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1965/10/16 第50回国会 参議院 参議院会議録情報 第050回国会 本会議 第5号
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1965/10/16 第50回国会 参議院

参議院会議録情報 第050回国会 本会議 第5号

#1
第050回国会 本会議 第5号
昭和四十年十月十六日(土曜日)
   午前十時十分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
 昭和四十年十月十六日
    午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第
  二日)
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。
 鹿島守之助君から、病気のため四十一日間、山本杉君から、海外旅行のため八日間、それぞれ請暇の申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、いずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)。
 去る十三日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。小酒井義男君。
   〔小酒井義男君登壇、拍手〕
#7
○小酒井義男君 私は、日本社会党を代表して、さきに行なわれた政府の所信表明演説に対して、若干の質問をいたします。
 五年前に岸内閣の手で日米安保条約が改定され、いま佐藤内閣によって日韓条約が調印されました。くしくも椎名外務大臣は、岸内閣の官房長官でありました。そしてわが国の政治は、外交も内政も、目に見えない体制の中で苦悶を続けておるのであります。第五十回臨時国会も、その一こまであるということができるのであります。また政府、自民党は、国民の待望する経済危機の打開、災害対策、人事院勧告の実施等、すべてをあと回しにして、日韓条約の批准を急いでおるのでありますが、われわれは、このような政府の態度に強く抗議をするとともに、佐藤総理の反省を求めるものであります。(拍手)
 質問の第一点は、佐藤総理が所信表明演説において、わが国の安全を確保し、アジアの平和を守るために、あらゆる努力を傾注してきたと言われたことであります。
 本年二月、アメリカが北ベトナム爆撃を開始してから、アメリカ軍が日本本土と沖繩とを、この作戦の墓地として利用していることが、次第に明らかになってまいりました。これに対して、国民の間に、戦争に巻き込まれるのではないかという不安が高まり、アメリカ軍の基地使用を断わるべきだという声が強くなっております。ところが自民党政府は、アメリカ軍の北ベトナム爆撃は当然であるとして、これを支持し、さらに、ベトナム用特需の受注、LST乗り組み船員のあっせん等、アメリカ軍の作戦に協力を進めております。これでは、国民の心配は大きくなるばかりであり、総理の言われる、わが国の安全、アジアの平和ということにはならないと思うのであります。わが党は、国民の心配を代表して、政府がアメリカ軍の作戦に協力することを中止するよう、強く要求しております。
 そこで、総理に率直にお尋ねをしますが、アメリカ軍の作戦に対して、今後ともますます協力を続けるつもりなのか、それとも日本本土、沖繩の基地を使用することを断わるつもりかどうか。その二は、アメリカ軍の北ベトナム爆撃、南ベトナムヘの派兵増強で、アメリカは軍事的勝利をおさめることができると考えていると思うかどうか。第三、ベトナム北爆を支持することが、わが国の安全を確保し、アジアの平和を守ることであると考えるなら、その理由を説明されたい。
 質問の第二点は、日韓条約、協定に関するものであります。
 佐藤総理は、政府所信表明演説の中で、「最も近い隣国たる韓国との間でさえ平和を達成できなくて、世界平和を語る資格はない」と言われました。第二次大戦が終わってから、日本は、サンフランシスコ平和条約、日ソ共同宣言などによって戦争のあと始末をつけてまいりましたが、韓国と同じ、すぐ隣の二つの重要な国との間の国交は、いまだ正常化しておらないのであります。その一つは中国であり、その一つは朝鮮であります。この二つの国は、日本が明治以来これを侵略し、中国についてはその一部である台湾を、朝鮮についてはその全体を、植民統治のもとに置きました。この侵略と植民統治によって朝鮮と中国の民衆にかけた迷惑は非常なものであります。この二つの国との国交を正常化し、過去の償いをすることは、日本人として当然果たさなければならない義務であります。かつて佐藤総理は、「沖繩が祖国日本に帰らない間は、日本にとって戦後は終わらない」と言われましたが、朝鮮と中国との国交が完全に樹立されない限り、日本にとっての戦後は終わらないのであります。政府は、韓国政府を全朝鮮を代表する唯一の合法政府という立場に立って、これとの国交を正常化しようとしているのでありますが、台湾政府を全中国を代表する唯一正統の政府と認めて、これとの間に平和条約を結び、これによって中華人民共和国との国交回復の道をみずからの手で閉ざしておるのであります。このたび、日本政府と韓国政府との間において調印された条約、協定について、管轄権の範囲、竹島の帰属、李ラインの問題に対する解釈の食い違いは、およそ国家間の取りきめとしての体をなしておらないのであります。韓国の国会における韓国政府の見解については、日本政府は、あれは韓国の国内向けであると言い、日本政府の見解については、あれは国内向けであると韓国の政府が言うのは、一片の漫画の材料にはなるかもわかりませんが、条約としての権威をなしておらないのであります。また、韓国においても、日韓条約、協定に対しては激しい反対の声があがっており、これを警察と軍隊の力でやっと押えつけ、国会では与党議員の単独議決によって批准が強行されたのであります。また、有償、無償すべてを含めて八億ドルという大金を朝鮮の南半分だけに出すのに、その南半分からは経済侵略であると激しく反対され、北朝鮮の政府は、日韓条約、協定を非難し、日本の植民統治に対する償いは必ず要求すると声明しているのであります。椎名外相は演説の中で、「日韓間に存在している諸懸案を解決するとともに、将来に向かって日韓両国民の幅広い協力関係を定めたものである」と言っておられますが、こういう無理をして日韓両国の友好親善の成果があがると思っておられますかどうか。国民が疑問を持つのは当然であります。
 そこで総理にお尋ねをしたいことは、日本は朝鮮植民地統治でよいことをしたと思っておられるか、それとも迷惑をかけてすまなかったと思っておられるか。
 その二、韓国に対して請求権の支払いをすれば、それで全朝鮮との過去の問題は全部済んだと考えるのか。
 第三、総理は過般の記者会見において、「条約の解釈が食い違うことは間々あることだ」と言っておられましたが、どこにそんなことがあったか、例を示していただきたい。
 その四、竹島の帰属について、一括解決のできなかったものを、今後の交渉で解決ができると思っておられるのか。事実上、竹島は放棄したと同じではないか。
 また総理は、昨年十一月十日組閣後初めての記者会見において、「日韓交渉と中国問題は、佐藤内閣に課せられた重要問題である」と言われましたが、中国問題については、池田内閣時代よりも後退をしておるのではありませんか。総理の自主外交は看板だけではありませんか。
 その六、太平洋戦争が終わってから二十年になるのに、朝鮮と中国の民衆に対して、まだ過去の償いをしていないこと、国交の回復が実現していないことは、日本にとって戦後は終わっていないと考えられるかどうか。
 その七、韓国政府が反対するからという理由で、純然たる民間の会議に出席する北朝鮮代表の入国を認めないことは、これは世界の笑いものになることであります。IECあるいは、はりきゅう代表の参加をなぜ政府は認めることをしないのか。
 質問の第三点は、日韓条約と軍事的な関係についてであります。
 佐藤総理は、「日韓条約が軍事同盟に発展するおそれがあるとの、一部の議論のごときは、何ら根拠なくして、故意に国民の不安をかり立てる、常識では理解できない説であり、わが国憲法の精神から考えて、断じてあり得ないこと」と言われましたが、しかし、本年二月、国会において社会党議員から明らかにしましたように、三矢計画においては、わが国の自衛隊が、千島、樺太、北朝鮮を目標にして、これに出動することが想定されていることであります。これに対して佐藤総理は、三矢計画のような研究を行なうことは当然であると言明されております。もう一つは、日韓条約の当事国である韓国が、すでに南ベトナムに対して一万八千名の軍隊を派遣しており、その韓国との間に軍事提携を具体化するとの話し合いがなされているということであります。さらにもう一つ重要なことは、国連に協力をするという形ならば、わが国の自衛隊が海外に出動することは憲法に違反しないし、したがって、当然海外出兵を行なうべきであるという議論が、政府部内に一貫して存在しているという事実であります。この議論は、現在韓国にある米軍が国連の旗を掲げているだけに、重大な影響を持つのであります。
 そこで総理にお尋ねしますが、本院は、昭和二十九年六月二日、自衛隊法が議決されるに際して、次のような決議をしているのであります。「自衛隊の海外出動を為さざることに関する決議」「本院は、自衛隊の創設に際し、現行憲法の条章と、わが国民の熾烈なる平和愛好精神に照し、海外出動はこれを行わないことを、に更めて確認する。」というものであります。総理は、この決議に御賛成か、あるいは賛成されませんか。
 その二は、いまでも自衛隊が千島、樺太、北鮮に出動する研究を行なうのは当然と考えておられるか。あるいは、そのような研究は禁止すべきだと考えておられるかどうか。
 その三は、自衛隊が国連の要請にこたえ海外に出動することは、憲法違反であると考えるかどうか。
 第四に、韓国にあるアメリカ軍が国連の旗のもとに、わが国の自衛隊の協力を求めてきた場合、政府はこれにこたえて、自衛隊を韓国に出動させるつもりかどうか。
 その五は、日韓条約が成立したら、日本と韓国との軍事提携を密にするつもりがあるかどうか。
 その六は、アメリカ政府から、わが国の自衛隊をベトナム戦争に協力させるよう要請されたことはなかったか。要請があれば、現に韓国が派兵しているように、これにこたえて、自衛隊をベトナムに派遣するつもりか、拒否するつもりか。
 質問の第四点は、沖繩に対する政府の方針についてであります。
 さきに佐藤総理は、戦後初めての沖繩訪問をされましたが、祖国復帰を要求する住民代表には会おうとせず、アメリカ軍基地に逃げ込むという事態が生じたのであります。総理は、所信表明演説において、しきりに、沖繩の祖国復帰を力説されましたが、この一つの行動こそ、総理の本心を如実に物語っているのであります。政府は、アメリカ政府と口うらを合わせ、極東に平和が訪れたら沖繩が帰るなどと述べて、沖繩の祖国復帰を要求する国民と対立することになるのであります。沖繩にアメリカ軍の核基地があり、そこが現在ベトナム作戦の基地となっているから、それが極東の緊張を逆に激化し、国民の不安を高めている原因ではありませんか。この事実を無視することができないから、総理自身が、B52が沖繩からベトナムへ渡洋爆撃に出動した際、日本は当惑していると言わざるを得なかったのであります。国民は総理に対して、百万言を費やして、沖繩祖国復帰の抽象的な文句を並べ立てられるより、一つの具体的な実行を要求しております。
 そこで、総理にお尋ねしたいことは、極東に平和が訪れたならば沖繩は日本に帰るというなら、それでは、いつ極東に平和が訪れるのか、もしその時期がいつになるかわからないというのなら、いつかわからないときまで、祖国復帰を待てと言われるのでしょうか。
 その二は、沖繩に米軍基地があり、それが核武装をしていること自体が、極東の国際緊張を激化させているとは考えませんか。もし、沖繩基地が極東の平和を保障するというなら、なぜB52の渡洋爆撃に当惑されたのですか。
 その三、日本本土と沖繩との自由往来をアメリカ側に強く要求されるかどうか。
 その四、主席公選を実現するため、アメリカ側と外交交渉を行なうべきであると思うが、その意思を持っておられるかどうか。
 その五、沖繩の生活水準を本土並みに引き上げるために、アメリカ側がこれを拒否しても、これを説得して、財政援助を行なう決意があるかどうか。
 その六、衆参両院に沖繩対策委員会を設置することに賛成されるかどうか。
 質問の第五点は、経済政策の根本に関するものであります。
 佐藤総理は、本年一月、年頭の記者会見において、「経済界にも春は近い」と言われましたが、今年はどうしてか、春よりも先に冬がやってきそうであります。このたびの所信表明においても「明るいきざしがあらわれてきました。景気は次第に回復に向かうものと期待されますが」と、希望的なことばを並べ立てておられるのでありますが、こういう文句は、この一年間、幾たびとなく繰り返されたのであります。さきに政府は、七月二十七日の経済政策会議において、本年度予算の留保解除、財政投融資の拡充など、一連の不況対策を決定しましたが、あれから二カ月余り経過した今日、経済の動きは、依然として停滞の状況を脱していないのであります。その根本原因が、過去数年間の巨大な設備投資の結果、過剰生産の圧力が市場を支配していることにあることは言うまでもありません。この圧力がどのくらい大きいかは、さきの一連の不況対策の実施、輸出の好調、企業における一時帰休、人員整理、新規採用の手控えなど、いろいろな手が打たれているにもかかわらず、金融界、産業界に倒産整理に入る会社の数が減らないことによっても明らかであります。
 こういう情勢を前にした政府は、次の二つの道のどちらを選ぶかという大きな問題に直面しておるのであります。一つは、戦争と軍需インフレの道であります。もう一つは、平和的な内外市場の拡大の道であります。前者の道は、わが国が満州事変以来とってきた道であり、それがついに太平洋戦争の敗北という形で、わが国を破滅のどん底にたたき込んだ道であります。もう一つは、アメリカにおいて、一九二九年の大恐慌のあと、ルーズベルト政権がとったところの道であります。最近の自民党政府のやり方を見ておりますと、明らかに前者の道を歩き始めております。ベトナム戦争への協力、日韓条約の締結、第三次防衛整備計画の法案など一連の事実は、みなこれを証明していることであります。もし、そういうことになれば、戦後二十年間にわたって国民が営々として築き上げた日本経済の成長も、汗を流した努力もむなしく、再び破滅のふちに投げ込まれることは、火を見るよりも明らかであります。
 政府が、わが国の将来の繁栄を望むなら、道はただ一つしかありません。それは、平和憲法を守り、国民大衆の生活を安定向上させ、東西貿易の制限を撤廃し、ゆがんだ貿易構造を正して、海外市場を拡大することであります。わが国は、いまだかつて、このような平和的な外交、経済の方針を立て、これを実行したことはないのであります。しかしながら、現在では、日本が平和に生きる道は、この平和共存外交、平等互恵の貿易を実行するほかにないのであります。そうしてまた、それが、現在の不況から脱却し、国民に平和と繁栄を約束する、ただ一つの道なのであります。
 総理にお尋ねいたしますが、現在の不況を、インフレの促進、軍需経済の展開という形で切り抜ける気持ちか。平和的な貿易の増大、国内市場の拡大で切り抜けるつもりか。
 その二、もし、自民党政府が現在やっているような前者の道、すなわち軍需インフレの道を歩むなら、それによって日本国民に平和と繁栄を約束するという保証がどこにあるのか、御説明が願いたい。
 質問の第六点は、財政運営の基本に関するものであります。
 佐藤総理は、所信表明において、所得課税及び企業課税について特に大幅な減税を実施する、健全な公債政策を取り入れる、通貨価位の安定と財政の健全性を確保する、と述べられました。われわれは、この三つが、ともに成功することのきわめて困難なることを指摘いたしますとともに、佐藤総理がこの公約を実行されることの今後の手腕に期待をかけるものであります。戦後未曾有のインフレに苦しんだわが国経済は、ドッジ財政によって均衡財政に転換し、以来、日本銀行引き受けによる赤字公債の発行は、財政法によって禁止されたのであります。わが国の財政は、その後、抜け道はありましたが、曲がりなりにも拡大均衡の姿を保ってきたのでありますが、今回政府が公債発行に踏み切ったことは、ドッジ財政以来の大転換であります。総理は、第四十八国会において、昭和四十三年までは公債を発行しないと言明しながら、突然、四十年度から公債発行に踏み切るに至ったことは、公約無視であり、また、こうした重大な財政政策の転換については、十分に国民を納得せしめるだけの説明を行なう義務があります。
 そこで、総理にお尋ねしますが、昭和四十三年までは公債を発行しないと、たびたび公約しながら、なぜ四十年度から発行することにしたのか、その経緯、理由を明らかにしていただきたい。
 その二、不急不用の経費を徹底的に節減すると言われますが、不急不用の経費とは何をさして言われるのか。防衛費をどう思っておられるか。
 その三、健全な公債政策とはいかなるものか、その具体的な内容を明らかにしていただきたい。
 その四、政府は公債政策の目的を、緊急措置と長期計画とに分けて説明をしておりますが、この二つを区別することができるかどうか。
 その五、公債発行とインフレは切り離せない関係にあります。一時的に市中消化ができても、日銀貸し出しを増加したり、買いオペレーションを行なえば、通貨の増発になります。インフレにならない対策があれば説明をしていただきたい。
 その六、通貨価値を安定させると言われますが、最近五年の間に、貯金の価値は三分の二に低下しております。老後や病気に備えた零細な貯蓄をする国民大衆は、インフレの被害者であります。通貨価値が安定しなかったら、政府はその補償をどうして行ないますか。
 その七、公共料金、その他物価が上昇しましたら、減税分は消えてしまって、有効需要の拡大とはならないことになります。減税の重点は所得課税とすべきであり、相当大幅なものでないと効果はあがらないと思いますが、減税の規模をどのくらいに考えておられるか。
 その八、減税とは無関係であり、しかし公共料金や物価上昇の被害者であるボーダーライン層、生活保護世帯、これらに対する対策が必要だと思いますが、それをどう考えておられるか。
 私は、以上の質問について佐藤総理から、抽象的でなく、具体化に答えていただきたいことを念のために申し添えておきます。
 最後に、わが国の将来、とりわけ青少年諸君の未来の問題については、われわれもこれを重要視するものでありますが、佐藤総理は、所信表明の後段において、特に青少年諸君に訴えたいと思うのは、国民的自覚、祖国愛、光輝ある伝統、民族の命運、激動する時代、歴史を切り開くなどと、ものものしい文句を並べ立てて、聞く者に異様な感じを与えたのであります。衣の下から「よろい」がのぞいていると思うことが、単なる憶測であれば幸いであります。青少年諸君を激励する前に、われわれがまず、青少年諸君のために、希望を持って生きることのできる社会をつくり上げることから始めるべきではありませんか。このことについて付言をして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 ベトナム問題についていろいろ御意見をまじえてのお尋ねでございます。わが国における米軍基地、いわゆる安保条約によって提供しております基地を、直接、戦闘作戦行動基地に使ったということはございません。したがいまして、この点は明確にしておいていただきたいと思うのでありまして、わが国がこれに協力しているというような言い方をされますが、私どもは、日米安保条約のこの条章、そのワク内において協力するのは、これは条約を守る本来の筋から申しまして当然のことであります。これは御承知のように、わが国の憲法九十八条にも、条約は忠実に守らなければならぬということを規定しております。憲法を守るという立場でも同様であります。ただ、沖繩の基地についての御意見でございますが、これは御承知のように、私ども施政権を持っていないところでございますので、この点については、ただいまのようなお話がございましても、施政権者の自由と申しますか、そういう立場でその基地を使っておる、かように解すべきだと思います。ただ、かつて、B52が沖繩から発進いたしまして、私は当惑しておるということばを使いました。これについてお尋ねがありましたが、当時の事情は、グアム島における基地が台風で使用できないと、その理由で沖繩に参りまして、その沖繩から発進したと――かような理由で南ベトナムを爆撃したということ、これで私自身が当惑したのでございます。私は、アメリカ自身が当然の権利として沖繩をそのまま使っておるなら、これは明確でありますけれども、当時、台風のため、わが国の板付基地に退避すると、かような話があったものが、板付基地に退避しないで、そうしてこれが沖繩に行って、沖繩から南ベトナムへ行った。その原因、その理由が――こちらへ来るだろうと、かように考えたものが向こうへ行ったということで、もし板付へ来たら、それがまた南ベトナムへ行ったんではないかと、こういうふうにも解釈される。こういう意味で、その点は非常にまずかったと私は思うのであります。
 また、南ベトナムのああいう状況、北爆等で米軍が軍事的勝利をおさめ得ると判断しておるかどうかということでありますが、この点につきましては、アメリカ政府もしばしば申しておりますように、これはお互いに話し合って、そうして平静に帰すべき――平和状態を招来すべきものだと、かように私は思います。無条件話し合いを提案しておる。このことは御承知のとおりでございます。最近はだんだんと、ジュネーブ決議の原則、それに返るという考え方に双方が近づきつつある、かように私は見受けますので、ぜひともそのジュネーブ決議の原則を守ると、こういうことで話し合いを進める。そうして平和を招来することが何より必要なことだ、大事なことだと、かように思います。私どもは、ベトナムがただいまのように戦火に苦しんでおる、こういう状態が続くことは、これはアジアの平和、同時にまた、わが国の安全にも多大の関係を持つことでありますので、一日も早く平和が招来することを心から願っておる次第であります。私は、沖繩自身が、先ほどのようなことがありましても、直接戦火に巻き込まれる、かような心配は現在においては全然ないと、かように確信いたしておりますので、この点では国民に対して非常な不安を与えないように、お互いに気をつけてまいりたいものだと、かように思います。
 また、第二のお尋ねは、日韓交渉についてのお話でございますが、日韓交渉は、所信表明でも明確にいたしましたように、私は何と申しましても、隣の国同士が仲よくしていく、これが最も大事なことだと思います。アジアにおきます日本が、アジアにおける国々と、いまのような、交渉が十分できておらない、大韓民国はもちろんのこと、ただいま言われるように、北鮮あるいは中共に対して政経分離の形で、経済的な交渉だけを持っておる、こういうような今日の状態がいつまでも続くのだと、かようには私は考えたくないのであります。こういう意味で、しばしば申し上げておりますように、わが国の考え方はいずれの国とも仲よくしていくのだ、これが基礎的な考え方であります。ただ、いずれの国とも仲よくはしてまいりますが、相手方にもわが国の立場を十分理解してもらいたい。このためには、お互いに独立を尊重すること、お互いに内政干渉をしないということ、このことが最も大事だと思います。この基本的原則ができなくて、お互いに仲よくしていくことは、これはできないのであります。私はその点が、共産党やあるいは社会党の方々が、もしも話が十分できずに、おれたちは中共や北鮮に対して話ができるのだ、かようにお考えになっていらっしゃるならば、どうか私がいま申した、これはどこの国とも仲よくするのだ、その場合には必ずお互いに独立を尊重していこうじゃないか。また内政に干渉しないことにしようじゃないか、このことを十分わかるようにお話をいただきたいのであります。(拍手、発言する者多し)私は、この点につきまして、最近の北鮮やあるいは中共が他の場所におきまして発言しておる事柄は、ただいま私の申し上げる私の希望に必ずしも沿っておるようには思わないのであります。まことに遺憾に思う次第であります。
 今回の日韓条約で北鮮の問題はどうなるのか、こういうようなお話だし、あるいは管轄権の問題についてのお尋ねがございましたが、これはだんだん明確になっておりますが、今回の日韓条約では、北鮮の問題については全然触れておりません。したがいまして、北鮮の現実の問題として、日本がいままでとっておりますケース・バイ・ケースで入国を考えたり、あるいは貿易を実際にいたしたりしておる、この点は在来から変わりはないのであります。今回のIECの参加の問題につきまして入国を拒否したとかいうようなお話がございますが、これも、ただいま申し上げますように、ケース・バイ・ケースでこれをきめてまいるのでありまして、私は、今回IECに参加を許すことは今日の日韓の状況から見ましてどうも適当でない、かように考えましたので、この点が希望に沿うことができなかったのであります。
 また、竹島、李ラインの問題等につきまして老いろいろお尋ねがありましたが、いずれ、これらについては委員会等で明確になることだと思いますが、御承知のように、竹島はわが国も固有の領土権を主張しております。韓国も独島ということでこれの領有を主張しております。明らかに両者の意見が違っておる。こういう事柄を平和的に交渉してまとめていこうというのが、今回の交換公文であります。したがいまして、この日韓交渉の条約その他の批准ができまして、友好関係ができたその暁において、私どもはこういう問題を真剣に両国の間で取りきめてまいりたいと思います。
 また、李ラインの問題につきましては、御承知のように、もうすでに調印できましてから拿捕等の事態は起こっておりません。したがいまして、これも安全操業ができるという、このことが第一の、何よりのたよりでございますから、いわゆる李ラインがあるとかないとか、かような議論よりも、実際問題として処理される――いままでのような、安全操業ができなかった、これが今回は安全操業ができたということで、御了承をいただきたいと思います。
 また、韓国国会の反対がいろいろ問題にされておるようでありますが、韓国国会も、御承知のように、最近では平常に帰しつつあるということでありますので、これは、他国の内政を、とやかく、あまり言わないことが望ましいことではないかと思います。私は、韓国内においての、この日韓条約についての世論調査の一つの材料を持っておりますが、その材料によると、積極的反対はわずかに九%程度だ、また、これの賛成は、実に七〇%に近いということであります。これは世論調査の結果であります。これらのことも考えてみまして、ただいまの事態の両国間の条約、これは、ぜひとも批准するということに進めていきたいものだと思います。
 請求権の問題についてもお話がありましたが、この請求権の問題は、ただいま経済協力という形におきまして両者において十分話がついておるのでありまして、今後は両国が、経済協力、そのもとにおいて韓国も繁栄していく、私どもも繁栄していく、両国がその繁栄の道をたどる、こういうことで相提携していく、互恵平等の原則に立つということでありますので、この点は、過去の請求権の問題はもう消えたと、かように御了承いただきたいと思います。
 また、過去の日韓間の問題について、総理はいかに考えるかというお話でございますが、ちょうどこれにつきましては、椎名外務大臣が韓国を訪問いたしました際に、過去の不幸な事態について十分反省しているということを申しておりますが、私も同様の感を持っておるのでございますので、この点は、かように御理解をいただきたいと思います。
 第三は、防衛問題についてであります。
 防衛問題については、昭和二十九年六月二日の自衛隊の海外派兵は行なわないとの決議がございました。私も、この決議を尊重する、かような立場にあることには変わりはございません。ことに、わが国の憲法が、国際紛争は武力によって解決しないのだと、武力使用を禁止しておりますし、また、自衛隊法自身も、自衛隊はわが国の防衛のためにその職責を果たすのだと、かような考え方が明確になっております。したがいまして、この二つの法律から、ただいまお尋ねになりましたような、自衛隊は、国連の要請に応じて海外に出て行くというようなことはありませんし、また、韓国における米軍が国連の名のもとに要請をいたしましても、これまた出動するようなことはございません。
 また、千島、樺太、北鮮等におけるいわゆる三矢研究なるものについて言及されました。私は、こういう事柄も、いろいろ誤解を受けるから、海外派兵のできない今日において、かようなことを研究するにいたしましても不適当なことであったのではないかと、かように思います。しかしながら、最も大事なことは、こういう事柄が現実的にいかに扱われるかということだと思います。現実に私どもは憲法をどこまでも守っていきますので、いわゆる頭のトレーニングの問題ではなく、そういう実際的な問題の処理にあたりまして、われわれが憲法を守るか守らないかということが問題なんで、これは憲法を順守する、ここに私どもの立場があるのでございます。この点を御理解いただきたいと思います。
 また、日韓関係の条約を締結するにあたりまして、軍事提携についての話し合いがあったのではないかと、かようなお話でございますが、これは過去十四年間の交渉を通じまして、どの時期におきましても、さような問題は全然ございません。したがいまして、この点は、いかにも、あったのではないか、また、あるのではないか、かように盛んに言われますが、絶対にないのだと、これを国民の皆さまにも理解していただきたい。これは韓国自身も同じようなことを申しておりますから、この点でも食い違っておらないので、ほんとうに御安心だろうと思います。
 また、米国政府からわが国に対して、ベトナム戦争に自衛隊を協力さすかどうかという、かような要請を受けたことはございません。また、かような要請がございましても、先ほど来申しますように、憲法に反するような事柄は明確に拒否する考えでございます。
 次は、沖繩問題でありますが、沖繩問題につきましては、私が参りまして、そうして、この目で、このはだで、沖繩の九十万同胞が祖国復帰を念願しておることを感じてまいったのであります。私どもは、いままでも機会あるごとに、この施設権の返還、祖国復帰の一日も早く実現することを願ってまいりました。ただいまお話がございますように、アジアが平和になるそのときには返すとジョンソン大統領が言っておるが、一体その時期はいつか、その平和が実現するまではこれが返らないのか、こういうお尋ねでございますが、私は今後あらゆる機会を通じまして、この努力を続けてまいるつもりでありますし、ただいまの問題も、平和の時期は必ずや――だんだん国際情勢も変化しつつある際でありますから、絶望的な考え方をされることには私は不賛成でありまして、むしろ期待を持ち、希望を持って、そういう努力をすべきであると、かように考えております。
 次に、沖繩と本土との自由往来についてのお尋ねもあったかと思いますが、これらもいろいろ交渉いたしておりまして、漸次、その範囲も拡大される、時間も簡単になりつつあるように思います。
 沖繩の主席公選を推進することにつきましても、最近、五人委員会の諸君が見えて、私もこれにも会って、いろいろお話をしておりますが、私どもは、この沖繩の返還、あるいは施政権の返還、あるいは祖国復帰、これはどこまでも日米友好関係のもとにおいて、相互信頼のもとに、これを実現したい。この関係を基礎にして、ただいまのような話をしていくつもりでございますので、これも国民の皆さまの御支援、御協力をいただきたいと思います。いわゆる施政権返還が実現するまで、また、返還を期待しつつ、一日も早く沖繩と本土との間の格差をなくするように、あらゆる努力をするつもりであります。来年度の予算編成にあたりましても、大幅に私どもが財政的な援助をするのも、ただいま申し上げるように、沖繩の生活水準を本土並みに引き上げていく、かような考え方でございます。
 沖繩対策特別委員会を国会に設置したらどうかというお尋ねでありますが、私は、ただいままで内閣委員会その他においても、たいへん懇切丁寧に御審議をいただいておりますので、ただいま直ちに、かようなことをしなければならない、かようにまでは積極的に考えません。いましばらく現状のままでよろしいのではないか、かように思いますが、問題は、どこまでも国会自身の問題でございますので、ただいまのお尋ねは、総理というよりも、自民党総裁としての私に対するお尋ねかと思いますが、私はさように考えておるのであります。
 次に、経済政策について、るる、お話がございました。今日の経済、これは最近、ベトナムあるいは日韓、あるいは公債発行等、やや、過去の日本がたどったような方向をたどっておるのではないか、かような心配から、基本的なお尋ねをただいまいただいたのでございます。しかし、私がしばしば申し上げておりますように、わが国は戦後、自由を守り、平和に徹する国だ、かようなことを申してきております。この点がいまなお理解されておらないので、まことに残念でございますが、とにかく私どもは憲法の精神を十分守っていって、そうして、平和に徹する考えでございますので、申すまでもなく、現状に対しましては平和的に貿易拡大をしていく、あるいは国内市場の拡大、こういうことで現状の不況を切り抜けていくという考え、これには変わりはございません。したがいまして、一部、公債政策は、これは、かつての軍備を拡張したそのときと同じようではないかというので、御心配もあるようでありますが、今回はそういうような考え方ではございませんし、また、日本の憲法がさような国是ではないということをよく御理解置き願いたいのであります。
 それで、公債問題をなぜ今日出したか。ことに四十三年までは公債を出さないと、かように言ったにかかわらず、公債問題と取り組んでおる、よく説明しないとわからないというお話でございます。四十三年までというのは、これは中期経済計画で、はっきりそのことを申しておる。この点につきましては、この前もいろいろお尋ねをいただきましたが、中期経済計画どおりに今日の経済がなかなか進んでおらない。かような状況でありますし、私どもはいわゆる計画経済、そういうもとで固定的なあり方ではいけない、生きものである経済、これに取り組んでいくのには、そのときに相応する対策を立てる、これは当然なことだと思います。御承知のように、ことしの財政計画あるいは来年度以降の計画、これを実は二つに分けて考えていただきたいのであります。本年の問題は、予算の実施にあたりましてたいへん歳入減になっております。そこで、この歳入減になると、経費を節約していくというか、既定経費を削減して、つじつまを合わすというのが普通の行き方でありますが、今日の経済の状態ではそれは不適当だ。むしろ経済に刺激を与えて、そして国民が希望を持ち、いわゆる萎縮感を払拭しなければならない、かような状況でございますので、ただいまのように既定経費を節減する、あるいは削減するという方法はとれない。そこで、今回のこの経済情勢に対応いたしまして、いわゆる全体の状況を十分勘案する。一方で歳入は不足する、片一方では歳出のほうは、いわゆる義務的支出の清算も不足しておったり、あるいは災害復旧に金が要ったり、あるいは公務員給与の問題が引き起こったりする等等、歳出のほうはふえておる。かような状態でございますので、この際、私どもは考えて、政府は借金せざるを得ない段階、かようなことで、ただいま対策を立てておるのであります。この対策を立てることがややおくれておりまして、この国会を開くと同時にかような案を提案すべきことだと思いますが、そのほうの準備がややおくれておる。そのためにいろいろ御批判もいただいておりますが、政府といたしましては、できるだけ早い機会に、総体の実情を把握して、総合的な対策のもとに補正予算を提案する。この補正予算は必ずこの国会に、皆さまの御審議をいただくのに十分間に合うような時期に提案するつもりで、目下非常に急いでおりますから、その点を御了承おき願いたいと思います。
 また、来年度以降の長期にわたるところの公債問題につきましては、御承知のように、最近の国民の実態、経済の実情等を勘案してみました際に、いわゆる超均衡予算のもとに予算を編成することは必ずしも望ましくない。一面、非常な公共投資等の支出要求が強い。道路、あるいは港湾、あるいは住宅等々非常に多いのでありますから、こういう際に国民の持つ力、それを担保力といたしまして、政府自身が借金する、こういうような考え方のほうが望ましいのではないか、かような意味でただいま長期の計画をいろいろ立てておるわけであります。片一方で、ただいまの国民負担はなかなか重いから、そういう意味では減税もする。また、片一方でただいまのように公債も発行するということでつじつまを合わしていくと同時に、公債が持ついわゆる危険な点、これがインフレにつながるのではないかという非常な心配がございます。公債自身がインフレということと直接関係はないのでありますけれども、公債を発行するということになると、みだりになる、いわゆる乱発される、非常な膨張を来たす、こういうような意味で不安があるようでございます。したがいまして、これには適当に財政規模を考えていく、このことが大事だ。また、公債発行の方法、いわゆる市中消化、そういうことが考えられなければなりませんし、発行の時期、条件等々につきましても十分考慮いたしまして、そうして、いやしくもインフレになる、かような危険のない、いわゆる健全公債政策をこの際とってまいりたいと思うのであります。
 ただいまの減税の問題でございますが、減税につきましては、私は、いわゆる所得減税、あるいは企業減税というようなものを重点に置きまして、いわゆる大幅減税を実施いたしたいと、かように思いますが、ただいまちょうど税制調査会でいろいろ審議しておられる最中であります。この各界の審議、調査の結果を待ちまして、その答申と取り組んでまいりたいという考え方でございますので、政府自身がただいまの金額等を申し上げることは適当でないだろう、かように私は思います。これも御了承をいただきたいと思います。また、こういう際に、不用不急の経費節約ということを言っているが、防衛費はどうだという、かようなお話でございますが、私は、防衛費は、この国が国力相応の防衛力を持つといういままでの方針に変わりはないのであります。これはただいまのところ、不用不急の経費、かようには考えておりません。これは必要な経費だと、かように考えておりますので、この点は誤解のないように願います。私が申し上げます不用不急、これは新たなる定員増であるとか、あるいは新たなる機構を考える、こういうような事柄については、よほど慎重であると、かような意味で、予算の膨張について特に注意しておる、かように御了承をいただきたいと思います。
 通貨価値の下落についてお尋ねがありましたが、これは最も大事なことであります。通貨価値、これを維持すること、これは先ほどのインフレ防止ということとも、うらはらをなすものでありますが、かような意味で私どもも真剣に取り組んでおるつもりであります。ただお話になりました数字は、貯金の価値が三分の二に低下したというように言われますが、これはやや違うのではないかと思いますけれども、問題は数字の問題でありますから省略させていただきます。
 減税の恩典に浴しない方々に対してどういう措置をとるか、かような方々は物価上昇のしわのみ受けるのだ、かように言われるのでありますが、社会保障制度のもとにおいて私どもがいろいろ対策を立てておることは、御承知のとおりであります。ことに社会党もこの点については特に御理解がある、かように思いますので、在来からの社会保障制度の拡充、これについて力をいたしてまいりたいと思います。
 最後に、青少年対策についての御批判がありましたが、私の考え方には、私自身の所信には変わりはございません。私はいまなお青少年諸君に、所信表明でも申し上げましたあの考え方で進んでいただきたい、かように思います。(拍手)
#9
○議長(重宗雄三君) 小酒井義男君。
   〔小酒井義男君登壇、拍手〕
#10
○小酒井義男君 本会議の質問としては、少し多岐にわたった質問をしまして、意見の食い違う点もありますけれども、お尋ねいたして一応の答弁もいただきましたが、ただ、こまかいことは、私はここでは申し上げませんけれども、二つだけ特に、総理に重ねて御答弁をいただきたいと思います。
 その一つは、総理が記者会見で、条約解釈の食い違いは間々あることだと言われましたことについて、そういう例がありましたらひとつ教えていただきたいという質問をしたことに対して、答弁がありません。
 それからもう一つは、北朝鮮との入国問題についてはケース・バイ・ケースで取り扱う、こういう御答弁でございますが、けさの新聞などを見ますと、近く予定されている「はり、きゅう」の会議については、これの入国を認める、しかし、IECの会議の参加者には認めないという方針に受け取られる記事が載っております。私は、同じ民間の団体の会議であれば、なぜ、こういう区別をつける必要があるのか、何か外務省のいままでの方針に少しこだわり過ぎておられるんじゃないかという気がいたします。その点については、二つの会議は純民間的な会議でありますから、ともに入国を承認さるべきだと考えますので、総理に重ねて御意向を伺いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(佐藤榮作君) たいへん失礼をいたしました。ただいまお尋ねのあったことは実は控えておりまして、お答えするつもりでございましたが、落としました。申しわけございません。
 条約について、これが成立した後に、解釈に問題が生ずることがあるというのは、ちょうど法律を制定した場合と同じような問題でございます。しかして、私が申し上げたいのは、そういう具体的事例はどういうのがあるかというお尋ねでございますが、たとえば平和条約のうちで、朝鮮における財産処理、これは軍令三十三号の効力を承認したものでございますが、これに関しまして、日韓交渉の過程で解釈の一致しないことがあったことは、その一つの例でございます。それで私は、ただいま御指摘になっておりますいわゆる解釈が違うという問題で最も大事なことは、ただいま例にあげましたように、これが国益あるいは国民の利害に直ちに関係を及ぼすと、影響を及ぼすと、こういうような解釈上の相違につきましては、これは実はたいへんなことだから、これは看過できない。そういうものは、どうしてその意見を調整するかということが、それぞれの条文にきめてあるのでありますから、そういうことにまかせていただきたいと思います。ただいままでのところ、日韓間の意見の相違と言われておりますものは、いわゆる条約が調印される、そうして調印されるまでのいろいろ国内に対する説明、その他技術上の問題が主でございます。そうして、この条約調印が済み、そうして批准が済んで効力が発生した後に、いわゆる私が心配するように、国の利害に関すること、あるいは国民の利害に影響を及ぼす、こういうような問題があれば、これについての問題を取り上げていきたいと思います。いわゆる今日までのところ、この解釈に、あるいは意見が遣うから完全な合意ができておらないのだ、かように言われることは私は当たらないと思います。これは両国が自由な意思のもとに署名調印をいたしたのでありまして、書いてあることにおいて署名調印した、この事実で判断を願いたいと思います。
 その次に、ただいまのIECの問題でありますが、IECの問題と「はり、きゅう」の問題と二つを並べて、取り扱い方が違うじゃないかというお話であります。この点は、ややこまかくなりますが、御承知のようにオリンピック、いわゆる運動競技については、これは問題なしに北鮮からも入るのだということで、次官会議等の事務的な会議でそういうことを取りきめたのであります。それ以外の問題については、これはケース・バイ・ケースできめていくのだということであります。したがって、ただいまのIECと「はり、きゅう」の会議、これは二つが違ったからといって、いわゆるケース・バイ・ケースできめていくと、かように了承していただきたいと思います。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○議長(重宗雄三君) 杉原荒太君。
   〔杉原荒太君登壇、拍手〕
#13
○杉原荒太君 自由民主党を代表して、国務大臣の演説中、日韓条約問題を中心として、総理大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 まず、韓国の政情についてであります。
 本年八月、ソウル法科大学生の日韓条約批准抗議集会なるものを皮切りに、ソウルにおいて学生デモが行なわれました。これら学生デモの性格、規模、迫力等から見て、四月革命当時のそれと比べて、どういう相違点があると政府は見ておられるか。また、この学生デモに対する一般市民の態度はどうであったか。四月革命当時のように、学生デモを、こぞって支持する動きがあったかどうか。
 学生デモとほとんど時を同じゅうして、反政府的な言動をとった予備役将官連中は、予備役将官全部のうち、どれくらいで、また、これに対する一般軍民の反響はどうであったか。
 また、韓国漁業界の日韓漁業協定に対する賛否の動向はどうか。
 韓国野党議員のうち、脱党届を出して議員資格を失ったユン・ポソン氏以下七名を除く五十四名の辞職願は、それだけでは議員資格の喪失にはならないと思うが、その後どう処理されているか。彼らの院内復帰問題、及び、一部すでに復帰した議員連中の主張する日韓条約再審議の問題は、現在どういうことになっているか。
 さらに、朴政権の存続性ないし安定性について、政府としては、どのように見ておられるか。
 また、日韓条約の効力発生のためには、ソウルにおいて、日韓双方の批准書の交換が行なわれることが必要になっているが、朴政権は、批准書交換の段階において、それが滞りなく行なわれることにつき、確固たる決意と用意があるものと政府は見定めておられるか。
 これら韓国政情の問題は、日韓条約問題審議にあたっての基本的問題の一つでありますから、それらの諸点について、しっかりとお答え願いたいのであります。
 次に、朝鮮の南北統一問題についてであります。
 朝鮮における南北両政権が分立するに至った経緯及び南北対立が、いかに深刻なものであるかは、周知のとおりであります。しからば、南北統一問題はどうか。現在の時点における統一問題に対する南北両政権の主張の内容は、具体的にはどういうことになっているか。両者の間には、どこに具体的の食い違いがあると政府は見ておられるか。また、その食い違いが出てくる原因、すなわち、南北統一を阻害する真の要因はどこにあると政府は見ておられるか。さらに、南北統一問題は、朝鮮半島だけの局地的問題として処理し得られるような性質のものと見ておられるか。それとも、東西ドイツの統一問題と同じように、もっと大きな規模の国際政治問題の一環たる性格を持つものと見ておられるか。また、南北統一問題と日韓国交正常化との関係、並びに日韓条約の締結と極東の平和との関係に関し、政府のとっておられる基本的見解は、累次明らかにしておられるところであります。しかるに、それらの点に関連して、去る十三日、モスクワ放送の伝えた、同日のタス通信に発表されたソ連政府の声明は、われわれの理解に苦しむところでありますが、これに対し、政府としてはいかなる措置をとられたか。また、日韓条約締結にあたって、北鮮との問題を念頭に置いて、条約内容のきめ方につき特に配慮された点があるか。これらの諸点について明確にお答え順いたいのであります。
 次に、条約内容のうち、おもなる点について若干お尋ねいたします。
 基本関係条約を見ますと、日韓の美本関係のうち最も基本的事項であるところの、朝鮮の独立承認をきめたサンフランシスコ対日平和条約の規定が、単に前置きの文句、すなわち前文の中で、思い起こされるということがうたってあるだけであって、条文の中には、これを確認する規定が設けてありません。これを設けなくとも、対日平和条約の規定との関係上、法律的には一向差しつかえないわけであるけれども、いやしくも、基本関係条約と銘打つ以上、このような最大の基本的事項は、これを織り込むのが、普通にはあたりまえであると思う。またこの場合、基本関係条約全体の実体規定の六カ条のうち、確認的規定と見られるものが四カ条も設けてあるのに、最も基本的な独立承認の確認規定を特に設けなかったのは、何か特別の政治的理由があったのであるか、お答え願
 基本関係条約には、旧条約の無効の確認が規定されております。一方、対日平和条約には、朝鮮の独立承認の条項がある。その結果、日韓併合条約が無効となった時点は、対日平和条約の効力発生の日と解するか、それとも、それ以前の、韓国政府成立の日にさかのぼると解するかの問題につき、政府はいずれの見解をとっておられるか。
 また、独立の承認とは、一般に国際法上、国家の承認を意味するものと思うが、朝鮮の場合に当てはめてみると、それは具体的にはどうなるという政府の見解であるか。また、その国家の承認の効果はいつ発生したと見ておられるか。なお、国家の承認とは別個の法律的意味を持つ政府の承認の効果は、韓国政府については、いつ発生したという見解をとられるか。これらの諸点について、政府の見解をお尋ねいたします。
 基本関係条約中には、韓国政府の設立及びその性格に関する国連総会決議を引用して、「大韓民国政府はかくかくのものであることが確認される」という規定が設けてあります。この条項は、その実体を見ると、韓国政府の設立及びその性格に関し、この国連総会決議の明示している趣旨を確認しているものと読むよりほか、別に読みようがない書き方になっております。韓国の領域を定めることを目的とするような規定の書き方にはなっていない。また、韓国の管轄権の及ぶ地域的範囲を定めることを目的とするような規定の書き方にもなっておらない。また、事柄の性質上、そのようなことが、この種条約の規定の対象となるはずがないと思う。かりに、そういうことがあったとすれば、韓国は、そのようなことをきめるにつき、日本の同意を求めたということになり、みずから求めて日本の属国的地位に逆転したことを認めたことになってしまう。かりそめにも、そのようなことがあろうはずがない。本来、そのような事柄は、本条約と別個の、韓国の国内法上の根拠または客観的事実によってきまる性質の事柄と思うが、政府の見解はどうか。また、この条項は、条約の適用範囲を定めることを目的とする規定の書き方にもなっておりません。そのようなことを目的として条約文を書くとすれば、ここに書いてあるような書き方ではだめである。しかるに、この条項の解釈または説明のしかたについて、内外にいろいろの論議があるようであります。また、ある段階において、政府側の国会答弁の中に、条約の適用範囲を定めたものであるかのごとき趣旨の説明があったように記憶しますが、最終的にきまったテキスト、ことに英文テキストをそのまま読めば、そのようにはとうてい読みようがない書き方になっていると思う。そこで、政府にお尋ねいたしますが、この条項は一体何を目的として書いたものであるか。政府の確定解釈をはっきりと御答弁願いたい。
 基本関係条約中には、日韓の相互関係及び協力関係につき、国連憲章の原則を指針とし準則とする趣旨の規定を設けております。ここにいう国連憲章の原則とは、憲章第二条に明記してある原則、すなわち、主権平等の原則、国際紛争の平和的処理の原則、武力の発動を慎む原則、内政不干渉の原則など、要するに、国連の目的を達成するにあたって必要な行動原則として憲章第二条に定めた原則をさすことは、国連憲章を読めば、だれにでも明らかなことであると思うのです。しかるに、世間では、ややもすれば、この規定が軍事同盟の締結を予想しておるかのごとく解する向きがあるようであります。そのような解釈が生ずるに至った原因が、もし、この条項に、単に「国連憲章の原則」とうたってあるだけであって、特に「憲章第二条に定めた原則」という文句が挿入されていないことにあるとすれば、それは、この条項の解釈としては誤解ではあるけれども、一方、政府としては、専門家以外だれにでもわかりやすいように、なぜ、そういう文句を入れることをされなかったか、その理由をお示し願いたい。
 また、この条項によって、わが国は、国連憲章第二条によって負担している以外の新たな義務を負担することになるかいなか、その点を明らかにしていただきたい。
 なおまた、政府は、韓国との軍事協力や軍事同盟は考えていないとたびたび表明しておられるが、政府みずからが、韓国との間にそういう政策はとるべきでないとせられるのには、憲法上の理由のほかに、防衛政策上いかなる実質的根拠があるか、その根拠を、この際、端的に示していただきたい。
 漁業協定の中に、日韓両国は、それぞれ自国の沿岸基線から十二海里までの水域に漁業水域を設定する権利を有することを相互に認めるという趣旨の規定が設けてあります。これによって、そのような権利が認められていること自体は、一点の疑いをいれません。韓国側の当初の態度と比べてみると、そこにあらわれているわが方の苦心努力はよく理解できるけれども、この規定の書き方を見ると、そのような十二海里までの漁業水域設定の権利は、日韓双方がそれぞれすでに持っていることを前提として、その権利を持っていることを相互に認めるという確認的の規定なのか、それとも、この規定によって初めてそのような権利が発生するという創設的の規定なのか、そのいずれともとれるような書き方になっておるようにも見えるが、それは何か特別の理由があってのことであるか。この点をお尋ねするわけは、そのことが、漁業管轄権に関する両国の基本的立場に関係ある問題だからであります。
 また、漁業管轄権に対するわが国の基本的立場は、依然、三海里主義たることに変わりはないか。また、韓国の漁業管轄権に対する基本的立場はどうか。なおまた、両国の基本的立場から見て、この規定は確認的規定ではなくして創設的規定だということについて、日韓双方の意思は完全に合致しているかどうか。それらの点を明らかにしていただきたい。
 最後に、わが国外交の基本政策の目標と、朝鮮問題に関する外交施策との関係に関し、簡単にお尋ねいたします。
 政府のとっておられる外交政策の主たる目標は、総理の言われる、平和に徹することと、経済関係をよくすることにあると思う。しこうして、この外交の二本柱の見地からして、朝鮮半島の平和維持の問題と隣邦との経済交流の問題は、政府の外交施策上重視しておられるところに違いありません。今回の日韓条約の締結自体が、これを証明しております。しかし、わが国の全般外交の任務から見て、朝鮮問題に関する外交施策にその範囲を限って見ても、日韓条約の締結のごときは単にその一部であって、これをもって能事終われりとするがごときものでないことは言をまちません。現に、朝鮮戦争も、単に軍事的休戦の段階に足踏みしているのみであって、政治的収拾の道は、まだ一歩も踏み出されておりません。朝鮮半島の平和維持問題は、極東の平和維持問題の中核を構成しております。それは必然に、アメリカと中共との問題、アメリカとソ連との問題とも関連しております。しこうして、極東の平和維持策に対して積極的施策の構想なくしては、わが国平和外交の実は成り立ちません。沖繩問題にしても、外交上、それとの関連を離れては考えられません。朝鮮半島の平和維持問題を中心として、政府は、いかなる点に着眼して、外交施策を展開されんとするか。その点をお尋ねいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 私、二つばかりお答えいたしまして、他は関係大臣からお答えいたしたいと思います。
 韓国の政情についででありますが、外国のことですから、とやかく言うことは差し控えたいと思いますけれども、この際、一部に誤解があるようでありますから、私の見るところを率直に申し上げたいと思います。
 今回の韓国の批准国会におきまして、一部反対のあったことは御承知のとおりであります。学生の反対は、大体参加した者が一万だと言われております。ソウルの学生は大体八万くらいいる、そのうち一万で、八分の一が参加したということだと思います。それが、市民の協力を得ないという形で、いわゆる盛り上がりが非常になかった、薄かったということであります。したがいまして、この一部の反対は、これを大きく見る必要はないのじゃないか。また、教職員、教授団のほうも、全体で二千名ばかりいるうちで、反対を表明した者が二百四十名程度で、これもまた、きわめて少ない率であります。また、過去におきまして、キリスト教の教師団がしばしば反対をいたしたのでありますが、今回も、二万名いる牧師のうちから大体二百名程度、一%程度の反対だ、かような状態と言われております。そういう一部の反対のあること、これが、先ほどもお答えいたしましたように、世論調査の結果が九%足らずにあらわれたということでございますので、さように御了承いただきたいと思います。しかして、これらの反対のうちには、韓国が譲り過ぎたのではないか、今回の交渉は韓国が譲り過ぎたのではないか、かような意味においての、政府に対する鞭撻を含めての反対だ、こういう面も非常にあるようであります。
 わが国の国内におきましても、一部の方々は別といたしまして、国内の反対も、やはり日本政府に対して、軟弱外交だ、譲り過ぎた、かような批判をされております。しかし私は、過去十四年間も続いた外交交渉において、国際的にもたいへんむずかしい外交交渉といわれた今回の日韓交渉が妥結する、その裏には、お互いに互譲妥協、それで初めてこの問題ができたんだと思います。譲り合ったその点が一部の方に不満である、かように私は思うのでありまして、今後両者の親善関係ができることによりまして、ただいままでの不満も、提携してよかった、経済協力が実を結ぶようになってよかった、こういう声となるような状態をぜひともつくりたいものだ、かように私は念願しておるのであります。
 民衆党の諸君も、もうすでに国会に復帰して、国会も正常化されつつある、かような報道も伝えられておりますし、また、経済成長も、昨年は八%の成長率を示しております。なかなか高い成長率だと思います。また、ことしの米作も、平年作以上の米作と伝えられております。かような事柄が、いずれも韓国の経済的な成功、これを裏書きしておるし、これは同時に、政治の安定にも、はっきりつながっておる、かように思います。また、朴大統領の決意は、今回の批准国会にもしばしばあらわれておるように考えますが、この批准書の交換、これまた円滑に行なうという決意であることについては、疑うというような失礼なことは、するつもりはございません。必ず、りっぱに批准書の交換ができるものだと、かように私は思います。
 また、南北の統一問題についてお尋ねがございましたが、これは、両国にとりまして、まことに大事な問題だし、また、韓民族にとりましても、まことに、現状のとおりに推移することは不幸なことだと思います。
 この韓国の独立の問題については、国連自身が、朝鮮委員会を設けまして、そうして現地を視察したのが、御承知のように、一九四七年、その時分であったと思います。あるいは年月に間違いがあるかわかりませんが、相当古い以前のことだと思います。当時におきまして、もうすでにこの問題が――南北の問題があり、ソ連は北のほうの調査をはばんだ、かような状態にありますので、このいきさつも、よくおわかりだと思います。その後さらに、いわゆる朝鮮事変というものが起きた。これが北からの侵略であった。これはすべての方がよく御承知のとおりだと思います。
 こうして、この両国ができたのでありますが、今日、両国の統一をはばんでおるものは、これは一体何か、かように申すと、直接には、国連の勧告、いわゆる国連監視のもとにおける自由選挙、これを拒否した北鮮側にある。韓国のほうはこれを了承した。しかしながら、北のほうはこれを拒んだ。こういうところに直接の原因があるだろうと、私は思います。しかしながら、これは、かような問題ではなしに、もっと大きく、今日の世界が東西冷戦の状態の続いておる限りにおいて、この問題は解決するものではないのではなかろうか、かように思うのであります。この点では、ただいまお話がありましたように、ドイツの東西問題と同様に、東洋に、アジアにおける二つの朝鮮問題、かように考うべきではないだろうか、かように思いますが、問題は、東西の冷戦の結果これが出てきていると、かように思います。この問題は、どうか、世界の平和、極東の平和、アジアの安全のためにも、こういう対立、イデオロギーによる対立、あるいは片一方で、どうしても共産化しなければおさまらないのだ、かような発言はできない、しないような、そうして、いわゆる民族的な融和のうちに同居できるというか、そういうような平和な事態が実現するように、心から私どもは願っておる次第であります。
 とにかく、かような状態が続いている、そのことのために、アジアにある私どもが、平和を願う、いずれの国とも仲よくすると、かように申しましても、イデオロギー的な対立の結果、これが実現することができない、お互いに独立が尊重されなかったり、あるいは内政に干渉されたり、あるいは武力的な侵略が行なわれたり、そういうところに問題があるように思います。南北の朝鮮の問題も同じような悩みにただいま当面しておると思います。私どもは、自由を愛し、平和に徹しておる、その国柄からしまして、こういう両国の関係を、民族本来の熱願のごとく、単一国家であるように、ぜひともそういう事態を実現させたいものだ、かように思いますので、この上ともその方向で努力してまいりたい、かように思います。(拍手)
   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(椎名悦三郎君) お答え申し上げます。
 本基本条約に、独立承認の確認条項をなぜ設けなかったかという第一の御質問に対しまして申し上げますが、わが国は、サンフランシスコ平和条約によりまして、朝鮮の独立を承認しており、基本関係条約第三条におきましては、大韓民国政府が、国連決議第百九十五号に示されているとおりの朝鮮における唯一の合法的な政府であることが確認されておりますので、さらにあらためて独立承認の条項を設けなかったと、こういうわけでございます。別に、これ以上特別の政治的理由等はございません。
 それから旧条約の無効確認条項の解釈の問題についての御質問でございますが、基本条約十二条は、一九一〇年以前に日韓間で締結されたすべての条約及び協定は、もはや無効であるということを確認しておるのでありますが、これは、これらの条約及び協定は、現在の時点においては、もはや無効となっているという客観的な事実を表明したものにほかなりません。そこで、無効の時点はいつかということになりますが、日韓併合条約は、朝鮮の独立が行なわれた時、すなわち一九四八年八月十五日に、これは効力を失っている。併合以前の諸条約は、それぞれの条約に定めている効力を失う条件、そういうものが成就すれば、それはそのときに失効する。併合条約の発効とともに失効した、失効すべきものは、また、その条約の当然の内容によって、それも明らかに失効するということになるのでございます。さようにわれわれは考えております。韓国側が、国内において、これらの条約が当初にさかのぼって、そもそも当初から無効であった、こういう説明をしていることは承知しておりますが、大日本帝国と大韓帝国との間の諸条約及び協定が、それぞれ有効に締結され、実施されたものであるということは、過去の歴史によって、もはや疑いのないところでございまして、この韓国側の説明を、ことさら問題にするという、今日においては実質上の理由は何もないと考えております。
 それから、基本条約第三条と管轄権の問題でありますが、第三条は、韓国政府が国連決議の内容どおりのものであるということを確認しておるにすぎません。ここにいう「朝鮮」とは、地理的意味における朝鮮半島全域をさすのでありますが、この条に引用をしておる国連決議百九十五号は、朝鮮人民の大部分が居住する部分、その部分に対して有効な支配を及ぼし、管轄権を及ぼす政府が設立されたということ、それから、この政府は、国連監視のもとに行なわれた自由選挙に基づくものであること、及び、この政府が朝鮮における、この種の唯一の政府であるということを、そのまま今回の条約において確認したものでございまして、お説のとおり、第三条は、基本関係条約の通風範囲を定めたものではなく、大韓民国政府の基本的性格を明らかにしたものにすぎない、かように解釈しております。
 それから、基本条約第四条の関係でございますが、基本条約第四条は、両国が、相互の関係において、国連憲章の原則を指針とし、また、両国が、相互の福祉及び共通の利益の増進のために協力することに言及しておりますが、これは、広く両国間の経済、社会または文化の各分野における協力を考えておるものでございまして、軍事面における協力ということは全然含まれておらないのであります。かように解釈しております。
 また、同条(b)項にいう国連憲章については、憲章第二条の原則のことを意味しておるのである。それだけを意味しておるのでありまして、第五十一条の、個別的または集団的自衛権というようなものに関する規定のごときは、この原則には含まれておらないというのが、従来の憲章解釈上のほとんど常例と申しますか、になっておるのでございます。むしろ、国連憲章の原則に対する例外規定であると、こう解釈しておるのであります。
 それから、漁業水域を設定する漁業水域設定権の性質の問題について御質問がございましたが、漁業水域を設定する権利は、日韓漁業協定の規定に基づいて日韓両国の関係において認められるというものでございまして、最近は、十二海里までの漁業水域を設定する国際的傾向がございますが、しかし、かかる水域を一方的に設定することが国際法上認められているわけではない。これは、あくまで相互の協定によって、相互の間において認められるものであるという解釈をとっております。
 なお、外交の政策の目標というものについての御質問でございますが、総理はお答えになりませんので、私から便宜申し上げます。国連憲章に基づいて、いわゆる互恵平等、共存共栄、もって世界の平和を維持する、こういうのが外交の大目標でなければならない。特にアジアにつきましては、平和建設の方面にできるだけの力を尽くしてまいりたいというのが、わが国の対外、対アジア外交政策の眼目でございます。(拍手)
#16
○議長(重宗雄三君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
 本日は、これにて散会いたします。
  午前十一時五十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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