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1947/10/31 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第26号
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1947/10/31 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第26号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第26号
昭和二十二年十月三十一日(金曜日)
    午前十時五十七分開會
 出席委員
   委員長 伊藤卯四郎君
   理事 大矢 省三君 理事 岡田 春夫君
  理事 青柳 高一君 理事 生悦住貞太郎君
   理事 澁谷雄太郎君 理事 早川  崇君
      今澄  勇君    衞藤  速君
      松本 七郎君    萬田 五郎君
      村尾 薩男君    生越 三郎君
      岡部 得三君    庄  忠人君
      長尾 達生君    西田 隆男君
      三好 竹勇君    神田  博君
      深津玉一郎君    淵上房太郎君
      前田 正男君    高倉 定助君
 出席國務大臣
        商 工 大 臣 水谷長三郎君
 出席政府委員
        石炭廳次長   吉田悌二郎君
        商工事務官   渡邊  誠君
        商工事務官   平井富三郎君
        商工事務官   石坂善五郎君
 委員外の出席者
        專門調査員   谷崎  明君
        專門調査員   保科 治朗君
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 臨時石炭鑛業管理法案(内閣提出)(第六四
 號)
    ―――――――――――――
#2
○伊藤委員長 これより會議を開きます。
 前會に引續き、臨時石炭鑛業管理法案を議題とし、質議を繼續いたします。前田正男君。
#3
○前田(正)委員 昨日の御説明の中で、私と御意見の違うところが大分あるのでありますが、その點はまた別の機會に讓ることにいたしまして、ただいまここで二つばかり重要な問題がありますので、ぜひともお伺いしたいと思います。それはほかでもないのでありますが、増産對策要綱と本管理案と竝行してやつていつても、現在の本年度の三千萬トン計畫量通りうまく行くのだというような大體のお話でありますが、現在私の見るところでは、どうもそのやうにいつておりません。しかしながら、この増産對策要綱が、さらに現在どの程度まで政府は仕事をやつておられて、また實際現場の方に、どの程度までそれが浸透しているかについても、私はほとんど何らの資料をいただいておりません。實は現在本年度三千萬トンが、十分に效果をあげておるように思いませんし、その對策要綱は、私が知つておる範圍では、ほとんどまだ實行されておらないように思います。この點につきまして、實は私は一般的な質問を終つて、後半の質問にはいる前に、具體的にひとつ各項目について、現状はどうなつておるかについて、御説明をお聽きしたいと思います。從つてできましたら、その前に資料をそろえていただいて、各項目別に、政府はどういうふうにおやりになつておるか、現場ではどういうふうに今行われつつあるかということについての御答辯を、後ほどお伺いしたいと思つております。
 その次の點でありますが、それは昨日の大臣の御説明で、經營協議會は分配、生産協議會は生産というふうに分割するのであるというようにおつしやいましたが、この點は誤りではないかと思つております。經營協議會は分配だけを今までやつておつたのではないことは、だれしも御存じだろうと思います。いろいろな生産の目標につきましても、勞資相談機關として、從來とも利用されておつたろうと思うのでありますが、この點は相當今後の現場における勞資關係に重大なる影響を及ぼすことと思いますので、この點に對して大臣の御意見をお聽きしたい。
#4
○水谷國務大臣 私の申しました意味は、あるいは言葉が足りませんので、前田さんの誤解をこうむつておるかどうかは知りませんが、私の認識によりますれば、經營協議會は分配本位だ、生産協議會は生産本位だというぐあいに、私は説明したつもりでございまして、その生産と分配とを二者切離して考えるわけにはいかないのでございまして、今の日本の經濟の状態から申し上げますならば、生産をば増強しておいて、そうして分配の公正をはかるというのが、これが本筋の行き方であるのでございまして、私はどちらに重きをおくかというような意味で申したのでございまして、今前田さんのおつしやつたように、その二つをはつきりと切離して、これはこうだ、これはこうだというぐあいに言うたのではないのでございますから、その點はひとつ御了解を願いたいと思すます。
#5
○前田(正)委員 今のお話の經營協議會は分配本位だということも、これは多分現在の現實の經營協議會に對して、私は認識が違つておるのではないかと思います。もちろん經營協議會を通じて、實はいろいろと現在までの生産の目標に對しまして、勞資の意見を山から聽いてこられるということは、現實にあるのじやないか。また昨日も淵上さんから資料の要求がありましたときにも、各山に諮つてからでないと、來年度の三千三百萬トンの豫想を立てることは、山に諮つて――ということは經營協議會に諮つてということになるのではないかと思います。これは炭鑛の現在の實際の生産状況におきまして、やはり經營協議會は、分配本位で實際その仕事をしておる。それだけ分配の仕事もしておるでしようけれども、やはり生産計畫の遂行、いろいろなものに對しての諮問ということについては、相當重大な役割をしておつたように思うのであります。この點は、私の質問と關係ないようでありますけれども、この點は一般の現状に對する認識の重大問題でありますから、よく御答辯いただきたいと思います。
#6
○水谷國務大臣 私は繰返して申し上げた通りでありまして、重ねての前田君の御質問でありますが、今までの答辯を變更する必要はないと思います。
#7
○前田(正)委員 それでは次の質問にはいります。このいろいろな利用計畫とか何かを立てまして、それを實施するまでには、相當の期間がかかると私は思うのでございます。昨日來官廳の事務は相當早くできるようなお話がおありでしたけれども、私はどうもそういうふうに思いません。計畫を立てましてから、指令や許可をもらうまでには、相當の期間がかかると思うのでございます。それで現在の状況においては、どうしてもいろいろな條件が變つてくると思います。實はわれわれがはいると思つておりましたものが、現物化する方でその條件が變つてくるのではないか。從つてまた計畫も變る。こういうことでありまして、實は計畫を年中立てて、それをまた指令をもらうまでの間に、年中會議をしたり、また許可をもらつたり、指令をもらつたりということで、その間にそういう計畫と、變更と、その手續との間に、時間がほとんど費されてしまうのではないか、こういうように私は思うのでございます。私はやはり管理をする以上は、ある程度のわくを定めてもらつてやらないことには、どうも實際の管理というものはできないじやないか、管理の實務はやつていけないのではないか、こう思いますが、この案でいきますと、計畫に對しては一々許可指令をもらはなければならぬと思いますが、この點に對しまして――私はこれは増産のためには、この管理案では非常にむづかしいと思いますが、どうでございますか。
#8
○平井(富)政府委員 生産計畫につきましては、この法案におきまして、生産數量等の指示を生産局長からいたすわけであります。石炭局長から指示を受けますと、その業務計畫に基いて生産を實行するということに相なるのでございます。ここで運用上特に考えておりますことは、資材、資金等について、あらかじめ豫測できる大きな變更があるという場合には、もちろんただちに炭鑛側にも連絡いたしましすし、その結果計畫の變更ということに相なると思うのであります。但し日常の資金、あるいは特に資材關係等において、入手状況が計畫通り一〇〇%いつたか、あるいは九〇%やつてもらつたか、あるいは八〇%やつてもらつたかという程度のことは、日常の業務の遂行上起り得るのであります。そのために若干生産に影響を來すことがありましても、これは計畫の變更ということではないのでありまして、そういうやむを得ない事情によつて計畫が實施できなかつたということになると思うのでありまして、その程度の、日常起り得る程度のことにつきまして、一々計畫の變更の手續をとるということは、考えておらないのでありまして、當然豫想し得る、また相當大幅な修正が起り得るという場合に、計畫の變更という手續に移つていくように考えておる次第であります。
#9
○前田(正)委員 今のお話の、當然起り得べき變更というものを、どういうふうに御制定になるか、私ははなはだ疑問でありますし、しかし管理者の立場から見ますと、それはそういうふうに制定してもらえることがはつきりしているならば結構でありますが、もし制定がはつきりできないというようなことになりますと、後ろの方に罰則がついておりますので、罰則で威かされます。從いまして、これは管理者の立場からいけば、なるほどこの程度のことは常識で認めてもらえると、こう思つていながらも、どうしてもやはり後ろの方に罰則の規定がありますので、やはり一々許可を申請しなければならぬ。あるいは一々それがためにその監督の立場におる官吏の方といろいろと連絡とか意見を聽かなければならぬというようなことで、實は實施計畫の變更、改變ということで、今のようなこういう計畫のやり方では私はやりにくいのではないか、どれだけのわくの中で、どれだけのことをやつてもよいというような許可をもらわなければ、やりにくいと思います。實は管理をやつている立場から見ますと、御承知のように、いろいろな隘路が出てまいります。この隘路の打開に當つて非常な熱意をもつて、自分が率先していろいろの手を次から次へと打つていく、こういうふうに、本氣になつてやらなければ、私はこれからの増産はなかなかむづかしいと思います。今までのような普通の樂な状況のときの増産と違いまして、これから日本の再建のための管理というものは、非常なむづかしい立場にあると思うのであります。それだけの熱意をもつてやらなければなりませんが、こういうふうな罰則を後ろに設けられて、許可を得なければならぬ、しかも變更に對しても許可を受けなければならぬというようなことでは、實際の管理はできないと思うのでうありますが、この點はどうでありますか。
#10
○平井(富)政府委員 この法案の運用の仕方につきましては、先ほど申し上げた通りであります。計畫を變更いたすという場合につきましての運用上のやり方、及びこの法案の解釋は、ただいま申し上げました通りでありますが、この業務計畫の指示、あるいは變更の指示、これについては罰則はついておらないのでありまして、業務計畫の指示につきましては、その業務計畫の指示につきましては、その業務計畫の指示を受けてそれの達成に努力するということを、當然法案とし豫想いたしまして、生産計畫自體の指示、具體的に申し上げますれば、それだけ生産が行かなかつたという場合においても、ただちにこれは罰則に行くということは、この法案に規定していないのであります。ただたとえば使うべき資材を使わないでほかに流したという事例がありました場合に、そういうことをやめさせるという勸告命令が出まして、その命令に違反した場合に、罰則の規定の適用があるわけでありまして、生産計畫の指示等については、一切罰則は適用いたさないというふうになつておるわけであります。
#11
○前田(正)委員 今の罰則の規定が適用されなくても、實際問題として管理の監督を受けますと、やはりその人たちの御氣嫌をとらなければなりません。あまり意に反したことはできない。この計畫變更の會議を始終やらなければならないと思つております。しかしその點はもう少し適用の點で考えていただくことにいたしまして、その次の問題として、この法案を實施するためには、どうしても餘分の計畫の書類であることが出てきます。從つてこれに要する人員といつたものが殖えてくると思います。ところが日本の現状においては、その人たちを収容する住宅、食糧というものが非常に少いのでありまして、やはり現在の限られた設備、限られた範圍内においては、どうしても現場の作業に從事する坑内夫であるとか、實際の管理をする人などを、まず充實していかなければならぬと思いますが、その點はどうもこの法案ができたために、事務的な現場から離れた職員が殖えてきて、それがために設備が有効に利用されないことになると思います。その點は増産に對して非常な支障になると思いますが、どうでありますか。
#12
○平井(富)政府委員 この法案につきまして、管理をいたしますために、中央、地方の行政機構が現在の人員よりも相當殖えるという結果になると思います。それから炭鑛自身におきまして、生産計畫等について會議を開くことも當然起つてくるわけであります。第一階の行政機構の點につきましては、現在の山の經營、行政というものがぴつたり行つていないということも、現在の増産隘路の一つになつておると思います。從つて今後資材、資金等の全體の行き方を考えてみまするに、今後のインフレとも見合せまして、重要な産業に對する資材、資金の充足ということは、どうしても國の計畫に基いてこれを充足していくという方向に向わざるを得ないのではないかと思います。從つて行政を行いますための人員の充實ということは、數の問題もございますが、同時に質的に炭鑛經營に當つた經驗のあるりつぱな人が管理者の中にはいりまして、行政面と經營面との調整ということを合理化していきたいと考えておりまして、それによつて國の行政というものが、經營と間然するところなく、強力に推進し得る道ではないか。そういう大きなプラスがございますので、若干の人員の増加は、これで十分補い得るのではないかと考えております。それから生産協議會につきましても、これは先ほど來大臣からもるる申し上げておるように、結局山の業務計畫自體につきましても、勞務者に責任をもたせる。同時にその地位を認めるという意味からいたしまして、現在の經營協議會制度というものを、むしろどつちかといえば生産本位からいろいろな問題を議していくという面から、生産協議會制度を設定したのでありまして、その運用によりまして、やはり山の生産計畫自體が同時に遂行されるという大きな利益があるのじやないか。またこの生産協議會は、經營協議會の機能も實質的に引繼いでいくということになりますので、この法案によりまして、今までなかつた會議が非常に殖えるというようなことも言えないのじやないか。現在でも經營協議會において各種の協議を行つておるわけでありますが、その經營協議會の制度も、質實的に受け繼いでいくというふうに考えておりますので、この協議會制度の制定によりまして、從來そういう協議が不必要であつたものが非常に數が殖えてくるというようには考えておらない次第でございます。
#13
○前田(正)委員 私は今の點について、もう一つこういうことが一番問題になると思います。それは現在の日本の生産の現状を見ますと、實は事務關係の仕事をしている人間が、實際生産をしている人間よりも非常に多い。私は炭鑛のことはあまりくわしく知らなかつたのですが、この間から資料をいただいて讀んでみると、やはり坑内夫に對して坑外夫の割合が多い。この法案をつくつたために、實はそういう書類作成の人であるとか、あるいは連絡の人であるとか、そういうふうな實務外の人が、非常に今度殖えてくるのじやないか。私たちは今まで實際に管理をやつておりましたときの立場から言いまして、そういう實際生産に從事しない事が、どんどんと殖えてくると思う。これは現在の日本の生産機構が未だに戰時中のそういつた事務系統の人の殖えた機構をそのままもつております。政府も最近においては行政整理とか、企業整備とか、そういうふうな考えをもつておられるように聞いておりますが、この點はこれらの逆行する立場になるのじやないかと思いますが、どうでございましようか。
#14
○平井(富)政府委員 この國家管理の制度によりまして、たとえば業務計畫の届出等の問題が起つてまいりまして、その面の事務が殖えるということはやむを得ない事項じやないか。と申しますのは、それによりまして國の生産への寄與すべき部分というものが百パーセント效率的に動き得るようにねらつたためでありまして、いわゆる自由企業で十分生産し得る經濟状況のもとにおける生産のやり方というものとの違いであると思います。しかしそういう煩雜な事務手續というものは、極力これを避けなければならないのでありまして、そのために一番山との接觸の深い石炭局の構成におきましては、十分經驗のある者を局員にいたしまして、たとえば實情にうといところの炭鑛に經驗のない官吏が、いきなり炭鑛現場に行つて仕事をするようなことになりますと、いきおいよけいな資料、よけいな書類を要求するようになると思いますので、これらは石炭局の構成局等につきまして、そういう弊害の起らないように、十分注意いたしていきたいというふうに考えておる次第であります。
#15
○前田(正)委員 今のお話百パーセント國家的な效率が上つてくれば、もちろんなるほどその通りであります。實は先ほど申し上げた通り、現状の日本においては、設備、資材資金等において不十分な點があると思います。そういつた點からいいまして、國家的な立場からやるといつてそういつたむだな方ばかり伸ばしていきましたならば、資金とか、食糧とか、そういつたもので行き詰つてくるのであります。これは日本の國家經濟全體の問題にも關係してきますけれども、鐵道で必要だから鐵道の人員を殖やして早く復舊しなければならぬというよう行き方では、私はいかないと思います。やはりわれわれは現在われわれの許された範圍で間に合わせていくについて、どちらがプラスであり、どちらがマイナスであるかという點を研究しなければならぬと思います。どちらが能率的であり、どちらが合理的であるかという問題に變つてくるだろうと思います。ついては私はそういう點から、昨日來御質問しているのでありますが、この問題は別にいたしまして、次に私はこの法案を讀みまして感ずることは、本社の經營の機能とういうものが相當無視されておるように思う。炭鑛の現場中心になつているようである。しかしこれでは私はどうしても今までの本社機構というものを置いて、資金とか資材であるとか、緊急な連絡の必要があればこそ、本社機構というものが置かれておつたのだと思う。そこにもちろん相當の人件費も使つてやつておつて、それだけの仕事が十分あるのであります。そういつた仕事がなければ、何も今までそんなものは置いておくはずはないわけであります。ところがこの仕事をこの際斷ち切つてしまうというようなことになりまして、それに代るべき機能というものが、私は石炭局であるとか、管理委員會であるとかいうようなもので、十分賄つていけるという點については、非常に疑問があるのですが、その點について疑問があるのですが、その點について自信がおありでありますかどうか。
#16
○平井(富)政府委員 ただいまの點でございますが、資材、資金等につきまして、行政力というものでこれを補つていくことが絶對必要でありますので、どうしてもそこの關係を合理的に調整していきたいとうのが、この法案のねらいであります。從いまして本社の機能というものを、この法案におきまして抹殺するということではございませんので、むしろ本社で行つております機能の一部で國家の行政を合理的に調整した方が、むしろ國の行政が増産の方に強力にいかれ、效率的に行われるという點につきましては、むしろ行政の中に本社の機能もはいつてもらつて、そこで行政と本社という機能が合一調整されるようにもつていく方がいいじやないかというように考えておるわけであります。それからまた本社と現場との關係におきまして、現場をまつたく切離して獨立性をもたせるということも、この法案には豫期しておらないのでありまして、たとえば企業計畫、業務計畫の策定は、本社が最終的に企業としては決定して石炭局長に提出することになるわけでありますが、その面におきまして、本社としては、現場の事情、現場の意思、現場の希望というものを、やはり十分尊重して計畫立案していくことで、でき上りました業務計畫が、圓滑に遂行でき得るという點をねらつておるわけであります。從いまして、たとえば炭鑛管理者の選任の問題につきましても、企業側においてこれを選任するという形式をとつておるわけでありますが、その選任につきまして、現場の意見も尊重していくという建前で、この法案の構成ができ上つておるわけであります。それから實際の業務の問題でありますが、炭鑛管理者が實施の責に任ずるというふうにいたしましたのは、現在の行政とも關連いたしますが、できるだけ行政の面も經營の面も、現場で片づけ得るものは現場で片づけていきたいという趣旨から出ておるわけであります。從いまして、たとえば資金、資材の面におきまして、これは本社でやつた方が非常に效率的に行くのだという業務の面が實質的にございますれば、これは企業者におきまして、炭鑛管理者の代表權を制限いたすというようなことをいたしまして、企業ごとにそこに適富な業務の分擔をきめて、要するに増産のためにこの仕事は本社でやつた方がいい、この仕事は現場へ任した方が早く處理できるというような適宜な分擔の方法をきめていつたらどうかというふうにねらつておるわけであります。
#17
○前田(正)委員 今のお話の中で、本社の機能をなるべく行政の機能の中へもつていきたいという趣旨であるというお話でありますが、私はこの點がもつとも重大な問題であると思います。實は私たちの考えでみると、こういう一つの事業というものが成立つていくためには、實際には、きの實務を擔當していく經營機能が動いていくためには、どういうことが必要であるかと申しますと、私の考えでは、やはり同じ會社で利害を同じくするものが、自分の利害、その會社、事業體の利害及び國家の利害というものを一致させなければ、私はほんとうに働いていこうという氣持が出てこないと思います。それを行政の中に本社の機能を入れていこうという行き方では、私は戰爭中の軍管理のやり方と同じようなことになつていくのではないかと思います。戰爭中におきましては、軍の監督官とか軍の監理部とか、いろいろなものができまして、中央と地方と事實上連絡がとれる、しかもそれを實際現場の工場と合一させる、こういうつもりでその當時の方はお考えになつておりましたが、實際はそういうよそから來た人が、いろいろな實際困つている問題、隘路を率直に眞劍に打開してくれた例は、私は寡聞ながら聞いておりません。また管理されたために非常に能率が上つたという例を聞いておりません。そういう一つの事業の形態、そういう經營機構の中に、よそからそういうふうな管理者とか監督官とか、委員會とか、こういう人が入つてきたんでは、私はほんとうの事業體の經營機能というものは、完全に動かないのではないかと思う。それを行政と一致さしていこうという考え方は、私は全然なし得ないと思います。この法案は大臣はたびたび示されて官僚統制でないという御意見でありますが、私はこのへんが一番官僚統制的な機能をもつているんではないかと思うのであります。この意味において、私はほんとうの民間の經營機能というものは十分に發揮し得ないのではないかと思うのであります。これに對して、どうも私の考え方とだいぶ御意見が違うようでありますが、こういう考え方は、私は戰爭中の軍管理的な官僚統制の行き過ぎであると思うのでありますが、その點に對しての御意見を伺いたいと思います。
#18
○平井(富)政府委員 ただいま本社の機能を行政に吸收するということを申上げたのでありますが、本社の全機能を行政に收容していくという意味ではございません。現在本社で行つております機能の中の一部分を國の行政でやつております面と調整をすることが増産に適當である部面もあると思うのであります。たとえば資金、資材等の要請も、經營者の現在の状況におきましては、經營者の能力ということよりも、國の資金計畫、資材計畫がどう決定するかということが先決になるわけであります。こういうふうな計畫をきめます際にも、やはり企業に經驗をもつた方がその計畫設定にあたられることが、やはり國の計畫が行政面におきましても、増産に百パーセント役立ち得るのじやないかという點で申上げたのであります。從いまして、本社の機能として存置すべきものは存置する、その際できるだけ現場で即決していく、そういうために、この法案の趣旨ができているのでありますので、具體的に企業の状況によつてその業務の分擔を決定していくことが主當ではないか、こういうふうに思いまして、この法案においては現場の管理者という制度をもちまして、いわゆる支配人な代表權、代理權というものを制定しておりますが、その次の條文におきまして、その企業の實情に應じて、業務の分擔をきめていくというふうにいつておるわけであります。一つの企業として經營ということに、いわゆる行政官吏が、一つ一つ些末な指揮をするということは、全然考えておりません。むしろそういとうことをしないために、民間の經驗者を官吏にいたしまして、行政として當然増産になすべき仕事を能率的にやつていくのが、この管理法のねらいであると考えておる次第であります。
#19
○前田(正)委員 今のお話でありますが、本社と現場いうものは、やはり同じ會社の中の一つの事業體でなければならぬと思いますが、その間にそういう官吏の方が口を入れることは能率的であるかどうかいうことを、私はお聽きしたのであります。一つの事業體に對して、いろいろな國家的な命令が出てくる。これは當然であると私は思いますが、その事業體であるところの本社と現場の擔當管理都との間に、いろいろな官吏の權限がはいつてくるということは、はたして能率的であるかどうかということを、私はお伺いしておるのであります。
#20
○平井(富)政府委員 現場管理者をおきまして、これにきめられました業務計畫の遂行につきまして、現場で處置し得る事項については、現場で迅速に處置されるという原則をとりましたので、石炭局長が、この實際の業務計畫の實施について、炭鑛管理者に對しまして指示をいたすというふうに考えておるのであります。從つてその面において計畫設定、その他企業の運營について、こまかい指摘を石炭局長はするということではございませんので、この管理の目的といたしますところは、増産にあるという點からいたしまして、また石炭局の構成からいたしまして、この法案につきまする眞の業務計畫をいかにすべきかという點に、重大な問題があるのであります。業務計畫の遂行という點については、本社において遂行すべき部分、現場において遂行すべき部分、こうでございますが、これが遂行に當つては、むしろ行政官廳としては監督、指導、援助という面が強く出てくるのじやないか、かように考えておる次第であります。
#21
○前田(正)委員 先ほど申しましたように、本社機構というものはこれは必要性があるから私はあるのだと思います。ところがその同じ事業體との間に石炭局長であるとか、その他からいろいろな話合がそこにはいつてきますと、私は本社と現場との間は現在のような一つの事業體としての有機的な働きをもちにくいのじやないか、ここに私は大きな問題があると思いますが、この點については、どうしても本社の氣分と現場の氣分は分離されてきて、一つの經營體としてのその機能は發揮できにくくなつてくると思いますが、その點はどうですか。
#22
○平井(富)政府委員 この法案でねらつておりますのは、企業の經營の仕方についても、現場中心にしてやつてもらいたいというふうに考えておるわけであります。しかしたとえば東京に本社をもちますことが、資金の借入等について便宜であるという場合において、東京に本社をもつということを妨げるものでもございませんし、そういう合理的な分擔をきめていきたいというように考えておるわけであります。しこうして現場で業務計畫の實施をいたします際に、その業務の遂行について、ただいま申し上げましたように、石炭局長が日常の業務のやり方について、命令指示をするということは、運用上考えておりません。從つてその業務計畫の實施について、計畫遂行に非常な障碍になるようなやり方があるというような場合に、監督上の命令指示というものが發動されるわけでありまして、日常の業務の運營については、現場の意思を十分尊重していきたいというのが、この法案のねらいであります。その範圍内において、石炭局長が現場管理者に對して命令指示をいたすということになるわけでございまして、石炭局長が現場管理者の行う日常の業務について、一々指圖をするということは考えおらないのであります。しこうして命令指示を出します場合には、管理委員會に諮るということによりまして、その命令指示なりが、そういう法案の目的といたしました事項を逸脱しない、運用よろしきを得るということの一つの保證にも相なる。かように考えておるわけであります。
#23
○前田(正)委員 今のお言葉は非常に結構でありますが、日常の業務には、一つ一つ指示をしないというようなこと、まことにそうなければならぬと思いますが、しかも計畫に對しては、局長からいろいろと指示がある。しかもさらにいろいろと官吏の方が命令するというようなことになりますと、實際にこの工場を運營する立場の人から言いますと、一々指令を仰がなくてもよいとはいうものの、どうしてもその擔當官のところに一々了解を得なければならぬ。また了解を得ないと後ほどいろいろと支障を來してくるというのが、私は現状でないかと思います。軍管理の當時のお話をよく御承知だと思いますが、その當時でも、そういうこまかいことまで一々指令をすることになつていないのでありますが、實際はそういう管理者、監督者いうものが一つの機構の中にはいつて來ますと、その人の指示によつて――肝腎の許可をもらう場合に支障を來してくる。それがために實務の上において、その人たちの指示を受けぬと、どうしても仕事に支障を及ぼしてくるということになるのでありまして、これは私は非常に缺點だと思います。これを日常そういう管理者のところに及ぼさないで、本社のその國家的な指示が來るということは、私は結構だと思う。今の時代でありますから、國家から本社に對していろいろな指示をする。事業體全體としての指示がはいつてくるということは、當然のことだと思いますが、一つの事業にさらにこまかいところのそういうものがはいてくるということは、日常業務に携つておる人には、非常な影響を及ぼしてくると思うのであります。法文の上では、そのいう御説明になられるように書いてありますけれども、實際に實務をやる人の立場から言えば、そうはいかない。一々やはりその監督の立場の人の了解を得なければならぬということが、現實に起ると思います。
#24
○平井(富)政府委員 軍管理の當時におきましては、工場に一名ないし数名の監理官あるいは監督官いとうものを常置させて行つていたのでありますが、この法案におきましては、鑛山ごとに監督官あるいは管理官というようなものを常置させるということは考えていない次第であります。それから軍管理當時におきましては、生産に經驗のない軍人というものが、いきなり監理官、監督官に任命されて、工場に常駐したという點もございますので監理官の素質ということも、實際の管理の效果あるいは運用上におきまして、非常な障碍を來しておつたのじやないかというように感じておりますので、この管理法案におきましては、石炭局員の構成についても、從來の例に見ない制限というか、考え方をはつきりとここに揚げておりまして、石炭局の局員は、民間の經驗をもつ精鋭主義でいきたいというように考えますと同時に、一々鑛山に監督官を常駐させるという方法をとらなかつたのであります。
#25
○前田(正)委員 そのお言葉は、私もなるほど多少修正されておるように思うところがありますが、しかし私は現代の官吏の行き方というものは、昔の官僚獨善の氣風がいまだに殘つておるように思います。從いましてその一つの事業體の中に官吏がはいつていく。事業體全體に對して官吏が指示する。これはお言葉の通り事業體の中に官吏がはいつてくるということでは、多少その地方におられる局長さんその他の方々が、いろいろとそういうおつもりでおられても、實際にやられる官吏の方は、なかなかそう地方の方のお考えになるようにはいかないのが現情ではないか、私はこう思うのであります。この點はしかしながら、そん論爭しておりましてもいたし方ありませんから止めにいたします。
 さらに私は考えていきたいことは、先日來のことでもありますが、炭鑛官理者が行政の實際面をやる、そして現場でできるだけ處理できるようにしたいというのがこの法案の趣旨のようでありますが、これは私がきのうも申しましたように、實は炭鑛の管理者の職責から言いますと、この生産協議會では職責を果しにくい、それに制裁が加わつてくるようになつておりますが、從つてこれはどうしても管理者の仕事はやりにくい。しかもそれに先ほどから申しましたように、管理の人はいろいろ指示をいたす際、本社の機能と切離されておる。さらに經理の報告でありますとか、そういうことのために、いろいろと執務に追われる。こういうことでは、實際の責任を負わされた人、實際の山全體を見ていろいろな突發的な事項に對しても、適宜な處置をとらなければならぬ隘路も打開しなければならぬ。場合によれば、責任者として各方面まで出ていかなければならぬ。こういう管理の中心になる炭鑛管理者というものは、實務がやれるかどうか、實際の山の増産のため働く時間と比べて、こういう無駄なことに働かされる時間というものが比率にして大きくなつております。しかもそれが勞資双方から、また官吏の方からいろいろと責められてくる、こういうことになりましたならば、この法案の中心になつておる炭鑛管理者は、實際に仕事ができない。できないばかりでなしに、この間公聽會がありましたが、管理者になり手がない。こういうようなことを公聽會で言つておりましたが、私自身も自分が今まで生産技術者で、工場の管理をやつておつたのでありますが、戰時中でありましたから、われわれもやむを得ず協力してきましたが、こういうふうなことでは、とても實際の仕事がしにくいではないか、場合によればなり手がない、こういうことが事實ではないかと思いますが、この點に對してまして、こういうような法案でも、炭鑛管理者になり手があるかどうか、そういう御自信がおもちになつておるかどうか、この點についてひとつお聽きしたいと思います。
#26
○平井(富)政府委員 生産協議會と管理者との關係でありますが、生産協議會は、この法案の氣持から申し上げますれば、炭鑛管理者を輔佐していく機關というように考えておるわけであります。炭鑛管理者が現場の計畫を行つていく上におきまして、從業者はこれに協力しなければならないという一つのこれは宣言的規定でございますが、この規定をいたしまして、炭鑛管理者がいわゆる實質的の責任をもつ以上、從業者もこれに協力していくということを宣言いたしますと同時に、この炭鑛管理者がいろいろな仕事をやつていきます事項の基本の問題につきましては、生産協議會の議を經ていく、そういうふうにいたした次第であります。これは書きますと、いかにも生産協議會にかけなければならぬ、從つてその方面から申し上げますれば、生産協議會にかけるより、炭鑛管理者獨自の考えで計畫を設定し、これを實施していくということが仕事が早いというような感じもいたしますが、現在の炭鑛の生産の事情からまいりまして、やはり能率をあげてやつていく上におきましては、全從業者がこれに喜んで協力していくという仕事のやり方も考えいかなければならぬじやないか、その關係から生産協議會制度を設けたのであります。從つて生産協議會できめます事項は、先ほど申し上げましたように、日常の業務を遂行していく、個々の問題を生産協議會にかけるというのではなくして、すべて協議事項に關する基本の問題につきまして、これに付議していくということにいたしておる次第であります。
#27
○前田(正)委員 今のお話はよくわかるのでありますが、私の聽いた最後のこの管理者になり手があるかないかという問題があります。そういう自信をおもちであるかどうか。本社機能から離れ、あるいは官吏その他の介在のためにしかも困難なる日本再建のために炭鑛が増産をしなければならぬ。隘路を打開していかなければならぬ、こういう制約を受けたときにおいて、ほんとうの管理者としての仕事ができるか、そういうものになり手があるかどうか、そういうことを期待できるか。國家管理のことは別といたしまして、この法案の趣旨に書いてあるような、こういう管理方式の炭鑛管理者としてなり手があるかどうか、そういうことを私はお聽きしたいと思います。
#28
○水谷國務大臣 この問題に關しましては、昨日も御質問があり、またただいま平井局長からも詳細な御説明を申し上げておるのでありますが、この第三十八條の一から五までは、これは炭鑛の業務運營上の重要事項でありまして、その生産に携わるということが、その生産能率の發揮上きわめて意義あることでありまして、そういう見地からいたしまして、炭鑛管理者も、全山一致の協力態勢の先頭に立つて、できるだけその仕事をやりやすくするという意味で、こういうような基本的事項だけを、第三十八條で規定しているのであります。從つて一々個々の具體的な問題を規定するものではありませんから、これによつて炭鑛管理者の創意あるいは努力というものが、何ら制約されるどころか、かえつて生産協議會の運營は、その潤滑油になるという考えをわれわれはもつております。從つてただいまこういうような規定のもとにおいては、炭鑛管理者になり手があるかないかという御心配でございますが、われわれの考えるところによりますれば、こういう規定によつて、炭鑛管理者の責任と事業がやりやすくされる規定があるから、喜んで炭鑛管理者になる人があるというぐあいに考えております。
#29
○前田(正)委員 今のお話でありますが、生産協議會のことに對しましては、昨日もお話ししましたように、私と商工大臣とは見解が違つております。この間の公聽會でもそういうような意見が出ておりましたし、また私は今の生産協議會だけでなしに、本社機構と切離されたり、あるいはまたその中に官吏がはいつてきたりして、そういうふうな官僚統制のもとにおいて、しかも炭鑛をやつていこうという人がおるかどうか、炭鑛管理者は事業主から指定したところによつて大體きめていきたい。この案でいきますと、大體事業主の代理者として勞資の贊成を得た人を選んでいきたいという御意向のようでありますが、現在の經營機構の中で、そういうふうな經營擔當者の中から、そういう人を選ぶことは、事實上むずかしいのではないかと思うのでありますが、今のお話のように、なり手があるかどうか、現在の法案に對して贊成の立場の人を選んできて任命すれば、あるいはおるかもしれませんが、そうでなければ、これを選んでいくことは、私はできないんじやないかと思いますが、どうですか。
#30
○水谷國務大臣 私は一つの山をば經營されておる事業主、あるいはまたその山の坑長というような者は、われわれ第三者の目から見ては、はかり知れないところの山に對する愛著というものをもつているということは、これは言うまでもないと思うのであります。私はそういうような觀點から立ちまして、この三十八條によつて、そういうことを基本的に規定いておるということで、その山の愛著を捨てるというような事業主や、あるいは坑長というような人は、この日本には一人もない。このように確信しております。
#31
○前田(正)委員 大臣の御所信がそういうふうでおありになれば、まことに結構であります。しかしそういうことでもしこれを強行していくということになりましたならば、戰爭中の管理者と同じように、生産責任者のうちにはおるけれども、實際は生産について自分の指示のもとにその日を送るというふうな人ができてきまして、御期待の實際の管理の實務、どんどんと増産になるような管理の實務をやつてくれるような人があるかどうかについては、私は非常に疑問をもつているのであります。この點は皆さんがそういう官僚統制のもとにおける實際の管理は、自分が管理者として自分の責任を遂行するために率先してやるという自發的な氣持がわいてくるかこないかということは、よくお考えを願えばわかることでありまして、私は今までのそういう官僚統制下のおけるところの管理者の立場の人が熱心に仕事をしてくれるということは期待できない。たとえば今のお話の山に愛著があり、自分の利害もあるから、管理者として山にとどまらなければ飯が食つていけないという人ならどうしてもとどまらなければなりません。しかしそれでは私はこの法案に書いてあるような炭鑛管理者としての十分な責任を果すというような管理者じやないと思うのであります。この管理を擔當する人を一時その地位に置くことは、私は困難でないと思います。しかしながら、この法案の期待しているような、ほんとうの積極的な管理者を得ることは困難であろうと申しているのであります。實は先ほど來も御説明がありましたように、石炭局長であるとか、あるいは局員であるとか、こういう者には、第四十八條、第五十條にも書いてありますように、學識經驗ある人を選ばれる、先ほどの御説明でもその通りでありました。まことに結構であります。しかしながら、私はこの學識經驗のある人、管理の相當の經驗のある人が、はたして御期待に副うほど日本にたくさんおるかどうか。またその人たちが現場の實務から離れて、局員とか局長になられるということは、はたして石炭の増産のために役に立つかどうか、この點についての御所信を伺いたい。
#32
○平井(富)政府委員 この石炭局の構成員について適格者があるかどうかという考う方でありますが、この國家管理法案が施行される運びに相なりました場合において、この管理法案の精神というか、運用の方針その他が決定してまいりますれば、結局増産のために、山の行政と經營を合理的に調整していかなければならない、こういう趣旨から選定するのでありますから、やはりその趣旨に副つて充足を行つていくということになりますので、その充足については、十分愼重に進めることにいたしたいと思いますし、またこの趣旨が徹底してまいりますれば、私どもとしては、この管理を行つていくための人員の充足が可能であろう、こういうふうに考えおります。
#33
○前田(正)委員 その點は私と認識が違うようであります。なぜかと申しますと、日本においては、大體この經營の經驗者、生産技術者というものが少い。それが日本の現在までの生産の隘路になつている重要な點であります。またこれは從來の學校教育、その他の當局者がそういう方面の人の教育を誤つて少くしてきているのであります。まして炭鑛に經驗のある人は私は非常少いと思います。少くとも石炭局長とか、局員とかは、この法案は石炭の管理法案でありますから、管理の法案である以上は管理の學識經驗がなければならぬと思います。石炭に對する一般的な常識がある程度ではだめだと思います。この法案をずつと讀ましていただきましたらば、この局長、局員という人は、相當管理に對する經驗をもつていないと、なかなか執務ができないのじやないかと私は思いますが、そういう人がたやすく得られるかどうか、この點非常に疑問があると思う。なおたやすく得られないという疑問ばかりでなしに、この法案を實施するといたしましたならば、この石炭局長、局員がただちに充足されておらないことには、これは實際に仕事が運用できないのではないかと思います。愼重にこれから採用されるということを言つておつたならば、この法案は運用できないのではないかと思います。その點について自信がおありになるのかどうか、お聽かせ願いたい。
#34
○水谷國務大臣 ただいまの前田君の御質問でございますが、大體今豫算を折衝しておりまして、全國に石炭局員が何人という正確な數字はちよつと申し上げかねまするが、私は全國の山を見渡して、いろいろ從事されている人數等を抑え、さらにまた大陸關係の技術者、そういうような關係を考えまして、前田さんのただいまおつしやるような御心配は無用であるという自信をもつておる次第であります。さらにまた今から準備をしておかなければならぬじやないかということでございますが、さいわい今日の閣議におきまして、石炭非常増産對策實施に關する推進機關設置の件というものを案といたしまして、國管の足どりいかんにかかわらず、マツカーサー元帥の書翰にこたえたあの増産要綱をただちに推進するための機關を決定することになつております。それをやりまして、國管が通過の曉には、それが切りかわつてやつていくというぐあいにいたしまして、その點は萬遺漏なきようにやつていきたいと考えておるような次第であります。
#35
○前田(正)委員 その話は昨日私の述べました意見と同じで、推進機關をただちに御設定になることは非常に贊成であります。昨日も私はこの國管の論議に日を送るよりか、まず非常對策をただちに實行すべく努力しなければならぬのじやないかということを申し上げておつたのでありますが、大臣とマツカーサー元帥の書翰に關する見解が、最後において違つたようでありますけれども、具體的に進めていくのがほんとうであると思つておつたのであります。その點につきまして、本日の閣議でそういうものが決定になることはまことに結構であると思います。しかしながら、今のお話でその推進機關ができたから人員は心配ないというようなお話でありますが、自信がおありになるのならば、自信がおありになるという言質をいただいておきまして、これからおやりになつたときの經過を見せていただきます。しかしながらここにもう一つの問題があると思います。それはこういう經驗能力のある人は、現在の炭鑛におきましても、私は人は足りないんじないかと思います。その足りない人が、こういうふうな管理の法律ができたために、局長であるとか局員であるとかになるために現場を離れることが、はたして増産になるかどうか、この點はいかがありましようか。
#36
○水谷國務大臣 その少い云々ということは人によリまして物指が違うのでございまして、現在の日本の經濟状態は、あらゆる分野において人だけではなしに、絶對的に少いのでありまして、それをくふうしてやつていくというところに、現在の絶對要請があるのでございます。さらにまた御質問を聽いておりますと、大體技術屋さんを頭において論議を進められておるのだと――私の誤解かどうかしりませんが、そういう觀點に立つておられるんじやないかと思います。この石炭局は資本家あるいは技術屋、事務屋、さらにまた勞働組合の代表、そういうようなものが寄つて構成されるのでありますがゆえに、私は前田さんのおつしやるように、たとえば九州なら九州におきまして、あのたくさんの山から、大して數の多くない石炭局員を選ぶのに、そう困難があるようには毛頭考えておりません。
#37
○前田(正)委員 私は先ほども申し上げたように、技術者でなければならぬということは申しません。但しこの法案を讀みましたならば、これは管理の法案でありますから、管理に相當の經驗のある人でなければならぬと申したのであります。山の常識のある人だけではない。炭の常識があるとか、山を採掘してきたからわかつておるということではなくして、管理に相當に經驗のある人がなければ、この實務はやれないということを申したのであります。それは技術者であつても、事務屋であつても結構でありますが、そういう人は私はなかなか少いと申しておるのであります。しかしそれは充足されるというお考えならば、それで結構であります。この法案を讀みまして、實はこの法案になぜ盛られなかつたかと思うのでありますが、管理をすることになりますれば、どうしても勞働問題とか、殊に管理に必要な賃金の問題は、相當重要な問題であると思うのであります。こういう問題を切り離して管理の方式案を考えてみても、それは空論のように思うのであります。從いまして、こういう管理方式案というものをつくる以上は、それに伴うところの給與問題とか、そういつた問題を對策要綱へ出さないで、實際にこの法律の中に書いていつたらどうか。たとえば石炭の出來高拂制をつくるとか、あるいは二十四時間體制をとるとか、こういつたことは對策要綱にうたつてありまして、まことに結構と思いますが、こういうことは管理案として出す以上は當然その法律の中に含まれてくると私は思うのでありますが、いかがでありますか。
#38
○水谷國務大臣 それは前田さんの御意見でしようが、大體この法案というものは、石炭増産に對する組織法というか、總論でありまして、また別に各論というものがあるのでありまして、前に申し上げましたように、今度の石炭非常産對策要綱に今前田さんがおつしやつたように、作業方式とか、そういうものがみなあるのでありますから、はたして總論に讓るべき問題かということは、ひとつ十分に檢討せねばならぬと思うのであります。ただいま御指摘の點なんかにつきしまして、いわゆる石炭増産の組織法とも言うべきこの法案に書くのは、前田さんと見解を異にいたしまして、不適當ではないか、このように考えておる次第でございます。
#39
○前田(正)委員 大臣とその點は見解が違うのはまことに殘念であります。私は勞働の條件、勞働の對策、勞働の現在のやり方というようなことは、どうしても組織法の根本にはいつてこなければならぬと思うのであります。ただ管理者側に對するだけのいろいろな組織論を書いてみたところでむつかしいと思う。それと同時に勞働の根本的な問題に對しては、やはり組織論に書く必要があると、私は思つておるのであります。そういう點におきまして、實は事業主、管理者、經營者だけの法案であつて、非常に一方的な法案であるように思うのであります。そういう點に對して御見解が違うということは殘念に思つております。
 次に私はこの對策要綱に科學的な管理法の實施というようなことが書いてあります。しかしながら、こと科學的管理法のことでありますが、これには相當私は實際の作業を分析したり、總合したり、あるいは改善したり、いろいろ問題があります。作業を標準化するという問題も、私はあると思うのでありますが、この法案のような官吏の統制監督機構で一々會議をやつておるということは、はたして科學的な管理方策と矛盾しないかどうか。この點についてお伺いをしたいと思います。
#40
○渡邊(誠)政府委員 それでは増産對策要綱の科學的管理という字が、どういうことかという御説明を申し上げます。科學的管理と申しますと……。
#41
○前田(正)委員 その説明はよく知つておりますから結構です。その科學的管理というものが、この法案に書いてありますような、官僚統制式の會議とか、あるいは書類をつくつたりする管理方式と相矛盾するものでないということをお聽きしたい。はたしてこの法案に書いてある管理方式が、ここに書いてあるところの科學的管理方式と同じような方式であるかどうか、その點について私はお聽きしたい。
#42
○渡邊(誠)政府委員 増産對策に科學的管理と申しますのは、その炭鑛自身の内部における作業經營の方式というものを、もつと科學的に分析し、あるいは指導し、あるいは展開していく、こういう意味の問題でありまして、たとえばタイム・スタデイをやつて作業能率の判斷をして、そしてそれを經營の方針にもつていく。こういうような意味のことで、あるいは現在の設備能力を科學的に分解をして、はたしてこの山の一人當りの能率はいかにあるべきかというような點を檢討するということでございまして、それらのことを強力に推進していくということは、本法案とは矛盾はないように考えておりますが……。
#43
○前田(正)委員 私はその點は非常に大きな矛盾があると思います。私は先ほど申しましたように、科學的管理は實際の作業を分析し總合して改善していく、しかも作業の標準化をするということは、非常に必要であると思います。ところがこれは一體だれがやるかと申しますと、その管理者であるとか、從業員であるとか、實際に山で働いている人は、その科學的管理のために、相當の努力と自分たちの經驗を總合していく必要があるのであります。ところがこの法案のような管理方式でいきますと、そういう時間的餘裕はない。またそういうことをやつておるより、いろいろな管理統制のために書類をつくつたり、會議をやつたり、實際のそういう經驗者が自分たちの作業改善をやることより、そういうことに追われていく。實際これは工場の現場、こういう事業體の現場にはいつていただきましたらよくおわかりだと思います。實際に作業改善、作業指導をする管理者、職長、技師といわれる人たちも、それからここに盛られておる生産協議會に出てくる實際の立場の人も同一人でなければならぬと思う。そういうふうに經驗者というものは、別別の人が別々にやるだけの人はおりません。大體私はそういうことは同一人がやつておるのであると思います。從つてそのために、そういう人たちとの精力とか時間は非常に追われていく。これが私は今までは日本の實際の事業體に科學的管理が行われてこなかつた主たる原因であると思つておる。日本の生産が停頓してきたおもな原因は、そういつた經驗者、實力のある人がそういう科學的管理の方面に努力しなければならないのに、それだけの時間、それだけの精力を、こういう官僚結制機構の會議とか、書類をつくつたりすることに追われてきておる。そういうところに私は今まで科學的管理が行われなかつたおもなる原因があると思うが、その點はどうでしよう。
#44
○渡邊(誠)政府委員 科學的管理と申しますのは、御説のように常に山で所長以下鑛長、あるいてそれぞのしかるべき擔當者といえども、事業内容を科學学的に進めていくということは、常時やつておらねばならぬことであり、從來もやつており、現在もやつておると思います。その點については、ただいま前田委員の御説の通り、從來の日本の經營の内容に、科學的の管理方式の取入れられ方が少なかつたということは、炭鑛においても同様である。こういうふうに思つております。しかしながら、科學的管理と申しましても、別に新たなることをやるわけでなく、それ自身が經營作業方式の本體でありまして、向上さしていく本體でありまして、特にこの法案の實施によつて、そのために現在やつておるようなことがやれなくなるということはないと思いますし、この對策要綱の方で申しておりますのは、なおその山自身でおやりになつておることのほかに、そういう専門家の管理方式についての經験その他を炭鑛に實施させるために、外部から日本全體の技術を結集して應援していく。ある炭鑛におきましては、あの複雜な炭鑛の雜駁な炭車の運行について、これをダイヤをつくりまして正確運轉をする。それに應じて作業の方もまたダイヤに合わせたような作業をしないと、列車に乘り遅れるようなやり方を實施するということを、他の山に普及していくことによつて、九州方面では相當の成果をあげておるという實例も、現状において行われておる、こういうふうに考えております。
#45
○前田(正)委員 今のお話に對して、私は承服しがたいところがあります。それは科學的管理というものは、今確かにやつておるでしよう。しかし私は現状では不十分であると思います。この管理要綱に書いてありますように、これをさらに推し進めていく、最高度に發揮していくというのが、これからのほんとうにわれわれの期待するところでありまして、それが實際はこの法案ではやりにくくなつておる。こういう法案の管理をやつていきますと、そういうためにやりにくくなる。現状の管理方式の程度で滿足するならば、それでも結構だと思いますが、私はそういう程度では滿足し得ないと思うのであります。しかしその點はこの程度に讓つておきまして、一番初めに私はお斷りいたしましたように、この石炭の非常増産對策要綱というものは、現在政府においてはどの程度まで取上げられておるか、さつきの推進機關を設置されるということは聞いておりますが、各項目に書いてありますところのいろいろな對策をどの程度まで今實施しつつあるか、さらにこれを各現場に取入れまして、現在どうふうにそれが實際に増産の効果を來しておるか、さらにそれが三千萬トンの本年度の生産量に對して足りないところにどれだけのプラス的な仕事をしてきたか、その點に對してお考えを聴かしていただきたいと思います。すでにこれが十月の三日に閣議で決定されましてから相當經つておりますので、その間に相當の經過があると思いますが、いかがになつておりますかお伺いいたします。
#46
○水谷國務大臣 お求めによりまして…。前田さんのこの石炭非常増産對要綱はどのようにやつておるかということで、ただいま政府として手をつけましたのは、六日間にわたりまして勞資双方からきていただきまして、この石炭非常増産對策に對していろいろ協議をいたしまして、そうしてできるだけこの線にやつていただくということでありました。その際經營者の側からは、一様に炭價の問題に關していろいろの御質問があつたのでございますが、しかし政府といたしましては、炭價は當面動かせないという基本方針はかえておりません。しかしながら炭鑛のいろいろの實情を調査いたしました結果、本日閣議でも決定いたしましたが、炭鑛特別運轉資金融資要綱というものを決定いたしまして、これによつて炭鑛の經營というものが圓滑にいくように、言葉をかえて申しますならば、さよう閣議で決定いたしました二つの方針によりまして、この石炭非常増産對策要綱がいけるように推進を政府はかつておるのであります。この一つ一つの問題というものは、政府が具體的に一々指圖するのでなしに、大綱を推進いたしますならば、あとは經營者竝びに勞働者の自主的判斷によつてやつていただくということになつておりまして、きようの閣議で大體このいわゆる石炭非常増産對策要綱を推進する二つの問題を決定いたしまして、これによつて著々やつていくていうぐあいに考えておる次第でございます。
#47
○前田(正)委員 今のお話でありますが、この内容を讀んでみますと、一つ一つの問題は、政府はやらなくてもいいというようなお話がありますが、實はそういうふうにはいかない問題が相當この非常増産對策には私はあると思います。まず第一にこの非常増産對策の三のところに書いてあります所得税に對する特別措置を講ずるということは、どういうふうに現在なつておるのですか、その點についてひとつ御説明を願いたいと思います。
#48
○水谷國務大臣 この點につきまして、内容をはつきり今お答えするわけにまいりませんが、大體ある一定の額以上の所得税に對しましては、特別の措置を講じまして、大體現場において勤勞者諸君が要求している線に沿うてやるということだけはきまりまして、そのいわゆる具體的なこまかい形式をどうするかということは、大藏大臣に一任しております。
#49
○前田(正)委員 私は實はこの問題をとり上げて聽いておりますのは、昨日も申しましたように、石炭の國管についてわれわれが論議しており、おるいは勞資が紛爭しておるが、實は石炭増産對策を先にやるべきではないかと申しましたけれども、政府は兩方ともやつていけるというお話でありましたから、私は十月三日に決定されてから、現實に本年度の三千萬トンの増産にどれだけプラスになつてきたかというこのを、聽いているのであります。昨日も申しましたように、現在の三千萬トンの生産といううのは、現に目標に達していないように私は思う。政府は昨日もいろいろと言つておられましたけれども、七、八、九の増産になつたことは、實は私たちがこの委員會で聽きましたように、勞資、民間自身の復興會議による自發的な運動によつて増産された方が大きいと思うのであります。この緊急の非常増産對策の實施によりまして、私はその三千萬トンのまだ不足している額がプラスになつてきたかどうかということを聽いておこうとしているのであります。しかもこの問題は一番大事な問題でありまして、本年度の三千萬トンを出すということが、私は課せられた大きな使命でないと思います。先ほどのお話を聽きますと、大藏省で現に所得税の問題については研究しているというようなお話でありますが、私はこの所得税の問題については、もうこの對策のきまる前から、勞働關係の方からたびたびお話の出ていることであります。しかもこれに對しては、相當政府が考慮されるような話を、前から私は聞いているのでありますが、それが未だに具體化されないということは、私は今年度の三千萬トンの増産にどれだけプラスされているかどうかという點に疑問をもつのであります。少くとも閣議において、この大綱がきまりましたときに、具體的なものが發表できるようになつていなければ、本年度の三千萬トンの増産には、役に立つてこないと思うのでありますが、どうでしようか。
#50
○水谷國務大臣 前田さんも全部これをお讀み願いまして、第九のところに「以上の各施策は、飽くまで經營者及び勞働者の自主的協力に俟つて推進せんとするものであるが、石炭生産の緊急性に鑑み、尚所期の成果を擧げ得ない場合においては、必要な法的措置を講ずる決意である。」ということを書いております。われわれといたしましては、この石炭非常増産對策要綱というものは、この九の精神に從いまして、できるだけその經營者竝びに勞働者の自主的協力によつてやつていただきたいというのが念願であるのであります。われわれはそれに對しては一定の期間をかさなければならないということは言うまでもないのであります。さらにまた、ただいま御質問の税の問題に關しましては、これは單なる研究ではございません。實施の方法に關して、今大藏省がやつているのでありまして、大藏大臣も前の六日間にわたる勞資協議會におきましても、はつきりその點は責任をもつということを言明されておるのでありまして、その點は勞働者の代表の諸君も了承して山へ歸つておるのでございます。
#51
○前田(正)委員 なるほどこの九條に書いてありますように、勞資の自主的協力によつてやるべきものはやらなければならぬと思つております。また七、八、九月におきましても、實際に勞資の協力によつて増産がある程度向上したことは、私は認めます。しかしながら、必要な法的措置を講じなければならぬと書いてあるますが、所得税の問題等は、勞資の協力だけではできません。政府自身がやつていただかなければできないことであります。私はそういつた問題が遷延されておることは、はなはだ疑問だと思います。もしこういうものに法的措置が必要ならば、國管の審議をする前に、それを國會に出していただいてやつていただきたい。その方が現實にきまつている三千萬トンの増産に役に立つのではないかと思つておるのであります。その點をもつとよくお考え願いたいと思います。
 次に第四に書いてあります特別の勞働委員會を設置するというのですが、この點については、現在どういうふうに御進行になつておりますか。
#52
○水谷國務大臣 これは大分前に新聞に出ておりまして、勞働省の方でこういう方式でやるということを考えておりまして、これは大方決定しておるような状態であります。
#53
○前田(正)委員 大方決定しておるからやるということは、すでに對策要綱がきまつたときにおきまりになつておることである。私はほんとうにその通りだと思いますが、所得税の問題にしても、特別委員會の問題にしても、これはいつごろ具體化されて三千萬トンにプラスされることになつておるか、こういうことをお聽きしております。
#54
○水谷國務大臣 所得税の問題に關しましては、本ぎまりは多少遅れるかもしれません。しかしきまつたものは、約束した時日にさかのぼつてやることでありますから、その點はあなたの御心配になるようなことはないと思います。特別委員會の問題は、今勞働省の方でやつておりますから、私がここで何月何日からこれをやるということは言明いたしかねるのでありまして、この點はひとつ御了承願いたいと思います。
#55
○前田(正)委員 この所得税については、さかのぼつてやるから心配ないということは、私は非常に大きな誤りだと思います。所得税問題については前からやかましく言われておりまして、これが決定されて具體的に發表されたときから、勤勞者の方に大きな増産のいろいろな意欲が上つてくるのではないかと期待しております。ところがそれが既往にさかのぼるからいいと言うけれども、これから何箇月かかるかわかりませんが、きまつてからさかのぼる。その間の勤勞意欲のプラス・サイドの問題というものは、私は相當見逃すことができない問題だと思いますが、どうでございましようか。
#56
○水谷國務大臣 私の記憶が間違つておるかしりませんが、政府がこの所得税の臨時措置をとると言つてから、ただいま前田さんが言われたように、何箇月たつたか知らないというような、そういう長い日數は經つておらないはずであります。
#57
○前田(正)委員 これから行われるまでの間です。
#58
○水谷國務大臣 それは先ほど申しました通り、總理以下関係閣僚が出て、日は忘れましたが、この間の會議で、この點は特別の措置をとるということで、勞働組合の代表者も了承して歸つてくれておるのでありまして、その點は別に遲れてやるからどうなるというのでなしに、その點は了解ずみで歸つておるのでありますから、ただいま前田さんのおつしやつたような心配はないというのが、私らの考えなんです。
#59
○前田(正)委員 次に第五番目にありますところの「運搬設備を緊急に補修増強する為の資金資材の優先的取扱を更に一段と強化する。」これは現在すでに行われておるのでございますか、どうでございますか。
#60
○水谷國務大臣 これはきよう閣議で決定いたしました炭鑛特別運轉資金融資要綱によりまして、そのことは目的が達せられる。このように考えております。
#61
○前田(正)委員 本日の融資要綱できまつたというお話でありますが、この閣議で決定されてから現在までの間約一箇月近く經つておりますが、その間にはこれは何ら優先的な取扱はされなかつたのでありましようか、その點はいかがですか。
#62
○石坂政府委員 炭車の點につきましては、第一・四半期から第二・四半期、第三・四半期におきまして、それぞれ資材を特掲して、竝びに資金も紐つきにいたしまして、これが生産の促進をはかつておるのでありますが、下期におきましては、さらに炭車のほかに人車關係も加えまして、同様の方法でこれが生産を促進したいというふうに考えておりまして、ただいま各炭鑛から何臺要るかという調書を要求中でありまして、これを集計後資材、資金等特掲いたしたいと、こういうように考えております。
#63
○前田(正)委員 私が先ほど聽いたのは、これからの御計畫とか、今やつておられることでなしに、この對策要綱がきまつてから現在までの間にそれが優先的な取扱を受けたかどうか、こういうことを聽いておるのであります。
#64
○石坂政府委員 具體的にどこの炭鑛に何臺要るかという點がはつきりいたしませんので、各個々の炭鑛からの希望を集めまして、これを資金と資材の兩方面から特別の優先措置を考えていこうというふうに考えております。まだ具體的に炭鑛から集まりませんものですから、何臺とか、あるいは金額がいくらとかいう點がはつきりしない状態でございます。
#65
○伊藤委員長 午前中の會議はこの程度に止めることにいたしまして、午後一時半から再開をいたします。暫時休憩いたします。
    午後零時二十七分休憩
    ―――――――――――――
    午後二時一分開議
#66
○伊藤委員長 休憩前に引續き會議を開きます。前田君。
#67
○前田(正)委員 要綱の二の第三節のところに、生活物資の配給方法を確立するとともに、所管官廳として責任をもつてこれを確保するというふうに書いておるのでありますが、これは現在のところ、どういうふうに具體化するのかお伺いしたい。
#68
○石坂政府委員 生活物資に對しまして、實はリンク制をやりたい。こういう考えから、目下安定本部で關係の各省が集りまして、協議中であります、各品目につきまして、何にどの程度にリンクするのかということを、實は詳細に檢討中であります。たとえば酒とか、タバコとか、こういう嗜好品に關しまして、ある程度頭割りに配給する、あとの數割を出炭なり、新坑に關しましては、その堀進の距離等を考えて配給する。こういうふうなことに考えておりまして、つまり各品目につきまして、どういうものにどういう程度にリンクするかということを、具體的に檢討中であります。もう數日中に決定するように考えております。
#69
○前田(正)委員 そうしますと、十一月の半ばころには、その處置が現實に炭鑛の方に行われていくのでありますか。
#70
○石坂政府委員 大體そのように考えられて結構だと思います。
#71
○前田(正)委員 次の問題でありますが、勞働組合の健全化というところで、この健全化を促進するというふうに書いておりますが、これをどういうふうな御指導をするつもりであるか。現在の生産の状況に對して、どういう御指導をされるつもりであるか、それをちよつと伺いたい。
#72
○水谷國務大臣 これはかつて淵上さんでございましたか、そのとき申しましたが、勞働組合の健全化とは何ぞやということで、これはいろいろむずかしい問題があろうと思います。たとえば一派の勞働組合の人にとつては、政府がこういうような要綱に對して勞働組合の健全化というようなことを言うのは、現在の勞働組合が不健全であるということを、政府みずからが言うのであつて、私は勞働組合を侮辱するものであるとか何とか、大分手ごわいおしかりをこうむつたこともあるのですが、私はざつくばらんに申し上げますならば、大體今の勞働組合運動には、二つの流れがあると思うのであります。一つは何と申しましても生産が戰前の三分の一に下り、しかも人口は逆に殖えていく、こういう場合においては、ひとり勞働者の生活だけでなしに、國民全般の生活確保のために、まず生産を増強しなければならない。從つて生産増強と勞働組合の生活の保障というものをマッチさして進んでいくというところが、私は勞働組合の健全なものである。さらにまた一派の言うように、まず食わせろ、生活を保障しろ、そうでなければ生産増強に協力しないようなことを言う人もありますが、そういうようなのは、私は勞働組合の不健全なものである。このように考えております。從つて政府といたしましては、勞働組合の自主性と申しますか、亡くなられたアチソン氏の言葉をかりて言えば、小數的權柄分子で指導されるような、ああいうような勞働組合の運動を引きもどしまして、ほんとうに勞働組合員の總意が反映して、たとえばストライキならストライキをやらねばならぬというような場合におきましても、小數的な權柄分子の號令によつてストライキが始まるというようなことでなしに、勞働組合のいわゆる一般投票なら一般投票というようなことで、そういうことをやるという方に勞働組合の自主性を確立いたしまして、從つてそういうことはその勞働組合が民主的に運營されるということになるのでありまして、そういうようないろいろのいきさつを通して、勞働組合の健全化促進を強化いたしまして、さいわいこの法案が通りますならば、生産協議會というようなものを通して、勞働階級にいわゆる生産その他に關する責任をはつきりさして、生産増強に協力しながら、自分らの生活問題の保障ということに進んでいつてもらうというぐあいに政府はやりたい。このように考えている次第です。
#73
○前田(正)委員 今のお話で勞働組合に二通りある。しかもその中の食わせろという問題は、これはなかなかわれわれも考えなければならない問題ですが、これに對しては、この要綱にも書いてありますが、賃金制度を合理化する。こういうような御指導を願えれば、ある程度いけるのではないか、働いた人が正當の報酬を受けるというぐあいにいけば、働いただけの報酬を受けるというふうになれば、これは増産の方にもつていけるのではないかと思います。しかしながら、増産のための健全化の運動であるならば、これは一應ここに加えなければならぬ問題があると思います。勞働組合の人は勞働者に對して教育をしていただく。殊に抜術の向上とか、あるいは技倆の向上とかいう方面は、非常に遅れておるように思います。これは勞働組合自體が取上げなければならぬ問題であるし、現在經營協議會の機構におきましても、それは取上げていけるのではないか。この法案が通らなくても私はやれると思いますが、この點を加えなければならぬと思うのですが、どうでしようか。
#74
○水谷國務大臣 仰せの通り勞働組合と教育問題は、非常に必要であると思います。この項目の中には、教育の問題が含まれておらないかしれませんが、しかしわれわれの考えから申しますれば、この勞働組合の健全化というものも、勞働者に對する教育を通してでなければ行われないことでありますし、また六の技術その他専門技能の最高度結集といつても、これは技術者だけでできる問題でなしに、ただちに勞働者というものに反映しなければいかない點でありまして、一項目として立ててはおりませんが、隨所に掲げておりますこういう項目は、その根本といたしまして、勞働組合の教育ということが基本であるというお考えに對しては、私も全然同感でございます。
#75
○前田(正)委員 ただ問題は、それが早く効果があがつていくかということでありますが、それと同じようなことがここにあります。二十四時間體制の勞働協約によつて生産増強を要望するということでありますが、要するにこういうことはみなだれでも言えることでありますが、それが一體いつごろ實現されるのであつて、これは本年度の三千萬トンの出炭にまだ足りないところに、どれだけさような効果が現われてくるかというお見込みを伺いたいと思います。
#76
○水谷國務大臣 勞働時間の問題については、これは非常にむずかしいのでありまして、いわゆる西洋のことわざにもあるように、馬を水際に引張つてくることはだれにもできるが、その馬が水を飲む意思がなければ、なかなか水を飲ませることはできない。政府が高い所から馬の鼻をひつぱるようなわけには、なかなかまいらないのでありまして、それらは第九の、あくまで自主的協力でいかなければならぬと思いますが、しかしそれをそのまま放つておくというわけにいきませんので、きよう閣議で決定いたしました炭鑛特別運轉資金融資要綱の一項目といたしまして、融資申込みをなし得る炭鑛は、資金の著しく逼迫せるものであつて、左の條件のいずれかを充足するものに限る、ということをうたいまして、それを(イ)、(ロ)、(ハ)、にわけまして、(イ)が本年度第二・四半期の生産能率が前年同期に比して一割以上向上せること。(ロ)は石炭非常増産對策に掲げる三作業方式のいずれか、またはこれに準ずる作業方式を實行し、生産効率の向上につき明確なる團體協約の成立せること。(ハ)、上期においては三千萬トンベース生産割當を完遂せること。という條件をこの融資條件にしております。ただいま御質問の點は、いわゆる石炭非常増産對策に掲げる三作業方式のいずれか、またはこれに準ずる作業方式を實行し云々ということにかかるのでありまして、こういう手を通じまして、政府としては勞働組合が(イ)、(ロ)、(ハ)のいずれか、あるいはそれに準ずるものをとつていただくように側面から推進したい。このように考えております。
#77
○前田(正)委員 勞資自主的にやつていかなければ實際にやれないということは、まことにごもつともでありますが、これは時間的に餘裕がない。本年度三千萬トン出炭にも、ぜひこれを採用していかなければならぬと私は思います。ところが現在の國管に對しましては、勞資双方相反目しておりまして、それがために勞働協約の實施促進というものに對して、相當の悪影響があると思いますが、いかがでありますか。
#78
○水谷國務大臣 この問題に關しましては、私は繰返し申し上げておる點でございますが、現在の日本の民主化の過程におきまして、日本國民はいかなる層といえども、國家の最高意思を決定した主會の決定には從わねはならないということになつておるのでございますがゆえに、私はこの法案がいずれに決定するか存じませんが、その決定された意思には勞資ともに心から協力していただくものである。このように考えておりますので、今かりに御指摘のような現象がありましても、それは一時の出來事といたしまして、いわゆる雨降つて地固まるというぐあいに必ずなるものである。このように期待いたしております。
#79
○前田(正)委員 その點でございますが、私はもちろんそういうふうになることを期待するのでありますけれども、問題は、この非常増産對策要綱というものは、本年度三千萬トン出炭に足りない所にもぜひともこれは適用していかなければならぬと思うのであります。そういう點から考えますと、現在一日も早く勞働協約を結んで、これを促進していくように、この二十四時間體制というものを實現していかなければならぬ。ところが一方國管案を審議しているために、現在勞資が對立している。十月三日に閣議で決定されて、その後懇談されてから、そういう二十四時間體制の勞働協制の促進というものが遅れているのじやないか。これは少くとも現在においては私はプラス・サイドにはなつていないのじやないかと思いますが、どうでございますか。
#80
○水谷國務大臣 前田さんはどうお考えか知りませんが、國管の論議があろうとなかろうと、この勞働時間の延長ということは、これはなかなかむずかしい問題でありまして、あなたは國管のこのような審議がなければ、ただちに勞働者はこの(イ)、(ロ)、(ハ)いずれかに行くというお考えは、私は相當甘いのじやないかと考えております。そこで政府といたしましても、今申し上げましたように、この炭鑛特別運轉資金融資ということは、これは焦眉の急の問題である。この焦眉の急の問題の一つの條件といたしまして、そういう方式を推進するように、政府も心掛けておるのでございますがゆえに、われわれは別にそう長いことを考えておるのでなしに、何とかして今年においても石炭の生産目標を十分に達成していきたいということを考えて、著々努力をしておるのでございます。物事というものは、短い目で見るとともに、また長い目で見ていただきまして、さらにまた兩方調整した目で見ていただきますれば、そう政府が手放しに今年の生産増強はどうなつてもいいというようなことを考えておらないことは、本日の閣議の決定においても、十分御了解願えるのではないか。このように考えております。
#81
○前田(正)委員 まことに御もつとものようなお話であります。私はもちろんこれが簡單にできるとは思つてもおりません。もちろんここに書いてあることを行うために政府がいろいろと助成されて、いろいろな政策を講ぜられることは當然であると思います。しかしながら、その勞働對立の議論をこの國管案において戰わすということは、決してこの話がまとまるためにプラス・サイドになつていないと、私は感ずるのであります。その點について先ほど來お話しておるのでありますが、大體話が同じようなところにいきますから、もうやめます。
 最後に石炭の増産對策要綱でお聽きしたいことは、これは基本方針の第一項に書いてあることでありますが、私は特に既定の施策の實施を檢討する不徹底かつ不十分な點は主管官廳において責任をもつて急速に改善實行する、こういうことが書いてあります。これはすでに相當の檢討を濟まされて、いろいろ缺點が出てきたわけであります。まだそれが總合されて御發表になる時期にまで至つておらないかもしれませんが、しかし現在までのところおわかりになつた點でどういう點が不徹底であつたか、どういう點がすでに責任をもつて實行に移されたかということを、ひとつお聽かせ願いたいと思います。
#82
○水谷國務大臣 これは具體的にどの問題とどの問題とお答えするのはどうかと思いますが、これは何と申しましても、われわれ政府の側におきましても、絶えず自己反省をして、そうして日日新たなりというバイブルの教えの通りに、絶えず自己反省をしていかなくちやならぬので、そういう大きな道徳的な規定ということをまず前提にいたしまして、そういう前提に立つて、そうして資金の面はどういつてるか、資材の面はどういつてるか、あるいは副食物の點はどういつてるか、あるいは衣料の點はどういつてるかということを、安本と協力いたしまして、監査を徹底させまして、現在日本の經濟事情で許せるだけの最大の努力をしようという政府の堅い決意を示しておる規定でございます。
#83
○前田(正)委員 私はこの規定が少くとも本年度の増産に役立つていける、しかもこの管理法案の審議と對抗してやつていけるという御方針である以上は、少くとも私は道徳的規律という程度でもつて滿足できないと思います。現在の官僚のやつておられます仕事のやり方は、決して私たちの滿足すべきものではないということは、よくおわかりだと思うのでありまして、すでにこういう御反省のお言葉が出ているのは、その通りだと思います。最近に至りまして、官僚獨善の傾向はますます強くなつているように思つておるのでありまして、一方的に、現場の實情を把握しないような傾向が強くなつているように思うのであります。從いましてこれはただ道徳的規律を掲げて、すでにこの案ができてから一箇月も經つて一向に改善された點がまだはつきり具體的に説明できないというようなことでは、私はこの問題の根本になるこの對策要綱というものも、管理法案というものも、同時に現在の政府自身で行い得るという初めの御見解と多少食い違つてくるのではないかと思つておりますが、どうでございますか。
#84
○水谷國務大臣 一例をあげますならば、本日閣議で決定しまして炭鑛特別運轉資金融資要綱というものも自己反省の一つというぐあいにひとつ御了承願います。
#85
○前田(正)委員 その點は非常に私たちとしては異論のある點でありまして、私はもつと食糧の問題とか、資材の問題とか、それだけではなしに、石炭廳の關係しておられる實務その他につきましても、もつと改善をしていただかなければならぬ問題は相當あります。連絡その他につきましても、もつとやつていただかなければならぬ。あるいは報告の仕方、書類の書き方、こういう點も直していかなければならぬ點がたくさんあると思います。私はそういう點につきましては、實はこういう官吏自身の考えておられるところのこの反省を先にやつていただいて、それをまず改善實行していただく。それができて初めて勞資の自主的な、要綱に盛つてありますような自主的協力というものが推進していけるのじやないかと思うのであります。ただ民間にだけ自主的協力によつて、これを推進しろというお考えではいけない。從いまして、これは基本方針の第一項に道徳的規律を掲げられたことは、まことに結構だと思いますが、しかしこれを道徳的規律だけでなしに、一箇月も經ちましたならば、當然もつと具體的にいろいろと反省されて改善されていくものがなければならぬ。私は實ははなはだ遺憾に思つておりますことは、この管理法案の審議をしたために、われわれのところに實務擔當の官廳の方にどうしても來ていただかなければこの審議はできません。しかしこれがためには實際にここに書いてあるような大いに改善を要することが、その官廳の責任の方がこういうところに審議に使われておるために、相當その日その日のマイナス的なものがあると私は實は思つておるのであります。そういう點から、この案を一番初めに申しましたときに、私はまずこの案についてみんなが協力して同じように努力する。それから管理問題についてわれわれは審議していつたらいいのではないか。こういう意見を述べたのであります。しかしこれに對しては、今さら御返事いただいても同じことでありますからやめにいたしまして、生産局長から先ほどの御答辯をお伺いしたいと思います。
#86
○渡邊(誠)政府委員 科學的管理方策はどういうことをやつているかという御質問と考えますが、これは決定いたしまして以後、北海道に對しまして、一班が約七名の經本技術者を中心にいたしまして、三班を北海道に派遣いたしまして、二十七日に東京を出發いたしました。大學の教授、あるいは炭鑛經營の技術者として炭鑛の所長、その他經營に二、三十年間の經驗のあるエキスパートを班長にいたしまして、それに技術者をつけまして、そうして現在の炭鑛の問題について、しばしば到るところで論議されておるところの、勞働力の方面においては、これ以上の努力をしても、設備能力の方が惡いから、生産意欲は燃えておるが、もうこれ以上の能率は上らぬというような話もありますので、そういうような問題についても、設備能力の方をはつきりしたどういう設備能力が事實あるのか、現在の生産より多いかどうかという點とか、あるいはこの増産對策の中にも出てまいります坑内夫、坑外夫の比率というような問題も、はたして現状の姿でかえ得る餘地がどのくらいあるかというような點とか、あるいは總合的に法案の問題と生産の問題との調整がどういう状態にあるかというような問題、それから資材がはたして足りないのか、あるいは倉庫内にある資材の活用で遲れておるのかというような問題、そういう問題を調査し分析をいたしまして、その結論に基いて、その山の生産能率というようなものの判定をするというような基礎的の要素を調査するために、三班の技術調査班を北海道へすでに送り出しております。それからこの根本的主體となつております―、第六の主體となつております技術團體というものにつきましても、從來から各地方に炭鑛關係技術者がそれぞれの地方の、たとえば九州の炭鑛技術家、あるいは北海道の炭鑛技術家、あるいは宇部、常磐等にそれぞれありまして、それが中央で協議會的のものが結成されておつたわけでありますが、これをはつきりした全國的の連繋をとつて、そうして非常な強力なものにして活動ができるような中心にするということを準備いたしまして、去る十月十六日に全國の代表會議を開いておるのであります。その席上に總理大臣も商工大臣もおいでになりまして、この技術團體の協力を要請して、そうしてそれに基いてただいま申し上げたような活動を一つやつております。そのほかに北海道に對して、なお別に純粹の能率向上、能率診斷と申しますか、そういう技術班を二班送り出しております。
#87
○前田(正)委員 この經費を國庫において支辨すると書いてあるのは、技術團體のところから出される御意思でありますか。
#88
○渡邊(誠)政府委員 ただいま申し上げました出發いたしておりまする調査班あるいは技術官吏の指導班というものに對しまする經費と申しますか、とりあえず出發の賄いというようなものは石炭廳の方面において從來から技術官吏の費用というので御協贊を得ておる經費の中から、わずかばかりの金がございましたが、それをもとにしてとりあえず足りないながら出發をしていただいております。なお今後能率、つまり技術的方面の能率、それからただいま申し上げましたような調査竝びに指導という關係についての豫算を立てまして、大藏省に目下要求折衝中でございまして、近くそれの相談がきまるのではないかと考えております。
#89
○前田(正)委員 まずそれをなるべく早く實現されることを希望いたしまして、この問題は終ります。
 次にこの法案について少しお聽きしたいのであります。第五條でございますが、石炭局長は、必要があると認めるときには、變更を命ずることができる。かようになつておりますが、現在の機構でもつてそういう時宜に適した變更を命ずるだけの御自信があるかどうか。そういう點をひとつ伺いたいと思います。
#90
○平井(富)政府委員 第五條の毎年度の豫定事業計畫、第三期の事業計畫、これは一應届出をとるわけであります。その届出られました事業計畫につきまして、非常にあるいは事業者の方で見込み違いをしておるとかいうようなことがございました場合に、炭鑛管理委員會に諮つて變更を命ずるというようなことになるわけでありまして、この五條の運用につきましては、炭鑛管理委員會というものの運用によりまして、適正な運用がなし得るのではないかというふうに考えておる次第であります。
#91
○前田(正)委員 この炭鑛管理委員會が、そういうふうな現場に應じた十分な資料が相當敏速に集つてくる御豫定になつておりますか。
#92
○平井(富)政府委員 第五條の運用につきまして、これは管理制度の充實とも關連してまいりまするが、第五條で考えておりますところは、非常に精密な計畫をとるということよりも、まず第一項におきまして、各炭鑛の考えておるところをまず石炭局として充實し得るという點が第一項の計畫であります。
 それからその計畫につきまして、非常にただいま申しましたように、顯著ないわゆる事業主の見込違いがある。たとえば資材にしても、もつと供給し得るというような事項につきまして、見込み違いがありますときに、變更を命ずるというようなことになるわけであります。この計畫の基礎になります資金資材というものにつきましては、大體におきまして、年間の計畫というものを立てまして、たとえば三千三百萬トン計畫を月別に割つて、さらにそれに應じまする資金資材というものは、この程度のものは可能であるという基準は、この管理をいたします際に明確にしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
#93
○前田(正)委員 同じことは二十一條の場合にもなるわけでありますが、業務計畫に對して必要な指示をする。それは十分な資料が管理委員會に集まつてくるわけでありますか。
#94
○平井(富)政府委員 おつしやる通であります。
#95
○前田(正)委員 それは大體どういうふうにして資料をお集めになつていかれることでありますか。
#96
○平井(富)政府委員 資金資材につきましては、現在でも各炭鑛に對しまして、それを事業計畫に應じますものを集中いたしまして、それに基きまして安定本部に折衝いたしてわくづけをいたしておるわけであります。從つて現在でも資金資材のわくというものを立てておりますが、今後年間の分及び毎四半期につきましては、四半期ごとにさらに具體的な實情に基いた年間の計畫より確實な計畫というものを決定してまいりたいというふうに考えております。
#97
○前田(正)委員 その來年度の計畫を豫定したところに、相當問題があるのでございますが、それはこの程度にしまして、次に第八條から第十條に至る臨檢の問題につきまして、ここで特にこれを設けられた趣旨は、この間からたびたびお話は聽いておるのでございますが、現在各省で行われておるところの行政監査とか、經理監査では不十分であるかどうかということを、お聽かせ願いたいと思うのであります。
#98
○平井(富)政府委員 石炭につきまして、今般經理監査を實施いたしたのでありますが、今後精密な計畫、特にこれが國の計畫として他の産業あるいは一般國民生活を抑壓しても石炭増産のために確保しなければならぬという基礎的な資料というものになるわけでありますので、特に各地方におきまする石炭局長といたしましては、その實情をはつきりと認めなければならぬという點からいたしまして、計畫設定のため、及び計畫されて流されました資金等が、適正に流されておるかどうか、あるいはそれでは不十分であるかどうか、さらに増加する必要があるかどうか、あるいはこういう資材についてさらに力を入れなければならぬかどうかというような點を、計畫設定及び實施上につきまして、常に把握していかなければならぬというように考えておるわけであります。從つてこれを八條、九條、十條という條項に表わした次第であります。
#99
○前田(正)委員 この行政上の監査でありますとか、あるいは今までの經理監査であるとか、そのいろいろな各省との會議であるとか、こういうことで今までだけでも經營の責任者であるとか、そういつた上級幹部の人は相當忙しいのではないかと私は思つております。さらにここに新しく臨檢であるとか、調査整理であるとか、そういうことのために相當の時間がさかれる。實は私は實際に現場におつたときの體驗からみますと、實はそういうときに幹部がおらないと、おいでになる方は非常に御不滿である。どうしても官からおいでになると、民間は弱いものですから、ついおいやられる。私はそういう監査であるとか、あるいはこういつたことのために時間をさかれるということは、非常にむだであると思う。そればかりでなしに、いろいろとそれに伴つた應待とかいう問題がございまして、私はここに非常なむだが生じてくるのではないかと思います。できましたならば、從來の經理監査とか、行政監査だけでその目的が達せられるならば、新たなこういう制度は、なるべく設けない方が民間のために助成になるのではないか、殊に第十條に對しましては、罰則まで設けておる。こういうようなことは、政府としては積極的に増産を助成していくというような御方針と相反するのではないか、私はこう思うのでありますが、いかがでしよう。
#100
○平井(富)政府委員 ただいまの問題は、この規定の運用上の問題に相なるかと考えるのでありますが、たとえば第八條におきまして、報告を徴し、あるいは現場に臨みまして檢査をするというようなことも、これはたとえば石炭局長の指示によつてやるというような、あるいは報告についてはどういうふうにとるかということは、基本的に業務計畫の遂行等につきまして、實情を知り得る程度の最小限度のものをやはり設定いたしまして、報告を徴する。あるいは監査にいたしましても、期日を定めずに常時これを行うというようなことではなく、定時的に監査をしていくというような運用になるかと思うのであります。現在のやり方では、むしろ個別的に散發的に實情を見るというようなことでありまして、あるいは應接に暇がないというような感じを、企業者としてはもつかもしれませんが、こういうような制度ではつきりいきます場合には、それをむしろ計畫的に、總合的に行つていかなければならぬというふうに考えております。
 それから十條の命令でございますが、これは一般の事業法におきましては、この報告あるいは檢査に基き、必要がある場合というような條件は普通は規定していないのでありますが、要するに報告を徴しあるいは檢査をいたしまして、事業主のやり方につきまして著しい不合理な點があるというときに、炭鑛管理委員會に諮つて命令をいたすというふうにいたしまして、石炭局長の專斷によつて監督命令が濫發されるということは、規定自體としては、相當從來の規定と違いまして、そういう點に配慮を加えておるのでありますが、この監督命令というようなことにつきましても、その炭鑛の實情々々に應じまして、十分な報告をとりまして説明を聽き、罰せられるわけでありまして、御心配になるように、不必要な命令がこれによつて濫發され、罰則の適用を受けるということは、この規定自體の制定のしかた及び運用上におきまして、十分防ぎ得るのではないか、こういうふうに考えております。
#101
○前田(正)委員 この監督上の必要な命令ということは、實はこれは問題であると思うのでありますが、こういうこまかいことは局長さんから委員會でつかめるかどうかということにも疑問があるばかりでなしに、たといそれができるといたしましても、從来の命令というものは、大低必要な時期から遲れてくるのが現状であります。私は必要なる命令が必要なる時期までに十分にくるように、これからの石炭局であるとか、あるいは管理委員會というものは、活發に動いていけるかどうか、こういう點に對する御自信のほどをお聽かせ願いたいと思います。
#102
○平井(富)政府委員 この點は石炭局の構成にいたしましても、いわゆるエキスパートを石炭局員にいたしますとか、あるいは炭鑛管理委員會の運用の面におきまして、その運用がよろしきを得るようにいたし得る、こういうふうに考えております。
#103
○前田(正)委員 この問題は、エキスパートが集まればできるというものではないということは、從來の管理のやり方が示す通りであります。相當のエキスパートを集めても、やはり私はこれはその運營の機構その他の問題に相當重大な影響があると思います。しかしそれは見解の相違でありますから、その邊に止めまして、次は十一條、十二條でございますが、大臣の認可を受けなければならないというようなことは、どうも私は官僚統制的な氣分が相當残つておるように思います。そかしその點は別にいたしましても、これはその廢止したり休止したり、あるいは合併したり、解散したり、こういうものは相當必要なときに處置をとらなければならぬと思いますが、これを許可をもらうまでに、相當の時間がかかるということになりますならば、私はその間に設備や資金や資材、そういうものの分散が行われて、非常なむだな處置が行なわれるのじやないか、こう思うのでありますが、この邊はどうでございましようか。
#104
○平井(富)政府委員 この十一條、十二條におきまする認可の問題でございますが、この點につきましては、一般的に許可基準、認可基準と言いますか、そういうようなものを中央炭鑛管理委員會に諮りまして、大體認可の基準を定めておきまして、それに基きまして、具體的な事項を處理していきたいというように考えておるわけであります。一般的基準がございませんと、その測定の具體的事情によつて、相當認可が遲れるというようなことも考えられますが、その方針等につきまして、あらかじめ炭鑛管理委員會に諮りまして、きめておく。それによつて迅速にこれが施行し得るのじやないかというふうに考えております。
#105
○前田(正)委員 この問題は一般的な基準を定めて、なるべく敏速におやりになることは大事だと思いますが、しかしこれはその炭鑛の事業主にとりましては、相當重大な問題でありますので、そう簡單にはきめかねる問題が當局とされてもあるのではないかと思います。
 次に第十三條でございますが、必要なときに「他の炭鑛の事業主に讓り渡し、又は貸し渡すべきことを命ずることができる。」こういうことは、まことに結構な國家的に即した事柄のようでございますけれども、私はこういうことは、實は管理ということから言うと根本的にその考え方が多少違つてくるのじやないかと思います。その管理というものの中心に流れておりますことは、やはりここに人的なつながりがある。歴史的な經過がある。こういつたことは、どうしても必要なことでありまして、他の人を連れてきたら能率的な仕事ができるというふうなことは、合理的な生産方針としては期待できないのではないか、私はこう思うのですが、どうでございましようか。
#106
○平井(富)政府委員 十三條の適用につきましては、この管理制度の實施によりまして、たとえばその山の手持資材も明確になつてまいりまして、さらにこの資材の保有はむしろ必要である、この資材の保有は不足であるというような點が明確になつてまいると思います。その餘剩の資材の活用という點に、この規定の適用の重點を置いていきたいというように考えておる次第でありまして、管理制度の適正な運用によりまして、この規定によつて、各炭鑛の所有している資材の不均衡が是正されまして、持つている資材の總合的な活用にも相當資し得る點があるのじやないか、かように考えております。
#107
○前田(正)委員 私はその資材の點につきましては、多少御意見に從う點もありますが、しかし資材でも、やはり山で、今までの人がこういう機械を使つていた、こういうふうな經驗とかつながりというものが、資材によつても多少違うと私は思うのであります。しかしこの設備にいたりましては、今までの人的なつながりが設備を使つてきた人、使つてこなかつた人、これは非常な差があると私は思うのであります。これがはたして合理的な利用ができるかできないか。またそのような事情、歴史的にそれが應じたものと應じないものとでは、相當な食い違いが私はあると思うのであります。それは決して合理的能率的なものではないと私は思います。資材におきましても、人によつて、山によつて、これを使つてきた状況が違うと私は思うのであります。しかしながら、資材は多少そういう傾向は非常に多い。設備を合理的に運用するという點においても、相當今まで人的なつながりとか、それを使つてきた歴史、過程、というものを考えなければ合理的的な運用はできない。ただそれを讓り渡しただけで、結局積んでおく、あるいはほとんど利用されないでしようというような結果になりはしないかと思いますが、どうでしようか。
#108
○平井(富)政府委員 これは設備と概括的に書いてございますが、ある山に特定し、その山に非常に使い慣れているような機械等もあり得るかと思いますが、たとえば一般用のモーターであるとか、ポンプであるとかいうような、一般的に共通する機械等も考えられる次第であります。なお現在の資材設備の逼迫しておる状況からみまして、多少使いなれない機械でも、活用し得るならば、それを手つとり早く活用していくということも、また必要ではないかというふうに考えております。
#109
○前田(正)委員 この設備の點につきましては、なるべくそういう共通的なものだけに適用するようにお願いいたしまして、施設的な設備のものには、なるべく適用しないように私はお願いしたいと思うのであります。
 次は十六條でございますが、いろいろ詳細なる事業計畫を立てるというのでありますが、これは一體どのくらいの人員と時間がかかるという御餘定でおありになるか、その點についてお聽かせ願いたいと思います。
#110
○平井(富)政府委員 十六條におきまする事業計畫というものを、特に一般の炭鑛から報告を徴しまする事業計畫というものと區別いたしまして、業務計畫といたしましては、前のいわゆる事業計畫というものは、一般の各炭鑛から報告を徴するものでございますので、生産計畫なり、設備の計畫なりにつきまして、概括的な資料をむしろとるわけでありますが、指定炭鑛につきましては、生産計畫であるとか、資材計畫でであるとか、資金計畫あるいは擴充計畫につきましても、事業計畫よりもさらに詳細なる内容を盛り立てましたものの報告をとることになるわけであります。この報告を出すにあたりまして、企業がこのために特に作業をするという程度のものを要求するということは考えておりませんで、企業といたしましても、當然作成すべき種度のものについて報告を徴するというようにいたしたいと考えておる次第であります。
#111
○前田(正)委員 なるほど計畫として作成しなければならぬと思いますが、それを提出する部數とか、手間というものは、相當に時間がかかるのではないかと思つております。私たちは今までずいぶん詳細なる報告提出のために非常な時間を要し、手間を要したばかりでなく、こまかいあそこを修正してこい、ここを修正してこいというようなことで、非常に苦しい體驗をなめて來ておるのでありますが、そういう運用は全然ないと思うのでありますが、その點はどうでありますか。
#112
○平井(富)政府委員 この規定の運用にあたりましては、今おつしやるように運營してまいりたい。いわゆるその山の業務計畫の實體をつかむということが主眼でありますから、そういう考え方でこの規定を運用してまいりたい、かように考えております。
#113
○前田(正)委員 次にこの計畫をつくることにあたりましては、どうしてもやはり資金、資材、あるいは食糧等を現物化するときの時期が十分にわかつておらなければ、とても計畫は立てられないと思うのであります。從いまして、これに對しましては、政府もこの計畫を立てるのであるが、政府から何パーセントまで現物化するという大體のはつきりした資料を與えられるものと思いますが、この點はどうでございましようか。
#114
○平井(富)政府委員 十七條を規定いたしましたのは、その趣旨に副つておるのでありまして、炭鑛側におきまして計畫を設定するに必要な資材の見込み、資金の見込み等につきまして、指示し得るようにいたすというふうに考えております。
#115
○前田(正)委員 私はそれはいかほど現物化するかということを、特に基準としてはいれていただきたい。空切符だけもらつても役に立ちません。現物化がどれだけできるかということを基準にいれていただきたいと思います。それはそのくらいにいたしておきます。
 次に十八條のしまいの方でありますが、「生産協議會の議を經ることができないときには、」ということになつておりますが、こういうような議を經ることができないときには、その間に調製のために相當な日數が時間的にかかつてくると思いますが、そういうことは實際の計畫の實施に相當の影響を與えてくると思いますが、どうでしようか。
#116
○平井(富)政府委員 報告を徴して、それに基いて業務計畫を決定するということは、その當該開始時期までに決定いたすことは絶對必要になつてくるわけであります。また炭鑛側において計畫を設定いたすということも、その期の開始より非常に前からこれをつくるということは、かえつて推定に基く計畫になるわけであります。この二つの時間的な要請というものがございますので、炭鑛管理者におきまして、案を設定する、あるいは事業主が案を設定するという場合におきまして、その計畫を設定して、當該期開始前にこれが報告をし得るという、その時間の範囲内で生産協議會の議に付きまして、それでまとまらぬ場合には、まとまらぬということで、最後に事業主としてはそういう旨を添えて石炭局長に報告する、こういうことになると思います。
#117
○前田(正)委員 その間の時間的なずれというものは、私は生産に相當影響を及ぼすと思うのであります。この邊が生産協議會の炭鑛の管理者に及ぼす影響としては、私は相當大きな問題になつてくるのではないかと思つているのでございますが、しかしながらそういう點は大體それくらいにしておきます。
 次に第二十三條でありますが、炭鑛管理者を選任する場合においては、生産協議會の議、または從業者の賛成を經なければならないとあるが、これはまことにもつとものようなことでありますが、實はこういう場合において問題になつてくることは、管理の能力のある人と、それから多數の人の民意を受ける者との間に、相當の差があるのではないか。實は管理能力もあり、多數の民意を受ける人というのは、なかなか求めにくい、こういう點が出てきまして、この議はなかなかまとまらない事例が相當多くあるのでありまして、そのあとに書いてあるいろいろな規定がたびたび出てくる。こういうことになつてきて、肝腎の炭鑛の管理者は、なかなか選定できないということで、生産に影響を及ぼすというようなこともあると思いますが、どうでございましようか。
#118
○平井(富)政府委員 特に勞働者の生産能力というものに依存している炭鑛の現状におきましては、炭鑛の經營の衝に當ります。たとえば鑛山長というような人たちと、現状におきましても、やはり管理の能力と、それから從業者を指導し、これの協力を受けていくということについても、能力のある者が當つていくことになるのではないかと思います。管理の能力に非常に長じておりましても、結局從業者を積極的に協力せしめるという力のない管理者がここにできました場合には、むしろその管理能力が發揮できないというようなことになりますので、ここで從業者の同意を得て、從業者の協力を求め得る者を炭鑛管理者にいたすというようにいたした次第であります。現状から見まして、この規定の適用は十分やつていける、かように考えているわけであります。
#119
○前田(正)委員 次に第三十九條でありますが、これはたびたび大臣からもお話を伺つておりまして、生産者としては勞働問題に對しては、いろいろとお考えはあつたらしいのでありますが、結局閣議の決定で讓られたように思いますが、しかし私は生産の問題においては、勞働を切離して考えるということは、たとえいくら閣議決定であつても、生産省としてそういうことで了解をとられてひつこまれたということは、管理の根本に反すると思つているのでありますが、これに對しては、大臣からそれでもやつていける、勞働問題は生産省の考えと違う考えの法案ができても、やつていけるのだという御自信がおありになるか、これを御説明願いたいと思います。
#120
○水谷國務大臣 この問題は前田さんも言われましたように、私は西田君の御質問に對しても答えた通りであつて、生産省として、特に石炭に重點施策を施していくという場合において、ある程度の勞働問題に對する干與と申しまするか、權限というものを握りたいというように考えておつたのでありますが、しかしこの第三十九條におきまするこの程度におきましても、それは全部こちらで握るということになれば何ですが、やはり勞働者の立場も考えなくてはならないので、商工省と勞働省とが協力いたしまして、この點を兩方の責任においてやつていくようにしたいと思つております。だから事務の敏捷化とか、あるいは簡易化ということになると、一省で握つておくのも何でありますが、勞働省の立場といたしますと、石炭企業に對する勞働問題に、勞働省が全然タツチできないということも、なかなかできないのではないか、そういう點を考慮いたしまして、石炭企業に對する勞働問題に關しましては、商工省は勞働者とともに、緊密なる連絡を行いましてやつてゆくというような結論になつたのでありますから、その點はひとつ御了承願いたいと思います。
#121
○前田(正)委員 次も同じことになるのでありますが、これを公共事業に指定するというような勞働に對する從前の考え方でなしに、生産省としては、その考えが通らずに、この案が出てきておるようでありますが、このような管理案をつくる以上は、勞働問題を勞働省と商工省の兩方の管轄にするといたしましても、少くとも公共の事業に指定するというようなところでは、生産省の立場からのある程度の意見が通らないと管理案というものは、實行できないと思いますが、どうでありましようか。
#122
○水谷國務大臣 御案内のように、勞働基準法によりますと、勞働大臣の指定によりまして、公共事業が指定できるということになつております。あれでは中立の過半數、それから經營者、資本者側の過半數、そして勞働組合の過半數、全體の委員の過半數ではなしに、部分々々の過半數ということになつておりますので、これはなかなかむずかしい問題でありますが、しかし米窪勞働大臣は、この點に關してまつたく商工省と同じ考えをもつておられますので、商工省といたしましては、安心してこの問題は米窪勞働大臣にお任せするということになつておる次第であります。
#123
○前田(正)委員 私はその點は米窪大臣がおいでのときに伺いますが、その後の問題は、法律として殘つておるということを考えますと、勞働問題もある程度觸れてこなければならぬということが、原則として必要ではないか。對人的な問題だけではいけないと思います。この期間が三年間とたしか書いてあつたように思うのでありますが、この三年の間米窪さんがずつとおられるかどうかということも疑問でありますので、この點はやはり考えなければならぬ點があると思います。
 次に第四十三條でございます。この協力命令でありますが、必要な命令を出すことはできるというように書いてあります。なるほど命令をしても、それがほんとうにこういう協力に對しましては、從來いろいろな經過なり關係というものがありますので、なかなか實效があがつてこないと思いますが、そういう點はどうでありましようか。
#124
○平井(富)政府委員 この協力命令は、主として資材の供給者等に對しまして、炭鑛に協力する關係からの命令でございますが、御指摘のように、資材の入手、あるいは機械の入手等について考えましても、やはりそれぞれの取引先、注文先、長い間の取引關係というような點もございますので、十分それらの點も考慮いたしまして、實質的に政府といたしましては、注文者とその注文を受ける資材供給者というようなものとの斡旋等につきましては、政府としての全力を盡す次第でありますが、なおそういう斡旋のやり方、あるいは資材供給者との話合いではいかぬ部分につきまして、やむを得ずこの規定が發動するというような運用の仕方でやつてまいりたい。原則的には從來の取引關係等も十分尊重いたし、それに政府の強力な施策等も織りこみまして、協力命令の發動ということはなしに、大體濟ませていくというのが、資材の圓滑な供給を確保する上において必要であろうと思うのでありますが、現在の状況によりまして、それができぬというような場合におきまして、この規定を發動してまいりたいというふうに考えております。
#125
○前田(正)委員 大體以上をもちましてこまかい點は質問を終らせていただきたいと思います。最後に結論的に質問をいたしまして、大臣の方針をいろいろとお聽きしたいことがあります。私はまず第一にこの問題について考えなければならぬことは、基礎原材料でありますところの資金資材、こういうものを政府が優先的に斡旋せられるということは、非常に結構であります。しかしこういうことをしていきますと、中小企業整備問題等がどうしても出てくる。ところが輸出等によりましては、中小商工業に期待しなければならぬ。あるいはまた最近國會にも出ております經濟力集中排除法案等によりましても、この細分割という問題があります。さらに日本のこれからの行き方に、農工一體というような問題もありまして、この兩方とも日本においては必要性がある。この必要性に對してこれを調和していくのが政府の立場でありまして、殊に商工省がその擔當にあられるわけでありますが、商工省は一方には自分の管轄下の國管をもつており、一方には全産業の監督指導育成をしていかなければならぬ。こういうことになつてきますと、この點についていろいろと一方的な傾向が出てきまして、相當の批判や非難が出てくるのではないかと思われるのであります。このことはそういうことはないとお言いになるかもしれませんが、實は現在運輸省は省營自動車と民營自動車との問題、あるいは省線と私鐵との問題におきまして、いろいろ民間側から監督官廳として、またその實施官廳といたしまして、兩方の部面に對して相當民間から非難を受けておりまして、なかなかスムーズに仕事がやつていけないという問題が相當あるのであります。商工省といたしましては、こういうことがもし實施された場合には、國管の問題とその國管の問題に伴いまする企業整備、中小工業の問題、あるいは自分の傘下にある國管と、一般の民間事業との調整ということに對して、御自信がおありになりますかどうか、この點をひとつお伺いいたしたい。
#126
○水谷國務大臣 ただいまの御質問ですが、大體原則といたしましては、六月十一日に發表いたしました緊急經濟對策におきまして、あるいは基礎産業に對する政府の考え方、あるいは中小企業竝びにそれが輸出産業の振興と結びついた中小企業のあり方というようなものを一應定めております。さらにまたわれわれはこんどの議會におきましても、たとえば一方におきまして基礎産業であるところの石炭に關しましては、こういうような方式をとるように議會に提案しておりますがまた他方經濟力の集中排除法というようなものが出まして、基礎産業たらざるほかの産業におきましては、公正なる自由競争を行わしめるという目標のもとに、ああいうような法律を出している。これはまた事實であるのでございます。從いまして、商工省といたしましても、なるほど石炭を扱う部門として石炭廳がございます。さらにまた中小企業を扱うものとして、今生活必需物資局がございますが、閣議では未決定でありますが、中小企業總局というようなものが生れまして、それらの點をやつていくことになつております。從つて各局長あるいは長官というものは、それぞれ主管の立場でそれを一生懸命やつていきますが、大臣はそれより一段高いところに立つて、それらを調整するということが大臣の仕事でありまして、私はきわめてふつつかではございますが、そういう調整に對しては十分の自信をもつております。
#127
○前田(正)委員 大臣の御自信はまことに結構でありますが、これを現實におやりになるところの官吏の方がそういう問題をどうしても釀していくことが多うございまして、こういつた問題につきましては、從來の官吏の考え方について、大臣からも相當政治力をもつてお考え願わないと、この相矛盾した問題に對しては、私は相當の調整を要すると思つております。
 次に私はものを管理するということになりました場合には、管理に伴う責任というものは、必ずあるのではないかと思うのであります。本法案におきましては、官吏の方においても、責任と管理が不明確である。またまた炭鑛事業主にいたしましても、その責任と管理をやろうと思つても、また炭鑛管理者の立場に立ちましても、自分が管理しようと思つても、管理と責任とが分離してくるというような點で、管理方式というものに責任が伴わない。こういう不分明なことでは、ほんとうの管理の期待ができない思うが、その點はいかがでしようか。
#128
○水谷國務大臣 その點に關しましても、たびたび論議をされまして、この法案に對しては經營者に對する責任があつて、勞働組合さらにまた一番大事な點は、管理をする官吏に對する責任というものが明確になつておらないというお話がございましたが、それに對して私もお答えいたしましたように、いわゆる行政の責任、社會上の責任、さらにまた大臣にとりましては政治上の責任というものがございまして、もちろんこういうような國家管理法案が通過いたしました場合におきましては、三位の協力能勢ということになつておりますが、この石炭増産に對しては責任を負わなくちやならぬのは國家であるということははつきりしております。從つてときの政府、なかんづく所管大臣が責任を負わなくてはならぬということは、これはもうはつきりいたしておるのでございまして、そういうことは、法文にはつきり書かなくとも、それはもう顯著な事實でありまして、法文以上の強い力をもつて、そういう責任というものは負荷されておると私は考えておるような次第でございます。さらにそういうふうにして、大臣が政治上の責任をとります以上は、この管理の方法その他いろいろな點におきまして間違いが起つたは點は、假借なしに、そういうような人の管理に對しましては、大臣として責任を追究するという覺悟をもつておる次第でございます。
#129
○前田(正)委員 今の國管によりまして、大臣が責任をとり國家が責任をとる、まことに結構であります。しかしそういうような御方針ならば、その責任も運營も、ともに擔つておるところの國有國營、こういうようなことに對して、もつと御研究になつて、あるいはまたわれわれのところに法文を出していただく、こういうような方法でいく。私も國有國營は贊成であるかないかということは、現状から見まして、いろいろ判斷しなければなりませんが、こういう問題ならば、私たちは、もう少し眞劍に研究する餘地があると思います。その責任も明瞭になつており、その間における取扱いの態度につきましても、こういうような問題につきましては、但し現状に適するか適しないかは、私たちも大いに研究しなければならぬと思いますが、實は私はこの管理案に盛つておるようなものでは、その責任の所在も實に不明瞭であり、そのやり方も曖昧な官僚統制式のようなやり方である。こういうことでは、私は増産は期待しにくいと思うのでありますが、この邊に對する御所見を伺いたい。
#130
○水谷國務大臣 國有、國營あるいはまたその他いろいろの國營の方式と、このたびの國家管理の方式との優劣という點に關しましては、いろいろの比較をせねばならぬと思います。もちろんわれわれも國營方式というものに對しては、前田さんと同様に多少の研究をしておりまして、あるいは箇條書に國家管理との優劣というものを論ずる用意は十分あるのでございますが、しかしこれも繰返して申し上げます通りに、あるいは恆久的な立場、長い目で見た石炭企業の増産、さらにまた短い目で見たところのいわゆる石炭の増産、言葉をかえて申しますければ、日本の石炭企業というものは、將來長い目で見まして、生産の増強をしなければならぬと同じように、現在の一瞬時といえども、生産の低下を來してはならないうのが、日本の石炭企業に課せられた絶對命令でございます。從つて經營形態の變更等によつて、多少ともその生産にブランクがあるというようなことは、日本の經濟危機の現状からは、絶對に許されないのでございまして、われわれはそういう立場から、現在のいわゆる生産増強にこたえ、さらにまた將來の生産増強にこたえるのは、いわゆる私企業と公企業の長所を、能率的に結合させた國家管理というものが、現在の日本の經濟上のもとにおいては、最も適したところの形態であるという確信のもとに、これを出したよう次な第でございます。
#131
○前田(正)委員 私は今までずつと質問させていただき、いろいろ聽きましたところ、實は今のお話のような、一瞬時といえども増産をしなければならぬ。こういうことに對しましては、私は非常増産對策の方を實施すれば、それで十分であると思います。また今私企業と公企業の能率的という意味でこのような法案を出したと言われますが、私はどう見ましても、この管理方式は、能率的な方式でないと思うのであります。これは先ほど來質問してきました經過から見ましても、少くとも能率管理ということに經驗ある方から見ましたならば、決してこういうやり方は能率的であるとは言われないと思います。私も生産技術者の一人として、こういうやり方はどうしても贊成できないということをここで言明しておかなければならぬと思います。
 次に私はその問題については、どうも見解の相違であると思いますから、この程度でやめまして、この再建の第一歩として、このほかの問題として、どうしても政府といたしましても、行政整理というようなことをお考え願わなければならぬと思います。ところが、こういうふうな責任と管理との曖昧なやり方で、しかも管理上の人の數だけは殖えていくというようなこういう國管方式というものと、政府のお考えになる行政整理というものが、どういうふうに矛盾しないでいけるかということをお伺いしたい。
#132
○水谷國務大臣 行政整理は言うまでもなくダブついた人員の整理でありまするが、この國管によつてもし官吏が殖えるといたしますならば、これは直接生産の増強に結びついた官吏が殖えるのであります。すなわち行政整理とは一面配置轉換でございまして、必要なところへ人をおく、必要でないところの人を削るというのが、いわゆる行政整理であるのでございまして、必要なところの官吏も殖やさないというようなことは間違つた考え方である。このように考えておる次第であります。
#133
○前田(正)委員 その必要なところが問題でありまして、私の考えでは、責任と管理との明確になつた形態の官吏ならば必要であると思うが、こういうような不明確な曖昧な非能率的な管理方式では必要なところに人を殖やしたように私は思わないのであります。その點多少見解が違うのであります。私はこういうふうな管理案を出されるにつきましては、いろいろと政府におかれまして、これからの日本全體の産業のあり方、あるいは占領下におけるところの特殊事情、あるいは輸出方面のことでありますとか、企業整備であるとか、そういう全般のことにつきまして、官廳のあり方というものについて御研究になつておると思うのでありますが、私はそういう研究のもとに、これがまず第一に取上げねばならないということで、お考えになつたと思うのでありますが、そういうふうな經過について、もし發表できる範圍ならば、お知らせ願いたいと思います。
#134
○水谷國務大臣 産業のあり方というものに對しましては、さきに申しましたように、大體緊急經濟對策、さらにまたそれに引繼いで發表しました經濟白書、さらにまたそれに引續いて今度の議會に出しておりますもろもろの經濟施策の法案、それらを一貫しておながめくださいますならば、現政府は日本産業のあり方に對して、どういう考えをもつておるかということは、賢明なる前田さんは、十分に御了承願えると思うのであります。さらにわれわれが石炭企業に對して、何がゆえに國家管理を採用したかということは、現在の惡性インフレのもとにおきまして、物を生産していくこと、なかんずく基礎産業の生産を囘復していくことは、非常にむずかしいことであると私は考えております。從つてこういう惡性インフレ上の基礎産業の生産増強方式というものは、一まず基礎産業を惡性インフレの渦巻の外に出しまして、國家の力と國家の資本によつて、これを重點的に推進していくことが、大體惡性インフレのもとにおける基礎産業の生産増強のやり方であると考えておる次第であります。これは片山内閣成立前の四黨政策協定の場合においても、この問題は取上げられたのでありまして、われわれはそういう線に沿いまして、こういう法案を作成したような次第であります。しかしながら、現在の資本主義經濟のもとにおきまして、國家管理というものは、これはあくまで例外的のものでありまして、政府はこのたび議會に提出しております經濟集中排除法案におきましても、基礎産業でないああいう産業一般に對しては、公正な自由競爭ということを目標にいたしまして、經濟の集中排除法案、あるいは獨占禁止法というような法律を出しておることは言うまでもないのであります。從つてこういう點からいたしまして、われわれの國家管理方式というものは、基礎産業の生産囘復のために特に用いられる例外的な施策である。そういうぐあいに御了承願いたいと思います。
#135
○前田(正)委員 その全般のあり方というものは、最近いろいろと法案が出てまいりまして、また政府の御發表でもわかるのであります。大臣がおつしやる通りでありますが、實はその全體のあり方として、この石炭國管がその一環としてまず取上げられたのか、全體の日本の産業のあり方として、基礎産業は國營方式にもつていかなければならないから、その第一に石炭問題を取上げたのか、あるいは次にどういう問題を取上げるのか、そういう具體的な方策は立つておられるかどうかということを伺いたい。
#136
○水谷國務大臣 その點は西田君の御質問であつたかどうか知りませんが、片山總理がこの鑛工業委員會でお答えになりました通りでございます。私も片山内閣の商工大臣といたしましては、その總理の言明通りにやつていかなければならぬということを御了承願いたい。
#137
○前田(正)委員 しからばこういう問題を特に一つだけ石炭を國管に取上げて、あとは協力命令でやつていこうということは、いやしくも國管というものをやつていく以上は、將來の日本の産業はどうならなければいけない、それに對して基礎原材料は、基礎であるからどうやつていかなければいかぬという具體的な方針から、第一年度として石炭を取上げて國管としていく、こういう總合的な計畫が必要であると思いますが、そういう御計畫はあるのでしようか。
#138
○水谷國務大臣 それは先ほど申しましたように、片山總理がその點をはつきり言われましたので、私どもも例外中の例外として、三箇年を限つて、石炭企業にこういう方式をとるということになつた次第であります。
#139
○前田(正)委員 以上において私も大體のお話はわかりました。私は例中の例外といたしまして、ただこの石炭だけを取上げて、國管方式を考えるというやり方は管理ということに對する非常な非民主的なやり方であると思います。少くとも管理というものは、もう少し全體のあり方に對して、それが具體的な行き方といたしまして考えていかなければならぬ。ただ石炭が重要であるから、それに對して非常増産對策を講ずる。これはもつともな話でありますが、少くとも管理ということを唱える以上は、もう少し日本全體のあり方についてもつと研究して、それを具體的にやつて、それからどれを取上げていくという行き方から考えていかなければならぬ。しかも管理自身が、ここに書いてありますような非常に曖昧な管理である。私の研究の結果は、管理方式というものは、責任と管理が伴つたところの國有國管の方式であるか、あるいは自由企業の管理方式である。この二つが最も能率的であり、またいいと思います。但し私は今後の日本におきまして、はたして國有國管の方式がいいか、あるいは自由企業管理方式がいいか、あるいかどういう産業にどういう方式を適用したらいいかということは、もつと十分に研究しなければならぬと思つております。私はどちらに贊成するとも今申し上げることもできませんし、また十分の研究もいたしておりません。しかしながら、そういう研究と別個に、ただ石炭だけ臨時に國家管理しよう、しかもその管理案が曖昧なやり方であるということに對しては、この間の公聽會においても、勞働者また經營者の方の兩方とも修正意見があつたように、私はこういう問題に對しては、どうしても協贊できるという確信はもてないのであります。この點に對しましては、大臣と非常な見解の相違がありまして、大臣が一番初めに、このような管理方式でもつても増産できる。こういうお話でありましたが、このような管理方式でもつては、どうしても増産ができないという考えになりました。それに對してずつと質問させてもらつたわけでありますが、どうしても私の考えを修正することはできないで、ここに至りました。さらに提出された資料の問題とか、經營と資本の問題とか、いろいろ意見がありますが、しかしそういう問題は、大體論議されておりますから、私は管理の立場から見た質問は、この邊で打切りたいと思います。
#140
○淵上委員 先般來お願いしておりまする第一年次の來年度の三千三百萬ン、うち二十萬トンは新坑でありますが、現在鑛の三千二百八十萬トンの山別の出炭計畫を要求して、まだいただいておりませんが、議案審議上、きわめて基礎的な問題であり、かつ急を要するのでありますので、速やかに提出方を委員長から取計らわしめるようにお願いしたいのであります。どういうふうになつておりますか。
#141
○伊藤委員長 その件につきましては、先般淵上君から同じく議事進行について御發議がありましたときに、委員長の方から、はつきりお答えを申し上げておいたはずであります。それをさらに繰返して申し上げておきますが、政府の方で明年度のものを山別につくるとしても、從來からのやり方の方式として、各山との間に十分それぞれ協議をされまして、政府との間にそこにまとまつたものをして、一つの明年度の出炭の計畫數量の案ということになるのであつて、この廣い炭田の多くの山に、それぞれの手配をしてつくり上げるのでありますから、早急にいかない状況であるということを、お答えを申しておいた通りでございます。
#142
○淵上委員 この間の委員長の言われた通りに、きようまたお話になりました。私もそれを豫想しておつたのであります。しからば、山別の出炭計畫は出せないというふうに解釋しておいて、この要求は撤囘したいと思いますが、委員長よろしうございますか。念のために委員長の意見を聽いておきます。
#143
○伊藤委員長 よろしいかよろしくないかということは、私が申し上げたことによつて淵上君が御判斷の上、御決定を願いたいと思います。
 本日はこの程度に止めまして、次會は明十一月一日午前十時より會議を開くこととし、本日はこれにて散會いたします。
   午後三時二十九分散會
ソース: 国立国会図書館
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