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#1
第049回国会 農林水産委員会 第1号
本国会召集日(昭和四十年七月二十二日(木曜
日)(午前零時現在)における本委員は、次の通り
である。
   委員長 濱地 文平君
   理事 長谷川四郎君 理事 本名  武君
   理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君
   理事 芳賀  貢君
      伊東 隆治君    池田 清志君
      宇野 宗佑君    金子 岩三君
      草野一郎平君    倉成  正君
      小枝 一雄君    小山 長規君
      笹山茂太郎君    白浜 仁吉君
      田口長治郎君    田邉 國男君
      高見 三郎君    舘林三喜男君
      綱島 正興君    中川 一郎君
      丹羽 兵助君    野原 正勝君
      藤田 義光君    松田 鐵藏君
      森田重次郎君    亘  四郎君
      卜部 政巳君    栗林 三郎君
      兒玉 末男君    千葉 七郎君
      松井  誠君    松浦 定義君
      森  義視君    山田 長司君
      湯山  勇君    小平  忠君
      中村 時雄君    林  百郎君
―――――――――――――――――――――
昭和四十年八月二日(月曜日)
   午前十一時十七分開議
 出席委員
   委員長 濱地 文平君
   理事 倉成  正君 理事 田口長治郎君
   理事 舘林三喜男君 理事 長谷川四郎君
   理事 本名  武君 理事 赤路 友藏君
   理事 芳賀  貢君
      伊東 隆治君    池田 清志君
      金子 岩三君    笹山茂太郎君
      白浜 仁吉君    中川 一郎君
      丹羽 兵助君    野原 正勝君
      森田重次郎君    卜部 政巳君
      兒玉 末男君    千葉 七郎君
      松浦 定義君    湯山  勇君
      中村 時雄君
 出席国務大臣
        農 林 大 臣 坂田 英一君
 出席政府委員
        農林政務次官  仮谷 忠男君
        農林事務官
        (大臣官房長) 大口 駿一君
        農林事務官
        (農林経済局
        長)      森本  修君
        農林事務官
        (農政局長)  和田 正明君
        農林事務官
        (農地局長)  大和田啓気君
        農林事務官
        (蚕糸局長)  丸山 文雄君
        農林事務官
        (園芸局長)  林田悠紀夫君
        食糧庁長官   武田 誠三君
        林野庁長官   田中 重五君
        水産庁長官   丹羽雅次郎君
 委員外の出席者
       専  門  員 松任谷健太郎君
    ―――――――――――――
八月二日
 理事坂田英一君六月三日委員辞任につき、その
 補欠として倉成正君が理事に当選した。
同日
 理事仮谷忠男君及び谷垣專一君六月八日委員辞
 任につき、その補欠として田口長治郎君及び舘
 林三喜男君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
七月三十一日
 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四号)
 日本蚕糸事業団法案(内閣提出第五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 農林水産業の振興に関する件(農林水産業の基
 本施策)
     ――――◇―――――
#2
○濱地委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事の補欠選任の件についておはかりいたします。
 現在理事三名が欠員となっておりますので、これよりその補欠選挙を行ないたいと存じますが、これは先例によりまして委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○濱地委員長 御異議なしと認めます。よって、
 倉成正君  田口長治郎君  舘林三喜男君
を指名いたします。
     ――――◇―――――
#4
○濱地委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についておはかりいたします。すなわち、
 一、農林水産業の振興に関する事項
 二、農林水産物に関する事項
 三、農林水産業団体に関する事項
 四、農林水産金融に関する事項
 五、農業災害補償制度に関する事項以上の各事項について、衆議院規則第九十四条により、議長に対し国政調査の承認を求めることとし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○濱地委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
     ――――◇―――――
#6
○濱地委員長 この際、坂田農林大臣より発言を求められておりますので、これを許します。坂田農林大臣。
#7
○坂田国務大臣 このたび農林大臣を拝命いたし、農林水産行政をになうことになり、その職責のきわめて重大なことを痛感しております。つきましては、農林漁業の国民経済に占める役割りの重大性に思いをいたし、全力をあげてこの重責を果たしてまいる覚悟でありますので、何とぞ皆様方の御理解ある御協力を賜わるよう特にお願い申し上げます。
 この機会に、わが国農林漁業の当面しております問題点とこれに対処する施策の基本的方向について、私の所見を申し述べたいと思います。
 御承知のとおり、近年国民所得水準の上昇につれまして、農産物に対する需要は消費形態の高度化を伴いつつ、かなりの増大を示しており、農業生産及び農業所得は、このような需要の動向を背景に、これまでおおむね順調な伸びを示してまいりました。
 ところが、この間にありまして他産業における雇用機会の増大に伴い、農業就業者の減少、青少年を中心とした農家世帯員の他産業への就業の増大、農業就業者の老齢化、女性化、第二種兼業農家の増加が見られ、これに伴い裏作の不作付け等土地利用率の低下が目立つようになり、これに加えて、一両年気象条件が悪かったこと等の事情もあって、農業生産の伸びに停滞気味の傾向のあることも否定できない事実であります。
 このような情勢に対処して、経済の動向に歩調を合わせて、国民食糧の安定的な供給の確保と農業所得の増大、農家生活水準の向上とを農政の基本的な目標とし、これが達成に努力いたしたい所存であります。これがため、農業基本法の精神に即して、農業の近代化を進めつつ、生産性の向上、総生産の増大のための施策を拡充強化してまいる考えであります。
 この場合、わが国におきましては、今後における食糧農産物の需要は引き続き増大が見込まれる情勢にありますので、農業生産の発展上は有利な環境にあると考えられます。しかし、現状においては、増大する需要に対し生産が必ずしもこれに追いつかず、農産物の輸入が増大する傾向にあり、他面開放経済への移行に伴つて、国際競争力の一そうの強化が強く要請されております。こうした情勢に対処し、私といたしましては、さらに農業の近代化と生産性の一そうの向上につとめつつ農産物の国内自給度の維持向上をはかることが肝要であると考えております。
 しかしながら、これらの施策を進めるにあたりましては、何よりも、農村に踏みとどまり、農業に専念する優秀な人々を確保することが大切なことであると考えます。それには、農業生産の維持増大と生産性の向上をはかるための生産政策、構造政策を地域の実情に即して、さらに推進していくことはもとよりでありますが、これと同時に、平和にして安定した社会を構成する上における農山漁村の重要性についての十分な認識に立つて、農村環境の整備、住宅の改善、農家生活の改善等の諸施策の拡充と相まつて農村対策を講じてまいることが特に必要であると存ずるのであります。
 以上述べましたような考え方のもとに、農業について次の重点施策を推進してまいる所存であります。
 第一には、農業生産基盤の整備と農業構造の改善であります。このため、農業技術の改良発展及び農業経営の近代化の方向に即して、圃場及び農道の整備、基幹かんがい排水施設の整備、農用地の開発等農業生産基盤の整備事業を計画的に拡充実施するとともに、資本装備の充実、農業経営規模の拡大等農業構造の改善を各地域の実情に応じて進めてまいる考えであります。
 第二には、農産物需要の動向に即応して、農業生産の維持増大をはかることであります。
 まず、わが国農業の基幹作物である米麦につきましては、最近における生産の動向にかんがみ、生産性の向上と生産の維持増大をはかるため、能率的な技術の導入普及と経営の改善を推進することとし、このため、米麦生産対策の拡充強化をはかつてまいる所存であります。
 次に、畜産の振興につきましては、生産性の高い畜産経営の育成をはかるため、飼料自給基盤の強化につとめるほか、飼養規模の拡大等をはかるための施策を推進することとし、特に酪農については、飲用乳の比重を高めるよう考慮しつつ、その振興のための施策を引き続き拡充強化するとともに、今後牛肉の安定的供給をはかり、あわせて和牛飼養により山村の振興に資するため、肉牛対策について検討を進めてまいりたいと考えております。
 さらに、近時消費者物価対策上重要な野菜等生鮮食料農産物については、その生産の安定的増大をはかることが特に大切でありますので、大消費地における主要野菜の需要の見通しに即応して、集団産地を育成するため野菜指定産地の拡充とこれに対する生産対策の強化をはかり、また果樹についても、果樹農業振興特別措置法に基づき、樹園地の集団化と合理的な果樹園経営の育成をはかるため、施策の拡充につき検討を進めてまいる考えであります。
 第三に、農産物の価格の安定及び流通の改善合理化であります。
 まず、野菜につきましては、生産面の施策とあわせて、生産、出荷の自主的調整のための指導体制の強化、価格安定のための基金制度の改善強化について検討を進め、酪農については、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の円滑な運用につとめるほか、鶏卵の生産、出荷の調整と価格の安定のための対策の強化についても検討いたしたいと考えております。
 また、中央卸売市場の整備を計画的に進める等、生鮮食料品の流通機構の合理化につとめる所存であります。
 さらに蚕糸につきましては、蚕糸業の経営の安定と生糸の輸出の増進に資するため、繭及び生糸の価格を適正な水準に安定させるように生糸の買い入れ及び売り渡し等の操作を行なう機関として日本蚕糸事業団を設立することといたしております。このため、本国会におきまして、関係法案の御審議をお願い申し上げたいと存じております。
 第四には、農業金融の改善拡充をはかることであります。
 農業の近代化をはかるために金融の果たすべき役割りがますます重要となっておりますことは、御承知のとおりでありまして、農林漁業金融公庫資金及び農業近代化資金等農業の近代化に必要な資金の確保をはかるとともに、資金がこれを必要とする農家に円滑に流れていくよう農業金融の改善のため今後一そう検討を進めてまいる所存であります。
 以上のほか、農業の近代化を進めてまいりますためには、農業後継者を育成するとともに、農民の技術的水準を高めることが肝要であることは申すまでもありませんので、農業後継者育成資金の拡充及び各種農業研修施設等の整備、活用をはかるほか、試験研究の充実強化に意を用いてまいりたいと存じます。
 次に、本年は、春以来異常気象が断続的に発生しており、近畿地方及び東北地方の降雪、全国的な異常低温、中国地方、九州地方及び東北地方の豪雨等に見舞われたのであります。
 特に異常気象による冷害の懸念に対しましては、政府としても重大な関心を持って対処しているところであります。五月中旬以降六月下旬ごろまでは幸いにして好天候に恵まれましたことにより、一部の地方を除いては、稲の生育は回復を見ておりましたが、七月下旬には北日本を中心に相当な低温が見られ、今後の気象も必ずしも順調ではないとの予報が出ております。
 したがつて、今後の気象の推移によっては、稲作に対する障害も懸念されますので、政府といたしましては、各都道府県と緊密な連絡をとりながら、防除体制の整備、農業改良普及員等の技術指導等について万全を期してまいる所存であります。
 また、被害の復旧及び被害農家の経営の再建のためには、共済金の早期支払いその他農業災害補償の円滑な実施をはかるとともに、被害の実態に即して国庫補助及び経営資金の融通等の措置を講じてまいることといたしております。
 なお、本年産米の集荷につきましては、予約概算金の増額、米価の引き上げ、予約奨励金の支給、時期別格差の据え置き等の措置によりその確保に意を用い、輸入量の確保と相いまって需給操作の円滑化と需給の安定に万全を期しております。
 次に、林業について申し上げます。
 近年における国民経済の発展に伴い、木材需要は増大を続けておりますが、国内材の供給がこれに対応し得ず、外材輸入が増大する傾向にあります。このような動向に処行して、林業基本法の趣旨に基づき各般にわたる施策を強力に推進し、林業総生産の増大と生産性の向上をはかり、あわせて林業所得の向上につとめる所存であります。
 このため、林業生産の基盤である林道の整備事業及び造林事業を積極的に推進するとともに、林業構造改善事業及び治山事業の計画的な実施をはかることといたしております。
 また、国有林野事業の適切な運営をはかるほか、国有林野の活用につきましては、国土の保全その他国有林野事業の使命達成との調整をはかりつつ、農業構造の改善、林業構造の改善等の事業の推進に資するよう積極的かつ適正な運用につとめてまいることといたしております。
 次に、漁業について申し上げます。
 水産物に対する需要は、堅調に推移しておりますが、漁業生産の面では、資源の制約、国際規制の強化に加えて労働力不足等の問題があり、また漁業の生産性及び漁業者の生活水準は上昇してきてはいるものの、その水準はなお低位にとどまっております。このような事情にかんがみ、水産資源の維持増大につとめるとともに、漁業の近代化を推し進め、水産物の安定的供給と漁業従事者の地位の向上をはかる所存であります。
 これがため、漁港の整備、漁場の造成等漁業生産基盤の整備を促進し、沿岸漁業の振興及び中小漁業の近代化のための諸施策を推進するとともに、水産物の加工流通対策の充実をはかることといたしております。また、海外漁業については、国際協調を確保しつつその発展につとめる考えであります。
 なお、日韓漁業協定につきましては、去る六月二十二日、他の諸協定とともに正式調印が行なわれたのであります。このことは、過去十数年にわたり両国間において討議が重ねられた懸案事項であり、日韓両国間の国交の正常化の上に占める漁業問題の重要性から見て、意義深いものと考えるのでありますが、今後協定が批准され、円満に実施されますまでには、なお多くの準備が必要であります。このため、政府といたしましては、早急に協定の実施に必要な諸般の準備をとり進め、関係漁民の指導について慎重に配慮してまいる考えであります。
 以上、農林行政全般にわたり当面の施策の重点について申し述べたのでありますが、今後農林漁業施策が円滑に行なわれますよう、各位の御支援、御協力をお願いする次第でございます。
     ――――◇―――――
#8
○濱地委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。芳賀貢君。
#9
○芳賀委員 坂田農林大臣には多難な農政担当者として御苦労いただくわけでありますが、その意味において、御就任に対して敬意と期待をまず表明するものであります。
 ただいま所信表明がありましたが、何と申しましても、昭和四十年度の年の中途において大臣が交代されたわけでありますからして、おそらく昭和四十年度に行なうべき施策の方針等については変わりがないと私は考えておるわけですが、変わりがあれば後刻説明を願いたいわけであります。したがって、この際、四十年度、農業基本法に基づいて政府が表明された農業施策の強力なる実現とそれに伴う予算の確実な実行というものに対しては、大臣として責任を持って進めていただきたいわけであります。
 そこで、まず当面した主要な問題点について質問をいたしまして、あとで明四十一年度における坂田農林大臣が中心となった農業施策の重要構想等についてあわせてお伺いしたいと思うわけであります。
 第一の点については、政府は、今年の通常国会が終わった直後に、いわゆる佐藤色を出すということで、大幅な閣僚の入れかえを行なったわけでありますが、その直後に、閣議決定といたしまして、昭和四十年の予算の中で特に公共事業等を中心としたいわゆる予算の一割留保を地方に通達したわけであります。特に公共事業は、中でも農林関係の問題等についても、これは非常な混乱が地方に起きまして、一体政府としてせっかく国会で決定した予算の実行に先立って、一番重要な公共事業費等を留保するというのはけしからぬ、政府の真意がわからぬというような、こういう不信感が起きたわけであります。当然、われわれといたしましても、今回の臨時国会を機会としてこれらの政府の不信行為等についての責任を追及するかまえを持っておったわけでありますが、臨時国会開会直前に、政府としてはこれを解除するというような方針をきめたとも伝えられておるわけでありますが、この際、農林大臣から、この一割留保の問題と、それがどのような形で解除されて、四十年度の予算というものは完全に実行されるかどうかという点について説明を願いたいわけです。
#10
○坂田国務大臣 芳賀委員の御質問でありますが、予算の留保については、先般来景気対策の一環としてその解除が検討されてまいりまして、その結果、公共事業費についてはその大部分、また非公共事業についても、公共事業に準ずる実質的な性格のものについてはその解除をするということにいたして、計数的には目下事務的に整理をいたさせておる次第でございます。
#11
○芳賀委員 それでは、正式な閣議決定として一割留保は解除したということなんですか。
#12
○坂田国務大臣 お答えいたしますが、予算の留保については閣議決定じゃありません。いまお答えした予算の解除については、いま申しましたように、閣議決定の上で、はっきり解除することに決定いたしたわけです。
#13
○芳賀委員 そうすると、一割留保の措置は閣議決定ではない、大蔵大臣の専断でこれはやった措置であるが、解除については閣議決定でこれを解除した、そういうことになるのですか。
#14
○坂田国務大臣 お答えいたしますが、先ほどの一割留保の問題は閣議決定ではございません。したがって、今度の場合も、閣議決定でないものであるから、それを解除するということも別に閣議決定でないわけでありますが、あたかも先般来経済政策会議で経済政策についていろいろ検討した結果、それらを解除するということにいたしましたので、したがって、その点を閣議に報告いたしまして、この公共事業及びこれに準ずるものについては解除するということに決定いたしたわけであります。
#15
○芳賀委員 それでは農林省関係全般の予算においては、予算の留保というものは行なわれない、今後これは着実に四十年の年度内において計画を実行するということに間違いないですね。
#16
○坂田国務大臣 そういうことで決定いたしておりますので、数字的にはいま計数的に事務処理をしておるわけでありますが、間違いございません。
#17
○芳賀委員 特に農林関係については、農林省関係の公共事業、直轄はもちろんでございますが、土地改良事業関係あるいは構造改善事業、これは農業、漁業もそうでありますし、こういうような主要な事業というものは、一割留保ということになると、当初の事業計画を全面的に改定しなければならぬという問題が生じてくるわけです。ただ一割削減だから補助金が一割少なくなったというだけでは済まないわけです。基本になる事業計画というものを根本的に変更させるという大きな問題が生ずるわけで、こういう障害が起きるということが農林省としては事前にわかるわけですから、そういうような気配がある場合には、閣議決定でもないとすれば、農林大臣の責任において、そういう不法な予算上の措置が講ぜられないように努力するということは当然なことだろうと思うわけです。特に北海道等においては、積雪寒冷の地帯ですから、年当初にこのような混乱が惹起されると、留保を解除したとしても、事業が順調に進展するかどうかということについては、大きなマイナスが生じておるわけです。したがって、事業の遅延とか支障というものについては、これは当然政府あるいは農林省としての責任は重大であると思うわけです。そういう支障とか障害を今後すみやかに除去して、順調に事業を進めるということに対して、農林大臣としても責任を持ってやられると思いますが、その点はいかがですか。
#18
○坂田国務大臣 さような状態でありますので、なお閣議においても、さきに解除した公共事業その他の事業については、その趣旨により促進すべしというところまでうたっておるわけであります。その点は十分心得てやりますから、御了承願います。
#19
○芳賀委員 それではさっそく地方の農政局あるいは北海道開発庁等の出先機関があるわけですから、迅速に大臣通達等を出して不安を一掃するように努力してもらいたい。この点はいかがですか。
#20
○坂田国務大臣 公共事業等については、その実施に支障のないよう迅速に処理する考えでございます。御了承願います。
#21
○芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、先般決定されました昭和四十年産米の価格決定の経過については、本委員会においても了承しがたい点が多々あるわけでありますが、特にお尋ねしたいのは、今回の決定にあたっては、政府として指数化方式を採用したということを説明しておられるわけでありますが、これは当初から指数化方式でやるということを既定の方針として米審に諮問され、そしていかような答申が出ても指数化方式でやるということで終始されたように考えられるわけでありますが、その点についてはどうですか。
#22
○坂田国務大臣 米価審議会に十分意見を諮問いたしまして、御審議を願ったわけであります。四日ほどかかりました。たいへん御審議を願ったわけであります。その結果、この前のように米価を決定することにいたしたわけであります。
#23
○芳賀委員 だから今回政府のとった態度は、指数化方式を既定方針として米審に臨み、あるいはいかような答申が出ても指数化方式でやるということで今回の米価を決定したというふうな判断をして差しつかえないわけですね。
#24
○坂田国務大臣 審議会の意向を十分尊重した上で、現在の米価決定をいたしたわけであります。
#25
○芳賀委員 私の聞いておるのは、算定の様式というものをいかようにやられたか。それは農林大臣の談話によっても、ことしから指数化方式でやるということを明らかにされたわけですね。しかし、米審の答申の内容というものは、厳密に言えば、これは三様の答申が出ておるわけです。もちろん、その中には、米価審議会委員の中で、最初から政府となれ合って御用的な動きをされたごく一部の委員から、指数化方式を採用すべしという意見が出たことは、われわれも承知しておりますが、これを尊重してやったということになるわけですか。ごく一部のなれ合いの委員あるいは御用的な委員が、政府の意向をくんで、指数化方式でやるべきである、これが答申の一部に出ておるわけですが、列挙された指数化方式というものを尊重したという形を大臣はとられたわけですか。それとも最初からことしは指数化方式でやるということで既定方針を貫いたのか、その点はいかがですか。
#26
○坂田国務大臣 米価審議会におきまして非常に慎重に御審議を願ったことは御存じのとおりでございますが、ことごとくそれは生産費及び所得補償方式によるということについては意見が一致しておるわけでございます。その生産費及び所得補償方式を具現する方法としていかなる方法がいいかという問題については、三つばかり意見がございました。それは、一つは、御存じのとおりに、従来どおりの行き方を改善していったらどうかという意見であり、一つは、都市と農村における生計費の均衡をはかるという方向でいくということであり、一つは、いわゆる指数化方式であり、これは、言うまでもなく、都市の労働賃金がどれだけ上がったかという上がり方、それからまた資材、物資その他の値段の上がり方というものを土台にして、指数化的に検討したものでございます。
 さようなわけで、それらについて審議を願ったわけでありますが、最後はさような答申を受けましたので、私としては指数化方式をとることにいたしたのであります。
 なお、昨年の米価が一万五千一円、こういうことになっておりまして、その決定は、五百五十円を加えてそうなっておったのであります。そこで、これらについて、ある議論としては、五百五十円を差し引いたものを基礎にして指数化をやるのが当然ではないかといろ議論が相当あったのでございますが、やはり昨年の米価そのものがすでにきまっておるものでありますから、そこから五百五十円を引くというようなことでなしに、それを加えたいわゆる現実の一万五千一円を基礎にして指数化をやるということに最後はいたしたようなわけでございます。
#27
○芳賀委員 私の聞いておるのは、政府の既定方針としてことしからいわゆる指数化方式というものを実行したかどうかということなんです。これは答申を尊重したということにはならぬわけですね。答申は列挙されておるわけだから、一番少数の指数化方式支持の意見というものは全体を支配しておるわけじゃないのですから、正直にここは一言ってもらいたいのです。
#28
○坂田国務大臣 それは、芳賀委員もよく御存じであろうと思いますが、審議会でもいろいろの議論があり、いろいろの主張がございますので、私としてはよく御審議を願った上でないとそれらをきめるわけにはいきません。十分御審議を得て、そしてその答申がありましたので、そのうちのいま申しました指数化方式というものをとることにしたということなんでございますから、御了承を願いたいと思います。
#29
○芳賀委員 この際、農林大臣に、国会に対する農林大臣としての姿勢について明らかにしてもらいたいと思うのです。
 米価問題は、もちろん食管法の規定に基づいて、米価審議会に決定前に諮問して、その意見を尊重して決定しなければならぬことになっておるが、これはやはり国民経済的にも重要な問題ですから、当然国会の場においても十分論議を尽くす機会というものはあってしかるべきだと思うわけです。ところが、最近の政府の態度を見ておりますと、たとえば昨年の米価決定の際にも、決定の前に二日間にわたって農林水産委員会を開いたわけでありますが、ついに時の農林大臣あるいは政府委員の出席のないままに米価が決定された。今年もそのような結果になったわけです。ちょうど七月の八日の日に、われわれ理事が濱地委員長と相談いたしまして、委員長の配慮によって農林委員会をわざわざ緊急に開いたわけでありますが、そのときには農林大臣がすでにもう交代しておるので、この際、農林大臣の就任についてのあいさつを受けることはもちろんであるが、九日の朝までには米価が決定されるという気配になっておるので、短時間であっても農林大臣として委員会に出席して、米価決定に対する基本的な方針等については説明をすべきではないかということで、委員長から出席の要求をしたはずでありますが、一言のあいさつもなくして八日の委員会は終わっておるわけです。そうして九日の未明に米価の決定が発表されまして、逃げるように倉皇としてアメリカの会議に出発されたわけです。一体、こういう点は、長年国会議員として、あるいは当委員会の先輩の委員として終始された坂田さんとして、農林大臣になったとたんに昔の官僚の地金を出して、国会を軽視するというような行動を意識的にとられたのかどうか、あるいは取り巻きの役人にそう言われて、人のいいあなたですから、委員会に出ることを断わったのか、その点はいかがですか。特に最近、官僚出身の政治家とそうでない大衆政治家の違いというものは、一たん政権とか権力の座についたときに本質が遺憾なく発揮されるということが指摘されておるわけですが、平素は非常に善良な大衆的な坂田さんが、一たん農林大臣に就任するやいなや、直ちに権力の座から委員会を軽視する、こういうやり方は、われわれとしてもあなたのために惜しむべき事柄であると思うわけなんです。どう考えていますか。やはり委員会の求めに応ずるとか、国会の場においてもこういう国民経済的に重要な事案については十分な審議を尽くす、これは政府側においても国会の側においても一番大事な点であるというふうに考えるわけです。米価問題だけでなくて、最近は、法律に定められた農畜産物の価格決定等の重要な問題については、何らかの口実を設けて委員会に出席を断わったり審議をいやがるというようなきらいが、年を追って露骨になってきておるようでありますが、こういう点に対して、農林大臣としては、一体どのようなお考えで今後国会に臨まれるか、聞かしてもらいたいと思います。
#30
○濱地委員長 ちょっと大臣の御答弁の前に、少しく私弁解さしていただきたいと思います。
 去る七月八日の委員会を開催するときにあたりまして、実は農林大臣の御出席を願おうと思って、再三再四本省のほうへも連絡をとりましたけれども、何しろ米価問題で非常に大臣が忙しゅうございまして、あちらこちらへ動いておられますので、私はそのあとを追うのに非常に困りまして、ついに連絡をとることが私の不敏のためにできなかった。そして自然に大臣に御出席を願うことができなかったということになりましたので、この点委員長の不徳でありましたから、その点だけはひとつ私のほうからあやまりますので、御了解を願いたい。
#31
○坂田国務大臣 国会の委員会を軽視するなんということは毛頭考えておらぬことは、芳賀さんもよく御了承のことであると思うのでありまして、将来ともそういうことは絶対ございませんので、誤解のないように御了承願いたい。なお、飛び立つように出かけたということでございますが、実はこれはずっと以前からきまっておりましたようなわけで、別に飛び立つのではなしに、私も実は徹夜もし、その前の日も徹夜をしておったようなわけで、できることなら一日、二日くらい休んで行きたいくらいであったので、にわかに出たのでないので、もとからきまっておったような関係で、いろいろ誤解を起こしているようなことでございますが、さようなことは絶対ありませんので、その点御了承願いたいと思います。
#32
○芳賀委員 そこで、一、二米価の重要な要素についてお尋ねしておきたいと思いますが、自家労賃の評価について、農林大臣としてはどういうお考えでおられますか。いわゆる自家労賃というものが農家の所得であるわけですから、この所得が他産業と均衡をとる、あるいは都市均衡労賃の構想もここから出発しておるわけです。特に問題として考えなければならぬ点は、先ほども農林大臣が表明されたように、農業の就業の様態というものは、いまでは、これを男女に区分した場合に、女子の労働割合のほうがむしろ半ばをこえておるというのが実情であります。これは農業白書等によっても明らかになっておるわけですが、全国的に見ると、農業の就業の割合は、女子が約五五%で、男子が四五%という現状であります。そうすると、米作の生産の場合においても、自家労働の就業の実態というものは、女子の労働というものがむしろ中心的な役割りを果たしておるわけですね。しかし、女子労働が割合としてふえたから労働の生産性が低下しておるかというと、そうではないわけです。反当の就業時間についても、ここ一年間で若干短縮の幅は狭くなってきましたが、大体百三十時間程度ということになっておるわけですからして、就業時間の点から見ても、あるいは反当生産の面から見ても、女子の就業割合が半分以上になった今日においても、決して農業労働の生産性というものは低下していないわけです。そうすると、女子の農業労働における質的な価値というものは、決して今日においては男子の労働に対して遜色がないということが立証されておるわけですね。そういう場合において、どうして男女込み賃金というものを採用しなければならぬか。この点が農家の自家労賃を大きく引き下げる最大の要因になっておるわけです。この点は大臣としてどうお考えですか。
#33
○坂田国務大臣 いま芳賀委員からお話しのとおりに、物資に要するいろいろの経費は、即それは支払ってしまうのでありますから、ほんとうに農家の手取りとなりますのは、一つは自家労賃、それから一つは資本に対する利子、それから地代、こういうものが合わされて農家の手取りになるものである、こういうのであります。したがって、自家労賃の評価については、過去においては農村そのものの賃金をとった。それに対して漸次近郊の都市の労賃、しかもそれは工場の労賃ということで、初めは全部の工場の労賃ということでありましたが、昨年はそれを五人以上の工場の労賃というふうに改善されてまいったと思うのであります。ずっとそういうことで、常に男女込みのもので換算するということでまいりましたようなわけでございます。なお、この男女の込みの問題については、審議会においても、湯山委員はその点について検討されました点を発表されたのでございます。さようなことでありまするが、換算の方法としては、さようなものでずっと続けてまいりましたものでありますので、それによってでき上がったものの指数を加えていったということでございます。
#34
○芳賀委員 私の聞いておるのは、現状において男女込み賃金のやり方を直ちに農業の自家労働に採用することに対する矛盾をどう考えておるかということを聞いておるわけです。政府の資料によりましても、五人以上の規模賃金、これは三十九年五月から四十年四月までをとったものでありますが、その場合の男女込みは時間当たりにして百六十三円三十三銭、男子の賃金については百九十七円五十一銭ということになっておるわけですね。男子の百九十七円五十一銭に対して、男女込み賃金を百六十三円三十三銭とこれは計算しておるわけです。そうすると、いわゆる女子の賃金というものは、男子の百九十七円五十一銭に対していかような金額になっておるか、この点は大臣としても十分御存じの点だと思うわけですから、御説明を願いたい。
#35
○武田政府委員 お尋ねの労賃の評価がえの問題につきまして、農村の男女の労働関係が、都市の男女込みの場合と、女子のウエートが非常に大きい。で、そういうことに基づいて、男女込みの評価がえによらずに、男子の賃金をベースにして、農村における男女の賃金格差と申しますか、といったもので女子の賃金を修正をして、それによって評価がえをするというようなことについての御質問でございますが、お話のように、都市におきます男女の製造業におきます賃金については、女子のほうが若年学働者が多いというようなこと……。
#36
○芳賀委員 そうじゃない。女子を幾らに換算したかということを聞いておるのです。
#37
○武田政府委員 評価がえの御質問でございますか。
#38
○芳賀委員 男子の百九十七円五十一銭の場合、女子が幾らかということがわからぬでは、男女込み賃金が出ないじゃないですか。――時間がないから、あとでわかってからでいいです。
#39
○武田政府委員 それでは後ほどお答えをいたします。
#40
○芳賀委員 農林大臣としては、女が男と同一の労働をして成果をあげても、女は男よりも賃金が安くて差しつかえないという性別の格差があってしかるべきだという考えに立っておるわけですか。
#41
○坂田国務大臣 それは別に性別で区別をしたくないのは私の骨頂でありまするけれども、世間に通用するものとしてはやっぱり差別がついておりますので、それで、それによってこういうものを計算していく、こういうことでございます。
#42
○芳賀委員 坂田さんはせっかく大臣をおやりになるのだから、農業のことだけ知っていれば大臣がつとまるというわけじゃないと思うのです。何のために農家の自家労賃が製造業に従事するいわゆる都市均衡労賃制をとっているかということが基本的な問題になるわけです。都市の労働者の場合には、当然労働基準法というものがあって、それに基づいて保護を受けておることは大臣も御承知のとおりだと思います。ところが、この労働基準法の第四条には、同一労働に対しては同一賃金の原則を適用するということが明確になっておるわけです。男であっても女であっても、同一労働で同一の成果をあげておる場合においては、性別の差をつけてはならぬということが、原則規定としてうたわれておるわけです。しかも先ほど大臣も表明されたとおり、いまの農業の自家労働の実態というものは、就業の割合は女が五五%で、残り四五%が男の従事者ということになっておるわけです。そういう割合においても、なおかつ労働の生産性は低下しておらない。一反歩当たりの労働時間についても、一反歩当たりの収穫量についても、決して低下していないということになれば、この男女半々の農村における労働の実態は、男と女の労働に対する賃金格差を設けるということ自体に大きな問題があるわけです。こういう原則規定が頭の中に入っていなくて、わしはそれは何とかしたいと思っているけれども、世間に通用しないから、男と女の差額があるのは当然だというような不得要領な態度で臨まれては、今後農業の発展なんかはできることはないと思います。この点はどうなんですか。
#43
○坂田国務大臣 それは芳賀委員も御存じであろうと思いますが、米価の問題のときは幾ら幾らというような時間が出ますね。米作についての時間、その時間に対して男女込みで換算しておるのですから、その意味においては、別に換算するものは男女込みのものでやる。それから農家の労働時間は、男女にかかわらず、総計において何時間使ったか、こういう時間が出るわけです。その時間に対して都市の男女込みの賃金で換算し直す、こういうわけでありますから、そういうことで御了解を得られるのじゃないでしょうかね。
#44
○芳賀委員 全然了解どころではないです。あなた自身そういうことがわからないというのは、どだいおかしいじゃないですか。いいですか。男子の賃金でいけば一時間百九十七円五十一銭ということに評価がえされるのですよ。ところが、女は安いのがあたりまえだということで、男女込みにして百六十三円三十三銭ということにしたわけだからして、一時間当たり三十四円女子の労働価値というものを削減しておるわけです。ところが実態は、それでは男の労働と女の労働において価値的な格差があるかというと、ないわけでしょう。とにかく半分以上女が働いても、労働の生産性というのは低下していないでしょう。一反歩当たりの労働時間についても、前年度より大体三時間くらい短縮されておる。反収についても、かあちゃん農業がふえても何も減っていないじゃないですか。そうなれば、男が働いても女が働いても、農業の部面においては生産性というものには変わりはない。変わりがない場合においては、同一労働については同一賃金の原則を適用するのが当然ではないですか。しかも製造業における女の労働の実態というものは、大体四年くらいでやめてしまうでしょう。製造業における女子の労働というのは、四年間くらいで次々に嫁に行ったりして更新しているわけです。経験の年数から見ても、三年や四年しか経験はない。熟練の度合いにおいてもそうですよ。だから、製造業における男子と女子の賃金の差があることは、これはもう世間が認めておる点です。ところが、農業の場合には、いまやこの女子が主体になって農業を担当しておるわけであって、経験の面からいっても、二十年も三十年も農村の婦女子はがんばってやっておるじゃないですか。熟練の度合いにおいてもそうですよ。それを製造工業における女子の賃金は非常に安いという実態をそのまま農村に移して、そうして就労の割合が女子が五五%、男子が四五%、そういう割合でこの自家労賃を評価するようなことを指数化方式等によって継続するということになれば、これはいつまでたっても問題の解決はできないと思うのですよ。そういう矛盾をわれわれに了解してもらいたいなんていうのは、とんでもない話ですよ。こういう矛盾に気がついておるかどうか、気がついておっても、米価を安くするためにあえてこういうことをやっておるのか、全然いままで不勉強で気がつかなくてやってきたのか、どちらですか。農林大臣、あまり官房長やそっちのほうに気をとられないで、質問者が何を聞いておるかということをよく判断して答弁してもらいたい。私はあなたに質問しておるのですよ。取り巻きの政府委員に聞いておるのじゃないのです。わからない点があれば、あとでまたよく検討して答弁してもらってもいいのです。
#45
○坂田国務大臣 換算するのが、都市の男女込みの賃金で換算しておるわけなんです。換算するものをそういうふうにしてやってきておるわけなんです。だから、米の生産に幾ら幾らの時間が要ったか、その時間を普通ならば農村の賃金で換算するわけですが、そういう農村の男子が幾ら、女子が幾らという換算でなしに、同じく一つの時間が出てくる。一石について幾ら幾ら、一反歩について幾ら幾らの時間がかかったというものに対して、それを賃金に換算するときに、農村の賃金で換算せずに、都市の工場の男女込みの賃金でそれを換算しておる、こういうことなんです。それはまああなたも御存じのとおりである、こう言うておるわけです。
#46
○芳賀委員 そういうやり方に矛盾を感じないかということを聞いておるのですよ。そこですよ、問題は。
#47
○坂田国務大臣 だから、換算のものが違う、こういう御質問になるわけですかな。換算するそのものが違う、こういうことであろうかと思うのですがね。そういうことで、いわゆる農村における賃金をどうするというのじゃなしに、何時間という時間に対して自家労賃をどう見積もるかというときに、工場における男女込みの賃金でこれを換算するということが多年続いてきたわけなんです。それが昨年は、そのうちで、それを五人以上の工場ということに直されてきておる、こういうのですから、その点もひとつ御了承を願いたいと思います。
#48
○芳賀委員 了承するなんというなまやさしいものじゃないですよ。昨年は全企業五人以上の規模ということに若干改善を見たわけだ。毎年々々、算定の内容等について米審あるいは国会等において指摘を加えて、そうしてだんだん改善していくのが、いわゆる積み上げ方式といわれたやり方ですよ。今度は昭和三十九年度の価格算定の諸要素というものを基礎にしたいわゆる指数化方式ということになれば、こういう大きな未解決の矛盾点というものは解決できないままに、低米価がずっと継続されるということに当然これはなるわけなんですよ。だから、こういう点にいち早く矛盾を感じて是正する努力をするのが農林大臣の役割りであって、大事なことをほったらかして、逆に御了承願いたいというようなことじゃ、これはたよりないと思うのですが、どうですか。
 もう一つの問題は、製造業における労働賃金の場合においては、これは一定の拘束をされた労働時間内における休憩時間あるいは休日というものは、労働基準法において明確になっておるわけです。たとえば六時間をこえる労働を継続した場合においては、それに対して四十五分以上の休憩を与えなければならぬとか、八時間をこえる場合には一時間以上の休憩を与えなければならぬとか、あるいは一週間に一回以上の休日を与えなければならぬということが基本になって、そして製造業の労働賃金というものは、そういう休憩とか休日を含めて支払いきれておるわけです。ところが、農業の労働時間というものは、実際に働いた時間だけをだんだん積み上げて、たとえば一反歩当たり直接労働時間が百三十時間、間接労働時間が十三時間、合わせて百四十三時間という計算をしておるわけですよ。ですから、こういう中身についても、その百三十時間とか百四十三時間というものについては、たとえば一日のうち六時間をこえた場合とか八時間をこえた場合の当然の有給的な休憩の時間とか、あるいは一週間における一日の有給的な休日の時間というものは、全然米作の労働の中には包括されていないわけですよ。こういうものはほんとうに都市との均衡労賃でやるということになれば、これらの問題を速急に是正するということは、自家労働の評価の上から見ても、農家の所得を正当に確保するという上から見ても、これは大事な点なんですよ。こういう点は全くいままで政府が意識的に放任してきたわけですからして、この際、新任の農林大臣として、こういう問題についてはどのような考えで検討して取り組むかということを、考えがあればこの際明確にしていただきたいと思います。
  〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕
#49
○坂田国務大臣 もちろん、米価の問題については、ことしはさようにやりましたが、各年ともいろいろ改善すべき点は改善していくのでありますから、そういう点について検討を加えることについてはやぶさかではないのでありますが、ただ、いま私は今年の米価の決定の問題を御説明申し上げておったわけであります。
 ただ、ここに一つ申し上げたい点は、たとえば昨年の米価を決定する際に、五百五十円を加えました中には、いろいろの解釈はありますけれども、それには普通の労働時間だけでなしに、協議会とかいろいろのなにを見たら幾らになるかといったようなことなども、こまやかには計算せずに、それらのものを改善を加えますと大体五百五十円くらいになるといったようなことで、加えておった筋合いもあるわけです。そういうことでありますので、今年は五百五十というただ特別のなにを加えたという観点を取らずに、いろいろいまお話のような、労働時間はこういう点において加えるべきものは加えるといったような点を加味しながら、五百五十円というものを引いたもので指数化をやるべきではない、こういう結論に達して、それらを加えたもので指数化を見たわけであります。
 それから指数化の問題については、労賃がどうという問題でなしに、御存じのとおりに、都市の労働賃金がこれほど上がったという率をしんしゃくして、そこへ基礎価格に上がった比率を加えて計算してやっておるということなんです。その基本全体についてどうかという問題については、将来の問題までこれで押すというわけでなしに、なるほどこれはこうすべきであるといういろいろな点については、もちろん検討を加えていくことだけはここでつけ加えて申し上げます。
#50
○芳賀委員 したがって、こういう大きな未解決の問題もありますし、さらにまた、たとえば地代あるいは土地の資本利子の問題等について、これもまだ方針が明確になっていない。あるいは経営利潤というものをこの際自立経営の立場から考えるべきではないか。そういう問題も放置されておる。したがって、ある特定年度、三十九年なら三十九年に固定した米価の算定の要素というものを基礎にして、その後における動向というものを指数化して米価をきめるというやり方は、非常に危険である。生産者にとって不利益を与えるものであるということは、もう明確に指摘できるわけですから、いま大臣の言われたように、今後重要な未解決の問題に対しては十分検討を加えるということでありますので、こういう大事な点については、次の機会にまた十分掘り下げていきたいと思うわけです。
 この際、ことしの米の生育状態から見て、収穫の予測というものはまだ即断できませんが、北海道等においても昨晩からけさにかけて、電話によりますと、十度ないし十二度という非常な低温で、こういう低温が繰り返して続くということになりますと、これは大きな障害を与えることは当然ですから、まだまだ楽観を許すような状態ではありませんし、また東北、北陸あるいは関東の一部においても、いもち病のいままでにないような大発生が表面化してきておるわけですからして、今後の推移いかんによっては、これは本年の収穫の上に相当大きな減収をもたらすということも予測できるわけです。いまでさえも需給の逼迫しておる状態の中において、思わない減収の状態がきたような場合においては、一体政府としてはどういうようにこれに対処するかということも、事前に判断をしておかなければならぬと思うわけです。特にことしは最初から冷害の予測等も出ておりましたので、生産者としても、この冷害を何とか回避するためのいろいろな対策とか努力、あるいは付随して起こる病害虫の発生等に対する対策等についても、平年以上の努力を労力面においても経済面においても払っておるわけです。こういうものはやはり政府が真剣に問題に取り組むと同時に、生産者の異常な努力等に対しても報いるという具体的な裏づけがなければならぬと考えるわけでありますが、農林大臣としては、就任直後にも、特に冷害対策に対しては熱意を持ってやりたいということを言われたわけでございますので、この際明らかにしてもらいたい。
#51
○坂田国務大臣 冷害問題についてでありますが、これは非常に重要でございますので、農林省にも本部を置きましたし、なお横の連携をとるために、総理府に協議会を設置していろいろやっております。なお、各府県等とも十分な連携をとって――私も東北地方等にずいぶん参ったのでありますけれども、今年におきましては、県庁、試験場、それから指導員等、また農家自身も加わりまして、非常に熱意を持ってこの冷害の克服に努力をしておる。その姿というものは、実に涙ぐましい気持ちがいたしたのであります。また技術の面においても非常な進歩を見ておるように思います。
 それで、現在、大体において七月初旬ごろまでの経過を見ますと、非常に回復した姿が見えておったのでありますが、また七月の中旬以後、やはり気候がよくない地帯が北海道あるいは東北地方に非常に多いのが実情でありまして、なおわれわれとしては、いろいろの稲作のやり方、施肥あるいは病虫害防除その他について、あるいは水管理の問題等についても、でき得る限りの応援もし、また各府県とも進んでこれをやっておる次第であります。しかし、いまお話しのように、本番の冷害はこれからの気象いかんによるわけでありますので、さらに一そう注意をしながら、防除器具の配布とかあるいは農薬の問題その他について、十分助成その他の措置を進めてまいりたい。なお、指導員等の指導費、そういう点、あるいは苗しろの問題等についても助成を加えていくということで進めていきたい、こう考えております。
#52
○芳賀委員 次に、消費者米価の問題について、この際明らかにしてもらいたい。
 今年度中は上げないということは、農林大臣あるいは大蔵大臣からいろいろの機会に述べられておるようでありますが、それは十二月一ぱいまでは上げない、ただし、来年の一月以降はわからぬという意味かどうか、その点お伺いしたい。
#53
○坂田国務大臣 消費者米価については、ちょうど今年一月上がっておるわけでありますので、私どもとしては一年に二度も上げるというわけにはいくまいと思いますので、上げないということを説明しております。(「来年上げるのか」と呼ぶ者あり)いや、それは確定いたしておりません。確定しておるわけではありませんが、とにかく私としては本年はもう絶対に上げない、こういうことを申し上げておったわけであります。
#54
○芳賀委員 年内一ぱいは上げる意思はないということは明らかにされたのですが、来年の一月以降はどうですか。それはわからぬということですか。
#55
○坂田国務大臣 それは、いまどうということはまだ私から申し上げるわけにはいきません。いろいろ経済情勢もありますし、財政の問題もあり、そこに問題が多いのでありますので、いますぐそれをどうするというところまで決定しておりませんので、私からは何も申し上げるわけにいきません。少なくとも今年は上げないということだけははっきりいたしております。
#56
○芳賀委員 次に、この際、でん粉の問題についてお伺いしておきたいと思います。
 三十九年産のカンショでん粉、バレイショでん粉等の消流あるいは価格の問題等については、特に前国会において関税定率法等の一部改正があって、コーンスターチの原料トウモロコシの輸入がある程度規制された関係もあって、カンショでん粉については、ある程度国内価格が安定の方向をたどっておることは御承知のとおりであります。ところが、最近になって、バレイショでん粉は年内に過剰が出てくるのじゃないかというような気配も若干出てまいりまして、価格が低落の方向をたどっておるようであります。したがって、政府といたしましても、本年度の予算の中で、バレイショでん粉については二万トン、さらに予備費で八千トン、合わせて二万八千トン、価格については二十五キロ当たり千三百二十八円五十銭の計算で予算を確保されておるようであります。一方、生産者団体の農安法に基づく調整販売行為等については、調整計画をことしは九万五千トン決定いたしまして、これは当然農林大臣の承認を受けるわけでありますが、この調整計画の九万五千トンについても、販売促進の結果六月末までに六万八千トン販売済みということになっておるわけですが、端境期までの需給の動向等から見ると、少なくとも八月中に――八月というのは、毎年度の買い入れ期間というものをことしは二カ月延長して、八月一ぱいは三十九年産でん粉は買い入れ対象の期限内になるわけですけれども、どうしても一万三千トン以上の政府買い上げというものが必要である、こういう判断、並びに生産者団体、調整保管団体の要請も強いわけであります。これに対して農林省としては速急に具体的な方針をきめる必要に迫られておるわけでありますが、現在どのような方針であるか、明らかにしてもらいたい。
#57
○武田政府委員 三十九年産のバレイショでん粉につきましては、お話しのように、全販によります調整販売をずっと続けてまいっておりまして、価格としては、基準価格の三十七・五キロ当たり千七百八十七円というものよりもほぼ上回る価格をずっと実現してきております。お話のように、八月過ぎますと、新でん粉が出回ってまいりますので、この八月中において三十九年産のバレイショでん粉をどういうふうに処理していくかということにつきましては、最近のバレイショの市価が、基準価格に金利、倉敷を加えましたものに比べますと、やや下回っておるというような状況でございます。したがいまして、これらのものにつきまして、政府買い上げを行なうかどうかということにつきまして、いま検討中でございます。できるだけ早い時期に方向をきめたいというように考えております。
#58
○芳賀委員 それは今週一ぱいぐらいまでにきまるのですか。
#59
○武田政府委員 今週一ぱいに最終的なものまできめ得るかどうか、ちょっと申し上げかねますが、できるだけ早く方針をきめたいというように考えております。
#60
○芳賀委員 とにかく八月一ぱいに買い上げするとしても、これは期日が残りがないですからね。しかも、政府が買い上げをするかしないかという気配いかんによっては、今後の市況にも大きな影響をもたらすわけですね。特に昨年の場合も、九月の上旬に政府がわざわざ手持ちでん粉を三千八百トン程度放出して、それも特に市況よりも極端に安い価格で放出して、市況を下げて、そうして三十九年度産でん粉の価格を前年度同様に据え置くという意図に出たことは、皆さんも御承知のとおりであります。ですから、今回そういうことをまた繰り返してやられたのでは、これはたいへんなことになるわけですからして、政府としてせっかく予算が確保してある――生産者団体も調整販売活動を十分やって、なおかつ端境期直前に買い上げる必要があるという場合には、せっかく予算も確保されてあるわけですからして、その中で最善の措置をするということは当然であると思うのです。特に農林大臣は、イモでん粉については、これは昔から権威者といわれておるわけですからして、米よりは詳しいと思うのです。この際、大臣としても、迅速に計画を立てて措置するということに対しては異論はないと思うのですが、この際、大臣の考えも聞かせてもらいたいと思います。
#61
○坂田国務大臣 食糧庁長官のお答えしたとおりで、できるだけ早く処理いたしたいと思います。
#62
○芳賀委員 次に、沿岸漁業等振興法の関係について若干尋ねたいと思います。
 沿岸漁業等振興法というのは、これは農林大臣も御承知のとおり、昭和三十八年の国会で成立して、中身は、漁業基本法ともいわれる性格を持っているわけですが、ここでお尋ねしたいのは、最近、ソ連産のスケトウダラの輸入の問題と、もう一つは、韓国ノリを二億五千万枚買い付けるという問題が出てきておるわけですが、これらはいずれもいわゆる沿岸漁業等振興法の第三条に照らした場合において、水産物の輸入というものが自分の国の沿岸漁業を中心とした産業に対して重大な悪影響を与えるという場合には、政府は進んで輸入規制等の措置を講じて、国内の沿岸漁業者の保護に任ぜなければならぬということになっておるわけですが、この点を農林大臣としてはいかように処理されるお考えであるか、明確にしてもらいたい。
#63
○坂田国務大臣 いま芳賀委員がおっしゃったことについて、沿岸漁民の利害関係を十分検討していきたい、こう考えております。
#64
○芳賀委員 そういう簡単な答弁を期待しているわけじゃないのです。いいですか、スケトウダラの問題については、八月の八日までに水産庁長官の手元において方針をきめるということにこれはなっておるわけです。この内容は、大臣はまだ知らぬかもしれませんが、大洋漁業、日本水産及び北洋水産の大手水産会社が、日本フィッシュミール株式会社の仲介によって、丸紅飯田、伊藤忠、日糧及び丸一等の有力な輸入商社を輸入業務代行機関として指定して、ことしから向こう三カ年間にわたって毎年十二月から翌年の三月までの間、各社が持っておる大型ミール工船数隻をカムチャッカの西海岸海域に出漁さして、ソ連のトロール船の漁獲するところのスケトウダラ原魚十二万トンを毎年買い付けて、フィッシュミール並びに塩蔵スケコなどに加工製造する事業、これが基礎となっておるわけです。これに対して政府に出漁の許可並びに原魚輸入の外貨割り当てを申請して、何とか実現しようというふうに狂奔しておることは、これは御存じないわけではないと思うのです。しかし、こういう問題が、全面的にでなくても一部実行に移されたような場合において、国内のこれと関係のある沿岸漁業あるいは沿岸漁業等振興法に規定された漁業者の影響は、はかり知れないものがあると思うわけです。ですから、この際、これは農林大臣の責任において、当委員会で、この問題についてはどうしますということをぜひ明確にしてもらいたい。
#65
○坂田国務大臣 北洋スケソがソ連から入る、何かミールを日本の工船で製造したいという要請が貿易商社から提出されておることは、お話しのとおり事実でありますが、この計画に対しては、北海道、東北の底びき漁業との競合その他の問題がありますので、現在関係各方面の御意見を率直に聴取中でございます。漁業関係者の御意見も十分尊重いたしまして結論を出したい、こういうふうに考えておる次第であります。
#66
○芳賀委員 それでは許可するほうに結論を出したい意向で努力しているわけですね。
#67
○丹羽政府委員 スケソの……。
#68
○芳賀委員 いや、大臣に聞きたい。
#69
○丹羽政府委員 事務的なことですから……。
#70
○芳賀委員 大臣がいままで知らぬなんていうのはおかしい。大臣よりも水産庁長官のほうが上ですか。
#71
○丹羽政府委員 事務的な点だけ……。許可するといいますよりも、これは外貨を押えておりますので、外貨輸入の取り扱いをいかに扱うかという点でございます。
#72
○芳賀委員 いずれにしても、わが国の水産行政を担当する農林大臣として、このような問題をこの席上に至るまで知らぬというのはおかしいじゃないですか。これは長官が報告しないのは問題ですが……。
#73
○坂田国務大臣 さようなことは十分存じておりまするので、いま申しましたように、まだ結論を申し上げるわけにいきませんが、慎重にこの問題については結論を出したい、こう考えております。
#74
○芳賀委員 慎重というのは、これはわが国の漁業に重要な悪影響があるから、あるいは沿岸漁業等振興法に照らしても、これは許可すべきでない、そういう判断の上に立って処置する努力を鋭意進めておるのか、何とか国内の関係者をごまかして、大手水産会社とか輸入業者に利益を与えるようにしてやりたいということで苦慮されておるのか、その方向は当然明らかにされたほうがいいと思うのです。日本の農林大臣ですからね。
#75
○坂田国務大臣 これは去年も少しやっておるわけです。去年もこのミールの輸入ということをやっておるわけですが、しかし、いま申しましたように、また芳賀委員も言われておるとおり、これは非常な問題でありますので、別に輸入することを本体にして考えるとかあるいはそれをやらないとかということでなしに、わが国のいわゆる漁業に関するいろいろな影響等も十分考えるのでありまして、こうするああするということは、いま直ちにここで申し上げることはできませんが、十分検討を加えておるわけでございます。
#76
○芳賀委員 こういう重大な問題に対して、国会において言を左右にして内容が明らかにならぬ。しかも新聞の伝えるところによると、これは八月の八日までに何らかの決定をするということに段取りがなっておるらしいのです。八日ということになれば、今週の日曜ということになるのじゃないですか。それを鋭意検討するとか慎重に考慮するなんといったって、これは大臣はたな上げになっちゃって、どっかできまるということになるのじゃないですか。とにかくスケトウダラと限定されたこの魚種は、たとえば北海道等を中心にする沿岸あるいは沖合いの漁業、あるいは沿岸の底びきを北洋に転換さしたわけですが、これらがオホーツク海において主としてスケトウダラの漁獲をやっておるわけです。同じ海域において、しかも日本の独占的な資本がソ連側のトロール船によって漁獲されたスケトウダラを毎年十二万トンも買い付けるというようなことになった場合において、一体日本の沿岸漁業あるいはこれらの関係者に及ぼす影響というものはどうなるかということは、これは慎重に検討しなくても結論は出ておるわけなんですよ。この際、こういう問題を明確にしておかぬと、せっかく農業基本法ができても、漁業基本法や林業基本法というものをつくっても、その精神と背反した方向に政府の施策が進んでいくということになれば、これはわれわれとしては黙認できない問題であるというふうに考えるわけです。ですから、きょう明確にできないとすれば、今月の十一日まで国会があるわけですからして、次の機会の委員会において、農林大臣として、この取り扱いというものは事前にどうするというようなことを、少なくとも委員会に報告あるいは説明されてしかるべきだと考えますが、その点はいかがですか。
#77
○坂田国務大臣 八月八日までに結論を出すとかなんとかいうような、そういうことは絶対ありません。八日とかいうなにはきめておるわけではありません。ただし、でき得る限り早くこれは結論を出したいと思います。
#78
○芳賀委員 十一日まで国会がありますから、そのうちに、大臣が来たくないと言っても、委員会が出頭要求すれば来るわけです。しかし、進んで次の機会の委員会にこの問題等の取り扱いについても報告、説明する、そういう熱意はあってしかるべきだと思うが、いかがですか。
#79
○坂田国務大臣 でき得る限り御趣旨に沿うて報告できるようにいたしたいと思います。
#80
○芳賀委員 二億五千万枚の韓国ノリの問題はどうなんですか。
#81
○坂田国務大臣 韓国ノリの輸入につきましては、日韓国交正常化に関連して、韓国ノリの輸入に関し、本年三月両国外相間において合意を見ておるのであります。目下、その履行に関し、関係者と、どの程度の輸入をするか、また輸入にあたって国内のノリ生産者に与える影響をできる限り少なくする方法について、現在慎重に検討中なのであります。
#82
○芳賀委員 ことしは国内のノリも豊作を伝えられておるわけです。従来韓国ノリの輸入は、これはいろいろ背後に問題があるわけですね。日韓条約についても、まだ何にも国会に批准の手続をしているわけでもない。そういう点が国民から大きな疑惑を持たれておるわけです。今度の取り扱いについても、あるいはこの輸入様式をどういうようにするかという問題、たとえば国内生産のノリの八〇%はいわゆる全漁連系統が扱っておるわけです。これも国内の協同組合組織による漁業者の生産団体というものを保護育成するということになれば、不足して外国から輸入する場合も、国内の生産者団体というものを完全に無視した取り扱いはできないと思うのです。しかも韓国ノリは、日本の国産ノリよりは質的には低下しておるが、価格が非常に安いわけでしょう。だから、一枚について何円という相当多額な利益というものがそれに伴うというところに、やはり輸入をやかましく要請する魅力というものがあるわけですからして、こういう問題についても、せめて大臣に就任したとたんに明快に裁断したという腕前を明らかにしてもらわぬと、このスケトウダラもはっきりしないままにきまったとか、ノリの問題も変なかっこうできまってしまったとか、米の問題は生産者のごうごうたる非難を受けておるとか、でん粉問題についても、権力の座につく前と違う態度を示したということになると、せっかく好人物の大臣としても最初から黒星になりかねぬと私は好意的に心配しておるわけなんです。したがって、この問題もきょう大臣として十分検討されておらないとすれば、次回の委員会において、スケトウダラの問題とあわして、この韓国ノリ輸入の問題等についても、農林省としての方針を明らかにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
#83
○坂田国務大臣 ノリの問題は、これはつまり国内のノリ生産に悪影響のない体制を整えて、そしてノリの輸入をやろうということについては、先ほど申しましたように、両外務大臣の間の話し合いができておるようなわけです。したがいまして、私どもとしては、早く国内体制を整える。つまり、内地生産の生産者に悪影響のないような方法をいま検討しておる。これは早くやりたいと思って急いでおるわけですから、でき得る限り早く申し上げることができる、こう思いますので、了承されたいと思います。
#84
○芳賀委員 次に、林業の関係でありますが、特に、昨年林業基本法が制定されたわけでありますが、その後この林業基本法に基づいた諸般の体制というものが進められていないわけです。前通常国会においても、われわれが期待しておったような法制化の問題等は全然回避されて終わって、まことに残念であります。そこで、今年の三月末に、中央森林審議会が農林大臣に対して答申を行なっておるわけでありますが、この中央森林審議会は二月一ぱいで任期が終了することになっており、特に林業基本法に基づいた林政審議会が、ことしの四月一日からこれは農林漁業金融公庫総裁の清井正君が審議会会長に就任されて、運営に当たることになっておるわけであります。今後の日本の林政の問題あるいは国有林野事業の運用等の基本的な問題については、林業基本法に基づく林政審議会において農林大臣の諮問にこたえ、検討をすべきであるというふうにわれわれは考えておるわけでありまして、その点に対する大臣の所見と、もう一つは、これも明らかにしてもらいたいわけでありますが、先月、七月の中旬に、林野庁の林政部の森尾調査官が北海道の北見に参りまして発言をしておるわけです。その発言の内容というものは、北海道の主要な新聞である道新にも掲載されておるわけでありますが、それによると、特に今後の政府における林政に対する考え方というものが、行政と経営を明らかに分離する一方、国有林野事業については公社化の方向に持っていくというような、相当具体的な発表を行なっておるわけであります。これは決して一調査官が私見を述べるとも考えられませんので、この森尾発言というものは、農林省あるいは林野庁の現時点における林政に対する基本的な態度あるいは国有林野事業に対する方針を表明したものと判断して差しつかえないかどうか、この点を農林大臣にお聞きしたいと思うわけなんです。
#85
○坂田国務大臣 林政審議会には重要な問題をはかりたい、またはかるべきである、こう考えております。
 それから森尾調査官の発言については、自分は存じておりません。
#86
○芳賀委員 では長官から……。
#87
○田中(重)政府委員 あとのほうの御質問に対してお答えしますと、森尾調査官の発言は私も関知しておりません。ただ、国有林のあり方について中央森林審議会から答申が出ましたから、その答申についてのいろいろな角度からの検討は進められているということはございます。そこで、そういう検討の過程においていろいろな意見は出るわけでございますから、そういう過程をあるいは話したのかもしれませんが、私は関知をしておりません。
#88
○芳賀委員 この問題は次の機会に譲っておいてもいいわけですが、特に昨年林業基本法をわれわれが熱意を持って大幅修正して成立させたわけです。しかも、その後の先般の通常国会においても、基本法の線に沿った強力な農林省としての施策というものが打ち出されていないわけです。これはわれわれとしては非常に不満にたえないところであります。一方においては、与党の一部において、国有林を処分するというような法制化の動きが非常に活発に展開されておる関係上、農林省あるいは林野庁がその勢いに押されて萎縮しておるのではないかというふうに同情もしておったわけでありますが、国会が終わったあとで、一調査官が地方に出かけて、こういう重要な大きな林政あるいは国有林野事業に転換をもたらすような発言をしたということに対しては、これは黙過できない点であると思うわけです。したがって、この発言の内容等については、農林大臣においても十分調査されて、これも次の機会にその内容を明らかにすると同時に、今後林業基本法の体制づくりというものをどういうふうにするかというような点についても、速急に大きな方向だけは明確化されるようにしてもらいたいと思うわけですが、その点はいかがですか。
#89
○坂田国務大臣 いまの芳賀委員の御質問については、林政審議会に諮問しまして、十分それを確立していきたい、こう考えております。
#90
○芳賀委員 最後に、一点お尋ねしておきたいのは、八月中に来年度四十一年の予算に対して各省が大蔵省に要求を出すことになっておるわけでありまして、目下農林省においても作業を進めておられると思うわけです。したがって、来年度昭和四十一年における農林水産業全体に対する基本的な施策というものは、農林大臣として初めて構想として出されると思うわけでありますので、この際、明年度以降における農林大臣としての重点構想としてこういうものを考えておるということがあれば聞かしてもらいたいのと、こちらからお尋ねしておきたい点は、従来も問題になっておるわけでありますが、予算編成との関連で、食管特別会計における特に赤字といわれる一般会計からの繰り入れ分、これを従来は農林省予算ということで農林予算の中に包括しておるわけでありますが、この数字は、現在においては農林予算全体の三分の一以上を占めておるわけであります。こういう擬装された農林予算というものは、総体で幾らであるということで農民を幻惑しておるわけでありますが、これらは決して農林省予算、農林予算として処理すべき問題ではないというような点については、前農林大臣の赤城さんにもしばしばわれわれは指摘しておる点でありますが、四十一年の予算編成にあたって、この一般会計からの繰り入れ分というものは、決して農政のための費用ということにはわれわれは考えておりません。これを区分するということに対して努力をされてしかるべきであるというふうに思うわけです。
 第二点は、今年の通常国会においても赤城農林大臣にただしたわけでありますが、現在の農業の実態から見て、毎年農民が減少するような実態から見て、この際、社会保障制度の一環として、現在の国民年金制度から切り離して、農林漁業者を主体にした農民年金制度の制定の問題に対しても、来年度はいま一歩前進した形で農林省においても検討を進める必要があるのではないかというふうに考えられますので、この点に対して一体どう思っておられるか。
 それからまた重要な問題としては、先般の国会において新しい乳価制度、あるいは砂糖価格安定法、あるいは飼料関係、畜産関係の法律が通っておるわけでありますが、特に国産牛乳の学校給食の問題については、赤城農林大臣から当委員会に、昭和四十一年から四十五年までの五カ年計画で全国の小中学校に対しては全量を国産牛乳をもって充当するという、いわゆる五カ年計画案なるものが提示されておるわけです。そうすると、大事な四十一年においては、少なくても計画案によりますと、今年は七十万石でありますが、来年度は百十万石、二十一万トンということになっておりますので、この計画というものが当初からくずれるというようなことになりますと、またこれは全面的に瓦解するわけですからして、こういう五カ年計画についても、十分農林大臣としても認識されて、これ以上の線で実行できるように配慮すべきであると思いますが、その点を一体どう考えておるか。
 それからもう一つは、特に畜産物の中で、卵価が暴落して不安定になっております。これらの解決には農林省としても当たっておられると思いますが、やはり抜本的に解決するためには、現在の畜産物価格安定法の根本改正等を行なうことによって、卵についても現在の豚肉等と同様に国が安定基準価格を決定して、その基準価格を鶏卵の市価が暴落した場合、低落した場合においては、直ちに畜産振興事業団が買い入れ発動をするというようなことろまで抜本的な措置を講じなければ、卵価問題の解決はできないと思うわけであります。これに伴う飼料の対策等についても、まだ非常に不安定な点でありますので、あわせてこれは畜産全体の問題として、飼料関係の問題についても、抜本的な改正あるいは予算上の措置が十分講ぜられてしかるべきだというふうに考えられるわけです。
 これは私がいま気がついた点でありますが、明年度の農林省の予算の編成作業というものと関連して、重点的に坂田農林大臣としては、四十一年度にはどういう積極的な姿勢で取り組むかというような点についても、御構想があればこの際聞かしてもらいたいと思います。
#91
○坂田国務大臣 四十一年度の予算の編成につきましては、従来に引き続き、農林水産業全般にわたってその基本的施策の推進をはかるために、所要の予算の確保をはかる所存であります。なかんずく四十一年度におきましては、先ほど御説明申し上げた今後の重点施策の予算化に万全を期してもらいたい、かように存じております。
 第二の食管赤字の問題につきましては、もちろん政府全体の問題として処理されるべきものであると考えますので、農林省予算の確保に支障の占いよう努力いたしたい、こう存じております。
 次に、国民年金制度の改正につきまして検討が進められておるので、これとの関連において今後十分検討を進めてまいりたい、かように存じます。
 次に、学校給食の五カ年計画の内容いかんでございまするが、四十一年度以降四十五年度までの五年間、漸次学校給食用牛乳の供給を計画的に行なうことといたしております。目下計画中のものは、四十一年百万石から百十万石、これは御存じかもしれませんが、四十二年には百三十五万石から百四十五万石、四十三年には百八十五万石から二百十五万石、四十四年には二百五十五万石から二百七十五万石、四十五年は三百五十万石、四十五年度において三百五十万石の供給により完全に実施をはかるということに相なるかと思います。
 第四番目の卵価安定に関しまして、畜安法改正の意図がないかということでございます。卵価安定のために、農民等の拠出金による卵価安定基金の設定に関し、政府も畜産振興事業団を通じて基金の一部に充てるための出資を行なうことについては、今後検討してまいりたいのでありますが、その商品の性格、取引の実態等から見まして、価格暴落時に政府買い入れを行なうことは困難であり、これらを内容とする意味での法律改正については、目下のところは考えておりません。そうして今後の卵価安定のために生産調整、価格安定上の措置の強化について検討中であり、成案を得て四十一年度に予算化をはかってまいりたい、こう存じております。
#92
○芳賀委員 きょうはこの程度にしておきますが、先ほどの米価決定の際の女子労賃の評価金額ですね、それはどうなっていますか。
#93
○武田政府委員 いま、こまかい数字になりますので、調べておりますから、後ほど先生のほうへ御連絡したいと思います。
#94
○倉成委員長代理 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後一時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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