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1964/12/15 第47回国会 参議院 参議院会議録情報 第047回国会 文教委員会 第3号
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1964/12/15 第47回国会 参議院

参議院会議録情報 第047回国会 文教委員会 第3号

#1
第047回国会 文教委員会 第3号
昭和三十九年十二月十五日(火曜日)
   午後一時四十五分開会
    ―――――――――――――
  委員の異動
 十二月十二日
    辞任          久保 勘一君
 十二月十二日
    補欠選任        上林 忠次君
 十二月十五日
    辞任          上林 忠次君
 十二月十五日
    補欠選任        久保 勘一君
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         野本 品吉君
    理 事
                久保 勘一君
                二木 謙吾君
                吉江 勝保君
                小林  武君
     委 員
                植木 光教君
                近藤 鶴代君
                中野 文門君
                中上川アキ君
                加瀬  完君
                豊瀬 禎一君
                柏原 ヤス君
                高瀬荘太郎君
   国務大臣
       文 部 大 臣  愛知 揆一君
   政府委員
       文部政務次官   押谷 富三君
       文部大臣官房長  西田  剛君
       文部省初等中等
       教育局長     福田  繁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        工楽 英司君
   説明員
       文化財保護委員
       会委員長     河原 春作君
       文化財保護委員
       会事務局長    宮地  茂君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (産炭地域の教育問題等に関する件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(野本品吉君) ただいまより文教委員会を開会いたします。
 理事の補欠互選についておはかりいたします。
 去る十二月十二日、理事久保勘一言が一たん委員を辞任され、これに伴い理事に欠員を生じましたので、その補欠互選を行ないたいと思います。
 互選は、投票の方法によらないで委員長にその指名を一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(野本品吉君) 御異議ないと認めまして、理事に久保勘一君を指名いたします。
#4
○委員長(野本品吉君) 前回に引き続きまして、教育、文化及び学術に関する調査中、産炭地域における教育問題等に関する件を議題といたします。御質疑のおありになります方は、順次御発言を願います。
 なお、本日は、政府側からは西田官房長、前田体育局長、押谷政務次官、河原文化財保護委員会委員長、宮地文化財保護委員会事務局長等が出席されております。福田初中局長は追って出席の予定でございます。大臣は所用がございまして、二時四十五分以後出席するということになっておりますから、これもお含み願います。
 速記をとめて。
  〔速記中止〕
#5
○委員長(野本品吉君) それでは速記をつけて。
 御質疑のあります方は御発言を願います。
#6
○小林武君 文化財の件について質問いたしますが、だいぶ前でございますけれども、文化財保護委員会の委員長においでを願いましていろいろ御質問をいたしました際に、委員会としては遺跡台帳を整備いたしまして、今後においてはその保存に万全を期するというような御答弁があったことを記憶しているわけであります。私がきょう質問申し上げるのは、その遺跡台帳というものがあまり完備したものでないのではないかということをまずお尋ねしたいわけです。この点については、あまり詳細な点については、委員長でなくて、ほかの方が御答弁になってもけっこうなんでありますが、たとえば例を福井市にとってみますというと、福井市の遺跡台帳には四ヵ所しかあがっておらない、こういうことになっておるわけであります。福井城址、北ノ庄城址、新田義貞戦死の伝説の地と足羽山の古墳群、この四ヵ所で、それ以外のものは台帳には記載されてないというのですが、この点はいかがなものでしょう。
#7
○説明員(宮地茂君) ただいまの遺跡台帳の件でございますが、実は三十五年度から三十七年度の三ヵ年間にわたりまして、各府県に依頼いたしまして、その県内の埋蔵文化財等につきまして、もちろん指定外でございますが、その報告を徴しました。で、お尋ねの福井県につきましては六百七十七件のものが報告されております。福井県といたしましては六百七十七件、その内訳は、貝塚、住居あと、古墳、寺あと、かまどあと、経塚、城址等いろいろございますが、六百七十七件が一応三十七年度までに調査されたものとして当方に報告され、いわゆる遺跡台帳に登録されておるものでございます。
#8
○小林武君 それは福井市の場合ですか、その数は。
#9
○説明員(宮地茂君) 福井県全体でございます。福井市につきましては五ヵ所でございます。古墳、史跡、城址、貝塚、城址は二つでございまして五件でございます。
#10
○小林武君 それをあげてみてください。五ヵ所。
#11
○説明員(宮地茂君) 名称を申しますと、足羽山古墳群、新田塚、福井城址、北ノ庄城址、北堀貝塚、以上でございます。
#12
○小林武君 北堀貝塚。福井城址はないのですか、その中に。
#13
○説明員(宮地茂君) 福井城址、ございます。
#14
○小林武君 そう。それで五ヵ所。
#15
○説明員(宮地茂君) はい。
#16
○小林武君 その中には八幡山古墳群というのは記録されてないのですか。あるいは兎越古墳群。
#17
○説明員(宮地茂君) 私も詳細を存じませんが、いまおっしゃいます八幡山古墳は、足羽山古墳群の中に包括されるものとして足羽山古墳群として報告になっておるようでございます。
#18
○小林武君 その点はあれですか、のようにというようなあいまいな表現を使っておられますが、それは事実あれですか、足羽山古墳群の中に八幡山古墳群も兎越古墳群も入るということになっていますか、間違いありませんか。
#19
○説明員(宮地茂君) 実は昨日、小林委員から御質問があるという御質問の内容を承りまして、その点を県に照会しましたところ、足羽山古墳群の中に八幡山古墳は入るものとして足羽山古墳というふうに報告がしてあるという県の報告であったようでございます。
#20
○小林武君 八幡山古墳群と兎越古墳群を足羽山古墳群と一緒にするということは、それは県であなたのほうに報告になったということであれば、これはやむを得ませんけれども、地図を見てぼくは言っている。地図を見て言って、これが一括してそういうふうなことを言われるものなのかどうか。それでは八幡山と兎越山とは同じ古墳群だと、こう見ていると、こういう点はきわめてぼくはあいまいだと思うのですね。私はこういう質問をしたのは、委員長がここにいらっしゃいますから、ぼくは特に聞いていただきたいと思っているわけですけれども、遺跡台帳をつくったならば、日本のこの種のものについては絶対心配がないというふうに、委員長はそう信じておられるようなこの間の発言であった。また、その他の方々もそういうふうにいままで答弁をなさっておった。ところが、私が言いたいのは、そうは言っても、実はたくさん漏れているのだということを申し上げたいのです。漏れていたならばどうなるかというと、破壊されるということになるわけでありますが、だから遺跡台帳そのものがきわめて不備だと私は言ってほしいと思うのです。そういう意味で、遺跡台帳にあるからというような、そういう遺跡台帳があれば万全であるというようなれ考えを改めないというと、福井県を一つ例にとっても、福井市を一つ例にとっても、これはたいへんだということをあなたたちに知ってもらいたい、文化財保護委員会の方々にね。いま足羽山と八幡山古墳群が同じだというようなことを言うのは、これは県のどなたがおっしゃるのかよくわかりませんけれどもね、少なくともこれは私が聞いている限りにおいては、考古学者の間にはそういうあれはないはずですよ。それは考古学者にもいろいろの方がいらっしゃるから、さまざまな立場からそれをおきめになる方もあると思いますけれどもね、どうなんですか。私は報告があったからというようなことでは、一体各県の実体をつかんで、いろいろ何といいますかな、文化財の保護に当たっておられるところの委員会としては、ちょっと私は粗末なような気がするのですがね、間違いありませんか、それは。
#21
○説明員(河原春作君) ただいま小林さんから御指摘になりましたことは、明快な御説明がなくてはなはだ恐縮に存じます。しかし、遺跡台帳をつくるがために各都道府県に調査を依頼したいのでありますから、まあ一応その都道府県の御報告を信頼するのは、これは役人としてはあたりまえでありますが、しかし、これは永久に残るものでありますし、また小林さんがただいま御指摘になりましたとおり、ほんとうに正確なものにしておかないとあとで困ることでありますから、たまたまその御発言がありましたのを機会に、なお一そう、もう一ぺんひとつ調査をさせます。なお、幸いにして、一応報告は来ておりますけれども、まだ地図の印刷まではいっておりませんから、なお訂正の機会はあろうかと思います。とにかくそれだけでもう絶対に動かすことのできないものをつくるべきものでありますが、そういうようなことがたまたま発生したのはまことに残念に存じます。
#22
○小林武君 私は別にそのことを問い詰めて困らせるとか何とかという気持ちは毛頭ないのです、これは。文化財を保護するということは国民全体の責任なんですから、そういう意味で文化財を保存する意味でみんながやっぱり努力しなきゃならぬ。そういうたてまえに立ちますというと、私はまあいまの委員長のことばじりをとらえるわけではありませんけれども、役人というものは報告をされたものを、とにかくそのまま受け取ってもやむを得ないというような、そういうお考えでは文化財保護委員会という委員会を設けた理由に私はならないと思うのです。専門委員を持って、しかもそれにはその道のそれぞれの権威の方々を集めていらっしゃる、その権威の方々が非常な熱意を持ってやらなければならない問題なんですね。これは単に役人が行政的なあれでもって形式的にものをやるというようなことでは文化財の保護はできないと思うのです。そういう意味では私はもっとやはり熱意を持ってやってもらいたいし、それからもう少し文化財保護委員会というものが各県の事情なり何なり精通しなければいかぬと思いますよ。私はまあこの前から何べんも皆さんに申し上げたのですけれども、これはなかなか県のことを担当する方々を見ても、手の回らないということは明らかなんです。そのためには一体どういう協力の仕方を考えたらいいのか、考古学をやっている人たちに一体どういう協力の仕方を要望したらいいのか、そういう点でまだ努力する全地がたくさんあると思うのです。だから私は申し上げておるのですけれども、特に私は遺跡台帳というようなものを皆さん非常に確信を持っていらっしゃる、これができたら、とにかく保存の点については万全なんだというようなことをおっしゃっておりますよ、間違いなく。そういう一体遺跡台帳というものが、福井市という一つの市の中をとってみても非常に大きな手落ちがある。だから次々と問題が起こってくるのです。私はその点では、いまこの点で皆さんを問い詰めたりする気持ちはありませんけれども、いま委員長がおっしゃったように、遺跡台帳というようなものをもっと整備しなければならぬ。整備するには、いまの各県なり各市町村なりにおけるところの文化財関係の仕事に携わっておる人の力だけでやるというようなことは、もうとても及びもつかないことであるから、新たな手当てを考えて十分にひとつ整備を急がれたほうがよろしいと思うのです。
 次ですが、この足羽山古墳群の中に、ただ一つ前方後円墳が残っておる。これがいま何とか観光の用地として買収されている。そうしてこわされようとしているが、県ではそれに対して、まあ知らぬ顔をしているというのが実情だということなんですが、これは間違いありませんか。前方後円墳が一基だけ残っているということは事実でしょう。これはぼくが行って見たんですからね。
#23
○説明員(宮地茂君) 福井県から遺跡の報告がございましたときに、その埋蔵文化財包蔵地区等の概要という報告に、前方後円墳の半分が道路町でくずされておるという報告が三十七年に出ております。いま小林先生のおっしゃいますのは、この点に当たるのではないかと存じますが、この点、実はこれも昨日、県のほうに照会しましたところ詳細な回答を得ることができませんでした。遺憾に思っておりますが、そういう状況でございます。
#24
○小林武君 その何とか観光会社の用地であるというそういうくいが立っておる、それもわからないわけですか、福井県自体が。何々観光会社のくいを立てて、そうしてそれがやがて観光会社の買収によってこわされていくというのを福井県の係の人たちは知らない、文部省もその報告をとれない、事実なのかどうか、とれない。こういうことで一体文化財の保護というのはできますか。足羽山古墳郡は皆さんも御存じのように、ほとんど破壊されてしまったんでしょう。ただ一つ、ここに前方後円墳が残っておるのじゃないですか。どうなんですか、わからないのですか、わからなければわからないでいいですよ。
#25
○委員長(野本品吉君) わからなかったらわからないと、それをはっきりしてください。
#26
○説明員(宮地茂君) いまの先生の御質問でありますが、足羽山古墳群の一部として報告されておる、八幡山古墳群の一部が報告されたときに、その一部が発掘されておるという報告がございます。で、御質問の点はその点と思いまして、県のほうに尋ねてみましたが、報告したときにはくずれておったが、その後は道路開発等は行なわれていないのではないかというようなことで、詳細の回答を得ることができなかったわけでございます。
#27
○小林武君 あなたはとんちんかんなことを言っておるわけですよ。こういうことを実際言いたくないですけれどもね、この八幡山のほうは全部これは円墳なんですよ、この図で見ると。円墳と前方後円は違うでしょう。それはわれわれしろうと同士が見てもはっきりしておることです。私が言っておるのは、八幡山の円墳というのはずいぶん破壊された。このことについては、円墳だからこわされていいという理由は私は成り立たないと思うのですけれども、こわされた部分がずいぶんあって、現在ほんのわずかしか残っていない。いま言っておるのはそうじゃなくて、あなたの言うのは八幡山古墳群と足羽山古墳群を一つの古墳群にしておる。私の言うのは、いわゆる足羽山古墳群というものの中にたった一つ残っておるのは前方後円です。その前方後円が〇〇観光会社の用地になってつぶれそうになっておる、こう言うのですよ。だから八幡山の円墳とは違うのですよ。これは話が違うのです、全然。
#28
○説明員(宮地茂君) 実は私ども全国十四万件の報告されております一々について明快なお答えができないのはまことに申しわけございませんが、谷府県から十四万件の報告がございます。そういり前提でひとつお許しいただきたいんですが、もちろん著名なものは勉強もさせますが、十四万件のうちの一つでございまして、先ほどから八幡山、足羽山いろいろございますが、ちょっと補足さしていただきますと、図面で恐縮でございますが、福井市内にこういうグラフに書かれた地図で足羽山古墳群として報告が出ておるわけです。で、先生は八幡山、足羽山とお分けになっております。北側のほうが足羽山、南側のほうが八幡山、こういうふうになっておりまして、これは二つに分けないで、続いておりますので、足羽山古墳群というふうにして県は報告してきておるわけであります。その点をまず御了解いただきたいと思います。
 それから何回もお答えしても同じことになって恐縮ですが、私ども不勉強ですが、十四万件のうちの幾つかでございますので、むしろ先生の御指摘なさる点、調べられた方のほうが詳しくて私どものほうがよく存じないのは申しわけございませんが、私どものほうが県のほうへ照会いたしましたところ、そういうことでございます。で、基本的な考えといたしまして、私どもこの十四万件の遺跡が報告され、それぞれ各県に遺跡台帳があり、それの写しが私どものほうにまいっておりますし、所在市町村でまた一部持っておるという形になっております。遺跡台帳があれば絶対にこわれないというものではございません。遺跡台帳で十四万件のものがある、それをどのようにして保存していくかということは、いろいろ保存行政上、策を講じなければなりませんし、また十四万件全部保存することはもちろん望ましいことではございますけれども、やはり重点的に、そのうちのこれはどういうことがあっても指定をしてでも保存したい、これはできれば保存したいけれども、いろいろな道路をつくるとか鉄道を敷くとか、そういった公共的な事業のときにはやむを得ないのではなかろうかといったような選別もしなくてはなりませんし、そういう作業も進めておるわけでございます。御質問の点に明快な答えができませんのを遺憾に存じますが、一般論といたしましては、そういう考え方で進んでおるわけでございます。
#29
○小林武君 あなた非常に開き直ったようなものの言い方をするんですが、知らないのは当然だという、そういう開き直り方というのはありますか。十四万件もあるのだから、そんなことは知ってはいない、そういうものの言い方というのはぼくはおかしいと思う。それで文化財保護委員会が一体つとまりますか。これはあなたが全部知っているなんということはぼくは望んでおりませんよ。しかし、少なくとも県なりあるいは文部省なりにも専門家がいらっしゃるでしょう。その専門家の人が、一体、足羽山の古墳群についてはどうだというようなことは御存じになっていると思うんです。ぼくら国政調査に行ったら、文化財のことでどこへ連れていったらいいか、一番先に足羽山に連れていかれた。そういう、まあぼくらに言わせれば周知のことですね。それは周知であろうとも、あなたが知っていなければならぬという、ぼくはそんな酷なことは言わぬけれども、少なくともそういうことで専門家を持っているのですから、その専門家の方々のあれによって答弁できないことはないでしょう。そういうあなたのほうで十四万件もあるのだから一々そんなものは知っていない、各県ではいろいろなやり方をやっているが、それを文化財保護委員会ではどうにもできないというような考え方なら、これは文化財保護委員会は必要ないじゃないですか。第一、それが一つ問題ですよ。それからもう一つぼくが聞いているのは、そこにある前方後円墳なんです。前方後円墳は知らないとあなたおっしゃるんですか。観光会社がそこを用地買収して、たった一つ残された前方後円墳がこわれるかどうかということについても、あなたそんなこと知らないというのならば、何のための一体文化財保護委員会なんですか。同じくその近くのところに大塚山古墳というのがある。これはホテル越前というホテルの用地になっている。これは円墳ですけれども、それがこわされるということを考古学者は非常に心配しておる。これは福井大学はじめその土地の人たちが非常に心配して、大塚山のホテル越前の用地については三分の一ほどくずされてしまった、こう言っておる。県が知らないというのはぼくはおかしいと思うのですがね。あなたもそういうことはどうなってもしかたがないという、そういうお考えであるならば、これは委員長にお尋ねいたしますが、一体、文化財保護委員会というのはどういうことをやろうとおっしゃっているのか、どういうことを一体やろうというのか、十四万件か、もっと多いかもしれない、そういうものが破壊されようが何しようが、数が多いからわからぬとおっしゃるのかどうか。それが文化財保護委員会の態度であるならば、何をか言わんや、これは委員長に。
#30
○説明員(河原春作君) 初めに、さっき宮地君の答弁に対して御不満があったようですが、別にそれは、私は知っておりますが、ことばの使い方のやさしい人なんでして、少し強い言い方かもしれませんが、決してそういう意味でああいう発言がされたのじゃない、その点はひとつ許してやっていただきたい。
 それから文化財と申しましても非常に数が多いので、委員会としてやはりそのうち一帯大切なものと思われるものから手をつけていくのが至当であると思います。しかし、御承知のように大きな土木工事が盛んに行なわれまして、一瞬のうちに多くの埋蔵文化財が影を失うというようなことがあるから、とにかくどんなものがどれくらいの数があり、どの府県にあるということを調べる必要があるかと思いまして、さっき宮地君から申し上げたようなことを計画を立てたのであります。何ぶん数が多いのでありますし、また県の当局者の熱意の度も違いますし、遺跡台帳をつくりまして、これで万事終われりなどと考えているわけでは決してございません。ただ順序を追ってやっていくことが至当だと思うのであります。十四万もあるから一つ二つはどうでもいいというような考え方を持っているわけではございませんが、順序として、やはりその中の重要度の高いものと一般に見られるものからやっていくのが至当だと思いますが、ただいまお話になりました足羽山古墳についても、私は実際のところ知りませんが、それはやはり学者などの意見を参照して、その十四かのうち福井なら福井について、どの辺から保存の施設を講ずべきかということを考えるのが、それが当然の順序だと思いますが、ただいまいろいろ御指摘になりました事柄を参酌いたしまして、とにかく一歩なりとも前進していきたいと思っております。
#31
○豊瀬禎一君 委員長にお尋ねしますが、小林委員の質問の中にも出てきた、今年度の国政調査の際に小林委員は現地に行っているということで、国政調査の報告書に載っておりますが、その報告書に載っている事項について保護委員会の事務局がどういうその後の調査を行ない、どう措置したかという報告を受けておられますか。
#32
○説明員(河原春作君) 私、月日などははっきり記憶いたしませんが、ただいまお尋ねになりましたことは、福井県と石川県においでになりました、先ほどまでここにおいでになりました吉江さんと小林さんのお二人の御視察のことじゃないかと思います。その事柄につきましては、後日、当委員会で御報告になりました速記録を拝見いたしました。その一つは金沢の兼六公園の成巽閣とか、あるいはその近所にある県立美術館とか、そういうものに対する防災施設を完備したい、その必要があるのじゃないかというような御報告のようだったと思います。なお、そのほかにトキの話もございましたし、すっかり覚えておりませんが、そういうような御報告を伺った。それで防災施設のことにつきましては、あとで建造物の人にどうなんだといって聞きましたら、これはまあ市要文化財としては成巽閣という前田さんのお茶室でございますかな、数寄屋づくりのものがあるのでございますが、それの修繕は済んだんでございますが、ただ防災施設で、たしか消火栓はできた、それから自動警報機などをつけたらどうだということを、こちらのほうから向こうの、たしかあれは財団法人になっておりますが、それに御注意申し上げたんだけれども、その後何ともおっしゃってこないもので、こういうことをここで申し上げるのはどうかとも思いまするが、建造物のほうの順位では非常に下のほうに回っているというようなことであります。しかし、あちらのほうで非常に御熱心なら、それはいま市要文化財の修理もおかげで三億ぐらいあるのですから、それはむろんあんな小さなものはできないとも限りません。全部調査の結果の御報告を記憶しているわけにまいりませんが、そういうふうに聞いております。
#33
○豊瀬禎一君 きょう問題になっている足羽山中心の問題について、吉江委員と小林委員とそれぞれ手分けして現地に調査に行っているようですが、その具体的な陳情内容あるいは処置についての報告は書いてないようですけれども、少なくとも児ですか、小林委員をその文化財のところに案内したという事実があれば県として問題意識を持っているはずです。そういう事実に立って、そのことに対して文化財保護委員会として、県当局に対して、県の文化財保護の係に対してどういう問題点があるか、あるいはどう処置すればよろしいのか、どう処置が行なわれたという報告を事務局長から受けておられますかと聞いておる、局長のほうからでもよろしい。
#34
○説明員(宮地茂君) いまの国政調査で、ことし福井、石川に小林委員といらっしゃいました節の御報告では、いまの古墳群の御報告はございませんでした。それで、ございませんでしたから言わないということではないのですけれども、委員長に私から、この委員会で御報告がありましたときに報告いたしましたし、本日も速記録を出していろいろしてみましたのですが、そのときの御報告にはございませんでしたので、私は国政調査の報告に基づいて、その古墳群について県のほうに連絡はいたしませんでした。
#35
○豊瀬禎一君 小林委員が県の案内で行ったということも知らなかったんですね、今日まで。
#36
○説明員(宮地茂君) はい。
#37
○豊瀬禎一君 それは報告書に載っていませんか。
#38
○説明員(宮地茂君) 載っていません。
#39
○説明員(河原春作君) 話が横道になるかもしれませんが、とにかくただいま小林委員からも足羽山古墳群についていろいろお話ございました。また、われわれのほうの調査が十分であるとはむろん申しません。直ちにもう一回調べさしていただくことを御了承願いたいと思います。
#40
○小林武君 私が申し上げたいのは、先ほど委員長がお話になったように、遺跡台帳というのは、各県のいろいろないまの事情からいえば、報告だけではなかなか整備されたものができない。だから、整備のためには非常に今後の努力を要する、こういうお考えは私は正しいと思う。またそういうふうにやらないというと、将来非常に問題が起きるのではないか、こう考えますから、どうぞひとつあまり言を左右にしたようなことをおっしゃらないで、慰めるものははっきり認めてもらって、大塚山古墳とか、あるいはまたその近くにある前方後円墳のような問題は、これは知らないとか何とか言ったところで、現地から特にこういうことになっているという手紙がきておるんです。ぼくもそこへは行って見ている場所だからよくわかっているところです。そうすると、ホテル越前だとか何々観光だとかいうようなものができて、もうすでにだいぶこわされたんだけれども、あとかたもなくなるようなおそれがあるというようなことになっている。しかし、県も市もそれについてはあまり積極的な対策を講じていないというようなことになったら、私は文部省としては、やはり古墳の重要性が学問的にどういうようになっているとか、あるいはこの際これをこわすということがぐあいが悪いのかどうかということを調査して、やっぱり適当な指導をする、こういうようなぼくは答弁をしていただきたい。向こうから言ってこなかったからわからないとか、そんなもの一々指摘されても、十四万件もあるんだからそんなもの知らないとか、こういう答弁というものはない。こういうことを聞いてみたけれども向こうもわからなかった、そんなこと言ったら何のために一体文化財保護委員会があるかと、こう書いたい。私はそういうものの言い方をしてもらいたくない。ぼくは何もことばが悪いとか何とかいうことを文句言うほどのことばのいい人間ではありませんから、そんなことは言わないんですよ。答弁の内容ですよ。実はわかりませんから急いで調べまして、ひとつあれしますというようなことを言えば、私はそれで納得するんですよ。それをそんなもの一々知っておるのはおかしいですよというようなものの言い方をされると、おまえら何のためにどういう仕事をしておるのか、こう言いたくなる。そういうものの言い方をしたくない。だから、ぼくは再度お尋ねいたしますが、宮地さんにお尋ねするんですが、一体ホテル越前の敷地になっている大塚山古墳、それから前方後円墳の○○観光の用地になっているというその古墳について、一体あなたは現状がどうなっているかということを見、それに対する対策を県なり市なりに一体立てさせるのかどうか、その点をまずお伺いしたい。
#41
○説明員(宮地茂君) 先ほど小林委員の御質問は、こういうことを知っているかとおっしゃいましたので、県にも聞いてみましたが、県のほうの答えもはっきりいたしませんでしたので知りませんということを申しましたわけでございますが、だから、それでもういいんだということは申していないんです。したがいまして、県のほうに照会してもわかりませんが、小林委員のほうではそのような事実があるということでございますので、私のほうの係官にも、できる限り早く現地に行かせましてその実情を調査させ、県とも協議して保存対策ができるだけ講じられるように努力してみたいと思います。
#42
○小林武君 あなたのおっしゃることというのは、一々こっちが気にしているせいかしらないけれども、何だかかんの虫にさわるんだな。私は知らないけれども、あなたがあるというからというような、こう言われると事実ないことを言っておるようだ。私はここへ写真を持ってきておるんですよ。写真を持ってきて、一々写真をあなたに見せることもないし、他の委員の方々にも見せる必要ない。歴然たる事実なんです。だから、そういうものの言い方をしてもらいたくない。わからぬならわからぬでいいですよ。まあ、あなたがそういう態度を今後改められないというならば、われわれもひとつ考えがありますから。
 ついでに重要な問題をひとつ、同じような問題で二つほど出しますから、これもひとつ、十分調査してもらいたい。坂井郡の丸岡町坪江というところにわんかし古墳、これが工場用地になって丘陵が削られて、もうすでに三基ほどなくなっている。そういうわんかし古墳についてひとつ十分調査していただきたい。もう一つは、王山というところ、鯖江長泉寺山の南の丘陵にあるこの山をいま削っている。県文化財の係に連絡して保存を申し入れたところが、市長は考えてみてもいいというような返事をされたようです。これは十二月の八日のことです。どういうふうにしてこれは削られているかというと、この王山の土を提供して、そしてそのあとに住宅地を造成する。ところが市はそれを初めは了解した。その了解した理由は、隣接の鯖江高校の校地の拡張にもなるということが一つと、来年開校の予定である国立高専の敷地を造成する採土地としてこれが適当である、あとは市の住宅地として開発される。いわゆる一石三鳥の策であると考えて、市としてはこれに対して賛成をしておったのです。ところが、これは重要な古墳であるから慎重に考慮を願いたいという関係者の申し入れがあったので、まだ市長としては地元との契約も結んでいないから、それについては考慮してもらいたい、考慮する。指定をするのにはどうしたらいいのだろう、こういう市長からのお尋ねもあった、こういう状況なんであるが、これは特にやはり鯖江高校の敷地の問題もあるのですけれども、鯖江高校の分だけは、まあ、これはもうやむを得ないだろう、こういうふうに、現地の人たちはやむを得ないというような見方をしている。しかし、とにかくそのほかのところは何とか残したい。市長もそういうつもりで、教育委員会はあまり誠意がないと、こういうふうな状況だそうであります。この点についても調査をして、その保存について十分の対策を立ててもらいたい。この点は宮地さんどうですか。
#43
○説明員(宮地茂君) 先ほどの足羽山古墳と同じく福井県下でございますので、これも県のほうにさっそく照会しまして、もう大体いま小林委員のおっしゃいましたような報告を受けましたが、足羽山古墳と同じように、私のほうの係官を早急に行かせまして調査すると同時に、できる限り、これらの古墳が保存できるようにし、県とも協議させたいと思います。
#44
○小林武君 次に、小机城址ですね。この前は宮地さんがこの小机城址のことについてはいろいろ意見を述べられた。これはたしか根津美術館の奥田直栄さんが発掘に当たっているんですが、結果はどういうことになっているんですか。これは重要性のないものだということに発掘の結果なりましたか。
#45
○説明員(宮地茂君) 小机城址の調査につきましては、十月中旬から下旬にかけまして、奥田さん初め担当者のほうで発掘調査を行なったようでございます。その調査の正式な報告書はまいっておりませんが、大体の報告を徴しましたところ、二の丸あとの西の土塁付近、この辺にトレンチを入れて、その二の丸の構築状況を究明した。その結果、出土品としては宋銭と推定されるような銭類と陶器のこわれたようなもの、遺物等も見つかったが、調査の結果出てきた遺物あるいは遺構、こうしたものから推定して小机城は戦国時代に構築されたもので、二の丸の西側は溝を防御に充てたといったようなことが判明したようでございます。これらからいたしまして、小机城の構築の方法としては、戦国時代の城廓に見られる特色と同じような特色を持っており、重要度も相当なものであるということでございます。ただ、先般、小林先生からも御質問がございましたが、多少当方の手おくれといったような点も率直に申しましてございまして、道路計画を阻止することができなかったわけでございますが、調査の結果、すでに指定いたしております、後北条氏の支城であります埼玉県寄居町の鉢形城址、八王子の滝山城址、八王子城址、こういったようなものとほぼ同等の歴史的価値を持っているものだというふうに考えられるようでございます。したがいまして、残りました部分につきまして、県、市等と目下残ったところだけでも保護して、緑地化すとか、いろいろな方法で保存を考えることはできないかということを協議している段階でございまして、残りましたところをこのように保存するというはっきりした結論にまで到達いたしておりません。経緯は以上のとおりであります。
#46
○小林武君 まあ、そういうふうに言っていただければあれですな、大して怒ることもない。そういうふうな要領でひとつやってください。いままでの件について。
 それからまた、質問はしませんでしたけれども、福井県のいろいろな問題をひとつ例にとってみましても、大体こういうものを破壊する工事というようなものをやっている場合に、市町村であるとか、それから県であるとかという、こういうものがわりあいに多いですね。だから私は保護委員会としては各省間の連絡、地方団体の連絡等をやはり密にすれば、相当この種のものについて、あとで、いまお話があったように、あとでどうも少し手おくれであったというようなことにはならないと思いますので、そういう点については御努力をお願いしたいと思います。
 もう一つは、加曽利貝塚の結果処理はどういうことになっておりますか。
#47
○説明員(宮地茂君) 加曽利貝塚につきましては、小林委員等、御調査をいただいたわけでございますが、本年の――本年度ではなく歴年の本年の調査は一応十二月五日で一区切りしたようでございます。また、年が明けましてから調査を継続するようでございますが、今日までの経過は、東西南北にそれぞれ三本づつの幅二メートルのトレンチを入れまして調査をいたしました。その結果、幾つかの住居あとが発見されているようでございますが、トレンチを入れたところの住居あとの一部で、住居あとの全容はもちろん全面発掘してみないとわかりませんが、そういう住居あとが幾つかみつかっておる。それから出土品といたしましては、縄文式土器、骨角器、貝製品、土製品、石器、人骨、こういったようなものが相当数発見されているようでございます。したがいまして、この調査はまだ来年も継続されますし、考古学協会の先生方が担当しておられますが、先生方の御意見ですと、できる限り精密な調査をしたい。しかし、調査をしてしまって貝層を全部こわしてしまってもいけないから、一部分、貝層を残しておいて、最終的にその貝層をくずすかどうかを判断したいというようなことで、相当意気込んだ調査をしておられますし、相当の成果も上がっておりますが、とりあえず、出てまいりました出土品等につきましては、現地に事務所がございまして、そこに保管をいたしておりますが、保存上そういうところではあまり適当とも考えられませんし、また、その出てきました、こわれた遺物をつなぎ合わして、元に復元するというようなこと、その他実測図等をつくる。いろいろなことから調査にあたっておられます副委員長の明治大学の杉原という教授が担当しておられますが、とりあえず、明治大学に大部分の遺物を運搬して、そこで復元実測等をやるということにしております。それから、千葉市、千葉県とも話しまして、一応、千葉市が、将来、加曽利公園として残すと言っております。加曽利貝塚の北側のほうに収蔵庫を建設すを計画がございますので、その収蔵庫ができますれば、そちらのほうに保管をし、見学される方の展示にも供したい。このように考えております。
#48
○小林武君 その出土品の整理といいますか、いまの復元とか整理とかいろいろあると思うのですが、そういうのは本年度中にこれに手をつけるのですか。
#49
○説明員(宮地茂君) おっしゃいますように、今年度から着手するように、杉原教授、それから早稲田の瀧口教授とも話し合っております。
#50
○小林武君 今度は大学学術局の関係のことでお尋ねいたしますが、この前、国立大学における考古学の講座の増設、これはもうすでに講座を持っておる大学ですけれども、東大、京都大学、東北大、九州大、こういう講座の増設あるいは新設、北海道大学とか、教育大、名古屋大学、大阪大学、神戸大学、岡山大学、広島大学、熊本大学、これらの大学が新設を希望しておる。こういうことであったが、その増設、新設をする気が一体あるのかということを質問したのでありますが、そのとき、当時の大学学術局長であった小林さんから答弁がありまして、これは大学の要求の熱意といいますか、大学の要求が、たとえば学部の新設、講座の増設等について、考古学のほうは一体要求度がたとえば高いかどうかというようなことに判断しながら考えたい、こういうような御答弁かあったと思うわけであります。この講座の増改、新設について、今度は文部省としては予算化したわけですかどうですか。
#51
○政府委員(西田剛君) 大学局上長が大学の設置審議会をやっておりまして出席いたしかねますので、私からお答えさせていただきます。
 明年度の国立大学における考古学関係の講座の要求としては、いま小林先生からお話のありましたとおり、数大学から希望があったわけでございますが、そのうち取り上げましたのは、新設といたしまして東京教育大学の文学部史学方法論といり講座を新設するという要求を取り上げております。それから広島大学のやはり文学部に、これは考古学という名前の講座を要求する、この二つを新設の講座として取り上げています。また、岡山大学の法文学部に、これは講座ということでなしに、いわゆる学科目としてでございますが、考古学を講義する分断のものを要求いたしております。
#52
○小林武君 これは予算の要求に対して大蔵省はどういうあれですか。
#53
○政府委員(西田剛君) 御承知のように、大学関係の学部、学科、特に講座のランクになりますと相当数のものを持ち込んでおるわけでございまして、とは言いますものの、文部省としては相当しぼって重点的にやっておるわけでございますが、いまのところまだ大蔵省の感触というものはつかめません。全体的に見まして、ことしの予算は相当きびしいので相当努力を要するんじゃないかというふうには考えております。
#54
○小林武君 文部大臣にお尋ねをしたいわけですか、いまお聞きになった点について、考古学会が非常に研究が活発化してきた、研究そのものも非常に発展してきた、したがって、学生も増加してきたというようなことから、講座を増設したいということ。一方、国策的な土木工事というものがどんどん現状の必要から行なわれている。ところがこれはまた埋蔵物、文化財の破壊ということとがかみ合ってきます。いわばその面の危機があるわけです。その際に先ほどからも種々議論をしたんですけれども、何か手の回らない、いわゆる専門家がいないということがやはり大きな障害になっているというところがある。考古学会をはじめ文化財を保存しようという、そういう関心の深い方たちがやはり増設、新設の問題について希望が出ておる。大学当局もやっぱりそういうものの反映として強くそれを要請しておると思うわけですが、まあ私が心配しますのは、いま三つの大学についてそれぞれ関係の講座、学科が文部省から要求が出される、これを出されても大蔵省に大なたをふるわれればどうにもならない。文部大臣としては、その場合には復活要求をしてもこの三つだけはつくるというような御意思がおありですか、どうですか。
#55
○国務大臣(愛知揆一君) この種の問題は、ちょうどそういう御質問が出ましたから少し申し上げたいのでありますが、実はたまたま今日もいわゆる新産業都市の建設の問題、それからいわゆる工業都市と申しますか、工業地帯の設定の問題に関連した案件が閣議にも出たわけでありますが、従来、私見ておりますと、そのほうが進み過ぎて、文化財保護というような関係が後手に回るようなきらいがないでもなかったように見受けたわけであります。したがって、今後のそういったような事業の進め方については、少なくとも事前に十分にその連絡をよくしていく、そうしてそういう地帯の設定、工専の進捗なんか、現実に手がついてからあとで、文化財保護の観点から問題を起こすようなことはしたくないということを特に私からも主張いたしまして、原則的な了解を得ているわけでありますが、今後、そういった面については特段の配慮を加えてまいりたいと考えておるわけでございます。そういう私は基本的な考え方を持っておりますから、三大学において熱心にこれを希望しておられる現状も承知しておりますから、できるだけこれを実現するようにいたしたいと考えております。ただ、何ぶんにも、御案内のように、大体十九日ごろに四十年度予算の第一次査定案が大蔵省から出るようでございますが、それが出る前に、確たる意見を申し上げることはちょっとできかねますが、そういう気持で四十年度の予算の編成に当たっていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#56
○小林武君 文部大臣に要望いたしますが、やはり考古学講座だけがこの増設、新設されなければならないというような、そういう考えではありませんけれども、これはもう学問全体の全面的な発達ということをねらわなければなりません。しかし、先ほど来申し上げたように、やはりこの面は日本の場合弱かったように思うわけです。だから、この点については大臣もまあ現在でははっきりしたことはおっしゃられないようでありますが、大体基本的な考え方としては、これについて実現をすることに努力したいという御意向のようですから、どうぞひとつ必ず三大学だけは新設されるようにひとつしていただきたいと思うのです
 質問を終わります。
#57
○豊瀬禎一君 事務局長にお尋ねしますが、日本にしかいないといわれているトキの保護の件ですね。昭和三十五年に佐渡島に調査に行って、委員会報告をすると同時に、国のほうで生息地に必要な土地を買ってもらって、いろいろ保護を加えて、まあその後はかろうじて生きのびておるようですが、現地のほうから私のほうは毎年何羽生まれましたとか、元気にしていますとか、ときよりたよりがあるのですが、つい最近になって、やはりえさを食べる場所といいますか、そうしてそこにえさがあるように国のほうで措置してもらいたい、こういう希望が出ているのですが、あなたのほうには佐渡のほうからそういうあれが出ていませんか。
#58
○説明員(宮地茂君) 佐渡の新稲村の、何か湿地か沼地のようなところへえさを食べにおりてくるのだそうでございまして、かねてからドジョウとか、まあそういったたぐいのえさをそこにまいておるようでございます。国といたしましては、不十分だとは思いますが、一応、地元のほうと国とで半々の経費をもろてえさ代を補助しておるわけでございます。で、何羽いるかということは、報告がやはり目撃をして数を報告してくるものでございまして、非常に繁殖しないといっておったのを、今年の初めでしたか、去年の暮れでしたか、十一羽になったとか、それがまた最近、いや十一羽ではなかったといったようなことで、まことに申しわけないのですが、正確な数字がつかめないような状況でございます。もちろん県なり佐渡の新稲村から、えさ代のことについては毎年連絡してまいっております。
#59
○豊瀬禎一君 えさ代の負担だけでなくして、農薬等の関係で柳の下にドジョウがいなくなったわけではないでしょうが、そのえさになる動物といいますか、ドジョウ類といいますか、そのものの確保に若干困難を来たしておる。だから一定のところにえさの飼育場をつくって、そしてえさをつけるところにそれを放ちがいをするとか、そういうことをしてもらいたいという意向を持っておるのですが、現在の予算の中でそこまで措置できますか。
#60
○説明員(宮地茂君) いまおっしゃいますことまでは私は実は承知いたしておりませんが、かりにそういうことであるとしますれば、世界的に著名な大事な鳥でございますので、今年度はもちろん予算がございませんが、来年度の予算でどのくらい増額し、どういう方法でやれば可能であるか、県とも相談いたしまして、あらためて予算要求をする必要もなく、既定予算の範囲内でやりくりしてできるものなら、来年度からでもそのようにしたいと思います十分協議してみたいと思います。
#61
○豊瀬禎一君 同じトキが、先ほどもちょっと問題が出ておったし、調査報告の中にも出ておるのですが、石川県の羽咋地方におりますね。昨年の春だったと思いますが、石川県の教育委員会のほうにまいりました際に、保護委員会の連中が新聞を広げておりましたが、あのひな鳥が巣の中で羽ばたいておるところを写真にとっておったのですね。私それを見て、困るじゃないか、トキというのは非常に憶病な鳥だから、そういうのを写真にとったりすると、親鳥が逃げ出したりして、保護が十分行き届いていないじゃないかと、こう言ったら、いや、私どももそう考えて新聞社に厳重抗議いたしております。なお、大学の学者連中と協議して、卵を生ませる方法を――自然交尾でなくして別な方法でやるということを考えて、保存するということも検討したいと思っておりますがと、こういう話をしておったのです。これは中央のほうとよく相談してくれないと、もしそういうことを科学的にやってしまって、おすのほうがなくなってしまったら大へんじゃないかと、こういう話をしておったのですが、まず第一は、そういう近くに寄ってかってに写真をとったり、親鳥がそのひなを放置して逃げ出すような、近寄って撮影したり、あるいは眺めに行ったりするような、そういう二点の報告があったかどうか。あっておるとすれば、その後、県としてはどういう措置をしておるか、それから一般的に佐渡のほうほど石川県の場合は保護されていないと私は見ておるのですが、県のほうの関心も、行くたびに私は教育委員会に注意しておりますが、保護するという熱意も佐渡に比べると不足しておるような気がするのです。それで死んだりしておることがありますね。それで一般的な保護対策を県のほうはどう講じておるか、説明してくれませんか。
#62
○説明員(宮地茂君) トキにつきましては、新聞社で写真をとりたいとか、あるいはトキの鳴き声をということで、テレビ、ラジオといったようなことを文部省詰めのクラブの人々からも聞くのでございますけれども、そういうふうにして大いにトキの関心を集めたら文化財にもいいではないかといった相談を新聞社から受けますが、私のほうとしましては、いま豊瀬先生のおっしゃいますように、そういうことによってトキに与える心理的影響等を考えまして、そういうことはしないでもらいたい、うっかり近づいて写真をとったりするようなことはしないでもらいたいという連絡をいたしております。そうして、いま先生が具体的におあげになりました写真をとったというそのことについては、私、詳細の報告を聞いておりませんが、新聞社等から連絡があるたびにそのように申しておりますし、県のほうにも申しております。それから石川にはたしか二羽しかいないと思いますが、これを佐渡のほうにむしろ移したほうが、たった二羽だけでは繁殖力もないし、それからおっしゃいますように、石川より佐渡のほうが多くってかわいがっておるのだからといったようなことから、移したらという意見もございますが、これを捕獲して、かえってだめにしても元も子もなくしますので、考え方をまとめたらということを鳥類学者等も言われますけれども、捕獲の方法が非常にむずかしい。それから増殖という点で、実は動物園等に大きな網をつくって、場所をつくって、そこでつがいを入れて繁殖させたらという意見も出ております。しかし、わずか十羽足らずの鳥でございますので、実験用につがいをとったりしておっても、それが万一のことがありますと非常に減りますから、それで実は兵庫県のほうでコウノトリがトキよりは数が多うございます。それで本年度予算補助もいたしまして、兵庫県のほうでコウノトリのつがいをとって、そうして相当大きな金網の巣をつくって、そこで自然に生息したような形で繁殖させることができるかどうか、産卵させ得るかどうか、その検討をまずコウノトリからやってみようということで計画いたしております。したがいまして、トキは何ぶん数が少うございますので、大事なものにはさわらないといったような消極的な面もございますが、この増殖をはかる完全な保護対策というものが、鳥類学者に聞きましても、こういう方法が完璧なんだという結論を得ることができませんので、一応手をつけない、現状維持のままといったような形になっております。
#63
○豊瀬禎一君 雪も近づいていますが、たとえば佐渡のように、ある一定の場所にえさを置いてやるとか、そういう保護対策はしておるのですか。
#64
○説明員(宮地茂君) えさをまくといった、要するに現在おりますものを自然のままで置いておくということにつきましては、えさの散布等をはじめとして、考えられる措置は講じております。ただ、それをもう少し増殖させるのにはどうしたらいいのだということが、いろいろ議論はされておりますが、まだ自信を持って手をつける段階に至っておりません。
#65
○豊瀬禎一君 十分の対策を講じて死滅しないようにお計らい願いたいと思います。
 委員長にお尋ねいたしますが、文化財保護法ができてからかなりの歳月がたっておりますが、たびたび小林委員からも指摘されておるように、十四万の数を全部現状知っておきなさいと無理なことを私も申しませんが、やはり新たにつくり出すものでなくて、すでにあった過去の歴史を保存するということも非常に重要なことだと思うのですが、文化財保護法そのものを再検討する時期にきておるのではないか。そしてもう少し保護委員会に対して、保護をするために必要な権限と言うと若干固苦しくなりますけれども、一つの権能というものを与えるべくもっと強化すべきではなかろうか。それと同時に、予算の面においても、平城京の場合は十億ですかの額を出されたようですが、その他の場合においても半額負担制度とか、あるいは文化財保護のために使い得る総ワクですね、そういう予算が少ないために、やりたいと思っていることでもやれないでおる問題がかなりあるような気がするのです。保護法をこの際に再検討して、もう少し保護のために必要な力を発揮するように改めたいという意思があるかどうか。
 それから、もう少し予算を大幅に増額して保護をする必要があると思うのですが、そういう点についてどういう考え方を持って、委員長として文化財保護をやろうとしておるか。大綱といいますか、そういうことについての所見を承りたい。
#66
○説明員(河原春作君) ただいま仰せになりましたように、文化財保護法は成立以来たしか十四年ぐらいになると思いますから、一応再検討の時期にきたと申してもよろしいかと思います。私、二、三年前に委員長を拝命しまして、一番先に考えたことですが、とにかくこれは議員立法、議員立法と言っても、なかなか議員立法というものは容易にでき得ない。法律のうちでとにかくこれは、参議院と衆議院の両方の文教委員会で二ヵ年にわたって非常に御苦心になってでき上がったほんとうの模範的の議員立法と噂して私よろしいかと思います。したがって、議員の方からこういうふうにしたらどうだというお声を実は伺いたい点もあるのであります。ただあの法律ができた当時は、何といいますか、人民の権利を尊重するということがまあ大勢でありますから、法律のうちで、人民の権利を尊重するという考え方からして、したがって、その半面において、国のこれに対する関与というものはなるべく避けるようにされておる。したがって、ときどき、お前何しているのだと一言われても、それは法律上できないという場合もあるわけなんです。それらの点もやっぱりもう一ぺん考えるべき時期がきているのじゃないか。それからまた、そういう考え方と同じように、とにかく文化財法というものは、一般の政治問題と切り離して、別の問題なんだから――ここに文部大臣おられますが、文部大臣はまあそういうことはおっしゃらないのですが、ときによると、文部大臣がこれを国宝に指定しろとか何とかという横やりを入れると、それは聞く聞かぬはむろん別ですけれども、そういう圧力を加えられるようなことのないように、同じ文部省内の一部局ではありますけれども、ある程度の独立性も認められたい。そういう点も今度やっぱり考えてみる必要がある。私は初めはそうでもなかったのですが、ざっくばらんに申し上げて、初めはそうでもなかったのですが、近ごろは委員長やめちゃって、文部大臣が直接おやりになるともう少し権力がつくというような気が起こらぬでもなくはない。(「何をもう少しですか」と呼ぶ者あり)権力です。文化財保護委員会というのは独立の官庁ではありますけれども、これがやっぱり地方部局に対して、自分から申し上げては変だけれども、あまり力強い存在にはなり得ないのですよ、こういう組織のものは。まあそういうことも考えているのです。
 最後に予算のお話がございましたが、これはよく聞かれる。お前のところの予算はけちんぼでだめだぞ。君幾ら持っているのだと思う。だれも返事をする人もないのです。予算を知らないでお前のところは少ない少ないと世間でよく言われるのですけれども、これは昭和二十五年に成立した当時から、まず一年五億という標準で大体きたのです。それからそれが昭和三十六年の予算に初めて十億になった。それから昭和三十七年にそれが十二億八千万円でしたか、三十八年に二十一億ばかりになった。それから三十九年度予算に三十三億八千万と向上したわけですが、むろんこれにはいろいろな事情がありまして、ただ金額がこれだけうんとふえたから非常に盛んになったと申し上げるつもりもないのですけれども、とにかく一応そういう数学ができているのです。私らとしては、やっぱり文部省、文部大臣にお願いするにしても、大蔵省と交渉するにしても、そう少ないから少ないから、五十億もよこせというわけにはいかない。いかないんだけれども、そう十分だとはむろん申し上げません。文化財保護委員会の一番、何といいますか、おもな仕事としましては、重要文化財の修理ですね、それからそれに要する防災施設、それが一番実のある仕事ですけれども、これが八億くらいになりましょうかな、その初めから比べると非常なふえ方なんです。それから国宝、重要文化財の購入の経費……。
#67
○豊瀬禎一君 予算の中身の説明は必要ないです。
#68
○説明員(河原春作君) そうですか。――そういうわけなんで、自分としては、できるだけの仕事は皆さんと一緒にしているわけでありますが、むろん十分でもありませんし、いま豊瀬さんのお話のような点もほんとうに考えてもいい時期がきているんじゃないかと私も感じております。
#69
○豊瀬禎一君 この問題は別に新たに審議する必要のある問題ですので、きょうは触れませんが、ただ河原個人の悩みとしてなら聞き得ますけれども、文化財保護委員長にある立場のあなたのいまの答弁については、私は問題があると思うのです。やはり文部省が、文部大臣がおやりになったほうが権限ができるだろうとか、文化財保護というものはそういう趣旨のものではなくて、やはり議員立法であろうとも、その衝に当たっているあなた方が、現在において文化財保護のためにどうしなければならないかという問題意識を持ち、みずから保護法の改正にも取り組んでいくという意欲を持つことが重要な課題である。そのことの欠除が、たびたび本委員会で指摘されておる文化財破壊のひとつの要因をなしているのではなかろうかという気がするのです。あなた方がみずからそれをなし得ないということであれば、私ども立法府が手がけなければならないと思いますけれども、もう少し法の改正の問題にいたしましても、予算のワクの拡大にいたしましても、積極的に文化財を保護していくという意欲を燃やしていただきたいと思います。
 これで私は終わります。
#70
○委員長(野本品吉君) 速記をやめて。
  〔速記中止〕
#71
○委員長(野本品吉君) 速記をつけてください。
 豊瀬君。
#72
○豊瀬禎一君 先般来から産炭地の教育の実情につきましては、委員会としては異例の審議前に報告をいただいたり、また他の委員の方々も一質問をしていただいて感謝しているのですが、予算委員会等におきましても、いろいろ文部当局の見解をただしたのですけれども、なかなか進捗を見ないと申しますか、かゆいところがおわかりになっていないような気がするのです。それは一番肝心の実態に対する認識がやや欠けておるのではなかろうかという危惧を持つわけです。そこで、前回も現地調査に行った文部省の係官の報告をしてもらいたいと言ったのですが、局長のほうが、まとめて私がやりますからというので、それももっともなことだと思って前回承ったのですけれども、まだあまりにばくとして大づかみですので、きょうあらためてお尋ねいたしますが、第一回の調査に行った人がいつごろ行って、どういうことを主目的として調査し、どういう見解を局長その他に報告したか。なお二度やったということですが、第二回目も同時にまとまっておれば、第二回目の分も報告していただくと同時に、第一回の調査と第二回目の調査にどういう実態の違いがあったのか、それに対してどういう対策が必要だと考えられておられるか、一回、二回の調査を明確に区分して御説明願いたいと思う。これは局長からでよろしいです。
#73
○政府委員(福田繁君) 最初、産炭地の問題につきまして文部省から係官が出ましたのは、たしか三十七年であったと思います。これは文部省だけでなく、石炭調査団の派遣に際しまして、各省関係から必要な者が随行して一緒に調査したのが最初でございます。その次に私どもとしては、ことしの二月に文部省独自において調査をしたわけでございます。これは北海道から福島県、山口県、それから福岡県、熊本県、長崎県、佐賀県、大体産炭地の該当県につきましては、一当たり班を組みまして、大体その地区の教育問題を全般的に見てこようということで視察をいたしまして、現地の教育委員会の者やいろいろな方にお会いして、それらの方々からの意見も聞いてもらったのでございます。それが本年二月の末に行ないました調査団でございます。私どもとして大体ごく最近の状態をつかみ得たのは、この調査であろうと思いますが、その後、随時いろいろ事務監査などで該当県に参りましたときには、産炭地の問題を特に気をつけて調査をしてくるようにと言って随時行なっております。
 それから先般、石炭特別委員会の御調査に際しまして係官を随行させて調査したこともございます。それと二月ごろの調査の結果でございますが、大体福岡県に参りました。主として福岡県別申し上げますが、調査の報告によりますと、三十八年度末における教職員の待遇問題、特に産炭地では一体どういうふうになっているかというような状況と、それから三十九年度にまだ入っておりませんが、三十九年度におきまして、学級編制その他改正法が施行された場合に、どういう状況が起こるかというような問題等を、教職員のいわゆる定数問題等につきまして、かなり詳しく調査をしてまいりました。
 それから第二の問題としては、児童生徒の就学問題、これにつきましても、産炭地域における要保護、準要保護児童のこれらの増加の状況等についてかなり詳しく調査いたしました。と同時に、一般的な状況のほかに、特にその産炭地の中でも特殊な、非常に何と申しますか、悲惨な状態になりつつある地域がいろいろあるということも、その調査によってわかったのでございます。それらを通じて、いろいろ市町村の財政が非常に逼迫している。市町村財政がいろいろの就学援助費の負担等について困っているという問題も、同時に市町村側からもいろいろお話を伺って、実情を調べてまいったわけであります。
 それからまた同時に、生徒児童の長期欠席、非行化の問題等につきましても、大体、最近の実情というものを調べてまいったのでございます。それからその地域における学力なり、それから進学問題等につきましても、一通りの調査をいたしてまいりました。大体、この二月の調査によりまして、福岡県のみならず、北は北海道から南は佐賀県まで、大体の一通りの概要はつかみ得たと考えております。それによって、私どもはできる限り対策を至急に講ずべきものは講ずる必要がある。将来の予算措置なり、今後において行なわなければならない対策というものは、これは引き続いて検討するというようなことにいたしたわけでございます。そういうことで、とにかく三十九年度におきましても、こういう事情でありますから、児童生徒の就学奨励の問題あるいは長期欠席等の学校の事情、そういう非常に困っている実態に応じた対策をできるだけすみやかにとりたい。あるいは給食問題等も同様でございます。そういうことで進んでまいりまして、最近、国会の方々の視察に際しましてまいりました係官の報告を見ましても、こういう状況がすでに二月当時よりも少し激しくなっておる。もっとその状態が進行化しているということは十分報告を受けております。したがって、私どもとしては、来年度予算で生徒児童の対策については、できる限りのことをいたしたいということで努力しているわけでございまして、これは今後の問題でございます。
 それからまた有沢調査団の御調査に際しましても、係官が随行いたしまして、この際にも、大体の全般的な実情というものを報告を受けております。大体、いま申し上げましたような点につきましては、年々、そういう深刻な状態が一そう深刻になりつつあるというような感を深めるのでございます。私どもとしては、まあ何回かの調査によって大体各産炭地の中で、特に福岡県の産炭地というものが、核当県の中でも非常に困った状態になりつつあるという、そういう感じを深めたわけでございます。こまかい点についてはいろいろなことがございますが、大体の概要を申し上げますとそういうことでございまして、御了承いただきたいと思います。
#74
○豊瀬禎一君 かなり内容的な説明がありましたか、三十七年の石炭調査団に随行して行った文部省関係者の実情報告ですね、それは主としてどういう点にありますか、岡拠点は。
#75
○政府委員(福田繁君) 私の伺いましたのは、当時、特に生徒児童の就学問題が非常に重大化しつつあるという報告がございまして、そういう就学奨励のためには要保護、準要保証児竜等のワクを十分に市町村に流して、できる限り就学援助をすべきであるというような問題、それから特に非常に貧困化してまいりました家庭が多くなっておりますから、したがって、給食問題が一日もこれはゆるがせにできない問題であるというようなことから、給食問題をとにかく早く取り上げて安心をさせなければいけないというようなことも一番中心のようでございました。したがって、それに基づいて三十八年には給食等の特配を出しましたり、あるいは準要保護等の就学奨励につきまして特別な措置を講ずるというような、そういう方向に三十七年の調査の結果というものは、ある程度は実現を見たわけでございますが、それをさらに三十八年、三十九年と引き続いてその線は踏襲されてきたわけでございます。
#76
○豊瀬禎一君 臨時国会になりまして、石炭特別委員会ではありましたけれども、文教問題を主に国会中に調査をいたしました。昭和三十四年も同じく国会中に、これは文教委員会の国政調査を行なったのですね。二度も緊急の調査の必要性を認めまして、国会中に産炭地に対しての調査があったのですが、三十四年、劔木委員と私が筑豊地帯の産炭地に行きまして、主として報告した内容はかなり詳細なものですが、本委員会において御報告いたしました内容は、三十七年の調査とやや似ておる、給食問題、不就学問題ですね。そして、このことに対しまして国会でも審議を行なっております。文部省に対しましても具体的な対策を要求して予算が出されたことも御承知のとおりですが、三十四年度の当委員会における調査の段階における実悪と、三十七年度における、いま報告された不就学、給食問題等を中心とする現状とにどういう傾斜があるように判断されるか、対策としてはどういうところに重点を置かれたか。
#77
○政府委員(福田繁君) 御承知のように、就学援助費につきましては、補助率の問題はいろいろ現地でも三十七年ころに御要望があったようでございますが、それがなかなか実行上できませんので、できる限りその増加する準要保護世帯等につきまして手厚くやっていくというようなやり方をいたしたわけでございます。できる限り予算のワク内で、産炭地には、ことばは適当でありませんが、特配をしていくというようなやり方をしてまいりました。それから給食等にいきましても、できる限り給食物資の特配をして対策を講じていくというようなやり方をしてまいりましたのでございます。特に三十四年ごろと三十七年ごろにはだいぶ事情が、その程度というものは変わってきている、したがって、産炭地に対しましてやりました予算のワク、物資の量というものは多くなっているはずでございます。そういうように、一応それを拡大するというようなやり方でやってまいったのでございます。
#78
○豊瀬禎一君 福岡県の実態につきましては、幸いに私のほうからも詳しく説明さしていただく時間を持ちました。文部省自身も当委員会の審議にそういう報告をしておられました。かなり炭鉱を持っておるところの北海道とか、あるいは佐賀、長崎等につきましては、どういう実情であり、どういう対策を講じてこられましたか。
#79
○政府委員(福田繁君) 産炭地の事でも、北海道は少しまあ特殊事情と申しますか、事情が違うようでございます。従来から産炭地の教育問題としては、あまり私どもは深刻な事情を附いていないのでございます。ただ、佐賀県、長崎県等につきましては、あの中小炭鉱をかかえております地帯はやや福岡県に似たような事情がある。したがって、就学援助の対象になるべき子供の数がだんだんふえてくる。あるいはまた、それと同時に、反面、生徒児童の非行化という問題がかなりあるようでございまして、長期欠席児童等もだんだんふえているというような、似たような傾向になっておりますが、あるいは常磐等におきましても、ややそういう傾向はございますけれども、福岡県や九州の炭鉱地帯とは非常に程度の差と申しますか、は、かなりあるようでございます。したがって、そういう地帯についての特別な教育問題というものは私どもはいま聞いておりません。
#80
○豊瀬禎一君 福岡に、類似した影響が起こりつつあるけれども、北海道も、佐賀、長崎等、その他山口、熊本等の産炭地においては対策の必要がない程度の現状である、こういうことですか。
#81
○政府委員(福田繁君) そういうように考えていないのでございまして、三十七年ごろ、その当時からどいう対策を講じてきたかとお尋ねでございましたので申し上げたのでございますが、佐賀児あるいは長崎県等につきましては、福岡県と同じように産炭地に対する給食物資や準要保護児童等の増加に対する措置は十分講じてまいったつもりでございます。その点は、福岡県の産炭地も同じでございます。
#82
○豊瀬禎一君 産炭地域に対してかなり実情についてアンバランスがあるという把握ですか、それとも大体年とともにというか、あるいは月とともに福岡に類似するような、激甚地といってはちょっとことばがあれですが、きびしくなっていくという把握ですか。
#83
○政府委員(福田繁君) 今年二月に調査しました各地の状況から総合的にみますと、私は非常に各地によっていわゆる教育問題というものは相当差があるというように感じております。全般的にみますと、それは三十四年当時よりもいろいろな傾向は出ていると思います。ことしの初めにおきまする調査におきましては、やはり何といっても福岡県が第一に深刻な地帯だと考えております。それについて何といいますか、長崎その他の中小炭鉱をたくさんかかえておった地帯、それから山口県などもそういう傾向はございます。その他の地区については、それほど私は深刻な問題はないように感じております。
#84
○豊瀬禎一君 北海道はあなたの答弁のように、わりと大手が多いのですか、佐賀のように、わりに小山の多いところで、主として問題の小さい、教育的という意味ですが、就学問題、非行あるいは学力の低下、要保護児童の増加、こういった問題に限定していった際に、三十九年二月の調査では、三十七年度調査ごろよりもどういうカーブをたどっておりますか。たとえばこの二ヵ年のうちに二〇%程度増とか、あるいは数でもよろしいのですが、佐賀県における産炭地の該当児童で、総数がこれだけあるのに非行がこういう程度生じているとか、就学はこうなっているとか、あるいは学力の低下がこういうふうにみられるとか。
#85
○政府委員(福田繁君) たとえば一、二例をあげますと、熊本県では荒尾市でございます。これは福岡県と続きでございまして、保護児童生徒数が小学校では約三〇%、中学校では二八%まで高まっている、こういうような報告はありますが、しかしながら、これも福岡県の一部の地区に比べますと、あるいは低いということも言えるかと思います。それから佐賀県でございますと、代表的な産炭地域である杵島部の大町ですか、あの辺の例をとりますと、大体一六%程度の保護児童生徒がその当事の調査ではあがっております。したがって、福岡よりもあの地区ではやや低いということも言えると思います。それから長崎県でございますと、非常に中小が多いのですが、鹿町あるいは松浦市、ああいったところでは三〇%近くにもなっておりますけれども、一般のそれ以外の市町村におきましては、一五%程度というような報告になっております。したがって、以前よりも確かにそういう傾向は深刻化し、ふえていると思いますけれども、何といいましても、筑豊地帯のあの事情とはかなり違うのではなかろうかというように、私の感じはその当時からそういう感じがしたわけでございます。
#86
○豊瀬禎一君 いま指摘された地域、詳しい数字でなくてもかまいませんが、三十七年度石炭調査団の際の調査からみると、かなりいま指摘されたような条項はふえてきているとみてよろしいですか。
#87
○政府委員(福田繁君) これもこの前の委員会で申し上げたかと思いますが、福岡県全体としては……。
#88
○豊瀬禎一君 福岡ではなくて、いま指摘された他県です。
#89
○政府委員(福田繁君) 他州におきましては、その後私どもは資料を持っておりませんので、大体の傾向としてはいろいろな話を伺っておりますが、いま申し上げた数字よりもやや高まっているかもしれないというように思っております。
#90
○豊瀬禎一君 私が問題点をしぼった就学とか、非行とか、学力低下とか、あるいは特殊児童の増加、こういった問題で、いま指摘されたような地域に対する実態調査の資料はありますか。
#91
○政府委員(福田繁君) 現在、いま手元に持っておりませんが、各県の教育委員会から報告されたものはあるはずでございます。
#92
○豊瀬禎一君 パーセンテージとしては、福岡の筑豊地帯ほどはない、これは数字においてはみられますね。指摘できると思う。しかし、三十四年の調査のときからみて、今日まで、三十七年、三十九年と、たびたび調査されているし、問題が上ってきているわけですが、三十四年の私どもが問題点を指摘したころにもつと抜本的な対策が講じられておれば、少なくとも保護家庭の増とか、そういった問題は石炭合理化対策の進行と相まって阻止できなかったにせよ、学力の低下、非行とか不就字とか、特殊児童の激増といったような教育問題にしぼった諸問題の防止はできたはずと思います。ということは、熊本、それから長崎等が指摘されたパーセンテージとしては福岡よりも低くとも、いまその対策を講じておかなければ、やがては福岡の激甚地帯のようになっていく。そのときになって福岡と同じようなことをやろうという考え方ではおそ過ぎると思うんです。そういう観点から保護家庭の増に対してどう措置するかという問題になりますと、もっと文部行政だけじゃなくして広範な問題になりますので、それは一応おきまして、直接、生徒児童を対象にした起こっておる問題に対しての、いまのそういう地帯、福岡ほどない地域に対する対応策としては、どういう施策をしてこられましたか、またなすべきだと考えておられますか。
#93
○政府委員(福田繁君) 先ほど申し上げましたように、産炭地全般の問題としては、福岡県も含めまして、就学奨励の援助の強化、あるいは給食の普及、あるいはそれに対する特別な措置というようなことをいたしてまいったわけでございます。特に子供の長期欠席あるいは家庭の貧困からくる教育費の問題につきましては、できる限り学校にみんなこれるように、また、弁当等も持ってこない子供もたくさんおりまして、当時から、そういうものについてはできる限りの措置をするようにというような考え方で教育委員会等と相談をしながらやってきたのであります。それは福岡県だけでなく、長崎、それから佐賀等、その他の地区も同様でございます。
#94
○豊瀬禎一君 角度をかえて聞いてみましょう。産炭地における生徒児童の教育的な条件の整備といいますか、あるいは人に対する教育効果を他の地域と同じように高めていく、逆のほうから言いますと、手の要る子供たちに対してどういう対策をすれば産炭地における子供たちが教育の機会均等の原則から盛りこぼれない施策の恩恵を受けていくと考えておられますか。
#95
○政府委員(福田繁君) これは非常にむずかしい問題かと思いますが、学校のうちと、あるいは学校以外の一般社会の面からと何方あると思います。御承知のように、学校以外の面につきましては、社会教育の面あるいは市町村の子供の校外生活の補填といいますか、そういう事柄はどこの市町村におきましても、かなり注意をして力を入れてやっております。そういう面からのいろいろ子供の指導という問題も、いまおっしゃったようなことに非常に役に立つ、また、そういうこともやらなければならないと考えるわけでございます。まあ、私どもの関係しております学校教育の面から申しますと、できる限り子供について手の届いた指導ができるようにということが一番やはり大事なことであろうと思います。特に家庭におきましては、父親が離職しているとかいうような状況、あるいはどこかに働きに出ているというような事柄から、あまり家庭で見てくれないというような事情もたくさん見受けられますから、したがって、学校ではできる限り手の届いた指導をしてもらいたい、こういうようなことを私どもは希望しているわけでございます。両方相まって子供の指導というものがある程度、完全ではないにしても、できる限り手の届いた指導ができるようにということを私ども念願しておるわけでございます。
#96
○豊瀬禎一君 手の届いた指導が必要であるということを認めておられるということは、産炭地の児童生徒が手が要るということは、他の地域に比べて非常に手が要るということは認めておられるのですね。
#97
○政府委員(福田繁君) それはおっしゃるように、いろいろほかの地帯とは違った状態のもとにある子供がたくさんおりますから、そういう点はもちろん私どもも認めておるわけでございます。
#98
○豊瀬禎一君 そうすると、非常に手の要る子供たちが多くおる。それからいまあなたの御指摘のように、家庭指導も欠除しておる。それを学校がカバーしなければならない、こういう問題をかかえて産炭地の生徒児童の非行をなくし、学力を高め、教育の機会均等に盛りこぼれないようにしていくためには、学校において単に保護家庭に対しては補助率を上げるとか、給食を十分行きわたるようにしますと、こういうことだけではなくて、教師と生徒との関係において対策をする、いわゆる教員定数上の対策の必要があると思うのですが、福岡県については若干今日までその概要を明らかにしておられるようですが、教員定数上の配慮について、北は北海道から佐賀、長崎等に至るまで、それぞれそうした配慮に基づいた措置をしておられますか。
#99
○政府委員(福田繁君) 昨日も特別委員会で申し上げましたように、福岡県には特別な措置がしてございます。また他の県におきましても、生徒児童が急減することによりまして教員の定数が非常に落ちるというような、そういう傾向が産炭地においては特に強いわけでございますから、したがって、そういう該当の県につきましては、現在の標準法のもとにおきまして経過措置を講じて、できる範囲の措置はしておるつもりでございます。ただ申し上げたいと思いますのは、これは豊瀬委員にはもちろん釈迦に説法でございますけれども、ただ定数だけの問題ではないと私ども考える。定数をふやせばそれだけで解決するかというと、必ずしも私はそういうようには考えておりません。やはり生徒の指導にあたる先生そのものが、ちゃんとしてりっぱな指導をしてもらうということが必要であろうと思います。しかしながら、文部省としては、できる限りの定数の措置はしたつもりでございます。
#100
○豊瀬禎一君 ことばじりをとらえるんじゃないですが、ちゃんとしてもらわなければならぬというのは、産炭地の教員はちゃんとしていないということですか。
#101
○政府委員(福田繁君) そういうように申し上げたんではございませんが、いま定数のみのお話のようでございましたから、定数のみでこれは解決する問題じゃなくて、やはり今後教師が生徒の指導に当たっては、十分自信をもってりっぱな指導をしていただきたい。それによって定数のみじゃなくて、いろいろの面において生徒にいい指導、感化を与えていく、こういう意味で申し上げたのであります。
#102
○豊瀬禎一君 文部省としては教育基本法の趣旨にのっとって教育条件の整備を完ぺきにする、それを果たすことが主たる目的で、先生がちゃんとしているとか、していないとか、これはあなた方の正たる任務ではないことですから、その点を混同しないように考えていただきたい。
 まあその論議は別にして、とにかくほとんど大多数の子供が社会環境においても、学校の教育の環境においても、あなたのことばを借りれば、手の要る子供たちである。これに対して、あなたの答弁は、福岡県は過員がありました、六百名程度の過員があったので、産炭地にこの中から措置できると思います、こういう答弁に終始しておるわけです。それじゃ、過員がなければどうするのですかという聞き方もありますが、過員処理の結果として、産炭地にある程度の教員が多く配置されているという実情論は、産炭地教育の対策論ではない、結果報告論ですね。あなたが言っている手の届いた指導が必要である、家庭教育の欠除に対して学校教育がそれまでおんぶしなければならない、事務についても過剰になっている。いろいろと大臣も実情について把握しておられるようです。そういうことに対して、過員があろうがなかろうが、現行定数法がどうなっていようがいまいが、あの惨たんたる状況に陥りつつある瀧炭地に対して、単に給食や、保護家庭に措置するだけでなくて、学校教育の場そのものにおいて一貫した全国的な方針が必要だと思う。あなたの答弁を聞いておると、大臣もあなたの説明をそのまま受けて、過員処理でこうなっていますという答弁に終始しておられるのですね。そこに文部省の産炭地に対する非常に認識の本質的な欠陥というか、問題点があるんじゃないですか。前向きの姿勢で、学力も低下しており、特殊児童も促進児もふえておる、非行も、私が前回指摘したように、年とともにじゃなくて、月とともにふえつつある、これに対してはこういう手だてが必要である、こういう方針の策定が行なわれ、それに基づいて、たとえば福岡県では過員というものがあるとすれば、それをどう使っていくかという考え方ならまだうなずけないではない。あなた方の対策が終始過員処理の教育委員会の結果を数的に把握して、これで小学校は三九・何人に生徒がなっています、中学校は四十何ぼでございます、標準法よりも下回って、私どもが主張しているように、いわゆる一学級四十以下に大体平均はなっています。あなたの説明した平恒ですか、十人も過員があります。これかいかにも産炭地対策のように――端的に言うと詭弁ですね。しかし、産炭地対策として文部省が方針として出されたものではないでしょう。平という小学校に十人近い過員がおります。これは平という小学校が特殊児童がどれだけおる、非行少年がどれだけ激発しておる、保護家庭がどれだけある、そのためには練達した助手の先生が何人要るのだ、一学級はどの程度に編制しないと、いまの指導要領の教科をこなしていくことはできない、こういう観点から平という小学校にあなた方が方針を立てて配置したのですか、そうではなく、教育委員会のいろいろな血の出るような過員処理の結果を数字として把握して、得々として、福岡県には過員がございましたから、このように二百数十名の特配をいたしております、こういう考え方に文部省が立っておるというところに、産炭地に対する理解が薄いのです。あなたが言っておる数字もこれはもう、私のほうからあなたに釈迦に説法と言いたいのですが、あなたは数字のほうの専門家ですから、最低保障率というのは、法律、政令に書かれているように、一気に新法を適用したのでは無理なところが生ずるからということで、九八・五ですか、これは産炭地対策ではない。旧法と新法の間において、各都道府県が現行法規の定めに従って、自主的に教員の配当をして来た、その結果、新法をそのまましゃくし定木に適用したのでは、学級編制上、教員配置上無理を生ずるから、その係数をかけたにすぎないということは、それによって救済された教員数というものは、産炭地であるなしにかかわらず、実態として全県的に操作の必要な数でしょうが、法律、政令に基づく。その数を拾い上げて、これで産炭地に配当しているのですよというのは、これはことばは委員会ですから悪いですけれども、盗人たけだけしいと言ってもあまり無理な言い方じゃないですよ。私が指摘しているのは、私どもは四十人と言っているのだけれども、これだけの条件の悪いところには、一学級をこの程度にしなければ指導要領はこなせないのだとか、非行少年は救済できないとか、未就学児童を就学させる、役務教育の機会均等を与える条件に欠けていくのだという一つの基準の設定が、文部省としては要る時期に来ていはしないかということを育っているのです。それについての見解の違いがありましても、私の満足するとおりの措置をされなくても、そういう方針に立って措置されるならば、産炭地対策は行なわれていると指摘できるでしょう、そうじゃないでしょうが。
#103
○政府委員(福田繁君) いまいろいろお述べになりました趣旨は私もよくわかりますが、しかし、それには少し根底に誤解がありはしないかというように、いま拝聴しておりまして感じたのであります。それは二つの誤解がありはしないか。一つは、これはもう御承知と思っておりましたけれども、誤解があるといけませんから、少し繰り返して申し上げますが、標準法の改正に際しましては、生徒児童の急増なり急減なり、いろいろ社会増、社会減というものが、いろいろな各地各様に起こるわけであります。そういう実態をとらえて、これをいかに活用していくかというのが、財政上の問題としてこれは考えた点でございますから、したがって、産炭地のために、これはやったのではないではないかというようなおことばがございましたが、これはそのおことばを返すようで恐縮ですけれども、産炭地の問題その他ほかの地域も含まれることでございますけれども、しかしながら、産炭地が特に生徒児童の急減がはなはだしい、しかもまた福岡県のごとく、従来から多量の過員をかかえているところは産炭地に限定されております。そういった意味で三十八年度の定数については、過員の大体五分の四国庫負担の対象にしていくというやり方、それから一ぺんに生徒児童の急減によって非常に定数が落ちても、教育上あるいは支障が起こるというような点を配慮いたしましてつくりましたのが標準の政令でございます。したがって、これが当然にそういう要素をすでに当時から織り込んでいたわけでございますから、産炭地のためにもこれは非常に有効に働いておる。その証拠には、現在、福岡県の産炭地の実情を先生お調べになりましておわかりになりましたように、非常に学級規模が小さくなっております。そういうまず第一の目的なり、やり方について若干の誤解がありはしないかと思いましたので、その点は申し上げておきたいと思います。
 もう一つの誤解がありはしないかと私が感じました点は、文部省が示します定数というものは県の標準定数でございます。したがって、どういうぐあいに県内の学校に配当するか、その基準をつくってやることは、これは教育委員会自体の仕事でございます。したがって、その定数の範囲内でどの学校にどういう配当をするかということは教育委員会がきめたらよろしい。したがって、私どもが最近までいろいろ実情を見ながら、どうも福岡県の産炭地は非常に学級規模が小規模化しておるということを私も見て、再々その実情をふかしぎに思っておったのでございますが、これは申し上げないほうがよかったかわかりませんけれども、実は私、最近になりましていろいろ調べてみましたら、すでにその標準法の政令によって措置された定数でもって産炭地には教育委員会というものが特別な学級編制をやっておる、これは御承知のとおりであります。最高四十八人から最低四十人までの段階を設けまして学級編制をやっております。そういうことのできるのはこの標準法の改正された結果でございます。それ以外には何らない。そういうことでございますから、私はこの産炭地のために全然文部省は考えていなかった、こう言われるのはいささか心外に存ずる次第でございまして、産炭地についてもそういう点を考慮して、教育委員会がそういう特別な学級編制をやっておるということも、まあ今日まで私どもは知らないことにいたしておったわけであります。そういう二点について誤解があるといけませんので、これは申し上げておきたいと思います。
#104
○豊瀬禎一君 誤解じゃなくて、あなたが言っておることは、たびたびあなたのほうの人もそう言っておるし、私も知っています。産炭地ももちろん標準定数法の改正の影響というか、あるいはあなた方が好んで使う恩典を全然受けないというほどの暴論は私も立てません。したがって、産炭地といえども全国の中の学校ですから、新定数法の編制下にある。そういう意味においては産炭地もこれも影響を受けておる、あるいは恩典を受けておる、そう言えるのですよ。しかし今度は、前向きで産炭地の特殊な教育実態をより進めていく、あるいは教職員に過重されておる負担を一般的に軽減していく、こういう対策を標準定数法だけで解決しようというところに問題がありますよと私は言っておるのです。そこの違いですよ。そうしてあなたが言っておる六百というのは、これはあなたに私から言うまでもなく、他県においても最低保障率というのは行なわれておる。だから産炭地の特別配慮としての九八・五でもなければ充分の四でもない。過員の、多いところにはそういう措置をしましょうという政令の定めになっておる結果として、あるいは結果ということばがおきらいならば、現実として産炭地の児童の減少の幅が大きい。したがって、教員の過負も他よりも幅が広い。その中で解決できる部面もないではない。しかし、そのことはあなたがさっき三番目におっしゃったように、教育委員会がみずからきめることですとおっしゃるならば、一番最後に、知らぬふりをしてやっておったんだけれどもと、何か悪いことをしたことを見つけたようにうれしそうな顔をして、いまだから言います、そんな言い方をしてはいけませんよ。教育委員会がやっていいものなら限度政令なんか何でつくりますか。それは教育委員会が総数を割って、学校ごとに学級数を算定して四十八、九で割って、それに一・何ぼかの係数をかけていって定員をはじき出しておるのは知っています。そして教育委員会の権限であることはわかっておる。しかし、それに全く結果処理としてまかせてしまっているというところに、国としての石炭合理化政策に伴う産炭地の教育の特殊事情に対応する考え方としては責任の感じ方が薄いではないかというのが私の指摘しておるところですよ。石炭調査団は重点鉱に対してはカウンセラーの定数の増もはかりなさいという結論を出すように内定したようですが、たとえば例をあげて見ると、あなたがいろいろ数字をあげて、文部大臣も、事務当局の責任者が言っていることですから、御信用になることはあたりまえのことですが、産炭地の中学が八十幾つですか、小学校が二百何ぼですか、その中において現に過員を生じておるのは小学校で中学校ではない。そうして小学校の、さっき指摘した平小学校の教員は中学に行くには免許状関係で無理な点がありますね。それから産炭地というのは福岡県ですから、あなた十分御承知のように、炭鉱を中心として学校がある。その地域には同じような影響があるから、同じような生徒減を生じておる、そこから産炭地以外の学校に転勤させるには、東京都のように交通も発進していないから新しく自動車の免許証をとって買って行くか、オートバイに乗って三里、五里の道を行くか、そういう状況にあるのです。現に中学校の九十校前後の単校には過員がない、小学校には過員がある、こういう状況でしょう。これは教育委員会や現地の人たちが幾ら苦労しても免許状とか教員構成とか、あるいは免許状を持っている人を、男の人を中学にやろうとすれば三十数人の学校で五、六人の男子の先生しかいないところから、男子の先生をやると二、三日に一ぺんは宿直が回ってくる、幾ら小学校といえども、免許状を持っているからといって、三十の職員構成の中で四、五人の男子の先生で職員構成としては望ましいという暴論は成り立たぬでしょう。そういういろいろの角度から、中学校には過員がないために、いわゆる産炭地対策がないために、過員処理の結果として編制されておるところの現在の実態論からは、産炭地に対して教員の増配を行なっておりますとは言えない。したがって、教員増を、過員を全部首切ってしまう、そうして産炭地を、たとえば四十人に編制します、あるいは一学級に対する教員の配当率を小学校では一・五まで高めよう、こういう措置をして新たに採用しなさいと言えば、産炭地に対する対策は初めて策定されたと言える、そうして均等に配置できる。福岡県教育委員会が考えておるように保護児童数の増とか、非行児童の率とか、あるいは学力の低下とか、幾つかの策定し得る条件をあげて、この学校にはやはりこの程度の配置が必要ですということが可能になってくる。そういう策定をしておいて、それに基づいて教員を新しく配置をしていくという考え方が文部省にないというところが、私は一番大きな問題点だと指摘しておるのです。それは私たちは昭和三十九年度では九八・五をかけてやる、五分の四を見てやる。六百人程度は恩典を受けているのだ、これは。全県下において教員で産炭地に持っていける教員はないですよ。あるいはあなたは二百八十何ぼというものを産炭地に持っていきますと言っておるが、教育委員会が特配している数字もあなたはちゃんと承知しているはずです。そして小学校と中学校がアンバランスを生じていることもおわかりのはずです。そして小学校におけるかなりの人たちが、平の小学校で指摘したように、戦時中教員不足の際にかなり無理をして、無資格者に小学校の先生としての免許状を取得させている。こういう産炭地における教員構成、現在までの、歴史的ないきさつ、現状を考えていく際に、最低保障率五分の四をかけてやりましたから、そして過員がありますから、その中でワク内操作をしなさいという言い方は、産炭地の定員問題の処理要網としてはあり得ても、産炭地教育をどう進めていくかという対策としては消極的過ぎますよと、こう言っておる。根本が、立て方が違っていはしないかと言っているのです。文部大臣はどうお考えですか。
#105
○政府委員(福田繁君) ちょっと先にお答えさせていただきます。
 この問題は多少感じ方の違いもあるかと思いますが、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、産炭地の教育については、いろいろの角度から検討してその対策を講じなければならない問題がたくさんあるということは、これはもちろん十分わかっているつもりでございます。したがって、その点に関し、できる限りのことはしたいという気持は私ども持っているわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、この現在の現行法のもとにおきまして、約六百人の過員というと、これは少し言い方が悪いわけでございますが、当然能率的にこれを効果的に配当し得る定数があるわけでございます。その定数を産炭地に重点的に配当するということによって、十分現在の段階においては間に合い得るのではないか。したがって、教育委員会が各学校の配当につきましても、ここに私は嘉穂郡の各学校の資料を持っておりますが、あまり偏在しないで、できる限り必要な学校に少しずつでもそういう生徒児童のために教員を回してやるというやり方をしますれば、現在の定数でも、ある程度、私は間に合うということを考えているわけでございます。来年度の問題としては、今年よりもさらにこの数はふえるわけでございますから、私どもの見通しとしては、まあ福岡県の産炭地に関する限りは、定数の問題としては大体県の教育委員会などの言っていらっしゃる必要数というものは、これによって確保できるのではないか、こういう見通しを持っているわけでございます。要は、その中でどういう工合に配当していくか、基準をどういう工合に作成して効果的にこれを持っていくか、こういう問題になるわけでございます。積極的、消極的という御論議はあろうかと思いますが、私どもとしては十分これはやっていける数字だと考えております。
#106
○豊瀬禎一君 ちょっと大臣待ってください。もうしばらくして大臣の見解を聞きますから。――小学校が百六十八、中学校が八十六校ありますね。その中で大臣の認識をこうきちんとしていただきたいのは、小学校において九十一校過員のない学校がある。中学校は過員はない。県全体においても過員がない。これが事実。それから、局長にもう少し認識をはっきりしてもらいたいのは、なるほど最低保障率あるいは五分の四をかけてそれぞれやった。しかし、これは福岡県だけでなくして最低保障率をかけたのが十府県あって、二千人から三千の数が全国で措置されました。これは福岡県だけとってみると、その数がたとえば六百なら六百とすれば、この人間を産炭地に全部持っていけるなどというような考え方は持っていないでしょう、福田さん。それは福岡市のごときはまだ増加しなければならない数があるし、北九州もそうだし、それから筑後、あなたは福岡県人ですからおわかりでしょうが、筑豊地方から産炭地に通学させることは、これは一〇〇%不可能だ。産炭地というのは、福岡県の大体四分の一の地域ですね。そういう地域にかりにいろいろの操作をしようとしたって、その措置してやった数が産炭地に重点的に配当できる可能性があるなどという旨い方が間違っているんですよと言っているんです。そうして県の教育委員会は、なるほど私が指摘したように、特配を百数十名やっています。産炭地にこれはいろいろな条件を加味して、現に小学校で九十一校、中学校においてもかなりの数がある。全く他の地域と同じような条件で、先ほどから指摘している困難な教育条件の中で教育に従事しているんですよ。そういう点はどう考えているんです、福田さんは。
#107
○政府委員(福田繁君) 私もいろいろ向こうの話を伺っておりまして、他に転勤しにくいという事情はいろいろ過去にあったようであります。今年はだいぶ改善されたようでございますが、それは確かにいろいろな事情はあると思います。しかしながら、産炭地につきましては、そういう点を加味して、私ども県から報告を受けた数字は二百八十六人というものを特配の形で配当しているわけでございます。これは六百人の中で、この前から申し上げるように、福岡県の産炭地全体は全体の約三分の一以下です。そういうことから考えますと、数字的に見ましても二百八十六人というのは少ない数ではないと思います。そういうことができれば、おっしゃるような産炭地に重点を注いだ教員配置というものはやっているという証拠になろうかと思います。
#108
○豊瀬禎一君 どうも福田さんは二度委員会で答弁したものだから、なかなか、少しづつ傾斜しつつあるけれども、自説を曲げませんね。教育委員会が特配したものはあなたの手元に行っているように百四十八です。あとは結果として、ある地域にどうしても異動ができないで残っているということです。文部大臣に認識していただきたいのは、かりに産炭地が標準定数法やあるいは最低保障率をかけたり、いろいろ現在の法律政令の中で措置できる可能なことをやっても、やった結果、いろいろ教員の配当から考えていっても、産炭地には、県の教育委員会としては百四十八の一つの基準を設けて特配をしている。そうして若干のそのほか過員が残っている。それが二百数十人という数字、そうしてそれは結果として生じていることのために、それから高等学校にかなり転出した、あるいは先ほど言ったように、産炭地の学校は同じ条件にあるから隣りの学校に異動するなんということは意味もないことです、同じ条件にあるから、過員を持っておっても。そうして、その同じ条件の中では、いわゆる産炭地でない山の奥のほうには異動も不可能である、あるいは教員の構成も、先ほど言ったように、アンバランスを生じている。教課の問題もうまくいかない、こういう実情のために対策として均等的に配置されているのじゃなくて、万策尽きた結果として、ある学校には、極端な例ですけれども、ある一校には十人の人が定員外におります。どうしようもないですよ、この人たちは。教育委員会も現場の組合も協力して話し合いをするけれども、どうしようもない。ところが一方の平の学校では同じような状況にあるのに、中学校においてはいわゆる教員の必要な特配という措置はない。中学校においては。したがって、かなり大幅に教員の配当が行なわれたように聞こえるかもしれませんけれども、実際に産炭地の事情を加味して配当し得た数は百四十数名、あとは結果的に定員上の人たちが、教員が産炭地におるということです。そのために小・中のアンバランスも生じておる。小学校においても、中学校のように教科担任制ではないけれども、やはり音楽のたんのうな先生も必要だし、図工のたんのうな先生も必要だし、それぞれ教科に特殊な技能を持ち、能力を持つ先生が必要です。これは文部省も否定できないと思うのですね。そういう点から考えると、配置がえをする限度を越えてしまっておる。そうして残っておるのがそういう、実情ですということですよ。二百数十名ですよ。その中の特配は百数十名にしかすぎない。それを産炭地対策として措置されておりますという認識では根本的に間違っていますと、こう言うのです。理解できましょうか、大臣、現状について。九十校の小学校には過員もない。過員もないということばが悪ければ、標準定数法外の配当もない。中学校も、まあ中学校は若干おるところもあります。しかし一、二名しか…。だから、そういう結果の数字に立つところの措置ではなくして、これはまた教育委員会の措置にまかせますということでなくして、やはり非行少年の数がふえておる。パーセンテージ、あるいは学力低下の状況とか、放課後転用をしておる教員の事務量とか、不就学の子供たちの数とか、想定し得る一つの基準というものがあるでしょう。非教育状況のそれを幾つかの条件をあげて、現場の先生たちも教育委員会も、とにかく一学級の生徒数を減らし教員の配当をふやしていただかなければ、現在の普通の教育の維持ができませんと、こう言っておるのですよ。教育委員会も昭和四十年度に四十人編制するところの産炭地で六百七名の教員が要りますという資料を教育委員会は文部省に出しておるはずです。四十人編制で六百七人新しい教員が要りますと、こう言っておる。それを一つの標準定数法の措置に基づく普通的な結果処理をながめて、ある程度の手だてが産炭地になされておりますという言い方は、きわめて産炭地に対する理解不足というよりも、一番私の好みのことばを使えば、わい曲した説明であります。
#109
○国務大臣(愛知揆一君) まず第一に、先ほど来るる御質問がございましたが、私は昨日の特別委員会でも申し上げ、またその他の機会でも申し上げておりまするように、産炭地の問題につきましては、現内閣といたしましてはできるだけ誠意を尽くして、徹底したできるだけの措置を講じたいというかまえで、特に有沢調査団の調査並びに報告に対しては非常な期待をかけておるわけです。そうして、その最終報告書というものもいよいよ出るばかりの段階になっておるように承知いたしております。そこに盛られてまいりまするような措置につきましても、できるだけの政府としての措置を考えたい。それを産炭地の対策についてあるいは認識が非常に足りないのではないか、責任の感じ方が薄いのではないか、あるいは盗人たけだけしいというような態度ではないかと言われますことは、まず全体の政府の姿勢として、私どもの誠意が通じないというように感じまして、この点は率直に申しまして非常に残念に思います。
 それからその次に、教育の問題につきましては、これもるる申し上げておりますように、いわゆる定員の問題はもちろん大事な問題でありますけれども、たとえば就学援助費の問題から給食費の問題から、あるいは施設の単価の基準の問題から、各般にわたって措置を講じたいと思っております。それから事は教育の問題ではありますけれども、実は文部省だけの立場からアプローチできない問題もありますから、これは他省にも、たとえば厚生省その他にも非常にこれは協力を頼まなければならぬこともございます。これは先ほど申しましたように、総合的にできるだけの措置を考えたいと思っておるわけであります。
 それから、ただいまもるるいろいろ御意見がございましたが、私もこの定数の問題につきましては、私個人といたしましても十分これは福田局長はじめ担当の当局からも、自分自身が納得できなければこれは問題になりませんから、十分に私としても検討をしたつもりでございます。
 それから先の御結論がどういうふうな御意見でありましょうとも、ある程度から先になりますと、これは個別的な問題、事実問題の上で解決するよりほか方法はないと思うのです。で、解決された部分もあるというような御認識までいただいておることは、たいへんありがたく思いますけれども、私はこれで解決されるのだ。そこの程度の問題に御意見がだんだん近づいてきているように私も思います。
 それからさらに、いわゆる過貝、私は過員ということばがきらいですけれども、まあ呼びなれている名前ですから過員とあえて申しますけれども、これは標準法の施行令に基づくところであって、福田局長がるる申し上げましたように、たとえば児童数が急激に減少したというようなことは、その原因が産炭地域に発生した原因であっても、もちろんその中にカバーされるものでありますから、結果においてと言われますかもしれませんけれども、ただいままでの措置の幅で、この中で私は十分できると、こう確信を持っておるわけでございます。ですから私の確信なり、あるいは実際の措置したそれで遺憾がある、こういう点が、こういう問題が現実にこうあるということになりますれば、それはもちろん考え直さなければなるまいと思います。しかし、先ほどおことばにもございましたように、産炭地域それ自体の問題から発生したことであるかどうかわかりませんけれども、たとえばある学校に十人の過員がある。いわゆる過員がある。組合が協力し、あるいは県教育委員会がいろいろ説得してもどうにもならない問題がある。これはそのとおりだと思うのです。その分までも、これは実際やむを得ないこととは言いながら、その分までも私はいまのやり方でカバーできる、こういうふうに考えておるわけでございますから、るるお説はございましたけれども、私はこの点については福田局長の説明いたしましたことを全面的に理解し、かつ支持するものであります。
#110
○豊瀬禎一君 有沢調査団の報告によっては、手直しすべきことはすでに予算が決定した後でも手直しをしていく、このように理解してよろしいですか。
#111
○国務大臣(愛知揆一君) これは炭価をどういうふうにきめるか、あるいは価格補給金をどうするかというような大きな財政上の問題も含めまして、先ほど申しますように、政府全体として誠意を尽くしてその答申を尊重していきたいと思いますけれども、財政上の事情なり、あるいはそこに取り上げられた考え方をそのまま適用しなくてもやれるという政府の自信があれば、その点については調査団どおりにはならないかもしれません。
#112
○豊瀬禎一君 有沢調査団報告書の作成に文部省の当局が何らかの方法で答申の内容を変更させようとした動きがございませんか。
#113
○国務大臣(愛知揆一君) これは御承知のように、調査団の中に文部省の担当官が入っておりましたし、それから主計官も入っておりましたことは昨日申し上げましたとおりでございますから、いろいろの論議が出たことと承知いたしております。
#114
○豊瀬禎一君 教育問題に限定して、すでに内定をしておるはずですが、調査団の報告の内容以上に措置すべき事態を認められた際にはさらに手直しをされる意図がありますか。
#115
○国務大臣(愛知揆一君) 仮定の事実はお答えできません。
#116
○豊瀬禎一君 それでは別のほうからお尋ねしますが、現に産炭地にある二百数十校の学校で、産炭地の教育事情に合致できるような特別の措置が講じられていない学校があるということを認められますか。
#117
○国務大臣(愛知揆一君) これは局長から御答弁いたします。
#118
○政府委員(福田繁君) 三十九年度におきましては、先ほど申し上げましたような数になっておりますが、小学校全部について特別な定数を配当していない学校もかなりあるわけでございます。それは私どもも認めております。
#119
○豊瀬禎一君 そういう学校において特に教員の負担というもの、あるいは教育効果をあげ得ない状況の中で教育が進められておるということは認められますか。
#120
○政府委員(福田繁君) 私どもはいろいろ学校の実態につきましてまだ詳細に調査する必要もあろうかと思いますが、いまお述べになりましたような学校もなきにしもあらずと考えております。したがって、先ほど来いろいろ御論議がありましたが、県教育委員会の各学校に対する配当自体が適正なものであるかどうかということについては、私は非常に疑問を持っておるものでございます。したがって、必要があれば来年度につきましては、いま配当されていない学校につきましても、定数内において、できる限り配当のできるような話し合いをしたいと考えております。
#121
○豊瀬禎一君 大体その際に、教員の定数について新たに措置すべき事態が起きれば、教育委員会の意見を十分尊重しながら措置されていきますか。
#122
○政府委員(福田繁君) もちろん来年度の定数が決定いたしましたならば、その範囲内におきましてできる限りの措置を考えたいと考えております。
#123
○豊瀬禎一君 特に事務職員、養護等についても、これも委員会で指摘したところですが、皮膚病あるいはその他トラコーマとか、眼疾とか、いろいろ病気の子供が多いわけですが、こういった点でかなり多くの学校が、現行標準法のもとでは養護、事務を持たない学校があります。こういう点についても、新しく配慮しようという考え方はありますか、ありませんか。
#124
○政府委員(福田繁君) これは御承知のように、前々から定数法の改正に際しまして、養護教員の増員をはかってまいっております。これは年次計画において要求いたしておりますが、それに従って私どもはできる限り県の教育委員会と実情を見ながら相談を申し上げたいと思っております。
#125
○豊瀬禎一君 これから先の問題は、愛知大臣は教員定数法だけ考えておるのはいかぬじゃないかということですが、きょうの質疑が教員定数の問題に限ったので、別に保護家庭の問題や、就学奨励の問題を必要ないと考えておるわけではないのです。これは十分認識しておられることと思います。有沢調査団の答申というのは、今回、教育についてはそれぞれ専門的な立場で視察も行なわれたことですし、答申も行なわれることですので、その調査報告を待ちまして、就学、非行あるいは保護児童その他全般に対する問題もまたただしていきたいと思いますが、特に大臣の言われた一つですね、これは予算委員会でも私聞いたところですが、たとえば婦人センターとか、あるいは青少年センターとか、あるいはそうした何といいますか、社会環境を浄化していくというか、あるいはつくりかえていくといいますか、こういう点も産炭地においては非常に重要な要素になっておると思う。こういう問題につきましても、行政のなわ張りの問題を越えて、大臣としても教育という観点から努力願いたいと思います。
 以上で終わります。
#126
○国務大臣(愛知揆一君) いま最後にお触れになりましたことは、私も御同感なんでありますが、これは先ほど申しましたように、必ずしも文部省だけの問題でございませんから、私としてできるだけの努力をいたしたいと思っております。
#127
○委員長(野本品吉君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時四十五分散会
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ソース: 国立国会図書館
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