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1964/12/03 第47回国会 参議院 参議院会議録情報 第047回国会 文教委員会 第2号
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1964/12/03 第47回国会 参議院

参議院会議録情報 第047回国会 文教委員会 第2号

#1
第047回国会 文教委員会 第2号
昭和三十九年十二月三日(木曜日)
   午前十時四十五分開会
    ―――――――――――――
   委員の異動
 十一月二十七日
    辞任         補欠選任
     二木 謙吾君     坪山 徳弥君
 十一月二十八日
    辞任         補欠選任
     坪山 徳弥君     二木 謙吾君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野本 品吉君
    理 事
                久保 勘一君
                二木 謙吾君
                吉江 勝保君
                小林  武君
    委 員
                植木 光教君
                近藤 鶴代君
                笹森 順造君
                中野 文門君
                中上川アキ君
                加瀬  完君
                豊瀬 禎一君
   国務大臣
       文 部 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       文部政務次官   押谷 富三君
       文部大臣官房長  西田  剛君
       文部省初等中等
       教育局長     福田  繁君
       文部省大学学術
       局長       杉江  清君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        工楽 英司君
   説明員
       文部省初等中等
       教育局財務課長
       補佐      佐藤三樹太郎君
       文部省体育局長  前田 充明君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (産炭地域における教育問題に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野本品吉君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
 理事の辞任についておはかりいたします。
 北畠教真君から、都合によりまして理事を辞任いたしたいとの申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(野本品吉君) 御異議ないと認めまして、さよう決定いたします。
    ―――――――――――――
#4
○委員長(野本品吉君) 次に、理事補欠互選についておはかりいたします。
 ただいまの理事辞任に伴い、補欠互選を直ちに行ないたいと存じます。
 互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(野本品吉君) 御異議ないと認めまして、理事に久保勘一君をお願いしたいと思います。
    ―――――――――――――
#6
○委員長(野本品吉君) 続いて、去る十一月二十七日、理事二木謙吾君が一たん委員を辞任され、これに伴い理事に欠員が生じましたので、その補欠互選を行ないたいと存じます。
 互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(野本品吉君) 御異議ないと認めまして、理事に二木謙吾君を指名いたします。
    ―――――――――――――
#8
○委員長(野本品吉君) 教育、文化及び学術に関する調査中、産炭地域における教育問題に関する件を議題とすることになっておりますが、これに先立ちまして、愛知文部大臣から発言を求められておりますので、これを許します。文部大臣。
#9
○国務大臣(愛知揆一君) 一言ごあいさつ申し上げたいと存じます。
 先ごろの佐藤内閣の成立に際しまして、微力でございますが、再び文部大臣の大任を仰せつかりました。従来に倍しまして御協力と御指導を賜わりたく、あらためてお願い申し上げる次第であります。
 どうぞよろしくお願いいたします。
#10
○委員長(野本品吉君) それでは、産炭地の最近の現地の実情を御視察になりました豊瀬君から、現地の実情について一応御説明をいただきたいと思います。豊瀬君。
#11
○豊瀬禎一君 産炭地問題につきましては、四十六国会にも私ども教育に対する特別立法をいたしまして、いろいろ御審議をわずらわしたのですが、その後におきまして、文部省も現地を視察し、いろいろの施策を講じようとされております。私ども石炭対策特別委員会といたしまして、二木委員とその他、福岡県における産炭地の実情を視察いたしたわけでございます。きょうはその件に対しまして政府の所見をただすわけですが、審議に入ります前に、いろいろと現地を見たり、あるいは陳情を受けたりした実情を若干説明さしておいていただいたほうが都合がよろしいかと思いますので、二木先生と昨日打ち合わせをいたしまして、大まかに、特に教育事情について実情の報告をさしていただきたいと思っておるわけでございます。
 福岡県におきまして炭鉱の合理化、それに件う縮小、閉鎖等によりまして、炭鉱労働者が昭和三十一年に十一万七千人であったものが三十八年には三万六千人に減少いたしております。こうして産炭地からは若年労働者や技術者が他の地方に転出し、残されたものは老齢者、病人、あるいは婦人、労働障害者、炭鉱の災害によって夫を失った未亡人等々、あるいは子供たちだけ、こういった状況にあるわけでございます。明治初年この方、日本の産業発展の動脈となり、活力と夢にあふれていたこの炭鉱地帯が、炭鉱が閉ざされるとともに全く火の消えたようになってしまっておるわけでございます。そうして、あとに残っておるものは、さびたトロッコのレールとか、あるいはぺんぺん草の生えておるボタ山とか、鉱害で倒れかけた家、ゆがんだ道路、そのような中で生活を保護を受けるものが次第に漸増してまいり、希望のない生活が至るところに見られるわけでございます。炭鉱が閉鎖されて、老人と女と子供が残った。石炭というエネルギーとともに、入間のエネルギーも消えた、こういうことばが産炭地でよく言われております。まさしくそのとおりで、ここに最も困難な産炭地教育問題の根源があると思われます。もちろん、産炭地におきましては、今日まで長い教育の歴史の中で、さまざまな困難をかかえてきました。不況期には欠食児童や長欠、不就学児童、生徒もたくさん出ました。このことにつきましては、昭和三十四年に、参議院文教委員会におきましても、国会中に特別に委員を派遣していただきまして、福岡県におきます産炭地の、特に給食を中心とした実情を調査し、報告を申し上げて、文部省におきまして、給食に対する特別の予算措置が行なわれたことは御承知のとおりでございます。しかしながら、このような炭鉱の子供たちの不幸や教育上の困難も、産炭地全体から見ますれば、小山、すなわち中小炭鉱を中心とした局部的なものであり、大手炭鉱が活動している限り、多くの子供たちは希望を持って勉学にいそしんできたのですが、最近のエネルギー革命がもたらしました産炭地への影響はきわめて甚大でありまして、これはおそらく、有沢調査団といたしましても、当初予想できなかったような事態じゃないかと思いますが、町々の様相が一変し、あたかも戦災直後のような状況を呈しております。極端に申し上げますると、町中を通りましても、ネコの子一匹も元気なものはいないといったような、死んだ町というような強い印象を受けるわけでございます。すなわち、唯一の地域産業――炭鉱が崩壊したことによって弱年労働者は他に移動し、生活力を失った人々のみが生活保護とこわれかかった炭鉱住宅にしがみついて生きておる。そこには電灯も水道も全部切られてしまっておる。あるいは障子の機、それから床板までも燃料として使い果たして、わずかに一、二畳の寝床だけが板が張ってあったり、あるいはいわゆる薄べらという敷物が敷いてある。こういったのが珍しいという現象じゃなくて、現在、炭鉱地域に残っておる人々の、大体、普通の状態であると言ってもさしつかえないと思うわけです。労働者たちが他に職業を得て、その子供たちも転校したという事態も多いわけですが、この五年間で地域の児童、生徒が約四三%、九万程度減少して、はなはだしいのは三分の一に激減した小学校や中学校もあります。しかし、生徒が減ったということ、そのことだけが教育的に問題があるわけではないのですが、父親が他県に転職したものの、まだその地域において、子供を呼んで一緒に住まうということができないので、そのまま置いていって単身赴任をしておる。あるいは母親と子供が残っておるところに、送金もとだえておるために母親は働きに出ていて、しかも、その家庭からでなくして、住まいを別にした職業に母親がついておる。そのために子供たちが一人でこの家庭の中に住んでおる。こういった実情が至るところに増大しつつあるわけです。子供たちの社会環境の激変、悪化ということから、さらに進んで子供たちの家庭環境の危機あるいは崩壊という状況についてもちょっと申し上げたいと思うわけです。
 福岡県教育委員会並びに産炭地域の小中学校において調査した資料がございますが、それはおそらく、非常に綿密な資料を文教委員の皆さんにお手元には差し上げておりますので、ごらんいただいておると思いますが、いわゆる欠損家庭が他の地域に比べまして非常に多くなっておるわけです。福岡県下の他の地域におきましては、欠損家庭が大体一〇%前後でありますが、産炭地におきましては、多いところでは二八%になっておるわけです。また要保護、準要保護児童総数も、地域の全児童生徒数約二十万のうち五万六千九百九十八人という、約二八%を占めておるわけです。この割合は、昭和三十五年が一二・三%であったことを考えてみますと、その激増ぶりがうかがい知れるわけでございます。なお今回、二木先生方と視察に行きました学校の中では、こうした要保護、準要保護が五七%を上回っておるという学校もあるわけです。このような子供たちの家庭は、さきにも申し上げましたように、父親が他県へ出稼ぎの形で出て行って留守をする、また、その間に音信不通となったり、送金がとだえてみたり、あるいは県外に転出しても炭鉱労働者に見合うような職業が現在の施策の中では十分でないために、適当な職場や賃金が得られず、炭住にとどまって、そういうところに仕事に行くよりも、まず炭住にとどまって生活保護となったほうがよろしい、あるいはならざるを得ない、こういった形が次第に多くなってきています。こういう貧しい生活保護の暮らしの中で、父母の離婚問題、あるいは家出、お母さんが突然子供を、夫を捨てて家出をしていく、こういうケースも、いわゆるときたま聞く話としてではなくて、受け持ちの先生は、そうした数の激増に対しまして非常に措置に困り、苦労をしているわけです。また、一応両親があったとしても、形の上はありましても、事実上離婚した母に新しい夫が、あるいは父に新しい母ができる、こういつた何と申しますか、家庭生活と申しますか、夫婦関係の乱れというものが、生きていくために非常に多くなりつつあります。そうしてこのことに対しまして、いろいろな時間に書く子供たちの作文を見ましても、あるいは父親に対する子供たちの反応、あるいは家出をしていった父あるいは母に対する悲しみや不満というものが、次第に人生に対する希望の喪失となり、それがやがては非行化として増大していく、こういうケースをたどっているわけです。
 以上のような社会環境、家庭環境に日々を生きねばならない子供たちは、非常に何と申しますか、教育というよりも、人間的な条件、人間としての条件がほとんどなくなった状態の中で家庭に置かれ、あるいは学校教育を受けておる、こういった実情が、特に福岡県におきましては深刻化しておるわけです。学校の教師から見ますと、生徒たち自身が学習に意欲がなくなって、しんぼうが、根気がなくなっております。また、気持ちが落ちつかないとか、授業中でもかってなことをするとか、あるいは注意散漫とか、学習用品に対する観念と申しますか、そういうものを粗末にするとか、あるいはなくするとか、そういったことが別に悪いことでないと申しますか、良識と申しますか、道徳意識と申しますか、人間としての最低の必要なものの判断力、こういったものが次第に低下していって、教えるということ、あるいは学習をさせるということよりも、人間としてどう生きさしていくかといった問題に、むしろ教師たちは腐心しておるようでございます。これも単に子供たちが悪いというわけにはまいらない問題で、その地域における環境、あるいは家庭環境、それから産炭地における条件の中から、むしろ必然といっていいほどの理由を持ってあらわれてきておるものと判断して差しつかえないと思います。たとえば、教師が家庭訪問をして、子供の成績や態度について話し合いと訪れましても、まあいい場合には、やむを得ず話だけは聞こう、それも熱心に聞くという態度でなくして、むしろ先生が来たからしようがないと、こういう態度で聞いておりますし、ほとんど例外なく、教師の自分の子供に対する注意とか、あるいは家庭におけるしつけとか、そういった教育的な指導に対しては、従うということよりも、そんなことをおまえが言うくらいならば、人間として食べさしていってくれと、基本的な権利が失われておるところに教育もないじゃないか、むしろ先生がそういった家庭訪問に来たりすることを迷惑がったり、拒否したり、あるいは女の先生の場合には全く話にならないで逃げ出していく、こういう状況で女教師の家庭訪問、受け持ちの生徒に対する家庭訪問も、あるときに非常に困ったことがあるということでなくして、もうほとんど例外なく家庭訪問そのものに困難性を感じておる、途中における非行生徒のいたずらとか、あるいは父兄の応対とか、ひどいときになると、先生が話し始めておるところで酒を飲み始めて失礼な口をきく、こういった家庭訪問をすること、そのことでさえも不可能といいますか、拒否された状態というのが非常に多くなりつつあるわけです。こういう中で、当然のことといたしまして学力の低下ということも来たしておりますし、それから特殊児童の増加、非行生徒の増加、こういったものは先ほど申し上げましたように、皆さん方のお手元にあげております資料の中に詳しくついておるわけです。すでに昭和三十四年ごろから、先ほども申し上げましたように、子供たちが、父親が、おまえ少し勉強しておるかとか、あるいは先生の言うことを聞かにゃいかぬぞという前向きの指導をいたしましても、とうちゃん、あんたは食べさしているんじゃないじゃないか、国から金をもらって食わしてもらっておって一人前の口を私にききなさんなとか、あるいは両親の性の乱れに対して敏感な子供たちは、父親としての権威を認めないで、家庭としての構成が形では整っておりましても、実態として存在せず、全く憎しみの対象となった形で父親が家庭の中におる、こういったこと、あるいは中学等を卒業いたしましても、それが就職することができない、そうして非行化していろいろなところから送り帰されてくる、そうすると、その地域におってあぶれ卒業生となって一つのグループをなしておる、これが中学生を指導する、中学生はやがて小学校の上級生を指導していく、そういったことのために、まだ数多くは発生しておりませんけれども、そういったグループによる中学生、あるいは飯塚等におきましては極端な例ですが、小学校の生徒にまでも、何といいますか、性の紊乱と申しますか、交遊によるところのそういった遊戯というのが次第に発生しつつありまして、これに対しましても先生たちはその対策に非常に腐心をしておる。しかし、父親はそのことによって、遊ぶことによって百円の金を持ってくれば、あまり叱りもしないでだまってそれを受け取って生活の足しにしておる。こういう状況が週刊雑誌的な一つの話題としてでなくして、非常に数が多くなってきておる。そうしてそこまで行かなくとも、それに類似するような子供たちの性道徳あるいは非行に対する潔癖感、あるいは勉学に対する学習意欲というものが全体的に非常に失なわれていて、学校がすでに教育の場でなくなって、一つの何と申しますか、人間失格に対する対策が主たる課題に移行しつつあるということは、産炭地における生徒たちにとりましても、また教師にとりましても、国全体の問題としても大きな問題ではなかろうかと思うのです。幸いに有沢調査団は、今回、教育の問題につきましても非常に綿密な調査をしていただいておりますので、しかるべき答申が出ることと思いますが、私どもはその一端をこうした教育の不在に対して手だてをしていくために、生徒数を減少するとか、あるいは教員を多く配置することによって教育効果を上げ、非行を事前に防衛していく、こういった手だてをとるところの法案を出しておるわけですが、これは最低の措置でございまして、たとえば一校に一名のカウンセラーが置かれましても、いまの進みつつある非行化というものは、これは県の教育委員会も、現地の校長も、市町村町当局、あるいは教員も一致した見解ですが、現在車のようにころがりつつある非行化を一人のカウンセラーを置いても救うことはできない。やはり担任という形の中で、しかもその担任が一週間二十数時間の授業の中で、多いときになると十六時間、少ないときでも七時間も八時間も受け持ちの授業を放置して、いますぐ問題になっておる、警察から呼び出されたり、あるいはいろいろの不祥事件を起こしておる子供たちの対策に授業中も飛び出していかなければならない、こういった状態を解決していくためには、どうしても、一番理想的なことを言いますれば、学級担任を小学校においても二名つけるとか、一名がそれの指導に当たるとか、こういったことが望ましいわけですが、とにかく最低限度のでき得る施策をいまのうちに講じないと、憲法でうたわれております教育の機会均等という原則は遠いかなたの問題として、子供たちは自分たちの責任でなくして、生徒児童としての一番大切な時期に心身ともにむしばまれつつあるし、教育がなくなりつつある、こういう状況であると思うわけです。
 これからいろいろ文部省も、幸いに何回か視察に行ってありますので、そういった問題、対策に関して審議を進めていただきたいと思いますが、こうした特殊な産炭地の教育振興のために、委員会として一致した態勢の中で産炭地教育の問題を解決していただくようにお願いいたしたいと思うわけです。
#12
○委員長(野本品吉君) ただいまの豊瀬委員の御説明に関連いたしまして、御質疑のおありの方は順次御発言を願いたいと思います。
 なお、政府側からは愛知文部大臣、押谷文部政務次官、福田初等中等局長、杉江大学学術局長、前田体育局長がお見えになっております。
#13
○小林武君 ただいま報告があって、われわれも現地からいろいろ陳情なさる方の話を聞くと、同じ内容であるということで、一そうまあ事の重大性を考えるわけでありますけれども、これについては文部省も非常に心配されて、その実情の調査に行かれておるということなんでありますけれども、いまの報告並びに陳情等から考えまして、文部省もきっと事態の重大なことにお気づきになっておられると思うのでありますが、これはもうすでに学校教育が存在しているというようなことが言えないようなやはり実情にあるのではないか。そうすると、やはりこれはもうひとり政府だけの問題でなくて、全体がこれについて協力して、とにかく何とか事態の収拾をしなければならない、こういう段階になっておると思うわけでありますけれども、文部省といたしましても、いまのような報告を私はお認めになっておると思うわけでありますが、したがって、これについては特別な対策というもの、これはほかの学校とか、ほかのある地域の学校のいろいろな問題であるならば、何と言いますか、ある程度時間をかしてというようなこともできるのでしょうけれども、産炭地の問題だけは、いまのような報告なり陳情なり、あるいは何なりを聞く限りにおいては、特別な対策というものを、この際思い切って相当の決断をもってやらなければ事態の収拾はできないように思うわけでありますが、その点について、まあ調査の実情等については後にお伺いもいたしたいと思いますけれども、文部大臣としては目下どういうようなお考えで、また対策を立てられておるかということについてお伺いしたいと思います。
#14
○国務大臣(愛知揆一君) 申すまでもないところでありますが、産炭地の現状につきましては、文部省といたしましても非常に心を痛めておるわけでございます。先ほど来、豊瀬委員の御報告にもございましたが、したがって、文部省といたしましても有沢調査団に参加をさせてもらったことはもちろんでございますが、なお現地側の御要望や、あるいは与野党の御要請もあり、また文部省自体といたしましても実情をなお一そう的確に掌握いたしたいと思いまして、二回にわたって文部省だけの調査もいたしたのであります。したがって、実情につきましては先ほど御報告のような、そういう事態についての認識はわれわれとしても一そう的確にいたしておるつもりでございまして、そこで対策につきましてもなし得る限り誠意を尽くして措置を講じたいと考えまして、これはお話にもございましたが、すでに実施しておるものもございまするし、また、ものによりましては四十年度予算における問題もあって、それらの点については、広く御要望の具体的な線に沿うてできる限りのことをいたしたいと存じておるわけでございますが、なおまた有沢調査団全体の報告というものも、また新たにまとめたものも提出されるかと思いまして、さらに一そうそういうような御意見も十分尊重してまいりたい。基本的なこの問題を取り上げる姿勢と申しますか、態度といたしましては、そういうふうな態度でおるつもりでございます。
#15
○小林武君 文部大臣からのでき得る限りの対策を立てるという決意をお伺いしてたいへん心強く思うわけでございますけれども、私はまあ端的に言って、文部省としてでき得る限りの対策ということになると、事実を調査されて、そして大体同じ事実の認識でやっているということになりますと、もうこれはやることというのはきわめてまあ何というか、簡単で――簡単と言ったら悪いですけれども、何をやったらいいかということについては、もうあまり議論しなくてもいい問題だと私は思うのです。それでこのことを文部大臣にお尋ねしてもあれですから、一応その前に調査に加わった方なり、あるいは加わらない方でもけっこうですけれども、政府委員の側から、ひとつ文部省の調査の結果として、いま豊瀬委員から御報告になったことについてどういう一体対策を立てたらいいかというようなことを検討なさったか、具体的に検討なさったか。検討したら、その結果については一体どういう手だてを目下講じつつあるかということについて伺いたい。
#16
○政府委員(福田繁君) ただいま豊瀬委員から非常に詳細な御報告を伺ったのでありますが、私どもといたしましても、先ほど大臣から申し上げましたように、昭和三十七年ごろから何回か調査に加わっております。その結果いろいろ実情を調べてみますと、同じ産炭地と申しましても、北海道あるいは山口、福島といったような地域と福岡県の筑豊、大牟田地区、あるいは長崎県などもございますが、いろいろ事情は違うようでございます。最も何と申しますか、悲惨な状態にあるのが福岡県の産炭地ではなかろうかというふうに私どもは認識いたしております。これはもちろん産炭地の教育を見ました場合に、その背景になる背景という問題を考えないで、これをいろいろ手を下すわけにはいかないと思いますけれども、根本はその背景をなしている経済的な問題、あるいは社会的な問題、いろいろございますが、そういうものを根本的に考えていくということになりますと、これはなかなか文部省だけの手ではできない面がございます。しかし、現実に教育問題として現象的にあらわれてきます問題はいろいろございますが、一つは家庭の経済生活の崩壊と申しますか、そういう面からくる要保護児童、それから準要保護児童の増加の傾向でございます。これは年々多くなっております。先ほど豊瀬委員の仰せがありましたように、ある地区、あるいはある学校につきましては非常に、四〇%も、あるいはそれ以上にもなっているような学校もあるようでございます。最近の福岡県の全体の数字を見ましても約三割、三〇%近く――三割に達しておりませんが、二七・九というような高い比率になっております。そういう傾向にありますことはわかったのでございますが、それから次の問題はやはり家庭の放任と申しますか、まあ子供のしつけ、指導等にはなかなか手が回らないというような面から、先ほど御指摘がありましたように、非行青少年の増加、これも他の地区よりも増加していることは事実でございます。そういう問題に対する対策、それから先ほど申しました準要保護児童等に関連する問題でありますが、学校給食等の問題、こういうものも学校の教育問題として取り上げていくべき問題であります。あるいはまた社会教育の面におきましてもいろいろ問題はあるようでございます。それからまた育英、奨学といったような面におきましても、やはり相当措置をすべき問題があるように思うのでございます。そういったいろいろな問題がございますが、私どもとしては、昭和三十七年に第一回の調査であったと思いますが、実施いたしまして以来、貧困児童生徒の増加の傾向に対しまして、就学奨励を拡大するという方策をとりました。三十八年にもこれをすでに実施した面がございます。それからまた学校給食の普及をもっと従来よりも力を入れてやっていく、こういうようなことを考えまして、三十八年度にもこれを実施いたしました。それから生徒指導、不良化等に伴います生徒指導等につきましても、これをやはり充実強化しなければならないというようなことを考えまして、三十八年から手をつけたのでございますが、県の教育委員会などといろいろ相談をした結果、いわゆる学校におけるカウンセラーの役目をするような教員の充実というような点をやってまいったわけであります。そういったようなことでやってまいりましたけれども、やはり財政的に非常に市町村が参っておりますので、したがって、財政的な面から市町村にある程度バックアップするというようなことにつきましても、自治省その他と三十八年度におきましてもいろいろ相談をしてまいりました。したがって、その結果、要保護児童等の問題につきましても、三十七年度は約六千万円の特別交付税を産炭地に振り向ける。あるいは三十八年度にはそれをさらに上回りまして、八千万円の特別交付税、これを振り向けるというような措置を講じてまいりました。それからまた三十八年度には、福岡県のみのいわゆる学校の生徒指導のための教職員の財源措置として、自治省と相談をいたしまして、約千五百万程度の特別交付税を福岡県のほうに振り向けてもらうように相談をしたわけでございます。そういうこともいたしました。大体、以上申し上げましたような対策を講じながら、できる限り、気の毒な子どもたちのために、十分、教育の機会が失なわれないようにという措置を講じてまいったわけであります。引き続きまして、私どもは今年度さらに調査を進めまして、その結果、従来やってまいりました施策をさらに大幅に拡充する必要があるであろうということを痛感いたしているわけであります。したがって、四十年度の予算には、先ほど大臣から御説明がございましたように、前向きにできるものにつきましては、補助率の引き上げとか、生徒指導のための教員の充実というようなことを考えているわけでございまして、できる限りその地区の教育の低下を来たさないための手段としては、できる限りのことを今後も考えておる次第であります。こういうように思っているわけでございます。
#17
○小林武君 非常に努力をなさっていることについては、これは認めるわけでありますが、そういう努力に追いつかないほどの速度をもって問題が拡大しているということ、これもわれわれ認めないわけにわいかないわけですね。そう考えますと、ただいまの話の中にも出ましたが、背景になる抜本的ないろいろな問題をもちろん議論しなければなりませんけれども、われわれそういう問題も大切ですけれども、学校教育という立場から、もっとやはりやり得る手だてはないのか、抜本的な背景の問題を解決しなければどうにもならぬという行き方だけではなくて、やはり当面する学校教育の中で何とかできるものというのはほかにないのかということを、相当われわれ検討してみなければならぬと思うのです。話の中に出ましたけれども、しかし、現地の学校のいろいろな話を聞くというと、やっぱり学業不振ということが非常な大きな問題になっている。これは私は教育のことを考えるというと、ひとりそれに該当する児童生徒だけではないと思うのです。学校全般の学業不振というような状態が出ている。だから、その中からいわゆる特殊教育をやらなければならぬものまで増加してくるということになりますと、これはやっぱりその面からの重大性も考えなければならぬ。それから、報告の中にもありましたけれども、たとえば学校をなまけるというようなことは、これはもう日常茶飯事のような状態になっているというようなことになる。あるいは非行少年の問題も出てくるということになりますと、私はここで考えるのですが、やはりいろいろな手だてを、各方面の協力もなければならぬけれども、学校がやっぱりこの問題について何といったって責任は負わなければならぬ。教師がこれをとにかくやはり何とかして自分たちの手でこれを食いとめなければならぬというような、そういうやはり意気込みを必要とすると思うのであります。私は非常に力強く思っておりますことは福岡県の教師でも、それからどこの教師でも、産炭地の教師は、これはたまらぬ、だから徹底的にわれわれはがんばってやらなければならぬという、きわめて意欲を持っているわけです。そういう意欲に対して、私はやはりこたえるような方途というものを文部省が持たなければいかぬ。学校が、それじゃその不良化の問題についてこれだけのものを与えてもらいたい。あるいは学業不振をどうわれわれは救わなければならぬかということになると、われわれはこういうものをとにかくしてもらいたいという要望があるわけでありますが、私はそれにつきまして、もっと産炭地の問題に関しては思い切った措置をとってもらいたい。たとえば、先ほど話が出ましたが、要保護児童だとか、それから準要保護児童が出てくるというと、教師のいろいろなそのほかの仕事がふえてくる。それから非行少年がたくさん出れば、これまた教師はかけめぐらなければならぬと思うのですが、そういうことを考えると、私は学校に条件をつくってやらなければならぬ、条件をつくってやるということの一番のあれは何かというと、私は教員のやはり数の問題だと思うのです。そういう点についてはどうなんですか、文部大臣としては、産炭地の場合においては、こういう現状の上に立ってやっぱり特別な措置もしなければなるまいという考えもお持ちなのですか、どうですか。やっぱりほか並みのあれでお考えになって、何とか努力だけで解決しようというお考えなのか、何とか特別の措置をしてもやらなければならぬというお気持なのか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
#18
○国務大臣(愛知揆一君) 教員の定数の問題につきましては、御承知のように標準法ができまして以来の状況を見てみましても、三十九年度の定数に対しましても特別措置をやっておりますことは御承知のとおりと思いますが、たとえば、その前の年度のいわゆる超過教員数に対して三百人分については手当てをいたしておるわけでございます。それからいわゆる定数が急減する場合に対する緩和措置としてこれまた三百人、合計六百人というような特別の措置をいたしておることからも、私どものこの問題に対する態度というものが御理解をいただけるかと存ずるわけでございます。
 それから、御承知のことと思いますけれども、この機会に概略申し上げて、こまかい点につきましてはなお当局からも御説明をいたしたいと思いますが、先ほど来お話が出ておりますまず第一の要保護、準要保護の児童生徒の関係については、就学の援助費、それから給食費、医療費といったようなものに対する補助につきましては、四十年度におきましては、十分の八の補助率に、産炭地については特に引き上げるよう現在四十年度分としてはすでに関係方面に対して折衝を始めておるわけでございます。念のため申しますと、就学援助費の補助金は二億七千余万円になります。学校給食費補助金は三億二千六百八十万円といったような程度になるわけでございますけれども、産炭地につきましては、とにかく何としても十分の八に補助率を引き上げたいという考えのもとに進めておるわけであります。それから学校給食につきましても、産炭地の学校給食の開設計画については全面的に補助対象として採用していきたい。要求額の一〇〇%を充足できるようにしたい。たとえば三十九年度についてみまするが、学校給食の共同調理場が八カ所、小中学校の単独分については四十校というような数になっておるようでございます。それから産炭地居住の生徒に対する就学の援助につきましても、特に高校、高専等に対しまして現在までに七十名程度は採用の対象にする。三十九年度中の人員としては特に産炭地方面について特別の措置を請ずるということもいたしておるようなわけでございます。その他各種の面におきまして、先ほど申し上げましたように、文部省自体としてももちろん他の協力を必要といたしますけれども、文部省としてこういう点だけはぜひやってもらわなければならぬという点については、鋭意努力を傾けておるつもりでございます。
#19
○小林武君 いろいろと教員の定数の問題についても、文部省としてもできる限りの努力をしているということについては私も了承いたしますし、なおその他準要保護児童、要保護児童の問題とか、あるいは給食の問題その他について予算的に非常に文部省が努力を示されておることも非常に心強く思っているわけでありますけれども、その中で特に一学級あたり四十人くらいの児童生徒にとにかくしてもらいたいという要望が、それはいつまでもそれをそのままやってもらいたいという希望でもないのでありますが、とにかく事態を収拾する時期において、これだけのものでとにかくやってもらえるならば、学校の教育の当面しているいろいろな問題についてはある程度効果をあげ得るのではないかという現場の教員の要求があるわけでありますが、こういう点については、産炭地に関する問題として特別な扱いをするというようなところまではいま文部省としてはお考えになっておらない。また、お考えになっておらないとすれば、そこまでやらぬでも、とにかく現状のままで教員は十分やっていけるというふうにいろいろな調査の上から判断されているのかどうか、そういう点について大臣の御見解を承りたいし、また、実際仕事に携わっている初中局長あたりはどう考えられておられるか承りたいと思います。
#20
○国務大臣(愛知揆一君) 先ほど来申しておりますように、私のこういう問題についての取り上げ方の姿勢につきましては、先ほど来申し上げておるような気持ちでございますが、定数等の問題について、特定の産炭地域に対して特別の法令的な措置を必要とするかどうかということにつきましては、全体の組織が府県単位でやられておりまするし、それから、先ほど申しました各方面の御協力をいただきたいという中には、たとえば福岡県の場合でございますれば、福岡県の県教育委員会その他にもやはりほんとうにいままでも御苦労いただいておりますけれども、あらためて文部省ともとっくりひとつ腹を合わせて、こういうふうな問題に対して対処していただきたい。こういう意味の御協力も切にお願いをしたいわけでございまして、現にそういうことは、私としても地元の方々にお目にかかる機会にも申し上げておるようなわけでございまして、こまかい具体的な数字等についての考え方については初中局長から答弁いたしたいと思います。
#21
○政府委員(福田繁君) ただいま小林委員の御指摘になりましたような御要望、私どもよく聞くのでありますが、福岡県の産炭地の学級編制等を実際に見ますと、本年度におきまして小学校でもうすでに平均三十九人ぐらいになっておる。それから中学におきましても、平均いたしまして四十四点幾ら、大体四十四人ぐらいになっております。私も再々福岡県の産炭地の学校は見て回ったのでございますが、これは平均でありますが、実際もう小学校におきましては三十人ないし三十五人ぐらいの編制の学級がかなり多くなっております。中学につきましても四十人程度の学級編制というものが実際に相当行なわれておるようでございます。したがいまして、学級編制をかりにいま四十人に下げるとか何とかいうような問題は、これは御承知のように、五年間にわたって五十人から四十五人にこれを落としていこうというやり方を私どもは考えておるのでありまして、この生徒児童の減少に伴って、逐年そういう改善をやっていこうということでございますから、教師の定員としてそれがどの程度役立つか、これは私どもとしては、そんなに多数の教員が定数上ふえてくるとは考えません。と申しますのは、細分化された学級がどんどんやはり生徒、児童減によって減ってまいります学級減がかなり目立ってくるわけであります。そういう傾向にありますから、私どもとしては、いまの実態からいって決してこの学級編制の基準を特別に変える必要はないだろうというように判断をいたしております。それよりも教育効果をあげるという点から申しますと、前々から私どもは考えて教育委員会にもすすめておりますが、あの地区の学校については特に特殊学級を増設したらどうだろうかという考え方をもって勧奨しております。ところが、これにつきましてはなかなか市町村側、あるいはまた一般の父兄の御理解を願わないと普及いたしませんので、そういう若干の支障はございますが、できる限り特殊学級を増設していきたい。これはいまの定数とは別に新しく定員増ももたらされますし、そういう点では非常に都合がいいじゃないか。それからまた、いわゆる精薄などの特殊学級でなくて、教育効果をあげるためには特別の学級というものを編制していくようなやり方も研究したらどうかということを私ども考えておるわけであります。現在、福岡県の定数の中で約六百人の暫定特別措置を講じてございますが、それらの教職員の定数というものは、多く産炭地におるわけでございます。したがって、そういう特別の学級編制なり、そういうものを県教育委員会がやろうとすれば、私は十分できるだろうと考えております。そういう方向で今後は考えております。
#22
○小林武君 その特別学級というのは精薄なんかとは違う、特別学級は、大体どういう構想で教育文教委員会に話しかけられたのですか。
#23
○政府委員(福田繁君) 私の考えておりますのは特殊学級に収容します子供は――現在精薄の特殊学級を想定しておりますが、それとはちょっと迷ったものでなければなりませんが、いわゆるボーダーライン以下の子供を特別の学級に編制して、そこで十分教育をやっていくというようなやり方のほうが、あの地区には合うのじゃないかというように私は考えております。
#24
○小林武君 それは学業不振というようなことと、それからたとえば非行少年といわれるような傾向にあるものとか、そのいうもののことを意味するのですか、対象として考えられるのは。
#25
○政府委員(福田繁君) いろいろな子供もいると思いますが、そういうものをいろいろな観点から編制をして特別の学級をつくっていったほうがよくはないかと思います。
#26
○小林武君 そうすると、それについてその学級の生徒数と児童数というようなものもきわめて数を少なくしてやるというふうに考えているわけでしょう、そういう数の少ない特別学級をつくった場合において、十分まかない得るだけの教師の数は福岡県にはいるはずだと、こういう考え方ですね、その点は大丈夫ですかね。
#27
○政府委員(福田繁君) 一応私は大丈夫だと考えております。
#28
○豊瀬禎一君 大臣がお答えになった六百名程度措置しているということですが、それは産炭地にそれだけ、標準よりも増して配当しているという事務当局のあなたに対する資料ですか。
#29
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほど福田局長から申しましたように、また私からも申しましたが、これは福岡県全体でございますけれども、しかし実際上、しさいに点検してみますれば、産炭地が非常に比重が大きい、こういうふうに御理解願えればいいのじゃないかと思います。
#30
○豊瀬禎一君 福田さん、三十八年度の小学校の場合一万三千三百九十、ちょっと端数を忘れましたが、方式によって三十八年旧法の定数ではじき出すと一万三千三十三、大体三百八十程度の過になるわけですね、それに五分の四を掛けて二百八十何ぼか、これが三十九年度に実際に救済した数であって、それは全県でしょう、その中で産炭地に比重が大きいという、これは大臣はそういうことばでしか表現できないと思うのですが、産炭地域にどれだけやっていますか、二百八十七名の三十九年度救済した分を。
#31
○政府委員(福田繁君) 大臣が申し上げました六百人の中で、これはもちろん県下全部でございます。三十九年度教育委員会から出てまいりました数字によりますと、産炭地だけで二百八十六人というような数になっております。もちろん福岡県は御承知のように産炭地とそれ以外の地域と比較いたしますと、大体産炭地域というものは三分の一くらいに該当いたします。したがって、先ほど申しましたように、産炭地に重点を置いて県としても考えたということは言えると思います。
#32
○豊瀬禎一君 小学校における三十八年旧法定数を幾らで算定して六百何ぼという数字を出したんですか。私が聞いておるのは、旧法定数の一万三千三十三人に〇・九八五掛けて、それから調整していって、小学校の場合で三十九年度にいわゆる文部省が特別措置したという数字があるはずです。その数字と、あなたが産炭地に配当しているつもりですという数字と合わぬから聞いておるんです。
#33
○政府委員(福田繁君) いま旧法の資料を持っておりませんので、また後ほど調査いたしましてお答えいたしたいと思います。
#34
○豊瀬禎一君 福田局長の答弁を聞いておりますと、産炭地においては三十数名あるいは四十数名のいわゆる文部省標準よりも下回った学級の生徒数になっておる。それは単に産炭地だけでなくして全国的にそういう現象が生じておる。そのことは事実と間違いない。しかし、そういう立論をすれば、来年度四十八名にしようとしていますね。ところが四十八名以上の小学校が全国で何ぼあるつもりですか、中学校で何ぼありますか、平均が。私が言おうとしておるのは、大都市においては四十九あるいは四十八というのがかなり多いでしょう。しかし、地方の小中学校はすでに文部省が考えて措置しようとしている来年度の四十七よりもはるかに全国的に下回っているんですよ。そうすると、来年度四十七に下げようとするその数字がおかしくなるんじゃないですか。だから産炭地において実際に三十七名とか、三十数名になっているから四十名で編制するんじゃないですよ。その基準で算定していって教員をふやしていくということは必要がないという理屈はない。これは理屈じゃなくてごまかしでしょう。四十人で編制しなさいというのじゃなく、その基礎で算出した教員を配当しなさい、こう言っておるんです。それを実際に現在産炭地は三十七名だから、四十名以下になっているんだからその必要ない、そんな言い方ありますか。
#35
○政府委員(福田繁君) もちろん御指摘のように、実際の学級の編制は最高を押えたものでありますから、全国平均というものはその最高よりも低いことは当然でございます。しかし、私どもが見てまいりました範囲では、産炭地の実際の学級の編制というものは、先ほど申し上げましたようにかなり低くなっておりますということは、これは現実の状況でございます。その上に立って考えますと、四十人という御意見もございますけれども、私どもは生徒児童の教育効果をあげるという観点からも、現在の学級編制、実際に編制されております状況でいいんじゃないかというように考えます。一面それに応じた定数を配当しろというような御要望もいまあったようでございますが、それはすでに現行法のもとにおきまして約六百名の暫定定数というものをみておるわけでございます。したがって、その暫定の六百人というものを県内で有効にこれを使用すれば、十分産炭地の現状に対応し得る教育ができるんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。その証拠には、現在、産炭地のそれぞれの学校全部じゃございませんけれども、見た範囲におきましては、配当基準よりもかなり上回った教員定数というものが実際に行なわれております。現実に一つの三十人くらいの基準定数の学校でも、多いところは四十人、十人も上回っておる、こういう学校もあります。あるいは五、六人、あるいは二、三人の加配をされている学校というものがかなりある。そういう現実を考えますと、私どもとしてはそれで十分やっていただきたい、こういうように考えているわけでございます。
#36
○豊瀬禎一君 あなたが言ったような学校はあります。学校はあるけれども、それは教育行政として、あるいは教育的な観点で、その学校には、たとえば遅進児が多い、精簿が多い、非行少年が多い、したがって、五人なり三人なりの増配をしている、こういう措置ではないんですよ。全県下に一千人の教員のかりに過員があろうとも、それを産炭地に移住させて、そこで教員をさせるということは何十%可能と見ているのですか。あなた福岡県出身ですからおわかりのように、筑豊地区や福岡地区から産炭地に通勤するということは実際問題として不可能でしょう。だから、結果的な処理としてはそういうことになっている学校もあるけれども、やはり小林委員も指摘したように、学力の低下とか、あるいは非行の続出とか、先生の事務量の増加ということを考えていくこと、教員の配当率を高めるという一つの措置が必要でしょうが。結果としてそこの先生が異動しない、あるいはそこの学校には何人か滞積している、そういうことがあるのだから、それでやりますという言い方はやはり無責任な言い方ですよ。やはり非行が一〇%以上出ているところは教員をどの程度多く配置するとか、あるいは学力が――あの表でもおわかりいただいていると思いますが、中以上からになると、三十五年ごろと三十八、九年を比べてみると非常に大きな低下を来たしている。こういうパーセンテージの学校には、一学級をたとえば三十人なら三十人、四十人なら四十人という教員配当をしていくとか、こういう一つの基準をもって六百人のうちから措置しているということではなくて、結果的な処置としての施策でしょうが、県の教育委員会も、あなた方において考えているのは。そういうことではなくて、やはり制度として産炭地に対する特別手だての必要がありはしないかと、こう言っているんですよ。逆にいきますと、それじゃ過員がなかったなら新しくあなたの言うようなことにはならなかったでしょう、福岡県は。新しく教員を採用して、そういうところにどういう計画で配置しようとしたかと聞かれると、あなた方ははたと困るわけですよ。たまたま福岡県に過員という状態があったために、その処置としていまのような状態が行なわれているのであって、産炭地の教育に対する手だての問題として、そういう処置が行なわれているものではないということを、これは大臣、十分認識していただきたいと思うんですよ。過員がなくなった際にはこのことは解消してしまうでしょう。そういう過員処理的な処置でなくて、一応、産炭地の教育が安定するのは二年になるのか三年になるのか、それは私どもが即断できませんが、その暫定期間だけは一つの一貫した方策で、学力低下の問題なり非行の問題なり、いろいろの教育的な非条件を解消していくための施策が要ると思いませんか。
#37
○国務大臣(愛知揆一君) これは、何と申しますか、趣旨というか、そういう点においては食い違いは私ないと思うのでありますけれども、事実問題として、たまたまいわゆる形式的な過員があったから措置ができるというようにお取りになっておるわけでございますが、ともかくもこの現状において、そしていま福田局長が申しましたような、あるいは特殊学級を増設するとか、あるいは現状を是認するといいますか、そして実際上支障を与えないようにするということが当面やるべき措置ではないかと考えるわけでございます。これで結果が望ましい結果がともかく出れば、まずそれでいいのではなかろうか、まあこういうふうに考えておるわけでございます。特別に産炭地の学級編制について基準を法制的にかえるというような、場合によりますと、取り上げ方によっては全国的にも波及するようなことまではいたさなくともいいのではなかろうか、こういうふうな考え方なんであります。
#38
○加瀬完君 関連。先ほど局長から、いま両委員の御指摘になっております産炭地の教育財源について特別交付税でまかなうようにした、あるいはまかなうようにするという御説明がございましたが、産炭地で一番市町村の支出の多いのは生活保護、それから失対事業ですね。で、特別交付税がかりに流れてまいりましても、市町村ではまずその失対事業の、あるいは生活保護のほうに一番赤字が多いのですから、そっちのほうに使われるのが多くて、教育財源としてはっきりとワクをきめて使われるというこのパーセントは非常にその確率が低いと思うのです。あとで大臣が御説明になりましたように、やはりその既定の教育財源として使えるものをその率をふやすとか、額をふやすとか、あるいはそれにはめ込めないものは新しく別の立法をして財源を補てんをするということでなければ教育財源の補てんにはならないと思うのですがね。この点いかがですか。
#39
○政府委員(福田繁君) おっしゃるとおりだと思います。従来から私どもが自治省といろいろ相談してまいりました際にも、まあ交付税の性格から申しまして、ひもつきのできないのが悩みでございます。私どもは現地の要望からいって、このために特別交付税をもらいたい、こういう希望を果たすには、ある程度やはりこのために自治省が流したのだ、特配をしたのだというやり方をしていただきたいと思うのですが、なかなかそれはうまくまいらない場合が多いわけでございます。したがって、いままでの就学奨励あるいはその他につきまして特交を相当見てもらったわけでございますけれども、それが全般的に申しまして、いま御指摘のありましたようなこともございますので、その点を私どもは非常に心配しておるわけでございます。ただ、昨年、三十八年度のいわゆるカウンセラーのために見てもらった特交などは、これは明瞭にそういう趣旨を自治省にも言ってもらいましたので、そういう点は、まあそれに県として使っておるというように私ども考えておりますけれども、地方自治のたてまえから申しまして、そういう困難な点があることは私どももいつの場合も感じておるわけでございます。
#40
○加瀬完君 経過的には、たとえばいま御指摘のカウンセラーのような費用が基準財政需要額として認められておらない、そこで特別交付税で新しく追加していただいたということはあり得ると思うのですよね。しかし、特別交付税というものはそういう性格のものではないわけですから、特別交付税で新しく盛り込んでもらわなければならないようなことであるならば、次年度から同じ事業が続けられるならば、それは基準財政需要額で見込むなり、新しく文部省の管轄の中の予算項目の中に入れるなりということではっきりとやはりきめていただかないと、この問題の解決にならないと思うのですよ。これは質問というより、そういう点、文部大臣がお答えになりましたが、やはり確実に財源が流れていくような裏づけになるような方法をおとりをいただきたい、これはお願いをいたします。
#41
○豊瀬禎一君 大臣にお尋ねしますがね。そうすると、特別の措置が必要ないということは、先ほど冒頭に小林委員にお答えになった、全国的に波及する問題であるから特例法的な制度はとるべきでないということが主たる理由ですか、それとも産炭地についてはそういう特別立法等の特別措置をする必要がなくて済まされておる、こういう現実論からですか。
#42
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほども申し上げましたが、たとえば補助率の引き上げの問題などにいたしましても、まず予算を確保するということが大事でございますので、補助率をたとえば十分の八に引き上げるということで予算を積算して概算要求をしております。こういう点は特に新しいやり方としての産炭地対策ということになるわけでございます。それから学級編制、教職員等の問題につきましては、特に法令というようなものを新しくつくりませんでも、幸いにといいますか、幸か不幸かと申しますか、現実の与えられた所要の条件の中において処理ができる、こういうので、これも特別の措置であることには間違いないわけでございます。運用上といいますか、このワクの中で幸いに処理ができるから、これを特にはっきりした措置としてやってまいりたい、こういう考え方、いろいろの手段といいますか、考え方を総合的に出してまいりたいと考えております。
#43
○豊瀬禎一君 大臣に、それではもう一歩突っ込んでいきますと、昭和四十年度の推計の法定数の定数というのが福岡県に出てくるのですが、その際、先ほど言ったように、実態としては過員があったために、それで文部省と教育委員会が話し合って措置されておる、こういう実態ですね。それがなくなった際には、たとえば二百八十六、昭和三十九年度は産炭地でやっております、こういうことですよ、文部省の答弁は。過員がなくなっても二百八十六程度、あるいはこれが三百になるのか二百五十になるのか、そのことは別にして、学級編制を四十にしなくとも、とにかく三百前後の教員増を維持していくことによって産炭地の教育低下については手当てをしていく、これは法によらないでもやっていく、ただし、その数字は結果的に出てきた過員の問題でなくて、しかるべく算定基礎を用いて、先ほども私が言いましたように、ある程度、たとえば非行児がこの程度おるところにはこれだけ増配するとか、そういう一つの基準をもって、福岡県だけじゃなくて、福岡県は幸いそういう数字が出ていますが、産炭地の必要なところには配置をしていく決意である、したがって、法律をつくる必要はない、こういうお考えだと聞いてよろしいですか。
#44
○政府委員(福田繁君) 少し技術的なことを私から先に答弁さしていただきたいと思いますが、たまたま過員があったとおっしゃいますが、もちろんいまの暫定措置につきましては、従来の過員と、今後、生徒児童の減少に伴う過員と二つが含まれているわけでございます。これは御承知のとおりでございます。したがって、これは福岡県の場合を例にとりますと、従来の過員というものは、これはだんだん減っていくと思いますが、今後、生徒児童が急激に減少することによって起こる過員というものは当分続くわけでございます。したがって、この暫定措置というものは本年度から五ヵ年間は、少なくともこれはやらなきゃならぬ措置でございます。したがって、現行法のもとにおきましても、いま申しましたいろいろな、教育上の効果を上げるとか、あるいはそのために教員の充実をはかるということは、そういう生徒、児童がたまたま減ってまいりますので、その傾向に伴って起こってまいります、ことばは悪いのですけれども、余剰教員をもってこれを充てていけば十分まかないつくというような考え方で私どもおるわけでございます。したがって、この暫定措置が今後あと四年間少なくとも続きますと、幸いに産炭地等の教職員の問題も相当私はこれによってカバーできるものと考えておりますので、その意味のことを申し上げたわけでございます。
#45
○豊瀬禎一君 だから、実際に生徒減による教員の過が出てくるわけであります。生徒減によって教員の過が生ずる、それに対して、ちゃんと毎年次パーセンテージを下げていきながら措置をされることはどこの県でも同じですね。単に福岡県だけでなく、産炭地だけでなく、それは一般的な定数の措置ですよ。産炭地ということに対して特別の措置をする意図がありますか、こう聞いておる。過員を生じたその措置ということでなくて、たとえばあなたは特殊学校、養護学校等をつくればよろしいと言った。一万八千程度の特殊児童がおるのですが、それを二十学級編制するとすると八百か九百の学級が要るでしょう。それを、望ましいことは一人の教師じゃなくて二人でやらせるということで、実際にやっておるところもあるのですが、そういう場合に対して、もし市町村がさらにそういう施設、設備をするためにも国が補助を出してくれ、特殊学級編制した際には、そういう教員の増配というのは別にきちんと、過員対策という結果的な問題の処理でなくて、かりに過員がなくなっても、あるいはない県においても、そういう産炭地に対する対策としてする意思があるのかということを聞いておるのですよ。
#46
○政府委員(福田繁君) 御承知のように、私どもは全国的に特殊学級の増設というものを計画的に進めております。本年も約一千学級増設したわけでございます。こういう特殊学級の増設に関連しまして、これはいま御指摘になりましたように、これがその地域に特殊学級を設けるということになりますと、当然に過員とは別個に計算をされるわけでございます。したがって、特殊学級の必要な教員というものは、当然にこれは定数の上に計算されて加算されるということになるわけでございます。
#47
○豊瀬禎一君 そうすると、現在の文部省の特殊学級というのは千学級ですね。三十九年度は福岡県においては一万八千九十五が出ておる。それを産炭地においてそれを特殊学級として、たとえば一学級二十人で編制していくと、先ほど言ったような学級数になる、教員数になってしまう。そうすると、文部省の計画からはみ出してしまうね。はみ出してしまうけれども、それは基準であって、産炭地に対しては特別の手当てをしていく、こういう意味ですか。
#48
○政府委員(福田繁君) もちろんいま特殊学級に収容すべき子供の数を一年度に全部するということになれば、それは御指摘のような計算になるわけでありますが、私どもとしてはそれは事実上の問題としては不可能ではないかというように考えますので、文部省で別に増加要求をいたしております特殊学級のワク内で、できる限りそれを重点的に考えていくというつもりでおるわけでございます。したがって、福岡県などで来年度特殊学級を相当増したいというのであれば、当然にそれは私どもは優先的に見ていきたいという考え方でございます。
#49
○豊瀬禎一君 次年度予算で幾らふやしていますか、予算要求で、特殊学級は。
#50
○政府委員(福田繁君) 一千学級であります。
#51
○豊瀬禎一君 従来どおり一千学級でしょう。だから、一万八千人の特殊児童を昭和四十年度で一気に特殊学級に編制することは実際の問題としてできない、そのとおり。だから、あなたがさっき小林委員に答えた、たとえば特殊学級をつくることによって云々という解決策は成り立たない。そうすると、私がたびたびくどいように聞いておる、それでは産炭地の教育効果を高めていくための特別な教員配当というのはどういう基準でやろうとしているか、どういう考え方に立ってやろうとしているか、それは過員対策としてでなくて、過員がなくなった際にはどうする考え方かと聞いているのですよ。それはどうなんですか。
#52
○政府委員(福田繁君) その問題につきましては、五年以後の問題はまだ私どもとしては見当がつきませんが、いまの現行法のもとにおきまして、五年間は暫定措置と申しますか、特別措置ができることになっております。現行法のワク内において十分考えていきたい、そういう気持でございます。
#53
○豊瀬禎一君 福岡県の小学校でどの程度の過員が生ずると昭和四十年度みているのですか。
#54
○政府委員(福田繁君) 正確な数字はまだ私どもつかんでおりませんけれども、少なくとも千人以上の過員が、いまのままでまいりますとできると考えております。
#55
○豊瀬禎一君 小学校で、昭和四十年度の数学が千人程度余るというのが出てきていますか。
#56
○政府委員(福田繁君) そのように聞いております。
#57
○豊瀬禎一君 たとえば千人のうちに産炭地に二百人おるとすれば、それはどういう考え方で産炭地の教育向上のために教員のいわゆる学校配置の増をはかろうと考えているのですか。
#58
○政府委員(福田繁君) これはまだ県の教育委員会と具体的に御相談しておりませんのでわかりませんが、私どもとしては、千人以上に持別措置をしなければならぬだろうというように考えておりますのでことしの六百人よりもかなり上回った特別措置によって、無理が起こらないように考えていきたいということを現在のところでは考えておるわけでございます。したがって、その中で産炭地の学校にどれだけ配置するかは、これは県の教育委員会自体のお考えにもよるわけでございますから、具体的に御相談を申し上げていきたいと考ております。
#59
○豊瀬禎一君 県の教育委員会は産炭地の学校教育対策に対して文部省に陳情書を出していませんか。
#60
○政府委員(福田繁君) 出しております。
#61
○豊瀬禎一君 それが教育委員会の意思でしょう。それをすでに予算の査定が始まっている現段階で、産炭地に対しては福岡県の教育委員会が具体的に学級編制その他について要望していることについて、どう予算的な処置をしていこうと考えているのですか。
#62
○政府委員(福田繁君) その点は先ほど来私が申し上げましたことでおわかりになると思いますが、県の教育委員会としては御希望もございますけれども、私どもはこの問題については、できる限り現行法の範囲内において特別の措置を講じていきたいということを県の教育委員会にも申し上げているのであります。
#63
○豊瀬禎一君 佐藤さんにお尋ねしますが、福岡県の本則定数から充足率を掛けて昭和四十年度の推計の定数はどのくらいに福岡県の小学校だけたとってみるとなると算定しているのですか、先ほどの千名というのは。
#64
○説明員(佐藤三樹太郎君) 福岡県の来年度の定数の絶対数の資料をきょう持っておりませんけれども、いま局長が申し上げたことを少しふえんして申し上げますと、標準法の規定によりますと、毎年、学級編制の改善をやるのと、それから新法の新しい定数基準に近づけていくのと二つの措置がある。これはどこの県にも一般に通ずるのですが、そのほかに急減して定員が減る場合には、その一定の線までで無理のないように押えるために特別な加算をする。それが一つと、それから従来あった過員を年次的に保障していく、二通りございます。その二通りの措置を考えますと、福岡県は来年、ことし六百人の数であったのがほぼ九百人くらいになる見込みでございます。ですから本年度よりもさらに実質的に三百人だけゆとりが生ずるわけであります。ゆとりが生ずるということは教員がふえるということではなくて、現在の福岡県の教育委員会が各学校に配置する教員の定数の基準に比べまして、さらに三百人だけゆるんでくるわけであります。その分を私どもは産炭地に重点的に振り向けるように県の教育委員会と御相談をしたいと思います。
#65
○豊瀬禎一君 大臣にお尋ねいたしますが、そうした処理は一つも現実の解決策にならないとは思いまませんか。たとえば制度として、福岡県だけではなくて、産炭地の必要な小学校に対してカウンセラー等特別に配置していくという考え方は持っておられませんか。
#66
○国務大臣(愛知揆一君) これは先ほどの福田局長の答弁と関連してくると思いますけれども、私はいま説明が佐藤君からありましたように、三十九年度においてもすでに実施していることでもあり、四十年度につきましても、相当のいわゆる過量をかかえていくというこちらは態度で臨みますれば、その中でいわゆる産炭地に対する特別の措置はできる、こういう考え方で処理してまいりたい、その考え方の中で一つの具体的な御相談は県教育委員会とやってまいりたい、こういうふうなかまえ方でいるわけでございます。
#67
○豊瀬禎一君 私の教育委員会からもらってきている数字で、いわゆる他の県と異なって、福岡県に独自に措置をする必要のあるものは、小学校において昭和四十年度は二百数名と算定しているが、佐藤さんの言っている数字とちょっと違いますね。これはどうせ次の委員会で審議をいたしたいと思いますが、そのときまでにきちんと数字を出しておいてください。
 それから給食等の設備など、数字をあげて局長あるいは大臣が説明されたんですが、昭和三十四年度、私、冒頭に説明申し上げましたように、文部省から特別に金を出す措置をとられたが、今日に至るまで市町村で学校給食の設備の資金が足らないために消化しきれないでおりますね。だから、給食に対する設備、施設の補助金というのをこの際に補助率を大幅に高めていく、それから同時に総ワクですね、産炭地で十数万の生徒に対して、現在、設備を持っているところはよろしいが、ないところに対しては早急に給食設備を充実させるために、どうしても設備、施設に対する補助を高める必要がある。いまの措置のままでは市町村の財政が産炭地では窮迫しておりますから、自分ではまかなえないという状態ですが、これは福田局長、施設、設備費に対する補助率を高める、総ワクを高めようという考え方はありませんか。
  〔委員長退席、理事吉江勝保君着席〕
#68
○説明員(前田充明君) 施設、設備の問題でございますが、この問題については、そういうような御希望のあることは承知いたしております。したがって、そこで問題になるわけでございますが、施設、設備――施設でございますので、公立文教との関係もございますし、建物のことでございますので、したがって、そういうこととの関係等も考慮いたしまして、将来の問題として検討はいたしたいと思います。
#69
○豊瀬禎一君 将来の問題というのはいつのことですか。
#70
○説明員(前田充明君) 将来の問題として申しますのは、四十年度という意味ではございません。そういう意味でございますが、たいへん私どもそういう問題が急速に出てきた問題でございますので、私どもといたしましては応急給食という方法を実は講じておるわけでございます。応急給食と申しますのはミルクとパンの給食をさしておるわけでございますが、これでやりますと早急な問題として一応の解決――解決ということはできませんかもしれませんが、いわゆる欠食児童の多い産炭地の問題としてはすぐに間に合うという意味で、応急給食の勧奨はいたしておる状況でございます。
#71
○豊瀬禎一君 給食設備のない学校が産炭地にどれだけあると把握しておりますか。
#72
○説明員(前田充明君) 三十九年度福岡県の産炭地の小学校で十三校が未実施校になっておるわけでございますので、その学校は設備はないということになるわけでございます。十三校。
#73
○豊瀬禎一君 佐賀、長崎、山口、福島、北海道等では、他の産炭地では。概数でいいですよ。
#74
○説明員(前田充明君) 小学校におきましては熊本、佐賀を除いて全国で五十九校でございます。
#75
○豊瀬禎一君 それを具体的に、どういうふうに設備、施設を充実して実施させようという計画は、将来の問題というだけで全然ないのですか。
  〔理事吉江勝保君退席、委員長着席〕
#76
○説明員(前田充明君) 私どもの学校給食に対する考え方といたしましては、全面的に完全実施をいたしたいということでやっておるわけでございます。これは御承知のとおりでございますが、そういう中で産炭地の学校でございますが、これをできるだけ早くやるようにということで勧奨はいたしておるわけでございます。しかし、まあその学校を無理にやらせるということは御承知のとおりできないわけでございます。したがって、それをできるだけやるように、そういう場合の配当という問題になりますれば、産炭地の要求に対してそれを満配するというようにすれば結果として全面的にやるようなふうになるわけでございます。かような考え方でございますので、産炭地は先ほど大臣からもお答えいたしました数字のように、御要望があれば全部引き受ける。こういう考え方で進めております。
#77
○豊瀬禎一君 そういうことじゃなくて、施設、設備の補助率を高めなければ現行制度の中では市町村がそれをまかなっていくだけの財政力がない。それを高める意思があるか、あるとすればどういう計画でやっていきますかと聞いているのですよ。
#78
○説明員(前田充明君) それは先ほど申し上げましたように、四十年度の計画としては現在率を高めるということは考えておりません。将来の問題として検討いたしたいと考えておるわけであります。
#79
○豊瀬禎一君 議事進行についてお尋ねいたしますが、午前中という、平常の委員会の運営は十二時ということはいままで聞かないこですが、理事の方から再々督促があっていますが、十二時にきちんとやめるという話し合いでしたか。
#80
○委員長(野本品吉君) 大体午前中で終わろうではないかという暗黙の了解はあったのですが。
#81
○豊瀬禎一君 ええ、それは私ども委員長の開会の際のお話で全員了承したところですね。しかし、普通、文教委員会の午前中というのは一時に及ぶこともあるし十二時半に及ぶこともあるし、大体そういうことですね。
#82
○吉江勝保君 まあ大体十二時という了解で話したのです。
#83
○委員長(野本品吉君) ちょっと速記とめて。
  〔速記中止〕
#84
○委員長(野本品吉君) 速記をつけて。
#85
○国務大臣(愛知揆一君) 産炭地における学校給食の対策についていろいろ積極的な御意見がございまして、私としても非常に傾聴いたしたわけでございますが、現在のところは、これは御承知のとおりと思いますけれども、準要保護児童、生徒の給食費に対しましては、四十年度の要求として十分の八に引き上げるという要求をしておるわけでございますが、給食施設設備費それ自体については補助率の点にはまだ触れておらないわけでございます。それから一般的に申しまして、この準要保護児童、生徒給食費の補助金については、これはもう産炭地の要求に応じて優先的に今後におきましても配分をいたしたい。そういう考え方でございます。それから給食がすでに実施されている学校において準要保護児童が増加いたします場合には、増加分に対しましては補助金を追加配分するつもりでございます。それからこれは先ほど局長から答弁がございましたが、いまだ給食を実施していない学校については、学校給食の開設、特に応急給食の開設を指導奨励して、これに伴う準要保護児童、生徒に対しましては補助金を配分する。こういうことでまいりたいと思っております。なお、四十年度においての施設、設備につきましては、補助基準と単価は従来と変えまして要求をいたしておるわけでありまして、これはまあ直接いまのお尋ねには関連がないことかもしれませんけれども、たとえば、小中学校の四百人規模の場合であれば、従来十五坪余であったものを二十坪に広げるとか、あるいは坪あたりの建築単価を鉄骨は六万二千余円、木造は四万六千余円というような単価の引き上げを行なうというようなことで、この総額といたしましては、一校当たり設備費が従来十八万円余でありましたのを二十一万七千円にすると、こういうことを、一般的な給食問題でございますが、四十年度にはそういう概算要求をいたしておるわけであります。念のためにお答え申し上げます。
#86
○委員長(野本品吉君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#87
○委員長(野本品吉君) 速記をつけて。
#88
○吉江勝保君 当初、産炭地をごらんになった豊瀬委員から実情を詳しくお述べになりまして、私も聞いておりまして、その惨状のひどいのにいまさらながら驚いたわけなんであります。それについていろいろと私のほうからも質問したいことが実はあるのでありますが、大体もう十二時もだいぶ過ぎておりますので、一つだけお聞きいたしまして終わりたいと思います。
 産炭地の地元で、家庭が破壊されるといいますか、そういうような状態のもとに教育が行なわれておる。そのことについていろいろと質問されておりますが、私はその家庭の破壊されておるというか、生活がほんとうに窮乏されたその家庭の子供たちが、義務教育の年齢の子供たちが、あるいは学業を捨てて他府県に出ておるのではないだろうか。それは他府県であるいは就学をしておればいいのですが、就学をせずにおるような子供さんがおるんじゃないだろうかということを実は感じたのでありまして、実情報告をされた方でもけっこうですし、文部省の方でもけっこうですが、そういう児童生徒があるのかどうか、あればそういう児童生徒は他府県でどういう状態に置かれておるのだろうかということの状態がもしおわかりであれば伺いたいと、こう思うのであります。
#89
○政府委員(福田繁君) 御指摘のようなお話を私ども現地にまいりますとよく聞くのでございますが、しかし、それが他府県に出ましてどういう状態におるかというところまでつかんでおりません。しかしながら、御指摘になりましたように、いろいろあの地域を離れて他の地域に行く、もちろん学校などに進学するために行っているものも相当ございますけれども、いろいろ話はあの辺の地帯でもよく聞く話でございます。
#90
○吉江勝保君 豊瀬委員のほうでも何かおわかりですか。
#91
○豊瀬禎一君 二つの状況があると思いますが、一つは学校教育に直接関係ないことですが、中学を卒業して親のもとにいたくないから――産炭地で働きたくないという意味じゃありません。
#92
○吉江勝保君 ちょっと途中ですけれども、義務教育の年齢の生徒児童でけっこうです。
#93
○豊瀬禎一君 それが影響してくるのです。他県にうちを飛び出すために働きに行っている。そうしてその子供たちは、例外なしに親との音信を絶って転々と行っている。こういう人たちが、やはり小学校、中学校の生徒に手紙を出したり、あるいは誘いかけたりして、こういうところにやってくるといういう仕事があるぞ。親は子供を養うだけの力がないために、それで家出をしてそこに走って行ってみたり、あるいは親もしぶしぶ承諾して他校に行ったようになっているけれども、これは当該県の教育委員会の連絡もとっておりませんのではっきりした数字はわかりませんけれども、そういう誘い出しによって他府県に行っている者はほとんどこれは就学をしていないのではなかろうかと考えられます。
 もう一つのケースは、父あるいは母親だけが先ほど申し上げましたように出かせぎに行く、その際に子供を連れて行っておりますね。ところが、その中でも炭鉱離職者あるいは母親に対する仕事の内容というものが、たとえばお母さんの場合は飲食店等が主になっておるようです。こういうところに母親と一緒に行ってみたり、あるいは父親だけでついて行っているという子供は、当初は入学をしておるようですけれども、やはり長欠をたどり、それから学校にこなくなり、そして悪の道にいっていると、こういうケースが現地の受け持ちの先生からいろいろと報告をされておりますが、これは全体どういう数字になっているかということは把握しておりません。
#94
○吉江勝保君 いま初中局長また豊瀬委員からお答えがありましたように、やはりそういう生徒、児童も相当あるだろうと私ども想像するのでありまして、現地に残っております子供の教育について十分な対策を講ずるとともに、そういうように義務教育も受けられないような状態に置かれておる生徒、児童をもう少し調査をして、これに対して義務教育を受けられるような方法もあわせて文部省なり厚生省も一緒にあたたかい施策をお願いいたしたいと思います。
 これは産炭地の報告から感じたのですが、ことしの北海道の冷害ですね、あるいはこの冬がきまして、先日もテレビの放送を見ておりますと、相当人身売買というようなことを申しまして、子供さんたちがその村から消えていくというようなテレビを見たのでありまして、もしそういうようなことが、こういう産炭地やあるいは冷害のはなはだしいところで、義務教育を受くべき生徒、児童がそういう状態に置かれておるというような事実があれば、これは内閣も人間尊重をモットーにされておるのでありますから、そういう子供さんたちにあたたかい特別な施策、対策を講じていただきたいということを、これは質問よりもお願いをいたしておきたいと思います。
#95
○国務大臣(愛知揆一君) これらの点については、先ほど豊瀬委員から詳しくお話を承ったわけでございますが、実はただいまの問題も、たとえば就学の児童、生徒、就学年齢のそういった幼い子供たちが無籍者のようなかっこうになっているというようなことも、私どもとしてはやはり聞いておるわけでございまして、これはひとり文部省だけの問題ではございませんが、内閣全体としても、ただいま吉江委員のお話しのとおり、大きな問題として総合的にひとつ調査もうんと進めなければならないと思います。全面的にあたたかい対策をするように私からも関係閣僚にお願いいたしたいと思います。
#96
○委員長(野本品吉君) ほかに御発言もないようでございますので、本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十八分散会
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ソース: 国立国会図書館
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