くにさくロゴ
1965/10/16 第50回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第050回国会 本会議 第5号
姉妹サイト
 
1965/10/16 第50回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第050回国会 本会議 第5号

#1
第050回国会 本会議 第5号
昭和四十年十月十六日(土曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  昭和四十年十月十六日
   午後二時開議
 一 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 議員請暇の件
 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
   午後二時九分開議
#2
○副議長(田中伊三次君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 議員請暇の件
#3
○副議長(田中伊三次君) おはかりいたします。
 議員吉川兼光君から、海外旅行のため、十月二十五日から十一月三日まで十日間請暇の申し出があります。これを許可するに御異議はありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○副議長(田中伊三次君) 御異議なしと認めます。よって、許可するに決しました。
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
                (前会の続)
#5
○副議長(田中伊三次君) これより国務大臣の演説に対する質疑を継続いたします。原茂君。
  〔原茂君登壇〕
#6
○原茂君 私は、日本社会党を代表いたしまして、さきの政府演説に対し若干の質問をいたしたいと存じます。(拍手)
 今日の経済危機に関しまして、国民のひとしく知らんといたしております焦点をしぼりましてお伺いいたしたいと存じますので、御答弁は原則として佐藤総理にお願いし、補足的に詳細なお答えを大蔵大臣、経済企画庁長官並びに通産大臣よりお願いいたしたいと存じます。
 冒頭まず第一に、この経済危機のさなかに、大蔵大臣が財政に関する演説ができないという自信のなさは、許しがたいものがあります。(拍手)国民あげての不安をいや増すものとして、心から遺憾の意を表するものであります。
 第二に、総理の所信表明には、「最近の経済情勢を見ますと、明るいきざしもあらわれてきました。」と申されておりますが、現実は株価あるいは商品市況の一部にやや反騰の動きがあったというだけであり、大資本擁護の強引な市況対策による一部資本の安定がはかられたにすぎないものであります。現に、政府部内にすら通産省をはじめとして景気対策の強化が主張されており、経済界もそれを要望いたしておりますばかりか、中小企業、農民、労働者を中心とする国民大衆が生活不安のるつぼに落とされつつある状態では、みじんも明るさなど感じるどころではないことを、強く銘記していただきたいと思うのであります。(拍手)
 第三に、総理並びに経済企画庁長官の表明されました経済問題についての所信は、いずれもただ空疎な甘さの中に何らの具体策も示されず、すべて抽象的言辞に終始いたしておりますが、かつて池田内閣時代には、経済政策に対する姿勢は曲がりなりにももっと具体的であったことを想起いたしますと、当面する経済危機に対処する現政府の自信のなさを暴露したものと申さざるを得ないのであります。(拍手)
 もともと、総理をはじめとして現政権の首悩が、その政権引き継ぎの直前まで、おりに触れ池田政権への政策批判を表明しておりましたことは、国民のひとしく周知するところであります。
 そこで、私はあえて申し上げたい。総理の池田前首相に対する友情において忍びがたいものがあり、また死者にむちうつことになろうかと存じますが、この際総理は、日本経済の今日の事態がなぜ生じたのか、これに対してどのような対策を講ずるかを具体的に表明するためにも、池田内閣のいわゆる高度成長政策がもたらした功罪を国民の前に率直に明示されてしかるべきではないかと思うのであります。(拍手)と同時に、これに対応いたしまして、今日の事態を改善するための具体的な方策としての四十年度補正予算案並びに四十一年度予算の編成方針を明らかにしていただきたいと思うのであります。単なる予算編成技術上の問題ではなく、過去の失政によってもたらされました日本経済の問題点を改善するための基本方針を、四十一年度予算にからめて明らかにいたしますことは、この際、一国の総理として当然のことと信ずるからでございます。
 さて、今日わが国をめぐる内外の経済情勢はまことにきびしく、決して安易な政策態度では許されぬものであることは、異論のないところと存じます。
 まず、目を海外諸国の動静に向けてみなければなりません。わが国経済に大きな影響力を持つアメリカ経済は、かつて同国の連邦準備理事会議長の地位にあるマーチン氏すら警告を発しましたように、表面上の繁栄の陰には、微妙な過熱の危険性を内蔵いたしておるようであります。また、かねて欧州統合への道を着々歩みつつあるEEC諸国の中にありまして、金準備の増強を背景に、国際通貨制度に独自の態度を固めつつあるフランスのドゴール政策は、世界経済の動きに少なからぬ比重を占めつつあることも事実でございましょう。一方、新政権のもとに新五ヵ年計画に着手し、企業運営への利潤機能の導入を強化するなど、ソビエト連邦の社会主義経済はさらに大きな飛躍を、中国とともに遂げようといたしておるのであります。
 これらアメリカ経済の動向、EECの将来、あるいはドゴール政策の世界経済、ひいては日本経済への影響、さらにはソビエトを中心とする社会主義経済の発展や、隣国中国との経済交流などについて、総理は、日本経済の動向に照らし、いかなる判断のもとに、これらの世界経済の流れにさおさし、アメリカ偏重経済からの脱皮、前進をいかなる方向でなさろうとするか、国民の前に、ここに明らかにすべきであろうと思うのであります。(拍手)
 次に、国内経済に口を転じてみたいと存じます。日本経済は、まことに皮肉なことに、佐藤内閣の発足と期を一にいたしまして停滞を見せ始め、戦後初めての過剰生産を背景とする構造的不況に直面したといわれております。政府は、すでに年初来画三度にわたる公定歩合の引き下げを実施いたしまして、七月末にはにわかづくりの景気対策を発表し、景気の心理的ムード的回復をはかってきたのでございます。その結果、確かに株価あるいは備品市況の一部にやや好転のきざしが見られましたけれども、鉱工業生産はむしろ一段と縮小し、八月には季節変動修正値で、前月比二・一%減、出荷も依然停滞する反面では、製品在庫の累増が続きまして、ついに在庫率水準は昨年暮れ以来の最高を記録されるに至りました。また、企業の収益性は依然悪化し、中小企業を主とする企業倒産は、四十年に入りましてから毎月ほぼ五百件の水準で続いておるのであります。さらに高い上昇率を示している消費者物価の値上がりは、国民生活を実質的に低下させている現状でもあります。
 かかる日本経済の苦悩について政府はどのように判断し、どのような具体的対策を考えておられるのか。政府の景気判断は、すでに数回の曲折を経てまいりましたが、そのつどその認識の甘さと判断の不正確さとを暴露し、国民はますます不信の念を深めておるのでございまして、この際明確な御答弁が必要と存じます。
 このような日本経済の局面のもとで、大蔵省は四十年度当初予算の租税及び印紙収入の見込み三兆二千八百七十七億円に対しまして、約二千三百億円の税収不足が生ずると発表いたされました。これには、公債発行や借り入れ金による措置を合理化するための過大な歳入不足宣伝のにおいも感ぜられますけれども、これにまた約三千百四十億円にのぼる補正要因を加えますと、前代未聞の膨大な財源不足を生ずることになり、政府の責任はまさに、内閣総辞職に値する重大なものと申さなければなりません。(拍手)
 しかも、これに対する政府の措置は、一にかかって公債発行にあるようであります。かつて佐藤総理みずからがきっぱりと否定されていました公債発行を、いまや既定の事実として強行しようといたしておるのであります。その上、いまだに政府は公債発行の時期、方法、条件など、何ら明らかにしていないまま、いたずらに公債発行必然のムードづくりが先行しているのが現状であります。国民大多数は、かつて昭和七年の日銀引き受けによる赤字公債の発行がそのまま戦時インフレ経済につながっていった不安を思い起こしておるのであります。
 特に、一つの大きな問題は、政府が強く断定されております市中消化による発行という点にございます。政府は、安易に市中消化を口にするだけで、その具体的条件の整備を実施するでもなく、その説得力ある可能性を国民に明らかにもいたしておりません。現実は、市中銀行の中にすら、公債受け入れ体制の整っていないことを理由に、ちゅうちょを訴える者すらあり、国民の多くは、当初の発行形態のいかんにかかわらず、結局は日銀引き受けによって消化されるであろうことを心からおそれておるのでございます。すでに政府は、四十年度に発行する国債約三千億円につきまして、市中消化と資金運用部資金引き受けの二本立てを前提としながらも、同時に、この国債を日銀のオペレーションの対象に組み入れることを明らかにされております。これでは一たんは市中に売り渡されましても、やがてオペレーションを通じまして国債が日銀に集中することを予定しているものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 四十一年度以降の公債発行につきましては、事業支出に限り、約六千億円前後といわれておりますが、われわれの市中消化が困難であろうとする根拠は、低金利政策による国内金利体系のアンバランスの問題からでございます。現在でもすでに公定歩合は年率五・四八%、銀行定期預金一年ものの金利五・五%を下回り、コールレートも十月には無条件もので公定歩合と同水準に達する一方、各種金融機関の資金コストは最低六%から最高一〇%に近い水準に達しているといわれております。したがって、かりに政府が比較的低い利回りの公債発行を計画したといたしましても、そのバランス上、市中金融機関の資金コストを引き下げるためにも、各種長期債券の利回りを下げることが必要となり、これとの均衡上、やがては預金金利の引き下げの必要にも迫られることと存じます。すでに消費者物価が八%も上昇し続けている現状のもとで、どのようにしてこれを実行し得るとお考えなのか。その上に、すでに経済界あるいは一部政府部内にすら、その声が高まりつつある第四次公定歩合の引き下げが強行されるといたしますならば、その困難性をいよいよ増さざるを得ないと思うのであります。
 このような条件のもとで政府はいかにして市中消化を堅持しようというのか、その具体的な条件と可能性を明らかにして、国民の不安にこたえるべきでございましょう。いずれにいたしましても、私は政府の考えている公債発行が、結局は日銀引き受けによるインフレ政策につながっていくものと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)しかも、その規模はこの一両年の間に軽く一兆円の水準をこえることが予想されているのでありまして、政府は、このような安易な財政インフレをどのようにして未然に防ごうとなさるのか、いまこそ入るをはかって出るを制する態度を明確にすると同時に、無軌道な公債発行を歯どめする具体的な対策を明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、当面の景気対策の中心になっております低金利政策に関連いたしまして国民が少なからぬ不安を抱いております国際収支問題、なかんずく資本収支の動向についてお伺いいたしたいと存じます。
 現在、わが国の国際収支問題は、幸いにいたしましてたまたま輸出の非常な堅調を軸に、経常収支じりの好調が続いておるようであります。安易な認識がこの中から生まれてきておるようでありますが、他方、資本収支の動向には決して楽観を許さないものがございます。
 まず、長期資本については、本年初頭におけるアメリカのドル防衛強化策を反映いたしまして、本年三月以降一億ドルをこえる赤字を累積いたしておるのであります。これは単にドル資本の流入が減少したばかりでなく、過去に累積いたしました借り入れドルの返済が急増していることをも反映したものでございます。このことは、たまたま輸出の堅調が続いている陰に隠されましてあまり問題化していないのでありますが、今後の日本経済にとり、かなり深刻な要素を持つものと考えなければなりません。
 これとともに重要な問題は、最近における短期資本の赤字傾向でございましょう。政府は、このことを単に輸出の好調を反映したものとして楽観祝しているように思われますが、ユーロダラーの流出が本年二月以降すでに一億ドルにのぼっていると伝えられることからも、国内の低金利政策との関連におきまして憂慮すべき事態といわなければなりません。その上、国内の低金利水準が輸入ユーザンスの金利水準に接近してまいったことが、一そう短期資本の流出を早めつつあるといえるようでございます。
 現在の金利水準においてすでにこのような情勢であるといたしますれば、さきに申し上げました日本経済の現局面に対する認識、これに対する対策、たとえば第四次公定歩合の引き下げのいかんによっては、わが国の国際収支に決定的な危険性が表面化することになるのでございます。にもかかわらず、政府は、この面から、景気対策、低金利政策に大きな制約を受けざるを得ないという重要な意味を持つ短期資本の動向を、単に投機的変動を防ぐとの理由で、その内訳を今日まで発表せず、国民の経済動向に対する正確な判断を妨げてまいっておるのであります。長期構造的とされる不況の重圧にあえぐ国民にとりましては、現在の輸出好調がそういつまでも続くとは思われません。やがて一方で強力な景気対策が必要とされるであろう反面、国際収支面からの制約により、政府の経済政策が行き詰まり状態になることに大きな不安を持つ国民に対しまして、この際、政府は、国民の政策判断の資料に供するため、率直に、短期資本の収支の明細と最近の推移並びに長期資本の動静を含めた資本収支の見通しを明らかにしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 さて、昭和四十年に入ってからの日本経済の動きには、幾つかの点で過去の景気変動とは異なった特徴が認められるのでございます。金融緩和政策のもとにありながら不況の様相がむしろ深まる方向にあることが、その最も基本的なものでございましょう。これは過去の景気変動が主として国際収支の制約を直接の契機といたしまして、いわば人為的な金融政策によってもたらされたものであるのに対しまして、今回は過剰生産要因を背景とする構造的な不況が進行していることによるものでございます。このような情勢を反映いたしまして、すでに本年に入ってから認可されました不況カルテルは、構造用合金鋼をはじめといたしまして、この十月十三日に認可されました硬質塩化ビニール波板に至るまで、十一業種、十三件に及んでおるのであります。このほか鉄鋼における粗鋼の操短をはじめ、行政指導による生産制限あるいは業界の自由減産などを含めますと、市況対策の強化は、かつてその例を見ない規模で推し進められておるのが現状でございましょう。
 しかしながら他の方では、需要業界の圧力に抗しかねて不況カルテルの結成はおろか、十分なる市況対策を講じ得ないでいる中小メーカーの存在を、政府は十分認識しておるのでございましょうか。不況ムードに必要以上に便乗する大企業への対策に偏重して、中小企業対策を軽視するようなことは許されないものであると存じます。このことがさきに申し上げたような中小企業倒産の頻発という形であらわれているというべきでございましょう。これはまた同時に、農業政策の貧困、農民対策の不在にも通ずることでございまして、政府の十分な反省と善処を促すとともに、ここに急速なる中小企業救済策を明示していただき、中小企業や農業のひずみ拡大に対処する具体的基本方策をあわせてお示しいただきたいと存じます。
 特に総理は、十月一日の閣議で、中小企業中心の景気浮揚策について発言をされております。それは、「最近金融状態が緩和されたが、中小企業が利用する金利は下がっていない、これに対し、特段の対策をとる必要がある、このため、政府関係機関はじめ民間金融機関に対し、中小企業向け融資ワクを増大するとともに、去る九月の政府関係中小企業三公庫の金利引き下げにならって、民間機関も金利の引き下げができるよう努力してほしい」などの点について、関係閣僚に対し、早急に具体策を講ずるように強く指示されたと聞いております。特にこの危機のもとでは、緊急な救済手段として、この金利の大幅引き下げは、減税とともに絶対不可欠の対策でございますので、はたして政府はいつから、どの程度の市中金利引き下げが可能なのか、また資金ワクは長期、短期別に、いつ、どの程度中小企業に向けられるのかを、明確に、この際、議場においてお示しいただきたいと存じます。
 次に、重要課題といたしましてお伺いいたしたいのは、勤労大衆の生活窮乏化の問題でございます。
 政府みずからの発表になる昭和四十年上半期の家計調査報告によりますと、勤労者世帯の実収入は、物価上昇を調整いたしました実質では前年同期より〇・四%、生活費では一・三%も低下いたしておるのでございます。このような生活水準の絶対的低下はかつて見られなかったことでございまして、いわゆる高度成長によって、国は富んでも民は貧困化しつつあるといっても過言ではないのでございます。これは、雇用、賃金の伸び悩みに加えまして、消費者物価の異常な高騰が原因であることは明々白々でございます。すでに四十年上半期において、消費者物価の上昇率は、全都市総平均で八%の高さを記録し、しかもその内容を見ますと、国民生活に必需の性格を持つもののみでございまして、低所得階層ほど重圧を感ずる費目、たとえば食糧費、家賃、地代、水道料、保健衛生費、教育費ほど上昇率が高くなっておるのでございます。政府の年初における四十年度経済見通しによりますと、消費者物価の上昇率は四・五%程度とされておりますが、現在の推移をごらんになって、政府は四十年度の物価上昇率をいまどのように見ておられますのか、また、これに対していかなる引き下げ対策を講じようとされておるのか、具体的に明確な御答弁をお願いいたしたいと存じます。(拍手)
 今日、この異常に高まった消費者物価の背景の一つには、政府の公共料金抑制政策の解除があることは、否定できない事実でございましょう。一月早々の消費者米価の大幅引き上げ、これが平均一四・八%、家庭で最も多く消費される普通米におきまして一六・二%、診察料の値上げがまた九・二%、バス料金の大幅引き上げ、驚くべし平均二六・九%に続いて、四月には、月謝、授業料の引き上げが強行されましたのはそれでございます。公共料金のこの程度の引き上げによっても、すでに申し上げましたような、消費者物価のおそるべき高騰が現実となってあらわれておるのでございます。このときにあたって、最近なお東京都の水道料金、国鉄運賃、私鉄運賃をはじめ、郵便料金、電信電話料金に至るまで、公共料金の値上げムードを次々と高めつつあり、さらに政府は米価に至るまで来年一月から再度の値上げを決意していると伝えられますなど、まことに重大な問題であるといわなければなりません。さなきだに高騰を続ける消費者物価は、今後おそるべき上昇率に達するであろうことは火を見るより明らかでございましょう。
 もともとこれら公共料金の徴収母体となっている各種公営企業体の採算悪化も、もとは政府の無謀な高度成長政策に対応しての無理な設備拡張、そのための無計画な資金調達を強行してきた結果でもございます。これを国民の一律負担による、しかも原則としては法人企業に有利に定められました料金引き上げによって埋め合わせるのは、まことに不合理であるといわなければなりますまい。まして将来の投資源泉を現在の料金引き上げによって調達するような計画が一部に含まれておりますのは、国民の断じて容認し得ないところでございます。(拍手)
 さらに、十月十二日発表されました地方公営企業制度調査会の答申における、ずるく、あいまいな公共性の解釈と、あやまてるきびしい独算制を中心とする地方自治体への圧迫と、赤字の住民と職員へのしわ寄せを前提としながら公営料金の値上げの口実にすることも、また断じて容認し得ないところでございます。(拍手)
 しかしながら、政府はすでに一部を除き公共料金の引き上げを認可する姿勢を示されております。これは国民生活に塗炭の苦しみを与え、その影響するところ、はかり知れないものがございます。公共料金は、国民大衆の生活に密接な関係を持つばかりでなく、それが所得の大小にかかわりなく一律に引き上げられるものでございますだけに、特に低所得階層には深刻な負担を課することになるのでございます。たとえば、さきの家計調査報告によって算出いたしましても、勤労者世帯の一カ月当たり消費支出に占める穀類の割合は、最低所得階層において二・二%でございますのに、最高所得階層では五・九%にとどまり、電気ガス代は、同じく三・六%と三%の差を生じておるのでございます。したがって、政府は公共料金引き上げによる一般消費者物価上昇への影響について十分配慮することはもちろん必要でございますが、単に平均的な家計支出への影響にとどまらず、各種公共料金の引き上げによりまして各所得階層にどのような影響の差が生ずるかを、この際、具体的に国民の前に明らかにしていただきまして、不安のない、豊かな国民生活をつくるのだという総理の所信表明にも照らしまして、この際、国民生活へのこれ以上の圧迫となる公共料金引き上げは今後一切認めない旨、とこに強く宣明していただきたいと存ずるものでございます。(拍手)佐藤総理、台所を預かる全国の主婦に、「もう物価は上がりませんから、どうぞ安心して家庭を守ってください」と、私に対する答弁の中で強く宣言していただきたいと、重ねて要望申し上げます。(拍手)
 最後に、最近の政府部内における綱紀弛緩について警告を発しておきたいと存じます。
 さきの参議院選挙における高級官僚の立候補に対し、政府機関が組織をあげてこれを支援し、その地位を利用して運動したと伝えられているのをはじめとしまして、国有財産の不当な払い下げに見られる管理のずさん、はては証券行政における収賄事件など、最近高級官僚の不正事件が相次いでいるのは、まことに遺憾千万と存じます。(拍手)
 すでに申し上げましたように、日本経済の現状は、政府の失政に拍車をかけられまして憂うべき危機状態にあるといわなければなりません。このときにあたって、政府は真に謙虚に反省を重ね、事態の収拾に全力を尽くすべきであるにもかかわらず、国民の不信を深める行為を重ねていることは、言語道断と申さなければならないのでございます。しかも総理は、今回の所信表明の結びにおきまして、「全力を傾けて清潔にして責任ある政治を推進する」と、声を大にされましたが、清潔な政治とは一体何か、責任ある政治とは何かを、国民の名において深く政府を戒め、私の質問を終わりたいと存じます。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#7
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 もちろん、私は池田内閣総理大臣のあとを引き受けて政局を担当しておるものでございます。その意味におきましてまたわが自由民主党の内閣の続きだ、こういうような意味におきましても、前内閣の政策の浸透あるいはその効果、これを十分評価してみたいと思います。御承知のように、池田内閣当時におきまして、所得倍増、経済高度成長、これを唱えまして、そうして幸いにして国民の協力を得て非常な発展をもたらしたこと、これは皆さま方も御了承のところだと思います。私どももまた国をあげての経済の繁栄に対して心から喜んだものであります。しかし、その結果がいわゆるひずみの問題を引き起こした、そうしていわゆる調和のとれた安定した成長の方向からはよほど離れている、こういうことで、私どもがこれを真剣にただいま取り組んでおるのであります。皆さま方と同様に、このひずみの是正こそ刻下の重大問題だ。経済成長はまことに望ましいことだが、そのもたらした欠点のほうが今日は非常に大きく出ておる。これをなくしよう、こういうことで最善の努力を払っておるのであります。
 ただいま、さような状態で、この四十年度の歳入の欠陥も出てまいりましたし、また、支出の面におきましては、いわゆる義務的支出、これの精算をいたしますと、ずいぶんそれが不足しておる。また、ことしは災害復旧におきましても多大の支出を必要とするようになった、あるいはまた給与の改定等々、いろいろ歳出の増も見込まなければならない状況になっております。その際に、一面で景気の不況に対しても対処し、また、ただいま申すような歳入欠陥に対しても対処する、また支出増に対しても善処していく、こういうような非常なむずかしい状況になっておりまして、国民に特に積極的な御協力を願っておる次第でございます。その立場に立って、今日四十年度の補正予算もいろいろ苦心し、ただいませっかくその編成にかかっておる最中でございます。せんだってもこの席から申し上げましたように、補正予算をできるだけ早く国会に提出して皆さまの御審議を仰ぎたい、かように念願しておりますが、必ずこの臨時国会におきまして皆さま方の御審議に問に合うようにこれを出すつもりでございます。
 また、ただいまお尋ねになりました本年度の問題は一応ただいまの程度で御了承いただいて、次に、来年度以降においてどういうような予算編成と取り組むか、こういうことのお尋ねでございます。ただいま、池田内閣当時の財政あるいは経済のあり方についても一言触れましたが、また原君のお説の中にもありましたが、国が富んでいて民が貧しいというそういう状態は、私どもが特に注意しなければならない。したがいまして、今日国民負担が重いのではないか。むしろ、貯蓄を奨励し、また民力を養う、そういう時期にきておるのではないか。こういう意味で減税に積極的に取り組もう。しかしながら、一面に社会資本が非常に不足している。道路であるとか、住宅であるとか、あるいは社会保障であるとか、あるいは教育施設であるとか、うんと政府がつぎ込まなければならない面があるわけであります。かような二律背反するような状態のもとにおいて、国のつとめを十分果たしていこう、かように考えると、ただいま私どもが考えておるように、一方で減税をうんとする、また同時に公債も発行する、国自身が借金することも、国民自身が富んでいるのならば別に心配は要らないじゃないか、これは国民の富を担保力にして国自身が借金をしていく、こういうような考え方になったのであります。先ほどの御意見のうちにもこういう点に触れられておったと、かように私は思いますが、問題は、かような場合に、公債発行が、ともすれば非常な放漫に流れ、そうしてこれがインフレの傾向にいく、公債そのものがインフレではございませんが、必ず放漫になる、こういう意味で、適当な歯どめをしろということが各方面から要望されております。そこに財政の健全性ということをわれわれは考えなければならない。したがって、公債を発行する額なり、その発行する時期なり、発行の条件なり、これこそは十分政府が考えなければならないことだと思うのであります。ただいま、そういう意味で、政府は各方面の衆知を集めてその結論を出すべく、大蔵省におきまして、財政審議会その他を進めておるわけであります。また、税制調査会におきましても、思い切った大幅な減税をいかにしてすべきか、これも真剣に取り組んでおる、これが現状でございます。いずれその結論が出ましたら、皆さま方の御審議を仰ぎたいと思います。
 次に、国際経済につきましていろいろの御批判がございました。私も、原君の説につきましてはたいへん傾聴いたしたものでございます。しかし、わが国とアメリカ経済との関係は非常に密接でありまして、ただいまの貿易状況から見ましても、輸出、輸入とも三〇%程度をアメリカと交渉を持っておる。これはアメリカが日本の輸出市場として最もりっぱなところであり、また、日本が必要とする原材料をアメリカから多く仰いでおる、この経済上の実情からきていることは御承知のとおりであります。私は、アメリカの経済がただいまのように繁栄しておる、好景気が続く限り、わが国の輸出は依然として好況である、かようにも思うのでありまして、この点は両者がお互いに協力し合っておる、かように思っております。
 また、ドゴール政策についての御批判がございましたが、ドゴール政策とアメリカと必ずしもいつもぶつかっておるとは私は思いません。御承知のように、ドゴール、フランスの政策自身から見れば、世界の国際経済あるいは政治そのものが米ソの二大強国によって動いておる、これだけにはまかせ切れないのだ、われわれフランスにはフランスの考え方があるのだ、いわゆる第三勢力としての発言もほしいのだ、こういうような立場からドゴールは特殊な地歩を固めておる、かように私は思います。しかし、ドゴールさんもやはり自由陣営の一員である。この意味におきまして、このワク内において活動し、欧州においての発言権を強化しておる、これがドゴールさんに対する私の見方であります。
 また、EECという経済機構、これもいわゆる広域経済、これが今日考えられる状況でございますので、EECは、かような意味で考えればそれが理解できるのではないかと思います。自由主義先進国の各工業国相互が、一面におきましてお互いに競争しながらも、一面において国際協調、それで実をあげるようにしておる。いわゆるガットなり、ガットのケネディラウンドなどは、そういう意味におきまして私は高く評価すべきではないかと思います。
 共産圏貿易等につきましても、いろいろ問題を提起されました。私は、最近ソ連と日本との間における貿易関係は非常に進んでおる、かように思います。最近ことに経済ミッション等が参りましてソ連の経済の実情等をつぶさにすればするほど、またシベリア開発計画等にも日本が協力する、こういう立場で、両国関係は経済の面においては非常に進みつつある、かように思います。また、中共におきましても、いわゆる輸銀問題が今日もなお解決をしない状況ではありますけれども、最近LT貿易が調印ができた、その結果から見ましても、依然として政経分離の形態でこれが進んでおるのであります。
 とにかく、私どもの日本の考え方は、いずれの国とも仲よくしていく、この考え方で進んでおるのであります。ただ問題は、私どもが仲よくしていくと、かように申しましても、われわれの立場について十分の理解がなければ困ります。言いかえますならば、相互の独立が尊重され、内政に干渉しないということが、仲よくしていく最大の条件であるということを銘記していただきたいと思うのであります。(拍手)
 次に、景気対策につきましては、御指摘にもありましたように、私どもの景気対策の具体策を発表いたしまして以来、一部にこれが非常に好感されまして、景気もいわゆる萎縮感をなくした、不安感が一掃されたかに見えました。しかしながら、現実には、私どもの景気対策なるものが実効をあげる、いわゆる効果を生じますのは、十月、十一月、この交だと、かように思いますので、今日まではただムードで、その景気が不安感を少なくした、かように考えておるのであります。今日私は決して安心はいたしておりません。実情を絶えずよく注視しておりまして、そうして必要なる措置を、所信表明でも申しましたように、時期を失せず講ずるつもりでございます。ただいまのような停滞ぎみでありますことはまことは遺憾でありますが、必ず、十月、十一月等におきまして、財政投融資等が具体的に使われる、こういう時期になると、たいへん変わってくると思います。また、金融もこの第三・四半期におきましては非常な散超でございますから、金利等もだんだん安くなってくるのではないか、かように思います。ことに中小企業について特別な御注意がございましたが、私は、さような意味でも、これは最近の金融緩和が好影響をもたらしておる、かように思います。
 公債発行の市中消化についていろいろ御心配があり、また御注意がございました。私は、ととし発行するところのものは、最近の金融の状態が非常にゆるんでおりますから、これはまずその時期なりその条件等を適正にするならば、必ず市中消化がことしのものは考えられるだろう。来年度以降のものにつきましては、さらにその条件等を整えるということに一そうの留意をいたしまして、そうして、悪影響をできるだけないようにいたしたいものだ、かように思います。
 次に、資本収支の見通しにつきましていろいろ御意見がございました。これは原君が御指摘になりましたとおりのような見方を私もしております。この点では、ただいまのお話は、アメリカのドル防衛なり、あるいは欧州の資本市場なりのいき方が、わが国の資本収支に非常な影響を持っておる、あるいはまた、日本の輸出が好況が続いておる、そういう意味で、一部の短期の流出などはそう心配は要らないのだ、こういうような点も御指摘になったとおりであります。しかしながら、御指摘にありましたとおり、私は、かような状態だからといって楽観はしないつもりであります。お話のように、十分動向等については注意してまいるつもりでございまして、非常に欠陥を生じないように、今後とも長期の安定、外資の導入につきましては一そう留意してまいるつもりであります。
 第四次金利引き下げ等についてのお話もございましたが、ただいまはさような点を考えておりません。
 次に、中小企業の問題について私どもの内閣でとっておりますことも詳細に御承知でありますが、この点の効果などにつきましては、それぞれ担当大臣から説明さすことにいたしまして、私の説明は省略さしていただきたいと思います。
 次に、物価の問題につきまして御指摘がございました。ことに中小企業の扱います生産の面からも、中小企業の果たす責任はまことに重い、かように私思いますが、そういう意味からも、中小企業に対する金融なり、あるいは金利の適正化、これは何としても気をつけてまいらなければならない、かように思います。その具体的な対策については、関係大臣からお聞き取りをいただきます。
 次に、物価の問題について、私どもまことに残念に思いますのは、われわれの当初の見通しどおりの物価になかなかなっておらない。これは、お話にもありましたとおり、当初の見通しは四・五%ということになっておりますが、四月は九・九%、五月は八・二%、六月は八・一%、七月は七・八%、八月が七・五%、いずれにいたしましても、われわれが見通した四・五%、これに押えるということは、ただいまの状況では非常に困難な状況になっております。それだけに、私どもが全力をあげてこの物価の問題と取り組む、そういう事柄でございますので、国民の皆さま方の積極的な御協力を心からお願いいたします。
 ことに、御指摘になりました公共料金の値上げにつきましては、これはたいへんな問題だと思います。できるだけ合理化あるいは近代化等をはかりまして、値上げの要因を吸収するような努力をしなければならない、かように思いますが、これをやりましても、なおかつ、最近の実情ではこれをとめることは困難だ、かように思いますが、さような場合におきましては、できるだけ値上がり幅を小さくする、かような意味の努力を続けてまいるつもりでございます。お話のございました消費者米価なりあるいは鉄道運賃等につきましても、かような方針でこの問題と政府は取り組んでおるのでございます。
 最後に、綱紀粛正の問題についてお尋ねがございました。また、特に御意見もございまして、政府を御叱正になりましたが、私は、綱紀粛正こそは行政の基本だ、かように思っております。国民の信をつなぐゆえんはここにあるのだ、かように思いまして、最善の努力を払っております。しかしながら、なかなか私どもがねらったとおりにはまいりません。また、会計検査院等の検査の結果におきましても、われわれが批難されるものが次々に起こっております。これらの事柄を絶滅さすべく最善の努力を払っていく、こういうことでございますので、これを短期に必ず実効をあげてまいりたい、かようには思いますが、どうか長い目で私どものあり方を十分御注意願いたい、かように思います。
 なお、残っておる問題につきましては、それぞれ担当の大臣から説明させます。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#8
○国務大臣(福田赳夫君) 総理大臣の答弁に補足をいたします。
 四十年度の予算につきましては、その実行上、税収において相当の減少の見込みであります。その額は、まだ九月決算を見ないと正確にはわかりませんけれども、二千億から二千五百億円の間ではなかろうかと思います。その他、災害におきましては例年以上の額が必要でありますし、また給与の問題もあります。しかも、教育費、社会保障費などの義務費の追加を要するものもありまして、おそらく財源対策としては三千億円以上のものを調達しなければならぬ、かように考えております。その方法としては、こういう際でありますから、まず何をおきましても不用不急の経費を節約してまいりたい。それから、さらに税以外において調達し得る財源があれば、これを極力調達いたしたい、かように考えるのであります。しかし、そういたしましても、どうしてもこれは相当額の不足を免じますので、これは公債によってこれを支弁する、かようにいたします。この公債は、借り入れ金形式はとりません。日銀引き受けはいたしません。すべて資金運用部または市中金融機関において消化をする。ただいま市中金融機関との間に交渉をいたしております。公債の消化については心配はありません。
 四十一年度につきましては、歳出面におきまして、本年度の歳出よりは相当の増額が予想されるのであります。つまり、住宅をはじめ公共投資、社会保障費、そういうものをとめるわけにはまいらない。一面において、歳入のほうは、ことしの落ち込みました、ただいま申し上げましたように減少した、その現実からスタートするのであります。したがいまして、かりに自然増収があるにいたしましても、ことしの歳出の規模をそう多くこえることはできない、かような状態でありますので、私どもがしばしば申し上げておるとおり、減税もいたしたい、そういうことを考えますと、減税と、ふえていく社会開発投資、社会保障費等の財源のために、数千億円の公債を発行する、こういうことに相なる次第であります。
 そういう公債をどういうふうに消化するか、また、インフレとどういうふうに断ち切っていくかということにつきましては、この財政の規模をどういうふうにきめるかということが非常に重大だ、そういうふうに考えます。つまり、民間経済が落ち込んでいるという際には、歳出は出ていっていいと思う。また、民間経済が非常に調子がよくなったという判断でありますれば、財政の規模は、これは引っ込んでいい、こういうふうに思うのであります。そういうふうに思いますが、ともかく金融政策はこれを緩和基調に保つ、そうして公債の消化に対する金融体制を整える、そういう方向でただいま金融機関と話を進めております。
 国際収支につきましては、長期資本収支、四月から八月までの実績はわかっておりますから申し上げます。受け取りが一億七千五百万ドル、支払いが二億三千八百万ドル、六千三百万ドルの赤であります。それから短期資本におきましては、貿易信用におきまして一億九千二百万ドル、その他で九千万ドル、いずれも赤であります。合計して二億八千二百万ドルの赤字とな。ております。そういう状況で、ただいまお話のように、私どもは決して資本収支の状態に安心はしておりません。特に長期資本を海外から求める、こういうことにつきましては、これから日本が海外に対しても大いに経済協力をしなければならぬ、こういう情勢に置かれておることを考えますと、最大限の努力をしなければならぬ、さように考え、その努力をいたしておるわけであります。
 大蔵省におきましていろいろ新聞だねなんかになりまして、まことに私も残念に存じております。今後は綱紀の粛正につきましては、一段と努力をしてまいるという決意でございますので、御了承願います。(拍手)
  〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕
#9
○国務大臣(藤山愛一郎君) 物価の問題についてお答え申し上げたいと思います。
 ただいま原さんから御指摘になりましたように、消費者物価は年度初頭予想いたしました四・五%ははるかに上回っておりまして、先ほど総理が述べられました八月七・五%、全都市平均でございます。ところが、全国では八月までしか統計がございませんけれども、東京都の消費者物価指数を見ますと、九月は八・七%、これはむろん台風その他の影響が野菜等にあると思いますので、著しく高騰したと思いますけれども、しかし、この数字が示すように、われわれは、消費者物価のこの高騰につきましては、なみなみならぬ心配をいたしておるのでございまして、何としてもこれをできるだけ安定に導いてまいらなければならぬことは当然のことでございます。特に、消費者物価拍数の値上がりが、ただいま御指摘のございましたように、低所得者層に非常に大きなウエートがかかってくる。これは耐久消費財等が比較的値上がりをいたしませんにかかわらず、サービス料金でありますとか、あるいは公共料金であるとか、あるいは生鮮食料品等の値上がりがございますので、したがって、低所得者方面に相当なウエートがかかってまいりますことは避けられない事態に現状ではなっております。したがって、これらの問題をほんとうに根本的に考えてまいらなければならぬのでございますが、消費者物価の安定は、今日のような不況下にありながらなお消費者物価が高騰しているということは、やはりこれは単に需給関係ではなくして、構造上の問題からきているところが多いのでございまして、これらの構造上の問題を直すことにつきましては、相当の歳月を要することはやむを得ないことでございます。したがいまして、それらのものに対して今後それぞれの手を打ってまいらなければならぬ。たとえば公共料金等につきましても、できるだけ公共料金の合理化をしていただくということは、これはむろんでございます。同時に、公共料金等の、交通でございますとか、あるいは水道でございますとかいうようなものは、高度に成長いたしましたこの過程におきまして相当消費がふえておる、あるいは需要がふえておる、それに対応するために大きな先行的な投資をしなければならぬ、それに対するやはり資本費の負担というようなものも相当にかさんできておるのでございまして、しかし、これらのものを全部政府が補給するわけにはまいらないことは、今日の財政事情から申しても、あるいは公営企業そのものの本質から申しても考えられないと思います。したがって、一部は消費者に負担していただかざるを得ない場合があるのでございますが、そういう場合においても極力これは低位にとどめていかざるを得ないのでございまして、しかも、それらの公共料金等を逐次上げなければならぬ過程におきまして、私どもといたしましては、それらの値上げの時期等についても十分調節をいたしまして、そうしてその間にそれらのものが何分かでも吸収し得るような方向を打ち出しながら、これらの問題を処理してまいらなければならぬ、こう考えておるのでございます。したがって、そういうような財政事情と、また値上がりの時期と、問題を勘案しながら、私どもといたしましては、今日これらの問題を国民生活の上にできるだけ影響の少ないように解決していく努力をいたしておるのでございます。しかし、ただいまも申し上げましたように、これらの問題が構造上からきておりますから、ある程度構造上の問題を解決しなければならぬといたしますと、若干の時間を要することはやむを得ないことだと思います。したがって、その若干の時間を要する場合には、所得税の減税なり、あるいは、特に、先ほど申しましたように、低所得者層に物価高の影響が大きな圧力でございますから、社会保障等の面にさらに一そうの力を入れて、そうして全体としてこれらの調節をうまくやってこの重大な時期を過ごしていって、将来の安定を確保してまいりたい、こういう覚悟を持って今日仕事をいたしておるのでございます。(拍手)
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕
#10
○国務大臣(坂田英一君) 農業の生産性が非常に悪い、伸びないというお問いでありますが、全く、農業と非農業との生産性及び所得の格差は、非農業部面の成長が著しいこともあって、現在かなりの開きがあり、かつ、基調として格差が改善される傾向にあるとは言いがたい状況にございます。ただし、農業の場合にはこれを一時に直すことが非常に容易でないことは、皆さんも御了承のとおりでございます。農業と非農業との生産性及び所得の格差の是正をはかるためには、国民経済各部門の均衡のとれた安定成長を確保することが重要でありますが、農業生産性の一そうの向上をはかることが基本であることは言うまでもありません。このために、政府といたしましては、需給の増大に応し、農業生産の選択的拡大と農業総生産の増大を目途として、農業生産基盤整備、農業構造改善等の諸施策をさらに地域の実情に即応して強力に推進するとともに、また、農産物、畜産物その他の生産及び価格安定と流通合理化、並びに金融政策等の施策をさらに着実に推進いたしまして、格差の是正につとめていく所存であります。
 これと同時に、農山漁村が社会の構成要素としても重要でありますことは十分認識いたすつもりでありまして、農道あるいは道路、住宅等環境整備と福祉の向上のための施設につきましても、これを一そう充実してまいりたいということを考えておるような次第でございます。
 なお、詳細については、委員会等において十分お話を申し上げたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#11
○国務大臣(三木武夫君) 原君の御質問にお答えいたします。
 原君の御指摘のように、中小企業の振興をはからなければ日本経済の発展のできないことは、御指摘のとおりでございます。したがって、中小企業の振興と申しましても、目下のところは、全体としての日本の経済の回復をはからなければ、中小企業の受注量もふえないわけであります。したがって、政府は、景気回復策に対して、有効需要を喚起しようとして努力しておることは、御承知のとおりであります。その中において、特に中小企業に対しては、政府関係の三金融機関が上期の資金のワクを増大いたしました。また、下期においては、年末金融も含めて十分なる資金を確保いたす予定でございます。それから、金利に対しても、中小企業の関係の金融機関の金利負担というものも、今後金利の水準を下げていきたい。とりあえず九月一日から約三厘の金利の引き下げを行なった。これは十分ではありませんので、今後中小企業の金融の金利は下げていきたい。さらに、各通産局ごとに中小企業の不況対策の相談室を設置して、各企業の受注あっせん、金融のあっせん、少しきめこまかく中小企業の相談相手になる必要がありますので、そういう仕事も開始いたしまして、相当な効果をあげておるわけであります。
 またさらに、零細な企業、これに対しては特に配慮しなければなりませんので、三十万円以下の無担保無保証の資金の貸し出しに対しては、東京信用保証協会の保証料を全廃したいということで要請しておりましたのでありますが、十一月の一日から保証料は廃止をしたい、全国の保証協会の保証料も、全廃とはいきませんけれども、保証料はこれを下げたい、今後とも零細企業の問題については相当意を配っていきたいという考えでございます。
 しかし、いずれにしても、根本は、中小企業の持っておる生産性、所得、この大企業との格差を是正するためには、中小企業の体質の改善が必要でございます。政府は、減税等を行なって中小企業の税負担を軽減していく考えでありますが、同時に、中小企業の設備の近代化、技術の向上、あるいは共同化の推進、あるいはまた、経営の合理化、こういうものを強力に推進いたしまして、日本の中小企業の基盤を安定し、ただ困れば救済するというのでなくして、将来に向かって発展の基礎を築くために通産省として全力を傾けたいというのが、われわれの考えでございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#12
○副議長(田中伊三次君) 安井吉典君。
  〔安井吉典君登壇〕
#13
○安井吉典君 私は、日本社会党を代表し、今国会が、日韓問題よりもむしろ重点的に取り組むべき国民の生活に直接つながる問題、災害、医療費、給与改定、さらに地方財政等に関し、原議員に引き続き政府の所信をたださんとするものであります。(拍手)
 まず冒頭に、永山国家公安委員長に一点伺っておきたいことがあります。
 去る十月十二日夜、明治公園における日韓・ベトナム十万人集会のあと、デモ行進が請願のため国会付近に参りますと、待ちかまえた武装警官隊は、装甲自動車を道路に直角または斜めに駐車させて通行を妨害し、要らざる挑発的行為に終始したのであります。道路交通法の取り締まりを行なう警察が、道路のどまん中に違法の駐車を行ない、国民が憲法に保障された請願権の行使をはばむがごとき印象を与えた警備態度は許すことができないと思うが、どうでしょうか。(拍手)韓国に衛戌令がしかれたように、日韓条約反対運動を弾圧しようとしての政治的意図で警備計画を立てていられるのではよもやないと思うが、永山委員長の明確な御答弁を伺いたいのであります。(拍手)
 去る十月七日、マリアナ海域で台風二十九号に巻き込まれ、静岡県のカツオ漁船団二百八名がいまなお行くえ不明であります。これは近来まれに見る大海難事故であり、いずれ緊急質問が行なわれると思いますが、私は、残された御遺族の御心情に深い御同情の意を表しつつ、二、三点政府に伺いたいと思います。(拍手)
 第一に、一昨日、漁船による捜索は打ち切られたようでありますが、一人でも二人でもどこかの島に漂着していはしないか、政府は、組織的な捜査体制をもって臨むべきではないか。第二に、気象庁の台風情報が、台風の位置につき誤差があったことが原因だともいわれるがどうか。第三に、気象庁の観測体制は、米軍の飛行観測に依存し、海上保安庁の海難救助体制もきわめて能力を欠くと聞くが、改めるべきではないか。第四に、遺族に対する補償は十分行なわるべきだがどうなるか。以上の点につき、関係大臣の御答弁をわずらわしたいと思います。(拍手)
 ことしぐらい、次から次に災害に襲われた年はありません。春の雪害から始まり、降霜、干ばつ、降ひょう、集中豪雨、そして応接のいとまもなく襲ってきた十五号、二十三号、二十四号、二十五号の台風被害、さらに北海道、東北の冷害と続いたのであります。被害の状況は多種多様であり、全国ほとんどの都道府県にまたがり、局部的に深刻なこと、公共施設災害も相当多いが、農業災害、個人災害の特に多いこともことしの特徴であります。本院災害対策特別委員会の現地調査の報告書を見ますと、福井県西谷村の三十六時間千四十七ミリの雨量による土砂崩壊で、深さ四メートルも岩石で埋まり、百八十四戸のうち十数戸を残すのみの壊滅的打撃をはじめとし、小豆島でも四十メートルにわたる大地すべりで果樹園の流失、部落埋没、青森県などのリンゴの落果、北海道北見及び上川北部地方では、昨年の大冷害に重ねての冷害の追い打ち、そして調査団は、至るところで被害者の人たちに手を合わせて泣きすがられ、倒壊した学校の校舎の前に並んだ子供たちに、早く学校を建て直してくださいといういたいけな作文を読み上げられ、涙を押えることができなかったと報告をいたしております。(拍手)
 これらの災害は、すべてがやむを得ない天災ではありません。この地すべりをとめる工事は来年着工予定になっていたのに、そこの水田排水施設はあと二年で完成予定であるのに、その河川決壊は国費工事と県費工事のつなぎ目が弱かったため、水につかった住宅街はでたらめな宅地造成のため、かように、むしろ人災または政治災と称すべきものが少なくないのであります。(拍手)
 これまで自民党政府が大企業中心の高度経済成長政策にうつつを抜かし、漁業、農業等の第一次産業の施設や、じみな国土保全の仕事をないがしろにしてきた結果として、とうとい多くの人命や財産が失われたものであり、政治担当者の罪まさに重しといわねばなりません。(拍手)私は、佐藤総理の反省と、今後国土保全にいかなる熱意を持って当たられるおつもりか、御決意のほどを伺いたいと思うのであります。
 政府においては、災害復旧工事の促進、激甚災の指定、天災融資法の発動、農業共済金、漁船保険金の早期支払い等の災害救済対策を、お気の毒な被災者のため、早急に講ずべきことは当然でありますが、本年度の災害の実態から、私は特に次のような対策の実施を政府に要求するものであります。
 一、規模は小さくとも、局部的に深刻な災害を救うため、激甚災害基準を引き下げること。二、二度と災害を繰り返さないよう、原形復旧でなく、改良復旧として工事を施行すること。三、災害復旧は、従来の五年復旧から三年復旧に短縮すること。四、中小河川の大はんらんが特徴的なので、国土保全計画を大河川だけでなく、中小河川にまで拡大し、地方に財政援助を行なって、治水改修を行なうこと。五、個人災害の救済の道がなく、場所によっては再起不能のところもあるので、わが党のしばしばの主張のように、個人災害救済の基本対策を立てること。(拍手)
 以上の点につき、関係大臣からお考えを伺いたいと思います。
 なお、続いて、私は、ことしの農業災害の実態から見て、被災地方において収穫作業がおくれているため、米出荷時期別格差適用期間の延長、果樹共済及び畑作共済のすみやかな実施、寒冷地農業振興資金制度を冷害恒久対策資金として内容を改善し存続すること、当面するカンショ及びバレイショでん粉基準価格を生産費と所得を補償する方向で決定すること、これらについて農林大臣の御見解を求めるとともに、本年度災害に対する財政措置につき、大蔵大臣はどう措置されるおつもりか、お聞かせを願いたいと思うのであります。(拍手)大蔵大臣、もし韓国への経済協力に向けるぐらいの余裕のお金があれば、ぜひ農民被害者に対してたっぷり予算をつけていただきたいと思います。(拍手)
 政府は、中央社会保険医療協議会の審議手続を無視し、時の神田厚生大臣の手で、本年一月一日付で医療費九・五%の緊急是正を職権告示したことから医療費問題の混迷は始まり、いまなお保険者の側や医療担当者はもとより、一般国民に要らざる不安と動揺を与えている政府の責任は、きわめて重大であると思います。
 政府は、いまなお健保三法改悪の意図を捨てていないようでありますが、薬価の半額を被保険者に負担させることは、低医療行政の押しつけで、医療保障からの後退であり、総報酬制を含む保険料率の引き上げは、被保険者の生活の切り下げに通ずるもので、いずれもわれわれはこれを容認するわけにはいきません。各保険の財政の赤字と新しい支出の増加は、国民へ負担を転嫁すべきではありません。憲法第二十五条は社会保障の確立の規定であるのに、これを単なる医療保険でごまかしてきたのが、自民党政府のこれまでのやり口であります。(拍手)ここにおいて、佐藤総理と鈴木厚生大臣は、健保三法の改悪を断念し、国民の命と健康を守るための医療保障の確立のために、当面国保及び日雇い健保の定率負担の大幅引き上げ、健保、船員保険、各種共済の短期給付の定率負担の上置きを国庫負担をもって行なうべきではないか。さもなければ、佐藤総理の人間尊重は単なるまやかしのスローガンに終わるのではないかと思うのでありますが、お答えを願いたい。(拍手)
 なお、とりわけ、国民健康保険事業については、国民のおよそ半ばを占める農漁民、零細商工業者、それに老人、子供を対象とし、低所得階層が多いので、これこそ医療保障への柱となるべきものだと思うのにかかわらず、自民党政府は、国保は国が市町村に委託している事務であるという本質を忘れ去り、十分な国庫負担を怠り、地方財政と被保険者にすべてしわ寄せし、かくて、赤字団体と赤字額の激増、また一般会計からの繰り入れを増加しても足らず、国保税の大幅増徴となり、いわばどろ沼にはまったような状態にいま国保はなっているのであります。
 政府は、最近、わが党の追及や関係団体の要求により、療養給付費精算負担分の繰り上げ支給や調整交付金不足分の支出をきめましたが、これでは問題の根本的解決にはなりません。私が当面主張いたしたいのは、第一は、いま述べた国保の療養給付費の国庫負担金の定率と、調整交付金を大幅に引き上げること。第二に、事務費は、国民健康保険法第六十九条に違反し、実際額の半ばにしかなっていないのを完全国庫負担とすること等であり、鈴木厚生大臣の御所見をお尋ねいたします。
 そして、国保は国の委任事務であり、かつ地方財政そのものが危機にある際でもあり、国保会計への一般会計からの繰り入ればやめさせるべきではないか、自治大臣、いかがでしょうか。
 なお、国保中央会の調べでは、国保の直営診療施設の休廃止が非常に多く、赤字が増大しておりますが、その理由の大きいものの一つに、医師の充足難があげられております。北海道の漁村など、手取り十七万円の給与を出しながら医師がないといっております。この重大な医療不在の事実に対し、厚生省はただ手をこまねいているのか、御見解と対策をこの際お示し願いたいと思います。(拍手)
 さて、地方財政は今日きわめて深刻な危機の段階を迎えました。地方財政の実質収支の状況をグラフであらわしますと、昭和二十八、九年ごろの最悪の事態から年々上昇カーブを描いてまいりましたが、昭和三十六年度を頂点に、カーブは鋭角的に折れ曲がり、三十七年度から本年度へ、年を追うて転落し、赤字自治体は年々増加し始めました。カーブ折れ曲がりのこの昭和三十六年度、これは自民党政府の所得倍増計画初年度であります。つまり、大企業中心の高度成長の上昇カーブとともに、地方財政は逆に反比例し、悪化し始めたことはきわめて明白であります。(拍手)
 すなわち、大企業を中心とする全く計画性も節度もない設備投資の拡大に奉仕するため、国の財政は道路、港湾等の社会資本の充実と法人税の減税を行ない、それを受けた地方は、地元負担の増大と企業からの地方税収の伸び悩みということになり、その上に不当な巨額の超過負担までしいられ、国はいま公債政策というのでありますが、地方債の現在高はすでに一兆円を上回っているのであります。特に都道府県と大都市はほとんど赤字となってまいりました。自民党の所得倍増計画はいろいろな部面にひずみを来たしましたが、地方財政はその最も大きな被害者の一つであることを、私はここで明白にしなければならないと思うのであります。(拍手)
 ところで、いままた地方財政に新たな危機の要素が加わってまいりました。自民党政府の経済政策の完全な行き詰まりによる経済不況のため、国の財政自身に破綻が起き、国税が減収し、公債政策を大蔵大臣が唱え始めるなどの事態が生じ、これが直ちに地方財政にはね返り、もし政府がいまにしてきめこまかな措置を講じておかなければ、地方財政は一挙に昭和二十八年ごろの最悪の事態に落ち込んでしまうこと必至であります。
 永山自治大臣の言うように、地方財政はまさに前ガン症状であります。その自治大臣は、閣議で、地方自治体のほうで中央の役人に贈りものをするのはやめさせましょうと発言され、閣議は了承、それぞれ各省は通達などされたようであります。閣議の問題になるほど、そんなに贈りものがたくさんあるのかどうか私は知りませんが、私は、閣議が地方からの贈りもののことまで論ずるのなら、なぜそうなってきているのかということについて、ぜひ検討を進めていただきたかったのであります。(拍手)地方に十分な自主財源を与えることが先決ではないでしょうか。自治とは名のみ、財源は中央が押え、小さなことまで中央に頼み込まなくてはならなくしているいまの自民党政府の陳情誘発政治こそ改めるべきであると思うが、自治大臣いかがでしょうか。(拍手)
 私は、以下さらに当面の危機に対する具体策を提示しながらお尋ねを進めます。
 第一に、国税、特に法人税の減収が問題で、法人税が減れば、その四十数%ほど、住民税法人税割りと法人事業税が減ることになるわけであります。現行税制では、所得税がどう増減しようと、住民税所得割りはそれぞれ別個に計算するわけでありますが、法人税については影響の遮断がない。法人税が減ればそのまま地方税が減るという仕組みでありますから、そのような税制の矛盾から生ずる本年度の減収、したがって、それについては臨時特別交付金制度のごときものを設け、国が補てんすべきではないか。そして明年度からは抜本的な税制改正を行ない、国税、地方税を通ずる税源の再配分と、大企業優遇の租税特別措置、非課税措置の廃止で地方税税収を確保し、大衆負担の軽減や大都市財源の充実等も一挙に実施すべきではないか。(拍手)
 第二に、国税三税の減収が生じたからといって、すでに地方へ通達済みの地方交付税をいまに至って減らすことは絶対に許されません。したがって、臨時に交付率を上げ、交付税の減少額を必ず補てんするとともに、来年度は財政が悪いので交付団体もふえることでありましょうから、恒久的な交付率の引き上げと、配分方法の改善を講ずべきではないかと思うのであります。
 第三に、国の直轄事業の地元負担をやめ、補助事業でも超過負担を一切やめ、さらに行政事務の再配分を促進すること。
 第四に、国がもし公債政策に出ると仮差すれば、本年度でも地方債の三七%、約千八百億円は公募債であり、国債と地方債との起債市場での競合がまず心配されるわけであります。これまでのように、国が税の自然増収で仕事をやるとすれば、地方も、地方税や地方交付税の自然増で地元負担もできたわけでありますが、国がもし公債で仕事をするとすれば、地方は、地元負担の道がなく、事業返上よりほかないので、結局、安易な地方債の増発政策に転ぜざるを得なくなるおそれがあるのであります。したがって、国の公債政策は、地方財政を守る立場からも反対すべきではないか。
 以上につき、自治、大蔵両大臣の御答弁をお願いいたします。(拍手)
 さて、上水道、都市交通、病院、工業用水道、下水道等の地方公営企業の経営悪化も、産業と人口の都市集中を来たした高度経済成長政策のあおりを受け、地方財政の一般会計と全く同じ足取りで、しかし一足先に危機状態に入っております。
 これに対し、去る十二日、地方公営企業制度調査会は、公営企業再建策につき自治大臣に答申をいたしましたが、私の見るところでは、先ほども原議員もお触れになったように、経営悪化の真の原因の探求が不十分なまま、再建策を、ひたすら住民に対する料金値上げと、職員に対する人件費削減に結びつけ、国や企業への要求は、声が小さいか、またはきびしい条件つきでしかありません。同調査会は、自治体の代表も、市民の代表も、まして職員団体の代表も入っていない委員構成であり、私はこの答申にきわめて疑問を持つものであります。
 私は、地方公営企業も自治行政の一部であり、かつ水道、下水道、バス、病院など、住民の生活に密接につながるものであるのに、かかった経費は全部料金を上げてまかなえ、かような独立採算制の強要は当たらぬと思うのであります。たとえば、水道の水源池のダム、地下鉄の地下道の掘さくなど、基幹的な施設には、少なくも国が財政援助をし、企業債の長期化、利率の引き下げ、累積赤字たな上げ等を急いで実施し、料金値上げは他物価にも響くので極力値上げを押え、同時に経営を健全化させるべきであると思うが、自治、大蔵両大臣の御見解をお聞かせ願いたいのであります。
 一証券会社の危機には、無利子、無担保、無期限で日銀の金を大急ぎでお出しになった佐藤内閣のことですから、国民生活に片時も欠くことのできない水の問題などには、自分のことは自分でやれとはねつけたお答えはまさかあるまいと思うのですが、企業のための工業用水道には国庫補助を与え、一般会計繰り入れもさせ、料金をトン当たり四円五十銭ないし五円に据え置かせておりながら、一般の上水道には補助も繰り入れも禁じ、すべて料金値上げでまかなえと指導されているのは、これは一体いかなる理由によるものか、ぜひお聞かせを願いたいと思います。(拍手)
 そこで、佐藤総理に申し上げますが、地方自治は民主主義の基盤であり、国民の生活が直接そこにつながっております。地方財政の今日の危機が、ほかでもない、政府のこれまでの誤った政治の結果であることが明らかである以上、総理は責任をもって、当面の財政危機克服と地方自治確立のための対策を講ずべきであると思うが、総理の御決意をこの機会にお聞かせ願いたいと思います。(拍手)
 質問の最後に、私は公務員給与問題について伺いたいと思います。
 去る八月十三日、人事院は政府並びに国会に対し、国家公務員給与を、本俸六・四%及び期末手当〇・一カ月分等の五月にさかのぼっての引き上げを内容とした勧告をいたしました。昨年度の給与改定は、前年度より一カ月実施時期を早めたとはいえ、不完全実施に終わり、本院内閣委員会では、国家公務員給与法改正法案の審議にあたり、今後必ず完全実施すべき旨の附帯決議を、いまの自治大臣、当時の永山理事も走り回って、与野党一致で議決しているのであります。(拍手)このような経過を経ての本年度勧告でありますだけに、私は佐藤人事院総裁にまずお伺いしたいのでありますが、ことしの勧告にあたり、勧告の内容及び実施時期を含め、これなら完全に実施できるという確信を持って勧告を行なわれたものだと思うが、いかがでありましょうか、御答弁を願いたいと思います。(拍手)
 次に、佐藤総理と給与担当の安井総務長官に伺います。
 自民党政府は、二十三年十二月に人事院が最初の勧告を行なってこの方十六年にわたり、勧告を完全実施したことはただの一度もありません。特に実施時期を明示して勧告が行なわれた最近五カ年に、実施時期を四カ月ないし五カ月ずらすことで、政府は財政節約ができたかもしれないが、公務員のほうは、一人六万七千四百二十六円に達する損害を受けた計算になるのであります。国鉄、電通等、公社、現業の職員については、三十一年四月から仲裁裁定が行なわれると、それと同時に裁定による給与引き上げが完全に実施されております。同じ国の公務員でありながら、制度上の違いはあるとはいえ、何ゆえにこのような取り扱いの差等を生じているのか、納得のいく御説明を願いたいと思います。
 新憲法のもとで、公務員はもともと民間産業労働者と同様に労働基本権を与えられていながら、昭和二十三年のマッカーサー書簡により、労働基本権の大幅制限を受け、国家公務員の場合、その代償として第三者機関である人事院勧告の制度が設けられたのであります。このことは地方公務員に対する人事委員会や公平委員会についても同様であります。ことし一月来朝したILO調査調停委員会のドライヤー委員長の報告にも、わが国の矛盾の多い現行制度の調査のあと、「労働組合が選出に参加して設置される公平な仲裁機関を置き、その裁定は完全かつ迅速に実行されなくてはならない」旨述べてあることは、人事委員会や公平委員会が代償機能を果たしていないことに対する指摘ではありますが、この指摘は人事院の機能についても当てはまることであり、まして不十分ながらも現存する代償機能としての人事院勧告を一方的に値切ることは、あえてILOを持ち出すまでもなく、政府は公務員に責任だけを要求する一方、使用者としての義務を果たさず、物価高に悩む公務員の生活を顧みないことであり、法律的にも、また道義的にも許さるべきでないと思うのでありますが、いかがでしょうか。(拍手)
 来たる二十二日には、国家公務員と地方公務員の団体百六十万人は、公務員共闘統一行動日として半日休暇による地域集会を持って、みずからの生活防衛のため、政府に反省を迫ることをきめておりますが、労働権を剥奪されている公務員によるこのような統一行動は、かつて例を見ないことであり、たび重なる政府の人事院勧告無視の態度から、私はよくよくのことであろうと思うのであります。(拍手)違法のストライキには断固たる処置をとると関係大臣は言っておりますが、政府みずからが使用者としての義務を怠り、公務員法の精神を侵すのでは、公務員に警告を発し、処分を行なう資格なしと思うが、いかがでしょうか。(拍手)
 本年度の給与改定につき、最大の問題は財源難でありましょう。そして、特段の配慮が必要なのは地方財政についてであります。国家公務員に対し改定が行なわれれば、当然地方公務員に対し、それぞれの自治体において国家公勝負に準ずる改定が行なわれなくてはなりませんが、先ほど申し上げたように、地方財政は悪化し、不交付団体といえども昨年までのように自然増収に期待することはできません。したがって、給与改定所要財源は、交付団体にあっては財政需要の当然の増加でありますから、地方交付税の追加交付、不交付団体にあっては起債の許可、地方公営企業にあっても起債等資金繰りの措置、これらをそれぞれ完全に実施し、財源を確保することが絶対に必要であると思います。永山自治大臣、さらに福田大蔵大臣にも御答弁をわずらわしたいと思います。
 私は、最後に繰り返して申しますが、勧告完全実施の要求は、法律で裏づけされ、人事院も自信を持ち、国会も支持しております。佐藤総理は所信表明演説で、完全実施の方向で最善の努力をいたしますと一言触れているだけでありますが、この段階まできて、私は、総理から同じことばの繰り返しの御答弁をお聞きしたくはないのであります。財政難の問題はもちろんありましょうが、政府部内のいわゆる五人委員会の論議も結論に近づいていると思います。総理の決断において、不測の事故や混乱を避けるためにも、勧告の完全実施を一日も早く決定さるべき段階にきたと私は思うが、総理、いかがでしょうか。
 以上をもって私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#14
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) まず第一、災害についてお尋ねがございました。天災は人災ではないかというお話でございますが、私どもが国土保全政策、保全事業を内閣の基本的政策の一つに取り上げておることは、御承知のことだと思います。この線に沿いまして、いわゆる治山治水計画あるいは多目的ダムあるいは特殊の河川等について、特別な事業をしておることも御承知だと思います。内閣は、その線におきまして、一そう実効があがるように努力してまいるつもりであります。
 第二に、医療費についてのお尋ねがありました。御指摘のとおり、ただいまわが国の医療保険制度、これはたいへん財政的に困難な状態に立ち至っております。これは御指摘のとおりであります。社会保障制度審議会からも答申が出ておりますし、社会保険審議会等からも近く答申が出てくることだと私どもは考えておりますので、その答申を待ちまして、その上で保険制度三制度についての財政的な対策を、適切な案をつくって皆さま方の御審議を得ることにいたしたい、かように思っております。
 第三に、ただいまの地方自治体の財政の危機について私の所見をただされましたが、私は、最近たいへん悪化している、これが健全化しない限り、いわゆる民主政治の基盤が不安な状態では、わが国の政治を遂行していく上にたいへんな困難を生ずるし、また国民自身も非常な不安な状態に置かれる、かように思います。その点で、地方自治体並びに中央政府が、ほんとうに、ただいまどういう状態でかような事態になっているか、これを根本的に考究してみたい。制度上からきているものもありましょう。また財源的措置を必要とするものもありましょう。また自治体そのものが、その運営上も考えなければならない問題もあるだろう。かように思いますが、ほんとうに真剣に今日の危機と取り組む、その態度が望ましいことだ、かように思います。
 次に、人事院勧告についてお尋ねがございました。この結論も急いで出さなければならない、かように思いまして、せっかくただいま政府自身が努力中でございます。まだ同じような考え方では困る、かように言われますが、事実ただいまこの人事院勧告の取り上げ方につきまして、私ども非常に苦慮しておる最中でございます。御承知のように、御指摘にもありましたが、ことしは特殊な財政状態でございますので、その点も十分勘案していただきたいと思います。
 また、ただいまお触れになりました二十二日の百六十万の半日スト、このことについても言及されましたが、これは私が申すまでもなく違法な事柄でございます。必ず良識ある行動を公務員諸君はとられることだと思いますので、その良識ある行動を強く望んで私の答弁といたします。(拍手)
  〔国務大臣安井謙君登壇〕
#15
○国務大臣(安井謙君) マリアナ沖の漁船の災害につきましては、政府といたしましてもまことに心痛をいたしております。遭難漁船対策連絡協議会というものを設けまして、現地の米軍との協力を得ながら、現在防衛庁から十機の自衛隊機並びに自衛艦五隻、あるいは海上保安庁の巡視船二隻あるいは水産庁の船、そういったもので鋭意捜査を続けておる次第でございます。
 なお、遭難を免れました当時の十六隻の漁船に対しましても、当日から指令を出しまして、同じく救助捜査に当たってもらっておりましたが、これは船員も非常に疲労こんぱいをいたしておりますので、現地の対策本部とも協議の結果、このほうの船は帰ってもらい、そうして現在政府と米軍関係の機関でもって鋭意今後も捜査を続けていきたいと考えておる次第でございます。
 なお、今後の救済策その他につきましても、御承知のように、これは船員補償あるいは漁船保険、そういったものはもちろんでき得る限りの救助対策というものを政府も立てまして、少しでも遺族の方々あるいは関係者の方々のお役に立つようにこれからもつとめてまいる決心でございます。
 豪雨あるいは災害の問題につきまして、六、七月のあの豪雨につきましては、すでに八月中に激甚災害の指定を行なっております。なお、二十三、二十四、二十五号につきましては、これも十月の十二日に一応激甚災の指定を行なっております。一部農地関係、農業関係にまだ調査の行き届いておらぬものがございますが、これにつきましては、おそらく調査ができ上がり次第、来週あたりには決定を見るものであろうと思っておる次第でございます。
 なお、その範囲を広げてはいかがかというお話でございます。御承知のように、災害につきましては、それぞれの一般の法律によって救済規定がございまして、公共的に特に激しいものにつきましての激甚災の指定をいたすわけでございます。しかし、この指定の運用にあたりましては、最近は非常に精神を重んじまして、幅を広げた適用を採用しておりますので、今後ともその運用によって、この救済の範囲を広げていきたい、こういうふうに考えております。
 なお、給与につきましては総理からも御答弁ございましたように、政府といたしましては、いまの公営企業体とは若干公務員の給与は立て方が違います。財源も違います。したがって、同じように扱うということは、必ずしも同様には申せないかもしれません。しかし、人事院の勧告に対しましては、私どもはあくまでこれは極力尊重いたしまして、何らかのいい結論を出すべく今日鋭意検討中でございますので、御了承いただきたい。
 なお、二十二日のストにつきましては、われわれそれぞれの組合の幹部に対しまして、こういう違法なストはぜひ避けるようにという交渉をいたしておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#16
○国務大臣(福田赳夫君) 災害につきましては、予備費からすでに八十七億円を支出いたしております。なお、予備費は三百億をこえる額が残っておりますので、調査の済み次第予備費を支出してまいります。それでも足らないものは、補正予算で御審議をわずらわしたいと存じます。
 地方財政につきましては、本年度は交付税の減少があることは先ほどのお話のとおりであります。それから、固有の税収が減少してまいります。また、そこへ給与の問題が起こっておるわけであります。本年度は、異常な情勢が中央財政でも起きておるのでありまするが、同様な事情が地方財政にもあるのでありまして、これに対しまして総合的にどういたしますか、ただいま検討中でありまするが、なるべくすみやかに結論を出したい、さように考えております。
 四十一年度につきましては、地方財政は非常に窮境に立つ、その処置をどうするか、私は、日夜頭を悩ましておる最大の問題であります。御承知のような超過負担の問題につきましては、私は、これは従来のいきさつもありまするが、公正な立場で処置いたしていきたいと思います。しかし、要は、これは地方財政におきましても国と同様に経済情勢が変わったのだ、それに即応した長期の財政展望というものを持たなければならぬと思います。私は、そういう展望、長期な計画を持ちまする自治団体に対しましては、国におきましても最大限の協力を申し上げるという方針でございます。なお、そういう考え方のもとに、起債市場におきまして地方債、国債が競合する、そういう事態のないように十分資金の全国的な調整をしてまいりたいという考えであります。
 なお、公営企業につきましては、せっかくの調査会の答申を尊重して、その改善に努力していきたい、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣永山忠則君登壇〕
#17
○国務大臣(永山忠則君) 最初に御質問をいただきました関係は、国家公安委員長として答弁をさしていただきます。
 警察は、平穏な請願行進に対しましては、何らこれに干渉するという考え方はございません。この十二日の場合におきましては、反日共系の学生が五日の日にも議面のところへすわり込んで、そうして、そこで後続集団がやはり平静に平穏に陳情することが困難なような状態もございましたし、さらに、十二日の日には、その学生の部隊がうしろからどんどんかけ足で前線に出まして、そうして、請願に入る場所の日枝神社のところから第一線へ出てきまして、そうして、平静なる請願者を逆に非常に困難な状態におちいらしめるというような行動がございますし、なお、石を警察官へ投げつける、さらにまた、公安条例によりまして、請願の条件として、プラカードや手持ちのものは、これをそこの日枝神社のところに置くということになっておるのでありますが、その学生諸君は、そういうことを聞かずに、どんどんそこを飛び越え、飛び越えたならば、そこをジグザグデモやあるいはフランスデモでどんどんやりまして、とうとう、御存じのように、また議面の前にすわり込んだのでございます。したがいまして、正常にあとから請願しようという方々も非常に困りまして、そこで一時停滞するというような状態でございました。そういう状態で非常に混乱を来たしますので、平静に陳情をさすために、やはり入るところをよく注意する必要があるのであります。入るところを、大体五列で行くということになっておるのでございますが、それを十列でも二十列でも突破しますから、それで車を置きまして、その通路で制約をし、さらにまた、プラカード等をやはり置いてもらわねばならぬが、置かないものですから、それらも置いてもらうというような関係で、やむを得ずやりました行為でございますので、皆さん方もどうかひとつ正常なる請願ができるように、御協力を願いたいと存じます。(拍手)
 それから、国民健康保険の問題に対しましての私への御質問は、一般会計から出すべきではないじゃないかという御質問でございますが、原則としてさように存じております。したがいまして、やはり標準保険税というようなものをつくる必要がある。標準保険税のところまで出さずに、一般会計から出しているという例もないことはございません。さらにまた、療養給付費の定率補助を引き上げるとか、あるいは調整交付金の率をよくするとか、事務費の国庫負担を完全にするとかいう点は、安井議員と同じような意見で、今後も努力いたして国保財政の確立をはかりたい。根本的には、どうしても医療保険の各種を一つに統一するということ以外はないと思うのです。地域社会保険である国保会計へ統一すれば、これは一番うまくいくのじゃないかという気はいたしておりますが、まだそこまで社会保障制度審議会の議はまとまっておりません。
 それからさらに、地方財政の問題が非常に窮迫を告げて、中央依存主義になっておる点に対しても、お説のとおりでございますので、将来は、事務配分その他の検討とあわせまして、自主財源をやはり確立するという体制で進みまして、自治体のほんとうの自主性を保つようにしたいと考えておりますが、これらはいま税制調査会で鋭意検討いたしておりますので、ぜひ一歩一歩前進をさしたいと考えておる次第でございます。
 なお、今回、法人税が減りますと、いわゆる国税三税が減ると、交付税が減るのでございまして、実は千五百億減りますれば、四百五十億から地方へやる交付税が減ります。これはもう予算ですでに配分されて決定している金でございますから、これを返せといっても返されぬので、何とかひとつ財源措置を必ずやりたいと考えておる次第でございます。しかし、地方財源が非常に不足をいたしておりますから、これが根本的対策はいま申しましたとおりでありますが、とりあえずは、やはり地方債のワクを、安井議員の言われるように広げまして、地方公共事業等の消化を十分にいたしまして、地方財源を確立するようにせなければならぬものであると考えておるのであります。
 また、公債の問題は、地方の公共事業がおくれているから地域間の格差がひどく起きておるのでございますから、やはり公債を出してもらって、そして地方公共事業にうんと力を入れて、社会開発をやっていただくということが、やはり行政水準を平均化することになるので、私は好ましい姿であると考える。ただ、インフレにならぬようにする点については、いろいろ大蔵大臣の言うとおりでございます。
 また、地方の公営企業の問題に対しましては、二つ大きな性格がございまして、いわゆる公共性というこの性格は、これは絶対に必要でございます。この点におきまして、政府は長期の金とか、あるいは金利の安いのとか、あるいは非常に困難な事業に対しては利子補給をやるとか、あるいは耐用年数と、さらに貸した金の還元の年数との格差是正をするとか、あらゆる方途で公共性事業にそぐわしいように政府も援助をいたすのでございますが、しかし、何といっても独立採算性の原則だけは、自分が使うた分だけは自分で処理するという、公共性を忘れはしませんけれども、独立採算性の原則というものはどこまでもこれは打ち立ててやるべきものであるということが答申の趣旨でありますから、この点に対してもあらゆる点を考慮いたしまして、そして合理化もはかり、公共性に対して政府の援助もいたして、それでもどうしてもいけぬ分は、やむを得ぬ範囲で、やはりこれに対して料金を最小限度上げねばならぬということが答申の趣旨でございますので、今後も皆さんと十分この点は相談してやりたいと考えておるのであります。
 給与の関係につきましては、公務員に準じて必ずやり、その財源的措置は、今回は実は地方に財源がございませんので、政府のほうでめんどうを見てもらうように、鋭意折衝をいたしておるのであります。(拍手)もちろん、地方財政の健全化に対しましては、十分今後も努力をいたしまして、むだ金にならないように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#18
○国務大臣(鈴木善幸君) 医療費の問題につきましては、公益委員はじめ診療者側、支払い者側等の御理解、御協力によりまして、去る十月の二日に答申をちょうだいすることになったのであります。その結果、諮問にございましたように、薬価基準の引き下げに伴いまして生じました余裕分三%を医師の技術料に振りかえる、また昨年の十月以降に下がりましたところの一・五%、約百五十億でございますが、この百五十億は患者負担の軽減に充てる、こういうことに相なった次第でありまして、来たる十一月の一日からこれを実施してまいる所存でございます。私は、今後におきましては、さらに診療報酬体系の根本的な改善、適正化というものを諮問いたしまして、医療行政の前進をはかってまいりたいと考えておるわけでございます。
 第二の、医療保険財政の問題でございますが、この医療保険財政が近年悪化いたしておりますことは御指摘のとおりでございます。国民健康保険にいたしましても、政府管掌の健康保険にいたしましても、この一両年非常に財政が悪くなっておりますが、政府管掌の健康保険の例をとりましても、四十年度末には五百九十二億、また保険三法の改正が行なわれなければ、四十一年度には八百億の赤字を生ずるというような事態にございます。そこで、先ほど総理大臣からもお話がございましたように、ただいま社会保険審議会、社会保障制度審議会に諮問をいたしまして、その答申をお願いいたしておるのでありますが、この両審議会の答申を待ちまして、保険三法の改正案をできるだけ早い機会に国会の御審議をお願いいたしたい。そして保険財政の対策を講じたいと考えております。またその際に、国庫負担の問題につきましても、被保険者の負担能力等々を勘案いたしまして、十分検討いたしたいと考えております。
 国民健康保険の赤字対策につきましては、三十九年度の末におきまして、三十八年度に比べて非常に財政が悪化してまいりましたために、予備費から臨時財政調整補助金を四十億出してもらいまして、そして決算をいたしました。また、三十九年度の国庫負担精算の不足分百十一億を繰り上げ支出いたしまして決算をいたしました結果、三十九年度の決算におきましては、三十八年度よりもやや好転いたしておるわけであります。しかし、政府におきましては、今後この国保の財政基盤の確立をはかりますために、ただいま年次計画で進めておりますところの家族七割給付、この実施と見合いまして、国庫負担の増額等十分検討してまいりたいと考えております。
 第三に、医師の確保対策につきましての御質問でございますが、現在、わが国には医師は十万六千人ほどおります。人口十万人に対しまして百十一人ということでありまして、これは私は国際水準に近いものだと考えておりますが、ただ、診療科目や、地域的に見ました場合に、御指摘のように医師が非常に不足を告げておるところもございます。そこで文部省と連絡をとりまして、医科大学の入学の定数をふやしますとか、いろんな対策を講じておりますし、僻地の医師の確保対策につきましては、待遇の改善あるいは調査研究費の支給、いろいろ手を打っておるのでありますが、まだ急速にその確保をはかることが困難な地域につきましては、診療車あるいは患者輸送車等を増強いたしまして、それを補完してまいる所存でございます。(拍手)
  〔国務大臣瀬戸山三男君登壇〕
#19
○国務大臣(瀬戸山三男君) 災害に関係いたしましてお尋ねがありましたから、お答えいたします。
 まず、災害復旧は、原形復旧でなくて、改良復旧にすべきじゃないか、お説のとおりであります。もちろん、公共土木施設の災害復旧事業費公庫負担法では、災害復旧は原形復旧ということに一応書いてあります。そういうことで、当時はその字句にとらわれて論争されましたが、再度災害を防ぐというのが治水の大本であります。その負担法にも、御承知のとおり、不適当なる場合には改良復旧すべきであるということが示されております。と同時に、災害基本法には、再度災害が起こらないことを旨として災害復旧すべきであるということが示されておるのでありまして、私どもはその線に従って、再度災害を防ぐということを根本の原則として、災害復旧を進めておる次第であります。
 それからもう一つ。どうも災害復旧を、現行は四年くらいでやろうというが、もう少し縮めたらどうか、これもそのとおりでありまして、私ども年々そのために努力をいたしております。現在緊要なる災害復旧、大体これが八割程度でありますが、これを三年でやっております。直轄工事の災害復旧は二年で完了いたしておりますが、大体四年にかかるのが現状であります。先ほど来議論になっておりますように、わが国は災害国でありますから、国力の回復に従って、災害はできるだけ早く回復するというのが適当であろうと思います。現在、私ども政府部内で、その方針を実現したいということで、せっかく検討、努力中であるわけであります。
 それからもう一つ、大河川中心で中小の河川をないがしろにしておるのじゃないか、こういう御質問がありました。そういうことはいたしておりませんけれども、御承知のように非常に雨の多い、河川の多い国でありますから、全部一挙にというわけにはまいりません。非常に災害のおそれのある大河川をできるだけ早く防災工事しようというのは、これはやむを得ないことでありまして、近年の災害の実情を見まして、従来と同じくあるいは従来以上に大暴風雨がありましても、従来ほどの災害が起こりませんのは、およそまだ完全ではございませんけれども、大河川に対する治水工事が相当進んで、いまその効果があらわれたというのが実情であります。反面において、最近の状態は中小の河川あるいは峡谷地帯あるいは都市に思わざる災害が起こるというのが現状でございます。これは各種の産業、経済が発展したということと、またしたがって自然の状況に人間的な圧迫が加わっておると同時に、道路その他が整備されまして、天水が必ずしも従来と同じような流れをいたさない、一カ所に集中する、こういう現象でありますから、私どもはその現象をとらえて、お説のように今後中小の河川等に重点を置いて治水対策を進めていきたい、かように考えておる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕
#20
○国務大臣(坂田英一君) マリアナ水域について多くの漁船の遭難事故が発生いたしましたことは、まことに御同情にたえません。捜査の現状その他について総務長官からお答え申しましたので、私からは省略させていただきます。
 それから次は、農林水産業施設の災害復旧は、原形復旧よりもむしろ改良復旧の方向云々という御質問でございますが、これも建設大臣からの御答弁で省略させていただきたいと思います。
 それから農地の災害復旧事業による補助の基準を緩和することの問題でございます。これは一カ所の復旧事業費が十万円以上のものとなっておりますが、この基準は昭和二十五年に設けましたものでございます。まことに現在からいうと小規模のものであると見なければなりませんし、なおそれよりも小さな小災害についても起債を認め、その元利を交付金等によって補給することにしておるわけでありますから、多くの場合はそう差しつかえないと思いますが、いろいろの事情もありましょうから、なお検討させていただきたいと存ずるのでございます。
 それから、本年災害の性格にかんがみて、早場米の時期別価格差の時期を延長すべきではないかという問題でございます。時期別価格の一期、二期の適用期日の延長につきましては、天候の不順及び災害等により政府売り渡しが例年に比し著しく遅延いたした一部地帯について延長を行ないました。なお、第三期の適用期日の延長につきましては、農作業の進捗状況、買い入れの遅延状況等を十分検討の上対処することといたしたいと存じます。
 それから次は、イモでん粉の標準価格についての問題でございますが、イモでん粉の基準価格は、農産物価格安定法に基づき、イモ類及びでん粉の市場取引において、でん粉の市価が正常な価格水準から低落することを防止するために設定されたもので、最低価格支持という意味の基準価格でございます。したがって、このような趣旨からいっても、いわゆる生産費及び所得補償という方式はとりがたいことは言うまでもございません。しかし、本年のいろいろの事情もございますので、本年のイモ並びにでん粉の基準価格については、同法の趣旨に即しまして、でき得る限りすみやかに決定いたしたいと存ずる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣中村寅太君登壇〕
#21
○国務大臣(中村寅太君) マリアナ水域における海難のために犠牲になられました方に対しましては心から弔意を表したいと思います。
 あの際の気象通報に誤差があったのではないかという質問でございますが、現在、台風に関する気象情報は、船舶気象無線通報と漁業通報とによりまして、船舶、漁船に通信、放送いたしているのであります。今回の台風二十九号の位置、それから強さ、進路についての気象情報は、現在気象庁の持っております設備、それから技術の点から考えましては、最善を尽くしたものといたしまして、その通報はおおむね適切であったと信じております。それから現在の気象体制でございますが、状況の把握、設備、通報、それから受信等の装備等について万全であるとは考えられませんので、これを検討いたしまして、災害等が再び起こらないように処置してまいりたいと考えております。
 それから海難救助につきましては、今回の海難にあたりまして経験いたしましたことを生かしまして、大型航空機、それから大型の高速巡視船等を整えまして、そうして海難の救助防止対策を進めてまいりたいと思います。
 さらに特定の海域につきましては、季節に応じまして巡視船を固定配備しまして、海難を未然に防ぎ、さらにもしも海難等の場合には、即応の救助体制を整えてまいりたい所存でございます。(拍手)
  〔政府委員佐藤達夫君登壇〕
#22
○政府委員(佐藤達夫君) 給与勧告の内容及び時期について確信があるかというお尋ねでございました。
 内容につきましては、今回の勧告におきましては、これは申し上げるまでもないことで、すでに御承知のことでありますが、現下の経済事情に顧みまして、今回の勧告におきましては、ほんとうにせっぱ詰まった生活条件のもとにある階層の人人の給与改善に重点を置いております。したがいまして、この点につきましてはどこからも御異論のあるはずがないという確信を持っております。
 次に、時期の問題でございますが、これまた御承知のとおり、私どもの勧告は毎年四月現在の民間給与の水準をとらえまして、公務員給与をそれに追いつかせるというたてまえのもとに御勧告を申し上げておるわけで、したがいまして、四月現在の格差に追いつかせるということになりますと、少なくとも五月にはさかのぼって実施していただかないと、これは筋が通らぬというたてまえに立っておるわけであります。(拍手)
 また一方、先ほどおことばにもございましたが、公労委のあの仲裁裁定を見まするというと、これもやはり最近は民間給与との格差を相当考えてなされておるわけでありますが、これがここ十年近く毎年四月にさかのぼりまして完全に実施されておるというような点との均衡等もございまして、私どもといたしましては、以上のような趣旨から、やはりこれは勧告どおりに完全に実施されてしかるべきものであろうという確信を持っておる次第でございます。(拍手)
 なお、ただいまの安井議員のおことばにございましたとおり、昨年十二月に当衆議院の内閣委員会におきまして、給与勧告の完全実施のために予算措置について十分の考慮をすべしという趣旨の附帯決議が全会一致によってなされておるのでございます。私どもといたしましては、この御決議をも大きなうしろだてに考えつつ、以上のような確信を持ちまして御勧告を申し上げ、かつ、現在その勧告の完全実施のためにあらゆる努力を尽くしておる次第でございます。何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○副議長(田中伊三次君) 今澄勇君。
  〔今澄勇君登壇〕
#24
○今澄勇君 私は、民主社会党を代表して、今国会の最も重要な課題であると考えられる日韓問題に論点をしぼりまして、わが党の立場を明らかにしつつ、総理をはじめ関係各大臣の所信をたださんとするものであります。(拍手)
 わが党は、これまで日韓両国間に横たわる幾多の懸案を解決し、その友好関係を増進するため、国交の正常化をはかることに基本的には賛成をいたしてまいったのであります。(拍手)その理由は次の三点からでございます。
 すなわち、その第一は、隣国との友好関係の樹立こそはわが国の自主的かつ平和的外交の基本であると確信するからであります。(拍手)
 隣国との国交は常にこれを閉ざされてはならないという外交の鉄則は、日韓関係についても当然適用さるべき不動の真理であります。われわれが真に平和を求め、他国との友好を求めるならば、まず隣国に対しては、その政治体制が自由主義、共産主義のいずれであろうとも、進んで国交を開き、善隣友好の関係を実現することが、わが国外交の第一歩でなければならないと確信をいたしております。(拍手)このわれわれの基本的態度は、隣国でありながら共産国家であるという理由をもってこれを敵視し、これら諸国との国交をかたくなに閉ざさんといたしておりまする政府・自民党の外交路線とは根本的に相違するものであります。(拍手)
 その第二は、日韓の正常化はわが国の安全保障に重大な意義と価値を持つものと判断するからであります。
 わが国の平和的存立を保障する基礎条件は、まずわが国を取り巻く隣国が、その信条や政治形態のいかんを乗り越えて、わが国を信頼し、ともに将来の苦楽を分かち合う決意のうちに、自由と平和に徹した国家として発展する状態が確立されることであります。隣国同士が信頼感を失い、自由と平和から足を踏みはずして独裁と全体主義におちいるとき、そこに紛争と平和への脅威が常に発生いたしておりますことは、現実の国際政治がわれわれにきびしく教えておるところであります。(拍手)いまわれわれが眼前に体験いたしておりまするベトナムの紛争、中印国境、インド・パキスタン、インドネシア・マレーシア情勢等々は、まさにその例証であるとわれわれは考えなければなりません。この意味で、韓国が自由と平和に徹した国家として成長発展するかいなかは、わが国の平和と安全を左右する重大な要素であると申さなければならぬのであります。(拍手)日韓の国交正常化は、まさにそうしたわが国の平和的基礎固めの必須条件であると私は確信いたしておるのであります。(拍手)
 その第三は、現実に当面する国家的利益をいかにして守るかということであります。
 一九五一年、韓国によって李承晩ラインが一方的に設定されまして以来、韓国側によるわが国の漁船の拿捕は実に三百数十隻に達し、四千名に近い漁民が不当に抑留され、しかも、二十数名がその命を落としておるのであります。一家の糧道を断たれた抑留漁民の家族の悲惨さは、ここで私が多言するまでもありません。
 また、わが国には、一般概念の外国人でもない、日本人でもない在日朝鮮人が約五十八万人在留いたしております。それらの人々は年々増加し、わが国にとって最も憂うべき少数民族の禍根をつくり出しつつあるのであります。
 これらの問題を一刻も早く解決し、わが国の民族的利益を確保することこそがわが国外交の重大な使命でなくて、一体何がわが国の外交でありましょう。南北統一するまで交渉を行なうべきでないとする一部の主張のごときは、このようなわが国が当面する現実的被害の解決に対して、国として何らの責任を負おうとしない全く無責任な態度であると私は断じてはばからないのであります。(拍手)
 われわれが日韓正常化を賛成してまいりました基本的立場は、主として以上の三点の理由に基づくものであります。この基本的な立場は、換言すれば、わが国自主外交の存否をかける外交、防衛の基本路線、すなわち、わが国の世界政策に関する問題であると同時に、日韓条約の性格を規定づける重要なポイントであると考えておるのであります。
 そこで、私は、まず日韓条約を正しく評価するため、政府の外交並びに安全保障に対する基本的認識とその態度を伺いたいのであります。
 第二次世界大戦後、世界各国は、国連を唯一の実力ある平和の創造者として期待したのであります。われわれもまた国連中心主義の立場に立ち、これを強化せんと努力してきたのであります。しかしながら、その期待は、まず米ソの二大対立によってくずれ始め、いままたフランスと中共の台頭による世界政治の多極化とインドネシアの国連脱退によって、少なくとも大国が関与する紛争に対して国連の力がいかにも弱いものであることを示すに至ったのであります。そこに民族主義の台頭が当然の帰結として再現し、自国の安全保障に対するきびしい要求が生まれてまいっておるのであります。いまここに韓国が、日韓条約の内容について日本以上に強い不満を持ちながら、あえてこの条約の成立に踏み切った真意は、思いますのに、日本との平和的な結びつきを通じて、韓国の経済的繁栄を達成し、自国の安全保障の基盤を確立するとともに、より広く反共体制の地固めという自由主義陣営の連帯を果たさんとしているからでありましょう。そのことは、共産主義の脅威と戦慄をはだで体験した彼らにとっては偽らざる真情であり、現在の韓国それ自身の立場としては無理もないことと考えられるのであります。
 しかしながら、韓国がどのような意図に基づこうとも、日本は日本の自主的立場を貫かなければならぬと考えておるのであります。もし、かりにわが国が韓国と同様の立場からこの日韓条約を結んだといたしまするならば、日本の今後の外交に重大な禍根を残すものと私は考えております。なぜならば、共産国家を敵視し、これとの共存を否定し、したがって、善隣友好を基礎として今後わが国がソ連や中共、北鮮などと交流を果たさんとする道を閉ざすことになるからであります。それは、アメリカ式の反共連帯への追随ではあっても、アジアの一国たるわが国の民族的利益を基調とする自主外交の道ではないと存ずるのであります。
 その意味で、わが国の外交は、いまやその路線を明確にすべき重大なる岐路に立っておると考えておるのであります。われわれがいま選択を迫られておる道は次の三つであります。
 その第一は、アメリカを人民の敵として、これと力によって対決せんとする中共を頂点とした共産主義路線であります。この路線は、当然の方向として日韓会談を粉砕し、韓国の自由な発展を阻止する道であります。
 第二の道は、アメリカの立場に代表されるごとく、前者と全く逆な立場に立って、共産国家を敵視し、これとの共存を実質的に拒否していく立場であります。この道は、日韓条約の締結を反共体制の確立として推進するものであります。
 第三の道は、はたしていずこにありや。私は、世界のすべての国と国交を開き、共産国家とも平和共存の立場に立って、民族的利益と自主的外交を推進する平和的共存の外交であると考えておるのであります。この道は、日韓国交正常化を、反共からではなく、純粋に隣国の友好と平和の基礎としてとらえんとする立場であります。
 しかし、わが国がこの道を歩むためには、今後自国の安全保障について他国の干渉を排するだけのき然たる自立性を持つことが不可決であり、そのためにも、自主的な立場から安保条約の改定をアメリカに要求し、特にアメリカを中心とする共産主義国に対する軍事偏重の政策を改めさせ、自由主義陣営の欠陥を大胆に是正する立場を貫かなければならないと信ずるのであります。(拍手)同時に、これと並行して、七億の人口を有する中共の実体を認識し、これの承認と国連加盟への努力を傾注しつつ、特にわが国としては、ソ連との間に平和条約の締結と相互不可侵の協定を取りきめるだけの勇気ある外交路線の確立が絶対に必要であります。
 このような展望と決意のうちに日韓条約を結ぶべきであるというのがわれわれの主張でありまして、この機会に政府は、日韓条約を第一歩とする日本のアジア外交の進路と展望について国民の前に詳細な説明をすべき義務があると私は考えておるのであります。(拍手)
 いまや、わが国における外交上の一大不幸は、率直に申して、その外交路線が両極端に相反し、二つの主張が激突して、議会政治の特徴ともいうべき国民の合意たる第三の道を求め得ないところにあるのではないか。五年後の安保条約期限到来を前にして、ますますこの対立は深刻化する情勢にあり、民族の危機を招来するとまで言う者もおります。憲法改正、安保体制強化の立場に立つ保守勢力と、無防備中立、安保条約即時破棄を主張する左翼勢力との、力を背景とした両極の対立であります。私は、自国の安全保障に対する政党自身の責任を回避して、時流に迎合し、いつまでも第三者的立場において国の安全保障をイデオロギーの論争や党利党略の具に供してはならないと確信いたしておる者の一人であります。(拍手)
 いまや、国民とともにわれわれは政治家の義務と責任において世界情勢を分析し、自分自身の立場からわが国の安全保障について掘り下げて考えなければならぬところにきたと考えておるのであります。
 私は、日本みずからの自衛対策としては、現憲法の範囲内でこれを確保し、他方、安保条約を根本的に改定して、米軍の常時駐留を排除し、国際的なアジアの動乱に巻き込まれることを防止しながら、共産国家とも平和共存の外交を展開して、わが国の自主性を確立することにあると考えておるのであります。
 この際、佐藤総理は、いかなる外交路線を踏まえて日韓条約を結ばれんとするか、また、国論を二分しておりまするこの防衛論争について、いかなる対策を持って国民の不安にこたえんとするものであるか承りたいのであります。(拍手)
 さらに、私の指摘いたしました自主外交の条件整備については、まず第一に、わが国の安全保障に対する自立性確立の具体策、第二に、中共の承認とその国連加盟についての総理大臣の考え方、第三に、ソ連との平和条約の締結と不可侵の取りきめを行なう意思が将来ともにありやいなや、第四に、米軍の駐留排除を中心とする安保条約の根本的改定について、政府は具体的にいかなる方針と展望を持っておられるか。その一つ一つについて、詳しく佐藤総理の所見を率直にお示し願いたいと思うのであります。
 わが党は、以上の観点に立って、日韓条約の意義を評価し、その正常化に基本的に賛成する立場をとってまいりました。しかしながら、この立場は、日韓条約の締結にあたって無条件、無原則であることを容認するものではありません。それは、あくまでも大局的にわが国の具体的利益と平和に合致することが必要であります。同時にまた、条約、協定の内容の理解について両国当事者間に重要な相違がある現状をそのまま放置することは断じて許されません。
 わが党は、この点を確かめるため、先般韓国に党の調査団を派遣し、建設的立場から、その実情をつぶさに調査いたしてまいりました。その結果、幾つかの疑問点は解消されましたが、なお、政府にただすべき多くの問題が残っておるのであります。以下、条約、協定の具体的内容について、総理並びに外務大臣にお尋ねいたしたいのであります。
 その第一は、竹島問題であります。
 周知のように、竹島の正島地籍決定は、明治三十八年の領土編入告示以来、島根県穏地郡五箇村という地籍を付し、日本の固有領土としてきたのでありますが、日韓併合条約など、過去の二条約を基本条約で無効と規定いたしました現在、日本側の主張は国際法上の主張にあらずというのが韓国側の見解でありまして、ポツダム宣言、総司令部通告等を根拠にして、韓国の領土権に対する主張はきわめて根強いものがあります。私は、まず、これに対する日本側の国際法上の根拠を、この議場にお示し願いたいと思うのであります。(拍手)
 同時に、日本側は、将来この問題を両国の懸案として解決する方針のようでありますが、かりに紛争処理の交換公文に基づいて調停委員会に付されるにしても、それが強制力を持たない現状からいたしまして、その基本的解決はきわめてむずかしいのではないか。今後竹島問題を具体的に解決していく政府の方針とそのスケジュールを、この際はっきりとお示し願いたいと思うのであります。(拍手)
 第二は、管轄権の範囲であります。
 今回の基本条約において国連決議百九十五号を導入されておりまするから、韓国の管轄権が現実には三十八度線以南に限定されたことはほぼ確実であると、われわれもさように理解をいたしております。しかし、ここで問題は、基本条約を裏返してみれば、北鮮関係事項は白紙の状態で条約のらち外に置いたことを意味し、したがって、将来、請求権問題などで北鮮と交渉の余地をはっきりと残すとともに、今後、北鮮を事実上の政権と認めて、経済、文化その他の関係を持つことが十分考えられるのかどうか、また、政府にそのような積極的な意思があるかどうか。私は、国際鍼灸学会の金博士の問題といい、多くのこれらの問題について、佐藤内閣の一貫した勇気と信念のないことを心から惜しむものであります。この際、佐藤総理の所信のほどをぜひお伺いいたしでおきたいのであります。(拍手)
 第三の課題は、漁業李ラインの問題であります。
 わが党の韓国調査団が、現地で漁業代表をはじめ各界の人々と会いました結果、李ラインの撤廃は既定の事実として理解されていることが、きわめて明白となりました。(拍手)ただ、問題は、漁業協定期限が六年をもって撤廃され得るたてまえからして、日本漁民の最もおそれる問題は、その後における李ラインの復活であります。日本政府は、そのわが国漁民の心配をいかにして払拭するか、その具体的な保障をこの際明らかにしていただきたい。ただ、だいじょうぶ、だいじょうぶというだけでは、その疑点を晴らすことは困難であります。この際政府は、万一そういう事態が起こり得たときにはいかなる対策があるか、それをもこの際御答弁願いたいのであります。(拍手) さらに、韓国政府は、日本からの漁業協力九千万ドルに、無償供与から約一億ドルをつぎ込んで漁業再建に乗り出すといわれております。その結果、三年後には八百隻の韓国漁船が建造される計画でありますから、当然日韓漁業は過当競争となるでありましょう。その結果、日本の大漁業は、加工製造業その他に転進の道がありますけれども、中小漁業は深刻な打撃を受けることは必至であります。まき網をはじめとする中小漁業対策と、ノリその他を中心とする沿岸漁業救済にいかなる具体的対策があるか、明らかにいたしていただきたいと思います。
 なお、政府は、日韓条約を締結するにあたり、この日韓両国漁業の現状よりして、わが国の漁業を再編成する必要があると考えておるのかどうか。もし考えておるとすれば、その具体的な構想をも、条約締結にあたり、あわせて私は承りたいと思うのであります。
 第四の課題は、在日朝鮮人の法的地位の問題であります。
 御承知のとおり、今回の協定によって日本側は大幅な譲歩を余儀なくされ、孫に至るまで永住権を与えたのみならず、その後の処理を二十五年間ペンディングにいたしましたことは、国民の大部分が不満にたえないところであります。
 しかしながら、それ以上にわれわれが重大視する問題は、今回の協定対象者が約二十二万人余の韓国籍を持つ者だけに限定され、残りの四十万人近い人々が野放しにされたというこの現状であります。このことは、日本にとってジレンマ的困難な問題であるとは言いながら、少数民族の禍根を残すものといわなければなりません。これらの人人は、本国に送還しようにも国際法上不可能であり、国内法によって保護しようにもその道はない。われわれは、これらの人々の法的地位を確固たるものにし、将来の禍根を断ち切るためにも、特別の法的措置がぜひとも必要だと考えておりますが、政府にその用意があるかどうか。また、具体的にこれらの人々を今後どのように処遇する方針であるか、この際政府の、これまた具体策を私はお聞きいたしたいのであります。(拍手)
 第五の問題は、経済協力であります。
 われわれの判断によれば、経済協力のあり方いかんによっては、今後の日韓関係、日韓条約の価値に重大なマイナスを来たす結果になることをおそれておるのであります。かりに日本の経済援助が、米国のこれまでの経済援助と同様に、韓国の経済発展と国民生活の安定に何らの寄与をせず、それが疑獄や汚職に結びつくような事態が起こってまいりますならば、日韓正常化は、日本側の善意に反し、根底から破壊される結果になることはきわめて明瞭であります。
 問題は、日本からの経済援助がはたしてはっきりした計画性を持ち得るのかどうか、また、韓国側に確固たる受け入れ体制が確立され得るかどうか、日本の商社が見苦しい過当競争を韓国において展開するのおそれはないかどうか。これらの点については、率直に言って、多くの不安を禁じ得ないのであります。この保障が経済援助の基本的課題であると確信いたします。この点に関して、日本政府の確固たる保障と見通し、並びに貿易委員会の開催をはじめとする、今後の政府が計画しております具体的ブルー・プリントについて、その詳細を明らかにしていただきたいと思うのであります。
 第六に、本条約に関連して解決を要する国内処理案件として、韓国に不当に拿捕された漁船員の補償が残っておるのであります。
 船舶の補償については一応解決の方針が決定したように承りましたが、拿捕された漁船員、韓国側の銃撃によって命を失いました犠牲者に対しては、何らの補償も行なわれておりません。漁船補償もさることながら、われわれにとって最も重要な問題であるこれらの人権に関する、漁船員、死亡者の補償は、一体いかなる措置をとるものであるか。政府は、これらの具体的な対策についても、この機会にぜひひとつはっきりとさしていただきたいと思うのであります。(拍手)
 さらに、かつて韓国に在留いたしました、いわゆる日本人の在外財産においても、いまだその基本方針がきまっておりませんことは、はなはだ残念であります。
 講和条約の際、政府は軍令第三十三号をもって在留邦人の私有財産権を放棄し、これを不可抗力などと言っておりますけれども、憲法上国がその補償の責任を負うべきことは、本年の一月、東京高裁の判決によっても御承知のとおり明らかでございます。在日韓国人の財産権の確保に比していかにも片手落ちでありまして、諸外国の例から見るも、この際、在外財産の補償に対して政府は責任ある処置をとり、戦後処理を果たすべきであると考えるのでありますが、総理の明快なる答弁を求めるものであります。
 以上六点にわたり、私は具体的内容についてお伺いをいたしました。
 ここに言うまでもなく、条約の締結権は政府にあるのであります。これを審議し、批准するの権利はわれわれ国会側にあるのであります。私は、国民の期待にこたえる建設的討議を経て、日韓条約が真に国民的利益に合致するものであるかどうかを明らかにいたしたいと考えておるのであります。しかるに、政府・自民党は、院外において右翼暴力団まで動員し、精力的に日韓賛成の運動を展開しておると伝えられ、片や反対派は、国会における日韓条約の審議を引き延ばし、大衆動員と院外圧力によってこの日韓条約を粉砕すると豪語いたしております。日韓条約をめぐる自社両党の力の対決は、口に南北朝鮮の統一を唱えておりますけれども、その行なうところ、わが国内に三十八度線を引かんとするもので、これまさに、みずから天につばきしてその愚かさを知らざるものといわなければなりません。(拍手)われわれは、この際、この国会において、単独採決や審議拒否で国会を暴力のちまたと化し、議会政治の終わりを思わせるような不毛な国会の運営には断固反対であります。(拍手)
 わが党は、この際、議会制民主主義の原則に立ち、本国会の実質的審議を通じて日韓条約の内容とその疑問点を明らかにいたしまして、国家国民の向こうところを決定せんと考えておるものであります。
 この際、佐藤総理の誠意ある答弁を要求いたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣佐藤榮作君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 私は、ただいま述べられましたような御意見、これは全面的に――全面的にと申しましてもこまかな点についてはやや議論がございますが、この外交問題と取り組まれるその態度につきまして、全面的に私は賛成するものであります。(拍手)ことに、国の大事を決するその場合の各政党の責務というものは  ただいまお示しになったごとき、その立場において調査団も派遣し、そうして建設的な立場において今後のわが国の進路をきめるんだ、かような立場で非常に慎重にその態度を研究されている、これにはほんとうに頭が下がって敬意を表する次第であります。(拍手)
 私は、本来かようなまじめさがどうしても政治に望ましいんだ、かように思います。国民自身も、今日の国会というものを尊重し、民主政治を盛り育てる、こういう立場に立っておると思いますが、院外の活動よりも国会、これを通じて国民に訴える、こういうことを一番希望し、また、それを皆さま方にも期待しておるのだと思います。最近、院外の力を動員するというようなことばがありますが、たいへん私はこれを残念に思っております。わが自由民主党におきましてもあるいは右翼を使ったというような一部の批判もありますが、絶対にさような事実はございません。私どもがしばしば申し上げましたごとく、私どもは、国民に理解を得る、そういう意味のPRはいたしますが、暴力こそは、左右いずれの派閥を問わず、その暴力は排撃するものでありまして、私ども、くみするものではございません。この点は明確にいたしておきたいと思います。
 また、ただいまお話しになりました、三つの理由をあげて日韓問題についての民主社会党の態度を宣明されましたが、私が提案いたしております考え方も、ただいま御指摘になりましたこの三つの理由、これによって善隣友好関係を樹立するんだ、これにあるのでございます。
 私は、つくづく感じまして、アジアに位するわが国が今日アジアの各国とどういう関係にあるか、申すまでもなく、フィリピンあるいは台湾の国民政府との関係がございますが、さらに、韓国に対し、また北鮮に対し、あるいは中国に対し、何らの関係も持っていない、また、ソ連、これはようやく鳩山内閣のときに平和宣言をいたしましたが、その後何らの進展を見ておらない、このことをつくづく感じまして、これはどうしても隣国と仲よくする、まずそれを樹立することだ、十四年もかかって先輩が築いてくれたそのことを基礎にして、そしてこの際にぜひとも友好関係を打ち立てよう、こう決心をいたしたのであります。しばしば言われておりますが、善隣友好ということばは外交では使いなれたことばでありますけれども、最近は善隣友好ということを忘れたのではないか、かような感じすらするのであります。まことに残念に思います。今回この日韓の条約を批准し、そのことによりまして、善隣友好、その立場に立ち、またいずれの国とも仲よくする、いずれの国とも仲よくしていくという、このわが国の平和に徹した態度を進めていきたいと思います。これこそはわが国の行くべき方向ではないかと思います。ただ、このいずれの国とも仲よくするというその立場に立ってはおりますが、それにいたしましても、相手の国が十分その独立をお互いに尊重し合って、お互いに内政に干渉しないという、それぞれの理解がない限り、これは仲よくはできないと思うのであります。私どもが最も意を注いでおりますのはこの点であります。おそらく、この点については民主社会党の方も同感ではないかと私は感ずるのであります。
 そこで、今後の政治の路線をいずれをとるかというお話がございましたが、結論から申せば、私どもは、いわゆる第三の立場、ただいま申し上げました、いずれの国とも仲よくしていく。特別な国を敵視するというようなことは避けまして、仲よくしていく。また、相手方にもその仲よくしていくことについての要望をするわけであります。これがいわゆる平和共存という形において実現することを望むのであります。
 ところが、最近の傾向を見まして私はたいへん遺憾に思いますのは、どうも共産主義の国とは、この間に私どもの期待に沿わないものがある。最近はソ連とわが国との関係はたいへん親交を深めつつあるように見受けますし、ことに、経済関係なども、シベリア開発等について協力を求められておりますが、しかし、たとえば、わが国の反政府的な国内における運動に対しまして、特別な声援を送ったり、これを激励したり、また、ことに、中共に対しましては、青年の諸君が最近中共を訪問いたしたのでありますが、これらに対する中共側の態度というものが公式に報道されておるところだけでございますけれども、私どもは何だか反政府運動を使嗾しておるかのように見受けるのであります。かようなことはまことに残念であります。まず第一に、両国間にかような誤解があるようでは、ただいま申し上げるような親善関係はなかなか樹立できないのだ、かように思いますので、この私どもの真に平和を愛しておる、その立場に立っての十分の理解を持たれて、そして、わが国のいやがるような、そういう事柄は、よくわかっておるのだろうと思いますから、慎んでいただきたい、かように私は思います。
 なお、具体的な日韓交渉の内容等につきましていろいろお尋ねがございましたが、これは外務大臣に説明をさせたいと思います。
 ただ、経済協力の問題につきましては、日本が経済協力する場合に、韓国側の受け入れ体制といたしまして請求権資金管理委員会というものがあるようでございます。これは韓国側の問題でございますが、経済協力をする日本の立場、これが十分生きてくるように、韓国の経済に役立つように、こういうような意味でこの資金管理委員会をつくっておるようでございますから、私は、一部で心配されるような事柄はないだろうと、かように思っております。
 拿捕漁船並びに拿捕乗り組み船員あるいは犠牲者等の見舞いにつきましては、この席で過日申しましたように、政府がこれは積極的に取り組んで十分そのあたたかい処置をとりたい、かように考えております。ことに、零細漁民につきましては、このことは最も必要だ、かように私は思います。
 また、在外資産についてのお尋ねがございましたが、在外資産につきましては、在外資産問題審議会が設けられておることは御承知のとおりだと思います。この審議会が目下鋭意検討を続けておりますので、いずれ審議の結果、結論を出してくることだと思います。その答申に期待をいたしておるような次第でございますので、しばらく時間をかしていただきたいと思います。
 また、冒頭に申しましたように、私どもは、この国会の審議を通じまして、そうして十分国民にも理解していただきたい、かように思いますので、この点は重ねて申しますが、国内におきましてはさようなことは絶対にないので、具体的に、また慎重に、詳細に審議を尽くしてまいるようにいたしたい、かように思います。(拍手、発言する者あり)
 先ほど安保の改正についてのお話がございました。また、米軍の常駐をさせないように安保を改正するのだ、このことを言われましたが、私は、ただいま日本の防衛体制、防衛力は、国力、国勢、国情に相応した自衛力を実は持っておる、かように思っております。そうして、今日の国際情勢に対処するために日米安保条約が必要だということで、安保条約を締結いたしておるのであります。これが、今後どういうような国際情勢の変化があるか、また、わが国の自衛力がそのときにどういうような状態になるか、これを十分見きわめて、しかる後にただいまの問題と取り組みたい、かように思いますので、今日、この席におきまして、その方針などはお尋ねになりましても、ただいまはこういう点については何ら考えておらない、かようにお答えする以外にはございません。(拍手)しかし、皆さまが申されるごとく、国としてこれは当然のことでありますが、みずからがみずからを守る力を持ちたいという、これはいずれの独立国においても本来の希望であろう、かように思いますので、今後とも十分注意してまいるつもりであります。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕
#26
○国務大臣(椎名悦三郎君) お答えいたします。
 竹島の問題でございますが、これは、御指摘のとおり、歴史的事実に徴して、かつ領土取得に関する国際法上の見地からいたしましても、明らかに日本国の固有の領土であると確信しておるのであります。この竹島紛争につきましては、今回の紛争解決に関する交換公文によって、政府がかねて明らかにした方針のとおり、平和的解決の道を開いたものであります。すなわち、この紛争問題に対しては、別段の合意がない限り、外交上の経路を通じて解決する、もしこれができない場合には、両国の合意によって、調停の方法による、こういうのであります。これは今日から予想ができませんけれども、いずれにしましても、この条約が有効に成立して、両国の国交が正常化して、いろいろの交流が行なおれますれば、とげとげした関係がだんだんなごやかになる、友好裏においてこの問題を提起して、合意に達する努力をしたいと考えております。もちろん、調停によると書いてあるけれども、調停によるということに限ったわけじゃないので、もしそれもいろいろな障害があるという場合には、また初めに返って、国際司法裁判所であるとか、あるいは国際仲裁の方法によるとか、いろいろな問題があるのでありますが、いずれにしましても、根本は両方の腹ぐあいの問題である、あまり雰囲気が熟成しない前にこれを取り上げるということは、かえって問題をこじらすゆえんであると私は考えるので、これは慎重に運びたいと考えております。
 それから、管轄権の問題でございますが、これは、第三回国連総会における決議百九十五号によりまして、これを十分に分析してみますと、はっきりと休戦ラインというものが韓国の管轄権の及ぶ範囲であるということが明瞭になるのでございまして、したがって、今回の条約におきましては、請求権等の問題につきましても、その休戦ラインの北には及ばないということを念頭に置きながら問題を具体的にきめたのでありますから、北に残るかという問題については、まあ残る、それには触れませんけれども、しいて申せば、北の問題は残っておるということが言えると思うのであります。
 それから、将来、北のほうに対する経済、文化の交流はどうするかということでございますが、これは、先ほどもどなたかの質問に、総理からケース・バイ・ケースということばを使ってお答えがございましたが、ケース・バイ・ケースでいきたい、こう考えております。
 それから、漁業問題につきましては、不法不当であるいわゆる李承晩ラインというものは、何ら障害を与える存在ではなくなった、消滅したという状況にございますが、何年かたって同国の漁業が過当競争して困ることになりはしないか、これをどうするかという御心配のようでありますが、さしあたりは、共同規制区域におきまして今回定めた方法によって共同規制を実行することによって、あまりそうたいした問題は起こるまいということを考えております。
 法的地位の問題につきまして申し上げます。今回の協定によって、日本側は大幅な譲歩を余儀なくされ、孫まで永住権を認め、その後の処理を二十五年間もペンディングにしておる、そういうようなことで非常に心配であるというような趣旨の御質問でございましたが、法的地位協定の対象となる在日韓国人は、戦前日本人として来日し、その後現在まで日本国で居住しておる者及びそれらの者と密接な関係に立つ特定の直系卑属並びにそれらの者の子でございます。このような人たちの日本社会への定着性は一般外国人と比べて著しくこれは異なるものである、さらに、戦前より在住する者は平和条約の発効に伴いまして自分の意思によらずして一律に日本国籍を失ったものであるという特殊な事情を考慮いたしますれば、だんだん日本の社会になれてまいりまして、二十五年以内に協議するという場合には、非常に両者の了解が接近したものになって、心配するようなことでなしに円満に問題が片づいていくのではないか、こう考えたわけであります。(「北をどうするかと聞いている」と呼ぶ者あり)
 北鮮のほうは、これは永住権を許可したものではございませんけれども、従来以下にこれを待遇するということは考えておりません。
 それから、拿捕漁船の問題あるいは船員に対する補償、死亡者に対する補償、これは総理からお答えがありましたから省きます。
 それから、在外財産、これも総理から答えましたから省きます。(「それは総理は言わないぞ」と呼ぶ者あり)これは、在外財産の問題は、調査費を計上して、基本的にこれをどうするかということを研究中でございます。
 大体、以上で尽きていると思います。(拍手)
#27
○副議長(田中伊三次君) 川上貫一君。
  〔川上貫一君登壇〕
#28
○川上貫一君 私は、日本共産党を代表して、佐藤総理に対し、日韓条約について、二、三の質問をいたします。
 政府は、このたびの所信表明で、日韓条約は何ら軍事的目的を持ったものではないと強調されております。はたしてそうであろうか。反対に、これこそアメリカのアジア政策のために日本と韓国との反共軍事同盟の道を切り開く条約であると断言してはばかりません。これは決して独断ではありません。この条約が軍事目的のものであるということは、この条約を強要したアメリカ当局、すなわちダレス前国務長官、 ハウズ在韓米軍司令官、ラスク国務長官等が繰り返し公言しておるのであります。ことに、ダレス前長官のごときは、「日韓台の反共同盟をつくる上で最も重要なことは日本と韓国との国交の回復である」と、はっきり言うております。あなた方もまた、アメリカの指図のもとで、日本と韓国との軍事同盟の準備を着々進めておるではありませんか。
 私は、ここで総理にお聞きしたい。一九六二年八月の日米安保協議委員会、ここでは何を取りきめましたか。それは、第一に、日本、韓国、台湾の防空網の連結、第二に、対馬海峡の共同封鎖、第三に、韓国軍人の日本での養成と訓練、第四に、韓国軍用機の日本からの補給と修理。これは明らかに日韓軍事提携の取りきめではありませんか。それだけではありません。自衛隊はアメリカ軍の指揮のもとで日本と韓国との事実上の合同演習を年々繰り返しております。その上に、あなた方は自衛隊をして三矢作戦をつくらしておる。しかも、これは米日韓の共同作戦による北朝鮮と中国への侵略計画以外の何ものでもありません。これら二、三の事実だけを見ても、今日すでに日韓軍事同盟をつくり上げる準備は着々と実行されておるのであります。さらに、もう一つの事実をあげたい。それはこの十月アメリカ軍と自衛隊が行なう大演習であります。この演習は、B52戦略爆撃機とF105戦闘爆撃機が中国、朝鮮に向って渡洋爆撃をする、それを陸海空の各自衛隊が援護する全国的な演習ではありませんか。韓国においても、時を同じゅうして、これと同様の演習が行なわれるのであります。
 このような軍事提携をさらに一段と推し進め、いよいよ公然たる軍事同盟の道を開く、これが日韓条約であると断言してよろしい。それでも総理大臣は、この条約が軍事同盟への道でないと言い張ることができますか、できません。しかも、このような条約が今回大急ぎで結ばれた理由は、ベトナム戦争の失敗と東南アジア軍事同盟の行き詰まりなどによって急速にくずれつつあるアメリカのアジア侵略体制を立て直し、さらにそれを強化するためであることは、全く明らかであります。佐藤総理は、去る十三日、この壇上から、日韓条約が軍事同盟へ発展するなどという一部の議論は何の根拠もないばかりか、常識ではとても理解することができないと、大みえを切りました。私は、事実をあげ、根拠を明らかにして質問しております。総理に対して、正しい常識を持っている広範な人民が真に納得するような答弁を、私はここであらためて要求します。
 第二に、政府はこの条約の相手国である韓国という国をどのような国と思うておりますか。そもそも、韓国なるものは、軍の統帥権をはじめ、外交、経済、貿易に至るまで、そのことごとくをアメリカに支配されている、かいらい国家であります。しかも、その政府は、人民を弾圧することによってのみ生き延びておるファッショ政府であります。朝鮮人民を代表する政府ではありません。しかるに、日本政府は、このかいらいを、日韓基本条約第三条で、朝鮮にある唯一の合法的な政府であると規定しております。そもそも、韓国政府を合法的な政府と言ったのは、一九四八年の国連決議であります。一体、政府は、この国連決議がどんな決議であったと思いますか。それは、国連憲章の原則、すなわち、戦後処理の問題や内政問題への介入をかたく禁じている憲章第百七条並びに第二条の原則を踏みにじり、北朝鮮と中国を侵略者と規定し、アメリカによる朝鮮戦争を合法化したあの一九五〇年の国連決議の土台になったものではありませんか。このような無法な決議をわざわざ基本条約に取り入れた理由は何でありましょう。それは、第一に、朝鮮民主主義人民共和国を否定するためであります。第二に、朝鮮の民主的統一をぶちこわすためであります。第三に、韓国を朝鮮唯一の合法政府と認めることによって、アメリカと朴一派のいわゆる武力北進を支持し、ここに東北アジアにおける侵略の拠点をつくるものであります。およそこれほど無法乱暴な条約が世界のどこにありますか。およそこのような条約でありますから、その附属協定、すなわち、在日朝鮮人の法的地位に関する協定では、あからさまに在日朝鮮人の基本的権利を踏みにじって、国籍選択の自由さえ奪っております。また、経済協力に関する協定では、日本人民の税金で朴政権の崩壊を食いとめ、独占資本による朝鮮への経済的再侵略をはかる。まことに言語道断なものであります。
 私は、佐藤総理に申し上げたい。このような条約をほんとうに平和友好の条約であると思い込んでおりますか。また、このような乱暴な条約が、かつて三十六年の久しきにわたる日本帝国主義の残虐無道な植民地支配によって苦しみあえいだ朝鮮人民に対する償いに値する条約であると思いますか。総理の所見を私は伺いたい。
 第三に、この条約は、今後予想される朝鮮での戦争に日本の全面的な協力、すなわち自衛隊参加の道を開こうとする危険な条約であると思います。言うまでもなく、この条約の土台は日米安全保障条約であります。この安保条約は、アメリカが日本の主権を奪い取り、日本人民を彼らのアジアに対する侵略政策に従わせようとする条約であります。したがって、この全面的発動のためには、日本軍国主義の復活のもとで憲法の改悪、政治・経済体制の軍事化はもちろん、アメリカの指揮に従うて自衛隊が海外へ出動することが重要なねらいなのであります。今日、政府は、この安保条約のくびきに従順に従うております。沖繩を含む二百カ所以上の軍事基地を提供しておる。自衛隊を増強しておる。核武装化をたくらみ、原子力潜水艦の寄港を許し、さらに、この条約をたてに取って、アメリカのベトナム侵略戦争に全力をあげて協力しております。その上、アメリカの要求にさらにこたえるために、椎名外務大臣はどんなことを言うておりますか。「平和維持のために国連軍への協力として自衛隊が海外に出動することも憲法違反にはならない」こう言うております。ところが、韓国には国連軍を僣称するアメリカ軍がおるのであります。他方、日本政府は、一九五一年の吉田・アチソン交換公文によって、朝鮮にある国連軍、すなわちアメリカ軍に対してはあらゆる協力をすることを約束しております。しかも、この交換公文は新安保条約に取り入れられました。そこで、政府は、日韓条約にわざわざ国連協力をうとうております。すなわち、この土台の上に、この安保条約と吉田・アチソン交換公文を生かし、国連軍協力の名により、条約の事実上の義務として自衛隊出動の道を開こうとしておる。これが日韓条約であります。だからこそ、韓国の金国防長官は、「日韓条約が結ばれた暁には韓国軍と日本自衛隊との関係は自然に生まれてくる」と、はっきり言うておるではありませんか。ここにこの条約の隠されたねらいがあります。これは日本民族の将来とアジアの平和にとってまことにゆゆしい問題であるといわなければなりません。去る十三日、総理は、この壇上から、韓国と提携せずして平和を口にすることはできない、こう言われました。われわれははっきりと申し上げたい。このような条約を平然と結びながら、口に平和を云々する資格は絶対にありません。
 さらに、この際あらためて総理にお聞きしたい。政府は、このような危険きわまりなき条約を締結しておいて、朝鮮民主主義人民共和国、中華人民共和国との国交を今後どのように処理するつもりでありますか。ここではっきりとしたお答えを願いたい。
 第四の質問は、防衛庁が日韓批准国会に備えて自衛隊の治安出動のために、との十月三日から九日にかけて行なった演習の問題であります。すなわち、陸上自衛隊東部方面隊の第一師団は、群馬県相馬ヶ原において絶対秘密裏に大規模な治安出動の演習を行なっております。その統裁官は東部方面総監の野尻陸将であります。しかも、この演習には、国会周辺の建物や道路などがちゃんと表示されております。また、各級部隊の指揮官は、それに先立ってわざわざ私服で国会付近の地形を偵察した事実があります。そうして、その演習の仮想敵には――私は詳しく申し上げておる。第三十一連隊をあてておる。これを襲撃する部隊は、第一普通科連隊を中心として、それに戦車部隊や航空部隊が協力しております。この演習をやっております。これこそ、日韓条約に反対する人民を弾圧するための演習ではありませんか。しかも、それを緊急指令によって極秘に行なっている事実を総理は御承知でありますか。また、総理大臣は、このような無法きわまる計画をいつ指示しましたか。さらに、総理は、日韓条約に反対する人民の戦いを自衛隊まで出動させて弾圧するつもりでありますか。これは重大な問題でありますから、この席で責任のある答弁を求めます。
 最後に、このような日韓条約であればこそ、日朝両国人民はもちろん、広範なアジアの諸民族がこれに反対するのはあたりまえであります。その戦いはますます高揚するでありましょう。政府は、この人民の要求と意思を踏みにじり、自衛隊の出動までたくらみ、批准を強行しようとしておる。これは朴一味のやり方と全く同じであります。われわれは、このような暴挙を絶対に許すことはできません。国民とともに許すことができません。この際政府のとるべき道はたった一つ、それは直ちに調印を取り消すことです。条約を破棄することです。日本共産党は断固として佐藤総理にこれを要求します。そうして、南朝鮮からの米軍の即時撤退、朝鮮のことは朝鮮人民にまかせ、朝鮮人民の手による平和的、自主的統一をなし遂げた上で、そこにつくられる政府との条約によってのみ日朝両国人民の真の友好が保証される、このことをここではっきり明らかにして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#29
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) 共産党にお答えいたします。
 これが軍事同盟だということできめつけられましたが、かようなことを共産主義の国の一部では言っておるようであります。たいへん川上君と同じような意見を持っておる国があるようでございます。しかし、私はこの席からはっきり申し上げましたように、韓国との間に軍事的な話し合いは一切しておらない、過去十四年の間も一切そういうことはしておらない、こういうことをはっきり申し上げましたので、この問題は軍事同盟でないということ、これをひとつ国民の皆さまも信頼していただきたい、信用していただきたいと思います。ことに、申すまでもないことですが、日韓交渉は日本と韓国が結んだのであります。そうして、ただいまお話しになっております米国は、全然これには関与しておりません。米国自身が何と言おうが、私どもが調印をしておるのでありまして、米国が調印の相手方じゃございません。この点も間違いのないようにしていただきたいと思います。このことが明確になれば、必ずやただいまの川上君の問題は国民は信頼しないと思います。
 また、私が申し上げるまでもないことでありますが、日本の憲法は何と書いておるか、この憲法ではっきりいたしております。皆さん方は日本の憲法をしばしば引き合いに出されて、そうして海外派兵はできないのだ、これこそ憲法違反だ、こういうことを言っておられる。しかし、政府を攻撃しようとする場合においては、簡単に憲法違反をいかにもやるかのような話をされます。これはとんでもない話だと思います。この点は誤解のないように、国民の皆さまは、共離党の川上君よりも、総理である私がこの席で申すことのほうを信頼されると私は確信いたしております。(拍手)
 次に、韓国につきまして、韓国はかいらい政権だ、かような断定をしておられますが、私はさようには思いません。ただいまお引き合いに出されました一九四八年の国連の決議、これはその後も毎年引き続いて決議が確認されております。昨年は、十九回総会では確認されなかったが、十八回までは毎年やられておる。その後変わらない。この状況でございますので、ただいま言われるような事実を曲げた話はされないほうが、これがほんとうではないだろうかと思います。(拍手)ことに朝鮮事変そのものは、この決議でもはっきりしておりますように、北鮮からの侵攻、これが問題であった。これは南のほうから北には攻めて行ってはおらない、かように思いますので、この点ははっきりいたしておりますから、どうかこれも誤解のないように願います。
 また、経済協力は過去の償いを日本がしたのか、かようなお話でございますが、少なくともいわゆる請求権なるものは経済協力の形に変わってまいったのでありまして、過去のような請求権の問題はもうございません。私どもは、日韓関係が今回のようなことで正常化し、そして親善関係、友好関係を今後ますます深めていこう、これによって新しい事態をつくる、かような前向きの姿勢でこの問題と取り組んでおるのでありますから、どうかこれも御理解をいただきたいと思います。
 そうして、この日韓問題は第二の朝鮮時変に発展し、その際には自衛隊の参加の道を開くのだ、かように仰せられますが、これは川上君の独断でありまして、私は、先ほどから何度も申し上げますが、憲法違反は絶対にいたしません。この点は御安心をいただきます。
 それから、北鮮と中共とは一体どうなるのか。今回のこの条約では、北鮮の問題にも白紙でありますし、中共問題はもちろんこれは白紙であります。そうして、私がしばしば申し上げますように、いずれの国とも日本は仲よくしていくのだ、そして平和に徹するのだ、かように言っております。ただ、それとしては、わが国の独立を十分尊重する。日本も相手の国の独立を尊重しますが、日本の独立も尊重してくれ。そして内政には一切干渉しない。これを基本的な条件にして、そうして仲よくしよう、かようなことを申しておるのであります。
 最後に、この条約を破棄しろ、それでなければアジアの諸民族が反対する、日本共産党もあげて反対する、こういうことでありますが、私は、遺憾ながら、この条約を破棄するというようなことはいたしません。はっきり申し上げます。(拍手)
#30
○副議長(田中伊三次君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#31
○副議長(田中伊三次君) 本日は、これにて散会いたします。

   午後五時四十九分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 石井光次郎君
        外 務 大 臣 椎名悦三郎君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 中村 梅吉君
        厚 生 大 臣 鈴木 善幸君
        農 林 大 臣 坂田 英一君
        通商産業大臣  三木 武夫君
        運 輸 大 臣 中村 寅太君
        郵 政 大 臣 郡  祐一君
        労 働 大 臣 小平 久雄君
        建 設 大 臣 瀬戸山三男君
        自 治 大 臣 永山 忠則君
        国 務 大 臣 上原 正吉君
        国 務 大 臣 福田 篤泰君
        国 務 大 臣 藤山愛一郎君
        国 務 大 臣 松野 頼三君
        国 務 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        内閣官房長官 橋本登美三郎君
        人事院総裁   佐藤 達夫君
        人事院事務総局
        給与局長    瀧本 忠男君
        警察庁警備局長 秦野  章君
        自治省財政局長 柴田  護君
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト