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#1
第049回国会 社会労働委員会 第4号
昭和四十年八月十一日(水曜日)
   午前十一時二十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月十一日
    辞任        補欠選任
     亀井  光君     大谷 贇雄君
     小野  明君     杉山善太郎君
     小平 芳平君     浅井  亨君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         小柳  勇君
    理 事
                鹿島 俊雄君
                川野 三暁君
                藤田藤太郎君
    委 員
                大谷 贇雄君
                黒木 利克君
                紅露 みつ君
                佐藤 芳男君
                土屋 義彦君
                徳永 正利君
                丸茂 重貞君
                山本  杉君
                横山 フク君
                大橋 和孝君
                杉山善太郎君
                森  勝治君
                山崎  昇君
                浅井  亨君
                高山 恒雄君
    委員以外の議員
       議    員   林   塩君
    衆議院議員
       修正案提出者   小沢 辰男君
    国務大臣
       厚生大臣     鈴木 善幸君
    政府委員
       大蔵省主計局次
       長        岩尾  一君
       厚生政務次官   佐々木義武君
       厚生大臣官房長  梅本 純正君
       厚生省児童家庭
       局長       竹下 精紀君
       労働省職業訓練
       局長       松永 正男君
    事務局側
       常任委員会専門
       員        中原 武夫君
    説明員
       厚生省医務局長  尾崎 嘉篤君
       厚生省社会局長  今村  譲君
       厚生省援護局長  鈴村 信吾君
       厚生省援護局調
       査課長      大野 克一君
       労働省労働基準
       局労災補償部長  中村  博君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○かぜ薬の配合基準に関する請願(第二号)(第
 五八号)
○国民健康保険の財政措置に関する請願(第二八
 号)
○新産業都市松本諏訪地区内に総合職業訓練所の
 設立誘致に関する請願(第四九号)(第七七
 号)
○福岡市に国立視力障害センター設置に関する請
 願(第五七号)
○戦傷病者の妻に対する特別給付金の支給に関す
 る請願(第六四号)(第八〇号)(第九六号)
 (第九九号)(第一一六号)(第一二六号)
 (第一三二号)(第一五二号)(第一七〇号)
 (第一七一号)(第一七二号)(第一七五号)
 (第一七六号)(第一七九号)
○遺族年金の支給等に関する請願(第九七号)
○被爆者援護法制定等に関する請願(第一三五
 号)
○国民健康保険財政健全化に関する請願(第一三
 六号)
○戦傷病者の妻に対する特別給付金の支給等に関
 する請願(第一三七号)
○療術業務(医業類似行為)の新規開業の制度化
 に関する請願(第一六九号)
○調査承認要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○社会保障制度に関する調査
 (身体障害者対策に関する件)
 (遺骨収集問題に関する件)
○母子保健法案(第四十八回国会内閣提出、第四
 十九回国会衆議院送付)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(小柳勇君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
 委員の異動についてお知らせいたします。
 本日、小野明君が委員を辞任され、その補欠として杉山善太郎君が選任され、また、亀井光君が委員を辞任され、その補欠として大谷贇雄君が選任されました。また、小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として浅井享君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(小柳勇君) 請願第二号、かぜ薬の配合基準に関する請願外二十四件を議題といたします。
 本日まで本委員会に付託されております請願は、一応専門員のもとで整理してもらい、委員長及び理事打合会におきまして審査いたしましたので、その結果について専門員より報告いたさせます。中原専門員。
#4
○専門員(中原武夫君) プリントを配付いたしてございますので、簡単に内容を御説明いたします。
 第一の、被爆者援護法制定等に関する請願は、原爆の被爆者に対しては現在医療保護がなされておりますが、それをさらに生活の援護にまで広げてもらいたいという請願でございます。
 次の、療術業務の新規開業の制度化につきましては、あんま、はり、きゅう以外の手技、温熱、光線、刺激療法等についても、これを制度化して、新規開業が公的に認められるようにしてもらいたいという請願でございます。
 次の、かぜ薬の配合基準につきましては、さきにアンプル入りのかぜ薬を回収、今後の製造を禁止したことに伴いまして、一般のかぜ薬についても安全性を高めるための配合基準の改定をいたしておりますが、これは配置販売業者の頓服ができなくなりますので、考え直していただけないだろうかという請願でございます。
 次の、福岡市に国立視力障害センター設置の請願は、九州地方には現在五万七千くらいの視力障害者がおりますが、これらの人々は神戸まで行かなければ訓練が受けられませんので、福岡にセンターを設けてもらいたいという請願でございます。
 次の、国民健康保険の財政措置に関する請願は、国民健康保険事務に要する事務費を全額みてもらいたいということ、それから、医療費改定に伴うはね返り分は全額国がみてもらいたいという内容を含んだ請願でございます。
 次の、戦傷病者の妻に対する特別給付金支給の請願は、昭和三十八年の四月一日までになくなった戦傷病者、すなわち、戦没者の妻には二十万円が出ているけれども、それ以後になくなった人の妻には何も出ない。したがって、同じように二十万円を出してもらいたいという請願でございます。
 次の、遺族年金の支給等の請願は、おいの親がわりとして育ててきた養父母、しかし、それは戸籍上の届け出養子縁組みがなされておりませんので、戸籍上は養父母ではないが、実態は養父母であるというものについても年金の支給を考えてもらいたいという請願でございます。
 最後は、松本市に総合職業訓練所を設置してもらいたいという請願でございます。
 以上の請願につきまして、委員長及び理事の打ち合わせの結果では、いずれも採択してしかるべきではないかという御意向でございました。
#5
○委員長(小柳勇君) ただいま専門員より報告いたしました第二号、第五八号、かぜ薬の配合基準に関する請願、第二八号、国民健康保険の財政措置に関する請願、第四九号、第七七号、新産業都市松本諏訪地区内に総合職業訓練所の設立誘致に関する請願、第五七号、福岡市に国立視力障害センター設置に関する請願、第六四号、第八〇号、第九六号、第九九号、第一一六号、第一二六号、第一三二号、第一五二号、第一七〇号、第一七一号、第一七二号、第一七五号、第一七六号、第一七九号、戦傷病者の妻に対する特別給付金の支給に関する請願、第九七号、遺族年金の支給等に関する請願、第一三五号、被爆者援護法制定等に関する請願、第一三六号、国民健康保険財政健全化に関する請願、第一三七号、戦傷病者の妻に対する特別給付金の支給等に関する請願、第一六九号、療術業務(医業類似行為)の新規開業の制度化に関する請願、
 以上二十五件の請願全部は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付することを要するものと決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(小柳勇君) 継続調査要求についておはかりいたします。
 社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出したいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#11
○委員長(小柳勇君) 委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査のため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認めます。つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間などは、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本院規則百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成も、便宜、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#15
○委員長(小柳勇君) 社会保障制度に関する調査を議題といたします。
 本件に対し、質疑のある方は、順次御発言を願います。
#16
○大谷贇雄君 二つの問題についてお尋ねを申し上げたいと思いますが、きょうは大蔵大臣にぜひ出席してもらうように、きのう予算委員会で会ってお願いをしておいたのですが、どういうことか出席されません。問題は、予算をふやしてもらわにや、これは何にもならぬのです。したがって、大蔵大臣の出席を要求したのですが、はなはだ遺憾千万でありますから、いずれ機会を見まして、総理大臣、大蔵大臣にも御質疑を申し上げたいと存じております。
 箱根の湯本の風祭というところに国立の療養所がございます。これは大臣は就任日が浅いことでありますから、まだおいでになっておらぬと思いますが、おいでになったことはございませんでしょうね。
#17
○国務大臣(鈴木善幸君) まだ見ておりません。
#18
○大谷贇雄君 実は、これは厚生省の所管でございます。しかるに歴代の厚生大臣は一度も足を運んだことがない。はなはだ遺憾千万であります。この療養所はどういう人が入っておるかと申しますると、私は、実は終戦直後に愛知県の教育委員長をしておりました。熱海へ行きまして、みやげものを売っておるところに行きましたところが、竹細工をたくさん売っておる。そこで、一体この竹細工はどこでつくるのだと言いましたところが、それは風祭の療養所におられる入院患者の人がつくっておるのだということであります。さっそく実は療養所の状況を拝見に伺いました。まことに胸打たれたのであります。それは、戦争中軍艦から飛びおりたり、あるいはがけから落ちたりしますというと脊髄が破壊をされてしまう、麻痺してしまうわけであります。したがって、腰から上は普通の健康状態でありますが、腰から下は麻痺してしまっておりますから、したがって、全くの不随になってしまっている、感覚がないのであります。したがって、手押し車に乗って、そうしてお医者さんがついて何とか社会復帰をさせたいということで努力しておってくださる、まことに涙ぐましい様子であります。また、その患者の様子をながめますというと、まことに胸打たれて、何とも言いようのない状況でございます。そこに作業場があります。私はこの作業場を見に参りましたところが、その傷痍軍人の人たちがこういう竹細工をつくっておるのであります。これは厚生大臣にあとで差し上げます。また、委員長以下の方々にも御参考に提示申し上げたいと思っておりますが、まず、こういうりっぱなものをみずから彫って、これは般若心経でありますが、あるいは法華経でありますというようなものを手押し車に乗って製作をしておる。そこでそれを卸して、それが出回って熱海などの小売り店でこれが一般の人々に売りさばきに出ておる。まことに何とも言いようのない気持ちに私は打たれました。付き添いがなければどうしようもない。手押し車に乗って、半身不随ですから、ここから下は無感覚ですから、たれ流しです。したがって、付き添いを頼まなければどうしようもないという状況であります。これが一生お介護をしていくのであります。そういうようなまことに痛ましい戦争の犠牲者、さらに、最近は労働災害の人が相当数おるのであります。炭鉱等で飛びおりて、そこでショックを受けて下半身が麻痺してしまうという人々もおられる。さらにこのごろまた参りましたら、十六歳の少年がいる。一体どうしたんですかといって聞いてみましたら、小学校の五年生、十一のときに、小田原の小学校から家へ自転車で帰るとき自動車が衝突をした、ショックを受けまして療養所へ引き取られて参りました。一体小学校は途中でどうしましたと聞いたらそれは実はどうも小田原の市役所の自動車がぶつかったらしいので、市でも非常に責任を感じて、学校の先生が毎日家庭へ通って小学校の課程は終えた。中学校はどうしたと言ったら、中学校は小田原の教育研究所の人に毎日来てもらって中学校も卒業することはできた、高等学校はどうするかと言ったらそれは考えておりません。何とかせっかく向学の気持ちに燃えている。しかも、そういう不幸な交通事故にあって下半身不随になったりしたら、一生涯助かりっこないのです。一生涯お介護、付き添いを要するというような状態で、私は、まあ二十年来、ちょいちょい行ってはこれを求めて、そうして私は全国の私立学校の顧問をしておりまして、各学校のバザーなどでこれを買ってもらうように、実はおりに触れ、時に触れまして言っているのであります。過般参りまして、またさらに様子をながめますると、いま申すように、傷痍軍人の人ばかりじゃなしに、労災の人や、あるいは交通事故の人が入っている。いま百二十名いる。こういうまことに不幸な人々でありますので、厚生大臣はぜひとも視察にひとつ行っていただきたい。歴代の大臣は一人も行かないのです、自分の所管なのに。先般、皇太子殿下並びに妃殿下がわざわざおいでになったと聞いております。この写真を回しますから、どうぞごらんいただきたい。
 そこで、私としては、入院をしている患者に対しては国費をもって費用を支出しているわけでありますけれども、付き添いに関しては、これはどうしようもない。この方に対して厚生省としては、また、大臣としては、何とか予算措置を講じて、ちょうど盲人が電車、汽車に乗ります場合は、付き添いは国鉄運賃を負担をさせぬと同じように、これは生涯立ち上がることのできぬ、社会復帰のできぬ人々です。したがって、厚生大臣としては、これらの不幸な人々のために――これ以上多くなるだろうと思います、交通事故、いまのような自動車のラッシュですから、ますますふえてまいると思います。国じゅうたった一つここよりないわけであります。あとは労災病院なんかで各地に多少おられますけれども、ここはまあティピカルな療養所であります。厚生大臣並びに厚生当局としては、これに対して現在のままでいいのかどうか、うんと増額をして四十一年度予算に大蔵省に折衝をされまして、そうしてぜひ予算増額の措置をおとりいただきたいと思うんです。それに対して大臣はどうお考えになるか、この際、承りたいと存じます。
#19
○国務大臣(鈴木善幸君) いまお話がございました箱根の社会福祉法人の友愛十字会がやっております重度身体障害者の施設、これはまだ私、就任後日が浅いために視察をいたしておりませんが……
#20
○大谷贇雄君 いや、国立ですよ、これは。
#21
○国務大臣(鈴木善幸君) 国立療養所につきましては、まだ施設を見ておりませんが、御指摘のように、重度身体障害者の援護の問題につきましては、私も就任以来、特に重点を置いて今後の施策を強化してまいりたい、このように考えておるわけでありまして、近い機会にぜひ施設を視察をいたしまして、実状をよく調査をいたしました上で所要の措置を講じてまいりたいと、かように考えております。
#22
○大谷贇雄君 そこで、ぜひ大臣に視察をしていただきたいし、また、視察をするというお考えでありますから、その点特に不幸なこれらの人々を慰め、力づけるためにぜひおいでをいただきたい。先般、佐藤総理にも私はこの竹細工の贈呈をいたしまして、予算をふやしてもらいたいということを実は言ってきたわけであります。総理は非常に胸を打たれて、患者一同に見舞いの手紙を出されたそうでありますが、社会福祉国家をつくるということがわが内閣の重点目標であると思うが、厚生大臣としましては、ぜひひとつこの設備の拡充、また、経常費の点につきましても深甚の御配慮をいただきたい。
 そこで、ああいうような療養所にはお医者さんも行くのをいやがるんですよ。看護婦さんも行くのをいやがります。したがって、そういう、人のいやがるところへ行っておられるお医者さん、看護婦さん等に対して特に特別手当を出すというような措置はできぬものかどうか。また、職員も同様でありますが、その点に対するお考えを承っておきたいと思います。
#23
○国務大臣(鈴木善幸君) 医務局長から……。
#24
○説明員(尾崎嘉篤君) この箱根療養所は、どちらかと申しますと、一生ここで介護をするというふうなお話がございましたが、そういうような戦傷病者を入れまして、脊髄損傷患者を入れまして、いろいろ脊髄をやられておりますと、たれ流しということで、褥瘡とか、あるいは膀胱炎を起こすというように、いろいろ病気にかかる率が高いために療養をやるという考え方だったのでありますが、現在医学の進歩と申しますか、考え方の変化によりまして、そういうふうな医療をやりますと同時に、いわゆるリハビリテーションを促進する、そうして社会復帰をさせる、こういうふうな考え方で、かなり考え方が変わり、活発にいま動き始めてきております。建物も、この三、四年間でぼつぼつ鉄筋化を始めてやっておりまして、将来は、いま百二十床の病床を三百床くらいに拡大していくというところでいま努力しているわけでございます。
 なお、お話の医療関係でございますが、お医者さんは、定員が四角に対して現員三名、看護婦は、定員三十六名に対して現員三十五名おりますが、このお医者さんの入手につきましては、慶応大学の整形外科のほうから積極的に御援助をいただいておりますが、特に医療関係を活発にすること、さらにこのリハビリテーションを活発にすることによりまして、医者がやはり気持ちよく働けるようにしてもらうということが私は根本ではないかと思います。さらに、特別手当の問題も、われわれとしてはいろいろ考えておりますが、らいとかのような手当制度がまだできておりませんので、この点いまからわれわれとしましてももう少し考えさしていただきたいと思います。
#25
○大谷贇雄君 いまから考えさせてもらうというようなことでは、これは問題になりません。これはお医者さん方だって看護婦さんだって、ほんとにいやなんです、あんなところへ行くのは。遠く離れて、そうして看病する、しかも、いまあなたはリハビリテーションと仰せになったが、あそこにおる人たちはもうそういう可能性はないじゃありませんか。いまのこの間の交通事故の十六の少年でも、すぐにお医者さんに飛び込んでいって適切な処置ができておれば、それはあったでしょうけれども、手おくれ。したがって、かわいそうに自動車にぶつけられて、それでもう半身不能になってしまった。それはことばの上ではリハビリテーションまことにけっこうですよ、しかし、現実の問題としてあなた手おくれになっておる。自動車にぶつかってひかれたり炭坑に落ちる、がけから落ちるという場合に、そういう適当なお医者さんがおりますか、おりゃせんでしょう、おらんければ手おくれになる。そんないいかげんな答弁はだめ。それだから私は、特別手当等をいまから考えるのはおそいです。どうかせっかく張り切って厚生大臣おられますから、ぜひひとつ厚生大臣にお願いし、また、福田大蔵大臣も実に気前のいい人ですから、惜しみなく予算を出されるものと思います。その点を特に要望しておきます。
 それから、いま設備を云々というお話ですが、あなたたびたび行かれましたか、医務局長は行かれましたかどうか。
#26
○説明員(尾崎嘉篤君) 私この三年間ぐらいの間に三、四度行っております。たいてい一年に一度ぐらい行っております。
 さらに、リハビリテーションでございますが、昔は確かにお話のように、もうこの方々はあと回復できないという考え方が多うございましたが、最近スポーツをいろいろ奨励いたしまして、動けないと思っておった人が、たとえば水泳をやってみると泳げる、あるいは弓とかフェンシングとか、いろいろなことをやりますとか、特別にできた自動車の運転を練習する等、こういうふうにいたしまして残存機能を利用することを奨励いたしまして、だいぶ活発にこのごろ動き出しまして、昔戦傷病等で入院しておりました患者さんが社会に出られまして、たとえばあの近くで私塾をやっておられる方がおります。私も実は知っておる方が一人入院しておったわけですが、二年前ぐらいに退院いたしまして自活しておられる、こういうふうな方法が漸次活発になっておりますので、その方面を強化してまいりたい、こういうようなつもりでおります。
#27
○大谷贇雄君 その点もよく承知しております。そのためにこそ、在勤をしておられるお医者さん方が、普通の患者以上に、非常な苦心を払って、何とかして世の中へ復帰をさせたいという苦心を払っておられるその姿を見るときは、これはやはり特別手当を出す必要がある。私はたびたび行ってるが、看護婦さんも非常な苦心をして、何とかして世の中へ復帰させたいという、この思いをもってやっておられる。したがって、厚生大臣としても、また、厚生省当局としても、ほんとうにあたたかい深い思いやりの上に立った予算措置をひとつ講じていただきたいと思います。
 そこで、いま病棟をふやすというお話ですが、あなたあんなことをしていていいんですか、一体。なるほど鉄筋コンクリートの建物はできましたが、あとは日露戦争じぶんのあれは陸軍病院ですから、日露戦争じぶんの古ぼけた木造家屋。火災でも起こったらどうしますか、もはや逃げ出すわけにはいかぬですよ。付き添いの人が通っておる、それから手押し車に乗っておる患者がおるわけです。もうあそこで焼け、死ぬよりしようがない。そんなむごたらしいことを放置しておいていいんですか。三年計画なり五年計画なり、そんなあほらしいことを言っていていいんですか。あしたにでも火事が起こったらどうします、その責任をとれますか、あなたどうです。
#28
○説明員(尾崎嘉篤君) 話のように木造建物で――脊髄をやられて、自分の足では歩けないというふうな方でございまして、手押し車で動くことはいたしますが、そういうふうな方々でございますので、われわれそういうふうな火事等の事態に対しまして絶えず心配もし、いろいろ考慮しておるのでございますが、同時に、やはり基本的には、お話のように、建物を鉄筋化することが必要だ、こういうようなつもりで、おそまきでございましたけれども、三十六年から少しずつでございますが、鉄筋化を始め、近ごろ三十九年、四十年とこのスピードをだいぶ上げておるのでありまして、まだ一挙に全部をやってしまえばいいと言われますが、そういうふうな土地もやっと最近――昨年でございましたと思いますが、自衛隊にお願いいたしまして、あそこの演習場という形で、そこにあります広場を整備してもらって、そこに建物を建てると、こういうふうなことで、建物の移転等も建てかえがわりあいスムーズにいくように最近なったわけでございまして、われわれもできるだけ早く全部いまおられる方に新しい建物に移ってもらう、さらに古い建物のところに病床をふやす、こういうような努力をやっていきたい、こういうふうに思うわけであります。
#29
○大谷贇雄君 それはあなた今晩でも火事が起こったらどうするのですか、地震が起こったらどうするのですか、たいへんなことですよ。そんなことを普通の一般の計画と同じような歩調をとって三年計画だ五年計画だなんということを言っておって、万が一にも不測の事態が起こった場合に、一体だれが責任をとる。そんなのんびりしたことを言ってもらっておっては私は困るのです。一体こういうような佐藤内閣の根本的な理念として、社会福祉国家をつくり上げるということがその政見であります。そうだとすれば、当然そういうことは厚生省当局が大蔵省当局に対してすみやかに強力に折衝をして、そして予算を支出してもらうということが当然の義務です。そんな日暮れて何んとかというような安易な気持ちでは、特にこういう社会復帰もなかなか困難であるというような施設に対しては、特にひとつ急いで手を打たなければならない。一体、厚生大臣どうお考えでございましょうか。
#30
○国務大臣(鈴木善幸君) 私は、この重度身体障害者、あるいは重度精薄者、そういうようなお気の毒な方々に対する施策が御指摘のように今日まで非常に不十分であった、このように考えておるわけであります。そこで、今後はこういう面に対しても国立の施設を整備する、年次的な計画を立てまして、そして施策を充実してまいりたい、このように考えております。
 なお、御指摘の箱根の療養所につきましても、四十年度の予算で大体百十床程度の施設が完成する見通しでございまして、今後さらにこの整備を急ぎたいと、かように考えております。
#31
○大谷贇雄君 何年かかる、医務局長。
#32
○説明員(尾崎嘉篤君) いまおられます患者さんを大体ことしの終わりには新しい建物に収容できると思います。それから、三百床にいたしますのにつきましては、ほかの重度障害の関係のものと一緒に年次計画をつくっていく、こういうふうに考えております。
#33
○大谷贇雄君 そこで、いまその年次計画をつくっておやりになる、いつ完成する御予定ですか。
#34
○説明員(尾崎嘉篤君) 四十一年には一応四十床を増床していきたい、これは現在おりますのも増床になるわけでございますが、それで漸次病床をふやして、三百床程度にふやしたいと思っております。
#35
○大谷贇雄君 全部で……。
#36
○説明員(尾崎嘉篤君) 全部の完成する期日は、まだ話し合いは大蔵省とつけておりません。
#37
○大谷贇雄君 そこで、私は、厚生省当局としては、大臣が非常な熱意を持って厚生行政に当たっておられる。ことに身体障害者の問題は重点施策として考えられておる。したがって、事務当局としては、来年度予算については積極的に大臣に進言をして、そうして大蔵当局にこの予算の支出を強力に求むべきものだと思う。その努力を大臣にも、また、事務当局がそんなのんびりしたことを言ってどうしますか。責任は、それならあなた火事が起こった、地震が起こった、万一不測な事態が――不幸なことを予想してはいけませんけれども、そういうことが起こった場合にだれが一体責任をとるか、あなたとりますか。あなた一人とったところでこれはどうにもならぬのじゃなかろうか、そんなのんべんだらりとしたことじゃいけません。そこで大蔵省は、大臣がおられぬからやむを得ませんが、大蔵当局責任を持って予算を出すか出さぬか、増額するかせぬか。そんなあなた危険千万なあぶないことをやっておっては、ほかの施設と違う、大廈高楼並んでおるようなあんなものをやめたらいい、それをさいて、こういう施設にこそ大蔵省はこれをもっとあたたかい気持ちで、二二が四の経理ばかりをやっておってはだめじゃないか、そういう点についてはどうお考えですか。これについて予算をうんと出してもらえるかどうか。これは大臣に特に伝えてもらわなければならぬが、まず事務当局のあなたからひとつ答えてもらいたい。
#38
○政府委員(岩尾一君) ただいまお話のように、まだ厚生省のほうから正式のお話を聞いておりませんので、確たるお話をするわけにもまいりませんけれども、御承知のように、本年二月、非常に最近なのではございますけれども、緊要なものにつきましては最重点をもって施設を処置をしたいという気持ちで予算の査定をやっております。
#39
○大谷贇雄君 財源難のことはわかっています。あなたの説明を受けないでも、講釈を受けないでもわかっています。その中で重点的なものについてはというお話でございますが、どうかひとつ、これはあなた万一の災害があったような場合にたいへんな問題が起こってくる、したがって、社会福祉国家建設、ことに佐藤総理が人間尊重ということを言っておる。人間尊重の実が、大蔵事務当局がやらぬために総理の意思が徹底せぬというようなことではとんでもないことだ。そうすると、あなたのお答えは、こういうような施設等に対しては重点的に考えてやると、こういうおぼしめしですか。
#40
○政府委員(岩尾一君) 予算要求は、御承知のように、非常にたくさんのいろいろな要求がまいるわけでございまして、その間、われわれといたしまして、ほんとうに必要なものであるかどうかという点について、特に厚生省側の御要望も頭へ入れまして、一番大事なものには優先的に組み込みたいということでいきたいと思いますけれども、したがいまして、そういたしますと、あまり必要でないものには金は使わないことになろうかと思います。その点は御了承願います。
#41
○大谷贇雄君 そこで、一体大蔵当局は、あの国立療養所を視察においでになったことはございますか。
#42
○政府委員(岩尾一君) ございます。
#43
○大谷贇雄君 そこで、あなたの受けられた印象は、人間として、これはこの木造のまま、日露戦争じぶんのような古ぼけた建物でいいとお考えなのか、これはもうまっ先に何をおいてもやらなければならぬとお考えなのか、その点を承わりたい。
#44
○政府委員(岩尾一君) 私が元主計官をやっておりましたころにいろいろと拝見したのでございますけれども、そのころやはり全国にたくさんの療養所、あるいはいろいろな身体障害者の方の施設その他ございまして、全体の水準自体がかなり低いという状況でございまして、財政上の問題もございましたので、逐次必要のものからやっていく。先ほどお話がありましたような風祭につきましても、その後増額をいたしてきたような次第でございます。そういう点御勘考をいただきまして、今後につきましてもできるだけの努力はいたしたいと考えます。
#45
○大谷贇雄君 それはいままであなたの言われたように、かなり低い、それでもまああとはぼつぼつだというお話ですが、さっきから私が言っておるように、不測の事態が起こった場合に、あなた大蔵省は責任を持つか。そんな冷たいことを言ってもらっておってはいかぬ。大蔵当局も人情豊かな、こまやかな気持ちを持って、予算をどんどんと積極的に、厚生省から何も聞いておらぬというようなことでは、これは厚生省当局だめです。大蔵省に十分納得のいくように話をして、そしていま重点的にやるということですから、これは事務当局としてはこの程度しか答えられぬと思うが、福田大蔵大臣にとくとお伝えを願って、こういうものをやることこそ政府の重点施策が完成されるゆえんなんですから、何も総合庁舎なんかあと回しにしてもいいですよ。どうかひとつその点は、大蔵当局は計算の上に立ってすべてをおやりになるが、そこに深い日本人としての思いやりを根底に置いた予算査定でなければならぬと思うのです。とくとその点を要望をいたして、大臣にひとつとくとお伝えを願いたいと思います。また、厚生当局も十分な努力を、あほらしい、のんべんだらりとしたことではいけません。どうかひとつしっかりお願いしたいと思います。
#46
○委員長(小柳勇君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#47
○委員長(小柳勇君) 速記をつけて。
#48
○大橋和孝君 いまの国立療養所で行なわれておりますいろいろな経費の問題で赤字になっておるのじゃなかろうかと私は思うのでありますが、その措置費と、それから内容と、それからいまの経済運営状況の説明をちょっと聞きたいのです。
#49
○説明員(尾崎嘉篤君) 三十九年度予算で申し上げますと、一般運営費は七千八百九十万でございまして、収入はこれよりずっと低うございます。保険の点数で大体やることになっておりますが、それを請求いたしまして支出していただきますものといたしましては、健保、船保、共済また、国保とか生活保護、それから労災、戦傷病者特別援護法、こういうようないろいろな部門の経費で払われておるわけであります。しかし、さらに自費の方もございますが、そういうように家計の苦しい方につきましては割引制度を適用しております。したがいまして、収入はこの経営費に満たない、赤字である、これは一般会計から出してもらっておるわけでございます。なお、このほかに大谷先生からだいぶおこられましたのでありますが、五千万円くらいの整備費を毎年このほかにつぎ込んでおる、こういうわけでございます。
#50
○大橋和孝君 そのトータルの赤字はどれくらいになっておるのですか。五千万を出して、それからあとほかの収入がなくて、運営費は相当かさんでおるわけでありますね。保険の点数で計算されておるというけれども、大体国としてはどれくらいここに支出しておるのか。
#51
○説明員(尾崎嘉篤君) ここに正確な数字を持っておりませんが、大体一般経営費の半分ぐらいが赤字になっていると思います。
#52
○委員長(小柳勇君) 大体でなくて、課長が来ておるから、課長から資料を取り寄せてちゃんと説明しなさい。
#53
○説明員(尾崎嘉篤君) 正確な数字はあとで御報告いたします。
#54
○大橋和孝君 国がこういうような経営をしておられて、私が一番知りたいのは、いわゆる人件費はどのくらいの赤字になっているか、詳しい赤字の状態を私は一番知りたいと思うわけです。ですから、これについての詳しい項目を分けた赤字の状態を知らしていただきたい。
 引き続きまして私がここで聞きたいと思いますことは、こういうふうな施設が、ことに身体障害者に対する施設が、全国で国としてはどのくらい行なわれて、いま厚生省としては、国でその経営をして、大体その民間事業といいますか、そういうことに対してこたえられておるかどうか。特に私はいままではこれをむしろ国で経営をすることなしに民間経営をさせて、これに補助金を持っていくというやり方にいま転換されつつあると思うわけであります。こういう点についての考え方、特に私はそういうのは間違った考え方であると思うが、いまそういうことが行なわれておることについてどんなふうに考えておられるか、お伺いしたい。
#55
○説明員(尾崎嘉篤君) 身体障害の方々の医療援護の問題でございますが、国で、特に医務局のほうでやっております施設といたしましては、この脊髄損傷に対しましての箱根療養所、これが一番典型的なものでございます。そのほか筋ジストロフィー、進行性筋萎縮症の患者さん方に対しまして、三年ほど前から国立療養所の各ブロックに一カ所ぐらいずつ約四十ベッドぐらいの病床を筋萎縮の方々のために設けております。なお、三十カ所ぐらいの国立療養所におきまして、カリエス、結核によりましての関節とか骨をやられた方々の入院治療をやっております。それから、これは特別にリューマチだけというわけではありませんが、温泉病院等におります患者の、たとえば伊東病院のように、いま診療に重点を置いて開始しておるのがいま始っております。そのほか一般病院、国立病院、国立療養所におきまして、一般診療といたしましてこういうような身体障害者の方々を治療いたしております。なお、医務局ではございませんが、このほか労働省のほうの労災病院等で脊髄損傷の方々をみておられるということを私承知しております。厚生年金病院などもこの方向に仕事を開始していこう、こういうようなお考えを持っておられるということを承知しております。それから、国立につきましても、先ほど申しましたように、箱根のベッド数もふやしていく、また、ほかのところにもこの脊髄損傷者の病床を開設することを私たちいろいろ計画して、いま議論をしておるところでございます。それから、このほかに重度心身障害者に対して、大臣から、来度度予産には少し医療機関としての施設を開設することを考えろという御命令を受けまして、児童局、社会局といまいろいろ折衝をしておるところでございます。
#56
○委員長(小柳勇君) 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#57
○委員長(小柳勇君) 速記をつけて。
#58
○大谷贇雄君 そこで、いまの医学的な問題は私はしろうとだから、ことばの表現のしかたの点からだと思いますが、私の真意はおわかりが願えたと思うのでございます。そこで、さっき大臣が友愛十字会云々ということを言われましたが、あそこにおる九十名ばかりの患者が竹細工をつくる、この作業を友愛十字会という民間の団体がヘルプをしておるというのか、指導をしておるというかっこうになっておるわけだ。しかるに、一体その友愛十字会なるものの正体が私にはわからぬ。一体、友愛十字会というのは国費をもって援助をしておる団体であるのか、あるいは純然たる民間の任意団体であるのか、それがなぜ国立療養所の入院患者の作業をヘルプをしておられるか。ということは、リベートをとっておるんですよ、リベートを。この友愛十字会なるものは、なるほど人を派遣して年間七十万ぐらい出しているという話だ。しかし、それは友愛十字会の費用でやっているんじゃない、神奈川県の知事のところへ行ってもらってきたりせびったり、ほかから寄付金をもらってきたり、そして人を派遣しておる。一体そういう社会事業団体というものは、はたしてそういうあり方でいいのかどうか。また、何のために国立療養所の患者の人々がそういう指導を受けなければならぬか。もし必要があるならば、これは国でもってそういう指導員を、労働省でやっておられる職業訓練所――その関係はまたあとで聞かしていただきますが、そういうところから派遣してもいいじゃないですか。大体、もともとこんな小さな療養所なのに、厚生省の中では医務局、社会局、そして労働省の職業訓練局と、三つにもまたがっている。こんなあなた繁雑なことをやっておったらいけません。たった二百人ばかりの療養所のために三つもセクトがあってそれぞれやっておられるというような繁雑なことをしておって厚生行政が行なわれると思うところに根本的な誤りがある。これはもう総合的に私はやるべきだと思う。そこで、一体そういう内職をして――内職ですよ、付き添いの費用出ませんから。それで一体患者さんたちが幾らの収入になると思っている、月に。これは社会局長の所管ですか、お答え願いたい。
#59
○説明員(今村譲君) いまの国立療養所の、百十人ぐらい入っておりますが、そのうちで五十人ぐらいが何らかの手仕事、まあ竹細工でも何でもやりたい、そのほうが生活の励みになるというので、終戦後に、そういう同志がはからって授産事業のようなものを始めたわけでございます。ところが、なかなか身障者は自分で売り込みにも行けませんし、材料を買い込んでくるわけにもいかぬというので、非常に困って、何とかしてくれぬかと。ほんとうを言えば国立療養所の職員が、そういう竹を買ってくるとか売り込みに行くとかという、そういう世話までしてくださればいいんですが、医療機関でありますために、リハビリテーションのそういう授産事業の職員まではとてもさけないというので、何とか厚生省でしかるべき人をあっせんしてくれというのが、二十八年か二七年の暮れだったと思いますが、風祭のほうから医務局にきまして、医務局から社会局のほうへ頼みがあったわけです。そのとき、お話に出ております友愛十字会という、身体障害者の施設もやっており、援護関係もやっておる団体でありますが、それではそこからしかるべき人を、療養所の職員では無理だということで、出しましょう、こういう話で、二十八年から人を二人出すことにしたわけでございます。その場合に、現在患者自治会というのがそういう授産事業をやっておるわけですが、その全部の売り上げ、これは三十九年度で竹細工だけで年間約六百万でございますが、いまの協定では、そのうちの七%だけ出す。七%といいますと四十万円ぐらいになりますか、そのくらいのものは出すが、とにかく人は一人じゃ困るというから――もう四十万円というと一人分の人件費ぐらいになりますけれども、もっと援助してくれというので、友愛十字会のほうでは二人の人を出しまして、これは人件費が約七十万ぐらいになります。そういうふうなことで、七%ぐらいの、何といいますか、委託費みたいなものを患者自治会からもらいまして、それを財源とするわけでありますが、そのほかに、やはり事業運営経費、販売経費、いろいろなもので百十万円ぐらいかかります。それで患者自治会のほうからは七%、約四十万円近くもらいますが、足らない七、八十万円とというものは神奈川県庁に行ってもらうというようなかっこう、それから、共同募金から金をもらったりということ、それから、本部からも金を出したいというかっこうで何とか二人の職員でいまお世話を申し上げておる、こういう状況でございます。したがって、その本題からいえば、先生おっしゃいますような社会事業関係でございますから、一銭もそんなものはもらわないで全部患者のほうへ差し上げて、そして自己財源は全部その団体で持つというのがたてまえだと思いますけれども、団体自身も非常に財政的には苦しいものですから、二人の人件費のうちの一人分だけはその売り上げのほうからもらう、こういう協定のもとに出発しておる、こういうふうなかっこうでございます。
#60
○大谷贇雄君 そこで、友愛十字会が技術指導やら売り込みなんかをやってくださるということについては、それは好意のあることですからけっこうですが、患者のわずかな手間賃をさいて、そこでリベートですよ、そんなものを取り上げて職員の費用に充てるなんということは、一体厚生省で見ておっていいのですか。もしそういう指導的な立場におる人であるならば、厚生省が補助金を出したら、そんなけちくさい、あなた、脊髄を損傷しておる気の毒な人たちから、せっかく苦心惨たんしてつくったものからリベートを取るなんということは、そんなことは人間的に許されることですか。そんなことは社会事業団体ですか。そういう指導をしておる。一体、厚生当局、社会局長さん、それでいいのですか。マンネリズムになってしまって、それで何ともお思いにならぬのですか、それはどうなんです。
#61
○説明員(今村譲君) それは仰せのとおりに、そういう団体については、販売なり何なり、一切の経費を全部国なり公費なりで持つということは理想だと思いますけれども、現実はなかなかむずかしいので、応分の若干の負担はしてもらうと同時に、それ以外は団体がかけずり回って財源をあちこちからもらい歩くという――もらい歩くということばは悪いのですけれども、それで二人の専任職員をつけて、いろいろ身障者ではできないそういう外交なり何なりをしてあげるということで、これは全部国費なり公費でやれとおっしゃることはよくわかりますけれども、現実問題としては、自発的に始まったものを何とか応援したいというので、それでは若干出してください、私のほうでもできるだけ本部から金を出しますということで始まったものでございますので、将来はできるだけ全部患者の手に入るというふうなしかけを考えたいと思いますけれども、いますぐ全部それは公費で持て、あるいは療養所で持てというのはなかなかつらいかと思います。
#62
○大谷贇雄君 その友愛十字会が全額持ってきて指導してくれるならともかくも、患者の、あなた、内職をして、血の出るような努力をしてやっておられるそこから巻き上げていくなんというようなものは、こんなことは私は許すべからざることだと思うのです。そういうことにこそ、厚生省当局は友愛十字会にやってもらうなら、それに対してはたいした金じゃありません、補助をするということが当処の筋道じゃないですか。そんな民間団体がよそから金を集めて、それにおぶさっておる、患者の苦心惨たんしてやっておるその中からリベートを出して、それは現実問題としてはやむを得ぬと、そんなあほらしいことを考えてもらっちゃ困る。そんなことはお役人さんの考えなんだ。そんなことは人道上許すべからざることだと私は思う。だんだん時間がなくなりますから簡明に申し上げますが、どうぞ大臣、ひとつとくとお考えいただきたい。それで、一体収入がどのくらいあるかという御答弁がないが、一体これは、たとえばだるまの柱かけがありますが、これが材料費、塗料その他入れまして六十九円で問屋へおろすわけです。その中から取ってくるわけだ、友愛十字会が。そうして問屋から小光り店へいきますと、これが小売り店では百八十円ぐらいで売っておる。二倍半小売りはもうけている。それで本人の手元に入るのはどれだけかというと、私の調べたところによると、大体平均月二千円、たった二千円。それでどうして付き添いが頼めますか、だれがそんなことを奉仕してくれる、そんなことをやっておって厚生行政が完璧であるなんということをお考えになっておられるということであるならば、これは容易ならぬ問題ですよ。どうですかその点は。
#63
○国務大臣(鈴木善幸君) 心身障害老等が、今後その権力に応じて仕事をしてまいるというような機会をできるだけつくっていきたい。そのためにコロニーでありますとか、いろいろなことを将来に向かって計画をいたしておるわけでありますが、そういう意味における授産事業、これをどういうぐあいに国としてめんどうをみていくかということにつきましても、私は十分これに対する国としての配慮、また、助成の道を考えなければいかぬ、こら考えておりますので、ただいま御注意がありましたことはよくわかります。今後十分そういう血にも対策を立てていきたいと考えます。
#64
○大谷贇雄君 そこで私は、行くたんびに思うのですが、これは協同組合でやらせるというようなことの構想をお立てになったことがあるのですか。商人に渡して二倍半ももうけさせて、本人の手元には毎日やっていて月にたった二千円。そんなむごたらしいことをして、それでちゃんと厚生省当局は、これをもって現実はそのとおりであるというようなことをのほほんとして言っていていいのですか。どうですか、御答弁願います。
#65
○説明員(今村譲君) 実は、先生おっしゃいましたように、八十五円ぐらいで卸に要するに買いたたかれるわけです。小売りの店に出ますと百五十円とか百八十円とかというふうなかっこうになるわけですが……。
#66
○大谷贇雄君 二百五十円くらいで売っていますよ、熱海などでは。
#67
○説明員(今村譲君) それは物によりけりだと思いますが、おっしゃるように、協同組合というのもどういうかっこうで組織するか、その辺はいろいろなるべく高く売りつける方法を協議しているのですが、なかなか問屋で買いたたかれるというかっこうなものですから、はなはだ申しわけございませんが、もう少し研究させていただきたいと思います。
#68
○大谷贇雄君 すべてお役所の仕事というものはマンマンデーです。もっとスピーディにやっていただかなければだめですよ。どうかひとつ局長さん方、特にひとつ大臣を補佐してやってください。大臣のメンツにかかわるようなことを現実の問題とか何とかかんとか言って、あほらしいことを言ってもだめです。しっかり頼みます。
 それから、労働省の職業訓練局長さんがおいでくださっておりますが、これは労働省では身体障害者の職業訓練所が全国に九カ所もある。私の愛知県などは非常にたくさんごやっかいになっておられますが、この風祭の療養所に関しては、あなたの局としてはどういうようなふうなお手伝いをしておってくださるのか。その点、何か職業訓練所のほうにも関係があると思うのですが、その点お答えいただきたいと思います。
#69
○政府委員(松永正男君) 風祭の療養所につきましては、従来は職業訓練の関係では御相談を受けたこともございませんし、現実にはお手伝いをいたしておりません。
#70
○大谷贇雄君 それじゃ職業訓練局の局長さんのほうは――あなたのほうじゃなしに、労働基準局のほうは。
#71
○説明員(中村博君) 私のほうでは、いま風祭の病院に入っておられる方は八名おられるわけでありますが、それで、その方々には、現在、労働福祉事業団をして行なわしめております労災保険ということで、療養費と、それから特別な援護費を月一万円を差し上げておるわけでございます。
#72
○大谷贇雄君 付き添いの費用は。
#73
○説明員(中村博君) 差し上げておりますのは以上がすべてでございます。
#74
○大谷贇雄君 そうすると、入院費と月一万円と、それだけを事業団から援助しているのですね。そうすると、付き添いは、内職をしてたった二千円、どうしてこれでやっていけるとおぼしめしますか。これは社会局長はどうお考えですか。
#75
○説明員(中村博君) 労災保険の対象となります方々には、現行の労災補償法に基づきまして、いろいろな療養給付その他のものを差し上げておるわけでございます。しかし、三十五年の切りかえのときにすでに打ち切り補償をもらっている方々があるわけでございます。この方々に対しましてそのままほうっておくわけにはいかないということで、他の社会保険と療養の給付の差額金と、そのほかに一万円を差し上げておる、こういうかっこうでございます。
#76
○大谷贇雄君 まあ世の中の現実の姿とお役所の仕事というものは天地雲泥の隔たりがあるということを御認識願わないといけないと思います。
 それから、さっき職業訓練局長さんのお話だと、厚生省から何もお話がないということだが、厚生省は何もいままで連絡していないのですか。職業訓練局長さんのお話では、授産所のあっせん等も従来やっておいでになるかどうか。やっておいでになるとすれば、なぜそんな友愛十字会からリベートを取られて、小売り商に二倍半の高値にたたかれて売らせる。これは公定価格でないが、一般の基準だから、私の見たところでは、湯河原やどこかの店に行くと二百円も三百円もしている。めちゃくちゃな利益を得ておる。そんな気の毒な人を食いものにしてもうけさせる、これを現実の問題でやむを得ぬと認容しているということ自体に、私は根本的な、日本人のお互い同士の助け合い、援助し合う、こういう観点から厚生省の社会局長さんは仕事をしておられるはずだ。型どおりのお答えをしていたのではどうにもなりません。お考えを承りたい。訓練局長はどうか。
#77
○政府委員(松永正男君) 風祭の療養所につきましては、厚生省の国立の施設としまして通常をしておられますので、従来、私どものほうから特に意見を申し上げた点はないのでございますが、御指摘のごとく、全国に三百数十カ所の訓練所を持っておりまして、いろいろな職種の訓練をやっております。したがいまして、そういう技術的な面等につきましても御相談に乗って、あるいはお役に立つということもあり得るかと思いますので、御指摘がございましたので、今後におきまして厚生省ともよく御連絡いたしまして、お手伝いできる部面があれば積極的に御協力申し上げたい。
#78
○大谷贇雄君 物品のあっせん等もやっておりますか。
#79
○政府委員(松永正男君) 訓練所におきましては大体が一年訓練でございます。したがいまして、できた製品につきましての販売もいたしてはおりますけれども、これは基礎訓練が主でございますので、製品化して売れるというところまではそうよけいまいりません。したがいまして、訓練所では、製品の販売面についてはそれほどたんのうではないと、各訓練所通じてそういうことが蓄えると思います。ただ、竹細工等につきましても、たとえば大分の訓練所におきまして相当高級な技術を研究いたしておりまするので、そういう技術的な面につきましてはお下伝いができるのではないかと思います。販路その他につきましては、訓練所は必ずしもお役には立たないのではないかというふうに心配いたしております。
#80
○大谷贇雄君 まあすき間だらけ、穴だらけということがよく大臣にもおわかりになったと思うので、周密なひとつ御計画と、深い思いやりのある配慮のもとに、すべてこれは厚生行政全体であると思いますが、お役所式な仕事では私はいかぬと思います。ことに気の毒なこういう不幸な人たちに接する役所の方としては、あたたかい思いやりの心持ちをもってぜひとも御配慮をいただきたいということを要望いたしておきます。もうこれ以上言ってもむだですから……。どうぞよろしくおわかりになったと思いますので、そうして大蔵省当局には大臣は徹底的にやってやって――たった四十万円ばかりなのを何じゃと友愛十字会に厚生省はよう出さぬなんてけちくさい考えは何ですね、四十万ぐらい。いま理事さんも、そのぐらいはおれが出してもいいと言っておられる、そのとおりだと思う。これは世論を私は喚起したいと思っております。
#81
○委員長(小柳勇君) 大臣に資料要求しておきましょう、私のほうから。いまの話がまだまとまりがつきません、友愛十字会の経営方針なり、あるいは看護の人の、そういう人は一体だれが見てるのか。したがって、次の委員会までに――労働省、厚生省いろいろ関係がありましょうが、大臣がここにお見えだから、厚生省で責任を持って一切そこの誤りなしにわかるように、経費の面、入費の面、あるいは収入なり経営方針なり、ひとつ資料を出していただきたい。お願いします。大臣の御答弁を願います。
#82
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま委員長から御要求がありました資料につきましては、できるだけととのえまして委員会に提出することにいたします。
#83
○委員長(小柳勇君) 関連して森君から質問がありますから、これを許します。
#84
○森勝治君 ただいま大谷先生の御質問の、いま質疑と答弁を聞いておりますと、大衆収奪の醜さをまざまざと私は見せつけられたような気がするものです。で、いま国立療養所の問題と、それをめぐる身障者の問題が中心になっておりますので、関連して二、三質問をしてみたいと思うのです。
 まず、身障者の採用の問題ですが、身障者の採用の問題は各官庁がこぞって行なうというのがかねてからの国の方針だと私は聞いております。したがって、最近における各官庁のこの雇用状態はどうなってるか、なかんずく、この本家本元である厚生省で、最近ここ数年間身障者をどのくらい採用しておられるか、これからこういう問題とどら積極的に取り組んでいかれるかということが第一点。
 もう時間の関係上続けて申し上げますが、第二点は精簿の問題です。御承知のように、十八歳まではどうやら国で補助金も出すということに相なっておりますが、十八歳以上の者は、御承知のように、ちまたにほうり出しているような始末であります。ところが、最近はこの種の数が非常にふえる、漸増する傾向でありますので、この十八歳以上の精簿者に対する保護施設、指導、社会復帰の面、これとどのように取り組んでこられたか、さらにこれからどうされようとされるのか。
 それから、もう一点は、身障者の問題ですが、精簿の問題も含みますが、たとえば盲目の方、片足のない方というような身障者同士で、ささやかでもしあわせに生きようとしてこういう方々がよく結ばれることがあります。しかし、いまの段階だと、結ばれて、なるほどあの人たちは気の毒だという目で見るだけで、国のあたたかい愛情の手というものは、一向にこれらの町の片すみにささやかなしあわせを求めて生きようとする身障者同士の結婚を、あたたかい目で見てこれを善導しようとする考え方はおありでしょうけれども、具体的な施策に乏しいような気がいたします。ですから、そういう問題についてどうされるか、たとえば結婚手当を出すとか、最も問題になっております一もちろんこれは失業者の場合にはほとんど結婚はいたしておりませんが、社会復帰してクリニング屋開業をするとか、あるいは製靴、くつの職人として自活する、こういう自活の方途を発見した場合には、身障者といえども一人前な社会人となりたいということで、多くの方が結婚していますが、こういう問題について一つもあたたかい手が伸べられておりません。さらには、もう一つ若干精薄の問題に触れましたが、精薄同士の中でも、精薄であっても、知能が多少おくれておっても、努力の結果、一つの問題について、いわゆる一芸にひいずるまではまいりませんが、一つのことについては、たとえば竹細工の工作とか袋物の製作とかについては、どうやら常人のあとについていけるぐらい熟達する場合、そうするとこれは精薄者同士で結婚するという例がままあるわけでありますが、こういう場合でも放任されているような現状でありますので、いま申し上げたように、くどいようですが、結婚手当とか、あるいは住居のあっせんとか住居手当を出すとかへせっかく一人前に社会人として更生しようとする方々ですから、これらの方々について、ひとつ強い施策をお願いしたいと思いますので、その点についてお伺いをします。あとは御答弁のあとで。
#85
○国務大臣(鈴木善幸君) 重度身体障害者、あるいは精薄者等に対しまして、十八歳以上の者についてはどうやっているか、こういう第一点のお尋ねでございますが、これに対しましては、国の施設におきましては、十九歳以上の者につきましても年齢制限の撤廃をいたしまして、本人の希望がありますれば引き続き入所、療養ができるようにいたしております。なお、都道府県立の施設につきましては二十歳まで延長ができるということになっておりますが、根本的な対策は、ただいま身体障害者審議会等で御審議を願っております。その答申を待って措置いたしたいと考えているわけであります。また、精薄者の中でも、結婚生活が営まれるような能力のある者、そういう人たちに対してはどういう配慮をしているかというお尋ねでございますが、生業資金の貸し付けでございますとか、あるいは住宅資金の貸し付けでございますとか、相当利用されているわけでありますが、お話のように、まだ十分手厚い対策が立っていないと思います。こういう点につきましても、先ほど申し上げましたように、重症の身体障害者に対する総合的な対策というものを私は政府として重点政策として今後考えてまいります際に検討していきたいと、かように考えております。
#86
○政府委員(松永正男君) 身体障害老の雇用関係でございますが、これは職業安定局の所管でございますが、現在出席しておりませんので、便宜、私から御説明をさせていただきたいと思います。
 身体障害者の雇用促進法に基づきまして、官公庁関係につきまして雇用率を定めてございます。現在、昭和三十九年度末におきまして、官公庁におきまして三万五千五百名が雇用をせられております。大体法定の雇用率一・五%を達成をいたしております。それから、一般民間の事業におきましては、百人以上の事業所につきまして雇用率が法定せられておりまして、三十九年十月一日現在でございますが、約七万三百名が雇用をせられておりまして、法定雇用率一・一%を大体達成をいたしております。現在各省別の資料は持っておりませんので、全体としての数字で御説明を申し上げる次第でございます。以上でございます。
#87
○森勝治君 大臣の御答弁の一番最初の十八歳以上の問題ですね。年齢を制限してとおっしゃることは、国から出る補助金その他も引き続きということでありますか。
#88
○説明員(今村譲君) お答え申し上げます。十八歳以下の関係はいわゆる児童福祉法というかっこうになっておりますし、それ以上につきましては身体障害者福祉法と、こういうかっこうになって、おのおの収容施設を持っておるわけであります。ただ、十八歳になりますと、今度は児童福祉施設から身体障害者福祉施設へ移ってくれというのもおかしいという問題で、いま審議会でいろいろやっておりますが、それがかりに十八歳で、ほかの身体障害者福祉法の身体障害老の施設に移りまして、全額要するに国の委託というかっこうになりまして、国がその十分の八を持つということで、給与関係につきましては何ら変わりございません。
#89
○森勝治君 その点について、今度さらにこういう各種の施設に従事する職員の待遇の問題ですね。先ほど大谷先生も箱根の療養所を指摘されましたが、あれが大体原則としては官公庁並みということじゃないですか。ところが、現実に配分される補助金、助成金、国の出費で出るものについて、さて当該それぞれの施設で個人個人案分してまいりますと、はるかにほど遠い低額ですね。したがって、いつもこの問題でもめて、最後には国から下されるもののいわゆる増額以外にはなかろうということが各市町村の議会でもどこでも一致した見解になるわけです。したがって、こういう場に働く皆さんは社会的にも洗練され、いわゆる平凡なことばで表現しますと、社会奉仕の念に非常に厚い方々が比較的多いわけですけれども、それらの職員の方々が生活の苦しさに負けて他に職を求めるということ、なかんずく、民間の施設から国立へ行く率がはなはだ多いという現状を私は埼玉県議会のときにはしばしば指摘を受けたわけであります。なぜか、それはもう手当がはるかに多いからということです。どうせ社会奉仕するならば、身体不自由の方のお世話をするならば国立のほうがよろしい、国立のほうにおいでおいで。具体的にいえば埼玉県から神奈川へ来い。あまりみみっちいことを言って恐縮だが、そういうことで、民間でせっかく熱意を持っている方を国でみんな持っていってしまう。みんな持っていってしまうと言ってはちょっと大げさかもしれないけれども、だから、民間の施設でも安心して働けるようにするためにも、やはり官公庁に準じた給与の改定があってしかるべきだと思うのですが、この辺については今後どうされますか。
#90
○説明員(今村譲君) お話しのとおり、三十四、五年ごろまでは、いわゆる社会福祉施設における人件費の問題というのは、積み上げ財政的ないろいろな理由がありまして、国家公務員あたりとはある程度の差があった、まああり過ぎたと申し上げていいのかと思いますが、で、三十六年ころからそれではだめだ、社会福祉事業の職員の確保ができないということで、これは一つの世論になりまして、大蔵ともいろいろ折衝いたしまして、四十年度におきましては、同じ学歴、同じ経歴ならば国家公務員に準ずる算定方式をつくって予算を組むというかっこうのことで、去年は三十数億のいわゆる処遇改善費というのが入ったわけでありますが、それで国家公務員並みということになったわけでございます。ただ、問題は、社会事業の個々の施設におきまして、一人一人の学歴、経験年数を換算してそのとおりにやっておるかどうかといいますと、これは社会福祉法人なりいろいろな関係がありまして、あるものは高く、あるものは低いということで、必ずしもきちんと人事院が言うようなかっこうになっていないところもありますので、できるかぎりそういう予算措置も国家公務員に準ずるかっこうになっておるんだから、それに相当するような処遇をやりなさいという指導を目下やっておる最中でございます。
#91
○森勝治君 それでは次の問題に移りますが、療養所の建物の問題ですが、埼玉県に国立の黒浜の療養所というのがあるわけです。最近改築の話が出ておるそうであります。この建物は、御承知のように、旧軍時代の建物でありますから、腐朽度がはなはだしく、廊下は波を打っておるわけです。しかし、どうも改築の話はあるのだが、お先まっ暗だ、こういうことでありますので、何か先ほどの御答弁だと、もう最近のうちに各所ともみんな直すというふうに私は善意に解釈したのですが、この黒浜の療養所はどうされるのか、お聞きしたいと思います。
#92
○説明員(尾崎嘉篤君) ただいまこの改築の鉄筋化の進んでおります話をいたしましたのは箱根療養所でございますが、小田原にございます脊髄患者の箱根療養所のことでございますが、いまお話の療養所は国立埼玉療養所ではないかと思います。お話のように木造の建物で、相当腐朽度がはなはだしい。私たちも、これは結核療養所全般の問題でございますが、それで、この療養所を整備いたしますのにいろいろ努力をいたしておるわけでございますが、結核患者が減りつつあると言え、将来の結核対策はやはり重要な問題と考えますし、一般の大学等がこの問題に対して関心が少し薄くなってきておる状態でありまして、その結核対策の拠点として各県に一カ所くらいの基幹的な療養所、中心療養所をつくり、さらに各ブロックに一カ所の基幹療養所をつくっていく、こういうような考え方で全体を考え、さらにほかのものにつきましては、この地域地域の療養所の事情に応じて転換等を考えていくというふうな考え方で検討しておるところでございますが、いまお話の埼玉療養所をどうするかという問題につきましては、いつ整備をするかというような問題につきまして、これは予算当局との話し合いがまだ済んでおりませんので、ここではっきりしたことを申し上げるわけにはいかないのでありますが、われわれといたしましては、埼玉県の一つの結核の拠点というふうな形で考えていきたいというふうな気持ちを持っておるのであります。
#93
○森勝治君 再質問いたしますが、いま考えておらんとおっしゃるのだが、私の耳が早耳なのか間違ったのかわかりませんが、もう具体的に局側にその資料が整っておるんじゃないでしょうか。たとえばあそこは約二十万坪程度ありますが、そのうちの松林八万坪を他に売却して、これを建築費に充てるとか、こういうことを私は聞いたのです。われわれはびっくりしたのです。あんなすばらしいところを、八万坪を切り売りしてそれで建てるなんて、厚生大臣が、先ほど大谷さんがほめたたえたように、非常に熱意のある方なので、大蔵大臣を説得するのはお手のものだそうでありますから、何もそういう八万坪を売却して、それを建築費に充てるようなさもしいやり方をしなくても私はよかろうと思うのです。その辺はどうなるのです。私どもはそういうふうに話を聞いておって、地元はすでにざわついてまいりましたから、もう少し詳細に文書は出ているはずだと思いますから、この点ちょっと詳しく御説明いただきたい。
#94
○説明員(尾崎嘉篤君) 埼玉療養所は、先ほど申しましたように、私たちの考えでは、埼玉県の中心結核施設として考えているわけであります。ただ、予算関係がきまっておりませんので、いまのお話のような方針で動くというところまではまいっておりません。しかし、全般論といたしまして、いままで療養所を整備いたします場合、療養所が相当大きな土地を持っているところがございます。そして、必ずしもその土地が、現在の結核に対します考え方では、あったほうがいいかもしれませんが、不可欠だというわけではない、こういうようなところから、不要な土地はできるだけほかの用途に充当したほうがいいのじゃないかというたてまえで、土地の一部を大蔵省のほうに返しまして、それを財源といたしまして整備のほうを考えてもらうというふうな動かし方をやっていることは事実でございます。埼玉療養所につきまして、いろいろ計画はわれわれしてみたことはございますが、まだ方針として確定しておる段階ではないと思います。
#95
○森勝治君 いま私が申し上げたように、私どもが聞いているのは、具体的に八万坪売却して本建築をするということを聞いておるわけであります。どうかひとつあれだけのりっぱな敷地でありますから、病院の建物だけに患者を入れるのではなくて、この種の療養は、散策する土地も当然必要になってくるわけでありますから、従来の敷地のままで新しい近代的な設備を整えていただきたいことを要望して、恐縮ですが、二点だけ簡単に次の問題に移ります。
 第一点は、水の問題であります。水質検査の問題でありますが、いまの基準でまいりますと、保健所で水質検査の依頼を受け、当該物を見て飲料不適というらく印を押すわけでありますが、このままですと、飲料不適だというらく印を押しても、飲んではならぬという規制はないのです。したがって、今日のように住宅地が次から次に、沼沢地まで埋め立てて建つ段階ですと、保健所が見て、この地区は飲料水不適ですよというところにどんどん人家が立ち並びます。その水を現状では飲んでおる始末です。これでは片や、いかに近代的文明の生活を指導しておっても、依然として原始的なそういうやり方をしておりますと、伝染病その他の病人が絶えないわけでございますので、もう少しこの点についての正しい指導があってしかるべきだと考えております。
 それから、もう一点、やはり同じ水の問題ですが、気の毒に、河野さんは先日なくなりましたが、河野さんが叱咤激励してつくったという武蔵水路でありますが、御承知のように、これは利根川から水を取り入れて東京都に送る計画でありますが、最近、利根川の取り入れ口を遮断いたしました。その理由は、地元との協定がありまして、一定の水位を低下した場合には農作物の被害ということに相なるから取らぬという約束でした。ところが、水飢餓ということで、最近はこの協約を下回って、水位を下げて取っておったのでありますが、それ以上取りますと、ちょうど稲の生育――早いものは出穂のときでありますので、水が不足になりますので、先日この取り入れ口を遮断いたしました。そうなりますと、東京都の一体水というものはどうなるのか、ことしは全然心配ないのか、その辺のところをひとつお聞かせ願いたいと思います。
#96
○委員長(小柳勇君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#97
○委員長(小柳勇君) 速記を起こして。
#98
○大谷贇雄君 時間がだいぶおそくなって御迷惑でありますが、二点だけお尋ねしたいと思います。
 そこで、箱根の国立療養所の問題ですが、あそこに陸軍病院ができたということは、温泉地だからできたのです。この脊髄損傷者の軍事保護院というのですか、これを引き継いでそのまま療養所になったわけですが、温泉があればこそ温泉療法ができる。しかるに、だいぶ前でありましたが、私が慰問に参りましたときに、温泉がとめられるのだという話を聞いた。それで私は、あの箱根の町長――元参議院儀典の石村君、弟さんが町長ですから、お二人に対して、そういうことがあってはならぬ、ぜひともひとつ存続するようにということの要望を実はしたわけです。しかるに、ついに温泉をとめられてしまったわけです。したがって、患者の人たちは、療養所では普通の水をわかして、そうして入浴をしておる。箱根の温泉地帯にある療養所が温泉に入れぬ、温泉療法ができぬということでは、私は、これまた尾崎さんにお教えを受けなければならぬが、おそらくしろうととしては、温泉療法をするようにあそこに療養所を設置されたわけです。その温泉を取り上げられてしまうというようなことであってはならぬと思うのだが、簡単にその間のいきさつを御説明を願って、後ほどいかにこれに対処なさるかということをお尋ねしたいと思います。
#99
○説明員(尾崎嘉篤君) お話しのように、箱根療養所は、位置が小田原と湯本の中間でございまして、この療養所が建設せられましたときに、湯本の湯を小田原に引いてきて、小田原で温泉をつくろうという動きがあったわけです。そのお湯を導きます管を建設しておりますときに療養所があそこにできまして、そのお湯を下の小田原に持っていかないで療養所によこせ、こういうことで、療養所でこれを使うように持ってきたというようないきさつがございまして、温泉を使って治療をやっておったのでございますが、ところが、その温泉を配湯しております湘南温泉土地株式会社という会社が、湯本においての需要が多くなった関係で、供給を毎分六斗という契約を必ずしも履行しなかったり、また、水を増してきたり、温度が相当めちゃくちゃになったりいろいろしまして、施設とこの温泉土地会社との間で紛争が続いておったわけです。患者さんの入浴にもだいぶ支障があったような状態でございます。さらにその導管を当時の金で一億円で買えというような要求があって、そうしなければとめるというような話がありまして、結局いたしまして、お話のような給湯を三十八年の八月末でやめる、こういうような次第でございます。それで、療養所としましては、温泉の治療には温泉の処女性と申しますか、その中の成分だけでなくて、何かふかしぎな力があるというふうな意見がありましたが、当時の所長、現在慶応の教授をしておられます岩原所長と相談いたしましていろいろ研究していただきまして、十分な水量をもってした、かつ、循環する湯による浴療法をやれば、人工のふろでもこの患者の治療にはだいじょうぶだというお考えもありまして、ボイラーの大きなものをつけまして、そうしてお湯を多量にわかして、そうして浴療法をするようにした。ただ、そうしますと、夜間等においてお湯が出ないという多少の不便はございますが、脊髄をやられておりますために麻痺が起こって、たれ流しで臀部がよごれる、こういうふうなことに対しては、お湯を十分にかえながら浴療法をすることによって防げるという考え方は、あとの治療成績から見ますと、そう間違っていなかった、こういうふうに思っておりますが、現在切りかえをやりまして、一時、土曜日、日曜日――土曜日の午後と日曜日に温泉を出していなかった事実を発見いたしまして、私はすぐ訂正させた覚えがあるわけでございます。そういう状態でございます。
#100
○大谷贇雄君 その湘南温泉土地株式会社というのはけしからん。ほかの宿屋はどんどん出る、そこへは高い銭をとってお湯を送るのです。国立療養所のほうは払いが悪いから、あんなところはやらぬでもいい、それよりがめつくもうけようという、これはどうも実に何ともかとも言いようがない。そういう一体会社の社長がおるということは、これは許しがたいことだ。これはもうほんとうにそういうものは日本人の敵ですよ。惻隠の情がない、人にあらず、そういうようなものが町長もようとれない。それはそうでしょう、向は営利会社だから、がめつくもうけておるという事実を私は聞き及んでおります。正体を調べるつもりです。いま二代目になっているそうですが、権利がいつの間にかとられてしまって、そうしてそれを高く温泉宿に売りつける、そうして国立療養所の患者さんたちが温泉療治ができないというふうなことは、これはもう何としても私は人道上許しがたい。したがって、厚生省、いま医務局長さんは、水でも成分同じだ、たくさん入れればと、そんなあほらしいこと聞いたことない、私は。そんなのはへ理屈というものです。そんなら温泉みたいなものはもう閉ざしてしまって、普通の水にかえたらよろしい。そんなのはあなた、へ理屈の負け惜しみだ。そんなどろくさいことを言っておったら、どうにもなりません。これは厚生省としては、あの風光明媚な温泉がわき出せばこそ、あそこに国立療養所として移管されたものと確信する。したがって、こういうことにこそ大蔵省が惜しみなく金を支出すべきである、かように私は思うので、私は、厚生大臣も近く御視察くださるということですから、それに期待をいたしまして、ぜひひとつごらんを願って、そういうむちゃくちゃな、この作業からはリベートを取るわ、二倍半にも三倍にも一般の商人はもうけておるわ、おまけに温泉までとめるわ、こういうことを厚生省当局が社会局長さん放置していいものかどうか。これは胸に手を当ててお考えくださればわかると思う。どうか積極的に大蔵当局に呼びかけて、温泉のわき出る源泉地でそういうユダヤ人みたいな者のために、せっかく療養しようとしている患者さんたちが非常につらい思いをしておられる。これは治療にもリハビリテーションにも影響する、そんなへ理屈つけて、そんなことは聞いたことはない。そんなあほらしい話聞いたことはない。そんなことを言って、あんた、大谷贇雄が、ああさようでございますか、局長さんの仰せでございますかと引き下がると思いくださるならばとんでもない間違いです。世間のだれにでも、子供に聞いてもわかる、そんなあほなことは。どうか厚生大臣、特にひとつその辺の温泉が再びわき出て、それこそリハビリテーションができるように、ひとつとくと大蔵当局に強く御折衝をいただきたい、このことを申し上げておきます。それで、まあこの国立療養所の問題は一応この程度にいたします。
 次は、本年は終戦から二十周年の記念すべき年を迎えるわけでありますが、厚生省としてはこれに対して何らかの計画をお持ちになっていらっしゃるかどうか、その点をまずもって大臣から承りたい。
#101
○国務大臣(鈴木善幸君) 今年は終戦二十周年に当たりますので、全国の戦没者の追悼式を、毎年二千人程度遺族の代表をお招きして行なっておりましたが、今年は五千人以上の方々をお招きをして、そうして盛大な追悼式をやりたいと考えております。なお、樺太あるいはソ連その他の墓参につきましても、関係方面と連絡をとりまして、御遺族の代表による墓参ができまするように、いろいろ計画を進めて実行に移しております。さらに、また、太平洋地帯等では遺骨が散逸されているような状況にございますので、この点も全部について一ぺんにやるわけにはなかなかまいりませんが、重点的に遺骨の収集等についても計画を立てて、そうして今後やってまいりたい、かように考えます。
#102
○大谷贇雄君 そこで戦没者追悼式を盛大に催していただくことは、これはまことにありがたいことだと思います。先年来、各県においても同様の追悼式が行なわれております。まことにありがたいことに存じておりますが、それだけでもって能事終われりではこれは困ったことで、厚生省としては、この際、一ぺんにはできぬという仰せでありますが、この二十周年を記念をして、太平洋地域、あるいはソ連、中共、東南アジア各地の戦没御英霊の御遺骨の収集と、そうして御奉安をするという一大計画はお持ちになっておらぬのかどうか、この点をさらに承りたいと思います。
#103
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいまもお話を申し上げましたように、重点的に今後計画を立てまして、そうして逐次遺骨の収集を実施してまいりたい、このように考えております。
#104
○大谷贇雄君 私は、すでに戦争が終結いたしまして二十年です。重点的にばらばらやるというのではもはや許されぬ問題だ。厚生省としては、この二十周年の今年の記念は、ぜひ大東亜戦争、シナ事変その他の戦争において犠牲となられた方の御遺骨がジャングルの中にいまだに放置してあったり、あるいは鉄かぶとがそのままになっておったり、そういうような残骸を放置してあるということは、これは日本の国民として、御英霊に対してまことに何とも申しようのない、相済まぬことであると私は痛感を実はいたすのであります。したって、この際、何十億、何百億かかるか知らぬが、これこそ鈴木厚生大臣、第一のお仕事として、終戦満が二十周年を記念して、全面的にひとつ御遺骨の収集をしていただきたいことを切願するものであります。先般来、日本遺族会においてもおいでいただきまして、また、このごろじゅうは民間団体が行く、こんなことを厚生省が知らぬ顔をしておいていいのでしょうか、私はいけないと思う。私は、これは政府の責任において、当然この遺骨の収集をいたすべきものであると、かように存ずるのであります。
 なお、先般私は、選挙前の五月九日に、韓国からどうしても来てくれというので参りました。その際、岸元総理から承っておりました日本人遺骨の問題について実情を調査してきた。しますと、満州等を引き揚げてきまして、ソウルで防空壕の中に日本人の遺骨がほうり込まれた。それを韓国人が日本人遺骨奉迎員会というものを結成して、すでに何年も前からソウルの郊外のお寺の別堂に遺骨を御安置して、朝晩お参りしてお守りをしてくださっている。まことに申しわけないことだと思う。また、大邱にもあるという話です。岸さんと相談して、急速にこれは国民としてお引き取りをしなければ申しわけないじゃないかということで、いま話を進めておりますが、これは韓国ばかりではない。一般の邦人です。軍人さんもあるでしょうが、大体一般の邦人の御遺骨であります。大邱にもある、ビルマに行ってもある。また、そのほかの在留同胞が、何らの墓標すらなく、土にまみれ、ほこりにまみれて草むらの中に眠っておいでになる、これもほうっておいてはいかぬと思いますが、大臣、何とお考えになりますか。
#105
○国務大臣(鈴木善幸君) いまお話の御趣旨、お気持ちは私も全く同感でございます。先ほど申し上げましたように、これは関係国の協力も得なければなりませんし、逐次そういう話し合いのついたところ、また、早く収集をせねばいかぬ、そういうところから計画を立てて着実に進めてまいりたいと考えております。
#106
○大谷贇雄君 そこで、厚生省は人手も足りませんし、なかなかぼつぼつでなければいかぬというおことばの内容はよくわかります。わかりますが、終戦満二十年のこの記念すべき機会において全面的に御遺骨を収集して奉安をいたすということは、これはもう政府の責任であるし、また、国民のこれは義務でもあると思う。したがって、これはぼつぼつではいかぬと思う。いわんや、民間団体の人が行って遺骨を収集してくださっている。それを厚生当局が知らぬ顔をして、のほほんとして、やってくれているからいいということでは、これは政府当局の私は怠慢だと思う。また、国民に対しても御英霊に対しても、相済まぬことである。したがって、人手足らざるならば日本遺族会に御委託になって、そうして終戦二十年のこの機会に、ぜひ遺骨収集団を広く全域にわたって設けて、それは厚生省は人手が足らぬことは自明の理ですから、日本遺族会なり、あるいは適当なる団体に御委嘱になって、この機会において全面的に御収集をいただきたいと思いますが、その御意思ありやいなや。また、一般邦人に関しては、実はこれはいままで一般邦人は靖国神社へお祭りはできませんから、無名戦士の墓標はありますが、そうでない一般邦人についてはどういうように御処置になっておるか。また、今後どういうふうな御処置をおとりになるのでしょうか、あわせて伺いたい。
#107
○説明員(鈴村信吾君) 先ほど大臣から遺骨収集の問題につきまして、重点的に過去にやりましたところで不十分なところを補ってまいりたいという御答弁ございましたが、まあ政府と……。
#108
○大谷贇雄君 過去不十分だらけじゃないか。
#109
○説明員(鈴村信吾君) 昭和二十七年以来、一応各地において済ましたことになっておりますけれども、先般も衆議院の社会労働委員会で御指摘がありまして、政府は済んだ済んだと言っておるけれども、きわめて不十分だ、したがって、それで済んだということはいかぬというおしかりがありまして、われわれも一応従来大部分済ましたとは答弁いたしておりましたけれども、御指摘のごとく、こういう件につきましては完全だということはもちろんあり得ないことでありまして、われわれも過去の足らざる点を補いまして、重点的に将来とも検討してまいりたいというふうに従来答弁しておったわけであります。大臣も、二十周年を記念いたしまして、過去の足らざる点を補い、重点的にやりたいということをおっしゃったわけでありますが、最近民間団体等におきまして、政府のやった点で足らないところを補う意味におきましていろいろやっていただいております。また、日本遺族会等におきましても、墓参あるいは追悼行事等々と関連いたしまして、御収集の動きもあるようであります。したがいまして、われわれは十分民間団体とも連絡をとりまして、民間団体にお願いしたほうがいいと思われる点はお願いし、また、ぜひこれは国でやらなければならぬという点につきましては、重点的に国が取り上げるということで、過去やった点で足らない点を補ってまいりたいというふうに考えておる次第であります。
 一般邦人につきましても問題があるわけでございますが、これにつきましては、戦没者等との関連におきまして、できるだけ関連して考えてまいりたいというふうに考えております。
#110
○大谷贇雄君 関連してとはどういうことか、もう一度。
#111
○説明員(鈴村信吾君) 関連してできるものについては実施してまいりたいというふうに考えております。
#112
○大谷贇雄君 いままでの一般邦人のなくなられました御遺骨についてはどうなっておりますか、それを伺いたい。
#113
○説明員(鈴村信吾君) 従来戦争と全く無関係の一般邦人のものにつきましては、少なくとも、われわれのほうでは直接実施していないわけでありますが、今後戦没者等につきまして実施する際に、可能なものについては、やはり関連してやることも検討したいというふうに考えております。
#114
○大谷贇雄君 あなたのおっしゃることは、何か可能なものと可能でないものとどう区別するんですか。そんなわけのわからぬことを言ってはだめ。いいかげんな答弁をしてはだめ。いままでの在留同胞――満州あるいはシナ大陸で働き、あるいは朝鮮でお働きなさった一般邦人、日本のために尽くした人です。戦場で命をささげたというお方とは違うけれども、この各地において日本をしよって立って努力なさった一般邦人のお骨はどうなっておるか、これを承りたい。
#115
○説明員(鈴村信吾君) たとえば台湾につきましては、戦後外務省が一応お墓を全部処理と申しますか、こちらへ一般邦人の遺骨を持って帰ったわけであります。韓国につきましては……。
#116
○大谷贇雄君 そうしてどうした、その処置。
#117
○説明員(鈴村信吾君) 氏名のわかっておりますものは、全部遺族に外務省からお返ししておる、そういうわけであります。氏名のわからぬものについては、まとめて特定のお寺等に預けられておるように聞いております。
 それから、韓国につきましては、日韓条約の調印もありましたので、将来の問題といたしまして、台湾と同じように処理するように外務省のほうでいま研究されておるように聞いております。
#118
○大谷贇雄君 そんなことありません。私が行って調査したのだ。あまりに申しわけない、韓国の人が金を出し合って日本人の遺骨を奉安しておってくださる。朝晩おつとめをして、そして読経をしてお守りをしておってくださることを外務省は知りませんよ。お墓も知りません。そんなことはできるはずがない、いいかげんなことを言っちゃだめだ、そんな不確実なことを。そういう一般邦人の御遺骨が一体どこにある、至るところにある、ビルマに行ってもある、だいぶ同胞でやりなさった人がある。台湾はどう処理したとおっしゃる、氏名のわかったお方はそれぞれの仏閣へお引き取り、御奉安を願い、名前のわからぬ方はどうしている。
#119
○説明員(鈴村信吾君) 厚生省の援護局といたしましては、これは一応戦没者に限定いたしまして、それと関連したものにつきましてあわせてやっておるわけでございますが、一般邦人につきましては、一応外務省にお願いしてやっておるわけであります。
#120
○大谷贇雄君 それをおっしゃい、外務省のどこでやっておるか。
#121
○説明員(鈴村信吾君) もちろんやられたことにつきましては不十分な点はあるのですが、一応分担といたしましては、そういうことで分担をして処理しております。
#122
○大谷贇雄君 そういういいかげんなことを言っちゃ困る。そういう不確実なことを速記録に載るこの委員会において答弁はできぬじゃないですか。外務省のどこでやっておりますか。
#123
○説明員(鈴村信吾君) 台湾につきましては、外務省の中国課がこれを所管して現実にやっております。韓国は、日韓条約の調印後やるということで、現在検討中のようであります。
#124
○大谷贇雄君 だれが言いましたか、だれにあなたは聞かれたか、外務省のだれに聞かれたか。
#125
○説明員(鈴村信吾君) 韓国につきましては、実は、私のほうで来年度予算等に組む必要があるのではないかということで検討したのでありますが、外務省のほうでこれは検討しているからという話がございましたので、外務省のほうでやっていただくように期待しております。
#126
○大谷贇雄君 外務省のどこか、外務省といっても広うございます。
#127
○説明員(鈴村信吾君) アジア局の北東アジア課のほうでございます。
#128
○大谷贇雄君 北東アジア課にいた三谷参事官が私を案内していった。そんな計画はありません。いいかげんなことをあなた言ってもらっちゃ困りますけれどもね。
#129
○説明員(大野克一君) 韓国の戦没者並びにもとの陸軍墓地等の問題につきましては外務省のほうで検討するということで、先般私のほうからこれらのデータを差し出してございます。
#130
○大谷贇雄君 それごらんなさい、一般の邦人と違うじゃないか、ごっちゃにしてしまったらだめじゃないですか。
#131
○説明員(鈴村信吾君) 一般邦人については、中華民国の台湾の例によりまして外務省が当然やられるはずでありますが、その他の陸軍墓地、それから、陸軍基地以外の旧軍人の埋葬地がいろいろ韓国にございますが、それらにつきましてはわれわれのほうでやるべきだろうということで、予算要求等も考えたのでございますが、全部外務省で一本で調査その他をやるから、来年度は一応厚生省は見合わしてくれというような連絡もありまして、一応外務省におまかせする形になっております。
#132
○大谷贇雄君 外務省におまかせしたとおっしゃるが、そんな計画はアジア局にはございませんよ。一般邦人に関してはないから、岸さんのところの日韓協力委員会へ話があった。それで、私が幸い行きましたから調査をしてきた。日本国民としてまことに申しわけない、韓国の人にお守りをしていただいて、長年の間費用を拠出をしてやっていなさる。そんなセクショナリズムじゃだめだ、セクショナリズムですよ、そういうことは。
#133
○委員長(小柳勇君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#134
○委員長(小柳勇君) 速記をつけて。
 暫時休憩いたします。再開は大体四時の予定でございますが、午後は、ただいまのと森君の質問の件、それから、母子保健法案を審議いたします。
   午後一時二十六分休憩
     ―――――・―――――
   午後八時二十四分開会
#135
○委員長(小柳勇君) ただいまより再開いたします。
 母子保健法案を議題といたします。
 まず、政府から、本案に対する提案理由の説明を聴取いたします。鈴木厚生大臣。
#136
○国務大臣(鈴木善幸君) ただいま議題となりました母子保健法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。
 政府は、かねてより、児童福祉行政の一環として妊産婦、乳幼児の保健指弾等の母子保健対策を講ずることにより、その健康の保持増進につとめてまいったところでありますが、先進諸国に比べて、わが国の妊産婦死亡率はいまだに高率にとどまり、また、戦後著しく改善向上をみた乳幼児の死亡率、体位、栄養状態等についても、その地域格差が依然として縮小されない等、なお努力を要する課題が残されております。
 このような状況にかんがみ、今後、母子保健の向上に関する対策を強力に推進してまいりますために、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護のための措置を講ずるとともに、乳幼児が健全な成長を遂げる上で欠くことのできない保健に関する対策の充実強化をはかる必要があると考え、第四十八国会にこの法律案を提出いたしましたが、本国会に継続審査となった次第であります。
 次に、母子保健法案の内容について、その概略を御説明申し上げます。
 最初に、この法律案におきましては、母子保健に関する原理として、健全な児童の出生及び育成の基盤ともなるべき母性の保護及び尊重並びに心身ともに健全な人として成長していくための条件ともなるべき乳幼児の健康の保持増進がはかられるべきことを明らかにするとともに、国及び地方公共団体は、母性及び乳幼児の保護者とともに、母性及び乳幼児の健康の保持増進につとめるべきことを明確にいたしております。
 次に、母子保健の向上に関する措置の第一として、母子保健に関する社会一般の知識啓発及び従来児里福祉法において都道府県知事または保健所長の事務とされておりました妊産婦、乳幼児の保健指導、健康診査、新生児の訪問指導等につきましては、今回これを市町村長が行なうべき事務とすることにより、母子保健事業が、住民により密着した行政として一そうその効果が期待できるように配意するとともに、いわゆる未熟児に対する訪問指導及び養育医療については、その事業の特殊性にかんがみ、都道府県知事または保健所長において行なうようにいたしております。
 第二に、妊産婦及び乳幼児に対する栄養の摂取に関し、市町村が必要な援助につとめることを規定いたしております。
 第三に、妊娠または出産に支障を及ぼすおそれのある疾病にかかわる医療についての妊産婦に対する援助でありますが、これは妊娠中毒症対策を中心とする母体または胎児の保護のために必要な援助につき、都道府県が努力すべきことを明らかにしたものであります。
 最後に、母子保健施設に関する規定でありますが、これは、従来から市町村における母子保健事業の拠点として重要な役割を果たしております母子健康センターについて、市町村がその設置に努力すべきことといたしております。
 以上、この法律案の提案の理由について御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#137
○委員長(小柳勇君) 次に、衆議院の修正にかかる部分につき、修正案の提出者、衆議院議員小沢辰男君から説明を聴取いたします。
#138
○衆議院議員(小沢辰男君) 衆議院の社会労働委員会を代表いたしまして、母子保健法案に対します衆議院の修正点につきまして、その趣旨を御説明申し上げたいと思います。
 母子保健時業は、政府案によりますと、原則として市町村がこれが実施主体になることになっているわけでございますが、私どもの修正では、原則として都道府県知事がその実施に当たる、こういうふうにいたしたわけでございます。なお、しかし、市町村長が当然都道府県知事の行なう母子保健事業につきまして必要な協力をする、こういう規定をも入れまして、市町村長の実際面におけるこの実施の円滑をはかるように協力を願おう、それから、第三点は、必要に応じまして、母子保健事業のうちでも、市町村長に委任してやっていただくほうがより有効だと考えられるものもございますので、こういうことにつきましては、都道府県知事は、必要に応じて市町村に委任することができるような規定を置いた次第であります。
 なお、この修正をいたします結果、現在の政府の予算では、市町村に対する交付税ということになっておりますので、これでは実際の修正に応ずる国の補助ができなくなってもいけませんから、そこで、従前の児童福祉法と同様に、母子保健事業の実施に必要な費用を国が負担をするということを書いたわけでございます。
 大体以上が内応でございますが、何とぞ御賛同をいただきたいと思います。
#139
○委員長(小柳勇君) それでは、これより本案に対し、質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言願います。
#140
○山崎昇君 ただいまこの委員会に提案されております母子保健法案について、二、三質問をさせていただきたいと思います。
 いま衆議院のほうから修正をして可決をしたという提案がございまして、私も、政府の原案と修正案を見ますと、修正案のほうがかなり進んでおるというふうに考えるわけでありまして、原則的には修正案に賛成をしたいと思うわけでありますけれども、一、二これらについて政府の見解をお聞きをしたいと思います。
 第一は、いまの修正案の説明の中にもございましたように、財政の問題についてお尋ねをしたいと思います。交付税ですでに十億の金はみておられるのですが、修正をされましたために、これらこの法案の実施にあたりましてどういう予算の措置をとられるのか、第一点としてお聞きをしたいと思います。
#141
○国務大臣(鈴木善幸君) いまお話になりましたように、交付税として市町村が所要の予算の措置をいたしておるのでありますが、この法律の改正によりまして、都道府県が責任を持って実施してまいる、こういうことに相なるわけでございますが、その予算措置につきましては、既定の予算の範囲でこれをまかなっていく所存でございます。
#142
○山崎昇君 いま大臣から答弁ありましたけれども、既定の予算は、一体総額が幾らになって、私どもの調査ですと、昨年度大体五億二千万円くらいかかっておるようでありますけれども、交付税が十億というように決定をされておって、それが法案が修正された場合にどういう支出の方法をとるのか、もう少しひとつ明確にお答えを願いたいと思います。
#143
○国務大臣(鈴木善幸君) 市町村に交付いたしました交付税は、これはバックするわけにまいりませんので、これはそのまま使っていただくつもりであります。なお、都道府県がこの実施のために必要な経費につきましては、国のほうから既定予算の範囲で五億程度の予算は交付できる、こういうことでございますので、さように措置いたしたいと思います。
#144
○山崎昇君 それでは確認いたしますが、この法案の実施に支障ない予算は厚生省の責任で実施をいたしますと、こういうことになりますか。
#145
○国務大臣(鈴木善幸君) そのとおりでございます。
#146
○山崎昇君 それでは、第二点目をひとつ質問させていただきたいと思いますが、この法案は、母子の保健を増進をさせるということで、単独立法までとったわけでありますから、私どもは、何といっても、これをやはり完全に実施をして支障のないようにしていきたいと、こう思うのですが、ただ、この中で、第十条の規定による都道府県知事、あるいは政令市にあっては市の長が直接保健指導をすることになっております。この場合に、二十一条の四項によって、あとで扶養義務者から要した費用を徴収するということに規定をされておりますが、これは児童福祉法にもない規定であって、私どもはきわめて不当な規定じゃないかと、こう思うのですが、これらについての見解をひとつお聞きをしたいと思います。
#147
○国務大臣(鈴木善幸君) 第二十一条に「徴収することができる。」と、こういう規定がございますが、この規定がございましても、地方公共団体の長が実施する保健指導の費用につきましては徴収はいたさない、こういう考え方でございます。将来、その趣旨に基づきまして、適当な機会に法律の修正も考えていきたいと思っております。
#148
○山崎昇君 規定はあるけれども、実際上は死文と同様に扱うという御趣旨になろうと思いますが、そういうふうに確認をしたいと思うのです。それから、あわせて、いま大臣から、将来それらの規定については改正をしたいということですが、私のほうは、将来といってもいつになるかわかりませんので、ひとつ次の国会で明確にこの点については削除するならする、こういうふうにお答えをいただきたいと思います。
#149
○国務大臣(鈴木善幸君) できるだけ早い機会に改定したいと思います。
#150
○山崎昇君 それでは、大臣が責任を持って早い国会で改正をするというのですから、了解をしたいと思うのです。
 最後に、もう一点お聞きをしたいのですが、今度の法案を見ますというと、母子センターの設置についても、かなり進んだお考えを持っておるようでありますけれども、私どもは、この母子センターが各市町村に一つずつ必ずつくられるという御趣旨なのか、あるいは幾つかの町村をまとめてこのセンター的なものをつくるという御趣旨なのか、この点をひとつ明確にしてほしいということと、各市町村につくる場合には相当な予算もかかることだと思うのですが、それらについての対策を十分されるというお考えがあるかどうか。
#151
○国務大臣(鈴木善幸君) この母子健康センターは、母子保健行政を進めてまいります第一線の重要な拠点でございまして、これを整備することが非常に大切である、このように考えています。ただ、法律にはそのことを年次計画でやるということを明記はいたしておりませんが、予算措置といたしまして、私は、年次計画で全国的にこの整備をはかってまいりたいと、このように考えます。
#152
○藤田藤太郎君 関連して。私は、一言関連して申し上げます。二十一条の四項の条項については、都道府県知事または政令市長が直接実施する場合には徴収しないという確認をされた。それから、その時期はやはりいろいろあるわけですから、次の国会にはこれを改正するということを明確にしておいてもらわないと、将来近いということでは私は明確にならないと思うのです。それは明確にしておいてもらいたい。
#153
○国務大臣(鈴木善幸君) 次の国会で実現するようにいたします。
#154
○山崎昇君 そこで、私は、この機会に、ぜひひとつ大臣に、質問はまあこの程度にして、一、二要望意見を申し上げておきたいと思うのですが、それは私どもがずっと出先を回って見ますというと、保健所の業務がきわめて増大をしておるわけです。そこで、保健所の人員等の問題については、ひとつ積極的に御考慮を願いたい。特に医師、保健婦、看護婦等の補充はきわめてたいへんな状態にあるわけですから、それらの点は待遇問題とも関連してひとつ御配慮をいただきたい。これが第一です。
 それから、第二に、私は少し誤解があったらいけませんけれども、どうも各省の中で、厚生省の部局に勤務する職員の方々が一番恵まれない状況に実はあるんじゃないだろうか、こういう気がしてなりません。特におわかりのように、厚生省の出先機関というのは、やっている仕事というのが暗い仕事がおもなわけでありますし、また、非行少年の施設にせよ、あるいはその他の施設にせよ、ほとんど市街地から遠いところに設置をされておる、ですから、職員が通勤するにもかなり困難をきたしておる、あるいはこの施設に伴った公舎等の設置がきわめて少ないために、これまた夜間等の管理に支障を来たしておる、こういう状態でありまして、ぜひ私は、この厚生省所管の職場に勤務する職員等の待遇、あるいは労働条件の改善等については最大の考慮をひとつ払っててもらいたい。一、二大臣に申し上げておきますと、たとえば非行少年の施設なんかの場合は、自分の子供は親戚なり、あるいはほかのほうに預けて自分は生活をしなければならないというようなところもありますし、あるいは寮に入っておる名については、これはもう朝から晩まで一緒にこの少年と過ごすために、自分の生活だか公の生活だか区別ができない、あるいは休暇も取れない、こういう状態でありますから、机上だけで人員の計算なんかせずに、もう少し私は出先に行って見てこれらの実情を把握してもらいたい、こういう意味で住宅の問題等を中心にして、ぜひひとつ配慮を願いたい、こう思うわけであります。
 きょう私はここにひとつ北海道の、これ道庁の組合の機関誌ですけれども、乳児院の実態なんかでされておりまして、三人で一日に毎日二千枚のおしめを洗うというんですね、こういう状況なんかを一体大臣は知っているか知らないかわかりませんが、どうかひとつ私は、職場そのものがつらいわけですから、ぜひとも労働環境だけでも明かるくして、そうして大臣のせっかく言われております厚生行政が、苦心惨たんしておられる職員の側からもっと希望のあるような条件をつくってやっていただきたい。単に特勤手当が五、六%ついているからいいんだというようなことにならないように御配慮をいただきたいと思うのです。これらについて、できればひとつ大臣から決意を述べていただいて、次の機会までに明確な具体案を出していただきたい、このことをひとつ要望しておきたいと思います。
#155
○国務大臣(鈴木善幸君) 保健所の職員、特に保健婦、助産婦はじめ、病院や療養所、あるいは諸施設に働いております看護婦さんその他の職員の方の待遇の改善、勤務条件の改称向上、こういう面につきましては、御指摘いただきましたように、私もきわめて不十分である、このように考えておるわけでありまして、看護婦、あるいは保健婦、助産婦の養成をはじめ、待遇の改善等につきましては、今後十分努力をしてまいりたいと考えております。
#156
○浅井亨君 いま私がお開きしようと思ったことを御返事願いましたので、養成の問題でございますが、これはわかりました。
 次いで、今年度の予算には補助金というのがないのでございますが、これはどういうふうになっておりますか。四十年度にはないと思うんですが。
#157
○政府委員(竹下精紀君) どういう――補助金に関する予算でございますか。
#158
○浅井亨君 ええ。
#159
○政府委員(竹下精紀君) 四十年度に関しましては、大部分の費用を交付税に回しまして、母子保健に関する費用といたしましては、妊娠中毒症の費用と、それから未熟児の対策費、これが補助金として残っております。
#160
○浅井亨君 もう一つお聞きしたいのは家族計画ですが、いまやっておるのは大体妊娠中絶が主体になっているように私は思うのですが、こういう面はどのようにお考えになりますか、こういうものの指導は。
#161
○国務大臣(鈴木善幸君) 家族計面は、非常に母体の保護、尊重の面からいたしましても大切なことだと考えております。ただ、これを指導によってその目的を達しようということにつきましては、非常にデリケートな問題を含んでおりますし、各家庭の事情等に応じて、これを適切に指導していかなければならない、このように存ずるわけでありますが、なお、先般厚生省から出しました厚生白書等にも書いてございますが、人口構造等の観点から考えましても、家族計画ということが非常に今後大切であると考えておりますので、特に留意してまいりたいと思います。
#162
○横山フク君 関連です。いま浅井さんからの御質問で、本年度の予算では妊娠中毒症と未熟児だけしかないと御答弁であった。しかし、先ほどの御質問のときに、予算は補助金には入っていないけれども、厚生省のほうで予算措置をして、そしてこの法律を施行するのに支障のないように予算をとるという御答弁であったと思います。それで、ただ、その支障のない予算をとるという、支障のないというのが、考え方によってはいろいろと違うと思うのです。で、支障のないというのは、私たちの考えでは、三十九年度に補助金でとられただけの額というものは、今年度も何がしかでもって確保されるというふうに私は解釈をしたいのですけれども、その点はいかがなんでございましょうか。
#163
○政府委員(竹下精紀君) 今年度交付税に入っておりました費用は、妊産婦、乳幼児の保健指導、健康診査費、新生児訪問指導費、三歳児健康診査費、妊娠中毒症訪問指導費、妊産婦、乳幼児登録管理費、家族計画特別普及費、母子保健、母子歯科保健指導費、以上でございまして、三十九年度予算が約一億八千万円でございますので、この一億八千万円につきましては、先ほど大臣が答弁しましたように、四十年度は補助金へ返ってくる、こういうことでございまして、昨年度以上に努力をいたしたい、かように考えております。
#164
○高山恒雄君 私は、この修正案についてちょっと質問したいのですけれども、この必要に応じて母子保健事業を市町村に委任して行なうことができると、こうあるのですね。この場合には、四は、従前の児童福祉法と同様に、国がいろいろ予算を出してやるとか、こういう場合は、委任された以上は、その市町村は直接国にやれるという権限を持つのか、それとも県の了解を求めてやるのか、この点はどうなんですか。
#165
○政府委員(竹下精紀君) この修正案の要綱の第四点につきましては、ただいま御指摘ございましたように、都道府県が市町村に委任しました場合には、市町村に対しまして都道府県を通じまして補助金を出す、こういうことでございます。なお、この修正の趣旨に従いまして、今年度の問題につきましては、現在都道府県が市町村に委任するという内応でございますが、まあやはりこれはある程度統一的に考える必要がございますので、とりあえずの問題といたしましては、母子健康手帖の交付の事務を委任をするということをいま考えております。
#166
○高山恒雄君 そうなりますと、そういうものを設けたいけれどもやれない、財政上苦しい市町村ですね、これは非常におくれますね。市町村を対象にしてやるというならおくれないのですけれども、県がやる場合は、非常に僻地だとかいうような市町村になりますとおくれますね。そういう処置は県がそれをやる、政府はそれを指導してそういう地域には特別の配慮をやるとか、こういうことは全然考えていないのですね。やれる地域とやれない地域がありますね、その点はどうなんですか。
#167
○政府委員(竹下精紀君) 御指摘のような点がございまして、現状では都道府県に行なわせる、こういうことになったわけでございますので、市町村のほうにできるだけの力がつくように指導をいたしたいと思っておりますし、その内容としましては、やはり項目によってまあ逐次委任をしていくということがいいのじゃないか。しかしながら、これもすぐということはなくして、実際に市町村が力をつけるように県を通じまして指導してまいりたい、かように考えております。
#168
○委員長(小柳勇君) おはかりいたします。
 林塩君より委員外議員の発言を求められております。これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#169
○委員長(小柳勇君) 御異議がなければ、さよう決定いたします。林君。
#170
○委員以外の議員(林塩君) 私は二、三点質問をいたしたいと思います。簡単にいたしたいと思います。
 で、原案に出ておりましたのが市町村に母子保健行政をするということでございまして、ほんとうは住民でございますので、そのほうが徹底するけれども、どうしても交付税では無理だというようなことで修正ができたと思います。将来やはり母子保健行政を徹底していきますためには市町村に移管するほうがいいとお考えになっておられますかどうか。それから、原案にもそのとおりはっきり書いておりましたですけれども、その見解を伺いたい。その次に、もう一点伺います。
#171
○国務大臣(鈴木善幸君) 地域住民に密着した母子保健行政をやっていきたい、こういう基本的な方向としては、私は、将来もそういう方向を目ざしてやっていきたいと思うのでありますが、いま直ちに行なうということにつきましては、いろいろ指導職員、その他あらゆる面で準備が十分いっていない、こういう面がございますので、将来はそういう方向を目ざしながら着実に進めてまいりたい、こう考えております。
#172
○委員以外の議員(林塩君) それにつきまして、なぜ今回それではそれができなかったということの中に、修正が出ました中に、医師とか保健婦、助産婦、看護婦の数が足りないということが出ております。これはもう国として非常に大事な問題でございます。先ほどもお話があったかと思いますが、それについて、将来そういうふうに持っていくならば、もっと具体的な何かが至急に立てられなければならないと思うのでございますが、これについて、こまかいことは伺いませんが、御方針だけ伺いたいと思います。
#173
○国務大臣(鈴木善幸君) 先ほど実はその点に触れまして、保健婦でありますとか助産婦の養成、また、待遇の改善、そういう面には特段の努力をしてまいるということを私申し上げたのであります。
#174
○委員以外の議員(林塩君) 次に、牛乳の問題でございますが、これはたいへんに低所得老の妊産婦並びに乳児にとっては、非常に栄養の向上の上からりっぱなことだと思うのでございますが、これは将来も続けていらっしゃる御予定でございますか。
#175
○国務大臣(鈴木善幸君) 今後も継続いたしますし、さらに拡大してまいりたいと考えております。
#176
○委員以外の議員(林塩君) これは末端の配給になりますと、なかなか当局が考えられているようにこまかく配給ができないような機構になっているということでございますが、この点どういうふうに御指導になるおつもりでございますか、伺いたいと思います。
#177
○国務大臣(鈴木善幸君) これは牛乳の生一座の面、あるいは輸送の面、それから、これを各家庭に配給いたします面、いろいろ地方によって実情が違うと思うのでありまして、そういう面を今後総合的に改善をいたしまして、このせっかくのいい私は施策だと考えておりますので、それを広げていくように努力したいと考えております。
#178
○委員以外の議員(林塩君) もう一点伺いたいと思います。それはぜひそのように拡大強化していっていただきたいと思いますが、さらに一つ気になることがございます。それは、生活保護世帯六千人の中の妊産婦に対して牛乳を支給するが、それは届け出があったときにと、こうなっております。実際は妊娠をしましてもなかなか届け出をしないそうでございます。それで、生活保証の人たちは、生活保護を受けていながらそういう子供を生むということはというようなことで、まことに届けにくい状態だということも聞いておりますので、この辺については、特にその辺の、せっかくこういう牛乳ももらえるというような状態とあわせて、ほんとうに必要なのは、そういう人たちに妊娠中に必要な牛乳でございますので、この点、ひとつ末端においてそごのないように、行政指導を特にお願い申し上げたいと思うわけでございます。
 いろいろ申し上げたいと思いますが、時間もございませんので、これをもって終わりとします。
#179
○横山フク君 関連。ただいまの牛乳でございますが、私は、これは生活保護やボーダー・ラインの、いわゆる貧困者に対する栄養補給ということだけでなくて、一般の妊婦の人々の栄養対策、いまの生活保証階級やボーダー・ラインのミルクの配給はもちろん非常にけっこうです。ただ、このミルクの配給というものは、生活保護や何かの貧困対策としてやっているのではなくて、妊婦の人人や、将来の日本人の栄養対策という角度から私はこれは進めてもらいたい。したがって、これは貧困者だけでなくて、できるなら、妊娠したすべての方々に配給するように推し進めてもらうということが私は基本的な線だと思うのでござますが、これに対して厚生大臣はどうお考えになりますか。
#180
○国務大臣(鈴木善幸君) その点につきましては、先ほど、この制度を継続するだけでなしに、広げてまいりたい、それについては、牛乳の生産から、あるいは貯蔵、輸送その他の問題もございますので、総合的に対策を進めてまいる、こういうことを申し上げた次第でございます。
#181
○委員長(小柳勇君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#182
○委員長(小柳勇君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#183
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 母子保健法案(第四十八回国会閣法第九六号)を問題に供します。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#184
○委員長(小柳勇君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって衆議院送付案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#185
○委員長(小柳勇君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後八時五十六分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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