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#1
第049回国会 本会議 第3号
昭和四十年八月三日(火曜日)
   午前十時九分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  昭和四十年八月三日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第
  二日)
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第二日)、去る七月三十日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。秋山長造君。
   〔秋山長造君登壇、拍手〕
#5
○秋山長造君 私は日本社会党を代表して、佐藤総理外両大臣の演説に対し、若干の御質問をいたしたいと存じます。
 今日、内に不況の深刻化と生活不安の増大があり、外、ベトナム戦争の拡大と日韓問題が控え、内外の情勢はまことに重大であります。その上、参議院選挙に続く都議会選挙での与党自民党の惨敗は、今後の政局に深刻な波紋を投げ、政府はあわてて演説原稿を書き直さなければならなかったほどであります。(拍手)
 しからば、さきの内閣改造によって借り着を脱いで自前になったといわれる佐藤内閣は、この重大時局を前にして一体何をやろうとされるのか、日本をどこへ持っていこうとしておられるのか、総理の演説を聞いても一向にはっきりしないのであります。そこに、きれいごとの羅列はあるけれども、国民の真に知りたいことには何も答えておりません。具体的にこれだけのことは絶対やるぞという気魄も感じなければ、国民を引きつけるに足るビジョンもないことに、失望せざるを得ないのであります。
 そこで、まず第一にお尋ねしたいのは、さきの参議院選挙、続いて行なわれた東京都議会選挙についてであります。
 今回の参議院選挙は、佐藤内閣が初めて国民に信を問うべき全国的選挙であっただけに、与党自民党が総理の期待に反して意外にふるわず、それだけ社会党はじめ野党が進出したことは、まことに重大であります。特に、東京地方区において自民党が全滅し、香川県をはじめ幾つかの一人区で社会党に敗れたこと、さらに、注目の都議会選挙で、社会党はじめ野党各派の躍進とは逆に、自民党が三分の一を割って惨敗したことは、きわめてショッキングなできごとであります。テレビに大写しされた佐藤総理の渋面を見るまでもなく、政府自民党の内政外交の失敗と、汚職腐敗政治に対する国民のきびしい批判のあらわれとして、深く反省し、えりを正して出直さるべきものと思いますが、総理の率直な御所見を承りたい。(拍手)
 第二は、政治の腐敗についてであります。
 佐藤内閣発足以来、吹原産業、九頭龍ダム、国有財産不正払い下げ、東京都議会等々、政界、官界、財界にまたがる腐敗事件が続発して、国民のひんしゅくを買っておることは、御承知のとおりであります。特に、東京都議会は実に十七名にのぼる自民党議員がじゅずつなぎに逮捕された前代未聞の不祥事件であって、ごうごうたる世論の非難の前に、ついに解散、総選挙をやらなければならなかったのであります。しかも、私の最も遺憾に存じますのは、総辞職解散ということで、自民党自体の責任が時の経過とともにぼやけるのをよいことにして、事件当事者はもちろんのこと、自民党総裁としての佐藤総理の、都民に対し、国民に対する率直な陳謝のことば、反省のことばが全然聞けなかったことであります。都議会選挙の惨敗は、こういう国民をなめた、ずうずうしい態度に対する都民の痛烈な批判でもあると思いますが、この機会にあらためて総理の御所見を伺いたい。
 しかも、これらの腐敗事件は、いわば氷山の一角にすぎません。いまや自民党と財界の結託、高級官僚と業者のくされ縁は公然の事実ではありませんか。多年にわたる自民党政権のもと、金力と権力をめぐる腐敗の根はあまりにも広く深いものがあります。佐藤総理は、さきの参議院選挙の第一声でも、また今回の所信表明演説でも、特に「清潔な責任政治の確立」を強調されましたが、問題はことばでなくて実行であります。総理はいかなる決意と方法をもってそれをやろうとされるのか、承りたい。特に、失礼ながら、佐藤総理自身、十年前の造船疑獄、指揮権発動の最も重要な当事者であったことを記憶するわれわれ国民としては、総理自身まずこの歴史的事実に対する謙虚な反省から出発されることを衷心より願ってやまないものでありますが、率直な御心境を伺っておきたい。
 第三は、今日の生活不安と経済危機についてであります。
 総理は、物価の安定こそ政府の最重点施策であることをしばしば強調してこられましたが、物価は安定どころかウナギ登りに値上がりを続け、家計をあずかる主婦は、ため息のつき通しであります。昨年来、消費者米価、水道、電気、ガス、バス料金、医療費等の公共料金が次々に値上げされ、国民健康保険税や健保掛け金もまた何割か上がりました。かせぐに追いつく貧乏なしといいますが、かせぐよりも物価のほらがはるかに早く追い越していきます。あえて計数的なことは言わずとも、これが国民大多数の理屈抜きの実感ではないでしょうか。そればかりではありません。青少年たちは、テスト、テストで追い立てられ、落ちついてものを考える教育環境は失われつつあります。どこかの道路や港や工場や炭鉱では、毎日のように事故や災害で多くの生命と健康がそこなわれております。三池や夕張や山野炭鉱のように、一挙に何百人という労働者の命を奪う大事故も、一向にあとを断たない状態ではありませんか。佐藤総理は、組閣以来、人間尊重、社会開発をキャッチフレーズにしてこられたが、その実際は、人間尊重の名において人命を軽視し、社会開発の名のもとに社会保障を後退させているではありませんか。さらに、農村はますます食えなくなって、出かせぎ農家が激増し、田畑を守るのは老人と主婦だけで、青年の姿はまことにりょうりょうたるありさまであります。その上、ことしの異常天候でありますから、天明以来の大凶作などといわれるように、この秋の農村のみじめな姿がいまから目に見えるようであります。政府はこれにどう対処されるおつもりなのか、伺いたい。また、政府が少々金融をゆるめても、潤おうのは大企業ばかりで、肝心の中小企業はばたばた切り捨てられていきます。多くの国民は、何とか生きていくことに精一ぱいで、政治への不信感と虚無感がみなぎっております。かつての米騒動はこういう情勢の中で起こったことを、佐藤総理は厳粛に思い起こしていただきたい。
 そもそも、佐藤内閣は、昨秋発足早々、中期経済計画を発表し、所得倍増計画の第二ラウンドとして、ひずみの是正を旗じるしに、経済を鎮静させ、高度成長から安定成長に持っていくのだ、景気は春先から漸次回復に向かうだろうと吹聴してきたはずであります。しかるに、政府の見通しは完全にはずれ、不況の一そうの深刻化にあわてた政府は、当面の参議院選挙、都議会選挙、本臨時国会を意識しながら、財界の意を迎えるため、にわかに公定歩合の再々引き下げ、預金準備率の引き下げなどの金融措置をとるとともに、財政面でも、財政支出の繰り上げ、予算の一割留保の解除、財政投融資の増額、政府保証債の増発、そして公債発行のインフレ政策にまで突き進もうとしているのであります。総理、大蔵、経済企画庁三大臣に伺いますが、一体、かかる一連の景気刺激政策と安定成長とどういう関係になるのか、安定成長の一枚看板はもうおろされたのか。近くさらに公定歩合の第四次引き下げが行なわれるやに聞きますが、事実かどうか。また、戦後二十年近く堅持してきた健全均衡財政のたてまえはもう捨てたのかどらか。あまりにも混迷と矛盾に満ちた経済政策と思いますが、あらためて政府の確固たる景気の見通しと基本方針を承りたいと存じます。
 元来、不況の原因が高度成長政策による過剰出資、過剰生産にあり、一方では鉄鋼操短に見られるごとく、大企業がきそって操短や不況カルテルをやっているさなかで、このような一律的、総花的刺激政策をとることは、資金をますます大企業に集中して、日本経済の構造的な矛盾とひずみをいっそう拡大再生産するだけの結果に終わるのではありませんか。むしろ今日の急務は、何よりもまず物価を押えて、国民生活の安定と向上をはかるとともに、真に援助を必要としている中小零細企業や農業に対して、重点的に財政金融措置を講ずることでなければならないと思いますが、政府の見解いかん。
 公債発行の問題についても、その条件、時期、目的、規模、財政法との関係などについて、政府の確たる方針を国民の前に明らかにしていただきたい。総理、大蔵、経企三大臣の御答弁を求めます。
 また、この際はっきりしていただきたいのは、例の山一証券問題であります。一体、山一の負債はどれだけなのか。いかなる原因でできた赤字なのか。経営の責任はどうするのか。特別融資額は現在までに幾らになるのか。回収の時期と方法はどうか。また、回収不能の場合はどうするのか、明確にしていただきたいと思います。本問題が起こるや、大蔵省と日銀はその対策に血眼となり、無担保、無制限の特別融資を決定して、不況にあえぐ国民を驚きあきれさせたのであります。一証券会社にすらこれだけ至れり尽くせりの手当てをする政府が、二十万円、三十万円の資金繰りにも事欠いている中小企業や農民に対しては、一体何をしてくれたのか。せめて百万円程度までの小口資金については、無担保、無保証で特別融資を行ならぐらいの英断を示したらどうか。そうでもしなければ、国民を犠牲にした大資本、大企業本位の経済政策と非難されても、しかたがないではありませんか。また、他の証券会社にも次々に同じ援助をするつもりなのか。さらに証券業界は、いまのような乱脈な状態でほうっておいてよいのかどうか。何らかの規制を加える必要があるのではないかと思うが、大蔵大臣の御所見をお示しいただきたい。
 露骨な不公平は税金も同様であります。森脇某の八十八億円にのぼる大脱税が検察庁の捜査で初めて明るみに出たことは、一体どういうことなのか。大蔵省は、そのあと始末をどうつけるつもりか。一銭一厘の所得ものがさず課税される勤労大衆は、これをどう受け取ったらよいのか。弱い者いじめの税制と非難されても、返すことばがないではありませんか。かりに、この八十八億円を教育費に使うとすれば、全国の欠食児童に十年間給食をして、まだおつりが出るはずであります。また、身体障害児や精薄児のりっぱな収容施設の二十や三十はすぐつくれるはずであります。とにかく、単なる税務当局の手落ちといった問題以上に、行政の乱れ、政治の退廃の問題として、政府はかかる大口脱税の横行に抜本的な対策を講ずる責任があると思いますが、総理並びに大蔵大臣の御見解いかん。
 さらに、政府は本年度、資本蓄積を理由に、配当分離課税を強行し、百人十二万円までの配当所得を免税にしたのであります。国民が額に汗してかせいだわずかな収入にも税金をかけながら、不労所得ともいうべき配当所得に限って無税とは、あまりにも国民をばかにしたやり方ではありませんか。これで国民に納税意欲を持てと言われても、持ちようがないではありませんか。租税特別措置法により大企業に与えられている特典、すなわち国税、地方税合わせて三千億円にものぼる減免税とともに、この際思い切って再検討されるお考えはありませんか。そして、この際、まず勤労所租税を少なくとも八十万円程度までは免税にして、租税負担をもっと公平にすべきではありませんか。これに手を触れずして、さらに大幅の企業減税を行ならため公債発行に踏み切ろうとする政府の態度は、本末転倒と言わなければなりません。(拍手)これらの諸点について、総理、大蔵両大臣のお考えを明らかにしていただきたい。
 次は、問題の物価対策であります。
 佐藤内閣になってから、消費者米価と医療費、米代と医者代という、まさに国民の命にかかわる値上げが行なわれ、続いて各種の公共料金がせきを切ったように値上げされました。さらに、近く国鉄、私鉄運賃や郵便料金の値上げ、また消費者米価の再引き上げが予定されているようでありますが、政府に真に物価問題と取り組む誠意があるならば、何をおいてもまず公共料金をきっぱりと押えるべきではありませんか。一体、国鉄運賃はどうするのか、郵便料金はどうか、消費者米価は上げるのかどらか。ややこしい言いわけは要りません。イエスかノーか、総理大臣、大蔵大臣、経企長官、はっきり国民の前に答えていただきたいと存じます。
 第二は、独占価格、管理価格のたぐいが横行し、大企業が不当な価格を消費者に押しつけている事実を政府はどう考えているのか。元来、これらの行為は独占禁止法の厳に禁ずるところであったはずであります。それを、歴代自民党内閣が、財界の突き上げに屈して、なしくずしに骨抜きにしてきたのであります。政府に真に物価問題解決の熱意があるならば、この際、万難を排して独占禁止法を再強化するとともに、公正取引委員会に真の消費者代表を入れて実質的な権限を持たせ、大企業の横暴を強く規制すべきだと思いますが、佐藤総理にその勇気ありやいなや。
 その第三点は、生鮮食料品の値上がりと流通機構の問題であります。ネギ一本何円、大根一本何十円というようなばか値は一体どこから来るのでしょうか。それは農家が暴利をむさぼっているのでもなければ、八百屋がぼろもうけしているためでもありません。要するに、生産者から消費者に至る中間手数があまりに複雑過ぎるからであります。すみやかに中央卸売り市場や公設市場を整備拡充するとともに、流通機構を思い切って簡素化しなければなりません。また、生産者たる農家には、計画生産、計画出荷を励行する必要があります。かくして初めて、生産者には安定した所得を保障し、消費者には割り安な野菜を豊富に供給することができると思いますが、政府の根本対策いかん。
 その第四点は地価対策であります。地価の暴騰こそ物価値上がりの最たるものであり、大都市の膨張、過密化や、地域開発ブームがこれに拍車して、とどまるところを知らない状態であります。道路一本つけるにも、住宅二戸建てるにも、たちまち地価問題の壁にぶつかって、にっちもさっちもいかないことは御承知のとおであります。いまや地価問題こそ日本経済最大の阻害要因であり、政府の断固たる決意と強力な手をもってする以外に解決の見込みのない難問題でありますが、これに対する抜本策いかん。
 以上四点は、いわば物価問題のキーポイントであり、これを避けて通ろうとする政府の物価政策が一向に効果をあげ得ないのは当然であります。ここに重ねて佐藤総理の勇断を期待するとともに、その御見解と御決意のほどを伺いたいと存じます。あわせて経企長官、大蔵大臣、農林大臣の御答弁をも承りたい。
 なお、年間六十万トンの米不足は、国民生活を別の面から大きく脅かしておりますが、政府はこの端境期を乗り切る準備と自信があるのかどうか。食糧自給体制確立の急務を、声を大にして強調したいと思いますが、農林大臣の御見解を伺いたい。
 さて第四は、ベトナム問題であります。ベトナムでは、平和を願う国際世論をよそに、毒ガスや、ナパーム弾まで使っての残虐きわまるどろ沼戦争が続けられております。米軍は核戦争の危険をおかして連日北爆を行ない、戦火はすでに中国国境近くまで迫り、隣のラオスにも広がろうとしているのであります。そして、ベトナム向けの武器弾薬を運ぶLST船が日本船員によって運航されていることも、B52戦略爆撃機の渡洋爆撃にも見られるとおり、米軍が沖繩を中心とした日本の基地から出動していることも、いまや公然の事実であります。アジアの全面戦争を待たずとも、日本はすでに、ずるずると、ベトナム戦争に巻き込まれているではありませんか。この危険を憂うるがゆえに、われわれは、佐藤総理がすみやかに戦争の平和解決のため積極的行動を起こされるよう、再三慫慂してきたのであります。しかるに、今日まで、平和に徹するとか何とか、口先ではともかく、何ら具体的行動の事実を認められず、さきの第四回日米貿易経済合同委員会でも、いたずらにアメリカ側の一方的な方針の説明を拝聴しただけで、何ら日本側からの積極的発言もなく、逆に、ジョンソン大統領の東南アジア十億ドル援助構想の片棒をかつがされただけに終わったことは、はなはだ遺憾であります。椎名外相の東南アジア閣僚会議の構想も、いたずらに南ベトナム支援態勢を固めるだけの結果に終わり、アジアの緊張緩和には役立たないと思いますが、どうでしょうか。
 今日、戦火の拡大を憂慮する世界の各国は、それぞれに平和解決の糸口を探し求めて、何らかの行動に出つつある実情でありますが、アジアの先進国として、また世界の大国として、わが国の果たすべき役割りこそ重大かつ貴重であります。それは日本政府がアメリカに対し、日本基地の使用を断わるとともに、北爆と戦争行動を直ちに停止して話し合いに入るよう、率直に勧告することであります。一度といわず、二度でも三度でも、情理を尽くして勧告することであります。国民大多数もそれを心から望んでおりますし、現に、佐藤総理の師事される吉田元首相でさえ、先日のテレビ対談で、「ベトナムはアメリカが一番困っている問題である。アメリカのベトナム政策、アジア政策は研究不足で、独断が過ぎて、善意の悪政に陥っている。政府はすみやかに収拾策を立てて、アメリカへ率直に忠告してやるべきではないか。これはアメリカの友邦として、また、アジアの先進国として当然の義務である」云々と語っておられるではありませんか。そして、同時に、三木通産相の進言を待つまでもなく、イギリス、フランス、カナダ、ソ連、中国、その他AA、非同盟関係諸国等にも積極的に働きかけて、平和解決の機運を盛り上げるよう、あらゆる外交的行動をとるべきであります。案は、これら諸国もそれを強く期待しているのではないでしょうか。自主外交を強調される佐藤総理が、いまこそそれを実行に移される絶好のチャンスと信じますが、ここにあらためて総理の御見解と御決意を伺いたいと思います。
 第五にお尋ねしたいのは、日韓条約についてであります。参議院選挙さなかの去る六月二十二日、日韓条約の正式調印が行なわれ、政府は、「日韓新時代始まる」、「佐藤外交の勝利」と、手放しの自画自賛をやっているのであります。しかし、当日の日韓両国民の表情はどうだったでしょうか。この日、調印式場に当てられた首相官邸には、重苦しいつゆ空のもと、警視庁機動隊員四百人にのぼるものものしい警戒陣がしかれ、海の向こうのソウルでは、調印に反対する一万二千人の学生デモ隊が、軍隊や警官隊と凄惨な衝突を繰り広げたことは、本条約の暗い運命を象徴するできごとと言わなければなりません。政府は、なぜ参議院選挙のきなか、国民の目を盗むかのごとく、竹島の帰属を初め、多くの問題を残し、不当な数々の譲歩をあえてしてまで、交渉の妥結をなぜ急いだのか。国民の批判をおそれたのか、それとも国際的圧力でもあったのではないか、総理、外務両大臣、この点を明確にしていただきたい。
 さらに不可解なのは、朴政権が深刻な経済危機と社会不安にゆるぎながら、あえてベトナムに派兵し、それをさらに二千人から二万人に増派しようとしていることであります。このような時期に急いで調印を行ない、八億ドルにものぼる国民の血税を韓国につぎ込むことは、崩壊に瀕した朴軍事政権にテコ入れして、韓国とともに、実質的にベトナム戦争の片棒をかつぐ結果をもたらすことは、自明の理でありましょう。現に韓国国会において、本条約批准案がベトナム派兵案と同時上程されたことは、まことに象徴的ではありませんか。さらに、本質的に最も重大なことは、本条約が朝鮮民衆の南北平和統一の悲願を踏みにじり、南北の対立を決定的にするばかりでなく、日本が朴政権と組んで北朝鮮と敵対する態勢に踏み切ることを意味する点であります。現に東京駐在の金大使は、六月十八日、内外情勢調査会での演説で、本条約が実質的に反共防衛条約であることを強調し、李外相も、六月二十四日、ソウルに帰っての記者会見で、「佐藤首相とアジア集団安全保障について話し合った」と言明しているではありませんか。総理は何を話し合われたのか、明らかにしていただきたい。これを自衛隊の三矢作戦計画や原子力潜水艦の相次ぐ寄港等と考え合わせるとき、本条約のはらむ危険性はまことに重大であります。いま韓国の批准国会は、戒厳令下にもひとしい緊迫した空気の中で、野党の激しい抵抗にあって、一たん打ち切りとなり、冷却期間を置いて再招集をしなければならなかったような状態ではありませんか。きょうは人の身、あすはわが身にならないと、だれが保証できましょうか。(拍手)政府は、この際、率直に批准をたな上げにして出直すべきであります。もし、是が非でも批准国会を開くというなら、その前に、まず衆議院を解散して、信を国民に問うべきではありませんか。総理の明快な御答弁をいただきたい。
 なお、総理は近く沖繩を訪問し、民生の安定と向上に資したいと言われるが、その具体案を用意されているのかどらか。B52問題が深刻な不安衝撃を与えているが、これを黙認するかのごとき政府の態度で、はたして沖繩同胞の期待にこたえ得るでしょうか。単なる儀礼的訪問では済まないと思うが、本問題をはじめ、自治権拡大、施政権返還等の基本問題にどら対処されるおつもりなのか、明らかにしていただきたい。
 また、日中貿易に関連して、三木通産相は、昨日の衆議院商工委員会で、「吉田書簡は個人の書簡であって、政府はこれに拘束されるものではない」と言明されましたが、これが政府の最終確定的な見解と受け取ってよいかどうか、総理の明快なるお答えをいただきたい。
 最後に、先般、河野一郎氏が急逝されましたが、これを客観的に見れば、佐藤総理の最大のライバルであった河野氏の死によって、自民党内の最も有力な佐藤批判勢力が消えたわけであります。識者は早くも、佐藤政治が安易に流れて沈滞し、「何もしない佐藤内閣」ということになるのではないか、あるいはまた、逆に自信過剰の高姿勢に転じて、治安立法等、露骨な反動化の道を突っ走るのではないかと憂えているのでありますが、この点について、佐藤総理の率直な御心境をお伺いいたしまして、私の代表質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 まず第一は、前回の参議院選挙並びに都議会議員選挙についての御批判であります。私は所信表明で申しましたように、前回の参議院選挙におきましては、前回――この前です。わが自由民主党がとりました議席より以上のものをとっております。したがいまして、今回の選挙は、あの所信表明に申したとおり、国民多数の支持を得ておる、かように私は考えております。依然として政権を担当する決意でございます。しかしながら、ただいま御指摘になりましたように、首都東京都、あるいはまたその他の県等におきまして、わが党が敗れましたことは、まことに遺憾に存じます。さらにその後引き続いて行なわれた東京都会の選挙におきましては、まことに、第一党でありました自由民主党が社会党にその地位を譲った、これはとりもなおさず、国民の厳正なる批判が下ったものだと、私もかように思います。この意味におきまして、私どもも、えりを正してこの批判を聞きたい。そうして今後はこの期待にこたえるように、一そう決意を新たにして、その負託にこたえ、また期待にこたえるという決意でございます。申すまでもなく、この都議会の選挙は、都議会の腐敗についての国民の批判であったと思います。しかし、これが私どもの政治と直接関係がないと、かように私は申すのではございません。大いにその点はあるだろうと思います。したがいまして、今後私どもが、ひとり国政といわず、都政につきましても、一そうこの批判にこたえるように、最善を尽くしてまいる決意であるということを申した次第であります。
 また、高級公務員の立候補制限等についてお話がございましたが、これはいままでもしばしばそういう点が問題になるのであります。しかし、基本的に憲法上の問題もあるようですし、また、どういうような制限をすべきかというようなことも検討しなければならないと思います。今日まで結論が出ておらないのであります。しかしながら、公務員が立候補するということでなしに、公の機関が選挙に利用される、これはどこまでも私どもが監視していかなければならないことだと思います。私は、ひとり公の機関が利用されるというばかりでなく、選挙こそはほんとうに清く正しい選挙が行なわれなければ、民主政治、議会政治の真の成果をあげることはできない、かように思いますので、今後とも、この選挙につきましては一そう厳正な処置をとってまいりたいと思います。私は、ひとりただいま申し上げるような買収供応というようなことばかりではございません。法規がどこまでも厳正に守られる保障その他につきましても、法規が十分守られるということでないと、選挙はどうしても乱れがちだ。これはただいま申しましたような民主政治を守る意味からも大事なことだ、かように私は思います。なおまた、私が所信表明におきまして、清潔な政治をお約束いたしましたことはすでに御承知のとおりでありますので、今後、私の政治実行におきまして、そういう点についても十分御監視を願いたいと思います。
 次に、経済問題についてお尋ねがございましたが、農村における労働力不足、これは御指摘のとおりであります。私どもは、農業基本法の趣旨に基づきましていわゆる農業の強化をはかっております。ひとり農業と申すものばかりではございません。中小企業等におきましても、いわゆる生産性の低い工業におきましては、出産性を向上するようにあらゆる面において努力をしてまいりたいと、かように考えます。もちろん、ただいま申すようなこの処置をとりますと同時に、政府といたしましては、労働力の適正配置、あるいは社会保障の充実等を通じまして、国民化活の確保にこの上とも努力してまいるつもりであります。(「質問と違うじゃないか」と呼ぶ者あり)
 次は物価対策についてであります。物価対策につきましては種々の御意見が出ておりましたが、いままでお答えいたしておりますように、物価対策をわが党内閣の重要な問題だといたしまして、これと取り組んでおります。昨日も、この物価対策についての詳細な具体案を経済政策会議において決定したばかりでございますから、これまた御了承をいただきたいと思います。今日の経済下におきまして私どもがとっておりますものが、いわゆる長期対策と、あるいは現状の経済に対する対策と、この二通りに分けて、ものごとを考えていただきたいと思うのであります。いわゆる長期対策といたしましては、安定成長へこれを乗せていく、こういう意味で、過去におきましても、しばしば申しましたように、いましばらくの時間をかしていただきたいということを申しております。しかし、この考え方で経済を見ておりますると、経済自身が、現状におきまして過度の萎縮状況を呈しておる。これは、私は、経済自身が持っておる力とは別に、萎縮状況を示しておる。したがいまして、この萎縮状況に対しては、対応策として、今日何らかの処置をとる必要があるだろう、かように考えまして、去る七月二十七日に、これに対する対策を決定しました。財政投融資の計画を拡充していく、あるいは予算、財政投融資等も早目にこれを使用していく、あるいは中小企業に対しまする政府三機関の金利を下げるとか等々の処置をとってみたのであります。これがいかにも長期計画と矛盾しておるかのような言い方で御非難がありましたが、しかし、これは秋山君も何らかの誤解ではないかと思います。長期計画の一つのビジョンはビジョンとして持つ、しかしながら、今日の現状に対する対策が、これがおろそかにされてはならないのでありまして、十分御了承をいただきたいと思います。(「原稿を見ないで答えろ」と呼ぶ者あり)たいへん質問が多岐にわたっておりますので、原稿を見ないとわかりません。
 次に、公債問題についてのお尋ねがございましたが、公債の問題につきましては、詳細を大蔵大臣から説明させますが、私は来年度等におきましては、本格的な公債発行等についても考えざるを得ないのではないか、かように私は思っております。そういう際には、インフレや物価の高騰等について、十分その危険があるかないかよく見きわめて、この公債発行問題と取り組むことは、御指摘のとおり最も大事な点だと、かように思います。
 次に、山一証券の問題でありますが、山一証券の問題は、申すまでもなく証券市場の不安動揺の拡大を防止していく、そうして信用制度全般の維持をするという経済全体の対応策であります。一山一という一企業体の救済ということを、私どもはねらったのではございません。これは証券市場が持ちますその意義等から見まして、かような動揺を防ぐこと、そういう処置は当然であります。これは日銀法でもそういう規定をしておるのでございます。したがって、山一が――一企業に対する対策ではございませんが、ただいまのような御批判がしばしば出ております。中小企業に対する一会社の倒産について、十分政府はめんどう見てないじゃないかというお話がございますが、中小企業の全般といたしまして、いわゆる資金量をふやしていく、また資金の利子を安くしていくということは、それぞれのその時期におきまして、十分検討を続けて対策を立てておるのであります。今回の政府三機関の金利を三厘下げていく、この画期的な処置をとりましたのも、ただいま申し上げるような中小企業の金融をもっと円滑にしていく、こういう意味で私どもはとった処置であります。
 森脇脱税の問題につきまして、たいへん御批判がございました。私は森脇脱税というものの内容はよく知りませんが、いずれ大蔵省から説明されるだろうと思います。私は非常にこの問題で心配をいたしますのは、ただいまのように八十八億がどういう方面に使われればこれだけの効果があがる、こういうふうな御指摘もさることでありますが、国民の持つ納税に対する国民意識という点、それに非常な悪影響を与えるのではないか、かように思いまして、これこそたいへん大事な問題だから、一そうこの点を明らかにして、そうして今後とも信をつなぐような処置をとりたい、かように思うのであります。
 次に、租税が不公平だという批判がございまして、いわゆる配当分離課税であるとか、租税特別措置であるとか、企業減税等につきましても考慮しろと、こういうお話ですが、ただいま言われておるいわゆる租税特別措置というものは、昨日の衆議院本会議でも説明いたしましたように、今日やっておりますのは、あるいは貯蓄奨励であるとか、あるいは設備の近代化であるとか、あるいは中小企業のためのものであるとか、こういうような特別なものでありまして、いま直ちにこれらを廃止する、あるいはやめてしまうというような考え方には、どうしてもなれません。しかしながら、在来からも、この特別措置が不均衡ではないか、あるいは不公平ではないかというような御批判がありますので、そのつどそれぞれのものについては、所要の改正を行なってきたのでありますから、十分検討をしてみるつもりではございますけれども、全面的にこれをやめろ、かような説には、私は賛成するわけにはまいりません。また、いずれこの租税につきまして、税制につきましては、税制審議会等におきましても十分検討をされるのでありますから、その結論が出た上で、これに対する対策を立てたい、かように思います。
 物価対策のうちで、特に公共料金の問題について言及されました。鉄道、郵便、消費者米価等を一体どうするか、端的に説明しろということでありますが、この物価問題、公共料金、これは申すまでもなく、国民の日常化活に非常な影響がある問題であります。最も力を入れる問題でなければなりません。こういう意味でございますが、公共料金といえども、その収益を無視するわけにはいきません。またコストもかかることでありましょう。あらゆる面におきまして公共料金を上げるということはできるだけ避けなければならないが、経営の合理化もした、あらゆるくふうもした、しかもどうしても立っていけない、こういうようなものがあるならば、これはその際にとくと相談しなければならない。政府は、ただいま言われるように、これは全面的に公共料金をストップしろ、こういう簡単な御議論には賛成はできません。したがいまして、しばしば申し上げておりますように、十分経営の合理化等もくふうし、あらゆるくふうをしてみて、しかもどうしてもやっていけない、こういう場合においては、ケース・バイ・ケースできめていこう、かようなお話をしておるわけであります。ただいまお尋ねになりました、鉄道、郵便、消費者米価、そのいずれもが、ただいま申し上げるような非常にむずかしい問題にぶつかっておる。しかし、私どもは、国民の実生活に影響するところが非常に大きい、あらゆるくふうをして、できるだけこれを押えて、上げないようにいたしたい、かように考えますし、またどうしても上げなきゃならないというような場合においても、できるだけそれを小幅にするように努力はいたしますが、ただいまこの際に、はっきりこれらのものをいかにするかということは、まだ十分に見当がついておりませんので、申し上げるわけにはいきません。
 次に、独占禁止法の改正を考慮するかどうかということでありますが、ただいまは改正する考えは持っておりません。
 生鮮食料品等、野菜の値上がりの抑制等についても、流通機構の改正等については、昨日きめたばかりでありますから、その発表したところでよく御了解いただきたいと思います。
 物価対策のうちの一つの柱である地価対策、土地の問題につきましては、ただいま建設大臣もいろいろくふうしておる次第でありまして、御指摘のとおり、この地価問題が物価対策の一つの柱である、かように私も考えておりますので、十分政府としては、真剣に取り組んでまいるつもりであります。
 次は、ベトナムの問題でありますが、ベトナムの問題につきましては、私は所信表明で政府の態度をはっきり申しましたので、またそれも非常に簡単でございますから、よく御理解いただけたのじゃないか。私どもはあらゆる場合に戦争というものは避けなければならない、話し合いによってそういう事態を解決すべきじゃないか、またその気持ちになれば必ずそれができるのだ、これが私どものわが国づくりの基本でもあります。そういう意味で、戦争についてはこれを絶対避けるという意味で、話し合いのチャンスをつかみなさいということを実は申し上げておるのであります。これより以上のことが今日あるのかどうか。あるいは、ただいま御指摘のとおり、アメリカが北爆をしたから悪いのだ、片一方から申せば、それは北越から南に対してゲリラで浸透したから悪いのだということを申しておりますが、かような点は、いかようにでもそれぞれの立場に立てば議論が立つことでありましょう。しかし、これは私どもちょうど、原子爆弾について、理由のいかんを問わず原子兵器は持たない、この日本の考え方と同じように、今日は理由のいかんを問わず平和に徹するのだ、この考え方にぜひとも賛成をしていただきたいと思います。そういう意味で、この点で私どもに同調できる国があるならば、それらと協力もし、そうして、そういうところと話し合ってもいきたい、いわゆる国際世論をつくっていきたい、かように思っております。幸いにして、あるいはイギリス関係であるとか、インドであるとか、パキスタンであるとか、その他の国々も、この考え方に同調するところはだんだん多くなってくるのじゃないか、私はかように思っておるのでありますが、わが政府のこの所信の正しきことをこれによっても証明できるのではないかと思いますので、国民の皆さま方も、今日の日本の憲法のもとにおいては、日本が絶対に戦争に巻き込まれるとか、戦争をするとか、こういうことはない。私は、はっきり申し上げますが、佐藤内閣が続く限りにおいて、わが国を戦争に巻き込ませることは絶対にいたしません。これだけは、はっきり申し上げます。(拍手)この点は、新しい憲法もそのことを私どもに命じておりますし、この信念のもとに、この問題に取り組んでいきたいと思います。社会党の諸君や一部の方々が非常に心配しておられる、戦争に巻き込まれるのだということをいろいろ言われますが、一体、どういう戦争を想定してさような御心配をなさるのでありますか、私はそれを聞きたい。言われることは、おそらく米中戦争だと思います。また、その米中戦争がさらに拡大して、世界戦争への危険だと、かように言われるんだと私は思います。しかし、今日、さような事態が起こるでしょうか。これは真剣に考えてみまして、中共もアメリカも、同じように平和愛好国であります。ソ連もまた同様であります。戦争は避けるということ、あらゆる機会にそのことを申しておるのであります。私は、かような意味合いにおいて、大国民である日本国民は、アジアに戦争が起こる、あるいは世界戦争の三たび目がこの際に始まるとか、かような心配をなさること自身が、大国民たるの態度ではない、かように思うのであります。この点は十分考えていただきたいと思います。
 次は、私が沖繩を訪問することにつきましてのお尋ねがございました。沖繩は、御承知のように、サンフランシスコ条約によって施政権がアメリカに与えられております。今日、沖繩住民も、また、われわれ九千万国民も、これが一緒になること、沖繩の住民が祖国復帰を念願し、また、九千万国民は、一日も早くその日の来ることを念願しております。私も総理といたしまして、これを基本的にその構想のうちにちゃんと置いて、そうして沖繩に参るのであります。沖繩住民の方々の非常な苦労に対しまして、総理といたしまして私は幾ぶんかでも慰めができるなら、これにこしたことはない、かように私は考えるのであります。(拍手)そうして、今日の状態におきましても、総理として何が一体できるのか、こういう点について十分考えをまとめて行きたいと思います。あるいは文教において、あるいは厚生施設等において、なお私どもが地方の自治体と同じように沖繩を取り扱っていくような、その基本的構想において、沖繩問題と取り組んでまいるつもりであります。私は、いずれにいたしましても、二十年の長きにわたって、そうして外国の施政下にあるこれらの住民に対しても、心からの同情を持ちまして、この問題と真剣に取り組んでまいるつもりであります。
 日韓問題についてお尋ねがありました。日韓問題は、御承知のように、正式調印ができまして、今度は批准国会を待つばかりであります。いずれ批准国会を開きまして、そうして皆さまの御審議を願う予定でございます。この事柄は、十四年も続きました日韓交渉から見まして、たいへんな私はいいことをした、かように思いますが、この批准国会はなかなかむずかしい問題でありますし、社会党の諸君は、ただいまのお話にもありましたように、参議院選挙のさなかに、どうしてこういうものを調印をしたのだ、かようなおしかりを受けますが、しかし、こういう事柄は、あっさりそのままごらんになったらいかがですか。同じとき、たまたま参議院選挙があったのだ、そういう意味で時期が重なった、かようにお考えになるわけにはいかないのですか。日本国民としてそのくらいの正しい見方をひとつしていただきたい、かように私は思います。そうして、これが軍事同盟条約であるとか、あるいはNEATOと関係がある、かようなことは絶対にございません。これこそは、いまの憲法が禁止しておることでありますし、外国に対しまして私どもが派兵などするような考えは、もちろん持っておりません。皆さん方も平和憲法を守れと強く要望されておりますので、この点は御心配なく――平和憲法を私どもが守っておるということに徹していただきたいと思います。
 そうして、この批准国会をする前に、衆議院を解散して、信を問うたらどうかというお話もありますが、ただいまさような考え方はいたしておりません。解散をするような考え方はいたしておりません。
 また、これはつけ加えてお話になりましたが、吉田書簡をどういうふうに考えるか。三木通産大臣の発言など引用されたのでありますが、私もこの点につきましては、昨日衆議院の本会議で申しましたように、吉田書簡は私信であるということをはっきり申しました。私信でありますから、おそらく三木通産大臣も、私信に拘束されるというような考えはないという意味のことをお話になったのだろうと思います。従来から私どもが説明しておりますとおりの考え方でございます。
 また、私の政治の行き方について、盟友河野君がなくなったから、今度はどうなるのだというようなお話がいろいろ出ておりますが、これらの点につきましては、私の今後の政治のあり方をごらん願って、その上で御批判を願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(福田赳夫君) まず第一は、不況の問題でありまするが、私は今日のこの不況は、非常に根が深い。まあ簡単に妙薬があるかのごとく考えられる人がありますが、これはあらゆる手を総合的に尽くして、初めて克服し得る問題だと、かように観念いたしておりまして、この二カ月間、金融の緩和、また財政支出の繰り上げ、あるいは財政投融資の追加等の措置をやってまいったのであります。これら一連の措置によりまして、私は経済界に実需を相当喚起する効果がある、かように見ております。ことに、最近きめました財政投融資二千百億円は、これはもう経済界に密着する費用であります。しかも、私どもはこれで土地買収をしないで物を買う。こういうことでありまして、すべてがこれは物に密着する。まあわが国の国民総生産約二十七兆円という規模に対しまして、景気の浮揚に決定的な影響力を持つ、かように確信をしております。
 これらの一連の措置は、安定成長路線と矛盾するのではないか、あるいは安定成長路線を放棄するのではないか、こういうようなお話でありますが、私は財政方針表明におきまして申し上げたとおり、政府はいま二つの問題に取り組んでいる。当面の問題はそれであります。それからもう一つの問題は、当面の問題を解決した後における長期路線の問題である。当面の問題を順調に解決いたしまして、直ちに長期路線のほらへ入っていく、こういうふうに考えているものであります。その長期の問題といたしまして、財政金融政策として、私は大幅の減税と公債の発行ということを申し上げたのであります。今日、わが国の財政規模は非常に膨大化しておる。戦前に比べまして三倍半ぐらいになっておるのであります。戦前は国防費が予算の四割も占めておる。今日はわずかに八%でございまするが、それにもかかわらず、約四倍の規模の財政となっておる。なぜかと申しますると、社会開発投資と社会保障の費用が圧倒的に多くふえてきたのであります。私はこれは今日の世界の趨勢だと思います。私は財政は効率的に使わなければならぬと存じておりますけれども、そういう社会の体制が必要とする経費を支出するにけちけちしてはならぬ、かように考えております。そういうことを考えますと、今後のそういうふえていく財源を一体どこでまかなうか。戦後、ドッジ・ライン以来、ドッジの指示によりまして、わが国は超均衡財政方針をとってきた。大体租税によって一般の歳出をまかなうという方針をとってきたのでありますが、しかし、今日考えてみますると、その結果、租税負担が非常に重くなっておるのであります。税率の点から言いまして、あるいは所得に対する税の負担率から見ますると、さして高いようには存じませんけれども、しかし、わが国が戦争によって蓄積を失った企業でも個人でも蓄積が少ない、底が浅いと言われる日本経済の実情から見ますと、今日の税制の国民経済に与える響きというものは非常に大きいんだ、私は、いまこそ、大幅に減税をして、国民に蓄積を与えなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。そういう要請と、ただいま申し上げました国費の増高、これは必然的趨勢である、そういうことを考えますると、どうしても私は、この際、先進国がやっているように、財政の一部分を、公債、つまり国民の貯蓄を活用するという方法に依存していいのではないか、そのほうが国民が富む、国民全部が資産家になるという意味において、今後の国の経済をほんとうに安定させるゆえんではあるまいか、かように考えておるのであります。
 そう言いますと、ただいまお話のように、インフレになるじゃないかということになるのでありまするが、もし、この公債が、日銀の通貨の増発に依存するというような状態でありますると、インフレになる効果、影響力はあるのであります。私は、それは絶対に避けなければならぬと、かように考えております。ただ、今日私どもは、ことしの財政が非常に苦しい、そういうようなことから、相当大幅に、借り入れ金か公債を出さなければならぬ、こういうふうに考えております。また来年も、あるいはそういう――経済の情勢によりまするけれども、引き続きそういう措置をとらなければならぬかどらか、これも苦慮しておりますが、今日そういう借り入れ金、公債を出すということになりますると、これは、今日の経済情勢とすると、どうしても日本銀行に、しりが回り回っていかざるを得ない。しかし今日、借り入れ金をしてインフレになるかというと、今日のような落ち込みのひどい経済情勢のもとにおきまして、多少日本銀行にしりがいきましても、インフレになる危険というものは絶対にあり得ない、かように確信をいたしております。
 次に、公定歩合引き下げをするかどうかというお話でありまするが、ただいまのところ、さようなことは考えておりません。
 それから山一証券でございまするが、これは先ほど総理からもお話がございましたけれども、日本銀行が行ないました特融は、一山一証券を救済しようという趣旨ではありませんで、これは信用機構の制度を維持しようというのでありまして、形の上におきまして山一証券というものをかりた、こういうところに趣旨があるのであります。その原因はどうだ、というお話でありまするが、これは、数年の間にあまりにも業容を拡大した、そうして、経済界がスローダウンしてくると、それに応じた合理化、近代化が伴わなかったというところに基本的な原因があるのでありまして、その結果、六月末におきまする負債は、短期五百六十九億円、長期百三十億円、さらに有価証券におきまして五百四十一億円、合計いたしますると千二百四十億円の負債をかかえるに至っておるのであります。日本銀行が、これに対しまして、本日現在におきまして特融をいたした額は、二百八十二億円であります。
 で、今後どうするかという問題につきましては、これは私は、山一証券はつぶさない、再建をするという基本方針をとっております。したがいまして、この整理は着実に進められておるのでありまして、もちろん、その整理の中には、経営者の責任追及、これもきびしく行なうことを含めてのことでございまするが、まあ、長い時間はかかりまするが、損失は生じない――させないようにと思っております。しかし、万一損失が免ずるというような場合におきましては、これは、日本銀行が日本銀行法の規定に基づきまして出動した措置でございまするから、第一次的責任は日本銀行にとっていただくようにいたします。しかし、事そこに至りました原因は、政府との協議にあるということでありますので、そのために日本銀行の中に特別貸し倒れ準備金を設定いたしまして、長期にわたってこれを償却をするという措置をとりたいと存じておるのであります。
 なお、森脇事件につきましては、総理からもお話がありましたが、私どももまことに遺憾に存じております。国税庁におきまして、すでに証拠固めもいたしまして、捜査をしようとする段階におきまして、ああいう逮捕事件というのが起こったわけであります。その結果、脱税の状況が明らかにされたのでありまするが、ああいう貸し金業、これは非常に徴税がむずかしい、むずかしいのでありまするが、今度の事件にかんがみまして、その把握、徴税をどうするか、一そう努力してまいりたいと存じます。
 また、租税特別措置法につきましては、お話のとおり、これは異例であります。だんだんとこういうものは整理していくべきものだと考えております。しかしながら、今日の証券市場やあるいは貯蓄の問題あるいは中小企業の問題等を考えまするときに、これをただいま整理する余地はきわめて少ないと、かように考えております。
 公共料金につきましては、私、大蔵大臣としての立場から言いますると、極力これを低位に押えまして、まあ物価の安定に真剣に取り組んでまいりたいと、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(藤山愛一郎君) お答えいたします。
 ただいま総理並びに大蔵大臣から相当具体的に御説明がございましたので、私からは残った問題について簡単に申し上げたいと思います。
 今側の景気刺激政策が、安定成長に乗せるのに、じゃまにならないか、こういうことでございますが、私は今日の非常なリセッションを持ち上げてまいりますためには、これだけの景気刺激が要る、そして初めて安定成長の路線に乗せられると思います。そして安定成長と申しますことは、成長率が何%だということよりも、むしろ大企業と中小企業の間、あるいは農業と工業の間、あるいは流通機構と生産機構との大きさの比重、そうい問題がバランスがとれていくところに、安定成長の路線があるのであって、ただ単に成長率が低いとか高いとかというだけではないと思います。したがいまして、今度の景気刺激政策が、主として、今日までおくれております中小企業に対する金融の対策や、あるいは産業規模に対しておくれておりますことによって物価問題その他にも影響をいたしております道路とか、輸送とか、港湾とか、あるいは電電関係の諸事業とかというものに、おもにこの資金がつぎ込まれておりますることが、おくれておりますこれらのものを上げて、そして産業規模の大きさに逐次さや寄せをしていくということによって、私は効果が出てくると思いますので、今度の刺激政策そのものが安定成長を害するとは考えておらぬのでございます。
 また、今日の物価問題は非常に大きな問題でございまして、私ども公債発行その他を考えましても、この問題については十分配意してまいらなければなりませんが、物価問題そのものが、不景気ならばどちらかというと安くなるのが原則であるのにかかわらず、なりませんところに、要するにただいま申し上げたような一連の構造上の問題から起こっているところがたくさんございます。したがって、これらの問題を解決しながら、推し進めながら、当面の対策と合わせて進めてまいらなければならぬのでございまして、その意味において非常な困難、かつ、急速にこれらの問題を解決していくことは容易ならざることだと思いますけれども、しかし、公債発行等をやります場合にも、物価が高くなりますればその効果が出てまいらないのでございます。その政策が実行できませんから、これらのものについて、特にわれわれは注意をしてまいりたいと思います。
 で、御指摘のありましたように、物価問題における各般の問題点がございますが、特に地価の対策というものは、これは今日までも論議され、また、たれもが考えておりながら容易に解決策を見つけておらぬところでございます。地価の対策は、単に宅地そのものばかりでなく、工業、農業等の方面におきましても非常に影響するところが大きいのでございまして、これらについては、やはり画期的な考え方のもとに何らかの対策を立てて、そうして将来わが国の経済がこの地価のためにコスト高になる、ダウンの原因にもなるというような、あるいは運営を困難にするというようなこれらの問題について、この機会にわれわれとしては考えてまいらなければならぬと思います。ただ、地価の対策は、単に土地増価税をかけるとかなんとかということだけでもって、はたして安くなるかということになりますと、なかなかそこに問題もございます。したがいまして、これらの問題については、ただいま建設省等におかれましても十分検討しておりますし、われわれのところでも十分これらの問題について研究をいたしておるのでございまして、将来この問題は取り上げてまいらなければならぬ大きな問題の一つだと私ども考えておるのでございます。
 以上、総理及び大蔵大臣の答弁されなかった点について簡単にお答え申し上げます。(拍手)
   〔国務大臣坂田英一君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(坂田英一君) 私は三点ばかりお答えを申し上げたいと思います。
 農村の労働力、特に若い労働力が農村から流出しておる、また異常気象によってみじめなことになることが予想される、この現状に対してどういう対策を持っておるかというお尋ねでございます。
 最近の農村労働力の流出につきましては、御指摘のとおりでございます。これに対しては、根本的には、農業の近代化、産業及び労働力の適正配置、社会保障の充実等を通じて対処していくべきものと考えます。しかし、農業面におきましては、多くの兼業農家として所得の補完をいたしておる点が多いのでありますが、また一面、農業に専念しようとする熱意に満ちた農村青少年も少なくない事実を重視いたしまして、農業生産を維持増大し、生産性の向上をはかるため、出産対策、構造政策を、地域の実情に即してさらに推進するとともに、農家住宅の改善、農家生活の改善等、農村における社会開発の視点に立って、愛情に満ちた農村対策を講じてまいることが必要であると考えます。
 なお、災害対策につきましては、被害を最小限度に食いとめるべく万全の処置をとっておる次第であります。
 次に、物価の問題のうちで野菜価格の点でございます。野菜価格の安定をはかるのに効果があるいかなる対策があるかという御質問と思います。野菜の価格変動を防止するためには、まず野菜の生産及び供給の安全をはかる必要があるので、近代的な集団産地を育成するとともに、生産及び出荷の計画化を促進すること、及び、価格安定基金制度を充実していくこと、現在行なっておる点をさらに拡充してまいりたい。また、流通機構の問題等につきましては、生鮮食料品流通改善対策要綱に基づきまして、流通機構の合理化を中心とし、総合的改善対策を実施しつつありまするが、今後においてもこれらの施策を引き続き実施し、その効果をあげるよう努力してまいりたい。特に、中央卸売市場施設の計画的整備、市場取引の改善を重点的に推進してまいりたいと、かように存じておるわけでございます。
 最後に、本年の食糧需給の不安定を克服する用意があるかとの御質問であります。本年の米穀需給については、三十九年産米の北海道の冷害等による減収に対処するために、輸入米の増加をはかってきたのでありまするが、さらに四十年産米について、早くから異常気象の予報等があったので、災害対策については、被害を最小限度に食いとめるべく、先ほど申しましたように、早くから万全の処置をとってきたのでありまするが、なお一面においては、準内地米の輸入を増加してまいりましたので、すでに準内地米で六十二万トン、外米その他で約二十万トン、合計八十二万トンの買い付けを了しております。現在のところ、本年九月一日の端境期における政府米の在庫量としては、内地米と準内地米と合わせて、前年に比べ約八万トン増の六十五万トン程度を確保しております。このほかに外米等で十三万トン程度あります。このような状況にありまするので、今年の端境期における需給はまず円滑に推移するものと考えております。御指摘のような不安といった事態は生じないと思います。
 なお、今後の今年産米の作況による影響については、主として来米穀年度の問題でありまするが、今後の推移に応じて善処することにいたしたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(椎名悦三郎君) 日韓条約の問題に関して御質問でございましたが、総理から大半はきわめて明確にお答えされたと思います。私は、南北統一の問題を終わって日韓条約を妥結すべきではないかという御質問の一点にお答え申し上げたいと思います。
 南北統一の問題については、つとに国連方式というものがございまして、これは国連監視のもとに南北同時に自由選挙をする、こうして統一を期するという大体の案でありまするが、これは南鮮はこれに同意し、北鮮はこれを拒否した、そういう状況のままで今日に至っているのであります。それで、これを一体いつまで待てば南北が統一するかというめども何にもついておらない。むしろ今日の韓国の状況から申しますと、これは南北の統一を阻害するのでもなんでもないのでありますから、日韓会談は早急にこれは妥結すべきものである、かような判断のもとに、すでに先ほど総理からもお話をしてありますとおり、十四年からの懸案でございます。第七次会談が始まってから、もうすでに半年以上に、十カ月ほどになる、こういうことで、両国の間の非常な熱意が合致いたしまして、だんだんと状況が進展してまいったような次第でございまして、過般ついに正式の調印が完了したような次第であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○議長(重宗雄三君) 伊藤顕道君。
   〔伊藤顕道君登壇、拍手〕
#12
○伊藤顕道君 私は日本社会党を代表いたしまして、佐藤総理ほか両大臣の演説に対して、総理並びに関係各大臣に御質問申し上げたいと存じます。
 まずお伺いいたしたいのは、先ほど、質問する前にすでに総理から一部御答弁がございました、今回の参議院選挙の問題と、これに関連する選挙制度上の問題についてでございます。今回の参議院選挙の意義はまことに重大であったと思うのでございますが、その結果は、まことにお気の毒にも自民党の惨敗に終わったのであります。わけて、首都東京におきましては、見るもむざんな惨敗を喫し、さらに続いて行なわれた都議選についても、これまた自民党の完敗に終わったのでございます。この選挙の結果は、決して小手先の選挙技術上の問題ではなく、その根底を流れるものは、長年にわたる政府与党の政治の姿勢に対する国民の不安と不信にほかならないのでございます。岸内閣の権力政治、池田内閣の金権政治、これを継承したあなたも、さきの国会では旧地主補償等の反動政策を強行するとともに、三矢軍政計画の処理をあいまいにするなど、不明朗かつ非民主的な政治を行なっているのでございます。
   〔議長退席、副議長着席〕
何事も水の流れのごとく、帰すべきところに帰するのが自然の理でございます。今回の選挙の結果もこの自然の理のあらわれにほかならないと思うのでございます。総理の御所見をこの会議場を通じて国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 次にお尋ねしたいのは、今回の選挙に関連する選挙制度についてでございます。選挙後の慣例となっている違反の摘発は目下進行中で、最終的数字をつまびらかにしておりませんが、回を重ねるごとに悪質な実質犯が増高していることは、まことに慨嘆にたえません。この違反の中で特に国民の強いふんまんを買っているのは、高級官僚出身である自民党全国区某候補をめぐる公務員や公共企業体職員の違反でございます。これらの高級官僚出身者は、在職中、内心ひそかに立候補の意思を固め、公務の執行と事前運動の判別がきわめて困難であるという間隙を縫って、国民のための行政機関を選挙網に動員し、補助金の査定交付、契約の締結、事業認可等にあたりまして、あたかもわがもの顔にこれを操作し、条件をつけて、来たるべき選挙に備えていたのでございます。しかも、官費をもって地方に出張し、今回の例のごとく公費をも使用して全国的に運動を行ない、その下部組織も同様な動きをしていたのであります。したがって、これら高級官僚出身者の政界への進出はきわめて容易となっているのが現状でございます。国民のための行政が、政界進出の呉となり、党利党略に乱用されるに至っては、世も末といわなければなりません。かくのごとき悪質な違反は、徹底的に洗い尽くし、白日のもとにさらさなければなりません。かつて大規模な違反に問われた某当選者が、自発的に辞任して結末をつけたことがございますが、私は、国会の権威のため、民主政治伸展のため、当該違反当選者の良識を喚起し、猛省を促したいのでございます。佐藤総理は、近代政党の総裁として当然に深く反省していることと思いますが、御所見はどうか。また、高級官僚の離職後一定年限立候補を制限すること、及び、これに関連して連座制を強化することの必要があるという世論、並びに、第一次選挙制度審議会の答申に対していかがお考えか。あわせて総理の明確なるお答えを伺いたいのでございます。
 次に、農業問題について総理にお伺いいたします。
 農業を曲がりかどから救い出すため農業基本法が制定されましてから、すでに三年たちましたけれども、この間、農業と他産業との所得格差は縮まるどころか、ますます拡大し、農業だけでは食っていけない兼業農家が八割近くになり、農村の若い者はどんどん村を捨てて都会に流出し、経営主までが家を捨てて長期出かせぎに出なければ食えない状態となっておるのであります。そこで、政府は、所得倍増計画を手直しして中期経済計画を立て、農業、農村のひずみ是正に乗り出したのでありますけれども、現実のひずみはますます大きくなっておるのであります。これは、政府自民党が社会党提案の農基法を退けて強行成立させた現行の農業基本法が、第一に、国内での食糧自給度の向上を目標とせず、貿易の自由化を行ない、第二に、金をかけない安上がり農政を前提にし、第三に、ごく少数の自立経営農家を育成し、大多数の零細農家を切り捨てるという、いわゆる貧農切り捨て政策を中心とし、大資本本位の高度成長政策に農業を従属させようとしているためでございます。この結果、米麦軽視の政策が行なわれ、農産物輸入額は、政府が所得倍増計画を立てて昭和四十六年度に八億ドルを目標としたものが、すでに三十八年度で十二億ドルをこえ、農産物輸出の減少とともに国際収支を圧迫し、国民経済全体に悪影響を与え、主要食糧の不足を招き、外国従属の国民生活におとしいれているのであります。
 そこで、総理にお尋ねいたします。
 第一に、このような現状を打開するため、政府自民党の農基法を廃止し、現在の中期経済計画を大幅に改め、真に農村のひずみを是正し、農村の家庭生活を破壊する出かせぎをしなくてもよい農業を、樹立再建されるお考えはないかどうか。
 第二に、資本主義の搾取と抑圧から農業を守り、国民の主食を安心して生産できる、強力な、真の農業基本法を、社会党主張の農基法を取り入れて再考されるお考えはないかどうか。その中で、わが国農村の将来をになう青少年に希望を与える農業後継者対策をいまから確立される考えはないかどうか。総理のお答えをいただきたいのであります。
 次に、農林大臣にお伺いいたします。
 第一に、主食の自給度向上の基本原則として、基盤の弱いわが国農業の構造と体質を改め、諸外国農産物との競争にたえ得る農業が確立されるまで、農産物に対する自由化を取りやめる考えはないかどうか。第二に、現行食管制度を維持改善するため、生産費所得補償方式を堅持し、働く農民の生活を都市並みに引き上げるために、生産者米価をさらに改定し、冷害特別加算等、本年度の冷害対策に要した追加生産費上昇分を追加払いされる意思はないかどうか。
 第三に、生産者米価の引き上げに伴い、またまた消費者米価を引き上げるような検討がされているようであります。そこで、所得倍増でなく、物価倍増によって国民生活を極度に苦境に追い込んでいる今日、消費者米価は引き上げない、こういう方針をこの際はっきりここで国民の前に示していただきたいのであります。その考えはないかどうか。
 第四に、現在くずれかけている米価における出産費所得補償の方式をあくまで堅持し、米のみならず、すべての主要農産物にこれを適用し、農民が安心して農産物の増産と農業近代化に努力し得るよう、強力な農産物価格安定制度を確立される考えはないか。坂田農林大臣の明確なお答えをいただきたいのであります。
 次に、中小企業の問題について、まず総理にお伺いいたします。政府は中小企業を尊重すると称しながら、現実にとっている政策は大企業偏重であります。山一証券の救済のごときはその端的なあらわれと言うべきであります。企業が大きくなれば政府は救済してくれる、小さければいかに苦境に立っても放任される、これが企業をして、無計画、無秩序に拡張させてきた理由でもあります。そこで、大企業には、いつか政府が救済してくれるという無責任経営の気分がみなぎっているのが現状であります。大企業を救済するだけの資金があれば、中小企業を何千と救済できるのであります。大企業偏重の経済政策をこの際反省すべきではないか。総理の御所見をお伺いしたいのであります。
 次に、大企業偏重は、官公需が多く大企業へ発注されていることでもわかるのであります。政府は、中小企業を重視するというのであれば、官公需をできるだけ優先的に中小企業に発注すべきであります。社会党はこの点にかんがみまして、官公需の中小企業者に対する発注の確保に関する法律案を衆議院に提出しております。そこで与党は、この際、右の法案の成立に進んで協力すべきであろうと思うが、総理の御所見はどうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、通産大臣にお伺いいたします。いまや日本の中小企業は、その大部分が大企業の下請として存在しているのでありますが、その中小企業が困っているのは、第一に、下請代金の支払いがすこぶる遅延していることであり、第二に、現下の不況に際して、親企業等の波綻から、いつ自分のところへ倒産という悲運が回ってくるかもしれないという不安であります。下請代金はその大部分が加工賃であり、したがって従業員に支払う賃金であります。中小企業といえども、賃金は現金で支払わねばなりません。したがって、この賃金は親企業にかわって支払うものであるから、下請代金は、本来ならば現金で納品の際に即日支払わるべきものでありますが、実際には、これが納品後数カ月を経過して支払われ、それも現金でなく長期の手形であるということは、何と申しても、親企業がその優位の立場を利用して、下請企業を圧迫し搾取している結果であると言わなければなりません。現行の下請代金法は、この圧迫、搾取の現状を容認した上で、その程度を若干緩和しようとするものでしかないのであります。しかも、さきの国会で改正されたとは申せ、依然、ざる法でありまして、実効の程度もまことにおぼつかないものであります。この際、政府は、下請の重要性にかんがみて、下請業者の地位を強化し、下請代金は現金支払いを原則とすることを明確化し、下請代金について賃金同様の先取特権を認める等の措置を講ずべきであると思うのでありますが、通産大臣のお考えをお伺いいたします。
 次に、政府は大企業偏重であるとともに、中小企業の中では中企業偏重であったのでありますが、さきの国会で、零細企業金融と小規模企業共済制度を打ち出して、零細企業対策に一歩前進を示したのは、一応敬意を表するところであります。しかしながら、零細企業金融として、無担保、無保証で借りられる限度を一企業三十万円としたのは、あまりに少なきに失するのではないか。現在、三十万円で買い得る機械や商品の量は、きわめて微々たるものであります。物価値上がりに対応して、この際、百万円くらいまで引き上げるべきであると思うが、通産大臣のお考えはどうか、お伺いいたします。
 次に、労働問題について、まず総理にお尋ねいたします。従来、政府は、人事院勧告に対しては、口では尊重すると言いながら、実際にはこれを軽視し、連続五回にわたって完全実施を破ってまいりました。憲法に違反する疑いのある労働基本権に対する規制を、この規制を公務員及び公共企業体等の職員に加えながら、賃金問題に関して唯一の救済手段である人事院勧告を政府は完全に実施いたしません。きびしい規制を加え、一方、春闘による公労協の大量処分のごとく、法規違反者に対しては直ちに厳罰をもって臨んでいる。政府は、公務員には順法の精神を強要しておきながら、みずからは法の精神を無視した態度をとっていることは、まことに遺憾のきわみと言わなければなりません。(拍手)こんなことで総理の言われる責任政治の確立はどうして期待できましょうか。最近において、公労委の仲裁裁定に対しては完全実施しようとするよき慣行がようやくできましたけれども、人事院の勧告に対しても、公労委の仲裁裁定を目標に、これを尊重して完全に実施すべきであると思いますが、総理にその決意があるかどうか、お伺いいたします。
 なお、先ほど一言触れました春闘による公労協の大量処分は、ILOの精神に反する政府の暴挙であると断定せざるを得ないわけであります。(拍手)そこで、政府はこの際、深く反省し、かかる不当不法な処分は直ちに撤回すべきであります。総理のお考えはどうか、あわせてお伺いいたします。
 次に、労働者の人命尊重について、総理、労働大臣並びに通産大臣にお伺いいたします。
 最近において、北炭夕張鉱業所、日鉄伊王島鉱業所、山野炭鉱と、相次いで炭鉱において重大災害が発生し、そのつど多数の犠牲者を出しております。政府は災害発生のたびに、将来かかる災害の絶滅を期すよう努力いたします、こういうような声明を繰り返しておりますけれども、今日までその実効を見ないのみか、相変わらず炭鉱においては事故が頻発しているのであります。わが国における炭鉱災害は、西欧諸国に比較いたしますと、実に五倍ないし十倍の高率でございます。炭鉱における労働災害の絶滅を期するため、この際、政府は、炭鉱における保安監督行政を、現行の通産省から労働省に移し、坑内におけるガスの量が発火のおそれある限度に達した場合には、直ちに作業を禁止して、ガス爆発を未然に防ぎ、そうして労働者の安全を確保すべき当然の措置をとるべきであると思います。総理並びに関係大臣の御見解をはっきり伺いたいのであります。
 次に、社会保障の一環として、医療保険について総理にお伺いいたします。
 いま医療保険の現状について見ますと、まことに憂慮にたえないものがございます。国民保険や政府管掌の健康保険、その他の医療保険について見ても、いずれも増高する医療費の前に、巨額の赤字が見込まれ、医療保険は崩壊の危機に直面しているわけであります。政府は、これら赤字の未処理をどのように措置する考えなのか、現状のままいたずらに推移すれば、直ちに診療費の支払い不能となることは、きわめて明瞭であります。しかしながら、窮余の一策として、組合員の掛け金を引き上げることによってこれを打開しようとするような卑劣きわまる方策が、もし政府によって考えられているとするならば、かかる愚劣な方策は即刻撤回すべきであります。政府の長期にわたる無為無策が今日の医療問題の混乱を来たしたのでありますから、その財源についても政府の責任において措置すべきは理の当然といわなければなりません。政府は一体この赤字をいかに処理して医療保険制度の確立をはからんとするのか。総理の決意のほどをお伺いしたいのであります。
 次に、教育問題について、総理並びに文部大臣にお伺いいたします。
 総理は、人間尊重、社会開発を政治の基調とするといわれておりますけれども、今日の入試制度及びこれに伴う試験地獄並びに学力テストに象徴される日本の教育の現状をどのように見ておられるのか、お伺いしたいのであります。りっぱな教育をなすためには、りっぱな教師が必要であり、すぐれた教師を確保するためには、その待遇を改善しなければなりません。また、かりに教組に問題があるとするならば、進んで話し合いの場を持ち、民主的に解決をはかるべきであります。小手先の権力によって子供や教師をつぶしてしまっては、国家百年の計をあやまることになります。政府のなすべきことは、よき教師を確保するとともに、施設、設備を整え、教育内容の詳細にわたることは、教師を信頼し、教師自身の努力と創造性にまかすべきであります。総理の教育に対する基本的姿勢について、この際お伺いしておきたいのであります。
 次に、文部大臣にお伺いいたします。文部省は、学力テストを全面的に中止した福岡県教委に対して、地元福岡における自民党の動きに呼応して、文部省の調査団を送り、その報告をもとにして、強硬な勧告を福岡県教委に出されておりますが、それも、単に学力テストのみではなく、組合が人事に介入しているとか、文部省の作成した道徳資料を配付せよとか、いろいろ言われておるわけでありますが、この真意は一体那辺にあるのか、まずもってお伺いしたいのであります。
 昨年の福岡地裁並びに高裁の判決においても、文部省の学力テスト実施は、教育基本法第十条並びに地方教育行政組織運営に関する法律第五十四条に照らし、違反もしくは失当であるとしているのであります。ことばをかえて申しますと、一斉学力テストは教育に対する不当な支配になると判断しているのであります。このように、相当疑義のある問題について、強権的な行政勧告を出されたことは、まことに遺憾であり、問題でありますが、さらに「教育行政秩序の確立」、こういうことばを使って、教組の誹謗、組合員への圧迫が公然と行なわれておりますが、これも教育基本法、ILO条約の精神に反すると指摘しなければならないわけであります。さらに、問題は、学力テストそのものの弊害が年々明らかとなり、さらに、その存廃がきびしく問われているときだけに、この福岡の問題を政治的紛争に持ち込むことなく、冷静な教育的配慮のもとに事態を処理すべきであると思いますが、文部大臣のお考えはどうか、お伺いいたします。
 次に、これだけ学力テストの弊害が叫ばれ、世論も批判的であるのに、学力テストには全国の小中学校児童生徒が参加することが望ましい、こういうことで全員のテスト用紙配付予算一億を組んでいるのでありますが、これはまことに了解に苦しむところであります。各方面からの批判があって、悉皆調査から二〇%抽出調査に後退したことを昨年文部省は宣言しておきながら、このような予算を組んでいる真意は一体那辺にあるのか、そのようなむだな予算があるならば、予算不足で非常に困窮している、たとえば学校給食などに充当するのが至当ではないか、この点をお伺いいたします。
 次にお伺いしたいのは、ILOとユネスコから送られてきた「教員の地位に関する勧告草案」に対して政府はいかなる回答を出されたのか、まずお伺いしたいのであります。伝えられるところによりますと、政府は、この百六十二項目にわたる勧告草案を、国内事情に合わないという、理屈にならない理由によって無視されたようでありますけれども、これでは世界の大勢に逆行して、もの笑いになるばかりでなく、わが国の教育をも逆行させることになろうかと憂慮ざれるのでありますが、この点、文部大臣はどのようにお考えですか。さらに、この勧告草案を見ますると、教組の交渉権を、単に勤務条件に限定せず、教育内容についても話し合いをすべきであることを明記しているのであります。このような観点からも、政府は、日教組との話し合いについて、さらに積極的に誠意を持って取り組むべきであると思うが、文相はどのようにお考えになっているのか、その誠意ある御答弁をいただきたいのであります。
 最後に、憲法及び防衛問題について総理に御質問申し上げます。
 憲法の改正を立党の精神とし、綱領としている自民党の総裁であり、この内閣の総理であるあなたは、所信表明において、「わが国の憲法は、平和の精神に基づいて制定されました」とだけしか触れられていないのでありますけれども、憲法問題については、政府は、さきに憲法調査会を強引に設置し、七年間の改憲準備を経て、昨年七月、報告書を提出させております。次いで内閣法制局に憲法調査資料室を設け、改憲準備を着々と推進しているようでありますので、この際、憲法改正問題に対する総理の基本的な考え方を国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 次にお伺いしたいのは、いま日本の空には航空自衛隊、海には海上自衛隊がございます。そして陸には旧帝国陸軍の三十倍の戦力があるといわれている陸上自衛隊という名のつく軍隊がございます。その自衛官についてみますると、約三万の恒常的な欠員がありますが、これがどうにも補充ができないままになっているわけでございます。このことは、現行の志願制度はすでに限界にきているのではなかろうかと考えられるわけであります。このままでは、いずれにしても、アメリカから強い要求のある防衛力の増強が実現できないわけでありますので、防衛庁としては苦慮しているのが現状のようでありますが、政府は一体この三万以上の恒常的な欠員についてどのように考えておられるのか、お伺いしたいのであります。また、その対策として、戦前の徴兵制度を憲法改正とからめて実施しようとの動きが、改正論者の間に台頭しているやにうかがわれ、さらに、最近の緊迫せる国際情勢が反映して、その傾向が強まりつつあるようでありますので、この際、徴兵制度に対する総理のお考えをお伺いしたいのであります。
 次に、日本の防衛に関連して、域外調達について総理にお伺いいたします。報道によりますと、米国国防省筋は、日本からベトナム戦争に必要な相当壁の車両など兵器類を調達するのと引きかえに、防衛庁が防衛力増強のために必要としている地対空ミサイル等を円払いで提供する用意があるとのことでございますが、この米国の域外調達の申し入れに対しては、当然断固として拒絶すべきであると考えられますが、総理のお考えはどうか、この際ただしておきたいのでございます。
 次に、B52問題で総理にお尋ねいたします。グアム島基地の米飛行中隊B52が台風を避けるという名目で板付へ移動する、こういうアメリカからの一方的な通報が日本政府になされたのでありますが、これを受けた日本政府は、何ら事前協議することなく承認しているのは、一体どういうわけか、まことに了解に苦しむところであります。B52が二十ないし三十機と編隊で飛来することになりますと、大規模な軍隊戦力の移動について、これまで政府が国会答弁で明らかにしてまいりました一個師団以上の軍隊の移動となるわけであります。したがって、当然に事前協議の対象となるのではなかろうかと考えられますけれども、この際、総理の明確な御見解をお伺いしたいのであります。
 次に、板付への移動は実際には中止となりまして、沖繩へ変更となったわけでございますけれども、沖繩を発進基地としてベトコンへ渡洋爆撃しておりますことは、日本を基地とするベトナム侵略の暴挙であります。日本をベトナム紛争に巻き込む危険な行動であると断定せざるを得ないわけであります。と同時に、このような暴挙を容認している政府の態度に対しまして、私たちは、沖繩県民とともに、厳重に抗議するものであります。所信表明で平和を強調しておられる日本の総理大臣として、この国民の抗議をどう受けとめられるのか、ここにお伺いしたいのであります。
 先ほど総理は、御答弁の中で、戦争はしないということを繰り返して言われておりますけれども、戦争はしないと言っても、戦争をしむけられたら一体どうするのか。これに対する解明を与えていないのであります。だから国民は、不安感を持っているわけであります。この点をあわせて御答弁いただきたいのであります。
 最後に私は、政府は日本国民の名において、アメリカ政府に対し、緊急に抗議することを強く要望申し上げまして、日本社会党を代表しての私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 冒頭におきまして、前回の参議院選挙並びに都会議員の選挙についてどう考えるかというお尋ねでありますが、これは先ほどお答えいたしましたとおり、その結果につきまして、私どもも、えりを正して、そしてまじめにこれを受けておる、この一事でお答えとする次第でございます。
 次の問題といたしまして、高級公務員の問題でありますが、これも先ほど触れました。もちろん、これもそういう意味で省略さしていただきたいと思いますが、ただ、問題になりました諸君がみずからの考え方で離党を申し出る、そうして、ただいまは自由民主党に籍を置かれていない、そして司直の判断の審判を待っておられる、こういうことでありますので、これはこういう事態に対しましてあまり多くを言わないほうがよろしいのではないだろうか、私はかように考えます。いずれにいたしましても、この選挙制度自身が、ただいま選挙制度審議会におきまして審議されております。また、民主政治のもとにおきましては、国民の直結する審判は選挙だけでありますので、この選挙制度、これは非常に重要であります。ぜひとも明るく清く正しい選挙が行なえるような事態をつくりたいものだ、かように思いまして、選挙制度審議会にも、この答申につきまして、十分慎重に御審議願うように、ただいま申し上げておる次第でございます。これで、しばしば言われることばでございますが、形式犯ということばがございまして、いかにも形式犯は、これは簡単なものだ、いわゆる実質犯――買収、汚職、供応と、こういうのとは違うというような見方をされるようでありますが、法規を乱るという点におきましては同じであります。私どもは、十分法規を守っていかなければならない。したがいまして、いわゆる文書の配布であるとか、あるいは戸別訪問等におきましても、十分戒心していかなければ選挙の公明化ははかれない、かように私は考える次第であります。
 次に、農業問題でありますが、農業基本法を改正する意思ありや、ということでございますが、ただいま農業基本法を改正する考えはございません。したがいまして、ただいま計画しております中期計画をそのまま進めてまいりたいと思います。問題の、社会党の農業基本法を、この際にとっていくような考え方がないかどうかということでありますが、これは不幸にして、この前に農業基本法を審議いたしました際に、十分審議済みの問題でありまして、この際にこれを採用するような考え方は持っておりません。このことを明らかにしておきます。社会党と私どもとの間には、やや、ものの考え方の相違がございまして、この点まで触れますとやや長くなりますので、これは預かりますが、ただいまのような、審議済みであるということで御了承いただきたいと思います。ただ、農業構造の改善方法につきまして、共同化ということも、それぞれの部門において適当な部門では、はかられております。これは社会党の案でも、特に共同化を中心にものごとを進めておられますが、こういう事柄は適当な処置が講ぜられ、そうしていわゆる自立経営への試みとして、この共同化をはかっているように私は考えておるのであります。
 次は経済の問題でありますが、どうも大企業偏重で、中小企業がないがしろにされておるのではないか、かような偏見があるのであります。先ほど来、大企業のその代表である山一証券に対する救済、これは詳しく説明をいたしました。そうして、私がこの際にこのお尋ねに対してつけ加えたいと思いますことは、わが国の産業構造、それがいわゆる二重構造であるといわれておる。その点からも、中小企業をないがしろにしては、わが国の産業はりっぱに成績をあげることができないんだ、かようなことをつけ加えまして、私どもが中小企業も無視していない、十分考慮を払っている、いな、弱者に対しては、より強い関心を払ってこれの育成強化をはかっているということを、御了承いただきたいと思います。
 中小企業に対しての官公需発注をひとつ考えろ、これはお話のとおり大事なことであります。ただいままでも、関係官庁あるいは業界等の関係者による懇談会等が形成されまして、そうして中小企業に対する官公需の発注が促進されておるように見受けております。十分これが効果をあげるように、この上とも努力してまいりたい、かように思います。
 また、零細企業につきましても御希望がありましたが、これは通産大臣からお答えいたします。
 人事院勧告が近く出てくることになりますが、この人事院勧告につきましては、これを尊重するという在来の態度につきましては、変わりはございません。そして私どもは、いずれ近く出てくるであろう人事院の勧告に対しまして、諸般の事情を慎重に検討の上、誠意をもってこれに対処してまいります。このことをはっきり申し上げておきます。
 また、前回の全逓等の大量処分につきまして、これは不法処分だからやめろ、こういうお話でございますが、遺憾ながら所見を異にいたしておりまして、私はかような不法なストライキその他は、これは厳に注意されるべき事柄である、かように思いますので、ただいまの処分は、これは不当な処分だとは私は考えておりません。
 労働者の人命損傷が頻発しておる。この炭鉱災害等につきまして、特にいろいろの御要望が出ております。ただいまお話になりましたような保安監督行政を他に移すということがひとつの方法ではないか、かようにも考えますが、そういう意味をも含め、そして保安行政について、さらに力を入れるように関係省等を督励しているのが実情でございます。
 医療保険についての問題でありますが、これは近く社会保険審議会並びに社会保障制度審議会等も発足するようでありますから、この審議の結果、答申を待ちまして、そしてこれに処置してまいる考えでございます。
 次に、教育の基本の態度であります。これについて、今日の試験地獄あるいは学力テスト、こういうようなものを一体どういうように考えているのかということで、まことに深刻なお話が出ておると思います。私は、今日の試験地獄あるいは学力テスト、こういうものは結局は施設設備が不十分だ、こういう点だろうと思います。すべてのものが収容できるならば、こういう問題も起こらないかもわかりません。しかし、学力テストは、それぞれのわれわれの知能を向上さすという意味におきまして、やはり切磋琢磨する機会、これはぜひとも持ちたいものだと思います。こういう意味で、施設、設備を充実していくということ、もちろんこれは注意しなければならないことである。政府は、過去におきましても、予算の許す範囲内におきまして、こういう点において改善をはかっているわけであります。そうして、その次の問題は、やはり設備、施設は、これは予算でできますが、人にものを教えるという、こういう立場から考えますときに、教師のその地位、その立場、その職能、これはまことに大事だと、かように考えるのであります。私は、教師をより尊敬するような社会において、初めてりっぱな教育の成果があがると思います。どらか教員諸君も、社会の尊敬に値するような行動をしていただきたい。これがぜひとも必要なことだと私は考えておりますので、かくして初めて教育の成果があがる、かようなことになると思います。
 その次に、憲法問題でございますが、憲法の問題につきましては、御承知のように、ただいま憲法調査会が、その七年にわたる報告をしたばかりであります。そらして、その報告をただいま整理しておる、こういう段階でございます。私は、この憲法問題は、この報告を手がかりといたしまして、憲法に関する問題をあくまでも慎重に検討してまいりたいと思います。そこで国民一人一人が深い省察を加えまして、憲法についても、もっと関心を持たれ、そうして理解を深めていただきたい。そうすれば、国民の考え方によりまして、これをいかにするか、そういう問題も明らかになってくるのではないか、かように思う次第であります。
 次に、この憲法改正に関連いたしまして、わが国が徴兵制度をしくのではないか、こういうようなお尋ねでございますが、これはとんでもないお話でございます。私どもは徴兵制度を考えておりません。むしろ、ただいまのような志願兵制度、そのもとにおきまして、そうしてりっぱな人が採用される、かように考えておりますので、近代の兵備等から申しますれば、りっぱな才能のある者を採らなければ、十分の効果をあげることができないのであります。私は、形だけにとらわれた徴兵制度では、何ら意味をなさない、かように考えるのであります。これは誤解を生ずると考えますので、はっきり申し上げておきます。ただいまそういうことを考えておらない、これをひとつはっきり申し上げておきます。
 米国の域外調達についての問題でありますが、最近は、これはほとんど同じような金額で推移しております。三十五年以降――三十五年は一億五千万ドル、三十九年度は四千七百万ドルと、非常に低下しております。最近におきましては、前任の横ばいというのが大体の状況であります。今回のベトナム問題が起こりましてから、特需等が特にふえておる、かような状態はございません。新聞等におきまして、特需がふえるのではないかというような記事が書いてある。あるいは、皆さん方の中にも、一部において、特需がふえた、こういうようなお話をされるようでありますが、政府はまださような事実をつかんでおりません。この点は御了承をいただきたいと思います。
 また、B52の問題でありますが、B52が最初、台風を待避すると、こういう意味で板付移動ということがございました。これは過去においてもそういう事例がありますので、台風待避ならば、これはやむを得ない、かようなことを申したのでありますが、今回は来なかった。それが板付でなくて、沖繩へ行った。沖繩へ行っただけなら、これは別に問題はありませんが、沖繩からこれがべトナムに対する爆撃の発進をした、こういうことでありますので、いかにも割り切れない次第でございます。しかし、私、沖繩自身がどういう用に使われるかということは、これはただいまのサンフランシスコ条約等から見まして、わがほうがいろいろ希望を述べることはできましても、先ほど来言われるような要求がましいことをする筋合いではない。しかし、日米間が友好関係でありますだけに、アメリカも日本の実情については十分の理解を持ってくれていると、かように思いますから、私どもも日本の国民感情を率直に披露いたしまして、そうして今後特に注意すべき点を申し伝えたわけでありますが、ただいま申し上げるように、台風による待避、そうして、それが直ちに作戦行動へ続く、かようなことはほんとうに困ったことである、かようなことは申し込んでありますので、今後は重ねてそういう事態が起こらないだろうと私は考えておる次第であります。沖繩の問題は、これはもうすでに法律あるいは条約等からも明らかにされておりますように、これは内地の基地とはこと変わっておりますので、その点は区別して考えていかなければならぬかと思います。
 以上、お答えいたします。(拍手)
   〔国務大臣坂田英一君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(坂田英一君) 私から御答弁申し上げるのは四点あると思います。
 一つは、農産物貿易の自由化については、わが国の農林水産業にあまり悪影響を与えることのないものから、順次、慎重な配慮を加えつつ自由化してまいります。したがって、米麦、酪農製品、牛・豚肉、でん粉等の重要農産物は、なお輸入制限を継続するつもりでございます。
 次は、四十年産生産者米価を、冷害対策費等を加味して改定し、さらに引き上げる考えはないかとのことでありますが、昭和四十年産米価は、一石当たり一万六千三百七十五円と決定しましたが、それには、引き上げ額としては、昨年に次ぐ大幅な値上げであり、生産者の生産費及び所得を補償し得る価格であると考えます。また、農家所得の向上は、米価のみならず、他の農産物価格政策、生産政策、構造政策等を通じ、総合的に達成をはかっていくべきもので、農家所得の向上を米価のみによって行なうことは妥当ではない。もちろん、昭和四十年産米の出産者価格について、改定ずる考えは持っておりません。
 なお、冷害に対しては、農薬並びに防除機具の給付、あるいは委託苗しろ、共同苗しろの経費、指導費等、その他の経費については、これを助成し、また、今後も助成する考えであります。
 それから米価決定における生産費及び所得補償方式を堅持するという点はどうかとの問題でありまするが、本年産の土産者米価、生産費及び所得補償の考え方に基づく指数化方式によって算定いたしますこの方式による米価は、従来の積み上げ計算方式による米価に臨時特別加算金を加えた三十九年度米価を基準として、都市均衡労賃、家族労働時間、物財投下量、反収の変化率を総合した指数で伸ばして計算されたので、再生産の確保はもとより、生産費及び所得補償方式の趣旨に十分合致しているものであると存じます。
 また、この米以外の農産物全体についてはどうかとのお話でありますが、もちろん、これらの問題について、重要農産物については、価格政策を重視してまいるのでありますけれども、物資によって行き方がそれぞれみな違うべきことは当然でありますることを申し添えておきます。
 次に、消費者米価についてはいかがか。本年産米の政府買い入れ価格は、前年産米に比し九・二%の引き上げとなったので、政府売り渡し価格はもとより、現行の消費者米価をも上回る逆ざやとなり、この面からは、消費者米価を改定して、米価体系を正常な姿になすべきものでないかとも考えられます。しかしながら、消費者米価の改定は、家計や物価の安定を害しないよう、十分配慮する必要があり、いま直ちに消費者米価を引き上げることは考えておりません。(拍手)
   〔国務大臣三木武夫君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(三木武夫君) 私に対する質問は、下請代金の支払い遅延をもりと防止する必要があるのではないか。――非常にごもっともな御意見で、現在、下請代金支払遅延等防止法で、納品後六十日以内に代金を支払わなきゃならない、また手形で払う場合は、一般金融機関で割引のできる手形でなければいかぬと、そういう制約があるわけですが、この法律は、ある程度よい商業習慣あるいは金融慣行をつくる上において効果をあげておると思います。しかし、十分とは申せませんので、今後行政指導を通じて、下請代金の支払いの促進をいたす覚悟でございます。
 第二の、特別小口金融の限度を三十万円から百万円に上げたらどうかというお話ですが、今年度初めて実施したわけでございますので、この実施の経験、零細企業の資金需要の動向等もにらみ合わして、十分に検討いたしたいと思います。これは検討に値する問題だと思います。
 第三点は、鉱山保安行政について、これを労働省に移管したらどうかというお話でございます。日本の鉱山は、坑内作業でありますから、出産と保安というものが非常に密接不可分な関係を持っております。ことに、出産の環境というものが絶えず変化をする。この環境の変化に即応した保安体制というものが必要になってまいりますので、生産を一番把握しておる通産省がよかろうということで、明治以来一貫して通産省がやってきたわけであります。したがって、労働省との間に非常に緊密な連絡をとらなければいかぬ。労働条件というものは、保安行政に関係を持ちますから、緊密な連絡をとってやっていくことが実際的ではないかと私は考えておりますが、総理の御指示もありますので、今後この問題について検討を加えたいと思っております。(拍手)
   〔国務大臣小平久雄君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(小平久雄君) 私へのお尋ねは、ただいま通産大臣からもお答えがございました鉱山保安行政の労働省への移管の問題だと思いますが、労働者の生命を守るという安全行政を、全産業を通じまして、労働省が一元的にやるべきだというお説に対しましては、私どもは傾聴に値するお説だと考えております。しかしながら、この所管の問題は、単なる、いわゆる所管争いという問題ではなくして、労働者の生命を守るというたてまえから、鉱山保安のあり方自体について基本的に検討をいたし、どういう仕事を、どういう役所が所管することが最も合理的であり、目的を達するかということを、謙虚に検討をいたして、きめらるべきものだと考えております。しかし、当面の問題としましては、鉱山保安の具体的施策の強化確立並びにこれが実効を確保するということが一番重要であると考えられますので、私としましては、労働大臣の持っておりまする勧告権を活用すると同時に、通産省の保安監督機関と労働者の労働基準監督機関との連絡を一そう緊密にいたしまして、所期の目的を達成することにつとめてまいりたいと、かように考えておるのであります。(拍手)
   〔国務大臣中村梅吉君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(中村梅吉君) 伊藤議員の御質問にお答えいたします。
 九州の福岡県で学力テストを全面施行しなかった、これに対して文部省が調査をしたのはどういうわけか、こういう御質問でございましたが、学力調査は、御承知のとおり、原則的には教育の格差をできるだけ是正をして、平準化をはかり、また全般的に教育の向上を期していこう、そのためには、教育課程に関する方策の樹立とか、あるいは学習指導の改善、あるいは教育条件、環境の整備、こういうことに資するために、諸般の角度から資料が必要でございますので、テストを開始してやっておるわけでございます。これに対して、福岡県は、各市町村の教育委員会に対して、テスト調査をやってもその調査の報告は求めないと、こういう通達をいたしました。これは明らかに、調査をやめろと言わんばかりの行政指導でありまして、その結果、福岡県下では市町村の学力調査のテストが全面的に行なわれなかったわけであります。これは明らかに、先ほども御指摘がありましたように、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第五十四条の違反行為でありますから、文部省としても、そのよって来たるところ、どういうわけでそうなったか、こういう実態は調査しておく必要がありますので、調査を行なった次第でございます。
 なお、学力テストの用紙について、実際にこの抽出調査をするのは二〇%でありながら、ほかの学校に対しても、学力テストの用紙を無償で配付しているじゃないか、このために約一億円の金がかかっているじゃないか、こういう御質問でございます。確かにそのとおりやっているわけでございますが、正規に抽出調査をいたしまするのは二〇%を標準にやっておりますが、他の個々の学校におきましても、児童生徒の学力の水準なり状況を診断いたしまして、これを、その学校の、あるいはその地域の教育委員会の学習指導の改善に役立たせるということは当然のことでありまして、さような角度から、各市町村教育委員会は、抽出で当たらなかった学校でも、ぜひ平等にひとつ調査をやりたいという希望が非常に多いものですから、その関係で、約一億円の、この出題及び答案用紙の無償配付を行なった次第で、これは、むしろ私は、そういう傾向にあることは好ましい状態だ、かように思っている次第でございます。
 次に、教員の地位に関するユネスコ、lLOの専門家会議の勧告草案に対して、政府はなぜああいう回答をしたか、こういう御質問でございましたが、これは、ユネスコ及びILOの両事務局から、こういうような専門家会議の草案ができた――これは草案の草案程度だと思うのですが、そこで、関係国に鷲見があったらいまのうちに申し出ろ、こういう連絡が外務省を通してございましたので、わが国といたしましては、教育という問題は、日本は義務教育に関する限りは一〇〇先に近い実施をしておりますので、水準は世界でも最高の状態にありますが、しかしながら、教育の制度それ自体は、各国とも長い間の習慣や伝統等を背景といたしまして、それぞれその国々で制度化されておりますので、一律にそういう特殊性もかまわずに勧告をするというのは妥当じゃないのじゃないかという前提に立ちまして、そういう前提に基づいたこちらの意見を両事務局に対して述べてある、こういうのが現段階でございます。
 最後に、日教組と会談の意思があるか、こういう御質問であります。この点につきましては、目下政府と労働団体との複合的な定期会談が御承知のとおり進行中でございまして、私どもとしてはこの複合的な定期会談とにらみ合わせて、慎重に目下検討しておる段階でございます。ただ、誤解を残すといけませんから一言つけ加えておきますが、義務教育の教職員は御承知のとおり地方公共団体の地方公務員であります。したがって、地方公務員の雇用者は地方公共団体であります。文部省なり文部大臣は、その雇用関係には何らタッチしておりません。したがって、雇用関係にない文部大臣が、教育者の一つの団体である日教組と会うことによって、責任者である地方公共団体の責任なり関係を紛淆させるということは好ましくない、かような見地に立っておりますから、私といたしましても、複合的な定期会談とにらみ合わせて検討はいたしておりますが、例のいわゆる中央交渉とか、あるいは要求とか、そういう種類の会談はする意思は全然ございません。ただ、お互いに教育に関係のある立場にありますから、どういう姿でか、教育について話し合ったらいいじゃないか、こういうことについては、複合的な定期会談を通して胸襟を開いて話し合える段階がくれば、これは胸襟を開いて、日本人同士ですから、いがみ合わないで話すということが私は当然じゃないかと思うので、かような角度に立ちまして目下検討いたしておりまする次第で、誤解のないように、よけいなことのようでしたが、つけ加えさせていただいた次第でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#18
○副議長(河野謙三君) 北條浩君。
   〔北條浩君登壇、拍手〕
#19
○北條浩君 私は、公明党を代表いたしまして、先般の所信表明に対しまする質問を行ないます。
 まず、総理の所信表明を伺っておりますと、「清潔な責任政治の確立」とか、「人間尊重の社会の建設」など、きわめて美辞麗句をもってつづられておりますが、現実とは全く遊離したものでありまして、内外の情勢容易ならざる今日、まことに慨嘆にたえないのであります。戦後二十年、時代は新しい局面を迎えようとしております。しかも、内には深刻な経済の不況をかかえ、外には南ベトナムを焦点といたしまして、アジアの戦火がまさに世界戦争への危険をはらんで燃え続けておるのであります。一国の総理といたしまして、この現状を切り開き、日本並びに世界平和に向かって、いまこそ新しい方策を打ち出すべきが当然であると考えるのでありますが、何ら所信表明には具体策を示しておられませんでした。まことに政治の貧困を物語る以外の何ものでもないと考えるのであります。すなわち、総理の言われる「清潔な政治」も、「平和に徹する外交」も、「人間尊重という信念」も、その根底に思想哲学の裏づけがなければ、単なる空文にすぎない、こう私は考えるのであります。この新時代にふさわしい指導理念こそ、わが公明党の主張いたしまする仏法根底の民主主義であり、人間性社会主義であることを、私は強く訴えたいのであります。複雑多岐な現代社会をリードする新しい指導理念の確立こそ、局面打開のかぎであると私は信ずるのでありますが、この点につきまして、総理の御見解を伺いたいと思うのであります。
 さて、今回の参議院選挙におきまして、先般来お話も出ておりまするが、自民党は東京地方区におきまして完敗し、引き続く東京都議会選挙におきましても惨敗の結果が出たのであります。首都東京におきまするこの結果は、まさに政府自民党に対する国民の批判のあらわれである、こう私は考えるのであります。内政外交にわたる政策批判はもとよりのこと、直接的な原因は、政府自民党の腐敗、汚職に対する国民の厳正な批判のあらわれであります。しかるに、総理は、このことに対して一言も触れることなく、さらに、先ほど、えりを正すとは言われましたが、これに対する深刻な反省がうかがわれないことは、国民の批判を無視する態度であり、まことに遺憾であると考えるのであります。現に、今回の選挙におきまして、相変わらず多くの選挙違反が出ましたが、中でも自民党当選議員の中に、高級公務員の地位利用並びに悪質な買収事犯があったことは、きわめて不祥事であります。これに対しまして、すでに党籍を離脱したとはいうものの、かかる悪質な違反者を公認した道義的責任をどの上らにとられますか。この点につきまして、重ねて総理にお伺いしたいと思うのであります。
 また、先ほどの総理のお話の中で、都政の刷新をはかると答弁をされておりましたけれども、このことは、伝えられておりまする首都の担当大臣をつくるか、または官庁をつくろうという御意思であるのかどうか。この点につきまして御答弁をお願いしたいと思うのであります。
 次に、小選挙区制の点につきましてお伺いしたいと思います。
 小選挙区制移行のことにつきましては、一体どういう目的でこれを考えておられるのか、これを私はお伺いしたいのであります。選挙制度審議会は、すでに第三次の任期を満了せんとしております。ただいままで、第一次、第二次、第三次と、一貫いたしまして、その目的は、選挙の腐敗をなくし、選挙を公明化するところに目的があったことは、疑う余地はないのであります。いやしくも政治の腐敗は選挙の腐敗に端を発するのであります。この腐敗堕落は、むしろ政党の内部に存する問題でありまして、いわんや現在論議されておりまする選挙区制の改正――小選挙区に改正すること――によって腐敗や堕落がなくなるということは、まことに筋違いの議論であると私は考えるのであります。いわんや派閥解消を小選挙区制にすりかえるがごときは言語道断の議論であると、こう私は考えるのであります。いままでの審議会は、ことさらに小選挙区論者を集められた感じがあるのでありますが、今回、第四次審議会のメンバー選定にあたりまして、いかなる基準でこれを定められるか、あらためて総理にお伺いしたいのであります。小選挙区制によります弊害は、現行制度よりもむしろ多額の金がかかり、腐敗を助長するものと予想されますが、かかる弊害を御承知の上で、なおさら強行せんとする政府自民党の御意図はどこにあるのか。あえて言うならば、凋落の一途をたどる自民党が、一党独裁のための最後の手段であり、ひいては、憲法改悪につながる布石とさえ考えられるのであります。かかる暴挙に対しましては、わが党は断固反対するものでありますが、以上の諸点につきまして、総理並びに自治大臣のお考えはいかがでありますか、この点をお尋ねいたします。
 次に、いわゆる泡沫候補の取り締まりの問題でありますが、今回の参議院の選挙を通じまして、東京地方区、または大阪地方区、または全国区におきまして、顕著な例が見られました。一部の政党や団体を攻撃するために、あるいは自身の売名のために立候補し、非常識きわまる行動をとったことは、選挙民を愚弄し、多大の国費の乱費となるものと思うのであります。政府はかかる泡沫候補の取り締まりに対しまして、いかなる具体策をお考えでありますか。以上、総理並びに自治大臣の御答弁をお願いいたします。
   〔副議長退席、議長着席〕
 次に、外交問題でありますが、先日の総理並びに外相の演説に、アジアの安定を唱えておりますが、依然として、日本をアジアの孤児とし、かつは、戦火に巻き込まんとする姿勢にあることは、まことに遺憾であります。この瞬間におきましても、ベトナムの地では、幾多のアジアの民衆の血が流れていることを忘れてはならないと思うのであります。総理は、ベトナム紛争が一日も早く解決されることを念願すると、このように言われましたが、それならば、なぜB52の板付空港着地を容認されたのか。その後、われわれの危惧いたしましたとおり、B52は沖繩よりベトナム爆撃を実行しているのであります。先ほど、総理は、佐藤内閣の続く限り、戦争には絶対巻き込まれないと、このように言明されましたが、こらした現実を考えますと、かえって、こうした言明は、国民にさらに不安動揺を与える効果しかない、このように私は考えるのであります。一方的にアメリカの政策に加担することは、ベトナム紛争を拡大する以外何ものもなく、断じて許すことはできないと考えるのであります。さきにはLST船舶に対する日本人従業員のあっせんといい、南ベトナムへの医療物資の援助といい、一貫して出されるものは対米追従外交であります。このままに推移せんか、ベトナムの戦火はわが国に及ぶことは必至でありまして、日本を戦争に巻き込む外交方針としか考えられないのであります。また、総理は、紛争当事者が話し合いによる問題解決をはかることを強く要請する、このように言っておられますが、具体的にはなぜ進められないのか、まことに不可解に存ずる次第であります。まず第一に、すべてに優先して即時停戦を要求するためにあらゆる方法を講ずるのが当然であると考えるのであります。われわれは政府に対しまして、国民の名において断固英断を要求するものであります。
 さらに、ソ連、中共を含む関係各国の特別視察団を編成し、ベトナムの情勢をつぶさに調査し、そのなまなましい体験をもって、東京におきまして、世界平和維持会議を早急に開催するというような具体策が考えられますが、総理並びに外相は、このような方策についていかがお考えになりますか。御答弁をお願いいたします。
 次に、日韓問題につきまして、もとより両国の国交正常化は望むところではありますが、前提として、日韓両国民の大多数が賛成する条件でなければならない、これは当然のことであります。韓国におきまして、本条約の批准に反対の運動が高まっていると聞いておりますが、この点をどう考えられるか。また、政府として、韓国における批准がいつできる見通しであるか、この点をお伺いしたいと思います。政府は、一方では中国との国交回復に対しまして何ら積極的な行動を示しておられません。今回の総理並びに外相の演説にも、中国のことには一言も触れておられないのであります。また、ただいまお伺いいたしました答弁の中にも、吉田書簡問題を含めまして、きわめて中国に対しては冷淡な姿勢であります。あえて中国問題に対しては冷淡であり、事、韓国に対してのみ譲歩に譲歩を重ねて条約批准を強行しようとすることは、まことに危険きわまりない態度である、こう考えるのであります。かかるへんぱな行動の原因は、アメリカ追従外交にあることはいまさら申すまでもありませんが、こうした姿勢をもってしては、今日のアジアの問題解決はとうてい不可能であると考えるのであります。いまこそ真に自主外交確立のために、アジアに対する外交姿勢を立て直す必要があると考えるのでありますが、これに対する総理並びに外相の御見解をお伺いしたいと考えます。
 また、日米航空協定、日米加漁業条約の改正と貿易の差別待遇の撤廃を強く要望するものであります。これに対して総理並びに外相はいかなる具体策をお持ちであるか、お示し願いたいと思います。
 次に、経済問題につきまして若干の質問をいたしたいと思います。
 総理の所信表明、大蔵大臣の財政演説と、いずれも国民大衆が熱望している問題につきましては、何らの希望も与えられないものであり、まことに遺憾に存ずる次第であります。現在の物価高、不況等は、政府の高度成長政策の失敗であることは、衆目の一致するところであります。超均衡財政、均衡財政の名目をうたいながら、一般会計から産業投資へ多額の支出をするなど、放漫財政の結果が今日の不況を招いたと言えるのであります。したがって、まず現在までの経済政策の失敗を率直に認めて、国民大衆に総理みずから陳謝すべきであると思うのでありますが、その責任をどうお考えでありますか、またその責任をどうとられるのか。初年度から破綻を来たすがごとき中期経済計画では、大衆を欺瞞するもはなはだしいと思うのであります。かかる計画を策定した責任はどうとられるのか、最初にお尋ねしたいと思います。
 次に、公債発行についてでございますが、御承知のように、戦前戦後の状況を見ましても、赤字公債は必ずインフレを招いております。三十九年度予算で二百七十億の歳入欠陥を生じ、四十年度ではさらに三千億に近い赤字財政が予想されております。当然、国家財政は赤字基調が続くものと予想されるのであります。したがって、これに対する強力な対策が必要であるにかかわらず、与党のいたずらな公約のために多額の支出をしいられ、特に農地報償のごときうしろ向き支出が増加しているということは、不均衡赤字財政に拍車をかける以外の何ものでもありません。このような政府の非建設的態度こそ、まっ先に改めるべきであると思うのでありますが、第一に、インフレを招来する公債発行を、大衆を犠牲にしても行なうのかどうか。第二に、うしろ向きの財政支出を停止する決意はないのか。第三に、財政合理化による健全財政を確立するのは当然のことでありますが、その決意があるのかどうか、総理並びに大蔵大臣に御答弁をお願いいたします。
 現在の不況立て直しは、小手先の政策ではとうていなし得るものではありません。ところが、政府の施策は、財政支出一割留保の解除とか、支出の繰り上げなど、終始その日暮らし的なものであります。その上、少しばかりの輸出拡大に満足し、何ら抜本的な輸出振興策が見られないことは、はなはだ遺憾であると思うのであります。輸出の延べ払いや経済協力等は、低開発国に関してのみのことでありまして、日本の輸出振興上最大のネックとなりますものは、対米貿易における不平等、差別待遇の問題であると考えるのであります。この障害を取り除くために政府はいかなる決意と具体策をもって臨まれるのか、総理にお尋ねいたしたいと思います。
 次に、国民大衆が最も負担を訴えておりますのは、税金、特に勤労所得税の問題であります。現在、一家五人の標準世帯を考えてみましても、年五十六万円ぐらいの課税最低限では、生活は容易ではありません。独身者ともなれば、さらにひどい税負担となっております。わが党は、標準世帯におきましては年収百万円まで免税せよと主張しております。総理は、所得税を年収百万円まで課税最低限を引き上げ、大衆の所得を確保する大英断はおありかどうか、お聞かせ願いたいと思います。所得税の減税は、物価高に対する間接的抑制策であります。現在の不況打開のために、大衆の所得税を大幅に減税する決意はおありかどらか、また、四十一年度減税の規模と内容につきまして、総理並びに大蔵大臣の御答弁をお願いいたします。
 物価高の際に、政府は、追い打ちをかけるように、郵便料金や国鉄運賃並びに消費者米価の引き上げを策しておると聞いておりますが、総理は公共料金の引き上げを単にコスト計算によって行ならと言っておられますが、そのようなものではないということは当然であります。公共料金の値上げによる大衆の生活苦はいかに深刻であるか、認識不足もはなはだしいと私は考えるのであります。総理は、池田内閣のとった公共料金値上げストップはあまり効果もなかったと答弁されておりますが、それでは、佐藤内閣としては公共料金に対していかに考えるか、あらためて明確なる御答弁を求めるものであります。
 以上をもちまして、要点でありますが、公明党代表の質問を終わりといたします。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#20
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 最初に、政治についての北條さんのみずからの御意見を述べられまして、これの批評を求められましたが、当席におきましては、私はこれについてお答えする責任がないと、かように思いますので、これは預かりにしておきたいと思います。
 その次に、選挙違反並びに前回の選挙につきましてのわが党の考え方、同時にまた、総理としての責任等につきましては、社会党のお二方にお答えしたとおりでございまして、いまさら、さらに重ねてお答えする新しいものはございませんので、私は、えりを正して真剣にこの御批判を受ける、そうしてみずからが反省して、そうして今後政治を担当する上においてこの期待に沿うように最善を尽くしてまいるということを、重ねて申し上げておきます。
 なお、東京都政につきまして責任を持つと申しましたが、この制度上、ただいま、これを変更していくとか、あるいは東京都担当大臣のようなものをつくるとか、かような考え方はいたしておりません。ただいま、さような考え方は持っておらない、このことを明確にしておきます。
 次に、選挙制度についていろいろお尋ねがございました。ただいま、御承知のように、選挙制度の審議会におきましていろいろ審議をいたしておるのでありまして、まだ答申が出てまいりません。この今回の選挙制度審議会が取り扱っております問題は、まことに重要な問題でありますだけに簡単に答申が出てまいりません。したがいまして、その任期等が切れましたが、任期中に答申を得ることができない、こういう関係もありまして、重ねて、引き続いて全員を委嘱して、そしてただいま審議いたしておるのであります。これがいかにも、もう小選挙区がきまり切ったようなお話になっておるようでありますが、これはまだ小選挙区にきめてかかるのは早いのでありまして、ただいま申し上げた選挙制度審議会がいかなる答申を出してまいりますか、その上で政府はその答申を尊重して、そして最終的に政府の考え方をきめるのでありますし、また政府が考え方をきめましても、さらにまた国会において審議を受けることはこれは当然でありますから、ただいま小選挙区自身についての北條さんのお考え方を述べられるのは、やや時期が早いのではないか、私はかように考えました次第であります。ただ、問題は、どこまでもこの種の事柄が公明また公正に決定されることを望んでおります。どうか皆さん方も審議会が十二分にその職責を果たされるように、この上とも御協力を願いたいと思います。また、泡沫候補締め出しの具体策についてのお尋ねがございましたが、これもいろいろ審議会等で議論しておられるようでありますが、まだこれというきめ手はないようであります。
 次に、外交の問題について申し上げますが、問題の第一は、戦争に日本が巻き込まれるとか、あるいは戦争に引っ張り込まれるとか、あるいは戦争するとか、こういうことが一番問題だと思います。私が申し上げるまでもなく、皆さん方がぜひ守れという平和憲法、これはいわゆる国際紛争を解決するのに戦争の手段に訴えない、このことをはっきりと明示しております。このことは日本国民の悲願でありまして、したがいまして、私どもはみずからが戦争というような手段に訴えない、これはどこに向かってもはっきり言えると思います。しかし、この憲法自身は、御承知のように自衛ということについては、自衛権まで放棄させるような考え方はもちろんしておりません。みずからが攻撃された、そういう場合に一体どういう処置をとるのか、その自衛ということは、ちゃんと私どもがみずからの意思によってきめることだ、かように私は考えているのであります。しばしば言われますアジアにおける戦火、ただいまのベトナム自身は、ただいま北越との間に爆撃が行なわれたり、あるいは南ベトナムにおいてゲリラ戦が行なわれたり、これは戦火が続いております。たいへん不幸な状態に置かれて、心からベトナム国民に対しましても、住民に対しましても、私どもは同情はいたします。しかし、私ども自身がこの戦火に巻き込まれることは、どうしても私ども避けなければならない。したがいまして、この戦火が拡大せず、そうしておさまるように、できるだけ早く平静に帰するように、そのことを心から願っている。それにはどうしたらいいか。これは過日の施政演説でもはっきり申しましたように、お互いが話し合うということであります。話し合う機会をつくる。とにかく話せばわかるというような状況になってくれば、これは私どもの念願する平和への道を歩んでいるということになります。どの国をつかまえても、またどの国の意見を尋ねましても、すべてのものが戦争はごめんだ、われわれは平和を愛好するのだ、かように言っていて、どうして話し合いの機会がつかめないのか。このことを十分に反省を求める以外にはないのじゃないか。私はそれにつきまして、ただいま言われるように土俵をつくれ、あるいはまたみずから進んでやれというようようなお話が出ておりますが、しかし、ただいまは遺憾ながら、こういう事柄につきまして、双方が私どもの考え方に耳をかしてくれないというのが、今日の状況ではないか。いずれもが、いまの戦いによって優位に立つ、かようにみずからが考えているがゆえに解決の道がつかない、かように私は思うのであります。いずれにいたしましても、やらなければいかぬ。そのあらゆる機会をつかまえます。また、それぞれの者がそれぞれのその立場に立って、そうして関係方面を説得すること、いわゆる国際世論をつくること、これが最も望ましい方法ではないか、かように考えます。もちろん、今後ともあらゆる機会におきまして、情勢の推移等も十分注意してまいりたい、かように考えております。
 その次に、中共との国交回復をたな上げして韓国のみに日韓交渉をしたことは、どうも間違っているのではないか、このお考えでございますが、この中国問題につきましては、しばしば申し上げましたように、あるいはこの機会ではございませんが、前国会等におきましても論議の中心があったと思いますが、わが国は、いわゆる中国のその一部といいますか、中国を代表するものとして、台湾における国民政府と国際条約を結んでおる。そういう関係で、ただいまの中国問題との解決がつかなくなっている。そうして、この中国代表権をめぐって問題が紛糾しておる。これは北條さんも百も御承知だと思います。したがいまして、このことを早く片づけろと言われても、ただいまの状態ではこれは行き悩んでおる。この実情を十分国民にも理解がいくように皆さま方の御協力を得たいと思います。
 韓国との問題は十四年の長きにわたっての問題でありますが、今回これが条約の調印ができて、あとは批准国会を待つ、こういう状況であります。私は、とにかく隣の国同士が仲よくしていくということ、これはもう自然の姿だと思います。この自然の状況を一日も早くつくることが必要のように思います。こういう意味で、韓国国会における批准は一体どうかということでありますが、これは両国国民の大多数が希望しておるのでありますので、了解はできることだと、かように考えております。
 また、韓国のベトナム派兵について、自衛隊が海外に出ていくようなことはないか……(「聞いていない」と呼ぶ者あり)ここに書いてありますから……。(笑声)
 米国の対日差別外交について、航空協定、漁業協定、綿製品等についての御意見がございましたが、これは貿易経済合同委員会等におきましても論議され、近く航空協定については両国において話し合いが始まる、こういう状況でございます。
 次に、経済問題についてお答えをいたします。
 高度経済成長につきましては、これは高度経済成長としてりっぱなその目的を達した。今日の経済の繁栄はここにあると思います。私どもが当面しております経済の不況というものは、この高度経済成長の際に取り残されたいわゆる格差の是正あるいはひずみの是正ということから起こっている、かように考えますし、特に最近起こりました金融引き締め、これが特に大きな原因でありますだけに、私は、ただいま言われるように、これが高度経済成長の失敗だ、あるいは中期経済計画の挫折だ、かように言われることは言い過ぎではないか、かように考えます。
 公債発行につきましては、先ほどもお答えしたとおりでありますので、おわかりをいただいたのではないかと思います。もちろん、うしろ向き財政支出――これはたぶん農地報償のことを言われるのだと思いますが、これを停止する考えは、ただいまございません。もちろん、健全財政はこれを維持していくつもりであります。健全財政のもとにおいて公債を発行すれば、何らインフレあるいは物価高騰等の心配はないのであります。
 また、輸出を増大していくことは、今日の経済不況に対する一つのきめ手でもあります。そういう意味で、輸出はさらに拡大していくようにあらゆる努力をいたしてまいります。中共貿易等につきましても、在来の方針に変わりはございません。
 所得税を軽減することにつきまして、ただいまの国民の収入あるいは経済の状態等から来年度の税収入を予想することは、なかなか困難であります。ただいま具体的に、標準五人世帯の年収百万円までを無税にしないか、かようなお話でございますが、ただいま十分これらを判断するに足るデータをそろえることは困難でありますので、これはしばらく保留させていただきたいと思います。しかし、私は、四十一年度におきましても引き続いて減税をすべきことが必要だと、かように思いますので、一そう真剣に減税問題とは取り組んでまいるつもりであります。
 国鉄運賃、郵便料金あるいは消費者米価等につきましては、先ほどお答えいたしましたので、その答弁に譲らしていただきたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣永山忠則君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(永山忠則君) 選挙区制の問題につきましては、第三次選挙制度審議会におきまして、昨年九月発足以来、今日まで、二十一回の委員会、七回の総会を開きまして、中選挙区制限連記制、並びに、小選挙区比例代表制、単純小選挙区制等について、種々論議を続けている次第でございます。なお、泡沫候補の問題につきましては、個人本位から政党本位の選挙に移行する関係あるいは供託金を引き上げる問題等が論議されておりますが、八月二十人目までの期限には、とうていその結論を得ることが困難な情勢でございます。したがいまして、全員をお願いいたしまして、引き続いて御審議を願い、答申をいただきまして、その答申を尊重いたして、金のかからぬ、違反のない、明朗な選挙をするようにいたしたいと存ずる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(椎名悦三郎君) 外交問題に関する御質問の大綱については、すでに総理からお答えをいただきましたので、私は多少漏れている点を補足的にお答え申し上げます。
 日米両国間の懸案問題については、航空協定の問題は、総理が言われたように、八月十日から本協議を始めることになっているのであります。それから漁業協定の改定につきましては、近く改定をする見込みが立っております。綿製品の協定につきましては、本年一ぱいでこれが効力を失うことになりますので、次年度から、従来の経験にかんがみ、弾力的な条項を設けて、日本の利益を十分に擁護してまいるという方策を講ずるつもりであります。
 それから東京において世界平和会議を開いたらどうかというお話がありましたが、まあ御趣旨はわからぬことはございませんが、やはり、から振りに終わらないように、有効にこの問題を実行いたしますためには、なお相当考究の余地があると考えております。
 国連に対して、働きかけの問題は、北越からも、あるいは中共からも、一応断わられております。しかしながら、国連事務総長には、憲章第九十九条によりまして、権限がゆだねられておりまして、この問題については、なお国連事務総長として働く余地が残されているのであります。で、かような次第でございますので、先般ジョンソン大統領から、書簡をもって、この平和解決のために国連があらゆる努力をしてくれるようにという呼びかけが行なわれておるようなわでけありまして、日本といたしましても、この方向に協力をすることを惜しまないつもりでございます。
 大体そんなことでございます。(拍手)
   〔国務大臣福田赳夫君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(福田赳夫君) 私に対するお尋ねは、公債の問題と減税の問題でありますが、大体総理からお答えがありましたので、私は、ただ一点、公債発行をいたしますが、決してその健全財政の方針を捨てるという趣旨ではないのだ、このことを強く申し上げておきたいのであります。つまり公債を発行いたしまして、これがインフレになるか。これは国の物の需給、資金の需給が均衡がとれておりますれば、インフレということはあり程ないのであります。公債を発行するにあたりましては、もとよりこれが乱に流れないように、十分の備えをしてからいたすつもりでありまするが、物資、資金の需給につきまして均衡をはかり、これがインフレにならないように、そうして私どもの願うところの、国家社会のために有用な資金は積極的にこれを充足し、同時に、国民負担は軽減して、住みよい、たくわえのある社会を実現する、こういうふうな施策の中心としてこれを進めていきたい、かように存ずる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま北條議員の御質問の中で、私を呼ばれたことがなかったのでありますが、実はどうかと思いますけれども、御要求がございますので、御答弁をいたしたいと思います。
 主として北條議員の私に対する御質問は、公共料金の関係じゃないかと存じます。公共料金をストップしないかというお考えでございますが、物価問題の場合には、私は、公共料金をストップしたからといって、それで物価が解決したとは考えないのでございまして、それは他の物価の上昇を誘発する原因を押えることには非常に役に立ちますけれども、この公共料金等は、やはりその経営内容において、たとえば国鉄は非常な過密ダイヤを持っておる。これが国鉄の従業員はもちろんのこと、国鉄に乗る乗客等に対しても非常な影響を与える。これをどうして解消していくかといえば、運賃でこれをやるか、あるいは国庫の補助金その他でやっていくか、こういう問題になってまいると思うのでございます。また、そういう点を考えまして、ただストップしても、ストップのままにして一年置いておいたんでは、その原因が解消されておらなければ、次に至ってさらに高い値上げをしなければならぬ、こういうことにもなるわけであります。ですから、それらのものを十分勘案して、そうしてそれぞれの企業体において改善すべきものは改善し、また、先行投資として、利益のないところにやらなければならぬものの公共性というものをどう考えるか、また、それらのもの全般について、政府がどの程度考え、あるいは乗客がどの程度負担していただくか、こういう問題をあわせ考えて、私は根本的に解決ができていくのだと思います。そういう見地に立ちますけれども、当面、物価問題が非常に重要でございますので、そうした基本的な問題だけにこだわっているわけにもまいりませんから、それぞれあわせ考えながら、そうした問題に対して対処してまいりたいと、こういうふうに考えておるのでございまして、この問題は、公共料金一般に非常に重要なものでございますから、われわれも細心の注意をしながら、今後のこれらの問題に取り組んでいくつもりでございます。(拍手)
#25
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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