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#1
第049回国会 公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号
昭和四十年八月十日(火曜日)
   午前十時五十五分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         石井  桂君
    理 事
                小林 武治君
                吉江 勝保君
                松本 賢一君
                多田 省吾君
    委 員
                新谷寅三郎君
                天坊 裕彦君
                加瀬  完君
                小酒井義男君
                鈴木  壽君
                横川 正市君
   国務大臣
       自 治 大 臣  永山 忠則君
   政府委員
       警察庁刑事局長  日原 正雄君
       自治省選挙局長  長野 士郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        鈴木  武君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○公職選挙法改正に関する調査
 (参議院議員通常選挙の施行状況等に関する
 件)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
    ―――――――――――――
#2
○委員長(石井桂君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、永山自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
#3
○国務大臣(永山忠則君) 私は、先般の内閣改造にあたりまして自治大臣兼国家公安委員会委員長に就任いたしたのでありますが、選挙の関係につきましては、かねてからの格別の御高配にあずかっており、この機会に皆さん方に厚く御礼を申し上げるとともに、今後格別の御指導と御協力を賜わりますようお願い申し上げる次第であります。
 この機会に、最近行なわれた選挙の結果と選挙制度審議会の審議状況について、その概要を御説明を申し上げ所懐の一端を申し述べたいと存じます。
 まず、先般行なわれました参議院議員通常選挙と東京都議会議員選挙の結果について御説明申し上げます。
 第七回参議院議員通常選挙は、去る七月四日執行され、全国区の補欠議員二人を加えまして百二十七人の参議院議員が選出されたのであります。
 特に今回の選挙におきましては、九州地方の豪雨のため、その投票日を繰り延べざるを得ない事態が生じまして、熊本県下の一部の投票区におきましては、豪雨による交通途絶のため、投票日を十一日まで繰り延べて執行いたしました。
 投票率につきましては、当初、従来の選挙に比べまして担当低下するのではないかと心配をいたしたのでありますが、結局前回昭和三十七年の選挙を一%下回る六七%にとどまりました。これは戦後第三番目の成績でありますが、国民の国政に対する自覚が十分に高まってきているとは言明しがたいのではないかと考えられます。
 特に今回は、男女投票率の差が一・八%と著しく縮まりました。東京、大阪、神奈川及び高知の四都府県においては婦人の投薬率が男子のそれを上回ったことは喜ばしい現象であると思われます。
 投票の結果につきましては、すでに御承知のとおりでありますが、自治省といたしましては、選挙の管理執行上問題となった事項を調査検討し、今後の選挙制度の改正等に資するため、現在、地方の選挙管理委員会等に対して、その詳細について照会しているところであります。早急にこれをまとめその具体的な検討に入りたいと存じております。
 次に、去る七月二十三日執行されました東京都議会議員の選挙についでありますが、この選挙は六月に制定されました地方公共団体の議会の解散に関する特例法に基づき行なわれたものであり、国民の注目のもとに執行されたのでありますが、投票率は戦後最低の五八・五%を示したことは、はなはだ遺憾に存じております。
 選挙の管理執行上の問題点につきましては、現在調査中でありますが、この選挙により選出された百二十人の議員により東京都政がさらに明るく正しく行なわれることを強く期待するものであります。
 次に、選挙制度審議会の審議状況について御説明申し上げます。
 第三次選挙制度審議会は、昨年九月以来、内閣総理大臣の諮問に基づき選挙区制その他選挙制度の根本的な改善策について鋭意審議を重ねているところでありまして、昨年末までに七回の総会を開催して一般的な意見の発表及び討議が行なわれ、その後選挙区制及びその他の選挙制度を分掌審議する委員会をそれぞれ設け、本年初めから七月末までに両委員会通算して二十一回の会議を開催しております。
 選挙区制については、単純小選挙区制、小選挙区比例代表制、比例代表制、中選挙区制限連記制などの意見が述べられており、目下これらの改正意見についての調整がはかられております。
 選挙区制の改正に伴うその他の選挙制度については、選挙区制に関する審議の状況と見合って、個人本位から政党本位の選挙に移行する場合の諸制度のあり方について項目別に論議している段階であります。いずれも任期が満了する本月二十八日までに最終的な結論を得ることは困難な状況でありますので、来たる二十六日の総会において、これまでの審議の経過を取りまとめて報告して・今次審議会の審議を終える予定であります。政府といたしましては、諮問事項が選挙制度の基本であるとともに、我が国民主政治のあり方に重大な影響を及ぼす事柄でありますので、あらゆる点から慎重に審議をしていただき、なおかつ、衆議院議員の選挙につき答申を得ました上は、引き続いて参議院の選挙制度についても御審議をお願いする考えでありますので、現在の委員各位に再任願い、次の第四次選挙制度審議会を引き続き発足させたいと考えております。答申の時期等につきましては、でき得れば本年中に具体的な選挙区割以外の選挙制度の改善策についても御答申を願い、選挙区割りについては、本年十月の国勢調査による人口数が判明した後においてすみやかに結論が得られるよう希望しております。
 以上・最近執行されました二つの選挙の結果と選挙制度審議会の審議概要を申し述べるとともに、選挙制度の今後の取り扱いについて御説明をいたしましたが、いずれにせよ、国民の政治に対する信頼を確保するため、選挙制度の合理化と政党本位の選挙の実現に最善の努力を尽くす所存であります。何とぞ今後ともよろしくお願いいたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(石井桂君) 次に、公職選挙法改正に関する調査を議題といたします。
 参議院議員通常選挙の実施状況等に関する件につきましては、前回の委員会におきまして説明を聴取いたしておりますので、本日は、これに対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
#5
○加瀬完君 簡単に伺いますが、ただいまの御説明によりますと、大体、選挙制度審議会の答申を待って政府は改正内容をきめるというように受け取れますが、そうでございますか。
#6
○国務大臣(永山忠則君) 選挙制度調査会の答申を尊重いたしまして、議会側とよく相談してやりたいと考えております。
#7
○加瀬完君 政府としては、特に衆議院における選挙制度についての考え方というのは固まっておらないですか。
#8
○国務大臣(永山忠則君) 政府としてはまだ固まっていないのでございます。
#9
○加瀬完君 この案が確定をするのは、本年十月の国勢調査によって、人口の変動がございますから、それの調査結果を見て、そのあとできめるということになりますね。
#10
○国務大臣(永山忠則君) 委員会のほうで、やはりそういう国勢調査の結果を待ちまして、それを見た上で審議が進められるものであると考えておるのであります。
#11
○加瀬完君 そうすると、政府として改正案として提案される時期というのは、見通しをつけまして、大体いつごろになりますか。
#12
○国務大臣(永山忠則君) 政府といたしましては、まだ方針をきめておりません。審議会の答申を待ち、議会側とよく相談をいたしまして方針がきまるものであると思います。
#13
○加瀬完君 具体的に伺いますが、大体審議会の意見というのは三つに固まったようでございますね。それで、単純小選挙区制は絶対におやりにならない、こう受けとってよろしゅうございますか、政府として。
#14
○国務大臣(永山忠則君) 答申を尊重いたしまして、また議会側とよく相談してやりたいのでございまして、まだ方針は決定をいたしておりません。
#15
○加瀬完君 一部には単純小選挙区制になるのではないかという声が非常に強いわけでございます。いまの大臣のお考えとしては、単純小選挙区制という答申が出ました場合は、やはり単純小選挙区制をおとりになる、こういうお考えでございますか。
#16
○国務大臣(永山忠則君) そういう答申が出るか出ないかということが全然まだ未決定でございますし、また、答申をする場合でも、議会側の特別代表者が出ておられますので、それらのお方と十分意見の交換があるものだと考えておるのであります。
#17
○加瀬完君 それはいろいろ交換はございましょうが、結局法案として出すのは政府の責任ですから、もし単純小選挙区制という内容の答申が出ましても、政府の態度としては、反対だとかあるいは出ればこれを受けて立つとか、それぞれの御判断があろうと思います。
#18
○国務大臣(永山忠則君) 答申が出てみなければどうも全然わかりませず、さらに、政府が独善的にきめることはございません。議員の最も重大なる関係のものでございますから、議会側の意見を十分徴してやるという考えでございます。
#19
○加瀬完君 新聞によりますと、次の選挙において小選挙区制というものが行なわれるということはまずないと、そういう意味の大臣のお答えが衆議院でおありのように拝見をしたのでございますが、時期からいいまして、改正をして選挙をするというのに時間的に間に合わないであろうという御判断ですか、次の選挙においては。
#20
○国務大臣(永山忠則君) 次の選挙がいつどういうように行なわれるかということもわかりませず、また、答申を待ちまして十分皆さん方と御相談申し上げる関係がございますので、どういうようになるかということについては全然白紙でございます。
#21
○加瀬完君 他の質問をなさる御予定の方もあるようですから、私は簡単にあと二点ばかり伺いますが、ただ答申に沿っておやりになるということだけでは困るわけでございまして、自治省として、たとえば衆議院の定員是正といいますか、三人区を五人にするとかあるいは一つの区を二つに分けて定員を三、三にするといったような、東京や大阪で行なわれたようなことが、東京、大阪のみにかかわらず、相当現在アンバランスになっていると思う。今度の改正の内容としては、そういう定数是正というものは行ないますか。
#22
○国務大臣(永山忠則君) 国勢調査の結果を見て、そして十分御審議をいただきたい。ということは、地域性の関係、定数の問題、人口問題、あらゆるものが総合されて御検討いただくものではないかと考えております。
#23
○加瀬完君 具体的に述べます。ある県で有権数が三十万弱で定数四、四十五万で定数五、八十五万で定数四と、こういう一つの県の中にも非常にアンバランスがありますね。こういうものは当然是正されなければならないと思いますが、自治省としてのお考えはどうですか。こういう点は是正をするお考えですか。それとも各地域のこまかい点には今度の改正は触れさせたくないというお考えですか。
#24
○国務大臣(永山忠則君) 自治省としての指導的な意見をいま持っておりません。審議会におきまして、議会側の代表も出ておられますから、十分ひとつ論議を尽くしていただきまして、それによって方針を御相談の上できめたいという考えでございます。
#25
○加瀬完君 自治省は選挙局というものを持っているわけですからね。事務当局において当然、審議会にかけて審議にゆだねるべく材料というものは提供しなければならないわけですね。ただあなたまかせで、出たものをとるかとらないかを政府できめるということでは・少し無責任だと思う。いま言ったような定員是正というものは一部行なわれておりますけれども、それは東京、大阪とかあるいは兵庫一部に限られまして、全国的に見て非常にアンバランスがある。こういうものを是正しなければ、たとえば先ほど申しましたように三十万で四名、八十五万あるいはこれはだんだん毎年膨張しますから、国勢調査のときには九十万ということになるかもしれない。九十万で四名ということでは、これはその一票の民意というものは平等ではなくなるわけですね。これは当然是正さるべき問題じゃないかと思いますが、これも審議会の答申だけにおまかせするということですか。
#26
○国務大臣(永山忠則君) 審議会では各党代表等に出ていただいておりますので、十分ひとつ意見を交換していただいて、適正な答申をいただきたいと考えております。
#27
○加瀬完君 これ一つで終わります。今度の参議院の選挙で、たびたびこれは選挙関係の法案あるいは問題の審議のときに出たことでございますが、高級公務員の立候補制限のことが選挙のたびごとに出るわけです。選挙違反とからまって・高級公務員の立候補制限ということについて・大臣はどうお考えになりますか。大臣個人の御意見を承ります。
#28
○国務大臣(永山忠則君) 高級公務員の立候補関係につきましては、現行法で地位利用の関係、あるいは地盤培養の規制、あるいは連座の特別規定というようなもので制約をされておりまして、現にそれによって取り調べを受けている関係もございますので、それだけではとてもいかぬのではないかというように考えられておりますので、この点に対しては、まあ公務員の範囲の問題、さらに泡沫候補の問題等、立候補上の諸種の問題がございますので、審議会でさらに御検討をお願いいたして、十分ひとつ御審議を願いたいと考えておる次第でございます。
#29
○多田省吾君 第三次選挙制度審議会のメンバーは、ことさらに小選挙区制に賛成の者等を集めたきらいがありますけれども、次の第四次選挙制度審議会においては、全員の再任ではなくして中選挙区制並びに中選挙区比例代表制を主張している学者等を含めるような考えは全然毛頭ないわけでございますか。
#30
○国務大臣(永山忠則君) ただいま中選挙区制限連記の関係等の論議も強くされておりますし、小選挙区比例代表の問題等も論議され、比例代表等あらゆる角度で論議をされておりまして、すでに一年間いろいろな角度で検討されていることでございますので、引き続いてその方にお願いすることがきわめて妥当だというように考えておる次第でございます。
#31
○多田省吾君 自治大臣はそうおっしゃっておりますけれども、この第四次選挙制度審議会の再任の問題は、国民の大部分が、第三次選挙制度審議会は小選挙区制を主張している学者のみが多い、どうしても中選挙区制並びに中選挙区比例代表制を主張している学者も入れるべきだという声も強いわけです。そういう気持ちは毛頭ないのかお聞きしているわけです。
#32
○国務大臣(永山忠則君) そういうような意見を強く申されている方も相当ございますが、いまのままでお願いすることが適当だと考えております。
#33
○多田省吾君 加瀬委員の質問にも関連いたしますけれども、自治大臣は、この前、今度の衆議院選は新しい選挙区制で行ないたいという意見も述べておられますが、現在のお考えはいかがでございますか。
#34
○国務大臣(永山忠則君) 私はそういうような意見を述べておりません。選挙制度に関する限りは、全く政府独善を排して、議会側の意見を十分ひとつ尊重いたしましてやるというようにいたしたい。
#35
○多田省吾君 それでは七月の二十六日の朝日新聞等において報道された自治大臣の意見というものは、全然事実無根であるというわけでございますか。
#36
○国務大臣(永山忠則君) さようでございます。
#37
○松本賢一君 ちょっといまの質問に関連してお聞きしたいのですけれども、さっき大臣のおことばに、選挙がいつどんな形で行なわれるかわからないというようなこともありましたけれども、少なくともあと二年三カ月かたてば、必ず選挙があ選るわけなんです。ですから、それまでにはどうしても新しい選挙法によって臨むというお考えはどうなんですか。
#38
○国務大臣(永山忠則君) それまでに臨むか臨まぬかということも、やはり皆さん方の意見を十分ひとつ尊重いたしましてきめたい、こういうように考えております。
#39
○多田省吾君 小選挙区制並びに小選挙区比例代表制案によりますと、東海大学の白鳥講師並びに私どもの調査では、どうしても与党自民党に有利な区割りである。そして、今度の参議院選あるいは衆議院選のデータをもとにして調べますと、たとえば小選挙区比例代表制案によれば、四百名の小選挙区制による議員、また百名の府県選出議員による合計五百名の議員の案によりますれば、大体三百九十六名は自民党の議員によって占められ、社会党の議員は九十六名に減ってしまう。ましてや小選挙区制五百名案によりますれば、四百数十名が自民党の議員だが、社会党の議員は七十数名になってしまう。そういうデータが得られるわけでございます。これによって、自民党は現在の参議院選挙あるいは東京都議会選における敗退の風潮というものを何とか小選挙区制によって挽回して、そして一党独裁をはかり、戦争につながる憲法改悪の道を歩んでいくのではないかという懸念を国民の大多数は持っているわけでございます。第三次選挙制度審議会は、ことさらに小選挙区制論者を集めたきらいがありますので、もし小選挙区制あるいは小選挙区比例代表制が答申されても、現在の民主政治を守るために、小選挙区制、小選挙区比例代表制について、政府はそのような答申を尊重しないという、そういう御意見はありませんか。
#40
○国務大臣(永山忠則君) 委員会で、まあ皆さん方の代表もおられますので、十分ひとつそれらの点を論議をいただきまして、多数横暴、独善に陥ることのないように、きわめて公正なる答申が出ることを期待いたしておるような次第でございます。
#41
○多田省吾君 選挙制度審議会について、もう一点だけお尋ねいたしますけれども、小選挙区制並びに小選挙区比例代表制になりますれば、どうしても過去の例から見て一・五倍ほど金がかかり過ぎる選挙になる。また、派閥解消どころか、かえって競争が激しくなる。あるいは全国的に名を知られているような大ものが出てこない。さまざまな欠点があるわけでございますが、その点に関して、自治大臣はどのようにお考えになっておられるか、お尋ねします。
#42
○国務大臣(永山忠則君) それらの点も強くいわれておる点でございますので、よく審議会で論議を尽くしていただきいと考えておる次第であります。
#43
○多田省吾君 このたびの参議院選挙におきまして、泡沫候補の問題が非常に議論されております。絶対当選しようという意思もないような、政治理念も政策もないような、また立会演説会にも欠席をして顔を出さない、ポスターもはがきも出さない、本人に立候補の意思がなくても、立候補の手続がとられているというような、いわゆる泡沫候補が全国各地に多数立候補しております。今度の参議院選を行なった公費は総計四十二億円と聞いております。全国区、地方区平均いたしますと、候補者一人あたり千二百三十五万円かかっているわけであります。このような選挙を食いものにするような、いわゆる泡沫候補を締め出せというような世論が沸騰しておりますが、自治省当局はどのようにお考えになっておられるか。
#44
○国務大臣(永山忠則君) 泡沫候補の点に対しても、お説のような状態でございますので、審議会で十分審議をお願いいたしたい、あるいは政党選挙を強く主張し、あるいは供託金を引き上げるというような議論等も行なわれておりますので、十分ひとつ御検討を願うようにお願いをいたしたいと考えておる次第でございます。
#45
○多田省吾君 次に選挙公報の問題でございますけれども、東京地方区大阪地方区、全国区の一部に、政策ではなくて、特定の団体に対する卑劣な中傷、誹謗等に終始をしている選挙公報がたくさん掲載されております。そうして現行の選挙法によりますと、原文のまま選挙公報に掲載しなければならないという規定もあり、また、自治省から出ておりますところの公職選挙法逐条解説によりましても、掲載文の内容が犯罪を構成するような疑いのある場合においても、たとえば、選挙公報の内容が破壊活動防止法違反の疑いによる場合でも、原文のまま公報に掲載する以外にはないというような解説も出ておるわけでございます。これは選挙の自由を妨害し、また非常にいまの参議院選挙、あらゆる選挙というものを、非常に腐敗をさせている根幹になっているわけでございます。この点に関し、自治省においては選挙公報の問題について、選挙法を改正する意思がおありかどうか、お尋ね申し上げます。
#46
○国務大臣(永山忠則君) 選挙公報の関係は、お説のような状態がございますので、この点も選挙制度審議会で十分検討をしていただいて、善処もしなければならぬ問題であろうと考えております。
#47
○多田省吾君 先ほどから自治大臣は、政党本位の選挙にしなければならないということを強調しておられます。現在選挙公報を出ている国は、アメリカの三州にすぎない、イギリス等の各国においては選挙公報というものは出していない。日本独自の選挙のあり方でございます。このような中傷や、あるいは誹謗のみを掲載してもよろしいような――そのような選挙公報の掲載を許せるわけがありませんので――そういう選挙公報であるならば、撤廃ということも当然考えられますし、また、それだけでは国民全般に候補者の政見、政体等を周知さすわけにはいきませんので、買収に対する罰の規定を重くして個別訪問を許すとか、そういったあれは考えられないかどうか、自治大臣にお尋ねしたいと思います。
#48
○国務大臣(永山忠則君) 選挙公報の関係は、非常に要望する向きも、国民の声が大なるものがございますので、その内容等に関して、先刻申し上げたようなことの結果が起こらないように、その点については十分ひとつ審議会で検討を続けてもらいたい、なお、政党本位の制度とあわせて検討する大きな問題であると考えております。
#49
○多田省吾君 自治大臣もお忙しいようですから、最後に一つだけお伺いいたしますけれども、投票の入場券の問題でございますけれども、現行の選挙法においては、基本選挙人名簿の職権調整の際に、前に入場券が来た人も非常に抜けている場合が多い。たとえば千葉市におきましては千何百名か集団で基本選挙人名簿への記載が抜けている。そのために閲覧をしなかった人が選挙当日投票ができなかったという例が多いわけでございます。この点に関して、特に移動の激しいところは脱漏も多いし、また、補充登録にしましても、補充選挙人名簿から落ちている場合は、閲覧期間がありますけれども、三回も四回もウイークデーに足を運ばなければならないということは、全く国民を思弁したような選挙法である。また、基本選挙人名簿に、はたして記載されているかどうかということを閲覧するためには、確実を期するためには七千万人の選挙民が閲覧をしなければならないというような、非常に不合理な選挙法でございます。その点に関して、基本選挙人名簿を公報として閲覧するとか、当然日本国民として、国民の権利として国政に参加する機会が失なわれないようにすべきであると思います。また、入場券も、地方自治体やあるいは選挙の管理団体においては、入場券を前もって配付するところ、配付しないところ、いろいろまちまちでございますが、その辺は入場券をあらかじめ一カ月前ほどに配付するというような措置が考えられないかどうか、その点をお尋ねしたいと思います。
#50
○国務大臣(永山忠則君) ただいまの選挙人名簿の関係、この脱漏と入場券の問題等、今度の選挙を通じまして、前からもございますが、きわめて重大な要素を持っておりますので、この点に対しましても審議会で十分検討を願うようにいたしたいと考えております。なお、詳細については、選挙局長から御答弁を申し上げさしていただきます。
#51
○政府委員(長野士郎君) お話のございました選挙人名簿の脱漏を防ぎます一つの方法といたしまして、なるべく早目に投票入場券を配付する。そして入場券のこなかった人が気がつくようにする、これは非常に私どももいい方法だと思っております。地方によってはそういうことによりまして脱漏の防止に役立たしておるところも相当ございます。今後ともそういう方法を広げるようにいたしてまいりたいと思っております。先ほど大臣がお答え申し上げましたように、名節の脱漏につきましては、最近、社会移動が非常に激しいものでございますから、どうも相当大都市周辺を中心にいたしまして名簿の脱漏というものがこの前の参議院選挙の場合でも相当あったようでございます。非常に残念だと思っておりますが、これらの点につきまして名簿の作製の立て方、考え方を根本的に検討するという意味を含めまして、大臣が申し上げましたように、この次の選挙制度審議会の中には、選挙の手続についての研究をしてもらいますための一つの小委員会と申しますか、何かをつくっていただきまして、選挙管理委員会の代表者も委員として出ておりますので、そういうところでひとつ詳細に検討をしてもらいたいと思っております。
#52
○多田省吾君 現行の選挙法では、基本選挙人名簿の脱落とかあるいは補充選挙人名簿を申請した場合の脱落とかという場合に、脱漏が激しい場合には一体だれが責任をとられるのか、その責任の所在はどこにあるのかお聞きしたいと思います。
#53
○政府委員(長野士郎君) 御承知のように、現在の選挙人名簿の調製は二通りの種類によってできることになっております。基本選挙人名簿は毎年九月十五日現在で毎年一回市町村の選挙管理委員会において調査をいたしまして、そうして名簿の調製をいたすわけでございます。この名簿につきましては、法律的にも名簿の効力というか、効果というものを確定をさせる必要があるということから、一定の期間、いままでのところでは基本選挙人名簿等につきましては十一月の五日から十五日間毎年市町村役場その他で名簿を縦覧に供しているわけであります。その縦覧に供しましたときに、脱漏しているとか、いろいろのところで異議のある人は異議の申し出をして、その選挙管理委員会がその申し出を正当であると認めましたときには、名簿を修正する、こういうことによりまして、十二月二十日に名簿が確定するという形になっております。したがいまして、法律的にいいますと、多少木で鼻をくくったような話になりますが、見なかったからしかたがないという議論は法律的に一応可能になります。しかし、現在の国民感情からいいまして、一定の期間に役場に児に来なかったやつが悪いのだというような言い方が、はたして通用するかどうかということは、確かにお話のとおり問題がございます。と申しますのは、基本選挙人名簿は市町村の選挙管理委員会が職権をもって調製をするということになっておりますので、ただ法の趣旨は、それにもかかわらず完全を期することはできないかもしれない、そういう場合に縦覧期間というものを設けて誤りを直せるような機会を設けまして、しかも一定期日がきますと名簿が確定するということで法律的に名簿を固めまして、それ以後の選挙においてそれが用いられる、こういうやり方をとっていきたい。そうでないと名簿の効力といいますか、名簿の効果というものが非常に不安定では困るという考え方であります。
 補充名簿につきましては、昨年とそれからこの前の通常国会におきまして改正が行なわれましたが、選挙のたびごとに従来は一定の申し出期間を設けておったわけでございますけれども、昨年十月以降は、基本選挙人名簿に載っていない人で名簿に載る資格を持ちました人につきましては、その人が申し出をすることによりまして、選挙のたびごとではなくて、昨年十月一日以降は、常時申し出をすることによりまして、そうしてその次の来たるべき選挙のときにその申し出者を集めまして申し出書というか、申請書というか、申し出書に記載されている人の名前を寄せまして、そうして調査の上、補充選挙人名簿をつくるという形になっているわけでございます。
 したがって基本選挙人名簿は、職権で市町村の選挙管理委員会がつくって、そうして縦覧に供する、補充選挙人名簿につきましては、個々の資格のある人がみずから申し出をいたしまして、そうして選挙に際しましてその補充選挙人名簿をつくりまして、また一定期間縦覧に供する、その間に異議の申し出があれば基本選挙人名簿と同じように調製をいたしまして選挙の前までに確定をする、こういう形になっているのでございます。したがいまして、補充選挙人名簿、これは申し出をたてまえといたしておりますから、基本選挙人名簿とやや趣が変わっておりまして、申し出という制度について国民が十分に知らないという問題がないかという点は考えなければなりませんが、申し出なければ名簿には載らないという点が基本選挙人名節とはやや取り扱いが変わっておるわけでございます。そういうことでございますが、いずれにいたしましても、そのあとで選挙期日がきまりましてから、ところによりましては投票入場券というものを配付しないところもございます。まあ配付するところもございます。普通は配付をいたしますところが多うございますが、そういう場合に、自分のところに来なかったということで照会をすると、すでにそのときには縦覧期間も過ぎておりますし、申し出期間も過ぎておるということで名簿にそれを加えるわけにはいかない、こういう結果が出てくるわけでございます。そこで、その点につきまして、いまの名簿のつくり方、調査方法等につきましても個々の市町村で多少ずつやり方も違っておるようでございますが、何さま社会移動の激しいところでは、そういう点での十分正確な名簿をつくるということが実際問題として非常に困難な状況がございます。これらの点を含めまして、選挙人名簿全体をそもそもどういうふうに扱うべきかということにつきまして、この前の選挙でも各地で、団地住宅の相当の部分の名簿が抜けましたとか、あるいは従来から住まっておるにもかかわらず、その人の名簿がその年に限って、今回に限って抜けておるとか、いろんな問題が起きておるのでございまして、これら一括いたしまして、そもそも選挙人名簿というものをどのような形で調製をするのが一番世間の常識にも合うし国民が納得できる方法であるかということを根本的に検討をしていただきたいと考えております。
#54
○多田省吾君 自治大臣にお尋ねしたいのですが、先ほどのごあいさつの中でも、政党本位の選挙の実現に最善の努力を尽くしたいというお話でございます。イギリス等においては、地方における政党の組織というものも非常に発達しているのでありますが、すなわち労働党、保守党ともに三百万、四百万というはっきりした党員がいるわけでございます。そういったところは政党本位の選挙も実現できるのでありますけれども、いま現在の日本においては、たとえば社会党にしても五、六万人の党員である、自民党は二百数十万人の党員と称しておりますけれども、実際は五、六万の党員にすぎないのではないかとさえいわれております。そのような政党の地方組織が軟弱な現在、政党本位の選挙にいますぐ改めるということは、すなわちいま人物本位の選挙をしているという実態が、世論調査においても非常に明らかにされております。その点をかみして、選挙区制というものを現在の段階では考えるべきではないかということを思うのでございますが、自治大臣御自身の見解を承りたいと思います。国務大臣(永山忠則君) まあ選挙制度審議会の結果を見ましてすべて進みたいと考えておりますが、政党が近代組織政党に脱皮していただくということが一番好ましい姿ではないかというように考えておりますので、そういう方向で各政党が臨んでいただくことを期待をいたしております。
#55
○多田省吾君 いまの質問は、何も選挙制度審議会の答申を待たなくても、自治大臣御自身が政党本位の選挙の実現に最善の努力を尽くしたいという御所信を述べられております。その自治大臣の見解をもとにした先ほどの質問に対してのお答えをお願いしたいと思います。
#56
○国務大臣(永山忠則君) 近代組織政党に脱皮することが、やはり民主政治の上において非常に必要である。そういう方向で進むことを非常に期待いたしておるということでございます。
#57
○多田省吾君 ですから私は、日本において政党本位の選挙の実現を、いますぐ、この一年二年以内には、なかなかできないものである、そう考えております。そして政党本位の選挙を主張しているところの小選挙区制というものを、いまこの一年二年以内に、もし答申が出た場合に、その点に関連して自治大臣はどうお考えになるか、それをお聞きしたいと思います。
#58
○国務大臣(永山忠則君) 政党の近代的組織化に対しては可及的すみやかにひとつ脱皮していただくことを非常に期待をいたしておるのでございます。その結果については、どうも予見を許さないものがございますが、非常に希望いたしておるということでございます。
#59
○多田省吾君 それでは、もし日本の現在の政党が、この一年、二年、イギリスのような地方組織が充実した政党にならないような場合には、小選挙区制の答申が出た場合にはいかがなされるか、その所信をお聞きしたい。
#60
○国務大臣(永山忠則君) 近代組織政党になることをこちらは非常に期待をいたしておるわけでありまして、結果については、そのときの情勢でなければどうもならぬのではないかと考えております。
#61
○委員長(石井桂君) 本日の質疑はこの程度といたします。
    ―――――――――――――
#62
○委員長(石井桂君) 次に、閉会中の継続調査並びに委員派遣についておはかりいたします。
 閉会中の継続調査は、これを行なうこととし、その要求書の取り扱い、並びに閉会中の委員派遣につきましては、いずれも委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#63
○委員長(石井桂君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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