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1965/11/04 第50回国会 参議院 参議院会議録情報 第050回国会 災害対策特別委員会 第4号
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1965/11/04 第50回国会 参議院

参議院会議録情報 第050回国会 災害対策特別委員会 第4号

#1
第050回国会 災害対策特別委員会 第4号
昭和四十年十一月四日(木曜日)
   午後一時三十分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月四日
    辞任         補欠選任
     松永 忠二君     鈴木  力君
     中村 波男君     中村 英男君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         大倉 精一君
    理 事
                青田源太郎君
                稲浦 鹿藏君
                永岡 光治君
    委 員
                大森 久司君
                近藤英一郎君
                園田 清充君
                高橋  衛君
                米田 正文君
                和田 鶴一君
                鈴木  力君
                武内 五郎君
                中村 英男君
                吉田忠三郎君
                中沢伊登子君
   国務大臣
       建 設 大 臣  瀬戸山三男君
   政府委員         
       総理府総務副長
       官        細田 吉藏君
       農林政務次官   後藤 義隆君
       農林省大臣官房
       長        大口 駿一君
       建設省河川局長
       事務取扱     畑谷 正実君
       建設省住宅局長  尚   明君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
   説明員          
       内閣総理大臣官
       房参事官     金子 任利君
       文部省管理局教
       育施設部長    中尾 龍彦君
       農林省大臣官房
       参事官      尾中  悟君
       農林省農地局参
       事官       佐々木四郎君
       食糧庁業務第一
       部長       馬場 二葉君
       中小企業庁計画
       部長       荒玉 義人君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○災害対策樹立に関する調査
 (台風二十三号、二十四号及び二十五号等によ
 る災害対策に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(大倉精一君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、松永忠二君、中村波男君が委員を辞任され、その補欠として鈴木力君、中村英男君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(大倉精一君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。
 質疑の通告があります。順次発言を許可いたします。中沢君。
#4
○中沢伊登子君 今度の災害については、閣議のほうで激甚災害とみなすということは決定したと思います。私はこの前ときょうと二度、災害特別委員会に高山委員のかわりに出させていただいているわけでございます。もうすでに参議院と衆議院と両方でずいぶん今度の災害については議論がなされたところでございます。議事録をずうっと読ましていただきまして、なるべく重複を避けたいと思いますが、あるいは重複することがあるかと思いますことをお許しいただきたいと思います。
 激甚災害とみなすということは閣議で決定をしたように伺っておりますが、その後どのように進捗しているか、そういうことをひとつお伺いをしたいと思います。だんだん寒くなりますし、お正月も近づいてまいりますので、被害を受けた人たちは早く何とかしてほしい、こういう声がずいぶん聞こえてまいります。何とか早急に被害者にあったかい手を差し伸べてほしいと、こう考えます。
 まず、第一に、この間も私のほうに、自分の地元の兵庫県のことを申し上げてたいへん恐縮でございますけれども、直筆のはがきが十何枚か舞い込みました。それは但馬の山奥の方々なんですが、標高二百五十一メートルというところで、非常な災害を受けて、農家でありながらすでに保有米がなくなっている、こういうふうな陳情が参いっております。農林関係についてもいろいろ議論がなされまして、政府のほうでもずいぶん手は打っていただいていると思いますけれども、今度の災害は個人災害というのが非常に大きいものですから、何とか早く手を打っていただきたい、こういうことを考えます。まずそのことについてひとつ御返答いただきたいのですが、切めに申し上げましたように、激甚災害とみなすと、こういうことでございましたが、その後どういうふうに調査や何かが進んでいるか、そういうことをひとつお伺いしたい。
#5
○説明員(金子任利君) 激甚災害のことについてお答えいたします。今回の二十三、二十四、二十五号及び降ひょうに対する激甚災害の指定に関しましては、十月の十二日の閣議で第一回の激甚災害としての指定を決定いたしまして、十月の十五日に政令第三百三十六号をもって指定いたしております。また同時に、この災害に対して適用をすべき措置といたしまして、公共土木施設災害復旧事業に関する特別の財政援助等十二項目について指定いたしております。その後十月の二十六日に政令の第三百四十二号をもちまして、さらにとるべき措置の追加といたしまして、天災による被害農林漁業者に対する資金の融通等、五項目について追加の指定をいたしております。そういう状況でございます。
 この政令によりまして、今回の災害が激甚災として取り扱われることになったわけでございますが、取り扱いといたしましては、その後各省において査定を現在実施中でございます。具体的に、どのような地域に対しどのような補助が行なわれるかということは、これらの査定が終わりまして、年間を通じてそれぞれの規定によりまして補助額等が算定されることになっております。
#6
○中沢伊登子君 その査定につきまして、淡路のほうでこういう話があるのですが、今度の兵庫県の淡路島の水害は非常にたいへんなものですよ。私もすぐに淡路島に飛んで行ったわけですけれども、その水が引いてしまったあとになりますと、そのはんらんした川の決壊個所が二カ所ぐらいしかなかった、水がついたときはもうたいへんな被害であったけれども、いざ済んでしまったあとで査定官の方が見に来られるころは、何だ、この川はたった二カ所ぐらいしか決壊していないじゃないか、こういうふうなことだったそうですけれども、そういうことで、たった二カ所ということで査定をされては非常に心もとない、何とか、非常にひどかった当時を、よく写真や何かで見ていただきたい、こういうふうなことを言っておられましたけれども、査定がそういうことで行なわれるのでしょうか、どうでしょうか。
#7
○政府委員(畑谷正実君) おそらく先生のお話は三原西淡地区の査定のことと思いますが、査定は現在実施中でございますが、いまお話しのとおりに、堤防の被害、私どもで査定いたしますのは堤防とか道路、公共土木施設としての査定をいたします。ただし、被害の及ぼす範囲は、いまお話しのとおりに、一般被害、広い大きな農地面積あるいは家屋に被害を及ぼすわけでございますが、それらを勘案いたしまして、災害復旧の採択のときにはもちろん施設として、施設の限度において取り扱いますが、やはり今回の出水その他を見まして、再度災害の防止、そういうようなことから考えまして、原形復旧ではぐあいが悪いという場合には、同時に改良復旧の改良の費用もあわせまして、一定の規模の改良事業を含めた助成とか、関連事業でもってとっていく、こういうふうな方針でもっていま査定を実施中でございます。
#8
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私のほうから補足して申し上げておきます。
 ただいまの、現場のことを私はつまびらかにいたしておりませんけれども、いま仰せのとおりに、豪雨水害中は全く全面的に惨たんたる状況でありますが、水が引きますと、あとを見ますとたいしたことなかったじゃないか、こういう状況がいつの場合にもあるわけであります。そこで、いまお話しの点は施設の災害についてそういうことがあったと思います。河川あるいは道路あるいは橋、こういうものが災害を受けて、流れたり決壊したりいたしておるかどうかというのを、建設省関係で査定をいたしまして、そしてそれをもとに復することでよければまたもとに復する、それがいけなければ、将来をおもんぱかって改良的な工事をする、これが一つであります。
 そのほか、大はんらんを起こしましで、それによる災害は、あるいは農作物の災害がある、あるいは家畜等の災害がある、あるいは家の災害がある、こういう状態があるわけであります。それをまた別途に農作物の災害がどのくらいであるか、あるいは家畜の災害がどのくらいであるか、それは別途に査定をいたして、それに応ずる対策を講ずる必要があれば講ずる。それから家の中に水が浸った、こういう場合に、御承知のとおりに、あるいは災害救助法を適用する、あるいは生活再建資金を出す、いろいろの手段を講じますので、公共土木の場合は破堤したところを復旧する、その他のものは別の機関でやる、こういう状況になりますので、それを総合して激甚法の各般の項目がありますから、それぞれに適用していく、こういう状況でありますので、御了承を願いたいと思います。
#9
○中沢伊登子君 建設大臣から御答弁をいただきましたので、ついでにもう一つ、建設省の関係で……。それは先ほども新潟県の方が陳情されておりましたけれども、今度の災害は非常に山がくずれてきて、水があふれた、いろいろなことがあるわけですが、思いもかけないような山がくずれてきたために、家が軒まで埋まってしまった、そういうふうな方が、すぐ住む家がないわけですね。この間の西宮のタンクローリー車、あの爆発事故も、私はすぐ飛んで帰ってみたわけですけれども、ああいった突然の災害を受けたために、その人たちがすぐに家を何とかしようと思っても、いろいろな隘路があって家を建てるわけにいかないというような話をしておりました。どういうふうな隘路があるか、伺ってみたかったのですけれども、非常に激高しておられまして、もう言うことも何だかあやふやみたいな言い方をしておったので、何だか聞けなかったのですけれども、こういうふうな突然の災害にあったとき、すぐに家を建てたいがいろいろな障害があるというのですが、どういう障害があるのでしょうか。
#10
○国務大臣(瀬戸山三男君) どういうふうな障害ということは、現場でお尋ねしないとちょっと、私のほうでもわかりかねますが、まあ、現場がどういうところであるか、私は詳細に知りませんけれども、普通、火災等がありました場合に、もし、障害があったといたしますれば、その地域を、せっかくであるから、相当規模の範囲に火災等がありました場合には、区画整理をして将来の災害を防ぐような町づくりをしたほうがよくはないか、こういうことが起こる場合が相当ございます。したがって、区画整理の線がきまらないと家が建ちにくい、こういう状況がありますけれども、西宮の場合は、それに該当するかどうかはいま承知いたしておりません。ここで申し上げておきますが、ああいう際には台風災害のように広範に住宅等の災害が起こりましたときには、御承知のとおりに災害住宅とあるいは公営住宅と、いろいろの措置がとられるわけでありますけれども、小範囲にああいう災害が起こりましたときには、やはり、その災害を受けられた方の家を建てることについてもし御希望がありますれば、住宅金融公庫の資金を即急に貸してあげる、こういう制度を活用していただく。その前に、今度の場合はもう少し具体的にこれは検討を要することであろうと思いますが、ああいう事故によって災害を受けた、こういうときにはその責任という問題が起こると思います。したがって、その責任によってそういう災害を受けられた方に損害補償をする、損害賠償をする、こういう事態が起こるということもあると思いますが、それにも相当時日がかかるというのですから、もし住宅を早く建てたい、こういうことでありますれば、金融公庫によって処理をいたしたい、こういうことになろうかと思っております。
#11
○中沢伊登子君 ずいぶんあいまいな質問をして申しわけなかったと思いますけれども、たとえば金融公庫のお金を借りるというようなときには、非常に手続がややこしい。あるいは保証人がどうとか、すぐにはお金が出ないとか、あるいは火災保険でも、これが火災とみなされるか、事故とみなされるか、タンクローリー車の場合ですね。そういうようなことで、ずいぶんそれが長くかかる、そういうようなことが一つの隘路じゃないか、こう考えるわけです。タンクローリーにしろ今度の水害にしろ、家をなくされた方というものは、とにかく早く家を建てたい、こういうことを考えておるわけですから、なるべくそういう手続ですね、そういったようなことも早急に簡便にできるように、ひとつ特別に御考慮いただきたい、こう考えております。
 それからもう一つは、今度学校の被害がずいぶん大きかったと思います。兵庫県のことばかり申し上げますけれども、実はこの間、高山委員のほうから何か学校のことについて資料を提出するようにということをお願いなさったそうでして、ここに学校の資料が出ておるわけですけれども、たとえば私のほうの三田市の三輪小学校というのは木造でございまして、ほんとうにあとかたもなくぺっちゃんこになっております。それをこの間、私調べてまいりましたが、三田市の三輪小学校が建ったのは昭和二年ですから三十八年を経過しておる。しかも昭和二年に建ったときは、大阪のほうの小学校が木造から鉄筋になるときのその古材をもらってきて建てた、しかも三十八年を経過しておる。こういうことでして、今度の災害では一たまりもなく全壊してしまったわけですけれども、そういうような、三十年以上を経過しておると、特別に何とかということがございますのでしょうか。きょう質問をするまでに高山さんとよく相談をしようと思ったのですけれども、いまだに山口のほうから帰ってまいりませんので、そのことをよく聞いておいてくれということだったのですが、先生の質問の趣旨がよくわからないのですが、三十年をこえると、特別にどうとか、こうとかいうことがございますのでしょうか。三田市のほうに聞きましたら、市役所のほうで、三十年以上を経過しておるので、早くこの木造をコンクリートに直してほしいということを申請はしてございますが、まだしてもらわないうちに今度のようなことになって全壊してしまいました、こういうような答弁でございました。その点ひとつお尋ねしたいと思います。
 それから淡路島の洲本の中川原小学校、中学校、これも半壊――大かた全壊に近いような状態になったわけですが、この学校の建て方も調べてみますと、大正十四年に十三坪できて、昭和二十九年に二百六十六坪、三十一年に十八坪、三十五年に九十九坪と、昭和三十七年までに木造で少しずつ建て増しをしておるわけですが、昭和四十年になって初めて八十坪のコンクリートの学校ができておるわけです、八十坪だけ。こういうふうな学校の建て方、あるいは古材を持ってきて建てるとか、あるいは木造の校舎を建て、しかもその学校というものが、いつでも災害のときの避難場所になる。そういうふうなことですから、何とか早く木造の学校を鉄筋に変えて、災害のときにも住民がどんどんそういうところに安心して逃げられる、そういうふうなものにするために、早くコンクリートに直してほしい。特に三田市の三輪小学校のように全壊してしまった。年齢三十八をこえたような、こういう学校については、大半は国のほうのお金でやっていただけるものかどうか、そういうことをひとつお尋ねしたいと思います。
#12
○説明員(中尾龍彦君) ただいまお尋ねがございました三十年以上経過したものについて、何か国の助成がないものかどうかというお話でございます。三十年以上経過しましても、堅牢な建物もございますので、これまでとってきております方法は、建物の老朽、危険度というものを、いわゆる耐力度と称しておりますが、その耐力度を実際につきまして測定をいたしまして、そうして耐力度の四千五百点以下のものを老朽危険というようなことで改築助成の対象として扱ってまいっております。お話しの三田市の三輪小学校は、三十八年も経過しておるのでありますが、これが耐力度の点ではまだわれわれの手が及ばないというような状況下にあって、この台風によって全壊したというまことに遺憾な次第でございます。
 なお、洲本の中川原小、中学校についても同様なことでございます。現在、文部省はこういう木造の建物がきわめて多いのでございまして、大体大ざっばにいいまして七割・三割、七割が木造、三割が鉄筋というような状況でございます。したがいまして、災害もきわめて大きいのでございますので、毎年建物を新築する場合には鉄筋化しよう、でき得る限り鉄筋化しようという方向で努力しておりまして、三十九年度あたりの実績を見ますと、新築されるものの八五%までは鉄筋というように指導してまいっております。しかし、何ぶん木造の建物が非常に大量にありますために、時間的に急速にこれを全面的に改築するというところまで持ってゆけないで、年次計画を立てて逐次でき得る限り鉄筋化しようという努力を続けてまいっております。
#13
○中沢伊登子君 それではもう一つだけ伺わしていただきたいと思います。
 それは中小企業のほうの関係でございますけれども、やはり個人被害に対する補償が今度はなされておらないわけですけれども、中小企業のほうもいろいろここに資料をいただいておるわけですが、兵庫県では、大体県のほうで応急に何か二億ほどの中小企業の貸し付けをなされたようでございますが、その中小企業の人たちに融資するワクが大体百万円を限度としていると伺っているわけですが、百万円ではとても立ち上がれない、こういうことで、何とかそのワクを三百万円ぐらいにしてもらえないであろうか、こういうふうな要望があるわけですが、これに対してひとつお答えをいただきたいと思います。
#14
○説明員(荒玉義人君) ただいまおっしゃいます百万と申しますのは、厳密にいいますと特別金利、つまり六分五厘の単位が短期はそうだという、ことになりまして、普通金利、つまり八分七厘でございますが、その場合には別に制限ございませんし、各現地の支店のほうで十分金がないということで皆さんに御迷惑をかけるということはしておりません。そういう意味で、特別金利のワクがたまたまそういうことでございますので、御了承願いたいと思います。
#15
○中沢伊登子君 その八分七厘というような高利のお金を、これなら相当借りられるというふうにいま承ったわけですけれども、八分七厘というような高い利子で、この災害を受けた人たちがもう一ぺん立ち上がろうと思っても、なかなか立ち上がれないわけです。さっきも新潟のほうの方から、そういう金利を引き下げるようにという陳情があったと思いますけれども、何とかもう少し低利のお金を貸していただく、こういうふうなことはできないもんでしょうか。
#16
○説明員(荒玉義人君) 災害のたびごとにこの特利の幅を広げろという問題でございます。これは一種の政令事項になっておりますので、全体、激甚その他を含めた場合にわれわれとしては十分検討していきたい、かように考えております。
#17
○中沢伊登子君 もう一つだけ。やはり今度の災害で、その中小企業はいまの御答弁のようなことでございますが、それよりもう一つ下の、いわゆる零細企業といいますか、たとえばパンをつくって販売している、そういうふうなところが今度の水害で機械も何もみな流されてしまった。もう立ち上がるのにも立ち上がれない、家はこわれてしまうし、それからパンの材料はもとより機械も流されてしまって、どうにもこうにも生活ができない、こういう人の救済の方法はどういう方法があるんでしょうか、お尋ねをしておきます。
#18
○説明員(荒玉義人君) ただいま申し上げましたのは、零細といえども同じ考え方でございまして、したがいまして、いま先生のおっしゃったようなことも当然同じく含めております。
#19
○中沢伊登子君 ありがとうございました。いろいろ御答弁をいただいてよくわかりましたが、いまのパン屋の問題ですが、災害を受けて家がつぶれて、しかも機械も何もみな流されてしまった。そうすると今度お金を借りましてもパンをつくるまでには相当の期間が要るわけです。その間に、パンというのは毎日売れるものですから、自分がいままで売っていた販路がなくなってしまうわけです。そうすると再びパン屋をやるといっても一から、小売り屋さんまでさがさなければならないということは非常につらいというのです。だからそういうのは、ただお金を貸し付けたからそれでもう一ぺん立ち上がれるかというと、なかなかそういうものでもない。そういうことも、今度の災害では目に見えない大きな被害であろうかと思います。そういうこともよくお心にとめていただいて何とか災害対策をほんとうにあったかい手で立てていただきたい、こう考えておりますので、よろしく。以上をもって私の質問を終わらしていただきます。
#20
○武内五郎君 この前時間がなくなりまして、本部長の退席の関係もあって、質問の内容をだいぶ割愛いたしましたのですが、きょうちょっと同じようなことになりまするけれども、一言だけ聞いておきたい。
 この間私は今回の災害地の復旧についての政府の決意のほどをお尋ねしたわけであります。実はこの間福井県の西谷村に参りましたときに、あの惨状を見て、村の人々はほんとうにわれわれをふるい立たせる政策をとってくれるのかどうかというような話を私どもにしておったのでありまして、たまたまその後本部長の談話が私のほうに伝えられて、その談話の中に、このような危険な地域には、もう住むのをやめてどっか安全なところに移ったほうがいいだろう、こういうような内容の話があったと思います。それも一つの考え方だと思うのであります。しかし、私はこれは被害村民の感情をはなはだ無視した考え方になるのではないかと実は考えた。その災害県の当局者に会ったときに、実はこういう話をある人が言っているのだがどういうふうに考えられるかといって聞いたら、しゅんとして返事がないのであります。これはやはり地方民の感情を無視した考え方になるんじゃないかという、これは少し、こういう考え方も一つあると思うのです。あると思うんだが、十分村民の――幾ら災害が激しい土地であっても、村民の感情というものは、その墳墓の地を離れられない、こういうことに基づいた復興対策というものが必要ではないかと思います。その点は質問ではありません。そういう点をつけ加えて申し上げておきますが、なお、それについて御感想があったら承りたいと思います。私は、この間ずっと福井、岐阜、新潟の災害地を回ってみた関係から、特に今回の災害は二十三号台風、その間の集中豪雨、さらに二十四号、こういうふうなきわめて短い時間の間に大きな災害を一時に、往復ビンタを受けたようなものです。往復ビンタじゃなくて、三重ビンタを受けたような形なんです。したがって、災害地域はきわめて極限されたところでありまするが、非常に深刻な形が出ておることは御承知のとおりであります。
 そこでまず私は承りたいのは、こういう地域の市町村。自治体は財政的にもきわめて貧困です。したがって、復旧についての政府の対策が早く出てくることを期待している。幸い激甚法の適用も漸次見られてまいりまして、ややほっとしたという形のものもあるようでありますが、特にこれは建設省にお願いしたいのは、これらの災害地における復旧の第一段階として早く査定を施行してもらいたい。そうでないと、復旧の仕事に手がつかぬ。その査定の進行状態がいまどういうふうな状態になっておるのか、これは建設省と農林省の両方からお伺いしたいと思います。特に今回の災害は、日本の災害というと河川のはんらんと、それに伴う農林の被害というものが出てまいりますので、その両省のまず関係から災害査定の進行状態を伺いたい。
#21
○国務大臣(瀬戸山三男君) 最初にお話の出ました西谷村の移転云々のことでありますが、もし誤解があってもいけませんから申し上げておきたいと思います。九月でしたか、災害直後といいますか、まだ災害途中で、私が福井県に入りまして、西谷村まではヘリコプターが危険だということではいれなかったのでありますが、大野市の市役所における災害対策本部でいろいろ事情を聞いたわけであります。その際に、西谷村の状況がいろいろ報告されて、西谷村の村長さんもその災害対策本部におられまして、まあああいう災害はあの事態では未曾有のものであったと思うんです。したがって、非常に心配をされた。まあ知事さんの話によると、一種のノイローゼぎみだというようなお話であります。興奮状態である。そういうことで、私に申されたことは、もう西谷村は再建できないから解散したいと思う、こういうお話でありました。私は災害途中だから心配されるのはわかるけれども、そう興奮状態でものを判断するということは適当でなかろう、政府も最大の御協力を惜しまないから、ただそういう状態であれば、他にも例があったけれども、もしその再建するということが非常に困難であれば、いまばく大な経費をかけて復旧するよりも、他にも適地があれば移るということも一つの方法であるけれども、これはさっきお話がありましたように、なかなか人間というものは、いわゆる墳墓の地には執着があることであるが、そう簡単なものではなかろうと思う。よく地元で検討され、知事さんもおられたわけでありますけれども、県当局にもよく相談されて、そうしてそれをどう処理したほうがいいかということは、落ちついてひとつ御研究願いたい。こういうことでありまして、そこに移りなさいということではなかったということをぜひ御了解願いたいと思います。
 そこで、実は私が、そういう状況でありますから、前にもしばしばそういう経験を持っておりますので、西谷村と岐阜県の藤橋村ですか、あの地帯はやや規模は小さいようでありますけれども、同じ状態である、しかも山間である。この前も申し上げましたように、失礼でありますけれども、非常に貧弱な村であるからということで、特段に注意をいたしておるわけであります。県のほうにしばしば督促いたしておる。こういうことは、県がよく中央と連絡をして地元を指導してもらいませんと、貧弱町村ではなかなか見当がつかないであろうということをしばしば申しておるのでありますが、応急なことはもちろん進めておりますけれども、恒久的な問題については、やはり十分検討をして将来を考えてやるべきだ、こういうことであったのでありますが、私どものほうも、しばしば督促をいたしまして、実は御参考までに申し上げておきますが、岐阜県のほうはまだそういう計画というものはできておらないようでありますけれども、西谷村については、移転の問題もいろいろ協議されたようであります。移転したいという人も相当あるようであります。しかし数からいいますと、多くの人は、やはりこの墳墓の地で再建をしてやってもらいたい、こういうのが多いようであります。そこで県が指導いたしまして、西谷村の再建計画というものが、ようやく最近になってできたようであります。それが私の手元にも昨日届きました。そこで明日、徳山のほうはそういう御連絡がありませんけれども、問題が同じような状況でありますから、西谷村の村長さんと、責任者それから福井県の知事さんやそれに対する責任者それから同じく岐阜県のほうも来てもらいまして、災害対策本部にこの両村の問題のみについての小委員会と申しますか、関係各省の専門家を集めて小委員会というものをつくりまして、その復旧計画といいますか、再建計画というものを中心に検討して、そしてそれを推進しよう。あしたその地元に来てもらって協議をするという状況になっております。できるだけ早く将来の計画を立てて推進をいたしたい、これが両村に関する現状でございます。
 それから、一般について、もちろん災害はすみやかに応急対策をし、また恒久的な復旧もできるだけ急ぐというのが、当然のことであります。あるいは御批判があるかもしれませんけれども、それに努力をいたしております。
 実際の災害の査定の実施状況については、畑谷技監からお答えをいたしたい。また、農林省からお答えがあると思います。
#22
○政府委員(畑谷正実君) 本年度の発生災害でございますが。二十三、四、五号の激甚災害も加えまして、全部で、一月一日から現在まで発生の件数が七万八千七百三十九カ所という個所数、それに対しまして報告額が一千四百十七億という数字になっております。これを現在査定を実施中でございまして、査定は、直轄関係のほうは終了いたしまして、補助関係が、予定としまして、十二月二十五日を最後に、十二月中に完了するという予定で、現在まで大ざっぱに約四〇%の査定の実施が行なわれておるという現状でございます。したがいまして、査定が十二月までかかるわけでありますが、激甚災を加えまして、実際の復旧の動作におきましては、査定が行なわれる以前に、工法の問題であるとか、いろんな作業の問題について、事前の打ち合わせを現地において直ちに協議をいたしまして、復旧の動作においては災害の翌日からでも実施をしまして、復旧に万全を期するように努力しておる状態であります。
#23
○説明員(尾中悟君) 農林省関係の査定の進度の状況について御報告いたします。
 まず林野関係でございますが、治山施設につきましては、すでに査定を全部完了いたしまして、緊急を要するものから工事に入っておるような状況でございます。それから、林道施設につきましては、今月の下旬に査定を完了する予定でございます。
 一番多い農地、農業用施設の関係でございますが、これは現在本省並びに地方農政局から現地に相当数の査定官を派遣しておりまして、鋭意査定を実施中でございます。また、関係県の協力も当然求めまして、なるべく早く査定を終了させるように努力いたしておる最中でございますが、現在の見込みといたしましては、やはり十二日にどうしても一部はかかるのじゃなかろうかというふうに考えております。もちろん、査定の完了次第、応急を要するものにつきましては、現地で復旧事業計画概要書の作成を終えまして工事にかかるというようなことで、来年の農作業に支障のないように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#24
○武内五郎君 だいぶ進行しているお話でありますが、大体これはいままで何年くらいで災害復旧の工事完了がされてきたのか。現地の町村では、おそくとも三年で完了してもらいたい。そうでなければ、また繰り返し災害を拡大していくのではないかという心配が非常に強い。それで、まずこの点については、第一は、この査定に基づいて四十一年度の予算の中に組み入れられるものかどうか。第二は、工事完了をできるだけ短縮してもらいたい。それについて、両方ひとつお答え願いたい。
#25
○国務大臣(瀬戸山三男君) 御説のとおりでありまして、現在が、御承知のとおりに、災害が全部復旧が終わるというのは、四年の計画でやっているわけであります。もちろん大部分は緊急なものとして三年で終わりますが、どうしても四年にかかるというのが現状の災害復旧に対するやり方であります。前にも申し上げましたけれども、従来はそれが五年でやっておりましたが、まあ財政の力がつくに応じてということで、現在は四年ということになっております。けれども、私どもは、いまお話しのとおりに、毎年どこかに災害が来るということは、これは当然予定される日本の状況でありますから、一年でも早くその傷あとをなおしておくということは、これは当然考えなければならないことであります。実は、数年前からその問題で鋭意努力をしているわけでありますが、なかなか、いま申し上げましたように、現在までは財政の事情ということでそれが実現しておりません。どうしても三年に切り上げたい、こういうことで、来年度の予算要求にしても、災害復旧は三年で終わる――直轄は二年で現在も終わっておりますけれども、いわゆる補助災害、これが大部分でありますから、終わるという方針をどうしても確立をしたい、こういうことで、現在予算要求をして、いませっかく折衝中でありますので、この点努力をいたしたい、かように考えているわけであります。
#26
○武内五郎君 ひとつ一生懸命やっていただきたいと思うのであります。年々災害が、大体三、四千億円の非常な大きな被害を残して、大きな国損を与えているわけでありますけれども、このままでいきますると、一つの災害の傷がおさまらぬうちにまた新しい傷を受けるということになって、だんだんこれでは国土が荒廃していく、国損が大きくなっていくという形にならざるを得ないのでありまして、一生懸命ひとつ、そういうことのないように、できるだけ工事も短縮して、復旧を急いでもらいたい。
 次に、今度の災害後、私が歩いた地域でありますが、特にその点御了解得たいのでありますが、台風と集中豪雨に伴って、地すべりが非常に多発している。新潟県でも西頸城一帯、福井県に入りましても三方町方面がやはり地すべりの形態が出ている。このような状態で、単純な集中豪雨とそれによって生じた水害というようなものだけではなくて、地すべりという災害要素が加わって、被災の状況を大きくしている。同時に、その対策もまた複雑化してきたと考えざるを得ないのであります。こういうような地域には、特に私は現地を見ましても強く感ぜざるを得ないのは、たとえば九頭竜川において、九頭竜川としては十分のめる水であるのに、上流地帯で西谷村というような、あるいは大野市というような、大野市の農村部等が非常な大きな災害を受けておるということは、これはやはり渓流における災害防止の施設が十分でなかったということが感ぜられる。したがって、われわれのようなしろうとが考えても、渓流または山腹地帯に防災の施設が必要であるということは強く感じたのであります。こういうような点で、特に私は、建設大臣たる災害本部長として、もう治山治水ということばは日本では毎年毎年繰り返されてまいりました古いことばであり、しかし、いつもこれは新しい意味をもってわれわれに迫ってきておる、それほどとにかく治山治水というものは古いかけ声ではありまするが、今日までその対策が十分実施の上で見られるものがなかったということが残念だと思います。これらのことを考えますると、今度こそは強く治山治水を中心とした防災施設がどうしても必要だと思うのですが、それらについて、まずどういう構想で今度の災害対策をやられるか、お伺いしたいのであります。
#27
○国務大臣(瀬戸山三男君) そのことにつきましては、先日も申し上げましたかと思いますが、概括的には、いまお話しのとおりで、私どもももちろん心配をいたしております。ただこれは、別に言いわけを申し上げるわけではございませんけれども、日本の地形あるいは気象条件、これが御承知のような状況でありますから、なかなか日本の国民の力がまだそこまで及ばない、こういうところに大きな問題があるのじゃないかと思います。それにいたしましても、いまお話しのとおり、毎年平均にいたしまして二千数百億も――これはいろいろな災害を含めてでありますが――ある日本の現状においては、もっとこれは力を入れるべきであることは当然のことであろうと思います。そこで、先般も申し上げましたが、それでも十分と思いませんということで、今年度を起点とするいわゆる治山治水の五ヵ年計画、治水において一兆一千億、治山において千八百億余、こういう総合的な施策を進めていくということをいたしておりますということを申し上げたわけであります。それも、治水だけにいたしましても、私どもが、こういう気象条件、土地柄でありますから、全部これでストップする状態をつくるということはなかなかの問題でありますけれども、まずまずという状態をつくるについても、治水面だけで今後やはり十兆円余の経費を要するという現時点における積算ができておる。そういう状況でありますから、いまの本年度を起点とする一兆一千億の治水計画も、もっとこれを年度を繰り上げて実施して対策を伸ばすべきである、かような考えでありますが、この五ヵ年計画がいま始まるという状況であります。いまお話の中にありましたように、地すべりとか、あるいは地すべりというような現象ではなくとも、小地すべり、崩壊ということがその付近や下流に非常な災害を起こしておることは、御承知のとおりであります。地すべりというものは、先年、御承知のように、地すべり地帯の対策についての特別立法がなされております。全国の地形、土質等によって、いわゆる地すべり現象を起こすところの調査ができておりまして、これに対する対策が別途できておりますけれども、これもなかなか、自然の動きを相手にいたすのでありますから、たとえばこの間の香川県の小豆島におけるように、意外の大地すべりを生ずるというようなこともあるわけであります。なかなか現在の人知で必ずしも万全の対策を講ずるということは容易ならざることであると思います。それから、地すべり現象ということまでいかなくても、いわゆる崩壊、土砂の流出、これが日本の地形上また地質上非常に大きな現象を起こしております。これも、そういうところはおおよそ調べができておりますから、いわゆる砂防法によって砂防地帯を設定して、計画的に対策を講ずる、また特殊なそういう現象がはなはだしいところには緊急砂防地区として特段の国の措置を講ずる、こういうことも進めておりますことは、御承知であろうと思います。これもまあ、国の財政の問題もありまして、事情はよくわかっておりましても、一挙にその対策を解決するということはなかなか困難なところもあるわけでありますが、できるだけの力をいたさなければならないと、かように考えておるわけであります。
#28
○武内五郎君 そういう抜本的な対策がひとつ私は必要だと考えまするので、ぜひ全力をあげて対処していただきたいと思うのであります。
 次に、私は、特にこれは中小河川についてでありますが、河川管理の上から考えてもらわなければならぬことは、ただいま降雨量が百五、六十の地域であります。ところが、わずか二百になってまいりますると、もう堤防の決壊が見られる。三百ぐらいになってまいりますると、災害が非常に大きく倍加されてきておるという地域が今回の被災地域の大部分であります。そうなってまいりますると、私は特に川の決壊した堤防の上からいろいろ見て考えたことは、百六十の計画降雨量に対して、二百または三百で、もう二百でその水をささえることができない状態にある堤防あるいは護岸等が今日そういう中小河川をささえている。したがって、もう百六十ではささえ切れないものであると考えざるを得ないのでありまするが、そこに、計画降雨量あるいは水位、計画洪水量というものを、今日河川行政上から保っておりまする基本計画の基本資料を訂正せにゃならぬじゃないかと思うのですが、その訂正した上で堤防または護岸の新しい設計が必要じゃないかと思うのですが、つくづくそれを感じてきたのですが、そういう点ではどうですか、河川局長。
#29
○政府委員(畑谷正実君) お話のとおりでございます。実際問題として、全般的にやはり中小の河川――砂防も含めてでございますか、それが治水対策としてややおくれておるというのが現状じゃないかと思います。雨量の問題にしましても、降雨量から計画洪水量をつくりまして、一応の計画は立てております。しかし、これはやはり、どこまでも、この間もお話ししましたとおりに、過去の記録をたどりまして、そのうちの何番目であるとか、あるいは三十年に一ぺん来るような水であるというようなのを対象にして現在やっておりますが、いろいろその後の降雨の状況を見ますと、いままで百六十ぐらいであったものが、もう二百だ、二百五十だという状態になるわけでございまして、当然それに従ったような、少なくとも今回の水害、現在実際に水害でもって出てきた、その原因となりました降雨を見きわめまして、それが現実にあるならば、それに即応したような降雨量をまず考える。それに対応するような計画洪水量をつくりまして、それに従ったような治水対策をするというふうに持っていくのが至当だと思います。したがいまして、最近の災害におきましても、災害関連事業という、今回の災害を見まして、非常に災害が激甚であり、一定規模によって改めていかなければならぬという場合には、そういうものを対象にして逐次、改善といいますか、そういうような規模による治水対策を講ずる、こういうふうにしておるわけでございます。
#30
○武内五郎君 大体、新潟県、それから石川県等の降雨状態を見ますると、六−七、これはまあ梅雨季でありますが、それから九−十、これは秋の集中豪雨季の現象が起きておる月になっておる。大体こういうような周期的な形で来ておるようでございます。その上に、北陸地方では、一月から一、二、三とかけて雪が降って、それが三−四になって解け出して川に注いでくる。したがって、三−四、六−七、九−十、これが山から渓流に落ちて、さらにそれが川の流れとなって大きな川に注いでくるという形が出てくるわけなのであります。その間に、ちょうど三−四、六−七、九−十というこの周期的な洪水期にぶつかって、はんらんを起こすわけなんでありますが、これは年々繰り返されてくる。同じ川が年々災害が起きる、あるいは数年間を置いて災害を繰り返してくるという形が出てまいります。ことに北陸地方のそういう形が、これは太平洋岸でありますると、この融雪期の心配というものはまずないのでありますが、北陸地方になりますると、この六−七、九−十、集中的な豪雨の季節のほかに、融雪による洪水の心配が出てまいります。これらのことを十分考えて、したがって、工事は復旧工事を速急に実施して完了することが、災害を再び繰り返さないという大事なポイントであると考えざるを得ないのであります。特にその点を本部長は、復旧対策の技術の際に、十分考慮していただきたいと考えるのです。
 その次に、今度は農林関係になりまするが、今度の災害を受けました私の回った地域というものは米産地であります。日本の国民の食糧に非常な貢献をしておる地域であります。岐阜県、石川県、富山県、福井県等、新潟県も米産地であります。これらの地方で、このような災害を受けて、同時にこれは、非常に激しく受けた地域ばかりでなく、福井県なら福井県全体、石川県なら石川県全体、新潟県全体に、そういう災害――農林災害があらわれていることを考えなければならない。したがって、まず第一に、今年度の政府買い上げ米の納期、それから今回その激甚な災害を受けた地域の農民が、予約した政府米の納入が不可能になり、その前払い金に対する概算等の問題が出てまいります。これは新潟県においてもそうです。福井県に行きましてもそうなんです。岐阜県でも問題になっておったでありましょうが、私どもが回った当時は、ちょうど第一期の早場米の納期であった。三日延ばしたというお話であります。ところが、現地では、三日ではとうてい処理できない。災害のあと始末に追われて、どろをかぶった稲を掘り起こして、水で洗って、さらにそれを乾燥して脱穀していかなければならない。とうてい納期にまず間に合わない、そのような状態になってまいります。三日ではとうていこれはたえられない。せめてあと十日ないし二週間延ばすような形がとれないだろうか、こういうその当時の現地の人々の強い要望であった。これはもう第一期の早場米納入期も過ぎ、もう二期も過ぎようとしておりますが、これは幾ら期間は過ぎても、やはり十分対策として講じていかなければならないと思うのでありますが、この点をまず第一にどうなっているのか伺いたい。特にこれは、先ほど申し上げましたように、そういう地方ではどろをかぶり、ひどいところでは稲穂の上に土砂が一メートルも積んである。それをくわで掘り起こして、川の水で洗っておったのであります。収穫は、これは半減どころではない、皆無です。三日土砂をかぶった稲は芽を出しておる。これは米としての値打ちがない。こういう事態を考えまするときに、これは三日でいいだろうとか、あるいはこれは水害によって延ばすということではないんだとかいうようなへんてこな言いわけがついているようでありまするが、そういうようなはなはだ農民に対するあたたかい気持ちがいささかも出ていないようなものの考え方では、私はゆゆしいことになると考えざるを得ないのでありますので、まずその点をどういうふうに考えるか。期間の延期の問題、精算払いの問題、これはどういうふうに考えるか。おそらく私は、精算払いといっても、返せないと思う。返せない農民がたくさんいると思う。どういうふうに考えるか、お伺いしたい。
#31
○説明員(馬場二葉君) 第一点の時期別格差の期限の延長の問題でございますが、先生御指摘のように、非常に北陸は水害――二十三、四号台風の影響で農作業もおくれ、農家の収納も非常におくれて、私ども相当政府への売り渡しが遅延するんではないかという実は心配をしておったわけであります。現地からは、一週間ないし十日の延長をすべきだという御要請も受けました。いろいろと現地の出回り状況、農作業等を勘案いたしまして、九月末までの第一期の加算額の適用を三日間延長いたしまして十月三日までに延ばしたわけであります。その結果は、新潟、富山、石川、福井、まあ北陸四県のうち新潟だけを例にとってその結果を見ますと、過去三カ年の第一期末に出ました――しかもそれは昨年も第一期延ばしてありますので、延期いたしました結果出た数量と比較いたしますと、約三割近く本年は幸いよけいに出ております。三十七年に比べましても約一五%、結果は非常に最後の延期をいたしました期間が天候に恵まれまして、また非常に県なり食糧事務所等の指導よろしきを得まして、また農家の御努力等によりまして、こういう結果になりましたので、一応三日間延ばしてほぼこと足りたのではないかというふうに考えておる次第でございます。
 それから、第二点の予約概算金の延納の問題でございますが、台風、集中豪雨等で相当生産の減った農家がございまして、政府への予約、いわゆる事前売り渡し制度に基づきまして予約をいたしました数量の売り渡しの困難な生産者が出ることが予想されるわけでございます。現在の制度では、生産者自身が直接概算金の返納を延納するという実は制度が認められておりません。しかし政府は、生産者の集荷をいたしております指定集荷業者――農協等の指定集荷業者から返納金を規定の期日までに受け取りまして、農家からの返納金を受け取っておるわけでございます。したがって、その際、返納金に加算いたしましたいわゆる加算金利につきましては、被害の程度によって減免をする制度がございますので、従来の例によって減免を考えたい、こういうふうに考えております。
#32
○武内五郎君 これはまことに重大だ。まず第一の三〇%近く多く集荷されているという話であります。これは災害地以外の各地からの集荷で、災害地からの集荷はほとんど私はないと思う。そこで問題は、災害地における集荷はどうなるのかということ、私は災害地でないところの集荷は、これは問題じゃないと思う。災害地における集荷をどうするのだ、それが第一と、第二の前払い金の精算、これは集荷業者が責任を持つということになると、集荷業者と農民との間の債務関係が出てくるのじゃないか、これはどうなるのか。一体、農民がそれで、これでようございますと言って立ち上がる気力が出てくるかどうか。私は、農林行政として、そういうような考え方ではたいへんな問題になると思うのですが、どうなんですか。
#33
○説明員(馬場二葉君) 先ほど申し上げましたこれは、御指敵のように、新潟県全体の集荷の数量でございまして、御指摘のように、個々の災害地を局部的にとりますと、あるいは農家別にとりますと、相当おくれている農家なり地帯がもちろんあるかと思いますが、現在の時期別格差適用期限の延納は県単位に農林大臣がきめることになっておりますので、一応私は県単位として申し上げた次第でございます。今回も非常に、北陸四県をはじめとして、局部的に集中豪雨等で非常にひどい災害を受けた農業地帯がございましたので、地帯別に県内の小さい範囲で延期すべきだという御要請もあったわけでございますけれども、従来そういう例もございませんし、また非常にそういうことは時間もかかることでございますので、県全体として延期をいたし、そうしてただいまのような数字に相なったわけでございます。
#34
○武内五郎君 私はそういうようなあいまいなことを聞いておるんじゃないです。だから私は、委員長、農林大臣の出席を要求したのはここにある。これは重大な問題です。これは保留しておきます。
 その次に、災害地の農地並びに農業用施設の災害復旧の問題、これは一体どういうふうに考えてやっているのか。特に農地は、もちろん、土砂、岩、砂れきによって完全に流出、埋没してしまって、もとの形というものはつかむことはできない状態である。けれども、これは復旧しなけりゃならぬだろうと思う。まず第一に、その復旧を、農民自体の力で復旧を考えておるのか。
 第二は、これに対する、そうではなくて、何らかの政策的な助成があるのか。その点をまず承りたい。
#35
○説明員(佐々木四郎君) 災害を受けまして流失あるいは埋没いたしました農地の復旧、これにつきましては、一般災害につきましては五割の補助金がございまして、さらにこれはひどい災害を受けますというと高率になってまいりますし、御承知のように、激甚法等が適用されますと、さらに高率の助成が出ることになっております。しかし、補助が出ましても、なお多額の農民負担が、いわゆる補助の残りの残額につきましては負担がかかってまいりますので、これに対しましては、融資の対策をとっている。農林漁業金融公庫資金を大体年利五分、貸し付け期間は二十五年ということで処置いたしております。しかも、またさらにこれらのかなり膨大な金がかかることからいたしまして、つなぎ資金の制度もとられておりまして、いまの災害の助成の制度から言いますというと、一般の土地改良事業に比較いたしましては非常に高率な助成並びに融資の制度を適用いたしておりますので、もちろん、大きな災害につきましては、相当多額の復旧費がかかりますけれども、それらの措置によりまして、農民自身が災害を受けたことによって直接その場で負担して出さなきゃならぬという額はかなり軽減されている、こういうふうに考えております。
#36
○武内五郎君 どうです、災害本部長。こういうことでは、私は災害の基本的な対策についての質問はできない。責任ある回答を全く私はとることができない。一体、国民の食糧を供給するために営々として働いているまことに零細な農民たちが災害を受けて、その復旧に、しかも単にいろいろな水をかぶったとかなんとかというだけのことではなくて、生産の基盤であるところの農地、農業施設、この災害復旧について災害者にその責任を負わせて、これを融資でございますなんと言っていられるかと思うのですが、どうなんですか。証券会社は左前になったからと言って、無利子無担保の金が融資されているじゃないですか。一体、農民の農地の復旧、農業施設の復旧に対して、政府はどう考えるか。私は全く農民のことを考えると涙なきを得ない。一体どうなんですか。災害本部長、一体どう考えますか。
#37
○国務大臣(瀬戸山三男君) 数字的なことはもう少し詳しく農林省の事務当局からお答えをする必要があると思いますが、災害の程度によりますと、ほとんど、融資の問題もありますけれども、現在の制度でも、地元の農民の実際上の金銭の支出というものはあまりない程度に、激甚の場合はできると思うのですが、もう少しこまかく説明をさせます。
#38
○説明員(佐々木四郎君) 先ほどの御説明で少し足りませんでしたから補足いたしますと、農地の復旧につきましては、普通の場合は五割と申し上げましたけれども、非常に災害が大きくなりまして、農家の負担が高くなる、つまり、一戸当たり八万円をこえるような場合には八割の補助になりますし、さらに、それが十五万円をこえるような場合になりますと九割という補助を出します。しかも、その補助残は、ほとんど融資でもっていたします関係から、融資で負担する部分はきわめてわずかでございますけれども、それが先ほど申し上げましたような低利長期ということになりますので、非常に農家の負担はきわめて軽減されておる、こういう実情でございます。
#39
○武内五郎君 まだ農林関係においてたくさん質問したいと思いますが――構造改善事業の災害を受けた問題等について、もう少し突っ込んで質問したいと思うのですけれども、これではできません。それから、その他文部省等にも質問したいのですけれども、きょうは保留しておきます。
#40
○吉田忠三郎君 私は、ただいまから政府に対して、災害に対する基本的な考え方、それと関連をいたしまして、農政の基本的な姿勢について若干伺いたいと考えます。
 ただ、時間がかなり経過をしておりますし、建設大臣が三時半に所用のために退席せられるということを承っておりますから、非常に時間に制約されますことを残念に思っておりますが、毎度委員会に、他の大臣は別として、建設大臣が出席しておりますので、私ども委員会は大事でありますけれども、きょうのところは、建設大臣の所用を私は認めざるを得ないと考えます。そのようなことを念頭に置きつつ、一問一答のかっこうではなくして、できるだけ要領よくまとめて一括申し上げたいと存じますから、大臣並びに関係の省庁の諸君も要領よく私は答弁をしていただきたいと思います。
 御承知のように、本年は台風もたいへん多発をしておる年でございます。中でも九月の上旬からは、二十三号台風、二十四号、二十五号と相次いで台風が発生をいたしました。特に今度の台風は豪雨が相伴っての来襲でありまして、一説には五百億トンもの雨量であったと言われているものでございます。それだけに、ただいままでに多くの同僚議員も申し上げたとおり、山くずれであるとか、あるいは洪水はことばにあらわすことのできないほど、見るもむざんなつめあとを残したと言っても過言でないと思います。先ほどの集中豪雨とあわせまして、いままで他の委員も触れたかと存じますけれども、人的な被害がおおむね百十四人にのぼり、本年最大の被害を記録をいたしましたことは、まことに痛ましい限りであると言わなければならぬと思います。幸い、北海道は人的被害は少なく済んだのでありますが、しかし、ただいままでに各委員も申されましたように、全国共通の問題として、全道的に強い雨が降り続いたのであります。したがいまして、河川のはんらんなどによる水害が各地で続出をいたしました。ことに札幌市の場合は、二十三号の傷がいえぬままに再び大雨に見舞われましたために、市内の河川や、あるいは排水溝があふれまして一挙に五千戸もこえる家屋が水びたしになった事実がございます。また、栗山町でございますが、町道が三十メートルにわたって流されたために、角田炭鉱という炭鉱が背景にございますが、この炭鉱では五百戸が孤立をするというふうな悲惨禍を招いたいい例かございます。政府はすみやかに――先ほど建設大臣も申されましたが、台風は今日ではもう毎年毎年参ることが常識になっていますから、これに対するすみやかに私は救済あるいは災害の復旧対策を講ぜられたと考えますけれども、それにしても、台風が来襲するたびにきまって土砂くずれ、あるいは河川がはんらんする。私はいまなお十年一日のような政府のこの対策について全く失望せざるを得ないという面があるわけであります。ただいま同僚の武内委員も申されたとおりであります。で、私はこうした場合に、先ほど来いろいろ質疑応答されておりましたが、治山や、あるいは治水、災害防除の管理が今日十分行き届いておりさえすれば、まだまだ犠牲者であるとか、あるいは被害を最小限度に防ぐことができるのではないか、こう考えるわけです。これは今度の災害だけではなくして、昨年の災害、あるいは二十九年災、三十年災等々、しばしば本委員会で指摘をされて、それぞれの答弁がなされているところであります。この点につきましては、今次災害におきましても、私はこの委員会の当初におきまして指摘をいたしておったわけでございますが、こうした事柄については、一歩政府の対策が怠る場合は、私はただ単なる自然現象による災害ではない、明らかに人災だと言わざるを得ない。その人災のために大惨禍を招いている例が全国至るところに存在をしているわけでございます。なお、いまだに、今日災害が一そう激化をしていますけれども、さて、そういう危険性の伴っている条件が一体全国になかったのかどうか。私はもう至るところにこういう問題が存在をしているのじゃないか、こう考えるので、対策本部長でありまする建設大臣は先ほど来同僚議員に答えておりまするけれども、五ヵ年計画がどうであるとか、あるいは今年度の予算要求がどうであるとかということを答えられておりますけれども、これでは私は一般国民が安心をしていられないのではないか、そういう気がするので、政府を信頼することができないのではないか。私自体がこの委員会に所属をいたしまして、全国至るところを歩いておりますが、私どもが知り得た体験、経験の中からこういうことを想像いたしますると、背筋が寒くなる思いがしてならないわけでございまして、この点については大きな国策の大柱として考えられなければならない問題だけに、もっともっと私は建設大臣なり、あるいは全体を掌握、把握をいたしております総理府の長官――いまお見えになっておりませんが、副長官いらっしゃいますが、それぞれの考え方を私はこの委員会で明らかにしていただきたい、こう思うのでございます。こういうことを申し上げますれば、政府は必ずと言っていいほど、毎回の委員会で、治山治水には力を入れて万全を期している、こう表現をしてきたわけであります。しかし、先ほど答弁された、たとえば今度の五ヵ年計画は別でございますが、いままでの政府が、いま予算編成期であるだけに、私はいまあえて申し上げますけれども、この種対策に対する予算要求あるいは予算の決定等々を見てまいりますれば、私が申し上げるまでもなく、御承知のように、他の事業に比べますと、その伸長率というものはきわめて低い。しかも、その結果、今日満足な、たとえば河川の問題を取り上げても、何一つできていない。特に中小河川等々におきましては、全国的に百年河清を待つといった心細い状態である、こう断言してはばからないと思う。私はこういう状況下にあって、先ほど答弁がございましたけれども、現在すでに千四百十七億の公共土木災害がございますとこの委員会で答弁をしています。私のいままでいろいろの統計等々を見た中では、年間に三千億と一般に言われていますけれども、日本の国は台風災害その他の災害で損失をこうむっている。これは国損といいますか、言いかえまするならば、国民一人一人の私は財産が失われているんじゃないか、こう思うわけです。こうした状況を考えてみた場合に、政府はどういう立場で国土保全というものを考えられているのかということを、私はいま申し上げたような立場から考えてみますると、治山治水というものを一日も怠ることは許されないのではないか、こう考える。多少抽象的になりますけれども、そういう気持ちがいたすわけであります。ですから、きょうは建設大臣がいらっしゃるわけですから、特に治山治水の関係になりますと担当大臣でございますから、もう少しこの場を通して、国民が安心をして、あるいは国民が納得のできるような歯切れのよい、心あたたまる私は答弁があっていいんじゃないか、政府の考え方を明らかにしていいんじゃないか、こういう気がいたしますので、その点をひとつお答えを願いたい。
 それからもう一つは、最近非常に無計画な全国的に都市づくりが行なわれております。これがために、非常にさらに被害を増大をしているという現実にも、関係各省庁は目を向けなければならないのではないか、こう考えます。一つここで例を申し上げますけれども、たとえば先般の二十三号台風の場合に、札幌市の白石という地区がございます。それから手稲町に新しい新興団地がございますけれども、こうしたところがたびたび災害に見舞われている。しかも、非常に他に甚大な影響を及ぼしている。こういうこと等が、先ほど申し上げたように、最近とみに全国的に流行になってまいりました新しい都市づくりの典型的なものではないだろうか。私はまあこう思っております。特に、白石地区におきましては、下水道完成がまだ依然として皆無である。しかも、農地を宅地化したために、宅地の進度に排水施設が追いつかない、こういう現象があるわけでございます。ですから、一度大きな雨が降ってまいりますると、たちまち洪水になってしまう、こういう現象がございます。こういう現象というものは、いま例をあげた札幌市だけじゃなくして、全国至るところの都市にこういう問題が存在していると私は考えているわけです。これと同じように、最近山間部にまた非常に建物が乱造されてまいりました。こういうことについても、監督すべきそれぞれの省庁、指導すべき行政機関が一体どういう指導をしているかというところに私は非常に疑問を持つものでございます。昔でございますれば、川がはんらんしても、適当な余地を持っておりましたから、それがさして大きな災害にはなりませんけれども、最近は、先ほど申し上げたような状況下にございますから、非常に災害が伴う。しかも、それとあわせまして、特に、そうしたところの河川にまで発電所などといういろいろな建造施設等々がふえてまいる、こういう状態ですから、水の動態というものが旧来から見ますると非常に変わってきているという現象は、これは建設省の河川局でも十分承知おきだと思う、こういう点は。ですから、私はこういう関係をこれからどう調整をしていくかということが問題だろうと思うのですよ。佐藤総理大臣はよく調和であるとか調整ということばを使いますけれども、こういうところに私は調整ということばを使うのではないかと思うのです。ですから、こういう点を一体どう考えているかということを、この際私は伺っておきたいというふうに思います。
 さらに、いろいろ政府は地域格差の是正であるとか、あるいは高度経済成長のひずみと称しまして、最近中期経済計画なるものを樹立をして、盛んにそれを宣伝したり、あるいは選挙のあるたびに、それぞれまあ公約の形でやっていますけれども、決して私はすべてがどうこうということはこの席では申し上げません。上げませんけれども、私はいま申し上げたいろんな事例を取り上げてみましたけれども、せっかく個々の開発ができたとしても、いま申し上げたような現象から新しい災害というものをつくり出している、こういうことを一体政府はどう見ているかということなんですね。ただ単に一般的な申し上げられるような災害というふうに見ているのか、あるいは前段私が申し上げたように、こういうものはやり方によっては、先ほど言っておるように、管理のしかたによっては防ぎ切れるものなのか、ですから人災というふうに見ているのか、この点も明らかにしていただきたい。せっかく多額の国民のとうとい税金をもって公共投資をしている、年々歳々開発された地方の国土が次々に破壊されているという現実を政府は一体どう考えているのかということを私は非常に心配するものの一人です。私はそういうことを考えてみた場合に、今日の段階では、やはり何と言っても防災が最大の開発ではないか、こう考えているわけです。そういう認識を高めることが私は災害対策の基本ではないのか、こう考えています。ですから、私はいま自分の考え方を申し上げたわけでございますが、こういう考え方に対して政府というのはどんな姿勢であらねばならぬかということは、申し上げるまでもなくお持ちだと思う。ですから、この際、いま申し上げた事柄について政府の基本的な姿勢、それに対する方針、具体的な計画等々について私は明らかにしていただきたい、これが質問の第一であります。
#41
○国務大臣(瀬戸山三男君) 吉田委員からきわめて基本的な御意見がありましたが、率直に言って私も同感であります。災害、水害等がなくなるようにすることを国民が期待しておる、そうありたいものだと、これはまあ政府の怠慢をおしかりになるかもしれませんけれども、そういう気持ちに変わりはございません。ただそういうふうに国民が安心するようなことをここで明らかにせいと言われましても、率直に言っていま直ちに安心ができるという状態を早急につくりますということは、残念ながら申し上げかねるわけであります。
 最後にお話しになりました、何と申しますか、人災か天災かというお話しもありましたが、これは重ねてしばしば申し上げて恐縮でありますが、まだまだ相当期間は、これを完全に災害、特に水害を排除するということは完成ができない、私どもは、おしかりがあるかもしれませんけれども、残念ながらそういう考え方でいま進めておるわけであります。そういうことで、しかも災害は必ず起こるというと、これは言い過ぎになるかもしれませんけれども、日本の状況はそういう状態でありますから、御承知のとおりに、災害基本法などをつくりまして、そうして、そういう災害をできるだけ最小限度にとどめる、国民全体の努力によって、起こるべき災害をできるだけ最小限度に食いとめるという意味で、全国にそれぞれ防災会議などをつくって、それに備える各種の方針、対策を立てる、こういうことをやって努力をいたしておるわけであります。ただ、そういうことも必要でないようにすべきである、これは私は御意見としては全く同感であります。ただ、しばしば申し上げて恐縮でありますが、それが急場に間に合わせるようにはなかなかまいりません。前にも申し上げましたけれども、この日本の河川の状況等をつぶさに検討いたしまして、それも自然の状況や、あるいは降雨量の変化等によって、地形の変化等によって、そのつど改定をしつつやるわけでありますけれども、現在私どもが責任省として考えておりますのは、先ほどもちょっと触れましたが、約十兆円の財政を必要とする、これは現時点における積算であります。そういうことを頭に置きまして進めておりますのが、繰り返して申し上げますけれども、治水計画あるいは治山計画というものでありますけれども、これはどういう目標を立てておるかと、前にも申し上げましたが、少なくとも重要なる河川、起こりますと広範に災害が起こりそうな河川を目標にして重点を置いて従来やっておるわけであります。少なくとも今後十二年ぐらいで五百河川ぐらいはまずそれほど心配しないような状態につくり上げようじゃないか、これは全部――それはそのほかを放任しておくわけじゃありませんから、たくさんの河川の中でそういう五百河川ぐらいは十二年ぐらいでまずそう心配しなくてもよろしいような、いわゆる治水措置を講じようじゃないか、それから今後十五年、あと三年ということになりますけれども、進めつつある河川五百河川を含めまして二千河川ぐらいの、災害の予想されるような河川の二千河川ぐらいを今後十五年間でまずそう心配しなくてもよろしいような状態にしようじゃないか、これがいま進めております治水に対する考え方であります。けれども、率直に申し上げて、いまもお話がありましたように、災害は時を待ちませんから、これはできるだけ早く、何も十二年間、十五年間を、その期間を待つということは最上の方策だとは思っておりません。できるだけこれを短縮することに努力することが当然のことであると思いますが、いまの計画の進め方はそういう想定のもとに進めておるということであります。もっとこれに力を入れるということは、おっしゃることはよくわかります。これは言いわけではありませんけれども、道路にいたしましても、あるいは住宅にいたしましても、その他いわゆる国民生活万般に待ってくださいということは、必ずしも政治全般から言いましてもできないことが多いわけでありますから、それは災害を未然に防ぐことは国の政治の基本である、全く私はそう思います。したがって、国力に応じてやるわけでありますから、三兆一千億余の限度予算でやるわけでありますから、そういうものを全部あるいは大半をこの河川に、あるいは治水に充てたらどうかということも、考えることはできないわけじゃありませんけれども、しかし、ほかのやはり非常におくれている国民生活上あるいは国民経済上措置をしなければならないものがありますので、そのところの勘案ということをやはり考えなければならない。それにしても、どうも私自身、もう少しといいますか、もっと災害対策と申しますか、防災政策にもっと力を入れる必要があるということを実は痛感いたしておるわけであります。
 それから、おっしゃるとおりに、最近の災害は中小の河川あるいはいわゆる都市部に相当起こるようになりました。これは前に申し上げて繰り返して恐縮でありますが、無計画ではないかとおっしゃることは、私はそういうことはございませんとは申し上げません。宅地の造成にしましても、町の拡張にいたしましても、あるいは道路の新設、舗装、あるいは土地改良、農耕地の改良というものは、やっぱりこれは水に大きな関係があります。そういうことが水の処理の問題と、いわゆる防災の点から、必ずしも総合的に行なわれておらないという大きな欠点があることは認めます。したがって、私どもは、実はそういうものを含めて、宅地造成をするにしても、町の計画をするにしても、土地改良をするにしても――今後、御承知のとおりに、道路の新しい開さく、また既設の道路の舗装、こういうものを進めますと、必ず水との関係が重大でありますから、そういうものをあわせてやはりこの深刻な日本の水を中心とする災害というもの、そういう計画を検討すべきである、こういうことを常に責任者としては指導いたしておるわけであります。各省間のいろいろなちぐはぐもありますけれども、これはやはりお互いに是正をしていくことに真剣に最大の努力をしなければならないであろう。先ほど札幌市のお話もありました。前にも申し上げたと思いますけれども、札幌の町はだんだん広がっていく、ほとんど排水というものを考えないで宅地造成がされたり、あるいは町の拡張がされたり、こういう事例があるわけです。特にまた丘陵地帯の宅地造成をしなければならない、これがそのために下流にどういう影響を及ぼすか、従来土の中に浸透していった水が表流水として一挙に流れる、このために、せっかくの一級国道の舗装道路も、豪雨時には交通が不能だ、こういう状態が各地にあらわれております。こういう点はやはりいまおっしゃるとおりに、その部門だけでなしに、その改良なりその作業というものが一朝降雨の際にどういう現象を起こすかということを、もちろん各般の状況を総合して施策をやるべきである。これはなかなか口で言うようにうまくいかぬかもしれませんけれども、いまおっしゃるとおりのところに、やはり強い留意を持ってやるべきであるということを痛切に感じておるわけであります。
 それから治水、地域格差の問題とありましたけれども、これは私はここでは申し上げたことはありませんけれども、やはり縦貫自動車道等もつくって、もう少し高速自動車道もつくって、日本全体の平均した住まい場所をつくることが、将来の日本のほんとうの意味の国づくりであるという考え方を進めておりますが、やはりそういうものをいたしますについても、自然の状況に相当の変化を来たしますから、天から降ってくる雨というものの流れぐあい、あるいは排水ぐあいというものに相当の変化を来たす。したがって、現在の河川計画が必ずしもそういう状態にマッチするかどうか、こういうことをやはり検討すべきであるということも、それぞれ専門の筋には申しておるという状況であります。
 お答えが足りないかもしれませんけれども、私は率直に言って、吉田さんがいま御意見として御注意ありましたことは、重々そういうことはございませんという気持ちはございませんから、御了解を願いたいと思います。
#42
○吉田忠三郎君 いま大臣から率直なお答えがありましたから、あえてここでそれ以上申し上げるということは論争になりますから申し上げませんけれども、しかも、時計はもう帰る時間になっておりますので、まだまだ次回に細部にわたった質問等ございますし、そういう機会もあろうかと思いますから、あえてそういう論争は私やめますけれども、問題は、政府のやはりこれに対処する心がまえがやはり大事だと思うのです。いまその一端は大臣から申し述べられましたが、多少飛躍いたしますかもわかりませんが、たとえば、いまいろいろ政府の財源に限度があるために、いわゆる来年ですね、来年度の予算編成期になりますが、その財源確保のために公債発行論がかなり世間では、いい意味においてですよ、問題になっておりますね。ですから私は、大臣がいませっかく答えられたように、十兆円というやつは、たいへんなこれは巨額だと思いますから、それを一挙にここで政府が責任をもって調達をしてやれと言うてみたって、これは至難だということは承知しておるわけですよ。ですけれども、いままで災害が起こるたびに、ここ数年来こういう議論が毎度この委員会を通してされてきたわけであります。政府は必ずしも全く努力していないなどということは私は申し上げませんけれども、せっかくいま大臣のようなお答えがあるとすれば、私は、道路公債なりあるいは災害復旧債券等々というものを前向きの形で政府が具体的に政策の一環として検討されて、積極的に私は取り組む姿勢というものを示してもいいのではないか。むしろ、いま公債論が、発行についてあるいは賛成する人もあるであろうし、あるいは国民の大多数の中では、インフレを助長するのではないかという心配の向きもあるようでありますが、そういう心配は、この道路公債を発行したり、若干飛躍するかもわかりませんが、災害復旧の債券を発行していくというかっこうになりますれば、何といたしましても、やはり国民全体が要望しているような方向に、政策的にもそれを具体的に施策にほどこす場合には、国民生活に密着しているだけに、その心配が私はないのではないか、こう思うのです。こういう点について、一体閣議なり政府全体として、その議論をしてみたことがあるかどうかというようなことですね、こういう点を私は常に考えている一人です。これが一つです。
 それから、いま大臣がちょっと若干触れましたが、各省庁のそれぞれの施策のアンバランス等に触れましたが、細田副長官に私は伺っておきますが、これは毎回現実に私どもは災害調査に出向いてみますれば、必ずといっていいほど、末端にまいりますればまいりますほど、これが非常に障害になっています。災害復旧について、もう建設省は建設省、あるいは農林省は農林省、あるいは文部省は文部省、ばらばらな施策、行政を行なっている。これがために、地方のそれぞれの災害を受けた代表機関として地方自治団体がそれぞれ陳情に来たり、あるいは請願に来たり、あるいは査定官が現地に参った場合に、査定官に直訴をする等々のことがございますけれども、そういう形式は別として、東京に来て一体どこに行ったならば具体的な核心に触れる問題の解決のポイントを握られるかということについてたいへん苦労しております。ですから、これはやはりこの際は、大臣も御承知置きのとおり、申されたとおり、今日の日本の立地的な条件というのは災害の常襲地帯ですよ。これはもう一つの常識になっておると思うのです。そのことは過去の歴史から見たって、過去の統計から見たっても、否定のできない事実です。残念なことです。こういうことはあまりよいことではございませんが、これはもう常識になっている。ですから私は、この際は抜本的に総理府なら総理府というものが全般を把握して、総理府に行ったならばすべてのことが整備をされている。一挙にいかぬとしても、連絡だけは十分とれるという総合的な行政施策というものが私はやはり必要だと痛感するのです。これは私は政府を鞭撻する意味から言っているのですよ。ですから、こういうことについても、毎回の国会あるたびに、あるいは災害あるたびに、これらの問題については論ぜられてきたのです。ところが、残念なことには依然としてこの問題が解決、解消されていないというのは、明らかに日本の官僚機構、特権官僚がばっこしておって、これらを阻害しているということを、私はこの席であえて言わざるを得ない面がたくさん出ています。ですから、こういう点を十二分に、きょうは大臣一人しかおりませんけれども、閣議でこういう問題をひとつ真剣に取り上げて、国民の負託にこたえるように、政府の政策、施策としてそれが具現できるようにしてまいらなければならぬのじゃないかというふうに考えますから、総理府の副長官は、この点についてどうお考えになるか、ひとつ伺っておきたいというふうに思います。
#43
○国務大臣(瀬戸山三男君) いまのお話の中で、こういう対策のために公債というような議論があるけれども、やはりそういう面についてはやるべきじゃないかというようなお話がありまして、あえて答えろという御趣旨でなかったと思いますけれども、全くそうだと思います。まあ公債がどの程度出せるか、出すべきかということは、いま検討中でありますけれども、道路公債であるとか、あるいは災害復旧対策の公債であるとかという名目はつかないと思いますけれども、公債は必ずこういう面を目標にやるべきである、こういうことだと思います。現在そういうことを中心にして議論をいたしておるということだけ御紹介いたしておきます。
#44
○政府委員(細田吉藏君) 災害に対しまして、きわめて基本的な御意見を拝聴いたしたわけでございますが、その中で特に行政の機構、行政のあり方について御質問がございまいました。もうすでに御承知のように、昭和三十七年に災害対策基本法を設けまして、中央防災会議、地方防災会議というようなものを設けて、そこが中心になって防災もしよう、また災害が起こった場合のこれに対する対策の万全を期していこう、こういう形が一応できておるわけであります。しかし率直に言いまして、なかなかこれが完全な形で動いておるかどうかということになりますと、私ども大いに反省しなければならぬ点が多いと考えております。今回のたとえば二十三号ないし二十五号のような台風に対しまして、すでに御承知のように、瀬戸山大臣を本部長としまして非常災害対策本部というものが設けられまして、これは少なくとも今回のような大きな災害に対しましては、こうした各省庁の割拠主義といいましょうか、セクショナリズムといいましょうか、そういったようなものを排除していく、また、災害をお受けになった方々がどこへ行っても話が必ずしも通じないというようなことは絶対にないようにしようということで、実はいち早くこの非常災害対策本部をつくってまいったようなわけでございます。常時の機構といたしましては、中央防災会議というものが総理府に置かれて、そういういまおっしゃったような各省庁の調整をいたすという役割りになっておるわけなんでございますが、そういう点についての私どものPRなり、あるいは実体面における活動なり、そういう点が不十分な点があると思います。これらの点につきましては、私ども強力に法律のほんとうの精神に従って運用もしてまいり、また、国民の一般の皆さん方にも十分なPRもいたさなければならぬ、かように考えておるような次第でございます。この中央防災会議の機構、これは法律上明らかでございますように、この機構をつくってやればそういうことがなく、各省の割拠主義というような問題についても、十分対処できるだけのかまえはできておるのでございまして、問題はそのかまえを実行にあらわすということが要点ではないか、かように考えておりますので、今後御趣旨に沿いまして、十分ひとつ働かせてまいりたい、かように思っておるような次第でございます。
#45
○吉田忠三郎君 両責任者から、それぞそ答弁がございまして、おおむね、私も政府の姿勢というものをある程度承知をいたしました。そこで、この場合、ちょうどいま予算要求がそれぞれ各省庁終わった段階だと思うので、これからそれぞれの査定に入るわけでしょうけれども、去年も、私はその段階で各省庁の予算要求をした資料を全部求めまして検討してみました。ただいま細田副長官か、かまえとしてはできている、――私もできていないと言いません。しかし、具体的に予算要求した段階あるいはきまった段階でも、まだ依然として各省庁のなわ張り争いといいますか、そういうものが存在をしていると私は認識せざるを得ないものですから、少なくとも、四十一年度の場合は、かようなことのないようにして、どこかで強力なチェックをして、いささかも国民の負託、要望に欠けることのないように、私はやっていただきたいことを要望いたしまして、時間が若干過ぎましたけれども、建設大臣の退席は、してけっこうだと思います。
 そこで、先ほど申し上げたように、災害の問題と関連いたしまして、農林大臣を要求したわけでございますけれども、きょうまだお見えになっておりません。前回から保留しておった件で、政務次官おいででございますから、ただいまから、これも要領よく一括伺ってみたいと思います。
 いま国内で、これはもうすべての人の常識になっているわけでございますが、池田内閣当時に、高度経済成長政策というものを政府はとってまいりました。いろいろな現象というものが起きてまいりまして、佐藤内閣になってから、それの手直しをしなければならない、こういうことが出ていますね。ですから佐藤さんへ池田さんからバトンタッチされて、総理大臣になられたときの所信表明でも、この点は明らかになっております。ここに速記録ができてきておりますから、その点ははっきり言えると思います。その内容を私がここで申し上げますと、時間がありませんから申し上げませんけれども、その高度成長のいろいろな変則的な現象は多岐にわたっておりますけれども、その中で、私は一番犠牲になったのは農業であると思うのです。この農業をいかに立て直すかということは、池田前内閣末期以来の課題であったことは、間違いないと思います。しかし、当時さすがの池田さんも本会議で、このことのアフターケア的な政策、施策として、革命的な農政で対処すると大みえを切っておるわけです。切っておりますけれども、結果としては、革新的な農政は今日、ただ単なる私はスローガンに終わったのではないか、こういう気がしてなりません。そして、その課題というものが、そのままそっくり現内閣の佐藤内閣に引き継がれた、こう見ていいと思います。なぜかなれば、佐藤さんの所信表明で、池田内閣の政策を踏襲するということを明らかにしておりますから、こういうことは言って間違いないと思う。そこで、きょうは大臣おりませんけれども、佐藤内閣の政府行政機関の一員でございます政務次官に、これに対する、この問題に対してどういうようなお考えをお持ちになっておるのかということをひとつ伺ってみたいと思うのです。ただぽっちりこう言ってもなかなかこれは即座に基本的な政策の問題ですから答えられない。ですから参考までに多少政策的な面になりますけれども申し上げて、その中から私は答えていただきたいこう考えるわけです。
 私は、当面の農業の再建を考える場合に、緊急な問題が二つ存在しているのじゃないかというふうに考えます。で、基本的に申し上げますれば、農業経営危機の打開という問題が一つあります。それからもう一つは、国民生活と関係の深い農産物の価格をいかに調整するかという問題があるのじゃないか、この二点にしぼられてくるのじゃないか、こう考えます。もちろんこの関係、この問題を突き詰めてまいりますると、表裏一体の問題ですから、これを切り離して、二つあるからといって切り離して考えるということは、これはもうできないわけでございますけれども、現行の農政の基礎になっているというものは一体何であるかということを、この場合ひとつ考える必要があるだろうと思う。そういう立場で私は考えてみたときに、何といたしましても農業基本法だと思うのです。この農業基本法というのは、骨子に何が定められておるかというと、経営とそれから生産状況を一新をして、価格政策をも併用して農業の所得格差を解消するということがその基本になっております。これは政務次官御承知のとおりですね。で、それが経営の合理化が今日難行しているばかりじゃなくて、今日この価格政策に巨額の財政負担を行ないつつも、なお農産物価格の高騰を招いている現状は、大多数の国民の批判を受けるに至っているわけです。これはなぜそういうことになったかということを今度逆にまた考えてみなければならぬと思う。私は、これは基本的には、端的に申し上げますけれども、高度成長政策のため農業を犠牲にしたことに最大の原因があると言わざるを得ないのじゃないか。これはもうものの見方、考え方、立場が違っておるということじゃなくて、すなおに今日の農政そのものの現状を農業基本法という法律の精神に基づいていま現実面を把握してみれば、こういうことを言わざるを得ないのじゃないか、こう思うのです。しかも、そうした中で私は、政務次官が次官になられましてからさほど日がたっているわけじゃないのですから、失礼な言い方を申し上げますけれども、それほど中身をしさいに検討されて、ここでそのものずばりどうだということを言えないのかもしらぬけれども、そういう問題の端的な私はあらわれというものは、国内の対策が準備をしていないままに強行されてまいりました農産物の自由化というものも、これは非常に一つの要因になっていることだけは、これは間違いないのじゃないか、こういう私は見方をするわけです。で、政府は今日この自由化というものは世界の大勢であるからということをしばしば申してまいりました。しかし、この自由化が世界の趨勢、大勢であるからというただ単なる私は単純な見解から農産物の自由化を拡大したり、あるいはそれを拡大しようとすることに非常に問題がある。なぜかならば、これに対する、先ほども言ったように、何らの準備がないわけです。具体的に申し上げますれば、国内の農業に対して何らの政府は保護的な政策を加えていない――この問題をとらえてみるとですよ、いない。そうして、ただ自由化は世界の趨勢、大勢であるからということでその自由化の荒波に今日の日本農業というものがさらされているのじゃないか。こういう国は私はおそらく諸外国には私の知っている限りではないはずであります。むしろ諸外国では、この農産物の輸入については関税率の操作などで調整をしたり、あるいは一方、輸出をする場合、輸出に対する奨励金制度、あるいは二重価格制度等々、何らかの政策的な措置をとっているのが各国の現状であるということを、私は多少諸外国に参りまして諸外国の農業政策を見たり、あるいは日本に帰ってきてそれぞれ文献である程度私は認識をいたしている実態ではないか、こう思っておるわけです。こうした実態を検討をして、いまの政府は国内価格というものと国際価格の比較だけで打ち出して見ている。そうしてこの自由化に走っているところに私は問題が存在している。これまで農産物の自由化が御承知のように自由化率の引き上げや、あるいは盛んに佐藤内閣も申しておりますけれども、経済外交などということばを使いますが、その経済外交の取引にこそ利用されたことはあるけれども、いかに今日の段階で政府がこれについては強弁してみても、私は、否定のできない事実として日本の農業に存在しているのじゃないか、こういう気がします。端的にいえば、生産政策が失敗したのは、一つには、高度成長政策に、成長に労働力をひたすら奉仕させたことがその一つの原因であり、農業の合理化の計画にあたって高度成長が引き起こした経営諸条件の変化を無視をして農民の意見をいれないで、先ほどの問題と同じように、農政官僚の独善的な方針を押しつけた、こういうことがさらに事態を私は狂わした原因じゃないか。そうしてまた、その責任はしたがって非常に大きいと言っても過言ではないと私は認識している。こういう点は一体どうお考えになっているか。大体それからこのようにして生産の諸条件が確立をされていないので、農産物の価格政策にもおのずから限界があることは、言ってみても、私は、農業の生産政策もさることながら、農産物の価格は、農業経営の面からも、国民生活安定の立場から見ても、非常に私は重要なものである。生活の原則たる衣食住の点から見ても、そういうことが言えると思うのです。今日政府は現状の諸問題解決のために、根本的に考え方をもう直さなければならぬ時期に到達をしているのではないか、そのように考えてみると……。ところが、どうも政府のこの問題に対処する姿勢といいますか、かまえといいますか、基本的な考えというものは、国民の立場から見ますれば、いささか緩慢に見えてならない。一体所管――きょうは大臣がおりませんから、大臣を補佐する政務次官として、こういう問題をどう把握されて、しかも農林官僚の諸君とどうこれは具体的に問題を相談をし、政府の基本的な問題として農業政策の問題があるはずですから、それらをどう行政の面で施策として実行に移していくかということをこの際私は聞かしていただきたい。
 それからもう一つは、審議会のことに若干触れますけれども、政府の農産物の価格政策に対する姿勢は、あの審議会で発表されました内容がそうではないかということで私は読んでみました。農産物の価格政策の総合的な検討結果というものが出ましたね。これを読んでみても、そのことで私は政府の農産物価格政策というものを読み取る以外にないし、ある程度それで読み取れるのではないかと思うわけです。思うのですが、これは農業基本法に基づいてあの検討結果というものが初めて出されたものだと私は理解します。あまり古いことは知りませんが、以前のことはわかりませんが、国会に参画をさせていただいてからでは初めてではないかと、こういうふうに感じていますが、私はごらんのとおりきわめて口の悪い男でありますが、これはただ単に悪口ではなくして、まじめに申し上げてみても、あの内容はただ単に過去の実績と現在の問題点を羅列をしているだけにすぎないのではないかと思いますが、一体政務次官はどうお考えになっているかということ、私はあの中で、つけ加えて申し上げますと、一応審議会で出されたものですから、農林省としてはこれを踏襲していくということになるであろうと思うのでつけ加えるわけですが、政府が今後物価政策をどのように進めるかというあの内容には、具体性というものが一つもありません。具体策というものがないわけですから、今後これと取り組む具体策を政務次官から、本委員会を通して私は国民の前に明らかにしていただきたい。これはただ単に農民だけではない。先ほども言ったように、国民の食生活に非常に関係のある問題ですから、この点を明らかにしていただきたい、こう思います。しかも、これは悪口じゃなくて、まじめに申し上げるということを言うたのでありますが、ああした内容のものが、農政審議会のかなりの年月を費やして審議をいたし、その結果が出てまいったわけですけれども、かなりの学者であるとかあるいは農業についてあるいは農政の専門家等々がいらっしゃるのだと思うけれども、あまりにも内容というのは貧弱であって、これでは一般の農民に関係のない国民が見ても、何かしら政府のこうした審議会というのは、ただ単に、政府やあるいはそれを取り巻く高級官僚の隠れみのにすぎないという印象を与えるのではないかということが一つと、もう一つには、それだけに農民は泣きつらにハチというたぐいのものによりなっていないというふうに私はこの際言わざるを得ないと思うので、こういう問題についても、政務次官どうこれからお考えになり、具体的にこういう問題について、どうあなたは大臣を補佐する立場から対処するつもりであるか、あわせてお聞かせを願いたいと思うのです。
 それからもう一つは、今日政府が農産物価格に対して非常にあいまいな態度をとっています。私は、そのあいまいな態度をとっている背景は、私なりきに全くわからないわけでもない。しかし、それは政府のとっている態度に、価格政策のために多額の支出が伴うわけですから、そしてまた、その目的とした農家所得の格差が縮まってこないのです、依然として。現在そうですね。そういう一つの現象、あるいは一方では、最近世論のたいへんやかましい問題になっていますが、消費者物価が高騰を続けてきておる。最近非常にこの点また心配の種になってきていますけれども、こうした矛盾と、もう一つは、農政上、先ほど来しばしば指摘していますように、一種の混乱が起きているわけでありますが、政府は価格政策に対して、この点では私は今日の段階では自信を失っているのではないか、こういう気がする。これがために、その方向すら見出すことができ得ないのじゃないか。端的にいってこれが実態ではないのか、こう思うのですが、こういう点についてもひとつ御所見を私は伺っておきたい。
 それから価格政策というものが今日まで実を結ばなかったという原因はどこにあったかということ、これらも私なりきに分析してみますと、いろいろな条件があります。あるいは、いろいろな現象がございますけれども、大まかにいって、やはり政策運用を誤っていたところに一つの原因がある。こういうことを私は指摘をしなければならぬし、いままでの農政をしさいに検討してみますと、それをまた指摘をせざるを得ない。こういうのが私は出てくると思う。私は何といっても価格政策に期待される第一の条件は、政府のきめる価格が、少なくとも農業の場合は農家の生産費を補償して、災害の場合でも同じことでありますけれども、再生産ができるような水準を補償することでなければならない、こう考えている一人であります。現在価格政策の対象農産物というものの中には、ある程度その生産費が補償されているのは御承知のように米だけであります。米価だけであると言えると思う。しかし、毎度私が申し上げますけれども、畑作農業の主要な作物である、特に寒地農業振興と密接な関係のあるビートであるとかバレイショ、ジャガイモといっておりますがね、一名。それと酪農業と、これまた非常に関係どころか、酪農業から発するものでございますけれども原料乳などございます。これらは価格をいろいろ見てまいりますと、いずれも生産費を下回る低水準に置かれているという現状は、政務次官も十分認識していると思います。われわれは、そういう実態をいままでのそれぞれの委員会あるいは本会議でその理由というものを政府にお尋ねをいたしてまいりました。ところが、政府はきまって需給の実態を考慮したもので、まさに妥当な水準であると、いつの国会、委員会でもそうした弁解がましい答弁をいたしてきたと思うのですね。毎度オウム返しのようにそうしたことを強調してきたことは、私ども十分身をもって体験をしているわけです。そこで私は、しからば政府のいう、ほんとうにその実態を考慮したものであって、妥当なものであるかどうかということ、需要と供給のバランスが考慮されてそうなっているかということで、需給の実態等々をいろいろ私なりきに調査もしてみたことがございますけれども、しかし、どうも納得のいかない面が一つある。それは、毎度価格の問題をきめる場合、米価の問題もそうでありますけれどもですよ、その裏で、こういう席上では明らかにしないけれども、何か国民のたいへん理解しにくい、あるいは農民が納得のできない、あるいは生産者が納得のできないような政治的な工作が行なわれているというこの実態は、私は随所に出ているんじゃないか、こういう気がするのです。たとえば、ひとつこの例をもって申し上げますけれども、農産物を原料とする加工業の人々がたくさんおりますけれども、政府は、こうした諸君については採算点を非常に重視をしているわけですね。で、そのつどこれらの企業を行なっている人々に対しては、流通部門のマージンから価格を逆算したりなんかしている面もないとは言えないと思う。あるいはそうした中から価格を押えることによって、これは農林省の政策でございますけれども、農産物の作付を転換をさせる、こういうやり方を、たとえばビートについてもそういうことが一面言えたし、あるいはバレイショについても一面そういうことが言えた、あるいはその他ハッカについてもそういうことが言えた、こういう実態があるわけでございますが、多分にこの問題については、政府がその面に限って政策的な意図を露骨に示した場合が私は非常に多かったのではないかと思うのですね。したがって、政府決定の価格は大多数の国民、大多数の農家経営者にとって安定的な価格水準にならなかった点を今日の段階では政府としては重視をせねばならぬのではないか、こう私は思っているのです。それからこうした観点からながめてみる場合に、農産物の価格体系を思い切ってこの際、米価だけじゃないですよ、立て直しということも重要な私は今日の時点では懸案といってもいいんじゃないか、ここにも農政の一つとして農林省が積極的に取り組んでいいんじゃないか、こういう気がしますけれども、この点については次官はどうお考えになっているかということです。
 それからさらに消費者物価の高騰が問題になると、政府はそのつど、その罪というものは農産物の価格に押しつけるのがこれまでの政府の常套手段である、消費者物価が上がってくると、これは農産物の価格が非常に上がってきた、こういうようなことをしばしば国会答弁としては、逃げの態勢かどうかは別として、こういう答弁をしてきたんです。しかし野菜やくだものなどの農産物は、われわれの生活に欠くべからざるものだけに、その騰落というものは消費者物価指数に敏感に反映するわけであります。これらは、私は今日まで政府の農産物はじめ諸物価が上昇したのは、何といっても高度成長で物価が上がるのは当然だという歴代内閣のとってきた政治の姿勢にやはり問題があるのじゃないか、こう思うのです。ただいま国民のあらゆる角度から批判が向けられていますけれども、私はこういうものに対していまの佐藤内閣はこの問題をどうとらえまして、これから国民の批判にこたえ、そしてまたその国民の負託に、あるいは国民の要望にどうこたえようとしているのか、こういう点も非常にわからないので、もう少しこういう委員会を通して詳細に、具体的に、国民が納得のできるような内容を私は明らかにしていただきたいと思うわけなんです。こう言いますと、またまた農産物の場合は、流通機構に問題があるとか、あるいは物価対策等々についても、形式的にあるいは個別的に、多少のこういう手は打ったということできっと答えられると思うのですよ。しかしいまの国民は、もうこの段階ではそういう政府の言いのがれのようなことを言っても決してごまかすことは私はできないと思うのですが、ちゃんと国民のほうはよう知っているわけですよ。先ほど来申し上げているように、国民生活に密着しているだけに知っている。たとえば野菜類の場合タマネギであるとか、あるいはキャベツなどは、部分的に価格安定の措置がとられているのですね、いるのですけれども、現在どうですか。ほとんど価格政策のらち外に置かれているわけですよ。置かれているわけですから、現状野放しの状態になっておって、いまなお暴騰してみたり、あるいは暴落をしているというような状態を繰り返していることは、次官だって知っているのじゃないか。これが今日の政府の農産物の価格あるいは消費者の物価の問題を端的に証明している証左ではないのか、こう思うのです。こういう点はあなたは実感としてどう感じとられているかということをこの際伺っているわけです。これは私はもう実態ですから、何びとも否定できないと思うので、このような実情であるとするならば、現在の政府がとっておられる農産物の価格の問題、あるいは消費者の物価の問題等々については、かなり実態から遊離をしておって、特に農政の場合は遊離ところじゃなくて――離れているならこれは縮めることがかなりできますけれどもね、何らないのではないか、こう申し上げざるを得ないので、この辺はひとつ政府の考え方を明らかにしていただきたいというふうに考えます。
 かなり長時間にわたって一括基本的なことを申し上げてまいりましたが、いま申し上げたようなことは、災害あるいは冷害対策にも現状あらわれております。被害を不必要に大きくする結果にもなっていることはこれまた否定できないと思うので、この際関連いたしまして、農政の基本的な政府の姿勢を私はただしたつもりであります。私は今日の事態を打開することは、いまのような実態ではとうてい考えられない。したがいまして、これらについても政務次官の所管事項の範囲でけっこうですから、政府の方針あるいは計画、そしてまた国民が理解のできるような、納得できるような答弁を私は求めたいと考えます。
#46
○政府委員(後藤義隆君) この機会に、前の委員会において、北海道の共同受電施設のことについて吉田委員の質問に対しまして御答弁申し上げたのでありますが、この際に補足して申し上げておきたいと思います。
 吉田委員御指摘のとおりに、北海道においては従来公庫融資等によって設置されました共同受電施設の老朽化したものが非常に多いのでありますから、昭和三十八年度から四カ年計画をもってこれらの老朽施設の改善に補助することになったものであります。このうち北電移管の可能性のものについては補助率を若干引き上げまして、その促進をはかっているものであります。共同受電施設の北電移管については従来から努力をしてきたのであります。またその必要を私どもは認めているのでありますが、北電の事情もあり、なかなか所期の成果をあげ得ない実態にあったのでありますが、この点については今後とも通産省とも協議の上、一そうその促進につとめる所存でございます。
 立地条件等によって、北電移管の困難な共同受電施設につきましては、その推持管理負担を軽減する方策について現在北海道庁においてこれらの施設の実態について調査中でありますが、その結果を待って道庁と今後その対策について十分話し合いの上で検討してまいりたいと思っております。
 次に、ただいま農業の基本問題について、吉田委員から非常な重要な御質問がたくさんございましたが、これは非常な重要な問題でございまして、大臣でない私から十分な満足なお答えはでき得ないと思いますが、私の考えを率直にこの際申し上げておきたいと思いますが、先ほど吉田委員御指摘のとおりに、現在農村が非常に困っているのは高度成長経済の政策の影響を受けたということも私は多分にあると思っております。そうしてまた農業は、御承知のとおり主食はもちろん国民の食糧でありまするから、やはり私は絶対にこの食糧増産のたてまえでもってやはり政策は行なっていかなければならない。それには他の産業と違って第一次産業である農業は、まあもちろん林業それから漁業も含みますが、それには保護政策が必要である。他の鉱工業に比較いたしまして、同じようなふうな、ただ経済性のみを見て政策を立てるということは私はこれは間違いであって、経済ペースには乗らなくても、やはり農業に対しては保護政策をとらなければいかないということを私は基本的に考えているのであります。
 それからただいま吉田委員からも御指摘があったのでありまするが、農産物について貿易の自由化の問題もあったのでありまするが、私はやはり外国から輸入するということは、これはやはり押えなければいかない。そうして米その他についてももちろんでありまするが、外国から農産物を輸入いたしますと、それだけ日本の外貨が減っていくことになります。それを国内でもって生産することになると、保護政策をとり、あるいはまた補助金その他いろいろ金をたくさん出しても、これは国内でもって落ちる、国内に流通する金であるから、外貨というものは全然減らなくて、直ちにこれが国内において消費のほうに回ってまいるから、私はその政策はやはり絶対必要であるというようなふうに考えてまいっているものであります。そういうふうに基本的に私は農業については考えているものであります。
 それから、さっきお話のありました貿易の自由化についても、やはり私は他の鉱工業の生産品であるならば、もちろんこれは自由化もやむを得ませんが、先ほど申しますようなふうに非常に立地条件の悪いところの日本の農業は、これは自由化すると競争に非常に負けるようなことになるから、それであくまでやはり政府はこれを保護するというたてまえと同時に、他面において自由化はでき得る限り押えなければいけない。そこでもって現在政府がとっておりまするもののうちでも、主食その他についてはやはりこれは自由化は認めてないわけでありまして、押えてまいっておりますが、私はこれはあくまでそれを堅持しなければいけない、こういうようなふうに考えております。
 それから次に、農政審議会の質問があったのでありまするが、農政審議会について、私はまだ十分にその性格を把握しておりませんが、しかし、米価の生産者価格あるいはまた消費者価格を決定することに、先般も私は出席してその模様を見ておったのでありまするが……
#47
○吉田忠三郎君 それは米価審議会だよ。米価審議会に私は触れていない。
#48
○政府委員(後藤義隆君) それについても、生産者と消費者と学識経験者とが集まってしておるわけでありますが、非常にこれはむずかしいものであって、私どもはやはり何とか再検討しなければいけないのではないかというふうに考えております。また、その他の農産物の価格の審議会についても、これは権威者の意見を聞いて、そして政策を立てるわけでありまするから、私は絶対的にこれは必要はないとは申されませんけれども、やはりこれはただいま吉田委員の申されたようなふうに、もっと農林省が広い範囲で聞くか、それでなければ自主的に責任を持って私はやらなければいけないのではないか、こういうようなふうに考えておるわけです。
 それから農産物の価格をきめることについて、先ほどビートとかあるいはバレイショとか、酪農の原料乳のお話も出たのでありまするが、やはり私はずっと前の委員会の際に、北海道における寒冷地農業を将来どういうような気持ちでおるかというから、私は保護しなければいかぬということを、保護するつもりであるということを申し上げたことがあるのでありまするが、北海道の農産物の価格をきめるにあたりまして、これは先ほどお話があったのでありまするが、やはり政府としては需給のバランスを見て、そして価格を決定するというようなたてまえになっておるわけであります。そして、必ずしもこういうような農産物の需要が多くないというような、需要の伸びがあまりないというようなふうな状態であったので、そういうようなことになると、この北海道の農産物の価格を保護するということは、私は前申し上げた趣旨と違って、必ずしも価格が上がらないようなふうに、引き上げができないようなふうになるような状態にもありましたので、私は強くそれを主張いたしまして、やはり保護政策から、価格は絶対に上げなくてはいかぬということを省内で言ったこともあるわけでありますが、そういうような状態でありまして、私どもはこれはやはり需給というものの関係を全然無視するわけにもいかないと思いますが、やはりこれは保護政策をとるという意味から、需給だけでなしに、これは保護というたてまえで、政府のほうでもってこれに対しては十分に価格政策についても考慮する必要がある、こういうようなふうに考えております。
 それから先ほど農産物の価格の体系を樹立する必要があるのじゃないか、こういうようなお話でありますが、それは非常な基本的なことでありまして、私どもは何らかの方法によってそうしなければならぬと思っておりますが、ただ農産物の価格は、非常に農産物の種類もたくさんあるわけでありまするから、その価格体系を全部について樹立するということは、よほど困難じゃないか。それで米価その他重要産物については、皆さん御承知のとおり、ただいまのとおりにやっておるわけでありますが、これを広げまして、そうしてもっともっと広げていくということは必要でありまするが、全部のものについて価格体系を樹立するということは、よほど困難ではないかと思っておりますが、なおこの点については、私どもは農村の生活の安定をはかるためには、これはやはり十分に検討する必要がある、こういうようなふうに私は考えております。
 それから前の政府のときに一般の物価が上がることは、経済成長に伴ってやむを得ないことだというようなふうに答弁しておるが、それは間違いじゃないかというようなことでありますが、私は他の一般物価が経済成長に伴って、そうして高度成長に伴って上がるということも好ましいことではないのでありまするが、しかし、それよりも何よりもやはり農産物がそれによって直ちに引き上げられるということは、これは適当でないという一番最初私が申し上げましたようなふうに、やはりこれは農産物、農業については、政府のほうで責任を持ってこれは保護政策をとらなければならぬという私は基本的な観念を持っておりますから、ただ一般物価が上がるから、当然これに伴って農産物が上がっていいというようなふうには考えないわけでありまするが、しかし、もし上がるとするならば、一般物価が上がって、これについて農民の生活が非常にできないので、これが上がるとするならば、それについて十分な政府でもって保護政策をとって、それには十分政府のほうで補助を与えるとか、あるいはその他の方法をとって農民が生活に困らないようにすることがやはり必要ではないかというふうに考えるわけでありますが、それからそれと同時に農産物の価格のことについても、やはり需給の均衡ということが必要じゃないか。ただいまいろいろお話があったのでありますが、一方に農産物が、同じ物が同時期に非常にたくさんできまして供給過剰になったり、あるいはまた全然できなくて需要過剰になったり、そういうふうなことが農産物の価格を私はつり上げることになる原因だと思いますから、需給についてはやはり均衡させることが必要である。それで農産物の生産について、また流通について、私は円滑な流通の面をやはり政策として十分に考えなければならぬのじゃないか、こういうふうに一応考えておるわけであります。
 まことに不十分でありますが、一応私の基本的な考えはただいま申し上げたとおりであります。
#49
○委員長(大倉精一君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#50
○委員長(大倉精一君) 速記をつけて。
 本件に関する質疑は、本日はこの程度にいたします。
 ちょっと速記をとめて。
  〔午後四時三十七分速記中止〕
    ―――――――――――――
  〔午後四時五十二分速記開始〕
#51
○委員長(大倉精一君) 速記をつけて。
 本日はこの程度で散会いたします。午後四時五十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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