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1947/11/25 第1回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第38号
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1947/11/25 第1回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第001回国会 鉱工業委員会 第38号

#1
第001回国会 鉱工業委員会 第38号
昭和二十二年十一月二十五日(火曜日)
    午後四時四十五分開議
 出席委員
   委員長 伊藤卯四郎君
   理事 大矢 省三君 理事 松本 七郎君
  理事 青柳 高一君 理事 生悦住貞太郎君
   理事 今村長太郎君 理事 澁谷雄太郎君
   理事 早川  崇君
      今澄  勇君    菊川 忠雄君
      金野 定吉君    萬田 五郎君
      村尾 薩男君    生越 三郎君
      岡部 得三君    庄  忠人君
      長尾 達生君    三好 竹勇君
      有田 二郎君    神田  博君
      平島 良一君    深津玉一郎君
      淵上房太郎君    山口六郎次君
      谷口 武雄君    前田 正男君
      高倉 定助君
 出席國務大臣
        商 工 大 臣 水谷長三郎君
 出席政府委員
        石炭廳次長   吉田悌二郎君
        商工事務官   渡邊  誠君
        商工事務官   平井富三郎君
 委員外の出席者
        專門調査員   谷崎  明君
        專門調査員   保科 治朗君
    ―――――――――――――
十一月二十四日
 釜石製鐵所銑鋼一貫作業再開促進の請願(小澤
 佐重喜君外七名紹介)(第一二四五號)
 同(志賀健次郎君紹介)(第一二四七號)
の審査を本委員會に付託された。
    ―――――――――――――
本日の會議に付した事件
 臨時石炭鑛業管理法案(内閣提出)(第六四
 號)
    ―――――――――――――
#2
○早川委員長代理 これより會議を開きます。
 この際委員長の都合によりまして、理事の申合せに從い、私が暫時委員長の職務を行いますから、御了承願います。
 去る二十二日院議によりまして、二十四日午前中に臨時石炭鑛業管理法案の審査を終了するよう、委員會の審査に期限を付せられましたが、審査期間内に審査を終りませんでしたので、本來ならば委員會の議を經て、延長を求むべきでありますが、諸種の事情から、委員長より審査期間延長を求める手續をとりました。これを御了解願いたいと存じます。これに對して二十五日午後六時半まで、さらに院議によりまして審査期間を延長せられましたので、御報告申し上げます。
 臨時石炭鑛業管理法案及び松本七郎君提出の修正案を一括議題といたします。前囘から神田博君の質疑繼續中でありますから、この際これが續行を許します。神田博君。
#3
○神田委員 私は質疑繼續中でありまして、まだ質したいところも種々ありますれども、本案につきましては、再度にわたりまして、院議に基き、本委員會に對し、審議の時間制限もありましたので、この際質疑を打切ることにいたします。
#4
○早川委員長代理 高倉定助君。
#5
○高倉委員 ただいま修正案をいただいたのでありますが、この修正案を見ますと、相當原案に對して大幅の修正をされておるようでありますが、この大修正に對して、はたして年次の目標通り石炭が増産されるところのお考えがあるかどうかということを政府當局に所信をお伺いいたします。
#6
○早川委員長代理 高倉君の今の質問は、修正案の趣旨辯明ののちにお願いいたしたいのであります。さよう御了承願います。
 以上で質問は終了いたしました。これより討論にはいります。この際修正案の趣旨辯明を許します。松本七郎君。
#7
○松本(七)委員 私より日本社會黨、民主黨、國民協同黨三派共同修正案の趣旨を御説明申し上げます。時間もございませんから、中で省略させていただくこともあると思います。あらかじめ御了承願いたいと思います。
 まず政府原案第五條では、炭鑛の事業主が所轄石炭局長に届け出るところの事業計畫を、石炭局長が地方炭鑛管理委員會に諮つて變更を命ずることができるということに相なつておりますが、これでは石炭局長の一方的な權限が濫用されるおそれがありまするので、この石炭局長の變更命令に對して、事業主に不服の申出のできる途を開くとともに、その不服の申立により、商工大臣が全國炭鑛管理委員會に諮つた上で、石炭局長の變更命令を取消し、または變更することができるように、新たに、第三項として、「事業主は、前項の命令が著しく不當であると認めるときには、商工大臣に對して不服の申立をすることができる。なお第四項として、「商工大臣は、全國炭鑛管理委員會に諮つて、前項の申立を理由があると認めるときには、當該石炭局長に對して、當該命令を取り消し、又は變更すべきことを命じなければならない。」という二項を追加いたしました。
 次に原案第八條ないし第十條の、官吏その他の政府職員の臨檢檢査に關する各條項について、「臨檢檢査」または「檢査」を「監査」と改めるとともに、監査する主體を、當該官吏に限定し、その對象を明確にするため、原案第八條第一項を「石炭廳長官又は石炭局長は、炭鑛の事業主の業務の状況に關し必要な報告をさせ、又は當該の官吏をして生産擴充用の資金及び資材の使途、生産の状況竝びに擴充工事の達成状況に關して監査させることができる。と改め、第二項中「當該官吏その他の政府職員に臨檢檢査させる場合には」とあるを、「當該の官吏に監査させる場合には」と改め、第九條は全文これを削除し、條文整理により以下各條を順次繰り上げることとし、原案第十條中「檢査」とあるを「監査」と改めたのであります。
 次に原案第十一條において、炭鑛の廢止又は休止が商工大臣の許可事項として委されているのでありますが、これをより民主的にするとともに、愼重を期する意味から、全國炭鑛管理委員會に諮つた上で許可するように、同條第二項として、新たに「商工大臣は、前項の許可をしようとするときには、全國炭鑛管理委員會に諮らなければならない。」という一項を追加し、本條修正を同じ趣旨から、原案第十二條に第二項として、新たに「商工大臣は、前項の認可をしようとするときには、全國炭鑛管理委員會に諮らなければならない。」という一項を新設いたしました。
 次に、原案第十四條におきまして、指定炭鑛指定の基準を明確にうたうために、第二項として新たに「前項の規定による指定の基準は、能率、生産費、品位、出炭量等に基いて、これを毎六箇月に定めるものとする。」という一項を追加し、從つて原案第二項を第三項とし、「前項」とあるを「第一項」と改めたのであります。
 次に、原案第十五條におきまして、指定炭鑛指定の取消し事由を廣義に解釋する方が妥當であるとの趣旨から、第一項中「災害その他の事由により」を削除し、第二項中「前條第二項」とあるを、條文整理の上から「前條第三項」と改めたのであります。なお、原案第十六條第一項中「第十八條」とあるを、條文整理の上から「第十七條」と改めたのであります。
 次に、原案第十七條におきまして、事業主に重點を置き、業務計畫の案の作成上基準となるべき事項を指示する對象を事業主に限定するため、「及び炭鑛管理者」を削除いたしました。またこれと關連いたしまして、事業主の業務計畫の案の作成上の地位を明確にする意味におきまして、原案第十八條第一項を「前條の規定による指示があつたときには、その指示を從い命令の定めるところにより、指定炭鑛の事業主は、炭鑛管理者をして、業務計畫の案を作成せしめ、所轄石炭局長に提出しなければならない。」と改め、第二項中「原案」とあるを「案」改め、第三項、第四項及び第五項を削除し、原案第六項中「當該業務計畫の案を提出するとともに」とあるを「當該業務計畫の案を作成して提出するとともに」と改めたのであります。なお原案第十九條第一項におきましては、「前條第一項の規定による業務計畫の案の提出があつたときには、」とありますが、業務計畫の案の提出される場合、生産協議會の議を經る場合と經ない場合、すなわち前條第一項と第三項に規定する二つの場合がありますので「前條第一項」の次に「又は第三項」を加えました。なお本條第二項におきまして、原案では、「石炭局長の決定した業務計畫の指示があるまでは、事業主及び炭鑛管理者は、前期の業務計畫(前期の業務計畫がないときには、前項における業務の實施上の計畫)を基準として、指定炭鑛の業務を行わなければならない。」ということに相なつておりますが、これを事業主の提出した業務計畫の案によるようにするため、第二項を「前項の規定による指示があるまでは、事業主は、前條第一項又は第三項の規定により所轄石炭局長に提出した業務計畫の案により、指定炭鑛の業務を行わなければならない。」と改めた次第であります。なお原案第二十條第二項中「第十八條」とあるを、條文整理上「第十七條」と改めました。
 次に、原案第二十一條第一項におきまして、原案第十七條以下に對する修正と同様の趣旨によりまして、石炭局長が業務計畫實施上必要と認めるときの監督上の命令又は指示を受ける客體を指定炭鑛の事業主とするため、原案の「炭鑛管理者」を「指定炭鑛の事業主」と改め、原案第二十二條中「炭鑛管理者」とあるを「指定炭鑛の事業主」と改めた次第であります。
 次に、原案第二十三條第二項におきまして、炭鑛管理者の選任は、商工大臣の承認を受けなければ、その效力を生じないということになつて居りますが、これを届出主義に改めるために、原案第二項を「事業主は、前項の規定による選任をしたときには、その旨を商工大臣に届け出なければならない。」と改めました。
 次に、原案第二十四條第二項の、炭鑛管理者のする業務計畫の實施に對する經營者及び從業者の協力規定は、これは當然のことであり、項目としてうたう必要なしと認めて、削除いたしました。
 次に原案第二十五條におきまして、その第一項は、原案第二十三條修正に伴い、當然これを削除いたしました。なお第二項及び第三項において、炭鑛管理者の解任が商工大臣によつてできるようになつておりますが、それは選任の場合と同じく、事業主が行うことといたした次第であります。
 次に、原案第二十六條でありますが、これは炭鑛管理者の事故または缺員となつたときに、事業主またはこれを代表する者が、臨時に炭鑛管理者の職務を行うという規定でありますが、これは原案第二十三條、すなわち本修正案第二十二條第一項により遲滞なく選任をするということで十分でありますので、全文削除いたしました。
 その他詳細にわたりまして、お手もとに配付されてあります書類によつてごらんいただけば、十分御了解できようかと思いますから、私の説明はこの程度に止めさしていただきたいと思います。
#8
○早川委員長代理 ただいま修正案について、高倉君より質疑の申出があります。高倉君にこれを許します。
#9
○高倉委員 ただいま本案の原案に對する修正案の御説明をお聽きしたのでありますが、時間の餘裕がありませんので、詳細に照合檢討することはできませんが、かくのごとき大修正のもとにおきまして、はたして年次的目標通りに増産ができますや否やということに對しまして、政府當局に所信を承わりたいと思います。
#10
○水谷國務大臣 高倉君の御質問にお答えいたします。ただいま松本君が御説明になりましたように、修正案の主要なる點は、大體五つでございます。第一は、指定炭鑛の指定基準を明示し、運用上彈力性をもたしたこと。第二は、指定炭鑛の管理についての相手方を事業主としたこと。第三は、炭鑛の管理者の選任及び解任について、あらかじめ生産協議會の議を經ることを要しないとしたこと。第四は、管理者に法定支配人の地位を附與することを認めないこととしたこと。第五は、罰則規定について、指定炭鑛としからざる炭鑛との差異を認め、その他刑の經減をなしたこと。この五つの點でございます。
 全體を通じまして、指定炭鑛の管理につきましては、政府原案では、炭鑛現場業務の圓滑なる即決處理を促進する現實的な立場から、炭鑛管理者に管理の末端としての責任と權限とを認めておりましたに對しまして、修正案におきましては、企業一體の觀念を重視する建前から、事業主に全般的に權限を留保しているのでございますが、實質的には、兩者の建前の相違は、管理の效果に大きな差異をもたらすものではないと信じております。たとえて申し上げますならば、業務計畫につきましては、やはり管理者が原案を作成するのでありまして、その實施責任も管理者に屬し、實施上必要な權限は事業主から委任を受けるのでございまして、現場運用の機構と意思決定方法につきましても、政府原案の通りでございます。管理者の選任等につきましても、事業主が實質上從業者の指示を受けるような人選をすることが、運用上豫想されるところでございます。また指定炭鑛の指定及び指定取消の問題は、政府といたしましても、もともと畫一的な運用をする意思をもつておらず、もつぱら全國炭鑛管理委員會に諮りまして、彈力性のある運用をするつもりであつたのでございまして、この點異存はございません。さらに罰則につきましては、從來の規定との形式的な均衡の問題を離れて見るならば、修正の點は十分尊重されなければならないと考えております。
 以上の諸點を總合いたしますならば、政府といたしましては、管理の運用上、修正案によりまして、根本的に制約を受けるということは、ほとんど考えられないのでございまして、當初の目的は必ず達成することができるものと確信する次第でございます。
#11
○早川委員長代理 これより討論にはいります。生越三郎君。
#12
○生越委員 私どもは、石炭の三千萬トン以上生産がわが國産業復興の絶對要件であり、現在の危局を切り抜けて、新日本建設ができるか否かの重大問題であるため、眞に責任を重んじて、今日まであらゆる角度から審議をいたしてきたのであるが、現にわれらが審議中の石炭鑛業管理法案、またただいま上程されました修正案に對しまして、左のごとき意見に到達いたしたのであります。ただ修正案におきましては、ただいまここにわれわれに法案を示されまして、これを十分に審議することを得なかつたことは、はなはだ遺憾とするのであります。およそ政策の樹立遂行をなさんとするときは、國民多数の贊成があるか、または國民のためにぜひ必要であることのきわめて明白なる根據がなければならないことは、言うまでもないのであります。しかるに、本法案が發表せられる前後から現在に及ぶまで、國民の大多數は、これに反對しておることを察知することができるのみならず、全國の炭鑛業者四百有餘の者が、これに反對を強く表明し、これを政府その他に陳情しておるのみでなく、現場炭鑛管理者及び鑛長の多數が、反對の陳情をいたしており、さらに財團法人世論調査所が、長期にわたつて現場坑夫の世論を調査した結果の發表によれば、坑夫の多數もまた反對をいたしておるのであります。さらにまた各界有力者を招いて、わが國會がその意見を問うた公聽會においても、その多數が本案に反對いたしておるのであります。およそその政策に對して、その業者の全部が反對を表明し、勞働者の多數が反對し、權威ある各界の有力者の多數が反對を表明すること本案のごときものがあつたことを聞いたことがないのであります。これを本案の内容の要點について檢討するも、左の三點の重大なる缺陷があるのであります。
 その一つは、政府は資金と資材とを確保し、かつこれを供給するの責任を明らかにしていないことである。その二は、わが國の石炭生産に最大の力をなす勞働力をいかに積極的に結集するかの條項が缺如しておることである。その三は、生産協議會の性格がある。すなわち生産協議會の構成員は、職員を代表する委員と、勞働者を代表する委員と、おのおの同數とし、炭鑛管理者をもつてするその會の議長に決議權を與えていないことである。しかして本案が計畫せられた以後において、マツカーサー元帥から片山總理にあてられたる書簡によれば、本案は國會がそれ自體の價値について審議することは、何ら異存がないと言い、もし國會がこれを採用したならば、政府は現在立てられたる生産目標をさらに引上げなければ、本法案を行う理由がないと言われておる。かくのごとく國會が審議研究する點、生産目標を引上げる計畫の點等、いずれから見ても、本法案の採用には缺陷があり、時間尚早である。よつて政府提案の臨時石炭鑛業管理法案及び松本七郎氏提出の修正案、兩案とも否決せんとするものである。
#13
○大矢委員 私は社會黨を代表いたしまして、本案に對する贊成の意見を述べたいと思うのであります。
 本案は政府の説明の通り、修正案にいたしましても、あるいはまた原案にいたしましても、あくまでも民主的な處置である。こういうことは、提案理由なり答辯をみても、一貫して明らかなところであります。そこで今日まで公聽會その他を通じまして承つたところによりますと、今反對側の人が主張する通り、業者におきましては、これは徹頭徹尾反對であるのであります。また勞働者側においても、相當の反對のあることは、今反對側の意見の通りであります。しかしこれは私が今申しましたように、あくまでも臨時的な處置である。從つて理想的なものでないというのでありますから、私どもは本案に對しては、非常に不備な點があることを認めるのであります。それを何がゆえにわれわれが贊成するかと申しますならば、その贊成する理由を、私はこれから申したいのであります。
 まず第一に、今日石炭の重要性は各方面で認められておるのであります。この重要性のある石炭事業に對して、戰後におけるところの日本のこの疲弊した經濟の中から、他産業を犧牲に供して、あらゆる資金、資材、勞務あるいは食糧その他について、多くの國民を犧牲に供して、この重要産業に入れておるということは、周知の事實であり、すでに政府の答辯の中にも明らかな通りでございます。特に戰後におけるところの勞働者の自覺によりまして、今日長い間の炭鑛事業における勞働者の不平不滿、さらに民主化の第一歩を進めるために必要なる自覺と、社會的の地位の向上を目指して、その向上のためにあらゆる努力を拂い、勞働組合が非常な大きな勢いをもつてきておるということも事實であります。事業主には幾多の資材、資金その他あらゆる方面において、國をあげてこれに投じ、さらにまた勞働者の方は、そういうふうな地位に目ざめ、あるいは社會的の向上のために、あらゆる努力をしておるというこの事實の前に立つて、資本家、經營者が、これに對する獨自の立場から、この要求なり、あるいは經營に對する自主的な實力をもち得ないのが、これは單に炭鑛事業のみならず、各方面の實情であります。その現實に立つて、多くの國家あるいは國民犧牲においての投資、あるいはこれらに對する犧牲を、國家みずからこれに對して監督をする。あるいはまたこれが管理という言葉も相當でありますが、そういうふうなことは當然であります。この法案は、私はいろいろむずかしく考えれば考えられるのでありますが、その内容を見てみますならば、原案も修正案もその通りでありますが、第一この事業に對する管理、監査であります。この經理部面に對してさわられることが、事業主は一番痛いところであります。そうしてこれに對して徹頭徹尾反對する。しかしながら、みずからの實力をもつて、獨自の立場においてやつていけないものが國家の非常な力を借りておるのでありますから、これに對する一つの監査、監督を行つて、その經理というものを、一應明らかにして、こういう資材はこういうところに使つたと、はつきりさせることは、當然なことであると思う。さらにいま一つは、この事業經營に對して、私はいろいろ申しますけれども、この生産協議會によつて、すなわち現場の勞働者が生産に對する發言權をもつということが、これまた事業主が痛いところである。しかしながら、今日の事業というものは、斷じて資本のみをもつてできないことは申すまでもない。勞働者の協力によつて、初めて増産になるのでありますから、この法案によつて、生産協議會の勞働者が發言權をもつということは、これは産業の民主化の第一歩であります。しかしながら、いろいろまたその運營について、その構成について、私ども非常な不滿があります。しかしいずれにしても、第一歩を踏み出した。産業に對する發言權をもつということは、産業の社會化、産業の民主化の第一歩である。それによつて勞働者が責任を感じ、みずから生産に對して發言權を得たということは、増産に協力するという具體的な法的な裏づけをしたということと、私は信ずるのであります。
 それから次に、私は時間がありませんから簡潔に申しますが、事業主が非常に恐れ、また勞働者の方も非常に杞憂しておることは、こういう國家管理法案というものは、ややもすると、長い間の官吏の獨善的な官僚統制の弊に陷りやすいので、これをきらつておる。その點については細心の注意を拂い、特に炭鑛經營に經驗をもたれるところの議員の中から、鋭くつつこんだ點であります。私ども同様にこの點は運營上について、この法案を審議する上においても、ずいぶん檢討した。そのためには、石炭廳の構成を民間人から半分入れるということが原則になつておる。しかも全國管理委員會、地方管理委員會の全部をあげて、民間と資本家と、勞働者によつてつくられ、これについては、斷じて委員の中には官吏がはいつておらないのである。こういうような全國管理委員會、地方管理委員會が、國民の中から、從業員の中から、さらに業者の中から出たところの、ほんとうに自主的な、民主的なものである。これをもつて、もしこれが官吏の獨善になるとか、官僚統制になるというならば、民間から出した、勞働者から出した代表者が獨善だというのであつて、これは決して今日までの官吏を責めるのと同じような理由にはなりません。そういういろいろなことから進めてまいりまして、私はまず第一に申しましたように、いわゆる國民の名において多くの投資をし、それによつて資材を得て、炭鑛從業員の住宅のために二百億圓という金を來年度に投じようとしておる。上下半期における日本の産業に投じた融資の中で、約四二%という厖大なる資金が、炭鑛業者に流れておる。それに對して、その報告を求め、さらにそれに對して經理を明らかにするということは、これは國民の當然望むところであつて、これは決して私は反對すべきことではないと思うのであります。それからこれは最も重大なことでありますが、この運營について、先ほど來申しますように、官吏の獨善にならないかということでありますが、私はこれは防げると思うのであります。なお一番増産の隘路になつておるところは、官吏の今までの非常に非能率的なことが原因になつておりますが、それよりも一層原因になつておることは、資材、資金を十分――あるいは不十分かもしれないが、この割當を行う上に、非常にスローモーションである。このことが、業者からも現場からも、ずいぶん聞いたことでありますが、それに對して、今度は協力命令という規定があるのであります。これは石炭事業に對しては優先的に、あらゆるそれぞれ關連産業から、その犧牲なり、本人の意思いかんにかかわらず、協力的に資材を注げというのでありますから、業者が喜ぶはずである。それを一體どうして拒むかということに、私は不思議をもつておるのであります。この本案がいずれになりましても、今後のこの重要なる生産に對して、一旦ここで決定されるならば、私は從業者も、あるいはまた業者の間にも、釋然として日本の復興のために、大いにこの増産のために、せつかくできたこの規定を十分に活用するように、また私はいかなることがあつても、これが相當に論議されることと思いますからして、その論點を明らかにして、私は今後の増産に、勞資ともに協力してもらいたいということが念願であります。私が今申しましたように、本案に對して幾多の缺陷と、われわれが政策としておるところの社會黨の重要産業の國有竝びに國營からいたしますならば、およそ縁遠いものではありまするけれども、現状の石炭事情、増産の目的のためには、この程度のものを、私はぜひ必要だとして、私は贊成の意を表するものであります。
#14
○早川委員長代理 平島良一君。
#15
○平島委員 私は自由黨を代表いたしまして、本案に反對するものであります。その理由といたしましては、この石炭鑛業管理法案の第一條にありまするがごとく、日本の産業の復興と經濟の再建、それを目的といたしまして、石炭の増産をはかろうというのが、この法案の目的なのであります。ところが同僚諸君の質疑に對し、政府の答えますところを聽きまして、またその政府の提出されたる資料等によりまして、私どもはまだこの法案の施行によつて、石炭が増産するものなりという確信を得ることはできないのであります。それからこの法案によつて、政府と事業主と、勞働者と、三位一體になつてやると、こういうのでありますが、いかにも三位一體になることが、これは絶對必要なのであります。しかしながら、その三位一體になると言われた商工大臣のお話のうちにも、今大矢君の言われたように、この法律が施行されるときには、今まで反對しておつたものも、國會の意思を尊重して、喜んで増産に精進するであろうと言われるのでありますが、またそうなければならぬと思うものでありまするが、一方において、この法案が否決されるときに、勞働者の不滿による減産をどうするかということを言われるのでありますが、これは否決されようと、可決されようと、どちらも國會の意思なのであります。贊成したときのみ國會の意思であり、反對したときのみは國會の意思でないということはないのでありまして、それを不滿を抱くというようなことを言うておられることは、どちらがほんとうであるかわからぬように私は思います。要するに法律や機構だけつくれば、あとは萬事萬端すらすらいきそうな議論を立てるのは、これまで國民がしばしば經驗いたした官僚的淺見であり、欺瞞であるのであります。今囘の石炭國管も、このような弊害に陷ることを、私は憂うるものであります。しかして本案は政略の具に供せられているようなきらいがあるのであります。これはお聽きください。ひとり私が言うのではないのであります。社會黨の議員の中から、これは政略の具に供せられたのであるから反對であるということを、新聞に發表しておるのであります。かくのごとくして、はたして本法を施行して石炭が増産するかどうかということは、私ども絶對に得心ができないのである。この法律の施行によつて、石炭は増産するものなりということを納得せしめなければ、國民も承知いたさないであろうと思うのでありまして、私ども審議に當る委員でさえ、これが増産するものなりという確信を得ないものを、國民がこれを増産するものなりと納得するものは絶對にないのであります。かくのごとき意味合いから、また本日提出されました修正案にいたしましても、ただいま商工大臣のお話のごとく、原案と大同小異なものであると言うておられるのであります。そうして私どもはまだこれを讀む機會も與えられないほどでありまして、この原案及び修正案につきまして、私どもは絶對に増産せざるものなりという建前から、ここに反對の意思を表明し、これを否決されんことを望むものであります。
#16
○早川委員長代理 生悦住貞太郎君。
#17
○生悦住委員 私は本案につきましては贊成の意を表するものであります。本案は組織法でありまして、増産になるかならぬかという議論は、すでに盡されておると思います。もちろん本案を通過させることによつて、増産は可能であることを斷言いたします。これにつきまして、私は政府に注意要項をして、ここに附帶決議に代るものを政府に強く要望するものであります。
 一、本法の施行は政府において本法の目的達成
  に必要な資金資材の確保配分に關する實施機
  構を速やかに整備し、時期的遲延を招かざる
  ようこれを行うこと。
 二、政府は勞働の生産性昂揚が本法の目的達成
  上必要な意義を有することに鑑み、從業者の
  厚生對策に萬遺漏なきを期するとともに、勞
  資の完全なる融合に全力を盡すこと。
 三、政府は關連産業に對する協力命令發動にあ
  たつては愼重を期し、いやしくも他産業の運
  營を不當に停滯抑壓せしめるがことなきを期
  すること。
 四、政府は本法の重要性に鑑み、特に關係官吏
  の責任を明確にし、綱紀を振肅し、眞に公僕
  たる本分を嚴守せしめるよう措置すること。
 この四項目を強く要望して、贊成するものであります。
#18
○早川委員長代理 これにて討論は終結いたしました。これより採決をいたします。まず松本七郎君より提出せられました修正案について採決いたします。この修正案に贊成の諸君は起立を願います。
#19
○早川委員長代理 起立少數。よつてこの修正案は否決されました。
 次の原案について採決をいたします。贊成の諸君は御起立を願います。次に原案について決をとります。贊成の諸君は御起立を願います。
#20
○早川委員長代理 起立少數。よつて原案は否決されました。
 この際一言御挨拶を申し上げます。これをもつて臨時石炭鑛業管理法案の審査を終了いたしたのでありますが、顧みますれば九月二十五日本案が付記されて以來三箇月、その間本委員會といたしましては、二十八囘にわたる委員會を開き、さらに四日間に及ぶ公聽會を開きまして、長日月にわたつて審議を續けてまいりました。ここに委員長初め理事及び委員の各位に對しまして、最後にその御努力に對し、厚く御禮申し上げる次第であります。
 これにて散會いたします。
   午後五時二十六分散會
ソース: 国立国会図書館
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