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1964/11/26 第47回国会 参議院 参議院会議録情報 第047回国会 本会議 第5号
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1964/11/26 第47回国会 参議院

参議院会議録情報 第047回国会 本会議 第5号

#1
第047回国会 本会議 第5号
昭和三十九年十一月二十六日(木曜日)
   午前十時二十五分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第四号
  昭和三十九年十一月二十六日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第三日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、請暇の件
 一、日程第一 国務大臣の演説に関する件(第
  三日)
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、裁判官訴追委員
  及び同予備員辞任の件
 一、裁判官弾劾裁判所裁判員、裁判官訴追委員、
  同予備員、検察官適格審査会委員、同予備委
  員、北海道開発審議会委員、鉄道建設審議会
  委員、飼料需給安定審議会委員、海岸砂地地
  帯農業振興対策審議会委員、台風常襲地帯対
  策審議会委員、九州地方開発審議会委員、中
  国地方開発審議会委員及び豪雪地帯対策審議
  会委の選挙
    ―――――――――――――
#3
○議長(重宗雄三君) 諸般の報告は、朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#4
○議長(重宗雄三君) これより本日の会議を開きます。
 この際、おはかりいたします。永岡光治君から、病気のため十五日間請暇の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって、許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#6
○議長(重宗雄三君) 日程第一、国務大臣の演説に関する件(第三日)、
 昨日に引き続き、これより順次質疑を許します。辻武寿君。
   〔辻武寿君登壇、拍手〕
#7
○辻武寿君 私は公明党を代表して、所信表明に対して、総理並びに関係各大臣に若干の質問をいたすものであります。
 今日、日本をめぐる内外の諸情勢は、まことにきびしいものがあり、国民大衆は、政治に、経済に、生活に、平和と繁栄を強く求めているのであります。中にも、政治並びに政党のあり方については、国民大衆は、生活を通して、正しい認識と評価をしようとする新しい時代を迎えたと信ずるのであります。この時点に立って新内閣を見るとき、組閣以来、日なお浅いとは言いながら、総理の示す方向は、国民の期待には、いまだ、ほど遠いのであります。中共の核爆発があった。原子力潜水艦が日本にその不気味な姿をあらわした。また、国内では、消費者米価の値上げをはじめとして、値上げムードに包まれ、店頭ではキャベツの切り身までが飛び出しているという事態に対して、国民のための政治に徹すると言われた総理も、また、名大臣の演説も、いたずらに情勢分析にとどまって、具体策に欠けているからであります。
 まず最初に、外交、特に日本の安全保障について、総理にお伺いいたします。
 総理は、かつて防衛庁の国防省昇格について積極論者であると言われ、また、自主的憲法の改正を公約されております。所信表明には、憲法について、「国民各位とともに、十分、考えてみたいと存じます。」と述べられているだけでありますが、「日米安全保障条約を確固たる基盤」になし云々と、安保条約を強調されていること、また、総理の従来の発言から勘案して、国民は、防衛力の強化、憲法改正という方向に対して、多大の危惧を抱いているのであります。今日、核兵器の出現、特に中共の核爆発などから考えても、総理が言われるように、一国の福祉を一国のみが考える時代ではなく、世界人類の福祉を世界が考える時代となろうとしている新しい転換期に立っているのであります。世界平和、世界の安全保障も、各国が一つの運命共同体としての立場から把握すべきものであります。したがって、中共に対して、すみやかに部分的核停条約に参加することを要望する総理が、中共の国連加盟について、従来の方針を続ける以外にないと言われるのは、はなはだ理解に苦しむところであります。まして、これまで政経分離という便宜的な方策の中に続けられてきた日中貿易を、民間ベースから政府間協定に移行すべきであるというのは、国民の要望であり、すでに常識であるとさえ言われる情勢下においてであります。われわれは、この際、日本は中共の国連加盟を積極的に支持し、国連の場において、核兵器廃止、さらには軍備撤廃の実現を期するところに、原爆被爆国として、世界唯一の平和憲法を制定した日本の立場が立証されると思うのでありますが、総理の見解を承りたいのであります。
 また、核保有国の一員となった中共が、核兵器に対する製造、実験並びにその使用を全面的に禁止すべく、広く世界会議の開催を提唱していることに対して、われわれは何らのちゅうちょすべき理由はないと思うのであります。日本は、すでに世界に向かって戦争放棄を宣言し、模範的な平和憲法を制定した。いまこそ平和憲法の旗じるしのもとに、自主外交に立って、世界平和のイニシアチブをとるべき絶好の機会であるはずであります。特定の国とのみ安保条約を結び、軍備強化のために国民の血税を浪費することは、佐藤総理が願う人間尊重や世界平和への道、並びに国民が願っている軍備縮小への逆コースとなると思うものでありますが、これに対する総理の所見を明快にお聞きしたいと思います。
 次に、北方領土について総理並びに外相にお伺いいたします。
 日ソ両国間には、日ソ共同宣言によって戦争状態は終結したが、日本の旧領土のうち、歯舞、色丹の二島をはじめ、国後、択捉を含む千島列島は、依然としてソ連の支配下にあります。ソ連はヤルタ協定を根拠として、北方領土はソ連領であると主張しているが、わが国はこれを受諾しておらず、また関与もしていないのであります。したがって、ヤルタ協定は、国際法上、日本に対して強制力を持つものではなく、これを根拠とするソ連の主張は、絶対に承認できないのは当然であります。むしろ、ソ連がこれを領有することは、大西洋憲章及びカイロ宣言で明らかにされている領土不拡大の原則に反するものであります。千島列島は日本固有の領土であり、国後、択捉の両島についても、歴史上外国の主権下に置かれたことはない。まして歯舞、色丹に至っては、北海道の一部であって、千島ですらない。フルシチョフ前首相は、アメリカが沖繩を返還すれば、歯舞、色丹を返そうと言ったが、フルシチョフ氏が追放された今日、ソ連は、これら北方領土はすでに解決済みであると見ているようであるが、政府は、今後北方領土返還要求をするつもりはおありなのか。ソ連に対して、領土問題に対する政府のお考えを明確にしていただきたいと思います。
 質問の第二点は減税についてであります。総理は、かつて「国民の税負担を現在の二二・二%から二〇%に引き下げる第一段階として、所得税中心に初年度三千億の減税を実施したい。また地方税、住民税の軽減もやりたい」と述べております。「国民を富ますために公債発行による大幅減税」とまで公約されたことがありますが、明年度予算編成に際して、大蔵大臣は「平年度九百億円、初年度七百億円の減税がやっとである」と語っております。総理は、今日この点をどう考えておられるのか、お伺いしたいのであります。また大蔵大臣は「財源難のおりから来年度の財政規模は一三ないし一四%増にとどめたい」と述べ、大蔵省当局も「重点施策もさることながら、明年度予算の一番大切なことは、公債を発行しないで済むことである」と、蔵相の言を裏書きしておりますが、財政規模、減税、公債発行について、政府の方針を明らかにしていただきたいのであります。さらに大蔵大臣は「減税は積極的にやりたいが、今後は資本蓄積のために企業減税が重視されよう」と、懸案となっている配当分離課税の実現をほのめかしておりますが、この点を明確にしていただきたい。わが国では、五人家族、年収八十六万円の場合四・七%でありますが、英米の場合はゼロ、西ドイツの場合は〇.八%であります。また、ここ十年間に日本の納税人口は一千万人から二千万人近くに倍増していることからも、いかに大衆が税負担に悩んでいるか明らかであります。また、さきに内閣広報室が行なった世論調査で、国民が政府にやってほしい第一点は、物価引き下げによる生活安定、第二に減税となっておりますことから見ても、国民大衆の要望するところは所得減税であります。わが党は、年収百万円以下は免税すべきであると主張するゆえんも、ここにあるわけでありますが、所縁減税を軽視する理由について、政府の考えを承りたいのであります。
 質問の第三点は物価問題並びに消費者米価について、総理、経済企画庁長官並びに農林大臣にお伺いいたします。
 今年初頭の経済見通しでは、消費者物価の上昇率は四・二%と見込まれておりましたが、上半期において、すでに三%を上回っており、特に最近の野菜等の値上がりは、国民生活をはなはだしく圧迫しております。このような環境のもとで行なわれた消費者米価の引き上げは、一そう国民生活を困窮させることは当然であります。この上、公共料金の引き上げが行なわれたならば、国民生活はいかなる状態になるでありましょうか。経済企画庁長官は、米価の引き上げによる国民生活への影響は、たいしたことはないと言っておられるそうでありますが、かかる弾力性の低いものの引き上げは、低所得者層の生活を相当に脅かすであろうことは明らかであります。その上、これらの引き上げが他の物価の値上げの導火線になることは必然であります。政府は、この点をどのように認識され、対処されるつもりか。また、物価の上昇率を四・二%に押える努力をすると言われますが、はたしてどのような具体策を考えられているのか、総理並びに経済企画庁長官にお答え願いたい。
 さらに物価対策に対する態度でありますが、総理は、物価問題は、わが国の経済が急激に先進国型に移行するために発生したものであり、その対策として、低生産性部門の近代化、流通機構の改善等が急務であるといわれております。しかしながら、われわれは同じようなことを池田総理からも聞かされております。しかも池田内閣の物価対策の失敗を骨身にしみるほど味わされているのであります。中期経済計画によりますと、四十三年度までの物価上昇率は、年平均二・五%となっておりますが、政府の見通しはどうか、お伺いいたします。
 次に米価についてであります。確かにこの問題は池田内閣の遺産ではありますが、総理は、総裁公選の際、「社会的影響が強いので、生産者米価が上がれば、当然、消費者米価を引き上げるという考えは、とらない。」と発言されているのでありますから、当然手直しをしてしかるべきだと思うのですが、もう一度再考する余地はないのか、総理並びに農林大臣のお答えを願います。
 また、農林大臣に説明を求めたいのでありますが、農林大臣の諮問機関として米価審議会が設置されているわけであります。ところが政府は、消費者米価の引き上げに際しては、閣議で決定してから、それを審議会に押しつけているのであります。これでは審議会は、あってなきも同然ではありませんか。それでなくても政治的圧力に負けているという審議会であります。一体、今後米価審議会の民主的運営についてどのようにお考えになっておられるのか、農林大臣のお答えをお願いいたします。
 質問の第四点は、農業問題であります。農業基本法が制定されてすでに四年目になるのでありますが、今日なお都市と農村の所得格差はおよそ三対一と開いたままであります。政府は、農政の基本を米作偏重から畜産、果樹栽培に、いわゆる農業構造改善に置いてきたかのようでありますが、経営の基盤となる価格支持政策を欠いているため、今日なお農家の八割が米作にしがみついている状態であります。また、低所得からくる労働力の不足は、農業の近代化をはばみ、その七五%が兼業農家であることも、農政の欠陥を物語るものであります。農林大臣は、かつて、農家の経営規模拡大のため、その壁となっている農地法の改正を言明されたのでありますが、小作料の改定、農地取得の制限撤廃、社会保障を含めた離農対策などの構想はどうなっているのか。さらに農家の自立経営を高めるための価格支持政策についてどう考えておられるのか、お伺いしたいのであります。これに関連して、農産物、特に野菜等の流通機構改善の問題は、今日重要な課題となっておりますが、これが具体策をお伺いしたいのであります。
 次に、災害対策、特に北海道の冷害対策についてお伺いします。北海道の農業生産額は二千億といわれ、冷害による被害額はその四分の一以上、五百七十億円をこえております。これらの冷害は、政府のとってきた農業政策の欠陥、すなわち米作中心の弊害のあらわれであり、寒地農業に対する施策の不徹底からきたものであります。今回北海道における冷害は、被害農家戸数約十六万戸で、全道農家戸数の七五%、被害作付面積は七十六万一千ヘクタール、実に全道作付面積の九〇%に及んでおり、その結果、二千八百五十五世帯、一万四千人が生活保護家庭に転落を見込まれております。私はこれら農家の方々の再起を心から願うものでありますが、同時に、政府のすみやかな救援並びに冷害に対する抜本的具体策を、総理並びに農林大臣から伺いたいのであります。
 最後に、教育問題について総理にお伺いいたします。総理は、七月総裁公選の際、社会開発の一環として教育開発を考える、教育政策は首相の人つくり政策ではなまぬるい、義務教育費を完全国庫負担に近づけ、児童手当制度を設けて義務教育児童の最低生活費を保障するなど、金のかからない教育を実現する、また、私学振興は今後の教育の最大の課題であり、政府は、金は出すが口は出さない主義で、教育者の手腕を十分にふるってもらう、このような教育政策を表明されたのでありますが、現在、物価の値上がりと並行して父兄が最も頭を痛めているのは、教育費の負担が年年著しく増加することであります。金のかからない教育の実現を公約された佐藤総理は、いかなる具体策をもって国民にこたえられるのか、来年度予算にはどのように反映されるつもりなのか、お伺いいたしたいのであります。また、総理の言われる教育開発のビジョンについて、できるだけ具体的にお示しを願いたいのであります。
 もう一つ、池田前総理の人つくり政策はなまぬるいと言われた、これと総理の教育観との違いをあわせてお聞かせ願いたいと思います。
 以上、総理並びに各大臣の明快かつ具体的な御答弁をお願いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。最近の国際情勢並びに国内の実情につきましては、辻君も認識しておられるところと同様に、やはり世界の平和と繁栄に向かっての努力が続けられていると思います。この意味におきまして、わが国においても、国民生活の安定向上、今日の苦難、これと真剣に取り組むということが問題になるわけであります。そこで、国の安全保障、わが国の安全ということについていかに考えるか、あるいは、憲法改正、これについてどう考えるかというお尋ねでございますが、いまの世界の平和に寄与する、また、私どもが平和国家として自由を守っていく、そうして、同時に自主外交を進めていく。その間に、ただいまの国の安全ということも考えてまいらなければならないのであります。私は、この安全の保障の考え方は、従来同様、日米安保条約を基幹にして、そうして、わが国の持つ、ただいまお話ししたような高い理想、これに邁進していく、ここにわが国の民族的な使命がある、かように私は考えております。中共が核爆発をした、このことにつきましては、国民とともに、国民の名において私は遺憾の意を表明をしております。一日もすみやかに、部分的核実験禁止条約に加盟することをおすすめしているわけであります。御承知のように、これは国連加盟でなくても、これに入っているのは、東西の両ドイツ、あるいはスイスなどがそのとおりでございますが、国連加盟とこの点を一緒にしなくてもできるわけです。私は、国連加盟しなければこの核禁止条約に加盟ができないとか、何か片手落ちである、こういう見方には、必ずしも賛成しないのであります。御承知のように、国連に加盟しておる大国でもこの条約に反対している国もあるような実情でございますから、要は、どこまでも、中共自身が持つ平和的な、また、各国お互いに手をつないで共栄の方向に協力するという国際協力、その実があがることが望ましいのではないかと思います。
 次に、物価問題につきましてお尋ねがございましたが、物価問題は、まことに今日当面しておる一番重要な問題だと思います。今日、物価問題につきましての名案というものが、どういう名案があるのか、こういうお尋ねでございますが、そう簡単には名案はなかなかございません。しかし、私、考えますのに、今日の物価問題を生じたその原因、それは那辺にあるか、これを十分検討していけば、この物価問題に取り組む政府の態度もきまってくるように思います。申すまでもなく、物価問題が起こりましたことは、急激な経済膨張、その結果ひずみを生じたということでありますので、経済を安定の方向へ持っていくことが今日何よりも大事だ。そうして、一番国民生活を脅かしておる台所のもの、消費者物価を安定さすこと。いわゆる全体の物価と申せば、ただいま申すように、経済の安定の方向へ持っていくことによって解決する以外にはない。しかし、台所物資その他の消費者物価につきましては、これは急を要する問題であります。われわれの工夫によりまして、今日の状態がさらに改善をみていくように思います。その意味におきまして、消費者米価の引き上げについてのお尋ねがあったと思いますが、ただいま政府といたしましてはこれを再考する考え方はございません。ただいまの米価をそのまま続けてまいるつもりでございますが、この中にありますあるいは徳用米制度であるとか、あるいは正月用のモチ米をいかにするか、こういうこまかな点につきましては、考え方をまとめましたが、全体としては遺憾ながら御希望に沿うような考えにはならないのであります。
 また、公共料金の引き上げ、いわゆる期限切れによって必ず大きな問題を起こすだろうということで御心配のようでございますが、私は、国民生活を圧迫しないように、できるだけ注意を払って、そして経済の正常の姿においてこれらのものが解決されるようにしていきたいと思います。どこまでも私どもの態度は自由経済を守り抜くところでございますが、しかし、必要やむを得ないものにつきましては、断固、政府の力で押えていく、かような態度を持してまいりたいと思います。いわゆるケース・バイ・ケースで公共料金の問題と取り組むというのは、かような意味でございます。
 農業問題につきましてのお尋ねがございましたが、これは農林大臣に答えさすことにいたします。
 また、北海道の冷害につきまして特に御注意等がございますが、私は、ただいまのところ、天候そのものに対して、科学技術が進歩いたしておりましても、なかなか克服ができない。ことしなどは、温床苗代自身も絶対のものではないということを北海道で経験しておりますので、問題の北海道に対しまする基本的な態度は、やはり適地適作だろうと、かように思いますので、この冷害対策も、とうといこの経験を生かして、万全を期する方向で研究をしてみたいものだと思います。
 最後に、人づくりの政策、池田政策と佐藤政策とどこが違うかということでございますが、池田政策の時代には、まだ、人づくり懇談会はいたしておりましたが、結論が出ておらないように思います。私は、池田総理の人づくり懇談会で取り上げられた問題は、いずれもそれぞれ大事なことであり、今日までのところ、りっぱな成果をあげていると思います。しかして、ただいまお尋ねになりましたように、教育の基礎をどこに置くか、基本をどこに置くかというお尋ねに対しましては、過般のオリンピック等でも私ども経験したのでございますが、いかにもわが国民の体位は他の外国に比べまして見劣りがいたします。体位の向上をもちろん重視して、健全な体躯のもと、りっぱな日本人をつくり上げたいと思いますが、それには、やはり、何と申しましても、健全な徳性と同時に、高い情操を持つ、りっぱな資性のある国民を涵養、養成していくことが大事ではないか、かように考えますので、この教育のたてまえ、ことに青少年に期待するものが大きいだけに、ただいま申し上げますような、心身ともに健全であって、そうしてりっぱな日本人になる、同時に世界市民としても平和を愛好する国民だ、かように、そのつとめを果たし得るような、りっぱな人をつくりたい、かように私は考えます。もちろん私学振興等におきましても十二分に意を払わなければなりません。また、私が七月に公約したといわれる、いわゆる義務教育その他の教育費の軽減の問題につきましては、これはもちろん短期間に片づく問題ではございませんが、できるだけ早くそういうような実現に努力をしてまいりたい、かように思います。今日、ことに中年齢層の家庭など考えました際に、教育費がいかにもかさんできておる。ことに給料もその辺で中だるみする、こういうことで、何かと苦労が多いように思いますが、こういう点につきましても政府が十分に思いをいたして、そうして教育の万全を期してまいりたい、かように考えます。
 また、予算編成につきましてのお尋ねがございましたが、来年度の予算はただいま成案を得つつある段階でございますので、この機会に申し上げることは適当でないかと思います。一言申し上げたいのは、どこまでも健全均衡財政を貫いていきたい、そうすることが現下の経済情勢に対応するゆえんでもある、かように考えますので、この点だけは貫いていきたい。しかも重点的な施策がおのずからきまってまいりますので、そういうものをつくっていく、もちろん財政的には困難な時代でございますので、十二分のことはできないように思います。
 税制についてのるるのお尋ねがございましたが、大蔵大臣に説明させることにいたします。(「北方領土」と呼ぶ者あり)
 北方領土の問題につきましては外務大臣がお答えするだろうと思いますが、私は、日ソ共同声明によって、講和条約ができ上がった際に、ソ連は歯舞、色丹を返してくれると、かように申しておりますが、われわれの主張は、歯舞、色丹だけではなく、国後、択捉、これはしばしば本来の領土であるということを主張しております。ソ連自身は、遺憾ながらこれにつきまして、すでに領土問題は解決しておる、かようなことを申しておりますが、国連等におきまして二十四カ国植民地会議、それなどでソ連が発言したことに対しては、他の国も日本の主張を支持して、これに直ちに反駁をしておる。そういう事実もございますので、この点は、国民の皆さまとともに強くその実現を、国際世論の支持を得た上で、これを実現したい、かように考えております。(拍手)
   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(椎名悦三郎君) 北方領土の問題について御質問でございました。ただいま総理大臣から詳細な答弁がございましたので、つけ加える何ものもないのでありますが、いま総理も指摘されたように、日ソ戦争終結の宣言において、歯舞、色丹の返還は平和条約締結を条件とするということになっておるのでありますが、その後、フルシチョフ前首相はじめソ連は、この条件に加えて、日本から米軍の基地を全部取り払うこと、それから沖繩の施政権の返還というような問題をさらに加重いたしまして、この問題を非常にあいまいなものにさせておるのであります。そのつど、われわれは絶対に、この問題は約束と違う、歯舞、色丹についてはすでに共同宣言に明示さたとおり平和条約を条件にするということになっておる、それから国後、択捉は、これは、かつて他国の領土であったことはない、本来の日本の領土であるというたてまえを堅持して、あらゆる場合にこの領土の問題をわれわれは主張しておるのであります。今後も国連の場その他においてこの主張をあくまで貫きまして、ただいま総理からお話のありましたように、世界各国の同調を求めて、この問題の終局的な解決に努力したい、かように考えておる次第であります。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(田中角榮君) 私からお答えいたしますものは三点でございます。
 その一点は、来年度予算につきましての財政規模についてでございます。総理大臣からお答えを申し上げましたとおり、その基本的姿勢は健全均衡でございます。それから、財政規模に対してどうかということでございますが、現在各省から提出せられておりますものの事務査定を続けておる段階でございまして、さだかな数字をここで申し上げる段階ではないことは御承知のとおりでございます。ただ、基本的な問題を申し上げますと、国際収支の長期安定、経済の安定成長の確保、物価の安定、いわゆる安定三題の実現を目標にいたしておりますので、いままでのように財政が景気を刺激するというようなことに対しては、よりきびしい態度でなければならないということは申し上げられると思います。現在すでに安定成長期に入っておりますので、過去何年かに比べてみますと、いままでのように税の自然増収を大幅に期待をすることはできないということでございますので、数字の上からも財政規模は相当引き締まりぎみのものになるということは申し上げられると思うわけでございます。
 それから、第二の減税問題について申し上げますと、税制調査会の答申待ちというのが現状でございます。また、与党である自由民主党でも税制調査会の活動を始めたわけでございますので、政府は、税制調査会の答申を待ち、かつ党との間にも十分折衝をいたしながら、減税の規模をきめてまいりたいと考えます。
 減税につきましては、所得税を軽視しておるというお話でございますが、所得税軽視ではなく、所得税重点主義でございます。これはもう過去の実績が明らかにこれを証明いたしております。過去十年間に一兆二千億の減税をいたしました。その九〇%、約九千億が所得税減税であるという事実が証明するとおりでございます。しかし、御指摘もございましたように、明年度からの減税の規模等を考えますときに、乏しい財源の中でも、わが党の基本的な施策であり、わが党内閣の基本的な姿勢である減税政策は、相変わらず続けるわけであります。開放経済を迎えまして国際競争力をつけなければならない、また、そうすることがわれわれの将来のレベルアップを確保する唯一の道でもありますので、企業減税もあわせて行なうという考えでもございます。要は、両者の適当なバランスをとって、適切な減税案をつくって御審議を願いたい、こういうことでございます。
 第三の公債発行論でございます。公債発行論については、四十年度から内国公債を発行するという論が一つ、将来も発行しないという論に分かれるのでございます。ただいままで申し上げましたように、安定成長をはかるためにも、また物価の安定をはかるためにも、健全均衡の基本的姿勢を守っていくのでありますから、その意味から、四十年度に内国債を発行して一般会計の財源を公債によって求めるという考え方は持っておらないわけでございます。同時に、総需要が多いわが国の現状で、少なくとも公債は発行したくないという考え方でございますし、現在よしんば発行したいという考え方を持っても、起債市場が確保せられておらないので、発行するとしても日銀引き受けのようなものしかできないのでありますから、現在の状態では発行しない、こういうのが正しいと思います。将来の問題としましては、学問的にも実際的にも十分研究をして、将来の公債発行の素地をつくるためにも、起債市場の確保等を十分はかっていくべきである、こう考えるわけであります。(拍手)
   〔国務大臣高橋衛君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(高橋衛君) 御質問の第一点は、本年度経済見通しにおけるところの消費者物価の上昇割合四・二%の実現はできるかという点にあったと存じます。御承知のとおり、また御指摘のとおり、上半期においては三・二%の程度にとどまった次第でございまして、昨年度に比較して非常な安定的な方向に向かっていることは御了解願えると存じます。ところで、先般政府は、来年一月から消費者米価を一四・八%だけ引き上げることの決定をいたした次第でございますが、これがCPIに及ぼすところの影響は、年度間において約一%でございますが、一月から三月分については、その四分の一、〇・二五%だけ影響する次第でございます。なお、CPIにおいては一%程度の影響でございますが、今年の一月から八月に至るところの全都市全世帯平均の生計費の調査から見ますと、米の支出は一世帯当たり二千九百九円でございます。これに対して配給米一四・八%、非配給米――これは前の値上げの際の比率をとったわけでございますが三・三%、平均一〇・六%という値上げ率を掛けてみますると、月約三百円に当たるわけでございます。したがって、これは〇・七%に当たりまして、CPIにおけるところの指数よりはさらに下がったことに相なるかと存じます。なお、その他の公共料金等の問題につきましては、先ほど総理からお答え申し上げましたとおりでございまして、政府は、何とかしてこの目標であるところの四・二%を確保したいということで、ただいま努力をいたしておる次第でございます。もちろん物価は各種経済活動の結果として生ずるものでございまするが、とにかく見通しを何とかして確保いたしたいという強い決意のもとに、物価対策に当たっていることを申し上げておきます。
 なお、中期経済計画において、二・五%の消費者物価の上昇率を示しておるが、これが確保できるのかという御質問が第二点だったと存じます。この中期経済計画におけるところの問題は、むしろ昭和四十三年度において国際収支が経常収支においてバランスをとるということ、いま一つは、消費者物価が年度間二・五%にとどまるということを条件として、そういうふうな条件のもとにおいていかなる経済政策を行なったらこの条件が満たされるかという形で、科学的な計量経済学の手法を用いて行なわれたのがこの中期経済計画でございます。したがって、あの答申のありました中期経済計画の考え方を指針といたしまして、先ほど総理からお答え申し上げましたとおり、安定的な基調のもとに経済の運営をはかるならば、この二・五%という消費者物価の確保もなし得ると、かように考えておるわけでございます。(拍手)
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(赤城宗徳君) 私に対するお尋ねの第一点は、このたびの消費者米価の値上げについて、米価審議会を無視したのではないかというお尋ねでございます。それは全然違っております。閣議において協議をしましたけれども、それは米価審議会に諮問するのにどういう案で諮問したらいいかということの了解を得たのでございまして、米価審議会の議決を経ましてから、消費者米価の答申がありましてから消費者米価の決定をいたしたわけでございます。消費者米価の算定は、家計の安定をそこなわない、それに基づいて経済事情等をしんしゃくするということでございますから、案といたしましては、二〇%ぐらい家計米価の限度でございまして、そうすると、十キロ当たり千百四十円ぐらいになるのでございます。これは率にすると一九・四%になります。しかし、米価審議会の審議の経過等もよく勘案いたしまして、結論的には逆ざやを解消する程度にとどめたいということで、御承知のように、一四・八%ということに値上げ率をきめたのでございますので、米価審議会への諮問及び審議の経過等をよく考えて、そうして決定いたしたのでありまして、米価審議会を無視するというようなことは全然ございません。これからも十分民主的にその運営をはかって、意見を尊重するつもりでございます。
 第二は、土地の流動化について、農地法との問題で、小作料とか、農地取得の制限とか、離農対策をどうするかということでございます。農地を流動化して、その流動が農業経営の拡大に資するようになることは好ましいことでありまして、そういうことが構造改善の本質的な問題だろうと私も思っております。それで、それに伴って小作料が非常に低いではないかということでございます。小作料につきましては、高額小作料の実現は好ましくないことでございますが、そうして、また、農地法にも、小作農の経営の安定を旨としてと、こういうことがきめられておりますので、それを旨として適正な基準に小作料をきめていくということにつきましては、検討をいたしております。それから、農地取得の制限でございますが、これは家族労働力を主として経営する場合におきましては、農地取得の制限はいまございません。幾らでも多く取得できるようになっております。それから、経営規模の拡大に伴って、いま離農が多いのでございますが、この離農対策をどう考えておるかということでございます。離農が農地の拡大等に資する場合におきましては、離農する者等につきまして長期低利の資金等を融通する、あるいは職業のあっせんをいたすという方向につきまして、検討を続けていっているわけでございます。
 第三は、農産物の価格対策でございます。ただいま農産物に対しましては、米、麦、でん粉、繭等々がありますが、こういう農産物の七割程度は価格支持をいたして、相当の財政支出もいたしております。でありますので、本格的には、農業の生産性が向上するための構造政策とか、生産政策が重点でありますけれども、それまでにいく過程におきまして、価格対策を重視してこれを行なっていかなければならないことは当然でございますので、この価格対策の強化につとめていきたいと思います。その中で生鮮食料品等の流通対策をどうしていくかというお尋ねでございます。生鮮食料品の流通改善対策につきましては、昨年七月、閣議決定を経て、それぞれ進めておるわけでございます。生鮮食料品に対しましては、生産対策から消費対策まで一貫して講じていかなければならない問題であると思います。で、生産産地の指定、あるいは生鮮食料品の価格安定資金の拡大等をまずはからなければなりません。流通対策としましては、中央卸売市場等の整備とか、あるいは新規開設計画を、八カ年の目標でこれを進めております。そのために手数料の引き下げとか、あるいは仲買い人の統合とか、こういう方面を中心といたしまして、市場対策を講じております。なお、小売りのほうにおきましては、食料品の統合小売り市場を小売り人の共同によってつくっていきたいという法案を提出いたしたのでありますけれども、いま継続審議になっております。こういう方面を推進して、小売りのほうも合理化していきたい、こう考えております。
 第四は、北海道の農業に対して抜本計画を持っておるかどうかということでございます。北海道の冷害につきましては、まことに遺憾でございます。でありますので、応急対策も講じておりますが、北海道の寒冷地農業の確立ということが必要であると考えます。でありますので、品種等につきましても、従来も改良を加えて耐冷・耐寒の品種をつくってきておりましたが、さらに一そう品種の改良あるいは技術の推進等をいたしていきたいと思います。第二は、何といたしましても、土地改良が必要でございます。土地が肥えておるということでございますならば、耐寒・耐冷の強い力を持つのでございますので、土地改良を強力に進めていきたい、こう考えております。それから根本的には、やはり畑地農業、酪農等を中心とした寒冷地農業といいますか、そういうものを確立していかなければならないと思います。従来もそういうふうにやっておったのでありますが、これを強力に推し進めていきたい、こういうふうに考えております。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(重宗雄三君) 天田勝正君。
   〔天田勝正君登壇、拍手〕
#14
○天田勝正君 私は、民主社会党を代表して、総理の所信に対し、以下四項目にわたって質問いたしますが、総理に直接関係せざる限り、関係閣僚で答弁されてもけっこうであります。ただし、懇切かつ明快な答弁を期待いたします。
 第一は、国連警察軍についてでありますが、佐藤総理は、去る十四日、総理官邸に外務省の首脳を招いて会談の際に、ソ連、カナダが提唱しております国連軍創設について、わが国憲法の許す範囲において協力するよう指示したと伝えられているのであります。これは事実でありますかどうか。もし事実とすれば、確かにこの問題は検討に値する問題だと思うのであります。しからば、総理の言う憲法の許す範囲での協力とは、いかなる内容であるか、お示し願いたいのであります。国連警察軍につきましては、すでに実際にございます。スカンジナビア三国のそれであり、この内容は、御承知のごとくに、自国の防衛分とは別に、国連軍を自国の負担において持つ。三国の総数が四千。兵力の使用は、国連総会、安保理事会あるいは事務総長、いずれかの決定による。各国政府の同意を条件とする、等でございますが、このような内容のものをさすのでありましょうか、別のものでありましょうか、伺いたいと存じます。
 第二の問題は、自主防衛についてであります。これまた去る十四日、小泉防衛庁長官が総理と会見した際、総理は、わが国の自主防衛の推進について強調されたといわれます。自主防衛ということばは簡単でありますが、特に佐藤内閣になってこの点が強調されたについては、深い意味があると思うのでありますが、いかがでございましょう。いままでの保守政権のもとでは、平和の考え方が力の均衡論でありました。そこで、わが国はアメリカの核戦力の「かさ」のもとに入って力の均衡を保って安全を保つと、こういう考え方は一貫されておったのであります。ところが、現に、中共の核爆発、さらに科学の進歩から、中共が実用的核保有国になるのは、三、四年後であろうと予測されるのであります。そういたしますと、均衡は破れるということに相なります。こういう際に自主防衛というのでありますから、だんだんわが国においても核戦力の準備をするという予測も出てくるのであります。あるいはまた原子力潜水艦が参りましたが、それは推進力ではなくして、やがて本物の核兵器を積んだ潜水艦の配置を考えるのである、かようになりますが、この点はいかがでございましょう。もし私が申し上げた点を否定をなさるならば、この際、核兵器持ち込み禁止の一般協定を締結すべきであると存じますが、いかがでございましょう。
 次に、総理は過日、世界平和を米ソ両国関係の動向にのみ依存せしむべきではないと述べられました。確かに、もはや両国関係に依存することは困難な事態になってきたのであります。かかる事態に対処するわが国の果たすべき課題は、中共をいかにして国際舞台に引き入れるかという具体的なプランでなければならないと思うのであります。外務省は、最近、中共の核停条約への参加を呼びかける方針を決定されましたが一方では国連への仲間入りを拒否しながら、他方においては協調だけを求めるということは、私は相手を動かすことにはならないと存じます。政府は、中共に国際協調を求める以上、国際舞台参加について具体案を示すべきであると思いますが、いかがでございましょう。
 また、自主防衛に関連いたしますが、過日小泉長官は、予算につきまして、「F104をつくってもうけるのは業者だけである。役人が騒げば騒ぐほど思うつぼにはまる。自衛隊が国民のためなら、士気の高揚のほうが大切なんだ」と言われたと伝えられますが、そうであれば、自主防衛との関連でこれがどうなるか。いままでわれわれに申されてまいりました第二次防衛計画を改めるというのでありましょうか、伺っておきたいと存じます。
 次に、住宅問題でございます。総理の所信の内政面における特徴は、社会開発を強調されたことであります。しかし、あまりに目標が羅列されておりまして、内容はさっぱりわかりません。一々を聞いてまいりたいのでありますが、時間がありませんから、その中で、総理が特に力を入れられた次の点、「政府は、勤労者の住宅対策に重点を置き、住宅の建設、宅地の供給等、諸般の措置を強力に進めて」いくと、こううたいあげられました、この点だけを質問いたします。
 前内閣まで幾たびか住宅建設計画が発表されたのでありますが、それは実施されておるのでありましょうけれども、事態は好転されない。このことは、計画が質を無視したところの戸数主義、政府計画といいましても、民間依存主義であったからにほかならないと思います。三十九年度施策住宅三十万戸といいますけれども、内容は公営公団住宅が十万五百戸であります。あとは金貸し住宅であります。しかも、戦後二十年もたったのでありますから、自力建設に依存するといいましても、一応自分の力で建てられる人は、一巡したと思います。今後の重点は、あくまでも自分の力で建てられない人たちの住宅建設でなければなりませんが、いかがでございましょう。
 ここに一つの例をあげますが、今後は自力で住宅は建てられません。なぜかといえば、消費者物価は三百九十七倍に昨年度でなっておりますが、公務員給与のほうは、昔の高文、いまの上級試験、これに合格して任官いたしましても、比較すれば百七十倍であります。課長さんになりましても二百六十倍でありますから、その給与自体が物価に追いつかない。その上、住宅費はどうなっているかというと、七百九倍という数字が出ております。けれども、これは面積当たりの単純比較でありまして、質が低下したことは何ら考慮されておらないで、この倍率であります。土地のほうはどうかというと、千六百倍になっているのでありまして、これも距離の点は考慮せざる倍率であります。いうならば、所得のほうは一定しているのに、住宅のほうは三倍から五倍に上がった、宅地は五倍から十倍にはね上がったというのでありますから、自力建設はもはやできないのであります。こういう家を建てられない人の対策を立てなければならないけれども、その根本は、土地問題であります。私は今日時間がなくて、土地問題の本質に触れることのできないのを残念に思いますけれども、一つの考え方は、土地は人間の生産物ではないということ、地球を製造した人は、どこにもいないということにかんがみますれば、別の方策を立てなければならない。根本論には触れませんが、保守党政権でも直ちにできることを考えるならば、私は、土地建物の提供に対して、売るも貸すも、一定の基準を設ける、その一定の基準以下で提供した者に対しては、税法上の特別の措置を講ずるし、それ以上で提供した者には、累進課税もこれはやむを得ない。このくらいやったら、幾らか土地の引き下げに役立つのではなかろうかと思うのであります。そのことは、国有財産で現に住宅を貸し、そして売っている基準があるのでありますから、やろうとすれば直ちにできることだと存じます。ところが、現在はまるで反対でありまして、もし、安く土地を譲渡する人があれば、相続税課税標準価格なるものを各税務署が持っておって、そしてこれより安ければ呼びつけて疑いをかけられる。あべこべに大蔵省が地価引き上げをはかっているのが実情である。これは全部材料を持っておりますから、委員会で申し述べます。
 次に、公団住宅でありますが、これも理由をつけまして、みんな月額一万円くらいの家賃になってしまう。これでは庶民の手が届かないのであります。根本的に解決するには何か。それは公団が、公法人でありましても、政府関係機関でないから、一般会計から金をつぎ入れることができない、ここにあります。でありますから、これを改組いたしまして、国民住宅公社か何かにして、政府関係機関にする、こういう考えでなければ、政府の申された点に合致しないと思いますが、この点についてはいかがでありますか。
#15
○議長(重宗雄三君) 天田君、時間が超過いたしましたので、簡単に願います。
#16
○天田勝正君(続) すぐ、簡単にやります。
 次に、都市再開発について伺いますが、いま、東京都の二十三区でも、実は一・七階の平べったい家が無制限に並んでいる、こういうことであります。これではならないのでありまして、これを中高層住宅にいたしまするならば、住宅地の五、六倍の空地ができます。そういうことによって安息の地が求められると思います。どだい、人間の安息は家庭にありますが、家庭とは家と庭と書きます。
#17
○議長(重宗雄三君) 天田君、簡単に願います。
#18
○天田勝正君(統) コンクリートの壁だけでは安息はとれません。そこで、私は、こうした都市再開発公団でもつくって、多くの空地をつくって、一人一人持てない庭は、公共の緑地、公園、こういう庭を持たせなければ、またそれをやらなければ政治ではないと思いますけれども、この点に対する考え方を伺いたいと思います。
 最後に一つだけ伺いますが、消費者米価の問題であります。これはいままで聞いたことのない観点から聞きますが、私は、食管制度というものは、二重価格があって、その差があればあるほど効果のあるものだ、ところがスライド的に消費者米価を上げているというのでは、もはや食管制度自体の切りくずしだと思うのであります。そこで、今回の措置をきっかけとして食管制度をやがてやめていくという考え方ではないかと思うのでありますが、この点いかがでございましょう。
#19
○議長(重宗雄三君) 天田君、簡単に願います。時間が超過しております。
#20
○天田勝正君(続) はい。さらに、今回の値上げについては、非常に悪評を買っておりますけれども、しかし、私は、誤りであるならば、さっそくこれを正す、改めるに恥ずるなかれでありまして、でありますから、一たん決定しました米価でありましょうけれども、この際、物価全体を考えるならば、節約のできない主食につきましては、撤回すべきであろうと存じますが、この点はいかがでございましょうか。
 以上をもって質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
 私、組閣いたしまして、いろいろ勉強いたしておりますが、その際に、国連警察軍、そういうものは具体的に進んでおるかどうか、こういうことをお尋ねしたことは確かにあります。しかしながら、ただいま国連におきましても、国連警察軍の任務なり、また組織なり等については、具体的なものはございません。したがって、ただいまの状況では、憲法その他等々と関連して研究する事態にはなっておりません。
 次の、自主防衛の問題でございますが、自主防衛、ことばは非常に簡単でございますが、わが国が終戦後独立して以来、わが国の国土は、わが国民によってこれを守る、この基本的態度はきめております。しかし、国の力、また国情等がございますので、この国力相応に防衛体制を整備していくということを申しております。この点が自衛隊におきましても強く要望され、国民の皆さま方からもこういう点で要望されておると思います。今日までのところ、わが国の安全は、御承知のように、日米安保体制のもとにおいてこの安全を確保し、しかも、わが国の国情また国力に相応して防衛体制をつくっていると、かような実情にございますことは、御承知のとおりでございます。
 なお、これに関連いたしまして、今後核兵器を持ち込むだろうかどうだろうか、また、そういう意味の持ち込まないということをはっきりさしてはどうか、こういうお尋ねでございますが、安全保障条約によりまして、重要な装備の変更は必ず事前協議を要する、こういうことになっており、そして岸・アイク共同声明では、日本国政府の意思に反してアメリカは自分の考え方を押しつけるような意向はないということを申しております。この点は、はっきりいたしておりますので、私どもがたびたび申しておりますように、核兵器の持ち込みは絶対に許さない、この態度を厳重に守っていくつもりでございます。
 安保体制のもとにおきましては以上のことでございますが、中共をむしろ積極的に国際舞台に入れたほうがいいんではないか、こういうお尋ねでありますが、先ほど辻議員のお尋ねにもお答えいたしましたとおり、中共が国際世論を無視して核実験をいたしたことには、私どもまことに遺憾に思いますし、また、国連加盟とは一緒にしなくとも核実験禁止条約に加入する道がございますから、その点を、国際世論を背景にしてわが国は強く要望しておるような次第でございます。
 次に、社会開発についてお尋ねがありました。確かに社会開発と申しますものはまことに多岐にわたるものであります。したがいまして、全貌を明らかにすることはなかなか困難でございますが、特に私は、このうちで、いま衣食住と、かように申しますが、衣食と比べて住生活が非常におくれておる。こういう意味から住宅問題を取り上げたい。勤労者住宅をそういう意味で取り上げておるのであります。そういたしますと、当然、地価の問題にぶつかるんじゃないか、こういうことでございますが、これもいろいろくふうしてまいれば、地価の問題、あるいは土地の問題自身も解決できるのではないか。私は、交通を整備することもその解決の方法ではないかと思います。いままでの交通が整備されてくれば、いなかのお百姓さんでも、自分の土地、その土地に住宅を楽に建設することもできるのだ、これも、ただいまの農家収入を確保すると、こういう意味合いにおいては必要なことのように思います。ただいままで、もう自力でつくる力はなくなったのだ、かように言われますが、さように簡単に片づけるべき問題でもなく、国民の協力をお願いしなければならない問題だと思います。
 なお、第二次防衛計画は改めるようになるのかということでございましたが、ただいまさような考え方は持っておりません。(拍手)
   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(推名悦三郎君) 天田さんから国連警察軍の問題に関して御質問がございましたが、ただいまの現状について申し上げたいと存じます。
 先般ソ連は、国連警察軍の創設を提案したのでございます。その趣旨においては、各国とも大体において賛成のようでございます。日本といたしましても、国連警察軍の創設はまことにけっこうだと思うのであります。しかしながら、ソ連の提案の内容を見ますというと、保安理事会がすべてこれを掌握して、国連警察軍に関するすべての問題を掌理するということになっておるのでございますが、そのほかに、もう一つ、各国から提供する軍隊、この安保理事会の常任理事国はそれから除外されるということになっておる。これらの点に非常に問題があるのであります。こまかく申し上げる時間もございませんが、第一、安保理事会は、拒否権の行使によって、すべての問題の進行を停止することができる。こういうことでございますから、円滑なる国連警察軍の運営ということは、この拒否権の存在ということによって停止される、こういうことでございます。先般、朝鮮事変の際に、この拒否権のために国連軍の供出が不可能に当面したのでありますが、総会を開いて、そうしてこれにかわって、総会で決議をした結果、国連軍の供出ということになったのであります。日本といたしましては、この国連軍の問題については、いま申し上げたように、多分にいろいろな疑義がありますので、これらの問題が具体的に国連の場において討議される場合、その解決を待って、そうして、りっぱな国連平和軍が創設されることは、まことに望ましいことでございますが、それができ上がる前においても、すでに平和維持のために国連があらゆる事態に対処し得るようにしなければならぬ。そのためには、安保理事会が動かないという場合には、ただいま申し上げたように、総会がこれにかわるという、従来の方式をとるべきであると考えております。で、この点に関しましては、北欧三国の提案による国連待機部隊の設置――同様な提案がカナダからも出ておるのでありますが、これは自国軍隊と別に、国連のの要請がある場合には、すみやかにその要請にこたえるような待機部隊を常設しておくと、こういう案でございまして、これはただいまの事態においては時宜に適するものであると、かように考えております。いずれにいたしましても、国連平和軍の常設は、まことにけっこうなことでございまして、この問題に関しては、今後とも各加盟国は、これらの問題に関連するあらゆる問題の解決に努力すべきである、さように考えております。
 さような場合に、日本として、この国連警察軍にどう具体的に対処すべきであるかというような問題については、あるいは憲法上の問題になるかもしれません、そういったようなことにつきましては、目下、法制局において研究されているはずでございます。(拍手)
   〔国務大臣小泉純也君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(小泉純也君) 佐藤総理から防衛庁の重点施策について意見を求められました場合に、いままでの私が考えておる自衛隊に対する方針を申し述べて、佐藤総理におかれましても、独立国は日本人自身が自分の国を守るという国防意識の徹底をはかり、できるだけ自主防衛の方向に努力をするようにとの御指示があったのでございます。だからといって、自主防衛のその具体的な内容について特別の意味があるのではないのでございまして、一例を申し上げますれば、MAPの打ち切り等によって第二次防衛計画に支障が生じないように、あるいはアメリカからの装備の打ち切りを国産品に切りかえて計画どおりにこれを遂行するとかいうようなことでございます。
 なお、佐藤総理には、特に、日本の自衛隊の存在の理由、その目標というものは、あくまでも祖国の平和を確保し、国民の生活を守るという、この点を今後ますます強調をいたし、自衛隊員も、祖国の安全を守る重大なる任務を背負っておるという自信と誇りとを持っていくようにという、力強い御指示があったのでございまして、私は、こういう点を、記者クラブでの発表の際に、総理におかれては国防に対する関心が特に強く、そして積極的なお考えであるということを申したのが、新聞によって、自主防衛を総理が強調をされたというような記事になってあらわれたのだろうと存じます。
 先ほど総理からお答えがございましたとおり、あくまでも日米安全保障体制のもとに、国力、国情に応じて自主的防衛力を強めていくということに努力する所存でございます。
 なお、新聞に載っておりました記事を引用されまして、私が104ジェット戦闘機継続生産につきまして冷淡であるというようなお話がございました。会社がもうけているとか、あるいは役人どもが騒いでいるとかいうことがございましたが、私はさようなことを申したことは全然ございません。ただ、天田先生も御承知のとおり、わが国防力整備のためには幾多重要な懸案が山積いたしております。たとえば、基地問題の対策の強化、あるいは欠員の補充、あるいは陸上自衛隊の装備の改善近代化等、いろいろな重要問題があるのでございまして、私が申しましたのは、104ジェット戦闘機の生産のみがオールマイティではないのである、幾多重要な問題がある、しかし、またその重要な問題の一つとして、ジェット戦闘機の継続生産は第二次防衛計画の中に入っているのであるから、これをば大いに熱意をもって大蔵省と目下折衝をいたし、四十年度に実現をしたいのであるというようなことを、私が記者諸君に申したことはございます。ただ、そういうジェット戦闘機の生産のみがすべてではない、いろいろ重要問題もあるというようなことが、こういうふうな記事になってあらわれたのではないかと存じますので、この点、天田先生にも御了承をいただきたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣小山長規君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(小山長規君) 私に対する御質問は住宅問題であります。総理がたびたび申されますように、社会開発のうちで特に住宅を重視するのであるという点でございますが、政府としましては、昭和四十五年度までに一世帯一住宅、こういう目標を達成するために、昭和三十九年度からは七カ年間に七百八十万戸の建設を計画しておるわけであります。そのうちの三百五戸以上、これを政府施策住宅として建設したい、こういう計画でありますが、その内訳は、低所得者、所得の低い方方に対しては公営住宅をもって供給しよう、それから中堅の所得の方々に対しは公的な賃貸住宅、いわゆる住宅公団による供給あるいは住宅金融公庫による供給をしていこう、こういう考え方でありまして、近く国会にもおはかりいたしたいと思っておりますが、サラリーマンの方々を特に重点といたしまして、それぞれ給料の中から月額わずかずつ積み立てをしていただき、それに対しましては税法上の優遇措置も講じて、そして一定額の積み立てが終わりましたならば、それを見返りとして住宅金融公庫からお金を貸してあげて、そして将来に対する住宅の希望を持っていただくと同時に、現実に住宅を手に入れていただく、こういう施策を講じたいというので、ただいま、予算あるいは法制上の準備をいたしておるわけであります。
 ところで、次には、公団住宅の家賃が高過ぎる、これは一般会計からの繰り入れがないためではないかというお話でございますが、公団住宅
 は都市勤労者のために低廉な家賃で供給することを目的としておりまして、その家賃のきめ方は、七十年の期間に償却を終わろう――非常に長いのであります、七十年の期間に償却を終わり、しかもその年利は四分一厘、こういう低い率で償却をしようということを基準としまして家賃をきめてありますから、したがって、大体一カ月約八千円から一万円となるのでありますけれども、これはおおむね所得の二〇%くらいを目標としてきめているわけであります。その建設資金に対しましては、一般会計からこそ繰り入れはしておりませんが、産投会計から大幅な繰り入れをしているのでありまして、それは、たとえば昭和三十九年度について申しますれば九十五億円、昭和三十年の公団発足以来六百七十二億円、こういう多額の金を入れているのであります。公団であるから高いというわけではないのでありまして、要は、国の援助がどの程度あるかにかかわるわけであります。国の援助を大幅に出そうといたしますと、当然に家賃は安くなりますけれども、同時に、国の財政に限度があります関係で、よけい戸数が建たない、十分なる戸数を供給することができない、こういう悩みが出てまいります。
 またもう一つは、宅地が高過ぎるのではないかというお話でありますが、宅地については、たとえば強制収用の道はあるのでありますけれども、強制収用については、適正な価格で補償しろということになっているわけであります。でありますからして、どうしても時価に近いところにならざるを得ない。そこで、これを、たとえば公定価格をつくったらどうか、あるいは価格を凍結したらどうかという議論が出てくるのでありますけれども、これまた、憲法上の問題その他いろいろむずかしい問題が出てまいりますので、ただいま結論に至っていないのであります。また、都市の中に住宅をつくって、そうしてそこにアパートをつくったらどうかという御意見、まことに賛成でございまして、私どもも、市街地開発という考え方でこれをぜひ進めたいと考えているわけでありまするが、これまた、安い土地を手に入れるということが、現在の憲法上のたてまえから申しまして、適正な補償というたてまえから申しますと、なかなか困難な問題が起こってまいりますことを、つけ加えて申し上げておきます。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(田中角榮君) 住宅政策の推進に努力いたしておりますことは、御承知のとおりでございます。
 特に、住宅のうち、土地の確保に対して税制上優遇の道を講ぜよ、こういうことでございます。御承知のとおり、現在でも各種の税制上の優遇措置を講じているわけでございますが、なかんずく、御指摘の、土地を低廉に譲渡をした場合、特に相続税の評価額によって課税をしているので、地価をつり上げているという傾向だという御指摘でございますが、これは天田さん御承知のとおり、相続税の評価額そのものが非常に低い、時価よりも相当低く押えられております。でありますから、これで税を取るために地価をつり上げているという事実はないわけであります。それから、時価よりも二分の一というように安い価格で売り払った場合にどうなるかということでございますが、これは御承知のとおり、適正な価格の地価で売り払われたものと解して課税しておりますが、ただ、その安い部分につきましては、譲渡を受けた者が次に譲渡するまでその半額は課税を猶予している、こういうことも御承知のとおりでございます。
 第二点は、中高層及び空間利用によって地価対策を考えろ、これはもうそのとおりでございまして、三十九年度の地方税及び国税の税制の改正におきまして、四階建て以上の高層住宅の用に供する建物に対して、不動産取得税及び固定資産税の大幅な減免措置を行なっていることで御了解をいただきたい。なお、不動産取得税及び固定資産税等の減免措置によって都市の立体化等がはかられ、空間利用がはかられることによって地価対策が行なわれるということは、先進国はほとんどこの措置をとっておりますので、これらに対してはもっと前進的な施策を進めてまいるつもりでございます。(拍手)
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(赤城宗徳君) 私に対するお尋ねは、スライド制をとって食管制度を切りくずして、そのうちに廃止するのじゃないかということでございますが、逆でございます。いまのままで生産者米価はどうしてもこれは上がりますし、賃金が上がればどんどん上がることは、これは必至でございます。消費者米価はちっとも上げない、こういうことで、千九百億の赤字、二千億だ、三千億だ、五千億だ、こういうことにしておきますというと、結局食管制度が崩壊するということに相なるので、むしろこのたびの消費者米価の値上げは、食管制度から見れば、食管制度を健全化する、こういうことでこれを守っていこうということでございますので、御指摘の点と、まるで逆でございます。
 それからスライド制はどうかということでございます。自由価格でありますならば、需要供給によって価格がきまると思います。しかし、いま統制下でございますが、統制下においても、コスト価格といいますか、コストを無視して価格の決定ということは、これはあり得ないと思います。でありまするから、生産者と消費者との間の米価におきましても、それは関連性が当然ある。ただその関連性をどの程度でとどめるか、その内容について、すなわちスライドの内容についてはいろいろ検討する面があろうと思いますけれども、スライドすること、そのことを否定することは、これは間違っておる、こういうふうに私は考えております。
 それからこの米価の決定――主食の決定を取り消す、やめる意思があるかどうかということでございますが、家計におきます米支出の割合は逐年低下してきております。経済企画庁長官からも答弁しましたように、米支出価格の増加の程度は、全都市平均では一%程度でございます。食管制度を健全に維持していくためにおきましても、また家計に及ぼす影響もわりあいに少ないのでございますので、これを撤回するような意思は毛頭持っておりません。(拍手)
    ―――――――――――――
#27
○議長(重宗雄三君) 鶴園哲夫君。
   〔鶴園哲夫君登壇、拍手〕
#28
○鶴園哲夫君 私は社会党を代表しまして、総理ほか関係大臣に若干の質問を行なうものであります。
 「所得倍増政策」で始まって「ひずみ是正」で終わった池田内閣を踏襲して佐藤内閣が誕生したわけでありますが、ひずみの最大の存在であります農業問題に限定してお伺いをいたしたいのであります。
 農業基本法制定以来、立ちおくれた農業生産性向上と格差の是正を目標に農業構造改善事業が推進されて、四年目が終わろうとしています。にもかかわらず、生産性向上と格差是正が、四年目よりさらに一そう深刻に大きな声で問題にされているところに、今日の農業問題があります。農業構造改善事業は、どんな町村でも限られたごく一部で行なわれているにすぎません。政府の思惑どおりに十年間に三千の指定が行なわれたところで、全国農村の五%足らずが事業地となるにすぎないのであります。問題は、こういう構造改善事業に市町村がだんだん熱意を失ってきていることであります。農林省の十月末現在の取りまとめによりますと、三十七年から三十九年に、計画地域千六十三のうち実施地域六百九十二で、実施率六十数%となっております。また、三十八年に指定を受けた四百地域のうち三十九年に実施に移ったのはわずかに百二十八、三〇%というひどい実施率であります。これからますます実施率は低下すると見られます。おそらく、いまの調子でいけば、農林省思惑の三分の一くらいが事業に取りかかればよいところではありますまいか。これでは五%足らずが二%足らずに低下しましょう。よく、この事業は農村に点しかつくれないといわれますが、面に発展しない点であるところに、重大な問題があります。そもそも構造改善事業は、基盤整備と、その土に農業の近代化――機械化農業を結合させるところにあったのでありますが、部分的な機械化はあっても一貫した体系がないという、機械技術体系の著しい立ちおくれ、さらに価格施策の不備等もあって、基盤整備と機械化、近代化は結びつきませんでしたし、近い将来にも結びつく見通しも困難であります。多くの農村が熱意を失い、しり込みを始めたのは、このためであります。にもかかわらず、大型トラクターやコンバインやライス・センターはどしどし入りました。点をつくるために苦労し努力したことは認められますが、同時に、農民を試験台にしたとも酷評される面があります。構造改善事業は早くも行き詰まって、へたをしますと、すでに事業に着手した村について、今後アフター・ケアなり撤収作戦に政府は手を焼きそうな状況にもなってまいっているようであります。
 農業構造改善事業をみじめに失敗させ、ひずみをますます大きくしてきたのは、もう一つ根本的な問題があります。ほかならない日本経済の基本的なひずみであります。農村から青少年だけが激しく流出して、農家が一向に減らないのは、日本の雇用構造に理由があります。また、農村からの流出人口は、中小企業方面が支配的であります。そこでは、依然として低賃金が支配的であり、特に三十歳前後からは賃金はほとんど頭打ちしてしまいます。この賃金構造では通勤労働者にならざるを得ません。退職金や年金、老人ホーム等の社会保障は、なきにひとしいのであります。こういった日本経済のひずみが、高度成長政策をささえてきましたし、同時に、農村を今日に追い込んだものでもあります。農業の危機の解決は、日本経済のこの大きなひずみとともに問題にしなければなりません。佐藤内閣にとってもたいへんなことでありましょう、この立場から総理、農相、経済企画庁長官に若干伺いたいのであります。
 総理は、今日の農業問題解決にどのような構想と決意を持っておられるでしょうか。
 二番目に伺いたいことは、経済審議会は中期経済計画を答申しました。それによりますと、低生産部の農業と他産業との格差是正はむずかしくて、現在以上の格差をつくらない程度にとどまっています。佐藤総理の社会開発構想とは基本的に食い違っているように思われますが、お伺いをいたします。
 三番目に、中期経済計画の立案者の発言によりますと、今後十年、十五年たてば、兼業農家も減小しましょう。そういう時期になれば、生産性格差も縮小できましょう。その間は将来に備えて生産基盤投資をやる必要がある、といった趣旨でありますが、池田内閣四年の農政の本資をあらわしていると思います。佐藤内閣の農政の本質は何でありましょう。十五年先に備えての生産基盤整備でありましょうか。農民の前に明示していただきたいのであります。農相にお伺いいたしますが、農業構造改善事業を根本的に考え直す必要はございませんでしょうか。
 さらに赤城構想の農地管理事業団について伺いたいのですが、十年間に三十万町歩とあります。百万戸自立経営農家を想定しますと、一農家当たり十カ年間に三反歩拡大になります。これで自立経営農家ができるというのでありましょうか、また、時価で土地を買い足して自立経営にするというようなことが一体可能なんでございましょうか。
 本年の人事院勧告は、例年に増しまして多くの矛盾と問題を持っていますが、いま実施の時期だけを問題にいたします。実施の時期は、毎年、政府と公務員組合との大きな対立になってきました。しかも年々その激しさを加えまして、本年は昨年に増してむずかしい政治問題になったのであります。こういうことを毎年繰り返すことは、ばかげたことであります。なぜこのようなことになるのか。理由はしごく簡単であります。政府が人事院勧告の実施の時期を守らないからであります。人事院勧告は毎年夏にあるにかかわらず、勧告が出てから、さてと補正財源で実施しようとするところに、初めから問題があることは、だれしも承知をいたしております。三公社五現業の本年五月十九日の仲裁裁定の総所要額五百十五億円は、すべて補正を待たずして実施されています。本年六月一日の衆議院予算委員会におきます大蔵大臣の答弁によりますと、そのほとんどが移流用と予備費によっています。公務員の勧告も、三公社五現業と同じように、当初予算に若干の含みを持たせておけば、移流用と予備費で勧告どおり五月一日から実施できるのであります。大蔵省の資料によりますと、三十九年度の当初予算編成にあたっての税収の見積もりは、給与所得者の人員増四%、一人当たり平均給与増九・一%と見ています。三十五年以降のものを見ますと、給与所得者一人平均増加額は、三十五年六%、三十六年六・六%、三十七年六%、三十八年六%、三十九年九・一%となっています。給与所得がこの程度伸びると前提をして税収を考える以上、当然公務員の勧告もあるものと想定せざるを得ないはずであります。したがって、当初予算の中に若干見ておくことは可能なはずであります。にもかかわらず、八月勧告があってから、さてと、あらたまって補正財源でということは、実施の時期を初めから守る意思がないのであります。九月実施をきめた十月十六日の閣議決定、「公務員の給与決定に関する取扱について」を見ますと、次のような注がついています。「予算編成の実情に鑑み、給与勧告の時期の検討方につき、人事院に要請することを検討するものとする」となっています。実施の時期を守らないのは勧告の時期が悪いかのような印象を強く与えているのは、全く理解に苦しむところであります。このような立場から若干お尋ねいたしたいのであります。
 総理は、勧告の実施時期を無視して九月実施としたことについて、どのように考えておられますか。また、このようなことが五年繰り返されてきていますが、公務員の倫理が高まってゆくとお考えになりますか。なお、五月一日実施のお考えはありませんかどうか。
 次に、政府は十月十六日の閣議決定にあるような「勧告の時期を検討する」云々について、どのような検討をなされたのか、また、検討方を人事院に要請されたかどうか。
 次に、大蔵大臣は、勧告を今後も補正財源のみによって実施していく方針でありますかどうか。
 さらに、本年の補正予算は異常な財源難でありましたが、明年はさらに困難になると思われます。当初予算に若干の含みを計上することを検討すべきではないかと思いますが、いかがでありましょうか。
 人事院総裁は勧告の時期を検討されていますか。また、改めるお考えがありますかどうか。
 次に、失業保険の制度改悪についてお尋ねいたします。農村あるいは農民と、さらに国有林野事業と失業保険改悪が、関係者の間で深刻な論議のまとになっています。事の起こりは、八月十八日の閣議で池田総理が、出かせぎなど季節的労働者に対する失業保険受給要件の引き上げを指示したことにあります。失業保険制度改悪は三つの目的を持っているように見受けられます。一つは、失業保険財政の問題。二つは、季節労働者、出かせぎ労働者を、通年雇用に切りかえ、これからさらに深刻化する労働力の不足に対処しようとすること。三つには、離農促進と農地流動化に役立たせようとしているやに見受けられます。
 関係大臣に若干のことをお尋ねいたします。
 三十七年三月の農林水産業に関する労働省通達すらも、ILO条約の農林水産業に対する差別禁止等からいって改められるというふうに見られているときに、農業生産法人に対する加入申請保留はどのような理由に基づくのか、明らかにしていただきたいのであります。しかも、三十七年三月の通達の認可基準にかなったものを保留するとは、いかなる理由に基づくものでありますか。
 次に、農林大臣に伺いますが、農業近代化の協業の重要なにない手である農業生産法人を排除することは、これを押える意図があるのではないでしょうか。
 次に、季節労働者、出かせぎ労働者を通年雇用に切りかえる考えに関連いたしまして、最近、財界等で、東南アジア等から安い外人労働者を日本国内に入れたらどうかとの意見が出ています。石田労相は、外人労働者を入れて賃金引き下げをもくろむことに対してどのように考えておられますか。
 次に、赤城農相にお尋ねします。国有林野事業の作業員は、この改悪がなされますと、甚大な影響を受けることになります。つまり、失業保険が受けられなくなりますし、また、退職金もなくなるおそれがあります。今日でも、危険な激しい作業、人里雑れた山仕事、そして低い賃金、雇用の不安定等のために、作業員確保は容易でないのであります。失業保険改悪は、国有林野事業そのものにもはかりしれない影響を及ぼすと思いますが、農林大臣はどのように考えておられますか。また、今日の農家生活にも大きな影響を与えることになります。農相の見解をお尋ねいたします。
 最後に、労相に伺いますが、失業保険改悪をどのような方向で検討中でありますか。また、通常国会に提出するお考えでありますか。
 次に、ILO八十七号条約批准についてお尋ねいたします。
 これまで十五回にわたって批准勧告をしてきましたILOは、二月の理事会で、対日実情調査調停委員会を発足させ、同委員会は、五月、書類審査を行ない、九月に証人喚問を行ない、来年一月に来日をして、おそくとも五月−六月の理事会に最終報告をする段取りのようであります。ILOの場での事態は着々進展しているにかかわらず、政府内部の問題解決への努力はほとんど進展していないように見受けられます。倉石案からつまみ食いをするようでは何らの解決にならないことは、総理も十分御承知のはずであります。
 お尋ねいたしたい点は、八十七号条約批准と関係法案を分離して提案される考えがありますか。
 次に、調査団来日前、通常国会に提案できる明確な見通しがおありでありましょうか。
 また、八十七号条約批准には、労相のかたい決意と総理の強い指導性が必要なことは、通常国会で明らかになったところでありますが、総理並びに労相はその決意がおありでありましょうか。
 最後に、労働災害についてお尋ねいたします。
 労働災害は激増いたしています。三十八年度には年間六千五百名の労働者が労働災害によって死亡しています。一日十八名の労働者が死亡しているのであります。労働災害は、生産第一主義の高度成長政策の人間無視の最たるものであります。さらに、労働行政の現実を見ますに、災害防止対策はあってなきがごときものであります。労働基準法適用事業数は、昭和二十四年の二・五倍にふくれ上がっているにもかかわらず、労働基準監督官の数は逆に減少し、その半数近くは事務に忙殺されて、同一事業の監督は、十年、十二年に一回程度という、非常識な実態になっています。ILOは古くから労働災害の防止に関する条約及び勧告を採択し、その実施を各国に要請しています。ILO三十一号条約は、労働者が安全について発言し監視する制度を積極的に奨励しています。また、百十九号条約は、防護設備の不十分な機械の禁止、販売、賃貸を禁止して、労働災害防止の使用者側責任を明確にしています。この労働災害について、法制上、財政上の措置をとるお考えがあるかどうか、人間尊重の政治を言われる総理にお尋ねいたします。
 以上で私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣佐藤榮作君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(佐藤榮作君) 農業問題を中心にして、るる今日のひずみの問題に触れられましたが、私どもがこの農業問題を、やはりひずみ是正の中心課題、とし、中小企業同様に取り組まなければならない、かように考えておりますが、そういう場合に、農業については農業基本法がある。その意味においての構造改善事業等の基本的なものがあって、いわゆる専業農家の育成強化をはかります。しかし、私は同時に、その理由はいかようにあろうとも、農家収入をふやすこと、それを確保することが大事な問題ではないかと思います。この意味におきまして、ただいま専業農家の育成強化をはかると同時に、かような農家収入が兼業の形においてやられておる、その実態に即して、さらに耕地を整備するとか、あるいは次代をになう農家をいかにして育成するか、こういうような問題と真剣に取り組んでまいるつもりでございます。
 社会開発の問題は、今日の経済開発、その成果を国民全体の福祉に結びつけるということ、その観点に立って、いろいろ社会的な矛盾なり、あるいは不均衡なりを是正していこうというのであります。広い意味にとってまいれば、もちろん社会保障の充実の問題であるとか、あるいは環況の整備の問題であるとか、いろいろあるように思いますが、この立場に立ちましても、ただいまの農業問題は、これはほうっておくわけにはいかないただいまの重大な問題であること、これは御指摘のとおりであります。この詳細は農林大臣からお答えをいたします。
 次に、人事院勧告についての問題、これは財政上の問題もございますので、今日まで人事院勧告を尊重するというたてまえをとりながらも、例年十月実施、そういう形をとっておりました。本年は一カ月繰り上げた、この状態。しかも、ことしは財政上非常に困難な事態にかかわらず一カ月繰り上げたという点を、御了承いただきたいと思います。
 ILO八十七号批准の問題につきましては、しばしばお答えをいたしましたが、これは私どもがまず政府原案を作成して、いつでもこれが提示できるような状態にすることが必要だと思いますので、政府と党との間におきまして、その原案作成にただいま急いでかかっておるような次第でございます。
 最後に、労働災害についてのお尋ねがございましたが、人間尊重をするたてまえから、労働災害、こういうものの絶無を期さなければならないと思います。もちろん、これは法制上の問題もあると思いますが、要は、これは労使双方がいかにして災害を防除するか、こういう観点に立たないと十分の効果があがらないと思います。政府も、もちろん、法制上の問題は問題として、労災のないようなくふうをいたしたいと思います。(拍手)。
   〔国務大臣赤城宗徳君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(赤城宗徳君) 構造改善が思わしくないではないかというお尋ねでございます。もちろん、私も十分によくいっているとは思いません。しかし、申し上げるまでもなく、国内的に生産性を向上して他産業との格差を是正していくということでありまするならば、あるいは国際的に開放経済下の日本の農村であるとするならば、どうしても、農業の構造改善、体質改善は、好むと好まざるとにかかわらずやらざるを得ない段階であると思います。でありますので、構造改善、三十七年から手をつけておりますが、約八百になんなんとしておる構造改善指定区域、確かに点というきらいはございますけれども、それぞれ成績をあげております。成績をあげておらない面を指摘されておりますが、成績をあげておる面も相当あるのでございまするし、また、これはどうしてもやらざるを得ない問題だと思います。
 で、大体土地基盤の整備ということ、機械化農業に適するようにしむけておることや、主産地形成を目途として進めておりますけれども、大体構造改善の問題の前にあるところの、日本の農業の零細性をなくしていこうじゃないかということに手を触れていない面が多かったと思います。それと、いわゆる土地基盤が機械化の面にまだ適していない、こういう面から構造改善に思わしくない面があったろうと思いますけれども、なお、この生産政策、それから構造政策に力を入れて、本格的な構造改善を進めていかなくてはならないと思います。そういう意味におきまして、自立経営農家の規模を、面積の点におきましても、あるいは資本装備の点におきましても、拡大していく、こういうことが構造改善の基本的な問題であろうと思います。
 そういう意味から、いま考えておりますことは、自立経営規模の農家の土地を広げていくような対策を講じていこうじゃないか。そのためには、低利長期の融資をいたしまして、そしてそれを取得しても、流動が、七万町歩程度流動いたしておりますが、その流動が必ずしも経営規模の拡大に資していない、こういう面がありますので、経営規模の拡大のほうにそれをしむけていこうというような構想をもって、目下進めておるわけでございますので、そういう基本的な問題にいままで手を触れておらなかったということに、構造改善の進め方が十分でなかった点があるというふうに考えておりますので、本格的に取り組んでいきたいと思います。
 第二は、農業法人に対する失業保険の適用問題でございますが、農業法人につきましては、その実態からみて、失業保険の適用を受けるべきものもあると思われますので、これに対する失業保険の適用につきましては、労働省と十分協議して遺憾なきを期したいと思っております。また、その失業保険に関連して、林野、林業労務者の問題でございますが、この失業保険制度につきまして、種々問題がありまして、その改善の具体案につきましては、労働省において目下検討中と聞いております。その成案ができ次第、これを勘案いたしまして、十分検討を加えまして、私のほうといたしましては、労働力の確保等について、実情に適合した施策を講ずるよう努力していきたい、こういうふうに考えております。(拍手)
   〔国務大臣高橋衛君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(高橋衛君) お答え申し上げます。去る十七日に経済審議会から中期経済計画の答申がありました、その答申を、政府といたしましては、答申の趣旨を十分に尊重いたしまして、これから具体的な施策として検討していきたいと存じます。なお、その中期経済計画の中におきましても、重点政策課題といたしまして、農業と、農業の生産性の立ちおくれの問題を大きく取り上げておる次第でございます。すなわち、御指摘のとおり、農業生産基盤の整備の問題、または土地の流動化の問題、さらには自立経営及び協業の育成というふうな問題を、それぞれ重点的に取り上げておる次第でございます。しかしながら、農業につきましては、生産性の向上ということがなかなか急速にはいきかねるのが、農業の本質から申しまして実態でございます。したがいまして、農業基本法に申しまするところの農業と他産業との所得の均衡を得るという問題につきましては、勢い、補充的な施策といたしまして価格政策によらざるを得ないということを、これまた中期経済計画において指摘しておるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣増原恵吉君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(増原恵吉君) 給与の点に関しまして、人事院勧告を尊重してまいることは、申すまでもなく政府として一貫して申し上げておるところでありますが、残念ながら、従来も実施時期については十月実施ということで、勧告の全面尊重ができなかったのでございます。本年は特に財政上の難点がございまして、非常に苦しいところでありましたが、総理より申しましたように、特に例年よりは一カ月これを繰り上げるという措置をとったわけでございます。しかし、このことで人事院勧告尊重の線が果たされておるとは考えておりませんので、御指摘のように、閣議決定の際に、人事院に勧告の時期等について検討をしてもらおうということになり、これを申し入れをしてあるわけであります。ただ、問題は、究極においては、当初予算を組みまする際に引き上げの勧告が出てくるということであると、まことにぐあいがいいのでございますが、現状を考えまして、調査、検討、勧告という段階を考えますると、なかなかそういきかねるので、現在関係省庁の間で検討いたしておりまするが、単に勧告の時期、方法ということだけでなく、仰せのように、当初予算に全面的に組み入れることができない場合も、何らかそこで措置をする方法はないかということで、検討をいたしておりまするが、なかなか問題が、予算の制度の基本にも触れまして、困難な、微妙な点がございます。まだ結論を得るに至っておらないのでございます。なるべくすみやかにこの問題は煮詰めまして、人事院勧告尊重の線をさらに一そう徹底させるようにしたいと、かように考える次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣田中角榮君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、三公社五現業に対する仲裁裁定の実施と人事院勧告との相違は、三公社につきましては、企業の合理化によりまして経費が節約できるという面もございます。また、企業努力により増収という面も当然考えられるわけでございます。でありますが、現業と非現業との相違でございまして、一般公務員の財源は税金をもってほとんどまかなっておるというような状態から、完全に補正を必要とすると、こういうことでございます。また、年度の中期に勧告を受けるわけでありますが、一般会計、特別会計、地方を合わせて五月からと言われますと、大ざっぱに申し上げても、千七百億に近い大きな財源を必要とするわけでございます。九月実施という点でも、約千百億――千九十何億という大きな財源を必要とするわけでありまして、これを予算執行の年度の中期において補正をするということは非常にむずかしいことでございます。いままでは、御承知のとおり、二千億に近い大きな自然増収がございましたが、安定成長期に入りますと、ほとんど税収見積もりと実際との間には差はないと、こういうことになるわけであります。そうなりますと、中間において人事院勧告が出されると、これを予算化するということは、事実問題においてたいへんな苦労が要るということは、ひとつ御理解いただきたいと思います。その意味で、ひとつ予算を組むときに、あらかじめ予測をして組んではどうかということでございますが、これはまあ公正なる第三者機関である人事院勧告を待たずして、単なる予測に基づいて、給与改定が行なわれるであろうというような考え方で見込むことが、予算上適当でないという考え方は、絶えず指摘をせられておるところをもってしても、明らかでございます。では、ひとつ予備費に組め、こういうことでございます。私たちもこういう問題に対して検討はしたことがございますが、予測しがたい事由に基づいて支出をしなければならないものに限ってだけ予備費を組むことを許されておるわけでありますので、こういうことをあらかじめ予測して予備費に組み得るかどうか、しかも、いままでは、予備費は災害を含めて二百億でございました。三十九年度に初めて災害予備費百億を追加して三百億であります。三百億に、まあ四、五百億ぐらい出てくると思うからそれを組めるか、まあ三百億ぐらい組めれば倍になる。これは国会審議の過程においても、常に予備費は特に厳密な条件を要求せられておりますので、このようなこともなかなかむずかしいというようなことでございます。ですから、今度はもう少し合理的に第三者機関の判定を待たなければならない。人事院勧告はもちろん必要である。しかし、実際財政上何とかできるように合理的な方法はないか、こういうことで検討を続けておるわけであります。(拍手)
   〔国務大臣石田博英君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(石田博英君) 最近は失業保険の会計が非常に悪くなっております。元来、失業保険というのは、不景気で失業者が多くて、雇用情勢が悪化しておるときに、悪くなるというのならわかるのでありますが、最近のように人不足が叫ばれるようになってきておりますときに失業保険が悪化するという状態は、これはたいへん奇怪なことでございます。したがって、この運用について検討を命じておりますることは事実であります。また、失業保険というのは、元来偶発的に生じました失業に対処する制度でありまして、あらかじめ予想されておる季節労働等がその対象の主力になる、それが全部対象になるという制度自体は、これはやはり失業保険本来の筋からいって違うと思います。また同時に、雇用の状態というものは通年雇用に切りかえていくことが、雇用の安定をもたらすことであると思っておるのでありますが、しかし、現在すでに季節労働に対して支払われておる失業保険が相当な額になって、それがあるいは農村の生産性の低さを補う役割りを果たしたり、あるいはまた積雪寒冷地等の労働力不足を充足するというような役割りを果たしていることも、これまた事実なのでございます。失業保険が農業の生産性の低さの支えになることは間違いであり、おかしいことでありまするけれども、その現実を急速に変えるということは、これは私どもはやはりとらないところでありまして、失業保険の本来の使命を達成し、その会計を健全にいたさせるための運用上の努力はしております。また、いままでは失業保険を機械的に支払うということで終わっておったのでありますが、これからは、その保険受給者に対して新しい仕事をあっせんするということもあわせ行なうように努力をしておるつもりでございます。そこで、明確にしておきたいと思うのでありますが、現在、失業保険法を改正しまして、そして受給資格取得期間を延長する等の処置をする意思はございません。またそういう法律を出す意思もむろんございません。いまの季節労働を通年労働に切りかえて、これは先ほども申しましたように、切りかえていくのが正しい方法だと思うので、通年雇用に切りかえるように指導いたしております。
 それから農業法人の関係でございますが、農業法人は、いままで申しましたようなたてまえから申しますと、一般の雇用関係と違う状態も非常に多いのであります。また、最近この認可の申請をしてまいりまする団体は、農閑期に失業保険をもらうことを目的として法人を組織するという傾向も多く見られるようになりました。したがって、ただいま農業法人の認可基準等につきましても再検討を命じておる途中でございます。
 その次に、外人労働の問題でございますが、わが国は現在、人不足だ、人不足だとは言われておりますけれども、しかし、地域的な格差、あるいは年齢的な格差は非常に激しいものがありまして、ほんとうに人不足だと言われておる若年労働についても、若年労働でなくてもいいところに若年労働が使われたり、あるいはまた非常に労働力のむだな使用とでも申しましょうか、そういう状態が見られておるのでありまして、欧州等に見られるような絶対的な不足の状態にあるとは思っておりません。と同時に、外人労働を入れるということが将来わが国の各般の諸問題に影響してくる等のことを考えますときに、私は外人労働を入れることには反対でございます。そういうことについては阻止する考えであることを、明確にしておきたいと思います。
 それからILO八十七号条約の批准については、先ほど総理から答弁がございましたように、できるだけすみやかに批准を終わるように、まず与党と政府との意見の調整を行なっておる段階であります。決意を言えと言われれば、すみやかに批准を終わる強い決意を持っておることを申し上げにおきたいと存じます。
 それから災害の防止でございますが、政府は昭和三十三年と三十八年と、二度にわたって計面的にその防止に努力をしてまいりました。それはそれなりの成果はあがったのでありますが、しかしながら、最近科学技術の進歩その他によりまして、いわゆる重大災害がふえてまいりました。これに対しましては、科学技術の進歩に応ずるような法改正の検討も行なっております。また、対象事業所が著しく増加しておるのに、監督が、機構がそれに追いついていけないということも事実でございますが、むろんその整備拡充をはかっていくことも必要でありますけれども、それ以上に、民間あるいは政府その他を通じまして、一般に人の命が大切なものであるという認識を強く持たせることが、その基調であると考えておりますので、前国会において成立を見ました「労働災害の防止に関する法律」によって、防止団体の設立も見ました。これの活動を期待いたしまして、同時に、政府も積極的に機構を整備し、あるいは法改正等の準備をいたしまして、万全を期してまいりたいと存じております。(拍手)
   〔政府委員佐藤達夫君登壇〕
#35
○政府委員(佐藤達夫君) 人事院勧告の時期に関する問題についてお答えを申し上げます。
 給与勧告の時期につきましては、過去十数年におけるいろいろな経緯をたどっておるわけでございまして、それに基づいて現在のような形に落ちついておるわけでございます。したがいまして、これにはまた、それ相当の理由なり根拠があるものと私どもは一応考えておる次第でございます。しかしながら、その一方におきまして、勧告の時期について、何かそこに一くふうできないかという声は、従来聞かれるところでございます。現に参議院の内閣委員会におきましても、つとにそのような御指摘があったわけでございます。私どもといたしましても、今日よりさらに一そう適切な改善の方途があるとすれば、それにこしたことはないわけでございます。従来あらゆる問題点を総合整理いたしまして、その改善について研究を重ねてまいっております。しかしながら、何分これは、調査時期をどうするか、その集計期間がどのくらいかかるか、あるいは予算編成の時期など、その周辺の各種の条件をからみ合わせながら勘案いたさなければなりません。たいへんむずかしい問題でございますので、実は今日のところなお検討を続けておるという段階でございます。
 なお一方、この給与勧告の完全実施を保障するという面からこの問題を掘り下げてまいりますというと、実は予算制度であるとか、さらには地方公務員関係の諸制度にも及んで検討せらるべき面があるのではないかというように感じます。したがいまして、それらの面につきましては、政府の関係当局のお力添えを得たいものと、私どもとしては念願いたしている次第でございます。(拍手)
#36
○議長(重宗雄三君) これにて質疑の通告者の発言は全部終了いたしました。質疑は終了したものと認めます。
     ―――――・―――――
#37
○議長(重宗雄三君) この際、おはかりいたします。村松久義君から裁判官弾劾裁判所裁判員を、齋藤昇君、谷口慶吉君から裁判官訴追委員を、岸田幸雄君から同予備員を、それぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#38
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よっていずれも許可することに決しました。
     ―――――・―――――
#39
○議長(重宗雄三君) この際、日程に追加して、ただいま辞任を許可されました裁判官弾劾裁判所裁判員一名、裁判官訴追委員二名、同予備員一名及び欠員中の検察官適格審査会委員、同予備委員各一名、北海道開発審議会委員二名、鉄道建設審議会委員、飼料需給安定審議会委員各三名、海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員、台風常襲地帯対策審議会委員各一名、九州地方開発審議会委員二名、中国地方開発審議会委員、豪雪地帯対策審議会委員各一名の選挙を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#40
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。
#41
○亀井光君 各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#42
○大矢正君 私はただいまの亀井君の動議に賛成いたします。
#43
○議長(重宗雄三君) 亀井君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#44
○議長(重宗雄三君) 御異議ないと認めます。よって議長は、
 裁判官弾劾裁判所裁判員に松野孝一君、
 裁判官訴追委員に中山福藏君、岸田幸雄君、同予備員に鈴木一司君、
 検察官適格審査会委員に林田正治君、同君の予備委員に植木光教君、
 北海道開発審議会委員に岡村文四郎君、小林篤一君、
 鉄道建設審議会委員に大野木秀次郎君、木暮武太夫君、林屋亀次郎君、
 飼料需給安定審議会委員に坪山徳弥君、森部隆輔君、中田吉雄君、
 海岸砂地地帯農業振興対策審議会委員に石谷憲男君、
 台風常襲地帯対策審議会委員に北口龍徳君、
 九州地方開発審議会委員に沢田一精君、米田正文君、
 中国地方開発審議会委員に川野三暁君、
 豪雪地帯対策審議会委員に小柳牧衞君
を指名いたします。
 次会の議事日程は、決定次第、公報をもって御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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