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1965/10/19 第50回国会 参議院 参議院会議録情報 第050回国会 社会労働委員会 第2号
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1965/10/19 第50回国会 参議院

参議院会議録情報 第050回国会 社会労働委員会 第2号

#1
第050回国会 社会労働委員会 第2号
昭和四十年十月十九日(火曜日)
   午前十時五十八分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小柳  勇君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                川野 三暁君
                佐野 芳雄君
                藤田藤太郎君
    委 員
                紅露 みつ君
                土屋 義彦君
                徳永 正利君
                大橋 和孝君
                森  勝治君
                小平 芳平君
                高山 恒雄君
   国務大臣
       厚 生 大 臣  鈴木 善幸君
   政府委員
       厚生大臣官房長  梅本 純正君
       厚生省医務局長  若松 栄一君
       労働大臣官房長  和田 勝美君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生省医務局次
       長        渥美 節夫君
       国立がんセン
       ター臨床検査部
       長        木村喜代次君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○社会保障制度に関する件
 (ガン対策に関する件)
○参考人の出席要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小柳勇君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
 まず、社会保障制度に関する調査を議題とし、ガン対策に関する件について調査を行ないます。政府の説明を聴取いたします。
#3
○国務大臣(鈴木善幸君) わが国におきまするガンによる死亡率は近年非常にふえてきております。昭和三十八年に十万一千人、三十九年に十万四千人というような状況でございまして、特に三十五歳以上五十四歳までの国民の中堅ともいいまする壮年層の人々がガンによって多数死亡しておるということは、国家的に見ましても、また、社会的に見ましても重大な損失であるわけであります。最近、池田前首相でありますとか、あるいは作家の高見順さんでありますとか、そういうような著名な方のガンによってなくなられたというようなこと等もございまして、最近ガンに対する関心は非常に強くなってきておるわけであります。厚生省といたしましては、この大きな社会問題、特に国民がガンの脅威に異常な憂慮と関心を示しておるということに対しまして、どうしてもガンの対策を強化いたしまして、ガンによる死亡率をできるだけ激減するように対処してまいらなければならない、かように考えておるわけであります。
 わが国のガン対策は、各国に比べまして、学問的にはそうおくれておるとは思いませんが、ガンに対する施設の整備、あるいは専門医の養成、あるいは集団検診等、ガン対策は、欧米各国に比べまして、非常におくれておるように思うわけでございます。そこで、厚生省といたしましては、明四十一年度におきまして、重点施策の一つとして、このガン対策を総合的に進めてまいりたいと考えております。
 第一は、ガン専門の医療機関の整備の問題でございます。ただいま東京築地に中央がんセンターがございますが、この中央がんセンターをさらに整備拡充をいたしまして、これを中央のセンターといたします。さらに各地方ブロックに国立または都道府県立の地方センターを九カ所、四カ年計画で整備する方針で予算措置等を講じてまいりたいと考えておるのであります。さらに、その地方ブロック別に設けましたがんセンターのブランチといたしまして、各都道府県に少なくとも二カ所以上のガン専門の診療施設を整備をしたい。大体百カ所程度を考えておるわけでございます。
 また、こういうようにガン専門の医療機関網を整備いたしますと同時に、この診療機関で働きますところの専門の医師、あるいは専門の技術者の養成というものが必要でございますので、中央のがんセンター、あるいは地方ブロックのがんセンター等におきまして、この専門医あるいは技術者の養成に力を入れてやってまいりたいと考えておるわけであります。
 さらに、ただいまの段階におきましては、何と申しましても早期診断、早期治療ということが最もガン対策として必要な点でございますので、集団検診を強力に進めてまいりたいと考えております。診療車によりますところの集団検診を大体四十万人程度考えておるわけでありますが、さらにガン専門の医療機関で徹底した集団検診を行ない、さらに診断の結果を追跡をして、精密な検査の徹底を期する方針を立てておりまして、それを二十四万人程度計画をいたしております。四十一年度におきましては、集団検診は都合六十四万人程度を対象として実施いたしたいと考えておるわけであります。
 なお、ガンの研究の問題でございますが、これは御承知のように、文部省と厚生省とそれぞれ予算がついておるのでありますが、文部省におきましては、基礎的、学問的な研究を中心に研究助成を行なっております。厚生省におきましては、学問的な研究から臨床的な研究まで、必要なる研究に対しまして助成を行なっておるのでございますが、文部省と厚生省の研究を効果的にいたしますために、文部省から三名、厚生省から三名の委員をあげまして、そして研究テーマの選択でありますとか、あるいは研究補助金の配分等につきまして適正を期するような措置を講じておるわけであります。このガンに対する研究助成の面につきましても、昭和四十年度におきましては、文部省が二億数千万円、厚生省が一億余でございましたが、明年度は厚生省といたしましても研究費の増額を期しまして、ガンの研究をさらに強力に進めてまいりたい、このように考えておるわけであります。
 冒頭に申し上げましたように、ガンによる死亡率はわが国におきましては第二位に位するというようなことで、国民がガンの脅威に非常に恐怖を受け、心配をいたしておるような状況にございますので、厚生省といたしましては、今後十分ガン対策につきまして、予算措置、その他必要なる措置を講じてまいりたいと考えておるわけであります。
#4
○政府委員(若松栄一君) 私のほうからは、厚生省でガン対策をやってまいります上の技術的、医学的な基礎になる考え方、見方というようなことを補足させていただきたいと存じます。
 ガンが戦後死亡順位としてだんだんのしてまいりまして、六番目、七番目であったものが二番目にまで上がってきたということにつきまして、ガンが一体ふえているのかということがよく言われるわけでございますが、ガンは絶対数としては明らかにふえております。しかし、ガンの発生がふえているということは、民族にガンそのものがふえてきたのかということと、民族が老齢化してきたためにガンが多くあらわれてきたというようなことと、もう一つは、診断技術というようなものの改善のためにガンが表にあらわれてきたというような観点がございます。総じて申しますと、世界各国とも、人口が老齢化するにつれましてガンの死亡率が上がってくるのは当然でございまして、人間がいずれ何かの疾患で死ぬといたしますと、老衰あるいはガン、心臓病、脳出血というような病気が当然主流を占めてまいります。世界各国とも、大体現在のところガンが第二位でございまして、欧米諸国におきましては、第一位は心臓疾患でございます。わが国におきましては、御承知のように、第一位は脳卒中でございまして、第二位がガン、第三位が心臓性の疾患ということになっております。ガンが日本ではどのようにふえてきているかということは、絶対数では明らかにふえておりますが、これを人口を一定の構成にした場合のガンの発生率を調べました率を訂正死亡率と申しますが、訂正死亡率でまいりますと、幾つかの病気についてはガンはそうふえておりません。ことに日本の最大のガンである胃ガンを訂正死亡率で見てまいりますと、ここ十数年間、ほとんど横ばいという状態でございます。また、一方、肺ガンのごときものは、これは明らかに急上昇いたしておりますし、また、その次に多い子宮ガンというようなものは、訂正死亡率で申しますと順次低下してまいっております。そういうような状況で、ガンも、各臓器によりますガンによって実体が異なっておりますし、また、世界各国との比較においても日本の特性がそれぞれございます。欧米におきましては、男のガンで、三割から四割は肺ガンでございますが、日本では一割しかない。逆に、日本では男の、ガンの半分は胃ガンでございますけれども、欧米においては一割前後しか胃ガンがないというようないろいろな特徴もございます。逆に、腸ガンというようなものは日本に少なくて外国に多いというような例もございまして、それぞれ民族による特質もございます。しかし、日本におきましては、何といいましても胃ガンが圧倒的に多く、女子におきましては胃ガンと子宮ガンが圧倒的に多い実情でございますので、もしも何らかの対策をやるとすれば、おのずから重点はその方向に集中してまいろうかと思うわけであります。そういう意味で、ガンの対策をやるといたしましても、これは診断と治療がガンの対策の一番根幹になりますので、そういう適切な医療機関をできるだけ数多く設置し、その技術能力を高めるということが根幹になるわけでございます。
 なお、ガン予防対策というようなことばを私ども用います場合、予防ということばには、いろいろそのときどきによって多少ニュアンスが変わっております。いわゆる伝染性の疾患でございますと、これは病原体とその感染、発病というものの移り変わりがよくわかっておりますけれども、ガンについてはいまそのような詳しいことがわかっておりません。したがって、伝染病における予防対策のように的確な方法論が把握されておらないわけでございます。したがって、私どもが現実として知っております知識をもとにして、現実から得た方法論でもってやっていくということになるわけでございまして、したがって、予防といたしまして私どもが知っておりますのは、現在、たとえば食生活のある形態が胃ガンの発生に関係がある、あるいはたばこや大気の汚染というものが肺ガンに関係がある、あるいは諸外国におきましては、カシミヤ地方でカングリというようなものを用いますと皮膚ガンができる、あるいはイギリスではタールによる皮膚ガン、また、インドでは、かみたばこを慣用することによって口腔ガンが多いという特色がございまして、それぞれ予防の方法がある程度現実的にわかっておりますものはそれをやっていく。そのような基本的な予防対策のないものについては早期の診断と治療ということが基本になる。早期の診断ということにつきましては、これは結核のような慢性疾患というのと異なりまして、ある意味では急性な疾患と考えてもいいような状況でございますので、このいわゆる検診等につきましては、きわめて技術的な困難もございます。しかし、現在残されている唯一の方法でございますので、この方法をある程度活用できるような態勢に持っていきたい。
 なお、一番基本的には、現在なおガンそのものには非常に不明な要素が多いということから、研究というものがいまなおきわめて大きな基本的な分野であるというふうに考えます。そのような考え方に基づきまして、厚生省としては基本的にガン対策を進めていくという覚悟をいたしております。
#5
○委員長(小柳勇君) 本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。
#6
○大橋和孝君 本席には木村先生もお見えのようでございます。非常にガンのほうに経験の深い方でございますので、私質問をさしていただく前にいろいろ外国の状態やら、ガン対策についての御所見を拝聴いたしたいと思います。
#7
○説明員(木村喜代次君) 木村でございます。ただいまの御質問に対して、最近私が見てきた二、三の国のガン研究というものをお話いたしたいと思います。
 ガンが問題になることは、すでに大臣、局長からお話になったとおりでございますが、ガンを考える上に一番先に問題にしなければいけないことは、ガンの原因がまだわからないということだろうと思います。そういう意味合いにおいては、ガンを考える場合において、私ども結核菌が発見された一八八四年ですか、それ以前の状態においてガンというものを考えなければいけないというふうに考えられるわけでございます。したがって、その対策としましても、先ほど若松局長がおっしゃったような具体的なものもございますが、具体性に欠ける点もかなりたくさんあるということでございまして、そういう点においてガンを考える場合に、基礎的な研究というものが非常に要求されるということが第一にほかの分野と違うところだと存じます。
 ひるがえって、わが国のガンの研究を考えてみますと、すでにタールガンがわが国の山極教授らによって発見されたことは有名な事実でございまして、その分野におきましては非常に大きな足跡をわが国では残しておるわけであります。現在そういうような意味合いで、発ガンに対する研究というものは非常によく進んでおるのでございますが、それを裏づけるだけの研究の状態というものはまだ十分整備されておらないということが私どもの悩みでございます。
 ガン研究を大きく分けますと、したがって、結核にいわれておるような予防、あるいは発病の防止、あるいは臨床的な研究、基礎的な研究、いろいろなことがございますが、それらの中で、予防という意味合いになりますと、二、三の具体的な臨床的な経験からする予防しかないわけでございまして、そういうような意味合いにおきましては結核とかなり違うというわけでございます。したがって、外国におきまして私が最近見てきたところでは、臨床の研究と同じくらい基礎研究に非常に力を入れられておるというわけでございます。どのくらいのお金がこれに使われておるか、後ほどまたどなたかに御訂正いただけるかと思いますが、一九六四年NCI、アメリカの国立ガン研究所でございますが、そこでは、そこだけで使われるガンの研究費五百二十一億円と私の手元にある資料にございます。そのほかいろいろなところに出しておるいろいろなグラントが約二百万円ぐらいございますし、そのほかにアメリカでは約百億円以上、二百億円に近いものが、対ガン協会というようなものがございまして、そういうところから各研究所にグラントが出ておるわけでございます。それらのものは基礎的な研究、あるいは臨床的な研究に使われておるというような現状でございまして、私どもそれらを見てまいりまして、決してわが国のガン研究施設がおくれておるとは申しませんですが、向こうと比べてみますと、あらゆる面で規模が違うというわけでございます。たとえば動物実験の面につきましても、私どもの研究所では大体千匹をオーダーにして研究をやっておるけれども、向こうのほうは十万匹というような動物を飼っておるサプライセンターがございまして、そこでいわゆるガンの原因としての発ガンの研究をやっておるというような状態でございます。アメリカという国は非常に豊かな国でございますので、アメリカを除きましてほかの国の様子を見ましても、私三年前に回ったときには建てられていなかった新しい建物がフランス、イギリス、ドイツそれぞれに新しいガン研究所ができておりまして、その中で非常にユニークな仕事がなされているのを見てまいりました。私どもの国立がんセンターと比べましても、いろいろな面で数倍の規模を有しますし、数倍の人をもって研究をされているというのが実情でございます。たとえばフランスにはグスタフローシーという研究所がパリの郊外にございますが、そこには三つの研究所が今度わずか三年の間に付属されておりまして、そこでは、その一つがわが国の国立がんセンターに匹敵するぐらいのものができておりまして、非常にうらやましく思って帰ってきたようなわけでございます。基礎的な問題だけじゃなくて、臨床的な問題に関しても、先ほど来、局長、大臣がおっしゃったような問題、非常にキャンペーンが進んでおりますし、いろいろな意味でわが国よりかなり進んだガン対策が進んでいるように私見てまいりました。お答え申し上げます。
#8
○大橋和孝君 それでは逐次質問させていただきたいと思うのでありますが、第一番目に、先ほど大臣からも局長からも御説明のありましたように、わが国は胃ガンでは世界で第一位を占め、特に男子でありますが、ことに女子ではチリーに次ぎまして第二位を占めております。しかも、先ほどおっしゃったように、日本では胃ガンが多く、外国では特に腸ガンなんかが多いといわれておりますし、また順位は胃ガンとか子宮ガンとか肝臓ガンというような形での順位になっておる。その次に肺ガンがきているようになっているわけでありますが、そういうような形で、非常に日本ではこのガンの問題も大きく心配をされつつあるわけであります。もちろん先ほどお話になりましたように、食生活が、白米あるいは、また、みそ汁とか、あるいは、また、つけものというようなぐあいで、非常にこの食生活から胃ガンの多いことも事実でありますが、最近では、やはり食生活の改良のために、先ほど御報告のように、横ばい状態であるように聞いております。また、肺ガンにつきましても、いろいろたばこが原因のようにいわれておりますが、学会でも報告にありましたように、やはり公害とか、あるいはちり、あるいはまた排ガス、こういうようなものが非常に多くて、厚生省で発表されております統計を見ましても、やはり大都会、東京、大阪、神奈川あるいは京都、あるいはまた北海道あたりは非常にそうした肺ガンの多い地区になっておるようであります。こういうのは、やはりじんあいとか、あるいはまた石炭とか重油を使ったその有毒ガスとか、こういうものが非常に多くなって、実験的にも、やはりそうしたものを長く持続したら肺ガンができたというようなことが報告されているようでございますが、こういう中で、やはりこの死亡率も、先ほどおっしゃいましたように、非常にふえておりまして第二位であり、同時に、また、先ほど大臣のおっしゃいましたように、三十五歳から五十四歳という一番大事なときに死亡率が第一位になっておる。こういう形で、非常にいまその死亡率の多いために特に問題になっております。先ほどおっしゃいましたように、有名な方がなくなった。しかも、トラが死んだら皮を残すというのだが、池田総理がなくなったらガン対策を残すなどというさがない声も聞こえておるわけであります。私はそういう点から考えましても、このガン対策がむしろおそきに失しておるのではなかろうか。十年前、この統計を調べましても、三十一年からもう第二位を占めているわけであります。もう十年間このガンの死亡率は第二位を占めてきたわけでありまして、急に最近ふえたというわけでもない、徐々にはふえておりますけれども、もう十年前から第二位を占めている。こういう観点からも、ガン対策というものはもっと早く行なわれなければならない。先ほど木村先生もお話になりましたが、このガンの問題に対しましてはまだ不明な点がたくさんありますので、対策の樹立も非常に困難であったかもしれないが、非常にいまの状態では、むしろ私はガンという診断は死刑を宣告されたというように国民にとられているのではなかろうかというふうに考えるのであります。私どもはその実例を持っておる。非常に話が長くなるかもしれませんが、京都のある大学の教授、しかも、解剖学の教授がこのガンと診断をされた。そこで、学者的な立場からこれを隠しておったのでありますが、やはり学者の先生方の集まりでありますので、お前はガンだということをおっしゃった、あるいは、また、仲のいい同クラスの教授からは、君は九月まで生きておれよ、そうしたら少しはまだ手当がふえるんだぞという冗談を聞いたということで、それが非常なショックになって、それ以後その先生は絶対面会を謝絶して、しかも、厭世の辞を日本醫事新報に発表されたという事実を直接われわれ見ているのであります。また、京都のある結核療養所の所長さん、これもりっぱな医学者でありますが、この方も胃ガンで、手術ができない状態になってこれを手術した、試験的開腹手術をやったあとなんでありますが、別なところでちょうどそのときとってあった胃かいようの胃を見せて、あなたの胃はこれですよと見せて安心をさせた、これはいまの医学者としましても非常に苦しい立場であります。しかし、診断を正直に言えばその人を殺すことになるのでこういうふうなことが取り行なわれておるということがいまたくさんあることなんであります。こういう点から考えましても、私は、いまこの集団検診、あるいはここで重点政策でもっておやりになったことは非常にけっこうなことだと思いますけれども、特にここで注意しなければならないことは、集団検診で拾いあげてくる患者はもう手おくれになっておる患者であると同時に、だからしてこのためにほとんどの者が死亡してしまう。ことに治癒率が一五%とか、あるいはまた三〇%以下であるということであるので、非常にここに国民全体としては、ガンの診断はイコール死刑であるというような感じを持っておるわけであります。しかし、がんセンターの発表で、木村先生のお話にも出ておりますように、いまうまく早期に発見すれば治癒率六〇%という報告もわれわれ見せてもらっておるわけでありますが、そういうことから考えますと、非常に私は、いまの検診の取り組み方、あるいは、また、このガン対策に対しての取り組み方がよほど十分に考慮されない限り、こうした問題に対してのガンノイローゼと申しますか、非常に心配をして、国民はガンでないのに非常に神経を痛めているというのが現段階ではなかろうかと思うわけであります。
 こういう点で、まず第一番目に厚生省としては、いま大体のお話を承りましたけれども、そういう観点に立っていかなる集団的検診とか、あるいは、また、予防対策とか早期治療ということに対しては、この施策の中でいかに打ち出されるかということをもう少し具体的に示していただかないと、一般の国民の受け取り方は、いまの心配に対して解消される方向にあるという受け取り方にはならないのではないかと思うわけであります。ただ、いまも聞きますと、非常に機関も九カ所、あるいは百カ所という形で行なわれますが、こうしたことに対しては、もっともっとその内容を充実したりっぱなものをこしらえて、ことにそうした方面では注意をしなければならないのではなかろうか。特に私は、各臨床部門でこのものを早くとらえなければ、もうがんセンターに送られるころではおそいという感じも持つわけでありますが、たとえば喉頭ガンのような問題でありましても、耳鼻科の診察においてほとんど自覚症状がないうちにやはり喉頭あたりを調べて、そしてそこに変化があることを見つけなければいけないわけでありまして、私も最近実際見た問題でありますが、大きな会社の社長が何かアリナミンがのどにひっかかっているから見てくれというので見てもらったら、もうそのころは大きな喉頭ガンができておった、さっそく手術したけれども、もう手おくれで死んでしまったというようなことで、もうこうした前ガン症状が出てきたというときは、リンパ腺にも非常に進んだガン症状になっているのが多いわけであります。
 こういうようなことを考えてみますと、いまのような問題に対しては、相当初めから意気込みと申しますか、かまえを明確にしていただくことが、こうしたノイローゼ、あるいは、また、ガンに対する将来国民の安心感と申しますか、そういうものが出てくるのではないか。特にそういう点をひとつ具体的に示していただいたほうが国民のためであり、ガン対策の将来としても明るい見通しができるのではないかと思いますので、大臣からその点についてひとつお答えいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま御指摘がございましたように、ガンの総合対策をもっと強力に進めたらどうかという御意見は全く私ども同感でございます。ただ、ここで申し上げたいことは、ガン専門の国立病院、あるいは公的医療機関の体系的な整備をはかる、また、そこで働いていただきますところの専門の医師、あるいは技術者の研修、養成、こういうことが相関連しながら総合的に、計画的に進められなければならぬわけでございまして、予算をこの際三十億でなしに、五十億、百億というぐあいに思い切ってつぎ込んだらどうかという御意見もあろうかと思うのでありますけれども、施設を整備いたしましても、そこに必要な専門医、技術者が足らないということでは十分な機能を発揮することができません。そこで、私どもそういう点を勘案いたしまして、施設の整備、専門医の研修、養成、技術者の養成というようなことを四カ年計画で整備をする方針を立て、その第一年度として昭和四十一年度に総額三十億程度のガン対策予算を実は要求いたしたい、このように準備をいたしておるわけであります。そういうような専門医療機関の体系的な整備と専門の医師、あるいは技術者の配置と相まちまして、集団検診というようなことも逐次全国的にその数を増していくことができるわけでございまして、いまのような医療機関の状態、あるいは専門医の配置状態等におきましては、この集団検診等も、精密な効果のある検診をやろうといたしますればまだまだ不十分でございます。こういう面が非常におくれておるのでございますが、明年度から重点施策として年次的に、計画的に進めてまいりまして、ガン対策の総合的な成果を期するようにしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。専門的な点につきましては、局長から答弁いたさせます。
#10
○政府委員(若松栄一君) ガンの問題で現在われわれがなし得る唯一の問題として、積極的な予防という問題と、消極的な予防としての早期発見、早期治療という問題がございまして、その消極的予防としての早期発見、早期治療については、適切な医療機関でなるべく健康診断的な診断を受けるということが必要であるということは申すまでもございません。ただいま大橋先生のお話のように、集団検診をしても、発見された患者はもう手おくれのガンだけじゃないかというお話もございました。確かに多くのガンは、集団検診で発見されたとはいえ、すでに手おくれであることは間違いございません。従来の統計で見てまいりますと、たとえば胃につきましては、大学病院等におきまして胃ガンと診断され、そして手術を受けた患者で五カ年後の生存率――通常ガン学会では五年後の生存率をもっていわゆる治療率というふうに考えておりますが、五カ年後の治療率が、病院で高いところで二十数%、低いところは一〇%台、およそ二〇%前後というのが現在の統計でございます。これに対しまして、大学等の医局員を大いに動員いたしまして、大学の高い技術で集団検診をいたしました結果、その五カ年間の生存率を五〇%にまで持っていくことができたという報告がございます。これは日本医科大学の有賀教室の報告でございますが、そういたしますと、五〇%の治癒率ということは非常に高い治癒率でございまして、したがって、早期のガンが発見されているということもまた確かな事実でございます。しかし、同時に、このガンの検診をいたしますと、すでに手おくれのガンが相当多数発見されます。したがって、そういうかなり手おくれの状態のガンを発見した場合に、これを患者にガンという診断を打ち明けるかどうかという問題もございます。ただいまお話がありましたように、大学の先生にさえガンの診断は隠しておくというのが現在の医学的な常識でございます。にもかかわらず、検診によって発見された患者にガンの診断をそのまま打ち明けていいかどうかという問題がございます。しかし、打ち明けなければ手術を進めたりすることがきわめて困難でございますので、場合によっては胃かいようだからということで手術を確めるという場合もございましょう。そういうことで技術的にもいろいろな問題がございます。また、集団検診を受けて精密検査に回る数が非常に多いわけでございます。集団検診のいわゆるスクリーニングという段階ではそう的確な診断ができませんので精密検査に回す、精密検査に回すということだけで国民の中にはノイローゼになる者が非常にたくさんございます。そういう意味で、集団検診そのものも、そういうマイナスの効果も考えますと、決して強制的に一般的にやるべきものでなく、できるだけ個人の発意に基づいて、個人がそういう希望を持った場合にやる、しかも、そういう検診を受ける場合に、できるだけ正確な診断が下せるように、非常に高い技術でもって検診をするということが必要であろうと思います。したがって、やたらに――やたらということはなのですが、ただ数多く検診をするということは決して好ましい結果を招くのではなくて、正確な高い技術で、少数でも検診をやっていく、そうして逐次広げていく、しかも、それはどこまでも個人の意思を尊重し、決してノイローゼやマイナス、あるいは死の宣告というようなことが起こらぬような十分な配慮をやっていく必要があろうと思っております。そういう意味で、検診については非常に慎重にやってまいりたいと存じます。
#11
○大橋和孝君 たいへんけっこうな御答弁がございましたが、特に先ほど、その局長のようなお考えのもとにセンターを四カ年計画でおつくりになる、あるいはガン施設を百カ所、あるいはセンターを九カ所というぐあいにおつくりになるわけでありますが、この問題に対してどれぐらいの対象人員をこなし得るというふうな考えか、いまのような局長の申された綿密な検査をしていくというたてまえから、どれくらいの計画を持っておられるのか、具体的なあれを逐次御報告願うとありがたいと思います。
 それから、同時に、また、私は、病院をもっと数をふやしていかなければならないと思うわけでありますが、もう一つ私は配置の適正を考えなければならないと思うわけであります。おそらくこの点も考慮されて御計画をなされておると思いますが、特に私は、大体いろいろ統計で胃ガンが多いとか、あるいは、また、何か肺ガンが多いとか、いろいろ統計も出ておりますので、そういう裏づけのもとに配置を考慮されて、やはり重点的に、たとえばどの方面のものを特に調べていこう、あるいは、たとえば胃ガンとかあるいは肺ガンとか、いろいろな子宮ガンとかあるわけでありますが、そういうような方面で重点を置いていかれるのか、そういうようなことも少し具体的にお示しを願いたいと思います。
 それから、また、先ほどちょっと私が言及いたしましたように、こうしたガンを早く発見するためには、病気で医者にかかった場合にこれを早く発見さす方法が必要でなかろうかと思います。集団検診でこれを取り上げていくのも一つの方法でありましょう。他面、また、ほかの病気にかかった場合に、その医者のそうした見地から、特に統計によって示されておるように、三十五歳から五十四歳までの間は第一位の死亡率を示しておるわけでありますから、その年齢の者を診察する場合には、一応ガンというものを頭に置いて診察する、そして疑わしい者は早く充実したがんセンターで詳しく検査を受けるというような、もう少し医療機関の取り組み方を考えなければならないのじゃないかと思います。特に二十年前には結核が非常に死亡率が高くて第一位のとき、汚名を返上するために各開業医を全部指定医療機関として指定されて現在に至っているわけであります。ガンと結核は、先ほど木村先生のお話のように、だいぶ変わりがあって、一がいには言われないにしても、もっとそこのところに厚生省としても施策の面に反映をさしていく必要があるのではなかろうかと思いますが、その一般開業医あたりに対するいわゆる啓蒙、設備の補助、あるいは、また、設備の指導というようなことを、結核の場合でしたら、いまの開業医はレントゲンを持っていないところもなくなったという状態にまで引き上がってきております。だから、ガンにしても、ある程度の簡易にできるような検査はどの程度までは開業医にも進めるというような形で、ほかの病気でかかった場合に、同時にそういう検査が受けられるという方法も一つは取り入れなければならないのじゃないか。あるいは、また、成人病検査として人間ドック式な検査は、ある程度病院でどれほど受け入れられるかということで、これに対しては、おそらく私は経済的な問題が大きく影響して、なかなか国民に普及してないと考えるわけでありますが、その問題はまたあとから質問するといたしまして、やはり早期発見という意味で、これを強くもっと具体的にお取り組みになるお考えはいかがなものであるかということについて御説明願いたいと思います。
#12
○政府委員(若松栄一君) ガン対策全般として、やはり現在一番重要な点は医療機関の整備の問題でございます。先ほど大臣のお話もありましたように、中央のセンター及びブロックのセンターというものはそれぞれガンの専門病院でございまして、診断、治療から、専門ベッドを全部持ちます。そのほかに、地方の都道府県の段階では、それぞれ枢要の病院にガン専門のベッドを持っていただくということで、こういう方面の助成もしてまいりたい。したがって、さしあたって現在の計画では、府県段階で少なくとも一県に二カ所程度はガン専門ベッドを五十床以上ぐらいの単位で持っていただくということになりますと、少なくとも都道府県の段階のベッドだけでも五千ないし六千のベッドができるわけでございます。そのほか、各ブロックのセンターがそれぞれ専門ベッドを百以上の単位で持っていくということになろうと思います。
 なお、地域の特殊性を考え、やはり設備能力等を開発しろという御意見でございます。日本国内におきましても、たとえば北陸沿岸のような胃ガンが非常に多いところもございますし、先ほど御指摘のように、都会地等では肺ガンの多い地域もございます。そういうことがございますが、これをそれぞれ地域に応じて特殊な施設をするということよりは、やはりガン診断、治療の能力を高めておいて、それぞれの地域がそういう配慮でやっていただくということになろうかと思っております。
 なお、一般の医療機関とそういうようなセンターとのつながりという問題、あるいは一般医療機関自体の水準の向上の問題のお話がございましたけれども、何ぶんにもこういう関係の問題は、私どもがかつて成功をおさめました結核のような問題とかなり質が異なりまして、診断、治療の技術、それから設備等に非常に膨大な金がかかりますので、これを結核の場合のような一般的な、平板的なやり方ではなかなか困難があろうと思います。しかし、来年度から予想しております専門的な施設における比較的精密な健康診断というものは、できるだけ一般医療機関からの紹介等の連絡を受けまして、何らか一般の医療機関、開業医の先生等で問題がありそうなものは、できるだけそういう専門機関の健康診断に回していけるような仕組みにやっていきたいと存じております。
 なお、人間ドックその他の問題も出ましたけれども、これらの問題につきましては、一般的な問題になりますといろいろと医療費の問題等がからんでまいりまして、急速にこれを制度化するということは、なかなかまだ困難な状態であろうと思います。
#13
○森勝治君 関連ですが、先ほどのお答えの中で、医務局長は、健康診断的な診察をもってしたほうがいいというようなことを前段で述べておられたのです。ところが、私もなるほどそうかなと思って考えておったところが、後段において、しかしながら、数多くやるということが必ずしも好ましいということではありませんと、こうおっしゃっておられるのです。健康診断的ということになりますと、たとえばあらゆる職場では定期検診をやっておりますね、こういうときに活用されたならば早期発見が数多く発見されるというふうに、私は素朴にしろうと考えで理解しておったのですが、あとのほうで限定されておりますので、それじゃ一体厚生省の考え方はどうなのか、特定の人だけしか見ないのか。たとえば、いまこちらでも言ったように、現在のようなあり方、特にガンの問題が出た場合に、金のある者だけがいわゆるりっぱな医者に、あるいは完全な治療体制に持ち込むことができるけれども、庶民、大衆は高嶺の花でどうにもならん、医者に見てもらいたいけれども金がかかるというような、そういう問題が至るところに見受けられるわけであります。したがって、いま言ったように、一体健康診断的な、私が先ほど申し上げた――私なんかしろうと考えでは、職場の定期検診の際にそういう項を設けてやったほうが、より多く早期発見、早期治療の道だと考えておったのですが、その辺のところは一体どうなんですか。そういう全般的に広げるよりも小さくやったほうがいいということで、当面六十四万人だけ対象にするということでおっしゃっておられるだろうが、もっと早く発見するためには、あらゆる医療陣を動員してやるべきではないでしょうか。その辺はどうでしょう。
#14
○政府委員(若松栄一君) 私の申し上げましたことが、矛盾撞着するような印象をもたらしたことはまことに残念でございますが、健康診断的な状態でやらなければならんということは、早期に発見して、完全治癒率を高めるためには、どうしても症状があらわれてからではおそい。したがって、症状のあらわれない前に、健康診断という形の状態で早期の発見をするということが必要なことだ。それがまた効果のあることだということを申し上げました。
 一面、この集団検診というようなことを健康診断的な状態で実施するということは、非常に高度な技術も設備もかかります。したがって、現在、たとえば四十歳以上の人間の三千万人を年に一回これをやるというようなことは、現在の日本の医療技術、医療設備から申しまして、全く絶対的といっていいくらい不可能なことでございます。結核の検診におきましては、現在三千万から四千万の人間を年に一回検診いたしております。これはそれだけの設備と能力がございまして、比較的簡易な設備で、また、それだけの技術者を養成してまいりました。ガンの検診の場合は、残念ながらそれだけの設備と能力がない。したがって、数としては限定されざるを得ない。しかも、能力といいますものはどこの医療機関にもあるというようなものではございません。現在いわゆる胃の集団検診というものが行なわれておりますのは、ほとんどが大学の援助でやっております。特殊な大学で、非常に胃ガンの検診に興味を持ち、また、そういうスタッフを十分に整えております大学の研究室が活動してはじめてこの集団検診が可能な状態になっております。そういう意味で、これを一般的にやるということはなかなか困難である。しかも、これをあまりに急いで一般的にやろうといたしますと技術水準が非常に低下してきて、そうしますと、今度はマイナスの効果が非常にあらわれてくる。したがって、決して急いであまり安易な方法で拡大すべき性質のものではない、技術的な方面からそういう制約はやむを得ないということを申し上げたわけでございますので、よろしく。
#15
○森勝治君 重ねて質問いたしますが、技術的とおっしゃるけれども、日本の技術は他国に比して劣ってないというように先ほど大臣の説明でも明らかにされておるわけでありますね。ただ、集団検診だけが欧米に比べて非常に劣っておるのでと、こういう説明がなされておるのですが、その辺のところはどうなんですか。どうも私、大臣とあなたの説明が食い違っているように受け取れてしようがないのですが。
#16
○国務大臣(鈴木善幸君) ガンの研究分野なり、あるいはガンの治療の能力、そういう面における水準は、私は、現在におきまして国際的な水準に比べて日本は劣っていない、こう思うわけであります。ただ、先ほど来申し上げておりますように、専門の医療施設が欧米先進国に比べて数多くない、遺憾ながら非常に少ない。また、ガン専門の医師、あるいは技術者というものの数も少ない、そういうようなことから、国民全体、全国にわたって集団検診を外国のように何千万というぐあいにいま直ちにできないということは非常に残念でございます。そこで、私ども、人と施設とを計画的、年次的に整備してまいりまして、そうして国民の皆さんの要請にこたえるように今後努力をしたい、こういう趣旨でございます。
#17
○委員長(小柳勇君) ちょっと若松君の答弁に関連して私から質問しておくが、結核と違って、ガンは非常に金がかかるむずかしい病気であるから、なかなかまだ対策も容易でないとおっしゃったが、厚生大臣、来年の結核の予算が三百七十六億円要求してある。ガン対策は三十億ちょっとですね。金がかかるにかかわらず、なぜ要求が十三分の一ぐらいの要求しかしてないのか、この点いかがですか。
#18
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど来申し上げておりますように、ガンの問題は国民の大きな関心の的であり、ガンに対する脅威というものが深刻に国民生活に圧迫を与えておるというようなことから、政府としても、この際、思い切った予算を計上し、諸般の対策を強力に進めるべきだ。この点につきましては、私、委員長はじめ、委員の皆さんのお考えと同じでございます。ただ、先ほど来申し上げますように、一ぺんに施設と人とを準備をする、これが非常に困難でございます。どうしても三カ年なり四カ年なりの年次計画でもって施設と人との整備というものが総合的に計画的に進められなくちゃいけない、こう考えるわけでありまして、第一年度といたしまして明年度その程度を考えておる、こういうことでございます。
 それから、結核対策につきましては、これは長い間かかりまして療養所の施設その他を整備をし、また、多数の患者を収容しておるというようなことで、その療養費に相当の予算がかかる、こういうことでございまして、私ども、今後ガン対策につきましても、年次計画をもって結核に劣らないように十分力をいたしていきたい、こういうふうに考えます。
#19
○委員長(小柳勇君) また委員の質問を聞いた上で質問しましょう。
#20
○大橋和孝君 いま出ましたが、その前に予防集団検診をやって、そこで患者を早く発見する、その早期発見という立場からいまお話しになって、非常にそれが技術的に高度であるとか、いろいろありますが、いま考えておられますのはどの範囲の、どういう程度の機械を用いて、どの程度の設備をもってこの集団検診をやろうと考えておられるのか、その内容の状態をひとつお聞きしたい。いまいろいろアイソトープや、あるいは、また、その他いろいろなデータを集めて、メディカルなエレクトロニクスのいろいろ応用なんかも行なわれておるわけでありますが、そういうものは大きなセンターでやられることとして、集団では一体どの程度までおやりになるのか。たとえば昔、結核なんかでは二枚か三枚のレントゲン写真をとってそれで済ましていく、胃でも、バリュームを飲んで写真をとるだけでは胃ガンの発見にはならないのでございまして、そのほかいろいろ綿密な検査がいるわけでありますが、いまの集団検診では、いま厚生省がお考えになっている範囲では、どの程度の内容でこれに取り組もうとされるのか、これを明らかにされることがいま言う国民の不安を解消することになるし、また、それが検診をやる受け入れの問題にもなって、どの程度の可能性があるかということ、あるいは、また、そこで発見された患者に対してのその手術、あるいは、また、的確な治療に対しての受け入れの問題もそこに入ってくるだろうと思いますが、そういう観点から、一体早期発見のための集団検診の内容をちょっとお示しを願いたい。
#21
○政府委員(若松栄一君) 現在私どもが集団検診に対する助成を考えておりますのに二つございまして、第一点は、相当な設備能力を持った医療機関が特別に集団検診クリニクというようなものをその病院内で開設していただいて、そしてその診断をすぐその医療機関で治療に結びつけていくという形のものが第一でございます。これは地方におけるいわゆるガン治療専門施設というような、比較的程度の高い能力、設備のあるところで実施いたしますので、これはかなり高度なものを考え、直ちにその結果によってはいわゆる精密検診に引き継げるというようなことを考えております。もう一つは、すでに現実的に現在八十台程度のいわゆるガン検診車というものが実動しておりますので、そういうものに対しても何らかの助成をしていきたいということから一応予算を計上してございますが、この方法論については、それぞれの機関がそれぞれやっておりますので、これを直接拘束するということはなく、私どものほうで、適当な技術的な基準を設けてそういうものを指導してまいりたいと存じております。
#22
○大橋和孝君 特にその基準を厳にして、そしてやはり先ほど申したような、発見された者が死亡につながることのないように御留意を願いたいと思うわけであります。
 それに続きまして、いまのガンに対する診療費の問題でありますが、この診断に要する費用は予算において二分の一を持つというようなことが示されておるようでありますが、私は、健康保険の本人のものに対しても、やはりある程度の公費をもってやらなければ、こうしたことがまた非常に保険財政を圧迫する一つの大きな要素になるのではないか。過去におきまして結核の予防検診が行なわれて、結核の命令入所ということで公費負担になっておるものが、やはり予算の関係で認められがたいということで、これが保険財政にみんな入っておるというのが現況であります。それからして、いまの保険の赤字も、こうした結核の治療に要する費用が、いわゆる公費でやらなければならない負担が保険財政の中に組み込まれておるための赤字というものも相当あるだろうと思うのでありますが、今度このガンにつきましてもそれと同じことが言えるわけでありまして、特にその問題は、いわゆる予防検診と治療とに分けなければならないと思いますが、予防検診はあくまで健康保険では法律上行なえないでしょうと思います。だから、これに対しては国で負担をつけておりますが、やはりいろいろな意味で、これはもう少し公費を大きく増大してやらなければ、わずか三十億程度で、しかも、それは設備費にほとんど二十億近くが投ぜられておるわけでありますので、この予防検診とか、いわゆるガンの早期発見のための施策に対して、やはりこの費用の組み方は非常に少額ではないかと、こういうふうに考えます。
 それから、また、いま申しましたような治療なりその検診についての費用というものをどれくらいに見ておるわけですか。いわゆる年次計画でどれくらいの予定をたてておられるか。それから、また、これが健康保険との関係はどうなっておるか、あるいは、また、その医療費がいわゆる保険経済の赤字を増大させる上に大きく影響しやしないか、あるいは、また、患者が検診を受けたり、あるいはまた、精密検査をしてもらうための費用でありますが、相当高額につく。特にまたその三割負担とか、あるいは五割負担というために、これがなかなかやれない。いろいろ新聞なんかでも報道されておりますように、精密検査をやれば何十万とかかったという報告もあるわけでありますので、こうしたことに対することを考えれば、非常な患者負担となって、せっかくの早期発見も経済面からこれができなくなるという状態もあるわけでありまして、こういう点について、以上三点をひとつお示し願いたいと思います。
#23
○政府委員(若松栄一君) 検診費の問題につきましては、当然健康診断というカテゴリーに入りますが、これは健康保険等の医療費で支払うことができないわけでございまして、そういう意味で健康診断的な段階における検診費は公費で二分の一を助成しようという趣旨でございます。しかし、この検診で発見されましてガンの疑いもあるということになりますと、これはもう一般の診療のカテゴリーに入るかと思いますので、そういう状態では、今度は医療機関でいわゆる保険の適用のある段階に入ってくることと思っております。
 なお、次の医療機関に対する助成が、医療費それ自体の補助でなく、単に機械だけの助成ではないかということでございますが、現在御承知のように、このような医療機械が現在の医療費で必ずしもペイするというふうには考えられないものが多々ございます。しかも、それにもかかわらず、相田高度の機械を備えつけさせたいという意味から機械に対する助成をいたしておるわけでございまして、現在のところ、それ以上に進んで、医療費それ自体についても何らかの援助あるいは助成をしようという段階には残念ながら進んでおりません。結核の場合、あるいは精神病の場合は、これは予防対策であると同時に、社会防衛というような観点もございまして、他人に感染を及ぼさせないため、あるいは他人に危害を及ぼさないために強制的な措置を加えた場合に医療費の補償をしておりますけれども、それ以外の場合につきましては、現在一般の保険なり、あるいは医療補償の体系の中でまかなわざるを得ないというふうに存じております。
#24
○大橋和孝君 いま局長の説明を聞いて、私は少少悲観をしたわけであります。やはり結核対策に対しては、あるいは、また、伝染病、あるいは性病というものに対しては、他に感染を及ぼすから、これに対しての強制的に、命令的にこれの入院措置をさせていくんだとか、あるいは、また、治療を公費で負担していくんだという考えであるわけでありますが、私は、いまのガンの問題に対しましても、国民の不安というもの、あるいは、また、ガンになってからの、いわゆる三十五歳から五十五歳という中堅の、いわゆる家庭の中心的な人々がガンにおかされた場合を考えると、私は、その家庭の悲惨状態というものはまた大きな意味があると思うわけであります。そういう点で、私は、この病気構造というものを、結核が非常に少なくなった現段階では、もっとやはり世の中に不安を及ぼすようなこういう病気に対しての措置は厚生省で相当強く考えなければならない、私はそう考えておるわけであります。特に私は今度のこのガン対策について考えておったことは、いわゆるお金がない人はできなくて、そうしてお金のある人たちはりっぱながんセンターに行けるという状態に置いておいては私はいけないと思うのであります。たとえば健康保険の本人であればお金は要りません。いまのような疑いが予防検診でできれば今度は保険でやられるわけでありますけれども、その半額は負担しなければならないというときに、たとえばガンの手術をするとすれば三十万も四十万もかかるわけであります。これらの半額を負担するということは私はたいへんな負担だと思うのであります。それができないで、とみこうみしているというのがいまの状態であると思うのでありますが、こういうような状態でいるときに、いわゆるガンが世界的に大きくクローズアップされて、年齢的にいっても世界第一位、あるいは日本においても死亡率の第一位を占めているガンに対してやはりこの対策を打ち出す場合には、この治療費に対しても、ある程度前向きの形で何とかこれを考えていこうという姿勢を示さなかったならば、私はそこに非常に差ができて困る状態になるのではないかと思うわけであります。これについて厚生大臣から、この取り組み方、特に非常に生活に困っておられる人たちのガンに対する処置ということに対してはどういうふうな態度でお進みになるかを明らかにしていただきたいと思います。
#25
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど御質問がありました点からまずお答えをしたいと思うのでありますが、集団検診に対しまして半額公費負担を考えておるわけでありますが、これは来年度六十四万人程度を一応考えております。これは現在のわが国のガンの診療施設、あるいは専門医師、技術者、そういうような現在の陣容からいたしましてこの程度でやむを得ないということでございまして、このガン対策の四カ年計画が進捗するに伴いまして、逐年この集団検診は飛躍的にこれを拡大していきたい。また、したがって、公費負担に対する国の予算も増額をしてまいりたいと考えておるわけであります。
 それから、現在のところ、中央のがんセンター、その他きわめてガン専門の医療機関が少ないのでございますが、この四カ年計画が整備いたしました暁には、先ほど局長から申し上げましたように、八千ベッド程度になる予定でございまして、これが二カ月に一ぺん回転するといたしまして、五万人くらいの患者を収容治療ができるということになるわけでありまして、そういたしますれば、限られた特定の人々だけでなしに、ガンの治療を要する人々を広くこの施設で治療ができるというようなことになると私は期待をいたしておるわけであります。また、そういう機関の整備と相まちまして、手術に要する費用その他も逐次軽減をされていくものと考えるのでございまして、この治療費の負担軽減につきましても、そういう機関の整備等を十分することによって治療費の負担軽減等をはかってまいりたい、こう考えております。
#26
○委員長(小柳勇君) 大臣ね、いまの大橋委員の質問が一番ポイントだと思うのですが、一つは、結核よりももっと重要に考えて厚生省は対策をなぜ立ててくれないかという点、もう一点は、貧富の差によって治療を受ける度合いが異なってはたいへんだ、この二点をいま大橋委員は質問されたのですが、これが一番ガン対策に対する厚生省の取り組みの柱だと思いますが、その点もう一回御答弁願います。
#27
○国務大臣(鈴木善幸君) このガン対策を結核対策に比較いたしまして十分でないという御指摘でございますが、いままでは確かに御指摘のとおりであったと思います。しかし、今後におきましては、厚生省としては最重点施策として、結核対策に劣らない心がまえで、また、予算等の措置も十分講じてまいる。これは明年度を出発点といたしまして、今後施設と人というものを逐次増強することによって予算も増額をして、結核対策に劣らないように十分力を入れていきたい、こう考えております。
 それから、第二の点でございますが、いま大橋さんにお答えをいたしましたように、中央のがんセンター、その他二、三の限られたガン専門機関でございますために、どうしてもたくさんの患者の御要望に沿い得ないというような面もあるわけでありますし、また、現在の設備その他の状況からいたしまして、手術費あるいは事後の治療費等等も相当金がかかるという面があるわけでありますが、先ほど来申し上げますように、ガン専門の医療機関の整備、ベッド数の増加というようなことで、五万人以上の方を年間収容治療できるような方向へ持ってまいりまして、それと並行して、この治療費等も安く上がるようにいろいろな対策を考えていきたい。ただ、この結核の強制収容というような場合のようなぐあいに公費でもって治療費まで持つかどうかという問題につきましては、今後の研究の課題であると思うのでありますが、いまのところ、いまの段階では強制的な収容というような考え方でなしに、本人の希望による治療というようなことでございますので、いまの段階では公費負担で治療というようなことはなかなか困難な問題ではなかろうかと、こう考えております。
#28
○徳永正利君 ちょっと関連して。
 医務局長に、私はしろうとだからさっぱりわからないのですが、ガンにはいろいろなガンがあるだろうと思います。子宮ガンもあるし皮膚ガンもあるし、いろいろなものがあると思う。大体平均して一番多いのは胃ガンだろうと思うのですが、胃ガンを手術して――小手術も大手術もあるとして、胃ガンを手術してなおるのに一体平均してどのくらい金がかかるか、保険の点数から割り出していろいろあるだろうと思うのですが、わからなければいまでなくてけっこうです。
 それから、もう一つ、予算の問題が出ているのですが、施設をふやすのは、これは金があればできると思うのです。眼科のお医者さんはガンの治療はできないでしょうから――昔の軍医なら何でもやったのですが、医者の専門医ですね。これはいま一体どういう状況にあるのか。施設は金でやれると思うのですが、その状況はどうなんですか。
#29
○政府委員(若松栄一君) 現在、第一点の医療費の問題につきましては、がんセンターの実績から申しますと、大体胃ガンで根治手術をする場合に、大体八十日間ぐらい入院をいたしております。そしてその費用が大体四十万円程度かかる。
 それから、ガンの専門医はどうかということでございますが、ガンの診断、特に早期の診断というようなことになりますと、これは専門家は比較的少なくて、特に集団検診というような、ごく間接撮影のフイルムで的確に早期にガンを見つけ出そうというような技術者になりますと、これはきわめて現在のところ少ない数でございます。しかし、治療という面で、診断されたものを胃の切除をするというような外科的な治療になりますと、これは相当日本ではもう相当数の外科医がその能力を持っております。また、そのあとの放射線治療をやるというようなことになりますと、十分な最高級の放射線治療設備というものはごく限られた状態でございます。
#30
○委員長(小柳勇君) いまの徳永君の質問に、いまの答弁に加えて、委員長のほうで、調査室で調べている資料を記録にとどめておきますが、がんセンターにおける三十九年度の平均医療費、入院患者が一日三千二百十二円、平均在院五十五日、総計いたしまして十七万六千六百六十円。外来の患者が一日千七百七十一円、平均五日、八千八百五十五円。これは、がんセンターの統計を付言しておきます。
#31
○藤田藤太郎君 私は、厚生省のいままでの大臣以下の答弁を聞いておりますと、どうもちょっとそこらあたりの納得がいきにくい。結核というのは、一八七〇年ですか、に病原がわかった。それから、たとえば心臓病や血管からくる病原もある程度つかめる。ガンだけはつかめない。ガンの病理学的な研究というものをもって、私は、ガンの病原というものがどこにあるか、たとえば一カ所にできるわけじゃない。胃にもできれば肺にもできる。食道にもできる、子宮にもできる、身体のあらゆるところにガンが出てくる。だから、細胞的にしろうとに説明すると、キノコの根のようなものがその抵抗力に応じてそこから発達をしてきて、それをガンというのだというしろうと的な話を私は聞くわけです。そうすると、その胃は、臨床的な分野で、そのガンの治療の問題、根絶をしなければならぬ、解剖切開手術で取らなければならぬという予防措置の問題、これは第一の問題ですから、行政上の問題として、これは公費負担とか、それから、貧乏でもなおしてもらえるということに力を入れてもらわなければならぬことは当然だと私は思うのでありますけれども、病理学的にガンの病原をどうして見つけるか、いま木村先生のお話によると、アメリカの一研究所で五百五十億の金を病原のための研究に使っている。そういうのが幾つもアメリカにある。ヨーロッパに渡れば同じようなものがあるという各国の御報告がなされているわけであります。その点は実際対策治療の方法というものは十分なまだ研究成果は得ていないけれども、ガンというものは大体どういうものだという、きのうの朝日新聞を見ますと、麦わらのエキスをもって動物実験では成功している。ガンが現象的に出てくるものが食いとまっている。こういう動物実験は成功しているけれども、人間についてはどうか、これから研究だというような記事が出ておったわけであります。しかし、それが実際問題として人間のからだに、そういうことになるとすれば、非常に私はけっこうなことだと思うわけでありますけれども、しかし、こういう点をもっとつまびらかにして、そして単にたばこを吸うとか、どこのスモッグのためになるとか、食物の問題でなるとか、ちょうど探り足でさわっているような予防対策しか今日ない。大学の専門の先生でも、先ほどのお話のように、ガンになるということは死刑の宣告を受けたような感じ、また、現実だと、こういうわけであります。だから私は、厚生省が早期治療というけれども、実際に現象が起きたときにはもう手おくれなんだというような話になっているわけであります。そして、それじゃ病原は何かということは、それは探り足だ。だから、病理学的な病原の研究は外国にまかしておいたらいいということであるのか、その外国の研究の結果を日本に取り入れるということなのか、私は根本の問題にもっともっと力を入れて、そして国民はこういう予防をしなさい、そういう面からこのガンというものを防いでいくということに力が入らない限り、この問題はなかなかむずかしいのではないか。国民が不安になってノイローゼになって、死の宣告を受けたというような感じを国民が持っているものを、何としても全精力をそこへつぎ込んで厚生省としてはそれを防いでいく、文部省の関係で大学との関係があるようでありますが、私はしろうとでよくわかりませんけれども、その面をひとつ厚生省はこうやるのだということを明らかにしてもらわなければ、われわれとしてはなかなかこの問題に――いずれ専門に研究されている先生方をここの委員会にお願いして来ていただいて、十分に皆さんと一緒に社会労働委員会は取り組んでこの問題を明らかにして、国民の健康を守り、生命を守るためにこの委員会は努力すべきだと私は考えておりますけれども、厚生省としては、一つは予防のいま出てきたものをどう検診をしたり、どう所得の低い人でもそれが救えるかということで最大の努力をする、これが一つの重要ないまの面でありますけれども、もう一つの面は、やはり病理学的な病原をどう摘出して、あわせて、そこから研究された結果を予防しなければならぬ。その病原を根絶するような方法に対してどう努力するかという、この両面相またなければ本対策に私はならないと、こう思うのでありますが、その点の見解をひとつ聞いておきたい。
#32
○国務大臣(鈴木善幸君) 藤田さんの、ガンの研究、根本的なガンの究明、これが一番基本の問題ではないかという御指摘でございますが、まことにそのとおりであろうと思います。したがいまして、世界の医学者がこのガンの基本的な研究につきましては、あらゆる角度から全力をあげてこれと戦っておることだと思うわけでありますが、日本におきましても、そういう学問的な基礎的な研究、また、臨床的な研究におきましては、予算の面こそアメリカ等には確かに及ばないわけでございますけれども、その方面の日本の医学者の方々、各方面の方々の研究は、国際水準に比べて、そう私は劣っていないということを伺うわけでございます。いままで日本におけるこの方面の研究には、文部省に二億、厚生省に一億、そのほかに科学技術庁から研究の調整費として三十八年度三千万円程度が出ておったということで、きわめて予算的に少ない、これはガン関係の研究に従事しておる方方の御期待に沿わないことが非常に多かったと、こう思うわけでございますが、そこで、私は、明年度予算の編成にあたりましては、厚生省の予算を五億程度に研究費を増額をしたいということで、目下大蔵当局と折衝中でございます。この点につきましても、欧米先進国に比べればきわめて少ないではないかという御指摘もあろうかと思うのでありますが、前年度一億程度にすぎなかったのでございますので、私は、ぜひガン対策の第一年度としての四十一年度には、少なくとも五億程度の研究費を厚生省として計上したい、また、文部省、科学技術庁等におきましても、それぞれの立場でガン対策の研究費を増額をしてもらいたい、こういうことを念願をいたしておるわけであります。なお、このようにして計上されましたところの予算が最も効果的に使用されますために、厚生省では既往がんセンターの中に配分委員会を設けまして、そうして各方面の有力な研究テーマに対しましてこの効果的な配分ができるように、十分手を尽くしておるわけであります。また、文部省との間におきましては、文部省、厚生省、科学技術庁の関係の十分研究テーマに即した配分ができまするように、文部省と厚生省等の連絡調整の機関を設けまして、そうして研究費の配分をいたしておる、こういう段階でございます。
#33
○藤田藤太郎君 私は、国民のガンに対する不安をどう取り除いていくか、このことは非常に大事だと思うのです。若松局長のさっきのお話を聞いていると、手術をして五年たったら、大体それを契機として、契機といいますか、それをもって治癒したという限定年度を五年として、病院は二〇%で、大学は五〇%だというお話がありました。大学はそれだけ、病院はこれだけだということを厚生省がそういうかっこうで言っていいのかどうかということすら、私はどうもなかなかむずかしい問題だと思っているわけです。ガンという二番目の死亡率を持つものが、厚生行政の立場からすれば、何としてもまずこの病原の問題、それから、それに応じて最大限の予防対策を講ずる、それでも今日学問的な限界と申しましょうか、治療対策の限界において出てくる病気に対しては最大の処置を講じるという、三段の方法がなくてはならないのじゃないか、そういう気がいたすわけであります。ですから、私は、日本の医学というものは外国に劣らない優秀な医学であるという理解のもとにこの質問をしておるわけであります。それだけりっぱな医学技術を持ちながら、それに対して外国では最大の努力をしておる。日本はどうもそういう点ではあなたまかせのような施策といいましょうか、その程度しかどうも対策が講ぜられていない。私は、額をことしは気ばるとおっしゃいますから、額の追及はいたしませんが、対策費の問題を追及いたしませんけれども、その問題もやっぱし考えてもらわなければこの問題は解決せないのじゃないか。国民の不安を取り除くということを最重点にひとつやってもらいたいということを重ねて要望しておきます。
#34
○大橋和孝君 それじゃもう一点だけお願いしたいと思います。
 現在のガンの治療、あるいは、また、これの早期発見にあたって、いま保険の財政の中でどれくらいの費用が組み込まれて実際ウエートを示しておるのか、こういうものもやはり国立病院あたりではおわかりだろうと思いますが、できる範囲で、ひとつこのガンの治療及びそれの検診、精密検査というものがどれくらいの額でもって保険財政の中に食い入っておるか、いわゆる保険財政の中でこれが支払われておるかということについての資料をひとついただきたいと思うわけであります。
 それから、先ほど木村先生からいろいろお話を承りましたが、もっと外国においてのガンの治療の内容、あるいは、また、健康保険でどういうふうに行なわれておるか、あるいは、また、早期診断、早期治療というものがどの程度に保険で行なわれており、あるいは、また、全般的に普及しておるかというふうな点をひとつ資料としてまたいただきたい。
 それから、また、実際の患者の実態をもう少し各国の資料としていただいて、どのようなガンがどれくらいに浸透して、それがどれくらいの経済的な負担になっておるかというようなことを、ひとつできるだけ資料としていただきたいと思います。
#35
○委員長(小柳勇君) いまの調査資料について、医務局次長。
#36
○説明員(渥美節夫君) ただいまの御質問でございますが、全保険の支払いの中にどの程度を占めるか、これは全数調査もいたさなくちゃなりません。したがいまして、不可能に近いんじゃないかと思います。ただ、国立病院におきましてどの程度になっておりますか、これも非常に困難だと思いますが、極力ひとつ調べてみたい、かように思います。
 なお、がんセンターにおきまする医療費の状況でございますが、これらは相当の資料を持っておりますので、これは提出させていただきたい、かように思います。
#37
○委員長(小柳勇君) 木村さんのほうはよろしゅうございますか。
#38
○説明員(木村喜代次君) 私お答えいたします。
 アメリカにおいては健康保険というものが現在十分行なわれていないので、どれくらいの費用がかかっているかわからないというのが現状でございますが、ガンの発生率の問題は、東北大学の瀬木教授が世界じゅうのガンを集めた統計表がございますから、後ほど提出したいと思います。その点に関しましては、非常に日本で詳しい世界じゅうのまとまったものがございます。
 それから、先ほど来私に関係した二、三の問題がございますが、お答えいたしますと、早期発見という問題でどれくらいあるかという問題でございますが、がんセンターで現在まで早期胃ガンというものを百例ほど見つけておりますが、このうちで一年以上を経過したもので九〇%以上、とにかく早く見つければ生き延びているわけでございまして、そういう意味で早期診断というものは非常に役に立つ。そしてこの患者のうちのかなりの数が各地方といいますか、各会社、職場でもって簡単な定期検診で疑いがあって送られてきたものの中から選ばれたものであるという意味合いで、とにかく早く見つければかなりいい成績をあげるということはもう事実だと私は思います。そういう意味合いにおいて、厚生省が集団検診というものを胃並びに子宮その他のところで行なうということは、私は臨床家として非常に適切な処置だというふうに考えておるわけであります。
#39
○鹿島俊雄君 ただいままで大臣はじめ、局長からガン対策に対する大体の対策を承りました。重ねて御質問はいたしませんが、とにかくガンの現在の実体というもの、成因そのものが明らかでないことは決定的なものである。したがって、他の疾病と違いまして、予防的措置というものはとれないことも当然であります。そこで、最も大事な点は、ただいまも御質問になりましたが、早期発見、これはガンの成因の探求と同時に、強力に完全に行なわれなければならぬ段階だと思うのです。したがって、早期発見に対して、寄り寄り一そうの努力が払われなければならぬ。こういったことに関して、いまガン専門病院である国立がんセンター等の実際の活動の状況、運営状態と申しますか、対策等の状態についてひとつ承りたいと思います。
#40
○説明員(木村喜代次君) がんセンターで現在臨床に携わっておる医師は約九十名でございます。ベッドが四百三十、外来は、当初の目的は五百でございまして、現在ガンに対するいろんな問題が高まると一緒に、外来患者が非常にふえてまいりまして、七百名くらいの人がございます。したがって、そこに働いている医師というものは非常に忙しい立場にあるというわけでございまして、その点に対してたいへんいろんな方面に御迷惑をかけているところがございます。一番問題になるのは、やはり外来患者の約七割くらいは胃に対する心配を持ってまいりまして、胃のレントゲン透視をしなければいけないということで、ドクターが一日に、大体多い日は一人で二十名くらいの透視をやっているわけでございますが、これだけいたしますと、いろいろ注意をいたしておいてもレントゲン線の許容量をこえちゃうということでございまして、それ以上はどうしてもできないということになると徐々にたまっていくというわけで、その日に来てその日に透視をしてもらいたいという方がかなりございましてもできないというのが現状でございます。当然それに伴いまして技師が足りなくなるというわけで、一台のレントゲンに一人の技師がいないというような現状でございまして、こういう点もいろいろ診断面で問題があるわけでございます。さらに、いろいろ考えてみますと、ガン患者はいろいろ検査をしなければいけないというわけで、臨床検査面でも非常に人が足りないというわけで、昨年私どもも大体国立病院の保険診療点数に準じまして、十数名の定員の増加を申請したわけでございます。
 それからベッド数にいたしましても、四百三十を実際動かしておるのでございますが、大体患者三・七か八に対して看護婦が一人の割合で、ほかの病院よりはかなり優遇されておると思うのでございますが、末期ガン患者が半分くらいいるわけでございまして、そういう点では看護婦が非常に足りないというのが現状でございます。そういうような意味合いで、臨床面でいろいろな病院と比べると、かなり私ども優遇されているということは事実でございますが、さらに、ガン患者の末期というものは非常に悲惨な状態をとるということをお考えになりまして、ぜひガン病院に対するところのものを保険医療で取り扱っていただきたい。また、いろいろな意味で一つの検査をしますのにも、私ども思いますのは、ガンというものをなおすチャンスはただ一回しかないというのが私の主張でございますが、これはもう早く診断を間違わないように、来たときに正確な診断をつけてやるということがガンをなおす唯一のチャンスだと思うのですが、そのためには、その場所で十分なる検査がなされなければいけないというわけでございますが、そういうことに対して若干欠けるところがあるんじゃないか。これは私と私どもの同僚の話でございますが、そういう意味合いで、国立の私どものセンターばかりでなくて、これからつくられる幾つかのセンターにおきましてそういうことも考慮されてつくっていただきたいというのが私の希望でございます。
#41
○鹿島俊雄君 ただいまがんセンターの実態についてお話がございましたが、大臣もいまそれをお聞きになったと思いますが、とにかく中央における国立がんセンターにおいてすら完ぺきではない、しかし、まあ相当な人員配置等の点においても余力を持つといわれておりまするが、なかなかこの早期発見というものにつきましては、非常に至難な要素がたくさんある。単に胃の透視だけでは完全なものではない、最も精密なものを欲するのが国民の気持ちであります。したがって、国立がんセンターにおいてなおしかり、今後地方にセンターを設置されると予算の上に計上されておりまするが、その際に、やはり私は、中央におけるセンターと同等といいますか、地方における施設が中央に劣るようなことがあっては意味がないと思う。この点について一そうの施策が必要だと思うのでありますが、大臣の御所見を承りたい。
#42
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま木村先生から、中央のがんセンターの現況につきましての御報告がございましたが、私ども中央がんセンターの整備につきましてはさらに意を用いてまいる考えでありまして、明年度におきましては外来患者、それから検診、こういう面につきまして相当の患者の要望がございます現況にかんがみまして、外来と検診の面に人と設備の拡充強化をはかってまいりたいと考えております。それから、リニアックをもう一基入れるように考えておりまして、中央のがんセンターは、今後の専門医師、あるいは専門の技術者の養成という面につきましても大きな使命をになっておる機関でございますので、その整備をぜひ急ぎたいと考えております。また、これを中心といたしまして、今後地方ブロックに設けますところのがんセンターにつきましても、中央に劣らないような設備と人を持ったところの施設にするようにという御注意がございましたが、そういう方向で努力をしてまいりたい、こう考えております。いずれにいたしましても、中央がんセンターにおきましても専門医師なり技術者というものが少ない現況でございますので、この養成をしながら国立及び公的専門医療機関の体系的な整備をはかっていくということでございますので、どうしても年次計画でこれを進めていく以外にはない、こう考えておりますので、不断の努力を今後続けていてきたい、こう思っております。
#43
○鹿島俊雄君 最後に、医務局長にただいまのことについてお伺いしたいのですが、現在の状態において施設の足らぬこと、それから、専門医の足りないことも明らかでありますが、年次計画によってこれを整備すると言われますが、現在のものを単位に考えたときに、どの程度の拡充整備がされたらいいかという点を、わかりましたら参考にちょっと承っておきたい。もちろん絶対数の多いほうがいいですが、予算の面も多少あると思いますが、しかし、予算面についてはわれわれも努力を惜しまないつもりですから、大体の概数ですね、どの程度のものか、ひとつ御説明いただきたい。
#44
○政府委員(若松栄一君) 私ども現在四カ年計画として考えております構想といたしましては、現在大体ガンのための専門施設のベッド数が約二千程度でございます。これに対して四カ年計画で八千程度を強化したい、そうして合計一万程度のガンのベッドができれば、これが主として高度な診断並びに治療に回転し、一部はまた診断、治療のあと、一般の医療機関、あるいは在宅治療にも移りますので、現在の見通しとしては、大体その程度で需要が満たされるのではないかと存じております。
#45
○鹿島俊雄君 ガンの発生状態から見て一万ベッドで十分だというのはちょっと私ども納得できないのです。とにかくこのガンの成因がはっきりと発見されたり、措置がきちんと決定ができるような時期ならばいいのですが、とにかく先ほど来もるる申し上げまするとおり、早期発見ということにいまのところ重点をしぼらざるを得ないのではないか。そうなると、この四カ年計画の問題も、もっと早期に何とかやらなければならぬのではないかと思います。これをかりに早急にやるとして、まあ一万床の整備計画に対する大体の予算の額はどのくらいになりますか。
#46
○政府委員(若松栄一君) ただいま申し上げましたような年次計画で経費を大ざっぱな概算をいたしますと、本年度の経費の中には、国立のがんセンター、その他国立の医療機関に対する整備費がかなり入っておりますので、そういう国が面接みずからの施設に対するものを除きまして、地方のガン治療施設の整備等に要するものは、大体国が助成する分といたしまして五、六十億程度、しかし、そのほかに財投関係で相当な費用が出ますので、総額百数十億の費用が必要になってくるのじゃないかと存じております。
#47
○土屋義彦君 関連して二点ほどお伺いさせていただきたいと思います。
 先ほど来、厚生大臣をはじめ、関係局長からガン対策と真剣に取り組んでいくという御答弁を承りまして、非常に力強く感じた次第でございますが、関連でございますので、簡単にひとつお伺いさせていただきたいと思います。第一線におきましてガンの治療や検診のためにレントゲンの放射線病にかかったところの技師や医師に対する治療、保護等はどういうことになっておりますか、その点をお伺いしておきたいと思います。
#48
○政府委員(若松栄一君) ガンの診断、治療のために放射線を使う機会がだんだん多くなってまいりまして、そのために放射線障害を受けるという者が多くあるわけでございます。しかも、昔はそのような放射線の防護に対する心がまえがなく、また、設備等に対する規制もなかったために、昔放射線を扱っていたところの技師、あるいは医師等に障害が起きておることが間々ございますが、近年に至りましては放射線防護の法律的な設備に対する規制がかなり整ってまいりましたので、今後の分についてはそういう障害は著しく減少してまいると思います。これらに対する補償、あるいは援護という点につきましては、現在国には法的な規制はございません。
#49
○土屋義彦君 第二点といたしまして、先ほど来いろいろお話がございましたが、戦後ペニシリン等の抗生物質の開発によりまして、不治の病といわれました結核等は心配がなくなってまいったのでありますが、ガンに対するところの新薬の開発がわが国におきましてどの程度進んでおりますか、その点につきましてお伺いさしていただきたいと思います。
#50
○政府委員(若松栄一君) 昔、結核が非常に不治の病と言われました時代には、結核に対する薬が非常にたくさん出てまいりました。しかし、その大部分が適切な効果をあらわさないまま消えていったわけでございます。幸いに結核に対しては、最初にパス、さらにストレプトマイシン、あるいはヒドラジドというようなものが発見されまして、確固たる成果を確保されたわけでございます。ガンにつきましては、化学療法といたしましてはいろいろあらゆる角度から開発研究が進められておりますけれども、現在結核におけるがごとき成果をおさめるものはございません。しかし、現在健康保険等に認められております化学療法剤もございますが、それはどこまでも手術その他に対する、あるいは手術、放射線療法等に対する補足的な性格を持つものにすぎません。もちろんこれらの開発につきましては、各学者、あるいは製薬業者等もそれぞれ研究はいたしております。がんセンター等におきましても、それらの新しく開発される薬に対する試験をするというような設備も持っておるわけでございます。ガンの薬の開発につきましては、これは非常にむずかしい問題でございまして、いわゆる民間のいろんな風評が出ますので、的確なものができるまではなかなか政府として特殊な操作を加えるということは困難でございます。アメリカ等におきましては、あらゆるものを全部試験してみようということで、年間何千何方という薬を、とにかく何かに多少でもきくといわれるものはすべて検査をしてみたことがございます。しかし、これはほとんどその網にひっかかって、有効な薬の発見されたという例も現在ほとんどございません。そういう意味で、今後もなおもちろん化学療法剤の開発にはつとめられるわけでございますけれども、早急にこれが実現を見、成功するということは必ずしも期待のできないものではないかと存じております。
#51
○土屋義彦君 ただいまアメリカの例を取り上げられましたが、一例ですが、米国の薬品業界のトップメーカーであるところのフイッツア一社におきましては、毎年四万種類以上のガンの新薬テストを行なっているやに聞いておりますが、これらは一民間会社や、また、一研究所にだけまかせておけない大きな問題でございますので、どうかひとつ官民一体となって真剣に取り組んでやっていただきたい。これを強く要望いたしておきます。
#52
○委員長(小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
    ―――――――――――――
#53
○委員長(小柳勇君) 参考人の出席要求に関する件についておはかりいたします。
 ガン対策に関する件の調査のため参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認めます。
 なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後零時五十三分体感
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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