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1964/12/03 第47回国会 参議院 参議院会議録情報 第047回国会 内閣委員会 第3号
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1964/12/03 第47回国会 参議院

参議院会議録情報 第047回国会 内閣委員会 第3号

#1
第047回国会 内閣委員会 第3号
昭和三十九年十二月三日(木曜日)
   午前十一時四十分開会
    ―――――――――――――
  出席者は左のとおり。
    委員長         下村  定君
    理 事
                石原幹市郎君
                小柳 牧衞君
                伊藤 顕道君
                鶴園 哲夫君
    委 員
                栗原 祐幸君
                源田  実君
                古池 信三君
                塩見 俊二君
                林田 正治君
                村山 道雄君
                辻  武寿君
                田畑 金光君
   国務大臣
       法 務 大 臣  高橋  等君
   政府委員
       法務政務次官   大坪 保雄君
       法務大臣官房司
       法法制調査部長  鹽野 宜慶君
       法務省民事局長  平賀 健太君
       法務省刑事局長  津田  實君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        伊藤  清君
   説明員
       公安調査庁長官  吉河 光貞君
    ―――――――――――――
  本日の会議に付した案件
○法務省設置法の一部を改正する法律案
 (第四十六回国会内閣提出、衆議院送付)
 (継続案件)
    ―――――――――――――
#2
○委員長(下村定君) これより内閣委員会を開会いたします。
 法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑を行ないます。政府側出席の方は、大坪法務政務次官、平賀民事局長、吉河公安調査庁長官であります。
 御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
#3
○鶴園哲夫君 この法務省設置法は定員の増加が主たる内容になっているわけですが、したがいまして、こまかくお尋ねをする面が多いと思います。でありますから、もし問題が残るようでしたら、あとで答弁をいただいてもけっこうであります。まず、これは公安調査庁の問題ですけれども、これは伊藤委員のほうからすでに質問があったかと思いますが、定員の関係から申しまして今回二百名の増加の案になっているわけですが、この二百名という数字そのものは少ない数字でありますけれども、公安調査庁のいまの定員からいいますと、天文学的な数字だと言われているわけですが、つまり一割以上ふえるわけですね。千八百ちょっとの定員でありますから、それに対しまして二百名ふえるわけですから、一割以上ふえる。いまの政府官庁の中でこの程度の数がふえるということは近年にないことです。一割以上の定員がふえるということは。でありますから、この二百名ふやすという、特にそういう情勢の変化があるのかどうか、この点をお尋ねをしたいわけです。
#4
○説明員(吉河光貞君) お答えいたします。実は公安調査庁は、昭和二十七年に発足しましてから十年余りになるのでございますが、最初の定員は千七百二名というような状態でございまして、その後最近に至るまでさしたる増員もなしに、大体合計いたしますと、百九十八名が増員になりまして、現在の定員は最初の定員の一五%増――間違いました。百十三名増員となりまして、現在の定員は千八百十五名ということになっておるのでございます。ところが、この間におきまして調査の対象団体でございます日本共産党の勢力は非常に増大してまいりました。昭和三十四年八月当時の党員数が約四万名の党勢力でございました。ところが、最近の党員数は十万をこえるというような状態になっております。他面調査の対象となります右翼団体の勢力も最近非常にふえてまいりました。特に非常に過激な、暴力主義的な破壊行為を行なう事例が非常に多くなってまいりました。河野邸焼き討ち事件、池田首相襲撃事件、日共の野坂議長の襲撃事件あるいは社会党の浅沼書記長の刺殺事件というように、非常に事件も多くなって、調査の対象が増大してまいりました。これに対処するためには、どうしてもこの際必要最少限度二百名の増員を得たい、かように考えているわけでございますので、この二百名の増員はいずれも第一線に配置いたしまして、調査官として活動してもらいたい、かように考えている次第でございます。
#5
○鶴園哲夫君 いまお話のような経緯で一割以上の定員がふえるという、これは各行政官庁を通じましてこんな大きなものはないわけでございます。ですから、何か非常に大きな問題がない限りにおいて、こういう二百名という一割以上の定員をふやすということは理解がつかないわけですね。しかも今回ふえますのは調査官がふえるのですから。二百名という調査官はいまの調査官の中に占めている率からいいまして非常にまた大きい増員になるわけです。でありますから、いまお話のようなことだけでは、とてもこういう天文学的な比率というものは理解できないというふうに言わざるを得ぬと思います。いま公安調査庁の欠員はどのくらいあるんですか。
#6
○説明員(吉河光貞君) 本年十一月現在で四名でございます。
#7
○鶴園哲夫君 そこで、人権擁護局というのがございますね。人権擁護局というのは、局で十六人ですがね。中は二課に分かれているんですが、こういう人権擁護局というようなものはわずかに十六人しかいない。普通の行政の常識からいいますと、これは一つの課にしか当たらないんです、十六名という数字は。こういう一方においては、人権擁護局というようなものはわずかに局の体をなさない十六名というようなまことに微々たる数字、さらに人権擁護局の末端組織を見ますと、これは一体行政組織としてあるのかということを否定しなければならぬような人員配置になっていると思うんです。だから、私はふやすならこの人権擁護局みたいなものをもっとおふやしになったらどうか。人権擁護局は、いま私が申し上げましたように、局で十六名、これはもう局の体をなさない。行政組織からいいましても、常識からいっても、こんなものは課にも当たらないような数字、局にならない。さらに今度は、これが法務局にいった場合、人権擁護部という部になっているが、定員は一体どのくらいいるわけですか。さらに、その出発機関として、地方法務局がありますが、その地方法務局の場合、これは人権擁護課となっておりますが、一体何人定員がおられるのか。その先の出先機関はさらに支局の中にありますが、定員を置いていない、登記係の者が兼任しているとか、そういう著しく局としての形態をなしていない。一方においてはこういうふうに何か天文学的な大きな二百名という数字を一挙にふやす。そういうものを考えますと、私はこの法務省の根本的な考え方に問題があるのではないかと思う。私は今般もいろいろ回ってみますと、人権擁護委員というのがおります。これは任命は法務省がやるのですが、実際は推薦は地方自治体がやる。ところが、経費その他は地方自治体が大部分負担しておる。したがって、人権擁護委員というものの中はいろいろ妙なことになっておる。私は、過去においてこの法務省設置法が出ましたときに、人権擁護局、人権擁護課関係の定員なりあるいは予算、経費、そういう問題にいって種々伺ったが、改善のあとは見えていないように思う。今回この支局あたりに行ってみますと、人権擁護委員という者がいろいろ問題を起こしております。困ったものだこういうことで、人権擁護課の人が当たってみるといと、何のことはない、むちゃくちゃな人が人権擁護委員だった。先般も私聞いたのですが、金を借りた、それも未亡人が金を借りたそうですが、その金を貸した方が元利返済できなければ二号になれと言ったという。二号になれというから、人権擁護局のほうに相談に来たというんです。調べてみたところが、あにはからんや、それが人権擁護委員だったという、こんな事例をあちこちで聞くのです。だから、私は一体この人権擁護局というのは、こういうものを全く放置して、これは行政組織の体をなしていない。一方においては、こういうような公安調査庁は一挙に一割以上の人員をふやす、そういうような姿勢、それを聞きたいわけです。
#8
○政府委員(平賀健太君) ただいま人権擁護局の担当官が来ておりませんので、私民事局長でございますが、存じております限りにおいてお答え申し上げたいと思います。
 本省の人権擁護局の定員は仰せのとおり十六名で、非常に少数でございますが、この人権擁護活動の下部機構といたしまして、法務局におきましては人権擁護部がございまして、それがさらに二課に分かれております。それから地方法務局におきましては、人権擁護課というものが置かれております。この地方法務局におきますところの人権擁護関係の職員の定数というのはきまっていないのでございますが、各管内の事務量に応じまして人員の配布をいたしております。これは各地方法務局長において管内の人員を配布いたしておるわけでございますが、概数を申し上げますと大体百六、七十名ではないかと思っております。
 で、ただいま鶴園委員が仰せられましたように、これだけの人数ではなかなか手が回らないわけでございます。ことに人権擁護の事務というのは非常に民間の方々と接触する仕事でございます関係で、どうしても接触面を広くしておく必要があるわけでございます。その関係で人権擁護委員制度というのがございまして、人権擁護委員、これは市町村の推薦に基づいて委嘱をいたしておるわけでございますが、全国的にこの委嘱がされておりまして、その数が約九千名ぐらいであると私は承知いたしております。
 そういう関係でございまして、本省の人権擁護局はわずか十六名で、法務局の職員も必ずしも十分ではございませんけれども、現状のもとにおいてとにかく人権擁護の仕事はこれで進められておるわけでございます。もっともこれだけの人権擁護関係の職員数では少のうございます関係で、人権擁護局におきましても、また法務局、地方法務局におきますところの人権擁護の担当職員数の増員ということは年来要求しておりますのでございますけれども、ことに法務局におきましては他の所掌事務、特に登記なんかの関係で、非常に増員の必要に迫られております関係で、なかなか人権擁護のほうまで回らないのが実情でございます。
#9
○委員長(下村定君) ただいま高橋法務大臣、八木入国管理局長、富田同局次長、宮下公安調査庁次長が御出席になりましたので、御報告いたします。
#10
○鶴園哲夫君 私は、いま民事局長が御説明になりましたのですが、人権擁護局が中央のほうは十六名、これは行政組織から申しまして、組織としての体をなさない、局としては。十六名というのは一課ですよ。局に該当しないんです、ということを聞きたいわけです。さらにこれが今度は法務局に参りますと、法務局も、課は二課に分かれて擁護部というのがありますが、これは十名足らずしかいない。これでブロック全体を受け持っておるわけですが、さらにこれが今度地方法務局になると二名ぐらいです。人権擁護課というのがあるが二名ぐらいです。さらに今度は支局になりますと、支局にはいないんですよ。これは人権擁護の人がいない。戸籍係長とか登記係長という人が兼務しておる。最も忙しい人が兼務しておる。そうして九千名という市町村の有力者が、これが人権擁護委員になっておる。本来人権擁護というのは、これは有力者と一般民衆との関係なんです。人権擁護という問題は、本来有力者と庶民との関係のはずなんです。大体言うなら。そういう場合に、この市町村からばく大な補助を受けて、市町村で推薦する者を擁護委員にする。先ほど私が申し上げたように、借金のかたに二号になれという、説明を聞いてみると、人権擁護委員がそういうことを言っている。こういう例は枚挙にいとまがない。そういう状態でおきながら、一方においてはこういうような一挙に一割以上の定員をふやすということは、私どもとしては理解がつかない。どういう立場からいってもこれは理解がつかない。これはおそらく法務大臣といえども、この人権擁護局の問題について、いろいろ非常に手薄であるということは御承知だと思う。非常な手薄ですよ。もう少し人権擁護委員の執務の状況も私は伺いたいと思う。二百名ふやして、一方においては、こんなべらぼうな、各行政機関にないような一割以上の定員増ですよ。理解がつかないです。これは適当に割り振ったらどうですか。私ども見まして、まだ人員の足らぬところは一ぱいありますよ。
#11
○政府委員(平賀健太君) 私からお答え申し上げるのは、どうも適当でないかとも思うのでございますが、先ほど申し上げたことにつきまして、ちょっとふえんさせていただきたいのでございます。それは支局の関係で、この支局の人権擁護事務につきましては、ただいま鶴園委員仰せのとおり、人権擁護専任の職員というものは、ほとんど全部の地方において置いておりません。いまお話しのように、戸籍の係長でございますとか、あるいは支局長自身が兼ねてやるとかいうようなことでまかなっておりますが、これは、おもに事務量の関係でございまして、再任の職員を一人置く、だけの事務量がないところが少なくない関係もあるのでございます。もっとも、大きいところにおきましては、専任の職員一人置くだけの分量があるところも多少はございますけれども、大多数は、事務量が一人分までに至らないというところが多いように私は観測いたしております。それからなお、人権擁護の関係におきましては、どうしてもこれは仕事の性質上、役所の職員だけというのでは不十分でございまして、先ほども申し上げましたように、人権擁護委員は、全国で九千名が委嘱されておりますほかに、なお、生活困窮者の訴訟援助ということをもちまして、五千万円の補助金を日本人権擁護協会でございますか、これに補助金を交付するというようなことで、そういうような方法によっても人権擁護活動を活発化するという努力を法務省としてはいたしておるわけでございます。その点も、つけ加えて申し上げさせていただきます。
#12
○鶴園哲夫君 民事局長、ですから、できれば人権擁護局長がお見えになるといいのですが、いずれにいたしても、この問題は、人権侵犯件数というのは、毎年、五割ぐらいの激増を続けています。右翼がどうとか左翼がどうとかいう問題とは比較にならないですよ。ですから、これはいま、実態は、はなはだしくお粗末過ぎる。しかも、経費の大部分というのは、これは市町村が持っておる。組織そのものは、組織と言えないくらいのものになっておる。しかも、一方においては、人権の侵犯件数というのは非常な勢いで激増しておる。そういうことで、一体法務省はいいというふうに思っておられるのか。片手落ちもはなはだしいと、私は言わなければならぬと思う。これは私としては認めるわけにいかないのです、こういうばかな話は。ばかげていますよ。法務大臣、御意見があったら承りたい。
#13
○国務大臣(高橋等君) 人権擁護関係に従事する定員が問題になっておりますが、これが十分でないということは私も法務省へ参りまして痛切に感じております。そこで、ことしは人権侵犯事件調査の充実を期しますために、七十五名の増員要求をただいま予算でいたしておる最中でございます。ことしは定員をできるだけ押えようという方針で、いろいろ困難があるかと思いまするが、こうした方面の充足につきまして、なお努力を続けていきたい、そう御承知をお願いをいたしておきます。
#14
○鶴園哲夫君 くどくど申し上げても何ですから、私の意見は、いまるる申し上げたとおりです。ですからこれはやはり法務省の考え方に問題があるのじゃないかというふうに思います。で当然こういうことはもう私前から問題にしている。刑事の問題についても、この定員関係の問題についても、前から問題にしている。法務省設置法のときに、この今度の一部改正には人権擁護局の人員がふえない。一方においてこういうような一割以上の増員をやってのけるというようなことは、どういいましても理解つかない。
 次にお尋ねをいたしますけれども、大臣はどの程度まで時間よろしゅうございますか。
#15
○国務大臣(高橋等君) 十二時五十分ごろまでは出席しております。
#16
○鶴園哲夫君 次にお尋ねをしたいのは、民事局の関係で、民事局の定員は、今度ほぼ一万名に近くなるわけですが、この中で登記の職員は約七千名というふうに見ていいと思うのです。それに対しましてこの司法書士というのが約一万二千名ぐらいおる。で登記の職員より司法書士のほうが圧倒的に多い。しかも司法書士というのは約二名か三名の事務員を持っておりまして、これを合わせますと数万に及ぶと思うのですが、登記職員の数倍の人員を持っておる。そうして登記職員と同じように、登記事務所の仕事をしている。これは一体どういうふうにこういうことを考えておられるのか。私も三、四年前でありますが、登記所へ行ってみたのです。そうしますと、司法書士に頼みますと、えらい時間がかかるのですね。一週間とか二週間かかるのですよ。それじゃ間に合わぬというので自分で出向いてみた。そうしましたら、様式がないのです。様式を貸せといったのですよ。そういう様式がないというのです。様式は刷ってないのですよ。こんな厚い様式のつづりがあるわけです。そのつづりを出しまして、それであなたの出されるのはここだと、こういうわけですよ。様式何とか書いてあるのですよ。その様式をまず写すわけです、私が。その様式に入れるわけです。自分ではんこをついて出すと、それで用が足りるんです。それを司法書士に頼まなきゃならぬわけです。昔、町役場には書士というのがおりましたですね。入り口のところにいすを置きまして、書士というのがおりました。しかしながら地方公務員は国民に奉仕するという立場から、様式ができるに従いまして、町村役場におる書士というのはあまりおらなくなりました。いま村や町に行ってもいないです。ところが、登記所にはたいへんなんですね。登記職員を取り囲んでおるというぐらいに非常な数なんですね。一体どういうふうにこれを考えられておるか。私はいろんな役所、官庁を知ってますけれども、こういう官庁は珍しいですね。この問題と、もう一つ私は問題にしたいんですが、たとえば登記所というのは出張所が同時に住宅である。住宅で仕事をしておる。これは徳川時代の家産制度的な役所ですよ。自分の自宅で仕事をしておる。これが登記所のいまの実態なんですね。私はこういう問題について法務省は根本的に考える必要があるんじゃないかと思うんですけれども、いま私が申し上げた登記所の登記関係の職員と、それからその数倍にわたる人員との関係ですね、どういうふうに考えられておるのか。それを伺いたいと思うんです。
#17
○政府委員(平賀健太君) まず、法務局、地方法務局の登記従事職員の数でございますが、これはただいま鶴園委員仰せのとおり、約七千五百名でございます。それから、司法書士の数も大体一万二千名ぐらいでございます。司法書士の数は、これは法務局、地方法務局の長が選考をいたしまして認可をする。十分教養があり、司法書士としての業務ができるという教養のある人でありましたれば、これは認可によって司法書士になるわけでございますので、総数の制限というものは別にないわけでございます。そういう関係で、地方によりましては司法書士の取り扱い事件数に比較いたしまして非常に多過ぎるというようなところもなきにしもあらずというような状況でございます。それからなお、この司法書士は、数から言いますと少なくないわけでございますが、裁判所、検察庁の関係の仕事を主にしておる司法書士も中にあるわけでございまして、法務局のみが相手ではないのでございます。一万二千名の司法書士の中にはそういう裁判所、検察庁関係の仕事をしておられる人もある程度若干あるわけでございます。そういうようにしましても、登記だけを例にとりましても、法務局の職員よりも司法書士の総数は上回るんではなかいと私も考えるのでございますが、仕事の性質上、司法書士となりますと、どうしても登記の申請人に面接をいたしましてよく事情を聞く、それから登記簿を閲覧いたしまして、不動産の現況あるいは権利関係の調査をする、委託人の求めに応じまして登記の申請書を作成するということになりますと、一件当たりの処理する時間というのはどうしても司法書士のほうがよけいに時間を要するんではないかというふうに考えられるのでございます。この登記も、たとえば謄本の請求でございますとか、登記簿の抄本の請求でございますとか、これは非常に事柄が簡単明瞭で、役所の窓口に様式を備えておけば、しろうとの申請人が行きまして、それに書き込んで申請をするということも可能でございますけれども、権利関係の登記の申請ということになりますと、これはしろうとではそう簡単にはいきません。私ども不動産登記を承知いたしておりましても、自分の登記の申請書を書けと言われましても、なかなかこれは時間がかかりまして、そう簡単にできないような実情なのでございます。これを比較いたしますと、たとえば弁護士と訴訟当事者本人、当事者本人が裁判所に行きましてもなかなか訴訟行為が十分できないと同じような関係にあるといってもいいんではないかと私は考えております。そういう関係で司法書士の数が登記所の登記従事職員よりも多い。しかも補助者をかえておるということは、これは無理からぬところではないかというふうに考える次第でございます。
#18
○鶴園哲夫君 ごく、いま民事局長のおっしゃった問題がありますけれども、全体としての場合はこれは当たらないと思うんです、局長のお話は。第一行ってみて様式がないんですが、様式がありますか。義務教育を受けた者ができるようなことばで様式がつくってないんですよ。ないんです様式が。町役場にできていませんよ、様式がないんですよ。だから様式を出せというと、こんな大きなつづりを持ってきて自分でさがさなければならない。公務員として当然様式はこれですと、これに様式は書いてください、これが公務員としての態度じゃないですか。また様式も刷ってない。だから自分で様式を書かねばならない。そんなばかな役所はあったものじゃない。そういうことは執務体制に法務局の問題があると思うんです。法務省の問題があると思うんです。しかもこれは手数料が要るんです、すごい手数料が。で、私はいま申し上げたように、登記関係でいうと七千五百名程度登記職員が、公務員がおるが、それに数倍する司法書士というのがおる。そういう場合に一体登記所というのはサービス機関なのかどうか。それで伺いますけれども、この司法書士の増加傾向、十年くらいの前とどういう増加傾向をたどっているのか、それを伺います。
#19
○政府委員(平賀健太君) 司法書士の増加傾向についてお答えいしたます前に、ちょっと様式のことを、先ほどお答えいたしませんでしたので申し上げておきたいと思いますが、様式もこれは登記簿の謄本の請求とか抄本の請求でございますと、先ほども申し上げましたように、事柄が非常に簡単でございますので、これは窓口に様式を備えておきますれば、しろうとの申請人が参りまして、それに書き込んで申請ができるというわけでございます。そういうわけで、本省のほうで用紙を一括印刷して配付するということはいたしておりませんけれども、各法務局において用紙を備えるように、様式を備えるという指導をいたしております。私ども現場に参りまして、この様式を備えておるところが多いように思うのでございますが、ところによりまして、まだそれが徹底していないところもあるかもしれぬと思います。そうい、う点は十分申請人に便宜なように様式備えつけを励行いたしたいと思います。ただ先ほども申し上ごましたように、権利関係の登記、私ども甲号事件と申しておりますが、甲号事件の登記の申請書となりますと、様式自体がなかなか作成しましてもいろいろな形がございますので、様式自体をつくることにかなり技術的な困難性もございますし、様式は窓口に行きましてもしろうとがなかなかこれはわかりにくい。簡単な事件もありますので、こちらで、登記所のほうでよく教えてあげればこれはできぬこともないかと思いますけれども、甲号事件につきましては、ちょっとこれは技術的にかなり困難性があるように私は考えておるのであります。
 それから司法書士の増加傾向でございますが、これは大体私どもいま数字を持ってまいっておりませんので、正確なところは申し上げかねるのでございますが、大体毎年二百人前後ぐらいが法務局長、地方法務局長の選考によって認可されて書士の業務を新しく始めていると思うのでございます。そのかわり、死亡者、死亡する人、あるいは廃業する人というような者もあるわけでございますので、毎年平均どのくらいふえているか、正確な数字ちょっと申し上げかねますが、百数十名ぐらいずつ新しくふえているんじゃないか、最近の傾向はそういうふうでございます。
#20
○鶴園哲夫君 その数字をあとほどひとつ調べて答弁をいただきたいわけです。これが登記職員が増加しないで、公務員がふえないで、そういう者が激増してきているんじゃないかという私は感じを受けるわけなんです。司法書士そのものは、いまお話のように、そう激増していないかもしれない。しかし、そこで雇っている人は非常にふえているんじゃないかというように思います。行って見ると、公務員よりそっちのほうが多いことがある、やはり仕事をしている人から聞いてみるわけです。聞いて見ますと、公務員じゃないほうが多いことがある、仕事をしている人が多い。聞いて見ると、それは司法書士じゃなくて、そこにつとめている人なんです。一緒になって仕事をしている。どうもけったいなところだと思うのですが、これはやはり公務員が国民に奉仕するという立場からいいまして、はなはだしく私は欠けるところがあるというように思います。これは登記所の職員が不親切であるとかというようなことが一般に言われるのですが、これは結局人員が非常に足りない、ふえないから、司法書士、あるいはそこに使っておられる人たちが非常にふえている。その人たちは、いうならば一緒になって仕事をしている助手みたいなことになるのですか、どうなんでしょう。私は公務員の助手みたいなものになっているんじゃないかという感じを受けるのです。ですから、今度の臨時行政調査会の答申の法務局の項にも、司法書士を嘱託制にしたらどうか、嘱託制とは、私はおそれ入った話だと、司法書士を嘱託制にしたらどうかというようなことまで書いてある、何となくうなずけるような話なんです。で、行ってみますと、登記所よりもそっちのほうがいい建物がありますね。登記所の建物の横っちょに司法書士の建物がある、そっちのほうがばりっとしたところがある。こっちかと思うと、そうじゃない、そっちだと、登記所は。てなわけでびっくりするわけですよ。これはどうかと思うのですね。
 そこでお尋ねをしますけれども、登記の関係の手数料というのは、どの程度の年間の収入があるのですか。それと、こういう司法書士関係の手数料といったものはどの程度あるのでしょうか。
#21
○政府委員(平賀健太君) 登記関係で国で徴収いたしますのは、登録税と、それから登記抄本なんかの請求の場合の手数料でございますが、三十八年度でその総額が三百五十億でございます。ひところに比べまして、ずいぶんこれは増加いたしております。
#22
○鶴園哲夫君 三百五十億という……、そうすると、ほぼそれと同じぐらいの司法書士関係の手数料というのはあるというように大体見ていいわけですか。これに数倍すると見なければいけませんか。
#23
○政府委員(平賀健太君) ただいま、三十八年度約三百五十億と申しましたが、これは登録税、手数料の合計でございまして、手数料だけでございますと、約十四億でございます。
#24
○鶴園哲夫君 そこでこの関係は、あとでもう少し数字を整理して御答弁をいただくことにしまして、大臣のおる間にもう少し……。これはずっと懸案になっております問題でありますけれども、その点について大臣にお尋ねをしておきたいと思いますが、この委員会で法務省設置法が出るたびに税通問題が……、要するに登記所のほうが国税庁に対しまして協力態勢をとっておるわけなんです。で、それはいろいろ局長に答弁を願って、最後の判断について法務大臣のお考えを承りたいと思うのですが、ここで税通問題についてむし返し論議をすることは差し控えたいと思いますが、私が、従来この税通問題について主張してまいりました要点は、従来税務署がやっておった仕事、税の徴収上必要な資料を税務署から人が来まして、登記所に来て、そうして調べておったわけですが、それを全部登記所に協力を求めるということになりまして、これを俗称税通問題と、こういつておるわけです。ところが、これは本来法務省の仕事でない、これは明らかであります。もちろん、行政機関でありますから、法務省と大蔵省関係、あるいは民事局と国税庁の間で行政機関同士が協力されるということは当然のことであります。でありますが、これは協力の範囲をおびただしく逸脱しておる。随時とか、あるいは必要あるときにとか、臨時にとかいうことの協力ならいいが、恒常的に協力をしなきゃならない、これは行政機関同士の協力関係の概念から逸脱しておるのではないかという点、さらにこれは非常にたくさんの人員を雇いまして、国税庁のほうから千八百万円ぐらいの金を出しまして、それで臨時職員を雇いまして協力をしておるわけなんですよ。ですから、これはいわゆる自分のところの職員で協力するというならまだしも、それではなくて、たくさんの臨時の職員を国税庁のほうから金もらって雇っている、それで協力をする、恒常的に協力をする。しかも出した資料の中の三分の一くらいしか使えない、あとは没だ、こういうような税通問題を私はこれは考えるべきだと思う、法務省の主体的な立場から言って。下請けどころではないのです、これは。私は協力関係よりも、下請けよりもまだひどいという感じを持っているわけです。そういう立場から税通問題について法務省として御検討なさったらいかがですかという主張をしている。それに対しまして中垣法務大臣は、廃止の方向で検討したいという答弁を私は記憶しております。ところが、その後さらに本年もそういう関係でさらに一そう大きな金で、二千四百万円程度の金をもらってやっておられるという状況でありますが、こういう問題について大臣が再検討をやられるお考えあるかどうか。私はここでイエスかノーかという、そういう答弁ではなくて、検討されるお考えあるかどうか根本的に考えていただきたいと思います。
#25
○国務大臣(高橋等君) この問題につきましては、法務局出張所関係の職員組合からも、何とかひとつ善処してもらえないかという話がまいっております。私としましては、これは筋が非常に違うことをやっているのだから、できることなら大蔵省の国税のほうを増員させまして、普通の姿に直したいという考え方も持っておりますのでありますが、一方地方税法によりますと、登記所がする市町村の通知をやるわけである。これと内容はほとんど同じなんだというようなことで、そのついでに一緒にやっておるという面が非常に多いのであります。そこで全般的に考えまして、国税庁に増員をしてこれをやらすか、あるいはもう少し経費をもらうなり、人間をこちらへもらってやるか、どちらのことが利益になるかということをいま検討をしております。それでこのいま御指摘のように、これは筋は違うのだ、やっていることは便宜上のことでやっているのだ。法務局本来の義務づけられた問題でないことは、これははっきりしている。いま申し上げたような趣旨で、できるだけ法務局の出先のほうがやりいいように考えてやらにゃいかぬというつもりでおります。
#26
○鶴園哲夫君 これは地方税法によりまして、市町村の分については、法律によって法務省の仕事として規定をしてあるわけです。国税庁の場合は、そういう規定は全然ないわけです。従来は地方税法に基づきまして、法務省のほうでは、法務省の仕事として、地方税の問題についてはやっておられた国税の関係については、税務署が登記所に来て、登記所に協力を求めておった、いまはそうではなくなっちゃった、これはいろいろあるですよ、実情が。酒持ってきて頼んだりしなければならなくなるんです。法務大臣もあるいは御承知ないかもしれませんですが、何か謄写版で何かこう書いて、三枚ぐらいつくって、その一枚、二枚を税務署に回せばいい、そういう性質のものではないんです。カードができておりまして、一々書き込まなければいけないんです。これは事務的に言いましても、非常に違うんですよ。ですから、やはり私は法務省の主体性からいって、法律に規定していないものを、しかも従来は税務署が、あるいは国税庁がやっていたものを、金をもらって、人間を雇って、そうして協力をするというのでは、私はどうも解せないと思う。ですから、いま法務大臣のお考えを伺いましたですけれども、ぜひこの問題についてはそういう意味で、ひとつ下の実際働いている人たちが働けるように善処方を重ねてひとつ要望いたしておきたいと思います。で、なおこの問題は、登記所の人員が足りないものを、税通関係で金もらって臨時職員を雇って、それでカバーしていこうというような考え方もあるようでありますけれども、あるとは言い切れませんが、あるように見受けられます。こういうことも、これは法務省の主体性の立場から、いささかこれは考えるべきだというふうに思いますですね。そこで、この税通で何人雇っていらっしゃいます。国税庁から金をもらいまして、何人臨時職員を雇っております。
#27
○政府委員(平賀健太君) 全国的に大体百二十人ぐらいではないかと考えております。
#28
○鶴園哲夫君 そんな小さな数字じゃないですよ、局長。百二十名。千八百万円ですよ、それもひとつあとで数字を調べて。
 次に、いま税通関係、あるいは一元化、そういうことで相当数の臨時職員がおられるわけですけれども、その臨時職員の総数は幾らですか。
#29
○政府委員(平賀健太君) ちょっと本日は数字を持ってきておりませんので、後刻調査いたしまして御報告申し上げます。
#30
○鶴園哲夫君 それではその問題は後刻ひとつ伺ってお尋ねをすることにしまして、そこで大臣がおられる間に、もう一つだけお尋ねをしておきたいと思います。今度臨時行政調査会が法務局の問題について、答申をしているわけなんですが、その中で私も賛成する面がありまして、それはこの委員会でも、たびたび私も法務大臣にも要望したし、また、質問をしてきたわけですが、法務局関係の幹部職員というのは、これは検事並びに判事ですね。そういうような資格の者が幹部職員になっている。そういうものをできるだけ、やはり一般の公務員から幹部職員に登用する必要があるのではないかという主張をしてきたわけなんです、いまここで詳細な論議をいたしませんですけれども。で、この問題について答申もそういうような意味のことを言っているわけですがね。この問題についてどういうふうに考えておられるのか。で、この公務員というのは非常にじみな仕事でございまして、ですからやはり公務員になるという場合に、だれしもそうなんですが、栄進の道がないんだと、先はないんだということでは、これはやはり公務員になるとしてもやっぱりなり手がなくなってくるということになるわけでして、ですからそういう問題について、私はできるだけ法務省としても善処をさるべきだと思うんですが、どういう考え方を持っておられるのか。
#31
○国務大臣(高橋等君) ちょっと、実態の状況を局長から話しましてから御答弁いたします。
#32
○政府委員(平賀健太君) 法務局の関係におきましては、地方法務局におきましては、当然これは検事の資格を持った職員はおりません。八法務局におきまして、現在法務局長は全部検事の資格を持っております。それから訟務部、これは八法務局に訟務部がございますが、その訟務部長二名、あるいはそれ以上いるところもございますが、訟務部付の検事というのがおりまして、これは裁判所に出頭いたしまして訴訟行為をいたします関係上、弁護士との均衡もございまして、これは有資格者であります検事をもってあてております。それ以外は本局の職員は全部事務官でございます。なお、八法務局長につきましては、現在は過渡的な時期でございまして、検事から全部任命されておりますが、かつては事務官の局長もございました。今後の方針といたしましては、事務官からもどしどし法務局長に登用していくという方針で進んでいくべきものと、私としては考えております。
#33
○国務大臣(高橋等君) ただいまお答えをいたしましたように、働く人が昇進の希望を持つということは一番人事管理上大切なことであります。検事でなければいけないという種類のものでもないかと考えますので、漸次ただいま局長が答えましたような方向で進んでまいりたい、こう御承知を願いたいと思います。
#34
○鶴園哲夫君 委員長、きょう午前中はこれで終わります。
#35
○委員長(下村定君) ちょっと速記をとめて。
  〔速記中止〕
#36
○委員長(下村定君) 速記をつけて。
 それでは午前の質疑はこの程度にとどめて、後は二時に再開することにいたします。
 これにて休憩いたします。
   午後零時四十四分休憩
  〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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