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1965/12/03 第50回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第050回国会 本会議 第15号
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1965/12/03 第50回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第050回国会 本会議 第15号

#1
第050回国会 本会議 第15号
昭和四十年十二月三日(金曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第十四号
  昭和四十年十二月三日
   午前十時開議
 第一 法務大臣石井光次郎君不信任決議案(山
  本幸一君外四名提出)    (前会の続)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 仮議長の選挙
  仮議長の選挙はその手続を省略して議長にお
   いて指名せられたいとの動議(海部俊樹君
   提出)
 衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案(山本
  幸一君外四名提出)
  質疑終局の動議(中野四郎君外二十三名提
  出)
  討論終局の動議(中野四郎君外二十三名提
  出)
   午前十一時八分開議
#2
○副議長(田中伊三次君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 仮議長の選挙
#3
○副議長(田中伊三次君) 山本幸一君外四名から、衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案が提出されました。
 船田議長は、事故のため、出席されておりません。副議長は、自己の身上に関する議事でありますから、着席するわけにまいりません。よって、本決議案の議事のため、国会法第二十二条の規定により、仮議長の選挙をいたさなければなりません。この場合における選挙は、先例により、私が行ないます。
 これより仮議長の選挙を行ないます。
#4
○海部俊樹君 仮議長の選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
#5
○副議長(田中伊三次君) 海部俊樹君提出の動議につきまして採決をいたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#6
○副議長(田中伊三次君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#7
○副議長(田中伊三次君) 投票漏れはありませんか。
  〔「ある」と呼ぶ者あり〕
#8
○副議長(田中伊三次君) 投票漏れの方はすみやかに御投票を願います。
  〔投票継続〕
#9
○副議長(田中伊三次君) 投票まだの方は急ぎ投票願います。
  〔投票継続〕
#10
○副議長(田中伊三次君) だいぶ時間が経過しております。投票まだの方はお急ぎを願います。お急ぎを願います。
  〔投票継続〕
#11
○副議長(田中伊三次君) 諸君、投票漏れはありませんか。
  〔「ある」と呼ぶ者あり〕
#12
○副議長(田中伊三次君) 投票漏れの方はすみやかに御投票願います。
  〔投票継続〕
#13
○副議長(田中伊三次君) 投票漏れはありませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#14
○副議長(田中伊三次君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#15
○副議長(田中伊三次君) 投票の結果を事務総長をして報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 三百二十一
  可とする者(白票)        二百七
  〔拍手〕
  否とする者(青票)        百十四
  〔拍手〕
#16
○副議長(田中伊三次君) 右の結果、海部俊樹君提出の動議は可決されました。
    ―――――――――――――
 海部俊樹君提出仮議長の選挙はその手続を省略して議長において指名せられたいとの動議を可とする議員の氏名
      逢澤  寛君    愛知 揆一君
      青木  正君    赤城 宗徳君
      赤澤 正道君    天野 光晴君
      綾部健太郎君    有田 喜一君
      井出一太郎君    井原 岸高君
      井村 重雄君    伊東 隆治君
      伊能繁次郎君    岩動 道行君
      池田 清志君    石井光次郎君
      稻葉  修君    稻村佐近四郎君
      今松 治郎君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    内田 常雄君
      内海 安吉君    浦野 幸男君
      江崎 真澄君    遠藤 三郎君
      小笠 公韶君    小川 半次君
      小川 平二君    小沢 辰男君
      小澤佐重喜君    小渕 恵三君
      大石 八治君    大石 武一君
      大泉 寛三君    大倉 三郎君
      大竹 太郎君    大坪 保雄君
      大西 正男君    大野  明君
      岡崎 英城君    奥野 誠亮君
      加藤 高藏君    加藤常太郎君
      鍛冶 良作君    海部 俊樹君
      金子 一平君    金丸  信君
      上林山榮吉君    神田  博君
      亀岡 高夫君    亀山 孝一君
      鴨田 宗一君    唐澤 俊樹君
      仮谷 忠男君    川崎 秀二君
      木部 佳昭君    木村 剛輔君
      木村 武雄君    木村武千代君
      菊池 義郎君    吉川 久衛君
      清瀬 一郎君    久野 忠治君
      久保田円次君    鯨岡 兵輔君
      熊谷 義雄君    倉成  正君
      藏内 修治君    黒金 泰美君
      小泉 純也君    小枝 一雄君
      小島 徹三君    小平 久雄君
      小宮山重四郎君    小山 長規君
      小山 省二君    河本 敏夫君
      纐纈 彌三君    佐々木秀世君
      佐々木義武君    佐藤 孝行君
      佐藤洋之助君    齋藤 邦吉君
      坂田 道太君    坂村 吉正君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      四宮 久吉君    志賀健次郎君
      重政 誠之君    澁谷 直藏君
      島村 一郎君    正示啓次郎君
      進藤 一馬君    周東 英雄君
      壽原 正一君    鈴木 善幸君
      砂田 重民君    砂原  格君
      瀬戸山三男君    關谷 勝利君
      園田  直君    田口長治郎君
      田澤 吉郎君    田中 榮一君
      田中 角榮君    田中 正巳君
      田中 六助君    田邉 國男君
      田村 良平君    高瀬  傳君
      高橋清一郎君    高橋 禎一君
      高見 三郎君    竹内 黎一君
      竹下  登君    竹山祐太郎君
      舘林三喜男君    谷川 和穗君
      地崎宇三郎君    塚田  徹君
      塚原 俊郎君    辻  寛一君
      坪川 信三君    渡海元三郎君
      登坂重次郎君    徳安 實藏君
      内藤  隆君    中川 俊思君
      中曽根康弘君    中野 四郎君
      中村 梅吉君    中村 幸八君
      中村 寅太君    中村庸一郎君
      永田 亮一君    永山 忠則君
      灘尾 弘吉君    南條 徳男君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      西岡 武夫君    西村 直己君
      根本龍太郎君    野田 武夫君
      野原 正勝君    野見山清造君
      野呂 恭一君    馬場 元治君
      橋本登美三郎君    橋本龍太郎君
      長谷川四郎君    長谷川 峻君
      八田 貞義君    服部 安司君
      濱地 文平君    早川  崇君
      原 健三郎君    原田  憲君
      福井  勇君    福田 繁芳君
      福田 赳夫君    福田 篤泰君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      藤枝 泉介君    藤本 孝雄君
      古井 喜實君    古川 丈吉君
      坊  秀男君    細田 吉藏君
      堀内 一雄君    堀川 恭平君
      本名  武君    前尾繁三郎君
      前田 正男君    益谷 秀次君
      増田甲子七君    松浦周太郎君
      松澤 雄藏君    松田竹千代君
      松田 鐵藏君    松山千惠子君
      三池  信君    三原 朝雄君
      水田三喜男君    湊  徹郎君
      南好  雄君    村上  勇君
      村山 達雄君    毛利 松平君
      粟山  秀君    森   清君
      森下 國雄君    森田重次郎君
      森山 欽司君    八木 徹雄君
      山崎  巖君    山手 滿男君
      山本 勝市君    吉田 重延君
      和爾俊二郎君    早稻田柳右エ門君
      渡辺 栄一君    渡辺美智雄君
      亘  四郎君
 否とする議員の氏名
      赤松  勇君    茜ケ久保重光君
      秋山 徳雄君    有馬 輝武君
      淡谷 悠藏君    安宅 常彦君
      井伊 誠一君    井谷 正吉君
      井手 以誠君    石野 久男君
      板川 正吾君    稻村 隆一君
      江田 三郎君    小川 三男君
      大出  俊君    大原  亨君
      大村 邦夫君    岡田 春夫君
      岡本 隆一君    加賀田 進君
      片島  港君    勝澤 芳雄君
      角屋堅次郎君    金丸 徳重君
      川崎 寛治君    川俣 清音君
      川村 継義君    河野  正君
      久保田鶴松君    栗原 俊夫君
      栗林 三郎君    黒田 寿男君
      小林  進君    小松  幹君
      兒玉 末男君    五島 虎雄君
      佐藤觀次郎君    佐野 憲治君
      阪上安太郎君    桜井 茂尚君
      沢田 政治君    重盛 壽治君
      島上善五郎君    島口重次郎君
      東海林 稔君    鈴木茂三郎君
      田口 誠治君    田中 武夫君
      田原 春次君    多賀谷真稔君
      高橋 重信君    滝井 義高君
      楯 兼次郎君    只松 祐治君
      千葉 七郎君    辻原 弘市君
      戸叶 里子君    泊谷 裕夫君
      中井徳次郎君    中澤 茂一君
      中嶋 英夫君    中村 高一君
      永井勝次郎君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    二宮 武夫君
      西宮  弘君    西村 関一君
      野原  覺君    野間千代三君
      芳賀  貢君    長谷川正三君
      畑   和君    華山 親義君
      原   茂君    日野 吉夫君
      肥田 次郎君    平岡忠次郎君
      平林  剛君    藤田 高敏君
      帆足  計君    穗積 七郎君
      細迫 兼光君    前田榮之助君
      松井  誠君    松浦 定義君
      松平 忠久君    松本 七郎君
      三木 喜夫君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森  義視君
      八木 一男君    八木  昇君
      矢尾喜三郎君    柳田 秀一君
      山内  広君    山口シヅエ君
      山口丈太郎君    山田 長司君
      山田 耻目君    山中 吾郎君
      山中日露史君    山花 秀雄君
      山本 幸一君    湯山  勇君
      米内山義一郎君    横路 節雄君
      横山 利秋君    吉村 吉雄君
      加藤  進君    谷口善太郎君
      志賀 義雄君    田中織之進君
     ――――◇―――――
#17
○副議長(田中伊三次君) よって、議長は、原健三郎君を仮議長に指名をいたします。
  〔拍手〕
 この際、仮議長原健三郎君に御着席を願います。
  〔仮議長原健三郎君議長席に着く〕
#18
○仮議長(原健三郎君) 御推挙によりまして、仮議長に選任されました。
 諸君の御協力によりまして大過なきを期したいと存じます。よろしく御協力のほどをお願い申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
 衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案(山
  本幸一君外四名提出)
          (委員会審査省略要求案件)
#19
○仮議長(原健三郎君) 山本幸一君外四名提出、衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案は、提出者の要求のとおり委員会の審査を省略して、日程に追加するに御異議はございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○仮議長(原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案を議題といたします。
    ―――――――――――――
   衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案
 右の議案を提出する。
  昭和四十年十二月三日
    提出者
       山本 幸一  下平 正一
       中井徳次郎  野原  覺
       淡谷 悠藏
      賛成者
       赤路 友藏  外百三十四名
    ―――――――――――――
    衆議院副議長田中伊三次君不信任決議
  本院は、衆議院副議長田中伊三次君を信任せず。
   右決議する。
     理 由
  副議長は、議長を代理し、あるいはこれを補佐し、公正な議会運営をはかり、議会政治の権威を守るべき責任はなんら議長と変わるところでない。しかるに、田中副議長は、日韓条約審議をめぐる自民党のフアツシヨ的議会運営を終始傍観し、職責遂行の努力をなんら行なわなかつたばかりでなく、十一月十二日の本会議における議長の最悪の強行採決に共同謀議し、自ら議会政治を破壊したその行為は議長と全く同罪であり、絶対に許さるべきものでない。とくに副議長は、その後もこの暴挙に対してなんら反省することなく、あまつさえ、副議長の職にある者としてあるまじき暴言すら吐き、ますます国会の権威を傷つけている。
 議会政治の根本的立て直しのため、かかる副議長は直ちに辞職すべきである。
 これが、本決議案を提出する理由である。
#21
○仮議長(原健三郎君) 提出者の趣旨弁明を許します。淡谷悠藏君。
  〔淡谷悠藏君登壇〕
#22
○淡谷悠藏君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されました衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案の趣旨説明を行ないたいと思います。(拍手)
 まず、案文を朗読いたします。
    衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案
  本院は、衆議院副議長田中伊三次君を信任せず。
   右決議する。
  〔拍手〕
 以下、順を追うてその理由を申し述べます。
 理由の第一は、田中副議長が、去る十一月十二日未明、本院において、議長船田君と共謀し、議会史上かつて見ざる悪逆無道の手段を用いて、日韓条約批准案件の通過をはかったことであります。
 もともとこの条約は、アメリカ政府のアジア侵略、極東戦略の至上命令により、その手先になったわが国独占資本家の要請のもとに、これにこたえて、一億国民をつんぼさじきに置いて進められた日米両国の陰謀であって、全く条約の体をなさざる不完全にしてもうろうあいまいなものであり、ベトナム戦争への介入を結果する危険きわまるものであることは言うをまちません。(拍手)そのために、今国会に上程する以前、すでに国民各層のきびしい批判と激しい反対を呼んでいたものであります。
 日韓条約特別委員会の審議が進むにつれて、この本質と実体が次第に国民の前に明らかになりました。わが党の質問に対し、管轄権の問題、請求権の問題、在日朝鮮人の法的地位の問題等、何一つ政府は満足に答えられなかったではありませんか。答弁はしどろもどろで首尾一貫を欠き、あしたに答えたこともタベにはこれを取り消し、食い違いやら立ち往生やら、見るもむざんな醜態を国民の前にさらけ出したことは、田中副議長、まんざらこれを知らぬとは申せないでしょう。(拍手)
 知っていたればこそ、あの暴挙の前、ひそかに船田議長からその企てを打ち明けられたとき、君は進んでこれに同調しているのであります。船田議長が用意したあのときのメモを、君は二十六秒ないし二十七秒で読んでみせているのであります。あの暴挙には一分以上の時間をかけることは許されない、一分以上かかったらたいへんなことになると、君自身で言っておるのである。船田議長は、ろれつが回らないから四十五秒かかる、四十五秒ならまあまあできそうだから、まずこれならいけると思って君自身はこれに承諾を与えたと言っている。
 それまでの政府答弁のおぼつかなさ、あぶなかしさに不安を感じ、さらにわが党が用意した軍事問題をはじめ竹島領有権、漁業権、李ラインの問題、さらに文化協定の問題等、次々と放たれる質問に政府がますます醜態を暴露することを知っていたればこそ、船田議長の提案に君は同調したのであります。あたかも質問は深い疑惑に包まれた韓国ノリの輸入にまつわる政府有力者の黒いうわさ、利権の追及に進もうとしていた。それをおそれてあわてふためいた君の心情たるや、まことにあわれむべきものがあるのであります。(拍手)あわれむべきものはあるが、共謀は歴然であります。いや、そこには共謀以上のものがある。
 君は生来、事あるごとに得々と法学博士の肩書きをひけらかして人にいばり散らす悪癖があります。悪らつではあるが憶病な船田議長がおどおどとメモを示したときも、この悪癖むらむらと発して、議長がなさんとする行動は、憲法、法律、規則、先例に照らしいささかも違背するところはないと、議長を扇動している。やるなら失敗してはならぬ、失敗したら大ごとになると、持ち前のはったりと脅迫で議長に悪知恵をつけ、自信を持たせ、決行の腹をきめさせた行為は、共謀というよりはまさに首謀の実質を備えているのであります。(拍手)われわれは、今回の暴挙の元凶田中副議長を信任することができないのであります。
 第二の理由は、公平であり、不偏不党であるべき副議長が、完全に自由民主党の走狗となり、議長、副議長の職責を忘れて、本来いかにあるべきかというその形を完全に失墜しておる。議長、副議長の職責は本来いかにあるべきものか。議長、副議長には不偏不党性が強く要請されております。特定の党派に所属しているといなとにかかわらず、常に公正であるべきことこそが議長、副議長の絶対の資格であります。ヨーロッパ大陸の議会政治の理論に大きな影響を与えたベンサムは、議事手続の遂行における議長の役割りを審判者として規定しております。議長の不偏不党性を議事規則で要請しているものもあります。西ドイツの連邦議会の議事規則は、「議長は連邦議会の尊厳と権利を保持し、連邦議会の任務を促進し、議事を公正かつ不偏不党的に指揮する。」としている。ワイマール憲法下のライヒ議会の議事規則十九条一項にも、ほぼ同文の規定がありました。日本の国会法や両議院の議事規則にはこの種の規定はないが、同様な要請の存することは否定できない、むしろ規定以前の常識であるからであります。
 しかるに、田中副議長の今回の行動はどうであったか。強行の直前、わが党の成田書記長、山本国会対策委員長が、事態の緊迫を知って、議長職権による本会議開催はなすべきではないと申し入れたとき、船田議長は、強行はしないと、白々しいうそをついている。そのとき、議長室で謀議をこらしていた田中副議長は、わが党両君の入るのを見ると、出もしないおしっこが出ると、早々に部屋を出て行くえをくらまし、船田議長がこの決行に失敗した場合を考え、あとに備えて、自由民主党の幹事長室にひそんでいたのであります。わしも船田議長も自由民主党の党員だ、あのときうそをつかなかったら、反対党であり、対決をしている社会党を利することになる。これは利敵行為に当たると、平然とふんぞり返る田中副議長には、いまや自由民主党の党利党略あって議会なく、国民がないのであります。(拍手)どこに不偏不党の原則が貫かれていたでしょうか。どこに公平厳正な態度があったでしょうか。
 このような考え方から、国会の衛視諸君を自民党の議長、副議長の私兵のようにこき使い、鉄かぶと、装甲車で完全武装した警察機動隊を悪鬼のように国民に襲いかからせ、国会構内に千に余る警官を配置し、野党に強圧を与えようとする狂暴な仕打ちが生まれてきたのであります。自由民主党政府には、いまや反対党は敵である、反対する国民ことごとくが敵である、これはまさしく一党独裁であり、民主主義の虐殺であります。その独裁の走狗となって、職権を乱用することを平然と肯定し、かつこれを誇るような副議長田中伊三次君をわれわれは断じて信任することはできないのであります。(拍手)
 議会政治は言論を尊重して初めて存在の意義があります。言論は田中伊三次君におけるがごとく、いたずらにべらべらとしゃべり散らすことが能ではありません。しゃべり散らし、しゃべりまくることは大道に本を売るテキヤもよくこれをなす。しかもテキヤの弁、これを尊重する者はない。テキヤの弁を尊重する者のないのは言論に信がないからであります。
 副議長田中伊三次君は、好んで議長、副議長のオーソリティーを口にするが、敵を欺き、味方を欺き、さらに議事運営の円滑をはかるために常に議長のかたわらにあって補佐する事務総長をもあえて欺いて、事務総長が差し出した正規の原稿を無視し、ひそかに隠し持ったおのれの原稿を、電光石火、間髪を入れず四十五秒で読み上げて国家の大事を決しようとした議長、これを、してやったりと誇る副議長が、何で一体オーソリティーに値するでございましょうか。(拍手)
 要するに、これは悪質な知能犯にすぎません。知能犯とは、知能を要する犯罪、詐欺、横領のたぐいであります。言論に信なく、欺き去って得たりとしているのが議会だというならば、いまや日本の議会は犯罪の競技場と化し去っているのであります。
 副議長田中伊三次君は、不偏不党の鉄則を侵し、公平厳正なるべき副議長の態度を捨て去って、あの暴挙の遂行に狂奔したのであります。得得としてそれを誇っているのであります。その結果、国会運営は全く行き詰まり、議会の品位は著しくそこなわれました。田中副議長は、議会をこのように堕落させ、混乱させた張本人であります。重ねて言う。われわれは、かかる田中伊三次君を副議長として絶対に信任することはできないのであります。(拍手)
 第三の理由は、副議長田中伊三次君は、おのれが犯した罪に対していささかの反省もないことであります。行なったことの重大性について、一片の自覚もないことであります。国会が機能を失い、完全に麻痺状態を呈してすでに二十三日、これは議長職権を乱用して審議に圧迫を加え、議員の言論を制圧したことに直接の原因があるのであります。もとより、自由に論議を尽くせば、どこもかしこも傷だらけで、国民もその醜状に目をそむけざるを得ないような日韓条約の批准を、しゃにむに押し通そうとした政府・自民党の非望に根本的な悪のあったことは言うまでもありません。だが、その悪をかついで、職権をかさに先頭に立って走り回った議長、副議長の責任は、特に重大であることは明らかであり、この事態の混乱と渋滞については、追及を待たずして深刻に反省すべきが良識というものであります。俊敏で小猿のごとく小才のきくのを自他ともに許している田中伊三次君にして、これくらいの道理のわからぬことはない。良識だって持ち合わせていないはずはないのであります。
 すでに君も言っているように、この国会ほど乱暴に議員の言論に制圧を加えたことはない。いかにことしは演説と女性のスカートは短いのがはやるといっても、この重大な条約、国民が深い関心と不安を持ってながめ、しかも長い間国民に真相があかされなかった条約の審議に、わずか十分あるいは五分より時間を与えないというのは、一体これは何事ですか。多数の力で動議を強行し、質疑、討論が終わろうと終わるまいと、あるいは結論が自の前に見えておるのに、うるさく議長、副議長が降壇を促し、果ては多数の衛視を繰り出して、発言中の議員を演壇から引きずりおろさすという暴状を、一体副議長は何と見たのですか。君自身、言論は議員の命だと言っておる。言論の自由のないところに議会政治はないと言っている。(拍手)知らないでこの非を行なっている愚かしさは、あわれむべきものであります。知っていて、あえて行なっている罪は憎むべきものがあります。君は、この憎むべき罪を犯して、少しも反省の色をあらわしていないのであります。議長のとった行動についても、副議長は当然だと強弁する。田中伊三次君、少しは落ちついてものを考えてみなさい。
 国会周辺のデモを心配したの、議事の進まぬことを憂えたのと言ってはいるが、なぜ激しい怒りを込めたデモが国会を取り巻くのか、なぜ議事が進まないのか。みんな議長、副議長が政府・自民党の言いなりになって、国会のルールを乱したことにある。この原因については、少しの反省の色も示してはいない。
 多数の衛視の壁に囲まれ、与党暴勇のさむらいどもにささえられて、顔面蒼白に興奮した船田議長が、四十五秒で読み上げたメモで二つの動議が採決され、日韓条約のすべてが承認されたというのでは、副議長田中伊三次君の法学博士的うぬぼれ理論では、無理ではあったが有効だなどとごまかせたかもしれない。しかし、それは副議長自体が、あなた自身をごまかすだけであって、あのときテレビで実際の状況を見ていた国民の素朴な常識はごまかせるものではございません。(拍手)速記録のどこが悪い、ちゃんと規則にかなっているではないかと君は開き直るが、まあ速記録を君も、もう一度読んでごらんなさい。そしてあのときの状況をもう一度胸に手を置いて思い浮かべてごらんなさい。
 長い休憩のあと、十一月十二日午前零時十八分会議が開かれ、衛視に囲まれた船田議長が入場してきて、「これより会議を開きます。」と宣言し、続いて「日程第一はあと回しに」ここで速記録は「(離席する者多し)」とカッコに入れて書いています。ここで与党の議員諸君が、脱兎のごとく演壇にかけ上がって議長を取り囲んだのであります。前列の政務次官らも一緒にかけ上がったのであります。議長は続けて「賛成の方の起立を求めます。」速記録は円賛成者起立〕」と書いているが、賛成者も反対者も、そんなものはもうない。事の意外に議場総立ちになって、騒然となって、議長の発言も聞き取れなかったのが実際であったのであります。それにもかかわらず、船田議長は「起立多数。さよう決定。」と宣している。続いて、
  日程第二 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約等の締結について承認を求めるの件
  日程第三 日本国と大韓民国との間の漁業に関する協定の実施に伴う同協定第一条1の漁業に関する水域の設定に関する法律案(内閣提出)
  日程第四 財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律案(内閣提出)
  日程第五 日本国に居住する大韓民国国民の法的地位及び待遇に関する日本国と大韓民国との間の協定の実施に伴う出入国管理特別法案(内閣提出)
  議長(船田中君) 日程第二ないし第五を一括議題といたします。
  議長(船田中君) 委員長の報告を省略するに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
  議長(船田中君)起立多数。
  議長(船田中君) 質疑、討論の通告はありません。
  日程第二は承認するに賛成の方の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
  議長(船田中君)起立多数。さよう決定。
  日程第三ないし第五は可決に賛成の方の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
  議長(船田中君) 起立多数。さよう決定。
  議長(船田中君) これにて散会いたします。
これが速記録であります。なるほど形式的には整っています。整ってはいるでしょう。だが、これがたった四十五秒で読み上げられた。そのときの実情を見ていた者には、その間議長は、初めから終わりまで議長席のテーブルにかじりついたまま、場内を見回すことはおろか、顔を上げることもできなかったではありませんか。(拍手)そのままで起立多数も何もない、初めから起立多数と書いておいて読んだだけのことであったのであります。(拍手)質疑、討論の通告はありませんなどとは一体言えますか。質疑、討論の通告はありませんと言ったところで、一言も質疑、討論の通告を求めた事実はないじゃありませんか。(拍手)わが党からは、終始、この暴状に憤って、自席から手をあげて、口頭で質疑、討論を要求した。それにもかかわらず、耳に入れるゆとりも持たず、これも初めから書いておいて読んだだけのことにすぎないではありませんか。田中副議長は、速記録に欠点はない、形式に欠けたところはない、あったら言ってみろと大みえを切るが、この速記録の最大の欠点は、事実と全然合わないということであります。(拍手)あらかじめ書いておいたものが、事実に合うはずはなく、これでは人間の足を切って寝台の寸法に合わせるようなばかばかしさを感ずるだけであります。速記録は、議長の頭でひねり出したメモの写しであっただけで、きびしい現実との間には大きな断層があります。これをもって、間髪を入れずだの、電光石火だの、神速果敢だの、よくやったのとほめたたえて喜んでいる田中副議長の神経を、あらためて疑わざるを得ないのであります。(拍手)
 さらに、田中副議長は、今回の議長職権による強行は、憲法、法律、規則、先例、いずれに照らしても全然合法的であり、欠陥はないと強弁する。そのため、衆議院規則第百十二条は、君が好んで引用するところであるが、そこにはこう書いてある。「議長が必要と認めたとき又は議員の動議があったときは、議長は、討論を用いないで議院に諮り、議事日程の順序を変更し、又は他の案件を議事日程に追加することができる。」ここで問題になるのは、「議院に諮り」というところであります。なるほど速記録ではばかったことになっているが、実際には、何らはかった体をなしていず、はかるだけの時間もなく、議長にはかる意思も全然なかったことは明瞭であります。四十五秒にそんな順序をちゃんと踏めたら、議長は、国会議員などやめて、魔術師なり手品師なり、むしろぺてん師になったほうがよろしい。形式を整えることよりは実費を備えなければならぬこと、これが大事であります。これが正しい審議の絶対条件であります。このことを副議長は正しく知らなければならない。慣例に至っては、これほど乱暴で、これほどむちゃな先例が一体どこにありますか。どこをさがしたって見つかるものではない。田中副議長もこのことは認めている。認めていながら、議長職権によってなした行為は運営の新しい慣例となるのだ言う。新しい慣例になるのだ、ここがはなはだおそろしい。このような慣例をどんどんつくっていくならば、議長のやることは何でも正しいというのでしょう。どんなことをやっても新しい慣例になるのだという見解であります。まるで議長の権限は無限であり、万能である。それではオーソリティーではなく、まさにオールマイティであります。議長は法なりといったような専制暴君の態度は、議会制民主主義にとって許すことのできない考え方であります。(拍手)うぬぼれと思い上がりも、ここまでくればまさに狂気のさたであります。
 さらに、田中副議長は、無理を有効とした理由について、日韓条約は国家の利益になると信じ、この批准をする決意を固め、それによってあの行動に出たと言う。日韓条約が国家にとって利益となるか、国家を毒する有害なものであるかは、あくまでも国会の審議をまって定むべきことであります。一言半句も本会議では審議もせず、一方的にこれを承認するなどは、許すべからざるものであり、国会の審議もまたずに議長が裁定することは、全く権限の超脱であり、不遜な思い上がりであります。しかも、それに対していささかの反省もなく、いたずらにこれをよしと強調する副議長は、公正なるべき審判者の役割りをわきまえざるもはなはだしい。あまりに常識的なことも困ることがあります。しかし、常識を失ったものはなおさら手がつけられない。素朴な国民の常識は、法学博士のひとりよがりの脆弁よりは絶対に正しいことを、君もやがて知る日が来るでしょう。
 あんな無謀なやり方が、無理ではあったが有効だなどというめちゃくちゃな論理がまかり通るならば、海外出兵でも、核武装でも、小選挙区制でも、憲法改正の発議でも、四十五秒の棒読みでみんなまかり通ることになる。これは問答無用のやり方であり、切り捨てごめんの根性であります。問答無用は議会政治の否定であり、切り捨てごめんは封建的専制政治の思想であります。一党独裁のファッショ政治がいかに国民を不幸におとしいれたかは、かの戦争時代の体験を通してまだ国民の胸にまざまざと残っています。
 田中副議長のものの考え方とその行動は明らかに議会制民主主義を破壊してファシズムに道を開くものであることを君は気がつかないのか。(拍手)私は、君が心から反省して、その非を改めることについて、強くこれを求めるものであります。これは、ひとり君のためばかりではなく、わが国の将来を誤らぬために、あえて言うのであります。
 あるいはまた、副議長田中伊三次君は、ほんとうのところ、これは困ったことになったと思っているのではないか、神崎与五郎に無礼を働いた馬食らいの丑五郎でも、泉岳寺のなき神崎の墓前に涙を流してわびたことは、浪花節の好きな田中幹事長がすでに知っている。まして法学博士で衆議院の副議長である田中伊三次君にこれくらいの良心がないはずはないのであります。
 ただ、反省するには、田中副議長はあまりにも雄弁であります。自分ながら自分の雄弁に酔っているものだから、雄弁が詭弁となり、はったりになり、からいばりになり、自己陶酔になることに気がつかない。雄弁のあまり、しゃべり出したらとどまるところを知らない。お調子に乗ってはひとり喜んでいるばかりか、人を人とも思わず、傍若無人、野卑粗暴、何ともたとえようのない言語のろうぜきを働いている。(拍手)それは万人がひとしく認めるところであります。たとえば、人を呼ぶあなたは何と言うか。おまえ、きさま、こいつら、あほう、てめえらと言う。これが一体衆議院の副議長が公式の席上国会議員に対し言うことばかどうか。その分別もあなたはつかないのか。(拍手)これは、おそらく、分別のいとまもなく思わず口をついて出るという、長い間身について離れない副議長田中伊三次君の体臭であり、本性であります。(拍手)そのくせ、本人は、国会の品位を保ての、議長の権威を認めろのと、しゃあしゃあと言いまくる。身のほど知らずもここに至ってはまさにきわまれりといわざるを得ないのであります。
 君の最大の欠点は、かくも雄弁であることであります。君は、今回の政府・自民党の暴状を黙って見守っている国民の正しい批判のあることを忘れてはならない。実はそれも知っているのでしょう。だから、この混乱に対し国民の正しい批判を求める国会解散をおそれているのとは違いますか。それをすなおにそうと言えないところに、田中副議長の弱さがある。その弱さを隠すために、はったりと、からいばりがある。
 君は、いまの政府には解散する腹はないと言う。経済政策に失敗し、物価の値上がりは押えきれず、外交政策はまずく、労働者や農民や中小企業者には恨まれ、あいそをつかされ、これで一体解散ができますかと、君自身が言っている。それはそれなりで正しい。だが、それで君が提案した議員総辞職論とは一体何か。君の言うところに従えば、今回の国会の混乱を招いたことについて、牛歩戦術をとった社会党も悪いが、議長が幾ら投票を促しても、かまぼこみたいに自席にへばりついて離れようとしなかった自民党の諸君も悪いと言っている。両方悪いのだから、両方やめてしまえというのが君の論理であります。
 これは、日本を敗戦にたたき込んだ戦争責任者がその罪を一億総ざんげでごまかそうとした、その事実にまことによく似ているではありませんか。その言い分は、あの当時の敗戦責任者のことばによく似ておる。しかも、辞表を出した議員は次の一回だけは立候補しないことというのであります。一体、こんなことを大まじめな顔をして、しかも議長応接室で社会党の代表との公式の会見に報道陣を立ち会わせて言う副議長の精神状態を、私はまことに興味を持ってながめております。議員総辞職とはいっても、総理大臣佐藤栄作君をはじめ並みいる閣僚諸君、あわよくば次期政権をとろうという自民党の幹事長田中角榮君に至るまで、あっさり辞表を出して、次の選挙には黙って指をくわえて待っておられますか。それをいかにもまじめくさって言い出して、社会党が辞表を出したらおれが受理してやる、佐藤でも田中でもおれが辞表をとってやると、胸を張ってみせるようなのが、自民党の諸君、これがあなた方の選んだ副議長であります。けさも何と言った。われわれ代表に向かって、議長、副議長などは総理になるための道くさにすぎないと言っている。道くさのつもりで神聖なる国会の副議長をやっているのであります。何というこれは横着な男でございましょうか。解散さえやれぬ自民党政府とその与党が、次一回立候補を辞退するという条件で議員総辞職をするものかしないものか、百も承知の上で、しゃあしゃあとまじめくさってこんなことを言っているのは、実に人を食った態度であります。
 君は、選挙演説に何と言う。どうだ諸君、ひとつこの田中伊三次を総理大臣にしてみる気はないか、諸君にその気があればわしは総理大臣になって見せると、大みえを切って喜ばせることをもって得意としているというのは、何という人を食った話でございましょう。ずるいのか人がいいのか、ともかくこうした人物を衆議院の副議長に据えて置くことだけは、国家のため百害あって一利はない。
 聞くところによれば、船田議長は、日韓条約批准の強行でどろをかぶせた政府とその与党のために、いまは病気で寝ておられる。そのどろを今度は副議長にかぶせておいて、いっそことのついでに補正予算もしゃにむに通してしまえ、毒食わばさらまで、今度は田中副議長にどろをかぶせ、またやってしまえということだという。船田議長は、毒を食って血圧高進、労作性狭心症になっている。今度は田中副議長に残った毒ざらのさらを食わせて、あなた方は何の病気にするつもりなのか。もし、ねらいが別にあって、社会党がこの補正予算に抵抗したら、補正予算を流した責任を社会党に押しつけて、社会党にもどろをかぶせようとするのであるならば、これほどたちが悪く、これほどあさはかな謀略はありません。
 社会党は、この国会の劈頭、不完全で危険な日韓条約をあわてて持ち出すよりも、災害、物価、給与についての補正予算をまず審議すべしと強く主張したはずであります。いかにもの覚えの悪い自民党の諸君でも、それくらいは知っておられるでしょう。それには耳を傾けずに、いまになって、選びに選んで、みずからつくり出した国会の混乱と渋滞のさなかに、のめのめと予算案を持ち出して、田中副議長にどろをかぶせ、毒ざらのさらを食わせてまでも押し通そうとは、副議長田中伊三次君、君は一体知っているのか。知っていてあえて引き受けようとするのか。知らないとせば、口ほどにもなく頭の回転が鈍く、知っていて自民党と黒い腹を合わせて一緒にこれをやろうとするならば、ずうずうしさはこの上もございません。
 もとより、私どもは、補正予算を通すことを重要だと思っていることは、いまも変わりません。災害に対する諸施策はもとより、中小企業の歳末を控えての金融措置、公務員給与の問題等々、国民生活の上に重要な影響を持つものと思えばこそ、早くこれを審議すべきことをあなた方に主張したではありませんか。それをいたずらに今日まで放置しておきながら、日韓条約で無理をしたあと始末をつけるためのてこにこれを使おうとするふまじめな態度の審議では、おそらく、補正予算といっても、とうてい国民に満足を与えるような審議結果とはならないことをわれわれは信ぜざるを得ないのであります。しかも、その審議を口実に、これまでの国会混乱の責任をうやむやにし、あるいは田中副議長をおだて上げて、再び日韓条約審議の強引なやり方を繰り返すことは、断じて承服しがたいことであります。田中副議長がいかに厚顔無恥であったとしても、よもやそんなばかげたまねはしまいとは思いますが、これまでの無反省で強引な態度を考えると、あるいは再び三たびその愚を繰り返すこと、これをやりかねないのが田中伊三次君の性格であります。
 何よりも緊急なのは、危殆に瀕した日本の議会政治を正常な姿に返すことであります。国会正常化に名をかりて政治責任を回避しようとするところに、断じて民主政治はありません。審議を正常にしようと思うならば、まず、当面の責任者として船田議長、田中副議長の首をさげて出直しなさい。(拍手)病気静養中と称して国会に出てもこない船田議長は、あるいは断罪を待たずにみずから処理することを考えているのかもしれないが、その留守をわがもの顔にふるまって、口にまかせてだぼらを吹き、できもしない放言でいやが上にも国会を冒涜し、はったりとばり雑言をわめき散らしていい気になっている副議長は、すみやかに引っ込むとぎが来ているのであります。
 議員総辞職を言い出して、みずからはてんとして辞表を出しもしない、このずうずうしく無責任な態度、副議長という地位に酔うて、子供が竹馬に乗ったみたいにいい気になって背伸びをしている副議長をこのままにしておいたのでは、何をしでかすか知れたものではない。国会にたぐいまれな悪例を残し、いささかも反省の色はなく、かえってまた新しい悪例をつくろうとする田中副議長は、全くの恥知らずであります。恥を知らぬ者は、これを破廉恥という。われわれは破廉恥漢を副議長として信任するわけには絶対にいかないのであります。(拍手)
 自民党の諸君、さきには船田議長を殺し、いままた田中副議長を恥に死なしめる、この残忍非道な自民党のやり方に、心ひそかに憤りと憂いを抱く若干の良識の人が自民党にもなお残っていることを私は信じます。
 議会政治、議会民主政治をファッショ転落の危機から救うために、ここに副議長田中伊三次君不信任決議案の趣旨を述べて、御賛同を請うものであります。よろしく御賛同あらんことを心からお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#23
○仮議長(原健三郎君) 質疑の通告があります。順次これを許します。西宮弘君。
  〔西宮弘君登壇〕
#24
○西宮弘君 田中副議長は、この議会において不信任案を突きつけられました。おそらく御当人は、われとわが身を省みて、良心の苛責に耐えかねているのではないかと思います。(拍手)みずから犯した罪の深さにおそれおののき、身も世もあらぬ思いで悶死するのではないか、狂い死にするのではないか、かように心配している向きさえあるのであります。そこで、私は、いやいやそういう心配はない、それはだいじょうぶだから気にすまい気にすまい、こう答えておいたのでございます。なぜならば、彼は、たとえこの議会において不信任案をたたきつけられても、やがてこの日韓条約を曲がりなりにも片をつければ、朴政権はもとより、ジョンソンやライシャワーからも手厚い信任状、感謝状がもらえるだろうと、ひそかにほくそえんでいるに相違ないと思ったからでございます。(拍手)
 もともと韓国ではあれほど乱暴をしてまかり通った条約でありまするから、こちらの議会でも相当に乱暴なことをしないとつり合いがとれないし、朴さんにも申しわけが立たない、政府はそういうふうに考えておるだろうという気持ちは、私にもわからないわけではございません。しかし、それにいたしましても、この程度に忠勤を励めば、朴さんに対してもジョンソンに対しても十分顔は立ったろうし、やがてはソウルとワシントンに田中副議長の銅像――銅像とまでいかなくても木像、木の像くらい、あるいは場合によりますると土像、粘土の細工の像くらいはりっぱに建つのではないかと思うのでありまして、(拍手)おそらく田中さんは、ただひたすらにそれを楽しみにがんばっているのだろうと思います。
 副議長田中伊三次君は、私の住んでおります九段宿舎の代表世話人、つまりいわゆる九段村の村長さんであります。村長さんとしての田中さんは、まことに明朗潤達、童心にあふれた好人物だといって、村民一同からたいへんに親しまれてまいったのであります。だからこの人が副議長になったときには、この人ならばりっぱに公正な議事の運営をやってくれるに違いない、私どもはそのように考えまして、私はいまのいままでそれを信じ切ってきたのでございます。この私の純情可憐さは、われながら涙ぐましいばかりでございます。(拍手)しかし、この私の純情可憐さも、もののみごとに、見るもむざんに田中さんのどろぐつに踏みにじられてしまいました。(拍手)
 人間田中伊三次は、まことに愛すべき好人物、好紳士であるかもしれません。あるいは紳士ではないかもしれません。いずれにしてもどちらかだと思いますけれども、かりに本来はりっぱな紳士だといたしまするならば、その彼をして今回の挙に出させたものは、要するに自民党の党利党略であります。さればこそわれわれは、議長が自民党の出身ならば、その補佐役たる副議長はよろしく社会党から選ばるべきであることを今日まで主張し続けてまいったのであります。しかし、その実現が困難な見通しの現在としては、われわれは、わが敬愛する、いな、かつては敬愛したところの田中副議長の良識と、聡明と、そして勇敢な行動力に期待をしてまいったのであります。しかるに何ぞはからん、その期待、その悲願は、むなしく消えて朝露のごとし、ああ悲しいかな。(拍手)
 いまここに不信任案を受けて立つ田中伊三次氏は、かつてわれわれの敬愛したその人ではもはやありません。かつての田中氏の単なるなきがら、単なるむくろにすぎないのであります。その冷たいむくろの前に立って、いまおごそかに葬送の儀をとり行なうにあたって、私の目からは、期待を裏切られた私の目からは、涙ぼうだとして滝のごとくに流れるのを押えることができません。(拍手)
 そこで、提案者に二、三の点をお尋ねいたしたいのでありまするが、期待を裏切られ絶望の涙に泣きぬれる質問者に対して深い理解を寄せられて、懇切丁寧に、時間は幾らかかっても私は一向にいといませんから、どうか十分に納得のいく御説明をお願いいたしたいと存じます。
 そこで、質問の第一は、民主主義議会運営の根本理念についてであります。社会党は日韓案件の審議に際して若干の抵抗をしたことも事実であります。それに対して世上いろいろな意見や批判のあることも事実であります。決して私はそのことを否定はいたしません。だが、しかし、私ども社会党は断じて相手をだましはしませんでした。(拍手)うそ偽りのごまかしだけは絶対にいたしませんでした。(拍手)ところがそれに引きかえて、自民党のやり方は全くのだまし打ち、やみ打ち、つじ切り、きんちゃく切りのたぐいではないか。(拍手)先日、社会党の同僚と一緒に田中副議長に抗議をした際に、彼は得々として、社会党を出し抜いたその戦術の巧妙さを鼻高々と自慢し、吹聴しておるのであります。何たる厚顔、何たる無恥、何たる鉄面皮でありましょうか。あきれ果てた私は、そこで田中副議長に、「それではあなたは欺く意思をもって社会党を欺いたと解釈してもよろしいのか。」こう言ってだめを押しますると、「まさにそのとおりだ。」と平然として答えるのであります。これではもはや何をか言わんやであります。お互いの信頼感こそが何にもまさる貴重なる議会民主主義運営の根本原則であると信ずるのでありまするが、捨てて顧みざること弊履のごとし、われわれが抑えんとして抑えることのできない憤激はまずこの点にあるのでありまするが、提案者の御所見はいかがでございますか。(拍手)
 田中氏は、去る先月十五日の社会党議員団と面談の際、「日程変更の先例は、お説の通り絶無だ。」このように事もなげに言い放っておりますることが読売新聞に報道されております。議会の前例、先例、慣例等はかくも簡単に踏みにじられてよいものでありましょうか。去る十月十三日の所信表明演説において、佐藤総理は、「民主主義の歴史と理性が築き上げた規約、慣例に従い、真剣にして公正な討議に終始しなければなりません。しかように述べておるのであります。その総理の言うところの民主主義の歴史と理性が築き上げた慣例なるものは、あくまでも貨車なものだと私も信じます。それがかくもむぞうさに葬り去られてよいものでありましょうか。一体、今回のやり方に対して、われわれが怒る前に、まず怒り、まず憤慨をしなければならないのは佐藤総理だと思うのでありまするが、佐藤総理が憤慨のあまり総理の辞表をたたきつけたというような事実を寡聞にしていまだ聞いておりません。総理みずからが言う民主主義の歴史と理性が築き上げた慣例、民主主義の歴史と理性が築き上げた慣例がいともたやすく消し飛んでしまって、佐藤総理は一体くやしくはないのか、まことに不可解千万でありまするが、佐藤総理の心境についてもしも提案者が御承知でございましたならばお聞かせを願いたいと思います。(拍手)
 この貴重な経験の積み重ねによる先例を改める必要があるといたしまするならば、それは審議権の拡大あるいはまた従来の拘束、制限等を縮小撤廃する、そういう場合にのみ限定さるべきは当然であります。田中氏は、副議長就任に際して、言論の尊重や公正な議事運営の決意を披瀝し、なお、そもそも野党に牛歩戦術などをさせるのは議事運営がまずいからだとさえ記者会見等で語っておるのであります。まさしくそのとおり、あの際のいわゆる牛歩戦術等を余儀なくさせたものは、去る六日の特別委員会におけるだまし打ちの暴挙であり、あるいは本会議における言語道断なる発言時間制限等の結果であります。しかも、この機会に私が明らかにしておきたいと思う事実は、社会党が議事妨害をしたために自民党の諸君が投票ができなかったかのごとく宣伝いたしておりまするが、これはあくまでも事実に反する点であります。それが証拠には、たとえわれわれがこの壇上にありましても、相当数の自民党の議員諸君がりっぱにあの投票箱に票を投じておるのであります。したがって、その他の大多数の自民党議員はその投票権をみずから行使しようとはしなかったのであります。先ほど引き合いにしました読売新聞の記事には、田中副議長は、「議場の演壇をあんたらは占領して一歩も動かん。ひどいことに自民党もいっしょになって席を動かず、全然投票しよらん。」と答えておるのでありますが、自民党の諸君が全く投票しようとしなかったことは、そのことばのとおりであります。だから、もしも投票をしようという意思がありさえするならば、あの際は決してそれが全く不可能な状態ではなかった、こういうことを提案者は御承知かどうか、伺いたいと思います。(拍手)
 特別委員会や本会議において、このように言論を制限し、抑圧してきたのは、それをやらせると日韓条約の欺瞞性が暴露して、国民の目の前にそのことが明らかになるから、それをおそれたのだと新聞は伝えております。しかし、私はそうではないと思います。この案件を詳細に審議すればするほど疑問が起こり、なるほどやっぱりこれは社会党の言うことが正しいのだと、こういうふうに考えるのは、決して国民一般ではなしに、自民党の議員自身だったと思うのでございます。(拍手)おそらく、ここに居並ぶ自民党の御歴々の中にも、なるほどやっぱり社会党の主張が当然なんだと、腹の中ではそのように考えている方が決して数少なくないと信じます。全部とは申しませんけれども、おそらくそれが大部分だろうと思います。(拍手)ただ残念ながら、それらの諸君も、いままでのいわく因縁、故事来歴、情実等に妨げられて、率直な見解の表明ができないのではないかと思いまして、まことにお気の毒と申すほかはございません。暴挙に次ぐ暴挙をもってあわてふためいてまいりましたのは、その原因はまさにここにあったと思うのでありまするが、提案者はいかに御理解でありましょうか。
 議会政治においては審議のプロセスが最も大事であります。私はここに中央紙やあるいは地方紙を全部一通り目を通したのであります。中央の各紙は、一般紙のほかに、各種の業界紙、あるいはスポーツ新聞から芸能新聞等に至るまで、あるいはブロック紙、ローカル紙等は、北は北海道から南は九州、四国に至るまで全部寄せ集めて目を通してみました。もちろん社会党に対する善意に満ちた忠告もあります。われわれはそれに対しては十分に耳を傾けるにやぶさかではありません。しかし、およそ日韓問題を取り上げておるこれらの言論が、全部ことごとく、ただ一つの例外もなしに、議会政治においてはその審議の経過こそが大事なのだ、たとえ各党によって結論はすでに明らかだとしても、その審議の経過こそが国民に判断の、資料を提供するために最も大事なんだと指摘しない新聞はただの一つもないのであります。(拍手)
 いま試みに、そのうちの一つ、朝日新聞の社説を御紹介いたしますると、「自民党はついに、「日韓」の委員会採決を強行した。そのやり方は、明らかに暴走である。今回の事態はまことに残念だが、単に残念というだけには止まらない。多数決の前提には、十分な審議、充実した討議がなければならない。この過程を大切にしなければ、議会制民主主義は形だけになり、その精神は死んでしまう。「日韓」のように、それ自体が国の進路にかかわる重大な外交案件であり、かつ、たとえ少数だとしても、国内に強い反対論がある場合は、とくにとの初歩的原則の尊重が要求される。われわれが、日韓国交正常化に賛成しながらも、絶対多数の与党が、逆に先手を取って、党略第一、審議第二といった方針で進めば、そこから生ずる悪循環は、国会の将来にとって恐るべきものがある。」かように述べておるのであります。(拍手)本文中にもありますように、この新聞として、日韓国交正常化については賛成の立場をとりながら、しかも、なおかつ、あの暴挙を激しく攻撃しておるのであります。
 あるいは毎日新聞も同様であります。「この性急な強行採決を遺憾というほかはない。これらはいずれも、政府・自民党の都合だけを考えての態度であって、条約審議を真剣にみつめている多くの国民を無視するものといわざるを得ない。政府側の答弁は、ことごとに問題点をそうしている感じが強かった。政府・自民党にとって大きな損失であるばかりか、日韓関係の今後にも悪影響を及ぼしかねまい。」このように述べておるのであります。
 しからば、これらの論説が何ものよりも大切にしておるこの審議のプロセスを何がゆえに省略したのであるか。いわずと知れた条約につきまとう黒い陰が白日のもとにさらされることをおそれたからであります。(拍手)
 そのことについては、いみじくも河北新報が次のように伝えております。河北新報の社説は、「政府・与党は、審議はすでにじゅうぶんに尽くされたといっている。しかし実際は、審議が進むにつれて疑問が解明されるかわりに、審議が進むに従って逆に疑点がふえ、国民の不安と疑惑はいよいよつのる」このように述べておるのであります。この河北新報の社説は、まさに自民党の謀略の本質を最も的確についておると思うのであります。
 かくのごとく審議をないがしろにして言論を封殺する結果、いかなる事態になるか、私は山形新聞の社説を御紹介いたします。「何が何やらわからぬうちに電撃的にことはきめられていたのである。社会党はもちろんだが、テレビ聴視者のみんながあっけにとられたにちがいない。自民党がまたまた抜いた伝家の宝刀に歓声あげて拍手を送るわけにはいかない。あたかも補欠選手も総動員してアンパイアを取り囲み、勝った勝ったと一方的に宣言したようなあと味の悪さだ。だが、条約、協定の内容はいままでの審議でははっきりされていない。多数決の原理をもって何をやってもいいというものではない。これでは危険なファッショ政治の台頭を許しかねない。」(拍手)われわれが最もおそれるものは、ここに指摘されたファッショ政治への危機であります。この問答無用のやり方、一党独裁のやり方、しかも相手をだまし討ちしててんとして恥じない、このような乱暴きわまるやり方にやがてファシズムヘの危険を感ずる者は、ひとりわれわれ野党だけではない、心ある国民のうちに一人としてこれを心配しない者はないと考えるのでありますが、提案者はいかにお考えでありましょうか。(拍手)
 このような状態は一日も早く解決されて、正常なる国会運営に戻らなければならないことはもちろんであります。しからば、その方法はいかにすべきか。私は、最後に、ごく最近の朝日新聞を御紹介いたしたいと思います。この新聞は、最も新しい社説でありますが、このように述べております。「議会政治の危機を憂えさせた混乱のあとだけに、過去をすべて不問に付してよい、というわけにはゆかない。この見地からすると、当面もっとも望まれるのは、自民党側のイニシアチブである。なぜならば、「混乱」の当時にさかのぼって考えれば、なんとしても自民党の暴走に禍根があるからだ。この点に目をつむって野党の歩み寄りを求めても、率直なところ虫がよすぎる。なんらか反省の実を示さなければ、事態は一歩も進まないだろう。船田議長のとった措置は、それが今後も前例として用いられるならば、国会運営の将来に重大な疑念を覚えさせるものであったことは動かせない。そして、そのために野党の正副議長に対する全面的不信を招く結果となり、いま議長がもつべき調停者能力を全く失っていることも事実だ。とすれば、これから与党側が打開への努力を進めるに当っては、正副議長の進退問題が念頭に置かれても、決してスジ違いではないように思える。」かように述べておるのであります。(拍手)
 この論説は、明らかに二つの点を指摘しておると思うのであります。一つは、議長、副議長が、議会における調停能力を喪失しているという点であります。あまりにも自民党だけのとりこになっておりまするために、その調停能力を失っておるのであります。ちょうどあたかも、向米一辺倒の外交姿勢が、いわばアメリカと抱き合い心中もしかねないような、そのような外交姿勢が、現在のアジアの危機に対して日本が果たさなければならぬ調停役としての重大なる役割りを果たし得ないのと、まさに軌を一にしておるのであります。(拍手)二つ目の議長、副議長の進退の問題でありまするが、この朝日新聞は、もう一度その点を読みますると、「与党側が打開への努力を進めるに当っては、正副議長の進退問題が念頭に置かれても、決してスジ違いではないように思える。」こういうふうに述べておるのでありまするが、きわめて意味深長であります。われわれよりははるかに上品な、また遠回しの言い方で述べられてはおりまするが、結局、手っとり早く言えば、議長も副議長も辞職をしたらどうだ、こういうことでございます。
 この新聞は、前にも触れましたように、日韓国交正常化それ自身については賛成の立場をとっておるのであります。それでいて、なおかつ、今回の暴走については、その責任を激しく追及しておるのであります。田中副議長たるもの、よろしく再思三考して、みずからの進退を決すべき時期に来ていると思います。
 もしも田中副議長がいさぎよく辞表を出すならば、あるいは出すと言明いたしましたならば、不信任決議案は撤回する用意があるかどうか、最後にこの点をお尋ねして、私の質問を終わります。(拍手)
  〔淡谷悠藏君登壇〕
#25
○淡谷悠藏君 西宮弘君の御質問に懇切丁寧に御答弁申し上げたいと思います。
 本来信義を重んずべき国会で、しかもその中でも最も公平厳正であるべき議長、副議長が、野党に対してうそをついた、こういう事実があったのか、これをどう思うかという御質問と承りました。
 先ほどの趣旨弁明でも申し上げましたとおり、これはうそをついたというだけじゃなくて、本日断罪の座に直っております田中副議長自体、私は黙っておればうそをつかなければならないので、うそをつくのがいやさに、出もしないおしっこに立ちました、これだけはうそでございますと、こう言っておるのであります。これは、大事なことについてうそをついた議長よりは、おしっこが出ないのを出たいといってうそをついた副議長は、若干その点ではうその幅が狭いのであります。あの十一月十二日のわが党の書記長と国会対策委員長に対してうそをついた実情を私ども聞いていますると、どうも国会の内部の状態が非常に緊迫しておる、何かやるんだなということは考えましたので、これは私ども知っておりまするが、成田書記長と山本国会対策委員長が議長に、そういう国会を混乱させるようなことはなさらないほうがよろしかろうという申し入れをしに行った。どうもこういう強行のうわさがあるが、一体このうわさはほんとうなのか、あなたは強行するつもりなのか、これは議長に対して一党の書記長と国会対策委員長が行って聞いたのですから、まさかうそはつくはずがないと思ったところに社会党の正直、純粋な気持ちがあるのであります。それを、あのおとなしぶって、君子ぶって、うそなんというものはついたこともないような顔をしている船田議長が、もっともらしい顔をして、そういうことはございません、強行はいたしませんと言ったら、これは信じないほうがどうかしている。これはもう信じるのがあたりまえであります。それからさらに、副議長が見えなかったので、副議長も同じ御意見でしょうと聞いたところが、船田さんは、急におなかが痛くなって、下痢をしておりますからちょっとごめんくださいと言って、答えないで帰っている。はなはだぶしつけで、行儀正しい自民党の皆さんには申しわけございませんが、これは議長、副議長が実際言ったことですから、お許し願いたいと思いますが、議長が下痢で困るといって逃げ出し、副議長がおしっこだといって逃げ出すような国会では、まさにこれはししばば国会になります。こんなばかばかしい、品位を欠いたことはないのでありまして、これは社会党が言ったのじゃなくて、議長、副議長の品位を乱したことばでございまするから、はっきり申し上げておきます。これでは全く国会に信義は通りません。
 さっきも申し上げましたとおり、私は、国会には言論で雌雄を決するだけのはっきりした精神がなければ意義がないと思う。言論は制圧すべきものではございません。言論に信がない、言ったことに信用が置けないとあっては、基本的にこれは論理が狂っているのであります。うそをつかないばかりじゃなくて、筋の通った議論には服するような気持ちを持たなければ、議会政治はやっていけない。理屈では負けだけれども、やりたいからやるんだと、これでは国会も議会もありません。しかも、その言っていることが、目的を達成するためにはどんなうそでも、ぺてんでも、詐欺でも何でもやってよろしいといったような考え自体に、私はこの国会の非常に大きな危険性を感ずるのであります。遺憾ながら、議長も副議長もそういう精神であります。ついたうそが悪いだけじゃなくて、うそをついててんとして恥じないこの無反省な、恥を知らざる態度、これはさらに上を越したところの大きな許すべからざる罪であるということをはっきりとお答え申し上げます。
 第二は、佐藤総理の心境でございます。佐藤総理があたりまえの政治家の良心を持ち、しかも、一党の総裁として、総理大臣としての心持ちをお持ちならば、おそらくは、いまごろ、これは困ったことになったぞ、おれは誤ったぞ、これじゃ何とかしなければならないといって頭をかかえて苦悩しているのが、ほんとの総理、総裁の心境であろうと思うのでありまするが、おそらくあの人はこれはやっていないでしょう。これは、副議長が、議長よくやったと言うように、おまえたちはよくうそをついた、社会党をだました、何でもかんでも今後はこのとおりやっていけ、といったような不遇な心境にあるのではないかと私は考えるのであります。そうでなければ、国会二十三日の空白を、一党の総裁であり総理大臣である者が黙って涼しい顔をして見ているはずはございません。私は、佐藤総理の心境は、この国会審議を通しまして、正常状態ではないと判断いたします。今後、もしこの正常状態でない佐藤総理が日本の国の政治を担当するならば、日本にとって非常な憂うべき危機が来るということを、これまたはっきりお答え申し上げておきます。
 第三は、自民党の皆さんの投票しなかった事実であります。これは、私が言うまでもなく、田中副議長自分で言っているのです。あのばかばかしくも乱暴な行動をあえてとった動機、これをはっきり田中副議長が言っているのは、社会党の議員が投票しないのは、これはあたりまえだろう、言論の封殺をし、あの大事な問題を、十分、五分というような制圧を加えたのだから、あれくらいおこるのはあたりまえだ、おこらなければ男じゃないと言っておだてているのであります。ところが、そのあとが悪い。あなた方もこれは黙ってほうっておけない。副議長がそう言っている。社会党が牛歩戦術をやるのはあたりまえだが、われわれの味方である与党の諸君が、いかに議長、副議長が催促をして、早く投票しなさいしなさいと言っても、かまぼこみたいに自分の席にへばりついて動こうともしないと、はっきり言っているのです。これはあなた方の出した副議長がはっきり言ったことばです。うそだというならば私の提案に賛成なさい。うそをつく副議長です。したがって、あれは、社会党をだしにして、テレビが写しているから、社会党に思う存分暴れてみせろといって、わざと席を動かなかったことを、はっきりあなた方は言っているでしょう。国民を欺くために、ふだんは乱暴を働きながら、テレビの前だけではおとなしい顔をしたことが、あの自民党が投票しなかった理由でございます。(拍手)その証拠には、われわれが投票を終わらないうちに、テレビが消えるやいなや、直ちに投票に殺到した。困りましたか。黙って道が開いて投票されたでしょう。調べてごらんなさい。自民党が投票しなかったということは絶対ございません。いつでも白票と青票とが入っておった。これはただためにするための行動であって、絶対に自民党の投票をわれわれは拒んだ例はございません。これは、自民党自体がかってに投票されないのであって、社会党の罪ではないことを、はっきり申し上げておきます。私は、議長、副議長のようにうそは申しませんから、その点はひとつ質問者も御信用願いたいと思います。(拍手)
 第四番目は、ファシズムヘの危機であります。私は、最近の自民党の様子、政府の様子、特に佐藤内閣になってからのこの様子は、もう全然議会政治の本質を失っていると思う。あのような行動で、問答無用で、手をあげれば会期が延長されたとか、議場に入らなくとも宣言すればこれが絶対だ、これまで十数年非常に乱暴なことをやってきましたが、それにも増した暴挙が今度の国会であります。四十五秒の棒読みで一切の議案が通るならば、これはもう議会政治ではございません。議会政治は殺されました。いまや佐藤内閣の性格は完全にファシズムであります。ファッショの政治であります。この状態は、この前の戦争に突入する前夜の状態である。いまからこれをとめませんと、もうとうてい救うべからざる危険の中に日本は落ち込む。したがって、われわれは、佐藤内閣をはじめ、これを支持する自民党という政党は、議会政党にあらず、議会内閣にあらず、まさにこの軍国政治前夜のファッショ政党であり、ファッショ内閣であるということを断定したいのであります。
 その一つの理由は、言論に対する統制であります。いまも、質問者が朝日新聞の論説を読みましたら、私のうしろにおったあなた方の幹部が、朝日新聞は共産党だと言っている。新聞が少しでも自分の意に満たなければ、これは共産党だ、非愛国者だと言って、片っ端から弾圧を加えたのがあの戦争直前の言論統制の姿であります。(拍手)それがまた復活してきている。国会の中で議員の言論を制圧するような政府は、おそらくあのファッショ政府のやった行動よりもさらに狂暴な言論の制圧を加えるでしょう。これを、いまから悪い癖をため直すために、私どもは、日韓条約というこの間違った条約の粉砕はもちろん、日本の将来に対して長い禍根を残す、議会政治を破壊する行動に対しても、根底からこれを防ぎとめるために、あくまでも戦い抜く決意でございますことを、あわせて御答弁申し上げます。(拍手)
 第五の問題であります。(「第五なんて聞いてないよ」と呼ぶ者あり)第五の問題は、一番重要なことでございまするので、議会政治を尊重するのがあなた方の気持ちであるならば、ひとつ妨害しないで聞いていただきたい。
 第五の問題は、議長、副議長の辞職要求、これは一体どうなっているか。私は船田さんにこの間会いましたら、船田さんは、私のやった行動は悪くはないから絶対やめませんと、顔面蒼白に答えておりました。したがって、われわれは、今後も船田さんに、自分の非を悟らせるまで、やった行動がいかに日本の政治に危険であったかを彼自身、心底から感ずるまで、あくまでも辞職を要求し、戦っていく、このことを確認したいと思います。
 田中副議長という人は、この人はわかりがいい人だと私は思う。これくらい条理を尽くして懇切丁寧に理由を申し上げたら、もういまごろは決意を固めておられるだろうと思うのです。この間も、私どもは十四回辞職を勧告いたしましたが、おれの言ったことに一点の筋違いがあるならば、おまえたちの見ている前でおれは辞表を書く、すずりを持ってこい、これが田中副議長という人のやり方であります。おそらくは、この中でこれくらい条理を尽くした辞職要求、不信任案が論議されただけで、私は、もうこの辺でみずからの辞職の腹をきめておられると思う。これでいよいよやめなければ、これは自民党・佐藤内閣と同じように、厚顔無恥、最後まで許せぬ不逞な態度であるということを御答弁申し上げまして、私の答弁を終わります。(拍手)
#26
○仮議長(原健三郎君) 日野吉夫君。
  〔日野吉夫君登壇〕
#27
○日野吉夫君 私は、ただいま上程中の田中伊三次副議長の不信任案に対し、若干の質問を提案者に対していたさんとするものであります。(拍手)
 日韓条約の成立は、これは日本民族の運命を左右するといわれ、同時に朝鮮民族の悲願である南北の統一を永久に不可能にする重大なる条約であるが、この条約は、幾多の疑問と両国の不一致の点が何ら解明されないままに、去る十一月十二日午前零時十七分、わずかに四十五秒の間に電光石火可決したと称せられるものなのであります。
 まず第一に、提案者に聞いておきたいことは、衆議院規則百十二条の解釈と、この適用について、田中副議長は重大なる誤りをおかしていることが、今回の大きな一つの問題になっていることであります。彼の唯一絶対の法的根拠とするものは、この百十二条を故意に歪曲いたしまして解釈をしておる。日韓条約を強行せんとする陰謀を、ここによりどころを求めてたくらんだ、憎むべき民主主義破壊の計画と断ぜざるを得ないのであります。国の運命を左右するとまでいわれる国際間の条約が、わずかに四十五秒の間に、院議にはかり、速記録につくられ、議決が有効であり、合法的であるなどと言うに至っては、全くこれは天人ともに許さざる暴挙といわなければならないのであります。しかも、審議継続中の石井法務大臣の不信任案の順序を変更し、院にはかって変更したと称しているのであるが、このことは全く前例のないことであり、歴代事務総長、法制局長官等も、これは違法だというので、その解釈のもとにいまだ一度も使ったことのない、これを適用したことのない本条を、大胆不敵にも、違法にあらずとして適用し、新例をつくるのだなどと豪語するに至っては、驚くべき法学博士の法律解釈というべきであり、やがて、この無謀な解釈論は、民主主義国会を守る運動の中で打破せられるであろうし、かかる悪例がやがて葬り去られる日の近いことを、私は信じて疑わないものであります。
 民主議会を守るためにつくられたこれらの法律が、民主主義破壊のために使われる、この乱用は断じて許すことのできないものだと私は信じておるのであります。(拍手)衆議院規則百十二条の「議長が必要と認めたとき」ということは、これは民主主義国会においては、「議会制民主主義を守るため議長が必要と認めたときは」と読むべきものであると、私は解釈をいたすのであります。そう読まずして、少数派を抑圧するために、あるいは言論を抑圧するために、これらの国会法、衆議院規則というものが使われることになったならば、これは重大なることといわなければならぬし、この法律はかく使うべき法律でないことは、もはや明白なる事実なのでございます。
 今日の議会制民主主義発達の歴史を見れば明らかであるように、専制暴君から人民の権利、利益を守るために、幾多の先輩が犠牲の血を流し、その戦いとった大いなる遺産の上に民主主義の制度が築かれておるのだという現実なのであります。議会制民主主議は、英国におけるマグナカルタ以来、絶えざる人民の努力の積み上げによって今日の議会制度がここにでき上がっていることを考えるならば、それは一時的に反動もあったろう、反革命もあったろうけれども、これはやがて人民の手によって取り戻され、その上に民主主義が進行している、これが民主主義の歴史の必然であるのでございます。歴史の歯車は、決して逆に回されてはならないということでございまするが、今日の議会運営の中には、しばしばかかる事実が見受けられることは、遺憾にたえないのであります。もし田中副議長式解釈が許されるといたしますならば、民主主義の自殺行為であり、これが前例として残るといたしまするならば、多数暴力をもってクーデターの強行ができるファッショヘの道を開くことであり、民主国会の破壊行為であると断じてはばからないのであります。
 このことに関し、われわれは、議会制民主主義を守る一大運動を立ち上がって起こさなければならない。今日の不信任案の成否いかんは、これは問題でないのであります。この成否いかんにかかわらず、議会制民主主義の危険と戦わなければならないと思うが、提案者は、このことに関し、いかなる所見、決意を持っておられるのか。今後の議会制民主主義獲得の戦いの具体的な方法等あれば、説明を願いたいと思うのであります。(拍手)
 かかることが、議長の職権として許されるといたしますならば、多数の議員の上にあぐらをかき、議長が必要と認めたと称し、院議にはかったと宣言し、速記録さえつくれば、何事でも数秒にして議長職権でやり得るのではないでしょうか。これでは、白を黒ときめることも、大正末期の反動期にできた治安維持法の再現も可能であろうし、徴兵制の復活も考えられるであろうし、憲法改悪の発議も、あっという間に議決されるのではないかという結果になることを、われわれおそれるのであります。かかることが民主国会に許されてよいのか。一応議員は民主主義者として、多くの投票を獲得してここへ出てきている人であるといたしますならば、このことに対する理解は直ちにつくと私は信ずるのであります。
 田中副議長は、自民党の党籍を有しており、みずから日韓条約はぜひ通さねばならない問題だと信じ、一つの目的を明確に持って本会議に臨み、目的の前に手段を選ばざる態度に出たことをみずから語っているのであります。自分からそのことを何回も繰り返し、交渉のつど語っているのでありますが、このことは議長たる職責を忘れ、ひたすら自民党にのみ奉仕した議長であったという結果になるのであります。したがって、野党の正論に耳をかす意思のないことを言外に漏らしておる。この一方的不公平な態度こそ、議長の責任において今回の事態の紛糾を一そう混乱、激化せしめたものということができるのであります。
 かくては、野党もまた、不公平な議事取り扱いの態度を糾弾し、民主主義議会を守らんとする行動に出ることは、議員の職責であり、議長、副議長の退陣を迫ることもまたこれは当然の挙といわなければならないのでなかろうかと思うのであります。この追及に対して、若干の行き過ぎと遺憾の点の多々あることを認めながら、その責任をとることを知らざる態度は、民主国会の議長としては最も軽べつすべき態度だといわなければならないと思うのであります。(拍手)
 さらに、今次の事態を引き起こした根本的原因は、すでに十一月六日、日韓特別委員会の強行採決が不当不法に行なわれたこと、何ら正当に可決された証拠のないのにかかわらず、自民党の一方的圧力に屈したのか、そう認めたのか、議長の職権で本会議を開いたところに紛糾の原因が存在するのである。このことに何らの反省もなく、言論の府において議員の言論を封鎖し、極端なる時間の制限をし、慣例を無視して、十分、五分の制限を強行したことが野党の強い抵抗にあったことは御承知のとおりである。これは議会制民主主義を守る議員の当然の権利擁護であるとともに義務であるともいわなければならない。この抵抗に対して何らの理解も示さず、一方的な与党の圧力に屈して、議会史上にその例を見ざる暴挙をあえてし、議会の機能を全く失わしめ、国の政治を麻痺せしめた責任は、一切議長、副議長にあるといわなければならないのである。特に田中副議長は、法学博士として積極的にこの暴挙の指導をし、国の政治を誤らしめた元凶であるという点において、その責任を負うべきことを私は強く主張するものであります。(拍手)このことは、われわれの数度にわたる抗議行動の中から、さらには副議長自身の新聞記者会見の記事等より明白な事実として、氏の退陣を執拗に迫ってわれわれはこの抗議行動を続けてきたものでございまするが、何らの反省の色もなく、ざらに本日以後においてもなおその罪を重ねようとするにおいては、われわれは見るに忍びず、やむを得ず本不信任案を出す運びになったと考えるのであります。提案者は、これに対して一応述べておりますけれども、われわれと同様、同じ心境でやむにやまれずこの不信任案を出したと私は考えるので、そこらの心境をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。(拍手)
 この際、田中伊三次副議長に私は忠告しておきたい。目先の党略のために本筋の努力を忘れるのは、求めて自分の胸の空洞を広げるにひとしいということをよく知らねばならないと思うのであります。
 田中副議長は、日韓条約はぜひ通さなければならないと思ったとしばしば言っておるが、日韓条約がいかなる内容を持っており、いかなる重要な条約であるかについては、何も知っていないようであります。自民党の言う善隣友好とか、一衣帯水とか、生活苦にあえぐ隣国朝鮮を救えというようなムードだけで呼びかけている。このムードは一応成功したかに見えるのでありますけれども、おそるべき条約であることは  安保条約が今日いかに民衆から、国民から考えられておるのか、日本国民ががんじがらめになって身動きもとれない今日の事態から、やがて日韓条約成立後に、国民がこのことを安保条約と同様に評価するときがくると私は思うのであります。
 トラの子はネコによく似ておるそうである。ネコの子だというので、やわらかなソフトムードで、かわいそうであるから助けろというのでもらってきたネコの子が、大きくなったらトラであった。やがて飼い主にかみつき、腹が滅って飼い主をかみ殺したという話がある。今日の日韓条約の将来、はたしてこれがトラの子になって、そのとき諸君が加藤清正となってトラ退治におもむく用意があるかどうか。
 資源の少ない韓国、四百万人の失業者をかかえた朝鮮が、中途はんぱな援助で直ちに裕福になるとは考えられないし、腹の減ったトラが、はたして従順であることを信じてよいのか。戦後十五年も、この長い期間を経過していろいろ事をかまえた経過から考えるならば、簡単にそう割り切るわけにいかないのじゃないか。一時的な糊塗策として五年後に残された李ライン、竹島の問題、領海問題も専管水域も未解決のまま、明確なる何らの決定なしにこれを押し通して一体どうなるか。これがアジアの発火点にならないとだれが保証するのでございましょうか。
 田中副議長は、これらの事情に深い理解と知識を持っていたとはわれわれは理解いたしておらないのであります。ことに議長は韓国ロビーなどと風評をされている。その副議長であるから、国の運命を左右するこの重大問題は、みずから真剣にこれと取り組んで、この問題を何らの私心なく、公平に、大所高所から断を下すべき立場にあったのにかかわらず、全く不勉強にして、この日韓会談を四十秒内外の時間で成立させるというようなことは、われわれの信ずることのできない議長の大失態であると私は考えるのでありまするが、この点について提案者はどうお考えになっておられるか。
 自民党の諸君は、まことに安易にこれらの問題を割り切っておられるが、この朝鮮、日韓条約の本質というものは相当けわしいものである。いま明確にされていないけれども、アジアの戦争へ日本が巻き込まれようとする危険さえ、いかに諸君が弁明しようと、これは持っているものとわれわれは見なければならない問題なのであります。
 今回の強行採決は、最悪コンビの犯した最悪の犯罪であると思うが、かかる犯行の繰り返しをやらせないために、提案者も一部の意見は発表されたが、このことは特に重大だから尋ねて聞いておきたいと思うのであります。もちろん、良識をもって他党の立場を十分に、冷静に考えればおのずと一致する点があろうかと思うのでございまするが、今日の構成では、全く良識を失い、議長の職責を忘却し、ただ一党の利益にのみ奉仕しようとする態度が今日の事態を生んだとわれわれは判断いたしておるのでありますが、何かこれを救済する道がないか。絶えずパイプが通っていて、これらの問題を解決する合理的な方法がないのか。たとえば議長、副議長はいつも党籍を離脱して、――かつてやったことがある。党籍を離脱して、公平無私に議事を行ならということもやったことがあるし、あるいは議長が第一党与党から出るならば、副議長は野党第一党がこれを占める。こういうような救済方法があれば、これらの危険を繰り返さずに私は済むと思うのであるが、幸いにして私たちはこういうよき実例を見ているのであります。かつて名議長の名をほしいままにした益谷さんが、きょうも出席しておられるが、益谷名議長の名は諸君もよく承知しているところで、これに配するにわが党の故杉山元治郎副議長が、絶えず両者で協議をし、意思の疎通をはかって、あるときは自足党の要求にも抗し、そして常に紛糾を避けて、スムーズな議事運営をやられたことは、皆さんも古い人はよく知っているところで、お互いが立場を尊重し合い、公平無私、いかなる圧力にも屈せず、敢然と議長の職務を遂行して、幾度か危機を救ったよき実例があるが、かくしてこそ真の公平厳正なる議事運営ができるのであるが、今回の田中副議長は、遺憾ながら自民党の走狗となって、そうして一党の利害にのみ奉仕して、公平な立場を守ることができなかったこと、先ほど西宮君が言うごとく、一方に偏した結果この事態になって、事態収拾の手すら打てないということは、これは重大な結果であるといわなければならないのである。こういうことを十分考えて、われわれは提案者に、二、三の質問をすると同時に、賢明なる田中副議長のこの事態対処の態度を期待して、私の質問演説を終わります。(拍手)
  〔淡谷悠藏君登壇〕
#28
○淡谷悠藏君 日野吉夫君の非常に傾聴すべき御質問に対しまして、一々についてゆっくり丁重に十分にわかるような御答弁を申し上げまして、さらに日野吉夫君の一段の御奮起をむしろ促したいと思うのであります。
 副議長、議長が衆議院規則百十二条をたてにとって、これさえあれば何でもできるんだという行動をしたことは、われわれのみじゃなくて国民全部が強い憤りを発しております。このとらえ方が間違っておったことは先ほどの提案でも十分に申し上げました。副議長も、いかに頑迷固陋であっても、これくらい懇切丁寧に、再三にわたって御説明いたしましたら、おわかりになったろうと思うのであります。特にあの百十二条をたてに、何でもできるとは言っておりまするが、先議すべき案件はちゃんときまっているのであります。先議すべき案件は、まず会期終了のときの会期延長の動議、これは先議しなければならない。院の構成に関する動議、これはただいまやっております副議長不信任案もその一つでございまするが、さらに内閣の不信任、どれも先議しなければなりません。さらに各大臣の不信任、これも先議を要します。一体あの不明朗な日韓条約の批准案件は、この先議案件になるかどうか、明らかにならないのであります。この先議案件にならない日韓条約批准案件を、この百十二条を武器にして、しゃにむに押し通したということは、これは明らかに議院法の無視であり、法律、先例の無視であるということを、これは明確にお答え申し上げます。
 議会政治、民主政治を守るためにはどう戦うか。これは一つには、この不信任案の審議に当たる自民党の皆さん、特に本人、田中副議長の態度いかんにかかわるところ重大でございます。この機会をかりまして、西宮弘君のさっきの御質問に対して答弁漏れがございますので、一言お答え申し上げます。
 それは、もし田中副議長がこの不信任案のわれわれの説明、討論、あるいは質問に対して、なるほどこれはおれが悪かった、国会の混乱の責任はまず第一におれが負わなければならない、この機会に議員の辞表も提出しよう、との悲壮なる決意を固めて、もう辞表をお書きになっていれば事態は変わってまいります。われわれは決して死者にむちうつようなことはいたしません。自民党の皆さんがおなくなりになっても、われわれ懇切丁寧に礼を尽くした弔辞を贈呈いたします。いかに現職中悪をきわめた田中副議長であっても、馬食らいの丑五郎のように翻然と悟って、ここに辞表を提出されるならば、われわれは喜んで不信任案の撤回をいたしますということを明確にお答え申し上げます。(拍手)ただし、これをなし得ずして、いたずらにこの非を通そうとするならば、私どもは、しばしば皆さんとともに誓い合ったとおり、日本の議会制民主主義を守り、日本の平和を守るために、あくまでも執拗頑強な戦いを続けます。何回でも辞職を要求します。議長、副議長がおやめになるまで、何回でも何回でも辞職を要求いたします。しかも、こうした皆さんがごらんになってもはっきりわかるような、副議長――さっき私の提案理由の説明の間に、自民党席からしばしば、それは副議長が悪いのだという声が起こっております。賛成の声が起こっております。もしも佐藤内閣閣僚諸君が、あくまでもこの職権乱用をしました議長、副議長を守って、日本の議会政治を乱すような行為を続けるならば、私どもは、通常国会が開かれましても、国民とともに、この議会政治じゅうりんの悪を追及し、責任を追及し、あくまでもこの内閣のファッショ化には戦い続けることを断言いたします。これは国会議員としてのわれわれの真の使命でございます。心境はまさにこのとおりでございますので、これでどうぞひとつ質問者は十分なる信念を持って、この提案に御賛成くださいますことをお願い申し上げます。
 さらに、朝鮮問題であります。朝鮮問題は、国民もその真相を知りたいと思っております。遺憾ながら、真相を明らかにすることをおそれました自民党が、しゃにむにわれわれの口を閉じ、われわれの手足を持って引きおろし、この真相が国民の前に解明されることをきらったのであります。その結果が今日の混乱であります。われわれは今後といえども、この真相を明らかにするために、事あるごとに、国会の中においてもこの問題を追及いたします。まして、国会の外においては、全力をあげて国民にこの日韓条約問題の危険性、黒いうわさ、納得がいくまで国民とともにこのことを追及することをかたくお誓い申し上げます。この問題を明らかにしませんと、国会議員としての職責を果たせない。どうかその点を質問者においても十分御了解あらんことをお願い申し上げます。
 副議長、議長が良心を持って、良識を持って、他党の言うことにも耳を傾けるならば、これは必ず一致点に達することはわかっている。それを一方的に議長、副議長が与党の走狗になり、不偏不党であり、公正、公平、厳正であり、あくまでも正しい院の審判者としてなすべきを、一方的に自民党の言うところを信じ切って、それを押し通すためにあえて非違を貫いたところにこの混乱が生まれたと思う。この態度が改まらない限り日本の国会はよくなりません。議会政治はよくなりません。したがって、この姿勢を正し、日本の議会政治の危機を救うために、私どもは、この不信任案をはじめ、内閣の打倒、解散、これに追い込みまして、国民にこの真の姿を知らせ、国民の新しい批判に問うて、この汚れ切ったいまの議会の状態を、国民の手によって新しく再出発させることを強くお誓い申し上げまして、私の心境をお答え申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
  質疑終局の動議(中野四郎君外二十三名提出)
#29
○仮議長(原健三郎君) 中野四郎君外二十三名より、質疑終局の動議が提出されました。
 本動議を採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。中野四郎君外二十三名提出の質疑終局の動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#30
○仮議長(原健三郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#31
○仮議長(原健三郎君) すみやかに投票せられんことを望みます。
  〔投票継続〕
#32
○仮議長(原健三郎君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――閉鎖。
  〔議場開鎖〕
#33
○仮議長(原健三郎君) 投票を計算いたせます。
  〔参事投票を計算〕
#34
○仮議長(原健三郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 二百七十一
  可とする者(白票)        百六十五
  否とする者(青票)          百六
#35
○仮議長(原健三郎君) 右の結果、質疑は終局するに決しました。
    ―――――――――――――
 中野四郎君外二十三名提出質疑終局の動議を可とする議員の氏名
      逢澤  寛君    愛知 揆一君
      青木  正君    赤城 宗徳君
      赤澤 正道君    秋田 大助君
      天野 公義君    天野 光晴君
      有田 喜一君    井出一太郎君
      井原 岸高君    井村 重雄君
      伊東 隆治君    伊能繁次郎君
      岩動 道行君    池田 清志君
      今松 治郎君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    内海 安吉君
      浦野 幸男君    遠藤 三郎君
      小笠 公韶君    小沢 辰男君
      小澤佐重喜君    小渕 恵三君
      大石 八治君    大泉 寛三君
      大倉 三郎君    大竹 太郎君
      大坪 保雄君    大西 正男君
      大野  明君    大平 正芳君
      岡崎 英城君    押谷 富三君
      加藤 高藏君    加藤常太郎君
      鍛冶 良作君    海部 俊樹君
      金子 岩三君    金丸  信君
      神田  博君    亀山 孝一君
      鴨田 宗一君    唐澤 俊樹君
      仮谷 忠男君    川野 芳滿君
      木部 佳昭君    木村 剛輔君
      木村武千代君    菊池 義郎君
      吉川 久衛君    久野 忠治君
      久保田円次君    鯨岡 兵輔君
      熊谷 義雄君    倉石 忠雄君
      倉成  正君    藏内 修治君
      黒金 泰美君    小泉 純也君
      小枝 一雄君    小金 義照君
      小島 徹三君    小平 久雄君
      小宮山重四郎君    小山 省二君
      佐々木秀世君    佐々木義武君
      佐藤 孝行君    齋藤 邦吉君
      坂田 道太君    坂村 吉正君
      櫻内 義雄君    笹山茂太郎君
      四宮 久吉君    始関 伊平君
      重政 誠之君    篠田 弘作君
      澁谷 直藏君    正示啓次郎君
      白浜 仁吉君    進藤 一馬君
      周東 英雄君    鈴木 善幸君
      砂原  格君    關谷 勝利君
      園田  直君    田口長治郎君
      田中 角榮君    田中 正巳君
      田中 六助君    田邉 國男君
      田村  元君    田村 良平君
      高瀬  傳君    高橋清一郎君
      高橋 禎一君    高見 三郎君
      竹内 黎一君    竹下  登君
      竹山祐太郎君    舘林三喜男君
      谷川 和穗君    地崎宇三郎君
      塚田  徹君    辻  寛一君
      坪川 信三君    渡海元三郎君
      登坂重次郎君    徳安 實藏君
      中垣 國男君    中川 一郎君
      中野 四郎君    中村 幸八君
      中村庸一郎君    中山 榮一君
      永山 忠則君    灘尾 弘吉君
      二階堂 進君    丹羽喬四郎君
      根本龍太郎君    野見山清造君
      野呂 恭一君    羽田武嗣郎君
      橋本龍太郎君    長谷川四郎君
      長谷川 峻君    八田 貞義君
      服部 安司君    福田 繁芳君
      福田 篤泰君    福永 健司君
      藤枝 泉介君    藤田 義光君
      藤本 孝雄君    古井 喜實君
      細田 吉藏君    堀内 一雄君
      前田 正男君    益谷 秀次君
      増田甲子七君    松浦周太郎君
      松山千惠子君    三池  信君
      三原 朝雄君    水田三喜男君
      湊  徹郎君    南好  雄君
      村上  勇君    毛利 松平君
      粟山  秀君    森   清君
      森下 元晴君    森田重次郎君
      森山 欽司君    八木 徹雄君
      山口喜久一郎君    山田 彌一君
      山手 滿男君    山村新治郎君
      吉田 重延君    和爾俊二郎君
      早稻田柳右エ門君
 否とする議員の氏名
      赤路 友藏君    赤松  勇君
      茜ケ久保重光君    秋山 徳雄君
      有馬 輝武君    淡谷 悠藏君
      安宅 常彦君    井伊 誠一君
      井岡 大治君    井谷 正吉君
      伊藤よし子君    石野 久男君
      板川 正吾君    卜部 政巳君
      江田 三郎君    小川 三男君
      大出  俊君    大柴 滋夫君
      大村 邦夫君    岡田 春夫君
      岡本 隆一君    加賀田 進君
      片島  港君    勝澤 芳雄君
      角屋堅次郎君    金丸 徳重君
      川崎 寛治君    川俣 清音君
      川村 継義君    河野  正君
      久保田鶴松君    黒田 寿男君
      小松  幹君    兒玉 末男君
      佐藤觀次郎君    坂本 泰良君
      阪上安太郎君    桜井 茂尚君
      沢田 政治君    島上善五郎君
      島口重次郎君    下平 正一君
      東海林 稔君    鈴木茂三郎君
      田口 誠治君    田中 武夫君
      田原 春次君    多賀谷真稔君
      高橋 重信君    滝井 義高君
      楯 兼次郎君    只松 祐治君
      千葉 七郎君    辻原 弘市君
      戸叶 里子君    泊谷 裕夫君
      中井徳次郎君    中澤 茂一君
      中嶋 英夫君    中村 高一君
      楢崎弥之助君    成田 知巳君
      二宮 武夫君    西宮  弘君
      西村 関一君    野原  覺君
      野間千代三君    畑   和君
      華山 親義君    日野 吉夫君
      肥田 次郎君    平岡忠次郎君
      平林  剛君    藤田 高敏君
      帆足  計君    細谷 治嘉君
      前田榮之助君    松井  誠君
      松浦 定義君    松平 忠久君
      三木 喜夫君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森  義視君
      森本  靖君    八木 一男君
      八木  昇君    安井 吉典君
      柳田 秀一君    山内  広君
      山口シヅエ君    山口丈太郎君
      山田 長司君    山田 耻目君
      山中 吾郎君    山中日露史君
      山花 秀雄君    山本 幸一君
      湯山  勇君    米内山義一郎君
      横路 節雄君    横山 利秋君
      吉村 吉雄君    加藤  進君
      川上 貫一君    林  百郎君
     ――――◇―――――
#36
○仮議長(原健三郎君) 柳田秀一君外二名より、この際昼食のため暫時休憩されたいとの動議が提出されました。
 この際、暫時休憩いたします。
   午後四時二十五分休憩
     ――――◇―――――
   午後五時三十七分開議
#37
○仮議長(原健三郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
    ―――――――――――――
#38
○仮議長(原健三郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。上村千一郎君。
  〔上村千一郎君登壇〕
#39
○上村千一郎君 私は、ただいま上程されております田中副議長に対する不信任決議案について、自由民主党を代表して反対の討論を行なわんとするものであります。(拍手)
 社会党淡谷議員の提案趣旨の弁明を聞いておりましても、その述べる主張は、全くその事実の真相と相違し、われわれのとうてい容認することのできないことは、まことに遺憾でございます。あたかも天に向かってつばを吐くがごとく、後日良心ある者においてその速記録を見れば、赤面するがごとき言辞は慎まなければならないと信ずるものでございます。(拍手)なお、田中副議長に対する人身攻撃までにわたっておりますることは、田中副議長不信任は全くみずからの非をおおう党利党略に出たものと断ずるほかはございません。
 田中副議長は、努力力行の人として知られ、幼少のころより独学により法学最高の知識を身につけられました。田中副議長は、少年のころ京都にのぼり、あらゆる困難な環境を克服し、文字どおり学問と実社会の両面において研さん、努力を重ねられ、三十代にして代議士となられ、五十代にして国務大臣として自治庁長官の重職につかれ、一昨年の総選挙後、名誉ある衆議院副議長の席にすわられたのであります。(拍手)
 田中副議長は、衆議院議員として、戦前戦後を通じ、衆議院に二十二年三カ月の長き間議席を持たれ、特に国会の運営についてはきわめて精通せられ、まれに見る練達の名議長であることは国会議員のひとしく認識するところでありまして、社会党の諸君も、個人としてはおそらくこれに共感を持っておられることと信ずるのであります。(拍手)
 社会党の田中副議長不信任の根本的理由は、先般の衆議院における日韓条約関係案件の採決についての田中副議長の責任を問うことにあるものと思われます。しかし、これは全く本末を転倒しておるものであります。今回の日韓条約関係案件の審議に際しては、社会党は初めから日韓条約絶対反対、これが阻止、粉砕を党の基本的態度としておられ、社会党自身がこれを認めておるところでございます。そこで社会党の行動は、特別委員会においても、本会議においても、一貫してこの基本的態度をもって日韓条約関係案件の通過成立をはばんできたのであります。社会党が、今回の臨時国会において、審議引き延ばしのために実に二十三日間の長きにわたり空費させたのもこのゆえんであります。また特別委員会においても、わが党が国民の期待に沿うべく連日慎重審議を主張したにもかかわらず、これに応じなかったのもまた同様の理由によるものであります。
 去る十一月九日本会議が開かれるや、社会党は、日韓条約関係案件審議をあくまで阻止するために、これが上程を拒否する態度に出たのであります。社会党は椎名外務大臣をはじめ各大臣の不信任決議案を提出し、これについて牛歩戦術、いな牛歩ストップ戦術を用い、ついに石井法務大臣の不信任決議案の審議に際しては、神聖なるこの議会の壇上を占拠して、わが党の投票を不可能にしたのであります。(拍手)投票権は議員に与えられた最も重要な権利であります。社会党の今回の暴挙は、国権の最高機関であり、唯一の立法府である国会の機能を全く麻痺せしめたもので、その行動はまさに民主憲法をじゅうりんしたものであるといわねばなりません。(拍手)それは議会政治、民主政治の根幹をゆるがし、国民の国会に対する不信感を高め、国外に対してもわが国の民主政治に対し大きな疑惑を抱かせたのであります。(拍手)
 かかる状況のもとにおいて、議長、副議長のとった職権による本会議の開会で、議長の発議による日韓条約関係案件の付議は、全くやむを得なかったものと断ぜさるを得ず、しかも、これは国会法、衆議院規則等に照らして、決して違法、不当なものではなかったのでございます。(拍手)社会党はいさぎよく、この際、田中副議長に対する不信任決議案を撤回し、みずから行なった反議会主義的、反民主的行動をここに十分反省することこそ、公党としての責務であると信ずるのでございます。(拍手)われわれは、むしろ当時の船田議長、田中副議長のとった英断こそ、国民の期待に沿って日本の民主政治の危機を救ったものと確信する次第でございます。(拍手)
 以上をもって、私の反対討論を終わります。(拍手)
#40
○仮議長(原健三郎君) 米内山義一郎君。
  〔米内山義一郎君登壇〕
#41
○米内山義一郎君 私は、日本社会党を代表して、淡谷悠藏君によって提案されました本院副議長田中伊三次君の不信任決議案に賛成の討論をいたしたいと存じます。(拍手)
 昭和四十年十一月十二日午前零時十八分、わが国の議会民主主義は虐殺されました。その直接の下手人は、いまこの不信任の対象になっている田中副議長と、議長船田中の両君であります。日韓条約とこれに関連する諸案件は、将来わが国の運命にもかかわる重大な問題であります。それが出日の本会議に上程されたのでありますが、何らの審議がなされないまま本院において可決されたというのであります。その日の速記録を読めば、だれにでもわかるとおり、わずかに六十秒足らずの間に一切の審議は終了したことになっているのであります。議長が「これより会議を開きます。」と開会を宣告してから、「これにて散会いたします。」というまでの文句は、字数にして百三十八字、電報のようにかな書きに書いても二百三十六字にすぎません。そうして「午前零時十九分散会」ということになっているのであります。
 まさに電光石火とでもいいましょうか、通り魔か、つじ切りのような早わざであります。このようにして、国家間の重大な権利義務を規定する条約案件が、疑義に満ち満ちたまま、国会を通過したというのであります。そして、恥知らずにも、これが法規典礼に照らして、全く合法だと言うのであります。まるで、やくざか暴力団の言うところと異なるところがないのであります。(拍手)しかも、これを精査すべき特別委員会においても、理不尽な審議打ち切りがなされたのであります。その上に、これを全く問答無用といわんばかりのやり方で、本会議を通過させようとしたことは、実に重大な政治上の犯罪であります。そのことは、議会そのものを、単なる形式か、ていさいとしか考えていないやり方であります。議会政治を否定し去る、独裁ファシズムに直結するものであります。
 この速記録には、「質疑、討論の通告はありません。」という文句が記載されていますが、もし通告があれば、はたして質疑も討論も行なら意思があって、ああいうことを言ったのでありましょうか。これは全くのむなしいうそでしかないのであります。議長たる者が、心にもないことを言い、それを公文書に掲載し、それが議決有効の根拠になるというのであれば、全くのナンセンスといわざるを得ないのであります。(拍手)
 このことは、すでに会議を形式としか考えないやり方であり、会議そのものは議事録にていさいを整えるための手続にすぎないとするやり方であります。開会から閉会まで六十秒足らずのその間に、質疑、討論を通告する時間的な余裕などあるはずもないのであります。それを質疑、討論の通告はないと一方的に宣言して、野党の発言権を封ずるという野蛮なやり方は、歴史上も例を見ない暴挙であります。しかも、田中副議長がたけだけしくも、法規、前例照らして合法であると言うに至っては、三百代言そのものずばりと言いたい不退の放言であります。みずから律法家をもって任じ、法学博士の学位を有せられるという君のこの説は、まさに笑止千万のものであります。(拍手)後世の史家をまつまでもなく、今日の中学生にも笑われる説であります。このような、落第生にもひとしい人物を、本院の副議長の座に置くわけにはまいらないのであります。(拍手)
 このようにして、田中伊三次君は国会の権威を失墜させただけではありません。わが国の政治の方向に新たな危険な道を、すなわちファシズムヘの道を開いたものであります。このようなやり方は、まさに満州事変前後か、東条時代の帝国議会をほうふつとさせるものであります。(拍手)議会制度を軽視し、さらには、じゃま者扱いにして、その果てには問答無用式の議会運営をした結果が、あの戦争に突っ込んでいったのであります。国民はだれでもこのことをいまなお忘れてはいません。このようなことをして、それでも合法であるのであれば、形式的には民主主義かもしれないが、内容は何らの実質もない、単に野党もいる一党の独裁政治にすぎないのであります。政府のきめたことは、何が何でも押し通す。どんな理由があっても、反対があっても譲れない。そして、その目的に向かっては平気でうそをつき、ぺてんでも何でも手段を選ばない。サル芝居のようなこともあえて恥じないとするのであれば、国会における議長の権威の失墜はもちろんのこと、議会政治に対する国民の不信感を増すだけであります。
 さらに、こうしたことは、単なる不信感にとどまらず、平和的な国民大衆にとっては、新たな大きな恐怖でもあります。抜き打ちに、議長の職権発動でこのような議事運営がなされ、それが前例として生きていくならば、議会民主主議の滅亡であるばかりではなく、危険な道への第一歩となることは明らかであります。(拍手)また、これが田中君の言うように正当とするならば、これを町村会なり、その他すべての会議に適用してみたとしたら、一体どうなるでありましょう。こんなことはあえて法学博士の田中君から聞かなくとも、田夫野人でもわかり切ったことであります。また、このようなことが先例として正当視ざれるならば、徴兵制度であろうが、海外派兵であろうが、一党独裁実現のための小選挙区制であろうが、きわめて簡単に決せられることになるのであります。こういう事態は腐朽した資本主義体制から生まれる必然的なものとはいいながら、あまりにも露骨な暴挙は、天人ともに許しがたいものであります。(拍手)かつて造船疑獄に連座し、指揮権発動でかろうじて政治生命を生き長らえてきた反動主義者、佐藤栄作君をかしらとする自民党とその政府である限り、このようなことはあえてふしぎとするものではないが、その走狗となって、議長の中立性を放棄し、議会の権威を失墜させた罪は、断じて許すことはできないのであります。(拍手)
 議会制度と民主主義を護持するためにも、多数による物理的な強制は断固として排除する必要があります。そして、ほんとうに国民大衆に対して説得力のある議会を緊急に構成する必要に迫られているものと考えるのであります。
 私は以上のような観点から、本案に賛成を表明するものであります。満堂の諸君の御賛同を期待してやみません。(拍手)
#42
○仮議長(原健三郎君) 金丸徳重君。
  〔金丸徳重君登壇〕
#43
○金丸徳重君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっておりまする田中副議長不信任決議案に賛成の意見を申し述べます。(拍手)
 実は、私は先ほどの西宮議員と同じように、田中伊三次君とは九段に宿舎を同じくしておりまして、日常あるいは食堂において、またあるいはふろ場等において接する機会をたびたび持っておるものであります。談笑のうちに交際する限りにおいては、彼は親しみやすい好人物かに思われるのでありまして、相対立する与野党間にあって、調停、あっせんの労をとるにはまずまずの人柄だなどと評価したことさえもあったのであります。
 しかるに、今国会開会以来、彼のとった行動は、ただいま提案理由の説明や、質疑、討論の中に強調されておりまするように、全く事態の認識を誤り、事の順逆、軽重を察せず、条理、典例を無視し、与党に阿諛追随して党利党略の推進者になり終えているのであります。(拍手)私は、いまあらためて彼の正体を見つけたような、情けない気持ちの中で木討論を進める次第であります。(拍手)
 私が本案に賛成の意見を表する第一の理由は、今国会において田中君が本院副議長としての責任を果たしていないことにあります。
 そもそも、民主国会における議長、副議長の責任は、院の最高責任者として、外に向かっては院を代表し、内においては与野党の間に立って議事運営に最善を尽くし、議案審議に対する各議員の職責を十全に果たざしむるために心を砕き、あらゆる方途を講じて言論の自由を確保し、その伸長に努力するにあることは申すまでもありません。(拍手)そのためには、おのれをむなしゅうして常に中正公平の態度を堅持し、万一にも与野党間に紛議を生じたような場合には、十分に時間をかけて話し合いの場をつくり、あるいはみずから進んで調停の労をとるなど、あくまでも正常なる議会運営の中において審議の完璧を期すべきであります。
 しこうして去る十一月六日、日韓特別委員会開会冒頭の実態などについては、本議場において多くの同僚議員によって怒りを込めて究明されたところであり、あらためてここに詳述するまでもありませんが、あの恥を知らぬ、前後をわきまえぬ暴挙というものは、天下何人といえども許しがたきところであります。日韓特別委員会は、みずからの責任においてこれをもとに戻し、あらためて審議のやり直しをなし、国民にその誤りを謝すべきであったのであります。しかるに、委員会はこの当然の行動をとらないばかりか、無謀にも議決あったと潜称して、本会議上程を迫ったのであります。これが今回の事態のそもそもの発端でありまして、議長や副議長がこれを解決するためには、その良識と英断をもってこれにみずから善処する以外にはなかったのであります。私どもはこのような見地に立って、議長、副議長がその職権において委員会の再審議を求め、政府与党よりいかなる圧力と脅迫をもって強要された場合にも、断固これをはねのけて、本会議上程を拒否すべきであると信じていたのであります。
 しかるに、田中副議長は、船田議長と共謀し、僭越にも職権をもって本会議に上程したばかりか、去る十一月十二日未明には、ついに他の先議案件を排除して日程変更をするという前代未聞の暴挙をあえてし、混乱を続ける本院の中に一そうの混乱の種をまき、以来本院は機能喪失のまま、国民の限りなき憤りと憂慮を前にして二十日間余りも貴重な時間を空費して、いまだにその収拾のめどさえつかないような状態に置かれておるのであります。(拍手)
 火消し役の責任者がその職責を忘れて、火の中にガソリンを投じたのでありますから、混乱を激化することはむしろ必然であり、その責任はもっぱらガソリンを投じた議長、副議長と、これをそうさせた与党自民党にあることは、あまりにも明らかであります。(拍手)
 思うに民主主義の政治は、多数を擁し権力を持つ者が、常に寛容と忍耐の誠意を基本として行動し、少数の者、権力を持たざる者の意見をも最大限に尊重してかかるところにその妙味が発揮されるのでありまして、賢明にしてかつ有能なる政治家は、巧みにこの哲理を駆使し、政治を円滑かつ効率的に運んでまいったことは、古今東西の歴史がよくこれを証明しておるところであります。(拍手)ことに、わが国の民主政治のごときにあっては、長きにわたる封建独裁政治の情性が完全に払拭ざれない中に育てられ、権力追随の習俗的欠陥は至るところに暴露されて、世界の識者をしてふしぎな国日本などという酷評を発せしむるような実情にあるのであります。しかも困ったことには、多数与党はこの弊風をいいことにして悪用し、これに拍車をかけて多数横暴、権力乱用を日常茶飯事として省みるところなく、政権たらい回しの具に供しておるのであります。
 したがって、国会の最高責任者の任にある者は、この世相の実態に深く思いをいたし、いまこそ少数意見を高度に尊重するという方法を用いて、わが国政治の根本を正す道を開くべきであります。しかるに、多数与党の追随、盲従にこれ日を送っており、世人の指弾を受くるような言動をしておりますのが田中伊三次君の現在の姿でありまして、あの十一月十二日未明の暴挙のあとにもてんとして省みるところなく、いたずらに堅白同異の弁をもってあの措置を合法的などと称し、将来に議会政治の息の根をとめるような悪例を残すことさえもあえてはばからない態度をとっておるのであります。(拍手)もしあの強行採決が合法祝されるなどのことあらんか、国民は、もはや議会の審議とは、多数の横車を押し通し、邪悪をおおい隠す隠れみのにすぎないと思わざるを得ないのでありましょう。まきに民主政治の危機、これにすぐるものはないと信じます。(拍手)私が田中君を民主政治破壊の元凶として一日一刻といえどもその席にとどめるわけにはまいらないと主張する理由の第一点であります。(拍手)
 次に、第二の理由としまして、わが国民はいま池田内閣以来の高度成長政策の余波を受けて、中小企業者は倒産に苦しみ、農民は打ち続く農民無視の政策のゆえに後継者さえ失うに至り、勤労者は物価値上がりのために生活を脅かされ、いまや国内の社会不安は日に日に増大しつつあるありさまであります。したがって、今次国会における最大の使命は、まず何をおいてもこの差し迫まる諸問題を解決して、国民の不安を除去してかからなければならないのであります。すなわち、今日国民全般が政府に要望するものは、日韓条約の早期妥結などではなくして、目の前に迫っておる不景気風をいかにして避けるかにあります。物価値上がりをいかに食いとめるかにあります。打ち続く災害にあすの生活をさえ安らかに迎えることのできない人々へのあたたかい救いの手であり、災害復旧への強力なる施策の推進であります。その他等々、数えきたれば数限りもないのでありますが、政府は、これら国民の血涙をしぼっての要望などには目もくれず、ひたすら日韓条約のみに明け暮れているのであります。
 議長、副議長たるものは、このような政府の態度に対し強く反発し、その反省を求め、すみやかに関係案件の提出を求めて審議を進め、もってこの国民的要求に沿わなければならなかったのであります。しかるに優柔不断にも、何らなすところなく、関係委員会など開会の勧告さえもせず、この点からも国民をして政治不信の怒りと嘆きの声を上げしめておるのでありますが、その責任はあげて議長、副議長の職務不忠実にあるといわざるを得ません。(拍手)
 およそ、指導的立場にある者の責任は、時局が重大なればなるほどこれに比例して重かつ大なることは、ここに強調いたすまでもありません。すなわち、議長、副議長の地位にある者は、より高き視野に立ち、より遠大なる展望のもとに、国家と民族の百年の計を誤らしめないための最善の努力を払わなければならないのでありますが、田中君には残念ながら、今日までの実績をもってしては、どうひいき目に見ましてもこれを期待することはできません。(拍手)これが本案に賛成せんとする第二の理由であります。
 最後に、第三の理由として私が強く指摘いたさんとするものは、田中君の心がまえであり、政治に対する姿勢の根本にあります。
 元来、議長、副議長は、院の中心的役割りとして、常に厳正公平、中立無私の態度に終始すべきは、先ほどから強調してまいりました。すなわち、議長、副議長の任にある者は、常々党派を超越し、おのれをむなしくして院全体の名誉と責任において言動すべきことは当然であります。ことに提出法案等の取り扱いや議事運営等については、特に慎重、厳粛なる態度を持し、いやしくも一党一派に偏し、みずからの利害、好悪等によって事の進行をはかってはならないのであります。しかるに、田中君は、日韓条約等一連の議案取り扱いについては、当初よりこれを政府の方針どおり会期中に両院を通過させるべきだとの方針をとり、その方向で事を処理していたのであります。これでは何のことはありません、行司が初めからひいき相撲、勝ち相撲をきめておいて軍配を扱ったようなものでありまして、言語道断というか、不届きしごくというか、国民を愚弄し、国会の権威をそこなうものこれより大なるものはないと申しても過言ではありません。(拍手)これが私が本案に賛成する第三の理由であります。
 これら幾つもの理由は、相からまり、相影響し合って、田中君の体質から発散する妖気となって今回のような事態を招いた原因となっております。私は、以上の理由が、決して私どもだけの考え方ではなくして、実は国民全体の考え方であることを本議場において証明いたすために、幾つかの新聞その他の社説、解説を持ってまいっておりました。ところが、先ほど西宮君の質疑応答の中で実に懇切に、また適切に引用されておりまするので、お聞き取りの皆さんにおきましては、全く同感の気持ちを起こされたことと思います。私も聞いておりまして、満場寂として声なかったあの瞬間のことを思い起こし、やはりみなの見るところは同じであったと確信し、愉快に思ったのでありますが、しかし、先ほど自民党からの反対討論の中には、国民はこうした決議案には反対であるなどという意見が出てまいりました。おそらくあの社説その他の引用をお聞きにならなかったことと思いまするので、そのうちの一部、これはきわめて短いのでありまするが、朝日新聞の一節だけを引用させてもらいまして、私の独断でないことの証明をきせていただきます。(拍手)
 当面もっとも望まれるのは、自民党側のイニシアチブである。なぜならば、「混乱」の当時にさかのぼって考えれば、なんとしても自民党の暴走に禍根があるからだ。この点に目をつむって野党の歩み寄りを求めても、率直なところ虫がよすぎる。野党に振上げたコブシのおろし場を与えるためにも、なんらか反省の実を示さなければ、事態は一歩も進まないだろう。社会、民社両党から辞任を求められている船田、田中正副議長にも同情すべきふしがなくはない。議長の権威の乏しさ、与党の圧力に対する弱き、などは多分に国会全体としての宿弊であって、船田議長のみを責めることはできない。さらに、だれもが冷静な判断を失いやすい院内の興奮状態も、考慮にいれる必要はあるだろう。だが、船田議長のとった措置は、それが今後も前例として用いられるならば、国会運営の将来に重大な疑念を覚えさせるものであったことは動かせない。そして、そのために野党の正副議長に対する全面的不信を招く結果となり、いま議長がもつべき調停者能力を全く失っていることも事実だ。とすれば、これから与党側が打開への努力を進めるに当っては、正副議長の進退問題が念頭に置かれても、決してスジ違いではないように思える。もちろん、自民党とすれば云々と、こう書いてありまして、朝日新聞がたいへん遠慮深い筆づかいの中で、しかしながら、やっぱり正副議長の進退を考えなければ、この事態は救えないであろうし、さらに将来に悪例を残すことによってとんでもないことになることをおそれるということは、朝日新聞ばかりでなくて、中央紙はもとより地方紙も筆をそろえていっておりますることは、先ほどの西宮君の引例において明らかであります。(拍手)
 したがって、事ここに至っては、事態収拾の道は、議長、副議長の善処をまつ以外にはないのであり、みずからまいた種はみずから刈り取る責任のあることは、ここにちょうちょうするまでもありません。(拍手)これだけ世論の求むるところが明らかであるにもかかわらず、なお片々たる小理屈を並べてその正当性を強弁し続けるがごときは、いたずらに議会政治破壊の汚名を千載に残す愚かさを繰り返すにすぎません、(拍手)責任ある政治家のとるべき態度ではないのであります。
 世俗には、身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれということばもあります。私は、ここに一切の私情を捨てて、誤りを誤りとして罪を天下に謝し、みずからその職を去ることは、田中君自身のためにもとるべき唯一の道であると信じ、あえて苦言を呈した次第でございます。
 以上をもって、私の賛成討論を終わります。(拍手)
  討論終局の動議(中野四郎君外二十三名提出)
#44
○仮議長(原健三郎君) 中野四郎君外二十三名より、討論終局の動議が提出されました。
 本動議を採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。中野四郎君外二十三名提出の討論終局の動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#45
○仮議長(原健三郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事名氏を点呼〕
  〔各員投票〕
#46
○仮議長(原健三郎君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
#47
○仮議長(原健三郎君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#48
○仮議長(原健三郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔事務総長報告〕
 投票総数 二百七十七
  可とする者(白票)        百七十
  否とする者(青票)        百七
#49
○仮議長(原健三郎君) 右の結果、討論は終局するに決しました。
    ―――――――――――――
 中野四郎君外二十三名提出討論終局の動議を可とする議員の氏名
      逢澤  寛君    愛知 揆一君
      青木  正君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    荒木萬壽夫君
      有田 喜一君    井出一太郎君
      井原 岸高君    伊東 隆治君
      伊能繁次郎君    岩動 道行君
      池田 清志君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    植木庚子郎君
      内田 常雄君    内海 安吉君
      浦野 幸男君    江崎 真澄君
      遠藤 三郎君    小川 半次君
      小川 平二君    小沢 辰男君
      小澤佐重喜君    小渕 恵三君
      大石 八治君    大石 武一君
      大泉 寛三君    大倉 三郎君
      大竹 太郎君    大坪 保雄君
      大西 正男君    大野  明君
      大橋 武夫君    大平 正芳君
      加藤 高藏君    鍛冶 良作君
      海部 俊樹君    金子 一平君
      金子 岩三君    金丸  信君
      上林山榮吉君    神田  博君
      亀岡 高夫君    鴨田 宗一君
      仮谷 忠男君    川野 芳滿君
      木村 剛輔君    木村 武雄君
      木村武千代君    菊池 義郎君
      吉川 久衛君    久野 忠治君
      久保田円次君    熊谷 義雄君
      倉石 忠雄君    倉成  正君
      藏内 修治君    小枝 一雄君
      小金 義照君    小島 徹三君
      小平 久雄君    小宮山重四郎君
      小山 省二君    河本 敏夫君
      纐纈 彌三君    佐々木秀世君
      佐々木義武君    佐藤 孝行君
      齋藤 邦吉君    坂田 道太君
      坂村 吉正君    櫻内 義雄君
      笹山茂太郎君    四宮 久吉君
      志賀健次郎君    始関 伊平君
      重政 誠之君    澁谷 直藏君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      進藤 一馬君    周東 英雄君
      鈴木 善幸君    瀬戸山三男君
      關谷 勝利君    園田  直君
      田口長治郎君    田澤 吉郎君
      田中 榮一君    田中 角榮君
      田中 正巳君    田邉 國男君
      田村 良平君    高瀬  傳君
      高橋清一郎君    高橋 禎一君
      高見 三郎君    竹内 黎一君
      竹下  登君    竹山祐太郎君
      舘林三喜男君    谷垣 專一君
      地崎宇三郎君    中馬 辰猪君
      塚田  徹君    塚原 俊郎君
      辻  寛一君    坪川 信三君
      渡海元三郎君    登坂重次郎君
      徳安 實藏君    内藤  隆君
      中垣 國男君    中川 俊思君
      中野 四郎君    中村 梅吉君
      中村 幸八君    中村 寅太君
      中山 榮一君    永田 亮一君
      灘尾 弘吉君    二階堂 進君
      丹羽喬四郎君    西村 英一君
      根本龍太郎君    野原 正勝君
      野見山清造君    野呂 恭一君
      羽田武嗣郎君    橋本龍太郎君
      長谷川四郎君    長谷川 峻君
      服部 安司君    濱野 清吾君
      原田  憲君    福井  勇君
      福田 繁芳君    福田  一君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      藤枝 泉介君    藤本 孝雄君
      古川 丈吉君    細田 吉藏君
      堀内 一雄君    本名  武君
      前田 正男君    益谷 秀次君
      松浦周太郎君    松澤 雄藏君
      松田竹千代君    松山千惠子君
      水田三喜男君    湊  徹郎君
      南好  雄君    村上  勇君
      毛利 松平君    粟山  秀君
      森下 國雄君    森下 元晴君
      森田重次郎君    八木 徹雄君
      山手 滿男君    山村新治郎君
      吉田 重延君    和爾俊二郎君
      早稻田柳右エ門君    渡辺美智雄君
 否とする議員の氏名
      赤路 友藏君    茜ケ久保重光君
      有馬 輝武君    淡谷 悠藏君
      安宅 常彦君    井伊 誠一君
      井岡 大治君    井谷 正吉君
      井手 以誠君    伊藤よし子君
      石橋 政嗣君    稻村 隆一君
      卜部 政巳君    江田 三郎君
      大出  俊君    大柴 滋夫君
      大原  亨君    大村 邦夫君
      岡本 隆一君    加賀田 進君
      片島  港君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      金丸 徳重君    川俣 清音君
      川村 継義君    河野  正君
      久保田鶴松君    黒田 寿男君
      小林  進君    小松  幹君
      兒玉 末男君    佐藤觀次郎君
      佐野 憲治君    坂本 泰良君
      阪上安太郎君    桜井 茂尚君
      沢田 政治君    重盛 壽治君
      島上善五郎君    島口重次郎君
      下平 正一君    東海林 稔君
      鈴木茂三郎君    田口 誠治君
      田中 武夫君    田原 春次君
      多賀谷真稔君    滝井 義高君
      楯 兼次郎君    只松 祐治君
      千葉 七郎君    辻原 弘市君
      戸叶 里子君    泊谷 裕夫君
      中井徳次郎君    中澤 茂一君
      中嶋 英夫君    中村 重光君
      永井勝次郎君    楢崎弥之助君
      成田 知巳君    西宮  弘君
      西村 関一君    野原  覺君
      野間千代三君    畑   和君
      華山 親義君    原   茂君
      日野 吉夫君    肥田 次郎君
      平岡忠次郎君    平林  剛君
      藤田 高敏君    穗積 七郎君
      細迫 兼光君    細谷 治嘉君
      前田榮之助君    松井  誠君
      松浦 定義君    松本 七郎君
      三木 喜夫君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森  義視君
      森本  靖君    八木 一男君
      八木  昇君    矢尾喜三郎君
      安井 吉典君    柳田 秀一君
      山内  広君    山口シヅエ君
      山口丈太郎君    山田 耻目君
      山中日露史君    山花 秀雄君
      山本 幸一君    湯山  勇君
      米内山義一郎君    横路 節雄君
      吉村 吉雄君    加藤  進君
      林  百郎君    志賀 義雄君
      田中織之進君
     ――――◇―――――
#50
○仮議長(原健三郎君) 衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案につき採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行ないます。本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。――閉鎖。
  〔議場閉鎖〕
#51
○仮議長(原健三郎君) 氏名点呼を命じます。
  〔参事氏名を点呼〕
  〔各員投票〕
#52
○仮議長(原健三郎君) 投票漏れはございませんか。――投票漏れはなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。――開鎖。
  〔議場開鎖〕
#53
○仮議長(原健三郎君) 投票を計算いたさせます。
  〔参事投票を計算〕
#54
○仮議長(原健三郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。
  〔専務総長報告〕
 投票総数 二百七十四
  可とする者(白票)         百一
  〔拍手〕
  否とする者(青票)       百七十三
  〔拍手〕
#55
○仮議長(原健三郎君) 右の結果、衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案は否決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
 山本幸一君外四名提出衆議院副議長田中伊三次君不信任決議案を可とする議員の氏名
      赤路 友藏君    茜ケ久保重光君
      有馬 輝武君    淡谷 悠藏君
      安宅 常彦君    井伊 誠一君
      井岡 大治君    井谷 正吉君
      井手 以誠君    伊藤よし子君
      石橋 政嗣君    稻村 隆一君
      卜部 政巳君    江田 三郎君
      大出  俊君    大柴 滋夫君
      大原  亨君    大村 邦夫君
      岡本 隆一君    加賀田 進君
      片島  港君    勝澤 芳雄君
      勝間田清一君    角屋堅次郎君
      金丸 徳重君    川俣 清音君
      川村 継義君    河野  正君
      久保田鶴松君    黒田 寿男君
      小林  進君    小松  幹君
      兒玉 末男君    佐藤觀次郎君
      佐野 憲治君    阪上安太郎君
      桜井 茂尚君    沢田 政治君
      重盛 壽治君    島上善五郎君
      島口重次郎君    下平 正一君
      東海林 稔君    鈴木茂三郎君
      田口 誠治君    田中 武夫君
      田原 春次君    多賀谷真稔君
      滝井 義高君    楯 兼次郎君
      只松 祐治君    千葉 七郎君
      辻原 弘市君    戸叶 里子君
      泊谷 裕夫君    中井徳次郎君
      中澤 茂一君    中嶋 英夫君
      中村 重光君    永井勝次郎君
      楢崎弥之助君    西宮  弘君
      野原  覺君    野間千代三君
      畑   和君    華山 親義君
      原   茂君    日野 吉夫君
      肥田 次郎君    平岡忠次郎君
      平林  剛君    藤田 高敏君
      穗積 七郎君    細迫 兼光君
      細谷 治嘉君    前田榮之助君
      松井  誠君    松浦 定義君
      三木 喜夫君    武藤 山治君
      村山 喜一君    森  義視君
      森本  靖君    八木 一男君
      八木  昇君    矢尾喜三郎君
      安井 吉典君    柳田 秀一君
      山内  広君    山田 耻目君
      山中日露史君    山花 秀雄君
      山本 幸一君    湯山  勇君
      米内山義一郎君    横路 節雄君
      吉村 吉雄君    加藤  進君
      林  百郎君    志賀 義雄君
      田中織之進君
 否とする議員の氏名
      逢澤  寛君    愛知 揆一君
      青木  正君    赤澤 正道君
      秋田 大助君    荒木萬壽夫君
      有田 喜一君    井出一太郎君
      井原 岸高君    伊東 隆治君
      伊能繁次郎君    岩動 道行君
      池田 清志君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君    植木庚子郎君
      内田 常雄君    内海 安吉君
      浦野 幸男君    江崎 真澄君
      遠藤 三郎君    小川 半次君
      小川 平二君    小沢 辰男君
      小澤佐重喜君    小渕 恵三君
      大石 八治君    大石 武一君
      大泉 寛三君    大倉 三郎君
      大竹 太郎君    大坪 保雄君
      大西 正男君    大野  明君
      大橋 武夫君    大平 正芳君
      加藤 高藏君    鍛冶 良作君
      海部 俊樹君    金子 一平君
      金子 岩三君    金丸  信君
      上林山榮吉君    神田  博君
      亀岡 高夫君    鴨田 宗一君
      仮谷 忠男君    川野 芳滿君
      木村 剛輔君    木村 武雄君
      木村武千代君    菊池 義郎君
      吉川 久衛君    久野 忠治君
      久保田円次君    鯨岡 兵輔君
      熊谷 義雄君    倉石 忠雄君
      倉成  正君    藏内 修治君
      小枝 一雄君    小金 義照君
      小島 徹三君    小平 久雄君
      小宮山重四郎君    小山 省二君
      河本 敏夫君    纐纈 彌三君
      佐々木秀世君    佐々木義武君
      佐藤 孝行君    齋藤 邦吉君
      坂田 道太君    坂村 吉正君
      笹山茂太郎君    四宮 久吉君
      志賀健次郎君    始関 伊平君
      重政 誠之君    澁谷 直藏君
      正示啓次郎君    白浜 仁吉君
      進藤 一馬君    周東 英雄君
      鈴木 善幸君    瀬戸山三男君
      關谷 勝利君    園田  直君
      田口長治郎君    田澤 吉郎君
      田中 榮一君    田中 角榮君
      田中 正巳君    田邉 國男君
      田村 良平君    高瀬  傳君
      高橋清一郎君    高橋 禎一君
      高見 三郎君    竹内 黎一君
      竹下  登君    竹山祐太郎君
      舘林三喜男君    谷垣 專一君
      地崎宇三郎君    中馬 辰猪君
      塚田  徹君    塚原 俊郎君
      辻  寛一君    坪川 信三君
      登坂重次郎君    徳安 實藏君
      内藤  隆君    中垣 國男君
      中野 四郎君    中村 梅吉君
      中村 幸八君    中村 寅太君
      中山 榮一君    永田 亮一君
      灘尾 弘吉君    二階堂 進君
      丹羽喬四郎君    丹羽 兵助君
      西村 英一君    西村 直己君
      根本龍太郎君    野原 正勝君
      野見山清造君    野呂 恭一君
      羽田武嗣郎君    橋本龍太郎君
      長谷川四郎君    長谷川 峻君
      八田 貞義君    服部 安司君
      濱田 幸雄君    濱野 清吾君
      原田  憲君    福井  勇君
      福田 繁芳君    福田  一君
      福永 健司君    藤井 勝志君
      藤枝 泉介君    藤本 孝雄君
      古川 丈吉君    細田 吉藏君
      堀内 一雄君    本名  武君
      前田 正男君    益谷 秀次君
      松浦周太郎君    松澤 雄藏君
      松田竹千代君    松山千惠子君
      三池  信君    水田三喜男君
      湊  徹郎君    南好  雄君
      村上  勇君    毛利 松平君
      粟山  秀君    森下 國雄君
      森下 元晴君    森田重次郎君
      八木 徹雄君    山手 滿男君
      山村新治郎君    吉田 重延君
      和爾俊二郎君    早稻田柳右エ門君
      渡辺美智雄君
     ――――◇―――――
#56
○仮議長(原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後六時四十五分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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