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1965/10/21 第50回国会 参議院 参議院会議録情報 第050回国会 商工委員会 第2号
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1965/10/21 第50回国会 参議院

参議院会議録情報 第050回国会 商工委員会 第2号

#1
第050回国会 商工委員会 第2号
昭和四十年十月二十一日(木曜日)
   午後二時二十一分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         豊田 雅孝君
    理 事
                岸田 幸雄君
                近藤 信一君
    委 員
                大谷藤之助君
                宮崎 正雄君
                柳田桃太郎君
                吉武 恵市君
                椿  繁夫君
                永岡 光治君
                藤田  進君
                矢追 秀彦君
                向井 長年君
   国務大臣
       通商産業大臣   三木 武夫君
   政府委員
       公正取引委員会
       委員長      北島 武雄君
       公正取引委員会
       事務局長     竹中喜満太君
       大蔵省銀行局長  佐竹  浩君
       通商産業政務次
       官        堀本 宜実君
       通商産業大臣官
       房長       川原 英之君
       中小企業庁長官  山本 重信君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        小田橋貞壽君
   説明員
       通商産業大臣官
       房審議官     瀬谷  徹君
       労働省労働基準
       局監督課長    藤繩 正勝君
       労働省労政局労
       働法規課長    青木勇之助君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
 (中小企業等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(豊田雅孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
 まず、理事会において協議いたしました事項について御報告いたします。
 本日は、公取委員長の発言を許可いたしまして、次いで中小企業、公正取引、倒産会社の賃金支払い及び万博のテーマに関する諸件の調査を行なうことといたしましたので、御了承を願いたいと存じます。
#3
○委員長(豊田雅孝君) 北島公正取引委員会委員長から発言を求められておりますので、これをこの際許します。
#4
○政府委員(北島武雄君) 先般、渡辺前委員長がなくなられまして、私そのあとを引き継ぎまして、公正取引委員会委員長を拝命いたしましたわけでございます。いまから五年前に私、役人生活をいたしておりまして、国会でだいぶ御厄介になったのでございますが、五年ぶりにまた国家公務員といたしまして、国会にいろいろ御厄介になると思います。何とぞよろしくお願いいたします。
 あらためて申し上げるまでもありませんが、最近におけるわが国経済は、一方では高度経済成長のひずみによって生じた過剰設備、過剰投資の問題をかかえるとともに、他方では消費者物価の高騰という物価問題をかかえておりまして、きわめて複雑な不況な局面を迎えているのであります。このような複雑かつ困難な経済情勢のさなかにおきまして、独占禁止法の番人としての大役を仰せつかったわけでありますが、独占禁止法が自由主義経済の基本的な法制であることにかんがみまして、まことにその職責の重大なるを痛感いたしておるのでございます。この上は、故渡辺委員長が敷きました路線のとおり、従来どおり独占禁止法の厳正かつ公平な運用をはかるとともに、同法が経済の実態に即応して有効適切に働くようその運用に万全を期する覚悟でありますので、何とぞよろしく御指導御鞭撻のほどをお願い申し上げる次第でございます。
 次に、公正取引委員会として現下の複雑な局面に対処いたしまして、どのような方針で独占禁止法を運用していくかについて御説明申し上げたいと存じます。
 まず第一に、物価対策の見地から違法な価格協定の取り締り等カルテルに対する規制を強化するとともに、他方、管理価格の問題として生産性向上の成果が価格に反映されない業種について、不当な価格形成が行なわれているかいなかを調査検討いたしまして、適宜独占禁止法に基づき必要な措置をとってまいりたいと存じます。
 第二に、昨今の不況深刻化に伴ない不況カルテルの申請件数が著しく増加しております。不況期におきまして企業の再編成やカルテル結成への動きが活発となるのは当然のことでありますが、公正取引委員会としては、業界が不況克服のため何らかの共同行為を必要とするときは、独占禁止法の許容する不況カルテルを活用すべきであるとの見地から所定の要件に適合するものについては、認可の申請があり次第極力迅速に案件を処理するよう努力いたしておるのでございます。しかしながら、不況カルテルは不況克服策といたしましても、あくまでも応急的な対症療法にすぎないのでありまして、政府の一貫した景気振興対策とともに業界自体も積極的に体質改善をはかる等企業の合理化に努力を払うことが切望されるのであります。また、カルテルは物価に対する影響もあり、関連事業者、農林漁業者、一般消費者等の利害に関するところも大きいのでありますので、認可に際してはこの点について十分配慮を加えていることは申し上げるまでもないところでありますが、認可後といえどもその監視を一そう厳重にしてまいりたいと存じます。
 第三に、中小企業対策として、不況による経済的困難が不当に中小企業に転嫁されることのないよう下請代金支払遅延等防止法の運用を充実させていくことであります。すなわち、親事業者の下請代金の支払い状況を絶えず調査いたしまして、不良な親事業者に対しては支払い改善の勧告をするほか、第四十八回国会で同法の一部改正が行なわれたのを機会に一段と同法の運用の充実を期し、広く関係方面の協力を求めて実効をあげていくように努力いたしてまいりたいと存じます。また、最近の不況事態に関連して不当な拘束条件つき取引、排他条件つき取引等の不公正な取引方法が増加する傾向が認められますので、これらの行為の規制を強化することにより中小企業者の利益が不当に害されることのないよう万全を期したいと考えております。さらに、歩積み・両建て預金につきましても、大蔵当局の行政指導の成果を見きわめた上、なお改善の実があがらなければ、不公正な取引方法として特殊指定することも考えておるのであります。
 第四に、消費者保護対策でありますが、独占禁止法は、公正な自由競争を維持促進することによって一般消費者の利益を確保することを目的としておりますので、独占禁止法の施行それ自体が消費者の利益を守る消費者行政につながるものと考えます。違法な価格協定、再販売価格維持行為等の取り締まりをきびしくすることによって消費者物価の上昇を押えるとともに、欺瞞的表示、誇大広告、過大な懸賞つき販売等一般消費者の利益を阻害する行為につきましては、不当景品類及び不当表示防止法の適切な運用をはかりまして、消費者モニター制度等をも活用することによって、消費者の声を同法の運用に十分反映させるようつとめてまいりたいと思います。
 以上、最近の経済情勢に即応しまして、公正取引委員会がなさんとし、またなしつつある施策の重点を申し述べましたが、今日、公正取引委員会が当面している課題はきわめて多く、かつ困難なものがあるのであります。特に、独占禁止法の運用には千変万化の経済行為の実態を把握し、常に経済実態に密着せしめることが不可欠であると考えます。このため、公正取引委員会は、謙虚に各界の意見に耳を傾けると同時に、相互に意見の交換をはかり、いやしくも独善におちいらぬよう特に留意したいと考えておるのであります。
 公正取引委員会委員長就任にあたりまして、最近における独占禁止政策の重要性にかんがみ、まことに微力ではございますが、こん身の努力を傾注する決意でありますから、よろしく御指導御鞭撻のほど、ここに重ねてお願い申し上げる次第でございます。
    ―――――――――――――
#5
○委員長(豊田雅孝君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題としまして、中小企業、公正取引、倒産会社の賃金支払い及び万博のテーマに関する諸件の調査を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#6
○近藤信一君 ただいま新委員長から、ごりっぱな所信の発表がございました。しかし、このりっぱな所信の表明がございましたが、それをいかにして生かしていくかということが私は問題でなかろうかと思うのであります。やはり従来公取委員長から、新委員長が言われましたように、何回もそのような所信の御発表がございましたけれども、いろいろと今日までに問題が多々起こっておることを新委員長も御承知のとおりだと思います。
 そこで私は、新委員長に望みたいことは、これらのいろいろいま所信表明されましたごもっともな御意見、これをどのようにして実践的に効果をあらしめるようにするか、これは私はことばの上では簡単に言えるけれども、実際にはなかなかむずかしいことだと思うのですが、この点再度委員長の御意見を承っておきたいことをまず前提にいたします。
#7
○政府委員(北島武雄君) まことにごもっともな御意見でございまして、いかにいい意見を申し述べても、それが実行されなければ、まことに絵にかいたもちでございまして、私も独占禁止法というものにつきまして、いままでほとんど関係がなかったのでございますが、今度公正取引委員会にまいりまして、独占禁止法を読んでその精神を考えてみたわけです。まことに現在の経済界においてむずかしい仕事を、またわずかな人数でやっているなという感じがいたしました。昭和二十二年に独禁法ができまして、公正取引委員会も年々人員はふえておるようではございます。しかし、私がまいりまして、ことに現在中小企業の対策として大きな問題になっている下請事業者の保護について、非常にりっぱな下請代金支払遅延等防止法というような法律があるのを私は実は初めて知ったのでありますが、その内容を見まして、こういうりっぱな法律があって、一体どの程度の人員でこれを運用しているのだろうかと思って実は聞いてみたわけであります。実にまあ小人数で、本局におきましては下請関係が十三人で、地方まで合わして三十人程度の人員でそのむずかしい仕事を、やればやるほど効果がある法律を実施しております。これはやはり公正取引委員会、こういうものをもう少し充実させなければいかぬのじゃないか、こういう気がいたしております。もちろん人員さえふやせばそれでこと足りるというようなことじゃございませんが、いままでのやってきた仕事をごく軽く振り返ってみましても、よくこれだけの仕事をこれだけの人間でやってきたなという感じがします。これにつきましては、国会の御方面から毎年公正取引委員会の機構を充実せいというような御決議があるようであります。たいへん私どもも心強く存じておるのでありますが、まあ人だけをふやせばこと足りるという話ではございませんが、何と申しましても、そういう重大な仕事をあまりわずかな人数でやるよりは、もう少し人をふやせば効果があるのじゃないか、こういう気がいたします。まず来年度の予算、これはすでに概算をこしらえておりますが、政府の方針もありましょうが、その範囲内でできるだけひとつ大蔵省と話して必要な人員を確保して、そうしてこの重要な法律をりっぱに施行していきたい、ごく簡単でございますが、こんなふうに考えております。
#8
○近藤信一君 先ほど委員長が所信の中でも言われておりますように、公正取引委員会は一般消費者、それから中小企業者、この利益を守っていこうというところにいま重点があるわけなんです。本日のある新聞にも出ていましたが、日本の輸出が予想以上に出ているのは、これは日本ではまあ安い原材料が使える、こういうことも一つの理由にあげられておるわけなんです。その安い原材料、たとえば鉄などにつきましては、過剰生産で値段が非常に下がっております。そのために鉄鋼そのものの輸出が盛んにできるのでございますが、これはまた原材料として使う機械とかその他が安く生産ができる、こういう一面もあることです。そういう場合に、先ほども言われましたような不況カルテルの問題、不況カルテルで原材料の価格維持、こういうことだけでなくして、価格の引き上げが行なわれるようになると、それを今度は原材料とする関連輸出産業、これが非常に困るような場合があるわけなんです。輸出そのものもそうなりますると減るようなことが起こるかもしれないわけなんです。カルテルの認可にあたっては、先ほども言われましたように、まあいろいろと情勢を十分判断をしてその上にやると、こう言っておられます。カルテル以外の合理化とか、またその他の方法で絶対に立ち直れないというようなものだけを厳選した上で、あなたのほうで初めて認可をする、まあそういう方針といいますか、こういうことがとられるのじゃないかと思うのですが、ところが、従来のあれを見てみますると、そういう大企業のカルテル問題については、なかなか公取も公取独自の思い切ったことがなされていないように私思うのですが、この点、今後の方針としての委員長の腹がまえといいますか、そういうことをもう一つ重ねてお尋ねいたします。
#9
○政府委員(北島武雄君) 不況カルテルは、これは独禁法の適用除外ということになっておりまして、大きな例外をなしておるわけです。非常に私は利益の調節がむずかしいと思っております。この法律によれば、特定の商品の需給が著しく均衡を失して、そのために、当該商品の価格が生産費を下回り、かつ、当該事業者の相当部分の事業の継続が困難となるおそれがあるときと、こういう場合に限って、かつ、その事態を克服するために必要な限度をこえていないこと、あるいは一般消費者、関連事業者の利益を不当に害するおそれがないこと等、いろんな要件を備えた場合におきまして、不況カルテルを認めているわけでございます。
 ただ、お話のように、輸出のためには安い原材料が必要であるということは、お説のとおりであります。一方また、その安い原材料を生産する企業におきまして、ただいま該当するような事情がある、そのために相当数の当該事業が維持困難ということになりますと、結局においては、これはやっぱり日本の貿易の振興にもならぬわけであります。こういう点をよく考えまして、ことに一般消費者、関連事業者の利益を不当に阻害することのないかどうかを審査をいたしまして、要件の備わったものについて認可をいたしておるわけでありまして、決してこれをルーズに運用はいたしておらないわけでありますし、今後とも、そのようなルーズな運用はいたさないつもりでおります。
#10
○近藤信一君 公取でもそうですが、税務署でもそうですが、中小企業には非常に強いけれども大企業に非常に弱いというのは、いままでの通例じゃないかと私思うんです。で、大企業は中小企業に対して下請代金を遅延しているのが相当あるわけなんです。そこで、遅延防止法の改正ぐらいでは何ともならない。これはしばしばいままでこの委員会におきましても、この問題についてはいろいろと同僚諸君からも御質疑があったわけなんですけれども、この下請代金の支払いについても、なかなか大企業に遠慮して下請企業自身が、道は開けているけれどもよう提訴しないと、こういう問題もあるわけなんです。そういう点では、公取が率先してこの問題にはやはり取り組んでやらなければ、私は中小企業の利益というものは守っていけぬじゃないかというふうに思うのです。そこで、こうした問題についてのいままで本委員会にそれのデータ等も出していただいたこともあるわけなんですけれども、実際私どもが聞いておるのと、公取委員会で取り扱われた数字というものは相当違ったものがあるわけなんで、こういう点について、もう少し公取がしっかりと取り組んで、そして大企業に対して厳重に勧告するような、また、処罰するような方法をとってもらいたい。それでなければ、大企業は遅払いすることが当然だというふうな考え方があるんだから、この辺でひとつ見せしめのためにも、十分力を入れてやってもらいたい、こう思うんですが、この点どうですか。
#11
○政府委員(北島武雄君) 先ほども私申し上げましたとおり、公取に参りまして、下請代金支払遅延等防止法という法律があるのを初めて知りました。内容を見ますと、非常にこれはいい法律である、こう感じました。しかし、これがどの程度実行されておるかという点を確かめ、私は実際はよくわかりません、まだよくわかりませんけれども、いままでどおりの程度の人員で、しかも、全親事業者に対しては四年に一回ぐらいしか回らないというような定期調査をもととするのは、私は非常に足りないという感じがいたしております。これは何よりも、下請代金支払遅延等防止法は、もっと運用を充実させなければならぬという点を非常に痛切に感じております。その点は近藤先生の御意見に全く同感であります。今後この方面に十分力をいたしていきたいと思います。
#12
○委員長(豊田雅孝君) 関連して、私のほうからちょっと承っておきたいのですが、いまの支払遅延等防止法の運用を積極化していくということにつきまして、第四十八回国会で同法の一部改正が行なわれたる際に、手形サイトを法定化すべきであるという議論が相当出たのでありますが、商慣習によって、業種により手形のサイトはいろいろそこに格差がある、したがって、一本の法律できめるということは困難である、こういうことでありましたので、われわれもやむなく一応は了承したのでありますが、御承知のとおり、閣議決定を求められたる際に、佐藤総理からもその点には触れられた、そうして再び研究をした際に、法律で一本化的にきめることは困難であろうが、業種別に割引困難な手形と認める認定基準というものを作成し、それによって、いま申すような支払遅延防止法の運用を適正化し、積極化していくべきだと主張したのですが、それはできることだから公取のほうでもやりましょうということになり、それについては、業界の公聴会も開いて、認定基準を業種別につくり、これを発表することを、良心をもって進めていくということであったのでありますが、その後の進捗状況、それからまた、いつ認定基準を作定せられるか、これはもう緊急なる問題だと思うのです。この点、いかがでありますか。
#13
○政府委員(北島武雄君) 私もまだ地位についたばかりで、実は深い調査ができないのでありますが、しかし、この四十八回国会におきまして、第四条の改正が行なわれまして、この二項の手形のサイトの法定化について、非常な御要望があったということを、私は委員長就任後、部内の理事者に承りまして、そういう御意見もまことにごもっともではないかという感じがしたのでありますが、やはり法定化――特定日数を法定化することは、これまた業種によりまして実情に合わないことも、私どものいままでの経験からいたしましてあり得ることでございますので、結局、委員会で御要望になりました、何か業種ごとに標準的なサイトをつくって、そうしてそれでもって業者を指導すべきである、こういう御意見に私自身全く同感でございまして、この点につきましては、目下公取におきましても、現在の実情を把握することがまず第一であるということにおきまして、各業種別につきまして、まず実情の把握につとめ、金融機関の状況も実際をよく見きわめました上で、中小企業庁とも十分な連絡をとって、共同作業として実施いたしてまいりたいと思っておりまするし、現に連携中でございます。まだ基準ができておりませんので、まことに残念でございますが、できるだけ早い機会に、この業種別な標準サイトを、中小企業庁と相談いたしまして、これをもって業界を指導していきますように考えてまいりたいと思います。
#14
○委員長(豊田雅孝君) 実情把握は私はできていると思うのです。実情把握ができておったから、一本に法律できめるということは困難であるが、業種別ならば認定基準はつくり得るというふうにそのときなったんだと思うので、情勢把握は私はもう現にできている、いつ踏み切るかという問題じゃないか、あるいは、その公聴会などをおやりになるならばなるで、形式的要件が整えばもういいということだと思うのですが、いつまでも情勢把握だとかなんだとか言って、ずるずるべったりにいくことは、いまの中小企業界の現状から見て、これは非常に問題だと思うのです。そういう点で、いつごろになったらはっきりやるかということは、この際明白にせられておかないといかぬのじゃないかと思うのですが、その点、どうでしょう。
#15
○政府委員(北島武雄君) まことにごもっともな御意見でございまして、できるだけ早い機会に私ども、中小企業庁と打ち合わせして成案を得たいと存じておりますが、いつまでにできるかということにつきましては、ただいまちょっと私、事務のほうの最近までの調査の状況を把握いたしておりませんので、事務局長からお答えをいたします。
#16
○政府委員(竹中喜満太君) 私どもといたしましては、豊田委員長も御承知のように、自動車の完成車メーカーとその下請事業者との間で協議会というような場をつくりまして、ここで御承知のように、手形のサイトは九十日と、九十日をこえるものについての金利は親企業者負担というような話がついておりますが、こういう行き方が一番いいのじゃないかと思うのでございます。で、ほかの業界につきましても早急にこういうことができますと非常にいいと思うのでございますが、これを待っておりましては非常に時間がかかるのじゃなかろうかということで、先般来、中小企業庁ともいろいろ話をいたしまして、従来の調査の結果をそれぞれの業種別に検討いたしまして、大体どのくらいの基準の平均の手形サイトになっておるかを調べまして、それを基準としまして、できるだけそれを短縮するという方法で進めたいと思います。大体いま担当の課長に聞きますと、十一月一ぱい、あるいは十二月まではかかりはしないかというようなことを申しております。しかし、これを一斉にやるというわけにもいきませんので、機械工業というように問題のある業種からやっていくということになると思います。
#17
○委員長(豊田雅孝君) その点では業種別でいくんですから、きまり得るものからきめていったんでも私はいいと思うのです。そろえるためにおくれるよりは、そのほうがいいと思うのです。ただ、年末に差しかかると、こういう問題は非常に深刻なる問題にさらになるものですから、年末に差しかからないうちにきまる業種から早急に、割引困難なる手形とはこういう基準のものだということを発表せられ、その線で漸次取り締まりを強化せられるということでお進み願いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#18
○政府委員(竹中喜満太君) 仰せのとおり、鋭意努力いたしたいと存じます。
#19
○近藤信一君 次に、銀行が中小企業に対しまして歩積み・両建ての強要をするわけですが、これについて、私の記憶するところによれば、田中前大蔵大臣が二回ほどこの廃止について勧告をされたと私は思うんですが、それでもなかなか銀行としては歩積み・両建ての問題については、若干緩和したというところもあるということを私は聞いておりまするけれども、なかなか廃止するところまではいかない。そこで、渡辺前委員長はこれを廃止させるための特殊指定をとるつもりであるということを言明されたこともあるんです。そうして、そのために努力したいとも言って、着々とその準備をしておられたようでございます。ところが、不幸にしてなくなりまして、その問題は今日に残されておる問題でございます。この歩積み・両建ての問題については、本委員会でもしばしばいろいろと質問が出されておりますし、特に豊田委員長なんかも強い関心を持っておられるので、この点、私どもといたしましては、やはり歩積み・両建ての問題は何とか廃止させなければならないと、こういうふうに思っておるわけですが、新委員長はこの歩積み・両建ての廃止についてどういうふうな構想を持っておられるのか、それをひとつ聞かしていただきたいと思います。
#20
○政府委員(北島武雄君) 歩積み・両建ての問題につきましては、もうこれは昭和二十五、六年ごろから大蔵省の銀行局で、まあ十数度にわたって金融機関に警告を発しておりますが、とうとうなかなか直らなかった問題でございます。これが国会で取り上げられ、大蔵省も真剣になり、公正取引委員会も極力こういうような不公正取引はやめるべきだという前委員長のかたい御決意で発足されまして、結局、昨年の六月、衆議院の大蔵委員会の御決議もあり、これに基づいて、大蔵省で各金融機関に対して、この歩積み・両建ての措置についての通達を出したわけでございます。これによりますと、都市銀行、地方銀行はおおむね一年間、それから相互銀行、信用金庫、これは特殊事情があります。約二年くらい、こういう余裕を置いて、この間に過当な歩積み・両建てをこれを全廃するように持っていく、こういう指導の方針を打ち出したのであります。これに基づきまして、ことしの五月末で大蔵省銀行局が、各金融機関からその実施状況の報告をとったのであります。これによりますと、その通達にいわゆる過当な歩積み・両建てについては、都市銀行、地方銀行については、これはことしの五月でゼロとなっております。それから相互銀行、信用金庫は約半減している、こういう報告になっているようであります。公正取引委員会といたしましても、この問題につきまして昨年の三月、それから九月、それとことしの三月、三回にわたりまして、中小企業者につきましてアンケート調査をいたしたのでありますが、その結果によりますと、昨年の三月末におきましては、借り入れ額に対する抱束預金の比率が二九・三%、それから昨年の九月末の調査におきましては、第二回目、これが二八・九%ということで、第一回と第二回との間では、ほとんど改善のあとが見えなかったのでありますが、ことしの三月末の第三回調査によりますと、先ほど申しました借り入れ額に対する全抱束預金の比率が二一・五%というふうに、七%下がっております。この数字は、これは大蔵省の調べとは対象も違いますし、調べる方法も違っておりまするので、一致すべき性質のものではないのでありますが、傾向といたしましては、私どものほうの調査でも、これは歩積み・両建ての問題については、ある程度の改善が行なわれていると思っております。しかし、これが十分に満足すべきものかというと、私どもとしましては、まだまだこれに相当の疑問を持っているわけであります。アンケート調査におきましても、半分近くの方が改善されてないという答えを出しております。それから実際にまた、銀行局の通達が出ましてからあとでも、まあ厳密な意味ではあの通達に触れなくても、その裏をいくような行為も行なわれているようであります。私はこれが決してまだ満足すべき改善状態になっているとは思いません。ただ、特殊指定の問題については、非常にいろいろ考えなければならぬ問題もまだあると思います。それから大蔵省におきましても、最近さらにまた歩積み・両建ての取り締まりを強化する方針を立てておりまして、この十月からは、毎週一回、県庁所在地の商工会議所に財務部の職員を派遣いたしまして、一般の方から苦情を受け付けるということをいたしております。こういうことで、せっかく行政指導もいたしておりますので、なおかつ、また相互銀行、それから信用金庫につきましては、来年の中ごろまで余裕期間もありますので、私どもはさらにこの状況を厳重に見ながら、状況の推移を見守りたいと思っております。もしその上、さらに改善のあとが示されない場合には、私どものほうとしましても、これは特殊指定をとらなければならぬ、こう考えております。
#21
○近藤信一君 いま委員長が答弁されて、だいぶ緩和されたようにも報告されております。実際はそうなっておる。反面において、依然として四〇%も五〇%近くも歩積み・両建てをやっておる。そういうところもまたあるわけなんです。したがって、これは一片の通告や勧告ではなかなか銀行はうんと返事をしないのでございまするから、よほどこれは強い姿勢でやらなければ、銀行なんというものはなかなか言うことを聞かないんじゃないか。そうすると、依然として一般の企業、特に中小企業の皆さんはこれによって不利益をこうむっておる、こういうことがいつまでも私は続いていると思う。やはり前委員長もこの点については、ひとつ強い姿勢で臨むのだということを言っておられた。前委員長のあとを今度は新委員長が就任されて、この点はひとつ厳重にやらなければだめじゃないか、いままでのことをまた繰り返すばかりだ、こういうふうにの思うので、この点は強い態度で臨んでいただきたい、かように私思うのですが、その点はどうですか。
#22
○政府委員(北島武雄君) 私も先生のお説に全く同感でございます。これは個人的なことになってたいへ恐縮なんですが、渡辺前委員長が非常に大蔵仲間で弧軍奮闘してやっておられました。私もそのそばで、いろいろ論争のある場面など立ち会ったこともあったのですが、渡辺さんの言うとおりじゃないか、金融はけしからぬので、歩積み・両建てでなぜいままで銀行を放置しておるかということで、私も渡辺さんに加担したようなことも、一年前の記憶でありますが残っております。これは私も銀行が優越した地位を利用して借り入れ者に大きな負担、迷惑をかけておる、ことに中小企業者に対しては大きな負担でございますので、この歩積み・両建ての絶滅につきましては、大蔵省とほんとうに一体になって、なくしてまいりたい、こう思っております。まあ幸い、大蔵当局が非常な熱意を持っていまやると言っておりますので、私どももこれと一緒になって歩積み・両建ての整理をしていきたい、かように思っております。
#23
○藤田進君 ちょっと私が聞きまして若干気になる点は、ごあいさつの中にあった「改善の実があがらなければ不公平な取引方法として特殊指定」をやっていきたいという考えのようですが、近藤議員の質疑に対する答えを聞いてみますと、ことしの三月の指数は七%下がった、だから、この御答弁との関連を考えてみますと、改善されているのだと、したがって、特殊指定というものはいま必要がないのだと、こう結べるわけです。私が問題にしている点は、貸し借りの関係は、あるときは銀行が床柱、あるときは借り手が床柱というのはよく言われていることです。御承知の、指摘されているように、不況というもの、ことに設備投資といったようなことが相当抑制されておりますし、したがって、資金需要と資金量との関係、まあしばしば最近聞くことですが、銀行が金を借りてくれないかと言っている傾向もかなり出ているのですね。ですから、私は歩積み・両建てのパーセントが下ったというのが、必ずしも銀行の自粛反省によってこれが下がったものと断定することは少し早いんじゃないか。それは資金の需要供給の関係がいまそうさしていると見たほうが――むしろウエイトは大きいのじゃないか。むしろ、七%ではなくて、一時非常に設備四兆、五兆といったようなときは、担保預金まで取ったり、かなりきついのがあったわけですが、個々の金融機関については、いろいろ千差万別だけれども、しかし、おしなべて見て、 いまの資金需要、資金量等から見ると、まだまだ反省されていない。もっともっと改善されるべき客観情勢があるにかかわらずこれだ、私はこう思っているのすが、その辺もっと資金関係から御説明をいただきたいと思うのですが。
#24
○政府委員(北島武雄君) まず最初に、改善されなければ特殊指定を考慮する、今年の三月は改善されているが、おまえはもう特殊指定を考慮してもいいじゃないか、そういうような御質問でございますが、現在の、ただいま申しましたように、これで私は満足しているとはとうてい考えておらないのでありまして、御答弁で申しましたように、今後さらに第四回目の調査を計画しております。いままでの調査にかんがみまして、是正すべきところを直しまして、ひとつ十一月末現在、これは大蔵省が調査いたしますのは五月、十一月ですが、それと歩調を合わせまして、今度は十一月現在で、中小企業者の借り入れ者について、またもう一ぺんアンケート調査をして、それがさらに改善されたかどうかを見守りたいと思います。
 なお、資金の状況からいって、もっと改善されるべきだ、これは私も御意見ごもっともだと思います。昔の金融逼迫しておった時代の歩積み・両建ては、はたから聞いておりましても、ひどかったようであります。現在のような金融緩和の時代には、もっとやはり歩積み・両建てというようなものは、私どもの調べによりましても、低くなっていいのではないか、こういうお考えも確かにあるのでありまして、こういう点は、今後の調査につきましても、その調査の効果の評定について、十分考えていかなければならないと思います。ただ全体としましては、先ほど申しましたように、まだ改善されていないというのが四十数%、改善されたというのが五十数%ございます。こうして見ると、大蔵省の昨年の通達によりまして、まあその自粛措置につきまして、いろいろ疑義もある点もあります。この程度の歩積み・両建てならいいのだという点につきましては、必ずしも私どもの意見の一致しない点もあるのですが、大蔵省の調べによりますれば、五月末におきまして、都市銀行、地方銀行においては、すでに不当な整理すべき歩積み・両建てはゼロになっている、こういう数字でございます。私ども、はたしてほんとうにそれが満足すべき状況かどうかについては、なお十分に検討しなければなりませんが、今後私どもの調査もさらにございますことでございますので、そういう点を考慮いたしまして、慎重に特殊指定の問題を考えていきたいと思います。
#25
○永岡光治君 ちょっと関連して。いまの点ですけれども、ここに書いてあるように、最後の行ですが、「さらに、歩積両建予金についても、大蔵当局の行政指導の成果を見極めたうえ」、こう書いてあるのです。いまねそれをあなた説明をされたと思うのですが、大蔵当局の行政指導はいつごろから始めて、「成果を見極めたうえ」というのは、あなた方はいつごろに置いているのか、ちょっと若干、十一月――これは中小企業の金融というようなお話もありましたが、具体的にどういうふうな含みを持っておりますか。
#26
○政府委員(北島武雄君) 先ほどもお答え申しましたが、大蔵省でこの十月から――前は金融機関の銀行協会が苦情相談を受け付けるようなことをやっておりましたが、それはおかしいので、金融機関がやったって、別に正しい結果が出るわけではありませんから、今度は、大蔵省が大蔵省といたしまして、毎週一回一定の日に、県庁所在地の商工会議所の中に、財務局または財務部の担当官を派遣いたしまして、歩積み・両建ての苦情処理をするということになっております。その成果がどういうことになりますか、おそらく実際に大蔵省が各県庁所在地に参りまして、そういう手段をとりますれば、相当やはり中小企業者としても申し出ることも多かろうと思いまして、それが、したがって銀行の方面に響いてくることも十分に考えられます。もう少し大蔵省の行政指導、せっかく、しっかりやろうという行政指導を、もう少し様子を見ていきたい、こう思います。
#27
○向井長年君 関連。大蔵省が去年から一回か二回にわたって厳重なる行政指導なり勧告をやった、こういうことで、若干比率が成果をおさめつつある、こういうことなんですが、実は実態どういうようにつかんでおるのか。こういう実例があるのですよ。ということは、大蔵省がそういう形で非常に監督を強化していく。こういう状態になってくると、銀行は非常にずるくなって、いわゆる歩積み・両建てじゃない、あるいは拘束預金ではございません、まあしかし、これだけ貸し出ししたんだから、一挙に要らなければ預金をしてくれ、これは自発的預金ですね。非常にこれはいいことを言っているわけなんです。ところが、その中で何ぼか預金をさして、裏で念書をとっておるのですよ、念書を。いうならば、いつまではこれは出さないというような念書を、銀行が指導して中小企業からとっているわけです。これはそういう率の中に入っていないと思う。事実上はやはり拘束預金と同じことなんです。そういう形が現状で各所にありますよ。これは大蔵当局どうつかんでおるか知らぬが、そういう問題は、やはり歩積み・両建てと同じことなんだから。しかし、調査の段階においては、そういう問題については、いや別に歩積み・両建てをとっておりません。したがって、これは自由にいつでも出せる預金なんだと、こういう形で答弁されておるようです。しかし、裏ではちゃんと念書をとっておりますから、これはやはり今後の取引上守らなきゃならぬということで、中小企業はそれを泣き寝入りしている。こういう実態が各所にあるわけです。こういう問題については、やはりそれと同じように考えて、そういう最近言われているような銀行のずるさもありますから、これは大蔵当局なり公正取引委員会のほうでも、十分厳重にそういう問題まで調査していただきたい。この点わかっておられますか。
#28
○政府委員(北島武雄君) まことにごもっともでございまして、私どもの三月末の調査でも、そういうことは出ております。まあ表面の歩積み・両建てはなくなったけれども、歩積み預金のかわりに一定額の定期積み金をさせられる。それから、あるいは協力預金をさせられるというような答えが出ております。こういう事実は確かにあるんだ、こういう点はほんとうに銀行局でも、単に表面的な金融機関からの報告だけでなく、それをもってもう済んだということでなく、実際に銀行検査をして、そうして私は是正さしてもらいたい、こう思っております。
#29
○委員長(豊田雅孝君) 関連して、私からも一言さらに聞いておきますが、改善の実があがらねば、不公正な取引方法として特殊指定をするということを、北島委員長新任あいさつの中に明文で入れられておる。これは公取として私は一歩前進をせられたことではあると思うのであります。しかし、改善の実があがらなければ特殊指定にするという文句になっておりますが、改善の実があがらないという疑問を持っておられるのじゃないか。というのは、先ほど来公取のほうとしても不満には思っているんだということを言っておられるくらいでありますので、もはや特殊指定をするべき時期になっているのでないか。ことに私の思うところによりますと、経済力の強い者と、それから経済的に弱い者と、これが取引をやる場合には、いろんな問題が出てくることは御承知のとおりで、それがために独禁法もあるわけでありますが、そういう面で最も典型的なものとして、この歩積み・両建て関係については特殊指定をせらるべきものじゃないか。歩積み・両建て是正の実績があがるとかあがらないとかいうよりも、本来特殊指定をしておくべき性格のものではないかというふうに考えるのであります。というのは、百貨店の納入業者が返品をせられるとか、あるいは手伝い店員をどんどん要請せられる、そこに非常に問題が出てくるというので、特殊指定にせられておるごとく、こういう典型的な事態のものについては、本来的に特殊指定をしておくべきものじゃないか、かように考えるのでありますが、その返についてはどういうお考えでございますか。
#30
○政府委員(北島武雄君) この点につきましては、私は本来特殊指定すべきかどうかという点は、私も実は一般指定と特殊指定との関係、理解が不十分でありまして、十分な確信がないのでございますが、しかし、問題は、一般指定でやろうといえばやれることなんでありまして、昔でもひどい案件については、一般指定で公取が乗り出したわけであります。これについて、特殊指定することによって、一般的な基準を設けて、そして預金者のほうも、借り入れ者のほうも、どういうのが特殊指定になるのかわかりやすくなるという点は確かにあると思うのであります。ただ、これにつきましては、大蔵省が銀行の監督機関として、厳重に今後そういう歩積み・両建てなどを絶滅させる、こういう決意でやっております。せっかく行政指導中でございますので、いましばらく様子を見て、その上でなお改善の実があがらなければ、これは大蔵省とも十分な打ち合わせの上、特殊指定を考慮しなければならない事態になるかと思います。それまでは、いましばらくやはり行政指導の推移を見守るのが適当かとただいまは存じております。
#31
○委員長(豊田雅孝君) いましばらく、いましばらくで来ておったものだから、先ほどからああいう発言があるのですから、そこは真剣に考えられて、急速に結論を出されるようにせられたいと思います。
#32
○近藤信一君 先ほどの所信表明された中に「欺瞞的表示、誇大広告、過大な懸賞付販売」云々とあります。そこで、これは最近新聞にも報道されておりましたが、目薬の問題でありますが、非常に害のある目薬が販売されておる。それで業界では、それを調べたところが、実際害がある。美容のためと言って広告して販売をしておるけれども、実際それを使うことによって、美容になるのじゃなくて、目を痛める、こういうことが新聞に出ておったのです。これは業界として自粛するためにその措置をとりたいということを考えておるというようなことが談話として発表されておりましたし、さらに、身長器の問題で、三名の犠牲者が出ておることは、公取委員長御存じのとおりだと思うのです。これも新聞に報道されておりました。これらはすべて誇大な広告をして販売をしておると私は思うのですが、もし、こういうことを事前に公取等において取り上げて、いろいろと販売についての規制だとか中止をやれば、あの三人の犠牲者も出なかったと思うのであります。特に、背が低いからといって自分が何とか大きくなりたいと考えておる者はまだ若い層なのですね、学生やら若い層なのです。それはやはり広告を見ると、三センチ伸びるとかなんとかというが、そういう少年斯は、そんなものを使わなくたって三センチや四センチ伸びるわけなのです。それをあえてその器械を使うことが三センチも四センチも伸びるがごとく広告しているわけです。それを親にないしょでこっそり買って、そして使用方法が悪かったと業者のほうでは言っているけれども、使用方法が悪くて生命を失うような、そういう危険なものが誇大な広告によって、販売されておる。こういうものは一体、公取委員会として関係をされるものであるかないか。あなたのほうで、こういうものに対しても、自分のほうとしては措置をするあれがあるということであれば、そのことについてもまた御意見が聞きたいと思うのですが、この点いかがですか。
#33
○政府委員(北島武雄君) お答え申し上げます。
 まず目薬の問題でございます。これは薬事法の問題でございまして、厚生省の所管ということになっております。薬事法で欺瞞的な表示は禁止されております。これについては厚生省が全面的にやることになっておりまして、ただいま厚生省で指導中のよしでございます。
 背伸ばし器のほうでございます。これは薬事法には関係なく、もし誇大な広告によってやられておるといたしますと、私どものほうの不当表示防止法の範疇になるわけでございます。御承知のとおりに、品質が実際より著しく有用であると一般消費者に誤認させて、そして公正な競争を阻害するというおそれがある場合は、不当表示防止法の規制の対象になるわけでございます。これにつきましては、目下警視庁で、あるいは業務上傷害致死というような問題もあり得るわけでございます、広告の内容によりまして。警視庁でもこの点を検討中のようでございます。私どものほうといたしましても、もしこの器具が再びまた売り出されるようなことがありましたならば、これにつきましても、効能や使用方法などを十分検討いたしまして、誇大にわたることのないよう指導いたしたいと思います。
#34
○近藤信一君 私ども週刊誌を見ると、身長器、あれがよく出ているんですよ、広告が。私が言っていることは、ああいうことに公取委員会として目はつかなかったかどうか。ああいうことに目がついて、これは不当だというふうなことをあなたのほうは考えて、すぐそれをやられておられれば、あの犠牲というものは出なかったと私は思うんだ。それをそのままあなたのほうは見て見ぬふりをしておったのか。片っ方のほうは薬事法だからおれのほうは関係ないという御返事だし、そういうことでは私は公取としての任務というものはないんじゃないかと思うんです。やはり私どもが見ても不当だとこう思うのに、職業としておられる皆さんが不当じゃないとこう見ておられるのか知りませんけれども、少なくとも私は、あの器械を使って、生命を失うというふうな危険な器械であるし、三センチ伸びるとか、二センチ伸びるとかいうものは、私が先ほど言いましたように、若い層なら一年に二センチや三センチはだれでも伸びるんですね。そういうことが堂々とあの大きな広告が出て、それで販売されておるということ自体が、私はおかしいと思うんです。あなたのほうでそういうことをいままで目がつかなかったかどうか。
#35
○政府委員(北島武雄君) 不当表示防止法の施行につきましては、極力新聞広告、折り込み広告などを、あるいは申告によってやっておりますが、この背伸ばし器につきましては、私のほうの実はアンテナに触れておらなかったので、はなはだ申しわけない次第でございますが、消費者モニター制度も今後十分活用いたしまして、そういうものについての状況把握を早くいたしたい。まことに背伸ばし器につきましては、公正取引委員会でこれを知る機会がなかったということでございます。はなはだ申しわけないと存じます。
#36
○委員長(豊田雅孝君) 速記とめて。
  〔速記中止〕
#37
○委員長(豊田雅孝君) では速記再開。
#38
○近藤信一君 通産大臣時間お急ぎのようでございまするから、まず通産大臣からお伺いいたしますが、大臣は先月通産局長会議をお開きになりまして、全国各地の経済動向についていろいろとお聞きされたようでございますが、日本の経済は決して明るいものではない。先日も一家心中したのが新聞に二、三回出ておりまして、この不景気というものはまだ深刻なものであると私は思うのです。この不景気対策に対して、通産大臣だけではどうにもならぬ問題であろうと私は思うのですけれども、やはり通産省としてはこれは重要な責任をになわなければならぬのではなかろうかと思います。特に実力大臣といわれる三木通産大臣でございまするから、こういう問題についていろいろ構想を持っておられると私思うのですが、大臣のこの考え方についてお尋ねをいたします。
#39
○国務大臣(三木武夫君) まあ二つの点があると思うのでございます。一つは、最近の不況というものを、これをやっぱり克服しなければならない。まあ大企業と中小企業とを対立的に考えるというわけにはいかない。やはり全体としての経済活動が活発になってこないと、中小企業に対しても受注もふえてこないわけです。当面には、この不景気というものを早く克服して景気を回復したいということが一点であります。そのために、御承知のように、一方においてはその需要の喚起策をとる。中小企業においても、中小企業関係の政府金融機関の資金のワク拡大、あるいはまた金利の引き下げ、また財政投融資、これの大幅な増額、こういう全体のやっぱり景気対策を政府がとっておることは、御承知のとおりでございます。一方において中小企業それ自体、いま御指摘のように、三面記事には実際われわれが心を痛めるような記事が多いわけです。そこで、いまやっておりますことは、各地方の通産局などにも行って、まあ中小企業で実際思案にくれるような場合もあるだろう。だから親切な相談相手になって、融資のあっせん、受注のあっせんを、これをやるということがまあ一番大事なことではないか。一方において政府は、いろいろなこの資金の面においては、御承知のように、年末の資金なども八百二十億、これは必要があったら必要に応じて幾らでも増額するという条件がついて、閣議でもきめたわけでございます。まあこれだけの一方において準備をしながら相談相手になる、そういうことで、不況対策の相談室というものを設けて、いま部長クラスが陣頭に立っておりますが、局長もやっぱり一週間に一ぺんは窓口に出ろと、局長も、この指令を各地方通産局に出しまして、そうして相談相手になって、いろいろ資金のあっせんなどをすれば倒産しなくてもすむような企業もあるのではないかということで、こういう現地における行政指導、一方においてはできるだけ資金なども用意をして、この当面の中小企業の倒産、これを防止していきたいというようなことがまあ現在とっておる施策でございます。
#40
○近藤信一君 いま大臣が言われましたように、この経済全般については大企業も中小企業もないと、これはまあ私どももそう考えておるのですが、大企業の場合には、倒産というふうな事態が起こったときにはいろいろとこのてこ入れがされて、何とかこれは維持していかなきゃならぬという方法が政府でもこれは考えられるわけなんです。ところが、この一般の中小企業問題に対しては、そこまで力を入れてやるということはないわけなんですね。特に通産大臣就任されて所信表明された中でも、中小企業問題は重点施策としてひとつ今後は考えていきたい、こういうふうにも述べておられましたし、中小企業対策は通産省としても十分これから考えていかれると私は思うのです。ところが、現実には、不況の波というものはなかなか静まらない。だんだんだんだんと深刻になってくるような様相すら現在のところではあるわけなんです。そこで、最近倒産件数というものがまたふえておるようにも新聞なんかでもちょいちょい見るわけなんでございます。一体どれほどの今日数字というものがあるのか。これは私ども新聞では拝見しておるのですが、あなたのほうで、通産省で調べられたデータ、それをひとつお聞かせ願いたいと思います。
#41
○政府委員(山本重信君) 倒産件数につきましては、通産省自体で地方通産局を使って調査をいたしておりますが、事柄の性質上、比較的に小範囲しか資料がとれませんので、現段階におきましては最も広範囲に調査をいたしておりますのが東京商工興信所の調査でございますので、私たちも最近の倒産の状況を見ますのに便宜あれを利用しておるわけであります。それによりますと、負債金額一千万円以上の倒産につきましては、一番最近の九月が五百七件、負債金額が五百十五億円でございます。これはかなりの高水準でございまして、最近おおむね五百件台で推移をいたしておるというのが実情でございます。
#42
○近藤信一君 いま長官の答弁で、五百七件の五百十五億円と、こういうことですが、この調査というものは民間の興信所が調査したもので、しかも負債金額は一千万円以上の分だけだと私は思うのです。そこで、八百万円でも倒産する場合がある、また五百万円でも倒産する場合があるし、そういう一千万円以下の倒産した数字というものは相当あるのじゃないかと私思うのですが、これは実際興信所の統計ではあらわれていない。統計にあらわれているものはやはり一千万円以上ですから、実際の小零細というのはこのほかまだ無数に関連して倒産しておる、こういうふうに私は判断するのですが、そういう倒産に関する統計、それからそれを整理する、そういう何か通産省でも全般にわたっての数字というものはありますか。
#43
○政府委員(山本重信君) 実は、国会におきましても再三、倒産についての調査の機能を役所として拡充できないかということがございまして、いろいろその方法を検討いたしてみたのでございます。率直に申し上げまして、なかなか名案がない。と申しますのは、商工興信所のほうは興信所としての特別な目的がございますので、どうもあの会社があぶなそうだという聞き込みで調査をしておりまして、おそらく全国で数千人の人間を使っておるようであります。私のほうでも、具体的な倒産の場合に、数件について通産局で現地調査などをやらせようとしたのですが、倒産ということがはっきりしてからかけつけますと、もう本人がどこかに行っておってわからないとか、なかなか実態がつかみにくい。やはり平素からあぶなそうなところをねらってさがしておるというような興信所のあり方にはとてもなかなか追いつけないのが現状でございますし、また役所の機構として数千人の人員をこのために特に増員するということは言うべくして非常に困難でございますので、まことに残念でございますけれども、便宜この興信所の資料を使っておる。それから、興信所も、このほかにもう一つ帝国商工興信所がございます。それから、取引所のほうでも、不渡り手形の関係の調査等もございますので、その辺を総合いたしますれば大体の趨勢は間違いなく判断できる、このように考えております。
 それからなお、負債金額一千万円以下の状態でございますが、これまた一そうこの把握が困難でございます。どの程度あるだろうかというので、ごく部分的に検討したこともございますが、おそらく負債金額一千万円以上というのがやはり倒産の中では過半数を占めるのであって、それから以下というのは、数としては相当あると思いますけれども、一千万円以上の場合ほどに件数も多くはないのじゃないかというような推測を一ころいたしたことはございます。しかし、これもはっきりした調査に基づいての判断ではございませんので、憶測の範囲を出ないような状況でございます。
#44
○近藤信一君 一千万円以下の倒産の統計はなかなかむずかしいということをいま言われましたのですが、やはり通産当局としても、各地に出先の通産局があり、それから実際私は零細企業対策を立てようとするならば、そういうところまで調査せなければ実際の対策は立たぬのでなかろうかというふうにも考えるのですが、倒産負債額の一千万円以下の倒産の実情、そういうものを通産当局として今後御調査になられる意思がありやいなや、この点お尋ねいたします。
#45
○政府委員(山本重信君) 網羅的に全部の調査をいたすということは事実上非常に困難でございますので、いま私たちのところでは、テストピース的に地域を限りまして、通産局で、その倒産の状況、さらにその原因等の調査をすることにいたしております。そのときに、負債金額一千万円ということに限らないで、その下の部分も調査をしてみたい、このように考えております。
#46
○近藤信一君 倒産が多いということは、中小企業対策がいままでになく非常に今度はむずかしくなってくるんじゃないかというふうに私は判断いたします。
 そこで、政府は来年の予算につきましていろいろと言われておりますが、来年の予算は三割増の限度にとどめるような方針ということを聞いておりまするけれども、中小企業庁のようにもともと予算の少ないところ、これを一律三割増では、はなはだ中小企業庁としてはこれ少な過ぎるのじゃないかというふうに私思うのですが、中小企業というものは非常に弱体でございまするから、倒産も多いことは、これは当然だと思うのであります。ところが、みずからの放漫だとか何とかで倒れるというのは、私がいままで聞いておるのでは少ない。これは大企業の、また中企業の倒産に関連して倒産する中小企業の数というものが非常に多い、いままでの統計を見ましても。こうなりますると、中小企業対策予算として、いままでの通産省の考え方でいくならば、これははなはだ不十分でなかろうかというふうにも考えるんですが、三木通産大臣も実力者でございますし、特に中小企業は重点施策として云々と言明もされておりまするから、来年度の中小企業予算については、私は大いに安心しておるのでございまするけれども、通産大臣として一体どのように数字的に考えておられるのか。
 それからさらに、まあこまかいことまで大臣おわかりにならないと思うんですが、そういう点はひとつ長官から、中小企業としてどれぐらいの一体予算が必要か、こういうことについて私お尋ねしたいと思うんですが、いかがですか。
#47
○国務大臣(三木武夫君) 財政的にもなかなか、近藤さん御承知のように、困難な時期であります。通産省関係では、石炭とか中小企業というものは、事務的な計算だけではいかぬ予算を組む必要があると思っております。したがって、できる限り、財政だけでなくて、金融その他も含めて、中小企業の関係の予算は充実をしたいという考えでございます。
 その中で重点を置いていきたいと思うことは、近代化資金、あるいは高度化資金、あるいは零細企業の対策として工場や機械の貸与制度というものを設けたらどうかという考えを持っております。これが一連の中小企業近代化に関する施策。
 第二の点は、何としても中小企業というものが、農業のような単一性を持ってないだけに、一本の政策で、これで全体の中小企業というものに適用するというのは、なかなか無理があるから、やはり各地方における、都道府県における指導行政というものの役割りというものは非常に大きいのではないか、そういう点で、中小企業のいろんな指導機関がありますが、できるだけこれを一元化して、やっぱり総合的な指導センターのような制度を考えていきたい。指導行政の面を強化して、それから税制の点においても、税負担の軽減をはかる。これは政府全般の問題とも関連して、まだどういうふうな税制になるという結論は得ておりませんが、税負担の軽減という面があるし、また信用補完制度というものも拡充する必要がある。こういう税とか信用保証制度というものについても、できるだけ軽減をしたり信用補完制度を拡充したりするような制度を考えていきたい。
 それから、金融の面において、中小企業金融の資金のワクを増大するのと――金利を下げましたけれども、私十分だとは思わないのです。中小企業における金利、資金コストの関係もあってなかなか困難ですけれども、できる限り金利などの負担も軽減していく必要がある。
 こういうことが、明年度の施策として考えておる点でございます。必要があれば、長官から御説明申し上げてもけっこうです。
#48
○政府委員(山本重信君) 予算のごくおもな点を概略計数を申し上げます。
 まず、中小企業対策の総ワクでございますが、昭和四十年――今年度の予算が百五十億四千八百万円でございますが、これに対しまして、来年度の予算要求をいたしております額は二百三億七千四百万でございまして、三五%増に当たります。これは、通産省の予算全体が三割増ということで押えられております中で、中小企業庁は三五%増というので、ほかの局のほうにそのしわが実はいっておるのでございます。そのおもな項目を申し上げますと、設備近代化補助、今年度が五十億でございますが、来年度五十五億に増額を予定しております。それから、中小企業高度化資金融通特別会計繰り入れ六十六億八千五百万円を、来年度は八十九億九千三百万円に増額の予定でございます。この中には、ただいま大臣からお話がありました、特に零細企業に対する共同工場あるいは機械貸与の新しい制度として十五億円が入っております。
 それから、次は指導関係でございますが、小規模事業対策費、これは特に商工会を中心とする補助金でございますが、本年度が十七億四千三百万円、新年度が二十五億六千四百万円。
 次は、県段階の診断、指導等の予算でございますが、四億六千四百万円から六億八千万円、これは県段階で総合指導所をつくっていくことも含めました予算でございます。
 それから、次に中小企業団体中央会に対する補助が、本年度が一億四千万円から、来年度二億三千九百万円。次に、中小企業指導センターに対する事業費が、三億七千五百万円から七億七千四百万円、大幅に増額いたしまして、中小企業に対する指導をする人の研修を拡充いたしたい、こういう予定でございます。そのほかは、項目が小さくなりますので、省略をいたします。
 なお、総額百五十億から二百三億と申し上げました、それとは別に、これは大蔵省のほうの予算に計上されておりますが、中小企業信用保険公庫、この出資金が本年度六十億円を、来年度は百億円にいたしたい、こういう内容でございます。
#49
○近藤信一君 いま数字を見ますと、五%から七、八%ふえるというところがだいぶあるのですが、これはあとで次の委員会にでも資料をひとついただきたいと思うのですが、よろしゅうございますか。
#50
○政府委員(川原英之君) 現在、概算要求の形で大蔵省に出して、これから折衝に入る途中でございますので、その資料提出につきまして、従来の論点を取り調べまして扱いたいと思います。
#51
○委員長(豊田雅孝君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#52
○委員長(豊田雅孝君) 速記再開。
#53
○椿繁夫君 いまの問題で。ここに資料持っていませんから何ですが、いまの中小企業対策の要求額――二百三億円ですか、去年の国の予算の増額のうち中小企業対策費というのはたしか〇・六%だったと思います。で、この中小企業の輸出の上に占める地位でありますとか、そこへつとめておる従業員の数でありますとかというものは、もう五〇%はるかにこえておるのであります。そういう、その大きな国の経済の上に地位を占めておる中小企業対策費が〇・六%、そこでこれは三割ほどふやすということで、この実力大臣が先頭に立って政府に要求しておられるわけなんですが、これは実現するとは思いますけれども、あまりにもこれちょっと少な過ぎると思うのです。歴代内閣が、この中小企業対策を重点にいたしましてというお話を聞くのでありますけれども、実際の予算でこう出てきた数字を拝見いたしますと、あんまり重点施策になっていない。こういう点をひとつ十分御奮闘いただきたいと思います。
 そこで、先ほど近藤委員から、景気刺激策についていろいろお話があったんですが、大臣はもっぱら、金融の点とか、金利の点とか、あるいは公共企業の繰り上げ実施とかというようなことで、いろいろお話しになりましたけれども、肝心の外に向って貿易の規模をふやすということについて、最初、たとえば中国との例のプラント輸出に関する輸銀の問題のときでも、大臣なかなかさすがにと思って拍手かっさいをしたのでありますけれども、いつの間にかしりつぼみになって、これなどはもう明らかに踏み切る時期に来ているのではないかという気がするのであります。最近も、北朝鮮の電気学会の代表を入れない。列席しておる韓国の人たちが、一緒に協議したほうが将来便利だということを言っておるのに、入国の許可をしない。対外貿易協会から、最近、国際貿易地方議員連盟に二十名近い招待が来ている。十一月一日に来いと言って北鮮からの招待がある。それについても、日韓条約の気がねをされておるのか、これも一向に出国許可の仕事が進まない。で、こう条約のほうでは、北のほうには関係ありませんと、三十八度線南でございますと言いながら、どうも上のほうにだいぶ気がねがある。こういうことで、わが国の貿易規模を拡大する積極策をとらないで、財投の資金をよけい出すようにするとか金利をどうするとかいうことは大切なことではありますけれども、もっと根本的な貿易規模の拡大について実力をひとつ示してもらいたいということを私ども期待するわけであります。重ねてお尋ねをいたします。
#54
○国務大臣(三木武夫君) これは当面の政策を中心に申したのですが、輸出の拡大ということはもうこれは基本になる。これがないと、日本の経済の規模というものは輸出の多寡によってある程度きめられてくる面がありますから、これには非常に力を入れて、輸出最高会議などにおいても、ガットなどに抵触せない輸出振興策というものはあらゆる手を打っていると言ってもいい。こういうものに抵触せないものでまだこういう手があるじゃないかと御指摘になれば、私は実行したいのです。ただいまのような国際的にいろいろガットの条項に抵触するような場合には、長い目で見ればこれは非常に将来の輸出に影響しますからやれないけれども、そうでなければ何でもやりたい気持ちですよ。いろいろこまかい、あれをやり、これをやりして、それでも輸出の所得控除まあ三百億ぐらいになったでしょうかね。こういう金額にはとても達しない。しかし、できるだけもう、こういうものがあるというならば、みなやりたいぐらいの輸出に対する熱意は持っておるわけでございます。大体ほかのほうは経済の指標よくないのですが、輸出だけはこれは非常に伸びて、八十五億ドルを突破することは間違いがない、こういうことで、これはやはり将来もっと力を入れていかなければならない。中小企業がその中で半分ぐらいのウェートを占めておるのですが、ガットなども、いろんな貿易振興の施策なども、大企業というのは直接の店を持ったりしておる人が多いですからね。ああいうのもやはり中小企業対策にはなっても、輸出振興の上で、ガットなんかの機関は、大きいものは自分で直接に支店を持ったりなんか、店員が行ったりしていますから。ただ中小企業の補助金だけというわけにもいかない、中小企業対策というものの費用の計算が。そういうことで、今後とも輸出を伸ばしていくということに対しては、あらゆる可能な打つ手があったら教えてもらいたい。それは必ず実行する、ガットなんかに抵触しないで、こういう考えでございます。
 それから、もう一つは共産圏の問題、これは私も頭を痛めておる。大体国交回復していない国では、まあ第二次大戦後、いろんな分裂国家ができて、非常に複雑にしておるわけですね。このことは、なかなかいままで経験のないことですよ。こんなにあそこにもここにも分裂国家みたいのができて、この外交関係というのはやはり世界が初めて取り組んでおるものでありますが、割り切れぬものがたくさんある。しかし、そういって、うしろ向きでこれを処理するわけにいきませんから、われわれも何とかこれを前進する形で解決をしたいと思うのですが、国交未回復というだけに、非常にやはり障害がある。たとえば北鮮問題をとらえてみましても、前の内閣のときに、オリンピックのときにだけ北鮮の入国を認めるという閣議の決定があるわけですね。そういうものがあって、いまの環境というのは、こういう日韓の条約批准もやっていますわね。南北に分かれておるときにあまりいい環境とは言えない、環境として。それがいろいろな紛糾の種にならぬとも限らぬ。そうなってくると、閣議決定でそういうものがあると、なかなかやはり安全を踏んで、まあ、将来にこの問題は検討しようというようなことになって、一気かせいにいかないところもある。これは一つの何かこう分裂国家に対する外交関係というものの非常に未経験なものもあるし、複雑な背景があって、それは外からごらんになっていたら、政府何してるんだという御批判があるのももっともだという向きもありますよ。しかし内部に入ってみると、いろいろな困難なものがある。しかしその困難を乗り越えて、できるだけこれを前進する形においてこれを解決したいというのが内閣の方針であるという、抽象的な答えですけれども、そういう点でお許しを願いたいと思います。
#55
○近藤信一君 次には、小企業者に対するところの問題ですが、前々国会におきまして、無担保、無保証の融資を増進する目的で特別小口保険制度を創設されたわけでございますが、ところが、せっかく創設したけれども、私が聞くところによると、なかなか当初の目的どおりこれが運用されていない、こういうふうにも聞いておるわけでございますが、当初、政府が期待されました期待額というものはどの程度あなたのほうで予想されておられたか。その期待額に及ばずはるか下回っておるやに私聞いておるのですが、一体、この特別小口保険がどれほどいままで消化しておるのか、この額、これをお尋ねいたします。
#56
○国務大臣(三木武夫君) どうも、これはなかなか、いままでに百五十億という見当が五億ですから、それはお話にならない。それはやはり条件がきびし過ぎるわけです。それできのう省令を公布したのですが、いままでは国税と地方税、それから住民税とかいろいろな条件があるのですね。これを一つで、国税か地方税が納まっておって、そして一年居住しておればということで、思い切って緩和してみたわけです。だれでも来たら三十万円というわけにはいかぬですからね。これは何らかのやはり一つの根拠が要る。それを国税でも地方税でもどちらか納めておればということで、いろいろな条件を整理してきのう省令を出してみた。これで一体どういうふうに今後この資金というものが活用できるか見てみたい。何か私は、そういう税金を取っぱなして商工会議所みたいなものの証明か何かでできぬかと言ったが、それもやはり何らかのものがないと、あまりだれでも来て三十万円というわけにもいかぬという批判もあり、そういうことで条件を緩和してみましたので、この緩和した後におけるこの資金の利用というものを研究してみて、これでもやはりまだ、こういう百五十億円予定しておるのに五億円程度という状態なら、さらにこれはくふうをいたすことにいたします。
#57
○近藤信一君 私は、やはりいま大臣が言われました条件というものが非常にきびしいという質問をした記憶があるのです。当初、私どもはなるほどいい制度であるけれども、適格条件というものがついておって、その条件がいま大臣が言われましたように二つにわたって、税金の面で。そういうことでどちらか一方というふうに考えておられるようでありますが、このことは、当初から私どもは、そういう条件があってはなかなか借りられないじゃないか、こういうふうに思っておったのですが、いま大臣言われましたように、百五十億予定しておったのがわずか五億、わずか三%ぐらいにしかなっていない。こういうことでは、せっかくの制度というものは死んでしまう。そこでやはり通産当局としてもこれはもう改正かなんかというようなことを考えておられると私は思うのですけれども、これは改正じゃなくて……。
#58
○国務大臣(三木武夫君) これは昨日、省令で公布しました。これは、その納税のいま言ったような条件の緩和と居住性、居住に対しての条件ですね。三年を一年にした。それで税は、どの税でもいい、納めておれば貸すということで、これはきのうから施行になることになりましたので、これはどういうふうに利用されるものか、その成績を少し見てみたいと思います。
#59
○近藤信一君 それからいま貿易の問題、ちょっと大臣も言っておられましたが、貿易でその半分が中小企業者が占めている数だ、こう言っておられる。なるほどそうなんです。ところが、私ども聞いておる点で、通産省として行政指導という面が非常にあっちこっち出されておるわけですね。で、行政指導をやっておられるがために、中小企業の貿易が阻害されておるというふうなこともしばしば起こっておるわけなんです。そういうことを私ども現実に聞いておるわけなんです。行政指導もこれはいいことではあるが、せっかく伸びようとする貿易を萎縮させるようなこともある。特に貿易をやっておられる皆さんが言っておられることは、もう日本はうるさくてしょうがない、何かやろうとすると通産省にああでもない、こうでもないと言われるし、法律でもまたあれされている。上海あたりでやればそんなことは全然ないんだから、もう上海へ行ってやったほうがいいんじゃないか、こういうふうなことも私ども聞いておるのです。そういうことで、やっぱり行政指導の点は、私どもよほど考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。そこで、将来、あまり何でも行政指導、行政指導でやられると、萎縮してしまうのだ、中小企業が。それで、この中小企業の振興育成なんということは当然そうなると考えられないのでございますから、そういう行政指導について大臣はどのように考えておられますか。
#60
○国務大臣(三木武夫君) 私は、やっぱり行政指導は中小企業に必要だと思うのです。しかし、それは相談相手というような行政指導ですね。これを強化しなければならない。権力を背景にした、やっぱり権力的なひとつの行政指導というものには弊害があると思う。しかし、いろいろの中小企業とすれば、将来この市場の関係がどうなっていくんだろうか、あるいはまた、こういう企業に対してはどういうふうな需給関係の推移をたどるだろうとか、いろいろな先行きの見通しに、自分のまあいろいろ考えたり調査したりするだけの能力では、やっぱりだめですからね。そういう点の親切な相談相手というような意味における行政指導というのは、足りないくらいではないか、もう少しやっぱり何でも相談に応じてあげて、そうしてどうしても通産省のほうがいろいろなデータなんかも持っておりますしね。そういう相談相手になるという意味の行政指導というものは、もっと力を入れなければならない。しかし、権力を背景にしたような行政指導というようなものは、なるべくやはり少ないほうがいい。それには弊害が伴う。これが私の基本的な考えでございます。
#61
○近藤信一君 大臣がいま言われましたように、中小企業のいい相談相手としての行政指導ということなら、これはまことにけっこうなことで、私どもほんとうに奨励するんですが、ところが、現在往々にしてその逆の場合が多いと思うんですよ。いま通産省で行政指導をやっておられるのは、おおむね大企業のほうに有利で、中小企業のほうには非常に悪い行政指導をやっておられる。こういう点が私どもとしては非常に納得がいかない。そういう点は私はいま大臣が言われましたように、中小企業の振興育成のためにいい相談相手としての行政指導なら、私はもう非常に歓迎すべきだと思うのですが、そういう点は、いま大臣が言明されましたように、今後は中小企業のいい相談相手として、中小企業が喜んで行政指導を受ける、こういうふうなことをひとつ考えてもらいたいと思うのです。
#62
○椿繁夫君 先ほど貿易規模の拡大について、いい案があればお前ら出せと、何でもなるほどと思うことならやっていこうということでありますが、きょうはそういうことの委員会でございませんので、後日に譲りたいと思います。
 昨日、京都で万国博覧会のテーマ委員会が開催されて、基本理念なるものが本日発表になっております。そこで、この基本理念がきまりますと、今度は統一主題ですか、すなわちテーマをきめることになる。それをこの十一月十七日にパリで開かれる博覧会国際委員会の理事会に報告する段取りになっておると承知しております。で、国内的には最終決定になるまでのこれからの段取りというのは、どういうふうになっておるか、大臣の御存じの範囲でひとつお答えをいただきたいと思います。
#63
○国務大臣(三木武夫君) これはきのうテーマ委員会でひとつの哲学みたいなものをきめたわけです。こいつが具体的には来月の十一月二日の理事会に出るわけですが、その後の段取りは私より事務当局のほうが日にちなんかをよく知っておりますから、答えさせることにいたします。
#64
○説明員(瀬谷徹君) 昨日基本理念案が決定したわけでございますが、来たる二十五日にこの基礎理念に基づきまして、テーマを設定いたすわけでございますが、そこでこのテーマを、来月の二日を予定しておりますが、第一回の理事会にはかりまして、そこで理事会の正式の決定を経た上に、一応その後の閣議に報告いたしまして、来月の十七日のパリの国際事務局のほうに提出したいと思います。
#65
○椿繁夫君 そういたしますと、昨日基本理念がきまった、そこで今度は理事会に十一月二日にはかって本ぎめとする、その上で十一月十七日のパリの博覧会国際事務局の理事会に報告をして本ぎめとなる、こういうことでございますか。
#66
○説明員(瀬谷徹君) そうでございます。
#67
○椿繁夫君 そこでお尋ねをいたしますが、大臣、この前の機会に、私は万国博覧会がわが国で開催ときまった、そうしてこれまでの準備委員会の顔ぶれなど、どうも財界に片寄ったような構成でありますから、もっと文化人なり労働界の代表なども含めた構成にされて、そうしてこう広い国民各層の支持の上に万国博の開催の準備が進んでおるというふうにされるべきではないかということを申し上げました。よく考慮しようということでありますが、私はそういう考慮が政府にあるのであれば、基本理念あるいは統一主題――テーマをきめます前に、そういうことを考える必要があるんじゃないかということを感ずるんですが、どうお考えでしょうか。
#68
○国務大臣(三木武夫君) 理事は、椿さん御承知のように三十一名ある、もっと追加しなければならない。その中には、いま言ったような御趣旨のことを頭に入れて検討したいというふうに考えます。ただ、テーマは茅前東大学長が委員長になって、あの顔ぶれというものは、椿さんの言われるような意味を含んだテーマ委員の顔ぶれが相当入っておりますので、今後のやはり運営については、広くいろいろな各方面の人が理事会の中に入っていくほうが好ましいと、いろいろ御指摘のことは、十分検討の場合にそういうことを頭に入れて検討いたしたいと思います。
#69
○椿繁夫君 現在三十一名の理事がきまっている、それをもっとふやす、増加する際にいまのような国民各界の代表を網羅していくようにしたい、こういうことでございますね。善処を望みたいと思います。
 今回の万国博がアジアで初めて開かれる博覧会でありますだけに、私は人類の平和とか、しあわせ進歩ということをきのうの理念でもうたっておられると思います。まずまずのできじゃないかと、こう感じておりますが、万国博は言うまでもなく人種とか民族を超越して参加をしてもらうことに意義がございます。政治上たとえばいまベトナムで戦争が起こっているいこれに敵と味方とある、これは政治上、主義の争いの戦争の色彩でありましょう。一方パキスタンとインドの戦争、幸いに停止しておりますけれども、これは宗教上の争いが中心になっておる、こういうことを超越して参加のできるように、限りない努力を政府及びこれの準備を進めております万国博協会などにその努力を望みたいと、こう思うのでありますが、きのうの基本理念をちょっと一読いたしましても、そういうことが盛られていると思うのです。通産大臣のお考えを重ねてお伺いいたします。
#70
○国務大臣(三木武夫君) せっかくアジアで第一回目を開くのですから、いろいろな問題を越えて多数の国が参加できるような形が好ましいと思います。それで共産圏であろうが、この参加しようという国は、これを勧誘するつもりであります。その意思がなければ困りますが、先方にそういう意思があるならば、それはやはり勧誘して、できるだけ参加国を多くして、新興諸国というものは大きな陳列館などを建設できなくても、実際に小さくても小さいなりに、多数の国が参加するということに第一回のアジア博覧会の意義というものを見出すことがいいのではないか、こういうふうに考えます。
#71
○椿繁夫君 全く私も大臣の御答弁のとおりに実はなってほしいと、こう期待するのであります。この間のように、気がねをしておられて、北鮮の代表が参加してもらってもいいというところの入国が拒否されたり、これはあまりだからというので鍼きゅうの代表のほうは参加させようかと、こういうことになりかけたところが、電気の代表を入れないのにこっちのほうを入れたのじゃ首尾一貫せぬじゃないかというようなことで、またそれがだめになるというようなことがございますので、五年先ではございますけれども、万国博の開催並びにその招請国の範囲などについても、政治の色がついちゃいかぬということを強く心配をしているから重ねてお伺いをいたしたのであります。基本理念もテーマも、なるほどりっぱなものができるでしょうけれども、初めてできるテーマであり、基本理念でありますから、これは国民なり世界各国に了承してもらうということがなかなかむずかしい。よほど関係当局がPRをされませんと、なじみあるものになってこないと心配をいたします。そういうことについて、これは大臣でなくとも事務当局からでもけっこうですが、そういうことについて努力の方向をひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
#72
○説明員(瀬谷徹君) PRにつきましては、先般発足いたしました日本万国博覧会事務局におきまして広報部を設けまして、この中でたとえば国内の広報業務あるいは外国関係の広報、こういうことで国内と国外に十分PRするつもりでございます。また、六七年度のモントリオールの博覧会との関係もございますので、モントリオールに駐在員を協会のほうから派遣いたしまして、常時モントリオールの実情を把握するとともに、あわせて一九七〇年の万国博の宣伝もしたい。また海外に対しますPRでございますが、十分外務省あるいは通産省の出先機関とも連絡をとりまして、万遺憾なきを期していきたいと思います。
#73
○椿繁夫君 五年先のことでありますから、その客引きとか宣伝とかいうことの前に、私は、基本理念に基づくテーマが最近きまるわけでありますから、まずそのテーマを国際的に宣伝していくということが大切ではないかと思うのであります。で、テーマ委員会のきのう基本理念が発表されました直後に、茅委員長と桑原副委員長の談話が新聞に出ておりました。その中で二千年をこえる人類文明史を見渡し回想し、その中から「おだやかな楽天主義を引き出した」と言っておられます。通産大臣はこの「おだやかな楽天主義」というものを、どういうふうに解釈されておられますか。いずれ詳しいことは、また日を得ましてお尋ねをしたいと思います。以上お尋ねをいたします。
#74
○国務大臣(三木武夫君) まあ、ここに起草委員の一人がおいでになるので、よくその真意がおわかりであるかと思いますが、私はこういうふうに解釈しております。「おだやかな楽天主義」というものは、やはり人類の善意、それから知恵、善意というものをやはり信じたい。これ人間というものの善意、人類の善意というものを信じたり、人類の知恵というものを信じなければ、これは絶望的にならざるを得ないですから、ここに原爆の問題を取り出してみても、そうしてまたどこかの民族をもうこれは征服したらいいのだという、そうして自分だけが生き残ったらいいのだという、それが人類の胸の中にある考え方だとするならば、あるいはまた、こう科学が発達して、それが人類を滅亡するために使われる、人間の知恵というものはそういうふうに動くものだと考え、人間の心の奥底には自分だけが生き残って他人は滅んでもいいのだと、もうそういうものが人類の一つの方向であるとしたならば、この世の中は絶望的にならざるを得ない。だから、おそらく「おだやかな楽天主義」という中には、人類の善意を信じ人類の知恵を信じたいという願い、祈り、そういうものが入っておるのだというふうに私は解釈するものでございます。
#75
○委員長(豊田雅孝君) 速記とめて
  〔速記中止〕
#76
○委員長(豊田雅孝君) 速記開始。
#77
○近藤信一君 般若鉄工の倒産に関連してちょっとお尋ねいたしたいのですが、昨年の十二月十五日に本委員会で私が質問した際に、村上基準局長は般若鉄工の賃金不払いについて答弁をされましたが、そのときに、昨年の七月に不払いが発生した。これは一億五千万円ほどの不払いであった。当時従業員は千八百人の賃金不払い。ところが八月以降基準局で監督を実施して、八月三日から九月二十六日までの間に九回にわたって二千三百万円ほど支払わさした。その後、支払い見込みが立たずに、十月十九日、富山地検に労働基準法違反として送検されたのでございます。そのとき答弁の中で、ただ基準法違反で単に送検したということをもって能事終われりとすることはしない。現実に支払いが可能でありまするように、今後も引き続いて監督を継続いたしたいと、こう村上局長は答弁をされておる。ところが、その後今日に至って約一億円ほどの未払い賃金があると聞いておるが、その後、賃金の支払いについて基準局として善処してこられたのかどうか。ただまあ違反だからといって送検して、あとは裁判所にまかしておけ、こういうことで今日まできているのかどうか、この点お尋ねいたします。
#78
○説明員(藤繩正勝君) 最近の不況につれまして、賃金不払い事件がまた増大してまいっておりますが、賃金不払いにつきましては、御承知のように労働基準法二十四条違反として監督をもって措置するという方法が、われわれ監督機関としてはあるわけでございます。ただ事の性質上、それだけではなかなか解決できませんので、やはり早期発見、早期解決ということで、それからまた、そういう監督権限というものを背景としながら、たとえば親会社に話をつけるとか、いろいろ手をかえ品をかえこの解決に当たっておるのが一般でございます。
 お尋ねの般若鉄工の問題は、先生御承知のように、非常にこじれにこじれておるわけでございますが、確かに去年の状態で非常に困難な事案というふうに考えられまして、十月の十九日に富山地検に事件を送致いたしたわけでございます。その後もとより監督署といたしましては、その経過を追っておるわけでございますが、当社は四十年二月一日に更生手続の廃止が決定をされまして、二月の十七日には破産宣告を受けて清算に入っております。清算の完了までになお相当の期間を要するというふうに考えられるのであります。
 その後の支払いの状況でございますが、今日まで最終的に――九月までに先生御指摘のように二千三百万ばかり払ったわけでございますが、現在までに払ったものは四千五百万円程度というふうに承知をいたしております。ただ、ただいま御指摘のように、一億ばかりの不払いがなお続いておるという状況ははなはだ遺憾でございますが、何せ清算段階に入っておりますので、われわれとしてはできるだけの措置を続けてまいりたいとは思っておりますが、事態は非常に困難な状況にあるというふうに考えておる次第でございます。
#79
○近藤信一君 いま課長が言われましたように、この般若鉄工の倒産は、非常にこじれにこじれてきた。最初、会社更生法による更生申請をした。その後今度は破産申請、そして今日になっているわけです。組合としても、当時、富山県知事まで中へ入っていろいろと協定を結んだわけです。その協定の中では四項目にわたり協定を結んだわけです。ところが、この四項目のうちで、職業訓練の点もあるわけなんですが、その他一切もうほとんどこの協定どおりいっていないという現状でもあり、ついに破産した。その破産申請するときも、組合は管財人と協定を結んだ。組合としては破産しなくてもやれるんだといって抗告をしておったわけなんです。抗告を取り下げて破産申請したわけなんですか、その協定自体というものが、今日まで一つも守られていない。協定をまた一方的に破棄している。こういうことでだんだんと問題が深刻になってきておるのであります。そこで不払い賃金についての裁判所の見解というものもはっきりしておるわけなんですが、大体労働者が汗水出して働いて、そしてその働いた賃金すらもらえないというこういう現実は、ただ般若鉄工の営業が悪かったからこれはやむを得ないんだ、こういうことでは私解決できないと思うんですが、この点どうですか。
#80
○説明員(藤繩正勝君) 賃金不払いの問題は、何せ賃金が労働者の唯一の生活の資でございますから、先生がただいまおっしゃったように非常に重要な問題でございます。私ども不払い事件を扱っておりますときに、基準法二十四条で違反としてこれを処罰する、それで監督としての手続は終わるわけでございますが、それだけではなかなか片がつかない。特に最近非常に問題になっておりますような土建出かせぎ労働者というものについていいますというと、累次の下請というような関係がございまして不払いが起こった。で労働者から申告があった、私どものほうで出かけていきますと、もうその零細な下請業者はどっかへいなくなっているというようなことで、監督署の職員としてもそれを追いかける、あるいは元請にまいりまして、いわば法律上元請には支払いの義務はないわけでございますが、いろいろお願いをして立てかえ払いをしてもらう、いろいろな苦労をいたしておるわけでございます。そういうことで、私どもとしても決してゆるがせにしておるわけではございませんが、本件につきましては、何ぶん清算の段階でございまして、たいへん腐心をしておるというのが実情でございます。
#81
○近藤信一君 私が質問いたしました際に、労働賃金について法務省の平賀民事局長はこう言っておられます。「ただいま申し上げましたように、この更生手続におきまして共益債権になっております賃金債権は、これは当然破産の手続に移行しますと財団債権になりますので、破産手続によらないでやはり順次ほかの一般の破産債権に優先して弁済していくということになるわけであります。それからたとえば未払い賃金債権、更生手続開始決定前六カ月、それ以前の賃金未払いなんかでございますと、これは一般の破産債権になるわけでございますけれども、これは優先的な破産債権ということで、一般の債権よりもやはり優先してこれが払われるということになります。」と、こうはっきり民事局長の平賀さんが破産してもちゃんとこれは払うんだ、こういうことを述べておられるのであります。ところが、今日なおこの労働賃金をあと回しにして、そうしていろいろと財産処分しておるという事実もあるんですが、この点はまあ基準監督局の責任じゃないと私は思うけれども、責任じゃないからといって目つぶっておるわけにいかぬと思うんですが、この点どうですか。
#82
○説明員(藤繩正勝君) 賃金債権の法律上の問題につきましては、民法、商法あるいは会社更生法等にそれぞれ優先的な取り扱いの規定がございますし、また破産法上の取り扱いにつきましては、ただいま先生が引用なされました平賀局長の答弁のとおりでございます。したがいまして、賃金が一般的に優先的に扱われるということはそのとおりでございます。破産法の場合の財団債権というような場合には、たとえば公租公課あるいは下請け代金、どちらも非常にこれまた重要な債権があろうかと思います。そこでその中でどの程度の割合をどの程度優先的に見るかということはなかなかむずかしい問題ではなかろうかと、私ども所管ではございませんので、それ以上申し上げますことは差し控えたいと思いますが、労働省の立場といたしましては、できるだけ賃金は優先的に扱っていただきたいというふうに考えておる次第でございます。
#83
○近藤信一君 それからいま一つ。労政局のほうに今度お尋ねするんですが、破産管財人として任命されました人が今年の地労委の改選におきましてもやはり地労委の会長としておられる。このことは非常に問題で、いろいろな面で地労委に提訴しても、その地労委の会長が破産管財人の責任者と、こういうことであるから、なかなか地労委における問題の処理ということがむずかしいと思うのです。こういうことがわかりながら、今年の地労委のいわゆる学識経験者として任命されておるということは、私矛盾があると思うのですが、この点どうですか。
#84
○説明員(青木勇之助君) お答え申し上げます。先生の御質問の地労委の会長林喜平さんだと思うのですが、ことしの二月の十七日に裁判所の選任によって破産管財人になっております。地労委の委員の任期は三月三十一日まででございまして、四月一日に新たにまた公益委員に任命されまして、会長に選任されたようでございます。この点につきましては、労組法上の公益委員の資格要件といたしましては、労組法十九条の八項、九項に資格要件が規定してございまして、禁治産者、準禁治産者、懲役または禁この刑に処せられてその執行を終わり、または執行を受けることがなくなるまでの者は、労働委員会の委員になれない。さらに九項におきまして、公益委員についての特別の要件が規定してございます。富山の地労委においては五人の委員でございますが、そのうち二名以上が同一政党に属してはならない、こういう資格要件がございます。任命の権限は都道府県知事が持っておるわけでございまして、そういうことで、なおこの林委員は、今回で三期目だそうでございます。県内の公益委員の適任者等を判断する際に、知事が相当数の候補者の中から知事の判断として選んだものと思います。なお、しかし、そういう人が破産管財人となっておって、現に労使関係の分野で非常に困窮しておられるそういう問題を扱うことが適当かどうかという問題になりますと、これは法律上の資格要件を離れまして、実態問題としてやはり問題があるんじゃないかと思います。これも労働委員会の議事手続規則の中には委員の忌避の手続等がございません。こういうことで従来の委員会の公益委員の運営につきましては、委員の良心に待つと、こういうことになっておりますが、この点については、いま現に労組、労調法等の問題点につきまして、労使関係法研究会というようなところで慎重に検討もいたしております。やはり忌避制度等も検討すべきではないか、こういうような問題もあろう、こう思いまして、法律上は現在は資格要件に当たらないわけでございますが、実際の運用の点については御指摘の点もあるやに思います。今後さらに慎重に検討いたしたいと思います。
#85
○近藤信一君 特に今期で三期目の公益委員だ。私も地労委の委員を五期やりまして、よく存じておりまするけれども、地労委ができた当初は三者構成で不当労働行為等の問題をいろいろと議論して究明して採決までやって、そうしてきめたわけなんです。ところがその後改正になりまして、不当労働行為等の審決といいますか、これは公益委員だけでやることになっているんです。そうすると、三期までやっておられるこの地労委の林さんが一方においては管財人の責任者である。個々のいろいろとやっていくうちに不当労働行為と思われる問題があと出てくるわけなんです。その場合に富山の地方労働委員会へ提訴しなければならぬわけです。その審決をするのは公益委員だ、こういうことになるわけなんですが、こういう点は私は非常に矛盾を感ずるわけなんです。そんなばかな話は私はないと思うんですが、ただ法律のこういう条件に備わっているから、これが公益委員として今期も富山県知事から任命された、これだけでは私は済まないと思うんです。特にいろいろと組合側から言われていることによると、林管財人はだいぶんの悪党のようにも私思うんです。こういうことは私は好ましくないと思うんですが、いま課長が法律でこれはちゃんと条件が備わっているのだからということだけでは、私どうも納得のできない点があります。再度ひとつ御答弁願います。
#86
○説明員(青木勇之助君) お答え申し上げます。いま私お答え申し上げましたのは、現行法の資格要件には直接には抵触はいたしません。しかしながら、やはり実際の運用上の問題としては、いま先生が御指摘になりましたような問題点もあるというふうにお答え申し上げました。なお、不当労働行為の審査につきましては、昭和二十一年法のもとにおきましては、いわゆる直罰主義をとっております。確かに労働委員会の総会でもって事案が扱われておりましたが、二十四年の労組法の改正によりまして、いわゆる直罰主義を改めまして救済主義にいたしました。そうして事案は公益委員会議でもってこれを判断する。ただし、不当労働行為の判断につきましては、労使委員の参与することを妨げないというようなことの手当ては法律上いたしております。そういう法律上の手当てをどうこう申し上げましても、この事案の本質的な解決には当たらないかと思いますけれども、今後労働委員会にもし事案が抵触するというようなことになります場合は、先ほど申し上げましたように、やはり労働委員会の公益委員としての立場において御行動願うのが当然でありまして、もしそうでございません場合は、十カ条の十項に、委員たるにふさわしくない非行等云々というような罷免規定もございまして、そういう規定の発動も可能になってくるわけでございます。結局いま先生のおっしゃいました御趣旨は、私のほうからも県のほうに十分趣旨を伝えまして、そういう事態が出てまいりました場合は、直接に措置するようにさらに指導いたしたいと思います。
#87
○近藤信一君 そこで、破産財団の管理に対して組合も協力しているわけなんです。ところが協力することについては四項目の協定を結んだわけなんですね。その中の四つ目に「(甲)は(丙)が差押えた破産財団に属する物件を売却処分し、その売却金より破産財団費用(前記二項の保全費用も含め)を差引いた残額を、未払賃金充当金として(丙)に託し、支払の時期・方法については追って、(甲)(丙)に於いて協議する。」と、こうあるわけなんです。財産処分すればその費用を未払い賃金に充てるんだ、こういう協定まで結んであるわけなんです。ところが、実際には財産処分して保全費用だけ払えばいいんだろうということで、未払い賃金に対しては何らこれを払おうとしない、これが地労委の会長なんですよ。これはもう明らかに協定も守らない、労働者の賃金はどうでもいいんだということで、こういう人は地労委の公益委員としては不適当であると、こう思うのです。しかし、そのことをいまここで論じてもこれは結論が出ないと思うのでやめますが、ただそこで問題になりますのは、現実にこういう協定を、組合が同意せずに、一方的に管財人が破棄したような形になって、これが実施されていない。またいろいろと保全要員に対しては、これはもう旧職制の人が保全のあれになっているんですが、これには金を払うけれども、一般の従業員、組合員には賃金を払わぬ、こういうことになれば、これは差別待遇になってきて、これも労働法に私は違反すると思うのです。これは実際不当労働行為ということで、組合としてはいずれ提訴するということに相なるだろうと私は思うのです。いま、しているかどうか知りませんが、そういう不当労働行為のにおいが強いと私は思うのですが、課長の判断は、こういうことは正当だとこう思われるか、その点どうですか。
#88
○説明員(青木勇之助君) お答え申し上げます。いま先生の御指摘の事実関係につきましては、詳細に私どものほうも把握いたしておりません。ただ、私どもが県のほうから得ました情報によりますと、本年の四月ごろに、高岡の商工会議所立ち合いのもとに管理費用と未払い賃金の支払いについての分配の比率に関する協定書が結ばれたというようなことが情報で入っております。これが九月ごろに当事者双方の合意のもとに解約された。そういうことしか聞いておりませんが、その事実関係が、はたして私どもの聞いた情報がそのとおり正確であるかどうかという点、これはまだはっきり確認はいたしておりません。したがいまして、協定の破棄の問題につきましては、さらに今後もう一回詳細に調査してみたいと思います。
 次に、いま先生御指摘の不当労働行為の問題でございますが、保全要員には支払っておるけれども、組合員には支払っておらない、その場合、私どもの聞いております情報では、すでに会社のほうは解雇予告を行なっておりまして、もちろんその従業員たる地位の有無についてはなお争いがあるかも知れませんが、そういうような状態になっておる。一方、労組法の第七条で禁止いたしておりますのは、組合の正当な活動をしたことのゆえに不利益な取り扱いをすることは不当労働行為である、こういうふうに相なっておりまして、その間の結びつきがどういうふうになるか、これは事実認定としては非常にデリケートな問題でございます。この場において、それがなる、ならないとお答え申し上げることは差し控えさしていただきたいと思います。
#89
○近藤信一君 先ほど保全要員と言いましたが、そうじゃなくて破産財団職員です。これは旧職制の連中がほとんど破産財団職員になっているわけなんですね。それで、組合員には賃金を払わない、これが一つの差別待遇ということになってくるわけなんです。
 そこで、私がこのことで課長を幾ら追及しても、課長が、これが不当労働行為なんでござるとここで判定できるものでもないし、これはいずれまた現地のほうでも問題になろうと思うから何ですが、ただ本省のほうで話を聞いておるということだけでなくて、現に一億円という未払いの賃金があるのを放置しておっていいかどうか、これは人道上の問題だと思うのです。それはやはり労働省としては監督する立場におられるのだから、不払い賃金については、どんなことがあっても支払わなければならぬ、私はこういう義務があると思うのです。ところが、先ほど来何回も言っておりますように、いまも地労委の会長であり、破産管財人の責任者であって、二足のわらじをうまいこと使い分けしておる。何といいますか、こういう誠意のない人が大手を振って地労委の会長だということは、私はどう考えても納得がいかないのです。それは県知事が任命するのだとあなたは言われるけれども、不適当な者であれば、労働省として監督の立場におられるあなたのほうで、いろいろと話をする機会も当然あってもいいと思うのです。こんなことがただ富山県だけではなくして、全国的にこういうケースが出てきた場合に、労働委員会の機能なんというものはおかしくなる、私はこういうように思うのです。これはまだいま富山県だけの問題でございますけれども、倒産があっちこっちに出てきているそういうときに、ただ資格要件があるからといって地労委の会長が管財人になるということは、私はどう考えてもこの点は納得ができないし、こういう点もっと本省としても十分考えてやってもらいたいと思います。以上です。
#90
○椿繁夫君 いまの問題ですが、課長、なるほど法律的にはあなたの言われるとおり、まだ刑事処分も受けておらないし、禁治産者でもないのだから罷免するということの理由はないということになりますが、いま近藤委員のお話を伺っておりまして、しかも自分が管財人であるときに、御当人ではないにしても、いろいろな不正が管財期間中に会社の中で行なわれておることを聞いております。しかも、管財人は最高の責任者であるはずであります。裁判所から任命されたそういう人がその後不当労働行為などを盛んに起こしている。一億円をこえる未払い賃金があり、その係争が行なわれておる。いついかなる形で地方労働委員会に救済を求めてくるかもわからない。ところが、その代表者である地労委の会長が会社では管財人として会社側の責任者であった。しかも、富山県知事は、富山県における地方産業としてこういうものをつぶしたら、せっかく新産業都市にも指定になっておるのに、これから新たに工場を誘致しなければならぬから、現在ある般若鉄工という大きな会社が会社更生法の適用を受け、しまいには破算宣告を受けるというようなことになってはいけないというので、相当な骨折りをやった。そうして、いま三つ、四つ読み上げられたような協定書なども知事が介入されてつくったはずなんです。それを守らなかっ管財人に対して知事が再度地労委の委員を委嘱するという知事もどうかしておる。知事がどうかしているといって、いまここであなたにおこってみてもしかたがないのですが、そういう何でありますから、これは不適格者ですよ。明らかに不適格であることはもう明瞭なんだから。このことについて、労働省として地方労働委員会に対していろいろ指示れさる権限はあると思うし、任免権がかりに知事にあるにしても、不適当であるというようなことが国会でも問題になったということはすぐにやはり現地に知らせて、すみやかに善処される必要があるように私も思います。重ねて善処を要望しておきます。
 きょうはあなた方両課長だけおいでいただいて、局長どうしておるのですか。きょうは公務員のベースアップのことで何も局長いまごろもう用事はないはずです。
#91
○説明員(青木勇之助君) いま先生御指摘のように首相裁断もございまして、その後のいろいろな会合等で労政局長中座いたしておりましたので、私が参りました。
#92
○説明員(藤繩正勝君) 労働基準局長のほうでございますが、昨日から本日にかけまして全国安全大会の催しがありまして、その方面の分科会が各所において行なわれております関係上、出席できませんで、まことに申しわけございません。
#93
○椿繁夫君 両局長が出席されない陳弁を求めておるのじゃないです。前のことに答弁を願いたい。
#94
○説明員(青木勇之助君) いま先生御指摘の、国会のこの場におきましてそういう御指摘のあったということは、早急に現地のほうへ連絡をいたしたいと思います。
#95
○近藤信一君 それからもう一つ、現に破産管財人は地労委の委員です。それが財産処分をめちゃくちゃやって、未払い賃金を支払ってくれないので、組合が工場にはいれないようにかぎをかけた。そうすると、今度は管財人はこれに対して仮処分をやって、今度は組合がはいれないようにしようとして仮処分の申請をやっているのです。めちゃくちゃなんだ、これは実際。物はどんどん売って、そうして自分たちはどこでとうするか知らぬが、未払い賃金を支払わない。これじゃ困るからといって組合が工場にはいれないようにかぎをかけると、今度は仮処分の申請をして組合に対抗する、それが地労委の会長なんです。地労委の会長であり、管財人である。全くいま椿委員も言われましたようにけしからぬ。それを労働省が黙っておるという手は私はないと思うのですよ。それ、何かないんですか、労働省としては。
#96
○説明員(青木勇之助君) 先生のいま御指摘のような事実関係がありまして、昨日第一回の口頭弁論が開かれておるということも私ども聞いております。いずれにしても、その問題は破産手続中の破産公告に基づく問題、ないしその他の一般民訴法上の諸問題でございまして、いずれ裁判所が適正な判断をいたすものと考えております。
 なお、先ほど椿先生、近藤先生からそういう御指摘がありましたことは、先ほども申し上げましたように、さっそく現地に連絡いたしたいと思います。
#97
○椿繁夫君 連絡だけではなしに、早く処理しなければだめだよ。
#98
○近藤信一君 いつまでやっておってもあれだから、般若鉄工の問題はこの程度にしておきます。
 先ほど大臣来られまして、ちょっととぎれたような形になりましたが、せっかくですから、この際ちょっとお尋ねしておきたいと思います。
 先ほども所信の中で、公正な自由競争を維持促進することによって、一般消費者の利益を確保することを目的としておりますということを第四として言われたですね。ところが、最近の問題で、ある輸入業者が外国のほうと輸入協定を結んで、そうして正常に輸入をやろうといたしました際に、先ほど私が通産大臣に言ったような行政指導という点で、今度国内の業者がいろいろと暗躍いたしまして、輸入を妨害しておるような感じがありますし、またその業者が十名ぐらい寄って、いろいろと通産局に対して工作をやっている。それがために非常に不当な圧迫を受けたわけなんです、不利益をこうむっている。これは私的独占禁止法の第三条にも「事業者は、私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」とこうある。ところが、取り引きに対して、国内の業者を集めていろいろと行政指導といいますか、そんなようなことをやって、一人の業者が輸入するということについては、国内の業者に混乱が起こるからと、こういうことでいろいろな問題が発生している。さらに輸入しないことによって、一般の消費者が非常に不利益をこうむっているということがあるわけなんですが、これは独禁法に違反すると私は思うのですが、実際に違反するかどうかということは、これは独禁法違反ということで申請されて、その上においてあなたのほうから審問された結果でなければわからないと思うけれども、第三条のこの趣旨に私は明らかに反すると思うのですが、そういうケースの場合にあなたはどういうふうに考えておられますか。
#99
○政府委員(北島武雄君) 御指摘のように独占禁止法は第三条におきまして「私的独占又は不当な取引制限をしてはならない。」、それから不公正な取り引き方法を禁止する、こういうたてまえでございますが、ただいまお話にありましたようなことが、抽象的で実はよくわからないのでございますが、もしこういうような条項あるいは第八条の事業者団体の禁止行為にきめてあります条項に該当いたしますれば、独占禁止法違反ということになるわけでございます。これらの事件につきましては、あるいは関係人からの申告または職権による探知によることもございますが、そういう申告がありましたり、あるいは職権によって探知いたしました場合においては、これをできるだけ早急に調査、審査いたすのが私どものつとめでございます。
#100
○近藤信一君 それから私的独占禁止法の中にはいろいろと書いてあるのですが、第六条にも「事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない。」というふうに、国際的な問題も第六条にあるわけですね。ところが、そういうことが独禁法違反にならないということは私はおかしいと思うのだけれども、この法律では短い文できめられているけれども、実際にこれに当てはまるというのはどういうのが一体当てはまっていくのか、あなたのほうの解釈、これは一体どうなんですか。私どもが見ると、ほんの短い文章で書いてあるから、実際具体的にどこまでこれが影響を及ぼすかということに対してなかなかこれは判断がむずかしいと思うのですよ。そういう点あなたのほうとしてはいろいろなあれを持っておられると思うのですが、そういう点一ぺん知らしていただきたいと思います。
#101
○政府委員(北島武雄君) ただいまお話のように独占禁止法は非常に抽象的に規定しておりまして、具体的にどのように適用されるか実にむずかしい問題だと思います。これにつきましては、長らく審査部長をいたしておりました現在の公取の事務局長から答弁させます。
#102
○政府委員(竹中喜満太君) 国際契約の問題は非常にむずかしい問題でございまして、六条に該当するような場合に独占禁止法違反になることは当然のことでございまして、このために国際的契約または協定をした場合には一月以内に公正取引委員会に届け出なければならない、こういうことになっております。届け出がありましたものにつきましては、私のほうの審査がございますが、形は二つございまして、違反になる第一は、外国の事業者で日本の国内で事業をやっておる者が、日本の国内の事業者とたとえば価格の協定をする、あるいは販売数量の制限の協定をするという場合が違反になる一つの形でございます。もう一つは、外国の事業者が日本の事業者に特許の実施権などを与えました場合に不当な拘束的な条件をつけるというような場合が違反になる一つの形でございます。しかしこれらの問題につきましては、従来外資審議会でいろいろ検討される場合に私のほうの職員がその席に出ておりまして、契約の条項をある程度見ておりますので、そこで、修正をさせることが多いので、具体的な問題になる例は比較的少ないようでございます。しかし、最近貿易の自由化その他の問題がございますので、これが一つの日本の業者を保護する手がかりになるということで、さらに国際契約、協定の審査を、これらのものの審査を強化しようということで私のほうでいろいろ基準を検討いたしまして、これからしっかりやっていこうということになております。
#103
○近藤信一君 独禁法違反で申請をしますね、摘発するというのか。そうすると、その結審ができるまで相当時間がかかると思うんです。いろいろとまああなたのほうで審問してやられるんですけれども、そういう点もっと早くやれないものかどうか。またものによっては、それは早いものもあるだろうし、それから長引くものもあるけれども、貿易なんかの問題になると、これはあまり長引いてしまってはこれは何にもならぬということにもなりますし、またいろいろと時期を失するということもあるろけなんだから、一体この申請してから――まず受け付ける、形式的な受付をやられる、受け付けてからいろいろ調査して審問をやられる、それからいろいろと問題があるかないかが出るわけなんで、ところが、このごろはどうも公正取引委員会は、従来の権能というものが一〇〇%発揮されぬのじゃないか、どうも通産省のほうに弱いんじゃないかという声を私どもはよく聞くんですが、そういう点、やはり公取としては独立した機関として、一〇〇%公取の機能というものを発揮してもらいたいと私は思うんです。その点どうですが。
#104
○政府委員(北島武雄君) 公正取引委員会が、審査部におきまして事件を取り上げましてから、一応処理、すなわち審判の開始決定をするとか、あるいは勧告をする、あるいは不問、打ち切りの処分をする、この一件当たりの日数を調べてみますと、最近はだんだん短くなってきております。昨年あたり、あるいは一昨年あたりでは、なおまだ四カ月余かかる状況になっております、平均いたしまして、ただしこれは、もちろん事件によりけりでございまして、早いのは三十日以内で片づく、あるいは長いのは一年もかかることもあるのでございますが、件数のほうは五年間に約二倍半になりまして、審査部の陣容は一割ぐらいしかふえておらない、こういうことでございますので、せっかく申告がありましてもなかなか手がつかないということもあるようでございますが、今後そういう点のないように十分気をつけまして、できるだけ申告がありましたら早急にひとつ取り上げたいと、こう思っております。
#105
○委員長(豊田雅孝君) 速記とめてください。
  〔速記中止〕
#106
○委員長(豊田雅孝君) 速記をつけてください。
 他に御質疑のおありの方はございませんか。――それでは本調査は本日のところこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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