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1947/11/11 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第32号
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1947/11/11 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第32号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第32号
昭和二十二年十一月十一日(火曜日)
    午前十時四十六分開議
 出席委員
   委員長 伊藤卯四郎君
   理事 大矢 省三君 理事 青柳 高一君
  理事 生悦住貞太郎君 理事 今村長太郎君
   理事 澁谷雄太郎君
      今澄  勇君    衞藤  速君
      萬田 五郎君    生越 三郎君
      庄  忠人君    西田 隆男君
      長谷川俊一君    三好 竹勇君
      有田 二郎君    神田  博君
      平島 良一君    深津玉一郎君
      淵上房太郎君    谷口 武雄君
      前田 正男君    高倉 定助君
 出席國務大臣
        商 工 大 臣 水谷長三郎君
 出席政府委員
        商工事務官   渡邊  誠君
        商工事務官   平井富三郎君
 委員外の出席者
        專門調査員   谷崎  明君
        專門調査員   保科 治朗君
    ―――――――――――――
十一月十日
 農林水用石油販賣に關する陳情書(石油販賣業
 者全國大會代表者近藤光正外一名)(第五二五
 號)
 炭鑛國家管理方式に關する陳情書(炭鑛國管勞
 働者大會)(第五七四號)
 硫化鑛山資材勞務資金に關する陳情書(古河鑛
 業株式會社)(第五九三號)
を本委員會に送付された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 臨時石炭鑛業管理法案(内閣提出)(第六四
 號)
    ―――――――――――――
#2
○大矢委員長代理 それではこれより會議を開きます。
 前會に引續き、臨時石炭鑛業管理法案を議題として、質疑を繼續いたします。庄君。
#3
○庄委員 條文につきまして、この前の残りをお伺いしたいと思います。
 前囘第十三條までお聽きしたのでありまするが、その十三條の末項の方に「前項の訴においては、讓渡又は貸渡の當事者を被告とする。」という條項がありますが、「讓渡又は貸渡」の方の側と、それを受けた方の側とは、利益が相反するわけでありますが、一方的に讓渡の方だけを被告とせられる理由を、聽かしていただきたいと思います。
#4
○平井(富)政府委員 この訴は、對價について不服のあるものが、通常裁判所に増減の訴をいたすわけであります。從つて、この對價の裁定をいたしますものが、行政官廳でございますので、その不服につきまして、讓渡の――たとえば當事者と申しますと、讓り渡す方と買い受ける方とになるわけでありますが、もし讓り渡す方が、その裁定では非常に安い、もう少し高くしてくれという場合は、讓り渡しの側から、普通の形で言えば、裁定をしたものを被告として訴をするわけでありますが、通常裁判所に訴えまする關係上、その場合には、讓り受けた者が被告になるという意味を、ここで書いたわけであります。すなわち訴をする方が、すでに原告であり、その相手方は石炭廳長官、ここでたとえば石炭廳が裁定いたしました場合には、石炭廳長官が被告になるのでございますが、通常裁判所の形式上、その際には讓り受けた者が被告になる。逆に讓り受けた者がそんな高い値段では引受けられぬという場合に、その減額を要求いたします場合には、讓り渡し者を被告といたして訴を起すというような、法律上の擬制をとつた次第であります。
#5
○庄委員 この條文だけでは、どうもその邊がはつきりわかりませんが、いずれの場合もありますから、これは値段におきまして不服があつた場合には、石炭廳では、そのものを被告にとつて裁判をやるというような意味があるわけでありますか。
#6
○平井(富)政府委員 これは土地收用法その他におきまして、いわゆる行政官廳が裁定をいたしました場合に、その裁定に對して讓渡價格について不服がある場合には、常に不服ある方が原告になり、その相手方としては、原告に對する讓り渡しの當事者のいずれかが被告になつて訴を起すというふうな、これはひとつの例文的な取扱いであります。
#7
○庄委員 第十四條ですが、これはたびたび質問が出たのでありますが、指定炭鑛の事務が最も大切なことと思うのでありますが、この前の御答辯で、原則としては、大炭鑛から逐次行うというようなお話であつたのでありますが、現在の構想といたされまして、全國でこの對象となるものが何炭鑛あるかというような點がおわかりでありますれば、お知らせいただきたいと思います。
#8
○平井(富)政府委員 この指定につきましては、從前たびたび申し上げましたように、指定の方針につきまして、その法律を策定いたします場合にも、種々の論議がございました。從つてただいま決定しておりますところでは、要するにこの指定は、増産という見地からこれを行う。その基準といたしまして、たとえば一定の生産量をもつておるかどうか。あるいは能率がどうであるか。あるいは生産費の點も關係してまいりましよう。あるいは増産餘力というような點も關係してまいると思います。そういうようなものによつて、どの程度の山を第一囘に指定していくべきか。あるいは具體的にどの山を指定するかということは、これは全國の炭鑛管理委員會で審議をした上で決定をしていくというふうに考えておる次第であります。
#9
○庄委員 十六條、十七條に關連することでありますが、この業務計畫を作成する場合の基準となるべき事項を示すというふうにしてあるのでありますが、これは資金資材を示すというふうな御説明であつたと思うのでありますが、生産量に對する指定とかいうようなものは、示されないのでありますか。その點をお伺いたいします。
#10
○平井(富)政府委員 この基準につきましては、できるだけ具體的に詳細に指示をいたすことが適當かと考えるのです。從いまして、石炭局長といたしまして、この程度の生産は何とかやつてもらいたいというような一種の要請と申しますか、そういうようなものを參考に指示いたすということも考えております。
#11
○庄委員 十八條、十九條の問題ですが、業務計畫ですが、この議を經ることができなかつた場合、これには御答辯では前期の業務計畫を踏襲してやる。その期間がごく短い。大臣は二、三日の間でやる。また平井さんからはきわめて短い期間でやるというような御答辯であつたのでありますが、實際問題として議がまとまらなかつた場合には、やはり現場において意見の不一致があるのでありまして、この次の計畫がはつきりきまるまでは、相當時日を要することと思うのであります。この點御答辯によりましては、はつきり納得がいかないような氣がいたします。もう一度詳しく説明していただきたいと思います。
#12
○平井(富)政府委員 この業務計畫の設定及び日時につきましては、相當議論のある點も起り得ると思います。しかしながら、業務計畫の性格上、どうしても時間的にこれを決定してすべり出さなければいかぬという一つの絶對的の要請があるわけでありますので、この見地から、この決定を早く行つていくというふうな運用が絶對必要でございますので、そういう方針に從つて、この規定を運用してまいりたい。從つて前期の業務計畫を踏襲しなければならぬというのは、やはり過渡的の期間に限定されるというふうに考えております。
#13
○庄委員 これは前期の業務計畫に限られておるのでありまして、實際現場の意見がまとまらないでごたごたしているという場合に、前期の計畫通りということにすると、そこに非常に作業上むだとか無理というものが生ずるおそれがあるように考えられるのであります。これは事業主または炭鑛管理者の計畫を實施した方が實情に即する。いわゆるむだや危險というようなものが少いではないかと思うのであります。前期の計畫といいますると、これは半年ですか三箇月前ですかわかりませんが、大分現場の實情とは離れた計畫であろうと思うのであります。それより、多少議論はありましても、實情に即した計畫を立てておるのでありまするが、それを一時的にでも實行していくという方が、實情に即したやり方ではないかと感じられますが、その點に對する御所見を聽かしていただきたい。
#14
○平井(富)政府委員 この點につきましては、今おつしやいましたような案も、もちろん一つのりつぱな案として考えられますし、あるいはまた逆に生産協議會できめられた案を實施していくということも、一つの案として考えられておるのであります。ただ兩案いずれにいくにいたしましても、通常の生産計畫についてよりは、むしろたとえば擴張工事を新規に始めるとか、從來の工事を中止するとかいうような場合に、計畫が未決定の際に、ただちに中止することも著手することもどうかという點から、とりあえず短期間のものでありますから、前期の計畫を基準にいたしまして、引續き生産を行うということで、現場におきましても、一番矛盾なくいけるのではないかと考えておる次第であります。
#15
○庄委員 この點はいろいろ議論のあることと思うのであります。次に進むことにいたします。第二十條であります。二行目に「命令の定めるところにより、所轄石炭局長に、業務計畫の變更案を提出げることができる。」とあるこの命令の定めるところによるという内容の御説明をお願いします。
#16
○平井(富)政府委員 この「命令の定めるところにより、」というのは、事業計畫につきまして御説明申し上げましたと同様に、提出する計畫の内容、様式内容といいますか、様式を大體きめるという意味であります。
#17
○庄委員 同條の末項でありまするが、事業中及び炭鑛管理者は第十七條の指示に基いて業務計畫を立てるのでありまするが、この末項には、特に必要ある場合にはまた變更して石炭事業主及び炭鑛管理者に指示することができると書いてありまするが、十七條に基いて行いました計畫についても、また變更を指示するということになつておりまするが、さように二度も變更するような氣分がするのでありますが、その點をひとつ。
#18
○平井(富)政府委員 十七條は當初出發すべき計畫をここで決定するわけでありまするが、その計畫の進行上、どうしても計畫を變更する必要があるという場合におきましては、通常の場合は、もちろん炭鑛側から業務計畫の變更案が出てくるわけでありまするが、そういう場合がもしかりに萬一なかつたというような特別の場合を予想いたしまして、いわゆる石炭局長の側からも發案して變更を命じ得るということにいたした次第であります。
#19
○庄委員 そうしますると、初め石炭局長が指示した、いわゆる業務計畫案の策定基準となるべき事項、これについて變化を生じた場合を指すのでありまするか。
#20
○平井(富)政府委員 もちろん計畫の變更をいたす次第でありまするので、その基準となるべき計畫作成上基準事項について變化が起つた場合というように考えております。
#21
○庄委員 二十三條の炭鑛管理者の選任でありまするが、商工大臣の承認を受けなければ、その效力を生じないということになつておりまするが、商工大臣はこの選任のことにつきましては、全國または地方管理委員會に諮られるのでありまするか、それとも大臣だけでやられるのでありまするか、その點をお伺いいたします。
#22
○平井(富)政府委員 この承認は、二十三條の末項にございますように、炭鑛から提出してきました管理者の選任が、生産協議會においても議がまとまりまして、できたものに對しては、原則的にそれを承認することになるわけであります。但し生産協議會において異議があるような場合におきましては、炭鑛管理委員會に諮つてからきめるというように、ここに規定してあるわけであります。
#23
○庄委員 これは異議のあるような場合だけが書いてありますが、普通の場合には諮られないでやるということに解釋してよろしゆうございますか。
#24
○平井(富)政府委員 承認いたします場合には、炭鑛管理者委員會にはかけませんが、事業主が提出しました炭鑛管理者を承認しないという場合には、管理委員會に諮るというように規定しております。要するに承認を拒む場合とか、あるいは異議があつたにかかわらずこれを承認しようというような場合には、炭鑛管理委員會に諮るというように考えております。
#25
○庄委員 第二十四條についてでありますが、この項につきましては、管理者は地位が相當強く認められておるように感ずるのであります。この第二項に「經營者及び從業者は、炭鑛管理者のする業務計畫の實施に對して、協力しなければならない。」ということが書いてあるのでありまするが、これは道徳的にそうであるということを示されたのでありまするか。もしくは協力しないというような場合に、これに對する制裁というようなことは記載はないのでありまするが、考えておられるかどうか。その點をお伺いしたいと思うのであります。この項につきましては、かえつてこういうものがあるために、いろいろの解釋上の問題が起るという氣がするのであります。この「協力しなければならない。」という第二項の點につきまして、御意見を拜聽いたします。
#26
○平井(富)政府委員 この二項につきましては、前會において申し上げましたように、これは一つの道徳的と申しますか、そういう規定であります。炭鑛管理者が第一項の規定に從つて業務計畫の實施の責に任ずるという一つの法律的な地位にございます。經營者及び從業者それぞれの立場、それぞれの分野において、これに協力しなければならぬというひとつの關係をここに規定しておるのであります。これに對して罰則とかいうような制裁規定はこれにはございません。
#27
○庄委員 この二項の點はむりになくてもいいように思うのであります。かえつてこの二項があるために、いろいろそこに摩擦が起きてみたりなんかするおそれがありはしないかと思うのでありまするが、その點につきまして伺います。
#28
○平井(富)政府委員 炭鑛管理者が、業務計畫の實施の責に任ずるという意味から言いまして、經營者が業務を行います上においても、炭鑛管理者が、やはりこの業務計畫の實施しやすいように、經營者としても指導し援助していくということでありますし、從業者は炭鑛管理者とは雇傭關係にはありません。事業主との雇傭關係に立つものでありますが、やはりこれに對して協力をしていかなければならぬ。たとえば生産協議會における運用等につきまして、やはりこれが生産協議會の指示に副うようにやつていかなければならぬというひとつの道徳的な關係というものを、ここに明確にいたす方が適當であるというふうに考えるのであります。
#29
○庄委員 これはものの考え方でありまするから、御答辯のように解してもいいのでありまするが、私はこういう條項があるために、かえつて實際運營上には、いろいろの支障が起きるのであろうということをおそれるものであります。
 第二十九條の一項の指定炭鑛の事業主が炭鑛管理者の權限にその制限を加えるというこの制限の例をひとつ聽かしてもらいたい。
#30
○平井(富)政府委員 この制度で、たとえば事業場と本社がわかれておるという場合におきまして、たとえば資金等について、擴充資金を多額に借り入れるというようなことは、むしろ本社で借り入れた方が適當であるというような場合には、たとえば復金からの借入というような場合に、これは本社が借り入れるというふうにきめるというようなことを考えております。
#31
○庄委員 第三十二條でありまするが、生産協議會の委員の數を命令の定めるところによつて炭鑛の管理者がこれをきめるというのでありますが、この命令の定めるところの委員の數につきまして、一定の基準を設けられるかどうかということについて、伺いたいと思います。
#32
○平井(富)政府委員 生産協議會の委員の數は、炭鑛管理者がその炭鑛の規模によつて決定していくというのが、現實的な考え方でございますが、ただ非常に大勢の委員を選ぶというようなことも、不適當かと考えますので、少くとも最高限はこの程度ということを規定いたしたいと考えております。
#33
○庄委員 そうしますと、あらかじめ政府において委員の數の基準を示さるるというふうに解してよろしゆうございますか。
#34
○平井(富)政府委員 最高限の基準と申しまするか、大體何名ぐらいという基準はありませんが、何十名以内という程度を基準といたしたいと考えております。
#35
○庄委員 第三十三條に勞働委員の數は「坑内從業者及び坑外從業者各々同數」ということがありまするが、一の業務委員の方にはそういうことが規定してないのであります。この方の内外の比率のことは、お考えにならないのであるか。私は實際の運營上につきましては、あらかじめこういう點もきめておいた方がよいのではないかというふうに感ずるのでありまするが、その點に對する御意見を承りたい。なおこれはたびたび質問もあつたのでありまするが、勞働委員の坑内坑外の比率が同數ということになつておりますが、實際上人數の割合でいきますると六對四、ないし七對三ぐらいになるのが適當であると思うのであります。これは今までの説明で職場々々の代表を出すというような意味で同率にしたいということでありましたが、私は坑内を重點的に見るという意味から、石炭鑛業につきましては、どうしても坑内關係の方を坑外より重く見るという考えの方が、うまくいくものであるというふうに考えておるものであります。比率問題につきましての御意見を聽かしてもらいたい。
 なおこれは第三項でありまするが、「從業者には指定炭鑛の事業主の利益を代表すると認められる者を含まない。」という項があります。これは第五十七條、第五十八條にもこういう規定があるのですが、これは何に基準を置いて定めるのであるか。むしろこういう項はなくても差支えないのではないかというふうにも考えられるのでありますが、この點につきまして、御説明願いたいと思います。
#36
○平井(富)政府委員 業務委員は一種の職能代表的なものであると同時に、主としてまた經營者側に立つものでありますので、この點は炭鑛管理者が決定いたします際に、適當にやり得るものであるというふうに考えております。
 それから同數の點は、これを同數といたしましたのは、各職場における聲が出るようにという意味で、少くとも同數で出せというように決定いたしました次第であります。
 それから事業主の利益を代表するもの、これは勞働關係法規におきまして、こういう言葉を使つて、現在それで運用しておるのでありまして、生産協議會がやはり勞働條件について討議をいたします關係上、勞働法規と同じ立場をとつた次第であります。
#37
○庄委員 ただいま業務委員は炭鑛管理者において適當に選ぶと言われましたが、管理者の氣持によりまして、あるいは坑外の方に偏重するとか、また坑内に偏重するというようなおそれも考えられるのでありまして、私はある基準は示した方がやはりいいのではないか。特に少くとも坑内外の比率を同數にしたと言われるのでありますが、私は先ほど申しましたように、坑内重點主義の考え方から、同數の比率では滿足ができないのであります。
 次に第三十七條につきまして、一、二點お伺いいたします。「委員の代理者を含む。」という項は、西田委員の質問の際にも、大臣はこれは弊害がある場合も認めるというふうな御答辯であつたと思うのであります。これは削除しておいて差支えないように思いますが、その點についてのお考えを承りたい。なおもし委員の代理を出す場合には、あらかじめ代理者を選んでおくというような方法をとつたらどうかと考えておるのでありますが、この點に對するお考えを承りたい。
 それから「第三十九條第一項但書の場合には、出席した委員(委員の代理者を含む。)全員で、これを決する。」という項が三十七條にありますが、これは一人でも反對があつた場合には決議ができないというふうになるのでありますか。實際問題として、中にちよつと變り者でもあつて、その一人のために全然運營ができないというふうになりますると、非常に困る場合があるのではないかと感ずるのでありますが、この點をひとつ御説明願います。
#38
○平井(富)政府委員 生産協議會の代理の點でありますが、この代理者が外部の炭鑛從業者以外の人間が代理者として出席するというようなことは、生産協議會の制度からみて、不適當であると考えております。委員自體は、その炭鑛の從業者から選ばなければならぬということが、はつきり規定されておりますので、代理者も當然そういう運用にされるものと考えております。この關係は、四十條において炭鑛管理者が生産協議會の議を經て必要な事項はきめてまいりますので、生産協議會の運用規定の中に、そういう點を規定してまいりたいと考えております。
 それから全員の點でありますが、勞働關係の事項については、出席した委員が全員これに贊成しなければならぬというようになつておりまして、これは一つの勞働關係の行き方でございまして、全員一致ということが必要であるというように考えたわけであります。從つて御指摘のような場合に、一人も反對するものがあるという場合には、石炭局長の裁定を要じませんので、通常の勞働關係法規の運用によつてやつていくということになつてまいります。
#39
○庄委員 やはり三十七條の中ですが、「議長は、いかなる場合においても、議決に加わることができない。」というふうに書いてありますが、その「いかなる場合に」という例、それをひとつ話していただきたいと思います。こういう場合には議決に加わるであろうという豫測のもとに、こういう條文があるように解されるのであります。
#40
○平井(富)政府委員 議長は通常ただいまの經營協議會においても議決に加わらないのであります。また生産協議會の構成メンバーから見ましても、それぞれ業務委員、勞働委員は同數出ておりまして、中で付議せらるべき事項は、勞働條件もこれを付議するという關係で、同數という點をあくまでも堅持しなければならぬという建前で、いかなる場合においても、議決に加わることはできないという關係を、ただ明確に規定いたしただけであります。
#41
○庄委員 そうすると、採決權はもちろんあるわけですね。
#42
○平井(富)政府委員 採決權はございません。過半數によつて議事を決定いたすということになるわけであります。
#43
○庄委員 そうしますと、可否同數の場合には、いわゆる議がまとまらないということになるのですか。
#44
○平井(富)政府委員 仰せの通りです。
#45
○庄委員 第三十八條でありますが、第一項に「左に掲げる事項の基本について、生産協議會の議を經てこれを定めなければならない。」とありますが、事項の基本であります。これはやはり基準があるわけでありましようが、だれがきめるのでありますか。管理者がきめるのであるか、または生産協議會できめておくか、または命令その他のことであらかじめきめておくか、そういう點を御説明願いたいのであります。なお第一から第五に至る條項も、相當廣範圍にわたるように思うのであります。たとえば、第一項の「作業計畫に關する事項」ということにつきましても、これこれの點というようなことを命令であらかじめきめておいた方がいいのではないかと考えられるのでありますが、この點に對する御見解を聽かしてもらいたい。
 なお本條の末項でありまするが、生産協議會の委員は、事業の經理内容に關する報告を求めることができるという條項があるのでありますが、これは委員一人々々でもこういうことができるというふうになるのであります。これは「委員」を削除しまして、生産協議會がそういうことができるというふうにした方がいいのではないか。その理由は、委員の一人々々が疑議があつたために、たびたび經理内容の報告を求めるというようなことになると、非常に煩雜な點があるように考えられるのであります。その點につきましてのお考え、以上三點であります。
#46
○平井(富)政府委員 三十八條におきまして、特に「事項の基本」と書きましたことは、これを逆に申し上げますれば、毎日の作業を實行していく上において、あるいは毎日の業務を實施する上において問題となるような事項を、生産協議會に一々かけるというのではないという趣旨を明確にいたした次第であります。たとえば作業計畫に關する事項という意味は、毎日の作業の配置あるいは作業上の機具の配置等について問題にするのではございませんで、大體この切羽は何メートルこの月においては掘進していかなければならぬというような、月間の作業の工程の基準となるような事項を決定していくというふうに考えております。以下大體同様の基準事項につきまして、生産協議會において、これを諮つていくというふうに考えております。それから生産協議會の委員から要求がありました場合は、經理内容に關する報告を求めるということに相なつておりまするが、これは業務計畫等もここに付議され、あるいは勞働條件等をここに付議されるのでございますので、それに必要な限度における經理内容につきまして、協議會の委員の要求がありますれば、これは説明するということも妥當な措置ではないかというふうに考えている次第であります。
#47
○庄委員 末項の委員の問題でありますが、もちろん協議會はやはり委員によつて構成せられておるのでありまして、この條文で見ますと、委員の個人個人が協議會の會議の席を離れて請求ができるようになつておるのであります。しかし協議會の人數というものは相當數あるのでありまして、これがまちまちにそういうことをやるということは、實際上混雜を招くように思われるのでありますが、これは會議によつて報告を求めるというふうにした方がいいのではないかと考えるのであります。ただいまの御説明はその點がはつきりしなかつたのでありますが…。
#48
○平井(富)政府委員 この規定におきましては、生産協議會が要求するということよりも、委員が要求いたしますから、たとえ一人でも要求があれば、説明しなければならぬということに相なるわけであります。その理由は、生産協議會において、業務計畫あるいは勞働條件等を審議いたします場合に、會社の經理内容というものをはつきりしておくということも必要であろうかというように考えまするので、そういうようにいたした次第であります。
#49
○庄委員 第四十一條でありまするが、この利益金の處分につきましては「會社」としてありますが、會社の場合のみ認可を受けなければいけないという意味であリますか。なおこの利益金處分につきましては、大臣は管理委員會に諮られるのであるかどうか。また利益金處分に對する基準というものもできるのであるかどうか。そういう點を御説明願います。
#50
○平井(富)政府委員 利益金の處分につきましては、この法律の規定の趣旨から言いまして、もし利益金を處分するという場合においては、これをその事業の増産に必要なる設備、あるいは勞務者の生活安定のために使う、あるいは必要な株主に對する配當に使うというように、この處分を適正ならしめるということに基くものでありますので、基準等については、炭鑛管理委員會にあらかじめ諮つて運用していくということが適當であるというように考えております。
#51
○庄委員 この條項には「會社」とだけ書いてありますが、個人の場合にはどうなりますか。やはりそれを含む意味でありますか。
#52
○平井(富)政府委員 第四十一條に書いてありますのは、主として「事業主である會社」ということでありまして、現在指定炭鑛に指定されますものは會社であるという前提のもとで、この利益金の處分は會社に限定いたした次第であります。
#53
○庄委員 そうすると、個人の場合における指定炭鑛はないと解されるのでありますが、そうでありますか。
#54
○平井(富)政府委員 現實の炭鑛の經營から見まして、個人で行う程度の小規模な炭鑛が指定炭鑛になることはないというふうに考えております。
#55
○庄委員 第四十三條につきまして……。これは先般大矢委員から御質問になつたのでありますが、重大な問題ですから、もう一度お伺いしたいと思います。協力命令の中に、土地の問題が入つていない。これは農地調整法等の關係によつてこういう命令はできないというようなお話であつたように思うのであります。それは實際問題としまして、石炭鑛業につきましては、土地が手に入らない、話しができないために、非常に作業上困るという場合が多いのでありまして、農地調整法は、鑛業法の上にいるというような現情が、實際においてまことに困つた問題であるのであります。鑛業法は近く改正せられるというようなことも、仄聞しているのでありますが、土地の問題につきまして、石炭廳とされましては、現在よりもう少し強力に、石炭鑛業に土地が利用できるような處置を講じてもらいたいと思うのであります。この點についての御所見を承りたい。
#56
○平井(富)政府委員 御指摘の點は、非常に重大な問題であると、私どもも考えておりまして、實質的の問題といたしまして、命令という形でいきますものの、實質的にこの解決は農地調整法との關係をどういうふうに處理していくかという問題に歸著いたしますので、この法律には一應土地という問題を放しておりますが、農地調整法その他の運用につきまして、十分ただいま御指摘になりましたような方針のもとに、石炭の増産が農地調整法よりも下であるというような考え方を私どもはもつておりませんし、また一般的な運用方法においても、もつていないのでありますが、やはり具體的な問題になりますと、農地調整法との解決が困難になつてまいりますので、その點については、私どもといたしまして、關係當局と協力して、十分善處してまいりたいというように考えている次第であります。
#57
○庄委員 ただいまの御答辯で、ほぼ納得がいつたのであります。少くとも石炭鑛業も農業も同項の地位にあるわけであります。實際としましては、農地調整方の方が強すぎて、土地問題で困る場合が多いのであります。その點に御留意になつて、土地の問題を圓滑に、今後石炭鑛業のために進むように、この上とも御盡力をお願いする次第であります。
 第四十四條の第二項の「補償すべき損失は、通常生ずべき損失とする。」というふうにしてありますが、この御説明をお願いしたい。それはちよつとわれわれ考えてみますと、生産の低下とか、コストが高くなつたとか、事故が發生したというようなために、または物價の變動があつたというような場合に、やはり損失が生ずるわけてあります。こういうものを指すのであるかどうか、その點をお説明願いたい。
 なお、石炭鑛業損失補償審査會の議を經て補償の金額をきめるというが、この審査會の人員の構成等につきまして、御説明を願いたいと思います。
 なお、末項竝びにその前の項におきまして、命令竝びに政令ということが書いてあるのであります。この二つの點についての御説明を願いたい。
 なお、この補償金についての異議の申立はできるのであるかどうかという點を御説明願いたい。
#58
○平井(富)政府委員 通常生ずべき損失といいますのは、この種の政府の命令または指示によつてその業務を行いました上において、相當因果關係をもつて發生いたしました損失というのがはいるのでありまして、具體的な命令と具體的な損失というものを結びつけて判定いたすということで、具體的に決定していくということより、仕方ないのでありまして、損失の範圍といたしましては、やはりただいま申上げました通常生ずるものであると豫想されるような損失の中にはいるかどうか、たとえば新坑の開發を事業者に命令した、事業者はここは斷層でとてもいかぬというのを命令して、斷層にぶちあたつて、その新坑がほとんど價値がなくなつたというような場合には、その命令と損失との間に因果關係があるというようにみていくのでありまして、具體的な事例につきまして、これを考えていくということに相なるかと思います。
 それから損失補償審査會の構成は、前會にも申し上げましたように、關係官廳の關係官と、石炭生産に對する學識經驗者というものでこれを構成していきたい。その中には石炭の生産者等ももちろん學識經驗者の中にはいる。それから政令と命令と書きわけました點は、特に補償審査委員會というものは、政令できめるのだという趣旨を明確にいたしたものであります。それからこの損失補償審査會の議を經てきまりました事項に不服があるという場合において、この決定がいわゆる憲法違反の措置をやつているんだということがありますし、いわゆる憲法上の法律違反に對する行政訴訟ということに相なるかと考えます。
#59
○庄委員 最後に申しました異議の申立の點につきまして……。
#60
○平井(富)政府委員 ただいま申上げましたように、補償審査會、これは第一審で終るわけでありますが、この決定が、この法律の精神からみまして違法であるというように考えられます場合には、違法の處分をしたということで、政府の決定に對しまして、憲法の規定によつて行政訴訟を起すということになると思います。
#61
○庄委員 第五十三條の石炭局の支局等でありますが、現在といたしまして、この支局に對するいわゆる位置等の構想であると思うのでありますが、參考までに御説明をお願いしたいと思います。
#62
○平井(富)政府委員 現在この支局の位置は、主要炭田地區別に設けてまいりたいというように考えております。從つて平、宇部は、それぞれ一地區になりまして、これに属します大阪、名古屋等に簡單な支局というものができると思います。それから九州と北海道につきましては、大體五箇所ないし六箇所程度の支局を設置してまいりたい、かように考えております。
#63
○庄委員 大體のお話はわかりましたが、北海道竝びに九州の五、六箇所の位置を参考までにお聽きしたい。
#64
○平井(富)政府委員 札幌の石炭局は瀧川、岩見澤、夕張、釧路、留萠、九州におきましては直方、田川、飯塚、大牟田、佐世保等を一應豫定しております。
#65
○庄委員 五十七條、五十八條のことにつきましてお伺いします。五十七條の全國炭鑛管理委員會の中の從業者につきましては、これは坑内外というようなことはお考えになつていないのでございますか。
#66
○平井(富)政府委員 全國炭鑛管理委員會と、地方炭鑛管理委員會の職能の別がございまするし、特に地方炭鑛管理委員會においては、直接石炭局長の行います管理の仕事の實體に觸れてまいりますので、この地方炭鑛管理委員會の委員は、坑内別を規定いたした次第であります。すなわち地方炭鑛管理委員會は、下からの一つの組織體というように考えられるわけであります。中央管理委員會は、御承知のように、中央管理委員會において、炭鑛を指定して指定炭鑛ができる。その結果炭鑛管理者その他の運用が出てくるのであります。これはこの法案が施行されます場合には、まず第一著手として中央炭鑛管理委員會が設定されるわけであります。從つてこの規定には特別そういう規定を設けておりませんけれども、この運用上におきまして、勞務者代表をお選びの場合には、やはりそうした配慮をしていくということも考えられておる次第であります。
#67
○庄委員 地方管理委員會の中の石炭局員である委員でありまするが、これはこの局員が民間から選ばれるからという御説明があつたのでありますが、この五十八條におけるところの「石炭局局員である者五人以内、」これは全部民間人であるというふうに解釋してよろしゆうございますか。
#68
○平井(富)政府委員 この石炭局局員を入れました趣旨は、前にも申しましたように、支局長が同時に地區部會の部會長になるということを豫想いたしまして、その地區部會の部會長たる支局長を入れるという意味でこれを入れたのでありまして、原則として民間人というふうに考えております。
#69
○庄委員 五十八條の末項の前の方の勞働委員及び從業者委員は、生産協議會の構成と同じように、坑内外同率というふうに思うのですが、第三十三條と同じような考え方から、やはり坑内外の比率を變更せられてはどうかというふうに考えるのでありますが、その點に對する説明、竝びに指定炭鑛の業務委員が五人以内といううちに、坑内外の比率のことが規定してないのは、どういうわけであるか。これは先ほどの三十三條の説明と御同様の趣旨とも思うのでありまするが、念のためにお伺いします。
#70
○平井(富)政府委員 ただいまの御質疑は、今仰せになりましたような趣旨から、指定炭鑛の勞働委員及び從業者委員は同數といたしますと同時に、業務委員については、別段の定めをいたさなかつた次第であります。
#71
○庄委員 大體法文に對する質疑はこのくらいでおいておきたいと思います。第八章の罰則につきましては、非常に重いと思いまするが、傳家の寶刀であつて、ほとんど適用しないという御説明もあつたのであります。これは平野農相の例によりましても、法文がある以上は、やはり寶刀はいつ拔かれるかわからないと考えるのであります。この點は十分今後のほかの委員の方の質疑にお讓りすることにいたします。
 最後に石炭非常増産對策要綱につきまして、二、三お伺い申したいと思います。
 一番初めの趣旨に「あらゆる方面において最大限度の措置を講じて來た。」ということがあるのでありまして、そういうお考えであつたであろうとは思いまするが、これまで石炭鑛業に對する政府の措置が、私として見まして、こういう字句で表わされるほどうまく措置が講ぜられていたとは考えられないのでありますが、政府は自信をもつてそういうことが申されるのであるか。これはさいわいに大臣が來ておられますから、その點御所見をお伺いいたします。
#72
○水谷國務大臣 この點に關しましては、これまでお答えした通りでございますが、政府といたしましては、石炭企業に關しまして、最重點施策をとつておることは、ほかの基礎産業である鐡鋼、肥料、電力等に比べていただきまして、資金、資材、あるいは勞務の面において、どのような重點施策をとつているかということは、御了解願えると思います。ただ最重點施策と申しましても、現在の日本の經濟状態においては、ある一定の限度があることは、申すまでもございません。從つて政府がこういうことを申しますのは、現在の經濟事情のもとにおける許す範圍内において、最重點施策をとつてきたものであり、また今後もとるであろうということを言つておるにすぎないのでございます。
#73
○庄委員 この要綱の第二、要領の第一項に(三)でありますが、「坑内直接夫及坑内係員に對し、現行現場給食を繼續するの外、本方式實行に伴う能率向上による所得で一定基準以上のものに對する所得税について特別の措置を講ずる。」という項がありますが、これに對する具體的な案を御説明願いたいと思います。
#74
○水谷國務大臣 この所得税の問題に關しましては、政府が考えておるような考えを、名實ともにすつきりした形で出せないことは、きわめて遺憾でございますが、實際の上におきましては、勤勞意欲を増進さすための措置をとることに決定をいたしております。從つてただいまの段階におきまして、あるいは三割五分以上がどうであるとか、あるいは五千圓以上がどうであるとかいうような、具體的なはつきりした數字を申上げる段階にはまだなつておりませんが、しかしながら、實際におきましては、そういう措置をとるということは、これは間違いございません。
#75
○庄委員 そうしますと、現在の勞働者に對する所得税の問題でありますが、總合所得税が五千圓以上につきましては五〇%もかかる。それがために非常に生産意欲が阻害せられるという點につきまして、先般も大藏當局に對して本委員會で質問したのでありますが、善處するというような説明があつたのであります。現在勤勞所得に對する税制の改革というようなことについては、いくらか具體化しておりますかどうか。その状態をひとつお聽きしたいと思います。
#76
○水谷國務大臣 その點に關しまして、勤勞所得税一般についての改正は、この間大處大臣が説明した通りでありまして、ただ問題は、坑内夫に對しての特別措置というものが、まだ結論に達しておらぬのであります。しかしながら、これは結論に達しておらぬというのは、非常な正確な意味において言つておるのでありまして、この問題に關しては、すでに閣議で決定もしておりますので、形はどういう形になるかは知りませんが、しかし大體こういう坑内勞働者諸君の要求に相當程度應ぜられることになるということは、ここに斷言して差支えないと思います。
#77
○庄委員 この問題は非常に重大な問題であり、また勞働者といたしましては、多大の關心をもつておりまいて、一日も早く何とかいい具体案ができることを、ずつと前から要望しておるのであります。これは石炭の生産に對しまして、重大な影響のあることでありますから、政府は一日も早く善處せられんことを要望する次第であります。
 第二項の(二)でありますが「誠實な勤勞に對しては、その熱意と效果に相應ずる報酬を與える様賃金制度を合理化する。」という項目がありますが、この賃金制度の合理化に對する具體案を示していただきたいと思います。
#78
○渡邊(誠)政府委員 合理化と申しますのは、能率給を十分仕事の量に應じたように加味する。こういう趣旨でございまして、この問題については、最後は經營者側、勞働者側の交渉にまつことになります。それにつきまして、經濟安定本部、勞働者、石炭廳關係で協議しまして、目下は經營者側の方と協議を進めつつありまして、今囘勞働協約改訂等の場合に、これを織りこんで、交渉が開始されることになる。こういうふうに考えております。
#79
○庄委員 この能率給のことにつきまして、ロシヤは御承知の通り非常に累進的に加俸しているわけでありますが、そういう點は考慮になりませんか。
#80
○渡邊(誠)政府委員 累進的に加俸しているという點がどういうことかわかりませんが…。
#81
○庄委員 一定基準以上の能率に對して累進的に加俸する。たとえば一割の能率をあげた場合には一割の加俸をするというのは按分的な進み方でございます。一割能率を増しにあげた場合には二割やる。たとえば五割の能率を増しにあげた場合には、いわゆる倍やるというふうに、人より増しに働き、能率をあげた者は、特によくしてやる。今の日本の現状では人より増しに働けば、それだけ收入が惡いというふうになつておるのでありまして、ロシヤで累進的に加俸するというのは、これは極端な比率で行つているそうであるのであります。私はこれは他山の石といたしまして、一應人より増しに仕事をすれば、いくらかそれに對する優遇の方法を講ずるというような意味で、いわゆる累進加俸というようなお考えはないかということをお伺いしたのです。
#82
○水谷國務大臣 日本とロシヤとの炭鑛の經營形態というものは、根本的に異つておりますから、ただいま御指摘のような、そういうような思いきつた程度のことは、日本の企業形態ではやれないと私は思つております。
#83
○庄委員 そうしますと、少くとも一割増しに働いた者は一割増しをやる。五割増しの能率をあげた者は五割やる。いわゆる公平な按分によつて與えるという程度までにはせられないと、ただいまのごとく能率をあげれば次第に收入の比率が惡くなるというようになつては、やはり勞働者の生産意欲というものは阻害せられると思います。その點に對する所見を伺いたいと思います。
#84
○水谷國務大臣 それは庄さんのおつしやるように、賃金は生活給と能率給とをうまく調整するところに、賃金體系のいく道があるということは、私も十分認めておるのであります。從つて戰爭中の、主として生活給ということにこだわつた考え方を改めまして、能率給というものを加味した賃金體系でやつていきたいと考えておるのでございまして、ただいま御指摘のように、これこれの數字に對してはこれこれの數字というような具體的なことは、これは私の答えられるべきものではなしに、經營者と勞働組合との團體交渉によつて決定すべき問題である。このように考えておるのであります。
#85
○庄委員 末項の第九でありますが、「必要な法的措置を講ずる決意」とあるが、この法的措置ということに對する具體的の構想をお聽かせ願いたいと思います。
 「尚故意の妨害に對しては斷固たる方針を以て臨む。」この斷固たる方針の具體的説明をお願いいたしたいと思います。
#86
○水谷國務大臣 その點に關しましては、これまでお答えいたした通りでありまして、政府といたしましては、ただいまのところ、必要な法的措置を考えておりません。ただこの法文にありますように、この石炭非常増産對策要綱というものは、あくまでも經營者竝びに勞働者の自主的協力でやつてもらいたいということを、われわれは原則としてうたつておるのでありまして、その自主的協力でどうしてもやれないという場合において、必要な法的措置を講ずる決意があるということを考えておる次第であります。從つて、われわれがこのたび炭鑛に對する臨時金融をなすにあたりまして、大體勞者働竝びに經營者側において、こういうふうにしてもらいたいというその要領を示しております。そういう線に應じて、できるだけ經營者竝びに勞働者が、自主的にそういう問題を解決していくように導いていきまして、それでもだめだというときに、必要な法的措置を考えておるのでありますがゆえに、ただいまのところ具體的な法的措置を豫言することはできないと思います。
 さらにまた、故意の妨害に對して斷固たる方針をもつて臨むということは、いかなる點が故意の妨害であるかということは、これは一々のできごとに對して社會的通念の物指によつて判斷すべきものであつて、今ここに、こういうようなものは故意の妨害だということは、あらかじめきめることはむつかしいと考えておる次第であります。
#87
○庄委員 この非常増産措置對策要綱につきまして、これが實際にうまく實現いたしますならば、相當石炭増産に對する效果があると思います。政府は作文に終らないように、本要綱を實現化していただきたいことをお願いしておきます。
 なお、本案の要綱につきまして、主として坑内關係の勞働者係員等に對して、優遇法が考えられておられるのでありますが、企業全般に對する優遇というような構想はないと思います。そういう點につきましては、現在の時代におきましては、必要はないと考えるかどうか。企業家または經營者というふうな面については、全然考慮する必要はないというふうに思われるのであるかどうか。そういう點に對する構想は、今ではもつべきものではないというふうにお考えであるか。その點をお伺いいたします。
#88
○水谷國務大臣 勞働方面に對しては、坑内重點主義でやつていく、但し全山一致の精神を崩さない限りにおいて、坑外勞働者との調整を試みるということは、この基本方針で考えておるのでありまして、ただいま庄さんは經營者面に對しては、どういう考えであるかということは、これは基本方針にもうたつておるように、あくまで經營者、勞働者、政府の三位一體の協力態勢でいきたいというのが、やはり基本方針の根本理念であるというぐあいに御了解願いたいと思います。
#89
○庄委員 小さい點が多少はあるのでありまするが、本案に對する私の質疑は、この程度で終りたいと思うのであります。結論といたしましては、まだいずれ討論の機會があると思いますので、またその節申さしていただきたいと思います。有難うございました。
#90
○大矢委員長代理 それでは午前中の會議はこの程度にいたしまして、午後は一時半から開會することにいたします。
    午後零時二十二分休憩
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ソース: 国立国会図書館
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