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#1
第049回国会 本会議 第5号
昭和四十年八月七日(土曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第五号
  昭和四十年八月七日
   午後二時開議
 第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関
  する法律の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 第二 日本国とグレート・ブリテン及び北部ア
  イルランド連合王国との間の領事条約の締結
  について承認を求めるの件
 第三 建設省設置法の一部を改正する法律案(
  内閣提出)
 第四 国際通貨基金及び国際復興開発銀行への
  加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 海外移住審議会委員任命につき国会法第三十九
  条但書の規定により議決を求めるの件
 売春対策審議会委員任命につき国会法第三十九
  条但書の規定により議決を求めるの件
 在外財産問題審議会委員任命につき国会法第三
  十九条但書の規定により議決を求めるの件
 蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十
  九条但書の規定により議決を求めるの件
 畜産物価格審議会委員任命につき国会法第三十
  九条但書の規定により議決を求めるの件
 甘味資源審議会委員任命につき国会法第三十九
  条但書の規定により議決を求めるの件
 昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)
 日程第一 私的独占の禁止及び公正取引の確保
  に関する法律の一部を改正する法律案(内閣
  提出)
 日程第二 日本国とグレート・ブリテン及び北
  部アイルランド連合王国との間の領事条約の
  締結について承認を求めるの件
 日程第三 建設省設置法の一部を改正する法律
  案(内閣提出)
 日程第四 国際通貨基金及び国際復興開発銀行
  への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改
  正する法律案(内閣提出)
   午後二時八分開議
#2
○議長(船田中君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 海外移住審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 売春対策審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 在外財産問題審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 蚕糸業振興審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 畜産物価格審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
 甘味資源審議会委員任命につき国会法第三十九条但書の規定により議決を求めるの件
#3
○議長(船田中君) おはかりいたします。
 内閣から、海外移住審議会委員に参議院議員青柳秀夫君、売春対策審議会委員に本院議員松山千惠子君、参議院議員柏原ヤス君、同田中寿美君、在外財産問題審議会委員に参議院議員青木一男君、同大和与一君、蚕糸業振興審議会委員に本院議員小渕恵三君、参議院議員鈴木強君、同八木一郎君、畜産物価格審議会委員に本院議員伊東正義君、参議院議員温水三郎君、甘味資源審議会委員に参議院議員谷口慶吉君を任命するため、それぞれ国会法第三十九条但書の規定により本院の議決を得たいとの申し出があります。右申し出のとおり決するに御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決しました。
     ――――◇―――――
 昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)
#5
○海部俊樹君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。
 すなわち、この際、昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)を議題となし、委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
#6
○議長(船田中君) 海部俊樹君の動議に御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○議長(船田中君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
 昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)を議題といたします。
#8
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。予算委員長青木正君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔青木正君登壇〕
#9
○青木正君 ただいま議題となりました昭和四十年度一般会計補正予算(第1号)につきまして、予算委員会における審議の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本補正予算は、去る七月二十三日予算委員会に付託され、三十一日政府から提案説明があり、八月四日から審議を行ない、本日、質疑を終了して、討論採決をいたしたものであります。
 まず、補正予算の概要を申し上げますと、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への追加出資に要する経費二百十五億円を歳出に追加するとともに、その財源として日本銀行特別納付金五十四億円及び外国為替資金受け入れ百六十一億円を歳入に追加するものでありまして、この補正により、昭和四十年度一般会計予算額は、歳入歳出とも三兆六千七百九十六億円となるのであります。
 次に、予算委員会の審議の経過を申し上げます。
 審議は、補正予算に関連して、財政経済問題をはじめ、内政、外交各般にわたり、きわめて熱心に行なわれました。
 まず、当面の経済不況対策につきましては、「政府は当面の不況現象を金融引き締めによる一時的現象であるとの見解をとっているようであるが、年初来一連の金融緩和措置を講じているにかかわらず、事態はますます悪化し、特に中小企業の倒産は増加しつつある。政府の経済の実態に対する認識は甘いのではないか。政府の目標としている安定成長とは、どのような構想であり、また、成長率は何%程度を目途としているのか。不況回復の時期及び安定成長に入る時期はいつごろか。苦境にある中小企業の倒産防止対策についてはどうか。最近、景気不振のため、新規採用の取りやめ、従業員の解雇、賃金のストップ等を主張している向きもあるが、政府の見解はどうか。」との趣旨の質疑に対し、政府から、「経済の現況は、高度成長からかもし出されたひずみの問題と金融引き締めとがからみ合い、事態を複雑にしているが、根本は需給のアンバランスである。しこうして、これが対策を講ずるにあたって、政府は、当面の不況克服と、不況克服後の安定成長の確保との二つの問題に分けて考えている。まず、不況対策としては、一連の金融緩和措置を講ずるとともに、財政の繰り上げ支出、財政投融資の増額等により、経済の隘路となっている住宅、輸送設備等の建設を促進し、これにより民間経済に浮揚力をつけ、経済の好転を待ち、次いで安定成長と真剣に取り組む所存である。安定成長の目標は、基本的には、国際収支と物価の安定を軸とし、できる限り経済の谷と山とがないようにし、インフレでもなく、デフレでもないような経済を運営することである。この際の成長率は、おおむね七、八%程度と想定されるが、成長率の問題より、経済の各部門の均衡を保持することが、より一そう重要である。当面の景気回復は年末ごろを目途とし、また、安定成長の時期は明年を目標として努力している。中小企業対策としては、中小三金融機関の資金量の増加、償還期限の延長等を行なうほか、各地方に金融懇談会を設け、倒産防止に極力つとめ、また、事業のあっせん等をも行なっている。また、雇用の安定は安定成長の重要な要素でもあるので、人員の整理、賃金のストップ等を行ない国民生活を混乱せしめることのないよう配慮している。」との趣旨の答弁が行なわれました。
 次に、財政問題につきましては、「本年度において、本補正予算のほか相当多額の歳出追加が見込まれる反面、歳入面においても多額の不足が生ずると思われるが、財源の調達をどうするのか。この場合、財政法の改正を行なうのか。もし公債を発行するとすれば、首相のさきの国会における昭和四十三年度まで公債を発行しないとの言明に反するのではないか。また、赤字公債の発行はインフレを招来し、健全財政をくずすのではないか。明年度においても三千余億円の財源増加を要するものと予想せられるが、その財源措置をどうするのか。もし財源を公債発行によるとするならば、公債発行を可能ならしめる環境の整備についての具体策があるか。また、経済界が再び過当競争におちいらぬ措置として、大企業に対する金融を規制する意思があるか。」との趣旨の質疑に対し、政府から、「本年度は、異常な状態にあり、すでに相当巨額の歳出増、歳入欠陥の生ずることが予想されるが、この場合、通常の財源をもってしてはまかない切れないので、何らかの形で借り入れをしなければならぬと考えている。その形式は、公債発行によるか、借り入れ金とするか、目下検討中であり、財政法の改正についても、検討の上、結論を出す所存である。また、さきの国会における首相の答弁は、中期経済計画に根拠を置いて答弁したため、ことばが足らなかった。公債の発行によるインフレの懸念については、経済の現況は、生産は横ばいないし弱含みの状態にあるので、多少の追加信用があってもインフレにならぬと確信している。明年度は、社会開発、減税等のため公債発行を考えているが、赤字公債は考えていない。すなわち、公債は市中消化によることとし、健全財政の方針はどこまでも貫き通す所存である。公債発行のための環境整備のうち最も大切なことは、物価の安定と国民の貯蓄である。これと同時に、公社債市場の整備とともに金利政策も慎重に検討しなければならないが、なかんずく預金金利については、公社債市場整備に先立って検討しておかなければならぬ問題である。また、金融規制は業界の自主的調整にまつこととし、法的措置は目下考慮していない。」との趣旨の答弁が行なわれました。
 以上のほか、ベトナム紛争、日韓交渉、対中共政策、沖繩対策、国際通貨、対共産圏及び対米貿易、安保条約の事前協議の範囲等の対外問題をはじめ、物価、国際収支、中小企業金融、石炭対策、農業政策、航空行政、繊維産業対策、第三次防衛計画、公務員給与、三公社の労働関係、医療保険、参議院選の選挙違反等の諸問題について、多岐にわたり質疑が行なわれましたが、その詳細は会議録をごらん願うことといたしまして、報告を省略させていただきます。
 かくて、本日、質疑終了後、討論に入り、日本社会党反対、自由民主党賛成、民主社会党反対の討論があり、採決の結果、本補正予算は多数をもって政府原案のとおり可決されました。
 以上、御報告を申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#10
○議長(船田中君) 討論の通告があります。順次これを許します。川俣清音君。
  〔川俣清音君登壇〕
#11
○川俣清音君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和四十年度補正予算(第1号)に対する反対の討論を申し上げます。(拍手)
 まず初めに、私は、今日の財政の破綻をもたらした自民党政府の責任を糾弾いたしたいと思います。(拍手)
 自民党政府は、経済高度成長政策を推進する大きな柱として、財政の規模を無軌道に膨張させる政策をとってまいりました。すなわち、金づくり政策と称して、毎年の予算編成にあたっては、いわゆる租税の自然増収をぎりぎり一ぱいに見込み、これを織り込んで予算の規模を大幅に拡大してまいりました。予算の規模の対前年比の拡大率は、はなはだしい場合は二四%にものぼったのであります。また、財政投融資の規模も、対前年比の拡大率が、毎年二〇%をこえております。いわゆる経済成長率を上回ったこのような財政規模の放漫な拡大は、だれが考えましても、早晩破綻することは明らかであったのであります。(拍手)
 毎年の予算の審議にあたって、わが党はこのことを繰り返し指摘し、警告してまいりました。すなわち、わが党は、税制の面においては、租税特別措置のうち、特に大企業に対して特権的に認められている減免税の恩典を廃止し、利子配当課税の特別優遇措置を廃し、また、高額所得者が、所得や資産の捕捉を免れているのを適正に捕捉して、国の税収をしっかり確保することを主張してまいりました。(拍手)
 歳出の面においては、国の防衛に何ら役立たぬ防衛費の削減をはじめ、公共事業関係予算の入札制度を改正して、少ない資金で大きい事業効果をおさめること、その他、不急不要の予算は、たとい既定経費であろうとも、大胆に削除し、そのかわり必要な新規経費は思い切って計上して、予算の弾力性を確保することを主張いたしてまいりました。
 しかるに、自民党政府は、このわが党の警告に耳を傾けることなく、無謀な多数を頼んで放漫予算を押し切ってまいったのであります。そして、国の予算の重点を独占資本の設備投資の資金に集中してきたのであります。
 その結果、今日の事態はいかがでございましょうか。一方では、日本の経済は、過剰生産恐慌の性格を持った慢性不況に突入し、長期にわたる不況のなべ底に停滞いたしております。他方では、インフレによる急速な物価騰貴が続き、また、経済の格差とひずみが各方面に拡大いたしております。そしてその経済不況の背景のもとに、いまや税収が伸び悩み、大きな歳入欠陥となってあらわれてきておるのであります。議会政治は、多数決の原則の上に立つものでありますが、単なる多数決は常に真理を代表し得るものでないことを、以上の経過が明らかに物語っておるのであります。(拍手)
 私は、わが党の警告を無視した自民党政府の責任を、ここに強く糾弾いたしたいと思います。
 ことに私は、昭和四十年度歳入見積もりの大きな狂いを問題といたさなければならないと思います。さきの佐藤内閣の田中大蔵大臣は、昭和四十年度予算の編成にあたり、一方では財源難を口実にして、国民大衆への予算の支出を切り詰めながら、与党と圧力団体の復活折衝に対しては、約一千億にのぼる無軌道な復活を認め、もって、今日の三兆六千五百億の予算を編成したのでございます。ところが、この予算の成立直後に、たちまち財源不足の見通しに立って予算の一割凍結を行ない、その後不況対策の景気刺激のために、今度は一割凍結を解除して予算の繰り上げ支出をきめ、そして、いまや四十年度の税収欠陥が約二千億にのぼると騒ぎ立てて、それを補うために公債を発行するか、借り入れ金を行なうかというところまできております。およそ一年間に税収入の見込みが二千億も食い違うということは前代未聞のことでありまして、その政治責任はまことに重大だといわなければならないと思います。(拍手)佐藤内閣は総辞職して、すみやかに国民の前に陳謝すべきであろと存じます。田中角榮前蔵相は、頭をまるめて深く謹慎すべきでなかろうかと存じます。(拍手)この責任を忘れて、公債発行で国民にインフレの犠牲を転嫁して矛盾をごまかそうとする政府・与党の態度こそ、まさに政治道義の退廃のきわみといわなければなりませんでしょう。
 次に、申し述べなければならないことは、補正予算(第1号)の基本的な性格であります。
 この補正予算の趣旨は、要するに、国際流動性に対する需要の増大に対処するため、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への出資を増額するというのであります。そのやり方を見ると、国際通貨基金は、全加盟国に対して一律に現在の出資額の二五%の増額を割り当て、そのほかに日本など十六九国に対しては、特別の出資増額を割り当てております。次に、国際復興開発銀行は、全加盟国への一律割り当てでなく、日本を含む十六カ国に特別の増資を割り当てているのであります。わが国では、これらの割り当てを受けて、今度の補正予算で増資払い込みのため二百十五億の資金を計上いたしておるのであります。
 そこで、この際考えなければならないことは、このたびの国際通貨基金と国際復興開発銀行の出資増額がいかなる意味を持つものであるかということであります。いわゆる国際流動性の不足ということが国際間の論議の焦点となっておりますが、これは端的に言うならば、ドルとポンドの危機ということであります。そのドルとポンドの危機をささえるために、国際通貨基金と国際復興開発銀行の手持ち資本を増額しようとするのがこのたびの増資取りきめでございましょう。
 一体、わが国がどうしてこのような増資と取り組まなければならないのか。ドルとポンドの防衛に協力しなければならない筋合いがあるのでありましょうか。
 そもそもわが国の経済は、戦後マッカーサーの占領下に一ドル三百六十円の為替レートを設定されて以来、一貫してドルへの従属のもとに置かれてまいりました。すなわち、日本の対外貿易は太平洋を越えてアメリカに結びつけられ、その貿易は大きな輸入超過をしいられ、日本からアメリカヘの輸出は、いろいろな名目で不当な制限を受けておるのであります。(拍手)その反面では、わが国の隣国である中国、朝鮮、ソ連等の社会主義諸国との貿易は、アメリカによってきびしい干渉と制限を加えられております。そのため日本の貿易収支は慢性的に赤字となり、この赤字をカバーするためにアメリカの特需や借款に依存せざるを得ない結果となっております。経済的にドルに依存を余儀なくされるばかりでなく、その関連でアメリカの戦争政策に巻き込まれるという結果を必然的に受けてまいりました。しかも、こうしたドル依存の状態をアメリカが日本に強制しているばかりでなく、自民党政府もまた進んでこれを受け入れているのでございます。
 戦後二十年間の日本経済のゆがみと国民生活の苦しみの責任は、こうした誤った政策によるものであります。アジアの戦争の危機と重大な経済不況の危機に見舞われている今日こそ、わが国は断固としてドル依存から脱却し、平和と中立と経済自立の道へ転換し、それによって経済の不況を打開すべき好機であると存じます。
 このときに、どうしてわれわれが貴重な国民の資金を供出してドル危機の救済に犬馬の労をとる必要がありましょうか。断じて私はその必要を認めません。
 また、かつてあれほどに世界を制覇した国際通貨であったドルやポンドが、今日のような危機を伝えられるようになったのでありましょうか。それは世界の資本主義諸国の間における経済的実力の関係に大きな変化が起こったということが最大の理由でありましょう。しかし、それだけではない。アメリカがベトナムやドミニカをはじめとする侵略戦争を行ない、世界の至るところに軍事基地を配置していることにあります。そのために、アメリカの財政支出が膨張し、ドルが海外に流出して、ドルの値打ちを低下させておるのであります。イギリスもまた、マレーシアに見られるように、植民地支配を持続するために、シンガポールをはじめとする海外基地へ軍隊を派遣し、これがイギリスの外貨準備を減少させ、ポンドの国際信用を低下させる理由となっております。
 もしアメリカやイギリスがこうした戦争政策をやめるならば、ドル危機、ポンド危機の状況はいまよりも相当好転することは明白であります。フランスがベトナムやアルジェリアから手を引き、植民地戦争をやめた後に、フランスの経済が大きく好転し、いまやフランスが金準備を大量に蓄積していることは周知の事実であります。
 いまや日本政府のなすべきことは、率直にアメリカ、イギリスに向かって、ドル、ポンドの危機を克服したいと思うならばフランスを見ならい、アジアにおける戦争政策をやめるよう勧告すべきでありましょう。(拍手)これこそ友邦国としてなすべき忠告であります。政府は、こうした正当な主張を行なうことができず、二百十五億の国民の資金を供出しようとしております。わが党は、国民の声を代表して、かかる補正予算は断じて承認できないことを、ここに明らかにするものであります。
 最後に、私は、この補正予算の財源調達の方法について申し述べたいと思います。
 二百十五億の財源は、一つは日本銀行の所有する金地金及び金貨の再評価差額五十四億円を特別納付金として国庫に納付せしめ、もう一つは外国為替特別会計の資金の中から百六十一億円を一般会計へ受け入れることといたしております。
 このうち、特に問題の存するのは、外国為替資金の取りくずしであります。わが国経済の動向が貿易に依存するところきわめて大きいことはいまさら申し上げる必要はありません。今後、日本の経済を繁栄せしめ、国民の生活を安定向上せしめるには、当然貿易の規模を拡大していかなければなりません。その場合、輸出・輸入の規模の増大はそれに伴って大量の外国為替の流入、流出をもたらしましょう。それに対して外国為替資金特別会計に十分な円資金のインベントリーがあってこそ、外国為替の出入りに対応することができるのであります。そのためにこそ、われわれは過去において、昭和二十六年四月に旧外国為替特別会計から引き継いだ千百二十四億円の資産に加えて、その後一般会計からさらに千百五十億円の資金を繰り入れ、合わせて二千二百七十四億円の蓄積資金をつくったのであります。これこそ国民の血税の貴重な蓄積であります。
 ところが、その後、昭和三十三年にインドネシアに対する焦げつき債権の棒引きに伴って六百三十七億円を取りくずして減資いたしております。このたびさらに百六十一億円を取りくずしますと、資金の残額は千四百七十六億円しか残らぬことになり、これを外貨に換算するならば、わずか四億一千万ドルにしかすぎません。すなわち、輸出の伸長によって、あるいは外貨の導入によって、外貨の受け取りがふえると、外国為替資金の円資金は底をつき、外為証券を発行して日銀から円資金を調達せざるを得ないことになるでありましょう。もちろん、外為証券はその性格上短期の証券ではありますが、現下のインフレ傾向の強い状況のもとでは、これもまたインフレと通貨増発を刺激する要素となることは明らかであります。したがいまして、このたびの補正予算における外国為替資金の取りくずしは、貿易拡大の見地から見ても、また、インフレ防止の見地から見ても、いずれの見地から見ても、今日の時代要請に逆行するものであります。わが党はこれを容認することはできないのであります。
 以上、わが党の昭和四十年度補正予算(第1号)に対する反対の理由を申し述べまして、私の反対討論を終わる次第でございます。(拍手)
#12
○議長(船田中君) 本島百合子君。
  〔本島百合子君登壇〕
#13
○本島百合子君 私は、民主社会党を代表いたしまして、政府から提出されました昭和四十年度補正予算案について反対の討論を行ないたいと存じます。
 周知のように、このたびの政府提出の補正予算案は、国際通貨基金及び国際復興開発銀行の増資に見合い、これに対する日本側出資額を二百十五億円増額しようとするものであります。
 このことは、わが国が国際連帯上の義務を履行するためにも、この措置自体に対し私は異論を唱えんとするものではありません。しかし、今回のこれに対する政府の財源措置は、財政法上違法とは言えないまでも、きわめて不健全な財政支出であり、今後の財源調達問題に大きな禍根を残すことは、きわめて明確であります。
 すなわち、政府案によれば、その財源を、一方において日銀保有の金の帳簿価格を再評価するという小手先の事務措置によってごまかす一方、本来政策費として使われるべき重要な財源であるインベントリーの一部を取りくずすことによって、これを穴埋めせんとしているのであります。このことは、明らかに、財源措置の基本原則である租税収入の自然増収など、健全かつ経常的収入に財源を求めんとするものではなく、現在ある財源を無方針に放出することによって一時的に問題を糊塗せんとする、不健全財政政策の典型と申さなければなりません。(拍手)
 本年度の財政を見ますときに、景気回復がおくれているために、税収は当初の見込み額より二千億円前後下回ると予想されています。したがって、政府は、財源調達にからむ公債発行の方針についても、本年四月に、昭和四十三年度までは絶対公債を発行しないと言明しながらも、この方針を基本的に変更して、去る五日の予算委員会において、同僚佐々木良作議員の質問に答え、赤字公債発行を認めたということは、いかに佐藤内閣が経済の見通しを持たないかが、国民の前に明らかにされたと思うわけであります。今回のような国際通貨基金の増資払い込みのように、あらかじめ歳出されるべき時期がはっきりとしている案件に対してさえ、財政見通しのあいまいな歳入補正は、無責任きわまりない措置と断ぜざるを得ません。したがって、このような財政政策に基づく補正予算編成には、わが党は絶対賛成することはできません。(拍手)
 反対の第二の理由は、今四十九国会は国民が大きな期待を持って開催されたにもかかわらず、その国民の期待を裏切ったということであります。これまで、わが民社党は、七月国会を不況対策国会にするよう、一貫して強く主張してまいりました。いま、国民は、その階層の別なく、深刻な不況に悩まされ続けています。これにこたえる現時点での政府の施策は、文字どおり不況の苦境から国民を救済するための不況対策に集中されるべきであります。しかるに、政府は、今臨時国会において一片の不況対策を発表しただけで、これを裏づける何らの財政措置も講じようとしないのであります。これは明らかに国民の期待に対する裏切りと断ぜざるを得ないのであります。(拍手)
 政府も周知のとおり、今回の不況は、単なる循環的不況でなく、大企業経営の過剰投資を最大原因とする、企業、産業、金融につながる経済構造全体の欠陥の行き詰まりによって引き起こされたものであります。したがって、不況を根本的に打開するためには、大企業の体質改善に根本的なメスを加えない限り、不況からの脱却は絶対不可能であります。そして、いまや九月の会社決算期を前にして、六、七月は急速に企業倒産が増加しております。倒産の半分は金繰りであります。昨年十一月ごろから本年一、二月にかけて中小企業倒産が激増したのと同じ現象がいま起こっているのでありますが、政府はこの中小企業を見殺しにするつもりでありますか。不況対策をどこに置き忘れてまいったのでありましょうか。
 第三の理由は、今国会で当然審議すべきであったと思われる生産者米価の値上げ、公務員給与の引き上げ、さらには、地方公共団体の赤字補てん、並びに、医療費引き上げに伴う国民健康保険の国庫補助の増額と、これに対する国民負担の増加防止、かつまた、北海道、東北方面の冷害、全国的な豪雨被害による農業災害に対する復旧費の計上等を考え合わせますときに、補正予算額は優に二千億円をこえると見なくてはなりません。政府はこの財源に苦しみ、今国会に提出できなかった不手ぎわは、経済、税収の見込みを誤ったもので、国民の政府・与党に対する信頼は地に落ちたといっても過言ではないと思うのであります。
 第四の理由は、物価高に悩む勤労者の生活安定をはかるべきでありましたが、佐藤内閣はこれに対する何らの具体的対策も講じようとはしないことであります。物価は昨年に比べ七%以上も上昇し、基礎物価のつり上げで、勤労者家計調査報告を見ても、実質収入が三・四%の減少となっております。さらに、中小企業倒産による失業者の続出と低所得層への転落があります。物価を押え、減税による勤労者の生活安定を推しはかるべき時期であるにもかかわらず、政府の無為無策は、今国会開催の意義を失わせているものであります。
 不明朗な三矢事件、吹原産業事件、山一証券問題と、国民に納得のいかぬ事件や、今回のベトナムに対する沖繩からの渡洋爆撃等、容易ならざる日本の現状であります。しかるに、政府は、政治の姿勢を正すことを忘れ、これら内外の重要な諸情勢の中にあって、いたずらに手をこまぬき、抽象的な美辞麗句をもって国民の期待に背を向けていることは、きわめて遺憾と申さなければなりません。(拍手)
 今回の政府補正予算は、まさにこうした佐藤内閣の無為無策を象徴するものであり、かかる国民の期待を無視した補正予算に賛成するわけには、とうていまいりません。(拍手)
 私は、この機会に佐藤内閣に対しきびしい反省を求めるとともに、国民の素朴な期待にもっと政府が真剣な配慮を加えることを特に切望いたし、本補正予算案に対する私の反対討論といたす次第でございます。(拍手)
#14
○議長(船田中君) これにて討論は終局いたしました。
 採決いたします。
 本件の委員長の報告は可決であります。本件を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#15
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり可決いたしました。(拍手)
     ――――◇―――――
 日程第一 私的独占の禁止及び公正取引の確
  保に関する法律の一部を改正する法律案
  (内閣提出)
#16
○議長(船田中君) 日程第一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
#17
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。商工委員会理事田中榮一君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔田中榮一君登壇〕
#18
○田中榮一君 ただいま議題となりました私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過並びに結果を御報告いたします。
 本案は、最近における会社規模の拡大に伴い、会社の株式保有及び役員兼任の制限に関する規定を整備するとともに、公正取引委員会事務局の機構の拡充をはかるものでありまして、そのおもな内容は次のとおりであります。
 第一は、株式所有報告書の提出義務を有する事業会社の総資産及び役員兼任について、届け出義務を有する会社の総資産を、一億円をこえる現行法のたてまえから、五億円をこえるときに改めること。
 第二は、公正取引委員会事務局の地方支分部局として仙台地方事務所を新設し、公正取引委員会事務局の定員を十一人増員して二百七十七人に改めること。等であります。
 本案は、去る七月二十六日本委員会に付託され、七月三十一日安井総理府総務長官より提案理由の説明を聴取し、八月五日採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
 なお、本案に対しましては、公正取引委員会の機構拡充を要望する附帯決議を付することに決しました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ―――――――――――――
#19
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#20
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第二 日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件
#21
○議長(船田中君) 日程第二、日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の領事条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
#22
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。外務委員長安藤覺君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔安藤覺君登壇〕
#23
○安藤覺君 ただいま議題となりました案件につきまして、外務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 政府は、連合王国との間に領事に関する事項を規定する条約を締結するため、昭和三十七年以来交渉を行なっておりましたが、最終的に合意に達しましたので、昨年五月四日本条約の署名を行なったのであります。
 本条約は、第四十八回通常国会に提出されましたが、審議未了となったものでありまして、その内容は、領事館の設置、領事官の任命及び職務範囲、領事館の享有する特権免除、領事官及び領事館職員が享有する特権免除等を規定しております。
 本件は、七月二十七日本委員会に付託されましたので、政府から提案理由の説明を聴取いたしました。審議の詳細は会議録により御了承をお願いいたします。
 かくて、八月五日、本件について採決を行ないましたるところ、本件は多数をもって承認すべきものと議決いたしました。
 右、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#24
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本件は委員長報告のとおり承認するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#25
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本件は委員長報告のとおり承認するに決しました。
     ――――◇―――――
 日程第三 建設省設置法の一部を改正する法
  律案(内閣提出)
#26
○議長(船田中君) 日程第三、建設省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
#27
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。内閣委員長河本敏夫君。
    ―――――――――――――
  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔河本敏夫君登壇〕
#28
○河本敏夫君 ただいま議題となりました建設省設置法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の要旨は、計画局に宅地部を新設すること、建設研修所を建設大学校に改めることなどであります。
 本案は、七月二十八日本委員会に付託、七月三十一日政府より提案理由の説明を聴取し、慎重審議を行ない、八月六日、質疑を終了、討論もなく、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#30
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
 日程第四 国際通貨基金及び国際復興開発銀
  行への加盟に伴う措置に関する法律の一部
  を改正する法律案(内閣提出)
#31
○議長(船田中君) 日程第四、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
#32
○議長(船田中君) 委員長の報告を求めます。大蔵委員長吉田重延君。
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  〔報告書は本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
  〔吉田重延君登壇〕
#33
○吉田重延君 ただいま議題となりました国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 この法律案は、国際通貨基金及び国際復興開発銀行の増資に応ずるため、基金または銀行に対し、それぞれ二億二千五百万ドルまたは一億六百六十万ドルの追加出資をすることができることとする規定を設けますと同時に、金及び現金で払い込みを必要とされる分についての財源に充てるため、日本銀行所有の金地金等のうち、大蔵大臣の指定するものについて日本銀行に再評価させ、これによって生ずる再評価差益約五十三億七千九百万円を全額国庫に納付させるとともに、外国為替資金の一部百六十一億五千六百万円を限り、一般会計に繰り入れることができることとしようとするものであります。
 本案につきましては、慎重に審査の後、昨六日 質疑を終了し、直ちに討論に入りましたところ、武藤委員は日本社会党を代表して、また竹本委員は民主社会党を代表して、それぞれ本案に対し反対の討論をいたされました。
 次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決となりました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#34
○議長(船田中君) 採決いたします。
 本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
  〔賛成者起立〕
#35
○議長(船田中君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
     ――――◇―――――
#36
○議長(船田中君) 本日は、これにて散会いたします。
   午後二時五十四分散会
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 出席国務大臣
        内閣総理大臣  佐藤 榮作君
        法 務 大 臣 石井光次郎君
        外 務 大 臣 椎名悦三郎君
        大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
        文 部 大 臣 中村 梅吉君
        厚 生 大 臣 鈴木 善幸君
        農 林 大 臣 坂田 英一君
        通商産業大臣  三木 武夫君
        運 輸 大 臣 中村 寅太君
        郵 政 大 臣 郡  祐一君
        労 働 大 臣 小平 久雄君
        建 設 大 臣 瀬戸山三男君
        自 治 大 臣 永山 忠則君
        国 務 大 臣 上原 正吉君
        国 務 大 臣 福田 篤泰君
        国 務 大 臣 藤山愛一郎君
        国 務 大 臣 松野 頼三君
        国 務 大 臣 安井  謙君
 出席政府委員
        内閣官房長官 橋本登美三郎君
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ソース: 国立国会図書館
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