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1965/11/05 第50回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第050回国会 本会議 第8号
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1965/11/05 第50回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第050回国会 本会議 第8号

#1
第050回国会 本会議 第8号
昭和四十年十一月五日(金曜日)
    ―――――――――――――
  昭和四十年十一月五日
   午後二時 本会議
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 遠藤三郎君の故議員久保田豊君に対する追悼演
  説
 東北開発審議会委員の選挙
 公共企業体等労働委員会委員任命につき同意を
  求めるの件
 マリアナ海域における漁船遭難に関する緊急質
  問(丹羽兵助君提出)
 マリアナ海域の漁船遭難事件に関する緊急質問
  (勝澤芳雄君提出)
   午後二時四分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
#3
○議長(船田中君) 御報告いたすことがあります。
 議員久保田豊君は、去る十月二十四日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。
 同君に対する弔詞は、議長において、去る十月三十一日贈呈いたしました。これを朗読いたします。
  〔総員起立〕
 衆議院は多年憲政のために尽力された議員久保田豊君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます
     ――――◇―――――
 遠藤三郎君の故議員久保田豊君に対する追悼演説
#4
○議長(船田中君) この際、弔意を表するため、遠藤三郎君から発言を求められております。これを許します。遠藤三郎君。
  〔遠藤三郎君登壇〕
#5
○遠藤三郎君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員久保田豊君は、去る十月二十四日、病のため、静岡県韮山町の自宅において逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。
 私は、諸君の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼のことばをささげたいと存じます。(拍手)
 久保田君は、明治三十八年十月に静岡県田方郡韮山村の旧家にお生まれになりました。長じて韮山中学から静岡高等学校を経て、東京帝国大学に進んだのであります。中学、高等学校こそ違っておりましたが、久保田君と私とは、大学では同窓の友人であったのでございます。学生時代の君は、スポーツは何でもやっていましたが、まず剣道の大家でした。きわめて豪放らいらくな面があると同時に、反面におきましては、文学を愛し、芸術をたしなむような静かな面を持っておったのであります。私は、ときどき、久保田君のすばらしい絵を拝見させてもらったことがあります。東大時代には、すでに新人会のメンバーとして社会主義理論の研究に大いに活躍しておられましたことは、当時すでに友人間の注目の的であったのでございます。
 昭和五年同大学法学部を卒業後は、さらに勉学するために経済学部に進まれて、かたがた郷里の田方農学校の教師となって、農村子弟の教育に当たられたのであります。この間、封建の遺風と弾圧のもとにあっても、いささかも素志を曲げることなく、純真な青年の情熱と不抜の勇気をもって、労働運動に、また農民運動に献身的な努力をされました。
 昭和八年、君は満州に渡り、ハルピン日日新聞の記者、協和会の職員、旧満州国の県長等をつとめられましたが、主として民族の協和運動と開拓事業に活躍されました。終戦の際に、君が在満日本人の救済引き揚げに果たされた役割りはきわめて大きなものがありましたことは、大方の人々の周知のとおりでございます。
 満州から引き揚げた後は、郷里にあって農業に従事しつつ、労働者や農民のために働いてきた君は、やがて郷党から信頼と期待を寄せられ、昭和二十二年には韮山村長に就任し、次いで昭和二十八年の第二十六回衆議院議員総選挙が施行されるや、久保田君は、勇躍静岡県第二区から出馬し、みごと当選の栄をになわれたのであります。自来、連続して当選すること五回、在職十二年七ヵ月に及んでおります。
 君は、当選するや、かねての宿願である農業問題に懸命に取り組み、たちまち農林水産委員会にその人ありとうたわれるに至りました。君の説くところは、みずからの深い体験に基づく、卓越した意見が多く、同僚議員は党派を越えてひとしく敬服したのであります。(拍手)
 君の本領はあくまで農民運動にあり、日本農民組合委員長、全日本農民組合連合会中央常任執行委員、同顧問として、常に先頭に立って運動に挺身し、その面目を遺憾なく発揮されたのであります。昭和二十八年には、ウイーンにおける第一回世界農林労働者大会に日本農民代表として出席するとともに、ソビエト、中国の農業事情を視察し、また昨年は、農業視察団の一員として中国に渡り、ますます識見を深められたのであります。
 君の活動は、ひとり農林の分野にとどまらず、外務、文教、内閣等の各委員会の委員として、各般にわたる国政の審議にすぐれた力量を示し、特に最近は、商工委員会の委員あるいは理事として、中小企業の近代化、対共産圏貿易拡大等の実現につとめておられたのであります。
 かくて、久保田君が国政に残された功績はまことに偉大なるものがあると存じます。(拍手)
 さらに、君は、かつて労働者農民党に所属し、その中央執行委員、農民対策部長として重きをなし、同党解党後は日本社会党に入党して、統制委員会委員、社会主義理論委員会委員、日中国交回復特別委員会委員等を歴任され、どの分野においてもかけがえのない存在として光彩を放っておりました。(拍手)
 また、君は、郷里の狩野川の治水会長として、その治水対策に取り組み、長年にわたって心血を注がれてきたのであります。去る昭和二十七年のことでありました。狩野川の根本的な治水対策を講じようということになり、放水路の開設の計画がきめられたのであります。もちろんこれには一部に反対もあったのでありますが、しかし、君と私とは、これを絶対になし遂げようとして、かたく誓い合い、そして前後十数年にわたってともに苦心惨たんの結果、ついに今年七月りっぱに放水路が完成したのであります。台風ともなればたくさんの犠牲者を出す魔の狩野川の治水事業がようやく完成いたしたのでございます。狩野川の沿岸の住民は、久保田君の努力に対してどんなに感謝したことでありましょう。(拍手)去る七月、竣工式に私は招かれて、これに臨むことができましたが、しかし、残念なことには、すでに病あつかった久保田君の姿を見ることができませんでした。その竣工式の席上、私は、だれはばかるところなく大いに久保田君の功績をたたえてきましたが、ほんとうに感慨無量でございました。(拍手)
 私が、久保田君について、まだ忘れることができないことが一つあります。先年難航を重ねて制定された工業整備特別地域整備促進の法律は、地元の発展に寄与するところ少なからぬものがありますが、これまた久保田君の尽力があったればこそこの法律ができたのは言うまでもありません。地元民は、久保田君の努力に対して限りなく喜んでおります。
 思うに、久保田君は、人一倍旺盛な正義感とたくましい実行力をもって信ずるところをあくまでも貫き通すというかたい信念の人でありました。また、君は、名利を追わず、文字どおり清貧に徹し、終始一貫、社会主義の理想を追求し、農民と労働者のために働き続けてきたのであります。一見望洋たる風貌のうちに、限りない愛情をひそめ、飾りない態度で人に接し、ことに、次代をになう青少年には多くの期待と希望を寄せ、寸暇をさいてその指導育成に力を尽くされたのであります。(拍手)
 君は、郷里の人々の啓蒙に資するため、自宅に文庫をつくり、その数多い蔵書を公開する準備を急がれていましたが、その完成を待たずにゆかれたことは、君にとってまことに心残りのことであったと推察いたします。しかし、君の温情に触れ、薫陶を受けた多くの人たちによって、君の遺志はりっぱに受け継がれていくものと私は信じます。
 久保田君は、去る六月、突如脳血せんに襲われて倒れ、その後療養につとめられましたが、ついに御回復を見なかったのであります。それにつけても、私は涙の出るような思い出がございます。それは、先年私が病気をいたしましたときに、遠藤は再起不能だというデマが盛んに飛ばされました。しかし、その際に、久保田君は、遠藤君の病気などは何でもないよ、むしろおれのからだのほうが悪いよというようなことを平気で言いふらしまして、私の病気に対するデマを粉砕することを一生懸命でやってくれていたのであります。(拍手)私は、君の友情にほんとうに涙が出るほどうれしかったのでございます。もし君が今度病気になったときには、おそらくいろんなデマが飛ぶだろう、そのときは、そのデマを今度こそぼくが粉砕してやろうと、深く心に誓っておったやさきでありました。君の病気は、デマが出るいとまもなく、とうとうほんとうの再起不能になってしまったのでございます。返す返すも残念にたえません。(拍手)
 御年ようやく六十歳、今後にこそ存分の活躍が期待されていたのでありますが、政治家の責務とは申せ、自己を顧みず、ひたすら世のため人のために働いてこられた長年の過労がこの不幸を招いたものでありまして、まことに痛恨限りないものを覚えるのでございます。
 現下、内外の情勢を思うとき、君のような高い理想と幅の広い実行力を持った政治家を失いましたのは、返す返すも残念なことであり、本院にとっても、国家にとっても、まことに大きな損失であると申さなければなりません。
 ここに、久保田君の生前の功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りして、私の追悼のことばといたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 東北開発審議会委員の選挙
#6
○議長(船田中君) 東北開発審議会委員が一名欠員となっておりますので、この際、その選挙を行ないます。
#7
○海部俊樹君 東北開発審議会委員の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#8
○議長(船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 議長は、東北開発審議会委員に西宮弘君を指名いたします。
     ――――◇―――――
 公共企業体等労働委員会委員任命につき同意を求めるの件
#10
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 内閣から、公共企業体等労働委員会委員に大川一司君、飼手眞吾君、兼子一君、金子美雄君、峯村光郎君を任命したいので、本院の同意を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり同意を与えるに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。
     ――――◇―――――
 マリアナ海域における漁船遭難に関する緊急質問(丹羽兵助君提出)
#12
○海部俊樹君 緊急質問許可に関する緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、丹羽兵助君提出、マリアナ海域における漁船遭難に関する緊急質問、及び勝澤芳雄君提出、マリアナ海域の漁船遭難事件に関する緊急質問を順次許可されんことを望みます。
#13
○議長(船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。
 まず、丹羽兵助君提出、マリアナ海域における漁船遭難に関する緊急質問を許可いたします。丹羽兵助君。
  〔丹羽兵助君登壇〕
#15
○丹羽兵助君 私は、自由民主党を代表して、去る十月七日早朝、マリアナ諸島アグリガン島沖合いにおいて、カツオ漁船七隻が異常に発達した台風二十九号により遭難し、政府及び関係者の必死の捜索にもかかわらず、二百余名のとうとい人命を奪われた痛ましい海難事故について、総理並びに所管大臣に対し、応急対策と恒久対策について、党としての若干の考えを述べつつ、政府の所見をただすものであります。
 私は、質問を行なう前に、この不慮の事故のため、死より免れんと死力を尽くしながらも、ついに力尽き、あわれ無念、南海の怒濤さか巻くあらしの中に、とうとい生命を失われた二百余名の方々の霊に、心から御冥福を祈り、つえとも柱とも頼む方々を失われた御遺族に対し、衷心から御同情申し上げるとともに、その悲しみをともにするものであります。(拍手)
 政府は、遭難事故発生と同時に、海上保安庁は巡視船、水産庁は調査船をそれぞれ現場に急行させ、防衛庁は自衛艦艇、航空機を出動させ、また米軍の軍艦、航空機の協力を得て、二十七万平方海里の広い海域を懸命に捜索し、人命救助と遭難船の発見につとめられた御努力に対しては、当然の責務とはいえ、深甚なる敬意を表するものであります。(拍手)
 特に、僚船の危急を聞き、捜索に参加するため、自己の利益を顧みず、急遽操業を中止して、荒れ狂うマリアナ沖へ挺身救助におもむいた民間漁船の勇気と犠牲の精神は、まことに称賛すべきものであります。(拍手)
 台風二十九号は、気象庁の発表によれば、十月六日になって急激に発達し、しかも、その中心気圧は、六時間ごとに十ミリバールの割合で下降を続け、七日午前九時には九百二十ミリバール、中心付近の最大風速は七十メートルという非常に強い台風となり、しかも、マリアナ諸島に沿って北上したのであります。この異例な台風により、漁船七隻が行くえ不明または沈没、死者一名、行くえ不明二百八名を数え、九死に一生を得た者はわずかに四十二名という、わが国漁船海難史上たぐいを見ない大惨事となったのであります。
 この遭難に対し、地元静岡県はもとより、政府当局においては、いち早く遭難対策本部を設置して、適切な措置をとられたことは、十分承知いたしておるのであります。
 さて、今回のような惨事を二度と再び繰り返してはならないし、また、被災者各位には、でき得る限りの手厚い措置がすみやかにとらるべきであるとの観点から、総理大臣をはじめ、関係各大臣に質問を申し上げたいのであります。
 まず第一点は、わが国は、地理的条件あるいは国民性から、歴史的にも漁業の発達が国民生活の上に期待され、また、経済発展のため大いに貢献をしてきた産業であることは、皆さま御承知のとおりでございます。かかる国民的産業の背景のもと、わが国漁船は世界の海に雄飛しておる実情も、容易に理解されるところであります。しかしながら、漁業は、その性質上、一般国民の目の届かない洋上において作業するため、陸上の企業と異なり、十分理解されない点もまた多く、特に、今回のごとき遭難事件と申すか、天災に対しても、従来、陸上における場合と異なり、国民の関心も薄かったことは、遺憾ながら認めなければならないところであります。かかる経緯から、洋上災害については、救難対策あるいは救助措置等、これが善後措置について制度的にも十分でなかったのではないか。しかも、海難状況は、三十九年度において二千八百六十五隻が遭難し、このうち、船体を放棄し、あるいは行くえ不明となった全損海難は六百三十二隻の多きに達し、これがため失われたとうとい人命についても、陸上における自動車事故、鉄道事故に次いで多いのであります。このことは、先日問題にされました鉱山災害を上回る事態であります。
 以上の事実にかんがみ、総理大臣にお尋ねいたしますが、政府は、マリアナ沖遭難漁船対策連絡会議を持たれ、救難対策について積極的に取り組まれたことに対しては感謝にたえませんが、この会議が、これのみで終わることなく、さらに一歩を進められ、海難に対する根本的な原因の究明はもとより、現に政府において検討されつつある海難救助連絡本部の設置等、海難救助のための基本的な制度を整備拡充するよう努力すべきであると私は思いまするが、総理大臣のお考えを承りたいのであります。
 次に、運輸大臣にお伺いいたします。
 今回の被害漁船は、いずれも百六十トンから二百トン以上の鋼船であり、装備も近代化された優秀船であり、現在のカツオ・マグロ漁業の中核的存在をなすものであります。これがため、常識的には、かかる大惨事を惹起するとは、とうてい考えられないところであります。こういう事故の原因について運輸大臣はいかにお考えになっておるのか。
 一部には、気象庁の気象通報に適切を欠く点があったのではないかともいわれておる。たとえば、台風の位置、強さ、進路の予想等に適切を欠いたのではなかろうか。もとより、日本から千数百海里離れた洋上におけることであって、的確なる情報を流すには種々の困難な事情もあろうが、現状において、海洋気象に対する政府の体制に不十分な点があったのではないか。もしそうだとするならば、すみやかに措置すべきであるが、いかなる体制をとろうとしておるか、この際あわせて御答弁願いたいのであります。
 なお、今後海難を未然に防止するための方策として、大型巡視船の増強をはかるべきであるという声も出ておりまするが、運輸大臣の御意見を伺いたいのであります。
 次に、農林大臣にお尋ねいたします。
 マリアナ諸島近海は漁業者の努力により開拓されたカツオの好漁場である。その反面、台風の発生地にも近いことも事実であります。このような水域における操業については、海難を未然に防止するよう十分な指導が行なわれていると思うが、今回の惨事発生はまことに遺憾であります。
 そこで、漁政をあずかる直接の責任者として、カツオ・マグロ漁業、遠洋漁業について、許可制度、乗り組み員の労働条件、雇用形態等、全般にわたって再検討すべき時期に至っているではないかと考える。とかく、わが国漁業は生産増強に重点がかかり過ぎているともいわれているのであるが、大臣の所信を伺いたいのであります。
 なお、今回の遭難がわが国水産業界、特に中小漁業者にとっては重大なる影響を与えているのであるから、一刻も早く事業再建のための措置を講ずるとともに、後継者の育成をはかり、安心して操業できるようつとめていただきたい。この点について農林大臣の明快なる御答弁を伺いたいのであります。
 次に、厚生大臣にお尋ねいたします。
 従来、遭難遺家族に対する援護対策は、船員保険法に基づく保険金の給付と、遭難者の親戚縁者の協力、船主のでき得る限りの配慮、また所属漁協等の援助により、かろうじて救援措置がとられておりまするが、今回のように、地縁、血縁的に結ばれた人たちが集団で遭難した例は見ないのであります。特に、静岡県田方郡戸田村のごときは、三隻、七十一名が犠牲となり、そのうち親子きょうだいがそろって遭難したものは六組にも達し、六十六世帯が悲しみに沈んでおります。このような集団事故に対して、厚生大臣はその援護対策についてなみなみならぬ御労苦はあると思われるが、従来の援護措置にとどまらず、積極的に見舞い金等の手厚い措置を講じてもらいたいが、厚生大臣の御所見を伺いたいのでございます。
 最後に、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 今回の惨事に対し、国民各位の心からなる御同情が義援金の拠出となってあらわれてきているのでありまするが、この点に関し免税措置がとられるかどうか。また、遭難船員の家族、船主、関係漁協等については、県及び市町村は租税の減免等を考慮しておるようでありまするが、政府もこれと同様の措置を講ずるかどうか。さらに、遭難救助にあたって民間僚船及び地方公共団体が積極的に救助の手を伸べたことは事実であり、感謝すべきことでございます。農林省においては今後かかる救援体制を確立することはもとより、その費用については政府において補助することは当然な措置と思われまするが、この点について大蔵大臣のお考えを承りたいのであります。
 なお、漁協が遭難救助のため積み立てておる遭難救助準備金に対しては、税法上の優遇措置を講ずることは当然のことと思われるし、われわれもそれを望むものでありますが、この点について明確な御答弁を承りたいのであります。
 以上、私は質問を終わるにあたりまして、重ねて南海に消えた方々の御冥福を心から祈り、当面被災者の援護対策について万全の措置を期するよう最善の努力をいたすことはもとより、かかる不祥事を絶対に繰り返さないよう、この際官民一体となって抜本的な対策を立て、日本漁業が安んじて国民の食糧確保と経済の発展のため、北は酷寒の海へ、南は波高き太平洋、インド洋へ、そして広く世界の海へ進出することが、あすの日本漁業に寄せられた使命と思います。私は、このような課題が政府においてもすみやかに解決されるよう努力せられ、ますます日本漁業の安定した発展を心から期待して、質問を終わるものであります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#16
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 それぞれお尋ねがございましたので、関係大臣から詳細にお答えすると思いますが、私に対しましては、漁業のその地位、また世界各地で活動しておるこの現況から見まして、救難、救護、安全操業等について絶えず注意し、そうして総合的な対策を樹立することが最も必要だ、かようにお尋ねであったと思います。私も丹羽君と同じ考え方を持っております。ただいま日本の漁業の状況等から見まして、遠く各地で活動しておりますだけに、これに対する対策は、総合的な対策を立てて、そうして安全操業にいそしみ得るような、そういう環境をつくりたい、かように思います。関係各省を督励して、総合的な対策を立てることをお約束いたしたいと思います。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#17
○国務大臣(福田赳夫君) 第一は、マリアナ海域におきまして遭難した船員、船主及び遺家族に対し、政府は見舞い金的なものを出す考えはないか、かようなことでございますが、今回の遭難に際しまして、漁船の救助活動の費用が非常に多額にのぼっております。また、県でも相当の出費をいたしておりますので、国においてもその一部を援助する、かようにいたしたいと存じます。また、遭難いたしました船主に対しまして、被災船主に特別な融資を考慮いたしております。また、遺家族に対しては、このほか世帯更生資金、母子福祉資金等の貸し付けを講ずることが適切であると、かように考えておる次第でございます。
 それから、第二に、マリアナ遭難に対しまして、義援金を出しておる者がありますが、免税の措置をとるか、こういうお話でございますが、これは免税の措置をとりたい、かように考えております。
 それから、次は、遭難船員、乗り組み員の遺族または遭難船主の受ける給付金、見舞い金等について免税の措置をとるか、かようなお話でありまするが、遭難者の遺族に対する見舞い金等につきましては、所得税につきましては非課税といたします。また、船主に対する給付金につきましては、所得税については、収益または経費補償として給付されるものを除きまして、原則として非課税といたします。また、法人税につきましては、保険金で船舶を取得いたしました場合に圧縮記帳の制度を取り入れまして、課税をいたさないことにいたします。これらの減免措置の内容は、関係納税者に周知させるために、国税庁におきまして所要の措置をとっておる最中であります。
 最後に、マリアナ遭難の経験に照らしまして、漁業協同組合、農業協同組合に遭難救助準備金の制度を設けて、この準備金の繰り入れ額を損金に認める措置をとるべきと思うがどうか、こういうお話でございまするが、これは所得税法に対する重大な例外を設けることになるのであります。さようなことも勘案いたしまして、御質問の遭難救助制度がはたしていかなる性格のものであるかどうか、これをよく検討さしていただきまして結論を得たい、かように考えております。(拍手)
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕
#18
○国務大臣(坂田英一君) 今回の事故に際しまして、遭難船主に対する漁船保険金の早期支払いにつとめまして、すでに十月二十五日に支払いを完了いたしております。なお、民間保険につきましては、十月二十一日、二十二日に支払い済みでございます。
 また、代船建造に必要な資金につきましては、農林漁業金融公庫による災害利率六分五厘による融資を行なうことにいたしております。なお、運転資金の低利、長期の融資は、農林中金等の系統資金から出すことにいたしております。
 また、遭難乗り組み員家族に対しては、転業あっせんの一環として、水産関係の共同利用施設等を設置するために必要な経費等について、目下検討中でございます。
 また、遭難漁船の捜索、救助活動に要した経費につきましては、遭難船主の負担能力から見て、国の援助が必要と考えられまするので、救助費の一部について援助したいと考えておりますることは、先ほど大蔵大臣からの御答弁のとおりでございます。
 今回の事件の遭難漁船につきましては、いずれも二百トン前後の鋼船でございまして、太平洋全域にわたり、カツオ・マグロ漁業を許可せられておるものでありまして、今日までかかる災害を見たこともないのでございまして、漁業許可制度上の欠陥に基因しておる事故があったかどうかという問題でございますが、その事故が別にあったというわけではないと思うのでございまするが、しかし、将来の問題といたしまして、これらの点についてさらに一そう検討を加えてまいりたいと存ずるのでございます。
 それから第二に、船員の労働条件なり雇用条件に先ほどの関連において無理はなかったかという趣旨の問題も含まれておるのでございますが、今回の事件に関係のある漁船船員の労働条件は、同種漁業に従事する他の船員と比較して劣っておるとは考えられません。また、その雇用も安定したように見受けられるので、これらの労働条件が直接遭難の原因となっていることはないと考えております。しかしながら、もちろん漁船船員の労働条件ないし雇用条件につきましては、その改善につとめてまいっておりまするが、今後とも関係官庁に協力をいたしまして、一そうその向上につとめてまいりたいと存じております。
 次は、マリアナ遭難事件によって漁業の再建や後継者問題が困難になったのではないかという意味の問題でございまするが、マリアナ遭難事件によって漁業の再建や後継者問題がむずかしくなっては海国日本としてはゆゆしいことでございまするので、先ほど総理がお答えのとおり、根本的な問題の検討を要するわけでございます。これらの根本政策を講じていかなければならぬと存じますが、農林省といたしましては、遭難船の船主の再建のためには、前述のとおり漁船保険金の支払いは完了いたしましたが、さらに代船建造資金については農林漁業金融公庫資金のあっせんを行なう等、それぞれの金融の面をいたしておりまするのでございます。
 また、今回の事件に関し、漁業後継者対策が問題になるのでありますが、漁業後継者の育成確保については、漁船設備の改善、関係労働条件の向上につとめるほか、都道府県の行なう漁村青壮年育成対策事業や、都道府県及び関係団体の行なう航海士あるいは機関士、無線技術士の修練会に補助する等の諸施策を講じてまいりますが、今後これらにつきましては、さらに一そうこれらの施策の充実をはかってまいり、漁業後継者の育成確保に遺憾のないように期してまいりたいと存ずる次第でございます。(拍手)
  〔国務大臣中村寅太君登壇〕
#19
○国務大臣(中村寅太君) 今回のマリアナ近海における海難によって犠牲になられました方々の御冥福を祈るとともに、残された方々に対しては心から御同情申し上げるものであります。
 今回の海難の原因と考えられます二十九号台風の気象情報の流し方等に対しましては、大体十月四日の十八時以降、三時間から四時間ぐらいごとに台風の位置、それから強さ、進路等を船舶気象、無線通報等によって通報しておったのでございます。その内容は、現在わが国の気象設備が持っております設備、あるいは技術等の水準から考えまして、大体適切であったと考えられるのでございます。
 今回遭難のありましたマリアナ海域は、いまの施設といたしましては、気象状況を把握する設備等がやはり不十分でございますので、今後は南方海域における気象観測の強化をわが国がはかると同時に、米国にも協力を要請しまして、そうして気象観測船を増強するなどと一緒に加えまして、今後正確な気象状況を把握して、これを迅速に船舶、漁船等に通報していくという処置を十分とりたいと考えているのであります。
 さらに、こういう気象情報を通報いたしますいわゆる予報官等の面におきましても強化をして、再びこういう犠牲が起こらないように十分の気象観測と情報の通報に心がけてまいりたいと考えております。
 さらに、海上保安庁が現在持っております、海難等に際しまして、これの予防あるいは起こりました場合の救助処置等の設備といたしましても、巡視船あるいは巡視艇等の足が短い、足の長い性能のものが不足しておるということもあるようでございます。さらに、長距離を飛べるような飛行機を持っておらぬというようなことも、今回のマリアナ近海の遭難を思い浮かべますときに、設備としても、これも整備せなければならない問題であると考えられまするので、巡視船をできるだけ早期に整備いたしますし、あるいは長距離飛べる航空機等も整備いたしまして、そうして再びこういうことの起こらないように予防すると同時に、あるいは起こりました場合には適切な救助処置ができるように進めてまいりたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#20
○国務大臣(鈴木善幸君) マリアナ海域で遭難をされました漁船の御家族に対しましては、衷心から御同情にたえないところでございまして、厚生省の援護対策といたしましては、船員保険法に基づきまして、死亡の確認されました場合におきましては、直ちに遺族年金または遺族一時年金を支給いたし、また葬祭料を支給いたすことにいたしておるわけであります。死亡が確認されるまでの間、行くえ不明の一カ月以上たちました場合におきましては、行くえ不明手当金を支給することにいたしておるわけであります。また、御家族の実情に応じまして、世帯更生資金、母子福祉資金等の貸し付けをいたしますと同時に、養老院、母子寮等に収容いたしますと同時に、授産施設等で仕事を与える等の十分な援護の措置を講じてまいりたいと考えております。(拍手)
 マリアナ海域の漁船遭難事件に関する緊急質
  問(勝澤芳雄君提出)
#21
○議長(船田中君) 次に、勝澤芳雄君提出、マリアナ海域の漁船遭難事件に関する緊急質問を許可いたします。勝澤芳雄君。
  〔勝澤芳雄君登壇〕
#22
○勝澤芳雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、マリアナ諸島アグリガン島沖における漁船遭難について、総理並びに関係各大臣に質問をいたします。(拍手)
 質問に先立ち、今回の遭難に対しまして関係各方面の必死の捜索にかかわらず、いまだ多数の乗務員の方々が行くえ不明になっており、その御家族の心労に対しましては心からなる御同情を申し上げる次第であります。(拍手)
 災害は忘れたころにやってくるといわれてきましたが、台風は例年のように日本の国土を襲って、国民のとうとい生命、財産を奪い、多くの被害を与えております。政府も国会もこの対策に努力をいたしてまいりましたが、政府の施策は必ずしも万全とはいえず、依然として被害は絶えません。これは天災というよりも、ある程度人災と申すべきものであり、為政者としての政治責任を感ずべきであります。特に、今回の遭難事故は、わが国海難史上まれに見る大惨事であり、その原因の究明と、責任を明確にすべきであります。
 遭難の原因を台風の異常発達という現象から観測の誤報とだけ断言するわけにはいかないとしても、台風予報と実際の台風進路に大きな誤りがあり、そのために各漁船が台風進路のまっただ中に避難していったということは事実であります。遠洋漁業に生きる漁師は、めしを忘れても気象通報は忘れない。気象通報こそ命綱であることをはだで知っています。水揚げをあせって台風に巻き込まれたとか、若い船長だから云々などということは、実情無視の意見であります。遭難漁船が十数時間前より避難していたということ、第八国生丸の増井船長らベテラン乗務員や、第三永盛丸のような新鋭船まで遭難したということは、台風予報の誤りで中心進路に避難していたためであることは明らかでありまして、その責任はまことに重大であるといわざるを得ません。(拍手)
 また、七日の朝六時二分、第八海竜丸からSOSが発せられ、その日の夜七時二十七分までには七隻の漁船の消息不明が伝えられたにもかかわらず、何らの緊急対策がとられず、海上保安庁の巡視船は、ようやく翌日の八日午後出港して、十二日の午後遭難現場に到着、自衛艦や自衛隊機の出動は十日でありました。救助の最も必要な七日、八日、九日は、仲間を救えと決死的に集まった漁船と米軍機のみの捜索であります。これでは助かるものも助かりません。たった一つ見つかった死体もまだやわらかかった、もう少し救助が早かったらという遺族の悲しみに、何と答えることができるでしょう。まさに救助活動の怠慢であります。高度経済成長政策の陰に忘れられてきた日本漁業に対し、貧困な政策しか行なってこなかった今日までの自民党政府の責任であります。私は、この際、今次遭難に対する総理の所見と、今後の海難防止についての決意をお伺いしたいと存じます。次に、関係各大臣にお尋ねいたします。
 質問の第一は、当面する緊急対策であります。
 その一つは、遭難乗務員家族についての援護であります。遭難者二百九名、そのうち、静岡県の百八名をはじめ、宮崎県二十三名、その他三県にわたり、一名の遺体が発見されただけで、二百八名はいまも行くえ不明で、留守家族は絶望に追い込まれています。そのうち静岡県下の遭難乗務員家族は百七十一世帯で、七割が一家をささえていた働き手をなくし、母子家族八十世帯、妻だけ五世帯、老母だけ一世帯という不幸な事態を生じました。生活保護を必要とするもの八十八世帯、しかも、同一家族や縁故関係者、地縁、血縁的な集団事故で、まことに従来例のないことであります。したがいまして、船員保険金の早期給付はもちろんのこと、家族の職業補導、就職のあっせん、授産、子弟の養教育費の助成などを含め、特別な手厚い援護を差し伸べるべきであると思いますが、政府の措置を、厚生、労働各大臣から伺います。
 その二は、遭難船主に対しては、漁船保険金の早期交付とともに、再建のための融資については特別の措置を考慮すべきであると思いますが、これらの船主などについての対策を農林大臣からお伺いします。
 その三は、今回のような遠洋における多数の漁船の遭難については巨額の救難活動費を必要といたします。国としてもこれらの費用については新たな助成措置を考慮すべきであると思いますが、大蔵大臣の所見をお伺いします。
 質問の第二は、恒久対策であります。
 その一つは、最近の海上における災害の多くは、人命、財産の喪失など、特に集団的犠牲が多い現状であります。したがって、救難活動の円滑かつ迅速な体制が必要でありますので、陸上災害に対する災害救助法にかわる海難救助法ともいうべきものを制定すべきであると思いますが、運輸大臣の所見をお伺いします。
 その二は、漁業協同組合等の遭難救助準備金に対する非課税や、遭難乗務員家族や、船主に対する一時所得についての税の減免措置を考慮すべきであると思いますが、大蔵大臣の所見をお伺いします。
 その三は、漁船乗務員育成強化のためには、当面、漁民収入の歩合制度の問題、一船主一隻の現状、あるいは研修活動などについての漁業制度近代化への積極的指導が必要であると思いますが、農林大臣の所見をお伺いします。
 その四は、海難防止についての政府の諸施策であります。
 第一は、気象観測の強化についてであります。南方における台風観測は米軍の提供するものが唯一のたよりでありますが、これは本来米軍の軍事目的のために行なわれているもので、日本の漁船のためのものではありません。あなたまかせの観測から、日本みずからの手による観測を行なうべきであります。したがって、気象観測船の派遣あるいは航空機による観測、漁船による観測通報など、早急に実施すべきであります。また、小笠原諸島及び付近の島についての観測レーダー基地の設置については、米軍との関係もあると思いますが、運輸大臣の所見をお伺いいたします。
 第二は、外国港の避難についての手続はまことに複雑で、半日もの長時間かかるといわれていますが、特に台風常襲地帯ともいわれている南方においては、あらかじめ特別な取りきめを行なって、簡便迅速な方法をとるべきであると思いますが、運輸大臣の所見をお伺いします。
 第三は、本年五月発行の海上保安白書によると、三十九年の海難船舶は二千八百余隻で、うち沈没、行くえ不明七百十三隻、百二十二億円、失われた人命千三百十一人であります。海難救助の第一線で働く巡視船八十八隻、うち半分以上は老朽船で、十二、三ノットで、商船よりもおそく、航空機は、ヘリコプター九機、ビーチクラフト六機の十五機、これでは、遠洋はもちろんのこと、近海の救助も不十分であります。早急に大型巡視船や救難航空機を増強すべきであると思いますが、これが対策について運輸大臣の所見をお伺いします。
 なお、当面の緊急対策として、自衛艦や自衛隊機をペンキを塗りかえて海上保安庁で使ったらどうかという意見もあるようですが、いかがでしょうか。
 最後に、大蔵大臣にお伺いします。
 海難による被害はまことに悲惨なものであります。しかし、運輸省がとってきた今日までの海難防止対策は、まことにお粗末なもので、無責任のきわみであります。明年度の予算要求四億一千万円であったのを、今次遭難によって、ようやくおそるおそる気象観測船一隻、大型巡視船一隻、YS11型飛行機一機の九億七千万円を追加要求しているのであります。これで気象観測は十分か、海難救助は万全かと聞けば、まことに心細い答弁で、何ぶん大蔵省が予算をくれないのでと、責任の転嫁であります。大蔵省あって国民なし、まさに無責任行政のあらわれであります。(拍手)
 軍艦や大砲、戦闘機をふやす前に、まず台風から国民の生命、財産を守るために、マリアナの人災を再び繰り返さないためにも、気象観測の整備、巡視船、飛行機等の増強など、海難防止には画期的な予算措置をとるべきであると思いますが、大蔵大臣の決断をお伺いいたします。
 以上、私は、今次遭難乗務員家族に対し重ねてお見舞い申し上げるとともに、政府は緊急並びに恒久対策をすみやかに講ぜられるよう強く要望して、質問を終わります。(拍手)
  〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕
#23
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 去る台風二十九号による遭難事故は、お説のようにまれに見るたいへん大きな災害事故でございまして、多数の漁船を失い、また犠牲者多数を出しましたことは、まことに遺憾しごくでございます。私は、つつしんでこれら犠牲者の霊を弔いますと同時に、御家族の方々に対しましても心から弔意を表する次第でございます。
 この事故から政府は何を学んだか。先ほども丹羽君にお答えいたしたのでございますが、申すまでもなく、わが国の漁業は重要産業でございます。また、今日は世界至るところの海洋において活動いたしております。これらが安全に操業できるように最善を尽くすべきは、これは政府の責任だと思います。
 今回の事故に際しましても、何ぶんにも遠隔の地であったとはいえ、御指摘のように出動その他がおくれたのではないか、かような点も指摘されるのであります。今後におきましては、海難救助につきましても最善を尽くしていく。また、気象観測におきましては、正確、迅速なる通報、これがその使命だと思いますので、わが国ばかりでなく、各国の協力を得て、気象の迅速にして正確な通報をいたしたいと思います。
 また、国内においては、それぞれの大臣がお答えをいたすと思いますが、丹羽君に申し上げましたとおり、総合的な対策を立てることが最も必要だと思います。
 こういう意味におきまして、一そう万全を尽くしてまいりたい、かように思います。(拍手)
  〔国務大臣坂田英一君登壇〕
#24
○国務大臣(坂田英一君) ただいま私に御質問のありました点は二点あったのでございます。
 その一つは、遭難各漁船の保険の問題でありまするが、これについては先ほど御答弁申し上げたのでありますが、なお詳細に申し上げますと、第十一弁天丸を除く六隻に対しては十月二十日、第十一弁天丸の分については十月二十五日に全損として全額支払い済みでございます。それから、民間保険金につきましては、十月二十一日、二十二日に支払いを完了しております。金額は漁船保険約二億二千六百万円であります。
 それから、遭難漁船の代船建造資金につきましては、農林漁業金融公庫の融資をあっせんすることとともに、災害利率六分五厘を適用することになっておりますことも、先ほどお答え申し上げたとおりでございます。
 それから、第二点は、漁船乗り組み員の育成強化のためには漁業従事者に対する歩合制度の問題、一船主一隻の現状の問題、あるいは漁船乗り組み員に対する研修活動等について、漁業制度近代化のための施設を積極的に推進する必要があるということについて等の問題でございます。
 御説のとおりでございまして、漁船乗り組み員の育成強化については、その労働条件の改善や研修活動の拡張をはかるのみならず、広く経営の合理化及び近代化をはかっていく必要がある。このため、農林省といたしましては、従来から都道府県及び関係団体に補助し、漁村青壮年育成対策事業及び航海士等の船舶職員の修練会を実施せしめているほか、運輸省と協力して、労働条件の改善の指導を行ない、給与制度その他労働条件の改善をはかっておるのでありますし、また、経営の改善についても、制度金融の活用等により経営の安定に資してまいりましたが、漁業の近代化のためにはなお多くの課題もありまするので、現在カツオ・マグロ漁業につきましては、学界、業界等の専門家による懇談会により慎重に検討中でありますが、その他漁業についても鋭意検討を進めて、その施策の拡充をはかっておる次第であります。(拍手)
  〔国務大臣中村寅太君登壇〕
#25
○国務大臣(中村寅太君) 気象情報の通報に間違いがあったのではないかという質問でございましたが、それは先ほど丹羽議員の質問に答えましたとおり、現在、日本が持っております設備、技術等から考えまして、おおむね正確であったと考えております。しかしながら、勝澤議員も仰せられましたように、気象情報の把握、あるいはこれを通報するとか、これを漁船、船舶等が受け取る場合等のいわゆる設備等にも十分でない点があるように考えられますので、今後はそういう点に万全を期してまいりたいと思っております。さらに海難を予防する、あるいは海難の起こった際に救助するための船舶、航空機等の面につきましても考慮をいたしまして、整備する方向で進めてまいりたいと思っております。
 最後に、緊急避難の際に、入港に非常に手間がとるというようなことの質問でございましたが、台風とかあるいは突如病気になって人命に危険を感ずるというような場合は、これは緊急避難でございまして、この点につきましては、各国とも無条件で入港を認めておる次第でございます。しかしながら、その他の場合、たとえて申しますと、水を船に入れたくなったとか、あるいは燃料を補給したいというような場合等、向こうと交渉いたします場合に、漁船等におきましてはことばが通じないというようなこともあります。円満にいきかねておる点等もございますので、そういう点は、海上保安庁等に直ちに連絡させまして、海上保安庁がこれにかわって向こうと交渉して、すみやかに処置するというようなことを考えておる次第でございますが、なお、今後外国政府とは緊密な連絡をとりまして、申されたように、手続等に迅速を期するようにつとめてまいりたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣福田赳夫君登壇〕
#26
○国務大臣(福田赳夫君) 第一は、今回の海難活動に対しまして補助金を出すか、こういうお話でございますが、補助金を特例として出すことにいたします。
 それから第二は、今回の海難関係の税の関係はどうなるかというお話でございまするが、これは先ほど丹羽議員の質問に対しまして詳細にお答えいたしましたので、省略いたします。
 第三は、この海難等に関連いたしまして、今後再びこういうことを繰り返さない、そういうために十分な予算措置を講ずべきじゃないか、かようなお話でございまするが、今回の事件等も大いに反省いたしまして、財政窮乏なおりではございまするが、できる限りの措置をいたしたい、かように考えている次第であります。(拍手)
  〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕
#27
○国務大臣(鈴木善幸君) 御家族の援護につきましては、先ほど丹羽議員にお答えいたしましたとおり、船員保険法によりまして、死亡を確認いたしました際におきましては、遺族年金または遺族一時年金を給付いたすことにいたしております。また、あわせて葬祭料を支給することにいたしております。また、死亡確認がされますまでの行くえ不明の一カ月以上過ぎました際には、行くえ不明手当金を支給することにいたしておるわけであります。また、御家族の自立更生を推進いたしますために、世帯更生資金あるいは母子福祉資金の貸し付けを行なうことにいたしております。また、御家族の家庭の御事情によりましては、母子寮あるいは養老院に収容する等の、社会福祉施設に対する収容等の援護の措置を講じたいと考えております。(拍手)
  〔国務大臣小平久雄君登壇〕
#28
○国務大臣(小平久雄君) 遭難者、なかんずく世帯主遭難者の遺家族の就職援護措置に万全を期すべきであるとの御指摘でございますが、労働省といたしましては、遭難者の大部分を占めております静岡、宮崎両県下の関係公共職業安定所四カ所に就職対策班を設け、処理体制を整えまして、職業相談、就職あっせん等に万全を期しておるのでございます。しかし、現時点におきましては、個個に就職希望状況等を把握することはまだ困難な状況にありますので、本月の中旬に予定されておりまする合同慰霊祭の終了後、さらに具体的に職業相談を行ない、援護の万全を期する所存でございます。(拍手)
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#29
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後三時十七分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        厚 生 大 臣 鈴木 善幸君
        農 林 大 臣 坂田 英一君
        運 輸 大 臣 中村 寅太君
        労 働 大 臣 小平 久雄君
 出席政府委員
        内閣官房長官 橋本登美三郎君
        内閣法制局長官 高辻 正巳君
ソース: 国立国会図書館
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