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#1
第049回国会 運輸委員会 第3号
昭和四十年八月十日(火曜日)
   午前十時四十三分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 八月六日
    辞任         補欠選任
     瓜生  清君     中村 正雄君
 八月九日
    辞任        補欠選任
     井野 碩哉君     重政 庸徳君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         松平 勇雄君
    理 事
                江藤  智君
                金丸 冨夫君
                岡  三郎君
                吉田忠三郎君
    委 員
                岡本  悟君
                木村 睦男君
                河野 謙三君
                谷口 慶吉君
                前田佳都男君
                相澤 重明君
                木村美智男君
                瀬谷 英行君
                浅井  亨君
                中村 正雄君
                岩間 正男君
   国務大臣
       運 輸 大 臣  中村 寅太君
   政府委員
       法務省刑事局長  津田  實君
       運輸大臣官房長  深草 克巳君
       運輸省鉄道監督
       局長       堀  武夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田善次郎君
   説明員
       運輸省海運局参
       事官       高林 康一君
       運輸省船員局長  岡田 良一君
       運輸省航空局参
       事官       手塚 良成君
       運輸省航空局監
       理部長      町田  直君
       海上保安庁警備
       救難部長     猪口 猛夫君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○小委員及び小委員長の選任の件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
○小型船造船業の登録制度確立に関する請願(第
 一号)(第七号)(第九号)(第一一号)(第
 一三号)(第一四号)(第一五号)(第一六
 号)(第五九号)(第六五号)(第六六号)
 (第六七号)(第六八号)(第九〇号)(第九
 五号)(第九八号)(第一〇〇号)(第一〇九
 号)(第一二〇号)(第一二七号)(第一三一
 号)(第一七三号)(第一七四号)
○福島県相馬港の早期完成に関する請願(第三六
 号)
○長野県飯山市、新潟県新井市を直結する国鉄新
 路線敷設促進に関する請願(第四六号)(第七
 四号)(第一一四号)(第一四三号)
○国鉄中央東線(諏訪辰野経由塩尻間)の複線早
 期着工に関する請願(第八号)
○中央東線諏訪、塩尻間及び飯田線の国鉄整備に
 よる輸送力増強促進に関する請願(第四三号)
 (第七一号)
○磐越西線喜多方以西の電化促進に関する請願
 (第三四号)
○磐越東線の輸送力増強に関する請願(第三二
 号)
○国鉄会津線のジーゼル化等に関する請願(第三
 五号)
○神戸市場向け青果物輸送列車ダイヤの改善に関
 する請願(第四五号)(第七三号)
○東北本線岩切駅における快速列車停車に関する
 請願(第九四号)
○磐越東線の路線の管轄区域変更に関する請願
 (第三三号)
○鉄道線路と農道との交さ点における踏切注意標
 の位置変更に関する請願(第四二号)(第七〇
 号)
○長野県篠ノ井市五明踏切の閉鎖反対等に関する
 請願(第一一五号)
○十八歳未満の一般勤労青少年に対する鉄道旅客
 運賃の割引に関する請願(第四四号)(第七二
 号)
○運輸事情等に関する調査
 (航空に関する件)
 (新東京国際空港建設促進に関する決議案に関
 する件)
 (日米航空協定改定に関する決議案に関する
 件)
 (海上保安に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(松平勇雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 去る八月六日、委員瓜生清君が辞任され、その補欠として中村正雄君が選任されました。
 八月九日、委員井野碩哉君が辞任され、その補欠として重政庸徳君が選任されました。
    ―――――――――――――
#3
○委員長(松平勇雄君) 前田佳都男君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。
 互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(松平勇雄君) それでは、理事に江藤智君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(松平勇雄君) 前回の委員会において小委員会の設置を決定いたしておりますが、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長に御一任願うことになっておりますので、次のとおり、小委員及び小委員長を指名いたします。
 通勤輸送対策に関する小委員会
 江藤智者、河野謙三君、重政庸徳君、前田佳都男君、瀬谷英行君、木村美智男君、浅井亨君、小委員長江藤智君。
 鉄道事故防止対策に関する小委員会
 岡本悟君、谷口慶吉君、堀本宜実君、岡三郎君、相澤重明君、岩間正男君、小委員長岡三郎君。
 航空、海難、路面交通事故防止対策に関する小委員会
 金丸冨夫君、木村睦男君、平島敏夫君、大倉精一君、吉田忠三郎君、中村正雄君、小委員長金丸冨夫君。
 なお、小委員の辞任の許可及びその補欠の指名につきましては、あらかじめこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(松平勇雄君) 次に、請願の審査を行ないます。
 請願第一号小型船造船業の登録制度確立に関する請願外四十二件の請願を議題といたします。
 まず、請願の趣旨について、専門員より説明を聴取いたします。
 速記を中止してください。
  〔午前十時四十九分速記中止〕
  〔午前十一時三十一分速記開始〕
#9
○委員長(松平勇雄君) 速記を始めてください。
 これより請願について採決をいたします。
 請願第一、七、九、一一、一三、一四、一五、一六、五九、六五、六六、六七、六八、九〇、九五、九八、一〇〇、一〇九、一二〇、一二七、一三一、一七三、一七四、三六、四六、七四、一一四、一四三、八、四三、七一、三四、三二、三五、四五、七三、四四、七二号、以上三十八件の請願は、いずれも願意おおむね妥当と認め、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものとして決定することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#10
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
 なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#12
○委員長(松平勇雄君) 継続審査要求についておはかりいたします。
 運輸事情等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議こざいませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
#15
○委員長(松平勇雄君) 委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
 ただいま提出を決定いたしました継続調査が本会議で決定されました場合、閉会中に、運輸事情等に関する調査のために、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#16
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認めます。
 つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 なお、本院規則第百八十条の二により議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#18
○委員長(松平勇雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#19
○委員長(松平勇雄君) 次に、運輸事情等に関する調査を議題に供します。
 まず、航空に関する件の質疑をいたします。御質疑のおありの方は、順次御発言願います。
#20
○岡三郎君 新しい国際空港の建設について、前の委員会において、運輸大臣に早期実現方を強く要請してまいったわけですが、本日、運輸大臣がここに参られておりますので、現時点における状況について、一応つまびらかに報告をいただきたいと思います。
#21
○国務大臣(中村寅太君) 新空港の問題につきましては、前国会の委員会における質疑応答の趣旨を引き継ぎまして、速急にひとつ決定したいと考えております。詳細なことにつきましては事務当局から……。
#22
○説明員(手塚良成君) 新国際空港の今後の検討方針というのがことしの三月二十九日の関係閣僚懇談会できまりまして、それを受けまして、関係事務次官会議で四月の一日にさらに詳細なる検討の方針がきめられました。その関係事務次官会議の御結論の一つといたしまして、小委員会を設置して検討する、こういうことになりまして、空域小委員会、渉外小委員会、土木技術小委員会という三つの委員会が設けられました。空域小委員会と渉外小委員会につきましては、数度の会合を重ねまして、大体九分九厘の御結論を得た次第でございます。土木技術小委員会につきましては、その後いろいろ検討し、やはり数回会合を開きましたが、この関係につきましての調査がまだ現在進行中でございまして、最終的な結論に近い状態に立ち至っておりません。その内容は現在の候補地につきまして、主として霞ケ浦の治水利水関係の現状並びに将来これに対する空港設置に伴う対策というようなものを打ち出そうということのためのボーリング等をやることになっております。この治水利水関係の対策に合わせまして、一般的な土質調査等もこの際実行したほうがよろしかろうということで、それもあわせて実行することになっておりまして、これらのことがただいま進行中という現状でございます。
#23
○岡三郎君 いまの御報告ですと、土木小委員会というんですか、土木委員会の作業がかなりおくれているようですが、すみやかにこれは建設されなければならぬということで、ずいぶん長期にわたって検討されてきておるわけですが、めどを立ててやっておられると思うんですがね。つまり、一定の目標を立ててやらなければ、これはいつまでたっても目鼻があかないということになる。そういう点で、一体どういうふうな計画のもとにやっておられるわけですか。
#24
○説明員(手塚良成君) この土木技術小委員会におきます調査は、ただいま申し上げました内容を実施いたしておりますのは、航空局関係の調査と、先ほど申し上げました治水利水関係の建設省でおやりになるものと、二手で実施いたしておりますが、できることならば両方とも来年の予算に間に合わしたい、新空港公団法としてお通し願った結果もございますので、公団の発足に候補地の決定を待ってということになっておりますので、公団もできるだけ早くやりたいということで、主としまして予算に見合うような時期までには最終的な結論は得たいということで、目下努力をいたしておるわけでございます。
#25
○岡三郎君 そうするというと、いま言われたように、候補地の決定というものは前の国会でずいぶん急がれて、これが決定されたらばすみやかに地域の決定をいたします、こう言ってきたわけですから、話を聞いてみると、ずいぶんゆうちょうに過ぎる。実際問題として、ボーリングとか治水計画とか、いろいろな問題は、航空関係のほうは一段落したようですけれども、建設その他の関係が進んでいない、こういうことなんですね。一体めどを置いてやっておられないんですか。いまのめどで言うと、予算に間に合うように何とかしたい、こういうことですが、予算というのは大体夏から始まって十月ごろにはおよそのめどがついてしまわなければならぬと思うんですが、いまのところは、そういう点からいうと、プログラムは、もうちょっと具体的に言うと、どういうことになるのですか。
#26
○説明員(手塚良成君) 実はこれらの工事の実施、特にボーリングにつきましては、地元民の漁民との関係がございまして、当初のスケジュールといたしましては、おっしゃいますように、まだまだ早く結論を得る予定でございましたのが、実施の段階としてなかなかそういうわけにはいかない。二、三カ月の話し合いが必要でございます。その辺が少しおくれてきたわけで、めどといたしましては、前国会からの経緯もございまして、一日も一カ月も早くということで取り進んでおりましたが、現在のところの見通しといたしまして、ただいま申し上げたような状態で、目標といたしましては、一カ月、一日も早くということで、鋭意そういう方向の検討を継続してやっておるわけで、おそくともという意味で先ほど申し上げたようなかっこうになっております。
#27
○岡三郎君 具体的に言うと、督励している機関とか督励者はだれですか、現状においての責任者は。どうも何か運輸大臣の手から離れているような印象があるんだが、具体的な責任者はだれなんですか。
#28
○国務大臣(中村寅太君) 現在のところ、従前は御承知のように、河野国務大臣が中心でやっておられましたが、河野国務大臣が外に出られましてからは、閣僚から離れられましてからは、官房長官が形の上では責任者という形でやっておりますけれども、実質的には運輸大臣がその衝に当たっております。
#29
○岡三郎君 そうするというと、実質的というわけですが、名実ともに運輸大臣の権限にこれを戻すということをやらなければいかぬのじゃないですか。形式的には官房長官が主宰して、実質的には運輸大臣では、これはちょっと何かはっきりしない。そういうふうな点で渋滞している、そういう懸念もあるわけですが、一体、運輸大臣としては、早急にこれは名実ともにわが所管の仕事であるというふうに明確にする、こういうことについての努力を必要としないのかどうか。
#30
○国務大臣(中村寅太君) 岡委員の仰せられましたような趣旨で、現在実質的には進めております。私はそう遠くない機会に、前国会のときにおける皆さん方と運輸大臣との間の質疑応答の精神に沿って運ばせ得るという見通しを持っております。
#31
○岡三郎君 いまの話で言うと、問題点はいろいろとあるようですが、問題はやはり霞ケ浦地域における問題点の調査がおくれているということですが、富里関係については調査が全部完了している、こういうことですか。
#32
○説明員(手塚良成君) 富里につきましても、実は一部特にあそこに小野川という川が流れておりまして、その川に関する治水利水関係というのが、先般の国会におきましても、いろいろ議論が出ました関係もございまして、一部調査を実施しておりますが、全般的に見まして、問題はやはり霞ケ浦に非常に多くございます。富里につきましては、いま申し上げたような程度で、これまでの調査からしまして、大部分進んでおる、こう申し上げてよろしいかと思います。
#33
○岡三郎君 そうするというと、いま運輸大臣が言われたように、鋭意その点について実際の調査を早急に進めて、近い将来に結論を出す、こういうことになっておるわけですが、いま関係閣僚懇談会というものはどうなっているのですか。
#34
○国務大臣(中村寅太君) 今度の改造後の佐藤内閣で、まだ一回もやっておりません。一回もやっておりませんけれども、先ほど岡委員の仰せられますような趣旨で、運輸大臣が実質的にいろいろ進めておりまして、私はこの前のときに吉田委員からも言われましたように、運輸大臣が実質的な責任者の形によってこれを進めたい。で、関係閣僚懇談会というものはいままで一回もやっておりませんが、私はもうこの次にやるときには、一つの結論に近いものを出して、もっと前進し得るような形において開きたい、かような考えでおる段階でございます。
#35
○岡三郎君 官房長官も茨城県ですから、利害関係者の一人ですよ。川島副総裁など、千葉県選出の国会議員もおられるわけで、そういうふうな政治的な問題が非常にからんでおるような印象が非常に強いわけです。そういう点で、事務的にはかなり進捗して、いままでの累次の国会の答弁等から見れば、結論は大体出ておるのじゃないか。ところが、政治的な関係で、ああでもない、こうでもないというので、船が山にのぼっておるような印象が非常に強いわけです。お聞きしたところ、いま言ったように漁業関係、いろいろな関係でボーリングがおくれておるというお話ですが、こういう点について、これ以上運輸大臣にいますぐ即答せよということも無理のようですが、もう再三くどいように言ってきたわけですが、いままでの法案審議の過程等から見ても、これはほうっておくわけにいかぬ問題であるということで、実質的に運輸大臣の権限であるならば、名実ともに運輸省として方針をすみやかに決定して断を下さぬと、これは非常におくれるのじゃないかというふうに考えるわけです。ということは、国際空港というのは、緒についてから公団がこの仕事を引き受けても、かなり長期にわたる建設というものが行なわれるわけです。そうするというと、現在の状況から見て、非常に航空事業というものが発達しておるし、羽田における狭さというものはいま始まった話ではないわけです。そういうことになるというと、これから決断して工事に取りかかるといっても、かなり長期にわたるので、最近における大臣の更迭がしばしば行なわれておるので、そのときそのときの関心というものはあるのです。過ぎ去ってしまえば、だれかがやるだろう、こういうことであってはならぬと思うのです。そういう点で、われわれ自体としても、今後の展望を見れば、もうすでにおそきに失しておるのではないか、こういうふうな気がしてならぬ。こういう点で、すみやかに決定して、公団法の設立の趣旨をすみやかに生かして、当委員会の意向というものを十分尊重してやってもらって、すみやかに決定してもらいたい、こういう強い要望をこの際しておきたいと思うわけです。これ以上運輸大臣に言っても、運輸大臣になったばかりで、われわれの期待にこたえるすべがまだないようですから、そういう点を強く要望して一応終わります。
#36
○吉田忠三郎君 せっかく運輸大臣来ておりますから、二つ三つ伺っておきたいと思うのです。
 その一つは、きょうから日米航空協定交渉が再開ということですけれども、私は再開というより新たに始まったものであると思っておりますが、開会されております。そこで、前の国会でも問題になったわけでございますが、この航空協定の交渉の意味しておるのは何かというと、運輸大臣も御案内のように、現在あります協定は、アメリカに占領されておった当時の航空協定ですから、たいへんアメリカに有利であって、日本に不利であるという不平等な協定になっているので、その不平等さを取り除くために、今度の日米航空協定改定の会議が持たれているのだ、こう思うのです。残念なことには、三十六年の航空協定会議、それから昨年の会議におきましても、一方的にアメリカに押しまくられてしりをまくって逃げてきたというような実情なんです、日本の実情は。そこで、この委員会でも、当時の松浦運輸大臣に叱咤激励をして、どうしても今度の日本との航空協定については、不平等が取り除かれなければ、協定破棄もやむを得ない、松浦運輸大臣が当時この委員会で発言をしております。これは速記録に歴然として残っているわけでございますが、一体、中村運輸大臣はこれに対してどうお考えになっているのかということを、私ひとつ伺っておきたいというふうに思うのであります。それはなぜそういうことを聞くかというと、最近の朝日新聞の社説に、政府筋の談話がちらほら出てきた。その中でも、あなたの名前がここに記載されておりますが、中村運輸相は、一気に不平等を全部是正するということでなくてもよかろう、こう言っておる。これは新聞に出ておるわけです。ですから、私どもは三十九年の航空協定のときに、この委員会で松浦運輸大臣が答弁したことと、それからこの委員会が全員こぞって松浦発言というものを支持して、この際は一挙にこの不平等を取り除いて、名実ともに国際協定にしたらどうだ、そのことが綿製品の協定にも影響することであるし、大陸だなの協定にも影響することであるから、ひとりこの航空協定だけの問題じゃないというふうに、強い決意をこの委員会でも持っておったし、当時の大臣もそういう答弁をした。ところが、いま読み上げたように、あなたのこれが真実とするならば、若干ぼけてきておる。それからアメリカ側の言い方はまだ判然としていませんけれども、私どもが知り得た中では、十幾つかさらに、ニューヨーク以遠の乗り入れを認めるとするならば、日本に条件をつけてきているわけです。その中で非常に問題になりますのは、年下航空輸送部隊の返り便に制限をつけないことという日本に条件をつけてきておる。こうなれば、たいへんな問題になると思うのです。いままでの協定が、これが世界に類例のないような不平等なものだ、それにプラスされるのです。これが一体、特殊会社である、国が国民の税金を使って投資をしている日本航空に影響しないとは、これは断じて言い切れないと思う。ものすごい私は影響すると思うのです。こういうものは、当面は実害がないのであるから、だから、たな上げをしておいて、一にも二にも世界一周航路を目ざして、ニューヨーク以遠だけ乗り入れを協定の中にうたっておけばよろしいのである。したがって、一気に今日まで言われておったような不平等が取り除かれなくてもよろしいのだというようなやり方というのは、明らかに私はアメリカに右顧左べんして、そうして妥協していくという考えをもうすでに政府運輸当局並びに運輸大臣の中村さんが持っているのじゃないかと、非常に国民は心配していると思うのです。この点はあなたどういう決意を持っておられるか、お答え願いたいと思います。
#37
○国務大臣(中村寅太君) 私はそういうことをいままで申し上げたことはございません。私の真意がそれば誤って伝えられたものと思いますが、私は、今回の日米航空協定の交渉は、いま吉田委員の言われましたように、不平等の是正にあるということをはっきり認識をしているわけでございまして、しかも、この不平等是正の航空協定は今回が最後と考えなければならぬという決意を持っております。そういうことでございますので、この不平等の是正が成り立たないような交渉に断じて応じない決心でございます。いままでの委員会、あるいは前運輸大臣等が述べてきました決意を私は一歩もやわらげた気持ちは持たないということをはっきり申し上げておきます。御了承願いたいと思います。
#38
○吉田忠三郎君 たいへん明快に一歩も退かない、そういう決意であるということをいま御答弁いただきましたから、私は非常にその意味で心強く感じました。
 そこで大臣、アメリカ側は現在あるものにさらに東京以遠を無制限にする、そのためにはかくかくしかじかという十幾つかの条件を出している。その条件が一括満たされなければ妥協しない、妥結しない、こういう言い方がちらほら聞かされておりますね。言ってみれば、アメリカ側は一括取引方式なんですよ。だから、いまのあなたの決意はそういう一括取引方式には乗らない、こういう理解でよろしいですか。
#39
○国務大臣(中村寅太君) アメリカも、一括方式といいますけれども、先般までの私ら経済閣僚懇談会におきます前の予備的な折衝でも、やはり次次にいろいろな問題をやっていって、私はアメリカが出している要求というものを全部そのままのまなければという考え方ではないと私は了解いたしております。日本のほうも相当の要求を――東京−ニューヨーク−欧州−東京に帰ってくる世界一周路線を要求すると同時に、こちらも相当強い要求を出しておりますので、向こうだけが強いのではありませんし、こっちの要求も相当強いものを出しておりますので、予備的な折衝でもまとまらなかったのでございますから、向こうの出したものを全部一括してのまなければ聞かぬのだということであれば、これは交渉する必要はないと考えております。そういう事情でございますので、新聞等で伝えられている、一括のまなければアメリカ側としては承知しないのだというような考え方は少し違っているように考えております。
#40
○吉田忠三郎君 あなたの答えられたように、違っているのであれば、たいへんしあわせなことですが、私はそう甘いものじゃないと思います。この間の日米経済閣僚懇談会の席上でも、こういう問題が瀬踏みとして出ておりますね。結果は、具体的に今度の交渉で取りきめになるということは話されないで、共同声明で、東京で八月十日に再開するということだけが落ちであった。これは非常にアメリカは強硬ですよ。だから、いま向こうから来ている代表者というのは、私は向こうの事情を多少知っておりますけれども、責任者じゃないですよ。あれは一テーブル・マスターです。キャプテン・クラスで、こういうものが責任者となって今度会議が開かれるのですから、その結果を見ないで、推理推測して議論するのはどうかと思いますが、アメリカは全くずるいですから、やり方が賢いから、えごいから、最後になって、あなたの言ったようなかっこうになってくると、逃げの態勢を常套手段として、日本だけでなくて、ヨーロッパとの各種の協定でアメリカはやっておりますから、非常にそういう点はあなたが答えられるようなものではないと思う。この成り行きが日ソ航空協定にも非常に大きな影響を持つのです、現実に。ですから、将来の問題じゃないのです。ところが、政府は、いま申し上げたようなことについては、将来の問題だから、それはそれとして、とにかくニューヨーク以遠の乗り入れに重点を置いてわがほうは押すのだ、こういう言い方をしている。いままでの交渉の経過から見ると、これではとんでもないことだと思う。これが直ちに日ソ航空協定に影響するのです。その交渉に影響することは明らかだ。だから、将来の問題ではなくて、現実の問題でありまするだけに、ぜひひとつ大臣に、重ねて、先ほどの決意でけっこうですが、私はいま多少具体的に申し上げたこと等を踏まえて、不退転の決意で、最悪の場合には、こんなに不平等な協定は国際的にどこにもないのですから、破棄したらいい。国民全体が支持しますよ、あなたを。ですから、そういう点で私は今度の交渉に当たっていただきたいということを申し添えておきたいと思う。
#41
○国務大臣(中村寅太君) 私の日本のほうの要求も、ただニューヨーク以遠東京に帰ってくる一周路線が認められさえすればいいというような考えは毛頭持ちません。やはりそれは一つの大きな柱ではありますが、日本の航空企業というものを将来運営していく上において支障のないかまえを確立するということがやはり一つの大きな問題でございますから、そういう点その他につきまして、不平等の是正という点について、こちらからも相当強いものを出しておりますので、この間のアメリカのではやはり話にならぬ。向こうだけが強いんでないものですから、話にならぬ。日本も譲る気持ちはございませんので、いま吉田委員がおっしゃるように、共同コミュニケに載せる。東京に引っぱって八月十日からやろうということにいたしたわけでございまして、私はそういう観点からここまで運んでまいりましたので、ただ交渉がまとまりさえすればいいというような、そういう安易な気持ちは毛頭持ちません。おっしゃるように、九月からやろうとする日ソ交渉そのほか諸外国との間にもいろいろ関連がありますので、不平等の是正ということをやはり大きな柱にして、それに沿えないと見た場合には、私は交渉を妥結するというような安易な気持ちは持たないということを申し上げておきます。
#42
○吉田忠三郎君 その安易な気持ちで妥結する気はないと。ですから、わがほうの言い方が通らなければ妥結しないと、こういうことですね。そうすると、残るものは何が残るか。現行法が残るわけですか。現行のこの航空協定が残るわけでしょう。
#43
○国務大臣(中村寅太君) そのとおりでございます。
#44
○吉田忠三郎君 そうしますと、大臣、現在のアメリカとの航空協定は、再三私申し上げるように、国際航空協定で世界じゅうにこんな不平等な、アメリカの一方的な押しつけの航空協定はないです。それを是正しようということなんですから、今度は改定しようということなんですからね。いまあなたが一体――最初の決意はけっこうですけれども、安易な妥結をしないということならば、それが残るということならば、依然として不平等な航空協定が残るということになる。これではいけないわけです。だから、前の国会でも、松浦運輸大臣は、最悪の場合、あなたと違うのですよ、この現在ある航空協定を破棄してしまう、なくしてしまう、そうすると、どっちが困るかというと、日本よりはアメリカが決定的にこれは困るのです。あなたの先ほどの冒頭に言うた決意とだいぶ違うのですがね。もう前運輸大臣は安易な妥結はしないのみならず破棄をする、破棄を要求する、こう言っているのです。前の国会でね。だから、ここのところはどうなんですか。最悪の場合、あなた妥結しないというのは、現行法が残るのですかというと、現行協定は残る。こんなばかげた話はない。そんな弱腰だから、アメリカにじりじりじりじり特有のあの押しつけにやられてしまう、日本は。
#45
○国務大臣(中村寅太君) 私が残ると言うたのは、ちょっとことばが足らなかったのですよ。私は交渉の過程で、話がまとまらなかったときは、そのときの時点に対してその次の処置は、あるいは破棄するとか、あるいは、いろいろの、会期を延長してさらに交渉を続けるとか、そういうことがあり得ると思いますけれども、その段階におきましては、現行法というものは残っておるということを申し上げたのでございますから、誤解のないように、その点お願いいたします。
#46
○岡三郎君 ここでちょっと速記やめてもらいたい。
#47
○委員長(松平勇雄君) では速記をとめて。
  〔速記中止〕
#48
○委員長(松平勇雄君) それじゃ速記をとってください。
#49
○浅井亨君 三宅島空港のことについては、先日いろいろお聞きいたしまして、大体わかったのでございますけれども、ああいうような離島振興のためというわけでつくられたのですから、私はもう大賛成でございますけれども、ここに一つ二つお聞きしたいことが残っておりますので、お聞きしたいと思います。
 それはどういうことかといいますと、やはり現在の航空状態というものは、大型化とスピード化が非常に急に進展しているように私は思うわけなんです。そうしますと、飛行場を新設していくということも非常に大切でありますけれども、いままでできておりましたところの飛行場、それに対する整備拡充ということについては、どのようなお考えを持っておられるか。現在どのような状態になっているかということをひとつ説明していただきたいと、このように思います。
#50
○国務大臣(中村寅太君) いま浅井委員が仰せられましたように、私は、国内の飛行場につきましては、現在できておるものを完備していくということをいままでよりも少し強く取り上げていきたいと思っているのが一点であります。
 それから、その他現在の状態につきましては、当局から説明いたさせます。
#51
○浅井亨君 どうも担当者がおいでになりませんが、続いて質問だけ申し上げておきます。
 それは、今後の建設に対してはどのような基本的な線があるかと、その基本的問題をひとつ教えていただきたいということです。
 それから、現在までいろいろあちらこちらの飛行場に対する利用度でございますが、かりにも言うと、北海道にもありますが、紋別とか、また松本の飛行場ですが、こういうのをどのような利用をせられているかということについても、ひとつ御返答願いたい。この二つをお聞きしたいと思います。
#52
○国務大臣(中村寅太君) 大体私は、この飛行場その他日本の国内航空の一つの基本的な計画といいますか、十年あるいは十五年ぐらいを見通しました青写真というものをひとつつくりたいと、これは経験者あるいは学識経験者等をひとつ集めるについて、何かの形の機関をつくりまして、それによって、ある程度の長期の計画をつくって、その青写真に沿って飛行場というものは整備していきたい。どうもいままでの実態を見ますと、いろいろ地方地方が非常に航空思想の発達、速力を非常にみんなが考えるようになりまして、飛行場つくりが非常に盛んであるということはけっこうでございますが、その飛行機の実態との見合いというものが少し不十分なような点がございました。飛行場はできたが、飛行機がなかなか簡単に飛ばないというようなおかしな現象が起こりそうな気配もございますので、そういうことのないように、全体の一つの基本的な計画というものをつくり上げまして、その線に沿って進めてまいりたい、かように考えております。北海道の飛行場につきましては、やはりこれもいま言いますような線の中に含めましていきたいと思っておりますが、大体いまあります飛行場というものは、これは一つの既成事実でございますから、これはできるだけ夜間等も飛べるように整備していきたい。あるいは安全度を確保する整備を少し進めていくことに重点を置きたい。それから、あとからできます飛行場というものも、幾らも飛行場をつくりたいという希望がございますが、これはやはりさっき申しましたような計画の上に乗せていかないと、ばらばらになったのでは、非常にまずいと思いますので、こういった方針でいきたいと思っております。
#53
○委員長(松平勇雄君) 午後一時半まで休憩いたします。
   午後零時二十一分休憩
     ―――――・―――――
   午後二時十八分開会
#54
○委員長(松平勇雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。
 午前に引き続き、運輸事情等に関する調査中、航空に関する件を議題といたします。町田航空局監理部長。
#55
○説明員(町田直君) まず、前回の委員会でお話がございました中標津空港、紋別空港並びに松本空港の建設の概要について申し上げます。
 中標津空港は第三種空港でございまして、設置管理者は中標津町でございます。
 空港の概要を申し上げますと、滑走路の着陸帯の長さが千三百二十メートル、幅が百二十メートル、滑走路の長さが千二百メートル、幅が三十メートル、エプロンが二バース、航空保安施設はビーコン、VHF(対空通信施設)でございます。
 事業費といたしましては、国費の分を申し上げますと、合計いたしまして予算額が九千四十万、決算額が九千三十三万五千でございます。
 手続関係を申し上げますと、設置許可の申請が三十七年の五月でございました。設置許可が三十七年の八月、供用の開始が四十年の七月一日ということでございます。
 現在の使用状況は、中標津−釧路間に日本国内航空によりまして週三往復の運航が行なわれております。
 それから紋別空港でございますが、これも同じく第三種空港で、設置管理者が紋別市でございます。着陸帯の長さ、滑走路等は中標津空港と同じでございます。
 予算額は合計いたしまして、国費でございますが、二億三百四十五万でございます。同空港は完成予定日が四十一年の三月末ということになっております。
 次に、松本空港でございます。松本空港は第三種空港。設置管理者が長野県。着陸帯の長さ千六百二十メートル、幅が百二十メートル。滑走路の長さが千五百メートル、幅三十メートル。エプロン、二バース。ビーコン、VHF等でございます。
 空港整備事業費は、国費分を申し上げますと、合計いたしまして予算額が一億一千四十万、決算額が一億八百九十八万ということでございます。
 手続関係を申し上げますと、設置申請が三十七年の十月二十日、設置許可が同じく三十七年の十二月。供用開始が四十年七月十六日でございます。
 使用状況は、現在のところ、定期航空便は就航いたしておりません。なお、遊覧飛行その他の使用事業には使用されております。
 三港につきまして御報告申し上げたのは以上でございます。
 それから飛行場の今後の建設の基本方針でございますが、御承知のごとく、現在第三種空港で申し上げますと、供用開始いたしておりますのが十八空港、まだ未供用でございますのが全部入れますと二十九の空港の建設をいたしておるわけでございます。大体四十年度に完了いたしまして、四十
 一年度から供用開始いたしますと思われるのが、旭川、紋別、福井、出雲、宇部というようなところでございます。他は四十一年度以降、こういうことでございますが、運輸省といたしましては、第三種空港の建設は今年度取りかかりました南紀空港を含めまして、大体空港の整備建設の予定は一応この程度でもう新設する必要はないのではないかというふうに考えております。したがいまして、今後はこれらの空港に、たとえばYS11型機が発着いたしますには、空港によりまして滑走路等の補強をなお必要とするところもございますし、その他諸所で問題になっております夜間の使用の問題等もございますので、そういう面を含めまして、今後これらの空港がより一そう整備いたされまして、使用にも非常に便利になるという方向で改良をいたしていきたいというふうに考えている次第でございます。
#56
○吉田忠三郎君 いま報告されました件について伺います。松本空港については、せっかく昭和四十年七月三日に完成検査に合格して、使用開始が七月の十六日になっております。いまだに定期航空便は就航していない。遊覧飛行程度をやっている、こう言っていま報告されているんですね。なぜこれは定期便が飛べないんですかね。それが一つ。
 それから定期便が飛ぶ段階になった場合、どこのこれは航空会社がこの路線を営業するのかね。これを伺っておきたいと思うんです。
 それから中標津の場合、これは七月一日に使用開始して、国内航空株式会社が一週間三往復、これは一日おきに確実に飛んでいるんだね。この場合に利用率はどんな程度になっているのかね。それから紋別空港の場合は、これはかなりの金になっていますが、二億ちょっとこえる感じですがね。来年の三月検査予定だ。そこで、これはいつからどこの飛行機が飛ぶようになるのか。
 それから、この紋別周辺における利用者の層を一体運輸省が把握しているか、こういう関係をひとつお聞かせ願いたい。
#57
○説明員(町田直君) 松本空港につきましては、昭和三十六年度の計画で予算要求をいたしました。その当時私どもは、鉄道を利用した場合の所要時間と、それから航空機を利用した場合の所要時間との差を検討いたしました。こういうものを基礎にいたしまして、松本空港を整備することが適当であるというふうに判断をして設置に着手したわけでございます。ところが、現在検討いたしますと、この鉄道と航空との時間差の関係その他を勘案いたしまして、東京から松本に参る路線を採算的に検討いたしますと、かなり、要するに、経営会社として採算に合わないという状態になるわけでございます。それにはいろいろ原因がございますけれども、やはり空港を設置いたしましたときと比べまして、いろいろと事情も変わってきた点も若干あるのではないかというふうに考えているわけでございます。いずれにいたしましても、現段階では、御指摘のように、定期航空路線として使用開始されておりませんけれども、東京と松本の関係並びに関西と松本とのルートというような面も考えられますので、そういう面で検討を私どももいたし、また、航空会社においても検討をいたしてもらっております。現在どこの会社がやるかということについては、最終的にまだきまっておりませんけれども、一応私どもは全日本空輸株式会社並びに国内航空株式会社の二社を考えている次第でございます。
 それから中標津の空港のただいまの御指摘の点は、現在の週三便の利用率は、ちょっと手元に資料がございませんので、すぐ調べましてお答え申し上げます。
 紋別空港については、来年度完成のを本年一ぱいで完成、来年から供用開始という予定でございますので、北海道関係を大体主としてやっております日本国内航空の路線を一応現在のところは考えている次第でございます。
#58
○吉田忠三郎君 この三種空港については、もうそろそろ限度だから、これ以上新設する考えはない、こういうお話も先ほどありましたが、この委員会では前々から、この三極空港については、運輸大臣がこの前の委員会で答弁したように、既設の設備を整備拡充をすることが先決ではないか、それは何かというと、せっかく飛行場ができたとしても、夜間飛行設備のないところだったり、それから滑走路が整備されていないために、非常に運航効率が下がって、そのために採算がとれない会社も――これは利益にならないものを、国の補助があるわけではありませんから、日本航空は別として。やりなさいと言っても飛べるもんじゃないですよ。そこら辺の自動車会社と違うわけですからね。ですから、前々からこの委員会で指摘したように、政府として一体日本の運輸交通政策をどう考えるかという基本的な問題まで触れたのです。触れて、日本の運輸交通政策の中では、端的に言って、ロングは、これは航空輸送の分野になるだろう、それから中距離、近距離、特に通勤輸送は、これは国鉄の輸送分野になるであろう、近距離の場合は自動車の輸送分野になるだろう、こういう話をして、そろそろここらあたりで運輸省が全体として総合的に判断し検討して、そういう分野を明確にして、その上に立った指導監督をしなければならないんじゃないか、こう言われていたのです。ところが、それがさっぱりその後実行されていないからこういうことになるんです。ばく大もない国民の税金を使って、公金を投資してでき上がった飛行場が、結局、採算が合わないいうことで使用されていない。こんなばかげたむだ使いはないのです。全日空さんにやれ、やれと言っても、できるものではない。国内航空にやれと言っても、できっこないです、松本飛行場の場合ですね。
 それから北海道の場合だって、いま中標津の関係は、あなたがそこに資料がありませんと言っているが、これはたるんでいる。営業したならば、当然利用率というものはどの程度あるかということで、具体的にあなた方検討しなければならないのが役人の仕事だと思うのです。私は知っていますよ、あなた方、この委員会でいろいろ議員が政府を交えて議論していることを見ているだろうが、前々から私はこれを言ってある、国内航空と日本航空の今日の利用率というものをずっと羅列してこの委員会で私が申し上げたことがありますよ。北海道に今日かなりの飛行場がありますけれども、担当しているのは主として国内航空でございますが、採算ベースに合うような路線は一つもありませんよ。ですから、離島の場合は離島振興上の関係がありますから別としても、停車場じゃないんです、飛行場というものは。特にローカル飛行場の場合はそういうことが言えるわけですから、そういう点を十分あなた方が踏まえて、具体的に連輸省の交通政策にこれを反映させるようにしなければならないのに、今日やっていないところに、こういう問題がある。現実に旭川の飛行場は着工して、間もなくできるでしょう。紋別もできるでしょう。さて、国内航空に飛びなさいと言っても、飛んだら、それこそ、とんでもない赤字になるんですよ。これに対して一体あなた方は将来どうするつもりですか。これは船の関係では、離島航路に対しても、振興の意味を兼ねて補助金を出していますが、今日のローカルの飛行機については、もはやそういう対策を樹立しなければ、これはやれと言ってもやれっこないんですから、飛行場をどんどんつくったけれども使われない。使われないじゃなくて、使えない結果になりはせぬかということをわれわれは心配していますよ。ですから、この関係についてあなた方はどう考えているかということと、抜本的には、きょうのこの委員会で、時間はありませんから、航空、海難、路面交通についての小委員会ができましたから あなた方は小委員会においてこまかな問題をしさいに――あなた方だけにまかしておくというだけで、われわれも言いっぱなしということだけでなく、検討を行ないますけれども、当面、そういう状態に対して一体運輸省の航空局はどういうふうに考えておりますか、答えてもらいたい。
#59
○説明員(町田直君) 御指摘がございましたように、ローカル路線は全国で約百ぐらいございますけれども、その中の半分の五十ぐらいがペイ・ラインを割っておるという状況でございます。これは路線の性格によりまして、南と北と若干の違いはございますけれども、一般的にローカル路線そのものは非常に経営上むずかしいという状況でございます。で、ただいま御指摘がございましたような、いわゆる補助政策という点もございますけれども、まあ私どもは一応会社が全体として経営が成り立つということを中心に考えまして、御承知のように、国内航空が発足いたしました昨年に、幹線線の乗り入れということを考えました。全日空、国内航空とも幹線に就航いたしまして、幹線から得る利益で会社全体としてペイするというふうな考え方を一応持っておった次第でございます。その昨角度あたりから航空事業が一それまでは大体年々平均いたしまして、ローカル線で三〇%ぐらい年率で伸びておりましたけれども、昨年あたりから若干伸びが悪くなったようでございます。そういう点も考え、それからもう一つは、航空の運賃が、正確な数字ではございませんが、約十年近く据え置きになっております。これは航空の利用の状況その他を考えまして、いままでそういうふうになっておりましたけれども、これももちろん全般的ではございませんけれども、路線によりまして若干手直しをしなければならぬ面もあるのじゃないかというふうに考えておる次第でございます。大体、現在までの考え方といたしましては、そういうようなところで採算的に非常に悪いというようなところでは、そもそも路線を開設するのは無理でございますけれども、これは何の事業でもそうでございますけれども、初年度あるいは数年間は採算的に悪くて自然に需要がふえていくという面もございますので、それらの事項を総合いたしまして、ただいま申し上げましたようなことでやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#60
○吉田忠三郎君 あなた方の考え方というものは、それこそ、たるんでるというものですよ。採算ベースに合わなければ、運賃が十年ぐらい据え置きになっておりますから運賃を考えるなんというのはとんでもない。そういうたるんだ気持ちが、今日の物価上昇に多大の影響を及ぼしておるのです。一体、ローカルの飛行場をつくるということに何が基本であなた方つくったのですか。これは明らかに、池田内閣時代から、産業経済の、つまり地域格差を是正するということで、飛行場をつくる際――そこの地域の産業経済というものは、それは伸びてまいりましたけれども、地域格差というものをなくするのだ、こういうことが大きなバックボーンとして――これは当時の計画を見れば明らかです。長期経済計画の中でもそうだった、今度そのひずみ是正の中期経済計画、あるいは長期安定経済政策か何か知らぬけれども、その中に入っておりますよ。航空政策として、そういうものでつくったのでしょう。つくったとすれば、一体、今日つくられたその結果として、地域格差を是正したり、地方の産業経済の格差を是正するようになっておるかということになると、なっていないのです。なっていないで、その結果、会社が採算ベースに合わないから、今度は、運賃は三年据え置きになっているから、運賃を値上げすることについて、とやかくあなた含んだものの言い方をしていますが、私は、とんでもない話だと思う。そういう前提があるならば、この際、運輸省が、政府が思い切って、そういう事業については、やはり補助対策として当然前向きの、あなた方、政策を考えなければならぬのではないですか。
 さらにもう一つい皆さん御承知だと思うけれども、なぜ日本航空に政府が膨大な金を投資するかというと、国際競争力基盤強化という美名に隠れて、国際線は赤字線ですよ、その穴埋めを、国内幹線で一生懸命働いて、それをしてなおかつ足らないから、政府がその穴埋めに対して投資しておるわけです。年々歳々これは日本航空はまことにこれは殿様商売と言っていいのだと思うのだがね。そういう話は別として、そういうことをやっているのです。国民から考えてみれば、日本人が高い金出して乗っかって、それで外国人を安く乗っけているから穴があくわけだからね、赤字になるわけです。それで貧乏な日本人が外人を乗せるためにその穴埋めをやっているという現象がいま起きているのです。それはそれで別な問題ですから、私はとやかく言いませんが、少なくとも地域産業経済格差を是正する、地域格差をなくするという計画があるのですから、その計画に基づいてやったとすれば、政府は運賃値上げなんてとんでもない話ですよ。政府がやはりみずからやる離島航路のように補助政策としてぼつぼつ考えなければならぬ段階に来ていると私は思うのですよ。
 それから、先ほど言った輸送分野をどうするかという問題ですよ。輸送分野ですね。これはやはり長距離は航空の分野ですよ、明らかに。国際的に見てもね。だけれども、中距離あるいは近距離というのは、もう飛行機じゃないのですよ。やはり鉄道ですよ。現に東京――大阪間、新幹線が走って、結局は東京――大阪間の日本航空並びに全日空の利用客はどの程度下がったか、あなた把握しているでしょう。そういうものなんです、原則的にね。それを今度は逆に、そういう原則をわきまえないで、国家的に不経済なジェット機を東京――大阪間で飛ばすなどということを野方図にあなた方がやらしている。会社がかってに飛行機を買ってやるんだからしょうがないといえばそれまでだけれども、そういうところだって、あなた方やはり政府が一つの計画経済のような計画を立ててやっているとすれば、その計画を踏まえて役人は十分そういう点で監督指導しなければ私はならぬと思う。いまの段階で大阪――東京間をジェット機を飛ばして、普通のプロペラ機と違いまして、ばく大なあなた燃料を消費するのです。この燃料はわが国に生産される資源であれば私は何も言いませんよ。すべて輸入じゃないですか。外貨の関係にも影響してくるのです。そういうときに、あなた方野方図にやらしている。それは何かというと、政府に正しい意味の運輸交通政策がないからです。そのことを毎回この委員会で指摘しているのですからね。こういう点、あなた方としては、いまあなた運賃値上げをするようなことを言ったけれども、私は、はいそうですかということになりませんがね。これから来年度の予算編成期にあるわけですから、もっと前向きで、こういう問題をどうするか、地域格差の是正をどうするのか、こういう立場でものを言わなくちゃだめですよ。大臣、どうですか。
#61
○国務大臣(中村寅太君) まあ吉田委員の質問の趣旨でありますが、私は、吉田委員から述べられましたように、この航空の問題、離島等の問題につきましては、やはりひとつの政策的な意味をこれは加味しなければなりませんので、いますぐというわけにはいきませんけれども、大体の方向、政策の整理をいたしまして、国内の線を飛ぶ航空会社等もやはりもうかるところの線等と組み合わせまして、そしてプールしてできるだけカバーしていく、それでもいかないときには、やはり離島に関しましては、いま言われますように、政策的な意味も加えて、補助の対象としていく。それからさらに、国際線との関連等も、できるだけ私は航空政策というものを整理して、それぞれの機関にはかりまして整理して、ひとつの明確な航空政策というものを確立して進めてまいりたい、かように考えている次第であります。
#62
○浅井亨君 いま先ほどからの御説明を聞いていますと、大体はわかったのですけれども、さっき古田委員からも御質問がありましたので、それを聞きますと、鉄道と航空との時間的格差のことから勘案して、松本のこういうものをつくった、こういうことですが、そのあとで、いまおっしゃられた問題ですが、いわゆる経営の採算が合わないというと、これはだれもやる者がなければ、それを捨ててしまうのだというようなかっこうになってしまうということになりますと、三宅島の空港に対してもやはり同じような考え方が起こるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけなんです。そういう点について、その見通しはどういうふうにおやりになったのですか。また、やはり使わなくしておっても、やはり維持費なんかもかかると思うのです。そういうものに対しての補助というものはどういうふうになっているのですか。三宅島の問題にしろ、これは都でやるのですか、国費で補助されるのですか。その点もひとつ話していただきたい。
#63
○説明員(町田直君) 三宅島につきましては、一応当初はやはり採算的には若干苦しい点はあったかと存じまするけれども、全日本空輸があすこに路線を開設するという考え方を持っております。
 それから維持費につきましては、空港の設置者が東京都でございますので、原則として――原則と申しますか、空港の維持費は東京都で持つ。ただ、国で設置している部分、たとえば国の職員が配置してございますから、そういうところ、あるいは安全性のいろいろな措置につきましては、国でやっておりますから、そういうものの維持費は国が出すということでございます。
#64
○委員長(松平勇雄君) この際私から、新東京国際空港建設促進に関する決議案及び日米航空協定改定に関する決議案を提案いたします。
 両決議案を議題といたします。
 案文を朗読いたします。
   新東京国際空港建設促進に関する決議(案)
  新東京国際空港の建設は、最近における航空輸送需要の増大と航空機の大型化高速化の傾向にかんがみ、極めて緊急を要するものである。しかるに、第四十八回国会において「新東京国際空港公団法」の成立をみて以来いまだ候補地の決定をみるに至っていないことはまことに遺憾である。
  よって、本委員会は、政府に対し速やかに候補地を決定し、その建設を早期に完成するよう強く要望する。
  右決議する。
   日米航空協定改定に関する決議(案)
  現行日米航空協定は、占領政策の影響下に取り極められた経緯もあり、極めて不平等なものである。
  しかるに数次にわたる両国政府の折衝にもかかわらず、いまだこれが是正をみることなく、このためわが国民多年の願望であるニュヨーク経由世界一周路線の実現をみるに至っていないことはまことに遺憾である。
  よって本委員会は、政府に対し、本日より開催される日米航空協定改定に関する交渉に当っては、現行協定の廃棄をも辞さないという固い決意をもってこれに臨み、もってその不平等を是正し、正常な日米関係の確立に資するよう強く要望する。
  右決議する。
 ただいまの決議案に対して御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
#65
○岩間正男君 私は、この日米航空協定改定に関する決議には賛成であります。
 それから新東京国際空港建設促進に関する決議案には反対であります。というのは、これは富里なり、霞ヶ浦が候補地にのぼって決定をみていないのでありますが、これに対してわれわれの基本的要求としては、立川なり横田の膨大な施設があるわけです。ここに新たに多くの耕地を取り上げ、さらにまた、地方の住民に対していろいろな不利を与える、そういう犠牲をしいて、新たなこういう国際空港をつくる方向については、基本的に賛成することはできない。
 この意見を表明しまして、これで終わります。
#66
○委員長(松平勇雄君) 他に御発言もなければ、採決を行ないます。
 新東京国空港建設促進に関する決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#67
○委員長(松平勇雄君) 多数と認めます。よって本決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 次に、日米航空協定改定に関する決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#68
○委員長(松平勇雄君) 全会一致と認めます。よって本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの両決議案に対して、中村運輸大臣から発言を求められておりますので、これを許します。
#69
○国務大臣(中村寅太君) ただいま決議いたされました二決議案に対しましては、その決議の御趣旨を体しまして最善の努力をいたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#70
○委員長(松平勇雄君) 海上保安に関する件について質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#71
○岩間正男君 「アリゾナ号」の問題でこれまで再三質問してまいりましたが、きょうは、いよいよ委員会も今国会の終わりになりますので、これを総括する意味で、しかも、このあと始末を明確にしておく必要があると思うので簡単に質問したいと思います。
 第一に、その後の捜査は進んでいると思うのでありますが、私は、ここで確認してほしいのですが、第一に、衝突の地点というものが、これは明確になっているのですか。船長の報告では、北緯三十四度から四十三度五分、東経百三十九度から百三十八度ということを述べているのですが、しかし、これは彼の説明であって、必ずしもこちらの捜査の結果では明確にされてないんじゃないか。この点どうなっておりますか。その後の捜査の実情について明らかにしてほしい。
#72
○説明員(猪口猛夫君) 当初「アリゾナ号」が緊急通信を発しました、先生のただいまおっしゃいました位置に関しましては、確かに霧中のことでもございますので、その正確度においては問題があると思われます。私たち現在調査している段階におきまして、次のような作業をやりました結果、先ほど申しました「アリゾナ号」の位置につきましては、そう大きな間違いはないだろうという点が想像されるくらいのところまでまいっております。と申しますのは、二日の午後二時四十五分に、私のほうの巡視艇が「明興丸」の転覆しました船体を発見しております。その発見しました位置から、当時の風それから海流、海流の速さ等を逆算いたしますると、「アリゾナ号」が緊急通信を発しました当時の位置とほぼ符合しているということが、現在作業途中でございますが、わかっておる次第でございます。ただし、これにつきましては、先般の委員会で申し上げましたように、コースレコーダーの記録等によりまして、なお確かめる、確認する必要があると思いまして、目下鋭意調査中でございます。
#73
○岩間正男君 そうすると、ただいまの御答弁では、確認はできていないというのは、これは私確認しておいていいですね。確認はできない。推定の域にすぎない。つまり逆算とか、それから緊急発信の地点と言われましたけれども、これはたしか「アリゾナ号」が緊急通信を発したのは、一時間牛後だとこの前私は明らかにした。そうしますと、これは打電をした所が必ずしも衝突の場所というふうにはちょっと推定できない。そういう問題も起こってくる。したがって、これは確定していないということは明らかですね。
 第二にお聞きしたいのは、「アリゾナ号」を加害船とはっきり断定できるのかどうか。「アリゾナ号」は加害船である、「明興丸」をとにかくあのように切断した、そうして十八人のこれは死亡、行くえ不明、そういうような事故を出したと、この加害船であるという点については、これは非常に幼稚な質問のようでありますけれども、非常に重大でありますから、はっきりそう断定してよろしいかどうか、重ねて伺っておきます。
#74
○説明員(猪口猛夫君) 最初の位置の点でございますが、発信いたしましたのは、確かに一時間以上衝突した時刻よりもおくれておるのでございますが、その発信しました内容は、午前二時九分に、これこれの――先ほど申されました位置において、「漁船らしきもの」と衝突した、ということでございまして、そのときの位置でございますので、発信した時刻の位置ではないことはまあはっきりしているわけでございます。ですから、先ほども申しましたように、発信の内容の中に入っております衝突時刻、衝突場所につきまして、先ほど申しましたように、逆算いたしますれば、その緊急通信を発した位置のものとほぼ符合する、ただし、これにつきましては、先ほど申しましたように、なお正確に、「明興丸」の資料等も加味いたしまして正確を期す必要があるということを申したわけでございます。
 それからその次の加害船であるかどうかという問題につきまして、物理的に見ますると、現在引き起こしました「明興丸」の船体等の検証から申しますると、約六十度ぐらいの角度で「アリゾナ号」が「明興丸」の左舷の船橋後部に衝突いたしまして、そのまま「明興丸」の後部――機関室を含めた後部を切断したということが検証ではっきりしております。
#75
○岩間正男君 つまり加害船だということをこれは断定していいのですね。この点はっきり言ってください。
#76
○説明員(猪口猛夫君) 裁判管轄権上におきます加害船とか、あるいは刑事訴訟法上の加害船とかという問題につきましては、私たちのほうではっきり云々することは申し上げられませんが、事実は先ほど申しましたような実情でございます。
#77
○岩間正男君 どうもこれぐらいのこと、これは断定できないのですか。何かこれを断定するとぐあいが悪いことあるのですか。こんなことはっきりしなければ、大体呼び戻しをやったというが、これは取り調べのためというのだが、加害船であることを認めているわけでしょう。裁判管轄権の問題について、これは日本にあるとかアメリカにあるとかなんとか言っているのも、「アリゾナ号」を加害船であるということを前提として言っているんじゃないですか。だからこれは認めていいんじゃないですか。これをはっきり認められないのは、どうも法的にどうだこうだということを言っていますが、やはり常識でいいです。これははっきり断定していいんじゃないですか。それを何か言うとまずいことあるのですか。明確にしてください。
#78
○説明員(猪口猛夫君) 現在「アリゾナ号」の船首から採取いたしましたペイントの関係等もやっておりますので、「アリゾナ号」の船長が、二日の午前三時三十八分に衝突した旨の緊急通信を発しておりますが、その「アリゾナ号」の船長の言のごとく、「明興丸」にぶつかった船が「アリゾナ号」であるかどうかということも、そのペイント等の鑑定によりまして確認する必要があると思います。それらの作業がまだ残っておりますので、はっきりそういうものを鑑定いたしまして、あるいは航海の諸記録等ともなにしなければ、先ほど申し上げましたような物理的検証のものが――「アリゾナ号」であったというようなことをはっきり申し上げたり、あるいはそれを刑事訴訟法上云々するという段階にはないということを申し上げたいと思います。
#79
○岩間正男君 どうもそこのところあんまり警戒的に言われなくてもいいと思うのですけれども、「明興丸」のあそこに切断されたなにが残っているのでしょう。「明興丸」も、これは現在横須賀――横浜ですか、に曳航されているのでしょう。だから、そこのところまだ検証ができないからと言っておるんですが、これははっきりしてほしいですね。そんな点はいいんじゃないですか。これは認めていいんじゃないですか。率直に言ってください。
#80
○瀬谷英行君 いまの問題ちょっと。訴訟法上とかなんとか、いろいろな問題を抜きにして、当時の状況それから証拠、それから船長の自供、被害船の「明興丸」の生き残りの船員の供述等を総合して判断をした場合には、加害船が「アリゾナ号」であるというふうに事実上は認定をしてよろしいということなんでしょう。
  〔委員長退席、理事江藤智者着席〕
そのことは別にここでちゅうちょする必要がないことだと思うし、事実上の問題としては「アリゾナ号」がぶつかった、ぶつけて「明興丸」を沈めたというふうに認定をするという分には差しつかえはないわけでございましょう。こういうことであんまり空転しておると時間がかかるので、事実上の問題としてこれを答えてもらったほうがよろしいと思うのです。
#81
○説明員(猪口猛夫君) 仰せのとおりでございます。
#82
○岩間正男君 それは確認して次に進みます。
 次に、この「アリゾナ号」は、海上衝突予防法、それから海難の救援救助に関する条約というのに違反しておったというふうにこれは認めていいんじゃないですか。この点はどういうふうにいままでの調査ではなっておりますか。
#83
○説明員(猪口猛夫君) 速度の点につきましては、おおむね双方とも、私たちの立場で申せば違反していただろうということがはっきり申し上げられます。しかし、これは先般も申し上げましたが、海難の原因の究明につきましては、海難審判庁の裁決が優先いたしまするので、その裁決の結果にまたざるを得ないと思いますが、まあ私たちが過去幾つかの取り扱いました事件に照らしましても、霧中で十七ノットで走ったり、あるいは十二、三ノットが最大スピードのものが十ノットで走るということは、速力の点では、海上衝突予防法の適度の速力とは申しかねる次第であります。
#84
○岩間正男君 この衝突のとき、「アリゾナ号」は十七ノットと言われておりますが、これに対して「明興丸」は何ノットくらいなんですか。あの衝突のあとをこれはよく見ればわかるんじゃないのですか。あんなにまっ二つに切断されるというのは、「明興九」のほうは非常に速度を落として静かに走っていた、それに対して十七ノットの速度でぶつかって初めてあのような切断力というものが起こり得る、物理的に言って。そういうふうに推定される節があるということを、よく専門家は言っているのですが、もし「明興丸」が速度を出している、「アリゾナ号」が十七ノットの速度でやってくるというと、あのような痕跡が残らなかったというふうに言われておりますが、この点について、あなたたちのその後の調査の結果というものはどういうふうになっておりますか。
#85
○説明員(猪口猛夫君) 「明興丸」の速力が非常におそかったような先生のお話でございましたが、生存者の二等航海士の言によりますと、速力は十ノットであったと申しますから、「明興丸」の全速が十一ノット半でございます。ですから、ほぼ全速に近いスピードで走っておったということは事実だと思います。これは、生存者二等航海士の言によりますとそういうことになるわけでございます。
#86
○岩間正男君 それは生存者のなんですか、証言だけですか。それともいろいろな日誌とか、その他の物的な条件については痕跡はもうないのですか。この切断された船の中にそういうものは残っていないのですか。そういう点からはっきり確認してのいまの御答弁ですか。
#87
○説明員(猪口猛夫君) 一昨日横須賀で復元いたしました船内の状況を検証いたしました結果からいたしましても、そのことがうかがわれます。具体的に申し上げますと、エンジンルームのテレグラフは全速のままで、指示器が全速の位置を指示しておった。船橋におきますテレグラフは後進一ぱいになっておった。要するに、衝突をしたときに後進に引かれると思いますが、そういう状況でございますから、二等航海士の言は、間違いないだろうということが推定されます。
#88
○岩間正男君 次に、積み荷、それから船客十二人ですか、「アリゾナ号」におったですね、これはもう調査がついておりますか。
#89
○説明員(猪口猛夫君) 旅客十二名、それから積み荷七千五百三十二トンにつきましては、私たちのほうでは、旅客個人個人まで詳しく調べてはおりません。それから積み荷につきましては、雑貨七千五百三十二トンということで私たちは承知しておる次第でございます。
#90
○岩間正男君 関税法の入港手続をとったかということを、この前調べておりましたね、電話かけて調べていた。その結果、当然これはいろいろな条件を調べておられると思うのですけれども、この入港手続におけるいろいろな条件については、どういうふうになっておりますか。これは十五条、「二十四時間以内に入港届、積荷目録、船用品目録、旅客氏名表及び乗組員氏名表を税関に提出するとともに、船舶国籍証書及び最近の仕出港の出港許可書又はこれらに代る書類を税関職員に提示しなければならない。」、こういうことにこれはなっておるわけですが、この手続は正確にとられておって、その資料はあるのですか。その資料については、あなたのほうで、この前私質問したら、わざわざ電話をかけて――これは電話して、十五条の手続をとったということですから、その後こういうような点について、資料としてあなたのほうで採集しなければならぬ問題だと思いますが、どうなっておりますか。
#91
○説明員(猪口猛夫君) 私たちのほうの出入港手続等の書面審査では、一応雑貨七千五百三十二トンになっております。それ以上あまり詳しく追及しておりませんが、税関のほうに問い合わしたものでは、やはり木材とか、メリケン粉ぐらいの雑貨程度のものであるということを承っておる次第でございます。
#92
○岩間正男君 これはもう少し明細に調べてもらいたいですな、問題を起こした船ですから。旅客氏名表、それから積み荷目録、こういうようなものを少なくとも届けることになっておりますね、これについては調べられていないのですか。
#93
○説明員(猪口猛夫君) 私たちのほうでまだ詳しくとっておりませんが、それぞれ入管とかあるいは税関のほうに問い合わせまして、もし先生のほうで御要求ございますれば、詳しくそれぞれの所管官庁から承って御報告せざるを得ないと思います。
#94
○岩間正男君 この船を見ておりますと、いわば、どうもまっとうじゃないですよ。ことばを強く言えば海のギャングだ。ひき逃げしちゃったんだ。一体こういう船が入港してきたときに成規の手続をとっているかどうかということは、今後の海運行政の上で非常に重要だと考えますので、この際やはり資料に、正確な一体入港手続をとったか。関税法の十五条に対して、成規な手続がとられているかどうか。そのためからいっても、この資料は、この事実を追及すると同時に、この海運行政を明らかにするために、いい機会ですから必要だと思いますから、これは資料として提出してもらうのは当然だと思いますが、委員長、いかがですか。
#95
○理事(江藤智君) 資料提出、いいですか。
#96
○説明員(猪口猛夫君) それぞれの所管官庁と連絡いたしまして、提出できるものでありますれば提出いたします。
#97
○岩間正男君 それは要望します。
 次にお聞きしますが、刑事局長にお伺いしたい。
 これは横浜の地検では捜査を打ち切った。それから横浜の地裁では、証拠保全の問題で最初調査を開始したけれども、これも途中でやめてしまった。こういうような事態が起こっている。その一番大きな原因は、あなたの発言にあるのじゃないか。これはあなたの発言というか――個人の問題ではないと思うのですが、法務省の見解そのものにあるのじゃないか。ところが、この前の委員会で、私があなたに質問しましたときに、あなたは、この事件に対する見解でないということを明らかに言っておりますね。あれは一般の問題である。つまりあれが公海であった場合にこうなるのだという仮定の問題として、あなたはあそこであなたの見解をこれは表明された。ところが、それが今度いかにもあの事件に関する見解であるというふうにこれは受けとられた。そしてその結果、捜査を打ち切るというようなことが起こっているわけです。これは日本の、日本人の当然の権利――生命財産、そういうものを守る権利からいうと、非常にこれに対しまして保護が十分に行き渡らない。正当な権利というものを行使することができないという結果を来たしていることは事実なんです。そうしますと、私、この点非常に重要だと思うのですがね。何か法務省が、地検やあるいは地裁から問い合わせでも来て、そうして行政指導的なそういう見解というものを述べられた結果、ああいうことになったのか、あるいは、あなたが記者会見か何かで述べられたのですが、あの見解が広まって、そうしてその結果、その意を受けて、もう向こうからやめろという事態が起こったのか。これは非常に私、今後重大な問題だと思いますので、この点について、この間の消息を伺いたい。
#98
○政府委員(津田實君) 私が新聞記者に質問に応じて述べましたところは、もちろん、いま御指摘のように、具体的な事件ということではなく、海上の船舶衝突に関する刑事裁判権の問題として説明をいたしたわけでございます。この説明をいたしたことにつきましての根拠につきましては、前回にも申し上げたかと存じますが、簡単に重ねて申し上げますと、従来はこのフランス定期船「ローチュス号」事件の常設国際司法裁判所の判例が、一応国際法の一つの根拠であるというふうにまあ考えられておったわけでございます。したがいまして、その以後におきましては、その判例の趣旨に従った解釈をおおむねしてまいってきておるのであります。しかしながら、この判例に対しましては、非常に批判がありますし、また、その成立の過程におきまして、裁判官六対六というような、賛否が非常に分かれた。で、結局裁判長の決するところによってきめられたような経緯もありますし、また、その批判と申しまするのは、要するに、「ローチュス号」事件におきましては、被害船の国においても裁判権があるという趣旨でありまして、そういたしますると、船あるいは船員が、他国の裁判権に服さなければならない場合がしばしば出てくる、そういうことは船員に対する保護に欠けるところがあるのではないか、こういうような批判が非常に強く出てまいりまして、一九五二年に、ブラッセルにおきまして締結されました、船舶衝突の刑事裁判権に関する条約におきましては、この「ローチュス号」事件の判決とは違った趣旨の規定がございます。すなわち、その船舶の加害船の保護またはその乗り組み負の本国の裁判権に服すると、刑事裁判権に服するというような趣旨の条約が締結されたのであります。その条約が締結されますとともに、また一方、国際連合の国際法委員会におきまして、海洋法草案が討議されました際も、やはりほとんどいまのこの条約と同趣旨の草案が討議されたわけであります。で、一九五八年に至りまして、この後に申し上げます一九六二年九月三十日に発効した多数国間の公海に関する条約というのが討議されまして、その際、一九五八年にその条約の採択の採択会議があったわけでありますが、その採択会議におきましては、非常に賛成多数をもって採択が決議されたわけであります。で、その結果、一九六二年に至りまして、この多数国間の公海に関する条約が成立し、それに対しまして、今日までに三十二カ国がすでに加盟いたしておる。で、わが国は、この一九五八年の採択会議におきまして、すでにこの条約に賛意を表しております。その後今日まで三十二カ国が加盟いたしましたが、わが国は現在加盟いたしておりませんけれども、すでに昭和三十八年に、政府委員が国会におきまして、この条約に加盟したい趣旨を表明いたしております。かようにいたしまして、この条約、それから海洋法草案、それから一九五二年のブラッセル条約を通覧してみますと、もうすでに「ローチュス号」事件の判決に盛られたところの国祭的なルールというものは、反対の結論になり、しかも、その反対の結論がすでにもう多数国によって承認されておりまして、国際慣習になり、さらに今日に至っては、これが国際慣習法であると、まあさしずめ、条約に加入しておるところは条約上の義務でありますが、加入していないところにおきましても、国際慣習法というように解釈することが相当となってきた、そういう点を考えまして、わが国におきましても、憲法におきまして確立された国際法規を順守しなければなりませんので、従来とってきたところの「ローチュス号」事件の態度というものを、そのまま一応の解釈としていくことは相当でないという結論に達しましたので、ここに、この新しい国際慣習法に基づくところの原則に従って諸般のことを処理するのが、相当であるという結論になりました。そういうことの状況のもとにおいて、私は、新聞記者にその法律論を説明したわけでございます。
 なお、本件、具体的事件につきましては、海上保安庁のほうにおいて調査をされておりますし、横浜地検におきましても海上保安庁と協力をして調査をいたしておりますが、ただいままあ加害船とか被害船とかという問題もありますし、それは刑事事件に影響がある問題ではもちろんございます。したがいまして、その内容は、具体的事実はどういう事実であるかということは、当然捜査以前の問題として明らかにされる必要がありますし、その際に、これが刑事事件である、刑事事件の疑いがあるということになれば、刑事事件としての捜査を開始すべきものというふうに考えております。
 刑事事件の捜査として予想されることは「アリゾナ号」の当該航海の責任者に刑事責任があるということは、もちろん考えられますが、日本船である「明興丸」の当該航海の責任者についても、刑事責任があるという疑いがあるということが考えられます。しかしながら、いままだ刑事事件として本件を取り扱うかどうかという捜査の端緒はいまだ出ていない状況であろうと。これは海上保安庁が司法警察職員でありますから、海上保安庁の判断によるところでありますが、ただいまのところは、刑事事件として捜査する段階に至っていないのではないかと私は推測しておる次第であります。
 したがいまして、もしさように両者に刑事責任があるとすれば、その刑事事件についての管轄権は、米船である「アリゾナ号」の乗り組み員につきましては、アメリカにあり、日本船である「明興丸」の乗り組み員については、日本の裁判権がある、こういう結論になると思うのであります。
#99
○相澤重明君 いまの刑事局長の答弁を聞いておると、すでに領海であるか公海であるかという判断を自分がしておる。領海であるか公海であるかということは、先ほどの東経何度とかいう、北緯何度とかいう問題が実際上確認をされなければ、いまの答弁は私は問題があると思うんですよ。一体だれが日本の領海は何海里であり、どこの地点であるということをきめたのか。このことから、私はまずもって最初に政府の考えを聞いておかないことには、公海上における問題だということになれば、いまの刑事局長の答弁はうなずけると思う。しかし、いままでの報告を聞いておったことでは、必ずしも、下田から北緯三十四度とか東経十三度とかいうところが公海であると、だれが断言する、だれが一体きめたのか。こういうことを、これは刑事上の問題があるとすれば、という解釈の中でのいまの刑事局長の話なんだけれども、ちょっと私は逆に、運輸大臣に聞いておきたいですよ。一体公海とか領海とかいうのをどこで、いま日本の区域の範囲というものをきめてあるのか。これは、私は率直に言って、東京湾といえばかなり広い、相模灘といえばもっと広くなる、こういうことからいって、日本の領海なるものが、率直に言って、朝鮮の場合、李ラインという十二海里の問題が出てきている。これでみると、十三海里というのも出ているけれども、一体運輸省は――海上保安月も含んでそうですが、二体日本の領海というものは、何海用に考えるのか、相模灘はどう考えておるのか、こういう点を明らかにしてもらわないと、国際法上の問題の解釈は私はいいのですよ。解釈は解釈としても、公海であるという原則の上に立って、この問題を議論されても、私はやはり将来に禍根が残ると思うのです。そういう意味で、私は逆に運輸大臣に、領海というものはどこなのか、それをひとつ教えてもらいたい。
#100
○説明員(猪口猛夫君) 御承知のように、海洋法上では、いろいろ領海十二海里説とか何かあるようでございます。日本では従来から三海里説を現在とっていることは、先生も十分御承知だと思う次第でございますが、さて、先ほど申し上げました「アリゾナ号」が打電いたしました位置は、最も日本の領土に近い、大鳥の陸岸から約六・五海里の地点でございます。それで三海里を領海とするわが国の立場から申し上げますと、「アリゾナ号」が衝突したという地点、これは明らかに公海であると、その地点が正しいかどうかは別といたしまして、打電した衝突地点というものは、公海上であるということははっきり申し上げられると思います。
#101
○相澤重明君 これは、いまの点が問題になると思うから、さらに聞いておきたいのは、たとえば北海道、手品の場合に、あなたは、日本の領海は三海里と、こういうことで別に疑問はないですね。千島列島についても、三海里ということについては疑問はないですね。
#102
○説明員(猪口猛夫君) 日本の領海ということにつきましては、三海里ということには疑問がありません。
#103
○岩間正男君 三海里のこれは根拠をやはり明確にしてください。あなたがそういうふうに言われる限りは、いつ決定したのですか。ちゃんと資料がなくちゃだめですよ。そうして、これは今後の海運行政の中で非常に問題が起こると思うのですね。日本がいつ三海里説というものを決定したのかどうか。それから、それの前に、まだ衝突した地点も確認しないうちに、これが公海であるとか、領海であるとかということを論議をすることは、私はけしからぬと思う。しかも、そういう条件の中で、公海である、こういうことを前提とした意見を、見解を法務省の最も法解釈の中心になる刑事局長が発表するということは、私は不謹慎じゃないかと思う。しかも、それが、どういうふうに受け取られていくかということを問題にしたのは、このことについて行政指導をしたのかしないのか。単に新聞記者会見のそれを、今度はあなたの下のほうにいる人たちが、地検なり地裁なりが、あなたの意を迎えて、これは法務省の見解はもうこうきまった、どんなに自分たちがやっても、刑事裁判権がないのだということで、事前に自分からも進んでそういう方向をとったのか。あるいはあなたのほうで行政指導があって、これについては、法務省の統一見解はこうだ、同時に、これは政府の見解だ、こういうことで、これは地裁や、それから地検がもう捜査をやめたのか。この点非常に重要ですよ。私は不謹慎だと思うのです。しかも聞いてみると、公海か何かは決定しないのじゃないですか。ところが、これについて私は言ったのじゃない、ただ公海であるとするならばこうだという一般論について話したのです、具体的なこの案件について適用できる案件ではありません、ということを、はっきり津田刑事局長は私に答弁している。しかも、その結果の影響するところはどうかというと、非常に重大だと思うんです。だから、こういう行政指導があったのかどうか。それから、いまの地裁や地検から法務省に対して問い合わせがあったのかどうか、これに対して答弁したのかどうか。あるいは、こっちから行政指導したのかどうか、この点の有無。このことは今後の行政について重要ですから、まずこの有無について聞いておきます。あなたの言われたことは、この前のことを繰り返したので、質問からはずれているのですよ。その点いかがですか。
#104
○政府委員(津田實君) 法務省としましては、もちろん外務省、法制局と連絡をとって、以上のような解釈をしているわけです。本件についてと申しますとあれですが、今回起こりました事故に関連いたしまして、この行政見解、解釈は最高検察庁に連絡をしてあります。したがって、横浜地検としては、最高検察庁に問い合わせた結果、自分の判断をきめたのかもしれぬと思うのでありますが、横浜から本省にも連絡がありましたので、一応この趣旨を伝えたのであります。したがいまして、横浜地検がこの連絡の趣旨に基づいてやったかどうかということはわかりませんが、おそらく、中央としてかような解釈だと判断している以上、これと異なった見解をもって横浜地検を拘束することはなかろうと思います。なお、横浜の地方裁判所が民事に関して証拠保全に行った際に、拒否をされたということを私は聞いておりますが、これは全く法務省と関係のないことでありまして、これは裁判所自身が、この場合にどうすべきか判断すべきことだと思うのであります。したがいまして、その点は何ともわかりません。
#105
○相澤重明君 さっき部長の言う領海三海里という問題ね、これはなかなかわれわれ納得できないですよ。六海里という説もあるし、十二海里というのもあるし、いろいろ言われておるわけですね。それをなぜ自分たちの国をわざわざ狭くして三海里にしなきゃいけないのか。これは、私はいつ、どういうところでそれはきめて――国際連合の中で、日本の領海というものは三海里だと、こういうことをきめたのか。これはやはり領土という問題と関係をしてくることですから、これは非常に大事な発言になると思うのですよ。それで私は、先ほども、言うとおりに、領海というものか、公海というものかきまらないのに、公海上における問題として説明をされても、これはわれわれは、まだまだ問題が将来残る。したがって、まず、領海という問題について、これは明らかにしてもらわなければならぬ。それは、どういうところでどうなってこうきまったのかという、明らかに説明がつくように、国会議員にみんなわかるようにしてもらわぬと、国民が納得しないですよ。そういう点をまず私は、運輸省――とにかく海のことについては海上保安庁が警備をしておりますが、したがって、運輸省は正規な立場でこの点を明らかにしてもらいたい。これは、どうしても私は要請しますよ。運輸大臣答えてください。これは一番大事なポイントなんだから。
#106
○国務大臣(中村寅太君) 私はしろうとでございますので、法的な解釈は猪口部長から……。
#107
○説明員(猪口猛夫君) 根拠になるというような点につきまして、直ちにこの席上で申し上げることができないのは、まことに残念でございますが、外務省とよく打ち合わせ、連絡いたしまして、次の機会に、あるいはお許しあれば、資料等で提出させていただくことにいたしたいと思います。
#108
○相澤重明君 これは重大な問題ですよ。いまの部長の言う、そういう、日本の国会できめたり、行政機関、政府が外国に対してきめたり、国際法上も、国際連合の中でも、日本の領海というものは何海里、こういうことが慣習上明らかになっておれば、そのことをはっきりさして――理由があればいいのですよ。いま答弁されるように、外務省と相談をしてみたり、運輸大臣だって、しろうとだから実際の話がわからぬと、こういう中で、いや、領海は三海里ということを言われても、それはわれわれが、何もわざわざ日本の領土を狭くする必要がどこにあるのか。もしこれが逆に、日本の船がいわゆる外国の海辺に行って、事故を起こした場合に、向こうは十海里と言っています、十二海里と言われておるときに、いや、日本は三海里ですと言ったって通らないですよ、それは。日本の船にはだんだん悪くなるけれども、外国の船には弱いということは、これはどういったところで、日本人には納得できないことですよ。だから、特に例の李ライン十二海里という問題については、われわれも意見があるけれども、いずれにしても三海里ということで、それは昔はそういうことを聞いたこともありますよ、われわれも。だけれども、われわれはわざわざ、そういうはっきりしたものがないのに、現在答弁ができないようなこの席で、三海里ということが領海であります、ということについては、私はこれは非常に問題だと思うのです。だから、この点については納得できないです。
#109
○岡本悟君 それほど大事な問題であれば、もっと慎重に、警備部長がおっしゃるように、外務省とも打ち合わせして答弁すべきじゃないですか。
#110
○理事(江藤智君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#111
○理事(江藤智君) それでは速記をつけてください。
 領海三海里の問題につきましては、次回までに文書をもって政府の見解を明確にしていただく、よろしゅうございますか。
#112
○説明員(猪口猛夫君) 文書をもって提出いたすことにいたします。
#113
○岩間正男君 そうしますと、当委員会の審議とそれからその後の経過そのものは、非常に不安定な基礎の上に立って論議したことになりますね。いろいろな判断そのものも根本から考え直さなければならない新たな条件に立っておると思うのです。だから、とにかく刑事局長のああいう態度は私は軽率だと思うのです。あなたたち、先ほども申しましたように、いつでも捜査中の問題については、結論を出してはいかぬということを言っておるのだ。ところが、これは一般論だという形で結論を出してしまっているということは、この問題で、しかも船員の生命を守ることができないというような問題が起こっておるわけです。問題は結局十八人の人が死んでおるわけですね。しかも日本の全く目と鼻のすぐそこでこれは死んでおる。この問題について運輸大臣はどういういままで態度をとられたか。この前も私はお聞きしましたけれども、この問題について少なくとも外務省を通じて政府として当然アメリカと交渉をするということが必要だと思うのです。刑事裁判権の問題についても話し合ったのかどうか。それからそれと同時に、この衝突事故に対する責任の所在を明解にする、アメリカ側の責任はどうなるのか、外交上どうなるのか、こういう問題について、運輸大臣としては直ちにこの問題を日本人の立場から取り上げるということは、あなたの当然の職責だと私は考えます、政治的には。いままでとられ処置についてお伺いしたいです。
 それからもう一つ、これは時間の関係がありますから、もう一つついでにお聞きしますが、なくなった十八人の遺族のいろいろの、補償の問題もあるだろうし、生活上の問題、それからこういう悲惨な問題で全くたいへんな事態になっていると思うのですが、こういう問題についてどういうふうに措置しているか。一つは、外交上どういうふうになっているか、第二に、遺族の補償の問題、それから生活上の問題、こういった問題についてどういう措置をとったのか。こういう海難事故が続発しないとは言えないのです。これを見ますと、十三隻同じような船があるようですね。アメリカの会社でステート・スティームシップ・カンパニーというのは、同種類の型の船が十三隻ある。それで定期航路でサンフランシスコからホノルル、日本、那覇、フィリピン、これを絶えず運航しているわけです。そうしますと、先ほど申しましたように、海のギャングみたいな性格を持っている、こういうのが十三隻も日本の近海をうろうろしているのですから、まだこういう事故が起こらないという保証がない。これをはっきり絶滅するために、ここで強硬な私たちは措置をやっぱり明確にしておかぬと、こういうものの再発を防ぐことはできない、こういうふうに考えております。したがって、海上運輸の立場から連輸大臣はどういう措置をとられたかということを私は聞きたい。これはどうなんですか。
#114
○国務大臣(中村寅太君) 私はこの事件の報告を受けましたのが二日の夜だったと思いますが、受けましとたんに感じましたのは、先ほど岩間委員の言われたように、ひき逃げに匹敵するようなこれはけしからぬ行為であると、こういう解釈でありましたので、直ちにその船にその場から引き返してこいという手配をするということで引き返えさせる手配をいたしましたのであります。サンフランシスコにある船主のところに連絡させて船主が船の、おそらく船長だろうと思いますが、指図をして、直ちに引き返してくることになって、翌日の午前十時ごろだったと思いますが、横浜に入港するという連絡がございました。それから横浜に入りましてからは、それぞれの法の命ずるところによりまして措置させたわけでございます。
#115
○岩間正男君 ほかにアメリカとの折衝、これは外務省を通じてなり、あなた国務大臣として閣議なんかで問題にならなかったのかどうか。十八人の命を、しかもこれは先ほどから論議をしましたように、いろいろなこれは海上運送上の諸法規に違反してますよ。外交折衝上どうするのですか。もし裁判権がないとすれば、日本船が黙って泣き寝入りしますか。
#116
○国務大臣(中村寅太君) 泣き寝入りするとか、そのままにするとかいう考えは毛頭ございませんが、法規に従ってこれを厳重に措置をしていくという方針でございます。いまのところ、さっき海上保安庁から報告いたしましたように、明確に調査中であると御了解願います。
#117
○岩間正男君 私はそういう態度では、これは納得できないですね。刑事裁判権の問題について一つは明確にする、それがいま言ったような解釈をとると、外交折衝の問題が残こるのじゃないか。これなしにいったら、泣き寝入りじゃないですか。実際はどうなんですか。こんなことを許しておくことはできないでしょう。この点について運輸大臣はやはり全職責を尽くされる私は必要があると思います。事は小さい問題ではありません。大きな問題です。単に十八人がなくなった、これも非常に大きな問題ですけれども、問題は日本の主権と関連のある問題です。この前も瀬谷委員から話が出ましたけれども、これがアメリカの近海で起こったらアメリカは許すだろうか、立場を変えて考えてごらんなさい。アメリカのフロリダ州の海上六海里半のところでこういう事故が起こって、日本の船が途中で引き返してちょっと行った、しかも先を急ぐのだからとてもお前のことを聞いておるわけにいかぬから、向こうの要求を踏みにじってどんどん帰ってしまった、こういう事態をアメリカが許すだろうか。ここのところですよ、一番大切な問題は。この立場にはっきり立って腹を据えてかからなければ、こういう問題は解決できない。私たちは、日米航空協定の不平等な条約についていま決議をした。あなたはこれに対して、あくまでも善処をしますと答弁をされた。精神は同じでしょう。全く同じです。日本国民はこんなことでは納得できない。これに対して、あなたは当面の責任者として閣議でどういう態度をとるか、そうして機関であるところの外務省を通じて、どういう外交折衝をされるかということをはっきりされることは、これは重要です。これは刑事裁判権の帰属の問題にもからめて決して劣らない重大な問題です。法的な解釈だけで問題が解決しないとすれば、当然私は日本人の権益を守るという立場に立って要求するものは要求する。これに対し外交折衝をやるという断固たる決意が必要だと思います。そうでなければ、日本の独立もへちまもないじゃないですか。日本の権威なんて確立できますか。ましてや、日本の船員の権利、生命というものを、これは守ることができない。この立場に立たぬ運輸行政というものは一体何ですか。この点ははっきりどうなんです。
#118
○国務大臣(中村寅太君) 私は何もこれを放任しておるわけじゃございません。いま岩間委員のおっしゃるような気持で臨んでおるものでございますけれども、法によってこれは処置する以外に、感情だけでやろうとしたってできないことで、法にのっとりまして厳重に国民の立場を守りたい、かように考えております。
#119
○岩間正男君 ライシャワーは、最近アメリカに帰りまして、最近どうもベトナム戦争以後、日本人のアメリカに対する感情は非常に変わっている、こういう報告をしておりますね。こういう事態が起こってきていると思う。ことに、そういうベトナムの戦争の何というか、飛行機が日本に入ってきて、この戦争の正体が明らかになっている中で、アメリカに対する批判が急速に起こっているのは、これ事実でしょう。そういう大勢の中で、日本の置かれているいまの立場、半独立的な立場というものは、非常に大きな問題になっているじゃないですか。そういう立場で何かアメリカのやっていることに対しては歯向かいができない、切り捨てごめんだというような態度をとっていたのでは納得ができない。だから私は、何か法的な問題が一つあって、そして法的な問題で、これはいま刑事裁判権の問題が今後論議されなければならない問題として残されています。しかし、それと同時に、外交折衝の問題、この問題がはっきりあると思うのです。政治的に。それでなければ、政治というものは全く意味をなさないじゃないですか。その立場から私は聞いているのですが、これは法的な措置だけでどうかということになれば、結局刑事裁判権というものを向こうに回して、そして向こうの判断にまかして、その結果、はいはいと従うという道しかない。そんなことでいいんですか。そんなことで了承できますか。了承できませんよ。国民感情としてこれは了承できないし、単に感情だけの問題じゃないです。ましてや、船員の諸君はこういうことではやはり不安です。彼らの権利は守れないということになる。だから、これについてひとつはっきりあなたの所信をお聞きしておくことと、もう一つは、遭難された遺族に対して、どのように一体あなたは考えておられるのか、これに対するとられた処置というのは、これは一体どういうことなんだ。この二点について、あなたの所信を明確にしておかれることは、これは今国会の運輸委員会はきょうで終わるわけですから、この点ははっきりしておかなければ結論がつかない。どうですか。
#120
○国務大臣(中村寅太君) 事実調査が明確になってから、それぞれの処置を考えていこうと考えております。
#121
○瀬谷英行君 いまの問題、これは賠償責任の問題について、この前も質問したのですけれども、この沈んだ船は小さな船だし、会社もそんなに大きな会社じゃないと思うのですが、会社自体がどれだけの扱いをするのか、まだ聞いておりませんけれども、殉職者――要するに殉職者ですけれども、この殉職をした人たちのあと始末の問題は、一体現在までにどういうことをやっているか。それから、会社としては一体どういう方針をとっているのか。それから賠償の問題は当然出てくると思うのですけれども、これは外交折衝によらなければならないというふうに思いますけれども、刑事上の責任が明らかになる、ならないにかかわらず、やはり死んだ船員に対する賠償といいますか、そういった手当てを行なうということは、社会常識的に見てこれはやらざるを得ないことじゃないか、あまり日にちをかけてやるべきことじゃないのじゃないかという気がするわけです。したがって、当面どういう措置が講ぜられてきたのか、あるいはこれから講ぜられようとしているのか、この点をお伺いしたいと思うのです。
#122
○説明員(高林康一君) まず今後、船員保険によりますところの事故賠償というものがございます。これにつきましては、職務上の死亡でございますので、その給料の三年分というふうに、通常の場合そういうふうな形で、それについての手続を進めるように、いま関係方面と話を進めている状況でございます。なお、会社側に対しましては、私のほうから、できるだけのことをするようにということはあれしておりますけれども、ただ先生いま御指摘のように非常に小さい会社ですから、非常にその点が困っている状況になっております。
 それから今後の問題といたしましては、当然裁判管轄権の問題、これは刑事裁判権、それから民事裁判権、それぞれ管轄権の問題がございますけれども、この管轄権の問題とか、先ほどから御指摘のございました、なおまた事実がはっきり確定しなければならない要素が多分にございますけれども、たとえば船舶衝突についての統一条約なんかにおきましては、一方の過失によって生じた損害は、過失船においてこれをすべて有するという衝突規定条約、統一規定条約において規定しております。もちろん、過失の認定その他の問題ということは、今後の事実審理その他によっていろいろ出てまいるかと思いますけれども、そういうようなことで、さしあたりの措署といたしまして、船員保険による手当、それから今後の問題といたしまして、当然、刑事裁判のほかに民事裁判というようなものが考えられるのではないかというふうに考えております。
#123
○木村美智男君 最後に、大臣の態度の関係で少しはっきりしてないのは、法の定めるところに従ってという、そこのところが、少し何というのですか。裁判管轄権が要するに旗国主義をとっていった場合、さっきの公海、領海の法解釈がまだはっきりしていないからだけれども、法務省が見解を述べたような、ああいう形でいくならば、それじゃもう大体管轄権の問題でこれは範囲外だから終わりだということに先が考えられるから、そこで了解できぬという話に実はなっているわけです。そこのところを振り返ってみると、やはりこの問題は「アリゾナ」号の、単なる船の衝突という問題じゃなしに、要するに自主外交といったような立場、あるいは人命尊重といったような立場、こういう問題としてのその処理のしかたについて、もう少し大臣が明確に答えて態度を明らかにしてほしいという気持ちがあるわけです。人命尊重という意味は、相手の船がアメリカ船だから、だからそこをはっきりしろといっているわけではない。かりに相手の船がソビエトの船でがあろうが、イギリスの船であろうが、こういう事態が起きたときには、一体わがほうとしては、賠償の問題等については、これは外国側に対して、調査の結果、どうも海難予防法地等に照らしてみても、霧中を十七ノットも出して突っ走っているということに対しては、当然相手方に責任があるのだから、これに対して賠償を要求するとか、あるいは今後厳重に外国船に対するぶつけたほうの国の行政指導というもの、これを明確に言質をとるとか、いろいろ形というものはあるはずです。そういったことについて相手方がどこだかということじゃなしに、普遍的な意味でどことぶつかってもこうするぞという一つの裁判管轄権がらち外であっても、外交上とるべき態度というものは当然あり得るはずだし、これからもこういう事故というものは、必ずこれはないとは断言できないわけでありますから、そういう意味でこの際基本的な態度というか考え方を明らかにしてほしい。これは当然そこまで言わぬでもわかると思うのですけれども、首相が施政方針演説の中でよく言っておる自主外交という問題と人間尊重という問題からいっても、この点は特に佐藤内閣の一枚看板にしておるところだから、こういう問題こそ明確に態度を打ち出して、そうしてそのために必要であれば、これは先ほどの航空協定じゃないけれども、委員会は運輸大臣のこれからの外交折衝の問題についても強くバックアップをする気持ちを含めて私どもはものを言っておるわけですから、そういう立場でひとつその先をちょっと述べてもらわぬと、やはり運輸大臣の先ほどの答えだけでは、じゃもうこれは裁判管轄権外だということになったらしようがないのだという、たとえば先ほどから岩間委員が言っているように泣き寝入りになるのかと、こういう話に実はなってしまう。そこのところを実は明らかにしていただきたい。
#124
○国務大臣(中村寅太君) 私は事実がもう少し明確になった暁には、そういうあらゆる方法で遺族の人たちに対しての処置を尽くすように努力をする、こう申しておったのでございますから、ことばが少し足りなかったかもしれませんが、そういう意味で、ただ成り行きだということじゃありません。できるだけの方法を講じて遺族の人たちに対する弔慰とか、あるいは補償とかという面については努力をいたす所存でございます。
#125
○木村美智男君 さっきのいわゆる外交の問題としてあと始末をしなければならぬ問題が残ると思うのです。裁判の関係としては、いま政府がとっておるような見解で、かりに公海だということになるような場合ですよ。その場合には、外交上のやはりあと始末の問題が一つ残るだろう。そのことについても私が先ほど申し上げたような立場で、それもやります、こういう意味ですか。
#126
○国務大臣(中村寅太君) できるだけの処置をするということは、あらゆる処置をやるということでございます。
#127
○岡三郎君 いま調査を急いでおると言っておりますが、どこでだれがどういう内容の調査を進めておるのか、結局「アリゾナ号」が霧の中を突っ走って衝突したときに、どういう措置をしておるか。その衝突後においてどういうふうにやったのか。つまり、通り一ぺんの法規に対して一応のことはやったというふうなところで、その内容もちょっと人命尊重の角度でやっておるのかどうか、そういう点についてどんな調査をしておるのか、いつごろ終わるのか、はっきりしてもらわぬというと、こういう問題は記憶が薄れてしまうというと、問題の解決が非常にあやふやになるおそれがあると思うのです。そういう点でもうちょっと内容的にお聞かせ願いたいのです。
#128
○説明員(猪口猛夫君) 第一次的には、海上保安庁で調査をしなければなりませんし、目下鋭意調査しておる次第でございますが、その内容といたしましては、先ほど来問題になっております衝突地点が公海上であるかどうかということを確認する必要があると思われます。これがために先ほど大臣からもお話がありましたように、「アリゾナ号」を引き返させまして、関係日誌あるいは書類、それからコースレコーダーの記録誌等を調査し、必要な書類の提示を求めまして、その提出を得ております。それらを元に返しながら位置を確認するべく鋭意努力中でございます。作業をしておるわけでございます。また明興丸につきましても、唯一の生存者でございます。二等航海士につきまして、その間の事情並びに一昨日復元いたしました明興丸の船体から得ました機関日誌なり、それから先ほどもちょっと触れましたように、機関の諸機械の指示内容等を検証いたしまして、それらの検証と「アリゾナ号」のものとかみ合わせながら、その時点の実相を調査しておる次第でございます。おおむねあと一週間もかかれば、ほぼ私たちの調査も終わるのじゃないかと見通しをつけておる次第でございます。
#129
○岡三郎君 大体内容はよくわかりました。
 そこで、われわれが質問している点は、法規に照らしてという面と、もう一つはやはり衝突した際に、かりに濃い霧がかかっていても、現場を確認するとともに、やはり人命救助に積極的に当たっているのか。みずからの危険があるわけじゃなくして、商売上のために人命尊重ということが第二義的にされておったという印象が、強く身にこたえてくるわけですね。そういう点について向こうがおざなりに一通りのことはやってしまったというふうな印象が強いので、こういう点については積極的に世論を喚起こして、やはり領海であろうと領海外であろうと、波が高いとか、救助をするにはみずから身の危険があるとかいう問題ではないので、そういう点について積極的に調査をして、そうしてこれを契機にして大型船が海の上をむちゃくちゃに走るなんということがないように、やはりそれぞれ節度を持って危険を解決するというのが、そういう教訓がこの中にあるような気がするわけです。ちゃんと。そういう点で、賠償という問題と同時に、今後いわゆる公海といえども、そういう濃霧の場合において小さい船がえじきになってしまうというような形があってはならぬというふうな考え方が強く打ち出されて、いろいろとこの質疑の中に含まれてきておるのじゃないかというふうに考えるわけですが、そういう点について、賠償問題は強く積極的に政府のほうでいろいろとやってもらうと同時に、そういうふうな当時の周辺の状況から見て、こういうふうなことがそうたびたびあっては困るとしても、かりにあったとしてもやはり最善を尽くして人命の救助というものに当たったのかどうかということについての焦点を合わせてやはり突っ込んでいかぬというと、まさしくこれは人命軽視の標本になったというふうに言われてもしかたがないのじゃないかと思うのです。それを、法規に照らして法規に照らしてというと、何か冷たい感じを受けて、もうちょっとほかに具体的にやる方法はないかということになってくると思うのです。法規は法規として十分照らしてもらうと同時に、積極的にやはり人命尊重ということについてどういう措置がとられたのか具体的に――とにかく経済行為が優先されて、人間の命がほったらかされたという印象の中から、こういう問題が済まされないという形になっておると思うのですね。この点についてはひとつ、法規に照らすだけではなくして、そういう面からいっても、やはり調査次第によっては、厳重に日本国を通してアメリカのそういうふうな船会社だけではなくて、やはりアメリカ自体に対しても積極的なそういう指導をするような注意を喚起する必要があるのじゃないかという気がするわけです。こういうふうな点について十分まあ、一週間程度で調査が済むようですから、積極的にやっていただきたいというふうに考えます。これは私の強い要請です。大臣、それでどうですか。われわれそういうふうに考えるわけですがね。法的の問題だけではなくて、もう少し積極的なひとつ、やはり人命尊重としての措置をとってもらいたい。
#130
○国務大臣(中村寅太君) 私も岡委員のおっしゃられるような気持ちをもって処理しておるわけですが、最初、私が聞きました報告のときに、すぐ私の頭にきたのは、先ほど申し上げましたように引き逃げのようなことはけしからぬと思って、すぐに引き返させろ、どんな処置をしてでも引き返すように手配をしろということを申したのでありますが、あとで聞いてみますと、午前二時何分かに衝突したということを感じて、その船はそれから十三時までやはり海上を探しておるような実績でございますから、その引き逃げという印象は、私は持っておりません。しかし、いま岡委員が言われるように、これを契機に将来こういうことのないように、あらゆる万全の措置を講じさせると同時に、できましたことに対しては、遺族等に対して最善の措置をしたい、かように思っております。
#131
○浅井亨君 この間、大体概要については質問したのですけれども、まだ二、三点ちょっとお聞きしたいことがありますので、その点についてひとつ御回答を願いたいと思います。
 先日のあの調査によりますと、船長さんのお答えは、いわゆるリモコンの故障であった。そしてそれが再々事故が継続しておったと、こういうふうに本人は答弁しているんですが、あとでよく調べてみますと、その故障ではなかったということですが、現在その原因というものはどこであったということがはっきりしたと思うのですが、どういうことになっておりますか。
#132
○説明員(猪口猛夫君) 「芦屋丸」と「やそしま」の衝突事件につきましては、その後、船長を逮捕しまして鋭意捜査して取り調べておったんでございますが、八月四日の十六時に次のような容疑で――業務上過失艦船覆没同致死傷罪の容疑で大阪地検に送致いたしまして、目下検事勾留になっておるわけでございます。その趣旨といたしまするところは、「芦屋丸」は当時交通ふくそうする狭隘な水道を航行していたのであるから、適度の速力でかつ機械のみに頼らないで、万一の場合の保安措置についても十分配慮をして航行すべき業務上の注意義務があったのにこれを怠り、漫然と航行したため、右舷器のクラッチがはずれる嵌脱スイッチを無意識のうちに倒し、そのため右舷翼が停止状態になりかじを左にとっても、同船は右に回顧する結果となり、レバーを後進に引き回避しようとしたが時期を失し、「やそしま」に追突、同船を覆没約二十名を死亡、十九名を負傷に至らしめた、そういうような取り調べの結果、容疑をもちまして大阪地検に送致した次第でございます。
#133
○浅井亨君 いまそれで、原因は大体そのようになったと思うのですが、実はこの船長ですが、この船長は二百総トン以下ですと丙種でいいと、こういうようなことになっているとは思うのですけれども、こういう大型であって、おまけにああいう船ごみのところで丙種のいわゆる免許を持っている者であって、それでいいと思われるのでしょうかどうでしょうか。
#134
○説明員(岡田良一君) 現在のところでは、現在の船舶職員法によりますと、平水区域とか沿海区域、近海区域というように区域を離れた場合、区域の遠さによりましていろいろ免状の区別をしておりますが、同じたとえば平水とか、沿海の中であれば、特にその付近が混雑するから別の免状を出すというふうな制度にはなっておりませんが、非常に混雑する地域につきましては、航行制限その他のそういう方策でいろいろ対策を考うるべきではないかというふうに考えております。
#135
○浅井亨君 職員法では、これは丙種でいいことになっているんですね。そうすると、今度の場合こういうふうに考えてみますと、先ほどの事故の原因についても、両方とも、操舵手のほうもいわゆるかじとりのほうもへんてこな回答をしておって、船長も変な回答をしておって、いわゆる思い違いをしておったような回答をしたのかごまかしたのか、そこは知りませんけれども、その責任感において非常に私は考えるべきものがあるんじゃないか。こういうふうに思うわけなんです。こういうようなことになりますと、特にああいうような安治川というのは非常に川幅も狭いところだし、あの天保山の河口ぐらいになりますと、あれが二百メートルぐらいきりないと思うのです。ああいうようなところで、こういうものを運航させ、なお遊覧船をあそこに出しているということになりますと、これはたいへんな問題になると思うのです。一度あったことを二度するということは愚の骨頂でございます。こういうことから、いわゆる職員法を改正してでも、いわゆる丙種を乙種にするというようなことはお考えになっているのでしょうか、どうでしょうか。
#136
○説明員(岡田良一君) 現在の免状の点からいいますと、丙種航海士でいいものを、本人は丙種船長の免状を持っておりましたわけでございまして、資格の点からは、特にむしろもう一つ高いほうの資格を持っておったわけでありますが、実際はその場合の不注意といいますか、そういう点に海上保安庁のほうの調査では原因があったというふうに思っておりますので、少なくともこの種の問題につきましては、船を運航する人が十分に注意をするような方法をさらに厳重にやっていきたい。なお、船舶職員法につきましては、根本的な再検討をいろいろ問題もございますので、逐次続けていく必要があろうというふうに考えております。
#137
○浅井亨君 いまの御回答ですと、そういうことでございますけれども、やはり私はこの船長なんか責任感が非常に薄いと思うのです。ああいう特攻を起こったときに、あんな言動をしているというのは、どうも私はふに落ちない。そういう方面に対して、ほんとうにもっと強力な教育方針とかというのは、どのようにお考えになりますか。あんな無責任な、連続しておったとかなんとかというような、ああいう二十名も人命を失うような事件を起こしながら、何か自分のわざじゃないんだ。実はこれはリモコンが故障だったと、こういうふうに勘違いしておった――勘違いしておったというんじゃなくて、そうだとこういうふうに言っておったわけなんです。あとでもってそれをくつがえすというようなことは、遺族としてはやりきれないと思うんですよ。そういうような、いわゆる乗り組み員に対する責任感の強い教育というものは、どういうふうにやっておられるんだ、こういうふうに私は感ずるわけですが、この点はひとつ特に強力にやっていただかなければならぬと思うのです。特に安治川なんかのああいうところは、たいへんだと思いますので、その点をひとつどのように今後やろうとするかということを、ひとつ将来性のことをお話し願いたいと思います。
#138
○説明員(岡田良一君) 現在船員の教育につきましては、商船大学とか商船高等学校というふうな学校を出ております者につきましては、それぞれ学校においてそういうふうな趣旨で教育をいたしておるわけでございますが、それ以外の人々につきましては、いわゆる自分の経験から逐次免状をとっていくというかっこうになるわけでございます。そういう方々につきましては、ここ数年前から、海難防止協会のほうで現場に指導員というようなものを派遣をいたしまして、それぞれ指導に当たっておるというふうなことをやっておりますが、今後そういう面を強化していってやっていったらどうかというふうに考えておる次第でございます。
#139
○浅井亨君 次いでお聞きしたいのは、あの大阪港で大体一日に起きているこういう事故なんかは、何件づつ大体平均あるか、年間はどれくらいありますか。
#140
○説明員(猪口猛夫君) 私の記憶が間違いなければ、最近のデータでは百二十件ばかり大体大阪港内では起きています。
#141
○浅井亨君 その中で安治川流域で起きる事故問題はどれくらいでありますか。
#142
○説明員(猪口猛夫君) 安治川、木津川あたりの付近が一番交通量が多いのでございまして、御承知のように安治川は一日に二千百隻とか、それから木津川で千五、六百隻も通るということでございますので、その方面に事故が全部集中するようにまあ私たちも考えがちでございますが、大体これも私の記憶が間違いなければ、一〇%内外が川筋で起きておると思います。
#143
○浅井亨君 そうすると、その安治川流域でたくさん機帆船とか小型船とか、はしけなどで非常にたくさんこみ合っているわけなんですが、五百トン未満というのが非常に多いと聞くが、この安治川流域では五百トン未満というのがどれくらいあるのですか。
#144
○説明員(猪口猛夫君) いま先生の御質問は在籍船でございましょうか、あるいは通行する船でございましょうか。
#145
○浅井亨君 みんな入れて……。
#146
○説明員(猪口猛夫君) 先ほど申しましたように、安治川口付近では大体一日二千五百隻ぐらい、木津川は千五百隻ぐらい……。
#147
○浅井亨君 五百トン未満は……。
#148
○説明員(猪口猛夫君) 大部分……。
#149
○浅井亨君 九五%くらい……。
#150
○説明員(猪口猛夫君) 九五%までは五百トン未満と見ていただいてけっこうと思います。
#151
○浅井亨君 そうすると、今度の問題もそういう小さい船によって起こったわけですが、あの安治川流域は私らもちょいちょい行ってみるのですが、非常に狭くて非常に小さい船がごちゃごちゃ、ちょうどアリがはうようにたくさん動いているわけなんです。ああいうところでこの遊覧船というのは、これをあそこに走らせるということは、適当なんでしょうか、どうでしょうか。私はあれは不適当と思うのですが、これはやはり人命尊重という点から見て、ちょっとあれは無理じゃないかと、こう思うのですよ。どうしてもそうしなくちゃならないというのなら、もう少しあの港域を、港を大きくするとか何とか、あれはちょっと場所的に私は無理じゃないか。私は走らすことはいけないというのじゃないが、全部を勘案いたしまして、ちょっと無理じゃないか、こういうふうに感ずるわけです。何にしても小学生、おばさん、二十名も死んでおるというのは、みすみす見ている前で死んでいるのです。それで日本人はどういう気持ちか知りませんけれども、やはり見ていて、ちょうど火事とかけんかみたいに見ているのがおもしろいというような感じに見受けられるのですね。飛び込んで救った人が一人もないそうですよ。そういうことから考えまして、まあ人間の質の、徳性の低下ということも考えられますけれども、やはりここらあたりはよほど勘案していかなくちゃならないのじゃないか、こういうふうに私思う。こういう点は現在としてはあの「やそしま丸」は、もう遊覧船はしばらく保留されておるのだと思いますが、この点ひとつよくとくと考えてみなければならぬ問題じゃないか、こういうふうに感ずるわけですが、この点どのような見通しなんでしょうか。
#152
○説明員(高林康一君) この港内遊覧船につきましては、この事故が起きました大阪港内の一周航路というものでございますけれども、これは三十三年の九月に免許しておるものでございます。その当時、私ども大体こういう事案につきましては、港長の御意見を伺って、港内交通上はどういうふうな見方をされるかということを伺って、免許事案を処理しておるわけでございます。当時におきましては、大阪港長といたしましては、支障がないというような御意見でこれを免許した次第であります。ただ、それは三十三年のことでございまして、たとえば手元にございます大阪港の統計でございますと、三十五年を一〇〇といたしまして、隻数におきましては、三十八年が一二四、トン数におきましては一四一というふうに、比較的大型化してきた点はございますけれども、非常にこれが混雑してまいっておるということは事実でございます。そういうふうな観点でございますので、港内周遊というようなことにつきましては、海事思想の普及という見地から非常に大きい利点があることは事実でございますけれども、当面ただいま御指摘のような港内の混雑がますます増大しておる状況にかんがみまして、これも航路のとり方といいますか、ルートのとり方について、大阪港におきましていろいろ安全問題――出入港に関する安全問題を研究しておりますところの市や、それから海上保安庁その他の関係官庁、あるいは民間の方々たちが集まっているような研究会がございますが、そこでそういうような航路のとり方について、もう一ぺん再検討する。さしあたりはまず一カ月ばかり自発的に事業者はこれを停止しておりますけれども、今後の航路の変更につきましては、そういう方々の御意見を伺いながら、逐次その交通事情とあわせて考えていきたいというふうに考えておる次第でございます。
 なお、先ほど救助の模様につきましては、私、現地に参りましたときに、いろいろ水上署の方やその他海上保安庁の幹部の方からも、救助の模様についてお話を伺ったのでありますけれども、そこにおりましたところの「マースク号」あるいは通りがかりましたところのはしけや引き船の船員の方々が飛び込みまして、とにかく救える方は全部救ったというような状況になっております。私どもといたしましては、そういうようなそれぞれの活躍された船員の方々に感謝しておる次第でございます。
#153
○浅井亨君 最後にもう一つお聞きしたいと思いますが、いまそのようにおっしゃいますと、そのとおりでございますけれども、やはりいまの人命にかかわる問題でございますし、今後このあり方については研究をすると、こういう答えでありますから納得するのでございますけれども、これは特に研究していただきたいと思うのです。いわゆる伸び率をいまお話しなさっておりますが、いわゆる一〇〇から一四〇と、こういうふうに伸びている。それに対応した設備とかそれらのほうがちっとも伸びないということは困ります。またそれに乗っておる、船の技術的な問題ですが、この問題も特にそれと同じような伸びを持っていませんと、とうていむずかしいじゃないかと、こういうふうに思うわけなんです。ほんとうのミスでもってああいうふうな事件を起こすということは、非常にたいへんなことだと思いますので、この点はとくと御勘考を願って、善処していただきたいと、こういうふうに要望いたしまして私の質問をこれで終わります。
#154
○瀬谷英行君 「芦屋丸」が「やそしま」を認めながら右回転を始めたというのは、先般、船長が意識して故意にやったのか、そうでなければ機械が意のままにならなかったのかということを私は質問しましたが、いまの報告を聞きますと、機械の錯覚による誤操作ということになるでしょうか。右へ行こうと思っても左に行ってしまうというようなしかけに、船はなっておるのでしょうか。これは、だとすると船の装置の問題にも相当問題があるような気がするのですが、その点はどういうことになっておりますか。
#155
○説明員(猪口猛夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、御承知のように、あの船の操舵装置は遠隔操縦装置になっておりまして、自動装置と手動装置に変える装置があります。それは自動装置に完全に入ったと、それから可変ピッチを動かすための操作用のクラッチ用のボタンがあるのですが、それをはずすと可変ピッチが動かなくなる、作動しないようになるわけなんです。船長の取り調べ中の供述によりますと、その可変ピッチを動かすクラッチ用のボタンを無意識のうちにはずしておったと、右舷のほうのやつをはずしておったために、可変ピッチがいうことを聞かなくなって、左のほうだけいうことを聞いておったというようなことでございます。それが無意識のうちということでございますが、そういう感が、また検事さんのほうでお調べになるとはっきりするということになるのじゃないかと思います。
#156
○瀬谷英行君 原因は船長がクラッチ用のボタンを無意識にはずしていたということになるのですが、無意識のうちにはずれるような装置になっておるということが、われわれにはちょっと了解できないわけですがね。そんな無意識のうちに右と左と取り違えるような誤まった操作を行なうようなことになるということは、操縦装置としても、ずいぶん私は危険だと思うのですよ。これはボタンをはずしていたことによって赤ランプがつくとかなんとか、本人が気がつくようなしかけになっておれば別だけれども、はずしており、右左があべこべになるような状態になっておって、なおかつ船長が気がつかないような装置になっておるというところにも問題がある、こういう気がするのですが、そういう操舵の上の問題はないのでしょうか。
#157
○説明員(猪口猛夫君) 私、ちょっと表現が悪かったので変におとりになったのじゃないかと思います。はずすというのは、はずすほうにスイッチを倒すということです。入れる切るというスイッチの倒し方、はずすほうに無意識のうちにやったというだけのことでございまして、それがはずれるとかはずれぬとかいうことでないのでございます。クラッチがはずれるように無意識に倒したということでございますので、御了承願いたいと思います。
#158
○瀬谷英行君 般のことはよくわかりませんけれども、いうなれば、アクセルとブレーキを間違えたというような話がよくありますけれども、そういうような意味の錯覚というか、あやまちを船長が犯かしたというふうに解釈してよろしいですか。
#159
○説明員(猪口猛夫君) アクセルとブレーキとではないと思いますが、まあ、クラッチをこうハンドでやりますね、自動車で申しますと、それを前に行くときにうしろに誤って引いたというような感じに御了解願えればいいと思います。
#160
○瀬谷英行君 じゃ、原因は船長が誤って操縦をしたと、結局は船長の操舵の誤りであったと、それは、どういう心理的な原因があったか、それはまだわかりませんけれども、根本的にはそうだということになるわけですね。それを今度は「やそしま丸」の保安の問題と、先ほどの御質問がありましたが、ここに認可をするという問題です。救命具はたくさんあったけれども、瞬時にして沈没してしまって、救命具が全然役に立たなかったわけですね。救命具の数さえそろっておれば、遊覧船というものは一応認可の規格に合うと、こういうことになるんじゃないかという気がするわけです。しかし実際問題として長い時間かけて静々と沈んでいけば、それは救命具を使う余裕があるかもしれないけれども、この場合には瞬時にして沈没しちゃったわけです。ぶつかった船の速度が八ノットですね。「アリゾナ号」は十七ノットでぶつかったというわけですけれども、八ノットというと、キロで直すと十五キロ程度で、そんなに速い速さじゃないと思う。これでぶつかって瞬時にして沈没するということになると、遊覧船がそういうたわいのないものであったのでは、私は相当心配があると思う。いま、この種の遊覧船は大阪だけじゃなしに、横浜でも、あるいは東京港でも、神戸あたりでも、遊覧船というのは、ずいぶんお客を一ぱい乗っけて、港内をぐるぐる回っているように思うのでありますけれども、大阪以外の各地においても、同じように脆弱な遊覧船が、同じような危険をおかして、今日依然としてふくそうする港内を回っているという解釈をされるわけですが、現状はどうなんでしょう。
#161
○説明員(高林康一君) 「やそしま丸」につきましては、これは昨年に進水したばかりの一番新しい船でございます。これは二十二トンばかりの船でございますけれども、この船体設備については相当良好なものだったというふうに、検査官あたりも見ておるわけでございます。ただ不幸にいたしまして対象船でございますところの「芦屋丸」のトン数が百五十トンばかり、これは普通の船と違いまして引き船でございます。引き船の場合は、引くと同時に押す能力を持っておりまして、これは数万トンの船を引くような馬力を持っておるような状況でございまして、もちろん衝突の場合の角度その他の問題はいろいろあるかと思いますけれども、船自身といたしましては、この場合やはりその衝突の状況その他にもちろんよりますけれども、相当な船でない限りは、こういうふうになることは、やむを得ない状況だったようにも考えられます。ただいま御指摘のございましたように、全般的にこの種の港内の遊覧船というようなものにつきましては、やはり各地に、たとえば北海道では六事業者、関東におきましては大体八事業者、それから近畿地方におきましては十一事業者というふうにそれぞれございます。それらの船舶が必ずしも良好な状況にはない。もちろん船舶安全法上の必要な要件というのは十分備えておるわけでございますけれども、必ずしも十分に新鋭船ではないというふうな点がございます。これらの点につきましては、特定船舶整備公団によりまして、たとえば本年度は九億でございますけれども、それらの代替新造ということを推進しておるわけでございます。こういうような点の船舶の性能の向上というようなことにつきましては、今後私どもといたしましても、公団等の手を通じまして、できるだけこれを新鋭船にするということを今後も努力してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#162
○瀬谷英行君 じゃあこれ最後にもう一つお伺いしますが、ふくそうをした港内でもって遊覧船が回って歩くということ自体に、非常な危険があるわけですね。そうすると自動車なんかでもこれは混雑しているところではぶつかったりなんかしますけれども、自動車の場合はぶつかっても、ひっくり返っても、沈むということがないわけです。ところが船の場合はぶくぶく沈んじまうわけですけれども、かちかち山の、どろ舟みたいにあっさり沈んでしまうという船が、今日も依然として日本国中あるいは観光地において多くのお客を乗っけて運営をされているということは、考えてみると、ずいぶん危険な話なんです。だから「やそしま」と「芦屋丸」の衝突事件を契機にして、遊覧船の保安の問題、それから救助の問題等について、根本的に再検討をしてみる必要があるのじゃないか。こういう危険は今日でも存在しておるのですから、再検討してみる必要があるのではないか。再検討した上で、脆弱な船については、これは営業の認可を取り消す。あるいはまた、救命設備の不備な船については、補強をさせるといったような行政指導をする必要があるのじゃないかと思うのですが、その点はどうです。
#163
○国務大臣(中村寅太君) 瀬谷君が仰せられました御意見と全く私も同じような感じを、この事件に処しまして考えましたので、実はそういう船のたてこんだ所に遊覧船を回すような必要があるのか調べてみたのですが、たしか朝の九時ごろからだったと思いますが、夕方の六時ごろまで、しょっちゅう遊覧船が回っておる。しかも乗り手が一ぱいである。であるから、やはりその周辺の人たちがそういうものを非常に希望しておるということ等もございますので、これは一気にやめてしまえというわけにはいかぬという気になりました。仰せられますような考え方まで含めまして、私は遊覧船全体に対して検討を加えてみるということを、あの事件に処しまして考えておって、それぞれその筋で検討させておる次第でございます。あらゆる方法、さっき言いましたように、船を強いものにするとか、あるいは船員の教育をするとかいうことを兼ねまして、やはりそういうところに、はたしてそういう遊覧船を回す必要があるか。回すならば、認可したときと今日の状態は多少違っておると思いますから、航路を変えさせるとか、いろいろ危険を最高度に防ぐ方法を検討させておる次第でございます。
#164
○瀬谷英行君 最後にもう一つ。多少場所が違いますけれども、関連した問題がありますのでお聞きしますが、この間渡されました事故関係の報告の中で、長野県の上高地から木曽福島行きのおんたけ交通の定期乗り合いバスが連行中に、小型乗用車とすれ違うために道路の左側に避けたところ、路肩を脱出して二十メートル下の梓川に転落した。二十七名ほど人が乗っておって死者二名、行くえ不明一名、重軽傷二十四名、こういうふうになっておりますが、行くえ不明というのは、おそらくなくなったと思いますから、このバスも三名の死者を出しておるわけであります。この問題も、さっきの遊覧船と、陸と海の違いはありますけれども、幅員が六・五メートルから七メートルで、路肩が非常にあぶなかっしい場所で、観光客を満載して運行しているところに、非常に問題がありゃせぬかという気がいたします。しかも幅員の狭い所、しかも路肩のぐあいの悪い所であったならば、当然大川バスじゃなくて、幅の狭いバスを使うとか、あるいは道路の管理状況が悪い場合には認可を取り消すとか、そういうことが行なわれてしかるべきだと思いますが、こられの点について一体どのような指導を行なっているのか、またこういう個所が相当あるのじゃないかと思いますが、このバスの転落事故についてひとつ伺いたいと思います。
#165
○政府委員(深草克巳君) 自動車局長おりませんので、私かわって御説明いたします。
 定期バスの運行につきましては、御案内のように車両制限令というのがございまして、道路の幅からそれぞれ五十センチずつ両側とりまして、それを除きましてその残りの幅に対応したバスの幅並びに長さ、そういったものを規制しております。バスの運行の許可にあたりましては、道路管理者並びに保安の警察関係が協議した上で認可をいたしておりますが、そういう意味におきましては、たとえば事故あたりで、がけくずれなどがございまして、瞬時に道路幅が狭くなったというときには公安委員会のほうで運行停止という措置も講ぜられておりますので、その点は問題がないと思っております。
#166
○瀬谷英行君 この場合運転手のミスであって、ここのこの個所、どんな場所かよくわかりませんが、営業許可をする条件として別に差しさわりない状態にあった、そういうことなんでしょうか。
#167
○政府委員(深草克巳君) 車両制限令上は、車と道路との関係は問題なかった。先ほど運転手の問題と申されましたが、原因のほうはこれははっきり最終的な結論を待たなければ何でございますけれども、向こうから来ました乗用車が急に飛び込んできた。それでこちらのバスのほうが急に左側に避けたということで、第一次原因は、相手側の乗用車の運転手にあるのじゃないかと推測しております。
#168
○瀬谷英行君 その取り調べはまだまとまっていないのですか。
#169
○政府委員(深草克巳君) まだ私自身結論が出たということは聞いておりません。
#170
○理事(江藤智君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#171
○理事(江藤智君) 速記を起こして。
 本日はこの程度で散会いたします。
   午後四時四十八分散会
     ―――――・―――――
ソース: 国立国会図書館
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