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#1
第049回国会 社会労働委員会 第3号
昭和四十年八月十日(火曜日)
  午後一時二十三分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 八月十日
    辞任         補欠選任
     杉山善太郎君     小野  明君
  出席者は左のとおり。
    委員長         小柳  勇君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                藤田藤太郎君
    委 員
                黒木 利克君
                紅露 みつ君
                佐藤 芳男君
                土屋 義彦君
                山本  杉君
                横山 フク君
                小野  明君
                大橋 和孝君
                森  勝治君
                山崎  昇君
                小平 芳平君
                高山 恒雄君
   国務大臣
       労 働 大 臣  小平 久雄君
   政府委員
       厚生政務次官   佐々木義武君
       厚生大臣官房長  梅本 純正君
       通商産業省鉱山
       保安局長     森  五郎君
       労働政務次官   天野 光晴君
       労働大臣官房長  和田 勝美君
       労働省労働基準
       局長       村上 茂利君
       労働省職業安定
       局長       有馬 元治君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
   説明員
       厚生省医務局長  尾崎 嘉篤君
   参考人
       三池炭鉱労働組
       合組合長     宮川 睦男君
       三池大変災遺族
       会長       丸山  昇君
       三池大変災被災
       者家族会長    久保 時江君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
 (一酸化炭素中毒対策及び遺族救済措置に関す
 る件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小柳勇君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
 厚生政務次官及び労働政務次官から発祥を求められておりますので、これを許します。佐々木厚生政務次官。
#3
○政府委員(佐々木義武君) 私、厚生政務次官の佐々木義武でございます。たいへん生来不敏なものでございまして、また、厚生行政のほうはたいへんふなれなものでございますので、今後よろしく御指導をお願い申し上げます。(拍手)
#4
○委員長(小柳勇君) 天野労働政務次官。
#5
○政府委員(天野光晴君) 私、労働政務次官を拝命いたしました天野でございます。労働行政につきましては、非常に手がけていないものでございますから、一生懸命勉強はいたしますが、委員の皆さま方の格別な御配慮、御指導をお願い申し上げましてごあいさつにかえたいと思います。(拍手)
#6
○委員長(小柳勇君) 労働問題に関する調査中、一酸化炭素中毒対策及び遺族救済措置に関する件を議題といたします。
 本日は、本件調査のため、お手元に配付してございますとおり、参考人の方々の御出席をわずらわし、炭鉱災害による一酸化炭素中毒の現状とその対策、災害により、残された御遺族に対する補償や離職者対策などについて、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を拝聴いたしたいと存じます。
 参考人の方々に一言ごあいさつ申し上げます。
 参考人の皆さまには、御多忙中、また、暑さきびしい折りにもかかわらず、遠路のところわざわざ御出席くださいまして、まことにありがとうございました。
 本日の議事につきましては、まことに恐縮でございますが、議事進行上の都合もございまして、まず、宮川参考人、丸山参考人、久保参考人の順に大体お一人十分ないし十五分程度御陳述を願い、御陳述がすべて終わりましたあとで、各委員からの御質疑に対し、お答えいただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、これより順次参考人の方々から御所見を聴取いたします。
 まず、宮川参考人よりお願いいたします。
#7
○参考人(宮川睦男君) 私は、三池炭鉱労働組合の組合長をしております宮川睦男でございます。
 一昨年の十一月九日にこの三池炭鉱の三川鉱において大爆発が起こりまして、一瞬にして四百五十八名のとうとい命を奪い、八百四十名にのぼる一酸化炭素中毒の患者を出しました。その後一年九カ月を経過いたしましたが、私たちは、あの大爆発を契機に、あのようなことは私たちだけでけっこうである、今後再びあのような事故が起こらないように念願いたしておりました。しかし、今年に入って、二月には北海道の夕張炭鉱で起こり、四月には長崎の伊王島炭鉱で起こり、六月には山野炭鉱で起こる。このような一カ月のうちに大爆発が起こっております。このように爆発が起こるという問題については、そのたびごとに私たちはほんとうに胸を締めつけられる思いであります。このような爆発が起こるという問題について、何とかこれを防止してもらいたいということで、常日ごろ、関係各政府機関や、あるいは経営者側に要求しておりますけれども、現在の石炭政策が遂行される限り、やはりこういう事故が再び起きないとも限らないということを心配しております。
 それはどういうことかといいますと、有沢調査団の第一次答申案、第二次答申案に盛られておるように、ビルド・アンド・スクラップ、こういう基準をつくって、一定の能率の上がらないような炭鉱はつぶしてしまう。ぎりぎりの線のところ、おまえのところはこれ以上上げないとつぶすぞというおどかしを受けるわけですから、勢い生産のほうに重点がかかって保安がおろそかになる、こういう結果がこういう事故を起こす原因になっている一番大きな基本だと思います。そうしてこの基本に立って政策が遂行されている限り、経営者は、何としてもよその山よりも能率を上げようとする、そうして人員に応じた切羽をつくって、石炭を出すことではなく、切羽をたくさんつくりますから、間接夫をどんどん直接夫に回しますので、非常に間接夫の手が不足しまして、三川のあの爆発した際にも、東洋一といわれるあの三川鉱の大斜坑の入口からわずかのところで爆発が起きている。通常ではあんなところに炭じんがたまっているということは考えられないところに炭じんがたくさんたまっているということであります。しかも、昭和三十四年までには千八百メートルもの坑道のところに十二台コンベアがあるわけですが、それに一人一台のコンベアの当番、掃除をする人がついておったのが、爆発したときはたった二名になっている。そういう非常に間接夫を切り詰めるというようなところからあのような重要な災害を引き起こした、こういう事実の上に立って、いまの実行されておる石炭政策を根本的にやはり変えてもらわなければ、再びこのようなことが起こらないとも限らない、こういうことをまず第一番に申し上げておきたいと思います。
 その問題について二、三申し上げてみたいと思いますが、人命を尊重するという政府の政治の方針であるなら、保安を確保してから生産をするという基本をやっぱり確保してもらいたいということが第一点であります。そのためには、保安行政指導の面において欠けているところがあるのではないか。たとえばガスの問題がこのように頻発しているのに、一酸化炭素の場合にかぶるマスクの問題一つとってみましても、三十分しかマスクはもたないといっております。しかも、その三十分のマスクは、一酸化炭素が一%になった場合は温度が八十度にも上がる。この八十度にも上がる温度の中に管をくわえて三十分しかもたないというようなことで、実際に爆発が起こったときには用をなさないのではないか。このマスクの問題一つとってみても、やはり根本的に考え直してもらいたい。
 二番目には、ガス警報機というのができておりますが、これがやっぱり政府の行政指導として、予算面からもいろいろあるでしょうが、各炭鉱にやっぱり完全に備えつけるようにしてもらいたい。
 それから、次は、坑内組夫というのがたくさん入っております。組夫というのは、一般坑内労働者の賃金の七割か八割で働かされて、一切の福利条件がないわけです。そういう人を日々ふやしているということは、実際に今度の爆発でもわかりましたように、山野の場合でも六十何歳、七十歳という人がおるわけです。しかも、戸籍を調べてみたら、十六歳未満の人が坑内に入っている、あるいはどこの人か偽名を使って、弔慰金を送ろうとしてもやり先がないという人さえ出てきておる。こういうような人をどこからか集めてきて坑内で働かせるということは、保安に対して十分な教育もなされないし、それらの人のちょっとした不注意で事故が起こった場合には全員に及ぶと、こういうことがありますので、これらの組夫というものは坑内では規制してもらいたい、坑内は組夫は使用できないというふうにしてもらいたい、こういうふうに考えます。
 次には、日本の炭鉱の労働者の労働条件はあまりに低い。世界各国調べていただいてもけっこうですが、どこの国でも最高の賃金が払われております。しかし、いまの日本の場合は、今年のベースアップ七十円が七%といわれるように、一日平均が千円です。大手の炭鉱全部合わせて一日平均千円。坑内の悪いところで一カ月二十二日ぐらいしか平均働いておりません。これは二万二千円なんです、平均しまして。日本の産業の重化半工業と比べて、あまりに低賃金であるということを、この際、理解していただいて、労働条件をやっぱり上げて、炭鉱労働者が安心して働ける職場をつくっていただきたい。
 さらに一つ申し上げますと、保安帝法規の罰則の強化を願いたい。たくさんの人がなくなったりいろいろしても、いまだかつて刑事事件になり罪を問われた人はほとんどないわけです。交通法規では、ちょっと踏み切りで一たん停車を怠ったということでも何千円の罰金を取られる、免許を取り上げられるということがあるわけですが、毎日のように炭鉱では何十人かの人がけがをしたり死んだりしているわけです。しかし、それらの人が法規を守らなかったり不正がたくさんあるのに、だれ一人とがめられた人がないわけです。私は罰することが目的だとは言いませんが、あまりにそういう点がゆるやか過ぎることによって、保安を無視して生産を強行する原因がそこにあるのではないか、こういうふうに考えます。
 次に、三池における爆発にあってなくなられた方の遺族の方々のその後の状況を簡単に申し上げます。現在、大爆発によってなくなられた方々の遺族の方は四百五十八名でありますが、皆さま方のお手元に資料としておあげしております三ページの表にもありますように、直接子弟が採用された者、あるいはアソニット、三池縫製の町工場に雇用された者、あるいは帰郷された人、その他合わせてこういう数字になっておりますが、この遺族の方々が非常にいま生活に苦労されておるということを特に訴えたいと思います。
 その一つは、両工場は政府のほうも非常に力を入れていただきまして、政策的に二つの工場を大牟田と荒尾に誘致していただきました。そこに働いておられる方々は全部未亡人であります。その方々の賃金は、縫製工場のほうは固定給で三百五十円で、アソニット工場のほうは全額請負で約三百五十円の平均になっておりますが、二百五、六十円という人が非常に多いということであります。一家の生計を保つために、主婦として、支柱を失っておりますから、子供のため、子供が病気をしたとか、あるいは子供の入学であるとか、親が病気をしたということで休む日にちは普通の人より多い。二十二日くらいしか働いておりませんから、大体六千円前後です。六千円前後で五天あるいは六人の家族をかかえてほんとに食っていかれるかどうか。あまりにも遺族に便乗した工場の低賃金のやり方ではないだろうか。アソニット工場では朝の八時から晩の五時まで、昼めしの時間四十五分間だけで、その間全然休憩なしでこまかい毛糸を機械にかけて編むわけです。平均年齢三十九歳ですから目がかすんでしまうわけです。そういうところで一カ月働いて手取り六千円ないし七千円。そういう労働条件ですから、政策的にも、やっぱり政府も誘致されたわけですから、もっとこの労働条件を上げていただくように政府のほうでも御協力願いたい。ちょうど大牟田市の生活保護の基準が大体一人四千円ですから、六人家族ならば二万四千円です。結局二万四千円になる人はほとんどないわけですから、生活保護を受けたほうがよほどましなんですけれども、生活保護を受けるためには、何といっても、わずかながら労災で一時金をもらっておりますから、その適用はできない。で、毎月二万円ないし二万円を、労災でもらった少ない金の中から貯金をおろしてきておる。実際の遺族の方が言われるのは、自分の主人のからだを食っておるような気がする、ほんとうに身を切られるようにつらい、こういうふうに言われます。せめて子供の学費にと思っておるけれども、なかなかそういかない。この表の中にもありますように、もらった金も、平均私たちの組合員の遺族では八十万円です。そういう安い、平均八十万円しかもらっておりません。こういう金がそう長続きするわけではございません。もう一つ遺族の方々が言われるのは、保険に入っていないものですから、子供さんが盲腸で入院するとか、家族の病気の際にも、非常に多額のお金を出さなければならない。せめて医療保護なりと受けられないものか、こういう訴えもございます。
 それから、もう一つ遺族の方々が言われるのですが、一昨年のちょうど爆発をした前に、三井鉱山は六%賃金たな上げということをやっておるわけです。それから、炭労の闘争でベースアップした五十五円という金額をたな上げして、これは平均二千六百円くらいになりますが、このたな上げしておった際にちょうど爆発したものですから、十一月以前の三カ月の平均といいますと、十月と九月と八月になるわけです。これはちょうど二千六百円くらいたな上げされておったことになる。たな上げされた分を除いた額で平均賃金を出されて遺族補償の千日分が計算されておる、こういうことですから、この問題は、やっぱり賃金の台帳に載っておる六%分は幾らだからといってたな上げの賃金計算がされておるわけですから、これはせめて遺族補償の平均賃金に加えるべきじゃなかろうか。われわれはどう考えてもそうやることが正しいのじゃないかということで、会社にも一労働省にもお願いしておるのですが、いまだに解決していないのです。少なくとも、賃金の台帳に載っておる工賃として計算された中から五十五円分と六%をたな上げしておるわけですから、この分をひとつ平均賃金の基礎に算定してもらいたい、こういうことを考えております。
 次は、いろいろ申し上げたいことはありますけれども、同じような爆発が北炭の夕張で起こった際にどういう取り扱いをされておるかといいますと、北炭のほうは、労災退職金のほかに、弔慰金として百万円支出されておりますが、三井鉱山は五十万円であります。同じ炭鉱経営者であり、同じ大手炭鉱の中でこうも差がついていいものだろうかという問題もございます。この点もひとつ参考にしていただきたいと思います。
 次は、一酸化炭素中毒患者の実情ですが、現在入院されている人が二百九十八名、萬田に回復訓練所がございますが、ここに訓練に毎日通っている方が百七十八名、訓練所にも入院しないで、休業しながら病院に通っておられる方が百名ございます。このような方々が現在どういう実態にあるかということは患者の家族の代表の方が申し上げますから、私は大綱的に申し上げます。特にひどい方を申し上げますと、一症度八名の方のうちの一名の例を申し上げます。写真集の上のほうに張ってある宮嶋さんという方ですが、一年九カ月になるけれども、いまだ意識が返っておらない。そこで、みずから食事もとることもできないので、鼻から管を通して、流動物で食事をさしている。ときどきけいれんを起こすということで、両親が熊本の大学病院に一年半ほどずっとつきっきりです。これらの人たちに対して両親がつきっきりで、両親が家に帰ったときは、かわりに親戚の人がついていなければならぬ。二人ついていないとあぶない。しかも、ほかの付き添い婦に渡されないという、実情にある。こういう人たちに対して、何とかもう少し二人の付き添い料というものについて、現在の労災法上から見ていろいろあるでしょうが、配慮してもらいたい。
 なお、このような宮嶋さんよりややいい人も若干そこにおりますけれども、ともかく頭が痛い、意識が全然ないというような人から、いろいろ千差万別であります。その結果、家庭的にも非常にいろいろな問題が持ち上がっております。一体この病気がなおるのであろうかどうであろうかという御心配が家族にもあります。このままの状態でどうなるだろうかという心配があります。治療上の問題にしましても、何か栄養剤、アリナミンでも飲ましたり、頭が痛いというので鎮静剤でも飲ましたりアリナミンを飲ましたりするというようなことで、一体なおるだろうか、こういう心配がございまして、医療対策上からもいろいろな問題点が起きております。
 このような一酸化炭素中毒患者に対して、いよいよ来年は三年になるわけですが、現在の労災法ではどうしてもこの問題は解決できないのではないか。たとえば全然生涯労働不能になった者をどうしてもらえるだろうか、あるいは、労働は多少できるけれども、もとの職場に帰れない人たちはどうなるか、そういうようなことは、現在の労災法からいいましても、認定基準が十四級までありますけれども、その認定基準の基礎に一酸化炭素中毒患者が入っておらないということで、いまその審議会が設けられたということを聞いておりますが、そういう認定基準の問題をここで明らかにしてもらいたいということが一つと、今後の将来の問題について、三年たてば会社が解雇であるとか、あるいは仕事は、もとの職場に帰れないけれども、炭鉱で働けるというような状態になった場合の補償の問題、あるいは宮嶋さんその他の人たちに対する特別看護の問題、三つ合わせた問題を中心に、どうしても私たちは特別立法をつくっていただきたい、この前の労災法の一部改正の際に附帯決議を参議院でされた、こういうことで、皆さん方の御努力でなさっていただきましたあれを足がかりに、ひとつ一酸化炭素中毒患者の特別立法を是が非でも早急に成立さしていただきたいということをお願い申し上げまして、私の陳述を終わります。
#8
○委員長(小柳勇君) ありがとうございました。
 次に、丸山参考人にお願いいたします。
#9
○参考人(丸山昇君) 私は、遺族のお世話をしております丸山です。
 私も、一昨年の思わぬ炭鉱の災害で長男、当時二十三歳でございましたが、なくしまして、それ以来、私たちは、炭鉱災害をなくすためには、やはり組合長からも言われましたが、その原因というものを早く公表していただいて、そうしてその後の災害をなくしてもらう、そういうことを一番私たちは念願しておったわけでございますが、検察庁にしても、あるいは警察としても、原因については、はっきりしたことはまだ公表されておらないというような状態でございます。しかし、私たちは、当時、三井鉱山の生産第一主義により、合理化が強行に進められ、その中での保安無視、これが一番この爆発に結びついておる、こう信じております。これは、私たちが日ごろ、組合と会社の交渉問題なんかもよく聞いておりますが、保安の団体交渉についても、会社はこれを一方的に拒んでまいっておりまして、昭和三十八年の四月二十八日に福岡鉱山保安監督局長より、第一斜坑は炭じんが危険度にある、こういう勧告を受けながら、会社はこれに従わなかった、こういうことも私たちは記憶しております。なお、三十二年から三十四年までの三カ年には、以前は八名程度の死亡者を出しておりましたが、三十六年から三十八年の事故のある前日までには、すでに四十八名という死亡者を出しております。こういうことで、炭労の保安部長のほうから、三十八年十一月四日に、こういうことを憂えまして、入坑を調査するという申し入れをなされたようでございますが、これも一方的に会社は拒否をしております。こういうことが私たちはこの大きな大爆発を起こした原因ではなかろうか、こういうふうに感じております。
 また、重複することもありますが、組合長が言いましたように、この斜坑ベルトは、以前は十二名の人が配置されて仕事をしておったしところが、当時は二名ないし三名の人がここで作業をしておりまして、そういうことで、あの一番坑口の涼しいところであのような大爆発を起こそうとは私たちも感じておりませんし、会社側もそういうことを感じておらなかったのではなかろうか、こういうことを思っております。
 で、私たちは、爆発を起こしたその原因が、鉱車の逸走だとか、あるいはケーブルが破れたための火だとかいわれておりますが、私たちとしては、あの個所に爆発するような炭じんさえなかったならばこういう悲惨な事故はなかったのではないか、こういうふうに思っております。こういうことを思いますと、ほんとうにあの事故が残念でたまらないわけです。四百五十八名の命を奪いまして、そうして一酸化炭素中毒患者の八百四十名という不幸な人と、また、その家庭をつくり上げたわけです。その後、私たち遺族会としましては、このような事故はもう自分たちでたくさんだ、二度とこういう事故を繰り返したくない、このように三井鉱山や、あるいはあらゆる炭鉱に呼びかけをいたしてまいりましたが、その後ことしになりまして、さっき申し上げましたように、三つの山にそれに似たような爆発が起こりまして、これを聞いたときに、ほんとうに私たちは再び胸を締めつけられるような思いがしました。
 私たちの遺族のその後の状態については、資料の中にも示してございますが、想像以上の苦境に陥っておるわけです。これらの人たちの救済については、特別の措置が今後も講ぜられるものと私たちは信じております。そういうことで、この委員会を通じましても、どうぞ十分な対策をとっていただけますようにお願いいたしておきます。
 なお、さっきも組合長のほうから申し上げましたように、私たちの子弟は、当時の三井鉱山の差別政策、そういうことで非常に第二組合の人たちとの賃金に大きな差が出てきておったわけです。そのために労災補償金についてもほんとうに少ない人が多く出ております。例をとって申し上げますと、溝口生松さんというおとうさんの方は、二十三歳と二十五歳のむすこさんを一緒になくなしました。この人のうちの労災補償金というものは二人合わせて百四十万程度でございます。そしてこの方は、現在なくなった、長男の嫁さんとそれらの子供、それから自分たちの兄弟と親たちが二人、八名の家族でございます。で、嫁さんの収入が約一万二、三千円、六十二歳のおとうさんが土方の仕事をしながらやっと二万四、五千円を取っておるというような状態で、八人家族の生計としては、どうしても毎月一万五千円から二万円ぐらいの欠損をしておるわけです。これは一つの例でございまして、まだ私たちの遺族の中には、さっきも申し上げましたように、家庭の病気とかそういうことで、せっかく政府のほうの御努力によりましてできました二つの工場に働いておる未亡人の方たちも、子供の病気、あるいは自分の用件、自分の病気、こういうことで、月に二十日も出ることはめったにないというような状態であります。なお、作業状態にしましても、さっき組合長から申しましたように、麻糸のほうは、麻の糸を編む機械でございますから、ほんとうに切れやすい。少しでも風が入れば風のために糸が切れてしまう、そのために編んでいる品物に穴があく、その穴をかがるために二時間も三時間もかかる。そのかかった時間というものは全く無給でありまして、でき上がってということでありますから、一日の収入が、どうかすると二十円か三十円にしかならない、こういうことも月のうちには何回かある、こういうことを嘆いております。全体的に見まして、両工場の労働条件、あるいはそれの賃金につきましても、ほんとうに失対事業の皆さん方よりもぐっと下回るような賃金で現在働かされておるわけでございます。勤務時間についても、朝八時から五時まで、昼休み四十五分間、こういうことでありまして、これについても、夕方だけでも早く帰ってもらいたいということで、私たちは午後四時までに切り上げてくれということを会社側にもお願いしておりますが、なかなかその実現もできないままに、この奥さんたちは、毎日家庭に残した子供たちのことを心配しながら現場で働いておる、こういう実態でございます。さっき組合長からも申し上げましたように、そういう病人の対策とか、あるいは家庭の事情による減収、そういうものをやはり補っていただくためには、遺族年金法、あるいは厚生年金法、こういうものを現法ではできないとしましても、何とかできるだけの範囲でいち早くこういう方々たちの救済に努力していただきますようにお願いしたいわけでございます。詳しくはプリントの中に大体出ておりますので、重複いたしますので申し上げません。
 次に、一言だけ私申し上げたいのは、CO中毒の主人を心配しながら見守っておる奥さんたちが、非常に将来の不安におびえながら生活しておるわけです。次の久保さんのほうから詳しくお話があると思いますが、一言だけ宮嶋さんのことについてお願いしたいのですが、宮嶋さんは私のむすこと同級生で、やはり三十三歳に罹災をしたわけです。現在もなお意識がございません。目はあいておっても、何を見ておるかわからないというような状態です。このおかあさんが私の隣合わせで住んでおる関係で、私にはいつも一話をしてくれるんですが、そのおかあさんの言われることには、こういうことを心配されております。この子、つまり重信君ですが、この子が自分で自分のからだを見るときがきたら、いまのままの姿であった場合どのように思うだろう、そのときが私は一番おそろしい。この子の一生を考えるとき、こんなことなら、なぜお宅の徹君と一緒に死んでおらなかっただろうか。私は、親として、あるいは母としてこういうことばが出るということはほんとうに悲しいです。どうかco患者のお子さんのことにつきましても、十分御審議していただきますようにお願いして、これで終わります。
#10
○委員長(小柳勇君) ありがとうございました。
 次に、久保参考人お願いいたします。
#11
○参考人(久保時江君) 私は、三池炭鉱主婦会の会長をやっており、CO患者家族の会の会長をさせていただいております久保でございます。一昨年の十一月九日に起きました三池の大災害におきまして、被災者の一人として、家族を代表し、皆さま方に強くお訴えする次第でございます。
 あれから一年八カ月間という長い年月の中で、いまだ回復の見通しも立たないままに、毎日をベッドの上で、ほんとうにただ生けるしかばねということで毎日の生活を送っている宮嶋さん、あるいは受川さん、清水さんたちを中心に、たくさんの被災者が今日まで苦しい療養生活を続けているわけでございます。私の主人も一被災者の一人として毎日病院に通っているわけでございますが、一年八カ月間を経過した今日では、二カ月ほど前までぐらいは大体順調に快方に向かっておりましたけれども一、現在に至っては半身が麻痺するような傾向が徐々に出てきているというのが被災者の大部分の方でございます。特にひどい人たちは、もう家庭におっても寝たきりになっている非常に悪条件の通院者の方もたくさん出てきているということでございます。特に私の主人の場合は、けい肺の三症度に近い症度におかされ、今度の災害にあい、二重の労苦にあって短日病院通いを続けているわけでございます。私たち家族をあげて、ほんとうに悲惨な立場に置かれているわけでございます。私たちは、何といっても、被災者としていま何が一番心配なのかと申し上げますと、やはり生活のことが一番先になってみんなが、心配をしているわけでございます。このようなことを考えてみましたときに、私たちCO家族のものがこのままの状態ではできないということで、ことしの三月に家族の会を結成いたしまして、被災者の家族の皆さんたちと力をあわせていかなければできないということで、三月に家族の会を結成いたしました。災害が起こった当時には、御承知のように、三池では分裂状態になりまして、第一組合と第二組合と分かれた中で、私たちのおとうさんたちは職場の中でも一のすごい差別を受け、ものすごい低賃金で、労働強化の中で仕事をさせられておりました現状の中で災害にあったわけでございますが、現在、労災から六〇%と会社から二〇%の補償をもらっているだけでございますけれども、その補償が、何と生活保護法の基準よりずっと下回っているというのが実情でございます。主人も毎月千円ずつの見舞金をもらっておりますけれども、私の家の場合、毎月一万三千円しか収入はないわけです。この一万三千円の収入で親子六人が生活をしているのが実情でございますし、このほかにも生活保護法の基準から下回る家族がたくさんいるということも一決して見のがしてはならない事実になってあらわれてきているわけでございます。勢い、家計が苦しいから、主婦の方たちも何とか内職をして家庭をささえようという気持ちになっておりますけれども、いまのような状態で――主人たちが一年八カ月もたっているのだから、大体快方に向かっておりますけれども、現在悪くなってきているという状態の中で内職がされない現状にあるわけです。と申し上げますのは、主人に非常に世話がやけているわけです。そういうことで私たちが内職をしようと思ってもされない実情になって、家族を不安がらせ、私たち自身もほんとうに不安な毎日を送らなければできない状態に追い込まれているわけでございます。現在二百五十名程度の被災者の人たちが現場復帰をしましたけれども、百名近くの人たちがすでにまた病状が悪くなって休業しているというのが事実だし、また、百五十名の方々の中にも、やはり三分の一以上の方たちが休んだり出たりというような状態を続けているのが現実の姿でございます。また、症度別に見てみましても、三症度という人が通院をしてみたり、また、四症度の人が入院をしているというような実情の中で、私たちは一体どこを信頼したらよいのだろうかというようなことで疑問を抱く点がたくさんあるわけです。症度別からいいますと、宮嶋さんや受川さんたちが大体一症度の線に乗っているわけでございますが、私の主人なんかは三症度になっているわけですけれども、ずっと通院をしているわけです。また、回復訓練所のほうに現在行っておりますけれども、この回復訓練所のほうも、集団訓練をやらされている関係で、ほんとうに一人一人の病状に合ったような訓練というのはなされていないために、ある主婦はこう訴えております。私の主人は萬田訓練所のほうにずっと通っておるから、だんだんよくなっていくだろうという気持ちを持っておりましたけれども、よくなっていくどころか、かえって逆効果となって、訓練所に行くことによってからだが悪くなってきたということで、ある主婦は悩みを訴えているのです。と申し上げますのは、百人おれば百人の方たちの病気がそれぞれ違うわけですが、訓練所に行きますと、五十人なり百人なり、同じ集団訓練をさせているところに問題があるのではないかというように私たちは判断いたすわけでございます。五月の月だったと思いますが、九州の熊本県の水俣というところにこのリハビリセンターの施設が設立されておるわけでございますが、あすこの施設を私たち見に行きましたときに、一人一人の患者さんに合った訓練ができているということが非常に成果をあげているわけです。このことを考えてみますときに、水俣市は荒尾市よりもはるかに人口が少ない小さな市でございますけれども、あのようなりっぱな施設ができて患者さんたちの回復のために努力をされておられるというのが水俣にできておる訓練所の実情でございます。そのようなことを考えてみますときに、私たちのおとうさんたちを、ただ単に形式的に訓練所にやるということでなくして、ほんとうに一人一人の病状に合った訓練をしていただくように切にお願いをし、お訴えをするわけでございます。
 また、訓練所に行っておるご主人の方たちがほんとうに過労な訓練を課せられているために、家庭に帰れば、夕食を食べるときとおふろにいくときだけしか起きれないで、あとはもうぐったり家庭の中で休んでいるというのがほとんど全員と言ってよいように奥さんたちが悩みを訴えられているわけです。そうようなことで、主婦の皆さん方が、ご主人が外泊して帰ってきても手が要るし、内職をしようと思ってもされないという状態に追い込まれ、勢い生活が苦しくなってきているわけです。また、家庭に帰って来ますと、子供さんを何ともないことに怒りとばすとか、しかるとか、また、奥さんを何でもないことにしかるとかいうようなことで、性格がまるきり災害当時より逆な形になってあらわれてきておりますし、大部分の家庭に行ってみますと、子供さんたちがほんとうに親を慕うのが当然ですけれども、最近ではおとうさんが外泊して帰ってくると、おとうさんはいないほうがいいのだ、子供さんたちがこういうふうに悩みを訴えているのが実情でございます。このようなために、主婦が内職をしようと思っていても内職をされないというのは、そういうところに非常にご主人に手がかかるということで内職がされないということなんです。そのようなことで、私たちは、あの災害がただ単に引き起こった災害とは考えておりませんし、あくまでも会社の保安サボによって引き起こした、あのガスのためにとうとい四百五十八名の死亡者が出てきたり、千名近い被災者が出たということは、全く三井鉱山の責任ではないかというように私たちは考え、いろいろな面で努力をしていただくように、いろいろなところに行って要求をしているわけでございます。個人別に見てみましても、宮嶋さん、清水さんの、これはお手元の写真資料をごらんになっていただきますとよくわかっていただけると思いますが、宮嶋さんのおかあさん、おとうさんがほんとうに毎日のように訴えられることは、三人も四人も一緒の部屋に入っているのでほんとうに困るということで、おかあさんが泣いて訴えられてるわけです。本人は全然何を食べているのか、だれが来ているのかというようなことはわからないわけですが、汚物の始末をするときでも、それをお隣の部屋でいま食事をしているから待ちなさいというような声をかけることすらできないし、患者さんはいつでもおかまいなく汚物を出すわけでございますが、そのようなときに、ほんとうに周囲の人たちに対して気の毒だというようなことで、あくまでも個室をぜひお願いするようにお願いしてくださいというような、涙ながらにおかあさん、おとうさんたちが訴えられているわけです。また、便を出すときでも、おしりや腰をさすってやらなければ便が出ないという、全くお話にならないような悲惨な状態の中で宮崎さんはベットの上に横たわって療養生活を続けられているわけですが、その苦労というもの、 両親の苦労、きょうだいの苦労というものは、お話にできないほどの苦労を持ちながら毎日わが子の看病につとめているのが宮鳩さんの実態ございます。
 また、清水さんの例をとってみますと、写真にも出ておりますように、自分の主人のところに行って立ってみても、自分の妻であるということすらわからないし、声をかけなければ自分の妻であることがわからないというような状態で、写真を見てみますといかにも元気そうな写真に見えますけれども、実態というものはそういうことでございます。一年前に書いたときの字と四月二十二日現在に書かれた字をごらんいただきますと、いかに病状が悪化しているかということも御想像いただけるのではないかというふうに考えるわけです。
 私たちは、いろいろな問題を考えてみますときに、やがて三年目を迎えようとしておりますけれども、被災者にとりまして、三年になったら、いまの労災法でいくと解雇されるというようなことになっておりますが、私たちは、このようなことになったら、一体これから先の生活はどうなるのだろうかということで不安がつきまとって、毎日毎日どうしていいかわからないように不安な生活を送らなければできないようになるわけです。皆さんたちのあたたかい御援助によりまして、何とかして特別立法が制定されることを、私たち被災者家族会といたしましても、切にお願いいたすわけでございます。
 いろいろこまかいことで申し上げたいことはたくさんございますけれども、時間が制約されておりますので、大体大まかなことを御説明申し上げまして、私たちの切実な願いをお訴えをいたす次第でございます。今後ともよろしくお願い申し上げます。
#12
○委員長(小柳勇君) ありがとうございました。
 以上で、参考人の皆さま方の御意見の開陳は終わります。
 なお、労働大臣が予算委員会に出席のため、途中で中座いましたことを御了承願います。その他委員も、予算委員会との並行審議で出たり入ったり、まことに見苦しい次第でありますが、御了承願いたいと思います。
 これから質疑に入りたいと存じますが、その前に、去る七月十日の委員会で私から通産省に対して要求しておきました保安機械設備に対する措置及び組夫規制措置について、通産省の態度を説明願います。
#13
○政府委員(森五郎君) お答え申し上げます。
 第一点の、保安施設の強化、機械化という問題でございます。この保安施設の機械化並びにその設備の強化ということは、これは当然のことであろうと考えるわけでございますが、また、現下の石炭鉱業の現状から考えまして、なかなか自力でこれを整備するというわけにもまいらない点もあるわけでございます。したがいまして、政府が相当な援助をしなければまたこれも強化できないという現状にあろうかと思うわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、四十年度予算で保安融資という制度をやっておる。すなわち、これは政府が石炭合理化事業団に出資をいたしまして、それから炭鉱の会社に無利子の融資をするという制度でございます。四十年度におきましては、その予算、保安融資の政府の出資額は七億九千六百万円、約八億になっております。この融資比率は、無利子の融資の比率が四〇%でございます。したがいまして、この無利子の融資四〇%を受けまして設備いたします事業量はこれの二・五倍になりますから、約二十億と相なるわけでございます。これは大体どんな機種かと申しますと、コンプレッサーであるとか、あるいはポンプであるとか、あるいは扇風機であるとか、あるいは防爆構造の構築物でありますとか、あるいは充満するガスを抜いておくというための先進ボーリングの機械であるとか、あるいはこの前三池で事故を起こしました炭車の逸走、これが間接原因でありますが、この炭車の逸走を防止する、こういったものに対しましてこまかく機種をきめてございますが、約八億の予算を組んだわけでございます。ところが、この前の事故の続発によりまして、炭鉱保安緊急対策費というものを予備費で要求いたしました。これで通産省関係で全額七億八千万円の予算がついたわけでございますが、その中で、保安専用機器の整備ということも一項目入っております。これは二つに分かれまして、一つは補助金、もう一つは四十年度予算で組んであります。保安融資、無利子融資の二種類ございます。補助金のほうは、おもに中小炭鉱に対しまして補助率五〇%で保安機器を補助しようというものでございまして、この予算は九千七百四十万円と相なっております。これの対象機種といたしまして、自動消火装置、これは温度が上がりますと自動的に水が出て消火するという自動消火装置、それから、ガス自動警報機、それから抗内における一酸化炭素の微量なものをキャッチするという意味で、ガスクロマトグラフという分析機械、それから、気圧が異常に下がったり上がったりいたしますと、非常にこれが自然発火その他を誘発するという点もございまして、これを自動的にはかります異常気圧計というような四種目につきまして中小鉱山に五〇%の補助金を出すということでございます。
 もう一つは融資でございますが、この額は三億九千七百万円、これは同様の石炭合理化事業団への出資でございます。これは今度無利子の融資比率を若干上げまして五〇%にいたしております。これの機種につきましては、これは大手に対してでございますが、中小のときのこの四機種に、防爆ケーブルと申しますのは、ケーブルが切れたために火花が出た、そのためにガスないし炭じん爆発を起こすということがございます。したがって、防爆ケーブルと申しますのは、電線が切れても火花が川ないケーブルでございます。これを追加いたしまして、以上五機種で二億九千七百万円という予備費を組んでいるわけでございます。以上によりまして炭鉱の保安施設の機械化を強化しようという考えでございます。
 次に、第二点の、請負組夫の規制の問題でございますが、本件につきましても労働省から通産省に勧告を受けておるわけでございます。石炭鉱山におきます請負作業につきましては、これをなくしたらどうかという御意見がございますわけでございますが、御承知のとおり、炭鉱の仕事には、抗道堀進であるとか、あるいは立て抗堀さくということで、非常に臨時的な仕事がございますので、したがいまして、これを全面的になくすということは非常に困難であろうかと思われるわけでございますが、しかし、現在、組夫の使用によりまして種々保安上の問題も発生しておりますし、特に最近ではこの問題が社会問題化しておるということもございますわけでございます。鉱山保安にあたりましては、この規制に関しまして対策を講じたい、こう考えておるわけでございます。それにつきましては、まず鉱山保安法で、鉱山が請負組夫を使うというときには、請負作業の実施届けを出して届け出るということになっているわけでございます。これの届け出につきまして、鉱山保安監督局部長は不備な点については勧告ができる、改善命令ができるというような法律のたてまえになっておるわけでございますので、われわれは請負作業の届け出の審査を強化したい、こういうふうに考えております。どういう点かと申しますと、要するに、請負組夫を使う場合には、組夫は大体不なれな者が多いということで、移動性も高いということがございますので、これについてはよほど管理を厳正にしなければならないということで、その管理系統並びにそれと鉱山との間の命令系統の関係、これが円滑に行なわれていないと間間問題を起こすということになりますので、そういった点に関して今後鉱山監督部局長が厳重に審査をいたす、また、それに基づく現場においても監督を強化していくということにしたいというふうに考えているわけでございます。また、この監督の面でございますが、請負組夫には必ず御承知のように、保安技術職員がついておるわけでございます。この保安技術職員は国家試験を受けた資格を持った職員であるわけでございますが、これと今度は炭鉱会社の保安係員との関係、これがうまくいかないとしばしば事故の原因になるということでございますので、われわれは、たとえばハッパなどをやる場合において、請負の組の技術職員並びに炭鉱の技術職員のダブルチェックというようなことで、その間の命令系統と申しますか、そういったところを円滑にやるようなことをやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。また、労働省から勧告を受けました小に、請負の保安教育の問題も入っておるわけでございますが、特に先ほど申しましたように、請負組夫につきましては不なれな者も多い、また、移動性も高いという意味で、保安教育については特に厳重に今後やっていかなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、本年度の予備費の中にも、保安教育に関しまして約三千二百万円の予算をいただいておるわけでございまして、これに関しまして「保安必携」というような、保安の指示書と申しますか、テキストブックと申しますか、こういったもの、並びに保安の御意をよく平易に説明ができる映画をつくるということに使って、これを各炭鉱に流しましてそういった組夫の保安教育に資したいというふうに考えておるわけでございます。
 以上二点についてお答え申し上げました。
#14
○高山恒雄君 労働省にお聞きしたいのですが、次官見えていますか。大臣は予算委員会のほうに行かれたので……。
 この特別看護料ですが、この問題は八月に切れるという話を聞いておるのですが、これを切るというわけにはいかないと思いますが、政府としてはどうお考えになっておるのですかね。
 それから、もう一つの問題は、障害補償の認定をやるということで進めておられるようですが、非常に時間もかかっておるようですが、その経過はどうなっておるのか。やるならば早くやって、いまの参考人の訴えにこたえていくというような方法をやるべきじゃないかと、こういうふうに考えますが、その点はどう考えるか、まずこの二つの点について。
#15
○政府委員(村上茂利君) 第一の特別看護科でございますが、八月以降に打ち切るとか打ち切らないとかというような点については、現在労働省まだ触れていないわけでございます。御承知かと存じますが、一酸化炭素中毒患者の症状にはいろいろございまして、知的機能、性格変化、自律神経症状、知覚障害と、いろいろな症状がございます。しかも、その症状が突然いろいろからみ合いまして発現するというような事情にございますので、特別看護の必要があるという判断はかねてからいたしておりまして、昨年の一月から特別看護料を支給しておるわけでございます。しかし、どの特別看護料をどういうふうに適正に支払うかという点については、何か生活費の補てんというような希望もあるやに承知いたしておりますが、事柄が特別看護料でございますので、その本旨に従って、適正な支給をせざるを得ないというのが筋道であろうかと存じまして、本年の三月に一応関係者の御意向も聞きまして、四月から九月までの支給基準といたしまして一応の基準を定めたわけであります。すなわち、特別看護料でございますから、症度の重軽に従いまして、先ほど宮嶋さんの例を言っておられましたけれども、あのような重度の一症度につきましては一万円、二症度につきましては六千円、三症度につきましては二千円といったような支給基準を一応定めたのでありますが、ただ、一方において、受けております休業補償費がかなり低いというものにつきましては、この三症度、四症度、五症度につきましても増額いたしまして支給するということに、まあ四月――九月までの協定といりふうにいたしておるわけでございます。この点につきましては、自後打ち切りということを言うておるわけではないのでございまして、いろいろ心配されまして、今後どうするのかというような不安があるやに伺っております。この点につきましては、先ほど申しましたよりに、筋目を通しまして必要なものには差し上げる、特別看護科を出すという考えは変わっておりませんので、さらに実情を的確にとらえまして今後のあり方につきまして結論を出したいと、かように考えておるような次第ございます。
 次に、障害等級の決定の問題でございます。これは内容的に二つございます。一つは、現在の障害補償の等級について、精神障害の格づけが適正であるかどうかという観点から、障害等級表の格づけそのものの検討の問題が一つございます。それから、第二の問題は、一酸化炭素中毒患者の精神障害がどのような等級に区分するのが妥当であるかという、障害等級表全体の問題としての格づけの問題等、個々のケースについてこれを何等級に格づけするかという問題がございます。その後者の問題につきましては事実認定の問題でございまして、医学的判断によってなされるということでございます。非常に困難な問題でございますが、障害等級専門家会議をすでに発足いたしまして、現在考えられ得る最高の方々を委員にお願い申し上げまして、鋭意検討をいたしておるような次第でございます。労働省といたしましては、障害の存する方には、その障害の程度に応じまして適正な障害補償を行なうということが筋道でございますので、鋭意検討を進めておるわけでありますが、何ぶんにも、医学的な判断にまつ分野が大部分でございますので、専門家の最高権威の方々でございますが、委員に基準作成についての御努力をお願いしておるような次第でございます。
#16
○高山恒雄君 いま参考人のほうからも訴えておりますように、これはひとつ大臣に聞きたいのですが、大臣が予算のほうに行かれたのでしかたがないと思いますが、次官でもけっこうですが、長期障害者に対する年金を考える必要があると思うが、どうお考えになっておるか。これは非常に重大な問題だし、訴えもその不安から出ておると私は思っておりますが、どういうふうにお考えになりますか。
#17
○政府委員(村上茂利君) この点は多分に誤解があるように私は感じでおるのでございますが、一つは、三年たってもなおらぬ場合どうするかということと、一応療養の段階は過ぎたけれども障害が存した者にはどうするかということでございます。これはこの前の通常国会で労災保険法の改正がなされましたので、なお三年たってもなおらない場合には長期傷病者補償に転換いたします。転換いたしますけれども、その実態は、必要な療養の給付と、それから平均賃金の六〇%は支給しますわけですから、三年たつ以前の状態と変わらぬのであります。そうしてなおるまで長期傷病補償を継続するのでありまして、間々三年たったら打ち切られるとか、そういったことを書いた文書なども散見するのでありますが、三十五年の労災保険法の改正及び本年の労災保険法の改正によりまして、なおるまで療養は継続する、そうして三年以前の休業補償に相当する分は年金といたしまして、日額ではなくして、年金額といたしまして六〇%支給するということで、変わらないのであります。したがいまして、そのような体制が整備されましたので、三年以前の療養状態と同じような状態でなおるまで療養を継続するということでございます。
 それから、次に、いわゆる療養の段階は終わった、これ以上療養しても、医学的な所見としては、一応治癒と申しますか、もうこれ以上療養しても及ばないというような段階になりましたときに障害補償の支給の問題が生じてまいります。この点につきましても、今回の労災保険法の改正によりまして年金支給ということになるわけでございます。ただ、その場合におきまして、先ほどお答えいたしました、その精神障害の程度が何等級、つまり障害補償の年金の何等級に相当するかという問題がありますので、その点、先ほどお答え申しましたように、専門家に医学的な判断をいま急いでお願いをしておる、こういう状態でございます。
#18
○高山恒雄君 その点非常にむずかしいところですが、なるほどそういうように法律がなっておることも私も承知いたしておりますが、訴えておられる大きな問題は、いろいろ就業してもいいという、このきょう出された参考人のほうからの資料の中にも書いてありますが、いろいろ医者の診断の結果は、労働をやっても軽労働ならいい、こう言っておるけれども、家に帰って静養をしながら仕事に行ったり行かなかったりするということは、半身がまた何となしに不随になるような感じがみずからする。したがって、将来が不安だ、医者がそう認めたものを、あなたは補償すると言っても、補償の道は開けてないでしょう。そういう場合は一体どうするのか、その点はどうお考えになるか、大きな問題です、これは。
#19
○政府委員(村上茂利君) 療養補償なり、障害補償にいたしましても、これは法律判断より、むしろ医学的な所見に従って処置するということでありますが、その判断を下す医者との信頼関係におきまして、その医者の所見か正しくない、あるいは不満であるというようなことがございますれば、これはやや法律ないしは行政の手を離れたような非常に複雑な問題になるわけでございます。その点に思いをいたしまして、私どもとしては、いわば二段がまえでそういった問題についての公正を期したい、つまり第一段におきましては現地の療養機関の判断を求めるわけでありますが、事柄が一酸化炭素中毒という、非常にケースが少ない、かつ、まだ未開拓の分野でございますので、そういう問題はさらに中央ベースに持っていきまして、斯界の最高権威にさらに重ねて検討をお願いしてきめる、こういうような手だてを講じておるわけであります。全体のかまえとしてはそういうことでありますが、第一段階の現地の療養機関でいろいろ判断を下します場合、独断に陥らないように、三井三池の場合は、三井三池特別医療委員会といったようなものがございますので、各先生方のみんなの意見を総合して、そして判断するという措置を講じておるような次第であります。いろいろ患者のほう、あるいは家族の方々には心理的にいろいろ御不満があり、あるいは心配もあろうかと思います。そういう点は私ども行政上十分配慮いたしたいと思いますけれども、そういったお医者さんに対する不信感と申しますか、そういった問題につきましても実情をよく聞きまして、いま申しました二段がまえの処置は講じておりますけれども、さらに個別ケースに適応した処置をとりたいと考えておる次第でございます。
#20
○高山恒雄君 参考人の方に聞く前に、通産省のほうに聞くほうがいいかと思いますけれども、参考人の方も長くおられるのはたいへんかと思いますから私聞いておきますが、給料が、先ほどのあなたの御心配では、大体たな上げした総額が二千六百円であると言われるのですね。その二千六百円の格差があるものを、たな上げ期間というものは期限があったでしょう、二カ月とか三カ月の期限があったはずですね。そのたな上げした金額に対して、第一の組合は、つまりそれをたな上げのままで計算の基礎にして、第二の組合の場合はたな上げしたものを含めたという考え方なのか、それとも、先ほど通産省からのお話によりますと、請負制度をやっておるというか、出来高払いの賃金の格差が第一と第二とできておるのか、この点はどういう点によって――この報告書を見ますと非常な格差ですね。これ皆さんから出しておられます格差を見ると、大体四千円から五千円の相違があるわけですね。なぜこの賃金の格差が組合でそういうふうにできたか、この点がちょっとわれわれには想像つかないのですがね。これをひとつ言っていただくことが一つ。もう一つのたな上げの問題は、もし第二組合もたな上げのままで基礎ベースをとったとすれば、皆さん方は、第一組合があるのですから、当然団体交渉を要求して、中労委なりにこれを提訴して、そうしてそういう労災に及ぼす基礎賃金の割り出しにはやはり含めるべきだ、こういう結論が出ると思う。たな上げしたということは何からくるかというと、その産業の不況の事態からきておるわけですからね、不況と災害は別なんですよ。災害が起こったという起点と、不況のために企業の、つまり何ですか、利益を得るために企業家としてはたな上げを組合に要請したと思うのですね。それと災害の問題は別個の問題ですから、当然これは皆さん方は経営者に要求出して、そうしてもし応じないというなら中労委に提訴する、そうして第三者の見解を仰いで基礎ベースを取り返していく、こういう運動をやられるべきだと私は思うのだが、その請負給から起こった問題なのか、どっちか、聞かしてもらいたい。
#21
○参考人(宮川睦男君) 第一点目の六%のたな上げ、五十五円のベースアップのたな上げというのは、第一組合とか第二組合の問題ではなくて、全員のたな上げなんです。これが解除されたのは昨年の十月解除されましたが、約一年半にわたってたな上げされておるわけです。一般の人に解除されたのは昨年の十月からでございます。それから一年半にわたって毎月六%たな上げされているのは、たとえば採炭夫の方が請負給で四万の出来高があるとすれば、二千四百円はたな上げでございまして、請負給者でも固定給者でもいろいろございますけれども、そういうふうに各人の総所得に対し六%掛けた額をたな上げにして賃金台帳に記載されている。たな上げ分は各人から差し引いて賃金を支払っている、こういう経過があります。五十五円も同じです。ですから、私たちは当然それは貸金ではないかということで、なくなられた方には賃金が払われているのですね。その前にたな上げされた分も、六%も五五%も払われているのですから、退職金でもなくて――賃金として払っているのか退職金として払っているのかわからない。われわれは賃金をたな上げされているのだから、当然退職金と一緒に払われたとしても、これは賃金が払われた、こういうふうに解釈しているわけです。その金額が労働省とも三井鉱山ともちょっと食い違いがあるのではないかと思います。私たちは、あくまで賃金台帳に載っているわけですから、それを、なくなったときは、あるいは退職するときはみな払っています。だから、賃金台帳に載ったものだから、必ず賃金として払われたとして解釈していいのではないか。たな上げされたものは全然退職した人もやっいてないというなら別ですよ。死んだときは支払っているわけですよ。過去のたな上げ分も、そういう意味で第一組合も第二組合もない、平均二千六百円くらいあるのだというのは、各人別に六%を乗じています。次は、この賃金の差というのは組織別に分けているのですが、なぜこんな差があるだろうかふしぎに思われるかもしれませんが、三池の第一組合のほうが勤続年数が浅かったか年齢が若かったかというなら別ですが、ほとんど年齢、勤続年数を調べてみると、ほとんど変わりありません、第一も第二も。それから、同じ職種で採炭をとりましても退職手当がこれだけ違っている。これはなぜこんなになったかといいますと、つまり採炭夫をしておっても、同じ採炭夫でもまともな採炭をさせられないのですね。第一組合は雑作業をさせられて安い賃金で、採炭夫でありながら、採炭は月に半分ぐらいしかしない、あとはどぶさらいをさしてみたり、いろいろ悪い仕事をさせるわけです。本人が本来の仕事をさせられないという、こういう差がずいぶんついております。それから、もう一つ、同じ作業をしておっても、条件の悪いところで歩建てというものをやっても、第一組合は全部平均より以下、第二組合は全部平均より上と、こういう差がついております。諸費給で集団で共同作業をし、百名なら百名働いても集団で請負をとるわけですから、それを十単位で百人で分けると十になるわけです。三池労組では八・五または八になる。第一は八・一とか二とか三とかこの比率で分ける。同じ採炭をしておってもそういうふうに差がつく、こういうところに賃金の差が根本的に開いてくる。われわれはそういう反対はいたしておるのだけれども、なかなか聞かないわけです。結局第二組合にいくと、あくる日から賃金は高くなる、第一組合にいる限りは差別をする、こういう差別がずっととられてきているわけです。普通の人は想像ができないくらいひどいことをされている。その結果が集約された数字がここに出てきている、こういうふうに、御理解願いたいと思います。
#22
○高山恒雄君 賃金の問題は単純な比較は私はできないと思うのです。労働日数の問題もありましょうし、いろいろあなたのおっしゃるような集団請負であればなおさらのこと、条件もいいとか悪いとか、そういう問題も起こりましょう。それで、私は委員長に申し上げたいのですが、こういう場合は、しかも、参議院の社労で審議するのについては、少なくとも現地を見て、第一、第二がある以上は、やはり公平な立場に立って参考人を呼ぶべきだと、これは希望意見として私は申し上げておきます。これは非常に資料が出ようと思うのです。いまおっしゃるような点についても、賃金の問題は、単純にこれはそうかということで結論にならないと思うのですね、いろいろな事情があろうと思うのです。いま言われている点は、なるほどこういう点はわからぬじゃありませんけれども、ぜひ今後そういう取り扱いをしてもらいたいと思うのです。
 なお、私は参考人の方にお聞きしますが、この医者の診断に基づく復帰者がだいぶ出ておりますね。この復帰者の中で、途中また発生して帰ってくるという何か現状があるようにここに書いてありますね。これは第一組合は非常に少ない復帰者ですが、第二組合は百何十人の復帰者が残っていましたが、こういう場合には、これは第一も第二もなしに、医者が診断した結果、就労してもいいと、こういうことになろうと思うのですね。それに、先ほどの心配な点をお聞きしたのですが、いいと言われても神経をおかされておる。一酸化炭素中毒ですから、まれに見る中毒ですから、あとでうまくいかなかったといってまた寝ておる人もあるというさっき報告も聞いているわけですが、そういう面に対する損帰者の割りから見れば、十一名復帰されて、その中で帰った人があるのかないのか、この点をひとつお聞きしたい。十一名復帰はしたが、途中でまた発生してきた、そのためにもう一ぺん医者にかかっておるのだと、こういう事実があるのかないのか。
#23
○参考人(宮川睦男君) 集団復帰をした人の中で、約百五十名集団復帰をしている。それ以後に、就労直後に復帰している人たちがある。その人たちよりも、むしろ集団復帰した百五十名の中から、現状では五十名ほどやはりだめだということで休業をして、萬山の訓練所に通っている人、家で休養しながらお医者に通っている人、約三分の一はもとに戻りました。医師の認定という問題もいろいろ問題があるのじゃないかと私たち思っているのは、集団復帰をしたのは社会的に何かねらったのじゃないだろうか、こんなによくなっていると見せかけるように、ちょっ悪といことばでいえば肩たたきをして出したのじゃなかろうかということを疑うわけですぬ。それが実際に働きに行ってみたら、三分の一はだめになってもとに帰っているわけですね。三分の二の残されたうちのあとの五十名ぐらいは、あたりまえの仕事はできないものですから、出たり休んだり、出たり休んだり、こういうことで、大体五十名ぐらいが仕事に行って、ほんとうに集団の仕事をしている人はほとんどない、こういうような実情であります。
#24
○高山恒雄君 もう一つ、それで局長にお聞きしたいのですが、いまのお話のとおりなんですよ。そういう事態に対する補償はどういうふうにお考えになりますか。先ほど中央において集団的にもう一ぺん医療の検査をやって、再度手を尽くしたいと、こうおっしゃいますが、一応働いて、それでいかないというこの事実ですね、それは速急の問題だと思うのです、延ばすべきことじゃない。現実に医者が復帰してもいい、こういう診断を下したのに、それが百五十名の中で半数がどうもなおらない、こういう状態の救済こそ重要であると同時に、その問題の解決については、それこそ微に入り細に入り、政府として手を伸ばすべきじゃないかと思いますが、その点でどういう措置をしておられるか。
#25
○政府委員(村上茂利君) これはざっくばらんに申し上げますが、単純に――単純と申しますとちょっと語弊があるのですが、純医学的な観点からの問題だけならば、これはお医者さんの衆知を集めまして事の処理のしかたがあると思いますが、いろいろ社会的な、家庭的な要因がからみ合いまして問題が複雑になる場合には、率直に申しまして、非常に処理が困難でございます。しかし、だからといって、労働省なり、現地の福岡の労働基準局では、これを傍観するとか、あるいは手を引くというようなことをいたしておりませんので、問題をできるだけ純医学的な見地から整えまして、そうして患者の納得も求め、できるだけの手を尽くしたいというのが基本的な考え方であります。したがいまして、退院はしたけれどもまたぐあいが悪くなったということであれば、再び病院に入れて療養をするというようなことでございまして、その実情に応じて処理したいというふうに考えておるわけでございます。ただ、集団的にグループをなしてぐあいが悪いとかどうとかいう問題になりますと、お医者さんの個別判断でなくて、一つのグループの意見、こういうことになりますので、お医者さんもなかなか処理しずらいというような気分があるやに仄聞いたしておるようなわけでございます。たぶんに困難な問題ではありますが、しかし、大災害の犠牲になられた方々の問題でございますから、私どもはできるだけ手を尽くしまして善処いたしたいと考えておる次第であります。
#26
○委員長(小柳勇君) 森委員から御質問がありますが、ちょっと保安局長、さっき宮川参考人から話があった、ガスマスクは口にくわえて三十分しか持たないが、八十度の熱があるのだ、これでは退避などというのはとてもできないという宮川参考人の意見でもあるし、これは伊王島でも問題になっておるのですが、これについてはどう考えますか。
#27
○政府委員(森五郎君) 現在のホップカリットを使う方式では、大体いま宮川参考人がおっしゃったようなことでございます。これは日本だけではございませんで、各国でも、アメリカでもドイツでも、イギリスでもフランスでも同じことでございます。したがいまして、これに対する処置といたしましては、現在の救命具は非常に短期間のところの退避ということでございます。したがいまして、今後はやはり酸素を自分から発生するような式のものであるとか、そういったものの新しい救命具を開発しなければならぬ。したがいまして、これにつきましては、今年度の予算につきましては、労働省並びに通産省にもそういった技術の関係の予算がついております。一日も早くそういった新しい形式の事故救命器を開発しなければならぬ、かように考えておるわけであります。
#28
○委員長(小柳勇君) それから、さっき保安融資――無利子の融資などたくさんきめたようですが、現在会社が、大手なりあるいは小山なり、これが借りておるのかどうか。それから、その借りた金を保安に使うのだといって借りてほかのほうに回しておるというようなのは、あなたのほうの保安局なり、あるいは監督署ではっきり監督できるのかどうか、いかがですか。
#29
○政府委員(森五郎君) 前に、今年度の当初予算で割り当てた分につきましては、ほとんどこれは割り当てを終わっておるわけであります。目下予備費の関係のものの割り当てをやっておるという状況です。また、あとでこれに確かに使ったかどうかチェックができるかというお話でございますが、これは精算払いになっておりますので、必ずチェックできることになっております。
#30
○委員長(小柳勇君) なお、参考人及び政府に対しまして質疑を続けます。
#31
○森勝治君 宮川さんにちょっとお伺いしたいのですが、いまあなたのお話の中に、会社側は保安を無視して生産を強行していると、こういうことばがあったのですよ。したがって、会社側の保安の不備の点に言及されておりますので、この点について、当該組合として、会社側に対して何かその善処方の要望をされておったかどうかという点をちょっと聞いてみたいのですが。
#32
○参考人(宮川睦男君) 保安を無視してやっておることについて、たびたび私たちは会社に申し入れをしておったわけです。爆発する前に、前後八回文書でもって、あるいは口頭でそれ以上やっておったのですが、団体交渉を持とうということで申し入れても、団体交渉を持たないのです。どうしても団体交渉を持たないということであったわけですが、十一月十一日に何とか持とうかという話になった。その前々日にやられてしまった、こういう経過になっております。そういう内容につきましては、福岡の保安監督局にも再々申し入れをしております。炭労からも相当強く申し入れておったわけであります。その意味で、この爆発のもう少し前に団体交渉でやっていけば、またいろいろな問題がよかったのではないかというふうに反省されます。この爆発以降は、団体交渉の申し入れの場合には可及的すみやかにやるという協定がその爆発を契機にきまりまして、いま拒否されるということはありませんから、そのつど団体交渉を申し入れてやっております。以上です。
#33
○森勝治君 宮川参考人が言われたように、従業員側からしばしば本件については善処方を要望したにもかかわらず、会社側がその措置をはからなかったためにああいう悲惨事を起こしたということは、皆さんお聞きのとおりであります。したがって、この点は明らかに会社側の責任があるわけであります。そこで、しからば会社側に対して一体どういう指導措置、事後の措置をとられたか。さらに、先ほどの参考人のお話にもありましたように、もうすでに夕張でもあったし、その他数カ所あるという現状をもってしますならば、今後もこういうことがないとはわれわれここで断定できないわけであります。したがって、これからの措置についてのあり方はどうされるのか、その点ちょっと聞きたいと思います。
#34
○政府委員(森五郎君) 続発する炭鉱災害をどうやって防止するかという御質問のように考えられますが、これにつきましては、何と申しましても、基本的には、やはり石炭鉱業が安定をするということが必要であろうというふうに考えられるわけであります。したがいまして、今後の保安監督といたしましては、まず坑内の構造というものをひとつ保安上心配ないようにしてもらいたいというわれわれは要望をいたしておるわけでございます。これにつきましては相当な金が要るわけでございます。したがいまして、これは先ほど申しましたように、石炭政策の問題にもやはり関係を持ってくるわけでございます。また、そういう抗内構造が、たとえば例をあげて申しますと、ガスがたまりやすいような構造というものはこれを極力避けまして、ガスが容易に排出できるような構造に変えなければならぬ。それによって労働者が安心して働けるような坑内構造にする、並びに、生産方式を考えているということで、これには相当な追加投資と申しますか、投資が要るのではなかろうかというふうに考えられます。したがって、これは石炭政策全体の問題に関連いたします。
 それから、もう一つは、そういった構造の上に、そういった保安上非常によろしい構造の上で保安管理をどうするかという問題になってくるかと思うわけであります。これに関しましては、この前の国会で法律改正をいたしまして、保安統括者というもので、鉱山に名実ともに、労務の点、経理の点、あらゆる点、生産の点についても、責任を持って鉱山長というものが保安統括者となり、これが最高の責任を持つという体制、並びに、労働者も同様に保安を守る責任があるわけでございますから、労働者の声が保安に反映できるように、保安監督員の補佐員制度というものをつくりました。また、前々から保安委員会というものが法律できまっておりまして、労使双方で保安の問題について語り合うということにも法律上なっております。この選任方法等々についてはこまかく規定されておりますわけでございますから、そういった点で、すなわち、自主保安体制ということを強化していくという方向で保安監督を強化していく。まあ一種の保安体制を強化するとともに、それに対して、政府といたしましてはこれをチェックするという立場をとっていきたい。と申しますのは、何と申しましても、一つの山で同じことをやっていますと、どうしてもなれるということになるのは、これは人間の通有性でありますから、これを外から行って、外から行った人は悪いところはすぐ気がつくということで、常に刺激を与えるということが必要であります。そういうために政府の保安監督をそういう面から強化する。決して保安は政府が守るものではございません。これは労使協調して守るべきものというふうに考えておるわけでございます。
    ―――――――――――――
#35
○委員長(小柳勇君) 委員の異動についてお知らせいたします。
 本日、杉山善太郎君が委員を辞任され、その補欠として小野明君が委員に選任されました。
    ―――――――――――――
#36
○委員長(小柳勇君) 質疑を続けます。
#37
○森勝治君 宮川さんにお伺いしますが、これもあなたのお話の中に、第一組合と第二組合の賃金格差が激しいというお話がありましたね。そういう問題についてもう少し御説明願えませんか。どうしてそういう――まあいまのあなたの話を私なりに解釈しますと、第二組合が賃金が高くて第一組合には低い、したがって、これがこういう各種の給付の問題にも正大な影響を及ぼす、こういうお話がなされておりますので、どうしてそういうのが出てきたのか、この点ひとつ聞きたいのです。
#38
○参考人(宮川睦男君) これは会社の政策としてとられてきた五年間の実績ですから、つまり第一組合の三池労組をぶっつぶそうという考え方に立って会社が労務政策をやるわけですから、第二組合に入るか、入らないなら差別をして苦しめるぞと、こういうやり方を極端にやっているということが実情です。先ほど高山先生からおっしゃいましたように、数字だけ見て内容を聞かないと明らかでないというのはそのとおりだと思います。私は機械的に言うつもりはありません。ただ私は一、二の例を申し上げたわけですが、もちろん第二組合のほうで多い賃金をとっている理由として、たとえば公休日出勤を第一組合よりも――うちのほうは大体日曜出勤とか残業をさせないわけですから、第二組合に行ったならば日曜出勤、公休日出勤、残業をさせるという違いがありますから、基準外賃金の差はあります。それ以外に、あたりまえの基準内賃金が相当違っているということは、本人本来の作業につかせないということがまず一つあります。運搬なんかの例をとってみますと、運搬していますと、一日本来の運搬工の作業をした場合と雑務をした場合では、一日三百五十円違います。うちのほうの組合員は平均して月に十五日ぐらいしか本来運搬工であって運搬していない、あとの十日は雑務をしているという実情であります。第二組合に行けば、出た日は全部運搬の作業をさせるということは、一つの実績として残っております。あるいは請負給として歩建てがありますが、平均十の単位で総請負賃金を人数で割ると平等になります。平均を十とすれば、十以下の場合は第一組合ということになる。千円の場合に一の差がつけられるということは、三百円の差がつけられる。一人が九をやれば一人が十一やるわけです。一人平均千円の請負給の総額とすれば、十をもらった人は千円、十一をもらった人は千百円。十一をもらう場合は九をもらう人があるということです。九をもらう人は結局一日に二百円違う。二百円一口に基準内賃金だけで作業に差がつく、こういうことを申し上げるわけであります。大きな内容は、いま言ったような作業の内容について差がつくということです。
#39
○森勝治君 先ほどたな上げの問題が出されましたね。あなたのお話の中で、たな上げされたものについても、退職特等については復元をして支給するのだ、こういうことですね、それはそのとうりですね。そこで、もしそうだとするならば、その事故が起こった時点にさかのぼって再計算をするならば、あなたは方が心配されておる差額の補給という問題は解決するのではないですか、その点どうですか。
#40
○参考人(宮川睦男君) たとえば労働省のほうから三池鉱山に、この災害でなくなられた四百五十八名の前三カ月のたな上げされた賃金の額を労働省に出してくださいと言われるなら、三池鉱山はそれを出すと思います。各自の賃金台帳に載っておりますから、それを計算していただけば平均賃金は変わってきます。
#41
○森勝治君 省側にお聞きしますが、いま宮川さからお聞きのような発言がありました。したがって、そちら側のこれに対する措置、御意見を聞きたいと思います。
#42
○政府委員(村上茂利君) この問題は災害直後もしばしば問題になりまして、私ども十分承知をいたしております。問題のポイントは、労使の間で協定いたしました労働協約の解釈の問題であります。すなわち、俗にたな上げと称しておるが、それが具体的な法律上の賃金債権であり、請求権を行使し得るものであるかどうかということにかかっているわけであります。協定書つきましては、いわゆる新労、旧労両者ございまして、これはしさいに吟味いたしたのであります。その中で、たとえば三池炭鉱労働組合と会社側との協定、これは七月二十四日の協定でございますが、たな上げ額については平均賃金、これはわがほうに関係がありますが、平均賃金並びに健保標準報酬等の算定基礎に算入しないというような一項目もございます。しかし、これは協定で結んだ事項ではありますけれども、純法律的に賃金債権たり得るかどうかということが基本でございますので、この点をいろいろ検討したのであります。しかしながら、災害発生時点における賃金というふうにはどうも解釈することが困難であるという見地から、災害発生時点をさかのぼり、過去三カ月の賃金としてはどうしても認めがたい、こういう点からこれを算入しなかったという経過がございます。繰り返して恐縮でございますが、この協定書の解釈の問題が中心であった、こういうことであります。
#43
○高山恒雄君 関連。その点ですね、災害の場合もたな上げしたままの、つまり基礎ベースにする、こういう一項があるのですか。協約上労使が協定を結んだときに、ああいう大災害じゃなく、普通の災害もあるでしょう。そういう場合の基礎ベースは協約の中に一つも入っていないのですか。
#44
○政府委員(村上茂利君) これは私がお答えするよりも、あるいは宮川委員長からお答えされるのが筋かと思いますが、私どもが承知しております協定書を見ますると、災害時おける措置については触れていないように承知いたしております。
#45
○参考人(宮川睦男君) いま基準局長がおっしやいましたけれども、私たちは協定を結んでいないわけです。賃金たな上げは反対だということは、うちは無協約ですから、それはどこかの協約第二組合の協約かもしれませんが、三池労働組合は無協定なんです。うちは反対だ、それは賃金を一方的にたな上げすることは違法であるという考えに立っておりますから、協定を結んでおらぬわけです。その点間違いなく。
#46
○森勝治君 省側に聞きますが、いま宮川さんがおっしゃたとおり、そうなれば私の質問に対する答弁はどういう意図に基づくのか、いわゆる承知しておられると言われるが、十分わかっていて協定も結んでいないものを、協定を結んでそれに準拠してあなたは答弁されるが、さっぱり合点がいかないから、具体的に簡単、率直にお答え願いたい。
#47
○政府委員(村上茂利君) 私は協定書の写しを参考にして申し上げておるのでございますが、いまの宮川委員長の言われました、協定は結んでおらないということでありますれば、六%たな上げの問題、五十五円のたな上げの問題という点についても協議がととのっておらない、そういう状態におけるたな上げ分の解釈をどうするか。これは賃金債権として認めるかどうかという問題がございますが、その問題は新労につきまして全く同様な六%たな上げ、五十五円たな上げの問題があるわけです。
#48
○森勝治君 いまそういう御答弁があったのですが、あなたの手元に協定書の写しがおありだそうですが、いつ書かれたのか、ちょっと宮川参考人に見せていただいて、この辺もう少し具体的に、現実に病床におるような方もあるのだから、この方たちのために解決策を発見しましょう。
#49
○政府委員(村上茂利君) ちょっと補正をさせていただきたいと存じますが、新労と会社との協定書、これは六月二十八日でございます。これはいわゆるたな上げ条項についての協定でございます。それから、七月二十四日付でほぼ同様な内容のものが予定されておった。はんこがついてありませんので、これは宮川委員長のおことばのほうが正確かと存じますが、ただ、ちょっと申し上げますと、これが就業規則の改定を通じまして、就業規則の内容として同じたな上げの条項が定められた、こういうことでございまして、正確に申しますならば、労働協約の解釈の問題と、それから、これが就業規則改定によりまして就業規則の内容になりましたので、この就業規則の解釈の問題とあわせて判断する、こういう角度から処理してまいったということでございます。
#50
○森勝治君 ですから、あなたの答弁が間違っておられるのか正しいのか、もう少しはっきりしてくださいませんか。
#51
○政府委員(村上茂利君) 結論を申しますと、災害発生時点における賃金債権としては成立していなかった、こういう解釈をとらざるを得なかったということであります。したがって、補償額を算定いたします場合には、災害発生時点からそれ以前の三カ月の賃金について、いわゆる平均賃金を求めまして、これを基礎額にいたすわけでございますから除いたということでございます。
#52
○森勝治君 あまりたたみ込んで恐縮ですが、そういたしますと、いま参考人が希望をお述べになった、たな上げの分が解消できたらというお話があるわけですが、それは解消できるわけなんですね、どうなんです。
#53
○政府委員(村上茂利君) それは労使間の問題でございまして、労働省側が賃金をきめるわけじゃございませんから、労使間でさらに解釈の問題を明らかにするということが必要であろうかと思います。
#54
○森勝治君 私が申し上げましたのは、宮川参考人から、省側の御指導があるならばというおことばが先ほどあったから私がいまのような発言をしたわけです。ですから、この点については宮川さんからもう一ぺん御発言をいただきたいと思います。
#55
○参考人(宮川睦男君) こういう私たちの見解ですが、会社は、いま村上基準局長の読まれた文章をもって締結しようと考えておったけれども、われわれが反対だということで協定が成立しなかったわけです。一方的に賃金のカットということはできないという解釈に私たちは立っておる。また、就業規則の改定条項に触れてきて、何とか就業規則に持ってきようということで持ってきました。これも意見書をつけ足して、こういうことはできないということで組合から反発しておりますが、就業規則という問題は、すでに働いた賃金を一方的にカットしたものをあとから規制するような効力は持たないんじゃないか。労働賃金としてきちんと払って、計算までしてありますから、賃金を計算したものを就業規則で規制するということはいささか行き過ぎではないか、こういう考え方で、われわれは依然として賃金の債権として残っている、こういう見解を持っておりますので、あくまで請求して、われわれは賃金として台帳に載ったものを会社側から提出を求めて、それを加えた額を平均賃金として修正をして補給をしてもらいたい、こういうふうに考えております。
#56
○森勝治君 いまおっしゃるとおりです。そうしますと、省側から説明された協定書案、あるいは協定書写しというものは、少なくとも宮川さんが属する組合との間にはかわされていなかったということになりますね、そうでしょう。そうなりますならば、いま宮川さんが主張した点、これはここでいま黒白をつけようとしてもそれは無理でしょうが、場所柄が違いましょうから。この問題については、やはりこの被告と同じように、重要な、たいへんなことでありますから、省側においても、いま参考人が述べられたような点が明らかにされておるわけですから、労働行政を指導するという立場からいってもゆるがせにできない問題でありますから、すみやかに善処方、指導方をお願いをして、次の問題に移ります。
#57
○委員長(小柳勇君) ちょっとその前に、第二組合は協定はやっているのですか。その当時はどちらが多いのですか、組合員の数は。
#58
○政府委員(村上茂利君) 意見書を提出した、つまり就業規則に基づきまして……。
#59
○委員長(小柳勇君) あなたの持っている協定の日付の時点ではどっちが多いのですか。
#60
○政府委員(村上茂利君) 新労の協定書締結は、先ほど申しましたが、六月二十八日でございます。それから、次に、就業規則を作成いたしました時点の人数でございますが、旧労が意見聴取時では四千四石七人、新労が六千七百六十五人という人数になっておりまして、過半数の同意を得た、こういう形をとっております。
#61
○森勝治君 宮川さんにお伺いしたいのですが、まだ病床に坤吟され、通院されている方がたくさんあると聞いて非常にお気の毒なんですが、退院された方々でまだ通院されておる方がありますですね。通院されているから健康診断は当然おやりになっておるでしょうけれども、定期的な健康診断はおやりになっているのですか。
#62
○参考人(宮川睦男君) この爆発が起こった直後から、労働省にもずいぶんお願いして、定期的な健康診断をやってもらいたいということを要望しまして、二回ほど定期的な検診を受けたのですが、昨年の十月ごろと思いますが、村上基準局長もお見えになりまして、博多の日航の地下でお会いしたときに、前労働大臣の大橋さんにお会いして、定期的な健康診断をやってもらいたいということを陳情したわけです。直ちにやりましょうということで、その後すぐやっていただきました。それがことしになってから、その後全然定期の健康診断はないわけです。ことしはすでに八月ですが、一回もないわけです。ですから、これは、やはりずっと少なくとも四半期に一回くらいはしていただきたいということを思っておるわけです。
#63
○委員長(小柳勇君) いまの問題はどうでしょうね。大橋大臣が見に行って、定期健康診断をしておらぬから、やりましょうと言ってすぐやった。それから一年やっていないということですか……。
#64
○政府委員(村上茂利君) いま宮川組合長がお答えしたとおりでありまして、当時、定期健康診断を希望により即時実施したわけでございます。ただ、定期健康診断という問題につきましては、専門医師の御意見も聞きまして処理せざるを得ないのでありますが、一般的な見解といたしましては、けい肺その他の職業病のように、その後増悪するという性質のものではないので、一たんこの症状が発現いたしますと、大体そのような状態でとまるので、その後は増悪はしないというような考え方を持っておられるやに承っております。したがいまして、ただいまの健康診断の問題につきましても、さらに専門医の見解を聞きまして検討してみたいと存じます。
#65
○森勝治君 それは所属はどこですか、基準局外すか医務局ですか。定期健康診断のあとの病院の定期健康診断の責任はどこですか医務局ですか。
#66
○政府委員(村上茂利君) 法律上の義務の問題になりますれば、労働基準法によりまして定められておりますが、いまの御要望のございます定期健康診断と申しますのは、いわゆる法律上の義務を離れたそれ以上のものであるというふうに私どもは理解いたしております。したがいまして、それを実施する場合には、経費をどこから出すかなど、いろいろ実施上の問題がございますので、ただいまは専門医の医学的判断を求め、そういった問題も考えまして検討してみたいと思います。
#67
○委員長(小柳勇君) 前の労災法の改正のときの附帯決議の中にもその問題が入っておりますので、具体的に検討してください、いまの定期健康診断の問題。
#68
○森勝治君 遺族といっては恐縮ですが、遺族の方、あるいはいま病床に呻吟されておる方々ですね。たとえばこの資料を見ますと、日紡の工場に二十八歳のご主人を失った未亡人が三百六十八円でつとめておられるということが出ておりますですね、で、中学卒業生が三百五十円、それで生活がなかなかできないという具体的な事例を述べておられますが、その中で、会社側からの手当は、稼動日数に正比例した手当しか出ない、こういうことなんですね。それで、やはり会社側から、自分たちの従業員の遺家族をみるというたてまえなのだから、それは稼動したものについてのみでなくて、月間なら月間というふうになるような交渉を会社側とされたかどうか、あわせてこの点について省側の見解を聞きたいと思います。
#69
○参考人(宮川睦男君) ただいまおっしゃいましたように、一日出勤者に三百円ということでございますから、これを何とか遺族の生活を保障していくという意味では、暦の日数でやってもらえないだろうかという要求も出してやっておるわけですが、会社のほうではなかなか聞き入れないという経過がございます。あくまでも暦日数でやってもらいたいというのがこちらの希望であり、今後も要求していこう、こういう考え方に立っております。
#70
○委員長(小柳勇君) 省側は、所管局長違いますか――基準局長、その働いている人の給料の問題です。
#71
○政府委員(村上茂利君) これは私から申し上げるのが適当であるかどうか存じませんが、かつて、いま御質問されましたような工場につきまして、あまりにも賃金が低いじゃないかという御指摘を受けまして、労働基準監督機関を通じてその実態を調べたことがございます。そうして、きわめて不適正なものにつきましてはこれを是正するようにすすめまして、これは監督上の権限がございませんので、会社側と話し合いいたしましてその最低額をきめた、こういう経過がございますけれども、さらにそれ以上稼働しない日についても云々という問題になりますと、労働基準監督機関といたしましても、やや指導に困難を感ずるというような実情があるわけでございます。
#72
○委員長(小柳勇君) 大臣、この間問題になりましたね、あれは民間の会社であるけれども、あのために特に誘致したんだから、政府の責任でも少し管理しないかと、何か検討されましたか。
#73
○森勝治君 業者間協定の最低額にだってこれは満たないんじゃないか。
#74
○国務大臣(小平久雄君) 問題は工場自体が支払う賃金が安過ぎやせぬかという問題と、三井から出勤日数に応じて支給される日額三百円かの支給の方法を出勤日数にかかわらず月額等の一定の金額で支給することにならぬかという二つの問題がいまあるように拝聴いたしたんですが、特に三井からの支給の問題は、これはまあ直接賃金というわけでもございませんでしょうから、役所のほうの関係から申しますと、個々の工場の賃金が安過ぎるかどうかという問題だろうと思いますが、この点につきましては、先ほど基準局長から、当初に何かまああっせんでもしたとか、あっせんと申しますか、まあ口を聞いてきめたという関係もあるそうでございますが、本来、賃金でございますから、これが役所の私どもがどうしろこうしろと、いわゆる厳密にいうと何権というんですか、どうしてもこれだけにしなきゃいかぬという理由はないのかもしれませんが、いずれにしても、付近における同種の工場の賃金の比較という問題もございましょうから、早急に実情をさらにあらためて調査をさせまして、役所のほうで打つべき適当な手がありますなら打つ、こういうことにいたしたいと思います。
#75
○委員長(小柳勇君) この前衆議院の調査団が行って問題にしたらすぐ賃金が若干上がったらしいから、ひとつここでも大臣、見解を表明されたからすぐひとつ手を打ってください。
 次の問題に入りましょう。それで、まだあと質問があるようですけれども、具体的な問題がさっき宮川参考人の意見にありましたから、せっかく遠方から来られたから参考人に説明をしてもらいたいんだが、一つは、あれだけ大きな事故が起こって死傷者も出ておるのに、その後一人も刑事責任も、あるいは行政責任もはっきりしたものを聞かない。保安を強化するのは、やはり責任の所在を明らかにしなきゃならぬが、そういう罰則は検討しておるかと、こういう参考人のきつい要求があったが、保安局長どうですか。
#76
○政府委員(森五郎君) 三池大災害の司法処分に関してでございますが、これにつきましては、鉱業権者、管理者六名、保安技術職員五名を送致いたしております。また、行政処分につきましては、近くやる予定になっております。
#77
○委員長(小柳勇君) それから、次は、遺族の医療保護ですね、せめて遺族の医療保護だけでもひとつ前進させていただけないかという期待があるんですが、これはどこですか、基準局長ですか。
#78
○説明員(尾崎嘉篤君) 私がお答えいたします。責任ではなく、私のほうの社会局の関係になると思いますが、この前の総理官邸でのこの問題のお話し合いのときに研究いたしましょうということを、たしか社会局のほうでお答えしておったと思いますが、普通のいまの医療保護のやり方といたしましては、ルールからいえばかなり困難な問題が多いのではないかと、私、医務局長としてよく見ておって感ずるわけでありますが、できるだけ特殊な実情だということを考えて社会局のほうで研究しているものだと存じますが、私ここで詳細なことを正確にお答えすることができないのを残念と思います。
#79
○委員長(小柳勇君) いまちょうど予算委員会に厚生大臣出席で、大臣が見えておりませんから、この問題はまた別に質問しましょう。
 それから、回復訓練所の整備を訴えておられたんですが、水俣の水俣病ではあれだけりっぱな設備をやっているが、こちらはおそまきではないかという意見ですが、どうですか。
#80
○政府委員(村上茂利君) 回復訓練施設につきましては、特に一酸化炭素中毒患者のリハビリテーションの問題については、さらに研究し、基準を高める必要があろうかと存じます。それで、方向としては、今後さらに整備強化する必要があろうかと思いますが、どのようにするかという点につきましては、まだ明瞭でない分野が多うございます。この点につきましては、一酸化炭素中毒に関する生理的、臨床的各方面の研究を昨年から委託研究をしていただいております。本年度は二千九百万円の委託研究費を出して研究を促進いたしておるような次第でございますが、したがいまして、回復訓練施設を整備強化いたしますにつきましても、こういった研究の成果、結果と相まちまして考えたい。それで、さしあたりは、現在の回復訓練所の機能をできるだけ現状にマッチしたように運営したい。先ほど参考人のお話の中にも、画一的に集団的に同じような訓練をやっておるという御指摘がございました。それが事実でございますれば、私どもはなはだ遺憾でございまして、すでにそのような訓練実施の場合につきましても、訓練等級を三等級に分けて、それぞれの症状に合うようにというような指導もいたしておったのでございますが、参考人のお話もございまするので、さらに実情を調べまして、個別的なもっと行き届いた訓練をするようにいたしたいと思います。ただ、将来の方向につきましては、どう持っていくかという点については、医学的な研究の結果まちまして善処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#81
○委員長(小柳勇君) それから、もう一つ、今日、傷病の程度、症状のランクが、普通の健康保険などと違いまして、特別にできているわけですね。その傷病の程度については、これはもう労働省としてはっきり確認して、今後われわれが論議していいかどうか、その点いかがですか。
#82
○政府委員(村上茂利君) 傷病の程度と申しますと、患者の傷病の症状については、これはいろいろあるわけでございまして、御承知のとおりでございますが、その各種の程度の差があります患者に対しましてどのような治療を行なうかという点につきましても、一応現地に設けられました医療委員会で作成しました医療基準にのっとって治療をやっていただいておるわけでございます。しかし、この点につきましても、先ほど申しました委託研究を通じましてできるだけ早く結論をいただいて、新しく治療上付加すべき点がございますならばそれを付加するということによりまして、実情に合うように善処していきたいと思います。
#83
○委員長(小柳勇君) その点、たとえば労災保険などのランクとマッチするように検討する、そういう意味ですか。ほとんどこの労災保険とかほかの健健保険などの病状のランクと関係ないようにきまっているようにわれわれは感ずるわけです。したがって、それを一症度、二症度とずっと書いてあるわけですね、そいつはどういうような確かさがあるのか。
#84
○政府委員(村上茂利君) 御指摘の点は、一応治療の段階を終わりまして症状が固定し、その症状固定の上において精神障害の度合いがいろいろ差があるというものをどうするかという、いわば障害補償支給の場合の等級決定の問題かと思うわけであります。これは先ほど高山先生の御質問にもお答えしたところでございますが、まず、現在の障害等級表の成り立ち方が、精神障害については必ずしも適当じゃないじゃないか、そこで障害等級表の改定が必要ではないか、こういう問題がございます。この点については、厚生省でも障害等級表の改定をいま検討中でございますが、労働省といたしましても、厚生省と協力いたしまして適正な障害等級表に改定したい、こういうふうに考えております。
 ところで、それに相呼応いたしまして、今度は一酸化炭素中毒患者の障害等級をどのように認定するかという問題がございます。その問題は障害等級表の改定の問題とはちょっと別な問題でございますが、その確定基準がなかなか困難であるということからいたしまして、障害等級専門家会議を設けまして、専門家によりましてその認定基準の作成を急いでおるというのが現状でございます。
#85
○委員長(小柳勇君) たとえばここの写真の例に出ている宮嶋さんなどの例はあまりない例ではないかと思うのだが、少なくとも、こういう人には二人の看護料などを特別に考えなければならぬという切なる要求があったのだけれども、こういう症状についても特別に考えて、そして特別看護料などを考える余地があるのかどうか。
#86
○政府委員(村上茂利君) 宮嶋さんの例がございましたが、宮鳩さんのような非常に重篤な患者につきましては、症状固定の段階に至るかどうかという点がまず問題でございまして、かなり長期に療養補償が継続するのではなかろうかというふうに存じます。しかし、一応症状が固定したとして、現在のような完全意識不明の状態で症状が固定したといたしますれば、障害補償の支給にあたりましても、一番給付の度合いの高い障害等級第一級に格づけされるのではなかろうか、したがいまして、そのような場合には平均賃金二百四十日分の年金が支給される、こういうことになろうかと存じます。
#87
○委員長(小柳勇君) 年金のお話ではなくて、現在御両親が看護しておられる、今度かわるときはまたほかの家族が二人おらぬと看護できない。それで、看護料としては普通は一人でしょう。そういうものを二人分特別に、やるようなことは考えられませんか。
#88
○政府委員(村上茂利君) 宮嶋さんの場合には治療の場合の第一症という区分に該当いたしておりまして、先ほども申し上げましたように、特別看護料の支給が必要であるというように考えまして、これは善処いたしたいと思います。
#89
○委員長(小柳勇君) 久保参考人にお伺いしますが、さっき私、最後のほうは聞き取れなかったのですが、あと三年したらどうなりましょうと答えられたのですね、あの点をちょっと御説明いただきたいと思うのですが、三年経過して保護がなくなったらどうなりますかと言われたのですか。
#90
○参考人(久保時江君) お答えいたします。
 大体いまの法律でいきますと、三年たてば自然に解雇されるという労災のほうが押しつけられて、勢い解雇されるということになるわけでしょう。だから、その点を特別立法の中に解雇制限をうたってもらって、ぜひ立法化の制定に御努力をしていただきたいというお訴えなのであります。
#91
○藤田藤太郎君 私もちょっとおくれて参りましたが、二、三点関連して聞いておきたいと思うのです。
 私は、第一に問題にしたいことは、いまちょっと予算委員会において触れたのでありますが、まず炭鉱の事故というのは、ガス爆発ばかりじゃなく、水没事故もある。保安局長、よく聞いてくださいよ。水没事故の大きな原因は何かというと、空洞の所在が明らかでない、豊州炭鉱のように、川の底一メートルのところに水が入って七十人近く死んだ。その他ハッパを入れ、ドリルを入れて穴をあけて空洞から水が入って事故が発生した、そういうことが明らかになっておるのに、空洞の地図もできないということ、どの原因で起こって、これがだれの責任だということが一つも明らかにならない。昭和三十八年十一月に起きた三池炭鉱の事故も、だれが悪かったのか、かくかくの理由で事故が起きたのだ、この責任はだれなんだということがいまだに結論が出ていない。それから、さらに夕張が起き、伊玉島が起き、山野が起きて幾らの人が死んだ、それにプラスして幾らの人が一酸化炭素で被害を受けた。この災害事故責任というものを、その事故があったら早急に結論を出して、それで責任の所在を明らかにして、原因がどこにあった、その対策を立てるということをやらぬ限り、炭鉱の災害というものは、人為的に炭鉱の労働者が犠牲になるという一言に尽きると思う。このことについてもっと明らかにしなければいかぬのではないか、これが前段だと思うのです。ところが、今度は一酸化炭素の中毒というガス爆発に伴うところの問題が起きてきておるわけであります。だから、ただ労災補償法があるから、会社の弔慰金で死んだ人には金で済ます、金にかえられるものではない、家族がおるわけでありますから、そこのところをまずしっかりと踏まえて、この炭鉱事故の災害防止というものをやらぬ限りは、何べんも同じことが繰り返されるのではないかと私は思う。だから、ガス爆発の事故もそうだ水没事故もそうだ、事故はだれが悪くてどういう原因でどうなってと、その事故が発生した原因を早急に判定して、事故の起こらないようにするという手順がまず明確にならぬ限り、この炭鉱の事故というものはほかの事故と違って、事故が起きるたびに何十人、何百人という人が命を断たれるというのでありますから、労災補償の上においてもそうであります。それだけたくさんの死亡が出るのは炭鉱事故であります。それをそのままにとは私は言いませんけれども、そのことが一つも明らかにならないから事故が次から次へと繰り返される。だから、今度は鉱山保安局にまかしておいたら、生産第一主義だからだめだから、ほんとうに人権、人命を中心にしてやろうとする労働省に移したら適切じゃないか。労働省がいま監督をしているのは七十万という労災の災害者ですから、これもうんと馬力をかけてなおしてもらわなければいかぬけれども、さしあたり、炭鉱の問題についても、これはやはり根本の原因を取り除かなければいかぬというのが私たちの気持なんです。だから私は、一般の問題についてに災害事故責任というものをなぜもっと早く明確にするようにしないのか、この点について鉱山保安局長の意見をお聞きしたい。
#92
○政府委員(森五郎君) 炭鉱の事故に関して原因の究明並びにその処分が的確でないじゃないかという御意見でございますが、炭鉱の事故はいろいろあるわけですが、たとえば最近起きました、三池その他について申しますと、要するにガスなり炭じんがございまして、それに火がついた、こういうことで、原理は非常に簡単であるわけでございます。しかし、これを実際に、では、三池の場合についてなぜ事故が起きたかということを検討いたしましてみますと、三池については、まずベルト斜坑で鉱車が逸走したということ。では、その鉱車がなぜ逸走したのかということでございますが、これについてはいろいろ鑑定人その他の鑑定をいたしましてやっているのですが、現在では、要するにその連結チェーンが疲労していた。それが変動加重によって切れたというふうに考えられているわけです。こういうことを私が申し上げますれば非常に簡単のように聞こえますが、こういう結論を出すまでに非常にむずかしい技術的な問題がございまして、ようやく現在ではこういうふうに考えられている。これ以上はおそらく詰まらないのではないかというふうに考えております。
 それから、もう一つは、それによって炭車が逸走した。逸走いたしますと、これは炭じんがたまっておった、その炭じんのたまったものが浮揚された、こういうことが起きまして、次に炭じん群に着火をしたわけであります。その着火はなぜしたかということに関しましては、これまたいろいろな可能性が考えられるわけです。現在いろいろやった結果におきましては、この鉱車の衝突によりまして電気のケーブルが切れた、これによる火花で火がついたと考えられることが一つ。もう一点は、この鉱車の逸走によりまして鉱車とレール、あるいは鉄ワクとの摩擦熱の集積と申しますか、その集積によりまして火がついた。こういう両方の原因が一考えられるということになっておりまして、まあ前者の火花が有力であるということになっておりますが、これもこれ以上は技術的に詰めることはおそらく困難であろうと考えられるのであります。したがいまして、そういうことはございますが、対策は、したがってどういうことになりますかと申しますと、炭じんが要するにたくさんあったということは、これは非常にけしからぬということで、炭じんをためないようにする、こういう対策が出てまいります。したがって、次に鉱車逸走、これはチェーンが疲労しなければいいんですが、これはチェーンが疲労する場合もございます、そのチェックを十分しなければならぬという問題とともに、その逸走した場合に、その逸走をすぐとめるということ、逸走防止ということもやらなければならぬ。それから、もう一つは、チェーンが切れた、電気のケーブルが切れて火花が飛んだ、こういうことでございますので、先ほど予備費の説明のときに申し上げましたが、防爆ケーブルを使用する、こういう対策が出てくるのでございまして、三池の事故につきましては、以上こういったことがございましたので、それの所要の規則の改正その他をいたしておるわけでございます。
 また、司法処分その他をやっていないじゃないかということでございますが、ということにつきましては、先ほど申し上げましたように、送致をいたしておりまして、行政処分も近くやることになっておるわけでございますから、行政処分も行なうことになっておるわけでございます。
#93
○藤田藤太郎君 最終的な裁判で問題になるような結論の争いというものは私はあると思うんです。しかし、何の原因で、どういうことで起きたかということは、専門家ばかりが現地におるわけですから、すぐに原因は突きとめられるわけですから、その処置は、皆さん方専門家ですから、そのための行政をやっておるわけですから、現地に行けばすぐわかるわけです。一切の炭鉱にそういうことのないように改善命令でやらす、三池のような事故はあまりないと思うんです。今度は夕張に入ってくると、ガスが一・五以上ですか、以上の濃度が入ったら作業中止ということがありながら、もっと高いのがあったにかかわらず、作業が行なわれてガスが爆発した。それも事故責任はどこにあるんだと言うたら、それも明らかになっていない。こういうぐあいになって、その人命尊重の行政処置というものが、生産第一主義に流れて、おろそかになっているところに次から次と事故を起こしていることになると思う。この間も七百人か何人か、その遺族の人たちを招待した、総理大臣がその遺族の中の孤児を総理官邸に招待された。そうしたら、こんな旅行もけっこうですけれども、しんどうてしようがない、それよりか事故の起きないようにしてもらいたいと、わずかに一人前にならない中学生がそういうことを言っている。新聞に堂々と出ている。そのことを踏まえて、炭鉱の管理というものを、炭全作業というものに対する最善を尽くしてもらわなければ、私はこの問題の解決にはならないと思う。だから、専門家がおいでになるんですから、事故が起きたら、ものの一週間もしたら、その原因は、どこにあって、こういうことを一切他の鉱山でやったらいかぬという措置を構じたら、伊王島も山野も私は爆発しなかったと思う。前にも水没事故が起きたときに私は議論したことがありはすけれども、だから、労働省でひとりしっかり力を入れてやってもらいたいということをわれわれは主張しているわけであります。これはいずれまたそういう機会がありますけれども、鉱山保安局長は、通産省に保安行政というものが必要だと、あなたの意見をまだ聞いてないから知らぬけれども、そういうことなら、それに応じたことをきちんとやってもらわなければ、だれが犠牲になるか、労働者が犠牲になるという以外にないんではないか。私は宮川さんのおっしゃったことは、私はおくれて来ましたが、こういうことにあったんではないかと思うわけであります。私は、常日ごろここで議論になっているわけですが、その点について心していただきたいということを前段に申し上げるわけであります。
 それから、いま久保さんですか、御発言があったという、災害を受けてなくなられた人は気の毒だ、病気になって三年したらもうこれで終わりだと、その医学上の問題として、一酸化炭素の中毒というものは、その表面的な現象が瞬間的になくなれば、これでもう罹病としている現象というものは根治するという医学的な証明が私はできるのかということを尾崎医務局長に聞きたい。
#94
○説明員(尾崎嘉篤君) 一酸化炭素中毒の研究は必ずしも十分に進んでおりませんで、現在この三池炭鉱爆発のときにおきましても、厚生省は直接の所管の省ではございませんでしたけれども、こういうときは所管を言っておるときではないと思ってタッチをさせてもらった。大学、国立病院等を動員いたしまして救急治療のうちに、すぐ医療委員会でございますか、治療と健康診断をどうするかという指針を与えるような委員会をつくってもらうというような仕事のお手伝いをしたわけでございます。さらに、現在におきましては労働省と一緒になりまして、一酸化炭素中毒の診断、治療、さらに病理学的研究というようなものを進めておるわけであります、ただ、いま医学でわれわれが一応存じております範囲におきましては、一酸化炭素が血液のヘモグロビンと結合いたしまして、その量が多くなりますと身体の各組織の部分の酸素呼吸がなくなる、特に酸素の需要が一番多い脳細胞がやられるものだから、なかなか起こりました症状は、一たん起こりますと、そう簡単に回復しにくいのではないか、あとリハビリテーションがそこに大きな役割りを演じてくる程度でございまして、現在の医学の力では、一たん死滅いたしました脳細胞をもう一ぺん生き返らすというようなことはできにくいのではないかと一応私たちは考えております。しかし、それは現在の段階でございますが、将来こういうふうな事故が起こっては困りますが、もし起こりました場合に、早くいい対策、治療を行なうというふうなことにわれわれといたしましても努力をすると、一緒にできるだけこういうふうな機会をとらえまして研究を進めていきたいと思う。いまのような研究班をつくってやりますと同時に、この事故の際に病理解剖をやらせていただきたいというような希望を持ったのであります。なかなかこの点も十分に進められなかったので、はなはだ研究の推進には困難を感じておるわけでありますが、労働省のほうでは特にこの関係は力を入れておられますし、われわれも協力いたしまして、研究、また、医療上の進歩に努力をしていきたい、こういうふうに思っております。
#95
○藤田藤太郎君 いまお聞きしたとおりなんであります。ですから、私たちとしては、前段議論をいたしましたように、生産第一主義によって炭鉱でガス爆発をして労働者が犠牲になる。炭鉱の中で不幸にしてなくなられた方はその犠牲になられたのだからお気の毒でありますけれども、一酸化炭素中毒になった人が一時小康状態を得て、またいつ出てくるかわからぬ、医学的に証明はできないということでありますから、私たちはその方の生活を保障しなければいかぬし、また、企業としてもそういうことをやってきたのでありますから、やっぱり正規のルートまで、たとえば定年まで、その人の解雇をやらない、責任を持つ。こうして定期的な診断によって健康状態になるような、また、後遺症その他の方々には残存労働力をそこで生かして、それで企業家がまず責任の所在を明らかにして、解雇をしないで、普通の人と同じような状態にその人を置いていく。私は、それなくしてこの一酸化炭素中毒の犠牲になられた方にこたえる道はないと、私はそう思う。私たちはそういう考えの上に立っているのですが、宮川さんどういう御意見ですか、お聞かせいただきたい。
#96
○参考人(宮川睦男君) 私たちも全く同様な考えなんですが、問題点は、先ほど申し上げましたように、三つの区分に分かれるだろう。
 一つは、もう全然労働不能、第三者の介護を要しない限りは自分のからだもきかない、だれかついていなければならないというグループに対しては、これはもちろん会社の責任もありますから、会社のほうも含くめてですが、国として、やはりこの人たちが生涯、家族の生活とともに、ずっと療養できる措置を講じてもらいたいという点が一つ。
 それから、第二点目は、結局もとの会社には帰られないが、何らかの仕事をさせれば幾ぶんできるというようなグループ、こういう人たちには、現在労働省がやっておられる脊損患者を諏訪湖畔にまとめて職業センターをつくっておられるようですが、あのような、一つの例ですが、何か一つのセンターをつくって、そこで幾ぶんでも手で仕事ができる範囲の職場を与えて、そして療養しながら家族も含めて生活ができるような措置を第二のグループにしてもらいたい。
 第三のグループは、曲がりなりにも三井鉱山の職場に帰れる、もちろん採炭しておった人が採炭できないので抗外夫になる人もありましょう。そういう人に対しては、爆発前におった職場の収入を保証してもらう、そうして、少なくとも、このいずれのグループも五十五歳の定年まではやはり解雇制限を法律的に規定してもらいたい、こういうことを私どもは最終的に思っておりますが、第一のグループ、第二のグループなどは、いまから研究して、政府関係行でも相当検討されて準備にかからないと間に合わないのじゃないかということも考えられますので、そういう点もあわせて特にお願い申し上げたいというふうに思います。
#97
○小野明君 前にお尋ねがあったかもしれませんが、あらためてお尋ねをしたいと思うのですが、三池労組が第二組合との間に非常に賃金、あるいは労働条件にきわめて大きい差別がある、これも不当であると思うのですが、この資料によりますというと、一酸化炭素中毒患者に対しましても大きな差別があらわれているようであります。この辺の差別に対する責任の所在といいますか、あるいはどのような指導をやってこられておるのか、現状をつかまえておるのか、こういった点について一点はお伺いをしたいと思うのです。
 先ほど藤田委員から質問がありましたが、医学的に究明ができないということで、いま宮川さんですか、言われたように、当面の対策、これをずさんにしてしまうようなことではやはり問題がある。もちろん症度区分にいたしましても問題があるのですけれども、この資料に出ておりますように、いま与えられておる薬は、この患者に対しても栄養剤とか鎮静剤、アリナミンとかあるいは鎮静剤、そういったものだけだ、あるいは定期診断がない、こういった状態ではやはり問題があると思うのです。いま宮川参考人が言われたような点についてどのように省側は考えるのか、この辺を答弁願いたいと思います。
#98
○政府委員(村上茂利君) 第一組合と第二組合の差別問題でありますが、労働省は差別は全然いたしておりません。おそらく御質問の趣意は、陳情書に基づいて、賃金が低いとか、いろいろな事象をもとにしての御指摘なんだろうと思いますが、これは政府云々の問題ではなくして、会社における労使関係の問題とし、先ほどもいろいろお話がございましたが、賃金が低いということも、高い賃金を受け得る職場に配置してくれないといったような問題もからみまして、現実に賃金が低いというふうな問題が生じておる、そこら辺から問題が生じておるのだろうと思いますが、そのような性質の問題につきましては、自主的な労使間の問題として、私どもとしましては、さらに円滑な労使関係を確立してそういった状態を、是正するということが望ましいのであり、法律的に労働省がそれを直ちにどうこうするということには必ずしもなじまないというような感じを持っておるのでありますが、保障面におきましては、医療保障につきましても、病院に入れた場合に第一組合と第二組合の差別をしておるわけでございません。休業補償につきましても、率は全く同じであるわけでございます。一番根っこになっておるのは、現実の賃金に差があるということであろうかと思います。行政上は何ら差別をしておるとは私も考えておらぬわけであります。
 それから、第二の、さしあたりの療養の問題、それから機能回復の問題でございますが、治療につきましては、一酸化炭素中毒患者に対する治療の方法自体がなかなかむずかしいという問題もございまするので、医療委員会をつくりまして治療指針を作成し、それによって指導いたしておるような次第でございます。栄養剤しか与えないといつたようなお話もございますが、個別的にどういうような治療をいたしておりますか、一人一人の患者については存じませんけれども、症状の程度に応じましてどのような治療をするようにという基準は、治療指針として示しておるような次第でございます。ただ、現段階においては、これが必ずしも十分とはいえない、さらに研究をする必要があるのではないかという観点から、おもだった大学に本年度約二千九百万円の委託研究費を出しまして、研究さしておるというような次第でございまして、その研究の結果、治療につきましても、新しい治療法が示されましたならば、それにのっとって治療をさらに強化してまいりたい。機能回復につきましても、同様委託研究を進めておりまするので、その結論を待ちまして、さらに機能回復訓練の施設なり内容の充実をはかってまいりたいというふうに考えておるような次第であります。
#99
○小野明君 差別の問題は、何も私は労働省に責任があるというようなことを言っておるのじゃないのです。現実に三池労組と第二組合との間に賃金や労働条件に大きな開きが出て、それが今度の一酸化炭素中毒患者に対しても、そういった賃金に、あるいは待遇面に大きな開きが出ておる。こういった問題については、そうすると労働省は何も関係はない、こういうふうに言われるのですか。
#100
○政府委員(村上茂利君) 御承知のように、災害補償のたてまえは、災害発生時におけるいわば損失のてん補という考え方に立っておりまするので、災害発生時点におけるその労働者の賃金を基礎にして休業補償などは支払っておるわけであります。医療補償につきましては、これは賃金の多寡にかかわらず、必要な薬を与え、必要な処置をするわけでございますが、療養につきましては賃金の差等がそのままはれ返ってこないのでありまして、これは御承知のとおりでございます。休業補償等、平均賃金を基礎にしまして計算をするものにつきましては、災害発生時点における平均賃金といったようなものが基礎になる以上、これは制度的にはやむを得ない、こういうふうに申し上げておるような次第でございます。
#101
○小野明君 ちょっとどうもおっしゃることもあれですが、結局三池労組と第二組合に対する差別というものが、これが一番原因になってこういった差というものが何ページですか、六ページにあげられておるように、違ってきておるわけですね。そうすると、これは会社と労働組合との関係だけの問題であって、労働省というものは何らこれには関係はないと、こういうふうにおっしゃるのですか。
#102
○政府委員(村上茂利君) 労働者の中には、高い賃金を取得され、あるいは低い賃金をもらっておられる方があるわけでありますが、そういう賃金の取得原因がどのようなものであるかという点については、災害補償の場合には一応立ち入らないで、災害発生時点において取得しておる賃金を基礎にして休業補償などは計算するということでございます。したがいまして、差別待遇があったかどうか、あるいは何がゆえに低い賃金をもらっておるかといったような、低賃金取得の原因を探究して是正するというような制度になっておらないというわけでございまして、この点、制度的には、繰り返して恐縮ですが、災害発生時点において取得しておった賃金を基礎にせざるを得ない、こういうことでございます。
#103
○藤田藤太郎君 私は、いま宮川さんの御意見を承って、先ほど少しことばが足らなかったのでありますけれども、私もそのとおりだと思うのです。
 そこで、大臣に私はこの際――きょうは通産大臣がお見えになって、これは補償の問題は労働大臣でありますから、私はいま村上さんのお活を聞いていると、賃金の問題は労使間の問題だから、その省として、労働行政として云々というおことばがございました。しかし、私はそうでないと思うのです。客観的にこのような事故で犠牲になった一酸化炭素の中毒者をどうして守っていくかということは、行政上の一つの重要な処置として法律化して、そうして対策、処置を講ずるというのが筋道でないか。政府が何も全部責任を持ってやれと私は言うわけではありません。ありませんが、たとえばこの一酸化炭素の中毒で重態になられた方は介添えの人が必要でしょうし、終生補償によって暮らすわけでありますけれども、労災補償では足らない、もう一段と高い補償をつけて終生の補償をする。
 それから、いま言われた二番目の、たとえば療養を片方で受けながら、残存労働力を社会のために貢献をしながら前収補償が講じられる、そうしてその場合できるだけ――私はできるだけではなしに、残存労働力があるならば配置転換でもして、前収補償が行なわれて職場に復帰させて、解雇制限を付する、こういうやはり法律事項で国が何も全額金を出せとか出さぬとかいうことは、その補償を療養の、たとえば労災補償の中の範疇の問題に、今度は補償の問題を高めた法律事項でその規定をして会社に負担を負わせ、一部は国が負担をする。たとえば今度の労災補償にいたしましても、四十何万円の人から百何万円の人がおって、あれが四十万円や五十万円ぐらいの補償ではどうにもならぬので底上げをする、そういうやはり処置を法律化する、講じていくというのが私はこの労働行政だと、そう思う。だから、その出費そのものを国が全部責任を持って処理するのではなしに、いま責任の所在は会社にある。しかし、社会的な労働者の保護という、経営者だけでやれない問題を国がやはり突っかい棒してやる、こういう措置を講じられるのが行政だと私は思うのですが、労働大臣、そういう法律をおつくりになる用意がありますか。私たち社会党はこの前の国会にそのような補償法律を提案をして審議未了になりました。しかし、いずれこれは私は国会で明らかにして、全体の皆さんの御意見によって一酸化炭素の補償問題を具体化したい、こう考えておるわけでありまするが、労働大臣の見解を承っておきたいと思うのです。
#104
○国務大臣(小平久雄君) 一酸化炭素による被害を受けられた方々に対しまして、政府、特に労働省ができるだけこれをめんどうをみるというと語弊があるかもしれませんが、できるだけの力を借していく、こういうことは当然だと思います。いまお話のうちにもありました、もとの職場に復帰はできないが、他の職場でならば残存の労働力を生かすことができるというような場合におきましては、そういう職場を開拓すること、また、それに必要な職業指導と申しますか、そういうことをすることも必要でございましょうし、そういう点ではできるだけのやはり親切心をもちましてどこまでもやっていくということは労働省として当然だと心得ております。ただ、いまのお活の中でありました解雇の制限等の問題でございます。これらの問題も、お気持ちはよくわかるのでございますが、いわゆる職業病と言われますものに、御承知のとおり、けい肺であるとかその他の病気もあるようでございます。そういうものとの権衡ということも法制的には当然考えなければならぬと、こういう点もありますので、私としましては、これは慎重に検討をいたすべき問題ではないかと、かように目下のところ心得ておるわけでございます。詳細の点につきましては、局長からまた答弁いたさせます。
#105
○政府委員(村上茂利君) ただいま大臣からお話のございましたように、労働省としては、たとえば特別解雇料の支給であるとか、あるいは機能回復のための訓練施設であるとか、そういった面につきまして、予算上、行政上、できるものにつきましては最大限の考慮を払いたいと存じます。ただ、特別立法という問題が先ほど来指摘されておりましたが、その内容が必ずしも明確ではございませんけれども、一応制度的に、病気がなおるまで三年後も継続して療養給付は行なう、それから、年金も払うという体制になっておるわけでございまして、先ほど三年たったら治療はしてくれない、その他の補償も打ち切るというようなおことばがございましたが、先ほど申しましたように、療養給付は継続する、三年たっても継続する、ただ、名前が長期傷病者補償という名前に切りかわるだけで、実質は同じだというふうに申し上げたのであります。
 ところが、それと関連して、解雇制限についてさらにそれを延長するようにと、こういう御指摘があったわけであります。この問題は、一酸化炭素中毒のみならず、他の職業病とも同じように扱わざるを得ない問題であり、かつ、また、解雇制限の基本に触れる問題であるわけでございます。先生御承知のように、労働基準法の十九条では、業務上の疾病によりまして療養しておる、その療養のための休業期間及びその後三十日間は解雇制限するというふうになっておりますが、三年たってなお、なおらないという場合には、使用者が打ち切り補償を支払った場合には解雇できるというたてまえになっておるわけであります。それが長期傷病者補償制度を昭和三十五年に労災保険法改正によって採用いたしました場合に、その長期傷病者補償の支給がなされる場合には、労働基準法上の打ち切り補償を行なったものと同様に扱いまして、解雇の制限を解くと、こういう体制になっておるわけであります。この問題は、御承知のように、一時金による打ち切り補償制度とのからみにおいて現行基準法の十九条が成り立っておるわけでありますが、年金制度を採用した場合にこれをどうするかという点については、昭和三十五年の労災保険法改正のときにもいろいろ御論議いただいたところであります。その結果、現行制度のように、保険という制度によって年金として給付を行なうという状態になった場合には、一応個別企業の責任というものをある程度現行十九条との関連において考えまして、解雇制限を解くというたてまえにいたしておるわけであります。この労働基準法上の十九条の制限をさらに強化すると、こういう方向で問題を考えます場合については、いろいろ補償だけの問題じゃなくて、解雇制限そのものの基本に触れる問題でございますので、これは慎重に検討せざるを得ないのではないかと、こういうふうに考えておるわけであります。
#106
○藤田藤太郎君 だから私はそこを問題にしているわけです。普通の病気のように、たとえば手をけがしたとか、現象的に悪いところが継続しているとかいうならいろいろの心配は出てこない。それで、なおりました、これは完全になおったという証明がどこでつく、つきようがないわけです、この一酸化炭素の中毒において。そしていいとこ取り、生産第一のいいとこ取りで、療養の期間が済んだらあと知らぬというかっこうじゃ労働者はどうなる。いつ再発するかわからぬ、証明のつかぬような労働者がそのあとの保護をどうするか、労災の補償もわずかでございますから、それじゃ生活ができないという一つ問題がございます。もう一つは、安全、保安さえやっておればガス爆発というものは起きないというのが常識だと私は思うのです。起きないというようなものを違反して爆発が起きて、労働者がそうした犠牲になった者を十ぱ一からげに問題の処理をしていくというのにも問題がある。それから、もう一つ、一般の職業病も同じだから、だからそれと権衡しなければならぬとおっしゃるけれども、それにはいろいろの段階があると思うのです。しかし、四回にわたってガス爆発の一酸化炭素の問題が出てきているこの問題は、法律上、司法上の問題でどこに責任があるというのがいつ出るかわかりませんけれども、だれが見ても、やはり保安上の欠陥ですね、経営者に責任があるということはもう明らかなんです。これほど明らかな事故は、私は本人のそそうであったとかなかったという問題というのは、これに介入する余地を許さないほど明確な経営者の責任によって起こった事故なんであります。そういうものを一般並みに扱っておくなんというようなことは許されないことだ。だから、私たちが出した法律がつまびらかでないとおっしゃるけれども、国会に法律として出したのですから、それは労働省が見ておられないというなら全くもって不勉強だと私は言わざるを得ない、国会に出ているのですから。そこで、私はこの問題にこだわりません。こだわりませんけれども、私たちの見解にもっといい方法があるならいい方法をつけ加えて、一酸化炭素中毒の補償の処置の完ぺきを期そうじゃないかというお話があるなら私は首肯できると思う。そういうぐあいに行政というものは進めていただかなければこの問題は解決しないのではないか。私はきょうおいでになった皆さん方のお気持ちもそうじゃないかとうかがうわけでありまするが、私たちは、この問題はそういう立場から問題を発展さして、いま困っておられる遺族の方々の就職の問題もあります、いろいろお話が出ました。行政指導でおやりになっていただいて、これもうんと進めていただく処置やなんかたくさんあるわけですから、これもお願いしておきますけれども、しかし、根本の問題を処理しようというこの考えと真剣に取り組んでいただいて、やっぱり何らかの規制措置によつて一酸化炭素の遺族の方々や、または中毒者の方々が守られるように、資本家のほうに私はざっくばらんにいってメスを入れてやらない限り、どちらにも労働省がいい顔をしてやろうとしたら、これはいまの労災法のものさし以外には出る場がないと、こう思うわけでありますから、その点はひとつ労働大臣も心をしていただいて、早急にこの対策に取り組んでいただくようにしていただくことを私はお願いしておきます。先ほどできるだけのことはやらなければならぬという御決意がありましたからお願いしておきますから、至急にひとつわれわれの参考資料や参考的な意見もどんどん出しますから、それによってどれが一番いいかということで、十分にひとついまの被害者の方々を守る処置を講じていただきたいということをお願いしておきたい。
#107
○委員長(小柳勇君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめます。
 なお、参考人に対する質疑は本日をもって終了いたします。
#108
○高山恒雄君 ひとつ資料として、これは労働省でいいですが、炭鉱の請負制度のあるところを、三井三池をひとつ出してもらう。どういう請負制度なのか、集団請負制度、あるいは個人請負制度といろいろあるでしょう。請負制度というのはどういうふうになされているか、これをひとつ出していただきたい。それから、普通の場合の炭鉱で、大体平均して、これは五社か三社やってもらえばよいと思いますが、労働日数はどのくらいになっておるか、出勤状態はどのくらいであるか、それによって賃金も私ははっきりすると思うのです。そういう面をひとつ参考にしたいと思いますので、ひとつ資料を出してください。
#109
○国務大臣(小平久雄君) 御要求の資料は、なるべく早く整えて提出いたします。
#110
○委員長(小柳勇君) 参考人の皆さんに申し上げます。
 本日は長時間にわたり、貴重な御意見の開陳を賜わり、ありがとうございました。本委員会といたしましては、皆さんの御意見の趣旨にのっとり、今後とも一酸化炭素中毒に対する対策や、炭鉱災害による遺族者補償対策について万全を期するよう措置することはもちろん、災害が起こらぬように適切な措置を講ずるよう努力いたしたいと思っております。本日はどうもありがとうございました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十二分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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