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#1
第049回国会 法務委員会 第3号
昭和四十年八月十日(火曜日)
   午前十時三十七分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月九日
    辞任        補欠選任
     内田 俊朗君     岩沢 忠恭君
     園田 清充君     上原 正吉君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         和泉  覚君
    理 事
                木島 義夫君
                松野 孝一君
                稲葉 誠一君
                山田 徹一君
    委 員
                後藤 義隆君
                鈴木 万平君
                中野 文門君
                大森 創造君
                藤原 道子君
                柳岡 秋夫君
                須藤 五郎君
                山高しげり君
   政府委員
       法務省刑事局長  津田  實君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        増本 甲吉君
   説明員
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    関根 広文君
       法務省保護局長  武内 孝之君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○東京法務局文京出張所における商業登記事務取
 扱に関する請願(第五六号)(第六三号)
○検察及び裁判の運営等に関する調査
 (選挙違反取締と政党活動に関する件)
 (吹原産業事件等に関する件)
 (更生保護に関する件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(和泉覚君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 最初に、請願第五六号外一件を議題といたします。
 便宜、速記を中止して審査を行ないます。速記をやめて。
  〔速記中止〕
#3
○委員長(和泉覚君) 速記をつけて。
 ただいま速記を中止して御協議をいただきましたとおり、第五六号東京法務局文京出張所における商業登記事務取扱に関する請願外一件の請願は、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#6
○委員長(和泉覚君) 速記をつけて。
    ―――――――――――――
#7
○委員長(和泉覚君) 次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、調査を行ないます。
#8
○須藤五郎君 きょうは法務大臣の出席を求めたわけですが、大臣は出席されない、それから政務次官も出席されない。いま出席されているのは刑事局長ですか。
#9
○委員長(和泉覚君) はい、津田刑事局長が見えております。
#10
○須藤五郎君 それじゃ刑事局長に聞く以外に道はないと思うのですが、今度の参議院選挙、東京都議の選挙を通じまして、今回の検挙の特徴といいますか、それは、従来は――従来もそういう面だけではなくて、こういう面があらわれていたと思うのですが、違反を取り締まるのではなく、共産党をいかにして当選させないかというその立場に立って、むしろ選挙妨害だという検挙のやり方が非常に多かったと思うのです。こういうやり方というものは、昔政友会とか憲政会というふうに分かれてそして争った当時の選挙妨害と非常によく似ていると思う。あの当時は、私たちはまだ若いときでしたが、選挙なんというと、警察官を動員して、警察官は一軒一軒家へ入り込んでそしてとにかく時の政府のために働いたということがいわれておる。そして、選挙に負ければ、そういう警察官は今度おっぽり出されてしまって、署長はじめ警察官まで累が及ぶ、こういうことを私は小さいときに聞いておる。それにやや似たような行為が今度の選挙取り締まりに名をかりてやられておると思うのですが、刑事局長はそれに対してどういう判断をされますか、そういうことがあっていいのか悪いのかという点。
#11
○政府委員(津田實君) 検察庁におきましては、もちろん選挙違反そのものに対しては従来どおり厳正な態度をもって臨んでおりますし、不偏不党の態度をもって臨んでおることは、しばしば大臣をはじめ検事総長等が宣明しておるところでございますので一その方針には何ら変わりはございません。ことに、選挙運動期間中における取り締まりというようなものにつきましては、これは警察におきましてももとよりでありますが、検察におきましては、ほとんどと申しますか、なるべく、よほど明らかな目に余るもの以外は取り締まらないというような大体の方針も立てておりますので、したがいまして、選挙運動期間中には選挙の公正を妨げるような活動が捜査行為としてもなされたというふうには私どもは考えていないわけでございます。
#12
○須藤五郎君 もしもそういうことがあったとしたならば、そのときはどうしますか。
#13
○政府委員(津田實君) もとより、さような行為が違法行為であれば、それぞれのその違法の面におきまして、あるいは規律上の責任、あるいは刑罰上の責任を負うべきものであることは当然であると思っております。
#14
○須藤五郎君 私の手元には、その違法な取り扱いを受けた例がもう何十件とあるわけです。それを全部ここで申し上げると時間がかかっていけませんから、その中の四つ五つを私はあなたに読んで聞かせようと思うのです。あなたはないと言うけれども、事実こういう例がたくさんある。そういう点で参考までにちょっと……。
 七月四日午後五時ごろ、葛飾区鎌倉町六百二日輪荘居住の桐生春一(三十二歳)が、墨田区東吾嬬居住の職場の同僚片野輝男宅に遊びに行ったが、不在だったので、居合わせた友人の妹やアパート内の他家の奥さんたちと廊下で世間話をしておった。投票日のことで――ちょうど投票日ですね。「選挙は済んだか」という話になった。奥さんたちが「まだ投票していない」と言うので、「早く投票したほうがいいではありませんか」と言ったところ、その奥さんが、「だれがよいか」と、こういうように質問をしたというのですね。そこで、「野坂さんがよいではありませんか」と、こう言ったという。そうすると、その帰り道、路上で五、六人の私服らしき者に取り囲まれ、無理に交番に連行され、さらに公選法違反容疑で向島署に留置された。七月九日裁判官の釈放決定で釈放されたが、留置中の七日自宅は捜索を受けた。
 こういう事件が一つあるわけです。一々意見を聞いていきますが、こういうことが何で公選法違反になるのです。これがなりますか、公選法違反に。
#15
○政府委員(津田實君) ただいま御質問になりました事実関係のみによりましてはよく事実がわかりませんし、また、具体的の事件でありますので、いま私がここで公職選挙法に該当するか否かということの判断を申し述べることは適当でないというふうに考えるわけでありますが、この事件がその後どういうふうになっているか、いずれ捜査をされました以上検察庁に送致されていると思うのでありますが、どうなっておりますかは、検討いたしました上、お答えを申し上げたいと思うのであります。
#16
○須藤五郎君 もう一つ。
 七月十九日午後一時ごろ、新宿区西大久保二丁目中央病院裏付近で、新宿区在住の甲斐三太と小林美智恵の二人が、ベトナム署名、住宅署名、アカハタ日曜版拡大の運動中、路上でうしろから追ってきた男が、「私はそこのアパートの者だが、先日日曜版を配布してもらうよう約束したのに一度も入っていない」、こう言って共産党の政策について質問をした。また、選挙のことについて触れ、「たいへんだなあ」と同情を示した。小林さんが、「茶山についてよろしく」、こう言い終わらないうちに、「もうよい」と手をあげて二人のうしろにいたらしい七、八人の男に「早く連れていけ」と、こう命令した。この男は確かに私服であった。その結果、パトカーで淀橋署に連行され、公選法違反容疑で留置、送検され、七月二十二日釈放された。この日、自宅を捜査された。
 こういう事件が起こっておる。これは違反者を検挙するのではなくて、しいて言うならば、おとり戦術で違反者をつくろう。これは違反ではないと私たちは思いますよ、この程度のことは。街頭で会った人に「野坂さんによろしく頼む」と言ったって、これは何も公選法違反じゃないでしょう、戸別訪問をやっているわけじゃないから。街頭で警察官がそういうようなおとり戦術でやって、そうしてそれを検挙する、これは妥当ですかどうですか、刑事局長。
#17
○政府委員(津田實君) ただいまお尋ねの事実も、やはり具体的事実でございますので、具体的な事実全部を確定いたしませんと私どもの判断を申し上げられないわけであります。したがいまして、具体的事実として調査をいたしました上、お答えをいたしたいと思います。
#18
○須藤五郎君 それでは、これは後日――きょう私はまだ二、三例を申し上げますが、それをよく調査して、そうしてお答えしてもらいたいと思うのです。
 その次、第三の例。
 七月十八日午後八時ごろ、麹町付近で共産党の政策宣伝ビラ――公選法の適用外です。これを配布中だった千代田区麹町一丁目三番地居住の青柳さだ子外一名の婦人を麹町署員六名が取り囲み、「戸別訪問をしたろう」「選挙違反をしたろう」、こう言いがかりをつけて、無理やりに青柳さだ子をパトカーに乗せて麹町署に強制連行した。麹町署では、無理やり所持品を検査したところ、政策宣伝ビラしかなかったので、このビラは選挙違反にならない、こう言ってすぐ釈放した。
 こういうのです。このような有無を言わせず逮捕した後、持ち物を検査して逮捕の口実をつくるというやり方、これはほかにもたくさんあるわけです。こういうことが妥当ですか、どうですか。行き過ぎでないとおっしゃいますか、どうですか。
#19
○政府委員(津田實君) ただいまのお尋ねの点でありますが、逮捕のとき、まあ逮捕したかどうかという問題もあろうかと思いますが、また、逮捕のときの逮捕をする者の事情――事情と申しますか、その判断、及び被逮捕者の状況等によりまして判断を要する問題だと思いますので、この問題も、調査の上、お答えいたします。
#20
○須藤五郎君 第四の例。
 六月二十三日午後六時ごろ、豊島区駒込六丁目付近で、証紙の張ってある日本共産党の政党用選挙ポストターを運搬中の二名の労働者――東京都交通局巣鴨電車営業所勤務の鈴木進次、赤岩秀次を巣鴨署員二名が逮捕した。理由は、付近の電柱に同じポスターが張ってあったから、この両名が張ったに違いない、こういう言いがかりをつけた。鈴木は当日釈放されましたが、赤岩は留置、送検され、六月二十六日、ようやく釈放された。
 付近にポスターが張ってあったからということを理由に、ポスターを張っている現場を見たのでもないし、また、張ってないものをこういう言いがかりをつけて検挙することが妥当ですか、どうですか。
#21
○政府委員(津田實君) この点も、先ほど申し上げましたように、逮捕をしたときの事情及び逮捕者の判断というものが問題になるわけでありますので、十分調査をいたした上お答えいたしたいと思いますが、以上、あるいはあとにもございますかもしれませんが、あります例の具体的の逮捕者の名前を明らかにしていただきませんと、あるいは調査が不可能かもしれぬという気がいたしますが……。
#22
○須藤五郎君 警察官の名前かね。
#23
○政府委員(津田實君) 逮捕された者の名前であります。
#24
○須藤五郎君 逮捕された者の名前はいままでずっと申しておりますよ。逮捕された人間の名前はずっと全部あげておりますよ。あとで速記録を見てください、それは全部言っておりますから。
#25
○政府委員(津田實君) 姓名がおわかりであれば、姓名を承りたいと思います。
#26
○須藤五郎君 姓名もみんなぼくは申し上げております。速記録を見たらわかりますよ。
#27
○政府委員(津田實君) ただいま最後のものは姓だけ伺ったように思いますし、前の分も姓だけ伺ったにすぎないのではないかというふうに考えておりますが……。
#28
○須藤五郎君 これはぼくはここに書いたものを持っておりますから、もしも姓名やなんか抜けておればあとで補足して送ります。いまの第四の例で「鈴木」と言いましたが、最初は、「東京都交通局巣鴨電車営業所勤務の鈴木進次」と、こういうふうにはっきり私は言っております。そのあとのところで私は単に「鈴木」と言ったので、名前は出ておりますから、よくごらんください。
 第五の例。
 氏名田村妙子(二十二歳)、住所江東区亀戸町四の七十八岸田方。昭和四十年七月三日午後八時四十五分ごろ、近所の牛乳屋のおばさんにアカハタ    号外を手渡し、立ち話をした。九時に人と会う約束があり、福神橋バス停留所に出向いたところ、私服警官と目撃者という男が来て、「交番まで来い、あなたのいましたことを調べたい」と、こう言った。一人の男が、「野坂を頼むと他の宅へ寄って言った、個別訪問だ」と言った。強引に交番に連れ込まれ、氏名、住所、年齢を聞かれた。続いてパトカーで城東警察署へ連行された。釈放は七月三日午後十一時三十分。
 これも同じような事件です。おそらく刑事局長の答えは同じ答えだろうと思いますが、どうですか。
#29
○政府委員(津田實君) ただいまのものも、現実にその状況を調査いたした上、お答えいたします。
#30
○須藤五郎君 ところが、ここに一つ、刑事局長が何と言おうとも、証拠もちゃんとあがって、裁判所が決定を下している問題が一つあるわけです。それから見ましても、私がいままで申し上げた五つの例、これもやはりあなたたちの行き過ぎで、あなたたちこそ、検察当局こそ違反行為をやっている一つの証拠だと思いますから、その最後の例を一つ読んでみます。
 七月六日早朝、午前六時より七時ごろまで、原宿署は、公選法違反の容疑で、渋谷区千駄ケ谷の代々木病院と、同病院の副院長中田友也の自宅、小平市仲町五十の十四を捜査した。中田宅の捜査では原宿署員約二十七名から二十八名が自宅を包囲し、うち十六名が本人と妻のみの家の中に入り、令状を本人に読ませないまま、しかも住所の異なる令状のまま捜査開始、かけつけた弁護士渡辺修外一名の立ち会い要求も公務執行妨害であると拒否し、一斉に五つの部屋を捜査、立ち会いは不可能となった。そして、事件に関係のないものを押収、その際現金一万数千円が紛失した。この不当捜査、押収に対し、七月十三日準抗告を申し立てた。東京地裁は、七月二十三日、中田宅に対する捜査、押収は違法不当であると決定して、押収物を返還するよう命じた。
 こういう事件が起こっておるのを刑事局長は御存じですか。
#31
○政府委員(津田實君) ただいまの事件は、告訴人が中田友也、被告訴人が原宿警察署長並びに同署勤務警察官の威力業務妨害事件に関連するものと思いますが、その事件につきましては東京地検に告訴されておるはずでございまして、東京地検においてただいま捜査中であります。具体的のいまのお尋ねの押収あるいは捜索の行為そのものにつきましては、まだ私どもは承知しておりませんので、その当否については申し上げることができないのでありますが、これにつきましては警察官によるものでありますので、あるいは警察庁のほうで承知しておるかもしれません。
#32
○須藤五郎君 あなた、これを知らぬというのはおかしいじゃないか。自分らに都合の悪いことは知らぬと逃げて、すべて後日調査してお答えしますというので逃げる。あなたがわからぬものをここで答弁しろといってもむだだと思うから、ぼくは後日調査した結果を聞きしましようと、ここまで譲歩しておる。しかし、この代々木病院の問題は事実です。裁判所がこれは違法不当であると決定を下しておるんですよ、このやり方に。押収物を全部返還するように命じておるんです。こういう事実を刑事局長が知らぬ存ぜぬでは通らぬじゃないですか。
#33
○政府委員(津田實君) 御承知のとおり、刑事に関する捜査は、警察が第一次の責任を持っておりますので、検察庁ももちろん必要があれば捜査をすることができることになっております。したがいまして、本件は警察官によって行なわれた行為だというふうに考えられます。警察官の行なった行為につきまして、もちろんそれは送致後におきましてはその事実等について検察庁で取り調べて、したがって、その結果を私どもは調査することは容易でありまするけれども、警察官の手において行なわれた行為に関しましては、私どもとしては直接調査するということはないわけでありますので、私どもがこの内容を逐一知る機会はないわけであります。したがいまして、お尋ねの点につきましては、警察庁のほうにおいて承知しておればお答えすることができると思います。ただいま警察庁の係官が参っておりますので、そちらからお聞き取り願ったほうがいいと思います。
#34
○須藤五郎君 よろしい。じゃ、その警察庁の人が来ているそうですから答えてもらってください。
#35
○説明員(関根広文君) ちょっと何を質問されるのかと思いまして実は要領を得ませんでしたので、ただいまの代々木の問題につきましても報告のあった書類を引き出して持ってまいったのでございますが、あまり詳しいことは存じておらないのでありますが、昭和四十年六月二十二日の事犯につきまして警視庁原宿警察署において捜査した事犯かと思われますが、そのことについて申し上げます……
#36
○須藤五郎君 ぼくは事実問題を聞いておるのではないんですよ。裁判所でこういう決定をした、裁判所もこういう決定をせざるを得ないようなことを警察官がやっておる、これは違法じゃないかと、こういう点についてです。それが違法でないなら、違法でないと答えてください。違法なら、これからそういうことはしませんとはっきり答えてください。私はそれを要求しておるのです。
#37
○説明員(関根広文君) 関係者の出頭、あるいは押収捜索をやっておりますが、その押収捜索をやった中で中田友也の自宅の捜査の分につきまして準抗告の結果、東京地裁刑事二十四部一係熊谷判事は、昭和四十年七月二十三日、松本三益名刺外六点を中田友也に対し返還することに決定した、その理由としては、自宅の捜索押収は違法不当であると認定しておる、右決定の通知によりまして、右押収物を昭和四十年七月二十四日、所有者に返還したということがありまして、そのほかの関係事件につきましては、七月二十七日、東京地方検察庁検察官に送致をしておると、かような状況でありまして、準抗告の結果、いま申し上げましたような決定があったということは報告を受けております。
#38
○須藤五郎君 だから、ぼくは、今度の選挙に対する警察官の取り締まりは行き過ぎである、不当だということをあなたたちに幾つかの例をあげて言っておるんです。あなたたちは知らぬ存ぜぬとすましておるけれども、あなたたちが知らぬ存ぜぬと言われない一つの例があるんじゃないですか。代々木の中田氏に対する弾圧は不当でしよう。そういうことは裁判所がはっきり言っておるじゃないですか。これはだから代々木病院だけの問題ではないのです。今度の選挙弾圧に対するあらゆる面で問題が出たのです。警察官は、違法をしたときはそれを検挙するのは警察官の任務かもしれぬ。しかし、法を犯さない人間までも違法だといってなんくせをつけて検挙し、また、違法も何もやる意思のない人間を、おとり戦術、警察官がわざわざ質問をしかけて、そして違法者をつくるために警察がやっておる。これはすでに取り締まりから逸脱した問題ですよ。むしろ、だから、最初私が言ったように、今度の都議選、参議院選を通じて警察のやったことは、昔の警察官のようなやり方だ。いわゆる違法者を処罰する、検挙するのではなくして、違法者をつくり出すこと、違法者だと思われる人をつくり出して、それは共産党の当選を妨害するために意識的に計画的にやられておること、こういうことをやることが警察官に許されることかどうか、こういう点を私はあなたに言っておる。ところが、いま、ずっと例をあげたけれども、よく調べてお答えしますと。それは私はわからぬことを答えろと言っても無理ですから、それはいいですが、しかし、はっきりしたこういう例が一つわれわれの手元にあるわけです。これから判断しましても、こういう違法があらゆる面で数知れず行なわれておる、こういうことが私ははっきり言えると思う。こういうことをやらすことが一体正しいのかどうか、私は大きな誤りだと思うのです。もしもこういうことがあるならば、刑事局長、これは行き過ぎじゃないですか。
#39
○政府委員(津田實君) もとより、捜査の過程におきましては違法行為をすることは許されないことであることは当然でありまして、したがいまして、違法行為を行なった場合には、それ相当の責任を問う必要があるということは当然と考えております。
#40
○須藤五郎君 それでは、この原宿署の代々木病院の中田宅を捜査した、こういう違法行為を行なったということはこれで明らかになった、裁判所の決定で。それで処罰いたしますか。
#41
○政府委員(津田實君) 違法行為が行なわれた場合にいかなる責任があるかという問題につきましては、警察官の任命権者であるところの者が一次判断をすべきものというふうに考えているのですが、なお、この間に犯罪事件があれば、これは当然捜査の対象になると思いますが、具体的事件がどういうことによって裁判所において違法と判断されたか、その辺は十分検討しないと本人の責任をきめることはできないというふうに思います。
#42
○須藤五郎君 あんたが違法行為があったら処分するとさっきおっしゃったから、ぼくはこういう質問をしたんですよ。裁判所が調べるといって調べた結果こういう判決を下しているのですよ。警察官の行き過ぎだということは、これはちゃんと裁判官が裏書きしているのです。そういう裁判官が裏書きをしておる行き過ぎ行為に対して、あんたたちはほおかぶりしてどうするんですか。これはあくまでも究明して明らかにするのですか。そうしてその事実があらわれた場合に処分するんですか。どうですか。そういうことを明らかにしておかなければ、今後もこういうことは繰り返されますよ。これはたまったものじゃないですよ、人民は。
#43
○政府委員(津田實君) 私に対するお尋ねに対してお答えいたします点は、当該警察官の違法行為とすれば、これは警察官の任命権者が行なう。当該警察官の任命権者がだれであるか、これは私どもはわかりませんが、これはやはり警察庁長官かあるいは地方警察の関係において任命権が行なわれておるものと思われますので、その任命権者においてその責任を明らかにする必要がある。これは法律論として申し上げるわけでございます。
#44
○須藤五郎君 じゃ、もう一ぺん伺います。先ほど、違法があれば処分されなくちゃならぬと言ったのは、刑事局長の意見としておっしゃったわけですか。
#45
○政府委員(津田實君) 刑事局長の意見としてという意味がどういう意味になりますか、私としては、そういう違法行為が行なわれた場合に、その違法行為の責任を調査し、責任があればこれを処分する必要があるということは一般の道理である。道理であるのみならず、現在の法制上そういうふうになっておりますから、そのことを申し上げたわけであります。
#46
○須藤五郎君 その程度でこの問題についての追及はやめておきます。しかし、後日もう一度これらの問題についてあなたが調査してきた結果、いろいろのことを尋ねるかもわかりませんから、この問題についての質問は保留しておきます。
 それから吹原産業事件について少し聞きたいのですが、森脇を逮捕したのはいつでしたか。
#47
○政府委員(津田實君) ただいまその御質問を予想しておりませんでしたので、森脇を逮捕した日時はちょっとはっきり記憶しておりませんが……
#48
○須藤五郎君 五月十日。
#49
○政府委員(津田實君) 五月十日……その前後だと思います。
#50
○須藤五郎君 逮捕、勾留後、弁護士以外の者との接見禁止を許したのはいつですか。
#51
○政府委員(津田實君) 吹原につきましては、東京地方裁判所の裁判官によりまして去る四月……
#52
○須藤五郎君 五月十日に検挙されて、四月に接見禁止を解くというのはおかしいでしょう。
#53
○政府委員(津田實君) これはちょっと私どもの資料があるいは間違っておるかもしれませんが、森脇起訴後直ちに接見禁止の決定が行なわれておりまして、その決定については今日まで続いております。
#54
○須藤五郎君 じゃ、接見禁止は解いていない、だれにも面会を許していないということですね。
#55
○政府委員(津田實君) これは弁護人については別であります。
#56
○須藤五郎君 弁護士以外の人は会っていない。――いま吹原及び森脇は一体留置所の中でどういう状態にあるのですか。
#57
○政府委員(津田實君) 留置所ではございません。東京拘置所に勾留をされておるわけでございまして、その勾留の状況については特段に承知いたしておりません。
#58
○須藤五郎君 とにかくこれは異常に長期の勾留だということが言えるのですね。もう百日になってくるんじゃないですか。五月十日ですから、ちょうど三カ月、きょう十日ですから。三カ月に及ぶその間、弁護士以外はだれにも会わさぬとか、そういう例はこれまでそうなかったと思うんです、このように長期に勾留をしたのは。だれにも面会させない、家族にも面会させないということは、これはかつてなかったことだと思うんですが、どうですか。国民はこの事件に非常な疑惑を持っているんですよ。私が質問するのもそのためなんです。例の高橋法相、元法相きょうなくなられたということを聞いてお気の毒だと思いますが、この法相は、選挙前にこういうことをおっしゃっている。この問題は自民党とは関係がない、参議院選挙までに片づける、こういうことをおっしゃった。この例の高橋法相の指揮権発動ともいうべき異例の談話発表ですね、こういうことは発表すべき性質のものじゃないと思うんです。この異例の――指揮権発動と同じ効果を発すると思うのですが、異例の談話発表及び森脇被告の長期勾留、そうして、まだ裁判が始まらない前から、自供のない容疑者について、やれ世紀の脱税王とかなんとか詳しく新聞発表をし続けておる。法務当局のこの事件に対する態度はまさに異常だ、ノーマルじゃないと私は思います。何か自民党の汚職を隠すために検察庁が吹原と森脇に全部の罪をなすりつけるのに懸命になっているとしかわれわれには考えられない。世間はこう言っておりますよ。森脇が拘置所の中で急死するのではないだろうかといううわさすら今日世間に流れている。それほど深く国民はこの事件に対する疑惑を持っている。当局は、自民党が関係している疑いがあるというので捜査を手控えることをしないとここではっきり言明できるかどうか。
#59
○政府委員(津田實君) 吹原弘宣をめぐる事件は、三菱銀行の告訴によりまして捜査を開始した事件であります。その後次々にいろいろな事件が出てまいりました。出てまいりましたというのは、いろいろな事件の捜査の端緒を得たり、あるいはいろいろな告訴がありまして、そうして今日に及んでおりまして、なお現在捜査中であることは当委員会において前回にも申し上げたとおりであります。
 検察庁におきましては、もちろん吹原事件につきましてその告訴等の内容に基づいて犯罪が成立するや否やを捜査することはもちろんでありますが、同時に、吹原をめぐるいろいろな金銭の出入りの問題につきましても調査をその間にいたしておりまして、それによりまして吹原をめぐるところのいろいろなうわさと申しますか、世間の疑惑というものに対してこれを解明すべく努力をいたしております。現在、吹原をめぐる事件におきまして告訴をされている事件がなお四件ありまして、それはただいま捜査中であります。したがいまして、いまの情勢におきましては、この四件の事件の捜査が完了いたしました暁には、吹原をめぐるあらゆる関係の事実が完全に明らかになるというふうに私は思っております。したがいまして、その時期におきまして適当な機会にその内容が明らかになるというふうに思っております。
#60
○須藤五郎君 森脇、吹原に対して長期にわたって勾留をして、その間弁護士以外のだれにも会わさないというようなこういうやり方、それに対して、何かその裏にはあるのだろう、森協にものをしゃべらしては都合が悪い点があるのだろう、そういう疑惑を持っておるわけです。ことによると森協が獄中で死んでしまうかわからない、それで最も効果のある証拠隠滅がされてしまうのではないだろうか、こういう疑惑を世間が持つようなことをあなたたちがやっておったのでは、これはいかんじゃないですか。そういう疑惑を持たないようにはっきりと解明したらどうです。だから、ここでもう一ぺん言いますが、自民党が関係しておる疑いがあるというので捜査を手控えるというようなことはしないで、断固としてあくまでも明白にするためにはっきりとした態度をとるということをここであなたがはっきり言えるかどうか、それを言ってもらいたい。
#61
○政府委員(津田實君) 吹原事件に関していかなる党派、いかなる事情があるかということをもちろん考慮することはありますが、さようなことを検察官が考慮をして捜査をいたしておるものではありません。吹原並びに森脇が勾留されていることは、当人らについて証拠隠滅のおそれがあるからであります。しかしながら、すべての事件の捜査を終わり、すべての事件の関係者について取り調べが終わりました暁には、吹原、森協そのものを長期間勾留するというようなことはとうていできないことは当然でございます。したがいまして、現段階においては、吹原、森脇について証拠隠滅のおそれがあるとして裁判所が認定して保釈を認めていないわけでありますので、その点につきましては、私どもは公正であるというふうに考えておりますし、また、これが政府与党に関係があるからいろいろな工作をしているというようなことは絶対にありません。
#62
○須藤五郎君 何でぼくがこういうことを言うかというと、一番最初に申しましたように、前の高橋法務大臣が指揮権発動にも類するような言動をしているということです。まだ検察庁が調べていない――事実が明らかになってからというのならいいが、ともかくそれをしないとっぱなからこの問題は自民党とは関係がないということを言ったでしょう。どこでそういうことを言えるのですか。不謹慎きわまるものではないですか。法務大臣がこういう発言をしたら、その下にいる検察官はやはり拘束されるんじゃないですか。そうでしょう。そういうことをやるから疑惑が深まってくる。何かくさいから、高橋がそれを押えつけた、これは指揮権発動と同じじゃないか、こういう意見が出てくる。だから、これからどんどん疑惑が起こってくる。自民党との関係があるんじゃないか、だから高橋がそういう発言をして、そうして検察官側にそういう圧力をかけたんじゃないか、検察官がそれに負けて森脇、吹原二人に罪をおっかぶせてしまう、累が自民党に及ぶことをおそれてそういうことをやっているんじゃないか、そのために接見を禁止してそうして長期にわたって九十日間も勾留している、まだこれからも勾留が長く続く、そういう無理をやっておるんじゃないだろうか、こういうことを世間が言うわけですよ。それに対して、あなたたちどう言って答えるのですか。法務大臣の言動が正しいと思いますか、どうですか。取り調べもまだ済まぬうちにこういう発言をするということは正しいと思いますか、どうですか。
#63
○政府委員(津田實君) その問題につきましては、前国会におきまして当委員会でも御質問がありましてお答え申し上げましたところでありますが高橋前法務大臣が、ただいまの御質問の趣旨に当たるような発言、あるいは新聞に対して発言をしたことは事実であろうと私は思っております。しかしながら、それはなるほど捜査の過程ではありまするけれども、その段階において黒金念書なるものの偽造が明らかになっておりまして、そのことを私ども事務当局から大臣にもその捜査の進展状況は必要なポイントポイントについては逐次報告をいたしておりました。その報告を大臣が判断をいたしましてあのような発言をしたものというように私は理解しておるのでございます。で、私ども事務当局といたしましては、事実の報告はいたしておりますが、意見についての報告はいたしておりませんから、大臣としては私どものした事実に基づく報告を判断してあのような判断のもとに発言をされたものというふうに考える次第であります。しかしながら、私どもは、もとより検察庁におきましても事実の概要は随時つかんでいくわけでありますが、将来の見通し等につきましては、その当時としては何ら判断を持っておりません。したがいまして、その事件がいかなる方面に進展するかということについては、その当時全く予測を許さない、こういうような状況であったわけでありまして、そのことは、後に随時その問題から多数の事件が摘発され、多数の事件がすでに起訴されておりますし、また、森脇につきましては、三十数億というような全く巨大な脱税について起訴いたしております。かような事実は、逐次これらの事件の捜査の過程においてあらわれた端緒に基づいて捜査を進めていっているわけであります。したがいまして、検察官が高橋法務大臣の発言をどのように理解したかということについては、御指摘のような理解は全然いたしておりません。検察官は検察官として全く不偏不党捜査を遂行している、捜査の端緒のあるものにつきましては逐次捜査を実行していく、こういうことを負っていることは、現にすでに森脇、吹原をめぐる多数の事件で起訴をした事実によっても明らかであるというふうに思うのであります。
#64
○須藤五郎君 きょうは時間がもうあと三十分くらいしかないのですが、私はこの問題についてはもっといろいろ意見がありますよ。黒金念書、あれだって八枚あるんですよ。そのうちの一枚だけが偽造で、あとはほんとうだということもいわれているんですよ。これはもっと時間をかけて明らかにしなければならない問題である、そう思っておりますが、そういうこともわれわれ聞いておる。だから、あなたの言うことはすぐぼくは納得できないし、われわれはあくまでも高橋法相の言うことは検察庁に圧力をかけた結果になっておると思う。だから、そういう圧力に屈せず、検察庁としてはどの政党に関係があろうとあくまでも公平に断固として調査をするということを私は要望しておきます。
 それからもう一つ汚職の問題があるのですが、いわゆる九頭竜汚職について検察庁で捜査しておりますかどうですか。
#65
○政府委員(津田實君) ただいまそれにつきまして本日御質問を予定いたしておりませんので調査をいたしておりませんが、私の記憶では捜査はいたしていないと思います。しかしながら、前回の衆議院の決算委員会等の事情その他につきまして検察庁におきまして検討はいたしておることは事実でありますが、まだ捜査すべき端緒は得ていないというふうに考えております。
#66
○須藤五郎君 それは捜査していないというのは私はおかしいと思うんですがね。この問題は、前国会においてこの事件を国会で調査され、少なくとも鹿島建設と電源開発株式会社の間の談合で入札があったという疑いがきわめて濃厚になった、そういう問題です。それをなぜ捜査しないのですか。こういう国会でもすでに問題になっておるそれを検察庁が黙って捜査しないということは、これは手落ちではないですか。何のために捜査しないのか、その捜査をしない理由を教えてください。
#67
○政府委員(津田實君) およそ、捜査と申しますのは、捜査を開始するに合理的な端緒を必要とするものであります。単にうわさ、疑い等によって捜査を開始せられた場合には、一般国民は非常に迷惑をこうむるわけであります。したがいまして、検察庁におきまして捜査を開始するのは、それ相当の捜査を開始すべき端緒があるからであります。その端緒のうち、しかも強制捜査に移る場合には、裁判官を納得せしめて、あるいは逮捕あるいは押収捜査ができるような端緒を必要とするわけであります。現行犯の場合は別であります。したがいまして、さような端緒を得られるかどうかということは、その前に検察庁において検討を要することでありますが、さような端緒を得られない場合におきましては、これは捜査に着手することは相当でないというふうに考えられる。でありますから、問題は、その端緒が検察庁自身で得られるか、あるいは第三者の告訴、告発等によってその端緒が得られるかにかかっておると思うのであります。
#68
○須藤五郎君 あなたは国会の審議を権威ないものと考えるのですか。これは国会で問題になって、疑惑を持たれている。良識ある国会議員がこういう問題を取り上げておる。その国会で審議された問題、大体見当がついておるような問題を、検察庁がなぜ捜査しないのですか。それはおかしいじゃないですか。それは国会を軽視することじゃないですか。国会の審議に対して、あなたは権威を認めないのですか。
#69
○政府委員(津田實君) 国会でこの問題について決算委員会で御調査のあったことは十分承知しておりますし、当時、私どもの法務省におきましても、当該決算委員会に係官を出席せしめまして、その事情を聴取し、また、速記録等を検討していることは事実であります。しかしながら、国会の御調査そのものは、国会としてのそれぞれの目的がおありになることは当然であります。国会の御調査によってあらわれたところが捜査の端緒となるかどうかは、やはりこれは捜査当局が判断すべき事項であります。したがいまして、捜査当局においては、国会にあらわれた事項のみでは捜査を開始する端緒を得ていないというふうに現在は判断しておるというふうに考えます。
#70
○須藤五郎君 この問題も後日に譲ります。
 それで、次に、第三の問題ですが、渋谷区本町地区に善隣厚生会というものがあるのです。そこから私のところに一つの陳情が来ているのです。この陳情を私が取り上げたのは、刑余者を毛ぎらいするとか、そういう立場でこの問題を取り上げているわけでないのです。だから、そこを誤解のないようにして聞いてもらいたいとおもうのです。ここに陳情書がありますから、陳情書を一応読んでみましょう。そうしたら、陳情者自身も決して刑務所から出てきた人間であるからそんなものがこっちにおってもらっては困るというようなそういう立場でこの陳情はされてないということが、陳情書を読めばよくわかるのです。陳情書を読んでみましょう。
 こういう八人の町会長が連署でこういう陳情が来たんです。このことを保護局長は知っていらっしゃいますか。
#71
○説明員(武内孝之君) 私どもは更生保護会の事業についての監督官庁である東京保護観察所の所長及び事業経営主体の者から概略いままでの状況を随時ではありますが聞いて承知いたしております。
#72
○須藤五郎君 知っているだけで、それに対してあなたはどうしようと考えておるのですか。
#73
○説明員(武内孝之君) 更生保護会の事業は、現在の法制下におきましては、民間の人たちが、社団法人、財団法人、あるいは個人経営などによりまして、刑余者及び執行猶予者及び起訴猶予者、そういうふうな人たちで釈放されて六カ月未満の者たちが行く先がない場合、あるいは、家族がありましても、家族との折り合いが悪い場合に、本人から願い出をいたしました場合に、観察所長がその必要を認めますと、各地にございますこのような更生保護会に、本人に対して宿泊を提供し、あるいは衣料品を与えたり、金品を与えたり、食事を給与いたしまして、その社会復帰を助けるという事業をしておるのでございますが、全国で百五十九団体ございまして、東京でも十九団体あるのでありますが、また、その東京でもすでに三カ所はその土地で善隣厚生会と同じように全面改策をいたしたのでありますが、当時、その分につきましては何ら問題が起こりませんでしたが、この第四番目の渋谷にございます善隣厚生会につきましての全面改築につきまして、住民の方々からただいま読まれましたようないきさつでその場での全面改築についての反対陳情があったわけであります。
 これにつきまして私どもはこれを承知しましたのは、本年の五月、東京観察所からの報告によって初めてわかったのでございますが、概略申しますと、全面改築をしようとする場合、あるいは一部改築でも増築でも同じでありますが、事業経営主体は民間人でございますが、その更生保護会のほうからこのような改築をしたいと申し出ましても、法務省としましては、その改築をする場合に、居室のつくり方その他構造の問題が法務省令で定めておりますところの、中に入っている人の人権をそこなわないようにという配慮から、省令の基準に適合するかどうかということで、構造と規模と居室状況などにつきましてよく調査いたしまして、そうして、本件の場合は借地でございますので、地主が承諾をしているのかどうかということが問題になりますから、その点を調査しまして、これは不燃性の建築物をつくることについて承諾していることは、すでに昨年八月文書をもって承諾書が出ておりますが、そのような問題、それから資金があるのかどうかという問題につきましては、この善隣厚生会は、社員が金を出し合いまして三百万円余り調達しておる。そうして、それを元にして自転車競技法に基づくところの特殊法人の日本自転車振興会から一千万円前後の補助金の申請をするのだということがわかったのであります。これは本来更生保護会から直接日本自転車振興会に申請書がその宛名書きされて出される筋合いでありますが、私どもがそれにタッチいたしますのは、いいかげんな居室をつくられたり、また、省令の基準に合わない構造をつくられましても――構造といいましても、中の間取りとかいろいろありますが、あとで修正できませんので、あらかじめ基準に合っているかどうか、建築基準法の関係なり建蔽率なんかほんとうに法規に合っているかどうかということを調査いたしました。これは、振興会のほうから、その点は法務省が事業の監督をしているのだから、それだけは法務省の監督すべき問題として責任をもってみてもらいたいということでありますので、もっともでありますから、その面に目をつけましてから書類は振興会に回るわけでありまして、あとは振興会と事業経営主体との間の関係になるのでありますが、そのようなことにして、本年三月交付金の内定が保護会に対して直接振興会からなされております。また、それはそれで筋でありますが、そのようにして作業を開始しようといたしましたときに、住民の方々から、ことに近所の方々から、いま申されましたような、従来の被保護者と申しますか、中に入っておる者の乱暴したこと、暴行事件などがございましたので、非常に不安がられて、そのことをお坂上げになって、どこか適当なところへ移すことはできないかというふうに私にも陳情がございました。私も、その際、これは五月の中ごろかと思いますが、皆さんのほうに、仮処分などで工裏の差しとめなどの手続をとっておりますかと聞きますと、それはまだもちろんとってない。そこで、役所としましては、この土地の所有者、地主の承諾があって、そこで十年以上もこの事業をずっとやりまして、いままでこのような抗議的な反対陳情というようなものは私どもにはなかったのでございますし、また、観察所に対してもそのようなあらたまったお話もなかったことは事実であります。それで、私どもは、土地を借りて十年間もこの事業をしておる社団法人の善隣厚生会が、従来の陰気な暗い建物を小ざっぱりした建物に直すということ、これは収容者のためにも心のすさぶのをくいとめるのでいいことであるというふうに考えまして、まあ建築されるものと思っておったのでございますが、ただいまのようなそういう陳情を受けましたので、役所側としましては、隣の人との感情問題ということにつきましては、これは事業経営主体が当然更生保護以前の問題として隣づきあいとして平素から円満におつきあいをしていなければならないはずのものである。そういたしますと、こういう問題が起こりましたのは平素のおつきあいに至らぬところがあり、そういうことと同時に、中に入っておる収容者も隣の人たちとの間のおつきあいに非常に欠けるところがあった。この最後の面につきましては、観察所の本人たちに対する処遇の不十分なところがあったということになりますので、これは私どものほうの監督権を発動いたしまして、中におる収容者が近所に迷惑をかけるようなことをしてはならない。ことに、更生保護会は、社会福祉の施設の収容所と違いまして、ただ宿泊所を提供し食べさせて泊まらせておるということではなくて、そのほかに犯罪を防止する、再犯を防ぐという一つの目的がついております。これが普通の社会福祉の宿泊提供者と異なる重要な点でございまして、再犯の防止という点につきましては特に私どもも心を配っておったわけでございますが、その点につきまして御近所の方々が不安を感じられたということを聞きまして、ここ二、三年のことが多うございましたが、それですぐ観察所にその状況の真否を調査させましたところ、確かに昭和三十七年から九年ごろにかけまして精神病者がありまして、アルコール中権者も一人おりました。これらは釈放されるまではそのような精神鑑定を受けておらなかったのでありますが、病状が悪化したと申しますか、厚生会に入りましてからそのようなことになりました。当時、職員をおどしたとかというような刑事事件も発生いたしまして、その際、精神障害者と認められる者とアルコール中毒者と認められる者で乱暴を働いた者は昨年からことしの一月にかけましてそれぞれ精神病院などに収容がえをしまして、問題の人物はこの反対陳情を受けました当時にはすでに善隣厚生会から普通の精神病院にかわっておるということがわかりました。その事実によりまして、なるほど確かにこの人たちが不安を与えたのだということがわかりまして、私どもは、これに対しての事業経営者の補導の不十分なこと、その面について監督官庁の目が至らなかったことを遺憾に思う次第でございます。
 ただ私のところに来られました方に申しましたのは、そういう補導の面につきましては強力に監督権を発動して、補導の悪いときには経営責任者を追及して処置をすることができますけれども、土地をかわるということにつきましては、民間の事業、社団法人でございますので、民法法人といたしますと自律主義のたてまえもございますので、本人たちの気持ちがそのほうに向いてくれればともかくでございますが、その一つ土地を買うにしましても新しく借りるにしましても資金が要るものであります。経済的負担は本人にかかるわけであります。国立ではございませんので、その点、本人が自己資金を調達する面に重大な障害がありますと、土地が見つかりましても、値の関係で手に入れにくい。また、新しく新築する場合には、その土地で御近所の方々の理解がなければ非常にむずかしい。幸いにここには十年以上おりまして、経営者にいたしますと、理解をしておってもらった、こういうふうに考えておったのでございましょう。そういう状況でございますと、側で強い法律の権限を用いまして引っ越させるということはできないことでございますので、もっぱら事業経営者と御近所の方々の話し合いを期待しておったわけであります。ところが、いろいろ事業資金のこともございましょう。経営者としましては、土地もないし、いままでの請負契約のこともあるし、新しく土地を求めるのにも金がないというところから、ここで改築をしたいという意思を変えませんので、そういたしますと、役所としましては、あとはこの御近所の方と事業経営者との間の感情のしこりをなくすことでございますが、同時に、役所側としましても、そういうことが補導の面で将来入るところの――この作業中は四月からもう全部いなくなって空になっておりますが、将来入るところの収容者の方々に対する補導の影響も考えまして、御近所の方々の御理解と、あるいはいろいろの不安を除く方策につきまして観察所側はつとめたのでございます。一時、六月の初めごろ御近所の方々は了解されたと聞いておりますが、やはり一緒に反対陳情をなさった方々に対するお手前もありましてもう一ぺん白紙に戻っておるというふうに聞いております。
#74
○須藤五郎君 それを承認したという人は、何か聞くところによると、保険の勧誘員かなんかだね。厚生会へ保険の勧誘をとりに行って、反対するなら取り消すぞと言われた。そのためにやむを得ず賛成したんだ、こういうことがぼくのところへちょっと耳に入っているんですよ。まだ確かめてありません。しかし、その被害の甚大なことは、ここに私のところに被害の実例をたくさんいろいろな人が書いてきておりますよ。みんな読むわけにはいきません。一つ二つ読んでみましようか。こういうことです。これは同僚諸君の参考にもなると思います。
 大体こういう訴えが、まだたくさんありますけれども、来ておるわけです。こういうことをあなたたち知っておって、こういう人たちの希望をいれて移転に努力するとかそういうことをしないというのはおかしいじゃないですか。あまり無責任じゃないですか。私自身は警察に行って、警察の裏打ちがちゃんとあるわけです。警察もこういうことがあったということを認めておるんですね。だから、決してこれはうその事実じゃない。私は警察へも行ってきたんです。それから私はこれは立地条件を調べてきましたよ、行って。いま建てる建物も見てきましたよ。これは非常に狭いですね。隣の家との境が人一人がやっとはいれるくらい、三尺くらいですよ。それで、隣の家の窓と厚生会の窓とが向かい合っている。ああいうのなら、窓から窓へ飛び込むこともできますよ。まして女の子供なんかあって――まだこの陳情の中にもわいせつ行為があったりすることも書いてありますよ。これはおそらく隣近所はたいへんな迷惑をしておるのじゃないだろうか。だから、やむにやまれずしてこういう陳情をやられたんだろうと思う。これに対してあなたたち責任がある。法務局長が、おれたちは権利がないから、建てるのはしかたがないから建てさせるんだ、住民と話し合ったらどうだ、そういう無責任な態度は、これはいかぬじゃないですか。何とかもっと積極的なことを政府が考える責任があるのじゃないですか。
 大体、厚生会なんというものは民間にまかせることが第一間違いだと思う。ぼくは刑余者をほんとうの生活に立ち戻らせるためには、少なくも国がもっと親切に立ち入って、監獄から出た人はちんゃと職業につける、生活は保障する、ここから始めなくちゃうそですよ。それを国家がやらないで、民間の慈善事業いわゆる慈善事業者、これにまかせて、そしてわずかばかりの補助金を出して、それで事足れりとすましているからこういう問題が起こるんです。確かにこういうところに入れられたら、刑余者はやはり前科者扱いされるから、おもしろくないんですよ。私は、刑が終わったら前科者じゃないと思うのです。もうその人は刑ですべての罪を清算したんです。刑務所から出てきたらまともな人間扱いをしなければいかぬですよ。それをあくまで刑余者扱いをして、そしてこういうところへねじ込んでいる、そういうところに問題が起こる原因がある。こういう人たちは生活も何も保障されていない、あなたもさっき言ったとおり。これは国家が保障すべきです。こんな善隣会なんかにまかせておく性質のものじゃないですよ。こういうことをやったら、いつまでたってもこういう人たちはまともに立ち上がれませんよ。だから、やけになって酒を飲んで、そうしてこういう被害を近隣に及ぼすというおもしろくないことが起こってくる。だから、もっと根本的に刑余者に対する対策というものをもう一ぺん立て直さなければ、ほんとうじゃないです、いまのやり方は。私は治安維持法に触れたことがあるんです、昭和五年の年。そして私は監獄から出てきたのですが、そうすると、その当時保護観察所というのがあった。自分は刑を終えて出てきたのだから無罪なはずですよ。何ら政府から容喙される必要のない立場に立っている人間だ。それにもかかわらず、刑務所から出てきた人間をあくまで保護観察所につかまえて、一週間に一ぺんたずねてこいとかなんとか。行かなきや人が来るとか、そういういわゆる罪人扱いを受けることは、これは決して好ましいことじゃないですよ。その本人に対する影響はプラスじゃない、マイナスですよ。それがいま今日でもやられておる。だからこういう問題が起こっている。生活は安定していない。生活の環境はよくない。おもしろくない。そうしたら、うっぷん晴らしにこういうことが自然に出てくるのは当然ですよ。しかし、そういう当然の行為から近隣の人が迷惑を受けるということは、これまた困ったことです。だから、そういう当然の行為が起こらないように政府がしなければならない。これがほんとうの保護局長の仕事じゃないですか。保護局長というのは、そういうものをたくさん建てて民間の人たちがやる、それに補助金を出してそしてそういうものを経営さしている、そういうこと自体が非常に安易な考え方で、ほんとうの刑余者に対する親切な方法じゃないと思うんですよ。私は職安へも行って職業も調べて来ました、その人たちの働き口も。調査は十分してあります。きょうは時間がありませんので、私が調査したことを全部ここでさらけ出して皆さんに申し上げることはできませんが……。
 それから経営者の問題ですが、これも法務省の調査ですから間違いはないと私は考えますが、いまの人は鄭さん――ここの経営者はみんな朝鮮の人ですね。あなた方が言うと韓国人と言うかもしれませんけれども、朝鮮人ですね。これまで三代かわっていますね。初代は趙さんという方です。この男は刑事事件で執行猶予となっている。内容は業務上横領、暴行で三十五年三月三十一日に起訴されて、その内容は、フレンド奉仕団から来た援護物資の着服、もう一つは、会員李聖豹さんの顔面を殴打したということで刑事訴訟を受けておる。これが善隣厚生会の初代の会長さんです。二代目は大山という方。これも帰化した朝鮮人です。このときに一時閉鎖命令が出た、三十七年に。これは御存じですか。あとから何のために出たか私はあなたに聞きたい。理由は、大山が会長になったのに前の会長の趙さんが権利を主張して、内部にも勢力争いがあったために一時閉鎖した、こういうことが法務省側の見解として出された。三代目が鄭さん、日本名丸山。今日、内部で使用されておる者の行為については言わない。これをあなたに聞く必要がある、こういうふうに思っておる。以上述べた点について……。
#75
○説明員(武内孝之君) 更生保護会と申しますのは、保護観察と並びまして、罪を犯した人の社会復帰を助ける制度でございますが、お説のように更生保護会は現在は終戦前から引き続いて経営の弱いものもかかえておりますので、最近はその経営の弱体なりまた施設の悪いもの、そうして事実上人口の都市集中に伴いまして空になってきておる保護会もございますので、それらを順次廃止総合して処遇の明るいものにしたいというふうに考えております。これはわが国でも明治時代の免因保護事業から発達したものでございまして、いわゆるアフターケアの仕事に属すると思いますが、更生保護会には、保護観察中の者のみならず、執行猶予者、起訴猶予者というふうに有罪でも刑に服さなかった者も本人が願い出ればそこへ収容するというたてまえをとっております。将来の問題としましてこれを国立あるいは地方公共団体のものにするかどうかにつきましては検討いたしておるのでございますが、現在はこれを役人の仕事にしますと、非常に事務的になり機械的になるおそれもありまして、やはり個人個人の家庭的な安定であるとかそういうものが再犯防止に役立っておることも見のがすことができませんので、さしあたりは民間の方々の申し出によりまして法務大臣が認可するという形をとっておるわけでございます。
 なお、お話しのいろいろの暴行事件につきましては、私が先ほど申しましたように、そのうちの非常にショッキングな行為をしました者は精神障害者とアルコール中毒者であるということが当時わかっておりまして、これを除いて、精神病院へそれぞれ入れたのでございますが、私どもはこの問題につきましては、将来補導の充実を期していくように関係者を督励して監督を強めていきたいと思っております。
 それから最後にお話のございました一時閉鎖――一時委託を停止したことがございますが、これは趙が保護会に配られました保護収容者へ食べさせるべきバターを五かん自分が着服して食用したというのですが、業務上横領でございます。そうして、中にいる保護者をぶんなぐった。これは私どものほうから事件にして、こういう者を置くわけにはいかないというので検察庁で取り上げるようにしてもらい、起訴されまして、事情によりまして裁判所で執行猶予になり、裁判所において判決確定後三年くらいして三十八年ごろ、自分は元ここの理事長だった、だから自分はここに住む権利があるということを言いまして、入り込んで、職員が出てくれと言ってもがんばって出ない。理事の間に内紛が起こりまして、それで、監督官庁としては、こういう内紛が起こっては中にいる保護者の補導の万全を期することができないというので、当時おりました三十名くらいの保護者を全部よそへ委託がえしまして、その中に置かないことにしたのであります。補導に悪影響を来たす内紛だということで断固たる措置をとった次第でございます。ところが、その後、越という者がとうとう出てしまいましたので、理事の間の内紛もおさまりまして、その際に、理事をかえまして、こういうふうな陣営でやりたいと言ってきたものでありますから、新しく大山という者が理事長になりまして、そこで事業再開ということで、約二カ月くらい委託を停止したと思いますが、委託が再び三十八年暮れごろから行なわれた状況でございます。
 このように、補導に対して悪影響を来たすような理事の内紛とかあるいは内部の問題につきましては強い監督権限は出しますが、移転ということになりますと、事業主体の意思の尊重ということが民法法人のたてまえでもございますので、内面指導も行政指導も限界を越える場合がございます。そういう意味で、本件の場合につきましても、他に土地をさがしなさい、反対陳情もあるのだからもう一ぺんさがしなさいということで私も本人に言いましたが、理事会を開いて、結局金がないということで本人たちが動かなかった、こういうことでございます。
#76
○須藤五郎君 さっき陳情書に書いてあったように、土地もさがしましよう、金もつくりましよう、そこまで近所の人たちが言っているのです。請願書はこんなに署名が集まってきているんですよ。だから、いかにこの人たちがこういう行為で迷惑しているかということはあなたもわかるでしよう。それがわかることが先決ですよ。その地方の人がどんなに迷惑をしているか、それはわかりましたね。それがわかったならば、第二に打つべき手があるはずじゃないですか。今日近所の人がこういう条件までつけて、改築をやめてどっか別のもっと環境のいいところへ建てたらどうですかと――あなたたちが刑余者をほんとうに立ち直させるためには、もっと国が金を出して、ああいう人ごみの――あなた行ってみましたか、あれは決して適切な土地じゃないですよ。ああいう人ごみのごみごみした中へそういう人を置くということは適切じゃない。その人たちのためにもよくない。だから、もっと適当な土地をさがしますということまで近所の人が言っているのだから、それを受け入れてそういうことをすることが近所の人たちにも親切なことであり、刑余者に対しても適切な行為じゃないですか。いま申しましたように、この善隣厚生会の会長さんが、初代会長が刑事事件で起訴されるとか、一時閉鎖をしなければならぬとか、こういうごたごたした、みんななにじゃないですか、ほんとうに適した人とは言えないんじゃないですか。こういう人たちが経営しておって、どうして刑余者が立ち直ることができますか。こういうやり方を政府が黙認しておるということ自体が問題ですよ。だから、私が言ったように、こういうことは民間の人たちにこういうことをまかすのではなくて、国家がもっと本腰を入れて金を出し、まずなすべきことは、刑務所から出た人は前科者扱いをせず、どこの会社でも頼んで正業につかす、そうしてこの人たちの立ち直りをあたたかい目で見ていく、こういう態度が一番必要なので、これをこういう善隣厚生会とかなんとかというところへまかせっきりにして政府は知らぬ顔、わずかばかりの補助金を出して事足れりとしているところにこういう問題が起こる最大の原因があるというんです。だから、もっと根本的に当局としては考え方を改めてもらいたい。それでないと、近所の人、それと刑余者にとっても迷惑です。私は刑余者に同情する立場でこういうことを言っている。あの人たちが悪党とは思っておりません。だから、そういう気の毒な人の扱いをあなた方は間違っているのではないか。
 もう一つお聞きしたいんですが、善隣厚生会の管理人というのがあるでしよう。その管理人についてあなたたちは何か聞いていることはないですか。
#77
○説明員(武内孝之君) 管理人とおっしゃいましたのは、社団法人の会長の丸山修司氏のことかと思いますが……
#78
○須藤五郎君 いや、今度の管理人じゃないです。前々からの。管理人というのと会長というのとは違うでしょう。
#79
○説明員(武内孝之君) いいえ、管理人と申しますと……
#80
○須藤五郎君 使用人ですか、そこの。
#81
○説明員(武内孝之君) 使用人のことにつきまして、お尋ねの趣旨がわかりませんが、素行などにつきましては存じておりません。
#82
○須藤五郎君 それではこれは私が法務省で調べたことでもないし、警察で裏打ちがされていることではない、うわさ話です、こういうことを聞いたんですがね。白河という使用人がおる。彼は二年ぐらいおった。そのときに、よくけんかがあった、窓から刑余者が落ちて道路を血でよごしたことがある、そういうことなんで、白河は使用人の立場にありながら、うわさによれば麻薬問題で殺人事件を起こして刑務所に入ったというようなうわさが立った。そういううわさが立ってから引っ越ししている、こういうことを聞いておりませんか。
#83
○説明員(武内孝之君) 聞いておりません。
#84
○須藤五郎君 もう一つは、次の天野という人の間にもう一人の管理人というのですか、使用人がおったわけですね。現在三鷹に住んでいるそうです。この人は、いままでの管理人は悪いことばかりしていると近所の人にしゃべっている。この人は半年くらいいてやめてしまった。
 それからある管理人は二年ぐらいいたが、その間けんかがしばしばあった。厚生会の食事のピンをはね、その上に天引き貯金の使い込みがあったといわれる。この人は妻子、子供を置いていなくなり、妻、子供は追い出しをくって三カ月後にいなくなった。これはどうも天野氏のことらしいですね。
 現在の使用人は上野というのですか。
#85
○説明員(武内孝之君) そうです。
#86
○須藤五郎君 ですから、刑余者の中には、こんなところでなんで更生なんかできるか、こういう声が上がっているということを聞いたわけです。あなたはどう思いますか。いまのあれで完全で、どんなに近所へ迷惑をかけてもあすこへあくまでも建てるんだ、こういうふうにあなたは考えているのですか、それとも、近所の方の迷惑を知って何とか善処しなければならぬというように考えますか、どうですか。
#87
○説明員(武内孝之君) 善隣厚生会が現在鉄筋四階建てのものを建築中でございますが、他に移転させるという問題につきましては、法務省といたしましては、将来の法制は別といたしまして、現在の法制の建前では、強制力をもってこれを他に移すことが遺憾ながらできませんので、これは将来の問題として、今後の問題としまして、私どもは、住宅地内にある保護会の問題でありますから、現地の方々に不安の感じを抱かせることのないように収容者を十分選択してそしてここに入れること、従来のような苦いことを反省しまして、閑散なところにある保護会とは違いますから、周辺に対するいろいろな問題も考えまして、収容者をこの収容者が適当かどうかというふうな人選に十分注意をしなければならぬということと、観察所がもっと積極的に観察官がここに出向きまして直接処遇の強化をしていくことが必要であるというふうに考えております。今後の方針としましては、そのような方向で一線の観察所を指揮いたしたいと考えております。
#88
○須藤五郎君 時間も大分過ぎましたから、簡単に切り上げたいと思いますが、それじゃ、局長も、あの場所が適当な場所だとは考えていないということ、しかし、ああいう建物に建てたからやむを得ない、やむを得ないが、この上は入居者を非常に責任を持って鑑別してそして入れるとこういうのですが、そんなことじゃ問題は解決しませんよ。いまこの陳情書にもあるように、あくまでも政府当局がこれを強行するならば、それからあと起る問題について町内会の人たちは責任を持たぬ、ここまでかたい決意を持っていらっしゃるんですよ。おそらく今後ますますうまくいかぬですよ、この問題は。それでも押し切るんですか。
#89
○説明員(武内孝之君) 六月の八日ごろに、一応近所の方々は手打ちまで皆さんと話し合ってしょうというところまでいったのでありますが、一緒に反対陳情に働かれました大ぜいの方々との間の了承が得られなかったので、ああいうことはなかったと思っていただきたいということで、白紙に戻ったのでございますが、現在建築中の建物でも、その後事情を調査いたしますと、隣との間にブロックべいをつくっておりまして、また、窓の点におきましても見おろすことのないように、十分御近所の方の迷惑にならないように経営者に配慮させたわけでございますが、その点もやっておるようでございますし、さしあたり御近所の方から地鎮祭などのときに表立ったもめごとというものが起こっておりませんので、経営者の話によりますと、経営者自体は御近所の方々と話がついたというふうな感覚でおりまして、私どももそういうふうに受け取っておったのでありますが、その後の陳情を受けまして、まだまだ御近所の方の不安を十分解消しきっていないのではないかと思っておるわけであります。
 なお、住宅地内の更生保護会は、東京都内にほかに三カ所全面改築をしておりますが、やはり同じように新築したところがございますが、幸いそこでは問題が起こっておりませんので、何か善隣厚生会の中の人たちの立ち居ふるまいに特別な、よその東京都内の三カ所の場合と違った不行き届きの点があったんではないかと思われるのであります。そういう面につきましては、十分指導をすることによりまして、解決に導き得るのではないかというふうにも思います。所によりましては、名古屋、大阪、東京という大都市では、どうしても現在は住宅地の保護会が多うございますが、新しく新築する場合には十分私ども土地の状況も考えて場所を選ぶように示唆しておりますが、いまのところ、国が金を出して土地を選んでおるわけではございませんので、私どもの最も理想とするような環境に全部そろえることができないのを遺憾に思っております。しかし、将来の構想としましては、だんだんとそういうふうなところへ持っていきたい、それには経営者の啓蒙をしていきたいと思っておるのでございます。
#90
○須藤五郎君 これで最後にします。
 私何回も言うようだけれども、刑余者に対する取り扱いというもの、これを根本的に抜本的に考え直す必要がある。これは政府がもっと真剣になって、監獄から出てきた人たちが前科者扱いされないように政府で骨身を惜しまず、金も惜しまず、もっと積極的にこの人たちが正業につくように努力すること。そして、ちゃんと一人前の生活ができるようにやはり援助しなければいかぬ。これを厚生会とかこういうところにまかせっきりでほっておいてはいかぬということ。この点、保護局長よく考えてもらいたい。ぼくはそれを強く要求します。それと同時に今回の問題は、何回押し問答をやっておっても解決しないからこれでやめますが、しかし、最後に要望しておきます。こういう問題は、近所隣の大ぜいの賛成を受けてはじめて目的が達成できるのです。すべての人たちが反対している中でこんなものをひょっこり建てて、こんなことでうまく事業がいくと思いますか。いかないですよ。必ずたくさん問題が起こりますよ。それをあなた起こらないと言いきれないでしよう。あなたは人を選んで入れるというが、そんなことはできないですよ。それこそおかしいじゃないですか。刑余者に差別つけることになるじゃないですか。そういう精神がもうすでに刑余者に対する差別扱いでおもしろくないですよ。そんならよその会館にはそういう悪質な者を入れていいかということになるじゃないですか。そうは言えないでしょう。だから、そういう考え方は間違いですよ。だから、この際思い切って、あの建物は建ったらアパートかなんかにして、とにかくあの建物を売り、近所の人たちにも援助を求めて土地をさがして、もっと環境のいいところへ建てて、そうして近隣との摩擦の起こらないように考えること、これが第二ですよ。それを私は強く要望します。
 委員長、きようは近所の人も大ぜい心配して来ているんですよ。しかし、この際その人たちの意見をここで求めるということは、これは手続上もなかなかむずかしいことでできないことだと思いますから、私はこの際はやめておきますが、ただ、保護局長が来ていますから、この会を閉じてあと保護局長を囲んで近所の人の意見を直接保護局長に述べてもらいたいと思うんですよ、私がいま話したところに足りぬ点があるから。
#91
○委員長(和泉覚君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#92
○委員長(和泉覚君) 速記を始めて。
#93
○大森創造君 いまの須藤さんとの問答を聞いておりますというと、ちょっとわからないことがあるからお聞きしますが、善隣厚生会という建物、鉄筋の四階建てを建てるということなんだが、これは厚生省なりあなたのほうでは一文も金を出さないの。
#94
○説明員(武内孝之君) 建築費につきましては、国からは金が出ません。
#95
○大森創造君 そうするというと、刑余者に対するいろいろな食事だとかその他の問題についてはあなたのほうで持っているけれども、建物やその他の問題についてはまるきり厚生会というものにおんぶしているわけですな。
#96
○説明員(武内孝之君) 国が出しておりますのは、いまの法令できめられた対象者を本人の申し出によって必要と認めた場合に委託をいたしますが、委託をする以上は、畳が切れるとかいろいろ調度品なんかもよごれますので、それを修繕するという限度で国が出しております。
#97
○大森創造君 そこで、私が不審に思うのは、いまお話があったように、朝鮮の人で趙とかなんとかいう人で、その人自身が犯罪者で、その人が財団法人の会長か理事長かでこの事業を認可しているんでしょう。そうすると、その人選の基準ですね、そんなものがどうなっているか、ちょっと疑問に思いますよ。こういう善隣厚生会の場合は、こういう組織をつくって、一応建物もつくってある、その他の条件もととのっているという場合には、文句なしにあなたのほうではその人に認可を与えて、経営者に対する人選とかそういうものをないがしろにしていたんじゃないですか、いままで。この話をいままで聞いてみるというと、これは刑余者のいろいろなめんどうをみるような資格はないですね。現在の人でなくて、認可をしたときの人が。これはいま須藤さんからお話があったとおりだと思うけれども、ただ、あなたは保護局長として、権限外だから、お話はわかるけれどもできないということなんでしょう。制度上は非常に欠陥があるということなんですね。それをお認めなんでしょう。いかがです。
#98
○説明員(武内孝之君) 更生緊急保護法に基づきまして法律のたてまえが法務大臣の監督権限の範囲が規定されておりますので、この事業経営者の意思を押してそれを他に本人の経費の負担において移転させるというようなことまでは権限がないということでございます。
 それから趙という者の人物についての評価でございますが、これは昭和二十七年に最初、厚生大臣の認可を受けて社会福祉事業としてでき上がりましたものを、後に法務総裁の許可もありまして目的が再犯者の防止、再犯者を入れるというふうなことも事業に入りましたために、厚生大臣と法務大臣の共管になって、そうして昭和二十九年から事業を縮小いたしますために法務省の所管になったわけでございます。
#99
○大森創造君 私もこういうのを全国的に聞いておりますが、私はここばかりではないと思うんです。善隣厚生会ばかりではないと思うんです。東京のほうの三カ所はいざ知らず、私の耳に入ったところでもいかがわしいうわさをずいぶん聞いております。だから、問題は、こういういまお話があったようなこういうあり方がどうかという問題だと思う。ただし、そのことについては予算の関係や権限の関係であなたのほうでは手が及ばない、こういうことならば、私はたまたま問題になった善隣厚生会ばかりではないと思うので、これはひとつこういう種類の問題について何かこう調べたものを出していただけませんか。たまたまこれは事件になったから、これが法務委員会の論議の対象にされたけれども、私どももずいぶん聞いているんです、こういう種類の問題は。
 それからあなたのほうでひとつ法務大臣なり法務当局のほうで、ここで押し問答をしてもしかたがないから、こういう問題についてのあり方というものをより高い次元で解決してもらうような方法で法務大臣あるいは法務省の首脳部で相談しておやりになったらどうですか。そういう決意はおありですか。
#100
○須藤五郎君 関連して。いま大森さんがおっしゃったそのとおりだと思うんですがね。なお、この法務委員会として環境を私は視察してほしいんですよ。現在あるところが環境が適しているかどうか。家と家がこんなですよ。それで四階建てなんですよ。こうなったら、もう周囲の家は全部のぞかれちやいますよ。また、女子供に見せられぬようなこともやっているわけなんですよ。もう私が言うのも恥ずかしいようなこともやはりあるわけですよ。そういう環境が正しいかどうかということを法務委員会として一ぺん見に行っていただきたいと私は思う。
#101
○委員長(和泉覚君) それはあとで理事会で検討いたします。
 本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。
    ―――――――――――――
#102
○委員長(和泉覚君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#103
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#104
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#105
○委員長(和泉覚君) 次に委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 検察及び裁判の運営等に関する調査のため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#106
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認めます。
 なお、派遣委員の人選等派遣の細目及び議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等は、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#107
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認めさよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十四分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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