していかようにお考えになつておりますか、伺いたいのであります。
#54
○水谷國務大臣 ただいま御指摘の輿論調査あるいは公聽會の結論、これはもとより一つの參考といたしまして尊重いたしますが、しかしわれわれはその結論に百パーセント服從せねばならないかというようなことはございません。アメリカのような國におきましても、ギヤラツプの輿論調査と國會の意思決定とが相違する場合も多々あるのでありまして、それはあくまで一つの資料として尊重いたしますけれども、それに盲從する必要はごうもないと思います。さらにまた、今社會黨が四十何パーセント支持されているが、國管は二十何パーセントであると言われておりますが、社會黨は立黨以來、重要産業の國有國營、あるいはそれを前提とした管理をやる。今度の選擧にもそれを重要政策のトツプにうたつているような次第でございまして、そういう社會黨を支持した層と、國家管理を支持した者とのパーセントが違うということだけでも、その輿論調査というものが、あまり正確でないというぐあいに私は感じます。
#55
○伊藤委員長 淵上君、まだ質疑は殘つておりますか。
#56
○淵上委員 まだ殘つております。
#57
○伊藤委員長 それでは午前はこの程度に止めまして、午後一時半から再開をいたします。
    午後零時二十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時十三分開議
#58
○伊藤委員長 午前中に引續き會議を開きます。淵上房太郎君。
#59
○淵上委員 引續きお尋ねしたいのでありますが、理事會でほかの方が待つておられるから、なるべく質問の機會を早く讓つてくれないかというお話でありましたが理事會の申合せは、先週は毎週三囘ずつ一日おきにやるという申合せであつたにかかわらず、委員長におかれましては、これを無視して、五日やられたのであります。私は理事會の申合せは信頼いたしたいのでありまするけれども、なかなか約束通りに履行できないのであります。これについて、この速記をとつているところで、委員長の明確なるお答えをいただきたい。私はまだ炭價の問題、あるいは賃金の問題について、もう少し掘り下げて伺いたいつもりであります。あるいはすでに資料の提出を願つております炭住の問題についても、あるいは陸運、海運に關する現在の輸送状況竝びにこれが改善方策についてもお伺いしたい。その他にもお伺いしたいことがあります。しかる後逐條審議にはいつて、一條から六十九條までお伺いしたいつもりでおりますが、非常に明敏にして、しかも熱心なる同僚委員諸君もたくさんおられますので、一應皆さん方に質問の機會をお讓りするのも、また私の同僚の一人としての務めかとも考えております。いかがでございますか。ずつと繼續してよろしければやりますが、けさほどからしきりに申出がありますから一應打切りではないが、中止いたしまして、他の同僚の委員各位に質問の機會をお讓りすることにいたしたものか、本委員會の運營について、委員長の御所見を伺いたいと思います。
#60
○伊藤委員長 今淵上君のおつしやつたように、委員會開會初めには、一日おきに委員會を開き、本會議のない日ということを理事會等できめておつたのであります。その後先般理事會等において、三日續けたらば一日休む、こういうことが理事會できめられておるのでありますから、理事會で申し合せたことを、委員長單獨で無視して會議を進行していないということについては、御承知を願いたい。
 それからただいまの淵上君の運營についてのお尋ねでありますが、委員長といたしましても、淵上君すでに一週間質疑を續行されておりますので、できれば他の委員各位にお讓りを願つて、各委員諸君の審議に對して十分に、またお互いに尊重し合つてやつていただくと、たいへん結構だと存じております。從つて私といたしましては、委員各位の審議權を尊重して、淵上君等の質疑の點は、理事會等で御相談いたしました上で取扱い方を考えたいと思つております。
#61
○淵上委員 理事會等で相談した上、さらに質問の機會を與えるという御言明でありますので、安心いたしましたが、ただ理事會での申合せを守つていただきたいということを、私はお願いしたいのであります。ただいま委員長の説明では、三日やつたらその次は休むという申合せがあつたから、それをやつておると言われておりましたが、先週は月、火、水、木と四日やつております。金曜日一日が休みで、土曜日が五日目であります。現に今委員長の言われるのはうそである。そういううそを言われる委員長が、理事會の申合せを守ると言われても、ただそれだけでは私は納得が行きません。三日やつてその次に休むと言われるけれども、そうではない。月、火、水、木と四日やつて、しかして金曜日が休みである。御記憶が間違いならば速記もしてあるから、訂正おきを願い、しかる後にまた委員長にお伺いいたします。
#62
○伊藤委員長 それは隔日ということにいかなかつた日にちがあるのであります。正確にきよう開いて、あす休むというような隔日ということが正確にいつておらなかつたために、前に休みました日にちを續行しまして、埋合せをしたという大體やり方をいたしておるつもりであります。
#63
○淵上委員 そういう理事會の申合せはいつありましたか。
#64
○伊藤委員長 申合せはありませんけれども、一日おきに開くということになつておりますれば、それぞれ政黨の關係、そうした會合との關係、やはりいろいろそういう事故というか、そういうことで開く日にちが隔日にいかなかつたということでありますれば、それを埋合わすために、隔日になるように會議を進行するということは、委員長の審議に對する責任上、當然とらなければならぬ處置をとつた。こう思つておるのであります。
#65
○淵上委員 理事會の申合せによつて、その申合せを履行するというのでなくして、隔日にいかなかつたからその埋合せにやつた。いずれの理由によつて、先週は四日續けてやられたかわからない。申合せによつて四日やつたのでなくして、申合せは三日やつて、その次は休む申合はせである。初めはそういう御説明であつたが、ただいまの説明では前の埋合せにやつた。理事會の申合せなきにかかわらず埋合せにやつた。ただいまの前後の御説明が二いろになつておりますが、將來とも理事會の申合せとしてこれを履行せず、委員長の勝手で、理事會の申合せにかかわらずこれを蹂躙して、委員長の認定によつて勝手にやるということでありますれば、今私があとで發言の機會をさらに與えると言われても、信頼できないのですが、どうでございましようか、一應打切りじやない、一應ここで中止して、そうしてあとで發言の機會をさらに與える、繼續質問を一應この際保留して、必ず質問の機會を與える――もつとも私も理解ができれば、ほかの方の質問により、またそれによる答辯で理解ができれば、何もさらに聽く必要もないのでありますが、もう前に七日もやらしたから發言許可をしないという態度に絶對に出られない、必ず質問の機會を與えるということをお約束くだされば、一應この邊で中止です。打切りじやありませんよ。一應この邊で中止して、後日發言の機會をさらに保留さしていただくならば、承知できるのでありますが、かたくお約束を願いたいと思います。
#66
○伊藤委員長 私は(發言する者あり)――委員長發言中であります。この機會に私ははつきり申し上げておきたいと思いますが、會議を委員長が怠けて聞かなかつたということでおしかりを受けるならば、私大いにそのおしかりを當然と受けるのであります。しかし委員各位も、本法案はきわめて重要であるだけに國民に期待をされておる、關心をもたれておるという點から、精勵努力をしていただいておるのであります。そういう點から會議の續いたというようなことにつきましても、それを了承の上御精勵を願つたのであります。さらに會議の開き方につきましても、その都度委員會等に了承を得まして進行をはかつておるのであります。その點十分ひとつ淵上君了承をされるように願います。さらにただいまの點は、私が申し上げておりますように、委員各位の審議權を尊重の上に、理事諸君と御相談をいたしまして、あなたの殘餘の分と、保留されてあるという分に對しては尊重したい、こういう考えを申し上げておるのでありますから、これで大體御了承願えるだろうと思つております。
#67
○有田委員 今淵上君と委員長といろいろ質疑應答がありましたが、理事會での約束を守つてくれという點については、委員長も將來とも十分考慮していただきたいと思います。われわれ自由黨としては、できる限りこの審議を推し進めていつてそうしてできる限りマツカーサー元帥の書簡に副うてやつていきたい。かように私どもは考えてやつてきておるので、將來とも委員長が十分理事會の申合せを尊重していただいて、そうして審議を進められんことを、私は希望する次第であります。
#68
○伊藤委員長 ただいまの有田君の御發言につきまして、先ほど理事會を開きまして、理事諸君了承の上、有田君も了承の上、申合せをしておることがありますから、そのことにつきましては、淵上君の方でもひとつ御了解を願いたい、こう思います。
#69
○淵上委員 思い違いもあるでしようが、三日おいてその次に休むと約束したからそうやつたと言われるのは、つい前週四日やられたのであります。そういう思い違いのないようにされることが一つ。しかして理事會の申合せを尊重して申合せ通りにやると言われるなら、申合せ通りに道義心をもつて勵行していただくことを希望しておきます。なお私は何日かかつても納得のいかないというのは、たとえばさつきの問題でありまするが、小倉炭鑛の問題について聽いても納得がいかぬのであります。小倉炭鑛というのは先からあつた炭鑛で、おそらく大臣の言われたのは小倉一坑と言われたのでありますが、第一小倉炭坑のことだろうと私は想像するのであります。この炭坑のごときは、九月十五日の廣告で九月二十日までに株式を募集しておる。まだ滿株になつたかどうか、それすらわからぬのでありますが、今ごろ株式の募集をしておる會社が來年二萬トン出せるかどうか、きわめてあやしいのじやないか、ぼくはできないことだと思うのでありますが、こういう問題につきましても、明快なる答辯をしていただけば、五日も六日もかかりはしない。當局の答辯がはなはだ明快を缺く。それゆえに根掘り葉掘り聽かなければならぬ。これは根本に觸れる問題であります。その他今日までいろいろ聽いてまいりました。しかしながら、まことに遺憾でありまして、私の聽いておることは、納得がいかないのであります。おそらく出席されておる同僚委員諸君といえども、納得のいかない點が多々あつただろうと思うのであります。今日は申し上げるまでもなく、増産を非常に急いでおるときである。それゆえどういうふうになさるかというのにつきまして、たとえば増産對策を發表されておりますその増産對策をめぐつても、繰返し繰返し私は聽いたのでありまするが、遺憾ながら十分の納得ができないのであります。來年度の出炭計畫につきましても、先ほど來その根本に觸れて聽いておるのに、要するにいわゆる新坑についても私は納得ができてない。新坑というのは新たに坑口を打ちこんで始めるのが新坑と思つておるので、先ほどは七坑についていろいろ聽いておるのに、いわゆる第一小倉炭坑の部分のみについてだけが新坑であつて、あとは舊坑であるという説明になる。こういう状況では納得ができないのはあたりまえである。しからば第二年次の二十四年の新坑あるいは掘進出炭炭坑はどういう計畫かということを聽いてもしつかりした答辯ができない。私はこの際要求いたします。第一年次の三千三百萬トン現在鑛三千二百八十萬トン、五千六百カロリー、この三千三百萬トンをどこの坑鑛からどう出すかを、地區別でなく、炭鑛別に御調査を提出していただきたい。これを委員長からなるべく早く、なるべく正確に當局から出してもらうように御手配を願いたい。この要求をいたします。第二年次以降はまだ保留しておきます。今日まで大分長らく聽いたと言われるが、あるいは現在の日本の國家の統制力というものが、はたしてこの法案が期待しておるほどの力があるかどうかというような問題を聽いてみたけれども、これにつきましても、私は滿足した答辯に接しておりません。あるいはわが國の地層が火山脈を主とするので、各炭鑛々々にそれぞれ特殊性があるのだ、しかしてこの法案によりますれば、きわめて畫一性、總合性を建前とした法案であつて、これで畫一的な國家管理というものができるかどうかということを聽いても、しつかりした答辯に接していないのであります。あるいは現在の官廳事務能率を向上させまして、有力適切なる施策を講ずることによりまして、當面の出炭の促進をはかり、あるいは來年度以降の出炭の促進をはかることができるのじやないかということについても、先般聽いてもしつかりした答辯を得ていない。殊に勞働者の自覺矜持というようなものについては、大臣に聽いてもこれは納得した答辯に接していないのであります。なおまた出炭に關する坑内夫の生産意欲の向上につきまして、先般は坑内夫に限つて、たとえば勤勞所得税の問題、勤勞所得税の全廢を内閣に要求して、三十萬、五十萬の財源くらい犠牲にされたらどうかということを聽いたけれども、これに對しても、私はこれは當局の方針はわかりましたけれども、さらに反省していただきたいという考えをもつているのであります。今日までの質問を顧みますに、またたくさん各方面からお尋ねいたしたのであります。殊にイギリスの國營の實施の時期状況と全然日本の今日の場合は事情が違うのだ、御反省の餘地はないかということも聽いたけれども、これに關しては、しつかりしたお考えは表明されなかつた。いずれにしても、日にちこそなるほど長く續いて、私としてもいやな努力をしているのでありますけれども、根本はこの國家管理がはたして増産になるかならぬかという問題を考えますに、むしろ減産にこそなれ、増産になるというようなしつかりした御答辯に接しておらないのであります。私はまだ先ほど申しますように、いろいろ輸送方面だとか、その他につきましてもお尋ねいたしたいと考えておりまして、また考えているのみならず、適當な機會にお尋ねしたいと思つておりますが、さらに條文にわたりましても聽きたい點もいろいろあるのでありますが、熱心な同僚諸君の質問の機會も早く得たいから一應讓つてくれぬかという相談でありますならば、この際一應お讓りすることにして、質問は打切りませず、後日さらに質問の機會を保留いたしまして、今日はこの程度に中止いたしておきます。
#70
○伊藤委員長 次に早川崇君。
#71
○早川委員 國民協同黨の代表質問を試みたいと思うのでありますが、私たちは非常に詳細にわたつて大臣に御質問するつもりはなくして、大體今までの淵上さんその他西田さん、岡田君あたりが詳細に質疑されましたことを土臺にいたしまして、概括的に質問を試みまして、まだ多數殘つております委員各位に、十分の時間をお割きしたいという意味で、簡單に御質問申し上げたいと思います。
 第一に商工大臣竝びに政府委員に御質問したいのでありますが、先般の公聽會その他委員各位の質問を通じまして、私個人もこの法案には幾多の缺陷があると思つております。その第一點は、何と申しましても、經營者、政府、肉體勞働者の三位一體をうたつておりますが、やはりこの管理法案を再三讀んでみますと、しからば勞働者、經營者の責任の明確化と申しますか、その點がどうも不明確である。たとえば勞働者の方は、この法案によつて經營參加するなり、あるいは人事權、管理者を選ぶにいたしましても承認を生産協議會に得なければならぬという權利の點は非常に伸びておりますが、しからば勞働者のこの法案による義務というような問題は、どの程度織りこまれているのであるか、さらにまた經營者においてもしかりであります。政府が經營者の上に管理をするのでございますが、經營者の方は、この法案では義務が加重されておりますが、たとえば生産をどんどん經營者が増大していつた場合に、どういう報いを國家的にやるのであるか、さらに政府がこれを管理いたすのでございますが、政府が當然負うべき資金、資材、勞務、厚生の面において、炭鑛が要求し三千萬トン達成に必要とするそういつた手を十分やらなかつた場合に、どういう責任が生ずるのであるか、この法案が出る前の三黨會談におきましては、行政監察法のようなものができて、これによつてその責任の官吏が信賞必罰されるとは聞いておりますが、これもまだ出ておりませんので、こういつた三者の義務を規定しておるあるいは權利を規定しておるこの法案の中で、責任の明確化という點に對しまして、どういうお考えであるか。これは公聽會においても、しばしば論議され、また委員の前の質疑でも言われたのですけれども、もう少しこの點ははつきりした御答辯を願いたいと思います。
#72
○水谷國務大臣 ただいま勞働者、經營者竝びに政府の責任の明確化という點に關して、この法案はきわめて不明瞭であるという御指摘をこうむつたのであります。ただ私らの考えから申しますと、まず勞働者の場合をとつて考えますと、生産協議會において生産計畫竝びに勞務計畫に參加をする、そうしてそれによつてきまつた問題に對しましては、勞資とも責任を負うことになつております。それがうまくいかなかつた場合に、はたしてどうなるかという御質問でございますが、私は石炭というものが、日本の經濟危機打開のために、ある程度の生産増強ということが、絶對的の要請とされておる場合において、そこに勞働者なら勞働者が、生産協議會において責任を負うたものをはたさないときには、私は當然に社會的の責任というものが、いろいろの形においてわいてくるものではないかと思うのであります。私ら民主主義國家におきまして、やはり一番大きな責任というものは、社會的の責任という點にあるのではないかと思います。この點過去の日本におきましては、アメリカなんかに比べて、非常にその點は不明確であつたのでありますが、今後の民主日本におきましては、あらゆる責任のうちにおきまして、社會的の責任、社會に負うところの責任というものが、一番重要な責任になるのではないか、このようにわれわれは考えておるのでございます。從いまして、生産協議會において、勞働者が責任を負いましたところの生産量というものを、勞働者が故意にそれをサボるとかいうような場合において、ある一定限度の罰金とか、あるいは懲役とか、そういうものは規定されておりませんが、それよりももつと大きな社會的な責任、社會的な批判、社會的な糾彈というものが、勞働者の上に課せられるのではないかと思います。これは私は經營者の場合においても同じではないかと思つております。それでは政府の責任というものはどうなるかということになれば、私は現在のこの日本の經濟危機におきまして、一たびこの法案が通過いたしましたときに、政府が當然保證せねばならない資金、資材において齟齬を來しまして、それが大きな原因となつて石炭の生産増強が行われなかつたという場合におきましては、政府はあえて議會の不信任とか、そういうふうなものをまつまでもなく、當然政治上の責任をとらねばならないというぐあいに考えておりますので、そのように考えてみますと、いわゆる勞働者、經營者竝びに、政府、それぞれの立場におきまして、責任の明確化ということが、そういう規定において行われておるのではないか、このように私は解釋をしております。
#73
○早川委員 一般論といたしましては、今商工大臣の言われたのも一應了承できますが、さらにつつこみまして、たとえばこの前久保山炭鑛研究所の所長が言われておりましたように、大體一人當り五トン掘れる人と、一トン掘れる人がある。その場合に、大體の體格によりまして、平均の採掘量というものが當然出てくるのではないか。そういう面で勞働者が抽象的に生産割當重の責任を負うというのではなくして、個人個人がこの法案通過と同時に、それだけ勞働者の權利は伸びたのであるから、それと同時に一人當りの責任はこうだ。それを通過すれば、この前淵上君も言つておつて非常によいと思つたのは、ソヴエイトの例を引いて、基準量以外は賃金は二倍になるとか、三倍になるとか、これも一つの參考になる考え方でございますが、實質的に石炭を三千萬トン、四千萬トン掘らなければなりませんから、具體的に裏づけをする意味で、この際勞働者の一人當りの基準量というものの責任の明確化、これは法案で規定するのは、あるいは法律技術上どうかと思うかもしれませんが、緊急對策というようなものでそういうものを明確化していく。さらにまたイギリスの勞働黨の炭鑛國營に對する一つの意見の中に、すでに國營に移された炭鑛の國營を廢止する意思はない。しかしながら、石炭廳の炭鑛經營状況を調査して、議會が炭鑛業の監視をするという一つの政策が織りこまれております。これなんかも、今商工大臣が申されたよりも、若干具體的に一歩前進しておると思うのでありますが、特に勞働者と政府というものに對する責任の觀點で、具體的なそういう提案を私はいたしたいのですが、この點について、もう一度お伺いいたします。
#74
○水谷國務大臣 たとえばこのたびの法案が通過いたしましたときに、山々の生産協議會におきまして、生産局長から指示された生産量に對して、いろいろ檢討して、そこで一つの結論ができると思います。その山の生産協議會において結論が出ますが、その結論は大體組合の幹部なら幹部が、一人當り五トンなら五トン、六トンなら六トンということを含んで、そういうようなことが生産協議會において結論が生れてくるのではないかと思うのです。だから生産協議會におきまして、生産量の結論が生れたときには、大體その鑛夫一人當り何トン掘らねばならないという生産責任というものがわいてき、それを前提として行われるものであると思います。さらにこのたびの、いわゆるマツーカーサー元帥の書翰に答えました石炭非常對策のうちにおきましても、勞働對策のうちにおきまして、作業規則というようなものを指示いたしまして、できるだけ團體協約その他の形で、その作業規則を基準として何らかの服務規律というようなものをつくつてもらいたいというぐあいに、われわれは考えておるのでございます。從つてこの法案におきましては、その作業規則その他の點はございませんのでありますが、最近發表いたしました石炭非常對策の中において、その構想は述べておるというような關係でございます。あらにまた政府というものの責任でございますが、政府は石炭問題に關するあらゆる面におきまして、國會に對して責任を負わなくてはならぬのでありまして、國會が特別に石炭のためにその政府の責任を明確にする委員會をつくられるかどうかということは、これは國會自身の自由意思でありまして、それらができました曉においては、政府はそれに對して服從するといいますか、監督を受けるということになるのではないか、このように考えております。
#75
○早川委員 今のと關連いたしまして、管理局長あるいは石炭廰長官にお伺いいたします。今商工大臣は大體の三千萬トンの責任量というものから逆算して、勞働者がどれだけ掘らなければならぬということを言われました。私はそれをひつくり返して、たとえば今四、五十萬人の炭鑛勞働者がおり、さらに坑内夫はそれより少いのですが、逆算して一人當り――戰爭前に比べまして今の一人當りの單位生産量は非常に減つておりますが、もつと科學的に、たとえば一人當り三トン掘れるということで逆算して、今の勞働者の數をそれにかけて一體どれぐらいの石炭が掘れるのか。三千萬トンから逆算していくという商工大臣のお考え方は今までの考え方であるが、逆に勞働者の一人當り、これだけのカロリーと、これだけの魚と、副食物と、娯樂とを與えて――大體戰爭前の採掘量から比べてあまりにも低いので、むしろ逆算して一人當りこれだけ掘れるのだということから出して、勞働者の數をかけた數量をはじきますと、おそらく三千萬トン以上出るのではないか。三千五百萬トンぐらいの數字になるのではないかと思うのですが、これに對してひとつ具體的な作業をやつていただきたい。それからそれに對するお見透しを、この席でできればお伺いしたいと思います。
#76
○渡邊(誠)政府委員 お答えいたします。炭鑛の出炭量につきまして、生産能率の關係――御承知の通り、生産能率と申しますのは、勞働力による能率と、設備あるいは運轉資材というような、主として設備の生産に對する能率力、能率と申しますか、それとその切羽切羽に應じた炭層の自然條件、まあ炭層の自然的條件を基礎にいたしまして、設備能率と勞働能率と二つが合わさつたものが生産能率になるように考えます。從いまして、一箇月採掘一人當り五トンあるいは五トン何分というような能率と申しますのは、生産能率のことでございまして、これがただちに勞働者のみの能率ということにはならない。從つてその作業場における勞働者の一人當りの生産量、すなわち生産能率は、どういうことになるかというときには、一方炭層の状態と設備の状態とを合わせ考えなければ、勞働者の働く意欲、あるいは技能のみによつて生産率をきめるわけにはいかない、こういうふうに考えられる。特に戰爭前の一應設備が完備しておりまして、それに對して補修資材その他の補給が比較的圓滑にいつておつた當時においては、その方が一定して滿されておるものという假定のもとに、勞働者の働き、能率だけをもつてはかることもできたわけでありますが、現在では全部については當らないかもしれませんが、一部には働きが足らない勞働者があり、一方やはり設備の復舊が十分な状態に達しておらないということも認められますので、この兩者と合わせて生産の能率をきめていかなくてはならないのではないか、過去の統計からだけでは無理である。結局そういうことになりまするので、生産能率というものは、正確に申しますと、個々の作業場、また個々の切羽というような所によつてきめられ、特に能率給と申しますか、請負制に屬しておる採炭夫のごときは、その切羽の條件に應じて賃金もやはり能率に應じて支拂われることになるわけであります。つまと請負單價というものは、今申しましたように、これだけの炭層の條件に對してこういう設備能力をもつておつて、これだけの人員を配置したから、この切羽では一人當り十何トンの出炭ができるということで、その切羽の請負單價というものはきまる。そういうわけで、結局お説の通り、山元の個々の切羽の能率、あるいは出炭量というのが足し合わされて、そこの山の出炭量がきまつて、それを在籍人員で割りまして、一人當りいくらの能率で掘らなければならないかということが、きまるわけであります。
 ところが、どの程度で個々の能率をきめ、その山の能率をきめるかという點につきましては、一應自分の山あるいは自分の勞働者の力をどの程度に出すかということを自分たちの力に應じて一應計畫いたしますが、一方に國民の要請といいますか、日本の國としてどうしても少くとも最低この邊の數量の炭は出さなければならぬという需要面が現われてくるわけけでありまして、その需要面から來た數字というものを、いかに出すかということが、先ほど來から申し上げた炭鑛のそれぞれの切羽の力に應じた生産能率をもつて考えられた生産數量と、需要面から來た目標との調整をはかつて、それに達するようにというので、創意くふうをこらして出炭能率、すなわち生産能率を上げるという方法を生み出す、こういう形になつて目標がきめられていくものだと思います。
#77
○早川委員 もちろん渡邊さんの言われるような意味の總合的な一人當りの採掘量ということから、一應そういうように逆算してやつてみてくれということを仰せられたのですが、それはやらないというわけではないのですね。これは公聽會のとき影山氏が言われておつたのも一理あると思つて言つたので、やらないというふうには今受取れなかつたのですが、あまりにも設備が――戰爭前に比べて、今の一人當りの採掘量の差ほどは、設備は悪くないと思つておる。だからいずれにしても、一人當りの採掘量をうんと上げていくということを――逆算していくという方法も、これまた一つの考え方であると考えますので、ぜひひとつそういう面を、この前研究されておつたようなことも入れまして、御勉強願いたい、こういう意味であります。
 二番目の質問でありますが、その要點は、管理主體の行政力、政治力という問題についてであります。この炭鑛國家管理法は、増産對策というよりも、増産のための基礎組織でなければならないと私は理解しております。從つて技術的に言えば、増産できるような一つの組織なり、わくなりをつくるというのが、すなわち臨時石炭管理案であつて、具體的の増産というものは、資金、資材、勞務の對策になるわけであります。しかるにこの組織法である炭鑛國家管理法案の管理主體というものは、どうしても政治力なり、あるいは行政力なりが充實しておらなければ、資金、資材、勞務の對策を立てる場合に、決して増産にならない。從つて私はこの前この法案が出る前の三頭會談においても主張いたしたのでありますが、現在の石炭廳の方がおられたので、非常に言いにくいのでありますが、率直に申しまして、石炭廳の政治力なり行政力は、私は弱いと思います。この臨時石炭鑛業管理法案は、畫期的の法律でありますが、この機會に政治力なり、行政力なりを、大幅に強化しなければならないというのが私の信念であります。ところが、この三頭會談のときに、われわれの主張したのは、たとえば地方炭鑛管理委員會におきまして、この案では前の商工局にちよつと毛を生やした程度の石炭局にかえておるわけでありますが、これではいかぬのであります。石炭は今食糧も要る、輸送も要る。金も要る。總合行政の一つのピークをなすものでありますから、當然これは炭鑛が所在しておる府縣の知事というものの力を大いに活用して、これにも責任を負わしたような管理主體をつくらなければならない。全國的に見ますと、この案では商工大臣と石炭廳の長官が最高の責任者になつておりますけれども、資金の面をとりましたら、すぐに大藏大臣の關係になつてくる。勞務の關係になると、厚生省なり、勞働省の關係になつてくる。輸送の面になつてくると、運輸省の主管になつてくる。北海道の炭鑛視察の報告、その他をしさいに檢討してみますと、わずかな炭車なり、貨車の足りないのが隘路になつております。ところが日本の國有鐵道からみると、そんなものはわけない數なのであります。何ゆえにこのわずかな炭車が隘路になつて、石炭の輸送ができないのか、それがふんづまりになつて増産できないのかと調べてみますと、運輸省では石炭などはどうでもよい、おれの知つたことではないという考え方が、結局問題の根本をなしておる。それから資金の問題も、なかなか何十億という金がきまつても、それがなかなか出てこない。窓口で非常に停滯してしまう。やれこれはどうだ、これはどうだということで、非常に細かく追求しておる間に、資金は今度はその場その場の運轉資金にも困るということになる。これも調べてみると、正直に申しまして、大藏省というものは、いかに石炭が日本經濟再建のもととは言いながら、自分は責任をもたぬものでありますから、そこに熱意がわいてこない。煎じつめて考えてみますと、日本經濟の再建は、どうしても石炭でなければならぬと聞いておるし、私も二年來そういうことを申してきておるのでありますが、しからばこの炭鑛管理法案をつくるときに、どうしてもう少し管理主體の政治力なり行政力を、總合的に日本政府全體の責任の上にもつていかないのかということが、私の第二の疑點でございます。たとえばこの管理法はこれとして、商工大臣が全國炭鑛管理委員會の議長なり委員長になられるということもいいかもしれないが、それと同時に、政府全體、たとえば總理あたりが、その最高の責任者になつて、各省の大臣を入れて石炭會議というようなものをつくつていくのもよろしいでしようが、あるいはまた全國炭鑛管理委員會の委員の中に、大臣はちよつと無理かもしれませんが、關係各省の次官を入れていくとか、そういう方法を講じなければ、せつかく組織法はできたが、その組織たるや弱體だということでは、畫期的な石炭増産は望めまいと思う。從つてこの點は、商工大臣も前の大臣であつたときには、經濟安定本部長官もおられたので、それを了承しておつたと思うけれども、法案を見ると、何らこれに對して觸れておらない。從つてこの法案は悪くすると姑の嫁いじりのようになる。國家の資金がどこに使われておるかということは、詳細に臨檢してやりますけれども、積極的な今まで以上の行政力を政府が發揮して――ちよつと炭車がなくなつた。運輸大臣に電話一本で現場まで炭車が動く、副食物がなくなつた。農林大臣の指令一本で魚がどんどんはいる。娯樂施設がなくなつたというと、これは厚生大臣の所官でありますが、映畫も慰問團もどんどん行く、というような強力なものにしたい。この點に對して商工大臣の御意見を伺いたい。委員長、安本長官もお呼び願いたいのですが、一應質問申し上げます。
#78
○水谷國務大臣 ただいまの早川委員の御構想は、一つの構想といたしまして、相當尊重すべき問題であろうと思います。そういう構想に基いてかどうかしりませんが、一時石炭廳を内閣の直屬にしてやつていこうという案が、吉田内閣時代に起つたのでありますが、その後いろいろの關係經路を經まして、むしろそうするよりも現状のままにして何とかくふうする方がほんとうの生産増強になるというので、ただいまのような結論に達したのであります。石炭が非常に重要であるから、内閣總理大臣の最高責任のもとにおいてこれをやつていくというのも、一つの構想であるかはしりませんが、私はむしろこれは石炭というものに限らずに、經濟復興會議なんかの構想のように、經濟最高會議というようなものができて、そこに早川君の御指摘なされたような構成なんかも織りまぜて、その經濟最高會議において、しかも一環として石炭問題を扱うていくということが、私は現在の計畫經濟の行く道ではないかと思うのです。石炭がいかに重要であるからといつて、石炭だけを獨立させまして、それを内閣總理大臣の最高責任のもとにおいて、あるいは商工大臣、運輸大臣、大藏大臣がやる。さらにまたそれでは貿易が大事だから貿易にもそういうことをやるということになりますと、結局總合性というか、現在の計畫經濟制というものがつぶれてくるのです。だから私はそういう構想は、むしろ石炭に限るのではなしに、經濟復興會議の一つのアイデアとして言われておるところの經濟最高會議というような所で、そういうような調整をする。そして直接の責任をもたすものは、直接の責任に限定して、それで責任をもたすというぐあいにいたしますとともに、さらに第六十條におきましては、ただいま早川君の御指摘のように「關係官吏は、炭鑛管理委員會の會長の許可を受け、會議に出席し、意見を述べることができる。」ということになつております。各省の次官は、その會議に行つて意見を述べるのは適當でありますが、しかしほかの委員と同樣に採決に加わるというようなことはどうかと思います。さらにこの協力命令の條章は、これは商工大臣の協力命令でなしに、各省主務大臣が協力命令を發するということになつておりますので、經濟最高會議いうものと、商工省なら商工省、石炭廳なら石炭廳の直接責任、さらにこの協力命令と、各主務大臣の動きというものと結びつけていく方が、この管理主體の政治力の發揮になるのじやないか、このように私は考えておる次第でございます。
#79
○早川委員 經濟最高會議というものがどういうものであるか、ちよつと具體的にわかりませんでしたが、私の考え方も一つの尊重すべき意見であるというお話でありましたが、私はなぜこういうことを申すかと申しますと、戰時中の飛行機生産というものの體驗を私はもつております。あのときに日本が戰さに勝つためには飛行機だということで進んだのでありますけれども、いわゆる悪い總合性――商工大臣は總合性と言いましたが、悪い總合性にとらわれまして、やれ軍艦も要る、やれ戰車も要る、やれ鐵砲も要るということで、せつかく三萬機なり四萬機なりできる國力をもつておりながら、稀薄になつてほとんどできなかつた。二萬よりできなかつたというような苦い體驗を、日本國民はもつておる。これは多少事例が差障りがあるかも知れませんが、日本經濟再建という面においては、食糧と石炭ということになつておりますけれども、食糧はこれはあまり資材も要るものではございません。從つて問題は石炭でありますが、輸出産業の振興にいたしましても、インフレの防止にいたしましても、今のところ公平にいつて論議し盡された。最も日本經濟再建をするのにはどうするかといつて掘りに掘つて、最後にかちつとダイヤモンドを射止めたところが石炭だつたわけであります。ところがこの石炭というものが、石炭によつて中央突破をやつて、インフレ防止、あるいは産業復興をするということは、政府も一應そうなつており、國民の世論もそこへきて、それがいわゆる傾斜生産とか何とかいうことになつたわけでありましようが、いわゆる總合性ということは、非常にアメリカのように資源がゆたかである所はいいのでありますが、非常に貧弱な資源である日本が、あれもやり、これもやるということになりますと、結局日本經濟は再建しない。そこで私はいわゆる總合性という考え方はおやめになつた方がいい。中央突破の經濟再建でなければならぬ。こういう信念をもつております。そういう觀點から今の石炭行政なり石炭事業をながめてみますと、決してほんとうの意味の總合性のために石炭が出ないのではないのであつて、具體的な例は先ほど炭車の例を言いました。さらにまた資金の面、資材の面も、具體的に炭鑛へ行つてみると、日本の國力ではこの程度よりできぬかというと、決して私はうそでないという感がいたします。要はこの總合性という意味が、日本の國力の單位當りの限界生産力と申しますか、限界效用度というものが、最高度に發揮されたという意味の總合的な經濟再建ならば、これは結構です。言いかえますと、これを個人の例で言いますと、死なないまでに飯が充足されて、初めて他のものに金が使える。これが個人の場合であるが、日本經濟の再建という面を見た場合には、一應三千五百萬トンの石炭を掘るのに必要な鐵なりその他のものを充足して、初めて他のものに移つていくというのが、國内の限界效用度を發揮する一つの策でありますが、その點がいわゆる總合性という名前のもとに、十分實現されていないと思う。そうなると、結局じり貧經濟になりますから、組織の面におきましても、中央突破的な行政力の構想を申し述べたのであつて、この點は審議の過程において、十分政府竝びに委員各位と御相談したいのですが、政府も十分考えていただきたい。そうしなければ、消極的な管理の效果はあがりますが、積極的な増産という面において不十分になるということを、私は恐れるのであります。これが第二點でございます。
 第三點は、これも今までの公聽會なり、あるいは委員各位の質疑の總合的な判斷から申して、大きな問題です。この法案に盛られているところの内容の中で、非常に重要な問題は、いわゆる能率の問題と民主化の問題であります。特にこの條文では、企業の人事權、經營權にまで生産協議會が、相當大幅にはいつております。二十四條なんかを見ますと、「指定炭鑛の經營者及び從業者は、炭鑛管理者のする業務計畫の實施に對して、協力しなければならない。」ということでは、本來、上であるべき事業主なり經營者が、自分より目下の炭鑛管理者に協力しなければならぬ。上下の系統がこれによつて亂れてくる。それから公聽會で、ある勞働者の方が申したように、今までの軍隊は、下士官、兵というものは作戰計畫というものを知らされないで、ただ命令に從つておつた。これではいかぬ。それと同じように、司令官に當るのは經營者、あるいは工場長でありましようが、一勞働者まで全部業務計畫なり、經營全體と知らせなければならぬ。これは理想論かもしれないが、軍隊の場合にも、下士官、兵に至るまで作戰計畫というものにタツチしていなければいかぬというのでは、能率の點では軍隊にならない。ここに大きな問題が伏在すると思います。私はロシヤ、アメリカ及びイギリスの國有の例をも調べてみましたが、ソヴイエトの國有國營の實態を見てみますと、炭鑛の長は勞働組合の意見なんかは少しも聽いておりません。それぞれの權限において、命令でどんどんやつていく。英國の炭鑛の國有條例をしさいに調べてみますと、この炭鑛管理法案は、その面ではイギリスの炭鑛國有國營よりも、むしろ一歩前進しており、過激であります。イギリスの炭鑛國有國營の勞働組合なりの意見は、やはり限られた面であつて、いわゆる業務計畫なり業務命令などは――ラスキーはイギリスの國有國營のほんとうの手本にすべきものはイギリスの陸海軍の組織であると、ある委員會で強調しておりますが、そのようになつておる。そこで非常に民主的にすべてを生産協議會に諮らなければならないとか、あるいはまた業務計畫も何もかも、非常に民主的で、世界に類例のない進歩的なものかもしれないが、そういつた點で、民主的な組織を擔つておるけれども、能率的でないという憾みが、この法案の大きい缺點ではないかと私は思う。これは特に人事權、經營權の問題にも絡んで來ますが、あまり生産協議會に氣兼ねしないで、能率的な面をもう少し考えられなければならぬ。ラスキーの言う國有國營の理想は、陸海軍のあの能率だということも酌んで、若干これを整理して、能率的にやるお考えはないか。これが非常に大きい問題だと思いますが、商工大臣の御意見をひとつお聽きしたいと思います。
#80
○水谷國務大臣 ただいまの早川さんの御質問は、非常に基本的な問題でありますが、能率と民主化ということになると、どうしても國家管理と國有との差異の優劣がどうかというところまで掘下げていかなければならないと思います。なるほどイギリスのような國有國營の場合においては、ラスキーの言葉のように、陸海軍の職階制というようなものも入れることはできますし、また入れる方がよいと思いますけれども、今度の法案のように、企業形態は變更しないで、私企業と公の企業とを、能率的にかみ合わそうということになりますと、そこに軍隊式の指揮命令のような簡單なわけにはまいりかねるのではないかと考えております。ここで私がくどくどと國營と國家管理との優劣を論ずることは避けたいと思いますが、根本問題はそこなのです。そこで結局これまでの企業形態を變更しないで、むりに軍隊式の指揮命令をもつてこようということになつても、はたしてその指揮命令通りに勞働者が服從するかどうかということが、大きな問題であるのであります。從つて國家管理の場合においては、國營のような直截簡明の形をとることはできないで、ある程度納得ずくの運營ということが、ぜひ必要になるのでありまして、文書その他手續の上で書きますと、ある程度のいわゆるジグザグ・コースというものが、必然惡として出てくるのではないかと思うのでありまして、その點はきわめて抽象的でございますが、私はそういうぐあいに考えておるような次第であります。
#81
○早川委員 國有國營なれば非常に軍隊的に能率的であるというのですが、私企業の形態も、またなかなか能率的なのですから、國有國營だけが能率的だというお考えはちよつとなんですが、私企業も人事權、經營權というものを企業主がもつておれば能率的にいくわけでありますが、生産者、勞働者竝びに政府の三位一體ということが、八方美人になり、八方ふさがりになる。人間においても八方美人が八方ふさがりになるという例は多々あるのであります。眞に三位一體が八方開きになるというのならば増産になるわけでありますから、先ほど申しましたように、國家管理することによつて、國家全體で管理するのだという管理主體の行政力が強化して、すぐにも資金でも資材でも各省の大臣からぱつぱつと指令がいつて片づくというような面で、政府が八方ふさがりでなくて、八方擴がりの一翼を擔う、勞働者はこの國家管理によつて單位生産割當量というものに義務を負つて、今まで一トンなら一トン生産するというこの面で八方擴がりの一翼を擔う、經營者は經營者で、そういう面でまた擴がつていくというような方面にいけば、何も國有國營よりも能率が惡くなるとは、私は思わないのですが、その點はこの法案の死命を制する重要問題でございますから、また後ほど討議あるいは審議の面で觸れてみたいと思います。ただここに重要な問題は、能率の問題と絡むのでございますが、この法案によりますと、業務計畫、人事その他に、ずいぶん生産協議會に勞働者が一々はいる、これは結構でありますが、それは結局搾取されないということが勞働者に意識されれば、非常によいわけなんで、搾取されないようにこの法案を考えろということになると、私はどうしても、これは經營と資本の分離ということを明確にうたうべきではなかろうか。この前の西田君の質問に對しまして、商工大臣は經營と資本の分離はしない、資本も認めると言つておられましたが、今までは民主黨の政調會か何かで西田君が話しておつたのだが、經營と資本の分離ということは、民主黨の黨是であつて、經營と資本と分離しないということは間違いであるということを聽いたことがありますが、この經營と資本の分離ということになりますれば、實質上搾取というものの疑いは、非常に少くなるわけであります。すなわち經營技能者としての經營主でなくして、資本家としての株主とか何とかいうものを一應分離しますから、それの處分というものは、炭鑛管理委員會なり、あるいはまた政府が關係して處分を決定するわけであるから、そこには國有國營とさして違わない、搾取がない、資本に對する適當な利潤の配當ということは、これは搾取でも何でもありません。それは理論的にも資本に對する利子というものは、過去の勞働の蓄積に對する當然の配當であるから、これが過重なものでなければ搾取ではない。そこでそういつた面で非常に曖昧にお答えになつたが、この法案がいやしくも進歩的であると主張されるならば、經營と資本の分離ということも、明確に示すべきではないか、これはこの法案をつくる過程において認められておつた、少くとも民主黨なりわれわれなりは、そう了解しておつたのだが、商工大臣は非常に思いつきの御答辯をなさつたように思うのであるが、この點お答え願いたいと思います。
#82
○水谷國務大臣 その點にお答えする前に、ちよつと早川君の誤解があつたのですが、さつき私國有國營は能率的、國家管理は非能率的といつたのでなしに、あなたがラスキーの言葉を引かれて、軍隊組織にするのがよい、それは國營の場合にはそういうことができるが、國家管理の場合にはできないということを言つたのでありまして、その點は誤解のないようにお願いしたいと思います。それからいわゆる搾取云々という議論がありましたが、私はざつくばらんに申しますと、この法案は分配論の上に立つて國家管理をわれわれは考えたのでないのです。この國家管理は、生産論の上に立つて國家管理を私らは考えておる。たとえば社會政策の面においては、過去において社會政策という學問があまりにその分配論に偏つておつたということが論議されまして、社會政策における生産の面というものが強調されて來たのが、この頃の仕會政策學における一つの傾向になつておるのであります。このたびの國家管理というものは、搾取とか分離とか、そういうものの上に立つておるのでなしに、少しむずかしく言えば生産論の上に立つておるのが、この法案の特徴であるというぐあいに御了承願いたいと思うのであります。そこでそういうものを言えば經營と資本の分離を搾取防止の意味から考える必要はないのでありますが、なるほど經營と資本の分離ということは、早川さんも言われたように、民主黨の重要なる政策の一つになつておることも、私は知つております。しかしながら、現在の日本の石炭の増強というものは、將來において伸びるとともに、現在においてもこの過渡期において生産を落さずに切りかえていこうというのが、この法案のねらいなのです。だから私はこの際理論的にはつきりと資本と經營の分離というものをやりますならば、言葉をかえて言えば、資本と經營の分離というものは、過去における石炭企業の經營體をば原則として變更することになるのでありますがゆえに、そこに當然過渡的のブランクが起る。いわゆる生産のがた落ちというか、一つの退調というものが行われる。ところが日本の經濟危機打開のための石炭の生産増強という絶對命令の上から申し上げますならば、たとえ二年さき三年さきに生産の増強ができましても、現在における生産低下ということは、絶對に許されないほど、日本の經濟危機というものは押しつまつておると私は考えておるのでございます。私がこの際民主黨の政策に、資本と經營の分離論があるにかかわらず、ことさらにそれを曖昧にしておるということは、別に民主黨に對して遠慮も何もしておるものではございません。またその他の人々に遠慮しておるものでなしに、われわれは現在の石炭事情というものは、將來において伸びなくてはならないとともに、現在においても、その生産は絶對に落してはならないという不動の信念に立つて、經營形態は原則として變更しない。從つて資本と經營の分離はやらないというのは、私の信念であるから、だれにも遠慮しておるものでないのです。その點は御了承願います。
#83
○早川委員 あと二、三點御質問申し上げます。米窪勞働大臣がおられたらいいのでありますが、おいでにならぬので、ちよつと私に納得のいかぬ問題がありますから、商工大臣にお伺いいたします。それは西田君がこの前衝かれておりましたが、石炭事業というものを公企業に入れて、公企業並みの勞調法の扱いをしようという。これは私は正論であると思う。米窪さんは公企業の性格が鐵道よりも低いというようにお話になつておられたが、これほど誤つた日本經濟に對する認識は私はなかろうと思う。これも最初の議論からさかのぼつてくるのではありますが、この日本經濟再建における石炭事業の公企業性を認めないような大臣では實は困るので、そこに私は石炭を當然公企業扱いにして、爭議も一箇月も餘裕をおくというようなことにすべきではないかという私の考え方であります。これは單に爭議だけの問題じやございません。現實に起つておる問題は、たとえば北海道の山で、ばくちなんか打つた連中が解雇になつた。ところが炭住を占領してやみをやつて、勞働者に非常に悪影響を及ぼしておる。私企業である以上、私はこの問題は解決しない。立退きさすこともできまいと私は思う。公企業扱いいたしますと、これは業務妨害以上の根據が出てくると私は思います。そういう面では、今後不良な勞働者の住居立退きという問題におきましても、非常に有效な解決方法となると思うのでありまが、これをこの際公企業扱いにして、勞働問題なり、そういつた炭住不法占據というような問題に對して、備える必要が大いにあると思うのであります。勞働大臣はそうしなくても運營ができるというお話でありますが、商工大臣は一歩前進されたからいかがであろうか、その點お伺いしたいと思います。
#84
○水谷國務大臣 この問題に關しましては、西田君の御質問に對して答えた通りです。生産を擔當する省といたしまして、石炭に對してそういうような考えをもちたいというのは、商工大臣として西田委員に對してお答えした通りであります。米窪君の言うのは、なるほどあの勞調法の規定によると、勞働大臣の指定によつてやられるが、しかし早川君も御案内のように、つまりあの委員の過半數でなしに、經營者の委員の過半數、中立委員の過半數、勞働者の委員の過半數というぐあいに、三つの各部門の過半數をとらなくてはならぬ。資本家あるいは中立の場合の過半數はとれますかしれませんが、勞働者だけの委員の過半數をとれるかどうかということに對して、非常に危んでおられるらしいのです。そこでそういうぐあいにいたしまして、それに對する何かの解決の方法がつかない限り、今の勞調法の規定のままでは、ただちに石炭企業を公企業に指定するという自信は、勞働大臣にないのではないかと思います。しかしながら、商工大臣の立場からいたしましても、勞働大臣の立場からいたしましても、あの勞調法によつて指定された企業に對しては、國家管理が行われるが、石炭企業というものがあらゆる意味において公益性があるという點に關しましては、勞働大臣も私と同じ意見ではないかと思うのです。ただ問題は、そういうような勞調法の規定によりまして、石炭を公企業に指定することが、はたして現在の規定のままでいけば可能であるかどうかというところに、勞働大臣の苦慮があるのではないか、このように私は考えておる次第です。
#85
○早川委員 次の問題については、安本長官がお見えになりませんから、商工大臣から御意見を承りたいと思います。それは要するに石炭の生産三千萬トンが、各山に割當てられますが、この割當量を超過した分は、自由處分しろという意見です。これは和田安本の、物價體系なり何でもかんでも安全に統制してしばつてしまう窒息的政策から申しますと、まつこうから反對するようであるかもしれませんが、從來はマル炭という制度がありまして、そこに若干の伸縮性がもたされておつた。ところが國家管理になりまして、そういう途が全然なくなつた。マツカーサー元帥からの書簡にもありますけれども、物事には濶滑油なり、あるいはまた、たとえば百パーセント割當量を供出してさらに二十萬トン生産が上つたという場合に、上つた分は經營責任者竝びに勞働者の大きい手柄である。この手柄に對して、淵上君も言いましたように、思い切つて能率給を認めて、勞働者を優遇してやる。これはまつこうから贊成であるが、それと同時に、もしその炭鑛全體の努力に對して、それ以外の分は自由處分ということを認めれば、いろいろな點で差障りがあるならば、マル炭制度を復活して、自由に資材をとつてこい、自分のお世話になつた工場に石炭をやれ、そういう親心があるのが、實は社會黨内閣本來の面目ではないかと私は思う。これは和田さんに聽きたいと思つていたけれども、何もかも完全に統制して、潤滑油がない政策は、これは行詰るのではないかと恐れるのであります。石炭の問題にいたしましても、三千萬トンの割當以外のものは、マル炭の制度を復活するなり、あるいはまた思い切つた自由處分をさせて、炭鑛の工場長なり、經營者なり勞務者の利益、あるいは厚生施設にまわすという親心のある石炭管理法なり、増産對策を講ずべきではないかと私は思つている。これは主食の場合でも、魚の場合でも同じであつて、人間の利己心と公共心は半々であると私は思つているが、完全な統制というものは悪平等に終つて、かえつて人間を窒息さすわけであるから、石炭の問題においても、三千萬トン以上の生産に對しては、何らかの措置を講ずる必要があるのではないか。これは安本長官に話すべき問題でありますが、これに對して商工大臣の私見でもよろしいから、お答え願いたいと思つています。
#86
○伊藤委員長 早川君にちよつと御了解を得ておきますが、和田國務大臣は、今日午前中から病氣で、今自宅に歸られて靜養中のようであります。治り次第出席してもらいますから、和田國務大臣に關する件は、保留しておいていただきたいと思います。
#87
○水谷國務大臣 三千萬トン以上石炭が出た場合の自由處分というのは、ちようど食糧問題に對する自由處分の議論が一部世に行われているのと同じでありまして、食糧の自由處分ということは、食糧の多くの部分をアメリカに依存しなければならない日本の食糧事情において、理論的にも實際的にもなり立たないと同じように、三千萬トンと申しましても、それは日本のいわゆる完全敗北のどん底につき落された生産をば、少し上へ向けるというだけの程度でありまして、この三千萬トンというものが、決して十分なものでないことは、早川君も御承知の通りでございます。これを五千萬トン、あるいは四千萬トンにしなければ、日本の經濟の復興はなり立たないのでございまして、從つて三千萬トンでは、日本の生産カーヴを上にあげるというだけであります。そういうところからいきまして、この三千萬トンで日本の經濟が十分復興できるという場合ならば、その自由處分の理論的、實際的の根據が出てくるのでありますが、石炭の三千萬トンということの意義を、私はさように解釋しておりますので、自由處分の御意見に對しては贊成いたしかねます。これは經濟安定本部の和田君も、まつたく同意見であると私は確信しております。ところがこのマル炭の問題でありますが、現地に行きますと、炭鑛の經營者の方から異口同音に要望され、さらにまた炭鑛をもつている縣の知事などから、私に向つて石炭の機密費をもたせてくれと言われる。初めは何のことかと思つたら、知事にいわゆるマル炭をよこしてもらいたい、そうすれば知事が石炭を機密費的に使つて、その炭鑛に要る資材を入れようという。これは私が現地に行くともつともな意見だと聽かされる。また配炭公團の地方の支局といいますか、そこらの幹部の意見を聽きますと、このマル炭制度というものに非常に魅力をもつている、ただ理窟から申しますと、流通秩序を確立さえすれば、マル炭制度というものは認める必要はない。ところがその流通秩序、緊急經濟對策において、經濟のかなめと言われた流通秩序の確立が時間的にずれている。そこでマル炭というものの必要が非常に叫ばれるのぢやないか、このように考えておる次第であります。しかしながら、今こういうような公の席上でマル炭問題を持出されますと、前の淵上さんにお答えしたように、マル炭制度よりもその本流であるところの流通秩序の確立をやる方が先決問題であるというより、責任ある商工大臣としてはお答えできないことを、ひとつ御了承願いたいと思います。
#88
○早川委員 商工大臣の今の御答辯では、三千萬トン以上要るのだから、それ以上のものをマル炭なり、あるいは自由處分するのはむずかしいと言われておりますが、これは官僚の机上案である。國防國家であれば、完全に官廳がその石炭なりを全部握らなければならぬ。その命令によつて必要な部面にまわさなければならぬというのでありますけれども、今日においては、それによつて間接的に生産意欲が上り、あるいはまた勵みが出るというのであれば、結局は國民全體の石炭の受取る量というものは多くなる。全然石炭の要らぬ所に捨ててしまうのではない。だからその點で今のお考えは、非常に官僚の、人間の一つの箱に入れられた考え方であるので、これは石炭においても同じことであつて、私は今の商工大臣の一本で割切つていくということは、大きく見れば、ちようど一日が晝だけでなしに夜というものが要らないようでも要るのだ、これは捨てたものではなく、夜というものがあつて一日が成立つているのと同じような意味で、直接的にはつかみ得る數量は少いかもしれませんが、總合的に國民全體の經濟復興ということになりますと、萬事に非常な勵みになりますので、その點は僕は、官僚の机上論であり、あるいはまた人間を單に合理性だけ見ていくいき方であるので、どうしても承服できないのですが、まあこれは論爭になりますのと、直接には安定本部長官の今の安本政策との問題になりますから、この邊で保留しておきます。
 最後に、これは三黨首に出ていただきたいとは申しておいたのですが、まだおいでにならぬし、そう私は長く質問するつもりはありませんから、まあ商工大臣にお伺いいたしておきたいと思います。この石炭鑛業管理法案に對して、國務大臣であり同時に三黨の黨首である方と――もちろん閣議で御決定になつたのであるから、責任をもたれると思うのでありますが、三黨首のこの法案に對する關係であります。その點どうも不明確な點がございますので、重要な面におきまして、商工大臣の提出になつたものが、一部保留は別として、安全な御了解が濟み、責任を國務大臣として三黨首である方ももつておられて出されたのかが、ちよつと曖昧な點がありますから、その點ひとつ最後にお聽きしたい。
#89
○水谷國務大臣 この法案がいろいろの紆餘曲折を經まして閣議の決定になつたことは、早川君も御案内の通りでございます。しかしながら、いろいろの意見はございましても、閣議で決定になつたものについては、これは三黨首だけではなしに、われわれも一樣に責任をもつものでありまして、その點は、どういうことを早川君はお尋ねになるのか、ちよつと抽象論でわかりませんでしたが、閣議の決定に對しては、各大臣は一樣にその責任をもつということは、これはもう明々白々の事實であろうと思います。
#90
○早川委員 各條文に對して、若干まだ御質問したい點がございますが、これは、ほかの發言者が十分なる討議の時間を得た後に、時間があればお伺いすることにいたしまして、私の質問を終りたいと思います。
#91
○伊藤委員長 本日はこの程度に止めておきたいと思います。明日は午前十時より經濟力集中排除法案の方との懇談會を開くことになつております。午後からは本會議等がありますので、次會は公報をもつてお知らせすることにいたします。
 本日はこれをもつて散會いたします。
    午後三時四十五分散會
ソース: 国立国会図書館
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