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#1
第049回国会 農林水産委員会 第2号
昭和四十年八月五日(木曜日)
   午前十時十六分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長
                仲原 善一君
    理 事
                梶原 茂嘉君
                山崎  斉君
                武内 五郎君
                渡辺 勘吉君
                宮崎 正義君
    委 員
                青田源太郎君
                小林 篤一君
                田村 賢作君
                任田 新治君
                野知 浩之君
                八木 一郎君
                大河原一次君
                鶴園 哲夫君
                中村 波男君
                森中 守義君
                北條 雋八君
   国務大臣
       農 林 大 臣  坂田 英一君
   政府委員
       農林政務次官   仮谷 忠男君
       農林政務次官   後藤 義隆君
       農林省農政局長  和田 正明君
       農林省農地局長  大和田啓気君
       農林省蚕糸局長  丸山 文雄君
       農林省園芸局長  林田悠紀夫君
       食糧庁長官    武田 誠三君
       林野庁長官    田中 重五君
       水産庁長官    丹羽雅次郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        宮出 秀雄君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査(農林水産基本政策
 に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(仲原善一君) ただいまから委員会を開会いたします。
 農林水産政策に関する件を議題といたします。
 まず、農林大臣から農林水産基本政策について所信をお述べを願うことにいたしております。
#3
○国務大臣(坂田英一君) 私、新任農林大臣として、その前にごあいさつを申し上げたいと思います。
 このたび農林大臣を拝命いたし、農林水産行政をになうことになり、その職責の重大なことを痛感しております。つきましては、農林漁業の国民経済に占める役割の重大性に思いをいたし、全力をあげてこの重責を果たしてまいる覚悟でありますので、なにとぞ皆様方の理解ある御協力を賜わるようお願い申し上げます。
 この機会に、わが国農林漁業の当面しております問題点と、これに対処する施策の基本的方向について、私の所見を申し述べたいと思います。
 御承知のとおり、近年国民所得水準の上昇につれて、農産物に対する需要は消費形態の高度化を伴いつつ、かなりの増大を示しており、農業生産及び農業所得は、このような需要の動向を背景に、これまでおおむね順調な伸びを示してまいりました。
 ところが、この間にあって他産業における雇用機会の増大に伴い、農業就業者の減少、青少年を中心とした農家世帯員の他産業への就業の増大、農業就業者の老齢化、女性化、第二種兼業農家の増加がみられ、これに伴い裏作の不作付け等土地利用率の低下が目立つようになり、これに加えて、一両年気象条件が悪かったこと等の事情もあって、農業生産の伸びに停滞気味の傾向のあることも否定できない事実であります。
 このような情勢に対処して、経済の動向に歩調をあわせて、国民食糧の安定的な供給の確保と農業所得の増大、農家生活水準の向上とを農政の基本的な目標とし、これが達成に努力いたしたい所存であります。これがため、農業基本法の精神に即して、農業の近代化を進めつつ、生産性の向上、総生産の増大のための施策を拡充強化してまいる考えであります。
 この場合、わが国におきましては、今後における食糧農産物の需要は引き続き増大が見込まれる情勢にありますので、農業生産の発展上は有利な環境にあると考えられます。しかし、現状においては増大する需要に対し生産が必ずしもこれに追いつかず、農産物の輸入が増大する傾向にあり、他面、開放経済への移行に伴って、国際競争力の一層の強化が強く要請されております。こうした情勢に対処し、私としては、さらに農業の近代化と生産性の一そうの向上につとめつつ農産物の国内自給度の維持向上をはかることが肝要であると考えております。
 しかしながら、これらの施策を進めるにあたりましては、何よりも、農村に踏みとどまり、農業に専念する優秀な人々を確保することが大切なことであると考えます。それには、農業生産の維持増大と生産性の向上をはかるための生産政策、構造政策を地域の実情に即して、さらに推進していくことはもとよりでありますが、これと同時に、平和にして安定した社会を構成する上における農山漁村の重要性についての十分な認識に立って、農村環境の整備、住宅の改善、農家生活の改善等の諸施策の拡充と相まって農村対策を講じてまいることが特に必要であると存ずるのであります。
 以上述べましたような考え方のもとに、農業について次の重点施策を推進してまいる所存であります。
 第一には、農業生産基盤の整備と農業構造改善であります。
 このため、農業技術の改良発展及び農業経営近代化の方向に即して、圃場及び農道の整備、基幹かんがい排水施設の整備、農用地の開発等農業生産基盤の整備事業を計画的に拡充実施するとともに、資本装備の充実、農業経営規模の拡大等農業構造の改善を各地域の実情に応じて進めてまいる考えであります。
 第二には、農産物需要の動向に即応して、農業生産の維持増大をはかることであります。
 まず、わが国農業の基幹作物である米麦につきましては、最近における生産の動向にかんがみ、生産性の向上と生産の維持増大をはかるため、能率的な技術の導入普及と経営の改善を推進することとし、このため、米麦生産対策の拡充強化をはかってまいる所存であります。
 次に、畜産の振興につきましては、生産性の高い畜産経営の育成をはかるため、飼料自給基盤の強化につとめるほか、飼養規模の拡大等をはかるための施策を推進することとし、特に酪農については、飲用乳の比重を高めるよう考慮しつつ、その振興のための施策を引き続き拡充強化するとともに、今後牛肉の安定的供給をはかり、あわせて和牛飼養により山村の振興に資するため、肉牛対策について検討を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、近時消費者物価対策上重要な野菜等生鮮食料農産物については、その生産の安定的増大をはかることが特に大切でありますので、大消費地における主要野菜の需要の見通しに即応して集団産地を育成するため野菜指定産地の拡充と、これに対する生産対策の強化をはかり、また果樹についても、果樹農業振興特別措置法に基づき樹園地の集団化と合理的な果樹園経営の育成をはかるため、施策の拡充につき検討を進めてまいる考えであります。
 第三に、農産物の価格の安定及び流通の改善合理化であります。
 まず、野菜につきましては、生産面の施策とあわせて、生産、出荷の自主的調整のための指導体制の強化、価格安定のための基金制度の改善強化について検討を進め、酪農については、加工原料物生産者補給金等暫定措置法の円滑な運用につとめるほか、鶏卵の生産、出荷の調整と価格の安定のための対策の強化についても検討いたしたいと考えております。
 また、中央卸売り市場の整備を計画的に進める等、生鮮食料品の流通機構の合理化につとめる所存であります。
 さらに、蚕糸につきましては、蚕糸業の経常の安定と生糸の輸出の増進に資するため、繭及び生糸の価格を適正な水準に安定させるように生糸の買い入れ及び売り渡し等の操作を行なう機関として日本蚕糸事業団を設立することといたしております。このため、本国会におきまして、関係法案の御審議をお願いいたしたいと存じます。
 第四には、農業金融の改善拡充をはかることであります。
 農業の近代化をはかるために金融の果たすべき役割りがますます重要となっておりますことは、御承知のとおりでありまして、農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金等農業の近代化に必要な資金の確保をはかるとともに、資金がこれを必要とする農家に円滑に流れていくよう農業金融の改善のため今後一そう検討を進めてまいる所存であります。
 以上のほか、農業の近代化を進めてまいりますためには、農業後継者を育成するとともに、農民の技術的水準を高めることが肝要であることは申すまでもありませんので、農業後継者育成資金の拡充及び各種農業研修施設等の整備、活用をはかるほか、試験研究の充実強化に意を用いてまいりたいと存じます。
 次に、本年は、春以来異常気象が断続的に発生しており、近畿地方及び東北地方の降雪、全国的な異常低温、中国地方、九州地方及び東北地方の豪雨等に見舞われたのであります。
 特に異常気象による冷害の懸念に対しては、政府としても重大な関心を持って対処しているところであります。五月中旬以降六月下旬ごろまでは幸いにして好天候に恵まれましたことにより、一部の地方を除いては、稲の生育は回復を見ておりましたが、七月下旬には北日本を中心に相当な低温が見られ、今後の気象も必ずしも順調ではないとの予報が出ております。
 したがって、今後の気象の推移によっては、稲作に対する障害も懸念されますので、政府といたしましては、各都道府県と緊密な連絡をとりながら、防除体制の整備、農業改良普及員等の技術指導等について万全を期してまいる所存であります。
 また、被害の復旧及び被害農家の経営の再建のためには、共済金の早期支払いその他農業災害補償の円滑な実施をはかるとともに、被害の実態に即して、国庫補助及び経常資金の融通等の措置を講じてまいることといたしております。
 なお、本年産米の集荷につきましては、予約概算金の増額、米価の引き上げ、予約奨励金の支給、時期別格差の据え置き等の措置によりその確保に意を用い、輸入量の確保と相まって需給操作の円滑化と需給の安定に万全を期しております。
 次に、林業について申し上げます。
 近年における国民経済の発展に伴い、木材需要は増大を続けておりますが、国内材の供給がこれに対応し得ず、外材輸入が増加する傾向にあります。このような動向に対処して、林業基本法の趣旨に基づき各般にわたる施策を強力に推進し、林業総生産の増大と生産性の向上をはかり、あわせて林業所得の向上につとめる所存であります。
 このため、林業生産の基盤である林道の整備事業及び造林事業を積極的に推進するとともに、林業構造改善事業及び治山事業の計画的な実施をはかることといたしております。
 また、国有林野事業の適切な運営をはかるほか、国有林野の活用につきましては、国土の保全その他国有林野事業の使命達成との調整をはかりつつ、農業構造の改善、林業構造の改善等の事業の推進に資するよう積極的かつ適正な運用につとめてまいることといたしております。
 次に、漁業について申し上げます。
 水産物に対する需要は、堅調に推移しておりますが、漁業生産の面では、資源の制約、国際規制の強化に加えて労働力不足等の問題があり、また漁業の生産性及び漁業者の生活水準は上昇してきてはいるものの、その水準はなお低位にとどまっております。このような事情にかんがみ、水産資源の維持増大につとめるとともに、漁業の近代化を推し進め、水産物の安定的供給と漁業従事者の地位の向上をはかる所存であります。
 これがため、漁港の整備、漁場の造成等漁業生産基盤の整備を促進し、沿岸漁業の振興及び中小漁業の近代化のための諸施策を推進するとともに、水産物の加工流通対策の充実をはかることといたしております。また、海外漁業については、国際協調を確保しつつその発展につとめる考えであります。
 なお、日韓漁業協定につきましては、去る六月二十二日他の諸協定とともに、正式調印が行なわれたのであります。このことは、過去十数年にわたり両国間において討議が重ねられた懸案事項であり、日韓両国間の国交の正常化の上に占める漁業問題の重要性から見まして、意義深いものと考えるのでありますが、今後協定が批准され、円満に実施されるまでには、なお多くの準備が必要であります。このため、政府といたしましては、早急に協定の実施に必要な諸般の準備を取り進め、関係漁民の指導について慎重に配慮してまいる考えであります。
 以上、農林行政全般にわたり当面の施策の重点について申し述べたのでありますが、今後農林漁業施策が円滑に行なわれまするよう、各位の御支援、御協力を特にお願い申し上げる次第であります。
#4
○委員長(仲原善一君) ただいまの農林大臣の所信表明に対する質疑は、後日に行なうことにいたします。
 次に、農林政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。仮谷農林政務次官。
#5
○政府委員(仮谷忠男君) このたび、後藤先生とともに、農林政務次官を拝命をいたしました仮谷忠男でございます。まことに微力ではございますが、これから先生方の驥尾に付して精一ぱい努力いたしてまいりたいと存じております。どうぞよろしくお願いをいたします。
#6
○委員長(仲原善一君) 後藤農林政務次官。
#7
○政府委員(後藤義隆君) このたび農林政務次官を拝命をいたしましたが、私は農林水産業についてはまことに通じないものでありますから、誠心誠意勉強いたすつもりであります。どうぞよろしくお願いいたします。
#8
○委員長(仲原善一君) 本日は、これにて散会いたします。
   午前十時三十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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