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#1
第049回国会 決算委員会 第3号
昭和四十年八月十一日(水曜日)
    午後零時四分開議
 出席委員
   委員長 堀川 恭平君
   理事 押谷 富三君 理事 白浜 仁吉君
   理事 壽原 正一君 理事 田中 彰治君
   理事 原 健三郎君 理事 勝澤 芳雄君
   理事 長谷川 保君
      神近 市子君    栗原 俊夫君
      森本  靖君    山田 長司君
      吉田 賢一君
 出席政府委員
        法務政務次官  山本 利壽君
        検     事
        (民事局長)  新谷 正夫君
        検     事
        (刑事局長)  津田  實君
 委員外の出席者
        検     事
        (大臣官房人事
        課長)     辻 辰三郎君
        検     事
        (大臣官房主計
        課長)     藤島  昭君
        検     事
        (大臣官房営繕
        課長)     田村 秀策君
        検     事
        (刑事局総務課
        長)      安原 美穂君
        検     事
        (刑事局参事
        官)      大堀 誠一君
        検     事
        (矯正局長)  大沢 一郎君
        検     事
        (保護局長)  武内 孝之君
        大蔵事務官
        (主計官)   小口 芳彦君
        会計検査院事務
        官
        (第二局長)  樺山ただ夫君
        専  門  員 池田 孝道君
    ―――――――――――――
八月十一日
 委員栗原俊夫君辞任につき、その補欠として松
 井誠君が議長の指名で委員に選任された。
同日
 委員松井誠君辞任につき、その補欠として栗原
 俊夫君が議長の指名で委員に選任された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 閉会中審査に関する件
 昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算
 昭和三十八年度特別会計歳入歳出決算
 昭和三十八年度国税収納金整理資金受払計算書
 昭和三十八年度政府関係機関決算書
 昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算
 書
 昭和三十八年度国有財産無償貸付状況総計算書
 昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書(
 法務省所管)
     ――――◇―――――
#2
○堀川委員長 これより会議を開きます。
 まず、閉会中審査申し出に関する件についておはかりいたします。
 すなわち、決算の適正を期するため、
 一、昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算
   昭和三十八年度特別会計歳入決算
   昭和三十八年度国税収納金整理資金受払計算書
   昭和三十八年度政府関係機関決算書
 二、昭和三十八年度国有財産増減及び現在額総計算書
 三、昭和三十八年度国有財産無償貸付状況総計算書
 四、昭和三十八年度物品増減及び現在額総計算書
 五、歳入歳出の実況に関する件
 六、国有財産の増減及び現況に関する件
 七、政府関係機関の経理に関する件
 八、公団等国が資本金の二分の一以上を出資している法人の会計に関する件
 九、国または公社が直接または間接に補助金、奨励金、助成金等を交付しまたは貸付金、損失補償等の財政援助を与えているものの会計に関する件
 以上九件について、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○堀川委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。
 次に、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。
 閉会中審査案件が付託になりました場合、委員を派遣し、その実情を調査するため、議長に対し、委員派遣承認申請を行なうこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○堀川委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。
     ――――◇―――――
#5
○堀川委員長 三十八年度決算外三件を一括して議題といたします。
 本日は、法務省所管について、審査を進めます。
 まず、法務省当局から概要説明を求めます。山本政務次官。
#6
○山本(利)政府委員 昭和三十八年度法務省所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。
 法務省主管の歳入につきましては、予算額百二十億二千四百七十六万三千円に対しまして、収納済み額百九十億六千六百二十万六千十二円であり、差し引き七十億四千百四十四万三千十二円の増加となっております。
 収納済み額の増加のおもなものは、罰金及び科料の六十四億三千三百十七万九千円、刑務所作業収入の五億七千四百三万五千円であります。
 次に法務省所管の歳出につきましては、当初予算額四百二十二億二千六百二十四万円に、前年度からの繰り越し額二億八千二十万三千五百円、総理府所管からの予算移しかえ増加額五十五万八千円、予備費使用額三億四千九百十七万八千円、給与改善に伴う予算補正追加額十三億四千七百五十九万六千円を加えました予算現額四百四十二億三百七十七万五千五百円に対しまして、支出済み額は四百三十四億四千一百五十一万三千七百二十五円であり、その差額は七億六千二百二十六万一千七百七十五円となっております。この差額のうち翌年度に繰り越した額は、一億七千五百六十八万八千二百円であり、不用額は五億八千六百五十七万三千五百七十五円であります。
 支出済み額のうちおもなものは、外国人登録事務処理経費として一億一千三百七十六万九千円、登記及び土地家屋台帳事務等処理経費として六億八千四十六万七千円、検察事務処理経費として六億九千六百五十四万二千円、矯正施設における収容者の収容、就労経費として五十三億八千四百七十一万七千円、補導援護経費として五億八千四百九十一万八千円、出入国関係に伴う被退去強制者の収容送還等の経費として六千百五十二万八千円、公安調査庁における破壊活動防止のための調査活動費として七億六百五十四万円、施設費として二十二億八千二百五十二万二千円となっております。
 不用額となったおもな経費は、人件費及び刑務所等被収容者の食糧費であります。
 詳細につきましては、お手元に提出しております「昭和三十八年度決算について」に記述してありますので御了承願いたいと存じます。
 以上をもって、法務省所管の昭和三十八年度一般会計歳入歳出決算について説明申し上げました。
 よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
#7
○堀川委員長 次に会計検査院当局から、検査の概要について説明を求めます。樺山第二局長。
#8
○樺山会計検査院説明員 昭和三十八年の法務省所管の決算につきましては、特に不当と認めた事項はございません。
#9
○堀川委員長 これにて説明聴取は終わりました。
    ―――――――――――――
#10
○堀川委員長 これより質疑に入ります。勝澤委員。
#11
○勝澤委員 それでは最初に、法務省関係の歳入関係から御質問いたしたいと存じます。
 昭和三十八年度の法務省の歳入決算は、予算額百二十億二千四百七十六万円に対しまして、徴収決定済み額が百九十億七千三百二十七万余円で、収納済み歳入額百九十億六千六百二十万余円、収納未済歳入額七百六万余円となっており、収納済み歳入額は予算額に比べて七十億四千百四十四万余円の増加となっているが、これは主として道路交通法違反事件の拡大に伴い、罰金及び科料が六十四億三千三百十七万余円、刑務所作業収入が五億七千四百三万余円の増加によるものでありまして、まず罰金及び科料の歳入予算額七十九億七千九百万円に対し、収納済み歳入額百四十四億千二百十七万余円と約倍近くのものが道路交通法違反の増大によって増額になっておるわけであります。
 そこで、昭和三十六年度あるいは昭和三十七年度も、それぞれ同じような増額になっておるようでありますが、これは罰金を余分に取り過ぎたということなんでしょうか。予算の編成の上から結論的にこういうふうになったのかという点について、お尋ねいたしたいと存じます。
 それから続いて、三十八年三十九年の道路交通法違反の受理の人員、起訴の人員罰金刑処分の人員、そしてその現況について御説明願いたいと存じます。
#12
○藤島説明員 ただいま御指摘がございましたように、昭和三十八年度の歳入予算額と歳入決算額との間に約七十億の開きがございます。その事由は、この歳入額の大きい部分を占めております罰科金の関係でございまして、ただいま御指摘がございましたように、道交法の関係の罰科金が予算額をかなり上回って実績が上がった、こういうことになっておるわけでございます。
 私どもがこの歳入予算額を策定いたします場合には、結局前の年に次の年の収入実績額を見込むわけでございますから、確実な資料に基づきましてで、きるだけ確実な線で押えたい、こういうような基本的な態度で臨んでいるわけでございます。私どもが予算額をきめる時期でございますが、たとえば三十八年度の罰科金の歳入予算額をいつきめるかと申しますと、これは三十七年の七月ごろに事務的にはきめるわけでございます。ところが、その段階では、実績額いわゆる決算額として出ておりますのは、前々年度の実績額、決算額しか出ていないわけでございます。三十六年の決算額しか出ていない。その段階で三十八年の予算額をきめる、こういう関係になっているわけでございます。そういうようなことと、もう一つは、道交法関係につきましては、自動車台数の増加、あるいは交通取締り官憲の取り締りに対する態度、あるいは裁判所のそういう違反に対する科刑の態度、こういうものを私ども見通すことは非常に困難ないろいろな要素がございますので、結果的にはこういうような開きが出たのではないか、こう考えているわけでございます。
#13
○安原説明員 道交法違反事件の全国検察庁におきます受理の人員と申しますか、新たに各年度におきまして警察から送致を受けたりして受理いたしました人員は、昭和三十八年は四百十一万六千九百八十九人でございまして、翌年の昭和三十九年は約一割増加いたしまして四百五十五万七千三百八十一人でございます。
 なお、ついでに、起訴人員でございますが、昭和三十八年度は三百三十九万八千四百九十七人でございまして、昭和三十九年は三百七十三万八千九百八人、かようなっております。
#14
○勝澤委員 これは罰金刑の処分は……。受理と起訴と……。安原説明員 お答えいたします。実は道交法違反事件に関しますところの罰金刑の額を正確に統計としては把握いたしておりませんので、全体の罰金収納額のうちの約七〇%から八〇%は道交法違反事件の罰科金であるということが推定されますので、それをもとにいたしますと、たとえば昭和三十八年におきましては約八〇%が道交法違反であるといたしますと、昭和三十八年度におきましては、道交法による罰金の現実の収納額は約百十九億になるというように考えております。
#15
○勝澤委員 ここへ三十八年度のこの罰金の歳入決算を各地検別にいただいたのがあるわけでありますが、これによりますと、罰金と科料が百四十四億、三十八年度で歳入になっておる。その百四十四億のうち約八割、百十五億が道交法違反であるという調書が出ておるわけでありますが、地検別に見てみますと、たとえば東京地検は二十五億五千六百五万八千五百三十四円、そのうち二十億四千四百八十四万六千八百二十七円という膨大なものが道交法違反で徴収されているわけでありますが、最近各都道府県で、道交法違反による罰金というものは都道府県に還元できないかという意見が出ておりまして、議会でも決議されている個所が相当あるわけであります。御案内のように、交通事情がひんぱんになったために、たとえば信号灯一つつくるにも、道交法違反で取ったその罰金のほうからつくらしてくれればいいけれども、実際には地元負担ということで、地元で約七、八割というものは負担をして、信号灯をつくったり、あるいは警察の交通協力をやっているわけ下あります。こういう観点からいうならば、私はやはり目的に沿って使うというのが、ある程度考えるべきときに来ているのじゃないだろうか。百四十四億の罰金のうち百十五億も取っている。東京なんかでも二十五億のうち二十億が道交法だ。ですからそういうものを取っておったら、それで信号灯をつくったり、あるいは交通安全設備をつくるというこの地方議会の要請というものは、これは当然なことだというふうに考えておるのですが、これについて、これは政務次官のほうがよろしいでしょうが、お考えをひとつ聞かせていただきたいと思うのです。
#16
○山本(利)政府委員 道路交通法の問題が非常に激しくなりまして、いまお説のように、街路灯をふやすとか、あるいは交通事故防止のための施設をふやしていくとかということは非常に大切なことだと思うのでございますが、道路交通法違反の罰金と申しましても、国家刑罰権によって犯人に課せられるものでございまして、その罰金収入は当然国家に帰属すべきものと解すべきでございまして、罰金は犯罪に対する刑罰であるから、罰金による収入を特定の施設の財源として考えることは相当でないように思うのでございます。したがいまして、道路交通法違反の罰金収入を直ちに普通地方公共団体の歳入とし、または直ちにこれを直接普通地方公共団体に交付するような措置は、右の趣旨に反するばかりでなく、国民感情の上に、罰金の刑罰としての意義を希薄にするおそれがあるので、適当でないように思うのでございます。現在、普通地方公共団体の制定にかかる条例違反についての罰金もまた国の歳入になっておるわけでございますから、先ほど御指摘のような問題についての趣旨ということについての財源は別途に考えるべきものかと存じます。
#17
○勝澤委員 法律的なことはそれでいいと思うんですが、いま地方で話している話を聞いてみると、常識的にものを考える。法律的にそうなっていることはそのとおりだと思うんです。ただ、こうして罰金が百四十四億も取られた、そしてそのうち道交法が百十五億だということになれば、その百十五億そのままというわけにもいかないでしょうけれども、相当部分というものはやはり道路交通の安全というものに大幅の予算をかけるべきだ、地元に負担をかけて信号灯をつくらしたり、地元に負担をかけてガードレールをつくったりすることが、私は間違いじゃないだろうかと思うのです。そういう意味で言っているのです。法律的にそうなっていることはわかっております。ですから、交通の安全対策のために、もっと大幅にこれだけの収入に見合ったものを出したらどうかこういう意味で言っているのですが、いかがですか。
#18
○山本(利)政府委員 お考えになっておることはまことにもっともでございまして、私も先ほど申し上げましたように、道路交通の安全のための施設というようなことには、当然これはどこからか金を出すべきものだと考えておりますが、ただ申し上げましたのは、いま法律の上でそうなっておるというだけでなしに、いろいろなたてまえから考えまして、罰金を取ってそれをすぐそのほうに回すということは、私、罰金というものの性格からいって、いろいろ犯罪行為が非常に多くて罰金をよけい取るとこころでは、そういう設備が非常によくなっていく、犯罪のないところではそういう設備は至って手薄になるというような結果も考えられますので、これは、いま言いましたような経費というものは、国家的に考えて、他の財源から回すべきものだというふうに考えます。
#19
○勝澤委員 あなたのところは法律を守らせるところでありますから――この間、私はタクシーに乗りましたら、運転手がこう言うわけです。罰金さえ高く取りさえすれば道交法を守ると考えている役人、政治家の皆さんの顔を見たいと、私は運転手に言われたのですが、これはやはり町の一つの心理ですよ。道交法違反をしなければ、とにかく東京都の車が正常に動けない状態になっているという現実を考えてみると、やはり道交法違反をしなくても走れる状態に道路の事情を直さなければならぬ、交通安全ということを考えなければならぬということから考えてみると、罪金を取る、そのことはいいでしょう。しかしそのことにも即今度は道路交通法違反をしないような対策というものをもう少し抜本的に考えていかなければいかぬ、こういうことを私は考えるわけです。そういう意味で各地方が道交法違反にならないように、あるいはまた今日の交通事情から、結局人命を守るために信号灯をつくろうじゃないか、横断歩道をつくろうじゃないか、そういうものは現実には結局道路の対策がないために、別の形で税外負担になっておる、こういう点から考えられておるわけです。これはやはり政治の問題として十分考えなければならぬ。これを即地方に交付するということは不可能だということはよくわかっております。しかし道交法という法律があっても、幾ら罰則を設けて罰金を取っても、現実には道交法というものが守られない状態になっている。よく町のつじにおまわりさんが出たら交通が混乱する、おまわりさんがいなくなったら交通が緩和するというのが、これは話題として出ているわけであります。また現実にそういう状態になっている。これはやはり政治なり行政なりの中で考えてやらなければならぬ問題だと思うのです。ですから、道交法違反でひっかかった場合においては、極端にいうと、悪いという気持ちよりは、運が悪かったという気持ちが強い。今日選挙違反の専売公社の小林さんの場合が、私はそうだと思うのです。上から下まで、総裁以下運が悪かったのだ、極端にいえば、悪いことをしたと思っていないような風潮になっている。これは私はゆゆしき問題だと思います。それはやはり、そういう状態がなぜあるかということを、奥深くものを考えていかなければならぬ。と同時に、いま都道府県でこういう声が出てきている原因というものについて、いま言ったように、それは法律でこうなってこうなってこうなっておって、できないというだけでは、ちょっとわれわれとしては世間に向かって納得させる材料にならぬ。ですから、やはりそれは予算の問題もあるでしょうから、研究されるべきだと思うのです。ですからどうでしょうか、もう少しこういうものは研究されて、そのもの即ということは無理でありましょうけれども、何かやはり考えるべきじゃないでしょうか。
#20
○山本(利)政府委員 ただいまおっしゃいましたとおりでございまして、交通法違反を少なくするということはいろいろな一般の人の安全からいっても非常に大切なことでございますから、今日まで以上に、しかもできるだけ地方の財政にひどい負担にならぬようにして、その方法及び設備を考えるべきだと思いますから、その方面に対しましては、十分私どものほうでも研究いたしまして、また政府全体といたしましても、交通が安全にできるような施設に対しての経費を回してもらうように、意見を具申したいと考えます。
#21
○勝澤委員 この問題は、地方の議会では、自民党とか社会党とかということじゃない。たくさん道交法違反で罰金を取られているところほど、交通がたいへんなところなんですから、これはもう一度私も堀り下げて皆さんと議論をしながら、ひとつ考えてみたいと思いますから、その程度にいたします。
 次の問題は、刑務所の作業収入の問題でありますけれども、これも、作業収入予算と比べてみますと、五億七千万円程度増加をしているわけでありますが、これは三十七年度決算で会計検査院から指摘をされておりますが、この指摘に基づいて、少しは調整といいますか改定をしたのですか。あるいは、改定したとするならば、どういう方向で行なわれたのですか。御説明賜わりたいと思います。
#22
○大沢説明員 刑務所作業収入が、歳入予算に比較いたしまして五億七千万の増収となっております。その増収となりましたおもな理由といたしましては、まず、刑務所の作業の内容につきまして、いわゆる低格作業、紙細工でございますとか封筒張り、さような低格作業から有用な作業に転換いたしますことによります作業内容の改善をはかりました点、また製作収入におきましては、生産量の増加、特にいま御指摘になりました賃金収入におきまして、一般的な賃金ベースの向上に伴いまして、契約賃金の単価が高くなり、特に収容者の作業意欲が向上いたしまして、一人当たりの生産量というものがふえたこと等の総合的な成果によるものであると考えております。ことに契約賃金の改善につきましては、昭和三十八年九月、会計検査院の御勧告に基づきまして、労務契約賃金の決定につきまして、是正改善につとめたことも、増収の因をなしているものと存じます。ただ、年度途中からかような勧告がありまして、その線に沿いまして可能な限り契約賃金の増額をはかりまして、その分につきまして幾らかということについては、ただいま資料がございませんが、この点においても、やはり増収の因をなしておる、かように存じます。
#23
○勝澤委員 それでは、支出の関係で次にちょっとお尋ねいたしますが、昭和三十七年度の退官退職手当、当初予算七億三千余万円に対し予備費使用が四億。また、三十八年度当初予算が八億八千万に対し予備費使用が一億八千万、毎年当初予算に対してそれぞれ、三十七年が六割、三十八年が二割の予備費増になっているようでありますが、この予備費を使用した特別な理由があるのかどうか。一体の当初予算との見込みよりあまりにも予備費使用というものが多過ぎるんじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
#24
○山本(利)政府委員 退職は主として本人の意思によるものでございまして、退職見込み人員の推定は、その年によって非常に困難なわけでございますが、国家公務員等退職手当法第三条、第四条並びに第五条適用者の中で、定年退職者を除く分について、それぞれ過去二カ年度――三十七年度の要求については三十四年度、三十五年度、三十八年度要求については三十五年度、三十六年度のおおむね平均人員を予定し、当該年度における定年退職該当者数を加算して見込んだわけでございます。しかしながら、普通退職希望者のみならず、勧奨退職の希望者が多く、特に高額所得者が多かったことなどによりまして、成立予算に不足を生ずることになりましたために、やむを得ず三十七年度四億四千八百万円、三十八年度には一億八千万円の予備費使用となったようなわけでございます。
#25
○勝澤委員 次に、人件費の不用額が特に目立っておるようでありますが、検事の予算定員と実際の実員、昭和三十八年度現在、法務本省、検察庁、公安調査庁別に明示していただきたい。それから、検事の希望者の少ない理由はどうなんでしょう。
#26
○辻説明員 昭和三十九年三月三十一日現在におきます検事の予算定員と実員でございますが、検察庁の検事につきましては、予算定員が千六十二名で、当時の現在員が千九名でございます。法務省勤務の検事につきましては、予算定員が百十二名、当時の現在員が百五名でございます。公安調査庁勤務の検事につきましては、予算定員が二十一名、当時の現在員が二十名となっております。ただいま申し上げました関係になりますと、同年度末におきましては、検事の欠員は合計六十一名ということに相なるわけでございますが、直ちに新年度に入りましてその年度の新しい検事四十五名を採用いたしておりますので、実質的には、当時の欠員は十六名という数になるわけでございます。
 次に、検事の志望が少ないのではないかというお尋ねでございますが、この点につきましては、最近数年間は、毎年司法修習生から四十名ないし五十名あまりの検事を採用いたしております。この採用数は、それぞれの年の司法修習を終えました司法修習生総数の一二%ないし一三%がに当たっておるわけでございまして、この点からいたしますと、司法修習生中の検事希望者は必ずしも多いとは言えない実情にあろうかと存じます。そして、かようなことになっております理由といたしまして一応考えられますものは、まず第一といたしまして、最近の司法修習生は、転勢を伴う公務員生活や地方勤務生活をいとう風潮があるという点があげられると思うのでございます。第二の理由にいたしましては、現在の司法試験の運用の実情が、たいへんむずかしい試験になっておりまして、大学在学中に合格することが漸次困難になっております。かような関係から、司法修習生には比較的年長者が多くなっておりまして、年長者につきましては、それから検事になりましても、給与上その他の関係で、必ずしも公務員生活に適しているとは思えない者が漸次ふえてきている。かような点が検事の志望者がかような割合になっている原因ではなかろうかと考えている次第でございます。
#27
○勝澤委員 次に、登録税の徴収についてでありますが、取り扱い件数が年々増加をし、不正行為もまたときどき新聞などに報ぜられるようであります。たとえば宇都宮地方法務局の塩原出張所その他二カ所でも、昭和三十年五月から三十八年九月までの間に、登録税百三十四万二千五百十二円を領得されたものがあるが、これは成規の取り扱いに違反して、登録税を収入印紙にかえて現金をもつて納付されたものを領得したものと思われるようであります。このような小規模の一人、二人の出張所の監督と不正行為の経過、そしてその処理、こういうものはどうなっておりますか。
#28
○新谷政府委員 宇都宮の地方法務局の管内の出張所におきまして、ただいま御指摘のような不祥事件を発生いたしまして、まことに申しわけないと存じております。
 この事件は、本来、登記の申請の際に提出されまする収入印紙を、そのまま消印しないで着服、横領した事件、それから登記所に長らく勤務しておりますと、地元の方とも非常に顔見知りになる場合が多いわけでありまして、そういった場合、ことに収入印紙が手に入らないというふうなことから、登記所のほうに現金を託しまして、これで収入印紙を買って張ってもらいたいというふうな便宜の処置を依頼されるようなことがあるわけでございます。このような取り扱いがもちろん違法な取り扱いであるということは申し上げるまでもないわけでございますが、そのような事情から、本件のような収入印紙の横領あるいは収入印紙代の横領というふうな事故を発生いたしたわけでございます。この事件が発覚いたしまして、法務局におきましても直ちに内部調査をいたした結果、ただいま御指摘の約百五十万円にのぼる被害額が出たわけでございます。さっそく刑事処分といたしましては、法務局のほうから検察庁に告発いたしまして、刑事手続にのっとりまして、昭和三十八年の十月に裁判所に起訴されております。さらに、あとで発覚した分につきましては、十二月に追起訴が行なわれておるわけでございます。本人の処分につきましては、三十八年の十月十日に懲戒免職処分をいたしております。さらにその関係の監督責任といたしまして、出張所の監督をいたしておりました大田原支局長、さらに宇都宮の地方法務局長、これは監督責任でございますけれども、いずれも戒告処分に付されたわけでございます。ただいまの百五十万円にのぼります被害金額につきましては、本人とその身内の者が連帯債務者といたしまして、昭和四十年の三月二十五日に、裁判上の和解契約をいたしまして、和解調書が作成されております。これによりまして、被害金額を分割弁済する契約ができ上がっておるわけでございます。
 大体の経過はただいま申し上げましたようなことでございますが、このような事故が起きましたにつきまして、私ども監督の立場にございます者といたしましても、何とかこういうことが発生しないようにということをかねがね検討いたしておったわけでございます。登記所の現在の組織は、御承知のように、出張所と言われます登記所が約千五百全国に散在しておりまして、その中に職員が一人だけおる庁、これは一人庁と称しておりますが、こういったものが、かつては五百庁ぐらいございました。さらに二人だけで事務をとっておるのがかなりございます。これは戦前のいわゆる登記所の時代からずっと引き続いて、そういうふうな小規模の役所として存在してきたわけでございますが、だんだんと登記関係の事件が増加するに伴いまして、人員の適正配置も考えなければならなくなりましたために、比較的事務の少ない登記所から多忙な登記所のほうへ人員を異動させるというふうな措置をとりましたために、こういう一人庁というものがだんだんふえてきたという経過になっておるわけでございます。そういたしますと、こういった一人庁におきましては、相互牽制組織をとることができなくなるわけでございます。二人庁におきましても、相互牽制が必ずしも十分には行なえないということになるわけでございまして、そういったところに、こういう不正事故を起こす最も大きな原因があるのではなかろうかと考えられるのでありまして、実は、昭和三十四年ごろから登記所の統廃合を実施してきたわけでございます。これにつきましては、国会におきましてもいろいろ御意見を拝聴したわけでございます。約五百庁ございましたうちの二百六十六庁くらいを現在のところ統合いたしたわけでございます。まだ二百二十くらい一人庁が残っておるわけでございますが、ただ、この登記所というものが、窓口業務を担当いたしております関係で、地元の市村町、一般国民の方々からもその存置を強く要望されるわけでございます。片方におきましては、ただいま申し上げましたような零細出張所を何とか形の整った役所らしい形のものにしたいという要請がございます反面、地元の関係から申しますと、必ずしもそれが容易に行ない得ないというジレンマにおちいっているというのが実情でございます。将来の法務局出張所のあるべき姿をどうするかということにつきましても、私どもは、もっと今後の経済事情あるいは社会事情、交通関係等を考慮いたしまして、こういった事故の起きないような、内容の十分整備された登記所の機構にしたいという考えで、この統廃合の問題もさらに今後の研究課題として考えてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 さらに、直接的な問題といたしましては、登記所のこういった不正事故を防止いたしますために、内部監査を実施いたしております。これも法務局全体の予算といたしましては、年間約七百四、五十万円くらいの監査費が入っておりますが、その多くは登記関係の監査に使われております。もっとも、これは、その監査という、本来の予算の目的に従いまして監査を実施いたします場合のことでありますが、そのほかにも、法務局長とか、総務課長、会計課長あたりが、ほかの用務を帯びまして出張所に参りましたときなんかも、できるだけそういったこまかい点についての監査をするように指導いたしております。各法務局におきましても、それぞれ登記所の監査要領というふうなものをつくりまして、これを実施いたしております。それから、さらに、登記所の職員が長年同一登記所に勤務するというところに、一つの不正事件を発生する原因もあるやに考えられますので、かつては五年、十年と、非常に長期間にわたって、登記所の職員の異動が行なわれなかったのでございますけれども、最近におきましては、赴任旅費も十分御配慮いただきました結果、大体二年あるいは三年くらいの間に登記所の職員を異動させまして、事故の発生しないような体制をとっていこう、こういうことにいたしておる次第でございます。
#29
○勝澤委員 いずれ私は、この登記所の実情については、現地を見た状態について、私なりの御意見を申し上げたいと思うのですが、やはり相当今日の状態からいって、一人庁とかあるいは二人庁なんというようなものを考えなければならぬし、建物の中の仕事の状態についても、もう少し再検討しないと、同じようなことがこれからも起きるし、起きているであろうというふうに思うわけであります。
 次に、法務省は土地を財団法人の法曹会及び日本弁護士連合会に貸し付けているようでありますが、それぞれ物件の所在地、数量、貸し付けの年月日、貸し付けの目的、貸し付けの期間、借料、こういうことについて御説明を願いたいと思います。
#30
○田村説明員 財団法人法曹会につきましては、千代田区霞ケ関一丁目一番地にあります法務省の普通財産のうち、四百九十三坪七合五勺を貸し付けております。有償貸し付けの時期は、昭和二十三年二月からでございます。貸し付けの目的は、法曹会館の会館敷地として貸し付けております。貸し付けの期間は、毎年三月三十一日までを期間といたしまして、四月一日に更新する形式で貸し付けの契約をいたしております。借料でございますが、当初昭和二十三年二月に有償貸し付けをいたしました当時の月額貸し付け料は、五千四百五十六円でございます。その後、昭和三十年四月これを改定いたしまして、月額二万二百四十四円といたしました。さらにその後昭和三十九年十月一日改訂いたしまして、月額十五万五千百一円、その後、本年四月一日さらにこの貸け料の改訂をいたしまして、現在月額二十三万二千八百八十五円で貸し付けを継続しております。
 次に、財団法人日本弁護士連合会でございますが、連合会に貸し付けております土地の所在地は、法曹会と同様のところでございます。貸し付けの土地の坪数は、法務省所管にかかる普通財産のうち三百四十三坪七合五勺でございます。貸し付け開始の時期は、法曹会と同じく二十三年二月から有償貸し付けをしております。貸し付けの期限は、昭和三十一年の十二月二十日契約で、三十年間の貸し付け契約が行なわれております。契約の期限は昭和六十一年十二月十九日ということになっております。これは国有財産法で認められております最高期限の期間の貸し付けとなっております。貸し付けの目的は、連合会の会館敷地でございます。貸し付けの期間は、ただいま申し上げたとおりでございます。借料でございますが、昭和二十三年二月当時は月額二千六百六十一円、その後昭和三十年四月に改訂いたしまして、九千九百六十九円となっております。それからさらに、三十九年九月に十一万四千百七十円の改訂申し入れをしておる状況で、現在使用を継続しております。以上でございます。
#31
○勝澤委員 そうすると、これは法曹会館は坪年幾ら、それから弁護士連合会は坪年幾らということになりますか。
#32
○田村説明員 いま申し上げました法曹会につきましては、昭和四十年四月一日付で改訂いたしました二十三万二千八百八十五円の貸し付け料は、坪当たり四百七十一円ということになります。月額でございます。この金額は大蔵省で定めました貸し付けの基準に基づいて、そのとおりに計算して算出した金額でございます。
 それから弁護士連合会につきましては、昨年九月改訂の申し入れをしております十一万四千百七十円という金額の坪当たり単価は、延べにいたしますと三百三十二円になります。これは連合会の建物の一部を法務省が使用しておりますので、大蔵省で定めました計算方式に従って、その分だけ減額してございますので、このような差が出ております。
 以上でございます。
#33
○勝澤委員 それから次に、刑務所や少年院等の矯正施設は、今日の社会、経済情勢の変化によって、立地上不適当となったり、あるいは老朽化しておりますので、この処理上不適当な個所がたくさんあると存じますが、この移転の対策はどういうふうになっておりますか。
#34
○田村説明員 現在市街地に所在しております刑務所、拘置所等の矯正施設につきましては、その所在位置が市の中心地であるために、市の発展を阻害するという理由をもちまして、当該市から移転要請を受けておる個所がかなりございますが、二十数庁の移転要請を受けております。この二十数庁の刑務所、拘置所を移転いたします場合の総予算額は、二百数十億円に上る計算になります。そこで法務省といたしましては、現在施設自体が狭隘であったり、老朽程度がはなはだしかったり、あるいは周囲の状況からいきましてこのままどうしても存置できないというようなことなどを考え合わせまして、そのほか地方公共団体の都市の発展の健全化をはかるというような観点から、緊急度の高いものから実施しております。現在すでに刑務所の移転が完了いたしましたところとしましては、名古屋刑務所と福岡刑務所が完了しております。それから現在実施中のものといたしましては、滋賀刑務所、松江刑務所とそれから静岡、新潟、徳島などがございます。そのうち、滋賀、松江刑務所は本年度一ぱいで工事が完成いたしまして、移転完了となります。そのほか現在移転要請を受けておるところにつきましては、刑務所の特殊性と申しますか、移転受け入れ先の地元側の根強い受け入れ反対運動がございまして、敷地決定などなかなか困難な問題がございますので、これらを総合いたしまして、先ほど申し上げましたような観点から、緊急度の高いものから移転を現在検討中でございます。
 以上でございます。
#35
○勝澤委員 それから、先ほどの財団法人法曹会、日本弁護士連合会の貸し付けの状況、貸し付けの書類、それから先ほどあなたに申し上げましたあの基準の算定、こういうのをあとで資料をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
#36
○田村説明員 契約書などがございますので…。
#37
○勝澤委員 それから次に、昭和四十一年度計画予定の五カ所の刑務所及び二カ所の少年鑑別所のうち、東京拘置所は昭和三十三年二月十一日の閣議の決定で、東京拘置所復元についての方針に基ついて、法務省は、首都圏整備委員会、都庁等と都市計画上移転するよう協議しておるようでありますが、その経過について御説明願いたいと存じます。
#38
○田村説明員 東京拘置所の移転につきましては、昭和三十三年二月十一日の閣議了解がございました後に、法務省といたしましては、積極的に首都圏整備委員会及び東京都と移転敷地について協議を重ねまして、今日までに約八カ所の移転候補地の提示を受けたわけでございますが、いずれも交通事情あるいは環境、工事費あるいは地元の反対等で難点がありまして、今日まで延引しております。その後最近になりまして、さらに一カ所の土地の提示を受けております。そこで、ここを移転候補地として、現在東京拘置所の移転を検討しておる状況でございます。
#39
○勝澤委員 東京拘置所の移転予算関係、こういうものはどういうふうになっておりますか。国庫負担行為を含めて……。
#40
○田村説明員 現在、法務省で検討しておりますのは、いわゆる国庫債務負担行為方式による建築交換方式による移転を検討しております。
#41
○勝澤委員 それは予算的にはどういうような考え方になっておりますか。いまあるところをどれくらいの計算をして、それからこれから移転するものはどういう条件だという点はどうなっておりますか。
#42
○田村説明員 数字のことは、現在計数の整理をしておりますし、それから国庫債務負担行為による建築交換ということになりますと、現在あります東京拘置所の評価が幾らになるかということによって、いろいろな問題がきまってまいりますので、現在その評価の見積もりの段階にございます。したがいまして、それらの数字が出ました段階において、移転先にどの程度の刑務所をつくり、具体的にどういう処理をするかということが確定する、こういう運びになっております。
#43
○勝澤委員 これは二十三年二月十一日の閣議で決定をして、移転先については今日までさがしてきたということですか。
#44
○田村説明員 はい。
#45
○勝澤委員 そうしますと、いままだその拘置所の見積もりをやっているというのは、ちょっと私理解に苦しむのですが、三十三年二月の閣議で決定したならば、いまの拘置所の評価がどれくらいだ、そうするとどういう規模で、どういうものをつくらなければならぬということがおおまかに出ていると思うのですが、おおまかにどういうことになっているのですか。
#46
○田村説明員 新しくつくる刑務所の規模としましては、大体収容者定数二千人を予定した刑務所をつくる計画を立てております。そういたしますと、概算で、土地の取得費、土地の造成費、それから建設費等加えまして、やはり二十数億円の経費がかかると思います。それから現在の巣鴨拘置所につきましては、仰せのとおり、過去に、どの程度の価格があるものか一応の目安はつけてございますけれども、土地の価格が年々といいますか高騰しておりまして、結局はあそこの敷地が幾らの評価を受けるかによって最終的にきまる問題でございますので、いま確定的な数字をここでまだ申し上げる段階にそういう数字が整理されておりませんので、御了承願いたいと思います。
#47
○勝澤委員 そこで等価交換なり、やる方式はどうお考えになっておりますか。個人でこれだけの土地建物があるから、これを交換してくれということになるのですか、あるいは東京都がやるのですか、それはどういうことになっておりますか。
#48
○田村説明員 閣議了解の中にも、首都圏整備委員会、都とよく連絡をとってやるという条項が織り込まれておりますので、その線に沿って主として、東京都を相手にして折衝を進めております。
#49
○勝澤委員 たとえば静岡市の刑務所のような場合は、静岡市が場所をあなたのほうと相談をしてきめて、そしてあとの計画も静岡市が中心になってやられておるわけですね。東京都の場合も、東京都が中心になってやられるのですか、一民間会社がおやりになるのですか、それはどういうふうにお考えになっておりますか。
#50
○田村説明員 過去の国庫債務負担行為による刑務所の移転がそうであったと同じように、やはり地方自治体を相手にして、そこを主体にして交換を考えて、現在その事務を進めております。
#51
○勝澤委員 この巣鴨の場所も相当な場所でありますし、それからそれに見合う場所というのも、なかなかむずかしい条件があろうと思うのですけれども、やはり大きな財産の移動であるわけでありますので、これはよほど慎重にやってもらわないとたいへんなことになる。むろんあなたのほうもそれは十分おわかりになっていると思いますから、あちらこちらに出ている問題で地元から反対が出ておる、なかなかやりにくい点もあろうと思いますけれども、その点はやはり慎重な取り扱いをしていただきたいということを特に要望いたしておきます。
 そこで次に、行政監察の結果が最近出されまして、この行政監察の結果を見てみますと、概括的にいえることは――いつかここで監獄法まで進んで、留置された人の持っておった現金はどうなるのだ、それは預かるということで、無利子で日本銀行が預かっておるのだというような話まで出て、そういうやり方がいいだろうかという点で論議をされたことがありますが、この監察の結果を見てみますと、法務省のいろいろな現況、建物にいたしましても、あるいは仕事のやり方にいたしましても、まだまだ、明治と言うと語弊がありますけれど、も大正といいますか、相当戦前のようなやり方、考え方というものがしみ込んでいるような気が実はしてしようがないわけであります。そういう点で結局結論的にいえることは、予算の問題にかかってきていると思うのですが、私はたとえば一つの例を申し上げますと、矯正関係の職員は実情に合っていないじゃないかというようなことがいわれておりますし、一人一カ月百十時間も保安業務の職員は超過勤務をやっている。あまりにも勤務が過重じゃないだろうか、こういうことがいわれておるわけであります。あるいは設備を見てみますと、設備の中で、受刑者と未決者、懲役者と禁錮者、こういうものがつい立てだけでもって仕切られているというようなこともいわれておるわけであります。こういう観点から考えてみますと、私は、行政監察結果、この勧告についてはやはり相当慎重な論議をして、そしてことしの予算の中で是正しなければならぬことは少しでも是正する方向にしなければならぬと思う。そういう点で、特にこれはひとつ政務次官なり大臣はよく読んでもらって、そしてやはり実情を十分大蔵省に説明すべきだと思う。きょうは大蔵省からわざわざ主計官にも来ていただいているわけです。私はこの勧告を読んで驚いたわけでありますけれども、ほかの省に比べて相当まだおくれている。おくれているというのは、文句を言わない人たちが入れられておるわけですから、それでいいかもしれないけれども、やはりもう少し近代的なシステムに変えていかなければならぬというように思うのですが、そういう点で、この勧告書を十分政務次官に読んでいただくということと、読んだ結果については、法規なりあるいはやり方なりについては内部で、ひとつ過去の例にとらわれずに直していただくと同時に、予算的な問題、勤務の問題あるいは定員の問題あるいは施設の問題については、よほどお考えをいただきたいと思いますが、政務次官いかがですか。
#52
○山本(利)政府委員 ただいまは非常に法務省関係の者といたしましてはありがたい御意見をちょうだいいたしまして、感謝にたえないわけでございますが、おっしゃるとおり、文句の言えない者が入れられておるところであり、またそういうものを扱っておるところでございますから、どうしてもいまの社会がどんどん進んでいきますのにおくれがちなところが非常に多いと思うのでございます。また施設等にいたしましても、相当金額の張る施設等もございまして、一度建てたものは相当年数使用しておるというような実情もございまして、とかく新しい方向に向かって進むことが忘れられがちであり、困難なわけでございますが、いまのような御意見をちょうだいいたしましたので、私どもも今後鋭意勉強もいたしますし、さらにこれを大蔵省なりあるいは国会の皆さん方に訴えまして、わが国の法務省関係のあらゆる施設が、諸外同に比べて劣らないように進めていきたいと考えます。
#53
○勝澤委員 それからもう一つ、保護司の問題でありますけれども、この問題の中でも、一年に一件も事件を担当しない保護司が三五%もあるということがいわれておりますし、また保護司の年齢を見ると、六十歳以上が四三%だ、こういわれております。八十歳以上の者もある。しかも保護司の対象になる少年は六〇%だ。ですから六十過ぎの人が、十七、八の人たちを、実は保護司としての観察をしなければならぬわけです。こういう点からも、あまりにも時代離れをしている状態じゃないだろうかと思う。しかも再任率が八六%だ。そうして在職年数が十年以上の者が四〇%である。これは保護司というものはなかなか奉仕的な仕事ですから、むずかしいとは思いますけれども、やはりこういう問題ももう少し掘り下げて、新しい時代に合って、まことにその職にふさわしいやり方を考えるべきじゃないだろうか、私はこう思うのです。そういう点、いかがでしょう。
#54
○山本(利)政府委員 いまおっしゃいましたように、この保護司というものは、名誉的な織務としてもう長年にわたって各地方で、普通のことばで言いますと、非常に名望家ともいうような人々がこの職に当たっていただいておりますので、そういう点からも、いまさらになってやめてくださいということもあるいは言いにくくて、そのままになっておることもあるかとも考えますけれども、仕事そのものがこれは非常に重大なことでございますし、ことに十代の者の指導を要する立場にあるものを、やはり明治時代の感覚で、それも次々にあらゆる面において実際活動しておられる方はけっこうでありますが、ほんとうの御隠居さんのような方が指導しようとしても、あるいはピントのはずれたことも実際にあるかとも思います。いまおっしゃいましたように、三〇数%の保護司が一件も携わっていないというようなことは、せっかくの今日までのよいシステムというものの活動を妨げることでございますから、今後研究いたしまして、常に新陳代謝もし、適当な人を見つけてお願いをするように努力していきたいと存じます。
#55
○勝澤委員 私はなぜこういうことを言っておるかといいますと、行政管理庁が勧告した、一応国会でもこういう論議がなされた、やはりこういうことを皆さんが考えていってもらわないと、いつまでも直らないと思うのです。特に最近青少年の犯罪問題が取り上げられておるわけでありまして、これをどう育成指導していくかということはたいへんむずかしい問題だと思いますけれども、やはりその時代時代層に合った人によい指導者を見つけていくという努力をしていかなければ、いつまでも同じようなまんねんだらりとした方向が出されておる。そこにもやはり問題があるのではないだろうかと思うのです。いろいろ問題があると思いますけれども、この勧告を見てみますと、やはりそれが今日までの法務省を旧態依然たるものにしてきたのではないだろうかという気が実はしてならないわけです。そういう意味で言っておるわけであります。
 次にもう一つ、いつでもここで問題になるのですけれども、作業賞与金の問題です。作業賞与金の問題も何回も問題になって、会計検査院は、作業賞与金という立場から、今度は収入のほうを勧告されたわけです。これはやはり賞与金のほうを言いたかったのでしょうけれども、国会でやったやつをどうも検査報告書に書くのもまずいということで、逆のほうからやられたのではないかという気がするわけですが、作業賞与金の基準の単位の問題につきましても、これはこの前も言いましたように、収入に見合った支出をしたらどうだという極端な例まで言いましたけれども、いま最低で単価が幾らで、最高で単価が幾らになっていますか、まずそこから御説明願いたいと思うのです。
#56
○大沢説明員 昭和四十年度の現行で、最高が四円五銭、最低が四十銭。これは時給でございます。
#57
○勝澤委員 一時間最高が四円五銭、それから最低が一時間働いて四十銭、ごれも時代離れをしていることだと思うのです。こういう時代離れをしていることが、実は法務省の中にはたくさんあるわけです。たくさんあった結果がこの勧告に出され、あるいは新聞でも「今日の問題」という点で指摘されておるわけです。結局、勧告の中でもいわれておりますが、作業賞与金は、「在監者が勤労の尊さを知り、生産に寄与してきたという自覚と収入の喜びを与え、勤労意欲を刺激するとともに、釈放後における当座の生活資金として役立つ程度のものでなければならない。」まことに私はもっともなことだと思うのです。一時間四十銭、八時間で三円二十銭ですね。そういう金額では勤労意欲というものはわからないと思うのです。ですから、やはり勤労意欲を刺激する、わかせるということ、それはその作業賞与金の性格はよくわかるが、もう少しお考えいただきたいのです。これは大蔵省の主計官を呼んでおりますから、主計官、これに対する考え方はいかがでしょう。できればこういう単価になっている基準は、一体何をもとにしてこうなっておるかということまで御説明願いたい。
#58
○小口説明員 御指摘の点につきましては、いろいろ問題があると思いますけれども、大体目安といたしましては、受刑者が釈放されて出ましたときに、約一カ月分の生活に充てる費用というようなところを目安にして考えております。法務省のほうでも、そういうふうな考えのようでございます。そんなふうな基準をとりまして、毎年度多少増額もしておりますけれども、基本的な基準としては、その辺のところを考えてやっております。
#59
○勝澤委員 お聞きのように、政務次官、これは基準がないのですよ。それは何が基準になっているかというと、過去の例が基準になっているんです。昭和三十年のときには一番下が一時間十銭だったのですね。それから三十四年になって十五銭、三十七年になって二十五銭、それから三十八年になって三十銭、三十九年になって三十五銭、それから四十年になって四十銭――一時間の、作業の内容はふだん町でやっている仕事とそう変わりないわけです。四十銭。いま言われたように、ここで勧告されておるように、山形刑務所の場合、一人当たり平均五千七百四十七円だ。それは三十九年一月に入って九月に出た人だ。それから青森刑務所の場合は一人当たり六千五百円で一月に入って九月に出た人だ。九カ月ですね。これは考えなければならぬ。それで、これはこの決算委員会で二回もやっている。きょうで三回目です。そのたびに、何とか努力をしましょと言っておった答えが、別に決算委員会で問題になった何にも反映されていないわけです。これについて、片方で、この人たちが作業をしたものに対する収入は、私は、三倍以上になっているわけですから、収入に見合って片方で出せとは言いませんけれども、人並みな待遇を与えなければいかぬということで、何回も言っておるわけですけれども、残念ながら、法務省がやる気がないのか、大蔵省がやる気がないのかよくわからぬ。自分たちが入ってみなければこれはわからぬだろう、こう思うわけでありますけれども、やはりものを言えない人たちにはものを――これは、私がなぜこう言うかといいますと、水上勉さんが、有名な、総理大臣に手紙を出したのですね。この人が飢餓海峡という小説を週刊朝日に連載したわけです。この中で釧路の刑務所を出てきた人が五千円ばかりもらっておった、一年ぐらいおって。外へ出て、一番最初出てきた人は何かというと酒と女だ。そうしたらもうなくなってしまった。そして次の犯罪をやる。これは小説ですよ。それで、私はこれは驚いた。調べてみたら、まさに事実は小説よりも奇なりで、まさに驚いた現象。これできょう三回目に言うわけでありますけれども、入る見込みもないし、入った経験もない人たちばかりがこういう論議をしているわけですけれども、これもここで勧告されておるわけでありますから、まさか四十銭なんという単位はやめて、実情に合ったものの考え方をぜひしていただきたいということを特に要望いたしておきます。これは政務次官、よくお考えいただきたいと思うのです。これは初めから終わりまで、ことしの予算の中でもう一回やってみなさい。どうです。
#60
○堀川委員長 山田委員。
#61
○山田(長)委員 たいへん時間が過ぎましたので、いろいろ伺いたいことがあるのですが、ごく簡潔に伺いたいと思います。
 きょうは大蔵当局が来ておりませんので、いずれ大蔵当局から脱税の問題等につきましては伺うつもりでおりますが、きょう私がひとつ伺いたいのは、刑事局長に伺いたいのです。それは、この間お気の毒にもなくなられた高橋法務大臣もそれから検事正も、この吹原問題につきましては、まだ検察当局が取り調べている最中に、事件は自民党に関係がないと言われ、これは参議院選挙の前に片づくと言われた。まさにこれは国民全体の疑惑の的になっておる問題でありまするので、この機会に、私は法務委員会等でいろいろ伺いたかったのでありますが、法務委員会ではついに会期末になってしまって重要な問題を伺うことができなかった。ここで私が調べてさておる範囲における重要な問題をこの決算委員会でお伺いしまするのは、やはり脱税の問題に関係があることがしばしば新聞に大きく報道されておりますので、決算としても、当然このことにつきましては、いずれ結論を出すのには伺わなければならないと思いますので、このことを伺うつもりでございます。
 そこで簡単に伺いますが、捜査の機密に属しておったと思いますが、かなりそういう問題があったと思いますが、最近では起訴もされておりまするし、起訴理由というものが明らかにならなければならないと思うので、私が調べた範囲における数点について、刑事局長に伺いたいと思います。実は、法務委員会で、三菱銀行の藤井検査部長の長原支店の検査の内容を伺いました。ただいまでは、この検査部長は六月にライオン油脂のほうへ三菱銀行から転出をさしてしまっております。どういう理由で三菱銀行の検査部長という重要な要職にあった人をライオン油脂の会社のほうに転出さしたか私はわかりませんけれども、当局のお調べの範囲におきまして、三菱銀行が長原支店を調査されましたとき、藤井検査部長は三菱銀行の首脳陣に、この内容は一介の三菱の支店長にやれる筋合いのものでないという報告書を出しておるようでありますが、当局でお調べのときに、この藤井検査部長の――当時の検査部長です、いま三菱銀行をやめてしまったのですから。この検査部長の報告書というものが、お調べの範囲において重役陳に報告があったものか、なかったものか。もう起訴されておるから、こういう問題につきましてもお調べになったものと思いますが、一応この機会に伺っておきたいと思います。
#62
○津田政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、これは吹原弘宣並びに森脇将光が共謀の上、三菱銀行長原支店から通知預金証書を騙取したという事件に関連する事項だと思います。ただいま私は、そういうような事実の内容といたしまして、どのような内部関係があったかということは承知いたしておりませんので存じませんが、この事件は、いずれにいたしましても、公判の過程において、それらの内容は、情状あるいは事情の一つとして明らかになるべき事項だと思うのであります。したがいまして、まだ公判の進展に従って明らかにする以外に、検察当局あるいは法務当局において、そのことを明らかにすることは差し控えるのが相当であると思うのでございます。
#63
○山田(長)委員 起訴されておりまする事件であります関係から、刑事局長のおっしゃること、ごもっともと伺いますが、しかしこれはひとしく国民の知りたいところでありまして、この事件の終末というものは、どうもだれも納得してないと私は思うのです。ですから許される範囲において、最大限にひとつお話しを願いたいと思いますので、重ねて伺いますが、起訴された人物の中に、平本という森脇の秘書がおりますが、この森脇の秘書が当時の黒金官房長官のところへたびたび来て、念書の真偽のほどを確かめておるはずでございますが、この点についても公判でなければ言うわけにはいきませんか。
#64
○津田政府委員 ただいまお尋ねのような事実は、私は承知いたしておりませんが、事実の有無につきましては、もちろん地検で捜査をした段階において明らかになっているかとは存じますけれども、その点につきましても、明らかにできるかどうかということにつきましては、捜査当局と打ち合わせた上でないと、何とも申し上げかねます。
#65
○山田(長)委員 もう一点それでは伺っておきますが、築地の吹料亭「花蝶」において、黒金、吹原、宇佐美――現在日銀総裁である宇佐美、この三人が会談をしたという内容についても、同じように公判でなければ言うわけにいきませんか。
#66
○津田政府委員 そのような事実については、私は承知いたしておりませんが、もしそういうような事実があるかどうか、捜査の過程でわかっておるかどうかわかりませんが、わかっておるといたしましても、申し上げるかどうかについては、さらに捜査当局とも打ち合わせたいと思うのであります。
#67
○山田(長)委員 かなり詳細にわたりまして、実は長い歳月かかって、とうとう法務委員会で伺うことができなかったので、この機会にやはり伺っておきたいと思いますることは、吹原の資産勘定の件についてです。これはできれば大蔵当局に伺いたかったのですが、このことについて調べたか調べてないかを、刑事局長に伺っておきたいと思うのです。
 それは、銀座吹原ビルの土地というのは大体三億四千万円、建物を四億二千万円で見ておる。それから深川千石の敷地五千坪、五億の査定がされておる。五反田ボーリング場の建物は十二億三千万円に査定がなされておる。土地が五億であります。機械設備が二億、合計で十九億三千万円、和歌山県の大塔山の森林、これが二億五千万円、群馬県の水上の土地約二億、それから港区赤坂田町三百坪、これが一億四千万円、吹原の宅地時価九千万円、それからこれは寄付されたのでありまするが、清明学園に一億五千三百二十七万円、それから釧路の郊外の団地十二億、いままでの合計は五十二億一千三百二十万円、この程度になっております。さらに株式投資の中に北海林産、吹原冷蔵、吹原産業、東洋防腐、それから大曜、これは会社の名前、字が乱雑に書いてありますのでわかりませんが、大曜何とかいう会社であります。それから宝石、貴金属、骨とう品、こういうものが吹原の財産というもの――吹原が無一物になったかのごとく新聞等で報道されておりますが、これからについての財産はどういうふうな処理がなされておるか。それから負債の状況について私が調べた範囲では、大和銀行から二十億、平本関係が三和銀行を含めて十六億、長谷川工務店に未払いが四億、それから機械、日本ブランズウィック二億、赤坂田町の残金が七千万円、そのほかに森脇関係というものが吹原の負債になっておるわけであります。私はなぜこのことをここで刑事局長に申し上げたかといいますと、これは国民がひとしく疑惑を持っておって、財産がいかにも無一物になっておるかのごとき状態の報道がなされておって、それでこの結論がまだ、出たような形になっておるけれども、実際には出ていないような印象で、おそらくまだ吹原も森脇も逮捕されたままになっているのではないかと思うのです。この事件はざっと調べただけで、こういう事態になっておって、全く政界筋に関係のない実情に、現在のところでは新聞テレビ等の放送においてはなされておりますけれども、さらに問題なのは、念書の問題であります。念書が何枚出ておるかという問題につきましては、実にまちまちな報道がなされております。それは検察当局で発表しないからかもしれません。しかし、それが、聞くところによりますと、去年の五月以来十一月までの間に七枚の念書が出ていて、その念書は、念書を出すたびごとに平本という人が黒金のところへ確めに行っているという話であります。これらの問題につきまして、いまここで刑事局長から、いまの吹原の財産の、私が調べた範囲における実情というものが、資産勘定を明確にしてもらえるとは思いません。しかし、これに関連してくるのは、やはり税金の問題になってくるわけでございますから、これらのことが明確に調べられているということは、私は当局を信じています。しかしながら、脱税問題で三十八億の脱税があったとか、あるいはまたそのほかの三十億の疑惑があったとかいうふうなことが、新聞に出たものを調べただけで、実はこんなにも厚い資料があるわけですけれども、こんなに東京の大新聞が扱っているのですからね。このことが、明確に結論が出ない限りにおいては、調査中に時の高橋法務大臣が、参議院選挙前のことですが、これは自民党に関係がないと言ったり、あるいはまた参議院選挙の前にこれは片づくと言ったりされたけれども、この余韻は、いまだに調査しているわれわれの中に消えやらぬのは、二月の十一日の夜から朝にかけてなくなられた元池田総理の秘書であった中林氏の死因であります。これはいろいろ目黒署で調べました。最近調べたところが、この二月の十一日には、三十メートルの水のタンクの上には、素手で――いま真夏で、そんなことを言ってもぴんときませんけれども、素手で三十メートルの水のタンクの上になど、手がかじかんでしまって上がれるもんじゃない。しかも飛びおりたとすれば、その飛びおりた距適というものは、あれだけのところへは運動選手だって飛びおりられる筋合いのものではないということが言われておるわけです。それで、その水タンクの下の小屋のところには中林のくつが並べて置いてあり、オーバーがたたんで置いてあった。いかにも自殺のごとき様相を呈しておりますけれども、これもやはり自殺と見せかけたとしか考えられないという節があるわけです。大体目黒署の調べによりますと、その上に上がっていった、指紋は調べなかったというのですから、これは上がっていないのです。まずこれが一つ。
 それからもう一つは、当決算委員会で亡くなられる三日前に倉地君を調べました。倉地君をここへ証人に呼んで、この委員会に――ちょうどいま局長がおられる位置にいました。それでこの決算委員会で、九頭竜のダムの問題について、鹿島の二十五億何千万という一番高いところへ落札された問題について、隣に藤井電源開発の総裁がいて、そこで二人でにらめっこしながらこの、決算委員会の質問に彼は答えておったわけでありますが、その決算委員会の証人台に立たしてその後三日目に、彼は子供に千枚通しで刺されたということになっているけれども、あの刺される六時間前に、私の部屋にいました。はっきり申し上げますが、私の部屋へ来まして、彼は、吹原問題につきましても話をいたしました。だけれども、いま創価学会の撲滅演説会を――三月のそのときのことですけれども、三月の二十七日に日比谷の公会堂で開いたあとなので、この問題の結論がついてから、そのあとのことになりますが、ひとつあなたも吹原問題について一生懸命調べてみてくれ、そういう話をして帰られて、なお歌舞伎の前の印刷所に原稿を回してあるというようなことまで言った。私のところにたまたまお客がおりましたので、いまは、話が長くなるからこの話は避けよう、いずれまた調べるということで帰って、その晩のできごとです。これらのことを総合してみますと、吹原事件というものの結論は、ただ単に当局のいわれておりますように――参議院選挙の前に片づくといわれてみたり、あるいはまた自民党にはこれは全然関係ないのだといわれたけれども、どうも私には納得ができないわけです。そこで、差しつかえない範囲でひとつ刑事局長から、いま私がここで申し上げたようなことについて、御存じの、そして捜査上における支障を来たさない範囲のことを、おわかりになりましたならば、お話し願いたいと思います。
#68
○津田政府委員 まずお尋ねの吹原の財産関係のことでございますが、この吹原弘宣本人あるいは関係会社というものは、もちろん御指摘のようにあるわけであります。そこでこの全資産についての調査をしたかどうかという問題は、これは本件は御承知のとおり、三菱銀行の告訴から起こった問題でありまして、それぞれ次々に犯罪の端緒を得たものについて捜査をし、起訴をしてまいっておるというのが今日の実情であります。したがいまして、その範囲において、必要な限度において、吹原関係会社の資産内容等は取り調べたと思いますが、どの範囲において具体的に調べたかということは、私は承知いたしておりません。ただ、前国会でも申し上げましたように、吹原をめぐる金銭の出入りそのものについては、これはいろいろな疑惑を持たれておるわけでありますので、捜査の過程におきましては、できる限りこれを明らかにしたいということを申し上げたわけでありますし、その捜査の過程と申しますのは、ただいままだ四件ばかり関係事件の捜査中でありますので、その四件の事件が捜査完了いたしました際は、おのずから全貌が明らかになってくるものというふうに考えております。したがいまして、その吹原をめぐる金銭の出入りに関する限りにおきましては、その際に、可能なる限りにおいて明らかにすることができると思うのであります。
 それから黒金念書の問題につきましては、すでに新聞等で御承知かと存じますが、吹原及び森脇の共謀にかかるものでありまして、その偽造の文書数は九通になっています。その九通につきましては、個々にいずれも起訴をされております。大体吹原関係では、そういうような点がいま申し上げられるわけでありますが、これに関連いたしまして、もちろん森脇関係の巨題の脱税事件というものも出てまいりました。そういうような一連の関係と、ただいま申し上げました告訴にかかっておるまだ四件の事件が、検察庁において捜査中でありますので、その捜査がいつ完了するかということは、いまはっきり申し上げることはできませんけれども、吹原も森脇も勾留中のことでございますので、できるだけ早く捜査を完了せしめるものと思いますので、遠からず捜査は完了すると思います。その時期におきまして、可能なる限りにおきまして、ただいま申し上げました関係事項を、何らかの形において明らかにできるというふうに考えております。
#69
○山田(長)委員 三菱銀行が預金通知証書をめぐって告訴したという事実は、多分三月ごろだったと思うのですが、一体昨年の五月に出したと思われる預金通知証書を持ち回ったところに問題が次々起こるんで、どうして三菱銀行が昨年の五月に預金通知証書を出した当時に、それを新聞なりあるいはそのほかの金融方面への通知なりを出して、これが間違いの預金通知証書であったということの告示をしなかったものであるかということですね。この点は検察当局はどんなふうに見ておられますか。
#70
○津田政府委員 ただいまの点でございますが、これはどういう捜査をいたしたか、私は承知いたしておりません。しかしながら、この預金証書の事後の扱いにつきまして、銀行がどのような態度をとるかということは、もちろん本件に間接には関係のある事項として取り調べの対象になるかとも思うのでありますけれども、しかしながら、これは主として三菱側の被害の保全といいますか、そういうような意味合いから出てくる問題が中心でありますので、必ずしも捜査の焦点がそこにしぼられているというふうにはなっていないのではないか、というふうに私は思うのであります。
#71
○山田(長)委員 不明確な点だけを一応伺って、私は私なりに調査をしておりますので、これで質問は終わりますが、念書の印鑑というものは――文書は本人が書いたものでないにしても、念書の印鑑だけは本人の実印であるといわれておりますが、そのつど日付の変わっておる世田谷区役所の印鑑証明書が出ておるといわれておりますけれども、これらについて、刑事局長お知りでありましたならば、念書は偽造だといわれておるけれども、念書の判だけは本ものであったかどうかについてお聞かせいただきたい。
#72
○津田政府委員 念書についてはいろいろな形態がございます。黒金氏本人の印鑑を、他の目的によって預かったものをあらかじめ白紙に押捺しておいて使ったというもの、あるいは預かっておる期間中に使ったというもの、あるいは全く黒金氏と関係のない印鑑を使った――もっとも「黒金」と刻してあることは事実でありますが、というようないろいろな形態があるようでございますが、詳しい内容につきましては、公判前でございますので、ちょっと申し上げかねるのでございます。
#73
○山田(長)委員 捜査当局が秘密を守っておるということについては、法務委員会で、私がたびたび質問を申し上げておるときにも、かなり秘密を守っておられたようでありますから、いま公判前のことですし、慎重を期しておるのはわかりますけれども、しかしその判が区役所の印鑑証明がついていたということだけは事実でしょう。
#74
○津田政府委員 ただいま起訴になっている内容の事実に、印鑑証明書の判が冒用されたものであるかどうかという点は、起訴の内容については出ておりません。主として念書とか証とか誓約書とかいうような書面に使用した印鑑について、いま起訴されておるわけでございます。その点は私は承知いたしておりません。
#75
○山田(長)委員 重要な印鑑の問題について伺うことができないのですが、もう一つ伺っておきたいと思いますことは、森脇が隠匿しておったと目されたもの、あるいは他人名義の預金のあった通帳等が全部押えられているそうでありますが、これは法律的に見た場合、他人名義で預金がしてあったという問題については、なかなか見解のむずかしいものだ、これは刑事局長に伺うつもりじゃなかったのです。脱税の問題として大蔵当局から伺おうと思ったのですが、そうしますと刑事上から考えて、他人名義で預金がされていたものについて、これは国税庁で押えたというけれども、どういう場合にこの見解が明確になりますか。これもやはり捜査上の秘密としてはっきり言えませんか。
#76
○津田政府委員 これは本件の具体的事実としてどうであるかということは、私は承知いたしておりませんが、いずれにいたしましても、他人名義と申しましても、それは大体においては仮名であるということになる。仮の名前であって、そういう実在人物をさして、その実在人物の預金としてやったものではなくて、預金のほんとうの権利者は自分であるのにかかわらず、名義は森脇なら森脇という名義を使わない、こういう事態であると思うのであります。したがいまして、その点は証拠によりまして、何々名義となっておるがこれは森脇が預金した、ということが明らかになり、真の権利者が森脇であるということが明らかになれば、その預金は当然森脇の預金、こういうことになるわけであります。今回の株式会社森脇文庫をめぐる法人税違反事件の巨額な脱税につきましては、もちろんその脱税の結果蓄積されておる預金というものが当然問題になるわけでありますが、その預金は全部かどうかわかりませんが、そういうふうな仮名を使われておるということも考えられる。その仮名につきましては、本人が真の権利者であるということを証拠上明らかにできておるという前提のもとに、法人税の脱税の起訴がなされているというふうに私どもは考えております。
#77
○勝澤委員 関連して、森脇の関係で、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反があるわけでありますが、この概況について御説明願いたいと思います。
#78
○津田政府委員 株式会社森脇文庫は、金銭の貸し付けを営業目的とする株式会会社でありまして、森脇将光はその代表取締役として、その業務一般を統轄しておるわけであります。そこで、その会社の業務に関しまして、昭和三十七年の十一月一日から昭和三十八年の十月十五日までの間、ほぼ一年間でありますが、前後二百三十回にわたりまして、大橋富重なる人に対しまして、合計四百八億七千六百四十六万四千円を貸し付けたわけであります。その際に、百円につき一日三十銭の割合による利息までは刑罰の対象にならないのであります。それで計算いたしますと、その利息合計は十八億九千八十四万二千百二十四円になるわけでありますが、それを二十六億二千四百四十五万七千四百七十六円超過いたしました、合計四十五億一千五百二十九万九千六百円の利息の契約をした、これが出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律違反になるわけであります。
#79
○勝澤委員 そうすると、これは一日幾らの割合になるのですか。
#80
○津田政府委員 これはちょっと計算しておりませんし、個々の場合に違っておるんじゃないかと思います。あるいは平均が出せるかと思いますけれども、ちょっと手元に資料がございません。
#81
○勝澤委員 これはどういう形でこういう違反が出てきたのですか。その経過……。
#82
○津田政府委員 これは先ほど来申し上げましたいわゆる吹原事件、最初の三菱銀行関係の事件につきましては、森脇将光が共謀であるということか後に明らかにされました。その際に、森脇関係の帳簿、書類等は当然押収されておる、その押収されました結果と本人の供述と相待って、かような事実が認定されてきたと思うのでありますけれども、その詳しい内容については承知いたしておりません。
#83
○勝澤委員 そこで、一年間に約二百三十回にわたるけれども、四百八億七千六百四十六万四百円というものを貸せる力が森脇にあった。そしてそれを相当高い高利でも借りる力が大橋さんというのにあった。こんな高い金を借りても大橋さんには返せる力があったというふうに見るわけですね。そうすると、森脇さんというのは、この元金を一体どういうところから出してきたのか、大橋さんというものは、これをどういうことをやってこんなに高い金利でやられたのかという点は、どうなんですか。
#84
○津田政府委員 この森脇文庫の側におきまして、かような貸し付けの元本、これはもちろん累計でありますので、四百八億というものがそのままあるわけではありませんが、それにいたしましても、一回ずつにいたしましても相当の額でありますが、そのものがあったということにつきましては、それはどういういう原因でさような資金があったかということになるわけでありますが、これは具体的にその資金がどこから出たか知りませんけれども、やはり営業形態としてかようなことをやっており、しかもその間三十数億の脱税も三年間にあるわけでありますが、そういう意味におきまして、こういうものは簿外に蓄積された資金ではなかろうかというふうに一応推測されるわけです。
 それから、なお、大橋富重なる者がいかなる事業を営んでおるかということについて、ただいま私は承知いたしておりません。あるいはある程度捜査の結果わかっておるかもしれませんが、その点につきましては、調査いたしました上、差しつかえなければ、申し上げることはできるかと存じます。
#85
○勝澤委員 それでは、次の機会に、私はまた聞くことにいたします。
#86
○田中(彰)委員 関連して、刑事局長にちょっとお尋ねしておきますが、この前の二重証紙の選挙違反があったときに、背番号何号かの者が刑務所に入ったわけですね。あれが刑務所で死んでいますね。あれをひとつ、死んだ日、死んだ原因――あれはやはり刑務所の中で他殺されたという評判が非常にあって、彼の父親が浅草の坊さんか何かで、ほんとうの籍では父親になっておらぬけれども、それに、刑務所の教戒師が、あれは殺されたのだとしゃべったので、問題を起したのを、金か何かで示談にしたらしいのですが、それもひとつ調べて、こっちへ知らしてくれませんか。私がどうしてそういうことをお聞きするかというと、このごろ町の中のうわさですね。それからつまらないところに来る投書なんか――こういうのは問題にしませんが、森脇と吹原は刑務所の中で必ず殺されるのだ、あれを出したのでは、将来なかなか事がめんどうになるから、あれ殺すのだ、そういう評判が非常に散らばっておるのですね。われわれもそういうことを聞くと、やはりあまりいい気持ちはしないものですから、そのいまの背番号の死んだ原因、日、何の病気で死んだ、かそれを知らしてもらいたい。それから森脇、吹原に対してはそういうことはないでしょうけれども、刑事局長もここへ出られておるのですから、まさか刑務所の中で殺すようなことはないでしょうね。これをひとつお導ねしておきたい。責任を持ってお答えを願いたいと思う。
#87
○津田政府委員 先ほどの背番号事件というのは、肥後亨のことだろうと思いますが、これにつきましては、調査をいたしてございます。ただいま資料は持っておりません。次の機会に御説明できると思います。
 なお、森脇、吹原につきましては、現在勾留中でありますが、これはもちろん証拠隠滅のおそれがあるから勾留いたしておるのでありまして、先ほど申し上げました四件の告訴にかかる事件が終了すれば、当然これは保釈になるものいうふうに私どもは考えております。勾留の継続の必要があるということは裁判所が認定しておることでございまして、検察側にとっては、もちろん証挙隠滅のおそれがあるという意味において、勾留の必要があるということを主張しておるわけでございます。ただ単にそういう理由によって勾留されておるわけでありまして、特段に他に目的がある、あるいは他の事情で勾留をしておるということはありません。もちろんこれは、裁判所がその身柄について十分判断をしておるわけであります。さようなことは一切ありません。
#88
○田中(彰)委員 いまの局長の説明でわかりましたが、しかし裁判所が勾留しておるけれども、やはり検察庁が起訴したから勾留しておるのであって、身柄については、勾留が長かろうが短かろうが、調べられればしかたがないのです。しかし社会では殺して出すだろうということをいっておるのだが、そういうことは絶対ない、あの中でそういう命に間違いのあることはないということを、刑事局長保証されますか、どうですか。
#89
○津田政府委員 勾留をしておる所管は拘置所でありますし、これは矯正局、同じ法務省の管下であります。もちろん勾留者につきましては、その身体の状況、主として健康状況につきましては終始監視をいたしております。のみならず、また自殺等のおそれにつきましても、これは十分警戒をしておるところでございまして、さようなことは一切ありません。また現在におきまして、法務省管下におきまして、拘置所の中へ人が入っていって人を殺すということはおよそ考えられないことでありますし、役所自体がさようなことをすることは絶対ないということは当然のことでありますので、本人の健康状態と自殺等の事故のないように努力をすることは、もう申すまでもなく、すべての留置人について行なっております。特にいろいろ問題があるとされる者については、特別な配慮をいたしておるはずでありますので、その点は全く御懸念はないと思います。
#90
○田中(彰)委員 いま肥後亨君という名前が出たので、私もあれしたのですが、こういうものは世間のうわさであったり風評のようなものであって、私もこれを信じたくありませんけれども、一応彼が死んだ原因は、われわれの耳に入っておるのは、非常に血圧が高くてぐあいがわるいというので、じゃ病院へ連れていってやろうというので、たんかに乗せるのを、乗せないで、頭と足をもって、コンクリートの上からどしんと落した、そこでのびてしまった。ところが肥後亨君の父親というのは、先ほど申し上げたように、戸籍上父親にはなっておらないけれども、浅草の坊さんだ。坊さんが彼女か何かに生ませた子供らしいのですね。それで坊さんをやっておるものだから、刑務所の教戒師とは相当な仲であった。それだから、実は死んだ原因を知らした。そこで、その父親が死骸を見せろというので見に行ったら、これはやったなといってあれしたら、とにかくというのでいろいろ話し合って、示談でこれを済まして、やみに葬ったというようなことを聞きますと、
  〔委員長退席、押谷委員長代理着席〕
まんざらうそでもないような、またあるいは黙秘権を行使しておった、あれがそのまましゃべれば事件がどこまで広がったかということは、これは刑事局長もやはり御商売柄お察しになるところだと思う。そうしますと、そういう話もどうも火のないところに煙は立たぬというようなことで、ちょっとおかしい。それからさっき山田長司君がお尋ねした池田さんの秘書の死は、奥さんも周囲のものも医者も友だちも、死ぬ原因なんか絶対ない、自害する原因がない、自害するならあんなところまでわざわざ歩いていかなくたって、自分のおるアパ−トの上から飛びおりたっていい、何のためにあんなに寒いのに、そんなところまで歩いていって、水のタンクの上に上がって死ななければならないか、おかしいじゃないかということで、これは週刊誌にも書かれておったし、いろいろなうわさが飛んでいる。いま日本人が信じるのは、正しい検察庁の調べとか、公正な裁判所とか、そういうものを国民が信ずるだけであって、ほんとうに信ずるところがない。その信じておるところに、そういううわさが出てくる。私はおかしいと思うのです。たとえば森脇なんかを逮捕されることについても、やはりあの念書を偽造したかしないか、それから定期預金が本物であったかないか、ということにおいて逮捕されたのか、そのほうは森脇がしゃべらないらしい。そこで脱税だということになりますと――昔の憲兵隊の盛んな時分に、人を逮捕するときには、その目的でもって逮捕できないから、つまらないものを持っていって逮捕して、それで長くとめておいて白状させて、共産主義の人なんかもずいぶん殺されたり、いろいろ刑務所で迷惑した人が事実上たくさんおる。現在のこの民主主義の国家においては、森脇が悪いならば、少なくとも三菱銀行が定期預金のにせものを見せられたときに、すぐに告発しなければならない。そうして森脇を逮捕していなければならない。あるいは黒金君にしても、自分の念書を偽造されて迷惑しているなら、すぐに告発しなければいかぬ。それをやらぬでおいて、そうして検察庁のほうであげられて、今度その調べのほうはあまりはっきりりしたかしないかわからないで、脱税のほうへいった。私は脱税のことをよく知りませんけれども、一応脱税なんというものは国税庁で調べて、国税庁が脱税ありとして告発して、検察庁がお取り調べになるということが十のうち八まで、直接検察庁が脱税の人間を、お前は脱税しているじゃないかといってつかまえられて処分された例は、いままであまりない。この事件の取り調べの経路からいってもおかしい。それで森脇が出てきたら、断固としておれはやる――やられては困るから、森脇をひとつ殺すんじゃないかというようなことで評判になりまして、たまに刑事局長なんかも銀座あたりに行かれて――御商売柄そこらをあまり飲んでも歩けないでしょうけれども、行かれると、そういう評判を非常に聞かされる。こういうことで、われわれも国会議員の端くれだものだから、あなた方ついていて、こういう調べ方はおかしいじゃないか、検察庁のやり方はおかしいぞ、ということを聞くと、あまりいい感じはしないものですからお尋ねするのですが、きょうのぼくは証拠を持っておるわけでも何でもないですけれども、順序をたどっていくと、肥後亨がもし死なないで、黙秘権を行使しないで、事実をしゃべったら、事件がどこへ行ったかということは刑事局長はお知りになる。森脇もそのとおりです。少なくとも二十億の通知預金証書を偽造したとなれば、三菱銀行がすぐにこれを告発して、そしてこれをこれをやらなくちゃならない。あるいは黒金君も国会議員ですから少なくとも自分の名前でもってそんな念書なんか書かれたりしておったら、これはすぐに告発して、これをやらなければいかぬ。だれも告発しない。手形取られたものも告発しない。事件が自然に出てきて、そして初めは吹原を調べたら、森脇が関係があるというのでやられた。ところが事件の本心がはずれて、脱税のほうだけ大きくなってしまって、脱税だからもちろんおやりにならなければいかぬし、後に国税庁も呼んでやりましょうけれども、そのほうにやっちゃって、事件の本心が、吹原は、森脇だ、あるいは黒金氏は、おれのものを偽造したのだ、と言ってはおるけれども、森脇は白状しておらない。だから脱税のほうでやって、まだまだそこにそういうものがある。ちょっとどうも私はおかしいと思うのです。
 それから、もし判を預けて、おまえを信頼して判を預けたといった場合、白紙委任状を渡した場合、何をされたって、信じて判をまかしたんだから、これをそんな目的があったとかないとかということは、預けた後に自分が被害を受けたり何かすれば言うことであって、預けた以上は、ある程度私はしかたがないのじゃないかと思う。告発しないでいたのですから、自分の念書を使われたことは知っておるのですから。
 それからもう一つ、少なくとも検察庁の調べなんかを私見ていておかしいのは、吹原と黒金とはあまり関係ないというんだが、あの地下でバーをしているのは黒金君の二号ですよ。子供も二人ありますよ。そういうものを一体お調べになっておるのですか、おらないのですか。また黒金さんの秘書が、市村のところに行って、手形割ってやるが、こうだと言っておるが、その秘書もあがっておらない。どうもこの調べがちょっとおかしいのです。また大橋氏だってそうなんだ。森脇の脱税というもののおとりにお使いになったのだから、これはいいとしても、大橋を現実にお調べになればたいへんなことになりますよ。これは御存じでしょう。京成電車とどうなっているのか。手形二十八億黙って持ってきて使っておる。その他あらゆることしていますよ。何十億という献金もしていますよ。いま勝澤さんが言われた、その金をどこで使ったのかということは、森脇の脱税をやるおとりに使われたということは、脱税をやることは悪いことだから、いいことですよ。だけれども大橋の調べは全然核心に触れておらない。彼は何をやって何して食っているのですか。京成電車の株があんなに下がったのは一体何でしょうか。川崎氏がどんなに迷惑しているでしょうか。刑事局長、核心がそこへ――今度は森脇を殺すとか、吹原はどっちにしてもたいしたことはないが、あの森脇を殺さぬといかぬから、きっと見ろ、森脇は殺されて出てくるぞというようなことを言われると、やはりわれわれは公正な立場から、いやなことだけれども、刑事局長にお聞きしなければならぬ。これは肥後亨のことでも、池田さんの秘書のことでも、そうたいしたことはございません。
 それから、かりに刑事局長自体でもそうでしょう、私自体でもそうです。半年も三カ月も、実印を人に預けてなんか第一おけるもんじゃございません。それは自分の社員とか自分の重役には三日や四日は預けるけれども、少なくとも法律をつくり、法律を改正する国会議員の実印ですよ。それを預けて、おまえにまかしておくということなら、私はこれは何に使われたってしかたがないと思う。けれども使われたために被害を自分がこうむった、自分にたいへんなことが起きた。だから、それはおれはこういう目的で預けたんだけれども、使えとは言ったんじゃないのだ、こういうことはだれも万人の言うことなんです。
 それから、たとえば黒金さんをお調べになれば、地下のバーというのは、あれは幾らで借りているのか、ほんとうのことを調べてみれば、これは税金関係でわかる。幾ら家賃を払って幾らもうけている。それからもう一つ、あの歌を歌う何とかいう女の人が問題を起こした、あのうちも、あそこはもとは黒金さんが住んでおった。それを吹原が買ってその女にやった。吹原は今度別のところを買った。これはどこから出して買ったのか、この税金はどうやっているのか、こういうものも公正にお調べになれば、もう少しいろいろのものが出てくるはずです。どうも今度のお調べが、脱税とかなんとかで、国民が非常にあれしておるときにぱっと出た。よくありませんよ、あんな何十億脱税するやつはよくない。しかしこれだってあなたのほうでお調べになれば、日本橋にはちゃんとそれを監督する税務署がある。国税庁の係がある。何十億の脱税を赤字でもって認めておったということは何かあります。税務署や国税庁と連絡してやっておったか、何かなければできないじゃありませんか。われわれでも税金を滞納して押えられたりいじめられたりして、ずいぶんいろいろな書類を出しています。こういう点を少しお洗いになると、もっと話が違うんじゃないですか。
 それから、黒金さんの秘書がどんどんそこらへ手形を借りるときに行っているのです。吹原なんかを藤山さんが信用したのも、やはりそこから官房長官の部屋に電話をかけたり、そこに黒金さんが飛び出てきたり、いろいろなことをやっているから、そこで信用して貸すんです。だれが、吹原がいって、自分の手形を何億も出したり、自分の住んでいるうちの権利書をやったり、そんなことをやるでしょうか。私は、この点にもう少しやはり検察当局というのは政治家も何の権力もおそれずに、国民が見てもなるほどというようなお調べをやらぬと、森脇なんか出てきて何を言うか知らぬ、それをきっかけに日本の国民が絶対に信じておる検察当局に非常な疑惑の目を向けられる、こうなれば日本の国家はおしまいですわ。この点、刑事局長、一体どういうぐあいにお考えになっておりますか。
#91
○津田政府委員 ただいまのお話についてでありますが、この吹原事件の端緒は、三菱銀行が告訴をしたということから起こっております。それまでは、ほかの事実はもちろん検察庁にはわかっていない、少なくとも捜査の端緒として取り上げるべき程度にはわかっていないということであったと思うのです。その後、吹原を取り調べ、森脇と共謀である、つまり三菱銀行から預金証書を詐取した事件は森脇と共謀であるということがわかった。そこで森脇の身柄を逮捕するとともに押収捜索をした。そのことからまたさらにいろいろな事件が出て、そのうちの一つとして出てきたのが、先ほど申し上げました脱税事件、あるいは高金利取締法関係事件、こういうふうになっているのです。およそ捜査は、捜査の端緒を得ましてからいくわけでありまして、世にうわさがあるとか疑いがあるとかいうことをいわれているすべての事件を捜査することはできませんし、またそういう段階においては、捜査権を発動することは適法であるとは言えない。したがいまして、告訴、告発のありました事件はもちろんでありますけれども、検察庁が独自に認知いたしまして出発いたしますまでには、それ相当の根拠を必要とするわけであります。捜査はもちろん任意捜査でもできますけれども、強制捜査に移る場合は、やはり令状をとるということが必要であるということは、裁判官を納得せしめるだけの容疑を必要とするということになります。そこでそういう容疑が見つかったものから、逐次強制捜査を行なって、今日のように多数の事件をいま起訴いたしておるわけであります。森脇の関係の事件もそういう経過をたどって起訴に至っておる。現在、先ほど申し上げましたように、藤山氏の告訴にかかる事件等四件の事件がまだ捜査が完了いたしておりませんので、それを捜査しておるわけであります。
 そこで、およそ世にいろいろなうわさとか疑惑とかを生んでおります。そのうわさに全然耳を傾けないという検察当局ではもちろんございませんけれども、しかしながらすべてのうわさについて一々解明をするということ自体は、これはやはり適当でない。およそうわさによって解明をするとなれば、ある程度の取り調べを行なわなくてはなりません。それは検察官の手数がかかるという問題以外に、関係者に相当の迷惑がかかる。その意味におきまして、やはり捜査の端緒として取り上げ得るものについてのみ行なう。でありますからあらゆるうわさについては、全然これを関知しないというわけではありませんけれども、うわさのすべてを取り上げ、あるいはうわさによって惑わされるということは、われわれは非常に警戒している。そこでただいまお話しのいろいろなうわさ、たとえば森脇の身辺に関するうわさというようなものも、私どもは絶対に、それは単なるうわさなりあるいはためにする者の流布するところであるというふうに考えておる。私どもは、私どものと申しますか、法務当局あるいは検察当局の信ずるところに従って公正に、しかも裁判所の看視のもとにおいて森脇の身柄を確保し、これによって取り調べを進ませておるわけでありますから、私どもとしては、そういう点については何ら内心に恥じるものがないことはもちろんの話、公正、正々堂々と行なっておるわけであります。その点は、当国会におきまして、十分御理解をいただかないと、そういう疑惑があるいはあるんではないかというようなことで、常にそういうことが世に流布されることは、私どもとしては非常に迷惑だと思うのであります。
#92
○田中(彰)委員 局長の話はよくわかるのですよ。ただうわさでなくて、黒金君の彼女があの吹原ビルの下に営業していることは事実です。子供があることも事実です。それからいまの、名前は忘れましたが、何とかいう歌うたいの入っているところは、もと黒金君の家であることは事実です。それを吹原が買ったことは事実です。今度は黒金君のいまの家ですね。黒金君が行ったときに、吹原がこれを世話したりしたことも事実です。これはうわさではございません。事実です。それから印鑑を預けたことも事実です。黒金君の秘書が飛んで歩いたことも事実です。この事実だけは――いまの森脇を――それはうわさだから初めからうわさだ。この事実をもう少しお調べになれば、おのずとこの関係がもっとはっきりわかると思う。事実です。私は友人をずいぶんだくさん持っておっても、あんな大きなビルの下をあんな条件で貸しませんよ。みんな行くときに打ち合わせをしていって、初めから――借りた条件をごらんなさい。それから歌うたいにやった家は黒金君の住んでいた家だ。今度買った家も彼が世話した。これは事実でしょう。大事な印鑑を預けたことも事実ですよ。秘書が黒金君の名刺を使ったのか、何か飛んで歩いたことも事実です。事実ならこれは逮捕されなければならぬ。刑事局長、これはうわさじゃないのです。
 それからもう一つ。三菱の告訴事件をいまおっしゃいました。これは告訴したのはそういうことがあってしばらくたって、立場上、いろいろと国会で騒ぐようになったから、告訴したのであって、何カ月も告訴しないで、二十億の偽造のあれを持ちながら、おどされながら黙っておったというのだから、これは問題じゃないですか。
 それからもう一つ。これは局長お考えにならぬのは、相手が三菱銀行であると、聞くところによると日本全国の検事さんが毎月、何かの会があって、千円とか五百円とか積むんだそうですな。そういう金、検事局の金が全部三菱銀行に集まっている。三菱銀行と検事局とはそういう預金の関係なんかの深い因果関係があるんだ、切れない関係があるもんだ。それだから検事局は三菱銀行のためには相当な無理をするんだろう。しかしそういう取引のあることは事実だ、日本全国の検事の方々が何とかという会をつくって、月に千円なら千円集めて、何か納めるやつは、この金を取り扱っているのは三菱銀行だそうですね。だから検事局は三菱銀行と長い間のいろいろな取引があるから、三菱銀行に対してはどうしても肩を持って、この事件に無理があるんだろうというようなこともある。しかし、これは預金を幾らされたか調べておりませんから、これもいま局長の言われたとおり、うわさとしてけっこうだが、しかし黒金君があそこをあんないい条件で彼女に借りてやった。子供が二人あると称していることも事実、家を買ってやったことも事実、女にくれてやったことも事実、女と黒金君が関係がないとしても、住んでいる家を買うのに、吹原が飛んで行って金を世話したことも事実です。印鑑を預けたことも事実です。秘書が飛んで歩いたことも事実、この事実についてはちょっと調べ方が片寄っているのじゃないのですか。
#93
○津田政府委員 ただいまお話しの、まず黒金氏の居住家屋、また先に居住していた家屋は当然調査の対象になっていると私は思っております。一部は承知いたしております。しかしながら、この問題は、先ほど来申し上げておりますように、いわゆる吹原事件の捜査の過程におきまして、いろいろなことが明らかになってまいりました。これはしかしながら捜査で、そのものとしては必ずしも必要でないことである。つまり捜査と申しますのは公訴を維持し、適正な判決を得るために行なうわけであります。そのためにはあらゆる事項は必要でないものもあるかもしれない。しかしながら捜査の過程において明らかになる事項、ことにすでに前国会以来、当国会においても調査になっております事項に関しましては、検察側としてはできる限りその捜査の範囲内において、内容を明らかにするということにつとめておる次第であります。しかしながら、あらゆる政界の疑惑を、検察庁において明らかにせよということは、これは無理なことである。それは先ほど申し上げましたように、犯罪事件に関係のないこと、あるいは捜査の端緒を得てないことについてその内容を調査することは、検察官としてこれは越権であります。それは厳に戒めなければならぬ。そこで、黒金氏の私行に関することにつきまして、どの程度に捜査の過程において明らかになるかということについては、おのずから限度がある。したがいまして、すべて黒金氏の私行を調査するということはこれはいたさない、またいたすことができないのは当然であると思います。でありますが、当国会におきまして御調査になっている関係がございますので、捜査の過程において、明らかにし得ることはできるだけ明らかにするという態度において、臨んでいるわけでございます。
 それからもう一つ、お話の三菱銀行と検察官との関係ということでございますが、私もはっきりは承知いたしておりませんが、検察官が積み立てをいたしておることは事実でありますが、この積み立て金を三菱銀行に預金しておるということもあるいはあり得ると思います。あるいはあるのではないかというふうに、私は考えております。しかしながら、これは一庶民として三菱銀行に預金するということは当然あり得ることであり、また三菱銀行に対しまして預金をするということは、検察官はお客さんでございます。したがって、三菱銀行に対して何ら特に顧慮しなければならないということは何もない、そういう意味におきまして、三菱銀行と検察官と何らかの関係があるというようなことは、それは全くのためにするうわさかもしれませんと私は思います。もし検察官が、何らかの関係があれば事件ができないということになれば、およそ検察官の生活というものはできなくなります。それは検察官にしても株を持つ者もございましょう。銀行に預金する者もございましょうが、その銀行の事件をやれないという議論をされたのでは、検察官も人間である以上はやむを得ないことだ、というように御了承を願わなければならぬと思います。田中(彰)委員 三菱銀行に預金をしているから、お客さんだから、おたくのことをお客さんというのは――やはり三菱銀行から金を借りるときに、こっちから盆暮れに物を持っていってお願いしますと言うのですけれども、金を預けるときは、向こうから物を持ってきてどうぞよろしくと言う、そういう関係があるからおかしいと言うのではない。そういう関係がある中で、告訴が一年もおくれてやったのだから、こういう事件をお取り扱いになるのは、多少国民はそういうものにも関心を持っておるということをお考えになったほうがいいと思う。
 それからもう一つ、私は何も黒金君の私行をあばいてくれとか、政治家の私行をあばけというのではありません。たとえば判こを預けたという。どれだけ信用して預けた判こであるか、これは黒金と吹原と森脇との関係を示す過程だとすると、やはり吹原と黒金というものは、こんなに親子のような、夫婦よりもっと密接な関係があったのかないのか、これが私はこの事件のかぎだと思います。子供が親の金を使っても犯罪になりません。親が子供のものを売って使っても犯罪になりません。これは、血のつながりもございましょうが、親子という切っても切れない密接な関係があるから、そういうことが行なわれる。だから、吹原君があの一番いい地下のところを黒金君にあえて貸し与えて、これも家賃も安い、権利金もない、そういうように安く貸し与えておる。家賃など納めても納めぬでもいいようなものだ。それから今度は、黒金君の住んだうちでも――これは小屋がけじゃありません。やはり何千万かするうちを、自分が買ってやっている。今度の家を買うのにもやはり努力している。そうして、首より大事な印鑑も預けておるということだから、念書の事実をお調べになったら、この念書は偽造したのか、この預かったものを偽造しておるのか、そのはっきりした証拠は、黒金と吹原との関係がどんなぐあいになっておったかということが私は実体となるものだと思う。それから、三菱銀行。かりにも二十億なんというのは、われわれ死ぬまで見ない金だ。それを偽造されておって、一年間も半年もほうっておいて、そうして交渉を受けてやったり、いろいろなことをしてやったりということは、これはやはりいろいろな関係があって、いろいろな問題があるから、そうされたものである。こういう点は、刑事局長のお考えと私の考えとは非常に違っています。また、大橋富重でもそうなんです。五百何十億という金を一年間に借りているが、この金を何の目的で借りたのか。
 もう一つ私が疑惑に思っているのは、いま脱税事件でやったとおっしゃいましたが、新聞にも出ておりました。吹原が毎年、しかも刑務所に逮捕される前にたくさんの、一つ百万もするくらいの、ダイヤとかいろいろな宝石類、ミンクのコートとか、各デートで買っております。デパートは、初めはちゃんと受け取りを出しておったが、これが新聞に出て問題になると、デパートは売ったんだか買ったんだかわからない。伝票を隠しております。出さない。これも脱税じゃないですか。あんなものは三割も四割ももうかるものだ。そのもうかるものを、吹原に幾らで売ったんだかどうしたんだかということになったら、あいまいにしている。脱税でおやりになるなら、こういうものをつかまえてきておやりになったらいい。そうして、買ったものを一体どこへやったかということをお調べになれば、やはりいろいろな関係のところに行っているのです。この念書は偽造だとか何とかいっても、こういう密接な関係があるのだから、これは偽造じゃないとか、偽造にしても、これは軽いとか重たいとか、こういうことを言ってもしかたがないというものが出てくると思う。私はあまりこの事件にはさわりたくなかったけれども、こういう質問をされてみると、われわれもやはり変に思っていることはあなたに申し上げたほうがいいと思うから、私は申し上げておるので、きょうは、別に書類とか証拠とか持ってきて申し上げているのではないのですけれども、ちょっと取り調べ関係を見ますと、おかしいのですよ。私も憎まれまして、いろいろなところからお調べを受けたことがあります。私はその検事さんの名前を言ってもいい。警視庁の人の名前を言ってもいい。全部でっち上げて、しかもどうです。十年前に別れた女のうちまで行ったり、うちにおった家政婦のうちまで行ったり、そういうことをいろいろやって、最後に、田中彰治をくくる罪というものは何にもないから、私と別れた女房を呼び出して、あんた、まことにすまぬが、ひとつ一週間留置場に入ってくれないか、そして、あんたが留置場で白状したということで、よくっても悪くっても、田中彰治を一回ひっくくってみる。そして女房が、それなら一週間たったら必ず私を出すということを書け。それは書けない。それで大げんかして別れたという事実があります。私は毛布を持って検事総長の部屋にすわり込んで、日本じゅうの新聞記者全部集まれ、検事局はこういうことをやっておるんだといって、おれはやってやろうと思ったけれども、死んだ河野さんが、それをやられたんでは、それから波及してたいへんなことになって、日本の国を暗くしてしまうから、それだけはかんべんしてくれと言われたから、私はやらなかった。だから私は、局長がここで言われるようには、ほんとういうと、検事局を信じていませんよ。それじゃ田中、検事局のぼろを出せといえば、出してもいいですよ。そんなことは、お互いに人間ですから、疑惑を受けるような少しぐらいのことはありますよ。そんなことを言うのじゃない。けれども、この調べ方にちょっとぼくはふかしぎなことがある。元は念書ですから、元は二十億の通知預金だから、これを半年も一年間も訴えないでがたがたしていることはどういうわけか。この念書は、判こを預けた――預けたというのは、預けるまでの信用。こんにちは、ひとつあなたの土地を買ってくる、買ったら登記してくれ、この判を預けた、これを使ったというなら、いままで新聞に出ているとおりだ。そのつながりはそんなものではない。デパートを調べてください。百万、二百万のものじゃありません。何千万というものが買ってあります。それも、初め出そうとしたけれども、ごたごたになったら、それは伝票がないとか、どうしたんだかわからぬといって、しらばくれている。これはデパートの脱税だ。こんなものを調べてみたらいい。こういう点が、どうもちょっとわれわれはふに落ちないものだからお尋ねするのですが、検事局でもそういうことがあったんですよ。そこで、しかたがないから――私は話してもいい。田中が何とかしたという念書を持っていって、高橋英吉君を呼んで、高橋君、君はこの念書を持っていって、警視総監の頭をばんと三つばかりなぐって、そこであぐらがかけるか。かけるなら、ひとつこの念書をやるから、君、行ってこい。さもなければあしたおれがどなり込んでやる。おれがどなり込んでいったら、国じゅうがたいへんな問題になる。ところが、高橋君は念書を見て、なぜ君が出さないのか。――最後まで取っておいて、そこで持っていったら、びっくりして――そのとき総監はおらなかった。おったら問題になった。その念書を出すと、まことに申しわけなかった――私を訴えたやつが恐喝している念書、その社長から手紙が来ている。そこで警視庁の中の人事を相当変えて、それからこれはだめだと思ってあきらめがついた。それも、やはり反田中派の検事がうしろにいて指揮していたことは事実だ。私はこの事件で、検察当局のやっていることでいいなと思うのは、森脇、吹原を調べるときに、いままでの地検の特捜部だけではなくて、あらゆるところから若い検事さんなんかを呼んで、それを手伝わしたから――森脇の事件でも、いままでのように脱税で押え切れない。森脇があれだけの脱税をするには、検察当局につながりがなくて、いろいろな関係がなくてああいうことはできません。ところが、そこいらじゅうの検事を集めたから、隠そうと思っても、下のほうから突き上げられて隠せない。もうこうなればしかたがない、まず脱税に持っていっておけ。この脱税でも、あなたに申し上げておくが、これは取れません。無記名の通知預金は裁判を長くやって、その結果、無記名なんだから、だれかが、おれが森脇に金を預けておるんだ、それがこれなんだ、森脇に月何分に回してもらうことにしておれが預けたものだということになって、取れません。森脇のほうはそれを知っておる。こんなものは取れっこないんだと言っている。そういうつながりがあるんですよ。まだ一人、名前は申しませんが、日本の暴力団の大将で、逮捕されておらぬものがある。これなども、土地を売ったりあらゆることをして脱税している。いまの大橋が持っている土地もその一つ。これは十五億で売った。七億五千万は日通に売って、七億五千万は日綿に売った。これは三倍に売っている。だから、これをうんと税金を取る。こんな税金なんか幾ら取ってもいい。みんなそういうつながりを持ってやっておる。この土建業者が、一体この浪人の大将に幾らとられておりますか。何十億ですよ。けれども、それは上のほうにつながるということを言わないから、ひっかからぬ。ひっかからぬから、これは税金で取るのがあたりまえじゃないですか。われわれでも、税金では全部やられておるんですから、税金で取るのは当然じゃないですか。それを引っ張って、おまえは土建業者から何十億集めた、これを全部どこへやった、いやどこにも政治献金なんかしない、おれのふところに入れた――これは当然脱税だから、調べられるのがあたりまえだ、これは調べられないいろいろな関係があって、調べられない。だから、いつでもこれは放任されておる。検察当局もみんなこういうこととを知っていても言わない。いろいろなことがありますよ。だから、あんまりそう検察当局のほうは、神さまのように間違いないとおっしゃらぬように、悪いことがあったら改革してください。自由民主党でもそうです。悪いことがあれば改革しないと、東京都のあれみたいに、これからやられていく。だからわれわれは憎まれても、こうやれああやれと言っておる。これは事実です。あした刑事局長が行かれて、大橋を呼び出して、おまえの共有で持っておった土地を日本通運に七億五千万円で、日綿実業に七億五千万円で売った。これは幾らで買って、幾らであれした。税金なんて払っていやしない。調べてごらんなさい。脱税なんてそんなものじゃありませんわ。森脇がやられても、まだそのほかに、大いばりで脱税しながら、大政治家のうちへ出入りして、検察庁へ出入りして、いばっているのがいるんですよ。こんなことを刑事局長はお知りになっているのですか。お知りにならないのですか。
#94
○津田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、検察庁は合理的な捜査の端緒を得たものについて捜査をいたしてまいる、これがその基本方針でございます。ただいまいろいろおっしゃられました事実について、検察庁はどの程度の捜査の端緒を得ているか、あるいは得ていないかということは、私は承知いたしておりませんが、少なくとも、捜査の端緒を得たものにつきましては、捜査を開始するたてまえをとっていることはもちろんです。
 そこで、先ほどの脱税になりますが、吹原と黒金念書の関係等につきましてはこれは、吹原、森脇の偽造であるということでありますので、偽造である以上は、もちろん本人は知らないという前提でなければなりません。黒金との関係につきましては、これは証拠によって十分明らかにされなければならぬ問題だと思います。そういうような意味合いにおきまして、現在どの程度の取り調べをいたしておるかは、これは申し上げかねますけれども、しかしながら、ただいま御指摘のような点は、十分取調べをいたしております。
 また、吹原が百貨店等から小判というようなもの、貴金属類を買い取って、これを他に贈与したというようなうわさがあることも事実であります。そういう事実も一部出ております。そういう事実につきましても、これは十分捜査をいたしていく。これは吹原をめぐる金銭の出入り関係の一部として捜査をいたしております。その点は全然不問に付していることはございません。
#95
○押谷委員長代理 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時四十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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