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1965/10/21 第50回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第050回国会 本会議 第7号
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1965/10/21 第50回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第050回国会 本会議 第7号

#1
第050回国会 本会議 第7号
昭和四十年十月二十一日(木曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第七号
  昭和四十年十月二十一日
   午後二時開議
 一 日本国と大韓民国との間の基本関係に関す
  る条約等の締結について承認を求めるの件、
  日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定
  の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する
  水域の設定に関する法律案(内閣提出)、財
  産及び請求権に関する問題の解決並びに経済
  協力に関する日本国と大韓民国との間の協定
  第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対
  する措置に関する法律案(内閣提出)及び日
  本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び
  待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定
  の実施に伴う出入国管理特別法案(内閣提
  出)の趣旨説明
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条
  約等の締結について承認を求めるの件、日本
  国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実
  施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域
  の設定に関する法律案(内閣提出)、財産及
  び請求権に関する問題の解決並びに経済協力
  に関する日本国と大韓民国との間の協定第二
  条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する
  措置に関する法律案(内閣提出)及び日本国
  に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇
  に関する日本国と大韓民国との間の協定の実
  施に伴う出入国管理特別法案(内閣提出)の
  趣旨説明及び質疑
   午後二時六分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案(内閣提出)、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案(内閣提出)及び日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案(内閣提出)の趣旨説明
#3
○議長(船田中君) 議院運営委員会の決定により、日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件、内閣提出、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案、及び日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案の趣旨の説明を順次求めます。外務大臣椎名悦三郎君。
  〔国務大臣権名悦三郎君登壇〕
#4
○国務大臣(椎名悦三郎君) 去る六月二十二日に東京において署名いたしました日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件並びに財産権及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案に関し、趣旨の御説明をいたします。
 わが国と近隣関係にある韓国との諸問題を解決して、両国及び両国民間に安定した友好関係を樹立することは、平和条約によってわが国が国際社会に復帰して以来のわが国の重要な外交上の課題でありまして、政府は、韓国との国交を正常化するにあたり、諸懸案を一括して解決するとの基本方針に従って、十四年の長きにわたり困難な交渉を重ねてまいりました。その結果、先般ようやく、基本関係、漁業、請求権及び経済協力、在日韓国人の法的地位及び待遇、文化財及び文化協力、並びに紛争解決のおのおのについての条約とそれに関連する諸文書について、韓国政府との間で完全な合意に達し、去る六月二十二日に東京において署名の運びとなった次第であります。
 いま、これらの諸条約についてそのおもな点を御説明申し上げれば次のとおりであります。
 第一に、基本関係に関する条約は、善隣関係及び主権平等の原則に基づいて、両国間に正常な国交関係を樹立することを目的とするものであります。したがいまして、この条約は、両国間に外交関係及び領事関係が開設されることを定め、併合条約及びそれ以前のすべての条約はもはや無効であること、及び韓国政府が国際連合第三総会の決議第百九十五号に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることを確認し、両国間の関係において国際連合憲章の原則を指針とすること等、両国間の国交を正常化するにあたっての基本的な事項について規定しております。
 第二に、漁業に関する協定は、漁業資源の最大の持続的生産性の維持及び保存並びに合理的発展をはかり、両国間の漁業紛争の原因を除去して相互に協力することを目的とするものであります。この協定は、公海自由の原則を確認するとともに、それぞれの国が漁業水域を設定する権利を有することを認め、その外側における取り締まり及び裁判管轄権は漁船の属する国のみが行なうこと、共同規制水域を設定して暫定的共同規制措置をとることを定める等、両国間の漁業関係について規定しております。
 第三に、財産及び請求権の解決並びに経済協力に関する協定は、両国間の財産、請求権問題を解決し、並びに両国間の経済協力を増進することを目的とするものであります。この協定は、両国及びその国民の財産、権利及び利益並びにその国民の間の請求権に関する問題を完全かつ最終的に解決することを定めるとともに、韓国に対する三億ドル相当の生産物及び役務の無償供与並びに二億ドルまでの海外経済協力基金による円借款の供与による経済協力について規定しております。
 第四に、日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する協定は、わが国の社会と特別な関係を持つ大韓民国国民に対して日本国の社会秩序のもとで安定した生活を営むことができるようにすることによって、両国間及び両国民間の友好関係の増進に寄与することを目的とするものであります。この協定は、これらの韓国人及びその一定の直系卑属に対し、申請に基づく永住許可を付与すること、並びにそれらの者に対する退去強制事由及び教育、生活保護、国民健康保険等の待遇について規定しております。
 第五に、文化財及び文化協力に関する協定は、文化面における両国の学術及び文化の発展並びに研究に寄与することを目的とするものでありまして、また、一定の文化財を韓国政府に引き渡すこと等を規定しております。
 第六に、紛争の解決に関する交換公文は、両国間のすべての紛争を、別段の合意がある場合を除くほか、外交上の経路を通じて解決すること、及びそれができなかった場合には、調停によって解決をはかるものとすることを定めております。
 以上を通観いたしますに、すでに累次の国会の本会議及び委員会における質疑等を通じて説明申し上げてまいりましたとおり、これらの諸条約によって、長年にわたって両国間の国交正常化の妨げとなっておりましたこれらの諸問題が一括解決されることとなり、こうして、両国間に久しく待望されていた隣国同士の善隣関係が主権平等の原則に基づいて樹立されることとなるわけであります。これらの諸条約の基礎の上に立って両国間の友好関係が増進されますことは、単に両国及び両国民の利益となるのみならず、さらに、アジアにおける平和と繁栄とに寄与するところ少なからざるものがあると信ずる次第であります。
 次に、大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案について趣旨の御説明をいたします。
 さきに御説明いたしました財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する協定は、その第二条において、日韓両国間の財産及び請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決されることになったことを確認し、日本国にある韓国及び韓国民の財産権に対しとられる措置に関しては、韓国はいかなる主張もできないものとする旨を規定しております。この規定上、これらの財産権について具体的にいかなる国内的措置をとるかはわが国の決定するところにゆだねられており、したがいまして、この協定が発効することに伴ってこれらの財産権に対してとるべき措置を定めることが必要となりますので、この法律案を作成した次第であります。
 この法律案は、三項及び附則からなっており、その内容は、協定第二条3に該当する財産、権利及び利益について規定するものであります。
 まず、第一項においては、韓国及び韓国民の日本国及び日本国民に対する債権及び日本国または日本国民の有する物または債権を目的とする担保権を消滅せしめることについて規定しております。第二項においては、日本国または日本国民が保管する韓国及び韓国民の物についてその帰属を定め、第三項においては、証券に化体された権利であって第一項及び第二項の適用を受けないものについて、韓国及び韓国民はその権利に基づく主張をすることができない旨を規定しております。なお、附則におきまして、この法律案の施行の日を協定発効の日としております。
 以上が、日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件、並びに大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#5
○議長(船田中君) 農林大臣坂田英一君。
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕
#6
○国務大臣(坂田英一君) 日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 まず、提案理由について申し上げます。
 日本国と大韓民国との聞の漁業に関する協定第一条におきまして、日韓両国は、自国の沿岸から十二海里以内の水域を、自国が漁業に関し排他的管轄権を行使する水域、すなわち漁業に関する水域として設定する権利を相互に認めております。このことに伴い、わが国においても、沿岸漁業の保護をはかるため、必要に応じかかる漁業に関する水域を設定し、当該水域においてわが国が行使する排他的管轄権に関し、大韓民国及びその国民に対する法令の適用を明らかにする必要があるのであります。これが、この法律案を提案いたしました理由であります。
 次に、この法律案の内容を御説明申し上げます。
 第一は、協定第一条1の漁業に関する水域を政令で定めることとする規定であります。なお、この漁業に関する水域は、その設定の目的及び趣旨等からして最小必要限度にとどめるべきものでありますが、大韓民国漁船の装備の向上等に伴って、今後わが国沿岸における大韓民国漁業とわが国沿岸漁業との交錯を生ずることが多くなることも考えられ、これら情勢の変化に応じて漁業に関する水域を設定するため、政令で定めることといたした次第であります。
 第二は、漁業に関する水域において大韓民国及びその国民が行なう漁業に関しては、わが国の法令を適用することとする規定であります。これにより、具体的に適用される主要な法律は漁業法でありますが、同法及びその委任命令により大韓民国及びその国民の行なう漁業が規制されるほか、これらの規定に違反した大韓民国国民については、罰則が課せられることとなるのであります。
 以上が、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#7
○議長(船田中君) 法務大臣石井光次郎君。
  〔国務大臣石井光次郎君登壇〕
#8
○国務大臣(石井光次郎君) 日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案について、その趣旨を説明いたします。
 日韓両国の友好関係を増進するためには、永年にわたりわが国に居住している大韓民国国民に、わが社会秩序のもとで安定した生活を営むことができるようにする必要があります。このような観点から、日韓協定の一つとして日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定が締結されたのでございます。
 この法律案は、右の協定を誠実に履行するために必要となる永住許可、退去強制等について出入国管理令の特別規定を設けようとするものでありまして、本文九カ条及び附則からなっているのであります。
 以下、この法律案の内容の概要を申し述べます。
 第一点は、大韓民国国民であって、終戦前から引き続き日本に居住している者及びその直系卑属として一定期間内に日本で出生し、引き続き居住している者のほか、永住を許可されているこれらの者の子として日本で生まれた者は、その申請により、法務大臣の許可を受けて本邦で永住することができるものとしたことであります。法務大臣は、一般外国人の在留管理に当たっておりますので、これを主管大臣としたのであります。
 第二点は、永住許可の申請、その審査及び許可について手続規定を設けたことであります。すなわち、申請者の便宜をはかり、申請手続の窓口事務は居住地の市町村の事務所において行なうべきものとしたのでありますが、法務大臣が審査を行なうについて必要な事実調査は入国審査官または入国警備宮をして行なわせるものとしたことであります。
 第三点は、永住許可を受けている者に対する国外退去強制事由について、一般外国人に対するよりも著しく制限を加えたことであります。すなわち、永住許可を受けている者に対しましては、内乱、外患、国交に関する罪や麻薬関係犯罪等の特定の罪によって罰せられた場合のほか、七年をこえる重い刑に処せられた場合等に限って、退去強制の手続をとり得るものとされているのであります。
 第四点は、虚偽の申請をして永住許可を受けた者や威力を用いて永住許可の申請を妨げた者に対する罰則を設けたことであります。適正、迅速かつ自由な申請手続を保障しようとする趣旨に出たものでございます。
 以上が、この法律案の趣旨でございます。(拍手)
     ――――◇―――――
 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件、日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案(内閣提出)、財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案(内閣提出)及び日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
#9
○議長(船田中君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。井手以誠君。
  〔井手以誠君登壇〕
#10
○井手以誠君 私は、日本社会党を代表いたしまして、日韓条約の重要な問題点について、佐藤総理の所信をただし、あわせてわが党の立場を明らかにいたしたいと存じます。(拍手)
 質問の第一は、領土管轄権と国連憲章の関係であります。
 基本条約は、韓国の地位について、一九四八年の国連総会決議第百九十五号(V)を援用されております。そもそも朝鮮問題の発端は、朝鮮民族の独立を約束した一九四三年のカイロ宣言にあり、これを引き継いだポツダム宣言を日本が無条件に受諾したことにあります。御承知のとおり、民族自決は国連憲章の大原則であります。その第一条に、民族の同権と自決、第二条は、内政不干渉を宣言いたしておるのであります。さらに、第百七条は、第二次大戦の戦後処理について、国連は関与できないことを明記いたしておるのであります。以上明らかなように、当然、朝鮮の管轄については、朝鮮民族みずから、朝鮮民族だけがきめる権利を持っておるのであります。しかも、朝鮮代表が参加していない十七年前の古い国連決議をもって、朝鮮の領土の分割をしいたり、片方の管轄範囲をきめたりすることは、たとえ国連といえ、また、いかなる国も許されないことであります。(拍手)したがいまして、基本条約に国連決議を援用したことは、国連尊重を力説する佐藤内閣みずから国連憲章に違反するものといわねばならぬのであります。(拍手)
 質問の第二は、北朝鮮との関係であります。
 政府は、ただいま、北朝鮮との関係は一切白紙であると説明されました。今日、休戦ラインの北に朝鮮民主主義人民共和国政府が北朝鮮を有効に支配していることは、厳たる事実であります。この北朝鮮とわが国が、好むと好まざるにかかわらず、貿易や帰還問題などの関係を持つことは必然であります。一方、全朝鮮を領土とした憲法を持っている韓国政府が、この条約で日本が今後北朝鮮と外交関係を持つことを阻止することができたと公言しておることは周知のとおりであります。この韓国政府と北朝鮮政府は、不幸にして敵対関係にあります。したがいまして、わが国が、武力北進、武力で全朝鮮を統一することを国是とする韓国政府と基本関係を結べば、当然の反応としてわが国は北朝鮮と対立関係に立たざるを得ません。ここに本条約の軍事的性格があるのであります。(拍手)また、逆に、わが国が北朝鮮と何らかの接触をはかろうとすれば、必ず韓国政府からの反発と抗議を招くでありましょう。現に国際電気標準会議の経過を見ても明らかであります。
 そこでお伺いをいたします。今後、北朝鮮とは対立関係に立ち、一切の接触も持たないお考えなのか。それとも、朴政権の不当な横やりは退け、実務的接触を進められるお考えなのか。総理は、先日、どこの国とも仲よくすると言明されました。ケース・バイ・ケースは独立国の外交には不見識であります。いずれの道をとられるか、明確にお答え願いたいのであります。(拍手)
 質問の第三は、請求権、経済協力の問題であります。
 端的にお伺いいたします。政府は、従来、権は法的根拠のあるものに限ると公約してきました。この筋を通した解決方法を、何ゆえに経済協力に切りかえられたのか。このことは、平和条約第四条に反しはしないのか。また、経済協力五億ドルの根拠と性格は何であるか。この協定によって放棄される日韓双方の引き揚げ者の財産請求権は固有の権利であって、法律上の疑義を残してはならないのであります。その解決策を承りたい。
 この請求権は、わが国三十六年間にわたる朝鮮統治の評価と深い関係があるのであります。もし、本条約に調印した高杉首席代表の発言のようであれば、五億ドルのつかみ金を出す必要はございません。また、植民地支配の反省があるならば、当然正当な償いをしなくてはならぬのであります。平和条約第四条は、南北全朝鮮に関する請求権であります。総理は、北朝鮮の請求権をどう扱うつもりか、基本的な方針を明らかにされたいのであります。(拍手)
 申すまでもなく、この経済協力は、日本国民の金によって支払われるものでありますから、韓国民衆のため真に生かされねばなりません。いやしくもアメリカ援助の二の舞いを演じたり、利権化されては断じてなりません。相手が汚職に包まれている朴政権であり、日本の独占資本が経済侵略を非難されているだけに、あえて申し上げます。経済協力の実施に疑惑を招かない万全の用意があるのか、総理の所信を承りたいのであります。(拍手)
 質問の第四は、漁業協定であります。
 漁業協定最大の眼目は、李ラインの撤廃であります。韓国側は、不法きわまる李ラインの存続を言明しております以上、国防上、大陸だな保護上の理由から、いつ国内法を発動するか、不安は依然として去りません。国内法を条約と同格に扱う韓国に対し、何ゆえ撤廃の確約を得られなかったのか。協定期間後また韓国側に主導権を握られ、李ライン復活のおそれはないか、承りたいのであります。
 わが国の海洋政策は、国際海洋法会議で明らかにされておるはずであります。それが、この漁業協定によって無原則に、とほうもなくゆがめられました。今後、国際漁業に重大な影響を及ぼすものといわねばならぬのであります。特に、第一領海をきめなかったことは重大な失態ではないか。漁業専管水域十二海里全域に領海と同じ主権が及ぶおそれがございます。第二、韓国沿岸から四十海里以上も離れた済州島及び黒山島をなぜ独立の島として取り扱わなかったのか。妥協にも限界があるのであります。第三、済州島と本土間の広大な基線内水域は領海となるのか。合意議事録に響いてある無害通航権とは、海洋法会議において領海内と規定しておるではございませんか。第四、韓国の漁業専管水域において、国際慣行として認められている十カ年の入漁権をなぜ放棄したか、理由を承りたいのであります。
 共同規制は、資源の保護から資源の折半に変わりました。しかも、わが国だけ一方的に規制されることは、重大な後退といわねばなりません。特に指摘したいのは、わが零細漁民の打撃であります。すなわち、済州島周辺における大資本の漁場確保と引きかえに、対馬−釜山間の一本釣り漁場が大幅に狭められ、三千隻の零細漁船は千七百隻に減らされるのであります。零細漁民こそ最大の犠牲者といわねばなりません。(拍手)政府の補償と救済対策、あわせて拿捕漁船の補償を承りたいのであります。
 質問の第五は、竹島の帰属であります。
 竹島問題は領土主権に関するものであります。この竹島を含む一括解決が日韓交渉の基本方針であったことは、よもやお忘れではありますまい。およそ国交回復にあたり、領土主権に関するものほど重要なものはないのであります。総理は、先日、紛争は条文によって解決すると言明されました。竹島のタの字も入っていない交換公文で解決の条文と自信がありますならば承りたいのであります。
 ここで私が特に指摘したいのは、この紛争解決を調停にしたことであります。漁業協定と請求権に関する協定には、仲裁委員会を設けて日韓両国を拘束することにいたしております。しかるに、この交換公文には、拘束力のない調停しか規定いたしていないのであります。何ゆえに領土問題をわざわざ弱い調停にしたのか、不可解にたえません。これでは竹島を放棄したも同然であるといわねばならぬのであります。(拍手)
 質問の第六は、法的地位の問題であります。
 この協定で定められた各種の待遇を受ける者は韓国民に限られ、朝鮮の籍の者は全く受けられません。また、これに関連して、政府は、朝鮮籍から韓国籍への切りかえを促進し、韓国籍から朝鮮籍への移動を認めない方針であります。これこそ三十八度線の対立を日本国内に持ち込み、移転、居住の自由、国籍選択の自由をうたった世界人権宣言をじゅうりんする態度といわねばならぬのであります。(拍手)政府は、即刻国籍選択を自由にし、一切の差別をやむべきであります。人道主義の立場から総理の所信をお伺いしたいのであります。
 濃後に、私は、朝鮮問題についてわが党の立場を明らかにいたします。
 わが国がカイロ宣言及びポツダム宣言を無条件で受諾した以上、当然朝鮮民族の独立を承認しなければなりません。その場合、朝鮮民族がいかなる政府をつくるかは、朝鮮民族がみずからきめる問題であります。
 およそ一つの民族は一つの国家を持つのが国際法の原理、原則であります。不幸にも、朝鮮には二つの政府が現に存在しております。これを一民族一国家一政府の状態に到達させるには、朝鮮民族の努力にまかせ、他の国はこれに干渉すべきではありません。(拍手)国連もまた関与する権限はないのであります。日本は、中国問題の轍を踏んではならないのであります。アメリカが国連軍の名のもとに南朝鮮に置いている軍隊を撤退すれば、北朝鮮には中ソの軍隊は一兵もいないのでありますから、南北朝鮮の自主的統一は自然に達成されるでありましょう。こうしてできた朝鮮の統一政府とわが国は正式に国交を樹立し、その際、三十六年間の植民地統治に正当な償いをなすべきであります。
 しかし、南北に二つの政府がある現状においては、南北の両政府とそれぞれ折衝し、経済、文化の交流を積極的かつ公平に行なうべきであります。現に、インドやビルマは南北朝鮮の両方と領事関係を結んでおるのであります。日本にこれができないはずはございません。こうした両政府との接触、または三者協議の中に、経済協力、技術提携、漁業協定、文化財返還などの問題は処理できるはずであります。
 南北統一は朝鮮民族の悲願であります。南の一方とだけ国交を結んで、北との対立に油を注いではなりません。統一できるような情勢をつくってやることこそ隣国のつとめであり、植民地統治を償う人の道でありましょう。わが党は、これこそアジアの平和と友好の道であると信ずるものであります。(拍手)
 佐藤総理、この日韓条約に軍事的背景を否定なさるなら、その証拠として吉田・アチソン交換公文を破棄すべきであります。軍事協力を言明する米韓当局に抗議すべきであります。そうして三矢計画とその関係者を処分すべきであります。その勇気があれば最後に承って、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#11
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 領土管轄権についてのお尋ねでありますが、これはすでにたびたびお答えもいたしました。御承知のように、私どもは、国連の決議、これを尊重いたしております。ただいま、国連自身が国連憲章違反だと、かように仰せられましたが、御承知のように、この国連の決議はその後毎年確認されておりますので、これは国連憲章違反だとは思いません。私どもは、国連を尊重する、そういう立場でございますので、この決議を引用することは、これは当然といわなければならない、かように御了承いただきます。(拍手)
 また、第二の問題といたしまして、北鮮との関係についてのお尋ねでございます。北鮮との関係は、これもお答えいたしましたように、今回の条約は触れておらない、また、在来の取り扱い方を変えない、こういうことを申し上げました。また、北鮮との関係においてはケース・バイ・ケースでこれをきめていきますというお話をいたしておりますので、重ねては申し上げません。ただ、お話のうちに武力北進ということばをお使いになりましたが、私は、武力北進ということばは最近は聞かないように思います。これはだいぶ前にそんな話があったようですが、こういうことは聞かない。むしろ、今日で聞いておりますのは、北鮮自身が、共産主義による南北の統一、こういうことをはっきり言っている。この点のほうが、これは最近の話でございますから、御記憶を訂正されるほうがいいかと思います。(拍手)
 次に、請求権と経済協力の問題でありますが、請求権の問題につきましては、御指摘のように、私どもは、法的根拠のあるもの、また事実関係で説明のできるもの、こういうことで日韓間でいろいろ交渉いたしました。しかし、何ぶんにももう古いことになったり、あるいはその後朝鮮事変があったりして、事実関係などもなかなか説明しにくいということで、この請求権の問題の解決のできなかったことは、御承知のとおりであります。
 そこで、今度は、請求権の問題でなしに、両国の関係を正確に認識していく、そういう点から、経済的に自立のできるように、またそういう意味のわが国の協力が望ましいだろう、しかし、その経済協力をすることによっていわゆる請求権の問題を完全に解決する、こういうことでこの経済協力に変わったこと、この点は御承知のことだと私は思います。私は、ただいま申し上げるように、いつまでも話がまとまらないからといって日韓間の状態を正常化しないということはまことに残念である、そういう意味で、両国が経済協力という形でこの問題を解決するということになったのであります。(拍手)したがいまして、これは平和条約第四条にはもちろん違反ではございません。
 また、経済協力の金額が無償三億、有償二億、こういう五億ドルはどこから出たかというお話でございますが、これは、韓国の経済建設に対するわが国の熱意と、またわが国の負担と、こういう両点からいろいろ折衝いたしまして、最終的にこの五億ドルというものにきまったのであります。
 また、この際に、個人の財産、請求権の問題を法律上疑義を残さないようにというお話がございます。御指摘のとおり、これも大事な問題でありますので、私どもは、今回の条約・協定締結によりまして何ら疑義を残しておらない、かように思っております。
 また、これで、いわゆる補償の問題なども、憲法との関係においては関係を生じない、私はさような結論を持っておるのでございます。ただ、拿捕漁船あるいは乗り組み船員等に対しましては、いわゆる憲法上の問題ではございませんが、わが国の国民のまことに気の毒な状況に対しまして、私どもが適当な救済措置をとること、これは当然である、かように考えまして、ただいま種々検討しておる最中でございます。
 次に、北鮮の請求権の問題についてお触れになりました。これは、先ほど申しますように、今回の問題は北鮮には何ら触れておらない、かような状態でございますので、この点も今回の条約・協定で北鮮との請求権の問題には触れておりません。そこで、請求権の問題を解決する意思ありやいなやということでございますが、ただいま交渉するような考えは持っておりません。
 また、経済協力が利権化してはならないというお話でございます。これはそのとおりであります。また、疑惑を生じてもいけない、かように私ども思います。いろいろ経済侵略だとか、こういうような疑念を持たれるのでありますから、そういうことのないように、ことに、相手の国におきましても、資金管理委員会を設けて、与野党の諸君がこの管理委員会で経済協力の使い方をいろいろ審議するそうであります。また、調達庁による一般競争入札、それらもはっきりいたしておるようであります。また、わが国におきましても、この実施計画についての合意、あるいは契約の認証等につきまして、これはわが国の経済関係、産業人も、さような処置をとる予定でございます。したがいまして、ただいま経済協力についてのいろいろの御心配がありますが、私は、そういうこともなしに、円滑に経済の発展に役立つように使われるものだ、かように確信いたしております。
 次に、漁業協定についてのお尋ねであります。これも、たびたび李ラインについてお答えをいたしましたので、省略をいたしたいのでありますが、ただ、この機会にはっきりまた申し上げておきたいのは、李ラインがどうあろうと、韓国側でどう説明しようと、漁業に関する限り、漁業上の安全操業はできるのだ、これだけははっきり申し上げまして、漁民の不安も一掃したいし、国民にも、李ラインの論争に巻き込まれないように御注意を願いたいと思います。(拍手)
 また、この問題は、協定後においていわゆる六年たったらまた問題が起こるのじゃないか、また韓国側にリードされることになるのじゃないか、かような御心配を述べられましたが、私は、この期限経過後、両国間におきましての親善友好関係、これは今日のような状態ではないと思いますので、ただいまからいろいろ心配することは、これはいわゆる杞憂ではないか、かように私は思います。
 次に、領海の幅をなぜ取りきめなかったかというお尋ねであります。御承知のように、漁業に関する取りきめでありますので、漁業水域、それにつきましては十分規定を設けましたけれども、いわゆる領海の幅というようなことについては、これは必要がない、こういう意味でこれをきめなかったのであります。御承知のように、領海、それから領海の外は公海、こういうことになっておりますが、この領海、公海、そのものを接続しておるその関係におきましても、漁業水域という特殊な水域を考え、そして沿岸国の排他的な管轄権を認めておる、こういうことでありますが、これはいわゆる領海からくる当然の排他的の権利とは違うのであります。その点を御理解おき願いたいと思います。
 済州島、黒山島の付近が、これは四十海里以上、この辺の基線の引き方についてはどうも理論に合わない、納得がいかないという御指摘であります。これは確かにそういう非難を受けるようになっております。これは、両者の間においてむずかしい折衝をいたしました結果、いわゆる紛争を残さないという、こういう意味で、いわゆる合意に達した、いわゆる両者の歩み寄りの話し合いでございます。かように御了承いただきたいのであります。(拍手)
 合意議事録による無害通航権の問題についてもお触れになりました。ことばが法律的なことばでございますが、私の理解するところでは、先ほど申しましたように、漁業水域は領海とは違う。漁業に関して沿岸国の排他的な管轄権を認めるので、領海及び漁業水域の無害通航の権利を含む権利を合意議事録で確認したというのが、いわゆる無害通航権の問題であります。これはいわゆる国際法上の問題としてでなくて、これはここまで確認したことが適当だった。かように私は思っております。
 入漁権を放棄した理由、これも先ほども申しましたように、基線の問題とこれが関係するのでありますが、私どもは交渉の途中においてこのアウターシックスの問題を強く主張いたしましたけれども、韓国側はこれに対して反対した。両者におきましてがまんのできる範囲で今回の漁業協定はいたしたのであります。今回私どもが特に必要だと強く主張いたしましたのは、李ラインの実質的な廃止と操業実態の尊重、こういう二つの点に重点を置いて話をいたしたのであります。ただいまのアウターシックスの問題は、もちろんこれは重大な問題でありますが、日韓間におきましては暫定的にかような処置をとった、かように御了承いただきたいと思います。
 次に、共同規制についてのお尋ねであります。零細漁民の救済をどうするかという問題でありますが、これも、今回の日韓間の交渉におきましては、漁業の資源についての十分の調査ができておりません。したがいまして、この資源についての調査が完了するまでは、現状においての数量を制限するということがやむを得ない状態だ。しかし、この制限は一方的に日本だけが受けるのではもちろんございません。日韓双方がこの規制を受けるという状態でございますので、日本だけが受けた、かようにお考えになることは、これはひがみのように思いますし、さようなことはございません。
 また、この措置をとります場合に、沿岸漁業の実態、これを基礎に置いております。したがいまして、沿岸漁業の零細漁民の実態、操業の実態というものは私どもは十分考慮して、そうしてこれをきめたのでありまして、ただいまのお話のように補償の問題はもちろん起きておらない、かように思います。実態をそこなうものではないということを重ねて申し上げておきます。
 また、この問題が他の地域との交換で、対馬−釜山間の漁民は非常に損をしたのだ、かようなお話でありますが、さような交換をした事実というようなことはありません。いわゆる取引をしたことはありません。大企業のために零細漁民が非常な不利益をこうむった、これまた事実をしいるものでありますので、これは訂正をしていただきたいと思います。
 第五に、竹島の問題であります。私どもは、いままで、一括解決、何事も全部を一括解決、かような方向で進んでまいりました。しかしながら、残念ながら竹島の問題は解決をすることができなかった。これは御指摘のとおり。私どもも、いままでの日韓交渉の大筋から申しまして、全部を一括解決するのだ、かように申しておりましたその際に、この点ができ上がらないことは、まことに遺憾でありますが、しかしながら、この紛争解決の方向といいますか、その取り上げる方向はこれできまったのでありますから、全然白紙の状態であるとか、あるいは竹島を放棄するんだとか、さようなことは全然ございません。また、皆さま方の御支援によりましても、ぜひとも私どもの固有の領土権は確保したい。幸いにいたしまして、社会党の諸君も、これはわが国の固有の領土だ、かように主張しておられますし、政府はたいへんな御叱正、鞭撻を受けておる、かように感じておりますので、この上とも御協力を願います。(拍手)
 ただ、この取り扱いの方法が、調停かあるいは仲裁か、調停のほうが弱いじゃないか、こういうような御指摘でありますが、調停か仲裁かということは、そのときどきの交渉の内容その他できまるのでありまして、これは、必ずしも一がいに、どちらが弱いとか、どちらが強いとか、かようには言えないと思います。
 また、次に、法的地位についてのお尋ねがあります。御承知のように、自分たちの意思によらないで国籍を失い、あるいは国籍を取得した、かような状態でございますから、日本在住の諸君には、これは朝鮮人といい、あるいは韓国人といい、たいへんな問題があるだろうと思います。こういう立場でいろいろ考慮もして、いままでの特殊的な事情にあること、これに十分の理解を与えて、今回の処置によって特に不都合な扱い方を受けないように、そういうことを日本政府としては重点を置いてこの問題と取り組んでおるのであります。
 韓国民についての処置は御承知のとおりでありますが、朝鮮国籍というものにつきまして私どもが認めておらないというところで非常なむずかしい問題、法律的な問題があるようであります。しかしながら、この点は今回の問題で別に条約上の義務を生じておるわけではありません。したがいまして、これは日本国内問題として処理するつもりでありますし、在来よりも悪い扱い方はもちろんしないつもりであります。
 また、国籍の変更につきまして、御指摘のように、朝鮮から韓国への国籍の変更を進めるが、韓国から朝鮮はこれを断わるとか、かようなことはもちろんございません。どうか、そういうような不公平な処置をしておるというようなことがありましたら、これは御指摘を願いたいのでありますが、ただいまのような状態でございますので、かような事実のないことをこの席からはっきり申し上げておきます。
 次に、今回の問題は軍事的背景はないということをたびたび申し上げました。また、ただいまこの問題についての社会党の考え方も伺いました。これはもう社会党の考えとして、批判はいたしません。ただ、この問題、軍事的な考慮、背景がないというその立場から、吉田・アチソン交換公文を破棄しろ、こういうお話がございますが、御承知のように、今回は日韓国交正常化の条約の批准をしておる、皆さん方に御審議をいただいておるのでありまして、これと関係のない吉田・アチソン交換公文をここへ出されましても、これは私どもは、はい、さようでございますとは申せないのであります。これは全然別なものであります。かように御了承いただきたいと思います。(拍手)
 また、三矢研究をした者を処分しろというお話がございましたが、この三矢研究は、御承知のように幕僚研究の作業でありまして、研究を行なったこと自体は、職務上の義務に違反するものではありません。したがいまして、その関係者を、三矢研究をしたからということで処分する考えはございません。
 以上、お答えいたします。(拍手)
  〔国務大臣椎名悦三郎君登壇〕
#12
○国務大臣(椎名悦三郎君) ほとんどすべての事項について総理からお答え申し上げてありますので、私からはほんの一、二点補足するだけにとどめておきます。
 第一の国連決議百九十五号、これは国連の使命に反して、かってに領土を分割するというようなことをやったのではないかというお話でございまして、総理は、そういうものではないということを明確に答えてありますが、しかし、なぜそういうことになるかということを、ちょっと簡単に申し上げます。
 この朝鮮問題については、大戦終了後直ちにモスクワ会議が持たれまして、英、米、ソ三国の間でいろいろ協議して、その協議の結果、さらに米ソ共同委員会というのができて、そしてこれはすぐソウルで会議をやっておるのでありますが、両者の意見が相当隔たりまして、そのままもうどうにも上げもおろしもならなくなった。そういうようなことを放置しておくと、これは平和のためによくないというので、局面打開の意味において、アメリカの要請によって設置されたのが、国連臨時朝鮮委員会でございまして、あくまで朝鮮人民の意思を尊重して、そうしてりっぱな統一政権をつくろうという使命を帯びてこれができ上がったのであります。それで、この朝鮮委員会が現地におもむいて、そして北鮮のほうに立ち回ろうとしたところが、どうしても入れない。公正な人民の選挙によって、それによる統一政府をつくるためのこの委員会の入国を極力拒否して、どうしてもがえんじない。そこで、しかたなしに南鮮だけを監視いたしまして、そして自由意思による選挙が行なわれ、その選挙の結果有効な政権ができた。この半分の機能しか発揮できなかったことを、帰って国連総会に報告いたしました。国連総会は、その報告に基づいて、朝鮮半島の一部分に大部分の人民が居住する地域にかくかくの政権ができた、これはかくかくの理由でこの種の唯一の合法政権であるという、その報告に基づいて決議をし、それぞれ加盟国に若干の勧奨をしておる。こういうことでございまして、この国連の臨時朝鮮委員会というものの使命を粉砕したのは北鮮であります。(拍手)その結果、今日の韓国政府というものが半島の一部分にできた。そういう事実を総会がただこれを認定し、それを決定しただけの話であります。今回の基本条約第三条は、それを受けて、韓国政府の性格は、かくかくのものであるということをいったにすぎないのでありまして、その国連の決議が不当に領土を分割したというようなことは、これは全然当たらないことでございますから、さよう御了承を願います。(拍手)
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕
#13
○国務大臣(坂田英一君) 大体総理から全部お答えのようでありますから、ただ一点、御質問の零細漁業についてでありますが、沿岸漁業については、わが国の一方的声明で自主規制でありまするが、その内容としましては、出漁する沿岸漁船について、わが国沿岸漁業の実績を尊重いたしましてでき上がっておるのでございまするから、その点御了承を願いたいと思うのであります。なお、委員会においてよく……。(拍手)
  〔国務大臣石井光次郎君登壇〕
#14
○国務大臣(石井光次郎君) さっきのお尋ねのうちで、韓国籍へ朝鮮籍から切りかえを促進して、韓国籍から朝鮮籍への移動は認めない方針であって、これはおもしろくないというお尋ねがございました。これは在日朝鮮人の国籍欄に記載されておりましたものが、平和条約の際、平和条約の発効によりまして、日本国籍を朝鮮の人たちが失ったものであり、朝鮮国籍に属しておった者が一律にその際に朝鮮という表示に切りかえたのでございます。それで、その後に、韓国へ書きかえてもらいたいという希望がたくさん出てまいりまして、本人の自由意思に基づいてこれはやったのでございまして、かつ、その大部分は、韓国代表部発行の国民登録証を呈示させた上で韓国への書きかえを認めてきたような次第でございまして、私のほうから、日本の側から無理にすすめたような次第ではないのであります。それだけの準備と用意をしてやつ九のでございまするから、朝鮮へこの際韓国から切りかえということは、そう簡単にはできるものではないということで、原則としては、これを認めないという方針をいまとっておるのでございます。(拍手)これは……(発言する者あり)ただいま説明の途中でございます。原則としてそういう方針をとっておりまするので、これは私どもといたしまして、人道に違反するとも、また、これは、さっきお話のありました人権宣言にも違反することではなく、私どもはりっぱな道を通ってきたのだと、こういうふうに信じておるのでございます。(拍手)
  〔国務大臣三木武夫君登壇〕
#15
○国務大臣(三木武夫君) 私に対しての御質問は、韓国に対する経済協力が経済侵略になるのではないか、あるいは利権化の疑いはないかという点でございますが、総理大臣からすでにお触れになりましたので申し上げることもないのでありますが、要は、経済協力が国民的な基盤で結びつかなければ日韓の友好関係は長続きしない、そういう点で、韓国側においてもいろいろと新しい機構、調達方法を考えておるようでございますし、われわれもまた、この実施計画を通じて相談にあずかる機会がありますから、韓国の国民的な発展をはかれるように協力をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手)
#16
○議長(船田中君) これにて質疑は終了いたしました。
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#17
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時十四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 石井光次郎君
        外 務 大 臣 椎名悦三郎君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 中村 梅吉君
        厚 生 大 臣 鈴木 善幸君
        農 林 大 臣 坂田 英一君
        通商産業大臣  三木 武夫君
        国 務 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
        法制省入国管理
        局長      八木 正男君
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ソース: 国立国会図書館
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